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特開2024-56659積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056659
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B29C70/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175603
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】17/963,672
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロム-シーバー, アドリアーナ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ロエシュ, クリストファー
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AR07
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスする1以上のプロセッサを含む。該モデルは、生成されることとなる構成要素の様々な特性を含む。次いで、プロセッサは、モデルの個々のプライを異なる群に分ける。プライの群の各々について、スタッガー要件が決定され、スタッガー要件を解決するためのアルゴリズム(例えば、整数最適化アルゴリズム又は本明細書で説明される他の方法)が実行される。次いで、群内の各プライについての三次元繊維配置開始位置が、実行されたアルゴリズムからの出力、規定面上で特定された基準曲線、及び規定面に対して垂直な表面上の測地曲線に基づいて計算される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法(400)であって、前記積層複合材構成要素は、前記積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造され、前記複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含み、前記繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有し、前記方法(400)は、
内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ(201)によって、前記積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル(202)にアクセスすること(402)を含み、前記コンピュータ幾何モデル(202)は、前記積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含み、前記データは、
前記複数のプライを含む積層規定であって、前記複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、
前記プライ境界が規定される前記領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含み、前記方法(400)は、更に、
前記1以上のプロセッサ(201)によって、前記コンピュータ幾何モデル(202)を解析し、同じプライ配向を有する前記複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすること(404)を含み、前記方法(400)は、更に、
前記1以上の群の各々について、前記1以上のプロセッサ(201)が、
前記プライ配向と前記規定面を特徴付ける前記データとに基づいて、前記群の前記プライ配向について前記規定面上の基準曲線を特定すること(406)、
前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の測地曲線を特定すること(408)、
前記規定面を複数のスタッキングエリアに分割すること(410)であって、各スタッキングエリアは、前記群の前記複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること(410)、
前記積層規定から、前記複数のスタッキングエリアの各々について、前記複数のスタッキングエリアの前記同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定すること(412)であって、スタッガーは、前記同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と前記同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の前記測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、前記正規化された差は、前記第1のプライ又は前記第2のプライのコースの前記繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること(412)、
前記群内の各プライの前記繊維配置開始位置について前記測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること(414)、
前記離散した可能な距離の組に基づいて、前記群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること(416)、
前記群内の各プライについての前記一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、前記一組の候補繊維配置開始位置と共に前記整数最適化アルゴリズムを投入すること(418)であって、前記目的関数又は前記1以上の制約は前記スタッガー要件を含む、整数最適化アルゴリズムを投入すること(418)、
前記最適解を得るために、前記整数最適化アルゴリズムを実行すること(420)、並びに
前記最適解、前記基準曲線、及び前記測地曲線に基づいて、前記群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算すること(422)を含む、方法(400)。
【請求項2】
各プライについての前記三次元繊維配置開始位置は、繊維の第1のコースの中心線が通過する前記規定面上の点であり、通過した後に、前記プライ内の全ての他のコース配置位置を決定することが可能である、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記1以上のプロセッサ(201)によって、前記繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取ることを更に含み、トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含み、前記コースの前記有限な幅が、前記トウの数に前記予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数の前記トウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しく、
前記スタッガー要件は、前記正規化された差が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙とを合計したものの倍数であることを禁止するように決定される、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項4】
前記測地曲線を特定することは、前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の複数の測地曲線を特定し、前記複数の測地曲線の各々と前記プライ境界との交点を特定し、前記複数の測地曲線のうちの1つについて、前記基準曲線から前記1つの測地曲線と前記プライ境界との前記交点までの距離を測定し、それによって、前記プライの境界縁部を特定することを含み、前記方法(400)は、更に、
前記群内のプライについて、前記一組の候補繊維配置開始位置内の前記候補繊維配置開始位置の各々を、前記プライの前記境界縁部の閾値距離以内且つ前記プライ境界内にあるように、前記繊維材料の有限な幅の整数倍だけ前記1つの測地曲線に沿ってシフトさせることを含む、請求項3に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記一組の候補繊維配置開始位置内の全ての候補繊維配置開始位置が前記プライ境界内に入ることを確実にするために、前記一組内の前記候補繊維配置開始位置のいずれかが消去可能であるかどうかを判定することを更に含む、請求項4に記載の方法(400)。
【請求項6】
前記整数最適化アルゴリズムは、各プライについて計算された前記三次元繊維配置開始位置が前記プライ境界内に入ることを確実にするように規定された制約を含む、請求項4に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記プライ配向は、繊維の方向によって規定され、
前記整数最適化アルゴリズムは、
前記群内のプライ内に含まれる前記1以上のコースのうちの1つの前記トウのうちの1つの縁部が前記プライの前記境界縁部と整列し、前記プライの前記境界縁部が前記プライの前記繊維の方向と平行であることを確実にするように規定された制約、又は
前記一組内の各候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙との合計の整数倍だけ前記プライの前記繊維の方向と平行な前記プライの前記境界縁部から離れるように、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定、のうちのいずれかを含み、
前記トウの前記縁部は、前記群内の前記プライの前記境界縁部と整列し、それによって、前記トウの前記縁部と前記プライの前記境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、前記角度と前記閾値角度とは、互いに異なる、請求項6に記載の方法(400)。
【請求項8】
前記整数最適化アルゴリズムは、
前記プライ境界の少なくとも一部分を共有する前記群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的であることを確実にするように規定された制約であって、相補的とは、前記2つのプライのうちの第1のプライの皺状の縁部が、前記2つのプライのうちの第2のプライの皺状の縁部と整列しないように前記2つのプライを配置することと規定される、制約、又は
前記群内の第1のプライについての前記一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、前記群内の第2のプライについての前記一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定することを含む、請求項6に記載の方法(400)。
【請求項9】
前記複数のスタッキングエリアのうちのスタッキングエリアの表面積と
前記スタッキングエリア内のプライの数とのうちの一方又は両方に基づいて、
前記整数最適化アルゴリズムが前記最適解をバイアスすることを更に含む、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項10】
前記プライ配向は、ロゼット及び繊維角度によって規定され、前記基準曲線は、更に、前記プライ配向に基づいて特定され、
前記測地曲線を特定することは、前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の複数の測地曲線を特定し、前記複数の測地曲線の各々と前記プライ境界との交点を特定することを含み、
前記離散した可能な距離の組を規定することは、前記複数の測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定することを含み、
前記正規化された差は、前記群の前記プライ配向についての前記基準曲線に対して垂直な前記複数の測地曲線のうちの前記測地曲線に沿って測定され、
各プライについて前記三次元繊維配置開始位置を計算することは、更に、前記積層規定内の前記プライ境界に基づく、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項11】
前記積層規定は、更に、前記複数のプライが含まれる前記積層複合材構成要素の前記領域の厚さを通して一連の順序付けられたプライのシーケンスを含み、
前記スタッガー要件は、第1のプライの前記候補繊維配置開始位置と同じ群内の他のプライの前記候補繊維配置開始位置との間の最小距離を規定し、第1のプライの前記候補繊維配置開始位置と同じ群内の他のプライの前記候補繊維配置開始位置とは、前記群の前記複数のスタッキングエリアのうちの任意のスタッキングエリア内で所定の数未満のプライだけ分離されている、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項12】
前記整数最適化アルゴリズムは、
前記群内の各プライについて前記一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定を含み、それによって、各プライについての各三次元繊維配置開始位置が、前記群内の前記プライの厚さを通して互いから均等に離隔される、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項13】
前記繊維の1以上のコースの各々は、繊維アプリケータのシングルパスで付加され、
前記繊維アプリケータは、自動繊維配置機(251)又は自動テープ敷設器(251)であり、前記方法(400)は、更に、前記1以上のプロセッサ(201)又は別のコンピューティングデバイスが、前記群内の各プライについての前記三次元繊維配置開始位置に基づいて、前記積層複合材構成要素を生成するために前記領域に自動的に繊維を付加するための前記自動繊維配置機(251)又は前記自動テープ敷設器(251)に対する指示命令を生成することを含む、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項14】
前記繊維の1以上のコースの各々は、繊維アプリケータのシングルパスで付加され、
前記繊維アプリケータは、手作業の繊維アプリケータであり、前記方法(400)は、更に、
前記1以上のプロセッサ(201)又は別のコンピューティングデバイスが、各プライについての前記三次元繊維配置開始位置に基づいて、各プライの前記1以上のコースの各々の境界の位置を特定すること、
各プライの前記1以上のコースの各々の前記境界の前記位置に基づいて、各プライの前記1以上のコースの各々の形状を特定すること、及び
ユーザが前記手作業の繊維アプリケータを使用して繊維を付加するために、各コースの前記形状を前記積層複合材構成要素の表面の上に投影するために、前記1以上のコースの各々の前記形状をレーザープロジェクター(252)に送信することを含む、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項15】
積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定するシステム(200A)であって、前記積層複合材構成要素は、前記積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造され、前記複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含み、前記繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有し、前記システム(200A)は、
内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ(201)を備え、前記指示命令は、実行されると、前記1以上のプロセッサ(201)に、
前記積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル(202)にアクセスすることを実行させ、前記コンピュータ幾何モデル(202)は、前記積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含み、前記データは、
前記複数のプライを含む積層規定であって、前記複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、
前記プライ境界が規定される前記領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含み、更に、前記指示命令は、実行されると、前記1以上のプロセッサ(201)に、
前記コンピュータ幾何モデル(202)を解析し、同じプライ配向を有する前記複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを実行させ、更に、前記指示命令は、実行されると、
