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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056698
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】情報端末及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/913 20060101AFI20240416BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20240416BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20240416BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20240416BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20240416BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N5/913
H04N5/77 200
H04N5/765
H04N5/91
H04L9/32 200A
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005671
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2023559147の分割
【原出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2022163270
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522398496
【氏名又は名称】株式会社サボラミ
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和典
(57)【要約】
【課題】 エクスポートした画像データ又は音声データについて容易にオリジナル画像又はオリジナル音声を証明することができる情報端末及びプログラムを提供する。
【解決手段】 制御部11が、カメラ14で撮影された画像又はマイク15から入力された音声を記憶部12に画像データ又は音声データとして記憶し、画像データ又は音声データのハッシュ値を演算し、ハッシュ値をハッシュ値リストに追加し、画像データ又は音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成し、画像データ又は音声データをエクスポートする際に、インデックスを画像データとしてハッシュ値を演算し、画像データ又は音声データ、インデックスの画像データ及びインデックス画像のハッシュ値をエクスポート先にエクスポートする情報端末である。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、記憶部と、表示部と、カメラと、マイクとを備える情報端末であって、
前記制御部は、
前記カメラで撮影された画像又は前記マイクから入力された音声を前記記憶部に画像データ又は音声データとして記憶すると共に前記画像データ又は前記音声データに対してハッシュ値を演算し、
前記ハッシュ値をハッシュ値リストに追加し、
前記画像データ又は前記音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成し、
記インデックスを画像データとしてインデックス画像のハッシュ値を演算する情報端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記記憶部の画像データ又は音声データが削除されても、ハッシュ値リストを削除しないよう制御する請求項1記載の情報端末。
【請求項3】
前記制御部は、ハッシュ値リストをスクリーンショットで撮影可能とした請求項1又は2記載の情報端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記ハッシュ値リストに前記インデックス画像のハッシュ値を追加し、前記画像データ又は前記音声データ、前記インデックスの画像データ及び前記インデックス画像のハッシュ値をエクスポート先にエクスポートし、前記スクリーンショットで撮影したハッシュ値リストを前記エクスポート先に出力する請求項3記載の情報端末。
