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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056619
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】不織布積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20240416BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240416BHJP
   D04H 5/06 20060101ALI20240416BHJP
   D04H 1/435 20120101ALI20240416BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B32B5/26
B32B27/36
D04H5/06
D04H1/435
B60R13/02 B
B60R13/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139963
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】20 2022 105 716.8
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】20 2023 100 856.9
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
【住所又は居所原語表記】Hoehnerweg 2-4, D-69469 Weinheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルン プラサド ヴェヌゴパル
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラ ヴァイク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヨヴァノヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3D023
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BA02
3D023BB03
3D023BB08
3D023BD01
3D023BD03
3D023BD18
3D023BE04
3D023BE05
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100AK41C
4F100AK41D
4F100AK41E
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100AK42D
4F100AK42E
4F100AL01A
4F100AL01B
4F100AL01C
4F100AL01D
4F100AL01E
4F100BA05
4F100BA07
4F100DG03C
4F100DG03E
4F100DG04A
4F100DG04B
4F100DG04D
4F100DG04E
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100DG15C
4F100DG15D
4F100DG15E
4F100DG20C
4F100DG20E
4F100EC09C
4F100EC09E
4F100GB33
4F100JA03C
4F100JK04
4F100JK07
4L047AA21
4L047AA27
4L047AB02
4L047AB03
4L047AB04
4L047BA02
4L047BA09
4L047BB06
4L047BB09
4L047CA05
4L047CB01
4L047CB09
4L047CC09
4L047CC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱成形時に寸法安定性を示す不織布積層体を提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(A);スパンボンド不織布層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するスパンボンド不織布層(B);以下:単成分系PET短繊維、および少なくともPET成分とコポリエステル成分とを含む、多成分系短繊維を含む、ニードリングされた短繊維不織布層(C);PETとコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(E)、スパンボンド不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有するスパンボンド不織布層(D);単成分系PET繊維、および/または少なくともPET成分とコポリエステル成分とを含む、多成分系繊維を含む不織布層(F)を、(A)から(F)の順序で含む不織布積層体において、すべての層が互いに融着している、不織布積層体である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(A);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(B)であって、前記不織布層(B)は、不織布層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、スパンボンド不織布層(B);
- 以下:
・単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維(c1)、および
・少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、多成分系短繊維(c2)
を含む、ニードリングされた短繊維不織布層(C);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(D)であって、前記不織布層(D)は、不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、スパンボンド不織布層(D);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(E);
- 単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維および/または多成分系繊維を含む不織布層(F)であって、前記多成分系繊維は、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、不織布層(F);
を(A)から(F)の順序で含む不織布積層体において、すべての層が互いに融着している、不織布積層体。
【請求項2】
層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれも、他の層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれとも機械的に結合されていない、請求項1記載の不織布積層体。
【請求項3】
層(F)が、単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維と多成分系繊維とからなり、前記多成分系繊維が、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項4】
層(F)が短繊維からなる、請求項1から3までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項5】
層(F)がニードリングされている、請求項1から4までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項6】
前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(A)の外面上にさらなる不織布層(F1)を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項7】
前記不織布積層体が、層(E)と層(F)との間のさらなるスパンボンド不織布層(G)を含み、スパンボンド不織布層(G)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含み、前記不織布層(G)が、不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項8】
前記ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、熱収縮している、請求項1から7までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項9】
前記不織布積層体が、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを含まない、請求項1から8までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項10】
前記不織布積層体が、無機強化材、特にガラス繊維を含まない、請求項1から9までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項11】
前記不織布積層体が、以下の特性:
- ISO 178:2019-04に準拠した曲げ強さが≧330MPaである;
- ASTM5034:2009に準拠した引張強さが≧780Nである;および/または
- DIN EN 29073-3:1992-08に準拠した引裂強さが≧110Nである
のうち少なくとも1つを有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項12】
層(A)、(B)、(C)、(D)および(E)のコポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、前記共重合体が、≦240℃の融点を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項13】
層(A)および(E)が、10%~70%のコポリエステル、特に少なくとも30%のコポリエステルを含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項14】
前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)を含み、
- スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の前記繊維がコポリエステルからなり;かつ/または
- スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した1~100g/mの目付を有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項15】
ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、
- 単成分系短繊維(c1)10~90%および多成分系短繊維(c2)10~90%からなり、かつ/または
- DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した≦2900g/mの目付を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項16】
- 層(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の前記コポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、前記共重合体が、160~240℃の融点を有し;
- 前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)およびスパンボンド不織布層(C)を含み、前記層がどちらもコポリエステルからなり、かつ前記層がどちらも、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した10~20g/mの目付を有し;かつ
- ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%からなる、請求項1から13までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項17】
- 前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)もスパンボンド不織布層(D)も含まず;
- 層(A)、(C)および(E)の前記コポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、前記共重合体が、160~240℃の融点を有し;かつ
- ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%からなる、請求項1から13までのいずれか1項記載の不織布積層体。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載の不織布積層体を含む、成形物品。
【請求項19】
請求項18記載の成形物品を含む内装品であって、好ましくは乗物用の内装品において、前記内装品は、好ましくはパネル、ケーシング、被覆材、強化材または板材であり、好ましくはドア、屋根、トランクまたはシート用のパネル、ケーシング、被覆材、強化材または板材である、内装品。
【請求項20】
内装品、好ましくは乗物用の内装品への、請求項1から18までのいずれか1項記載の不織布積層体または成形物品の使用。
【請求項21】
請求項1から17までのいずれか1項記載の不織布積層体の製造方法であって、
- ニードリングにより、ニードリングされた短繊維不織布層(C)を製造するステップと、
- 層(A)~(F)をこの順序で提供し、ここで、層(B)および(D)は任意であるものとするステップと、
- 層(A)~(F)を互いに融着させるステップと
を含む、方法。
【請求項22】
請求項18記載の成形物品の製造方法であって、
- 本発明の不織布積層体を提供するステップと、
- 前記不織布積層体を成形し、それにより成形物品を得るステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布積層体、該不織布積層体を含む物品、成形物品、使用および方法に関する。
【0002】
先行技術
不織布積層体は、様々な用途で使用されている。不織布積層体は、例えば、自動車用内装部品として、例えばドア、シート、ルーフまたはトランクのパネルおよびケーシングとして使用されている。通常は自動車用内装材を加熱成形することで、所与の乗物の内部に配置される所望の内装部品が提供される。
【0003】
乗物の内装は、乗客の満足にとって重要な乗物の美的態様である。内装は、見た目に美しくなければならないが、とりわけ、安全で、メンテナンスが容易で、耐久性があり、乗客の輸送中に通常遭遇する酷使にも耐えるものでなければならない。また、そのような材料が遮音性を提供することも望ましい。このような仕様を満たすために、当該技術分野では様々な材料が提案されてきた。
【0004】
例えば、独国特許第10208524号明細書には、不織布地成形部品の製造方法が記載されている。該成形部品は、不織布を含み、該不織布は、熱可塑性結合剤を有し、熱的または機械的に予備圧縮されて製品前駆体を形成する。製品前駆体は、結合剤が溶融するまで加熱され、成形工具でプレスされる。不織布の繊維間の結合剤が冷えて固化した後、所望の構造を有する圧縮成形部品が得られる。
【0005】
欧州特許出願公開第3769954号明細書には、自動車のアンダーボディシールドとして使用可能な成形物品への成形が可能である層(A)~(E)を備えた不織布積層体が開示されている。アンダーボディシールドは、湿気ならびに高い機械的応力およびひずみに耐えなければならない。
【0006】
当該技術分野で知られている特に内装用途で使用するための不織布積層体および成形部品の改良が、一般的に望まれている。
【0007】
発明の基礎となる課題
本発明の目的の1つは、当該技術分野で遭遇する欠点を少なくとも部分的に克服する不織布積層体を提供することである。
【0008】
本発明のもう1つの課題は、容易に加熱成形して所望の構成を提供することができる不織布積層体、特に加熱成形時に寸法安定性を示す不織布積層体を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、不織布積層体を含む物品のコスト削減に貢献可能な不織布積層体を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、再生可能性が向上し、耐熱性および不燃性が向上し、かつ/または有利に軽量である不織布積層体を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、均一な機械的特性、特に均一な伸び率、引張強さおよび/または熱収縮性を示し得る不織布積層体を提供することである。
【0012】
本発明の特定の目的の1つは、象皮効果の低減を示す成形物品を得ることが可能な不織布積層体を提供することである。
【0013】
本発明の特定の目的の1つは、結果的に吸音性の向上を示す成形物品を得ることができる不織布積層体を提供することである。
【0014】
本発明の特定の目的の1つはまた、パネルやケーシングのような内装用途、特に乗物用途に適した不織布積層体を含む成形物品を提供することである。
【0015】
発明の開示
驚くべきことに、本発明の基礎となる課題は、特許請求の範囲に記載の不織布積層体および成形物品により解決されることが判明した。本発明のさらなる実施形態について、本明細書全体を通じて概説する。
【0016】
本発明の課題は、以下:
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(A);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(B)であって、該不織布層(B)は、不織布層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、スパンボンド不織布層(B);
- 以下:
・単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維(c1)、および
・少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、多成分系短繊維(c2)
を含む、ニードリングされた短繊維不織布層(C);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(D)であって、該不織布層(D)は、不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、スパンボンド不織布層(D);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(E);
- 単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維および/または多成分系繊維を含む不織布層(F)であって、該多成分系繊維は、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、不織布層(F)
を(A)から(F)の順序で含む不織布積層体において、すべての層が互いに融着している、不織布積層体である。
【0017】
不織布は、当該技術分野で従来から使用されている。不織布は、織物でも編物でもない。一般に、不織布とは、DIN EN ISO 9092:2018に定義されたテキスタイル布地である。
【0018】
スパンボンドとは、一般に、溶融した繊維原料から延伸された理論的に連続した繊維を含む布地をいう。スパンボンド不織布層(A)、(B)、(D)および(E)は、それぞれ連続フィラメントをシート状にまとめてカレンダー加工したものであることが好ましい。
【0019】
短繊維とは、一般に、長さにばらつきがある繊維をいう。ある群の短繊維は、該群の繊維の平均長さを有し、その平均長さは、ステープル長と呼ばれる。
【0020】
ニードリングされた不織布層とは、総じて、ニードルを用いて交絡させた複数の繊維を含む層を指す。
【0021】
ポリエチレンテレフタレートとは、テレフタル酸とエタン-1,2-ジオール(エチレングリコールとも呼ばれる)との共重合体である。
【0022】
コポリエステルとは、第1の二酸モノマーと、第1のジオールモノマーと、少なくとも1つの第2の異なる二酸モノマーおよび少なくとも1つの第2の異なるジオールモノマーのうちの一方または双方との共重合体である。ここで、二酸モノマーとは、好ましくはジカルボン酸モノマーを指す。
【0023】
融着は、当該技術分野で従来から用いられている。融着とは、一般に、高分子量の、通常は熱可塑性の少なくとも2つの材料を接合する技術であって、少なくとも2つの材料のうち少なくとも一方にエネルギーを加え、同時に少なくとも2つの材料を緊密に接触させ、次いで冷却することによって実施するものを指す。融着は、サーマルボンドまたはケミカルボンドとも称されることがある。
【0024】
本発明の不織布積層体では、層(A)~(F)が所与の順序で融着される。これは、層スタックの形成およびこのスタックの融着により達成することができる。
【0025】
層同士の融着により、不織布積層体の熱収縮性の高い均一性を得ることができる。この熱収縮性の高い均一性により、成形時の象皮質の形成を低減することができる。象皮質の形成が低減されることにより、本発明の不織布積層体は、魅力的な美観を有することができるとともに、成形後の曲げ強さがより高くなり得る。
【0026】
層同士の融着によりさらに、加熱成形時に不織布積層体に高い寸法安定性を付与することができる。
【0027】
