(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056658
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7028 20060101AFI20240416BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240416BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20240416BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20240416BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20240416BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/7028
A61P35/00
A61P17/00
A61P19/08
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/407
A61K33/243
A61K31/282
A61K41/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175534
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】63/414,955
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518375627
【氏名又は名称】株式会社エム・ティー・スリー
(71)【出願人】
【識別番号】592246587
【氏名又は名称】コロラド ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宝光
(72)【発明者】
【氏名】前田 淳子
(72)【発明者】
【氏名】芳我 友広
(72)【発明者】
【氏名】福原 崇臣
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA11
4C084AA19
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(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗がん剤の作用を増強する。
【解決手段】抗がん剤と併用してがんを患う患者に投与されるがん治療用の医薬組成物であって、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗がん剤と併用してがんを患う患者に投与されるがん治療用の医薬組成物であって、
一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
一般式(I)においてR
1は脂肪酸のアシル残基である。
【請求項2】
前記患者がヒト、イヌ、又はネコを含む哺乳類であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記がんが固形がんであることを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記がんがメラノーマ、骨腫瘍、リンパ腫、腺癌、又は扁平上皮癌であることを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記アシル残基が1個以上26個以下の炭素原子を有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
R1がステアロイル基であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗がん剤は、細胞内のDNAを損傷することによる抗がん作用を有する薬剤、アルキル化剤、白金化合物、又は抗腫瘍性抗生物質であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記抗がん剤はマイトマイシンCであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記抗がん剤の抗腫瘍活性を増強する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
患者における血中濃度が60μM以下となる一般式(I)で表される前記化合物又はその薬学的に許容される塩が投与されるような用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
15mg/kg以下の一般式(I)で表される前記化合物又はその薬学的に許容される塩が投与されるような用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
患者における血中濃度が1μM以上となる一般式(I)で表される前記化合物又はその薬学的に許容される塩が投与されるような用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
0.1mg/kg以上の一般式(I)で表される前記化合物又はその薬学的に許容される塩が投与されるような用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
