(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056679
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】小板形状のエフェクト顔料を含むカラーフロップ効果を有する層連続体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/20 20060101AFI20240416BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20240416BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240416BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240416BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B32B27/20 A
C09D11/037
C09D7/61
C09D201/00
C09D17/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217481
(22)【出願日】2023-12-23
(62)【分割の表示】P 2020565541の分割
【原出願日】2019-02-11
(31)【優先権主張番号】18156380.0
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520298514
【氏名又は名称】ヒューバーグループ イタリア
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ジャネッティ, ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】チリエッロ, ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラン, アドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ザルツウェーデル, ティム
(72)【発明者】
【氏名】フリッシュマン, リュッツ
(72)【発明者】
【氏名】クラウスニッツァー, シルビア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コスト効率良くフリップフロップ効果を付与するシステムを提供する。
【解決手段】b)染料及び/又は顔料を含有する第1のカラー層、c)第1のカラー層上に、小板形状エフェクト顔料を含むエフェクト層であって、小板形状エフェクト顔料は、2~500μmの平均長さ、2~500μmの平均幅、最大1μmの平均厚さを有する粒子で構成される、エフェクト層、及びd)エフェクト層上に、染料及び/又は顔料を含有する第2のカラー層を含み、第1及び第2のカラー層のそれぞれは、小板形状エフェクト顔料ではない染料及び/又は顔料を含み、第1のカラー層に含まれる染料及び/又は顔料は、第2のカラー層に含まれる染料及び/又は顔料とは異なり、第1のカラー層が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合に少なくとも、システムはさらに、a)第1のカラー層の下に、顔料を含み、反射率及び散乱の合計が少なくとも40%である下層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
b)染料(26)及び/又は顔料を含有する少なくとも1つの第1のカラー層(18)、
c)前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)上に、少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料(28)を含むエフェクト層(20)であって、前記少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料(28)は、2~500μmの平均長さ(48)、2~500μmの平均幅(50)、最大1μmの平均厚さを有する粒子(46)で構成される、エフェクト層、及び
d)前記エフェクト層(20)上に、染料(30)及び/又は顔料を含有する少なくとも1つの第2のカラー層(22)を含み、
前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)及び少なくとも1つの第2のカラー層(22)のそれぞれは、小板形状エフェクト顔料ではない染料(26,30)及び/又は顔料を含み、前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)に含まれる少なくとも1つの染料(26)及び/又は少なくとも1つの顔料は、前記少なくとも1つの第2のカラー層(22)に含まれる前記少なくとも1つの染料(30)及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なり、
少なくとも前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合に、さらに、
a)前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)の下に、顔料(24)を含み、反射率及び散乱の合計が少なくとも40%である下層(16)
を含む、システムであって、
前記システムは干渉顔料を含まず、干渉顔料は光波の干渉を生成する顔料であると定義される、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料(28)が小板形状金属エフェクト顔料であり、好ましくは小板形状銀エフェクト顔料、小板形状金エフェクト顔料、小板形状アルミニウムエフェクト顔料、小板形状銅エフェクト顔料、小板形状銅-亜鉛合金エフェクト顔料又は小板形状真鍮青銅エフェクト顔料である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料(28)が、0.01~1μm、好ましくは0.05~1μm、より好ましくは0.05~0.5μmの平均厚さを有する粒子(46)で構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料(28)が、1~20、好ましくは1~2又は2~5の、平均粒子長さ(48)を平均粒子幅(50)で除算した第1のアスペクト比を有する粒子(46)で構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料(28)は、1~75,000、好ましくは1~1,000、より好ましくは1~200、さらにより好ましくは1~100、最も好ましくは1~60の、平均粒子長さ(48)を平均粒子厚さで除算した第2のアスペクト比を有する粒子(46)で構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記エフェクト層(20)の平均粒子面積比が5~75%、好ましくは10~55%、最も好ましくは15~35%である、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記エフェクト層(20)が、0.1~50μm、好ましくは0.1~30μm、最も好ましくは0.2~20μm又は0.1から150μm、好ましくは1~100μm、より好ましくは10~50μmの厚さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記乾燥エフェクト層(20)における顔料とバインダとの重量比が0.02:1~2:1、好ましくは0.1~2:1、より好ましくは0,2:1~1.8:1である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エフェクト層(20)が、20~100%、より好ましくは30~100%、最も好ましくは40~100%の反射率及び散乱の合計を有する、請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記下層(16)が、存在し、
i)フィルムであり、前記下層(16)の総重量に基づいて0.1~10重量%、好ましくは0.25~4重量%、より好ましくは0.75~1.5重量%の白色顔料(24)を含み、前記フィルムは、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~50μm、最も好ましくは10~30μmの厚さを有し、
ii)紙又は厚紙であり、前記下層(16)の総重量に基づいて、0.1~50重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは3~7重量%の白色顔料(24)を含み、又は
iii)インクであり、前記乾燥下層(16)の総重量に基づいて、10~90重量%、好ましくは30~90重量%の白色顔料(24)を含み、前記インクは、好ましくは0.5~100μmの厚さを有し、又は
iv)コーティング又はラッカーであり、前記乾燥下層(16)の総重量に基づいて10~90重量%、好ましくは30~90重量%の白色顔料(24)を含み、前記コーティング又はラッカーは好ましくは0.5~1,000μmの厚さを有する、
請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記下層(16)が存在し、前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)及び前記少なくとも1つの第2のカラー層(22)のいずれかに含まれる前記染料(26,30)及び/又は顔料が、前記下層(16)に含まれる前記顔料(24)とは異なる、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)及び少なくとも1つの第2のカラー層(22)のいずれかが、第1のカラー層(18)及び/又は第2のカラー層(22)の総乾燥重量に基づいて、0.001~5重量%の少なくとも1つの染料(26、30)、及び/又は0.1~50重量%の少なくとも1つの顔料(白色顔料でもなく金属顔料でもない)を含む、請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
デルタa/bは少なくとも15、より好ましくは少なくとも30、最も好ましくは少なくとも38であり、デルタa/bは、方程式デルタa/b=((a[15°]-a[110°])2+(b[15°]-b[110°])2)1/2に従って決定され、式中、a[15°]は、観察値15°で測定されたa値であり、a[110°]は観察値110°で測定されたa値であり、b[15°]は観察値15°で測定されたb値であり、b[110°]は観察値110°で測定されたb値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義される、請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
b)染料(26)及び/又は顔料を含有する少なくとも1つの第1のカラー層(18)、
c)前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)上に、少なくとも1つのエフェクト顔料(28)を含むエフェクト層(20)、
d)前記エフェクト層(20)上に、染料(30)及び/又は顔料を含有する少なくとも1つの第2のカラー層(22)を含み、
前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)及び少なくとも1つの第2のカラー層(22)のそれぞれは、エフェクト顔料ではない染料(26、30)及び/又は顔料を含み、前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)に含まれる少なくとも1つの染料(26)及び/又は少なくとも1つの顔料は、前記少なくとも1つの第2のカラー層(22)に含まれる少なくとも1つの染料(30)及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なり、