すべての層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)は、ポリエチレンテレフタレートを含む。ポリエチレンテレフタレートは、本明細書では「PET」とも称される。ポリエチレンテレフタレートは、(再生されていない)バージンポリエチレンテレフタレートであってもよいし、再生ポリエチレンテレフタレート(「r-PET」とも称される)であってもよいし、バージンポリエチレンテレフタレートと再生ポリエチレンテレフタレートとの混合物であってもよい。バージンポリエチレンテレフタレートによって、本発明の不織布積層体の機械的特性をより正確に設定することができる。再生ポリエチレンテレフタレートによって、本発明の不織布積層体のコストを削減することができる。
【0028】
すべての層に含まれるポリエチレンテレフタレートが、本発明の不織布積層体の機械的特性の高い均一性を付与することができる。それにより、特に、本発明の不織布積層体の伸び率および引張強さの均一性を高めることができる。それにより、本発明の不織布積層体を容易に加熱成形して所望の構成を提供することができる。それにより、本発明の不織布積層体は、加熱成形時に寸法安定性を示すことができる。
【0029】
すべての層に含まれるポリエチレンテレフタレートは、各層および積層体全体に対してそれぞれ比較的低い目付を提供することができる。
【0030】
すべての層に含まれるポリエチレンテレフタレートは、約260℃という比較的高い融点を有する。それにより、本発明の不織布積層体は、高い耐熱性および不燃性を有することができる。本明細書において、融点とは、好ましくはDIN ISO 11357-3:2013に準拠して決定される融点である。
【0031】
すべての層に含まれるポリエチレンテレフタレートは、比較的安価である。それにより、本発明の不織布積層体は、本発明の不織布積層体を含む物品のコスト削減に貢献することができる。
【0032】
すべての層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および好ましくは(F)は、コポリエステルを含む。コポリエステルは、非晶質コポリエステルであってもよいし、結晶質コポリエステルであってもよいし、非晶質コポリエステルと結晶質コポリエステルとの混合物であってもよい。存在する場合、任意の層(B)は、層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有し、任意の層(D)は、層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有する。それぞれの高いコポリエステル含有量によって、層(A)および/または層(E)と層(C)との結合を強化することができる。したがって、それぞれの高いコポリエステル含有量によって、層(A)および/または層(E)の剥離強度を高めることができる。
【0033】
本発明の不織布積層体は、以下:
層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)、
層(A)、(C)、(D)、(E)および(F)、
層(A)、(B)、(C)、(E)および(F)、または
特に好ましい、層(A)、(C)、(E)および(F)
を所与の順序で含むことができる。
【0034】
このような不織布積層体では、層(B)および(D)が接着層として機能する。層(B)および(D)は、外層(A)および(E)とコア層(C)との間の結合性を高めることができる。このような積層体において、層(A)および/または層(E)の層間剥離を有利に低減することができる。剥離強度を高める観点からは、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)をこの順序で含む不織布積層体が好ましい。
【0035】
製造を簡略化する観点からは、層(A)、(C)、(E)および(F)を含む不織布積層体が好ましい。このような積層体の製造には、層(B)および(D)のための追加の供給装置は不要である。それにより、このような不織布積層体の製造を簡略化することができる。コスト効率の観点からは、層(A)、(C)、(E)および(F)のみを有する、すなわち層(B)および(D)を有しない不織布積層体の製造がさらに特に好ましい。
【0036】
すべての層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)が互いに融着していることの特定の一定義によれば、本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれも、他の層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれとも機械的に結合されていない。換言すれば、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれの2つの層間にも絡み合いは存在しない。特に、ニードリングされた短繊維不織布層(C)に含まれる繊維のいずれも、層(A)、(B)、(D)、(E)および(F)のいずれにも延在しておらず、特に層(A)および/または層(E)には延在していない。さらに特に、ニードリングされた短繊維不織布層(C)に含まれる繊維のいずれも、層(A)、(B)、(D)、(E)および(F)のいずれにも入り込んでおらず、特に層(A)および/または層(E)に入り込んでいない。機械的な結合がないため、層の加熱時の望ましくない象皮の形成を最小限に抑えることができ、それにより魅力的な美観を達成することができる。さらに、機械的な結合のない不織布積層体から製造された成形製品は、有利に平坦であることができ、特にしわや波状構造などがない。さらに、その曲げ強さを高めることができる。
【0037】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれも、他の層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれともニードリングされていないことが好ましい。このような望ましくないニードリングには、機械的ニードリングだけでなく、水流絡合法としても知られているウォータージェットニードリングも包含される。これにより、層の加熱時の望ましくない象皮の形成を防ぐことができる。さらに、魅力的な美観を達成することができる。好ましい不織布積層体から製造された成形製品は、通常は平坦でしわなどがなく、それにより典型的にはその曲げ強さが高まる。
【0038】
本発明の不織布積層体は、不織布層(F)をさらに含む。層(F)は、複合材に少なくとも1つの所望の特性を付与することができる。本発明によれば、さらなる不織布層(F)を加えた場合、複合材の特性の向上が可能であることが見出された。したがって、本明細書において、さらなる不織布層は、「機能層(F)」とも表記される。例えば、層(F)は、複合材のクッション効果、音響特性、光学特性および/または機械的特性を向上させることができる。
【0039】
同時に、機能層(F)を、積層体構造に完全に組み込むことができる。したがって、不織布層(F)は、単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維と多成分系繊維とを含み、より好ましくはこれらからなり、該多成分系繊維は、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む。層(F)がこれらのポリエステル材料を含むか、またはこれらのポリエステル材料からなる場合、層(F)を、構造に関して層(A)~(E)に適合させることができる。このようにして、層(F)を同一の材料から提供することができ、かつ積層体の製造方法に完全に組み込むことができる。すべての層(A)~(F)を好都合に互いに融着させることができ、それにより、安定した均一な不織布積層体が得られる。したがって、不織布積層体を成形可能とすることができ、また再生可能とすることもできる。さらに、機能層(F)を少なくとも部分的に再生材料から提供することができる。
【0040】
好ましい一実施形態において、不織布層(F)は、単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維と多成分系繊維とからなり、該多成分系繊維は、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む。好ましくは、層(F)は、PET繊維50~95%と、PETとコポリエステルとの二成分系繊維5~50%とからなる。好ましくは、スパンボンド層(A)および(E)は、PETとコポリエステルとの二成分系繊維からなる。不織布層(F)および不織布積層体がそのような材料からなる場合、これを好都合に製造および積層することができ、それにより、完全にPETおよびコポリエステルをベースとした非常に均一で、再生可能で、かつ機械的に安定した生成物が提供され、成形部品(成形物品)に容易に成形することができる。
【0041】
好ましい一実施形態において、不織布層(F)は、短繊維からなる。好ましくは、不織布層(F)は、ニードリングされている。そのような不織布層は、不織布積層体に特定の機械的安定性および他の所望の特性を付与することができる。
【0042】
不織布層(F)は有利であり、なぜならば、これは、製造方法に完全に組み込むことができ、均一な構造を提供することができ、それと同時に不織布積層体または成形部品に有利な特性を付与することができるためである。例えば、不織布層(F)は、積層体および成形部品の音響特性を向上させることができる。層(F)は外面に施与することができるため、層(F)は、不織布積層体や成形部品の光学特性を向上させることもできる。例えば、層(F)は、平滑な表面構造を提供することができ、かつ/またはパターン状のエンボス加工が可能である。さらに、層(F)が高い機械的安定性を有する場合、層(F)は、不織布積層体または成形部品の機械的特性、例えば引張強さおよび引裂強さを向上させることができる。それにより、層(F)は、不織布積層体または成形部品を機械的応力およびひずみから保護することができる。不織布層が比較的高い剛性を示す場合、この層は、不織布積層体または成形部品の曲げ強さを高めることができる。
【0043】
好ましい一実施形態において、不織布積層体は、スパンボンド不織布層(A)に付与されたさらなる不織布層(F1)を含む。本実施形態では、さらなる層(F1)は、層(A)の外面に付与されている。したがって、不織布積層体の外層は、一方の側では層(F)であり、他方の側では層(F1)である。層(F1)の組成および構造は、層(F)について上記で概説したとおりに調整することができる。好ましい一実施形態において、層(F)および(F1)は同一である。もう1つの実施形態において、少なくとも1つの追加の層を外面、すなわち層(F)および/または(F1)の上に設けることができる。それにより、不織布積層体にさらなる特性を付与することができる。
【0044】
好ましい一実施形態において、不織布積層体は、層(E)と層(F)との間に配置されるさらなるスパンボンド不織布層(G)を含み、スパンボンド不織布層(G)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含み、該不織布層(G)は、不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有する。このようなコポリエステル含有量が比較的高いさらなる不織布層(G)は、隣接する層(E)および(F)同士をより強く結合させるのに適している。好ましくは、不織布層(G)は、層(B)および(D)について本明細書で概説したのと同一の構造、組成および特性を有する。
