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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056604
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】基礎防水構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/28 20060101AFI20240416BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20240416BHJP
   E02D 27/01 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
E04G21/28 B
E04G21/02 104
E02D27/01 A
E04G21/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085112
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022163429
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
【テーマコード(参考)】
2D046
2E172
【Fターム(参考)】
2D046BA01
2E172AA05
2E172DB01
2E172EA01
(57)【要約】
【課題】主に、特別な部材を必要とせずに、誰にでも容易に基礎2の上に防水シート6を設置し得るようにする。
【解決手段】
基礎防水構造1は、基礎2の内部に設置された、基礎2よりも高い櫓状物3と、基礎2の上面2aに、基礎2のアンカーボルト4を利用して設置された取付部材5と、基礎2に櫓状物3の位置が最も高くなるように上から被せられた防水シート6と、防水シート6の縁部6aの周辺を外側から押さえる押圧保持部材7と、押圧保持部材7を外側から取付部材5に固定する固定具8と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の内部に設置された、前記基礎よりも高い櫓状物と、
前記基礎の上面に、前記基礎のアンカーボルトを利用して設置された取付部材と、
前記基礎に前記櫓状物の位置が最も高くなるように上から被せられた防水シートと、
前記防水シートの縁部周辺を外側から押さえる押圧保持部材と、
前記押圧保持部材を外側から前記取付部材に固定する固定具と、を有することを特徴とする基礎防水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の基礎防水構造であって、
前記取付部材は、前記基礎の外側面の上部に沿って延びる縦面材を有し、
前記押圧保持部材は、前記縦面材に対して固定されていることを特徴とする基礎防水構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基礎防水構造であって、
前記基礎に、前記基礎の上面と前記櫓状物との中間の高さの中間枠体が取付けられ、
前記防水シートは、前記中間枠体の部分が、前記基礎よりも高く持ち上げられていることを特徴とする基礎防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅などの建物では、建物の下に、建物を地面よりも高く持ち上げるための基礎が設けられる。建物は、地面の上に基礎を構築した後で、基礎の上に設けられる。
【0003】
そして、基礎の構築から、基礎の上に建物を設けるまでの間に、一定の養生期間などが必要となるので、その間に雨が降ると、基礎の内部に雨水が溜まってしまい、建物を工期通りに仕上げられなくなるおそれが生じる。
【0004】
そこで、基礎内に雨水が溜まるのを防止するために、基礎を防水シートで覆って防水することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1に記載された基礎の防水手段は、基礎の内部のほぼ中央部に、長尺の第一棒状部材を1本立設し、基礎の内部のほぼコーナー部の位置に、第一棒状部材よりも短尺で基礎の高さよりも長い第二棒状部材を、合わせて複数本立設している。そして、第一棒状部材の位置が最も高くなり、第二棒状部材の位置が第一棒状部材よりも低く、基礎よりも高くなるように、基礎に防水シートを上から被せる。そして、防水シートは、縁部をペグで地面に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-311028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の基礎の防水手段は、防水シートの張設に第一棒状部材と第二棒状部材という特殊な部材が必要となっている。また、立設状態の第一棒状部材および第二棒状部材を支えにして防水シートを設置する際には、全体の張力のバランスをうまく取りながら防水シートを張る必要があるため、防水シートの張り方に特別なコツが必要になる。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
基礎の内部に設置された、前記基礎よりも高い櫓状物と、
前記基礎の上面に、前記基礎のアンカーボルトを利用して設置された取付部材と、
前記基礎に前記櫓状物の位置が最も高くなるように上から被せられた防水シートと、
前記防水シートの縁部周辺を外側から押さえる押圧保持部材と、
