(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056725
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】金属物品を黒化するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20240416BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20240416BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01L31/04 260
C25D1/00 381
C23C26/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008599
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2021500191の分割
【原出願日】2019-06-27
(31)【優先権主張番号】62/694,644
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/743,178
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516306337
【氏名又は名称】マーリン・ソーラー・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MERLIN SOLAR TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】5891 Rue Ferrari San Jose CA 95138 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャリ,アルビンド
(72)【発明者】
【氏名】ムラリ,ベンカテサン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイナード,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】プラブ,ゴパル
(72)【発明者】
【氏名】ダム,ジェシー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光電池において、効率を落とさずに美的要素を満足する電気接点及び相互接続を提供する。
【解決手段】方法は、予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することを含む。金属物品は電鋳される。金属物品は、マンドレルの外面層に予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含む。複数の電鋳要素は、マンドレルの外面層に隣接する第1の側と、第2の側とを有する。はんだは、マンドレル上にある間に、複数の電鋳要素の第2の側にめっきされる。金属物品はマンドレルから分離される。複数の電鋳要素は、金属物品が単一の自立型部品を形成するように相互接続される。溶液を適用して、複数の電鋳要素の第1の側の黒化を作出する。複数の電鋳要素の第2の側のはんだは黒化しない。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電池用の金属物品を製造する方法であって、
予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することと、
前記金属物品を電鋳することであって、前記金属物品は、前記マンドレルの前記外面層上に前記予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含み、前記複数の電鋳要素は、前記マンドレルの前記外面層に隣接する第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、前記電鋳することと、
前記マンドレルの上にある間に、前記複数の電鋳要素の前記第2の側にはんだをめっきすることと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離することであって、前記複数の電鋳要素は、前記金属物品が前記マンドレルから分離されるときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される、前記分離することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離した後、前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することであって、前記複数の電鋳要素の前記第2の側の前記はんだは黒化されない、前記黒化することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記黒化することが、
前記金属物品を溶液に浸して化学反応を生じさせ、その結果、前記複数の電鋳要素の前記第1の側が前記黒化すること、及び
前記金属物品を摂氏80から120度の熱にさらすこと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液には、水、フルオロホウ酸、硫酸銅、亜セレン酸、リン酸、及び硫酸ニッケルが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液には、ニッケルイオン、還元剤、錯化剤、中和剤、安定剤、及び光沢剤が含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液には水及び硫化カリウムファミリーが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記黒化することが、前記金属物品を重炭酸ナトリウムで濯ぐことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記金属物品を前記浸すことが、前記金属物品の一部または前記金属物品全体を浸すことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記金属物品が約45から140秒間前記溶液に浸される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記黒化することが、
前記複数の電鋳要素の前記第1の側に溶液を噴霧して化学反応を生じさせ、その結果、前記複数の電鋳要素の前記第1の側が前記黒化することと、
前記金属物品を摂氏80から120度の熱にさらすことと、
を含み、
前記溶液は水と硫化カリウムファミリーを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属物品の前記複数の電鋳要素の前記第2の側を前記光電池に取り付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の側は、前記複数の電鋳要素の前記第2の側に形成されたオーバープレート部分を含み、前記はんだは、前記第2の側の前記オーバープレート部分にめっきされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
光電池用の金属物品を製造する方法であって、
予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することと、
前記金属物品を電鋳することであって、前記金属物品は、前記マンドレルの前記外面層上に前記予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含み、前記複数の電鋳要素は、前記マンドレルの前記外面層に隣接する第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、前記電鋳することと、
前記マンドレルの上にある間に、前記複数の電鋳要素の前記第2の側にはんだをめっきすることと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離することであって、前記複数の電鋳要素は、前記金属物品が前記マンドレルから分離されるときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される、前記分離することと、
前記金属物品の前記複数の電鋳要素の前記第2の側を前記光電池に取り付けることと、
前記金属物品が前記光電池に取り付けられた後、前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することであって、前記複数の電鋳要素の前記第2の側の前記はんだは黒化しない、前記黒化することと、
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記黒化することが、
前記金属物品を溶液に浸して化学反応を生じさせ、その結果、前記複数の電鋳要素の前記第1の側が前記黒化すること、及び
前記金属物品を摂氏80から120度の熱にさらすこと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶液には、水、フルオロホウ酸、硫酸銅、亜セレン酸、リン酸、及び硫酸ニッケルが含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液には、ニッケルイオン、還元剤、錯化剤、中和剤、安定剤、及び光沢剤が含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液には水及び硫化カリウムファミリーが含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記黒化することが、前記金属物品を重炭酸ナトリウムで濯ぐことをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記金属物品を前記浸すことが、前記金属物品の一部または前記金属物品全体を浸すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記金属物品が約45から140秒間前記溶液に浸される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記黒化することが、
前記複数の電鋳要素の前記第1の側に溶液を噴霧して化学反応を生じさせ、その結果、前記複数の電鋳要素の前記第1の側が前記黒化すること、及び
前記金属物品を摂氏80から120度の熱にさらすこと
を含み、
前記溶液は水と硫化カリウムファミリーを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年7月6日に出願された「Method for Blackening a Metallic Article」と題された米国仮特許出願第62/694,644号、及び2018年10月9日に出願された「Method for Blackening a Metallic Article」と題された米国仮特許出願第62/743,178号に対する優先権を主張するものであり、その両方が参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
