(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056652
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】2つの回転部材の間のトルクを決定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G01L 3/14 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G01L3/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175046
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】FR2210439
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507018894
【氏名又は名称】エヌテエヌ ユロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドゥル ボデュ
(57)【要約】
【課題】エアギャップ設定問題を解決するように構成されたトルクを決定するためのシステムを提供する。
【解決手段】本発明は2つの回転部材の間に印加されるトルクを決定するための装置に関し、この装置は、トルクに応じた角度変位を可能にすると共に、当該トルクを伝達するように配置された変形可能な構造を備えたテスト本体と、それぞれが対応する部材の回転変位を表す周期信号を発することができる2つのエンコーダと、エンコーダから読み取り距離にそれぞれ配置されて、角度位置を表す信号を出力するセンサを担持する支持体(18)と、テスト本体、エンコーダおよびセンサが収容され、読み取り距離の設定を可能にするために回転によりテスト本体に対する支持体の直動を誘発するねじ(29)によって支持体(18)に結合されていると共にサブプレート(28)が締結される空洞(26)を有する外壁(22)を有するケーシング(21)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(R)の周りの2つの回転部材(1、2)の間に印加されるトルクを決定するためのシステムであって、
テスト本体であって、前記部材のうち第1の部材(1)に前記テスト本体を連結するための手段に回転可能に固定された内部リング(5)と、前記部材のうち第2の部材(2)に前記テスト本体を連結するための手段を有すると共に前記内部リング(5)の周りに延在する外部リング(6)とを有するテスト本体であって、前記リングは、前記部材(1、2)の間にトルクを伝達する一方で、前記部材の間に印加されるトルクに従って前記リング間の角度変位を可能にするように配置される変形可能な構造によって、前記軸(R)の周りに同心的に連結される、テスト本体、
2つのエンコーダであって、それぞれ、前記内部リング(5)に回転可能に固定された内部エンコーダ(15)と、前記外部リング(6)に回転可能に固定された外部エンコーダ(16)とであり、前記エンコーダのそれぞれは、対応するリング(5、6)の回転変位を表す周期信号を発することができるトラック(15a、16a)を担持する2つのエンコーダ、
内部センサ(19)および外部センサ(20)を担持する支持体(18)を備える、前記トルクを決定するための装置であって、前記センサ(19、20)の各々は、前記内部トラック(15a)または外部トラック(16a)から読み取り距離(E)に配置された感知素子のパターンを備え、対応するエンコーダ(15、16)の角度位置を表す信号を出力し、前記装置は、前記センサ(19、20)の各々によって出力された信号を比較して、印加されるトルクに依存する前記リング(5、6)間の角度ずれを決定するための手段を備える、装置、および、
前記テスト本体、前記エンコーダ(15、16)及び前記決定装置が収容されるケーシング(21)であって、外壁(22)を有するケーシング、を備え、
前記外壁(22)は、サブプレート(28)が締結される区画(27)を形成する空洞(26)を有し、前記サブプレートは、設定ねじ(29)によって、前記支持体(18)に結合され、前記設定ねじ(29)は、前記ねじの回転が前記テスト本体に対する前記支持体の直動を誘発して、各センサ(19、20)による前記トラック(15a、16a)の前記読み取り距離(E)の設定を可能にするように配置されることを特徴とする、トルク決定システム。
【請求項2】
