(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056662
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】伝動装置アセンブリ及び伝動装置アセンブリを備えたロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20240416BHJP
F16H 19/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B25J17/00 G
F16H19/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175993
(22)【出願日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】10 2022 126 377.0
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522224955
【氏名又は名称】ニューラ ロボティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NEURA ROBOTICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ エゼキアス
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック ゲーツ
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト レーガー
【テーマコード(参考)】
3C707
3J062
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CX01
3C707CY36
3C707HT04
3C707HT07
3J062AA38
3J062AB11
3J062AC07
3J062BA12
3J062BA16
3J062CA02
3J062CA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、伝動装置アセンブリ及び伝動装置アセンブリを備えたロボットに関する。
【解決手段】駆動軸(18)を中心に回転可能に配置された駆動側ドラム(20、22)を有する駆動体と、従動軸(26)を中心に回転可能に配置された従動側ドラム(28、30)を有する従動体と、駆動側ドラム(20、22)及び従動側ドラム(28、30)に巻き付けることができ、かつ駆動側ロープ端(34、40)と従動側ロープ端(36、42)を有するロープ(32、38)と、を備え、駆動側ロープ端(34、40)が少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)に配置され、従動側ロープ端(36、42)が従動側ドラム(28、30)に配置されている、伝動装置アセンブリ、並びに伝動装置アセンブリを備えたロボット。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置アセンブリ(14、14a)であって、以下の特徴、すなわち
・駆動軸(18、18a)を中心に回転可能に配置された少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)を有する駆動体(16、16a)と、
・従動軸(26、26a)を中心に回転可能に配置された少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)を有する従動体(24、24a)と、
・前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)及び前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)に巻き付けることができ、かつ駆動側ロープ端(34、40)と従動側ロープ端(36、42)を有する少なくとも1つのロープ(32、38)と、を備え、
・前記駆動側ロープ端(34、40)が前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)に配置され、前記従動側ロープ端(36、42)が前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)に配置されている、伝動装置アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのロープ(32、38)が接触円周(60、62)によって前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)と前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)とに同時に当接する、請求項1に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項3】
前記駆動軸(18、18a)と前記従動軸(26、26a)とが互いに角度の軸間オフセット(31a)を有する、請求項1又は2に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項4】
前記駆動側ロープ端(34、40)が前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)に、及び/又は前記従動側ロープ端(36、42)が前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)に形状結合的、摩擦結合的及び/又は材料結合的に取り付けられている、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)及び/又は前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)が前記少なくとも1つのロープ(32、38)を収容するための周方向に延びる溝(72)を有する、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項6】
前記溝(72)は、前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)及び/又は前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)のうちの少なくとも1つに螺旋状に形成されている、請求項5に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)が駆動側回転角に依存して、及び/又は前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)が従動側回転角に依存して軸方向に変位可能に配置されている、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項8】
