IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノビラ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-56732深共晶溶媒を含む薬物および他の物質の送達のための系および方法
<>
  • 特開-深共晶溶媒を含む薬物および他の物質の送達のための系および方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056732
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】深共晶溶媒を含む薬物および他の物質の送達のための系および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/407 20060101AFI20240416BHJP
   A61K 31/616 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/407
A61K31/616
A61K47/18
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/48
A61K9/70 401
A61K9/107
A61K47/10
A61K47/20
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008868
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2021529235の分割
【原出願日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】62/778,954
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/778,949
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/713,022
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/791,110
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521045210
【氏名又は名称】ノビラ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Novilla Pharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ティ・フォッセル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】例えば、液体、パッチ、クリーム、ローション、またはゲルを含むが、これらに限定されない様々な形態における医薬薬剤および他の有益物質の送達のための組成物(液体組成物を含む)を提供する。
【解決手段】塩化コリン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、およびケトロラクを含む、組成物であって、前記塩化コリンおよび前記プロピレングリコールを含む共晶混合物を含む、組成物とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5モル%~20モル%のアスピリンを含む1つまたはそれ以上の医薬薬剤;
5モル%~95モル%の塩化コリン;
5モル%~95モル%の尿素;および
1モル%以下の水
を含む、経口送達のための組成物であって、
前記組成物が、液体であり、前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、少なくとも80モル%である、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、0.1モル%以下の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、0.01モル%以下の水を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、検出不能な量の水を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、室温で液体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、25℃以下である融点を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、20℃以下である融点を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、10℃以下である融点を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、カフェインをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アセトアミノフェンをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アスピリンから必須としてなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、5モル%~10モル%で存在する、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
塩化コリンが、25モル%~75モル%で存在する、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
尿素が、25モル%~75モル%で存在する、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
塩化コリンが、40モル%~60モル%で存在する、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
尿素が、40モル%~60モル%で存在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
塩化コリンおよび尿素が、前記組成物を25℃以下の融点とする比率で前記組成物に存在する、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
塩化コリンおよび尿素が、前記組成物を20℃以下の融点とする比率で前記組成物に存在する、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、少なくとも90モル%である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、少なくとも95モル%である、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、1つまたはそれ以上の医薬薬剤、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、アスピリン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、アスピリン、カフェイン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、アスピリン、カフェイン、アセトアミノフェン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物を対象に経口で投与することを特徴とする、方法。
【請求項26】
前記対象が、ヒトである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
組成物を対象に経口で投与することを特徴とする方法であって、前記組成物が、
5モル%~20モル%のアスピリンを含む1つまたはそれ以上の医薬薬剤;
5モル%~95モル%の塩化コリン;
5モル%~95モル%の尿素;および
1モル%以下の水
を含み、前記組成物が、液体であり、前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、少なくとも80モル%である、方法。
【請求項28】
前記組成物が、0.1モル%以下の水を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、室温で液体である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、25℃以下である融点を有する、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、カフェインをさらに含む、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アセトアミノフェンをさらに含む、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、5モル%~10モル%で存在する、請求項27~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
塩化コリンが、25モル%~75モル%で存在する、請求項27~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
尿素が、25モル%~75モル%で存在する、請求項27~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
塩化コリンが、40モル%~60モル%で存在する、請求項27~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
尿素が、40モル%~60モル%で存在する、請求項27~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
塩化コリンおよび尿素が、前記組成物を25℃以下の融点とする比率で前記組成物に存在する、請求項27~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、少なくとも90モル%である、請求項27~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、ヒトである、請求項27~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
組成物を対象に経口で投与することを特徴とする方法であって、前記組成物が、
5モル%~20モル%の1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質;
5モル%~95モル%の塩化コリン;および
5モル%~95モル%の尿素
を含み、前記組成物が、液体であり、前記医薬薬剤、前記有益物質、塩化コリン、および尿素の合計の割合が、少なくとも80モル%である、方法。
【請求項42】
前記組成物が、1モル%以下の水を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、室温で液体である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、25℃以下である融点を有する、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、5モル%~10モル%で存在する、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
塩化コリンが、25モル%~75モル%で存在する、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
尿素が、25モル%~75モル%で存在する、請求項41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
塩化コリンが、40モル%~60モル%で存在する、請求項41~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
尿素が、40モル%~60モル%で存在する、請求項41~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
塩化コリンおよび尿素が、前記組成物を25℃以下の融点とする比率で前記組成物に存在する、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アスピリンを含む、請求項41~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、カフェインを含む、請求項41~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アセトアミノフェンを含む、請求項41~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、1000mg/l以下の水溶解度を有する、請求項41~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、少なくとも90モル%である、請求項41~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、ヒトである、請求項41~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
組成物を対象に経口で投与することを特徴とする方法であって、前記組成物が、
深共晶溶媒;および
1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質
を含み、前記組成物が、液体であり、前記医薬薬剤、前記有益物質、および前記深共晶溶媒の合計の割合が、少なくとも80モル%である、方法。
【請求項58】
前記深共晶溶媒が、尿素および塩化コリンを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記深共晶溶媒が、尿素および塩化コリンから必須としてなる、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記深共晶溶媒が、前記組成物の少なくとも50モル%で含まれる、請求項57~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記深共晶溶媒が、前記組成物の少なくとも80モル%で含まれる、請求項57~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記深共晶溶媒が、前記組成物の少なくとも90モル%で含まれる、請求項57~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アスピリンを含む、請求項57~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、カフェインを含む、請求項57~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アセトアミノフェンを含む、請求項57~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記深共晶溶媒が、25℃以下である融点を有する、請求項57~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、1000mg/l以下の水溶解度を有する、請求項57~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、100mg/l以下の水溶解度を有する、請求項57~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、10mg/l以下の水溶解度を有する、請求項57~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記組成物が、1モル%以下の水を含む、請求項57~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
第1の層および前記第1の層に実質的に混合しない第2の層を含む乳濁液を含む、組成物であって、前記第1の層が、塩化コリン、尿素、およびロラタジンを含む、組成物。
【請求項72】
前記組成物が、ゲルである、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記ゲルが、カプセル内に含まれる、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記第1の層が、1モル%以下の水を含む、請求項71~73のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項75】
前記第1の層が、0.1モル%以下の水を含む、請求項71~74のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項76】
前記第1の層が、検出不能な量の水を含む、請求項71~75のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項77】
前記第1の層が、室温で液体である、請求項71~76のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項78】
前記第1の層が、25℃以下である融点を有する、請求項71~77のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
前記第1の層が、20℃以下である融点を有する、請求項71~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
前記第1の層が、10℃以下である融点を有する、請求項71~79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
塩化コリンが、前記第1の層の25モル%~75モル%で前記第1の層に存在する、請求項71~80のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
尿素が、前記第1の層の25モル%~75モル%で前記第1の層に存在する、請求項71~81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
塩化コリンが、前記第1の層の40モル%~60モル%で前記第1の層に存在する、請求項71~82のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項84】
尿素が、前記第1の層の40モル%~60モル%で前記第1の層に存在する、請求項71~83のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項85】
塩化コリンおよび尿素が、前記第1の層を25℃以下の融点とする比率で前記第1の層に存在する、請求項71~84のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項86】
