(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005662
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/08 20060101AFI20240110BHJP
F24C 3/10 20060101ALI20240110BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240110BHJP
F24C 15/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F24C3/08 R
F24C3/10 G
F24C3/12 J
F24C15/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105935
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】垣内 資正
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 浩二
(57)【要約】
【課題】点火プラグや点火検知センサを損傷することなく、コンロ本体にトッププレートを組み付けることができるガスコンロを提供する。
【解決手段】トッププレート2に装着されたバーナリング13は、下方に向けて突出した規制ガイド17を備え、トッププレート2のバーナ用の開口が、バーナ本体10のバーナ部10aに対して芯合わせされている状態では、バーナ部10aに規制ガイド17が当接することなく、トッププレート2のコンロ本体への被着が可能となる一方、トッププレート2のバーナ用の開口が、バーナ部10aに対して芯ずれしている状態では、バーナ部10aに規制ガイド17の下端が当接して、トッププレート2のコンロ本体への被着が牽制阻止される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ本体を組み込んだコンロ本体の上面にトッププレートを被着し、前記トッププレートは、前記バーナ本体の端部に備えられたバーナ部が挿通される開口を備え、前記トッププレートには、挿通された前記バーナ部とトッププレートの開口との間に形成される環状の隙間を塞ぐバーナリングが装着され、前記バーナリングは、前記バーナ本体の前記バーナ部の外側に立設された点火プラグ又は点火検知センサを上下に挿通させる挿通部を備えるガスコンロにおいて、
前記バーナリングは、下方に向けて突設された規制ガイドを備え、
前記トッププレートの前記開口が、前記バーナ本体の前記バーナ部に対して芯合わせされている状態では、前記バーナ本体の前記バーナ部に前記規制ガイドの下端が当接することなく、トッププレートのコンロ本体への被着が可能となる一方、前記トッププレートの前記開口が、前記バーナ本体の前記バーナ部に対して芯ずれしている状態では、前記バーナ本体の前記バーナ部に前記規制ガイドの下端が当接して、トッププレートのコンロ本体への被着が牽制阻止される、
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記挿通部は、前記バーナリングの内周縁の外側に形成された挿通孔である、
請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記挿通部は、前記バーナリングの内周縁が切り欠かれた切欠き部である、
請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記規制ガイドは、前記点火プラグ又は点火検知センサの設置域を避けて、前記バーナ本体の前記バーナ部を取り囲むように部分円筒状に突設されている、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記規制ガイドは、前記バーナリングの内周縁に沿って突設されている、
請求項4に記載のガスコンロ。
【請求項6】
前記トッププレートの複数箇所に、複数の前記バーナ本体のバーナ部がそれぞれ挿通される前記開口を備えると共に、挿通された前記バーナ本体のバーナ部とトッププレートの開口との間に形成される環状の隙間をそれぞれ塞ぐバーナリングを複数備え、前記複数のバーナリングに前記規制ガイドがそれぞれ備えられている、