前記駆動体(16、16a)及び/又は前記従動体(24、24a)に、前記少なくとも1つのロープ(32、38)に張力を加える張力装置(80)が配置されている、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項9】
偏向軸(90、90a)を中心に回転可能な少なくとも1つの偏向ドラム(86、88)を有する偏向体(84、84a)は、前記少なくとも1つのロープ(32、38)が接触円周(60、62)によって前記少なくとも1つの偏向ドラム(86、88)と前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)とに、又は前記少なくとも1つの偏向ドラム(86、88)と前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)とに同時に当接するように配置されている、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項10】
・駆動体(16、16a)が、それぞれ前記少なくとも1つの駆動側ドラム(20、22)に相当する第1の駆動側ドラム(20)と第2の駆動側ドラム(22)を有し、
・前記従動体(24、24a)が、それぞれ前記少なくとも1つの従動側ドラム(28、30)に相当する第1の従動側ドラム(28)と第2の従動側ドラム(30)を有し、
・前記伝動装置アセンブリ(14、14a)は、前記少なくとも1つのロープ(32、38)に相当する第1のロープ(32)と、前記少なくとも1つのロープ(32、38)に相当する第2のロープ(38)を有し、前記第1のロープ(32)が第1のドラム(20、28、86)と作用接続し、前記第2のロープ(38)が第2のドラム(22、30、88)と作用接続する、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項11】
前記第2のドラム(22、30、88)のうちの少なくとも1つが対応する前記第1のドラム(20、28、86)に対して軸方向にオフセットして配置されている、及び/又は前記第2のドラム(22、30、88)のうちの少なくとも1つが対応する前記第1のドラム(20、28、86)とは違う直径を有する、請求項10に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のロープ(32)及び前記第2のロープ(38)は、前記駆動体(16、16a)において前記駆動軸(18、18a)に関して互いに反対向きに配置され、及び/又は前記従動体(24、24a)において前記従動軸(26、26a)に関して互いに反対向きに配置されている、請求項10~11のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項13】
前記駆動側ドラム(20、22)及び/又は前記従動側ドラム(28、30)は互いに対して回動可能に配置されている、請求項10~12のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項14】
前記第1の駆動側ドラム(20)と前記第2の駆動側ドラム(22)は前記従動軸(26、26a)に関して、及び/又は前記第1の従動側ドラム(28)と前記第2の従動側ドラム(30)は前記駆動軸(18、18a)に関して互いに180°オフセットして配置されている、請求項10~13のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項15】
前記駆動体(16、16a)は、前記駆動軸(18、18a)に関して前記第1の従動側ドラム(28)と前記第2の従動側ドラム(30)との間に配置され、及び/又は前記従動体(24、24a)は、前記従動軸(26、26a)に関して前記第1の駆動側ドラム(20)と前記第2の駆動側ドラム(22)との間に配置されている、請求項10~14のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載の伝動装置アセンブリ(14、14a)を備えたロボット(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動装置アセンブリ及び伝動装置アセンブリを備えたロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式ドライブトレインにおける回転軸の向きの変更については様々なコンセプトの直交伝動装置が知られている。これには、特に、かさ歯車段及びベルト式伝動装置が属する。
【0003】
かさ歯車段は、とりわけロボット工学において回転軸の向きを変更するための広く行き渡った伝動装置コンセプトである。特に、かさ歯車段は、多関節アームロボットの軸を駆動するために使用される。しかし、かさ歯車段は、重量があり遊びを伴う。かさ歯車段には、他の歯車伝動装置と共通するこのような不利な特性がある。
【0004】
ベルト式伝動装置では、大抵の場合、断面が台形のベルトが使用される。したがって、ベルト式伝動装置では、回転軸の向きを変更するために、通常、ベルトの長手軸を中心にベルトを部分的に回転させる必要がある。ベルトのこのような回転は、回転が行われるベルト区分の自由部分を必要とし、それに応じて大きな軸間距離を実現しなければならない。したがって、ベルト式伝動装置をベースにした直交伝動装置(Winkelgetriebe)は、比較的大きな設置スペースを必要とする。更に、ベルト式伝動装置は、代替の伝動装置コンセプトに比べて剛性が比較的低い。これらの欠点は、装置を、特にロボット工学で使用するのに魅力のないものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回転軸の向きを変更するのに適し、かつ剛性が高く、所要スペースが小さく、同時に遊びがなく、重量が小さい伝動装置アセンブリを提供するという課題に基づいている。更に、伝動装置アセンブリは安価で簡単に製造できる必要がある。
【0006】
本発明は更に、高度に動的な運動を行うことができ、同時に所要スペースが小さく、かつ安価で簡単に製造できるロボットを提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する伝動装置アセンブリ、及び請求項16の特徴を有するロボットによって解決される。
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明による変速装置は、駆動軸を中心に回転可能に配置された少なくとも1つの駆動側ドラムを有する駆動体と、従動軸を中心に回転可能に配置された少なくとも1つの従動側ドラムを有する従動体と、を備えている。更に、伝動装置アセンブリは、少なくとも1つの駆動側ドラム及び少なくとも1つの従動側ドラムに巻き付けることができ、かつ駆動側ロープ端と従動側ロープ端を有する少なくとも1つのロープを備えている。駆動側ロープ端は少なくとも1つの駆動側ドラムに配置され、従動側ロープ端は少なくとも1つの従動側ドラムに配置されている。