放射線治療とさらに併用して患者に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記抗がん剤治療において、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与、及び前記投与直後の前記患者への放射線照射のセットが繰り返され、ここで、がんに対する放射線の合計照射量が2Gy以上となる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記セットが、1日に1回以下かつ1ヶ月に1回以上の頻度で繰り返される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記薬学的に許容される塩が、カルシウム塩又はナトリウム塩を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の進歩に伴って、ヒト、及びイヌやネコのような愛玩動物の寿命が延びるにつれ、死因に占めるがんの割合は大きくなってきている。がんに対する治療法としては手術療法及び化学療法の他に放射線療法があり、これらの治療法の進歩が常に望まれている。
【0003】
医薬組成物として、放射線治療の治療効果を高めるための放射線増感剤を患者に投与する手法が研究されている。放射線増感剤の例としては、低酸素性細胞の放射線感受性を高める2-ニトロイミダゾール誘導体(特許文献1)や、DNAに組み込まれて放射線感受性を高める5-ヨードデオキシウリジン(特許文献2)などが知られている。近年、新たな放射線増感剤として、スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体(特許文献3)も報告された。特許文献3には、αSQAP C10:0、αSQAP C14:0、αSQAP C18:0、αSQAP C22:0、βSQAP C18:0、及びβSQAP C18:1が、インビトロ試験で放射線との併用により血管新生を阻害したこと、及び、αSQAP C18:0が、ヒト食道扁平上皮癌又はヒト結腸腺癌を移植されたマウスにおいて放射線との併用により腫瘍体積の増加を抑制したことが記載されている。なお、「αSQAP Cm:n」との記載において、「α」はαアノマー、「β」はβアノマーを表し、「Cm:n」はSQAPのアシル残基に含まれる炭素の数が「m」であり、二重結合が「n」であることを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-302609号公報
【特許文献2】特開2002-536341号公報
【特許文献3】国際公開第2009/14101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献に記載の方法では、がん治療において、抗がん剤と併用して医薬組成物を投与することは記載されていなかった。
【0006】
本発明は、抗がん剤の作用を増強することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の医薬組成物は以下の構成を備える。すなわち、
抗がん剤と併用してがんを患う患者に投与されるがん治療用の医薬組成物であって、
一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
【化1】
(一般式(I)においてR
1は脂肪酸のアシル残基である。)
【発明の効果】
【0008】
抗がん剤の作用を増強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
本発明の一実施形態に係るがん治療用の医薬組成物は、抗がん剤と併用してがんを患う患者に投与される。また、この医薬組成物は、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する。本明細書においては、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩のことを、スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体と呼ぶ。また、本発明の一実施形態は、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を、抗がん剤と併用してがんを患う患者に投与することを含む、がんの治療方法である。
【化2】
【0011】
式(I)において、R1は脂肪酸のアシル残基である。脂肪酸のアシル残基とは、脂肪酸のカルボキシル基からOHを除去したものに相当する。脂肪酸の種類は特に限定されず、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸の炭素数も特に限定されず、炭素数は1以上であればよいが、炭素数5以上(中鎖以上の脂肪酸)であることが好ましく、炭素数6個以上であることがさらに好ましく、炭素数10以上であることがさらに好ましく、炭素数12以上(長鎖脂肪酸)であることがより好ましく、炭素数16以上であることが特に好ましい。一方、炭素数は26以下であることが好ましく、22以下であることがより好ましく、20以下であることがより好ましく、18個以下であることがさらに好ましい。脂肪酸として好ましくは直鎖状の脂肪酸であり、より好ましくは直鎖状の飽和脂肪酸である。
【0012】
脂肪酸の例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、及びセロチン酸などが挙げられる。
【0013】
キノボース環に対するプロパンジオール部位(-OCH2CH2CH2OR1)の立体配置は特に限定されない。すなわち、スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体は、αアノマー(スルホメチル基とプロパンジオール部位がトランス)であってもよいし、βアノマー(スルホメチル基とプロパンジオール部位がシス)であってもよいし、αアノマーとβアノマーの混合物であってもよい。好ましくは、スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体はαアノマーである。なお、キノボース環は、舟形構造を有していてもよいし、イス形構造を有していてもよいし、舟形構造とイス形構造の混合物であってもよい。
【0014】
