(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056591
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ドリッパー
(51)【国際特許分類】
A47J 31/02 20060101AFI20240416BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A47J31/02
A47J31/06 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022171815
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】522055315
【氏名又は名称】株式会社新家製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌典
(72)【発明者】
【氏名】山下 公彦
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA02
4B104BA35
4B104EA28
4B104EA30
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で成分除去と風味のバランスを考慮したドリッパーを提供すること。
【解決手段】本発明に係るドリッパーは、前記側壁部の一端に着脱自在に取り付けられる底板部と、を有し、前記底板部は、複数の貫通穴が形成されている第1底板と、液状物の通過穴が形成され、前記貫通穴に挿通される突起が形成されている第2底板と、を有し、前記突起が前記貫通穴に挿通されている状態において、前記突起の外周と前記貫通穴の内周との間にギャップが形成される、ものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部と、
前記側壁部の一端に着脱自在に取り付けられる底板部と、を有し、
前記底板部は、
複数の貫通穴が形成されている第1底板と、
液状物の通過穴が形成され、前記貫通穴に挿通される突起が形成されている第2底板と、を有し、
前記突起が前記貫通穴に挿通されている状態において、前記突起の外周と前記貫通穴の内周との間にギャップが形成される、
ドリッパー。
【請求項2】
前記突起が前記貫通穴に挿通されている状態において、前記底板部の前記側壁部の内側に平らな面を形成する
請求項1に記載のドリッパー。
【請求項3】
側壁部と、
前記側壁部の一端に着脱自在に取り付けられる底板部と、を有し、
前記底板部は、
複数の第1貫通穴と複数の第1突起が形成されている第1底板と、
液状物の通過穴が形成され、前記第1貫通穴に挿通される第2突起と前記第1突起が挿通される第2貫通穴が形成されている第2底板と、を有し、
前記第1突起が前記第2貫通穴に挿通され、前記第2突起が前記第1貫通穴に挿通されている状態において、前記第1突起の外周と前記第2貫通穴の内周との間、及び、前記第2突起の外周と前記第1貫通穴の内周との間にギャップが形成される、
ドリッパー。
【請求項4】
前記第1突起が前記第2貫通穴に挿通され、前記第2突起が前記第1貫通穴に挿通されている状態において、前記底板部の前記側壁部の内側に平らな面を形成する
請求項3に記載のドリッパー。
【請求項5】
前記第1底板の外周側に係止部が形成され、
前記第2底板の外周側に前記係止部が係合される係合部が形成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のドリッパー
【請求項6】
前記ギャップが、0.1mm以上、0.5mm以下とした
請求項1~4のいずれか一項に記載のドリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末や微細片等の固体(例えば、コーヒー粉、紅茶の葉、緑茶の葉等)と抽出した液状物を分離する濾過機構を有するドリッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々なタイプのドリッパーが製造・販売されている。ドリッパーでの抽出方法としては、透過方法、浸漬方法が一般的である。透過方法を採用しているドリッパーとしては、例えば、ペーパータイプのドリッパー、ネル(布)タイプのドリッパー、金属製のメッシュタイプドリッパー、樹脂製のメッシュタイプドリッパーなどが知られている。浸漬方法を採用しているドリッパーとしては、例えば、フレンチプレスタイプのドリッパーなどが知られている。なお、以下では、コーヒードリッパーを中心として説明するが、これに限定するものではなく、紅茶ドリッパーや緑茶ドリッパーも含まれているものとする。