【0009】
したがって、少なくとも1つの駆動側ドラムが駆動軸を中心に回転することによって、回転数とトルクを少なくとも1つのロープを介して少なくとも1つの従動側ドラムに伝達することができる。本明細書中で、ドラムとは、以下において、殊に円筒形の基本形状を有する体と理解される。しかしドラムを更に、少なくとも1つのロープを巻き付けるために設けられた及び/又は適した、長手軸を中心に回転可能な別の体によって形成することもできる。その場合、少なくとも1つの駆動側ドラムと少なくとも1つの従動側ドラムの回転角は、特に少なくとも1つのロープの長さによって制限され得る。本明細書中及び以下において、ロープとは、特に、ベルトとは異なり実質的に丸い断面を有する、殊に細長い、引張荷重をかけることができる構造と理解される。したがって、殊に回転軸の向きを変更するための少なくとも1つのロープの回転を省略することができる。更に、ロープは、特に高い剛性を有することができる。
【0010】
伝動装置アセンブリの伝達比は、少なくとも1つの従動側ドラムの直径と少なくとも1つの駆動側ドラムの直径との商によって形成することができる。少なくとも1つの従動側ドラムの最大回転角は、少なくとも1つのロープの長さの他に、特に伝達比に依存し得る。したがって、伝達比が1のとき、少なくとも1つの従動側ドラムの最大回転角は殊に360°である。伝達比が2のとき、少なくとも1つの従動側ドラムの最大回転角は例えば180°であり得る。
【0011】
殊に、駆動体は、少なくとも1つの駆動側ドラムと一緒に駆動軸を中心に回転可能である。それに応じて、従動体も少なくとも1つの従動側ドラムと一緒に従動軸を中心に回転可能であり得る。駆動体及び/又は従動体は、特にホイールとして形成することができる。
【0012】
伝動装置アセンブリを戻すために、伝動装置アセンブリは、例えばばね要素を含むことができ、ばね要素には、伝動装置アセンブリに回転数とトルクを導入する場合に少なくとも1つの駆動側ドラムによって予張力がかけられる(vorgespannt)。特に、少なくとも1つの従動側ドラムをばね要素に対して支持することができる。
【0013】
殊に、少なくとも1つのロープが接触円周によって少なくとも1つの駆動側ドラムと少なくとも1つの従動側ドラムとに同時に当接する。それによって、少なくとも1つの駆動側ドラムと少なくとも1つの従動側ドラムとを非常に近づけて配置することができる。これにより、伝動装置アセンブリによって必要とされる設置スペースを低減することができる。接触円周とは、ロープ中心線に対する位置のロープの仮想円周線と理解されるべきである。接触円周は、少なくとも1つの駆動側ドラム及び少なくとも1つの従動側ドラムに当接する少なくとも1つのロープの転換点を表示することができる。関与するドラムに関して、ロープ中心線上に配置された少なくとも1つの駆動側ドラムの仮想接線と、ロープ中心線上に配置された少なくとも1つの従動側ドラムの仮想接線とが接触円周の位置で一致することができる。
【0014】
伝動装置アセンブリが、ロープ中心線に関連付けた接触領域を有することもでき、接触領域において、少なくとも1つのロープが少なくとも1つの駆動側ドラムと少なくとも1つの従動側ドラムとに同時に当接し、この接触領域は一方で第1の接触円周によって、他方で第2の接触円周によって画定される。接触領域を、特に関与するコンポーネントの弾性変形によって形成することができる。
【0015】
駆動軸と従動軸とは互いに角度の軸間オフセット(winkligen Achsenversatz)を有することができる。それによって、この伝動装置アセンブリによって、可能な限り小さな設置スペースで回転軸の向きの変更を実現することができる。殊に、駆動軸と従動軸とは共通の軸交点で交差する。駆動軸と従動軸との間の角度の軸間オフセットは90°である。
【0016】
駆動側ロープ端は少なくとも1つの駆動側ドラムに配置され、及び/又は従動側ロープ端は少なくとも1つの従動側ドラムに配置され得る。これは、少なくとも1つの端、及び2つのロープ端を有する伝動装置アセンブリの実現を可能にする。特に、エンドレスロープ、すなわち1つの閉じたロープの使用を省略することができる。更に、少なくとも1つのロープの外部及び内部の摩擦損失を低減することができる。好ましくは、それぞれのロープ端が少なくとも1つの駆動側ドラムに、及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムにねじで止められる。
【0017】
殊に、少なくとも1つの駆動側ドラム及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムは、少なくとも1つのロープを収容するための周方向に延びる溝を有する。したがって、溝は、少なくとも1つの駆動側ドラム及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムと少なくとも1つのロープとの境界面を形成することができる。溝によって、少なくとも1つのロープを、少なくとも1つの駆動側ドラム及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムの定められた円周に収容することができる。それにより、回転数とトルクの確実な伝達を確保することができる。溝は、断面に好ましくは弓形の輪郭を有する。したがって、溝は開口を有することができる。特に好ましくは、弓形の輪郭は一定の半径を有し、それにより輪郭は円弧形状に形成されている。それによって、溝を少なくとも1つのロープの輪郭に特によく適合させることができる。溝が少なくとも1つのロープを収容するために用いられることにより、伝動装置アセンブリの伝達比は、殊に少なくとも1つの従動側ドラムと少なくとも1つの駆動側ドラムの直径比によって決定される。
【0018】
本発明の一発展形態では、溝は、少なくとも1つの駆動側ドラム及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムのうちの少なくとも1つに螺旋状に形成されている。それによって、螺旋状の溝を有するドラムの360°を超える最大回転角を達成することができる。殊に、溝の開口が対応するドラムの回転軸に対して直角に配置され、それにより少なくとも1つのロープを対応するドラムの回転軸に対して直角に溝に挿入し、かつ溝から取り出すことができる。したがって、駆動側ドラムに螺旋状の溝が配置される場合、溝の開口が駆動軸に対して殊に垂直に向く。