式(I)で表される化合物の薬学的に許容される塩とは、患者への投与が可能な塩のことを指す。すなわち、式(I)で表される化合物は陽イオンとの塩を形成してもよく、例えば式(I)で表される化合物のスルホ基が水素イオンの代わりに陽イオンを有していてもよい。この場合、式(I)で表される化合物のスルホ基は-SO2Aで表され、ここでAは陽イオンを表す。
【0015】
薬学的に許容される塩の種類は特に限定されない。例えば、薬学的に許容される塩は、金属イオンとの金属塩であってもよいし、有機陽イオンとの有機塩であってもよい。式(I)で表される化合物の薬学的に許容される塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩のような1価の陽イオンの塩、並びに、カルシウム塩及びマグネシウム塩のような2価の陽イオンの塩などが挙げられる。
【0016】
なお、製剤中で、製剤を投与用に希釈した際に、又は患者の体内において、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を生成するプロドラッグも、本発明に含まれることはいうまでもない。このようなプロドラッグの例としては、例えば、キノボース環に結合した水酸基とカルボン酸とのエステルなどが挙げられる。また、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩の水和物も、本発明に含まれることはいうまでもない。
【0017】
スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体は、例えば、国際公開第2009/14101号に記載の方法に従って製造することができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、有効量のスルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体を活性成分として含有する。本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、2種類以上のスルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体を含有していてもよい。例えば、医薬組成物が、互いに異なる塩である2種以上のスルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体を含有していてもよいし、互いに置換基R1が異なる2種以上のスルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体を含有していてもよい。
【0019】
さらに、本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体以外の成分を含んでいてもよい。このような成分の例としては、他の医薬組成物、放射線増感剤、抗腫瘍剤、及びその他の薬理学的活性を有する物質が挙げられる。すなわち、本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、放射線増感剤として機能することができる。また、このような成分の別の例としては、添加剤、安定剤、賦形剤、及び希釈剤のような、薬理学的活性を有さない物質も挙げられる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、抗がん剤と併用してがんを患う患者に投与される。本発明の一実施形態に係る医薬組成物と併用される抗がん剤の例としては、例えばマイトマイシンC、ドキソルビシン、ブレオマイシン、及びMMCなどの抗がん性抗生物質、カンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、エトポシド及びタキソールなどの微小管重合阻害剤、MMS(メタンスルホン酸メチル)などのアルキル化剤、並びにシスプラチンなどの白金製剤などが挙げられる。
【0021】
以下、スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体を含有する医薬組成物の用法、及びこの医薬組成物を用いたがん治療方法について説明する。スルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体は、がん治療用の医薬組成物として用いることができる。本発明の一実施形態に係る医薬組成物とは、抗がん剤と併用して患者に対して投与され、抗がん作用を高める薬剤のことを指す。
【0022】
また、本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、がんを患う患者に、抗がん剤と併用することに加えて、放射線治療とさらに併用して投与されてもよい。放射線治療においては、がんの縮小又は消失を目的として、がんに対して放射線が照射される。ここで、本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、例えば上述のように放射線増感剤として機能することができる。
【0023】
治療対象となる動物(患者)の種類は特に限定されない。治療対象となる動物としては、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、及びウマなどの哺乳類が挙げられる。一実施形態において、より高い有効性を得る観点から、治療対象となる動物はイヌ又はネコである。すなわち、一実施形態に係る医薬組成物は、イヌ又はネコに投与される、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、がん治療用の医薬組成物である。一実施形態に係る医薬組成物を用いた放射線治療により、患者の体内で発生したがんを縮小し又は消失させる治療効果が得られる。
【0024】
