(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000566
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】柱上機器取付け金具および柱上機器の取付方法
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20231226BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20231226BHJP
H02B 5/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
H02B5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099294
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592157076
【氏名又は名称】イワブチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】福地 政弘
(72)【発明者】
【氏名】宮越 亮弥
(72)【発明者】
【氏名】中田 正人
【テーマコード(参考)】
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G352AC01
5G367AC02
(57)【要約】
【課題】柱上機器を取付ける腕金上に肥大化した冠雪が発生することを防止する。
【解決手段】縦方向に所定の長さを有する縦状部11aおよびその縦状部11aの上端部から横方向に所定の長さを有する横状部11bを有し、縦状部11aには腕金取付け用ボルト13aおよびナット13bで締結するためのボルト孔が設けられている一方、横状部11bには、柱上機器4を柱上機器取付け用ボルト14aおよびナット14bで締結するためのボルト孔が設けられた柱上機器取付け部材11と、柱上機器取付け部材11と別体で構成され、腕金取付け用ボルト13aが通るボルト孔が設けられ、腕金取付け用ボルト13aおよびナット13bによって締結された柱上機器取付け部材11との間で支柱取付け腕金3を挟む挟持部材12とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に取付けられた支柱取付け腕金に柱上機器を取付ける柱上機器取付け金具であって、
縦方向に所定の長さを有する縦状部およびその縦状部の上端部から横方向に所定の長さを有する横状部を有し、前記縦状部には腕金取付け用ボルトを通しナットで締結するための腕金取付け用ボルト孔が設けられている一方、前記横状部には、柱上機器取付け用ボルトを通しナットで締結して前記柱上機器を取付けるための柱上機器取付け用ボルト孔が設けられた柱上機器取付け部材と、
前記柱上機器取付け部材と別体で構成され、前記縦状部の前記腕金取付け用ボルト孔に通した前記腕金取付け用ボルトが通る腕金取付け用ボルト孔が設けられ、前記腕金取付け用ボルトおよびナットによって締結された前記柱上機器取付け部材とにより前記支柱取付け腕金を挟む挟持部材と、
を有することを特徴とする柱上機器取付け金具。
【請求項2】
請求項1記載の柱上機器取付け金具において、
前記柱上機器取付け部材を構成する前記縦状部および前記横状部は、所定形状にカットした一枚の鋼板を折り曲げて、それぞれ、背板部と、その背板部の左右両側から内側に折り曲げられた一対の側板部で構成されており、
前記縦状部と前記横状部との境界で折り曲げた後、前記縦状部の一対の側板部の端面と前記横状部の一対の側板部の端面とが突き合わせて溶接されていることを特徴とする柱上機器取付け金具。
【請求項3】
請求項1記載の柱上機器取付け金具において、
前記挟持部材は、
前記腕金の高さ方向だけ縦方向に離間した少なくとも2つの前記腕金取付け用ボルト孔が設けられた背板部と、
前記背板部の両側から折り曲げられた一対の側板部とを有し、
一対の側板部は、
前記腕金の横側面に端面が当接する腕金横側面当接側板部と、
前記腕金横側面当接側板部の上側から前記腕金の上側面に沿って突出する腕金上側突出板部と、
前記腕金横側面当接側板部の下側から前記腕金の下側面に沿って突出する腕金下側突出板部と、を有し、
前記腕金横側面当接側板部と前記腕金上側突出板部および前記腕金下側突出板部との間には、それぞれ、縦方向に隙間が設けられていることを特徴とする柱上機器取付け金具。
【請求項4】
請求項3記載の柱上機器取付け金具において、
