(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056695
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】識別可能受信器を有する無線電力システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/30 20160101AFI20240416BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240416BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240416BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240416BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240416BHJP
G01S 3/785 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H02J50/30
H02J50/90
H02J7/00 301D
G06K7/10 412
G06K7/14 004
G01S3/785
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004925
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2020565809の分割
【原出願日】2019-05-23
(31)【優先権主張番号】62/675,313
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/711,643
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513314090
【氏名又は名称】ワイ-チャージ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ビダーマン、 ヨアブ
(72)【発明者】
【氏名】アルパート、 オータル
(72)【発明者】
【氏名】モール、 オリ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ナミアス、 オメル
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン、 リオール
(72)【発明者】
【氏名】サギ、 ラン
(72)【発明者】
【氏名】レビン、 ゾーハル
(72)【発明者】
【氏名】スレポイ、 アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ、 ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コンフォーティ、 エヤル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高エネルギービームを、識別標識を備えた受信器へ向ける無線電力伝送器システムを提供する。
【解決手段】無線送電システムにおいて、送信器81のビーム放出器82はビーム85を放出し、ビーム85はビーム操舵デバイス80を使用して受信器86に向けられ、標識87は受信器上/受信器内に配置されるか又は受信器の位置に関連付けられ、標識のソース又は標識自体が、RF放出器、発光体、光反射器、光再帰反射器又は超音波放出器から構成される。送信器が、受信器を識別するべくビームにより部屋をスキャンする場合、標識から放出された信号88又は入射ビームが標識から反射されたことにより生じる標識の画像が、受信器から送信器へと、ビーム85とは反対の方向88に進行する。この信号は典型的に、ビームスプリッタ83を使用して送信ビームから分離された後に一の又は複数の検出器84へと向けられる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力供給デバイスからのビームを安全に少なくとも一つの電力受信デバイスへ向ける
方法であって、
(a)少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられた少なくとも一つの非対称特性
を有する少なくとも一つの標識の、前記電力供給デバイスによる検出のために視野をスキ
ャンすることと、
(b)前記標識のうちの少なくとも一つの標識が検出されると、前記少なくとも一つの検
出された標識が得られたスキャンポーズを記録することと、
(c)少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられた標識の一以上の表現を包含す
るデータベースから、前記少なくとも一つの非対称特性を有する標識が、前記少なくとも
一つの検出された標識を前記表現のうちの少なくとも一つの表現にマッピングする標識マ
ッチングアルゴリズムを行うことと、
(d)前記標識マッチングアルゴリズムによって、前記検出された標識が前記データベー
スに包含された一の標識の表現にマッチすると決定された場合、前記検出された標識が、
前記スキャンポーズから向けられたビームが反射されていないことを示すものと推定する
ことであって、前記電力受信デバイスと前記無線電力供給デバイスとの間に直接的な視線
が示されることと、
(e)(i)少なくとも一つのビームを前記少なくとも一つの電力受信デバイスへ向ける
ことと、(ii)前記無線電力供給デバイスの動作パラメータを修正することとの少なく
とも一方を行うことと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1のステップ(e)が、前記検出された画像の鏡像を前記データベースに包含され
た非対称標識の前記表現のいずれかへマッピングすることによって行われる標識マッチン
グアルゴリズムから独立している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標識マッチングアルゴリズムは、前記検出された画像の鏡像を前記データベースに包
含された非対称標識の前記表現のいずれかへマッピングすることによって付加的に行われ
る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動作パラメータの修正は、前記検出された画像の鏡像が、前記データベースに包含さ
れた標識のいずれかの表現へマッピングされる場合に無線電力供給を防止することを含む
、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1のステップ(e)は、前記検出された画像が、前記データベースに包含された標
識の鏡像の表現ではないことを前記標識マッピングアルゴリズムが決定する場合にのみ行
われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
空間における前記受信器の(i)位置、(ii)配向及び(iii)座標の少なくとも一
つが、前記検出された標識及び前記スキャンポーズの少なくとも一方によって決定される
、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標識は異なるゾーンを代表し、
前記ゾーンは異なる受信器の周波数を代表する、請求項1から6のいすれか一項に記載の
方法。
【請求項8】
前記ゾーンは、充電ゾーン、非充電ゾーン、高周波数受信器ゾーン、又は低減された電力
の受信ゾーンのいずれかである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記標識の少なくとも一つが、一のゾーンの少なくとも一つの特徴を画定する、請求項7
及び8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記画定することは、一のゾーンの面積、範囲、境界、コーナー、半径、中心の少なくと
も一つに関連する情報を与えることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一つの標識が、(i)少なくとも一つの受信器に付着されること、(ii)受
信器の中に埋め込まれること、(iii)少なくとも一つの受信器に対する固定位置を有
すること、(iv)少なくとも一つの受信器の配置に関する情報を包含すること、のうち
の少なくとも一つとなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記標識マッチングアルゴリズムは、前記画像の回転及び前記画像のズーム操作の少なく
とも一方を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一つの受信器への安全な無線電力供給のシステムであって、
(a)無線電力を放出するべく適合された送信器と、
(b)少なくとも一つの受信器に関連付けられた少なくとも一つの非対称特性を有する少
なくとも一つの標識を検出するべく構成された検出器と、
(c)少なくとも一つのコントローラと
を含み、
前記少なくとも一つのコントローラは、
(i)前記検出器から信号を受信することと、
(ii)前記検出器が標識を検出したポーズを記録することと、
(iii)少なくとも一つの受信器に関連付けられた標識の一以上の表現を包含するデー
タベースにアクセスすることであって、前記標識は少なくとも一つの非対称特性を有する
ことと、
(iv)検出された標識を前記表現の少なくとも一つの表現にマッピングする標識マッチ
ングアルゴリズムを実行することと、
(v)検出された標識が前記データベースに包含された一の標識の少なくとも一つの表現
にマッチすると決定することと、
(vi)前記送信器に少なくとも一つのビームを前記少なくとも一つ電力受信デバイスへ
向けるように命令すること、及び前記無線電力供給デバイスの動作パラメータを修正する
こと、の少なくとも一方を実行することと
を行うべく適合される、システム。
【請求項14】
前記コントローラにより前記決定することは、前記ポーズにおいて向けられたビームが反
射されなかったことを示し、その結果、前記少なくとも一つの受信器と前記送信器との間
の直接的な視線が示される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラの前記動作は、
(i)前記記録されたスキャンポーズを利用してビームを前記少なくとも一つの受信器へ
向けることと、
(ii)前記送信器の動作パラメータを修正することと
を含む、請求項13又は14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
送信器から少なくとも一つの受信器へ光無線電力を送信するシステムであって、
光無線電力のビームを放出するべく適合された少なくとも一つの送信器であって、前記少
なくとも一つの送信器は前記ビームを前記少なくとも一つの受信器へ向けるべく構成され
、前記少なくとも一つの受信器は前記ビームを電気エネルギーに変換するべく適合される
、少なくとも一つの送信器と、