太陽電池とは、光子を電気エネルギーに変換するデバイスである。この電池によって生成された電気エネルギーは、半導体材料に連結される電気接点を介して集積され、モジュール内の他の光電池との相互接続を介して経路制御される。太陽エネルギーの使用は、技術が提供する多くの利点のために、いっそう一般的になっている。モジュールは、個人用、住宅用、軍事用、または商業用の場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
モジュールの光に面する側の電気接点及び相互接続は、通常、光沢があり、光を反射し、それが取り付けられている太陽電池と比較して色のコントラストが明瞭なため、人間の目に対して可視であり得る金属製材料である。このため、モジュールは美的なものではなく、特定の用途を損なう可能性がある。例えば、ソーラーシングルなどの住宅市場向けの屋根のシステムが利用可能であり、顧客は、露出したワイヤ及び/または接続の減損のない魅力的で滑らかな屋根の外観を所望する。トラック輸送業界などの商用利用では、太陽エネルギーがトラックの屋根に使用される場合がある。顧客は、トラックのソーラーモジュールのプロフェッショナルで均一な外観を望んでいる。一部の適用例では、軍事作戦などでソーラーモジュールの存在を検出できないようにする必要がある。例えば、太陽エネルギーを収集して発電機、バッテリーパック、またはウェアラブルテクノロジーに使用できるが、モジュールは目立たず、敵に見えず、使用者の位置を明かさないようにする必要がある。別の使用例では、ソーラーモジュールを電気またはガスのいずれかの車両の上部に配置して効率を高めることができ、製品を購入するエンドユーザーにとって美的ものでなければならない。
【0004】
一部のソーラーモジュールは、カバーガラスにドットのパターンまたはモジュールにプラスチックシートを使用して、外観を変更して見栄えを良くする場合がある。ドットのパターンは、離れた場所から見える画像を形成する場合があるが、近づくと、個々のドットと、モジュールの光に面する側の電気接点や相互接続など、カバーガラスまたはプラスチックシートの後ろの内容が可視になる。さらに、ドットのパターンによって一部の光が遮断されるため、ドットのパターンによってソーラーモジュールの効率が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示されるのは、太陽電池用の金属物品を製造する方法であり、この方法は、予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することを含む。金属物品は電鋳されている。金属物品は、マンドレルの外面層上に予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含む。複数の電鋳要素は、マンドレルの外面層に隣接する第1の側と、第1の側の反対側の第2の側とを有する。はんだは、マンドレル上にある間に、複
数の電鋳要素の第2の側にめっきされる。金属物品はマンドレルから分離される。複数の電鋳要素は、金属物品がマンドレルから分離されるときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される。金属物品をマンドレルから分離した後、溶液を金属物品に適用して、複数の電鋳要素の第1の側の黒化を作出する。複数の電鋳要素の第2の側のはんだは黒化しない。
【0006】
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態のそれぞれは、単独でまたは互いに組み合わせて用いられ得る。態様及び実施形態をこれから添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態における例示的な電鋳マンドレルの斜視図を示す。
【
図2】A~Cは、自立型電鋳金属物品を生産する際の例示的な段階の断面図である。
【
図3】A~Bは、金属物品の2つの実施形態の上面図である。
【
図4】一実施形態における、適合可能な特徴を備えた金属物品の上面図を提示する。
【
図5】A~Bは、実施形態による、セル間相互接続の拡大図である。
【
図6】A~Bは、例示的なマンドレル及びオーバープレート部分を有する対応する電鋳要素の断面図を示す。
【
図7】オーバープレートの形状の例示的な実施形態の断面を示している。
【
図8】電鋳マンドレル上にめっきされ得るテンプレート金属の実施形態、及び生産され得る電鋳された部品の実施形態の断面図を提示する。
【
図9】A~Bは、電鋳要素にめっきされ得る例示的な層の断面図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品を黒化するための方法の簡略化されたフローチャートである。
【
図11】いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品を黒化するための方法の概略図を有するフローチャートである。
【
図12】いくつかの実施形態による、浸たすプロセスによって、金属物品を浸たす方法の簡略化されたフローチャートである。
【
図13】いくつかの実施形態による、黒化プロセスにおける例示的な溶液を示している。
【
図14】いくつかの実施形態による、金属物品を噴霧する方法の簡略化されたフローチャートである。
【
図15】いくつかの実施形態による、噴霧プロセスの最中の金属物品の概略図である。
【
図16】いくつかの実施形態による、金属物品を噴霧する方法の簡略化されたフローチャートである。
【
図17】いくつかの実施形態による、金属物品を黒化する方法の簡略化されたフローチャートである。
【
図18】いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品を黒化するための方法の概略的な表現を示す。
【
図19】いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品を製造する方法の簡略化されたフローチャートである。
【
図20】いくつかの実施形態による、黒化されていない金属物品を有する光電池の上面図を示す。
【
図21】いくつかの実施形態による、黒化された金属物品を有する光電池の上面図である。
【
図22】A、B、及びCは、いくつかの実施形態による、黒化のための方法を実施する図を示している。
【
図23】A、B、及びCは、いくつかの実施形態による、電鋳要素の湾曲した経路を有する金属物品の設計を示す。
【
図24】A、B及びCは、いくつかの実施形態による、曲面から構成されるセル間相互接続の設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
太陽電池のメタライゼーションは、従来、セルの表面にスクリーン印刷された銀ペーストと、はんだコーティングされたリボンを利用したセル間相互接続によって実現されていた。本開示の金属物品は、太陽電池または他の半導体デバイス用に調整されたパターン模様のある金属層を生成する電鋳マンドレル内で製造される。例えば、金属物品は、太陽電池の陰影を最小にする高さ対幅のアスペクト比を有するグリッド線を有することができ、また金属物品は、黒化材料でコーティングされ得る。金属物品は、従来のバスバーのメタライゼーション及びリボンストリングを、セルのメタライゼーション、セル間相互接続、及びモジュール作成に置き換えることができる。金属物品は、製品の効率に悪影響を与えることなく、ソーラーモジュールの美的外観を劇的に改善する「黒化した」表面を有している。本開示における「黒化」という用語は、金属物品をその本来の金属色から別の色に変更することを説明するために使用され、これは一般に、金属物品が取り付けられている太陽電池と同様の暗色または黒色を意味する。しかし、本実施形態は、金属物品に他の色を作成するためにも同様に使用することができる。
【0009】
2013年3月13日に出願された「Free-Standing Metallic
Article for Semiconductors」と題する米国特許第8,916,038号として発行されたBabayanらの米国特許出願公開第13/798,123号では、光電池などの半導体用の電線管が、電鋳された自立型金属物品として製造されている。追加の電線管は、2013年11月13日に出願された「Adaptable Free-Standing Metallic Article for Semiconductors」と題されたBabayanらの米国特許第8,936,709号、また2013年11月13日に出願された「Free-Standing Metallic Article With Expansion Segment」と題するBrainardらの米国特許出願公開第14/079,544号にも開示されている。これらは、すべて本願の譲受人によって所有され、参照により本明細書に組み込まれる。金属物品は、太陽電池と別個に生産され、単一の部品として安定的に伝達され、半導体デバイスに容易に整列され得るフィンガー及びバスバーなどの複数の要素を含み得る。金属物品の要素は、電鋳プロセスにおいて互いに一体的に形成される。金属物品は、太陽電池または他の半導体デバイス用に調整されたパターン模様のある金属層を生成する電鋳マンドレル内で製造される。例えば、金属物品は、太陽電池に対するシェーディングを最小化する高さ対幅のアスペクト比を備えるグリッド線を有し得る。金属物品は、従来のバスバーのメタライゼーション及びリボンストリングを、セルのメタライゼーション、セル間相互接続、及びモジュール作成に置き換えることができる。プロセスのステップ間で安定的に伝達され得る独立部品として光電池のためのメタライゼーション層を生産する能力は、材料費用及び製造において種々の利点を提供する。
【0010】
図1は、米国特許出願公開第13/798,123号の一実施形態における例示的な電鋳マンドレル100の一部の斜視図を示す。マンドレル100は、ステンレス鋼、銅、陽極酸化アルミ、チタン、またはモリブデン、ニッケル、ニッケルと鉄の合金(例えば、インバール)、銅、またはこれらの金属の任意の組合せなどの導電性の材料から作製され得、高いめっき電流を可能にし、高い処理量を有効にするための十分な面積で設計され得る。マンドレル100は、生産される電線管要素の所望の形状にカスタマイズされ得るパターン要素110及び112を含む、予備形成されたパターンを持つ外表面105を有する。本実施形態において、パターン要素110及び112は、長方形の断面を持つ溝またはトレンチであるが、他の実施形態において、パターン要素110及び112は他の断面形
状を有し得る。パターン要素110及び112は、本実施形態において平行線の組が互いに垂直に交差する格子型のパターンを形成するための交差するセグメントとして示される。
【0011】
パターン要素110は、高さ「H」及び幅「W」を有し、高さ対幅の比率がアスペクト比を定義する。マンドレル100においてパターン要素110及び112を用いて金属物品を形成することにより、電鋳金属部品が光電用途に調整され得る。例えば、アスペクト比は、太陽電池の遮光制約を満たすために、必要に応じて約0.01から約10の間であり得る。
【0012】
