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特開2024-56660立体表面ディスプレイ装置及びその作動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056660
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】立体表面ディスプレイ装置及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240416BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/041 480
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175870
(22)【出願日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0130032
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0126555
(32)【優先日】2023-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】596099882
【氏名又は名称】エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン サン リュル
(72)【発明者】
【氏名】ムン ソンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ファン インウク
(72)【発明者】
【氏名】チェ ミ ジョン
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC04
5E555CA13
5E555CC01
5E555DA24
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】曲面状のセルを含む立体表面ディスプレイ装置及びその作動方法を提供する。
【解決手段】立体表面ディスプレイ装置は、複数個の光素子OPCを含む光源部LSPと、光源部LSPの上の立体ディスプレイ部SSDと、を含む。立体ディスプレイ部SSDは、高分子層FCLと、高分子層FCL内に埋め立てられる光吸収パターンPTRと、を含む。立体ディスプレイ部SSDは、2次元的に配列される複数個のセル領域CEL(CEL1~CEL3)を含み、光吸収パターンPTRは、複数個のセル領域CEL内に配置され、複数個の光素子OPCは、複数個のセル領域CELとそれぞれ垂直に重畳し、複数個のセル領域CELそれぞれは、立体的形状を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の光素子を含む光源部と、
前記光源部の上の立体ディスプレイ部と、
を含む立体表面ディスプレイ装置であって、
前記立体ディスプレイ部は、
高分子層と、
前記高分子層内に埋め立てられる光吸収層と、
を含み、
前記立体ディスプレイ部は、2次元的に配列される複数個のセル領域を含み、
前記光吸収層は、前記複数個のセル領域内に配置され、
前記複数個の光素子は、前記複数個のセル領域とそれぞれ垂直に重畳し、
前記複数個のセル領域それぞれは、立体的形状を有する、
立体表面ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記光吸収層は、その下の光素子から放出された光に応答して熱エネルギーを放出するように構成される、
請求項1に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記複数個のセル領域それぞれは、前記熱エネルギーによってその曲率が変化するように構成される、
請求項2に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記立体ディスプレイ部は、前記高分子層の上の形状変形層を更に含み、
前記形状変形層は、形状記憶高分子を含む、
請求項1に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記立体ディスプレイ部は、前記形状変形層の上の放熱層を更に含む、
請求項4に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記複数個のセル領域それぞれは、熱履歴(thermal history)による形状記憶特性を有する、
請求項1に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光素子は、互いに独立して制御されるように構成される、
請求項1に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記光吸収層は、前記複数個のセル領域内にそれぞれ配置される複数個の光吸収パターンを含み、
前記複数個のセル領域それぞれは、常温及び常圧で曲面状を有する、
請求項1に記載の立体表面ディスプレイ装置。
【請求項9】
キャリア基板の上に光吸収層を形成することと、
キャリア基板の上に前記光吸収層を覆う予備高分子層を形成することと、
前記予備高分子層を硬化して高分子層を形成することと、
を含み、
前記予備高分子層を硬化することは、前記予備高分子層の上に第1光を照射することを含み、
前記硬化する過程の間に前記光吸収層は、前記予備高分子層の一領域を加熱して熱応力を印加し、
前記一領域は、前記熱応力によって立体的形状を有するように硬化される、
立体表面ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項10】