前記腕金上側突出板部の下端面から前記横状部の上側面までの高さは、少なくとも200mm以上であることを特徴とする柱上機器取付け金具。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一の請求項に記載の複数の柱上機器取付け金具を支柱取付け腕金に所定の間隔を空けて固定する際、隣接する複数の柱上機器取付け金具の前記横状部の向きを交互に変えて支柱取付け腕金に固定し、向きを交互に変えた前記横状部に柱上機器を取付けることを特徴とする柱上機器の取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に取付けられた支柱取付け腕金に高圧カットアウトや碍子等の柱上機器を取付けるための柱上機器取付け金具および柱上機器の取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱に取付けられた支柱取付け腕金に高圧カットアウトや碍子等の柱上機器を取付ける場合、例えば、特許文献1に記載された柱上機器取付け金具および柱上機器の取付け方法では、その
図1に開示されているように腕金203(以下、「支柱取付け腕金」)に直交するように腕金212(以下、「直交交差腕金」という。)を取付け、その直交交差腕金に引留碍子213やカットアウトスイッチ214(以下、「高圧カットアウト」という。)等の柱上機器を取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載された柱上機器取付け金具および柱上機器の取付け方法では、支柱から延びる支柱取付け腕金に直交交差腕金を交差して取り付け、その直交交差腕金に引留碍子や高圧カットアウト等の柱上機器を取付けるため、降雪時に支柱取付け腕金と直交交差腕金の腕金同士の交差部分に冠雪が発生し易く、特に、豪雪地域等では、その腕金同士の交差部分の冠雪が肥大化していた。
【0005】
腕金同士の交差部分の冠雪が肥大化すると、その冠雪の重量や風、振動、さらには冠雪の重量によって支柱取付け腕金や直交交差腕金が変形や折れ曲る等して肥大化した冠雪が落下する問題や、直交交差腕金に取り付けていた柱上機器が落下や破損する等の問題が発生したり、そのような問題が発生しないように定期的に冠雪落としの作業が必要で、その作業負担が非常に大きいという問題もあった。
【0006】
特に、支柱取付け腕金と直交交差腕金との交差部分は冠雪が肥大化し易いと共に、直交交差腕金に柱上機器を取付けるため、一晩で相当の降雪量のある豪雪地域では、支柱取付け腕金と直交交差腕金との交差部分の冠雪と柱上機器周辺の冠雪とが一つに合体して冠雪がさらに肥大化して大きな問題になっていた。
【0007】
そこで、本発明は以上の問題点に着目してなされたもので、高圧カットアウトや碍子等の柱上機器を取付ける腕金上に肥大化した冠雪が発生することを防止することができる柱上機器取付け金具および柱上機器の取付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る柱上機器取付け金具は、支柱に取付けられた支柱取付け腕金に柱上機器を取付ける柱上機器取付け金具であって、縦方向に所定の長さを有する縦状部およびその縦状部の上端部から横方向に所定の長さを有する横状部を有し、前記縦状部には腕金取付け用ボルトを通しナットで締結するための腕金取付け用ボルト孔が設けられている一方、前記横状部には、柱上機器取付け用ボルトを通しナットで締結して前記柱上機器を取付けるための柱上機器取付け用ボルト孔が設けられた柱上機器取付け部材と、前記柱上機器取付け部材と別体で構成され、前記縦状部の前記腕金取付け用ボルト孔に通した前記腕金取付け用ボルトが通る腕金取付け用ボルト孔が設けられ、前記腕金取付け用ボルトおよびナットによって締結された前記柱上機器取付け部材とにより前記支柱取付け腕金を挟む挟持部材とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る柱上機器取付け金具では、前記柱上機器取付け部材を構成する前記縦状部および前記横状部は、所定形状にカットした一枚の鋼板を折り曲げて、それぞれ、背板部と、その背板部の左右両側から内側に折り曲げられた一対の側板部で構成されており、前記縦状部と前記横状部との境界で折り曲げた後、前記縦状部の一対の側板部の端面と前記横状部の一対の側板部の端面とが突き合わせて溶接されていることも特徴とする。