前記押圧保持部材を外側から前記取付部材に固定する固定具と、を有する基礎防水構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、特別な部材を必要とせずに、誰にでも容易に基礎の上に防水シートを設置することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態にかかる基礎防水構造の縦断面図である。
図2A】基礎の内部に設置した櫓状物の例を示す斜視図である。
図2B】基礎の内部に設置した櫓状物の別の例を示す斜視図である。
図3】基礎のコーナー部における、取付部材および縦面材を示す斜視図である。
図4】基礎の直線部分の中間部における、取付部材および縦面材を示す斜視図である。
図5】基礎および櫓状物に被せる防水シートを示す斜視図である。
図6】櫓状物に防水シートを被せて基礎の内部に拡げた状態を示す斜視図である。
図7】防水シートの縁部周辺を押圧保持部材で外側から押さえて基礎(の取付部材または縦面材)に固定する状態を示す斜視図である。
図8A】基礎に取付けた中間枠体を示す斜視図である。
図8B】中間枠体に防水シートを被せた状態を示す斜視図である。
図9】中間枠体の部分に形成した出入口を外側から見た斜視図である。
図10A】防水シートに直接形成した出入口を外側から見た斜視図である。
図10B図10Aの出入口を防水シートの内側から見た斜視図である。
図11】基礎包囲部材を示す斜視図である。
図12A】基礎および基礎包囲部材に防水シートを被せる状態を示す斜視図である。
図12B図12Aの基礎包囲部材の端部周辺を防水シートの内側から見た斜視図である。
図13】基礎包囲部材に防水シートを被せた状態を示す斜視図である。
図14】基礎に防水シートを被せる工程を示す斜視図である。
図15】基礎に防水シートを被せた後に固定する工程を示す斜視図である。
図16】床下部材の設置作業の様子を示す基礎防水構造の縦断面図である。
図17A】出隅部材の実施例を示す基礎の外側から見た斜視図である。
図17B図17Aを基礎の内側から見た斜視図である。
図17C】出隅部材を設置した基礎に防水シートを被せた斜視図である。
図18A】中間枠体の他の実施例を示す基礎の内側から見た斜視図である。
図18B図18Aとは異なる方向から見た基礎の内側の斜視図である。
図18C図18Aの中間枠体を設置した基礎に防水シートを被せた斜視図である。
図19A】取付部材の他の実施例を示す斜視図である。
図19B図19Aの部分を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態は、図1図19Bを用いて詳細に説明される。
【実施例0013】
図1は、この実施例にかかる基礎防水構造1を示す縦断面図である。
【0014】
<構成>この実施例の構成は、以下の通りである。
【0015】
(1)図1に示すように、基礎防水構造1は、
基礎2の内部に設置された、基礎2よりも高い櫓状物3と、
基礎2の上面2aに、基礎2のアンカーボルト4を利用して設置された取付部材5と、
基礎2に櫓状物3の位置が最も高くなるように上から被せられた防水シート6と、
防水シート6の縁部6aの周辺を外側から押さえる押圧保持部材7と、
押圧保持部材7を外側から取付部材5に固定する固定具8と、を有する。
【0016】
ここで、基礎2は、建物を地面9に対して、地面9よりも高い位置となるように設置するために、地面9に構築される鉄筋コンクリート製の構造物である。
【0017】
基礎2は、例えば、地面9からほぼ一定の高さに立ち上がる立上部2bと、立上部2bの内側に地面9を覆うように設けられるスラブ部2cとを有するベタ基礎や、立上部2bのみでスラブ部2cのない布基礎などとしても良い。なお、布基礎は、内側の地面9の部分に防湿コンクリートを敷設したものとしても良い。
【0018】
立上部2bは、少なくとも建物の外周にほぼ沿って、ほぼ連続するように形成される。立上部2bは、平面的に見てほぼ閉じた形状とされる。立上部2bは、様々な平面形状のものが存在する。この例では、基礎2(の立上部2b)の平面形状は、例えば、矩形状となっている。
【0019】
櫓状物3を設置する基礎2の内部は、例えば、基礎2内の中央部付近としても良い。基礎2内の中央部付近は、基礎2の内部の中央部および中央部の周辺である。中央部付近は、厳密な中央部でなくても良く、中央部からある程度偏って、立上部2bに近くなっても特に支障はない。
【0020】
櫓状物3は、櫓(やぐら)状の物体であり、例えば、棒状の部材などを組み上げて造った高さのある構造物としても良い。櫓状物3は、作業員が防水シート6の内側に入って作業できる程度の高さ、例えば、1.5m~2.5m程度の高さがあれば良い。櫓状物3は、簡易な構造で、防水シート6の支持に必要な支持強度を有していれば何でも良い。
【0021】
櫓状物3は、例えば、図2Aに示すように、間隔を有して設置した一対の脚立3aの上部間に、足場などに使われる単管パイプ3bを架け渡して固定することで形成できる。また、櫓状物3は、例えば、図2Bに示すように、単管パイプ3bを組んで形成しても良い。この場合、単管パイプ3bは、自立可能な一対の枠状体の上部間を連結した形状などにしても良い。ただし、櫓状物3の構成は、上記に限るものではない。
【0022】
基礎2の上面2aは、基礎2(の立上部2b)の上の平らな面(天端)である。基礎2の上面2aは、建物の外周にほぼ沿って、ほぼ一定の幅で帯状に延びる。
【0023】