前記設定ねじ(29)は、直動において不動とされている間、前記サブプレート(28)の全体にわたって回転可能に配置され、前記ねじは前記支持体(18)内に螺旋状接続で取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項3】
前記空洞(26)は、閉鎖ハッチ(35)を備え、特に密閉され、前記ハッチは前記外壁(22)と連続するように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のトルク決定システム。
【請求項4】
前記設定ねじ(29)は、前記外壁(22)を越えて軸方向に突出することなく、前記空洞(26)の前記区画(27)内に配置される作動ヘッド(29a)を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項5】
前記支持体(18)が、プリント回路基板(40)が結合されているプレート(39)を備え、前記設定ねじ(29)が前記プレートに結合されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項6】
前記センサ(19、20)は半径方向距離(Rc)だけ離間され、前記設定ねじ(29)は前記距離の中央で前記支持体(18)に結合されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項7】
前記サブプレート(28)は、前記支持体と前記サブプレートとの相対的な回転を不動にするように配置される少なくとも1つのピン(43)によって、前記支持体(18)と結合されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項8】
前記サブプレート(28)は、半径方向に垂直な方向(D)に沿って整列されているように前記設定ねじ(29)の両側に配置されている2つのピン(43)によって前記支持体(18)に結合されていることを特徴とする請求項7に記載のトルク決定システム。
【請求項9】
前記サブプレート(28)は、所与の読み取り距離(E)に位置決めされたときに前記支持体(18)を支えることができるように配置された少なくとも1つの押圧ねじ(46)を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項10】
2つの押圧ねじ(46)が、半径方向に垂直な方向(D)に沿って整列されているように前記設定ねじ(29)の両側に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載のトルク決定システム。
【請求項11】
前記空洞(26)は2つのフランジ(32)を有する開口部(31)を有し、前記サブプレート(28)は、前記フランジに結合されている共に前記開口部を覆うことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項12】
前記フランジ(32)の各々は、前記ケーシング(21)の内壁(37)に浮彫で形成されたボス(34)を有することを特徴とする請求項11に記載のトルク決定システム。
【請求項13】
前記変形可能な構造は、前記リング(5、6)間に角度的に分散された一組の枝部(10)を備えることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のトルク決定システム。
【請求項14】
回転シャフト(1a)と第2の部材(2、2a)との間でトルクを伝達するためのモジュールであって、前記モジュールは請求項1~13のいずれか1項に記載のトルク決定システムを備え、前記内部リング(5)は前記回転シャフト(1a)の周りに嵌合孔(7)を有し、前記モジュールは前記ケーシング(21)のオリフィス(23)全体にわたって前記シャフトを回転可能に取り付けるための軸受(24)を備える、トルクトランスミッションモジュール。
【請求項15】
前記シャフト(1a)は前記ケーシング(21)の前記外壁(22)から突出するエンドピース(25)を有し、前記エンドピースは、前記外壁の反対側に配置される、トルク(M+)を印加するためのクランク(3)を備えていることを特徴とする請求項14に記載のトルクトランスミッションモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の周りの2つの回転部材の間に印加されるトルクを決定するためのシステム、ならびに、そのようなシステムを備え、回転シャフトと第2の部材との間でトルクを伝達するためのモジュールに関する。
