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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005666
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240110BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240110BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20240110BHJP
   B62D 5/087 20060101ALI20240110BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20240110BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
B62D6/00
A01B69/00 303Z
B62D5/04
B62D5/087
B62D101:00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105940
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】本間 隆照
(72)【発明者】
【氏名】山下 智志
【テーマコード(参考)】
2B043
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
2B043AB08
2B043BA02
2B043BB01
2B043DA04
2B043DA13
2B043DA15
2B043DB08
2B043DB18
2B043DC03
2B043EB12
2B043EB22
2B043EC14
3D232CC08
3D232DA03
3D232DA09
3D232DA13
3D232DA15
3D232DA16
3D232DA23
3D232DA33
3D232DA46
3D232DA87
3D232DB11
3D232DC33
3D232DC34
3D232EB05
3D232EB11
3D232EC04
3D232EC08
3D232EC22
3D232GG12
3D333CB13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業走行中の状況に応じて操向操作の負荷を変更することが出来る作業車両を提供する。
【解決手段】走行車体と、走行車体の進行方向を変更する操舵輪と、操舵輪を操作するステアリングホイールと、ステアリングホイールの操作を検出するステアリングセンサ21と、ステアリングホイールの操作荷重を変更する制御部20と、を備え、圃場における作業時において、制御部20は、ステアリングセンサ21の検出値により、ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると旋回操作の非検出時よりもステアリングホイールの操作荷重を軽くすることを特徴とする作業車両。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体の進行方向を変更する操舵輪と、
前記操舵輪を操作するステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操作を検出するステアリングセンサと、
前記ステアリングホイールの操作荷重を変更する制御部と、を備え、
圃場における作業時において、
前記制御部は、前記ステアリングセンサの検出値により、前記ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイールの操作荷重を軽くすることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記ステアリングセンサにより前記ステアリングホイールの操作の角速度を検出し、前記制御部は前記角速度が予め設定した所定の値を上回ると旋回操作であると判断する、請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記ステアリングホイールの操作角度が所定の有効角度以上になると前記操舵輪の角度が変更し始める構造であって、前記制御部は前記有効角度未満の範囲内で、前記旋回操作か否かを判断し、前記有効角度以上の範囲においては、前記旋回操作の判断を行わない、請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
前記ステアリングホイールの操作角度が所定の有効角度以上になると前記操舵輪の角度が変更し始める構造であって、
前記制御部は前記有効角度未満の範囲内では、前記ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイールの操作荷重を軽くし、