【請求項5】
制御部と、記憶部と、表示部と、カメラと、マイクとを備える情報端末で動作するアプリケーションプログラムであって、
前記情報端末を、
前記カメラで撮影された画像又は前記マイクから入力された音声を前記記憶部に画像データ又は音声データとして記憶すると共に前記画像データ又は前記音声データに対してハッシュ値を演算させ、
前記ハッシュ値をハッシュ値リストに追加させ、
前記画像データ又は前記音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成させ、
記インデックスを画像データとしてインデックス画像のハッシュ値を演算させるよう機能させるプログラム。
【請求項6】
前記情報端末を、
前記記憶部の画像データ又は音声データが削除されても、ハッシュ値リストを削除しないよう制御させる請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記情報端末を、
ハッシュ値リストがスクリーンショットで撮影可能とした請求項5又は6記載のプログラム。
【請求項8】
前記情報端末を、
前記ハッシュ値リストに前記インデックス画像のハッシュ値を追加し、前記画像データ又は前記音声データ、前記インデックスの画像データ及び前記インデックス画像のハッシュ値をエクスポート先にエクスポートし、前記スクリーンショットで撮影したハッシュ値リストを前記エクスポートに出力させる請求項7記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを備える情報端末に係り、特に、撮影した画像が改ざんされていないオリジナル画像であることを証明できる情報端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の技術としては、画像の改ざんを検出するためにハッシュ値を用いることがある。
但し、改ざん防止のためには、専用のソフトウェアを用いて画像の記録を行う必要があり、更に、改ざんを検出する専用のソフトウェアが必要であった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2008-016933号公報「証明書発行検証システム」(特許文献1)、特開2008-016934号公報「画像形成装置、文書管理装置」(特許文献2)、特開2008-099098号公報「デジタル撮影機器」(特許文献3)、特許第5458713号公報「認証装置、認証方法、認証プログラム」(特許文献4)がある。
【0004】
特許文献1には、証明書の印刷データから生成されたハッシュ値を証明書の画像取得データから抽出して、証明書の真正の検証に用いるシステムが示されている。
特許文献2には、印刷データ全体のハッシュ値が印刷者の秘密鍵で暗号化され、印刷者の公開鍵と電子透かしが画像に重畳され、改ざん困難な付加情報を埋め込む装置が示されている。
【0005】
特許文献3には、カメラで撮影した画像データからハッシュ値を生成し、そのハッシュ値から秘密鍵と公開鍵を生成し、秘密鍵とPCの公開鍵で画像データを暗号化する機器が示されている。
特許文献4には、認証を要求する利用者から入力されたブロック識別情報で識別される認証用情報ブロックに認証情報が含まれる場合に認証成功と処理する装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-016933号公報
【特許文献2】特開2008-016934号公報
【特許文献3】特開2008-099098号公報
【特許文献4】特許第5458713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、画像のハッシュ値を用いて改ざん画像を検出するものはあるが、情報端末に保存している画像データについて容易にオリジナル(改ざんされていない原本)であることを証明できないという問題点があった。
【0008】
尚、特許文献1~4には、保存された画像が改ざんされたものでなくオリジナル画像であることを容易に証明する構成についての記載がない。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであり、保存された画像データについて改ざんされていないオリジナル画像であることを容易に証明することができる情報端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、制御部と、記憶部と、表示部と、カメラと、マイクとを備える情報端末であって、制御部が、カメラで撮影された画像又はマイクから入力された音声を記憶部に画像データ又は音声データとして記憶すると共に画像データ又は音声データに対してハッシュ値を演算し、ハッシュ値をハッシュ値リストに追加し、画像データ又は音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成し、インデックスを画像データとしてインデックス画像のハッシュ値を演算する。