請求項5に記載のガスコンロ。
【請求項7】
前記規制ガイドの下端が前記バーナ本体の前記バーナ部に当接している状態において、前記バーナリングの最下端部位と前記バーナ本体のバーナ部の上端との上下方向間隔が、前記点火プラグ又は点火検知センサの前記バーナ本体の前記バーナ部の上端から上方への突出高さより大きくなるように前記規制ガイドの下方への突出寸法が設定されている、
請求項6に記載のガスコンロ。
【請求項8】
前記規制ガイドの下端が前記バーナ本体の前記バーナ部に当接している状態において、前記トッププレートにおけるバーナリング装着箇所近傍の最下端部位と、前記バーナ本体の前記バーナ部の上端との上下方向間隔が、前記点火プラグ又は点火検知センサの前記バーナ本体の前記バーナ部の上端から上方への突出高さより大きくなるように規制ガイドの下方への突出寸法が設定されている、
請求項6に記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火プラグの放電によって着火すると共に、点火検知センサによって点火の確認を行うようにしたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成のガスコンロとしては、例えば、特許文献1に示されているように、トッププレートに取り付けたバーナリングに小孔と切欠きを形成し、これら小孔や切欠きに点火プラグや点火検知センサを挿通配備するように構成したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のガスコンロを組み立て施工する場合、コンロ本体の内部にバーナ本体をはじめとする内蔵機器を組み付けた後、予めバーナリングを取付けたトッププレートを前後左右に位置合わせ移動させながらコンロ本体に載置して連結することになる。この場合、各コンロバーナにおいて、バーナリングの小孔、及び、切欠き部に、点火プラグと点火検知センサを挿通させることになるが、トッププレートをコンロ本体上に落とし込みながら前後左右に位置合わせする際、点火プラグや点火検知センサの先端にバーナリングやトッププレートをぶつけて損傷する虞があった。
【0005】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、点火プラグや点火検知センサを損傷することなく、コンロ本体にトッププレートを組み付けることができるガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0007】
(1)本発明に係るガスコンロは、バーナ本体を組み込んだコンロ本体の上面にトッププレートを被着し、前記トッププレートは、前記バーナ本体の端部に備えられたバーナ部が挿通される開口を備え、前記トッププレートには、挿通された前記バーナ部とトッププレートの開口との間に形成される環状の隙間を塞ぐバーナリングが装着され、前記バーナリングは、前記バーナ本体の前記バーナ部の外側に立設された点火プラグ又は点火検知センサを上下に挿通させる挿通部を備えるガスコンロにおいて、
前記バーナリングは、下方に向けて突設された規制ガイドを備え、
前記トッププレートの前記開口が、前記バーナ本体の前記バーナ部に対して芯合わせされている状態では、前記バーナ本体の前記バーナ部に前記規制ガイドの下端が当接することなく、トッププレートのコンロ本体への被着が可能となる一方、前記トッププレートの前記開口が、前記バーナ本体の前記バーナ部に対して芯ずれしている状態では、前記バーナ本体の前記バーナ部に前記規制ガイドの下端が当接して、トッププレートのコンロ本体への被着が牽制阻止される。
【0008】
本発明によると、トッププレートをコンロ本体への組付け被着する時に、トッププレートの開口が、バーナ本体のバーナ部に対して芯ずれしている状態では、トッププレートのコンロ本体への落とし込み被着が牽制阻止されて、点火プラグや点火検知センサがバーナリングやトッププレートにぶつかって損傷することが防止されるので、芯合わせに細かい注意を払う必要がない。これによって、トッププレートのコンロ本体への被着がし易く、施工し易いガスコンロとなる。