アンカーボルト4は、基礎2(の立上部2b)に埋設された埋込ボルトである。アンカーボルト4は、基礎2の上面2aから所要量だけ上に向けて突設される。
【0024】
取付部材5(図3)は、防水シート6を基礎2に取付けるために使われる部材(シート取付用部材)である。取付部材5は、固定具8で直接固定できる部材が使用される。取付部材5は、例えば、木材または木片などを使用できる。
【0025】
取付部材5は、基礎2の上面2aの上に、断面が横長となるように、板面を上下方向に向けた状態で、基礎2に沿いほぼ水平に設置される。取付部材5は、基礎2の上面2aに沿って長く延びるように設置しても良いし、基礎2の上面2aに部分的に設置しても良い。
【0026】
取付部材5は、全てまたは一部のアンカーボルト4の位置に複数設置される。取付部材5は、少なくとも、図3に示すように、基礎2のコーナー部に近いアンカーボルト4の位置に設置される。
【0027】
なお、基礎2のコーナー部に取付部材5を設置する場合、取付部材5は、コーナー部の形状に沿ったL字状となるように取付けても良い。取付部材5は、L字状に形成したものを取付けても良いし、L字状となるように複数組み合わせて使用しても良い。また、基礎2のコーナー部は、出隅や入隅になっている場合があるが、このような出隅や入隅についても、直線状またはL字状の取付部材5を取付けるのが好ましい。
【0028】
また、取付部材5は、図4に示すように、基礎2の直線部分に対しても、直線部分の中間部に有るアンカーボルト4の位置に、所要の間隔を有して設置される。
【0029】
取付部材5は、板面にアンカーボルト4を通すのに丁度良い大きさの貫通穴が形成され、貫通穴にアンカーボルト4を通して、アンカーボルト4の上端に上から座金やナット12などを取付けることによって基礎2の上面2aに締結固定される。貫通穴は、取付部材5の外側面が基礎2(の立上部2b)の外側面とほぼ面一となる位置に設置される。取付部材5および基礎2(の立上部2b)の外側面は、屋外側となる側面である。
【0030】
図5図6に示すように、防水シート6は、防水性を有する樹脂製のシートである。防水シート6は、基礎2の全面を覆い得る大きさのものを使用するのが好ましい。防水シート6は、一枚物としても良いが、基礎2の面が大きい場合には、複数枚を一部が重なるように合わせて使用しても良い。
【0031】
防水シート6の縁部6aは、防水シート6の外周の縁となる部分である。防水シート6の縁部6aの周辺は、防水シート6の縁部6aおよび縁部6aの周辺の所要範囲の部分である。防水シート6の縁部6aの、基礎2との相対的な位置関係は、防水シート6の大きさによって異なる。そのため、この実施例では、防水シート6の縁部6aは、防水シート6の基礎2に対する固定部分およびその外側の部分を指すものとする。なお、防水シート6は、基礎2への固定後に、縁部6aの周辺の不要部分を適宜カットしても良い。この場合には、カットした部分が、新たな縁部6aの周辺になる。そして、防水シート6の縁部6aは、基礎2に対し、基礎2の上部の高さに固定される。
【0032】
押圧保持部材7は、図7に示すように、防水シート6の縁部6aの周辺を外側から押圧して基礎2の外側面の上部に保持させるために使われる部材である。外側は、基礎2の外となる側、または、防水シート6の外面の側である。押圧保持部材7は、固定具8で直接固定できるものとされる。押圧保持部材7は、例えば、木材または長尺の板材などを使用できる。
【0033】
押圧保持部材7は、基礎2の外側面の上部の位置に、断面が縦長となるように、板面を(基礎2の外側面と面直な)水平方向に向けた状態で、基礎2の外側面に沿いほぼ水平に設置される。押圧保持部材7の上縁部は、取付部材5の上側の面とほぼ面一となるように設置される。押圧保持部材7は、防水シート6を介して、基礎2の外側面の上部に当接配置しても良い。
【0034】
押圧保持部材7は、基礎2の外側面の上部に沿って長く延びるように設置しても良いし、取付部材5が設けられる位置にのみ部分的に設置しても良い。押圧保持部材7は、例えば、取付部材5の外側面に、固定具8でほぼ水平に固定される。固定具8は、例えば、木ネジや釘などを用いることができる。なお、押圧保持部材7は、基礎2の外側面のほぼ全周に亘って、ほぼ連続するように、または、不連続であってもほぼ均等に存在するように設けるのが好ましい。また、固定具8は、押圧保持部材7に対し、所要の間隔で取付けるのが好ましい。
【0035】
(2)上記基礎防水構造1において、
(防水シート6の内面側に位置される)取付部材5は、図6に示すように、基礎2の外側面の上部に沿って延びる縦面材21を有しても良い。
(防水シート6を外面側から押さえる)押圧保持部材7は、図7に示すように、縦面材21に対して固定しても良い。
【0036】
ここで、基礎2の外側面の上部は、基礎2(の立上部2b)の屋外側に向いた側面の上側である。
【0037】
縦面材21は、押圧保持部材7を取付部材5に対して取付け易くするために、必要な場合に、取付部材5に設置される補助部材である。縦面材21は、固定具8で直接固定できるものとされる。縦面材21は、例えば、木材などを使用できる。縦面材21は、例えば、押圧保持部材7と同じ幅寸法の木材または長尺の板材としても良い。
【0038】
縦面材21は、断面が縦長となるようにして、基礎2の外側面の上部に当接配置設置される部材である。縦面材21は、板面を(基礎2の外側面と面直な)水平方向に向けた状態で、基礎2の外側面に沿いほぼ水平に設置される。
【0039】
縦面材21は、上縁を取付部材5の上側の面に合わせてほぼ面一にした状態で、取付部材5の外側面に木ネジや釘などの固定部材22で固定される。