【0045】
本発明の不織布積層体において、ニードリングされた短繊維不織布層(C)が熱収縮していることが好ましい。好ましくは、ニードリングされた繊維は、熱曝露時に縦方向および横方向の双方に収縮する。ニードリングされ熱収縮した短繊維不織布層は、望ましくないさらなる収縮を回避することができる。これにより、その後の成形プロセスにおける望ましくない象皮形成を回避することができる。
【0046】
本発明の不織布積層体において、不織布積層体に含まれる全繊維のうちPETを含まず、かつコポリエステルを含まないのが、不織布積層体に含まれる全繊維の20%未満、より好ましくは10%未満であることが好ましい。最も好ましくは、不織布積層体に含まれるすべての繊維が、PET、コポリエステルまたはこれらの混合物でできている。不織布積層体に含まれるすべての繊維が、主に、好ましくは専らPET、コポリエステルまたはこれらの混合物でできている場合、不織布積層体は、比較的低コストであり、比較的軽量で、かつ比較的高い剥離強度を有することができる。
【0047】
本発明の不織布積層体が、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを含まないことが好ましい。それにより、不織布積層体をより容易に再生することができる。それにより、不織布積層体の耐熱性および不燃性を高めることができる。それにより、不織布積層体の機械的特性、特にその伸び率および引張強さの均一性を高めることができる。これにより、不織布積層体を含む生成物の特性をより容易に調整することができる。
【0048】
本発明の不織布積層体が、無機強化材、特にガラス繊維を含まないことが好ましい。無機強化材、特にガラス繊維を含まないことにより、不織布積層体の加工性を容易にすることができる。無機強化材、特にガラス繊維を含まないことにより、不織布積層体を含む物品のコストを削減することができる。
【0049】
本発明の不織布積層体が、嵩高剤を含まないことが好ましい。嵩高剤を含まないことにより、不織布積層体の加熱成形時に不織布積層体の寸法安定性を向上させることができる。嵩高剤を含まないことにより、不織布積層体を含む物品のコストを削減することができる。
【0050】
本発明の不織布積層体が、以下の特性:
- ISO 178:2019-04に準拠した曲げ強さが≧330MPaである;
- ASTM5034:2009に準拠した引張強さが≧780Nである;および/または
- DIN EN 29073-3:1992-08に準拠した引裂強さが≧110Nである
のうち少なくとも1つを有することが好ましい。
【0051】
曲げ強さが≧330MPaであり、引張強さが≧780Nであり、かつ/または引裂強さが≧110Nであることにより、不織布積層体の耐摩耗性を高くすることができる。曲げ強さが≧330MPaであり、引張強さが≧780Nであり、かつ/または引裂強さが≧110Nであることにより、不織布積層体の吸音性を高めることができる。
【0052】
不織布積層体の耐摩耗性をさらに高め、かつ吸音性を高める観点から、本発明の不織布積層体において、曲げ強さが≧330MPaであり、かつ引張強さが780Nであるか;または曲げ強さが≧330MPaであり、かつ引裂強さが≧110Nであるか;または引張強さが≧780Nであり、かつ引裂強さが≧110Nであることが特に有利である。本発明の不織布積層体において、曲げ強さが≧330MPaであり、引張強さが≧780Nであり、かつ引裂強さが≧110Nであることが最も好ましい。
【0053】
本発明の不織布積層体において、曲げ強さが≧370MPa、さらにより好ましくは≧400MPa、なおもより好ましくは≧430MPaであることがより好ましい。それぞれ結合強度の増加に伴って、不織布積層体の耐摩耗性および吸音性をさらに高めることができる。
【0054】
本発明の不織布積層体において、引張強さが≧850N、さらにより好ましくは≧900N、なおもより好ましくは≧950Nであることがより好ましい。それぞれ引張強さの増加に伴って、不織布積層体の耐摩耗性および吸音性をさらに高めることができる。
【0055】
本発明の不織布積層体において、引裂強さが≧125N、さらにより好ましくは≧145N、なおもより好ましくは≧165Nであることがより好ましい。それぞれ引裂強さの増加に伴って、不織布積層体の耐摩耗性および吸音性をさらに高めることができる。
【0056】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のコポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートの共重合体は、モノマーであるテレフタル酸、エタン-1,2-ジオールと、少なくとも1つのさらなる異なるジカルボン酸モノマーおよび/または少なくとも1つのさらなる異なるジオールモノマーとを含む。好ましいさらなるジカルボン酸モノマーは、アジピン酸である。別の好ましいさらなるジカルボン酸モノマーは、イソフタル酸である。好ましいさらなるジオールモノマーは、シクロヘキサンジメタノールである。ポリエチレンテレフタレートの共重合体により、不織布積層体の再生可能性を容易にすることができる。ポリエチレンテレフタレートの共重合体により、不織布積層体内の剥離強度を高めることができる。ポリエチレンテレフタレートの共重合体により、不織布積層体の原料コストを削減することができる。
【0057】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のコポリエステルが、≦240℃の融点を有することが好ましい。コポリエステル、特に層(B)、(C)および(D)のコポリエステルが、≦220℃、さらに好ましくは≦210℃、さらにより好ましくは≦200℃、なおもより好ましくは≦190℃、殊に=180℃の融点を有することがより好ましい。≦240℃の融点を有するコポリエステルによって、層同士の融着に必要なエネルギーを低減することができる。≦240℃の融点を有するコポリエステルによって、スパンボンド層(A)、(B)、(D)および(E)の製造に必要なエネルギーを低減することができる。融点がそれぞれ≦220℃、≦210℃、≦200℃、≦190℃、および=180℃と低くなると、エネルギー低減量が連続的に高まり得る。
【0058】
本発明の不織布積層体において、層(A)および(E)のコポリエステルが、層(C)のコポリエステルの融点よりも高い融点を有することが好ましく、より好ましくは層(C)のコポリエステルの融点よりも≧20℃、なおもより好ましくは層(C)のコポリエステルの融点よりも≧30℃、その上さらに好ましくは層(C)のコポリエステルの融点よりも≧35℃高い融点を有することが好ましい。このようにすることで、融着後の不織布積層体の層間のより強力な結合を達成することができる。
【0059】
層(B)および(D)が存在しない場合が特に好ましいが、この場合には、層(A)および(E)のコポリエステルが、205~240℃、さらにより好ましくは210~230℃、なおもより好ましくは210~225℃の融点を有することがより好ましい。この場合は、層(C)のコポリエステルは、160~200℃、さらにより好ましくは170~190℃、なおもより好ましくは175~185℃の融点を有する。これにより、層(C)からの層(A)および(E)の層間剥離を回避することができる。
【0060】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のコポリエステルが、≧100℃の融点を有することが好ましい。本発明の不織布積層体において、コポリエステルが、≧110℃、さらにより好ましくは≧140℃、なおもより好ましくは≧160℃の融点を有することがより好ましい。≧100℃の融点を有するコポリエステルによって、融着後の層間の結合強度を高めることができる。
【0061】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のコポリエステルが、100~240℃の範囲、より好ましくは110~240℃の範囲、さらにより好ましくは140~230℃の範囲、なおもより好ましくは160~225℃の範囲の融点を有することが好ましい。これらの範囲内の融点を有するコポリエステルによって、層同士の融着に必要なエネルギーを低減することができ、スパンボンド層(A)、(B)、(D)および(E)の製造に必要なエネルギーを低減することができ、かつ融着後の層間の結合強度を高めることができる。
【0062】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(D)および(E)、特に層(A)および(E)のコポリエステルは、基本的に中性であり、すなわち、6.5~7.5、より好ましくは6.8~7.2、なおもより好ましくは7.0のpH値を有することが好ましい。これにより、不織布積層体の表面と環境との望ましくない化学的相互作用を回避することができる。
【0063】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(D)および(E)、特に層(A)および(E)のコポリエステルが、1.1~1.6g/cm、より好ましくは1.2~1.5g/cm、なおもより好ましくは1.3~1.4g/cmの密度を有することが好ましい。密度は、DIN EN ISO 1183-1:2019-09に準拠して決定される。このような密度によって、過剰なコストを回避しつつ、適切な強度を有する積層体を得ることができる。
【0064】
本発明の不織布積層体において、層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のコポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であると同時に、該共重合体が≦240℃の融点を有することがより好ましい。これにより、剥離強度の向上と、コストの削減と、層の融着およびスパンボンド層の製造に必要なエネルギーの低減とを同時にもたらすことができる。
【0065】
層(B)および(D)が本発明の不織布積層体中に存在する場合、層(A)および(E)が、2%~30%のコポリエステル、より好ましくは5%~25%のコポリエステルを含むことが好ましい。層(B)および(D)が本発明の不織布積層体中に存在しない場合、層(A)および(E)が、少なくとも30%のコポリエステル、より好ましくは30~70%のコポリエステル、特に好ましくは少なくとも40%のコポリエステル、少なくとも50%のコポリエステル、少なくとも60%のコポリエステル、または少なくとも70%のコポリエステルを含むことが好ましい。そのようなコポリエステルの含有量によって、積層体の波状構造を回避することができる。そのようなコポリエステルの含有量によってさらに、積層体の曲げ強さの向上を達成することができる。本明細書において、「%」は、常に重量%を意味する。
【0066】