【0002】
特に、本発明は、車両へのモータトルクのトランスミッション(transmission)に組み込まれた2つの部材の間、例えば電気モータ又はクランクセットと電動アシスト自転車の機械式トランスミッションとの間に印加されるトルクの決定に適用される。
【背景技術】
【0003】
このために、テスト本体(test body)であって、前記部材のうち第1の部材に前記テスト本体を連結するための手段に回転可能に固定(secure)された内部リングと、前記部材のうち第2の部材に前記テスト本体を連結するための手段を有すると共に前記内部リングの周りに延在する外部リングとを有するテスト本体であって、前記リングは、前記部材の間にトルクを伝達する一方で、前記部材の間に印加されるトルクに従って前記リング間の角度変位を可能にするように配置される変形可能な構造によって、回転軸の周りに同心的に連結される、テスト本体を使用することが知られている。
【0004】
そのようなテスト本体はリングの各々に、対応するリングの回転変位を表す周期信号を発することができる内部磁気トラックおよび外部磁気トラックをそれぞれ担持するクラウンを備えることによって、2つのエンコーダを備えることができる。特に、トラックの各々は擬似正弦波磁気信号を出力する多極磁気トラックを形成するために、N極およびS極の一連のペアを有する。
【0005】
そして、決定システムはトルク決定装置を備え、このトルク決定装置は特に、2つのそれぞれ内部センサおよび外部センサを担持する支持体を備えることができ、各センサは内部または外部トラックから読み取り距離に配置された感知素子のパターンを備えて、対応するエンコーダの角度位置を表す信号を出力することができる。
【0006】
文献FR-2816051、文献FR-2821931および文献FR-2862382は、リング間の角度ずれ(angular offset)を、したがって、変形可能な構造のねじれによって前記角度を誘発する印加トルクを決定することができる、そのような信号を比較するための装置の使用を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知のシステムではエアギャップ、すなわち、エンコーダのトラックとセンサとの間の読み取り距離を設定するという問題が生じ、これはトルクの決定を歪めないように、両方のセンサに対して正確で安定した同等の方法で実行されるべきである。特に、このような設定はトランスミッションモジュールの耐用年数を通して、特にテスト本体の変更の場合に、調整可能であるべきである。
【0008】
エアギャップを設定するための手段はまた、特にケーシング内に収容されることによって、前記ケーシングの外部と干渉しないように、最小限の軸方向バルクを有するべきである。
【0009】
本発明は特に、上述のエアギャップ設定問題を解決するように構成されたトルクを決定するためのシステムを提供することによって、従来技術を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は回転軸の周りの2つの回転部材の間に印加されるトルクを決定するためのシステムを提供し、前記システムは下記を備える。
-テスト本体であって、前記部材のうち第1の部材に前記テスト本体を連結するための手段に回転可能に固定された内部リングと、前記部材のうち第2の部材に前記テスト本体を連結するための手段を有すると共に前記内部リングの周りに延在する外部リングとを有するテスト本体であって、前記リングは、前記部材の間にトルクを伝達する一方で、前記部材の間に印加されるトルクに従って前記リング間の角度変位を可能にするように配置される変形可能な構造によって、前記軸の周りに同心的に連結される、テスト本体、
-2つのエンコーダであって、それぞれ、前記内部リングに回転可能に固定された内部エンコーダと、前記外部リングに回転可能に固定された外部エンコーダとであり、前記エンコーダのそれぞれは、対応するリングの回転変位を表す周期信号を発することができるトラックを担持する2つのエンコーダ、
-内部センサおよび外部センサを担持する支持体を備える、前記トルクを決定するための装置であって、前記センサの各々は前記内部トラックまたは外部トラックから読み取り距離に配置された感知素子のパターンを備え、対応するエンコーダの角度位置を表す信号を出力し、前記装置は、前記センサの各々によって出力された信号を比較して、印加されるトルクに依存する前記リング間の角度ずれを決定するための手段を備える、装置、および、