前記制御部は前記有効角度以上の範囲内では、前記ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイールの操作荷重を予め決められたルールに従って段階的にあるいは連続的に徐々に荷重を軽くする、請求項2記載の作業車両。
【請求項5】
前記ステアリングホイールによる前記操舵輪の操作には油圧パワーステアリング機構が用いられており、
前記制御部は、前記油圧パワーステアリング機構の油圧回路を制御することによって前記ステアリングホイールの操作荷重を変更する、請求項1記載の作業車両。
【請求項6】
前記ステアリングホイールによる前記操舵輪の操作には電動モータによる電動パワーステアリング機構が用いられており、
前記制御部は、前記電動パワーステアリング機構を制御することによって前記ステアリングホイールの操作荷重を変更する、請求項1記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクターなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両は一般道路等を走行する場合と作業走行する場合とでは操向時の負荷がかなり異なるため、不慣れな運転者は一般道路等を走行するときに作業走行時と同様にステアリング操作をしてしまい車体を左右に大きくふらつかせることがある。
【0003】
そこで、従来、作業モードと非作業モードとでモードを切り替えるモード切り替えスイッチを備え、非作業モードが選択されているときは作業モードが選択されている時よりもステアリング操作速度に対する操向輪の操向速度を遅く設定する作業車両が公知である(先行文献1)。
【0004】
このような作業車両により非作業時のふらつきを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-109660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、作業車両においては、作業中においても操向操作の負荷が変動することが望ましい場合があるが、上記技術では作業走行中の状況に応じて操向操作の負荷を変更することは出来ない。
【0007】
本発明では、作業走行中に状況に応じて操向操作の負荷を適切に変更できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、
走行車体と、
前記走行車体の進行方向を変更する操舵輪と、
前記操舵輪を操作するステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操作を検出するステアリングセンサと、
前記ステアリングホイールの操作荷重を変更する制御部と、を備え、
圃場における作業時において、
前記制御部は、前記ステアリングセンサの検出値により、前記ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイールの操作荷重を軽くすることを特徴とする作業車両である。
【0009】
第2の本発明は、
前記ステアリングセンサにより前記ステアリングホイールの操作の角速度を検出し、前記制御部は前記角速度が予め設定した所定の値を上回ると旋回操作であると判断する、第1の本発明の作業車両である。
【0010】
第3の本発明は、
前記ステアリングホイールの操作角度が所定の有効角度以上になると前記操舵輪の角度が変更し始める構造であって、前記制御部は前記有効角度未満の範囲内で、前記旋回操作か否かを判断し、前記有効角度以上の範囲においては、前記旋回操作の判断を行わない、第2の本発明の作業車両である。
【0011】
第4の本発明は、
前記ステアリングホイールの操作角度が所定の有効角度以上になると前記操舵輪の角度が変更し始める構造であって、
前記制御部は前記有効角度未満の範囲内では、前記ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイールの操作荷重を軽くし、
前記制御部は前記有効角度以上の範囲内では、前記ステアリングホイールの旋回操作がなされたと判断すると前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイールの操作荷重を予め決められたルールに従って段階的にあるいは連続的に徐々に荷重を軽くする、第2の本発明の作業車両である。
【0012】
第5の本発明は、
前記ステアリングホイールによる前記操舵輪の操作には油圧パワーステアリング機構が用いられており、
前記制御部は、前記油圧パワーステアリング機構の油圧回路を制御することによって前記ステアリングホイールの操作荷重を変更する、第1の本発明の作業車両である。
【0013】
第6の本発明は、
前記ステアリングホイールによる前記操舵輪の操作には電動モータによる電動パワーステアリング機構が用いられており、