前記1以上の群の各々について、前記1以上のプロセッサ(201)に、更に、
前記プライ配向と前記規定面を特徴付ける前記データとに基づいて、前記群の前記プライ配向について前記規定面上の基準曲線を特定すること、
前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の測地曲線を特定すること、
前記規定面を複数のスタッキングエリアに分割することであって、各スタッキングエリアは、前記群の前記複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること、
前記積層規定から、前記複数のスタッキングエリアの各々について、前記複数のスタッキングエリアの前記同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することであって、スタッガーは、前記同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と前記同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の前記測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、前記正規化された差は、前記第1のプライ又は前記第2のプライのコースの前記繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること、
前記群内の各プライの前記繊維配置開始位置について前記測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること、
前記離散した可能な距離の組に基づいて、前記群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること、
前記群内の各プライについての前記一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、前記一組の候補繊維配置開始位置と共に前記整数最適化アルゴリズムを投入することであって、前記目的関数又は前記1以上の制約は前記スタッガー要件を含む、前記整数最適化アルゴリズムを投入すること、
前記最適解を得るために、前記整数最適化アルゴリズムを実行すること、並びに
前記最適解、前記基準曲線、及び前記測地曲線に基づいて、前記群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算することを実行させる、システム(200A)。
【請求項16】
積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法(450)であって、前記積層複合材構成要素は、前記積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造され、前記複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含み、前記繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有し、前記方法(450)は、
内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ(201)によって、前記積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル(202)にアクセスすること(452)を含み、前記コンピュータ幾何モデル(202)は、前記積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含み、前記データは、
前記複数のプライを含む積層規定であって、前記複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、
前記プライ境界が規定される前記領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含み、前記方法(450)は、更に、
前記1以上のプロセッサ(201)によって、前記コンピュータ幾何モデル(202)を解析し、同じプライ配向を有する前記複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすること(454)を含み、前記方法(450)は、更に、
前記1以上の群の各々について、前記1以上のプロセッサ(201)が、
前記プライ配向と前記規定面を特徴付ける前記データとに基づいて、前記群の前記プライ配向について前記規定面上の基準曲線を特定すること(456)、
前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規
定面上の測地曲線を特定すること(458)、
前記規定面を複数のスタッキングエリアに分割すること(460)であって、各スタッキングエリアは、前記群の前記複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること(460)、
前記積層規定から、前記複数のスタッキングエリアの各々について、前記複数のスタッキングエリアの前記同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定すること(462)であって、スタッガーは、前記同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と前記同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の前記測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、前記正規化された差は、前記第1のプライ又は前記第2のプライのコースの前記繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること(462)、
前記群内の各プライの前記繊維配置開始位置について前記測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること(464)、
前記離散した可能な距離の組に基づいて、前記群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること(466)、
前記一組の候補繊維配置開始位置から、前記スタッガー要件を満たす前記群内の各プライについての1つの繊維配置開始位置を選択すること(468)、並びに
前記基準曲線及び前記測地曲線に基づいて、前記群内の各プライについての前記1つの繊維配置開始位置を三次元繊維配置開始位置に変換すること(470)を含む、方法(450)。
【請求項17】
前記1以上のプロセッサ(201)によって、前記繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取ることを更に含み、トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含み、前記コースの前記有限な幅が、前記トウの数に前記予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数の前記トウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しく、
前記スタッガー要件は、前記正規化された差が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙とを合計したものの倍数であることを禁止するように決定される、請求項16に記載の方法(450)。
【請求項18】
前記測地曲線を特定することは、前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の複数の測地曲線を特定し、前記複数の測地曲線の各々と前記プライ境界との交点を特定し、前記複数の測地曲線のうちの1つについて、前記基準曲線から前記1つの測地曲線と前記プライ境界との前記交点までの距離を測定し、それによって、前記プライの境界縁部を特定することを含み、前記方法(450)は、更に、
前記群内のプライについて、前記一組の候補繊維配置開始位置内の前記候補繊維配置開始位置の各々を、前記プライの前記境界縁部の閾値距離以内且つ前記プライ境界内にあるように、前記繊維材料の有限な幅の整数倍だけ前記1つの測地曲線に沿ってシフトさせることを含む、請求項17に記載の方法(450)。
【請求項19】
前記プライ配向は、繊維の方向によって規定され、
前記群内の各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択することは、
前記群内のプライ内に含まれる前記1以上のコースうちの1つの前記トウのうちの1つの縁部が前記プライの前記境界縁部と整列し、前記プライの前記境界縁部が前記プライの前記繊維の方向と平行であることを確実にするように、各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択すること、又は
前記一組内の各候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙との合計の整数倍だけ前記プライの前記繊維の方向と平行な前記プライの前記境界縁部から離れるように、候補繊維配置開始位置の規定された一組を得るために、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定し、前記群内の各プライについて、前記規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を前記1つの繊維配置開始位置として選択することを含み、
前記トウの前記縁部は、前記群内のプライの前記境界縁部と整列し、それによって、前記トウの前記縁部と前記プライの前記境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、前記角度と前記閾値角度とは、互いに異なる、請求項18に記載の方法(450)。
【請求項20】
前記群内の各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択することは、
前記プライ境界の少なくとも一部分を共有する前記群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的であることを確実にするように、各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択することであって、相補的とは、前記2つのプライのうちの第1のプライの皺状の縁部が、前記2つのプライのうちの第2のプライの皺状の縁部と整列しないように前記2つのプライを配置することと規定される、各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択すること、又は
前記群内の第1のプライについての規定された一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、前記群内の第2のプライについての前記規定された一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、前記規定された一組の候補繊維配置開始位置を得るために、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定し、前記群内の各プライについて、前記規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を前記1つの繊維配置開始位置として選択することを含む、請求項18に記載の方法(450)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、複合材構成要素を製造することに関する。特に、本開示は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定するための数値制御(NC)プログラミングに関する。
【背景技術】
【0002】
自動繊維配置(AFP)及び自動テープ敷設(ATL)は、一方向複合材料のレイアップを自動化する方法である。両者は、構成要素の表面の上を通過している間にテープをロールアウトするコンセプトに基づく。ATLとAFPとの主たる違いは、1)表面上に配置される材料の幅、2)シングルパス内に配置されるテープの数、及び3)テープが切断される方向である。ATLは、例えば6インチ又は12インチの幅の単一のテープを配置し、テープは任意の角度で切断することが可能である。一方、AFPは、トウと呼ばれる複数の平行なテープを単一のコース内に配置し、これらのトウは、繊維の方向に対して垂直にのみ切断される。典型的なトウの幅は、1/8インチ、1/4インチ、1/2インチ、及び3/2インチであり、トウの数は、2から32まで変化する。ATLは、平坦な表面により適している。というのも、より大きなテープは、湾曲した表面上に配置されるときに皺ができる傾向があるからである。AFPは、(高度に)湾曲した表面により適しているが、平坦な表面に対しても同様に使用され得る。
【0003】
プライスタッガーという概念は、隣接するコースの間に間隙が存在し、これらの間隙が複合材部品の層の厚さ方向に並ぶと、複合材部品の構造的完全性が損なわれる危険性があることから導入された。多くの複合材構成要素の設計は、プライ層内で間隙が揃うことによってもたらされる構造的完全性の問題を防ぐために、特定のスタッガー要件を有する。加えて、プライの繊維の方向に依存して、プライは繊維が複合材部品に付加されるエリアの境界に皺状の縁部を生じさせ、又はさもなければ繊維が付加されるエリアの境界の縁部の上に繊維が垂れ下がる。
【0004】
したがって、上述の問題のうちの少なくとも幾つか、ならびに他の有り得る課題を考慮した、システム及び方法を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の例示的な複数の実施態様は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法及びシステムを対象とする。該方法は、1以上のプロセッサが積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスすることを含む。該モデルは、生成されることとなる構成要素の様々な特性を含む。次いで、プロセッサは、モデルの個々のプライを異なる群に分ける。プライの群の各々について、スタッガー要件が決定され、スタッガー要件を解決するためのアルゴリズム(例えば、整数最適化アルゴリズム又は本明細書で説明される他の方法)が実行される。次いで、群内の各プライについての三次元繊維配置開始位置が、1)実行されたアルゴリズムからの出力、2)規定面上で特定された基準曲線、及び3)規定面に対して垂直な表面上の測地曲線、に基づいて計算される。
【0006】
したがって、本開示は以下の例示的な複数の実施態様を含むが、これらに限定されない。
【0007】
幾つかの例示的な実施態様は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法を提供する。積層複合材構成要素は、積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造される。その場合、複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有する。該方法は、内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサによって、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスすることを含む。コンピュータ幾何モデルは、積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含む。該データは、複数のプライを含む積層規定であって、複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、プライ境界が規定される領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含む。該方法は、更に、1以上のプロセッサによって、コンピュータ幾何モデルを解析し、同じプライ配向を有する複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを含む。該方法は、更に、1以上の群の各々について、1以上のプロセッサが、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて、群のプライ配向について規定面上の基準曲線を特定すること、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の測地曲線を特定すること、規定面を複数のスタッキングエリアに分割することであって、各スタッキングエリアは、群の複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること、積層規定から、複数のスタッキングエリアの各々について、複数のスタッキングエリアの同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することであって、スタッガーは、同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の測地曲線に沿った距離における正規化された差として規定され、正規化された差は、第1のプライ又は第2のプライのコースの繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること、群内の各プライの繊維配置開始位置について測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること、離散した可能な距離の組に基づいて群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること、群内の各プライについての一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、一組の候補繊維配置開始位置と共に整数最適化アルゴリズムを投入することであって、目的関数又は1以上の制約はスタッガー要件を含む、整数最適化アルゴリズムを投入すること、最適解を得るために整数最適化アルゴリズムを実行すること、並びに、最適解、基準曲線、及び測地曲線に基づいて、群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算することを含む。