塩化コリンおよび尿素が、前記第1の層を20℃以下の融点とする比率で前記第1の層に存在する、請求項71~85のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項87】
前記第1の層におけるロラタジン、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、前記第1の層の少なくとも90モル%である、請求項71~86のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項88】
前記第1の層におけるロラタジン、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、前記第1の層の少なくとも95モル%である、請求項71~87のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項89】
前記第1の層が、ロラタジン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項71~88のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項90】
請求項71~89のいずれか1項に記載の組成物を対象に経口で投与することを特徴とする、方法。
【請求項91】
前記対象が、ヒトである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
裏打ち層;ならびに
塩化コリン、尿素、および1つまたはそれ以上の医薬薬剤を含む接着剤
を含む、経皮パッチ。
【請求項93】
前記接着剤が、1モル%以下の水を含む、請求項92に記載の経皮パッチ。
【請求項94】
前記接着剤が、0.1モル%以下の水を含む、請求項92または93に記載の経皮パッチ。
【請求項95】
前記接着剤が、検出不能な量の水を含む、請求項92~94のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項96】
尿素および塩化コリンが、共晶混合物を形成する、請求項92~95のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項97】
前記共晶混合物が、25℃以下の融点を有する、請求項96に記載の経皮パッチ。
【請求項98】
前記共晶混合物が、20℃以下の融点を有する、請求項96または97に記載の経皮パッチ。
【請求項99】
前記共晶混合物が、10℃以下の融点を有する、請求項96~98のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項100】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、カフェインをさらに含む、請求項92~99のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項101】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アセトアミノフェンをさらに含む、請求項92~100のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項102】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アスピリンから必須としてなる、請求項92~101のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項103】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、5モル%~10モル%で存在する、請求項92~102のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項104】
塩化コリンが、25モル%~75モル%で存在する、請求項92~103のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項105】
尿素が、25モル%~75モル%で存在する、請求項92~104のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項106】
塩化コリンが、40モル%~60モル%で存在する、請求項92~105のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項107】
尿素が、40モル%~60モル%で存在する、請求項92~106のいずれか1項に記載の経皮パッチ。
【請求項108】
請求項92~107のいずれか1項に記載の経皮パッチを、対象の皮膚に適用することを特徴とする、方法。
【請求項109】
前記対象が、ヒトである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
第1の層および前記第1の層に実質的に混合しない第2の層を含む乳濁液を含む、組成物であって、前記第1の層が、塩化コリン、尿素、および1つまたはそれ以上の医薬薬剤を含む、組成物。
【請求項111】
前記組成物が、クリームである、請求項110に記載の組成物。
【請求項112】
前記組成物が、ローションである、請求項110または111に記載の組成物。
【請求項113】
前記第1の層が、1モル%以下の水を含む、請求項110~112のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項114】
前記第1の層が、0.1モル%以下の水を含む、請求項110~113のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項115】
前記第1の層が、検出不能な量の水を含む、請求項110~114のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項116】
前記第1の層が、室温で液体である、請求項110~115のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項117】
前記第1の層が、25℃以下である融点を有する、請求項110~116のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項118】
前記第1の層が、20℃以下である融点を有する、請求項110~117のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項119】
前記第1の層が、10℃以下である融点を有する、請求項110~118のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項120】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、カフェインをさらに含む、請求項110~119のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項121】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アセトアミノフェンをさらに含む、請求項110~120のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項122】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、アスピリンから必須としてなる、請求項110~121のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項123】
前記1つまたはそれ以上の医薬薬剤が、前記第1の層の5モル%~10モル%で前記第1の層に存在する、請求項110~122のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項124】
塩化コリンが、前記第1の層の25モル%~75モル%で前記第1の層に存在する、請求項110~123のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項125】
尿素が、前記第1の層の25モル%~75モル%で前記第1の層に存在する、請求項110~124のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項126】
塩化コリンが、前記第1の層の40モル%~60モル%で前記第1の層に存在する、請求項110~125のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項127】
尿素が、前記第1の層の40モル%~60モル%で前記第1の層に存在する、請求項110~126のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項128】
塩化コリンおよび尿素が、前記第1の層を25℃以下の融点とする比率で前記第1の層に存在する、請求項110~127のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項129】
塩化コリンおよび尿素が、前記第1の層を20℃以下の融点とする比率で前記第1の層に存在する、請求項110~128のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項130】
前記第1の層における医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、前記第1の層の少なくとも90モル%である、請求項110~129のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項131】
前記第1の層における医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、前記第1の層の少なくとも95モル%である、請求項110~130のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項132】
前記第1の層が、1つまたはそれ以上の医薬薬剤、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項110~131のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項133】
前記第1の層が、アスピリン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項110~132のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項134】
前記第1の層が、アスピリン、カフェイン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項110~133のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項135】
前記第1の層が、アスピリン、カフェイン、アセトアミノフェン、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項110~134のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項136】
請求項110~135のいずれか1項に記載の組成物を対象に経口で投与することを特徴とする、方法。
【請求項137】
前記対象が、ヒトである、請求項110~136に記載の方法。
【請求項138】
第1の層および前記第1の層に実質的に混合しない第2の層を含む乳濁液を含む、組成物であって、前記第1の層が、塩化コリン、尿素、およびケトロラクを含む、組成物。
【請求項139】
前記組成物が、ゲルである、請求項138に記載の組成物。
【請求項140】
前記ゲルが、カプセル内に含まれる、請求項139に記載の組成物。
【請求項141】
前記第1の層が、1モル%以下の水を含む、請求項138~140のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項142】
前記第1の層が、0.1モル%以下の水を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項143】
前記第1の層が、検出不能な量の水を含む、請求項138~142のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項144】
前記第1の層が、室温で液体である、請求項138~143のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項145】
前記第1の層が、25℃以下である融点を有する、請求項138~144のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項146】
前記第1の層が、20℃以下である融点を有する、請求項138~145のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項147】
前記第1の層が、10℃以下である融点を有する、請求項138~146のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項148】
塩化コリンが、前記第1の層の25モル%~75モル%で前記第1の層に存在する、請求項138~147のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項149】
尿素が、前記第1の層の25モル%~75モル%で前記第1の層に存在する、請求項138~148のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項150】
塩化コリンが、前記第1の層の40モル%~60モル%で前記第1の層に存在する、請求項138~149のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項151】
尿素が、前記第1の層の40モル%~60モル%で前記第1の層に存在する、請求項138~150のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項152】
塩化コリンおよび尿素が、前記第1の層を25℃以下の融点とする比率で前記第1の層に存在する、請求項138~151のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項153】
塩化コリンおよび尿素が、前記第1の層を20℃以下の融点とする比率で前記第1の層に存在する、請求項138~152のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項154】
前記第1の層におけるケトロラク、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、前記第1の層の少なくとも90モル%である、請求項138~153のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項155】
前記第1の層におけるケトロラク、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合が、前記第1の層の少なくとも95モル%である、請求項138~154のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項156】
前記第1の層が、ケトロラク、塩化コリン、および尿素から必須としてなる、請求項138~155のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項157】
請求項138~156のいずれか1項に記載の組成物を対象に経口で投与することを特徴とする、方法。
【請求項158】
前記対象が、ヒトである、請求項157に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月1日提出の発明の名称「深共晶溶媒および他の特殊媒体に基づくアスピリン無水製剤」の米国仮特許出願番号第62/713,022号;2018年12月13日提出の発明の名称「深共晶溶媒を含む薬物および他の物質の送達のための系と方法」の米国仮特許出願番号第62/778,949号;2018年12月13日提出の発明の名称「難溶性薬物のための深共晶溶媒を含む方法と系および他の適用」の米国仮特許出願番号第62/778,954号;および2019年1月11日提出の発明の名称「難溶性薬物のための深共晶溶媒を含む方法と系および他の適用」の米国仮特許出願番号第62/791,110号(これらの各々は参照によりその全体が本明細書に取り込まれる)の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
分野
本発明は、一般に、例えば、液体、パッチ、クリーム、ローション、またはゲルを含むが、これらに限定されない様々な形態において、医薬薬剤および他の有益物質の送達のための液体組成物を含む組成物に関する。例えば、ある実施態様において、本発明の目的は、アスピリンを、液体、パッチ、クリーム、ローション、およびゲルを含むが、これらに限定されない無水製剤中で体内への送達を可能にすることである。アスピリン(アセチルサリチル酸)は、わずかな量の水にさらされると、酢酸とサリチル酸に分解される。他の医薬薬剤および有益物質は、下記で詳細に記載される。
【発明の概要】
【0003】
概要
本発明は、一般に、医薬薬剤および他の有益物質の送達のための液体組成物を含む組成物に関する。本発明の目的は、ある場合において、相互に関連する製品、ある課題に対する別の解決手段、および/または1つまたはそれ以上の系および/または製品の多くの異なる使用に関する。
【0004】
例えば、ある実施態様によると、アスピリンは、液体、パッチ、またはゲル、ならびに薬物または医薬品が溶液中にあることが必要とされる他の製剤で体内に送達される必要性が存在する。尿素と塩化コリンによって形成されるような深共晶溶媒を使用すると、アスピリンを実質的な無水環境中に非常に高い濃度で溶解させることができる。
【0005】
医薬的に許容される深共晶環境中に溶解されたアスピリンは、本発明のある実施態様の基礎を形成する。
【0006】
本発明の様々な実施態様によって解決される課題には、下記のうちの1つまたはそれ以上が含まれるが、これらに限定されない:
1)錠剤またはカプセル剤を服用できない(または単に服用したくない)子供およびその他のヒトに付与することができるアスピリン液体。
2)血栓のリスクを有し、現在「低用量」の経口アスピリンを服用し、または服用する必要がある患者の使用のために一定の速度で安定した低用量を供するアスピリンパッチ。
3)胃への曝露を回避し、全身への曝露を大幅に減少させるために、痛みをある領域に治療用量を送達する疼痛の緩和のためのアスピリンクリーム。
4)頭痛の緩和のために頭部に利便的に塗布することができるアスピリンゲル。