【0011】
本発明は、上記情報端末において、制御部が、記憶部の画像データ又は音声データが削除されても、ハッシュ値リストを削除しないよう制御する。
【0012】
本発明は、上記情報端末において、制御部が、ハッシュ値リストをスクリーンショットで撮影可能としたものである。
【0013】
本発明は、上記情報端末において、制御部が、ハッシュ値リストにインデックス画像のハッシュ値を追加し、画像データ又は音声データ、インデックスの画像データ及びインデックス画像のハッシュ値をエクスポート先にエクスポートし、スクリーンショットで撮影したハッシュ値リストをエクスポート先に出力する。
【0014】
本発明は、制御部と、記憶部と、表示部と、カメラと、マイクとを備える情報端末で動作するアプリケーションプログラムであって、情報端末を、カメラで撮影された画像又はマイクから入力された音声を記憶部に画像データ又は音声データとして記憶すると共に画像データ又は音声データに対してハッシュ値を演算させ、ハッシュ値をハッシュ値リストに追加させ、画像データ又は音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成させ、インデックスを画像データとしてインデックス画像のハッシュ値を演算させるよう機能させる。
【0015】
本発明は、上記プログラムにおいて、情報端末を、記憶部の画像データ又は音声データが削除されても、ハッシュ値リストを削除しないよう制御させる。
【0016】
本発明は、上記プログラムにおいて、情報端末を、ハッシュ値リストがスクリーンショットで撮影可能としたものである。
【0017】
本発明は、上記プログラムにおいて、情報端末を、ハッシュ値リストにインデックス画像のハッシュ値を追加し、画像データ又は音声データ、インデックスの画像データ及びインデックス画像のハッシュ値をエクスポート先にエクスポートし、スクリーンショットで撮影したハッシュ値リストをエクスポートに出力させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御部と、記憶部と、表示部と、カメラと、マイクとを備える情報端末であって、制御部が、カメラで撮影された画像又はマイクから入力された音声を記憶部に画像データ又は音声データとして記憶すると共に画像データ又は音声データに対してハッシュ値を演算し、ハッシュ値をハッシュ値リストに追加し、画像データ又は音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成し、インデックスを画像データとしてインデックス画像のハッシュ値を演算する情報端末としているので、インデックス画像のハッシュ値とハッシュ値リストのインデックス画像のハッシュ値とを比較すれば、画像データ又は音声データが改ざんされたか否かを判定でき、オリジナル画像又はオリジナル音声を容易に検出できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本端末の構成ブロック図である。
図2】ハッシュ値一覧画面の例を示す図である。
図3】新たなハッシュ値一覧画面の例を示す図である。
図4】アルバムの一覧画面の例を示す図である。
図5】選択画像の表示例を示す図である。
図6】本アプリのハッシュ値保持の処理を示すフロー図である。
図7】本アプリのオリジナル画像証明の処理を示すフロー図である。
図8】インデックスの表示例を示す図である。
図9】ハッシュリストの表示例を示す図である。
図10】インデックス画像のハッシュ値のファイルの表示例を示す図である。
図11】PC内の格納イメージを示す図である。