【0009】
(2)本発明の一実施態様では、前記挿通部は、前記バーナリングの内周縁の外側に形成された挿通孔である。
【0010】
この実施態様によると、点火プラグ又は点火検知センサは、バーナリングの内周縁の外側に形成された挿通孔を上下に挿通する。
【0011】
(3)本発明の他の実施態様では、前記挿通部は、前記バーナリングの内周縁が切り欠かれた切欠き部である。
【0012】
この実施態様によると、点火プラグ又は点火検知センサは、バーナリングの内周縁が切り欠かれた切欠き部を上下に挿通する。
【0013】
(4)本発明の好ましい実施態様では、前記規制ガイドは、前記点火プラグ又は点火検知センサの設置域を避けて、前記バーナ本体の前記バーナ部を取り囲むように部分円筒状に突設されている。
【0014】
この実施態様によると、部分円筒状の規制ガイドは、トッププレートが前後左右に大きくずれても、バーナ部の円形の上端に当接して受止められることになり、芯合わせに注意を払う必要なく、トッププレートの組付け作業を円滑に行うことができる。
【0015】
(5)本発明の一実施態様では、前記規制ガイドは、前記バーナリングの内周縁に沿って突設されている。
【0016】
この実施態様によると、点火プラグや点火検知センサに近い位置で、規制ガイドによる当接規制が行われるので、点火プラグや点火検知センサと、バーナリングの挿通部との位置合わせを精度よく行うことができ、点火プラグや点火検知センサの接触損傷をもたらすことのないトッププレートの組み付け被着が可能となる。
【0017】
(6)本発明の他の実施態様では、前記トッププレートの複数箇所に、複数の前記バーナ本体のバーナ部がそれぞれ挿通される前記開口を備えると共に、挿通された前記バーナ本体のバーナ部とトッププレートの開口との間に形成される環状の隙間をそれぞれ塞ぐバーナリングを複数備え、前記複数のバーナリングに前記規制ガイドがそれぞれ備えられている。
【0018】
この実施態様によると、複数の異なる箇所の各バーナリングには、規制ガイドがそれぞれ備えられているので、離れた複数箇所での位置合わせが行われることになり、例えば、一箇所で、芯合わせされた状態で回転ずれが生じたようなときには、他の箇所では、規制ガイドによる当接規制が行われることになる。これによって、トッププレート全体を前後左右に正しく位置決めすることができる。
【0019】
(7)本発明の好ましい実施態様では、前記規制ガイドの下端が前記バーナ本体の前記バーナ部に当接している状態において、前記バーナリングの最下端部位と前記バーナ本体のバーナ部の上端との上下方向間隔が、前記点火プラグ又は点火検知センサの前記バーナ本体の前記バーナ部の上端から上方への突出高さより大きくなるように前記規制ガイドの下方への突出寸法が設定されている。
【0020】
この実施態様によると、トッププレートをコンロ本体に落とし込み被着する際に、トッププレートがコンロ本体に対して平面的に位置ずれして、規制ガイドの下端がバーナ本体のバーナ部に当接した状態では、バーナリングの最下端部位は、点火プラグ、あるいは、点火検知センサより高い位置にあり、点火プラグ、あるいは、点火検知センサが、バーナリングの最下端部位に接触して損傷することはない。
【0021】
(8)本発明の一実施態様では、前記規制ガイドの下端が前記バーナ本体の前記バーナ部に当接している状態において、前記トッププレートにおけるバーナリング装着箇所近傍の最下端部位と、前記バーナ本体の前記バーナ部の上端との上下方向間隔が、前記点火プラグ又は点火検知センサの前記バーナ本体の前記バーナ部の上端から上方への突出高さより大きくなるように規制ガイドの下方への突出寸法が設定されている。
【0022】