前記制御部は、前記電動パワーステアリング機構を制御することによって前記ステアリングホイールの操作荷重を変更する、第1の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0014】
第1の本発明により、旋回時にはステアリングホイールの操作荷重を軽くすることで小さい力で旋回することができる。操作量が多い旋回時に操作荷重が軽くなることで運転者の負担を軽減できる。直進時など非旋回時には旋回時よりも操作荷重が重くなることで直進の安定性を確保できるなど操向操作の負荷を適切に変更できる。
【0015】
第2の本発明により、操作角度を検出して旋回判断をする場合、旋回操作か否かを判断するにはある程度の角度が必要であるが、その場合操作途中で荷重が変更されることが起こり操作感に違和感を生じやすい。これに比べて角速度で判断すれば、操作角度で判断するよりもほぼ操作開始直後に旋回操作か否かを判断できるので運転者は違和感なく操作できる。
【0016】
第3の本発明により、ステアリングホイールが所定の有効角度以上回転しないと操舵輪は回転しない仕組み(遊び範囲)を前提に、ステアリングホイールの操作荷重が変更されるのは、操舵輪の角度が変化し始める前に行われ、操舵輪が回転し車体が旋回し始めた後には行われないので、車体の旋回中にステアリングホイールの荷重変更が行われて違和感が生じるといった現象を防止できる。
【0017】
第4の本発明により、ステアリングホイールが所定の有効角度以上回転しないと操舵輪は回転しない仕組み(遊び範囲)を前提に、操舵輪が回転し車体が旋回し始めた後にあっては、車体の旋回中にステアリングホイールの荷重変更が行われても徐々に行われるので違和感が少ないという長所がある。
【0018】
第5の本発明により、油圧パワーステアリング機構を利用できる。
【0019】
第6の本発明により、電動パワーステアリング機構を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明における実施の形態にかかるトラクターの側面図
図2】同トラクターが走行する圃場の平面図
図3】同トラクターの要部構成図
図4】同トラクターのステアリングホイールの平面図
図5】同トラクターの制御構成図
図6】同トラクターの制御部の制御対象である油圧パワーステアリング機構(中立状態)を示す図
図7】同トラクターの制御部の制御対象である油圧パワーステアリング機構(左旋回状態)を示す図
図8】同トラクターの制御部の制御対象である油圧パワーステアリング機構(右旋回状態)を示す図
図9】同トラクターの制御部の制御対象である電動パワーステアリング機構を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態にかかる作業車両の一例としてのトラクターである。まず、図1を参照してトラクター1の全体構成について説明する。
【0023】
作業車両であるトラクター1は、圃場などで作業を行う農業用トラクターであって、操縦者(作業者ともいう)が搭乗して圃場内を走行しながら所定の作業を実行する。
【0024】
また、以下において、前後方向とは、トラクター1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。トラクター1の進行方向とは、直進時において、後述する操縦席8からステアリングホイール(操舵装置)9に向かう方向である(図1参照)。
【0025】
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下では、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、トラクター1の操縦者(「作業者」ともいう)が操縦席8に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
【0026】
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。なお、各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、トラクター1を指して「機体」あるいは「車体」という場合がある。
【0027】
図1に示すように、トラクター1は、走行車体2と、その後部に作業機用リンク機構を備える。走行車体2は、車体フレーム3と、前輪4と、後輪5と、ボンネット6と、エンジンEと、操縦部7と、ミッションケース10とを備える。車体フレーム3は、走行車体2のメインフレームである。
【0028】
前輪4は、左右一対であり、主に操舵用の車輪(操舵輪4)となる。後輪5は、左右一対であり、主に駆動用の車輪(駆動輪5)となる。トラクター1は、後輪5が駆動する二輪駆動(2WD)と、前輪4および後輪5が共に駆動する四輪駆動(4WD)とを切り替え可能に構成されてもよい。この場合、駆動輪は、前輪4および後輪5の両方である。
【0029】
