(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056733
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】薬剤を含む共晶溶媒、並びにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/407 20060101AFI20240416BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240416BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240416BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240416BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240416BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240416BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240416BHJP
A61K 31/569 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/407
A61P19/02
A61P29/00
A61K9/06
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/18
A61K31/569
A61K31/573
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008869
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2021529236の分割
【原出願日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】62/713,022
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/778,949
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/778,954
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/791,110
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/817,071
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/817,065
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521045210
【氏名又は名称】ノビラ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Novilla Pharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ティ・フォッセル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】関節の疼痛および/または炎症の治療剤を提供する。
【解決手段】ケトロラク、および共晶混合物を含む局所組成物を含む、皮膚に投与される治療剤とする。好ましくは、共晶混合物として、少なくとも15モル%かつ85モル%以下でコリンクロライドを含む、および/または少なくとも15モル%かつ85モル%以下でプロピレングリコールを含む、治療剤とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共晶を含む組成物であって、共晶の少なくとも20モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、組成物。
【請求項2】
共晶の少なくとも40モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
共晶の少なくとも50モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
共晶の少なくとも60モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
共晶の少なくとも80モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
共晶が1モル%未満の水を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
共晶が0.1モル%未満の水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
共晶が0.01モル%未満の水を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
共晶が検出不可能な分量の水を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
共晶が液体である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
共晶が室温において液体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
共晶が25℃未満の融点を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
共晶が20℃未満の融点を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
共晶が10℃未満の融点を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
アセトアミノフェンが少なくとも30モル%の共晶を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
アセトアミノフェンが少なくとも40モル%の共晶を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
アセトアミノフェンが少なくとも45モル%の共晶を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
コリンクロライドが少なくとも30モル%の共晶を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
コリンクロライドが少なくとも40モル%の共晶を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
コリンクロライドが少なくとも45モル%の共晶を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
コリンクロライドおよびアセトアミノフェンが、共晶が25℃未満の融点を有するような比で共晶中に存在する、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
コリンクロライドおよびアセトアミノフェンが、共晶が20℃未満の融点を有するような比で共晶中に存在する、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
共晶の少なくとも90モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
共晶の少なくとも95モル%が、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
共晶が、実質的にコリンクロライドおよびアセトアミノフェンから成る、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
アセトアミノフェンが、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンの濃度が少なくとも1.25g/mlであるように組成物中に存在する、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
アセトアミノフェンが、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンの濃度が少なくとも1.3g/mlであるように組成物中に存在する、請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
共晶がカプセル中に含まれる、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
カプセルが1000mg未満のアセトアミノフェンを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
カプセルが750mg未満のアセトアミノフェンを含む、請求項28または29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
カプセルが400mgから600mgの間のアセトアミノフェンを含む、請求項28~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
カプセルが1ml未満の内部体積を有する、請求項28~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
カプセルが0.8ml未満の内部体積を有する、請求項28~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項に記載の組成物を、対象に経口投与することを特徴とする方法。
【請求項35】
対象がヒトである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
対象に組成物を経口投与することを特徴とする方法であって、組成物が共晶を含み、共晶の少なくとも20モル%がコリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む、方法。
【請求項37】
共晶を含む組成物であって、共晶の少なくとも20モル%が、コリンクロライドと、水素結合供与体を含む薬剤を含む、組成物。
【請求項38】
少なくとも40モル%の共晶が、コリンクロライドおよび薬剤を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
少なくとも50モル%の共晶が、コリンクロライドおよび薬剤を含む、請求項37または38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
少なくとも60モル%の共晶が、コリンクロライドおよび薬剤を含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
少なくとも80モル%の共晶が、コリンクロライドおよび薬剤を含む、請求項37~40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
共晶が1モル%未満の水を含む、請求項37~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
共晶が0.1モル%未満の水を含む、請求項37~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
共晶が0.01モル%未満の水を含む、請求項37~43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
共晶が検出不可能な量の水を含む、請求項37~44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
共晶が液体である、請求項37~45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
共晶が室温において液体である、請求項37~46のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
共晶が25℃未満の融点を有する、請求項37~47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
共晶が20℃未満の融点を有する、請求項37~48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
共晶が10℃未満の融点を有する、請求項37~49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
薬剤が少なくとも30モル%未満の共晶を含む、請求項37~50のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
薬剤が少なくとも40モル%未満の共晶を含む、請求項37~51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
薬剤が少なくとも45モル%未満の共晶を含む、請求項37~52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
コリンクロライドが少なくとも30モル%の共晶を含む、請求項37~53のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
コリンクロライドが少なくとも40モル%未満の共晶を含む、請求項37~54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
コリンクロライドが少なくとも45モル%の共晶を含む、請求項37~55のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
