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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056702
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】遺伝子操作した成長因子変異体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/475 20060101AFI20240416BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240416BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 35/545 20150101ALN20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 38/45 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 47/68 20170101ALN20240416BHJP
【FI】
C07K14/475
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/12
C12N5/10
A61K35/545
A61P43/00 111
A61K38/45
A61K39/395 Y
A61K47/68
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006988
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2021193554の分割
【原出願日】2012-05-08
(31)【優先権主張番号】61/484,052
(32)【優先日】2011-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】507081094
【氏名又は名称】ミネルバ バイオテクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンダッド,シンシア
(72)【発明者】
【氏名】スマッジ,ブノワ,ジェイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より大きな比率又はより安定した集団をもたらす、組換えによって作製された構築物を提供する。
【解決手段】特異的な多量体化状態を支持するタンパク質を産生するタンパク質の遺伝的変異体、キメラ、及び一本鎖構築物であって、単量体タンパク質はH1アイソフォーム、H2アイソフォーム又はH7アイソフォーム等のNM23であり得、単量体は、二量体の形成を支持するとともに、より高次の多量体の形成を阻害する、NM23又はその突然変異体であり得るタンパク質構築物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特異的な多量体を選択的に形成する組換えによって作製されたタンパク質構築物。
【請求項2】
多量体化状態がその生物学的に活性な状態である、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項3】
前記多量体化状態が二量体である、請求項2に記載のタンパク質構築物。
【請求項4】
多量体化状態がその不活性状態である、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項5】
前記多量体化状態がより高次の多量体である、請求項4に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記タンパク質が成長因子である、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項7】
前記タンパク質が転写因子である、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項8】
前記二量体がホモ二量体又はヘテロ二量体である、請求項3に記載のタンパク質構築物。
【請求項9】
前記タンパク質が哺乳動物タンパク質である、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項10】
前記タンパク質がヒトタンパク質である、請求項9に記載のタンパク質構築物。
【請求項11】
前記タンパク質がマウスタンパク質である、請求項9に記載のタンパク質構築物。
【請求項12】
2つの単量体又は該単量体の2つの断片を含む、請求項3に記載のタンパク質構築物。
【請求項13】
前記2つの単量体又は該単量体の2つの断片がリンカーペプチドを通じて連結し、このようにして単量体-リンカー-単量体構築物が形成される、請求項12に記載のタンパク質。
【請求項14】
前記単量体が成長因子又は転写因子である、請求項13に記載のタンパク質構築物。
【請求項15】
前記単量体がNM23である、請求項14に記載のタンパク質構築物。
【請求項16】
前記NM23がH1、H2又はH7である、請求項15に記載のタンパク質構築物。
【請求項17】
前記単量体が、二量体の形成を支持するとともに、より高次の多量体の形成を阻害する、NM23又はその突然変異体である、請求項15に記載のタンパク質構築物。
【請求項18】
突然変異型NM23がS120G又はP96S又はNM23及びP96Sである、請求項17に記載のタンパク質構築物。
【請求項19】
前記単量体が、二量体の形成を支持する、NM23又は1個~10個のC末端アミノ酸が欠失しているその突然変異体である、請求項17に記載のタンパク質構築物。
【請求項20】
前記単量体が、二量体の形成を支持する、NM23又は1個~6個のC末端アミノ酸が欠失しているその突然変異体である、請求項19に記載のタンパク質構築物。
【請求項21】
前記リンカーが、GS、GS2、GS3、IgG1ヒンジ領域若しくはIgG2aヒンジ領域、又はそれらの組合せを含む、請求項13に記載のタンパク質構築物。
【請求項22】
NM23 S120G GS2、
NM23 P96S GS2、
NM23 P96S/S120G GS2、
NM23 P96SΔC1 GS2、
NM23 P96SΔC2 GS2、
NM23 P96SΔC6 GS2、
NM23 P96SΔC1/S120G GS2、
NM23 P96SΔC2/S120G GS2、
NM23 P96SΔC6/S120G GS2、
NM23 S120G GS3、
NM23 P96S GS3、
NM23 P96S/S120G GS3、
NM23 P96SΔC1 GS3、
NM23 P96SΔC2 GS3、
NM23 P96SΔC6 GS3、
NM23 P96SΔC1/S120G GS3、
NM23 P96SΔC2/S120G GS3、
NM23 P96SΔC6/S120G GS3、
NM23 S120G IgG1h noC、
NM23 P96S IgG1h noC、
NM23 P96S/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC1 IgG1h noC、
NM23 P96SΔC2 IgG1h noC、
NM23 P96SΔC6 IgG1h noC、
NM23 P96SΔC1/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC2/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG1h noC、
NM23 S120G IgG2ah noC、
NM23 P96S IgG2ah noC、
NM23 P96S/S120G IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1 IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2 IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC6 IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1/S120G IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2/S120G IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG2ah noC、
NM23 S120G IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96S IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96S/S120G IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1 IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2 IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC6 IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1/S120G IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2/S120G IgG2ah noC、又は、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG2ah noC、
である、請求項15に記載のタンパク質構築物。
【請求項23】
前記特異的な多量体がタンパク質単量体と第2の構成要素とを組換えによって結び付けることによって形成される、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項24】
前記特異的な多量体が前記第2の構成要素間に形成される、請求項23に記載のタンパク質構築物。
【請求項25】
前記第2の構成要素がリンカーペプチドである、請求項24に記載のタンパク質構築物。
【請求項26】
前記第2の構成要素がタンパク質又はタンパク質断片である、請求項24に記載のタンパク質構築物。
【請求項27】
前記多量体が化学結合を介して前記第2の構成要素間に形成される、請求項24に記載のタンパク質構築物。
【請求項28】
前記多量体が共有結合を介して前記第2の構成要素間に形成される、請求項24に記載のタンパク質構築物。
【請求項29】
前記共有結合がジスルフィド結合である、請求項28に記載のタンパク質構築物。
【請求項30】
前記多量体が二量体である、請求項23に記載のタンパク質構築物。
【請求項31】
前記第2の構成要素がIgG1ヒンジ又はIgG2aヒンジである、請求項24に記載のタンパク質構築物。
【請求項32】
NM23-S120G-IgG1h、NM23-S120G-IgG2ah、又はNM23 S120G IgG1Fcである、請求項31に記載のタンパク質構築物。
【請求項33】
前記多量体が非共有結合を介して前記第2の構成要素間に形成される、請求項24に記載のタンパク質構築物。
【請求項34】
前記第2の構成要素が別のタンパク質との結合に対して高い親和性を有するタンパク質である、請求項33に記載のタンパク質構築物。
【請求項35】
前記第2の構成要素が抗体のFc領域の全体又は一部、Fos又はJunである、請求項34に記載のタンパク質構築物。
【請求項36】
前記Fc領域がIgG1Fcである、請求項35に記載のタンパク質構築物。
【請求項37】
前記第2の構成要素がホモ二量体化することが可能である、請求項34に記載のタンパク質構築物。
【請求項38】
前記第2の構成要素がヘテロ二量体化することが可能である、請求項34に記載のタンパク質構築物。
【請求項39】
ジスルフィド結合を介した多量体の形成を促進するように、システインが前記タンパク質に挿入されている、請求項1に記載のタンパク質構築物。
【請求項40】
前記第2の構成要素がIgM抗体のFcドメインの断片である、請求項26に記載のタンパク質構築物。
【請求項41】
細胞への又は該細胞の核への侵入を促すアミノ酸配列を含む、請求項1、12、13、24、33又は39に記載のタンパク質構築物。
【請求項42】
前記タンパク質構築物のその発現宿主細胞からの分泌を促すアミノ酸配列を含む、請求項1、12、13、24、33又は39に記載のタンパク質構築物。
【請求項43】
請求項1、12、13、24、33又は39に記載のタンパク質をコードする核酸配列を含む単離核酸。
【請求項44】
細胞への又は該細胞の核への侵入を促すアミノ酸配列をコードする配列を更に含む、請求項43に記載の核酸。
【請求項45】
前記タンパク質のその発現宿主細胞からの分泌を促すアミノ酸配列をコードする配列を更に含む、請求項43に記載の核酸。
【請求項46】
二量体の形成を支持する、NM23又はその突然変異体をコードする核酸を含む、請求項43に記載の核酸。
【請求項47】
請求項43に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項48】
プラスミドである、請求項47に記載のベクター。
【請求項49】
ウイルスである、請求項47に記載のベクター。
【請求項50】
請求項47に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項51】
細胞を増殖する方法であって、該細胞に請求項47に記載のベクターをトランスフェクト又は形質導入することを含む、方法。
【請求項52】
前記細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
体細胞において多能性を誘導する方法であって、該細胞に請求項47に記載のベクターをトランスフェクト又は形質導入することを含む、方法。
【請求項54】
未熟細胞の投与による治療によって軽減される病態を患う患者を治療する方法であって、
(i)宿主細胞に請求項47に記載のベクターをトランスフェクト又は形質導入することであって、幹細胞、前駆細胞又はiPS細胞を得ることと、
(ii)得られた幹細胞、前駆細胞又はiPS細胞を前記患者に投与することと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記ベクターにおける前記細胞に固有の1つ又は複数の遺伝子の核酸配列が修飾されている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
標的化遺伝子の発現を変化させる方法であって、
(i)転写因子変異体をコードする核酸を作製する工程と、
(ii)前記核酸を標的化細胞に導入させる工程と、
を含む、方法。
【請求項57】
(iii)前記標的化遺伝子のプロモータ部位付近の位置に挿入されるように、前記核酸を設計する工程を更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記標的化細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記前駆細胞が造血細胞である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記前駆細胞がB細胞又はB細胞前駆体である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
対象の遺伝子が発現されていることが望ましい場合には活性状態を促進し、対象の遺伝子が抑制されていることが望ましい場合には活性状態を促進しないように、前記転写因子の多量体化状態を操作することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
幹細胞又は前駆細胞の産生の増大の恩恵を受け得る疾病を治癒又は軽減する方法であって、疾患、遺伝的欠陥又は不健康な病態を患う又はそれらを発症するリスクがある患者に、請求項44又は45に記載の細胞を投与することを含む、方法。
【請求項63】
前記細胞が受精卵又は未受精卵である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記細胞が幹細胞又は前駆細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞を治療される前記患者から得る、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞がiPS細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記iPS細胞が治療される前記患者由来のものである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
二量体化を支持するとともに、より高次の多量体の形成を抑える成長因子突然変異体を同定する方法であって、該成長因子の標的受容体への結合の親和性を決定することを含み、より高次の多量体は前記二量体と同じ親和性では該標的受容体と結合しない、方法。
【請求項69】
前記成長因子がNM23であり、前記標的受容体がMUC1*である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記標的受容体が、GTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号1)の配列を有するPSMGFRペプチドから本質的になるMUC1*細胞外ドメインペプチドである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
二量体の形成を抑えるように遺伝子操作されている、請求項4に記載のタンパク質。
【請求項72】
より高次の多量体の形成を支持するように遺伝子操作されている、請求項71に記載のタンパク質。
【請求項73】
四量体、五量体又は六量体の形成を支持するように遺伝子操作されている、請求項72に記載のタンパク質。
【請求項74】
前記より高次の多量体がIgM抗体のFc部分に遺伝子的に融合するタンパク質を含む、請求項72に記載のタンパク質。
【請求項75】
成長因子である、請求項72に記載のタンパク質。
【請求項76】
NM23である、請求項72に記載のタンパク質。
【請求項77】
転写因子である、請求項72に記載のタンパク質。
【請求項78】
p53である、請求項72に記載のタンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本願は、成長因子変異体、及びかかる成長因子の多量体化を制御する方法の分野に関するものである。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は2011年5月9日付で出願された米国仮出願第61/484,052号(この開示は引用することにより本明細書の一部をなすものとする)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
2. 一般的背景及び現行の技術水準
生体系では、タンパク質は多くの場合、細胞を特定の方法で機能させる複雑なシグナル伝達カスケードを構築する。例えば、細胞の分裂プロセスを開始させる一般的な方法は、タンパク質(リガンド)を膜貫通タンパク質受容体の細胞外ドメインに結合させ、リガンドの細胞外ドメインへの結合により受容体の立体構造を変化させることである。リガンド誘導性の立体構造の変化は、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン又はその両方で起きる可能性があり、タンパク質又は分子が受容体に結合することができるという変化をもたらす。この外から内へのシグナル伝達は、細胞の分裂をシグナル伝達するとともに、プログラム細胞死及び多くの他のプロセスを開始するのに使用される一般的な機構である。
【0004】
成長因子受容体の活性を調節するのに一般的に使用される機構の1つは、受容体の細胞外ドメインのリガンド誘導性の二量体化であり、これは細胞内尾部を互いに近付け、シグナル伝達カスケードを開始するキナーゼ等のタンパク質を修飾するのに良好なドッキング部位を構築し、細胞を分裂させる細胞核へのシグナルがもたらされる。
【0005】
成長因子受容体の細胞外ドメインのリガンド誘導性の二量体化は、多くの場合リガンド二量体、すなわち互いに非共有結合して、同じ(ホモ)又は異なる(ヘテロ)2つの受容体に結合するホモ二量体又はヘテロ二量体を形成する2つのリガンドの結合によって達成される。
【0006】
リガンド誘導性の受容体の二量体化の重要な例は、腫瘍及び幹細胞に特異的なMUC1膜貫通タンパク質の切断型であるMUC1*の細胞外ドメインへのNM23二量体の結合、及びMUC1*の細胞外ドメインの二量体化である。リガンドが単量体であるか否かにかかわらず、二量体又はより高次の多量体には、とりわけその濃縮機能がある。多くの成長因子受容体では、二量体形態のリガンドのみが成長因子受容体を活性化する。さらに、多くの生体系では、より高次の多量体が二量体によって促進される機能を停止するフィードバックループが存在する。例えば、NM23二量体は多能性成長を活性化するが、NM23六量体は多能性成長を停止し、分化を開始する。同様に、λファージのCIタンパク質は、四量体としてDNAに結合することで一組の遺伝子の転写を開始するが、濃度の増大に応じてCIタンパク質が八量体になることでそれらの遺伝子の転写を停止する。多くの場合、成長因子受容体を構造的に活性化するか、又はタンパク質の特異的な多量体化状態によって媒介される一部の活性を増大することが望ましい。問題は、特異的な多量体を発現及び単離するのが極めて困難であり、更には特異的な多量体を生体系に添加するか又は生体系内で発現させる場合にこの多量体化状態を維持することがより困難であることである。そのため、特異的な多量体化状態でのみ存在するか、又は二量体等の多量体化状態を支持する若しくは二量体化を支持するリガンドを生成することができることが有益である。
【0007】
NM23突然変異体は二量体の形成を支持するという報告があるが、不活性状態の六量体に対する活性状態の二量体として存在する割合は、特に組換えタンパク質として発現される場合、二量体を発現している細胞、濃度、及び制御することが困難な又は不可能な多くのタンパク質発現状態に応じて大きく異なる。そのため、二量体形態のNM23又はNM23突然変異体のより大きな比率又はより安定した集団をもたらす、組換え方法を含む方法を開発することが有益であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の問題を克服し、特異的な多量体化状態を支持するタンパク質を産生するタンパク質の遺伝的変異体、キメラ、及び一本鎖構築物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、特異的な多量体を選択的に形成する組換えによって作製されたタンパク質構築物に関するものである。多量体化状態はその生物学的に活性な状態であり得る。多量体化状態は二量体であり得る。代替的には、多量体化状態はその不活性状態であり得る。多量体化状態はより高次の多量体であり得る。
【0010】
タンパク質は成長因子又は転写因子であり得る。二量体形態はホモ二量体又はヘテロ二量体であり得る。タンパク質はヒトタンパク質又はマウスタンパク質等の哺乳動物タンパク質であり得る。
【0011】
タンパク質構築物は、リンカーペプチドを通じて連結することができる2つの単量体又は2つの単量体断片を含むことができ、このようにして単量体-リンカー-単量体構築物が形成される。
【0012】
単量体タンパク質はH1アイソフォーム、H2アイソフォーム又はH7アイソフォーム等のNM23であり得る。単量体は、二量体の形成を支持するとともに、より高次の多量体の形成を阻害する、NM23又はその突然変異体であり得る。突然変異型NM23はS120G又はP96S又はNM23及びP96Sであり得る。単量体は、二量体の形成を支持する、NM23又は1個~10個のC末端アミノ酸が欠失しているその突然変異体であり得る。1個~6個のC末端アミノ酸が欠失し得る。
【0013】
リンカーは、GS、GS2、GS3、IgG1ヒンジ領域若しくはIgG2aヒンジ領域、又はそれらの組合せを含み得る。
【0014】
一態様では、タンパク質構築物は以下のものを含み得る:
NM23 S120G GS2、
NM23 P96S GS2、
NM23 P96S/S120G GS2、
NM23 P96SΔC1 GS2、
NM23 P96SΔC2 GS2、
NM23 P96SΔC6 GS2、
NM23 P96SΔC1/S120G GS2、
NM23 P96SΔC2/S120G GS2、
NM23 P96SΔC6/S120G GS2、
NM23 S120G GS3、
NM23 P96S GS3、
NM23 P96S/S120G GS3、
NM23 P96SΔC1 GS3、
NM23 P96SΔC2 GS3、
NM23 P96SΔC6 GS3、
NM23 P96SΔC1/S120G GS3、
NM23 P96SΔC2/S120G GS3、
NM23 P96SΔC6/S120G GS3、
NM23 S120G IgG1h noC、
NM23 P96S IgG1h noC、
NM23 P96S/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC1 IgG1h noC、
NM23 P96SΔC2 IgG1h noC、
NM23 P96SΔC6 IgG1h noC、
NM23 P96SΔC1/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC2/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG1h noC、
NM23 S120G IgG2ah noC、
NM23 P96S IgG2ah noC、
NM23 P96S/S120G IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1 IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2 IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC6 IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1/S120G IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2/S120G IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG2ah noC、