層(B)および(D)が存在し、層(A)および(E)が2%~30%のコポリエステルを含む場合、層(A)を層(B)または層(C)に融着させ易くなり、同様に層(E)を層(D)または層(C)に融着させ易くなる。層(A)および(E)が2%~30%のコポリエステルを含む場合、層(A)および(E)の剥離強度を高めることができる。層(A)および(E)が5%~25%のコポリエステルを含む場合、融着の容易さ、ならびに層(A)および(E)の剥離強度をさらに高めることができる。
【0067】
層(A)および(E)が少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%のコポリエステルを含む場合、層(B)および(D)を有しない積層体は、剥離強度の向上を示すことができる。すなわち、そうすると、層(B)も層(D)も、剥離強度の向上には必要とされない場合がある。それにより、積層体のコストを削減することができる。それにより、積層体の製造を簡略化することができる。このような、層(B)および(D)が好ましくは存在しない場合には、層(A)および(E)のコポリエステルが、205~240℃、さらにより好ましくは210~230℃、なおもより好ましくは210~225℃の融点を有することが特に好ましい。この場合は、層(C)のコポリエステルは、160~200℃、さらにより好ましくは170~190℃、なおもより好ましくは175~185℃の融点を有する。これにより特に、層(C)からの層(A)および(E)の層間剥離を回避することができる。
【0068】
本発明の不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)を含み、該層の繊維がコポリエステルからなることが好ましい。スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の存在によって、層(A)および/または層(E)の剥離強度を高めることができる。スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の繊維がコポリエステルからなる場合、不織布積層体のすべての層を互いに融着させ易くなる。
【0069】
本発明の不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)を含み、該層が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した1~100g/m、好ましくは5~50g/m、より好ましくは10~20g/mの目付を有することが好ましい。スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の存在によって、層(A)および/または層(E)の剥離強度を高めることができる。不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)が、1~100g/m、好ましくは5~50g/m、より好ましくは10~20g/mの目付を有する場合、積層体の軽量性と積層体の良好な耐摩耗性との良好なバランスを達成することができる。
【0070】
本発明の不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)を含み、該層の繊維がコポリエステルからなり、それと同時に、該層が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した1~100g/m、好ましくは5~50g/m、より好ましくは10~20g/mの目付を有することがより好ましい。スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の存在によって、層(A)および/または層(E)の剥離強度を高めることができる。スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の繊維がコポリエステルからなるため、不織布積層体のすべての層を互いに融着させ易くなる。それと同時に、不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)が、1~100g/m、好ましくは5~50g/m、より好ましくは10~20g/mの目付を有するため、積層体の軽量性と積層体の良好な耐摩耗性との良好なバランスを達成することができる。
【0071】
本発明の不織布積層体において、ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)10~90%および多成分系短繊維(c2)10~90%からなることが好ましい。本発明の不織布積層体において、ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)20~80%および多成分系短繊維(c2)20~80%、さらにより好ましくは単成分系短繊維(c1)30~70%および多成分系短繊維(c2)30~70%、なおもより好ましくは単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%、最も好ましくは単成分系短繊維(c1)50%および多成分系短繊維(c2)50%からなることがより好ましい。
【0072】
ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)10~90%および多成分系短繊維(c2)10~90%からなる場合、短繊維不織布層(C)を、ニードリングされた層としてより容易に製造することができる。ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)10~90%および多成分系短繊維(c2)10~90%からなる場合、ニードリングされた短繊維不織布層(C)は、主にポリエチレンテレフタレートでできている。これにより、不織布積層体の軽量化が可能となり、不織布積層体の高い耐熱性および不燃性をもたらすことができ、かつ不織布積層体のコストを削減することができる。これらの効果は、(c1)/(c2)の比が1に近づくにつれて高まり、すなわち、これらの効果は、20~80%(c1)/20~80%(c2)、30~70%(c1)/30~70%(c2)、40~60%(c1)/40~60%(c2)、50%(c1)/50%(c2)の順に高まる。
【0073】
短繊維(c1)は、単成分系繊維であり、すなわち、これらはポリエチレンテレフタレートからなる。短繊維(c2)は、多成分系繊維であり、すなわち、これらは2つ以上の成分からなる。短繊維(c2)の第1の成分は、ポリエチレンテレフタレートである。短繊維(c2)の第2の成分は、コポリエステルである。短繊維(c2)の1つ以上の追加の成分が存在してもよい。短繊維(c2)が二成分系繊維であり、すなわち、これらがポリエチレンテレフタレートおよびコポリエステルからなることが好ましい。二成分系繊維が、海島型フィラメント構造、パイセグメント型フィラメント構造、芯鞘型フィラメント構造またはサイドバイサイド型フィラメント構造、より好ましくは芯鞘型フィラメント構造を有することが好ましい。コポリエステル成分は、総じて、このような二成分系繊維の表面に存在する。短繊維(c2)が、以下の特性:
- DIN EN ISO 1973:2020-05に準拠して決定された2~7dtex、より好ましくは3~6dtex、なおもより好ましくは4~6dtexの繊度;
- 30~70mm、より好ましくは40~60mm、なおもより好ましくは45~55mmの繊維長;
- DIN EN 13844:2003-04に準拠して決定された1~6g/de、より好ましくは2~5g/de、なおもより好ましくは3~4g/deの強度;
- DIN EN ISO 5079:2020-01に準拠して決定された20~60%、より好ましくは30~50%、なおもより好ましくは35~55%の伸び率;
- JIS L-1074に準拠して決定された4~10EA/インチ、より好ましくは5~9EA/インチ、なおもより好ましくは6~8EA/インチの捲縮数;
- DIN EN 13844:2003-04に準拠して決定された75℃、15分での3~7%、より好ましくは4~6%、なおもより好ましくは3.5~4.5%の熱収縮率;および
- 160~200℃、より好ましくは170~190℃、なおもより好ましくは175~185℃の融点
のうち少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上、最も好ましくはすべてを有することが好ましい。
【0074】
短繊維(c2)が、上記の特性のうち少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上、最も好ましくはすべてを有する場合、ニードリングされた短繊維不織布層(C)は、不織布積層体に強度、柔軟性および成形性を同時に付与することができる。
【0075】
本発明の不織布積層体において、ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した≦2900g/m、より好ましくは1500~2900g/mの目付を有することが好ましい。標準的な乗用車に適用する場合、ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、1600~2700g/m、より好ましくは1700~2500g/m、最も好ましくは2000g/mの目付を有することが好ましい。
【0076】
本発明の不織布積層体において、ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)10~90%および多成分系短繊維(c2)10~90%からなり、それと同時に、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した≦2900g/m、より好ましくは1500~2900g/mの目付を有することがより好ましい。こうすることで、短繊維不織布層(C)をニードリングされた層としてより容易に製造することができ、不織布積層体が、特にパネルやケーシングのような内装用途、特に乗物用途での使用に向けて汎用的となり得る。
【0077】
本発明の不織布積層体が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した1000~3000g/mの目付を有することが好ましい。好ましくは、本発明の不織布積層体は、5~20mmの厚さを有する。
【0078】
本発明の不織布積層体について、以下:
- 層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のコポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、該共重合体が、160~240℃の融点を有し;
- 本発明の不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)およびスパンボンド不織布層(D)を含み、該層はどちらもコポリエステルからなり、かつ該層はどちらも、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した10~20g/mの目付を有し;かつ
- ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%からなる
ことが好ましい。
【0079】
