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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056700
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】コルヒチン誘導体の方法と使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/165 20060101AFI20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
   C07C 237/08 20060101ALN20240416BHJP
   C07C 233/32 20060101ALN20240416BHJP
   C07C 323/43 20060101ALN20240416BHJP
   C07C 323/41 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
A61K31/165
A61P43/00 121
A61P43/00 105
A61P29/00
A61P19/06
A61P9/00
A61P9/10
A61K45/00
C07C237/08
C07C233/32
C07C323/43
C07C323/41
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006736
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2020573412の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】62/691,807
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520510874
【氏名又は名称】アルバータ ヘルス サービシズ
(71)【出願人】
【識別番号】513225833
【氏名又は名称】ユニベルシテ・ラバル
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE LAVAL
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥジンスキー、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス、マリア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炎症の治療のための化合物および医薬組成物を提供する。
【解決手段】特定のコルヒチン誘導体を含む医薬組成物であり、具体的には、例えば下記構造式で表される化合物が示される。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症の治療のための式Iの化合物:
【化1】

ここで:
ZはO又はSである;
は、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される;
及びRはそれぞれ、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基、置換又は非置換炭素環式基、置換又は非置換複素環基、置換又は非置換芳香族基、又は置換又は非置換ヘテロ芳香族基から独立して選択される;
その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせ。
【請求項2】
及びRがそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換の炭素環式基、又は置換又は非置換の複素環式基から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRがそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ハロアルキル、置換又は非置換ヒドロキシアルキル、置換又は非置換シアノアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換C‐Cアルキルカルボニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルケニル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、置換又は非置換アルキルヘテロアリール、アルキレン‐O‐アルキル、アルキレン‐O‐シクロアルキル、アルキレン‐O‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐O‐アルキレン‐シクロアルキル、又はアルキレン‐O‐アルキレン‐ヘテロシクロアルキルから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記R及びRが、それぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキル、置換又は非置換のC‐Cアルケニル、置換又は非置換のC‐Cアルキルカルボニル、C‐Cアルキレン‐O‐アルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルアリール、又は置換又は非置換アルキルヘテロアリールから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
及びRがそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
及びRがそれぞれ、置換又は非置換アルキル、又は置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
及びRがそれぞれ、置換又は非置換のアルキルから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記R及びRが、それぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキルから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
及びRがそれぞれ、非置換のC‐Cアルキルから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
及びRがそれぞれ、メチル、エチル又はプロピルから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がメチルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
がエチル又はプロピルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が置換又は非置換の炭化水素基である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物
【請求項14】
が、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、又は置換又は非置換アルキニルから選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、置換又は非置換のC‐Cアルキルから選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が非置換C‐Cアルキルから選択される、請求項14に記載の化合物
【請求項17】
がメチル又はエチルから選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がメチルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がOR10であり、R10が置換又は非置換炭化水素基、又は置換又は非置換不均一基から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
10が、置換又は非置換アルキル基、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換ヘテロ芳香族基、置換又は非置換炭素環式基、又は置換又は非置換複素環式基から選択される、請求項19に記載の化合物。。
【請求項21】
10が、置換又は非置換アルキル、CHOH、置換又は非置換ハロアルキル、置換又は非置換ヒドロキシアルキル、置換又は非置換シアノアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルケニル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、置換又は非置換アルキルヘテロアリール、アルキレン‐O‐アルキル、アルキレン‐O‐シクロアルキル、アルキレン‐O‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐O‐アルキレン‐シクロアルキル、又はアルキレン‐O‐アルキレン‐ヘテロシクロアルキルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
10が、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、又は置換又は非置換アルキニルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
10が、置換又は非置換のC‐Cアルキル、又は置換又は非置換のC‐Cアルケニル、又はC‐Cアルキニルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
10が、置換又は非置換のアルキルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
10が、置換又は非置換のC‐Cアルキルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項26】
10が非置換C‐Cアルキルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項27】
10がメチル又はエチルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項28】
10がメチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
が置換又は非置換の不均一基である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
が-CRから選択され、R、R、及びRがそれぞれ、H、置換又は非置換炭化水素基、又は置換又は非置換不均一基から独立して選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
、R、及びRがそれぞれ、置換又は非置換のアミド基から独立して選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
及びRがそれぞれ、H又は置換又は非置換アルキルから独立して選択され、Rが‐NR(CO)CRであり、RがH及び置換又は非置換アルキルから選択され、R、R、及びRはそれぞれ、H、ハロ基、及び置換又は非置換アルキルから選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
、R、及びRがフルオロ基から選択される、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
が‐CHNH(CO)CFである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
ZがOである、請求項1から34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
ZがSである、請求項1から34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
化合物が
【化2】

その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
化合物が
【化3】

その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
化合物が
【化4】

その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
化合物が
【化5】

その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
化合物が
【化6】

その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項42】
化合物が
【化7】

その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
化合物が式I及び/又はその薬学的に許容される塩である、請求項1から42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
C7での配置がS配置である、請求項1から43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
化合物がコルヒチン結合部位でβ‐チューブリンに結合する、請求項1から44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
β‐チューブリンがβ‐VI、β‐V、及び/又はβ‐Iである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
β‐チューブリンがβ‐VIである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
化合物がコルヒチンの結合エネルギーよりも低い結合エネルギーを有する、請求項45から47のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項49】
化合物がコルヒチンよりも毒性が低い、請求項1から48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
化合物がコルヒチンと比較して、より特異的に好中球を標的とする、請求項1から49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
化合物が、コルヒチンよりも低い用量で細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する、請求項1から50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
化合物がコルヒチンより少なくとも約10分の1の用量で細胞内カルシウム濃度の増加を抑制する、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
化合物がコルヒチンの用量よりも約10分の1から約100分の1の用量で細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
化合物が約0.1μMの用量で細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する、請求項1から53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
化合物がコルヒチンよりも低用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、請求項1から54のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
化合物がコルヒチンより少なくとも約10分の1の用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
化合物がコルヒチンの用量よりも約10分の1から約100分の1の用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、請求項55に記載の化合物。
【請求項58】
化合物が約0.1μMの用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、請求項1から57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
炎症性メディエーターが、IL‐8、IL‐1、スーパーオキシド、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項55から58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
化合物が、細胞内カルシウム濃度及び炎症性メディエーター産生のうちの少なくとも1つの阻害に関して単調又は非単調な用量反応を示す、請求項1から50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
炎症性メディエーターが、IL‐8、IL‐1、スーパーオキシド産生、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項62】
化合物が白血球の動員を阻害する、請求項1から61のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項63】
炎症が、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
炎症が好中球によって引き起こされる炎症を含む、請求項62又は63に記載の化合物。
【請求項65】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
好中球によって引き起こされる炎症が心血管疾患に関連している、請求項64に記載の化合物。
【請求項67】
心血管疾患が冠状動脈アテローム性動脈硬化症である、請求項66に記載の化合物。
【請求項68】
好中球によって引き起こされる炎症が痛風に関連している、請求項64に記載の化合物。
【請求項69】
痛風の治療のための、請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項70】
化合物が、尿酸一ナトリウム(MSU)誘発性炎症に応答して免疫機能に対して阻害効果を有する、請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項71】
免疫機能に対する阻害効果が、細胞内カルシウム産生、IL‐1産生、IL‐8産生、スーパーオキシド産生、又はそれらの組み合わせから選択されるメディエーターを介してもたらされる、請求項70に記載の化合物。
【請求項72】
免疫機能が好中球に関するものである、請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
阻害効果がコルヒチンの阻害効果よりも強力である、請求項70から72のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項74】
阻害効果がコルヒチンのそれより少なくとも約10倍大きい、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
阻害効果が約0.1μMの濃度で生じる、請求項70から74のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項76】
心血管疾患の治療のための、請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項77】
心血管疾患が冠状動脈アテローム性動脈硬化症である、請求項76に記載の化合物。
【請求項78】
請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項79】
抗痛風剤をさらに含む、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
抗痛風剤が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、関節内糖質コルチコイド、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、組換え非ヒトウリカーゼ酵素、尿酸排泄促進剤、尿酸排泄剤、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤をさらに含む、請求項78から80のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
組成物が、請求項1から62のいずれか一項に記載の2つ以上の化合物を含む、請求項78から81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
炎症の治療のための、請求項78から82のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
炎症が、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
炎症が好中球によって引き起こされる炎症を含む、請求項83又は84に記載の組成物。
【請求項86】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
好中球によって引き起こされる炎症が心血管疾患に関連している、請求項85に記載の組成物。
【請求項88】
心血管疾患が冠状動脈アテローム性動脈硬化症である、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
好中球によって引き起こされる炎症が痛風に関連している、請求項85に記載の組成物。
【請求項90】
痛風の治療のための請求項78から81のいずれか一項に記載の組成物
【請求項91】
請求項1から62のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の炎症を治療するための方法。
【請求項92】
請求項1から62のいずれか一項に記載の2つ以上の化合物が存在する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
化合物が経口的及び/又は非経口的に投与される、請求項91又は92に記載の方法。
【請求項94】
化合物が静脈内及び/又は腹腔内に投与される、請求項91又は92に記載の方法。
【請求項95】
請求項78から82のいずれか一項に記載の治療有効量の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の炎症を治療するための方法。
【請求項96】
組成物が経口的及び/又は非経口的に投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
組成物が静脈内及び/又は腹腔内に投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
炎症が、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項91から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
炎症が好中球によって引き起こされる炎症を含む、請求項91から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
好中球によって引き起こされる炎症が心血管疾患に関連している、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
心血管疾患が冠状動脈アテローム性動脈硬化症である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
好中球によって引き起こされる炎症が痛風に関連している、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
哺乳動物がヒトである、請求項91から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
哺乳動物の炎症の治療のための、請求項1から62のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物の使用。
【請求項106】
請求項1~62のいずれか一項に記載の2つ以上の化合物が存在する、請求項105に記載の使用。
【請求項107】
化合物が経口的及び/又は非経口的に投与可能である、請求項105又は106に記載の使用。
【請求項108】
化合物が静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である、請求項105又は106に記載の使用。
【請求項109】
哺乳動物の炎症の治療のための、請求項78から82のいずれか一項に記載の治療有効量の組成物の使用。
【請求項110】
組成物が経口的及び/又は非経口的に投与可能である、請求項109に記載の使用。
【請求項111】
組成物が静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である、請求項109に記載の使用。
【請求項112】
炎症が、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項105から111のいずれか一項に記載の使用。
【請求項113】
炎症が好中球によって引き起こされる炎症を含む、請求項105から112のいずれか一項に記載の使用。
【請求項114】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である、請求項113に記載の使用。
【請求項115】
好中球によって引き起こされる炎症が心血管疾患に関連している、請求項113に記載の使用。
【請求項116】
心血管疾患が冠状動脈アテローム性動脈硬化症である、請求項115に記載の使用。
【請求項117】
好中球によって引き起こされる炎症が痛風に関連している、請求項113に記載の使用。
【請求項118】
哺乳動物がヒトである、請求項105から117のいずれか一項に記載の使用。
【請求項119】
請求項1から62のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の痛風を治療するための方法。
【請求項120】
請求項1から62のいずれか一項に記載の2つ以上の化合物が存在する、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
化合物が経口的及び/又は非経口的に投与される、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項122】
化合物が静脈内及び/又は腹腔内に投与される、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項123】
請求項78から82のいずれか一項に記載の治療有効量の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の痛風を治療するための方法。
【請求項124】
組成物が経口的及び/又は非経口的に投与される、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
組成物が静脈内及び/又は腹腔内に投与される、請求項123記載の方法。
【請求項126】
哺乳動物がヒトである、請求項119から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
痛風が慢性痛風及び/又は急性痛風から選択される、請求項119から126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
痛風の治療が、少なくとも1つの痛風症状の治療を含む、請求項119から127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記少なくとも1つの痛風症状が、痛風発作、痛風結節形成、痛風関節炎、痛風関連炎症、及び/又は痛風に関連する関節破壊から選択される、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記少なくとも1つの痛風症状が、痛風炎症及び/又は炎症に関連する疼痛から選択される、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
哺乳動物の痛風の治療のための、請求項1から62のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物の使用。
【請求項132】
請求項1から62のいずれか一項に記載の2つ以上の化合物が存在する、請求項131に記載の使用。
【請求項133】
化合物が経口的及び/又は非経口的に投与可能である、請求項131又は132に記載の使用。
【請求項134】
化合物が静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である、請求項131又は132に記載の使用。
【請求項135】
哺乳動物の痛風の治療のための、請求項78から82のいずれか一項に記載の治療有効量の組成物の使用。
【請求項136】
組成物が経口的及び/又は非経口的に投与可能である、請求項135に記載の使用。
【請求項137】
組成物が静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である、請求項135に記載の使用。
【請求項138】
哺乳動物がヒトである、請求項131から137のいずれか一項に記載の使用。
【請求項139】
痛風が慢性痛風及び/又は急性痛風から選択される、請求項131から138のいずれか一項に記載の使用。
【請求項140】
痛風の治療が、少なくとも1つの痛風症状の治療を含む、請求項131から139のいずれか一項に記載の使用。
【請求項141】
前記少なくとも1つの痛風症状が、痛風発作、痛風結節形成、痛風関節炎、痛風関連炎症、及び/又は痛風に関連する関節破壊から選択される、請求項140に記載の使用。
【請求項142】
前記少なくとも1つの痛風症状が、痛風性炎症及び/又は炎症に関連する疼痛から選択される、請求項140に記載の使用。
【請求項143】
βVI-チューブリン阻害剤を投与することを含む、造血細胞の運動性及び/又は動員を減少させる方法。
【請求項144】
βVI‐チューブリン阻害剤が、請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物である、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
造血細胞が、好中球及び/又は単球などの白血球である、請求項143又は144に記載の方法。
【請求項146】
βVI-チューブリン阻害剤を投与することを含む、炎症を治療する方法。
【請求項147】
βVI-チューブリン阻害剤が、請求項1から62のいずれか一項に記載の化合物である、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
炎症が白血球浸潤に関連している、請求項146又は147に記載の方法。
【請求項149】
白血球浸潤が、好中球及び/又は単球の浸潤を含む、請求項148に記載の方法。
の方法。
【請求項150】
炎症が痛風に関連している、請求項146から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
炎症がアテローム性動脈硬化症に関連している、請求項146から149のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、コルヒチン誘導体、その方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症状態は世界中の何百万もの人々に影響を及ぼしており、標的分子医学はこの分野でより安全でより効果的な薬物と治療法を開発することを目的としている。コルヒチンは、炎症に関与する分子経路を標的とすることができるため、炎症性疾患の治療に広く使用されている抗有糸分裂剤である。たとえば、乾癬性関節炎(P. Seidemann, B. Fjellner, A. Johannesson, J. Rheumatol. 14 (1987) 777-779)及び白血球-細胞破砕性血管炎(J.P. Callen, J. Am. Acad. Dermatol. 13 (1987) 193-200)の治療において有益な効果が報告された。さらに、最近の研究では、コルヒチンが白血球-内皮細胞接着(S.J. Rosenman, A.A. Ganji, W.M. Gallatin, F.A.S.E.B. J. 5 (1991)1603-1609)及びT細胞活性化(Y.A. Mekory, D. Baram, A. Goldberg, A. Klajman, Cell. Immunol. 120 (1989) 330-340)を細胞内チューブリンモノマーに結合することにより阻害し、それらの重合を防止することが示されている(G.O. Borisy, E.W. Taylor, J. Cell. Biol. 34 (1967) 533-548)。
コルヒチンの一般的な用途は、痛風と家族性地中海熱(FMF)の治療である。実際、FMFの患者は通常、生涯にわたるコルヒチン療法を受けている。しかし、コルヒチンの使用は、有効性と治療を制限する副作用との間の治療指数が低いため、依然として困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、薬物の開発、並びに上記の不利な点の少なくとも1つを回避又は軽減する、又は有用な代替物を提供するその使用及び/又は使用方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせが提供される:
【化1】

ここで、ZはO又はSである;Xは、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される。R及びRはそれぞれ、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基、置換又は非置換炭素環式基、置換又は非置換複素環基、置換又は非置換芳香族基、又は置換又は非置換複素芳香族基から独立して選択される。
【0005】
別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換炭素環式基、又は置換又は非置換の複素環式基から独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ハロアルキル、置換又は非置換ヒドロキシアルキル、置換又は非置換シアノアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換C‐Cアルキルカルボニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルケニル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、置換又は非置換アルキルヘテロアリール、アルキレン‐O‐アルキル、アルキレン‐O‐シクロアルキル、アルキレン‐O‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐O‐アルキレン‐シクロアルキル、又はアルキレン‐O‐アルキレン‐ヘテロシクロアルキルから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキル、置換又は非置換のC‐Cアルケニル、置換又は非置換のC‐Cアルキルカルボニル、C‐Cアルキレン‐O‐アルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルアリール、又は置換又は非置換アルキルヘテロアリールから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、又は置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換のアルキルから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキルから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、非置換のC‐Cアルキルから独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれ、メチル、エチル又はプロピルから独立して選択される。別の態様では、Rはメチルである。別の態様では、Rはエチル又はプロピルである。
【0006】
別の態様では、Xは、置換又は非置換の炭化水素基である。別の態様では、Xは、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、又は置換又は非置換アルキニルから選択される。別の態様では、Xは、置換又は非置換のC‐Cアルキルから選択される。別の態様では、Xは、非置換のC‐Cアルキルから選択される。別の態様では、Xはメチル又はエチルから選択される。別の態様では、Xはメチルである。別の態様では、XはOR10であり、R10は、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される。別の態様では、R10は、置換又は非置換アルキル基、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換炭素環式基、又は置換又は非置換の複素環式基から選択される。別の態様では、R10は、置換又は非置換アルキル、CHOH、置換又は非置換ハロアルキル、置換又は非置換ヒドロキシアルキル、置換又は非置換シアノアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルケニル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、置換又は非置換アルキルヘテロアリール、アルキレン‐O‐アルキル、アルキレン‐O‐シクロアルキル、アルキレン‐O‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐O‐アルキレン‐シクロアルキル、又はアルキレン‐O‐アルキレン‐ヘテロシクロアルキルから選択される。別の態様では、R10は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、又は置換又は非置換アルキニルから選択される。別の態様では、R10は、置換又は非置換のC‐Cアルキル、又は置換又は非置換のC‐Cアルケニル、又はC‐Cアルキニルから選択される。別の態様では、R10は、置換又は非置換のアルキルから選択される。別の態様では、R10は、置換又は非置換のC‐Cアルキルから選択される。別の態様では、R10は、非置換のC‐Cアルキルから選択される。別の態様では、R10はメチル又はエチルから選択される。別の態様では、R10はメチルである。
【0007】
別の態様では、Xは、置換又は非置換の不均一基である。
別の態様では、Xは、‐CRから選択され、R、R、及びRは、それぞれ、H、置換又は非置換炭化水素基、又は置換又は非置換不均一基から独立して選択される。別の態様では、R、R、及びRはそれぞれ、置換又は非置換のアミド基から独立して選択される。別の態様では、R及びRはそれぞれH又は置換又は非置換アルキルから独立して選択され、Rは‐NR(CO)CRであり、RはH及び置換又は非置換アルキルから選択され、R、R、及びRはそれぞれ、H、ハロ基、置換又は非置換アルキルから選択される。別の態様では、R、R、及びRは、フルオロ基から選択することができる。別の態様では、Xは‐CHNH(CO)CFである。
【0008】
別の態様では、ZはOである。別の態様では、ZはSである。別の態様では、化合物は
【化2】

、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである。
【0009】
別の態様では、化合物は
【化3】

、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである。
【0010】
別の態様では、化合物は、
【化4】

、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである。
【0011】
別の態様では、化合物は
【化5】

、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである。
【0012】
別の態様では、化合物は
【化6】

、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである。
【0013】
別の態様では、化合物は
【化7】

