(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056729
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】放射線標識した前立腺特異的膜抗原(PSMA)阻害剤 [18F]DCFPyL の改良合成
(51)【国際特許分類】
C07D 213/82 20060101AFI20240416BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240416BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C07D213/82
A61K51/04 200
A61K31/44
A61K51/04 100
A61P35/00
A61P13/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008772
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2022062132の分割
【原出願日】2017-06-09
(31)【優先権主張番号】62/348,391
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデン ティー ラバート
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピー ホルト
(72)【発明者】
【氏名】イン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ロニー シー ミーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ファン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジー ポンパー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エフ ダンナルズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】[
18F]DCFPyLの改良合成のための方法及び関連組成物を提供する。
【解決手段】2-(3{1-カルボキシ-5-[(6-[
18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸([
18F]DCFPyL)の合成方法であって、前記方法が以下:(i)放射性フッ素化DCPFPyL前駆体を形成するために、エステル部分保護基を含むDCFPyL前駆体を放射性フッ素化すること;(ii)反応混合物中に[
18F]DCFPyLを形成するために、工程(i)の放射性フッ素化DCPFPyL前駆体のエステル部分保護基をリン酸で脱保護すること;及び、(iii)[
18F]DCFPyLを提供するために、工程(ii)の反応混合物から[
18F]DCFPyLを精製すること;を含む方法とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-(3{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}
-ウレイド)-ペンタン二酸([18F]DCFPyL)の合成方法であって、前記方法が以下:
(i)放射性フッ素化 DCPFPyL 前駆体を形成するために、エステル部分保護基を含む D
CFPyL 前駆体を放射性フッ素化すること;
(ii)反応混合物中に [18F]DCFPyL を形成するために、工程(i)の放射性フッ素化 D
CPFPyL 前駆体のエステル部分保護基をリン酸で脱保護すること;及び、
(iii)[18F]DCFPyL を提供するために、工程(ii)の反応混合物から [18F]DCFPyL を
精製すること;
を含む方法。
【請求項2】
前記保護基が、ベンジル、p-メトキシベンジル、第三ブチル、メトキシメチル、メトキ
シエトキシメチル、メチルチオメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、
ベンジルオキシメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル
(TBDMS)及びトリフェニルメチルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)及び工程(ii)が 1 つの反応器中で行われる、請求項1又は2に記載の方法
。
【請求項4】
前記合成が、加熱ブロック、2 つのシリンジ・ポンプ、マルチ‐ポート・キャップ、及
びバルブ付き試薬添加バイアルを含む放射性フッ素化モジュール(RFM)を使用すること
によって自動化される、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記 RFM が温度加熱キャビティを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記合成が自動放射化学合成装置を使用することにより自動化される、請求項1から3
の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記 RFM 又は前記自動放射化学合成装置の構成要素がフッ素を含まない、請求項4か
ら6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記 DCFPyL 前駆体が 5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ
-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-
トリメチルピリジン-2-アミニウム化合物である、請求項1から7の何れか一項に記載の
方法。
【請求項9】
前記 DCFPyL 前駆体が 5- (((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキ
シ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N
-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネートである、請求項8
に記載の方法。
【請求項10】
前記 DCFPyL 前駆体が 5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ
-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-
トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロアセテートである、請求項8に記載の
方法。
【請求項11】
前記 DCFPyL 前駆体が、
【化1】
に従って合成される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記 DCFPyL 前駆体が、以下:
N, N, N-トリメチル-5-((2, 3, 5, 6-テトラフルオロフェノキシ)カルボニル)-ピリジン-
2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネートと2-[3-[1-t-ブチルカルボキシレート-(
5-アミノペンチル)]-ウリエド(uriedo)]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアートとのカップリ
ング、
を含む方法によって合成される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が更に、以下:
【化2】
に従う、又は、N, N, N-トリメチル-5-((2, 3, 5, 6-テトラフルオロフェノキシ)カルボ
ニル)-ピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネート2-[3-[1-t-ブチルカル
ボキシレート-(5-アミノペンチル)]-ウリエド(uriedo)]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアー
トのカップリングによる、前記 DCFPyL 前駆体を合成することを更に含む、請求項8から
12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記 DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化することが、以下
【化3】
に従って行われる、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記 DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化することが:
(a)カートリッジ中に [
18F]フッ化物イオンを捕捉すること;
(b)カートリッジ中に捕捉させた [
18F]フッ化物イオンを放出するために、テトラブチ
ルアンモニウム塩基塩の溶液で前記カートリッジから溶出すること;
(c)乾燥させた [
18F]フッ化物を形成するために、前記 [
18F]フッ化物イオンを含む溶
出液を乾燥させること;及び、
(d)前記乾燥させた [
18F]フッ化物イオンに、(化合物(3))
【化4】
の溶液を添加すること;
を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記カートリッジが陰イオン交換クロマトグラフィー・カートリッジである、請求項1
5に記載の方法。
【請求項17】
前記カートリッジを、カートリッジ中に [18F]フッ化物イオンを捕捉する前に、高純度
水で洗浄することによって、事前調整する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記 DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化することが、(化合物(3))
【化5】
と前記乾燥させた[
18F]フッ化物イオンの混合溶液を、任意選択的に約 30 ℃から約 70
℃の間の温度で、加熱することを更に含む、請求項15から17の何れか一項に記載の方
法。
【請求項19】
前記加熱が、約 2 分から約 10 分間である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱が、約 50 ℃で約 6 分間である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱が、DCFPyL 前駆体と前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンとの混合溶液に、
約 40 W から約 60 W のマイクロ波照射を約 20 秒から約 200 秒間、照射することによ
るものである、請求項18から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記加熱が、DCFPyL 前駆体と前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンとの混合溶液に、
約 50 W のマイクロ波照射を約 30 秒から約 150 秒間、照射することによるものである
、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程(c)からの [18F]フッ化物イオンを乾燥させる、請求項15から22の何れか一
項に記載の方法。
【請求項24】
前記 [18F]フッ化物イオンを含む工程(c)の溶出液を約 80 ℃から約 150 ℃の間の温
度で乾燥させる、請求項15から23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記温度が約 110 ℃である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記 [18F]フッ化物イオンを含む工程(c)の溶出液を窒素流下で乾燥させる、請求項
15から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記乾燥を約 50 秒から約 300 秒間行う、請求項15から26の何れか一項に記載の
方法。
【請求項28】
前記乾燥を約 150 秒間行う、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に乾燥させるために、CH3CN を前記乾燥させた[18F]フッ化物イオンに添加する、請
求項15から28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記 RFM 若しくは自動放射化学合成装置、又はその反応部分を、合成前に、希硝酸で
汚れを落とし、水で洗浄し、一晩約 80 ℃で乾燥させる、請求項4から29の何れか一項
に記載の方法。
【請求項31】
前記リン酸による脱保護を約 30 ℃から約 55 ℃の間の温度で行う、請求項1から30
の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記温度が約 45 ℃である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記温度を約 2 分から約 10 分間維持する、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
リン酸による脱保護の後に工程(ii)の反応混合物の pH を、約 2 から約 2.5 の間の
pH に調整することを更に含む、請求項1から33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記反応混合物の pH を、水酸化ナトリウムとリン酸二水素ナトリウム緩衝液を添加す
ることによって調整する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記精製を液体クロマトグラフィーによって行う、請求項1から35の何れか一項記載
の方法。
【請求項37】
前記液体クロマトグラフィーが少なくとも 1 つの C18 カラムを含む、請求項36に記
載の方法。
【請求項38】
[18F]DCFPyL を含む溶液を、メタノールとリン酸二水素ナトリウムを含む第 1 の溶出
溶液を用いて第 1 の C18 カラムから溶出する、請求項36から37に記載の方法。
【請求項39】
前記第 1 溶出溶液中のメタノールとリン酸二水素ナトリウムが、pH 2.1 で、15:85 の
メタノール:0.01 M リン酸二水素ナトリウムである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記 [18F]DCFPyL を含む溶液を更に第 2 の C18 カラムに供し、エタノールを含む第
2 の溶出溶液で溶出する、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記精製する工程が、第 1 又は第2 の C18 カラムから溶出した [18F]DCFPyL をろ過
する工程を更に含む、請求項36から40の何れか一項記載の方法。
【請求項42】
前記ろ過が 0.2 μmの滅菌フィルタを通すことである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ろ過が無菌バイアル中へのものである、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記無菌バイアルを無菌生理食塩水で予め充填している、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記精製をアスコルビン酸ナトリウムの存在下で行う、請求項1から44の何れか一項
に記載の方法。
【請求項46】
前記アスコルビン酸ナトリウムを収集リザーバに添加し、及び/又は [18F]DCFPyL 生
成物を溶出するために使用する溶液中に添加する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記精製後の [18F]DCFPyL の収量が少なくとも約 20 mCi である、請求項1から46
の何れか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記精製後の [18F]DCFPyL の収量が少なくとも約 100 mCi である、請求項47に記載
の方法。
【請求項49】
前記精製後の [18F]DCFPyL の収量が少なくとも 400 mCi である、請求項47に記載の
方法。
【請求項50】
以下:
(i)カートリッジ中に [
18F]フッ化物イオンを捕捉すること;
(ii)前記カートリッジ中に捕捉させた [
18F]フッ化物イオンを放出するために、テトラ
ブチルアンモニウム炭酸水素塩(TBABC)の溶液で前記カートリッジから溶出すること;
(iii)工程(ii)からの [
18F]フッ化物イオンを含む溶出液を乾燥させること;
(iv)工程(iii)からの [
18F]フッ化物イオンに、(化合物(3))
【化6】
の溶液を添加すること;及び、
(v)工程(iv)の混合溶液を加熱すること;
を含む、DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化する方法。
【請求項51】
前記カートリッジが陰イオン交換クロマトグラフィー・カートリッジである、請求項5
0に記載の方法。
【請求項52】
前記カートリッジを、カートリッジ中に [18F]フッ化物イオンを捕捉する前に、高純度
水で洗浄することによって、事前調整する、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記加熱が、約 30 ℃から約 70 ℃の間である、請求項50から52の何れか一項に記
載の方法。
【請求項54】
前記加熱が、約 2 分から約 10 分間である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記加熱が、約 50 ℃で約 6 分間である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記加熱が、工程(iv)の混合溶液に、約 40 W から約 60 W のマイクロ波照射を約 2