少なくとも前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合に、さらに、
a)前記少なくとも1つの第1のカラー層(18)の下に、顔料(24)を含み、反射率及び散乱の合計が少なくとも40%である下層(16)
を含む、システムであって、
i)前記システムのデルタa/bは少なくとも15であり、前記デルタa/bは、方程式デルタa/b=((a[15°]-a[110°])2+(b[15°]-b[110°])2)1/2に従って決定され、式中、a[15°]は、観察値15°で測定されたa値であり、a[110°]は観察値110°で測定されたa値であり、b[15°]は観察値15°で測定されたb値であり、b[110°]は観察値110°で測定されたb値であり、前記測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角で前記システムに照射することによって実行され、前記水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義され、
及び/又は
ii)前記システムのデルタLは少なくとも10であり、前記デルタLは、方程式デルタL=|L[15°]-L[110°]|に従って決定され、式中、L[15°]は、観察値15°で測定されたL値であり、L[110°]は観察値110°で測定されたL値であり、前記測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角で前記システムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義され、
及び/又は
iii)前記システムのデルタh°が少なくとも15であり、前記デルタh°は、方程式デルタh°=|h°[15°]-h°[110°]|に従って決定され、式中、h°[15°]は、観察値15°で測定されたh°値であり、h°[110°]は観察値110°で測定されたh°値であり、前記測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角で前記システムに照射することによって実行され、前記水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義され、
前記システムは干渉顔料を含まず、干渉顔料は光波の干渉を生成する顔料であると定義される、システム。
【請求項15】
前記システムの前記デルタa/bは少なくとも15、好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも38である、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、例えばインク、フィルム、コーティング若しくはラッカーの層のシステム、又はインク、フィルム若しくはラッカーの層のシステムでコーティングされた基材を含むシステムに関し、このシステムは、システムに干渉顔料が含まれていない場合でもカラーフロップ効果を示す。
【背景技術】
【0002】
例えばインクでそれぞれコーティングされた物体又は基材などのシステムは、インクがカラーフロップ効果を付与し、それぞれ異なる視野角又は観察角の下で色特性の変化を示す。そのような効果は、それぞれフロップ効果又はフリップフロップ効果と呼ばれる。異なる観察角で変化する色特性は、インクのブライトネス又はカラーシェードであり得る。より具体的には、観察角に依存する印刷物体のブライトネスの変化は、通常、ブライトネスフロップ効果と呼ばれ、一方で観察角に依存する印刷物体のカラーシェードの変化は、カラーシェードフリップフロップ効果又はカラートラベル効果と呼ばれる。
【0003】
コーティングされた物体にそのようなフリップフロップ効果を付与するインクは、例えば安全用途、例えば紙幣、クレジットカード、切手、テレホンカード及び身分証明書などの偽造防止セキュリティ紙などに使用される物体をコーティングする場合に興味深く、一方でコーティングされた物体にそのようなフリップフロップ効果を付与するラッカーは、例えば自動車に特定の外観を付与するために自動車をコーティングする場合に興味深い。
【0004】
システムにカラーシェードフリップフロップ効果を付与するために、ホログラフィックホイルがしばしば使用される。同じ目的で、通常、干渉顔料もそれぞれインク、ラッカー、又はフィルムに添加される。そのような干渉顔料は、異なる平面で光波の一部の反射と光波の一部の屈折とを引き起こす少なくとも2つの異なる層を含み、結果として異なる平面から反射された光波が異なる距離を移動して、干渉を生じる。干渉とは、2つの波が重なり合って、振幅が大きい、小さい、又は同じである合成波を形成する現象である。干渉とは、通常、同じソースから発生するか、又は同じ若しくはほぼ同じ周波数を有するために、相互に相関する又はコヒーレントな波の相互作用を指す。干渉効果は、光、電波、音響波、地表水波、物質波などのあらゆる種類の波で観察できる。そのような干渉顔料の例は、例えば、キャリア小板、例えばアルミナ小板又はシリカ小板であり、高屈折率金属酸化物、例えば二酸化チタン及び酸化鉄(III)でコーティングされている。
【0005】
米国特許7,077,897B2号明細書には、屈折率の差が少なくとも0.1である高屈折率及び低屈折率の無色非吸収性金属酸化物の交互層でコーティングされた透明支持材料からなる、セキュリティ用途の多層干渉顔料が記載されている。それぞれの顔料は、対応する水溶性の無機金属化合物の加水分解による湿式プロセスにより、透明な支持材料を高屈折率の金属酸化物及び低屈折率の金属酸化物で交互にコーティングし、得られた顔料を、分離し、乾燥し、任意に焼成することによって得ることができる。
【0006】
しかしながら、干渉顔料に基づく既知のシステムは、干渉顔料の複雑な構造及び干渉顔料を合成するための面倒な製造プロセスのために高価である。干渉顔料に基づく既知のシステムの別の重要な欠点は、これらのインクのそれぞれが、1つの特定のカラーシェードフリップフロップ、例えば赤-緑にしか使用できないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許7,077,897B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このことを考慮して、本発明の基礎となる目的は、インク連続体、ラッカー連続体、又はフィルム/ホイル連続体などのシステムを提供し、それらでコーティングされた物体にフリップフロップ効果、特にカラーシェードフリップフロップ効果及び/又はブライトネスフリップフロップ効果を付与するが、それでもなお、干渉顔料を含める必要がないため、コスト効率が良い。さらに、システムは、所望のカラーシェードフリップフロップ効果及び/又はブライトネスフリップフロップ効果に対して容易に調整可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、
b)染料及び/又は顔料を含む少なくとも1つの第1のカラー層、
c)少なくとも1つの第1のカラー層上の、少なくとも1つの小板形状のエフェクト顔料を含むエフェクト層であって、少なくとも1つの小板形状のエフェクト顔料は、2~500μmの平均長さ、2~500μm平均幅及び最大1μmの平均厚さを有する粒子で構成される、エフェクト層、並びに
d)エフェクト層上に、染料及び/又は顔料を含む少なくとも1つの第2のカラー層を含むインク又はラッカー連続体などのシステムを提供することによって満たされ、
少なくとも1つの第1のカラー層及び少なくとも1つの第2のカラー層のそれぞれは、小板形状のエフェクト顔料ではない染料及び/又は顔料を含み、少なくとも1つの第1のカラー層中に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの第2のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なり、
少なくとも1つの第1のカラー層が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合は少なくとも、システムはさらに、
a)少なくとも1つの第1のカラー層の下に、顔料を含み、少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する下層を含む。
【0010】
この解決策は、小板形状のエフェクト顔料でない染料及び/又は顔料を含む1つ以上の第1のカラー層b)と小板形状のエフェクト顔料でない染料及び/又は顔料を含む1つ以上の第2のカラー層d)との間に、平均長さ、平均幅及び平均厚さの特定の上述の寸法を有する粒子で構成される少なくとも1つの小板形状のエフェクト顔料を含むエフェクト層c)を配置することによって、少なくとも1つの第1のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの第2のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なり、少なくとも1つの第1のカラー層b)は少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有し、及び/又は顔料を含み、少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する下層は第1のカラー層b)の下に配置され、カラーシェードフリップフロップ効果を示す、すなわち観察角に依存したカラーシェードの変化を示し、及び/又はブライトネスフリップフロップ効果を示す、すなわち観察角に依存したブライトネスの変化を示すシステム、例えばインクシステム、ラッカーシステム、又はフィルム/ホイルシステムが得られるという驚くべき知見に基づく。本発明によれば、それぞれの層は、カラーフリップフロップ効果を特徴付けるシステムのデルタa/bが少なくとも15であるように、及び/又はブライトネスフリップフロップ効果を特徴付けるシステムのデルタLが少なくとも10であるように構成されることが好ましい。パラメータa、b、Lは、CIE L*a*b*色空間を参照し、これは、DIN EN ISO 11664-4 「Colorimetry--Part4:CIE 1976 L*a*b色空間」で標準化され、これは、それぞれ明度若しくはブライトネスに関するL、色成分緑-赤に関するa並びに色成分緑-赤及び青-黄に関するbの3つの次元において知覚可能なすべての色を数学的に記載する。干渉顔料を含ませる必要はなく、それぞれ標準的な染料及び顔料のみを含む必要があるため、本発明によるシステムは費用効率が高い。さらに、任意の既知の染料及び/又は顔料が、少なくとも1つの第1のカラー層b)、少なくとも1つの第2のカラー層d)及び任意の可能なさらなる任意のカラー層に使用され得るので、所望のカラーシェード効果を所望する際にカラーシェード効果を調整できる。概して、本発明は、任意の所望のカラーシェードフリップフロップ効果及び/又はブライトネスフリップフロップ効果を示すシステムを配合することを可能にする。異なるカラーシェードフリップフロップでさえ、同じ基材上の異なる領域で実現できる。
【0011】
フリップフロップ効果を測定するために、可視光は、本発明に従って、システム上に(すなわち、システムの最上層の表面上に)、暗い環境において水平方向に対して45°の入射角で照射される。光の少なくとも一部がシステムによって反射及び散乱され、反射及び散乱光の色が異なる視野角で測定される。伝統的に、5又は6つの角度での色測定が好都合な解を提供する。反射及び散乱光の色が測定される角度の例は、以下でさらに定義される。多かれ少なかれ異なる角度での測定はまた、カラートラベルの検出にも好適である。可視光に加えて、他の標準化された光タイプ、例えばA、C、D50、D65、F2、F7、F11又はF12を使用でき、D50が特に好ましい。
【0012】
本発明によれば、エフェクト顔料は、入射光を反射することができるが、カラーシェードフロップ効果を示さない小板形状のエフェクト顔料粒子から構成されると定義され、一方で干渉顔料は本発明により、エフェクト顔料の定義から明示的に除外される。干渉顔料は通常、光波の干渉を生成する薄い高屈折率の層で構成される。
【0013】