、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである。
【0014】
別の態様では、化合物は、式I及び/又はその薬学的に許容される塩である。別の態様では、C7での配置はS配置である。別の態様では、化合物は、コルヒチン結合部位でβ‐チューブリンに結合する。別の態様では、β‐チューブリンは、β‐VI、β‐V、及び/又はβ‐Iである。別の態様では、β‐チューブリンはβ‐VIである。別の態様では、化合物は、コルヒチンの結合エネルギーよりも小さい結合エネルギーを有する。別の態様では、化合物はコルヒチンよりも毒性が低い。別の態様では、化合物は、コルヒチンと比較して、より特異的に好中球を標的とする。別の態様では、化合物は、コルヒチンよりも低用量で細胞内カルシウム濃度の増加を抑制する。別の態様では、化合物は、コルヒチンよりも少なくとも約10倍低い(約10分の1の)用量で細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する。別の態様では、化合物は、コルヒチンの用量よりも約10倍から約100倍低い(約10分の1から約100分の1の)用量で細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する。別の態様では、化合物は、約0.1μMの用量で細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する。別の態様では、化合物は、コルヒチンよりも低用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する。別の態様では、化合物は、コルヒチンよりも少なくとも約10倍低い(約10分の1の)用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する。別の態様では、化合物は、コルヒチンの用量よりも約10倍から約100倍低い(約10分の1から約100分の1の)用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する。別の態様では、化合物は、約0.1μMの用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する。別の態様では、炎症性メディエーターは、IL‐8、IL‐1、スーパーオキシド、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、化合物は、細胞内カルシウム濃度及び炎症性メディエーター産生の少なくとも1つの阻害に関して単調又は非単調の用量反応を示す。別の態様では、炎症性メディエーターは、IL‐8、IL‐1、スーパーオキシド産生、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、化合物は白血球の動員を阻害する。
【0015】
別の態様では、炎症の治療のために本明細書に記載の化合物が提供される。別の態様では、炎症は、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、炎症は、好中球によって引き起こされる炎症を含む。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、心血管疾患に関連している。別の態様では、心血管疾患は冠状動脈アテローム性動脈硬化症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は痛風に関連している。
【0016】
別の態様では、痛風の治療のために本明細書に記載の化合物が提供される。別の態様では、化合物は、尿酸一ナトリウム(MSU)によって誘発される炎症に応答して免疫機能に対して阻害効果を有する。別の態様では、免疫機能に対する阻害効果は、細胞内カルシウム産生、IL‐1産生、IL‐8産生、スーパーオキシド産生、又はそれらの組み合わせから選択されるメディエーターを介してもたらされる。別の態様では、免疫機能は好中球に関するものである。別の態様では、阻害効果は、コルヒチンのそれよりも強力である。別の態様では、阻害効果は、コルヒチンのそれより少なくとも約10倍大きい。別の態様では、阻害効果は約0.1μMの濃度で生じる。別の態様では、心血管疾患の治療のために本明細書に記載の化合物が提供される。別の態様では、心血管疾患は冠状動脈アテローム性動脈硬化症である。
【0017】
別の態様では、本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物が提供される。別の態様では、組成物は、抗痛風剤をさらに含む。別の態様では、抗痛風剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、関節内糖質コルチコイド、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、組換え非ヒトウリカーゼ酵素、尿酸排泄促進剤、尿酸排泄剤、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤をさらに含む。別の態様では、組成物は、本明細書に記載の2つ以上の化合物を含む。別の態様では、炎症の治療のために本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物が提供される。別の態様では、炎症は、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、炎症は、好中球によって引き起こされる炎症を含む。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、心血管疾患に関連している。別の態様では、心血管疾患は冠状動脈アテローム性動脈硬化症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は痛風に関連している。別の態様では、痛風の治療のために本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0018】
別の態様では、哺乳動物の炎症を治療するための方法が提供され、これは、本明細書に記載の治療有効量の化合物を哺乳動物に投与することを含む。別の態様では、本明細書に記載の2つ以上の化合物が存在する。別の態様では、化合物が経口的及び/又は非経口的に投与される。別の態様では、化合物が静脈内及び/又は腹腔内に投与される。別の態様では、本明細書に記載の治療有効量の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の炎症を治療するための方法が提供される。別の態様では、組成物は経口的及び/又は非経口的に投与される。別の態様では、組成物は、静脈内及び/又は腹腔内に投与される。別の態様では、炎症は、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、炎症は、好中球によって引き起こされる炎症を含む。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、心血管疾患に関連している。別の態様では、心血管疾患は冠状動脈アテローム性動脈硬化症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は痛風に関連している。別の態様では、哺乳動物はヒトである。
【0019】
別の態様では、哺乳動物の炎症の治療のために、治療有効量の本明細書に記載の化合物の使用が提供される。別の態様では、本明細書に記載の2つ以上の化合物が存在する。別の態様では、化合物は経口的及び/又は非経口的に投与可能である。別の態様では、化合物は、静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である。別の態様では、哺乳動物の炎症の治療のために、本明細書に記載の治療有効量の組成物の使用が提供される。別の態様では、組成物は経口的及び/又は非経口的に投与可能である。別の態様では、組成物は、静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である。別の態様では、炎症は、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択される。別の態様では、炎症は、好中球によって引き起こされる炎症を含む。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は、心血管疾患に関連している。別の態様では、心血管疾患は冠状動脈アテローム性動脈硬化症である。別の態様では、好中球によって引き起こされる炎症は痛風に関連している。別の態様では、哺乳動物はヒトである。
【0020】
別の態様では、哺乳動物において痛風を治療するための方法が提供され、これは、本明細書に記載の化合物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む。別の態様では、本明細書に記載の2つ以上の化合物が存在する。別の態様では、化合物が経口的及び/又は非経口的に投与される。別の態様では、化合物が静脈内及び/又は腹腔内に投与される。別の態様では、本明細書に記載の治療有効量の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の痛風を治療するための方法が提供される。別の態様では、組成物は経口的及び/又は非経口的に投与される。別の態様では、組成物は、静脈内及び/又は腹腔内に投与される。別の態様では、哺乳動物はヒトである。別の態様では、痛風は、慢性痛風及び/又は急性痛風から選択される。別の態様では、痛風の治療は、少なくとも1つの痛風症状の治療を含む。別の態様では、前記少なくとも1つの痛風症状は、痛風発作、痛風結節形成、痛風関節炎、痛風関連炎症、及び/又は痛風に関連する関節破壊から選択される。別の態様では、前記少なくとも1つの痛風症状は、痛風炎症及び/又は炎症に関連する痛みから選択される。
【0021】
別の態様では、哺乳動物の痛風の治療のために、治療有効量の本明細書に記載の化合物の使用が提供される。別の態様では、本明細書に記載の2つ以上の化合物が存在する。別の態様では、化合物は経口的及び/又は非経口的に投与可能である。別の態様では、化合物は、静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である。別の態様では、哺乳動物の痛風の治療のために、本明細書に記載の治療有効量の組成物の使用が提供される。別の態様では、組成物は経口的及び/又は非経口的に投与可能である。別の態様では、組成物は、静脈内及び/又は腹腔内に投与可能である。別の態様では、哺乳動物はヒトである。別の態様では、痛風は、慢性痛風及び/又は急性痛風から選択される。別の態様では、痛風の治療は、少なくとも1つの痛風症状の治療を含む。別の態様では、前記少なくとも1つの痛風症状は、痛風発作、痛風結節形成、痛風関節炎、痛風関連炎症、及び/又は痛風に関連する関節破壊から選択される。別の態様では、前記少なくとも1つの痛風症状は、痛風炎症及び/又は炎症に関連する痛みから選択される。
【0022】
別の態様では、炎症を治療する方法が提供され、この方法は、βVI‐チューブリン阻害剤を投与することを含む。別の態様では、βVI‐チューブリン阻害剤は、本明細書に記載の化合物又は組成物である。別の態様では、炎症は白血球浸潤に関連している。別の態様では、白血球浸潤は、好中球及び/又は単球の浸潤を含む。別の態様では、炎症は痛風に関連している。別の態様では、炎症はアテローム性動脈硬化症に関連している。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲内の様々な変更及び修正が詳細な説明から当業者に明らかになるので、本発明の実施形態を示す間の詳細な説明及び特定の例は、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、実施形態は、例としてのみ、図を参照して説明される。
図1図1は、化合物(2)及び(3)を作成するための合成スキームを示している。
図2図2は、化合物(4)及び(5)を作成するための合成スキームを示している。
図3図3は、化合物(6)から(38)を作成するための合成スキームを示している。 図3Aは、R位置でのコルヒチンへの修飾(50)から(54)を伴うコルヒチンの構造を示す。
図4図4は、R及びR位置でのチオコルヒチンへの修飾(39)、(3a~c)、(4a~c)及び(5a~c)を伴うチオコルヒチンの構造を示す。 図4Aから4Dは、コルヒチン及びチオコルヒチン誘導体の例を示している。
図5図5は、コルヒチン結合部位内に見られる残基の違いを示している。図5Aは、標準的なβ1‐チューブリン配列に黒い文字として示されているコルヒチン[pdbコード1SA0]の結合表面に含まれる残基を示しており、3種類の結合部位の違いは中程度の灰色の文字で示され、残りの文字は灰色で、破線は配列間の同一の位置を表す。図5Bは、β‐チューブリン[pdbコード1SA0]に描かれた溶媒にアクセス可能な表面を示し、コルヒチン結合表面を構成する残基は図では黒で示され、3つの結合部位モデル間で違いを示す残基は黒い棒で示され、コルヒチンは分子構造として示され、A環とX及びY位置がはっきりと見える。
【0025】
図6図6は、タイプI(上)、タイプII(中央)、及びタイプIII(下)のβ‐チューブリン結合部位に結合するコルヒチンとその誘導体の計算されたΔG[kcalmol-1]を示し、誘導体((3)‐D‐20)とコルヒチン(CH)のそれぞれのボックスプロットは、10個の独立したドッキングポーズのエネルギー評価から生成された。ひげは5%と95%の信頼値で示されている。
図7図7は、尿酸一ナトリウム(MSU)で刺激されたヒト好中球によるカルシウム貯蔵の動員に対するコルヒチン及びコルヒチン誘導体の効果を示している。図7A及び7Dは、コルヒチンの効果を示している。図7Bは、コルヒチン誘導体(91)の効果を示している。図7Cは、コルヒチン誘導体TPOの効果を示している。図7E‐Jは、コルヒチンと比較したコルヒチン誘導体28a、39、47a、89、14、及び43の効果を示している(図7D)。図7K‐Lは、さまざまな用量でのコルヒチンの効果を示している。図7M‐Pは、さまざまな用量のコルヒチン(図7K‐L)と比較した、さまざまな用量のコルヒチン誘導体(43)(図7M‐N)及び(47a)(図7O‐P)の効果を示している。図7Q及び7Rは、それぞれコルヒチン誘導体(47a)及び(43)の効果を示している。図7Sは、図7A、7B、7Q及び7Rで試験された化合物の阻害活性の比較を示している。図7T及び7Uは、細胞質カルシウム濃度のfMLP誘発性増加に対するコルヒチン及び誘導体(91)及び(43)の効果を示している。図7V及び7Wのコルヒチン及び誘導体(91)及び(43)は、MSUによって誘発される細胞質カルシウム濃度の増加に関するものである。
【0026】
図8図8は、尿酸一ナトリウム(MSU)で刺激されたヒト好中球によるIL‐8(図8Aから8G及び8L)又はIL‐1(図8Hから8K)の放出に対するコルヒチン及びコルヒチン誘導体の効果を示している。図8Aは、コルヒチン誘導体(43)の効果を示している。図8Bは、コルヒチン誘導体(47a)の効果を示している。図8Cはコルヒチンの効果を示している。図8Dはコルヒチン誘導体(91)を示している。図8Eはコルヒチン誘導体(47a)を示している。図8Fは、コルヒチン誘導体(43)の効果を示している。図8Gは、図8CからFで試験された化合物の阻害活性の比較を示している。図8Hは、コルヒチンの効果を示している。図8Iはコルヒチン誘導体(91)を示している。図8Jは、コルヒチン誘導体(43)の効果を示している。図8Kは、図8HからJでテストした化合物の阻害活性の比較を示している。図8Lは、MSUの非存在下でコルヒチン誘導体(43)又は(47a)とインキュベートしたヒト好中球におけるIL‐8産生の基礎レベルを示している。
【0027】
図9図9は、尿酸一ナトリウム(MSU)で刺激されたヒト好中球によるスーパーオキシドの生成に対するコルヒチンとコルヒチン誘導体の効果を示している。図9Aはコルヒチンの効果を示している。図9Bは、コルヒチン誘導体(91)の効果を示している。図9Cは、コルヒチンの効果の効果を示している。図9Dはコルヒチン誘導体(91)を示している。図9Eはコルヒチン誘導体(47a)を示している。図9Fは、コルヒチン誘導体(43)の効果を示している。図9Gは、図9CからFの化合物の阻害活性の比較を示す。図9Hは、MSUの非存在下でコルヒチン誘導体(43)又は(47a)で刺激されたヒト好中球におけるスーパーオキシド生成の基礎レベルを示す。
図10図10は、それぞれコルヒチン誘導体(91)又はコルヒチン誘導体(43)を皮下注射されたマウスにおける2時間にわたるコルヒチン誘導体(91)(図10A)又はコルヒチン誘導体(43)(図10B)の血漿濃度を示す。
【0028】
図11図11は、それぞれコルヒチン誘導体(91)又はコルヒチン誘導体(43)の皮下注射後2時間にわたるマウスの循環白血球中のコルヒチン誘導体(91)(図11A)又はコルヒチン誘導体(43)(図11B)の濃度を示している。
図12図12は、尿酸一ナトリウム(MSU)を注射したマウスの背側エアポーチへの白血球動員に対するコルヒチン及びコルヒチン誘導体(91)の効果を示している。
図13図13は、尿酸一ナトリウム(MSU)を注射したマウスの背側エアポーチへの白血球動員に対するコルヒチン及びコルヒチン誘導体(91)の治療効果を示している。
図14図14は、尿酸一ナトリウム(MSU)を注射したマウスの背側エアポーチへの白血球動員に対するコルヒチン誘導体(43)の治療効果を示している。
【0029】
図15図15は、ヒト好中球におけるβ‐チューブリン発現のウエスタンブロットを示している。
図16図16は、コルヒチンがβIIIチューブリンとどのように相互作用するかを示している。
図17図17は、コルヒチン誘導体(91)(CCI)がβIIIチューブリンとどのように相互作用するかを示している。
図18図18は、コルヒチン誘導体(89)がβIIIチューブリンとどのように相互作用するかを示している。
図19図19は、野生型及びLDLRKOマウスの体重に対する高脂肪食とCCIの効果を示している。C57BL/6マウスにコントロール食(CD)又は高脂肪食(HF)を8週間与え、0.5μmol/kgのCCI又はビヒクル(DMSO)を週に3回皮下注射した。マウスの体重を週に3回測定した。2週目から8週目までの各グループのマウスの体重増加をグラフに示す。
【0030】
図20図20は、高脂肪食を与えられた野生型及びLDLRKOマウスの血清中のトリグリセリドレベルに対するCCIの効果を示している。C57BL/6マウスはコントロール食(CD)又は高脂肪食(HF)を8週間与えられ、0.5μmol/kg CCI又はビヒクル(DMSO)を週3回皮下注射された。8週間の食事の後に採血し、血清を調製して分析まで凍結した。
図21図21は、高脂肪食を与えられた野生型及びLDLRKOマウスの血清中のコレステロールレベルに対するCCIの効果を示している。C57BL/6マウスはコントロール食(CD)又は高脂肪食(HF)を与えられました。)8週間、0.5μmol/kg CCI又はビヒクル(DMSO)を週3回皮下注射する。8週間の食事の後に採血し、血清を調製して分析まで凍結した。
【0031】
図22図22は、高脂肪食を与えられたLDLRKOマウスの大動脈におけるアテローム性動脈硬化症の発症に対するCCIの効果を示している。図22A:C57BL/6マウスにコントロール食(CD)又は高脂肪食(HF)を8週間与え、0.5μmol/kgのCCI又はビヒクル(DMSO)を週に3回皮下注射した。大動脈を採取して解剖し、スーダンIV染色による大動脈病変の正面アッセイを実施した。スーダンIVは、脂質、トリグリセリド、リポタンパク質を染色する脂溶性染料である。図22Bは、「正面アッセイ」で染色されたプラークで覆われた大動脈弓の総面積のパーセントを示している。図22Cは、「正面アッセイ」で染色されたプラークで覆われた下行大動脈の総面積のパーセントを示している。
図23図23は、高脂肪食を与えられたLDLRKOマウスのサイトカインの血清レベルに対するCCIの効果:C57BL/6マウスにコントロール食(CD)又は高脂肪食(HF)を8週間与え、0.5μmol/kgCCI又はビヒクル(DMSO)週に3回皮下注射した。8週間の食事の後に採血し、血清を調製して、Luminexアッセイによる分析まで凍結した。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特定の実施形態の詳細な説明
本明細書で引用される参照は、参照により組み込まれる。
【0033】
定義
本発明の化合物、組成物、方法及び使用を説明する場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有する。
本明細書で使用される「コルヒチン誘導体」という用語は、本明細書に記載の誘導体のいずれかを含み得、例えば、適切な場合、チオコルヒチン誘導体も含み得る。
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医によって求められている哺乳動物(例えば、ヒト)などの組織、系、動物において生物学的又は医学的応答を誘発する活性化合物又は薬剤の量を意味する。障害、状態、及び/又は疾患を治療するために与えられる場合、それは、哺乳動物を含む対象に投与されたときに、症状の治療などの所望の結果を達成し得る量である。
【0034】
本発明の化合物は、非対称中心、キラル軸、及びキラル平面を有することができ(例えば、E. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereo-chemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学), John Wiley & Sons, New York, 1994, pages 1119-1190に記載されているように)、ラセミ体、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとして発生し、光学異性体を含むすべての可能な異性体及びそれらの混合物が本発明に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物は互変異性体として存在することができ、両方の互変異性体形態は、1つの互変異性構造のみが示され得るとしても、本発明の範囲に含まれることが意図される。
一般に、水素やHなどの特定の元素への言及は、適切な場合、その元素のすべての同位体を含むことを意味する。
「アルキル基」という用語が、単独で、又は「ハロアルキル基」及び「アルキルアミノ基」などの他の用語内で使用される場合、それは、例えば、1から約20個の炭素原子、又は具体的な実施態様では、1から約12個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐炭素ラジカルを包含する。他の実施形態では、アルキル基は、1から約6個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。そのような基の例には、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。より具体的な実施形態では、低級アルキル基は、1から4個の炭素原子を有する。
【0035】
「アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素‐炭素二重結合を有する直鎖又は分岐炭素ラジカルを包含する。「アルケニル基」という用語は、共役及び非共役炭素‐炭素二重結合又はそれらの組み合わせを包含することができる。アルケニル基は、例えば、それに限定されることなく、2から約20個の炭素原子、又は特定の実施形態では、2から約12個の炭素原子を包含することができる。実施形態では、アルケニル基は、2から約4個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例には、これらに限定されないが、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニル及び4‐メチルブテニルが含まれる。「アルケニル基」及び「低級アルケニル基」という用語は、「シス」及び「トランス」配向、あるいは「E」及び「Z」配向を有する基を包含する。
「アルキニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素‐炭素三重結合を有する直鎖又は分岐炭素ラジカルを意味する。「アルキニル基」という用語は、共役及び非共役の炭素‐炭素三重結合又はそれらの組み合わせを包含することができる。アルキニル基は、例えば、それに限定されることなく、2から約20個の炭素原子、又は特定の実施形態では、2から約12個の炭素原子を包含することができる。実施形態では、アルキニル基は、2から約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。いくつかの例は、2~約4個の炭素原子を有する低級アルキニル基である。そのような基の例には、プロパルギル、ブチニルなどが含まれる。
【0036】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子などのハロゲンを意味する。「ハロアルキル基」という用語は、アルキル炭素原子のいずれか1つ又は複数が上記で定義されたようにハロで置換されている基を包含する。具体的には、モノハロアルキル、ジハロアルキル、及びペルハロアルキルを含むポリハロアルキル基が含まれる。一例として、モノハロアルキル基は、基内にヨード、ブロモ、クロロ、又はフルオロ原子のいずれかを有し得る。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2つ以上の同じハロ原子又は異なるハロ基の組み合わせを有し得る。「低級ハロアルキル基」は、1~6個の炭素原子を有する基を包含する。いくつかの実施形態において、低級ハロアルキル基は、1から3個の炭素原子を有する。ハロアルキル基の例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが含まれる。
【0037】
「ヒドロキシアルキル基」という用語は、例えば、それに限定されないが、1から約10個の炭素原子を有し、そのいずれか1つが1つ以上のヒドロキシル基で置換され得る直鎖又は分岐アルキル基を包含する。実施形態において、ヒドロキシアルキル基は、1から6個の炭素原子及び1つ以上のヒドロキシル基を有する「低級ヒドロキシアルキル」基である。このような基の例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、及びヒドロキシヘキシルが含まれる。
「アルコキシ基」という用語は、それぞれが、例えば、それに限定されないが、1から約10個の炭素原子のアルキル部分を有する線状又は分枝状のオキシ含有基を包含する。実施形態において、アルコキシ基は、1から6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びtert‐ブトキシが含まれる。特定の実施形態において、低級アルコキシ基は、1から3個の炭素原子を有する。「アルコキシ」基は、フルオロ、クロロ又はブロモなどの1つ又は複数のハロ原子でさらに置換されて、「ハロアルコキシ」基を提供し得る。他の実施形態では、低級ハロアルコキシ基は、1から3個の炭素原子を有する。このような基の例には、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、及びフルオロプロポキシが含まれる。
【0038】
「芳香族基」又は「アリール基」という用語は、1つ又は複数の環を有する芳香族基を意味し、そのような環は、ペンダント様式で一緒に結合され得るか、又は縮合され得る。特定の実施形態では、芳香族基は、1つ、2つ、又は3つの環である。単環式芳香族基は、環中に4から10個の炭素原子、典型的には4から7個の炭素原子、より典型的には4から6個の炭素原子を含み得る。典型的な多環芳香族基は、2つ又は3つの環を持っている。2つの環を有する多環芳香族基は、典型的には、環内に8から12個の炭素原子、好ましくは8から10個の炭素原子を有する。芳香族基の例には、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル又はアセナフチルが含まれる。
「ヘテロ原子」という用語は、炭素以外の原子を意味する。通常、ヘテロ原子は、硫黄、リン、窒素、及び酸素原子からなる群から選択される。複数のヘテロ原子を含む基には、異なるヘテロ原子が含まれる場合がある。
【0039】
「ヘテロ芳香族基」又は「ヘテロアリール基」という用語は、1つ以上の環を有する芳香族基を意味し、そのような環は、ペンダント様式で一緒に結合され得るか、又は縮合され得、芳香族基は、少なくとも1つのヘテロ原子を有する。単環式ヘテロ芳香族基は、環内に4から10個のメンバー原子、典型的には4から7個のメンバー原子、より典型的には4から6個のメンバー原子を含み得る。典型的な多環式ヘテロ芳香族基は、2つ又は3つの環を持っている。2つの環を有する多環芳香族基は、典型的には8から12個のメンバー原子を有し、より典型的には、環中に8から10個のメンバー原子を有する。ヘテロ芳香族基の例には、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェン、トリアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンなどが含まれるが、これらに限定されない。
「炭素環式基」という用語は、飽和又は不飽和の炭素環式炭化水素環を意味する。炭素環式基は芳香族ではない。炭素環式基は単環式又は多環式である。多環式炭素環式基は、縮合、スピロ、又は架橋環系である可能性がある。単環式炭素環式基は、環内に、4から10個の炭素原子、典型的には4から7個の炭素原子、より典型的には5から6個の炭素原子を含み得る。二環式炭素環式基は、環内に8~12個の炭素原子、通常は9~10個の炭素原子を含み得る。
【0040】
「複素環式基」という用語は、環内に炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の環構造を意味する。複素環式基は芳香族ではない。複素環式基は単環式又は多環式である。多環式複素環式基は、縮合、スピロ、又は架橋環系である可能性がある。単環式複素環基は、環内に4から10個のメンバー原子(すなわち、炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子の両方を含む)、典型的には4から7、より典型的には5から6を含み得る。二環式複素環式基は、環内に8~18個のメンバー原子、典型的には9個又は10個のメンバー原子を含み得る。代表的な複素環式基には、例として、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、1,4‐ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、3‐ピロリンなどが含まれる。
「不均一基」という用語は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む非水素メンバー原子の飽和又は不飽和鎖を意味する。不均一基は典型的には、1~25個のメンバー原子を持っている。より典型的には、鎖は、1から12個のメンバー原子、1から10、そして最も典型的には1から6を含む。鎖は、線状又は分枝状であり得る。典型的な分岐した不均一基には、1つ又は2つの分岐、より一般的には1つの分岐がある。典型的には、不均一基は飽和している。不飽和不均一基は、1つ又は複数の二重結合、1つ又は複数の三重結合、又はその両方を持っている場合がある。典型的な不飽和不均一基は、1つ又は2つの二重結合又は1つの三重結合を持っている。より典型的には、不飽和不均一基は1つの二重結合を有する。
【0041】
「炭化水素基」又は「ヒドロカルビル基」という用語は、1から25個の炭素原子、典型的には1から12個の炭素原子、より典型的には1~10個の炭素原子、そして最も典型的には1から8個の炭素原子の鎖を意味する。炭化水素基は、線状又は分枝鎖構造を有し得る。典型的な炭化水素基は、1つ又は2つの分岐、典型的には1つの分岐を有する。典型的には、炭化水素基は飽和している。不飽和炭化水素基は、1つ以上の二重結合、1つ以上の三重結合、又はそれらの組み合わせを有し得る。典型的な不飽和炭化水素基は、1つ又は2つの二重結合又は1つの三重結合を持っている。より典型的には、不飽和炭化水素基は1つの二重結合を持っている。
「不飽和」という用語が任意の基と組み合わせて使用される場合、その基は完全に不飽和又は部分的に不飽和であり得る。しかしながら、「不飽和」という用語が本明細書で定義された特定の基と組み合わせて使用される場合、その用語はその特定の基の制限を維持する。例えば、本明細書で定義される「炭素環式基」の制限に基づく不飽和の「炭素環式基」は、芳香族基を包含しない。
【0042】
「カルボキシ基」又は「カルボキシル基」という用語は、単独で使用される場合でも、「カルボキシアルキル基」などの他の用語と一緒に使用される場合でも、‐(C=O)‐O‐を示す。
「カルボニル基」という用語は、単独で使用される場合でも、「アミノカルボニル基」などの他の用語と一緒に使用される場合でも、‐(C=O)‐を意味する。
「アルキルカルボニル基」という用語は、アルキル基で置換されたカルボニル基を意味する。特定の実施形態において、「低級アルキルカルボニル基」は、カルボニル基に結合した上記のような低級アルキル基を有する。
「アミノアルキル基」という用語は、1つから約10個の炭素原子を有し、そのいずれか1つが1つ又は複数のアミノ基で置換され得る直鎖又は分岐アルキル基を包含する。いくつかの実施形態において、アミノアルキル基は、1から6個の炭素原子及び1つ以上のアミノ基を有する「低級アミノアルキル」基である。このような基の例には、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、及びアミノヘキシルが含まれる。
【0043】
「アルキルアミノアルキル基」という用語は、独立してアルキル基で置換された窒素原子を有するアミノアルキル基を包含する。特定の実施形態において、アルキルアミノアルキル基は、1から6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルアミノアルキル」基である。他の実施形態では、低級アルキルアミノアルキル基は、1から3個の炭素原子のアルキル基を有する。適切なアルキルアミノアルキル基は、N‐メチルアミノメチル、N,N‐ジメチル‐アミノエチル、N,N‐ジエチルアミノメチルなどのように、モノ又はジアルキル置換され得る。
「アラルキル基」という用語は、アリール置換アルキル基を包含する。実施形態では、アラルキル基は、1から6個の炭素原子を有するアルキル基に結合したアリール基を有する「低級アラルキル」基である。他の実施形態では、低級アラルキル基フェニルは、1から3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合している。そのような基の例には、ベンジル、ジフェニルメチル及びフェニルエチルが含まれる。前記アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換され得る。
【0044】
「アリールアルケニル基」という用語は、アリール置換アルケニル基を包含する。実施形態において、アリールアルケニル基は、2から6個の炭素原子を有するアルケニル基に結合したアリール基を有する「低級アリールアルケニル」基である。このような基の例には、フェニルエテニルが含まれる。前記アリールアルケニル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換され得る。
「アリールアルキニル基」という用語は、アリール置換アルキニル基を包含する。実施形態において、アリールアルキニル基は、2から6個の炭素原子を有するアルキニル基に結合したアリール基を有する「低級アリールアルキニル」基である。そのような基の例には、フェニルエチニルが含まれる。前記アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換され得る。ベンジルとフェニルメチルという用語は交換可能である。
【0045】
「アルキルチオ基」という用語は、二価の硫黄原子に結合した、1から10個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキル基を含む基を包含する。特定の実施形態において、低級アルキルチオ基は、1から3個の炭素原子を有する。「アルキルチオ」の例はメチルチオ(CHS‐)である。
「アルキルアミノ基」という用語は、「N‐アルキルアミノ」及び「N,N‐ジアルキルアミノ」という用語を含む、1つのアルキル基及び2つのアルキル基で置換されたアミノ基を意味する。実施形態において、アルキルアミノ基は、窒素原子に結合した、1から6個の炭素原子の1つ又は2つのアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」基である。他の実施形態では、低級アルキルアミノ基は、1から3個の炭素原子を有する。適切な「アルキルアミノ」基は、N‐メチルアミノ、N‐エチルアミノ、N,N‐ジメチルアミノ、N,N‐ジエチルアミノなどのモノ又はジアルキルアミノであり得る。
「アリールアミノ基」という用語は、N‐フェニルアミノなどの1つ又は2つのアリール基で置換されたアミノ基を意味する。「アリールアミノ」基は、基のアリール環部分でさらに置換され得る。
「ヘテロアリールアミノ」という用語は、N‐チエニルアミノなどの1つ又は2つのヘテロアリール基で置換されたアミノ基を意味する。「ヘテロアリールアミノ」基は、基のヘテロアリール環部分でさらに置換され得る。
【0046】
「アラルキルアミノ基」という用語は、1つ又は2つのアラルキル基で置換されたアミノ基を意味する。他の実施形態では、N‐ベンジルアミノなどのフェニル‐C‐C‐アルキルアミノ基が存在する。「アラルキルアミノ」基は、その基のアリール環部分でさらに置換され得る。
「アルキルアミノアルキルアミノ基」という用語は、1つ又は2つのアルキルアミノ基で置換されたアルキルアミノ基を意味する。実施形態では、C‐C‐アルキルアミノ‐C‐C‐アルキルアミノ基が存在する。
【0047】
「アリールチオ基」という用語は、二価の硫黄原子に結合した、6から10個の炭素原子のアリール基を包含する。「アリールチオ」の例はフェニルチオである。「アラルキルチオ基」という用語は、二価の硫黄原子に結合した上記のアラルキル基を包含する。特定の実施形態では、フェニル‐C‐C‐アルキルチオ基が存在する。「アラルキルチオ」の例は、ベンジルチオである。
「アリールオキシ基」という用語は、酸素原子に結合した、上で定義したように、任意選択で置換されたアリール基を包含する。このような基の例には、フェノキシが含まれる。
「アラルコキシ基」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合したオキシ含有アラルキル基を包含する。特定の実施形態において、アラルコキシ基は、上記のように、低級アルコキシ基に結合した任意選択で置換されたフェニル基を有する「低級アラルコキシ」基である。
「シクロアルキル基」という用語は、飽和炭素環式基を含む。特定の実施形態において、シクロアルキル基は、C‐C環を含む。実施形態では、シクロペンチル、シクロプロピル、及びシクロヘキシルを含む化合物が存在する。
【0048】
「シクロアルケニル基」という用語は、1つ又は複数の炭素‐炭素二重結合:共役若しくは非共役、又はそれらの組み合わせを有する炭素環式基を含む。「シクロアルケニル」及び「シクロアルキルジエニル」化合物は、「シクロアルケニル」という用語に含まれる。特定の実施形態において、シクロアルケニル基は、C‐C環を含む。例には、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプタジエニルが含まれる。「シクロアルケニル」基は、低級アルキル、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、低級アルキルアミノなどの1から3の置換基を有し得る。
本明細書に記載の基と併せて使用される「適切な置換基」、「置換基」又は「置換された」という用語は、化学的及び薬学的に許容される基、すなわち本発明の化合物の治療活性を否定しない部分を指す。本発明の化合物の置換基及び置換パターンは、化学的に安定であり、当技術分野で知られている技術及び以下に記載されている方法によって容易に合成できる化合物を提供するために当業者によって選択され得ることが理解される。置換基自体が複数の基で置換されている場合、安定した構造が得られる限り、これらの複数の基は同じ炭素/メンバー原子上又は異なる炭素/メンバー原子上にあり得ることが理解される。いくつかの適切な置換基の例示的な例には、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、ベンジル、カルボニル、ハロ、ハロアルキル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、メルカプト、アルキルチオ、アルコキシ、アリール又はヘテロアリール、アリールオキシ又はヘテロアリールオキシ、アラルキル又はヘテロアラルキル、アラルコキシ又はヘテロアラルコキシ、HO‐(C=O)‐、アミド、アミノ、アルキル‐及びジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルスルホニル、及びアリールスルホニルが含まれる。典型的な置換基には、芳香族基、置換芳香族基、メチル基などのアルキル基を含む炭化水素基、ベンジルなどの置換炭化水素基、及びメトキシ基などのアルコキシ基を含む不均一基が含まれる。
【0049】
「縮合」という用語は、2つ以上の炭素/メンバー原子が2つの隣接する環に共通である、例えば、環が「縮合環」であることを意味する。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機又は有機酸から形成された、本発明の化合物の従来の非毒性の塩が含まれる。例えば、そのような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2‐アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含む本発明の化合物から合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、又は遊離塩基を、化学量論量の、又は過剰の所望の塩形成無機又は有機酸と適切な溶媒又は溶媒の様々な組み合わせにおいて反応させることによって調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基との反応によって形成される。
【0050】
本発明は、本発明の化合物及びそれらの混合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物及びプロドラッグを含む。
「状態」という用語は、例えば、哺乳動物の健康状態に関連する標準的な身体的状態に適合しない、哺乳動物の身体的状態(全体として、又はその一部の1つ以上として)を示す。本明細書に記載の状態には、障害及び疾患が含まれるが、これらに限定されず、ここで「障害」という用語は、例えば、哺乳動物又はその部分のいずれかの機能異常に関連する哺乳動物の状態を示し、「疾患」という用語は、例えば、哺乳動物の体又はその部分のいずれかの正常な機能を損なう哺乳動物の状態を示し、通常、徴候及び症状を区別することによって現れる。典型的には、本明細書に記載の化合物及び組成物は、炎症状態を治療するために有用であり、典型的には、治療される炎症状態は、好中球によって引き起こされる炎症成分を有する。
【0051】
「好中球によって引き起こされる」炎症という用語は、炎症が好中球に関連していることを意味する。炎症の多因子性を考えると、この用語を使用することにより、好中球は炎症のドライバー又はメディエーターであり、必ずしも唯一のドライバー又はメディエーターではなく、炎症/炎症の病因の少なくとも一部に寄与すると理解される。例えば、多くの場合、単球及び/又はマクロファージなどの他の免疫細胞も炎症のドライバーである可能性がある。好中球によって引き起こされる炎症は、好中球によって引き起こされる炎症性疾患、好中球によって引き起こされる炎症性障害、好中球によって引き起こされる炎症状態、又はそれらの組み合わせから選択することができる。例えば、好中球によって引き起こされる炎症は、好中球によって分泌されるサイトカインが、IL‐1及び/又はIL‐8などの病理学的効果を有する状態を指す場合がある。
【0052】
そのような状態の例には、乾癬、炎症性腸疾患、喘息、心臓及び腎再灌流障害、成人呼吸困難症候群、血栓症、糸球体腎炎、関節リウマチ、変形性関節症、髄膜炎、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中を含む脳卒中、神経外傷/閉鎖頭部損傷、内毒素血症及び/又は毒性ショック症候群、エンドトキシン又は炎症性腸疾患によって誘発される炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋肉変性、多発性硬化症、カシェキシア、骨吸収、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹関節炎、急性滑膜炎、糖尿病、膵臓β細胞疾患、アルツハイマー病、偽痛風、心血管疾患、及び血管炎などの他の急性又は慢性炎症性疾患状態が含まれる。典型的には、状態は痛風、偽痛風、心血管疾患、血管炎、又はアテローム性動脈硬化症である。本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」又は「療法」は、有益な又は所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本明細書に記載の目的のために、有益な又は望ましい臨床結果には、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、及び/又は検出可能か検出不可能かにかかわらず、病状の改善又は緩和が含まれ得るが、これらに限定されない。したがって、「治療」又は「療法」は、障害の病状を変えることを意図して行われる介入と見なすことができる。具体的には、治療又は療法は、疾患又は障害の病状を直接予防、減速、又はさもなければ減少させ得るか、又は対象を他の治療薬による治療又は療法に対してより感受性にする可能性がある。
【0053】
「慢性痛風」という用語は、再発性又は長期の痛風発作(通称「痛風フレア」とも呼ばれる)、痛風結節形成、慢性炎症性関節炎、及び/又は痛風に関連する関節破壊を有する対象に存在する痛風を含む。
「急性痛風」という用語は、痛風発作などの少なくとも1つの痛風症状を患った、又は患っている対象に存在する痛風を含む。
「痛風関連炎症」又は「痛風性関節炎」という用語は、尿酸結晶に対する免疫応答による局所又は全身性炎症(無症状である可能性がある)を指す。
本発明の化合物に関する「投与」(例えば、化合物を「投与する」)という用語は、治療を必要とする動物の系に化合物又は化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが1つ又は複数の他の活性剤(例えば、抗痛風剤など)と組み合わせて提供される場合、「投与」及びその異綴語はそれぞれ、化合物又はそのプロドラッグ及び他の薬剤の同時及び連続的な導入を含むと理解される。
【0054】
「痛風を治療する」又は「痛風の治療」という用語は、痛風状態に苦しむ哺乳動物への投与を指し、炎症を制限する及び/又は炎症に関連する痛みを軽減することによって痛風関節炎状態を軽減する効果を指す。
ピロリン酸カルシウム結晶沈着(CPPD)疾患としても知られる「偽痛風」という用語は、関節に自然発生的な痛みを伴う腫れを引き起こす関節炎の一種である。それは滑液中にCPP結晶が形成され、炎症や痛みを引き起こすときに発生する。
「含む」(comprising)、「有する」(having)、「含む」(including)という用語、及びそれらのさまざまな活用語尾は、示された構成要素を含み、他の要素を除外しない、制限のないもの(オープンエンド)を意味する。
【0055】
「からなる」という用語は、クローズドエンド又は制限的な意味を持ち、「から本質的になる」とは、指定された成分を含み、不純物として存在する材料、成分を提供するために使用されるプロセスの結果として存在する不可避の材料以外の他の成分、及び本発明の技術的効果を達成すること以外の目的で追加された構成要素を除くことを意味する。例えば、「から本質的になる」という句を使用して定義される組成物は、任意の既知の薬学的に許容される添加剤、賦形剤、希釈剤、担体などを包含する。典型的には、本質的に一組の成分からなる組成物は、5重量%未満、典型的には3重量%未満、より典型的には1重量%未満の不特定の成分を含むであろう。
本明細書に開示される要素を導入する場合、冠詞「a」(一つの)、「an」(一つの)、「the」(その)、及び「said」(前記)は、1つ又は複数の要素が存在することを意味することを意図している。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連するリストされたアイテムの1つ又は複数の任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0056】
含まれるとして本明細書に定義された任意の成分は、但し書き又は否定的な制限により、クレームされた発明から明示的に除外され得ることが理解されよう。例えば、態様では、特定の官能基は、本明細書に記載の化合物から明示的に除外され得る。
最後に、本明細書で使用される「実質的に」、「約」及び「ほぼ」などの程度の用語は、最終結果が大幅に変更されないように、修正された用語の妥当な量の偏差を意味する。これらの程度の用語は、この逸脱が変更する単語の意味を否定しない場合、変更された用語の少なくとも±5%の逸脱を含むと解釈されるべきである。
さらに、ここに記載されているすべての範囲には、明示的に記載されているかどうかに関係なく、範囲の終端と中間範囲の任意の点が含まれる。したがって、本明細書で使用される場合、「XとYの間」及び「約XとYの間」などの句は、XとYを含むと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「約XとYの間」などの句は、「約Xと約Yの間」を意味する。本明細書で使用される場合、「約XからYまで」などの句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
【0057】
コルヒチン誘導体
コルヒチン誘導体、誘導体を含む組成物、その投与方法、及びその使用は、炎症の治療のために提供される。
【0058】
コルヒチン誘導体は、式Iの化合物:
【化8】