前記予備高分子層を硬化することは、前記光吸収層の上に第2光を照射することを更に含み、
前記第1光はUV光であり、
前記第2光は可視光または近赤外線である、
請求項9に記載の立体表面ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項11】
前記高分子層を前記キャリア基板から脱着することを更に含み、
前記光吸収層は、前記高分子層内に埋め立てられて前記高分子層と共に前記キャリア基板から脱着される、
請求項9に記載の立体表面ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項12】
前記高分子層の前記一領域は、熱履歴によって形状記憶特性を有する、
請求項9に記載の立体表面ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項13】
曲面状の第1セル領域を有する立体ディスプレイ部と、光源部と、を含む立体表面ディスプレイ装置の作動方法において、
前記立体ディスプレイ部は、
高分子層と、
前記高分子層内に埋め立てられる光吸収層と、
を含み、
前記光吸収層は、前記第1セル領域内に配置される第1光吸収パターンを含み、
前記光源部は、前記第1セル領域の下に配置される第1光素子を含み、
前記作動方法は、
前記第1光素子から第1光吸収パターンで第1光を照射するステップであって、前記第1光吸収パターンが前記第1光を受けて熱エネルギーを生成するステップと、
前記熱エネルギーを利用して前記第1セル領域を第1温度に加熱するステップと、
前記第1温度によって前記第1セル領域の曲率を減少させるステップと、
を含む、立体表面ディスプレイ装置の作動方法。
【請求項14】
前記立体ディスプレイ部は、曲面状の第2セル領域を更に有し、
前記光吸収層は、前記第2セル領域内に配置される第2光吸収パターンを更に含み、
前記光源部は、前記第2セル領域の下に配置される第2光素子を更に含み、
前記作動方法は、
前記第2光素子から第2光吸収パターンで第2光を照射するステップであって、前記第2光吸収パターンは前記第2光を受けて熱エネルギーを生成するステップと、
前記熱エネルギーを利用して前記第2セル領域を第2温度に加熱するステップと、
前記第2温度によって前記第2セル領域の曲率を減少させるステップと、
を更に含み、
前記第2光の強度は前記第1光の強度より小さく、
前記第2温度は前記第1温度より小さく、
前記第2セル領域の曲率の変化率は、前記第1セル領域の曲率の変化率より小さい、
請求項13に記載の立体表面ディスプレイ装置の作動方法。
【請求項15】
前記立体ディスプレイ部は、曲面状の第2セル領域を更に有し、
前記光吸収層は、前記第2セル領域内に配置される第2光吸収パターンを更に含み、
前記光源部は、前記第2セル領域の下に配置される第2光素子を更に含み、
前記作動方法は、前記第1光素子がオン(On)されている間に前記第2光素子はオフ(Off)させるステップを更に含み、
前記第1セル領域の形態が変化する間に前記第2セル領域の形態はそのまま維持される、
請求項13に記載の立体表面ディスプレイ装置の作動方法。
【請求項16】
前記立体ディスプレイ部は、前記高分子層の上の形状変形層を更に含み、
前記第1温度は、前記形状変形層の軟性化温度より大きく、
前記作動方法は、前記第1光素子をオフして前記第1セル領域を常温に戻すステップを更に含み、
前記第1セル領域は、常温でも変形された曲率をそのまま維持する、
請求項13に記載の立体表面ディスプレイ装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表面ディスプレイ装置及びその作動方法に関し、より詳しくは、曲面状のセルを含む立体表面ディスプレイ装置及びその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーン基盤の携帯型電子機器及びキオスクのような電子情報機器の発展及び普及によって、平面的な視覚情報ディスプレイから提供されるUI(User interface)とタッチインタフェースが世界的に大衆化している。現在、殆どの平面型タッチインタフェースは、ユーザが指で表面を接触した際に振動を指に伝達する形式の触覚フィードバックのみを提供している。
【0003】
触覚フィードバックは、アクチュエータ(モータ、ボイスコイルなど)の動的駆動信号を制御し、ボタンをクリックするような感じを提供する。接触力によって振動の強度が異なる触覚フィードバック技術もある。しかし、振動信号波形の調節及び強度の調節によって提供する触感情報は、UIの操作感ぐらいしか提供することができない。従来の触覚フィードバックは、視覚情報を有する物理的な立体構造を伝達することが難しい。そこで、物理的な変形を介して視覚情報の形状を表現するか点字ディスプレイを具現する多様な研究が行われている。一例として、大型モータシステムでアレイ状に配列されたブロックの垂直方向の位置を調節するか、空圧を介して磁石の垂直方向の位置を調節することで、磁石上の柔軟薄膜を突出させる技術が研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、熱応力を介して曲面状を有するセルを含む立体表面ディスプレイ装置を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記立体表面ディスプレイ装置の作動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の概念による立体表面ディスプレイ装置は、複数個の光素子を含む光源部と、前記光源部の上の立体ディスプレイ部と、を含む。前記立体ディスプレイ部は、高分子層と、前記高分子層内に埋め立てられる光吸収層と、を含む。前記立体ディスプレイ部は、2次元的に配列される複数個のセル領域を含み、前記光吸収層は、前記複数個のセル領域内に配置され、前記複数個の光素子は、前記複数個のセル領域とそれぞれ垂直に重畳し、前記複数個のセル領域それぞれは立体的形状を有する。