【0040】
縦面材21は、基礎2の外側面の上部に沿って長く延びるように連続して設置しても良い。または、縦面材21は、取付部材5が設けられる位置にのみ部分的に設置しても良い。あるいは、縦面材21は、基礎2の全周に対し、不連続であっても、ほぼ均等に存在するように設置しても良い。なお、縦面材21は、押圧保持部材7を設置する位置に存在するように設けるのが好ましい。
【0041】
なお、基礎2のコーナー部の取付部材5に縦面材21を設置する場合、縦面材21は、コーナー部の形状に沿ったL字状となるように取付けても良い。縦面材21は、L字状に形成したものを取付けても良いし、L字状となるように複数組み合わせて使用しても良い。また、基礎2のコーナー部は、出隅や入隅になっている場合があるが、このような出隅や入隅についても、取付部材5に直線状またはL字状の縦面材21を取付けるのが好ましい。
【0042】
これにより、縦面材21は、取付部材5の外側面および基礎2の外側面に当接した状態で、防水シート6の内側に設置される。そして、縦面材21との間で防水シート6を挟むように、押圧保持部材7が、縦面材21の外側面に重ね合わせて設置される。押圧保持部材7は、固定具8で縦面材21(や取付部材5)にほぼ水平に固定される。
【0043】
(3)上記基礎防水構造1において、
図8Aに示すように、基礎2に、基礎2の上面2aと櫓状物3との中間の高さの中間枠体31が取付けられても良い。
図8Bに示すように、防水シート6は、中間枠体31の部分が、基礎2よりも高く持ち上げられても良い。
【0044】
ここで、中間枠体31は、基礎2よりも高く、櫓状物3よりも低い、ほぼ枠状をした中間の高さの部材である。中間枠体31は、必要な場合に設けられる。中間枠体31は、作業員が屈んで通れる程度の大きさに形成するのが好ましい。例えば、中間枠体31は、幅60cm~180cm程度、高さ60cm~120cm程度の大きさとしても良い。中間枠体31は、例えば、木材などで形成しても良い。
【0045】
中間枠体31は、基礎2の上面2aの位置に、ほぼ垂直に立った状態で設置される。中間枠体31は、例えば、基礎2の長辺の部分に設けても良いし、基礎2の短辺の部分に設けて良いし、長辺と短辺の両方に設けても良い。
【0046】
中間枠体31は、少なくとも基礎2の一辺に対して部分的に取付けられる。例えば、中間枠体31は、基礎2の一辺の中央部や、一辺の中間部分(両端部以外の部分)の適宜の位置や、一辺の端部のいずれに取付けても良い。中間枠体31は、基礎2の一辺に対し、1個に限らず複数個取付けても良い。
【0047】
中間枠体31は、例えば、取付部材5の上に取付けて、取付部材5と共に基礎2に設置しても良い。この場合、中間枠体31は、左右一対の縦部材31aと、縦部材31aの上端部間を連結する横部材31bとを有する門型の枠状物として、縦部材31aの下端部を、単数または複数の取付部材5に固定して一体化しても良い。これにより、取付部材5は、中間枠体31の下枠などになる。
【0048】
また、中間枠体31は、例えば、取付部材5とは別に設けて、取付部材5とは別に基礎2に取付けても良い。この場合、中間枠体31は、左右一対の縦部材31aと、上下一対の縦部材31aとを有する矩形枠として、下側の縦部材31a(不図示)に取付部材5と同様に貫通穴を設けて、貫通穴をアンカーボルト4に通して座金やナット12を使って固定しても良い。
【0049】
そして、中間枠体31の上から防水シート6を被せることで、防水シート6は、中間枠体31の部分が、基礎2よりも高く持ち上げられる。
【0050】
そして、図9に示すように、中間枠体31は、枠の内側を、防水シート6を被せた基礎2などに対する出入口32としても良い。例えば、中間枠体31の内側の位置で防水シート6を縦にカットすることで、防水シート6に出入口32が形成される。出入口32は、使用しないときには、粘着テープなどで塞いでおく。
【0051】
なお、図10A図10Bの変形例に示すように、出入口32は、防水シート6における中間枠体31のない部分に対して直接形成しても良い。出入口32は、例えば、防水シート6を矩形状などにカットして形成される。出入口32は、出入口32よりも大きめに切断した別の防水シート33を外面側から当てて、周囲を粘着テープ34で防水シート6に貼り付けるなどして、上から塞いでおくようにする。なお、図9についても、出入口32は、防水シート33と粘着テープ34などで上から塞ぐようにしても良い。
【0052】
(4)上記基礎防水構造1において、
図11に示すように、基礎2の外方に基礎包囲部材41が設けられても良い。 図12A図12Bに示すように、防水シート6は、基礎2および基礎包囲部材41に跨るように上から被せられても良い。
図13に示すように、防水シート6は、縁部6aの周辺が、押圧保持部材7を介して基礎包囲部材41に固定されても良い。
【0053】
ここで、基礎2の外方は、基礎2の外側となる地面9の部分である。
【0054】
基礎包囲部材41は、必要な場合に、基礎2の外方に、基礎2(の立上部2b)の少なくとも一部を、外側から取り囲むように設置される部材である。基礎2の少なくとも一部は、基礎2の一部または全部である。基礎2を外側から取り囲むは、基礎包囲部材41が、基礎2の一部または全部を、外側から包囲することである。この実施例では、基礎包囲部材41は、主に、基礎2の一部を包囲するのに設けられる。
【0055】