前記少なくとも一つの送信器に関連付けられた標識識別システムであって、前記少なくと
も一つの受信器に関連付けられた標識を識別するべく適合された標識識別システムと
を含み、
前記標識識別システムは、少なくとも一つの標識の画像を前記少なくとも一つの標識の鏡
像から区別するべく適合される、システム。
【請求項17】
前記鏡像は、(i)標識平面に直交する軸まわりの任意程度の回転、(ii)標識平面内
の軸まわりの90°未満の回転、及び(iii)前記画像の拡大又は縮小、(iv)前記
画像の回転、並びに(v)前記画像のズーム操作後、の少なくとも一つの後であっても、
前記標識の画像から区別可能となる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記標識識別システムは少なくとも一つのセンサを含み、
前記標識は、少なくとも10-8m2をセンサの数で割った面積を有する、請求項16及
び17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも一つのセンサは本質的に前記ビームに整合される、請求項17に記載のシ
ステム。
【請求項20】
前記システムは最大動作レンジを有するように適合される、請求項16から19のいずれ
か一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記標識識別システムはさらに、半径が前記最大動作レンジの2%未満である外部アパチ
ャを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記ビームは、レーザから放出されるレーザビームである、請求項16から21のいずれ
か一項に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも一つセンサが、剛性接続部によって前記レーザに機械的に接続される、請求項
22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
少なくとも一つの標識が、(i)少なくとも一つの受信器に付着されること、(ii)受
信器の中に埋め込まれること、(iii)少なくとも一つの受信器に対する固定位置を有
すること、(iv)少なくとも一つの受信器の配置に関する情報を包含すること、のうち
の少なくとも一つとなる、請求項16から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記標識識別システムは、前記少なくとも一つの検出された標識を、標識の一以上の表現
を包含するデータベースからの少なくとも一つのアイテムにマッピングする標識マッチン
グアルゴリズムを実行するべく適合され、
前記標識は、少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられて少なくとも一つの非対
称特性を有する、請求項16から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
無線レーザ電力システムに情報を通信する光標識であって、
前記無線レーザ電力システムは標識を検出する少なくとも一つのセンサ及び視野を有し、
前記光標識は、
前記無線レーザ電力システムが生成する前記光標識の画像が、前記光標識の鏡像から区別
可能であることと、
前記光標識が少なくとも
【数1】
の面積を有し、「Txセンサの数」は前記少なくとも一つのセンサの数であることと、
前記光標識が、少なくとも
【数2】
秒続く時間にわたって前記光標識が前記視野内に位置特定されているときに、前記無線レ
ーザ電力システムへその動作パラメータを調整する命令を与える情報を包含することであ
って、
前記センサ立ち上り時間は、前記少なくとも一つのセンサのいずれかのセンサの最長立ち
上がり時間であり、
前記センサ立ち下り時間は、前記少なくとも一つのセンサのいずれかのセンサの最長立ち
下がり時間であり、
前記「RMS信号
標識関連」は、前記標識が前記視野内に存在するときの前記少なくとも
一つのセンサのいずれかのセンサからの最大RMS信号であり、
前記「RMS信号
標識非関連」は、前記標識が前記視野内に存在しないときの前記少なく
とも一つのセンサのいずれかのセンサからの最小RMS信号であることと
を特徴とする、標識。
【請求項27】
情報を無線電力供給システムに与える標識であって、
前記標識は、(i)前記標識から前記無線電力供給システムへの直接反射、及び(ii)
前記標識から前記無線電力供給システムへの直接放出、の少なくとも一方により生成され
た前記標識の画像がその鏡像から区別可能となる対称特性を有し、
前記無線電力システムは、前記標識を検出する少なくとも一つのセンサを含み、
前記センサは、前記検出された標識が前記光標識からの直接的な視線を通して取得された
か否か、又は前記検出された標識が前記レーザビーム経路における反射によって取得され
たか否かを決定することができる、標識。
【請求項28】
前記無線電力供給システムには、その動作パラメータを、前記光標識の前記検出により与
えられる情報に従って調整するため命令が与えられる、請求項27に記載の光標識。
【請求項29】
前記命令を与えることは、事前エンコードされた命令、又はデータベースから受信された
命令、若しくはネットワークを経由して若しくは有線接続を通して受信された命令を含む
、請求項28に記載の標識。
【請求項30】
前記標識は、光、電気又は電磁の少なくとも一つである、請求項27から29のいずれか
一項に記載の標識。
【請求項31】
無線電力供給デバイスからのビームを効率的に少なくとも一つの電力受信デバイスへ向け
る方法であって、
(a)少なくとも一つのゾーンに関連付けられた少なくとも一つの標識の、前記電力供給
デバイスによる検出のために視野をスキャンすることと、
(b)少なくとも一つの標識が検出されると、前記少なくとも一つの検出された標識が得
られたスキャンポーズを記録することと、
(c)異なるゾーンに関連付けられた標識の一以上の表現を包含するデータベースから、
前記少なくとも一つの検出された標識を、前記データベースに包含された一の標識の少な
くとも一つの表現にマッピングする標識マッチングアルゴリズムを行うことと、
(d)前記検出された標識が前記データベースに包含された一の標識の少なくとも一つの
表現にマッチすると前記標識マッチングアルゴリズムが決定する場合に、前記無線電力供
給システムに、前記決定されたゾーンに関連付けられた事前決定されたプロトコルに従っ
て動作するように命令することと
を含む、方法。
【請求項32】
前記命令は、前記検出された標識に関連付けられた視野をスキャンすることを含む、請求
項31に記載の方法。
【請求項33】
前記命令は、前記無線電力供給デバイスに、前記検出された標識に関連付けられた視野を
スキャンすることもそのビームを前記視野に向けることもさせないことを含む、請求項3
1に記載の方法。
【請求項34】
前記標識の少なくとも一つが一のゾーンの少なくとも一つの特徴を画定する、請求項31
から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記画定することは、一のゾーンの面積、範囲、境界、コーナー、半径、中心の少なくと
も一つに関連する情報を与える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つの標識は、少なくとも一つの非対称特性を有し、
前記標識マッチングアルゴリズムは、一の標識の鏡像とその元の画像とを区別することが
できる、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも一つの受信器への効率的な無線電力供給のシステムであって、
(a)無線電力を放出するべく適合された送信器と、
(b)少なくとも一つのゾーンに関連付けられた少なくとも一つの標識を検出するべく構
成された検出器と、
(c)少なくとも一つのコントローラと
を含み、
前記少なくとも一つのコントローラは、
(i)前記検出器から信号を受信することと、
(ii)前記検出器が標識を検出したポーズを記録することと、
(iii)異なるゾーンに関連付けられた複数の標識の一以上の表現を包含するデータベ
ースにアクセスすることと、
(iv)検出された標識を、前記データベースに包含された一の標識の少なくとも一つの
表現にマッピングする標識マッチングアルゴリズムを実行することと、
(v)検出された標識が前記データベースに包含された一の標識の少なくとも一つの表現
にマッチすると決定することと、
(vi)前記無線電力供給システムに、前記決定されたゾーンに関連付けられた事前決定
されたプロトコルに従って動作させることと
を行うべく適合される、システム。
【請求項38】
前記コントローラによる前記動作は、前記検出された標識に関連付けられた視野をスキャ
ンすること、及び前記送信器から少なくとも一つのビームを、前記検出された標識に関連
付けられた前記少なくとも一つの受信器へ向けることの少なくとも一方を含む、請求項3
7に記載のシステム。
【請求項39】
前記コントローラによる前記動作は、前記無線電力供給デバイスに、前記検出された標識
に関連付けられた視野をスキャンすることもそのビームを前記視野に向けることもさせな
いことを含む、請求項37及び38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記スキャンすることは、前記無線電力供給デバイスが放出するビームを操舵することに
よって行われ、
前記少なくとも一つの標識において反射された前記ビームは、前記無線電力受信デバイス
から前記無線電力供給デバイスへ、前記スキャンビームとは反対の方向に進行する、請求
項1に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも一つの標識の検出を目的として視野をスキャンするべく適合されたスキャ
ナをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項42】
前記送信器はスキャンミラーを含み、
前記送信器は前記無線電力のビームにより前記視野をスキャンするように適合され、
前記ビームは前記少なくとも一つの標識から反射されて前記スキャンビームとは反対の方
向に進行する、請求項13に記載のシステム。
【請求項43】
前記送信器はさらに、前記反対の方向にされたビームを前記検出器に向けるビームスプリ
ッタを含む、請求項42に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔の受信器にエネルギーを与えるビームの送電の分野に関し、特には、認証
された受信器へ電力を直接伝送することのみを保証することによる、及び送電を受信する
ことが許容されるエリアにおける、かかるシステムの安全な動作に関する。
【背景技術】
【0002】
業界周知の多くの無線電力システムが存在する。しかしながら、安全規制に従って、オ
フィス又は過程環境にとって合理的な距離にわたって、多くの場合に10Wを超える著し
い充電電力を必要とするスマートフォン及びラップトップのような携帯型電子デバイスを