【0019】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの駆動側ドラムは、駆動側回転角に依存して、及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムが従動側回転角に依存して軸方向に変位可能に配置されている。その場合、殊に駆動側ドラムの回転角が駆動側回転角と呼ばれる。それに応じて、従動側ドラムの回転角を従動側回転角と呼ぶことができる。このような依存関係によって、特に溝が螺旋状の場合、前述した接触円周を維持しながら少なくとも1つのロープの少なくとも1つの駆動側ドラムから少なくとも1つの従動側ドラムへの、及びその逆の移動を行うことができる。少なくとも1つの駆動側ドラムの軸方向の変位可能性は、殊に、駆動軸に沿った変位可能性が与えられるようにされている。少なくとも1つの従動側ドラムの軸方向の変位可能性は、殊に従動軸に沿った変位可能性が与えられるようにされている。少なくとも1つの駆動側ドラム及び/又は少なくとも1つの従動側ドラムの軸方向の変位可能性は、例えばねじガイドによって実現することができる。
【0020】
少なくとも1つのロープの少なくとも1つの駆動側ドラムから少なくとも1つの従動側ドラムへ、及びその逆の申し分のない移動を更に確実にするために、少なくとも1つの従動側ドラム及び/又は少なくとも1つの駆動側ドラムにローラ状の押さえ装置を配置することができ、この押さえ装置は、少なくとも1つのロープを少なくとも1つの従動側ドラムに、及び/又は少なくとも1つの駆動側ドラムに位置決めすることができる。
【0021】
駆動体及び/又は従動体に、少なくとも1つのロープに張力を加えるための張力装置を配置することができる。それによって、少なくとも1つのロープの予張力、したがって特に伝動装置アセンブリの剛性及び遊びを調整することができる。殊に、張力装置は溝に配置される。張力装置は、少なくとも1つの従動側ドラムに配置されることが特に好ましい。張力装置は、少なくとも1つのロープに張力を加えるために張力ねじを有することができる。或いは、張力装置を少なくとも1つのロープに組み込むことができる。
【0022】
本発明の一発展形態では、伝動装置アセンブリは、偏向軸を中心に回転可能な少なくとも1つの偏向ドラムを含む偏向体を有する。偏向体は、殊に、少なくとも1つのロープが接触円周によって少なくとも1つの偏向ドラムと少なくとも1つの駆動側ドラムとに、又は少なくとも1つの偏向ドラムと少なくとも1つの従動側ドラムとに同時に当接するように配置されている。このような偏向体は、空間において駆動体と被駆動体を相対して配置することができる可能性を何倍にも増やすことができる。特に、偏向体は、駆動体と従動体の互いに空間的に離れた配置を可能にすることができる。更に、偏向体は追加の伝達段(Uebersetzungsstufe)をなすことができ、それにより伝動装置アセンブリの伝達比の増大を可能にすることができる。駆動軸と従動軸とが互いに角度オフセットを有する場合、偏向体によってロープの相応の偏向を行うことができる。偏向軸は、駆動軸及び/又は従動軸と偏向角をなすことができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、駆動体は、それぞれ少なくとも1つの駆動側ドラムに相当する第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムを有し、従動体は、それぞれ少なくとも1つの従動側ドラムに相当する第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムを有する。したがって、第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムをそれぞれ駆動軸を中心に回転可能に配置することができ、第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムをそれぞれ従動軸を中心に回転可能に配置することができる。
【0024】
更に、この実施形態では、伝動装置アセンブリは、少なくとも1つのロープに相当する第1のロープと少なくとも1つのロープに相当する第2のロープを有し、第1のロープが第1のドラムと作用接続し、第2のロープが第2のドラムと作用接続する。したがって、殊に、第1のロープは、第1の駆動側ドラム及び第1の従動側ドラムに巻き付け可能であり、かつ第1の駆動側ロープ端と第1の従動側ロープ端を有し、第1の駆動側ロープ端を第1の駆動側ドラムに配置することができ、第1の従動側ロープ端を第1の従動側ドラムに配置することができる。それに応じて、第2のロープは、第2の駆動側ドラム及び第2の従動側ドラムに巻き付け可能であり、かつ第2の駆動側ロープ端と第2の従動側ロープ端を有し、第2の駆動側ロープ端を第2の駆動側ドラムに配置することができ、第2の従動側ロープ端を第2の従動側ドラムに配置することができる。
【0025】
・第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムがそれぞれ少なくとも1つの前述した駆動側ドラムに、
・第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムがそれぞれ少なくとも1つの前述した従動側ドラムに、
及び
・第1のロープと第2のロープがそれぞれ少なくとも1つの前述したロープに
相当し、その場合、第1のロープが第1のドラムと、第2のロープが第2のドラムと作用接続することによって、伝動装置アセンブリが特に以下に記載される特徴を有することができる。
【0026】
第1のロープは、第1の接触円周によって第1の駆動側ドラムと第1の従動側ドラムとに同時に当接することができる。第2のロープは、第2の接触円周によって第2の駆動側ドラムと第2の従動側ドラムとに同時に当接することができる。それに応じて、伝動装置アセンブリは、第1の接触領域と第2の接触領域を有することもできる。
【0027】
殊に、第1の駆動側ロープ端は第1の駆動側ドラムに、及び/又は第1の従動側ロープ端は第1の従動側ドラムに形状結合的、摩擦結合的及び/又は材料結合的に取り付けられる。したがって、殊に第2の駆動側ロープ端は第2の駆動側ドラムに、及び/又は第2の従動側ロープ端は第2の従動側ドラムに形状結合的、摩擦結合的及び/又は材料結合的に取り付けられる。
【0028】
第1の駆動側ドラム及び/又は第1の従動側ドラムはそれぞれ、第1のロープを収容するための円周方向に延びる溝を有することができる。第2の駆動側ドラム及び/又は第2の従動側ドラムはそれぞれ、第2のロープを収容するための円周方向に延びる溝を有することができる。溝のうちの1つ又は複数を螺旋状に形成することができる。
【0029】
第1の駆動側ドラム及び/又は第2の駆動側ドラムを、駆動側の回転角に応じて軸方向に変位可能に配置することができる。第1の従動側ドラム及び/又は第2の従動側ドラムを、従動側回転角に応じて軸方向に変位可能に配置することができる。
【0030】
張力装置は、少なくとも1つの従動側ドラムに配置されることが特に好ましい。
第1の駆動側ドラムは第1の駆動側張力装置を有することができ、第2の駆動側ドラムは第2の駆動側張力装置を有することができる。殊に、第1の従動側ドラムに第1の従動側張力装置が配置され、第2の従動側ドラムが第2の従動側張力装置に配置されている。
【0031】
