IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社島津製作所の特許一覧

特開2024-56610熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置
<>
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図1
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図2
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図3
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図4
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図5
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図6
  • 特開-熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056610
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20240416BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F25B45/00 B
F25B1/00 396D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112613
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2022163034
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】関本 峻介
(72)【発明者】
【氏名】堀口 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】松田 翔太朗
(57)【要約】
【課題】熱輸送装置の冷媒流路内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路の閉塞の発生を抑制する。
【解決手段】この熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法は、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷媒流路に充填する、事前充填ステップ(ステップ902)と、事前充填ステップ(ステップ902)後に、冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、冷却装置(熱輸送装置)の運転に必要な所定量まで、冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填ステップ(ステップ901)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、事前充填ステップと、
前記事前充填ステップ後に、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、前記熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填ステップと、を備える、熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【請求項2】
前記本充填ステップは、前記熱輸送装置の冷媒流路内の温度が、所定の温度範囲内の温度になったことに基づいて開始される、請求項1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【請求項3】
前記事前充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度は、前記本充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度よりも小さい、請求項1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【請求項4】
前記事前充填ステップは、不活性ガスを前記熱輸送装置の冷媒流路に予め充填した後に、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の冷媒流路に充填する、請求項1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【請求項5】
前記事前充填ステップは、不活性ガスを前記熱輸送装置の冷媒流路に充填せずに、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、請求項1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【請求項6】
前記事前充填ステップは、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置である前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填し、
前記本充填ステップは、前記事前充填ステップ後に、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記冷却装置の運転に必要な所定量まで、前記冷却装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する、請求項1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【請求項7】
圧力検出部によって検出される熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行う制御部と、
前記制御部が取得した前記熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を報知する報知部と、を備え、
前記制御部は、
二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、事前充填を行う際に、前記圧力検出部によって検出される前記熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力に基づいて、前記事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行い、
前記事前充填が完了していると判定した場合には、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、前記熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填を行うことに関する制御を行う、熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記事前充填後において、前記熱輸送装置の冷媒流路内の温度が所定の温度範囲内になったか否かを判定し、
前記熱輸送装置の冷媒流路内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、前記本充填を行うことに関する制御を行う、請求項7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記本充填を行うことに関する制御として、前記本充填を行うことを作業者に促す報知を前記報知部によって行う制御を行う、請求項7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記本充填を行うことに関する制御として、二酸化炭素の充填の制御を行う、請求項7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記圧力検出部によって検出される冷却装置である前記熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行い、