ここで、ZはO又はSである;Xは、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される;R及びRはそれぞれ、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基、置換又は非置換炭素環式基、置換又は非置換複素環基、置換又は非置換芳香族基、又は置換又は非置換ヘテロ芳香族基から独立して選択される;その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせによって表される。
他の実施形態では、R及びRが両方ともメチルである場合、Xはメチルではない。
【0059】
式Iの特定の実施形態において、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換炭素環式基、又は置換又は非置換複素環式基から独立して選択される。より特定の実施形態では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ハロアルキル、置換又は非置換ヒドロキシアルキル、置換又は非置換シアノアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換C‐Cアルキルカルボニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルケニル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、置換又は非置換アルキルヘテロアリール、アルキレン‐O‐アルキル、アルキレン‐O‐シクロアルキル、アルキレン‐O‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐O‐アルキレン‐シクロアルキル、又はアルキレン‐O‐アルキレン‐ヘテロシクロアルキルから独立して選択される。他の実施形態では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキル、置換又は非置換のC‐Cアルケニル、置換又は非置換のC‐Cアルキルカルボニル、C‐Cアルキレン‐O‐アルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルアリール、又は置換又は非置換アルキルヘテロアリールから独立して選択される。より特定の実施形態では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される。さらなる実施形態において、R及びRは、それぞれ、置換又は非置換アルキル、あるいは置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される。追加の実施形態では、R及びRはそれぞれ、置換又は非置換のアルキルから独立して選択される。さらなる実施形態において、R及びRは、それぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキルから独立して選択される。
【0060】
一実施形態では、Xは、置換又は非置換の炭化水素基である。さらなる実施形態において、Xは、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、又は置換又は非置換アルキニルから選択される。特定の実施形態では、Xは、置換又は非置換C‐Cアルキル、特に非置換C‐Cアルキルなどの置換又は非置換アルキルから選択される。より具体的な実施形態では、Xはメチル又はエチルから選択される。
【0061】
別の実施形態では、Xは、置換又は非置換の不均一基である。さらなる実施形態において、Xは、‐CRから選択され、ここで、Rは、それぞれ、H、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基から独立して選択される。特に、Rはそれぞれ、置換又は非置換のアミド基から独立して選択することができる。特定の実施形態では、R及びRはそれぞれ、H、置換又は非置換アルキルから独立して選択され、Rは‐NR(CO)CRであり、RはH、及び置換又は非置換アルキルから選択され、R、R、及びRはそれぞれ、H、ハロ基、及び置換又は非置換アルキルから選択される。R、R、及びRはハロから選択できる。より具体的には、R、R、及びRは、フルオロ基から選択することができる。
【0062】
さらなる実施形態では、XはOR10である。R10は、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される。さらなる実施形態において、R10は、置換又は非置換アルキル基、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換炭素環式基、又は置換又は非置換の複素環式基から選択される。特に、R10は、置換又は非置換アルキル、CHOH、置換又は非置換ハロアルキル、置換又は非置換ヒドロキシアルキル、置換又は非置換シアノアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アルキルシクロアルキル、置換又は非置換アルキルシクロアルケニル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アルキルヘテロシクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、置換又は非置換アルキルヘテロアリール、アルキレン‐O‐アルキル、アルキレン‐O‐シクロアルキル、アルキレン‐O‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐O‐アルキレン‐シクロアルキル、又はアルキレン‐O‐アルキレン‐ヘテロシクロアルキルから選択される。
【0063】
他の実施形態では、R10は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、又は置換又は非置換アルキニルから選択される。他の実施形態では、R10は、置換又は非置換のC‐Cアルキル、又は置換又は非置換のC‐Cアルケニル、又はC‐Cアルキニルから選択される。
さらなる実施形態において、R10は、置換又は非置換C‐Cアルキル、特に非置換C‐Cアルキルなどの置換又は非置換アルキルから選択される。より具体的な実施形態では、R10はメチル又はエチルから選択される。
【0064】
特定の実施形態において、コルヒチン誘導体は、式IAの化合物を含む:
【化9】
【0065】
式IAの場合、R、R及びXは、式Iに関して上記のようであり得る。
特定の実施形態において、コルヒチン誘導体は、式IBの化合物を含む:
【化10】
【0066】
式IBの場合、R、R及びXは、式Iに関して上記のようであり得る。
他の実施形態では、コルヒチン誘導体は、式ICの化合物を含む:
【化11】
【0067】
式ICの場合、R及びXは、式Iに関して上記のようであり得る。
他の実施形態では、コルヒチン誘導体は、式IDの化合物を含む:
【化12】
【0068】
式IDの場合、RとXは、式Iに関して上記のようであり得る。
式I及びIAからIDの特定の実施形態では、Xはメチル又はメトキシである。別の実施形態では、Rは、置換又は非置換のアルキルから選択される。さらなる実施形態において、Rは、置換又は非置換のC‐Cアルキルから選択され、より具体的には、Rはエチルである。
【0069】
本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせの形態であり得る。より具体的な実施形態では、式I及びIAからIDまでの化合物は、C7でS配置を有する。式I及びIAからIDの化合物の特定の例を図1から4及び4Aから4Dに示す。
【0070】
本明細書に記載の特定の化合物は、例えば、以下のように調製することができる。
a)式IVの化合物
【化13】

をROClと反応させて
【化14】

を形成する。ここで、Rは、置換又は非置換のアルキルから選択することができ、Xは、上記で定義した通りであり得る。
【0071】
本明細書に記載の特定の化合物はまた、以下のように調製することができる:
a)式IVの化合物
【化15】

をRBrと反応させて
【化16】

を形成する。ここで、X及びRは上記で定義されたとおりであり得る。
【0072】
本明細書に記載の特定の化合物はまた、以下のように調製することができる:
a)式VIIの化合物
【化17】

をRBrと反応させ
【化18】

を形成する。ここで、X及びRは上記で定義されたとおりであり得る。
【0073】
より具体的なX基は、例えば、式VI又はVIIIをHO(CO)CRと反応させることによって加えることができ、ここで、‐(CO)Xは、‐(CO)ORであり、Rは、それぞれ、H、置換又は非置換の炭化水素基、置換又は非置換の不均一基から独立して選択される。特に、Rはそれぞれ、置換又は非置換のアミド基から独立して選択することができる。特定の実施形態において、R及びRは、それぞれ、H、置換又は非置換アルキル基から独立して選択され、Rは、‐NR(CO)CRであり、ここで、R、R、及びRは、それぞれ、H、ハロ基、置換又は非置換アルキル基から選択される。R、R、及びRは、ハロ基から選択できる。より具体的には、R、R、及びRは、フルオロ基から選択することができる。
【0074】
本明細書に記載の特定の化合物は、例えば、以下のように調製することもできる。
a)式VIAの化合物
【化19】

を1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びCFNHCHCOOH(FCglyOH)と反応させ
【化20】

を形成する。ここで、Rは上記で定義された通りであり得る。
【0075】
本明細書に記載の特定の化合物はまた、以下のように調製することができる:
a)式VIIAの化合物
【化21】

のヒドロキシル基を保護して
【化22】

を形成する(PG=保護基):
b)式VIIBの化合物を1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びCFNHCHCOOH(FCglyOH)と反応させ、続いて脱保護して:
【化23】

を形成する。
【0076】
本明細書に記載の特定の化合物は、例えば、以下のように調製することができる。
a)式XXの化合物をRO(C=O)Clと反応させ:
【化24】

【化25】

を形成する。ここで、R、R及びR10は、上で定義された通りであり得る。
【0077】
本明細書に記載の特定の化合物はまた、以下のように調製することができる:
a)式XXIIの化合物のヒドロキシル基を保護して
【化26】