原則として、本発明は、十分な量の入射光を反射する限り、エフェクト層c)に含まれるエフェクト顔料の種類に特に限定されない。好ましくは、エフェクト顔料は、金属又は鉱物からなる群から選択される。したがって、適切な例は、銀、金、アルミニウム、合金、例えば真鍮青銅、銅-亜鉛合金及びアルミニウム青銅、雲母、金属酸化物ドープアルファ酸化鉄、例えばマンガンをドープしたアルファ酸化鉄、酸化アルミニウムをドープしたアルファ酸化鉄及び二酸化ケイ素をドープしたアルファ酸化鉄、並びに前述の物質の2つ以上の任意の組み合わせで構成される顔料である。より好ましくは、エフェクト層c)に含まれるエフェクト顔料は、金属エフェクト顔料、すなわち金属から構成されるエフェクト顔料である。
【0014】
最も好ましくは、エフェクト層c)に含まれる小板形状のエフェクト顔料は、銀、金、アルミニウム、銅、真鍮青銅、銅-亜鉛合金又はその他の合金、例えばStapa AE 8 NL/80 Aluminium、Metalstar 07 0095 Silver、Aluminium Stapa AE Reflexal VIII/80、Stapa Reflexal 88 NL/80、Metalstar 06 7000 Silver、Rotoflex XA 6-203 Bleichgold、Rotoflex XA 6-206 Reichbleichgold、Rotoflex XA 6-209 Reichgold、RotoVario 530080 Silver、Rotovario 500 042 Silver、Rotovario 500022 Silber、Hydro Pellet 1300、Rotovario 500001 Silber(Eckartから)又はDecomet 1010/10、Grandor 4140 Reichgold、Grandor 4140 Reichbleichgold、Grandor 4140 Bleichgold(Schlenkから)又はSilvet ET 2016(Silberlineから)及び前述の物質の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される金属で構成される粒子を含む小板形状の金属顔料である。
エフェクト顔料に加えて、エフェクト層c)は、1つ以上の非エフェクト顔料又は染料を含むこともできる。
【0015】
本発明によれば、小板形状のエフェクト顔料は、2~500μmの平均長さ、2~500μmの平均幅、最大1μmの平均厚さを有するエフェクト顔料であると定義される。小板形状のエフェクト顔料が2~40μm、より好ましくは2~20μm又は2~500μm、より好ましくは2~100μmの平均長さを有する粒子から構成される場合、特に良好な結果が得られる。これに関して、粒子長さは、粒子の最長の範囲として定義されるが、平均粒子長さは、少なくとも600個の測定された粒子、好ましくは少なくとも1,000個の測定された粒子の長さの平均を意味する。例えば、1000個の小板形状のエフェクト顔料粒子は、以下にさらに詳細に説明されるように光学的に特徴付けられ、それにより、1000個の粒子の長さが決定される。次いで、1,000個の長さの合計が計算され、これを1,000で除算する。
【0016】
システムが印刷技術によって調製される場合、すなわち、システムの層がインク層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均長さは、好ましくは2~40μm、より好ましくは2~20μmである。システムが例えば噴霧技術によって調製される場合、すなわち、システムの層がコーティング又はラッカー層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均長さは、好ましくは2~500μm、より好ましくは2~100μmである。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、一方で少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング層又はラッカー層である場合、同じことが好ましい。システムがホイル又はフィルムを積層することによって調製される場合、すなわち、システムの層がホイル又はフィルム層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均長さは、好ましくはそれぞれのホイル又はフィルム層において2~40μm、より好ましくは2~20μmである。ホイルは、本発明によればアルミニウムホイルであることを意味し、一方でフィルムはプラスチックフィルムであることを意味する。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、小板形状のエフェクト顔料は、2~40μm、より好ましくは2~20μm、又は2~500μm、より好ましくは2~100μmの平均幅を有する粒子で構成される。これに関して、粒子幅は、粒子長さに垂直である方向における粒子の最長の範囲として定義され、一方で平均粒子幅は、少なくとも600個の測定された粒子、好ましくは少なくとも1,000個の測定された粒子幅の平均を意味する。
【0018】
システムが印刷技術によって調製される場合、すなわち、システムの層がインク層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均幅は、好ましくは2~40μm、より好ましくは2~20μmである。システムが例えば噴霧技術によって調製される場合、すなわち、システムの層がコーティング又はラッカー層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均幅は、好ましくは2~500μm、より好ましくは2~100μmである。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング層及びラッカー層からなる群から選択される場合、同じことが好ましい。システムがホイル又はフィルムを積層することによって調製される場合、すなわち、システムの層がホイル又はフィルム層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均幅は、好ましくは2~40μm、より好ましくは2~20μmである。
【0019】
一般に粒子の長さ及び幅、特に小板形状のエフェクト顔料粒子の長さ及び幅は、本発明に従って、好ましくは以下のように測定される。サンプル調製のために、顔料粒子をアセトンで洗い流し、次いでアセトン中の顔料粒子の分散液の数滴が、例えばターンテーブル上に固定され、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はガラス板又は雲母基材に塗布され、室温で乾燥される。このようにして、ほとんどの顔料粒子は、基材の表面に対して平行に配向する。適切な希釈係数を選択することにより、基材上での単一顔料の重なりを回避でき、個々の顔料の長さ及び幅を光学的に決定できる。次いで、長さ及び幅は光学的に、好ましくは走査型電子顕微鏡を使用して決定され、これは、15kVの電圧を用い、1,7ナノアンペアのビーム電流を用いて測定様式BSE(後方散乱電子)において、Thermo Fisher Scientific,Phenom World BV,Eindhoven,The NetherlandsからのPhenom Pro XLを用いて行われる。次いで粒子の長さ及び幅は、Phenom-World BV,Eindhoven,The Netherlandsによって分配されたソフトウェアProSuiteに含まれるソフトウェアツール「ParticleMetric」を用いて得られた画像から分析される。より具体的には、画像は、20~80個の粒子が検査され得るように拡大されることが好ましい。次いで、粒子長さ及び幅が単一粒子に対して決定される。上記のように少なくとも600個、好ましくは少なくとも1,000個の粒子の平均長さ及び幅をそれぞれ計算するために、測定された長さ及び幅の合計がそれぞれ計算され、これを測定された粒子の数で除算する。
【0020】
小板形状のエフェクト顔料粒子は、円形の横断面形態などの規則的な横断面形態を有していてもよい。しかしながら、小板形状のエフェクト顔料粒子は、規則的又は任意の不規則な横断面形態を有し得る。小板形状のエフェクト顔料粒子が規則的又は不規則な横断面形態を有するかどうかに関係なく、本発明によれば、それらは、計算された平均直径によってさらに特徴付けられ得る。より具体的には、平均直径は式(L+W)/2に従って計算され、式中、Lは粒子の平均長さであり、Wは粒子の平均幅である。好ましくは、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均直径は、2~500μm、より好ましくは2~40μm、さらにより好ましくは2~20μm又は2~500μm、より好ましくは2~100μmであり、例えば、2~100μm又は2~50μmである。システムが印刷技術によって調製される場合、すなわち、システムの層がインク層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均直径は、好ましくは2~40μm、より好ましくは2~20μmである。システムが例えば噴霧技術によって調製される場合、すなわち、システムの層がコーティング又はラッカー層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均直径は、好ましくは2~500μm、より好ましくは2~100μmである。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、一方で少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング、ラッカー、フィルム及びホイル層からなる群から選択される場合、同じことが好ましい。システムがホイル又はフィルムを積層することによって調製される場合、すなわち、システムの層がホイル又はフィルム層である場合、小板形状のエフェクト顔料粒子の平均直径は、好ましくは2~40μm、より好ましくは2~20μmである。
【0021】
本発明の着想のさらなる発展において、少なくとも1つの小板形状のエフェクト顔料は、特にシステムがインクで構成される場合、0.01から最大1μm、より好ましくは0.05~1μm、さらにより好ましくは0.05~0.5μmの平均厚さを有する粒子で構成されることが提案される。システムがコーティング又はラッカーで構成される場合、少なくとも1つの小板形状のエフェクト顔料は、0.01~1μmの平均厚さを有する粒子で構成されることが提案される。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、一方で少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング層又はラッカー層である場合、同じことが好ましい。これに関連して、粒子厚さは、粒子長さ及び粒子の幅によって定義される二次元平面に垂直な方向の粒子の最短の範囲として定義されるが、平均粒子厚さは、少なくとも600個の測定粒子、好ましくは少なくとも1,000個の測定粒子厚さの平均を意味する。粒子厚さに関するこれらの数値は、インク、コーティング、ラッカー、フィルム、ホイルに基づくすべてのシステムに適用される。
【0022】
一般に粒子の厚さ、特に小板形状のエフェクト顔料粒子の厚さは、本発明に従って、好ましくは以下のように測定される。電子顕微鏡で一般的に使用されている樹脂、例えばGerhard Neubauer Chemikalien,Muenster,Germanyによって販売されているTEMPFIXをサンプルプレートに塗布し、軟化するまで加熱プレート上で加熱する。続いて、サンプルプレートを加熱プレートから取り外し、それぞれの顔料粒子を軟化した樹脂の上に散布する又は広げる。樹脂は、冷却すると再び固体になり、顔料粒子が付着と重力との相互作用によりほぼ垂直に配置され、サンプルプレートに固定される。これにより、電子顕微鏡で顔料を横方向に測定することが容易になる。得られたサンプルをサンプルホルダに入れ、走査型電子顕微鏡法が、測定様式BSE(後方散乱電子)において、15kVの電圧を用い、1,7ナノアンペアのビーム電流を用いてThermo Fisher Scientific,Phenom World BV,Eindhoven,The NetherlandsからのPhenom Pro XLを用いて行われる。次いで粒子の厚さは、Phenom-World BV,Eindhoven,The Netherlandsによって分配されたソフトウェアProSuiteに含まれるソフトウェアツール「ParticleMetric」を用いて得られた画像から分析される。より具体的には、画像は、20~80個の粒子が検査され得るように拡大されることが好ましい。次いで粒子の厚さが単一粒子に対して決定される。厚さを決定する場合、表面に垂直な平面に対する顔料粒子の方位角αが推定され、式Teff=Tmess/cosαに従って厚さを評価する場合に考慮され、ここで、Tは粒子の厚さである。上記のように、平均厚さを決定するために、上記で記載されたように少なくとも600個の測定粒子、好ましくは少なくとも1,000個の測定粒子の厚さを測定し、得られた値をまとめ、合計は評価された粒子の数で除算される。
