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特開2024-56623磁気源の位置、又は一様な磁場の配向を決定するための装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056623
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】磁気源の位置、又は一様な磁場の配向を決定するための装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/14 20060101AFI20240416BHJP
   G01R 33/07 20060101ALI20240416BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01D5/14 E
G01R33/07
G01R33/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145765
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】22200940
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523343581
【氏名又は名称】マグラブ エージー
【氏名又は名称原語表記】maglab AG
【住所又は居所原語表記】Guterstrasse 141, 4053 Basel, Switzerland (CH)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】マーカス ルース
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル ビルバオ
【テーマコード(参考)】
2F077
2G017
【Fターム(参考)】
2F077AA27
2F077JJ07
2F077JJ24
2G017AA02
2G017AA03
2G017AB09
2G017AD53
2G017BA05
2G017BA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁気源の位置を決定することが可能な、又は実質的に均一な磁場の配向を決定することが可能であるセンサデバイスを提供する。
【解決手段】センサーデバイス(1202)であって、複数のセンサー信号(h1,h2,h3,h4)を提供するように構成された複数の磁気センサー(H1,H2,H3,H4)を備える基板と、センサー信号を合成波形に合成するように構成された信号コンバイナ(MUX,Σ)と、合成波形から前記位置又は配向を抽出するように構成された処理回路とを備え、前記信号コンバイナはそれぞれの所定の持続時間(Δt11~Δt44)の間にセンサー信号の1つ又は複数の部分を含むことによって合成波形を生成するように構成され、前記持続時間(Δt11~Δt44)は較正手順の間に決定され、前記持続時間(Δt11~Δt44)のうちの少なくとも2つは異なる値を有する、センサーデバイス。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーデバイス(1202,1302,1402)であり、前記センサーデバイスに対して移動可能な又はその逆である磁気源の位置を決定するための、又は実質的に均一な磁場、例えば、地球磁場の配向を決定するための、センサーデバイスであって、
-複数の少なくとも2つのセンサー信号を提供するように構成された複数の少なくとも2つの磁気センサーを備える基板と、
-前記センサー信号(h1,h2,h3,h4)を合成波形(1231,1331,1431)に合成するように構成された信号コンバイナ(MUX,Σ)と、
-前記合成波形(1231,1331,1431)から前記位置又は配向を抽出するように構成された処理回路と、を備えるセンサーデバイスであって、
前記信号コンバイナ(MUX,Σ)は、それぞれの所定の持続時間(Δt11からΔt44)の間の前記センサー信号(h1,h2,h3,h4)の1つ又は複数の部分を含むことによって、前記合成波形(1231,1331,1431)を生成するように構成され、
前記所定の持続時間(Δt11からΔt44)は、較正手順中に決定され、
前記所定の持続時間(Δt11からΔt44)のうちの少なくとも2つは、異なる値を有する、ことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項2】
前記処理回路は、バンドパスフィルタ及び位相検出器を備える、請求項1に記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項3】
前記信号コンバイナ(MUX,Σ)は、所定の持続時間Tsを有するタイミングスキームに従って、前記合成波形(1231,1331,1431)を生成するように構成され、前記所定の持続時間は各々がTs/Nの持続時間を有するいくつかのタイミングウィンドウ(w1,w2,w3,w4)に分割され、Nはセンサーの数である、請求項1又は2に記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項4】
前記信号コンバイナ(MUX,Σ)は、それぞれのタイミングウィンドウ(w1,w2,w3,w4)において、センサー信号(h1,h2,h3,h4)の1つの部分のみを含むように構成される、請求項3に記載のセンサーデバイス(1202)。
【請求項5】
前記センサーの数は偶数であり、
前記センサーは、仮想円上で等距離に離間されており、
前記信号コンバイナ(MUX,Σ)は、各タイミングウィンドウ(w1,w2,w3,w4)において、2つの直径方向に対向するセンサーの部分を加算又は減算するように構成される、請求項3に記載のセンサーデバイス(1302)。
【請求項6】
前記信号コンバイナ(MUX,Σ)は、各タイミングウィンドウ(w1,w2,w3,w4)において、少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも4つのセンサー信号(h1,h2,h3,h4)の部分を加算又は減算するように構成される、請求項3に記載のセンサーデバイス(1402)。
【請求項7】
前記信号コンバイナ(MUX,Σ)は、各タイミングウィンドウ(w1,w2,w3,w4)において、各センサー信号(h1,h2,h3,h4)の部分を加算又は減算するように構成され、各部分が所定の持続時間(Δt11からΔt44)を有する、請求項6に記載のセンサーデバイス(1402)。
【請求項8】
加算又は減算される少なくとも2つの部分又は少なくとも3つの部分の前記持続時間(Δt11からΔt44)は、互いに異なる値を有する、請求項6又は7に記載のセンサーデバイス(1402)。
【請求項9】
前記磁気源(101)は、回転軸を中心に回転可能な永久磁石であり、
決定される前記位置は角度位置(φ)である、請求項1~8のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項10】
前記磁気源は、1つの極対を有するか、又は複数の交互の極を有する細長い構造体であり、
前記センサーデバイスは、一定の距離で前記磁気構造体に対して移動可能であり、
決定される前記位置は、前記細長い構造体に沿った線形位置(x)である、請求項1~8のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項11】
前記実質的に均一な磁場は、地球磁場であるか、又は少なくとも1つのコイルによって生成される磁場であり、