【0008】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、各プライについての三次元繊維配置開始位置が、繊維の第1のコースの中心線が通過する規定面上の点である。通過した後に、プライ内の全ての他のコース配置位置を決定することが可能である。
【0009】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、該方法が、1以上のプロセッサによって、繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取ることを更に含む。トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含む。その場合、コースの有限な幅は、トウの数に予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数のトウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しい。その場合、スタッガー要件は、正規化された差が、予め規定されたトウ幅と公称トウ間隙とを合計したものの倍数であることを禁止するように決定される。
【0010】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、測地曲線を特定することが、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の複数の測地曲線を特定し、複数の測地曲線の各々とプライ境界との交点を特定し、複数の測地曲線のうちの1つについて、基準曲線から1つの測地曲線とプライ境界との交点までの距離を測定し、それによって、プライの境界縁部を特定することを含む。該方法は、更に、群内のプライについて、一組の候補繊維配置開始位置内の候補繊維配置開始位置の各々を、プライの境界縁部の閾値距離以内且つプライ境界内にあるように、繊維材料の有限な幅の整数倍だけ1つの測地曲線に沿ってシフトさせることを含む。
【0011】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、該方法が、一組の候補繊維配置開始位置内の全ての候補繊維配置開始位置がプライ境界内に入ることを確実にするために、一組内の候補繊維配置開始位置のいずれかが消去可能であるかどうかを判定することを更に含む。
【0012】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、各プライについて計算された三次元繊維配置開始位置がプライ境界内に入ることを確実にするように規定された制約を含む。
【0013】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、プライ配向が、繊維の方向によって規定され、整数最適化アルゴリズムは、群内のプライ内に含まれる1以上のコースのうちの1つのトウのうちの1つの縁部がプライの境界縁部と整列し、プライの境界縁部がプライの繊維の方向と平行であることを確実にするように規定された制約、又は、一組内の各候補繊維配置開始位置が、予め規定されたトウ幅と公称トウ間隙との合計の整数倍だけプライの繊維の方向と平行なプライの境界縁部から離れるように、一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定、のうちのいずれかを含む。その場合、トウの縁部は、群内のプライの境界縁部と整列する。それによって、トウの縁部とプライの境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、該角度と閾値角度とは、互いに異なる。
【0014】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、プライ境界の少なくとも一部分を共有する群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的である(相補的とは、2つのプライのうちの第1のプライの皺状の縁部が、2つのプライのうちの第2のプライの皺状の縁部と整列しないように2つのプライを配置することと規定される)ことを確実にするように規定された制約、又は、群内の第1のプライについての一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、群内の第2のプライについての一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、一組の候補繊維配置開始位置を規定することを含む。
【0015】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、該方法が、整数最適化アルゴリズムが複数のスタッキングエリアのうちのスタッキングエリアの表面積とそのスタッキングエリア内のプライの数とのうちの一方又は両方に基づいて最適解をバイアスすることを更に含む。
【0016】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、プライ配向が、ロゼット及び繊維角度によって規定される。基準曲線は、更に、プライ配向に基づいて特定される。その場合、測地曲線を特定することは、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の複数の測地曲線を特定し、複数の測地曲線と各々のプライ境界との交点を特定することを含む。その場合、離散した可能な距離の組を規定することが、複数の測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定することを含む。その場合、正規化された差が、群のプライ配向についての基準曲線に対して垂直な複数の測地曲線のうちの測地曲線に沿って測定される。その場合、各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算することが、更に、積層規定内のプライ境界に基づく。
【0017】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、積層規定が、更に、複数のプライが含まれる積層複合材構成要素の領域の厚さを通して一連の順序付けられたプライのシーケンスを含む。その場合、スタッガー要件は、第1のプライの候補繊維配置開始位置と同じ群内の他の複数のプライの候補繊維配置開始位置との間の最小距離を規定する。第1のプライの候補繊維配置開始位置と同じ群内の他の複数のプライの候補繊維配置開始位置とは、群の複数のスタッキングエリアのうちの任意のスタッキングエリア内で所定の数未満のプライだけ分離されている。
【0018】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、群内の各プライについての一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定を含む。それによって、各プライについての各三次元繊維配置開始位置が、群内のプライの厚さを通して互いから均等に離隔される。
【0019】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、繊維の1以上のコースの各々が、繊維アプリケータのシングルパスで付加される。その場合、繊維アプリケータは、自動繊維配置機又は自動テープ敷設器である。該方法は、更に、1以上のプロセッサ又は別のコンピューティングデバイスを備え、群内の各プライについての三次元繊維配置開始位置に基づいて、積層複合材構成要素を生成するために、領域に自動的に繊維を付加するための自動繊維配置機又は自動敷設器に対する指示命令を生成することを含む。
【0020】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、繊維の1以上のコースの各々が、繊維アプリケータのシングルパスで付加される。その場合、繊維アプリケータは、手作業の繊維アプリケータであり、該方法は、更に、1以上のプロセッサ又は別のコンピューティングデバイスが、各プライについての三次元繊維配置開始位置に基づいて、各プライの1以上のコースの各々の境界の位置を特定すること、各プライの1以上のコースの各々の境界の位置に基づいて、各プライの1以上のコースの各々の形状を特定すること、及び、ユーザが手作業の繊維アプリケータを使用して繊維を付加するために、各コースの形状を積層複合材構成要素の表面の上に投影するために、1以上のコースの各々の形状をレーザープロジェクターに送信することを含む。
【0021】
幾つかの他の例示的な実施態様は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定するシステムを提供する。積層複合材構成要素は、積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造される。その場合、複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有する。該システムは、内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサを備える。該指示命令は、実行されると、1以上のプロセッサに、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスすることを実行させる。該コンピュータ幾何モデルは、積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含む。該データは、複数のプライを含む積層規定であって、複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、プライ境界が規定される領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含む。更に、該指示命令は、実行されると、1以上のプロセッサに、コンピュータ幾何モデルを解析し、同じプライ配向を有する複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを実行させる。更に、該指示命令は、実行されると、1以上の群の各々について、1以上のプロセッサに、更に、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて、群のプライ配向についての規定面上の基準曲線を特定すること、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の測地曲線を特定すること、規定面を複数のスタッキングエリアに分割することであって、各スタッキングエリアは、群の複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること、積層規定から、複数のスタッキングエリアの各々について、複数のスタッキングエリアの同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することであって、スタッガーは、同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、正規化された差は、第1のプライ又は第2のプライのコースの繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること、群内の各プライの繊維配置開始位置について測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること、離散した可能な距離の組に基づいて、群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること、群内の各プライについての一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、一組の候補繊維配置開始位置と共に整数最適化アルゴリズムを投入することであって、目的関数又は1以上の制約はスタッガー要件を含む、整数最適化アルゴリズムを投入すること、最適解を得るために、整数最適化アルゴリズムを実行すること、並びに、最適解、基準曲線、及び測地曲線に基づいて、群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算することを実行させる。
【0022】
幾つかの他の例示的な実施態様は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法を提供する。積層複合材構成要素は、積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造される。その場合、複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有する。該方法は、内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサによって、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスすることを含む。コンピュータ幾何モデルは、積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含む。データは、複数のプライを含む積層規定であって、複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、プライ境界が規定される領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含む。該方法は、更に、1以上のプロセッサによって、コンピュータ幾何モデルを解析し、同じプライ配向を有する複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを含む。該方法は、更に、1以上の群の各々について、1以上のプロセッサが、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて、群のプライ配向について規定面上の基準曲線を特定すること、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の測地曲線を特定すること、規定面を複数のスタッキングエリアに分割することであって、各スタッキングエリアは、群の複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること、積層規定から、複数のスタッキングエリアの各々について、複数のスタッキングエリアの同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することであって、スタッガーは、同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の測地曲線に沿った距離における正規化された差として規定され、正規化された差は、第1のプライ又は第2のプライのコースの繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること、群内の各プライの繊維配置開始位置についての測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること、離散した可能な距離の組に基づいて群内の各プライについての一組の候補繊維配置開始位置を決定すること、一組の候補繊維配置開始位置から、スタッガー要件を満たす群内の各プライについての1つの繊維配置開始位置を選択すること、並びに、基準曲線及び測地曲線に基づいて、群内の各プライについての1つの繊維配置開始位置を三次元繊維配置開始位置に変換することを含む。