【0007】
これらは、本発明の様々な実施態様およびそれらの用途の具体的な非限定的な例である。さらなる実施態様および例(他の医薬薬剤および有益物質を含む)が本明細書にさらに詳細に記載される。
【0008】
さらに、本発明のある実施態様は、水に難溶性である医薬薬剤または有益物質の吸収を促進するための製剤に関する。例えば、ある場合において、これらの1つまたはそれ以上は、例えば、経口で投与することができる深共晶溶媒内に含ませることができる。また、本発明のある実施態様は、実質的な無水環境を必要とするが、アスピリン(または他の医薬薬剤および有益物質、例えば、本明細書に記載のもの)を溶解させることができる製剤に関する。対照的に、多くの従来技術の液体製剤は、水を含有し、それゆえ実質的に無水ではない。
【0009】
ある態様において、本発明は、組成物、例えば、経口送達のための組成物に関する。一組の実施態様において、前記組成物は、5モル%~20モル%のアスピリンを含む1つまたはそれ以上の医薬薬剤、5モル%~95モル%の塩化コリン、5モル%~95モル%の尿素を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。ある場合において、前記組成物は、液体である。ある実施態様において、前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合は、少なくとも80モル%である。
【0010】
別の組の実施態様において、前記組成物は、5モル%~20モル%の1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質、5モル%~95モル%の塩化コリン、5モル%~95モル%の尿素を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。ある場合において、前記組成物は、液体である。ある実施態様において、前記医薬薬剤、前記有益物質、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合は、少なくとも80モル%である。
【0011】
さらに別の組の実施態様において、前記組成物は、深共晶溶媒、1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。ある場合において、前記組成物は、液体である。ある実施態様において、前記医薬薬剤、前記有益物質、前記深共晶溶媒、および水の合計の割合は、少なくとも80モル%である。
【0012】
本発明は、別の組の実施態様において、方法、例えば、組成物を対象に経口で投与する方法に関する。一組の実施態様において、前記組成物は、5モル%~20モル%のアスピリンを含む1つまたはそれ以上の医薬薬剤、5モル%~95モル%の塩化コリン、5モル%~95モル%の尿素を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。ある場合において、前記組成物は、液体である。ある実施態様において、医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合は、少なくとも80モル%である
【0013】
さらに別の組の実施態様において、前記組成物は、5モル%~20モル%の1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質、5モル%~95モル%の塩化コリン、5モル%~95モル%の尿素を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。ある場合において、前記組成物は、液体である。ある実施態様において、前記医薬薬剤、前記有益物質、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合は、少なくとも80モル%である。
【0014】
さらに別の組の実施態様によると、前記組成物は、深共晶溶媒、1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。ある場合において、前記組成物は、液体である。ある実施態様において、前記医薬薬剤、前記有益物質、前記深共晶溶媒、および水の合計の割合は、少なくとも80モル%である。
【0015】
また、ある実施態様は、水に難溶性である医薬薬剤または有益物質の吸収を促進するための製剤に関する。例えば、ある場合において、これらのうちの1つまたはそれ以上は、送達ベヒクル、例えば、パッチ、クリーム、ローション、またはゲルを調製するために用いることができる深共晶溶媒内に含ませることができる。
【0016】
ある態様において、本発明は、一般に、経皮パッチに関する。一組の実施態様において、前記経皮パッチは、裏打ち層(backing layer)、ならびに塩化コリン、尿素、1つまたはそれ以上の医薬薬剤を含み、1モル%以下の水をさらに適宜含んでいてもよい接着剤を含む。
【0017】
別の態様において、本発明は、一般に、組成物に関する。一組の実施態様において、前記組成物は、第1の層および前記第1の層に実質的に混合しない第2の層を含む乳濁液を含む。ある場合において、前記第1の層は、塩化コリン、尿素、1つまたはそれ以上の医薬薬剤を含み、1モル%以下の水を適宜含んでいてもよい。
【0018】
別の組の実施態様において、前記組成物は、第1の層および前記第1の層に実質的に混合しない第2の層を含む乳濁液を含み、前記第1の層は、塩化コリン、尿素、およびロラタジンを含む。ある場合において、前記組成物はまた、1モル%以下の水を含む。
【0019】
別の組の実施態様において、前記組成物は、第1の層および前記第1の層に実質的に混合しない第2の層を含む乳濁液を含み、前記第1の層は、塩化コリン、尿素、およびケトロラクを含む。ある場合において、前記組成物はまた、1モル%以下の水を含む。
【0020】
特定の疾患の予防または治療のための化合物を対象に投与するためのいくつかの方法が本明細書で開示される。本発明のこのような態様の各々において、本発明はまた、具体的には、特定の疾患の治療または予防における使用のための化合物、ならびに特定の疾患の治療剤または予防剤の製造のための化合物の使用を含むものと理解されるべきである。
【0021】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の実施態様、例えば、液体製剤の製造方法を含む。さらに別の態様において、本発明は、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の実施態様、例えば、液体製剤の使用方法を包含する。
【0022】
本発明の他の有利な点と新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮する場合、本発明の様々な非限定的な実施態様の下記の詳細な説明から明らかである。
【0023】
図面の簡単な説明
本発明の非限定的な実施態様は、概要であり、縮尺通りに示すことが意図されていない添付の図面を参照して、一例として記載される。前記図面では、図示されている各同一またはほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表される。明確のため、当業者が本発明を理解することができるために必ずしも図示が必要でない場合、全ての構成要素が全ての図面でラベル付けされているわけではなく、本発明の各実施態様の全ての構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明のある実施態様による概略的な共晶図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本発明は、一般に、例えば、液体、パッチ、クリーム、ローション、またはゲルを含むが、これらに限定されない様々な形態において、医薬薬剤および他の有益物質の送達のための、液体組成物を含む組成物に関する。例えば、本発明のある態様は、一般に、深共晶溶媒を含む製剤に関する。ある場合において、このような製剤は、驚くべきことに、低い融点を示し、例えば、前記製剤は、周囲温度で液体でありうる。このような製剤は、ある場合において、水に難溶性である医薬薬剤または有益物質の吸収を促進するために有用でありうる。また、ある実施態様において、このような製剤は、ある医薬薬剤(例えば、アスピリン)が感受性を有しうる水を実質的に含んでいなくてもよい。さらに、ある場合において、前記製剤は、様々な送達ベヒクル、例えば、パッチ、クリーム、ローション、ゲル等中に存在しうる。このような製剤は、ある場合において、水に難溶性であるか、または水に感受性を有する等の医薬薬剤または有益物質を含むために有用でありうる。よって、このような製剤は、必ずしも水性ではない液体であってもよく、それゆえ、液体形態で対象に経口で投与することができる。他の態様は、一般に、このような組成物の製造方法、このような組成物の使用方法、このような組成物を含むキット等に関する。
【0026】
本発明は、ある実施態様において、深共晶溶媒中に溶解させたアスピリンおよび無水液体、パッチ、クリーム、またはゲルを製造するための他の構成物質の組み合わせに基づくものである。別の実施態様には、アスピリンのための無水環境に基づく経鼻スプレー、吸入形態、および他の形態を含む他の製剤が含まれる。他の実施態様には、本明細書に記載されるものが含まれる。
【0027】
例えば、本発明の1の態様は、一般に、水を実質的に含まない液体組成物を含む組成物に関する。例えば、前記組成物は、1モル%以下、0.1モル%以下、0.01モル%以下、または検出不能な量の水を含みうる。前記組成物は、薬物または医薬薬剤、例えば、水と反応しうる薬剤を含んでいてもよい。一例として、水に反応し、酢酸およびサリチル酸に加水分解されうるアスピリン(アセチルサリチル酸)であり;他の例は下記に記載される。ある場合において、前記液体は、医薬的に許容される担体、例えば、有毒効果なしで対象に(例えば、経口で)投与することができるものと定義されうる。ある場合において、1つ以上の医薬的に許容される物質が液体または送達ベヒクル中に存在していてもよい。
【0028】
ある実施態様において、2つまたはそれ以上の物質は、各々が融点を有する組成物内に存在しうるが、一緒に混合されると、前記生じた混合物は、その構成物質の各々より低い融点を有しうる。このような現象は、一般に、共晶混合物と称される。ある場合において、前記混合物の融点は、構成物質の融点より減少しうる。例えば、前記融点は、最も低い構成物質の融点から少なくとも10℃、少なくとも25℃、または少なくとも50℃まで減少しうる。ある場合において、前記物質およびそれらの比率は、混合物が室温で液体であるように選択され、例えば、前記混合物は、25℃以下の融点を有していてもよく、周囲温度において、前記混合物は、その融点以上の温度で液体である。さらに、ある場合において、前記混合物は、様々な温度、例えば、20℃以下、10℃以下等で液体であるように選択されうる。しかしながら、前記混合物は、必ずしも室温で液体でなくてもよいことが理解されるべきである。例えば、ある場合において、前記混合物は、60℃以下、55℃以下、50℃以下、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下等であるが、室温(約25℃)以上の融点を有しうる。
【0029】
このような2つまたはそれ以上の物質の混合物は、図1で示されるように、物質の特定の比率で最も低い可能性の融点(一般に、共晶点または共晶比と呼ばれる)を示しうるが、本発明は、共晶点または共晶比のみに限定されるものではないが、前記混合物の融点がその構成物質の各々より低く、典型的には、混合物が周囲温度で液体である混合物を包含することが理解されるべきである。
【0030】
ある場合において、前記混合物は、ローリーまたはブレンステッドの酸と塩基の混合物から生成することができる深共晶混合物でありうる。一例として、塩化コリンおよび尿素である。これらは、1:2のモル比で混合して、12℃の融点を有する共晶混合物を生成することができる。しかしながら、上記に記載されるように、他の実施態様において、他のモル比もまた、より低い融点(例えば、周囲温度以下)を有する混合物を調製するために用いられうる。さらに、共晶混合物の他の例は、本明細書でより詳細に記載されている。
【0031】
よって、1の態様において、本発明は、一般に、液体組成物を含む組成物に関する。他の送達ベヒクル組成物はまた、他の実施態様において、パッチ、クリーム、ローション、ゲル等に含まれる。ある場合において、前記組成物は、共晶混合物、例えば、共晶混合物を形成する構成物質より低い融点を示すものを含むか、またはそれらから必須として構成される。2つ、3つ、4つまたはそれ以上の物質が混合されて共晶混合物を形成することができる。ある場合において、前記物質(別々の場合)は、一般に、周囲温度で固体であるが、一緒に混合すると、液体を形成して共晶混合物を形成する。
【0032】
ある実施態様において、2つまたはそれ以上の物質は、各々が融点を有する共晶混合物内に存在しうるが、一緒に混合されると、前記生じた混合物は、その構成物質の各々より低い融点を有しうる。ある場合において、融点の差異は、非常に大きくなりうる。例えば、ある実施態様において、前記共晶混合物は、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃までの減少を示しうる。さらに、ある実施態様において、前記融点は、共晶が室温(例えば、25℃または20℃以下)で液体であるように十分に減少されうる。ある実施態様において、前記共晶混合物は、15℃、10℃、5℃、または0℃以下の温度で液体でありうる。
【0033】
共晶混合物の一例は、尿素および塩化コリンである。共晶混合物の他の例として、以下に限定されないが、フェノール/メントール、フェノール/塩化コリン、フェノール/塩化コリン/尿素、ベタイン塩酸塩/尿素、レゾルシノール/塩化コリン、BHT/塩化コリン、クロロキシレノール/塩化コリン/メントール、塩化コリン/クエン酸、塩化コリン/アルギニン/尿素、塩化コリン/ナイアシンアミド/尿素、樟脳/メントール、樟脳/メントール/ラウリルアルコール、樟脳/グリセリン/モノラウレート/メントール等が含まれる。さらなる非限定的な例として、EtNHCl/CFCONH、EtNHCl/アセトアミド、EtNHCl/尿素、ChCl/CFCONH、AcChCl/尿素、ZnCl/尿素、ZnCl/アセトアミド、ZnCl/エチレングリコール、ZnCl/ヘキサンジオール、ChCl/グリセロール、ChCl/エチレングリコール、ChCl/マロン酸、Et(EtOH)NCl/グリセロール、Et(EtOH)NCl/エチレングリコール、Me(PH)PBr/グリセロール、Me(PH)PBr/エチレングリコール、ChCl/グルコース、ChCl/1,4-ブタンジオール、ChCl/CFCONH、ChCl/イミダゾール、ChCl/ZnCl、ChCl/キシリトール、ChCl/ソルビトール、ChCl/マロン酸、BuNBr/イミダゾール等が含まれる。これらの物質の多くは、市販品として容易に利用可能であり、適切な比率で一緒に混合することができる。
【0034】
ある実施態様によれば、前記共晶混合物の構成物質は、医薬的に許容されうるか、または安全であるとして一般に認められている(例えば、構成物質は、米国FDAによって規定されるGRAS構成物質であってもよい)。ある場合において、医薬的に許容される構成物質は、(例えば、対象に典型的に付与が予想される用量または量と同等の用量または量で)一般的に安全で非毒性であり、人に害を及ぼさないか、または有害な生物学的効果を生じないものである。これには、ヒトまたは動物用途に許容可能な構成物質が含まれうる。医薬的に許容される共晶混合物の一例は、尿素/塩化コリンである。他の非限定的な例として、塩化コリン/アルギニン/尿素、樟脳/メントール、樟脳/メントール/ラウリルアルコール、ChCl/グリセロール、および上記に記載されるものを含む他のものが含まれる。
【0035】
よって、本発明のある実施態様は、一般に、例えば、尿素および塩化コリンの共晶混合物等の安全に摂取することができる非毒性成分を含む共晶混合物に関するものであることに注目することが重要である。このような非毒性共晶混合物の対象への経口摂取または皮膚への塗布は、対象に実質的に有害な影響を与え得ず、医薬薬剤または他の有益物質、例えば、アスピリンおよび本明細書に記載の他の薬剤を送達するために用いることができる。
【0036】
よって、本発明のある実施態様は、一般に、水に難溶性である医薬薬剤または有益物質の吸収を促進するための系と方法に関する。例えば、医薬薬剤または有益物質は、本明細書に記載の共晶混合物内に含まれうる。ある場合において、前記共晶混合物は、必ずしもあまり水の量を有していなくてもよく、例えば、前記共晶混合物は、実質的に無水であってもよく、あるいは例えば、本明細書に記載される水の割合を有していてもよい。よって、前記医薬薬剤または有益物質の水溶解度は、共晶混合物ではそれほど問題ではなく、例えば、前記医薬薬剤または有益物質は、その水溶解度とは実質的に異なる共晶混合物の溶解度を有しうる。よって、ある場合において、このような共晶混合物は、それらの水溶解度に必ずしも制限されることなく、医薬薬剤または有益物質を対象に、例えば、経口または他の技術(例えば、本明細書に記載の技術)で送達するために用いられうる。従って、難溶性である医薬薬剤または有益物質であっても効率的に投与することができる。
【0037】
上記に記載されるように、共晶混合物は、最も低い可能性の融点を生じるその構成物質の比率を有する必要がないことが理解されるべきである。よって、本発明は、構成物質の共晶比のみに限定されるものではなく、他の実施態様において、融点の低下を生じさせることができる他の比率も含むものである。例えば、非限定的な概略的な例示として図1を参照すると、2つの構成物質(「A」)および(「B」)は、各々が単独では一定の融点であるが、AおよびBを様々な比率(左側の100%のAから右側の100%のBまでの範囲)で混合すると、前記構成成分の融点は、例えば、AおよびBの構成物質の融点(T(A)およびT(B))より低い点(共晶点、E)まで減少しうる。しかしながら、本発明は、最も低い可能性の融点を生じるAおよびBの特定の比率のみに限定されるものではなく、AおよびBの他の比率も含むものであることが理解されるべきである。例えば、AおよびBの様々な異なる比率は、AおよびBの他の比率が、それよりも低い融点を生じうる場合であっても、AまたはBのいずれかの別々の融点より低い融点を生じうる。例えば、標的温度(T)より低い融点が望ましい場合(例えば、周囲温度)、共晶点Eでの比率のみではなく、xからyの間のAおよびBのいずれかの比率が適当であろう。図1は、想定化された共晶状態図を示し(すなわち、縮尺どおりではない)、異なる共晶成分物質は、異なる共晶成分は、ここに示されているよりも複雑な挙動を含む、異なる共晶挙動を示しうることも理解されるべきである。
【0038】
上記に記載の共晶混合物および本明細書に記載の他の共晶混合物において、構成物質の各々は、広範囲のいずれかの比率で存在し、例えば、前記混合物が前記混合物を形成する構成物質より低い融点を示しうる。ある場合において、第1の構成物質(例えば、尿素)は、5モル%~95モル%で存在していてもよく、第2の構成物質(例えば、塩化コリン)は、5モル%~95モル%で存在していてもよい。第3の構成物質(存在する場合)はまた、5モル%~95モル%で存在しうる。