0 秒から約 200 秒間、照射することによるものである、請求項50から52の何れか一
項に記載の方法。
【請求項57】
前記加熱が、工程(iv)の混合溶液に、約 50 W のマイクロ波照射を約 30 秒から約 1
50 秒間、照射することによるものである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
工程(iii)からの [18F]フッ化物イオンを乾燥させる、請求項50から57の何れか
一項に記載の方法。
【請求項59】
前記 [18F]フッ化物イオンを含む溶出液を約 80 ℃から約 150 ℃の間の温度で乾燥さ
せる、請求項50から58の何れか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記温度が約 110 ℃である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
工程(ii)からの [18F]フッ化物イオンを含む溶出液を窒素流下で乾燥させる、請求項
50から60の何れか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記乾燥を約 50 秒から約 300 秒間行う、請求項50から61の何れか一項に記載の
方法。
【請求項63】
前記乾燥を約 150 秒間行う、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
更に乾燥させるために、CH3CN を前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンに添加する、請
求項58から63の何れか一項に記載の方法。
【請求項65】
請求項1から49の何れか一項に記載の方法によって製造された [18F]DCFPyL を含む
組成物。
【請求項66】
前記 [18F]DCFPyL が少なくとも約 50 Ci/μmole、又は少なくとも約 100 Ci/μmole
の平均比活性を有する、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記組成物が約 400 ppm 以下の濃度でアセトニトリルを含む、請求項65又は66に
記載の組成物。
【請求項68】
前記組成物が約3000 ppm 以下の濃度でメタノールを含む、請求項65から67の何れ
か一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記組成物が約 50 ppm 以下の濃度でメタノールを含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記組成物が 1 つ以上のクリプタンドを含まない、請求項65から69の何れか一項
に記載の組成物。
【請求項71】
前記クリプタンドがクリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)である、請求項7
0に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物がトリエチルアミンを含まない、請求項65から71の何れか一項に記載の
組成物。
【請求項73】
前記組成物が t-ブタノールを含まない、請求項65から72の何れか一項に記載の組
成物。
【請求項74】
[18F]DCFPyL の放射化学的純度が約 95 %から約 100 %の範囲である、請求項65か
ら73の何れか一項に記載の組成物。
【請求項75】
請求項65から74の何れか一項に記載の組成物を含むキット。
【請求項76】
DCFPyL 前駆体及びリン酸を含むキット。
【請求項77】
DCFPyL 前駆体及びテトラブチルアンモニウム炭酸水素塩を含むキット。
【請求項78】
1 つ以上のクリプタンドを含まない、請求項75から77の何れか一項に記載のキット
。
【請求項79】
前記クリプタンドがクリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)である、請求項7
8に記載のキット。
【請求項80】
[18F]フッ化物イオンを更に含む、請求項75から79の何れか一項に記載のキット。
【請求項81】
細胞、臓器又は組織を請求項65から74の何れか一項に記載の組成物と接触させるこ
とを含むイメージング方法。
【請求項82】
請求項65から73の何れか一項に記載の組成物を被験体に投与する方法。
【請求項83】
前記方法が、イメージングのためのものである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記方法が、がんを治療するためのものである、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
請求項4から49の何れか一項に記載の放射性フッ素化モジュール(RFM)又は自動放
射化学合成装置を含む装置。
【請求項86】
請求項1から64の何れか一項に記載の方法を実行することができる放射性フッ素化モ
ジュール(RFM)又は自動放射化学合成装置を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016 年 6 月 10 日に出願された米国仮出願第 62 / 348,391 号の利益を主
張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
<連邦政府が資金拠出をした研究開発>
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)によって授与された CA134675 及び CA183031
に基づく政府の支援によってなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、[18F]DCFPyL の改良合成のための方法及び関連組成物に関する。そのように
して製造された [18F]DCFPyL を使用するための方法及び関連組成物も提供される。
【背景技術】
【0004】
前立腺がんは、推定年間発生件数が 100 万件を超え、推定年間死亡者数が 307,000 人
である、男性において最も一般的ながんであり、世界中で最も罹患者が多いがんの 1 つ
である(Mauer ら、2016)。米国だけでも、毎年 200,000 例を超える新規症例が診断さ
れている(Seigel ら、2014)。進行中の前立腺がんにおいて、前立腺特異抗原(PSA)の
発現に関する血清診断テストの一部おかげによって、適切な診断と治療により、5 年生存
率はほぼ 99 %(seer.cancer.gov)である。
【0005】
治療を適切に診断すること及びモニタリングすることは、より高い頻度で、非侵襲的な
分子イメージングを含む。前立腺がんに対する前立腺特異的膜抗原(PSMA)PET イメージ
ング用の多数の放射性トレーサーが開発されてきているが、それには、DCFBC(Mease ら
、2008)及び DCFPyL(Chens ら、2011)を含む [11C]コリン、[18F]フルオロコリン、[6
8Ga]-及び [18F]-標識低分子量 PSMA 阻害剤等が含まれる。他の PSMA ターゲティング放
射性トレーサー(Dietlein ら、2015)と比較して、[18F] DCFPyL(Chen ら、2011;Szab
o ら、2015)を使用すると治療がうまくいくこと、並びにその良好な分布及びイメージン
グ特性により、この放射性トレーサーに対する需要は増加した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載したある態様は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-
3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸([18F]DCFPyL)を合成する
方法に関する。ある態様では、前記方法は、(i)放射性フッ素化 DCPFPyL 前駆体を形成
するために、エステル部分保護基を含む DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化すること;(ii
)反応混合物中に [18F]DCFPyL を形成するために、工程(i)の放射性フッ素化 DCPFPyL
前駆体のエステル部分保護基をリン酸で脱保護すること;(iii)[18F]DCFPyL を提供す
るために、工程(ii)の反応混合物から[18F]DCFPyL を精製すること、を含む。
【0007】
ある態様では、DCFPyL 前駆体のエステル部分保護基には、ベンジル、p-メトキシベン
ジル(PMB)、第三ブチル(tert-ブチル又は t-ブチル)、メトキシメチル(MOM)、メト
キシエトキシメチル(MEM)、メチルチオメチル(MTM)、テトラヒドロピラニル(THP)
、テトラヒドロフラニル(THF)、ベンジルオキシメチル(BOM)、トリメチルシリル(TM
S)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)及びトリフェニルメ
チル(トリチル、Tr)からなる群から選択される保護基が含まれる。本明細書に記載の方
法の何れか 1 つのある具体的態様では、DCFPyL 前駆体のエステル部分保護基には、tert
-ブチル基が含まれる。
【0008】
本明細書に記載した方法の何れか 1 つのうちのある態様では、放射性フッ素化及び脱
保護を単一の反応器で行うことがある。
【0009】
本明細書に記載した [18F]DCFPyL を合成する方法は、マニュアル操作によって又は自
動化制御によって行うことができる。本明細書に記載した何れかの方法のある態様におい
て、[18F]DCFPyL の合成は、加熱ブロック、シリンジ・ポンプ(例えば、少なくとも 2
つのシリンジ・ポンプ)、マルチ‐ポート・キャップ、及びバルブ付き試薬添加バイアル
を含む、放射性フッ素化モジュール(RFM)を使用することによって、自動化されている
ことがある。ある態様では、前記 RFM は温度加熱をさらに含むことがある。本明細書に
記載した何れかの方法の別の態様において、[18F]DCFPyL の合成は、ELIXYS 自動放射化
学合成装置(ソフィー・バイオサイエンス社、カルバー・シティー、カリフォルニア州(
Sofie Biosciences, Inc., Culver City, CA))を使用して自動化されていることがある
。ある態様では、前記 RFM 又は ELIXYS 自動放射化学合成装置の構成要素はフッ素を含
まない。合成の前に、前記 RFM 若しくは ELIXYS 自動放射化学合成装置を、又はそれら
の反応部分を、希硝酸で汚れを落とし、水で洗浄し、80 ℃で一晩乾燥させても良い。
【0010】
任意の既知の DCFPyL 前駆体を、本明細書に記載した方法に従って放射性フッ素化工程
で使用することができる。本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様においては
、前記 DCFPyL 前駆体は 5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ
-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-
トリメチルピリジン-2-アミニウムである。ある態様においては、前記 DCFPyL 前駆体は
、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタ
ン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-
アミニウム・トリフルオロメタンスルホネートである。別の態様においては、前記 DCFPy
L 前駆体は、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオ
キソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチル
ピリジン-2-アミニウム・トリフルオロアセテートである。
【0011】
本明細書中において提供される何れか 1 つの方法のある態様において、前記 DCFPyL
前駆体を、N, N, N-トリメチル-5-((2, 3, 5, 6-テトラフルオロフェノキシ)カルボニル)
-ピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネート(
図1に示す化合物(2))と
2-{3-[1-t-ブチルカルボキシレート-(5-アミノペンチル)]-ウリエド(uriedo) }-ジ-t-ブ
チルペンタンジオアート(
図1に示す化合物(1))とのカップリングを含む方法によって
合成する。本明細書に記載した何れか1つの方法のある態様では、前記 DCFPyL 前駆体を
図1に従って合成する。
【0012】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、前記 DCFPyL 前駆体を、
図5
に従って放射性フッ素化する。
【0013】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、前記 [18F]DCFPyLは、QC 受け
入れ仕様(2016)を満たす特性を有する。
【0014】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、前記 DCFPyL 前駆体を、(a)
カートリッジ中に [
18F]フッ化物イオンを捕捉すること;(b)前記カートリッジ中に捕
捉させた [
18F]フッ化物イオンを放出するために、テトラブチルアンモニウム塩基塩(例
えば、テトラブチルアンモニウム炭酸水素塩(TBABC))の溶液で前記カートリッジから
溶出すること;(c)乾燥 [
18F]フッ化物イオンを形成するために、前記 [
18F]フッ化物
イオンを含む溶出液を乾燥させること;(d)前記乾燥させた [
18F]フッ化物イオンに、D
CFPyL 前駆体(
図5に示す化合物(3))の溶液を添加すること、を含むプロセスによっ
て放射性フッ素化する。
【0015】
本明細書に記載した方法の何れか 1 つのうちのある態様では、[18F]フッ化物イオンを
捕捉するためのカートリッジは、陰イオン交換クロマトグラフィー・カートリッジ(例え
ば、Chromafix 30-PS-HCO3 SPE カートリッジ・ソース)である。本明細書に記載した方
法の何れか 1 つのうちのある態様では、前記カートリッジを、カートリッジ中に [18F]
フッ化物イオンを捕捉する前に、高純度水で洗浄することによって、事前調整することが
ある。
【0016】
本明細書に記載した方法の何れか 1 つのうちのある態様では、工程(c)由来の [18F]
フッ化物イオンを乾燥させる。乾燥させた [18F]フッ化物イオンを生成するために、ある
態様では、前記 [18F]フッ化物イオンを含む(c)の溶出液を、約 80 ℃から約 150 ℃の
温度、例えば約 110 ℃で、乾燥させても良い。ある態様では、[18F]フッ化物イオンを含
む工程(c)の溶出液を、窒素流下で乾燥させることがある。ある態様では、前記乾燥プ
ロセスを約 50 秒から約 300 秒間、又はより好ましくは 150 秒間、続けることがある。
ある態様では、更に乾燥させるために、前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンに CH3CN
を添加することがある。
【0017】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、前記 DCFPyL 前駆体を乾燥さ
せた [18F]フッ化物イオンに添加する際に、前記組み合わせた溶液を、例えば約 30 ℃か
ら約 70 ℃の間で加熱する。ある態様では、前記加熱を約 2 分から約 10 分間行うこと
がある。ある態様では、前記加熱を約 50 ℃で約6 分間行う。前記加熱は、当該分野で公
知の任意の方法によって行うことができるが、ある態様では、DCFPyL 前駆体と乾燥させ
た [18F]フッ化物イオンとの混合溶液を、約 40 W から約 60 W の間のマイクロ波照射で
、約 20 秒から約 200 秒間、照射することによって、前記加熱を行う。ある態様では、D
CFPyL 前駆体と乾燥させた [18F]フッ化物イオンとの混合溶液を、約 50 Wのマイクロ波
照射で、約 30 秒から約 150 秒間、照射することによって前記加熱を行う。
【0018】
前記 DCFPyL 前駆体を [18F]フッ化物イオンと反応させた後、得られた生成物のエステ
ル部分の保護基をリン酸で脱保護する。本明細書に記載した何れか 1 つの方法のある態
様では、前記脱保護を、約 30 ℃から約 55 ℃の温度で行う。ある態様では、前記脱保護
を、約 45 ℃の温度で行う。本明細書に記載した何れか 1 つの方法のある態様では、前
記脱保護を約 2 分から約 10 分間、所望の温度で行う。
【0019】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、本方法は、リン酸による脱保
護後に、反応混合物の pH を約 2 から約 2.5 の間の pH に調整することを更に含む。反
応混合物の pH を調整するために使用することができる緩衝液の例としては、限定される
ものではないが、水酸化ナトリウムとリン酸二水素ナトリウム緩衝液が挙げられる。
【0020】
[18F]DCFPyL を、当該分野で公知の任意の精製及び分離方法を使用して精製することが
できる。本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、[18F]DCFPyL の精製を
液体クロマトグラフィーによって行う。例えば、[18F]DCFPyL を、少なくとも 1 つの C1
8 カラムを使用する液体クロマトグラフィーによって精製することがある。ある態様では
、[18F]DCFPyL を含む溶液を、第 1 の C18 カラムから、メタノール及びリン酸二水素ナ
トリウムを含む第 1 の溶出溶液で溶出する。メタノール対リン酸水素ナトリウムの例示
的な容量比は約 15:85である。ある態様では、前記リン酸二水素ナトリウムを、約 0.01