-前記テスト本体、前記エンコーダ及び前記決定装置が収容されるケーシングであって、前記ケーシングは、サブプレート(28)が締結される区画を形成する空洞を有する外壁を有し、前記サブプレートは、設定ねじ(29)によって、前記支持体に結合され、前記設定ねじは、前記ねじの回転が前記テスト本体に対する前記支持体の直動を誘発して、各センサによる前記トラックの前記読み取り距離(E)の設定を可能にするように配置されるケーシング。
【0011】
第2の態様によれば、本発明は回転シャフトと第2の部材との間でトルクを伝達するためのモジュールを提供し、そのようなトルク決定システムを備え、前記内部リングは前記回転シャフトの周りに嵌合孔を有し、前記モジュールは前記ケーシングのオリフィス(orifice)全体にわたって前記シャフトを回転可能に取り付けるための軸受を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の他の目的および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明において明らかになる:
【
図1】本発明に係るトルク決定システムを備えた電動アシスト自転車のクランクセットの部分斜視図である。
【
図1a】
図1のシステムの分解斜視図であり、より具体的にはテスト本体の取り付けを示す。
【
図2a】ケーシングの内側を中心とする前記クランクセットの部分断面図である。
【
図2b】前記決定装置の、半径方向に垂直な方向Dに沿った部分断面図である。
【
図3a】
図2aと同様の図であり、読取距離は最小寸法に設定されている。
【
図3b】
図2bと同様の図であり、読取距離は最小寸法に設定されている。
【
図4a】
図2aと同様の図であり、読取距離は最大寸法に設定されている。
【
図4b】
図2bと同様の図であり、読取距離は最大寸法に設定されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これらの図を参照して、回転軸Rの周りを回転する2つの部材1、2の間に印加されるトルクを決定するためのシステム、ならびに、そのようなシステムを備え、回転シャフト1aと第2の部材2、2aとの間でトルクを伝達するためのモジュールが、以下に説明される。
【0014】
本明細書では空間内での位置決めのための用語が回転軸Rに関して考慮される。特に、「内部」および「外部」という用語はそれぞれ、この軸Rに近接する配置、およびこの軸Rから距離を置いた配置に関し、「軸方向」および「半径方向」という用語はそれぞれ、この軸Rにそれぞれ沿う配置、およびこの軸Rから逸脱したりこの軸Rに接近したりする配置に関する。
【0015】
特に、本システムは、例えば電動アシスト自転車のクランクセットにおいて、車両へのモータトルクのトランスミッションに組み込まれた2つの部材1、2の間に印加されるトルクの決定を可能にする。
【0016】
図1はペダル4を備えたクランク3を備える電動アシスト自転車のクランクセットを示し、前記クランクは、軸Rに従って回転駆動されるシャフト1aに取り付けられ、ペダリング方向に従ってペダリングトルクM+を印加するための部材1を形成する。
【0017】
システムが備えるテスト本体によって、ペダリングトルクM+を部材のうち他方の部材2に伝達することが可能になり、図中で部材2は、トルクMbvを発揮する(例えばモータ駆動ギアボックスの遊星歯車列の遊星キャリアの)スリーブ2aの形態で示される。
【0018】
本出願では、EN15194:2017規格に従って考慮されるペダル4の先端におけるペダル踏力Fは1,500Nであり、165mmの長さのクランク3で、250Nmの範囲のペダル踏力トルクM+を生成する。特に、テスト本体によって伝達されるトルクは、他方の回転方向が自転車のアイドリングホイールに対応する限り、一方の回転方向(図中、矢印M+によって表されている)のみで行われる。
【0019】
テスト本体は、前記テスト本体を第1の部材1に連結するための手段に回転可能に固定された内部リング5と、前記テスト本体を第2の部材2に連結するための手段を有すると共に内部リング5の周りに延在する外部リング6とを有する。
【0020】
図を参照すると、内部リング5は、例えばタッピングまたはスプラインの形態でシャフト1aに結合するための手段を備えた孔(bore)7を有する。
【0021】