【0007】
本発明の他の概念による立体表面ディスプレイ装置の製造方法は、キャリア基板の上に光吸収層を形成することと、キャリア基板の上に前記光吸収層を覆う予備高分子層を形成することと、前記予備高分子層を硬化して高分子層を形成することと、を含む。前記予備高分子層を硬化することは、前記予備高分子層の上に第1光を照射することを含み、前記硬化する過程の間に前記光吸収層は、前記予備高分子層の一領域を加熱して熱応力を印加し、前記一領域は、前記熱応力によって曲面状を有するように硬化される。
【0008】
曲面状の第1セル領域を有する立体ディスプレイ部と、光源部とを含む立体表面ディスプレイ装置の作動方法において、前記立体ディスプレイ部は、高分子層と、前記高分子層内に埋め立てられる光吸収層と、を含む。前記光吸収層は、前記第1セル領域内に配置される第1光吸収パターンを含み、前記光源部は、前記第1セル領域の下に配置される第1光素子を含む。本発明のまた他の概念による立体表面ディスプレイ装置の作動方法は、前記第1光素子から第1光吸収パターンで第1光を照射するステップと、前記第1光吸収パターンは、前記第1光を受けて熱エネルギーを生成し、前記熱エネルギーを利用して前記第1セル領域を第1温度に加熱するステップと、前記第1温度によって前記第1セル領域の曲率を減少させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明による立体表面ディスプレイ装置は、高分子層の効果過程で光吸収層を介してセル領域にのみ選択的に熱応力を印加する。それによってセル領域がパッシブに曲面状を有し、熱履歴による形状記憶特性を有する。
【0010】
本発明による立体表面ディスプレイ装置は、所望の位置に曲面状を形成し、セルの高密度化が可能である。また、本発明は、空圧または油圧のような外力を使用しなくても立体表面ディスプレイを具現することができる。光信号によって特定セルの曲率を変形することで、光素子のオン・オフによる曲面-平面の変形が可能である。また、光素子の出力を調節することでセルの高さを変化させることができる。
【0011】
本発明による立体表面ディスプレイ装置は、高い耐久性、高い変形安定性、及び高い変形繰り返し性を有する。本発明は、薄くて軽い視覚障碍者用の点字ディスプレイに応用される。本発明は、薄くて軽いタンジブルディスプレイに応用される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の製造工程を説明するための断面図である。
図2】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の製造工程を説明するための断面図である。
図3】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の製造工程を説明するための断面図である。
図4】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の製造工程を説明するための断面図である。
図5】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の製造工程を説明するための断面図である。
図6】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置を説明するための平面図である。
図7図6のA-A’線による断面図である。
図8A】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図8B】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図8C】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図9】本発明の他の実施例による立体表面ディスプレイ装置を説明するための図であって、図6のA-A’線に対応する断面図である。
図10A】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図10B】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図10C】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図11A】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図11B】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図11C】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図12A】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図12B】本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
図13】本発明の実施例による点字ディスプレイを説明するための斜視図である。