【0003】
特許文献1にはペーパータイプのドリッパーが開示されている。この種のペーパータイプのドリッパーは、ペーパーが油分等を吸収するため、抽出成分も一緒に除去されてしまう。そのため、ペーパータイプのドリッパーによれば、目視可能な微粉排出がなく、すっきりとした液状物が提供できる。つまり、例えばコーヒーの本来の味ではない。また、ペーパータイプのドリッパーは、使い捨てが基本である。気軽に使用でき、使用方法も簡単なので、一般家庭などで使用されることも多い。
【0004】
特許文献2にはネル(布)タイプのドリッパーが開示されている。この種のネル(布)タイプのドリッパーは、布が油分等を吸収するため、抽出成分も一緒に除去されてしまう。ただし、ペーパーよりも成分吸収は少ない。そのため、ネル(布)タイプのドリッパーによれば、目視可能な微粉排出が少なく、割とすっきりとした液状物が提供できる。また、ネル(布)タイプのドリッパーは、洗って再利用することが一般的である。しかし、目詰まりが生じるため、再利用回数には限界がある。また、布を洗うことになるため、衛生的な問題も生じる。
【0005】
特許文献3には金属製のメッシュタイプドリッパーが開示されている。この種の金属製(例えば、ステンレスなど)のメッシュタイプドリッパーは、金属製なので、成分除去がないか、ほとんどない。そのため、金属製のメッシュタイプドリッパーによれば、目視可能な微粉排出があり、異物感(ざらざら感)はあるが、コーヒーをそのまま味わえる液状物の提供となる。金属製のメッシュタイプドリッパーは、洗って再利用することが一般的である。しかし、メッシュ(開口部)が目詰まりしてしまうため、洗うのに労力を要する。パンチングメタルを使用したドリッパーも、メッシュタイプに含むものとする。また、二層などとしてタイプも存在するが、一層でも二層でも同じである。なお、製品によって多少の差が存在する。
【0006】
特許文献4には樹脂製のメッシュタイプドリッパーが開示されている。この種の樹脂製(例えば、ポリプロピレンなど)のメッシュタイプドリッパーは、金属製と同様に、成分除去がないか、ほとんどない。そのため、樹脂製のメッシュタイプドリッパーによれば、目視可能な微粉排出があり、異物感(ざらざら感)はあるが、コーヒーをそのまま味わえる液状物の提供となる。樹脂製のメッシュタイプドリッパーは、洗って再利用することが一般的である。しかし、メッシュ(開口部)が目詰まりしてしまうため、洗うのに労力を要する。また、二層などのタイプも存在するが、一層でも二層でも同じである。なお、製品によって多少の差が存在する。
【0007】
特許文献5にはフレンチプレスタイプのドリッパーが開示されている。この種のフレンチプレスタイプのドリッパーは、成分除去がないか、ほとんどない。そのため、フレンチプレスタイプのドリッパーによれば、目視可能な微粉排出があり、異物感(ざらざら感)はあるが、コーヒーをそのまま味わえる液状物の提供となる。フレンチプレスタイプのドリッパーは、どんなに注ぎ方を慎重にしても微粉排出が多い。フレンチプレスタイプのドリッパーは、洗って再利用することが一般的である。しかし、メッシュ(開口部)が目詰まりしてしまうため、洗うのに労力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-74334号公報
【特許文献2】実用新案登録第3233536号
【特許文献3】特開2018-69008号公報
【特許文献4】実用新案登録第3193785号
【特許文献5】特開2018-192035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上術したドリッパーのうち成分除去が除去されるものにおいては、風味にかけてしまいコーヒー本来の味が楽しめない。上述したドリッパーのうち成分除去がないものにおいては、風味はかけないものの、見た目と舌ざわりが悪い。いずれのドリッパーにおいても、成分除去、風味、見た目、舌ざわり、再利用のしやすさ、全部をバランスよく奏することはできない。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構造で成分除去と風味のバランスを考慮したドリッパーを提供することを目的とする。