M(pH 2.1)の濃度で調製することがある。本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある
態様では、[18F]DCFPyL を含む溶液は、更に第 2 の C18 カラムに供せられ、アルコール
(例えば、エタノール)を含む第 2 の溶出溶液で溶出される。
【0021】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、第 1 又は第 2 の C18 カラム
から溶出した [18F]DCFPyL を更にろ過に供することがある。ある態様において、前記ろ
過を、0.2 μm の滅菌フィルターを用いて行う。ろ過した [18F]DCFPyL は、任意選択的
に無菌生理食塩水を予め充填した無菌バイアルに直接ろ過しても良い。
【0022】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、前記 [18F]DCFPyL 精製プロセ
スを、アスコルビン酸ナトリウムの存在下で実施することができる。例えば、 [18F]DCFP
yL 生成物を、例えば C18 カラムから、溶出するために使用される収集リザーバ及び/又
は溶液に、アスコルビン酸ナトリウムを添加することがある。
【0023】
ある態様では、本明細書に記載された [18F]DCFPyL を合成する方法は、高量の [18F]D
CFPyL を提供する。ある態様では、精製後の [18F]DCFPyL の収量は少なくとも 20 mCi
である。ある態様では、精製後の [18F]DCFPyL の収量は少なくとも 100 mCi である。あ
る態様では、精製後の [18F]DCFPyL の収量は少なくとも 400 mCi である。
【0024】
本明細書で提供する別の態様は、DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化する方法に関するも
のであり、(i)カートリッジ中に [
18F]フッ化物イオンを捕捉すること;(ii)前記カ
ートリッジ中に捕捉させた [
18F]フッ化物イオンを放出するために、テトラブチルアンモ
ニウム炭酸水素塩(TBABC)の溶液でカートリッジから溶出すること;(iii)工程(ii)
由来の [
18F]フッ化物イオンを含む溶出液を乾燥させること;(iv)工程(iii)由来の
[
18F]フッ化物イオンに、DCFPyL 前駆体(例えば、
図5に示す化合物(3))の溶液を添
加すること;及び(v)工程(iv)の混合溶液を加熱すること、を含む。
【0025】
本明細書に記載した何れか 1 つの方法のある態様では、[18F]フッ化物イオンを捕捉す
るためのカートリッジは、陰イオン交換クロマトグラフィー・カートリッジ(例えば、Ch
romafix 30-PS-HCO3 SPE カートリッジ)である。本明細書に記載した何れか 1 つの方法
のある態様では、前記カートリッジを、カートリッジ中に [18F]フッ化物イオンを捕捉す
る前に、高純度水で洗浄することによって、事前調整をすることがある。
【0026】
本明細書に記載した何れか 1 つの方法のある態様では、(c)由来の [18F]フッ化物イ
オンを乾燥させる。乾燥させた [18F]フッ化物イオンを生成するために、ある態様では、
前記 [18F]フッ化物イオンを含む(c)の溶出液を、約 80 ℃から約 150 ℃の温度、例え
ば約 110 ℃ 、で乾燥させても良い。ある態様では、[18F]フッ化物イオンを含む(c)の
溶出液を、窒素流下で乾燥させることがある。ある態様では、前記乾燥プロセスを約 50
秒から約 300 秒間、又はより好ましくは約 150 秒間、続けることがある。ある態様では
、更に乾燥させるために、前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンに CH3CN を添加するこ
とがある。
【0027】
本明細書で提供する何れか 1 つの方法のある態様では、前記 DCFPyL 前駆体を乾燥さ
せた [18F]フッ化物イオンに添加する際に、組み合わせた溶液を例えば約 30 ℃から約 7
0 ℃の間で、加熱する。ある態様では、前記加熱を約 2 分から約 10 分間行うことがあ
る。ある態様では、前記加熱を約 50 ℃で約6 分間行う。前記加熱は、当該分野で公知の
任意の方法によって行うことができるが、ある態様では、DCFPyL 前駆体と乾燥させた [1
8F]フッ化物イオンとの混合溶液を、約 40 W から約 60 W の間で、約 20 秒から約 200
秒間、照射することによって、前記加熱を行う。ある態様では、DCFPyL 前駆体と乾燥さ
せた [18F]フッ化物イオンとの混合溶液を、約 50 W のマイクロ波照射で、約 30 秒から
約 150 秒間、マイクロ波照射をすることによって、前記加熱を行う。
【0028】
本明細書に記載した何れか 1 つの方法によって産生された [18F]DCFPyL を含む組成物
が提供される。本明細書に記載した何れか 1 つの組成物のある態様では、前記 [18F]DCF
PyL は、少なくとも約 50 Ci/μmoleの平均比活性を有する。本明細書に記載の何れか 1
つの組成物のある態様では、前記 [18F]DCFPyL は少なくとも約 50 Ci/μmole 又は少な
くとも約100 Ci/μmole の平均比活性を有する。
【0029】
本明細書に記載した何れか 1 つの組成物のある態様では、[18F]DCFPyL の放射化学的
純度は、約 95 %から約 100 %の範囲である。本明細書に記載した何れか 1 つの組成物
のある態様では、前記組成物は、約 400 ppm 以下の濃度のアセトニトリルを含む。本明
細書に記載の何れか 1 つの組成物のある態様では、前記組成物は約 3,000 ppm 以下の濃
度のメタノールを含む。本明細書に記載した何れか 1 つの組成物のある態様では、前記
組成物は約 50 ppm 以下の濃度のメタノールを含む。
【0030】
本明細書に記載の何れか 1 つの組成物のある態様では、前記組成物は、1つ以上のクリ
プタンド、例えば、1つ以上のクリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)化合物を含
まない。本明細書に記載の何れか 1 つの組成物のある態様では、前記組成物はトリエチ
ルアミンを含まない。本明細書に記載の何れか 1 つの組成物のある態様では、前記組成
物は t-ブタノールを含まない。
【0031】
本明細書に記載した何れか 1 つの組成物を含むキットもまた、本明細書で提供する。
【0032】
[18F]DCFPyL の放射性合成に使用するための DCFPyL 前駆体及び試薬を含むキットが本
明細書で提供される。ある態様では、前記キットは、DCFPyL 前駆体及びリン酸を含む。
別の態様によっては、DCFPyL 前駆体及びテトラブチルアンモニウム炭酸水素塩を含むキ
ットが提供される。
【0033】
本明細書で提供する何れか 1 つのキットのある態様では、前記 DCFPyL 前駆体は 5-((
(S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イ
ル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニ
ウムである。ある態様では、前記 DCFPyL 前駆体は、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-(
(S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシ
ル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスル
ホネートである。別の態様では、前記 DCFPyL 前駆体は、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-
(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘ
キシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロアセテ
ートである。
【0034】
本明細書で提供する何れか 1 つのキットのある態様では、前記キットは、DCFPyL 前駆
体及び本明細書で提供する方法の何れか 1 つによる放射性標識のための使用説明書を含
む。
【0035】
本明細書で提供する何れか 1 つのキットのある態様では、前記キットは、DCFPyL 前駆
体及び前記 [18F]DCFPyL についての QC 受け入れ仕様書(2016)を含む。
【0036】
本明細書で提供する何れか 1 つのキットのある態様では、前記キットは、1 つ以上の
クリプタンド、例えば、1 つ以上のクリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)化合
物を含まない。本明細書で提供する何れか 1 つのキットのある態様では、前記キットは
、例えば、耐放射線容器に包装された [18F]フッ化物イオンの様な、[18F]フッ化物イオ
ンを更に含む。
【0037】
本明細書に記載した組成物及び/又はキットを、イメージング、例えば診断イメージン
グに使用することができる。従って、細胞、器官又は組織を任意の態様の組成物と接触さ
せるイメージング方法が本明細書の中で提供される。
【0038】
別の態様では、前記組成物の任意の態様の組成物を被験体に投与する方法が本明細書の
中で提供される。例えば、前記方法を、がんのイメージング及び/又はがんを治療するの
に、使用することがある。
【0039】
本発明の範囲内には、(i)本明細書に記載した放射性フッ素化モジュール(RFM)又は
ELIXYS 自動放射化学合成装置を含む装置;及び(ii)本明細書に記載した何れか 1 つ
の方法を実施することができる、放射性フッ素化モジュール(RFM)又は ELIXYS 自動放
射化学合成装置を含む装置、がある。
【0040】
本明細書で開示される主題のある態様が本明細書に記載されたものであり、本明細書で
開示される主題によって、その態様は全体的又は部分的に扱われる。他の態様は、以下に
て、本明細書に記載されるように、添付する実施例及び図に関連して説明される場合に、
記載が進むにつれて、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本明細書で開示される主題を一般的な用語で説明したので、ここで、添付図面を参照す
る。しかし、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。
【
図1】
図1は、DCFPyL前駆体、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネート(3)の合成を示す図である。
【
図2】
図2のAとBは、 [
18F]t-ブチルで保護した DCFPyL の勾配 HPLC を示す(
図2A‐放射能、
図2B‐UV)。
【
図3】
図3は、DCFPyL、トリメチルアンモニウム前駆体及びフッ素化した保護された中間体標準の勾配 UV HPLC を示す。
【
図4】
図4は、分取精製前の最終粗 [
18F]DCFPyL の勾配 HPLC を示す。
【
図5】
図5は、[
18F]DCFPyL の放射性合成を示す図である。
【
図6】
図6のAとBは、[
18F]DCFPyL の分取 HPLC の放射能(
図6A)及び UV (
図6B)クロマトグラムを示す。
【
図7】
図7Aは、[
18F]DCFPyL の QC クロマトグラムを示す。担体DCFPyL について 0.0134 ナノモルの質量。
図7Bは、[
18F]DCFPyL の担体添加クロマトグラムを示す。DCFPyL の標準溶液を添加すると質量は 0.0384 ナノモルに増加する。
【
図8】
図8のAとBは、最終的に製剤化された [
18F] DCFPyL の勾配 HPLC クロマトグラムを示す。
図8Bは、最終生成物の UV トレースを青色で、最終生成物が存在しない勾配トレース示すために生理食塩水のブランク注入を重ねて灰色で、示す。
【0042】
本特許又は出願書類には、カラーで描かれた少なくとも 1 つの図面が含まれている。
この特許又は特許出願の刊行物のグレースケール及びカラー図面の写しは、要請及び必要
な手数料の支払いがある場合には、当局によって提供されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書で開示される主題を、添付の図面を参照して、以下、より詳しく記載するが、
本発明のいくつかの実施形態が示されているのであって、全ての実施形態が示されている
のではない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。本明細書に開示された主題
は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるも
のと解釈されるべきではない。寧ろ、これらの実施形態は、本開示が適用されうる法的要
件を満たすように提供される。実際に、本明細書に記載された本明細書に開示された主題
の多くの改変及び他の実施形態を、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益
を有する、現在開示されている主題に関する当業者は思い着くであろう。従って、開示さ
れた主題は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形
態が添付の特許請求の範囲内に含まれること、が意図されていることを理解されたい。
【0044】
本明細書に開示された主題は、自動放射化学合成モジュールを用いて補欠分子族の放射
性フッ素化及び尿素へのカップリングを含む多工程合成による [18F]DCFPyL の調製を提
供する。このトレーサーを自動合成することには、保護エステル基の除去及び精製の他に
、2 つの反応器、2 つの前駆体を使用する複数の個別合成ステップ、90分の合成時間、が
含まれ、及び低から中程度の放射化学的収量の最終生成物を生成する。
【0045】
この結果、自動合成を用いた単一の前駆体からのような、増加した放射化学収率で [18
F]DCFPyL を合成するための改良方法が本明細書で提供される。本明細書で考えられる関
連組成物は、前記方法を用いて製造した [18F]DCFPyL を使用する方法が提供するもので
ある。提供される方法によって、高い比活性を有する [18F]DCFPyL の組成物がもたらさ
れることが見出されている。
【0046】
本明細書に記載の [18F]DCFPyL の合成方法を、異なるハロゲンを基にした放射性同位
元素で DCFPyL 前駆体を放射性標識することに適用することができること、もまた考えら
れる。
【0047】
[
18
F]DCFPyL の合成
ある実施形態において、前記 PMSA 阻害剤 [
18F] DCFPyL は、単一の DCFPyL 前駆体、
5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-
2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-ア
ミニウム・トリフルオロメタンスルホネート(3、
図5に示す構造)の放射性フッ素化に
よって合成することがあり、その後、 t-ブチル基の脱保護及び続く精製を行う。
【0048】
好ましくは、提供される方法は、(i)放射性フッ素化 DCPFPyL 前駆体を形成するため
に、エステル部分保護基を含む DCFPyL 前駆体を放射性フッ素化すること;(ii)反応混
合物中に [18F]DCFPyL を形成するために、工程(i)の放射性フッ素化 DCPFPyL 前駆体
のエステル部分保護基をリン酸で脱保護すること;(iii)[18F]DCFPyL を提供するため
に、工程(ii)の反応混合物から [18F]DCFPyL を精製すること、を含む。ある実施形態
において、[18F]DCFPyL を形成するための放射性フッ素化及び脱保護工程を、1 つの反応
器又は 1 つのポットで行う。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記 DCFPyL 前駆体は、式(I)の化合物又はその塩であり
:
【化1】
;
ここで、Q は、リン酸の処理によって除去可能なエステル部分の保護基である。本明
細書で使用される場合、「保護基(protecting group)」は、分子中の再生した官能基又
は他の官能基を攻撃しない、容易に入手可能な試薬によって選択的に除去され得る化学的
置換基である。適切な保護基を、例えば、Wutz らの(「Greene’s Protective Groups i
n Organic Synthesis、第4版」、Wiley-Interscience、2007)の中に見つけることができ
る。Wutzらによって記載されているような(533~643 頁)、エステル部分の保護のため
の保護基を、ある実施形態において使用する。保護基の具体的な例には、限定されるもの
ではないが、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、第三ブチル(tert-ブチル又は t-
ブチル)、メトキシメチル(MOM)、メトキシエトキシメチル(MEM)、メチルチオメチル
(MTM)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラニル(THF)、ベンジルオキ
シメチル(BOM)、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメ
チルシリル(TBDMS)及びトリフェニルメチル(トリチル、Tr)が含まれ;及び
ここで、L は、求核性複素芳香族置換反応を介して [
18F]DCFPyL を形成するために
、前記 DCFPyL 前駆体が [
18F]フッ化物イオンと組み合わさるようにする化学的部分又は
離脱基である。ある実施形態では、L は、正電荷の原子又は原子団のことがある。ある実
施形態では、L は、トリ(C1-C6 アルキル)アンモニウム(例えば、トリメチル・アンモ
ニウム)であり、鉱酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、過塩素酸、硝酸
