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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056584
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】無人航空機の伝動装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 31/14 20060101AFI20240416BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240416BHJP
   B64D 27/04 20060101ALI20240416BHJP
   B64D 33/08 20060101ALI20240416BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B64D31/14
B64C27/08
B64D27/04
B64D33/08
B64C39/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163594
(22)【出願日】2022-10-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】521197184
【氏名又は名称】アラセ・アイザワ・アエロスパシアル合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 国男
(57)【要約】
【課題】プロペラを駆動するアームが、エアクリーナやラジエタと干渉しないように配置できる無人航空機の伝動装置を提供する。
【解決手段】機体上部に第1乃至第4アームが配置され、プロペラが直列4気筒エンジンで駆動される無人航空機の伝動装置であって、クランク軸に取り付けられるドライブギアと、ドライブギアと螺合するクラッチ軸のドリブンギアと、クラッチ軸に直交するドライブ軸を駆動するベベルギアと、ベベルギアで駆動されるドライブ軸のベースギアと、ドライブ軸のメインギアとメインギアと螺合する左サブギアとメインギアと螺合する反転ギアと反転ギアに螺合する右サブギアとからなる頂部ギア列と、左サブギアに螺合し、第1、2アームを駆動する第1、第2ベベルギアと、右サブギアに螺合し、第3、4アームを駆動する第3、第4ベベルギアと、が備えられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体上部に時計回りに第1アーム、第2アーム、第3アーム及び第4アームが配置され、前記各アームの先端のプロペラが直列4気筒エンジンで駆動される無人航空機の伝動装置であって、
前記直列4気筒エンジンのクランク軸に取り付けられるドライブギアと、
前記ドライブギアと螺合し、クラッチ軸に取り付けられるドリブンギアと、
遠心クラッチを介してクラッチ軸に取り付けられ、前記クラッチ軸に直交するドライブ軸を駆動するベベルギアと、
前記ベベルギアで駆動され、前記ドライブ軸に取り付けられるベースギアと、
前記ドライブ軸に取り付けられるメインギア、前記メインギアと螺合する左サブギア、前記メインギアと螺合する反転ギア、及び前記反転ギアに螺合する右サブギアからなる頂部ギア列と、
前記左サブギアに螺合し、前記第1アームと前記第2アームを駆動する第1ベベルギアならびに第2ベベルギアと、
前記右サブギアに螺合し、前記第3アームと前記第4アームを駆動する第3ベベルギアならびに第4ベベルギアと、
が備えられることを特徴とする無人航空機の伝動装置。
【請求項2】
前記直列4気筒エンジンは、前記クランク軸が機体の左右方向を向くように配置されることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機の伝動装置。
【請求項3】
前記直列4気筒エンジンは、ピストンが横向きに配置されることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機の伝動装置。
【請求項4】
エアクリーナが機体の上前方に配置され、ラジエタが機体の上後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機の伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人航空機の伝動装置に関し、より詳細には、機体上部から四方に伸びるプロペラ駆動用のアームの位置を高くしないでも、アームを機体上部に配置したラジエタ又はエアクリーナと干渉しないように配置できる無人航空機の伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例として、特許文献1の無人飛行体は2気筒エンジンである。2気筒エンジンから4気筒エンジンに変更して、新たな無人航空機(クァッドコプター)とする場合、エアクリーナとラジエタのサイズが大きくなって、プロペラ駆動用の4本のアームと干渉する。ドライプ軸の高さを高くして、アームの取付け位置を高くすれば、干渉は避けられるものの機体の高さが高くなる。