そのような好ましい不織布積層体を、容易に加熱成形して所望の構成を提供することができる。そのような好ましい不織布積層体は、加熱成形時に寸法安定性を示すことができる。このような好ましい不織布積層体は、特にパネルやケーシングのような内装用途、特に乗物の内装用途に適するものとなり得る。層(B)および(D)が存在するため、剥離強度が高くなり得る。層(B)および(D)が存在するため、耐熱性が高くなり得る。
【0080】
本発明の不織布積層体について、以下:
- 本発明の不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)もスパンボンド不織布層(D)も含まず;
- 層(A)、(C)および(E)のコポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、該共重合体が、160~240℃の融点を有し;かつ
- ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%からなる
ことが好ましい。
【0081】
そのような好ましい不織布積層体を、容易に加熱成形して所望の構成を提供することができる。そのような好ましい不織布積層体は、加熱成形時に寸法安定性を示すことができる。このような好ましい不織布積層体は、特にパネルやケーシングのような内装用途、特に乗物の内装用途に適するものとなり得る。層(B)および(D)が存在しないため、不織布積層体のコストを削減することができる。層(B)および(D)が存在しないため、不織布積層体の製造を簡略化することができる。
【0082】
本発明の主題はさらに、本発明の不織布積層体を含む成形物品である。本発明の成形物品は、本明細書に記載された本発明の不織布積層体の利点から利益を得る。特に顕著であるのは、成形時の象皮形成の低減効果、およびそれに伴う利点である。
【0083】
本発明の不織布積層体または本発明の成形物品は、特に内装用途、好ましくは乗物の内装用途に適している。好ましい用途は、パネル、ケーシング、被覆材、強化材または板材、例えばドア、屋根、トランクまたはシートである。内装用途は、自動車産業に加え、乗物全般の製造、すなわち地上用乗物、海上用乗物または航空宇宙用乗物の製造にも使用可能である。内装用途での使用は、本明細書に記載された本発明の不織布積層体および/または本発明の成形物品の利点から利益を得る。特に顕著であるのは、耐摩耗性の増大、高い耐熱性、不燃性および吸音性の効果、ならびにそれに伴う利点である。
【0084】
本発明の主題はさらに、好ましくは乗物用の本発明の成形物品を含む内装品である。本発明の主題はさらに、好ましくは乗物用の内装品への、本発明の不織布積層体または成形物品の使用である。内装品は、好ましくはパネル、ケーシング、被覆材、強化材または板材である。内装品は、好ましくはドア、屋根、トランクまたはシート用のものである。
【0085】
本発明の主題はさらに、以下:
- ニードリングにより、ニードリングされた短繊維不織布層(C)を製造するステップと、
- 層(A)~(F)をこの順序で提供し、ここで、層(B)および(D)は任意であるものとするステップと、
- 層(A)~(F)を互いに融着させるステップと
を含む、本発明の不織布積層体の製造方法である。
【0086】
本発明の主題はさらに、以下:
- 本発明の不織布積層体を提供するステップと、
- 不織布積層体を成形し、それにより成形物品を得るステップと
を含む、本発明の成形物品の製造方法である。
【0087】
本発明の不織布積層体の製造方法は、本発明の不織布積層体の利点から利益を得る。特に顕著であるのは、剥離強度の向上を生じ得る融着による層の容易な接合の効果、およびそれに伴う利点である。
【0088】
本発明の例示的な態様を、図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1】好ましい5層の不織布積層体の個々の層を概略的かつ例示的に示す。さらなる不織布層(F)を外側に付与することができる。
図2】本発明による好ましい3層の不織布積層体の個々の層を概略的かつ例示的に示す。
図3】特に本発明によるスパンボンド不織布層に使用可能なパイセグメント型フィラメント構造を概略的に例示的な形態で示す。
図4】特に本発明によるスパンボンド不織布層に使用可能な芯鞘型フィラメント構造を概略的に例示的な形態で示す。
図5】特に本発明によるスパンボンド不織布層に使用可能なサイドバイサイド型フィラメント構造を概略的に例示的な形態で示す。
図6】本発明による不織布積層体の音響測定結果を示す。
図7図7aは、米国特許出願公開第2016/0288451号明細書に従って製造された機械的に結合された(ニードリングされた)不織布の顕微鏡写真であり、図7bは、米国特許出願公開第2016/0288451号明細書に従って製造された機械的に結合された(ニードリングされた)不織布の顕微鏡写真であり、図7cは、米国特許出願公開第2016/0288451号明細書に従って製造された機械的に結合された(ニードリングされた)不織布の顕微鏡写真である。
【0090】
不織布積層体の全般的な構造および製造
図1に、好ましい5層の不織布積層体1が示されている。5層の不織布積層体1は、第1の外層2(層(A)に相当)、第1の接着層3(層(B)に相当)、コア層4(層(C)に相当)、第2の接着層5(層(D)に相当)および第2の外層6(層(E)に相当)を含む。この積層体の各層は、互いに機械的に結合されていない。この積層体の各層は、互いに専ら融着されている。すべての実施形態において、さらなる不織布層(F)が外層6の上に設けられる(図示せず)。
【0091】
一実施形態において、短繊維(c1)および(c2)をニードリングによりコア層4に結合させる前に、有利な繊維製造が実施される。より具体的には、ニードリングプロセスの前に、繊維(c1)および(c2)をベールから開繊し、混合し、カード加工を施す。その後、繊維(c1)および(c2)をクロスラップし、ニードリング機にかける。代替方法として、開繊された繊維を吸引バンド上に集めてニードリングするエアレイまたはエアレイドプロセスで繊維を製造することも可能である。その後の成形プロセスでの収縮を避けるため、加熱によりコア4を予備収縮させる。短繊維(c1)および/または(c2)は、好ましくは10mm~150mm、より好ましくは40mm~100mmの範囲のステープル長を有する。コア層4は、好ましくは1400g/m~2900g/mの目付を有する。
【0092】
一実施形態において、コア層4は、10~70%のバージンまたは再生PET短繊維(c1)を、30~90%の二成分系繊維(c2)と組み合わせて含む。二成分系繊維は、シースがコアの融点よりも低い融点を有する芯鞘型構造を有する。二成分系繊維は、好ましくは、サイドバイサイド型、芯鞘型、セグメントパイ型または海島型構造などの様々な幾何学的構成をとる。
【0093】
一実施形態において、二成分系繊維(c2)のバインダーポリマーは、その融点に基づいて選択される。図4に示す好ましい芯鞘型構成では、コア11は、好ましくはPETからなり、シース10は、好ましくは<200℃の融点を有するコポリエステルからなる。特に好ましいバインダー繊維の1つは、芯鞘型フィラメント構成を有する。コア11は、>250℃、すなわち約260℃の融点を有するPETからなり、シース10は、110℃~180℃の範囲の低い融点を有するコポリエステルを含む。
【0094】
一実施形態において、その後の成形プロセスでのさらなる収縮を避けるため、コア層4を予備収縮させる。予備収縮は、ニードリングプロセスの後に行われる。ニードリングされた短繊維は、オーブンに通して処理され、オーブンは、通常、低融点共重合体の融点を上回る温度に設定される。例えば180℃の融点を有するシースポリマーを有する二成分系繊維の場合、オーブンの設定温度は、180℃超であってもよい。
【0095】
一実施形態において、外層2および6は、10~500g/mの秤量値を有する、デニール数の大きなスパンボンド不織布層である。スパンボンドは、コポリエステルの量が1~50%である円形構造を有するPET系フィラメントである。コポリエステルは、成形プロセス時に溶融して、隣接層との接着を支援する。さらに、層2および6の目付は、層4の目付よりかなり低い。これは、最終部品の総重量を軽くし、コストを削減したい状況では望ましくなり得る。
【0096】
コア層4と外層2および6との間の層、すなわち層3および/または層5は、コポリエステル系スパンボンド不織布層である。このコポリエステル系スパンボンド不織布層は、外層とコア層との結合性を高めるために使用され、すなわち接着層である。接着層3、5は、低融点コポリエステルを含む。その重量は、好ましくは1g/m~50g/mである。
【0097】
図2に、好ましい3層の不織布積層体7が示されている。この積層体の各層は、互いに機械的に結合されていない。この積層体の各層は、互いに専ら融着されている。
【0098】
一実施形態において、その後の成形プロセス時の収縮を避けるため、コア層4を予備収縮させる。コア層4は、1500g/m~2900g/mの目付を有する。
【0099】
一実施形態において、外層2および6は、10~500g/mの秤量値を有する、デニール数の大きなスパンボンド不織布層である。スパンボンドは、コポリエステルの量が1~50%である円形構造を有するPET系フィラメントである。存在するすべての層2~6のコポリエステルは、成形プロセス時に溶融して隣接層との接着を支援する。それにより、不織布積層体の繊維、特にコポリエステルを含む繊維は、融着後に積層体中でその繊維状構造を部分的にまたは完全に失う可能性がある。その結果得られる構造は、本発明の不織布積層体に包含される。
【0100】
図1の構成と図2の構成との相違は、図2では接着層3および5が使用されていないことである。その代わりに、外層2および6中のコポリエステルの量は、通常増加される。これは、図3図5で説明した構成のいずれかを採用することで実現できる。
【0101】
好ましい5層構造1または好ましい3層構造7を図1および図2に示すように形成した後、すなわち、それぞれの層間に機械的結合ではなく融着を確立することによって形成した後、それは、特定の内装用途に望ましい形状に成形される状態にある。層構造は、好ましくは2つの異なる方法、すなわち、冷間成形法または熱間成形法で成形することができる。
【0102】
図3に、パイセグメント型フィラメント構造が示されている。この構造は、スパンボンド不織布層2、3、5および/または6ならびに多成分系短繊維(c2)に有用である。図示のパイセグメント型フィラメント構造は、交互にPETセグメント8およびコポリエステルセグメント9からなる8つのセグメントを有する。代わりに、これは、交互にPETセグメント8およびコポリエステルセグメント9からなる16個、32個または64個のセグメントを有するフィラメント構造を有することもできる。成形プロセスの間に、低融点コポリエステルが溶融し、材料に剛性を与える。
【0103】
図4に、芯鞘型フィラメント構造が示されている。この構造は、スパンボンド不織布層2、3、5および/または6ならびに多成分系短繊維(c2)に有用である。図示の二成分系フィラメント構造は、低融点共重合体からなるシース10と、より高い融点を有するPET11からなるコアとからなる。成形プロセスの間に、低融点コポリエステルが溶融し、材料に剛性を与える。