【0039】
例えば、構成物質は、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも45モル%、少なくとも50モル%、少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも65モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%等で、および/または95モル%以下、90モル%以下、85モル%以下、80モル%以下、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下、60モル%以下、55モル%以下、50モル%以下、45モル%以下、40モル%以下、35モル%以下、30モル%以下、25モル%以下、20モル%以下、15モル%以下、10モル%以下等で混合物内に存在しうる。これらのいずれの組み合わせも可能であり、例えば、第1の構成物質は、30モル%~40モル%、25モル%~70モル%、40モル%~60モル%、60モル%~70モル%、45モル%~55モル%等で存在していてもよい。他の非限定的な例として、ある場合において、第1の構成物質は、25モル%~45モル%、35モル%~45モル%、30モル%~40モル%等で存在していてもよく、第2の構成物質は、これらの割合で、または異なる割合で存在していてもよい。
【0040】
しかしながら、前記共晶混合物において、これらは、合計で100モル%、またはある場合、例えば、他の物質(例えば、医薬薬剤または有益物質)もまた存在する場合において、他の割合でありうることが理解されるべきである。よって、例えば、第1、第2、または第3等の構成物質の合計の割合は、存在しうる他の物質に応じて、前記共晶混合物の少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、または少なくとも99モル%でありうる。
【0041】
一組の実施態様において、前記第1の構成物質および第2の構成物質は、2:1~1:2の質量比で存在しうる。例えば、前記第1の構成物質および第2の構成物質の比率は、1.5:1~1:1.5または1.2:1~1:1.2でありうる。ある場合において、前記質量比は、少なくとも1:2、少なくとも1:1.5、少なくとも1:1、少なくとも1.5:1、または少なくとも2:1、および/または2:1以下、1.5:1以下、1:1以下、1:1.5以下、または2:1以下でありうる。当然、これらの範囲外の比率もまた、ある実施態様で可能であることが理解されるべきである。
【0042】
記載されるように、ある場合において、前記組成物は、実質的に無水でありうる。例えば、前記組成物は、5(モル)%以下、3(モル)%以下、2(モル)%以下、1(モル)%以下、0.5(モル)%以下、0.3(モル)%以下、0.1(モル)%以下、0.05(モル)%以下、0.03(モル)%以下、0.01(モル)%以下、0.005(モル)%以下、0.003(モル)%以下、または0.00(モル)1%以下の水を含みうる。ある場合において、水の検出不能な量が存在しうる。
【0043】
ある場合において、前記組成物内に存在する水の量は、例えば、前記組成物が実質的に無水であるように減少されてもよい。例えば、前記組成物または前記組成物を形成する1つもしくはそれ以上の構成物質は、少なくともある量の水を除去するために処理されてもよい。例えば、前記組成物または構成物質は、加熱され、乾燥剤に曝され、または化学的に反応されて水等が除去されうる。他の技術として、以下に限定されないが、膜または逆浸透法、モレキュラ・シーブス、または分画凍結(fractional freezing)が含まれる。特定の非限定的な例として、前記組成物またはその構成物質は、水を除去するために、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃等の温度に加熱されうる。
【0044】
異なる方法、例えば、FTIR、IR吸収、電気抵抗率測定等が、存在する水の量を測定するために用いられてもよく、別の例として、ある実施態様において、水は、前記組成物を加水分解剤(例えば、アスピリン)に曝露し、前記薬剤が一定期間(例えば、1日または1週間)後に前記組成物内で加水分解されるかどうかを調べることによって検出されうる。
【0045】
ある場合において、組成物は、比較的低い粘度を有するが(例えば、水と同等)、ある場合において、前記粘度は高くてもよい(例えば、蜂蜜と同等)。ある実施態様において、前記組成物の粘度は、10,000cP以下、3,000cP以下、1,000cP以下、300cP以下、100cP以下、30cP以下、10cP以下、3cP以下、または1cP以下でありうる。
【0046】
記載されるように、他の構成物質は、液体製剤または送達ベヒクルを生成するために、前記共晶混合物に加えられうる。ある実施態様において、前記構成物質には、1つまたはそれ以上の医薬薬剤が含まれうる。医薬薬剤の他の例として、アスピリン(アセチルサリチル酸)である。他の非限定的な例としては、カフェイン、アセトアミノフェン(またはAPAP)、ナイアシンアミド、ナプロキセン、プソイドエフェドリンまたは他のうっ血除去薬、フェネチルアミン、アンフェタミン等が含まれる。前記製剤は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の医薬薬剤を含みうる。例えば、前記製剤は、アスピリンのみ;アスピリンおよびカフェイン;アスピリン、カフェイン、およびアセトアミノフェン;カフェインおよびナイアシンアミド等を含んでいてもよい。ある場合において、医薬薬剤は、塩として存在しうる。
【0047】
別の例として、前記構成物質には、有益物質が含まれうる。有益物質の非限定的な例として、ビタミン、補助因子、化粧品、ハーブ、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、ペプチド等が含まれる。非限定的な例として、コエンザイムQ10、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、ビタミンA、ビタミンD、ナイアシン、リボフラビン、コラーゲン等が含まれる。ある場合において、医薬薬剤と有益物質との間に明確な区別が存在しないことが理解されるべきであり、例えば、医薬薬剤は、有益物質、例えば、対象に利益的である物質でありうる。よって、本明細書の記載において、医薬薬剤の記載は一例に過ぎず、別の実施態様において、他の有益物質は、医薬薬剤の代わり(または加えて)存在しうることが理解されるべきである。
【0048】
一組の実施態様において、前記医薬薬剤または有益物質は、水に感受性を有し得る。例えば、医薬薬剤または有益物質は、水と反応して分解し、または加水分解しうる。いずれの理論に束縛されることを望むことなく、ある実施態様において、このような医薬薬剤または有益物質は、利益的なことに、本発明の混合物(例えば、水を実質的に含まないもの)内に含まれうるものと考えられる。ある場合において、前記混合物は、共晶混合物であってもよく、ある実施態様において、周囲温度で液体であるものであってもよい。よって、このような組成物は、前記医薬薬剤または有益物質の水への曝露の量を制限しうる
【0049】
別の組の実施態様において、前記医薬薬剤または有益物質は、比較的低い水溶解度を示しうる。いずれの理論に束縛されることが望まれることなく、ある実施態様において、このような薬薬剤または有益物質は、混合物(例えば、本明細書に記載されるもの)中により可溶性を有しうる。例えば、医薬薬剤または有益物質は、水を実質的に含まない混合物内に含まれてもよい。ある場合において、前記混合物は、共晶混合物、ある実施態様において、周囲温度で液体であるものでありうる。例として、ある実施態様において、医薬薬剤または有益物質は、1000mg/l以下、500mg/l以下、300mg/l以下、100mg/l以下、50mg/l以下、30mg/l以下、または10mg/l以下等の水への溶解度を有しうる。
【0050】
よって、本発明のある実施態様は、特に、水(すなわち、水溶液)に不溶性または難溶性である一定の医薬薬剤(例えば、ロラタジン)の送達に有効でありうる。このような医薬薬剤は、共晶混合物(例えば、本明細書に記載されるもの)中に溶解させることができる。例えば、送達ベヒクル、例えば、パッチ、クリーム、ローション、ゲル等には、医薬薬剤または他の有益物質を含む共晶混合物が含まれうる。前記送達ベヒクルは、例えば、対象の皮膚に塗布されてもよく、前記医薬薬剤(または他の有益物質)を対象の皮膚に送達するために用いられうる。例えば、このような混合物は、経口で摂取されてもよく、それにより胃腸管に内部で送達することができる。ある場合において、前記医薬薬剤は、共晶混合物中に溶解させてもよく(すなわち、「予め溶解させる」)、それにより水に溶解される場合より容易に生体利用可能であり、および/またはより迅速な開始時間を示しうる(例えば、前記医薬薬剤による生物学的効果前に観察されうる)。別の例として、ある場合において、前記医薬薬剤または他の有益物質は、共晶混合物中に溶解させてもよく(すなわち、「予め溶解させる」)、それにより対象の皮膚への送達のための送達ベヒクル内に含有されうる。
【0051】
水に感受性を有する医薬薬剤の例として、以下に限定されないが、ロラタジン、アセトアミノフェン、またはジフェンヒドラミンが含まれる。
【0052】
一組の実施態様において、前記医薬薬剤または有益物質には、小分子(例えば、約2,000Da以下、約1,500Da以下、または約1,000Da以下の分子量を有する)、ペプチド(例えば、約10以下、約15以下、約20以下、または約25以下のアミノ酸を有する)、タンパク質(典型的には、ペプチドより大きい)、ホルモン、ビタミン、核酸等が含まれうる。
【0053】
適する医薬薬剤のさらなる例として、以下に限定されないが、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)、例えば、アセチルサリチルサリチル酸またはアスピリン、ナプロキセン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ケトロラク、イブプロフェン、ジクロフェナク、アセトアミノフェン等;COX-1および/またはCOX-2阻害剤;麻酔作用を有する医薬薬剤、例えば、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、プロポキシフェン、オキシコドン、ヒドロコドン、または他の同様の麻薬;勃起または性機能障害のための医薬薬剤(ホスホジエステラーゼ5型阻害薬を含む)、例えば、ヨヒンビン、アルプロスタジル、シルデナフィル、タダラフィル、アポモルヒネ、バルデナフィル等;片頭痛のための医薬薬剤、例えば、ジヒドロエルゴタミン(DHE)およびその塩、エルゴタミンおよびその塩、スマトリプタンおよびその塩、リザトリプタンおよびその塩、ゾルミトリプタンおよびその塩等;毛髪治療のための医薬薬剤、例えば、フィナステリド、エフロルニチン、ミノキシジル等;ステロイド、例えば、フルチカゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン等;神経学的薬剤、例えば、ガバペンチン、プレガバリン等;片頭痛治療薬、例えば、トリプタン、DHEまたはジヒドロエルゴタミン、オキシトシン等;抗真菌薬、例えば、テルビナフィンまたはトリアゾール抗真菌薬等;アレルギー治療のための医薬薬剤、例えば、セチリジン、ロラタジン、ジフェンヒドラミン等;皮膚疾患の治療のための医薬薬剤、例えば、メトトレキセートまたはアシクロビル;創傷治癒のための医薬薬剤、例えば、アルギニン、ベタヒスチン、ヒスタミン等;あるいは他の医薬薬剤、例えば、ナイアシン、リドカイン、ベンゾカイン等が挙げられる。さらなる例として、筋肉改善薬、例えば、クレアチンまたはクレアチン前駆物質(例えば、クレアチンリン酸)、アルギニンおよび/または他の一酸化窒素ドナー、ならびに/あるいはATP前駆物質、例えば、イノシン、アデノシン、イノシン、アデニン、ヒポキサンチン、リボース、リン酸(例えば、リン酸一ナトリウム)等、および/またはタンパク質同化ステロイド薬、例えば、アンドロステン、DHEAまたはデヒドロエピアンドロステロン、アンドロスタノロン(androstenolone)、アンドロステンジオール、アンドロステンジオン等が挙げられる。COX-2阻害剤の非限定的な例として、セレコキシブまたはロフェコキシブが挙げられる。COX-1/COX-2阻害剤の非限定的な例として、イブプロフェン、ケトロラク、ナプロキセン、ジクロフェナク、アスピリン、アセトアミノフェン等が挙げられる。別の例は、マオウまたはその構成成分、例えば、エフェドリンおよびプソイドエフェドリンである。さらに別の例として、癌および/またはウイルス感染症の治療のための化学療法薬または薬剤、例えば、以下に限定されないが、タモキシフェン(例えば、乳癌治療のため)、シスプラチン、カルボプラチンおよび関連分子、シクロホスファミドおよび関連分子、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、パクリタキセル、アシクロビル等である。例えば、前記癌および/またはウイルス感染症は、皮膚癌、乳癌、陰茎癌、精巣癌、または他の局所癌、あるいはウイルス感染(例えば、ヘルペス感染)であってもよい。
【0054】
別の組の実施態様において、前記医薬薬剤は、トリプタンおよび/またはトリプタンの塩である。これらの作用は、それらの脳血管におけるセロトニン5-HT1Bおよび5-HT1D受容体への結合(それらの収縮を引き起こす)、続いて炎症誘発性神経ペプチド放出の阻害を生じる。これらの薬物は、神経末端および血管におけるセロトニン受容体に作用し、CGRPおよびサブスタンスPを含む数種類のペプチドの放出を減少させうる。トリプタンは、一般に、構造:
【化1】
を有するものであって、式中、Rは、スルホンアミド、トリアゾール(例えば、1,2,3-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾール)、または2-オキサゾリドンであってもよく;ならびにRは、窒素-アルキル鎖(例えば、-CHCHN(CH)、ジメチルピロリジン、または1-メチル-ピペリジン環であってもよい。スルホンアミドは、一般に、構造RSONRであって、式中、Rは、アルキル、例えば、C-Cアルキル(置換または無置換である)、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-等であってもよく、ならびにRおよびRは、各々独立して、-Hまたはアルキル、例えば、C-Cアルキル(置換または無置換である)、例えば、-CH、-CHCH等、またはアリール基(置換または無置換である)、例えば、フェニルであってもよい。
【0055】
トリプタンの非限定的な例として、スマトリプタン(6.16、9.63、および17.14のpKa)、リザトリプタン、ナラトリプタン(17.11のpKa)、ゾルミトリプタン(17.15のpKa)、エレトリプタン、アルモトリプタン(8.77のpKa)、フロバトリプタン(17.27のpKa)、およびアビトリプタン(3.6および8.0のpKa)が挙げられる。これらの化合物の構造は、各々、下記:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
で示される。
【0056】
ある場合において、前記医薬薬剤には、ペプチドが含まれうる。一例として、前記ペプチドは、オキシトシン(Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)またはオキシトシン類似体、例えば、4-スレオニン-l-ヒドロキシデアミノオキシトシン(4-スレオニン-1-ヒドロキシデアミノオキシトシン)、4-セリン、8-イソロイシン-オキシトシン、9-デアミドオキシトシン、7-D-プロリン-オキシトシンおよびそのデアミノ類似体、(2,4-ジイソロイシン)-オキシトシン、デアミノオキシトシン類似体、1-デアミノ-1-モノカルバ-E12-Tyr(OMe)]-OT(dCOMOT)、カルベトシン(ブチリル-Tyr(Me)-lle-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly-NH)、4-スレオニン、7-グリシン-オキシトシン(TG-OT)、(1-ブタン酸-2-(0-メチル-L-チロシン)-l-カルバオキシトシン、Ile-コノプレッシン、アトシバン、オキシプレッシン、デアミノ-6-カルバ-オキシトシン(dC60)、デスモプレシン、または1-デアミノ-オキシトシンでありうる。
【0057】
ペプチドのさらなる例として、以下に限定されないが、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ソマトスタチン成長ホルモン放出抑制ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、膵臓ポリペプチド、ペプチドチロシンチロシン、グルカゴン様ペプチド(glucogen-like peptide-1)(GLP-1)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド、コレシストキニン(CCK)、膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)またはアミリン、メラニン凝集ホルモン(MCH)、メラノコルチン(ACTHアルファ-MSHおよび他の物質)、ニューロペプチドFF(F8Fa)、ニューロテンシン、副甲状腺ホルモン関連タンパク質、アグーチ遺伝子関連タンパク質(AGRP)、コカイン・アンフェタミン調節転写産物(CART)/ペプチド、5-HT-モジュリン(moduline)、ヒポクレチン/オレキシン、ノシセプチン/オルファニンFQ、オシスタチン(ocistatin)、プロラクチン放出ペプチド、セクレトニューリン、ウロコルチン等が挙げられる。
【0058】
一組の実施態様において、前記医薬薬剤は、トリアゾール抗真菌薬および/またはその塩である。「トリアゾール」は、一般に、薬物内の2つの炭素原子および3つの窒素原子の5員環を意味する。トリアゾール抗真菌薬の特定の非限定的な例として、フルコナゾール(10.7~11.3、2.8~3.0、および2.0~2.6のpKa)、イサブコナゾール、イトラコナゾール(3.7のpKa)、ボリコナゾール(1.76のpKa)、プラピコナゾール(pramiconazole)、またはポサコナゾール(3.6および4.6のpKa)が挙げられる。これらの化合物の構造は、各々、下記:
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
で示される。
【0059】
一組の実施態様において、前記医薬薬剤は、テルビナフィン抗真菌薬および/またはその塩である。テルビナフィンの構造は、下記:
【化15】
で示される。
【0060】