動作させる程度に十分な電力を伝送することができる商業的なシステムは存在しないよう
である。
【0003】
無線送電システムの必要性は一般に、恐らくは20世紀初頭のニコラ・テスラの先駆的
な研究以来、長年にわたる必要性として受け入れられている。そのような提案された無線
電力システムには、太陽電池へ又は受信器のアンテナへ、電磁ビームを伝送することに基
づくものもあれば、超音波ビーム又は他のタイプの電力ビームを受信器へ伝送することに
基づくものもある。
【0004】
そのような示唆された伝送デバイスは、本開示において「送信器」と言及され、受信器
に電力を供給するべくレーザビーム又は他の高エネルギービームを使用し得る。本開示に
おいて言及される「受信器」とは典型的に、送信器によって受信されたビームを使用可能
なエネルギーに変換するべく光起電力セルを備えた携帯型電子デバイスを言及する。これ
により、当該デバイスを物理的ソケットにプラグインする必要なしに当該デバイスの電池
の充電が可能となる。
【0005】
かかるシステムにおいて、送信器は、受信器からの受信、送信ビームの再帰反射、及び
/又は受信器からの無線通信の受信により、受信器を識別することができる。典型的に、
充電を必要とする受信器が発見されることが予想される部屋が、低電力設定で送信器が放
出するレーザビーム、又は別個のRFビーム若しくは超音波ビーム、のいずれかを使用し
てスキャンされる。ひとたび送信器が受信器の位置特定をすれば、送信器はスキャンミラ
ーを使用してそのビームを、充電を目的として、識別された受信器に向けることができる
。
【0006】
本願と共通の所有権及び数名の共通の発明者を有する「無線電力分配システム」に対す
る国際特許公報である特許文献1において、送信器からの全電力の送信を可能にする前に
、受信器が応答を与えることにより自身を送信器に識別させ得る前に最小量のエネルギー
が受信器へと送信されるシステムが記載される。他のアプリケーションでは、本願と共通
の所有権及び一名の共通の発明者を有する「無線レーザ電力送信器」に対する国際特許公
報である特許文献2において、全無線電力の送信が開始され得る前に送信器と受信器との
間のハンドシェークが行われるシステムが記載される。
【0007】
典型的に、探索モードの低電力設定は、その電力が人間の眼に対する安全限界未満又は
規制安全しきい値未満となるように選択される。かかる制限は、2018年4月の現行の
米国の規制及び他の同様に認められた規制のような政府の規制によって設定されている。
しかしながら、これらの安全しきい値を使用するシステムは一般に、人間の安全性を念頭
に置いて実装されているが、必ずしも、人間の眼よりもかなり低い電力ビームにも敏感な
実験室又は医療機器、カメラ、通信システム等のような、レーザビームによる損傷をさら
に受けやすい他の「システム」を考慮しているわけではない。すなわち、送信器が、低出
力設定であっても、非常に短い時間であっても、ビームを放出するとき、当該ビームの経
路においてレーザビームに敏感な機器が損傷を受け得る。したがって、かかるシステムは
、そのような敏感な機器を識別してそれらのスキャンを回避すること、又は、すべての側
面から実際的なことだが、送信器がそれらを識別した後にのみ受信器にそのレーザ発振を
向けることができることを保証するシステムを利用することのいずれかができるべきであ
る。
【0008】
先行技術のシステムは、所定の状況に対する許与不可能な安全上の危険を示唆し得る一
定数の問題を有する。受信器の位置が送信器にとって既知であり、ひいては、受信器及び
その位置を識別するスキャンが必要とされないシステムであっても、特に受信器が家庭環
境のような光学的に複雑な環境内に位置決めされている場合、ビームは、送信器と受信器
との間の経路における物体によってそらされ又は反射され得る。
【0009】
さらに、低電力ビームが空間をスキャンし、複数の受信器を見つけてそれらに電力を送
信しようとするシステムであっても、受信器の存在及び位置を送信器に警告するべく使用
される受信器再帰反射器のサイズは、ミリメートル程度のオーダーに過ぎない。したがっ
て、探索ビームは、同様の又はわずかに大きい寸法のサイズを有するべきである。それゆ
え、かかるビームがラスタパターン又はスパイラルパターンでスキャンされる場合、受信
器の肯定的な位置を保証するべく、スキャン経路間の距離は当該ミリメートル以下とする
必要があり、このような密なスキャンパターンには、この場合、過大な長さの時間がかか
る。さらに、受信器の肯定的な識別及びログインを保証するべく、スキャンを実行する間
に高い電力の信号を有することが有用となる。
【0010】
したがって、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服し、特に、敏感な物体に向け
ての又は禁止領域におけるレーザ発振のリスクを最小限に低減するシステム及び方法の必
要性が存在する。
【0011】
このセクションで及び本明細書の他のセクションで言及される各公報の開示は、それぞ
れにおいてその全体がここに参照により組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2017/033192号
【特許文献2】国際公開第2009/083990号
【発明の概要】
【0013】
無線電力送信器が受信器として位置を誤って識別した場合、当該送信器は高エネルギー
ビームを当該位置に向けるが、当該ビームによる損傷をもたらし得る。例えば、受信器の
画像がミラーによって反射される場合、送信器は、受信器として誤って反射を識別し、当
該ミラーにおける受信器の画像にビームを向けることがある。これは、ビームがミラーに
よって敏感な機器へと向けられるときに危険な反射を引き起こす可能性がある。当該機器
は、この反射によって損傷を受け、又は他の意図しない結果を招くことがある。したがっ
て、これらの受信器の正しい位置が送信器に与えられることが重要となる。送信器が意図
しないエリアに向けられた場合、送信器により放出されたビームが室内の人又は機器に損
傷を与え得るからである。
【0014】
この問題を解決するべく、本願は、特別な又は固有の標識を備えた新規な受信器を記載
する。標識は、受信器の位置に関連付けられてよく、又は実際の受信器に埋め込まれても
よい。被スキャン空間内の任意の箇所に配置されてよく又は動き回ってもよい受信器の箇
所を識別するべく、送信器は、システムの中でもとりわけ、カメラ又は低電力ビームを使
用して、これらの標識の位置を識別するように空間をスキャンしてよい。送信器には、そ
の視野内でこれらの符号を識別する検出器が備えられる。この検出器は、当該標識を使用
して受信器の正確な位置を識別する。
【0015】
ここに開示されるシステムの一つの重要な特徴は、かかる標識が自身の鏡像と区別可能
な点にある。すなわち、表面が意図せずに標識からの照明を反射する場合でも、この反射
によってレンダリングされる符号の画像が、その鏡像となる標識の元の形状と区別可能と
なる。したがって、システムが部屋をスキャンして標識の反射を撮像する場合、得られる
標識の画像は、元の標識と幾何学的に区別可能となる。
【0016】
すなわち、システムは、標識の反射された鏡像の検出により、検出された反射の方向が
受信器の真の位置を表しておらず、それゆえ、高エネルギービームを当該反射像に向ける
べきではないことが意味されると認識するようにプログラムされる。そうすることにより
、仮想画像が実際標識の実際方向にあると考えながら、反射面に高出力レーザビームを向
ける結果となる。それにより、反射面の破断がもたらされ得るので、引き続いての制御さ
れない高出力ビームのスキャン空間への伝播、若しくはレーザビームの危険な方向への散
乱、又は、他の望ましくなく潜在的に危険な若しくは損傷を与える状況を伴う。これらは
、以下に説明される。これにより、標識の反射画像を生成するミラー又は他の表面が、シ
ステムによって実際の受信器として誤って識別されないことが保証されるので、送信器は
、受信器上の標識のこれらの仮想位置にビームを向けることが防止される。したがって、
送信器は、受信器の位置及び配置を正確に識別して直接的な視線と反射ビーム経路とを区
別することができる。
【0017】
検出器は、以下の方法のいずれかにより標識の表示を取得することができる。
(i)送信器が放出する低出力ビームであって、当該標識により反射されて当該送信器
に関連付けられた検出器へと戻されることが意図された低出力ビームによって部屋をスキ
ャンすること、
(ii)検出器を、標識によって能動的に送信される信号を検出するように適合するこ
と、
(iii)人工若しくは自然の光源(最も一般的な形態)からのような、周囲において
利用可能な環境電力から、若しくはWi-Fi信号のようなラジオ波を散乱させることに
よって、若しくは周囲における他のエネルギー源を使用することによって、標識により反
射される信号、又は
(iv)受信器における発光器によって生成されるか若しくは受信器によって反射され
るかいずれかの一連の短い光パルスの検出
である。
【0018】
かかる標識はすべて、送信器に対するそれらの箇所及び配向のいずれか一方を一意的に
定義するべく使用され得るという点で、特別な目印を有すると称されてよい。さらに、検
出器は、検出されている標識が、当該標識からセンサへの若しくは当該送信器から標識へ
の直接的な視線の結果であるか否か、又は潜在的に危険な状況を示す経路上の反射の結果
として検出されているのか否かを決定できる必要がある。かかる決定は、本開示に記載さ
れるタイプの特別な目印によって可能となる。標識は、その鏡像がその直接像から識別可
能となるようにされるからである。したがって、意図しない反射からもたらされる画像を
、直接検出された画像と区別することができるので、意図しない反射ビームから生じ得る
危険性ゆえの適切な安全対策を講じることができる。鏡像を構成するものの定義及び説明
、並びに撮像された標識が元の符号の鏡像であるか否かを決定する方法は、以下の詳細な
説明のセクションでさらに説明される。
【0019】
本開示のシステムは、かかる識別可能な特殊標識に基づいて動作パラメータを決定する
べく、以下の方法のいずれかを使用する。
A.最初に受信器を識別するべく部屋をスキャンするとき、送信器の視野の一部が、(
a)受信器が、その表面による周囲からの電力の反射によって、例えばバーコードを有す
る場合に、若しくは受信器が、点滅するLED光源によってのように内部的に電力を生成
する場合に、受信器がスキャンにおいて検出されるときに生じ得るような電力を使用しな
いか、又は(b)システムの視野に潜在的に存在する人、動物、財産及び機器のための安
全規制内にある電力レベルを使用するかのいずれかとなる。かかるスキャンは、(i)送
信器が例えば、空間の「写真」を組み立てるべく異なる方向にレーザを向けて各方向のデ
ータを収集することによって、又はは(ii)カメラ若しくは他のセンサを使用して当該
エリアを撮像することによって、又は(iii)受信器自体が、カメラを使用して送信器
の写真を撮像することによって、又は(iv)追加のコンポーネント、例えば、セキュリ