アスペクト比、パターン要素の断面形状及び長手方向の配置は、電流容量、直列抵抗、シェーディング損失、及びセル配置などの所望の仕様に合うように設計され得る。任意の電鋳プロセスが用いられ得る。例えば、金属物品は、電気めっきプロセスによって形成され得る。とりわけ、電気めっきは概して等方性プロセスであり、パターンマンドレルで電気めっきを制約して部品の形状をカスタマイズすることは、効率を最大化するための著しい改善である。さらに、特定の断面形状は、半導体の表面に配置すると不安定になる場合があるが、マンドレルを用いて生成され得る曲線状の要素を含むカスタマイズされたパターンは、相互接続配線などの特徴が、これらの導管に対し安定性を提供することを可能にする。いくつかの実施形態において、例えば、予備形成されたパターンは、交差する線を持つ連続する格子として構成され得る。この構成は、格子を形成する複数の電鋳要素に機械的安定性を提供するだけでなく、電流がより多くの導管に架かるため、低い直列抵抗を可能にする。格子型構造はまた、セルの堅牢性を増大させ得る。例えば、格子のいくつかの部分が壊れるか機能しなくなると、格子のパターンが存在するために、電流は壊れた領域の周囲に流れ得る。
【0013】
図2A~
図2Cは、米国特許出願公開第13/798,123号に開示されているように、マンドレルを使用して金属層片を生産する際の例示的な段階の簡略化された断面図である。
図2Aにおいて、パターン要素110及び115を有するマンドレル102が提示されている。パターン要素115は、先細になっている垂直の断面を有し、マンドレル102の外表面105に向かって広がる。先細りの垂直断面は、導電性を改善するために金属の量を増やす、またはマンドレル102からの電鋳片の除去を促すなど、特定の機能の利点をもたらすことができる。マンドレル102は電鋳プロセスを受け、そこで例示的な電鋳要素150、152、及び154は、
図2Bに示すように、パターン要素110及び115の内部に形成される。電鋳要素150、152、及び154は、例えば、銅のみでよく、または銅合金でよい。他の実施形態において、ニッケルの層は、ニッケルが完成された半導体デバイスの銅混入に対抗するバリアを設けるように、最初にマンドレル102の上に、次に銅によってめっきされ得る。追加的なニッケル層は、
図2Bにおいて電鋳要素150のニッケル層160によって示されるように、銅を封止するために電鋳要素の頂部の上に、任意選択的にめっきされ得る。他の実施形態において、複数の層が、生産される金属物品の必要な特性を達成するために所望されるように、種々の金属を用いてパターン要素110及び115の内部でめっきされ得る。
【0014】
図2Bにおいて、電鋳要素150及び154は、マンドレル102の外表面105と同一平面になるように形成されて示される。電鋳要素152は、要素がオーバープレートされ得る別の実施形態を図示する。電鋳要素152について、金属がマンドレル102の表面105の上に拡張するまで電気めっきが継続する。電鋳の等方性の性質のために、典型的に曲線的な頂部として形成するオーバープレート部分は、マンドレル102からの電鋳要素152の取り出しを容易にするためのハンドルとして機能し得る。電鋳要素152の曲線的な頂部はまた、例えば、光の収集を補助する反射性の表面であることにより、光電池における視覚的な利点を提供し得る。示されないさらなる他の実施形態において、金属
物品は、予備形成されたパターン110及び115内に形成されるものに加えて、バスバーなどの表面105の上部に形成される一部分を有し得る。
【0015】
図2Cにおいて、電鋳要素150、152、及び154は、自立型金属物品180としてマンドレル102から取り出される。
図2A~
図2Cは、3つの異なるタイプの電鋳要素150、152、及び154を示していることに留意されたい。様々な実施形態において、マンドレル102内部の電鋳要素は、すべて同じタイプであり得るか、または電鋳パターンの異なる組み合わせを有し得る。金属物品180は、
図1の交差する部材のパターン112によって形成されるような、交差する要素190を含み得る。交差する要素190は、個々の要素150、152、及び154を互いに整列させたまま、他の処理ステップに容易に移すことができるように、金属物品180を単一の自立型部品にするよう補助し得る。追加的なプロセスステップは、自立型金属物品180のための黒化ステップや、これを半導体デバイス内に組み込むための組立ステップなどのステップを含み得る。自立型の部品として半導体の金属層を生産することにより、全体の半導体組立体の製造生産量は、金属層の生産量の影響を受けない。また、金属層は、他の半導体層とは別個の温度及びプロセスにさらされ得る。例えば、金属層は、残りの半導体組立体に影響を与えない高温プロセスまたは化学的バスを経てもよい。
【0016】
図2Cで金属物品180がマンドレル102から取り出された後、マンドレル102は、追加的な部品を生産するために再利用され得る。マンドレル102を再利用できることは、電気めっきが太陽電池上に直接実施される現行技術に比べて、著しい費用削減をもたらす。直接電気めっき法において、マンドレルは、セル自体の上に形成され、よってそれぞれのセル上に構築され、多くの場合破壊されなければならない。再利用可能なマンドレルを有することは、パターン形成及び次に半導体デバイスのめっきを必要とする技術に比べ、プロセスのステップを低減し、費用を節約する。他の従来の方法において、めっきプロセスを開始するため、薄い印刷シード層が半導体表面に適用される。しかし、シード層の方法は、低い処理量をもたらす。対照的に、本明細書に記載の再利用可能なマンドレルの方法は、厚い金属のマンドレルを利用し得、これは高い電流の性能を可能にし、高いめっき電流をもたらし、したがって高い処理量をもたらす。金属マンドレルの厚さは、例えば、0.2~5mmの間であり得る。
【0017】
図3A及び
図3Bは、本明細書に記載の電鋳マンドレルによって生産され得る、例示的な金属層500a及び500bの上面図を図示する。金属層500a及び500bは、ここで実質的に平行なフィンガー510として具現化される電鋳要素を含み、これは導電性のマンドレル内の実質的に平行な溝によって形成されている。金属層500bはまた、ここで鉛直フィンガー510と交差する水平フィンガー520として具現化される電鋳要素も含み、フィンガー510及び520は、ほぼ垂直の角度で交差する。他の実施形態において、フィンガー510及び520は、連続する格子またはメッシュのパターンをなおも成形する一方で、他の角度で交差し得る。金属層500a及び500bはまた、フィンガー510及び520から電流を集積するためのバスバーとして機能し得るフレーム要素530も含む。金属物品の一部として一体的に形成されるバスバーを有することは、製造の改善をもたらし得る。ソーラーモジュール生産の現在の大容量式方法において、セルの接続は、金属リボンを電池に手作業ではんだ付けすることによって多くの場合達成されている。これは一般に、手作業及びはんだリボンによって電池上に付与される応力により、壊れたまたは損傷した電池をもたらす。また、手作業のはんだ付けプロセスは、労働に関連する生産費用が高くなる。よって、本明細書に記載の電鋳金属物品によって可能であるように、すでに形成され、メタライゼーション層に接続されたバスバーまたはリボンを有することは、低費用、自動化された製造方法を可能にする。
【0018】
フレーム要素530はまた、マンドレルから取り出されたときに金属層500a及び5
00bが単一の、自立型の部品であるように、機械的安定性をもたらし得る。つまり、金属層500a及び500bは、光電池または他の半導体組立体と別離されたときに、フィンガー510及び520が接続されたままとなり、これらがひとつの部品であるという点において単一である。フレーム要素530は、フィンガー要素510と520との間の間隔及び整列を維持することを、これらが光電池に取り付けられるときにさらに補助し得る。フレーム要素530が、金属層500a及び500bの一方の縁にわたって延びるものとして
図3A~
図3Bに示されている。しかし、他の実施形態において、フレーム要素は、1つの縁にわたって部分的にのみ延在し得るか、または1つよりも多くの縁を縁取り得るか、または1つの縁の1つ以上のタブとして構成され得るか、または格子自体の内部に存在し得る。さらに、フレーム要素530は、フィンガー510及び520と同時に電鋳され得るか、または他の実施形態において、フィンガー510及び520が形成された後に、別個のステップにおいて電鋳され得る。
【0019】
本明細書に開示されるマンドレルは、単一の金属物品または電鋳要素を形成するために示されているが、マンドレルはまた、複数の物品を形成するように構成され得る。例えば、マンドレルは、完全なソーラーアレイのために所望の数の電線管のグリッドを作成するなど、複数の金属物品500aまたは500bを形成するためのパターンを含み得る。
【0020】
電鋳マンドレルによって製造された金属物品は、本願の譲受人が所有し、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,936,709号に開示されているような、特定の光電池の所望の機能及び製造上のニーズを満たすように特徴をさらに調整することを可能にする。例えば、金属物品内にある要素の個々の形状をカスタム設計したり、金属物品のある領域の要素を別の領域の要素と幾何学的に異なる特徴で設計したりすることができる。カスタマイズされた特徴は、個別に使用することも、互いに組み合わせて使用することもできる。電鋳マンドレルを使用すると、電鋳部品全体の寸法上の制約がなくなり、金属物品内部の特定の領域に合わせて、特徴を最適化できる。
【0021】
図4は、光電池に適合された様々な特徴の実施形態に関する、本開示の金属物品400の上面図を示す。半導体基板402は、光電池における金属物品の配置を示すために破線で示され、金属物品400は、ここでは、セルの前側のグリッドとして構成されている。しかし、本明細書に記載の特徴は、光電池の裏側の電線管に適用することができる。本開示では、半導体デバイスまたは光電池の形成において半導体材料を言及することは、非晶質シリコン、結晶シリコン、または光電池での使用に適する他の任意の半導体材料を含み得る。金属物品は、光電池以外の他のタイプの半導体デバイスにも適用することができる。半導体基板402は、角が丸い単結晶セルとして
図4に示しており、また疑似正方形形状とも呼ばれる。他の実施形態では、半導体基板は、完全に正方形の形状を有する多結晶であり得る。半導体基板402は、その表面に、基板402によって生成された電流を伝送する銀フィンガーなどの電線管ライン(図示せず)を有し得る。
【0022】
金属物品400は、光電池の光入射表面のための電線管として機能するように構成された複数の電鋳要素を有する第1の領域456を含む。セル間相互接続440は、第1の領域456と一体である。銀フィンガーは、従来の方法に従って、半導体基板402上にスクリーン印刷することができる。例えば、銀フィンガーは、第1の領域456のグリッド線410の方向に垂直な線であり得る。次に、金属物品400の要素は、銀フィンガーから電流を伝送するための電線管として機能する。
図4のこの実施形態では、金属物品400の第1の領域456のグリッド線410(
図4の水平方向)及びセグメント420(
図4の垂直方向)は、はんだ付けなどによって半導体基板402に電気的に結合され、電流を収集し、相互接続要素またはセル間相互接続440に送達する。グリッド線410は、第1の領域456の縁に垂直であり得る。セル間相互接続440は、ソーラーモジュールのセル間接続がソーラーアレイを作成することを可能にする。銅などの金属を用いて金属
物品400を製造することは、すべての電線管に銀が使用されるセルと比較してコストを削減し、また、導電率の改善によりセルの効率を改善することができる。
【0023】
複数の電鋳要素は、複数の第2の要素と交差する複数の第1の要素を含み得る。例えば、