NM23 S120G IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96S IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96S/S120G IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1 IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2 IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC6 IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC1/S120G IgG1h/IgG2ah noC、
NM23 P96SΔC2/S120G IgG2ah noC、又は、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG2ah noC。
【0015】
一態様では、特異的な多量体は、タンパク質単量体と第2の構成要素とを組換えによって結び付けることによって形成され得る。特異的な多量体は第2の構成要素間に形成され得る。第2の構成要素はリンカーペプチド又はタンパク質若しくはタンパク質断片であり得る。
【0016】
一態様では、多量体は化学結合を介して第2の構成要素間に形成され得る。代替的には、多量体は共有結合を介して第2の構成要素間に形成され得る。共有結合はジスルフィド結合であり得る。特に、多量体は二量体であり得る。
【0017】
一態様では、第2の構成要素はIgG1ヒンジ若しくはIgG2aヒンジ又はそれらの組合せであり得る。タンパク質構築物はNM23-S120G-IgG1h、bNM23-S120G-IgG2ah、又はNM23 S120G IgG1Fcであり得る。
【0018】
別の態様では、上記のタンパク質構築物では、多量体は非共有結合を介して第2の構成要素間に形成され得る。第2の構成要素は別のタンパク質との結合に対して高い親和性を有するタンパク質であり得る。第2の構成要素は抗体のFc領域の全体又は一部、Fos又はJunであり得る。Fc領域はIgG1Fcであり得る。一態様では、第2の構成要素はホモ二量体化又はヘテロ二量体化することが可能であり得る。
【0019】
別の態様では、システインをタンパク質に挿入することで、ジスルフィド結合を介した多量体の形成を促進することができる。第2の構成要素はIgM抗体のFcドメインの断片であり得る。
【0020】
別の態様では、上述のタンパク質構築物のいずれかに、細胞への又は細胞の核への侵入を促すアミノ酸配列が含まれ得る。
【0021】
更に別の態様では、上述のタンパク質構築物のいずれかに、タンパク質構築物のその発現宿主細胞からの分泌を促すアミノ酸配列が含まれ得る。
【0022】
さらに本発明は、上述のタンパク質構築物のいずれかを含む単離核酸に関するものである。核酸は細胞への又は細胞の核への侵入を促すアミノ酸配列をコードする配列を更に含み得る。核酸はタンパク質のその発現宿主細胞からの分泌を促すアミノ酸配列をコードする配列を更に含み得る。核酸は二量体の形成を支持する、NM23又はその突然変異体をコードする核酸を含み得る。
【0023】
別の態様では、本発明は上述の核酸のいずれかを含む発現ベクターに関するものである。ベクターはプラスミド又はウイルスであり得る。
【0024】
別の態様では、本発明は上述のベクターを含む宿主細胞に関するものである。
【0025】
更に別の態様では、本発明は細胞を増殖させる方法であって、細胞に本明細書で述べられるベクターをトランスフェクト又は形質導入することを含む、方法に関するものである。細胞は幹細胞又は前駆細胞であり得る。
【0026】
更に別の態様では、本発明は体細胞において多能性を誘導する方法であって、細胞に本明細書に記載のベクターをトランスフェクト又は形質導入することを含む、方法に関するものである。
【0027】
別の態様では、本発明は未熟細胞の投与による治療によって軽減される病態を患う患者を治療する方法であって、
(i)宿主細胞に本明細書で述べられるベクターをトランスフェクト又は形質導入することであって、幹細胞、前駆細胞又はiPS細胞を得ることと、
(ii)得られた幹細胞、前駆細胞又はiPS細胞を患者に投与することと、
を含む、方法に関するものである。
【0028】
ベクターにおける1つ又は複数の遺伝子の核酸配列が細胞に固有のものであっても、修飾されていてもよい。
【0029】
別の態様では、本発明は標的化遺伝子の発現を変化させる方法であって、
(i)転写因子変異体をコードする核酸を作製することと、
(ii)核酸を標的化細胞に導入させることと、
を含む、方法に関するものである。
【0030】
上記の方法は、(iii)標的化遺伝子のプロモータ部位付近の位置に挿入されるように、核酸を設計する工程を更に含み得る。標的化細胞は幹細胞又は前駆細胞であり得る。前駆細胞は造血細胞であり得る。さらに前駆細胞はB細胞又はB細胞前駆体であり得る。
【0031】
別の態様では、本発明は、対象の遺伝子が発現されることが望ましい場合には活性状態を促進し、対象の遺伝子が抑制されることが望ましい場合には活性状態を促進しないように、転写因子の多量体化状態を操作することを更に含む、上記方法に関するものである。
【0032】
更に別の態様では、本発明は幹細胞又は前駆細胞の産生の増大の恩恵を受け得る疾病を治癒又は軽減する方法であって、疾患、遺伝的欠陥又は不健康な病態を患う又はそれらを発症するリスクがある患者に、上記の細胞を投与することを含む、方法に関するものである。細胞は受精卵又は未受精卵であり得る。細胞は幹細胞又は前駆細胞であり得る。細胞は治療される患者から得ることができる。代替的には細胞はiPS細胞であり得る。細胞は治療される患者由来のiPS細胞であり得る。
【0033】
別の態様では、本発明は二量体化を支持するとともに、より高次の多量体の形成を抑える成長因子突然変異体を同定する方法であって、成長因子の標的受容体への結合の親和性を決定することを含み、より高次の多量体は二量体と同じ親和性では標的受容体と結合しない、方法に関するものである。成長因子はNM23であり、標的受容体はMUC1*であり得る。標的受容体は、GTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号1)の配列を有するPSMGFRペプチドであり得るMUC1*細胞外ドメインペプチドであり得る。
【0034】
別の態様では、本発明は二量体の形成を抑えるように遺伝子操作されている上記のタンパク質に関するものである。タンパク質はより高次の多量体の形成を支持するように遺伝子操作され得る。タンパク質は四量体、五量体又は六量体の形成を支持するように遺伝子操作され得る。より高次の多量体はIgM抗体のFc部分に遺伝子的に融合するタンパク質を含む。タンパク質は成長因子であり得る。タンパク質はNM23であり得る。タンパク質は転写因子であり得る。タンパク質はp53であり得る。
【0035】
本発明はタンパク質の特異的な多量体化状態を増大する方法及び組成物に関するものである。該方法は多量体が活性型である任意のタンパク質に適用することができ、特に活性型は二量体である。
【0036】
多量体のリガンドを作製する1つの方法は、予め結び付いた組換えタンパク質を構築することである。例えば、2つ以上の単量体が直接又は長さ若しくは配列が異なり得るリンカーを介して結び付いている一本鎖タンパク質によって所望の生体活性が得られる。
【0037】
多量体のリガンドを作製する別の方法は、各単量体が、多量体化するタンパク質の一部分に結び付いている組換えキメラを作製することである。例えば、タンパク質FosとJunとが相互作用し、それによりこれらのタンパク質が、同じでも又は異なっていてもよい複数のリガンドに遺伝子的に結び付くことで、得られたキメラの二量体化をもたらすことができる。同様にして、抗体のFc領域が二量体化する。リガンド-Fc領域キメラが作製される場合、これらは二量体化し、自然発生的な二量体リガンドの活性と似たような活性を示し得る。
【0038】
リガンド多量体を作製する更に別の方法は、2つ以上の単量体リガンドの化学共役によるものである。例えば、二官能性リンカーを使用して、2つのタンパク質リガンドを化学共役することで、ホモ二量体又はヘテロ二量体を作製することができる。
【0039】
多量体リガンドを作製する更に別の方法は、標的受容体に結合する小分子を同定した後、小分子の多量体を合成することである。
【0040】
好ましい実施の形態では、自然の生物学的相互作用を増進させる、例えば成長因子受容体を活性化するのに好ましい多量体化状態は二量体である。より好ましい実施の形態では、二量体となる又は二量体の形成を支持するリガンドはNM23である。NM23アイソフォームH1(NME1)、H2(NME2)及びH7(NME7)が好ましく、H1が特に好ましい。更により好ましい実施の形態では、NM23はヒト由来のものである。
【0041】
受容体、特に成長因子受容体に結合し、それらを活性化する多くのリガンドが、その同族受容体を二量体化することによりその同族受容体を活性化することから、成長を阻害するアプローチは、上述の方法の1つを用いて、3つ以上のリガンドが互いに結び付いているか、又はより高次の多量体を形成するように働きかけるリガンドの多量体を作製することである。さらに、特異的な核酸配列に結合するリガンドが、二量体状態でのみ特異的な核酸配列に結合することはよく知られている。さらに、上述の方法を用いて、特に核酸に結合する場合に選択的に二量体を形成するように、これらのタンパク質又は小分子の変異体を作製することができる。核酸結合を阻害するのに、より高次の多量体の形成を支持する変異体を生成することができる。
【0042】
好ましい実施の形態では、より高次の多量体を形成するように設計されたリガンドを野生型タンパク質と相互作用させ、天然タンパク質の二量体を形成する能力を阻害することができる。例えば、NM23-H1はMUC1*成長因子受容体に結合し、成長、生存及び多能性を誘起する二量体化を誘導する。天然のNM23はその配列及び濃度に応じて、単量体、二量体、四量体又は六量体として存在する。組換えNM23を、二量体の集団を単離することができるようにリフォールディング又は精製することができる。二量体の形成を支持するとともに、四量体及び六量体の形成を抑えるNM23-H1の突然変異体(Mutations)がヒトがんから単離されている。そのため、がん性成長の阻害のアプローチは、より高次の多量体の形成を支持し、成長及び多能性を誘導しないNM23突然変異体を同定することである。野生型NM23を多量体へと戻し、そうすることでがん関連の二量体が形成されなくなる突然変異体が特に好ましい。
【0043】
二量体形態のNM23は幹細胞及び前駆細胞上のMUC1*受容体に結合する。MUC1*への結合がNM23二量体のエンドサイトーシスを促し、その後NM23二量体は核へと移行し、そこでNM23は二量体の形でDNAに結合することで、幹細胞及び前駆細胞の成長及び多能性に関わる遺伝子の転写を調節する。そのため、記載の方法を用いて、成長、多能性の維持及び誘導に使用される、二量体の形成を支持するNM23変異体を作製することが本発明の重要な適用である。すなわち、二量体の形成を支持するNM23変異体を、in vitro、ex vivo及びin vivoで使用することで、幹細胞及び前駆細胞の成長を促進し、多能性を維持することができる。
【0044】
加えて本発明は、幹細胞及び前駆細胞を含む未熟細胞による治療の恩恵を受ける病態の治療のためのこれらのNM23変異体の患者への投与も含む。NM23及びNM23変異体を患者に全身投与又は局所投与することができる。
【0045】
本発明は、本発明の方法を用いて、研究又は治療に用いられ、多能性を誘導するか又は細胞をより成熟していない状態へと誘導する、患者、受精卵若しくは未受精卵、又は幹細胞においてin vitro又はin vivoで、タンパク質に作用し、該タンパク質を単量体又は幾つかの他の多量体では与えられない生物学的機能を果たす特異的な多量体化状態にさせることも含む。このような場合、NM23変異体をコードする核酸が、例えば発現ベクターの一部として使用される。一実施の形態では、NM23変異体は、標的遺伝子付近に位置するように設計される。例えば、NM23変異体を、対象の遺伝子内に又はその付近に挿入されるように設計することができる。或る場合では、iPS細胞又は部分iPS細胞であり得る患者自身の細胞が修復遺伝子又は挿入遺伝子を保有しており、二量体化を支持する1つ又は複数のNM23変異体をコードする核酸を同じ細胞に挿入することで、in vitro、ex vivo又はin vivoのいずれかで該細胞の増殖を促進する。
【0046】
一実施の形態では、これらの方法を、特異的な細胞集団を選択的に増殖することによって遺伝的欠陥又は疾患状態を修復する方法と併用する。例えば、二量体NM23を作製し、胎児型のヘモグロビン又は修復遺伝子を発現する細胞において発現させ、鎌状細胞貧血症を治療することができる。別の実施の形態では、これらの方法を用いて、遺伝子療法環境で細胞の成長を刺激する。自己免疫疾患の治療等の別の実施の形態では、成長を促進する多量体又は成長を阻害する多量体のいずれかを使用して、特異的な細胞型の産生を増大又は低減する。
【0047】
さらにNM23及びNM23変異体は他の哺乳動物の幹細胞及び前駆細胞の成長を促進することもできる。例えば、マウスの幹細胞及び前駆細胞は野生型タンパク質若しくはタンパク質の変異体に関係なく又はヒト由来若しくはマウス由来であるかに関係なくNM23二量体の存在下で増殖する。
【0048】
本発明のこれらの及び他の目的は、本発明の以下の記載、添付の図面及び添付の特許請求の範囲からより完全に理解される。
【0049】
本発明は以下に示される詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるが、これらは例示のために示されているに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】二価抗体又は一価抗体の濃度に応じて測定されたがん細胞成長のグラフであり、MUC1*受容体の二量体化が成長を刺激することが示唆されている。MUC1陽性乳がん細胞であるZR-75-30の成長は、二価(Ab)抗MUC1*の添加により刺激され、一価Fabの添加により阻害された。二価抗体の添加によって、成長因子受容体の二量体化を示す特徴的な釣鐘成長曲線が生じる。MUC1陰性HEK 293細胞の成長は二価又は一価のFab抗MUC1*のいずれによる影響も受けなかった。二価抗体が過剰に添加されると、1つの二価抗体が2つの受容体を二量体化するのではなく、1つの二価抗体が各々の受容体に結合し、それにより成長が阻害される。
図2】野生型NM23(WT)又は突然変異型NM23-S120Gの3つの異なる調製物のいずれかの様々な多量体化状態を特性化しているFPLCトレースのオーバーレイを示す図である。野生型NM23は、六量体の分子量に相当する単一ピークと、より高次の多量体に相当するショルダーとを示す。リフォールディングされていないNM23-S120Gの一調製物(「ミックス」と表示)は、二量体に相当する主ピークと、より小さい四量体ピークとを有する。同様にリフォールディングされていないNM23-S120Gの別の調製物(「六量体」)は主となる六量体ピークとより高次の多量体のショルダーとを有する。NM23-S120Gのリフォールディング調製物(「二量体」)は大部分が二量体で構成されている。
図3】a)は、NM23-WT、NM23-S120G-ミックス、NM23-S120G-六量体及びNM23-S120G-二量体の非還元ゲルの写真を示し、野生型タンパク質及びS120G突然変異体の3つの異なる調製物の多量体化状態が示されている。b)は、表面プラズモン共鳴(SPR)測定結果のオーバーレイを示し、4つの異なるNM23のSPRチップ表面に付着したMUC1*細胞外ドメインペプチド(PSMGFR)への結合能が示されている。結果から、NM23のその同族受容体、MUC1*への結合量は二量体がサンプルにどれくらい存在するかに依存することが示唆される。SPRによって、チップ-溶液界面でのタンパク質の質量が測定され、六量体がMUC1*ペプチド表面に結合した場合、二量体が結合した場合よりも3倍大きいSPRシグナルが生じる。c)はナノ粒子実験の写真を示し、NM23二量体のみが同族受容体MUC1*に結合することが示唆される。MUC1*細胞外ドメインペプチドを金ナノ粒子上に固定した。一定分量のナノ粒子それぞれに、NM23-WT、NM23-S120G-二量体又はNM23-S120G-六量体のいずれかを添加した。NM23が、ナノ粒子上に固定されたMUC1*ペプチドに結合した場合、ナノ粒子同士が近付き、それにより溶液がピンク色から青色へと変色する。この実験から、NM23-S120G-二量体のみがMUC1*ペプチドに結合したことが示唆される。抗MUC1* Fabの添加が、溶液中のNM23-S120G-二量体のナノ粒子上のMUC1*ペプチドへの結合を競合的に阻害した。(d~g)は、多能性幹細胞の成長を支持する能力に関して試験された異なるNM23多量体を示している。ヒトES(胚性幹)細胞を、(d)NM23-S120G-二量体、(e)NM23-S120G-六量体、(f)NM23-WT、又は(g)NM23-S120G-二量体+MUC1*細胞外ドメインペプチド(PSMGFR)のいずれかで培養し、幹細胞表面上でのNM23二量体のMUC1*受容体への結合を競合的に阻害した。分化の誘導(コロニーの肥厚化、暗化)が、(g)、(e)及び(f)の順で容易に観察され、これによりNM23-二量体-MUC1*相互作用の阻害は、細胞をMUC1*に結合しないNM23六量体で培養した場合に分化を誘導することが示される。NM23-S120Gの二量体調製物(d)のみが未分化の幹細胞成長を支持することが可能であった。
図4】組換え型NM23-S120Gの3つの異なる調製物に対するNM23-WTの多量体化状態を示す非変性のネイティブゲルを示す図である。
図5】A)野生型NM23(WT)及びB)60%二量体を生じるNM23-S120G-「ミックス」調製物のSPRによる測定結果を示す図である。タンパク質を5つの異なる濃度で注入した。結果から、NM23-WTよりも8倍多いNM23-S120G-ミックスタンパク質がMUC1*細胞外ドメインペプチド表面に結合したことが示唆される。野生型タンパク質が六量体であることから、RUの数値は、二量体の結合量と比較するために3で除算しなければならない。野生型及びS120G-二量体の両方が濃度依存的な結合を示すが、野生型六量体の結合量はこのシステムのノイズ範囲内であると考えられる程に小さい。
図6】(a)はジスルフィド結合を低減する添加DTT(ジチオスレイトール)の存在下又は非存在下でのNM23一本鎖変異体を充填した非還元ゲルの写真を示す。二量体は赤色のボックスで示している。DTTの非存在下では、幾つかの分子量が高い種が存在するが、これは細胞を培養するのに用いられる濃度のおよそ1000倍でタンパク質をゲルに充填したためであると考えられる。(b)はNM23一本鎖変異体が二量体の予測分子量でゲルを移動することを示す還元ゲルの写真を示す。
図7】ジスルフィド結合の破壊を避けるのに非還元ゲルを用いた、一本鎖変異体NM23 S120G IgG1h及びNM23 S120G IgG2ahの精製のPAGEによる特性化を示す図である。
図8】ジスルフィド結合の破壊を避けるのに非還元ゲルを用いた、融合キメラ変異体NM23 S120G IgG1Fcの精製のPAGEによる特性化を示す図である。
図9】ジスルフィド結合の破壊を避けるのに非還元ゲルを用い、更に還元ゲルを用いた、リフォールディングした融合キメラ変異体NM23 S120G IgG1FcのPAGEによる特性化を示す図である。非還元ゲルでは変異体が二量体の分子量で泳動し、還元ゲルではジスルフィド結合の非存在下で融合変異体が単量体の見掛け分子量で泳動することが示唆される。
図10】融合キメラ変異体NM23-S120G-IgG1FcのFPLC(a)及び非還元SDS-PAGE(b)による特性化を示す図である。
図11】二量体の主集団を示すリフォールディングしたNM23-S120G-GS2のFPLC(a)及び非還元SDS-PAGE(b)による特性化を示す図である。(c~e)は、最少幹細胞培地中のマトリゲル上で(c及びd)及び抗MUC1*抗体、MN-C3をコーティングした細胞培養プレート上で(e)、リフォールディング又は精製しなかった8nMのNM23変異体NM23-S120G-GS2で培養したヒトES細胞、BGO1v/hOG株の写真を示す。これらのデータから、NM23-S120G-GS2は、使用前にリフォールディング又は精製する必要がないことが示唆される。
図12】二量体の主集団を示すリフォールディングしたNM23-S120G-IgG1h noCのFPLC(a)及び非還元SDS-PAGE(b)による特性化を示す図である。(c~e)は、最少幹細胞培地中のマトリゲル上で(c及びd)及び抗MUC1*抗体、MN-C3をコーティングした細胞培養プレート上で(e)、リフォールディング又は精製しなかった8nMのNM23変異体NM23-S120G-IgG1h noCで培養したヒトES細胞、BGO1v/hOG株の写真を示す。これらのデータから、この変異体は、使用前にリフォールディング又は精製する必要がないことが示唆される。
図13】二量体の主集団を示すリフォールディングしたNM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noCのFPLC(a)及び非還元SDS-PAGE(b)による特性化を示す図である。(c~e)は、最少幹細胞培地中のマトリゲル上で(c及びd)及び抗MUC1*抗体、MN-C3をコーティングした細胞培養プレート上で(e)、リフォールディング又は精製しなかった8nMのNM23変異体NM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noCで培養したヒトES細胞、BGO1v/hOG株の写真を示す。これらのデータから、この変異体は、使用前にリフォールディング又は精製する必要がないことが示唆される。
図14】リフォールディング又は精製しなかった、NM23一本鎖変異体NM23-P96SΔC1(a、b)、NM23-P96SΔC2(c、d)、NM23-P96SΔC6(e、f)及びNM23-P96S(g、h)に関する非還元ゲルを用いたSDS-PAGEによる特性化及び対応するFPLCトレースを示す図である。FPLCトレースの比較から分かるように、NM23-P96SΔC2及びNM23-P96SΔC6は二量体範囲に主ピークを有することから、好ましい。これらのデータから、これらの変異体は、使用前にリフォールディング又は精製する必要がないことが示唆される。
図15】最少幹細胞培地中のマトリゲル上で(a、b、d、e)及び抗MUC1*抗体、MN-C3をコーティングした細胞培養プレート上で(c、f)、8nMのNM23変異体で培養したヒトES細胞、BGO1v/hOG株の写真を示す図である。(a~c)は変異体がP96SΔC2であり、(d~f)は変異体がP96SΔC6である。これらの変異体はリフォールディング又は精製しておらず、このことから、これらは使用前にリフォールディング又は精製する必要がないことが示唆される。
図16】NM23-S120G(リフォールディング、「RS」)の主集団がFPLCトレースで示されるように(a)、また非還元PAGEによって確認されるように(b)二量体として存在することが示唆されている図である。FPLCによって精製された二量体単独の画分をプールし、最少幹細胞培地中、8nMで使用し、ヒトES細胞、BGO1v/hOG株を成長させた。(c~e)のヒト幹細胞の写真から、8nMのNM23変異体での培養によって、マトリゲル上(c、d)又は抗MUC1*抗体、MN-C3をコーティングした細胞培養プレート上(e)のいずれでも多能性幹細胞が生じることが示唆される。
図17】最少幹細胞培地+リフォールディング及び精製したNM23-S120G RS(a~d)、又は二量体として発現され、リフォールディング及び精製する必要のない一本鎖構築物S120G-GS2のいずれかで培養したヒトES細胞(H9株)の写真を示す。S120G-GS2を添加DTTの存在下で(e~h)又は非存在下で(i~l)添加した。画像から、一本鎖変異体で培養した幹細胞が成長し、またリフォールディング及び精製したNM23-S120G-RSの二量体画分でも幹細胞が成長することが示唆される。細胞は、細胞塊の肥厚化及び暗化がないことから分かるように未分化な多能性幹細胞である。
図18】最少幹細胞培地中、NM23-S120G-IgG1h noCで培養したヒトES細胞(H9株)の写真を示す。このNM23変異体は二量体として発現され、二量体状態にするのに更なる処理又はリフォールディングを必要としない。S120G-IgG1h noCを添加DTTの存在下で(a~d)又は非存在下で(e~h)添加した。画像から、一本鎖変異体で培養した幹細胞が成長し、またリフォールディング及び精製したS120G RSの二量体画分でも幹細胞が成長することが示唆される(図17a~図17dと比較する)。細胞は、細胞塊の肥厚化及び暗化がないことから分かるように未分化な多能性幹細胞である。
図19】最少幹細胞培地+リフォールディング及び精製したNM23-S120G RS(a~d)、又は二量体として発現され、リフォールディング及び精製する必要のない一本鎖構築物(NM23)S120G-IgG1h/IgG2ah noCのいずれかで培養したヒトES細胞(H9株)の写真を示す。S120G-IgG1h/IgG2ah noCを添加DTTの存在下で(e~h)又は非存在下で(i~l)添加した。画像から、一本鎖変異体で培養した幹細胞が成長し、またリフォールディング及び精製したNM23-S120G RSの二量体画分でも幹細胞が成長することが示唆される(図17a~図17dと比較する)。細胞は、細胞塊の肥厚化及び暗化がないことから分かるように未分化な多能性幹細胞である。
図20】NM23-S120G又は二量体を自発的に形成するように設計されているか若しくは2つのNM23単量体で構成される一本鎖構築物であるNM23変異体のリフォールディング及び精製した二量体単独の画分のいずれかで培養したヒト幹細胞の成長をプロットしているグラフを示す。それぞれの場合で、200000個の細胞をプレーティングし、細胞を4日後に計数した。このグラフから、二量体集団のリフォールディング又は更なる精製を必要としない変異体によって、幹細胞が、二量体の大部分を形成するようにリフォールディングされ、更にFPLCにより精製されているNM23-S120G-RS以上に良好に増殖することが示唆される(図17a~図17dと比較する)。