並びに硫酸、から誘導される正電荷の原子又は原子団、並びに有機酸、例えば酒石酸、ト
リフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グル
コン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸並びにパラ‐トル
エンスルホン酸、から誘導される正電荷の原子又は原子団、から選択される対イオンを伴
い;好ましくは塩化物、臭化物、過塩素酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、及びト
リフルオロメタンスルホン酸塩から選択される対イオンを伴い、より好ましくはトリフル
オロメタンスルホン酸塩対イオンを伴う。
【0050】
ある実施形態では、前記 DCFPyL 前駆体は、Q が tert-ブチルである上記の構造(I)
を有する。
【0051】
ある実施形態では、前記 DCFPyL 前駆体は、L が N+(CH3)3 又はトリメチルアンモニウ
ム塩である上記の構造(I)を有する。
【0052】
ある実施形態では、前記 DCFPyL 前駆体は、Q が tert-ブチルであり、及び L が N+(C
H3)3 又はトリメチルアンモニウム塩である上記の構造(I)を有する。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「脱保護(deprotecting)」は、カルボニル基が形成
されるエステル部分の保護基の除去を指す。
【0054】
放射性フッ素化モジュール
放射性フッ素化モジュールとは、化合物を放射性フッ素化するためのシステムである。
放射線曝露を最小限に抑えるために、そのモジュールは自動化及び遠隔制御して放射性フ
ッ素化を行うことがある。例えば、放射性フッ素化モジュールは、複数の異なるサブ‐モ
ジュールを含むことがあり、各サブ‐モジュールが本明細書に記載した [18F]DCFPyL の
合成方法の工程を実行するように構成する。ある実施形態では、放射性フッ素化モジュー
ルは、放射性フッ素化のための乾燥 [18F]フッ化物イオンを調製するための第 1 サブ‐
モジュール、DCFPyL 前駆体から [18F]DCFPyL の放射性合成を行う第 2 サブ‐モジュー
ル、及び前記放射性合成反応混合物から [18F]DCFPyL を精製する第 3 サブ‐モジュール
を含むことがある。各サブ‐モジュールを、例えばチューブ及び/又はポンプを接続する
ことによって、動作可能に接続することがある。ある実施形態では、放射性フッ素化モジ
ュールは、[18F]フッ化物イオンを生成するためのサブ‐モジュールを更に含むことがあ
り、その [18F]フッ化物イオンを、放射性フッ素化のための乾燥 [18F]フッ化物イオンを
調製するための第 1 サブ‐モジュールが受け取ることがある。
【0055】
ある実施形態において、前記放射性フッ素化モジュールを、反応条件を監視するための
オン‐ライン・センサ(例えば、温度、圧力、流速及び放射能のためのセンサ)を含むよ
うに、更に構成することがある。ある実施形態では、前記放射性フッ素化モジュールを、
各工程後の反応生成物の品質を監視するために、サブ‐モジュールの下流又は上流にオン
ライン分析器を含むように、更に構成することがある。
【0056】
ある実施形態では、[18F]DCFPyL を、カスタム‐メイドの放射性フッ素化モジュール(
RFM)を用いて合成する。ある実施形態では、前記 RFM ハードウェアは、加熱ブロック、
例えば 2 つの Tecan Carvro シリンジ・ポンプなどの 2 つのシリンジ・ポンプ、例えば
標準的な v-バイアル用に構成されたようなマルチ‐ポート・キャップ、及びバルブ付き
試薬添加バイアルを含む。ある実施形態では、前記 RFM は、温度加熱キャビティを更に
含む。ある実施形態では、前記温度加熱キャビティは、マイクロ波キャビティによって置
き換えられる。ある実施形態では、v-バイアルは 5 mL の v-バイアルである。
【0057】
前記 RFM を、Labview Real-Time ソフトウェア・ソースを実行しているラップトップ
・コンピュータに繋げられたナショナル・インスツルメンツ・コンパクト・フィールドポ
イント・ソース・モジュール(National Instruments Compact Fieldpoint source modul
e)によって制御することがある。放射性フッ素化モジュールを制御するために使用する
ソフトウェアは、ナショナル・インスツルメンツの LabVIEW プロフェッショナルと LabV
IEW Real-Time のプラットフォーム上で構築されている。自動 RFM 及び制御ソフトウェ
アの例示的な構成は、Ravert ら(Ravert ら、2014)、及びこれもまた Ravert ら(Rave
rt ら、2015)に記載されており、そのような構成は、その全体が参照により本明細書に
組み込まれる。ある実施形態では、前記ハードウェア‐ソフトウェア・システムによって
、[18F]フッ化物の回収から反応混合物をセミ分取 HPLC に注入するまでの工程を含む完
全自動化が可能になる。ある実施形態では、部分自動化のために RFM を構成することが
ある。
【0058】
ある実施形態では、[18F]DCFPyL を、ELIXYS 自動放射化学合成装置(ソフィー・バイ
オサイエンシズ・インコーポレーテッド、カルバー・シティ、カリフォルニア州(Sofie
Biosciences, Inc., Culver City, CA))(Lazarie ら、2014)を用いて合成する。ある
実施形態では、ELIXYS の 3 つの反応器のうちの 1 つのみを [18F]DCFPyL を合成するた
めに使用する。
【0059】
一般に、反応物、反応中間体、又は生成物に接触又は暴露される構成要素(例えば、バ
ルブ又はチューブ)又は合成モジュールの表面は、不活性物質及び/又は反応性ではない
素材(例えば、放射性合成の最中に、何れの反応物、反応中間体、又は生成物が表面に吸
着することを最小とする酸若しくはアルカリ及び/又は素材)で作られているか、又はコ
ーティングされていなければならない。ある実施形態では、放射性合成におけるフッ素汚
染を最小限に抑えるために、構成要素(例えば、バルブ又は配管)及び/又は合成モジュ
ールの表面の一部又は全部はフッ素を含まない。本明細書で使用する場合、用語「フッ素
を含まない(free of fluorine)」は、フッ素原子又はフッ化物イオンを 0.01 %以下(
例えば、0.005 %以下、0.001 %以下、0.0001 %以下、又は 0 %を含む)であることを
いう。ある実施形態では、構成要素(例えば、バルブ又はチューブ)及び/又は合成モジ
ュールの表面の一部又は全部は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマーを
含まない。
【0060】
ある実施形態では、直立した小容量の容器からの移送損失及び移送時間を最小にする流
体経路の設計を使用する。
【0061】
DCFPyL 前駆体、[
18
F]フッ化物、及び [
18
F]フッ化物標準の合成
ある実施形態では、DCFPyL 前駆体を、構造(II)を有する化合物 A と構造(III)を
有する化合物 B 又はその塩とのアシル化反応によって合成することがある:
【化2】
ここで、構造式(II)を有する化合物 A 中の Q は、上で定義したようなリン酸の処理
によって除去可能なエステル部分の保護基であり;及び、
ここで、構造式(III)を有する化合物 B 又はその塩中の L は、上で定義したような
脱離基である。
【0062】
ある実施形態では、構造式(II)を有する化合物 A は:
【化3】
;
であり、
ここで、Q は tert-ブチル基である。
【0063】
ある実施形態では、構造式(III)を有する化合物 B は:
【化4】
上で定義したように対イオンを有し、好ましくはトリフルオロメタンスルホネートであ
る。
【0064】
ある実施形態では、DCFPyL 前駆体(3、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-
ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバ
モイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネート
)を、
図1に示すように、トリメチルアンモニウム・ニコチン酸エステルのトリフラート
塩(2)とウリエド(uriedo) 化合物(1)のカップリングから合成することができる。
ジクロロメタン中の化合物(1)をトリエチルアミン(TEA)及び化合物(2)と混合する
。室温でのインキュベーション後、前記生成物を乾燥させ、アセトニトリル及びジメチル
・エーテル中で半固体を形成する。ある実施形態では、乾燥のために真空を適用すること
がある。前記 DCFPyL 前駆体を、C-18 カラム(例えば、C-18 Sep-Pak Vac)を用いて精
製することがある。DCFPyL 前駆体の対イオンを、精製中に交換することがある。その結
果として、ある実施形態では、前記精製した DCFPyL 前駆体は、5-(((S)-6-(tert-ブトキ
シ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オ
キソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロ
メタンスルホネートである。ある実施形態では、前記精製した DCFPyL 前駆体は、5-(((S
)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル
)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウ
ム・トリフルオロアセテートである。ある実施形態では、前記画分を凍結乾燥して白色固
体を形成することがある。
【0065】
ある実施形態では、酸素‐18 富化水をニオブ体、ジェネラル・エレクトリック・メデ
ィカル・システム(GEMS、ウプサラ、スウェーデン)(General Electric Medical Syste
ms (GEMS, Uppsala, Sweden) )の PETtrace サイクロトロンの高収率な [18F]フッ化物
ターゲット、に充填し、前記ターゲットを陽子線で照射することによって、[18F]フッ化
物を生成することがある。
【0066】
((2S)-2-[[(1S)-1-カルボキシ-5-[(6-フルオロアニルピリジン-3-カルボニル)‐アミノ
]ペンチル]- カルバモイルアミノ]ペンタン二酸、DCFPyL 標準、 ((2S)-2-[[(1S)-1-t-ブ
チルカルボキシレート-5-[(6-フルオロアニルピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル
]-カルバモイル-アミノ]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアート、フッ素化された保護された
中間体標準、2-[3-[1-t-ブチルカルボキシレート-(5-アミノペンチル)]-ウリエド(uriedo
) ]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアート(1)のギ酸塩及び N, N, N-トリメチル-5-((2, 3
, 5, 6-テトラフルオロフェノキシ)カルボニル)-ピリジン-2-アミニウム・トリフルオロ
メタンスルホネート(2)を合成する方法が本明細書において提供される。方法の例は記
載されており(Chen ら、2011; Banerjee ら、2008;Olberg ら、2010)、そのような方
法の説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
放射性フッ素化、脱保護及び精製
本明細書で提供する前駆体を放射性フッ素化するための方法が提供される。ある実施形
態では、前記方法は:
(i)カートリッジ中に [18F]フッ化物イオンを捕捉すること;
(ii)カートリッジ中に捕捉させた [18F]フッ化物イオンを放出するために、テトラブチ
ルアンモニウム塩基塩(例えば、テトラブチルアンモニウム炭酸水素塩(TBABC))の溶
液でカートリッジから溶出すること;
(iii)前記 [18F]フッ化物イオンを含む溶出液を乾燥させること;
(iv)前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンに、有機溶媒又は非プロトン性溶媒(例えば
、アセトニトリル)中の DCFPyL 前駆体の溶液を加えること;及び
(v)工程(iv)の混合溶液を加熱すること;
を含む。
【0068】
ある実施形態では、前記カートリッジを、溶出後に例えばアセトニトリルなどの有機溶
媒ですすぐことがある。
【0069】
ある実施形態では、全ての化学物質及び成分を最初に前記 RFM 又は ELIXYS 合成カセ
ットに充填する。次いで、[18F]フッ化物イオンを、Chromafix 30-PS-HCO3 固相抽出(SP
E)カートリッジ(ABX 社、ラーデベルグ、ドイツ)(Chromafix 30-PS-HCO3 Solid Phas
e Extraction (SPE) cartridge (ABX GmbH, Radeberg, Germany))のような陰イオン交
換カートリッジに送り、ある実施形態では、そのカートリッジを高純度水で洗浄すること
により事前調整する。高純度水は、例えば、Flukaから市販されている。ある実施形態で
は、高純度水は、25 ℃で、約 10-8 S/cm(例えば、5.5×10-8 S/cm)の電気伝導率(又
は逆数の電気抵抗率では、約10 MΩ・cm、例えば、18 MΩ・cm)である。ある実施形態で
は、高純度水は無菌である。ある実施形態では、事前調整に使用する水の容量は0.5~2 m
L(例えば、1 mL)である。ある実施形態では、[18O]水を再利用するために回収する。あ
る実施形態では、捕捉させた [18F]フッ化物イオンを有する樹脂カートリッジは、その後
、テトラブチルアンモニウム炭酸水素塩(TBABC)の溶液で溶出される。ある実施形態で
は、上記のような RFM を使用する場合には、約 500 から約 700 μL(例えば、600 μL
)の TBABC を溶出に使用する。ある実施形態では、上記 ELIXYS システムを使用する場
合には、約 200 から約 400 μL(例えば、300 μL)の TBABC を溶出に使用する。ある
実施形態では、他の塩基(例えば、クリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)2.2.2
共に重炭酸カリウム又は酢酸カリウム)を使用することがある。ある実施形態では、溶
出液を集めるバイアルを、希硝酸で汚れを落とし、高純度水(例えば、HPLC水)で洗浄し
、80 ℃で一晩乾燥させる。
【0070】
ある実施形態では、前記カートリッジから溶出した [18F]フッ化物イオンを含む溶液を
、前記カートリッジをアセトニトリルですすいだ後に、標準的な温度加熱ブロック内で制
御した窒素流を用いて、約 80 ℃から約 150 ℃の間(例えば110 ℃)で乾燥させる。あ
る実施形態では、約 50 秒から約 300 秒間(例えば、150 秒間)、約 250 から約 400 m
L/分の間(例えば、325 mL/分)の窒素流を使用する。ある実施形態では、前記カートリ
ッジから溶出した [18F]フッ化物イオンを含む溶液を、無水アセトニトリルの 1 回以上
の連続的な添加及び除去によって共沸的に乾燥させる。例えば、ある実施形態では、1 回
以上(例えば、2 回、3 回又は 4 回)アセトニトリルを添加して、更に乾燥させるため
に約 50 秒から約 300 秒間、各回加熱する。例えば、2 回、別々にアセトニトリルを添
加して(それぞれ 250 μL)、それぞれ 150 秒間と 180 秒間、又はそれぞれ 90 秒間と
105 秒間加熱することがある。ある実施形態では、前記アセトニトリルを真空下及び窒
素流下で加熱することがある。ある実施形態では、前記バイアルを、圧縮空気を用いて、
40 ℃から 60 ℃(例えば、45 ℃又は 50 ℃)の温度まで冷却する。ある実施形態では、
5 から 10 L/分(例えば、6 L/分)の空気流を使用する。
【0071】
次いで、アセトニトリル中の前記 DCFPyL 前駆体(例えば、
図5の3)の溶液を、前記
乾燥させた [
18F]フッ化物イオンが入っている反応バイアルに添加することがある。ある
実施形態では、前記溶液を、約 2 分から約 10 分間(例えば、5 分間又は 6 分間)、約
30 ℃から約 70 ℃の間(例えば、45 又は 50 ℃)で加熱する。ある実施形態では、前
記溶液を、約 20 秒から約 200 秒間(例えば、20, 30, 60, 100, 150 又は 200 秒間)
、約 40 W から約 60 W(例えば、40 W, 50 W 又は 60 W)でマイクロ波照射をする。
【0072】
脱保護工程のためには、約 300 から約 400 μL(例えば 350 μL)のリン酸(60 から
90 %、例えば 75 %又は 85 %)又は 1.8 から 2.5 の pKa を有する酸(例えば 1.8,
1.9 , 2.0, 2.1, 2.12, 2.2, 2.3, 2.4, 2.5)を、例えば前記反応混合物を冷却するこ
となく、添加する。ある実施形態では、前記バイアルを、約 2 分から約 10 分間(例え
ば、6 分間)、約 30 ℃から約 55 ℃(例えば、45 ℃)に維持する。次いで、前記反応
を止め、約 2 から約 2.5 の pH で緩衝する。ある実施形態では、反応を止めること及び
緩衝を、水酸化ナトリウムとリン酸二水素ナトリウム緩衝液の添加によって行う。緩衝試
薬の例示的濃度及び容量は以下の通りである:(2 M、2 mL)及びリン酸二水素ナトリウ
ム緩衝液(10 mM、pH 2.1、1 mL)。
【0073】
[18F]DCFPyL を精製するために、当該分野で公知の標準的な技術を適用することができ
る。ある実施形態では、前記粗反応混合物を C18 カラムに注入し、メタノールとリン酸
二水素ナトリウムの混合物で溶出する。例えば、前記粗反応混合物を 15:85 のメタノー