この実施態様によると、トッププレートをコンロ本体に落とし込み被着する際に、トッププレートがコンロ本体に対して平面的に位置ずれして、規制ガイドの下端がバーナ本体のバーナ部に当接した状態では、トッププレートにおけるバーナリング装着箇所近傍の最下端部位は、点火プラグ、あるいは、点火検知センサより高い位置にあり、点火プラグ、あるいは、点火検知センサがトッププレートにおけるバーナリング装着箇所近傍の最下端部位に接触して損傷することはない。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明によれば、トッププレートをコンロ本体へ組付け被着する時に、トッププレートの開口が、バーナ本体のバーナ部に対して芯ずれしている状態では、トッププレートのコンロ本体への落とし込み被着が牽制阻止されて、点火プラグや点火検知センサがバーナリングやトッププレートにぶつかって損傷することが防止されるので、芯合わせに細かい注意を払う必要がなくなり、トッププレートのコンロ本体への被着がし易く、施工し易いガスコンロとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係るガスコンロの全体斜視図である。
【
図5】
図5はトッププレートを取り外したガスコンロの平面図である。
【
図6】
図6はトッププレートを表面側から見た斜視図である。
【
図7】
図7はトッププレートの一部を拡大した斜視図である。
【
図11】
図11はトッププレートを裏面側から見た斜視図である。
【
図12】
図12は本実施形態の要部の寸法関係を模式的に示した断面図であり、(a)はトッププレート2を組み付ける途中の状態、(b)はトッププレート2が正しく組み付けられた状態、(c)はトッププレート2が芯ずれした状態をそれぞれ示している。
【
図13】
図13は他の実施形態の要部の寸法関係を模式的に示した断面図であり、(a)はトッププレート2を組み付ける途中の状態、(b)はトッププレート2が正しく組み付けられた状態、(c)はトッププレート2が芯ずれした状態をそれぞれ示している。
【
図14】
図14は本発明の他の実施形態の
図13に対応する摸式的な断面図であり、(a)はトッププレート2を組み付ける途中の状態、(b)はトッププレート2が正しく組み付けられた状態、(c)はトッププレート2が芯ずれした状態をそれぞれ示している。
【
図15】
図15は芯合わせのための透明シールを備えたトッププレートを表面側から見た斜視図である。
【
図16】
図16は透明シールが貼られたバーナリング部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るガスコンロを説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスコンロの全体斜視図であり、
図2は、コンロ部の斜視図である。
図3及び
図4は、コンロ部の縦断側面図及び縦断正面図である。
【0027】
この実施形態では、3つのコンロ部とグリルとを備えたビルトイン型のガスコンロに適用して説明する。
【0028】
この実施形態のガスコンロは、
図5の平面図に示すように、上方に全面開放された箱状に形成されたコンロ本体1の上に、
図6に示されるガラス天板と枠体で構成されたトッププレート2が載置被着されて構成される。この実施形態のガスコンロは、トッププレート2における手前側の左右2箇所と奥側の1箇所にコンロ部3が備えられると共に、コンロ本体1の左右中央部位にグリル4が組み込まれたグリル付きの三つ口タイプに構成されている。
【0029】
手前側左右のコンロ部3は、高火力のコンロバーナ5を備え、奥側のコンロ部3は、小火力のコンロバーナ5を備えている。更に、各コンロ部3は、放電式の点火プラグ6、熱電対利用の点火検知センサ7、及び、鍋底温度検知センサ8を備えている。また、トッププレート2の上面には、コンロ部3毎に五徳9が載置されている。
【0030】
コンロバーナ5は、燃焼ガスと吸引空気を混合して吐出する、例えば、SUS製のプレス構造のバーナ本体10と、このバーナ本体10の上端部のバーナ部10aに上方から嵌合装着される鋳鉄製やアルミダイキャスト製のバーナキャップ11とを備えている。コンロバーナ5では、供給された混合ガスが、バーナ部10aとバーナキャップ11の周部下面と間に断続して形成された炎口から吐出されて燃焼するようになっている。
【0031】
バーナ本体10のバーナ部10a、及び、このバーナ部10aの上端面に載置されるバーナキャップ11の中心部に、鍋底温度検知センサ8が、上下伸縮自在に挿通配備されると共に、点火プラグ6と点火検知センサ7が、バーナ本体10の所定位置に取り付けられている。
【0032】