決定される前記配向は、基準配向に対する角度(φ)である、請求項1~8のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項12】
いくつか又はすべてのセンサーが前記基板に垂直な方向の磁場(Bz)を測定するように構成され、又は
いくつか又はすべてのセンサーが前記基板に平行な方向の磁場(Bx,By,Br,Bt)を測定するように構成され、又は
前記センサーの第一サブセットが前記基板に垂直な方向の磁場(Bz)を測定するように構成され、前記センサーの第二サブセットが前記基板に平行な方向の磁場(Bx,By,Br,Bt)を測定するように構成され、又は
いくつか又はすべてのセンサーが前記基板に平行な半径方向の磁場(Br)を測定するように構成され、又は
いくつか又はすべてのセンサーが前記基板に平行な周方向の磁場(Bt)を測定するように構成される、請求項1~11のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項13】
前記センサーは、少なくとも2つの異なる配向の磁場を測定するように構成される、請求項1~12のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項14】
前記センサー素子は仮想円上に位置し、任意選択的に等距離で離間される、請求項1~13のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のセンサーデバイス(1202,1302,1402)と、
前記磁気源(101)と、を備える位置センサーシステム。
【請求項16】
前記所定の持続時間(Δt11からΔt44)は、前記センサーデバイスと前記磁気源とを含むテストセットアップを用いて実行される較正手順中に決定される、請求項15に記載の位置センサーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、磁気センサーシステムの分野に関し、より詳細には、磁気源に対するセンサーデバイスの線形(又は、リニア/linear)位置又は角度位置を決定するための磁気位置センサーシステム及びデバイス、又は前記磁気センサーデバイスに対する実質的に均一な磁場の配向(又は、向き/orientation)を決定するための磁気センサーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気位置センサーシステム、特に線形又は角度位置センサーシステムは、当技術分野で知られている。これらのシステムの多くは、正弦信号及び余弦信号の測定に依存し、角度を計算するために逆正接関数を使用する。
【0003】
しかしながら、実際には、磁気センサーは完全ではなく、そのようなシステムで使用される磁石も完全ではない。磁気センサーは例えば、オフセット、利得ミスマッチ、位置誤差、配向誤差を有し得る。磁石は例えば、幾何学的な偏差、材料の不完全性、取り付けの不完全性(例えば、位置オフセット又は傾斜)を有することがあり、したがって、そのような磁石によって生成される磁場も理想的ではない。
【0004】
US8963540(B2)は、ホール効果に基づく角度配向センサー、並びに対応する方法及びデバイスを記載している。センサーデバイスは、複数のホールセンサーと、複数のセンサーからのホール電圧を連結して正弦波に近似する階段波信号を出力する配線ユニットWとを有する。センサーデバイスは、バンドパスフィルタBPFと、位相検出ユニットとをさらに備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、センサーデバイスに対して移動可能であるか、又はその逆である磁気源の位置(例えば、線形又は角度位置)を決定することが可能な、又は実質的に均一な磁場(例えば、地球磁場、又は少なくとも1つのコイルによって生成される磁場)の配向を決定することが可能であるセンサーデバイスを提供することである。
【0006】
また、本発明の実施形態の目的はそのようなセンサーデバイスと、例えば、永久磁石又は複数の交互の極(alternating pole)を有する細長い構造の形態の磁気源とを備えるセンサーシステムを提供することである。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、センサー及び/又は磁気源の欠陥にもかかわらず、改善された精度で位置を提供する、そのようなセンサーデバイス及びセンサーシステムを提供することである。
【0008】
本発明の実施形態の目的は比較的高いレート、例えば、少なくとも20kHz、又は少なくとも100kHz、又は少なくとも500kHz、又は少なくとも1MHz、又は少なくとも2MHz、又は少なくとも4MHz、又は少なくとも8MHzのレートで、前記位置又は配向を決定し得る、そのようなセンサーデバイス及びセンサーシステムを提供することである。
【0009】
本発明の実施形態の目的は、5000RPMまで、又は10000RPMまでの速度で回転する磁石の角度位置を、5°未満、又は4°未満、又は3°未満、又は2°未満、又は1°未満、又は0.5°未満、又は0.3°未満の絶対誤差で測定するための角度位置センサーシステムを提供することである。
【0010】
本発明の実施形態の目的は角度位置センサーデバイス及びシステムを提供することであり、デバイスは複数のホール素子を含むが、ホール素子はトリミングされない(例えば、感度ミスマッチ(又は、不整合/mismatch)、又はオフセットなどの他のセンサーの不完全性、又は非直交性などの幾何学的不完全性を補正するために)。
【0011】
本発明の実施形態の目的は、外乱場に対して低減された感度を有するそのようなセンサーデバイス及びセンサーシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これら及び他の目的は、本発明の実施形態によって達成される。
【0013】
第一態様によれば、本発明はセンサーデバイスに対して移動可能な又はその逆である磁気源の(例えば、線形又は角度)位置を決定するための、又は実質的に均一な磁場(例えば、地球磁場)の配向を決定するための、センサーデバイスを提供し、センサーデバイスは、複数の少なくとも2つのセンサー信号を提供するように構成された複数の少なくとも2つの磁気センサーを備える基板と、センサー信号を(例えば、単一の)合成波形に合成するように構成された信号コンバイナ(又は、信号合成器/signal combiner)と、合成波形から前記位置又は配向を抽出するように構成された処理回路と、を備え、信号コンバイナは、それぞれの所定の持続時間の間にセンサー信号の1つ又は複数の部分を含むことによって、合成波形を生成するように構成され、所定の持続時間は較正手順(calibration procedure)中に決定され、前記所定の持続時間のうちの少なくとも2つは異なる値を有する。
【0014】
較正手順の目的は、全体的な位置又は配向の誤差を低減するいくつかの(又は、複数の)持続時間を見つけることである。全体的な位置又は配向の誤差を低減するいくつかの持続期間のセットが存在し得ることに留意されたい(例えば、図12図13、及び図14において提案された3つの解決策を参照されたい)。
【0015】
較正は一定磁場(constant magnetic field)(例えば、コイルによって生成される)を使用して、チップレベルで(磁気源なしで)実行され得る。これらの較正値は、典型的にはセンサーの感度ミスマッチ、及びセンサー素子の非理想的な位置決めに関連する誤差を低減又は排除する。
