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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056614
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240416BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134095
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2022163213
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】熨斗 克哉
(72)【発明者】
【氏名】進藤 卓也
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA06
2F129BB03
2F129DD16
2F129DD40
2F129DD62
2F129DD66
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE77
2F129EE90
2F129FF12
2F129FF32
2F129FF60
2F129FF61
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH35
5H181AA15
5H181BB05
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】検査対象の地中埋設物が埋設された道路上を、地中埋設物に沿って網羅的に通過する全体ルートを、比較的高い処理速度で生成して提供可能なナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】最短ルート探索制御にて探索決定された最短ルートと当該最短ルートの終点である一端又は他端を含む地中埋設物Pに沿うルートとを含む単位ルートを生成する単位ルート生成制御を実行すると共に、先に実行された単位ルート生成制御にて生成された単位ルートに含まれる地中埋設物Pを除き、直近の単位ルート生成制御の終点を開始地点として、埋設物選択制御と、最短ルート探索制御と、単位ルート生成制御とを、埋設物選択制御にて地中埋設物Pが選択されなくなるまで順次実行すると共に、生成された単位ルートを生成された順に繋ぎ合わせて、全体ルートを生成する全体ルート生成制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上にルートを生成すると共に生成したルートを辿るよう案内するナビゲーションシステムであって、
検査対象の長尺状の地中埋設物の複数が埋設された埋設位置情報を道路情報と共に含む埋設物道路情報に基づいて、複数の前記地中埋設物に沿って通過するルートを前記地図上に生成する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記地図上で設定された設定範囲内において、指定した開始地点の近傍に存在する前記地中埋設物を少なくとも1つ以上選択する埋設物選択制御と、
前記開始地点から、前記埋設物選択制御にて選択されたすべての前記地中埋設物の一端及び他端の少なくとも何れか一方までの道路に沿った最短候補ルートを導出し、当該最短候補ルートから最短ルートを探索決定する最短ルート探索制御と、
前記最短ルート探索制御にて探索決定された前記最短ルートと当該最短ルートの終点である一端又は他端を含む前記地中埋設物に沿うルートとを含む単位ルートを生成する単位ルート生成制御と、
先に実行された前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートに含まれる前記地中埋設物を除き、直前の前記単位ルート生成制御の終点を前記開始地点として、前記埋設物選択制御と、前記最短ルート探索制御と、前記単位ルート生成制御とを、前記埋設物選択制御にて前記地中埋設物が選択されなくなるまで順次実行すると共に、生成された前記単位ルートを生成された順に繋ぎ合わせて、全体ルートを生成する全体ルート生成制御とを実行するナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記埋設物道路情報において、前記地中埋設物には、前記道路の幅方向において設けられる位置に基づいて、一端から他端への順方向又は他端から一端への逆方向の何れかの方向が紐付けられているものが含まれ、
前記制御装置は、前記最短ルート探索制御において、前記順方向が設定される前記地中埋設物については、前記開始地点から前記地中埋設物の一端までを前記最短ルートの候補として探索し、前記逆方向が設定される前記地中埋設物については、前記開始地点から前記地中埋設物の他端までを前記最短ルートの候補として探索すると共に、
前記単位ルート生成制御において、前記順方向又は前記逆方向に沿わせる形態で、前記単位ルートの方向を設定する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
前記制御装置は、先の前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートに対応する前記地中埋設物の前記構成点の少なくとも一つと、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートとの距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の前記単位ルートを生成するべく前記単位ルート生成制御を再度実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルート上に設定される少なくとも2つの連続する判定点と、当該単位ルートに対応する前記地中埋設物との距離が、予め設定された第2乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の前記単位ルートを生成するべく前記単位ルート生成制御を再度実行する請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
前記制御装置は、先に生成された前記単位ルートに対応する前記地中埋設物以外の一の前記地中埋設物に関し、当該一の前記地中埋設物の夫々の前記構成点と、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートとの距離のすべてが、予め設定された第1乖離判定閾値以下の場合、当該一の前記地中埋設物を以降の前記埋設物選択制御の対象から除外する対象除外制御を、前記単位ルート生成制御を実行する度に実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記単位ルート生成制御にて生成される前記単位ルートのうち始点を含み終点を含まないルートを始点側ルートとし、終点を含み始点を含まないルートを終点側ルートとし、前記始点側ルートを含む前記単位ルートが、前記終点側ルートを含む前記単位ルートとは異なる場合において、
前記制御装置は、前記単位ルート生成制御にて生成される前記始点側ルートが、直前の前記単位ルート生成制御にて生成される前記終点側ルートと重なる場合、前記単位ルート生成制御による前記単位ルートの生成を、前記始点側ルートを含む前記単位ルートとは異なる前記単位ルートを生成する形態で、再度実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記設定範囲内に含まれる前記地中埋設物の長さの合計が、予め設定された全長上限閾値を超える場合、前記設定範囲の再設定を促す再設定制御を実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記制御装置は、前記位置検出部にて検出される現在位置に基づいて、前記全体ルートのうち現時点以降に通過が予定される直近ルートを導出する直近ルート導出制御を実行可能に構成され、
前記案内部は、前記直近ルート導出制御にて導出される前記直近ルートを、前記全体ルートとは別の表示形態で逐次更新しながら前記地図上に表示する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記案内部は、前記全体ルートを辿るよう案内する際に、前記位置検出部にて検出される現在位置より進行方向で前方の道路情報を3次元表示すると共に、前記3次元表示上に表示される1つ以上の車線に対して前記全体ルートが存在する箇所を重畳表示する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートの長さが予め設定された飛地判定閾値以上である場合に当該単位ルートを飛地ルートであると判定する飛地判定制御と、
前記飛地判定制御において前記単位ルートが前記飛地ルートであると判定された場合、当該判定の時点までに生成された前記単位ルートのうち、前記飛地判定制御の対象である前記単位ルートの終点を含む前記地中埋設物である飛地地中埋設物に最も近い前記単位ルートを修正候補である修正候補単位ルートとして抽出する修正候補単位ルート抽出制御と、
当該修正候補単位ルートを前記飛地地中埋設物を通るよう変更した変更後ルートの長さから、前記修正候補単位ルートの長さを減算した長さが、前記飛地判定制御の判定対象の前記単位ルートの長さよりも短い場合、前記修正候補単位ルートを前記変更後ルートへ差し替えるルート差替制御とを実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項11】