ボンネット6は、走行車体2の前部において開閉自在に設けられる。ボンネット6は、後部を回動中心として上下方向に回動(開閉)可能である。ボンネット6は、閉じた状態で、車体フレーム3上に搭載されたエンジンEを覆う。エンジンEは、トラクター1の駆動源であり、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関である。なお、ボンネット6は前部を回動中心としてもよい。
【0030】
操縦部7は、走行車体2の上部に設けられ、操縦席8やステアリングホイール(操舵装置)9などを備える。操縦席8は、操縦者の座席である。ステアリングホイール9は、前輪4を操舵する場合に操縦者により操作される。なお、操縦部7は、ステアリングホイール9の前方に、各種情報を表示する表示部(メータパネル)9aを備える。
【0031】
また、操縦部7は、前後進レバー、アクセルレバー、主変速レバー、副変速レバーなどの各種操作レバーや、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルなどの各種操作ペダルを備える。
【0032】
なお、10はミッションケース、12は牽引部、20は制御部、30はGNSS装置、Sは航法衛星、Vsは車体フレーム3に取り付けられ、トラクター1の速度を検出するセンサである。
【0033】
図2はこのようなトラクター1が圃場H内を作業する様子を示し、中央で往復直進走行する直進工程と、その往復直進工程間で旋回走行する旋回工程と、周囲にあって周回する工程とで作業を行っている。
【0034】
図3は制御部20の構成図である。21はステアリングセンサであり、本実施例ではステアリングホイール9の回転の操作角度の角速度を検出するセンサである。そのステアリングセンサ21の検出値は、制御部20の判断部20aへ送信される。他方、制御部20には数値設定部20bが設けられ、常時判断部20aに入力されている。本実施例では数値設定部20bには所定の角速度の数値が予め設定されている。その所定の角速度の値はその角速度に到達すれば、ステアリングホイール9が運転者のステアリング操作によって旋回させられたと確実に判断できる値に設定されている。また、直進走行における弱めの旋回と畔際での強めの旋回とを区別する機能も果たしている。
【0035】
これによって、判断部20aは入力されてくるステアリングセンサ21の検出信号の値と、数値設定部20bに設定された数値とを比較し、両者が一致することでステアリングホイール9の旋回操作がなされたと判断する。
【0036】
そのように、判断部20aが旋回操作を判断した時には、判断部20aは、前記旋回操作の非検出時よりも前記ステアリングホイール9の操作荷重が軽くなるように指示を出す。その指示に従って後述するような様々な方法によって、ステアリングホイール9の操作荷重がそれ以前の状態より軽くなる。
【0037】
なお、上述したステアリングセンサ21の角速度の検出とそれに基づく旋回操作の判断は、有効角度未満の範囲内で旋回操作か否かを判断し、有効角度以上の範囲においては、旋回操作の判断を行わないようにしてもよい。図4のθはその有効角度を示す。
【0038】
すなわち、ステアリングホイール9が所定の有効角度θ以上回転しないと操舵輪4,4は回転しない仕組み(いわゆる遊び範囲)を前提に、ステアリングホイール9の操作荷重が変更されるのは、操舵輪4,4の角度が変化し始める前に行われ、操舵輪4,4が回転し車体2が旋回し始めた後には行われないので、車体2の旋回中にステアリングホイール9の荷重変更が行われて違和感が生じるといった現象を防止できる。
【0039】
なお、変形例として、その有効角度θまでに角速度が所定値に達しない場合で、それ以後に角速度が所定値に達した場合に、ステアリングホイール9の操作荷重を軽くしてもよいが、いきなり軽くせず、予め決められたルールに従って段階的にあるいは連続的に徐々に荷重を軽くするようにしてもよい。違和感を減らすためである。
【0040】
次に、角速度以外の特性をステアリングセンサ21で検出して、ステアリングホイール9の旋回操作がなされた、あるいはなされると判断する実施例について説明する(図5参照)。
a.ステアリングセンサ21がステアリングホイール9にかかるトルクを検出し、旋回操作がなされたと判断する例である。例えば、ステアリングホイール9のシャフトのねじれを検出する歪センサを使う。
【0041】
その際、そのトルクの大きさに応じて、ステアリング荷重を段階的に変化させてもよい。
b.ステアリングセンサ21がステアリングホイール9の切り速さ、つまり周速度を検出し、旋回操作がなされたと判断する例である。
【0042】
その際、所定の周速度以上の周速度を検出した場合、旋回操作されたと判断する。
【0043】
なお、その判断は、遊びの範囲内で行い、それを超えた範囲では判断しないことも可能である。
【0044】
このような遊びの範囲を超えた範囲では旋回判断を行わないことは他の実施例でも適用可能である。
【0045】
あるいは、上記角速度の検出に代えて、角加速度を検出して旋回の判断をしてもよい。