ティカメラ、若しくは専用カメラ、若しくは部屋を「マッピング」することが可能な他の
デバイスによってのいずれかで実行することができる。スキャンは、光学的に、又は外部
若しくは予め設定されたソースから潜在的な座標を受信することによって実行され得る。
典型的に、かかるスキャンは、カメラが近傍を見ることによって、又は低電力スキャンレ
ーザビームによって、受信器からの通信メッセージを受信することによって、又はユーザ
入力のような外部ソースからのデータの入力によって、若しくはかかるスキャンの結果を
表す座標及びデータを含む外部ソースからの通信によって、実行され得る。加えて、スキ
ャンは、レーダ様システムにおけるラジオ送信を使用して、又は超音波を使用して、実行
され得る。典型的に、スキャンの電力レベルはユーザ若しくは製造者が設定する必要があ
る。かかるスキャンはいつでも実行できるが、通常はユーザの要求時に、システムのセッ
トアップ時に、又はシステム動作中に周期的に、実行され得る。
【0020】
B.データは第1時間にわたって統合される。典型的に、標識が、環境と比べて高いコ
ントラスト比を有するとして識別される。システムは、視野の被スキャン部分に関連付け
られた受信器の近似的な配置に関する情報を収集することができる。本開示の文脈におい
て使用されるコントラスト比は、スキャンビームがマーク上に存在するときのRMS信号
と、スキャンビームがマーク上に存在しないときのRMS信号との比として定義すること
ができる。代替的に、コントラスト比は、一の標識から収集された信号のRMS値を、同
じ標識から収集された平均値/代表値/算術平均値で割った値、又は中央値信号であって
よい。
【0021】
C.標識の表示が得られた場合、システムは、視野の当該部分をより詳細に検査するこ
とができる。典型的に、得られた画像は、画像のデータベースから選択された画像と比較
され、又はバーコードのような目印パターンと比較され、その場合、当該手順によって、
得られた数が、大きな素数により割られたときの剰余のような特別な数学的特性を有する
ことをチェックすることができる。観測された画像は、比較手順の間に、回転され、クロ
ップされ、拡大され、又は、単純な線形変換によってサイズが低減され得る。回転は典型
的に、3Dで実行され得るが、特に視野が低いシステムでは、2D回転で十分となり得る
。
【0022】
比較画像は、メモリ内の一組の電子データであってよく、当該比較は、畳み込みのよう
なアルゴリズムを使用して実行してもよい。ただし、他のパターンマッチングアルゴリズ
ムを使用してもよい。代替的に、視野の一部をより詳細にスキャンするとき、標識は能動
的に信号を送信してもよい。その結果、システムは、画像をメモリ内の画像のデータベー
スと比較する必要性なく、又は当該必要性に加えて、標識を確実に識別するために使用す
ることができる。
【0023】
D.標識が送信器により又はシステムの他の要素により識別されるとき、当該標識から
推測することができるような送信器の動作パラメータを修正する命令を、送信器が実行し
てよい。例えば、識別された標識が受信器の位置を表す場合、送信器は、その識別された
位置に向けて無線電力送信を開始することができる。
【0024】
各標識は、バーコードのような空間のパターン、若しくはLEDによって放射される一
連のパルスのような時間のパターン、又は複数の波長の組み合わせのようなスペクトル空
間のパターンを含み得る。これらは、送信器により、受信器により、又はシステム内の他
の要素により識別可能であり、数値データとして解釈され得る。
【0025】
ほとんどの標識は、少なくとも部分的には、送信器から受信器へ電力を送信するべくシ
ステムが使用するものと同じ波長を使用して、具体的かつ典型的には同じビームによって
、スキャンすることにより識別可能となるべきである。これは、典型的に、受信器の位置
のような配置関連の標識、及び/又は受信器のタイプのような安全関連の標識の双方にと
って必要とされる。数値データは、周囲のランダムノイズパターンからデータを誤ってデ
コードする確率が極めて低くなる程度、典型的には週1回未満若しくはそれ以下、又は確
率項の測定で1:1,000若しくは1:1,000,000若しくはそれ以下、となる
程度に十分一意的となるべきである。かかる一意性は、標識から受信した情報のビットに
よって測定することができる。かかる場合、標識は、少なくとも10ビット、又は20、
40若しくはそれ以上にもなるビットのデータを送信器へと送信することができる。
【0026】
典型的な標識は以下のいくつかの方法で構成される。
構造A:バーコード、QRコード(登録商標)、又は他の同様の形状のような高コント
ラストの光学的形状であり、特に重要なのは、鏡像から識別可能な不規則非対称形状であ
る。画像は、マルチカラーであっても、マルチIRカラーであってもよく、又は多数の波
長の応答を有してもよい。
【0027】
構造B:再帰反射形状
再帰反射形状は、検出が容易という利点を有する。再帰反射形状は、すべての波長の部
分集合のみを再帰反射するフィルタを含んでよい。
再帰反射形状はまた、異なる反射率を有するエリアを構成してよい。
【0028】
構造C:発光形状
LEDライト、若しくはLEDライトのパターン、又は任意の他の発光デバイスのよう
な発光形状。このパターンはまた、単一のLEDが、送信器によって識別可能なコードを
生成することができるように、時間依存としてよい。LEDの代わりにレーザダイオード
又は燐光若しくは蛍光構造を使用してもよい。
【0029】
構造D:RF放出「形状」。送信器によって識別可能な時間変化又は周波数変化信号を
放出するRF放出コンポーネント(又はアンテナ)。
【0030】
構造E:上記構造の少なくともいくつかの組み合わせ。
送信器には、レーザビームシステムと整合され得る標識識別システムが装備され得る。
代替的に、標識識別システムは、有線又は無線いずれかの接続を使用して送信器に接続さ
れてよい。
【0031】
標識識別システムは、外部アパチャ及び最大レンジを含み得る。外部アパチャは、典型
的に、最大レンジの2%未満である。
【0032】
本開示の文脈において、標識識別システムの、レーザスキャンシステムとの光学的整合
は、レーザの位置に対する標識の位置の識別を意味する。これは、数式若しくは表(距離
1及び角度2において2点を上に修正する)、又は、標識識別システムからレーザビーム
システムまでの少なくとも一つの座標のマッピング関数、若しくはレーザビームシステム
から標識識別システムまでの少なくとも一つの座標のマッピング関数の形式であってよい
。例えば、CCDアレイからなる検出器の場合、光学的整合は、特定のレンジ及び方向に
対してレーザに整合されるピクセルを示す表によって決定することができる(多くの場合
、同じピクセルが異なるレンジで機能する)。CCD視野の中心は、空間内の各点におい
てレーザに対してわずかにずれているので、異なるピクセルがレーザの位置を表し得る。
整合とは、システムが、CCD/センサ画像からレーザ座標へのそのような「変換」を含
むことを意味する。
【0033】
光学的整合は、標識識別システムを、典型的に剛性の機械的マウントを有するレーザビ
ームシステムに接続することによって機械的に達成することができ、その結果、充電ビー
ムに対する複数のセンサの光学的位置が本質的に固定され、又は熱的か時間的かを問わず
既知の挙動を有する。かかる接続は、通常、正確な剛性構造を必要とし、又は動的整合を
決定する方法の使用を必要とする。
【0034】
光学的整合はまた、複数のセンサの少なくとも一部を、ビームに対する当該センサの位
置の測定に基づいて動的に構成可能とすることによって、光学的に達成することができる
。例えば、位置有感検出器の場合、光学的整合は、生成された信号にバイアスをプラス(
又はマイナス)した信号がレーザに整合されるように、当該検出器にバイアスを設定する
ことによって達成され得る。
【0035】
光学的整合はまた、アルゴリズムによって達成してもよい。
【0036】
光学的整合はまた、上記方法の組み合わせを使用してもよい。
【0037】
非対称標識により、その鏡像がそれ自体とは異なるという点で、受信器の位置及び整合
性の一意的な定義が可能となり、さらには、通常は光電池(PV)の中心である標的の位
置を決定することが、当該標識がPVターゲットに対して所定位置に配置されることを理
由に可能となる。しかしながら、標識はまた、PVの中心においては再帰反射器よりもは
るかに大きいので、この標識を見つけることは、PVの中心を見つけることよりもはるか
に簡単である。この標識は、発見するには低い密度のスキャンで足り、一般に、大きな信
号を収集及び反射するからである。
【0038】
センサ立ち上り時間は、システムが標識に向けられていないときに生成される出力値と
、システムが標識に向けられているときに生成される出力値との間で、いずれかのセンサ
の出力が少なくとも20%、好ましくは50~90%だけ変化する最短時間である。
センサ立ち下がり時間は、システムが標識に向けられたときに生成される出力値と、シ
ステムが標識に向けられていないときに生成される出力値との間で、いずれかのセンサの
出力が少なくとも20%、好ましくは50~90%変化する最短時間である。
値[RMS信号標識関連]は、システムが標識に向けられたときの、いずれかのセンサ
により生成された信号の最大RMSである。
値[RMS信号標識非関連]は、システムが標識に向けられていないときの、いずれか
のセンサにより生成された信号の最小RMSである(典型的には環境にわたっての平均と
なる)。
ひとたび時間tが経過すると、好ましくは明確な識別が保証される程度に長くなると、送
信器は、標識が命令若しくは情報標識であるか、又は有効な標識ではないかを決定するこ
とができる。
【0039】
かかる標識は、送信器の周囲、並びに/又は受信器の状態及びタイプに関する指示又は
情報を送信器に与えることができる。かかる命令は、典型的に、受信器として明確に識別
されていない物体まわりの最大又は平均のレーザ露出を制限又は修正する。本開示はまた
、特定の受信器の識別、受信器のタイプ、好ましいサービスを提供するためのエリア、露
出が低減されるエリア、窓を有するエリアのような固有エリアの識別等のような、追加情
報を示す識別可能な標識も記載する。
【0040】
本開示に記載される標識のさらなる実装例によれば、送信器が送信しようとする領域の
異なる特性を表す異なる「ゾーン」を表示するべく、標識又はパターンを使用することが
できる。例えばこの表示は、
例えば、受信器が密集しているゾーンを示す標識となり得る好ましい充電ゾーンの中心
及び範囲の表示、
例えば、多数の受信器が密集しているわけではないゾーンのような非充電ゾーンの中心
及び範囲の表示、
好ましい充電ゾーンのコーナー又はエッジの表示、
非充電ゾーンのコーナー又はエッジの表示である。
ユーザは、送信器スキャナが識別するコード化されたラベルによって様々な領域のエッ
ジ又は輪郭を定義してよい。かかるラベルは、送信器が解釈することができるコーナー、
旋回点、曲率中心、変曲点、半径中心、又は他の幾何学的特徴として解釈してよい。代替