ル: 0.01 N リン酸二水素ナトリウム(pH 2.1)の混合液で溶出することがある。ある実
施形態では、[18F]DCFPyL を HPLC 水のリザーバに回収する。前記回収した画分を、C-18
Sep-pak Plus Long カートリッジに窒素で押し込み、HPLC 水ですすいだ。ある実施形態
では、放射性トレーサー生成物を無水エタノールで、続いて 0.2 μm の滅菌フィルタを
通した無菌生理食塩水で溶出する。ある実施形態では、前記生成物を、無菌生理食塩水を
予め充填した無菌バイアルに入れる。ある実施形態では、回収及び/又は溶出を、アスコ
ルビン酸ナトリウムの存在下で行う。
【0074】
ある実施形態では、[18F]DCFPyL の合成方法は、すべての標準 USP Chapter <823> 受
け入れ試験基準(standard USP Chapter <823> acceptance testing criteria)に適合
しながら、大きな mCi 量を生成する。ある実施形態では、本明細書に記載した放射性合
成法は、少なくとも 20 mCi の [18F]DCFPyL、例えば少なくとも 30、少なくとも 40、少
なくとも 50、少なくとも 60、少なくとも 70、少なくとも 80、 少なくとも 90、少なく
とも 100、少なくとも 150、少なくとも 200、少なくとも 300、少なくとも 400、少なく
とも 500、少なくとも 600 mCi の [18F]DCFPyL、の収量である。
【0075】
HPLC 分析
品質管理 HPLC 分析のために、当該分野で公知の様々な既知の分析クロマトグラフィー
・システムを使用することがある。ある実施形態では、[18F]DCFPyL の化学的及び放射化
学的特性を、Agilent 1260 Infinity System を使用して測定することがある。クォータ
ナリ・ポンプ(quaternary pump)、HiP ALS オートサンプラー、及び NaI 放射能検出器
を備えた Bioscan Flow-Count インターフェースを追加して、264 nmに設定された Max-L
ight フロー・セルが付いた DAD UV 検出器、を備えた例示的な Agilent 1260 Infinity
System の構成が、Ravert ら(J. Label Compt. Radiopharm 2014, 57:695, J. Label Co
mpt. Radiopharm 2015, 58:180)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組
み込まれる。ある実施形態では、Agilent OpenLAB クロマトグラフィー・データ・システ
ムを、クロマトグラフィー・データを収集し、分析するために使用する。クロマトグラフ
ィー条件のある例示的な組合せは以下の通りである:Atlantis T3 C18 5 μm 4.6×150 m
m(ウォーターズ社、ミルフォード、マサチューセッツ州(Waters Corp., Milford, MA)
)をアセトニトリル(MeCN):トリエチルアミン(TEA)/リン酸塩緩衝液(pH 3.2)の
10:90 の混合液により流速 2 mL/分で溶出し、UV を 264 nm に設定した。ある実施形態
では、以下の化合物を HPLC 分析のための標準として使用することがある:((2S)-2-[[(1
S)-1-カルボキシ-5-[(6-フルオロアニルピリジン-3-カルボニル)-アミノ]ペンチル]-カル
バモイルアミノ]ペンタン二酸、DCFPyL 標準、((2S)-2-[[(1S)-1-t-ブチルカルボキシレ
ート-5-[(6-フルオロアニルピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-カルバモイル-
アミノ]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアート、フッ素化された保護された中間体標準。
【0076】
組成物
本明細書で提供される何れか 1 つの方法から得られる生成物の組成物が本明細書で提
供される。そのような組成物を、それらの意図された用途の必要に応じて、単独で、又は
他の成分又は化合物と組み合わせて、使用することがある。
【0077】
ある実施形態では、前記 [18F]DCFPyL は、少なくとも 10 Ci/μmole、例えば少なくと
も 20、少なくとも 30、少なくとも 40、少なくとも 50、少なくとも 60、少なくとも 70
、少なくとも 80、少なくとも 90、少なくとも 100、少なくとも 110、少なくとも 120
、少なくとも 130、少なくとも 140、少なくとも 150 Ci/μmole、或いはこれより大きい
平均比活性を有することがある。ある実施形態では、前記 [18F]DCFPyL は、約 40 から
約 150 Ci/μmole の平均比活性を有することがある。
【0078】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約 400 ppm 以下の濃度、例えば 300
ppm 以下、200 ppm 以下、100 ppm 以下、50 ppm 以下、25 ppm 以下、10 ppm 以下、5 p
pm 以下、1 ppm 以下、又はそれよりも低い濃度のアセトニトリルを含む。ある実施形態
では、本明細書に記載の組成物はアセトニトリルを含まない。
【0079】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約 3,000 ppm 以下、例えば 2,000 pp
m 以下、1,000 ppm 以下、500 ppm 以下、250 ppm 以下、 100 ppm 以下、50 ppm 以下、
10 ppm 以下、1 ppm 以下、又はそれよりも低い濃度のメタノールを含む。ある実施形態
では、本明細書に記載の組成物は、約 0 から 50 ppm の間の濃度のメタノールを含む。
【0080】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1 つ以上のクリプタンド、例えば、1
つ以上のクリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)化合物を含まない。
【0081】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、t-ブタノールを含まない。
【0082】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、トリエチルアミンを含まない。
【0083】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、クリプタンド、例えば、クリプトフィ
ックス(Kryptofix)(登録商標)化合物、t-ブタノール、及びトリエチルアミンの何れ
も含まない。
【0084】
ある実施形態では、本明細書に記載の組成物は、少なくとも 95 %以上、例えば少なく
とも 96 %、少なくとも 97 %、少なくとも 98 %、少なくとも 99 %、又は最大で 100
%の [18F]DCFPyL の放射化学的純度を有する。
【0085】
装置
また、本明細書の中で提供される何れか 1 つの方法を実施するために使用され得る合
成モジュールが本明細書の中で提供される。例示的なモジュールには、実施例に記載され
るような RFM、及び本明細書で提供される ELIXYS 修正システムが含まれる。好ましい実
施形態において、前記モジュールには、本明細書で提供される何れか 1 つの方法の構成
要素が含まれる。他の好ましい実施形態では、前記モジュールは、上記及び実施例に記載
のものである。
【0086】
使用の方法
細胞、器官若しくは組織を接触させること、又は被験体に有効量の本明細書で提供され
る化合物を投与することを含む、1 つ以上の細胞、器官若しくは組織をイメージングする
方法もまた本明細書の中で提供される。ある実施形態では、1 つ以上の器官又は組織には
、前立腺組織、腎臓組織、脳組織、血管組織又は腫瘍組織が含まれる。
【0087】
ある実施形態では、前記イメージング方法は、PSMA を標的とすることによってイメー
ジングするのに適している。別の実施形態では、前記イメージング方法は、がん、腫瘍又
は新生物のイメージングに適している。更なる実施形態では、前記がんは、眼又は眼球の
がん、直腸がん、結腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん及び膀胱がん、口腔がん、
良性及び悪性腫瘍、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮体、卵巣がん、前立腺が
ん、精巣がん、腎臓がん、脳がん(例えば神経膠腫(グリオーマ))、咽喉がん、皮膚黒
色腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、基底細胞
がん及び扁平上皮がん、小細胞肺がん、絨毛がん、横紋筋肉腫、血管肉腫、血管内皮腫、
ウィルムス腫瘍、神経芽腫、口腔/咽頭がん、食道がん、喉頭がん、リンパ腫、神経線維
腫症、結節性硬化症、血管腫、及びリンパ管形成から選択される。
【0088】
本明細書で提供されるイメージング方法は、PSMA が関与する任意の生理学的プロセス
又は特徴をイメージングするのに適している。ある実施形態では、前記イメージング方法
は、PSMA を高濃度に発現する組織又は標的の領域を同定するのに適している。例示的な
用途には、グルタミン酸神経伝達のイメージング、シナプス前グルタミン酸作動性神経伝
達、PSMA を発現する悪性腫瘍又はがん、前立腺癌(転移前立腺癌を含む)及び血管新生
が含まれる。固形腫瘍は、血管新生 の際に PSMA を発現する。従って、本明細書で提供
される方法及び組成物を、例えば肺、腎細胞、膠芽細胞腫、膵臓、膀胱、肉腫、メラノー
マ、乳房、結腸、生殖細胞、褐色細胞腫、食道及び胃等を含む固形腫瘍をイメージングす
るために、使用することがある。PSMA は、様々な悪性腫瘍の腫瘍周囲及び内腫瘍領域に
おける毛細血管の内皮細胞においてしばしば発現していて、そのような悪性腫瘍をイメー
ジングするために、提供される方法及び組成物を使用することがある。又、例えば、子宮
内膜、シュワン細胞腫(schwannoma)及びバレット食道(Barrett’s esophagus)等を含
む、ある良性の病変及び組織を、提供される方法及び組成物に従ってイメージングするこ
とがある。
【0089】
血管新生をイメージングするための提供される方法及び組成物は、血管新生が起こる様
々な疾患及び障害をイメージングする際における使用に適している。例示的で非限定的な
例としては、腫瘍、膠原病(collagen vascular disease)、がん、卒中、血管奇形(vas
cular malformation)及び網膜症が含まれる。血管新生をイメージングする提供される方
法及び組成物はまた、正常組織の発生を診断する及び観察する際に使用することにも適し
ている。
【0090】
本明細書で提供される何れか 1 つの方法又は組成物のある実施形態では、放射性標識
化合物の組成物は、本明細書に記載の比活性のレベルなどの、高い比活性を有する。
【0091】
本明細書で提供される何れか 1 つの方法又は組成物のある実施形態では、前記放射性
標識化合物を、陽電子放射断層撮影(PET)又は陽電子 放射断層撮影/コンピュータ断層
撮影(PET/CT)によって検出する。画像を、ある部位に蓄積する造影剤の空間分布の違い
によって生成することがある。前記空間分布を、具体的な標識に適した任意の手段、例え
ば、ガンマ・カメラ(gamma camera)、PET 装置、PET/CT 装置などを用いて測定するこ
とがある。前記造影剤の蓄積の程度を、放射性発光を定量するための既知の方法を用いて
定量化することがある。
【0092】
一般に、イメージングのために、本明細書で提供される組成物を検出可能に有効な量を
、被験体に投与することがある。本発明によれば、「検出可能に有効な量(a detectably
effective amount)」とは、臨床用途に利用可能な装置を用いて許容可能な画像を得る
のに十分な量として定義される。本明細書で提供される組成物の検出可能で有効な量は、
2 回以上の注射で投与することがある。検出可能に有効な量は、個体の感受性の程度、個
体の年齢、性別及び体重、個体に特有な応答、並びに線量測定法のような因子によって変
化し得る。検出可能に有効な量は、器具及びフィルムに関連した因子によっても変化し得
る。そのような因子の最適化は十分に当業者のレベル内である。診断目的に使用される造
影剤の量及びイメージング検査の期間は、薬剤を標識するために使用される放射性核種、
患者の体重、治療する症状の性質及び重症度、前記患者が受けている治療的処置の性質、
患者に特有の反応に依存する。最終的には、主治医が、個々の患者に投与する量及びイメ
ージング検査の期間を決定することがある。
【0093】
本明細書で提供される何れか 1 つの方法又は組成物のある実施形態では、前記被験体
は、ヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、ウシ、サル、トリ又は両生類で
ある。本明細書で提供される何れか 1 つの方法又は組成物の別の実施形態では、前記細
胞は in vivo 又は in vitro にある。本発明の化合物を投与することができる典型的な
被験体は、霊長類及びヒトのような哺乳動物である。獣医学的用途については、広範な種
類の被験体には、例えば、 ウシ(cattle)、ヒツジ、ヤギ、ウシ(cow)、ブタなどの家
畜;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ等の家禽:及び飼いならした動物、特
にイヌ及びネコなどのペットが含まれる。診断又は研究の用途のためには、広範な種類の
哺乳動物は、例えばげっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類
及び近交系ブタなどのブタ等を含む適切な被験体である。更に、in vitro での診断及び
研究用途などの in vitro 用途では、上記何れの被験体の体液及び細胞サンプルは、例え
ばヒト等の、血液、尿又は組織サンプルを使用するのに適している。
【0094】
本発明の他の実施形態は、治療上有効な量の本明細書で提供される組成物を、好ましく
は治療上有効な量で被験体に投与することを含む、腫瘍を治療する方法及び組成物を提供
する。ある実施形態では、前記腫瘍細胞は、例えば前立腺腫瘍細胞又は転移前立腺腫瘍細
胞などのように PSMA を発現することがある。他の実施形態では、腫瘍を、PSMA を発現
する隣接する又は近くの細胞を標的化することによって治療することができる。例えば、
腫瘍に関連して血管新生をしている血管細胞を標的とすることができる。本明細書で提供
される方法及び組成物を、例えば、肺、腎細胞、膠芽腫、膵臓、膀胱、肉腫、メラノーマ
、乳房、結腸、生殖細胞、褐色細胞腫、食道及び胃(又は本明細書で記載する、若しくは
当業者に知られている任意の他のがん若しくは腫瘍)を含む固形腫瘍を治療するために、
使用することがある。又、例えば、子宮内膜、シュワン細胞腫(schwannoma)及びバレッ
ト食道(Barrett’s esophagus)等を含む、ある良性の病変及び組織を、提供される方法
及び組成物で治療することがある。
【0095】
「治療上有効な量(Therapeutically effective amount)」は、治療の目的のために有
効な量のことである。一般に、被験体への投与のための組成物に関して、前記被験体にお
いて1つ以上の所望の応答を生じる組成物の量を指す。従って、ある実施形態では、有効
な量は、そのような所望の応答を生じる本明細書で提供される組成物の任意の量である。
この量は、in vitro 又は in vivo の目的のことがある。in vivo の目的のためには、前
記量は、臨床医が、被験体に対して臨床的利益を有し得ると考えるであろう量であっても
よい。そのような被験体には、本明細書に記載される何れか 1 つの被験体が含まれる。
治療上有効な量は、所望の治療上のエンドポイント又は所望の治療上の結果をもたらす、
本明細書で提供される組成物の量を含む。上記の何れを達成することは、ルーチンな方法
によってモニターすることができる。
【0096】
治療上有効な量は、治療を受ける具体的な被験体;症状、疾患又は障害の重篤度;例え
ば年齢、身体状態、サイズ及び体重等を含む患者個人のパラメータ;治療を受けている期
間;併用療法の性質(もしあれば);具体的な投与経路及び医療従事者の知識と専門技能
の中の同様な要因、に依存する。これらの要因は、当業者にとって周知であり、ルーチン
な実験にしかすぎないものとして扱われうる。理に適った医学的判断に従って、最大用量
を使用すること、すなわち最も安全な用量を使用することが一般に好ましい。しかし、当
業者には、医学的理由、心理的理由又は事実上任意のその他の理由により、患者はより低
い用量又は許容される用量を要求するかもしれない、ことが理解されるであろう。
【0097】
キット
本明細書で提供される何れか 1 つの組成物を含むキットもまた提供される。ある実施
形態では、前記キットは、薬学的に許容される担体及び本発明の組成物を含む、パッケー
ジにした医薬組成物を提供する。他のある実施形態では、前記キットは、本明細書で提供
される何れか 1 つの方法を実施するために必要な化合物及び試薬を提供する。提供され
る何れか 1 つのキットの実施形態において、前記キットは、以下:本明細書で提供され
る何れか 1 つの方法を実施するための指示、本明細書で提供される何れか 1 つの組成物
を調製するための指示、又は本明細書で提供される何れか 1 つの使用の方法のような、
使用の方法において本明細書で提供されるような最終的な放射性標識化合物のための指示
、の少なくとも 1 つを含むインディシア(indicia)を更に含む。
【0098】
DCFPyL 前駆体及び放射性フッ素化において使用するための試薬を含むキットが本明細
書で提供される。ある実施形態では、前記キットは、DCFPyL 前駆体及びリン酸を含む。
ある実施形態では、前記キットは、DCFPyL 前駆体及びテトラブチルアンモニウム炭酸水