【0023】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、該方法が、1以上のプロセッサによって、繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取ることを更に含む。トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含む。その場合、コースの有限な幅は、トウの数に予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数のトウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しい。その場合、スタッガー要件は、正規化された差が、予め規定されたトウ幅と公称トウ間隙とを合計したものの倍数であることを禁止するように決定される。
【0024】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、測地曲線を特定することが、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の複数の測地曲線を特定し、複数の測地曲線の各々とプライ境界との交点を特定し、複数の測地曲線のうちの1つについて、基準曲線から1つの測地曲線とプライ境界との交点までの距離を測定し、それによって、プライの境界縁部を特定することを含む。該方法は、更に、群内のプライについて、一組の候補繊維配置開始位置内の候補繊維配置開始位置の各々を、プライの境界縁部の閾値距離以内且つプライ境界内にあるように、繊維材料の有限な幅の整数倍だけ1つの測地曲線に沿ってシフトさせることを含む。
【0025】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、プライ配向が、繊維の方向によって規定される。その場合、群内の各プライについて1つの繊維配置開始位置を選択することが、群内のプライ内に含まれる1以上のコースのうちの1つのトウのうちの1つの縁部がプライの境界縁部と整列し、プライの境界縁部がプライの繊維の方向と平行であることを確実にするように、各プライについて1つの繊維配置開始位置を選択すること、又は、一組内の各候補繊維配置開始位置が、予め規定されたトウ幅と公称トウ間隙との合計の整数倍だけプライの繊維の方向と平行なプライの境界縁部から離れるように、候補繊維配置開始位置の規定された一組を得るために、一組の候補繊維配置開始位置を規定し、群内の各プライについて、規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を1つの繊維配置開始位置として選択することを含む。その場合、トウの縁部は、群内のプライの境界縁部と整列する。それによって、トウの縁部とプライの境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、該角度と閾値角度とは、互いに異なる。
【0026】
前述の例示的な実施態様又はそれらの組み合わせのいずれかのうちの方法の幾つかの例示的な実施態様では、群内の各プライについて1つの繊維配置開始位置を選択することが、プライ境界の少なくとも一部分を共有する群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的である(相補的とは、2つのプライのうちの第1のものの皺状の縁部が、2つのプライのうちの第2のものの皺状の縁部と整列しないように2つのプライを配置することと規定される)ことを確実にするように、各プライについて1つの繊維配置開始位置を選択すること、又は、群内の第1のプライについての一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、群内の第2のプライについての一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、規定された一組の候補繊維配置開始位置を得るために、一組の候補繊維配置開始位置を規定すること、並びに、群内の各プライについて、規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を1つの繊維配置開始位置として選択することを含む。
【0027】
本開示の、これらの特徴、態様、及び利点、並びにその他の特徴、態様、及び利点は、簡潔に後述する添付図面と併せて、以下の詳細な説明を読むことで自明となろう。本明細書に記載の具体的な例示の実施形態において、本開示に明記されている2つ、3つ、4つ、またはそれを超える数の特徴または要素が、明示的に組み合わされているかまたは別様に列挙されているにかかわらず、本開示には、こうした特徴または要素の、あらゆる組み合わせが含まれる。この開示は、全体論的に読まれることが意図されており、これにより、本開示の分離可能ないかなる特徴又は要素も、その如何なる態様及び例示的な実施形態においても、本開示の文脈に明記されない限りは、組み合わされることが可能であると見なされるはずである。
【0028】
したがって、この「発明の概要」が、本開示の幾つかの態様の基本的な理解を提供すべく、幾つかの例示的な実施態様を要約することのみを目的に提供されていることを理解されたい。そのため、上述の例示的な実施態様は例に過ぎず、いかなる意味においても、本開示の範囲又は本質を狭めると解釈すべきではないことが認識されよう。その他の例示的な実施形態、態様、及び利点は、添付図面と併せて下記の詳細な説明を参照することで明らかになろう。添付図面は、例として、記載されているいくつかの例示的な実施形態の原理を示すものである。
【0029】
本開示は、ここまで一般論として説明されており、これから添付の図面を参照するが、それらは必ずしも正しい縮尺で描かれている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】本開示の幾つかの実施形態による、例示的な積層複合材構成要素を示す。
図1B】本開示の幾つかの実施形態による、例示的な繊維のコースを示す。
図1C図1C及び図1Dは、本開示の幾つかの実施形態による、繊維のプライのスタックの様々な断面図を示す。
図1D図1C及び図1Dは、本開示の幾つかの実施形態による、繊維のプライのスタックの様々な断面図を示す。
図1E図1E及び図1Fは、本開示の幾つかの実施形態による、繊維のプライのスタックの境界縁部の様々な上面図を示す。
図1F図1E及び図1Fは、本開示の幾つかの実施形態による、繊維のプライのスタックの境界縁部の様々な上面図を示す。
図2A】本開示の幾つかの実施形態による、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する例示的なシステムのブロック図を示す。
図2B】本開示の幾つかの実施形態による、様々な出力位置にデータを出力する例示的なシステムのブロック図を示す。
図2C】本開示の幾つかの実施形態による、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する別の例示的なシステムのブロック図を示す。
図3A】本開示の幾つかの実施形態による、解析される複数の組のプライを示す例示的な表である。
図3B図3B図3Eは、本開示の幾つかの実施形態による、本開示のシステムが繊維配置開始位置を決定する幾つかのステップを描いている、様々な操作を伴う構成要素のモデルの様々な図を示す。
図3C図3B図3Eは、本開示の幾つかの実施形態による、本開示のシステムが繊維配置開始位置を決定する幾つかのステップを描いている、様々な操作を伴う構成要素のモデルの様々な図を示す。
図3D図3B図3Eは、本開示の幾つかの実施形態による、本開示のシステムが繊維配置開始位置を決定する幾つかのステップを描いている、様々な操作を伴う構成要素のモデルの様々な図を示す。
図3E図3B図3Eは、本開示の幾つかの実施形態による、本開示のシステムが繊維配置開始位置を決定する幾つかのステップを描いている、様々な操作を伴う構成要素のモデルの様々な図を示す。
図4A図4A図4Dは、本開示の幾つかの実施形態による、例示的な方法のステップを詳細に説明するフローチャートを示す。
図4B図4A図4Dは、本開示の幾つかの実施形態による、例示的な方法のステップを詳細に説明するフローチャートを示す。
図4C図4A図4Dは、本開示の幾つかの実施形態による、例示的な方法のステップを詳細に説明するフローチャートを示す。
図4D図4A図4Dは、本開示の幾つかの実施形態による、例示的な方法のステップを詳細に説明するフローチャートを示す。
図5】本開示の幾つかの実施形態による、本明細書で説明される方法及び他の機能を実行するための例示的な装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本開示の幾つかの実施例が、添付図面を参照して以下でより詳しく説明されることとなる。添付図面には、本開示の幾つかの態様が示されているが、本開示の全ての態様が示されているわけではない。実際のところ、本開示の様々な実施例は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書で説明される実施例に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が包括的及び完全なものになるように、且つ当業者に本開示の範囲が十分に伝わるように提供される。例えば、別途記載されない限り、何かを「第1の」、「第2の」などのように言及しても、特定の順序を暗示していると解釈すべきではない。更に、(別途明記されない限り)何かが別のものの上方にあると説明された場合、代わりに下方にあるということもあり、逆もまた然りである。同様に、何かが別のものの左方にあると説明された場合、代わりに右方にあるということもあり、逆もまた然りである。全体を通じて、類似の参照番号は類似の要素を表わしている。
【0032】
本開示は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法及びシステムを含む。図1Aは、例示的な積層複合材構成要素100を示す。積層複合材構成要素は、積層複合材構成要素の領域102に複数のプライを付加することによって製造される。図1Aで示されているように、領域の各々は、指定されたシーケンスにおけるプライのスタック又は層を含む。各プライは、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。図1Bは、繊維の例示的なコース110を示す。繊維の各コースは、繊維アプリケータ機械(例えば、自動繊維アプリケータ機械又は手作業の繊維アプリケータ機械)のシングルパスによって生成され、1以上のコースは、プライを生成するために単一の層内に付加される。
【0033】
図1Bで示されているように、各コース110は中心線112を有する。本明細書で説明される繊維配置開始位置は、単一のプライの第1のコース用の中心線がどこで開始することとなるかを示す開始位置である。各コースは、繊維材料の有限な幅を含み、1以上のトウ113を含む。各トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップである。コースの有限な幅は、トウの数(n)に予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数のトウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しい。繊維材料の有限な幅は、以下の数式1によって表され得る。
wcourse = (wtow x ntows) + (wgapx (ntows-1)) (数式1)
【0034】
ここで、wcourseは、コースを作り上げる繊維材料の有限な幅であり、wtowは、コース内の各トウの幅であり、ntowsは、コース内のトウの数であり、wgapは、トウの各々の間の公称トウ間隙である。
【0035】
例えば、図1Bは、十二(12)個のトウを含む。各トウは、幅が一(1)センチメートル(すなわち、中心線に対して垂直に測定された)であり、トウの各々の間に一(1)ミリメートルの公称トウ間隙が存在する。したがって、図1Bで提供されるその実施例におけるコース内の繊維材料の有限な幅は、12cm(n=12で、12個のトウ×1cm)プラス11mm(n-1=11で、11個のトウ×1mm)、すなわちコースについて約13.1cmの有限な幅である。
【0036】
図1Cは、同一な繊維配向を有し、互いの上に積み重ねられた3つのプライ109の断面図(繊維の方向に対して垂直な)を示す。各プライは、各コースの間に間隙を有する3つのコース110を含む。図面で示されているように、各プライについての間隙は整列している。幾つかの事例では、これが、間隙における部品の完全性の問題をもたらす。というのも、構成要素は間隙において弱点を有するからである。これらの弱点を回避又は最小化するための1つのやり方は、図1Dで示されているように間隙をスタッガーすることである。プライのコースが適切にシフトされる場合、間隙は整列しないことになり、構成要素が破壊する可能性がある弱点を最小化することができる。しかし、コースを適正にスタッガーする方法を決定することは、殊にコースが付加される領域102の境界において、非常に労力がかかり、手作業で決定することは難しい。
【0037】
図1E及び図1Fで示されているように、領域の縁部と比べられる繊維の方向(例えば、(1以上の)コースの方向)に応じて、製造されたままのプライは、皺状の縁部を含む。というのも、トウは、図1Eで示されているもののように、繊維方向に対して垂直に切断されるからである。或いは、コースの一部分が、図1Fで示されているように、設計されたままの領域の縁部の上に垂れ下がる。というのも、トウは一定の幅を有するからである。これらの問題は両方とも、設計されたまま及び製造されたままのプライ境界の間に食い違いをもたらす。これは、積層複合材構成要素100の不規則な表面が製造されることをもたらし得る。これは、積層複合材構成要素100に組付けられる必要がある他の構成要素との不一致に起因して、非破壊検査中又は組み立て中に指摘を受ける可能性がある。
【0038】
本明細書で以下に説明されるように、本明細書で説明されるシステム及び方法は、これらの潜在的な課題の各々を考慮し、スタッガー要件との適合性を最大化し、上述されたような無駄を最小化する繊維配置開始位置を決定するために提供される。
【0039】
図2Aは、図1Aで示されているものなどの積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する例示的な第1のシステム200Aを示す。第1のシステムは、内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ201を含む。実行可能な指示命令が実行されると、1以上のプロセッサは、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル202(例えば、CAD図面又は他の適切なファイル)にアクセスするように構成されている。幾つかの実施態様では、コンピュータ幾何モデルが、積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含む。上述されたように、積層複合材構成要素は、積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造される。更に、複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有する。データは、複数のプライを含む積層規定を含む。複数のプライの各々は、プライ配向とプライ境界とによって規定される。更に、データは、プライ境界が規定される領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータを含む。
【0040】
第1のシステム200Aは、コンピュータ幾何モデル202を解析し、同じプライ配向を有する複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けするように構成された、群解析及び分割ブロック204を含む。幾つかの実施態様では、プライ配向が、ロゼット及び繊維角度によって規定される。他の複数の実施態様では、プライ配向が、表面上のベクトル場によって規定されてよい。繊維角度は、プライについての(1以上の)コースの方向と積層方向(又は0度方向)との間の角度である。積層方向は、しばしば、大荷重方向と整列するように規定される。ロゼットは、空間内の座標軸系である。幾つかの実施態様では、積層方向が、ロゼットX軸を積層複合材構成要素の表面の上に投影することによって特定されてよい。次いで、プライ内の繊維の方向が、積層方向から表面法線に対して繊維角度だけ回転させることによって規定される。
【0041】