医薬薬剤のさらなる他の例として、以下に限定されないが、オピオイド、例えば、モルヒネ、メサドン、フェンタニル、ブトルファノール、コデイン、アヘン、オキシコドン、ロペラミド(loperimide)、メペリジン(デメロール)、ジフェノキシレート、プロポキシフェン(ダルフォン)、4-メチルフェンタニル、ヒドロコドン、モルヒネ、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ヒドロモルフォン(ジラウジッド)、レボルファノール(レボ-ドロモラン)、デキストロメトルファン、オキシモルフォン(ヌモルファン)、ヘロイン、レミフェンタニル、フェナゾシン、ペンタゾシン、ピミノジン、アニレリジン、ブプレノルフィン(サボキソン)、スフェンタニル、カルフェンタニル、アルフェンタニルおよびその非定型オピエート、トラマドールおよびタペンタドール;オピオイド、オピオイド様ペプチドおよびそれらの類似体、例えば、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、デルモルフィン、デルメンケファリン、モルフィセプチン、エンドモルフィンおよびダラギン;NMDA-受容体アンタゴニスト、例えば、ケタミン、アマンタジン、デキストロメトルファン、メマンチンおよびMK801;ナトリウムチャネルブロッカー、例えば、局所麻酔薬およびエルゴタミン;カルシウムチャンネルブロッカー、例えば、ベラパミルおよびニフェジピン;アドレナリン作動性アンタゴニスト、例えば、プロプラノロール、メトプロロールおよびヨヒンビン(yohimine);GABA作動性アゴニスト、例えば、GABA、バクロフェ、シス-4-アミノクロトン酸(CACA)、トランス-4-アミノクロトン酸(TACA)、CGP27492(3-アミノプロピル亜リン酸)およびプロガビド;グリシンアゴニスト、例えば、グリシンおよびD-シクロセリン;コリン作動性アゴニスト、例えば、ネオスチグミンおよびフィゾスチグミン(physiostigmine);アドレナリン作動性アゴニスト、例えば、エピネフリン、ネオシネフリン、クロニジンおよびデクスメデトミジン;抗けいれん薬、例えば、ガバペンチンおよびバルビツレート;Rhoキナーゼ阻害剤、例えば、ファスジル、Y27632、H-1152およびこれらの誘導体;PKC阻害剤、例えば、チェレリスリン、Go6983、Go6976、N-ミリストイル(myristoyl)-Ser-Ile-Tyr-Arg-Arg-Gly-Ala-Arg-Arg-Trp-Arg-Lys-Leu、ロットレリン、KAI-9803およびKAI-1455;p38-MAPキナーゼ阻害剤、例えば、SCIO-469、AMG548およびこれらの誘導体;ATP受容体ブロッカー、例えば、テトラメチルピラジン、塩化ケレリトリン、A-317491およびこれらの誘導体;エンドセリン受容体ブロッカー、例えば、BQ123、BMS182874およびこれらの誘導体;炎症促進性サイトカイン、ケモカイン、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子ブロッカー、例えば、アナキンラ、インフリキシマブ、エタネルセプトおよびアダリムマブ;抗炎症性サイトカイン、例えば、インターロイキン-4、インターロイキン-10およびインターロイキン-13;三環系抗うつ薬、例えば、デシプラミン(desiprimine)およびアミトリプチリン(amitryptiline);セロトニン作動性アンタゴニスト、例えば、フルオキセチン、ドラセトロンおよびオンダンセトロン;セロトニン作動性アゴニスト、例えば、ブスピロンおよびエルゴメトリン;NSAIDおよびCOXIB、例えば、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトロラク、サリチル酸、ロフェコキシブ、セレコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブおよびナプロキセン;アセトアミノフェン;鎮痛性ペプチド、例えば、カルシトニン、オクトレオチド、ソマトスタチン、バソプレシン、ガラニン、リポトロピンのC末端断片およびAc-rfwink-NH;毒素、例えば、ボツリヌス毒素、その変異型および誘導体、イモガイ毒素、例えば、オメガ-コノトキシンGV1A、オメガ-コノトキシンMVIIA、サキシトキシンおよびテトロドトキシン;TRPチャネルアゴニストおよびアンタゴニスト、例えば、カプサイシン、カプサゼピン、レシニフェラトキシン(resiniferotoxin)、SB-705498、A-425619、AMG517、SC0030およびその誘導体;カンナビノイド、例えば、THC、CT-3、レボナントラドール(levonantradol)、デキサナビノール、WIN-55,212-2、AM1241、ドロナビノール、ナビロン、大麻薬用抽出物(CME)およびこれらの誘導体;痛覚促進ペプチド神経伝達物質受容体CGRP1およびCGRP2のアンタゴニスト、例えば、BIBN4096およびその誘導体のような非ペプチドアンタゴニスト、ならびに、例えば、CGRP8-37およびCGRP28-3のようなペプチドアンタゴニスト;痛覚促進ペプチド神経伝達物質受容体NK1のアンタゴニスト、例えば、SR140333、CP96346、L-760735;RP67580、WIN51708;MK869、およびこれらの誘導体、ならびにペプチドアンタゴニスト、例えば、N-アセチルトリプトファン、D-Pro9-[スピロ-y-ラクタム]-Leu10、Trp11-フィサレミン(1-11)、Tyr-D-Phe-Phe-D-His-Leu-Met-NH(センジド)およびスパンチドII;痛覚促進ペプチド神経伝達物質受容体NK2のアンタゴニスト、非ペプチドアンタゴニスト、例えば、SR48968およびその誘導体、ならびにペプチドアンタゴニスト、例えば、PhCO-Ala-Ala-D-Trp-Phe-D-Pro-Pro-Nle-NH(GR98400)、[Tyr5,D-Trp6,8,9,Lys10]-NKA(4-10)(MEN10376)およびこれらの誘導体;痛覚促進ペプチド神経伝達物質受容体Y1-5のアンタゴニスト、非ペプチドアンタゴニストベネクストラミン、ならびにペプチドアンタゴニスト、例えば、(Ile-Glue-Pro-Dpr-Tyr-Arg-Leu-Arg-Tyr-NH、環状(2,4’),(2,4’)-ジアミド(1229U91またはGW1229)、PYX-2、[D-Tyr(27,36),D-Thr(32)]NPY(27-36)(D-NPY(27-36))、3-(5,6,7,8-テトラヒドロ-9-イソプロピル-カルバゾール-3-イル)-1-メチル-1-(2-ピリジン-4-イル-エチル)-尿素塩酸塩(FMS586およびその誘導体);痛覚促進ペプチド神経伝達物質受容体VPAC2、VPAC1およびPAC1のアンタゴニスト、例えば、ペプチドアンタゴニストVIP(6-28)、Ac His(1)[D-Phe(2),K(15),R(16),L(27)]VIP(3-7)/GRF(8-27);痛覚促進神経伝達物質受容体Gal1-3およびGalR1-3のアンタゴニスト、例えば、非ペプチドアンタゴニストSNAP37889、SNAP398299、ガルノンおよびこれらの誘導体が含まれる。
【0061】
上記化合物は、いずれかの適する量で前記組成物内に存在しうる。例えば、上記組成物のうちの1つまたはそれ以上は、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%等で存在しうる。ある場合において、前記組成物は、約10%以下、約5%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、または約0.1%以下で存在しうる。これらの割合のいずれの組み合わせもまた可能である。特定の用途のための実際の濃度は、例えば、死体皮膚によるインビトロまたは適切な動物モデル、皮膚移植片、合成モデル膜、ヒトモデル等の濃度に応じて化合物の輸送量を測定することによって、日常的な実験を用いて当業者によって決定することができる。
【0062】
前記組成物は、ある実施態様において、前記物質に対して不利な生物物理学的環境を含みうる。不利な生物物理学的環境において、前記物質の周囲環境は、医薬薬剤が皮膚に対して化学的および/またはエネルギー的に不利な環境、特に角質層であるものでありうる(例えば、不利な生物物理学的環境内の医薬薬剤の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーは、皮膚内の物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーよりも大幅に大きいため、皮膚への輸送をエネルギー的に促進する)。
【0063】
不利な生物物理学的環境についての技術は、本明細書に詳細に記載される。例えば、本発明のある実施態様は、一般に、一酸化窒素ドナーおよび不利な生物物理学的環境を含む対象の皮膚への局所送達のための組成物に関する。
【0064】
本発明の不利な生物物理学的環境は、一組の実施態様において、高いイオン強度環境を含みうる。例えば、前記組成物は、少なくとも約0.25M、少なくとも約0.5M、少なくとも約1M、少なくとも約2M、少なくとも約3M、少なくとも約4M、少なくとも約5M、少なくとも約7M、少なくとも約10M、少なくとも約12M、少なくとも約15M、少なくとも約20M、少なくとも約25M等のイオン強度を有しうる。ある場合において、前記組成物のイオン強度は、約25M以下、約20M以下、約15M以下、約12M以下、約10M以下、約7M以下、約5M以下、約4M以下、約3M以下、約2M以下、約1M以下、約0.5M以下、約0.25M以下等でありうる。これらのイオン強度のいずれの組み合わせもまた可能である。例えば、前記イオン強度は、約0.25M~約15M、約5M~約15M、約10M~約15M等でありうる。ある実施態様において、前記イオン強度は、血液の生理的イオン強度の2倍以上の量である。
【0065】
ある実施態様において、前記高いイオン強度環境は、前記組成物内の1つまたはそれ以上の塩の存在によって引き起こされうる。例えば、組成物の前記イオン強度は、前記組成物内に存在する1つまたはそれ以上の塩の量または濃度を調節することによって一定の実施態様において容易に調節することができる。用いられうるイオン塩の例として、以下に限定されないが、1つまたはそれ以上の塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化コリン、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化コリン、臭化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化コリン、ヨウ化リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸コリン、クエン酸リチウム等が挙げられる。これらおよび/または他の塩の組み合わせもまた一定の実施態様で用いられうる。さらに、他の高荷電分子、例えば、ポリリジン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン酸等、またはこのような高荷電アミノ酸のコポリマーもまた、一定の実施態様で用いられうる。
【0066】
ある場合において、1つまたはそれ以上の塩は、少なくとも約0.25M、少なくとも約0.5M、少なくとも約1M、少なくとも約2M、少なくとも約3M、少なくとも約4M、少なくとも約5M、少なくとも約7M、少なくとも約10M、少なくとも約12M、少なくとも約15M、少なくとも約20M、少なくとも約25M等の濃度で各々独立して存在しうる。ある場合において、前記濃度は、約25M以下、約20M以下、約15M以下、約12M以下、約10M以下、約7M以下、約5M以下、約4M以下、約3M以下、約2M以下、約1M以下、約0.5M以下、約0.25M以下等でありうる。これらの濃度のいずれの組み合わせもまた可能である。例えば、前記イオン強度は、約0.25M~約15M、約5M~約15M、約10M~約15M等でありうる。さらに、2つ以上の塩が存在する場合、各々が全体のイオン強度に寄与し、そして各々の濃度は相互に独立しうるものであることに留意すべきである。ある場合において、イオン強度に対する各々の合計の寄与を用いて高イオン強度環境を生成することができるが、各々の濃度は比較的低くてもよい。
【0067】
よって、本発明のある実施態様によると、比較的高い塩組成(例えば、高い塩化物含有量)を含む組成物は、ある化合物の局所送達に有効である。ある実施態様において、塩で高まる送達が特に有効である。ある場合において、1つまたはそれ以上の塩は、各々、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、または少なくとも20(重量)%で組成物内に存在しうる。ある実施態様において、1つまたはそれ以上の塩は、各々独立して、20%以下、19%以下、18%以下、17%以下、16%以下、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下で存在しうる。これらの範囲のいずれの組み合わせもまた、ある実施態様において可能である。例えば、塩化ナトリウム等の塩は、組成物中に5wt%~15wt%で存在しうる。さらに、ある場合において、組成物内に存在する塩の合計量は、いずれかのこれらの範囲内であってもよい。よって、例えば、1つまたはそれ以上の塩(例えば、塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウム)は、塩の合計量が5wt%~15wt%であるように組成物内に存在しうる。
【0068】
ある場合において、前記組成物のpHは、送達される化合物をイオン化するために最適化されうる(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約99%もしくはそれ以上がイオン化される)。化合物のpKaおよび組成物のpHに応じて、イオン化された形態は、(例えば、プロトン化により)アニオン性またはカチオン性でありうることが理解されるべきである。ある実施態様において、化合物は、それぞれ異なるpKaを有するいくつかのイオン化可能な基を含んでいてもよい。ある実施態様において、塩で高まる送達が効果的であるためには、基の少なくとも1つ、2つ、または3つがイオン化されることで十分である。ある実施態様において、イオン化可能な基は、組成物のpHが、基のpKa以下の少なくとも1pH単位、または少なくとも2pH単位(例えば、1、1~2、2~3またはそれ以上のpH単位)であり、そのpKa以下の(プロトン化による)カチオン性である場合、十分にイオン化される。同様に、ある実施態様において、イオンン化可能な基は、組成物のpHが、基のpKa以上の少なくとも1pH単位、または少なくとも2pH単位(例えば、1、1~2、2~3、またはそれ以上のpH単位)であり、そのpKa以上の(脱プロトン化による)アニオン性である場合、十分にイオン化される。ある実施態様において、塩化マグネシウムの存在(例えば、0.1~5重量%)は、比較的高いpKa(例えば、8.0以上、9.0以上、10.0以上もしくはそれ以上)を有する化合物を含む組成物の安定化を助けうる。ある実施態様において、組成物のpHは、緩衝液を用いて維持されうる。しかしながら、本発明のある組成物のpHは、緩衝液なしで安定でありうる。ある実施態様において、所望されるpHは、混合物を酸(例えば、HCl)または塩基(例えば、NaOH)で滴定することによって調整することができる。得られた組成物(例えば、本明細書に記載の乳濁液として製剤化された場合)のpHは、(例えば、経皮送達に有用である組成物のために十分に)長期間(例えば、数週間、数ヶ月、または1年もしくはそれ以上)安定でありうる。
【0069】
他の実施態様において、他の方法は、例えば、高イオン強度環境に加えて、または代わりに、不利な生物物理学的環境を生成するために用いられうる。例えば、一組の実施態様において、不利な生物物理学的環境は、高濃度の浸透剤、例えば、尿素、糖、または炭水化物、高pH環境(例えば、約7以上、約8以上、約9以上、約10以上、約11以上、約12以上、または約13以上)、低pH環境(約5以下、約4以下、約3以下または約2以下)、高疎水性構成物質、または高親水性構成物質もしくは医薬薬剤の化学的ポテンシャルおよび/または自由エネルギーの増加を生じる他の物質、あるいはこれらおよび/または他の化合物の2つまたはそれ以上のいずれかの組み合わせを用いて生成されてもよい。疎水性構成物質は、ある実施態様において、ある場合において、少なくとも約100、少なくとも約1000、少なくとも約10、少なくとも約10またはそれ以上のオクタノール-水分配係数を有しうる。同様に、親水性構成物質は、ある場合において、約0.01以下、約10-3以下、約10-4以下、または約10-5以下のオクタノール-水分配係数を有しうる。ある場合において、高いか、または低いpH環境(例えば、医薬的に許容される酸または塩基を、例えば、pHが約3~約7、約3~約6、約3~約5、約4~8、約5~約8、約5~8.5、約7~約11、約8~約11、約9~約11等となるように加えることによる);あるいは高い疎水性環境(例えば、環境の水含有量を減少させ、脂質、油および/またはワックス含有量を増加させることによる)は、生物物理学的不利な環境を作り出すために用いられうる。
【0070】
ある場合において、前記組成物は、生物物理学的不利な環境で特徴付けられる。ある場合において、物質は、それが組織に運ばれ、および/またはその電荷が誘導体化および/または中性塩を形成することによって中和されるように含まれうる。組織に運ばれうる送達ベヒクルの非限定的な例には、皮膚または基底膜のコラーゲン、コラーゲンペプチドまたは他の構成物質のリポソームまたは乳濁液が含まれる。電荷の中和の非限定的な例には、電子的に中性である形態またはエステルもしくは塩における物質の送達が含まれる。ある実施態様において、前記不利な生物物理学的環境には、これらの条件のいずれか2つまたはそれ以上が含まれる。例えば、前記不利な生物物理学的環境には、高イオン強度および高いpHまたは低いpH、高い疎水性環境および高いpHまたは低いpH、リポソーム等を含む高い疎水性環境が含まれうる。
【0071】
ある実施態様において、不利な生物物理学的環境はまた、比較的高く帯電された物質を、水をほとんど含まないか、または含まない油を基にしたクリームまたはローション等の疎水性油性環境に含ませることによって作り出されてもよい。ある場合において、本明細書でさらに記載されるように、不利な生物物理学的環境の使用を浸透剤の使用と組み合わせることによって吸収がさらに助長されうる。
【0072】