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記制御装置は、前記案内部の案内に従って前記全体ルートを辿るよう走行しながら、前記位置検出部にて連続的に検出される前記現在位置の軌跡を走行ルートとして生成する走行ルート生成制御を実行すると共に、前記走行ルートが前記全体ルートに一致するかを判定する整合判定制御を実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項12】
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記制御装置は、前記案内部の案内に従って前記全体ルートを辿るよう走行しながら、前記位置検出部にて連続的に検出される前記現在位置の軌跡を走行ルートとして生成する走行ルート生成制御を実行すると共に、前記走行ルートと前記地中埋設物の前記構成点との距離が第3乖離判定閾値以下である適正走行判定条件を満たすか否かを判定すると共に、連続する2つの前記構成点の双方が前記適正走行判定条件を満たす場合に当該連続する2つの前記構成点の間の走行が適正走行であると判定する適正走行判定制御を実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項13】
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
前記制御装置は、前記地中埋設物から抽出した一の抽出地中埋設物の前記構成点の少なくとも一つと、前記地図上の道路に沿った道路ネットワークとの距離のうち最短距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える第1乖離判定条件を満たす場合で、且つ
前記道路ネットワーク上に設定される判定点のうち少なくとも2つの連続する前記判定点と、前記抽出地中埋設物との距離が、予め設定された第2乖離判定閾値を超える第2乖離判定条件を満たす場合、前記抽出地中埋設物を前記埋設物選択制御の対象から外す事前仕分制御を、前記埋設物選択制御の前に実行する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項14】
前記地図上の前記道路のT字路の交差点を通る直線道路が、前記交差点の一方側へ延びる一方側直線道路と前記交差点の他方側へ延びる他方側直線道路とを含み、前記一方側直線道路が前記交差点から前記一方側への一方通行であり、前記他方側直線道路が前記交差点から前記他方側への一方通行である場合で、且つ前記交差点を含む前記直線道路に沿って埋設される前記地中埋設物としてのT字路地中埋設物がある場合において、
前記事前仕分制御において前記T字路地中埋設物が前記埋設物選択制御の対象から外された場合、前記T字路地中埋設物に関する前記埋設物道路情報を、前記一方側直線道路に沿う部分を含む一方側T字路地中埋設物と、前記他方側直線道路に沿う部分を含む他方側T字路地中埋設物とから成るものへと更新する更新処理を受け付ける受付部を備え、
前記制御装置は、前記更新処理により更新された前記一方側T字路地中埋設物と前記他方側T字路地中埋設物とを、前記埋設物選択制御の対象へ加える請求項13に記載のナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上にルートを生成すると共に生成したルートを辿るよう案内するナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示の技術の如く、地図上にて目的地点を指定することで、現在地等の開始地点から目的地点までのルートを探索し、探索結果から所定のルートを選択すると、選択されたルートを辿るように案内を実行するナビゲーションシステムが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に示されるようなナビゲーションシステムでは、経由点を設定する機能があるが、設定可能な経由点の数に限りがあり、例えば、道路に埋設されている膨大な数の地中埋設物(例えば、ガス管、水道管等)に沿う形でルートを探索することはできなかった。このため、特許文献1に係るシステムでは、例えば、地中埋設物の巡回点検業務が必要な場合に対応できず、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査対象の地中埋設物が埋設された道路上を、地中埋設物に沿って網羅的に通過する全体ルートを、比較的高い処理速度で生成して提供可能なナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのナビゲーションシステムは、地図上にルートを生成すると共に生成したルートを辿るよう案内するナビゲーションシステムであって、その特徴構成は、
検査対象の長尺状の地中埋設物の複数が埋設された埋設位置情報を道路情報と共に含む埋設物道路情報に基づいて、複数の前記地中埋設物に沿って通過するルートを前記地図上に生成する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記地図上で設定された設定範囲内において、指定した開始地点の近傍に存在する前記地中埋設物を少なくとも1つ以上選択する埋設物選択制御と、
前記開始地点から、前記埋設物選択制御にて選択されたすべての前記地中埋設物の一端及び他端の少なくとも何れか一方までの道路に沿った最短候補ルートを導出し、当該最短候補ルートから最短ルートを探索決定する最短ルート探索制御と、
前記最短ルート探索制御にて探索決定された前記最短ルートと当該最短ルートの終点である一端又は他端を含む前記地中埋設物に沿うルートとを含む単位ルートを生成する単位ルート生成制御と、
先に実行された前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートに含まれる前記地中埋設物を除き、直前の前記単位ルート生成制御の終点を前記開始地点として、前記埋設物選択制御と、前記最短ルート探索制御と、前記単位ルート生成制御とを、前記埋設物選択制御にて前記地中埋設物が選択されなくなるまで順次実行すると共に、生成された前記単位ルートを生成された順に繋ぎ合わせて、全体ルートを生成する全体ルート生成制御とを実行する点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、まず最初に、制御装置は、前記地図上で設定された設定範囲内において、指定した開始地点の近傍に存在する地中埋設物を少なくとも1つ以上選択する埋設物選択制御と、開始地点から、埋設物選択制御にて選択されたすべての地中埋設物の一端及び他端の少なくとも何れか一方までの道路に沿った最短候補ルートを導出し、当該最短候補ルートから最短ルートを探索決定する最短ルート探索制御と、最短ルート探索制御にて探索決定された最短ルートと当該最短ルートの終点である一端又は他端を含む地中埋設物に沿うルートとを含む単位ルートを生成する単位ルート生成制御とを実行することで、最初に指定された開始地点を基点として、当該基点の近傍にある埋設対象物を選択できると共に、選択した埋設対象物のうち最近接の埋設対象物までの最短ルートを探索でき、当該最短ルートに加えて最近接の埋設対象物に沿うルートを含む単位ルートを生成することができる。
ここで、特に、埋設物選択制御にて指定された開始地点から所定範囲内に存在する地中埋設物を選択し、選択された地中埋設物のみに限定して最短ルート探索制御を実行することで、ルート探索に係る演算量を低減し、ルート探索に係る処理スピードを向上することができる。
次に、制御装置は、先に実行された単位ルート生成制御にて生成された単位ルートに含まれる地中埋設物を除く形で、埋設物選択制御、単位ルート探索制御、単位ルート生成制御とを順次実行して、生成された単位ルートを生成された順に繋ぎ合わせて全体ルートを生成することで、前記地図上で設定された設定範囲内において、埋設物道路情報として記憶されるすべての地中埋設物に沿うルートとして全体ルートを適切に生成することができる。
以上より、検査対象の地中埋設物が埋設された道路上を、地中埋設物に沿って網羅的に通過する全体ルートを、比較的高い処理速度で生成して提供可能なナビゲーションシステムを実現できる。
【0008】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記埋設物道路情報において、前記地中埋設物には、前記道路の幅方向において設けられる位置に基づいて、一端から他端への順方向又は他端から一端への逆方向の何れかの方向が紐付けられているものが含まれ、
前記制御装置は、前記最短ルート探索制御において、前記順方向が設定される前記地中埋設物については、前記開始地点から前記地中埋設物の一端までを前記最短ルートの候補として探索し、前記逆方向が設定される前記地中埋設物については、前記開始地点から前記地中埋設物の他端までを前記最短ルートの候補として探索すると共に、
前記単位ルート生成制御において、前記順方向又は前記逆方向に沿わせる形態で、前記単位ルートの方向を設定する点にある。
【0009】
例えば、道路に沿って埋設されるガス配管等の地中埋設物は、道路の幅方向のうち、一方側又は他方側に寄せて埋設される場合があり、このような地中埋設物に沿ったルートを生成するには、道路の幅方向のうち一方側に埋設される地中埋設物に関しては、道路の一方側を通過するルートを生成することが好ましく、道路の幅方向のうち他方側に埋設される地中埋設物に関しては、道路の他方側を通過するルートを生成することが好ましい。
【0010】
上記特徴構成によれば、埋設物道路情報において、地中埋設物には、道路の幅方向において設けられる位置に基づいて、一端から他端への順方向又は他端から一端への逆方向の方向が設定されているものが含まれている。例えば、日本の道路においては、進行方向に向かって道路の幅方向において左側に埋設される地中埋設物については、進行方向に沿うルートを紐付けて記憶し、進行方向に向かって道路の幅方向において右側に埋設される地中埋設物については、進行方向と逆方向に沿うルートを紐付けて記憶した情報を埋設物道路情報として保有される。