的に、様々な領域の座標を、各定義領域においてどのようなアクションが許容されるかに
ついての送信器への関連命令によってスキャナにプログラムしてよい。
【0041】
かかるシステムにおいて、送信器が命令標識を検出する場合、それに応じて送信器は、
システムの構成パラメータを必要に応じて修正することによって動作するのが典型的であ
る。
【0042】
検出された標識が、好ましい充電ゾーンの中心及び範囲の指標として解釈される場合、
送信器は、そのゾーン内の受信器を探索することを好むように構成されてよく、又はその
ゾーン内の受信器に多くの電力を供給してよく、又はそのゾーン内の充電受信器に高い優
先順位を割り当ててよい。特定のタイプの受信器への優先度、又は最大電力引き出しのよ
うな特定の条件下での特定の受信器への優先度のような、さらに複雑な標識も存在し得る
。
【0043】
検出された標識が、非充電ゾーンの中心及び範囲の表示として解釈される場合、送信器
は、そのゾーン内の受信器への、又はそのゾーン内の特定のタイプの受信器への、電力供
給を拒否することができるように構成されてよい。
【0044】
検出された標識が、好ましい充電ゾーンのコーナー又はエッジの表示として解釈される
場合、受信器は、その好ましい充電ゾーンの方向及び位置を定義するべくそのゾーンの他
のコーナーを探し出すように構成されてよい。
【0045】
検出された標識が、非充電ゾーンのコーナー又はエッジの表示として解釈される場合、
受信器は、その非充電ゾーンの方向及び位置を定義するべくそのゾーンの他のコーナーを
探し出すように構成されてよい。
【0046】
検出された標識が、
充電速度の減少-最大又は平均の電力引き出しが制限されるゾーン、
充電速度の増加-安全規制が緩和され得るアクセス不可能エリアのような、平均電力引
き出しを増やすことが許容されるゾーン、
スキャン速度の減少/増加-最大達成可能レンジが制限される場所のような、異なる速
度又は異なる受信器密度で受信器のスキャンが行われるゾーン、
好ましいゾーン-スキャン又は電力供給が好ましいゾーン、
減少電力ゾーン、又は
高/低/特定優先ゾーンのような修正された動作パラメータゾーン
の表示として解釈される場合、
送信器は、それに応じて動作するように構成され、当該ゾーン内で動作するときに動作
パラメータを変更することができる。
検出された標識が、入口、ウィンドウ、ミラー、ミラーのエッジ、ウィンドウのエッジ
、遮られた視野、安全上の危険等のような、例えば動作の中心を定義するべく較正を目的
とする空間内の一定の特別なポイントの表示として解釈される場合、送信器は、かかる標
識の検出に応答してシステムの動作パラメータを変更することができる。例えば、ビーム
を当該エリアへと向けるのを回避すること、又は特別なパラメータのビームのみを当該エ
リアに向けること、又は当該方向に向けられたときにシステムの何らかの他のパラメータ
を修正することができる。
【0047】
検出された標識が、喫茶店若しくは駅のような環境において遭遇する高密度受信器環境
、又は単一のクライアントが存在することが既知の環境のような低密度受信器環境のよう
な、異なる特性を有する環境の表示として解釈される場合、かかる環境における送信器動
作の最適化は、異なるレベルの探索を行うことにより、又は異なる態様で探索することに
より、異なり得る。また、多くの場合、低受信器密度の環境における送信器は、当該送信
器が受信器の位置特定をするときに当該受信器に電力を供給するように構成されてよい一
方、高密度環境においては、送信器は、まず、すべての受信器の位置特定を完了してから
、それらに優先順位を付けることができる。
【0048】
検出された標識が、受信器のライセンス及び法的ステータスの表示として解釈される場
合、ステータス及びIDは、その受信器に関する特別な取り扱い説明のためのデータベー
スに対して比較又は検証されてよく、そのような比較又は検証に基づいてさらなるアクシ
ョンが行われてよい。
【0049】
検出された標識が受信器の位置の表示として、又は標識自体の近くに存在して受信器の
方向及び距離を示し得る他のターゲットの位置の表示として解釈される場合、若しくは受
信器上であっても電力ビームを向けるべき実際のターゲット(PV)を示し得る(かかる
構成は、標識の寸法がターゲット自体のマーキングよりも大きいがゆえに、受信器の位置
特定に必要な時間を短縮することができる)場合、システムは、標識が示す座標において
受信器を探索することができる。
【0050】
検出された標識が、受信器の製造者及び/又はシリアル番号及び/又は電源能力及び/
又はライセンス番号の少なくとも一部の表示として解釈される場合、システムは、典型的
には電子的な記録を、その日付により更新し、又は解釈されたデータに基づいてその動作
パラメータを修正することができる。かかる動作パラメータは、受信器に対する電力の拒
否、受信器に対する最大電力の制限、受信器若しくは他のソースからの追加データの要求
、支払手順の開始、内部センサの較正、受信器への動作関連データの提供、又は同様の制
限を含み得る。動作関連データは、ファームウェア更新、較正データ、時刻及び日付、送
信器情報、地理的データ等のようなデータを含み得る。
【0051】
検出された標識が、電力要件及び使用モデルのようなクライアント能力の表示として解
釈される場合、システムは、このデータにより、典型的には電子的な記録を更新すること
ができる。代替的に、システムは、その動作パラメータを、解釈されたデータに基づいて
修正してよい。動作パラメータに対するそのような変更は、受信器への電力の拒否、受信
器の最大電力の制限、受信器若しくは他のソースからの追加データの要求、支払手順の開
始、内部センサの較正、受信器への動作関連データ、例えば更新(ファームウェア更新を
含む)、較正データ、時刻及び日付、送信器情報、地理的データ等、の提供を含み得る。
【0052】
検出された標識が一時的な非充電ゾーン又は一時的な制限電力ゾーンの表示として解釈
される場合、システムは、所定の時間が経過するまで、又は当該標識が除去されるまで、
若しくは他の表示がシステムによって受信されるまで、そのゾーンに対する充電を中断す
ることができる。
【0053】
検出された標識が、一定数のターゲット及びそれらの相対的位置の表示として解釈され
る場合、システムは、それらのターゲットを探し出し、ひとたび当該ターゲットすべてが
位置特定されると当該ターゲットの探索を終えることができる。
【0054】
すなわち、本開示に記載のデバイスの典型的な実装に従って、無線電力供給デバイスか
らのビームを安全に少なくとも一つの電力受信デバイスへと向ける方法が与えられ、この
方法は、
(a)少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられた少なくとも一つの非対称特
性を有する少なくとも一つの標識の、電力供給デバイスによる検出のために視野をスキャ
ンすることと、
(b)当該標識のうちの少なくとも一つの標識が検出されると、当該少なくとも一つの
検出された標識が得られたスキャンポーズを記録することと、
(c)少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられた標識の一以上の表現を包含
するデータベースから、当該少なくとも一つの非対称特性を有する標識が、当該少なくと
も一つの検出された標識を当該表現のうちの少なくとも一つの表現にマッピングする標識
マッチングアルゴリズムを行うことと、
(d)標識マッチングアルゴリズムによって、当該検出された標識が当該データベース
に包含された一の標識の表現にマッチすると決定された場合、当該検出された標識が、当
該スキャンポーズから向けられたビームが反射されていないことを示すものと推定するこ
とであって、当該電力受信デバイスと当該無線電力供給デバイスとの間に直接的な視線が
示されることと、
(e)(i)少なくとも一つのビームを当該少なくとも一つの電力受信デバイスへ向け
ることと、(ii)当該無線電力供給デバイスの動作パラメータを修正することとの少な
くとも一方を行うことと
を含む。
【0055】
かかる方法において、ステップ(e)は、検出された画像の鏡像を当該データベースに
包含された非対称標識の表現のいずれかへマッピングすることによって行われる標識マッ
チングアルゴリズムから独立してよい。上記方法の標識マッチングアルゴリズムは、追加
的に、検出された画像の鏡像を当該データベースに包含された非対称標識の表現のいずれ
かへマッピングすることによって行われてもよい。この場合、動作パラメータの修正は、
検出された画像の鏡像が、データベースに包含された標識のいずれかの表現へマッピング
される場合に無線電力供給を防止することを含み得る。
【0056】
上記方法のいずれかにおいて、ステップ(e)は、検出された画像が、データベースに
包含された標識の鏡像の表現ではないことを標識マッピングアルゴリズムが決定する場合
にのみ行われてよい。
【0057】
方法のさらなる他例によれば、空間における受信器の(i)位置、(ii)配向及び(
iii)座標の少なくとも一つが、検出された標識及びスキャンポーズの少なくとも一方
によって決定されてよい。
【0058】
これらの方法のすべてにおいて、標識はまた、受信器の異なる周波数を代表する異なる
ゾーンを表現してよい。これらのゾーンは、充電ゾーン、非充電ゾーン、高周波数受信器
ゾーン、又は低減された電力の受信ゾーンのいずれかとしてよい。付加的に、これらの方
法において、当該標識のうち少なくとも一つの標識が、一のゾーンの少なくとも一つの特
徴を画定してよい。かかる画定は、ゾーンの面積、範囲、境界、コーナー、半径、中心の
少なくとも一つに関連する情報を与えることを含み得る。
【0059】
上述した方法のさらなる実装例によれば、少なくとも一つの標識が、(i)少なくとも
一つの受信器に取り付けられてよく、(ii)受信器の中に埋め込まれてよく、(iii
)少なくとも一つの受信器に対する固定位置を有してよく、又は(iv)少なくとも一つ
の受信器の配置に関する情報を包含してよい。
【0060】
付加的に、標識マッチングアルゴリズムは、当該画像の回転及び当該画像のズーム操作
の少なくとも一方を含み得る。
【0061】
本開示のシステムの他の代替的実装例によれば、少なくとも一つの受信器への安全な無
線電力供給のシステムがさらに与えられ、このシステムは、
(a)無線電力を放出するべく適合された送信器と、
(b)少なくとも一つの受信器に関連付けられた少なくとも一つの非対称特性を有する
少なくとも一つの標識を検出するべく構成された検出器と、
(c)少なくとも一つのコントローラと
を含み、
この少なくとも一つのコントローラは、
(i)当該検出器から信号を受信することと、
(ii)当該検出器が標識を検出したポーズを記録することと、
(iii)少なくとも一つの受信器に関連付けられた標識の一以上の表現を包含するデ
ータベースにアクセスすることであって、当該標識は少なくとも一つの非対称特性を有す
ることと、
(iv)検出された標識を当該表現の少なくとも一つの表現にマッピングする標識マッ
チングアルゴリズムを実行することと、