図12】別の実施の形態の処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るアプリケーションプログラム(本アプリ)は、撮影された画像のオリジナル(改ざんされていない原本)を証明するためのものであり、画像を情報端末で撮影すると、撮影された画像データからハッシュ値を演算し、当該ハッシュ値を画像データのファイル名とし、更に、当該ハッシュ値を一覧表示のリストに加え、ハッシュ値の個数が特定数となると、当該一覧表示画面(一覧画面)をハッシュ値リスト画像データとして撮影画像に変換して、一覧画面をリセットし、更に、変換したハッシュ値リスト画像データについてハッシュ値を演算し、当該画像のファイル名として、新たなハッシュ値の一覧画面に登録するものであり、最新のハッシュ値の一覧が表示され、過去の一覧画面はハッシュ値リスト画像データとして保存されるので、保存している画像データについて、ハッシュ値の一覧画面とハッシュ値リスト画像データで撮影画像のオリジナルを容易に証明できるものである。
【0021】
[本端末:図1
まず、本アプリが動作する情報端末(本端末)について図1を参照しながら説明する。図1は、本端末の構成ブロック図である。
本端末は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、カメラ14と、マイク15と、通信部16とを備え、記憶部12にインストールされた本アプリが制御部11で動作して、各種機能を実現している。
本端末は、カメラ14を備えるスマートフォン、タブレット、ノートPC、デジタルカメラが想定される。
【0022】
制御部11は、マイクロプロセッサであり、本アプリを起動して後述する各種処理を実行する。
記憶部12は、本アプリのプログラムを記憶すると共に、撮影した静止画又は動画の画像データ、ハッシュ値一覧のテキストデータ、その一覧画面を画像変換したハッシュ値リスト画像データを記憶している。
【0023】
記憶部12としては、内部メモリを想定しているが、取り出し可能なマイクロSD等のメモリに画像データ等を記憶するようにしてもよい。
また、画像データ等をネットワークのクラウドのストレージに記憶させるようにしてもよい。
尚、ハッシュ値一覧のテキストデータは、ハッシュ値の追加はできるものの、ハッシュ値の改ざんはできないよう本アプリによってプロテクトされている。
【0024】
表示部13は、撮影された画像データ、ハッシュ値一覧画面データ(ハッシュ値一覧のテキストデータ)、ハッシュ値リスト画像データ、アルバムのサムネイル画像データを表示する。
カメラ14は、静止画及び動画を撮影し、記憶部12に記憶する。尚、本アプリは、カメラ14を動作させるカメラアプリと連動する。尚、本アプリがカメラアプリの機能を備えるものであってもよい。
マイク15は、音声を入力し、撮影された音声データが記憶部12に記憶される。
通信部16は、本端末をネットワーク接続するためのもので、画像データをクラウドのストレージに記憶させることが可能となる。
【0025】
[機能実現手段]
本アプリのプログラムによって実行される機能実現手段について説明する。
機能実現手段としては、第1のハッシュ値演算手段と、第1の表示手段と、第2のハッシュ値演算手段と、第2の表示手段と、アルバム記録手段と、オリジナル画像証明(改ざん検出)手段とがある。
【0026】
[第1のハッシュ値演算手段]
第1のハッシュ値演算手段は、カメラ14で撮影された画像データ(静止画、動画)、またはマイク15で録音された音声データからハッシュ値を演算するもので、請求項の第1の演算手段に相当する。尚、画像(静止画又は動画)データ又は音声データを「画像データ等」と記載することがある。
ここで、静止画又は動画の場合は、画像データからハッシュ値を演算し、音声の場合は、音声データからハッシュ値を演算するものである。
尚、画像データは画像用のフォルダに記憶され、音声データは音声用のフォルダに記憶されるものである。
【0027】
[第1の表示手段:図2
第1の表示手段は、図2に示すように、演算されたハッシュ値を表示部14の表示画面に一覧で表示するもので、請求項の第1の表示手段に相当する。一覧画面で表示されるハッシュ値の個数は、特定数、例えば、10個に限定している。また、一覧画面は、改変ができないよう本アプリがプロテクトしている。
尚、図2は、ハッシュ値一覧画面の例を示す図である。図2では、撮影した画像について、撮影日時、サムネイル画像及びハッシュ値が表示されている。
但し、音声データは、画像データとは別の音声用のフォルダに記憶されるので、一覧画面は音声専用のものを第1の表示手段が生成するものである。
【0028】
[第2のハッシュ値演算手段]
第2のハッシュ値演算手段は、ハッシュ値の一覧画面でのハッシュ値の個数が特定数になると、その一覧画面をスクリーンショットで撮影したPNG又はJPEGなどの当該画像のハッシュ値を演算するもので、請求項の第2の演算手段に相当する。この変換した画像を「ハッシュ値リスト画像データ」と呼ぶ。