コリンクロライドおよび薬剤が、共晶が25℃未満の融点を有するような比で共晶中に存在する、請求項37~56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
コリンクロライドおよび薬剤が、共晶が20℃未満の融点を有するような比で共晶中に存在する、請求項37~57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
少なくとも90モル%の共晶が、コリンクロライドおよび薬剤を含む、請求項37~58のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
少なくとも95モル%の共晶が、コリンクロライドおよび薬剤を含む、請求項37~59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
共晶が、コリンクロライドおよび薬剤から実質的に成る、請求項37~60のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
薬剤がH結合供与体である、請求項37~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項63】
薬剤がアセトアミノフェンを含む、請求項37~62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
コリンクロライドおよびアセトアミノフェンの濃度が少なくとも1.25g/mlであるように、薬剤が組成物中に存在する、請求項37~63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項65】
コリンクロライドおよびアセトアミノフェンの濃度が少なくとも1.3g/mlであるように、薬剤が組成物中に存在する、請求項37~64のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項66】
共晶がカプセル中に含まれる、請求項37~65のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項67】
カプセルが1000mg未満の薬剤を含む、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
カプセルが750mg未満の薬剤を含む、請求項66または67のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
カプセルが400mgから600mgの薬剤を含む、請求項66~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
カプセルが1ml未満の内部体積を有する、請求項66~69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
カプセルが0.8ml未満の内部体積を有する、請求項66~70のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
請求項37~71のいずれか1項に記載の組成物を対象に経口投与することを特徴とする、方法。
【請求項73】
対象がヒトである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
対象に組成物を経口投与することを特徴とする方法であって、組成物は共晶組成物を含み、共晶組成物の少なくとも20モル%が、コリンクロライドと、水素結合供与体を含む薬剤を含む、方法。
【請求項75】
薬学的に許容可能な深共晶溶媒を含む組成物を、対象の肺に投与することを特徴とする方法であって、深共晶溶媒がそれに溶解する薬剤を含む、方法。
【請求項76】
深共晶溶媒がコリンクロライドおよび尿素を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
コリンクロライドが25モル%から75モル%で深共晶溶媒中に存在する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
尿素が25モル%から75モル%で深共晶溶媒中に存在する、請求項76または77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
コリンクロライドが40モル%から60モル%で深共晶溶媒中に存在する、請求項76~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
尿素が40モル%から60モル%で深共晶溶媒中に存在する、請求項76~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
コリンクロライドおよび尿素が、深共晶溶媒が25℃未満の融点を有するような比で、深共晶溶媒中に存在する、請求項76~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
コリンクロライドおよび尿素が、深共晶溶媒が20℃未満の融点を有するような比で、深共晶溶媒中に存在する、請求項76~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
組成物が少なくとも80モル%の深共晶溶媒を含む、請求項75~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
組成物が少なくとも90モル%の深共晶溶媒を含む、請求項75~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
組成物が少なくとも95モル%の深共晶溶媒を含む、請求項75~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
薬剤がフルチカゾンを含む、請求項75~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
薬剤がロラタジンを含む、請求項75~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
薬剤がセチリジンを含む、請求項75~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
薬剤がインスリンを含む、請求項75~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
薬剤がスマトリプタンを含む、請求項75~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
薬剤が抗ヒスタミンを含む、請求項75~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
吸入器を用いて深共晶溶媒を投与することを特徴とする、請求項75~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
深共晶溶媒が、液滴として肺に投与される、請求項75~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
肺に投与される液滴の少なくともいくつかが空気中に懸濁されている、請求項75~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
液滴が約100マイクロメーター未満の平均直径を有する、請求項75~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
液滴が約10マイクロメーター未満の平均直径を有する、請求項75~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
深共晶溶媒が1モル%未満の水を含む、請求項75~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
深共晶溶媒が0.1モル%未満の水を含む、請求項75~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
深共晶溶媒が検出不可能な量の水を含む、請求項75~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
深共晶溶媒が室温において液体である、請求項75~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
深共晶溶媒が25℃未満の融点を有する、請求項75~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
深共晶溶媒が20℃未満の融点を有する、請求項75~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
深共晶溶媒が10℃未満の融点を有する、請求項75~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
対象がヒトである、請求項75~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
薬剤を含む薬学的に許容可能な深共晶溶媒を含む吸入器を含む物品。
【請求項106】
深共晶溶媒がコリンクロライドおよび尿素を含む、請求項105に記載の物品。
【請求項107】
コリンクロライドが25モル%から75モル%の間で深共晶溶媒に存在する、請求項106に記載の物品。
【請求項108】
尿素が25モル%から75モル%の間で深共晶溶媒に存在する、請求項106または107のいずれか1項に記載の物品。
【請求項109】
コリンクロライドおよび尿素が、深共晶溶媒が25℃未満の融点を有するような比で深共晶溶媒中に存在する、請求項106~108のいずれか1項に記載の物品。
【請求項110】
組成物が少なくとも80モル%の深共晶溶媒を含む、請求項105~109のいずれか1項に記載の物品。
【請求項111】
薬剤がフルチカゾンを含む、請求項105~110のいずれか1項に記載の物品。
【請求項112】
薬剤がロラタジンを含む、請求項105~111のいずれか1項に記載の物品。
【請求項113】
薬剤がセチリジンを含む、請求項105~112のいずれか1項に記載の物品。
【請求項114】
薬剤がインスリンを含む、請求項105~113のいずれか1項に記載の物品。
【請求項115】
薬剤がスマトリプタンを含む、請求項105~114のいずれか1項に記載の物品。
【請求項116】
薬剤が抗ヒスタミンを含む、請求項105~115のいずれか1項に記載の物品。
【請求項117】
深共晶溶媒が1モル%未満の水を含む、請求項105~116のいずれか1項に記載の物品。
【請求項118】
深共晶溶媒が室温において液体である、請求項105~117のいずれか1項に記載の物品。
【請求項119】
深共晶溶媒が25℃未満の融点を有する、請求項105~118のいずれか1項に記載の物品。
【請求項120】
請求項105~119のいずれか1項に記載の吸入器を用いて、対象の肺に深共晶溶媒を投与することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国仮特許出願第62/713,022号(2018年8月1日出願、表題「深共晶溶媒および他の特殊な媒体に基づくアスピリンの無水剤形」);米国仮特許出願第62/778,949号(2018年12月13日出願、表題「深共晶溶媒を含む薬物および他の物質を送達するためのシステムおよび方法」);米国仮特許出願第62/778,954号(2018年12月13日出願、表題「難溶性薬物および他の応用のための深共晶溶媒を含む方法およびシステム」);米国仮特許出願第62/791,110号(2019年1月11日出願、表題「難溶性薬物のための深共晶溶媒を含む方法およびシステムとその他の応用」);米国仮特許出願第62/817,065号(2019年3月12日出願、表題「薬剤を含む共晶溶媒、並びにその製造および使用方法」);並びに、米国仮特許出願第62/817,071号(2019年3月12日出願、表題「吸入可能な共晶溶媒組成物および方法」)の利益を主張する。これらのそれぞれが、引用によってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は一般に、薬剤および他の有益な物質を含む共晶組成物、および特に、薬剤および有益な物質が共晶組成物の一部を形成する、共晶組成物に関する。さらに、いくつかの局面は一般に、例えば、薬剤および他の有益な物質の送達のための、吸入可能な組成物に関する。いくつかの実施態様において、そのような組成物としては、深共晶溶媒などの共晶溶媒が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
共晶は一般に、構成成分のいずれかの融点よりも低い単一の温度において、融解または凝固する、物質の混合物をいう。しかしながら、共晶は一般に医学的な目的には使われていない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は一般に、薬剤および他の有益な物質を含む共晶組成物、および特に、薬剤および有益な物質が共晶組成物の一部を形成する、共晶組成物に関する。本発明の主題は、いくつかの場合において、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替溶媒、および/または1つ以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を含む。
【0005】
ある局面において、本発明は一般に、組成物に関する。ある一連の実施態様において、組成物は共晶を含み、ここで、共晶の少なくとも20モル%はコリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む。
【0006】
別の一連の実施態様において、組成物は共晶を含み、ここで、共晶の少なくとも20モル%は、コリンクロライドおよび水素結合供与体を含む薬剤を含む。
【0007】