機体の高さが高いと、機体を飛行場まで運ぶ運搬性や、機体下部への荷物や機器の搭載性が損なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6932411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、プロペラを駆動するアームが、エアクリーナやラジエタと干渉しないように配置できる無人航空機の伝動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による無人航空機の伝動装置は、機体上部に時計回りに第1アーム、第2アーム、第3アーム及び第4アームが配置され、前記各アームの先端のプロペラが直列4気筒エンジンで駆動される無人航空機の伝動装置であって、前記直列4気筒エンジンのクランク軸に取り付けられるドライブギアと、前記ドライブギアと螺合し、クラッチ軸に取り付けられるドリブンギアと、遠心クラッチを介してクラッチ軸に取り付けられ、前記クラッチ軸に直交するドライブ軸を駆動するベベルギアと、前記ベベルギアで駆動され、前記ドライブ軸に取り付けられるベースギアと、前記ドライブ軸に取り付けられるメインギア、前記メインギアと螺合する左サブギア、前記メインギアと螺合する反転ギア、及び前記反転ギアに螺合する右サブギアからなる頂部ギア列と、前記左サブギアに螺合し、前記第1アームと前記第2アームを駆動する第1ベベルギアならびに第2ベベルギアと、
前記右サブギアに螺合し、前記第3アームと前記第4アームを駆動する第3ベベルギアならびに第4ベベルギアと、が備えられることを特徴とする。
【0006】
前記直列4気筒エンジンは、前記クランク軸が機体の左右方向を向くように配置されることを特徴とする。
【0007】
前記直列4気筒エンジンは、ピストンが横向きに配置されることを特徴とする。
【0008】
エアクリーナが機体の上前方に配置され、ラジエタが機体の上後方に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による無人航空機の伝動装置は、ドライブ軸に取り付けられるメインギアと、メインギアと螺合するっ左サブギアと、メインギアと螺合する反転ギアと、反転ギアに螺合する右サブギアと、からなる頂部ギア列を設けたので、左側後方と左側前方に伸びる第1アームと第2アームと、右側前方と右側後方に伸びる第3アームと第4アームを左右方向に離して配置できる。第1アームと第4アームの間隔と、第2アームと第3アームの間隔を広くできるので、このスペースにエアクリーナやラジエタをアームと干渉しないように配置できる。
【0010】
直列4気筒エンジンは、クランク軸が機体の左右方向を向く配置としたので、機体の前後方向を向く配置と比べて、機体の左右バランスが取りやすい。
【0011】
直列4気筒エンジンは、ピストンを倒して横向きとしたので、即ちシリンダも横向きであり、(ピストン&シリンダ、クランク軸)が(横向き、水平)にでき、(ピストン&シリンダ、クランク軸)が(縦向き、水平)の場合に比べて、機体の高さを抑えることができる。
【0012】
エアクリーナを機体の上前方に配置し、ラジエタを機体の上後方に配置しても、ドライブ軸の高さを高くしないでもアームがエアクリーナやラジエタと干渉しないようにできる。機体の高さを抑えることができる。側面視で第2アームと第3アームは、エアクリーナの頂部より低い位置にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による伝動装置を搭載した無人航空機の外観図である。
図2】プロペラとアームとカバーとフットを外した機体の斜視図である。
図3図2の機体上部のギアを露出させた機体の斜視図である。
図4】本発明による伝動装置の拡大斜視図である。
図5図3でプロペラとアームとフットを取付けた機体の斜視図である。
図6図5の平面図である。
図7図5の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の無人航空機200の伝動装置100を詳しく説明する。
【実施例0015】
図1は、本発明による伝動装置100を搭載した無人航空機200の外観図である。無人航空機200は、機体5の上部に4基のプロペラ6を備える。機体5の下部にはフット38を有し、カバー39で覆われている。機体5の平面視で、プロペラ6は、時計回りに第1プロペラ1、第2プロペラ2、第3プロペラ3及び第4プロペラ4からなる。プロペラ6は、機体5上部に略対角線上に配置される第1アーム7、第2アーム8、第3アーム9、第4アーム10の先端に水平に回転するように設けられる。よって、クァドコプターとも呼ぶ。各プロペラ6は、2枚の羽根6aを有し、隣接するプロペラとオーバラップし、折り畳み可能で、4基とも同じ高さに配置される。
【0016】
図2は、プロペラとアームとカバーとフットを外した機体5の斜視図である。エアクリーナ11は機体5の上前方に配置される。ラジエタ12は機体5の上後方に配置される。マフラー13は機体5の後方に伸びる。直列4気筒エンジン15は、クランク軸14が機体5の左右方向を向くように配置される。第1アーム7と第2アーム8と第3アーム9と第4アーム10は外してある。そのため、第1アーム7の連結部7aが左後方に突出し、第2アーム8の連結部8aが左前方に突出し、第3アーム9の連結部9aが右前方に突出し、第4アーム10の連結部10aが右後方に突出している。
【0017】
図3は、図2の機体上部のギアを露出させた機体5の斜視図である。左後方に突出した第1アーム7の連結部7aと左前方に突出した第2アーム8の連結部8aの根元部が、右前方に突出した第3アーム9の連結部9aと右後方に突出した第4アーム10の連結部10aの根元部から左右方向に離れるように構成した。これにより、左後方に突出する第1アーム7と右後方に突出する第4アーム10がラジエタ12にぶつからないよう配置できる。同様に、左前方に突出した第2アーム8と右前方に突出した第3アーム9がエアクリーナ11にぶつからないよう配置できる。