偏向体は、第1の偏向ドラムと第2の偏向ドラムを有することができる。その場合、第1の偏向ドラムを、第1のロープが第1の接触円周によって第1の偏向ドラムと第1の駆動側ドラムとに、又は第1の偏向ドラムと第1の従動側ドラムとに同時に当接するように配置することができる。それに応じて、第2の偏向ドラムを、第2のロープが第2の接触円周によって、第2の偏向ドラムと第2の駆動側ドラムとに、又は第2の偏向ドラムと第2の従動側ドラムとに同時に当接するように配置することができる。
【0032】
更に、本発明は、第2のドラムのうちの少なくとも1つが対応する第1のドラムに対して軸方向にオフセットして配置され、及び/又は第2のドラムのうちの少なくとも1つが対応する第1のドラムとは違う、殊により小さい直径を有するように形成されてもよい。その場合、軸方向のオフセットは、殊に対応する回転軸に関連する。例えば、第2の駆動側ドラムを、駆動軸に関して第1の駆動側ドラムに対して軸方向にオフセットして配置することができる。従動軸に関連付けた従動側ドラム及び/又は偏向軸に関連付けた偏向ドラムについて同様のことが当てはまる。このような配置によって、特に対応する回転軸が角度オフセットされる場合、第1のロープと第2のロープとの接触なしの交差を達成することができる。それにより第1のロープと第2のロープとの相互の摩擦を回避することができる。特に、関与する回転軸が角度オフセットされる場合、それぞれのドラムに配置された溝の開口は、対応する回転軸に対して殊に傾斜する。駆動軸に対する従動軸の角度オフセットが、例えば90°である場合、第1の駆動側ドラム及び第2の駆動側ドラムの溝の開口をそれぞれ駆動軸に対して、殊に45°傾斜させることができる。この場合、従動軸に関連付けた従動側ドラムの溝の開口についても同じことが当てはまり得る。関与する第2のドラムの直径が関与する第2のドラムの直径とは異なる場合、関与する第1のドラムと関与する第2のドラムの直径比は殊に一定である。それによって、関与する第1のドラムと関与する第2のドラムは同じ伝達比を有することができる。これにより、伝動装置アセンブリの誤配置(Verlegen)を回避することができる。
【0033】
殊に、第1のロープと第2のロープは、駆動体において駆動軸に関して反対向きに配置され、及び/又は従動体において従動軸に関して反対向きに配置されている。したがって、第1のロープと第2のロープによって、逆の回転数とトルクを伝達することができる。したがって、戻すためのばね要素を省略することができる。
【0034】
駆動側ドラム及び/又は従動側ドラムは、互いに対して回転できるように配置することができる。このために、2つの駆動側ドラム及び/又は2つの従動側ドラムをそれぞれ調整ねじによって互いに接続することができる。これによって、第1のロープと第2のロープとは互いに対して予張力をかけることができる。したがって、駆動側ドラム及び/又は従動側ドラムの互いに対する回転可能性は、前述した張力装置の代替手段となり得る。駆動側ドラムの回転は、殊に駆動軸を中心に行われる。従動側ドラムの回転は、殊に従動軸を中心に行われる。特に好ましくは、駆動側ドラム及び/又は従動側ドラムは、それぞれ互いに対してロック可能に配置されている。
【0035】
本発明の一発展形態では、第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムは、従動軸に関して互いに180°オフセットして配置され、及び/又は第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムは、駆動軸に関して互いに180°オフセットして配置されている。それによって、特に伝動装置アセンブリによって必要とされる設置スペースを適合させることができる。駆動側ドラムのこのような配置によって、第1のロープが第1の駆動側ドラムから第1の従動側ドラムに引渡される第1の引渡し箇所と、第2のロープが第2の駆動側ドラムから第2の従動側ドラムに引渡される第2の引渡し箇所との、従動軸に関して180°のオフセットを実現することができる。それに応じて、従動側ドラムのこのような配置によって、第1の引渡し箇所と第2の引渡し箇所との、駆動軸に関して180°のオフセットを実現することができる。駆動側ドラムをこのようにオフセットした配置は、殊に駆動側ドラムに配置される溝を螺旋状に形成する場合に使用される。従動側ドラムをこのようにオフセットした配置は、殊に従動側ドラムに配置される溝を螺旋状に形成する場合に使用される。特に、駆動軸と従動軸との角度オフセットが90°である場合、駆動側ドラム又は従動側ドラムのそのようにオフセットした配置によって設置スペースの利点を達成することができる。180°オフセットされたドラムは、殊に駆動軸と従動軸との角度オフセットが90°の場合に駆動軸又は従動軸と交差する共通のシャフトに配置されている。
【0036】
伝動装置アセンブリが偏向体を備える場合、それに応じて、特に駆動軸と偏向軸及び/又は従動軸と偏向軸が互いに90°オフセットして配置されている場合に、第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムを偏向軸に関して、及び/又は第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムを偏向軸に関して互いに180°オフセットして配置することができる。
【0037】
本発明の別の実施形態では、駆動体は、駆動軸に関して第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムとの間に配置され、及び/又は従動体は、従動軸に関して第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムとの間に配置されている。このような配置によっても同様に設置スペースの利点を達成することができる。殊に、駆動側ドラム及び/又は従動側ドラムに配置された溝が螺旋状に形成されている、並びに/或いは駆動軸と従動軸とが特に90°の角度オフセットを互いに有する場合にこの配置が使用される。その場合、駆動体のドラムを駆動軸に関して駆動体の反対側に配置することができる。その場合、これに対応して、従動体のドラムを従動軸に関して従動体の反対側に配置することができる。
【0038】
それに応じて、偏向体を偏向軸に関して第1の従動側ドラムと第2の従動側ドラムとの間に配置することができ、及び/又は第1の駆動側ドラムと第2の駆動側ドラムとの間に配置することができる。
【0039】
本発明によるロボットは、前述したの特徴を有する伝動装置アセンブリを備える。ロボットは、ベースと、第1のアーム部分及び第2のアーム部分を有するロボットアームとを備えることができ、第2のアーム部分は、殊に第1の関節軸を中心に回転可能に第1のアーム部分に配置されている。第1のアーム部分は、ベース上に配置され得る。ベースによって、ロボットアームを周囲環境に対して支持することができる。第1のアーム部分に駆動体を配置することができる。殊に、第1のアーム部分において、駆動体を駆動するための駆動ユニットが更に配置されている。第2のアーム部分において、従動軸が第1の関節軸上に位置するように従動体を配置することができる。回転数とトルクを駆動ユニットから従動体へ伝達するために、従動体を、第1のロープと第2のロープが第1の接触円周及び第2の接触円周によって対応する駆動側ドラムと対応する従動側ドラムとに同時に当接するように配置することができる。駆動軸と従動軸とは互いに90°のオフセットを有することができる。このような配置によって、比較的重い駆動ユニットをベース近くの第1のアーム部分に配置することができ、第2のアーム部分は比較的小さい重量を有することができるこのようにして、ロボットのダイナミクスを高めることができる。更に、ロボットアームによって必要とされる設置スペースを大幅に低減することができる。