本発明は、別の局面において、一般に方法に関する。ある一連の実施態様において、当該方法は、対象に組成物を経口投与することを含み、ここで、組成物は共晶を含む。いくつかの実施態様において、共晶の少なくとも20モル%はコリンクロライドおよびアセトアミノフェンを含む。
【0008】
当該方法は、別の一連の実施態様において、対象に組成物を経口投与することを含み、ここで、組成物は共晶組成物を含む。いくつかの実施態様において、共晶組成物の少なくとも20モル%は、コリンクロライドおよび水素結合供与体を含む薬剤を含む。
【0009】
さらに、いくつかの実施態様は一般に、例えば薬剤および他の有益な物質の送達のための、吸入可能な組成物に関する。例えば、ある局面において、本発明は一般に、薬学的に許容可能な深共晶溶媒を含む組成物を、対象の肺に投与することを含む方法に関する。いくつかの場合において、深共晶溶媒は、そこに溶解する薬剤を含む。
【0010】
本発明は一般に、別の局面において、薬剤を含む薬学的に許容可能な深共晶溶媒を含む吸入器を含む物品に関する。
【0011】
ある実施態様において、本発明は一般に、深共晶混合物を含む吸入可能な組成物に関する。深共晶混合物はまた、いくつかの場合において、薬剤または他の有益な物質を含みうる。
【0012】
本明細書において、特定の病状の予防または治療のために、対象に化合物を投与する、いくつかの方法が開示される。本発明のそのようなそれぞれの局面において、本発明はまた、具体的に、その特定の病状の治療または予防における使用のための化合物、並びにその特定の病状の治療または予防のための医薬の製造のための化合物の使用を含むことが理解されるべきである。
【0013】
別の局面において、本発明は、本明細書に記載される1つ以上の実施態様、例えば、共晶組成物および/または吸入可能な組成物の製造方法を含む。さらに別の局面において、本発明は、本明細書に記載される1つ以上の実施態様、例えば、共晶組成物および/または吸入可能な組成物の使用方法を含む。
【0014】
本発明の別の利点および新規な特徴は、添付の図と合わせて考慮した場合、本発明の様々な限定されない実施態様の、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の限定されない実施態様は、例示的に添付の図を参照して説明されるが、これらは概略的なものであり、縮尺比で描かれることを意図していない。図において、描かれるそれぞれの同一の、またはほぼ同一の構成要素は一般に、単一の数字によって表される。明確化のため、全ての要素がそれぞれ数字でラベル付けされているわけではなく、説明が、当業者が本発明を理解するのに必要でない場合には、本発明のそれぞれの実施態様の全ての要素が、示されているわけではない。図において:
【0016】
【
図1】
図1は本発明の特定の実施態様に従った、共晶図の概略を表す。
【0017】
詳細な説明
本発明は一般に、薬剤および他の有益な物質を含む共晶組成物、および特に、薬剤および有益な物質が共晶組成物の一部を形成する場合の共晶組成物に関する。ある局面において、薬剤および有益な物質は、共晶組成物の一部を定義する、すなわち、ただ共晶組成物中に存在するだけではない。ある一連の実施態様において、共晶組成物の少なくとも20モル%は、水素結合供与体および水素結合受容体、例えば、それぞれアセトアミノフェンおよびコリンクロライドを含みうる。しかしながら、別の実施態様において、薬剤は供与体または受容体のいずれかであり、他の薬剤は供与体または受容体のいずれかであってもよい。他の局面は一般に、そのような組成物の製造方法、そのような組成物の使用方法、そのような組成物を含むキットなどに関する。
【0018】
さらに、本発明のいくつかの実施態様は一般に、例えば薬剤および他の有益な物質の送達のための、吸入可能な組成物に関する。例えば、いくつかの局面は一般に、深共晶溶媒などの共晶溶媒を含む組成物に関する。いくつかの場合において、そのような組成物は、例えば、それらが環境温度において液体であるように、驚くほどに低い融点を有しうる。そのような組成物は、いくつかの場合において、水に難溶性である、または水に敏感であるなどの薬剤または有益な物質を含有するように利用可能でありうる。そのため、そのような組成物は、水性である必要はなく、液体でありうる。いくつかの実施態様において、そのような組成物は、対象に、例えば、対象の鼻または肺に投与することができる。例えば、吸入器を用いて、様々な組成物を投与することができる。他の局面は一般に、そのような組成物の製造方法、そのような組成物の使用方法、そのような組成物を含むキットなどに関する。
【0019】
いくつかの実施態様において、2つ以上の物質は、それぞれの融点を有するが、一緒に混合した場合に、得られた混合物がそれぞれの構成物質よりも低い融点を有し得る組成物中に存在しうる。そのような現象は一般に、共晶混合物、共晶溶媒、または単に共晶と称される。いくつかの場合において、混合物の融点は、構成物質の融点よりも低くなりうる。例えば、融点は、構成成分の最低の融点から少なくとも10℃、少なくとも25℃、または少なくとも50℃減少しうる。いくつかの場合において、物質およびそれらの比は、混合物が室温において液体であるように選択され、例えば、環境温度において混合物が融点を超える温度である、すなわち液体であるように、混合物は25℃未満の融点を有しうる。さらに、いくつかの場合において、混合物は、様々な温度、例えば、20℃未満、10℃未満などにおいて液体であるように、選択され得る。
【0020】
そのような2つ以上の物質の混合物は、物質の特定の比率(一般に共晶点または共晶比と称される)において、可能な限り低い融点を示しうるが、
図1に示されるように、本発明はこれらの共晶点または比のみに限定されず、それどころか、混合物の融点がそれぞれの構成成分よりも低く、一般に混合物が環境温度において液体である、任意の混合物をも含むことが理解されるべきである。
【0021】
したがって、本発明のいくつかの局面は、一般に、薬剤または有益な物質が共晶の不可欠な部分を形成している共晶に関する。これは、薬剤または有益な物質が存在しない場合であっても共晶である組成物とは対照的である。そのため、いくつかの実施態様において、共晶の有意な部分はそれに応じて、薬剤または有益な物質であってもよく、例えば、少なくとも25モル%、または少なくとも40モル%の共晶が薬剤でありうる。
【0022】
いくつかの実施態様において、共晶は深共晶溶媒でありうる。深共晶は、水素結合供与体および水素結合受容体の混合物から形成することができ、これは低い融点を有する共晶液体を形成する。例えば、いくつかの場合において、深共晶はルイス酸またはブレンステッド酸と塩基の混合物から形成されうる。さらに、いくつかの場合において、水素結合供与体は塩でありうる。
【0023】
そのため、例えば、一連の実施態様において、共晶は、適切な塩、および薬剤、または水素結合受容体を含む有益な物質を含みうる。ある限定されない例は、コリンクロライドおよびアセトアミノフェン(またはAPAP)の混合物であり、これらはそれぞれ以下の構造を有する:
【化1】
いかなる理論に拘束されることを望まないが、コリンクロライド上の-N
+が、アセトアミノフェンのベンゼン環上のヒドロキシル基との水素結合に参加し、それによってその組み合わせが共晶として作用することを可能にしていることが考えられる。
【0024】
共晶の使用は、水に比較的感受性のある薬剤(または他の有益な物質)の投与を可能にしうる。例えば、共晶は液体であってもよいが、それでも比較的少量の水を含む。さらに、薬剤または有益な物質が共晶の一部を形成するため、いくつかの実施態様において、比較的大量の薬剤または有益な物質を対象に投与することができる。
【0025】
そのため、ある局面において、本発明は一般に、薬剤または他の有益な物質を含む共晶を含む、液体、パッチ、クリーム、ローション、ゲルなどの組成物に関する。いくつかの実施態様において、組成物は、共晶、例えば共晶を形成する成分よりも低い融点を示すものを含む、または実質的にそれから成る。共晶を形成するために一緒に混合することができる、2、3、4、またはそれ以上の物質が存在しうる。いくつかの場合において、物質(分離している場合)は、一般に、環境温度において固体であるが、合わせて混合して共晶を形成する場合、液体を形成する。
【0026】
いくつかの実施態様において、2つ以上の物質は、それぞれが融点を有するが、合わせて混合した場合に、得られた混合物がその構成物質のそれぞれよりも低い融点を有しうる、共晶混合物中に存在しうる。いくつかの場合において、融点の差は非常に大きくなりうる。例えば、いくつかの実施態様において、共晶は、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃の減少を示しうる。さらに、いくつかの実施態様において、共晶が室温、例えば25℃または20℃未満で液体であるように、融点が十分に低下しうる。いくつかの実施態様において、共晶は15℃、10℃、5℃、または0℃未満の温度で液体でありうる。
【0027】
共晶混合物の1つの例は、尿素およびコリンクロライドである。共晶混合物の他の例としては、限定されないが、フェノール/メントール、フェノール/コリンクロライド、フェノール/コリンクロライド/尿素、ベタイン ヒドロクロライド/尿素、レゾルシノール/コリンクロライド、BHT/コリンクロライド、クロロキシレノール/コリンクロライド/メントール、コリンクロライド/クエン酸、コリンクロライド/アルギニン/尿素、コリンクロライド/ナイアシンアミド/尿素、カンファー/メントール、カンファー/メントール/ラウリルアルコール、カンファー/グリセリン/モノラウレート/メントールなどが挙げられる。さらなる限定されない例としては、EtNH3Cl/CF3CONH2、EtNH3Cl/アセトアミド、EtNH3Cl/尿素、ChCl/CF3CONH2、AcChCl/尿素、ZnCl2/尿素、ZnCl2/アセトアミド、ZnCl2/エチレングリコール、ZnCl2/ヘキサンジオール、ChCl/グリセロール、ChCl/エチレングリコール、ChCl/マロン酸、Et2(EtOH)NCl/グリセロール、Et2(EtOH)NCl/エチレングリコール、Me(PH)3PBr/グリセロール、Me(PH)3PBr/エチレングリコール、ChCl/グルコース、ChCl/1,4-ブタンジオール、ChCl/CF3CONH2、ChCl/イミダゾール、ChCl/ZnCl2、ChCl/キシリトール、ChCl/ソルビトール、ChCl/マロン酸、Bu4NBr/イミダゾールなどが挙げられる。これらの物質の多くは、市販で容易に入手可能であり、任意の適切な比で合わせて混合することができる。
【0028】
前述のように、いくつかの場合において、共晶は深共晶でありうる。そのような共晶は、水素結合供与体および水素結合受容体の混合物から形成されうる。例えば、深共晶は、ルイス酸またはブレンステッド酸と塩基の混合物から形成されうる。水素結合供与体または水素結合受容体のいずれかまたは両方は、薬剤または他の有益な物質でありうる。限定されない例としては、共晶はコリンクロライドおよびアセトアミノフェンから形成されてもよく、コリンクロライドは水素結合供与体として作用し、アセトアミノフェンは水素結合受容体として作用する。
【0029】
そのため、ある一連の実施態様において、共晶混合物は、水素結合供与体を含む第一成分、および水素結合受容体を含む第二成分を含む。水素結合供与体は、いくつかの場合において、塩でありうる。いくつかの場合において、水素結合供与体は、電気陰性元素(窒素または酸素)が水素原子に結合したもの(例えば、-NH2、-OHなどの基を形成する)を含んでもよく、その場合、水素原子は、適切な水素結合受容体への水素結合に参加することができる。
【0030】
共晶で使用することのできる水素結合供与体の1つの例は、コリンクロライドである。適切な水素結合供与体の別の例としては、限定されないが、カルニチン、アセチルカルニチン、およびグアニジンが挙げられる。水素結合供与体のさらに別の例としては、限定されないが、クエン酸、レブリン酸、乳酸、マレイン酸、ケトロラクなどが挙げられる。ケトロラク、セチリジン、またはグアニジンなどのいくつかの種は、環境に応じて、水素結合受容体または水素結合供与体のいずれかとして作用しうることが理解されるべきである。共晶を形成することができる組み合わせの、具体的な限定されない例としては、カルニチン/アセトアミノフェンまたはアセチルカルニチン/アセトアミノフェンが挙げられる。
【0031】
いくつかの実施態様に従って、水素結合供与体は薬学的に許容可能であってもよく、あるいは、一般に安全と認識されるものであってもよい(例えば、構成成分は米国FDAによって定義されたGRAS成分であってもよい)。いくつかの場合において、薬学的に許容可能な成分は、(例えば、一般に対象に投与されると予想されるものと同等の用量または分量において)一般に安全、非毒性であり、有毒または有害な生物学的効果を生じないものである。これには、ヒトまたは動物への使用に許容される成分が含まれうる。薬学的に許容可能な水素結合供与体の1つの例は、コリンクロライドである。他の限定されない例としては、前記のものが挙げられる。
【0032】
水素結合受容体として作用することができる薬剤の1つの例は、アセトアミノフェンである。水素結合受容体として作用することができる、適切な薬剤または他の有益な物質の他の例としては、限定されないが、カルボキシル基、フェノール基などを含むものが挙げられる。カルボキシル基を有する薬剤の例としては、限定されないが、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、およびケトプロフェンが挙げられる。さらに限定されない他の例としては、カルニチン、アセチルカルニチン、グリシンベタインなどのベタイン、ケトロラク、セチリジン、重酒石酸コリンなどが挙げられる。フェノール基を含む薬剤の例としては、限定されないが、ステロイドが挙げられる。さらなる限定されない例としては、コリンクロライドまたはグアニジン(例えば、グアニジンHCl)が挙げられる。いくつかの場合において、薬剤および有益な物質には明確な区別が存在せず、例えば、薬剤もまた有益な物質、例えば、対象に有益な物質であってもよいことが理解されるべきである。そのため、本明細書の説明において、薬剤についての議論は、単なる例であり、別の実施態様において、別の有益な物質が薬剤の代わりに(またはそれと共に)存在してもよいことが理解されるべきである。