また、本発明に係る柱上機器取付け金具では、前記挟持部材は、前記腕金の高さ方向だけ縦方向に離間した少なくとも2つの前記腕金取付け用ボルト孔が設けられた背板部と、前記背板部の両側から折り曲げられた一対の側板部とを有し、一対の側板部は、前記腕金の横側面に端面が当接する腕金横側面当接側板部と、前記腕金横側面当接側板部の上側から前記腕金の上側面に沿って突出する腕金上側突出板部と、前記腕金横側面当接側板部の下側から前記腕金の下側面に沿って突出する腕金下側突出板部と、を有し、前記腕金横側面当接側板部と前記腕金上側突出板部および前記腕金下側突出板部との間には、それぞれ、縦方向に隙間が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る柱上機器取付け金具では、前記腕金上側突出板部の下端面から前記横状部の上側面までの高さは、少なくとも200mm以上であることも特徴とする。
また、本発明に係る柱上機器の取付け方法は、上述のいずれかの複数の柱上機器取付け金具を支柱取付け腕金に所定の間隔を空けて固定する際、隣接する複数の柱上機器取付け金具の前記横状部の向きを交互に変えて支柱取付け腕金に固定し、向きを交互に変えた前記横状部に柱上機器を取付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る柱上機器取付け金具は、縦状部および横状部を有し、縦状部には腕金取付け用ボルトを通しナットで締結するための腕金取付け用ボルト孔が設けられている一方、横状部には柱上機器取付け用ボルトを通しナットで締結して柱上機器を取付けるための柱上機器取付け用ボルト孔が設けられた柱上機器取付け部材と、柱上機器取付け部材と別体で構成され、縦状部の腕金取付け用ボルト孔に通した腕金取付け用ボルトが通る腕金取付け用ボルト孔が設けられ、腕金取付け用ボルトおよびナットによって締結された柱上機器取付け部材とによって支柱取付け腕金を挟む挟持部材とを有する。
そのため、本発明に係る柱上機器取付け金具を腕金取付け用ボルトおよびナットによって柱上機器取付け部材と挟持部材とで腕金を挟持して腕金に固定し、縦状部の上端部から延びる横状部の柱上機器取付け用ボルト孔に機器取付け用ボルトを通して高圧カットアウトや碍子等の柱上機器を取付けることによって支柱取付け腕金に交差して設ける直交交差腕金が不要となり、腕金同士の交差部分が無くなるので、腕金同士の交差部分で冠雪が肥大化することを防止することができ、冠雪落としの作業負担を大幅に軽減することができると共に、直交交差腕金を省略した分だけ作業性を向上させたり、製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具の斜視図である。
【
図2】(a)~(c)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具の正面図、平面図、底面図である。
【
図3】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具の左側面図、右側面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具を構成する柱上機器取付け部材の斜視図である。
【
図5】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具の正面図、平面図、底面図、A部分の拡大図である。
【
図6】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具を構成する柱上機器取付け部材の左側面図、右側面図である。
【
図7】本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具を構成する挟持部材の斜視図である。
【
図8】(a)~(e)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具を構成する挟持部材の正面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具に柱上機器を取付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1に柱上機器4を取付けた状態を示す平面図、正面図である。
【
図11】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具を支柱取付け腕金に固定し、その柱上機器取付け金具に柱上機器を取付けた状態を示す斜視図、正面図である。
【