【0104】
図5に、サイドバイサイド型フィラメント構造が示されている。この構造は、スパンボンド不織布層2、3、5および/または6ならびに多成分系短繊維(c2)に有用である。図示のサイドバイサイド型フィラメント構造は、低融点共重合体からなる一方の側13と、より高い融点を有するPETからなる他方の側12とからなる。成形プロセスの間に、低融点コポリエステルが溶融し、材料に剛性を与える。
【0105】
実施例
実施例1 - 冷間成形法
不織布積層体の構成材料、および該不織布積層体を含む内装用途の材料:
【0106】
短繊維(コア層4用):
単成分系短繊維(c1)50%:
材料:r-PET
ステープル長:64mm
繊度:6.7dTex
【0107】
二成分系短繊維(c2)50%:
構成:芯鞘型
材料:PETシース;融点180℃のコポリエステルコア
ステープル長:51mm
繊度:5dTex
【0108】
スパンボンド(外層2および6用):
材料:PET90%;PETのコポリエステル(CoPET)10%
目付:90g/m
厚さ:0.33~0.59mm
フィラメント径:25~60μm
【0109】
CoPETスパンボンド(接着層3および5用):
PETのコポリエステル(CoPET)100%
目付:16g/m
厚さ:0.15~0.45mm
フィラメント径:25~60μm
【0110】
短繊維を、50%:50%の割合で混合した。次に、短繊維にカード加工を施し、クロスラップし、ニードリングした。使用したニードルは、Groz-Beckert 36gg細ニードルで、総ニードリング強度は、350本/cmであった。ニードリング深さを、両面とも10mmに設定した。ニードリングされた材料を、その後、200℃まで加熱した通気オーブンに10℃/分の速度で通した。このニードリングされた材料の加熱によって、二成分系繊維を活性化させた。これにより、オーブンから出てきた材料が剛性を示すようになった。それにより、コア層4を製造した。次に、このコア層4を一対のカレンダーローラーに通して、CoPET接着層3および5ならびに外層2および6を両面に導入した。カレンダー圧を両面で25バールに設定し、温度を200℃に設定し、それにより不織布積層体を製造した。この不織布積層体では、すべての層2~6が互いに融着している。層2~6のいずれも、他のいずれの層とも機械的に結合されていない。製造された積層体を、次いでシート状に切断した。
【0111】
成形および成形:
シート状に切断した材料を、210℃まで加熱したオーブンに3分間(通気オーブンの場合)または1分間(赤外線オーブンの場合)投入した。材料は、熱により軟化した。その後、これを直ちに冷間プレスに移し、そこで材料を高圧(50トン以上)で成形した。
【0112】
音響測定:
製造された成形部品の試料を、Alpha-Cabinと称される装置でその音響特性について試験した。Alpha-Cabin内で、試験試料を、壁または底部の近傍に2mmのエアギャップをあけて置く。その後、キャビン内の一連のセンサによって試料の吸収係数を測定する。成形厚3mm、4mmおよび5mmの試料に対するAlpha-Cabin試験の結果を、以下の表1に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
図6に、厚さ3mm、4mmおよび5mmの平坦に成形された試料の結果を、印加した音の周波数(横軸)対吸収係数α(縦軸)でグラフにより示す。音の吸収係数αが高いほど、試験試料の音響性能は優れている。試験試料の厚さが増すにつれて、音の吸収係数が増加することがわかる。
【0115】
実施例2 - 冷間成形法
冷間成形法で、不織布積層体を、目付に応じて180℃~220℃の温度範囲で1~5分間予熱する。これは、バインダーとして作用する低融点コポリエステルを活性化させるために行う。バインダーを活性化させることで、バインダーが溶融し、バージンPET繊維または再生PET繊維の間に、ある種のグルーを形成する。これは、短繊維不織布層とスパンボンド不織布層との間のグルーとしても作用する。活性化後、不織布積層体を圧縮金型に入れる。そして、圧縮金型により、不織布積層体のすべてまたは一部を50トン~200トンのトン数で圧縮することができる。不織布積層体を、最大で60秒間金型内に留まらせる。圧縮された不織布積層体を金型内または金型外で冷やして、短繊維およびスパンボンド構造中のコポリエステル繊維をその融点を下回る温度に冷やす。その後、不織布積層体を最終形状に変換させる。材料の最終的な厚さは、意図する用途の要件に応じて2mm~6mmである。その後、不織布積層体を必要に応じてトリミングするが、これは機械的、熱的またはウォータージェット切断によって達成することができる。
【0116】
【表2】
【0117】
表2において、「短繊維のみ」の試料は、50%の再生ポリエステル短繊維と残りの50%のPET二成分系繊維とから構成される厚さ2mmの単層のニードリングされたPETウェブであった。この二成分系繊維は、PETコアと、75℃~230℃の範囲の融点を有するPET共重合体シースとを有していた。
【0118】
「ニードリングされたスパンボンドを有するSF」とは、米国特許出願公開第2016/0288451号明細書の開示に従った層状構造体を指す。この層状構造体は、目付90g/mの2つのPETスパンボンド外層と、目付800g/mのニードリングされたPET短繊維の中間層とを有していた。これらの2つのPETスパンボンド外層を、ニードリングされたPET短繊維の中間層に、ニードリングにより結合させた。それにより、これらの2つのPETスパンボンド外層を、ニードリングされたPET短繊維の中間層に機械的に結合させた。これらの層同士の融着は起こらなかった。この層状構造体は、7.0mmの初期全厚を有していた。その後、この層状構造体を最終厚2mmまで圧縮成形した。
【0119】
「不織布積層体」とは、本発明による不織布積層体を指すが、ただし層(F)は含まない。不織布積層体は、目付90g/mの2つのPETスパンボンド外層と、目付800g/mのニードリングされた熱硬化PET短繊維の中間層とを有していた。これらの2つのPETスパンボンド外層を、ニードリングされた熱硬化PET短繊維の中間層に融着させた。これらの層同士の機械的結合は起こらなかった。この不織布積層体は、7.0mmの初期全厚を有していた。その後、この不織布積層体を最終厚2mmまで圧縮成形した。密度650g/mのニードリングされた短繊維を、熱硬化のためにオーブンに送った。熱硬化により収縮が生じた。収縮後、所望の800g/mの重量が得られた。スパンボンドは、ニードリングによりコアに結合されているのではなく、融着されている。使用したスパンボンドはコポリエステルの量が多く、これにより、層間のより良好な結合性が保証された。
【0120】
表2からわかるように、機械的特性試験の結果から、不織布積層体試料によって、曲げ強さ、引裂強さおよび引張強さが著しく向上することが確認された。理論に束縛されるものではないが、曲げ強さが向上した理由は、多量のバインダー材料が存在し、これにより、スパンボンドが平坦面を生成するのに十分にまっすぐに保持されるためであると考えられる。スパンボンド中のカレンダー加工された連続フィラメントにより、スパンボンドを含めること自体が引裂強さの向上に役立っている。
【0121】
実施例3 - 熱間成形法
熱間成形法では、不織布積層体を、一対の熱間圧縮金型プレートの間に配置する。その後、プレートを、材料厚より小さい所望の厚さまで閉鎖させる。例えば、不織布積層体の厚さが6mmの場合、プレート間の厚さは、2mm~5mmである。成形プレートを、180℃~220℃の範囲の温度に加熱する。その後、不織布積層体を、目付に応じて1~3分間圧縮することにより、低融点コポリエステル(またはバインダー)を活性化させる。バインダーを活性化させることで、バインダーが溶融し、バインダーが、バージンPET繊維または再生PET繊維の間にグルーを形成する。またこれは、短繊維とスパンボンドとの間のグルーとしても作用する。不織布積層体のすべてまたは一部の圧縮を、50トン~200トンのトン数で行うことができる。圧縮された不織布積層体を金型内または金型外で冷やして、短繊維およびスパンボンド構造中のバインダー繊維をその融点を下回る温度に冷やす。その後、不織布積層体を最終形状に変換させる。材料の最終的な厚さは、意図する用途の要件に応じて2mm~6mmである。その後、不織布積層体を必要に応じてトリミングするが、これは機械的、熱的またはウォータージェット切断によって達成することができる。
【0122】
【表3】
【0123】
「短繊維」、「ニードリングされたスパンボンドを有するSF」および「不織布積層体」は、実施例2に記載したものと同一であった。表3からわかるように、不織布積層体試料について曲げ強さ、引裂強さおよび引張強さの著しい向上が確認される表2と同様の傾向が認められる。曲げ強さおよび引張強さの値は、冷間成形試料よりも熱間成形試料の方が高い。理論に束縛されるものではないが、これは、プレートの高温表面が試料に直接接触し、これが今度は繊維を溶融させ、ニードリングされたウェブの両面に薄いプラスチックシートを形成するためであると考えられる。
【0124】
実施例4 - 重量の変化
厚さ2mmの成形不織布積層体試料について、1000、1200および1400g/mの様々な重量で機械的特性も試験した。試験結果を表4に示す。
【0125】
【表4】
【0126】
表4からわかるように、目付に対する機械的特性の線形的な増加が観察された。スパンボンドの重量は同一のままであるため、重量が高いほど短繊維の量が多いことを意味する。短繊維の量が多いほど、二成分系繊維のパーセンテージが高くなり、したがってバインダー材料が多くなり、その結果、剛性が高くなり、機械的特性値が向上する。
【0127】
実施例5(比較) - 機械的に結合された不織布積層体
図7a、図7bおよび図7cは、米国特許出願公開第2016/0288451号明細書に従って製造されたニードリングされた不織布の顕微鏡写真である。その繊維層は、ニードリングによって機械的に接合されており、すなわち、互いに機械的に結合されている。参照数字14は、ニードリングに起因する繊維密度の低い領域を示す。ある層(コア層)の一部の繊維が隣接する層(スパンボンド外層)に延び、それに入り込んでいることがわかる。それにより、それぞれの繊維の交絡が形成され、これが2層間の機械的結合につながる。このような結合は、層状構造体のさらなる圧縮および成形時に変形を引き起こしかねず、その結果、波打った外観(象皮)を有する平坦でない生成物が生じる。
【0128】
本発明の不織布積層体は、積層体の各層を互いに専ら融着させることにより、このような欠点を回避することができる。したがって、本発明の積層体には機械的結合は存在せず、融着した層のみが存在する。
【0129】
実施例6:機能層(F)を有する不織布積層体
片面に機能層(F)を有する不織布積層体を製造した。以下の層を、互いに融着させた:
層(A)スパンボンド(PET/CoPET)100%BiCo
層(C)ニードルパンチ材(r-PET50%+PET/CoPET Bico50%)
層(E)スパンボンド(PET/CoPET)100%BiCo