点線を使用して図示されているように、以下で説明されるシステムブロックの各々は、群解析及び分割ブロック204が生成する1以上の群の各々について、それらの様々な機能を実行する。したがって、以下の説明は「群」に言及するが、第1のシステム200Aは、群解析及び分割ブロック204によって特定された各群について、以下のステップの各々を実際に実行し、それによって、積層複合材構成要素を作製する各プライについての繊維配置開始位置を決定する。幾つかの実施態様では、第1のシステムが、基準及び測地曲線特定ブロック206を含む。該ブロック206は、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて、群のプライ配向について規定面上の基準曲線を特定するように構成されている。規定面上に重ね合わされた基準曲線の一例が、以下で説明される図3Bで示されている。基準及び測地曲線特定ブロックは、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の測地曲線を特定するように更に構成されている。基準曲線に対して垂直な測地曲線の図面が、以下の図3Cで示されている。
【0042】
幾つかの実施態様では、第1のシステム200Aが、規定面分割ブロック208を含む。該ブロック208は、規定面を複数のスタッキングエリアに分割するように構成されている。複数のスタッキングエリアの各スタッキングエリアは、群の複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する。「群の複数のプライの厚さ」によって、本開示は、群のプライの積層されたスタックを指す。
【0043】
幾つかの実施態様では、第1のシステム200Aが、スタッガー要件決定ブロック210を含む。該ブロック210は、積層規定から、複数のスタッキングエリアの各々(例えば、規定面分割ブロック208から受け取った)について、複数のスタッキングエリアの同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定するように構成されている。幾つかの実施態様では、スタッガーが、同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の測地曲線に沿った距離における正規化された差として規定される。その場合、正規化された差は、コース幅(すなわち、繊維の有限な幅)に関するものである。
【0044】
幾つかの例示的な実施態様では、1以上のプロセッサ201が、繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取る(例えば、コンピュータ幾何モデル202から、又は繊維付加機械若しくは他の装置からの入力)ように更に構成されている。上述されたように、トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含む。更に、図1Bに関連して説明されたように、コースの有限な幅は、トウの数に予め規定されたトウの幅を乗じたものとその数のトウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しい。幾つかの実施態様では、スタッガー要件が、正規化された差が予め規定された幅と公称トウ間隙との合計の倍数であることを禁止するように決定される。更に、スタッガー要件決定ブロックは、群内の各プライの繊維配置開始位置について測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定するように構成されている。
【0045】
幾つかの実施態様では、第1のシステム200Aが、候補繊維配置開始位置ブロック212を含む。該ブロック212は、離散した可能な距離の組に基づいて、群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定するように構成されている。幾つかの例示的な実施態様では、1以上のプロセッサ201が、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の複数の測地曲線を特定し、複数の測地曲線の各々とプライ境界との交点を特定し(例えば、積層規定から)、複数の測地曲線のうちの1つについて、基準曲線から1つの測地曲線とプライ境界との交点までの距離を測定し、それによって、プライの境界縁部までの距離を特定するように更に構成されている。1以上のプロセッサは、群内のプライについて、一組の候補繊維配置開始位置内の候補繊維配置開始位置の各々を、プライの境界縁部の閾値距離以内且つプライ境界内にあるように、繊維材料の有限な幅の整数倍だけ1つの測地曲線に沿ってシフトさせるように更に構成されている。幾つかの実施態様では、閾値距離が、コース幅(すなわち、繊維の有限な幅の幅)に略等しくなり得る。
【0046】
幾つかの実施態様では、一組の候補繊維配置開始位置が、様々な手段を使用して群内の各プライについて単一の繊維配置開始位置を決定するように絞り込まれる。例えば、幾つかの実施態様では、1以上のプロセッサ201が、一組の候補繊維配置開始位置内の全ての候補繊維配置開始位置がプライ境界内に入ることを確実にするために、一組内の候補繊維配置開始位置のいずれかが消去可能であるかどうかを判定するように更に構成されている。別の一実施例として、幾つかの実施態様では、第1のシステム200Aが、整数最適化アルゴリズムを含む。第1のシステムは、群内の各プライについての一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、一組の候補繊維配置開始位置と共に整数最適化アルゴリズムを投入するように構成されている。幾つかの実施態様では、目的関数又は1以上の制約がスタッガー要件を含む。次いで、第1のシステムは、最適解を得るために、整数最適化アルゴリズムを実行するように構成されている。
【0047】
幾つかの実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、群内のプライ内に含まれる1以上のコースのうちの1つのトウのうちの1つの縁部がプライの境界縁部と整列し、プライの境界縁部がプライの繊維の方向と平行であることを確実にするように規定された制約を含む。代替的に又は更に、幾つかの実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、一組内の各候補繊維配置開始位置が、予め規定されたトウ幅と公称トウ間隙との合計の整数倍だけプライの繊維の方向と平行なプライの境界縁部から離れるように、一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定を含む。この場合、トウの縁部は、群内のプライの境界縁部と整列する。それによって、トウの縁部とプライの境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、該角度と閾値角度とは、互いに異なる。幾つかの例示的な実施態様では、閾値角度が5度以下である。すなわち、トウの縁部とプライの境界縁部とは、互いに平行であるか、又は閾値角度以内でほぼ平行である。
【0048】
幾つかの他の実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、プライ境界の少なくとも一部分を共有する群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的である(相補的とは、2つのプライのうちの第1のものの皺状の縁部が、2つのプライのうちの第2のものの皺状の縁部と整列しないように2つのプライを配置することと規定される)ことを確実にするように規定された制約を含む。代替的に、1以上のプロセッサ201は、群内の第1のプライについての一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、基準曲線からプライの測地曲線に沿って測定されたときに、予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、群内の第2のプライについての一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、一組の候補繊維配置開始位置を規定するように構成されている。
【0049】
幾つかの実施態様では、整数最適化アルゴリズムが、群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定を含む。それによって、各プライについての各三次元繊維配置開始位置が、群内のプライの厚さを通して互いから均等に離隔される。
【0050】
幾つかの実施態様では、1以上のプロセッサ201が、複数のスタッキングエリアのうちのスタッキングエリアの表面積とそのスタッキングエリア内のプライの数とのうちの一方又は両方に基づいて最適解をバイアスするために、整数最適化アルゴリズムを使用するように構成されている。
【0051】
幾つかの実施態様では、第1のシステム200Aが、繊維配置開始位置ブロック216を含む。該ブロック216は、最適解、基準曲線、及び測地曲線に基づいて、群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算するように構成されている。幾つかの実施態様では、図1Bに関連して上述されたように、各プライについての三次元繊維配置開始位置が、繊維の第1のコースの中心線が通過する規定面上の点である。通過した後に、プライ内の全ての他のコース配置位置が決定される。
【0052】
本明細書で説明されるように、幾つかの実施態様では、プライ配向が、ロゼット及び繊維角度によって規定され、基準曲線が、プライ配向に基づいて更に特定される。幾つかの実施態様では、1以上のプロセッサ201が、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の複数の測地曲線を特定し、複数の測地曲線の各々とプライ境界との交点を特定し、複数の測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定するように更に構成されている。幾つかの実施態様では、上述された正規化された差が、群のプライ配向についての基準曲線に対して垂直な複数の測地曲線に沿って測定される。1以上のプロセッサは、積層規定内のプライ境界に更に基づいて、各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算するように構成されている。
【0053】
幾つかの実施態様では、積層規定が、複数のプライが含まれる積層複合材構成要素の領域の厚さを通して一連の順序付けられたプライのシーケンスを更に含む。そのような複数の実施態様では、スタッガー要件が、第1のプライの候補繊維配置開始位置と同じ群内の他のプライの候補繊維配置開始位置との間の最小距離を規定する。第1のプライの候補繊維配置開始位置と同じ群内の他のプライの候補繊維配置開始位置とは、群の複数のスタッキングエリアの任意のスタッキングエリア内で所定の数未満のプライだけ分離されている。
【0054】
図2Aで示されているように、各プライについての三次元繊維配置開始位置が決定されると(例えば、積層複合材構成要素の全体について、又はその構成要素の特定の領域のみについてのいずれか)、三次元繊維配置開始位置は、別のコンピューティングデバイスに出力されるか、又は同じコンピューティングデバイスによって処理されて、図2Bで示されている自動繊維配置機又は自動テープ敷設器251に対する指示命令を生成し、積層複合材構成要素を製造するために繊維を付加する。例えば、繊維の1以上のコースの各々が、図2Bで示されている自動繊維配置(AFP)機又は自動テープ敷設器(ATL)などの繊維アプリケータのシングルパスで付加される。そのような一実施例では、1以上のプロセッサ201が、群内の各プライについての三次元繊維配置開始位置をコンピューティングデバイスに出力し、又は群内の各プライについての三次元繊維配置開始位置を処理して、AFP又はATLに対する指示命令を生成するように構成されている。
【0055】
別の一実施例では、繊維アプリケータが、手作業の繊維アプリケータである。そのような一実施例では、1以上のプロセッサ201が、更なる処理のために各プライについての三次元繊維配置開始位置を別のコンピューティングデバイスに送信するように更に構成され、又は、1以上のプロセッサが、それ自体で各プライについての三次元繊維配置開始位置を処理し得る。更なる処理の一部として、各プライについての三次元繊維配置開始位置は、各コースの境界がどこにあるかを特定するために使用される。次いで、これらのコースの形状が、プライを正しい形状にトリムする「プライカッター」に供給される。次いで、手作業の繊維アプリケータがコースを表面に付加するために、各コースの形状が、オーバーヘッドレーザープロジェクター252によって表面の部分の上に投影される。
【0056】
例示的な一実施態様では、繊維アプリケータが、手作業の繊維アプリケータであり、1以上のプロセッサ201(又は別のコンピューティングデバイス)が、各プライについての三次元繊維配置開始位置に基づいて、各プライの1以上のコースの各々の境界の位置を特定するように更に構成されている。1以上のプロセッサは、各プライの1以上のコースの各々の境界の位置に基づいて、各プライの1以上のコースの各々の形状を特定するように更に構成されている。また、1以上のプロセッサは、ユーザが手作業の繊維アプリケータを使用して繊維を付加するために、各コースの形状を積層複合材構成要素の表面の上に投影するために、1以上のコースの各々の形状をレーザープロジェクターに送信するように更に構成されている。
【0057】
本開示の別の例示的な一実施態様では、図2Cが、図2Aで示されている第1のシステム200Aと同様な第2のシステム200Bを示す。第1のシステムと同様に、第2のシステムは、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定するシステムである。幾つかの例示的な実施態様では、上述された整数最適化アルゴリズムを使用する代わりに、他のアプローチを使用して、各プライについて繊維配置開始位置を選択することができる。例えば、幾つかの実施態様では、プライ配向が繊維の方向によって規定され、群内のプライ内に含まれる1以上のコースのうちの1つのトウのうちの1つの縁部がプライの境界縁部と整列し、プライの境界縁部がプライの繊維の方向と平行であることを確実にするように、1以上のプロセッサが、各プライについて1つの繊維配置開始位置を選択するよう更に構成されている。代替的に、1以上のプロセッサ201は、一組内の各候補繊維配置開始位置が、予め規定されたトウ幅と公称トウ間隙との合計の整数倍だけプライの繊維の方向と平行なプライの境界縁部から離れるように、候補繊維配置開始位置の規定された一組を得るために、一組の候補繊維配置開始位置を規定するように構成されている。次いで、1以上のプロセッサは、群内の各プライについて、規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を1つの繊維配置開始位置として選択するように構成されている。そのような一実施態様では、トウの縁部が、群内のプライの境界縁部と整列する。それによって、トウの縁部とプライの境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり(例えば、トウの縁部は、群内のプライの境界縁部と閾値角度以内で実質的に平行である)、該角度と閾値角度とは、互いに異なる。例えば、閾値角度は、約10度以下であり得る。
【0058】
本開示の別の一実施態様では、繊維配置開始位置変換ブロック219が、プライ境界の少なくとも一部分を共有する群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的である(相補的とは、2つのプライのうちの第1のものの皺状の縁部が、2つのプライのうちの第2のものの皺状の縁部と整列しないように2つのプライを配置することと規定される)ことを確実にするように、各プライについて1つの繊維配置開始位置を選択するよう構成されている。代替的に、繊維配置開始位置変換ブロックは、群内の第1のプライについての規定された一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、群内の第2のプライについての規定された一組内の第2の候補繊維配置開始位置から、予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ分離されるように、候補繊維配置開始位置の規定された一組を得るために、一組の候補繊維配置開始位置を規定し、群内の各プライについて、規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を1つの繊維配置開始位置として選択するように構成されている。
【0059】
図3Aは、行として番号が振られている複数のプライと列として番号が振られているスタッキングエリア(すなわち、規定面の領域)とを有する例示的な表300を示す。表内のプライは、連続的に番号が振られているが、これは例示目的のみであり、他のプライ群からの任意の数のプライが、表内にあげられているプライの間に積層されてよい。セルの幾つかは、スタッキングエリアがそのプライ番号を含んでいることを示す「X」を含む。スタッガー要件が、プライと任意のスタッキングエリアの厚さを通して5プライ以内の任意の他のプライとの間に最小分離が存在するという要件を含む場合、繊維配置開始位置を決定するための本明細書で説明される整数最適化問題は、高度に結合された又は制約された問題である。例えば、スタッキングエリア1(SA1)のプライ24は、上方のプライ20~23、並びに、下方のプライ26、28、30、及び31に関連してスタッガー制約を有する。別の一実施例では、スタッキングエリア5(SA5)のプライ24は、上方のプライ23、14、12、及び10、並びに、下方のプライ26、28、30、及び31に関連してスタッガー制約を有する。本明細書で説明されるように、各プライについて1つだけの繊維配置開始位置が存在し、したがって、多くのスタッキングエリアと多くのプライとを有する状況では、計算が非常に複雑になる。