図12】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具を支柱取付け腕金に固定し、その柱上機器取付け金具に柱上機器を取付けた状態を示す平面図、左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る柱上機器取付け金具の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、下記に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0012】
<本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1の構成>
本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1は、
図1~
図3に示すように構成されており、支柱2から水平に延びる支柱取付け腕金3に直交交差腕金を使用せずに高圧カットアウトや碍子等の柱上機器4を取付けるための金具であって、柱上機器取付け部材11と、柱上機器取付け部材11と別体で構成された挟持部材12と、2組の腕金取付け用ボルト13aおよびナット13b、1組の柱上機器取付け用ボルト14aおよびナット14b等を備えて構成される。
【0013】
(柱上機器取付け部材11)
柱上機器取付け部材11は、所定形状にカットした一枚の鋼板を
図4~
図6に示すように折り曲げて正面視、上下逆L字形状に形成しており、縦方向に所定の長さを有する縦状部11aと、その縦状部11aの上端部から横方向に所定の長さを有する横状部11bとを有している。
【0014】
縦状部11aは、背板部11a1と、その背板部11a1の左右両側から内側にほぼ90度折り曲げた一対の側板部11a2,11a2で構成されており、背板部11a1には、2本の腕金取付け用ボルト13aを支柱取付け腕金3の高さH(
図11(b)参照。)以上、離間して挿入するための腕金取付け用ボルト孔11a11,11a12を設けている。尚、腕金取付け用ボルト13aとしていわゆる角根ボルトを使用するため、腕金取付け用ボルト孔11a11,11a12の形状は、腕金取付け用ボルト13aの角根部が嵌る正方形状に形成している。
【0015】
横状部11bは、縦状部11aと一体で、かつ、その上端部を折り曲げて形成されており、背板部11b1と、その背板部11b1の左右両側から内側にほぼ90度折り曲げた一対の側板部11b2,11b2で構成されており、背板部11b1には、柱上機器4を柱上機器取付け用ボルト14aおよびナット14bで締結するための柱上機器取付け用ボルト孔11b11が設けられている。尚、柱上機器取付け用ボルト14aも腕金取付け用ボルト13aと同様にいわゆる角根ボルトを使用するため、柱上機器取付け用ボルト孔11b11の形状は、柱上機器取付け用ボルト14aの角根部が嵌る正方形状に形成している。
【0016】
ここで、柱上機器取付け部材11を縦状部11aと、その縦状部11aの上端部から横方向に所定の長さを有する横状部11bとで正面視、上下逆L字形状に形成した理由は、カットアウト等の柱上機器4は支柱2の高所に設置され、豪雪地域ではカットアウト等の上にも冠雪が形成され、その冠雪が肥大化する問題があったが、柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に設置した際、支柱取付け腕金3から立設する縦状部11aによってカットアウト等の柱上機器4上の冠雪と支柱取付け腕金3上の冠雪との間で上下方向に離隔をとることが可能となり、冠雪が合体して肥大化することを防止できるからである。また、カットアウト等の複数の柱上機器4を独立して設置する構造としたことで、各柱上機器4の離隔を適宜拡げることで冠雪の分離効果を得ることもできるからである。
【0017】
(挟持部材12)
挟持部材12は、
図1等に示すように柱上機器取付け部材11との間で支柱取付け腕金3を挟むことにより柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に取付けるもので、
図4~
図6に示すように所定形状にカットした一枚の鋼板を内側に折り曲げて形成している。
【0018】
つまり、挟持部材12は、背板部12aと、その背板部12aの左右両側から内側にほぼ90度折り曲げた左右一対の側板部12b,12bで構成されており、背板部12aは、支柱取付け腕金3の高さHとほぼ同じ長さで支柱取付け腕金3に対向する中央背板部12a1と、その中央背板部12a1の上下それぞれに設けられた上側背板部12a2および下側背板部12a3とに分けられ、上側背板部12a2および下側背板部12a3には、それぞれ、柱上機器取付け部材11の腕金取付け用ボルト孔11a11,11a12に合わせて腕金取付け用ボルト13aを支柱取付け腕金3の高さH以上、離間して挿入するための腕金取付け用ボルト孔12a21,12a31が設けられている。