【0023】
最終層システムにおける粒子の長さ、幅、及び厚さは、適切に決定され得る。より具体的には、例えばそれぞれが約1cm
2の面積を有するいくつかのサンプル片を、例えばレーザーで層システムから切り出し得る。次いで、サンプルは、電子顕微鏡法に一般的な樹脂、例えばエポキシ樹脂のような包埋媒体、例えばElectron Microscopy Sciences,Hatfield,Pennsylvaniaによって供給されるAraldite 502又は6005に埋め込まれてもよい。その後、分析されるシステムの層の1つ以上のミクロトーム縦断面及び/又は分析されるシステムの層の1つ以上のミクロトーム横断面が作成されてもよく、各断面は、例えば5mmの厚さを有する。ミクロトーム断面は、例えばLeica Mikrosysteme,Bensheim,Germanyから入手可能なタイプRM2155の電動商用回転式ミクロトームを使用することにより調製されてもよい。セクショニングの前に、所望の厚さを設定し、次いでそれぞれの金属パネルを固定し、実際の操作工程では、それぞれのサンプルに回転式ミクロトームをかける。その後、サンプルはサンプルホルダに固定される。例えば、縦断面は、
図4aに示されるサンプルホルダに固定され得、横断面は、
図4bに示されるサンプルホルダに固定され得る。得られた各薄断面で走査型電子顕微鏡法が行われ、粒子長さ、粒子幅、粒子厚さ、平均粒子長さ、平均粒子幅、及び平均粒子厚さが上記のように決定される。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの小板形状のエフェクト顔料は、平均粒子長さを平均粒子幅で除算した第1のアスペクト比が1~20、好ましくは1~2、又は2~5の粒子で構成される。これらの数値範囲は、すべてのシステム、すなわち、インク、コーティング、ラッカー、及びフィルムに好ましい。
【0025】
さらに、少なくとも1つの小板形状エフェクト顔料は、平均粒子長さを平均粒子厚さで除算した第2のアスペクト比が1~75,000、好ましくは1~1,000、より好ましくは1~200、さらにより好ましくは1~100、最も好ましくは1~60である粒子で構成されることが好ましい。このような金属エフェクト顔料は、ほとんどの場合、粒子長さ及び粒子幅によって定義される二次元平面が基本的にエフェクト層の縦断面に平行に配向されるように配向される。
【0026】
本発明の着想のさらなる発展において、エフェクト層c)の平均粒子面積比が5~75%、より好ましくは10~55%、最も好ましくは15~35%であることが提案される。エフェクト層c)の平均粒子面積比とは、本発明によれば、小板形状のエフェクト顔料粒子によって覆われたエフェクト層c)の縦断面における面積の合計を、エフェクト層の縦断面の総面積で除算したものを意味する。測定原理を
図5a及び5bに示す。
【0027】
単一層のいずれか、特にエフェクト層の平均粒子面積比は、本発明に従って、好ましくは上記のように調製されるシステムの関係する層の表面から、又は上記のように調製されるシステムの関連する層の縦断面から走査型電子顕微鏡法によって測定される。粒子はソフトウェアツール「ParticleMetric」で着色され、次いで粒子で覆われた縦断面の面積の合計が評価され、パーセント単位の平均粒子面積比を得るため走査型電子顕微鏡で分析された縦断面の総面積で除算される。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、本発明によるシステムのエフェクト層c)は、特にシステムがインク又はフィルムで構成される場合、0.1~50μm、より好ましくは0.1~30μm、最も好ましくは0.2~20μmの平均厚さを有する。システムがコーティング又はラッカーで構成される場合、本発明によるシステムのエフェクト層c)は、0.1~150μm、より好ましくは1~100μm、さらにより好ましくは10~50μmの平均厚さを有する。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、一方で少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング層又はラッカー層である場合、同じことが好ましい。
【0029】
好ましくは、本発明によるシステムのエフェクト層c)は、好ましくは、それがインク層、コーティング又はラッカー層である場合、エフェクト層の厚さ、粘度及び塗布方法に応じて、エフェクト層を形成するために塗布される組成物の総重量に基づいて10~95重量%のバインダを含み、バインダは、好ましくは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、マレイネート樹脂、コロホニウム樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、アルキド樹脂、コロホニウム変性フェノール樹脂、炭化水素樹脂、シリケート、シリコーン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリテルペン樹脂、シェラック、コーパル、ダンマー、リグニン誘導体、天然樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルエーテル、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルブチレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、炭化水素樹脂、クマロン-インデン樹脂、芳香族ホルムアルデヒド樹脂、カルバミド酸樹脂、スルホンアミド樹脂、塩素化樹脂、ニトロセルロース、CAB(セルロースアセテートブチレート)、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)、セルロース化合物、ゴム、多糖類、放射線硬化樹脂、温度硬化樹脂及び前述のバインダの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
バインダに加えて、又はバインダの代わりに、エフェクト層c)は、インクの性質及び粘度、及び塗布方法に応じて、エフェクト層c)を形成するために塗布される組成物の総重量に基づいて0~95重量%を超える溶媒を含有してもよい。溶媒が鉱油、植物油、脂肪酸エステル、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、水、環状又は直鎖炭化水素、ケトン、ラクトン、アルカン、芳香族炭化水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、アミノ、アクリル又はビニル官能性芳香族化合物及び前述の溶媒の2つ以上の任意の組み合わせを有するモノマー及びオリゴマーからなる群から選択される場合に、良好な結果が特に得られる。
【0031】
さらに、エフェクト層c)は、1つ以上の添加剤を含んでもよい。そのような添加剤の例は、レオロジー添加剤、接着剤、消泡剤、スリップ添加剤、防食添加剤、光沢添加剤、ワックス、湿潤剤、硬化剤、キレート剤、光開始剤、阻害剤、乾燥剤、安定剤、乳化剤、pH調整添加剤、耐摩耗性添加剤、可塑剤、帯電防止添加剤、防腐剤、光保護剤、艶消し剤、充填剤、及び前述の添加剤の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤である。
【0032】
本発明の範囲内で、システムの得られたフリップフロップ効果の程度は、システムがインクシステムである場合、インク被覆量によって影響を受けることを見出した。システムがインクシステムである場合、少なくとも1つの第1のカラー層b)上の、すなわち第1のカラー層の最上部上の、乾燥エフェクト層c)のインク被覆量は、25~100%、より好ましくは40~100%、さらにより好ましくは50~100%、最も好ましくは60~100%であることが好ましい。インク被覆量は、エフェクト層c)で覆われている第1のカラー層の最上部の領域のパーセンテージである。インク被覆量とは、ハーフトーンが印刷される場合の実際の面積被覆量を指す。これと同様に、基材上の乾燥エフェクト層c)のインク被覆量は、25~100%、より好ましくは40~100%、さらにより好ましくは50~100%、最も好ましくは60~100%であることが好ましい。
【0033】
システムがラッカーシステム、コーティング、又はフィルム/ホイルシステムである場合、少なくとも1つの第1のカラー層b)上の、すなわち第1のカラー層の最上層上のエフェクト層c)の被覆量は、完全、すなわち100%又は少なくとも90%である。いずれにせよ、エフェクト層c)は、少なくとも1つの第1のカラー層b)を完全に覆う。これと同様に、エフェクト層c)が基材を完全に覆うことが好ましい。
【0034】
本発明の着想のさらなる発展において、乾燥エフェクト層c)の坪量は、特にシステムがインクで構成されている場合、0.2~15gsm、より好ましくは0.3~10gsm、最も好ましくは0.4~7.5gsmであることが提案される。システムがコーティング又はラッカーシステムである場合、エフェクト層c)の乾燥レイダウン(laydown)は、0.1~60gsm、より好ましくは1~30gsm、さらにより好ましくは1~20gsmである。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層である一方で、少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング、ラッカー又はフィルム層である場合、同じことが好ましい。
【0035】
さらに、乾燥エフェクト層中の顔料とバインダとの重量比は、0.02:1~2:1、より好ましくは0.1~2:1、さらにより好ましくは0.2:1~1.8:1であることが好ましい。より具体的には、乾燥エフェクト層c)における顔料とバインダとの重量比は、システムがインクで構成されている場合、0.3:1~2:1、より好ましくは0.7:1~2:1、最も好ましくは0.7:1~1.8:1であることが好ましい。システムがラッカー又はコーティングで構成される場合、乾燥エフェクト層c)の顔料とバインダとの重量比は0.02:1~2:1、より好ましくは0.2:1~1.5:1、最も好ましくは0.2:1~1:1であるのが好ましい。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、一方で少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング、ラッカー又はフィルム/ホイル層である場合、同じことが好ましい。
【0036】
本発明の着想のさらなる発展において、本発明によるシステムのエフェクト層c)は、乾燥エフェクト層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~70重量%、さらに好ましくは30~70重量%、より好ましくは40~70重量%の小板形状エフェクト顔料を含むインク、又はフィルム/ホイルシステムであることが提案される。システムがコーティング又はラッカーシステムである場合、エフェクト層は、乾燥エフェクト層の総重量に基づいて、1~30重量%、より好ましくは2~25重量%の小板形状のエフェクト顔料を含むことが好ましい。システムがハイブリッドシステムであり、すべてではないが1つ以上の層がインク層であり、一方で少なくともエフェクト層c)を含む他の層がコーティング、ラッカー又はフィルム/ホイル層である場合、同じことが好ましい。エフェクト層c)は、小板形状の金属エフェクト顔料の前述の含有量を含むことが特に好ましい。