図14】本発明の実施例によるタンジブルディスプレイを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の構成及び効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限らずに様々な形態で具現され、様々な変更を加えてもよい。但し、本実施例の説明によって本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【0014】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の上にあると言及されれば、それは他の構成要素の上に直接形成されるか、またはそれらの間に第3の構成要素が介在されてもよいことを意味する。また、図面において、構成要素の厚さは技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。明細書全体にわたって、同じ参照番号で示されている部分は同じ構成要素を示す。
【0015】
本明細書の多様な実施例において、第1、第2、第3などの用語が多様な構成要素を記述するために使用されているが、これらの構成要素はこのような用語に限らない。これらの用語は単にある構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるのみである。ここで説明されて例示される実施例は、それの相補的な実施例も含む。
【0016】
本明細書で使用された用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数形は文の中で特に言及されない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素は一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0017】
本発明の立体表面ディスプレイ装置は、フレキシブル素子及び/またはウェアラブル素子として使用される。本発明の立体表面ディスプレイ装置は、フレキシブル素子に適用可能な各種電子装置を含む。以下、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置について説明する。
【0018】
図1乃至図5は、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の製造工程を説明するための断面図である。
【0019】
図1を参照すると、キャリア基板CASの上に光吸収パターンPTRが形成される。キャリア基板CASは、広い波長帯域(300nm乃至900nm)の光が透過する透明基板である。キャリア基板CASは、高い剛性を有し熱に強い素材を含む。例えば、キャリア基板CASは、ガラスのような透明無機物、またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィン重合体(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリスチレン(PS)からなる群より選択される透明高分子を含む。
【0020】
光吸収パターンPTRは、互いに離隔されて2次元的に配列される。一実施例として、光吸収パターンPTRは、一定間隔で配列される。光吸収パターンPTRは、光を吸収して熱を発生する光熱応答機能を行う。平面的観点において、光吸収パターンPTRそれぞれ熱応力が発生しやすいように円形(または放射形)を有する。
【0021】
光吸収パターンPTRは、光(例えば、可視光または赤外線)を吸収して熱を発生する光熱効果(photo-thermal effect)を有するように構成される。光吸収パターンPTRは、光(例えば、可視光または赤外線)を吸収して熱を放出する光吸収発熱体(Photo-thermal material)を含む。光吸収パターンPTRは、有機光吸収素材(organic light-absorption material)または無機光吸収素材(inorganic light-absorption material)を含む。例えば、光吸収パターンPTRは、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリ(スチレンスルホン酸))、PEDOT/金属粒子複合材(PEDOT/Metallic particle composite)、PEDOT/酸化物複合材、グラフェン、炭素ナノチューブ、及び銀ナノワイヤ(Silver nanowire、AgNW)からなる群より選択される少なくとも一つを含む。
【0022】
一実施例として、光吸収パターンPTRは、軟性及び弾性を有する高分子と、その内部に分散された光吸収物質(または粒子)とを含む。前記高分子は、ポリ(ジメチルシロキサン)、アクリルエラストマー、シリコンゴム、または液晶エラストマー(LCE)を含む。
【0023】
図2を参照すると、キャリア基板CASの上に光吸収パターンPTRを覆う予備高分子層PFCLが形成される。予備高分子層PFCLを形成することは、液晶高分子をキャリア基板CASの上に塗布することを含む。予備高分子層PFCLを形成することは、表面塗布法(例えば、スプレーコーティングまたはスピンコーティング)を利用する。予備高分子層PFCLは、光硬化が可能な高分子及び/または単量体を含む。
【0024】
図3を参照すると、予備高分子層PFCLを光硬化して高分子層FCLを形成することを含む。本発明の一実施例として、予備高分子層PFCLを光硬化することは、予備高分子層PFCLの第1面SF1の上に第2光LI1を照射することと、予備高分子層PFCLの第2面SF2の上に第2光LI2を照射することとを含む。予備高分子層PFCLの第2面SF2は、キャリア基板CASと接する面である。予備高分子層PFCLの第2面SF2は、光吸収パターンPTRを露出する面である。予備高分子層PFCLの第1面SF1は、第2面SF2に対向する面である。
【0025】
予備高分子層PFCLの第1面SF1の上に提供される第1光源LIS1が第1光LI1を放出する。第1光LI1はUV光である。第1光LI1によって予備高分子層PFCLが硬化されて高分子層FCLが形成される。
【0026】