図21】NM23-S120G-RS又は二量体を自発的に形成するように設計されているか若しくは2つのNM23単量体で構成される一本鎖構築物であるNM23変異体のリフォールディング及び精製した二量体単独の画分のいずれかで培養したヒト幹細胞の成長をプロットしているグラフを示す。このグラフから、この変異体によって、幹細胞がNM23-S120G-RS以上に良好に増殖し、効果が数代にわたって持続することが示唆される。
図22】リフォールディング及び精製したNM23-S120G-RSと比較したNM23変異体の遺伝子発現のRT-PCRによる測定結果のグラフである。遺伝子発現解析によって、二量体を自発的に形成するように設計されたNM23変異体での細胞の培養が、NM23のリフォールディング及び精製した二量体単独の集団以上のレベルまで多能性遺伝子を発現することが示唆される。
図23】二量体化を支持するが、大部分が二量体の集団を得るのにはリフォールディング及び精製しなければならない単一点突然変異であるNM23-S120G-RSの核局在化の写真を示す。a)外因性NM23-S120G-RSの添加なし、b)16nMのNM23-S120G RS、c)128nMのNM23-S120G RS。(a~c)細胞を、蛍光標識した抗NM23抗体で染色している。(d~f)DAPI核染色と蛍光標識したNM23とのオーバーレイ。白色の矢印は核内のNM23の存在を示している。(g)は488蛍光対照であり、(h)はa~c条件での核内のNM23の定量化を示す棒グラフであり、これにより外因性NM23-S120G RSを培養培地に添加することによって、NM23の内部移行及び核への移行が起こることが示唆される。128nMで添加するよりも16nMで添加した場合により多くのNM23が核内に存在し、このことは過度に高い濃度では、NM23二量体が2つのMUC1*受容体に結合し、二量体化するのではなく、NM23二量体が各々のMUC1*受容体に結合するという本発明者らの見解と一致することに留意されたい。
図24】NM23変異体NM23-S120G IgG1h/IgG2ah noCの核局在化の写真を示す。a)外因性NM23変異体の添加なし、b)16nMのNM23変異体、c)128nMのNM23変異体。(a~c)細胞を、蛍光標識した抗NM23抗体で染色している。(d~f)DAPI核染色と蛍光標識したNM23とのオーバーレイ。白色の矢印は核内のNM23の存在を示している。(g)は488蛍光対照であり、(h)はa~c条件での核内のNM23の定量化を示す棒グラフであり、これにより外因性NM23-S120G IgG1h/IgG2ah noC変異体を培養培地に添加することによって、NM23の内部移行及び核への移行が起こることが示唆される。128nMで添加するよりも16nMで添加した場合により多くのNM23変異体が核内に存在し、このことは過度に高い濃度では、NM23二量体が2つのMUC1*受容体に結合し、二量体化するのではなく、NM23二量体が各々のMUC1*受容体に結合するという本発明者らの見解と一致することに留意されたい。
図25】mLIF又はNM23-S120G-RSのいずれかを添加したマウスES細胞最少培地中、不活性化MEFフィーダー細胞層で2日間培養したマウス胚性幹(ES)細胞の写真を示す。画像から、マウスES細胞は、唯一の成長因子としてNM23二量体を用いることで、mLIFを基礎成長因子として用いた標準的なマウス幹細胞培地中の場合と同程度に良好に成長することが示唆される。
図26】NM23-WT及びNM23-S120G(非リフォールディング)と比較した、リフォールディングしていない、NM23変異体NM23-S120G-GS2、NM23-S120G-IgG1h noC及びNM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noCの非還元SDS-PAGEによる特性化の写真を示す。a)から、非還元ゲル上において、リフォールディング又は精製していない、変異体NM23-S120G-GS2、NM23-S120G-IgG1h noC及びNM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noCが、単量体の見掛け分子量で泳動する野生型タンパク質とは対照的に二量体として存在することが示唆される。しかしながら、二量体がジスルフィド結合に依存するのに対して、より高次のNM23多量体はジスルフィド結合に依存しないことから、NM23六量体が非還元ゲル上を単量体の分子量で泳動することに留意されたい。
図27】組換えによって生成されたNM23変異体の例を示す図である。(ヒスチジン)6、Strep TagII等の親和性タグは任意の要素であることに留意する。
図28】リフォールディングしている(図では「R」という表示で示されている)NM23変異体で培養したヒト幹細胞の写真を示す。8nMで用いられるNM23変異体は、NM23-S120G-RS(a、e)、NM23-S120G-GS2(b、f)、NM23-S120G-IgG1h noC(c、g)及びNM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noC(d、h)であった。細胞形態は、球形であり、形状が線維芽細胞ではなく、細胞分化を示す肥厚化又は暗化のない単一層であるという点で多能性幹細胞と一致している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本願において、数量を特定していないものは単数及び複数の対象の両方を含む("a" and "an" are used to refer to both singleand a plurality of objects)。
【0052】
本明細書で使用される場合、「多量体」は互いに共有結合する又は互いに非共有的に融合する複数の単量体を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「より高次の多量体」は、二量体より大きい、互いに共有結合する又は互いに非共有的に融合する複数の単量体を指す。
【0054】
配列表フリーテキスト
a、g、c、t以外のヌクレオチド記号の使用に関しては、WIPO標準ST.25の附属書2の表1に記載の表記法に準拠して、kはt又はgを表し、nはa、c、t又はgを表し、mはa又はcを表し、rはa又はgを表し、sはc又はgを表し、wはa又はtを表し、yはc又はtを表す。
【0055】
ヒトNM23 H1
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaaccctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaatga(配列番号97)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYE-(配列番号98)
【0056】
マウスNM23 H1
(DNA)
atggccaacagtgagcgcaccttcattgccatcaagcctgatggggtccagcgggggctggtgggcgagatcatcaagcggttcgagcagaaggggttccgccttgttggtctgaagtttctgcaggcttcagaggaccttctcaaggagcactacactgacctgaaggaccgccccttctttactggcctggtgaaatacatgcactcaggaccagtggttgctatggtctgggagggtctgaatgtggtgaagacaggccgcgtgatgcttggagagaccaaccccgcagactctaagcctgggaccatacgaggagacttctgcatccaagttggcaggaacatcattcatggcagcgattctgtaaagagcgcagagaaggagatcagcttgtggtttcagcctgaggagctggtggagtacaagagctgtgcgcagaactggatctatgagtga(配列番号99)
(アミノ酸)
MANSERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFLQASEDLLKEHYTDLKDRPFFTGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVKSAEKEISLWFQPEELVEYKSCAQNWIYE-(配列番号100)
【0057】
ヒトNM23H2
(DNA)
atggccaacctggagcgcaccttcatcgccatcaagccggacggcgtgcagcgcggcctggtgggcgagatcatcaagcgcttcgagcagaagggattccgcctcgtggccatgaagttcctccgggcctctgaagaacacctgaagcagcactacattgacctgaaagaccgaccattcttccctgggctggtgaagtacatgaactcagggccggttgtggccatggtctgggaggggctgaacgtggtgaagacaggccgagtgatgcttggggagaccaatccagcagattcaaagccaggcaccattcgtggggacttctgcattcaggttggcaggaacatcattcatggcagtgattcagtaaaaagtgctgaaaaagaaatcagcctatggtttaagcctgaagaactggttgactacaagtcttgtgctcatgactgggtctatgaataa(配列番号101)
(アミノ酸)
MANLERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVAMKFLRASEEHLKQHYIDLKDRPFFPGLVKYMNSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVKSAEKEISLWFKPEELVDYKSCAHDWVYE-(配列番号102)
【0058】
マウスNM23 H2
(DNA)
atggccaacctcgagcgtaccttcattgccatcaagccagatggcgtgcagcgcggcctggtgggcgagatcatcaaacggttcgagcagaaggggttccgcctggtggccatgaagttccttcgggcctctgaagaacacctgaagcagcattacatcgacctgaaagaccgtcctttcttcccggggctggtgaagtacatgaactcggggcccgtggtggccatggtctgggaggggctcaatgtggtgaaaacgggccgagtgatgctgggggagaccaatccagctgattcaaaaccaggcaccatccgtggggatttctgcattcaagttggcaggaacatcattcatggcagtgattcagtggagagtgctgagaaagagatccatctgtggtttaagcccgaagaactgatcgactacaagtcttgtgcccatgactgggtgtacgagtag(配列番号103)
(アミノ酸)
MANLERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVAMKFLRASEEHLKQHYIDLKDRPFFPGLVKYMNSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIHLWFKPEELIDYKSCAHDWVYE-(配列番号104)
【0059】
ヒトNM23-H7-1
(DNA)
atgaatcatagtgaaagattcgttttcattgcagagtggtatgatccaaatgcttcacttcttcgacgttatgagcttttattttacccaggggatggatctgttgaaatgcatgatgtaaagaatcatcgcacctttttaaagcggaccaaatatgataacctgcacttggaagatttatttataggcaacaaagtgaatgtcttttctcgacaactggtattaattgactatggggatcaatatacagctcgccagctgggcagtaggaaagaaaaaacgctagccctaattaaaccagatgcaatatcaaaggctggagaaataattgaaataataaacaaagctggatttactataaccaaactcaaaatgatgatgctttcaaggaaagaagcattggattttcatgtagatcaccagtcaagaccctttttcaatgagctgatccagtttattacaactggtcctattattgccatggagattttaagagatgatgctatatgtgaatggaaaagactgctgggacctgcaaactctggagtggcacgcacagatgcttctgaaagcattagagccctctttggaacagatggcataagaaatgcagcgcatggccctgattcttttgcttctgcggccagagaaatggagttgttttttccttcaagtggaggttgtgggccggcaaacactgctaaatttactaattgtacctgttgcattgttaaaccccatgctgtcagtgaaggactgttgggaaagatcctgatggctatccgagatgcaggttttgaaatctcagctatgcagatgttcaatatggatcgggttaatgttgaggaattctatgaagtttataaaggagtagtgaccgaatatcatgacatggtgacagaaatgtattctggcccttgtgtagcaatggagattcaacagaataatgctacaaagacatttcgagaattttgtggacctgctgatcctgaaattgcccggcatttacgccctggaactctcagagcaatctttggtaaaactaagatccagaatgctgttcactgtactgatctgccagaggatggcctattagaggttcaatacttcttcaagatcttggataattag(配列番号105)
(アミノ酸)
MNHSERFVFIAEWYDPNASLLRRYELLFYPGDGSVEMHDVKNHRTFLKRTKYDNLHLEDLFIGNKVNVFSRQLVLIDYGDQYTARQLGSRKEKTLALIKPDAISKAGEIIEIINKAGFTITKLKMMMLSRKEALDFHVDHQSRPFFNELIQFITTGPIIAMEILRDDAICEWKRLLGPANSGVARTDASESIRALFGTDGIRNAAHGPDSFASAAREMELFFPSSGGCGPANTAKFTNCTCCIVKPHAVSEGLLGKILMAIRDAGFEISAMQMFNMDRVNVEEFYEVYKGVVTEYHDMVTEMYSGPCVAMEIQQNNATKTFREFCGPADPEIARHLRPGTLRAIFGKTKIQNAVHCTDLPEDGLLEVQYFFKILDN-(配列番号106)
【0060】
大腸菌(E. coli)発現用に最適化したヒトNM23-H7-1配列
(DNA)
atgaatcactccgaacgctttgtttttatcgccgaatggtatgacccgaatgcttccctgctgcgccgctacgaactgctgttttatccgggcgatggtagcgtggaaatgcatgacgttaaaaatcaccgtacctttctgaaacgcacgaaatatgataatctgcatctggaagacctgtttattggcaacaaagtcaatgtgttctctcgtcagctggtgctgatcgattatggcgaccagtacaccgcgcgtcaactgggtagtcgcaaagaaaaaacgctggccctgattaaaccggatgcaatctccaaagctggcgaaattatcgaaattatcaacaaagcgggtttcaccatcacgaaactgaaaatgatgatgctgagccgtaaagaagccctggattttcatgtcgaccaccagtctcgcccgtttttcaatgaactgattcaattcatcaccacgggtccgattatcgcaatggaaattctgcgtgatgacgctatctgcgaatggaaacgcctgctgggcccggcaaactcaggtgttgcgcgtaccgatgccagtgaatccattcgcgctctgtttggcaccgatggtatccgtaatgcagcacatggtccggactcattcgcatcggcagctcgtgaaatggaactgtttttcccgagctctggcggttgcggtccggcaaacaccgccaaatttaccaattgtacgtgctgtattgtcaaaccgcacgcagtgtcagaaggcctgctgggtaaaattctgatggcaatccgtgatgctggctttgaaatctcggccatgcagatgttcaacatggaccgcgttaacgtcgaagaattctacgaagtttacaaaggcgtggttaccgaatatcacgatatggttacggaaatgtactccggtccgtgcgtcgcgatggaaattcagcaaaacaatgccaccaaaacgtttcgtgaattctgtggtccggcagatccggaaatcgcacgtcatctgcgtccgggtaccctgcgcgcaatttttggtaaaacgaaaatccagaacgctgtgcactgtaccgatctgccggaagacggtctgctggaagttcaatactttttcaaaattctggataattag(配列番号107)
(アミノ酸)
MNHSERFVFIAEWYDPNASLLRRYELLFYPGDGSVEMHDVKNHRTFLKRTKYDNLHLEDLFIGNKVNVFSRQLVLIDYGDQYTARQLGSRKEKTLALIKPDAISKAGEIIEIINKAGFTITKLKMMMLSRKEALDFHVDHQSRPFFNELIQFITTGPIIAMEILRDDAICEWKRLLGPANSGVARTDASESIRALFGTDGIRNAAHGPDSFASAAREMELFFPSSGGCGPANTAKFTNCTCCIVKPHAVSEGLLGKILMAIRDAGFEISAMQMFNMDRVNVEEFYEVYKGVVTEYHDMVTEMYSGPCVAMEIQQNNATKTFREFCGPADPEIARHLRPGTLRAIFGKTKIQNAVHCTDLPEDGLLEVQYFFKILDN-(配列番号108)
【0061】
ヒトNM23-H7-2
(DNA)
atgcatgatgtaaagaatcatcgcacctttttaaagcggaccaaatatgataacctgcacttggaagatttatttataggcaacaaagtgaatgtcttttctcgacaactggtattaattgactatggggatcaatatacagctcgccagctgggcagtaggaaagaaaaaacgctagccctaattaaaccagatgcaatatcaaaggctggagaaataattgaaataataaacaaagctggatttactataaccaaactcaaaatgatgatgctttcaaggaaagaagcattggattttcatgtagatcaccagtcaagaccctttttcaatgagctgatccagtttattacaactggtcctattattgccatggagattttaagagatgatgctatatgtgaatggaaaagactgctgggacctgcaaactctggagtggcacgcacagatgcttctgaaagcattagagccctctttggaacagatggcataagaaatgcagcgcatggccctgattcttttgcttctgcggccagagaaatggagttgttttttccttcaagtggaggttgtgggccggcaaacactgctaaatttactaattgtacctgttgcattgttaaaccccatgctgtcagtgaaggactgttgggaaagatcctgatggctatccgagatgcaggttttgaaatctcagctatgcagatgttcaatatggatcgggttaatgttgaggaattctatgaagtttataaaggagtagtgaccgaatatcatgacatggtgacagaaatgtattctggcccttgtgtagcaatggagattcaacagaataatgctacaaagacatttcgagaattttgtggacctgctgatcctgaaattgcccggcatttacgccctggaactctcagagcaatctttggtaaaactaagatccagaatgctgttcactgtactgatctgccagaggatggcctattagaggttcaatacttcttcaagatcttggataattga(配列番号109)
(アミノ酸)
MHDVKNHRTFLKRTKYDNLHLEDLFIGNKVNVFSRQLVLIDYGDQYTARQLGSRKEKTLALIKPDAISKAGEIIEIINKAGFTITKLKMMMLSRKEALDFHVDHQSRPFFNELIQFITTGPIIAMEILRDDAICEWKRLLGPANSGVARTDASESIRALFGTDGIRNAAHGPDSFASAAREMELFFPSSGGCGPANTAKFTNCTCCIVKPHAVSEGLLGKILMAIRDAGFEISAMQMFNMDRVNVEEFYEVYKGVVTEYHDMVTEMYSGPCVAMEIQQNNATKTFREFCGPADPEIARHLRPGTLRAIFGKTKIQNAVHCTDLPEDGLLEVQYFFKILDN-(配列番号110)
【0062】
マウスNM23-H7-1
(DNA)
atgagagcctgtcagcagggaagaagttccagtttggtttctccatatatggcacccaagaatcagagcgagagattcgctttcattgcagagtggtatgatccaaatgcttcattgctccgacgctatgagctgctgttttaccccacagacggatctgttgaaatgcatgatgtaaagaatcgtcgcaccttcttaaagcggaccaagtatgaggacctgcgcctggaagatctatttataggcaacaaagtcaatgtgttttctcgacagctggtgttgattgactatggggaccaatacacagcccgccagctgggcagcaggaaagagaaaactttagccctgatcaaaccagatgcagtgtcaaaggccggagaaatcattgagatgataaacaaaagtggatttactataaccaaactccgaatgatgactctgacaaggaaagaagcagcggactttcatgtagaccatcactcaagacctttttataacgaactgatccagtttatcacaagtgggcctgttattgccatggagatcttaagagatgacgcgatctgtgagtggaaaaggttgcttggacccgcaaactctgggctatcacggacagatgcccccggaagcatccgagccctctttgggacagatggcgtgagaaatgcagctcacggccctgatacttttgcatctgctgccagagaaatggaattgttttttccttcaagtggaggctgtgggccagcgaacactgctaaatttaccaattgcacctgttgcatcattaagcctcatgctatcagtgaaggaatgttgggaaagattttaatagctattcgggatgcatgctttggaatgtcagcgatacagatgttcaatttggatcgggctaatgttgaagaattctatgaagtctataaaggtgtagtgtctgagtataatgatatggtgacagagctgtgctccggcccttgcgtagcaatagagatccaacagagcaaccctacaaagacatttcgagaattctgcggacctgctgatcctgaaatcgcccggcatttacgacctgagaccctcagggcaatttttggtaaaactaaggttcaaaatgctgttcattgcacggatctgccggaggatgggctcctggaggtccagtatttcttcaagatcttggataattag(配列番号111)
(アミノ酸)
MRACQQGRSSSLVSPYMAPKNQSERFAFIAEWYDPNASLLRRYELLFYPTDGSVEMHDVKNRRTFLKRTKYEDLRLEDLFIGNKVNVFSRQLVLIDYGDQYTARQLGSRKEKTLALIKPDAVSKAGEIIEMINKSGFTITKLRMMTLTRKEAADFHVDHHSRPFYNELIQFITSGPVIAMEILRDDAICEWKRLLGPANSGLSRTDAPGSIRALFGTDGVRNAAHGPDTFASAAREMELFFPSSGGCGPANTAKFTNCTCCIIKPHAISEGMLGKILIAIRDACFGMSAIQMFNLDRANVEEFYEVYKGVVSEYNDMVTELCSGPCVAIEIQQSNPTKTFREFCGPADPEIARHLRPETLRAIFGKTKVQNAVHCTDLPEDGLLEVQYFFKILDN-(配列番号112)
【0063】
マウスNM23-H7-2
(DNA)
atgagagcctgtcagcagggaagaagttccagtttggtttctccatatatggcacccaagaatcagagcgagagattcgctttcattgcagagtggtatgatccaaatgcttcattgctccgacgctatgagctgctgttttaccccacagacggatctgttgaaatgcatgatgtaaagaatcgtcgcaccttcttaaagcggaccaagtatgaggacctgcgcctggaagatctatttataggcaacaaagtcaatgtgttttctcgacagctggtgttgattgactatggggaccaatacacagcccgccagctgggcagcaggaaagagaaaactttagccctgatcaaaccagatgcagtgtcaaaggccggagaaatcattgagatgataaacaaaagtggatttactataaccaaactccgaatgatgactctgacaaggaaagaagcagcggactttcatgtagaccatcactcaagacctttttataacgaactgatccagtttatcacaagtgggcctgttattgccatggagatcttaagagatgacgcgatctgtgagtggaaaaggttgcttggacccgcaaactctgggctatcacggacagatgcccccggaagcatccgagccctctttgggacagatggcgtgagaaatgcagctcacggccctgatacttttgcatctgctgccagagaaatggaattgttttttccttcaagtggaggctgtgggccagcgaacactgctaaatttaccaattgcacctgttgcatcattaagcctcatgctatcagtgaagatttatttattcattatatgtaa(配列番号113)