前記報知部は、前記制御部が取得した前記冷却装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を報知し、
前記制御部は、
二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、前記事前充填を行う際に、前記圧力検出部によって検出される前記冷却装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力に基づいて、前記事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行い、
前記事前充填が完了していると判定した場合には、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記冷却装置の運転に必要な所定量まで、前記冷却装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する前記本充填を行うことに関する制御を行う、請求項7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および熱輸送装置用の冷媒充填制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却装置への二酸化炭素冷媒の充填方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、冷却装置への二酸化炭素冷媒の充填方法が開示されている。上記特許文献1に記載の冷却装置への二酸化炭素冷媒の充填方法では、二酸化炭素の充填の際に、ドライアイスの発生に起因して、冷媒流路の閉塞が発生することを抑制するために、二酸化炭素の充填の際に、二酸化炭素を加熱または冷却することによって、冷媒流路内におけるドライアイスの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-25924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の冷却装置への二酸化炭素冷媒の充填方法では、冷媒流路内におけるドライアイスの発生を抑制するために、二酸化炭素の加熱または冷却を行うための装置を追加する必要がある。そのため、冷却装置(熱輸送装置)の冷媒流路内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成が複雑化してしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、熱輸送装置の冷媒流路内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路の閉塞の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面における熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法は、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、事前充填ステップと、事前充填ステップ後に、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填ステップと、を備える。なお、ここで言う「熱輸送装置」とは、対象を冷却する冷却装置と対象を加熱する加熱装置とを含む概念として記載している。
【0008】
この発明の第2の局面における熱輸送装置用の冷媒充填制御装置は、圧力検出部によって検出される熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行う制御部と、制御部が取得した熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を報知する報知部と、を備え、制御部は、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、事前充填を行う際に、圧力検出部によって検出される熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力に基づいて、事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行い、事前充填が完了していると判定した場合には、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填を行うことに関する制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
ここで、二酸化炭素がドライアイス(固体)として存在できるのは、圧力が三重点圧力未満の場合である。本発明の第1の局面における熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法および第2の局面における熱輸送装置用の冷媒充填制御装置によれば、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で二酸化炭素を充填するか、または、不活性ガスを充填する、事前充填によって、冷媒流路内の圧力を二酸化炭素の三重点圧力以上にした後に、二酸化炭素を熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填、および、本充填を行うことに関する制御をそれぞれ行うことができる。これにより、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスが発生しない圧力状態の冷媒流路に二酸化炭素を充填することができるので、二酸化炭素の加熱または冷却を行わずに、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路の閉塞の発生を抑制することができる。その結果、二酸化炭素の充填の際に、二酸化炭素の加熱または冷却を行う場合と異なり、二酸化炭素の加熱または冷却を行うための装置を追加する必要がないので、熱輸送装置の冷媒流路内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路の閉塞の発生を抑制することができる。また、作業者は、冷媒流路を流れる冷媒の圧力を報知する報知部の報知によって、冷媒流路内の圧力が、二酸化炭素の三重点圧力以上であるか否かを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】二酸化炭素冷媒とともに、不活性ガスを用いる冷却装置を示した模式図である。
図2】第1実施形態の二酸化炭素冷媒の充填方法による処理を示したフローチャートである。
図3】第2実施形態による冷媒充填制御装置および冷却装置の構成を示した模式図である。
図4】第3実施形態による冷媒充填制御装置および冷却装置の構成を示した模式図である。
図5】第4実施形態の二酸化炭素冷媒の充填方法による処理を示したフローチャートである。
図6】不活性ガスを用いない第5実施形態による冷却装置を示した模式図である。
図7】第5実施形態の二酸化炭素冷媒の充填方法による処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態として、作業者が作業することによって行われる冷却装置110(熱輸送装置)への二酸化炭素冷媒の充填方法を、図1および図2を参照して、説明する。なお、冷却装置110は、特許請求の範囲における「熱輸送装置」の一例である。
【0013】
(冷却装置の構成)
冷却装置110(図1参照)は、二酸化炭素を冷媒とする冷却装置である。冷却装置110は、気体と液体が混ざった気液二相状態の二酸化炭素を用いて、冷却を行う装置である。冷却装置110は、凝縮器1と、タンク2と、ポンプ3と、蒸発器4と、装置制御部5とを備える。冷却装置110は、不活性ガスによって、冷媒である二酸化炭素を加圧することによって、ポンプ3においてキャビテーションが発生することを防止している。
【0014】
冷却装置110には、凝縮器1、タンク2、ポンプ3および蒸発器4と、凝縮器1、タンク2、ポンプ3および蒸発器4の各々に接続される配管によって、冷媒流路10が形成されている。
【0015】