他の部材2への結合に関して、図は外部リング6の内周壁を示し、外部リング6は、前記外部リングをスリーブ2aに締結するための手段9を備えた少なくとも1つの半径方向葉部(lobe)8を有する。特に、120°で3つの葉部8が設けられており、各葉部は、特にピンによって、またはスリーブ2aの相補的なオリフィスにねじ込まれることによって、締結オリフィス9を有する。
【0022】
リング5、6は、部材1、2の間でトルクを伝達する一方で、前記部材間に印加されるトルクに従って前記部材間の角度変位を可能にするように配置される変形可能な構造によって軸Rの周りに同心状に連結される。
【0023】
特に、内部リング5上のペダリングトルクM+と、外部リング6上のスリーブ2aによって印加されるトルクMbvとの結果として生じるトルクはリング5、6間のねじれを誘発し、したがって、前記トルクに依存するねじれ角度にわたる前記リングの相対的な角度変位を誘発する。
【0024】
図示の実施形態では、変形可能な構造がリング5、6の間に角度的に分配された一組の枝部(branch)10を含む。特に、枝部10およびリング5、6は一体的にワンピースで、特に、金属材料で作られたブランクを打ち抜きおよび/または切断することによって、一体的に作製される。
【0025】
枝部10は回転方向と反対に傾斜しており、これは、枝部10に張力をかけることによって、対応物の剛性を増加させると共に応力を効果的に減少させるレバーアームを形成する。
【0026】
図面では、テスト本体が枝部のないセクタによって分離された3つの枝部10を備える。特に、枝部を有さないセクタは60°よりも大きい角度にわたって延在し、葉部8の各々は、枝部を有さないセクタ内に延在する。
【0027】
内部リング5の第1の部材1への結合を容易にするために、テスト本体を回転シャフト1aに結合するためのナット11が、孔7に締結されることによって、特に前記孔内に嵌合されることによって添えられる(affixed)。
【0028】
この実施形態はリング5、6、および変形可能な構造の、特に、打ち抜きによる、および、結合ナット11の締結前に別々に機械加工することによる、簡略化された製造を可能にする。打ち抜きによって本体を形成する経済的利益に加えて、変形可能な枝部10の長さを最大にすると共に、コンパクトなテスト本体から利益を得るために、内部リング5はナット11を締結するのにちょうど十分な寸法で作製されてもよい。
【0029】
特に、ナット11は第1の部材1のシャフト1a上のテスト本体の連結を可能にする孔11aを有することができ、前記孔は、タッピングまたは連結スプラインを備えている。図において、ナット11は、回転シャフト1a上のこの端部に形成された半径方向肩部12に軸方向に当接して取り付けられ、前記半径方向肩部と、前記回転シャフト上の周囲に形成されたリング状溝14に取り付けられた「サークリップ(circlip)」型弾性ワッシャ13との間に軸方向に不動とされる(immobilised)。
【0030】
有利には、内部リング5の孔7が幾何学的な手段、例えばスプラインを有することができ、ナット11の外周は相補的な幾何学的な手段、例えば相補的スプラインを有し、ナットを前記孔内で回転させて保持することを確実にする。
【0031】
システムはリング5、6の間の角度を決定するための装置を備え、角度は、特に変形可能な構造の剛性を考慮するとき、印加されるトルクに依存する。
【0032】
この目的のために、システムは2つのエンコーダを備え、その中には内部リング5に回転可能に固定された内部エンコーダ15と、外部リング6に回転可能に固定された外部エンコーダ16とがある。
【0033】
特に、各エンコーダ15、16はそれぞれリング5、6に締結され、磁気トラック(それぞれ内部トラック15aおよび外部トラック16a)を担持するクラウンを備え、これらは対応するリング5、6の回転変位を表す周期信号を発することができる。
【0034】
図示の実施形態ではクラウンの各々がアーマチュア(それぞれ内部アーマチュア15bおよび外部アーマチュア16b)によって担持され、内部リング5および外部リング6はそれぞれ、内部リング5および外部リング6上に内部アーマチュア15bおよび外部アーマチュア16bを締結するための手段を有する。
【0035】
特に、リング5、6の各々は、特にねじ止めまたはリベット止めによってアーマチュア15b、16bを締結するためのオリフィス5a、6aを有する。
図1aを参照すると、内部リング5は3つの半径方向葉部17を備えた周壁を有し、各リング5、6は、その葉部8、17の各々に形成されている、互いに120°で配置された3つの締結オリフィス5a、6aを有する。
【0036】