【0033】
いくつかの実施態様において、薬剤または有益な物質は、水素結合供与体または水素結合受容体として作用することができる、1つ以上の基を含んでもよい。いくつかの場合において、薬剤または有益な物質は、比較的小分子量(例えば、1000Da未満、500Da未満、200Da未満、または100Da未満)を有し、水素結合供与体または水素結合受容体を含んでもよい。
【0034】
ある一連の実施態様において、薬剤または有益な物質は、小分子(例えば、約2,000Da未満、約1,500Da未満、または約1,000Da未満の分子量を有する)、ペプチド(例えば、約10未満、約15未満、約20未満、または約25未満のアミノ酸を有する)、タンパク質(一般に、ペプチドより大きい)、ホルモン、ビタミン、核酸などを含んでもよい。
【0035】
上記のように、共晶混合物は、可能な限り低い融点を生じる構成物質の比を有している必要がないことが理解されるべきである。そのため、本発明は、成分の共晶比のみに限定されず、それだけでなく、別の実施態様において、融点の減少を引き起こすことができる他の比も含む。例えば、限定されない概略図として
図1を参照すると、2つの成分(「A」)および(「B」)は、単体においてそれぞれ特定の融点を示しうるが、AおよびBが様々な比率で混合されている場合(左の100%Aから右の100%Bまで)、成分の融点は、例えば、AおよびBの成分の融点(T
m(A)およびT
m(B))よりも低い点(共晶点、E)まで減少しうる。しかしながら、本発明は、可能な限り最も低い融点を生じる、特定のAおよびBの比率のみに限定されず、AおよびBの他の比率も同様に含むことが理解されるべきである。例えば、AおよびBの様々な異なる比率は、AおよびBの他の比率がそれよりもさらに低い融点を生じうる場合であっても、別個にAまたはBのいずれかよりも低い融点を生じうる。例えば、いくつかの標的温度(T
0)未満の融点が必要な場合(例えば、環境温度)、共晶点Eにおける比率だけでなく、xからyの間の任意のAおよびBの比率が適切であるだろう。
図1は理想的な共晶状態図を示し(すなわち、縮尺比ではない)、異なる共晶成分によって、本明細書に示されているよりも複雑な挙動などの、異なる共晶挙動を示しうることもまた理解されるべきである。
【0036】
上記で開示される共晶混合物、および本明細書に記載される他の共晶において、各成分は、例えば、混合物が、当該混合物を形成する成分よりも低い融点を示すような、多種多様な任意の比率において存在しうる。いくつかの場合において、第一成分(例えば、尿素)は5モル%から95モル%の間で存在してもよく、第二成分(例えば、コリンクロライド)は、5モル%から95モル%の間で存在してもよい。第三成分(存在する場合)もまた、5モル%から95モル%の間で存在してもよい。
【0037】
例えば、成分は、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも45モル%、少なくとも50モル%、少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも65モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%など、および/または95モル%未満、90モル%未満、85モル%未満、80モル%未満、75モル%未満、70モル%未満、65モル%未満、60モル%未満、55モル%未満、50モル%未満、45モル%未満、40モル%未満、35モル%未満、30モル%未満、25モル%未満、20モル%未満、15モル%未満、10モル%未満などで共晶中に存在しうる。これらのいずれかの組み合わせもまた可能であり、例えば、第一成分は30モル%から40モル%の間、25モル%から70モル%の間、40モル%から60モル%の間、60モル%から70モル%の間、45モル%から55モル%の間などで存在しうる。他の限定されない例として、例えば、第一成分は、それぞれ25モル%から45モル%の間、35モル%から45モル%の間、30モル%から40モル%の間などで存在してもよく、第二成分はこれらの割合、または異なる割合において存在しうる。
【0038】
しかしながら、共晶混合物において、これらは合計で100モル%であるか、あるいはいくつかの場合、例えば、他の物質(薬剤または有益な物質など)もまた存在している場合において、異なる割合でありうることが理解されるべきである。そのため、例えば、第一、第二、第三成分などのの割合は、存在しうる他の物質に応じて、合計で共晶の少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、または少なくとも99モル%でありうる。例えば、ある一連の実施態様において、共晶形成成分は、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも45モル%、少なくとも50モル%、少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも65モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%など、および/または95モル%未満、90モル%未満、85モル%未満、80モル%未満、75モル%未満、70モル%未満、65モル%未満、60モル%未満、55モル%未満、50モル%未満、45モル%未満、40モル%未満、35モル%未満、30モル%未満、25モル%未満、20モル%未満、15モル%未満、10モル%未満などで存在しうる。これらの任意の組み合わせもまた可能であり、例えば、共晶形成成分は、20モル%から90モル%の間、25モル%から40モル%の間などで存在しうる。
【0039】
いくつかの実施態様によれば、共晶混合物の成分は、薬学的に許容可能であってもよく、あるいは一般に安全であると認識されている(例えば、成分は米国FDAによって定義された、GRAS成分でありうる)。いくつかの場合において、薬学的に許容可能な成分は、(例えば、一般に対象に投与されると予想されるものと同等の用量または分量において)一般に安全で、非毒性であり、有毒または有害な生物学的効果を生じないものである。これは、ヒトまたは動物への使用に許容可能な成分を含んでもよい。薬学的に許容可能な共晶混合物のある例は、尿素/コリンクロライドである。別の限定されない例としては、コリンクロライド/アルギニン/尿素、カンファー/メントール、カンファー/メントール/ラウリルアルコール、ChCl/グリセロール、および上記のいくつかなどの他の物質が挙げられる。
【0040】
そのため、本発明のいくつかの実施態様は一般に、尿素およびコリンクロライドの共晶混合物などの、非毒性成分を含む共晶混合物に関することに注意することが重要である。そのような非毒性の共晶混合物は、例えば、対象の鼻または肺に投与された場合に、対象に実質的に有害な影響を与えないことがあり、そのため、薬剤、または本明細書に記載されるものなどの他の有益な物質の送達に用いることができる。
【0041】
したがって、本発明のいくつかの実施態様は一般に、水に難溶性である薬剤または有益な物質の吸収を促進するためのシステムおよび方法に関する。例えば、薬剤または有益な物質は、本明細書に記載されるように、共晶混合物中に含まれうる。いくつかの場合において、共晶混合物は、必ずしも相当量の水を含んでいなくてもよく、例えば、共晶混合物は、実質的に無水であるか、あるいは本明細書に記載されるような水の割合を有していてもよい。したがって、薬剤または有益な物質の水への溶解度は、共晶混合物中ではさほど問題ではなく、例えば、薬剤または有益な物質は、水への溶解度とは実質的に異なる共晶混合物中の溶解度を有しうる。そのため、いくつかの場合において、そのような共晶混合物は、必ずしもそれらの水溶性に限定されることなく、例えば、吸入、または本明細書に記載されるものなどの他の技術によって、対象に薬剤または有益な物質を送達するために用いられうる。したがって、難溶性の薬剤または有益な物質であっても、効果的に投与することができる。
【0042】
記載されているように、いくつかの場合において、組成物は実質的に無水でありうる。例えば、組成物は5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.003%未満、または0.001%未満の水(モル)を含みうる。いくつかの実施態様において、検出不能な量の水が存在しうる。
【0043】
存在する水の量を決定するために、例えば、FTIR、IR吸収、電気抵抗率測定などの、異なる方法が用いられうる。別の例として、いくつかの実施態様において、組成物を加水分解性薬剤(例えば、アスピリン)に曝露し、特定の期間の後(例えば、1日または1週間)薬剤が組成物内で加水分解されたかどうかを決定することによって、水が検出されうる。
【0044】
さらに、前述のように、他の成分を共晶混合物に加えてもよい。例えば、いくつかの実施態様において、成分は1つ以上の薬剤を含みうる。組成物は、1、2、3、またはそれ以上の薬剤を含みうる。1つの例はフルチカゾンである。別の例としては、ロラタジンまたはセチリジンが挙げられる。別の例はインスリンである。さらに別の例は、スマトリプタンまたは他のトリプタンである。さらに別の例は、抗ヒスタミンである。さらに別の例としては、限定されないが、吸入可能な麻酔剤、例えば、アリフルラン、クロロホルム、シクロプロパン、デスフルラン、ジエチルエーテル、ハロタン、イソフルラン、メトキシフルラン、メトキシプロパン、亜酸化窒素、ロフルラン、セボフルラン、テフルラン、トリクロロエチレン、ビニルエーテル、キセノンなど;気管支拡張剤、例えば、アルフォルモテロール、ビトルテロール、エピネフリン、フェノテロール、フォルモテロール、イプラトロピウム、イソエタリン、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、ピルブテロール、プロカテロール、ラセピネフリン(ラセミ体エピネフリン)、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、チオトロピウムなど;降圧剤、例えば、亜硝酸アミル、イロプロスト(プロスタサイクリン)、一酸化窒素など;抗炎症剤、例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロモリン、デキサメサゾン、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、ネドクロミル、トリアムシノロンなど;抗菌剤、例えば、ペンタミジン、リバビリン、トブラマイシン、ザナミビルなど;肺サーファクタント、例えば、ベラクタント、カルファクタント、コルホスセリル、ボラクタントアルファなど;交感神経刺激アミン、例えば、アンフェタミン、レボメタンフェタミン、プロピルヘキセドリンなど;芳香族アンモニア;ドルナーゼアルファ;グルタチオン;インスリン;メタコリン;ニコチンなどが挙げられる。他の例としては、アスピリン、カフェイン、アセトアミノフェン、ナイアシンアミド、ナプロキセン、シュードエフェドリン、または他のうっ血除去剤、フェネチルアミン、アンフェタミンなどが挙げられる。いくつかの場合において、薬剤は塩として存在しうる。
【0045】
別の例として、成分は有益な物質を含みうる。有益な物質の限定されない例としては、ビタミン、補因子、化粧品、薬草、ビタミン、鉱物、栄養補助食品、ペプチドなどが挙げられる。限定されない例としては、コエンザイムQ10、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、ビタミンA、ビタミンD、ナイアシン、リボフラビン、コラーゲンなどが挙げられる。いくつかの場合において、薬剤および有益な物質の間には明確な区別がない、例えば、薬剤もまた、有益な物質、例えば、対象に有益な物質であってもよいことが理解されるべきである。したがって、本明細書において、薬剤についての議論は、単なる例であり、別の実施態様において、別の有益な物質は薬剤の代わりに(またはそれに加えて)存在しうることが理解されるべきである。
【0046】
記載されるように、薬剤の1つの限定されない例はフルチカゾンである。フルチカゾンは、グルココルチコイドの例である。グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体に結合するステロイドホルモンのクラスである。グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体(GR)に結合することによってその効果を発揮すると考えられている。活性化されたGR複合体は、核内の抗炎症性タンパク質の発現を上方制御し(トランス活性化として知られているプロセス)、および/または核から細胞質ゾルへの他の転写因子の移行を防ぐことによって(転写抑制)、細胞質ゾル中の炎症誘発性タンパク質の発現を抑制する。そのため、一般に、グルココルチコイドは免疫活性または炎症を減少させる免疫系のフィードバックメカニズムの一部であると考えられている。そのため、グルココルチコイドは、例えば、アレルギー、喘息、自己免疫性疾患、炎症性疾患、自己炎症性疾患、敗血症、乾癬、関節炎などの内部過活動性免疫系によって引き起こされる疾患または病状を、治療するために用いることができる。さらに、いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物を使用して、関節、筋肉、または他の標的組織における疾患または病状に関連する炎症によって引き起こされる、疼痛、腫脹、不快感、および/または他の症状を治療することができる。いくつかの場合において、疼痛、腫脹、不快感、および/または他の症状は、局所的または表面的にのみではなく、より深い組織内に位置する場合がある。
【0047】