凝縮器1は、冷媒(二酸化炭素)を凝縮する。凝縮器1は、チラーによって、冷媒を冷却して凝縮させるように構成されている。凝縮器1から流出した冷媒は、タンク2に送られる。タンク2は、冷媒を貯留する容器である。タンク2には、凝縮器1によって凝縮された冷媒が流入する。タンク2は、液体または気液二相になった冷媒を貯留する。タンク2に貯留された冷媒は、ポンプ3に送られる。また、タンク2には、冷媒とともに、不活性ガスが貯留される。
【0016】
ポンプ3は、タンク2に貯留された冷媒(二酸化炭素)を蒸発器4に送る。ポンプ3の動作は、装置制御部5によって制御されている。蒸発器4は、ポンプ3から吐出された冷媒を蒸発させることによって、図示しない冷却対象を冷却する。そして、蒸発器4から流出した冷媒は、凝縮器1に戻され、凝縮器1において凝縮される。
【0017】
装置制御部5は、冷却装置110の全体の制御を行うように構成されている。装置制御部5は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、メモリなどを含んでいる。装置制御部5は、内部または外部のメモリ(記憶装置)に記録(格納)された制御用のソフトウェア(プログラム)によって、冷却装置110の全体の制御を行うように構成されている。
【0018】
冷却装置110は、冷媒流路内の冷媒の温度を検出する温度センサ61および62を備える。また、冷却装置110は、冷媒流路内の圧力を検出する圧力センサ63および64を備える。なお、圧力センサ63および64は、特許請求の範囲の「圧力検出部」の一例である。
【0019】
温度センサ61は、タンク2とポンプ3との間に配置され、タンク2から流出した冷媒の温度を検出する。また、温度センサ62は、蒸発器4と凝縮器1との間に配置され、蒸発器4から流出する冷媒の温度を検出する。
【0020】
圧力センサ63は、タンク2とポンプ3との間に配置され、タンク2とポンプ3との間を流れる冷媒の圧力を検出する。また、圧力センサ64は、蒸発器4と凝縮器1との間に配置され、蒸発器4と凝縮器1との間を流れる冷媒の圧力を検出する。
【0021】
また、装置制御部5は、ポンプ3との通信を行うように接続されている。また、装置制御部5は、温度センサ61および62の各々と通信を行うように接続されている。また、装置制御部5は、圧力センサ63および64の各々と通信を行うように接続されている。
【0022】
装置制御部5は、温度センサ61、温度センサ62、圧力センサ63および圧力センサ64の各々の検出信号を取得して、冷却装置110の制御を行うように構成されている。
【0023】
また、冷却装置110の冷媒流路10には、マニホールド7を介して、ボンベ121、ボンベ122、および、真空ポンプ123の各々が接続されている。
【0024】
ボンベ121には、二酸化炭素(冷媒)が充填されている。ボンベ121とマニホールド7との間には、流量調整弁81が設けられている。流量調整弁81は、開度を調整することによって、ボンベ121から流出する二酸化炭素の流量を調整する。
【0025】
ボンベ122には、不活性ガスが充填されている。ボンベ122には、たとえば、窒素が充填されている。ボンベ122とマニホールド7との間には、流量調整弁82が設けられている。流量調整弁82は、開度を調整することによって、ボンベ122から流出する不活性ガス(窒素)の流量を調整する。
【0026】
真空ポンプ123は、冷却装置110の冷媒流路内を真空引きするためのポンプである。なお、本明細書中において、「真空」とは、絶対真空ではなく、特定の空間が、大気圧より低い圧力の気体で満たされている状態のことを示している。
【0027】
マニホールド7は、冷却装置110の冷媒流路10に接続される。具体的には、マニホールド7の内部の流路が、タンク2上流側の配管(タンク2と凝縮器1との間の配管)に接続される。また、マニホールド7には、ボンベ121、ボンベ122および真空ポンプ123の各々に接続する配管が接続される。マニホールド7は、バルブ7aおよび7bの開度を調整して、内部に形成された流路の閉塞および開放を行うことによって、冷媒流路10が接続する配管を切り替えることができる。これにより、冷媒流路10内への二酸化炭素(冷媒)の導入、冷媒流路10内への不活性ガスの導入、および、冷媒流路10内の真空引き(排気)を、マニホールド7によって切り替えることができる。
【0028】
(第1実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法)
図2を参照して、冷却装置110(熱輸送装置)への第1実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法の処理フロー(ステップ901~904)について、説明する。
【0029】
まず、ステップ901において、作業者は、冷媒流路10内の真空引きを行う。作業者は、マニホールド7(バルブ7aおよび7b)と、真空ポンプ123とを操作して、冷媒流路10からボンベ121およびボンベ122までの間の配管内の真空引きを行う。冷媒流路10内の真空引きの完了後、作業者は、ステップ902の作業を行う。
【0030】
ステップ902において、作業者は、事前充填を行う。ステップ902において、作業者は、不活性ガスを冷却装置110の冷媒流路10に予め充填した後に、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置110の冷媒流路10に充填する。すなわち、冷媒流路10への二酸化炭素の充填前に、不活性ガスが冷媒流路10内に充填される。不活性ガスは、前述したように、ポンプ3におけるキャビテーションの発生を防止するために冷媒流路10内に充填される。なお、キャビテーション防止に必要な不活性ガスの充填量は、ポンプ3の性能によって異なる。すなわち、キャビテーション防止に必要な不活性ガスを、冷媒流路10内に充填した後の冷媒流路10内の圧力は、ポンプ3の性能によって異なる。第1実施形態では、不活性ガス充填後の冷媒流路10内の圧力は、二酸化炭素の三重点圧力未満である。
【0031】
第1実施形態では、ステップ902(事前充填)において、二酸化炭素を冷媒流路10内に充填する前に、真空引きされた冷媒流路10内に、予め不活性ガスが充填される。不活性ガスを真空引きされた冷媒流路10内に、事前充填する際には、当然、ドライアイスは発生しない。したがって、不活性ガスを予め充填することによって、真空引きされた冷媒流路10内に二酸化炭素を徐々に充填して、冷媒流路10内の圧力を徐々に昇圧する場合に比べて、冷媒流路10内の圧力を、二酸化炭素の三重点圧力に近づくように、容易に昇圧することができる。これにより、真空引きされた冷媒流路10内に不活性ガスを予め充填した後に、二酸化炭素を冷媒流路10に充填することによって、真空引きされた冷媒流路10内に二酸化炭素を充填した後に、不活性ガスを充填する場合に比べて、冷媒流路10内の圧力を容易に二酸化炭素の三重点圧力以上に昇圧することができる。
【0032】
ステップ902において、作業者は、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)以上になるように、冷却装置110の冷媒流路10に充填する。すなわち、作業者は、内部の圧力が二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)未満であり、不活性ガスが充填された状態の冷却装置110の冷媒流路10に、内部の圧力が二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)以上になるように、二酸化炭素を充填する。たとえば、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が、二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)未満の状態から、0.7MPa-a以上になるように、二酸化炭素が充填される。なお、ステップ902は、特許請求の範囲の「事前充填ステップ」の一例である。
【0033】
なお、ステップ902(事前充填)における二酸化炭素の充填速度は、後述するステップ904(本充填)における二酸化炭素の充填速度よりも小さい。なお、本充填における二酸化炭素の充填速度に対する、事前充填における二酸化炭素の充填速度の比は、冷却装置110(冷媒流路10)の内容積に応じる。作業者は、マニホールド7のバルブ7aおよび流量調整弁81の開度を調整して、ドライアイスが冷媒流路10内に発生しないように、二酸化炭素を徐々に冷媒流路10内に充填する。