素塩、及び任意選択的にリン酸を含む。ある実施形態では、前記キットは、1 つ以上のク
リプタンド、例えばクリプトフィックス(Kryptofix)(登録商標)(例えば、クリプト
フィックス(Kryptofix)(登録商標)2.2.2)を含まない。ある実施形態では、前記キッ
トは、[18F]フッ化物イオン(例えば、放射線耐性容器にパッケージされた [18F]フッ化
物イオン)を更に含むことがある。
【0099】
ある実施形態では、前記キットは、薬学的に許容される担体と組み合わせた本明細書で
提供される組成物の何れか 1 つを含む。提供される何れか 1 つのキットの組成物は、溶
液又は凍結乾燥の形態であっても良い。凍結乾燥の形態である場合、前記キットは、例え
ば水、生理食塩水、緩衝化生理食塩水等のような、無菌及び生理学的に許容される再構成
用の媒体を任意選択的に含むことがある。別の実施形態では、溶液又は凍結乾燥の形態で
ある場合、前記キットは、例えば NaCl、ケイ酸塩、リン酸緩衝液、アスコルビン酸、ゲ
ンチシン酸等のような、安定剤を任意選択的に含むことがある。
【0100】
「薬学的に許容される担体(pharmaceutically acceptable carrier)」は、無菌性、p
[Eta]、等張性、安定性などを考慮した生体適合性の溶液を指し、任意の及び全ての溶媒
、希釈剤(例えば、無菌生理食塩水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液(Ringer's
Injection)、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸
化リンゲル液(Lactated Ringer's Injection)及び他の水性緩衝液等を含む)、分散媒
体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤等を含むことがある。前記薬学的に許容
される担体はまた、当業者にとって周知の安定剤、防腐剤、酸化防止剤、又は他の添加剤
、又は当技術分野で公知の他の賦形剤(vehicle)を含有することがある。
【0101】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptabl
e salts)」とは、親化合物をその無毒性の酸又は塩基塩にすることによって改変される
開示化合物の誘導体のことをいう。薬学的に許容される塩の例としては、限定されるもの
ではないが、アミンなどの塩基性残基の無機又は有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基
のアルカリ又は有機塩;等を含む。前記薬学的に許容される塩には、例えば、無毒性の無
機酸又は有機酸から形成された親化合物の従来の無毒性塩又は第四アンモニウム塩が含ま
れる。例えば、従来の無毒性酸塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルフ
ァミン酸、リン酸、硝酸などから誘導される塩が含まれ、酢酸、プロピオン酸、コハク酸
、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、
パモ酸、麦芽酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリ
チル酸、メシル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホ
ン酸、メタンスルホン酸、エタン・ジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH2)
n-COOH(式中、n は 0~4 であり、例えば 0, 1, 2, 3 及び 4 等を含む)等の有機酸か
ら調整される前記塩を含む。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によっ
て塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩
は、遊離酸形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基(例えば Na、Ca、Mg、又
は K の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることによって、又は遊離塩基形
態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な酸と反応させることによって調製することが
ある。そのような反応を、典型的には、水中若しくは有機溶媒中、又はその 2 つの混合
物中で行う。一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又は
アセトニトリルのような非水性媒体が実際に使用される。追加の適切な塩のリストを、例
えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、East
on, Pa., p1418(1985)中に、見つけることができる。本明細書で提供される化合物の薬
学的に許容される塩を、提供される何れか 1 つの方法又は組成物において使用すること
がある。
【0102】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the
」は、内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。長年にわたる特許法の慣例
に従い、用語「a」、「an」及び「the」は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場
合、「1 つ又は複数(one or more)」を指す。従って、例えば、「被験体(a subject)
」への言及は、文脈が明らかに反対でない限り(例えば、複数の被験体(a plurality of
subjects))、複数の被験体等を含む。
【0103】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、文脈が他を必要とする場合を除いて、用語「含
む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、非排他的な
意味で使用される。同様に、用語「含む(include)」及びその文法上の変形は、リスト
内で項目を記述することが、リストされた項目に置換又は追加され得る他の同様の項目を
除外するなど、限定することを意図したものではない。
【0104】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、他に示さない限り、本明細書及び特許請
求の範囲で使用される量(amounts)、サイズ、寸法(dimensions)、割合、形状、処方
、パラメータ、パーセンテージ、量(quantities)、性質及び他の数値を表わす全ての数
字は、用語「約(about)」が、前記値、量又は範囲と共に明示的に現れていなくても、
すべての場合において用語「約(about)」によって修飾されると理解されるべきである
。従って、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に
記載された数値パラメータは、正確ではなく、及び正確である必要もなく、所望のように
、およそ及び/又はより大きい若しくはより小さくてもよく、許容誤差、換算係数、四捨
五入、測定誤差などを反映していることがあり、及び本明細書に開示される主題によって
得られることが求められる所望の特性に依存して、当業者に知られている他の因子を反映
していることがある。例えば、値を参照することが値の変形(variations)も含みうるこ
とを意味する場合、用語「約(about)」は、特定の量から、ある実施形態では ± 100
%、ある実施形態では ± 50 %、ある実施形態では ± 20 %、ある実施形態では ± 10
%、ある実施形態では ± 5 %、ある実施形態では ± 1 %、ある実施形態では ± 0.5
%、ある実施形態では ± 0.1 %であり、このような変形は、開示された方法を実行す
るために、又は開示された組成物を使用するために適切である。
【0105】
更に、用語「約(about)」は、1 つ以上の数値又は数値範囲と関連して使用する場合
、そのような数値全てを指すものと理解すべきであり、そのような数値全ては、例えばあ
る範囲内にある及びその数値より上及び下に境界を拡張することによって範囲となる変形
等も含む。終点により数値範囲を記述することは、その範囲内に包含される全ての数、例
えば全ての整数とそれらの端数(例えば、1 から 5 と記述することは 1, 2, 3, 4 及び
5 を含み、並びにそれらの端数、例えば1.5, 2.25, 3.75, 4.1 などを含む)及びその範
囲内にある任意の範囲を含む。
【実施例0106】
以下に示す実施例は、本発明の主題の代表的な実施形態を実施するための当業者に指針
を提供するために含まれている。本開示及び当業者の一般的なレベルに照らして、以下の
実施例は例示的なものに過ぎず、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変
更、変形、改変を行いうることを理解しうる。
【0107】
<実施例1>
[
18
F]DCFPyL の放射性医薬品製造レベルの合成
完全に規制に準拠した品質管理の仕様を備えた 2 つの異なる自動化されたプラットフ
ォーム上での [18F]DCFPyL の放射性合成を以下で説明する。放射性トレーサー合成は、
カスタム‐メイドの放射性フッ素化モジュール(RFM)及びソフィー・バイオサイエンス
社の ELIXYS 自動放射化学合成装置で行った。前記 RFM 合成は、照射終了時間(end-of-
bombardment (EOB))から、平均 66 分以内に完了し、合成終了時(end-of-synthesis (E
OS))の平均比活性が 4.4 TBq/μmole(120 Ci/μmole)及び EOS での 30.9 %の平均放
射化学収率(average radiochemical yield)であった。前記 ELIXYS 合成は、平均 87
分以内に完了し、EOS において平均比活性 2.2 TBq/μmole(59.3 Ci/μmole)及び 19
%の平均放射化学収率であった。両方の合成モジュールは、全ての標準 USP Chapter <82
3> 受け入れ試験基準(standard USP Chapter <823> acceptance testing criteria)に
適合しながら、大きな mCi 量 の [18F]DCFPyL を生成した。
【0108】
この実施例において、自研究室内のカスタム‐ビルド合成モジュール(in-house custo
m-build synthesis module)と市販の放射化学モジュールの両方で実施される自動合成を
使用した単一前駆体からの [18F]DCFPyL の改良合成は、単一反応器、5 つの操作工程、6
5 分から 87 分の合成時間を含み、放射化学収率を増加させた。本明細書で提供される方
法を使用することで、放射性医薬品製造レベルの合成を達成することができる。
【0109】
実験方法
すべての化学物質と溶媒は ACS 又は HPLC 純度であり、記載されている場合を除き、S
igma-Aldrich Chemical Company(セントルイス、ミズーリ州(St. Louis, MO))又は F
isher Scientific(ウォルトハム、マサチューセッツ州(Waltham, MA))を通じて購入
した。((2S)-2-[[(1S)-1-カルボキシ-5-[(6-フルオロアニルピリジン-3-カルボニル)‐ア
ミノ]ペンチル]-カルバモイルアミノ]ペンタン二酸、DCFPyL標準、((2S)-2-[[(1S)-1-t-
ブチルカルボキシレート-5-[(6-フルオロアニルピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチ
ル]-カルバモイル-アミノ]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアート、フッ素化された保護され
た中間体標準、2-[3-[1-t-ブチルカルボキシレート-(5-アミノペンチル)]-ウリエド(urie
do) ]-ジ-t-ブチル・ペンタンジオアート (1) のギ酸塩及び N, N, N-トリメチル-5-((2,
3, 5, 6-テトラフルオロフェノキシ)カルボニル)-ピリジン-2-アミニウム・トリフルオ
ロメタンスルホネート (2) を、記載のように合成した(Chen ら、2011;Banerjee ら、2
008;Olberg ら、2010)。このような合成方法の記載は、他に記載がない限り、その全体
が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
前記カスタム‐メイドの放射性フッ素化モジュール(RFM)は、マイクロ波放射性合成
モジュール(Ravert ら、2014)(そのモジュールの記載は、その全体が参照により本明
細書に組み込まれる。)と同様の方法で構築し、制御した。しかし、マイクロ波キャビテ
ィ(microwave cavity)の代わりに温度加熱キャビティ(thermal heating cavity)を使
用した。前記 ELIXYS(ソフィー・バイオサイエンス社、カルバー・シティー、カリフォ
ルニア州(Sofie Biosciences, Inc., Culver City, CA))モジュールは、市販されてい
る自動マルチリアクター放射性合成装置である(Lazari ら、2014)。
【0111】
ルーチンな品質管理(QC)HPLC 分析には、クォータナリ・ポンプ(quaternary pump)
、HiP ALS オートサンプラー、及び NaI 放射能検出器(Eckert&Ziegler、ベルリン、ド
イツ)を備えたBioscan Flow-Count インターフェースを追加して、264nmに設定された M
ax-Light フロー・セルが付いた DAD UV 検出器を組み込んだ Agilent 1260 Infinity Sy
stem(サンタ・クララ、カリフォルニア州(Santa Clara、CA))を使用して、[18F]DCFP
yL の化学的及び放射化学的同一性を測定した。クロマトグラフィー・データを取得し、A
gilent OpenLAB クロマトグラフィー・データ・システム(Rev. A.04.05)で分析した。
以下のクロマトグラフィー条件を使用した:Atlantis T3 C185 μm 4.6×150 mm(ウォー
タズ社、ミルフォード、マサチューセッツ州(Waters Corp., Milford, MA))カラムを
アセトニトリル(MeCN):トリエチルアミン(TEA)/リン酸塩緩衝液(pH 3.2)の10:9
0 の混合液により流速 2 mL/分で溶出し、UV を 264 nm に設定した。
【0112】
残存親油性出発物質(residual lipophilic starting materials)の可能性を調べるた
めに、勾配 HPLC 分析を、同じ Agilent HPLC システム及び最初に流速 1 ml/分で溶媒 A
(10:90 の MeCN:TEA/リン酸緩衝液(pH 3.2))により平衡化したウォーターズ社の A
tlantis dC 185 μm 2.1×100 mm カラムを用いて行った。溶媒 A(100 %)をインジェ
クション開始時間から 2.5 分間流し、10 分でクロマトグラムを終了するまで、溶媒 B(
100 % MeCN)を 0 から 85 %まで直線的に増加させた。
【0113】
[18F]DCFPyL バッチの残存溶媒レベルを分析することは、Agilent 7890A ガスクロマト
グラフ、データ収集及び分析のための Agilent OpenLAB クロマトグラフィー・データ・
システム、及び WAX(ポリエチレングリコール相:USP G16、G20)30 メートル、0.25 mm
ID、 0.25 μm フィルム・カラムを使用して行った。
【0114】
5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-tert-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタ
ン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-
アミニウム・トリフルオロメタンスルホネート (3) の合成
1(0.303 g、0.57 mmole)を 6 mL のジクロロメタンに溶解した。これに0.158 mL の
TEA 及び 2(0.272 g、0.57 mmole)を添加した。前記反応混合物を室温で 1 時間撹拌し
た。次に N2 気流下で溶媒を除去した後、真空乾燥した。前記混合物をアセトニトリルに
溶解し、撹拌しながらジエチルエーテルを加えた。混合物を室温で 30 分間保持し、半固
体を形成させた。エーテル層を除去し、半固体をアセトニトリルに再溶解した。ジエチル
エーテルを撹拌しながら添加して半固体を生成させた。前記混合物を室温で30分間保持し
、エーテル層を除去した。前記半固体を真空下で乾燥させ、アセトニトリル/水(1:9
から 5:5(v:v))を用いて C-18 Sep-Pak Vac 35 cc(ウォータズ社)で精製した。画
分を集め、凍結乾燥して白色固体(0.322 g、71 %)を得た。1H-NMR (500 MHz, MeOD)
δ 9.04 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.54 (dd, J1= 2.3 Hz, J2= 8.7 Hz, 1H), 8.10 (d, J =
8.7 Hz, 1H), 4.17 (m, 2H), 3.68 (s, 9H), 3.43 (m, 2H), 2.32 (m, 2H), 2.03 (m, 1
H), 1.80 (m, 2H), 1.67 (m, 3H), 1.45-1.50 (m, 29H). 13C-NMR (500 MHz, MeOD) δ 1
74.0, 173.9, 173.6, 166.0, 160.1, 159.7, 149.5, 141.4, 134.3, 121.9 (q, J = 317.