そして、制御装置が、最短ルート探索制御において、順方向が設定される地中埋設物については、開始地点から地中埋設物の一端までを最短ルートの候補として探索し、逆方向が設定される地中埋設物については、開始地点から地中埋設物の他端までを最短ルートの候補として探索するから、当該最短ルートを含む単位ルートとしては、道路の幅方向のうち地中埋設物が埋設されている側により近い、即ち、地中埋設物により近接したルートを選択することができる。
【0011】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
前記制御装置は、先の前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートに対応する前記地中埋設物の前記構成点の少なくとも一つと、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートとの距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の前記単位ルートを生成するべく前記単位ルート生成制御を再度実行する点にある。
【0012】
例えば、地中埋設物がガス配管であるときで、一端と他端との間が屈曲している配管が、一の地中埋設物として埋設物道路情報に登録されている場合、上述した単位ルート生成制御により、一端又は他端を含む地中埋設物に沿う形で単位ルートを生成すると、地中埋設物の一端と他端との間が、生成された単位ルートからズレる、換言すると、両端を結んだルート(=単位ルート)が、地中埋設物の一端と他端である両端以外の構成点を経由しない場合がある。
上記特徴構成によれば、制御装置は、先の単位ルート生成制御にて生成された当該単位ルートに対応する地中埋設物の構成点の少なくとも一つと、単位ルート生成制御にて生成された単位ルートとの距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の単位ルートを生成するべく単位ルート生成制御を再度実行するから、第1乖離判定閾値を適切に設定することで、対象の地中埋設物に対して適切に沿う形で、単位ルートを再生成することができる。
【0013】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記制御装置は、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルート上に設定される少なくとも2つの連続する判定点と、当該単位ルートに対応する前記地中埋設物との距離が、予め設定された第2乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の前記単位ルートを生成するべく前記単位ルート生成制御を再度実行する点にある。
【0014】
例えば、地中埋設物がガス配管であるときで、一端と他端との間が屈曲している配管が、一の地中埋設物として埋設物道路情報に登録されている場合、上述した単位ルート生成制御により、一端又は他端を含む地中埋設物に沿う形で単位ルートを生成すると、地中埋設物の一端と他端との間が、生成された単位ルートからズレる場合がある。
上記特徴構成によれば、制御装置は、単位ルート生成制御にて生成された単位ルート上に設定される少なくとも2つの連続する判定点と、当該単位ルートに対応する地中埋設物との距離が、予め設定された第2乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の単位ルートを生成するべく単位ルート生成制御を再度実行するから、第2乖離判定閾値を適切に設定することで、対象の地中埋設物に対して適切に沿う形で、単位ルートを再生成することができる。
特に、上述した第1乖離判定閾値を用いた判定と、当該第2乖離判定閾値を用いた判定との双方を実行することで、対象の地中埋設物に対して良好に沿わせる形態で、単位ルートを再生成することができる。
尚、上記特徴構成においては、単一の判定点と単位ルートに対応する地中埋設物との距離のみが、予め設定された第2乖離判定閾値を超える場合、単位ルートは破棄されることはないから、例えば、判定点Hが、図14に示すように、単位ルートRuが折れ曲がる角部Rux1(又はその近傍)に設けられる場合であって、当該判定点Hと地中埋設物P1との距離が大きくなり易い場合を、ルート破棄の例外とすることができる。
【0015】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
前記制御装置は、先に生成された前記単位ルートに対応する前記地中埋設物以外の一の前記地中埋設物に関し、当該一の前記地中埋設物の夫々の前記構成点と、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートとの距離のすべてが、予め設定された乖離判定閾値以下の場合、当該一の前記地中埋設物を以降の前記埋設物選択制御の対象から除外する対象除外制御を、前記単位ルート生成制御を実行する度に実行する点にある。
【0016】
例えば、地中埋設物がガス管であるときには、一の地中埋設物には、他の地中埋設物が近設して埋設されている場合があり、一の地中埋設物にて形成される単位ルートが、近設して埋設される他の地中埋設物にも沿う単位ルートとなっている場合がある。
【0017】
上記特徴構成の如く、制御装置が、先に生成された単位ルートに対応する地中埋設物以外の一の地中埋設物に関し、当該一の地中埋設物の夫々の構成点と、単位ルート生成制御にて生成された単位ルートとの距離のすべてが、予め設定された乖離判定閾値以下の場合、当該一の地中埋設物を以降の埋設物選択制御の対象から除外する対象除外制御を、単位ルート生成制御を実行する度に実行することで、生成される全体ルートとして、重複するルートを含むことを回避できながらも、設定範囲内の地中埋設物のすべてに沿うルートとすることができる。
【0018】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記単位ルート生成制御にて生成される前記単位ルートのうち始点を含み終点を含まないルートを始点側ルートとし、終点を含み始点を含まないルートを終点側ルートとし、前記始点側ルートを含む前記単位ルートが、前記終点側ルートを含む前記単位ルートとは異なる場合において、
前記制御装置は、前記単位ルート生成制御にて生成される前記始点側ルートが、直前の前記単位ルート生成制御にて生成される前記終点側ルートと重なる場合、前記単位ルート生成制御による前記単位ルートの生成を、前記始点側ルートを含む前記単位ルートとは異なる前記単位ルートを生成する形態で、再度実行する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、一の単位ルートと、一の単位ルートの直後に生成される単位ルートとの間で、折り返しルートが発生しないような全体ルートを生成でき、生成された全体ルートを走行のし易いものとできる。
【0020】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記制御装置は、前記設定範囲内に含まれる地中埋設物の長さの合計が、予め設定された全長上限閾値を超える場合、前記設定範囲の再設定を促す再設定制御を実行する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、設定範囲内に含まれる地中埋設物の長さの合計を、予め設定された全長上限閾値以下にできるから、全体ルートを生成するために制御装置にかかる演算負荷を一定以下に抑制することができる。
【0022】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記制御装置は、前記位置検出部にて検出される現在位置に基づいて、前記全体ルートのうち現時点以降に通過が予定される直近ルートを導出する直近ルート導出制御を実行可能に構成され、
前記案内部は、前記直近ルート導出制御にて導出される前記直近ルートを、前記全体ルートとは別の表示形態で逐次更新しながら前記地図上に表示する点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、案内部は、直近ルート導出制御にて導出される直近ルートを、全体ルートとは別の表示形態で逐次更新しながら地図上に表示するから、全体ルートが複数地点で交差するような複雑なルートであっても、直近ルートを辿る形で走行することで、容易に全体ルートに沿って走行することができる。
【0024】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記案内部は、前記全体ルートを辿るよう案内する際に、前記位置検出部にて検出される現在位置より進行方向で前方の道路情報を3次元表示すると共に、前記3次元表示上に表示される1つ以上の車線に対して前記全体ルートが存在する箇所を重畳表示する点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、3次元表示上に表示される1つ以上の車線に対して全体ルートが存在する箇所を重畳表示するから、例えば、比較的幅広の道路や、複数車線の道路において、生成された全体ルートの箇所、即ち、地中埋設物が埋設されている箇所を、道路の幅方向でのより正確な位置を表示できるから、当該全体ルートに沿う形で案内され走行することで、より地中埋設物の近くを走行することができる。
【0026】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記制御装置は、前記単位ルート生成制御にて生成された前記単位ルートの長さが予め設定された飛地判定閾値以上である場合に当該単位ルートを飛地ルートであると判定する飛地判定制御と、
前記飛地判定制御において前記単位ルートが前記飛地ルートであると判定された場合、当該判定の時点までに生成された前記単位ルートのうち、前記飛地判定制御の対象である前記単位ルートの終点を含む前記地中埋設物である飛地地中埋設物に最も近い前記単位ルートを修正候補である修正候補単位ルートとして抽出する修正候補単位ルート抽出制御と、