(アミノ酸)
MRACQQGRSSSLVSPYMAPKNQSERFAFIAEWYDPNASLLRRYELLFYPTDGSVEMHDVKNRRTFLKRTKYEDLRLEDLFIGNKVNVFSRQLVLIDYGDQYTARQLGSRKEKTLALIKPDAVSKAGEIIEMINKSGFTITKLRMMTLTRKEAADFHVDHHSRPFYNELIQFITSGPVIAMEILRDDAICEWKRLLGPANSGLSRTDAPGSIRALFGTDGVRNAAHGPDTFASAAREMELFFPSSGGCGPANTAKFTNCTCCIIKPHAISEDLFIHYM-(配列番号114)
【0064】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 S120G(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaaccctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaactcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号61)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYELEHHHHHH-(配列番号62)
【0065】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 S120G(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaaccctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaaaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号63)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYETGHHHHHH-(配列番号64)
【0066】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96S(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaaaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号65)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYETGHHHHHH-(配列番号66)
【0067】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96S(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaactcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号115)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYELEHHHHHH-(配列番号116)
【0068】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96S/S120G(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaaaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号67)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYETGHHHHHH-(配列番号68)
【0069】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96S/S120G(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaactcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号117)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYELEHHHHHH-(配列番号118)
【0070】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC1(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctataccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号69)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYTGHHHHHH-(配列番号70)
【0071】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC1(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号119)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYLEHHHHHH-(配列番号120)
【0072】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC2(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatcaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号71)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWITGHHHHHH-(配列番号72)
【0073】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC2(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatcctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号121)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWILEHHHHHH-(配列番号122)
【0074】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC6(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号73)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCATGHHHHHH-(配列番号74)
【0075】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC6(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcagtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号123)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGSDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCALEHHHHHH-(配列番号124)
【0076】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC1/S120G(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctataccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号75)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYTGHHHHHH-(配列番号76)
【0077】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC1/S120G(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号125)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYLEHHHHHH-(配列番号126)
【0078】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC2/S120G(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatcaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号77)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWITGHHHHHH-(配列番号78)
【0079】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC2/S120G(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatcctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号127)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWILEHHHHHH-(配列番号128)
【0080】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC6/S120G(NdeIとAgeIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctaccggtcaccaccaccaccaccactga(配列番号79)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCATGHHHHHH-(配列番号80)
【0081】
C末端のヒスチジン群でタグ付けしたNM23 P96SΔC6/S120G(NdeIとXhoIとの間にクローニングした)
(DNA)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaactctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号129)
(アミノ酸)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNSADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCALEHHHHHH-(配列番号130)
【0082】
リンカー配列:
GS2リンカー
5'-ggcggtggcggatccggcggtggcggatcc-3'(配列番号81)
GGGGSGGGGS(配列番号82)
【0083】
GS3リンカー
5'-ggcggtggcggatccggcggtggcggatccggcggtggcggatcc-3'(配列番号83)
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号84)
【0084】
IgG1h no Cリンカー(抗体のFc領域の修飾ヒンジ部分)
5'-gataaaacccatactaaaccgccaaaaccggcgccggaactgctgggtggtcctggtaccggt-3'(配列番号85)
DKTHTKPPKPAPELLGGPGTG(配列番号86)
【0085】
IgG2ah no Cリンカー(抗体のFc領域の修飾ヒンジ部分)
5'-actggtggtccgactattaaacctccgaaacctccgaaacctgctccgaacctgctgggtggtccg-3'(配列番号87)
TGGPTIKPPKPPKPAPNLLGGP(配列番号88)
【0086】
IgG1h/IgG2ah no Cリンカー(2つの異なるアイソタイプ抗体の2つのFc領域の混合ヒンジ部分)
5'gataaaacccatactaaaccgccaaaaccggcgccggaactgctgggtggtcctggtaccggtactggtggtccgactattaaacctccgaaacctccgaaacctgctccgaacctgctgggtggtccg-3'(配列番号89)
DKTHTKPPKPAPELLGGPGTGTGGPTIKPPKPPKPAPNLLGGP(配列番号90)
【0087】
配列の他の例は以下のとおりである:
(DNA)(ggtggttctggt)n(n=1~3)(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号131)
(対応するアミノ酸配列)(GGSG)n(n=1~3)(配列番号132)
【0088】
(DNA)gct(gaagctgctgctaaa)nGCT(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号133)
(対応するアミノ酸配列)A(EAAAK)nA(n=2~5)(配列番号134)
【0089】
(DNA)ggtgctggtggtgctggtggtgctggtgctggtggtgctggtgctggtgctggt(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号135)
(対応するアミノ酸配列)GAGGAGGAGAGGAGAGAG(配列番号136)
【0090】
(DNA)
ggtgctggtggtgctggtggtgctggtgctggtggtgctggtgctggtgctggtgaacttggtgctggtggtgctggtggtgctggtgctggtggtgctggtgctggtgctggt(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号137)
(対応するアミノ酸配列)
GAGGAGGAGAGGAGAGAGELGAGGAGGAGAGGAGAGAG(配列番号138)
【0091】
(DNA)ggtggtgctggtgctggtgctggt(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号139)
(対応するアミノ酸配列)GGAGAGAG(配列番号140)
【0092】
(DNA)ggttctggtggtggtggttctggtggtggtggttctggt(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号141)
(対応するアミノ酸配列)GSGGGGSGGGGSG(配列番号142)
【0093】
(DNA)cttgctgctgct(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号143)
(対応するアミノ酸配列)LAAA(配列番号144)
【0094】
(DNA)cttggtggtggtggttctggtggtggtggttctggtggtggtggttctgctgctgct(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号145)
(対応するアミノ酸配列)LGGGGSGGGGSGGGGSAAA(配列番号146)
【0095】
(DNA)
ctttctggtggtggtggttctggtggtggtggttctggtggtggtggttctggtggtggtggttctgctgctgct(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号147)
(対応するアミノ酸配列)LSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSAAA(配列番号148)
【0096】
(DNA)cttgct(gaagctgctgctaaa)ngctgctgct(n=1~5)(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号149)
(対応するアミノ酸配列)LA(EAAAK)nAAA(n=1~5)(配列番号150)
【0097】
(DNA)
ctttttaataaagaacaacaaaatgctttttatgaaattcttcatcttcctaatcttaatgaagaacaacgtaatggttttattcaatctcttaaagatgatccttctcaatctgctaat(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)(配列番号151)
(対応するアミノ酸配列)
LFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAAA(配列番号152)
【0098】
サンプルのキメラ配列:
NM23 S120G IgG1Fc(抗体のFc領域に結び付いたNM23-X)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaaccctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaactcgagggttgtaagccttgcatatgtacagtcccagaagtatcatctgtcttcatcttccccccaaagcccaaggatgtgctcaccattactctgactcctaaggtcacgtgtgttgtggtagacatcagcaaggatgatcccgaggtccagttcagctggtttgtagatgatgtggaggtgcacacagctcagacgcaaccccgggaggagcagttcaacagcactttccgctcagtcagtgaacttcccatcatgcaccaggactggctcaatggcaaggagttcaaatgcagggtcaacagtgcagctttccctgcccccatcgagaaaaccatctccaaaaccaaaggcagaccgaaggctccacaggtgtacaccattccacctcccaaggagcagatggccaaggataaagtcagtctgacctgcatgataacagacttcttccctgaagacattactgtggagtggcagtggaatgggcagccagcggagaactacaagaacactcagcccatcatggacacagatggctcttacttcgtctacagcaagctcaatgtgcagaagagcaactgggaggcaggaaatactttcacctgctctgtgttacatgagggcctgcacaaccaccatactgagaagagcctctcccactctcctggtaaactcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号91)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYELEGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGKLEHHHHHH-(配列番号92)
【0099】
NM23 S120G IgG1h(抗体のFc領域の修飾ヒンジ部分のみに結び付いたNM23-X)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaaccctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaaccggtgccacgtgattctggttgtaaaccgtgtatttgtgttggtctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号93)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYEPVPRDSGCKPCICVGLEHHHHHH-(配列番号94)
【0100】
NM23 S120G IgG2ah(抗体のFc領域の修飾ヒンジ部分のみに結び付いたNM23-X)
atggccaactgtgagcgtaccttcattgcgatcaaaccagatggggtccagcggggtcttgtgggagagattatcaagcgttttgagcagaaaggattccgccttgttggtctgaaattcatgcaagcttccgaagatcttctcaaggaacactacgttgacctgaaggaccgtccattctttgccggcctggtgaaatacatgcactcagggccggtagttgccatggtctgggaggggctgaatgtggtgaagacgggccgagtcatgctcggggagaccaaccctgcagactccaagcctgggaccatccgtggagacttctgcatacaagttggcaggaacattatacatggcggtgattctgtggagagtgcagagaaggagatcggcttgtggtttcaccctgaggaactggtagattacacgagctgtgctcagaactggatctatgaaccgcgtggtccgaccattaaaccgtgtccaccgtgtaaatgtccaggtctcgagcaccaccaccaccaccactga(配列番号95)
MANCERTFIAIKPDGVQRGLVGEIIKRFEQKGFRLVGLKFMQASEDLLKEHYVDLKDRPFFAGLVKYMHSGPVVAMVWEGLNVVKTGRVMLGETNPADSKPGTIRGDFCIQVGRNIIHGGDSVESAEKEIGLWFHPEELVDYTSCAQNWIYEPRGPTIKPCPPCKCPGLEHHHHHH-(配列番号96)
【0101】
本発明は、特異的な多量体(複数の場合もある)を選択的に形成するタンパク質を作製する方法であって、特異的な多量体が、タンパク質の単量体又は幾つかの他の多量体が有しない所望の生物学的機能を有する、方法を開示している。例えば、多くの成長因子が、二量体形態で存在する場合にのみ成長促進機能を示す。これらの成長因子はホモ二量体又はヘテロ二量体であり得る。これらの場合、本発明の方法を用いて、成長因子の二量体の量を増大させることで成長を増進させる。反対に、所望の生物学的機能が、例えばがんの成長を阻害することである場合、二量体の形成を抑えるように、成長因子を操作するか又は突然変異体を選択する。
【0102】
単量体又は他の多量体形態では与えられない所望の生物学的機能をもたらす、所望の多量体形態で存在する可能性が高いタンパク質又は天然タンパク質の変異体を生成する本発明の方法は、in vitro、ex vivo又はin vivoで用いることができる。in vitroでは、特異的な多量体化状態を支持する変異体を発現させ、任意で精製した後、細胞培養、特に造血幹細胞及び造血前駆細胞及び骨髄の他の未熟細胞を含む幹細胞及び前駆細胞の培養、又は他のin vitro用途に使用することができる。
【0103】
加えて、発現させ、任意で精製した多量体特異的な変異体は、クリーム、スアーヴ(suave)、絆創膏等によって局所投与するか、又は経口摂取、注射等によって全身治療として投与することで患者を治療するのに使用することができる。好ましい実施形態では、親タンパク質はNM23であり、多量体特異的な変異体は、二量体の形成を支持し、任意で四量体又は六量体の形成を阻害し、その一方で広範なタンパク質濃度にわたって存在する二量体の量を増大させる。場合によっては、タンパク質の細胞への侵入を増大させるリーダー配列を用いて多量体特異的な変異体を組換えによって合成することが望ましい場合もある。
【0104】
代替的には、相同組換え、安定な又は一過性のトランスフェクション又は形質導入、自己不活性化ベクター(自己不活性化レンチウイルスベクター及び自己不活性化レトロウイルスベクターを含む)を含むレンチウイルス又はレトロウイルスを使用すること等によるウイルス形質導入のような当業者に既知の多様な方法のいずれか1つを用いて、多量体特異的な変異体をコードする核酸を細胞に導入することができる。一実施形態では、細胞は幹細胞又はiPS細胞であり、これは患者又はドナーから誘導することができる。得られた細胞をin vitro増殖(expansion)の前又は後に患者に移植することができる。一実施形態では、核酸操作を行い、トランスフェクト又は形質導入している細胞での遺伝学的異常を修復することで、多量体特異的な変異体を発現させる。
【0105】
好ましい実施形態では、タンパク質はNM23であり、多量体特異的な変異体は二量体化を支持し、より高次の多量体の形成を阻害し、また親タンパク質と比較して広範な濃度にわたって発現タンパク質集団の二量体量を増大するという正味効果を有する。このようにして、成長因子であるNM23二量体は、患者に移植された後でも細胞の増殖を誘導する。一実施形態では、治療対象の遺伝学的障害は鎌状細胞貧血症であり、治療には、胎児型のヘモグロビン又は成体型に対する修復遺伝子を発現する細胞の成長を刺激することが含まれる。成長因子変異体を、例えば自己不活性化ウイルスベクターを用いて一時的に発現するように細胞に挿入することができる。代替的には、好ましい実施形態では二量体の形成を支持するNM23変異体である多量体特異的な変異体を、ゲノムに永続的に挿入することができる。さらに任意で、細胞をトランスフェクト又は形質導入することで、MUC1、又はMUC1キメラ若しくは細胞外ドメインがPSMGFR配列の本質的に大部分又は全てを含むように切断されているMUC1*を含むMUC1の断片を発現することができる。
【0106】