【0019】
左右一対の側板部12b,12bは、それぞれ、支柱取付け腕金3の横側面に端面が当接する腕金横側面当接側板部12b1,12b1と、腕金横側面当接側板部12b1,12b1の上側から支柱取付け腕金3の上側面に沿って突出する腕金上側突出板部12b2,12b2と、腕金横側面当接側板部12b1,12b1の下側から支柱取付け腕金3の下側面に沿って突出する腕金下側突出板部12b3,12b3とを有し、腕金横側面当接側板部12b1,12b1と、腕金上側突出板部12b2,12b2と、腕金下側突出板部12b3,12b3との間は、縦方向つまり上下方向に隙間12b4,12b4、12b5,12b5を設けている。
【0020】
そのため、背板部12aの腕金取付け用ボルト孔12a21,12a31にそれぞれ腕金取付け用ボルト13aを通してナット13bを締結して柱上機器取付け部材11と挟持部材12とで支柱取付け腕金3を挟持すると、腕金横側面当接側板部12b1,12b1の端面が支柱取付け腕金3の横側面に押圧して当接すると共に、上側背板部12a2および下側背板部12a3が中央背板部12a1に対し曲がってそれぞれ柱上機器取付け部材11に向かって傾斜することによって腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面および腕金下側突出板部12b3,12b3の上端面がそれぞれ支柱取付け腕金3の上側面と下側面を確実に押圧して当接するので、より確実に支柱取付け腕金3の3つの側面に対し3方向から押圧して当接するため、確実に支柱取付け腕金3に取付けることができる。
【0021】
ここで、挟持部材12の腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さは、少なくも200mm以上であり、本実施形態では300mmとしている。尚、その高さの上限は、この柱上機器取付け部材11に取付ける柱上機器の重量や柱上機器取付け部材11に冠雪する雪の重量と、柱上機器取付け部材11の耐力等によって決定されるが、概ね300mm程度であることが望ましい。
【0022】
その理由は、本実施形態の柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に固定した場合、挟持部材12の腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さを300mmとすることにより、支柱取付け腕金3の上側面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さも300mmとなり、実験等の結果、支柱取付け腕金3に留まったカラス等がカットアウトの柱上機器4の底等をつつく等して故障させる鳥害等を防止することができることが確認できたからである。
【0023】
(腕金取付け用ボルト13aおよびナット13b等)
腕金取付け用ボルト13aおよび柱上機器取付け用ボルト14aは、上述したように周知のいわゆる角根ボルトを使用し、それらに螺合するナット13b,14bとして周知の六角ナットを使用する。
【0024】
<本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1を使用した柱上機器の取付け方法>
次に、以上のように構成された本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1を使用した柱上機器の取付け方法の一例について説明する。
【0025】
図9は、本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1に柱上機器4を取付けた状態を示す斜視図、
図10(a),(b)はその平面図、正面図である。また、
図11(a),(b)は、それぞれ本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に固定し、その柱上機器取付け金具1に柱上機器4を取付けた状態を示す斜視図、正面図、
図12(a),(b)は、それぞれその状態の平面図、左側面図である。
【0026】
図9および