なお、点火プラグ6の先端が、
図2に示すように、バーナキャップ11の周部に設けた突片11aに、所定の間隙をもって下方から対向するよう配備されている。この点火プラグ6の先端と突片11aとの間に発生する火花放電によって点火がなされる。
【0033】
トッププレート2には、各コンロバーナ5に対応してバーナリング13が取り付けられている。バーナリング13は、トッププレート2のバーナ用の円形の開口と、これに挿通される平面視円形のバーナ部10aの間に形成される環状の隙間を塞ぐものである。このバーナリング13は、下向きに突設された円環状の取付けリブ13aを介してトッププレート2のバーナ用の開口に落とし込み装着され、下面側から固定金具14を取付けリブ13aに係止作用させることで、バーナリング13が、トッププレート2に所定の姿勢向きで固定されるようになっている。
【0034】
手前側2つのコンロ部3においては、バーナリング13に、
図7の斜視図に示すように、挿通部として、バーナリング13の内周縁の外側に小孔15と、内周縁が切欠かれた切欠き部16とがそれぞれ形成されている。これらに、バーナ本体10に取り付けられた点火プラグ6と点火検知センサ7がそれぞれ挿通されている。また、奥側のコンロ部3においては、
図6に示すように、挿通部として2つの切欠き部16が形成され、両切欠き部16に点火プラグ6と点火検知センサ7がそれぞれ挿通されている。
【0035】
上記構成のガスコンロを組み立て施工する場合、バーナ本体10をはじめとする各種の内蔵機器及び部材をコンロ本体1の内部に組み付けた後、予めバーナリング13が装着されたトッププレート2を、前後左右に位置合わせ移動させながらコンロ本体1に落とし込み被着する。
【0036】
この場合、各コンロバーナ5において、トッププレート2のバーナ用の円形の開口の中心線と、バーナ本体10の平面視円形のバーナ部10aの中心線とを一致させる芯合わせ、すなわち、位置合わせを行って、バーナリング13の小孔15、及び、切欠き部16に、点火プラグ6と点火検知センサ7を挿通させることになるが、この位置合わせの際に、芯ずれが生じると、点火プラグ6や点火検知センサ7の先端にバーナリング13やトッププレート2の下面側部位をぶつけて屈曲変形したり、損傷する虞がある。
【0037】
本実施形態では、トッププレート組み付け時における上記不具合を解消するために以下のように構成している。
【0038】
図8は、トッププレートの平面図であり、
図9は、
図8におけるX-X断面図であり、
図10は、
図8におけるY-Y断面図である。
図11は、トッププレートを裏面側から見た斜視図である。
【0039】
この実施形態では、バーナリング13の下面には、バーナ部10aが挿通される中央部の開口の口縁から下方に向けて突設されて、トッププレート2の組付けを規制すると共に、案内する規制ガイド17を備えている。この規制ガイド17は、点火プラグ6や点火検知センサ7と干渉しないように、それらの設置域を避けた部分円筒状に、バーナリング13の内周縁に沿って設けられている。
【0040】
トッププレート2がコンロ本体1に正しく位置決め連結された状態、つまり、バーナ本体10におけるバーナ部10aに対して、トッププレート2のバーナ用の開口が同芯に位置合わせされている状態では、上記
図3,
図4に示すように、バーナリング13の内周上端部が、バーナ部10aの外周にほぼ隙間なく取り囲まれるように、規制ガイド17の内径が設定されている。
【0041】
また、バーナ本体10におけるバーナ部10aに対して、トッププレート2のバーナ用の開口が同芯に位置合わせされている状態では、点火プラグ6及び点火検知センサ7が、バーナリング13の小孔15、及び、切欠き部16にそれぞれ正しく挿通される。
【0042】
この実施形態によると、バーナ部10aに対してバーナリング13が水平方向に芯ずれした状態でトッププレート2がコンロ本体1に組み付けられようとすると、規制ガイド17の下端が、バーナ部10aの上端面に載り掛かるように当接して、トッププレート2をそれ以上に落とし込むことが不能となる。
【0043】