(v)検出された標識が当該データベースに包含された一の標識の少なくとも一つの表
現にマッチすると決定することと、
(vi)当該送信器に少なくとも一つのビームを当該少なくとも一つの電力受信デバイ
スへと向けるように指示することと、当該無線電力供給デバイスの動作パラメータを修正
することとの少なくとも一方を実行することと
を行うように適合される。
【0062】
かかるシステムにおいて、コントローラにより当該決定することが、当該ポーズに向け
られたビームが反射されなかったことを示し、その結果、少なくとも一つの受信器と送信
器との間の直接的な視線が示される。これらのシステムのいずれにおいても、コントロー
ラの当該動作は、(i)記録されたスキャンポーズを利用してビームを当該少なくとも一
つの受信器へ向けることと、(ii)送信器の動作パラメータを修正することとを含み得
る。
【0063】
本開示によれば、なおもさらに、送信器から少なくとも一つの受信器へ光無線電力を送
信するシステムが与えられ、このシステムは、
(i)光無線電力のビームを放出するべく適合された少なくとも一つの送信器であって
、当該少なくとも一つの送信器は当該ビームを当該少なくとも一つの受信器へ向けるべく
構成され、当該少なくとも一つの受信器は当該ビームを電気エネルギーに変換するべく適
合される少なくとも一つの送信器と、
(ii)当該少なくとも一つの送信器に関連付けられた標識識別システムであって、当
該少なくとも一つの受信器に関連付けられた標識を識別するべく適合された標識識別シス
テムと
を含み、
当該標識識別システムは、少なくとも一つの標識の画像を、当該少なくとも一つの標識の
鏡像から区別するべく適合される。
【0064】
このシステムにおいて、鏡像は、(i)標識平面に直交する軸まわりの任意程度の回転
、(ii)標識平面内の軸まわりの90°未満の回転、及び(iii)画像の拡大又は縮
小、(iv)画像の回転、及び(v)画像のズーム操作後の少なくとも一つの後であって
も、標識の画像から区別可能となり得る。
【0065】
付加的に、標識識別システムは少なくとも一つのセンサを含み、標識は、少なくとも1
0-8m2をセンサの数で割った面積を有してよい。かかる場合、少なくとも一つのセン
サは本質的に、ビームに整合されるべきである。さらに、システムは、最大操作レンジを
有するように適合され得る。その場合、標識識別システムはさらに、半径が最大動作レン
ジの2%未満である外部アパチャを含み得る。これらのシステムのいずれにおいても、ビ
ームはレーザビームとしてよい。その場合、少なくとも一つのセンサは、剛性接続部によ
って機械的に当該レーザに接続され得る。付加的に、標識が、(i)少なくとも一つの受
信器に接続されること、(ii)受信器の中に埋め込まれること、(iii)少なくとも
一つの受信器に対する固定位置を有すること、(iv)少なくとも一つの受信器の配置に
関する情報を包含すること、のうちの少なくとも一つとしてよい。さらに、標識識別シス
テムは、当該少なくとも一つの検出された標識を、標識の一以上の表現を包含するデータ
ベースからの少なくとも一つのアイテムにマッピングする標識マッチングアルゴリズムを
実行するべく適合され、当該標識は、少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられ
て少なくとも一つの非対称特性を有する。
【0066】
本開示に記載されるなおもさらなる実装例によれば、無線レーザ電力システムに情報を
通信する光標識であって、この無線レーザ電力システムは標識を検出する少なくとも一つ
のセンサ及び視野を有する光標識も与えられ、
この光標識は、
(i)無線レーザ電力システムが生成する光標識の画像が、当該光標識の鏡像から区別
可能であることと、
(ii)光標識が少なくとも
【数1】
の面積を有し、「Txセンサの数」は少なくとも一つのセンサの数であることと、
(iii)光標識が、少なくとも
【数2】
秒続く時間にわたって当該光標識が当該視野内に位置特定されているときに、無線レーザ
電力システムへその動作パラメータを調整する命令を与える情報を包含することであって
、
センサ立ち上がり時間は、当該少なくとも一つのセンサのいずれかのセンサの最長立ち
上がり時間であり、
センサ立ち下り時間は、当該少なくとも一つのセンサのいずれかのセンサの最長立ち下
がり時間であり、
「RMS信号
標識関連」は、当該標識が当該視野内に存在するときの当該少なくとも一
つのセンサのいずれかのセンサからの最大RMS信号であり、
「RMS信号
標識非関連」は、当該標識が当該視野内に存在しないときの当該少なくと
も一つのセンサのいずれかのセンサからの最小RMS信号であることと
を特徴とする。
【0067】
本願のさらなる実装例は、情報を無線電力供給システムに与える標識を記載する。この
標識は、
(i)当該標識から当該無線電力供給システムへの直接反射、及び(ii)当該標識か
ら当該無線電力供給システムへの直接放出の少なくとも一方により生成された当該標識の
画像がその鏡像から区別可能となる対称特性を有し、
当該無線電力システムは、当該標識を検出する少なくとも一つのセンサを含み、当該セ
ンサは、当該検出された標識が当該光標識からの直接的な視線を通して取得されたか否か
、又は当該検出された標識が当該レーザビーム経路における反射によって取得されたか否
かを決定することができる。かかる場合、無線電力供給システムには、その動作パラメー
タを、標識の検出により与えられる情報に従って調整するため命令が与えられるべきであ
る。このとき、命令を与えることは、事前エンコードされた命令、又はデータベースから
受信された命令、若しくはネットワークを経由して若しくは有線接続を通して受信された
命令を含み得る。標識自体は、光データ、電子データ又は電磁データの少なくとも一つを
含んでよい。
【0068】
さらに、無線電力供給デバイスからのビームを、効率的に少なくとも一つの電力受信デ
バイスへと向ける方法が与えられ、この方法は、
(a)少なくとも一つのゾーンに関連付けられた少なくとも一つの標識の、電力供給デ
バイスによる検出のために視野をスキャンすることと、
(b)少なくとも一つの標識が検出されると、当該少なくとも一つの検出された標識が
得られたスキャンポーズを記録することと、
(c)異なるゾーンに関連付けられた標識の一以上の表現を包含するデータベースから
、当該少なくとも一つの検出された標識を、当該データベースに包含された一の標識の少
なくとも一つの表現にマッピングする標識マッチングアルゴリズムを行うことと、
(d)当該検出された標識が当該データベースに包含された一の標識の少なくとも一つ
の表現にマッチすると当該標識マッチングアルゴリズムが決定する場合に、当該無線電力
供給システムに、当該決定されたゾーンに関連付けられた事前決定されたプロトコルに従
って動作するように命令することとを含む。
【0069】
かかる方法において、命令は、当該検出された標識に関連付けられた視野をスキャンす
ることを含んでよく、又は、当該無線電力供給デバイスに、当該検出された標識に関連付
けられた視野をスキャンすること、若しくはそのビームを当該視野に向けることのいずれ
もさせないことを含んでもよい。付加的に、当該標識のうち少なくとも一つの標識が、一
のゾーンの少なくとも一つの特徴を画定してよく、当該画定は、ゾーンの面積、範囲、境
界、コーナー、半径、中心の少なくとも一つに関連する情報を与えてよい。付加的に、当
該少なくとも一つの標識は、少なくとも一つの非対称特性を有してよく、当該標識マッチ
ングアルゴリズムは、一の標識の鏡像とその元画像とを区別することができる。
【0070】
本開示のなおもさらなるシステムは、少なくとも一つの受信器への効率的な無線電力供
給を与えるようにされてよく、かかるシステムは、
(a)無線電力を放出するべく適合された送信器と、
(b)少なくとも一つのゾーンに関連付けられた少なくとも一つの標識を検出するべく
構成された検出器と、
(c)少なくとも一つのコントローラと
を含み、
この少なくとも一つのコントローラは、
(i)当該検出器から信号を受信することと、
(ii)当該検出器が標識を検出したポーズを記録することと、
(iii)異なるゾーンに関連付けられた複数の標識の一以上の表現を包含するデータ
ベースにアクセスすることと、
(iv)検出された標識を、当該データベースに包含された一の標識の少なくとも一つ
の表現にマッピングする標識マッチングアルゴリズムを実行することと、
(v)検出された標識が当該データベースに包含された一の標識の少なくとも一つの表
現にマッチすると決定することと、
(vi)当該無線電力供給システムに、当該決定されたゾーンに関連付けられた事前決
定されたプロトコルに従って動作させることと
を含む。
【0071】
かかるシステムにおいて、コントローラの動作は、検出された標識に関連付けられた視
野をスキャンすること、及び送信器から少なくとも一つのビームを、当該検出された標識
に関連付けられた少なくとも一つの受信器へ向けることの少なくとも一方を含み得る。コ
ントローラはさらに、無線電力供給デバイスに、検出された標識に関連付けられた視野を
スキャンすること、又はそのビームを当該視野に向けることのいずれもさせないことを含
んでもよい。
【0072】
上述した方法のいずれかにおいて、スキャンすることは、無線電力供給デバイスが放出
するビームを操舵することによって行ってよく、少なくとも一つの標識において反射され
たビームは、無線電力受信デバイスから無線電力供給デバイスへ、スキャンビームとは反
対の方向に進行する。
【0073】
最終的に、上述したシステムのいずれも、少なくとも一つの標識の検出を目的として視
野をスキャンするべく適合されたスキャナをさらに含み得る。さらに、送信器はスキャン
ミラーを含み得る。当該送信器は無線電力のビームにより視野をスキャンするように適合
され、当該ビームは少なくとも一つの標識から反射されて当該スキャンビームとは反対の
方向に進行する。かかる状況において、送信器はさらに、反対方向にされたビームを検出
器へと向けるビームスプリッタを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本発明は、図面と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解及び認識される。
【0075】
【
図1A】ビームが反射面に衝突してセンサシステムにより検出される先行技術の電力送信システムの模式的な例示を示す。
【
図1B】
図1Aに示される状況の模式的な例示を示すが、本開示に係るシステムが組み入れられる。反射面に表示されている受信器の画像と直接見られる実際の受信器の画像とが区別される。
【
図2】送信器が部屋全体をカバーするときの部屋の典型的なレイアウトを示す。部屋の中でいくつかのゾーンがマーキングされる。ここには、例えば、送信が許可又は禁止されるエリアを画定する複数のゾーンのコーナーが含まれる。
【
図3A-3C】
図3A~3Cは、対称性であるがゆえに本開示の新規なシステムにとって有用ではない標識の一定数の例を示す。
【