【0060】
図3Bは、その上に重ね合わされた基準曲線312を有する例示的な規定面310を示す。基準曲線312は、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて特定されている。基準曲線は、繊維の方向(例えば、繊維のコースがそれに沿って付加/敷設される基準曲線上の方向)に平行である(例えば、整列する)か、又は繊維の方向に実質的に平行であるかのいずれかであるように特定される。
【0061】
図3Cは、本明細書で説明される測地曲線及び交点の例示的な特定を示す。図3Cは、図3Bで上述された例示的な規定面の一部分の拡大であり、繊維の方向と平行に配置された基準曲線312を含む。規定面の一部分は、プライがその上に横たえられることとなる領域313を含む。領域313は、プライ境界314を含む。領域は、プライのコースが横たえられることとなる規定面上のエリアである。測地曲線315は、基準曲線に対して垂直であり、規定面上に重ね合わされるように特定される。測地曲線315は、領域の全体を通して含まれる。測地曲線とプライ境界との交点316が特定される。上述されたように、幾つかの実施態様では、複数の測地曲線が特定される。複数の測地曲線は、基準曲線に対して垂直であり、測地曲線の各々の交点が特定される。これらの測地曲線のうちの1つが、後続のステップにおいて使用される。一実施態様では、プライについての測地曲線が、繊維の方向と実質的に平行な縁部と交差する場合、プライについての測地曲線が選択される。別の一実施態様では、2つの交点316の間の距離がコース幅よりも長くなるように、測地曲線が選択される。
【0062】
上述されたように、交点316が特定されると、基準曲線312から測地曲線とプライ境界314との交点までの距離が特定され、それによって、プライの境界縁部までの距離を特定する。次いで、第1のシステム200A及び第2のシステム200Bは、図3Cで特定された基準曲線及び/又は測地曲線を使用して、上述されたように、スタッガー要件を決定し、三次元繊維配置開始位置を計算するように構成されている。
【0063】
図3Dは、図3Cからの領域313を示している。その場合、単一のプライ(すなわち、1つの層内に横たえられた複数のコース)は、本明細書で説明されるシステムのうちの1つを使用して決定された繊維配置開始位置を使用して、エリアの上に横たえられている。この実施例では、繊維の方向が、境界縁部318と実質的に平行であり、縁部の上に垂れ下がる繊維の量は、本明細書で説明されるように最小化される。
【0064】
図3Eは、互いの上に重ね合わされた2つの相補的なプライを示している。その場合、第1のプライの皺は、第2のプライの皺内を満たす。第1のプライは、第2のプライから約0.5トウ幅だけオフセットされる。
【0065】
図4A及び図4Bは、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する第1の例示的な方法400のフローチャートを示す。幾つかの実施態様では、積層複合材構成要素が、積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造される。その場合、複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有する。ブロック402で図示されているように、第1の例示的な方法は、内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサによって、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスすることを含む。コンピュータ幾何モデルは、積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含む。該データは、複数のプライを含む積層規定を含む。複数のプライの各々は、プライ配向とプライ境界とによって規定される。更に、該データは、プライ境界が規定される領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータを含む。
【0066】
ブロック404で図示されているように、第1の例示的な方法400は、1以上のプロセッサによってコンピュータ幾何モデルを解析し、同じプライ配向を有する複数のプライのうちの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを含む。以下のステップは、1以上の群の各々について1以上のプロセッサによって実行される。ブロック406で図示されているように、第1の例示的な方法は、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて、群のプライ配向について規定面上の基準曲線を特定することを含む。ブロック408で図示されているように、第1の例示的な方法は、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の測地曲線を特定することを含む。ブロック410で図示されているように、第1の例示的な方法は、規定面を複数のスタッキングエリアに分割するように構成されている。複数のスタッキングエリアの各スタッキングエリアは、群の複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する。
【0067】
ブロック412で図示されているように、第1の例示的な方法400は、積層規定から、複数のスタッキングエリアの各々について、複数のスタッキングエリアの同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することを含む。その場合、スタッガーは、同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の測地曲線に沿った距離における正規化された差として規定される。その場合、正規化された差は、第1のプライ又は第2のプライのコースの繊維材料の有限な幅に関するものである。ブロック414で図示されているように、第1の例示的な方法は、群内の各プライの繊維配置開始位置について測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定することを含む。ブロック416で図示されているように、第1の例示的な方法は、離散した可能な距離の組に基づいて、群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定することを含む。
【0068】
図4Bのブロック418で図示されているように、第1の例示的な方法400は、群内の各プライについての一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが、整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、一組の候補繊維配置開始位置と共に整数最適化アルゴリズムを投入することを含む。目的関数又は1以上の制約は、スタッガー要件を含む。ブロック420で図示されているように、第1の例示的な方法は、最適解を得るために、整数最適化アルゴリズムを実行することを含む。ブロック422で図示されているように、第1の例示的な方法は、最適解、基準曲線、及び測地曲線に基づいて、群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算することを含む。
【0069】
図4C及び図4Dは、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する第2の例示的な方法450のフローチャートを示す。幾つかの実施態様では、積層複合材構成要素が、積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造される。その場合、複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含む。繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有する。ブロック452で図示されているように、第2の例示的な方法は、内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサによって、積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデルにアクセスすることを含む。コンピュータ幾何モデルは、積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含む。該データは、複数のプライを含む積層規定を含む。複数のプライの各々は、プライ配向とプライ境界とによって規定される。更に、該データは、プライ境界が規定される領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータを含む。
【0070】
ブロック454で図示されているように、第2の例示的な方法450は、1以上のプロセッサによってコンピュータ幾何モデルを解析し、同じプライ配向を有する複数のプライのうちの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを含む。以下のステップは、1以上の群の各々について1以上のプロセッサによって実行される。ブロック456で図示されているように、第2の例示的な方法は、プライ配向と規定面を特徴付けるデータとに基づいて、群のプライ配向について規定面上の基準曲線を特定することを含む。ブロック458で図示されているように、第2の例示的な方法は、群内のプライの各々について、基準曲線に対して垂直な規定面上の測地曲線を特定することを含む。
【0071】
ブロック460で図示されているように、第2の例示的な方法450は、規定面を複数のスタッキングエリアに分割するように構成されている。複数のスタッキングエリアの各スタッキングエリアは、群の複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する。ブロック462で図示されているように、第2の例示的な方法は、積層規定から、複数のスタッキングエリアの各々について、複数のスタッキングエリアの同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することを含む。その場合、スタッガーは、同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の測地曲線に沿った距離における正規化された差として規定される。その場合、正規化された差は、第1のプライ又は第2のプライのコースの繊維材料の有限な幅に関するものである。ブロック464で図示されているように、第2の例示的な方法は、群内の各プライの繊維配置開始位置について測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定することを含む。
【0072】
ブロック466で図示されているように、第2の例示的な方法450は、離散した可能な距離の組に基づいて、群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定することを含む。図4Dのブロック468で図示されているように、第2の例示的な方法は、一組の候補繊維配置開始位置から、スタッガー要件を満たす群内の各プライについての1つの繊維配置開始位置を選択することを含む。ブロック470で図示されているように、第2の例示的な方法は、基準曲線及び測地曲線に基づいて、群内の各プライについての1つの繊維配置開始位置を三次元繊維配置開始位置に変換することを含む。
【0073】
本開示の例示的な実施態様によれば、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する第1のシステム200A又は第2のシステム200Bは、様々な手段で実装される。システムを実装するための手段は、単独の、又は、コンピュータ可読記憶媒体からの1以上のコンピュータプログラムの指示を受ける、ハードウェアを含む。幾つかの実施例では、1以上の装置が、本明細書で示され説明されているシステムとして機能するか、又は該システムを他の方法で実装するように構成されている。2以上の装置を含む複数の実施例では、それぞれの装置が、例えば直接的に、又は、有線若しくは無線のネットワークを介して間接的になど、幾つかの異なる様態で、互いに接続されていてよく又は別様に通信可能である。
【0074】
図5は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する図2Aの第1のシステム200A及び/又は図2Cの第2のシステム200Bを実装することができる装置500を示す。装置500は、積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定するシステムに関して上述された方法及び機能を実装するように使用される例示的なデバイスである。概して、本開示の例示的な実施態様の装置は、1以上の固定された又は持ち運び可能な電子デバイスを備え、含み、又はこのような電子デバイスにおいて具現化される。適切な電子デバイスの複数の例には、マイクロコントローラ、コントローラ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、サーバコンピュータなどが含まれる。該装置は、例えば、メモリ504(例えば、記憶デバイス)に接続された処理回路502(例えば、プロセッサユニット又はコンピュータプロセッサ)といった、幾つかの構成要素の各々の1以上を含む。
【0075】
処理回路502は、単独で又は1以上のメモリと組み合わせて、1以上のプロセッサから構成される。処理回路は、概して、例えば、データ、コンピュータプログラム、及び/又は他の適切な電子情報などといった、情報を処理することが可能なコンピュータハードウェアのうちの任意のものである。処理回路は、電子回路の集合で構成されており、こうした電子回路の一部が、1つの集積回路又は複数の相互接続された集積回路として、パッケージ化されている(集積回路は時としてより一般的に「チップ」と称される)。処理回路は、コンピュータプログラムを実行するように構成され、コンピュータプログラムは、処理回路に搭載された状態で記憶されるか、そうでなければ(同じ又は別の装置の)メモリ504内に記憶される。
【0076】
処理回路502は、特定の実施態様に応じて、幾つかのプロセッサ、1つのマルチコアプロセッサ、又は他の何らかのタイプのプロセッサを含む。更に、処理回路は、幾つかのヘテロジニアスプロセッサシステム(メインプロセッサが、1以上の二次プロセッサと共に単一のチップ上に存在している)を使用して実装される。別の例示的な一実施例として、処理回路は、複数の同種のプロセッサを包含する対称型マルチプロセッサシステムである。更に別の一実施例では、処理回路が、1以上のASICやFPGAなどとして具現化されるか、さもなければそれらを含む。したがって、処理回路は、1以上の機能を実行するためのコンピュータプログラムを実行することができるが、様々な実施例の処理回路は、コンピュータプログラムの支援がなくとも、1以上の機能を実行することができる。いずれの事例においても、処理回路は、本開示の例示的な実施態様に従って機能又は動作を実行するよう適切にプログラムされる。
【0077】
メモリ504は、概して、一時的及び/又は恒久的に、例えば、データ、コンピュータプログラム(例えばコンピュータ可読プログラムコード506)、及び/又は他の適切な情報などの、情報を記憶することが可能なコンピュータハードウェアのうちの任意のものである。メモリは、揮発性及び/又は不揮発性のメモリを含み、固定されてよく又は取り外し可能である。適切なメモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読取専用メモリ(ROM:read-only memory)、ハードドライブ、フラッシュメモリ、サムドライブ、取り外し可能なコンピュータディスケット、光ディスク、磁気テープ、又はこれらの何らかの組み合わせが含まれる。光ディスクは、読み出し専用コンパクトディスク(CD-ROM)、読み出し/書き込みコンパクトディスク(CD-R/W)、DVDなどを含む。様々な事例では、メモリがコンピュータ可読記憶媒体と称される。コンピュータ可読記憶媒体は、情報を記憶することが可能な非一過性のデバイスであり、1つの位置から別の1つの位置へと情報を運ぶことが可能な一過性の電子信号といったコンピュータ可読伝送媒体とは区別される。本明細書で説明されるコンピュータ可読媒体は、概して、コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータ可読伝送媒体を指す。