【0034】
ステップ903において、作業者は、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になっているか否かを確認する。作業者は、温度センサ61および62によって、検出された冷媒流路10内の温度を確認する。そして、作業者は、温度センサ61および62が検出した冷媒流路10内の温度に基づいて、冷媒流路10内においてドライアイスが発生していないことを確認する。作業者は、冷却装置110が備える図示しない表示部およびゲージ(メータ)などによって、冷媒流路10内の温度を確認してもよいし、後述する第2実施形態のように、充填作業用の装置を用いて、冷媒流路10内の温度を確認してもよい。
【0035】
作業者は、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になっていない場合には、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になるまで待機する。そして、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になっている場合には、作業者は、二酸化炭素の本充填(ステップ904)を開始する。
【0036】
すなわち、ステップ904は、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になったことに基づいて開始される。なお、ステップ904は、特許請求の範囲の「本充填ステップ」の一例である。
【0037】
ステップ904において、作業者は、二酸化炭素の本充填を行う。具体的には、作業者は、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、冷却装置110の運転に必要な所定量まで、冷却装置110の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する。具体的には、作業者は、マニホールド7のバルブ7aおよび流量調整弁81の開度を調整して、冷媒流路10に、冷却装置110の運転に必要な所定量の二酸化炭素を充填する。
【0038】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
第1実施形態では、不活性ガスを冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10に予め充填した後に、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置110の真空引きされた冷媒流路10に充填する事前充填を行う。これにより、冷媒流路10内の圧力を二酸化炭素の三重点圧力以上にした状態で、二酸化炭素を冷却装置110の運転に必要な所定量まで、冷却装置110の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する本充填を行うことができる。その結果、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスが発生しない圧力状態の冷媒流路10に二酸化炭素を充填することができるので、二酸化炭素の加熱または冷却を行わずに、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。これにより、二酸化炭素の充填の際に、二酸化炭素の加熱または冷却を行う場合と異なり、二酸化炭素の加熱または冷却を行うための装置を追加する必要がないので、冷却装置110の冷媒流路10内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。
【0040】
また、上記第1実施形態による冷却装置110(熱輸送装置)への二酸化炭素冷媒の充填方法では、以下のように実施することによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0041】
第1実施形態では、本充填ステップ(ステップ904)は、冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になったことに基づいて開始される。これにより、冷媒流路10において、ドライアイスの発生に起因する温度低下が発生していないことを確認した後に、二酸化炭素の本充填を開始することができる。その結果、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスの発生に起因して、冷媒流路10が閉塞してしまうことを、より効果的に抑制することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、事前充填ステップ(ステップ902)における二酸化炭素の充填速度は、本充填ステップ(ステップ904)における二酸化炭素の充填速度よりも小さい。これにより、事前充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度と、本充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度とが略同じ場合に比べて、断熱膨張による二酸化炭素の急激な温度の低下を抑制することができる。その結果、冷媒流路10内において、断熱膨張による急激な温度の低下に起因して、二酸化炭素がドライアイスになってしまうことを抑制することができる。また、事前充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度よりも、本充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度が大きいので、二酸化炭素の本充填に要する時間を短くすることができる。その結果、冷却装置110(熱輸送装置)の運転に必要な所定量まで、二酸化炭素を充填するまでの時間を短縮することができる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態として、冷媒充填制御装置100が、作業者に対して、冷却装置110(熱輸送装置)への二酸化炭素冷媒の充填方法の作業を促す表示を行う、冷却装置110への二酸化炭素冷媒の充填方法を、図3を参照して、説明する。
【0044】
冷媒充填制御装置100は、制御部101と、表示部102とを備える。なお、冷媒充填制御装置100は、特許請求の範囲の「冷却装置用の冷媒充填制御装置」の一例である。また、表示部102は、特許請求の範囲の「報知部」の一例である。
【0045】
制御部101は、冷媒充填制御装置100全体の制御を行うように構成されている。制御部101は、CPUなどのプロセッサ、メモリなどを含んでいる。制御部101は、内部または外部のメモリ(記憶装置)に記録(格納)された制御用のソフトウェア(プログラム)によって、冷却装置110への二酸化炭素冷媒の充填に関する制御を行うように構成されている。
【0046】
制御部101は、温度センサ61および62によって検出される冷却装置110の冷媒流路10を流れる冷媒の温度を取得する制御を行う。制御部101は、圧力センサ63および64によって検出される冷却装置110の冷媒流路10を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行う。
【0047】
表示部102は、制御部101が取得した冷却装置110の冷媒流路10を流れる冷媒の圧力を表示(報知)する。また、表示部102は、制御部101が取得した冷却装置110の冷媒流路10を流れる冷媒の温度を表示(報知)する。表示部102は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを含む。また、表示部102は、ゲージ(メータ)を含んでもよい。
【0048】