当該修正候補単位ルートを前記飛地地中埋設物を通るよう変更した変更後ルートの長さから、前記修正候補単位ルートの長さを減算した長さが、前記飛地判定制御の判定対象の前記単位ルートの長さよりも短い場合、前記修正候補単位ルートを前記変更後ルートへ差し替えるルート差替制御とを実行する点にある。
【0027】
これまで説明してきたナビゲーションシステムでは、全体ルートを生成する際に、埋設物選択制御にて選択されたすべての地中埋設物の一端及び他端の少なくとも何れか一方までの道路に沿った最短候補ルートを導出し当該最短候補ルートから単位ルートを探索決定する最短ルート探索制御を実行するから、場合によっては、非常に長い単位ルートが生成されて、全体ルートの総延長に対する配管総延長の比率(実ルート率)が小さく、非効率な全体ルートが生成される場合がある。
上記特徴構成によれば、単位ルートが例えば飛地判定閾値以上で比較的長くなるような場合、修正候補単位ルート抽出制御にて、その時点までに生成された単位ルートのうち、飛地判定制御の対象である単位ルートの終点を含む地中埋設物である飛地地中埋設物に最も近い単位ルートを修正候補である修正候補単位ルートとして抽出し、ルート差替制御にて、当該修正候補単位ルートを飛地地中埋設物を通るよう変更した変更後ルートの長さから、修正候補単位ルートの長さを減算した長さが、飛地判定制御の判定対象の単位ルートの長さよりも短い場合、修正候補単位ルートを変更後ルートへ差し替えるので、予め定められた飛地判定閾値以上の単位ルートが生成されることを極力抑制できる。結果、実ルート率を比較的高くして、効率の良い全体ルートを生成できる。
【0028】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記制御装置は、前記案内部の案内に従って前記全体ルートを辿るよう走行しながら、前記位置検出部にて連続的に検出される前記現在位置を走行ルートとして生成する走行ルート生成制御を実行すると共に、前記走行ルートが前記全体ルートに一致するかを判定する整合判定制御を実行する点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、整合判定制御により、位置検出部にて連続的に検出される現在位置を走行ルートとして生成する走行ルート生成制御を実行すると共に、走行ルートが全体ルートに一致するかを判定できるから、例えば、一致していない場合には、全体ルートのうち一部に沿った走行がなされていない等として、その部分を、再度走行させる等の案内をすることができる。結果、車両等を全体ルートのすべてに沿う形で走行させることができる。
【0030】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
衛星測位技術を用いて現在位置を検出する位置検出部を備えると共に、
前記全体ルート生成制御にて生成された前記全体ルートを辿るように案内する案内部を備え、
前記制御装置は、前記案内部の案内に従って前記全体ルートを辿るよう走行しながら、前記位置検出部にて連続的に検出される前記現在位置の軌跡を走行ルートとして生成する走行ルート生成制御を実行すると共に、前記走行ルートと前記地中埋設物の前記構成点との距離が第3乖離判定閾値以下である適正走行判定条件を満たすか否かを判定すると共に、連続する2つの前記構成点の双方が前記適正走行判定条件を満たす場合に当該連続する2つの前記構成点の間の走行が適正走行であると判定する適正走行判定制御を実行する点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、走行ルート生成制御により、位置検出部にて連続的に検出される現在位置の軌跡を走行ルートとして生成し、生成された走行ルートと地中埋設物の構成点との距離が第3乖離判定閾値以下である適正走行判定条件を満たすか否かを判定すると共に、連続する2つの構成点の双方が適正走行判定条件を満たす場合に当該連続する2つの構成点の間の走行が適正走行であると判定するから、構成点の間の走行ルート毎に走行が適正か否かを判定できる。これにより、例えば、走行が適正でないと判定された走行ルートがあった場合でも、比較的短い当該走行ルート毎に、再走すること等ができ、全体ルートのすべてを再走も含めて走行する際の効率化を図ることができる。
【0032】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記地中埋設物には、一端と、他端と、一端及び他端の間に設けられる少なくとも一点とを含む構成点が設定されており、
前記制御装置は、前記地中埋設物から抽出した一の抽出地中埋設物の前記構成点の少なくとも一つと、前記地図上の道路に沿った道路ネットワークとの距離のうち最短距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える第1乖離判定条件を満たす場合で、且つ
前記道路ネットワーク上に設定される判定点のうち少なくとも2つの連続する前記判定点と、前記抽出地中埋設物との距離が、予め設定された第2乖離判定閾値を超える第2乖離判定条件を満たす場合、前記抽出地中埋設物を前記埋設物選択制御の対象から外す事前仕分制御を実行する点にある。
【0033】
制御装置は、地図上の道路に沿って張り巡らされた道路ネットワークを記憶しており、当該道路ネットワークに沿う形で上述の単位ルート及び全体ルートを生成する。そして、地中埋設物が、道路ネットワークから外れて埋設されている場合がある。
上記特徴構成によれば、第1乖離判定条件及び第2乖離判定条件を満たし、道路ネットワークから外れて埋設されている可能性が高い抽出地中埋設物を、埋設物選択制御の対象から外す事前仕分制御を実行するから、ルート生成ができない抽出地中埋設物をルート生成の対象から外した状態で、全体ルートの生成を実行でき、ルート生成の効率化を図ることができる。
【0034】
ナビゲーションシステムの更なる特徴構成は、
前記地図上の前記道路のT字路の交差点を通る直線道路が、前記交差点の一方側へ延びる一方側直線道路と前記交差点の他方側へ延びる他方側直線道路とを含み、前記一方側直線道路が前記交差点から前記一方側への一方通行であり、前記他方側直線道路が前記交差点から前記他方側への一方通行である場合で、且つ前記交差点を含む前記直線道路に沿って埋設される前記地中埋設物としてのT字路地中埋設物がある場合において、
前記制御装置は、前記事前仕分制御において前記T字路地中埋設物が前記埋設物選択制御の対象から外された場合、前記T字路地中埋設物に関する前記埋設物道路情報を、前記一方側直線道路に沿う部分を含む一方側T字路地中埋設物と、前記他方側直線道路に沿う部分を含む他方側T字路地中埋設物とから成るものへと更新する更新処理を受け付ける受付部を備え、
前記制御装置は、前記更新処理により更新された前記一方側T字路地中埋設物と前記他方側T字路地中埋設物とを、前記埋設物選択制御の対象へ加える点にある。
【0035】
地中埋設物としては、T字路の下に埋設されたものが存在する。このような地中埋設物として、特に、地図上の道路のT字路の交差点を通る直線道路が、交差点の一方側へ延びる一方側直線道路と交差点の他方側へ延びる他方側直線道路とを含み、一方側直線道路が交差点から一方側への一方通行であり、他方側直線道路が交差点から他方側への一方通行である場合で、且つ交差点を含む直線道路に沿って埋設される地中埋設物としてのT字路地中埋設物がある。
これまで、説明してきた全体ルートを生成するロジックでは、地中埋設物は、一の単位ルートに沿う必要があるため、T字路地中埋設物に対応した単位ルートを生成することができない。
上記特徴構成によれば、事前仕分制御においてT字路地中埋設物が埋設物選択制御の対象から外された場合で、システム利用者等による更新処理により、T字路地中埋設物に関する埋設物道路情報が、一方側直線道路に沿う部分を含む一方側T字路地中埋設物と、他方側直線道路に沿う部分を含む他方側T字路地中埋設物とから成るものへと更新されたときには、制御装置が、一方側T字路地中埋設物と他方側T字路地中埋設物とを、埋設物選択制御の対象へ加えるから、上述したようなT字路地中埋設物を埋設物選択制御の対象に加えた全体ルートを適切に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムにて全体ルートを辿る案内を実行中のモニタ画面を示す図である。
図3】全体ルートを生成する制御を説明するための説明図である。
図4】地中埋設物に方向付けがされている場合の説明図である。
図5】地中埋設物に方向付けがされている場合の単位ルート生成についての説明図である。
図6】地中埋設物と単位ルートとがズレている虞がある場合の制御についての説明図である。
図7】次回の埋設物選択制御の対象から地中埋設物を除外する対象除外制御についての説明図である。
図8】単位ルートから枝ルートを削除することを説明するための図である。
図9】単位ルートから周回ルートを削除することを説明するための図である。
図10】全体ルートにおいて折り返しの発生を防止することを説明するための図である。
図11】3次元表示された道路上に全体ルートを重畳表示した図である。
図12】全体ルートの生成に係る制御フロー図である。
図13】案内及び異常判定に係る制御フロー図である。
図14】単位ルート生成制御を再度実行するための判定を説明するための図である。
図15】事前仕分制御の例外となる場合を説明するための図である。
図16】ルート差替制御を説明するための図である。
図17】適正走行判定制御を説明するための図である。
図18】適正走行判定制御に係る制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態に係るナビゲーションシステム100は、検査対象の地中埋設物が埋設された道路上を、地中埋設物に沿って網羅的に通過するルート情報を生成して提供可能なものに関する。以下、図1~12に基づいて、当該ナビゲーションシステム100について説明する。