【0040】
一発展形態では、ロボットは、第2の関節軸を中心に回転可能に第2のアーム部分に配置されている第3のアーム部分を有する。第2の駆動ユニットを第2のアーム部分において、殊に第1の関節軸の近くに配置することができる。ロボットは、偏向体を含む、前述した特徴を有する第2の伝動装置アセンブリを備えることができる。第2の伝動装置アセンブリの駆動体は、殊に第2のアーム部分において第2の駆動ユニットに配置されている。第2の伝動装置アセンブリの従動体を第2の伝動装置アセンブリの従動軸が第2の関節軸上に位置するように第3のアーム部分に配置することができる。第2の駆動ユニットから第2の伝動装置アセンブリの従動体へ回転数とトルクを伝達するために、偏向体を、第2の伝動装置アセンブリの第1のロープと第2のロープが接触円周によって、第2の伝動装置アセンブリの偏向ドラムと駆動側ドラムとに同時に当接するように配置することができる。偏向体を更に、偏向軸が第1の関節軸上に位置するように配置することができる。その場合、第2の伝動装置アセンブリの駆動軸と第2の伝動装置アセンブリの偏向軸は、互いに90°のオフセットを有することができる。それにより、同時に設置スペースを低減してロボットのダイナミクスを更に高めることができる。第2の伝動装置アセンブリが偏向体を有することによって、第2の伝動装置アセンブリは、第2の伝送装置アセンブリの駆動体と関連する従動体との間の第2のアーム部分の長さを橋渡しすることができる。
【0041】
以下の図をもとにして本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】(a)は従来技術による伝動装置アセンブリを備えたロボットアームの部分図、(b)は本発明による伝動装置アセンブリの第1の実施例によるロボットアームの部分図である。
【
図2】本発明による伝動装置アセンブリの第1の実施例による斜視図である。
【
図5】調整ねじを有する
図2に示される実施例の背面部分図である。
【
図6】張力装置を備える本発明による伝動装置アセンブリの第2の実施例の部分図である。
【
図7】本発明による伝動装置アセンブリの第3の実施例による斜視図である。
【
図8】本発明による伝動装置アセンブリの第4の実施例の斜視図である。
【
図9】本発明による伝動装置アセンブリの第5の実施例の斜視図である。
【
図11】本発明による伝動装置アセンブリの第6の実施例の斜視図である。
【
図13】本発明によるロボットの実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1(b)~
図13は、様々な実施例の様々な図を示す。同じ、及び機能的に同じ部品には、同じ参照符号が使用される。明確にするために、すべての図に参照記号が使用されるわけではない。
【0044】
図1(a)は、従来技術による伝動装置アセンブリ202を備えたロボットアーム200の部分図を示す。伝動装置アセンブリは、かさ歯車204を含み、したがって重量が比較的大きく、遊びも伴う。
【0045】
図1(b)は、
図1(a)に示される従来技術のロボットアーム200の部分図を、本発明による伝動装置アセンブリ14の第1の実施例による本発明によるロボット12のロボットアーム10と対比させる。伝動装置アセンブリ14は比較的軽く、遊びも伴わない。
【0046】
伝動装置アセンブリ14の第1の実施例は、
図2~
図5に詳細に示されている。伝動装置アセンブリ14は、駆動体16及び駆動軸18を含む。駆動体16は、駆動軸18を中心に回転可能に配置された第1の駆動側ドラム20と、駆動軸18を中心に回転可能に配置された第2の駆動側ドラム22を有することができる。その他に、伝動装置アセンブリは、従動体24及び従動軸26も含む。従動体24は、従動軸26を中心に回転可能に配置された第1の従動側ドラム28と、従動軸26を中心に回転可能に配置された第2の従動側ドラム30を有することができる。殊に、駆動軸18と従動軸26は共通の軸交点31で交差する。特に好ましくは、駆動軸と従動軸との間の角度の軸間オフセット31aは90°である。
【0047】
更に、伝動装置アセンブリ14は、第1の駆動側ドラム20及び第1の従動側ドラム28に巻き付けることができ、かつ第1の駆動側ロープ端34と第1の従動側ロープ端36を有する第1のロープ32を備えることができる。殊に、第1の駆動側ロープ端34は第1の駆動側ドラム20に配置され、第1の従動側ロープ端36は第1の従動側ドラム28に配置されている。更に、伝動装置アセンブリ14は、第2の駆動側ドラム22及び第2の従動側ドラム30に巻き付けることができ、第2の駆動側ロープ端40及び第2の従動端42を有する第2のロープ38を含むことができる。殊に、第2の駆動側ロープ端40は第2の駆動側ドラム22に配置され、第2の従動側ロープ端42は第2の従動側ドラム30に配置されている。
【0048】
殊に、第1のロープ32と第2のロープ38は、駆動体16において駆動軸18に関して互いに反対向きに配置され、従動体24において従動軸26に関して互いに反対向きに配置されている。したがって、第1のロープ32と第2のロープ38によって、逆の速度とトルクを伝達することができる。
【0049】
したがって、駆動側ドラム20、22のうちの1つが駆動軸18を中心に第1の回転方向44に回転することによって、回転数とトルクを第1のロープ32を介して第1の従動側ドラム28、ひいては従動体24に伝達することができる。それに応じて、駆動側ドラム20、22のうちの1つが駆動軸18を中心に第2の回転方向46に回転することによって、回転数とトルクを第2のロープ38を介して第2の従動側ドラム30、ひいては従動体24に伝達することができる。その場合、駆動側ドラム20、22及び従動側ドラム28、30の回転角は、特にロープ32、38の長さによって制限され得る。
【0050】
伝動装置アセンブリ14の伝達比は、第1の従動側ドラム28の第1の従動側ドラム直径48と第1の駆動側ドラム20の第1の駆動側ドラム直径50との商によって形成することができる。第2の従動側ドラム30の第2の従動側ドラム直径52と第2の駆動側ドラム22の第2の駆動側ドラム直径54との対応する商は、殊に同じ大きさである。
図2~
図5に示される実施例は、伝達比1を有する。したがって、最大駆動側回転角56及び最大従動側回転角58は同じ大きさであり、
図2に示される実施例では、ロープ32、38の長さによって360°未満に定義される。
【0051】