制御部101は、不活性ガスおよび冷媒(二酸化炭素)を、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置110の真空引きされた冷媒流路10に充填する事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行う。第2実施形態では、制御部101は、事前充填を行う際に、圧力センサ63および64によって検出される冷却装置110の冷媒流路10を流れる冷媒の圧力に基づいて、事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行う。
【0049】
また、制御部101は、事前充填後において、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になったか否かを判定する。具体的には、制御部101は、温度センサ61および62によって検出された冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内になったか否かを判定する。たとえば、制御部101は、温度センサ61および62の各々によって検出された冷媒流路10内の温度の差分が、数℃未満に収まっているか否かを判定する。また、制御部101は、温度センサ61および62の各々によって検出された冷媒流路10内の温度の全てが、所定の温度範囲内に収まっているか否かを判定してもよい。
【0050】
制御部101は、事前充填が完了していると判定した場合には、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、冷却装置110の運転に必要な所定量まで、冷却装置110の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する本充填を行うことに関する制御を行う。
【0051】
第2実施形態では、制御部101は、事前充填後において、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、本充填を行うことに関する制御として、本充填を行うことを作業者に促す表示(報知)を表示部102によって行う制御を行う。たとえば、制御部101が、表示部102に、「本充填を開始して下さい」といった文章(文字)を表示させる制御を行う。これにより、作業者による本充填の開始が、冷媒充填制御装置100(表示部102)によって促される。
【0052】
そして、第2実施形態では、表示部102の表示に基づいて、マニホールド7(バルブ7a)、および、流量調整弁81を、作業者が操作して、冷媒流路10内への二酸化炭素(冷媒)の本充填が行われる。
【0053】
第2実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法の処理フローは、ステップ903において、表示部102による表示(報知)が行われた後に、作業者による冷媒流路10内の温度の確認が行われる以外は、第1実施形態における処理フローと同様である。
【0054】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
第2実施形態では、事前充填によって、冷媒流路10内の圧力を二酸化炭素の三重点圧力以上にした後に、二酸化炭素を冷却装置110(熱輸送装置)の運転に必要な所定量まで、冷却装置110の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する本充填を行うことに関する制御を、制御部101によって行うことができる。これにより、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスが発生しない圧力状態の冷媒流路10に二酸化炭素を充填することができるので、二酸化炭素の加熱または冷却を行わずに、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。その結果、二酸化炭素の充填の際に、二酸化炭素の加熱または冷却を行う場合と異なり、二酸化炭素の加熱または冷却を行うための装置を追加する必要がないので、冷却装置110の冷媒流路10内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。また、作業者は、冷媒流路10を流れる冷媒の圧力を表示(報知)する表示部102(報知部)の表示によって、冷媒流路10内の圧力が、二酸化炭素の三重点圧力以上であるかを容易に把握することができる。
【0056】
また、上記第2実施形態による冷媒充填制御装置100では、以下のように構成することによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0057】
第2実施形態では、制御部101は、事前充填後において、冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になったか否かを判定する。そして、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、本充填を行うことに関する制御として、本充填を行うことを作業者に促す表示(報知)を表示部102(報知部)によって行う制御を行う。これにより、作業者は、表示部102による表示を視認(確認)して、冷媒流路10において、ドライアイスの発生に起因する温度低下が発生していないことを容易に確認することができる。また、作業者は、表示部102による表示により、冷媒流路10において、ドライアイスの発生に起因する温度低下が発生していないことを確認した後に、二酸化炭素の本充填を開始することができる。その結果、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスの発生に起因して、冷媒流路10が閉塞してしまうことを、より効果的に抑制することができる。
【0058】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
[第3実施形態]
第3実施形態における冷却装置110(熱輸送装置)への二酸化炭素冷媒の充填方法について説明する。第3実施形態では、冷媒充填制御装置200(図4参照)が、冷却装置110への不活性ガスおよび二酸化炭素の事前充填、および、二酸化炭素の本充填を自動的に行う。なお、冷媒充填制御装置200は、特許請求の範囲の「冷却装置用の冷媒充填制御装置」の一例である。
【0060】
冷媒充填制御装置200の制御部101は、マニホールド7(バルブ7aおよび7b)、流量調整弁81、流量調整弁82および真空ポンプ123の各々を制御するように構成されている。これにより、上記第1および第2実施形態において、作業者の操作によって行なわれていた作業が、冷媒充填制御装置200の制御部101の制御によって、自動的に行われる。
【0061】
第3実施形態では、制御部101は、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、本充填を行うことに関する制御として、二酸化炭素の充填の制御を行う。具体的には、制御部101は、事前充填後に、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、マニホールド7(バルブ7a)および流量調整弁81を制御して、ボンベ121に充填された二酸化炭素を冷媒流路10内に流入させる。
【0062】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。また、第3実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法の処理フローは、作業者の代わりに、冷媒充填制御装置200が各ステップを自動的に行う以外は、第1実施形態における処理フローと同様である。
【0063】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第3実施形態では、上記第2実施形態と同様に、冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。
【0065】
また、上記第3実施形態による冷媒充填制御装置200では、以下のように構成することによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0066】