尚、当該明細書では、特に言及がない限り、地図上の平面視を前提として説明する。
【0038】
当該実施形態に係るナビゲーションシステム100は、図1に示すように、地図上にルートを生成すると共に生成した全体ルートを辿るよう案内するものであって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されるタブレット及びパーソナルコンピュータから成る通信制御端末Tから構成されている。尚、通信制御端末Tとしてのタブレットは、後述する走行ルート生成部S7、整合判定部S8、及びルートの案内に係る制御部としての機能を発揮し、パーソナルコンピュータは、全体ルート生成部S6等によるルートの生成に係る制御部としての機能を発揮する。
【0039】
当該通信制御端末Tは、道路上を走行可能な車両Cに搭載されており、当該車両Cは、検査対象の長尺状の地中埋設物Pの一例としてのガス配管から漏洩したガス(例えば、都市ガス13A)を検知するガス検知部Kを備えて構成されている。
更に、通信制御端末Tは、地中埋設物Pの複数が埋設された埋設位置情報を道路情報と共に含む埋設物道路情報を記憶する記憶部S10を含み、複数の地中埋設物Pに沿うルートを地図上に生成する制御装置SSと、地図上に生成した全体ルートを表示する表示部M(案内部の一例)としての表示パネルとを備えて構成されている。
尚、通信制御端末Tは、センチメートル級精度を実現するRTK-GNSS衛星測位方式を用いた衛星測位受信機GS(位置検出部の一例)にて受信される位置情報を、取得可能に構成されている。
【0040】
記憶部S10に記憶される埋設物道路情報としての埋設位置情報としては、すべての地中埋設物Pの夫々の一端、他端、及び一端と他端との間の少なくとも1つ以上の中間点を、地中埋設物Pの構成点、及びそれらの位置情報が含まれる。
【0041】
制御装置SSは、図示しないタッチパネル等にて入力された開始時点を含む設定範囲を設定する範囲設定部S1と、指定した開始地点の近傍に存在する地中埋設物Pを開始地点に近い側から少なくとも1つ以上(当該実施形態では3つ)選択する埋設物選択制御を実行する埋設物選択部S2と、開始地点から、埋設物選択制御にて選択されたすべての地中埋設物Pの一端及び他端の少なくとも何れか一方までの道路に沿った最短候補ルートを導出し、当該最短候補ルートから最短ルートを探索決定する最短ルート探索制御を実行する最短ルート探索部S3と、最短ルート探索制御にて探索決定された最短ルートと当該最短ルートの終点である一端又は他端を含む地中埋設物Pに沿うルートとを含む単位ルートを生成する単位ルート生成制御を実行する単位ルート生成部S4と、先に実行された単位ルート生成制御にて生成された単位ルートに含まれる地中埋設物Pを除き、直近の単位ルート生成制御の終点を開始地点として、埋設物選択制御と、最短ルート探索制御と、単位ルート生成制御とを、埋設物選択制御にて地中埋設物Pが選択されなくなるまで(換言すると、設定範囲のすべての地中埋設物Pに沿う単位ルートが生成されるまで)順次実行すると共に、生成された単位ルートを生成された順に繋ぎ合わせて、全体ルートを生成する全体ルート生成制御とを実行する全体ルート生成部S6とを備えている。
尚、埋設物選択制御では、選択可能な地中埋設物Pが3つ未満(2つ、又は1)の場合は、3つ未満で選択可能な最大数の地中埋設物Pを選択する。
【0042】
ここで、制御装置SSとしての埋設物選択部S2にて実行する埋設物選択制御、最短ルート探索部S3にて実行する最短ルート探索制御、単位ルート生成部S4にて実行する単位ルート生成制御、及び全体ルート生成部S6にて実行する全体ルート生成制御について、図3に基づいて説明する。ちなみに、以下の説明では、範囲設定部S1にて設定範囲が設定された後で、所定範囲内の第1地中埋設物P1~第5地中埋設物P5の5つに関し、実行される各種制御について説明する。
【0043】
制御装置SSとしての埋設物選択部S2は、まず、図3(a)に示すように、指定された開始地点Sから所定範囲内に存在する地中埋設物Pとして、例えば、第1地中埋設物P1と第2地中埋設物P2と第3地中埋設物P3とを選択する。
次に、最短ルート探索部S3は、図3(b)に示すように、開始地点Sから第1地中埋設物P1の一端P1aまでの道路に沿った最短候補ルートRsaと、開始地点Sから第1地中埋設物P1の他端P1bまでの道路に沿った最短候補ルートRsbと、開始地点Sから第2地中埋設物P2の一端P2aまでの道路に沿った最短候補ルートRscと、開始地点Sから第2地中埋設物P2の他端P2bまでの道路に沿った最短候補ルートRsdと、開始地点Sから第3地中埋設物P3の一端P3aまでの道路に沿った最短候補ルートRseと、開始地点Sから第3地中埋設物P3の他端P3bまでの道路に沿った最短候補ルートRsfとを生成する。
最短ルート探索部S3は、図3(c)に示すように、生成された最短候補ルートRsa、Rsb、Rsc、Rsd、Rse、Rsfから、最も短いルートを最短ルートRs1として探索決定する。
【0044】
単位ルート生成部S4は、図3(d)に示すように、探索決定された最短ルートRs1と当該最短ルートRs1の終点である一端P1aを含む地中埋設物P1に沿うルートとを含む単位ルートRuを生成する。即ち、最短ルートRs1と地中埋設物P1に沿うルートとを繋ぎ合わせたものとして、単位ルートRuが生成される。
【0045】
次に、全体ルート生成部S6は、図3(e)に示すように、直前の単位ルートRuの終点を、新たな開始地点Saとして設定する。
更に、全体ルート生成部S6は、埋設物選択部S2による制御と、最短ルート探索部S3による制御と、単位ルート生成部S4による制御とを、先に実行された単位ルートRuに含まれる地中埋設物Pを除き、埋設物選択部S2にて地中埋設物Pが選択されなくなるまで順次実行すると共に、生成された単位ルートRuを生成された順に繋ぎ合わせて、全体ルートを生成する。
【0046】
図3(f)に基づいて、説明を追加すると、埋設物選択部S2が、先に実行された単位ルートRuに含まれる地中埋設物(図3(f)でP1)を除き、新たな開始地点Saから所定範囲内に存在する地中埋設物(図3(f)でP2及びP5)を選択し、最短ルート探索部S3が、開始地点Saから第2地中埋設物P2の一端P2aまでの道路に沿った最短候補ルートRsaと、開始地点Saから第2地中埋設物P2の他端P2bまでの道路に沿った最短候補ルートRsbと、開始地点Saから第5地中埋設物P5の一端P5aまでの道路に沿った最短候補ルートRscと、開始地点Saから第5地中埋設物P5の他端P5bまでの道路に沿った最短候補ルートRsdとを生成すると共に、生成された最短候補ルートRsa、Rsb、Rsc、Rsdの中から最短ルートを探索決定し、単位ルート生成部S4が、決定された最短ルートを含む単位ルートを生成する。以降、当該一連の制御を、埋設物選択部S2にて地中埋設物Pが選択されなくなるまで、順次実行し、生成された単位ルートRuを生成された順に繋ぎ合わせて、全体ルートを生成する。
【0047】
さて、図4に示すように、道路R0に沿って埋設されるガス配管等の地中埋設物Pは、道路R0の幅方向(図4では矢印Xに沿う方向)のうち、一方側又は他方側(図4では矢印Xの先端側)に寄せて埋設される場合があり、このような地中埋設物Pに沿ったルートを生成するには、道路R0の幅方向のうち一方側に埋設される地中埋設物Pに関しては、道路R0の一方側を通過するルートを生成することが好ましく、道路R0の幅方向のうち他方側に埋設される地中埋設物Pに関しては、道路R0の他方側を通過するルートを生成することが好ましい。
そこで、記憶部S10に記憶される埋設物道路情報において、地中埋設物Pには、道路R0の幅方向において設けられる位置に基づいて、一端から他端への順方向又は他端から一端への逆方向の何れかの方向が紐付けられているものが含まれる。
例えば、図5に示す例では、第1地中埋設物P1は一端P1aから他端P1bへの順方向が紐付けられ、第2地中埋設物P2は他端P2bから一端P2aへの逆方向が紐付けられる。
更に、埋設物選択部S2にて方向が紐付けられた第1地中埋設物P1及び第2地中埋設物P2が選択された場合、最短ルート探索部S3は、順方向が設定される第1地中埋設物P1については、開始地点Sから第1地中埋設物P1の一端P1aまでを最短ルートの候補として探索決定し、逆方向が設定される第2地中埋設物P2については、開始地点Sから第2地中埋設物P2の他端P2bまでを最短ルートの候補として探索する。即ち、最短ルート探索部S3は、順方向が設定される第1地中埋設物P1については、開始地点Sから第1地中埋設物P1の他端P1bまでは最短ルートの候補とせず、且つ逆方向が設定される第2地中埋設物P2については、開始地点Sから第2地中埋設物P2の一端P2aまでは最短ルートの候補として探索しない。
更に、単位ルート生成部S4は、順方向又は逆方向に沿わせる形態で、単位ルートの方向を設定する。
【0048】
さて、制御装置SSは、全体ルートを生成する際に、より適切な全体ルートを生成するべく、ルートの生成過程において、適切でない単位ルートの一部又は全部を、全体ルートの対象から除いたり、地中埋設物Pのうち一部を埋設物選択部S2による選択の対象から除いたりする例外制御を実行する。以下、これらの制御に関し、図面に基づいて説明する。
【0049】
例えば、地中埋設物Pがガス配管であるときで、一端と他端との間が屈曲している配管が、一の地中埋設物Pとして埋設物道路情報に登録されている場合、上述した単位ルート生成部S4により、一端又は他端を含む地中埋設物Pに沿う形で単位ルートを生成すると、地中埋設物Pの一端と他端との間が、生成された単位ルートからズレる場合がある。