一実施形態によれば、エンコーダ15、16の一方のクラウン上でN極およびS極の一連のペアがそれぞれ磁化されて、擬似正弦波形状の磁気信号を発することができる多極磁気トラック15a、16aを形成する。
【0037】
エンコーダ15、16のクラウンの各々は、例えばプラスチックまたはエラストマー材料に基づいて作られたリング状マトリックスを含むことができ、この中で、磁性粒子、特にフェライト粒子またはNdFeBのような希土類粒子が散乱され、前記粒子は磁気トラック15a、16aを形成するように磁化される。
【0038】
システムは、下記を備えるトルク決定装置をさらに備える。
-内部センサ19および外部センサ20を担持する支持体18であって、前記センサの各々は内部トラック15aおよび外部トラック16aそれぞれから読み取り距離で配置された感知素子のパターンを含み、対応するエンコーダ15、16の角度位置を表す信号を出力する支持体18、
-センサ19、20の各々によって出力された信号を比較して、印加されるトルクに依存するリング5、6の間の角度ずれを決定するための手段。
【0039】
各センサ19、20は文献FR-2792403、文献EP-2602593および文献EP-2602594に記載されているように、少なくとも2つの感知素子、特に複数の整列した感知素子のパターンを含むことができる。
【0040】
感知素子は検出されるトラック15a、16aの磁気信号に従って抵抗が変化する磁気抵抗材料、例えば、AMR、TMRまたはGMR型に基づいてよく、またはホール効果プローブであってよい。
【0041】
一実施形態によれば、角度位置は、磁気トラック15a、16aによって放出される信号によって増分的に決定され得る。特に、センサ19、20は直角増分平方(quadrature incremental square)信号を出力するように配置されてもよく、比較手段はエンコーダ15、16の各々の角度位置を示す計数手段と、特に文献FR-2816051、文献FR-2821931および文献FR-2862382に記載されているような、前記角度位置間の差分を計算することを可能にする減算手段とを含む。
【0042】
一実施形態によれば、角度位置は絶対的に、すなわち基準位置に対して、エンコーダ15、16のクラウン上に二次磁気トラックまたは特定の符号化を提供することによって決定され得る。
【0043】
図面を参照すると、決定システムは、ケーシング21をさらに備え、ケーシング21に、テスト本体、エンコーダ15、16、および決定装置が収容される。
【0044】
特に、ケーシング21はオリフィス23を備えた外壁22を備え、オリフィスを通って回転シャフト1aがころ軸受24によって回転可能に取り付けられ、前記回転シャフトは前記外壁から突出するエンドピース25を有し、このエンドピース25にクランク3をペダリングトルクM+を印加するために備え、クランク3は前記外壁の反対側に配置される。
【0045】
外壁22は、サブプレート28が締結される区画27を形成する空洞26を有し、前記サブプレートは、設定ねじ(setting screw)29によって支持体18に結合され、この設定ねじは、各センサ19、20によるトラック15a、16aの読み取り距離Eの設定を可能にするために、前記ねじの回転がテスト本体に対する前記支持体の直動を誘発するように配置される。
【0046】
図ではケーシング21の外壁22がスカート30によって囲まれており、このスカートの内側には設定ねじ29が、特にケーシングの内側に完全に収容されるように配置されている。
【0047】
有利には、トルク決定装置全体が外壁22とトラック15a及び16aの読取面との間に含まれる。したがって、距離Eを設定するためのシステムは、高さが低減された体積内に、ケーシング21の外壁22が突出部分のない完全にクリア(clear)(必ず、すべての機械的変位がこの利用可能な範囲内に含まれることを暗示する)であることを確実にするように、かつ、アクセスハッチ35を介した簡単な封止を確実にすることができるように、嵌合される。
【0048】
空洞26はケーシング21内に開口する開口部31を有し、前記開口部を覆うようにサブプレート28が結合される2つのフランジ32を有する。図示の実施形態では、開口部31がサブプレート28の形状と同様の長方形の形状を有する。フランジ32は開口部31の小側面にわたって形成され、前記フランジは
図2b、3b、および4bの断面平面を画定する半径方向に垂直な方向Dに沿って互いに対向する。
【0049】