【0029】
[第2の表示手段:図3
第2の表示手段は、ハッシュ値リスト画像データが生成された後にハッシュ値一覧画面を削除してリセットし、新たなハッシュ値一覧画面を生成すると共に、図3に示すように、第2のハッシュ値演算手段で演算された、ハッシュ値リスト画像データのハッシュ値を新たなハッシュ値一覧画面の先頭に表示(登録)するもので、請求項の第2の表示手段に相当する。
第2の表示手段は、画像データだけでなく音声データについても新たなハッシュ値一覧画面を生成するものである。
【0030】
尚、図3は、新たなハッシュ値一覧画面の例を示す図である。図3では、先頭に、生成されたハッシュ値リスト画像データについて、撮影日時、サムネイル画像及びハッシュ値が表示されている。
そして、当該先頭の下には、撮影画像について、撮影日時、サムネイル画像及びハッシュ値が9個入ることになる。
【0031】
[アルバム記録手段:図4,5]
アルバム記録手段は、撮影画像をアルバムに記憶するもので、図4では、撮影画像のサムネイル画像の一覧が表示されている。図4は、アルバムの一覧画面の例を示す図である。
尚、アルバムの一覧画面には、10枚毎に1枚のハッシュ値リスト画像データのサムネイル画像が含まれている。つまり、10枚の画像の内、1枚がハッシュ値リスト画像データのサムネイル画像で、残り9枚が撮影画像のサムネイル画像である。
図4では、ハッシュ値リスト画像データのサムネイル画像が、第1行第2列(上側中央)と第4行第3列(下側右端)に表示されている。
【0032】
また、アルバム記録手段は、一覧画面から特定の画像が選択されると、図5に示すように、その特定画像を表示すると共に当該画像のハッシュ値も表示するようになっている。図5は、選択画像の表示例を示す図である。
アルバム記録手段は、本端末の記憶部12にアルバムとして画像データ等を記憶してもよいし、クラウドに記憶するようにしてもよい。
但し、音声データについては、アルバムに記憶するものではないため、アルバム記録手段は動作しないものである。
【0033】
[オリジナル画像証明手段]
オリジナル画像証明手段は、記憶部12に記憶された撮影画像又は録音音声(撮影画像等)についてオリジナル画像又はオリジナル音声(オリジナル画像等)か否か(改ざんされた画像又は音声か否か)を検出するもので、請求項の証明手段に相当する。
具体的には、オリジナル画像証明手段は、撮影画像等について改めてハッシュ値の演算を行い、当該ハッシュ値がハッシュ値画像データ又はハッシュ値一覧画面に存在するものであれば、当該画像はオリジナル画像等(改ざんされていないもの)と判定し、存在しなければ当該画像はオリジナル画像等ではない(改ざんされた)ものと判定する。
【0034】
[ハッシュ値保持の処理の流れ:図6
本アプリのハッシュ値保持の処理の流れについて図6を参照しながら説明する。図6は、本アプリのハッシュ値保持の処理を示すフロー図である。尚、図6では、撮影画像について説明するが、録音音声も同様の処理となる。
本アプリと連動するカメラアプリで撮影が行われると、撮影された画像について第1のハッシュ値演算手段でハッシュ値を演算し、第1の表示手段でハッシュ値一覧画面にそのハッシュ値を登録(掲載)する(S1)。
第2のハッシュ値演算手段でハッシュ値一覧画面でのハッシュ値の個数が特定数になったか否かを判定し(S2)、特定数になっていなければ(Noの場合)、処理S1に戻る。
【0035】
特定数になっていれば(Yesの場合)、第2の表示手段でハッシュ値一覧画面をスクリーンショットで撮影して画像化し、当該ハッシュ値一覧画面をリセットする(S3)。
リセットは、ハッシュ値一覧画面のテキストデータを削除し、新たなハッシュ値一覧画面のテキストデータを生成する。当該画像化されたハッシュ値一覧画面は、ハッシュ値リスト画像データである。
【0036】
更に、ハッシュ値リスト画像データのハッシュ値を演算し、新たなハッシュ値一覧画面にその演算されたハッシュ値を登録(掲載)する(S4)。
このようにして、撮影画像に対してハッシュ値を保持し、改ざん検出に必要な事前準備が整うものである。
【0037】
[オリジナル画像証明の処理の流れ:図7
次に、本アプリを用いたオリジナル画像証明の処理の流れについて図7を参照しながら説明する。図7は、本アプリのオリジナル画像証明の処理を示すフロー図である。