また、第3実施形態では、制御部101は、事前充填後において、冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になったか否かを判定する。そして、冷却装置110の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、本充填を行うことに関する制御として、二酸化炭素の充填の制御を行う。これにより、制御部101は、冷媒流路10において、ドライアイスの発生に起因する温度低下が発生していないことを確認した後に、二酸化炭素の充填の制御(本充填)を行うことができる。その結果、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスの発生に起因して、冷媒流路10が閉塞してしまうことを、より効果的に抑制することができる。また、制御部101によって、二酸化炭素の充填の制御(本充填)が自動的に行われるので、作業者が、冷媒流路10において、ドライアイスの発生に起因する温度低下が発生していないことを確認した後に、二酸化炭素の本充填を開始する場合に比べて、二酸化炭素の充填の制御(本充填)を迅速に開始することができる。
【0067】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
[第4実施形態]
第4実施形態における冷却装置110(熱輸送装置)への二酸化炭素冷媒の充填方法について説明する。
【0069】
第4実施形態は、ポンプ3におけるキャビテーションの発生を防止するため必要な量の不活性ガスを充填した際に、冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上に昇圧可能な場合における冷却装置110への二酸化炭素冷媒の充填方法である。第4実施形態における冷却装置110への二酸化炭素冷媒の充填方法では、事前充填において不活性ガスと二酸化炭素を充填する第1実施形態とは異なり、不活性ガスのみによって事前充填が行われる。
【0070】
(第4実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法)
図5を参照して、冷却装置110(熱輸送装置)への第4実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法の処理フロー(ステップ911~913)について、説明する。
【0071】
まず、ステップ911において、作業者は、冷媒流路10内の真空引きを行う。冷媒流路10内の真空引きの完了後、作業者は、ステップ912の作業を行う。なお、ステップ911は、第1実施形態におけるステップ901と同様の処理である。
【0072】
ステップ912において、作業者は、不活性ガスによる事前充填を行う。ステップ912において、作業者は、不活性ガスを、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)以上になるように、冷却装置110の真空引きされた冷媒流路10に充填する。たとえば、作業者は、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が、0.7MPa-a以上になるように、不活性ガスを冷媒流路10に充填する。なお、ステップ912は、特許請求の範囲の「事前充填ステップ」の一例である。
【0073】
ステップ913において、作業者は、二酸化炭素の本充填を行う。具体的には、作業者は、冷却装置110の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、冷却装置110の運転に必要な所定量まで、冷却装置110の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する。第4実施形態では、事前充填においては、不活性ガス(窒素)のみを充填するので、事前充填の際にドライアイスが発生することはない。そのため、事前充填の完了後に、冷媒流路10内の温度を確認することなく、本充填を行うことができる。なお、不活性ガスの断熱膨張による冷媒流路10内の温度低下を考慮して、第1実施形態と同様に、事前充填(ステップ912)の後に、冷媒流路10内の温度が確認されてもよい。なお、ステップ913は、特許請求の範囲の「本充填ステップ」の一例である。
【0074】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
第4実施形態では、不活性ガスを、冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置110の真空引きされた冷媒流路10に充填する事前充填を行う。これにより、冷媒流路10内の圧力を二酸化炭素の三重点圧力以上にした状態で、二酸化炭素を冷却装置110の運転に必要な所定量まで、冷却装置110の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する本充填を行うことができる。その結果、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスが発生しない圧力状態の冷媒流路10に二酸化炭素を充填することができるので、二酸化炭素の加熱または冷却を行わずに、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。これにより、冷却装置110の冷媒流路10内に二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制しつつ、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。
【0076】
[第5実施形態]
第5実施形態における冷却装置210(熱輸送装置)への二酸化炭素冷媒の充填方法について説明する。
【0077】
第5実施形態は、二酸化炭素を不活性ガスによって加圧する冷却装置110に、二酸化炭素冷媒を充填する第1~第4実施形態とは異なり、不活性ガスを用いずに、二酸化炭素を冷媒として用いる冷却装置210(図6参照)に、二酸化炭素を充填する方法である。なお、冷却装置210は、特許請求の範囲における「熱輸送装置」の一例である。
【0078】
(第5実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法)
図7を参照して、冷却装置210(熱輸送装置)への第5実施形態による二酸化炭素冷媒の充填方法の処理フロー(ステップ921~923)について、説明する。
【0079】
まず、ステップ921において、作業者は、冷媒流路10内の真空引きを行う。ステップ921の完了後、作業者は、ステップ922の作業を行う。なお、ステップ921は、第1実施形態におけるステップ901と同様の処理である。
【0080】
次に、ステップ922において、不活性ガスを冷却装置210の冷媒流路10に充填せずに、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置210の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)以上になるように、冷却装置210の真空引きされた冷媒流路10に充填する。なお、ステップ922は、特許請求の範囲の「事前充填ステップ」の一例である。すなわち、作業者は、ステップ921において真空引きされた冷媒流路10に、内部の圧力が二酸化炭素の三重点圧力(0.52MPa-a)以上になるように、二酸化炭素を充填する。たとえば、冷却装置210の冷媒流路10内の圧力が、真空引きされた大気圧未満の状態から、0.7MPa-a以上になるように、二酸化炭素が充填される。なお、ステップ922は、特許請求の範囲の「事前充填ステップ」の一例である。
【0081】
なお、ステップ922(事前充填)における二酸化炭素の充填速度は、後述するステップ924(本充填)における二酸化炭素の充填速度よりも小さい。作業者は、マニホールド7のバルブ7aおよび流量調整弁81の開度を調整して、ドライアイスが冷媒流路10内に発生しないように、二酸化炭素を徐々に冷媒流路10内に充填する。
【0082】
ステップ923において、作業者は、冷却装置210の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になっているか否かを確認する。作業者は、温度センサ61および62によって、検出された冷媒流路10内の温度を確認する。そして、作業者は、温度センサ61および62が検出した冷媒流路10内の温度に基づいて、冷媒流路10内においてドライアイスが発生していないことを確認する。なお、ステップ923は、第1実施形態におけるステップ903と同様の処理である。