【化27】

を形成する(PG=保護基):
b)式XXIIBの化合物をR10O(C=O)Clと反応させ、続いて脱保護して:
【化28】

を形成する。
【0078】
一般に、本明細書に記載の化合物は、文献に知られているか、又は本明細書に例示されている反応及び標準的な操作を使用することによって調製することができる。
本明細書に記載の化合物は、痛風などの、炎症状態、疾患、及び/又は障害の治療に有用である。治療される痛風は、例えば、慢性痛風及び/又は急性痛風であり得る。特に、本明細書に記載の化合物は、痛風発作、痛風に関連する関節破壊などの少なくとも1つの痛風症状を治療することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、痛風性炎症を制限し、及び/又は炎症に関連する痛みを軽減することができる。
痛風は、炎症性関節炎の最も痛みを伴う一般的な形態の1つとして知られている。その有病率(西欧諸国では3~6%)は、痛風、肥満や腎不全などの高尿酸血症の主要な危険因子を促進する状態の上昇により、世界中で増加している。尿酸一ナトリウム(MSU)結晶は痛風性関節炎の病因であり、循環中の尿酸の濃度がその溶解度(>6mg/mL)を超えると関節や軟部組織に形成され、耐え難いほどの痛みを引き起こす強力な自然免疫反応を引き起こす。
【0079】
痛風発作の最初のイベントには、MSUが誘発する組織内のマクロファージの活性化と関節内の細胞死が含まれる。これらの細胞イベントは、炎症反応を促進及び増幅する炎症誘発性サイトカインの放出につながる。IL‐1及びIL‐8は、痛風の病因におけるサイトカインとして同定されている。IL‐1は、内皮細胞の表面での接着分子(E‐セレクチンなど)の発現の増加やケモカインの放出などを含む、痛風発作の初期の分子イベントを調整する。IL‐8は、好中球にとって最も強力な走化性物質の1つであり、影響を受けた関節の激しい痛みや腫れなどを含む、痛風の典型的な症状を引き起こす好中球の大量流入を促進する。動員された好中球は、MSUによって活性化され、炎症性サイトカイン、活性酸素種(ROS)、プロテアーゼ、及び炎症反応を増幅する好中球細胞外トラップ(NET)を放出する。好中球の濃度が高い場合、NETはMSUと相互作用して、痛風発作の解決に寄与する凝集NETという名前の複合体を形成する。
【0080】
痛風の治療は、その病因の2つの重要な側面、すなわちMSU結晶の発達と炎症を対象としている。前者に使用される薬にはキサンチンオキシダーゼ阻害剤(XOI)が含まれ、後者にはコルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬又はコルチコステロイドが含まれる。コルヒチンはまた、尿酸低下療法の開始による痛風発作の予防、XOIに不耐性の一部の患者、及びさまざまな期間の予防にも使用される。痛風発作の頻度と発生は予測できないが、尿酸低下療法を開始してから約4年間、患者が痛風発作に苦しむことは珍しくない。患者の平均60%は、最初の発作から1~2年以内に痛風発作に苦しんでいる。
【0081】
多くの患者が利用可能な抗炎症薬に対する相対的な禁忌に関連する複数の併存疾患に苦しんでいるため、痛風の治療は困難である。また、ほとんどの抗炎症薬は、MSU誘発性炎症の根底にある分子メカニズムに対する特異性を欠いている。対照的に、コルヒチンは、MSUが誘導する好中球の活性化を阻害するが、細菌ペプチドfMLPが誘導する好中球の特定の応答は阻害しないため、痛風に関与する分子経路に対してある程度の特異性を示す。それにもかかわらず、コルヒチンの治療上安全な用量の範囲は非常に狭く、この薬のコンプライアンスが不十分である主な理由である胃腸系での大きな毒性を示す。
本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、毒性が低く、好中球などの造血細胞;痛風発作に豊富な炎症細胞に対してより特異的である。PCT公開番号WO2011022805(Tuszynski et al.)で、抗有糸分裂薬の類似体であるコルヒチンが癌の治療に対して毒性が低いことが実証された。
【0082】
有利なことに、本明細書に記載のコルヒチン誘導体の抗炎症活性は、コルヒチンの抗炎症活性に匹敵するだけでなく、コルヒチンが抗炎症特性を欠く用量で保存することができる(例えば、本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、コルヒチンよりもより低い用量(例えば、少なくとも約10倍低い)で抗炎症効果を提供し得るものであり、したがって、ある面では、コルヒチンよりも強力である)。以下の例に示すように、化合物(91)、43、及び47aは、0.1μMという低い用量で細胞内カルシウム濃度の増加を抑制することができる。対照的に、コルヒチンは10μMの濃度でカルシウムの動員に同様の阻害を誘発した(図7A、E、K及びL)。
したがって、予期せぬことに、コルヒチン誘導体(91)、(47a)、及び(43)は、コルヒチンと比較して約10~約100倍低い(約10分の1~約100分の1の)濃度;コルヒチンが効果がないことが示された用量で細胞内カルシウム貯蔵の動員を有意に減少させることができる(図7)。
【0083】
他の炎症性疾患に対するコルヒチンの効果は、再発性心膜炎及び家族性地中海熱(FMF)の治療で示されている(Slobodnock et al. The American Journal of Medicine (2015)))。地中海地域を起源とする集団の200~1,000人の一人に主に影響を与える遺伝性疾患であるFMFの患者は、コルヒチンによる生涯にわたる治療の恩恵を受けている。コルヒチンはFMFのゴールドスタンダード治療法である(https://www.fmffoundation.org/fmf)。心膜炎に関しては、現在のヨーロッパのガイドラインでは、コルヒチンを1日2mgで1~2日間投与し、その後に維持量を投与することを推奨している(Slobodnock et al. The American Journal of Medicine (2015))。コルヒチン誘導体の他の二次市場には、偽痛風、冠状動脈アテローム性動脈硬化症、血管炎、又はそれらの組み合わせなどの好中球媒介性炎症を伴う疾患が含まれるが、これらに限定されない。特に、偽痛風に関しては、コルヒチンがCPP関節炎の予防と急性治療に提案されている(Slobodnock et al. The American Journal of Medicine (2015))。さらに、好中球が関与する複雑な免疫炎症経路がアテローム硬化性プラークの発生、成長、及び不安定性に関与している冠状動脈アテローム性動脈硬化症では、コルヒチンは炎症性メディエーターの血中レベルを抑制し、アテローム性動脈硬化症の進行と不安定性に関与しているコレステロール結晶誘発性好中球媒介性炎症を予防することが報告されている(Nidorf et al. 2014))。本明細書に提示される結果に関して、CCI及び他のコルヒチン誘導体は、痛風並びに他の炎症性疾患、状態、及び/又は障害、例えば、再発性心膜炎、FMF、乾癬、炎症性腸疾患、喘息、心臓及び腎再灌流障害、成人呼吸困難症候群、血栓症、糸球体腎炎、関節リウマチ、骨関節炎、髄膜炎、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中を含む脳卒中、神経外傷/閉鎖頭部損傷、内毒素血症及び/又は毒性ショック症候群、エンドトキシン又は炎症性腸疾患によって誘発される炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋肉変性、多発性硬化症、カシェキシア、骨吸収、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹関節炎、急性滑膜炎、糖尿病、膵臓β細胞疾患、アルツハイマー病、偽痛風、心血管疾患、及び血管炎などの他の急性又は慢性炎症性疾患状態などの治療に使用されることが期待される。
通常、状態は痛風、偽痛風、心血管疾患、血管炎、又はアテローム性動脈硬化症である。
【0084】
痛風の治療に関して、コルヒチンは、痛風発作に関与する主要な白血球である好中球の炎症作用のほとんどを弱めるので、この炎症性疾患の病因に関して最も特異性を示す。それにもかかわらず、このアルカロイドの投与は、有効性と治療を制限する副作用との間の治療指数が低いため、依然として困難である。実際、そして予想外に、本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、好中球に対して、コルヒチンと比較して増加した特異性を提供することができ、また、低用量でのコルヒチンと同様の抗炎症活性を有する。言い換えれば、本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、コルヒチンと同じ抗炎症効果をもたらすことが見出されたが、驚くべきことに、それらはコルヒチンよりも有意に強力であった。これらの予想外の結果は、本明細書に記載のコルヒチン誘導体をより低い用量で投与することを可能にする一方で、それらの増加した特異性が毒性及び望ましくない二次効果の可能性を減少させるという利点を提供する。慢性腎臓病に苦しむ痛風患者はコルヒチンを含む痛風発作の治療に使用される抗炎症薬の大部分に禁忌があるため、これはこれらの患者にとって特に重要である。
同じことが進行した肝機能障害のある患者にも当てはまる。本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、より低い用量で投与することができ、より高い特異性を有し、それによって毒性の可能性を減少させるので、それらは、胃腸合併症などのコルヒチン投与によって引き起こされる厄介な副作用の少なさと関連付けることができる。
【0085】
本発明の化合物は、標準的な製薬慣行に従って、哺乳動物、典型的にはヒトなどの動物に、単独で、又は医薬組成物中の薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせて、任意選択でミョウバンなどの既知のアジュバントと組み合わせて、投与することができる。化合物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、及び皮下の投与経路を含めて、経口又は非経口的に投与することができる。
前述のように、本発明の化合物は経口投与することができる。本発明による化合物又は組成物の経口使用のために、選択された化合物は、例えば、錠剤又はカプセルの形態で、又は水溶液又は懸濁液として投与され得る。経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体には乳糖及びコーンスターチが含まれ、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が一般的に添加される。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。経口使用に水性懸濁液が必要な場合、有効成分は乳化剤及び懸濁剤と組み合わされる。必要に応じて、特定の甘味料及び/又は香味料を加えることができる。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内で使用する場合、通常、有効成分の無菌溶液を調製し、溶液のpHを適切に調整して緩衝する必要がある。静脈内使用の場合、製剤を等張にするために溶質の総濃度を制御する必要がある。
【0086】
本発明の化合物はまた、治療されている痛風に対するそれらの特定の有用性のために選択される他の治療薬と組み合わせて及び/又は同時に投与することができる。例えば、本発明の化合物は、同時に又は連続して、抗痛風剤と組み合わせて、及び/又は同時に投与することができる。
抗痛風剤の例には、これらに限定されないが、以下が含まれる:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、関節内糖質コルチコイド、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、組換え非ヒトウリカーゼ酵素、尿酸排泄促進剤、尿酸排泄剤、及びそれらの組み合わせ。本化合物はまた、他の関連する適応症を治療するための成分と同時投与される場合など、他の療法とともに有用であり得る。
キサンチンオキシダーゼ阻害剤には、酵素キサンチンオキシダーゼを阻害することによって血清尿酸レベルを低下させる化合物が含まれる。キサンチンオキシダーゼ阻害剤の例には、フェブキソスタット、プロポリス、オキシプリノール、チソプリン、又はイノシトール及びアロプリノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
組換え非ヒトウリカーゼ酵素には、ラスブリカーゼ又はペグロティカーゼが含まれる。
尿酸排泄促進剤又は尿酸排泄剤は、腎臓の血流への尿酸の再取り込みを防ぎ、排泄の正味の増加をもたらすことにより、体内に蓄積された尿酸の急速な排泄を加速する化合物を指す。このような尿酸排泄促進剤又は尿酸排泄剤の例には、プロベネシド、ベンズブロマロン、スルフィンピラゾン、グアイフェネシン、ロサルタン、アトルバスタチン、アムロジピン、副腎皮質刺激ホルモン又はフェノフィブラートが含まれる。
NSAIDSには、ジクロフェナク、インドメタシン、ナプロキセン、スリンダク、ルミラコキシブ、又はCox‐2選択的阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。Cox‐2選択的阻害剤には、エトリコキシブ、セレコキシブ(SC‐58635)、5‐ブロモ‐2‐(4‐フルオロフェニル)‐3‐(4‐(メチルスルホニル)フェニル)‐チオフェン(DUP)‐697)、フロスリド(CGP‐28238)、メロキシカム、6‐メトキシ‐2ナフチル酢酸(6‐MNA)、MK‐966(Vioxx)、ナブメトン(6‐MNAプロドラッグ)、ニメスリド、N‐[2‐(シクロヘキシルオキシ)‐4‐ニトロフェニル]‐メタンスルホンアミド(NS‐398)、SC‐5766、SC‐58215、又は3‐ホルミルアミノ‐7‐メチルスルホニルアミノ‐6‐フェノキシ‐4H‐1‐ベンゾピラン‐1‐オン(T‐614)が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
抗炎症剤はコルチコステロイドであり得る。コルチコステロイドには、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α‐ジフルオロ‐17‐[(2‐フラニルカルボニル)オキシ]‐11β‐ヒドロキシ‐16α‐メチル‐3‐オキソ‐アンドロスタ‐1,4‐ジエン‐17β‐カルボチオ酸S‐フルオロメチルエステル、6α,9α‐ジフルオロ‐11β‐ヒドロキシ‐16α‐メチル‐3‐オキソ‐17α‐プロピオニルオキシ‐アンドロスタ‐1,4‐ジエン‐17β‐カルボチオ酸S‐(2‐オキソ‐テトラヒドロ‐フラン‐3S‐イル)エステル、ベクロメタゾンエステル、17‐プロピオン酸エステル又は17,21‐ジプロピオン酸エステル、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル、フロ酸エステル、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチクソコート、RPR‐106541、ST‐126、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α‐ジフルオロ‐11β‐ヒドロキシ‐16α‐メチル‐17α‐[(‐4‐メチル‐1,3‐チアゾール‐5‐カルボニル)オキシ]‐3‐オキソ‐アンドロスタ‐1,4‐ジエン‐17β‐カルボチオ酸S‐フルオロメチルエステル及び6α,9α‐ジフルオロ‐17α‐[(2‐フラニルカルボニル)オキシ]‐11β‐ヒドロキシ‐16α‐メチル‐3‐オキソ‐アンドロスタ‐1,4‐ジエン‐17β‐カルボチオ酸S‐フルオロメチルエステル、又は6α,9α‐ジフルオロ‐17α‐[(2‐フラニルカルボニル)オキシ]‐11β‐ヒドロキシ‐16α‐メチル‐3‐オキソ‐アンドロスタ‐1,4‐ジエン‐17β‐カルボチオ酸S‐フルオロメチルエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
固定用量として処方される場合、そのような組み合わせ製品は、以下に記載される用量範囲内の本発明の化合物及びその承認された用量範囲内の他の薬学的に活性な薬剤を使用する。あるいは、本明細書に記載の化合物は、組み合わせ製剤が不適切である場合、既知の薬学的に許容される薬剤と共に連続して使用され得る。
本発明による化合物がヒト対象に投与される場合、日用量は通常、処方する医師によって決定され、用量は、一般に、個々の患者の年齢、体重、及び応答、並びに患者の症状の重症度に応じて変化する。
1つの例示的な用途では、痛風の治療を受けている哺乳動物に適切な量の化合物が投与される。投与は、1日あたり約0.001mg/kg体重から約100mg/kg体重を超える;1日あたり約0.001mg/kg体重から約500mg/kg体重まで;1日あたり約0.001mg/kg体重から約250mg/kg体重まで;又は1日あたり0.001mg/kg体重から約100mg/kg体重までの量で行われる。これらの投与量は、より具体的には経口で使用することができる。
用量の任意の組み合わせを使用することができる。この組み合わせは、順次又は同時に使用することができる。
【0090】
β‐チューブリンコルヒチン結合部位
5つの最も一般的なヒトβ‐チューブリンアイソタイプのモデルが決定されており、コルヒチン結合部位は、アイソタイプの特異性に基づいたドラッグデザインに最も有望であると本明細書で特定されている。この結合部位をテンプレートとして使用して、PCT公開番号WO2011022805に記載されているコルヒチン誘導体は、アイソタイプ間の固有の変動、及び各β‐チューブリンアイソタイプ上のコルヒチン結合部位が幾何学的特性と生化学的特性の両方において異なるという事実に基づいて、目的のβ‐チューブリンアイソタイプに優先的に結合するように設計された。そこに記載されているように、癌細胞で過剰発現されるチューブリンのアイソタイプであるβ‐IIIチューブリンに優先的に結合するコルヒチン類似体が生成され、これらの誘導体は低用量で腫瘍増殖を阻害する点でタキソールよりも強力であることがわかった。
上記のアプローチを使用して、コルヒチンの構造を変更し、β‐VIチューブリンアイソタイプに結合する能力を高めた。β‐VIチューブリンは、好中球などの免疫細胞で発現する主要なβ‐チューブリンアイソタイプの1つであるため、ターゲットとして重要である(図15を参照)。さらに、β‐VIチューブリンへの結合は、このアイソタイプが造血細胞に特異的であるため、非造血細胞によるオフターゲット効果を最小限に抑える。β‐VIチューブリンアイソタイプは、特にコルヒチン結合領域で他とは非常に異なり、人体での分布が狭く、結合する薬物に対して高レベルの特異性と選択性を提供する。
本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、βVI、βVに優先的に結合し、βIチューブリンへの親和性は低い。本明細書に記載の計算方法は、痛風炎症などの炎症状態に関与する細胞に対する特異性が増加した、コルヒチンよりもはるかに低い濃度で予想外に活性であり得、コルヒチンの望ましくない副作用を回避できるコルヒチン誘導体を提供する。
【0091】
コルヒチン結合を調べた。コルヒチン結合部位を構成する残基の配列は、すべてのヒトチューブリンアイソタイプの中で最大の変動(77.8%の同一性)を示している(Huzil J.T. et al., Nanotechnology. 2006:17:S90-S100)。この結合部位は、コルヒチノイド、ベンズイミダゾール(Laclette J.P. et al., Biochem Biophys Res Commun. 1980; 92:417-23; Tahir S.K., Biotechniques. 2000; 29:156-60; Russell G.J. et al., Biochem. Mol. Biol. Int. 1995; 35:1153-9; 及びHoebeke J. et al., Biochem Biophys. Res. Commun. 1976; 69:319-24)及びポドフィロトキシン(Ravelli R.B. et al., Nature. 2004; 428:198-202)を含むいくつかの天然化合物と相互作用することが以前に示されており、いくつかの結合コンフォメーションに対応できるようにしている(Garland D.L., Biochemistry. 1978; 17:4266-72; Sackett D.L. et al., Biochemistry, 1993; 32:13560-5; Andreu J.M. et al., Biochemistry. 1982; 21:6465-76; Chaudhuri A.R. et al., J. Mol. Biol., 2000; 303:679-92)。コルヒチンは非常に強力な抗有糸分裂活性を有し、これは毒性又は毒性に近いレベルでのみ観察され、痛風の治療としての使用を制限する一方で、造血幹細胞で発現されるチューブリンアイソタイプに対する選択性が高い類似化合物を比較するための標準として本明細書で使用される。
計算スクリーニングを使用して、β‐チューブリンアイソタイプ親和性(特にβ‐VIへの親和性)に基づいて、より優れた抗炎症特性を有する可能性のあるコルヒチン誘導体を決定した。次に、これらの誘導体(例えば、誘導体91、47a、及び43)の抗炎症特性を、本明細書に記載のインビトロ及びインビボ試験を使用して検証した。例えば、本明細書に記載の化合物91(例えば、図7を参照)などの特定のβ‐チューブリンアイソタイプに対してより高い親和性を有するコルヒチン誘導体は、炎症細胞に対するそれらの効果においてコルヒチンよりも優れていることが見出された(例えば、コルヒチン毒性の不利な点なしに、約10から約100倍低い(約10分の1から約100分の1の)濃度でのカルシウム動員の阻害)。本明細書に記載の誘導体の抗炎症特性は、以下の実施例に概説されている。
【0092】
チューブリンといくつかのリガンドとの相互作用に関する構造情報は多数あるが、チューブリンのコンフォメーションは時間の経過とともに減衰し、薬物の結合自体がタンパク質自体の中で有意なコンフォメーション変化を引き起こす可能性がある(Luduena R.F. et al., Biochem. 1995; 34:15751-9; Chaudhuri A.R. et al., J. Mol. Biol., 2000; 303:679-92; 及び Schwarz P.M. et al., Biochem. 1998; 37:4687-92)。したがって、結合部位の特定の固定されたコンフォメーションを使用したモデリング予測は、信頼できない可能性がある。これは特にコルヒチン結合に当てはまり、非結合型のβ‐チューブリンはコルヒチン結合空洞が完全に欠如していることを示している(Nogales E. et al., Nature. 1995; 375:424-7)。この制限を克服するために、最初に、ヒトβ‐チューブリンアイソタイプ全体に見られるコルヒチン結合部位の3つの代表的なモデルが作成された。第二に、体系的なドッキング手順が実行された。これは、シミュレートされたアニーリング法によってコルヒチン結合部位のコンフォメーション空間をサンプリングしようとするものである。
計算モデリング手法を使用して、造血細胞で発現するβ‐チューブリンアイソタイプの特異性を高めることができるモデルシステムを設計するために、コルヒチンにいくつかの変更を加えた。アイソタイプ間の違いを調べるために、結晶構造中で結合したコルヒチンの下にある空洞を調べた。特に、いくつかのC3‐デメチルチオコルヒチン誘導体及びC1‐デメチルコルヒチン誘導体が合成された。
【0093】
最終的に、チューブリンアイソタイプ特異的薬剤は、現在処方されている対応物よりも副作用が少ないはずである。これは、それらが炎症に関連する特定のβ‐チューブリンアイソタイプを発現している細胞でのみ微小管に結合して破壊するためである。これらの結果はまた、モデリングがより良い薬物を生成する可能性が高く、チューブリンを使用して合理的な薬物設計が可能であることを示唆している。
上記の開示は、一般に、本発明を説明している。以下の特定の実施例を参照することにより、より完全な理解を得ることができる。これらの実施例は、例示のみを目的として説明されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。状況が好都合であると示唆又は提供する可能性があるため、形式の変更及び同等物の代替が考慮される。本明細書では特定の用語が使用されているが、そのような用語は説明的な意味で意図されており、限定を目的とするものではない。
【実施例0094】
例1‐コルヒチン誘導体の合成と分析
材料と方法
研究で使用された、すべての化合物及びコルヒチン、N‐[(7S)‐1,2,3,10‐テトラメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(1)は、Sigma‐Aldrich(オークビル、オンタリオ州、カナダ)から購入した。
【0095】
コルヒチン化合物の合成
合成スキームについては、図1~3を参照のこと。
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐1‐((メチル)カルボニルオキシ)‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(2)及びN‐[(7S)‐1‐ヒドロキシ‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(3)。(2)と(3)の合成は、Blade‐Font(A. Blade-Font, Afinidad, 36 (1979) 329-331)から採用され、図1に示されている。
N‐[(7S)‐1‐((エチル)カルボニルオキシ)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(4)及びN‐[(7S)‐1‐(((メチル)エチル)カルボニルオキシ)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(5)。
1ミリモルの(2)を2.5mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解した。溶液を0℃に冷却した。1ミリモルのCHCHCOCl又は(CH)CH(CH)COClを3.5mLのアセトンに溶解し、化合物(4)又は(5)に添加した。溶液を15時間静置した後、25mLのアルカリ水を加えた。得られた生成物をクロロホルムを使用して抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。(4)と(5)の合成を図2に示す。
【0096】
N‐[(7S)‐1‐(エトキシ)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(6);
N‐[(7S)‐1‐(エトキシ‐1‐メチル)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(7);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐1‐(2‐メチルプロポキシ)‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(7a);
N‐[(7S)‐1‐(ブトキシ)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(7b);
N‐[(7S)‐1‐((ブタ(3‐エン)オキシ)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(7c);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐(プロパノキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(8);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐((プロパ(2‐エン)オキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(9);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐((フェニル)メトキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(10);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐(((3‐メトキシ)プロパン)オキシ)(3‐メトキシ))‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(11);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐((フェニル(3‐クロロ))メトキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(12);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐((ピリジン(3))イル)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(13);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐((フェニル(2‐クロロ))メトキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(14);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐9‐オキソ‐1‐(((フェニル(4‐クロロ))メトキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(15);
N‐[(7S)‐2,3,10‐トリメトキシ‐1‐((メチル)シクロヘキサン)‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(16)。
【0097】
1mmolの(2)化合物を2.5mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、溶液を0℃に冷却した。1ミリモルの臭化物誘導体(例:(6)の場合は1‐ブロモエタン、(7)の場合は2‐ブロモプロパン、(7a)の場合は1‐ブロモ‐2‐メチルプロパン、(7b)の場合は1‐ブロモ‐ブタン、(7c)の場合は4‐ブロモブタ‐1‐エン、(8)の場合は1‐ブロモプロパン、(9)の場合は3‐ブロモプロパ‐1‐エン、(10)の場合は(ブロモメチル)ベンゼン、(11)の場合は1‐メトキシ‐2‐ブロモエタン、(12)の場合は1‐ブロモメチル‐3‐クロロベンゼン、(13)の場合は3‐(ブロモメチル)ピリジン、(14)の場合は1‐ブロモメチル‐2‐クロロベンゼン、(15)の場合は1‐ブロモメチル‐4‐クロロベンゼン、及び(16)の場合は(ブロモメチル)シクロヘキサンを3.5mLのアセトンに溶解した。各溶液を15時間放置した。次に、25mLのアルカリ水を加えた。クロロホルムを使用して化合物を抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。(6‐16)の合成を図3に示す。
【0098】
N‐デアセチル‐N‐(N‐トリフルオロアセチルアミノアシル)コルヒチンの一般的な調製手順:
メタノール(50mL)及び2N HCl(25mL)中の3mmolの誘導体(6‐16)を、1日間撹拌しながら90℃で加熱した。反応混合物を冷却し、NaHCOで中和した。生成物を塩化メチレンで抽出し、ブラインで洗浄した。抽出物をNaSOで乾燥し、濃縮した。脱アセチル化された化合物(17‐27)はCHClから結晶化された。
1ミリモルの脱アセチル化化合物(17~27)及び[(トリフルオロアセチル)アミノ]酢酸(1ミリモル)を、室温でジクロロメタン(6mL)に溶解した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(1ミリモル)を加えた。2時間後、懸濁液を0℃に冷却し、濾過した。生成物(28~38)を、ジクロロメタン/メタノール(1:0から0:1)で溶出するシリカゲルカラムでクロマトグラフィーにかけた。(28‐38)の結晶化は、ジクロロメタン:エチルエーテル(1:1)を用いて実施された。
【0099】
分析的解析

(2)C(23)H(25)O(7)N(1); 計算値 M, 427, 実測値 EIMS m/e 427.1 (M+); (3) C(21)H(23)O(6)N(1); 計算値 M, 385, 実測値 EIMS m/e 385.1 (M+); (4) C(24)H(27)O(7)N(1); 計算値 M, 441, 実測値 EIMS m/e 441.1 (M+); (5) C(25)H(29)O(7)N(1); 計算値 M, 455 実測値 EIMS m/e 455.0 (M+); (6) C(23)H(27)O(6)N(1); 計算値 M, 413, 実測値 EIMS m/e 413.1 (M+); 元素分析計算値 C% 66.83, H% 6.55, N% 23.22 実測値: C% 66.82, H% 6.54, N% 23.22; (7) C(24)H(29)O(6)N(1); 計算値 M, 427, 実測値 EIMS m/e 427.1 (M+); 元素分析計算値 C% 67.44, H% 6.77, N% 3.22, 実測値: C% 67.41, H% 6.73, N% 3.21; (8) C(24)H(29)O(6)N(1); 計算値 M, 427, 実測値 EIMS m/e 427.1 (M+); 元素分析計算値 C% 67.44, H% 6.79, N% 32.78, 実測値: C% 67.44, H% 6.80, N% 32.77; (9) C(24)H(27)O(6)N(1); 計算値 M, 425, 実測値 EIMS m/e 425.1 (M+); 元素分析計算値 C% 67.76, H% 6.35, N% 3.29 実測値: C% 67.77, H% 6.33, N% 3.28; (10) C(28)H(28)O(6)N(1); 計算値 M, 475, 実測値 EIMS m/e 475.2 (M+); 元素分析計算値 C% 70.88, H% 5.91, N% 2.95 実測値: C% 70.87, H% 5.92, N% 2.93; (11) C(24)H(29)O(7)N(1); 計算値 M, 443, 実測値 EIMS m/e 443.1 (M+); 元素分析計算値 C% 65.01, H% 6.54, N% 3.16 実測値: C% 65.02, H% 6.53, N% 3.11; (12) C(28)H(27)O(6)N(1)Cl(1); 計算値 M, 509, 実測値 EIMS m/e 509.1 (M+); 元素分析計算値 C% 71.04, H% 6.13, N% 2.93 実測値: C% 71.05, H% 6.12, N% 2.95; (13) C(27)H(28)O(6)N(2); 計算値 M, 476, 実測値 EIMS m/e 476.1 (M+); 元素分析計算値 C% 68.06, H% 5.88, N% 5.88, 実測値: C% 68.09, H% 5.86, N 5.89%; (14) C(28)H(28)O(6)N(1)Cl(1); 計算値 M, 509, 実測値 EIMS m/e 509.1 (M+); 元素分析計算値 C% 66.01, H% 5.50, N% 2.94, Cl% 6.87 実測値: C% 66. 03, H% 5.51, N% 2.95, Cl% 6.88; (15) C(24)H(29)O(7)N(1); 計算値 M, 509, 実測値 EIMS m/e 509.1 (M+); 元素分析計算値 C% 65.01, H% 6.09, N% 3.16, Cl% 7.90, 実測値: C% 65.02, H% 6.07, N% 3.10, Cl% 7.92; (16) C(28)H(34)O(6)N(1); 計算値 M, 495, 実測値 EIMS m/e 495.2 (M+); 元素分析計算値 C% 70.02, H% 7.09, N% 2.91 実測値: C% 70.04, H% 7.08, N% 2.93; (17) C(21)H(25)O(5)N(1); 元素分析計算値 C% 67.92, H% 7.27, N% 3.77 実測値: C% 67.93, H% 7.28, N% 3.78; (18) C(22)H(27)O(5)N(1) 元素分析計算値 C% 68.57, H% 7.01, N% 3.77 実測値: C% 68.59, H% 7.03, N% 3.79; (19) C(22)H(27)O(5)N(1); 元素分析計算値 C% 68.63, H% 7.04, N% 3.78 実測値: C% 68.62, H% 7.05, N% 3.79; (20) C(22)H(25)O(5)N(1); 元素分析計算値 C% 68.92, H% 6.52, N% 3.65 実測値: C% 68.94, H% 6.53, N% 3.67; (21) C(26)H(26)O(5)N(1); 元素分析計算値 C% 72.22, H% 6.01, N% 3.24 実測値: C% 72.21, H% 6.04, N% 3.23; (22)C(22)H(27)O(6)N(1); 元素分析計算値C% 65.83, H% 6.73, N% 3.49 実測値: C% 65.82, H% 6.73, N% 3.48; (23) C(26)H(25)O(5)N(1)Cl(1); 元素分析計算値 C% 66.95, H% 5.36, N% 3.02, Cl 7.51 実測値: C% 66.93, H% 5.34, N% 3.01, Cl 7.53; (24) C(22)H(26)O(5)N(1); 元素分析計算値 C% 81.25, H% 6.77, N% 3.64 実測値: C% 81.26, H% 6.78, N% 3.66; (25)C(26)H(26)O(5)N(1)Cl(1); 元素分析計算値 C% 66.80, H% 5.56, N% 2.99, Cl% 7.49, 実測値: C% 66.81, H% 5.55, N% 2.98, Cl% 7.48; (26)C(22)H(27)O(5)N(1); 元素分析計算値C% 77.92, H% 7.01, N% 3.63, 実測値: C% 77.93, H% 7.03, N% 3.65; (27)C(26)H(32)O(5)N(1); 元素分析計算値 C% 71.23, H% 7.30, N% 3.19 実測値: C% 71.22, H% 7.32, N% 3.20; (28)C(25)H(27)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 57.25, H% 5.15, N% 5.18, F% 10.85, 実測値: C% 57.25, H% 4.99, N% 5.34, F% 10.86; (29) C(26)H(29)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 57.99, H% 5.39, N% 5.20, F% 10.59 実測値: C% 56.38, H% 5.3, N% 5.3, F% 10.87; (30) C(26)H(29)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 57.99, H% 5.39, N% 5.20, F% 10.59, 実測値: C% 57.58, H% 5.32, N% 5.28, F% 10.59; (31) C(26)H(27)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 57.99, H% 5.39, N% 5.20, F% 10.56, 実測値: C% 57.99, H% 5.88, N% 5.28, F% 10.55; (32)C(30)H(28)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 59.92, H% 4.66, N% 4.65, F% 9.46, 実測値: C% 59.71, H% 4.65, N% 4.37, F% 9.49; (33) C(26)H(29)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 57.99, H% 5.39, N% 5.20, F% 10.59 実測値: C% 56.38, H% 5.21, N% 4.68, F% 9.55; (34)C(30)H(27)O(7)N(2)Cl(1)F(3); 元素分析計算値 C% 56.77, H% 4.28, N% 4.13, F% 8.41, 実測値: C% 56.74, H% 4.29, N% 4.12, F% 8.43; (35) C(26)H(27)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 58.20, H% 4.86, N% 4.69, F% 9.56, 実測値: C% 58.12, H% 4.87, N% 4.69, F% 9.57; (36)C(30)H(28)O(7)N(2)Cl(1)F(3); 元素分析計算値 C% 58.06, H% 4.15, N% 4.12, F% 8.41 実測値: C% 58.06, H% 4.14, N% 4.13, F% 8.40; (37)C(26)H(28)O(7)N(2)Cl(1)F(3); 元素分析計算値 C% 54.54, H% 4.87, N% 4.73, F% 9.25, 実測値: C% 54.53, H% 4.88, N% 4.72, F% 9.26; (38) C(30)H(34)O(7)N(2)F(3); 元素分析計算値 C% 60.91, H% 5.75, N% 4.73, F% 9.64, 実測値: C% 60.79, H% 5.67, N% 4.63, F%9.67.
【0100】
チオコルヒチン化合物の合成(図4
チオコルヒチン、N‐[(7S)‐1,2,3‐トリメトキシ‐10‐メチルスルファニロ‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(39):コルヒチン(1)(1mmol)を10mLのメタノール/ジメチルホルムアミド(1:1)に70‐80℃で溶解した。溶液を室温に冷却し、ナトリウムメタンチオラート(2ミリモル)を加えた。混合溶液を一晩撹拌した。水(20mL)を加え、反応混合物をCHCl(10mL)で抽出し、NaSOで乾燥させて濃縮した。エチルエーテル/アセトン(1:1)からの残留物の結晶化により、71%の収率で生成物(39)が得られた。
【0101】
N‐[(7S)‐3‐ヒドロキシ‐1,2‐ジメトキシ‐3‐ヒドロキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(40):10mLのメタノールを使用して1mmolのチオコルヒチン(39)を溶解し、30mLの0.2N塩酸を添加した。メタノールを蒸発させ、冷却し、水酸化ナトリウム溶液をpH値が11になるまで加え、得られたアルカリ性溶液をクロロホルムで抽出して、非フェノール性物質を除去した。水酸化ナトリウム溶液(赤色)を塩酸で酸性化し、クロロホルムで抽出した。乾燥及び濃縮後、(40)の収率は58%であった。
N‐[(7S)‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐3‐(プロパ(2‐エン)オキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(41)、N‐[(7S)‐3‐エトキシ‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(42)、及びN‐[(7S)‐3‐プロポキシ‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アセトアミド(43):1ミリモルの(40)化合物を2.5mLの1N水酸化ナトリウム溶液に溶解した。得られた溶液を0℃に冷却して、3‐ブロモプロパ‐1‐エン(1ミリモル)で化合物(41)を得るか、1‐ブロモエタン(1ミリモル)で化合物(42)を得るか、又は1‐ブロモプロパン(1mmol)で化合物(43)を得て、3.5mLアセトンに溶解し、冷却した溶液に加えた。溶液を15時間静置した後、25mLのアルカリ水を加えた。得られた生成物をクロロホルムを使用して抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。(41)の収率は68%、(42)の収率は71%であった。
【0102】
N‐デアセチル‐N‐(N‐トリフルオロアセチルアミノアシル)チオコルヒチンの調製
N‐[(7S)‐3‐ヒドロキシ‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アミン(44);
N‐[(7S)‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐3‐(プロパ(2‐エン)オキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アミン(45);
N‐[(7S)‐3‐エトキシ‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]アミン(46);
N‐[(7S)‐3‐ヒドロキシ‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]‐N‐[(トリフルオロアセチル)グリシル]アセトアミド(47);
N‐[(7S)‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐3‐(プロパ‐2‐エノキシ)‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]‐N‐[(トリフルオロアセチル)グリシル]アセトアミド(48);
N‐[(7S)‐3‐エトキシ‐1,2‐ジメトキシ‐10‐メチルスルファニル‐9‐オキソ‐5,6,7,9‐テトラヒドロベンゾ[α]ヘプタレン‐7‐イル]‐N‐[(トリフルオロアセチル)グリシル]アセトアミド(49)。
【0103】
各派生物(44‐46)、及び(47‐49)は同様の方法で調製された。1ミリモルの適切な誘導体(40)又は(41)又は(42)を2N HCl(10mL)を含むメタノール(20mL)に溶解し、90℃で加熱して24時間撹拌した。反応混合物を冷却し、NaHCOで中和し、CHClで抽出した。抽出物をNaSOで乾燥し、濃縮した。結晶化は(1:1)CHCl/CHOHからであった。脱アセチル化化合物(44)、(45)、(46)の収率は、それぞれ58%、63%及び71%であった。
(44)又は(45)又は(46)の脱アセチル化化合物1ミリモル及びN‐トリフルオロアセチロアミノ酸(1ミリモル)を室温で溶解し、ジクロロメタン(6mL)を撹拌しながら加えた。ジシクロヘキシルカルボジイミド(1ミリモル)を懸濁液に加え、2時間後に0℃に冷却して濾過した。各化合物(47)又は(48)又は(49)をジクロロメタン:エチルエーテル(1:1)溶液から結晶化させた。(47)、(48)、及び(49)の収率はそれぞれ64%、67%、75%であった。
【0104】
(39)、(40‐42)、(44‐46)及び(47‐49)化合物の分析