治療対象となるがんの種類は特に限定されない。がんの種類としては、脳腫瘍などを含む神経原性腫瘍、扁平上皮癌又は腺癌等の癌腫(頭頚部癌、皮膚癌、食道癌、甲状腺癌、胃癌、肺癌、胆のう癌、胆道癌、膵臓癌、肝臓癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、及び大腸癌など)、黒色腫、骨・軟部腫瘍、リンパ腫、白血病、並びに骨髄腫などが含まれる。
【0025】
一実施形態においては、より高い有効性を得る観点から、がんの種類は皮膚癌又は血液がんであり、特にメラノーマ(黒色腫)又はリンパ腫である。また、別の実施形態において、より高い有効性を得る観点から、がんの種類は扁平上皮癌又は腺癌である。さらに、別の実施形態において、より高い有効性を得る観点から、がんの種類は口腔内又は鼻腔内腫瘍である。
【0026】
一実施形態において、医薬組成物は、患者の血中濃度で60μM以下となる一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる。すなわち、一実施形態に係る医薬組成物は、患者の血中濃度で60μM以下の一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、がん治療用の医薬組成物である。好ましくは、1回あたりの投与量が50μM以下、また好ましくは45μM以下、また好ましくは42.5μM以下、また好ましくは40μM以下、また好ましくは37.5μM以下、また好ましくは35μM以下、また好ましくは32.5μM以下、また好ましくは30μM以下、さらに好ましくは25μM以下の、一般式(I)で表される化合物が患者に投与される。
【0027】
一実施形態において医薬組成物は、1回あたり15mg/kg以下の一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる。すなわち、一実施形態に係る医薬組成物は、1回あたり15mg/kg以下の一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、がん治療用の医薬組成物である。好ましくは、1回あたりの投与量が10mg/kg以下、また好ましくは8mg/kg以下、また好ましくは5mg/kg以下、また好ましくは3mg/kg以下、さらに好ましくは2mg/kg以下、より好ましくは1mg/kg以下の、一般式(I)で表される化合物が患者に投与される。このような用量を選択することにより、投与量を増やしながら十分な有効性を得ることができる。
【0028】
一実施形態において、医薬組成物は、患者の血中濃度で1μM以上となる一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる。すなわち、一実施形態に係る医薬組成物は、患者の血中濃度で1μM以上の一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、がん治療用の医薬組成物である。好ましくは、患者の血中濃度で5μM以上、また好ましくは10μM以上、また好ましくは15μM以上、また好ましくは20μM以上、また好ましくは25μM以上、また好ましくは27.5μM以上、また好ましくは30μM以上、また好ましくは32.5μM以上、また好ましくは35μM以上、また好ましくは37.5μM以上、また好ましくは40μM以上、さらに好ましくは42.5μM以上の、一般式(I)で表される化合物が患者に投与される。
【0029】
また、医薬組成物は、1回あたり0.1mg/kg以上、好ましくは0.2mg/kg以上、また好ましくは0.5mg/kg以上、また好ましくは1mg/kg以上の一般式(I)で表される化合物が患者に投与されるように用いられる。好ましくは、1回あたり2mg/kgを越え、さらに好ましくは3mg/kg以上であり、より好ましくは4mg/kg以上の、一般式(I)で表される化合物が患者に投与される。このような用量を選択することにより、投与量を減らしながら十分な有効性を得ることができる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、例えば抗がん剤と同時に投与してもよく、抗がん剤を投与した後の患者に投与されてもよく、抗がん剤を投与する前の患者に投与されてもよく、またこれらの具体的な投与タイミングは特に限定されない。例えば、医薬組成物を毎日投与し、抗がん剤を周期的(例えば、三週間ごと)に投与するようにしてもよい。また例えば、抗がん剤と医薬組成物とを同日に投与するようにしてもよい。
【0031】
一実施形態においては、医薬組成物の投与と抗がん剤の投与とを1セットとして、この1セットの治療が繰り返される。この1セットに含まれる医薬組成物の投与回数及び抗がん剤の投与回数は限定されない。例えば、抗がん剤の投与の前後に医薬組成物を1回ずつ投与することを1セットとしてもよい。また例えば、3週間にわたり、抗がん剤を1回、医薬組成物の投与を3回、それぞれ等間隔に投与することを1セットとしてもよい。このセットの繰り返し回数は、例えば3回以上であることが好ましく、4回以上であることが好ましく、5回以上であることがより好ましい。このように、1セットの投与を繰り返し行うことにより、より高い有効性を得ることが可能となる。このようなセットの繰り返し回数は特に限定されず、例えば10回以下であることが好ましく、8回以下であることが好ましく、6回以下であることがより好ましい。このような実施形態によれば、抗がん剤の投与による副作用を抑えながらより高い有効性を得ることが可能となる。
【0032】
また一実施形態においては、医薬組成物が、抗がん剤の投与タイミングとは対応しないタイミングで投与されてもよい。例えば、放射線治療が併用される場合には、医薬組成物が放射線治療の直前に投与されるようにしてもよい。ここで、放射線治療の直前の医薬組成物の投与とは、放射性治療の開始の3時間前までに医薬組成物を投与することを指すものとする。
【0033】