9 Hz), 115.8, 83.0, 82.8, 81.9, 56.0, 54.9, 54.3, 41.1, 33.5, 32.6, 29.9, 29.1,
28.5, 28.4, 24.2。元素分析:C34H56F3N5O11S の計算値;C、51.05;H、7.06;N、8.76
;実測値:C、50.58;H、6.95;N、8.49。HR-MS C33H56N5O8+ の計算値:650.4123、実測
値、650.4138 [M] +。
【0115】
[
18
F]フッ化物の生産
酸素-18 富化水(98%、Huayi アイソトープ、江蘇省、中国、約 2 mL)をニオブ体、
ジェネラル・エレクトリック・メディカル・システム(GEMS、ウプサラ、スウェーデン)
(General Electric Medical Systems (GEMS, Uppsala, Sweden) )の PETtrace サイク
ロトロンの高収率な [18F]フッ化物ターゲット、に充填した。前記ターゲットに 55 μA
の陽子ビームを 30 分間照射して、 18O(p,n)18F 核反応により約 61 GBq(1.65 Ci)の
水性 [18F]フッ化物イオンを生成した。
【0116】
放射性フッ素化モジュール(RFM)を使用した [
18
F]DCFPyL の放射性合成
すべての化学物質と成分を RFM にロードした後、[18F]フッ化物イオンを、1 mL の高
純度水(Fluka)で洗浄することにより事前調整した Chromafix 30-PS-HCO3 SPE カート
リッジ(ABX 社、ラーデベルグ、ドイツ)(Chromafix 30-PS-HCO3 SPE cartridge (ABX
GmbH, Radeberg, Germany))に送った。[18O] は回収して再利用した。RFM コンピュー
ター・コントロール(National Instruments LabVIEW、オースチン、テキサス州(Austin
, TX))の制御下で、前記樹脂カートリッジをテトラブチルアンモニウム炭酸水素塩(TB
ABC)(600 μL、0.075 M、ABX 社、ドイツ(ABX GmbH, Germany))の溶液で溶出し、マ
ルチポート・キャップで封印した 5 mL の反応バイアルに集めた;前記バイアルは、合成
の前に希硝酸で汚れを落とし、HPLC水で洗浄し、80 ℃で一晩乾燥させた。前記カートリ
ッジを MeCN(250 μL)ですすいだ後、標準的な温度加熱ブロックの中で、制御した窒素
流(325 mL/分)で 150 秒間、前記溶液を 110 ℃で乾燥させた。前記 [18F]フッ化物イ
オンを更に乾燥させるために、MeCN(それぞれ 250 μL)を 2 回別々に添加し、それぞ
れ 150 及び 180 秒間加熱した。
【0117】
前記バイアルを圧縮空気(約 6 リットル/分の流れ)を用いて 50 ℃の温度まで冷却
した。前記乾燥させた [18F]フッ化物イオンが入っている反応バイアルに、DCFPyL 前駆
体(3)(5 mg、6.25 μmol)の MeCN(500 μL)溶液を加えた。前記溶液を 50 ℃で 6
分間加熱した。この後、冷却しないで、リン酸(85 %、350 μL)を添加した。前記バイ
アルを 45 ℃で更に 6 分間維持した。水酸化ナトリウム(2 M、2 mL)とリン酸二水素ナ
トリウム緩衝液(10 mM、pH 2.1、1 mL)の混合物を加えて反応を停止し、前記反応混合
物をpH 2 から 2.5 に緩衝した。
【0118】
前記粗反応混合物を Phenomenex Gemini C18 5 μm 10×150 mm カラム(トーランス、
カリフォルニア州(Torrance, CA))に遠隔的に注入し、流速 10mL/分で、15:85 のメタ
ノール(MeOH):0.01 Mリン酸二水素ナトリウム(pH 2.1)の混合物で溶出した。HPLC
水(70 mL)のリザーバに [18F]DCFPyL(RT = 18 分、k'= 15.4)を集めた。この集めた
画分を C-18 Sep-Pak Plus Long カートリッジ(ウォーターズ社)に窒素で押し込み、前
記カートリッジを HPLC 水(10 mL)ですすぎ洗いをした。放射性トレーサー生成物を無
水エタノール(1 mL)、次いで 0.2 μm Millipore FG フィルター(25 mm;メルク社、
ダームシュタット、ドイツ)(Millipore FG filter (25 mm; Merck KGaA, Darmstadt,
Germany))を通した無菌生理食塩水(10 mL)で、無菌生理食塩水(4 mL)を事前充填し
た無菌製品バイアルに、前記カートリッジから溶出した。
【0119】
ELIXYS を使用した [
18
F]DCFPyL の放射性合成
すべての化学物質及び成分を ELIXYS 合成カセットに充填した後、前記 [18F]フッ化物
イオンを用量キャリブレーター中の 5 mL の V‐バイアルに送った。自動 ELIXYS 合成シ
ーケンスを開始した。1 mL の高純度水(Fluka)で洗浄することにより事前調整した Chr
omafix 30-PS-HCO3 SPE カートリッジ(ABX 社、ドイツ)に前記 [18F]フッ化物イオンを
窒素で押し込んだ。[18O]水は回収して再利用した。ELIXYS 反応器内で、前記樹脂カート
リッジから TBABC(300 μL、0.075 M、ABX 社、ドイツ)の溶液で、ガラス撹拌棒を使っ
て 5 mL 反応器 V-バイアルに溶出した。前記カートリッジを MeCN(600 μL)ですすい
だ後、前記溶液を攪拌しながら真空下と 270 秒間の窒素流下、110 ℃で乾燥させた。MeC
N(600 μL)を 2 回の別々に添加し、真空下及び窒素流下でそれぞれ 90 秒及び 105 秒
間加熱した。
【0120】
前記バイアルを 45 ℃の温度に冷却した。前記乾燥させた [18F]フッ化物が入っている
反応容器に、DCFPyL 前駆体(3)(5 mg、6.25 μmol)の MeFP(500μL)溶液を加えた
。前記溶液を攪拌しながら 50 ℃で 6 分間加熱した。リン酸(85 %、350 μL)を反応
バイアルに加えた。前記反応バイアルを 45 ℃で更に 6 分間攪拌しながら加熱し続けた
。2 つの等用量の 2 mL の水酸化ナトリウム(2 M、2 mL)とリン酸二水素ナトリウム(1
0 mM、pH 2.1、1 mL)の混合物を、撹拌しながら添加して反応を停止させ、2 から 2.5
の pH に前記反応混合物を緩衝させた。
【0121】
[18F]DCFPyL の精製及び製剤化は、上記の RFM 放射性合成について記載したものと同
じであった。
【0122】
品質管理の手順、目視検査
遠隔操作装置及び適切な放射線遮蔽(鉛ガラス)を用いて、[18F]DCFPyL 生成物が入っ
ているバイアルを、明るい光の下で目視検査をした。異物がないことが明らかで無色透明
であれば、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。
【0123】
放射化学的な同一性
対照標準溶液を分析 HPLC に注入して、システム条件が適していることを確認した(リ
テンション・タイム(retention time)及び質量を調べる標準曲線との一致を確認する)
。放射化学的な同一性を測定するために、[18F]DCFPyL の最終注入マトリックスの一定分
量(50 μL)を対照標準溶液の一定分量と混合した。UV検出器で測定した参照物質のリテ
ンション・タイムが、放射線検出器によって測定した [18F]DCFPyL のリテンション・タ
イムと一致していれば(2 つの検出器システム間のオフセットが適正に較正されていて)
、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。
【0124】
放射化学的純度
放射化学的な同一性試験について記載したのと同じ HPLC システムを用いて、[
18F]DCF
PyL の適切な容量(50 μL)を、放射能検出システムにおける補正されていないデッド‐
タイムの損失(メインピークのため)を避ける注入量で注入した。[
18F]DCFPyL の放射化
学的純度のパーセントは、[
18F]DCFPyL ピークに関連する放射能を、クロマトグラムでア
ッセイした全活性で割り、100 を掛けることによって決定した。放射化学的純度が 95 %
以上であれば、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。QC クロマトグラム
のサンプルを
図7に示す(DCFPyL-RT = 7.6分、k'= 8.7)。
【0125】
比活性
[18F]DCFPyL の比活性は、較正した一定分量の [18F]DCFPyL のアッセイした放射能(
合成終了時の mCi/mL)を、標準質量較正曲線から解釈されるような HPLC-UV で測定し
た担体 DCFPyL の質量濃度(1 mL 当たりの DCFPyL の μmole)で割ることにより計算し
た。前記比活性が 1000 mCi/μmole 以上であれば、この製品は、この受け入れ仕様を満
たすものとした。
【0126】
化学的純度
高い比活性では、化学的純度の指標として単純な UV ピーク比を使用することは、質量
が典型的には小さくなるにつれて不適切となる。[18F]DCFPyL をうまく合成するために、
出発前駆体の 99.5 %以上を合成中に除去しなければならない;即ち、最終生成物マトリ
ックス中に残存する前駆体又はその副生成物は 0.5 %以下であり得る。マトリックスに
起因しない他のすべての UV 吸収 HPLC 成分も、同じ許容される残存前駆体濃度未満でな
ければならない。放射化学的同一性試験について記載したのと同じ HPLC システムを用い
て、[18F]DCFPyL の担体質量を測定した。最初の HPLC カラム空隙容量(ボイド・ボリュ
ーム(void volume))の後、他のすべての UV ピークを合計し、副生成物とした。これ
らの副産物の質量濃度が 1.5 μg/mL 以下であれば、この製品は、この受け入れ仕様を満
たすものとした。
【0127】
残存溶媒の分析
無水エタノール(6.7 %)1675 μL、アセトニトリル(400 ppm)12.7 μL 及びメタノ
ール(3000 ppm)94.7 μL を加えた 25 mL の HPLC 水の標準溶液の一定分量を分析して
、システム適合性を決定した。最終の [18F]DCFPyL 生成物マトリックスの一定分量を注
入し、残存溶媒のレベルを、単一点曲線(single-point curve)からの場合と同様に標準
と比較して計算した。アセトニトリルのレベルが 400 ppm 以下であり、メタノールのレ
ベルが3000 ppm 以下であり、エタノールのレベルが 10 %以下である場合には、この製
品は、この受け入れ仕様を満たすものとした(Intl. Conf. on Harmonisation of Tech.
Requirements for Registration of Pharm. for Human Use, 1997)。
【0128】
pH
一滴の [18F]DCFPyL 最終生成物マトリックスを pH 指示紙(ColorPhast-Indicatorス
トリップ-pH 2-9;感度 0.3 から 0.5 単位、EMD Chemicals 社、ギブスタウン、ニュー
ジャージ州)に滴下した。ストリップの色を、指標チャートと照合した。pH が 4.5 から
8.5 であれば、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。
【0129】
滅菌フィルターの完全性試験
[18F]DCFPyL 最終ろ過工程(terminal filtration step)に由来する滅菌マイクロフィ
ルターを 5 mL の無水エタノールで洗浄し、濡れたままにし、較正した圧力計(Millipor
e 社)及び空気圧源に取り付けた。フィルターの遠位端を液体貯蔵器に入れ、ガスの圧力
をゆっくりと増加させた。気泡の流れが見られることなく 13 psi 以上の圧力に達した場
合に、Millipore Millex FG フィルターの完全性について、この製品は、この受け入れ仕
様を満たすものとした。
【0130】
放射性核種の同一性
[18F]DCFPyL 最終生成物マトリックスの一定分量中の放射能含有量(mCi)を、時間(0
分;A)及び再度 15 分後に(B)に、Capintec CRC-15R Radioisotope Dose Calibrator
(放射性同位元素用量較正器)(ラムゼイ、ニュージャージ州(Ramsey, NJ))で測定
した。半減期を以下の式を用いて算出した。計算された半減期が 105 から 115 分である
場合、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。
T1/2 =(4.495)/(log A - log B)
【0131】
放射性核種の純度
適切なガンマ線分光計を用いて、ガンマ・スペクトルを得るのに十分な時間、適切な一
定分量を注入してアッセイをした。得られたガンマ・スペクトルについて、18F の発光の
特徴ではない識別可能な光電ピークが存在するかを分析した。放射性核種の純度について
、観察されたガンマ線の総放出量の99.5%以上が 0.511 及び 1.022 MeV に相当していれ
ば、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。
【0132】
エンドトキシン試験
Charles River Laboratories EndoSafe Portable Testing System(Endosafe PTS Read
er, Integrated Software Version 7.10, Service Pack 2.0, 及びプリンター;ウィルミ
ントン、マサチューセッツ州(Wilmington, MA))を用いて、[18F]DCFPyL 最終生成物マ
トリックスのバッチ内のエンドトキシン・レベルを分析した。エンドトキシン・レベルが
11 エンドトキシン単位/mL 以下であれば、この製品は、この受け入れ仕様を満たすもの
とした。
【0133】
無菌性試験
ラミナ・フロー・フード(laminar flow hood)内で、[18F]DCFPyL 最終生成物マトリ
ックス(各約 100 μL)のサンプルを液体チオグリコール酸培地及び大豆カゼイン消化培
地(ベクトン・ディッキンソン社(Becton, Dickinson and Company))に添加した。そ
の培地をそれぞれ 32.5±2.5 ℃及び 22.5 ± 2.5 ℃でインキュベートし、増殖陽性を示
す濁度について毎日観察した。14 日間のインキュベーション期間中に増殖が観察されな
かった場合、この製品は、この受け入れ仕様を満たすものとした。
【0134】
放射性トレーサーの有効期限での再試験
周囲環境の条件下で保存したときの放射性トレーサー製品の安定性を実証するために、
放射性トレーサー合成の終了後 360 分に、上記の受け入れ試験のサブセットを実施した
。
【0135】
結果と考察
[18F]DCFPyL のマニュアル放射性合成(Chen ら、2011)を、自動化された二重反応器
合成プラットフォーム(古い核インターフェース「ダブル FDG 合成モジュール」(an ol
d Nuclear Interface “Double FDG Synthesis Module”))でのルーチンな使用に適合
させた。ヒトに使用するための放射性トレーサー合成の最初の評価の一部として、合成終
了時での比活性が 192 GBq/μmole(5.2 Ci/μmole)である最終放射性トレーサー製品(
2.3 GBq;62 mCi 平均)が適度な量で生産された。表1は、最初の受け入れ仕様と製品を
評価した結果を示す。時間が経つ中、この手順は、2 年の期間にわたって実施した 110
件を超える放射化学合成について、合成終了時の平均比活性で、およそ 3 %のやや変動
しうる放射化学収率(減衰に対して較正しておらず、推定平均 [18F]フッ化物標的の収量
に基づく)、しばしばより低い、であった。
【0136】
【表1】
QC 受け入れ仕様:[
18F]DCFPyL の元の合成と RFM 及び ELIXYS モジュールでの新しい
合成との比較。(収量、比活性及びフィルターの完全性を除くすべての試験を 360 分の
有効期限時に繰り返して行い、EOS で実施した試験結果と合致した。)
【0137】
以前の方法では収量が変動し、低から中程度の比活性であった。本明細書では、より高
い放射化学的収量及び比活性が増加した [18F]DCFPyL の合成方法が提供され、以前に制
定したすべての QC 基準を満たすか又は超える。より大規模な放射性医薬品レベルの放射