【0018】
図4は、本発明による伝動装置100の拡大斜視図である。直列4気筒エンジン15により第1プロペラ1、第2プロペラ2、第3プロペラ3及び第4プロペラ4が駆動される。直列4気筒エンジン15は、第1ピストン16、第2ピストン17、第3ピストン18、第4ピストン19を備える。各ピストンは横向きに配置され、これにより機体15の高さを抑えることができる。クランク軸14は、機体5の左右方向を向いて水平に配置される。クランク軸14は、各ピストンの給気、圧縮、爆発、排気の運動により回転する。クランク軸14には、ドライブギア20が取り付けられ、クランク軸14が回転すると回転する。
【0019】
クランク軸14に併設される水平なクラッチ軸23には、ドライブギア20と螺合するドリブンギア21が取り付けられる。ドライブギア20に螺合するドリブンギア21の回転が一定になると、内部の遠心クラッチ22が作動し、従動ギア37を回転させてクラッチ軸23に取り付けられたるベベルギア24を回転させる。ベベルギア24が回転すると、クラッチ軸23に直交する垂直なドライブ軸25に取り付けられたベースギア26が回転する。ベースギア26が回転すると、ドライブ軸25に取り付けられるメインギア27が回転する。
【0020】
メインギア27が回転すると、左サブドライブ軸29に設けられたメインギア27と螺合する左サブギア28が回転する。同時に、メインギア27と螺合する反転ギア30も回転する。反転ギア30が回転すると、反転ギア30に螺合され、右サブドライブ軸32に設けられた右サブギア31も回転する。メインギア27と左サブギア28と反転ギア30と右サブギア31を頂部ギア列40とする。メインギア27から直接第1~第4アームを駆動するのではなく、左サブギア28と右サブギア31の2つに分散してアームを駆動できる。
【0021】
続いて左サブギア28に螺合し、第1アーム7を駆動する第1ベベルギア33が回転される。同様に左サブギア28に螺合し、第2アーム8を駆動する第2ベベルギア34が回転される。右サブギア31に螺合し、第3アーム9を駆動する第3ベベルギア35が回転される。同様に右サブギア31に螺合し、第4アーム10を駆動する第4ベベルギア36が回転される。
【0022】
図5は、図3でプロペラとアームとフットを取付けた機体5の斜視図である。左後方に突出する第1アーム7と右後方に突出する第4アーム10がラジエタ12にぶつからないよう配置でき、左前方に突出した第2アーム8と右前方に突出した第3アーム9がエアクリーナ11にぶつからないよう配置できる。
【0023】
図6は、図5の平面図である。メインギア27と、メインギア27と螺合するっ左サブギア28と、メインギア27と螺合する反転ギア30と、反転ギア30に螺合する右サブギア31と、からなる頂部ギア列40を設けた。これにより、左側後方と左側前方に伸びる第1アームと第2アームと、右側前方と右側後方に伸びる第3アームと第4アームを左右方向に離して配置できる。そのため、左後方に突出する第1アーム7と右後方に突出する第4アーム10がラジエタ12にぶつからないよう配置でき、左前方に突出した第2アーム8と右前方に突出した第3アーム9がエアクリーナ11にぶつからないよう配置できる。
【0024】
図7は、図5の左側面図である。直列4気筒エンジン15は、クランク軸14が機体5の左右方向を向く配置としたので、機体5の左右バランスが取りやすい。直列4気筒エンジン15は、ピストンを横向きとなるように配置したので、ピストンを縦向きに配置する場合に比べて、機体の高さを抑えることができる。エアクリーナ11を機体5の上前方に配置し、ラジエタ12を機体の上後方に配置したが、頂部ギア列40によりドライブ軸25の高さを高くしないでも、アームがエアクリーナ11やラジエタ12と干渉しないようにできる。側面視では第2アーム8は、エアクリーナ11の頂部より低い位置にある。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、プロペラ駆動用のアームの位置を高くしないでも、ラジエタやエアクリーナと干渉しないようにできる無人航空機の伝動装置として好適である。
【符号の説明】
【0026】
1 第1プロペラ
2 第2プロペラ
3 第3プロペラ
4 第4プロペラ
5 機体
6 プロペラ
6a 羽根
7 第1アーム
7a 連結部
8 第2アーム
8a 連結部
9 第3アーム
9a 連結部
10 第4アーム
10a 連結部
11 エアクリーナ
12 ラジエタ
13 マフラー
14 クランク軸
15 直列4気筒エンジン
16 第1ピストン
17 第2ピストン
18 第3ピストン
19 第4ピストン
20 ドライブギア
21 ドリブンギア
22 遠心クラッチ
23 クラッチ軸
24 ベベルギア
25 ドライブ軸
26 ベースギア
27 メインギア
28 左サブギア
29 左サブドライブ軸
30 反転ギア
31 右サブギア
32 右サブドライブ軸
33 第1ベベルギア
34 第2ベベルギア
35 第3ベベルギア
36 第4ベベルギア
37 従動ギア
38 フット
39 カバー
40 頂部ギア列
100 伝動装置
200 無人航空機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7