抗がん剤の投与頻度は、抗がん剤の種類又は投与方法などに応じて任意に設定可能である。例えば、抗がん剤を毎日投与する場合には、抗がん剤の投与の直前に医薬組成物を投与するようにしてもよい。ここで、抗がん剤の投与の直前の医薬組成物の投与とは、抗がん剤の投与の1時間前までに医薬組成物を投与することを指すものとする。医薬組成物を投与してから抗がん剤を投与するまでの時間は好ましくは30分以内であり、さらに好ましくは10分以内である。
【0034】
その他、医薬組成物の投与条件及び抗がん剤の投与条件は、医薬組成物の種類、投与ルート及び投与時期;抗がん剤の種類、投与ルート及び投与時期;治療対象となる疾患の種類及び疾患の重症度;並びに、治療対象となる患者の年齢、体重、健康状態、及び病歴などに依存して、医療従事者その他の専門家が適宜選択することができる。
【0035】
医薬組成物の投与経路は特に限定されない。投与経路としては経口投与及び非経口投与が挙げられる。経口投与に適した剤型としては、固体、半固体、液体又は気体などの状態のものが含まれ、具体的には、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、及びエアロゾル剤などを挙げることができるが、これらには限定されない。また、非経口投与の方法としては、例えば、注射、経皮投与、直腸投与、及び眼内投与などが挙げられる。注射による投与方法として、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、及び筋肉内投与などが挙げられる。
【0036】
一実施形態において、より高い有効性を得る観点から、医薬組成物は静脈内投与される。また、局所炎症を抑える観点から、医薬組成物は1分間以上かけてゆっくりと投与することが好ましい。
【0037】
がん治療において、本発明の一実施形態に係る医薬組成物の投与と併用して行われる放射線治療の方法は特に限定されない。例えば、従来行われている放射線治療と同様の、放射線の種類、量、及び回数を用いることができる。放射線治療方法の例としては、医療用放射線、例えばX線、γ線、電子線、β線、粒子線(π-中間子、中性子、陽子線、又はその他の重粒子)、小線源治療、又は核医学治療(RI内用療法)を、照射量が1回あたり約0.1~100Gyの照射量、合計約1~500Gyとなるように、1日~6ヶ月の期間にわたって照射する方法が挙げられる。
【0038】
以上のように、有効量の医薬組成物を、それを必要とする患者に、抗がん剤と併用して投与することにより、患者のがんを治療することができる。
【実施例0039】
試験用の細胞に対して、抗がん剤及び医薬組成物を投与して培養し、コロニー形成後のコロニーの数を確認した。ここで、投与する抗がん剤の濃度を変えたケースを用意し、そのそれぞれの場合における、医薬組成物を投与せずに培養した場合と比較した細胞の生存率を測定した。投与する抗がん剤の種類は、投与先の細胞の種類に応じて所定のものを選択した。なお、医薬組成物及び抗がん剤を投与せず細胞の培養を行ったものをコントロールとした。以下、そのような各工程について説明を行う。
【0040】
使用した医薬組成物は化合物A(スルホキノボシルアシルプロパンジオール、SQAP)であった。ここで、SQAPは、式(I)においてR1=CO(CH2)16CH3(ステアロイル基:ステアリン酸のアシル残基)であるαアノマーのダイマー(分子量:約1175)である。
【0041】
ここで試験用に用いる細胞としては、CHO細胞、V79細胞、及びイヌ由来のがん細胞を用意した。CHO細胞はチャイニーズハムスター由来の卵巣細胞であり、V79細胞はチャイニーズハムスターの肺由来の線維芽細胞である。がん細胞としては、メラノーマを発症した細胞(CML6M)、軟部組織肉腫を発症した細胞(STSA-1)をそれぞれ用いた。
【0042】
がん細胞は、αMEM培地に10%血清と抗生物質を加えたものを用いて培養することによって調製した。培養した細胞にPBS洗浄及びトリプシン処理を行うことによって得られる細胞懸濁液から細胞濃度を測定し、所定の濃度範囲となるように調製を行った。ここでの所定の濃度範囲は、CHO/V79細胞では300cells/well、メラノーマ細胞では100~150cells/well、並びに軟部組織肉腫細胞では500~1000cells/wellとなるようにした。
【0043】
次いでがん細胞に、抗がん剤の濃度を変えてそれぞれ添加した培養環境で培養を行い、コロニーを形成させた。コロニー形成のための培養期間は、CHO及びV79では一週間、メラノーマでは10日間、軟部組織肉腫では14日間とした。コロニーの形成後に生理食塩水で洗浄を行い、100%エタノールで固定、0.1%クリスタルバイオレットで染色を行い、顕微鏡下でウェル当たりのコロニー数を確認した。なお、ここではコロニーは50個以上の細胞で構成されているものとして定義した。また、抗がん剤としては、マイトマイシンC、ドキソルビシン、ブレオマイシン、カンプトテシン、エトポシド、タキソール、メチルメタンスルホン酸、及びシスプラチンを使用した。
【0044】
それぞれの生存率の測定結果を、横軸を抗がん剤の濃度、縦軸を生存率として、SQAPの投与量ごとにプロットすることでグラフ化し、SQAPの添加による細胞の生存率への効果を調べた。以下、抗がん剤ごとに表を示して説明を行う。
【0045】
(実施例1)
細胞としてCHO細胞を、抗がん剤としてマイトマイシンCを使用した。マイトマイシンCの量はそれぞれ、0nM、100nM、200nM、300nM、400nM、及び500nMとした。SQAP30μMを投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表1に示す。表1においては、SQAPを投与しなかった場合の生存率を実線で、SQAP30μMを投与した場合の生存率を破線で示す。
【表1】
【0046】