【0016】
「実質的に均一な磁場の配向」とは、例えば、Eコンパス用途(E-compass application)における地球磁場の配向、又はコイルによって生成される磁場の配向を意味する。
【0017】
較正値はセンサーデバイスに接続された、又はセンサーデバイスに組み込まれた不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ)に記憶され得る。
【0018】
基板は、半導体基板であり得る。
【0019】
センサーデバイスは「チップ」とも呼ばれるパッケージに含まれてもよいが、それは絶対的に必要ではない。
【0020】
一実施形態では、処理回路がバンドパスフィルタ及び位相検出器を備える。
【0021】
位相検出は例えば、カウンタ及び比較器を使用して、又は他の既知の方法で、バンドパスフィルタ処理された信号のゼロ交差を検出することに基づくことができる。
【0022】
一実施形態では、信号コンバイナが、所定の持続時間Tsを有するタイミングスキームに従って前記合成波形を生成するように構成され、所定の持続時間Tsは各々がTs/Nの持続時間を有する複数のタイミングウィンドウに分割され、Nはセンサーの数である。
【0023】
所定の持続時間Tsはサンプリング周波数fsの逆数であり、ここで(例えば、線形又は角度)位置又は配向が提供される。fsの値は、20kHz~20MHz、又は50kHz~15MHz、又は100kHz~10MHz、例えば約1.0MHzに等しいか、又は約16.0MHzに等しい範囲の値であり得る。
【0024】
位相検出器のカウンタは、サンプリング周波数fsよりも少なくとも100倍速いクロック周波数fcで動作し得る。
【0025】
信号コンバイナ(例えば、マルチプレクサ又はスイッチ)は、サンプリング周波数fsよりも少なくとも100倍速いクロック周波数で動作され得る。
【0026】
好ましくは上記部分の持続時間(例えば、Δt11からΔt44)はタイミングウィンドウの持続時間の90%未満、又はタイミングウィンドウの持続時間の80%未満、又はタイミングウィンドウの持続時間の70%未満である。
【0027】
一実施形態では、信号コンバイナがそれぞれのタイミングウィンドウにおいてセンサー信号の1つの部分のみを含むように構成される。
【0028】
この実施形態の一例を図12に示す。例えば、第一タイミングウィンドウw1は持続時間Δt11を有する第一センサー信号h1の部分を有し、第二タイムウィンドウw2は、持続時間Δt22を有する第二センサー信号h2の部分を有する、などである。
【0029】
好ましくは、これらの部分は、ジッタを低減するために、タイミングウィンドウの中心付近に配置される(「中心に位置合わせされる(centrally aligned)」としても知られる)。
【0030】
この実施形態は、タイミングウィンドウに信号を追加する必要がないので、その実装が比較的簡単であるという利点を提供する。
【0031】
一実施形態ではセンサーの数は偶数であり、センサーは仮想円上で等距離に離間されており、信号コンバイナは各タイミングウィンドウにおいて直径方向に対向する2つのセンサーの部分を加算又は減算するように構成される。
【0032】
この実施形態の一例を図13に示す。例えば、センサーデバイスが4つのセンサー素子を有し、センサーH1及びH3が互いに直径方向に対向して配置され、センサーH2及びH4が互いに直径方向に対向して配置されていると仮定すると、本実施形態の波形は第一タイミングウィンドウw1において、第一センサー信号h1の部分(幅Δt11を有する)及び第三センサー信号h3の部分(幅Δt13を有する)が加えられ、第二タイムウィンドウw2において、第二センサー信号h2の部分(幅Δt22を有する)及び第四センサー信号h4の部分(幅Δt24を有する)が加えられるように、生成される。
【0033】
ここでも、ジッタを低減するために、全ての部分がタイミングウィンドウの中心付近に配置されることが好ましい。
【0034】
この実施形態はそのように決定された位置又は配向が、外乱場に対して非常に鈍感であるという付加的な利点を提供する。
【0035】
一実施形態では、信号コンバイナが各タイミングウィンドウにおいて、2つの直径方向に対向するセンサーから生じるセンサー信号の2つの部分のみを加算又は減算するように構成される。
【0036】
一実施形態では、信号コンバイナが各タイミングウィンドウにおいて、少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも4つのセンサー信号の部分を加算又は減算するように構成される。
【0037】
たとえば、図14に示すように、第一タイミングウィンドウw1は持続時間Δt11を有する第一センサー信号h1の部分を有し、それに持続時間Δt13を有する第三センサー信号h3の部分を加算し、それに持続時間Δt12を有する第二センサー信号h2の部分を加算し、それに持続時間Δt14を有する第四センサー信号h4の部分を加算し得る(図14では見えない)。
【0038】
ここでも、ジッタを低減するために、全ての部分がタイミングウィンドウの中心付近に配置されることが好ましい。
【0039】
一実施形態では信号コンバイナが各タイミングウィンドウにおいて各センサー信号の部分を加算又は減算するように構成され、各部分は所定の持続時間を有する。
【0040】
この実施形態では、各タイムウィンドウにおいて加算される部分の数は、それぞれの持続時間にわたるセンサーの数に等しい。パラメータが良好に選択される場合、この実施形態は最低の位置誤差又は配向誤差をもたらし、したがって、最高の精度を提供する。
【0041】
一実施形態では、加算又は減算される少なくとも2つ又は少なくとも3つの部分の持続時間が互いに異なる値を有する。
【0042】
例えば、図13の例では、以下のステートメントのうちの少なくとも1つが真である:Δt11<>Δt13;Δt22<>Δt24;Δt31<>Δt33;Δt42<>Δt44。
【0043】
一実施形態では磁気源(101)が回転軸を中心に回転可能な永久磁石であり、決定される位置は角度位置(φ)である。
【0044】
好ましくは、磁気源が2極永久磁石、例えば、2極棒磁石、又は2極ディスク磁石、又は2極リング磁石である。
【0045】
一実施形態では、磁気源が1つの極対を有する、又は複数の交互の極を有する細長い構造体であり、センサーデバイスは一定の距離(「エアギャップ」としても知られる)で磁気構造体に対して移動可能であり、決定される位置は細長い構造体に沿った線形位置(例えば、x)である。
【0046】
一実施形態では実質的に均一な磁場が地球磁場であるか、又は少なくとも1つのコイルによって生成される磁場であり、決定される配向は基準方位(reference orientation)に対する角度(φ)である。
【0047】
このようなセンサーデバイスは、電子コンパス(E-compass)に使用し得る。
【0048】
一実施形態では、いくつか又はすべてのセンサーが基板に垂直な方向の磁場(たとえば、Bz)を測定するように構成される。
【0049】
一実施形態では、いくつか又はすべてのセンサーが基板に平行な方向の磁場(例えば、Bx,By,Br,Bt)を測定するように構成される。
【0050】
一実施形態では、センサーの第一サブセットが基板に垂直な方向の磁場(例えば、Bz)を測定するように構成され、センサーの第二サブセットは基板に平行な方向の磁場(例えば、Bx,By,Br,Bt)を測定するように構成される。
【0051】
一実施形態では、いくつか又はすべてのセンサーが基板に平行な半径方向の磁場(例えば、Br)を測定するように構成される。