【0037】
さらに、本発明によるシステムのエフェクト層c)は、20~100%、より好ましくは30~100%、最も好ましくは40~100%の反射率及び散乱の合計を有することが好ましい。
【0038】
エフェクト層などの層の反射率及び散乱の合計は、本発明に従って、好ましくはByk Garnder,Geretsried,GermanyからのHaze-Gloss機器を使用して測定される。他の層に取り付けられているか、又は取り付けられていない、例えば10cm
2の面積を有する調製された層の一部が、システムから切り取られ、装置に配置される。標準光D65は、定義された角度、例えば分析する層の表面に垂直方向から20°、60°又は85°、好ましくは20°で照射され、反射(DIN 67530に記載されている光沢に対応)及び散乱光(ヘーズに対応)が検出される。測定原理を
図6に示す。
【0039】
本発明によれば、システムは、少なくとも1つの第1のカラー層b)の下に下層a)を必然的に含み、これは、顔料を含んでもよいが、含むべきではなく、少なくとも1つの第1のカラー層b)が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合、少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有し、一方で下層a)は、少なくとも1つの第1のカラー層b)が少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する場合には存在してもよく又は存在しなくてもよい。複数の第1のカラー層b)が存在する場合、「少なくとも1つの第1のカラー層b)が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する」という表現は、すべての第1のカラー層b)のアセンブリが少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有することを意味する。
【0040】
好ましくは、下層a)が存在し、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の反射率及び散乱の合計を有する。
【0041】
原則として、本発明は、良好な反射率及び散乱特性を有する限り、下層a)に含まれる顔料の種類に特に限定されない。しかしながら、下層a)が白色顔料、より好ましくは二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸鉛、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム及び前述の物質の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される白色顔料を含む場合は特に良好な結果が得られる。
【0042】
例えば、下層a)は、システムがコーティングされる基材が少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する基材、例えばそれぞれの高反射紙、厚紙、ホイル、白色フィルム、白色ガラス、白色織物、白色不織布、白色シリコーン基材、白色セラミック基材、白色鉱物基材又は白色木材基材である場合には、基材であってもよい。そうでなければ、下層a)は、基材と少なくとも1つの第1のカラー層b)との間の層である。
【0043】
本発明の第1の特に好ましい実施形態によれば、下層a)は白色フィルムである。この実施形態では、下層a)、すなわちフィルムは、下層a)の総重量に基づいて、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.25~4重量%、さらにより好ましくは0.75~1.5重量%の白色顔料を含む。特に、フィルムが好ましくは1~100μm、より好ましくは2~50μm、最も好ましくは10~30μmの厚さを有する場合に、良好な結果が得られる。厚いフィルム又はプラスチックのボード又はモールドはまた最も好適である。
【0044】
本発明の第2の特に好ましい実施形態によれば、下層a)は紙である。この実施形態では、下層a)、すなわち紙は、下層a)の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%、より好ましくは1~10重量%、さらにより好ましくは3~7重量%の白色顔料を含む。特に、紙の厚さが少なくとも10μmの場合に良好な結果が得られる。より厚い紙又は厚紙はまた最も好適である。
【0045】
本発明の第3の特に好ましい実施形態によれば、下層a)は、インク、エナメル、コーティング又はラッカーである。この実施形態では、下層a)、すなわち、インク、エナメル、コーティング又はラッカーは、乾燥下層a)の総重量に基づいて、好ましくは10~90重量%、好ましくは30~90重量%の白色顔料を含む。インク、エナメル、コーティング又はラッカーが好ましくは1~10,000μmの厚さを有する場合、特に良好な結果が得られ、インクの場合、0.5~100μmの厚さが特に好ましく、エナメル、コーティング又はラッカーの場合、0.5~1,000μm、より好ましくは0.5~500μmの厚さが特に好ましく、エナメルの場合は0.1~2mmの厚さが特に好ましい。
好ましくは、下層a)が存在し、少なくとも1つの第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)のそれぞれに含まれる染料及び/又は顔料は、下層a)に含まれる顔料とは異なる。
【0046】
下層a)に含まれる白色顔料が酸化チタンであり、最も好ましくはルチルである場合、特に良好な結果が得られる。この実施形態では、酸化チタン、好ましくはルチルは、0.1~50μm、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.2~1μmの平均d50粒径を有する粒子の形態で存在する。下層a)が厚紙又はガラスのような厚い基材の場合、顔料粒子は大きくなることができ、薄膜、白色インク、コーティングの場合は、粒径が小さいほどより好ましい。
下層a)の残りは、好ましくは、下層a)がインク、ラッカー又はエナメル層である場合、バインダ、溶媒、及び/又は添加剤で構成され得る。
【0047】
好ましくは、本発明によるシステムの下層a)がインク層、コーティング又はラッカー層である場合、それは、インクフィルムの厚さ及びインクのタイプに応じて、下層a)を形成する液体インク、コーティング、ラッカー又はエナメルの総重量に基づいて、10~90重量%のバインダを含む。下層a)がエナメルである場合、エナメルは、好ましくはシリケート及びオキシドからなる。本発明は、下層a)に含まれるバインダの種類に関して特に限定されない。しかしながら、バインダは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、マレイネート樹脂、コロホニウム樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、アルキド樹脂、コロホニウム変性フェノール樹脂、炭化水素樹脂、シリケート、シリコーン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリテルペン樹脂、シェラック、コーパル、ダンマー、リグニン誘導体、天然樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルエーテル、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルブチレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、炭化水素樹脂、クマロン-インデン樹脂、芳香族ホルムアルデヒド樹脂、カルバミド酸樹脂、スルホンアミド樹脂、塩素化樹脂、ニトロセルロース、CAB(セルロースアセテートブチレート)、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)、セルロース化合物、ゴム、多糖類、放射線硬化樹脂、温度硬化樹脂及び前述のバインダの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択されるのが好ましい。
【0048】
バインダに加えて又はバインダの代わりに、本発明によるシステムの下層a)を形成するために塗布される組成物は、下層a)を形成するために使用される液体インク、コーティング、ラッカー又はエナメルの総重量に基づいて、0を超えて95重量%までの溶媒を含んでいてもよい。溶媒量は、インクシステム、用途、顔料の含有量によって異なる。溶媒が鉱油、植物油、脂肪酸エステル、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、水、環状又は直鎖炭化水素、ケトン、ラクトン、アルカン、芳香族炭化水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、アミノ、アクリル又はビニル官能基を有するモノマー及びオリゴマー、芳香族化合物及び前述の溶媒の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される場合に良好な結果が得られる。
【0049】
さらに、下層a)を形成するために使用される液体インク、コーティング、ラッカー又はエナメルは、1つ以上の添加剤を含み得る。そのような添加剤の例は、レオロジー添加剤、接着剤、消泡剤、スリップ添加剤、防食添加剤、光沢添加剤、ワックス、湿潤剤、硬化剤、キレート剤、光開始剤、阻害剤、乾燥剤、安定剤、乳化剤、pH調整添加剤、耐摩耗性添加剤、可塑剤、帯電防止添加剤、防腐剤、光保護剤、艶消し剤、充填剤、及び前述の添加剤の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤である。
【0050】
少なくとも1つの第1のカラー層b)は、40%未満又は少なくとも少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有し得る。上記のように、少なくとも1つの第1のカラー層b)が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合、システムは必ず下層a)を含むが、下層a)は任意であり、すなわち少なくとも1つの第1のカラー層b)が少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する場合、存在してもよく又はしなくてもよい。
【0051】
少なくとも1つの第1のカラー層b)が少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する場合、少なくとも1つの第1のカラー層b)の反射率及び散乱の合計は、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%である。
【0052】
本発明によれば、第1のカラー層b)に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの第2のカラー層d)に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なる。これは、特に明確なフリップフロップ効果をもたらす。特に、第1のカラー層b)に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの第2のカラー層d)に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とはそれぞれ異なる色又はカラーシェード、及び/又は異なる明度を有する、すなわち第1のカラー層b)のカラーシェード及び/又は明度は、1つの第2のカラー層d)のカラーシェード及び/又は明度と異なることが好ましい。
【0053】