【0083】
作業者は、冷却装置210の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になっていない場合には、冷却装置210の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になるまで待機する。そして、冷却装置210の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になっている場合には、作業者は、二酸化炭素の本充填(ステップ924)を開始する。
【0084】
すなわち、ステップ924は、第1実施形態のステップ904と同様に、冷却装置210の冷媒流路10内の温度が、所定の温度範囲内の温度になったことに基づいて開始される。なお、ステップ924は、特許請求の範囲の「本充填ステップ」の一例である。
【0085】
ステップ924において、作業者は、二酸化炭素の本充填を行う。具体的には、作業者は、冷却装置210の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、冷却装置210の運転に必要な所定量まで、冷却装置210の冷媒流路10に二酸化炭素を充填(追加)する。
【0086】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0087】
第5実施形態では、不活性ガスを冷却装置210(熱輸送装置)の冷媒流路10に充填せずに、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置210の冷媒流路10内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置210の真空引きされた冷媒流路10に充填する事前充填を行う。これにより、冷媒流路10内の圧力を二酸化炭素の三重点圧力以上にした状態で、二酸化炭素を冷却装置210の運転に必要な所定量まで、冷却装置210の冷媒流路10に二酸化炭素を充填する本充填を行うことができる。その結果、二酸化炭素の本充填の際に、ドライアイスが発生しない圧力状態の冷媒流路10に二酸化炭素を充填することができるので、二酸化炭素の加熱または冷却を行わずに、ドライアイスの発生に起因する冷媒流路10の閉塞の発生を抑制することができる。これにより、不活性ガスを用いずに、二酸化炭素を冷媒として用いる冷却装置210(図6参照)に、二酸化炭素を充填する場合においても、二酸化炭素の充填の際に、二酸化炭素の加熱または冷却を行うための装置を追加する必要がない。その結果、冷却装置210への二酸化炭素冷媒を充填するための装置の装置構成の複雑化を抑制することができる。
【0088】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0090】
たとえば、上記第2実施形態では、冷媒充填制御装置100の制御部101は、冷却装置110(熱輸送装置)が備える圧力センサ63および64(圧力検出部)によって検出される冷媒流路10を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷媒充填制御装置が圧力検出部を備え、冷媒充填制御装置の圧力検出部によって検出される冷媒流路を流れる冷媒の圧力を取得する制御を、冷媒充填制御装置の制御部が行ってもよい。そして、冷媒充填制御装置の制御部は、冷媒充填制御装置が備える圧力検出部の検出結果に基づいて、二酸化炭素冷媒の充填に関わる制御を行ってもよい。
【0091】
また、上記第2実施形態では、冷媒充填制御装置100の制御部101は、冷却装置110(熱輸送装置)が備える温度センサ61および62によって検出される冷媒流路10を流れる冷媒の温度を取得する制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷媒充填制御装置が温度センサを備え、冷媒充填制御装置の温度センサによって検出される冷媒流路を流れる冷媒の温度を取得する制御を、冷媒充填制御装置の制御部が行ってもよい。そして、冷媒充填制御装置の制御部は、冷媒充填制御装置が備える温度センサの検出結果に基づいて、二酸化炭素冷媒の充填に関わる制御を行ってもよい。
【0092】
また、上記第2実施形態では、表示部102(報知部)が、本充填を行うことを作業者に促す表示(報知)を行う制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、報知部は、音によって、本充填を行うことを作業者に促す報知を行ってもよい。
【0093】
また、上記第4実施形態では、冷媒充填制御装置100または200を用いずに、作業者によって、二酸化炭素冷媒の充填作業が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、不活性ガスを、冷却装置(熱輸送装置)の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填する事前充填を行う二酸化炭素冷媒の充填方法においても、第2実施形態のように、本充填を行うことを作業者に促す表示(報知)を表示部102(報知部)によって行う制御を、冷媒充填制御装置100が行ってもよい。なお、第4実施形態のように、事前充填の完了後に、冷媒流路内の温度を確認することなく、本充填を行う場合には、冷媒充填制御装置の制御部は、冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になったことに基づいて、報知部による報知の制御を行う。また、不活性ガスを、冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填する事前充填を行う二酸化炭素冷媒の充填方法における作業の一部または全部を、第3実施形態のように、冷媒充填制御装置200が自動的に実施してもよい。
【0094】
また、上記第5実施形態では、冷媒充填制御装置100または200を用いずに、作業者によって、二酸化炭素冷媒の充填作業が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、不活性ガスを冷却装置(熱輸送装置)の冷媒流路に充填せずに事前充填を行う二酸化炭素冷媒の充填方法においても、第2実施形態のように、本充填を行うことを作業者に促す表示(報知)を表示部102(報知部)によって行う制御を、冷媒充填制御装置100が行ってもよい。また、不活性ガスを冷却装置の冷媒流路に充填せずに事前充填を行う二酸化炭素冷媒の充填方法における作業の一部または全部を、第3実施形態のように、冷媒充填制御装置200が自動的に実施してもよい。
【0095】
また、第3実施形態では、冷媒充填制御装置200の制御部101は、冷却装置110(熱輸送装置)の冷媒流路10内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、本充填を行うことに関する制御として、二酸化炭素の充填の制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷媒充填制御装置が、タッチパネル、キーボードまたはマウスなどの操作部を備え、操作部への作業者の入力操作に基づいて、冷媒充填制御装置の制御部が、二酸化炭素の充填の制御(本充填)を行ってもよい。また、操作部への作業者の入力操作に基づいて、冷却流路の真空引き、または、事前充填が、冷媒充填制御装置の制御部の制御によって行なわれてもよい。
【0096】
また、上記第2および第3実施形態では、冷媒充填制御装置100および冷媒充填制御装置200と、装置制御部5とが別個に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷媒充填制御装置100および冷媒充填制御装置200が実行する制御を、装置制御部5が実行するようにしてもよい。
【0097】
また、上記第1~第5実施形態では、マニホールド7の内部の流路が、タンク2上流側の配管(タンク2と凝縮器1との間の配管)に接続される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、マニホールド7の内部の流路が、タンク2上流側の配管(タンク2と凝縮器1との間の配管)以外の冷媒流路10の配管に接続されていてもよい。