前提として、ユーザAが情報端末A(端末A)で本アプリを用いて撮影した画像データ及びハッシュ値リスト画像データから成るアルバムのデータをクラウドにアップロードし、ユーザBが情報端末B(端末B)にインストールされた本アプリで、改ざんが疑わしい画像データをアルバムから選択して、当該画像データがオリジナル画像か否かの証明を行うものである。
【0038】
端末Bの本アプリは、撮影され、クラウドにアップロードされた画像についてオリジナル画像証明(改ざん検出)の処理が開始されると、改ざんが疑わしい画像についてハッシュ値を演算する(S11)。
次に、演算されたハッシュ値がハッシュ値リスト画像データ又はハッシュ値一覧画面に存在するか否かを判定する(S12)。
【0039】
演算されたハッシュ値がハッシュ値リスト画像データ等に存在すれば(Yesの場合)、画像は改ざんされていない(当該画像がオリジナルである)と判定し(S13)、存在しなければ(Noの場合)、画像は改ざんされたものである(オリジナルではない)と判定し(S14)、処理を終了する。判定結果は、端末Bの表示画面に表示される。
以上のように、画像のオリジナル証明(改ざん検出)の処理が為される。
【0040】
オリジナル画像証明の処理は、ユーザAが証拠として提供した画像データについて、ユーザBが疑念を抱いた時に、当該画像データがオリジナル画像か否かをユーザBの端末Bで容易に確認できるものである。
無論、ユーザBは、疑念を抱いた画像データ等についてユーザBの本端末における本アプリでハッシュ値を演算し、その演算されたハッシュ値とクラウドにアップロードされたハッシュ値リスト画像データにあるハッシュ値とを目視によって改ざんを確認してもよい。
【0041】
尚、上記処理では、クラウドには端末Aのアルバムのデータをアップロードするようにしていたが、疑義が生じた画像データと全てのハッシュ値リスト画像データのみをクラウドにアップロードし、当該画像データについての演算されたハッシュ値とハッシュ値リスト画像データに記録されたハッシュ値によって、オリジナル画像か否かを証明するようにしてもよい。
【0042】
[区切り手段]
本アプリにおいて、撮影画像がハッシュ値リスト画像データを含めて10枚に満たない場合には、次のハッシュ値リスト画像データが生成されないため、区切りをつけることができない。
そこで、関連画像の撮影を終了した場合に、その時点でハッシュ値リスト画像データをユーザの操作で生成できるようにする区切り手段を設けるようにすると利便性が向上する。
【0043】
具体的には、本アプリに区切り操作を可能とする機能を設け、当該区切りの機能が選択されると、ハッシュ値リスト画像データと撮影画像が合計10枚未満であっても、ハッシュ値一覧画面を画像化してハッシュ値リスト画像データを生成する。
これにより、オリジナル画像証明には、ハッシュ値一覧画面を確認することなく、全てのハッシュ値リスト画像データを用いて行うことができるようになる。
【0044】
[別の実施の形態:図8~12]
次に、別の実施の形態について説明する。
別の実施の形態における情報端末は、図1に示した本端末と同様の構成であり、記憶部12に記憶された処理プログラムが本アプリと若干異なっている。
また、外部のメモリへデータを書き込むリーダライタ等を接続するインタフェース部を設けるようにしてもよい。
【0045】
ここで、別の実施の形態における上記処理プログラムを別のアプリケーションプログラム(別のアプリ)と呼ぶ。
以下に説明する別のアプリにおける撮影手段、第1のハッシュ値演算手段、インデックス生成手段、第2のハッシュ値演算手段、エクスポート手段は、本アプリのものとは異なっている。
【0046】
制御部11で動作する別のアプリでは、ハッシュ値を書き込むためのハッシュ値リストが生成されるようになっている。
また、ファイルマネージャ等を用いて、静止画及び動画の画像データ(音声データも含む)を格納するアルバムフォルダを生成しておく。
【0047】
そして、別のアプリの撮影手段によりカメラ14で撮影した画像データを当該アルバムフォルダに記憶すると、第1のハッシュ値演算手段が、同時に当該画像データのハッシュ値を演算する。
同様に、別のアプリの録音手段によりマイク15で録音した音声データを当該アルバムフォルダに記憶すると、第1のハッシュ値演算手段が、同時に当該音声データのハッシュ値を演算する。
尚、画像データ又は音声データのファイル名を演算されたハッシュ値に変更してもよい。また、画像データ等のファイルのプロパティのメモ欄に演算されたハッシュ値を書き込むようにしてもよい。