細胞が多量体特異的な変異体をコードする核酸でトランスフェクトされている場合を含む幾つかの場合では、細胞に発現タンパク質を分泌させるリーダー配列を含むように、5’末端で変異体の核酸を修飾することが望ましい。このような配列は、当業者に既知であり、抗体から誘導される配列を一般的に含む。実施例13を参照されたい。
【0107】
以下の配列は細胞から発現タンパク質を分泌させる例示的なリーダー配列である。これらの配列のいずれか又は当業者に既知の他の配列を、発現タンパク質が細胞から分泌されるように、変異体の核酸配列に付加することができる。任意で、この配列を核酸配列のN末端すなわち5’に付加する。このようにして、NM23突然変異体、欠失体(deletions)、一本鎖変異体及び融合タンパク質キメラをin vitro及びex vivo並びにin vivoで容易に使用することができる。
【0108】
大腸菌ペリプラズムでのタンパク質発現に関する配列
pelB(エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)のペクチン酸リアーゼB)リーダー配列
(DNA)
aaatatcttcttcctactgctgctgctggtcttcttcttcttgctgctcaacctgctatggct(配列番号153)(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)
(アミノ酸)
KYLLPTAAAGLLLLAAQPAMA(配列番号154)
【0109】
哺乳動物細胞でのタンパク質分泌に関する配列
ヒト血清アルブミンシグナルペプチド
(DNA)
atgaaatgggttacttttatttctcttctttttcttttttcttctgcttattct(配列番号155)(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)
(アミノ酸)
MKWVTFISLLFLFSSAYS(配列番号156)
【0110】
ヒトκ軽鎖シグナルペプチド
(DNA)
atggattttcaagttcaaattttttcttttcttcttatttctgcttctgttattatgtctcgtggt(配列番号157)(各アミノ酸に用いられるコドンに応じて、他のDNA配列が可能である)
(アミノ酸)
MDFQVQIFSFLLISASVIMSRG(配列番号158)
【0111】
成長因子変異体、例えば二量体化を支持するNM23変異体を発現するようにトランスフェクト又は形質導入された細胞は、体細胞、造血幹細胞を含む幹細胞、及び前駆細胞、又はiPS細胞であり得る。一実施形態では、線維芽細胞又は皮膚芽細胞(正:dermoblasts)等の体細胞に、二量体の形成を支持するNM23変異体をコードする核酸を形質導入する。それとともにNM23変異体の核酸に、宿主細胞をより未熟な状態へと戻す1つ又は複数の遺伝子を形質導入することができる。これらの他の遺伝子には、Oct4、Sox2、Nanog、Klf4、Lin28及びc-Mycが含まれ得るが、それらに限定されるものではない。細胞をトランスフェクト又は形質導入することで、限られた時間、この細胞型の拡大が誘導されるように一時的に、又は安定なトランスフェクション若しくは相同組換え等の方法を用いて永続的にNM23変異体を発現することができる。
【0112】
本発明の方法を用いて、遺伝学的突然変異又は修復を保有し得る、構造的に活性な又は天然の成長因子よりも特異的な細胞の集団の増殖を刺激する活性が高い成長因子を提供することができる。一実施形態では、成長因子の特異的な多量体状態の割合を増大させる1つの組換え変異(variant)を、修復遺伝子又は発現遺伝子の配列を保有する同じ核酸、プラスミド、又は発現ベクター上に保有する。別の実施形態では、遺伝子が下方調節されるのが望ましい場合、成長を刺激しない多量体を使用することができる。本発明には、患者、患者への移植用の細胞、胚盤胞及び胚、並びに体外受精に使用することができる受精卵又は未受精卵におけるこれらの方法の使用も含まれる。
【0113】
好ましい実施形態では、成長因子は、二量体形態が成長を活性化し、四量体及び六量体等のより高次の多量体が、成長を刺激し、多能性を誘導又は維持するNM23媒介経路を停止させるNM23である。例えば、NM23二量体は、幹細胞及び前駆細胞の成長及び多能性を促進するとともに、がん細胞の成長も促進する。NM23の六量体形態又は四量体形態は幹細胞又はがん細胞の成長を促進しない。したがって、二量体の形成を支持する変異体をもたらす本発明の方法を用いることで、幹細胞、前駆細胞及び/又はがん細胞の成長が促進される。幹細胞及び前駆細胞の場合、より高次のNM23多量体を用いることで、分化を誘導することができる。
【0114】
反対に、四量体、六量体又はより高次の多量体の形成を支持する変異体をもたらす本発明の方法を用いることで、がん細胞の成長が阻害される。代替的に、NM23変異体を更に修飾して、がん細胞の破壊を目的とする毒素を保有させることができる。NM23は多くの異なるがん細胞の表面に存在するMUC1*のリガンドである。がん細胞を特異的に標的化することで、薬物又は毒素を送達し、標的化した細胞を破壊するのに、NM23を使用することができる。一例としては、サポリンと呼ばれるリボソーム不活性化タンパク質の使用がある。サポリン自体は細胞へと進入することはできないが、細胞表面に結合する別のタンパク質と共役することで、細胞に対する毒性のあるサポリン/タンパク質複合体を内部移行させることができる。
【0115】
NM23がMUC1*成長因子受容体を活性化させることから、MUC1又は主に細胞外ドメインにPSMGFRペプチドの配列が含まれるMUC1*を含む、MUC1の切断型を、NM23変異体とともにin vitro又はin vivoで任意に発現させることができる。MUC1又はMUC1切断体(truncations)若しくはMUC1変異体は、NM23及び任意で発現されることが望ましい遺伝子と同じ発現プラスミドから同じように発現することができる。
【0116】
別の実施形態では、成長因子受容体自体を操作して、成長を促進又は阻害するような特異的な多量体化状態にする。好ましい実施形態では、成長因子受容体はMUC1*であり、好ましい多量体は二量体である。
【0117】
特異的な多量体化状態を支持するタンパク質を生成する方法の1つは、この特異的な多量体化状態の形成を支持するタンパク質の突然変異体を同定することである。例えば、表1に、二量体の形成を促すNM23突然変異体(mutations)の一部を挙げる。
【0118】
表1.二量体の形成を支持する例示的なNM23突然変異体
【表1】
【0119】
1つ又は複数の単量体が既に結び付いているような組換えタンパク質の構築物が生成される。例えば2つ以上の単量体が直接又は例えば長さ若しくは配列が異なり得るリンカーを介して間接的に結び付いている一本鎖タンパク質によって所望の生物学的活性が得られる。リンカーは長さ及び配列が異なっていてもよい。好ましい実施形態では、リンカーは5個~100個のアミノ酸である。より好ましい実施形態では、リンカーは10個~75個のアミノ酸である。更により好ましい実施形態では、リンカーは10個のアミノ酸又は43個のアミノ酸のいずれかである。同様に、リンカーの配列は、(GGGGS)nタイプの可塑性リンカーから、可塑性又は溶解性を増大することが意図される幾つかの突然変異が挿入されている天然配列の修飾配列(modifications)を含む、天然タンパク質において可塑性であることが知られている又は可塑性である可能性がある任意の配列と様々なものであってもよい。表2に一部の好ましいリンカー配列を挙げる。
【0120】
表2.例示的なリンカー
【表2】
【0121】
表3に、2つの単量体がリンカーを介して組換えによって結び付いている一部の好ましい一本鎖構築物を挙げる。
【0122】
表3.二量体の形成を支持するNM23変異体の例
【表3-1】

【表3-2】
【0123】
場合によっては、リンカー配列自体がホモ二量体又はヘテロ二量体を形成する傾向がある。例えば、抗体のFc領域の一部分が別のFc領域を二量体化する。親タンパク質の一部分+自然状態で二量体化するタンパク質の一部分からなるキメラタンパク質は二量体の形成を支持する変異体である。代替的に、IgMタンパク質由来のFc配列を使用するキメラは、特徴的な五量体等のより高次の多量体の形成を支持する。NM23突然変異型単量体に融合した抗体の修飾ヒンジ領域が二量体を選択的に形成し、本明細書で詳細に説明されている。
【0124】
別のアプローチでは、タンパク質二量体は、二量体化ドメインを有するタンパク質又はタンパク質断片に融合している融合キメラである対象のタンパク質を遺伝学的に作製することによって実現される。多量体のリガンドを、各単量体が多量体化するタンパク質の一部分と結び付いている組換えキメラを作製することによって生成することができる。例えば、タンパク質FosとJunとが相互作用し、それによりこれらのタンパク質が、同じでも又は異なっていてもよい複数のリガンドに組換えによって結び付くことで、得られたキメラの二量体化をもたらすことができる。表3には、好ましい構築物(その一部がキメラである)を挙げている。
【0125】
システインを対象のタンパク質に挿入することができ、そのようにして二量体の形成がジスルフィド結合の形成を介して促される。本発明は、システインを、リンカー(天然アミノ酸、又は非天然ポリマー若しくは小分子で構成されるかに関係なく)に挿入することで、二量体化を促すことも含む。表4には、二量体化がシステインの導入によって増進される好ましい変異体の一覧が含まれる。
【0126】
表4.抗体のヒンジ領域間でのジスルフィド結合の形成を介した二量体の形成の例
【表4】
【0127】
リガンド多量体を作製する更に別の方法は、2つ以上の単量体リガンドの化学共役によるものである。例えば、二官能性リンカーを使用して、2つのタンパク質リガンドを化学共役することで、ホモ二量体又はヘテロ二量体を作製することができる。リンカーは、化学架橋リンカー、又は2つの単量体の共有共役によって二量体化を促すことで、ホモ二量体又はヘテロ二量体を形成する類似のものであってもよい。
【0128】
これは、タンパク質が二量体状態である場合、該タンパク質を化学共役すること、例えば標的タンパク質を規定の配置で、例えばSAM上に固定すること、及びタンパク質を二量体化状態に類する配置に閉じ込めながら、該タンパク質を直接又はリンカーを介して間接的に化学共役することによって達成することができる。代替的には、二量体を単離した後で、カップリング剤を添加することで、2つのタンパク質を直接又はリンカーを介して共役させる。
【0129】
多量体リガンドを作製する別の方法は、標的受容体に結合させた後、小分子の多量体を合成する小分子を同定することである。
【0130】
好ましい実施形態では、自然状態での生物学的相互作用、例えば成長因子の活性を増進させるのに好ましい多量体化状態は二量体である。より好ましい実施形態では、二量体となる又は二量体の形成を支持するリガンドはNM23である。NM23アイソフォームH1、H2及びH7(NME7)が好ましく、H1が特に好ましい。更により好ましい実施形態では、NM23はヒト由来のものである。さらに、成長因子の活性を増大させる方法とともに使用するのには、二量体化を増進させるとともに、最適にはより高次の多量体の形成を抑える突然変異体が好ましい。例えば、NM23-S120G突然変異体及びNM23-P96S突然変異体は、二量体の形成を支持するとともに、MUC1*成長因子受容体を活性化せず、多能性及びがんに関わる遺伝子の発現を誘導する核酸に結合しない四量体及び六量体の形成を抑えることが報告されている。しかしながら、NM23-S120G突然変異体に関して、タンパク質が変性及びリフォールディングすることで、大きな二量体集団が得られることを本発明者らは発見した。同様に、二量体として存在するP96S突然変異体の割合は変性及びリフォールディングによって増大した。C末端欠失によって、より高次の多量体の形成に関与する領域が破壊され、これにより二量体形態のタンパク質の割合が増大する。そのため、野生型NM23又は突然変異体のC末端欠失は、二量体集団の割合及び安定性の増大に好ましい。既に二量体の形成を支持するものであるS120G及び/又はP96S等の突然変異体のC末端欠失が特に好ましい。NM23のC末端から1個~6個のアミノ酸の欠失が特に好ましい。
【0131】
S120G突然変異及びP96S突然変異は、ヒトがん及びミバエの発育異常においてそれぞれ同定された自然発生的な突然変異であるが、本発明は、突然変異を意図的に導入すること、及び二量体を形成する傾向を増大若しくは低減させる突然変異を同定することも含む。例えば、二量体形態である場合に活性となる成長因子の活性を増進するのに、二量体の形成を支持する突然変異を同定するのが好ましい。成長因子の活性を阻害するのには、二量体の形成を抑えるか、又は四量体若しくは六量体の形成を支持する突然変異が好ましい。部位特異的突然変異誘発又はランダム突然変異誘発のいずれかを使用することができ、そこでは二量体の形成を支持する突然変異が、結晶構造等の構造解析、幹細胞において多能性を支持、誘導又は維持する能力、PSMGFRペプチド配列を本質的に含むMUC1*ペプチドに結合する能力を含むが、これらに限定されるものではない多様な方法によって同定される。加えて、二量体の形成を支持するNM23変異体を、例えばファージ提示及び標準的なランダム突然変異誘発を用いることによって同定することができ、そこでは所望の突然変異体が、幹細胞又はMUC1*ペプチドに結合する能力によって同定される。
【0132】
同様に、本発明のNM23変異体及び類似の多量体特異的な変異体を、細胞膜を透過する変異体の能力を増大させる配列で更に修飾することができる。
【0133】
明らかなように、二量体の形成を支持するように遺伝子操作しているリガンド単量体は、野生型タンパク質、又は二量体の形成を支持するか若しくはより高次の多量体の形成を抑える突然変異体若しくは切断体であってもよい。NM23のケースは例示的なものであることが意図され、本発明は、二量体形態である場合に効果を発揮する他の作用物質の活性の増大へのこれらの方法、リンカー、リンカー配列の使用、及び/又は他のタンパク質若しくは分子の一部分の使用も含む。
【0134】
多量体化状態が重要である別のタイプのタンパク質は転写因子である。転写因子が、二量体状態である場合にのみ特異的な核酸配列に結合することはよく知られている。しかしながら、腫瘍抑制因子p53等の一部の転写因子は四量体としてDNAに結合する。更に他の転写因子は、八量体として存在する場合にのみ特異的な転写機能を発揮する。本発明の方法を用いて、例えば二量体化を支持する転写因子変異体を作製することによって所望の活性を増大するこれらの転写因子の変異体を作製することができる。
【0135】
受容体、特に成長因子受容体に結合し、それらを活性化するリガンドは多くの場合、成長因子受容体に結合し、及び/又はその機能を活性化するのに二量体状態であることが必要とされることから、成長を阻害するアプローチは、上述の方法の1つを用いて、3つ以上のリガンドが互いに結び付いているか、又はより高次の多量体を形成するように働きかけるリガンドの多量体を作製することである。核酸の結合を阻害するのに、より高次の多量体の形成を支持する変異体を生成することができる。
【0136】
好ましい実施形態では、より高次の多量体を形成するように設計されたリガンドを野生型タンパク質と相互作用させ、天然タンパク質の二量体を形成する能力を阻害することができる。例えば、NM23はMUC1*成長因子受容体に結合し、成長、生存及び多能性を誘起する二量体化を誘導する。NM23はその配列及び濃度に応じて、単量体、二量体、四量体又は六量体として存在することができる。組換えNM23を、二量体の集団を単離することができるようにリフォールディング又は精製することができる。二量体の形成を支持するとともに、四量体及び六量体の形成を抑えるNM23の突然変異体がヒトがんから単離されている。そのため、がん性成長の阻害のアプローチは、より高次の多量体の形成を支持し、成長及び多能性を誘導しないNM23突然変異体を同定することである。野生型NM23を多量体へと戻し、そうすることでがん関連の二量体が形成されなくなる突然変異体が特に好ましい。
【0137】
MUC1*成長因子受容体がその細胞外ドメインのリガンド誘導性の二量体化によって活性化されることが知られている。MUC1*の細胞外ドメインに対して産生される二価抗体(PSMGFR配列:
GTINVHDVETQFNQYKTEAASRYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号1)又はGTINVHDVETQFNQYKTEAASPYNLTISDVSVSDVPFPFSAQSGA(配列番号2)は、用量依存的にMUC1*受容体を二量体化し、成長を刺激する。用量応答曲線は典型的な釣鐘曲線であり、これは二量体化によって活性化されるクラスI成長因子受容体の特徴である。釣鐘曲線は、MUC1*の二量体化が増大するにつれて成長が増大するが、NM23二量体又は二価抗体が過剰に存在する場合、各受容体が2つの成長因子ではなく1つの成長因子と結合することでもたらされる。これによって実際に、成長因子受容体の二量体化が妨げられ、それにより成長の低減が起こる。これらの所見に一致して、抗MUC1*ecd抗体の一価Fabの添加によって、受容体の二量体化が妨げられ、結果として成長が阻害される。図1を参照されたい。同様に、二量体形態のNM23はMUC1*陽性細胞の成長を刺激する。
【0138】
NM23突然変異体S120Gを、事前にヒト神経芽細胞腫から単離した。突然変異型NM23は二量体の形成を支持するとともに、野生型NM23が形成することが知られているより高次の多量体、特に四量体及び六量体の形成を抑えるという報告がある。二量体化を支持するという報告がある他のNM23突然変異体は、P96S突然変異体及びC末端の1個~6個のアミノ酸欠失体であった。
【0139】
しかしながら、NM23-WT(野生型)、S120G突然変異体又はP96S突然変異体を組換えタンパク質として作製した場合、その多量体化状態は、配列、どのように発現するか、どのように回収及び精製するか、並びに濃度に応じて決まる。例えばS120G突然変異体の発現は、二量体の形成を支持するという報告があるにもかかわらず、多くの発現/精製方法では、四量体及び六量体のみからなる集団がもたらされた。他のタンパク質発現方法では、六量体と、四量体と、小さい二量体集団とで構成されたNM23集団が生じた。大きな二量体集団をもたらすNM23突然変異体を発現及び精製する方法の1つは、発現タンパク質を変性させた後、リフォールディングすることを伴うものであった。任意の工程では、二量体集団を本明細書の実施例4に記載のサイズ排除クロマトグラフィー(FPLC)によって更に精製した。
【0140】
NM23-WT又は突然変異体S120Gの3つの異なる調製物の特性化をFPLCによって行った(図2)。FPLCから、野生型であるNM23-WTは、ほとんど六量体のみで構成され、これは発現タンパク質の可溶性画分を使用した突然変異体の調製物の1つである「NM23-S120G-六量体」S120Gと同様であったことが示唆される。同様に可溶性画分を使用したS120G突然変異体の別の調製物である「NM23-S120G-ミックス」は、FPLCによって約60%の二量体を含む多量体の混合物で構成されることが示唆される。実施例3bに記載の方法に従って発現タンパク質を変性させた後、リフォールディングして、突然変異体S120Gの別の調製物を得た。FPLCから、この調製物「NM23-S120G-二量体」は二量体及び単量体のみで構成され、二量体の割合が集団の80%であったことが示唆された。図3aは、非還元ゲル上で、NM23二量体が約40kDaの見掛け分子量で泳動し、単量体及び六量体が両方とも約20kDaの見掛け分子量で泳動することを示しており、これにより二量体がジスルフィド結合によって安定化する一方で、六量体はジスルフィド結合によっては安定化しないことが示唆される。
【0141】
表面プラズモン共鳴(SPR)実験を行い、MUC1*ペプチドに対する様々なNM23多量体(単量体、二量体及び六量体)の結合親和性に差があるかを求めた。SPRの測定結果はビアコア3000機器で入手し、ここではヒスチジンでタグ付けしたMUC1*ペプチド(PSMGFR)を、トリエチレングリコール終端チオールのバックグラウンドにおいて3.8% NTA-Niをコーティングした自己集合単分子層をコーティングしたSPRチップ上で飽和するまで固定した。実施例5、図3b及び図5を参照されたい。図3bに、表面プラズモン共鳴(SPR)の測定結果のオーバーレイを示し、これによりSPRチップ表面に付着したMUC1*細胞外ドメインペプチド(PSMGFR)に結合する4つの異なるNM23調製物の能力に大きな差があることが示唆される。結果から、NM23のその同族受容体、MUC1*への結合量は二量体がサンプルにどれくらい存在するかに依存することが示唆される。SPRによって、チップ-溶液界面でのタンパク質の質量が測定され、六量体がMUC1*ペプチド表面に結合した場合、二量体が結合した場合よりも3倍大きいSPRシグナルが生じる。このことは、NM23-WT又はNM23-S120G-六量体のMUC1*ペプチドへの結合量がNM23-S120G-二量体の結合量の約12分の1であったことを意味する。対照実験では、無関係のペプチドを同じチップ上に固定し、最少のバックグラウンド結合量を得て、これを示される測定値から差し引いた。しかしながら、約100RUというNM23-WT及びNM23-S120G-六量体(両方ともほとんど六量体のみからなる)で生じた結合量はほとんどの場合、システムのノイズ範囲内であると考えられる。
【0142】
様々なNM23多量体のその同族受容体への結合能を更に試験するために、本発明者らはナノ粒子実験を行った。実施例6及び図3cを参照されたい。この実験では、金ナノ粒子に、NTA-Ni-チオールが組み込まれた自己集合単分子層(SAM)をコーティングする。NTA-Ni部はヒスチジンでタグ付けしたタンパク質を捕集する。ナノ粒子上に固定されたタンパク質が互いを認識し、付着したナノ粒子同士が近付く場合、ナノ金の固有の特性によって、溶液が特徴的なピンク色から青色へと変色する。同じことが、溶液中に添加される二量体タンパク質が、粒子に固定されたタンパク質に結合する場合にも起こる。NM23-S120G-二量体、NM23-WT、又はNM23-S120G-六量体を、MUC1*ecdペプチド(PSMGFR)を保有するナノ粒子に別々に添加した。図3cの写真から、二量体形態のNM23のみがその同族受容体MUC1*ペプチドに結合し、溶液をピンク色から青色/灰色へと変色させることが示唆される。実質的に全てが六量体として発現される野生型NM23又はNM23-S120G突然変異体のいずれもが、MUC1*ペプチドには全く結合せず、溶液をピンク色に保持し、NM23タンパク質を添加しなかった対照「タンパク質なし」と識別不可能であった。観察された相互作用の特異性を確認するために、PSMGFRペプチドに対して産生された抗MUC1*抗体のFabを添加し、リガンドのペプチドへの結合を競合的に阻害した。図面から分かるように、FabはNM23二量体とMUC1*ペプチドとの相互作用を阻害し、これにより相互作用が特異的な結合であることが示唆された。
【0143】
NM23-WT、S120G-六量体及びS120G-二量体の3つ全てのバッチを未分化幹細胞の成長促進能に関して試験した。ヒト胚性幹細胞を、8nMのNM23調製物の1つを含有する最少幹細胞培地中で培養した。ウェルの1つに、遊離MUC1*ecdペプチド(PSMGFR)を添加し、NM23-S120G-二量体の全ての多能性幹細胞上に存在するMUC1*受容体への結合を競合的に阻害した。結果を図3(d~g)の写真に示す。分化幹細胞は、多能性幹細胞とは異なる形態を有し、細胞の肥厚化した暗色の領域として現れる一方で、多能性幹細胞は細胞の明色の単一層において成長する。図面から分かるように、NM23-S120Gの二量体調製物(d)のみが幹細胞の未分化成長を支持することが可能であった。野生型NM23(f)では、幹細胞は3日後に分化を開始し、NM23-S120G-六量体では更に多くの分化がもたらされた(e)。しかしながら、NM23二量体とMUC1*受容体との間の相互作用を競合的に阻害した結果として、最大量の分化が起こった(g)。
【0144】
この実験の別のパートでは、幹細胞の多能性からの脱却をシグナル伝達するマイクロRNAであるmiR-145のレベルを測定した。この実験から、NM23二量体とMUC1*との間の相互作用の破壊によってmiR-145の急増が引き起こされることが示唆され、このことはさらに、NM23二量体とMUC1*との間の相互作用の破壊が分化を誘発し、反対に相互作用が多能性を促進するという所見を裏付けるものであった。多能性幹細胞の成長を支持する能力を求めるのにこれらの実験で使用されるタンパク質は、非変性ネイティブゲルを用いたゲル電気泳動によって実験の時点で特性化された。図4のネイティブゲルから、NM23-WTが本質的にほとんど全て六量体で構成され、NM23-S120G-六量体の調製物が僅かな割合の二量体を有するが、ほとんど六量体で構成されることが示唆される。NM23-S120G-二量体の調製物は、ほとんど二量体で構成されるが、僅かな割合の四量体を有する。FPLCによって60%が二量体で構成されることが示された「NM23-S120G-ミックス」調製物(図2を参照されたい)を、ほとんど六量体で構成されるNM23-WT(図2)とともに試験し、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてMUC1*ecdペプチド(PSMGFR)への結合能を決定した。この実験では、5つの異なる濃度の各タンパク質を、PSMGFRペプチドをコーティングしたチップ上に別々に流した。図5に示されるSPRトレースのオーバーレイから、「NM23-S120G-ミックス」タンパク質が、NM23-WTよりおよそ8倍多くMUC1*細胞外ドメインペプチド表面に結合したことが示唆される。野生型タンパク質が六量体であることから、RUの数値は、二量体の結合量と比較するために3で除算しなければならない。野生型及びS120G-二量体の両方が濃度依存的な結合を示すが、野生型六量体の結合量はこのシステムのノイズ範囲内であると考えられる程に小さい。
【0145】