予備高分子層PFCLの第2面SF2の上に提供される第2光源LIS2が第2光LI2を放出する。一実施例として、複数個の第2光源LIS2が光吸収パターンPTRの下にそれぞれ提供される。複数個の第2光源LIS2が光吸収パターンPTRそれぞれに向かって第2光LI2を照射する。第2光LI2は、第1光LI1とは異なる波長の光である。例えば、第2光LI2は、可視光または近赤外線である。
【0027】
第2光LI2が照射された光吸収パターンPTRは、第2光LI2に応答して熱エネルギーを放出する。光吸収パターンPTRによって光吸収パターンPTRと接触する予備高分子層PFCLの一領域が選択的に加熱される。それによって光吸収パターンPTRと接触する高分子層FCLの一領域に熱応力(thermal stress)が選択的に印加される。光吸収パターンPTRと接触する高分子層FCLの一領域の物性は他の領域と物性とは異なり得る。
【0028】
本発明の他の実施例として、予備高分子層PFCLを光硬化することは、予備高分子層PFCLの第1面SF1の上に第1光LI1を照射することのみを含んでもよい。言い換えれば、第2光LI2が省略されてもよい。この場合も光吸収パターンPTRは、第1光LI1に応答して熱エネルギーを放出する。
【0029】
図4を参照すると、硬化された高分子層FCLをキャリア基板CASから脱着させる。高分子層FCLが脱着される際に光吸収パターンPTRも高分子層FCLと共に脱着される。つまり、光吸収パターンPTRは、高分子層FCL内に埋め立てられる。
【0030】
図5を参照すると、柔軟なフィルム状の高分子層FCLを収得する。高分子層FCLは、光吸収パターンPTRを含む。高分子層FCLは、複数のセル領域CELを含む。一例として、複数のセル領域CELは、第1方向D1に沿って順次に配列される第1、第2、及び第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3を含む。第1、第2、及び第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3それぞれには、光吸収パターンPTRが提供される。
【0031】
それぞれのセル領域CELは、膨らむように曲がった形態を有する。これは、図3を参照して上述したように、光吸収パターンPTRによってセル領域CELにのみ選択的に熱応力が加えられたためである。一方、セル領域CELの間の領域は平らである。セル領域CELの曲率は、セル領域CELの間の曲率より大きい。
【0032】
セル領域CELの曲面構造は、熱応力によって発生した歪みで形成される。セル領域CELの曲面構造は、熱履歴(thermal history)を有するが、言い換えれば、セル領域CELは、熱履歴による形状記憶特性を有する。それによってセル領域CELに更に熱を加える場合、セル領域CELの形状(例えば、曲率)が変化する。セル領域CELの温度が常温に戻れば、図5のような形態に戻る。
【0033】
図6は、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置を説明するための平面図である。図7は、図6のA-A’線による断面図である。図6及び図7を参照すると、立体表面ディスプレイ装置は、複数個のセル領域CELを含む。一例として、複数個のセル領域CELは、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3を含む。第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3は、第1方向D1に沿って一定間隔で配列される。
【0034】
立体表面ディスプレイ装置は、立体ディスプレイ部SSDと光源部LSPとを含む。立体ディスプレイ部SSDは、光源部LSPの上に積層される。立体ディスプレイ部SSDは、支持部SUPによって光源部LSPから垂直に離隔される。
【0035】
立体ディスプレイ部SSDは、多層のフィルム状を有する。立体ディスプレイ部SSDは、フレキシブルに構成される。立体ディスプレイ部SSDは、高分子層FCLと、高分子層FCLの下部に埋め立てられる光吸収パターンPTRとを含む。光吸収パターンPTRは、セル領域CEL内にそれぞれ提供される。
【0036】
光吸収パターンPTR及び高分子層FCLそれぞれは、その形状が変形されるように柔軟な素材からなる。例えば、光吸収パターンPTR及び高分子層FCLそれぞれの弾性係数は、0.1MPa乃至2,000MPaである。
【0037】
本実施例による立体ディスプレイ部SSDは、図1乃至図5を参照して上述した立体表面ディスプレイ装置の製造工程によって製造される。セル領域CEL内の高分子層FCLは、製造工程中に印加された熱応力によって曲率を有する。光吸収パターンPTRは、先に図1を参照して説明したものと実質的に同じである。
【0038】
光源部LSPは、基板SUBと、基板SUBの上に2次元的に配列される複数個の光素子OPCとを含む。光素子OPCは、セル領域CEL内にそれぞれ提供される。それぞれの光素子OPCは、その上に配置される光吸収パターンPTRと垂直に重畳する。光素子OPCは、その上に配置される光吸収パターンPTRに光を照射するように構成される。光素子OPCは、互いに独立して制御される。
【0039】
本発明の一実施例として、光素子OPCそれぞれは、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、またはレーザダイオードを含む。しかし、本発明の光素子OPCは前記例に限らず、光吸収パターンPTRに可視光または赤外線を照射し得る手段であれば制限なく光源として利用される。
【0040】
光吸収パターンPTRは、光素子OPCから光を照射されて熱エネルギーを発生する。高分子層FCLに熱エネルギーが伝達されることで軟状化される際、光吸収パターンPTRは、高分子層FCLと共に変化する機械的物性を有する。