図10等に示すように柱上機器4は、柱上機器本体4aに柱上機器本体4aを柱上機器取付け金具1や直交交差腕金に取付けるための取付け金具4bが設けられて構成されており、取付け金具4bに設けられたボルト孔と、柱上機器取付け金具1の柱上機器取付け部材11の柱上機器取付け用ボルト孔11b11の位置を合わせた後、柱上機器取付け用ボルト14aを下方から通してナット14bで締結する。
【0027】
尚、支柱2には、
図11や
図12に示すように自在バンド金具6,6等によってトランス5等が取り付けられていると共に、自在バンド金具7,7等によって支柱取付け腕金3が固定されている。
【0028】
そして、支柱取付け腕金3には、所定の間隔を空けて3つの柱上機器取付け金具1を設けているが、その際、その3つの柱上機器取付け金具1は、交互に横状部11bの向きを変えて柱上機器4を支柱取付け腕金3に取付けて、隣接する柱上機器4が支柱取付け腕金3の左右交互に入れ替わるように取り付ける。
【0029】
これにより、支柱取付け腕金3の一方側に柱上機器4が設置されることも防止できるので、隣接する柱上機器4間の間隔を大きく確保することが可能となり、支柱取付け腕金3上や柱上機器4周辺の冠雪が肥大化することを抑制することができる。
【0030】
尚、実施形態の柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3の長手方向に沿って左右交互に取付ける方法は、あくまで一例であって、支柱取付け腕金3に実施形態の柱上機器取付け金具1を1つだけ設けても良いし、複数設ける場合でも、支柱取付け腕金3の長手方向に沿って所定の間隔を空けて左右、いずれか一方側にのみ設けるようにしても勿論良い。
【0031】
<本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1は、縦状部11aおよび横状部11bを有し、縦状部11aには腕金取付け用ボルト13aを通しナット13bで締結するための腕金取付け用ボルト孔11a11が設けられている一方、横状部11bには柱上機器取付け用ボルト14aを通しナット14bで締結して柱上機器4を取付けるための柱上機器取付け用ボルト孔11b11が設けられた柱上機器取付け部材11と、柱上機器取付け部材11と別体で構成され、柱上機器取付け部材11と別体で構成され、縦状部11aの腕金取付け用ボルト孔11a11に通した腕金取付け用ボルト13aが通る腕金取付け用ボルト孔12a21が設けられ、腕金取付け用ボルト13aおよびナット13bによって締結された柱上機器取付け部材11aとにより支柱取付け腕金3を挟む挟持部材12とを有する。
【0032】
そのため、本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1によれば、腕金取付け用ボルト13aおよびナット13bによって柱上機器取付け部材11と挟持部材12とで支柱取付け腕金3を挟持して支柱取付け腕金3に固定し、縦状部11aの上端部から水平方向に延びる横状部11bの柱上機器取付け用ボルト孔11b11に高圧カットアウトや碍子等の柱上機器4を取付けることにより支柱取付け腕金3に交差して設ける直交交差腕金が不要となり、腕金同士の交差部分が無くなるので、腕金同士の交差部分で冠雪が肥大化することを防止することができ、冠雪落としの作業負担を大幅に軽減することができると共に、冠雪の重量によって支柱取付け腕金3が変形や折れ曲ることによる柱上機器の落下や破損を防止でき、肥大化した冠雪の落下も防止することができる。
【0033】
また、柱上機器4を取付ける柱上機器取付け部材11の横状部11bは縦状部11aの上端部に設け、支柱取付け腕金3よりも高い位置となるため、高圧カットアウトや碍子等の柱上機器4も支柱取付け腕金3から高い位置に設置され、支柱取付け腕金3に溜まる冠雪と離隔を取ることが可能となるので、支柱取付け腕金3上の冠雪と柱上機器4上の冠雪とが分離することができ、この点でも支柱取付け腕金3上や柱上機器4周辺の冠雪が肥大化することを抑制することができる。
【0034】
また、支柱取付け腕金3に交差して設ける直交交差腕金が不要となり、腕金同士の交差部分が無くなるので、腕金の交差部分に営巣を作ることが多いカラス等の営巣防止対策としても非常に有効であると共に、直交交差腕金が不要となる点から直交交差腕金の分だけコストや輸送コストを削減することができる。また直交交差腕金が不要になったことにより、ピン碍子も3本不要になることから、柱上機器取付け金具1の設置作業の作業時間を大幅に軽減することができる。
【0035】