殊に、駆動体16は、駆動側ドラム20、22と一緒に駆動軸18を中心に回転可能である。したがって、従動体24も従動側ドラム28、30と一緒に従動軸26を中心に回転可能であり得る。駆動体16及び従動体24をホイールとして形成することができる。
【0052】
殊に、
図3及び
図4に示される第1のロープ32は、第1の接触円周60によって第1の駆動側ドラム20と第1の従動側ドラム28とに同時に当接する。したがって、第2のロープ38は、第2の接触円周62によって第2の駆動側ドラム22と第2の従動側ドラム30とに同時に当接することができる。
【0053】
それぞれの接触円周60、62は、対応する駆動側ドラム20、22及び対応する従動側ドラム28、30に当接する対応するロープ32、38の転換点を表示することができる。第2のドラム22、30を例とって
図4に示されるように、第2のロープ38のロープ中心線66上に配置される第2の駆動側ドラム22の仮想駆動側接線64と、ロープ中心線66上に配置される第2の従動側ドラム30の仮想従動側接線68とが第2の接触円周62の位置で一致することができる。この関係は第1の接触円周60に同様に適用される。
【0054】
特に
図3から明らかになるように、駆動側ロープ端34、40は駆動側ドラム20、22に、及び従動側ロープ端36、42は従動側ドラム28、30にそれぞれねじ接続70によって形状結合的及び摩擦結合的に取り付けられている。
【0055】
特に
図4の図示から認識できるように、第1の駆動側ドラム20と第1の従動側ドラム28、及び第2の駆動側ドラム22と第2の従動側ドラム30はそれぞれ、第1のロープ32若しくは第2のロープ38を収容するための周方向に延びる溝72を有することができる。したがって、溝72は、第1の駆動側ドラム20又は第1の従動側ドラム28と第1のロープ32との境界面と、第2の駆動側ドラム22又は第2の従動側ドラム30と第2のロープ38との境界面を形成することができる。溝72によって、第1のロープ32と第2のロープ38を、対応する駆動側ドラム20、22及び対応する従動側ドラム28、30の定められた円周に収容することができる。
図4に示されるように、溝72は、殊に一定の半径を有する弧状の輪郭74を有し、それにより輪郭74は円弧状に形成されている。
【0056】
特に
図2及び
図4に認識できるように、伝動装置アセンブリ14は、第2の駆動側ドラム22と第2の従動側ドラム30がそれぞれ対応する第1のドラム20、28に対して軸方向にオフセットして配置され、それぞれ別の、殊に対応する第1のドラム20、28よりも小さい直径を有するように形成されていてもよい。その場合、第2の駆動側ドラム22と第1の駆動側ドラム20との軸方向のオフセットは、殊に対応する回転軸、すなわち駆動軸18に関連する。それに対応して、第2の従動側ドラム30と第1の従動側ドラム28との軸方向のオフセットは、殊に従動軸26に関連する。このような配置によって、特に角度の軸間オフセット31aにより、第1のロープ32と第2のロープ38との接触なしの交差を達成することができる。
【0057】
角度の軸間オフセット31aが90°の場合、第1の駆動側ドラム20及び第2の駆動側ドラム22の溝72の開口76はそれぞれ、駆動軸18に対して、殊に45°傾斜することができる。この場合、従動軸26に関する従動側ドラム28、30の溝72の開口76についても同じことが当てはまる。
【0058】
駆動側ドラム20、22及び/又は従動側ドラム28、30をそれぞれ互いに対して回動可能に配置することができる。このために、2つの駆動側ドラム20、22及び/又は2つの従動側ドラム28、30をそれぞれ、
図5に示される調整ねじ78によって互いに接続することができる。調整ねじ78は、殊に駆動体16及び/又は従動体24の裏側に配置される。それによって、第1のロープ32と第2のロープ38とは互いに対して予張力をかけることができる。駆動側ドラム20、22の回転は、殊に駆動軸18を中心に行われる。従動側ドラム28、30の回転は、殊に従動軸26を中心に行われる。特に好ましくは、駆動側ドラム20、22及び/又は従動側ドラム28、30はそれぞれ互いに対してロック可能にも配置されている。ロックを調整ねじ78によって行うこともできる。
【0059】
図6~
図12に示される伝動装置アセンブリ14の別の実施例に関しては、特に
図2~
図5に示される第1の実施例との相違に言及することとする。
図6に示される伝動装置アセンブリ14の第2の実施例からの部分図が示すように、駆動側ドラム20、22及び/又は従動側ドラム28、30を互いに対して回動させることによる代わりに、第1のロープ32及び/又は第2のロープ38にそれぞれ、駆動体18及び/又は従動体24に配置することができる張力装置80によって張力を加えることができる。殊に、張力装置80は、それぞれの溝72に配置されている。特に好ましくは、張力装置80のそれぞれ1つは、第1の従動側ドラム28及び第2の従動側ドラム30に配置される。張力装置80は、それぞれのロープ32、38に張力を加えるための張力ねじ82を有することができる。
【0060】
図7は、
図2~
図5に示される第1の実施例に実質的に相当するが、その角度の軸間オフセット31aが第1の実施例とは異なり60°である伝動装置アセンブリ14の第3の実施例を示す。
【0061】
図8に示される第4の実施例では、伝動装置アセンブリ14は、
図2~
図5の第1の実施例の特徴に加えて、殊にそれぞれ偏向軸90を中心に回転可能に配置され得る第1の偏向ドラム86と第2の偏向ドラム88を含む偏向体84を有する。その場合、第1の偏向ドラム86を、第1のロープ32が第1の接触円周60によって第1の偏向ドラム86と第1の駆動側ドラム20とに同時に当接するように配置することができる。それに応じて、第2の偏向ドラム88を、第2のロープ38が第2の接触円周62によって第2の偏向ドラム88と第2の駆動側ドラム22とに同時に当接するように配置することができる。
【0062】
図8に示されるように、偏向体84は、駆動体16と従動体24の空間的に互いに離れた配置を可能にする。駆動軸18及び従動軸26が角度の軸間オフセット31aを有する場合、偏向体84によってロープ32、38の対応する偏向を行うことができる。偏向軸90は、駆動軸18と対応する偏向角92をなすことができる。
【0063】
駆動体16及び従動体24の設計に従って、第2の偏向ドラム88を偏向軸90に関して第1の偏向ドラム86に対して軸方向にオフセットして配置することができる。第2の偏向ドラム88の直径が第1の偏向ドラム86の直径と異なることもでき、殊に、第2の偏向ドラム88が第1の偏向ドラム86よりも小さい直径を有するようにすることができる。
【0064】
図9及び
図10は、伝動装置アセンブリ14の第5の実施例を示す。その中で、第1の駆動側ドラム20及び第2の駆動側ドラム22に配置された溝72は、螺旋状に形成されている。それによって、360°を超える駆動側ドラム20、22の最大回転角を達成することができる。その場合、殊に、溝72の開口76は、駆動軸18に対して直角に配置され、それにより、第1のロープ32及び第2のロープ38は、駆動軸18に対して直角に溝72に挿入され、かつ溝72から取り外すことができる。
