(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056633
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】自動車のサンルーフ装置及びその窓板組立体
(51)【国際特許分類】
B60J 10/82 20160101AFI20240416BHJP
B60J 7/043 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B60J10/82
B60J7/043
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170145
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】63/415,065
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519012792
【氏名又は名称】福州明芳汽車部件工業有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】500059575
【氏名又は名称】信昌機械廠股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邱子恆
(72)【発明者】
【氏名】藍翌任
(72)【発明者】
【氏名】カリム ダユブ
(72)【発明者】
【氏名】クリス ペリーノ
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201AA15
3D201BA01
3D201CA38
3D201DA06
3D201DA23
(57)【要約】
【課題】シールを着脱容易にし、窓枠体との間に良好なシールを形成可能な自動車のサンルーフ装置及びその窓板組立体を提供する。
【解決手段】本発明に係る窓板組立体は、ガラスパネル10と、窓枠体20と、シール30とを含み、窓枠体20はガラスパネル10の周囲に設置され、窓枠体20の外周縁には係止溝22が設けられ、庇部23が延設され、係止溝22と庇部23との間に平面24が形成され、シール30の一側に当接部31が形成され、当接部31に係止部32が延出され、係止部32が係止溝22に係止することで、当接部31は平面24及び庇部23に当接し、係止部32と係止溝22の係止方向は平面24に垂直である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネル(10)と、
前記ガラスパネル(10)の周囲に配置され、外周縁に係止溝(22)が設けられ、庇部(23)が延設され、前記係止溝(22)と前記庇部(23)との間に平面(24)が形成される窓枠体(20)と、
一側に当接部(31)が形成され、前記当接部(31)に係止部(32)が延出され、前記係止部(32)が前記係止溝(22)に係止することで、前記当接部(31)は前記平面(24)及び前記庇部(23)に当接し、前記係止部(32)と前記係止溝(22)の係止方向は前記平面(24)に垂直であるシール(30)と、を含む、窓板組立体。
【請求項2】
前記係止部(32)は本体(321)とフック(322)とを備え、前記係止溝(22)内に逆フック(221)が形成され、前記本体(321)が前記係止溝(22)内に挿入されるとき、前記フック(322)は前記逆フック(221)に対応して係止する、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項3】
前記シール(30)の断面は略半円状である、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項4】
前記窓枠体(20)は取付溝(21)を有し、前記ガラスパネル(10)は前記取付溝(21)内に設けられ、前記庇部(23)は前記ガラスパネル(10)から離れる方向に延びている、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項5】
前記庇部(23)と前記平面(24)とがなす角度は90度未満である、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項6】
前記庇部(23)と前記平面(24)とがなす角度は90度である、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項7】
前記係止溝(22)の開口にガイド傾斜面(25)が設けられている、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項8】
前記シール(30)は中空構造である、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項9】
前記係止部(32)は中空構造である、請求項1に記載の窓板組立体。
【請求項10】
窓(A1)を備える車体と、
請求項1~9のいずれか1項に記載の窓板組立体と、を含み、
前記窓板組立体は前記窓(A1)に配置され、前記窓(A1)に前記窓板組立体を密着させるとき、前記シール(30)の前記当接部(31)に対向する一側は、前記窓(A1)の内縁に密着している、自動車のサンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の分野、特に自動車の窓板組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の窓は、通常、車体とガラス枠の間にゴムストリップが取り付けられ、ゴムストリップが車体やガラス枠に当接することで弾性変形してシール効果を発揮し、雨水や水気が車体内部に侵入しないようにしている。一般的な自動車のゴムストリップは接着方式によってガラス枠や車体に固定されて密封性を確保するか、あるいは係止方式によって簡単に取り外すことができる。