本発明の別の特定の好ましい実施形態によれば、本発明によるシステムの第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)のいずれも、第1のカラー層b)及び第2のカラー層d)の総重量に基づいてそれぞれ0.001~5重量%の少なくとも1つの染料及び/又は0.1~60重量%又は好ましくは0.1~50重量%の少なくとも1つの顔料(小板形状のエフェクト顔料ではなく、好ましくは白色顔料でもない)を含む。顔料は、好ましくは、特定の色を有する有機又は無機顔料である。少なくとも1つの第1のカラー層b)のそれぞれ並びに少なくとも1つの第2のカラー層d)のそれぞれは、白色顔料でもなく及び小板形状のエフェクト顔料でもない顔料に加えて、1つ以上の白色顔料及び/又は1つ以上の小板形状(エフェクト)顔料及び/又はフィラーを含んでいてもよい。しかしながら、少なくとも1つの第1のカラー層b)のそれぞれ並びに少なくとも1つの第2のカラー層d)のそれぞれが、いかなる小板形状のエフェクト顔料も、いかなる白色顔料も含まないことが好ましい。
【0054】
本発明の着想のさらなる発展において、少なくとも1つの第1のカラー層b)は、少なくとも1つの第2のカラー層d)よりも高い顔料含有量を有することが提案される。
【0055】
システムがコーティング又はラッカーシステムである場合、少なくとも1つの乾燥した第2のカラー層d)における顔料含有量は、2~30%、より好ましくは2~25%、最も好ましくは2~20%であることが好ましい。システムがインクシステムである場合、少なくとも1つの乾燥した第2のカラー層d)における顔料含有量は、0.1~50%、より好ましくは1~50%、最も好ましくは2~50%であることが好ましい。
【0056】
本発明のさらなる発展において、第2のカラー層d)、及び複数の第2のカラー層d)が存在する場合、すべての第2のカラー層d)のアセンブリは、1~80%、より好ましくは5~60%、最も好ましくは5~40%の反射率及び散乱の合計を有することが示唆される。
【0057】
さらに特に第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)を形成するために使用されるインク、コーティング又はラッカーのいずれも、インク、コーティング又はラッカーシステム、粘度及び塗布方法に応じて、第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)の総重量に基づいて、好ましくは10~99,9重量%のバインダを含み、バインダは、好ましくは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、マレイネート樹脂、コロホニウム樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、アルキド樹脂、コロホニウム変性フェノール樹脂、炭化水素樹脂、シリケート、シリコーン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリテルペン樹脂、シェラック、コーパル、ダンマー、リグニン誘導体、天然樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルエーテル、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルブチレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、炭化水素樹脂、クマロン-インデン樹脂、芳香族ホルムアルデヒド樹脂、カルバミド酸樹脂、スルホンアミド樹脂、塩素化樹脂、ニトロセルロース、CAB(セルロースアセテートブチレート)、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)、セルロース化合物、ゴム、多糖類、放射線硬化樹脂、温度硬化樹脂及び前述のバインダの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
バインダに加えて、又はバインダの代わりに、本発明によるシステムの第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)を形成するために使用されるインク、コーティング又はラッカーのいずれかは、インク、コーティング、又はラッカーシステム、粘度、及び塗布方法に応じて、第1のカラー層b)を形成するために使用される液体インク、コーティング、又はラッカー及び/又は少なくとも1つの第2のカラー層d)を形成するために使用される液体インク、コーティング又はラッカーの総重量に基づいて0を超えて~90重量%の溶媒を含んでいてもよく、溶媒は、好ましくは、鉱油、植物油、脂肪酸エステル、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、水、環状又は直鎖炭化水素、ケトン、ラクトン、アルカン、芳香族炭化水素、ヒドロキシ及びカルボキシ、アルコキシ、アミノ、アクリル又はビニル官能基を有するモノマー及びオリゴマー、芳香族化合物及び上述の溶媒の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
さらにまた、本発明によるシステムの第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)を形成するために使用される液体インク、コーティング又はラッカーのいずれも、1つ以上の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤の例は、レオロジー添加剤、接着剤、消泡剤、スリップ添加剤、防食添加剤、光沢添加剤、ワックス、湿潤剤、硬化剤、キレート剤、光開始剤、阻害剤、乾燥剤、安定剤、乳化剤、pH調整添加剤、耐摩耗性添加剤、可塑剤、帯電防止添加剤、防腐剤、光保護剤、艶消し剤、充填剤、及び前述の添加剤の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤である。
好ましくは、システムは、エフェクト層c)の下に1~3つ、より好ましくは1又は2つ、最も好ましくは1つの第1のカラー層b)を含む。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、システムは、エフェクト層c)の上/上方に1~3つ、より好ましくは1又は2つの第2のカラー層を含む。
【0061】
第1のカラー層b)がエフェクト層c)に及び存在する場合は下層a)に直接接触して配置され、すなわち第1のカラー層b)とエフェクト層c)との間に中間層がなく、第1のカラー層b)と存在する場合は下層a)との間に中間層がないことが特に好ましい。複数の第1のカラー層b)の場合、最上部のカラー層はエフェクト層c)と直接接触し、最下層の第1のカラー層b)は存在する場合に下層a)と直接接触し、カラー層b)はすべて、互いに直接接触して上下に配置される。これらの実施形態は、システムがインクシステム、コーティングシステム又はラッカーシステムである場合に特に好ましい。システムがホイル/フィルムシステムである場合、1つ以上の接着剤層が1つ以上の層a)、b)、c)及びd)の間に存在し得る。
【0062】
これと同様に、第2のカラー層d)がエフェクト層c)に直接接触して配置されること、すなわち、エフェクト層c)と第2のカラー層b)との間に中間層がないことが特に好ましい。複数の第2のカラー層d)の場合、最下部カラー層d)は、好ましくはエフェクト層c)と直接接触し、すべてのカラー層d)は、好ましくは互いに直接接触して上下に配置される。これらの実施形態は、システムがインクシステム、コーティングシステム又はラッカーシステムである場合に特に好ましい。システムがホイル/フィルムシステムである場合、1つ以上の接着剤層が1つ以上の層の間に存在し得る。
【0063】
本発明の着想のさらなる発展において、少なくとも1つの第1の乾燥カラー層b)及び/又は少なくとも1つの第2の乾燥カラー層d)は、特にシステムがインクシステムである場合、0.3~100μm、好ましくは0.5~10μm、より好ましくは1~10μmの厚さを有する。複数の第1のカラー層b)が含まれる場合、好ましくはすべての第1のカラー層b)の厚さの合計は、0.3~100μm、より好ましくは0.5~10μmである。同様に、複数の第2のカラー層d)が含まれる場合、好ましくは、すべての乾燥した第2のカラー層d)の厚さの合計は、0.3~100μm、より好ましくは0.5~10μmである。システムがコーティング又はラッカーシステムである場合、少なくとも1つの第1の乾燥カラー層b)は、1~500μmの厚さを有する。複数の第1のカラー層b)が含まれる場合、好ましくは、すべての乾燥第1のカラー層b)の厚さの合計は、1~500μmである。少なくとも1つの第2の乾燥カラー層d)は、好ましくは10~80μm、より好ましくは10~70μm、さらにより好ましくは10~50μmの厚さを有する。複数の第2のカラー層d)が含まれる場合、好ましくは、すべての乾燥第2のカラー層d)の厚さの合計は、10~80μm、より好ましくは10~70μm、最も好ましくは10~50μmである。
【0064】
システムがインクシステムである場合、それぞれ少なくとも1つの第1のカラー層b)の、存在する場合は下層a)又は基材上のそれぞれのインク被覆量は50~ 100%、より好ましくは75~100%、最も好ましくは90~100%である場合、特に良好な結果が得られる。また、システムがインクシステムである場合、それぞれ存在する場合は下層a)又は基材上の少なくとも1つの第1のカラー層b)のすべての合計のインク被覆量は、50~200%、より好ましくは50~150%、最も好ましくは50~100%であることが特に好ましい。
【0065】
システムがコーティングシステム、ラッカーシステム、又はフィルム/ホイルシステムである場合、それぞれ下層a)(存在する場合)又は基材上の少なくとも1つの第1のカラー層b)のすべての合計の被覆量は、完全であり、すなわち100%又は少なくとも95%である。
【0066】
同様に、エフェクト層c)上の少なくとも1つの第2のカラー層d)のそれぞれのインク被覆量は、10~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%であることが好ましい。また、エフェクト層c)上の少なくとも1つの第2のカラー層d)のすべての合計のインク被覆量は、30~200%、より好ましくは60~180%であることが好ましい。
【0067】
システムがコーティングシステム、ラッカーシステム、又はフィルム/ホイルシステムである場合、エフェクト層c)上の少なくとも1つの第2のカラー層d)の合計の被覆量は、完全、すなわち100%又は少なくとも95%である。
【0068】
上記の層とは別に、システムは1つ以上のさらなる層を含み得る。例えば、システムは、少なくとも1つの第2のカラー層(d)の上方に第2のエフェクト層を含み、その上方に少なくとも1つの第3のカラー層を含んでいてもよい。少なくとも1つの第3の層は、原則として、少なくとも1つの第1のカラー層b)及び少なくとも1つの第2のカラー層d)と同様に構成される、すなわち、少なくとも1つの第3のカラー層は、少なくとも1つの染料及び/又は顔料を含み、この染料及び/又は顔料は、小板形状のエフェクト顔料ではない。この実施形態では、第3のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの第1のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料と異なり、並びに少なくとも1つの第2のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なることが好ましい。したがって、少なくとも1つの第3のカラー層は、それぞれ少なくとも1つの第1のカラー層b)に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なる色又はカラーシェード及び/又は明度を有し、同様にそれぞれ少なくとも1つの第2のカラー層d)に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なる色又はカラーシェード及び/又は異なる明度を有する、すなわち少なくとも1つの第3のカラー層のカラーシェード及び/又は明度は、第1及び第2のカラー層b)及びd)のカラーシェード及び/又は明度と異なる。