【0052】
一実施形態では、いくつか又はすべてのセンサーが基板に平行な周方向の磁場(例えば、Bt)を測定するように構成される。
【0053】
基板に平行な磁場成分は、Bx(X方向)又はBy(Y方向)、又はBr(半径方向に配向)、又はBt(周方向に配向、すなわち仮想円に対して接線方向に配向)として示され得る。
【0054】
一実施形態では、センサーのいくつか又はすべてが水平ホール素子である。
【0055】
一実施形態では、いくつか又はすべてのセンサーが垂直ホール素子であり、周方向に配向された(又は、向けられた/orientated)最大感度の軸を有するか、又は半径方向に配向された最大感度の軸を有する。
【0056】
一実施形態では、いくつか又はすべてのセンサーが磁気抵抗素子であり、周方向に配向された最大感度の軸を有するか、又は半径方向に配向された最大感度の軸を有する。
【0057】
一実施形態では、センサーが少なくとも2つの異なる配向の磁場を測定するように構成される。
【0058】
センサーは例えば、4つの垂直ホール素子を有することができ、センサーのうちの2つは、X方向において最大感度軸を有するように配向され、他の2つのセンサーはY方向において最大感度軸を有するように配向され、X及びYは例えば、図7に示されるように、基板に平行な直交軸である。
【0059】
別の例として、センサーデバイスはBxを測定するための1つの垂直ホール素子と、Byを測定するための1つの垂直ホール素子との2つのセンサーのみを有してもよい(例えば、V1及びV2のみを有する図7の変形例)。
【0060】
一実施形態では、センサー素子が仮想円上に位置する。
【0061】
一実施形態では、センサー素子が仮想円上に位置し、等距離で離間している。
【0062】
第二態様によれば、本発明はまた、第一態様によるセンサーデバイスと、前記磁気源とを備える位置センサーシステムを提供する。
【0063】
一実施形態では所定の持続時間(例えば、のΔt11からΔt44)はセンサーデバイス及び磁気源を含むテストセットアップを使用して実行される較正手順中に決定される。
【0064】
これらの較正値は、典型的にはセンサーの感度ミスマッチに関連する誤差を低減するだけでなく、磁気源の非理想性を補正する。
【0065】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を規定する。
【0066】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、図面を参照して以下に説明される本発明の非限定的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、永久磁石とセンサーデバイスとを備える角度位置センサーシステムの概略図である。磁石は、回転軸を中心に回転可能である。センサーデバイスは、「軸上」に配置される。
図2図2は、永久磁石とセンサーデバイスとを備える角度位置センサーシステムの概略図である。磁石は、回転軸を中心に回転可能である。センサーデバイスは「軸外」に、例えば磁石の隣に、又は磁石の下に配置される。
図3図3は、本発明の実施形態において使用され得るように、90°の倍数だけ離間されて仮想円上に配置された4つの水平ホール素子を有する基板を示す。
図4図4は、本発明の実施形態において使用され得るように、60°の倍数だけ離間されて仮想円上に配置された6つの水平ホール素子を有する基板を示す。
図5図5は、本発明の実施形態において使用され得るように、仮想円上に配置され、90°の倍数だけ離間され、半径方向に最大感度軸を有するように配向された4つの垂直ホール素子を有する基板を示す。
図6図6は、本発明の実施形態において使用され得るように、仮想円上に配置され、60°の倍数だけ離間され、半径方向に最大感度軸を有するように配向された6つの垂直ホール素子を有する基板を示す。
図7図7は、本発明の実施形態において使用され得るように、仮想円上に配置され、90°の倍数だけ離間され、周方向に最大感度軸を有するように配向された4つの垂直ホール素子を有する基板を示す。
図8図8は、本発明の実施形態において使用され得るように、仮想円上に配置され、60°の倍数だけ離間され、周方向に最大感度軸を有するように配向された6つの垂直ホール素子を有する基板を示す。
図9図9は、本発明の実施形態によるセンサーデバイスの高レベルブロック図を示す。
図10図10は、本発明の実施形態によるセンサーデバイスの高レベルブロック図を示す。
図11図11は、本発明の実施形態によるセンサーデバイスの高レベルブロック図を示す。
図12図12は、本発明の実施形態によるセンサーデバイスのより詳細な概略ブロック図を示す。
図13図13は、本発明の実施形態によるセンサーデバイスのより詳細な概略ブロック図を示す。
図14図14は、本発明の実施形態によるセンサーデバイスのより詳細な概略ブロック図を示す。
【0068】
図面は、概略的なものに過ぎず、限定するものではない。図面において、いくつかの要素のサイズは、説明のために誇張され、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0069】
様々な図において、それらの機能に関する同等の要素は通常、100を法(modulo)とする同じ参照番号/符号を与えられ、したがって、これらの要素は通常、1回だけ記述される。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0071】
以下の説明に列挙される個々の特徴は技術的に意味のある任意の方法で互いに組み合わせることができ(また、異なるカテゴリ、例えば、装置及び方法にわたって)、本発明のさらなる実施形態を示すことに留意されたい。本発明の説明は、特に図に関連して、さらに特徴付けられ、特定される。
【0072】
さらに、第一及び第二特徴を組み合わせるために本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」又は表現「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1つ又は複数」は、第一特徴のみを備える本発明の第一実施形態、第二特徴のみを備える本発明の第二実施形態、及び第一特徴と第二特徴の両方を備える本発明の第三実施形態を開示するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。3つ以上の特徴が列挙される場合、それらの任意の組合せもまた、本発明による開示された実施形態として解釈されるべきである。
【0073】
さらに、用語「およそ」又は「本質的に」又は「実質的に」は、当該分野の当業者が正常であると考える許容範囲を示す。特に、用語「およそ」又は「本質的に」又は「実質的に」は、最大±20%、好ましくは最大±10%の、言及される量の許容範囲として理解されるべきである。
【0074】
本明細書では、「センサー」又は「磁気センサー」という用語が例えば、磁気抵抗素子、GMR素子、XMR素子、水平ホールプレート(Hall plate)、垂直ホールプレート、少なくとも1つの磁気抵抗素子を含むホイートストンブリッジ、又は誘導性トランスデューサ(例えば、誘導性磁気センサーの受信コイル)などの、磁気量を測定し得る構成要素又は構成要素の群又はサブ回路又は構造を指すことができる。
【0075】
本発明の実施形態は典型的には、センサーデバイスに固定された、3つの軸X、Y、Zを有する直交座標系を使用して説明され、ここで、X及びY軸は基板(例えば、半導体基板)に平行であり、Z軸は、基板に垂直である。