【0041】
本発明の一実施例によると、立体ディスプレイ部SSDのセル領域CELそれぞれは、センサ部を更に含む。センサ部は、セル領域CELに加えられるユーザのタッチを認識するように構成される。
【0042】
本発明の一実施例によると、立体ディスプレイ部SSDのセル領域CELは、曲面状を有する。詳しくは、高分子層FCLの熱履歴特性を利用して、立体ディスプレイ部SSDは形状記憶特性を有する。本発明の立体ディスプレイ部SSDは、空圧または油圧のような外力がなくても立体的形状を有するフィルムで具現される。
【0043】
本発明の立体ディスプレイ部SSDのセル領域CELは、常温及び商業でもパッシブに立体的形状を有する。セル領域CELは、熱履歴による形状記憶特性を有する。立体的形状には特に制限はないが、本発明の一実施例によると立体的形状とは曲面状を意味する。
【0044】
本発明の他の実施例として、光吸収パターンPTRの代わりに光吸収層が提供される。光吸収層は、光吸収パターンPTRと実質的に同じ物質を含み、同じ機能を行う。光吸収層は、パターン化されていない一つの層である。光吸収層の熱伝導度は相対的に小さい。例えば、光吸収層の熱伝導度は、高分子層FCLの熱伝導度より小さい。それによって光吸収層は、互いに熱的に影響を及ぼさない複数個の領域を含む。前記複数個の領域は、実質的に互いに断熱されている。前記複数個の領域は、複数のセル領域CELとそれぞれ重畳する。
【0045】
前記複数個の領域それぞれは立体的形状を有する。後述する立体表面ディスプレイ装置の動作によって前記複数個の領域は互いに独立して制御される。前記複数個の領域の形態(例えば、曲率)は互いに異なるように変化する。
【0046】
図8A及び図8Bそれぞれは、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
【0047】
図8Aを参照すると、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の光素子OPCから第1光L1が放出され、第1光L1が第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の光吸収パターンPTRにそれぞれ入射される。
【0048】
光吸収パターンPTRは、入射された第1光L1に応答して熱エネルギーを放出する。光吸収パターンPTRから放出された熱エネルギーがセル領域CEL内の高分子層FCLの温度を上昇させる。光吸収パターンPTRから放出された熱エネルギーによって第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の温度は第1温度T1に上昇する。一実施例として、第1温度T1は図3で上述した予備高分子層PFCLの硬化の際の温度と同じであるか大きい。
【0049】
第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の温度が第1温度T1に達したら、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の形態が変化する。第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の曲率が減少する。一実施例として、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3は平らになる。
【0050】
次に、光素子OPCをオフ(Off)して第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の温度を減少させたら、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3は曲率が再度増加する。立体表面ディスプレイ装置は、再度図7のような形態に回復される。
【0051】
図8Bを参照すると、第2セル領域CEL2内の光素子OPCのみ選択的にオン(On)されて、第1光L1が第2セル領域CEL2内の光吸収パターンPTRにのみ選択的に入射される。それによって第2セル領域CEL2のみ選択的に第1温度T1に加熱される。
【0052】
第2セル領域CELの温度が第1温度T1に達したら、第2セル領域CEL2のみ選択的に形態が変化する。第2セル領域CEL2の曲率が減少する。一実施例として、第2セル領域CEL2は平らになる。一方、第1及び第3領域CEL1、CEL3の形態は、変化せずにそのまま維持される。
【0053】
図8Cを参照すると、第2セル領域CEL2内の光素子OPCは第1光L1を放出し、第3セル領域CEL3内の光素子OPCは第2光L2を放出する。第2光L2の強度は第1光L1の強度より小さい。第2セル領域CEL2は第1温度T1に加熱され、第3セル領域CEL3は第2温度T2に加熱される。第2温度T2は第1温度T1より小さい。
【0054】
第2セル領域CEL2の温度が第1温度T1に達し、第3セル領域CEL3の温度が第2温度T2に達したら、第2セル領域CEL2の形態と第3セル領域CEL3の形態がそれぞれ変化する。但し、第2セル領域CEL2の曲率の変化率と第3セル領域CEL3の曲率の変化率は互いに異なり得る。第2セル領域CEL2の曲率の変率が第3セル領域CEL3の曲率の変化率より大きい。
【0055】
一実施例として、第2セル領域CEL2は平らになる。第3セル領域CEL3の曲率は減少するが、依然として曲面状を有する。第3セル領域CEL3の曲率は第1セル領域CEL1の曲率より小さくなる。
【0056】