そのため、いくつかの実施態様において、本発明の様々な局面は、グルココルチコイド (フルチカゾンなど)、またはその塩、プロドラッグ、もしくは誘導体を対象に送達するための組成物に関する。いくつかの実施態様において、組成物は、グルココルチコイド、またはその塩、プロドラッグ、もしくは誘導体を含む。いくつかの実施態様において、組成物はさらに、貯蔵および/または送達の有効性を安定化させる、および/またはそうでなければ促進する、1つ以上の化合物を含む。
【0048】
グルココルチコイドは、天然に存在するか、あるいは人工的に合成されうる。ある一連の実施態様において、グルココルチコイドはハロゲン化グルココルチコイド、フッ素化グルココルチコイド、またはC
17においてチオエステル側鎖を有するグルココルチコイドでありうる。抗炎症剤として使用するのに適切であり得るグルココルチコイドの限定されない例としては、限定されないが、ベクロメタゾン(13-16のpKa)、ブデソニド(13-15のpKa)、フルチカゾン(12-14のpKa)、モメタゾン(12-13のpKa)、およびシクレソニド(14-16のpKa)が挙げられる。これらの化合物の構造を、それぞれ以下に示す:
【化2】
グルココルチコイドのpKaおよび/または組成物のpHに応じて、イオン化形態はアニオン性またはカチオン性(例えば、プロトン化による)でありうることが理解されるべきである。いくつかの場合において、組成物のpHは、約3から約7の間、約3から約6の間、約3から約5の間、約4から8の間、約5から約8の間、約5から8.5の間、約7から約11の間、約8から約11の間、約9から約11の間などでありうる。他のpHは本明細書に記載される。
【0049】
さらに、いくつかの場合において、グルココルチコイドはエステル、例えば、上記化合物の1つのエステルであるか(ここで、ORは1つ以上のOH基で置換される)、あるいは本明細書に記載される他の化合物でありうる。そのような構造の例としては、限定されないが:
【化3】
が挙げられる。
【0050】
上記構造中のRは、任意の適切な基、例えば、置換または非置換、および/または飽和(例えば、アルケニル)または不飽和でありうる、アルキル基でありうることに留意するべきである。限定されない例としては、エステルはプロピオネート(ここで、RはC2H5-CO-である)またはフロエートでありうる。
【0051】
したがって、本発明の様々な実施態様は、例えば、吸入によって対象に送達するための、フルチカゾンなどのグルココルチコイド、またはその塩もしくは誘導体を含む組成物に関する。フルチカゾンを用いた本明細書に記載の任意の実施態様において、これは単なる例であり、本発明の他の実施態様は、フルチカゾンの代わりに、および/またはそれに加えて、他のグルココルチコイド、グルココルチコイドの塩、またはグルココルチコイドの誘導体などに関することが理解されるべきである。グルココルチコイドは、本明細書に記載の任意のグルココルチコイドでありうる。
【0052】
別の一連の実施態様において、薬剤はトリプタンおよび/またはトリプタンの塩である。これらの作用は、脳血管におけるセロトニン5-HT1Bおよび5-HT1D受容体に結合し(その収縮を引き起こす)、その後炎症誘発性神経ペプチド放出を阻害することに起因する。これらの薬剤は、神経終末ならびに血管において、セロトニン受容体上で機能する可能性があり、CGRPおよびP物質などのいくつかのペプチドの放出を減少させうる。トリプタンは一般に、以下の構造:
【化4】
[式中、R
1はスルホンアミド、トリアゾール(例えば、1,2,3-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾール)、または2-オキサゾリドンであってもよく;R
2は窒素-アルキル鎖(例えば、-CH
2CH
2N(CH
3)
2)、ジメチルピロリジン、または1-メチル-ピペリジン環であってもよい。]
を有する。スルホンアミドは一般に、構造R
aSO
2NR
bR
cであり、ここで、R
aは、C
1-C
5アルキル(置換または非置換)などのアルキル、例えば、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-などであってもよく、R
bおよびR
cはそれぞれ独立して、-H、またはC
1-C
5アルキル(置換または非置換)などのアルキル、例えば、-CH
3、-CH
2CH
3など、またはフェニルなどのアリール基(置換または非置換)であってもよい。
【0053】
トリプタンの限定されない例としては、スマトリプタン(6.16、9.63、および17.14のpKa)、リザトリプタン、ナラトリプタン(17.11のpKa)、ゾルミトリプタン(17.15のpKa)、エレトリプタン、アルモトリプタン(8.77のpKa)、フロバトリプタン(17.27のpKa)、およびアビトリプタン(3.6および8.0のpKa)が挙げられる。これらの化合物の構造を、それぞれ以下に示す:
【化5】
【0054】
ある一連の実施態様において、H
1抗ヒスタミンは構造:
【化6】
[式中、XはCH、N、C(CH
3)、またはC(OH)であり;「スペーサー」は通常、2-3炭素の長さであり、直鎖、環、分岐鎖、飽和、または不飽和であってもよく;R
1およびR
2はそれぞれ独立して、-H、または置換もしくは非置換アルキル基、例えば、-CH
3であってもよい。]を有しうる。いくつかの場合において、Xはキラル中心でありうる。いくつかの場合において、2つの芳香環は異なる平面に配向していてもよく;例えば、三環式環系はわずかに歪んでいてもよく、2つの芳香環は異なる幾何学的平面に横たわるように配向されていてもよい。
【0055】
H
1抗ヒスタミンの限定されない例としては、限定されないが、フェキソフェナジン(13.20のpKa)、セチリジン(1.6-2.2、2.9-3.0、8.0-8.3のpKa)(またはレボセチリジン)、クレマスチン、ジフェンヒドラミン(8.2-9.1のpKa)、ドキシラミン(8.7-9.2のpKa)、フェニラミン(4.2、9.3-9.4のpKa)、エバスチン、クロルフェニラミン(9.2-9.4のpKa)、メクリジン、エンブラミン、デクスクロルフェニラミン、およびロラタジン(4.9-5.0のpKa)が挙げられる。これらの化合物の構造を、それぞれ以下に示す:
【化7】
【0056】
いくつかの実施態様において、薬剤または有益な物質は、水に対して感受性でありうる。例えば、薬剤または有益な物質は、水との反応によって分解または加水分解されうる。いかなる理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施態様において、そのような薬剤または有益な物質は、混合物、例えば、水を実質的に含まない混合物中に有利に含有されうることが考えられる。いくつかの場合において、混合物は共晶混合物であってもよく、いくつかの実施態様において、環境温度において液体である共晶混合である。そのため、そのような組成物は、薬剤または有益な物質の水への曝露量を制限されうる。そのため、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物は、実質的に水を含まない。いくつかの場合において、組成物は、1モル%未満、0.01モル%未満、または検出不能な量の水を含みうる。組成物は薬剤または有益な物質、例えば、水と反応することができる物質を含んでもよい。
【0057】
いくつかの場合において、薬剤または有益な物質は、相対的に低い水への溶解度を示しうる。いかなる理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施態様において、そのような薬剤または有益な物質は、本明細書に記載されるものなどの混合物に、さらに可溶性でありうる。例えば、薬剤または有益な物質は、実質的に水を含まない混合物中に含まれうる。いくつかの場合において、混合物は共晶混合物であってもよく、いくつかの実施態様において、環境温度において液体である共晶混合物であってもよい。例として、いくつかの実施態様において、薬剤または有益な物質は、1000mg/l未満、500mg/l未満、300mg/l未満、100mg/l未満、50mg/l未満、30mg/l未満、または10mg/l未満などの水への溶解度を有しうる。
【0058】
したがって、本発明のいくつかの実施態様は、水(すなわち、水溶液)に不溶性または難溶性である、ロラタジンなどのいくつかの薬剤の送達に特に有利でありうる。そのような薬剤は、本明細書に記載されるものなどの共晶混合物中に溶解することができる。例えば、組成物は、薬剤または他の有益な物質を含む、共晶混合物を含みうる。組成物は、例えば、肺または鼻腔などへの送達のために、患者に吸入されうる。例えば、いくつかの場合において、薬剤または他の有益な物質は、共晶混合物中に溶解していてもよく(すなわち、「予め溶解されている」)、そのため、対象への送達のために組成物中に含有されていてもよい。水に対して感受性である薬剤の例としては、限定されないが、ロラタジン、アセトアミノフェン、またはジフェンヒドラミンが挙げられる。
【0059】
ある一連の実施態様において、第一成分と第二成分は、2:1および1:2の間の質量比で存在しうる。例えば、第一成分と第二成分の比は、1.5:1および1:1.5の間、または1.2:1および1:1.2の間でありうる。いくつかの場合において、質量比は、少なくとも1:2、少なくとも1:1.5、少なくとも1:1、少なくとも1.5:1、または少なくとも2:1、および/または2:1未満、1.5:1未満、1:1未満、1:1.5未満、または2:1未満でありうる。もちろん、これらの範囲外の比もまた、いくつかの実施態様において可能であることが理解されるべきである。
【0060】
薬剤または有益な物質は、共晶中に任意の量および濃度で存在しうる。例えば、薬剤または有益な物質は、共晶中に、少なくとも0.01モル%、少なくとも0.02モル%、少なくとも0.03モル%、少なくとも0.05モル%、少なくとも0.1モル%、少なくとも0.2モル%、少なくとも0.3モル%、少なくとも0.5モル%、少なくとも1モル%、少なくとも2モル%、少なくとも3モル%、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも45モル%、または少なくとも50モル%などで存在しうる。さらに、いくつかの実施態様において、薬剤または有益な物質は、組成物中に、75モル%未満、60モル%未満、50モル%未満、45モル%未満、40モル%未満、35モル%未満、30モル%未満、25モル%未満、20モル%未満、15モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、3モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.5モル%未満、0.3モル%未満、0.2モル%未満、0.1モル%未満、0.05モル%未満、0.03モル%未満、0.02モル%未満、0.01モル%未満などで存在しうる。これらの任意の範囲の組み合わせもまた、様々な実施態様において可能であり;例えば、1つ(以上)の薬剤および/または有益な物質は、組成物の40モル%から60モル%の間、35モル%から50モル%の間、1モル%から20モル%の間、5モル%から20モル%の間、5モル%から10モル%の間、10モル%から25モル%の間、0.5モル%から2モル%の間などで存在しうる。限定されない例としては、フルチカゾンは、1モル%から5モル%の間、1モル%から10モル%の間などで存在しうる。
【0061】
いくつかの実施態様において、組成物は、共晶を定義する1つ以上の薬剤および/または有益な物質を含む共晶を含む、またはそれから実質的に成ることがある。水は存在しても、しなくてもよく;水が存在する場合、いくつかの実施態様において、存在する水の量は非常に低い、例えば、2モル%未満または1モル%未満でありうる。そのため、共晶は、いくつかの実施態様において、実質的に無水でありうる。いくつかの実施態様において、共晶成分(薬剤および/または有益な物質など)および水(存在する場合)の割合は、合計で、共晶の少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、または少なくとも99モル%、または100モル%でありうる。しかしながら、全ての場合に低い水含有量が必要であるわけではなく、いくつかの実施態様において、比較的高い水の量が存在しうることが理解されるべきである。
【0062】
限定されない例としては、ある一連の実施態様において、組成物は、共晶成分として尿素およびコリンを含み、薬剤としてフルチカゾン(単体で、または他の薬剤および/または他の有益な物質と共に)を含みうる。例えば、組成物は、5モル%から20モル%の薬剤および/または有益な物質、5モル%から95モル%のコリンクロライド、および5モル%から95モル%の尿素を含みうる。水が存在してもよく、あるいは組成物は実質的に無水であってもよい。いくつかの場合において、水は1モル%未満で存在する。いくつかの場合において、薬剤、コリンクロライド、尿素、および水の割合は、合計で組成物の少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、または少なくとも100モル%である。
【0063】
そのような組成物は、任意の適切な技術によって合成されうる。例えば、いくつかの実施態様において、共晶は、共晶の2つ以上の成分を一緒に(例えば、固体混合物として)組み合わせて、熱を供給することによって、合成されうる。成分を混合して共晶を生成することは、いくつかの実施態様において、吸熱性であってもよく、その結果、混合および共晶の形成を促進するために、ある程度の熱が必要でありうる。例えば、混合物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃などに加熱されうる。いくつかの場合において、環境温度は共晶の形成を引き起こすのに十分でありうる。いくつかの実施態様において、共晶の形成には、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間などがかかりうる。