【0076】
本明細書では水平ホールプレートが典型的にはH1、H2などと呼ばれ、これらの水平ホールプレートから得られる信号は典型的にはh1、h2などと呼ばれ、垂直ホールプレートは典型的にはV1、V2などと呼ばれ、これらの垂直ホールプレートからの信号は典型的にはv1、v2などと呼ばれる。
【0077】
本発明は磁気位置センサーシステムに関し、特に、磁気源及び磁気位置センサーデバイスを備える線形又は角度位置センサーシステムに関する。磁気源は例えば、2極ディスク磁石、又は2極リング磁石、又は2極棒磁石、又は複数の交互の極を含む細長い又は円形の磁気構造であり得る。本発明は、このような磁気位置センサーデバイス自体にも関する。しかしながら、本発明は、少なくとも4つの極、又は少なくとも6つの極などを有する磁石でも機能することに留意されたい。
【0078】
図を参照する。
【0079】
図1及び図2は本発明によって提案される技術が適用され得る角度位置センサーシステムのいくつかの例示的な例を示すが、本発明はそれに限定されず、さらに説明される技術は例えば、線形位置センサーシステム(明示的に示されない)にも適用され得る。そのような線形位置センサーシステムは例えば、2極棒磁石、又は少なくとも4つの交互の磁極を備える細長い磁気構造を備えることができる。本発明はまた、電子コンパス(eCompass)において使用され得るような、実質的に均一な磁場(例えば、地球磁場)、又は少なくとも1つのコイルによって生成される磁場の配向を決定するように構成された磁気センサーデバイスに関する。
【0080】
図1は、磁石101及びセンサーデバイス102を備える角度位置センサーシステム100の概略図である。磁石101は、回転軸を中心に回転可能である。センサーデバイス102は、「軸上」に配置される。
【0081】
図2は、センサーデバイスが「軸外」に配置された2つの角度位置センサーシステムを示す概略図である。第一角度位置センサーシステムは、磁石201と、磁石の下に配置されたセンサーデバイス202aとを備える。第二角度位置センサーシステムは、磁石201と、磁石の隣に配置された(「赤道上」又は「衛星位置」とも呼ばれる)センサーデバイス202bとを備える。
【0082】
図3図8は本発明の実施形態において使用され得るセンサー配置のいくつかの例示的な例を示すが、本発明はそれに限定されず、他のセンサー配置を使用することもできる。
【0083】
図3は、90°の倍数だけ離間されて仮想円上に配置された4つの水平ホール素子H1~H4を有する基板を示す。基板は明示的には示されていない。水平ホール素子は、前記基板に組み込まれてもよく、又は前記基板上に実装されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、基板はシリコン基板であり、センサーはその中に埋め込まれる。これは、図4から図8にも当てはまる。
【0084】
図4は、60°の倍数だけ離間されて仮想円上に配置された6つの水平ホール素子H1~H6を有する基板を示す。
【0085】
明示的に示されていないが、仮想円上に配置され、45°の倍数だけ離間された8個の水平ホール素子を有する基板を使用することも可能であるが、8個より多い水平ホール素子を有する基板、例えば、36°の倍数だけ離間された10個のホール素子、又は30°の倍数だけ離間された12個のホール素子も可能である。
【0086】
図5は、4つの垂直ホール素子V1~V4が仮想円上に配置され、90°の倍数だけ離間され、半径方向に最大感度軸を有するように配向された基板を示す。
【0087】
図6は、6つの垂直ホール素子V1~V6が仮想円上に配置され、60°の倍数だけ離間され、半径方向に最大感度軸を有するように配向された基板を示す。
【0088】
明示的に示されていないが、仮想円上に配置され、45°の倍数だけ離間され、半径方向に最大感度軸を有するように配向された8つの垂直ホール素子を有する基板を使用することも可能であるが、8つを超える垂直ホール素子を有する基板、例えば、36°の倍数だけ離間された10個のホール素子、又は30°の倍数だけ離間された12個のホール素子も可能である。
【0089】
図7は、4つの垂直ホール素子V1~V4が仮想円上に配置され、90°の倍数だけ離間され、周方向、すなわち仮想円に対して接線方向に最大感度軸を有するように配向された基板を示す。
【0090】
図8は、6つの垂直ホール素子V1~V6が仮想円上に配置され、60°の倍数だけ離間され、周方向に最大感度軸を有するように配向された基板を示す。
【0091】
明示的に示されていないが、仮想円上に配置され、45°の倍数だけ離間され、周方向に最大感度軸を有するように配向された8個の垂直ホール素子を有する基板を使用することも可能であるが、8個を超える垂直ホール素子を有する基板、例えば、36°の倍数だけ離間された10個のホール素子、又は30°の倍数だけ離間された12個のホール素子も可能である。
【0092】
図3図8に示す例ではセンサーは仮想円上に配置され、等間隔に配置されているが、これは好ましいが、本発明が機能するために必ずしも必要ではない。実際、本発明は、センサーが等距離に離間されていない場合にも機能する。実際、センサーは、単一の円上に配置される必要はなく、センサーが2つの仮想円上に配置されるか、又は規則的なグリッドの交差点に配置されるか、又は擬似ランダムに配置される場合にも、本発明は機能する。
【0093】
図3図8に示す例ではセンサーは水平ホール素子又は垂直ホール素子であるが、本発明はこれに限定されず、他のセンサー技術、例えば、xMR、TMR、AMR、GMR又は誘導センサーなどの磁気抵抗素子でも機能する。
【0094】
本発明の原理はまた、例えば、2つの水平ホール素子H1及びH2のみを含む図3の変形例において、又は最大感度軸が半径方向に配向された2つの垂直ホール素子V1及びV2のみを含む図5の変形例において、又は最大感度軸が周方向に配向された2つの垂直ホール素子V1及びV2のみを含む図7の変形例においてなど、2つのセンサーのみを含むセンサー構成で動作することに留意されたい。
【0095】
しかし、さらに理解されるように、本発明の実施形態で使用される技術は冗長性を利用して精度を高めることができ、エラー検出にも使用し得るので、3つ以上のセンサー、例えば、4つのセンサー、又は5つのセンサー、又は6つのセンサー、又は7つのセンサー、又は8つのセンサーを使用することが有利である。
【0096】
本発明は説明を簡単にするために、図3のセンサーデバイスを用いてさらに説明されるが、すでに述べたように、本発明はこれに限定されない。本発明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献US8963540(B2)に記載されている装置及びシステムの代替又は改良と見なすことができる。この文献を読むことは、本発明をより良く理解し、理解するのに役立つことがある。
【0097】
図9は、本発明によって提案されるセンサーデバイス902の高レベルブロック図(high-level block-diagram)を示す。センサーデバイス902は、センサーデバイス905と、「バイアス及び読み出し回路(biasing and readout circuit)」910と、信号処理回路920とを備える。
【0098】
すでに上述したように、いくつかのセンサー構成、例えば図3図8に示す例のいずれかを使用し得るが、異なる方向に配向された少なくとも2つのセンサーを備える他のセンサー構成も使用し得る。
【0099】