また、本発明は、見た目、舌ざわり、再利用のしやすさなども考慮したドリッパーを提供することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るドリッパーは、
側壁部と、
前記側壁部の一端に着脱自在に取り付けられる底板部と、を有し、
前記底板部は、
複数の貫通穴が形成されている第1底板と、
液状物の通過穴が形成され、前記貫通穴に挿通される突起が形成されている第2底板と、を有し、
前記突起が前記貫通穴に挿通されている状態において、前記突起の外周と前記貫通穴の内周との間にギャップが形成される、ものである。
【0012】
本発明に係るドリッパーは、前記突起が前記貫通穴に挿通されている状態において、前記底板部の前記側壁部の内側に平らな面を形成する、構成にすることができる。
【0013】
本発明に係るドリッパーは、
側壁部と、
前記側壁部の一端に着脱自在に取り付けられる底板部と、を有し、
前記底板部は、
複数の第1貫通穴と複数の第1突起が形成されている第1底板と、
液状物の通過穴が形成され、前記第1貫通穴に挿通される第2突起と前記第1突起が挿通される第2貫通穴が形成されている第2底板と、を有し、
前記第1突起が前記第2貫通穴に挿通され、前記第2突起が前記第1貫通穴に挿通されている状態において、前記第1突起の外周と前記第2貫通穴の内周との間、及び、前記第2突起の外周と前記第1貫通穴の内周との間にギャップが形成される、ものである。
【0014】
本発明に係るドリッパーは、前記第1突起が前記第2貫通穴に挿通され、前記第2突起が前記第1貫通穴に挿通されている状態において、前記底板部の前記側壁部の内側に平らな面を形成する、構成にすることができる。
【0015】
本発明に係るドリッパーは、
前記第1底板の外周側に係止部が形成され、
前記第2底板の外周側に前記係止部が係合される係合部が形成されている、ものとしてもよい。
【0016】
本発明に係るドリッパーは、
前記ギャップが、0.1mm以上、0.5mm以下とした、ものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、貫通穴が形成されている第1底板と突起が形成されている第2底板で底板部を形成し、突起の外周と貫通穴の内周との間にギャップを形成するという簡易な構成で、微粉排出を大幅に抑制しつつ成分を効果的に抽出することが可能になる。
また、本発明によれば、第1底板と第2底板を分離することで、何度でも再利用することができ、目詰まりが発生することもない。
さらに、底板部の側壁部の内側に平らな面を形成することで、ペーパータイプやネルタイプのドリッパーのような粉末や微細片等の固体の沈殿する底面が平らでないドリッパーと比べて、沈殿する固体の厚みを均一化することが可能になり、濾過効率が向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るドリッパーの外観構成を概略的に示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係るドリッパーの縦断面構成を概略的に示す断面斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係るドリッパーを構成する底板部の第1底板の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係るドリッパーを構成する底板部の第2底板の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係るドリッパーを構成する底板部の外観構成を概略的に示す上側から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係るドリッパーを構成する底板部の外観構成を概略的に示す下側から見た斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係るドリッパーを構成する底板部のギャップを説明するための概略図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係るドリッパーを構成する底板部の第1底板の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係るドリッパーを構成する底板部の第2底板の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態2に係るドリッパーを構成する底板部の外観構成を概略的に示す上側から見た斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係るドリッパーを構成する底板部の外観構成を概略的に示す下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るドリッパー100の外観構成を概略的に示す正面図である。