【0048】
第1のハッシュ値演算手段は、生成してあるハッシュ値リストに撮影した画像データのハッシュ値と撮影日時(ハッシュ値生成日時)を時系列に登録する。このハッシュ値リストを「ハッシュリスト(HashList)」と呼ぶ。
尚、録音した音声データの場合は、音声データのハッシュ値と録音日時(ハッシュ値生成日時)を同様にハッシュリストに登録する。従って、ハッシュリストには、画像データと音声データのハッシュ値が混在して登録される。
【0049】
[インデックス:図8
そして、インデックス生成手段が、撮影画像のサムネイル画像とハッシュ値とハッシュ値生成日時を一覧にしたハッシュ値一覧画面を生成する。このハッシュ値一覧画面を「インデックス(index)」と呼んでいる。ここで、インデックスについて図8を参照しながら説明する。図8は、インデックスの表示例を示す図である。
【0050】
インデックスは、図8に示すように、左側に撮影画像のサムネイル画像が、中央にハッシュ値生成日時が、右側にハッシュ値が、一覧で表示される。
音声データが含まれる場合は、音声のサムネイル画像(例えば、予め定められた単色の画像)と、ハッシュ値生成日時と、ハッシュ値が挿入されることになる。
【0051】
[ハッシュリスト:図9
また、第1の表示手段は、ハッシュリストを表示することができる。ハッシュリストについて図9を参照しながら説明する。図9は、ハッシュリストの表示例を示す図である。
ハッシュリストは、図9に示すように、これまで生成されたハッシュ値が生成日時と共に記憶される。ハッシュ値と生成日時は、ハッシュ値が演算される毎に追加される。
ハッシュリストは、追加登録は可能であるが、改ざんと消去は不可となっている。
【0052】
図9において、左側のカッコで示した部分が、図8のハッシュ値を登録した部分である。
更に、ハッシュリストは、エクスポートの際にも別にハッシュ値と生成日時が追加される。その追加されるハッシュ値等は、図9では右下のカッコで示した部分となる。そのエクスポートの処理は後述する。
【0053】
そして、アルバムフォルダ内の画像を他のメディア(別のメモリ)にエクスポートする指示が入力されると、エクスポート手段が、アルバムフォルダ内の画像を別のメモリにエクスポートする。
【0054】
このエクスポートに時に、第2のハッシュ値演算手段が、図8に示したインデックスを一つの画像データとしてハッシュ値を演算し、ハッシュリストに当該ハッシュ値(インデックス画像のハッシュ値)と生成日時を記録する。
尚、インデックス画像のハッシュ値を、静止画又は動画の画像データ(音声データを含む)のハッシュ値と区別するために色を変えて表示するようにしてもよい。
【0055】
[インデックス画像のハッシュ値(allhash)のファイル:図10
また、第2のハッシュ値演算手段は、インデックス画像のハッシュ値だけをファイルに出力する。このファイルを「インデックス画像のハッシュ値(allhash)」のファイルと呼ぶ。インデックス画像のハッシュ値のファイルについて図10を参照しながら説明する。図10は、インデックス画像のハッシュ値のファイルの表示例を示す図である。
allhashのファイルを表示すると、図10に示すように、インデックス画像のハッシュ値と生成日時が表示される。
【0056】
[PC内の格納イメージ:図11
エクスポート手段は、エクスポート先のフォルダに画像データ、index、allhashを格納する。但し、エクスポート手段は、HashListを格納しない。
尚、エクスポート先がパーソナルコンピュータ(PC)である場合について、図11を参照しながら説明する。図11は、PC内の格納イメージを示す図である。
PC内では、図11に示すように、複数の撮影された画像データと、indexと、allhashとがエクスポートされて格納される。図11では、allhashのテキストデータを開いた状態も示している。
【0057】
エクスポートされた画像の改ざんの有無を判定する際は、エクスポート先のallhashの値と本端末内にあるHashListのインデックス画像のハッシュ値を比較して一致していれば、改ざんされておらず、不一致であれば、改ざんされたと判定できる。
【0058】
エクスポート先で改ざんの判定を行うために、HashListをスクリーンショットで撮影し、当該スクリーンショットの画像をエクスポート先に提供して判定させるようにしてもよい。