基礎包囲部材41は、基礎2に対する防水を補助するために基礎2(の立上部2b)に似せて作られた部材である。基礎包囲部材41は、基礎2(の立上部2b)とほぼ同等の高さを有する、低い壁状または柵状の部材とされる。基礎包囲部材41は、木材などで形成しても良い。
【0056】
基礎包囲部材41は、例えば、基礎2の上面2aとほぼ同じ高さとなる位置に設置される横材41aと、地面9に対して横材41aを支える複数本の縦支持材41bとで構成しても良い。
【0057】
横材41aは、基礎2の立上部2bとほぼ同じ幅を有して細長く水平に延びるものとしても良い。横材41aは、基礎2に沿い、間隔を有して設置される。縦支持材41bは、地面9に対し、所要の間隔を有して立設され、上端に横材41aが取付けられる。
【0058】
基礎包囲部材41は、例えば、基礎2の平面形状を矩形状などに整えて、防水シート6を取付け易くするのに使用しても良い。基礎包囲部材41は、例えば、基礎2を部分的または全体的に拡げて、防水シート6の設置面積を大きくするのに使用しても良い。
【0059】
基礎包囲部材41は、閉じた形状(閉形状)となるように設置しても良い。例えば、基礎包囲部材41は、基礎2よりも一回り大きな囲い状にして、基礎2の外周に、基礎2の全体を包囲するように設置することで、基礎2から独立した構成物としても良い(基礎2を全部包囲)。
【0060】
また、例えば、基礎包囲部材41は、両端部を基礎2の一部に接続して、基礎2の一部と共に閉じた囲い状となるように設置することで、基礎2に付着させても良い(基礎2を一部包囲)。
【0061】
また、基礎包囲部材41は、開いた形状(開形状)となるように設置しても良い。例えば、基礎2を全部包囲する場合、基礎包囲部材41は、一部に切れ間を形成しても良い。例えば、基礎2を一部包囲する場合、基礎包囲部材41の端部は、基礎2から離しても良い。
【0062】
この実施例では、基礎包囲部材41は、基礎2の一辺の外側に、一辺に沿って平行に延びる部分を有するものとしている。
【0063】
基礎2の、基礎包囲部材41によって囲まれた部分は、取付部材5、縦面材21、中間枠体31などは、設けなくて良い。代わりに、取付部材5、縦面材21、中間枠体31などは、基礎包囲部材41の側に設けられる。そして、防水シート6は、基礎包囲部材41の取付部材5や縦面材21に対し、基礎2の場合と同様に、押圧保持部材7を用いて取付けられる。
【0064】
この場合、基礎包囲部材41は、取付部材5を一体に備えた構造としても良いし、基礎包囲部材41に対し、別体の取付部材5をネジや釘などの固定部材で取付けるようにしても良い。
【0065】
また、基礎包囲部材41は、縦面材21を一体に備えた構造としても良いし、基礎包囲部材41(や基礎包囲部材41に設けた取付部材5)に対し、別体の縦面材21をネジや釘などの固定部材で取付けるようにしても良い。
【0066】
更に、基礎包囲部材41は、中間枠体31を一体に備えた構造としても良いし、基礎包囲部材41に対して、別体の中間枠体31をネジや釘などで取付けるようにしても良い。
【0067】
基礎包囲部材41は、基礎2の防水を行う際に地面9に設置され、基礎2の防水の目的終了後に防水シート6や、取付部材5、押圧保持部材7、縦面材21、中間枠体31などと共に撤去される。
【0068】
<作用>この実施例の作用は、以下の通りである。
【0069】
地面9に鉄筋コンクリート製の基礎2を打設する。基礎2は、打設後に、一定の期間養生する。その間、基礎2は、防水シート6で覆って防水しておく。
【0070】
そのために、まず、基礎2は、内部、例えば、基礎2内の中央部付近に、基礎2よりも高い櫓状物3を設置する(櫓設置工程)。
【0071】
この際、櫓状物3は、所要の強度を有していれば、どのようなものを使用しても良い。例えば、櫓状物3は、現地で、一対の脚立3aを、間隔を有して設置し、一対の脚立3aの上部間に、足場などに使われる単管パイプ3bを架け渡して固定して作っても良い。また、例えば、櫓状物3は、現地で、単管パイプ3bを組んで形成しても良い。その他に、櫓状物3は、現地にある建築資材を使って形成しても良い。或いは、櫓状物3は、予め、工場などで作っておいたものを使っても良い。
【0072】
次に、基礎2の上面2aに、基礎2のアンカーボルト4を利用して取付部材5を設置する(取付部材5の設置工程)。
【0073】
この際、取付部材5は、基礎2に対し、強固かつ確実に設置できて、押圧保持部材7と共に防水シート6を固定できるものであれば、どのようなものを使用しても良い。
【0074】
例えば、取付部材5は、木材片などとしても良い。木材片は、アンカーボルト4を通す貫通穴を形成する。木材片および貫通穴は、事前に用意しておいたものを使っても良いし、現地で調達し加工して使っても良い。取付部材5は、断面を横長にした状態で、基礎2の上面2aに載置する。このとき、取付部材5は、貫通穴にアンカーボルト4を通すようにして、アンカーボルト4に上から座金やナット12を取付けることで基礎2の上面2aに固定する。貫通穴は、取付部材5の側面が、基礎2の外側面とほぼ面一となる位置に形成する。取付部材5は、必要に応じて縦面材21を取付けても良い。
【0075】
なお、基礎2の外形を整えたり、防水シート6で覆う範囲を拡げたりするなどのために、地面9には、必要に応じて、基礎2の外側に基礎包囲部材41を設けても良い。基礎包囲部材41には、基礎2と同様に、取付部材5や縦面材21を取付ける。
【0076】
また、基礎2や基礎包囲部材41は、必要に応じて、中間枠体31を取付けても良い。
【0077】
そして、基礎2に櫓状物3の位置が最も高くなるように防水シート6を上から被せる(シート被覆工程)。