図2は、ドリッパー100の縦断面構成を概略的に示す断面斜視図である。
図3は、ドリッパー100を構成する底板部20の第1底板30の外観構成を概略的に示す斜視図である。
図4は、ドリッパー100を構成する底板部20の第2底板40の外観構成を概略的に示す斜視図である。
図5は、ドリッパー100を構成する底板部20の外観構成を概略的に示す上側から見た斜視図である。
図6は、ドリッパー100を構成する底板部20の外観構成を概略的に示す下側から見た斜視図である。
図7は、ドリッパー100を構成する底板部20のギャップGを説明するための概略図である。
【0020】
図1~
図7に基づいてドリッパー100について説明する。ドリッパー100は、粉末や微細片等の固体(例えば、コーヒー粉、紅茶の葉、緑茶の葉等)から抽出した液状物を分離するものである。
図1及び
図2に示すように、ドリッパー100は、側壁部10及び底板部20を有している。側壁部10は、粉末や微細片、お湯などが入れられものである。側壁部10は、円筒形状に構成されている。側壁部10の一端の開口部周縁にはつば部11が形成されており、カップなどの容器の上端周辺に載置可能になっている。底板部20は、側壁部10の一端に着脱自在に取り付けられるものである。底板部20は、円盤形状に構成されている。側壁部10の一端とは、紙面下側(鉛直方向下側)を意味している。
【0021】
図3~
図6に示すように、底板部20は、第1底板30と第2底板40が組み合わされて構成されている。第1底板30には、複数の貫通穴31が形成されている。貫通穴31の個数、径、形状、位置を特に限定するものではない。第2底板40には、複数の突起41が形成されている。突起41の個数、径、形状、位置を特に限定するものでない。ただし、貫通穴31の個数と突起41の個数は一致している。第1底板30と第2底板40が組み合わされた状態において、貫通穴31には突起41が挿通されることになる。
【0022】
図3に示すように、第1底板30の外周部32に係止部33が形成されている。係止部33は、外周部32から外側に向けて突出するように形成されている。係止部33は、第2底板40に形成されている係合部43に装着されて係合されることになる。なお、
図3に示すように係止部33を複数形成してもよいし、1個だけ形成してもよい。係止部33と係合部43によって、第1底板30と第2底板40の位置決めをしてもよい。
【0023】
図4に示すように、第2底板40の外周部42に係合部43が形成されている。係合部43は、外周部42を下側に向かって切り欠いて形成されている。係合部42は、第1底板30に形成されている係止部33が装着されるような形状に構成されている。なお、
図4に示すように係合部43を複数形成してもよいし、1個だけ形成してもよい。ただし、係止部33と係合部43は同数にしておく。また、第2底板40には、液状物が通過可能な通過穴45が形成されている。さらに、第2底板40の下端周縁にはつば部44が形成されている。
【0024】
図7に示すように、突起41が貫通穴31に挿通されている状態において、突起41の外周と貫通穴31の内周との間にギャップGが形成される。このギャップGは、0.1mm以上、0.5mm以下としている。ドリッパー100の用途や目的に応じて、ギャップGを決定すればよい。
【0025】
また、突起41が貫通穴31に挿通されている状態において、底板部20の側壁部10の内側に平らな面Mを形成する。
これにより、粉末や微細片等の固体の沈殿する部分の少なくとも一部に平らな面Mを形成することになる。平らな面Mを形成することで、平らな面Mにケーキ濾過層(粉末や微細片等の沈降体積によって形成される層)が均一な厚みで保持されることになる。