図4のグリッド線410及びセグメント420は、互いに交差し、ほぼ垂直であるとして示されているが、他の実施形態では、それらは、互いに垂直ではない角度であり得る。グリッド線410及びセグメント420の両方が電流を伝送することができるが、グリッド線410は、相互接続要素440に対する最小の抵抗の経路を設けて、電流の主要なキャリアとして機能する。セグメント420は、強度、及びグリッドの寸法仕様の維持の両方の観点から、自立型金属物品400の機械的支持を提供する。しかし、セグメント420はまた、グリッド線410が機能しなくなって冗長性が出てしまう際などに、電線管として機能することができる。いくつかの実施形態では、グリッド線410及びセグメント420は、機械的強度を最適化するため、またはセルの所望のフィル因子を達成するためなど、互いに異なる幅412及び422をそれぞれ有し得る。例えば、グリッド線410の幅412は、セグメント420の幅422よりも小さくてもよく、その結果、セグメント420は、金属物品400に十分な機械的安定性をもたらし、一方でグリッド線410は、可能な限り高いフィル因子を達成するように調整される。さらなる実施形態では、特定のグリッド線410は、特定のゾーンの機械的強度または電気容量に対処するためなどのために、他のグリッド線410とは異なる幅を有することができる。グリッド線410のピッチはまた、セグメント420から変動し得るか、または必要なデバイス伝導要件を満たすために金属物品400内部の異なる領域において互いに変動し得る。いくつかの実施形態では、より粗いまたはより細かいメッシュのピッチは、例えば、ウェーハの銀フィンガー設計、銀スクリーン印刷プロセスの精度、または使用されるセルのタイプに基づいて選択され得る。
【0024】
別の実施形態では、電流を収集して金属物品400の第1の領域456内の相互接続要素に送達する要素のパターンは、グリッド線(水平方向)及びグリッド線(垂直方向)からなることができ、これらは半導体基板402に電気的に結合されている。垂直方向のグリッド線は、
図4のセグメント420とは異なっていてもよく、
図4では、垂直方向のグリッド線は、金属物品400の一方のエッジ部材450から金属物品400の他方のエッジ部材450まで延びており、水平グリッド線に実質的に垂直である。水平グリッド線と垂直グリッド線はメッシュ構成を形成する。
【0025】
調整され得るさらなる特徴は、金属物品が製造される電鋳マンドレルに設計され得る。例えば、金属物品は、金属物品の第1の領域456の大部分にわたってメッシュ構成を形成する交差するグリッド線を有し得る。グリッド線の幅は、その全長に沿って不均一である可能性がある。一実施形態では、水平グリッド線の幅は、セルの電流の収集の端部である相互接続要素(またはセル間相互接続440)に近いほど広くなる。この増加した幅は、電流が第1の領域456のその表面にわたって金属物品によって集められるので、この端部でより高い電流を収容する。したがって、幅を広げると抵抗の損失が減少する。グリッド線の高さは、幅が広い領域で必要に応じて調整することもできる。
【0026】
さらに、縦方向のプロファイルは、幅を変えることに加えて、形状を変えることができる。水平及び垂直グリッド線は、グリッド線を縦方向に拡張できるようにする非線形のパターンで構成することができ、したがって拡張セグメントとして機能する。一実施形態では、水平及び垂直グリッド線の両方は、グリッド線410及びセグメント420によって例示されるように、湾曲した要素を備える波形のパターンを有し得る。波形のパターンは、例えば、正弦波または他の湾曲した形状または幾何学形状として構成することができる。波形のパターンは、はんだの点の間に余分な長さをもたらして、金属物品を膨張及び収縮させることができ、例えば金属物品とそれが接合される半導体基板との間の熱膨張係数
(CTE)の差に対するひずみの緩和をもたらす。例えば、銅のCTEはシリコンの約5倍である。したがって、シリコン基板にはんだ付けされた銅金属物品は、完成した太陽電池の中へとサブアセンブリを製造することに伴う加熱及び冷却ステップの最中に、大きなひずみを受ける。他の実施形態では、特定のグリッド線のみが拡張セグメントとして構成され得る。さらに別の実施形態では、単一のグリッド線の特定の部分のみが拡張セグメントとして構成され得、一方で、長さの残りは線形である。
【0027】
図4の実施形態では、グリッド線410は、波形のパターンを有する。セグメント420もまた、波形のパターンを有する。セル間相互接続440の近くに、追加の水平セクション430が存在し得る。追加の水平セクション430は、追加の電流伝送能力を提供する。他の実施形態では、グリッド線410及びセグメント420は、線形であり得るか、または波形のパターンと線形を組み合わせたものであり得る。グリッド線410及びセグメント420はまた、太陽電池の周囲近くに配置されるように構成されたエッジ部材450及び455を含む。例えば、エッジ部材450及び455は、ウェーハ402のエッジから1~3mmの位置に配置され得る。エッジ部材450及び455は金属物品400の周囲を形成するので、エッジ部材450及び455は、追加の構造的支持をもたらすために、金属物品400の内部の他のグリッド線410及びセグメント420よりも広くてもよい。エッジ部材455は、
図4の実施形態では、コーナーのバスバーとして構成されており、それは主要エッジ部材450から角度を形成する。すなわち、エッジ部材450は、この実施形態における疑似正方形の形状に対応するためなど、長さに沿って導管の方向が変化する。この方向の変化は、電鋳マンドレルによって一体的に形成することができ、また機械的強度を改善して抵抗損失を低減するために、コーナーのバスバー455の幅を調整することを含むことができる。金属物品400の周囲にあるより広いバスバー450及び455はまた、金属物品400を半導体基板402に取り付けるときの結合強度を改善することができる。
【0028】
セル間相互接続440は、金属物品400の縁の近くにある。セル間相互接続440は、第1の領域456と一体である。セル間相互接続440は、第1の領域456の光入射表面を超えて延在し、金属物品400を隣接する光電池に直接結合するように構成される。
図5A及び
図5Bは、セル間相互接続の異なる実施形態の拡大図である。セル間相互接続440は、複数の電鋳された湾曲した付属物460を含む。各付属物460は、第1の領域456の縁464に結合された第1の端部462と、第1の端部462の反対側で縁464から離れた第2の端部466とを有する。付属物460は、互いに離間している。隣接する付属物460を離間する-つまり結合しない-ことにより、各付属物の独立した屈曲と熱膨張性に起因して、応力の緩和が改善される。
【0029】
一実施形態では、付属物460のパターンは、セル間相互接続440の元の平面内の曲面から構成される砂時計またはボウリングのピンの形状の輪郭を形成し、鋭いまたは真っ直ぐな縁または角度がほとんどないか、またはまったくない。他の形状が使用されてもよく、例えば非対称、長い、正弦波様の形状であり得る。付属物460の曲率は、他端と比較して、一端部462または466で、より大きくてよい。付属物460は、互いに離間させることができ、付属物460のパターンは、ヘッドトゥーテールの様式、またはヘッドトゥーヘッドの方法で、次々に繰り返され得る。付属物460は、セル間相互接続440にわたって繰り返しのパターンまたは非繰り返しのパターンを有し得る。付属物460は、機械的及び熱的な応力によるひずみの緩和のため、横方向のコンプライアンス及びばねのような構造を可能にする。
図5Bの実施形態では、付属物460は、1センチメートルあたり10回以上繰り返され得る。第1の領域及びセル間相互接続440を含む金属物品400は、導電性マンドレルにて電鋳され、導電性マンドレルから分離されたときに単一の自立型部品を形成するために予備形成されたパターンによって形成され得る。
【0030】
一実施形態では、金属物品400は、セル間相互接続440と一体であり、複数の電鋳付属物460の第2の端部466に結合された金属ストリップ470をさらに含む。金属ストリップ470は、隣接する光電池の裏側に結合されるように構成される。セル間相互接続440の金属ストリップ470は、隣接するセルの背面のはんだパッドとして機能し、一方で付属物460は、太陽電池間の電線管として機能する。セル間相互接続440の設計は、3つのバスリボンが使用される従来のはんだリボンと比較して、大きな表面積を有することに留意されたい。その結果、セル間相互接続440の設計は、低い直列の抵抗及び最小の電圧降下をもたらすことによって、モジュールレベルでの効率を改善する。例えば、セル間相互接続440の幅432は、グリッド線410及びセグメント420の50~100μmの幅と比較して、5~10mm、例えば、6~8mmであり得る。
【0031】
図6Aは、露出した金属領域712及び金属基板720の部分を覆う誘電体領域714を備えた、外面層710を有する例示的なマンドレル700を示している。誘電体領域714は、例えば、フッ素重合体(例えば、Teflon(登録商標))、パターン形成したフォトレジスト(例えば、Dupont Riston(登録商標)厚膜レジスト)、またはエポキシ系フォトレジスト(例えば、SU-8)厚層であり得る。フォトレジストは、選択的に露光及び除去されて、所望のパターンを顕在化する。他の実施形態では、誘電体領域714は、例えば、機械加工または精密レーザ加工によりパターン形成され得る。誘電体または永久レジストの使用によりマンドレル700の再使用が可能になり、消耗性のマンドレルと比較して、プロセス数及び消費する費用を削減し、全製造プロセスの処理量を増大させる。
【0032】
図6Aにまた示されているのは、電鋳要素750である。電鋳要素750は、露出した金属領域712上に形成され、マンドレル700の外面層710上にオーバープレートされる。オーバープレーティングは、パターン形成された誘電体層の表面を超えて延びる電鋳要素の部分である。
図6Bは、マンドレル700から分離されたときの電鋳要素750を示し、オーバープレート部分752は、電鋳要素750の全体の高さ765のパーセンテージに亘る高さ760を有する。全体の高さ765は、オーバープレート部分752の高さ760、ならびにステム部分754の高さ(破線で示されている)を含む。オーバープレート部分752の高さ760は、電鋳要素750の全体の高さ765のパーセンテージであり得、パーセンテージは、異なる実施形態において変動し得る。いくつかの実施形態では、高さ760は、全体の高さ765の大部分、例えば、50%超に亘ることができる。さらなる実施形態では、高さ760は、ステム領域が存在しないように、高さ765全体を包含し得る。オーバープレートの構成は、オーバープレート部分752の丸みを帯びた上面754に起因して、光学的利点を提供し得る。さらに、上面754は、太陽電池の効率を高めるために光の反射を促すように設計され得る。例えば、上面754は、ランバート面を作成するためにテクスチャリングされ得るか、または他の実施形態で、上面754は、鏡面反射を増強するために、銀などでコーティングされ得る。
【0033】
電鋳の量とマンドレル上の露出した金属領域の寸法によって、形成される電鋳の形状の範囲が決まる。金属の堆積はマンドレルによって制約されないため、外面層の誘電体領域の上方にオーバープレーティングすることが可能になる。
図6A及び
図6Bの実施形態では、オーバープレート部分は略半球形である。
図7は、形成され得るオーバープレート形状の他の例示的な実施形態の断面を提示している。一実施形態では、電鋳要素800は、半球よりも広い面積を有する、切頭円形の断面の形状である。このタイプの要素800は、例えば、