【0078】
この際、防水シート6は、どのように拡げても良い。例えば、図14に示すように、防水シート6は、基礎2の短辺の片側から反対側へ向けて、引っ張りながら拡げても良い。あるいは、図5に示すように、防水シート6は、例えば、基礎2の長辺の片側から反対側へ向けて、引っ張りながら拡げても良い。これにより、防水シート6は、少ない人数でも簡単に基礎2に被せることができる。
【0079】
また、防水シート6は、直接手で持って拡げても良いが、例えば、図14に示すように、縁部6aなどに紐51を付けて引っ張るようにしても良い。このようにすれば、離れた位置からでも紐51を使って防水シート6を操作でき、また、櫓状物3なども容易に乗り越えさせることができる。そして、例えば、防水シート6を基礎2に被せている途中に、紐51を使って、一時的に、防水シート6を基礎2などに固縛しておくことができる。
【0080】
使用する防水シート6は、一枚物でも良いし、複数枚を一部が重なるように合わせて使用しても良い。この場合、例えば、図15に示すように、防水シート6は、基礎2の半分の大きさのものを使用する。基礎2の半分の大きさの防水シート6は、基礎2の片側からほぼ真中の櫓状物3の位置までの範囲に被せて、紐51で基礎2の反対側に固縛する。次に、基礎2の半分の大きさの別の防水シート6は、基礎2の反対側からほぼ真中の櫓状物3の位置までの残りの範囲に被せて、片側の防水シート6の上に一部を重ね合わせ、紐51で基礎2の片側に固縛する。これにより、基礎2の全体に防水シート6が被せられる。なお、防水シート6どうしの重ね合わせ部分は、必要に応じて、粘着テープ34などで繋いでも良い。
【0081】
そして、基礎2に防水シート6を被せた後は、防水シート6の縁部6aの周辺を外側から押圧保持部材7で押さえて、押圧保持部材7を外側から取付部材5に固定具8で固定する(シート固定工程)。
【0082】
この際、防水シート6は、縁部6aをどのように固定しても良い。例えば、防水シート6は、基礎2の長辺または短辺の片側、を先に固定し、反対側へ回って、防水シート6を引っ張りながら、反対側を固定しても良い。そして、このような固定の仕方を、基礎2の長辺と短辺の両方で行えば、防水シート6は、適正に張った状態で基礎2に、きれいに固定することができる。
【0083】
以上により、基礎2は、全面が防水シート6で覆われて防水され、基礎2内への雨水R(図1)の浸入が防止される。そして、防水シート6で覆われた基礎2の内部には高さのある空間が形成される。
【0084】
そこで、養生期間中には、図16に示すように、櫓状物3によって高く持ち上げられた防水シート6の内側で、基礎2に対する、床下部材52の設置作業などを行うことが可能になる。この場合、防水シート6は、例えば、中間枠体31の部分に出入口32を形成して、出入口32から防水シート6の内側へ入れるようにする。床下部材52は、例えば、空調機器など各種のものがある。また、例えば、基礎2の立上部2bの内周に沿って断熱材53を取付ける作業は、このときに行っても良い。
【0085】
そして、後日、防水シート6は、基礎2から取り外され、取付部材5、押圧保持部材7、縦面材21、中間枠体31、基礎包囲部材41なども撤去されて、基礎2の上に建物が構築される。
【0086】
<効果>この実施例の効果は、以下の通りである。
【0087】
(効果 1)基礎防水構造1は、基礎2の全面を防水シート6で覆うことで、基礎2に対する防水性を確保することができる。そして、基礎2内に雨水Rが溜まらないようにできる。
【0088】
この際、基礎2の内部に櫓状物3を設けることで、防水シート6は、櫓状物3の位置が最も高くなるため、雨水Rの排水性を確保することができる。雨水Rは、櫓状物3がある防水シート6のほぼ中央の位置から、基礎2がある防水シート6の縁部6aの位置へ向けて排水される。
【0089】
そして、櫓状物3によって高く持ち上げられた防水シート6は、内側に空間が形成される。この空間へ入ることで、雨天時でも防水シート6の内側で、基礎2の内部への床下部材52の設置などの作業が可能になる。そして、施工した床下部材52が濡れることもない。
【0090】
基礎2のアンカーボルト4を利用して設置することで、取付部材5は、基礎2に対して確実に固定できる。そして、防水シート6は、押圧保持部材7によって縁部6aの周辺を押さえた状態で、取付部材5を介して基礎2に確実に固定できる。よって、防水シート6は、基礎2を使ってしっかりと張ることができる。
【0091】
しかも、この基礎防水構造1は、特別な部材がいらず、身近にある建築資材だけでも構築が可能である。よって、安価で簡易な基礎防水構造1が得られる。
【0092】
また、この基礎防水構造1では、防水シート6は、縁部6aの周辺を、(基礎2に安定して取付けられている)取付部材5に対して固定される。そのため、例えば、全周に対する張力のバランスを取りながら張る必要がない。よって、防水シート6の張り方に特別なコツはいらないので、少ない人数でも、また、誰にでも短時間のうちに施工が可能である。そして、この基礎防水構造1は、施工時の精度管理も不要であり、また、撤去も比較的容易にできる。
【0093】
上記した基礎防水構造1は、防水シート6の縁部6aの固定に地面9を使用しないため、基礎2の範囲内で完結できるので、地面9の条件(地盤条件など)によらずに施工が可能である。
【0094】
更に、この基礎防水構造1は、基礎2の外側に拡がらないように防水シート6を設置できるので、防水シート6を張った状態でも、基礎2の外側に足場を設けることができ、足場の設置の邪魔にならない。