【0003】
しかしながら、接着方式では、ゴムストリップをガラス枠や車体に密着させ、良好なシール効果を得ることができるが、取り付け手順(接着箇所の清掃、接着剤の塗布、ゴムストリップの貼り付けや乾燥放置等のステップ)が煩雑で、ゴムストリップが劣化した後に交換が容易ではなく、ゴムストリップが脱落する危険性もある。一方、接着方式では、ゴムストリップを車体やガラス枠に対して容易に取り外すことができるが、ゴムストリップを車体やガラス枠に密着させることを効果的に確保することができないため、シール性が不十分な問題があった。
【0004】
これに鑑み、本発明者は、上記の従来技術の欠陥に対し、鋭意研究を重ねると共に学理の運用を組み合わせ、上記問題点を解決することに努めた結果、本発明者の改良の目標となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、シールを着脱容易にし、窓枠体との間に良好なシール効果を形成可能な自動車のサンルーフ装置及びその窓板組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る窓板組立体は、ガラスパネルと、窓枠体と、シールとを含み、前記窓枠体は前記ガラスパネルの周囲に設置され、前記窓枠体の外周縁に係止溝が設けられ、庇部が延設され、前記係止溝と前記庇部との間に平面が形成され、前記シールの一側に当接部が形成され、前記当接部に係止部が延出され、前記係止部が前記係止溝に係止することで、前記当接部は前記平面及び前記庇部に当接し、前記係止部と前記係止溝の係止方向は前記平面に垂直である。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記係止部は本体とフックとを備え、前記係止溝内に逆フックが形成され、前記本体が前記係止溝内に挿入されるとき、前記フックは前記逆フックに対応して係止する。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記シールの断面は略半円状である。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記窓枠体は取付溝を有し、前記ガラスパネルは前記取付溝内に設けられ、前記庇部は前記ガラスパネルから離れる方向に延在している。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記庇部と前記平面とがなす角度は90度未満である。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記係止溝の開口にガイド傾斜面が設けられている。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記シール及び前記係止部は中空構造である。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係る自動車のサンルーフ装置は、窓を備える車体と、窓板組立体と、を含み、前記窓板組立体は前記窓に配置され、ガラスパネルと、窓枠体と、シールとを含み、前記ガラスパネルは前記窓枠体に設置され、前記窓枠体の外周縁には係止溝が設けられ、庇部が延設され、前記係止溝と前記庇部との間に平面が形成され、前記シールは当接部と、前記当接部から延出する係止部とを備え、前記係止部が前記係止溝に係止することで、前記当接部は前記平面及び前記庇部に当接し、前記係止部と前記係止溝の係止方向は前記平面に垂直であり、前記窓に前記窓板組立体を密着させるとき、前記シールの前記当接部に対向する一側は、前記窓の内縁に密着している。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る窓板組立体は、シールの係止部によって窓枠体の係止溝に係止されることにより、シールを迅速かつ便利に取り外すことができ、また、窓枠体の庇部及び平面によってシールの当接部に当接することにより、シールを形成して防水性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の自動車のサンルーフ装置の分解斜視図。
【
図4】本発明の自動車のサンルーフ装置の使用状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の詳細な説明及び技術内容は、図面を参照しつつ説明するが、添付の図面は、説明のみの目的で提供されており、本発明を限定することを意図するものではない。
【0017】
図1~
図4に示すように、本発明は自動車のサンルーフ装置及びその窓板組立体を提供する。自動車のサンルーフ装置は、車体と窓板組立体とを含み、車体は、窓板組立体が配置される窓(即ち開口)A1を備える。なお、本実施形態における車体は、補強枠Aと、補強枠Aの上方及び側縁を被覆して補強枠Aによって構造強度を高める板金Cとを含む。また、窓A1は補強枠A及び板金Cに形成され、本発明に係る窓板組立体は、窓A1に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されず、例えば、車体は板金Cのみを含んでもよい。本実施形態において、窓板組立体は、窓A1の少なくとも一部を開閉可能な可動サンルーフであるが、本発明はこれに限定されず、例えば、窓板組立体は、窓A1の全部又は少なくとも一部を常に閉じる固定窓40であってもよい。以下では、可動式サンルーフB1を実施形態として説明すると、本実施形態に係る窓板組立体は、ガラスパネル10と、窓枠体20と、シール30とを含む。