図6Bの半球形のオーバープレート部分752を形成する場合と比較して、電鋳時間または電流を大幅に増加させることによって製造することができる。別の例では、電鋳要素850は、角が丸い長方形の断面を有する。この形状は、例えば要素800と比較して、より広い金属マンドレル領域を使用して生成され得る。電気めっきプロセスの性質により、下部コーナー855はまた、わずかに丸みを帯びる場合がある。
【0034】
本開示におけるオーバープレート部分の形状は、パルスめっき技術の使用、アノードまたはカソードの部分のシールド、アノードの形状及び配置の変更、アノード/カソードへの距離の調整、及び電鋳部品に衝突する流体の流れを変更して、形状をより狭く及びより高くすることができ、双曲線または楕円の形状を可能にし、さらには、突出する電鋳を狭めて円錐形に近似するようにし得る。さらなる実施形態では、オーバープレートされた領域はまた、複数の高さのレジストを使用することによって形状を調整することができる。例えば、より高さの高いレジストを、より高さの低いレジストとは反対に、開いたトレンチの片側に配置することができる-例えば、露出部分712の右側のレジスト714よりも露出部分712の左側の
図6Aのレジスト714の方が厚くなるようにする。このような例では、オーバープレートされたセクションは、めっきされた領域の片側(つまり下側)に半球形の表面を示すが、厚いレジストに対向する代替の平らな面を備える。このダブルレジスト法はまた、生産された部品に他の効果、例えばクリーンホールの形成や、ディンプル作成を生み出すために使用できる。
【0035】
図8は、テンプレート金属をマンドレル900の上にめっきして、マンドレルの外面層の露出した金属領域及び誘電体領域によって形成された溝を少なくとも部分的に埋めることができる他の電鋳の実施形態を示す。一実施形態では、テンプレート金属920は、露出金属領域912a及び周囲の誘電体領域914によって画定される溝を埋めるようにめっきされ、その結果、テンプレート金属920は、マンドレル900の外面層910の上部とほぼ同一平面上にある。電鋳要素925は、平坦な底面927が作成される、テンプレート金属920にオーバープレーティングすることによって生産される例示的な部品を示している。すなわち、電鋳要素925は、テンプレート金属920が外面層910と同一平面上にあるため、ステム部分(例えば、
図6Bのステム部分754)が存在しない。したがって、オーバープレート部分は、電鋳要素925の高さ全体を構成する。別の実施形態では、テンプレート金属930は、露出した金属領域912b上の溝を部分的に満たし、テンプレート金属がマンドレル溝にない
図6Bのステム部分754と比較して、短いステム部分937を有する電鋳要素935を生成する。さらに別の実施形態では、テンプレート金属940は、露出した金属領域912cの溝にわずかに過剰に充填され、その結果、テンプレート金属940は、凸状の輪郭を有する上面942を形成する。結果として、テンプレート金属940に形成される電鋳要素945は、凹状の底面947を有する。平面ではない底面947は、太陽電池に接合されるときに電鋳要素945の下にはんだが吸収されることを可能にし、したがって、はんだまたは他の付着材料の量の増加による接合強度の増加などの利点を提供し得る。
【0036】
したがって、
図8は、電鋳マンドレルの電鋳領域に920、930、または940などのテンプレート金属を使用することにより、電鋳要素に特定の形状を与えることができることを示している。テンプレート金属は導電性であり、その上に金属要素を電鋳することができるが、また電鋳要素との接着性が低くなり得、それによりテンプレート金属がマンドレルに残っている間に電鋳物品を除去することもできる。したがって、テンプレート金属はマンドレル内に残り、金属物品が生産されてマンドレルから取り出された後に、再利用することができる。テンプレート金属は、例えば、ニッケル、銅、スズ、鉛、スズ/鉛、銀、または金であり得、標準的な電鋳技術を使用して堆積され得る。特定の実施形態では、テンプレート金属は、マンドレル材料を環境から、または電鋳プロセスで使用される化学物質から保護するように選択することができる。テンプレート金属は、マンドレルの誘電体部分と露出金属部分との間の界面を保護するために使用することもできる。さらなる実施形態では、パターン化された誘電体とマンドレル基板との間の界面は、界面で第2の誘電体をパターン化することによって、環境から保護することができる。テンプレート金属は、誘電体を所定の位置にロックすることにより、誘電体の層間剥離を防ぐのにも役立ち得る。また、テンプレート金属は、真空コーティング技術によって堆積することもで
き、チタンやステンレス鋼などの金属の堆積を可能にし、それにより、接着面が低くなり、金属物品の放出が容易になり、誘電体とマンドレル基板との間の界面がより適切に保護される。この場合、テンプレート金属は、マンドレルの露出した金属領域に限定するために、第2のパターン化ステップを必要とする場合がある。電鋳で使用される別の一般的な卑金属の適用は、無電解堆積である。これは、複雑な表面の幾何学形状に、複製用の金属を配置するために、一般的に使用される。この方法は、本明細書で説明するマンドレル用の卑金属を作成するためにも使用できる。
【0037】
図9A及び
図9Bは、本方法を使用して電鋳要素上に含まれ得る様々な層を説明している。
図9Aでは、電鋳要素1000は、銅などのバルク導体材料1010を有し、バリア層1020がバルク導体1010の上面にめっきされ、バリア層1030がバルク導体1010の底面にめっきされる。電鋳要素1000の底面は、取り付け用の表面を提供するなど、光電池に面するように構成される。バリア層1020及び1030の材料は、銅の腐食を防止し、例えば、ニッケル、ニッケルホウ素、銀、スズ、またはスズ-鉛合金であり得る。電鋳要素1000は、マンドレルにバリア層1030をめっきし、バリア層1020上にバルク導体1010を形成し、次に上部バリア層1020をめっきすることによって製造される。したがって、バリア層1020及び1030は、バルク導体1010を取り囲む。さらなる実施形態では、追加の層1040(破線として示される)は、バリア層1020上に堆積され得る。例えば、層1040は、電鋳要素1000をセルに電気的に接触させるために、後でリフローして、光電池上のスクリーン印刷された銀フィンガーに結合することができるはんだであり得る。他の実施形態では、層1040は、電鋳要素1000の光学特性を強化するために、銀またはスズなどの反射材料を含み得る。例えば、上面によってもたらされる偏向と反射の強化は、金属物品の効果的な陰影をそのフットプリントよりも少なくなるよう減じる。
【0038】
図9Bは、電鋳要素1050の別の実施形態を示しており、はんだは、
図9Aのように上面ではなく、電鋳要素の底面に適用される。最初に、初期の層1060がマンドレル1052の露出した金属領域にめっきされる。層1060は、スズ、鉛、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。次に、銅の層1070が層1060上に無電解で堆積され、その結果、層1060及び1070は、有効にもマンドレルの露出した金属領域の一部となる。銅層1070は、硫酸銅と層1060の金属(スズ、鉛、または2つの任意の組み合わせ)との間の還元酸化反応により堆積され、初期の金属層1060の上部に緩く付着した銅の表面層を残す。はんだ層1080は銅層1070の上に形成される。銅層1070は、はんだへの接着性が低く、したがって、マンドレル1052からの電鋳要素1050の除去を容易にする。この目的のために層1060~1080でこれらの金属を使用することは、銅とのそれらの反応が電気めっきの最中の負の特徴として通常見られていることから、既知の方法と反対である。スズ、鉛、またはその2つの任意の組み合わせと銅との相互作用により、スズ/鉛の表面に非常に接着性の低い銅金属の層が生成される。従来の電気めっきの操作では、これは最終的に電気めっき部品の層間剥離を引き起こし、そのため、従来のめっき用途には望ましくない。本開示では、接着が不十分な銅層1070は有利になる。なぜなら、いかなる層をその上に堆積しているのであっても、剥離層(この場合は、はんだ層1080)を作成することができるからである。
【0039】
はんだ層1080は、マンドレル1052から取り外されたときに、電鋳要素1050に依然取り付けられている。次に、バリア層1030を、例えばはんだ層1080上にめっきして、
図9Aで説明したようにバルク導体1010の底面を形成することができる。しかし、この層1030のめっきは、電鋳要素1050を光電池に取り付けるために必要とされてはいない。次に、バルク導体1010が、この実施形態におけるオーバープレート構成などで形成される。バリア層1020は、バルク導体1010の上面上にめっきしてもよく、追加の層1040(複数可)-所望の表面仕上げを達成するための反射材料な
ど-がバリア層1020上に堆積される。次に、電鋳要素1050は、自立型金属物品として、マンドレル1052から分離され得る。
【0040】
要素がマンドレル内にある間に電鋳要素に対して
図9Aの層1040または
図9Bの層1080などのはんだの適用をすることは、電鋳物品がマンドレルから除去または剥離された後にはんだめっきステップを実行することに比べて、製造上の利点を提供する。金属物品の電鋳中にはんだを適用することにより、電鋳物品をマンドレルから取り外す前に、はんだを適用するための別個のめっき器具がプロセスから排除され、したがってコストが削減される。
図9Bの実施形態では、第2の側などの電鋳要素1050の片面にのみはんだ1080を適用することは、電鋳要素1050の反対側の表面(すなわち、第1の側)を異なる材料でコーティングすることを可能にすることによって、さらなる利点を提供する。
【0041】
金属物品を電鋳マンドレルから分離した後、複数の電鋳要素は、金属物品がマンドレルから分離されたときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される。美的観点での懸念や追加の機能のために複数の電鋳要素の黒化を作成することが望ましい場合がある。例えば、複数の電鋳要素の第1の側は、金属物品をマンドレルから分離した後に黒化される。
【0042】
図10は、いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品1200を黒化するための方法の簡略化されたフローチャートである。ステップ1202において、予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルが提供される。ステップ1204で、金属物品が電鋳される。金属物品は、マンドレルの外面層に予備形成されたパターンにおいて形成された複数の電鋳要素を含む。複数の電鋳要素は、マンドレルの外面層に隣接する第1の側と、第1の側の反対側の第2の側とを有する。ステップ1206で、はんだは、マンドレル上にある間、複数の電鋳要素の第2の側にめっきされる。いくつかの実施形態では、第2の側は、複数の電鋳要素の第2の側に形成されたオーバープレート部分を含み、はんだは、本明細書にて開示されるように、第2の側のオーバープレート部分にめっきされる。
【0043】
ステップ1208で、金属物品がマンドレルから分離される。複数の電鋳要素は、マンドレルから分離されたときに金属物品が単一の自立型部品を形成するように相互接続されている。ステップ1210で、金属物品をマンドレルから分離した後、複数の電鋳要素の第1の側が黒化する。複数の電鋳要素の第2の側のはんだは黒化しない。