そのため、二量体の形成を支持する、NM23突然変異体、欠失突然変異体及び操作変異体は、例えば体細胞における成長、多能性の維持及び誘導、並びに本明細書に開示される多くの用途にとって理想的なものである。さらに、これらの変異体をコードする核酸を、細胞ヘとトランスフェクトし、これらの細胞の成長を促進することができる。天然タンパク質と比較して特異的な二量体化状態を支持する例示的なタンパク質の変異体を、作製し、特性化して、特異的な多量体として機能する能力に関して試験した。作製し試験した、野生型タンパク質と比較して安定した二量体集団が増大しているNM23変異体を表1、表3及び表4に挙げる。さらに図27にも、このような構築物の例を与える。これらの構築、発現及び精製の概要は実施例2、実施例3及び実施例9に記載する。全てで、野生型タンパク質と比較した上での安定な二量体集団の増大がもたらされた。一部の変異体を任意でリフォールディングし、in vitro用途のために二量体集団を増大させた。しかしながら、変異体はリフォールディングする必要はなく、発現の時点で多能性幹細胞の成長の支持及び分化の阻害等といった二量体関連の機能を果たすことが可能であった。図11図13図15図19及び図24によって、変異体が所望の機能を発揮することが実証される典型的な幹細胞成長実験の結果に基づき、リフォールディングすることなく、NM23変異体が二量体を模倣し、NM23-S120Gリフォールディング二量体以上に良好に機能することが示唆される。
【0146】
表1、表3及び表4に、二量体の形成を支持するNM23突然変異体と、2つの野生型NM23又は突然変異体の単量体がリンカーを介して結び付き、二量体を形成している操作構築物と、二量体を選択的に形成するNM23融合タンパク質とを挙げる。表3には、生成し、発現し、特性化し、天然NM23二量体の作用を模倣する能力に関して試験した、とりわけ80%以上が二量体形態であったNM23-S120G-二量体の作用を模倣する能力に関して試験したNM23変異体を挙げ、説明している。構築物を生成し、タンパク質を発現し、場合によってはリフォールディングするのに用いた方法を実施例2、実施例3、実施例9及び実施例10に記載する。生じた変異体の機能を試験するのに用いた方法を実施例5~実施例7及び実施例11、実施例12に記載する。
【0147】
図6に、表3に記載した多くのNM23変異体に関する非還元ゲル(a)及び還元ゲル(b)の写真を示す。還元ゲルから、これらの一本鎖構築物がNM23二量体の分子量におおよそ等しい見掛け分子量で泳動することが示唆される。非還元ゲルから、非常に高い濃度では幾らかのより高次の多量体が存在するが、細胞内等のような還元条件によって、又はDTTの添加によって排除されることが示唆される。
【0148】
図7に、二量体である更に2つの一本鎖NM23変異体の精製のPAGE分析を示す。図8及び図9に、表4に記載されている、一本鎖構築物ではないが、二量体を選択的に形成する変異体であるNM23-S120G-IgG1 Fcの発現及び精製を確認するゲルを示す。図10aに、NM23-S120G-IgG1 Fc変異体のFPLCによる特性化を示し、図10bの非還元ゲルにおいて強調表示された、タンパク質リフォールディング及び/又は二量体画分のFPLCによる精製によって増大することができる二量体の亜集団が形成されることが示唆される。
【0149】
ヒト多能性幹細胞をNM23変異体で培養し、未分化幹細胞の成長を促進し、細胞の自発分化を阻害する能力を求めた。ヒトBGO1v/hOG及びH9胚性幹細胞の両方を最少幹細胞培地+8nMの標準的なNM23-S120G-RS又はNM23変異体で培養した。全ての場合で、試験したNM23変異体は、多能性幹細胞の成長を完全に支持した。細胞形態は、未分化の幹細胞特有のものであり、分化を示す肥厚化領域又は暗色領域を欠いていた。図11図13図15図19を参照されたい。
【0150】
NM23変異体が天然二量体又はS120G二量体と同じくらい良好に機能したことを証明するものとして幹細胞形態を評価することに加えて、NM23変異体を含有する培地中で培養した幹細胞の成長速度を、単離画分が本質的に100%の二量体となるように、リフォールディングした後、FPLCによって精製しているNM23-S120G「RS」で培養した同一の細胞の成長速度と比較した。実施例11cを参照されたい。これらの実験では、全て同じ供給源(ヒトES-BGO1v/hOG)から採取した200000個の幹細胞をNM23-S120G RS又は図20及び図21に示したNM23変異体の1つのいずれかで培養した。プレーティングの4日後、細胞をトリプシン処理によって採取し、細胞を血球計で計数した。グラフから分かるように、それぞれの場合で変異体によって、NM23-S120G(「RS」)の単離された二量体集団よりも多くの細胞が生じた。
【0151】
NM23二量体を支持する変異体の機能を評価する別の方法として、定量的PCRを行い、NM23変異体で培養した幹細胞における多能性遺伝子の発現レベルを測定した。実施例11dを参照されたい。図22では、少なくとも4代にわたってNM23変異体で培養した幹細胞における多能性遺伝子Oct4及びNanog及びMUC1及びNM23の発現レベルを比較している。図22のグラフから、NM23変異体で成長させた細胞に関しては、これらの多能性の鍵となる指標遺伝子の発現レベルは純粋な二量体集団であるNM23-S120G-RSで培養された細胞以上であることが示唆される。
【0152】
NM23二量体を支持する操作変異体の機能の更なる評価基準として、該変異体の細胞表面から細胞核への移動を追跡し、NM23-S120G-RSと比較した。実施例11e及び図23、24を参照されたい。NM23二量体はMUC1*陽性がん細胞及び全てMUC1*陽性であるヒト多能性幹細胞の成長を媒介することが知られている。MUC1*陽性がん細胞を、二量体形態のNM23を含有する培地中でインキュベートすると、NM23二量体はMUC1*受容体に結合し、内部移行し、30分~60分以内に核へと移行して、そこで転写因子として機能すると考えられる。図23に、0nM、16nM又は128nMのNM23-S120G-RS(100%二量体集団)のいずれかの存在下又は非存在下でインキュベートしたがん細胞の共焦点画像を示す。次いで細胞を核染色DAPIで染色した後、抗NM23抗体を細胞及び蛍光標識した二次抗体に添加した。さらに、内因性NM23も抗体によって染色することに留意されたい。しかしながら、二量体として外から添加した場合、核には検出可能なNM23しか存在しない。細胞の成長の増進及びNM23-S120Gの核局在化に最適な濃度が8nM~64nMであることは事前に求めていた。より高い濃度では、1つの二量体が2つのMUC1*受容体に結合し、それらを二量体化するのではなく、各NM23二量体が1つ1つのMUC1*受容体に結合する(図1の釣鐘曲線を参照されたい。ここでは同じ理由から、過剰な二価抗MUC1*抗体によって、成長が刺激されずに阻害される)。図23(b、e)に、白色の矢印で示される核内のNM23を示す。
【0153】
図24に、外から添加されたNM23が、システインを含まない、修飾IgG1ヒンジ領域及び修飾IgG2aヒンジ領域によって連結された2つのNM23-S120G単量体である一本鎖「二量体」変異体NM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noCであることを除いて図23と同じ実験の共焦点画像を示す。実施例9eを参照されたい。図24から分かるように、NM23一本鎖変異体は、白色の矢印で示される核(b、e)へと容易に移行する。NM23-S120G RS(図23h)及び一本鎖変異体、NM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noC(図24h)に対応する核内のNM23の量を定量化するグラフから、操作「二量体」が、二量体集団として単離されているNM23単量体よりも良好に核へと移行することが示唆される。
【0154】
これらの実験から、リンカーを用いて2つの単量体を結び付けること又は強力な二量体化ドメイン部分を用いて対象のタンパク質を融合することによって、広範な濃度にわたって二量体として機能するより安定な「二量体」が得られ、天然NM23の多量体化状態は濃度に強く依存し、極めて低いナノモル濃度でのみ二量体として存在することが示唆される。二量体化を支持する突然変異型NM23タンパク質には、成長因子機能及び多能性の促進に関して野生型タンパク質を上回る改善が見られるが、配列、発現及び精製の方法に応じて、生じる二量体の量及び二量体の安定性が大きく異なる。表3及び表4に挙げられるような一本鎖構築物又は融合タンパク質であるNM23変異体には、形成される二量体の割合を増大するとともに、二量体の安定性を増大し、重要なことに「二量体の形成を支持する」突然変異体の二量体を形成するのに必要とされる発現方法及びリフォールディング方法を行うことができない細胞又は生物において擬似二量体として発現することができることから、現行の技術水準を上回る改善が見られる。
【0155】
実施例2、実施例9及び実施例10に記載のものを含む本発明の突然変異体、欠失体及び/又は一本鎖キメラ若しくは融合キメラのいずれかを作製し、発現細胞によって分泌させ、in vitro、ex vivo及び/又はin vivoで使用することができる。発現タンパク質を分泌させる配列は当業者にとって既知である。特に、抗体から誘導される配列をタンパク質のN末端すなわち対象の遺伝子の5’末端に付加する。リーダー配列を包含することに加えて、発現細胞のタイプは大腸菌に限定されるものではなく、哺乳動物細胞、哺乳動物発現細胞、酵母、体細胞、幹細胞、iPS細胞、又は多能性の誘導若しくは開始細胞よりも成熟していない状態への誘導を受けた細胞も含まれる。
【0156】
NM23、その突然変異体又は変異体の使用はヒト細胞又はヒトでの使用に限定することを意図するものではない。MUC1*はNM23と同様に哺乳動物内で強い配列相同性を有する。図25によって、マウス胚性幹細胞が、標準的なマウスLIFの場合と同様に良好にヒトNM23二量体で成長することが示唆される。
【0157】
表2に、任意のリガンドとともに使用することができるが、好ましい実施形態では表1に示されるNM23変異体とともに使用される様々なリンカーを示す。表2には、表1に挙げられるリガンド単量体に遺伝学的に融合し、タンパク質の構造的活性型(特に好ましい実施形態ではNM23である)を形成したタンパク質部分も挙げている。
【0158】
二量体の形成を支持するとともに、より高次の多量体の形成を抑えるS120G突然変異体に加えて、さらに二量体の形成又は安定化を支持する他の突然変異体及び変異体が存在する。例えば、安定した二量体として発現及び維持するのがより容易な別のNM23突然変異体はP96S突然変異体である。二量体を形成又は安定化する変異体を作製する別のアプローチは、四量体及び六量体等のより高次の多量体の形成に関与するタンパク質の領域を欠失することである。例えば、NM23-H1では、C末端が四量体及び六量体の形成を促進する。C末端の1個~9個のアミノ酸の欠失が、成長因子の活性の増大、MUC1*成長因子受容体への結合の増大、及び/又は他の多能性遺伝子の発現を調節する核酸への結合の増大を含む活性の増大を有するNM23変異体を生成するのに好ましい。
【0159】
好ましい実施形態では、2つのアミノ酸がヒトNM23-H1のC末端から欠失される(CΔ2)。特に好ましい実施形態では、6つのアミノ酸が欠失される(CΔ6)。溶解性、二量体の発現又は二量体の安定化を最大にするために、1つ又は複数の突然変異+欠失を用いてタンパク質を作製することができる。例えば、組換えタンパク質として発現される場合に、ほとんどが二量体である可溶性画分を有するNM23変異体の1つがNM23-P96S-CΔ6である。このNM23は、変性及びリフォールディングの必要がなく、可溶性画分の大部分が二量体であり、サイズ排除クロマトグラフィーにより更に精製することができる二量体集団が長期間、安定性を保つことから、幹細胞又は前駆細胞の成長を刺激するのに理想的なものである。
【0160】
図14c、図14d、図14e、及び図14fにそれぞれ、NM23-P96S-CΔ2及びNM23-P96S-CΔ6のゲル及びFPLCトレースを示す。構築物の設計、並びにタンパク質の発現及び精製は実施例2cに示す。加えて図15に、最少培地中でNM23-P96S-CΔ2及びNM23-P96S-CΔ6を用いて増殖したヒトES細胞の写真を示す。図22に、このNM23変異体を用いて増殖した後のこれらのヒト幹細胞の遺伝子発現を示す。遺伝子発現レベルは、a)bFGF及び線維芽細胞フィーダー細胞由来の馴化培地、b)二量体の均一集団としてリフォールディング及び精製したNM23-S120G、又はc)NM23-P96S-CΔ6のいずれかで同じヒト胚性細胞株の成長と比較する。これらの結果から、NM23の両形態で培養した幹細胞が遺伝子レベルで同程度であることが確認される。
【0161】
表1、表3及び表4に挙げられる他のNM23変異体を実施例2及び実施例9に記載のように生成した。図11図13及び図15図19によって、他のNM23変異体がヒト幹細胞の成長を効率的に促進することが示唆される。MUC1の膜近位領域、すなわちMUC1*又はPSMGFR領域及び自己集合化ドメイン(IBR)が哺乳動物内で高度に保存されることから、本発明者らは試験を行い、NM23二量体がマウス幹細胞の成長及び維持も促進することを確認した。本発明は、NM23二量体、とりわけ本明細書に記載の変異体がヒト細胞及びマウス細胞において多能性を維持及び誘導するように作用することも含む。
【0162】
ヒトNM23-H1とマウスNM23を含むが、これに限定するものではない他の哺乳動物ホモログとの間の配列アライメントによって、突然変異又は欠失されているとされる相同タンパク質の相当領域が明らかになる。
【0163】
がん細胞の成長
本明細書に記載のNM23変異体は、MUC1*陽性がんの治療用の薬物送達ビヒクルとしても使用することができる。例えば、細胞毒性剤をNM23又はNM23変異体に化学共役することができる。毒素はNM23に付着するように遺伝子操作することができる。代替的にはNM23変異体を、例えばシステイン又は治療剤とNM23変異体との特異的な共役を促す或る特定の酵素特異的な配列を用いて修飾することができる。
【0164】
二量体形態のNM23は幹細胞及び前駆細胞上のMUC1*受容体に結合する。MUC1*への結合がNM23二量体のエンドサイトーシスを促し、その後NM23二量体は核へと移行し、そこでNM23は二量体の形でDNAに結合することで、幹細胞及び前駆細胞の成長及び多能性の維持に関わる遺伝子の転写を調節する。そのため一態様では、本発明は、成長、多能性の維持及び誘導に使用される二量体の形成を支持するNM23変異体の作製への本明細書に記載の方法の使用に関するものである。すなわち、二量体の形成を支持するNM23変異体をin vitroで使用することで、幹細胞及び前駆細胞の成長を促進し、多能性を維持することができる。加えて本発明は、幹細胞及び前駆細胞を含む未熟細胞による治療の恩恵を受ける病態の治療のためのこれらのNM23変異体の患者への投与を含む。NM23及びNM23変異体を患者に全身投与又は局所投与することができる。
【0165】
本発明は、四量体又は六量体を含むが、これらに限定されるものではないより高次の多量体のような二量体ではない多量体を形成するのに同様の方法を用いることも含む。加えて、多量体は活性状態のタンパク質を必要としない。例えば多くの場合、構造的に不活性型のタンパク質で患者を治療することが望ましい。好ましい実施形態では、患者は不活性型の成長因子で治療される。更により好ましい実施形態では、不活性型は六量体である。更により好ましい実施形態では、患者はがん患者であり、六量体形態のNM23で治療される。NM23六量体は天然タンパク質を発現することによって得ることができる。4個~6個の単量体を、本明細書に記載のリンカー及びキメラ戦略を使用して結び付けた変異体がより好ましい。例えば、不活性なNM23変異体を作製するために、NM23が五量体の形成を支持するように、Fc部分又はヒンジ領域がIgM抗体から取り出されているNM23抗体断片キメラを作製することができる。
【0166】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な修飾形態が上記の記載及び添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。このような修飾形態は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。以下の実施例は本発明を例示するものとして与えられており、限定するものではない。
【実施例0167】
実施例1. MUC1*成長因子受容体がリガンド誘導性の二量体化によって活性化される
クラスI成長因子受容体は、その細胞外ドメインのリガンド誘導性の二量体化によって活性化される。MUC1*がその細胞外ドメインのリガンド誘導性の二量体化によって活性化されることを実証するために、本発明者らは、MUC1*陽性細胞であるZR75-30乳がん細胞を二価抗MUC1*抗体又は同じ抗体の一価Fabのいずれかで処理した。図1のグラフから、二価抗体は、過剰濃度で添加され、2つの受容体を二量体化するのではなく、抗体が1つ1つの受容体と結合し、これによって成長が阻害されるまで成長を刺激することが示唆される。同じ抗体のFabの添加により、細胞成長の阻害が引き起こされ、細胞死が誘導された。MUC1*陰性HEK-293細胞(K293)は、抗MUC1*抗体の二価抗体又は一価Fabのいずれによっても影響を受けなかった。
【0168】
実施例2. タンパク質構築物の生成
実施例2a. NM23-WT
NM23wtを、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号3)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号4)
【0169】
次いで断片を精製し、消化して(NdeI、XhoI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とXhoI制限部位との間にクローニングした。
【0170】
実施例2b. NM23-S120G
NM23-H1突然変異体S120G(セリン#120がグリシンへと突然変異した)を、以下のプライマーを使用してメーカーの取扱説明書に従ってGeneTailor(商標)部位特異的突然変異誘発システム(Life Technologies)を用いて作製した:5'-gcaggaacattatacatggcggtgattctg-3'(配列番号5)及び5'-gccatgtataatgttcctgccaacttgtat-3'(配列番号6)。図2に、野生型タンパク質の多量体化状態を非リフォールディングS120G突然変異体及びリフォールディングS120G突然変異体と比較しているFPLCトレースのオーバーレイを示す。図3図5から、二量体形態のタンパク質のみがMUC1*に結合し(六量体では結合しない)、二量体のみが多能性幹細胞の成長を支持することが可能であることが示唆される。図16は、発現タンパク質及びリフォールディングタンパク質に対する非還元SDS-PAGEによる特性化及び対応するFPLCトレース、並びにヒト幹細胞の写真を示し、これによりNM23-S120Gの多能性幹細胞の成長を支持する能力が示される。
【0171】
実施例2c. NM23 P96S及び欠失構築物
本発明者らは、NM23-H1突然変異体P96S(プロリン#96がセリンへと突然変異した)を、以下のプライマーを使用してメーカーの取扱説明書に従ってQuickChange部位特異的突然変異誘発キット(Agilent)を用いて生成した:5'-tcggggagaccaactctgcagactccaag-3'(配列番号7)及び5'-cttggagtctgcagagttggtctccccga-3'(配列番号8)。PCR反応に使用される鋳型は、NdeI制限部位とXhoI制限部位との間にクローニングした野生型NM23であった。配列確認後、欠失構築物をPCRによって生成した。NM23 P96S ΔC1を、以下のプライマーを用いて増幅した:5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号9)及び5'-gtggtgaccggtatagatccagttctgagcaca-3'(配列番号10)。NM23 P96S ΔC2を、以下のプライマーを用いて増幅した:5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号11)及び5'-gtggtgaccggtgatccagttctgagcacagct-3'(配列番号12)。NM23 P96S ΔC6を、以下のプライマーを用いて増幅した:5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号13)及び5'-gtggtgaccggtagcacagctcgtgtaatctacca-3'(配列番号14)。得られた断片を精製し、消化して(NdeI、AgeI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とAgeI制限部位との間にクローニングした。pET21bは、オーバーラップPCR法を用いてXhoI制限をAgeIに置き換えることによって予め修飾させた。最適な二量体の形成が、NM23-P96SをNdeIとXhoIとの間にクローニングした場合に観察された。全ての欠失突然変異体に対して最適な二量体の形成が、NdeIとAgeIとの間にクローニングした際に観察された。図14は、リフォールディングしていないか又はFPLCによって精製されていたこれらの発現タンパク質に対する非還元SDS-PAGEによる特性化及び対応するFPLCトレースを示す。図15により、多能性幹細胞の成長を支持する発現タンパク質の能力が示される。
【0172】
実施例3a. タンパク質発現及び任意のリフォールディング/精製
LBブロス(ルリア-ベルターニブロス)を一晩培養物の1/10を用いて植菌し、OD600が約0.5に達するまで37℃で培養した。この時点で、組換えタンパク質の発現を、0.4mMイソプロピル-β-D-チオ-ガラクトシド(IPTG、Gold Biotechnology)で誘導し、培養を5時間後に停止させた。遠心分離(6000rpm、10分間、4℃)によって細胞を採取した後、細胞ペレットを、泳動バッファー:PBS(pH7.4)、360mM NaCl及び80mMイミダゾールを用いて再懸濁した。次いでリゾチーム(1mg/mL、Sigma)、MgCl2(0.5mM)及びDNアーゼ(0.5ug/mL、Sigma)を添加した。細胞懸濁液を37℃で30分間、回転台(275rpm)の上でインキュベートし、氷上で5分間超音波処理した。不溶性の細胞残屑を遠心分離(20000rpm、30分、4℃)によって除去した。次いで除去後の溶解物を、泳動バッファーによって平衡化したNi-NTAカラム(Qiagen)に適用した。カラムを洗浄した後(8CV)、420mMイミダゾールを添加した泳動バッファー(6CV)を用いてカラムからタンパク質を溶出させた。
【0173】
実施例3b. 続くリフォールディングに対する任意のタンパク質変性
タンパク質変性に関して、溶出画分をプールし、1volの100mM Tris(pH8.0)+8M尿素を添加することによって変性させ、溶液を更に1.5(half and another)volの100mM Tris(pH8.0)+8M尿素を添加することによって濃縮した。このサイクルを最終尿素濃度が約7Mになるまで繰り返した。次いでタンパク質を透析によってリフォールディングした。
【0174】
リフォールディングプロトコル
変性タンパク質を、100mM Tris(pH8.0)、4M尿素、0.2mMイミダゾール、0.4M L-アルギニン、1mM EDTA及び5%グリセロールに対して一晩透析した後、100mM Tris(pH8.0)、2M尿素、0.2mMイミダゾール、0.4M L-アルギニン、1mM EDTA及び5%グリセロールに対して24時間透析し、次にタンパク質を100mM Tris(pH8.0)、1M尿素、0.2mMイミダゾール、0.4M L-アルギニン、1mM EDTA及び5%グリセロールに対して24時間透析した後、100mM Tris(pH8.0)、0.2mMイミダゾール、0.4M L-アルギニン、1mM EDTA及び5%グリセロールに対して8時間透析し、その後タンパク質を25mM Tris(pH8.0)、0.2mMイミダゾール、0.1M L-アルギニン、1mM EDTA及び5%グリセロールで一晩透析し、PBS(pH7.4)、0.2mMイミダゾール、1mM EDTA及び5%グリセロールに対して3×3時間透析して、PBS(pH7.4)、0.2mMイミダゾール、1mM EDTA及び5%グリセロールに対して一晩透析し、最後にリフォールディングタンパク質を4℃で30分間、遠心分離し(18500rpm)、上清を回収した。
【0175】
任意のFPLC精製
特異的な多量体を、FPLCとも呼ばれるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて混合プールから更に精製することができる。二量体を、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)「FPLC」によって更に精製した。本質的に100%二量体であったFPLC画分を回収し、プールして、等量に分け、-80℃で保存した。これを本明細書ではNM23-S120G-RS又はS120G-RSと称する。二量体含有画分をプールした。
【0176】
実施例4. 組換えNM23-S120G突然変異体の3つの異なる調製物と比較した、野生型NM23のFPLCによる特性化
典型的に、特性化する各サンプルを500uL、Superdex 200 10/300 GLカラムに充填した。各種ピークの分子量は、サンプルタンパク質を特性化する前に注入される分子量標準によって作成されるFPLCトレースとの比較によって求められる。図2に、発現タンパク質の第1の調製物の可溶性画分(本明細書ではNM23-S120G-六量体と表される)、第2の調製物の可溶性画分(本明細書ではNM23-S120G-ミックスと表される)、又は変性及びリフォールディングしたS120Gの調製物(本明細書ではNM23-S120G-二量体と表される)から精製されたNM23-S120Gと比較したNM23-WTの多量体組成を特性化するFPLCトレースのオーバーレイを示す。各サンプルを500ul、Superdex 200 10/300 GLに充填した。NM23-WTは0.17mg/mlで充填され、NM23-S120G-六量体は0.19mg/mlで充填され、NM23-S120G-ミックスは0.10mg/mlで充填され、NM23-S120G-二量体は0.15mg/mlで充填された。NM23-WT及びNM23-S120G-六量体はNM23六量体の分子量に相当する96kDaでの主ピークを有し、NM23-S120G-ミックス及びNM23-S120G-二量体は両方とも二量体に相当する29KDaでの主ピークを有するが、リフォールディング調製物、NM23-S120G-二量体における二量体の相対比は、可溶性部分から単離された画分よりもはるかに大きい。