【0069】
特に、システムが自動車コーティング用のコーティングなどのコーティングシステム又はラッカーシステムである場合、最上部の第2のカラー層d)の上方に又は存在する場合最上部の第3のカラー層の上方に、クリアなラッカー層が、システムを機械的衝撃及び劣化から保護するために配置されることが好ましい。1つ又は2つの成分のクリアコートなどの任意の既知のクリアラッカーがこの目的で使用され得る。単なる例示として、クリアコートは、バインダとして、アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、二成分系の場合はすべてOH官能性又はそれらの混合物を含んでいてもよい。さらに、溶媒水又は有機溶媒として、硬化剤として、二官能性又は多官能性イソシアネート又はアミン、並びに添加剤として、レオロジー添加剤、接着剤、消泡剤、スリップ添加剤、可塑剤、防食添加剤、光沢添加剤、ワックス、湿潤剤、硬化剤、キレート剤、光開始剤、阻害剤、乾燥剤、安定剤、乳化剤、pH調整添加剤、耐摩耗性添加剤、帯電防止添加剤、防腐剤、光保護剤、艶消し剤、及び前述の添加剤の2つ以上の任意の組み合わせを含んでいてもよい。このクリアなラッカー層の厚さは、好ましくは少なくとも50μmである。
【0070】
特に、システムがインクシステム、例えば包装用途のインクシステムである場合、最上部の第2のカラー層d)の上方に又は存在する場合最上部の第3のカラー層の上方に、オーバープリントラッカーが、システムを機械的衝撃から保護するため及び光沢レベルを調整するために配置されることが好ましい。このようなオーバープリントラッカーは、一成分又は二成分システムであってもよく、バインダとして、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、マレイネート樹脂、コロホニウム樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、アルキド樹脂、コロホニウム変性フェノール樹脂、炭化水素樹脂、シリケート、シリコーン、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリテルペン樹脂、シェラック、コーパル、ダンマー、リグニン誘導体、天然樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルエーテル、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルブチレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、炭化水素樹脂、クマロン-インデン樹脂、芳香族ホルムアルデヒド樹脂、カルバミド酸樹脂、スルホンアミド樹脂、塩素化樹脂、ニトロセルロース、CAB(セルロースアセテートブチレート)、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)、セルロース化合物、ゴム、多糖類、放射線硬化樹脂、温度硬化樹脂及び前述のバインダの2つ以上の任意の組み合わせを含んでいてもよい。
溶媒として、鉱油、植物油、脂肪酸エステル、アルコール、エステル、エーテル、グリコール、水、環状又は直鎖炭化水素、ケトン、ラクトン、アルカン、芳香族炭化水素、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、アミノ、アクリル又はビニル官能性を有するモノマー及びオリゴマー、芳香族化合物及び前述の溶媒の2つ以上の任意の組み合わせを含んでいてもよく、硬化剤として、二官能性又は多官能性イソシアネート、アミン又は光開始剤を含んでいてもよい。
【0071】
さらに、システムは、(可能な接着剤層を除いて)下層a)とエフェクト層c)との間に、少なくとも1つの第1のカラー層b)に加えてさらなる層を含まないことが好ましい。さらに、エフェクト層c)の上方に(可能な接着剤層を除いて)少なくとも1つの第2のカラー層d)及び任意に1つ以上のさらなるカラー層及び/又は無着色のオーバープリントラッカー及び/又はコーティングが配置されるのも好ましい。
【0072】
上記のように、本発明の特定の利点は、干渉顔料をシステムの任意の層に組み込んでいなくても、フリップフロップ効果が得られることである。したがって、本発明によれば、システム、すなわち前述の層a)からd)は、干渉顔料を含まない。
【0073】
フリップフロップ効果は、さまざまな視野角で測定されたカラーデータを使用して計算できる。この計算には、L*a*b色空間(CIELAB)を参照するa及びbの測定値を使用できる。L*a*b色空間は、三次元の知覚可能なすべての色を明度についてはL、色成分緑-赤及び青-黄についてはa及びbで数学的に記載する。カラートラベルは、異なる視野角での測定間のデルタa/bとして記載できる。カラートラベルの調査に適した別の色空間は、HCL(Hue-Chroma-Luminescence)色空間である。HCLは、極座標に変換された1976年に国際照明委員会(CIE)によって定義されたCIELABモデルを使用する。L軸はCIELABシステムと同じであるが、abは極座標に変換され、ゼロからの距離は彩度Cであり、角度は色相h°又はカラーシェードである。この色空間では、色相及び彩度のデルタ値を評価して、カラートラベルを記載できる。
【0074】
本発明によれば、デルタa/bは少なくとも15であることが好ましく、デルタa/bは、方程式デルタa/b=((a[15°]-a[110°])
2+(b[15°]-b[110°])
2)
1/2に従って決定され、式中、a[15°]は、観察値15°で測定されたL*a*b色空間のa値であり、a[110°]は観察値110°で測定されたa値であり、b[15°]は観察値15°で測定されたL*a*b色空間のb値であり、b[110°]は観察値110°で測定されたb値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義される。観察角は
図2にみられる。デルタa/bの数値が大きいほど、フリップフロップ効果が高くなる。
【0075】
上記の実施形態では、15°及び110°での測定間のデルタa/bが、カラートラベルを説明する手段として選択された。しかしながら、他の実施形態では、他の角度もフリップフロップ効果を説明するのに適している可能性がある。
【0076】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、上記のように測定されたデルタa/bは、少なくとも30、より好ましくは少なくとも38である。
【0077】
前述のデルタa/bの代わりに、又は前述のデルタa/bに加えて、本発明によるシステムは、少なくとも10のデルタLを有していてもよく、デルタLは、方程式デルタL=|L[15°]-L[110°]|(||は両方の値の絶対差を意味する)に従って決定され、式中、L[15°]は、観察値15°で測定されたL*a*b色空間のL値であり、L[110°]は観察値110°で測定されたL値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義される。
【0078】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、上記のように測定されたデルタLは、少なくとも20、より好ましくは少なくとも30である。
【0079】
前述のデルタa/b及び/又はデルタLの代わりに、又は前述のデルタa/b及び/又はデルタLに加えて、本発明によるシステムは、少なくとも15のデルタh°を有していてもよく、デルタh°は、方程式デルタh°=|h°[15°]-h°[110°]|(||は両方の値の絶対差を意味する)に従って決定され、式中、h°[15°]は、観察値15°で測定されたHCL色空間のh°値であり、h°[110°]は観察値110°で測定されたh°値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義される。
本発明の特定の好ましい実施形態によれば、デルタh°は少なくとも30である。
【0080】
上記のように、存在する場合、下層a)は、フィルム、紙などのような基材であり得るか、又は下層a)は、基材上に配置され得、下層a)は、例えば、インク、エナメル、コーティング又はラッカーである。下層a)が存在しない場合、少なくとも1つの第1のカラー層b)の最下部が基材上に直接配置されてもよく、又は例えば少なくとも1つの第1のカラー層b)がプラスチックパネル、ガラス又はセラミックである場合などにはさらに基材を形成してもよい。独立して、下層a)が基材であるかどうか、或いは下層a)又は少なくとも1つの第1のカラー層b)の最下部が基材上に配置されるかどうかから、基材は、その上にシステムの最下層が塗布され得る任意の材料であり得る。例えば、基材は、フィルム、金属、グレージング、紙、厚紙、カートン、ガラス、木材、織物、不織布、シリコーン、セラミック、鉱物、ラベル、ゴム、及び上述の材料の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される材料であり得る。
【0081】
上記でさらに説明したように、本発明の特に好ましい実施形態によれば、システムは、インクシステム、コーティング、又はラッカーシステムである。インクシステムの場合、オフセット、リソグラフィ、凹版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、デジタル印刷、インクジェット印刷、パッド印刷、転写印刷、レター印刷などの任意の既知の印刷技術を使用してもよい。ラッカーシステムの場合、静電スプレーコーティング、エア及びエアレス静電システム、ディップコーティング、電気泳動、陽極電着(陽極泳動(anaphoresis))、陰極電着(陰極泳動(cathaphoresis))、自己泳動(autophoresis)、フラッディング、キャスティング、ドラムコーティング、スピンコーティング、凹版コーティング、ローリング、コイルコーティング、粉体塗装、回転焼結(whirl-sintering)、フレーム溶射又は静電粉末噴霧などの任意の既知の塗布技術を使用してもよい。
【0082】
さらに、本発明は、基材のコーティング、特に印刷又はスプレーのための、本発明によるシステム、好ましくはインク、コーティング又はラッカーシステムの使用に関する。このようなシステムは、自動車の表面(屋内及び屋外)、コンピューターケース、パスポート、紙幣、食品包装、雑誌、ビール缶、衣類、家具、床パネル、壁紙、化粧品パッケージ、スペアパーツのラベル、セキュリティ機能一般、携帯電話ケース又は任意の建築表面に使用できる。
【0083】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、
b)染料及び/又は顔料を含む少なくとも1つの第1のカラー層、
c)少なくとも1つの第1のカラー層上に、少なくとも1つのエフェクト顔料を含むエフェクト層、及び
d)エフェクト層上に、染料及び/又は顔料を含む少なくとも1つの第2のカラー層を含むインク又はラッカー連続体などのシステムを提供することによって満たされ、
少なくとも1つの第1のカラー層及び少なくとも1つの第2のカラー層のそれぞれは、エフェクト顔料ではない染料及び/又は顔料を含み、少なくとも1つの第1のカラー層中に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの第2のカラー層に含まれる少なくとも1つの染料及び/又は少なくとも1つの顔料とは異なり、及び
少なくとも1つの第1のカラー層が40%未満の反射率及び散乱の合計を有する場合は少なくとも、システムはさらに、
a)少なくとも1つの第1のカラー層の下に、顔料を含み、少なくとも40%の反射率及び散乱の合計を有する下層、
を含み、
i)システムのデルタa/bは少なくとも15であり、デルタa/bは、方程式デルタa/b=((a[15°]-a[110°])2+(b[15°]-b[110°])2)1/2に従って決定され、式中、a[15°]は、観察値15°で測定されたL*a*b色空間のa値であり、a[110°]は観察値110°で測定されたa値であり、b[15°]は観察値15°で測定されたb値であり、b[110°]は観察値110°で測定されたb値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義され、