【0044】
図11は、いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品を黒化するための方法1300の概略図が付随するフローチャートである。金属物品の電鋳要素が、例えば銅材料を使用してマンドレル内で電鋳された後、マンドレルの予備形成されたパターンに対応するグリッドのパターンが作成される。電鋳要素は、マンドレルの外面層に隣接する第1の側1304と、第1の側1304の反対側の第2の側1308とを有する。ステップ1206で、はんだ1306が電鋳要素の第2の側1308にめっきされる。ステップ1208で、グリッドまたは金属物品がマンドレルから分離される。電鋳要素の第2の側1308のはんだ1306は、電鋳要素の第2の側1308の銅材料を意図的にマスキングして、電鋳要素の第2の側1308で黒化が起こらないようにする。金属物品の複数の電鋳要素の第2の側1308、または金属物品のはんだ側は、一緒に取り付けられたときに光電池に隣接している。
【0045】
黒化を作成するために、ステップ1210aまたは1210bで、金属物品に溶液を噴霧するか(ステップ1210a)、または溶液に浸漬して(ステップ1210b)、化学反応を引き起こして黒化をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、金属物品全
体が溶液に浸される。他の実施形態では、金属物品の一部が溶液に浸される。本明細書に記載の「沈漬(submerging)または浸漬(immersion)」という用語は、金属物品全体が溶液に浸されていること、または金属物品の一部が溶液に浸されていることを指すことができる。
【0046】
金属物品は、キャリアの中または上に配置され得、次いで、溶液に浸される金属物品の高さは、金属物品の複数の電鋳要素の第1の側1304のみが溶液に浸されるよう制御される。他の実施形態では、金属物品全体が溶液に浸される。ステップ1212において、金属物品の複数の電鋳要素の第2の側1308が、光電池1310に取り付けられる。例えば、金属物品の電鋳要素2100は、第1の側1304に黒化1302を有し、第2の側1308にはんだ1306を有する。第2の側1308のはんだ1306は、光電池1310に隣接しており、2つは一緒に取り付けられている。
【0047】
浸けるプロセスまたは噴霧プロセスで特定の化学混合物を使用する場合、はんだ層が電鋳要素の第2の側の銅材料を覆うため、化学物質は電鋳要素の第1の側でのみ、露出した材料-銅-と反応する。このようにすると、銅が存在する電鋳要素の第1の側だけが変形して黒化する。複数の電鋳要素の第2の側のはんだは、銅をマスキングまたは被覆するため、はんだとの化学反応は起こらず、第2の側は黒化しない。
【0048】
いくつかの実施形態では、複数の電鋳要素の第1の側の黒化は、浸ける(例えば、部分的または完全に沈漬すること、または浸漬すること)プロセスによるものである。
図12は、いくつかの実施形態による、浸けるプロセスによって金属物品1230を沈漬する方法の簡略化されたフローチャートである。
図12は、
図11のステップ1210bを実行するためのより詳細なステップを説明している。例えば、ステップ1232において、金属物品がマンドレルから分離された後、金属物品は、キャリアの中または上に配置され、5秒などの短時間、脱イオン水に浸される及び/または濯がれる。ステップ1234において、金属物品を3%から7%のメタンスルホン酸などのブレンドに約60秒間浸して、表面を黒化する調製をすることができる。ステップ1236で、金属物品は、60から120秒間、脱イオン水に浸される及び/または濯がれる。
【0049】
ステップ1238において、金属物品が溶液に浸されて化学反応を引き起こし、その結果、複数の電鋳要素の第1の側が黒化する。溶液は、
図13に示されるような成分の混合物から構成され得る。
図13の溶液Aは、電流が印加されていない例示的な溶液を詳述している。溶液は、フルオロホウ酸、硫酸銅、亜セレン酸、リン酸、硫酸ニッケル、及び水の混合物で構成されることが可能であり、それにおいて溶液は、黒化反応を発生するために電流の使用を必要としない。硫酸塩は、金属物品1220と反応して黒化層を形成するときに酸化第二銅を生成する。他の実施形態では、黒色の無電解ニッケルプロセスを使用することができる。溶液Bは、ニッケルイオン、例えば硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、酢酸ニッケル、次亜リン酸ニッケル、還元剤、例えば次亜リン酸ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウム、錯化剤、中和剤、例えば水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウム、スタビライザー、例えば鉛、及び光沢剤、例えばカルシウムの混合物を含んでいてもよい。
【0050】
他の実施形態では、溶液は、銅金属物品1220と反応して黒化層を形成するときに主に硫化第二銅または硫化第一銅を生成する、水と硫化カリウムファミリーの混合物からなり得る。溶液Cは、電流を印加しない例示的な溶液を詳しく説明している。銅金属物品1220は、水とカリウム硫化ファミリー(K2S)と混合され、それは様々な量の硫化物、多硫化物、チオ硫酸塩及び二硫化物を含むことができる。例えば、硫化カリウムファミリーとして硫黄のレバー(LOS)を使用できる。溶液中の成分及び溶液自体は、ゲル、液体またはペレットの形態であり得る。溶液を特定の温度に保持することができ、金属物
品1220を特定の時間浸漬することができる。溶液の濃度、溶液の温度、及び浸けることなどによる溶液での曝露時間は、関連しており、これらの要因の様々な組み合わせを利用することができる。金属物品1220はまた、物品の特定の場所のみが黒化するように、溶液に部分的に浸漬され得る。いくつかの実施形態では、金属物品1220の部分または領域は、溶液に浸す前にマスキングすることができる。
【0051】
様々な実施形態において、硫化カリウム溶液に浸たすことによる金属物品1220の黒化の間、溶液の温度は、摂氏20°から摂氏100°の範囲であり得、溶液に浸漬される時間の範囲は、45から140秒まで秒の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、金属物品1220は、約60秒間浸たされ得る。一般に、溶液の濃度が高くなるほど、トレードオフで黒化反応を引き起こす時間は短くなり、溶液の温度が高くなるほど、トレードオフで黒化反応を引き起こす時間は短くなる。この方法では、攪拌及び/または循環を使用することができる。プロセスに攪拌及び/または循環を実施することにより、化学物質の濃度が溶液内で均一になり、処理された材料が溶液に均一に分散されることが保証され得る。正確なパラメータは、達成する色の暗さやソーラーモジュールで使用される特定の材料との適合性などの所望する結果に基づいて選択できる。硫化物溶液は、有益にも、酢酸に対してより耐性があり、EVAなどの封止材によって生成され、時間の経過と共に黒化した層の劣化を引き起こす可能性がある。
【0052】
いくつかの実施形態では、高温などでパラメータが高すぎる場合、暗黒色が生成されたが、金属物品1220に鉛スズ染色が発生し、化学反応によって生成された黒化は「黒い」粒子の脱落または剥離を示した。これらの発見により、溶液の濃度、溶液の温度、及び浸漬時間の長さのパラメータを操作して、退色、剥離、または層間剥離などによる経時的な外観の変化なしに、所望の色を生成することができる。
【0053】
溶液Dは、例示的な電流を流した溶液である。この溶液は、硫酸アンモニウム、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛、及びチオシアン酸ナトリウムの混合物から構成され得、電流が印加され得る。上記の溶液は、銅などの電鋳要素の材料と化学反応を引き起こし、銅が存在する電鋳要素の第1の側は黒くなり、一方ではんだが存在する電鋳要素の第2の側は影響を受けない。溶液のこの混合物は、この所望の効果を有するために、複数の電鋳要素の異なる材料に適合させることができる。すなわち、
図13に示すもの以外の溶液である。
【0054】
図12を参照すると、ステップ1240において、金属物品は、残留化学物質を除去するために、脱イオン水などの水に10秒から70秒間浸たされる、または濯がれる。ステップ1242で、金属物品は、重炭酸ナトリウムと水の混合物、例えば、30グラムの重炭酸ナトリウムと1リットルの脱イオン水との間で約60秒間浸たされ得る。これにより、黒化反応が不動態化または中和される。ステップ1244で、金属物品は、60から120秒間、脱イオン水などの水に浸たされる、または濯がれる。ステップ1246で、金属物品は、摂氏80から120度で60から120秒間などの間、熱にさらされて、黒化した金属物品を硬化または乾燥させる。この特定の温度では、電鋳要素の第2の側のはんだは溶けない。あるいは、金属物品は、吸収性材料を使用することによって乾燥させることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、複数の電鋳要素の第1の側の黒化は、噴霧プロセスによるものである。
図14は、いくつかの実施形態による、金属物品1400を噴霧する方法についての
図11のステップ1210aの細かな簡略化されたフローチャートである。この方法は、浸すプロセスによって金属物品1230を浸漬するのと同じステップまたは同様のステップを有し得るが、金属物品を溶液に浸して黒化プロセスを引き起こす代わりに、金属物品に溶液を噴霧して黒化プロセスを引き起こす。例えば、ステップ1402において、金属物品がマンドレルから分離された後、金属物品は、キャリアの中または上に配置さ
れ、5秒などの短時間、脱イオン水で噴霧及び/または濯がれ得る。ステップ1404において、金属物品は、黒化するための表面を作るために、3%から7%のメタンスルホン酸などのブレンドにて約60秒間噴霧され得る。ステップ1406で、金属物品は、60から120秒間、脱イオン水で噴霧され得るまたは濯がれ得る。
【0056】
ステップ1408において、金属物品の複数の電鋳要素の第1の側に溶液が噴霧されて、化学反応を引き起こし、その結果、複数の電鋳要素の第1の側が黒化する。溶液は、例えば、硫酸塩ベース(例えば、
図13の溶液Aで定義された溶液)または
図13の溶液Cで定義されたような硫化物ベースであり得る。噴霧などにより溶液を適用するとき、銅などの電鋳要素の材料と化学反応が起こり、複数の電鋳要素の第1の側が黒化する。いくつかの実施形態では、金属物品1220はまた、物品の特定の場所のみが黒化するように、溶液を部分的に噴霧され得る。電鋳要素の第2の側の銅の上部にはんだが層状になっているため、化学反応が発生し得ず、電鋳要素の第2の側が黒化することはない。
【0057】
ステップ1410で、金属物品は、残留化学物質を除去するために、10秒から70秒の間、脱イオン水などの水で噴霧または濯がれる。ステップ1412で、金属物品に、重炭酸ナトリウムと水または他の中和/不動態化溶液(すなわち、1リットルの脱イオン水に対して30グラムの重炭酸ナトリウムなど)の水性ブレンドを約60秒間噴霧することができる。ステップ1414で、金属物品は、60から120秒間、脱イオン水などの水で噴霧または濯がれる。ステップ1416で、金属物品を熱にさらして硬化及び乾燥させる。温度は、摂氏80から120度で、60から120秒であってよい。あるいは、金属物品は、吸収性材料を使用することによって乾燥させることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、この方法は、方法1230のようなすべての浸けるステップ、方法1400のようなすべての噴霧ステップ、または噴霧ステップと浸けるステップを組み合わせた方法を含み得る。さらに、ステップは一部、任意選択で省略される場合がある。