【0177】
実施例5. SPRチップ上に固定されたMUC1*細胞外ドメインペプチド(PSMGFR)に結合する異なるNM23多量体の能力を試験する表面プラズモン共鳴(SPR)
組換えNM23-S120Gの3つの異なる調製物及びNM23-WT(野生型)を、表面プラズモン共鳴の技法を用いてMUC1*細胞外ドメインペプチド(PSMGFR配列)と結合する能力に関して試験した。まず、異なる調製物をFPLCによって分析し、どの多量体が形成されるかに従ってそれらを特性化した。試験したNM23種のFPLC分析は図2に示し、上記の実施例4において説明している。サンプルを、ジスルフィド結合を破壊しない非還元ゲル上でのゲル電気泳動によっても分析した。図3aを参照されたい。NM23-S120G二量体は、非還元ゲル上、およそ40KDaで現れる。反対に、単量体、四量体及び六量体は約20KDaの見掛け分子量で泳動し、これはより高次の多量体がジスルフィド形成には依存しないためであると推測される。図2においてFPLCによって96KDaで泳動した同じ調製物(六量体)は、非還元ゲル上、20KDaで泳動したことに留意されたい。
【0178】
表面プラズモン共鳴(SPR)実験を、ビアコア3000機器を用いて行った。コーティングのない(Bare)金ビアコアチップに、Bamdad, C. The use ofvariable density self-assembled monolayers to probe the structure of a target molecule.Biophys J. 1998 Oct; 75(4):1989-96の方法に従って自己集合単分子層(SAM)をコーティングした。NTA-Ni-トリエチレングリコールSAMを、ヒスチジンでタグ付けしたタンパク質に結合し、これを捕集する3.8%NTA-Niを提示するように形成した。ヒスチジンでタグ付けしたPSMGFRペプチド(MUC1*ecdペプチド)をチップ表面上に流し、飽和するまで固定した。次に、NM23-S120Gの4つの異なる調製物をそれぞれ、安定したペプチド表面上に注入した。
【0179】
図3bの表面プラズモン共鳴(SPR)の測定結果のオーバーレイから、SPRチップ表面に付着したMUC1*細胞外ドメインペプチド(PSMGFR)に結合する4つの異なるNM23調製物の能力に大きな差があることが示唆される。結果から、NM23のその同族受容体、MUC1*への結合量は二量体がサンプルにどれくらい存在するかに依存することが示唆される。SPRによって、チップ-溶液界面でのタンパク質の質量が測定され、六量体がMUC1*ペプチド表面に結合した場合、二量体が結合した場合よりも3倍大きいSPRシグナルが生じる。このことは、NM23-WT又はNM23-S120G-六量体のMUC1*ペプチドへの結合量がNM23-S120G-二量体の結合量の約12分の1であったことを意味する。対照実験では、無関係のペプチドを同じチップ上に固定し、最少のバックグラウンド結合量を得て、これを示される測定値から差し引いた。しかしながら、約100RUというNM23-WT及びNM23-S120G-六量体(両方ともほとんど六量体のみからなる)で生じた結合量はほとんどの場合、システムのノイズ範囲内であると考えられる。
【0180】
同様のSPR実験を行い、結果を図5に示している。FPLCによって60%の二量体からなることが示された「NM23-S120G-ミックス」調製物(図2を参照されたい)を、ほとんど六量体からなるNM23-WT(図2)とともに試験し、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてMUC1*ecdペプチド(PSMGFR配列)への結合能を決定した。この実験では、5つの異なる濃度の各タンパク質を、PSMGFRペプチドをコーティングしたチップ上に別々に流した。図5に示されるSPRトレースのオーバーレイから、「NM23-S120G-ミックス」タンパク質が、NM23-WTよりおよそ8倍多くMUC1*細胞外ドメインペプチド表面に結合したことが示唆される。野生型タンパク質が六量体であることから、RUの数値は、二量体の結合量と比較するために3で除算しなければならない。野生型及びS120G-二量体の両方が濃度依存的な結合を示すが、野生型六量体の結合量はこのシステムのノイズ範囲内であると考えられる程に小さい。まとめると、これらのSPR実験から、六量体形態のNM23はMUC1*受容体に結合しないことが示唆される。
【0181】
実施例6. ナノ粒子実験を行い、NM23六量体に対するNM23二量体のMUC1*ecdペプチド(PSMGFR)に結合する能力を更に試験する
NTA-Ni SAMを、Thompson et al, dx.doi.org/10.1021/am200459a I ACS Appl. Mater. Interfaces2011, 3, 2979-2987の方法に従って金ナノ粒子上に形成した。この方法では、金ナノ粒子に、NTA-Ni-チオールが組み込まれた自己集合単分子層(SAM)をコーティングする。NTA-Ni部はヒスチジンでタグ付けしたタンパク質を捕集する。ナノ粒子上に固定したタンパク質が互いを認識し、付着したナノ粒子同士が近付く場合、ナノ金の固有の特性によって、溶液が特徴的なピンク色から青色へと変色する。同じことが、溶液中に添加される二量体タンパク質が、粒子に固定されたタンパク質に結合する場合にも起こる。NM23-S120G-二量体、NM23-WT、又はNM23-S120G-六量体を、MUC1*ecdペプチド(PSMGFR)を保有するナノ粒子に別々に添加した。
【0182】
図3cの写真から、二量体形態のNM23のみがその同族受容体MUC1*ペプチドに結合し、溶液をピンク色から青色/灰色へと変色させることが示唆される。NM23-S120G-RS(リフォールディング及び精製した)及びNM23-P96S-ΔC2(非リフォールディング)が、粒子に固定されたMUC1*ペプチドに結合した。実質的に全てが六量体として発現される野生型NM23又はNM23-S120G突然変異体のいずれもが、MUC1*ペプチドには全く結合せず、溶液をピンク色に保持し、NM23タンパク質を添加しなかった対照「タンパク質なし」と識別不可能であった。観察された相互作用の特異性を確認するために、PSMGFRペプチドに対して産生された抗MUC1*抗体のFabを添加し、リガンドのペプチドへの結合を競合的に阻害した。図面から分かるように、FabはNM23二量体とMUC1*ペプチドとの相互作用を阻害し、これにより相互作用が特異的な結合であることが示唆された。
【0183】
実施例7. NM23六量体に対するNM23二量体の多能性幹細胞の成長を促進する能力の機能試験
NM23-WT、S120G-六量体及びS120G-二量体の3つのバッチを未分化幹細胞の成長促進能に関して試験した。ヒト胚性幹細胞(H9)を、8nMのNM23調製物の1つを含有する最少幹細胞培地中で培養した(この培地は以下の実施例8に記載されるものであった)。ウェルの1つに、遊離MUC1*ecdペプチド(PSMGFR)を添加し、NM23-S120G-二量体の全ての多能性幹細胞上に存在するMUC1*受容体への結合を競合的に阻害した。細胞を、抗MUC1*モノクローナル抗体(MN-C3)をコーティングしている6ウェルプレートの1つのウェル当たり200000個の細胞でプレーティングし、幹細胞を付着させた。培地を通例のように48時間毎に交換した。写真を、オリンパス株式会社のIX 71倒立顕微鏡を用いて4日目に撮影した。結果を図3(d~g)の写真に示す。分化幹細胞は、多能性幹細胞とは異なる形態を有し、細胞の肥厚化した暗色の領域として現れる一方で、多能性幹細胞は細胞の明色の単一層において成長する。図面から分かるように、NM23-S120Gの二量体調製物(d)のみが幹細胞の未分化成長を支持することが可能であった。野生型NM23(f)では、幹細胞は3日後に分化を開始し、NM23-S120G-六量体では更に多くの分化がもたらされた(e)。しかしながら、NM23二量体とMUC1*受容体との間の相互作用を競合的に阻害した結果として、最大量の分化が起こった(g)。対照ウェルでは、H9幹細胞を最少幹細胞培地に添加した標準的な4ng/mL bFGF+50%MEF馴化培地中で培養し、幹細胞をマトリゲルの層上にプレーティングした。NM23-S120G-RS及びNM23変異体はこれらの対照以上に良好に作用した。
【0184】
この実験の別のパートでは、幹細胞の多能性からの脱却をシグナル伝達するマイクロRNAであるmiR-145のレベルを測定した。この実験から、NM23二量体とMUC1*との間の相互作用の破壊によってmiR-145の急増が引き起こされることが示唆され、このことはさらに、NM23二量体とMUC1*との間の相互作用の破壊が分化を誘発し、反対に相互作用が多能性を促進するという所見を裏付けるものであった。多能性幹細胞の成長を支持する能力を求めるのにこれらの実験で使用されるタンパク質は、非変性ネイティブゲルを用いたゲル電気泳動によって実験の時点で特性化された。図4のネイティブゲルから、NM23-WTが本質的に全て六量体で構成され、NM23-S120G-六量体の調製物が僅かな割合の二量体を有するが、ほとんど六量体で構成されることが示唆される。NM23-S120G-二量体の調製物は、ほとんど二量体で構成されるが、僅かな割合の四量体を有する。
【0185】
実施例8. 最少幹細胞培地(また「最少培地」)
400ml DME/F12/GlutaMAX I(Invitrogen #10565-018)
100ml ノックアウト血清代替物(Invitrogen #10828-028)
5ml 100×MEM非必須アミノ酸溶液(Invitrogen #11140-050)
0.9ml(0.1mM)β-メルカプトエタノール(55mM ストック、Invitrogen #21985-023)
2.5ml PSA(ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシン)MP Biochem(#1674049)
【0186】
実施例9. NM23変異体-構築物の生成
一本鎖NM23構築物
S120G、P96S又はC末端欠失等の突然変異を含む又は含まないNM23を、2つのタンパク質単量体を連結する構築物を作製することによって二量体の形成を支持するように操作することができる。四量体及び六量体の形成を抑えるタンパク質を作製するNM23-S120G又は他の突然変異が好ましい。表2に、DNA配列、それに続いてコードアミノ酸配列を与える。図6に、リフォールディングされている一本鎖変異体の還元及び非還元SDS-PAGEによる特性化を示す。ゲルにより、それぞれが単量体-リンカー-単量体の見掛け分子量で泳動することが確認される。非還元ゲルから、より高次の多量体のより小さい集団は、DTTの添加により排除されたジスルフィド形成によるものであり、これによって細胞質のような還元環境が生じることが示唆される。
【0187】
実施例9a. NM23 S120G GS2リンカー
(GGGGS)×2リンカーを、以下のプライマーを用いたPCRによってNM23 S120G(3’)のフレームに導入した:
フォワード
5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号15)
リバース
5'-atcgatgctagcggatccgccaccgccggatccgccaccgccttcatagatccagttctgagcacagctcg-3’(配列番号16)
【0188】
得られた断片を精製し、消化して(NdeI、NheI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とNheI制限部位との間にクローニングした。
【0189】
別のNM23 S120G断片を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatgctagcatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号17)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号18)
【0190】
次いで断片を精製し、消化して(NheI/XhoI)、(GGGGS)×2リンカーを含有する予めクローニングしたNM23 S120GのNheI制限部位とXhoI制限部位との間のフレームにクローニングした。発現タンパク質を、in vitro用途のために、任意で1mM~5mM DTTを添加して、実施例3bの任意のリフォールディングプロトコルを用いて精製及び/又はリフォールディングすることができる。図11に、リフォールディングタンパク質のFPLC分析(a)、SDS-PAGEによる特性化(b)、及び非リフォールディング、非精製タンパク質の多能性幹細胞の成長を支持する能力(c~e)を示す。図17に、この変異体のリフォールディング又は精製することなく多能性幹細胞の成長を支持する能力を示す。図26に、リフォールディングしていないこの変異体の非還元SDS-PAGEによる特性化の写真を示し、これにより主集団が二量体であり、六量体及び他のより高次の多量体を本質的に欠いていることが示唆される。
【0191】
実施例9b. NM23 S120G GS3リンカー
(GGGGS)×3リンカーを、以下のプライマーを用いたPCRによってNM23 S120G(3’)のフレームに導入した:
フォワード
5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号19)
リバース
5'-tcgatgctagcggatccgccaccgccggatccgccaccgccggatccgccaccgcttcatagatccagttctgagcacagctcg-3'(配列番号20)
【0192】
得られた断片を精製し、消化して(NdeI、NheI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とNheI制限部位との間にクローニングした。
【0193】
別のNM23 S120G断片を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatgctagcatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号21)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号22)
【0194】
次いで断片を精製し、消化して(NheI/XhoI)、(GGGGS)×3リンカーを含有する予めクローニングしたNM23 S120GのNheI制限部位とXhoI制限部位との間のフレームにクローニングした。発現タンパク質を、in vitro用途のために、任意で1mM~5mM DTTを添加して、実施例3bの任意のリフォールディングプロトコルを用いて精製及び/又はリフォールディングすることができる。
【0195】
実施例9c. NM23-S120G-IgG1h noC(システインを含まないIgG1の修飾ヒンジ領域)
システインを含まないIgG1の修飾ヒンジ領域を、2回の逐次PCR反応によってNM23 S120G(3’)のフレームに導入した。初めに以下のプライマー対を使用した:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号23)
リバース
IgG1#1
tccggcgccggttttggcggtttagtatgggttttatcttcatagatccagttctgagcacagctcg(配列番号24)
【0196】
PCR断片を精製し、以下のプライマーを用いた2回目のPCR反応の鋳型として使用した:
フォワード
5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号25)
リバース
IgG1#2
atcgatgctagcaccggtaccaggaccacccagcagttccggcgccggttttggcgtttagtatg(配列番号26)
【0197】
得られた断片を精製し、消化して(NdeI、NheI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とNheI制限部位との間にクローニングした。
【0198】
別のNM23 S120G断片を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatgctagcatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号27)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号28)
【0199】
次いで断片を精製し、消化して(NdeI/XhoI)、修飾ヒンジ領域リンカーを含有する予めクローニングしたNM23 S120GのNheI制限部位とXhoI制限部位との間のフレームにクローニングした。発現タンパク質を、in vitro用途のために、任意で1mM~5mM DTTを添加して、実施例3bの任意のリフォールディングプロトコルを用いて精製及び/又はリフォールディングすることができる。図7に、ニッケルカラムでの発現タンパク質の精製を示す。図12に、リフォールディングタンパク質のFPLC分析(a)、SDS-PAGEによる特性化(b)、及び非リフォールディング、非精製タンパク質の多能性幹細胞の成長を支持する能力(c~e)を示す。図18に、この変異体のリフォールディング又は精製することなく多能性幹細胞の成長を支持する能力を示す。図26に、リフォールディングしていないこの変異体の非還元SDS-PAGEによる特性化の写真を示し、これにより主集団が二量体であり、六量体及び他のより高次の多量体を本質的に欠いていることが示唆される。
【0200】
実施例9d. NM23 S120G IgG2a noC(システインを含まないIgG2aの修飾ヒンジ領域)
システインを含まないIgG2aの修飾ヒンジ領域を、2回の逐次PCR反応によってNM23 S120G(3’)のフレームに導入した。初めに以下のプライマー対を使用した:
フォワード
5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号29)
リバース
IgG2a#1
tcggaggtttcggaggtttaatagtcggaccaccagtttcatagatccagttctgagcacagctcg(配列番号30)
【0201】
PCR断片を精製し、以下のプライマーを用いた2回目のPCR反応の鋳型として使用した:
フォワード
5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号31)
リバース
IgG2a#2
atcgatgctagccggaccacccagcaggttcggagcaggtttcggaggtttcggaggtttaatagtcg(配列番号32)
【0202】
得られた断片を精製し、消化して(NdeI、NheI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とNheI制限部位との間にクローニングした。
【0203】
別のNM23 S120G断片を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatgctagcatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号33)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号34)
【0204】
次いで断片を精製し、消化して(NheI/XhoI)、修飾ヒンジ領域リンカーを含有する予めクローニングしたNM23 S120GのNheI制限部位とXhoI制限部位との間のフレームにクローニングした。発現タンパク質を、in vitro用途のために、任意で1mM~5mM DTTを添加して、実施例3bの任意のリフォールディングプロトコルを用いて精製及び/又はリフォールディングすることができる。図7に、ニッケルカラムでの発現タンパク質の精製を示す。図12に、リフォールディングタンパク質のFPLC分析(a)、SDS-PAGEによる特性化(b)、及び非リフォールディング、非精製タンパク質の多能性幹細胞の成長を支持する能力(c~e)を示す。
【0205】
実施例9e. NM23 S120G IgG1h/IgG2ah noC(システインを含まないIgG1及びIgG2aの修飾ヒンジ領域)
システインを含まないIgG1及びIgG2aの修飾ヒンジ領域を、4回の逐次PCR反応によってNM23 S120G(3’)のフレームに導入した。初めに以下のプライマー対を使用した:
フォワード5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号35)
リバース#1 tccggcgccggttttggcggtttagtatgggttttatcttcatagatccagttctgagcacagctcg(配列番号36)
【0206】
PCR断片を精製し、以下のプライマーを用いた2回目のPCR反応の鋳型として使用した:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号37)
リバース#2 tcggaccaccagtaccggtaccaggaccacccagcagttccggcgccggttttggcggtttagtatg(配列番号38)
【0207】
PCR断片を精製し、以下のプライマーを用いた3回目のPCR反応の鋳型として使用した:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号39)
リバース#3 tcggagcaggtttcggaggtttcggaggtttaatagtcggaccaccagtaccggtaccaggaccac(配列番号40)
【0208】
PCR断片を精製し、以下のプライマーを用いた4回目のPCR反応の鋳型として使用した:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号41)
リバース#4 atcgatgctagccggaccacccagcaggttcggagcaggtttcggaggtttcggag(配列番号42)
【0209】
得られた断片を精製し、消化して(NdeI、NheI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とNheI制限部位との間にクローニングした。
【0210】
別のNM23 S120G断片を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatgctagcatggccaactgtgagcgtaccttc-3'(配列番号43)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号44)
【0211】
次いで断片を精製し、消化して(NheI/XhoI)、IgG1及びIgG2a両方の修飾ヒンジ領域リンカーを含有する予めクローニングしたNM23 S120GのNheI制限部位とXhoI制限部位との間のフレームにクローニングした。発現タンパク質を、in vitro用途のために、任意で1mM~5mM DTTを添加して、実施例3bの任意のリフォールディングプロトコルを用いて精製及び/又はリフォールディングすることができる。図13に、リフォールディングタンパク質のFPLC分析(a)、SDS-PAGEによる特性化(b)、及び非リフォールディング、非精製タンパク質の多能性幹細胞の成長を支持する能力(c~e)を示す。図18に、この変異体のリフォールディング又は精製することなく多能性幹細胞の成長を支持する能力を示す。図26に、リフォールディングしていないこの変異体の非還元SDS-PAGEによる特性化の写真を示し、これにより主集団が二量体であり、六量体及び他のより高次の多量体を本質的に欠いていることが示唆される。
【0212】
実施例10. NM23キメラの二量体化
NM23-wt又は好ましくはS120G突然変異体が、自然状態で二量体化するタンパク質へと遺伝子融合している融合タンパク質は、二量体の形成を支持するNM23変異体を生成する別の方法であり、S120G突然変異が含まれる場合、得られる二量体は四量体及び六量体等のより高次の多量体の形成を抑える。このような方法の1つは、NM23、又はMUC1*ペプチドに結合するNM23の一部分を抗体のFc部分に融合させることである。抗体のFc部分は、システイン間のジスルフィド結合を介してホモ二量体化する。この構築物は、IgG抗体のFc領域に結び付くNM23-S120Gタンパク質からなる。ヒスチジンタグを包含することによって、NTA-Ni親和性カラムでの精製が可能になる。代替的には、融合タンパク質はプロテインAカラム又はプロテインGカラムで精製することができる。ペプシンによる切断によってFc領域が切断され、システイン直下の部分が放出される。
【0213】
実施例10a. NM23 S120G-IgG1 Fc(Fc領域抗体に融合したNM23)
NM23 S120Gを、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号45)
リバース 5'-gtggtgctcgagttcatagatccagttctga-3'(配列番号46)
【0214】
次いで断片を精製し、消化して(NdeI、XhoI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とXhoI制限部位との間にクローニングした。
【0215】
IgG1のFc領域を、以下のプライマーを用いたPCRによって増幅した:
フォワード 5'-attgtgctcgagggttgtaagccttgcatatgtacagtcccag-3'(配列番号47)
リバース 5'-gcactactcgagtttaccaggagagtgggagaggctcttctcag-3'(配列番号48)
【0216】