そこで、当該実施形態に係るナビゲーションシステム100では、まずもって、図6に示されるように、第1地中埋設物P1には、一端P1aと、他端P1bと、一端P1a及び他端P1bの間に設けられる少なくとも一点P1cとを含む構成点が設定され、埋設物道路情報として記憶部S10に記憶される。
更に、制御装置SSは、先の単位ルート生成部S4による制御にて生成された単位ルートRuに対応する第1地中埋設物P1の構成点P1a、P1b、P1cの少なくとも一つと、単位ルート生成部S4による制御にて生成された単位ルートRuの線分との距離(図6でL1a、L1b、L1cの少なくとも1つの距離)が、予め設定された第1乖離判定閾値(例えば、5m以下の値)を超える場合(乖離判定制御)、当該単位ルートRuを破棄し、当該単位ルートRu以外の単位ルートを生成する単位ルート生成部S4による制御を再度実行する。
これにより、対象の第1地中埋設物P1に対して適切に沿う形で、単位ルートRuを再生成することができる。
ここで、第1地中埋設物P1の構成点P1a、P1b、P1cの少なくとも一つと、単位ルート生成部S4による制御にて生成された単位ルートRuの線分との距離は、構成点P1a、P1b、P1cから単位ルートRuの線分に下ろされた垂線の長さを意味するものとする。
【0050】
他の例として、単位ルートRuは、図8に示すように、一本の本ルートRu0から分岐した枝ルートRu1が含まれる場合がある。このような場合、制御装置SSは、上述の乖離判定制御を実行し、枝ルートRu1を除去した単位ルートRuにおいて、第1乖離判定条件を満たさない場合、枝ルートRu1を除去したルートを新たな単位ルートRuとし、第1乖離判定条件を満たす場合、枝ルートRu1を含むルートを単位ルートRuとして残す枝ルート除去制御を実行する。
【0051】
更に、単位ルートRu(又は全体ルート)に関し、図9に示すように、道路R0に沿って周回して一端と他端とが接続される周回ルートRu1が含まれる場合がある。この場合、制御装置SSは、当該周回ルートRu1を単位ルートRu(又は全体ルート)から取り除いたものを、新たな周回ルートRu1(又は新たな全体ルート)とする。
【0052】
さて、第1地中埋設物P1がガス管であるときには、図7に示すように、一の第1地中埋設物P1には、他の第2地中埋設物P2が近設して埋設されている場合がある。この場合、一の第1地中埋設物P1にて形成される単位ルートRuが、近設して埋設される他の第2地中埋設物P2にも沿う単位ルートとなっている場合がある。
そこで、制御装置SSとしての対象除外処理部S5は、第1地中埋設物P1に対応して単位ルート生成部S4にて生成された単位ルートRuの線分と、任意の地中埋設物(図7でP2)の夫々の構成点(図7でP2a、P2b、P2c)との距離(図7でL2a、L2b、L2c)のすべてが、予め設定された第1乖離判定閾値(例えば、5m以下の値)以下の場合、地中埋設物(図7でP2)を以降の埋設物選択部S2に係る制御の対象から除外する制御を、単位ルート生成部S4による制御を実行する度に実行する。
ここで、任意の地中埋設物としては、既に生成された単位ルートRuに対応する地中埋設物P、及び既に先に対象除外処理部S5にて埋設物選択部S2に係る制御の対象から除外された地中埋設物Pを除くものとする。
尚、図7において、第3地中埋設物P3の如く、第1地中埋設物P1から所定の距離以内に存在するものの、第1地中埋設物P1に対して一定以上の角度を成す状態で設置された地中埋設物(例えば、図7でP3)については、地中埋設物(図7でP3)の夫々の構成点(図7でP3a、P3b、P3c)と、第1地中埋設物P1に対応して単位ルート生成部S4にて生成された単位ルートRuの線分との距離(図7でL3a、L3b、L3c)の少なくとも一部が、予め設定された第1乖離判定閾値を超えるため、対象除外処理部S5は、以降の埋設物選択部S2に係る制御の対象から除外しない。
【0053】
更に、制御装置SSは、生成されたルートに折り返しが発生することを防止するべく、以下の制御を実行する。
図10に示すように、まずもって、単位ルート生成制御にて生成される単位ルートRu3のうち始点Ru3xを含み終点Ru3yを含まないルートを始点側ルートRu3aとし、終点Ru4yを含み始点Ru4xを含まないルートを終点側ルートRu4aとし、始点側ルートRu3aを含む単位ルートRu3が、終点側ルートRu4aを含む単位ルートRu4とは異なる場合を考える。
制御装置SSは、所定の道路R0に関し、単位ルート生成制御にて生成される始点側ルートRu3aが、直前の単位ルート生成制御にて生成される終点側ルートRu4aと重なる場合、単位ルート生成制御による単位ルートの生成を、始点側ルートRu3aを含む単位ルートRu3とは異なる単位ルートを生成する形態で、再度実行する。
換言すると、制御装置SSは、始点側ルートRu3aと同一方向の始点側ルートベクトルRu3bと、終点側ルートRu4aと同一方向の終点側ルートベクトルRu4bとの成す角度が170°以上190°以下 である場合、単位ルート生成部S4に係る制御による単位ルートの生成を、始点側ルートRu3aを含む単位ルートRu3には含まれない一の経由地を通過する形態で、再度実行する。
当該経由地としては、終点側ルートRu4を含む単位ルートの終点に近い領域において、地図上の道路に沿う位置が適宜指定される。制御装置SSは、単位ルート生成部S4に係る制御により再度生成される単位ルートの終点側ルートRu4が、直前の単位ルート生成部S4に係る制御にて生成される単位ルートの終点を含む終点側ルートRu4と重なる場合、経由地を、異なる位置に変更する。より詳細には、制御装置SSは、終点側ルートRu4を含む単位ルートの終点に近い領域から遠い領域へ徐々に領域を広げる形で、経由地の位置を順次指定し、終点側ルートRu4を含む単位ルートの終点から所定上限距離(例えば、300m)までの領域でも、適切な経由地が見つからない場合、全体ルートとして、折り返しルートを残す。
【0054】
更に、制御装置SSは、範囲設定部S1にて設定された設定範囲に含まれる地中埋設物Pの長さの合計が、予め設定された全長上限閾値(例えば、1000m以上50000m以下の値)を超える場合、設定範囲の再設定を促す再設定制御を実行する。
尚、全長上限閾値の上限値は、通信制御端末Tがフリーズすることを防ぐための計算量負荷の上限値して定めた値であり、日々のガス管検査業務の長さ(地中埋設物Pの長さで30km/日程度)を下回らない範囲で決めている。下限値は、作業ミス等でルート生成が始まってしまうことを防ぐために設定した値である。
【0055】
〔案内部による案内に係る構成〕
当該実施形態に係るナビゲーションシステム100では、図2に示すように、全体ルート生成部S6にて生成された全体ルートRaが、表示部M(案内部の一例)としての表示パネルに表示される。
ここで、全体ルートRaは、その性質上、一般のカーナビゲーションシステムにて表示されるルートと異なり、ルート自体が多数のポイントで交差する等して複雑になり易い。
そこで、当該実施形態に係るナビゲーションシステム100では、制御装置SSは、衛星測位受信機GSにて検出される現在位置に基づいて、全体ルートRaのうち現時点以降に通過が予定される直近ルートRa1(例えば、全体ルートRaに含まれる地中埋設物Pの構成点10点分のルート)を導出する直近ルート導出制御を実行可能に構成され、表示部Mとしての表示パネルは、直近ルート導出制御にて導出される直近ルートRa1を、全体ルートRaとは別の表示形態で逐次更新しながら地図上に表示する。図2に示す例では、全体ルートRaは実線で示し、直近ルートRa1を点線で示している。
更に、図2に示す例では、全体ルートRaのうち、一般道は太線で、細街路は細線で示している。尚、図2に示すように、全体ルートRaは、予め設定される設定範囲(図示せず)の範囲内に生成される。
【0056】
更に、表示部Mとしての表示パネルは、図11に示すように、全体ルートRaを辿るよう案内する際に、衛星測位受信機GSにて検出される現在位置より進行方向で前方の道路情報を3次元表示すると共に、3次元表示上に表示される1つ以上の車線に対して全体ルートが存在する箇所を重畳表示する表示形態に切り替え可能に構成されている。
図11に示す例では、片側4車線(図11でR01、R02、R03、R04)の道路において、全体ルートRaが、第2車線R02に重畳する表示状態から第1車線R01に重畳する表示状態へ切り替わる道路情報を表示している。
【0057】
さて、当該実施形態に係るナビゲーションシステム100は、全体ルート生成部S6にて生成された全体ルートに沿って案内される形態で車両Cが走行するときに、衛星測位受信機GSにて逐次検出される現在位置を走行ルートとして生成する走行ルート生成部S7を備えると共に、走行ルート生成部S7にて生成された走行ルートが全体ルートに一致するかを判定する整合判定部S8を備える。
尚、整合判定部S8にて、走行ルートが全体ルートに一致していないと判定された場合、表示部Mとの表示パネルにて、一致してない全体ルートに関し、再度、案内を実行する。
【0058】
尚、当該実施形態に係るナビゲーションシステム100に含まれるものではないが、車両Cが全体ルートを辿る形で走行しているときに、ガス検知部Kにてガス漏洩を検知した走行ルート上の箇所を異常箇所と判定するシステムを別途備えている。
【0059】
〔全体ルートの生成に係る制御フロー〕
次に、全体ルートの生成に係る制御の一例を、図12に示す制御フローに従って説明する。尚、以下の制御フローでは、上述した各種制御の詳細については、説明を割愛している場合がある。
【0060】
制御装置SSは、図示しない外部記憶装置を介して、埋設物道路情報を取得し(#01)、取得した埋設物道路情報を記憶部S10に記憶する。
次に、範囲設定部S1は、図示しない入力部を介して入力された設定範囲に基づいて、開始地点を含む全体ルートの生成範囲を指定する(#02)。