【0059】
図15は、いくつかの実施形態による、噴霧プロセス中の金属物品の概略図である。噴霧プロセスの間、金属物品1220は、電鋳要素の第1の側1502が噴霧源1503に面し、電鋳要素の第2の側1504が表面に隣接し、それにより露出しないはんだ1506を伴って、作業面1501に配置され得るこのようにすると、溶液は、電鋳要素の第1の側1502に都合よく噴霧され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、複数の電鋳要素の第1の側の黒化は、金属物品に黒い層を追加するための噴霧プロセスによるものである。
図16は、いくつかの実施形態による、金属物品1600を噴霧する方法の簡略化されたフローチャートである。例えば、ステップ1602において、金属物品はマンドレルから分離され、複数の電鋳要素は、金属物品が単一の自立型部品を形成するように相互接続される。金属物品は、コーティングを作製するために、脱イオン水(任意選択、図示せず)に浸漬または噴霧することができる。ステップ1604において、複数の電鋳要素の第1の側に溶液が噴霧されて、化学反応とは対照的に、複数の電鋳要素の第1の側に黒化の層がコーティングされるようにする。溶液は、例えば、塗料であり得る。塗料は、最高で摂氏2000度(または太陽電池が使用される環境の他の温度要件)などの高温に耐えることができ、錆びにくく、耐食性のある一般的なスプレー塗料であってもよい。黒化層の厚さは、0.1ミクロンを超える場合もあれば、グリッドの表面を十分に暗くするのに十分な場合もある。10ミクロンを超える黒い層は、達成に時間がかかる場合がある。他の実施形態では、塗料は、噴霧する代わりに、圧延、ブラッシング、スポンジングなどによって適用することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、複数の電鋳要素の第1の側の黒化は、金属物品を閉鎖された
環境にさらすことによって達成される。
図17は、いくつかの実施形態による、金属物品1700の露出方法の簡略化されたフローチャートである。例えば、ステップ1702において、金属物品はマンドレルから分離され、複数の電鋳要素は、金属物品が単一の自立型部品を形成するように相互接続される。この方法は、ステップ1706に直接継続することができる。ステップ1706において、金属物品は、閉鎖された環境にさらされて化学反応を引き起こし、その結果、複数の電鋳要素の第1の側が黒化する。例えば、金属物品は、オーブンまたは炉などの熱源の閉鎖された環境に置くことができ、熱は、摂氏200度から摂氏600度で加えられる。閉鎖された環境内の酸素含有量は、例えば、20体積%から80体積%であり得る。このようにすると、銅などの複数の電鋳要素の第1の側の材料は、酸化及び黒化形成する。黒化が発生する時間は、温度及び酸素含有量に依存する場合があり、一般に、より高い温度及び/またはより高い酸素含有量であると、黒化時間が短縮する。例えば、摂氏200度、熱源内の酸素含有量が20%の場合、黒化は約60分で発生する。あるいは、閉鎖された環境で、摂氏600度、酸素含有量20%では、約60秒で黒化が発生する。いくつかの実施形態では、同じ温度での閉鎖された環境の酸素含有量が多いほど、複数の電鋳要素の第1の側の黒化がより速く起こる。脱イオン水で濯ぐという任意選択のステップが生じてもよい。
【0062】
任意選択で、ステップ1702の後、方法は、ステップ1704に続くことができる。ステップ1704において、マンドレルに形成された金属物品は、マンドレルから分離され、黒化する前に光電池に取り付けられ得る。次に、説明したように、ステップ1706で黒化が実行される。
【0063】
方法1200のステップは、他の順序で実行されてもよく、いくつかのステップが省略されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属物品が電鋳された後、はんだ付けステップ1206を省略してもよく、金属物品がマンドレルにあり、複数の電鋳要素の第1の側を黒化する間に、沈漬方法1230、噴霧方法1400または露出方法1700を実行してもよい。次に、金属物品はマンドレルから分離され、黒化は、
図18の概略的な表現に示されるように、金属物品の片側にのみ存在する。
図18は、いくつかの実施形態に従って、光電池1800の金属物品を黒化するための方法の概略的な表現を示す。次に、はんだステップは、金属物品の反対側で本明細書に開示されるように実行され得るか、またははんだペーストまたは接着法が、金属物品を光電池に取り付けるために使用され得る。ステップ1802において、銅がマンドレル上にめっきされて、金属物品を形成する。ステップ1804において、金属物品はマンドレル上に留まり、その結果、金属物品を備えたマンドレルは、沈漬方法1230、噴霧方法1400または露出方法1700などによる黒化プロセスを経て移動する。ステップ1806で、金属物品がマンドレルから分離され、金属物品の片面が黒化する。
【0064】
別の例では、いくつかの実施形態では、マンドレル上に形成された金属物品は、マンドレルから分離され、光電池に取り付けられてから黒化するようにし得る。
図19は、いくつかの実施形態による、光電池用の金属物品1900を製造する方法の簡略化されたフローチャートである。ステップ1902において、予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルが提供される。ステップ1904で、金属物品が電鋳される。金属物品は、マンドレルの外面層に予備形成されたパターンにおいて形成された複数の電鋳要素を含む。複数の電鋳要素は、マンドレルの外面層に隣接する第1の側と、第1の側の反対側の第2の側とを有する。ステップ1906で、はんだは、マンドレル上にある間に、複数の電鋳要素の第2の側にめっきされる。いくつかの実施形態では、第2の側は、複数の電鋳要素の第2の側に形成されたオーバープレート部分を含み、はんだは、本明細書に開示されるように、第2の側のオーバープレート部分にめっきされる。
【0065】
ステップ1908で、金属物品がマンドレルから分離される。複数の電鋳要素は、マン
ドレルから分離されたときに金属物品が単一の自立型部品を形成するように相互接続されている。ステップ1910では、金属物品の複数の電鋳要素の第2の側は、光電池に取り付けられている。ステップ1912では、複数の電鋳要素の第1の側は、光電池に取り付けられた金属物品に関して黒化される。複数の電鋳要素の第2の側のはんだ及び光電池自体(すなわち、金属物品が取り付けられている半導体基板)は黒化されていない。本明細書に開示されるように、沈漬方法1230、噴霧方法1400または露出方法1700を黒化する方法として使用することができる。しかし、金属物品が光電池に取り付けられている間に黒化の層を発生させる噴霧方法1600は、塗料が光電池に塗布されてそのために光が光電池に衝突するのをブロックすることを防ぐための措置を必要とする。この方法1900では、露出した銅の面のみなど、金属物品を選択的に黒化することができる。また、取り付けられた金属物品を伴う光電池が黒化プロセスを経るため、光電池にあるいずれの露出した銅も黒化し得る。
【0066】
図20は、いくつかの実施形態による、光電池に取り付けられた黒化されていない金属物品の上面図を示す。銅の複数の電鋳要素の第1の側は、上面図に見られるように、光に面する側である。
図21は、太陽電池の黒化された金属物品の上面図であり、黒化された第1の側が示されている。見てわかるように、
図21の黒化した金属物品は、
図20の黒化されていない金属物品よりもはるかに見えにくい。セル間相互接続440の金属ストリップ470は、
図20または
図21のどちらにおいても黒化していないことに留意されたい。これはさらに、金属物品の黒化した領域と黒化されていない領域のコントラストを示している。いくつかの実施形態では、セル間相互接続440の金属ストリップ470は黒化されていないので、はんだなどによって隣接する光電池の裏側に連結することができる。本明細書に記載の黒化方法(沈漬方法1230、噴霧方法1400、黒化層を生じさせる噴霧方法1600、または露出方法1700)のいずれかを使用して、黒化を達成することができる。乾燥させると、金属物品の第2の側、すなわち、はんだを備えた複数の電鋳要素の側を、はんだ側が光電池下側に隣接し、したがって見えないよう、光電池に取り付けることができる。
【0067】
黒化された複数の電鋳要素の第1の側は、光に面する側であり、可視である。理想的には、黒化のための方法の後、黒化を伴う複数の電鋳要素の第1の側は、光電池と同様の色である。黒化は、光電池の色と適合させるために、灰色、青、茶色、黒などの様々な色であり得る。光電池と金属物品が同様の色の場合、金属物品の視認性が大幅に低下するか、見えなくなり、金属物品が光電池にブレンドする。
【0068】
図22A、
図22B、及び
図22Cは、いくつかの実施形態による、光電池上に組み立てられた黒化された金属物品の拡大図を示す。
図22Aは、光電池のメタライゼーション層(例えば、スクリーン印刷された銀フィンガー)2202の例であり、この実施形態では、湾曲した幾何学形状を有し、金属物品の結合領域として機能する銀パッド2204を含む。
図22Bは、黒化2206を伴う金属物品のセグメントの例であり、セグメントは、セグメント2202の上に配置され、銀パッド2204に結合されるはんだパッド2208を有する。金属物品のセグメント2206及びはんだパッド2208は、太陽電池のメタライゼーション2202及び銀パッド2204よりも大きい。金属物品が光電池に取り付けられている場合、
図22Aに示されるようなセルのメタライゼーション2202は、
図22Bに示されるような金属物品2206のセグメントによって覆われ、これにより、
図22Cを形成する。太陽電池のメタライゼーション層2202は、黒化を伴う金属物品のセグメント2206によって完全に覆われている。これは、湾曲した電鋳要素を含む複雑なグリッドの設計が、このプロセスで隠せる、またはカモフラージュできることを示している。
【0069】
複数の電鋳要素から構成される金属物品は、マンドレルの外面層上に予備形成されたパ
ターンで形成される。いくつかの実施形態では、マンドレルの予備形成されたパターンは、金属物品の湾曲した経路を有する複数の電鋳要素を形成する、予備形成されたパターンの全長に沿って湾曲した経路を有する。これにより、例えば、正弦波または他の湾曲した形状または幾何学形状として構成された波形のパターンなど、電鋳要素のパターンの長さに沿った複雑な設計及び湾曲した経路が可能になる。
図23A、
図23B及び
図23Cは、いくつかの実施形態による、それぞれが電鋳要素の湾曲した経路を有する金属物品2300a、2300b及び2300cの設計を示す。設計は、使用されている太陽電池のサイズに応じて、6インチのグリッド、5インチのグリッド、または3インチのグリッドなどの様々なサイズにすることができる。
【0070】