【0064】
上記の共晶は、任意の適切な量で組成物中に存在しうる。例えば、上記の1つ以上の共晶は、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%などで存在しうる。いくつかの場合において、共晶は約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、または約0.1%未満で存在しうる。これらの割合のいずれの組み合わせもまた可能である。特定の応用への実際の濃度は、通常の実験のみを用いて、例えば、死体皮膚、または適当な動物モデル、皮膚移植片、合成膜モデル、ヒトモデルなどにわたるインビトロ濃度の関数として、化合物の輸送量を測定することによって、当業者によって決定することができる。
【0065】
さらに記載されるように、共晶は、いくつかの実施態様において、水を実質的に含まない場合がある。そのような共晶は、例えば、液体、パッチ、クリーム、ローション、ゲルなどの組成物中で用いることができる。いくつかの場合において、共晶は、1モル%未満、0.01モル%未満、または検出不可能な量の水を含みうる。共晶は、薬剤または他の有益な物質、例えば、水と反応することができる物質を含みうる。いくつかの場合において、1つより多い薬学的に許容可能な物質が、共晶中に存在しうる。
【0066】
例えば、本発明のいくつかの実施態様は、一般に、水に難溶性である薬剤または有益な物質の吸収を促進するシステムおよび方法に関する。例えば、薬剤または有益な物質は、本明細書に記載される共晶混合物の一部でありうる。いくつかの場合において、共晶は必ずしも有意な量の水を含んでいなくてもよく、例えば、共晶は実質的に無水であってもよく、あるいは本明細書に記載されるような水の割合を有してもよい。したがって、薬剤または有益な物質の水への溶解度は、共晶ではそれほど問題ではない。そのため、いくつかの場合において、そのような共晶混合物は、それらの水溶性に限定される必要性がなく、例えば、経口投与、皮膚を介して、または本明細書に記載される他の技術を用いて、薬剤または有益な物質を対象に送達するために用いられうる。したがって、難溶性の薬剤または有益な物質であっても、有効に投与することができる。
【0067】
ある一連の実施態様において、薬剤または有益な物質は、水に対して感受性でありうる。例えば、薬剤または有益な物質は、水との反応によって分解または加水分解されうる。いかなる理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施態様において、そのような薬剤または有益な物質は、共晶中、例えば、水を実質的に含まない共晶中に有利に含まれうることが考えられる。いくつかの場合において、共晶は環境温度において液体でありうる。そのような共晶は、そのため、薬剤または有益な物質の水への曝露量を制限されうる。
【0068】
別の一連の実施態様において、薬剤または有益な物質は、比較的低い水への溶解度を示しうる。いかなる理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施態様において、そのような薬剤または有益な物質は、本明細書に記載されるものなどの共晶混合物中に、より可溶性でありうる。例えば、薬剤または有益な物質は、実質的に水を含まない共晶中に含有されうる。例えば、いくつかの実施態様において、薬剤または有益な物質は、1000mg/l未満、500mg/l未満、300mg/l未満、100mg/l未満、50mg/l未満、30mg/l未満、または10mg/l未満などの水への溶解度を有しうる。
【0069】
そのため、いくつかの場合において、共晶は実質的に無水でありうる。例えば、共晶は、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.003%未満、または0.001%未満の水(モル%)を含みうる。いくつかの場合において、検出不能な量の水が存在しうる。
【0070】
異なる方法、例えば、FTIR、IR吸収、電気抵抗率測定などを用いて、水の存在量が決定されうる。別の例として、いくつかの実施態様において、共晶を加水分解性薬剤(例えば、アスピリン)に曝露し、特定の期間の後(例えば、1日または1週間)薬剤が組成物内で加水分解されたかどうかを決定することによって、水が検出されうる。
【0071】
本発明のいくつかの実施態様は、本明細書に記載されるものなどの共晶を用いて、アセトアミノフェンなどのいくつかの薬剤の送達に特に有利でありうる。例えば、パッチ、クリーム、ローション、ゲルなどの組成物は、薬剤または他の有益な物質、例えば、本明細書に記載されるものなどの共晶を含みうる。組成物は、例えば、対象の皮膚に適用されてもよく、対象の皮膚に薬剤(または他の有益な物質)を送達するために使用されうる。例えば、いくつかの場合において、薬剤または他の有益な物質は、共晶混合物中に溶解されていてもよく(すなわち、「予め溶解されている」)、およびそのため、対象の皮膚への送達のために組成物中に含有されていてもよい。
【0072】
いくつかの局面において、上記のものなどの共晶組成物は、液体、パッチ、クリーム、ローション、ゲルなどの適切な組成物中に用いられうる。例えば、本明細書で記載されるように、水に対して感受性である、および/または水に容易に溶解しない成分が、そのような組成物中に存在しうる。
【0073】
例えば、ある実施態様において、共晶混合物を適切な接着性化合物と混合してもよく、パッチ、またはバンデージを製造するために用いられてもよい。さらなる例として、本明細書に記載されるような共晶は、クリーム、ローション、ゲル、または他の組成物中に形成されうる。いくつかの場合において、本明細書に記載されるように、そのような組成物は実質的に無水でありうる。例えば、そのような組成物は、5重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満の水含有量、または本明細書に記載されるものなどの他の水濃度を有していてもよい。いくつかの場合において、経皮パッチまたはバンデージは、裏打ち層および粘着剤を含みうる。粘着剤は、いくつかの場合において、薬剤(または他の有益な物質)を含んでもよく、あるいは薬剤または他の薬剤を含むパッチまたはバンデージの別の層または部分が存在しうる。当業者は、経皮パッチ、バンデージなどに精通しているであろう。
【0074】
例えば、粘着剤の限定されない例としては、限定されないが、ポリアクリレートポリマー、ゴム系接着剤およびポリシロキサン粘着剤、天然または合成ポリイソプレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、スチレン-ブタジエンポリマー、スチレン系ポリマー、スチレンブロック共重合体、ブタジエン系ポリマー、スチレン/ブタジエンポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、ブチルゴムなどの炭化水素ポリマー、例えばポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、およびポリクロロジエン(polychlorodieneas)などの、ハロゲン含有ポリマー、ポリイソブチレン、ポリブチレン、エチレン/ビニルアセテート、およびビニルアセテート系粘着剤、スチレン/ブタジエン粘着剤などが挙げられる。
【0075】
ある一連の実施態様において、共晶混合物は、例えば、クリーム、ローション、または他の適切な組成物を形成するように、エマルジョン中で用いられる。当業者に知られているように、エマルジョンは一般に、第2の流体相(例えば、連続相)に含まれる、第1相(例えば、不連続相)を含む。共晶は、いずれかまたは両方の相に存在しうる。さらに、本明細書に記載されている他の物質は、共晶として同じ相に存在しうる。いくつかの実施態様において、エマルジョンはクリームまたはローションの形態でありうる。例えば、共晶は、水をほとんど含まない、または全く含まない、油性クリームまたはローションなどの疎水性、油性環境中に含まれうる。
【0076】
例えば、クリームは、油、トリグリセリド、ステアリン酸、脂肪酸、脂肪アルコール、スクアレン、ポリソルベートなどの物質を含みうる。いくつかの場合において、そのような物質は疎水性であり、水または他の水層によって乳化して、例えば、エマルジョンを生成することができる。ある実施態様において、例えば、クリームは飽和スクアランを含みうる。ステアリン酸の例としては、限定されないが、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸グリコールなどが挙げられる。油の限定されない例としては、鉱油、小麦胚芽油、パーム油、ナッツ油、アマニ油などが挙げられる。他の物質、例えば、緩衝液、防腐剤、界面活性剤などもまた、組成物中に存在しうる。
【0077】
ある一連の実施態様において、限定されない例として、クリームは1つ以上の水、鉱油、ステアリン酸グリセリル、スクアレン、ステアリン酸プロピレングリコール、小麦胚芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、トコフェロール アセテート、コラーゲン、ステアリン酸ソルビタン、ビタミンAおよびD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PND、および/またはBHAを含みうる。別の例として、クリームは、1つ以上の水、塩化ナトリウム、塩化カリウム、L-アルギニンHCl、鉱油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、フェノキシエタノール、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸PEG75、セチルアルコール、メチルパラベン、およびプロピルパラベンを含みうる。
【0078】
さらに、いくつかの局面において、本発明は一般に、吸入可能な組成物を対象に投与するため、例えば、対象の鼻または肺に送達するためのシステムおよび方法に関する。そのような組成物は、いくつかの実施態様において、深共晶溶媒などの共晶溶媒を含みうる。これらは、例えば、環境温度で液体であるような、驚くほど低い融点を有していてもよく、そのため、吸入のためにエアロゾル化されるか、あるいは液滴に形成されることができる。共晶は液体であるが、必ずしも水性であるとは限らないので、組成物はまた、水に難溶性であるか、あるいは水に対して感受性である薬剤または有益な物質を含んでもよい。薬剤または有益な物質は、共晶溶媒中に溶解することができ、そのため吸入可能な組成物として送達される。対照的に、多くの従来技術の吸入可能な組成物は、水に基づくものであり、その中に薬剤または有益な物質は低い濃度で存在するか、あるいは固体形態で沈殿し、対象への不十分な吸入送達を生じうる。
【0079】
そのような吸入可能な組成物は、ある局面によれば、対象の肺への組成物の送達を生じることができる吸入器または他の装置を用いて、対象に送達されうる。フルチカゾンおよび以下で記載される他の薬剤などの、様々な薬剤を送達することができる。吸入による投与のために、組成物は、例えば、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適当なガスを用いて、便利に送達されうる。加圧エアロゾルの場合、単位用量は、計算された量を送達するためのバルブを提供することによって決定されうる。吸入器で使用するためのカプセルおよびカートリッジを、いくつかの場合において、用いてもよく、本明細書に記載されるような組成物を含んでもよい。
【0080】
本明細書に記載されるいくつかの組成物の肺送達もまた、本明細書において考慮される。組成物は、吸入されて哺乳動物の肺に送達され、例えば、血流にアクセスするために、肺上皮内層に送達されうる。さらに、本発明のいくつかの実施態様において使用が考慮されているものは、限定されないが、ネブライザー、定量噴霧式吸入器、および当業者に既知の全ての吸入器などの、治療生成物の肺送達のために設計された、様々な機械的装置である。市販の装置のいくつかの限定されない具体的な例は、Ultravent ネブライザー(Mallinckrodt, Inc., St. Louis, Missouriによって製造);Acorn II ネブライザー(Marquest Medical Products, Englewood, Coloradoによって製造);Ventolin 定量噴霧式吸入器(Glaxo Inc., Research Triangle Park, North Carolinaによって製造);およびSpinhaler 吸入器(Fisons Corp., Bedford, Massachusettsによって製造)である。
【0081】
いくつかの場合において、組成物は使用される装置の種類に固有であってもよく、本明細書に記載されるものなどの治療に有用な希釈剤、アジュバント、担体などの物質に加えて、適切な噴射剤物質の使用を含んでもよい。また、リポソーム、マイクロカプセルまたはマイクロスフェア、包接体、または他の種類の担体の使用が、本発明のいくつかの実施態様において考慮される。化学修飾系はまた、本発明のいくつかの実施態様において、化学修飾の種類または用いられる装置の種類に応じて、異なる組成物において使用するために合成されうる。
【0082】
ネブライザー、例えば、噴射または超音波を用いた使用に適切な組成物は、(例えば、組成物の安定化、および浸透圧調製のために)緩衝液および単糖を含みうる。ネブライザー組成物はまた、いくつかの場合、エアロゾルを形成する溶液の微粒化によって引き起こされる表面誘導凝集を低減または防止するための、界面活性剤を含みうる。
【0083】
定量噴霧式吸入器装置を用いた使用のための組成物は、一般に、本明細書に記載される組成物を含みうる。いくつかの場合において、これらは、適宜、界面活性剤の補助によって、噴射剤を用いて噴射されうる。噴射剤は、クロロフッ化炭素、ヒドロクロロフッ化炭素、ヒドロフッ化炭素、またはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどの炭化水素、またはそれらの組み合わせなどの、この目的のために用いられる任意の従来の物質でありうる。適切な界面活性剤としては、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンが挙げられる。オレイン酸はまた、界面活性剤として有用でありうる。