また、本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1では、柱上機器取付け部材11を構成する縦状部11aおよび横状部11bは、所定形状にカットした一枚の鋼板を折り曲げて、それぞれ、背板部12aと、その背板部12aの左右両側から内側に折り曲げられた一対の側板部11a2,11a2で構成し、縦状部11aと横状部11bとの境界11cでは、縦状部11aの一対の側板部11a2,11a2の45度にカットした端面11a21,11a21と横状部11bの一対の側板部11b2,11b2の45度にカットした端面11b21,11b21とを突き合わせて溶接している。
【0036】
そのため、柱上機器取付け部材11を縦状部11aと横状部11bとのL字形状に形成して、横状部11b先端部に高圧カットアウトや碍子等の重量がある柱上機器4を横状部11bに取付ける場合でも、柱上機器取付け部材11の強度が向上するので、豪雪地域で柱上機器4上の冠雪が肥大化して重量が増した場合でも確実に柱上機器4を支持することができると共に、豪雪地域における冠雪の肥大化を考慮して角パイプ(角鋼管)や厚い鋼板等を使用しなくても柱上機器取付け部材11を構成できるので、その分、金具自体を軽量化することが可能となり、柱上機器取付け金具1や柱上機器4の設置作業の負担も軽減することができる。
【0037】
また、本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1では、挟持部材12は、支柱取付け腕金3の高さ方向だけ縦方向に離間した腕金取付け用ボルト孔12a21,12a31が設けられた背板部12aと、背板部12aの両側から折り曲げられた一対の側板部12b,12bとを有し、一対の側板部12b,12bは、支柱取付け腕金3の横側面に端面が当接する腕金横側面当接側板部12b1,12b1と、腕金横側面当接側板部12b1,12b1の上側から支柱取付け腕金3の上側面に沿って突出する腕金上側突出板部12b2,12b2と、腕金横側面当接側板部12b1,12b1の下側から支柱取付け腕金3の下側面に沿って突出する腕金下側突出板部12b3,12b3と、を有し、腕金横側面当接側板部12b1,12b1と腕金上側突出板部12b2,12b2および腕金下側突出板部12b3,12b3との間には、それぞれ、縦方向に隙間12b4,12b5を設けている。
【0038】
そのため、背板部12aの腕金取付け用ボルト孔12a21,12a31にそれぞれ腕金取付け用ボルト13aを通してナット13bを締結して柱上機器取付け部材11と挟持部材12とで支柱取付け腕金3を挟持すると、腕金横側面当接側板部12b1,12b1の端面が支柱取付け腕金3の横側面に押圧して当接すると共に、上側背板部12a2および下側背板部12a3が中央背板部12a1に対し曲がってそれぞれ柱上機器取付け部材11に向かって傾斜することによって腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面および腕金下側突出板部12b3,12b3の上端面がそれぞれ支柱取付け腕金3の上側面と下側面に食い込むように押圧して当接して、支柱取付け腕金3の3つの側面に対し3方向から食い込むように挟持するので、支柱取付け腕金3に確実に固定することができる。
【0039】
特に、実施形態の挟持部材12の場合、腕金横側面当接側板部12b1,12b1と腕金上側突出板部12b2,12b2および腕金下側突出板部12b3,12b3との間にそれぞれ縦方向に隙間12b4,12b5を設けているため、挟持部材12が柱取付け腕金3を挟持した際、上側背板部12a2および下側背板部12a3が中央背板部12a1に対し曲がり易くなり、腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面および腕金下側突出板部12b3,12b3の上端面がそれぞれ支柱取付け腕金3の上側面と下側面にさらに食い込み易くなるので、支柱取付け腕金3にさらに確実に固定することができる。
【0040】
また、本発明に係る実施形態の柱上機器取付け金具1では、支柱取付け腕金3から横状部11bまでの高さは、少なくとも200mm以上としており、本実施形態では300mmとしている。
【0041】
そのため、高圧カットアウトや碍子等の柱上機器4の高さを支柱取付け腕金3の上側面から十分に離隔することが可能となるため、支柱取付け腕金3上の冠雪と柱上機器4上の冠雪とを確実に分離することが可能となり、支柱取付け腕金3上や柱上機器4周辺の冠雪が肥大化することを確実に抑制することができる。
【0042】