また、エクスポート先で、スクリーンショットで撮影されたHashListのインデックス画像のハッシュ値とallhashのハッシュ値とを照合して、一致又は不一致を判定するアプリケーションを用いて改ざんの有無を判定し、オリジナル画像又はオリジナル音声であることを証明するようにしてもよい。
【0059】
[別の実施の形態の処理フロー:図12
次に、別の実施の形態の処理について図12を参照しながら説明する。図12は、別の実施の形態の処理を示すフロー図である。
本端末は、別のアプリを制御部11で動作させることで、図12に示すように、カメラ14で撮影された画像又はマイク15から入力された音声を記憶部12に画像データ又は音声データとして記憶する(S21)。
【0060】
そして、制御部11は、画像データ又は音声データに対して第1のハッシュ値演算手段でハッシュ値を演算し、ハッシュリスト(HashList)に追加する(S22)。
更に、インデックス生成手段が、画像データ又は音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックス(index)を生成する(S23)。
【0061】
次に、ユーザの操作によって別のメモリにエクスポートする指示が入力されたか否かを判定し(S24)、入力されなければ(Noの場合)、処理S21に戻り、入力されたならば(Yesの場合)、indexの画面を画像データとして第2のハッシュ値演算手段が、当該画像データのハッシュ値を演算し(S25)、HashListにインデックス画像のハッシュ値として追加する(S26)。
【0062】
そして、制御部11は、エクスポート手段により画像データ又は音声データ、indexの画像データ、更にインデックス画像のハッシュ値をallhashとしてエクスポート先のメモリに格納する(S27)。
以上のようにして、別の実施の形態の処理が為される。
【0063】
[実施の形態の効果]
本アプリによれば、カメラ14で撮影された画像又はマイク15から入力された音声について制御部11で実現される第1のハッシュ値演算手段でハッシュ値を演算して、第1の表示手段で表示部13にハッシュ値一覧画面を表示し、ハッシュ値一覧画面に表示したハッシュ値の個数が特定数になると、第2のハッシュ値演算手段でハッシュ値一覧画面を画像化して当該画像のハッシュ値を演算して、第2の表示手段で表示部13に新たなハッシュ値一覧画面を表示するようにしているので、オリジナル画像証明手段で改ざんが疑わしい画像又は音声についてハッシュ値を改めて演算し、その演算されたハッシュ値がハッシュ値一覧画面又は画像化したハッシュ値一覧画面に存在すれば、オリジナル画像又はオリジナル音声(改ざんされていない)と判定し、存在しなければ、オリジナル画像又はオリジナル音声ではない(改ざんされている)と判定でき、情報端末に保存している画像データ又は音声データについて、オリジナル画像又はオリジナル音声を容易に検出できる効果がある。
【0064】
別のアプリによれば、制御部11が、カメラで撮影された画像又はマイクから入力された音声を記憶部12に画像データ又は音声データとして記憶すると共に画像データ又は音声データに対してハッシュ値を演算し、ハッシュ値をハッシュ値リストに追加し、画像データ又は音声データのサムネイル画像と、対応するハッシュ値を一覧画面とするインデックスを生成し、画像データ又は音声データをエクスポートする指示が入力されると、インデックスを画像データとしてインデックス画像のハッシュ値を演算し、ハッシュ値リストにインデックス画像のハッシュ値として追加し、画像データ又は音声データ、インデックスの画像データ及びインデックス画像のハッシュ値をエクスポート先にエクスポートする情報端末としているので、エクスポートされたインデックス画像のハッシュ値とハッシュ値リストのインデックス画像のハッシュ値とを比較すれば、エクスポートされた画像データ又は音声データが改ざんされたか否かを判定でき、オリジナル画像又はオリジナル音声を容易に検出できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、保存した画像データ又は音声データについて容易にオリジナル画像又はオリジナル音声を証明することができる情報端末及びプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0066】
11…制御部、 12…記憶部、 13…表示部、 14…カメラ、 15…マイク、 16…通信部
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