ある実施態様において、前記組成物には、例えば、浸透剤の非存在における輸送と比較して、皮膚を通した輸送を増加させることができる1つまたはそれ以上の浸透剤が含まれうる。例えば、一酸化窒素ドナー、および/または他の物質(例えば、本明細書に記載のもの)の輸送は、1つまたはそれ以上の浸透剤を用いて高められうる。浸透剤の非限定的な例として、以下に限定されないが、陽イオン、陰イオン、または非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキサマー(polyoxamers)等);脂肪酸およびアルコール(例えば、エタノール、オレイン酸、ラウリン酸、リポソーム等);抗コリン薬(例えば、臭化ベンジロニウム、臭化オキシフェノニウム);アルカノン(例えば、n-ヘプタン);アミド(例えば、尿素、N,N-ジメチル-m-トルアミド);脂肪酸エステル(例えば、n-ブチレート);有機酸(例えば、クエン酸);ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール);スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド);テルペン(例えば、シクロヘキセン);尿素;糖;炭水化物または他の薬剤(例えば、アゾンまたはラウロカプラム)が挙げられる。ある実施態様において、浸透剤には、塩、例えば、本明細書に記載されるものが含まれる。浸透剤のさらなる例には、炭化水素鎖に結合しているヘテロ環を含む一定の分子が含まれる。
【0073】
前記医薬薬剤または有益物質は、いずれの量または濃度においても存在しうる。例えば、医薬薬剤または有益物質は、少なくとも0.01モル%、少なくとも0.02モル%、少なくとも0.03モル%、少なくとも0.05モル%、少なくとも0.1モル%、少なくとも0.2モル%、少なくとも0.3モル%、少なくとも0.5モル%、少なくとも1モル%、少なくとも2モル%、少なくとも3モル%、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%等で液体製剤内に存在しうる。さらに、ある実施態様において、前記医薬薬剤または有益物質は、25モル%以下、20モル%以下、15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、0.3モル%以下、0.2モル%以下、0.1モル%以下、0.05モル%以下、0.03モル%以下、0.02モル%以下、0.01モル%以下等で液体製剤内に存在しうる。これらの範囲のいずれの組み合わせもまた、様々な実施態様で可能であり;例えば、医薬薬剤および/または有益物質の1つ(またはそれ以上)は、液体製剤の1モル%~20モル%、5モル%~20モル%、5モル%~10モル%、10モル%~25モル%、0.5モル%~2モル%等で存在しうる。非限定的な例として、アスピリンは、1モル%~5モル%、1モル%~10モル%等で存在しうる。
【0074】
ある実施態様において、前記液体製剤は、共晶混合物および1つまたはそれ以上の医薬薬剤および/または有益物質を含みうるか、またはこれらから必須としてなりうる。水は、存在していてもよく、あるいは存在していなくてもよく;水が存在する場合、ある実施態様において、存在する水の量は、非常に低くてもよく、例えば、2モル%または1モル%以下であってもよい。よって、前記液体製剤は、ある実施態様において、実質的に無水でありうる。ある実施態様において、共晶構成物質、医薬薬剤および/または有益物質、および水(存在する場合)の合計の割合は、前記液体製剤の少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、少なくとも99モル%、または100モル%であってもよい。
【0075】
非限定的な例として、一組の実施態様において、製剤は、尿素およびコリンを共晶構成物質として、ならびにアスピリンを医薬薬剤として(単独で、または他の医薬薬剤、例えば、カフェインおよび/またはアセトアミノフェン、および/または他の有益物質と組み合わせて)含みうる。例えば、前記製剤は、5モル%~20モル%の医薬薬剤および/または有益物質、5モル%~95モル%の塩化コリン、および5モル%~95モル%の尿素を含みうる。水は、存在しうるか、または前記液体製剤は、実質的に無水でありうる。ある場合において、水は、1モル%以下で存在する。前記医薬薬剤、塩化コリン、尿素、および水の合計の割合は、前記製剤の少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、または少なくとも100モル%である。
【0076】
このような製剤は、いずれかの適切な技術によって調製されうる。例えば、ある実施態様において、共晶物質は、前記共晶物質の2つまたはそれ以上の構成物質を一緒に合わせ(例えば、固形物の混合物として)、次いで加熱することによって調製されうる。前記共晶物質を生成するための構成物質の混合は、ある実施態様において、吸熱反応でありうるものであり、ある程度の加熱は、共晶物質の混合と形成を促進するために必要とされうる。例えば、前記混合物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃等に加熱されうる。ある場合において、周囲温度は、共晶物質を形成させるために十分でありうる。ある実施態様において、共晶物質を形成するために、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間等でありうる。
【0077】
ある態様において、液体製剤(例えば、上記本明細書に記載のもの)が対象(例えば、ヒト対象)に投与されうる。一組の実施態様において、前記製剤は、液体として対象に投与されうる。よって、例えば、前記製剤は、対象に経口で摂取されうる(例えば、対象によって飲まれる)。ある場合において、例えば、前記製剤は、経口投与のために、飲料として調製されるか、あるいはボトル、バイアル、缶等内に含有されうる。ある実施態様において、本明細書に記載されるように、水に感受性を有し、および/または水に容易に溶解されない構成物質は、例えば、共晶混合物(例えば、本明細書に記載のもの)を用いて、液体形態で投与されてもよい。これにより、例えば、経口でこのような構成物質の送達を容易にしうる。
【0078】
しかしながら、ある場合において、前記製剤は、他の送達ベヒクル、例えば、パッチ、クリーム、ローション、ゲル等を形成するために用いられる。例えば、液体は、適切な接着化合物と混合され、パッチを調製するために用いられうる。さらなる例として、液体製剤は、クリーム、ローション、ゲル等内で形成されうる。ある場合において、本明細書に記載されるように、このような液体製剤は、実質的に無水でありうる。例えば、このような製剤は、5モル%以下、2モル%以下、または1モル%以下、または他の水濃度(例えば、本明細書に記載のもの)の水含有量を含みうる。例えば、本明細書に記載されるように、水に感受性を有し、および/または水に容易に溶解されない構成物質は、このような送達ベヒクル中に存在しうる。
【0079】
例えば、1の実施態様において、共晶混合物は、適切な接着化合物と混合され、パッチ、または包帯を調製するために用いられうる。さらなる例として、製剤(例えば、本明細書に記載のもの)は、クリーム、ローション、ゲル等内で形成されうる。ある場合において、本明細書に記載されるように、このような製剤は、実質的に無水でありうる。例えば、このような製剤は、5wt%以下、2wt%以下、または1wt%以下の水含有量、あるいは本明細書に記載される濃度等の他の水濃度を含みうる。ある場合において、前記経皮パッチまたは包帯は、裏打ち(backing)層および接着剤を含みうる。前記接着剤は、ある場合において、医薬薬剤(または他の有益物質)を含むか、あるいは医薬薬剤または他の有益物質を含む別の層またはパッチまたは包帯の一部が存在しうる。当業者は、経皮パッチ、包帯等に精通している。
【0080】
例えば、接着剤の非限定的な例として、下記に限定されないが、ポリアクリレートポリマー、ゴムを基にした接着剤およびポリシロキサン接着剤、天然または合成のポリイソプレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンポリマー、スチレンを基にしたポリマー、スチレンブロックコポリマー、ブタジエンを基にしたポリマー、スチレン/ブタジエンポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、炭化水素ポリマー、例えば、ブチルゴム、ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、およびポリクロロジエン、ポリイソブチレン、ポリブチレン、エチレン/酢酸ビニル、および酢酸ビニルを基にした接着剤、スチレン/ブタジエン接着剤等が含まれる。
【0081】
一組の実施態様において、前記共晶混合物は、例えば、クリーム、ローション等を形成するために、乳濁液内で用いられる。当業者に公知であるように、乳濁液には、典型的に、第2の液体層(例えば、連続層)内に含まれる第1の層(例えば、不連続層)が含まれる。構成物質は、いずれか、または両方の層に存在しうる。さらに、他の物質(例えば、本明細書に記載のもの)は、成分として同一層に存在しうる。ある実施態様において、前記乳濁液は、クリームまたはローションの形態でありうる。例えば、構成物質は、疎水性油性環境内、例えば、水をほとんど含まないか、または含まない油を基にしたクリームまたはローション中に含まれうる。
【0082】
例えば、クリームには、油、トリグリセリド、ステアリン酸類、脂肪酸、脂肪アルコール、スクアレン、ポリソルベート等の物質が含まれうる。ある場合において、このような物質は、疎水性であり、例えば、乳濁液を調製するために、水または他の水相で乳化されうる。1の実施態様において、例えば、前記クリームには、飽和スクアレンが含まれうる。ステアリン酸の例として、以下に限定されないが、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸グリコール等が挙げられる。油の非限定的な例として、鉱油、小麦胚種油、パーム油、ナッツ油、アマニ油等が挙げられる。他の物質もまた、組成物、例えば、緩衝剤、保存剤、界面活性剤等内に存在しうる。
【0083】
一組の実施態様において、非限定的な例として、クリームには、水、鉱油、ステアリン酸グリセロール、スクアレン、ステアリン酸プロピレングリコール、小麦胚種油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ステアリン酸ソルビタン、ビタミンAおよびD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PND、および/またはBHAのうちの1つまたはそれ以上が含まれうる。別の例として、クリームには、水、塩化ナトリウム、塩化カリウム、L-アルギニンHCl、鉱油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、フェノキシエタノール、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸PEG75、セチルアルコール、メチルパラベン、およびプロピルパラベンのうちの1つまたはそれ以上が含まれうる。
【0084】
別の態様において、本明細書に記載の組成物は、それ自体および/または補助因子、他の治療剤等と組み合わせて対象に投与されうる。ある場合において、前記組成物には、例えば、本明細書に記載されるような、医薬的に許容される共晶混合物が含まれる。例えば、液体製剤は、単独で、または他の製剤と組み合わせて投与されうる。別の例として、ある実施態様において、前記組成物は、パッチ、クリーム、ローション、またはゲル等の形態(例えば、本明細書に記載されるもの)で適用されうる。投与されると、前記組成物は、医薬的に許容される製剤、例えば、医薬的に許容される担体(例えば、下記に記載のもの)として、治療上有効な医薬的に許容される量で適用することができる。組成物(例えば、本明細書に記載の混合物)の用語「有効な量」は、所望される生物学的効果が認められるために必要または十分な量を意味する。例えば、疼痛を治療するためのアスピリンの有効な量は、疼痛の感覚を緩和し、または減少させるために十分な量でありうる。ある場合において、疼痛の少なくとも一部は、主観的であってもよい。本明細書で提供される教示と組み合わせる場合、様々な活性組成物から選択し、ならびに効力、相対的バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害な副作用の重症度および投与様式等の因子を検討することにより、実質的な毒性を引き起こさず、なおかつ特定の対象を治療するのに全体的に有効である有効な予防上または治療上の治療計画が計画されうる。特定の適用のための有効な量は、治療される疾患または病気、投与される特定の組成物、対象の大きさ、または疾患もしくは病気の重症度等の因子に応じて変動しうる。当業者は、過度の実験を必要とせずに組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0085】
用語「治療する」、「治療される」、「治療する」等は、本明細書で用いられる場合、疾患または病気の進行またはさらなる進行に対する対象の耐性を増加しうる対象に組成物を投与すること、あるいは対象が、疾患または病気の進行を排除し、または少なくとも制御するために、および/または疾患または病気によって引き起こされる症状の進行を遅らせるか、または重症度を軽減するために、疾患または病気を発症した後に組成物を投与することを意味する。対象に投与される場合、有効な量は、治療される特定の疾患または病気、および所望される結果によりうる。治療上有効な用量は、例えば、以下でさらに説明されるような因子を考慮し、日常的な実験を用いて当業者によって決定され得る。
【0086】
治療上の使用について、有効な量の組成物は、前記組成物を対象に送達するいずれかの様式、例えば、経口、局所、経皮等によって対象に投与することできる。前記医薬組成物の投与は、いずれの方法によっても行うことができる。投与経路の例には、以下に限定されないが、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼、膣、静脈内、経皮、および直腸が含まれる。
【0087】
別の例として、液体、ゲル等(例えば、本明細書に記載のもの)は、対象に経口で投与することができるカプセル内に含まれうる。例えば、一組の実施態様において、深共晶混合物は、硬カプセルまたは軟カプセル等のカプセル内に含まれうる。前記カプセルには、例えば、ゼラチン、ヒプロメロース、プルラン、カラギーナン、デンプン、セルロース、または当業者に公知の他の物質が含まれてもよい。
【0088】
医薬組成物の投与は、いずれの方法によって行われてもよい。前記組成物を対象に投与する際、投薬量、投薬スケジュール、投与経路等は、これらの組成物の公知の活性に影響を与えるように選択されうる。用量は、実験モデルの結果に基づいて、適宜、本明細書に記載の組成物のアッセイの結果と組み合わせて推定されうる。用量は、投与様式に応じて、局所または全身で所望される薬物レベルを達成するために、適切に調整されうる。用量は、1日あたり1回または数回の投与で付与されうる。1日あたりの複数回の用量もまた、ある場合において、対象内の組成物の適切な全身レベルを達成するために企図される。
【0089】
前記組成物の対象への用量は、治療上の有効な量の組成物が対象に達するようなものでありうる。ある場合において、前記用量は、対象内の潜在的に有害な副作用を回避し、または最小にしながら、最大量で付与されてもよい。実際に投与される組成物の用量は、最終的に所望される濃度、対象への投与方法、組成物の効力、対象内における組成物の寿命、投薬のタイミング、同時療法の効果等の因子に依存しうる。送達される用量はまた、ある場合において、対象に関連する状態に依存しうるものであり、対象ごとに変動しうる。例えば、対象の年齢、性別、体重、大きさ、環境、体調、または現在の健康状態もまた、必要な用量および/または組成物の濃度に影響を及ぼしうる。用量の変動は、異なる個体間で、または同一個体内であっても異なる日に生じうる。ある場合において、最大用量、すなわち、妥当な医学的判断による最大に安全な用量が用いられる。ある場合において、製剤は、対象に実質的に有害な影響を及ぼさないようなものである。
【0090】
送達のための本明細書に記載の化合物の対象用量は、1回の投与あたり約0.1マイクログラムから10mgの範囲であってよく、これは、その用途に応じて、1日、1週間、または1ヶ月、およびそれらの間の他の時間で付与されうる。ある場合において、用量は、1回の投与あたり約10マイクログラムから5mgの範囲であり、例えば、2~4回の投与で約100マイクログラムから1mgであり、数日または数週間の間隔で行われる。ある実施態様において、用量は、1回の投与あたり1マイクログラムから10mgの範囲であり、最も典型的には、1日または1週間に1回の投与で10マイクログラムから1mgの範囲である。他の適切な用量が本明細書に詳細に記載されている。
【0091】
前記組成物は、長期間にわたって複数回にわたり投与されてもよい。本明細書に記載の化合物のいずれについても、治療上の有効量は、最初に動物モデルから決定することができる。適用される用量は、投与された化合物の相対的バイオアベイラビリティおよび効力に基づいて調整することができる。上記に記載の方法および当該技術分野で周知の他の方法に基づいて、最大の効力を達成するための用量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0092】
本明細書に記載の治療は、いずれの対象、例えば、ヒト、または非ヒト動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット(例えば、attus Norvegicus)、マウス(例えば、Mus musculus)、モルモット、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ヒヒ、類人猿、ゴリラ等)等に供されうる。
【0093】
本発明の組成物の投与は、医学的に許容される方法のいずれによって行われてもよい。選択される特定の様式は、当然、前記に記載されるような因子、例えば、特定の組成物、治療される対象の病気の重症度、治療効果に必要とされる用量等に依存しうる。本明細書で用いられるような、「医学的に許容でされる」治療様式は、臨床的に許容できない副作用を引き起こすことなく、対象内で有効なレベルの組成物を生成することができる様式である。
【0094】
ある態様において、本明細書に記載の組成物は、対象に投与される。このような投与は、全身的または局所的であってもよく、例えば、対象の体の特定の位置に向けられてもよい。前記組成物は、例えば、本明細書に記載されるように、いずれの適切な形態で適用されてもよい。例えば、前記組成物は、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチ等の送達ベヒクルを用いて適用されうる。一組の実施態様において、前記組成物は、対象の皮膚に適用される包帯またはパッチ中に適用され、または含浸されていてもよい。ある実施態様において、パッチは、本明細書に記載のクリームまたはエマルジョンで覆われるか、または含浸された適切な物質で作られた皮膚接触部分を有し、前記皮膚接触部分は、裏打ちによって支持され、その一方または両方は対象の皮膚表面に接触するための接着区分または他の構成を有しうる。
【0095】
このような送達ベヒクルは、対象(例えば、ヒト対象)の皮膚に適用されうる。送達ベヒクルの例は本明細書に記載される。前記送達ベヒクルは、有効な濃度の医薬薬剤または有益物質の直接または間接的な皮膚への送達を促進しうる。例えば、前記送達ベヒクルには、本明細書でさらに記載されるように、1つまたはそれ以上の浸透剤が含まれていてもよい。当業者にとって、一酸化窒素ドナーおよび/または医薬薬剤をクリーム、ゲル、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチ等の送達ベヒクル内に含ませるための系および技術は公知である。