【0098】
また、上記第1~第5実施形態では、説明の便宜上、本発明の二酸化炭素冷媒の充填方法を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、二酸化炭素冷媒の充填方法における作業(処理動作)は、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行われてもよい。この場合、二酸化炭素冷媒の充填方法における作業(処理動作)は、完全なイベント駆動型により行われてもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行われてもよい。
【0099】
また、上記第1~第5実施形態では、冷却装置110、210(熱輸送装置)の冷媒流路に対して二酸化炭素を充填する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、対象を加熱する加熱装置である熱輸送装置の冷媒流路に対して二酸化炭素を充填するようにしてもよい。
【0100】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0101】
(項目1)
二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、事前充填ステップと、
前記事前充填ステップ後に、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、前記熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填ステップと、を備える、熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【0102】
(項目2)
前記本充填ステップは、前記熱輸送装置の冷媒流路内の温度が、所定の温度範囲内の温度になったことに基づいて開始される、項目1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【0103】
(項目3)
前記事前充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度は、前記本充填ステップにおける二酸化炭素の充填速度よりも小さい、項目1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【0104】
(項目4)
前記事前充填ステップは、不活性ガスを前記熱輸送装置の冷媒流路に予め充填した後に、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の冷媒流路に充填する、項目1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【0105】
(項目5)
前記事前充填ステップは、不活性ガスを前記熱輸送装置の冷媒流路に充填せずに、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、項目1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【0106】
(項目6)
前記事前充填ステップは、二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、冷却装置である前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填し、
前記本充填ステップは、前記事前充填ステップ後に、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記冷却装置の運転に必要な所定量まで、前記冷却装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する、項目1に記載の熱輸送装置への二酸化炭素冷媒の充填方法。
【0107】
(項目7)
圧力検出部によって検出される熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行う制御部と、
前記制御部が取得した前記熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を報知する報知部と、を備え、
前記制御部は、
二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記熱輸送装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、事前充填を行う際に、前記圧力検出部によって検出される前記熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力に基づいて、前記事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行い、
前記事前充填が完了していると判定した場合には、前記熱輸送装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記熱輸送装置の運転に必要な所定量まで、前記熱輸送装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する本充填を行うことに関する制御を行う、熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【0108】
(項目8)
前記制御部は、前記事前充填後において、前記熱輸送装置の冷媒流路内の温度が所定の温度範囲内になったか否かを判定し、
前記熱輸送装置の冷媒流路内の温度が所定の温度範囲内になった場合には、前記本充填を行うことに関する制御を行う、項目7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【0109】
(項目9)
前記制御部は、前記本充填を行うことに関する制御として、前記本充填を行うことを作業者に促す報知を前記報知部によって行う制御を行う、項目7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【0110】
(項目10)
前記制御部は、前記本充填を行うことに関する制御として、二酸化炭素の充填の制御を行う、項目7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【0111】
(項目11)
前記制御部は、前記圧力検出部によって検出される冷却装置である前記熱輸送装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を取得する制御を行い、
前記報知部は、前記制御部が取得した前記冷却装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を報知し、
前記制御部は、
二酸化炭素を、ドライアイスの発生を抑制する充填速度で、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填するか、または、不活性ガスを、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上になるように、前記冷却装置の真空引きされた冷媒流路に充填する、前記事前充填を行う際に、前記圧力検出部によって検出される前記冷却装置の冷媒流路を流れる冷媒の圧力に基づいて、前記事前充填が完了しているか否かを判定する制御を行い、
前記事前充填が完了していると判定した場合には、前記冷却装置の冷媒流路内の圧力が二酸化炭素の三重点圧力以上の状態で、前記冷却装置の運転に必要な所定量まで、前記冷却装置の冷媒流路に二酸化炭素を充填する前記本充填を行うことに関する制御を行う、項目7に記載の熱輸送装置用の冷媒充填制御装置。
【符号の説明】
【0112】
10 冷媒流路
63、64 圧力センサ(圧力検出部)
100、200 冷媒充填制御装置
101 制御部
102 表示部(報知部)
110、210 冷却装置(熱輸送装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7