ここで、範囲設定部S1は、入力された設定範囲に含まれる地中埋設物Pの長さの合計が、予め設定された全長上限閾値(例えば、1000m以上50000m以下の値)を超える場合、設定範囲の再設定を促す再設定制御を実行する。
【0061】
次に、埋設物選択部S2が、図示しない入力部にて指定された開始始点から所定範囲内に存在する地中埋設物Pを少なくとも1つ以上選択する埋設物選択制御を実行し(#03)、最短ルート探索部S3が、開始地点から、埋設物選択制御にて選択された地中埋設物Pの一端又は他端までの道路に沿った最短ルートを探索決定する最短ルート探索制御を実行し(#04)、単位ルート生成部S4が、最短ルート探索制御にて探索決定された最短ルートと当該最短ルートの終点である一端又は他端を含む地中埋設物Pに沿うルートとを含む単位ルートを生成する単位ルート生成制御を実行する(#05)。
【0062】
次に、制御装置SSは、先の単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRuに対応する第1地中埋設物P1の構成点の少なくとも一つと、単位ルート生成部S4による制御にて生成された単位ルートRuの線分との距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える場合(#06でYES)、当該単位ルートRuを破棄し(#10)、当該単位ルートRu以外の単位ルートを生成するべく、単位ルート生成部S4による単位ルート生成制御を再度実行する(#05)。
一方、制御装置SSは、先の単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRuに対応する第1地中埋設物P1の構成点の少なくとも一つと、単位ルート生成部S4による制御にて生成された単位ルートRuの線分との距離が、予め設定された第1乖離判定閾値以下の場合(#06でNO)、先の単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRuを、そのまま採用する。
【0063】
更に、対象除外処理部S5は、先に生成された単位ルートRuに対応する第1地中埋設物P1(図7に図示)以外の一の地中埋設物であって、第1地中埋設物P1から所定の距離以内に存在する一の地中埋設物(例えば、図7でP2)を選択し、当該一の地中埋設物の夫々の構成点(図7でP2a、P2b、P2c)と、第1地中埋設物P1に対応して生成された単位ルートRuの線分との距離(図7でL2a、L2b、L2c)のすべてが、予め設定された第1乖離判定閾値以下の場合(#07でYES)、当該一の地中埋設物(図7でP2)を以降の埋設物選択部S2に係る制御の対象から除外する制御を、単位ルート生成部S4による制御を実行する度に実行し(#08)、単位ルートRuの線分との距離(図7でL2a、L2b、L2c)のすべてが、予め設定された第1乖離判定閾値以下の場合(#07でNO)、除外しない。
【0064】
次に、制御装置SSは、単位ルート生成部S4に係る制御にて生成される単位ルートの始点を含む始点側ルートが、直前の単位ルート生成部S4に係る制御にて生成される単位ルートの終点を含む終点側ルートと重なる場合(#09でYES)、当該単位ルートRuを破棄し(#10)、当該単位ルートRu以外の単位ルートを生成するべく、単位ルート生成部S4による単位ルート生成制御を再度実行する(#05)。
【0065】
ここで、制御装置SSは、次に選択可能な地中埋設物がある場合(#11でYES)、ステップ#03~#10を繰り返し実行する。
一方、次に選択可能な地中埋設物がない場合(#11でNO)、上述した枝ルート除去制御や周回ルート除去制御等のルート調整制御を実行した後(#12)、これまで生成した単位ルートを順次繋ぎ合わせて全体ルートを生成する全体ルート生成制御を実行する(#13)。
【0066】
〔案内・判定制御に係る制御フロー〕
次に、図13に示す制御フローに基づいて、全体ルートを辿る案内制御について説明する。
生成された全体ルートを辿る案内指示を受けた場合、表示部Mとしての表示パネルは、地図上に車両Cの現在位置と全体ルートを表示する形態で、全体ルートを辿るよう案内を実行する(#01)。
走行ルート生成部S7は、車両Cが全体ルートを辿る案内に従って走行しているときに、衛星測位受信機GSにて逐次検出される現在位置を走行ルートとして生成する(#02)。
整合判定部S8は、全体ルートのすべての案内が完了した時点等の所定の時点において、走行ルートが全体ルートに一致しているかの整合判定にて両者が一致していない場合(♯03でNO)、表示部Mとしての表示パネルは、全体ルートのうち走行されてないルートを走行するよう再度案内を実行する(♯04)。整合判定部S8は、全体ルートのすべてを走行するまで(♯05でNO)、ステップ♯04の判定を実行する(♯04)。
整合判定部S8が、上述のステップ♯03にて、走行ルートが全体ルートに一致していると判定した場合(♯03でYES)、又は上述のステップ♯05にて、全体ルートのすべてを走行したと判定した場合(♯05でYES)、案内を終了する。
【0067】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、表示部Mとしてのモニタは、現在位置より進行方向で前方の道路情報を3次元表示すると共に、当該3次元表示上に表示される1つ以上の車線に対して全体ルートが存在する箇所を重畳表示する例を示した。
ここで、表示される3次元情報として、車両Cに載置されるタブレット(図示せず)のカメラにて逐次撮影される現在位置よりも進行方向で前方の動画情報を表示しても構わない。
【0068】
(2)上記実施形態では、タブレット及びパーソナルコンピュータから成る通信制御端末Tが、表示部Mとしての表示画面、制御装置SSを備える構成を示した。
しかしながら、これらの構成は、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現される複数の端末から構成することもでき、スマートフォン、ノートパソコン、及びRaspberryPi等の小型化且つ省電力のシングルボードコンピュータのうちの一つ、又はその組み合わせから構成しても構わない。
【0069】
(3)上記実施形態に係るナビゲーションシステム100では、各種の例外制御を実行する例を示したが、これらの例外制御は、必ずしも実行しなくても構わない。
【0070】
(4)上記実施形態では、案内部の一例として、表示部Mとしての表示パネルを示したが、音声案内を含む構成であっても構わない。
【0071】
(5)上記実施形態において、地中埋設物は、ガス配管を例として説明したが、水道管や通信線や送電線等であっても構わない。
【0072】
(6)上記実施形態において、制御装置SSは、一の地中埋設物Pに関し、複数の構成点が近設して設定されている場合、それらを一の構成点として再度設定し直す制御を実行しても構わない。
【0073】
(7)上記実施形態における乖離判定制御は、以下の制御に置き換えることができる。
図14(a)に示すように、制御装置SSは、先の単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRu上に設定される少なくとも2つの連続する判定点(図14(a)では、H1、H2、H3のうちH1、H2)と、当該単位ルートRuに対応する第1地中埋設物P1との距離LHが、予め設定された第2乖離判定閾値(例えば、5m以下の値:図示せず)を超える場合、当該単位ルートRuを破棄し、当該単位ルートRu以外の単位ルートRuを生成するべく単位ルート生成制御を再度実行する。図14(a)に示すような例では、単位ルートRuのうち屈曲する角部Rux1及び端部Rux2において距離LHが第2乖離判定閾値(図示せず)を超えて大きくなり、単位ルートRuの再生成が行われる。
一方、図14(b)に示すような例では、単位ルートRuのうち屈曲する一の角部Rux1においてのみ距離LHが第2乖離判定閾値を超えるため、単位ルートRuの再生成は行われない。
ちなみに、当該別実施形態(7)に係る制御においては、図14に示すように、第1地中埋設物P1の構成点P1a、P1b、P1cの少なくとも一つと、当該第1地中埋設物P1に対応する単位ルートRuの線分との距離(図14でLP)は、乖離判定の判断に用いない。
尚、上記実施形態に記載の乖離判定制御に加え、当該別実施形態(7)に記載の乖離判定制御を実行することで、乖離判定の精度をより一層高くすることができる。
即ち、図示は省略するが、制御装置SSは、先の単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRuに対応する地中埋設物Pの構成点の少なくとも一つと、単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRuとの距離が、予め設定された第1乖離判定閾値を超える場合で、且つ単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRu上に設定される少なくとも2つの連続する判定点と、当該単位ルートRuに対応する地中埋設物Pとの距離が、予め設定された第2乖離判定閾値を超える場合、当該単位ルートを破棄し、当該単位ルート以外の単位ルートを生成するべく単位ルート生成制御を再度実行しても良い。
因みに、第1乖離判定閾値と第2乖離判定閾値との両者は、同一の値としている。しかしながら、両者は別の値であっても構わない。
【0074】
(8)記憶部S10は、地図上の道路に沿った道路ネットワークを記憶しているが、上記実施形態の乖離判定制御と、上記別実施形態(7)に示す乖離判定制御において、単位ルートRuを道路ネットワークに置き換えて、全体ルート生成制御の対象となる地中埋設物Pの事前仕分けを実行しても構わない。