また、挟持部材12の腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さを少なくとも200mm以上で300mmとすることにより、支柱取付け腕金3に留まったカラス等がカットアウトの柱上機器4の底等をつついて柱上機器4を故障させることを防止することができる。
【0043】
また、本発明に係る実施形態の柱上機器4の取付け方法では、上述の複数の柱上機器取付け金具1を支柱2から水平に延びる支柱取付け腕金3に所定の間隔を空けて固定する際、各柱上機器取付け金具1の機器取付け部材11の横状部11bの向きを交互に変えて固定する。
【0044】
そのため、実施形態の柱上機器取付け金具1を複数使用して支柱取付け腕金3の長手方向に間隔を空けて複数の柱上機器4を設置する場合、横状部11bの向きを変えずに複数の柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に設置する場合よりも隣接する柱上機器4間の間隔を大きく確保することが可能となるので、この点でも支柱取付け腕金3上や柱上機器4周辺の冠雪が肥大化することを抑制することが可能となる。
【0045】
尚、上記実施形態の説明では、柱上機器取付け金具1を構成する柱上機器取付け部材11の縦状部11aの長さが一定で、挟持部材12の腕金上側突出板部12b2,12b2の下端面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さ、すなわち支柱取付け腕金3上側面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さが少なくも200mm以上で、本実施形態では300mmとしているが、本発明では、これに限らず、その高さを300mmのものと350mmのものや、300mmのものと250mm、350mmのもの等、長さを変えたものを複数用意したり、柱上機器取付け部材11の縦状部11a側の下方に設ける腕金取付け用ボルト孔11a11,11a12の高さを変えたり、3つ以上設けて腕金取付け用ボルト13aを通す高さを変更できるように構成して柱上機器取付け金具1を複数設ける場合に、柱上機器取付け金具1毎に支柱取付け腕金3上側面から横状部11bの背板11b1の上側面までの高さを変更できるように構成しても勿論良い。
【0046】
また、上記実施形態の説明では、柱上機器取付け部材11を構成する縦状部11aと横状部11bとの境界11cでは、縦状部11aの一対の側板部11a2,11a2の45度にカットした端面11a21,11a21と横状部11bの一対の側板部11b2,11b2の45度にカットした端面11b21,11b21とを突き合わせて溶接して説明したが、本発明ではこれに限らず、端面11a21,11a21と端面11b21,11b21とを突き合わせるだけで溶接しなくても良いし、45度以外にカットして端面11a21,11a21と端面11b21,11b21とを溶接したり単に突き合わせるだけでも良いし、さらには金型を用いたプレス加工等によって溶接せずに縦状部11aおよび横状部11bを有する柱上機器取付け部材11を製造しても勿論良い。
【0047】
また、本発明に係る実施形態の柱上機器4の取付け方法では、本発明に係る実施形態の複数の柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に取付ける際、柱上機器取付け部材11の横状部11bの向きを交互に変えて取付けるように説明したが、本発明ではこれに限らず、横状部11bの向きを変えずに複数の柱上機器取付け金具1を支柱取付け腕金3に設置して、各柱上機器4を横状部11bに設置するようにしても勿論良い。
【符号の説明】
【0048】
1 柱上機器取付け金具
11 柱上機器取付け部材
11a 縦状部
11a1 背板部
11a11,11a12 腕金取付け用ボルト孔
11a2 側板部
11a21 端面
11b 横状部
11b1 背板部
11b11 柱上機器取付け用ボルト孔
11b2 側板部
11b21 端面
11c 境界
12 挟持部材
12a 背板部
12a1 中央背板部
12a2 上側背板部
12a21 腕金取付け用ボルト孔
12a3 下側背板部
12a31 腕金取付け用ボルト孔
12b 側板部
12b1 腕金横側面当接側板部
12b2 腕金上側突出板部
12b3 腕金下側突出板部
12b4,12b5 隙間
13a 腕金取付け用ボルト
13b ナット
14a 柱上機器取付け用ボルト
14b ナット
2 支柱
3 支柱取付け腕金
4 柱上機器
5 トランス
6,7 自在バンド金具