この時、トッププレート2のバーナ部10a近傍の下面が、点火プラグ6や点火検知センサ7の先端より上方に位置していれば、点火プラグ6や点火検知センサ7の先端がバーナリング13やトッププレート2に接触することを回避することが可能となるものであり、この条件を満たすように規制ガイド17の下端の突出高さが設定されている。
【0044】
なお、規制ガイド17の内周面は、型抜き時の抜け勾配を兼ねて下拡がりのテーパ面に形成されており、この内周面でバーナ部10aを案内することで、バーナリング13をバーナ部10aに芯合わせしながら円滑に挿嵌することができる。
【0045】
図12は、本実施形態の要部の寸法関係を模式的に示した断面図であり、(a)は、トッププレート2を組み付ける途中の状態、(b)は、トッププレート2が正しく組み付けられた状態、(c)は、トッププレート2が芯ずれした状態、すなわち、トッププレート2のバーナ用の円形の開口の中心線と、バーナ本体10の平面視円形のバーナ部10aの中心線とがずれている状態を示している。この
図12では、点火プラグ6及び点火検知センサ7の内、点火プラグ6を代表的に示している。
【0046】
ここで、(c)に示すように、規制ガイド17の下端がバーナ部10aの上端面に載り掛かるように当接した状態における、トッププレート2の下面とバーナ部10aの上面との上下方向での間隔をA1、バーナ部10aの上端面から点火プラグ6の上方への突出高さをBとすると、A1>Bとなるように規制ガイド17の下方へ突出高さを設定することで、トッププレート組み付け時に、点火プラグ6の先端が、トッププレート2に接触することを回避することが可能となる。
【0047】
なお、この実施形態では、バーナリング13を、トッププレート2に固定するための、
図9等に示される固定金具14の下面が、トッププレート2の下面よりも下方に位置するので、上下方向での前記間隔A1は、バーナ部10aの上面と固定金具14の下面との間隔となる。
【0048】
この
図12は、上記のように、点火プラグ6を代表的に示しており、点火プラグ6のバーナ部10aの上端面から上方への突出高さに比べて、点火検知センサ7のバーナ部10aの上端面から上方への突出高さが大きいときには、前記Bとして、点火検知センサ7のバーナ部10aの上端面から上方への突出高さを採用する。
【0049】
なお、上記実施形態では、バーナリング13の規制ガイド17を除く最下端部が、トッププレート2の下面より上方に位置しているが、バーナリング13の規制ガイド17以外の最下端部が、トッププレート2の下面より下方に位置している構成では、規制ガイド17の寸法設定を次のようにすればよい。
【0050】
図13は、
図12に対応する要部の寸法関係を模式的に示した断面図であり、(a)は、トッププレート2を組み付ける途中の状態、(b)は、トッププレート2が正しく組み付けられた状態、(c)は、トッププレート2が芯ずれした状態を示している。
【0051】
この場合は、(c)に示すように、規制ガイド17の下端がバーナ部10aの上端面に載り掛かるように当接した状態における、バーナリング13の規制ガイド17以外の最下端部とバーナ部10aの上端面との上下方向での間隔をA2、バーナ部10aの上端面から点火プラグ5の上方への突出高さをBとすると、A2>Bとなるように規制ガイド17の下方へ突出高さを設定することで、トッププレート組み付け時に、点火プラグ6の先端が、バーナリング13の最下端部に接触することを回避することが可能となる。
【0052】
このように本実施形態によれば、トッププレート2をコンロ本体1への組付け被着する際には、トッププレート2のバーナ用の開口がバーナ本体10のバーナ部10aに対して芯ずれしている状態では、規制ガイド17の下端が、バーナ部10aの上端面に当接して、トッププレート2をそれ以上に落とし込むことができないので、点火プラグ6や点火検知センサ7がバーナリング13やトッププレート2にぶつかって損傷することが防止される。これによって、トッププレート2のコンロ本体1への被着がし易く、施工し易いガスコンロとなる。
【0053】
[その他の実施形態]
(1)本発明は、3つ口タイプのみならず、1つ口タイプ、2つ口タイプ、あるいは、4つ口タイプなどのガスコンロに適用することもできる。
【0054】