「バイアス及び読み出し」回路は当技術分野において周知であるが、本発明の主な焦点ではなく、したがって、本明細書でより詳細に説明する必要はない。1つ又は複数の磁気抵抗素子を備えるホール素子及びホイートストンブリッジは、2つの「励起ノード」及び2つの「出力ノード」を有する電気デバイスであると言えば十分である。それらは既知の電圧又は既知の電流を「励起ノード」に印加することによってバイアスすることができ、センサー信号は「出力ノード」にわたる差動電圧信号として得ることができる。バイアス及び読み出し回路910は、典型的にはセンサー信号を増幅するための増幅器(明示的には図示せず)も備える。説明を容易にするために、増幅器の出力は「シングルエンド」電圧信号(すなわち、接地を基準とする)であると仮定する。
【0100】
「信号処理回路」920は従来技術に対する本発明の主な貢献であり、より詳細に説明される。重要なことに、センサーデバイス902における信号処理のほとんどは、時間連続信号を使用して、アナログ領域において実行される。これは、高速デジタル信号プロセッサ(DSP)を必要とせずに、処理を非常に高速にすることができる、アナログデジタル変換器(DAC)が絶対に必要ではない、量子化誤差を回避し得るという利点を提供する。
【0101】
図9は、一般的なブロック図である。図10図9の特別なケースを示し、信号処理回路1020はマルチプレクサ(例えば、アナログN対1マルチプレクサ)と、バンドパスフィルタと、位相検出器とを備える。より詳細な例を図12で説明する。
【0102】
図11図9の別の特別なケースを示し、信号処理回路1120は複数のスイッチと、(例えば、信号を加算又は減算するための)信号コンバイナと、バンドパスフィルタと、位相検出器とを備える。より詳細な例は、図13及び図14において論じられる。
【0103】
図12は、本発明によって提案されるセンサーデバイスの概略ブロック図を示す。センサーデバイス1202は、「センサー構成」1205と、「バイアス及び読み出し回路」(明示的には図示せず)と、信号処理回路1220とを備える。
【0104】
図12に示す例では、センサーデバイス1205が図3に示すように構成された4つの水平ホールセンサーH1~H4を備える。理想的には4つのセンサーH1~H4が仮想円上に配置され、正確に同じレイアウトを有し、90°の倍数だけ離間され、それらが2極磁石の近傍にもってこられる場合(例えば、図1又は図2に示されるように)、4つの信号は互いに対して90°位相シフトされた正弦波信号として記述され得る。
【0105】
しかし、実際には、4つのセンサーH1~H4が典型的には感度ミスマッチ(又は利得ミスマッチ)を有し、すなわち、4つの信号の振幅は同じではなく、任意選択でオフセットも有し、すなわち、磁場がない場合でもセンサー素子の出力はゼロではない。このような不完全性は、例えば、既知の磁場が印加される試験環境において、デバイスの較正試験中に測定し得る。そのような測定の結果は例えば、以下の表に列挙される値をもたらし得る。
【0106】
従来技術では利得及びオフセットミスマッチが通常レーザトリミングによって「対処」されるが、本発明では絶対的に必要ではない。したがって、センサーから得られる信号h1、h2、h3、h4は、わずかに異なる利得、及び/又は非ゼロオフセットを有し得る。
【0107】
信号処理回路1220は、センサー信号h1、h2、h3、h4の部分を単一の合成波形に合成するように構成された信号コンバイナとして動作するマルチプレクサMUX、この例では4対1アナログマルチプレクサを備える。
【0108】
より具体的にはマルチプレクサMUXが所定の持続時間Ts(例えば、約4μsの値を有する)を有するタイミングスキームに従って波形を生成するように構成され、所定の持続時間は、4つのセンサーが等間隔に配置される場合、各々がTs/4の持続時間を有するいくつかのタイミングウィンドウw1、w2、w3、w4に分割され、したがって、この例では各ウィンドウが約1μsの持続時間を有する。
【0109】
所定の持続時間Tsの他の値を使用することもでき、例えば、1/fs(ここで、fs=20kHz、又はfs=40kHz、又はfs=80kHz、又はfs=200kHz、又はfs=400kHz、又はfs=800kHz)を使用することもできる。
【0110】
マルチプレクサMUXは第一タイムウィンドウw1内の第一の所定の持続時間Δt11中の第一センサー信号h1の部分を含み、第二タイムウィンドウw2内の第二の所定の持続時間Δt22中の第二センサー信号h2の部分を含み、第三タイムウィンドウw3内の第三の所定の持続時間Δt33中の第三センサー信号h3の部分を含み、第四タイムウィンドウw4内の第四の所定の持続時間Δt44中の第四センサー信号h4の部分を含むように構成される(又は、マルチプレクサMUXは第一タイムウィンドウw1内の第一の所定の持続時間Δt11中に第一センサー信号h1の部分を含み、第二タイムウィンドウw2内の第二の所定の持続時間Δt22中に第二センサー信号h2の部分を含み、第三タイムウィンドウw3内の第三の所定の持続時間Δt33中に第三センサー信号h3の部分を含み、第四タイムウィンドウw4内の第四の所定の持続時間Δt44中に第四センサー信号h4の部分を含むように構成される)。好ましくはジッタを低減又は回避するために、上記部分はそれぞれのタイムウィンドウw1~w4の中心(又は、タイムウィンドウw1~w4において中心)に整列される。
【0111】
処理回路1220は、マルチプレクサMUXによって生成された波形の基本高調波を主に通過させ、より高い高調波を除去するように構成されたバンドパスフィルタBPFをさらに備える。バンドパスフィルタは当技術分野において周知であり、したがって、本明細書でより詳細に説明する必要はない。
【0112】
バンドパスフィルタの出力は、信号の位相φを検出するように構成された位相検出器に供給される。位相検出器はUS8963540(B2)に記載されているものと同一であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の適切な位相検出器を使用してもよい。位相検出は、バンドパスフィルタリングされた信号のゼロ交差の検出に基づき得る。ゼロ交差の瞬間は、カウンタを使用して測定し得る。
【0113】
本発明の図12の回路とUS8963540(B2)に記載の回路との主な違いは、第一タイムウィンドウw1を第一センサー信号h1で完全に満たし、第二タイムウィンドウw2を第二センサー信号h2で完全に満たす、などではなく、本発明においては、タイムウィンドウw1~w4はセンサー信号で部分的にのみ満たされることである。より具体的には、第一タイムウィンドウw1ではh1の部分のみが、所定の期間Δt11にわたって使用され、第二タイムウィンドウwではh2の部分のみが、第二の所定の期間Δt22にわたって使用される、などである。典型的にはΔt11、Δt22、Δt33及びΔt44の値は4つの異なった値であるが、値のいくつかは一致して等しくてもよい。期間Δt11、Δt22、Δt33、及びΔt44の値は、好ましくは較正手順中に決定され、全体的な精度を最大化すること、又は全体的な誤差を最小化することを目指す。
【0114】
ここでは詳述しないが、所定の持続時間Δt11、Δt22、Δt33、Δt44の値は上述の利得ミスマッチ及び非ゼロオフセットにもかかわらず、得られる位相又は角度φが良好な精度を有するように選択されることを単に述べることができる。
【0115】
経験則として(また、較正手順中の最初の一組の数値として)、期間Δt11、Δt22、Δt33、Δt44は、センサーH1~H4のそれぞれの利得に反比例して選択されてもよい。さらに説明するように、較正手順の間に、より適切な期間が見出され得る。実際、「最良値」は、例えば材料欠陥、実装オフセット(mounting offset)、傾斜などの磁気源のいくつかの非理想性を補償することもできる。