【0065】
図9及び
図10の図示では、駆動軸18に対する従動軸26の軸間オフセット31aは90°である。更に、第1の駆動側ドラム20と第2の駆動側ドラム22とは、従動軸26に関して互いに180°オフセットして配置されている。このような駆動側ドラムの配置によって、第1のロープ32が第1の駆動側ドラム20から第1の従動側ドラム28に引渡される第1引渡し点94と、第2のロープ38が第2の駆動側ドラム22から第2の従動側ドラム30に引渡される第2の引渡し点96との従動軸26に関する180°のオフセットを実現することができる。第1の駆動側ドラム20と第2の駆動側ドラム22は、殊に従動軸26と交差する共通の駆動シャフト98に配置されている。
【0066】
図10の断面図から読み取れるように、駆動側ドラム20、22を、駆動側回転角に応じて軸方向に、すなわち駆動軸18に沿って変位可能に配置することができる。このような依存関係によって、特に溝72を螺旋状に形成した場合、第1の接触円周60及び第2の接触円周62を維持しながらロープ32、38の駆動側ドラム20、22から従動側ドラム28、30への、及びその逆の移動を行うことができる。駆動側ドラム20、22の軸方向の変位可能性は、ねじガイド100によって実現することができる。駆動側ドラム20、22から従動側ドラム28、30への、及びその逆のロープ32、38の申し分のない移動を更に確実にするために、第1の従動側ドラム28及び第2の従動側ドラム30にそれぞれロール状の押さえ装置102を配置することができ、この押さえ装置は、第1のロープ32及び第2のロープ38をそれぞれ対応する従動側ドラム28、30に位置決めすることができる。
【0067】
図11及び
図12に示される伝動装置アセンブリ14の第6の実施例は、とりわけ、従動体24が従動軸26に関して、殊に第1の駆動側ドラム20と第2の駆動側ドラム22との間に配置されているという点で、
図9及び
図10に示されるものとは異なる。その場合、従動体24のドラムは、駆動軸26に関して従動体24の反対側に配置することができる。
【0068】
図13は、伝動装置アセンブリ14を備えたロボット12の実施例を示す。ロボット12は、ベース104と、第1のアーム部分106及び第2のアーム部分108を含むロボットアーム10とを有することができ、第2のアーム部分108は、殊に第1の関節軸110を中心に回転可能に第1のアーム部分106に配置されている。第1のアーム部分106をベース104に配置することができる。ベース104によって、ロボットアーム10を周囲環境に対して支持することができる。駆動体16は、第1のアーム部106に配置され得る。殊に、第1のアーム部分106には、駆動体16を駆動するための駆動ユニット112が更に配置されている。
【0069】
第2のアーム部分108には、従動軸18が第1の関節軸110上に位置するように従動体24を配置することができる。駆動ユニット112から従動体16へ回転数とトルクを伝達するために、従動体16を、第1のロープ32と第2のロープ38が第1の接触円周60及び第2の接触円周62によって対応する駆動側ドラム20、22と対応する従動側ドラム28、30とに同時に当接するように配置することができる。その場合、駆動軸18と従動軸26とは、互いに90°の軸間オフセット31aを有することができる。このような配置によって、比較的重い駆動ユニット112をベースに近い第1のアーム部分106に配置することができる。
【0070】
ロボット12は、第2の関節軸116を中心に回転可能に第2のアーム部分108に配置されている第3のアーム部分114を有することができる。第2の駆動ユニット118は、第2のアーム部分109において、殊に第1の関節軸110の近くに配置され得る。ロボットは、偏向体84aを含む第2の伝動装置アセンブリ14aを有することができる。第2の伝動装置アセンブリ14aの第2の駆動体16aは、殊に第2のアーム部分108において第2の駆動ユニット118に配置される。第2の伝動装置アセンブリ14aの第2の従動体24aは、第2の従動軸26aが第2の関節軸116上に位置するように、第3のアーム部分114に配置され得る。第2の駆動ユニット118から第2の従動体24aへ回転数とトルクを伝達するために、偏向体84aを、第2の伝動装置アセンブリ14aの第1のロープ32aと第2の伝動装置アセンブリ14aの第2のロープ38aが対応する接触円周によって偏向体84aと第2の駆動体16aとに同時に当接するように配置することができる。偏向体84aは、更に、第2の伝動装置アセンブリ14aの偏向軸90aが第1の関節軸110上に位置するように配置され得る。その場合、第2の伝動装置アセンブリ14aの駆動軸18aと偏向軸90aとは互いに90°のオフセットを有することができる。第2の伝動装置アセンブリ14aが偏向体84aを有することによって、第2の伝動装置アセンブリは、第2の駆動体16aと関連する第2の従動体24aとの間の第2のアーム部分108の長さを橋渡しすることができる。
【符号の説明】
【0071】
10…ロボットアーム、12…ロボット、14…伝動装置アセンブリ、14a…第2の伝動装置アセンブリ、16…駆動体、16a…第2の駆動体、18…駆動軸、18a…第2の伝動装置アセンブリの駆動軸、20…第1の駆動側ドラム、22…第2の駆動側ドラム、24…従動体、24a…第2の従動体、26…従動軸、26a…第2の従動軸、28…第1の従動側ドラム、30…第2の従動側ドラム、31…軸交点、31a…軸間オフセット、32…第1のロープ、32a…第2の伝動装置アセンブリの第1のロープ、34…第1の駆動側ロープ端、36…第1の従動側ロープ端、38…第2のロープ、38a…第2の伝動装置アセンブリの第2のロープ、40…第2の駆動側ロープ端、42…第2の従動側ロープ端、44…第1の回転方向、46…第2の回転方向、48…第1の従動側ドラム直径、50…第1の駆動側ドラム直径、52…第2の従動側ドラム直径、54…第2の駆動側ドラム直径、56…駆動側最大回転角、58…従動側最大回転角、60…第1の接触円周、62…第2の接触円周、64…駆動側接線、66…ロープ中心線、68… 従動側接線、70…ねじ接続、72…溝、74…輪郭、76…開口、78…調整ねじ、80…張力装置、82…張力ねじ、84…偏向体、84a…第2の伝動装置アセンブリの偏向体、86…第1の偏向ドラム、88…第2の偏向ドラム、90…偏向軸、90a… 第2の伝動装置アセンブリの偏向軸、92…偏向角、94…第1の引渡し箇所、96…第2の引渡し箇所、98…駆動シャフト、100…ねじガイド、102…押さえ装置、104…ベース、106…第1のアーム部分、108…第2のアーム部分、110…第1の関節軸、112…駆動ユニット、114…第3のアーム部分、116…第2の関節軸、118…第2の駆動ユニット、200…ロボットアーム(従来技術)、202…伝動装置アセンブリ(従来技術)、204…かさ歯車。
【外国語明細書】