2つ口以上のタイプのガスコンロでは、複数のコンロ部のバーナリングに規制ガイドを備えることで、離れた複数箇所での位置合わせが行われることになり、例えば、或る箇所のコンロ部で、芯合わせされた状態で回転ずれが生じたときには、他の箇所のコンロ部では、規制ガイドによる当接規制が行われることになる。これによって、トッププレート全体を前後左右に正しく位置決めすることができ、全てのコンロ部において、点火プラグや点火検知センサの接触損傷をもたらすことなくトッププレートをコンロ本体に落とし込み被着することができる。
【0055】
(2)前記規制ガイド17は必ずしも部分円筒状である必要はなく、また、バーナリング13と同一材料で構成する必要はない。例えば、
図14に示すように、バーナ部10aの外周部に規制金具20を取付け固定すると共に、バーナリング13の下面にピン状の規制ガイド17を打ち込み垂下した形態で実施することもできる。
【0056】
この構成によると、2つのコンロ部3において、トッププレート2のバーナ用の開口が、バーナ部10aに対して正しく同芯に位置決めされていれば、規制ガイド17が規制金具20の透孔21に挿通されると共に、点火プラグ6及び点火検知センサ7が、バーナリング13の小孔15、及び、切欠き部16にそれぞれ正しく挿通される。また、トッププレート2のバーナ用の開口が、バーナ部10aに対して水平方向に芯ずれすると、規制ガイド17が透孔21から外れて、規制金具20の上面に載り掛かるように当接してしまい、トッププレート2のそれ以上の落とし込みが不能となる。この時、点火プラグ6及び点火検知センサ7の先端がバーナリング13やトッププレート2に接触することはない。
【0057】
(3)トッププレート組み付け工程における位置決めを、透明なシールを使用して行うようにしてもよい。
【0058】
すなわち、
図15、
図16に示すように、例えば、手前側に位置する左右のバーナリング13の上面に、中心に鍋底温度検知センサ8が挿通可能な大きさの位置合わせ用の透孔18を備えた樹脂などからなる透明シール19を貼り付けておき、トッププレート2の組付けに際して、
図17に示すように、左右のコンロバーナ5における鍋底温度検知センサ8が、対応するバーナリング13に貼り付けられている透明シール19の透孔18に同芯に挿通するようにトッププレート2をコンロ本体1に接近させる。これによって、トッププレート2全体を3箇所のバーナ部10aにおいて前後左右に正しく位置決めすることができる。
【0059】
上記位置決め操作が完了すると、各点火プラグ6及び点火検知センサ7は、バーナリング13の小孔15、及び、切欠き部16にそれぞれ正しく対向することになり、透明シール19をバーナリング13の上面から剥離除去した後、トッププレート2をコンロ本体1に落とし込むことで、各点火プラグ6及び点火検知センサ7を、対応するバーナリング13の小孔15、及び、切欠き部16にそれぞれ正しく挿通させることができる。
【0060】
なお、透孔18の口縁を縁取る環状のマークを透明シール19に付したり、透明シール19自体を有色の透明シールにしておくと、透孔18を明瞭に視認することができ、透孔18と鍋底温度検知センサ8との芯合わせが一層容易なものとなる。
【0061】
透明シール19は、少なくとも1つのバーナリング13の上面に貼り付けるようにすればよい。
【0062】
なお、このような透明シールを使用した位置合わせを行う場合には、上記のバーナリング13における規制ガイド17は省略してもよい。
【0063】
また、透明シール19の透孔18のサイズは、鍋底温度検知センサ8が挿通可能な大きさであればよく、特に制限はないが、円形の透孔18と、この透孔18を挿通する円形の鍋底温度検知センサ8とのクリアランス(隙間)が、円形の小孔15と、この小孔15を挿通する円形の点火プラグ6とのクリアランス(隙間)未満、あるいは、略円形の切欠き部16と、この切欠き部16を挿通する円形の点火検知センサ7とのクリアランス(隙間)未満となる大きさであるのが好ましい。
【符号の説明】
【0064】
1 コンロ本体
2 トッププレート
3 コンロ部
5 コンロバーナ
6 点火プラグ
7 点火検知センサ
10 バーナ本体
10a バーナ部
13 バーナリング
15 小孔(挿通部)
16 切欠き部(挿通部)
17 規制ガイド