性トレーサーを製造できるようにするために、放射性トレーサー合成するための代替とな
る前駆体、代替となる合成プラットフォーム(時研究室内のカスタム・メイド・システム
の開発を含む)、及び反応条件及び精製条件の変更を確立した。
【0138】
新しい前駆体を合成した。保護されたトリメチルアンモニウム前駆体(3)(
図1)の
化学合成がうまくいくことによって、[
18F]DCFPyL の放射性トレーサーの合成へと進展す
ることが可能となった。前記前駆体、5-(((S)-6-(tert-ブトキシ)-5-(3-((S)-1, 5-ジ-te
rt-ブトキシ-1, 5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-6-オキソヘキシル)カルバモイル
)-N, N, N-トリメチルピリジン-2-アミニウム・トリフルオロメタンスルホネート(3)を
、トリメチルアンモニウム・ニコチン酸エステルのトリフラート塩(2)とウリエド化合
物(1)(uriedo compound (1))とのカップリングから、適した収率で合成した。
【0139】
50 ℃でのトリメチルアンモニウム前駆体(3)の放射性フッ素化は、TBABC 塩基を用い
て高収率で清浄な反応プロファイルを生成した。他の塩基(例えば、クリプトフィックス
(Kryptofix)(登録商標)2.2.2 を有する重炭酸カリウム又は酢酸カリウム)を試験し
たところ、これらは典型的にはより低い収率であった。5 mg を超えて合成に使用する前
駆体の量を増加させても、放射性フッ化物の収率は増加しなかった。RFM では、TBABC の
量を 11.25 から 22.5 に増加させて 45 μmol にすると、収率は 10 %から 30 %に増
加した。勾配 HPLC(実験方法の項に記載の条件)を用いると、放射性のフッ素化された
保護された中間体の収率は 81 %と測定された(
図2、RT = 8.9 分)。勾配 HPLC 上に
、対照として、トリメチルアンモニウム前駆体及び非放射性のフッ素化された保護された
中間体の UV トレース(Chen ら、2011)が重ねられている(
図3)。
【0140】
放射性フッ素化の後、多数の異なる酸によるエステル部分の脱保護を試みたが、その結
果は、低い収率で、副生成物が形成されものであった。リン酸(pKa1 = 2.12)が、45 ℃
で、主要な放射化学性の副生成物を形成せずに、適切な収率(Li ら、2006)でブチル基
を除去するのに十分な酸であることが分かった。最終的な粗脱保護生成物を勾配 HPLC(R
T=2.0 分)で分析すると、溶液中に残存する放射性のフッ素化された保護された中間体又
はトリメチルアンモニウム前駆体は無く、良好な収率であった(
図4)。
【0141】
自動化して合成を実施するのに適したプラットフォームに注目した。自研究室内のカス
タム‐メイドの RFM(α7-ニコチン性リガンド、高比活性の [18F]ASEM、を作成するため
のマイクロ波合成モジュールを温度加熱で適合させた(thermal heating adaptation)(
Ravert ら、2015))を構築した。合成中のフッ素汚染を最小限に抑えるための製造時の
フッ素を含まない構成部品(バルブ、チューブなど)、直立した小容量の試薬管からの移
送損失及び移送時間を最小にする流体経路の設計、といったいくつかの変更により、簡単
なコンピュータ制御の合成デバイス(ナショナル・インスツルメンツ社(National Instr
uments)の LabVIEW ソフトウェアを使用)である RFM となった。放射性フッ素化モジュ
ールを制御するために使用されるソフトウェアは、ナショナル・インスツルメンツ社の L
abVIEW プロフェッショナルと LabVIEW Real-Time プラットフォーム上で構築されている
。ハードウェアとソフトウェアのインタフェースは、ナショナル・インスツルメンツ社の
compactRio が埋め込まれたコントローラを使用して行った。ナショナル・インスツルメ
ンツ社の LabVIEW プロフェッショナルと LabVIEW Real-Time のプラットフォームは、ナ
ショナル・インスツルメンツ社の埋め込まれたコントローラとのエンド・ユーザ・インタ
ーフェイスである。エンド・ユーザは、ライブラリからの機器サブルーチンを変更し、前
記モジュールの性能を制御及びモニターするために、放射性フッ素化モジュールのユーザ
インターフェースをカスタム・デザインする及びプログラムする。
【0142】
放射化学合成をソフィー・バイオサイエンス社の ELIXYS モジュールに移した。ELIXYS
は、流体経路を提供し、合成シーケンスにおいて、3 つの反応器及びカセットの 1 つ又
は任意の組み合わせを使用可能とする、交換可能なカセットを使用する 3 つの反応器シ
ステムである(Lazari ら、2014)。この合成のためには、単一のカセット及び反応器の
みが必要とされた。このソフトウェアは、方法の開発や既存の合成の適応のために、簡単
で容易に変更できるインターフェースを備えている。潜在的なフッ素汚染源は ELIXYS で
は厳密に排除されていないが、[18F]DCFPyL は高比活性で適切な収率で得られた。乾燥時
間を短縮するために、より少ない TBABC 水溶液を利用し、これにより最終収率が幾分低
下した可能性がある。試薬移送及び可動式反応器のためのロボット工学を独自に統合して
いて、ELIXYS の合成時間は RFM よりも長かった。
【0143】
カスタム‐メイドの RFM 及びソフィー ELIXYS 放射性合成モジュールによる [
18F]DCF
PyL の最終的な放射性合成スキームを
図5に概説する。添加された TBABC 水溶液の量(R
FM の場合は 600 μL vs ELIXYS の場合 300 μL)、ELIXYS ではHPLC 精製前に反応希釈
液を分割して添加すること vs RFM では一回でより大きな容量を添加すること、を除いて
、放射化学合成は同一のプロセスである。
【0144】
どちらのモジュールにおいても、前記 [
18F]フッ化物イオンを Chromafix 30-PS-HCO3
カートリッジに捕捉し、そのカートリッジから TBABC 水溶液で溶出し、加熱及び追加の
アセトニトリルで共沸乾燥した。DCFPyL トリメチルアンモニウム前駆体(3)のアセトニ
トリル溶液を反応バイアルに加え、前記バイアルを加熱した。リン酸を加えて加熱し、t-
ブチル保護基を除去した。粗 [
18F]DCFPyL 溶液のpH を、水酸化ナトリウムとリン酸二水
素ナトリウム緩衝液の添加と完全混合により、2 から2.5 に調整した。セミ分取 HPLC カ
ラムへの注入によって、
図6に示すような典型的なクロマトグラムが生成された。[
18F]D
CFPyL ピークを水リザーバに集め、自動固相抽出(SPE)製剤を行い、エタノール 1 mL
及び普通の生理食塩水 14 mL の最終生成物溶液を得た。
【0145】
前記 RFM 放射性合成から得られた最終的な無菌溶液は、4.4±0.3 TBq/μmole(120±9
.2 Ci/μmole EOS、減衰に対して補正されていない)の平均比活性を有する平均 20.8±3
.4 GBq(562±91 mCi; n = 3)の [18F]DCFPyL を含んでいた。EOS での減衰に対して補
正されていない平均収率(average EOS non-decay corrected yield)は、平均合成時間
66 分で 30.9±3.0 %であった。前記 ELIXYS 放射性合成から得られた最終的な無菌溶液
は、2.2±0.5 TBq/μmole(59.3±12.4 Ci/μmole EOS、減衰に対して補正されていない
)の平均比活性を有する平均 13.8±7.4 TBq(372±199 mCi; n = 3)の [18F]DCFPyL
を含んでいた。EOS での減衰に対して補正されていない平均収率(average EOS non-deca
y corrected yield)は、平均合成時間 87 分で 19.4±7.8 %であった。これらのプラッ
トフォームの両方は、約 90 分で、EOS での補正されていない比活性が 193 GBq/μmole
(5.2 Ci/μmole)である、平均 2.3 GBq(62 mCi)の [18F]DCFPyL を産生する元々の多
段階合成と比較して、mCi 収率及び比活性を大幅に改善した。
【0146】
放射性合成モジュールの両方について、本明細書に開示された方法を用いて製造された
[18F]DCFPyL に関する最初の 3 回の検証的な実施での完全な QC データを表1に要約す
る。これらの新たに報告された結果は、以前に発表されたすべての受け入れ仕様に適合又
はそれを上回った。唯一変わったことは、(放射性トレーサー製品の最終的な比活性が大
幅に増加したことによって示されるように)大幅に改善された放射性トレーサーの品質で
作られた [18F]DCFPyL の量が大幅に改善されたことであった。以前に使用されていた 2
種類の溶媒は、前記合成ではもはや存在せず、クリプトフィックス(Kryptofix)(登録
商標)2.2.2 はもはや使用されておらず、それ故に、最終的な受け入れ限度と受け入れ仕
様を必要としない。
【0147】
化学的及び放射化学的な純度測定のための典型的な QC クロマトグラム及び化学的同一
性の目的のための同時注入(「スパイクされた本物(spiked authentic)」)クロマトグ
ラムを
図7に示す。0.999985 の平均適合度(R
2)で、7 つの質量レベルの非放射性 DCFP
yL(1 つの質量レベル当たり 6 回の反復注入)から生成され、質量と 0.0046 から 0.29
67 nmoles にわたり調製された UV 吸光度との関係を示す、較正曲線から、担体質量の測
定を行った。下限(0.0046 nmole)は、6:1 の信号対雑音比の定量限界として制定され
た。検出の限界は、 そのおよそ半分の量(0.0023 nmole)(USP(1225))と測定された
。[
18F]DCFPyL の最終的に製剤化した溶液の勾配 HPLC によれば、放射性フッ素化された
保護された中間体又はトリメチルアンモニウム前駆体が存在しないことが示された(
図8
)。
【0148】
マニュアル合成を自動合成プラットフォームに適合させることは、10 個の操作工程(
フッ化物の捕捉、フッ化物の放出及び乾燥、第 1 前駆体との反応、第 1 前駆体の中間精
製、第 2 前駆体との反応、反応溶媒の蒸発、t-ブチル保護されたトリフルオロ酢酸で放
射性フッ素化された中間体の脱保護、酸の除去、分取クロマトグラフィーのための緩衝化
、HPLCによる精製、及び最終生成物の製剤化)を含む。そのような適合をさせた合成は、
2 つの別個の反応器を有するモジュールを使用した。本明細書に記載の合成では、分取 H
PLC 精製の前に溶媒を蒸発させること又は酸を除去することを必要とせずに、単一の前駆
体を使用し及び最後から 2 番目の 生成物を脱保護することが部分的に理由となって、操
作工程を少なくすることができる。溶液の移送、蒸発、及び中間精製中での放射能の固有
の損失がなく、反応時間が短くて放射能減衰が少なくなるという追加の利点があるので、
本合成は他の合成と比較して EOS でより高い放射化学収率を示す。
【0149】
最後に、[18F]DCFPyL を大規模(マルチ・キュリー)に製造する可能性を示すために、
RFM モジュールを使用した合成で、213 GBq(5.77 Ci)の最初の [18F]フッ化物から 83.
6 Gbq(2.26 Ci)の [18F]DCFPyL を、収率 39.2 %(EOS)で製造した。比活性(EOS)
は 4.7 TBq/μmole(127.3 Ci/μmole)であり、放射化学的純度は 97.6 %であった。EO
S では、他のすべての QC データは、表1に設定された受け入れ仕様の範囲内であった。
しかし、この大規模放射性トレーサー製品を定められた 6 時間の有効期限で再検査する
と、製品は僅か 51.1 %の放射化学的純度しか示さなかった。以前の最も高い製品収率の
検証では、1.6 GBq/mL(44 mCi/mL)であり、6 時間の有効期限で、5.7 GBq/mL(153 mCi
/mL)で、すべての QC 受け入れ仕様を満たしていることが確認された一方、かなりの放
射性トレーサーの分解が観察された。次に、HPLC 収集容器とエタノール溶出後に Sep-Pa
k から前記生成物を溶出するために使用した生理食塩水にアスコルビン酸ナトリウムを添
加する、RFM モジュールを用いて大規模合成を行うと、222 GBq(6.0 Ci)の最初の [18F
]フッ化物から 67.7 Gbq(1.83 Ci)の [18F]DCFPyL が、収率 30.5 %(EOS)で生産さ
れた。比活性(EOS)は 5.9 TBq/μmole(159.3 Ci/μmole)であり、放射化学的純度は
99.7 %であった。EOS では、他の全ての QC データは、表1に設定された受け入れ仕様
内であった。添加されたアスコルビン酸ナトリウムを含むこの4.5 GBq/mL(122 mCi/mL)
溶液の [18F]DCFPyL の EOS 後 3, 4 及び 6 時間での放射化学的純度は、それぞれ 98.8
%、98.5 %、98.2 %であった。
【0150】
まとめ
カスタム化した、高収率、超高比活性の、使用された放射性フッ素化合成モジュールを
、PSMA 阻害剤 [18F]DCFPYL 等の [18F]放射性トレーサーを製造するために設計し、構築
した。PET 放射性トレーサーの比活性は、質量依存性の受容体局在化又は薬理学的な毒性
懸念に対する重要な品質管理放出基準(a critical quality control release criteria
)である。超高比活性では、放射性トレーサーの有効期限を延長することができ、放射性
トレーサーの単一の製造バッチで、より多くの PET 研究が可能になる。前記放射性フッ
素化モジュールによって、PET イメージングに使用される放射性トレーサーの自動及び半
自動の放射化学合成が可能になる。現在、10 を超える商業的な放射化学合成モジュール
が市販されている。この化学モジュールをユニークにするのは、モジュールを使用して製
造される放射性トレーサーの品質である。本発明のカスタム放射性フッ素化モジュールは
、今日市販されている商業的な合成モジュールの何れよりも 10 から200 倍優れた比活性
を有する。
【0151】
前記放射性フッ素化モジュールは、[18F]放射性トレーサー製品:[18F]DCFPYL、[18F]A
SEM、[18F]T807、及び [18F]AZAN、を含むがこれらに限定されない、に使用することがで
きる。
【0152】
[18F]DCFPyL を、非常に高い比活性で、中から高い放射化学収率で調製した。合成され
た放射性トレーサーの各バッチについて、全ての規制の受け入れ仕様が記載され、及び満
たされた。これらの自動化されたモジュールの何れかを使用したこの合成によって、1 時
間間隔で注入及び画像化される 1 日当たり最大 6 回の PET/CT スキャン(1 用量あたり
9 又は 10 mCi)に十分な量の高品質 [18F]DCFPyL 放射性トレーサー製品が容易に提供
される。
【0153】
<参考文献>
本明細書において言及された全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、本明
細書に開示される主題が関係する当業者のレベルを示す。すべての刊行物、特許出願、特
許及び他の参考文献は、各個々の刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献が、参照によ
り組み入れられるように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細
書に組み込まれる。多くの特許出願、特許及び他の参考文献が本明細書で言及されている
が、そのような参考文献は、これらの文献の何れかが当該技術分野における一般的な一般
知識の一部をなすことを認めるものではないことが理解される。本明細書と組み込まれた
参考文献との間に矛盾がある場合、本明細書(組み込まれた参照に基づく可能性のあるそ
の修正を含む)が支配するものとする。本明細書では、特に明記しない限り、標準的な技
術的に受け入れられた用語の意味が用いられる。本明細書では、様々な用語に対して標準
的な略語を使用する。
【0154】
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【0155】
前述の主題は、理解を明確にするために例示及び実施例によってある程度詳細に記載さ
れているが、当業者には、添付の特許請求の範囲内で、ある種の変更及び修正を実施でき
ることが理解されるであろう。