本発明による立体表面ディスプレイ装置の動作は、セル領域CEL別に光素子OPCを互いに異なるように制御することで表面形態の変化を多様に具現することができる。例えば、第1セル領域CEL1の光素子OPCはオフ(Off)し、第2セル領域CEL2の光素子OPCは強い光強度を印加し、第3セル領域CEL3の光素子OPCは弱い光強度を印加することで、図8Cのようにセル領域CEL別に異なる形状が具現されるように立体表面ディスプレイ装置を動作する。
【0057】
本発明の他の実施例によると、光素子OPCの上に配置される偏光フィルタを更に含む。前記偏光フィルタは、光素子OPCから放出された第1光L1の照射形態を変更する。例えば、第1光L1は、光吸収パターンPTRに入射する際、図6に示した円形だけでなく、多角形(例えば、四角形)のような多様な形状を有してもよい。それによってセル領域CELの形状変化の形態を多様に変更することができる。
【0058】
図9は、本発明の他の実施例による立体表面ディスプレイ装置を説明するための図であって、図6のA-A’線に対応する断面図である。本実施例では図6及び図7を参照して説明したことと重複する技術的特徴に関する説明は省略し、差について詳細に説明する。
【0059】
図9を参照すると、立体ディスプレイ部SSDは、高分子層FCLの上に提供される形状変形層SDPを更に含む。形状変形層SDPは、その形状が変形されるように柔軟な素材からなる。例えば、形状変形層SDPの弾性係数は、0.1MPa乃至2,000MPaである。
【0060】
形状変形層SDPは、温度によって機械的物性(例えば、ヤング率または弾性係数)が変化する。形状変形層SDPは、熱膨張係数(Coefficient of thermal expansion、CTE)が可逆的に変化する。形状変形層SDPは、その形態が可逆的に復元される。
【0061】
形状変形層SDPは、ポリ(tert-ブチルアクリレート)(PTBA)、ポリ(tert-ブチルアクリレート)-g-ポリ(ジチルシロキサン)(PTBA-g-PDMS)、Tert-ブチルアクリレート共重合体、及びアクリル酸ステアリル重合体からなる群より選択される少なくとも一つを含む。一例として、形状変形層SDPは、形状記憶高分子(Shape memory polymer)を含む。本実施例による立体ディスプレイ部SSDは、形状変形層SDPを更に含むことで、形状記憶特性をより向上させることができる。
【0062】
図10A乃至図10Cは、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
【0063】
図10Aを参照すると、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の光素子OPCから第1光L1が放出され、第1光L1が第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の光吸収パターンPTRにそれぞれ入射される。
【0064】
光吸収パターンPTRは、入射された第1光L1に応答して熱エネルギーを放出する。光吸収パターンPTRから放出された熱エネルギーがセル領域CELの温度を上昇させる。光吸収パターンPTRから放出された熱エネルギーによって第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の温度が第1温度T1に上昇する。
【0065】
本発明の一実施例として、第1温度T1は、形状変形層SDPの軟性化温度Tsより大きい。第1温度T1は、図3の予備高分子層PFCLの硬化時の温度Th(つまり、熱応力を加える温度)より大きい(T1>Ts>Th)。
【0066】
第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の温度が第1温度T1に達したら形状変形層SDPが軟性化される。それと共に高分子層FCLの熱履歴で第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3が平らになる。
【0067】
図10Bを参照すると、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の光素子OPCの出力が減少する。光素子OPCそれぞれは、第2光L2を放出する。第2光L2の強度は第1光L1の強度より小さい。
【0068】
第2光L2によって第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の温度が第2温度T2に減少する。一実施例として、第2温度T2は、上述した軟性化温度Tsより小さい。第2温度T2は、上述した熱応力温度Thより大きい(Ts>T2>Th)。
【0069】
第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の温度が第2温度T2に達したら、形状変形層SDPの剛性が増加して元の剛性を回復する。つまり、形状変形層SDPは、平らな形態で高い剛性を有する。
【0070】
図10Cを参照すると、第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3内の光素子OPCをオフ(Off)して第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の温度を減少させる。第1乃至第3セル領域CEL1、CEL2、CEL3の温度は常温に達する。一方、形状変形層SDPが平らな形態で高い剛性を維持するため、立体ディスプレイ部SSDは平らな形態をそのまま維持する。
【0071】
図11A乃至図11Cは、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
【0072】
図11Aを参照すると、第2セル領域CEL2内の光素子OPCのみ選択的にオン(On)されて、第1光L1が第2セル領域CEL2内の光吸収パターンPTRにのみ選択的に入射される。それによって第2セル領域CEL2のみ選択的に第1温度T1に加熱される。第1温度は以下の関係を満足する:T1>Ts>Th。