【0095】
(効果 2)基礎防水構造1は、防水シート6の内側となる取付部材5に、基礎2の外側面の上部に沿って延びる縦面材21を取付けても良い。
【0096】
この際、縦面材21は、予め取付部材5に取付けておき、基礎2に対して取付部材5を設置するときに取付部材5と共に、基礎2の上部に固定しても良い。また、縦面材21は、基礎2の上部に取付部材5を固定した後で、取付部材5に対して取付けても良い。
【0097】
そして、(防水シート6を押さえる)押圧保持部材7は、縦面材21に固定しても良い。
【0098】
この際、押圧保持部材7は、防水シート6を挟んで縦面材21に当接固定される。押圧保持部材7は、縦面材21とぴったり位置を合わせて取付けるのが好ましいが、縦面材21から若干ズレた状態で取付けても良い。
【0099】
このように、取付部材5に縦面材21を取付けることで、押圧保持部材7は、縦面材21に対して容易に面どうしを合わせて固定具8で固定することができるため、取付部材5に対する押圧保持部材7の取付性を向上することが可能になる。
【0100】
また、基礎2の外側面の上部に縦面材21を設置することで、基礎2に対する、防水シート6の縁部6aの周辺および押圧保持部材7の密着性が向上される。そのため、縦面材21は、基礎2と防水シート6の縁部6aの周辺との間からの雨水Rの入り込みを防止できる。縦面材21は、基礎2に対して、取付部材5よりも広い範囲に設置可能であり、雨水Rの浸入を防止するのに有利である。そして、縦面材21は、例えば、基礎2の全周に亘って設置することなども可能である。
【0101】
(効果 3)基礎防水構造1は、基礎2に、基礎2の上部と櫓状物3との中間の高さの中間枠体31を設置して、防水シート6の中間枠体31の部分を、基礎2より高く持ち上げても良い。
【0102】
この際、中間枠体31は、予め作成しておいても良いし、現地で作成しても良い。中間枠体31は、基礎2に対する取付部材5の設置とほぼ同時に、基礎2に取付けても良い。
【0103】
中間枠体31は、取付部材5と同様に、貫通穴を形成して、アンカーボルト4に座金やナット12を取付けることで、基礎2に単体で固定しても良いし、中間枠体31は、取付部材5に取付けて、取付部材5ごと基礎2に固定しても良い。
【0104】
このように、中間枠体31を設けて、中間枠体31で防水シート6の中間枠体31の部分を、基礎2よりも高く持ち上げることで、中間枠体31とは反対の側への雨水Rの排水を促進して、排水性能を向上することができる。
【0105】
また、中間枠体31で防水シート6の一部を中間の高さに持ち上げることにより、防水シート6で覆われた基礎2の内部の作業スペースが上に拡大されるので、基礎2の内部での床下部材52の設置作業の作業性を向上することができる。
【0106】
また、基礎2に中間枠体31を取付けることで、中間枠体31の部分に、基礎2に対する出入口32を容易に形成することが可能となる。
【0107】
(効果 4)基礎防水構造1は、基礎2の外方に基礎包囲部材41を設けても良い。
【0108】
この際、基礎包囲部材41は、基礎2を防水シート6で覆う前であれば、いつ設けても良い。基礎包囲部材41は、基礎2に櫓状物3を設置する前や、その後、取付部材5を基礎2に設置するまでの間などに設けるのが好ましい。
【0109】
そして、防水シート6は、基礎2および基礎包囲部材41に跨るように上から被せるようにする。
【0110】
防水シート6は、縁部6aの周辺を、押圧保持部材7を介して基礎2および基礎包囲部材41に固定しても良い。この際、基礎包囲部材41が設けられている部分については、防水シート6の縁部6aの周辺を、基礎2ではなく基礎包囲部材41に固定する。
【0111】
このように、基礎2の少なくとも一部を基礎包囲部材41によって外側から取り囲むことで、基礎2の平面形状を基礎包囲部材41で矩形状などに修正することができ、防水シート6は、基礎2に設置し易くなる。例えば、基礎2の平面形状が、凸型や凹型などの場合に、凹んだ部分を補うように基礎包囲部材41を設けることで、基礎包囲部材41は有効に機能する。
【0112】
また、基礎2の外側に基礎包囲部材41を設けることによって、基礎2よりも広い範囲に防水シート6を設置できるようになるため、防水シート6で覆われた基礎2の内部の作業スペースを横に拡大することが可能になる。なお、基礎包囲部材41は、足場の邪魔にならない程度の大きさに設けるのが好ましい。
【0113】
基礎包囲部材41は、基礎2と同様に、縦面材21や中間枠体31などが取付けられても良い。
【0114】
そして、上記基礎防水構造1を用いた基礎2の防水方法は、まとめると以下の通りとなる。
【0115】
(方法 1)基礎2の内部に、基礎2よりも高い櫓状物3を設置する。基礎2の上面2aに、基礎2のアンカーボルト4を利用して取付部材5を設置する。基礎2に櫓状物3の位置が最も高くなるように防水シート6を上から被せる。防水シート6の縁部6aの周辺を外側から押圧保持部材7で押さえて、押圧保持部材7を外側から取付部材5に固定具8で固定する。
【0116】
(方法 2)防水シート6の内側の取付部材5に、基礎2の外側面の上部に沿って延びる縦面材21を取付け、縦面材21に対し(防水シート6を押さえる)押圧保持部材7を固定しても良い。
【0117】
(方法 3)基礎2に、基礎2の上面2aと櫓状物3との中間の高さの中間枠体31を設置して、防水シート6の中間枠体31の部分を基礎2よりも高く持ち上げても良い。
【0118】