及び/又は
ii)システムのデルタLは少なくとも10であり、デルタLは、方程式デルタL=|L[15°]-L[110°]|に従って決定され、式中、L[15°]は、観察値15°で測定されたL値であり、L[110°]は観察値110°で測定されたL*a*b色空間のL値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義され、及び/又は
iii)システムのデルタh°は少なくとも15であり、デルタh°は、方程式デルタh°=|h°[15°]-h°[110°]|に従って決定され、式中、h°[15°]値は、観察値15°で測定されたh°値であり、h°[110°]は観察値110°で測定されたHCL色空間のh°値であり、測定は、暗い環境で標準化された光の種類を、水平方向に対して45°の入射角でシステムに照射することによって実行され、水平方向に対する135°の反射角は、0°の観察角として定義され、及び
システムは好ましくは干渉顔料を含まない。
【0084】
上記で好ましいものとして開示されたすべての特徴、特に層及びその構成要素の性質及び組成に関して好ましいものとして上記で開示されたすべての特徴も、本発明のこの第2の態様にとって好ましい。特に、層a)、b)、c)及びd)のいずれも、上記のように構成され得る。
続いて、本発明は、限定的ではなく例示的な図によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】本発明の一実施形態によるインクシステムでコーティングされた基材を含む物体を示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるシステムの角度依存性の色測定を測定する方法を概略的に示す。
【
図3】本発明の一実施形態による4つの異なるシステムの角度依存性の色測定の結果を示す。
【
図4a】粒子長さ、粒子幅及び粒子厚さを決定するためのSEM分析のために、本発明によるシステム又はその層の縦断面又は横断面を固定するのに適したサンプルホルダを示す。
【
図4b】粒子長さ、粒子幅及び粒子厚さを決定するためのSEM分析のために、本発明によるシステム又はその層の縦断面又は横断面を固定するのに適したサンプルホルダを示す。
【
図4c】粒子長さ及び粒子幅を示す例示的な概略的な顔料粒子を示す。
【
図5a】本発明によるシステムの層の平均粒子面積比の決定の原理を示す。
【
図5b】本発明によるシステムの層の平均粒子面積比の決定の原理を示す。
【
図6】本発明によるシステムの層の反射率及び散乱の決定の原理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1は、本発明の一実施形態による、インク連続体14でコーティングされた基材12を含むシステム10を示す。インク連続体14は、下から上に下層16、第1のカラー層18、エフェクト層20及び第2のカラー層22を含む。下層16は、好ましくは、乾燥下層16の総重量に基づいて約30~90重量%の白色顔料の濃度で、0.1~50μmの平均直径を有する酸化チタンからなる白色顔料24を含む。さらに、第1のカラー層18は、乾燥した第1のカラー層18の総重量に基づいて、約0.001~5重量%の染料26及び/又は約0.1~50%の顔料を含み、一方エフェクト層20は、乾燥エフェクト層20の総重量に基づいて、10~70重量%の金属エフェクト顔料、例えば小板形状のアルミニウムエフェクト粒子28(約10μmの平均粒子長さ、約5μmの平均粒子幅、約0.5μmの平均厚さ、したがって2の第1のアスペクト比及び20の第2のアスペクト比を有するアルミニウムからなる)を含み、第2のカラー層22は、乾燥第2のカラー層22の総重量に基づいて約0.001~5重量%の染料30及び/又は0.1~50%の顔料を含む。
【0087】
図2は、本発明の一実施形態による、システムの角度依存性の色外観を測定する方法を概略的に示す。暗い環境では、強度及び波長範囲が調整された可視光線40が、例えば
図1に関して説明したように、水平方向に対して45°の角度でシステム10に照射される。水平方向の入射角は、照射された光線の反射角42と同じであるため、水平方向の反射角42は135°である。この反射角42は、本発明によるシステムの角度依存性の色外観の測定のために、0°の観察角として定義される。システム10の角度依存性の色外観を測定するために、反射率及び散乱の合計は、例えば
図2に示すように、-15°、15°、25°、45°、75°及び110°の観察角にて、異なる観察角44、44’、44’’で測定される。もちろん、6つを超える異なる観察角又は6つ未満の異なる観察角、例えば5つの異なる観察角、例えば15°、25°、45°、75°及び110°の観察角で色外観を測定することもできる。これらの測定には、例えばByk Garnder,Geretsried,GermanyからのByk mac i機器を、D50の光の入射と、上記の観察角での6つの角度測定で使用できる。最小幅2cm、最小長さ5cmの長方形のサンプルの測定に最適である。少なくとも10個のサンプルが測定されることが特に好ましく、100個又はさらには600個のサンプルの測定がさらに好ましい。
【0088】
図3は、本発明の一実施形態による4つの異なるシステムの角度依存性の色測定の結果を示す。4つの異なるシステムの角度依存性色測定は、
図2に関して上記で記載したように、-15°、15°、25°、45°、75°及び110°の観察角で実行されている。各観察角で、各システムのa値及びb値が決定されている。それぞれの値は、4つのシステムのいずれかについて
図3にプロットされ、各グラフの最大の三角形は、観察角-15°で測定された値を表す。最大の三角形から始まる各グラフのさらなるマーカーは、15°、25°、45°、75°及び110°の観察角で決定されたそれぞれの値を表す。
図3の横軸は測定されたa値を示し、一方で
図3の縦軸は測定されたb値を示す。
図3からわかるように、4つのサンプルすべてのa値及びb値は、決定された観察角によって異なる。これは、4つのシステムすべてがフリップフロップ効果を示したことを示す。
【0089】
図4a及び4bは、粒子長さ、粒子幅及び粒子厚さを決定するためのSEM分析のために、本発明によるシステム又はその層の、それぞれの縦断面又は横断面を固定するのに適したサンプルホルダを示す。
図4aに示すサンプルホルダは層又はシステムの縦断面(正面図)に適しているが、
図4bに示すサンプルホルダは層又はシステムの横断面に適している。青い矢印で示すように、断面をそれぞれのサンプルホルダ領域に配置する。
【0090】
図4cは、粒子長さ48及び粒子幅50を示す例示的な概略顔料粒子46を示す。粒子長さ48は、粒子46の最長の範囲であるが、一方でこれに関連して粒子幅50は、粒子長さ48に垂直な方向における粒子46の最長の範囲として定義される。粒子厚さは、粒子長さ48及び粒子幅50によって定義される二次元平面に垂直な方向の粒子46の最短の範囲、すなわち、紙面に垂直な粒子の範囲である。
【0091】
図5a及び5bは、本発明によるシステムの層の平均粒子面積比を、上記のように調製されているシステムの関係する層の縦断面からのSEMによって決定する原理を示す。粒子46は
図5aに示されるようにソフトウェアツール「ParticleMetric」で着色され、次いで
図5bで示されるように粒子46で覆われた縦断面の面積の合計が評価され、パーセント単位の平均粒子面積比を得るため走査型電子顕微鏡で分析された縦断面の総面積で除算される。
【0092】
図6は、本発明によるシステムの層の反射率及び散乱の決定の原理を示す。
【0093】
例えば10cm2の面積を有する、その縦断面又は層自体などの調製された層の一部をシステムから切り取り、測定装置に配置し、これは、好ましくは、Byk Garnder,Geretsried,GermanyからのHaze-Gloss機器である。参照番号52で示される標準光D65は、分析する層54の表面に垂直方向から20°の定義された角度βで照射され、その反射(DIN 67530に記載されている光沢56に対応)及び散乱光(ヘーズ58に対応)がセンサ60によって検出される。
続いて、本発明を、限定ではなく例示を目的として説明する。
【実施例0094】
ニトロセルロース及びポリウレタン(NC/PU)をベースにした溶媒系のフレキソインクは、配向ポリプロピレン(OPP)の厚さ30μmのホイルに印刷されている。hubergroup Deutschland GmbHからの以下のインク、61GU336812(黄、以降はYと略記)、62GU336816(マゼンタ、以降はMと略記)、63GU336821(シアン、以降はCと略記)、69GU336827(黒、以降はBkと略記)、77GU289376(白、以降はWと略記)及び76GU318960(銀、以降はSと略記)をDIN 4カップにおいてプリント粘度20sにてホイル上に印刷した。インクはエタノール/酢酸エチル9:1で希釈されている。乾燥インクフィルムの顔料とバインダとの比はインクY、M、C及びBkの場合は0.9:1~1.5:1、Wの場合は1:0.3、Sの場合は0.9:1であり、0.7~1.5g/m
2の乾燥インク(各インクに対して)が適用されている。以下のインク連続体が下から順に印刷されている。
【表1】
それぞれの印刷フォームに対応する層は次のとおりであった。
【表2】
各システムのフリップフロップ効果は、Byk mac I機器で測定された。-15°/15°/25°/45°/75°/110°の観察角で、a/bトラベル評価の5つの角度測定を行った。各システムのフリップフロップ効果の程度を評価するために、L*a*b色空間のa-及びb-値が15°及び110°の観察角で測定されたが、そこから比デルタa/bは、次の方程式に従って決定されている。
デルタa/b=((a[15°]-a[110°])
2+(b[15°]-b[110°])
2)
1/2
デルタa/bの数値が大きいほど、フリップフロップ効果が高くなる。
7つの異なるトライアルについて、次の結果が得られた。
【表3】
したがって、最高のカラーフリップフロップ効果は、白層と銀層との間に印刷されたカラーインクの90~100%のインク被覆量、銀層の80~100%のインク被覆量、任意の黒層の0~10%の被覆量及び銀の上側、すなわちエフェクト層に印刷されたすべてのインクの40~60%のインク被覆量の合計で達成されている。
追加のトライアルでは、エクステンダ60GU319987を使用して色Y、M及びCを100%増量し、顔料バインダの比を0.9:2~1.5:2にした。また、これらの色を使用することにより、フリップフロップ効果が観察された。
別のトライアルでは、NC/PUに基づく溶媒系インクがグラビア印刷で試験されている、シアン63GU514973、マゼンタ62GU514969、黄61GU515076、黒69GU515074、白67GU515182、銀66GU515184、及びエクステンダ70GU504288(hubergroup Deutschland GmbH)。
シアン及びマゼンタは120%増量された。黄、銀及び白はエクステンダなしで印刷された。インクは、DIN 4カップでエタノール/酢酸エチル9:1を使用して再び20sに希釈されている。インクは、Roto Hand Proofer(Pamarco)でコロナ処理されたOPPフィルムに塗布された。以下のインク連続体は、下から上に向かって調査された。
W-Y-S-M-C-Bk、W-S-Y-M-C、W-Y-S-M-Bk及びW-S-Y-M-C-Bk。
Wは白、Yは黄、Sは銀、Mはマゼンタ、Cはシアン、Bkは黒の略称である。
このトライアルでは、より高い顔料着色インクは視覚可能なフリップフロップ効果が少ないことが観察され、これは、標準の顔料含有量のグラビア印刷で達成されたインクフィルムの厚さでは透明度が十分ではなかったことを示す。0.7~1.5g/m2のインク(各インクに対して)が塗布されている。顔料バインダ比は、黄、シアン、マゼンタ、銀の場合は1.5:2~3:2、白の場合は2:3であった。デルタa/b15°/110°の値は、黄が白と銀との間に印刷され、他のインクが銀の上又は前に印刷された場合に40まで達成された。