【0073】
第2セル領域CELの温度が第1温度T1に達したら、第2セル領域CEL2のみ選択的に形態が変化する。第2セル領域CEL2の曲率が減少する。一実施例として、第2セル領域CEL2は平らになる。一方、第1及び第3領域CEL1、CEL3の形態は変化せずにそのまま維持される。
【0074】
図11Bを参照すると、第2セル領域CEL2内の光素子OPCの出力が減少する。光素子OPCは第2光L2を放出する。第2光L2の強度は第1光L1の強度より小さい。第2光L2によって第2セル領域CEL2の温度が第2温度T2に減少する。一実施例として、第2温度T2は以下の関係を満足する:Ts>T2>Th。
【0075】
図11Cを参照すると、第2セル領域CEL2内の光素子OPCをオフ(Off)して第2セル領域CEL2の温度を減少させる。第2セル領域CEL2の温度は常温に達する。一方、形状変形層SDPは第2セル領域CEL2のみ平らな形態でそのまま維持される。
【0076】
図12A及び図12Bは、本発明の実施例による立体表面ディスプレイ装置の動作を説明するための断面図である。
【0077】
図12Aを参照すると、立体ディスプレイ部SSDは、形状変形層SDPの上の放熱層HSPを更に含む。放熱層HSPは、相変化イオン性ゲルまたは固体電解質(solid electrolyte)が形成された伝導性高分子を含む。本実施例によると、高分子層FCLの熱応力温度Thが形状変形層SDPの軟性化温度Tsより大きいように形成される(Th>Ts)。
【0078】
第2セル領域CEL2の光素子OPCは第1光L1を放出し、第3セル領域CEL3の光素子OPCは第2光L2を放出する。第2光L2の強度は第1光L1の強度より小さい。
【0079】
第1光L1によって第2セル領域CEL2の温度が第1温度T1に増加する。第2光L2によって第3セル領域CEL3の温度が第2温度T2に増加する。第2温度T2は第1温度T1より小さい。第1温度T1は以下の関係を満足する:T1>Th>Ts。第2温度T2は以下の関係を満足する:Th>T2>Ts。
【0080】
第2セル領域CEL2の温度が第1温度T1に達したら第2セル領域CEL2が平らになる。第3セル領域CEL3の温度が第2温度T2に達したら第3セル領域CEL3の曲率が減少する。第3セル領域CEL3の曲率は減少するが、依然として曲面状を有する。
【0081】
本実施例によると、セル領域CELの加熱温度を調節することでセル領域CELの曲率を多様に調節することができる。また、セル領域CEL別に互いに異なる形状(つまり、曲率)を有するように制御することができる。
【0082】
図12Bを参照すると、第2及び第3セル領域CEL2、CEL3内の光素子OPCをオフ(Off)して第2及び第3セル領域CEL2、CEL3の温度を減少させる。一方、立体ディスプレイ部SSDの形状は図12Aと同じ形態にそのまま維持される。本実施例による放熱層HSPは、光素子OPCがオフ(Off)されてから短い時間内にセル領域CELの温度がTsより低くなるようにする。それによって立体ディスプレイ部SSDの形状がそのまま維持されるのに役に立つ。
【0083】
図13は、本発明の実施例による点字ディスプレイを説明するための斜視図である。図13を参照すると、点字ディスプレイは、上述した本発明による立体表面ディスプレイ装置を含む。セル領域が曲面状を有する立体ディスプレイ部SSDの形態を変形することで、再構成自在な点字ディスプレイを具現することができる。
【0084】
現在、視覚障碍者が情報を収得するために活用している点字本は、体積が大きくて重くて情報量にも限界がある。最近、ボイスコイル、モータ、または磁石のようなアクチュエータを利用したタブレット状の点字ディスプレイが開発されているが、タブレットの場合は外部活動中に使用するのに不便であって、安全問題が発生する恐れがある。
【0085】
それに対し、本発明による立体表面ディスプレイ装置は、高分子膜の表面に形成される複数の突出したセルを含む。突出したセルは、成形温度で形状を記憶する特性を有するため、セルそれぞれに独立して光を照射することで平面状に変化させることができる。一例として、図13に示したように、特定領域にのみ光素子OPCで光を照射することで、大面積の点字セル構造を具現することができる。セルの形態は可逆的に復元可能である。本発明による立体表面ディスプレイ装置は、大きい電力と大きい空間を占める駆動部を必要としないため、薄くて軽くて携帯が容易である。
【0086】
図14は、本発明の実施例によるタンジブルディスプレイを説明するための斜視図である。図14を参照すると、タンジブルディスプレイは、上述した本発明による立体表面ディスプレイ装置を含む。
【0087】
本発明による立体表面ディスプレイ装置は、光素子OPCの出力を調節することでセル領域ごとに曲率の変化率を互いに異なるように調節することができる。それによって立体ディスプレイ部SSDのセル領域ごとに互いに異なる高さ及び形状を有するように調節することができる。つまり、本発明は、対象物の立体的形状を表現するタンジブルディスプレイを具現することができる。
【0088】
タンジブルディスプレイは、デジタルコンテンツ情報対象の立体的感覚情報をユーザに提供することで、実際の場所を訪問しなくても家で遺物を体験するか、動植物の形状及び質感を体験することができる。つまり、タンジブルディスプレイは、対象物の高次元的な情報を提供することができる。
【0089】
これまで添付した図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施され得るということを理解できるはずである。よって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14