ケーキ濾過層とは、粒子の大きさが異なる粉末や微細片等のうち大きい粒子がギャップGで補足され、次に小さい粒子が大きい粒子間に補足され、体積したケーキによって固液分離を行うものである。ケーキ濾過層が形成されることで、濾過品質が向上されることになる。加えて、自然に形成されるケーキ濾過層によって濾過機能が高まり、濾過効率が向上することにもなる。なお、第1底板30と第2底板40を分離することで、ギャップGに詰まった粒子を容易に排除することができることになる。ただし、平らな面Mが完全な平面である必要はなく、突起41の先端が貫通穴31から多少突出したり、多少へこんでいたりしてもよい。
【0026】
以上のように構成されたドリッパー100を用いてコーヒーを淹れる場合を簡単に説明する。ドリッパー100を利用する人は、まず、底板部20を側壁部10に取り付ける。この状態で、粉末や微細片を側壁部10に入れる。次に、お湯を入れる。こうすることで、粉末や微細片等から成分が抽出される。この成分はお湯と一緒の液状物となって、重力方向に流れることになる。ここで、底板20が液状物の流れを妨害することになる。しかし、底板20には、複数のギャップGが形成されており、ギャップGに液状物が流れることになる。ギャップGを通過した液状物は、第2底板40に形成されている通過穴45を通過してドリッパー100の下方外部に流出することになる。
【0027】
ギャップGは0.1mm以上、0.5mm以下となっているので、粉末や微細片等は、ギャップGを通過することができない。つまり、ギャップGが濾過機能を発揮することで、粉末や微細片等が液状物から分離することになる。ギャップGは粉末や微細片等に応じて決定すればよいので、粉末や微細片等がギャップGを通過することがない。一方、液状物は、ギャップGを通過し、通過穴45を通過し、底板部20の下方に設置されているカップなどの容器に注がれることになる。つまり、ドリッパー100によれば、微粉排出を大幅に抑制しつつ成分を効果的に抽出することが可能になる。
【0028】
また、第1底板30と第2底板40は容易に分離することができるので、何度でも洗浄することが可能になるだけでなく、貫通穴31に付着している粉末や微細片等を容易に洗い流すこと可能になる。したがって、ドリッパー100によれば、貫通穴31が粉末や微細片等によって目詰まりが発生することもない。
【0029】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係るドリッパー100Aを構成する底板部20Aの第1底板30Aの外観構成を概略的に示す斜視図である。
図9は、ドリッパー100Aを構成する底板部20Aの第2底板40Aの外観構成を概略的に示す斜視図である。
図10は、ドリッパー100Aを構成する底板部20Aの外観構成を概略的に示す上側から見た斜視図である。
図11は、ドリッパー100Aを構成する底板部20Aの外観構成を概略的に示す下側から見た斜視図である。実施の形態2に係るドリッパー100Aの基本的な構成及び機能については、実施の形態1に係るドリッパー100と同様である。
【0030】
ドリッパー100Aは、側壁部及び底板部20Aを有している。側壁部は、実施の形態1に係るドリッパー100の側壁部10と同じである。底壁部20Aは、側壁部の一端に着脱自在に取り付けられるものである。底板部20Aは、円盤形状に構成されている。
【0031】
図8~
図11に示すように、底板部20Aは、第1底板30Aと第2底板40Aが組み合わされて構成されている。
図8に示すように、第1底板30Aには、複数の第1貫通穴31Aと複数の第1突起36Aが形成されている。複数の第1突起36Aが第1底板30Aの中心側に形成されており、複数の第1貫通穴31Aが第1突起36Aの周囲に形成されている。第1貫通穴31Aの個数、径、形状、位置を特に限定するものではない。第1突起36Aの個数、径、形状、位置を特に限定するものではない。
【0032】
図9に示すように、第2底板40Aには、複数の第2突起41Aと複数の第2貫通穴46Aが形成されている。複数の第2貫通穴46Aが第2底板40Aの中心側に形成されており、複数の第2突起41Aが第2突起46Aの周囲に形成されている。第2突起41Aの個数、径、形状、位置を特に限定するものでない。第2貫通穴46Aの個数、径、形状、位置を特に限定するものでない。ただし、第1貫通穴31Aの個数と第2突起41Aの個数は一致している。第2貫通穴46Aの個数と第1突起36Aの個数は一致している。
【0033】
図8に示すように、第1底板30Aの外周部32Aに係止部33Aが形成されている。係止部33Aは、外周部32Aから外側に向けて突出するように形成されている。係止部33Aは、第2底板40Aに形成されている係合部43Aに装着されて係合されることになる。なお、