【0078】
メモリ504に加えて、処理回路502はまた、情報を表示、送信、及び/又は受信するための1以上のインターフェースにも接続される。インターフェースは、通信インターフェース508(例えば、通信ユニット)及び/又は1以上のユーザインターフェースを含む。通信インターフェースは、例えば、(1以上の)他の装置や(1以上の)ネットワークなどとの間で、情報を送信及び/又は受信するよう構成される。通信インターフェースは、物理的な(有線の)及び/又は無線の通信リンクにより情報を送信及び/又は受信するよう構成される。適切な通信インターフェースの例には、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC:network interface controller)や無線NIC(WNIC)などが含まれる。
【0079】
ユーザインターフェースは、ディスプレイ510及び/又は1以上のユーザ入力インターフェース512(例えば、入/出力ユニット)を含む。ディスプレイは、ユーザに情報を提示し又は別様にユーザに情報を表示するよう構成され、その適切な例には、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオードディスプレイ(LED:light-emitting diode display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:plasma display panel)などが含まれる。ユーザ入力インターフェースは、有線又は無線であり、処理用、記憶用、及び/又は表示用といった装置へとユーザからの情報を受信するよう構成される。ユーザ入力インターフェースの適切な例には、マイク、画像若しくは映像の撮像装置、キーボード又はキーパッド、ジョイスティック、タッチ感応サーフェス(タッチスクリーンとは別体又はタッチスクリーンに統合されたもの)、生体認証センサなどが含まれる。ユーザインターフェースは、プリンタやスキャナなどの周辺機器と通信するための1以上のインターフェースを更に含む。
【0080】
上記で示したように、プログラムコード指示命令は、本明細書で説明されるシステム、サブシステム、ツール、及びこれらに対応する要素の機能を実装するために、メモリ内に記憶され、処理回路(プログラムコード指示命令によりプログラムされている)によって実行され得る。認識されるであろうが、ある特定の機械を作製するために、任意の適切なプログラムコード指示命令が、コンピュータ可読記憶媒体からコンピュータ又はその他のプログラマブル装置に読み込まれ、これにより、この特定の機械は、本明細書で特定されている機能を実装するための手段となる。かかるプログラムコード指示命令はまた、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、このコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ、処理回路、又はその他のプログラマブル装置に、特定の方式で機能することにより特定の機械又は特定の製造品を作り出すよう指示する。コンピュータ可読記憶媒体に記憶された指示命令は、製造品を生産することができ、この製造品は、本明細書で説明される機能を実装するための手段となる。プログラムコード指示命令は、コンピュータ、処理回路、若しくはその他のプログラマブル装置で、又はコンピュータ、処理回路、若しくはその他のプログラマブル装置によって実行されるべき動作を実行するよう、コンピュータ、処理回路、又はその他のプログラマブル装置を構成するために、コンピュータ可読記憶媒体から読み出され、コンピュータ、処理回路、又はその他のプログラマブル装置に読み込まれる。
【0081】
プログラムコード指示命令の読み出し、読み込み、及び実行は、一度に1つの指示命令が読み出され、読み込まれ、実行されるよう連続的に実行される。幾つか例示的な実施態様では、複数の指示命令をまとめて読み出し、読み込み、及び/又は実行するように、読み出し、読み込み、及び/又は実行が、並行して実行される。プログラムコード指示命令を実行することで、コンピュータ、処理回路、又はその他のプログラマブル装置によって実行される指示命令が、本明細書で説明される機能を実施するための動作を提供するように、コンピュータに実装されたプロセスが生成される。
【0082】
処理回路による指示命令の実行又はコンピュータ可読記憶媒体における指示命令の記憶が、特定の機能を実行するための動作の組み合わせをサポートする。このやり方で、装置500は、処理回路502と、処理回路に結合されたコンピュータ可読記憶媒体又はメモリ504とを含み、処理回路は、メモリに記憶されたコンピュータ可読プログラムコード506を実行するよう構成される。1以上の機能及び機能の組み合わせは、専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、及び/又は、指定された機能を実行する処理回路、或いは、専用ハードウェアとプログラムコード指示命令との組み合わせによって実装されることも理解されよう。
【0083】
本明細書で説明される発明の多くの変形例及び他の実施態様は、関連付けられた図面に提示された教示の恩恵を有する、これらの開示された複数の実施態様が関連する技術分野の当業者に想起されることとなろう。したがって、本発明の実施態様は、開示された特定の実施態様に限定されないこと、並びに、変形例及び他の実施態様は、発明の範囲に含まれることが意図されることを理解されたい。更に、上述の説明及び関連図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせに照らして例示的な実施態様を説明しているが、付随する特許請求の範囲から逸脱しなければ、代替的な実施態様によって、要素及び/又は機能の種々の組み合わせが提供されることを認識すべきである。これに関して、例えば、明示的に上述されているものと異なる要素及び/又は機能の組み合わせも本開示の範囲内であると想定される。本明細書では、特定の用語が用いられているが、それらは、一般的且つ解説的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
【0084】
更に、本開示は以下の条項による実施形態を含む。
【0085】
条項1.
積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法400であって、前記積層複合材構成要素は、前記積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造され、前記複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含み、前記繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有し、前記方法400は、
内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ201によって、前記積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル202にアクセスすること402を含み、前記コンピュータ幾何モデル202は、前記積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含み、前記データは、
前記複数のプライを含む積層規定であって、前記複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、
前記プライ境界が規定される前記領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含み、前記方法400は、更に、
前記1以上のプロセッサ201によって、前記コンピュータ幾何モデル202を解析し、同じプライ配向を有する前記複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすること404を含み、前記方法400は、更に、
前記1以上の群の各々について、前記1以上のプロセッサ201が、
前記プライ配向と前記規定面を特徴付ける前記データとに基づいて、前記群の前記プライ配向について前記規定面上の基準曲線を特定すること406、
前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の測地曲線を特定すること408、
前記規定面を複数のスタッキングエリアに分割すること410であって、各スタッキングエリアは、前記群の前記複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること410、
前記積層規定から、前記複数のスタッキングエリアの各々について、前記複数のスタッキングエリアの前記同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定すること412であって、スタッガーは、前記同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と前記同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の前記測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、前記正規化された差は、前記第1のプライ又は前記第2のプライのコースの前記繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること412、
前記群内の各プライの前記繊維配置開始位置について前記測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること414、
前記離散した可能な距離の組に基づいて、前記群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること416、
前記群内の各プライについての前記一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、前記一組の候補繊維配置開始位置と共に前記整数最適化アルゴリズムを投入すること418であって、前記目的関数又は前記1以上の制約は前記スタッガー要件を含む、整数最適化アルゴリズムを投入すること418、
前記最適解を得るために、前記整数最適化アルゴリズムを実行すること420、並びに
前記最適解、前記基準曲線、及び前記測地曲線に基づいて、前記群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算すること422を含む、方法400。
【0086】
条項2.
各プライについての前記三次元繊維配置開始位置は、繊維の第1のコースの中心線が通過する前記規定面上の点であり、通過した後に、前記プライ内の全ての他のコース配置位置を決定することが可能である、条項1に記載の方法400。
【0087】
条項3.
前記1以上のプロセッサ201によって、前記繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取ることを更に含み、トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含み、前記コースの前記有限な幅が、前記トウの数に前記予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数の前記トウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しく、
前記スタッガー要件は、前記正規化された差が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙とを合計したものの倍数であることを禁止するように決定される、条項1に記載の方法400。
【0088】
条項4.
前記測地曲線を特定することは、前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の複数の測地曲線を特定し、前記複数の測地曲線の各々と前記プライ境界との交点を特定し、前記複数の測地曲線のうちの1つについて、前記基準曲線から前記1つの測地曲線と前記プライ境界との前記交点までの距離を測定し、それによって、前記プライの境界縁部を特定することを含み、前記方法400は、更に、
前記群内のプライについて、前記一組の候補繊維配置開始位置内の前記候補繊維配置開始位置の各々を、前記プライの前記境界縁部の閾値距離以内且つ前記プライ境界内にあるように、前記繊維材料の有限な幅の整数倍だけ前記1つの測地曲線に沿ってシフトさせることを含む、条項3に記載の方法400。
【0089】
条項5.
前記一組の候補繊維配置開始位置内の全ての候補繊維配置開始位置が前記プライ境界内に入ることを確実にするために、前記一組内の前記候補繊維配置開始位置のいずれかが消去可能であるかどうかを判定することを更に含む、条項4に記載の方法400。
【0090】
条項6.
前記整数最適化アルゴリズムは、各プライについて計算された前記三次元繊維配置開始位置が前記プライ境界内に入ることを確実にするように規定された制約を含む、条項4に記載の方法400。
【0091】
条項7.
前記プライ配向は、繊維の方向によって規定され、
前記整数最適化アルゴリズムは、
前記群内のプライ内に含まれる前記1以上のコースのうちの1つの前記トウのうちの1つの縁部が前記プライの前記境界縁部と整列し、前記プライの前記境界縁部が前記プライの前記繊維の方向と平行であることを確実にするように規定された制約、又は
前記一組内の各候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙との合計の整数倍だけ前記プライの前記繊維の方向と平行な前記プライの前記境界縁部から離れるように、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定、のうちのいずれかを含み、
前記トウの前記縁部は、前記群内の前記プライの前記境界縁部と整列し、それによって、前記トウの前記縁部と前記プライの前記境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、前記角度と前記閾値角度とは、互いに異なる、条項6に記載の方法400。
【0092】
条項8.
前記整数最適化アルゴリズムは、
前記プライ境界の少なくとも一部分を共有する前記群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的であることを確実にするように規定された制約であって、相補的とは、前記2つのプライのうちの第1のプライの皺状の縁部が、前記2つのプライのうちの第2のプライの皺状の縁部と整列しないように前記2つのプライを配置することと規定される、制約、又は
前記群内の第1のプライについての前記一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、前記群内の第2のプライについての前記一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定することを含む、条項6に記載の方法400。
【0093】
条項9.
前記複数のスタッキングエリアのうちのスタッキングエリアの表面積と
前記スタッキングエリア内のプライの数とのうちの一方又は両方に基づいて、
前記整数最適化アルゴリズムが前記最適解をバイアスすることを更に含む、条項1に記載の方法400。
【0094】
条項10.
前記プライ配向は、ロゼット及び繊維角度によって規定され、前記基準曲線は、更に、前記プライ配向に基づいて特定され、
前記測地曲線を特定することは、前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の複数の測地曲線を特定し、前記複数の測地曲線の各々と前記プライ境界との交点を特定することを含み、
前記離散した可能な距離の組を規定することは、前記複数の測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定することを含み、
前記正規化された差は、前記群の前記プライ配向についての前記基準曲線に対して垂直な前記複数の測地曲線のうちの前記測地曲線に沿って測定され、
各プライについて前記三次元繊維配置開始位置を計算することは、更に、前記積層規定内の前記プライ境界に基づく、条項1に記載の方法400。
【0095】
条項11.
前記積層規定は、更に、前記複数のプライが含まれる前記積層複合材構成要素の前記領域の厚さを通して一連の順序付けられたプライのシーケンスを含み、
前記スタッガー要件は、第1のプライの前記候補繊維配置開始位置と同じ群内の他のプライの前記候補繊維配置開始位置との間の最小距離を規定し、第1のプライの前記候補繊維配置開始位置と同じ群内の他のプライの前記候補繊維配置開始位置とは、前記群の前記複数のスタッキングエリアのうちの任意のスタッキングエリア内で所定の数未満のプライだけ分離されている、条項1に記載の方法400。
【0096】
条項12.