【0018】
本実施形態において、ガラスパネル10は略矩形であり、応力集中による割れを避けるために、ガラスパネル10の四隅にそれぞれ丸みが設けられている。ただし、本発明はこれに限定されず、設計者は必要に応じてガラスパネル10の外形を調整することができるはずである。
【0019】
窓枠体20は、ガラスパネル10の外形に対応してガラスパネル10の外周縁に設けられている。具体的には、窓枠体20の頂部に取付溝21が設けられ、ガラスパネル10は取付溝21内に配置され、ガラスパネル10は、接着、圧着や係止によって窓枠体20の取付溝21内に固定されてもよいが、本発明はこれらに限定されず、ガラスパネル10を取付溝21内に固定することができればよい。窓枠体20の外周縁には、係止溝22が設けられ、庇部23が延設され、係止溝22と庇部23との間には、平面24が形成されている。具体的には、庇部23が窓枠体20の頂部に位置してガラスパネル10から離れる方向に延びており、係止溝22が窓枠体20の底部に位置している。本実施形態では、窓枠体20及び庇部23はPU(ポリウレタン)の射出成形で一体に成形されているが、本発明はこれに限定されず、窓枠体20及び庇部23は他の材料のプラスチック射出成形で一体に成形されてもよい。
【0020】
本実施形態では、シール30はゴム材質であるが、本発明はこれに限定されない。シール30は窓枠体20の外周縁に配置されているため、シール30と窓枠体20との間にシールが形成されている。具体的に言えば、シール30の一側に当接部31が形成され、当接部31から係止部32が延出し、係止部32は窓枠体20の係止溝22に係止されて当接部31を密に窓枠体20の平面24及び庇部23に当接させることにより、シール30を窓枠体20に固定するとともに、シール30と窓枠体20との間にシールが形成されている。庇部23と平面24との間に90度以下の角度θが形成されているため、庇部23は当接部31の少なくとも一部に密に当接し、庇部23の一部はシール30の頂部を覆っている。これにより、シール30は窓枠体20に対して容易に取り外し可能であるだけでなく、両者間のシール効果を確保することができる。好ましくは、本実施形態において、係止溝22の上下の開口にそれぞれガイド傾斜面25が設けられ、係止部32は各ガイド傾斜面25に沿って係止溝22内に挿入されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
さらに説明すると、係止部32は本体321とフック322とを含み、係止溝22内に逆フック221が形成されている。本体321が係止溝22内に挿入する時に、フック322は逆フック221に対応して係止されることができる。本実施形態において、フック322及び逆フック221の数量はそれぞれ2つであり、各フック322はそれぞれ本体321の上下両側に位置し、各逆フック221はそれぞれ係止溝22の上下両側に位置しているが、本発明はこれに限定されず、フック322及び逆フック221の数量はそれぞれ1つであっても係止固定の効果に達することができる。
図4に示すように、本実施形態における係止部32は中空構造であり、シール30の重量を軽減するだけでなく、係止部32の弾性変形量を増加させることができるが、本発明はこれに限定されない。これにより、係止部32と係止溝22との間に製造公差がある場合でも、係止部32を係止溝22内に嵌入するように弾性変形させることができるので、両者間の係止の整合性を向上させ、加工寸法の要求を緩和し、製造コストを低減することができる。
【0022】
また、係止部32と係止溝22との係止方向が平面24に対して垂直であるため、係止部32を窓枠体20の係止溝22に係止させた際に、当接部31を平面24の方向に密着させてシールを形成することができる。なお、本実施形態において、フック322の係止面(図示せず)と当接部31との間の距離は、逆フック221の係止面(図示せず)と平面24との間の距離よりもわずかに小さいので、シール30が窓枠体20に係止されると、当接部31が平面24に密着してシールを形成することができる。
【0023】
図4に示すように、シール30の断面は略半円状であり、シール30は中空構造であるが、本発明はこれらに限定されない。これにより、窓板組立体が車体の板金Cの窓A1に密着している(又は窓板組立体が車体の板金Cの窓A1を閉じた)とき、当接部31が平面24に密着してシールを形成することができ、円弧(すなわち、シール30の当接部31に対向する側)が車体の板金Cの窓A1の内縁に密着してシールを形成する。また、シール30が中空構造であるため、シール30の軽量化を図ることができるだけでなく、その内部の中空空間が弾性変形を起こしやすくなり、平面24及び板金Cの窓A1の内縁に密着して良好なシール効果を得ることができる。
【0024】
以上をまとめると、本発明は既に産業上の利用可能性、新規性及び進歩性を有しており、特許出願要件に完全に適合するので、特許法に基づいて出願する。もちろん、本発明には他にも様々な実施形態があり得るが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者が本発明に基づいて様々な対応する変化及び変形を生じさせることができるが、これらの対応する変化及び変形も本発明の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0025】
10 ガラスパネル
20 窓枠体
21 取付溝
22 係止溝
221 逆フック
23 庇部
24 平面
25 ガイド傾斜面
30 シール
31 当接部
32 係止部
321 本体
322 フック
A 補強枠
A1 窓
B1 可動サンルーフ
B2 固定窓
C 板金
θ 角度