マンドレルにおける金属物品と一体的に形成された電鋳要素でもあるセル間相互接続は、湾曲した付属物を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の電鋳要素は、セル間相互接続を有し、セル間相互接続は、複数の湾曲した付属物を有する。各付属物は、第1の領域の縁に結合された第1の端部と、第1の端部の反対側で縁から離れた第2の端部とを有し得る。付属物は互いに離間して配置することができる。いくつかの実施形態では、付属物のパターンは、セル間相互接続の元の平面内の曲面から構成される砂時計またはボウリングのピンの形状の輪郭を形成し、鋭いまたは真っ直ぐな縁または角度はほとんどないか、またはまったくない。他の形状が使用されてもよく、例えば非対称、長い、正弦波様の形状であり得る。
図24A、
図24B、及び
図24Cは、いくつかの実施形態による、それぞれ曲面から構成されるセル間相互接続2400a、2400b及び2400cの設計を示す。湾曲した付属物の設計は、パターンの振幅が異なり、全長あたりの付属物の数の密度が異なる場合がある。
【0071】
複数の電鋳要素のこれらの複雑な設計は多くの湾曲した形状を有するが、本明細書にて開示される光電池用の金属物品を黒化するための様々な方法を使用することができる。従来、電鋳要素の片面の黒化は、非常に制限されており、設計のカスタマイズができない真っ直ぐな銅リボンでのみ達成されていた。プレパターンの設計でマンドレル上に複数の電鋳要素を形成することにより、多くの複雑な曲面及びサイズを含む様々な形状を、電鋳要素の第1の側で黒化することができる。
【0072】
はんだは、金属物品の第2の側の材料をマスキングするのに役立ち、その結果、黒化のための溶液と電鋳要素の第2の側のはんだとの間で化学反応が起こり得ない。したがって、はんだは黒化しないが、電鋳要素の銅材料が露出している反対側は、化学反応によって黒化する。はんだのマスキング能力は、本方法でマンドレルを使用するのに対して特有のものである。別様には、金属物品の両面が、使用されているいずれかのプロセスにさらされるため、銅金属物品の片面だけに、はんだまたは黒化を適用することは不可能になる。例えば、金属物品を黒化のために溶液に浸した場合、銅が両側に露出しているため、化学反応が両側で発生する。同様に、従来のリボンを使用して業界で一般的に行われているように、本金属物品をはんだに浸すと、金属物品の両側にはんだ層が作成され、また銅が露出しないことから黒化プロセスは発生しない。
【0073】
黒化のための方法は、光電池の光に面する側の電気接点及び相互接続などの電鋳要素が、光電池と同様または同じ色である暗い外観を備えた黒化をすることを可能にする。このことが、一緒に取り付けたときの電鋳要素と光電池の間での、光沢があり、光を反射し、明瞭な色のコントラストを除く。これにより、光電池は、様々な用途で使用されたときに、魅力的で、なめらかで、均一で、プロフェッショナルな外観の所望する美的状態を備えることができる。今となっては光電池が設計に統合できるようになり、ソーラールーフパネルの屋根板に使用する場合など、光電池として認識できなくなっている。また、光電池は軍事用途などで偽装の方法で使用できるため、機能の追加や改善を可能にする。光電池は、今やカモフラージュされ、検出できないように目立たなくなり得る。さらに、電鋳要
素が黒化され、光電池のカバーガラスまたはプラスチックシートが変更されていないため、光電池の性能が低下することはない。
【0074】
本明細書は、本発明の特定の実施形態に関して詳細に記載したが、当業者であれば、前述の理解を得ると、これらの実施形態に対する変更形態、変形形態、及び均等物を容易に着想し得ることが理解されるものとする。本発明に対するこれらの及び他の修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の範囲を逸脱することなく当業者によって実施され得る。さらに、当業者は、前述の記載が例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しないことを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電池用の金属物品を製造する方法であって、前記方法は、
予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することと、
前記金属物品を電鋳することであって、前記金属物品は、前記マンドレルの前記外面層上に前記予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含み、前記複数の電鋳要素は、前記マンドレルの前記外面層に隣接する第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、前記電鋳することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離することであって、前記複数の電鋳要素は、前記金属物品が前記マンドレルから分離されるときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される、前記分離することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離した後、前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することであって、前記黒化することは、水、フルオロホウ酸、硫酸銅、亜セレン酸、リン酸、及び硫酸ニッケルから構成される溶液に前記金属物品を浸すことにより前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することを生じさせる化学反応を引き起こすことを含む、前記黒化することと、
摂氏80から120度で前記金属物品を熱にさらすことと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記マンドレルの上にある間に、前記複数の電鋳要素の前記第2の側にはんだをめっきすることであって、前記複数の電鋳要素の前記第2の側は前記黒化中に黒化されない、前記めっきすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記黒化することが、前記金属物品を重炭酸ナトリウムで濯ぐことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属物品を前記浸すことが、前記金属物品の一部または前記金属物品全体を浸すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記黒化前に前記金属物品の前記複数の電鋳要素の前記第2の側を前記光電池に取り付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記黒化後に前記金属物品の前記複数の電鋳要素の前記第2の側を前記光電池に取り付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
光電池用の金属物品を製造する方法であって、前記方法は、
予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することと、
前記金属物品を電鋳することであって、前記金属物品は、前記マンドレルの前記外面層上に前記予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含み、前記複数の電鋳要素は、前記マンドレルの前記外面層に隣接する第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、前記電鋳することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離することであって、前記複数の電鋳要素は、前記金属物品が前記マンドレルから分離されるときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される、前記分離することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離した後、前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することであって、前記黒化することは、ニッケルイオン、還元剤、錯化剤、中和剤、安定剤、及び光沢剤から構成される溶液に前記金属物品を浸すことにより前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することを生じさせる化学反応を引き起こすことを含む、前記黒化することと、
摂氏80から120度で前記金属物品を熱にさらすことと、を含む、前記方法。
【請求項8】
前記黒化することが、前記金属物品を重炭酸ナトリウムで濯ぐことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属物品を前記浸すことが、前記金属物品の一部または前記金属物品全体を浸すことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記黒化前に前記金属物品の前記複数の電鋳要素の前記第2の側を前記光電池に取り付けることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の側は、前記複数の電鋳要素の前記第2の側に形成されたオーバープレート部分を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
光電池用の金属物品を製造する方法であって、前記方法は、
予備形成されたパターンを含む外面層を有する導電性マンドレルを提供することと、
前記金属物品を電鋳することであって、前記金属物品は、前記マンドレルの前記外面層上に前記予備形成されたパターンで形成された複数の電鋳要素を含み、前記複数の電鋳要素は、前記マンドレルの前記外面層に隣接する第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、前記電鋳することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離することであって、前記複数の電鋳要素は、前記金属物品が前記マンドレルから分離されるときに単一の自立型部品を形成するように相互接続される、前記分離することと、
前記金属物品を前記マンドレルから分離した後、前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することであって、前記黒化することは、水、及び硫化カリウムから構成される溶液に前記金属物品を浸すことにより前記複数の電鋳要素の前記第1の側を黒化することを生じさせる化学反応を引き起こすことを含む、前記黒化することと、
摂氏80から120度で前記金属物品を熱にさらすことと、を含む、前記方法。
【請求項13】
前記黒化することが、前記金属物品を重炭酸ナトリウムで濯ぐことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属物品を前記浸すことが、前記金属物品の一部または前記金属物品全体を浸すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記黒化前に前記金属物品の前記複数の電鋳要素の前記第2の側を前記光電池に取り付けることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【外国語明細書】