【0084】
本明細書で論じられるような組成物の経鼻送達もまた考慮される。経鼻送達は、治療生成物を鼻に投与した直後に、肺に沈着する必要なしに、組成物を血流に通過させることを可能にする。経鼻送達のための組成物は、デキストランまたはシクロデキストランを含むものを含みうる。
【0085】
経鼻投与の場合、有用な装置は定量噴霧器が取り付けられた、小型の硬いボトルである。ある実施態様において、定量噴霧量は、規定の体積のチャンバーに組成物を引き込むことによって行われ、このチャンバーは、エアロゾル化するように寸法設計された開口部と、チャンバー内の液体が圧縮された時にスプレーを形成することによる、エアロゾル組成物を有する。チャンバーは、組成物を投与するために圧縮されうる。具体的な限定されない実施態様において、チャンバーはピストン配列である。そのような装置は、市販で入手可能である。
【0086】
別の実施態様において、開口部、または絞り出した場合にスプレーが形成されることによってエアロゾル組成物をエアロゾル化するような寸法の開口部を有する、可塑性絞り出しボトルを用いる。開口部は通常ボトルの上部にあり、エアロゾル組成物を効率的に投与するために、鼻腔内に部分的に適合するように、上部は一般に先が細くなっている。いくつかの場合において、一定用量の薬物の投与のために、経鼻吸入器は一定量のエアロゾル組成物を提供するであろう。
【0087】
さらに、本発明のいくつかの局面は一般に、例えば、共晶混合物を含む吸入可能な組成物に関する。共晶混合物はまた、薬剤または他の有益な物質を含みうる。いくつかの実施態様において、それぞれが融点を有するが、混合された場合、得られた混合物がその成分物質のそれぞれよりも低い融点を有しうる、2つ以上の物質が、組成物中に存在しうる。そのような現象は一般に、共晶混合物、共晶溶媒、または単に共晶と呼ばれる。いくつかの場合において、混合物の融点は、成分物質の融点よりも低くてもよい。例えば、融点は、成分の最も低い融点から、少なくとも10℃、少なくとも25℃、または少なくとも50℃減少しうる。いくつかの場合において、物質およびそれらの比は、混合物が室温で液体である、例えば、環境温度において、混合物が融点以上の温度である、すなわち、液体であるように、混合物が25℃未満の融点を有しうるように選択される。さらに、いくつかの場合において、混合物は、様々な温度、例えば、20℃未満、10℃未満などにおいて液体であるように、選択されうる。しかしながら、混合物は室温において必ずしも液体でなくてもよいことが理解されるべきである。例えば、いくつかの場合において、混合物は、60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、35℃未満、30℃未満であるが、室温(約25℃)よりも高い融点を有しうる。
【0088】
図1に示されるように、そのような2つ以上の物質の混合物は、物質の特定の比率(一般に、共焦点または共晶比と呼ばれる)において、可能な限り最も低い融点を示しうるが、本発明はこれらの共焦点または比のみに限定されるものではなく、むしろ、混合物の融点がそのそれぞれの成分物質よりも低く、一般に混合物が環境温度において液体である、任意の混合物を包含することが理解されるべきである。
【0089】
いくつかの場合において、共晶混合物は深共晶混合物であり、これはルイス酸またはブレンステッド酸および塩基の混合物から生成することができる。1つの例は、コリンクロライドおよび尿素である。これらを1:2のモル比で混合して、融点が12℃の共晶混合物を生成することができる。しかしながら、上記の通り、別の実施態様において、他のモル比を用いて、低い融点、例えば、環境温度未満である融点を有する混合物もまた製造されうる。さらに、共晶混合物の別の例は、本明細書でさらに詳細に記載される。
【0090】
したがって、ある局面において、本発明は一般に、例えば、経鼻送達、肺送達、粘膜送達などのための、吸入によって対象に送達されうる組成物に関する。いくつかの場合において、組成物は、例えば、共晶を形成する成分より低い融点を示す共晶を含む、またはそれから実質的に成る。2、3、4個以上の物質が存在していてもよく、それらが共に混合して、共晶を形成しうる。いくつかの場合において、物質(別個の場合)は一般に、環境温度において固体であるが、共に混合して共晶を形成した場合、液体を形成する。
【0091】
別の局面において、本明細書に記載される組成物は、それ自体で、および/または補因子、他の治療剤などとの組み合わせのいずれかによって、対象に投与されうる。いくつかの場合において、組成物は、薬学的に許容可能な共晶混合物、例えば、本明細書に記載されるものを含む。いくつかの実施態様において、組成物は吸入器を用いて適用されうる。いくつかの実施態様において、組成物は、本明細書に記載されるような、パッチ、クリーム、ローション、またはゲルなどの形態において適用されうる。例えば、組成物は単体で、または他の組成物と組み合わせて投与されうる。投与される場合、組成物は治療上有効な、薬学的に許容可能な分量で、薬学的に許容可能な製剤、例えば、以下に記載されるものなどの、薬学的に許容可能な担体として適用することができる。本明細書で記載されるものなどの、組成物の「有効量」という用語は、目的の生物学的効果を実現するために必要である、または十分な量をいう。例として、疼痛の治療のための有効量のアセトアミノフェンは、痛みの感覚を軽減または低減するのに十分な分量であってもよく、あるいは、有効量のフルチカゾンは、喘息の症状を軽減または低減するのに十分な分量であってもよい。いくつかの場合において、疼痛の少なくともいくつかは、主観的でありうる。本明細書で提供される教示と組み合わせて、様々な活性組成物の中から選択し、効力、相対的バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害な副作用の重症度、および投与形態などの因子を比較することによって、実質的な毒性を引き起こさず、特定の対象の治療に完全に有効な、有効な予防または治療上の治療レジメンを計画することができる。任意の特定の用途のための有効量は、治療される疾患または病状、投与される特定の組成物、対象の大きさ、または疾患もしくは病状の重症度などの因子に応じて変化しうる。当業者は、過度な実験を必要とせずに、有効量の組成物を経験的に決定することができる。
【0092】
用語「治療する」、「治療される」、「治療」などは、本明細書で用いられる場合、疾患または病状の発症またはさらなる発症に対する対象の抵抗性を高めうる、組成物を対象に投与すること、対象が疾患または病状を発症した後に、疾患または病状の進行を除去、または少なくとも制御するため、および/または疾患もしくは病状によって引き起こされる症状の進行を遅延させる、または症状の重症度を軽減するために、組成物を投与することをいう。対象に投与される場合、有効量は治療される特定の疾患または病状、および目的の結果によって変化しうる。治療上の有効な用量は、例えば、以下にさらに記載されるような因子を用いて、および日常的な実験のみを用いて、当業者によって決定されうる。
【0093】
治療に使用するために、有効量の組成物は、対象に組成物を送達する任意の様式、例えば、経口、肺、局所、経皮などによって対象に投与することができる。例えば、深共晶混合物などの共晶混合物は、対象に投与することができる吸入器に含まれうる。
【0094】
いくつかの場合において、本明細書に記載されるような、液体、ゲルなどは、対象に経口投与することができるカプセル中に含まれうる。例えば、ある一連の実施態様において、共晶混合物は、硬カプセルまたは軟カプセルなどの、カプセル中に含まれうる。カプセルは、例えば、ゼラチン、ヒプロメロース、プルラン、カラギーナン、デンプン、セルロース、または当業者に既知の他の物質を含みうる。
【0095】
したがって、いくつかの実施態様は一般に、本明細書に記載されるような共晶を含む、カプセルまたは他の媒体に関しうる。媒体の例としては、限定されないが、カプセル、錠剤、丸剤などが挙げられる。例えば、共晶は、APAPまたはアセトアミノフェンを含む共晶でありうる。そのような共晶の限定されない例としては、コリンクロライド/アセトアミノフェン、カルニチン/アセトアミノフェン、アセチルカルニチン/アセトアミノフェン、または本明細書で記載されるものなどの他の共晶が挙げられる。いくつかの場合において、驚くべきことに、そのような媒体は、アセトアミノフェンを、例えば対象に経口投与するために用いられる市販の媒体よりも小さい場合がある。
【0096】
例えば、カプセルまたは本明細書で記載されるものなどの他の媒体は、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1000mgなどの、アセトアミノフェン、または本明細書に記載のもなどの薬物を含みうる。いくつかの場合において、カプセルまたは他の媒体は、1000mg未満、900mg未満、800mg未満、750mg未満、700mg未満、650mg未満、600mg未満、550mg未満、500mg未満、400mg未満、300mg未満、200mg未満、または100mg未満の薬物を含みうる。限定されない例として、カプセルまたは他の媒体は、約500mg、例えば400mgから600mgの間のアセトアミノフェンを含みうる。
【0097】
いくつかの場合において、カプセルまたは他の媒体は、飲み込むのが比較的容易な大きさおよび/または体積を有しうる。例えば、カプセルまたは他の媒体は、20mm未満、19mm未満、18mm未満、17mm未満、16mm未満、15mm未満、14mm未満、13mm未満、12mm未満、11mm未満、10mm未満、9mm未満、8mm未満、7mm未満、6mm未満、5mm未満などの最大寸法を有しうる。カプセルは、例えば、1.5ml未満、1.3ml未満、1.2ml未満、1.1ml未満、1.0ml未満、0.9ml未満、0.8ml未満、0.7ml未満、0.6ml未満、0.5ml未満、0.4ml未満、0.3ml未満などの体積を有しうる。カプセルまたは他の媒体は、円形または楕円形、または場合によって他の形でありうる。いくつかの場合において、カプセルなどの媒体は、硬殻または軟殻を有していてもよく、および/またはコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0098】
いくつかの場合において、例えば、市販されているものよりも、アセトアミノフェンなどの薬物を高濃度で有する媒体が利用可能でありうる。いかなる理論に拘束されることを望まないが、例えば、本明細書に記載されるように、薬物は共晶混合物の一部を形成していてもよいため、さらなる溶媒を必要としないので、そのような高濃度が達成されうると考えられる。そのため、例えば、カプセル(または他の媒体)中の薬物の濃度は、例えば、市販で入手可能なものなどのように、溶媒を含む同様のカプセルよりも、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%高くてもよい。いくつかの場合において、カプセルは、溶媒を含む同様のカプセルよりも、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%小さい体積を有してもよく、例えば、カプセルの体積は、溶媒を含む同様のカプセルの、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、または60%未満でありうる。
【0099】
したがって、本発明のいくつかの実施態様は一般に、予想外に高濃度な、アセトアミノフェンなどのいくつかの薬物に関する。そのような濃度は、本明細書に記載されるものなどの深共晶溶媒などの、共晶溶媒を用いて達成することができる。例えば、上記のように、アセトアミノフェンなどの薬物は共晶の成分として作用し、それによってさらなる成分(溶媒など)の必要性を低減または排除し、その結果、薬物の濃度がさらに低くなりうる。
【0100】
例えば、ある一連の実施態様において、共晶(例えば、アセトアミノフェンなどの薬物、およびコリンクロライドなどの他の成分)の濃度(または密度)は、共晶組成物中、および/またはカプセルもしくは本明細書に記載されるものなどの他の媒体中に、少なくとも1.2g/ml、少なくとも1.25g/ml、少なくとも1.3g/ml、少なくとも1.35g/ml、少なくとも1.4g/ml、少なくとも1.45g/ml、少なくとも1.5g/ml、少なくとも1.6g/ml、少なくとも1.7g/ml、少なくとも1.8g/ml、少なくとも1.9g/ml、または少なくとも2g/mlの薬物でありうる。いくつかの場合において、濃度は、2g/ml未満、1.9g/ml未満、1.8g/ml未満、1.7g/ml未満、1.6g/ml未満、1.5g/ml未満、1.48g/ml未満、1.45g/ml未満、1.4g/ml未満、1.35g/ml未満、または1.3g/ml未満でありうる。これらの任意の組み合わせが利用可能である。例えば、ある実施態様によれば、濃度は1.25および1.48g/mlの間でありうる。そのような高濃度は、例えば上記のように、はるかに小さい体積を生じうる。限定されない例として、1.48g/mlの濃度の500mgのアセトアミノフェンは、0.34mlの体積において達成することができた。
【0101】
医薬組成物の投与は、任意の方法において達成されうる。対象への組成物の投与において、これらの組成物の既知の活性に影響を与えるように、投与量、投与スケジュール、投与経路などが選択されうる。投与量は、実験モデルの結果に基づいて、本明細書に記載の組成物のアッセイの結果と適宜組み合わせて、推定されうる。投与量は、投与様式に応じて、局所または全身の目的の薬物量を達成するように、適切に調整されうる。用量は、1日あたり1回または数回の投与で与えられうる。対象内の組成物の適切な全身量を達成するために、いくつかの場合において、1日あたりの複数用量もまた考慮される。