コルヒチン(1): M.p. 275 °C; (39): M.p. 250°C -252°C; 元素分析計算値C(22)H(25)N(1)O(5)S(1): C% 63.60, H% 6.06, N% 3.37, S%7.72; 実測値: C% 63.71, H% 6.15, N% 3.42, S% 7.79; (40): M.p. 306°C; 元素分析計算値C(21)H(23)O(5)N(1)S(1): C% 62.8, H% 5.8, N% 3.5, S% 8.0, 実測値: C% 62.9, H% 5.8, N% 3.3, S% 7.5; 計算値 M, 401.1, 実測値 EIMS m/e 401.1 (M+); (41): M.p. 306°C; 元素分析計算値 C(24)H(27)O(5)N(1)S(1), C% 65.3, H% 6.12, N% 3.17, S% 7.24, 実測値: C% 65.07, H% 6.59, N% 3.21, S% 7.28; 計算値M, 454.5, 実測値 EIMS 454.5 (M+Na+); 442.5; (42): M.p. 273°C; 元素分析計算値 C(23)H(27)O(5)N(1)S(1), C% 64.33, H% 18.64, N% 3.26, S% 7.45, 実測値: C% 64.4, H%18.9, N% 3.27, S% 7.61; 計算値 M, 452.6, 実測値 EIMS 452.6 (M+Na+); (44):M.p. 281°C; 元素分析計算値 C(19)H(21)O(4)N(1)S(1), C% 63.51, H% 5.91, N% 3.88, S% 8.92, 実測値: C% 63.55, H% 5.83, N% 3.75, S% 8.93; (45): M.p. 254°C; 元素分析計算値 C(22)H(25)O(4)N(1)S(1), C% 65.8, H% 6.77, N% 3.52, S% 7.99, 実測値: C% 65.83, H% 6.49, N% 3.63, S% 8.31; (46): M.p. 276°C; 元素分析計算値 C(21)H(25)O(4)N(1)S(1), C% 65.81, H% 6.50, N% 3.6, S% 8.24, 実測値: C% 65.12, H% 6.54, N% 3.57, S% 8.27; (47): M.p. 284°C; 元素分析計算値 C(23)H(23)O(6)N(2)S(1)F(3), C% 55.42 , H% 4.61, N% 2.92, S% 6.42, F% 11.44 実測値: C% 55.43, H% 4.62, N% 2.91, S% 6.42, F% 11.44; (48): M.p.324°C; 元素分析計算値C(26)H(27)O(6)N(2)S(1)F(3), C% 56.52, H% 4.89, N% 5.07, S% 5.79, F% 10.32 実測値: C% 56.52, H% 4.87, N% 7.01, S% 5.79, F% 10.32; (49): M.p. 256°C; 元素分析計算値 C(25)H(27)O(6)N(2)S(1)F(3), C% 57.03, H% 5.13, N% 5.32, S% 6.08, F% 10.87 実測値: C% 53.67, H% 4.5, N% 5.32, S% 6.05; F% 10.85.
【0105】
コルヒチン誘導体の特定の合成
化合物(2)
【化29】

水(2000mL)中の1(30.0g)及びナトリウムチオメトキシド(30.0mL)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(20.0g、65%)を得た。
【0106】
化合物(6)、(17)及び(28)
【化30】

1(1.0g、2.51mmol)及び塩化アセチル(3mL)の溶液に、テトラクロリド(tetrachloride)(1mL)を加え、混合物を室温で40時間撹拌した。粗生成物を直接次のステップに使用した。
メタノール/水中の2(粗製)及び水酸化リチウム(4当量)の溶液を室温で1時間撹拌した。水相を抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。再結晶(0.2g、21%、2ステップ)により生成物を得た。
DMF(20mL)中の3(800mg、2.01mmol)、ブロモエタン(450mg、4.16mmol)及び炭酸カリウム(1.2g、8.31mmol)の混合物を、90℃で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.5g、60%)を得た。
【0107】
THF(15mL)中の4(700mg、1.69mmol)、(Boc)2O(3.7g、16.95モル)及びDMAP(83mg、0.68mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(15mL)中の5(粗製)及びナトリウムメトキシド(365.0mg、6.76mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。次に、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.6g)を得た。
ジクロロメタン(5mL)中の6(600mg、1.27mmol)及びトリフルオロ酢酸(5mL)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、生成物(0.45g、96%)を得た。
7(50mg、0.13mmol)、EDCI(39mg、0.20mmol)、HOBT(27mg、0.20mmol)、FCGlyOH(28mg、0.16mmol)及びトリエチルアミン(54mg、0.54mmol)のジクロロメタン(3mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(22mg、31%)を得た。
【0108】
化合物(11)、(22)及び(33)
【化31】

1(1.0g、2.51mmol)の溶液に、塩化アセチル(3mL)をテトラクロリド(tetrachloride)(1mL)に加え、混合物を室温で40時間撹拌した。粗生成物を直接次のステップに使用した。
メタノール/水中の2(粗製)及び水酸化リチウム(4当量)の溶液を室温で1時間撹拌した。水相を抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。再結晶により生成物を得た(0.2g、21%、2ステップ)。
【0109】
DMF(20mL)中の3(800mg、2.01mmol)、1‐ブロモ‐2‐メトキシエタン(580mg、4.16mmol)及び炭酸カリウム(1.15g、8.31mmol)の混合物を、75℃で3時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.5g、54%)を得た。
THF(10mL)中の4(500mg、1.13mmol)、(Boc)2O(2.5g、11.29mmol)及びDMAP(55mg、0.45mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(15mL)中の5(粗製)及びナトリウムメトキシド(244.0mg、4.52mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。次に、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.45g)を得た。
ジクロロメタン(5mL)中の6(0.6g、1.20mmol)及びトリフルオロ酢酸(5mL)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、生成物(0.45g、94%)を得た。
7(65mg、0.16mmol)、EDCI(46mg、0.24mmol)、HOBT(32mg、0.24mmol)、FCGlyOH(42mg、0.24mmol)及びトリエチルアミン(65mg、0.65mmol)のジクロロメタン(3mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(25mg、28%)を得た。
【0110】
化合物(13)、(24)及び(35)
【化32】

1(1.0g、2.51ミリモル)の溶液に、塩化アセチル(3mL)をテトラクロリド(tetrachloride)(1mL)に加え、混合物を室温で40時間撹拌した。粗生成物を直接次のステップに使用した。
メタノール/水中の2(粗製)及び水酸化リチウム(4当量)の溶液を室温で1時間撹拌した。水相を抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。再結晶により生成物を得た(0.2g、21%、2ステップ)。
【0111】
DMF(20mL)中の3(1.0g、2.6ミリモル)、3‐(クロロメチル)ピリジン(0.64g、3.9ミリモル)及び炭酸カリウム(1.08g、7.8ミリモル)の混合物を90℃で8時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.7g、58%)を得た。
THF(20mL)中の4(700mg、1.47mmol)、(Boc)2O(3.2g、14.71モル)及びDMAP(72mg、0.59mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物(0.7g、87%)を得た。
メタノール(10mL)中の5(0.7g、1.22ミリモル)及びナトリウムメトキシド(131.0mg、2.43ミリモル)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の6(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.3g)を得た。
7(50mg、0.13mmol)、EDCI(44mg、0.23mmol)、HOBT(31mg、0.23mmol)、FCGlyOH(39mg、0.23mmol)及びトリエチルアミン(47mg、0.46mmol)のジクロロメタン(3mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(22mg、32%)を得た。
【0112】
化合物(40)、(44)及び(47)
【化33】
【0113】
リン酸(120mL)中の1(4.0g)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpH5に調整し、続いてジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンでの結晶化により精製して、表題化合物(1.8g、67%)を得た。
THF(20mL)中の2(600mg、1.50mmol)、(Boc)2O(3.3g、14.96mmol)及びDMAP(73mg、0.60mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(10mL)中の3(粗製)及びナトリウムメトキシド(120.0mg、2.3mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の4(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.4g)を得た。
【0114】
0℃に冷却したジクロロメタン(3mL)中の5(50mg、0.14mmol)及びイミダゾール(9mg、0.14mmol)の溶液に、塩化tert‐ブチルジメチルシリル(21mg、0.14mmol)を加えた。得られた混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、クロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物(30mg、45%)。
6(30mg、0.06mmol)、EDCI(24mg、0.13mmol)、HOBT(17mg、0.13mmol)、FCGlyOH(22mg、0.13mmol)及びトリエチルアミン(26mg、0.26mmol)のジクロロメタン(3mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。
THF(3mL)中の7(粗製)の溶液に、TBAF(28mg、0.11mmol)を加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(20mg)を得た。
【0115】
化合物47a
【化34】

水(2000mL)中の1(30.0g)及びナトリウムチオメトキシド(30.0mL)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(20.0g、65%)を得た。
【0116】
THF(220ml)中の2(15.0g、36.0mmol)、(Boc)2O(79.0g、361.0mmol)及びDMAP(1.8g、14.0mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(400mL)中の3(粗製)及びナトリウムメトキシド(4.0g、74.0mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。次に、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(15.0g)を得た。
ジクロロメタン(20mL)中の4(15.0g、31.8mmol)及びトリフルオロ酢酸(20ml)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、生成物(11.0g、85%)を得た。
5(11.0g、29.0ミリモル)、EDCI(11.3g、59.0ミリモル)、HOBT(2.0g、59.0ミリモル)、FCOGlyOH(7.6g、44.0ミリモル)及びトリエチルアミン(11.9g、118.0ミリモル)のジクロロメタン(200mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(12.0g、77%)を得た。
【0117】
化合物(40)、(41)、(45)及び(48)
【化35】

リン酸(120mL)中の1(4.0g)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpH5に調整し、続いてジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンでの結晶化により精製して、表題化合物(1.8g、67%)を得た。
アセトン(3mL)中の2(50mg、0.12mmol)、3‐ブロモプロパ‐1‐エン(23mg、0.19mmol)及び炭酸カリウム(52mg、0.37mmol)の混合物を2時間還流した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(30mg、55%)を得た。
THF(20mL)中の3(500mg、1.13mmol)、(Boc)2O(2.5g、11.31モル)及びDMAP(55mg、0.45mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次に直接使用した。
【0118】
メタノール(10mL)中の4(粗製)及びナトリウムメトキシド(120.0mg、2.21mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得て、これを次に直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の5(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.4g)を得た。
6(50mg、0.13mmol)、EDCI(48mg、0.25mmol)、HOBT(34mg、0.25mmol)、FCGlyOH(43mg、0.25mmol)及びトリエチルアミン(63mg、0.63mmol)のジクロロメタン(3mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(25mg、36%)を得た。
【0119】
化合物(40)、(42)、(46)及び(49)
【化36】
【0120】
リン酸(120mL)中の1(4.0g)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpH5に調整し、続いてジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンで結晶化することにより精製して、表題化合物(1.8g、67%)を得た。
アセトン(3mL)中の2(50mg、0.12mmol)、ブロモエタン(21mg、0.19mmol)及び炭酸カリウム(52mg、0.37mmol)の混合物を2時間還流した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(35mg、65%)を得た。
THF(20mL)中の3(500mg、1.16mmol)、(Boc)2O(2.5g、11.63モル)及びDMAP(57mg、0.47mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(10mL)中の4(粗製)及びナトリウムメトキシド(122.0mg、2.26mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の5(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10ml)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.4g)を得た。
6(50mg、0.13mmol)、EDCI(49mg、0.26mmol)、HOBT(35mg、0.26mmol)、FCGlyOH(44mg、0.26mmol)及びトリエチルアミン(65mg、0.65mmol)のジクロロメタン(3mL)中の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(25mg、36%)を得た。
【0121】
化合物(6a)、(17a)及び(28a)
【化37】
【0122】
THF(300mL)中の1(20.0g、0.05ミリモル)、(Boc)2O(109.3g、0.50モル)及びDMAP(2.4g、0.02モル)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(400mL)中の2(粗製)及びナトリウムメトキシド(5.4g、0.1mol)の溶液を室温で2時間撹拌した。次に、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(20.0g、87%)。
ジクロロメタン(10mL)中の3(2.95g、6.46mmol)及びトリフルオロ酢酸(10mL)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、生成物(2.1g、91%)を得た。
ジクロロメタン(5mL)中の4(200mg、0.56ミリモル)、DCC(138mg、0.67ミリモル)、DMAP(82mg、0.67ミリモル)、及びトリエチルアミン(115mg、1.12ミリモル)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(110mg、39%)を得た。
【0123】
化合物(83)
【化38】

1(1.0g、2.51ミリモル)の溶液に、塩化アセチル(3mL)をテトラクロリド(tetrachloride)(1mL)に加え、混合物を室温で40時間撹拌した。粗生成物を直接次のステップに使用した。
メタノール/水中の2(粗製)及び水酸化リチウム(4当量)の溶液を室温で1時間撹拌した。水相を抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。再結晶により生成物を得た(0.2g、21%、2ステップ)。
【0124】
DMF(20mL)中の3(800mg、2.01mmol)、ブロモエタン(450mg、4.16mmol)及び炭酸カリウム(1150mg、8.31mmol)の混合物を、90℃で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.5g、60%)を得た。
THF(15mL)中の4(700mg、1.69mmol)、(Boc)2O(3.7g、16.95モル)及びDMAP(83mg、0.68mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(15mL)中の5(粗製)及びナトリウムメトキシド(365.0mg、6.76mmol)の溶液を室温で2時間攪拌した。次に、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.6g)を得た。
ジクロロメタン(5mL)中の6(600mg、1.27mmol)及びトリフルオロ酢酸(5mL)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応溶液を濃縮して生成物をnineした(0.45g、96%)。
ジクロロメタン(3mL)中の7(50mg、0.13mmol)及びトリエチルアミン(27mg、0.27mmol)の溶液に、0℃でメチルカーボノクロリダート(methyl carbonochloridate)(19mg、0.20mmol)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(15mg、26%)を得た。
【0125】
化合物(84)
【化39】

1(1.0g、2.51ミリモル)の溶液に、塩化アセチル(3mL)をテトラクロリド(tetrachloride)(1mL)に加え、混合物を室温で40時間撹拌した。粗生成物を直接次のステップに使用した。
メタノール/水中の2(粗製)及び水酸化リチウム(4当量)の溶液を室温で1時間撹拌した。水相を抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。再結晶により生成物を得た(0.2g、21%、2ステップ)。
【0126】
DMF(20mL)中の3(800mg、2.01mmol)、1‐ブロモ‐2‐メトキシエタン(580mg、4.16mmol)及び炭酸カリウム(1.15g、8.31mmol)の混合物を、75℃で3時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.5g、54%)を得た。
THF(10mL)中の4(500mg、1.13mmol)、(Boc)2O(2.5g、11.29mmol)及びDMAP(55mg、0.45mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(15mL)中の5(粗製)及びナトリウムメトキシド(244.0mg、4.52mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。次に、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.4g)を得た。
ジクロロメタン(5mL)中の6(0.6g、1.20mmol)及びトリフルオロ酢酸(5ml)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、生成物(0.45g、94%)を得た。
ジクロロメタン(3mL)中の7(50mg、0.12ミリモル)及びトリエチルアミン(25mg、0.25ミリモル)の溶液に、0℃でメチルカーボノクロリダート(methyl carbonochloridate)(18mg、0.19ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(16mg、28%)を得た。
【0127】
化合物(85)
【化40】

1(1.0g、2.51ミリモル)の溶液に、塩化アセチル(3mL)をテトラクロリド(tetrachloride)(1mL)に加え、混合物を室温で40時間撹拌した。粗生成物を直接次のステップに使用した。
メタノール/水中の2(粗製)及び水酸化リチウム(4当量)の溶液を室温で1時間保存した。水相を抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。再結晶により生成物を得た(0.2g、21%、2ステップ)。
【0128】
DMF(20mL)中の3(1.0g、2.6ミリモル)、3‐(クロロメチル)ピリジン(0.64g、3.9ミリモル)及び炭酸カリウム(1.08g、7.8ミリモル)の混合物を90℃で8時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(0.7g、58%)を得た。
THF(20mL)中の4(700mg、1.47mmol)、(Boc)2O(3.2g、14.71モル)及びDNP(72neg.0.59mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して生成物(0.7g、87%)を得た。
メタノール(10mL)中の5(0.7g、1.22ミリモル)及びナトリウムメトキシド(131.0mg、2.43ミリモル)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の6(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10ml)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.3g)を得た。
ジクロロメタン(3mL)中の7(50mg、0.12ミリモル)及びトリエチルアミン(35mg、0.35ミリモル)の溶液に、0℃でメチルカーボノクロリダート(methyl carbonochloridate)(16mg、0.17ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(12mg、21%)を得た。
【0129】
化合物(89)
【化41】

リン酸(120mL)中の1(4.0g)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpH5に調整し、続いてジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンで結晶化することにより精製して、表題化合物(1.8g、67%)を得た。
THF(20mL)中の2(600mg、1.50mmol)、(Boc)2O(3.3g、14.96mmol)及びDMAP(73mg、0.60mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次に直接使用した。
【0130】
メタノール(10mL)中の3(粗製)及びナトリウムメトキシド(120.0mg、2.3mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得て、これを次に直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の4(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.4g)を得た。
0℃に冷却したジクロロメタン(3mL)中の5(50mg、0.14mmol)及びlm(9mg、0.14mmol)の溶液に、tert‐ブチルジメチルクロロシラン(21mg、0.14mmol)を加えた。得られた混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(30mg、45%)を得た。
ジクロロメタン(3mL)中の6(100mg、0.13mmol)及びトリエチルアミン(64mg、0.64mmol)の溶液に、0℃でメチルカーボノクロリダート(methyl carbonochloridate)(40mg、0.42mmol)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(50mg、45%)を得た。
テトラヒドロフラン(3mL)中の7(50mg、0.09ミリモル)の溶液に、TBAF(29mg、0.11ミリモル)を加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(20mg、51%)を得た。
【0131】
化合物(90)
【化42】

リン酸(120mL)中の1(4.0g)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpH5に調整し、続いてジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンで結晶化することにより精製して、表題化合物(1.8g、67%)を得た。
【0132】
アセトン(3mL)中の2(50mg、0.12mmol)、3‐ブロモプロパ‐1‐エン(23mg、0.19mmol)及び炭酸カリウム(52mg、0.37mmol)の混合物を2時間還流した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(30mg、55%)を得た。
THF(20mL)中の3(500mg、1.13mmol)、(Boc)2O(2.5g、11.31モル)及びDMAP(55mg、0.45mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(10mL)中の4(粗製)及びナトリウムメトキシド(120.0mg、2.21mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の5(粗製)及びトリフルオロ酢酸(10mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(04g)を得た。
ジクロロメタン(3mL)中の6(50mg、0.13mmol)及びトリエチルアミン(25mg、0.25mmol)の溶液に、0℃でメチルカーボノクロリダート(methyl carbonochloridate)(24mg、0.25mmol)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(20mg、35%)を得た。
【0133】
化合物(91)
合成ルートA
【化43】

リン酸(120mL)中の1(4.0g)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷上に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpH5に調整し、続いてジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンで結晶化することにより精製して、表題化合物(1.8g、67%)を得た。
アセトン(3mL)中の2(50mg、0.12mmol)、ブロモエタン(21mg、0.19mmol)及び炭酸カリウム(52mg、0.37mmol)の混合物を2時間還流した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(35mg、65%)を得た。
【0134】
THF(20mL)中の3(500mg、1.16mmol)、(Boc)2O(2.5g、11.63モル)及びDMAP(57mg、0.47mmol)の混合物を一晩還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
メタノール(10mL)中の4(粗製)及びナトリウムメトキシド(122.0mg、2.26mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次のステップに直接使用した。
ジクロロメタン(10mL)中の5(粗製)及びトリエチルアミン(10mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮して生成物(0.4g)を得た。
ジクロロメタン(3mL)中の6(50mg、0.13ミリモル)及びトリエチルアミン(25mg、0.25ミリモル)の溶液に、0℃でメチルカーボノクロリダート(methyl carbonochloridate)(24mg、0.25ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(20mg、35%)を得た。
【0135】
合成ルートB
【化44】

ステップ1‐酸分解
【化45】
【0136】
THC(1g)を温かい濃亜リン酸(85%)(40ml)に溶解し、約12時間撹拌した。溶液をクロロホルムで約5回抽出した。得られたクロロホルム画分を水で洗浄し、次にロータリーエバポレーターを使用して濃縮して、加水分解からの生成物を得た。
加水分解の生成物をアセトンに溶解し、KCOの水溶液を加えた。得られた溶液を濃縮し、次にさらにアセトンを加え、続いて濃縮してカリウム塩(3‐デメチルチオコルヒチン)を得た。
【0137】
ステップ2-エーテル(3‐エトキシチオコルヒチン)の合成
【化46】

ステップ1からのカリウム塩(3‐デメチルチオコルヒチン)をアセトン(75ml)に溶解し、2倍モル過剰のヨウ化エチルを加えた。得られた溶液を撹拌し、還流下で約5時間還流(沸騰)させた。溶液を濃縮し、アセトニトリルを加え、溶液を再び濃縮して、残っているヨウ化エチルを除去して、沈殿3‐エトキシチオコルヒチンを得た。
【0138】
ステップ3-アミド結合の加水分解
【化47】

3‐エトキシチオコルヒチンを5M HCl(100ml)に溶解し、還流(沸騰)させ、沸騰させながら攪拌し、TLCでモニターした。約5時間後、反応混合物をクロロホルムで7回抽出した。得られたクロロホルム画分を水で洗浄し、蒸発乾固させた。生成物をメタノールに溶解し、3回濃縮して微量の水を除去した。生成物をアセトニトリルに溶解し、蒸発乾固してアミン(3‐エトキシデアセチルチオコルヒチン)を得た。
【0139】
ステップ4
【化48】

乾燥アミン(3‐エトキシデアセチルチオコルヒチン)をTHF(50ml)に溶解し、TEA(トリエチルアミン)(1.5ml)を加えた。この溶液に、クロロギ酸メチル(0.5g)を加え、RT(室温)で約5時間撹拌し、TLCでモニターした。得られた溶液を蒸発乾固し、クロロホルムに溶解し、0.2M HClで2回、次に水で1回抽出した。得られたクロロホルム画分を蒸発乾固し、アセトニトリルに溶解し、再度蒸発乾固させた。得られた生成物(CR‐42‐024=(91))をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。溶離液は、0~5%のヘキサンを含むヘキサン/酢酸エチルの混合物であった。
【0140】
TPO
以下に説明するいくつかの実験では、コルヒチン誘導体TPO(Kerekes P, Sharma PN, Brossi A, Chignell CF, Quinn FR (1985) Synthesis and biological effects of novel thiocolchicines. 3. Evaluation of N-acyldeacetylthiocolchicines, N-(alkoxycarbonyl) deacetylthiocolchicines, and O-ethyldemethylthiocolchicines. New synthesis of thiodemecolcine and antileukemic effects of 2-demethyl- and 3-demethylthiocolchicine.(新規チオコルヒチンの合成と生物学的効果。3.N‐アシルデアセチルチオコルヒチン、N‐(アルコキシカルボニル)デアセチルチオコルヒチン、及びO‐エチルデメチルチオコルヒチンの評価。チオデメコルシンの新規合成及び2‐デメチル‐及び3‐デメチルチオコルヒチンの抗白血病効果。)J Med Chem 28:1204-1208に記載、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を使用して、(91)と比較して痛風に関連する炎症に対してその有効性を決定した。
【化49】