図3D】標識から受信された画像が、直接受信された画像であるか、又は反射後に受信された当該標識の鏡像であるかを決定するべく使用される非対称標識を示す。
【
図3E-3J】
図3E~3Jは、物体の鏡像の概念を例示するための、例えば文字Fの様々な画像を示す。
【
図4】一を超える受信器の位置を示す単一の標識、又は単一の受信器上の一を超えるターゲットを例示する。
【
図5】上に示したもののような標識の検出及び識別のための一定数のセンサが装備された送信器を示す。
【
図6】受信器の一体部分であり、非対称性であり、受信器の中に埋め込まれ、及び光起電セルに対する固定位置に存在する標識を示す。
【
図7】情報をエンコードすることができる高コントラスト標識の一例となるバーコードを示す。
【
図8】本開示に記載されるシステムの典型的な構造を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0076】
最初に、光電力をハンドヘルド携帯デバイスに送信する先行技術のシステムの例を概略
的に示す
図1Aを参照する。送信器は、ミラー又は窓のような反射面におけるビームの反
射ゆえに、誤って受信器位置を識別することがあり、人又は敏感な機器への損傷のリスク
を増大させる。
【0077】
図1Aにおいて、ユーザ14が持つ受信器10は、送信器11の視野内に配置される。
しかしながら、送信器11は、受信器自体10の反射からの受信器10の画像16を窓1
3内に位置特定しているので、システムが電力ビーム12を、識別されたはずの「受信器
」16に、実際の受信器であると信じて送信する許可を与えている。窓が入射ビームの9
0%以上を透過すると、この高い電力が窓15を超えるように進行するので、通り過ぎる
人15に、又は窓13の外側のビーム経路に沿って配置された敏感な機器に損傷を引き起
こし得る。
【0078】
さらに、部分反射窓面13は、そのような大きな電力レベルを取り扱うことができない
ので損傷し、ひいては電力ビームの拡散散乱を引き起こし、又は破損さえし得る。ただし
、この場合、反射ビームがセンサまで戻って消滅し、電力送信の停止及びスキャンモード
への復帰が生じる。送信器はまた、反射性の可燃性表面に誤ってビームを向けることがあ
り、火災関連の損傷のリスクを増大させる。
【0079】
さらに、多数の送信器が使用されるシステムにおいては、直接交差が防止されるシステ
ムであっても、反射されたビームが、異なる送信器によって放出されるビームと交差する
ことがある。これは、意図しない結果、及び危険でさえある結果をもたらし得る。ビーム
が結合されて安全要件が許す以上に強力となり得るからである。さらに、ビームが誤って
意図しない表面に向けられると、その表面によりビームが拡散され、ビームの部屋中への
散乱が生じ得る。代替的に、表面がビームをランダムな方向に分割し、敏感な物体又は機
器に意図しない損傷を生じさせることもある。
【0080】
すなわち、完全反射か部分のみの反射かにかかわらず、いずれの反射面も、とりわけ、
ミラー、人、動物及びカメラの虹彩、ガラス面、金属面、及び敏感な機器も、ビームが誤
ってそれらに向けられた場合に危険な状況を呈し得る。
【0081】
ここで、有利なシステムの例を概略的に例示する
図1Bを参照すると、送信器が、実際
の受信器位置から反射又は受信された光と、誤った受信器位置を生成する受信器の虚像か
ら受信された光とを正確に区別することができる。
【0082】
図1Bに示される実施形態において、受信器10に非対称形状を有する標識17aが装
備される。これにより、当該形状の画像がどのように回転、傾斜、拡大、縮小、又はトリ
ミングされるかにかかわらず、その鏡像から区別できるようになる。送信器11が、反射
窓ガラス17内の形状17bとして示される標識13aの反射の画像を検出すると、シス
テムの画像処理ルーチンは、検出されている画像17bが、実際の受信器から予測される
許容可能な画像形状のいずれにもマッチしないと決定し、実際の受信器がその位置に配置
されていないことを正確に識別する。システムは、識別された画像を、標識のデータベー
スと比較し、回転及び/又は拡大させ、及び/又は傾斜させ、及び/又は受信した画像を
トリミングすることによって、これを行うことができる。
【0083】
代替的に、送信器は、所定のアルゴリズムに基づいて、受信画像のハッシュ又は他の表
現を計算してよい。データベースは、デジタル署名、ハッシュ、座標に関連付けられた数
値、又は標識の幾何学的特性を表す他のデータの形態での標識の表現を包含し得る。送信
器が受信した画像が、反射されている標識の画像である場合、当該標識の非対称性ゆえに
標識マッチングアルゴリズムによってマッチングは発見されず、ひいては、その鏡像の表
現が、安全な標識のデータベースに存在しないこととなる。
【0084】
すなわち、送信器は、標識17bの反射画像を無視し、反射面13から画像17bへの
危険な送信を防止する。送信器は、標識17aを、送信器11との直接的な視線を有する
受信器の実際の位置として正確に識別すべきであり、それにより、ビーム12を直接受信
器10に向けることができる。
【0085】
ここで、電力送信のために好まれる又は禁止されるエリアを画定するべく、どのように
して認識可能な標識が使用され得るかを示す
図2を参照する。
図2は、部屋全体をカバー
するべく意図された送信器23を有する部屋の典型的な平面レイアウトを示す。いくつか
の異なるゾーンが部屋の中にマーキングされる。この例において、2つの充電ゾーン22
B、22C、及び一つの非充電ゾーン22Aが示され、これらの各ゾーンは、当該ゾーン
のエリア内で、又はその端、境界若しくはコーナーを画定するべく、一以上の標識により
マーキングされ得る。
【0086】
すなわち、ゾーン22Aは、当該ゾーンの中心に配置された標識24Aを有するように
示される。ゾーン22Aは非充電ゾーンであり、これは、とりわけ、スリープエリア、格
納エリア、又は受信器が通常は配置されないエリアを表し得る。送信器は、標識の識別に
よってゾーンのエリアを識別し、及び/又はゾーンの範囲若しくは周囲が標識に関連付け
られる。それゆえ、送信器には、かかる標識を検出すると、それに応じてその送信を修正
すべきであることが知らされる。
【0087】
ゾーン22Bは、4つのコーナーすべてが、標識24B、25B、26B及び27Bを
使用して送信器にとって識別可能となる充電ゾーンを例示する。これは、送信器が、単一
のゾーンに関連付けられた一を超える標識の一画像を取得することによってゾーンを識別
し、ひいては、そのゾーンの面積を計算し、又はこれらの標識の配置に基づいてそのゾー
ンのパラメータ及び周囲を画定することができる一実施形態を示す。
【0088】
ゾーン22Cは、会議室、オフィス、食堂、又は受信器が配置されることが多い部屋を
表し得る充電ゾーンとして示される。複数の標識が、部屋内に配置された複数の受信器の
予想される周波数、及び/又は受信器がゾーン内に配置される推測パターン若しくはセッ
トアップを表し得る。例えば、一の標識が、推測される受信器が置かれている場所、例え
ばテーブルの特定の場所、に関する情報を有する会議室を表し得る。
【0089】
複数のゾーンが、特定のサイズ又は角度サイズの円形、楕円形又は正方形のゾーンの中
心を示す単一の標識によってマーキングされ得る。なお、標識は、標識24Cのようなコ
ーナーを表すだけでなく、他のタイプの閉じた形状も表し得る。開示される他の実装例は
、充電ゾーンの周囲又は面積を画定するために使用される2つ以上の標識であってよい。
本開示の文脈において多角形を説明するとき、様々なタイプの丸みのあるコーナー又は他
の非鋭角コーナー及び湾曲を有する形状のような、2次元又は3次元の任意の他の閉じた
形状を使用してよい。同様に、「コーナー」という用語が使用されるとき、丸みのあるコ
ーナー、又は当該形状の周囲における任意の他の明確な湾曲が言及されてよい。
【0090】
ここで、標識の幾何学的特性の例を示す
図3A~3Jを参照する。
簡略化された例として
図3Aに示される円のような形状の標識が、一単位のサイズ(そ
の直径)と、黒い矢印で示されるその表面に直交する方向の空間角度位置の一次元とを送
信器に与える。
【0091】
他の簡略化された例として
図3Bに示される矢印のような形状の標識が、複数単位のサ
イズ(先端の長さ、幅、サイズ)と、
図3Bにおいて黒い矢印の頭部として示される典型
的には2つ又は3つの方向とを送信器に与える。
【0092】
面ではなく線からなる
図3Cに示される簡略化された矢印も、かかる標識の他の有用な
実装例となり得る。ただし、かかる形状は通常、検出可視性が低く、その有用性は限られ
る。
【0093】
かかる形状により、標識に対するターゲットの位置の識別が許容される。しかしながら
、
図3A、3B及び3Cに示される上記形状のいずれも非対称性ではない。円はその鏡像
とは区別不可能であり、矢印はその回転された鏡像から区別不可能だからである。したが
って、送信器は、ビームが反射された後に受信されたこれらの標識の鏡像を、かかる標識
から直接受信された画像と区別することができない。
【0094】
ここで、受信器に配置されてその位置及び方向によって、光セル31が置かれている受
信器上の場所を示す非対称標識33の例を示す
図3Dを参照する。非対称標識33は、そ
の鏡像から区別可能である。かかる標識により、システムは、標識が直接見られているの
か、又は鏡に反射された後に見られているのかを決定することができる。
【0095】
非対称形状に関し留意すべきなのは、
図3Dに示される形状を含む多くの2次元形状が
、3次元までで回転する場合、それらが見られる方向に応じて、それらの鏡像と同一とな
り得ることである。これは、形状を
図3Dの図面平面の反対側から見た場合、すなわち標
識を含む材料を通して見る場合にそうなる。しかしながら、かかる形状は、標識が典型的
に表面に付着されて標識の裏側へのアクセスが存在しない本開示の実際的な実装例におい
て、固定された視野を有するカメラ又は感知システムを使用して標識が見られ、標識が置
かれる平面の片側からのみ標識が撮像されるので、
図3Dのような形状は、本開示の文脈
において完全に非対称とみなすことができる。システムは、
図3Dに示される非対称標識
のタイプを、その受信画像が標識から直接受信された画像であるか、又は標識の鏡像であ
るかを決定するべく使用し得る。
【0096】
ここで、一例としての文字Fの様々な画像を示す
図3E~3Jを参照する。本開示にお
いて使用及び請求される標識の鏡像の概念が例示される。
【0097】
図3Eに示されるように、標識の元の非反射画像は、直立した大文字「F」の形状であ
る。受信画像を、撮像される元の標識、物体又はパターンの表現と比較することは、画像
への回転、傾斜及び拡大のいずれか又はすべての操作を必要に応じて最初に実行した後で
あって、元の標識パターンの直接画像又は元の標識パターンのトリミングされた直接画像
との比較の前に、行う必要があり得る。回転は、3次元画像の3つの座標軸のうちの一以
上において行うことができる。
【0098】
検出された標識の画像は、当該画像を2次元視野内の正しい回転配向にするべく、画像
平面から突出する軸まわりに単純に90°回転する必要がある。加えて、元の直立した文