【0116】
実際には、値Δt11、Δt22、Δt33、及びΔt44のうちの少なくとも2つは互いに異なるが、より多くの場合、これらの値のすべては互いに異なる。持続時間の絶対値ではなく、相対的な持続時間が重要であることに留意されたい。一実施形態では、Δt11、Δt22、Δt33、Δt44の絶対値はタイムウィンドウw1~w4の持続時間の約30%~70%の値であるように選択され得る。
【0117】
処理回路1220は、典型的には(外部)水晶発振器に接続されるクロック回路をさらに備え得る。
【0118】
処理回路1220は、所定の持続時間Δt11、Δt22、Δt33、Δt44を有するタイミングスキームに従ってマルチプレクサを動作させるための制御信号を生成するための制御ロジックをさらに備え得る。
【0119】
所定の持続時間Δt11、Δt22、Δt33、Δt44は較正手順中にセンサーデバイスの不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ)に記憶されてもよく、センサーデバイスの実際の使用中に、例えば、制御ロジックブロックによって、不揮発性メモリから取り出されてもよいが、他の解決策も考えられる。例えば、所定の持続時間がハードコードされるプログラマブルハードウェアを使用して処理回路を実装することも可能であり得る。
【0120】
なお、例示的な合成波形1231を示すグラフは、(相対的に)h1の振幅が「+1」に近く、h2の振幅が「0」に近く、h3の振幅が「-1」に近く、h4の振幅が「0」に近いため、0°に近い角度に配置された磁気源のための現実的な例である。磁気源が90°の角度に配置又は配向される場合、h1の振幅は「0」に近くなり、h2の振幅は「+1」に近くなり、h3の振幅は「0」に近くなり、h4の振幅は「-1」に近くなるなどである。このような他のグラフは、本明細書には記載されていない(又は、含まれない)。
【0121】
完全性のために、図12に示されるバンドパスフィルタ処理された信号1232を有するグラフは、合成波形1231を示すグラフと実際には一致せず、実際には左に約200°シフトされるべきであることに留意されたいが、読者は図12に示されるバンドパスフィルタ処理された信号のグラフが、どのようにゼロ交差が決定される必要があるかをうまく示すことを理解するであろう。
【0122】
上述のように、位相φは、インクリメンタルカウンタを用いて測定し得る。測定されるべき角度又は位相φを示すカウンタ値は例えば、センサーデバイスの出力ポート上のデジタル値として、又はシリアル値として、又はアナログ値として出力され得る。
【0123】
センサーデバイス1205が例えば5つのセンサーH1~H5を備える、センサーデバイス1202(図示せず)の変形例では、サンプル期間Tsは各々がTs/5の持続時間を有する5つのタイムウィンドウw1~w5に分割され、これらの5つのタイムウィンドウw1~w5の各々はセンサー信号h1~h5のうちの1つで、より具体的にはそれぞれの期間Δt11~Δt55にわたって、部分的に満たされ、その値は較正手順中に決定され得る。
【0124】
図13は、図12のセンサーデバイス1202の変形として見ることができるセンサーデバイス1302の概略ブロック図を示し、主な違いは、図12のマルチプレクサMUXが複数のスイッチと、各タイミングウィンドウw1、w2、w3、w4においてセンサー信号の2つの部分を加算又は減算するように構成された信号コンバイナΣとによって置き換えられていることである。実質的に同じ振幅を有するが反対の符号を有する2つの信号を減算することは、信号振幅をほぼ2倍にすることに留意されたい。
【0125】
より具体的には、図13に示す例では:
-第一タイムウィンドウw1において、第一センサー信号h1の部分Δt11と第三センサー信号の部分Δt13とが加算又は減算され、
-第二タイムウィンドウw2において、第二センサー信号h2の部分Δt22と第四センサー信号h4の部分Δt24とが加算又は減算され、(これは、示されている例示ではh2及びh4の振幅が0に近いため、図13においてあまりよく見えない)
-第三タイムウィンドウw3において、第一センサー信号h1の部分Δt31と第三センサー信号h3の部分Δt33とが加算又は減算され、
-第四タイムウィンドウw4において、第四センサー信号h4の部分Δt42及び第四センサー信号h4の部分Δt44が加算又は減算される(やはり、これは、示される例示ではh2及びh4の振幅が0に近いので、図13においてあまりよく見えない)。
【0126】
図3から分かるように、センサーS1及びS3はセンサーS2及びS4と同様に、互いに直径方向に対向して配置される。
【0127】
経験則として(また、較正手順中の値の最初のセットとして)、期間Δt11及びΔt13はセンサーH1の利得に反比例して選択されてもよく、期間Δt22及びΔt24はセンサーH2の利得に反比例して選択されてもよく、期間Δt31及びΔt33はセンサーH3の利得に反比例して選択されてもよく、期間Δt42及びΔt44はセンサーH4の利得に反比例して選択されてもよいが、この所定の値のセットはさらに説明されるように、最良の成果(best possible result)をもたらさなくてもよい。実際、「最良値」は、例えば材料欠陥、実装オフセット、傾斜などの磁気源のいくつかの非理想性を補償することもできる。
【0128】
図13のセンサーデバイス1302によって提供される位置又は配向φが、外部外乱場に対してより敏感でないことが利点である。
【0129】
図12のセンサーデバイスについて上述した他の全てのことも、必要な変更を加えて、ここで適用可能である。
【0130】
図14は、図13のセンサーデバイス1302の変形として、したがって図12のセンサーデバイス1202のさらなる変形として見ることができるセンサーデバイス1402の概略ブロック図を示す。
【0131】
図14のセンサーデバイス1402と図13のセンサーデバイス1302との間の主な違いは、信号コンバイナΣが各タイミングウィンドウw1、w2、w3、w4においてセンサー信号の2つより多い、例えば4つの部分、例えば3つのセンサー信号、又は4つのセンサー信号を加算又は減算するように構成されることである。
【0132】
より具体的には図14に示す例では、第一タイムウィンドウw1において加算又は減算される部分がsum1=a11*h1+a12*h2+a13*h3+a14*h4として書くことができ、式中、a11、a12、a13、a14は正又は負の係数であり得、信号コンバイナΣは係数の符号が正である場合、信号部分を加算し、係数の符号が負である場合、信号部分を減算する。h1の部分は、係数a11の絶対値に等しいか、又は比例する、ある期間Δt11にわたる時間部分である。又は、数学的用語Δt11=abs(a11)で記述される。同様に、Δt12=abs(a12)、Δt13=abs(a13)、Δt14=abs(a14)である。
【0133】
同様に、第二タイムウィンドウw2で生成された信号はsum2=a21*h1+a22*h2+a23*h3+a24*h4と書くことができ、第三タイムウィンドウw3で生成された信号はsum3=a31*h1+a32*h2+a33*h3+a34*h4と書くことができ、第四タイムウィンドウw4で生成された信号は、sum4=a41*h1+a42*h2+a43*h3+a44*h4と書くことができる。
【0134】