サブプレート28は、それぞれ1つのフランジ32に結合された2つのねじ33によって、その区画27に締結される。区画27内の締結ねじ33の軸方向バルクを制限するために、サブプレート28は2つの端部カウンタ孔28aを備え、そのそれぞれの上に、1つのねじ33の作動ヘッド33aが、前記サブプレートの上面28bから後退して配置される。
【0050】
さらに、各フランジ32はケーシング21の内壁37に浮彫で形成されたボス(boss)34を有し、それにより、区画27内の前記サブプレートのねじ込みの軸方向バルクを制限すると共に、前記ねじ込みを信頼性のあるものにするための要素を形成する。この配置はまた、ケーシング21の内側に突出するねじ33を回避することを可能にし、したがって、センサ19、20および/またはエンコーダ15、16とのその干渉を回避することを可能にする。
【0051】
一実施形態によれば、フランジ32、及びサブプレート28の小側面には、前記サブプレートをその区画27に締結するために適合する取り付け方向及び位置を示すためのフールプルーフ構造を設けることができる。
【0052】
有利には、設定ねじ29がクランクセットのクランク3と干渉しないように、したがって前記クランクセットの作動を妨げないように、外壁22を越えて軸方向に突出することなく空洞26の区画27内に配置される作動ヘッド29aを有する。
【0053】
この目的のために、サブプレート28は、中央カウンタ孔28cを備え、その上に作動ヘッド29aが前記サブプレートの上面28bから後退して配置される。特に、図示の実施形態では設定ねじ29が締結ねじ33よりも大きい直径を有し、その作動ヘッド29aがサブプレート28の上面28bからわずかに突出するように、両方とも前記上面と連続するように配置される前記締結ねじのヘッド33aとは対照的に、配置される。したがって、設定ねじ29は操作者が気付くことがより容易であり、このことは、前記設定ねじと締結ねじ33との間の混同を回避することを可能にする。
【0054】
有利には、空洞26は、外壁22と連続するように配置された(特に密閉された)閉鎖ハッチ35を備える。ヘッド29aはハッチ35の下方に配置され、特に、設定ねじ29はその作動ヘッド29aがハッチ35と区画27との間の接触面に対して後退するように配置され、機能的クリアランスがねじ29とハッチ35との間に維持されなければならない。
【0055】
したがって、決定装置、より一般的にはケーシング21の内部は、ハッチ35が存在するときに外部環境から保護され、空洞26を通る水、埃、および/または泥などの外部汚染物質の流入を回避する。さらに、ハッチ35に軸方向突出部がないことにより、クランクセットのクランク3との干渉を回避することができる。
【0056】
特に、決定装置はケーシング21の全ての内部要素と同様に、油浴に絶えず浸漬することができ、ハッチ35は油がケーシング21から漏出しないことを確実にすることを可能にし、油のケーシング21からの漏出は、トランスミッション機械システムの急速な劣化および駆動要素の潜在的な破壊をもたらす。
【0057】
設定ねじ29は直動において不動とされている間、サブプレート28全体にわたって回転可能に配置され、前記設定ねじの回転による前記支持体の直動変位を可能にするように、支持体18内に螺旋状接続で取り付けられる。
【0058】
このために、設定ねじ29は、(例えば「トルアーク(truarc)」型の)金属製ストップクラウン36によってサブプレート28に締結され、このストップクラウンは、前記設定ねじの作動ヘッド29aの下方でこの端部に設けられた溝部38に配置され、前記サブプレートの下面28dの下方に軸方向に当接する。
【0059】
特に、ストップクラウン36は、例えば前記クラウンの局所的な変形による反りによって、溝38内の前記クラウンのねじ29の軸に従った任意のクリアランスを制限するように配置されてもよい。したがって、クラウン36は溝38内の前記クラウンの軸方向クリアランスを制限するために、スプリング機能を満たすことができ、したがって、追加のスプリング座金の使用を回避することができる。
【0060】
支持体18は、センサ19、20を担持するプリント回路基板40が結合されたプレート39を備え、設定ねじ29は前記プレートに結合されている。電子基板40に連結された支持プレート39は、このセットに剛性を付与するのに寄与する。特に、基板40は、2つの締結ねじ44によってプレート39と結合されている。
【0061】