次いで断片を精製し、消化して(XhoI)、予めクローニングしたNM23 S120Gの(XhoI制限部位の)フレームにクローニングした。発現タンパク質をin vitro用途のために精製及び/又はリフォールディングすることができる。タンパク質が封入体に存在する場合、すなわち遠心分離(6000rpm、10分間、4℃)によって細胞を採取した後、細胞ペレットを、泳動バッファー:100mM NaH2PO4、10mM Tris(pH8.0)、10mMイミダゾール及び8M尿素を用いて再懸濁した。溶液を37℃で30分間、回転台(275rpm)の上でインキュベートし、氷上で5分間超音波処理した。不溶性の細胞残屑を遠心分離(20000rpm、30分、4℃)によって除去した。次いで除去後の溶解物を、泳動バッファーによって平衡化したNi-NTAカラム(Qiagen)に適用した。カラムを洗浄した後(8CV)、420mMイミダゾールを添加した泳動バッファー(6CV)を用いてカラムからタンパク質を溶出させた。リフォールディング前に、NTA-Ni溶出画分をプールし、5mM還元グルタチオン(GSSH)及び0.5mM酸化グルタチオン(GSSG)を添加し、撹拌しながら4℃で一晩インキュベートした。次いでタンパク質を、実施例3bの任意のリフォールディングプロトコルを用いてリフォールディングした。変性及びリフォールディングが必要となる封入体へのタンパク質の隔絶を避けるために、以下のことを行う:タンパク質の発現を、ジスルフィド結合の形成を支持することが示されている発現細胞のペリプラズムへと指向させることができ、これによってタンパク質が正確にフォールディングされ、可溶性になる。図8図10に、この変異体の精製、SDS-PAGE及びFPLCによる特性化を示す。
【0217】
実施例10b. NM23 S120G IgG1h(IgG1のヒンジ領域に融合したNM23)
IgG1ヒンジ領域を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってNM23 S120Gの3’に融合させた:
フォワード 5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号49)
リバース
5'atcgatctcgagaccaacacaaatacacggtttacaaccagaatcacgtggcaccggttcatagatccagttctgagcacagctcg-3'(配列番号50)
【0218】
次いで断片を精製し、消化して(NdeI、XhoI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とXhoI制限部位との間にクローニングした。発現タンパク質を、実施例10aに記載のように、in vitro用途のために精製及び/又はリフォールディングすることができる。
【0219】
実施例10c. NM23 S120G IgG2ah(IgG2aのヒンジ領域に融合したNM23)
IgG2aヒンジ領域を、以下のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってNM23 S120Gの3’に融合させた:
フォワード
5'-atcgatcatatggccaactgtgagcgtacctt-3'(配列番号51)
リバース
5'atcgatctcgagacctggacatttacacggtggacacggtttaatggtcggaccacgcggttcatagatccagttctgagcacagctcg-3'(配列番号52)
【0220】
次いで断片を精製し、消化して(NdeI、XhoI)、発現ベクターpET21bのNdeI制限部位とXhoI制限部位との間にクローニングした。発現タンパク質を、実施例10aに記載のように、in vitro用途のために精製及び/又はリフォールディングすることができる。
【0221】
実施例11. NM23変異体の機能分析
実施例11a. 安定した二量体を形成する能力
初めに、生成したNM23変異体を、二量体を形成する能力に関して試験した。一本鎖構築物は、単量体-リンカー-単量体の分子量で還元SDS-PAGEゲルを移動するとされる。非還元ゲルでは、一本鎖変異体は二量体の見掛け分子量で移動するが、より高次の多量体は概して、単量体の見掛け分子量で泳動する。特徴的な四量体及び六量体は、多量体化するのにジスルフィド結合には依存しないが、天然のNM23、NM23-S120G及びNM23-P96S、並びに他の変異体の二量体はジスルフィド結合に依存する。さらにネイティブゲル及びFPLCを用いて、変異体の多量体化状態を求めた。二量体の形成を示す還元SDS-PAGEゲル及び非還元SDS-PAGEゲルを図3図6図9図10図14図16及び図26に示す。二量体の形成を示すFPLCトレースを図2図10図14及び図16に示す。図4には、ネイティブSDS-PAGEゲルを示している。
【0222】
実施例11b. 多能性幹細胞の成長を促進する能力
H9又はBGO1v/hOG胚性幹細胞のいずれかを、1つのウェル当たり200000個の細胞という密度で、マトリゲルをコーティングした又は抗MUC1*(MN-C3)抗体をコーティングした6ウェル細胞培養プレートのいずれかの上にプレーティングした。細胞を、8nM NM23-S120G-RS又は本発明のNM23変異体を添加した最少幹細胞培地(実施例8を参照されたい)中で培養した。培地を、BGO1v/hOG細胞では24時間毎、及びH9細胞では48時間毎に交換した。Rhoキナーゼ阻害剤をBGO1v/hOG細胞では各培地交換時に添加したが、H9細胞では初めの48時間だけ添加した。細胞を4日間培養した後、拡大しながら撮影した。図11図13及び図15図19にその結果を示す。細胞の形態から、細胞が塊化又は暗化のない単一層であることにより未分化であることが示唆される。
【0223】
実施例11c. NM23変異体で培養した幹細胞の成長速度
NM23変異体が天然二量体又はS120G二量体として機能したことを証明するものとして幹細胞形態を評価することに加えて、NM23変異体を含有する培地中で培養した幹細胞の成長速度を、単離画分が本質的に100%の二量体となるように、リフォールディングした後、FPLCによって精製しているNM23-S120G「RS」で培養した同一の細胞の成長速度と比較した。これらの実験では、全て同じ供給源(ヒトES-BGO1v/hOG)から採取した200000個の幹細胞をNM23-S120G RS又は図20及び図21に示したNM23変異体の1つのいずれかで培養した。プレーティングの4日後、細胞をトリプシン処理によって採取し、細胞を血球計で計数した。グラフから分かるように、それぞれの場合で変異体によって、NM23-S120G(「RS」)の単離された二量体集団よりも多くの細胞が生じた。
【0224】
実施例11d. NM23変異体で培養した幹細胞における多能性遺伝子の発現レベルのRT-PCR分析
NM23二量体を支持する変異体の機能を評価する別の方法として、定量的PCRを行い、NM23変異体で培養した幹細胞における多能性遺伝子の発現レベルを測定した。図22では、少なくとも4代にわたってNM23変異体で培養した幹細胞における多能性遺伝子Oct4及びNanog及びMUC1及びNM23の発現レベルを比較している。図22のグラフから、NM23変異体で成長させた細胞に関しては、これらの多能性の鍵となる指標遺伝子の発現レベルは純粋な二量体集団であるNM23-S120G RSで培養された細胞以上であることが示唆される。
【0225】
実験詳細:異なるNM23変異体で成長させた幹細胞を回収した。細胞をペレット状にし、-70℃で凍結した。総RNAをTRIzol(商標)試薬を用いてサンプルから抽出した。RNAサンプルにおけるNANOG、OCT4、MUC1、NM23及びGAPDHの定量化を、TaqMan(商標)ワンステップRT-PCRマスターミックス試薬を用いて行った。リアルタイムPCRのデータを、比較Ct法を用いて分析した。各サンプルにおける各転写産物の相対量を、標的Ctと対応するGAPDHとの差(ΔCt)をコンピューターによって計算することによって得た。第二正規化を、データセットにおいて他の全てのものからRSサンプルのΔCtを差し引くことによって行った(ΔΔCt)。
【0226】
実施例11e. NM23変異体の細胞膜を透過して、核へと移行する能力
NM23二量体を支持する操作変異体の機能の更なる評価基準として、該変異体の細胞表面から細胞核への移動を追跡し、NM23-S120G RSと比較した。NM23二量体がMUC1*陽性がん細胞及び全てMUC1*陽性であるヒト多能性幹細胞の成長を媒介することが知られている。MUC1*陽性がん細胞を、二量体形態のNM23を含有する培地中でインキュベートすると、NM23二量体はMUC1*受容体に結合し、内部移行し、30分~60分以内に核へと移行して、そこで転写因子として機能すると考えられる。図23に、0nM、16nM又は128nMのNM23-S120G RS(100%二量体集団)のいずれかの存在下又は非存在下でインキュベートしたがん細胞の共焦点画像を示す。次いで細胞を核染色DAPIで染色した後、抗NM23抗体を細胞及び蛍光標識した二次抗体に添加した。さらに、内因性NM23も抗体によって染色することに留意されたい。しかしながら、二量体として外から添加した場合、核には検出可能なNM23しか存在しない。細胞の成長の増進及びNM23-S120Gの核局在化に最適な濃度が8nM~64nMであることは事前に求めていた。より高い濃度では、1つの二量体が2つのMUC1*受容体に結合し、それらを二量体化するのではなく、各NM23二量体が1つ1つのMUC1*受容体に結合する(図1の釣鐘曲線を参照されたい。ここでは同じ理由から、過剰な二価抗MUC1*抗体によって、成長が刺激されずに阻害される)。図23(b、e)に、白色の矢印で示される核内のNM23を示す。図24に、外から添加されたNM23が、システインを含まない、修飾IgG1ヒンジ領域及び修飾IgG2aヒンジ領域によって連結された2つのNM23-S120G単量体である一本鎖「二量体」変異体NM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noCであることを除いて図23と同じ実験の共焦点画像を示す。実施例9eを参照されたい。図24から分かるように、NM23一本鎖変異体は、白色の矢印で示される核(b、e)へと容易に移行する。NM23-S120G-RS(図23h)及び一本鎖変異体、NM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noC(図24h)に対応する核内のNM23の量を定量化するグラフから、操作「二量体」が、二量体集団として単離されているNM23単量体よりも良好に核へと移行することが示唆される。
【0227】
実験詳細:初めにT47D乳がん細胞を、10% FBS RPMI培地の入ったコラーゲンをコーティングした8ウェルチャンバ上に24時間プレーティングした後、血清飢餓(1% FBS RPMI)を24時間、37℃、5%CO2で行った。続いて、T47D細胞を、10% FBS RPMI中の16nM又は128nM NM23S120GRS又はNM23IgG1/IgG2aで30分間、インキュベートした。次いでT47D細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した。細胞を、PBS+1% BSA+5%正常ヤギ血清+0.01% Triton-x(「ブロッキングバッファー」)で1時間ブロッキングした後、室温で1時間、一次抗体の入ったブロッキングバッファー中でインキュベートした。次いで、細胞をPBSで洗浄した後、適切な二次抗体(Alexa-Fluor、Invitrogen)とともに室温で1時間インキュベートした(暗所に保った)。PBSで洗浄した後、細胞にProlong Gold+DAPI(Invitrogen)及びカバースリップをマウントした。T47D細胞を、ZeissのLSM 510レーザー走査共焦点顕微鏡で可視化した。
【0228】
実施例12. 交差種機能
NM23は、多能性コロニー形態でマウスES細胞の増殖を支持する。
【0229】
マウスES細胞(129/S6、EMD Millipore, Billerica, MA)を、1000U/mLの組換えmLIF(a、c)(EMD Millipore)又は16nM NM23-S120G-RS(b、d)のいずれかを添加したマウスES細胞最少培地(mESC-MM)中で2日間、不活性化MEFフィーダー細胞層上に培養し、位相差照射下、低倍率で撮影した。サイズバーは500ミクロンを示す。両方の場合で、1日目に僅か数個の細胞からなる単一の細胞及びコロニーから、多能性マウスES細胞に特有の明色の規定縁を備えるより大きい多細胞卵形コロニーが生じる。mESC-MMは、ノックアウトD-MEM基礎培地、15%ノックアウト血清代替物、1×GlutaMax I、1×OptiMEM非必須アミノ酸、0.1mM B-ME(Life Technologies, Carlsbad, CA)、及び1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza,Allendale, NJ)からなるものである。
【0230】
結果を図25に示し、マウス幹細胞が、成長因子としてマウスLIFを含むマウス幹細胞培地中の場合と同様に良好にNM23(ヒト)で成長することが実証される。そのため、本明細書に記載のNM23変異体をマウス細胞系に使用することができ、マウスNM23及びNM23変異体をヒト細胞系に使用することができる。
【0231】
実施例13. 発現細胞により分泌される構築物の生成
実施例2、実施例9及び実施例10に記載のものを含む本発明の突然変異体、欠失体及び/又は一本鎖キメラ若しくは融合キメラのいずれかを作製し、発現細胞によって分泌させ、in vitro、ex vivo及び/又はin vivoで使用することができる。発現タンパク質を分泌させる配列は当業者にとって既知である。特に、抗体から誘導される配列をタンパク質のN末端すなわち対象の遺伝子の5’末端に付加する。リーダー配列を包含することに加えて、発現細胞のタイプは大腸菌に限定されるものではなく、哺乳動物細胞、哺乳動物発現細胞、酵母、体細胞、幹細胞、iPS細胞、又は多能性の誘導若しくは開始細胞よりも成熟していない状態への誘導を受けた細胞も含まれる。
【0232】
実施例14. リフォールディングのない本発明の組換えNM23-WT、S120G及び変異体の比較
本発明のNM23変異体の利点の1つは、in vivo状況では行うことができない変性及びリフォールディングを必要とせず、安定した二量体を自発的に形成するように設計されていることである。自然状態で二量体化する一本鎖キメラ及び融合キメラの利点を実証するために、NM23-WT、NM23-S120G及び変異体NM23-S120G-GS2、IgG1h-noC、IgG1h/IgG2ah-noCを発現させ、変性又はリフォールディングせずに、非還元SDS-PAGEにより特性化を行った。図26のゲルから、タンパク質変異体のみが二量体として移動することが示唆される。野生型NM23及びNM23-S120G(非リフォールディング)は非還元ゲル上を単量体の見掛け分子量で泳動する。本明細書で先に述べたように、NM23六量体は、多量体化がそのジスルフィド結合に依存しないことから、非還元ゲル上を単量体として泳動するが、FPLCによって実際には六量体であることが分かっている(比較のための図2図3a、及び図4を参照されたい)。
【0233】
実施例15. 二量体化を支持するとともに、より高次の多量体の形成を抑える突然変異体の同定
がん細胞又は幹細胞の成長を促進する突然変異を、幾つかのがん由来のNM23をシークエンシングすることによって同定することができる。S120G突然変異体を、神経芽細胞腫から単離した。代替的に、NM23をコードするDNAをランダムに突然変異させた後、得られたタンパク質を試験することで、がん細胞又は幹細胞の成長を促進する突然変異体をスクリーニングすることができる。限定要因は、細胞ベースのアッセイにおける多くの可能性のある突然変異をスクリーニングするための時間である。二量体を形成すると同時により高次の多量体の形成を抑える能力に関して突然変異体を試験する簡便な方法は、MUC1*ペプチドへの結合能に関して突然変異体を試験することである。示してきたように、NM23四量体及び六量体はMUC1*ペプチドには結合しない。二量体を形成するが、四量体及び六量体は形成しない突然変異体を同時に同定するアッセイは、MUC1*ペプチドが金ナノ粒子に担持されているナノ粒子アッセイである。マルチウェルプレートにおいて、各突然変異体を、ペプチドを保有するナノ粒子に添加する。突然変異体が二量体を容易に形成する場合、二量体NM23が、ナノ粒子に固定されたMUC1*ペプチドに結合し、粒子同士が近付き、それにより溶液がピンク色から青色へと変色する。突然変異体が高濃度で添加されると、突然変異体が依然として四量体及び六量体を形成することが可能であり、ペプチドとは結合せずに溶液はピンク色のままとなる。したがって、二量体の形成を支持するとともに、不活性な六量体を形成しない突然変異体は、例えば500nMを超える高い濃度で添加されたとしてもナノ粒子溶液は青色に変わることから、容易に同定される。
【0234】
実施例16.
ヒトBGO1v/hOG胚性幹細胞を、6ウェル細胞培養プレートの1つのウェル当たり100000個の細胞という細胞密度で1つのウェルに付き12.5ugのモノクローナル抗MUC1*抗体(MN-C3)をコーティングしたVitaプレート上にプレーティングした。細胞を、実施例3の任意のリフォールディングプロトコルに従ってリフォールディングしたNM23変異体で2日間、培養した。最少幹細胞培地中、8nMで使用されたNM23変異体(実施例8を参照されたい)は、NM23-S120G-RS(a、e)、NM23-S120G-GS2(図において「R」はリフォールディングを示す)(b、f)、NM23-S120G-IgG1h noC(c、g)及びNM23-S120G-IgG1h/IgG2ah noC(d、h)であった。細胞の形態から分かるように、全ての幹細胞は、分化する線維芽細胞様細胞を欠いており、さらに分化を示す肥厚化及び暗化のない多能性幹細胞として成長した。
【0235】
本明細書で言及される参考文献は全てその全体が、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0236】
当業者は、単なる通常の実験を用いて、本明細書に具体的に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか又は確認することができる。このような均等物は特許請求の範囲に包含されるように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【配列表】
2024056702000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特異的な多量体を選択的に形成する組換えによって作製されたタンパク質構築物。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のNM23単量体と第2の単量体を含む二量体であって、
当該二量体は、より高次の多量体を形成しない、二量体。
【請求項2】
前記第1のNM23単量体がNM23-H1単量体又はNM23-H2単量体である、請求項1に記載の二量体。
【請求項3】
前記第1のNM23単量体がNM23-H7単量体である、請求項1に記載の二量体。
【請求項4】
前記第2の単量体は、NM23単量体である、請求項1~3のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項5】
前記第1のNM23単量体は、抗体のFc領域、Fos領域又はJun領域を含むリンカーペプチドに組換えによって結合してなる、請求項1~4のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項6】
前記第1のNM23単量体は、共有結合で前記第2の単量体に結合してなる、請求項1~4のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項7】
前記共有結合は、ジスルフィド結合である、請求項6に記載の二量体。
【請求項8】
前記第1のNM23単量体と前記第2の単量体が前記リンカーペプチドを通じて連結し、単量体-リンカー-単量体の構築物が形成される、請求項6に記載の二量体。
【請求項9】
前記リンカーペプチドは、GGGGS、(GGGGS)2、(GGGGS)3、(GGGGS)6、GGSG、(GGSG)2、(GGSG)3、A(EAAAK)2A、A(EAAAK)3A、A(EAAAK)4A、A(EAAAK)5A、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、LAEAAAKAAA、LA(EAAAK)2AAA、LA(EAAAK)3AAA、LA(EAAAK)4AAA、LA(EAAAK)5AAA、IgG1ヒンジ、及びIgG2aヒンジから選択される配列を含む、請求項8に記載の二量体。
【請求項10】
前記リンカーペプチドは、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、及び配列番号90から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の二量体。
【請求項11】
前記第1のNM23単量体は、野生型NM23-WTのS120G又はP96Sに相当する点突然変異を含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項12】
前記第1のNM23単量体は、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号116、配列番号68、配列番号118、配列番号70、配列番号120、配列番号72、配列番号122、配列番号74、配列番号124、配列番号76、配列番号126、配列番号78、配列番号128、配列番号80及び配列番号130から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の二量体。
【請求項13】
前記第1のNM23単量体又は第2のNM23単量体は、1個~10個のアミノ酸のC末端欠失を含む、請求項4~12のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項14】
前記第1のNM23単量体は、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、及び配列番号114から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項15】
前記第1のNM23単量体は、NM23 S120G GS2、NM23 P96S GS2、NM23 P96S/S120G GS2、NM23 P96SΔC1 GS2、NM23 P96SΔC2 GS2、NM23 P96SΔC6 GS2、NM23 P96SΔC1/S120G GS2、NM23 P96SΔC2/S120G GS2、NM23 P96SΔC6/S120G GS2、NM23 S120G GS3、NM23 P96S GS3、NM23 P96S/S120G GS3、NM23 P96SΔC1 GS3、NM23 P96SΔC2 GS3、NM23 P96SΔC6 GS3、NM23 P96SΔC1/S120G GS3、NM23 P96SΔC2/S120G GS3、NM23 P96SΔC6/S120G GS3、NM23 S120G IgG1h noC、NM23 P96S IgG1h noC、NM23 P96S/S120G IgG1h noC、NM23 P96SΔC1 IgG1h noC、NM23 P96SΔC2 IgG1h noC、NM23 P96SΔC6 IgG1h noC、NM23 P96SΔC1/S120G IgG1h noC、 NM23 P96SΔC2/S120G IgG1h noC、
NM23 P96SΔC6/S120G IgG1h noC、NM23 S120G IgG2ah noC、NM23 P96S IgG2ah noC、NM23 P96S/S120G IgG2ah noC、NM23 P96SΔC1 IgG2ah noC、NM23 P96SΔC2 IgG2ah noC、NM23 P96SΔC6 IgG2ah noC、NM23 P96SΔC1/S120G IgG2ah noC、NM23 P96SΔC2/S120G IgG2ah noC、NM23 P96SΔC6/S120G IgG2ah noC、NM23 S120G IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96S IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96S/S120G IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96SΔC1 IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96SΔC2 IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96SΔC6 IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96SΔC1/S120G、IgG1h/IgG2ah noC、NM23 P96SΔC2/S120G IgG2ah noC、及びNM23 P96SΔC6/S120G IgG2ah noCから選択される、請求項1に記載の二量体。
【請求項16】
細胞又は該細胞の核への二量体の侵入を促すアミノ酸配列を更に含む、請求項1~15のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項17】
前記二量体の細胞からの分泌を促すアミノ酸配列を更に含む、請求項1~15のいずれか1つに記載の二量体。
【請求項18】
請求項7~17のいずれか1つに記載の二量体をコードする配列を含む核酸。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項20】
請求項18に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項21】
MUC1 陽性細胞にMUC1 の発現を増加させる方法であって、
請求項18に記載の核酸を前記MUC1 陽性細胞に導入する工程、
を含む、方法。
【請求項22】
MUC1 陽性細胞にMUC1 の発現を増加させる方法であって、
i)請求項18に記載の核酸を宿主細胞に導入する工程と、
ii)前記MUC1 陽性細胞を、宿主細胞または当該宿主細胞により産生される二量体のNM23タンパク質とともに培養する工程、
を含む、方法。
【請求項23】
前記MUC1 陽性細胞は、幹細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記MUC1 陽性細胞は、前駆体細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記MUC1 陽性細胞は、体細胞である、請求項22に記載の方法。
【外国語明細書】