層(F):PET不織布 - PET80%およびBiCoPET/CoPET20%、ニードルパンチ加工し、様々な設計でエンボス加工を施したもの。
【0130】
まず、層(C)のニードリングされた材料を210℃で熱硬化させてシート状にし、次いで、両面のスパンボンド材料(A)および(E)と、側面(E)の上のPET不織布層(F)とを積層する。スパンボンド層(E)中のCoPETの存在は、PET不織布とコア層(C)のPET不織布との結合に役立ち、かつ/または低融点CoPET不織布(B)および(D)を導入して両層を結合させることができる。
【0131】
総じて、層(F)を有する不織布積層体は、さらなる層(F)を有しない対応する不織布積層体について上記実施例1~5で概説したとおりに製造し、成形することができる。
【0132】
実施例7:自動車内装用途の構造部品の成形
片面に機能層(F)を有する実施例6による不織布積層体を、成形部品に変換させた。
【0133】
冷間成形
シート状に切断した不織布積層体部品を、オーブン内に190℃で3分間置いた後、直ちに冷間成形工具に移し、100トンで1分間プレスする。その後、成形部品を工具から取り出し、縁部をトリミングして最終生成物とする。
【0134】
熱間成形
シート状に切断した不織布積層体部品を、熱間成形器具内に190℃で90秒間置き、100トンでプレスする。その後、成形部品を工具から取り出し、縁部をトリミングして最終生成物とする。
【0135】
成形部品の特性
層(F)は、不織布積層体および成形部品の特性を向上させることができる。具体的には、さらなる層(F)が、クッション効果、音響特性、個別化を伴う光学特性および機械的特性を向上させ得ることが判明した。不織布積層体は成形可能であり、100%再生可能である。層(F)は、少なくとも部分的に再生材料から提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(A);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(B)であって、前記不織布層(B)は、不織布層(A)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、スパンボンド不織布層(B);
- 以下:
・単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維(c1)、および
・少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、多成分系短繊維(c2)
を含む、ニードリングされた短繊維不織布層(C);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含む任意のスパンボンド不織布層(D)であって、前記不織布層(D)は、不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有するものとする、スパンボンド不織布層(D);
- ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含むスパンボンド不織布層(E);
- 単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維および/または多成分系繊維を含む不織布層(F)であって、前記多成分系繊維は、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、不織布層(F);
を(A)から(F)の順序で含む不織布積層体において、すべての層が互いに融着している、不織布積層体。
【請求項2】
層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれも、他の層(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)のいずれとも機械的に結合されていない、請求項1記載の不織布積層体。
【請求項3】
層(F)が、単成分系ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維と多成分系繊維とからなり、前記多成分系繊維が、少なくともポリエチレンテレフタレート(PET)成分とコポリエステル成分とを含む、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項4】
層(F)が短繊維からなる、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項5】
層(F)がニードリングされている、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項6】
前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(A)の外面上にさらなる不織布層(F1)を含む、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項7】
前記不織布積層体が、層(E)と層(F)との間のさらなるスパンボンド不織布層(G)を含み、スパンボンド不織布層(G)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)とコポリエステルとを含む繊維を含み、前記不織布層(G)が、不織布層(E)よりも高いコポリエステル含有量を有する、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項8】
前記ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、熱収縮している、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項9】
前記不織布積層体が、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを含まない、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項10】
前記不織布積層体が、無機強化材、特にガラス繊維を含まない、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項11】
前記不織布積層体が、以下の特性:
- ISO 178:2019-04に準拠した曲げ強さが≧330MPaである;
- ASTM5034:2009に準拠した引張強さが≧780Nである;および/または
- DIN EN 29073-3:1992-08に準拠した引裂強さが≧110Nである
のうち少なくとも1つを有する、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項12】
層(A)、(B)、(C)、(D)および(E)のコポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、前記共重合体が、≦240℃の融点を有する、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項13】
層(A)および(E)が、10%~70%のコポリエステル、特に少なくとも30%のコポリエステルを含む、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項14】
前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)を含み、
- スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)の前記繊維がコポリエステルからなり;かつ/または
- スパンボンド不織布層(B)および/またはスパンボンド不織布層(D)が、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した1~100g/mの目付を有する、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項15】
ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、
- 単成分系短繊維(c1)10~90%および多成分系短繊維(c2)10~90%からなり、かつ/または
- DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した≦2900g/mの目付を有する、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項16】
- 層(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の前記コポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、前記共重合体が、160~240℃の融点を有し;
- 前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)およびスパンボンド不織布層(C)を含み、前記層がどちらもコポリエステルからなり、かつ前記層がどちらも、DIN EN 29073-1:1992-08に準拠した10~20g/mの目付を有し;かつ
- ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%からなる、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項17】
- 前記不織布積層体が、スパンボンド不織布層(B)もスパンボンド不織布層(D)も含まず;
- 層(A)、(C)および(E)の前記コポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートの共重合体であり、前記共重合体が、160~240℃の融点を有し;かつ
- ニードリングされた短繊維不織布層(C)が、単成分系短繊維(c1)40~60%および多成分系短繊維(c2)40~60%からなる、請求項1または2記載の不織布積層体。
【請求項18】
請求項1または2記載の不織布積層体を含む、成形物品。
【請求項19】
請求項18記載の成形物品を含む内装品であって、好ましくは乗物用の内装品において、前記内装品は、好ましくはパネル、ケーシング、被覆材、強化材または板材であり、好ましくはドア、屋根、トランクまたはシート用のパネル、ケーシング、被覆材、強化材または板材である、内装品。
【請求項20】
内装品、好ましくは乗物用の内装品への、請求項1または2記載の不織布積層体または成形物品の使用。
【請求項21】
請求項1または2記載の不織布積層体の製造方法であって、
- ニードリングにより、ニードリングされた短繊維不織布層(C)を製造するステップと、
- 層(A)~(F)をこの順序で提供し、ここで、層(B)および(D)は任意であるものとするステップと、
- 層(A)~(F)を互いに融着させるステップと
を含む、方法。
【請求項22】
請求項18記載の成形物品の製造方法であって、
- 本発明の不織布積層体を提供するステップと、
- 前記不織布積層体を成形し、それにより成形物品を得るステップと
を含む、方法。
【外国語明細書】