CHO細胞に500nMのマイトマイシンCを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は40%前後であった。一方で、同条件のCHO細胞にSQAP30μMを投与した場合には、細胞の生存率は1%前後であり、SQAPを投与しなかった場合と比較して著しく減少したことが確認された。
【0047】
(実施例2)
細胞としてイヌ由来のメラノーマ細胞と軟部組織肉腫細胞を、抗がん剤としてドキソルビシンを使用した。メラノーマ細胞に投与するドキソルビシンの量はそれぞれ、0nM、5nM、10nM、15nM、20nM、及び25nMとした。また、軟部組織肉腫細胞に投与するドキソルビシンの濃度は、0nM、5nM、10nM、及び15nMをそれぞれ用いた。SQAP10μM、20μM、及び30μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表2に示す。以下の表においては、SQAPを投与しなかった場合の生存率を実線で、SQAP10μMを投与した場合の生存率を破線で、SQAP20μMを投与した場合の生存率を一点鎖線で、SQAP30μMを投与した場合の生存率を二点鎖線で示す。
【表2】
【0048】
メラノーマ細胞に15nMのドキソルビシンを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は20%前後であった。一方で、同条件のメラノーマ細胞にSQAPを10μM、20μM、30μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ10%前後、3%前後、0.4%前後であった。また、軟部組織腫瘍細胞に10nMのドキソルビシンを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は6%前後であった。一方で、同条件の軟部組織肉腫細胞にSQAPを10μM、20μM、30μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ2%前後、2%前後、0.7%前後であった。このように、ドキソルビシンを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0049】
(実施例3)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてブレオマイシンを使用した。ブレオマイシンは濃度が0μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、及び15μg/mLとなるように投与した。SQAP20μMを投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表3に示す。
【表3】
【0050】
細胞に15nMのブレオマイシンを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は40%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ20%前後、2%前後であった。このように、ブレオマイシンを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0051】
(実施例4)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてシスプラチンを使用した。シスプラチンは、濃度が0μg/mL、0.1μg/mL、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、及び0.5μg/mLとなるように投与した。SQAP10μM及び20μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表4に示す。
【表4】
【0052】
細胞に0.3μg/mLのシスプラチンを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は40%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ8%前後、5%前後であった。このように、シスプラチンを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0053】
(実施例5)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてカンプトテシンを使用した。カンプトテシンの量はそれぞれ、0nM、5nM、10nM、15nM、及び20nMとした。SQAP10μM及び20μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表5に示す。
【表5】
【0054】
細胞に20nMのカンプトテシンを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は15%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ12%前後、3%前後であった。このように、カンプトテシンを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0055】
(実施例6)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてマイトマイシンCを使用した。MMCの量はそれぞれ、0nM、100nM、200nM、300nM、400nM、及び500nMとした。SQAP10μM及び20μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表6に示す。
【表6】
【0056】
細胞に500nMのマイトマイシンCを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は50%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ2%前後、1.8%前後であった。このように、MMCを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0057】