(方法 4)基礎2の外方に基礎包囲部材41を設け、防水シート6を、基礎2および基礎包囲部材41に跨るように上から被せて、防水シート6の縁部6aの周辺を、押圧保持部材7を介して基礎包囲部材41に固定しても良い。
【実施例0119】
図17A図17Cは、基礎2の出隅に出隅部材61を設置した実施例である。
【0120】
ここで、出隅部材61は、基礎2の出隅の位置に設置される拡張型の取付部材5である。出隅は、基礎2における出っ張った形状のコーナー部分である。出隅部材61は、取付部材5の上面に、基礎2の上面より高く、櫓状物3より低い、中間の高さの縦材62を取付けたものである。取付部材5は、出隅のコーナー形状に沿った角型としても良いし、出隅の一辺に沿った直線型としても良い。縦材62は、中間枠体31と同じ高さとしても良いし、中間枠体31より低くしても良いし、中間枠体31より高くしても良い。
【0121】
縦材62は、上下方向に延びる木製の板材などで構成して良い。縦材62は、金物で構成しても良い。金物で構成した縦材62は、アンカーボルト4に直接取付けるように構成しても良い。縦材62の上端部にはシート保護材63(図17B)を被せたり取付けたりしても良い。シート保護材63は、所要の厚みと柔軟性とを有して弾性変形可能なポリウレタンなどの発泡材などで形成しても良い。
【0122】
このように、取付部材5に縦材62を取付けて出隅部材61とし、基礎2の出隅に設置することで、防水シート6は、櫓状物3と縦材62の上端とを結んだ部分がほぼ線状になって、高く持ち上がるため(線64、図17)、基礎2の出隅で防水シート6が基礎2よりも低く凹んで、その凹みに雨水Rが溜まるのを防止することができる。
【0123】
また、防水シート6は、縦材62を設けることで、上記した線64に沿った部分から、基礎2へ向かう下り勾配の角度が大きくなるため、防水シート6の上の雨水Rをスムーズに排水することが可能になる。
【0124】
なお、上記以外の構成については、上記した実施例と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【実施例0125】
図18A図18Cは、中間枠体31の他の実施例である。この実施例では、中間枠体31は、縦部材31aなどに中間枠体31の倒れを防止するための支持材71を有している。
【0126】
ここで、支持材71は、上端部が縦部材31aの上下方向の中央よりも上側の位置(上半部)に取付けられる。支持材71は、上端部から斜めに下へ延び、下端部が基礎2内の地面やスラブ部2cに接地して、地面やスラブ部2cに支持されるようになっている。
【0127】
支持材71は、基礎2の内側へ向けて斜め下方に延びる直線状の部材としても良い。また、支持材71は、曲線状に湾曲した部材や、多角状に屈曲した部材としても良い。支持材71は、木製の板材で構成しても良いし、金属製の棒状部材で構成しても良い。
【0128】
このように、中間枠体31に支持材71を設けることで、中間枠体31は支持材71で補強されて、倒れを防止される。そのため、例えば、中間枠体31を出入口にして防水シート6の内外間に出入りする際に、作業員は、中間枠体31を掴んで体を支えながら安心かつ安定した状態で中間枠体31を通り抜けることなどが可能になる。よって、支持材71は、作業の安全性を向上する部材となり、中間枠体31からの出入りを容易にする。中間枠体31は、出入口の他にも、通気口や換気口などとしても使用することができる。
【0129】
なお、上記以外の構成については、上記した各実施例と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【実施例0130】
図19A図、19Bは、取付部材5の他の実施例である。この実施例では、取付部材5は、下面に、基礎2に沿ってほぼ水平に延び、取付部材5の両側を連通する凹溝部81を有している。
【0131】
ここで、凹溝部81は、木製の取付部材5の下面を切削加工して形成しても良いし、金属板を下向きU字状に曲げ加工して、凹溝部81を有する取付部材5としても良い。この実施例では、基礎2に沿って延びる一対の角材82,83と、一対の角材82,83の上に跨る板材84とを、下向きU字状に組み合わせて一体化し、凹溝部81を有する取付部材5にしている。板材84は、基礎2とほぼ同じかそれ以下の幅となるように間隔を有して設置されている。なお、一対の角材82,83は、同じ長さにしても良いし、異なる長さにしても良い。
【0132】
このように、取付部材5の下面に、凹溝部81を設けることで、例えば、基礎2の上面に沿って、連続したシール材85を設ける場合に、シール材85を凹溝部81の内側に通すことで、シール材85と干渉せずに取付部材5を基礎2の上面に設置することができる。この場合、図17A図17Cおよび図18A図18Cに示すように、基礎2に設置される全ての取付部材5は、その下面に、凹溝部81を設けるようにするのが好ましい。これにより、基礎2の全周に亘ってシール材85を連続して設けた状態で、基礎2全体を防水シート6で覆うことが可能になる。
【0133】
なお、上記以外の構成については、上記した各実施例と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0134】
1 基礎防水構造
2 基礎
2a 上面
3 櫓状物
4 アンカーボルト
5 取付部材
6 防水シート
6a 縁部
7 押圧保持部材
8 固定具
21 縦面材
31 中間枠体
41 基礎包囲部材
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B