前記整数最適化アルゴリズムは、
前記群内の各プライについて前記一組の候補繊維配置開始位置を規定する整数最適化規定を含み、それによって、各プライについての各三次元繊維配置開始位置が、前記群内の前記プライの厚さを通して互いから均等に離隔される、条項1に記載の方法400。
【0097】
条項13.
前記繊維の1以上のコースの各々は、繊維アプリケータのシングルパスで付加され、
前記繊維アプリケータは、自動繊維配置機251又は自動テープ敷設器251であり、前記方法400は、更に、前記1以上のプロセッサ201又は別のコンピューティングデバイスが、前記群内の各プライについての前記三次元繊維配置開始位置に基づいて、前記積層複合材構成要素を生成するために前記領域に自動的に繊維を付加するための前記自動繊維配置機251又は前記自動テープ敷設器251に対する指示命令を生成することを含む、条項1に記載の方法400。
【0098】
条項14.
前記繊維の1以上のコースの各々は、繊維アプリケータのシングルパスで付加され、
前記繊維アプリケータは、手作業の繊維アプリケータであり、前記方法400は、更に、
前記1以上のプロセッサ201又は別のコンピューティングデバイスが、各プライについての前記三次元繊維配置開始位置に基づいて、各プライの前記1以上のコースの各々の境界の位置を特定すること、
各プライの前記1以上のコースの各々の前記境界の前記位置に基づいて、各プライの前記1以上のコースの各々の形状を特定すること、及び
ユーザが前記手作業の繊維アプリケータを使用して繊維を付加するために、各コースの前記形状を前記積層複合材構成要素の表面の上に投影するために、前記1以上のコースの各々の前記形状をレーザープロジェクター252に送信することを含む、条項1に記載の方法400。
【0099】
条項15.
積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定するシステム200Aであって、前記積層複合材構成要素は、前記積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造され、前記複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含み、前記繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有し、前記システム200Aは、
内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ201を備え、前記指示命令は、実行されると、前記1以上のプロセッサ201に、
前記積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル202にアクセスすることを実行させ、前記コンピュータ幾何モデル202は、前記積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含み、前記データは、
前記複数のプライを含む積層規定であって、前記複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、
前記プライ境界が規定される前記領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含み、更に、前記指示命令は、実行されると、前記1以上のプロセッサ201に、
前記コンピュータ幾何モデル202を解析し、同じプライ配向を有する前記複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすることを実行させ、更に、前記指示命令は、実行されると、
前記1以上の群の各々について、前記1以上のプロセッサ201に、更に、
前記プライ配向と前記規定面を特徴付ける前記データとに基づいて、前記群の前記プライ配向について前記規定面上の基準曲線を特定すること、
前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の測地曲線を特定すること、
前記規定面を複数のスタッキングエリアに分割することであって、各スタッキングエリアは、前記群の前記複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること、
前記積層規定から、前記複数のスタッキングエリアの各々について、前記複数のスタッキングエリアの前記同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定することであって、スタッガーは、前記同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と前記同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の前記測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、前記正規化された差は、前記第1のプライ又は前記第2のプライのコースの前記繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること、
前記群内の各プライの前記繊維配置開始位置について前記測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること、
前記離散した可能な距離の組に基づいて、前記群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること、
前記群内の各プライについての前記一組の候補繊維配置開始位置のうちのどれが整数最適化アルゴリズムの目的関数と1以上の制約とに従うかを示す最適解を特定するために、前記一組の候補繊維配置開始位置と共に前記整数最適化アルゴリズムを投入することであって、前記目的関数又は前記1以上の制約は前記スタッガー要件を含む、前記整数最適化アルゴリズムを投入すること、
前記最適解を得るために、前記整数最適化アルゴリズムを実行すること、並びに
前記最適解、前記基準曲線、及び前記測地曲線に基づいて、前記群内の各プライについて三次元繊維配置開始位置を計算することを実行させる、システム200A。
【0100】
条項16.
積層複合材構成要素を製造するための繊維配置開始位置を決定する方法450であって、前記積層複合材構成要素は、前記積層複合材構成要素の領域に指定されたシーケンスで複数のプライを付加することによって製造され、前記複数のプライの各々は、繊維の1以上のコースで作り上げられた繊維の層を含み、前記繊維の1以上のコースの各コースは、繊維材料の有限な幅を有し、前記方法450は、
内部に記憶された実行可能な指示命令を有する非一過性のコンピュータ可読媒体と通信する1以上のプロセッサ201によって、前記積層複合材構成要素のコンピュータ幾何モデル202にアクセスすること452を含み、前記コンピュータ幾何モデル202は、前記積層複合材構成要素のパラメータを特徴付けるデータを含み、前記データは、
前記複数のプライを含む積層規定であって、前記複数のプライの各々は、プライ配向及びプライ境界によって規定される、積層規定と、
前記プライ境界が規定される前記領域の所定の表面を含む規定面を特徴付けるデータとを含み、前記方法450は、更に、
前記1以上のプロセッサ201によって、前記コンピュータ幾何モデル202を解析し、同じプライ配向を有する前記複数のプライの全てのプライを1以上の群にグループ分けすること454を含み、前記方法450は、更に、
前記1以上の群の各々について、前記1以上のプロセッサ201が、
前記プライ配向と前記規定面を特徴付ける前記データとに基づいて、前記群の前記プライ配向について前記規定面上の基準曲線を特定すること456、
前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の測地曲線を特定すること458、
前記規定面を複数のスタッキングエリアに分割すること460であって、各スタッキングエリアは、前記群の前記複数のプライの厚さを通して同一なプライの組を有する、複数のスタッキングエリアに分割すること460、
前記積層規定から、前記複数のスタッキングエリアの各々について、前記複数のスタッキングエリアの前記同一なプライの組のうちの2つのプライの間のスタッガー要件を決定すること462であって、スタッガーは、前記同一なプライの組内の第1のプライの第1の繊維配置開始位置と前記同一なプライの組内の第2のプライの第2の繊維配置開始位置との間の前記測地曲線に沿った距離の正規化された差として規定され、前記正規化された差は、前記第1のプライ又は前記第2のプライのコースの前記繊維材料の有限な幅に関する、スタッガー要件を決定すること462、
前記群内の各プライの前記繊維配置開始位置について前記測地曲線に沿った離散した可能な距離の組を規定すること464、
前記離散した可能な距離の組に基づいて、前記群内の各プライについて一組の候補繊維配置開始位置を決定すること466、
前記一組の候補繊維配置開始位置から、前記スタッガー要件を満たす前記群内の各プライについての1つの繊維配置開始位置を選択すること468、並びに
前記基準曲線及び前記測地曲線に基づいて、前記群内の各プライについての前記1つの繊維配置開始位置を三次元繊維配置開始位置に変換すること470を含む、方法450。
【0101】
条項17.
前記1以上のプロセッサ201によって、前記繊維の1以上のコースの各々内のトウの数(n)を示すデータを受け取ることを更に含み、トウは、予め規定されたトウ幅を有する繊維のストリップを含み、前記コースの前記有限な幅が、前記トウの数に前記予め規定されたトウ幅を乗じたものとその数の前記トウの各々の間の公称トウ間隙にn-1を乗じたものとの合計に等しく、
前記スタッガー要件は、前記正規化された差が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙とを合計したものの倍数であることを禁止するように決定される、条項16に記載の方法450。
【0102】
条項18.
前記測地曲線を特定することは、前記群内の前記プライの各々について、前記基準曲線に対して垂直な前記規定面上の複数の測地曲線を特定し、前記複数の測地曲線の各々と前記プライ境界との交点を特定し、前記複数の測地曲線のうちの1つについて、前記基準曲線から前記1つの測地曲線と前記プライ境界との前記交点までの距離を測定し、それによって、前記プライの境界縁部を特定することを含み、前記方法450は、更に、
前記群内のプライについて、前記一組の候補繊維配置開始位置内の前記候補繊維配置開始位置の各々を、前記プライの前記境界縁部の閾値距離以内且つ前記プライ境界内にあるように、前記繊維材料の有限な幅の整数倍だけ前記1つの測地曲線に沿ってシフトさせることを含む、条項17に記載の方法450。
【0103】
条項19.
前記プライ配向は、繊維の方向によって規定され、
前記群内の各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択することは、
前記群内のプライ内に含まれる前記1以上のコースうちの1つの前記トウのうちの1つの縁部が前記プライの前記境界縁部と整列し、前記プライの前記境界縁部が前記プライの前記繊維の方向と平行であることを確実にするように、各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択すること、又は
前記一組内の各候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅と前記公称トウ間隙との合計の整数倍だけ前記プライの前記繊維の方向と平行な前記プライの前記境界縁部から離れるように、候補繊維配置開始位置の規定された一組を得るために、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定し、前記群内の各プライについて、前記規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を前記1つの繊維配置開始位置として選択することを含み、
前記トウの前記縁部は、前記群内のプライの前記境界縁部と整列し、それによって、前記トウの前記縁部と前記プライの前記境界縁部との間の角度が閾値角度未満であり、前記角度と前記閾値角度とは、互いに異なる、条項18に記載の方法450。
【0104】
条項20.
前記群内の各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択することは、
前記プライ境界の少なくとも一部分を共有する前記群内の2つのプライの皺状の縁部が相補的であることを確実にするように、各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択することであって、相補的とは、前記2つのプライのうちの第1のプライの皺状の縁部が、前記2つのプライのうちの第2のプライの皺状の縁部と整列しないように前記2つのプライを配置することと規定される、各プライについて前記1つの繊維配置開始位置を選択すること、又は
前記群内の第1のプライについての規定された一組内の第1の候補繊維配置開始位置が、前記予め規定されたトウ幅の整数プラス半分倍だけ、前記群内の第2のプライについての前記規定された一組内の第2の候補繊維配置開始位置から分離されるように、前記規定された一組の候補繊維配置開始位置を得るために、前記一組の候補繊維配置開始位置を規定し、前記群内の各プライについて、前記規定された一組からの任意の候補繊維配置開始位置を前記1つの繊維配置開始位置として選択することを含む、条項18に記載の方法450。
【0105】
様々なステップ又は計算を説明するために、第1や第2などの用語が本明細書で使用されるが、これらのステップ又計算は、これらの用語によって制限されるべきでないことを理解すべきである。これらの用語は、ある動作又は計算を別のものと区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱しない限り、第1の計算は第2の計算と称され、同様に、第2の計算は第1の計算と称される。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という表現及び「/」という印は、関連して列挙された1つ以上のアイテムの任意の組み合わせ及びあらゆる組み合わせを含む。
【0106】
本明細書で使用されているように、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限りは、複数形も含むことが意図されている。更に、「備える」及び/又は「含む」(comprises、comprising、includes、及び/又はincluding)」という用語は、本明細書中で使用される場合、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、その他の一以上の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことが更に理解されよう。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の複数の実施態様を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図しない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
【外国語明細書】