有利には、基板40をプレート39に締結するための2つのねじ44の機構(set-up)が前記ねじの頭部が2つのエンコーダ15、16の間に入るように設けられ、これは設定動作中に前記エンコーダとセンサ19、20とを接触状態に設定するとき、衝突のあらゆるリスクを克服することを可能にする。さらに、設定ねじ29は、2つのエンコーダ15、16の間にも含まれる。
【0062】
設定ねじ29はプレート39に形成されたねじ穴41に取り付けられ、前記設定ねじの回転による前記プレートの直動を可能にし、基板40は、設定ねじ29の端部が通過する前記ねじ穴と位置合わせされるオリフィス42を有する。
【0063】
図2a、3aおよび4aに示されるように、センサ19、20は半径方向距離R
cだけ離間され、設定ねじ29はこの距離R
cの中央で支持体18に結合されている。したがって、2つのセンサ19、20の読み取り距離Eの同時設定はねじ29によって可能になり、その結果、前記設定間の良好なバランスが保たれる。
【0064】
サブプレート28は少なくとも1つのピン43によって支持体18に結合されており、このピンは、前記支持体と前記サブプレートとの相対的な回転を不動とするように配置されている。図で、サブプレート28は、前述の方向Dに沿って整列されているように設定ねじ29の両側に配置されている2つのピン43によって支持体18に結合されている。
【0065】
各ピン43は、支持体18とサブプレート28とのうちの一方に締結され、前記支持体と前記サブプレートとのうちの他方に対して摺動可能に取り付けられる。図示の実施形態では、各ピン43が支持体18に締結され、サブプレート28に形成されたオリフィス45にそれぞれ摺動可能に取り付けられ、それにより、寸法的に減少したストロークにわたって支持体18とサブプレートとの間の直動ガイド(translational guidance)を確実にするが、しかし、センサ19、20の読み取り距離Eに影響を及ぼす可能性がある寸法的に連鎖する構成要素の寸法バリエーションを吸収するのに十分である。
【0066】
サブプレート28は、所望の読み取り距離Eに位置決めされたときに支持体18を支えるように配置された少なくとも1つの押圧ねじ46をさらに備え、これによって、支持体の不動化を保証し、したがって前記読み取り距離を保証する。
【0067】
図示の実施形態では、システムは、方向Dに沿って整列されているように設定ねじ29の両側に配置された2つの押圧ねじ46を備える。
【0068】
有利には、ピン43、押圧ねじ46、および設定ねじ29は全て方向Dに沿って、特にセンサ19、20の読み取り軸に対して垂直に整列され、実質的に均等に分配され、押圧ねじ46の各々は設定ねじ29とピン43との間に配置される。したがって、ねじ29を設定するとき、および押圧ねじ46を締め付けることによって設定を不動にするときの、センサ19、20を担持する基板40のシフトのリスクが制限される。
【0069】
装置は、0~2.4mmに跨るE
min~E
maxの値の範囲にわたり、エンコーダ15、16とセンサ19、20との間の共通読み取り距離Eの設定を可能にするように構成されている。特に、所望の設定を得るために、
図3a、3bに示されるエンコーダ15、16/センサ19、20の接点位置(最小読み取り距離E
min(0)に対応する)から始まることができ、
-所望の距離Eに達するまで所与の角度だけ、(例えば1回転だけ、)設定ねじ29を緩め、次いで、支持プレート18、39との接触時に、押圧ねじ46を締め付けて、前記支持プレート内の前記設定ねじのタッピングに張力をかけることによって、距離Eの設定を維持するか、または、
-押圧ねじ46をわずかに締めて、それらが支持プレート18、39を支えるようにし、次いで、所望の読み取り距離Eに対応する距離を得るために所与の角度だけ、(例えば、1/2回転だけ、)前記押圧ねじを緩め、その後、設定ねじ29を締め付けて前記所望の読み取り距離の位置で前記プレートをブロックするために逆推進力を保証する。特に、この解決策は、クリアランス補償も支持体18のいかなるシフトも誘発しない。
【0070】
エンコーダ15、16とセンサ19、20との間の共通読み取り距離Eの設定範囲は特に、トルク決定装置を構成する異なる移動要素間の(特に下記の間の)任意の機械的クリアランスを維持することを可能にすべきである。
-ピン43と、押圧ねじ46と、ハッチ35と区画27との間の接触面との間(要素の把持されたガイドのための許容可能な長さを維持しながら)。
-リング36と支持体18のプレート39との間。
-開口部31の内周と支持体18のプレート39の外周との間。
-ねじ29の底部とエンコーダ15、16との間。
【外国語明細書】