当業者は係数a12、a14、a21、a23、a32、a34、a41、及びa43の値がゼロに等しいことを期待するが、本発明者らは係数a11~a44が磁場の線形又は角度位置又は配向を計算するために実際に使用され得るだけでなく、センサー配列及び/又は磁気源の非理想性に関連する精度を改善する(又は誤差を低減する)ためにも使用され得ることを見出した。信号h1~h4は位置情報及び冗長情報を含む(2つより多いセンサーがあるため)ことも述べることができるが、古典的な解決策では信号精度を改善するために信号中に存在する冗長情報を抽出又は使用する方法はない。本発明によって提案される技術は、冗長情報を使用して全体的なエラーを低減することを可能にする。これは、本発明の重要な利点である。一般に、センサーの数が多いほど、より多くの係数を使用して全体的な精度を向上させ得ることが理解されよう。
【0135】
図13の実施形態について上述した他の全てのことも、必要な変更を加えて、ここで適用可能である。
【0136】
較正手順:
図14の係数a11~a44に対して、及び/又は図12の持続時間Δt11、Δt22、Δt33、Δt44に対して、及び/又は、図13の持続時間Δt11、Δt13、Δt22、Δt44、Δt31、Δt33、Δt42、Δt44に対して最適値を見つけることは、本発明の動作原理を理解するのに必須ではないが、次の段落では、最適値又は準最適値を見つけるための可能な方法を提供する。
【0137】
タイミングスキームを有する図12図14のハードウェアが与えられると、持続時間又は係数を見つけるタスクは、多次元空間において「大域的最適」又は「局所的最適」を見つけるための最適化手順とみなすことができる。すでに上述したように、おそらく1つの「全体的な最良の解決策」のみが存在するが、おそらく複数の準最適な解決策が存在し、それは本発明によって提案されるセンサーデバイス又はセンサーシステムにおいて使用されるとき、可能な限り最低の誤差をもたらさないかもしれないが、ウィンドウw1全体が信号h1で満たされ、ウィンドウt2全体が信号h2で満たされる(トリミングなし)等の解決策と比較して、少なくとも2.0倍の誤差低減を達成することが依然として可能であり得る。本発明は係数又は期間の最良のセットを使用する単一の最良の解を対象とするだけでなく、少なくとも2.0倍の誤差低減を提供する限り、準最適解を対象とすることも明確に指摘されている。
【0138】
図12(4つのセンサーを有する)に戻ると、最適化されるべき4つの係数のみが存在すること、又は一般に、センサー構成がN個のセンサーを有する場合、最適化されるべきN個の係数が存在することが理解され得る。図13では最適化されるべき2*N個の係数が存在し、図14では最適化されるべき最大N*N個の係数が存在する。
【0139】
これらの例から、最適化されるべき係数又は期間の数はセンサーの数(N)に依存し、ハードウェアが単一のタイムウィンドウにおいて加算又は減算し得る信号の数に依存することが明らかである。後者はハードウェア実装、例えば、コンバイナ回路Σ内に存在する加算器又は減算器の数に依存し得る。これは設計者の選択である。
【0140】
傾斜、実装オフセット等のような磁気源の欠陥又は非理想性にも対処するために、較正手順は、最終製品において組み合わせて使用される磁気源及びセンサーデバイスを含む構成で実行されなければならない。実際、最適値は、典型的には個々のセンサー及び磁石ごとに異なる。
【0141】
センサー配置が選択され(例えば、図3に示されるような4つの水平ホール素子を有する)、最適化されるべき係数の数が選択されると(NからN*Nまでの範囲の値)、以下のアルゴリズムが、角度位置センサーシステムのための「局所最小値」を見つけるために使用され得る:
a)磁気源及びセンサーデバイス(例えば、図12又は図13又は図14のセンサーデバイス)を備えるハードウェアセットアップを提供し、磁気源の実際の機械的位置を決定するために使用され得る、正確な基準角度センサーデバイス(例えば、同じシャフトに取り付けられた光学エンコーダを使用して)と磁気源を接続する;
b)係数値の初期セットを選択する;
c)係数値のこのセットを適用し、例えば360°の全ストロークにわたって、例えば5°のステップで、様々な位置に磁気源を位置付け、各ステップにおいて、センサーデバイスによって提供される角度位置φを決定し、実際の(機械的)位置とセンサーデバイスによって提供される位置との間の差(すなわち誤差)を計算し、最大誤差又は最悪の誤差を、係数値のこのセットの「誤差」として記憶する;
d)(例えば、増加又は減少することによって)係数のうちの1つを修正し、修正された係数のセットについてステップc)を繰り返し、この修正された係数のセットについて「最悪の場合の誤差」を記憶する;
e)係数の初期セットから開始して、係数の各々についてステップd)を繰り返し、どの修正が最良の改善を提供するかを決定し、次いで、最良の改善を提供するこの1つの修正された係数を有する係数の初期セットを係数の新しい「初期セット」と考える。
f)ステップc)~e)を、所定の回数(例えば、最大で100回、又は最大で250回)、又は結果として生じる誤差が所定の閾値より小さくなるまで(例えば、5°未満、又は4°未満、又は3°未満、又は2°未満)繰り返す。
【0142】
言い換えれば、このアルゴリズムは係数値の初期セットから開始し、一度に1つの係数を修正することによって係数セットを段階的に改善し、すなわち、(一定の値、例えば±0.05で増加又は減少したときに)最高の改善を提供する係数である。このような段階的改善アプローチは常に「大域的最適」を見出すとは限らないが、典型的には係数空間において「局所的最適」を見出すことが指摘されている。
【0143】
このアルゴリズムの多くの変形が可能である。例えば、先ず、上記のアルゴリズムを、例えば60°のステップで磁気源を移動させることによって、及び±0.05のステップで係数を修正することによって、粗い方法で実行することができ、係数のセットに対する最適に近い解が見出されたとき、より小さい角度回転(例えば30°のステップで)及び/又はより小さい係数ステップ(例えば±0.02)でアルゴリズムを繰り返すことができる。
【0144】
パラメータの「上記」最適であるセットを見つけるための最も効率的なアルゴリズムを説明することは本発明の範囲から逸脱するが、上述のアルゴリズムは本発明を可能にするのに十分であることが理解されよう。
【0145】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は例証的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0146】
本開示を読むことから、他の修正が当業者には明らかであろう。そのような修正は当技術分野において既に知られており、本明細書において既に記載されている特徴の代わりに、又はそれに加えて使用され得る他の特徴を含み得る。
【0147】
開示された実施形態に対する変形は図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、当業者によって理解され、達成され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数の要素又はステップを除外しない。特定の手段が異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0148】
請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

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【外国語明細書】