図8に示すように係止部33Aを複数形成してもよいし、1個だけ形成してもよい。係止部33Aと係合部43Aによって、第1底板30Aと第2底板40Aの位置決めをしてもよい。
【0034】
図9に示すように、第2底板40Aの外周部42Aに係合部43Aが形成されている。係合部43Aは、外周部42Aを下側に向かって切り欠いて形成されている。係合部42Aは、第1底板30Aに形成されている係止部33Aが装着されるような形状に構成されている。なお、
図9に示すように係合部43Aを複数形成してもよいし、1個だけ形成してもよい。ただし、係止部33Aと係合部43Aは同数にしておく。また、第2底板40Aには、液状物が通過可能な通過穴45Aが形成されている。さらに、第2底板40Aの下端周縁にはつば部44Aが形成されている。
【0035】
第1底板30Aと第2底板40Aが組み合わされた状態において、第1貫通穴31Aには第2突起41Aが、第2貫通穴46Aには第1突起36Aが。それぞれ挿通されることになる。第2突起41Aが第1貫通穴31Aに挿通され、第1突起36Aが第2貫通穴46Aに挿通されている状態において、第2突起41Aの外周と第1貫通穴31Aの内周との間、第1突起36Aの外周と第2貫通穴46An内周との間には、それぞれギャップGが形成される。このギャップGは、0.1mm以上、0.5mm以下としている。ドリッパー100Aの用途や目的に応じて、ギャップGを決定すればよい。
【0036】
また、第2突起41Aが第1貫通穴31Aに挿通され、第1突起36Aが第2貫通穴46Aに挿通されている状態において、底板部20Aの側壁部10の内側に平らな面を形成する。
平らな面を形成することの効果は、実施の形態1で説明した通りである。
【0037】
以上のように構成されたドリッパー100Aを用いてコーヒーを淹れる場合を簡単に説明する。ドリッパー100Aを利用する人は、まず、底板部20Aを側壁部に取り付ける。この状態で、粉末や微細片を側壁部に入れる。次に、お湯を入れる。こうすることで、粉末や微細片等から成分が抽出される。この成分はお湯と一緒の液状物となって、重力方向に流れることになる。ここで、底板20Aが液状物の流れを妨害することになる。しかし、底板20Aには、複数のギャップGが形成されており、ギャップGに液状物が流れることになる。
【0038】
液状物は、まず、第1貫通穴31Aと第2突起41Aにより形成されるギャップG(上流側のギャップG)を流れ、その次に第2貫通穴46Aと第1突起36Aにより形成されるギャップG(下流側のギャップG)を流れることになる。上流側のギャップG、下流側のギャップGを通過した液状物は、第2底板40Aに形成されている通過穴45A(第2貫通穴46A)を通過してドリッパー100Aの下方外部に流出することになる。通過穴45Aは、第2貫通穴46Aと連通している。つまり、第2貫通穴46Aが通過穴45Aとして機能する。
【0039】
上流側のギャップG、下流側のギャップGのいずれもが0.1mm以上、0.5mm以下となっているので、粉末や微細片等は、ギャップGを通過することができない。つまり、ギャップGが濾過機能を発揮することで、粉末や微細片等が液状物から分離することになる。ギャップGは粉末や微細片等に応じて決定すればよいので、粉末や微細片等がギャップGを通過することがない。一方、液状物は、ギャップGを通過し、通過穴45Aを通過し、底板部20Aの下方に設置されているカップなどの容器に注がれることになる。つまり、ドリッパー100Aによれば、微粉排出を大幅に抑制しつつ成分を効果的に抽出することが可能になる。ドリッパー100Aによれば、多段ギャップ構成になっているので、さらに濾過機能が向上することになる。
【0040】
また、第1底板30Aと第2底板40Aは容易に分離することができるので、何度でも洗浄することが可能になるだけでなく、貫通穴31A、46Aに付着している粉末や微細片等を容易に洗い流すこと可能になる。したがって、ドリッパー100Aによれば、貫通穴31A、46Aが粉末や微細片等によって目詰まりが発生することもない。
【0041】
<ドリッパー100、ドリッパー100Aが奏する効果のまとめ>
ドリッパー100は、側壁部10と、側壁部10の一端に着脱自在に取り付けられる底板部20と、を有し、底板部20は、複数の貫通穴31が形成されている第1底板30と、液状物の通過穴45が形成され、貫通穴31に挿通される突起41が形成されている第2底板40と、を有し、突起41が貫通穴31に挿通されている状態において、突起41の外周と貫通穴31の内周との間にギャップGが形成される、ものである。