【0046】
以下に、ステアリングセンサ以外で旋回を検出する実施例について説明する(図5参照)。
a.操舵輪切れ角センサ52によって、トラクター1の操舵輪4,4の切れ角を検出し、所定値以上の切れ角が発生すると旋回と判断する。
【0047】
なお、切れ角の検出に伴い、いわゆる作業機のオートリフトも連動して駆動させることも可能である。
b.操舵輪軸への荷重を検出する荷重センサ53によって、トラクター1の操舵輪4,4の軸にかかる荷重を検出し、所定値以上の荷重がかかると旋回と判断する。例えば操舵輪4,4の走行軸に歪センサを付けるなどである。
【0048】
その際、車軸荷重センサにより操舵輪4,4の分担荷重を検出してもよい。その分担荷重が所定値を超えると旋回したと判断し、ステアリングホイール9の荷重を軽くする。
【0049】
なお、その際、操舵輪4,4にかかる荷重の大きさに応じて、ステアリングホイール9の荷重も段階的に変更させることが望ましい。
c.ジャイロなどのIMU54によって旋回を判断する。いわゆるZ軸周りの角速度を検出し、所定値以上になれば旋回をしていると判断する。
d.牽引センサ(ドラフトセンサ)55の出力値が一定以上となると、直進すると判断して、ステアリングホイール9の荷重を重くする。
e.作業機の上下スイッチ56によって作業機を下げると、直進すると判断して荷重を重くする。
f.作業中のトラクター1が圃場おける作業経路の作業位置終端(旋回位置)に来るとこれから旋回すると判断して、ステアリングホイール9の荷重を軽くする。
【0050】
そのために、予めGNSS装置30を設置し、それによって圃場の外形4点を取得することで圃場形状をほぼ把握する。あるいは地図アプリから、登録したい圃場を選択し、その緯度、経度情報から対象とする圃場の形状をほぼ把握する。他方、作業車両の全幅、全長、作業位置、作業幅などを登録しておく。登録した作業車両情報に基づき、作業情報(旋回パターン、周り耕作本数など)を設定することでこの作業経路59を生成しておく。
【0051】
直進走行する際に直進アシストモード機能57が使える作業車両にあっては、その直進アシストモードが有効の時は、直進すると判断し、ステアリングホイール9の荷重を重くする。
【0052】
さらに、直進アシスト機能が有効から無効になったときは、これからの旋回を想定してステアリングホイール9の荷重を軽くする。
【0053】
また、以上の実施例において、このようなステアリングホイール9の荷重を変更させるモードと、させないモードを用意しておき、作業者が任意に選択できるようにしてもよい。その選択のため、ダイヤル方式、スイッチ方式、メモリスイッチ方式58などが採用できる。
【0054】
以下に、旋回とは関係なく荷重変更する例について説明する(図5参照)。
a.任意に荷重変更できる。
【0055】
作業者などが任意にステアリングホイール9の荷重を変更できる。老若男女に応じて、自分にあったステアリングホイール9の荷重があるので変更できることが望ましい。
【0056】
具体的には、ロプスを含むキャビン内に設置したステアリング感度ダイヤルでステアリングホイール9の荷重を任意に設定できる。あるいは、ダイヤルに代わるスイッチでも構わない。あるいはメモリスイッチで予め登録しているステアリングホイール9の荷重を選ぶことで簡単に荷重を変更でき、さらに、他の圃場に移動後も前の圃場と同じステアリングホイール9の荷重条件で作業が出来る。
b.車速センサVsによって車速を検出し、その車速に応じてステアリングホイール9の荷重を変える。
【0057】
予め車速レンジに応じたステアリングホイール9の荷重を段階的に決めておき、自動的に変更してもよい。その車速連動の荷重変更のモードを有効にするか、無効にするかを選択できるよういしてもよい。その選択のための切り替え用スイッチが設けておく。あるいは切り替え用ダイヤルであってもよい。
【0058】
さらには、車速が一定速度以上の場合は、ステアリングホイール9の荷重を軽くすることが出来ないようにしてもよい。危ないからである。
c.ギアの種類でステアリングホイール9の荷重を変える。例えば主変速ギアと副変速ギアの位置に応じて変更するなどである。
【0059】
以上実施例において、各種センサが異常になった場合について説明する。
a.センサなどの検出手段が異常になった場合は、ステアリングホイール9の荷重の切り替えは禁止する。これによって安全を確保する。
b.センサなどの検出手段が異常になった場合は、その旨警告を出す。
c.また、センサなどの検出手段が異常になった場合は、メータパネル9a内にその異常の内容を表示する。
d.あるいは、センサなどの検出手段が異常になった場合は、ステアリングホイール9の荷重を工場出荷時の荷重へと復帰させる。
【0060】
以下に、ステアリングホイール9の荷重の変更の仕方について説明する。
【0061】
1.油圧パワーステアリング機構40によってステアリングホイール9の荷重を変更する場合について述べる。