(実施例7)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてエトポシドを使用した。エトポシドの量はそれぞれ、0μM、5μM、10μM、15μM、20μM、25μM、及び30μMとした。SQAP10μM及び20μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表6に示す。
【表7】
【0058】
細胞に30nMのエトポシドを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は30%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ9%前後、8%前後であった。このように、エトポシドを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0059】
(実施例8)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてタキソールを使用した。タキソールの量はそれぞれ、0μM、10μM、20μM、及び30μMとした。SQAP10μM及び20μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表8に示す。
【表8】
【0060】
細胞に30nMのタキソールを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は5%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率はともに2%前後であった。このように、MMSを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が減少したことが確認された。
【0061】
(実施例9)
細胞としてV79細胞を、抗がん剤としてMMSを使用した。MMSの量はそれぞれ、0μM、10μM、20μM、30μM、及び40μMとした。SQAP10μM及び20μMをそれぞれ投与した場合とSQAPを投与しなかった場合との細胞の生存率を以下の表9に示す。
【表9】
【0062】
細胞に40nMのMMSを投与しSQAPを投与しなかった場合は、細胞の生存率は40%前後であった。一方で、同条件の細胞にSQAPを10μM、20μM投与した場合の細胞の生存率は、それぞれ7%前後、1%未満であった。このように、MMSを投与し、SQAPを投与する場合、SQAPを投与しなかった場合と比較して投与した量に応じて細胞の生存率が著しく減少したことが確認された。
【0063】
(実施例10)
上述した実施例においては、試験用の細胞に対して抗がん剤及び医薬組成物を投与して培養を行った。本実施例では、試験用の細胞に対して抗がん剤を投与せず、医薬組成物(SQAP)のみを投与して培養を行い、コロニー形成後のコロニーの数を確認した。なお、培養及びコロニー数の確認は、抗がん剤を投与しないことを除き、実施例1~9と同様に行った。
【0064】
SQAPを投与する試験用の細胞として、CHO細胞、メラノーマ細胞(CML6M)、軟部組織肉腫細胞(STSA-1)、及びV79細胞をそれぞれ用いた。SQAPは、CHO細胞に対しては30μM、メラノーマ細胞及び軟部肉腫細胞に対しては10μM、20μM、30μM、V79細胞に対しては10μM、20μMの投与をそれぞれ行った。
【0065】
CHO細胞にマイトマイシンC500μMとSQAP30μMとを投与した場合の生存率が1%前後だったのに対して、SQAP30μMのみを投与した場合の生存率は75%前後であった。また、メラノーマ細胞にドキソルビシン(10μM)とSQAP(10μM、20μM、30μM)とを投与した場合の生存率がそれぞれ10%前後、3%前後、0.4%前後であったのに対して、SQAPのみを投与した場合の生存率はそれぞれ90%前後、85%前後、60%前後であった。また、軟部組織肉腫細胞にドキソルビシン(10μM)とSQAP(10μM、20μM、30μM)とを投与した場合の生存率がそれぞれ2%前後、2%前後、0.7%前後であったのに対して、SQAPのみを投与した場合の生存率はそれぞれ90%前後、70%前後、45%前後であった。V79細胞にシスプラチン(濃度0.3μg/mL)とSQAP(10μM、20μM)とを投与した場合の生存率がそれぞれ8%前後、5%前後であったのに対して、SQAPのみを投与した場合の生存率はともに100%であった。また、上記実施例において示した、V79細胞に抗がん剤とSQAPと併用して投与するいずれの例においても、SQAPのみを投与した場合と比較して抗がん剤を併用した場合の方が培養後の細胞の生存率は低下した。このように、SQAPを単体で投与する場合と比較して、抗がん剤とSQAPとを併用することにより著しく生存率が低下したことが確認された。
【0066】
上記の実施例により、抗がん剤と併用して医薬組成物を細胞に投与することによって、抗がん剤により損傷した細胞の生存率が著しく低下するという顕著な効果が得られることが確認された。また、抗がん剤と併用して医薬組成物を投与することにより、抗がん剤と併用せずに医薬組成物を単体で投与した場合と比べて著しく細胞の生存率が低下するという顕著な効果が確認された。このように、本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、抗がん剤の抗腫瘍活性を増強することが可能である。本発明の一実施形態に係る医薬組成物と抗がん剤との組み合わせによれば、相乗的な抗腫瘍活性が得られる。
【0067】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。