【0096】
医学的に許容されるいずれの方法が、前記組成物を対象に投与するために用いられてもよい。前記投与は、治療される病気により、局所(すなわち、特定の領域、生理学的系、組織、器官、または細胞型)であるか、または全身でありうる。例えば、前記組成物は、経口、膣、直腸、頬、肺、局所、経鼻、経皮、非経口注射または移植、外科的投与、または他のいずれかの投与方法によって投与されうる。ある場合において、例えば、2つ以上の組成物が投与される場合、2つまたはそれ以上の投与方法が用いられてもよい。
【0097】
用いることができる非経口方法の例には、静脈内、皮内、皮下、腔内、筋肉内、腹腔内、硬膜外、または髄腔内が含まれる。移植方法の例には、任意の移植可能または注射可能な薬物送達系が含まれる。経口投与は、ある実施態様において、対象への利便性ならびに投薬スケジュールのために用いられうる。経口投与に適する組成物は、硬または軟カプセル、ピル、カシェット、錠剤、トローチ、またはトローチ剤等の個別の単位として供されうる。使用に適する他の経口組成物には、シロップ、エリキシル剤、または乳濁液等の水性または非水性液体中の溶液または懸濁液が含まれる。別の組の実施態様において、前記組成物は、食品または飲料の栄養価を高めるために用いられる。
【0098】
一組の実施態様では、前記組成物は吸入によって投与される。吸入による投与について、前記組成物は、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスを用いて、加圧パックまたはネブライザーからのエアゾールスプレー提示の形態で利便的に送達されてもよい。加圧エアロゾルの場合、前記用量単位は、定量を供給するためのバルブを供することによって決定されうる。例えば、吸入器または吹送器で使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、組成物と乳糖またはデンプン等の適切な粉末ベースとの粉末混合物を含むように製剤化されうる。
【0099】
肺送達もまた、本明細書で意図されている。前記組成物は、吸入しながら対象の肺に送達され、肺上皮内層を通過して血流に移動することができる。
【0100】
ネブライザー、定量吸入器、粉末吸入器等を含むがこれらに限定されない、治療用製品の肺送達用に設計された広範囲の機械的装置の使用もまた、意図される。前記装置は、本明細書に記載の組成物の投与に適する製剤の使用を必要としうる。典型的には、製剤は、治療に有用である通常の希釈剤、アジュバント、担体等の他に、適切な噴霧物質の使用を含みうる。また、特定の実施態様のために、リポソーム、マイクロカプセルまたはミクロスフェア、封入複合体、または他のタイプの担体の使用が意図される。
【0101】
ジェットまたは超音波を含むネブライザーによる使用に適する製剤は、本明細書に記載の組成物を含みうる。前記ネブライザー製剤はまた、例えば、ある実施態様において、エアロゾルの形成時に前記製剤の噴霧化によって引き起こされるような、前記組成物の表面で誘導される凝集を低減し、または防止するために、界面活性剤を含みうる。
【0102】
定量吸入装置による使用のための製剤は、一般に、本明細書に記載の組成物を含む粉末を含んでいてもよく、適宜、界面活性剤とともに、噴霧剤中に懸濁されうる。前記噴霧剤は、このために用いられる従来の物質、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または炭化水素(トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2テトラフルオロエタンを含む)、またはこれらの組み合わせ等であってもよい。適切な界面活性剤には、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンが含まれる。オレイン酸もまた、界面活性剤として有用でありうる。
【0103】
粉末吸入装置から投与するための製剤は、本明細書に記載の組成物を含みうる。ある場合において、前記装置はまた、前記装置からの分散を促進する量において、乳糖、ソルビトール、ショ糖、またはマンニトール等の増量剤を含んでいてもよい。
【0104】
本明細書に記載の組成物の経鼻送達もまた、意図されている。経鼻送達は、治療製剤を鼻に投与した後に、肺に製剤を沈着させる必要なく組成物を血流に直接通過させることを可能にする。経鼻送達のための製剤には、デキストランまたはシクロデキストランを含む製剤が含まれる。
【0105】
経鼻投与について、特定の実施態様に有用な装置は、定量噴霧器が取り付けられている小さくて硬いボトルである。1の実施態様において、定量の用量は、本明細書に記載の組成物を定められた体積のチャンバーに引き込むことによって送達され、このチャンバーは、チャンバー内の液体が圧縮される際にスプレーを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法付けされた開口を有する。チャンバーは、組成物を投与するために圧縮されうる。特定の実施態様において、チャンバーはピストン構造である。
【0106】
別の実施態様において、圧縮された時にスプレーを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法付けられた開口または開口部を備えたプラスチック圧縮ボトルが用いられる。前記開口部は、通常、ボトルの上部にあり、前記上部は、一般に、エアロゾル製剤を効率的に投与するために、鼻腔に部分的に適合するように先細になっている。ある場合において、鼻吸入器は、測定された用量の組成物を投与するために、定量のエアロゾル製剤を供しうる。
【0107】
経口投与について、本明細書に記載される組成物は、活性な組成物を、当該技術分野で周知の医薬的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。このような担体は、前記組成物を、治療される対象による経口摂取のために、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬製剤は、生じた混合物を適宜粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るために適切な助剤を適宜加えた後に、造粒物の混合物を加工して、固形賦形剤として得ることができる。適する賦形剤は、特に、増量剤、例えば、糖、例えば、乳糖、ショ糖、マンニトール、またはソルビトール;セルロース調製物、例えば、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。必要であれば、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウム塩が加えられてもよい。必要に応じて、前記経口製剤はまた、生理食塩水または緩衝液、例えば、内部酸状態を中和するためのEDTA中で製剤化されてもよく、あるいは担体を含まずに投与されてもよい。
【0108】
上記組成物の経口製剤もまた、具体的に意図されている。ある実施態様において、前記組成物は、化学的に修飾され、その結果、前記誘導体の経口送達が効果的となりうる。1つまたはそれ以上の構成物質の全体の安定性の増加および体内の循環時間の増加もまた望まれる。このような部分の例には、ポリエチレングリコール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリプロリンが含まれる。用いられうる他のポリマーは、ポリ-1,3-ジオキソランおよびポリ-1,3,6-チオキソカン(tioxocane)である。
【0109】
送達場所は、胃、小腸(十二指腸、空腸、または回腸)、または大腸であってもよい。ある場合において、胃で溶解され得ないが、十二指腸または腸の他の場所で物質を放出することができる製剤が用いられうる。ある場合において、前記放出は、本発明の組成物の保護、および/または胃環境を超えた(例えば、腸における)生物学的活性物質の放出のいずれかによって胃環境の有害な効果を回避しうる。
【0110】
着色料および/または香料が含まれうる。例えば、本明細書で記載される組成物は、(例えば、リポソームまたはミクロスフェア被包により)製剤化され、次いでさらに着色料および香料を含む冷蔵飲料等の食用製品内に含まれうる。
【0111】
前記体積は、不活性物質で増加させて希釈されてもよい。適する希釈剤には、糖、特に、マンニトール、乳糖、無水乳糖、セルロース、ショ糖、修飾デキストラン、およびデンプンが含まれる。三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化ナトリウムを含む、特定の無機塩もまた、増量剤として用いられうる。市販品として入手可能な希釈剤は、Fast-Flo、Emdex、STA-Rx1500、Emcompress、およびAvicellである。
【0112】
経口で用いることができる医薬製剤には、ゼラチンで構成されるプッシュフィット(push fit)カプセル剤、ならびにゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)で構成される密封軟カプセルが含まれる。前記プッシュフィットカプセル剤は、本明細書に記載される組成物を、増量剤(例えば、乳糖)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウム)を一緒に含み、適宜、安定剤を含んでいてもよい。軟カプセル剤において、前記活性組成物は、適する液体、例えば、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解され、または懸濁されていてよい。さらに、ある場合において、安定剤が加えられてもよい。経口投与のために製剤化されたミクロスフェアは、ある実施態様において用いられてもよい。経口投与のための製剤は、このような投与に適する用量でありうる。
【0113】
前記医薬組成物にはまた、ある実施態様において、適する担体または賦形剤が含まれうる。担体または賦形剤の例としては、以下に限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、ならびにポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)が含まれる。
【0114】
適する液体医薬製剤の形態には、例えば、液体製剤、溶液、マイクロカプセル化、カプセル化、微細な金粒子上のコーティング、リポソーム含有、噴霧化、エアロゾル等が含まれる。前記医薬組成物にはまた、ある実施態様において、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル剤、座薬、シロップ、乳濁液、懸濁液、クリーム、液滴、または調製物が含まれ、これらには、賦形剤ならびに添加剤および/または補助剤、例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、香味料、甘味料、および/または可溶化剤が添加されうる。
【0115】
本発明のある実施形態において、本明細書に記載の組成物の投与は、特定の期間、例えば、数時間、数日、数週間、数ヶ月、または数年にわたり組成物への継続的な曝露をもたらすように設計されうる。これは、例えば、本明細書に記載の方法の1つによる組成物の反復投与によって、あるいは組成物が反復投与なしで長期間にわたって送達される持続放出または制御放出送達系によって達成されうる。このような送達系を用いる組成物の投与は、例えば、経口製剤、または本明細書に記載されるような他の方法によるものでありうる。ある場合において、組成物の実質的に一定の濃度を維持することが望ましい場合がある。
【0116】
本発明のある実施態様において、前記組成物は、例えば、リポソームに組み込まれるか、ポリマー放出系に組み込まれるか、または液体に、例えば、溶解形態またはコロイド形態で懸濁されるか、あるいは本明細書に記載される他の方法のような、適する医薬的に許容される担体と組み合わせることができる。一般に、使用に適する医薬的に許容される担体は、当業者に周知である。本明細書で用いられるように、「医薬的に許容される担体」は、例えば、使用前に組成物内の活性化合物を安定化し、または保護するために、投与されるべき活性化合物の生物学的活性の有効性をあまり妨げないが、製剤成分として用いられる非毒性物質を意味する。前記担体には、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に適する、1つまたはそれ以上の適合可能な固体または液体増量剤、希釈剤、またはカプセル化物質が含まれうる。用語「担体」は、本発明の1つまたはそれ以上の活性化合物が適用を容易にするために組み合わされる天然または合成でありうる有機または無機成分を意味する。前記担体は、所望される医薬有効性を実質的に損なわない相互作用が存在しないように、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の組成物と、および/または相互に、混ぜ合わされ、または混合されてもよい。前記担体は、適用に応じて、可溶性であるか、または不溶性でありうる。周知の担体の例として、以下に限定されないが、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、およびマグネタイトが含まれる。担体の性質は、可溶性であるか、または不溶性でありうる。
【0117】
本明細書に記載の製剤は、ある実施態様において、通常、塩、緩衝化剤、保存剤、適合可能な担体、アジュバント、乳化剤、希釈剤、賦形剤、キレート剤、増量剤、乾燥剤、抗酸化剤、抗菌剤、保存剤、結合剤、増量剤、シリカ、可溶化剤、安定剤、ならびに適宜、前記活性化合物と併用しうる他の治療成分の医薬的に許容される濃度を含んでいてもよい医薬的に許容される組成物で投与されうる。例えば、前記製剤が液体である場合、前記担体は、溶媒、部分溶媒、または非溶媒であってもよく、水性または有機に基づくものであってもよい。適する製剤成分の非限定的な例として、希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、カオリン、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、または滑石;時間遅延物質(time-delay 物質)、例えば、モノステアリン酸グリセロールまたはジステアリン酸グリセロール;懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン;分散剤または湿潤剤、例えば、レシチンまたは天然に存在するリン脂質;増粘剤、例えば、セチルアルコールまたは蜜蝋;緩衝剤、例えば、酢酸およびその塩、クエン酸およびその塩、ホウ酸およびその塩、またはリン酸およびその塩;あるいは保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン、またはチメロサールが含まれる。本発明の組成物は、固形、半固形、液体、またはガス状形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液、保管庫(depository)、吸入剤、または注射剤等に製剤化されうる。
【0118】
調製物には、無菌の水性もしくは非水性製剤、懸濁液および乳濁液、例えば、クリーム、ゲル、ローション等が含まれる。ある場合において、前記調製物は、ある実施態様において、対象の血液と等張性を有しうる。非水性溶媒の非限定的な例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブオイル、ゴマ油、ココナッツ油、ピーナッツ油、落花生油、鉱油、注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチル、または固定油(合成モノもしくはジグリセリドを含む)である。水性担体として、以下に限定されないが、アルコール製剤、乳濁液、または懸濁液が含まれる。静脈内ベヒクルには、液体および栄養素補給剤、電解質補給剤(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)等が含まれる。ある実施態様において、保存剤および他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活化ガス等もまた存在しうる。
【0119】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物は、1つまたはそれ以上の補助成分を構成し得る適する担体と結合または接触させてもよい。最終組成物は、例えば、組成物を、液体担体、微粉化させた固形担体等と、適宜、前記に記載される1つまたはそれ以上の製剤成分と均一かつ密接に接触させることによっていずれかの適する技術を用いて調製されうる。
【0120】
本明細書に記載される組成物、必要に応じて、他の治療薬は、それ自体(無溶媒)で、または医薬的に許容される塩の形態で投与されうる。薬として用いられる場合、前記塩は、医薬的に許容される必要があるが、医薬的に許容されない塩は、その医薬的に許容される塩を調製するために利便的に用いられてもよい。用語「医薬的に許容される塩」には、例えば、酸または塩基と合わせて調製される本明細書に記載される組成物の塩が含まれる。医薬的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、またはカリウム塩;あるいはアルカリ土類塩、例えば、ベリリウム塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩として調製することができる。塩を形成させるために用いられうる適する塩基の例として、アンモニウム、または無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が含まれる。塩を形成させるために用いられうる適する酸の例として、無機酸または鉱酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、亜リン酸等が含まれる。他の適する酸として、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、サリチル酸、ギ酸、ナフタレン-2-スルホン酸等が含まれる。さらに他の適する酸として、アミノ酸、例えば、アルギニン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が含まれる。また、このような塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類塩、例えば、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩として調製することができる。
【0121】