字「F」、すなわち元の標識パターン、を得るべく横方向の拡大のみが必要とされてよい
。
【0099】
図3Fにおいて、傾斜、回転及び拡大は、画像をその元のパターンにマッチさせるべく
必要になる。よって、元の直立した文字「F」、すなわち
図3Eに示される元の標識パタ
ーン、との比較手順の間に、文字Fの比較対象ソース画像に平行な平面上に現れるまで画
像を傾斜させ、次にそれが直立するまで回転させ、次にその寸法がパターンにマッチする
までサイズを増大させる必要がある。
【0100】
図3Gにおいて、元の直立した文字「F」、すなわち元の標識パターン、に適合させる
には、回転、傾斜、及び場合によっては拡大もが必要となる。
【0101】
図3Hにおいて、前述した3つの操作に加えて、データベースからの元のパターンのト
リミングが、比較手順の間に必要となる。
【0102】
文字「F」の上記表現のすべては、ソース直立型文字Fの元のパターンとの完全なマッ
チをもたらし得る。
【0103】
他方、
図3I及び3Jに示される画像に関しては、これらの画像に対して回転、傾斜又
は拡大を実施しても元の直立した文字Fが得られないことは明らかである。
図3I及び3
Jにおける画像は、元の文字Fの鏡像だからである。したがって、元の直立した文字「F
」を得るには、画像を反転させる必要がある。
【0104】
標識は、照射されるターゲットに近接して見出される非対称パターンからなってよい。
標識はまた、その鏡像とは異なる対称パターン、例えば、フリーズ(Friese)パタ
ーン又は他の反復パターンを含んでよい。標識上の一点から受信器までの、詳しくは受信
器内に配置されたPVセルまでの、方向及び距離は、外部ソースから送信器にとって既知
である必要があり、又はバーコードの使用により最も便利にパターン自体にエンコードさ
れていてもよい。
【0105】
典型的には標識により、送信器は、当該送信器が受信器の位置を推定することを許容す
る少なくとも一つの、好ましくは一つを超える、方向及びサイズを決定することができる
。典型的には標識により、送信器は、当該標識が関連付けられた受信器の位置を決定する
ことを許容する少なくとも一つの、好ましくは一つを超える、方向及び距離を決定するこ
とができる。例えば、標識が、ターゲットが当該標識から30mmに一定の画定された方
向に存在することを示し得る。システムはまた、送信器からの識別及び距離を確認するべ
く、この形状の標識の推測されるサイズ、例えば5×5mm、を決定し得る。この情報は
、例えば、データベースで検索することにより、又は標識自体のデータをエンコードする
ことにより見つけることができる。標識は、送信器により異なるレンジから見られるので
、その結果、送信器の撮像デバイス上の標識のサイズが異なる。しかしながら、ターゲッ
トの正確な位置は、標識の座標系、すなわち、画像をデコードするのに必要な傾斜の量を
決定することにより行われるその前方向、左右方向及び上下方向、並びに画像をデコード
するのに必要なズームの量によって決定されるそのサイズ、を決定することによって計算
することができる。そして、ひとたび標識の方向がわかり、かつ、受信器上のターゲット
に到達するために取るべき正しいステップの範囲と方向がわかれば、ターゲットの位置を
容易に計算することができる。
【0106】
図4に示される他の実装例によれば、単一の標識43が、一を超える受信器41及び4
2、又は単一の受信器上の一を超える光セルの位置を表し得る。したがって、一つの送信
器が、一の標識から既知の距離に存在する当該受信器へ2つのビームを向けることができ
、又は2つの送信器を使用して、かかる一の標識に関連付けられた当該受信器に2つのビ
ームを放射することができる。一の標識が多数の受信者及びそれらの位置を表し得ること
、又は複数の標識が単一の受信器のみを表し得ることは明らかである。
【0107】
標識は他のタイプの情報を含むことができる。例えば、受信器の機種及びモデル、電力
性能、電力需要、識別、連絡先アドレス、並びに他のタイプの情報である。
【0108】
ここで、かかる標識53の検出及び識別のための一定数のセンサ55を備えた送信器5
1を示す
図5を参照する。かかるセンサの各一つは、標識55内でエンコードされたデー
タの少なくとも一部分を識別することができ、典型的には、データを解釈し、それに応じ
て動作するコントローラ52又はCPUへと転送することができる。
【0109】
ほとんどのアプリケーションにおいて一つのセンサで十分であるが、一を超えるセンサ
を有することにより、誤った検出の可能性が低減され、一般に、標識の検出性が改善され
る。代替的に、各センサが、標識の同じ部分を検出して結果を、冗長性を目的として比較
してよい。
【0110】
センサは、無線電力供給システムの一部であり、送信器の中に埋め込まれることによっ
て、又は送信器との無線若しくは有線接続によって、及び/又は双方ともが共通のコント
ローラ若しくは他のデバイスを有することによって、送信器に接続されてよい。
【0111】
受信器標識面積は少なくとも
【数3】
にする必要があるので、センサの数を増加させることによって、受信器に関連付けられた
標識の必要サイズの減少、又は検出能力増加が許容される。良好な検出性は典型的に、標
識面積が、例えば
【数4】
よりも大きくなる場合に達成される。
又は、いくつかの極端な場合には
【数5】
よりも多くてもよい。
【0112】
大きなサイズの標識を使用することにより、スキャン時間が著しく短縮され、例えば、
赤ちゃんのベビーベッドのような電力送信が禁止される領域の境界をマーキングすること
のような、ユーザが標識を適用するアプリケーションにおける標識の適用が容易となる。
携帯電話のようなモバイルデバイスにおいては、小さなサイズの標識を使用できるように
設計することができる。
【0113】
送信器は典型的に、時間tの間に標識から情報を収集する。tは少なくとも
【数6】
又はlog
10 値を使用した同等の表現若しくはそのlog
10形式では
【数7】
ここで、
センサ立ち上り時間は、システムが標識に向けられていないときに生成される出力値と
、システムが標識に向けられているときに生成される出力値との間で、いずれかのセンサ
の出力が少なくとも20%、好ましくは50~90%だけ変化する最短時間である。
センサ立ち下がり時間は、システムが標識に向けられたときに生成される出力値と、シ
ステムが標識に向けられていないときに生成される出力値との間で、いずれかのセンサの
出力が少なくとも20%、好ましくは50~90%変化する最短時間である。
値[RMS信号
標識関連]は、システムが標識又はその一部に向けられたときに任意の
センサによって生成される信号の最大RMSである。
値[RMS信号
識非標関連]は、システムが標識に向けられていないときの、いずれか
のセンサにより生成された信号の最小RMSである(典型的には環境にわたっての平均と
なる)。
信号が当該時間t以上にわたって積分及び収集された後、送信器は、標識が命令若しく
は情報標識であるか否かを決定してその内容を解釈するように構成され、又はそれが無効
な標識であるか否かを決定するように構成される。
【0114】
ここで、標識63を示す
図6を参照する。この標識は非対称性であり、受信器61に埋
め込まれている。この標識は、送信器が放射するビームのターゲットとなり得る光起電セ
ルに対して固定位置に存在する。かかる標識により、受信器を有効受信器として肯定的に
識別することが許容される。
【0115】
ここで、情報をエンコードし得る高コントラスト標識の一例であるバーコードを示す図
7を参照する。本開示において使用される一つの典型的な慣例によれば、高コントラスト
という用語は、センサが標識の一部分を見るときのRMS信号が、センサが「無標識」を
見るときのRMS信号よりも少なくとも1.3倍大きいことを意味すると理解される。
用語[RMS信号標識関連]は、システムが標識又はその一部に向けられたときに任意
のセンサによって生成される信号の最大RMSである。
用語[RMS信号標識非関連]は、システムが標識に向けられていないときの、いずれ
かのセンサにより生成された信号の最小RMSである(典型的には環境にわたっての平均
となる)。
【0116】
ここで、本開示に記載されるタイプのシステムの典型的な構造の例を示す
図8を参照す
る。ビーム放出器82はビーム85を放出する。ビーム85は、ビーム操舵デバイス86
を使用して受信器80に向けられる。標識87は、受信器上/受信器内に配置され、又は
受信器の位置に関連付けられる。標識のソース又は標識自体が、RF放出器、発光体、光
反射器、光再帰反射器、又は超音波放出器から構成されてよい。
【0117】
送信器が、受信器を識別するべくビーム85により部屋をスキャンする場合、標識87
から放出された信号88、又は入射ビームが標識から反射されたことにより生じる標識の
画像が、受信器86から送信器81へと、探索ビームとは反対の方向88に進行する。こ
の信号88は典型的に、ビームスプリッタ83を使用して送信ビームから分離された後に
一の又は複数の検出器84へと向けられる。信号は、受信器の位置の識別を可能にし、受
信器が有効受信器であることを確認するように設計される。送信器はまず、無線電力供給
を開始するべくビームを放出する前に、標識によって放出された信号を明確に識別する必
要がある。標識の肯定的な識別の後、レーザを敏感な物体に向けるリスクが著しく低減さ
れる。いくつかの場合、送信器は、識別された受信器にビームを向けることができ、ひい
ては、安全な無線電力送信が保証される。
【0118】
当業者にわかることだが、本発明は、上述した特定的に図示及び記載したものに限定さ
れない。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴のコンビネーション及びサブコン
ビネーション双方と、当業者が上記説明を読んで想到するが先行技術ではない変形例及び
修正例とを含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム放出器及びスキャナを含む無線電力供給システムからのビームを安全に少なくとも一つの電力受信デバイスへ向ける方法であって、
(a)前記無線電力供給システムを使用して少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられた少なくとも一つの非対称特性を有する少なくとも一つの標識の検出のために視野をスキャンすることと、
(b)標識マッチングアルゴリズムを使用して、前記少なくとも一つの標識を、少なくとも一つの電力受信デバイスに関連付けられた標識の表現を含むデータベースから取得された標識の少なくとも一つの表現と比較することと、
(c)前記比較が、前記検出がされた標識が得られたスキャンポーズから向けられたビームが反射されていないことを示す場合、前記電力受信デバイスと前記無線電力供給システムとの間に直接的な視線が示されることと、
(d)その後、無線電力の少なくとも一つのビームを前記少なくとも一つの電力受信デバイスへ向けることを可能にすることと
を含む、方法。
【外国語明細書】