TPO
【0141】
例2-痛風の炎症のインビトロ研究
一連のインビトロ実験は、MSU誘発好中球活性化において、コルヒチン誘導体である(91)(一部の図では「CCI」と呼ばれる)を使用して実施された。CH‐35(43)やCR42‐003(47a)など、(91)と同様の構造を持つコルヒチン誘導体の効果を示すための実験も行われた。化合物を生成するために使用される足場であるコルヒチンの構造は、CCI(91)、CH‐35(43)、及びCR‐42‐003(47a)を生成するために、以下の表1に示す位置で変更された。要約すると、以下でさらに詳細に説明するように、ヒト好中球は健康なドナーから分離され、(91)、(43)、及び(47a)の存在下又は非存在下で痛風の原因物質であるMSUで刺激された。評価された主要な好中球応答は、細胞質カルシウムレベル(図7)、炎症誘発性サイトカイン(IL‐8又はIL‐1など)の産生(図8)及びスーパーオキシド産生(図9)であった。
【化50】
【0142】
【表1】
【0143】
化合物は、標的アイソフォーム(この場合はβVI)に対する化合物の高親和性相互作用の必要性と、敏感な器官又は組織におけるオフターゲットチューブリンアイソフォームに対する可能な限り低い親和性との間のバランスをとるために、アルゴリズムアプローチで選択された。したがって、所望の標的に対して改善された特異性/選択性を有する化合物を選択した。目的の細胞内のβ‐チューブリンアイソタイプに対するコルヒチンの親和性を高める可能性が高い化学修飾を特定するためにこのアプローチで使用される重要なパラメーターには、次のものがある。(i)β‐チューブリンアイソタイプに対するコルヒチンの異なる親和性、及び(ii)異なる細胞タイプ間のこれらのβ‐チューブリンアイソタイプの発現の量的及び質的な違い。
薬物ドッキング及びリガンドとチューブリンの個々の残基との相互作用のモードに関する詳細な知識により、標的細胞型での発現により、選択したチューブリンアイソタイプの特異性及び選択性を改善するための修飾を決定することが可能になった。計算作業は、平衡化されたヒト構造が生成される足場としてウシチューブリンを使用した、ヒトチューブリンアイソタイプのホモロジーモデリングに基づいていることに注意する必要がある。ヒトとウシのチューブリンの配列類似性が非常に高いため、得られた結果の信頼性は非常に高くなっている。表1に示される3つの化合物の構造及び予測される結合エネルギー、並びにここで研究された3つの化合物の化学合成の詳細、並びにそれらの密接に構造的に関連するコルヒチン誘導体は、本明細書に記載されており、米国特許番号9,458,101にも見出すことができ、その内容は参照により組み込まれる。
【0144】
材料及び方法
材料
ヒトβ‐チューブリンアイソタイプβ‐I(MAB8527)及びベータ‐III(MAB1195)に対する抗体は、R&D Systemから購入し、ベータ‐II(ab155311)及びベータ‐V(ab82366)はAbcamから入手し、ベータ‐IVb(WH0010383M2)、抗PI3キナーゼp85(ABS1856)抗体は、Sigma‐Aldrichから購入した。ベータVI(LS‐C338196)抗体は、LS Bioから、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ロバ抗マウス免疫グロブリン(IgG)(715‐035‐150)及び西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ロバ抗ウサギ免疫グロブリン(IgG)(711‐035‐152)は、JacksonImmunoresearchから入手した。ラット抗マウスCD45Fitc(11‐0451‐82)及びFura‐2‐アセトキシメチルエステル(Fura‐2AM)はInvitrogenから購入した。コルヒチン、デキストランT500、アプロチニン、ロイペプチン、及びシトクロムCはSigma‐Aldrichから入手した。Western Lightning Chemiluminescence Plus ECLキットは、PerkinElmerから、Ficoll‐PaqueはWisent Bioproductsから入手した。三斜晶系MSU結晶は社内で合成された。エンドトキシン汚染は、リムルスアメーバ細胞溶解物(Limulus amebocyte lysate)アッセイによって除外された。
【0145】
ヒト好中球の単離
好中球は健康な成人ボランティアの静脈血から単離された。簡単に説明すると、静脈血をイソクエン酸塩を含むチューブで採取し、赤血球を2%デキストランに沈殿させ、Ficoll‐Paqueクッションでの遠心分離によって好中球を無菌的に精製した。汚染赤血球は低張溶解によって除去され、好中球は1.6mMのCaClを含むMg2+を含まないHBSSに再懸濁された。
細胞内カルシウム動員を決定するためのMSU及びコルヒチン又はコルヒチン誘導体によるヒト好中球の刺激
ヒト好中球(1×10細胞/ml)を、1mg/mlMSUの添加前に、1μMのFura‐2AM及び示された濃度のコルヒチン(図7A)。(91)(CCI)(図7B)、TPO(図7C)又は希釈剤(DMSO)とプレインキュベートした。さらに、さらなるコルヒチン誘導体に関して同様の実験が行われた。特に、ヒト好中球は、MSU(1mg/ml)を添加する前に、10μMのコルヒチン(図7D)、D1=(28a)(図7E及び7J)、D2=(39)(図7F)、D3=(47a)(図7G及び7J)、D4=(89)(図7H)で刺激された。さらなる実験では、ヒト好中球を10μMのコルヒチン、1μMのCH‐22=(14)、3μMのCH‐35=(43)、又は希釈剤DMSO(図7I及び7J)で刺激した。さらなる実験では、ヒト好中球を0.1μM又は10μMのコルヒチン(図7K及び7L)、0.01μM、0.1μM又は1μM又は10μMの誘導体(43)(図7M及び7N)、又は0.01μM、0.1μM又は1μM又は10μMの誘導体(47a)(図70及び7P)で刺激した。さらなる実験では、ヒト好中球を0.1μM又は1μM又は10μMの誘導体(43)(図7Q)、又は0.1μM又は1μM又は10μMの誘導体(47a)(図7R)で刺激した後、1mg/mlMSUを添加した。図7Sは、図7A、7B、7Q及び7Rで試験された化合物について、示された濃度での化合物の効力のプロットを示している。
好中球(1×10細胞/ml)を1μMFura‐2AM、及び指定濃度の(91)(CCI)、TPO、28a、39、47a、89、14、43又はコルヒチンとともに37℃で30分間インキュベートし、HBSSで1回洗浄し、5×10細胞/mlの濃度に再懸濁し、分光蛍光光度計(Jobin YvonのFluorolog‐SPEX)の温度制御(37℃)キュベットコンパートメントに移した。
【0146】
ヒト好中球のカルシウムレベルの測定
細胞内カルシウム濃度は分光蛍光光度計で測定され、曲線下面積(MSU注入から100秒まで)として表される。
次に、細胞質カルシウムの変化を、MSU又はHBSS(ネガティブコントロール)の添加後に、340及び380nmの2つの励起波長と510nmの発光波長を使用して測定した。遊離内部カルシウム濃度は、340nmと380nmで得られた蛍光値の比率から推定された。結果は、時間の関数としての細胞内カルシウム濃度の曲線下面積として計算される(刺激の追加に対して0‐100秒)。
MSUに対する応答の特異性の決定:ヒト好中球における細胞質カルシウムのfMLP誘発性増加
ヒト好中球(1×10細胞/ml)を上記のように単離し、1μM Fura‐2AM及び示された濃度のコルヒチン、CCI(91)又はCH‐35(43)とプレインキュベートした後、10‐M fMLP(図7T及び7U)又は1mg/ml MSU(図7V及び7W)を添加した。細胞内カルシウム濃度は分光蛍光光度計で測定され、曲線下面積として表される。
【0147】
CXCL8/IL‐8又はIL‐1放出を決定するためのMSU及びコルヒチン又はコルヒチン誘導体によるヒト好中球の刺激
ヒト好中球を上記のように単離し、示された濃度のコルヒチン(43)(図8A)、(47a)(図8B)又はDMSOとともに37℃で30分間インキュベートした。次に、MSU(1mg/ml)又はバッファー(RPMI)を細胞に添加し、37℃でさらに3時間インキュベートした。細胞を遠心分離し(400xgで2分間)、上清を回収し、16,000xgで5分間再度遠心分離した。さらなる実験では、ヒト好中球を、示された濃度のコルヒチン(図8C)、CCI(91)(図8D)、CR42‐003(47a)(図8E)又は(43)(図8F)とともにインキュベートした後、1mg/ml MSUと3時間インキュベーションした。図8Gは、図8C~Fで試験された示された濃度での化合物の効力のプロットを示す。CR42‐003(47a)及びCH‐35(43)の存在下でのIL‐8産生の基礎レベルも、MSU刺激の前に決定された(図8L)。IL‐1βの場合、白色RPMI中のヒト好中球(2x10細胞/ml)を250U/ml TNFαでプライミングし、示された濃度のコルヒチン(図8H)、CCI(91)(図8I)、CH‐35(43)(図8J)とインキュベートした後、1mg/ml MSUを添加し、37℃で3時間インキュベートした。図8Kは、図8H‐Jでテストした化合物について、示された濃度での化合物の効力の比較を示している。次に、細胞を遠心分離して、上記のように上清を回収した。細胞外CXCL8/IL‐8又はIL‐1βはELISA(Invitrogen)によって定量化された。すべてのサンプルを2回測定した。
【0148】
ヒト好中球におけるCXCL8/IL‐8又はIL‐1レベルの測定
刺激された好中球によって放出されるCXCL8/IL‐8又はIL‐1の量は、市販のInvitrogenからの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キット(ヒトIL‐8サイトセット、番号CHC1303及びIL‐1β(番号88‐7261‐88))を用いることにより決定した。
スーパーオキシド産生を決定するためのMSU及びコルヒチン又はコルヒチン誘導体によるヒト好中球の刺激
ヒト好中球を上記のように単離し、示された濃度のコルヒチン(図9A)、(91)(CCI)(図9B)、又は希釈剤(DMSO)とともに37℃で30分間インキュベートした後、125μMシトクロムC又はバッファー(HBSS)の存在下、37℃で10分間、1mg/ml MSUで刺激した。さらなる実験では、ヒト好中球を、示された濃度のコルヒチン(図9C)、CCI(91)(図9D)、(47a)(図9E)又は(43)(図9F)とともに37℃で30分間インキュベートした後、1mg/ml MSUで刺激した。図9Gは、図9C~9Fで試験された化合物について示された濃度での化合物の効力のプロットを示している。(47a)及び(43)の存在下でのROS生成の基礎レベルも、MSU刺激の前に決定された(図9H)。結果は、MSUコントロールによって生成されたスーパーオキシドの比率として表される。
【0149】
ヒト好中球のスーパーオキシドレベルの測定
スーパーオキシド生成は、シトクロムCアッセイの還元を使用して測定された。最初の10分以内に読み取られた550nmと540nmでの光学密度の読み取り値の差に、シトクロムCの吸光係数を掛けて、1x10個の細胞によって生成されたnmolOの数を求めた。結果は、nmolO/1x10細胞/mlとして表される。
ウエスタンブロット分析
好中球懸濁液(2×10細胞/ml)を同量の2×沸騰修飾Laemmliサンプルバッファー(1×バッファー:62.5mM Tris・HCl(pH 6.8)、4%(wt/vol)ドデシル硫酸ナトリウム)(SDS)、5%(vol/vol)β‐メルカプトエタノール、8.5%(vol/vol)、グリセロール、2.5mMオルトバナジン酸塩、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン及び0.025%ブロモフェノールブルー)に直接移し、7分間煮沸分した。タンパク質は、還元条件下で10%アクリルアミドゲル上でSDS‐PAGEにより分離され、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)メンブレンに転写された。ブロッキング剤と抗体は、トリス緩衝生理食塩水Tween 20(TBST)溶液(25mM Tris・HCl、pH 7.8、190mM NaCl、0.15%vol vol Tween‐20)で希釈した。一次及び二次抗体は、メーカーが推奨する濃度で使用された。抗β‐チューブリンアイソタイプ特異的抗体でイムノブロッティングする前に、PVDFメンブレンをブロッキング溶液(TBST中の5%wt/vol粉乳)でインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ロバ抗マウスIgG及びロバ抗ウサギIgGをTBST溶液で希釈した。化学発光試薬を使用して、最大曝露時間5分の抗体を検出した。提示されたすべてのイムノブロットは、抗PI3キナーゼp85抗体を用いてタンパク質の負荷が等しくなるように制御された。
【0150】
結果
(91)(CCI)は、コルヒチンよりも低い濃度でMSU誘発性カルシウム動員を阻害する
MSUによって開始される好中球の最も初期の分子イベントの1つは細胞内カルシウム貯蔵の動員であるため、(91)(CCI)、(43)、及び(47a)の効果がこの初期のシグナル伝達イベントで評価された。簡単に説明すると、上記でさらに詳しく説明したように、ヒト好中球を蛍光カルシウムインジケーターFura‐2とインキュベートした後、(91)(CCI)、(43)、又は(47a)の濃度範囲でインキュベートし、MSUで刺激した。Fura‐2は、細胞内貯蔵からの放出によって引き起こされる細胞質カルシウムの増加を監視する。テストされた(91)(CCI)、(43)、又は(47a)の濃度は、0.1~10μMの範囲であった。比較のために、同じ濃度のコルヒチンを使用して同じ実験を行った。
図7A‐Cに示すように、(91)(CCI)は、0.1μMの低用量で細胞内カルシウム濃度の増加を有意に抑制するが、TPOはより高い濃度で抑制を示す。対照的に、コルヒチンは、10μMの濃度でのみカルシウムの動員の有意な阻害を誘発することができる。したがって、(91)は、細胞内カルシウム貯蔵の動員をコルヒチンよりも約100分の1の濃度で有意に減少させることができ、したがって、カルシウムの動員を阻害する点でコルヒチンよりも約100倍強力である。他のコルヒチン誘導体28a、39、47a、14、及び43は、コルヒチン(図7E)と比較した場合、(89)(図7H)を除いて、ヒト好中球のカルシウムレベルの低下に関して好中球阻害効果を示した(図7E‐J)。これは、(最初のスパイク後の)グラフ化された線の傾きの増加によって示され、細胞質の遊離カルシウムの濃度の増加を示す(図7D‐I)。
【0151】
注目すべきことに、コルヒチン(図7K及び7L)と比較した場合、コルヒチン誘導体(91)と同様の所見が、0.1μMという低い濃度のコルヒチン誘導体(43)(図7M及び7N)及び(47a)(図7O及び7P)で見られた。したがって、91、47a、43などのコルヒチン誘導体は、コルヒチンに必要な濃度よりもはるかに低い(たとえば、約100分の1の)濃度で、MSUによって誘発されるヒト好中球のカルシウム動員の増加を阻害する能力を示す(図7)。
さらなる実験では、図7B及び7Q‐Sに示すように、誘導体は0.01~10μMの濃度範囲でテストされた。比較のために、同じ濃度のコルヒチンを使用して同じ実験を行った。CCI(91)(図7B)及びCH‐35(43)(図7R)は、0.1μMの濃度で細胞質カルシウムの増加を大幅に減少させることがわかった。図7Rに示すように、CH‐35(43)は、0.1μM、1μM、及び10μMで細胞内カルシウム濃度の増加を有意に抑制することができた。CH‐35(43)は古典的な単調な用量反応を示し、その効果は濃度に依存する。対照的に、CCI(91)は非単調な用量反応を示し、MSUが誘発する、10μM濃度の細胞質カルシウムの増加に有意な影響を与えない。図7Sに示すように、0.1μMでの誘導体とコルヒチンの阻害活性の比較により、CCI(91)とCH‐35(43)は、MSUによる細胞質カルシウムの増加を大幅に減少させる点でコルヒチンよりも強力であることが確認された。したがって、CCI(91)及びCH‐35(43)は、コルヒチンと比較して低濃度で阻害剤活性を維持する。
【0152】
MSUによる好中球活性化に対するCCI(91)の特異性を評価するために、CCI(91)が無関係の刺激に対する好中球応答を阻害できるかどうかを決定した。この刺激に応答した好中球の活性化が宿主の生存に影響を与えるため、細菌刺激が選択された。簡単に説明すると、ヒト好中球を10μM CCI(91)とインキュベートした後、細菌ペプチドfMLFで活性化した。図7T及び7Uに示すように、fMLFによる好中球の活性化は、細胞質内のカルシウム濃度の有意な上昇を誘発した。しかし、CCI(91)の存在下では、細胞質カルシウム応答は影響を受けなかった。これらの結果は、CCI(91)による好中球活性化の阻害がMSUに対してある程度の選択性を示したことを明らかにした。
【0153】
(91)(CCI)は、コルヒチンよりも低濃度でMSU誘発性のCXCL8/IL‐8又はIL‐1の放出を阻害する
MSUに応答してカルシウムの動員を弱める(91)(CCI)、(43)又は(47a)の能力は、このシグナル伝達イベントの下流の好中球応答への影響の決定を促した。カルシウム動員などの初期のシグナル伝達イベントはMSUによるSrcキナーゼの活性化に依存するため、MSUによって誘導されるCXCL8/IL‐8のSrc依存性産生も(91)(CCI)によって阻害されるかどうかが決定された。さらに、IL‐1は内皮細胞上の接着分子の発現と炎症誘発性サイトカインの合成を誘導し、これらが一緒になって好中球の大量の動員を促進するため、CCI(91)及びCH‐35(43)のIL‐1の産生を抑制する能力も評価された。簡単に説明すると、上記でさらに詳細に説明したように、MSUで刺激する前に、又はフェノールを含まないRPMI(ネガティブコントロール)で3時間インキュベートする前に、好中球を指定濃度の(91)(CCI)、(43)、(47a)及びコルヒチン又はDMSOとともにインキュベートした。次に、無細胞上清を回収し、活性化された好中球によって放出されたCXCL8/IL‐8又はIL‐1の量をELISAによって決定した。
【0154】
図8A‐Bに示すように、コルヒチン誘導体(43)(図8A)又はコルヒチン誘導体(47a)(図8B)とプレインキュベートした好中球によるIL‐8の放出の有意な減少が、0.1μMの低濃度から観察された。
さらなる実験では、図8D‐Fに示すように、CCI(91)、CR42‐003(47a)、及びCH‐35(43)とプレインキュベートした好中球によるIL‐8の放出に有意な減少が0.1μMから10μMの低濃度から観察された(図8D‐F)。対照的に、コルヒチンは1及び10μMでIL‐8の放出を有意に阻害するだけであった(図8C)。0.1μMでの誘導体の阻害活性の比較(図8G)は、MSUによるIL‐8生産の増加を低減する上で、コルヒチンがこの好中球エフェクター機能をもはや弱めることができない濃度で、CCI(91)がCH‐35(43)及びCR42‐003(47a)よりも強力であることを明らかにした。
【0155】
インビトロアッセイは、CCI(91)及びCH‐35(43)がMSUに応答した細胞質カルシウムの増加及びROS(下記参照)の産生を弱めることを明らかにしたので、このアッセイはIL‐1産生に関してCCI(91)及びCH‐35(43)を用いて実施された。IL‐1のMSU誘導合成に対するCCI(91)及びCH‐35(43)の効果は、わずかな変更を加えたIL‐8について記載されたのと同じ実験的アプローチを使用して決定された。成熟したIL‐1の産生と分泌には2つの刺激が必要である。したがって、ヒト好中球は、MSUで刺激する前にTNF‐αでプライミングされた。10μMのCCI(91)、CH‐35(43)、又はコルヒチンで処理した細胞によるIL‐1の産生の減少が観察された(図8H‐J)。注目すべきことに、CCI(91)は0.1μMの閾値濃度で最も強力な化合物であったが、CH‐35(43)は1μMで有効であった(図8I及び8J)。コルヒチンと比較すると、両方の誘導体がより強力である(図8K)。一緒に、化合物は、好中球におけるMSU誘発性IL‐1産生の阻害に関して高い効力を有する。
さらに、図8Lに示すように、CR42‐003(47a)又はCH‐35(43)のみとインキュベートした好中球の上清で測定されたIL‐8の量は、ネガティブコントロール(HBSSに含まれる好中球)の量と同様である。これは、CR42‐003(47a)もCH‐35(43)も、IL‐8の放出によって決定される好中球に対して非特異的な効果を示さないことを示唆している。
【0156】
コルヒチン又はコルヒチン誘導体で刺激されたヒト好中球のスーパーオキシドレベル
カルシウム依存性であり、MSUによって活性化されることが知られており、炎症を起こした関節に損傷を与える可能性がある追加の好中球エフェクター機能は、ROSの産生である。(91)(CCI)、(43)、及び(47a)はカルシウムの動員を阻害するため、(91)(CCI)、(43)、及び(47a)も好中球におけるMSU誘発性ROS産生を調節する可能性がある。簡単に説明すると、上記で詳細に説明したように、MSUで刺激する前に、比較目的でヒト好中球を(91)(CCI)、(43)、(47a)、又はコルヒチンとインキュベートした。
図9A‐Bに示すように、(91)(CCI)は、MSUによって引き起こされるスーパーオキシドの生成の大幅な減少を引き起こした。(91)(CCI)は0.1μMの濃度でスーパーオキシド産生を阻害するが、コルヒチンがMSU誘発性のスーパーオキシド産生を阻害できる最低用量は1μMである。(91)(CCI)は、したがって、コルヒチンよりも約10倍低い(約10分の1の)濃度で、ヒト好中球におけるMSU誘発性スーパーオキシド産生を阻害し、したがって、ヒト好中球におけるMSU誘発性スーパーオキシド産生を阻害するためにコルヒチンよりも約10倍強力である。
【0157】
さらなる実験では、図9D‐9Fに示すように、CCI(91)、CR42‐003(47a)、及びCH‐35(43)は、0.1μMの濃度でMSUによって引き起こされるスーパーオキシドの生成を大幅に減少させた。対照的に、コルヒチン阻害能力は1μMという高い閾値を持っている(図9C)。0.1μMでの誘導体とコルヒチンの阻害活性の比較(図9G)は、MSU誘発性のROS生産の増加の低下において、CCI(91)とCH‐35(43)がコルヒチンとCR42‐003(47a)よりも有意に強力であることを明らかにした。さらに、図9Hに示すように、好中球をCR42‐003(47a)又はCH‐35(43)のみとインキュベートしたときに測定されたスーパーオキシドの量は、ネガティブコントロール(HBSSに含まれる好中球)の量と同様である。これは、CR42‐003(47a)もCH‐35(43)も、スーパーオキシドの生成によって決定されるように、好中球に対して非特異的な効果を示さないことを示唆している。
【0158】
例3-ADMET予測
上記のインビトロ所見に基づいて、及び誘導体(91)と(89)の間で観察されたヒト好中球の炎症反応に対する発散効果に基づいてインビボで誘導体(91)の機能を評価する前に、痛風の治療のための潜在的な薬物としての(91)の使用を評価するために、ADMET予測をこれらの誘導体間で決定した。
ADMET Predictor 7.2(Simulations Plus、CA)は、薬物動態の業界標準予測ソフトウェアである。ADMETの特性を予測するために、複合構造で実行された。以下の表2は、ADMETリスク指標を示している。各リスク指標は、値が高いほど、薬物動態又は毒性の問題のために化合物が薬剤として失敗するリスクが高いことを示すスコアである。CYP_リスクは、代謝責任モデルの集合体である。TOX_MUT_リスクは、S.typhimuriumの変異原性モデルの集合体である。TOX_リスクは、毒性責任のモデルの集合体である。ADMET_リスクは、複数の要因を組み合わせた全体的なリスクスコアである。スコアに寄与する特定の要因は、メモに記載されている。この分析は、インビボでの動作の信頼できるin‐silicoプロキシである。各リスク指標において、(89)のリスクスコアは(91)のスコアよりも高いことがわかった。したがって、(89)は、ADMETの要因により、薬剤として失敗する可能性が高いと予測される。
【0159】
【表2】