別の態様において、本発明はまた、キットで上記に記載の組成物のいずれかを提供し、必要に応じて、前記組成物の使用説明書を含んでいてもよい。ある場合において、前記キットには、本明細書に記載される組成物の使用説明書が含まれうる。前記キットにはまた、2つまたはそれ以上の組成物の組み合わせの使用説明書が含まれうる。上記に記載される適切な技術のいずれか、例えば、経口、静脈内、ポンプ、または移植可能な送達装置により、あるいは別の公知の薬物送達経路を介して前記組成物を投与するための説明書もまた提供される。
【0122】
本明細書に記載されるキットはまた、上記に記載される組成物および他の成分を含有しうる1つまたはそれ以上の容器を含んでいてもよい。前記キットはまた、ある場合において、本発明の組成物を混合し、希釈し、および/または投与するための説明書を含みうる。前記キットにはまた、1つまたはそれ以上の溶媒、界面活性剤、保存剤、希釈剤等を含む他の容器、ならびに試料中で、またはこのような治療を必要とする対象に前記構成物質を混合し、希釈し、または投与するための容器が含まれうる。
【0123】
前記キットの組成物は、いずれかの適切な形態として、例えば、液体として提供されうる。組成物の液体形態が用いられる実施態様において、前記液体形態は、濃縮されているか、または使用準備済みでありうる。前記溶媒は、組成物および使用または投与の様式による。薬物組成物に適する溶媒は、例えば、上記に記載されるように周知であり、文献で利用可能である。前記溶媒は、組成物および使用または投与の様式による。
【0124】
さらに別の態様において、本発明には、本明細書に記載される組成物等の組成物を対象に投与することによる、例えば、インビトロまたはインビボでの上記に記載の実施態様の1つまたはそれ以上の宣伝が含まれる。本明細書で用いられるように、「宣伝」には、教育、科学調査、学術研究、製薬業界の活動を含む工業活動、およびあらゆる形式の書面、口頭、電子通信を含むいずれかの広告またはその他の宣伝活動を含む、ビジネスを行う全ての方法が含まれる。
【0125】
下記の各々は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる:2018年8月1日提出の発明の名称「深共晶溶媒および他の特殊媒体に基づくアスピリン無水製剤」の米国仮特許出願番号第62/713,022号;2018年12月13日提出の発明の名称「深共晶溶媒を含む薬物および他の物質の送達のための系と方法」の米国仮特許出願番号第62/778,949号;2018年12月13日提出の発明の名称「難溶性薬物のための深共晶溶媒を含む方法と系および他の適用」の米国仮特許出願番号第62/778,954号;および2019年1月11日提出の発明の名称「難溶性薬物のための深共晶溶媒を含む方法と系および他の適用」の米国仮特許出願番号第62/791,110号。
【0126】
下記の実施例は、本発明の一定の実施態様を示すことが意図されるものであるが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例0127】
実施例1
本発明の実施例は:
-アスピリンを治療濃度で含む液体
-予防濃度を送達するアスピリンを含むパッチ
-治療濃度を有痛組織に送達するアスピリンを含むクリーム
-アスピリンを頭痛の緩和のための治療濃度で頭部に送達するゲル
である。
【0128】
実施例2
この予測的な実施例において、対象は、経口投与することができる液体製剤が供される。前記製剤には、製剤が室温で液体である比率において、尿素および塩化コリン中に溶解させたアスピリンが含まれる。
【0129】
実施例3
この予測的な実施例において、対象は、経口投与することができる液体製剤が供される。前記製剤には、製剤が室温で液体である比率において、尿素および塩化コリン中に溶解させたアスピリンおよびカフェインが含まれる。
【0130】
実施例4
この予測的な実施例において、対象は、経口投与することができる液体製剤が供される。前記製剤には、製剤が室温で液体である比率において、尿素および塩化コリン中に溶解させたアスピリン、カフェイン、およびアセトアミノフェンが含まれる。
【0131】
実施例5
本実施例において、アスピリン製剤は、塩化コリンおよび尿素を用いて調製した。本実施例において、塩化コリンを、オーブン内で65℃に10時間加熱した。続いて、1(体積)部の塩化コリンをビーカー内で2部の尿素に加えた。前記ビーカーをパラフィルムで密封し、塩化コリンおよび尿素を混合して深共晶溶媒(DES)を形成させた。次に、該混合物を4Aの8~12メッシュのモレキュラーシーブに通し、終夜攪拌させ、無水DESを形成させた。
【0132】
続いて、50mg/mlのアスピリンを前記DESに加えた。しかしながら、わずか1%のアスピリンのみが加水分解されたことがわかった。前記加水分解はHPLCを用いて測定した。このような組成物は経口で摂取されうる。
【0133】
比較例として、塩化コリンおよび尿素を、上記と同一の手順を用いて塩化コリンを加熱せずに混合した場合、8%を超えるアスピリンが加水分解されることがわかった。塩化コリンの加熱が水を除去したものと考えられる。よって、本実施例は、塩化コリン、尿素、および少量の水を含む製剤がアスピリンをあまり加水分解しない組成物を製造するために有効でありうることを示す。
【0134】
実施例6
本実施例は、本発明の1の実施態様に従って、製剤の製造方法を例示する。前記製剤は無水であってもよく、無水でなくてもよい。まず、1部(体積)の塩化コリンを2部(体積)の尿素に混合させた。この混合物を、1部のプロピレングリコールに対して1部で混合した。次に、9部の前記混合物を1部のクエン酸と混合した。1の実施態様において、この混合物を25mg/mlのロラタジンと混合した。これを、例えば、1キャップあたり10mgまたは20mgのロラタジンを用いてゲルキャップで製剤化させる。よって、該混合物は、例えば、液体として、またはゲルキャップとして投与しうる。ロラタジンの効果は、ロラタジンが、通常、水に比較的不溶性であるため、かなり速いことが予想される。しかしながら、このような製剤では、ロラタジンは、例えば、「予め溶解された」状態で胃に投与される。
【0135】
本発明のいくつかの実施態様が本明細書で記載され、例示されているが、当業者は機能を発揮し、および/または本明細書に記載の結果および/または1つもしくはそれ以上の利点を得るための様々な他の方法および/または構造を容易に想定し、このような変形および/または改良の各々は、本発明の範囲内とされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメータ、寸法、物質、および構成が、例示であることが意図され、実際のパラメータ、寸法、物質、および/または構成が、本発明の教示が用いられるための具体的な適用によることを容易に理解するものである。当業者は、単なる通常の実験を用いて、本明細書に記載の発明の具体的な実施態様に対する多くの均等物を認識し、または確認することができる。それゆえ、前記実施態様は、一例が示されているに過ぎず、特許請求の範囲およびその均等の範囲内において、本発明は、具体的に記載され、請求されている以上に実施されうることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載される各々個々の特徴、系、製品、物質、キット、および/または方法に関する。さらに、2つまたはそれ以上のこのような特徴、系、製品、物質、キット、および/または方法のいずれの組み合わせは、このような特徴、系、製品、物質、キット、および/または方法が相互に矛盾しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【0136】
本明細書および参照により取り込まれる文献が矛盾および/または不一致の開示を含む場合、本明細書が優先されるべきである。参照により取り込まれる2つまたはそれ以上の文献が、相互に矛盾し、および/または一貫性のない開示が含む場合、より有効日の文献が優先されるべきである。
【0137】
本明細書で定義され、用いられる全ての定義は、辞書の定義、参照により取り込まれる文献における定義、および/または定義される用語の通常の意味に優先されることが理解されるべきである。
【0138】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる不定冠詞「a」および「an」は、明確に矛盾を示していない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
【0139】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる用語「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲で用いられる用語「および/または」は、このように結合された要素、すなわち、ある場合には、結合して存在し、他の場合には、分離して存在する要素の「いずれか、または両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙された複数の要素は、同じ方法、すなわち、そのように結合された要素の「1つまたはそれ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定される要素以外に具体的に特定される要素に関連するかどうかにかかわらず他の要素が適宜存在していてもよい。よって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」等のオープンエンドの用語と組み合わせて使用される場合、ある実施形態において、Aのみ(B以外の要素を適宜含んでいてもよい);別の実施形態において、Bのみ(A以外の要素を適宜含んでいてもよい)、さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(他の要素を適宜含んでいてもよい)等を意味しうる。
【0140】
本明細書および特許請求の範囲で用いられるように、「または」は、上記で定義される「および/または」と同一の意味を有するものと理解されるべきである。例えば、ある記載の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であり、すなわち、要素の数または記載の2つ以上を含み、さらに記載されない要素も含んでいてもよいものと解釈されるべきである。明らかに矛盾する用語のみ、例えば、「のうちのただ1つ」または「のうちの正確に1つ」等、あるいは特許請求の範囲で用いられる「からなる」は、要素の数または記載のうちの正確に1つの要素を含むことを意味する。一般に、本明細書で用いられる用語「または」は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」等の排他的な用語が前にある場合、排他的な別のもの(すなわち、「1つまたはもう一方であるが、両方ではない」)を示すものとのみ理解されるべきである。
【0141】
本明細書および特許請求の範囲で用いられるように、1つまたはそれ以上の要素の記載に関する用語「少なくとも1つの」は、要素の記載における要素の1つまたはそれ以上から選択される少なくとも1つの要素が、要素内に具体的に記載される各々全ての要素のうちの少なくとも1つを含む必要がなく、要素の記載中の要素のいずれかの組み合わせを排除するものではないことを意味するものと理解されるべきである。この定義はまた、用語「少なくとも1つ」が意味する要素の記載内で具体的に同定される要素以外の要素が、具体的に同定される要素に関連するかどうかにかかわらず適宜存在していてもよいことを可能にする。よって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等の意味として「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等な意味として「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、2つ以上のAを適宜含んでいてもよく、Bが存在しない(およびB以外の要素を適宜含んでいてもよい)少なくとも1つ;別の実施形態において、少なくとも1つ、2つ以上のBを適宜含んでいてもよく、Aが存在しない(およびA以外の要素を適宜含んでいてもよい)少なくとも1つ;さらに別の実施形態において、少なくとも1つ、2つ以上のAを適宜含んでいてもよい少なくとも1つ、および少なくとも1つ、2つ以上のBを適宜含んでいてもよい少なくとも1つ(および他の要素を適宜含んでいてもよい)等を意味する。
【0142】
用語「約」が数字に関して本明細書で用いられる場合、本発明のさらに別の実施形態には、用語「約」の存在によって修飾されないその番号が含まれることが理解されるべきである。
【0143】
明らかに矛盾しない限り、2つ以上の工程または行為を含む本明細書に記載のいずれの方法においても、その方法の工程または行為の順序は、その方法の工程または行為が記載されている順序に必ずしも限定されないことも理解されるべきである。
【0144】
特許請求の範囲および上記の本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関する(involving)」、「保持する(holding)」、「構成される(composed of)」等の全ての移行句は、オープンエンド、すなわち、限定されることなく含むことを意味するものと理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手続マニュアルのセクション2111.03に記載されているように、移行句「からなる」および「から必須としてなる」のみが、それぞれクローズドまたはセミクローズド移行句であるものとする。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化コリン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、およびケトロラクを含む、組成物であって、前記塩化コリンおよび前記プロピレングリコールを含む共晶混合物を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、ゲルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1モル%以下で水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
0.1モル%以下で水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
検出不能な量の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記塩化コリンが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の15モル%~85モル%で存在する、および/または前記プロピレングリコールが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の15モル%~85モル%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記塩化コリンが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の40モル%~60モル%で存在する、および/または前記プロピレングリコールが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の40モル%~60モル%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記共晶混合物が、深共晶溶媒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩化コリンが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の45モル%~55モル%で存在する、および/または前記プロピレングリコールが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の45モル%~55モル%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記塩化コリンおよび前記プロピレングリコールの合計の割合が、前記共晶混合物の少なくとも80モル%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記塩化コリンおよび前記プロピレングリコールの合計の割合が、前記共晶混合物の少なくとも90モル%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記塩化コリンおよび前記プロピレングリコールの合計の割合が、前記共晶混合物の100モル%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、クリームである、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、ローションである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記塩化コリンが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の45モル%~55モル%で存在し、前記プロピレングリコールが、前記共晶混合物中に、前記共晶混合物の45モル%~55モル%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
5モル%以下の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記共晶混合物が、少なくとも15モル%かつ85モル%以下でプロピレングリコールを含み、少なくとも15モル%かつ85モル%以下で塩化コリンを含む、請求項1に記載の組成物であって、前記共晶混合物が、深共晶溶媒であり、前記組成物が、5モル%以下で水を含む、組成物。
【請求項18】
前記共晶混合物が、少なくとも40モル%かつ60モル%以下で塩化コリンを含み、少なくとも40モル%かつ60モル%以下でプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の組成物であって、前記共晶混合物が、深共晶溶媒であり、前記組成物が、1モル%以下で水を含む、組成物。
【請求項19】
前記共晶混合物が、少なくとも45モル%かつ55モル%以下で塩化コリンを含み、少なくとも45モル%かつ55モル%以下でプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の組成物であって、前記共晶混合物が、深共晶溶媒であり、前記組成物が、0.01モル%以下で水を含む、組成物。
【請求項20】
前記共晶混合物が、少なくとも45モル%かつ55モル%以下で塩化コリンを含み、少なくとも45モル%かつ55モル%以下でプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の組成物であって、前記共晶混合物が、深共晶溶媒であり、前記組成物が、0.01モル%以下で水を含み、前記組成物が、クリーム、ローション、またはゲルである、組成物。
【外国語明細書】