以下では、図14(a)のうち、単位ルートRuが道路ネットワークであるとして、説明を加える。制御装置SSは、地中埋設物Pから抽出した一の抽出地中埋設物P1の構成点の少なくとも一つ(P1a、P1b、P1cのうち少なくとも一つ)と、地図上の道路に沿った道路ネットワークRuとの距離LPのうち最短距離が、予め設定された第1乖離判定閾値(例えば、5m以下の値:図示せず)を超える第1乖離判定条件を満たす場合で、且つ道路ネットワークRu上に設定される判定点のうち少なくとも2つの連続する判定点(H1、H2、H3のうちすくなくとも連続する2つ)と、抽出地中埋設物P1との距離LHが、予め設定された第2乖離判定閾値(例えば、5m以下の値:図示せず)を超える第2乖離判定条件を満たす場合、抽出地中埋設物P1を埋設物選択制御の対象から外す事前仕分制御を、埋設物選択制御の前に実行する。
【0075】
(9)地中埋設物Pには、図15(a)に示すような埋設状態のものがある。
即ち、図15(a)に示すように、地図上の道路のT字路RTの交差点Kを通る直線道路RT0が、交差点Kの一方側へ延びる一方側直線道路RT1と交差点Kの他方側へ延びる他方側直線道路RT2とを含み、一方側直線道路RT1が交差点Kから一方側への一方通行(矢印Y方向への一方通行)であり、他方側直線道路RT2が交差点Kから他方側への一方通行(矢印Z方向への一方通行)である場合で、且つ交差点Kを含む直線道路RT0に沿って埋設される地中埋設物PとしてのT字路地中埋設物PTが存在する場合がある。
このようなT字路地中埋設物PTについては、上記別実施形態(8)で示した事前仕分制御にて、埋設物選択制御の対象から外れることになる。ただし、ナビゲーションシステム100としては、効率性の観点から、なるべく多くの地中埋設物Pを、埋設物選択制御の対象に含めることが好ましい。
そこで、ナビゲーションシステム100を以下の如く構成すると共に、制御装置SSが、以下に示す例外処理を実行する。
ナビゲーションシステム100は、図15(b)に示すように、タッチパネル等からなる表示部M(受付部の一例:図1に図示)により、T字路地中埋設物PTに関する埋設物道路情報を、一方側直線道路RT1に沿う部分を含む一方側T字路地中埋設物PT1と、他方側直線道路RT2に沿う部分を含む他方側T字路地中埋設物PT2とから成るものへと更新する更新処理を受け付ける。
制御装置SSは、別実施形態(8)で示した事前仕分制御においてT字路地中埋設物PTが埋設物選択制御の対象から外された場合、更新処理により更新された一方側T字路地中埋設物PT1と他方側T字路地中埋設物PT2とを、埋設物選択制御の対象へ加える。
これにより、制御装置SSは、一方側T字路地中埋設物PT1と他方側T字路地中埋設物PT2とを対象に含めた状態で全体ルートを生成できる。
【0076】
(10)上記実施形態に係るナビゲーションシステム100では、全体ルートを生成する際に、埋設物選択制御にて選択されたすべての地中埋設物Pの一端及び他端の少なくとも何れか一方までの道路に沿った最短候補ルートを導出し当該最短候補ルートから最短ルートを探索決定する最短ルート探索制御を実行するから、場合によっては、図16(a)に示すように、非常に長い単位ルートRu1が生成されて、全体ルートの総延長に対する配管総延長の比率(実ルート率)が小さく、非効率な全体ルートが生成される場合がある。
このような非効率な全体ルートが生成されることを避けるべく、制御装置SSは、以下の制御を実行するよう構成しても良い。
即ち、制御装置SSは、図16(a)に示すように、単位ルート生成制御にて生成された単位ルートRu1の長さが予め設定された飛地判定閾値(例えば、300m以上の値:図示せず)以上である場合に当該単位ルートRu1を飛地ルートであると判定する飛地判定制御を実行する。
次に、制御装置SSは、図16(b)に示すように、飛地判定制御において単位ルートRu1が飛地ルートであると判定された場合、当該判定の時点までに生成された単位ルートRuのうち、飛地判定制御の対象である単位ルートRu1の終点を含む地中埋設物Pである飛地地中埋設物P1に最も近い単位ルートRuを修正候補である修正候補単位ルートRuxとして抽出する修正候補単位ルート抽出制御を実行する。
ここで、飛地地中埋設物P1に最も近い単位ルートRuとは、例えば、飛地地中埋設物P1の構成点P1aからの距離Lxが最も短くなる単位ルートを意味するものとする。
その後、制御装置SSは、図16(a)(b)(c)に示すように、修正候補単位ルートRuxを飛地地中埋設物P1を通るよう変更した変更後ルートRu2の長さLzから、修正候補単位ルートRuxの長さLyを減算した長さが、飛地判定制御の判定対象の単位ルートRu1の長さよりも短い場合、図16(d)に示すように、修正候補単位ルートRuxを変更後ルートRu2へ差し替えるルート差替制御とを実行する。
【0077】
(11)上記実施形態に係る案内・判定制御は、以下の適正走行判定制御に置き換えても良い。
即ち、制御装置SSとしての整合判定部S8は、図17に示すように、表示部H(案内部の一例)の案内に従って全体ルートを辿るよう走行しながら、衛星測位受信機GS(位置検出部の一例)にて連続的に検出される現在位置の軌跡を走行ルートRrとして生成する走行ルート生成制御を実行すると共に、走行ルートRrと地中埋設物Pの構成点Pa、Pb、Pcとの距離が第3乖離判定閾値以下である適正走行判定条件を満たすか否かを判定すると共に、連続する2つの構成点の双方が適正走行判定条件を満たす場合に当該連続する2つの構成点の間の走行が適正走行であると判定する適正走行判定制御を実行する。
図17(a)に示す例では、走行ルートRrと地中埋設物P2のすべての構成点Pa、Pb、Pcとの距離が十分に短く、第3乖離判定閾値以下である適正走行判定条件を満たすため、構成点Paと構成点Pbとの間の地中埋設物第1部分P1に対応する走行ルートRrは適正走行であると共に、構成点Pbと構成点Pcとの間の地中埋設物第2部分P2に対応する走行ルートRrも適正走行であると判定される。
図17(b)に示す例では、走行ルートRrと構成点Pa、Pcとの距離は十分に短く、第3乖離判定閾値以下である適正走行判定条件を満たすため、構成点Paと構成点Pcとの間の地中埋設物第1部分P1に対応する走行ルートRrは適正走行であると判定される。一方、走行ルートRrと構成点Pcとの距離は十分に短く第3乖離判定閾値以下であるものの、走行ルートRrと構成点Pbとの距離は比較的長く第3乖離判定閾値を超えるため、構成点Pcと構成点Pbとの間の地中埋設物第2部分P2に対応する走行ルートRrは適正走行でないと判定される。
【0078】
〔適正走行判定制御に係る制御フロー〕
次に、図18に示す制御フローに基づいて、適正走行判定制御について説明する。
生成された全体ルートを辿る案内指示を受けた場合、表示部Mとしての表示パネルは、地図上に車両Cの現在位置と全体ルートを表示する形態で、全体ルートを辿るよう案内を実行する(#01)。
走行ルート生成部S7は、車両Cが全体ルートを辿る案内に従って走行しているときに、衛星測位受信機GSにて逐次検出される現在位置を走行ルートとして生成する(#02)。
整合判定部S8は、地中埋設物Pの連続する2つの構成点の双方が適正走行判定条件を満たさない場合(♯03でNo)、連続する2つの構成点の双方に挟まれる地中埋設物Pに対応するルートを、再走行ルートとして記憶部S10に記憶する(#05)。
一方、整合判定部S8は、地中埋設物Pの連続する2つの構成点の双方が適正走行判定条件を満たす場合であって(♯03でYes)、最初に設定された全体ルートのすべてを走行したと判定した場合(♯04でYes)、ステップ#06以降の制御を実行する。全体ルートのすべてを走行していないと判定した場合(♯04でNo)、ステップ#03、05の制御を繰り返し実行する。
尚、上述のステップ#03でNoの後のステップ#05の処理、及びステップ#04でNoの後のステップ#03、05の処理は、実行しなくても構わない。
【0079】
因みに、図2に示す全体ルートを辿る案内を実行中のモニタ画面では、図示は省略するが、全体ルートとは別に、地中埋設物Pも表示されており、制御装置SSは、上述の適正走行判定条件を満たすと判定した地中埋設物Pに、モニタ画面上で判定時点毎に色付け処理する。一方、適正走行判定条件を満たさないと判定した地中埋設物Pには色付けせず、モニタ画面の上部に、「検査未完了の地中埋設物Pがあります」等のメッセージを表示する。
整合判定部S8が、全体ルートのすべてを走行したと判定した場合(#04でYes)、表示部Mとしての表示パネルは、記憶部S10に記憶されている再走行ルートを、順次走行するよう、再度、案内を実行する(♯06)。
整合判定部S8は、再走行ルートのすべてを再度走行したと判定した場合(♯07でYes)、適正走行判定制御を終了し、記憶される再走行ルートに未だ走行していないルートがあると判定した場合(♯07でNo)、ステップ♯06の制御を繰り返し実行する。
尚、フローへの図示は省略するが、制御装置SSは、走行が完了すると、走行が完了した全体ルートに沿って適正走行予定であった地中埋設管Pのそれぞれを、適正走行であったか否かを含めリストとして抽出し、記憶部S10に保存する。ちなみに、適正走行であった地中埋設管Pについては、適正走行した日時も含めて記憶する。
【0080】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のナビゲーションシステムは、検査対象の地中埋設物が埋設された道路上を、地中埋設物に沿って網羅的に通過する全体ルートを、比較的高い処理速度で生成して提供可能なナビゲーションシステムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 :ナビゲーションシステム
GS :衛星測位受信機
M :表示部
P :地中埋設物
P1a :一端
P1b :他端
R0 :道路
Ra :全体ルート
Ra1 :直近ルート
Rs1 :最短ルート
Ru :単位ルート
S :開始地点
SS :制御装置
S10 :記憶部
SH :設定範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
図17
図18