したがって、ADMET予測は、(91)と比較して(89)の毒性リスクが明らかに高いことを示しており、動物試験で失敗する可能性が高い候補となっている。
【0160】
例4-インビボ研究
コルヒチン誘導体のインビトロでの効果を示したので(上記を参照)、MSUによって誘発されたインビボでの炎症においてCCI(化合物91)を用いて一連の実験を行った。要約すると、以下でさらに詳細に説明するように、痛風のような炎症を誘発するためにマウスにMSUを注射した。マウスにさらにCCI(化合物91)又はCH‐35(化合物43)を単独で、又はMSU注射の前又は後に注射して、CCI(化合物91;図10A)の血漿半減期を決定し、CH‐35(化合物43;図10B)の血漿半減期を決定し、CCI(化合物91)又はCH‐35(化合物43)が循環白血球によって取り込まれるかどうかを決定し(それぞれ図11A及びB)、CCI(化合物91)又はCH‐35(化合物43)対コルヒチン(図12、13及び14)のMSU誘発性炎症反応に関連する効果を比較した。
【0161】
A.マウスにおけるコルヒチン誘導体の血漿半減期の決定
使用した実験モデルと血漿中のCCI又はCH‐35の濃度の測定
マウスに5μmol/kgの(91)(CCI)又はCH‐35(43)を皮下注射し、注射後15、30、45、60、又は120分で屠殺した。35%タイロードバッファーpH 6.5及び20%クエン酸‐デキストロース溶液(ACD)を用いた心臓穿刺により血液を採取し、2500×gをRTで15分間遠心分離して血漿を得た。血漿中の化合物の濃度(図10A及びB)は、質量分析によって決定された。(91)(CCI)又はCH‐35(43)の濃度は、同じ時点で収穫された5匹のマウスの血漿(ng/ml)で測定された(91)(CCI)又はCH‐35(43)の量の平均として表される。
【0162】
B.循環白血球中のコルヒチン誘導体の濃度の決定
使用した実験モデルと循環白血球中のCCI又はCH‐35の濃度の測定
マウスに5μmol/kgの(91)(CCI)又はCH‐35(43)を皮下注射し、注射後15、30、45、60、又は120分で屠殺した。心臓穿刺により血液を採取し、遠心分離して循環白血球を得た。白血球中の化合物の濃度(図11A及びB)は、質量分析によって決定された。(91)(CCI)又はCH‐35(43)の濃度は、5匹のマウスの同じ時点で収穫される循環白血球で測定された(91)(CCI)又はCH‐35(43)の量(ng/ml)の平均として表される。
【0163】
C.(91)(CCI)は、MSU注射の5分前に投与すると、エアポーチモデルでMSUによって誘発される白血球動員を阻害する
使用した実験モデルとエアポーチ内の白血球の測定
野生型マウス(CD‐1マウス)におけるコルヒチン及びコルヒチン誘導体の抗炎症活性のインビボ評価を行った。皮下に空気を注入することにより、7日間にわたってマウスの背側にエアポーチを生成した。空気の最初の注射の7日後、エアポーチ内へのMSU(1.5mg/ml)又は希釈剤(PBS)の注射の5分前に、示された量の(91)(CCI)、コルヒチン又はDMSO(ビヒクル)を含む10μl/gのHBSSを皮下注射した。MSUの投与から7時間後、エアポーチ内の滲出液を2mlのPBS+0.5M EDTAで2回フラッシュし、1mlのPBS+0.5M EDTAで1回フラッシュして採取し、動員された白血球の数をフローサイトメトリーで測定した。白血球は抗CD45及び抗Ly6G抗体で染色された。
【0164】
D.(91)又は(43)は、MSU注射の1.5時間後に投与すると、エアポーチモデルでMSUによって誘発される白血球動員を阻害する
使用した実験モデルとエアポーチ内の白血球の測定
野生型マウスにおけるコルヒチン及びコルヒチン誘導体の抗炎症活性のインビボ評価を行った。皮下に空気を注入することにより、7日間にわたってマウスの背側にエアポーチを生成した。最初の空気注射の7日後、エアポーチ内のMSU(1.5mg/ml)又は希釈剤(PBS)の注射の1.5時間後に、示された量の(91)、(43)、コルヒチン又はDMSO(ビヒクル)を含む10μl/gのHBSSを皮下注射した。MSUの投与から7時間後、エアポーチ内の滲出液を2mlのPBS+0.5M EDTAで2回フラッシュし、1mlのPBS+0.5M EDTAで1回フラッシュして採取し、動員された白血球の数をフローサイトメトリーで測定した。白血球は抗CD45及び抗Ly6G抗体で染色された。
【0165】
結果
循環中の(91)(CCI)又は(43)(CH‐35)の半減期と白血球中のその濃度
インビボでのCCI又はCH‐35(43)の抗炎症活性を試験する前に、マウス血漿中のそれらの半減期及び2時間にわたる循環白血球中の濃度を決定した。
図10Aに示すように、血漿サンプルの質量分析により、(91)(CCI)の濃度は15分(80ng/ml)でピークに達し、その後60分までにこの濃度の1/4未満に減少したことが明らかになった(t1/2=13.3分)。(91)(CCI)の濃度の低下が観察されたが、それは少なくとも2時間血漿中で持続した。同様に、循環CH‐35(43)の最高濃度は、注入後15分でピークに達した(図10B)。しかし、CCI(91)とは対照的に、血漿中のCH‐35(43)の量は、薬物の注射後約50分で検出できないレベルに低下した。したがって、CH‐35(43)の濃度は、投与後1時間以内に血漿中で有意に減少した。総合すると、これらの結果は、CCI(91)とCH‐35(43)の半減期が非常に短いことを示しており、別の区画への取り込みが速いことを示唆している。
図11Aに示すように、循環白血球では、(91)(CCI)の濃度は15分でピークに達し、分析された最後の時点(2時間)までこれらの細胞で持続した。同様に、図11Bに示すように、循環白血球では、CH‐35(43)の濃度は15分でピークに達し、分析された最後の時点(2時間)までこれらの細胞で持続した。したがって、CH‐35(43)は、皮下注射後少なくとも2時間は循環白血球に存続する可能性がある。
【0166】
(91)(CCI)又は(43)CH‐35はインビボでMSU誘発性炎症を軽減する
(91)(CCI)又はCH‐35(43)のインビボ抗炎症活性は、MSU誘発性炎症のエアポーチモデルで評価された。このモデルが選択されたのは、背側の気腔が、関節の滑膜の内層(例:線維芽細胞及びマクロファージ)及び白血球動員の同じプロファイルと本質的な細胞の特徴を共有しているためである。
図12に示すように、MSUは7時間で白血球のエアポーチへの動員を誘発したが、これは5μmol/kgの濃度のコルヒチンによって阻害された。約10分の1の低濃度でも、(91)(CCI)は、MSUの投与前に注射した場合でも白血球の動員を阻害することができた。示されているように、コルヒチンの5μmol/kgと比較して0.5μmol/kgの有意に低い用量で白血球動員を阻害するCCI(91)の能力が実証されたが、この用量のコルヒチンはこのシリーズでは有意ではなかった。0.5μmol/kgの用量で、コルヒチンはインビボでMSUによって誘発される白血球動員を有意に阻害する効力を失った。逆に、CCI(91)は、その非単調な用量反応曲線のために、5μmol/kgの濃度のコルヒチンよりも効果的ではない可能性がある。
【0167】
(91)(CCI)の治療可能性を判断するために、エアポーチ実験を変更し、MSUをエアポーチに追加した後に0.5μmol/kg(91)(CCI)を注入した。図13に示すように、これらの実験条件下でも白血球動員の有意な減少が観察され、MSUがすでに炎症過程を引き起こした後、(91)(CCI)を投与した場合でも、MSU誘発性の炎症を抑制できることを示している。対照的に、0.5μmol/kgの濃度のコルヒチンは、インビボでのMSU誘発性の白血球動員を有意に阻害することができなくなった(図13)。むしろ、意外なことに、(91)(CCI)は、したがって、コルヒチンの有効量の約10分の1の濃度でMSU誘発性の白血球動員を阻害する。さらなる実験では、図14に示すように、CH‐35(43)を同様にテストして、図13に示すCCI(91)で得られた結果を比較した。図14の結果は、CH‐35(43)が、エアポーチへの白血球の流入を阻害する点でCCI(91)よりも弱いことを示している。白血球動員を有意に抑制したCH‐35(43)の最低濃度は、2.5μmol/kgであった。したがって、CH‐35(43)は、MSUによって誘発される炎症中に白血球の動員を阻害する可能性がある。まとめると、これらの結果は、CH‐35(43)とCCI(91)の両方が、コルヒチンよりも低濃度でインビボでの白血球動員を阻害できる一方で、CCI(91)は、インビボでのMSU誘発性の白血球動員を阻害するための最も強力な化合物であることを示している。
【0168】
実施例5‐好中球におけるベータチューブリンアイソタイプの発現プロファイル
方法
好中球懸濁液(2×10細胞/ml)を同量の2×沸騰修飾Laemmliサンプルバッファー(1×バッファー:62.5mM Tris・HCl(pH6.8)、4%(wt/vol)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、5%(vol/vol)β‐メルカプトエタノール、8.5%(vol/vol)、グリセロール、2.5mMオルトバナジン酸、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン及び0.025%ブロモフェノールブルー)に直接移し、及び7分間煮沸した。タンパク質は、還元条件下で10%アクリルアミドゲル上でSDS‐PAGEによって分離され、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)メンブレンに転写された。ブロッキング剤と抗体は、トリス緩衝生理食塩水Tween 20(TBST)溶液(25mM Tris・HCl、pH7.8、190mM NaCl、0.15%vol vol Tween‐20)で希釈した。一次及び二次抗体は、メーカーが推奨する濃度で使用された。抗β‐チューブリンアイソタイプ特異的抗体でイムノブロッティングする前に、PVDFメンブレンをブロッキング溶液(TBST中の5%wt/vol粉乳)でインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ロバ抗マウスIgG及びロバ抗ウサギIgGをTBST溶液で希釈した。化学発光試薬を使用して、最大曝露時間5分の抗体を検出した。提示されたすべてのイムノブロットは、抗PI3キナーゼp85抗体を用いてタンパク質の負荷が等しくなるように制御された。
【0169】
結果
白血球におけるβ‐チューブリンアイソタイプの発現プロファイルは、mRNAレベルで調査されている。βVIのmRNAの発現は主に造血細胞に限定されているが、β‐チューブリンI、IV、及びVのmRNAは遍在的に発現しており、β‐IIと‐IIIのmRNAは脳に限定されている。合理的な設計アプローチを使用して、さまざまなβ‐チューブリンアイソタイプに対するコルヒチンの異なる結合親和性に基づいてコルヒチン誘導体を開発し、好中球におけるこれらのアイソタイプのmRNA発現プロファイルがタンパク質レベルでの発現と相関するかどうかを決定した。手短に言えば、新たに単離されたヒト好中球を溶解し、ベータ‐I、アルファ/ベータ‐II、ベータ‐III、ベータ‐IV、ベータ‐V及びベータ‐VIチューブリンに対する市販の抗体を用いたウエスタンブロットによって分析した。βIIとβIVにはそれぞれβIIa、βIIbとβIVa、βIVbと呼ばれる2つの変種があるが、それらの配列は非常に類似しており、構造も類似していることに注意されたい。図15に示すように、ヒト好中球はベータI、アルファ/ベータII、ベータIV、ベータVIを発現するが、ベータIIIとベータVは発現しない。βVで観察されたバンドは非特異的である(ポジティブコントロールで確認(データは示さず))。β‐VIの発現は主に造血細胞に限定されているため、このβ‐チューブリンアイソタイプに対してより高い親和性を持つコルヒチン誘導体を本明細書に記載の分析のために選択した。
CH‐35(43)に低濃度でMSU誘導応答を阻害する能力を与える可能性が最も高いβ‐チューブリンアイソタイプを特定するために、コルヒチン、CCI(91)、CR42‐003(47a)及びCH‐35(43)の結合自由エネルギー(kcal/mol)を以下の表3で比較した。
【0170】
【表3】
【0171】
上記の表3に示すように、CH‐35(43)は、コルヒチン及びCR42‐003(47a)と比較して、βIVb及びβVIの結合自由エネルギーが大幅に低くなっている。これらのデータは、βIVb及びβVIに対するCH‐35(43)の親和性が高いと、テストしたアッセイでコルヒチン及びCR42‐003(47a)と比較して低濃度でCH‐35(43)が活性化する可能性が非常に高いことを示唆している。さらに、CCI(91)に関しては、コルヒチン及びCR42‐003(47a)と比較してβIVb及びβVIに対しても高い親和性を示す。CCI(91)とCH‐35(43)の違いは、CH‐35(43)は単調な用量関係にあり、CCI(91)には当てはまらないことである。結合自由エネルギーデータは、これが、結合自由エネルギーがCCI(91)と比較してCH‐35(43)に対して有意に高い好中球で発現される唯一の2つのβ‐チューブリンアイソタイプであるため、βIVb又はβVI、あるいはその両方に対するCH‐35(43)のより高い親和性に起因する可能性があることを示唆している。
【0172】
ディスカッション
痛風の治療に使用される薬剤の中で、コルヒチンは、痛風発作に関与する主要な白血球である好中球の炎症作用のほとんどを弱めるため、この炎症性疾患の病因に関して最も特異性を示す。それにもかかわらず、その投与は、有効性と治療を制限する副作用との間の治療指数が低いため、依然として困難である。合理的なドラッグデザインアプローチを使用して、コルヒチンの類似体(91)(CCI)が開発され、MSU誘発性の炎症をインビボで、MSU誘発性の好中球反応をインビトロでコルヒチンよりも約10分の1~約100分の1の濃度で阻害する。注目すべきことに、他のコルヒチン誘導体43及び47aは、本明細書に記載されるように、91と同じ用量で好中球応答を低減するのに同様に効果的であった。
CCI(91)及び(43)は、インビトロ及びインビボでコルヒチンよりも約10分の1~約100分の1の用量で抗炎症活性を保持していた。さらに、これらの化合物は、MSUによって誘発された炎症反応の開始後に投与された場合に抗炎症特性を示し、それらの治療の可能性を示している。
【0173】
(91)(CCI)コルヒチンよりも低い濃度でインビトロ及びインビボでMSU誘発性の好中球活性化を弱める能力は、そのチューブリンアイソタイプ特異性によって部分的に説明できる。(91)(CCI)のインシリコ分析により、好中球で発現するβ‐チューブリンアイソタイプの1つであるβ‐VIチューブリンに優先的に結合することが明らかになった。さらに、β‐VIチューブリンアイソタイプは、特にコルヒチン結合領域で他とは非常に異なり、結合する薬物に対して高レベルの特異性と選択性を提供する。(91)(CCI)とは対照的に、コルヒチンは、遍在的に発現するβ‐チューブリンアイソタイプであるβ‐IVチューブリンに対して最も高い親和性を示す。コルヒチンは、MSUによって誘発される活性化と白血球の動員を阻害することができるが、多くの異なる細胞タイプによって発現されるβ‐チューブリンアイソタイプに結合する能力が原因である可能性が最も高い、望ましくない副作用に関連している。したがって、(91)(CCI)のβ‐VIチューブリンへの特異的結合は、このアイソタイプがこれらの細胞では発現されないため、非造血細胞でのオフターゲット効果を最小限に抑え、好中球での活性を最大化する可能性が高い。
【0174】
インビトロ分析は、(91)(CCI)がMSUによって活性化される最も上流のシグナル伝達イベントの1つである細胞質カルシウムの増加を阻害することを明らかにした。コルヒチンがもはや効果的でない濃度(約100分の1の低用量)でこの分子イベントを阻害する(91)(CCI)の能力は、(91)(CCI)によって優先的に結合されたβ‐チューブリンアイソタイプがMSUによって誘発される細胞内カルシウム貯蔵動員においてより重要な役割を果たす可能性が最も高いことを強く示唆する。(91)(CCI)は、βVI、βVに優先的に結合し、インシリコ(in silico)分析で予測されるように、βI‐チューブリンへの親和性は低くなる。同じような推論は、MSUによって誘発されるスーパーオキシドの生成など、細胞内カルシウムの動員の下流のエフェクター機能に拡張することができる。(91)(CCI)は、コルヒチンよりも約10倍低い(約10分の1の)用量で、MSUに応答してヒト好中球によるスーパーオキシドの生成を阻害するという直接的な証拠が本明細書に提供されている。同様に、MSUによって誘発されるIL‐8の放出も、(91)(CCI)によって抑制される。(91)(CCI)は、コルヒチンよりも最大約10倍低い(約10分の1の)濃度でIL‐8の放出を阻害するのに特に効果的である。(91)(CCI)は、MSU誘発性炎症を治療するために低用量で投与することができ、これにより薬物関連の副作用のリスクが減少する。IL‐8は好中球にとって最も強力な走化性物質の1つであるため、低濃度での(91)(CCI)によるIL‐8産生の阻害は痛風に非常に関連している。同様に、スーパーオキシドは関節に付随的な損傷を引き起こすため、スーパーオキシド産生の抑制も痛風の病因に関連している。
【0175】
インビトロ観察は、(91)(CCI)がMSU誘発性好中球応答を阻害することを明らかにし、次いで、インビボでMSU誘発性炎症を弱めるCCIの能力が決定された。本明細書に示されているのは、(91)(CCI)が、MSUの前又は後に投与された場合に、MSUによって誘発される白血球動員を阻害することである。後者は、(91)(CCI)が、MSUがインビトロ実験で投与されてから約1時間30分後に注射されたときに、その抗炎症活性が維持されたため、(91)(CCI)が治療に使用できることを示している。本明細書の実験において、(91)(CCI)がインビボでその抗炎症活性を保持する最低用量は、0.5μmol/kgであった。
マウスで使用される薬物のヒト等価用量の推定値を取得するために、態様では、マウスで使用される濃度を約12.3で割ることができる(Nair, A.B. and Jacob, S. 2016. A simple practice guide for dose conversion between animals and human(動物及びヒト間の用量変換のための簡単な実践ガイド), J Basic Clin Pharma: 7: 27-31)。マウスにおけるMSU誘発性の白血球動員を効果的に弱めるコルヒチンの用量は5μmol/kgである(Chia, E.W., Grainger, R. and Harper, J.L. 2008. British Journal of Pharmacology: 153: 1288-95)。この用量は痛風患者に与えられるヒトの用量よりも10倍高いため、ヒトの等価用量と見なされる。外挿により、そして本明細書の実験に基づいて、(91)(CCI)は、痛風発作を治療するために現在使用されているコルヒチンの用量よりも約10倍低い(約10分の1の)用量で、ヒトのMSU誘発性炎症を弱めることができると予想される。
【0176】
痛風発作中の関節へのこれらの細胞の大量の流入のためにヒト好中球が標的化され、この白血球におけるベータチューブリンアイソタイプの発現が決定された。好中球はβ‐I、β‐II、β‐IV及びβ‐VIチューブリンを発現するが、β‐III及びβ‐Vチューブリンは発現しない。このタンパク質発現パターンは、他の人によって報告されたβ‐チューブリンアイソタイプのmRNA発現プロファイルとよく相関している。β‐VIチューブリンのmRNAは、骨髄、胸腺、胎児肝臓などの多数の白血球を含む造血細胞及び臓器に限定されている。ただし、β‐III及びβ‐VチューブリンのmRNAは白血球では検出できない。β‐I、β‐II、及びβ‐IVチューブリンアイソタイプのmRNAのレベルは、白血球のβ‐VIよりも大幅に低くなっている。好中球と他のほとんどの細胞タイプの両方における異なるβ‐チューブリンアイソタイプの機能的重要性は不明なままであるが、機能的冗長性と特異性の両方の証拠がある。前者に関しては、ほとんどのβ‐チューブリンアイソタイプが重合して不均一な微小管になる能力は、機能的な冗長性をサポートする。後者に関して、チューブリン障害として知られている疾患群の異なる表現型は、チューブリンアイソタイプが異なる機能的役割を果たしていることを示唆している。チューブリン障害は、さまざまなβ‐チューブリンアイソタイプの変異によって引き起こされる可能性がある。さらに、β‐チューブリンアイソタイプの組織特異的及び発生段階特異的発現も、これらのタンパク質の非冗長で機能的な役割を示唆している。
【0177】
白血球におけるβ‐VIチューブリンの機能は不明なままであるが、その白血球発現プロファイルが白血球に対するある程度の機能的特異性を反映し、β‐VIチューブリン特異的薬剤がより少ない非造血細胞に対する、より少ないオフターゲット効果(off-target effects)を示す可能性があると考えられたため、このアイソタイプが標的にされた。コルヒチンよりもβVIチューブリンに対して有意に高い相対親和性を有すると予測される3つの誘導体の効力を試験して、インビトロ及びインビボでMSUによるヒト好中球の活性化を阻害した。インビトロで調査されたエフェクター機能は、痛風の病因、すなわち、IL‐1及びIL‐8の放出並びにスーパーオキシドの産生において役割を果たすものである。非常に効果的な好中球走化性物質であるIL‐8に関して、このサイトカインに対する中和抗体は、ウサギモデルにおいてMSUによって誘発される好中球流入を有意に減少させる。一方、IL‐1は、内皮細胞や関節内の他の細胞型(滑膜細胞など)による接着分子やサイトカインの発現を誘導することにより、痛風において役割を果たす。スーパーオキシドに関しては、この活性酸素種は関節の側副組織損傷に関連している。本明細書で提供されるデータは、CCI(91)及びCH‐35(43)が、コルヒチンよりも有意に低い濃度、インビトロで約10分の1から約100分の1の濃度で、MSUによって誘発されるROSの産生及びIL‐8の放出を弱めることを示唆している。これらの好中球応答を減少させるこれらの誘導体の能力は、痛風発作を引き起こす重要な分子イベントを標的とする可能性があることを示している。
【0178】
インビトロでの観察は、CCI(91)及びCH‐35(43)がコルヒチンよりも有意に高い効力でインビボでMSU誘発性炎症を弱めることができるかどうかの決定を促した。炎症のエアポーチモデルを使用して、本明細書で提供されるデータは、インビトロでのCCI(91)及びCH‐35(43)の阻害活性が、インビボでMSU誘発性炎症を弱めるそれらの能力を反映することを示唆する。CCI(91)に関しては、MSUの投与前に注入された場合、コルヒチンよりも約10倍低い(約10分の1の)閾値用量でMSUが注入されたエアポーチへの白血球の動員を阻害する。ただし、高濃度では、CCI(91)は白血球の流入を阻害する効果が低いことに注意すべきである。同様の非単調な傾向が、カルシウム及びROSのインビトロアッセイで観察された。この非単調な用量反応は、内分泌かく乱薬物などのオフターゲット作用に起因する非単調な用量反応を伴う他の薬剤で報告されているように、β‐チューブリンアイソタイプ以外のリガンドへのCCI(91)の結合を反映している可能性が最も高い。
【0179】
CCIがMSUに応答して白血球の動員を大幅に減少させる点でコルヒチンよりも強力であることを示したので、その治療の可能性を評価した。MSU注射の1.5時間後のCCI(91)の皮下投与は、エアポーチへの白血球の動員を有意に減少させた。したがって、CCI(91)は、開始後にMSUによって誘発される炎症を抑えることもできる。驚いたことに、コルヒチンはこの特性をCCI(91)と共有していたが、コルヒチンはCCI(91)が活性を維持する濃度である0.5μmol/kgで抗炎症活性を失う。CH‐35(43)についても、CCI(91)よりも高濃度の2.5μmol/kgであるにもかかわらず、同様の観察が行われた。CCI(91)とは対照的に、CH‐35(43)はインビトロ及びインビボの両方で単調な用量反応を示す。総合すると、これらの観察結果は、CCI(91)がCH‐35(43)よりもインビボでのMSU誘発性炎症の抑制においてより強力であることを示している。
CCI(91)とCH‐35(43)の半減期は短いが、これらの誘導体は両方とも、白血球動員のピークの7時間前に投与すると、MSU誘発性の白血球動員を弱めることができる。これは、白血球、特に好中球によるこれらの化合物の取り込みと保持によって部分的に説明できる。コルヒチンは、単核細胞と比較して好中球に優先的に蓄積する。CCI(91)の保持は、注射後2時間まで循環白血球で観察された(予備データ)。CCI(91)及びCH‐35(43)の薬物動態の完全な特性評価は、これらの化合物の作用機序へのさらなる洞察を提供する可能性がある。
【0180】
好中球は宿主を感染から保護する上で重要な役割を果たしているため、炎症を抑えるために好中球を標的にすることは困難であった。CCI(91)は、細胞質カルシウムの増加や活性酸素種の生成などの特定の好中球抗菌反応を抑えながら、MSU誘発性炎症を選択的に阻害することが決定された(データは示さず)。細菌ペプチドfMLFを使用して、CCI(91)の存在下で好中球がこの細菌ペプチドに応答する能力の証拠が提供された。この観察は、CCI(91)がMSUに対する好中球刺激を弱めながら細菌感染のリスクを増加させてはならず、おそらくホルミルペプチド受容体によって媒介される自然免疫がβVIチューブリンに完全には依存していないことを示唆している。ベータVIチューブリンは、他のベータチューブリンアイソタイプと共有する細菌防御において冗長な役割を果たしているか、あるいはベータVIチューブリンはこれらの防御にまったく必要とされていないかである。CCI(91)及びCH‐35(43)はまた、他のベータチューブリンアイソタイプに対する親和性が増加していると推定されていることに注意されたい。
【0181】
要約すると、MSU誘発性炎症を抑制し、痛風発作中の痛風患者の症状を緩和する可能性のある、毒性の少ない新しい抗炎症薬が開発された。このような薬剤の開発は、痛風患者の主要な満たされていない臨床的ニーズに対応している。コルヒチンは治療指数が非常に狭く、薬物間相互作用による有害な副作用に関連している。
さらに、痛風は、併存疾患(例:慢性腎臓病(CKD))の患者でより頻繁に現れる。痛風患者の約54%がCKDに苦しんでいる。CKD患者は、腎機能障害のためにこれらの患者においてコルヒチンが毒性レベルまでより容易に蓄積するため、コルヒチンの注意深い投与を必要とするため、これはコルヒチンの使用を困難にする。併存疾患はまた、急性痛風発作に関連する炎症と痛みを軽減するために使用できるコルヒチン以外の薬剤の選択を大幅に制限する。不寛容と併存疾患のために現在の治療法をとることができない患者は、新しくて毒性の少ない治療アプローチの原動力である。NSAIDやコルチコステロイドなどの代替抗炎症薬があるが、これらの化合物自体も十分に立証された副作用と関連している。したがって、ここに提示された発見は、CCIのより低い有効量がその治療域を広げ、コルヒチン及び他の抗炎症薬に関連する有害な副作用を減少させることを示している。痛風患者の推定12%は、利用可能なすべての治療法に抵抗性である(未発表の観察)。(91)(CCI)は非常に低用量で活性があるため、(91)(CCI)が他の薬剤との相互作用により毒性を引き起こす可能性はほとんどない。この仮説は、(91)(CCI)がコルヒチン及び上記の(89)などの他のコルヒチン誘導体よりも毒性が低いことを示したラットの急性炎症毒性研究によって裏付けられている。(91)(CCI)の最大耐量は、コルヒチンの最大耐量の3倍である。このような薬は、痛風患者、特に腎機能の低下のために薬を排除できないためにCKDを患っている患者にとって特に興味深いものである。(91)(CCI)は、コルヒチンよりも安全な抗炎症薬であり、痛風患者のためのより安全な代替薬である。
【0182】
例6-チューブリン結合研究
材料及び方法
チューブリンモデルの準備
ヒトβ‐チューブリンアイソタイプのコンセンサス配列は以前に記載されている(Huzil J.T. et al., Nanotechnology. 2006:17:S90-S100)。コルヒチン結合部位を構成する残基は、1SA0 pdb座標内のB鎖を調べることによって決定された(Ravelli R.B. et al., Nature. 2004; 428:198-202.)。PyMol v1.0(Delano WL. The PyMOL Molecular Graphics System. 2002)を使用して、コルヒチンから6Å以内に原子が見つかった残基を選択した。この残基のサブセットから、コルヒチン結合部位内に見られる接触残基の最小セットが定義された(図5A及び5B)。この減少した接触セットに基づくβI、βIIa、βIIb、βIII、βIVa、βIVb、及びβVの一次配列の検査は、チューブリンアイソタイプを3つのコルヒチン結合部位の1つに配置した;タイプI(βI及びβIV)、タイプII(βII)及びタイプIII(βIII及びβV)(図5A)。次に、1SA0 B鎖座標(Ravelli et al., 2004, Nature, 428, 198-202)から得られたテンプレートβ‐チューブリン構造を使用して、PyMol v1.0(Delano WL. The PyMOL Molecular Graphics System. 2002)にある変異関数を使用して標準の配座異性体ライブラリーから適切な残基を置き換えることによりモデルを作成した。
各結合部位モデルの最小化は、CHARMm(Chemistry at HARvard Molecular Mechanics)分子力場((Brooks B.R., Brooks CLr, Mackerell AD.J. et al., CHARMM: The biomolecular simulation program.(CHARMM:生体分子シミュレーションプログラム。) J. Comput. Chem. 2009)を用いて、GROMACS分子動力学(MD)パッケージ(バージョン3.2.1)で実行された(Lindahl F. et al., GROMACS 3.0: A package for molecular simulation and trajectory analysis.(GROMACS 3.0:分子シミュレーション及び軌道解析用パッケージ。) J Mol. Mod. 2001; 7:306-17)。最急降下及び共役勾配最小化の収束基準は、0.05kcalmol‐1Å‐1の勾配で設定された。最小化に続いて、十分に溶媒和された周期的ボックス(100x100x100Å)で短いシミュレーテッドアニーリングラン(100ps)が実行された。拘束されていない電荷はナトリウムイオンと釣り合いが取れており、長距離静電気は粒子メッシュEwald(PME)を使用して計算された。
【0183】
コルヒチン誘導体
チューブリンに結合したコルヒチンの構造は、pdb構造ファイル1SA0(Ravelli R.B. et al., Nature. 2004; 428:198-202)から抽出され、MarvinSketch(ChemAxon、ハンガリー)にインポートされた。C1及びC3メトキシ基の誘導体化(図2‐4)は、3D描画ツールを使用して変更を構築することによって達成された。次に、各派生物は3D座標でMDL Molfiles(Symyx Technologies、U.S.A.)としてエクスポートされた。
コルヒチンのパラメーター化と最小化
コルヒチンとその誘導体構造は、Discovery Studio v2.1(Accelrys、Inc.、USA)で実装されているCHARMm力場(Brooks B.R., Brooks CLr, Mackerell AD.J. et al., CHARMM: The biomolecular simulation program. J. Comput. Chem. 2009)を使用して準備及びパラメーター化された。タイプI、II、及びIIIの結合部位モデルに各誘導体を再導入する前に、真空中の最小化ステップを実行した。初期のコルヒチン座標は結晶構造から得られたため、3つの環のそれぞれに含まれる炭素原子に調和拘束(10kcalmol-1)が設定された。二乗平均偏差(RMS)勾配が0.05kcalmol-1-1未満になるまで、水素が追加され、結合次数が固定され、原子位置がCHARMm力場と採用基底関数系ニュートンラフソン(ABNR)プロトコルを使用して最適化された。特定のコルヒチン誘導体はわずかに異なって調製された。個々のシステムは、GROMACSを使用してTIP3ウォーターボックスに配置され、最小化された。短い平衡化の後、3つの別々の条件のシステムエネルギーが得られた。溶媒和されたチューブリンコルヒチン複合体E(P+L)のエネルギーは、コルヒチンがコルヒチン結合部位E(P-L)に結合されていないチューブリンコルヒチンシステムから得られたエネルギーから差し引かれた。E(P-L)の場合、コルヒチンとチューブリンの間に非結合相互作用が導入されないように、大きなウォーターボックスが使用された。
【0184】
計算コルヒチンスクリーニング
タイプI、II、及びIIIの結合部位への20のコルヒチン誘導体のドッキングは、Discovery Studio v2.1(Accelrys、Inc.、米国)に実装されているように、CDOCKER(Wu G. et al., J. Comput Chem. 2003; 24:1549-62)を使用して実行された。。簡単に説明すると、CHARMm力場を使用したシミュレーテッドアニーリングMDアプローチを使用して、誘導体のコンフォメーション検索を実行した(Brooks B.R., Brooks CLr, Mackerell AD.J. et al., CHARMM: The biomolecular simulation program.(CHARMM:生体分子シミュレーションプログラム。) J. Comput. Chem. 2009)。入力部位球の選択は、コルヒチン結合部位全体にわたって定義された。次に、各誘導体を温度T=700Kに加熱し、T=300Kにアニーリングした。20のコルヒチン誘導体のそれぞれに対して10のそのようなサイクルが実行され、600のポーズが生成された。次に、各コンフォメーションは、上記のABNR法を使用して、局所エネルギー最小化にかけた。
結合エネルギー評価
MM‐GBSA(Molecular Mechanics‐Generalized Born Surface Area、分子力学一般化表面積)を使用して、真空静電学を使用して各システムの結合エネルギーを評価し、Generalized Bornモデルを使用して溶媒和を概算した。結合エネルギーは、システムの全ポテンシャルエネルギーを取得し、誘導体と空の二量体のエネルギーを差し引くことによって計算された。
【数1】