【0042】
以上のように、ドリッパー100によれば、貫通穴31が形成されている第1底板30と突起41が形成されている第2底板40で底板部20を形成し、突起41の外周と貫通穴41の内周との間にギャップGをするという簡易な構造で、微粉排出を大幅に抑制しつつ成分を効果的に抽出することが可能になる。
また、ドリッパー100によれば、粉末や微細片等の固体の沈殿する部分(底板部20の側壁部10の内側)の少なくとも一部に平らな面Mを形成することができ、沈殿する固体の厚みを均一化することが可能になり、濾過効率を向上できる。
【0043】
ドリッパー100は、第1底板30の外周側に係止部33が形成され、第2底板40の外周側に係止部33が係合される係合部43が形成されている。
したがって、ドリッパー100によれば、第1底板30と第2底板40の組み合わせに対する位置決めが容易にでき、簡便に組み合わせできる。
【0044】
ドリッパー100は、ギャップGが、0.1mm以上、0.5mm以下としている。そのため、ドリッパー100によれば、粉末や微細片等がギャップGを通過することがない。
また、何回も洗浄することができる。また、目詰まりの発生も大幅に抑制できる。
【0045】
ドリッパー100Aは、側壁部と、側壁部の一端に着脱自在に取り付けられる底板部20Aと、を有し、底板部20Aは、複数の第1貫通穴31Aと複数の第1突起36Aが形成されている第1底板30Aと、液状物の通過する貫通穴46Aが形成され、第1貫通穴31Aに挿通される第2突起41Aと第1突起36Aが挿通される第2貫通穴41Aが形成されている第2底板40Aと、を有し、第1突起36Aが第2貫通穴46Aに挿通され、第2突起41Aが第1貫通穴31Aに挿通されている状態において、第1突起36Aの外周と第2貫通穴46Aの内周との間、及び、第2突起41Aの外周と第1貫通穴31Aの内周との間にギャップGが形成される、ものである。
【0046】
以上のように、ドリッパー100Aによれば、第1貫通穴31Aと第1突起36Aが形成されている第1底板30Aと第2突起41Aと第2貫通穴46Aが形成されている第2底板40Aで底板部20Aを形成し、第2突起41Aの外周と第1貫通穴31Aの内周との間、第1突起36Aの外周と第2貫通穴46Aの内周との間に、それぞれギャップGを形成するという簡易な構造で、微粉排出を大幅に抑制しつつ成分を効果的に抽出することが可能になる。
また、ドリッパー100Aによれば、粉末や微細片等の固体の沈殿する部分(底板部20Aの側壁部10の内側)の少なくとも一部に平らな面を形成することができ、沈殿する固体の厚みを均一化することが可能になり、濾過効率を向上できる。
【0047】
ドリッパー100Aは、第1底板30Aの外周側に係止部33Aが形成され、第2底板40Aの外周側に係止部33Aが係合される係合部43Aが形成されている。
したがって、ドリッパー100Aによれば、第1底板30Aと第2底板40Aの組み合わせに対する位置決めがようにでき、簡便に組み合わせできる。
【0048】
ドリッパー100Aは、上流側のギャップG、下流側のギャップGのそれぞれが、0.1mm以上、0.5mm以下としている。そのため、ドリッパー100Aによれば、粉末や微細片等がギャップGを通過することがない。
また、何回も洗浄することができる。また、目詰まりの発生も大幅に抑制できる。
【0049】
ここで、上述した実施の形態は、本発明に係るドリッパーの好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、本発明に係るドリッパーを構成する材質を特に限定するものではないし。突起と貫通穴の関係を逆にしてもよい。また、係止部と係合部の関係を逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 側壁、11 つば部、20 底板部、20A 底板部、30 第1底板、30A 第1底板、31 貫通穴、31A 第1貫通穴、32 外周部、32A 外周部、33 係止部、33A 係止部、36A 第1突起、40 第2底板、40A 第2底板、41 突起、41A 第2突起、42 外周部、42A 外周部、43 係合部、43A 係合部、44 つば部、44A つば部、45 通過穴、45A 通過穴、46A 第2貫通穴、100 ドリッパー、100A ドリッパー、G ギャップ、M 平らな面