【0062】
図6図7(b)、(c)は油圧パワーステアリング機構40の油圧回路を中心とする構成図である。ここに油圧回路などは次のような構造になっている。
【0063】
図6は、ステアリングホイール9が回転していない中立状態を示す。ここに、40cは制御部20からの指示をうけ可変絞り40a、40bを変化させるアクチュエータであって、この可変絞り40a、40bは操舵輪駆動油圧シリンダ40vへの油路を以下に述べるように絞り調整する部材である。
【0064】
また、40dはステアリングホイール9の回転の大きさに応じて、その回転分だけ作動油を操舵輪駆動油圧シリンダ40vへ送油するように調節するオービットロール(登録商標。以下同様)という油圧機器である。また、オービットロール40dは、回転方向を切り替えるための油路切替回路40fにシャフト40eなどで連結されており、ステアリングホイール9の回転方向に応じて、油路切替回路40fを左旋回の場合は図7(a)のように切替え、右旋回の時は、図7(b)のように切り替える役割も果たしている。
【0065】
なお、40gはリターンフィルタであり、40hはリリーフバルブであり、40iはポンプである。
【0066】
ここに、制御部20がステアリングホイール9の荷重を軽くするように指示をアクチュエータ40cに出すと、アクチュエータ40cは可変絞り40a、40bの絞りを緩める。逆に制御部20がステアリングホイール9の荷重を重くするように指示をアクチュエータ40cに出すと、アクチュエータ40cは可変絞り40a、40bの絞りをより絞る。
【0067】
このようにして、ステアリングホイール9の荷重を変更することが出来る。
【0068】
2.次に、電動パワーステアリング機構41によって、ステアリングホイール9の荷重を変更する場合について述べる。
【0069】
図9は、モータ制御装置を含む電動パワーステアリング機構41の概略構成を示す図である。図9において電動パワーステアリング機構41は、モータ制御装置41a、モータ41b、ステアリングホイール9、ステアリングホイール9の回転軸9b、減速ギア41c等を備える。
【0070】
制御部20からの指示信号はモータ制御装置41aへ送られる。モータ制御装置41aは、その信号に基づくモータ駆動信号を生成し、その信号をモータ41bに出力する。モータ駆動信号が入力されたモータ41bからは、ステアリングホイール9の操舵を補助するための補助トルクが出力され、その補助トルクが減速ギア41cを介して回転軸9bに伝達される。その結果回転軸9bの回転がアシストされることで、運転者のハンドル操作を補助して軽くすることが出来るようになっている。
【0071】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【0072】
また、本発明に関連する発明のプログラムは、上述された本発明に関連する発明の制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0073】
また、本発明に関連する発明の記録媒体は、上述された本発明に関連する発明の制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0074】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0075】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0076】
また、本発明に関連する発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0077】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0078】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、作業走行中に状況に応じて操向操作の負荷を適切に変更できる作業車両であって、トラクターに最適である。
【符号の説明】
【0080】
1 トラクター
2 走行車体
3 車体フレーム
4 前輪(操舵輪)
5 後輪(駆動輪)
6 ボンネット
7 操縦部
8 操縦席
9 ステアリングホイール
9a 表示部
10 ミッションケース
20 制御部
20a 判断部
20b 数値設定部
21 ステアリングセンサ
30 GNSS装置
40 油圧パワーステアリング機構
40a、40b 可変絞り
40c アクチュエータ
40d オービットロール
40e シャフト
40f 油路切替回路
40g リターンフィルタ
40h リリーフバルブ
40i ポンプ
41 電動パワーステアリング機構
41a モータ制御装置
41b モータ
41c 減速ギア
θ 有効角度
E エンジン
S 航法衛星
Vs 速度検出センサ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9