特定のコルヒチン誘導体では、エネルギーはわずかに異って決定された。
【数2】
【0185】
精製チューブリンアイソタイプへの薬物結合
チューブリンは、ホスホセルロースクロマトグラフィー(Fellous A., et al., Eur. J. Biochem. 1977; 78:167-74)によってバルク微小管タンパク質から精製された。続いて、αβII及びαβIIIチューブリンダイマーを、以前に記載されたようにモノクローナル抗体を使用する免疫アフィニティークロマトグラフィーによって精製した(Banerjee A. et al., J. Biol. Chem. 1992; 267:13335-9;及び Baneljee A. et al., J. Biol. Chem. 1988; 263:3029-34)。動的蛍光測定では、チューブリンの500μLアリコート(0.1mg/ml)を、一連の薬物濃度の存在下で石英蛍光キュベット(光路長0.5cm)内で37℃でインキュベートした。速度論は、チューブリンよりも大過剰の薬物を使用して、疑似一次条件下で実施された。使用した励起波長と発光波長は、それぞれ380nmと437nmであった。
補正された蛍光値は、時間(t)の関数としてプロットされ、曲線:
【数3】

に適合した。これらの条件下では、kon,appは、薬物とチューブリンアイソタイプ間の相互作用の程度の優れた指標である。Ln(Fmax-F)対tの予想される線形プロットには、傾きkon,appがある。kon,app値は、αβII、及びαβIII、それぞれ132及び30M-1s-1について以前に報告された値の関数としてプロットされた(Banerjee A. et al., J. Biol. Chem. 1992; 267:13335-9)。
【0186】
結果
アイソタイプシーケンス分析
チューブリンの三次構造は、ドメインI(残基1~198)、ドメインII(残基199~373)及びドメインIII(残基374~428)の3つの異なるドメインに分けることができる(Nogales E. et al., Nature. 1995; 375:424-7)。βI、βIIa、βIIb、βIII、βIVa、βIVb、及びβVアイソタイプは、これらのドメイン内でそれぞれ87.4%、88.1%、及び96.3%の同一性を共有する。パクリタキセル結合に関与する残基(Nogales E. et al., Nature. 1995; 375:424-7)については、β‐チューブリンアイソタイプ間の全体的な同一性と比較した場合、予想よりも大きい91.7%という配列同一性があった。この平均よりも高い傾向は、Vinca結合部位(Gigant B. et al., Nature. 2005:435:519-22)(92.3%の同一性)及びGDP結合部位(Nogales E. et al., Nature. 1995; 375:424-7)(100%同一性)でも続いている。コルヒチン結合表面(Ravelli R.B. et al., Nature. 2004; 428:198-202)は、18残基:V236、C239、L246、A248、K252、L253、N256、M257、T312、V313、A314、A315、V316、N348、K350、T351、A352、及びI368(図5A)からなることがわかり、パクリタキセル及びVinca結合部位とは対照的に、調べた7つのβ‐チューブリンアイソタイプ間で77.9%の同一性しか共有していない。
【0187】
一般に、結合部位は主に非極性であり、残基K252及びK350によって表面の外唇にわずかな正電荷が導入される。コルヒチン結合表面内の特異的置換は、C236S(βIII及びβV)、A315T(βIII及びβV)、V316I(βII)、及びT351V(βIII及びβV)であることがわかった(図5A)。この部位内の置換のアイソタイプ分布に基づいて、β‐チューブリンアイソタイプは3つのクラスに分類された。タイプI結合部位は、標準的なβI配列によって特徴付けられ、ほとんどの場合、βII及びβIVアイソタイプを含む。タイプII結合部位は、βIIアイソタイプ内にのみ見られるV316I置換を除いて、タイプI部位と同一である。タイプIII結合部位は、最大の変動(C236S、A315T、及びT351V)を有し、βIII及びβVアイソタイプを含む。タイプII及びタイプIIIの結合部位内で見つかった置換がβI‐チューブリン構造にマッピングされた場合(Lowe J. et al., J. Mol. Biol. 2001; 313:1045-57)、すべてがコルヒチンAリングを囲む領域内に配置されることが観察された(図5B)。これらの置換はいずれも表面の電荷を変化させないが、C239S及びA315Tは、A環と相互作用する表面の極性、特に3つの非極性フェノールメトキシ基を変化させる。
【0188】
コルヒチン誘導体
図2‐4に概説されているように、基本的なコルヒチンとチオコルヒチンの足場にいくつかの変更が加えられた。これらの修飾は、アルカン/アルケン、エステル/エーテル、C1‐デメチルコルヒチン及びC3‐デメチルコルヒチンへの芳香族修飾(図3及び3A)、又はC3‐デメチルチオコルヒチンへのアルカン/アルケン修飾(図4)で構成された。アイソタイプ結合部位のクラス間の空間的及び化学的差異を調べるために、特定の修飾が選択された。C1で行われた修飾は、残基315、316、及び351の間に見られる差異をプローブするように設計されたが、C3で行われた変更は、主に、共結晶で観察され、コルヒチンの下にある非極性空洞を調べるように設計された(Ravelli R.B. et al., Nature. 2004; 428:198-202)。
【0189】
コルヒチン誘導体のドッキング
コルヒチン誘導体を計算で調べるために採用された基本的な戦略は、いくつかのリガンド配向の生成、続いてMDベースのシミュレーテッドアニーリング、及び最急降下と共役勾配最小化を組み込んだ最終精製ステップを含んでいた。CDOCKER(Accelrys、Inc.、U.S.A.)を使用して、コルヒチン誘導体ごとに合計10個のレプリカを生成し、結合部位モデルの中心の周りにランダムに分散させた。誘導体の最初の配置に続いて、それらはそれぞれMDベースのシミュレーテッドアニーリングと最小化による最終精製にかけられ、3つの結合部位モデルのそれぞれで各誘導体とコルヒチンに対して10個のドッキングポーズが得られた。ドッキング手順の最後のステップは、Discovery StudioのScore Ligand Posesプロトコルを使用して、洗練されたドッキングポーズをスコアリングすることであった。結合エネルギースコアを作成するために、各実験の10のポーズの平均エネルギー値が使用されたことに注意されたい。この手順により、630個のリガンド配座異性体が得られ、そのエネルギー評価が実行された。
【0190】
結合エネルギーの決定
結合エネルギーは、ドッキングステップで決定された各完全システムの全ポテンシャルエネルギーを計算し、次に結合リガンドとアポダイマーのエネルギーを差し引くことによって決定された(表4から6)。各コルヒチン誘導体の平均結合エネルギーをプロットすると、傾向はすべてのモデルで一貫しており、タイプI、タイプII、又はタイプIIIの結合部位の間に明らかな違いはなかった(図6;CHはコルヒチンを表す)。ただし、すべてのモデルで、位置C1のエステル/エーテル及び芳香族誘導体はコルヒチンと比較して高い結合エネルギーを示したが、位置C1及びC3のアルカン/アルケン及びチオコルヒチン誘導体は優れた結合親和性を示した(表4及び図6)。これらのプロットは、各誘導体の結合エネルギーの範囲も示しており、ドッキングフィットの全体的な適切性を示唆している(図6)。具体的には、コルヒチンよりも高い結合エネルギーを示す誘導体は、結合エネルギーの分布が大きくなる傾向があり、全体的な結合エネルギーが低い誘導体は、分布が狭くなった。この傾向は、C1位置の各官能基の極性と相関しているように見えた。これらの修飾がインビトロで果たした役割を調べるために、すべてのコルヒチン誘導体を合成し、チューブリン結合アッセイでテストした。
【0191】
これらの計算から、コルヒチンアミド基の修飾がチューブリンとの結合を増加させることは明らかである(表5及び6)。これらの結果はまた、平均して、特定の誘導体((40)、(42)、(43))に加えられた修飾が最低のエネルギーを持っていたことを示唆している。
【表4】
【0192】
【表5】
【0193】
【表6】
【0194】
例7-結合速度論
(91)(CCI)のどの側面が上記の予期しない結果に寄与している可能性があるかを判断するために、ドッキング実験(PCT公開番号WO2011022805に以前記載されており、参照により本明細書に組み込まれる)を実施して、コルヒチン誘導体とチューブリンアイソタイプβ‐IIIの間の結合エネルギーがX位置での修飾に関して、インビトロ及びインビボで観察される効果に寄与する可能性があるかどうかを確認した。
以下の表7に示すコルヒチン誘導体の3D構造は、柔軟なリガンドと剛直な受容体の条件下でAutodock4プログラムを使用して、βIIIチューブリンのコルヒチン結合部位(コルヒチン結合部位のベータVIと構造的に同一)にドッキングされた。AutoDock4は、薬物候補が既知の3D構造の受容体にどのように結合するかを予測するように設計されており、2つの主要なプログラムで構成されている:autodockは、ターゲットタンパク質を記述するグリッドのセットへのリガンドのドッキングを実行し、autogridはこれらのグリッドを事前に計算する。リガンドの初期構造は、最初にAmber12:EHT力場(MOE2013.0802)を使用して最小化され、GAMESS‐USバージョン2010‐10‐01のRHF/cc‐pVDZレベルの理論に基づいて完全に最適化された。UniProt ID(Q13509)から取得したβIIIチューブリン配列データ(TBB3_HUMAN)とホモロジーモデルは、MOE2013.0802によってRCSBタンパク質データバンク(1SA0.pdb)のチューブリン構造に基づいてβIIIチューブリンに対して構築された。
【0195】
【表7】
【0196】
結果
上記のドッキング実験の結果を以下の表8に示す。
【表8】
【0197】
上記の表8に示すように、コルヒチン及び(91)(CCI)と(89)の比較は、OH基がチューブリンへの結合エネルギーを-5.97及び-6.2から-5.42Kcal/molに増加させたことを示した。したがって、OHを有することは、結合エネルギーを増加させ、チューブリンへの親和性を低下させる原因となる可能性がある。したがって、OHを欠く(91)(CCI)は、結合エネルギーを減少させ、チューブリンに対する親和性を増加させ、したがって、本明細書に提示されるインビトロ及びインビボの結果における機能的応答を増加させた。
【0198】
例8‐アテローム性動脈硬化症のマウスモデル
イントロダクション
アテローム性動脈硬化症は慢性炎症性疾患であり、その間に新内膜病変のために動脈の狭窄が起こる(1)。好中球などの免疫細胞は、アテローム性動脈硬化症病変の発症、進行、不安定性に重要な役割を果たす(2)。これらの病変が破裂すると、心筋梗塞や脳卒中などの複数の心血管合併症を引き起こす。炎症はアテローム性動脈硬化症において重要な役割を果たしているため、炎症を抑えることは、この分野で多くの注目を集めている治療アプローチである。たとえば、IL‐1βを阻害する薬剤は、アテローム性動脈硬化症の転帰を改善する。
この研究では、好中球が関与する炎症が両方の疾患の病因に関与しているため、痛風モデルでテストされたコルヒチン誘導体を使用してアテローム性動脈硬化症を治療できると判断された。アテローム性動脈硬化症の治療にこれらの誘導体を使用することの利点は、それらがコルヒチンよりも有意に低い用量で活性であり、その結果、毒性がより低い可能性が高いことである。
このデータを考慮すると、本明細書に記載のコルヒチン誘導体は、好中球媒介性炎症を伴う疾患など、他の炎症媒介性疾患において役割を果たす可能性があると予測される。
【0199】
方法
動物と食事
LDLR KOマウスはランダムに4つのグループに分けられ、コントロール(CD)食餌(グループ1及び2)又は高脂肪食餌(グループ3及び4)のいずれかが与えられた。高脂肪(HF)食は、総コレステロール0.2%、総脂肪21%(脂肪から42%kcal)、総脂肪酸の60%超を含み、ショ糖を多く含んでいた(34重量%)。動物とその飼料は毎週計量された。
CCIによる治療
グループ2及び4のマウスには、0.5μmol/kgのCCIを皮下(s.c)に、週に3回、8週間投与した。この用量のCCIは、痛風のエアポーチモデルで白血球の動員を大幅に減少させる最低用量であるために選択された。
血漿脂質測定
8週間の食餌を与えた後、マウスから採血した。採取した血液から血清を調製し、分析まで凍結した。血清トリグリセリドとコレステロールは、我々のMultidisciplinary and Microbiology Laboratory Service(学際的及び微生物学研究所サービス)によってマウスの血清で測定された。
肉眼的病変領域の定量化
大動脈病変の「正面」アッセイとスーダンIV染色は、すべてのマウスから採取した大動脈で実施した。ImageJの「対象領域」ツールを使用して、大動脈枝と下行大動脈の脂質染色面積の割合をマウス間で比較した。
【0200】
サイトカイン測定
8週間の食餌を与えた後、マウスから採血した。採取した血液から血清を調製し、分析まで凍結した。血清中のサイトカインのレベルは、Luminexアッセイによって測定された。アッセイされたサイトカインは、エオタキシン(Eotaxin)(CCL11)、CCL21、G‐CSF(CSF‐3)、RANKL、VEGF‐A、IL‐1ベータ、IL‐6及びMCP‐1(CCL2)であった。これらのサイトカインは、ApoEKOマウスにおけるアテローム性動脈硬化症の発症を反映すると報告されたサイトカインシグネチャーに基づいて選択された。アテローム性動脈硬化症の炎症性の側面がこのモデルでよりよく表されるため、LDLR KOモデルが使用された。
【0201】
結果
図19は、CCIで治療し、CD又はHF食餌を与えたマウスは、薬物で治療せず、8週間にわたって同じ食餌を与えたマウスと同じ量の体重が増加したことを示している。これは、CCIがインビボでMSU誘発性の白血球動員を弱める用量を使用してマウスが8週間薬剤に耐えたことを示している。マウスは正常に行動し、苦痛の兆候は見られなかった。
CD食餌を与えられたマウスと比較して、HF食餌を8週間与えられたLDLR KOマウスの血清中のトリグリセリドの量の有意な増加が観察された(図20)。トリグリセリドのレベルは、HF食のみを与えられたマウスよりもHF食を8週間与えられたCCI処置マウスの方が低かった。
CD食餌を与えられたマウスと比較して、HF食餌を8週間与えられたLDLR KOマウスの血清中のコレステロールの量の有意な増加が観察された(図21)。コレステロールのレベルは、HF食のみを与えられたマウスよりもHF食を与えられたCCI処置マウスの方が低かった。
図22Aは、HF食を8週間与えたマウスが、アテローム性動脈硬化症の病変を発症したことを示している(赤で染色)。HF食餌を与えられたCCI処置マウスの大動脈弓又は下行大動脈の染色された病変領域の割合は、HF食餌のみを与えられたマウスよりも低かった。「正面アッセイ」で染色されたプラークで覆われた大動脈弓の総面積のパーセントを、各マウスについて決定した(図22B)。病変は、HF食(HF)を与えられたマウスよりも、高脂肪食と我々の化合物(HF+CCI)を与えられたLDLR KOマウスで大動脈弓の総面積のより小さな割合をカバーした。「正面アッセイ」で染色されたプラークで覆われた下行大動脈の総面積のパーセントを、各マウスについて決定した(図22C)。病変は、HF食(HF)を与えられたマウスよりも、高脂肪食と我々の化合物(HF+CCI)を与えられたLDLR KOマウスで下行大動脈の総面積のより小さな割合をカバーした。HF+CCIグループのマウスの大多数は、下行大動脈の総面積の1%未満をカバーしている。対照的に、HF食グループでは、病変は1.2~8%の面積をカバーしている。
RANKLを除いて、CDを与えられたマウスと比較して、HF食を8週間与えられたマウスの血清ですべてのサイトカインのレベルの増加が観察された(図23)。RANKLのレベルは8週間のHF食後に減少した。CCIは、HF食を8週間与えたLDLR KOマウスの血清中のこれらのサイトカインのレベルに有意な影響を及ぼさなかった。
【0202】
ディスカッション
アテローム性動脈硬化症は、動脈壁の慢性炎症性疾患である(1)。いくつかの炎症細胞とメディエーターがこの病気の発症と進行に寄与している(2~4)。したがって、この疾患の炎症性要素は潜在的な治療標的である。コルヒチン誘導体であるCCIが、LDLR KOマウスモデルでアテローム性動脈硬化症の進行及び/又は発症を遅らせる能力をテストした。まとめると、我々の発見は、CCIがコレステロールとトリグリセリドの血清レベル、及びアテローム性動脈硬化症のプラークについて染色した大動脈の面積の割合を含むこの慢性炎症疾患に関連するいくつかの変数を減少させるという点で、CCIがアテローム性動脈硬化症の発症及び/又は進行に影響を与える可能性があることを示している。さらに、この研究は、CCIが少なくとも2ヶ月間マウスによって十分に許容されるというさらなる証拠を提供する。コルヒチンと比較してCCIの毒性が低く、アテローム性動脈硬化症のいくつかの信頼できる指標を減少させる傾向があるため、CCIはヒトにおけるこの疾患の治療の有望な代替治療法となっている。
【0203】
参考文献
1. Shapiro, MD and Fazio, S. From Lipids to Inflammation.(脂質から炎症まで。) 2016. Circulation Research 118:732-749.
2. Hartwig, H; Silvestre R; Daemen M; Lutgens, E and Soehnlein, O. Neutrophils in atherosclerosis.(アテローム性動脈硬化症における好中球) Hamostaseologie 2015; 35: 121-127.
3. Stefan Mark Nidorf and Peter Lindsay Thompson. Why Colchicine Should Be Considered for Secondary Prevention of Atherosclerosis: An Overview.(アテローム性動脈硬化症の二次予防のためにコルヒチンを考慮すべき理由:概説。) 2019. Clinical Therapeutics 41: 41-48.
4. Lin B, Pillinger M, Shah B, et al. Use of colchicine in atherosclerotic heart disease.(アテローム性動脈硬化症心疾患におけるコルヒチンの使用。) 2018. Curr Res Integr Med 3(S1):2-4.
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図7-6】
図7-7】
図7-8】
図7-9】
図7-10】
図7-11】
図7-12】
図7-13】
図7-14】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図8-6】
図8-7】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22-1】
図22-2】
図23
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Iの化合物:
【化1】

ここで:
ZはO又はSである;
は、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される、ここで、不均一基は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む非水素メンバー原子の飽和又は不飽和鎖である
及びRはそれぞれ、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基、置換又は非置換炭素環式基、置換又は非置換複素環基、置換又は非置換芳香族基、又は置換又は非置換ヘテロ芳香族基から独立して選択される、ただしR 及びR の両方がメチルの場合、X はメチルではない
その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせ、
を含む炎症の治療のための医薬組成物であって、
前記炎症は、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択され、該炎症は、好中球によって引き起こされる炎症を含み、
前記化合物は、コルヒチンよりも低い用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、任意選択で、前記化合物は、コルヒチンよりも少なくとも約10倍低い用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、上記医薬組成物
【請求項2】
式Iの化合物:
【化2】

ここで:
ZはO又はSである;
は、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される、ここで、不均一基は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む非水素メンバー原子の飽和又は不飽和鎖である;
及びR はそれぞれ、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基、置換又は非置換炭素環式基、置換又は非置換複素環基、置換又は非置換芳香族基、又は置換又は非置換ヘテロ芳香族基から独立して選択される;
その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせ、
を含む心血管疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項3】
式Iの化合物:
【化3】

ここで:
ZはO又はSである;
は、置換又は非置換の炭化水素基、又は置換又は非置換の不均一基から選択される、ここで、不均一基は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む非水素メンバー原子の飽和又は不飽和鎖である;
及びR はそれぞれ、置換又は非置換炭化水素基、置換又は非置換不均一基、置換又は非置換炭素環式基、置換又は非置換複素環基、置換又は非置換芳香族基、又は置換又は非置換ヘテロ芳香族基から独立して選択される、ただしR 及びR の両方がメチルの場合、X はメチルではない;
その薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせ、
を含む炎症の治療のための医薬組成物であって、
炎症が、炎症性疾患、炎症状態、炎症性障害、又はそれらの組み合わせから選択され、炎症が好中球によって引き起こされる炎症を含み、
化合物が、尿酸一ナトリウム(MSU)誘発性炎症に応答して免疫機能に対して阻害効果を有する、任意に、免疫機能に対する阻害効果が、細胞内カルシウム産生、IL‐1産生、IL‐8産生、スーパーオキシド産生、又はそれらの組み合わせから選択されるメディエーターを介してもたらされる、又は免疫機能が好中球に関するものである、
上記医薬組成物。
【請求項4】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
好中球によって引き起こされる炎症が心血管疾患である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
好中球によって引き起こされる炎症が、冠状動脈アテローム性動脈硬化症に関連している。請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風又は痛風に関連している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
心血管疾患が冠状動脈アテローム性動脈硬化症である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風、痛風、心血管疾患、血管炎、又はそれらの組み合わせに関連する炎症である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項10】
好中球によって引き起こされる炎症が、偽痛風又は痛風に関連する炎症である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項11】
好中球によって引き起こされる炎症が、痛風に関連する炎症である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
及びR の両方がメチルの場合、X はメチルではない、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項13】
及びRがそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換アルキルアリールから独立して選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記R及びRが、それぞれ、置換又は非置換のC‐Cアルキルから独立して選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項15】
及びRがそれぞれ、メチル、エチル又はプロピルから独立して選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項16】
がメチルである、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項17】
がエチル又はプロピルである、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項18】
がOR10であり、R10が置換又は非置換炭化水素基、又は置換又は非置換不均一基から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項19】
10が、置換又は非置換のC‐Cアルキル、又は置換又は非置換のC‐Cアルケニル、又はC‐Cアルキニルから選択される、請求項18に記載の医薬組成物
【請求項20】
10が、置換又は非置換のC‐Cアルキルから選択される、請求項18に記載の医薬組成物
【請求項21】
10がメチル又はエチルから選択される、請求項18に記載の医薬組成物
【請求項22】
10がメチルである、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項23】
化合物が
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

薬学的に許容されるその塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項1、4、5、6又は7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
化合物が
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

薬学的に許容されるその塩、その水和物、その溶媒和物、その互変異性体、その光学異性体、又はそれらの組み合わせである、請求項2、3、8、9、10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項25】
化合物がコルヒチン結合部位でβ‐チューブリンに結合する、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項26】
β‐チューブリンがβ‐VI、β‐V、β‐I、又はそれらの組み合わせである、請求項25に記載の医薬組成物
【請求項27】
化合物が約0.1μMの用量で炎症性メディエーターの産生を阻害する、請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項28】
炎症性メディエーターが、IL‐8、IL‐1、スーパーオキシド、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項から27のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項29】
化合物が、細胞内カルシウム濃度及び炎症性メディエーター産生のうちの少なくとも1つの阻害に関して単調又は非単調な用量反応を示す、任意に、炎症性メディエーターが、IL‐8、IL‐1、スーパーオキシド産生、又はそれらの組み合わせから選択される、及び/又は化合物が白血球の動員を阻害する、請求項1から28のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項30】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、関節内糖質コルチコイド、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、組換え非ヒトウリカーゼ酵素、尿酸排泄促進剤、尿酸排泄剤、又はそれらの組み合わせから選択される抗痛風剤をさらに含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】