【0102】
対象への組成物の用量は、治療上の有効量の組成物が対象に到達するような量でありうる。投与量は、いくつかの場合において、対象における任意の潜在的な有害な副作用を回避する、または最小化しながら、最大用量で与えられうる。実際に投与される組成物の投与量は、最終的な目的の濃度、対象への投与方法、組成物の効力、対象内での組成物の寿命、投与時機、同時治療の影響などの因子に依存しうる。送達される用量はまた、対象に関連する病状に依存する場合があり、いくつかの場合において、対象によって変化しうる。例えば、対象の年齢、性別、体重、大きさ、環境、体調、または現在の健康状態もまた、必要な用量および/または組成物の濃度に影響しうる。投与量の変動は、異なる固体間で、または同じ固体であっても異なる日によって変化しうる。いくつかの場合において、最大用量、すなわち、健全な医学的判断に応じた最も高い安全な用量が用いられる。いくつかの場合において、剤形は、対象に実質的に有害な影響を及ぼさないようなものである。
【0103】
送達のための本明細書に記載の組成物の対象用量は、投与あたり約0.1マイクログラムから10mgの範囲であってもよく、これは、用途に応じて、毎日、毎週、または毎月、およびそれらの間に任意の他の時間で与えられうる。いくつかの場合において、用量は、投与あたり約10マイクログラムから5mgの範囲、例えば、数日または数週間の間隔で、2から4回の投与による、約100マイクログラムから1mgの範囲である。いくつかの実施態様において、用量は、毎日または毎週の投与によって、投与あたり1マイクログラムから10mg、および最も一般的には10マイクログラムから1mgの範囲である。他の適切な投薬は、本明細書に詳細に記載されている。
【0104】
組成物は、長期間にわたって複数回投与されうる。本明細書に記載の任意の組成物について、治療上の有効量は動物モデルから最初に決定することができる。適用される用量は、投与される薬剤または他の有益な物質の相対的なバイオアベイラビリティおよび効力に基づいて調整することができる。上記の方法および当技術分野において周知の他の方法に基づいて、最大の効力を達成するように用量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0105】
本明細書に開示される治療は、任意の対象、例えば、ヒト、または非ヒト動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット(例えば、ドブネズミ)、マウス(例えば、ハツカネズミ)、モルモット、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ヒヒ、類人猿、ゴリラなど)などに投与されうる。
【0106】
本発明の組成物の投与は、医学的に許容可能な任意の方法によって達成されうる。選択される特定の様式は、当然ながら、前記のものなどの因子、例えば、特定の組成物、治療される対象の状態の重症度、治療効果に必要な用量などに依存しうる。本明細書で用いられる場合、「医学的に許容される」治療様式は、臨床的に許容されない副作用を引き起こすことなく、対象内で組成物の有効量を生成することができる様式である。
【0107】
いくつかの局面において、本明細書で記載される組成物は、対象に投与される。そのような投与は、全身または局所的であってもよく、例えば、対象の体の特定の位置を対象とする。本明細書で記載される組成物は、いくつかの実施態様において、ヒト対象などの対象に適用されうる。組成物は、例えば、本明細書に記載されるものなどの、任意の適切な形態において適用されうる。例えば、組成物は、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチなどの、送達媒体を用いて適用されうる。ある一連の実施態様において、組成物は、対象の皮膚に適用されるバンデージまたはパッチに適用または含浸されうる。いくつかの実施態様において、パッチは、本明細書に記載のクリームまたはエマルジョンによって覆われるか、または含浸される、任意の適切な物質で作られた皮膚接触部位を有し、ここで、皮膚接触部分は裏打ちによって支持されていてもよく、これらの1つまたは両方は、対象の皮膚表面に取り付けるための接着セグメントまたは他の構造を有しうる。
【0108】
そのような組成物は、ヒト対象などの対象の皮膚に適用されうる。組成物の例は、本明細書に記載される。組成物は、直接的または間接的に、有効濃度の薬剤または有益な物質を皮膚に輸送するのを促進しうる。例えば、組成物は、本明細書にさらに記載される、1つ以上の浸透剤を含みうる。当業者は、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチなどの送達媒体内に、一酸化窒素供与体および/または薬剤を組み込むためのシステムおよび技術を知っているであろう。
【0109】
そのため、別の例として、組成物は、有効濃度の薬剤または有益な物質を、肺、鼻などに直接的または間接的に送達しうる。当業者は、薬剤または有益な物質を、例えば、液体またはエアロゾルなどの送達媒体内に組み込むためのシステムおよび技術について知っているであろう。
【0110】
本発明のいくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物の投与は、特定の期間、例えば、数時間、数日、数週間、数ヶ月、または数年にわたって組成物に対して連続的な曝露をもたらすように設計されうる。これは、例えば、本明細書に記載される方法の1つによる組成物の反復投与によって、または組成物が反復投与なしで長期間にわたって送達される持続放出または制御放出送達システムによって達成されうる。そのような送達システムを用いる組成物の投与は、例えば、本明細書に記載されるような方法によるものでありうる。いくつかの場合において、組成物の実質的に一定の濃度を維持することが望ましくありうる。
【0111】
本発明のいくつかの実施態様において、組成物は、例えば、本明細書に記載されるものなどの、適切な薬学的に許容可能な担体と組み合わせることができる。一般に、使用に適切な薬学的に許容可能な担体は、当業者に周知である。本明細書で用いられる「薬学的に許容可能な担体」は、投与される活性化合物の生物学的活性の有効性を著しく妨害しないが、例えば、使用前に組成物中の活性化合物を安定化または保護するために、組成物成分として用いられる、非毒性の物質をいう。担体としては、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に適切な、1つ以上の適合性のある固体または液体の充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質が挙げられうる。用語「担体」は、天然または合成であってもよく、1つ以上の本発明の活性化合物を組み合わせて、適用を容易にする、有機または無機成分を意味する。担体は、目的の薬学的効果を実質的に阻害するような相互作用がないような方法で、本明細書に記載される1つ以上の組成物と、および/または相互に混合して、あるいは合わせてもよい。
【0112】
本明細書に記載される組成物は、いくつかの実施態様において、薬学的に許容可能な濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合可能な担体、アジュバント、乳化剤、希釈剤、賦形剤、キレート剤、充填剤、乾燥剤、抗酸化剤、抗菌剤、防腐剤、結合剤、増量剤、シリカ、可溶化剤、安定化剤、および適宜、活性化合物と共に用いられうる他の治療成分を通常含みうる、薬学的に許容可能な組成物において投与されうる。例えば、組成物が液体である場合、担体は溶媒、部分溶媒、または非溶媒であってもよく、水性、または有機性に基づくものでありうる。適切な組成物成分の限定されない例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、カオリン、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムなどの希釈剤;コーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの滑沢剤;モノステアリン酸グリセロールまたはジステアリン酸グリセロールなどの遅延物質;カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどの懸濁化剤;レシチンまたは他の天然に存在するフォスファチドなどの分散剤または湿潤剤;セチルアルコールまたは蜜蝋などの濃化剤;酢酸およびその塩、クエン酸およびその塩、ホウ酸およびその塩、またはリン酸およびその塩などの緩衝剤;または塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン、またはチメロサールなどの防腐剤が挙げられる。
【0113】
調製物としては、クリーム、ゲル、ローションなどの、無菌水性または非水性組成物、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。非水性溶媒の限定されない例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油、ゴマ油、ココナッツ油、落花生油、ピーナツ油などの植物油、鉱油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル、または合成モノまたはジグリセリドなどの不揮発性油である。水性担体としては、限定されないが、アルコール性組成物、エマルジョン、または懸濁液が挙げられる。いくつかの実施態様において、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの、防腐剤および他の添加剤もまた存在しうる。
【0114】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物は、1つ以上の付属成分を構成しうる、適切な担体との会合または接触がもたらされうる。最終組成物は、任意の適切な技術によって、例えば、液体担体、微細に分割した固体担体などと、適宜、前記の1つ以上の成分とを、組成物と均一および密接に会合させることによって、製造されうる。
【0115】
いくつかの実施態様において、組成物はホットメルトエクストルージョンなどの方法を用いて製造されてもよく、このとき、熱および圧力が物質(例えば、薬剤、深共晶溶媒などの共晶溶媒、ポリマー、賦形剤、および本明細書に記載ものなどの他の成分)に加えられて、それらが一緒に融解および/または混合される。次いで、それらが(例えば、開口部を介して)押し出されて、凝固する。これは、いくつかの実施態様において、継続的に行われうる。そのような工程の1つの例は、CatalentによるOptiMelt(登録商標)である。
【0116】
本明細書で記載される組成物、および任意の他の治療剤は、それ自体で(そのまま)、または薬学的に許容可能な塩の形態で、投与されうる。医学において使用される場合、塩は薬学的に許容可能であるべきであるが、非薬学的に許容可能な塩を都合よく用いて、その薬学的に許容可能な塩が調整されうる。用語「薬学的に許容可能な塩」は、例えば、酸または塩基と組み合わせて調製される、本明細書に記載される組成物の塩を含む。薬学的に許容可能な塩は、リチウム、ナトリウム、またはカリウム塩などのアルカリ金属塩;またはベリリウム、マグネシウム、またはカルシウム塩などのアルカリ土類塩として調製することができる。塩を形成するために用いられうる適切な塩基の例としては、アンモニウム、または水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基が挙げられる。塩を形成するために用いられうる適切な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、リン酸などの無機酸または鉱物性酸が挙げられる。他の適切な酸としては、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、サリチル酸、ギ酸、ナフタレン-2-スルホン酸などが挙げられる。さらに別の適切な酸としては、アルギニン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸が挙げられる。また、そのような塩は、カルボン酸基のナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩などの、アルカリ金属またはアルカリ土類塩として調製することができる。
【0117】
別の局面において、本発明はまた、適宜組成物の使用説明書を含む、キットにおける上記の任意の組成物を提供する。いくつかの場合において、キットは、本明細書に記載の組成物の使用説明書を含めることができる。キットはまた、2つ以上の組成物の組み合わせ使用についての説明書を含めることができる。前記のような任意の適切な技術、例えば、経口、静脈内、ポンプ、または埋め込み可能な送達装置によって、または薬物送達の他の既知の経路によって、組成物を投与するための説明書もまた、提供されうる。
【0118】
本明細書に記載のキットはまた、上記の組成物および他の成分を含みうる、1つ以上の容器を含んでもよい。キットはまた、いくつかの場合において、本発明の組成物を混合、希釈、および/または投与するための説明書を含みうる。キットはまた、1つ以上の溶媒、界面活性剤、防腐剤、希釈剤などを含む他の容器、並びにサンプル中、またはそのような治療を必要とする対象において、成分を混合、希釈、または投与するための容器を含めることができる。
【0119】
キットの組成物は、任意の適切な形態、例えば、液体として提供されうる。組成物の液体形態が用いられる実施態様において、液体形態は濃縮されているか、あるいは容易に使用されうる。溶媒は、組成物および使用または投与形態に依存するであろう。薬物組成物に適切な溶媒は、例えば前記のように、周知であり、文献において利用可能である。溶媒は組成物および使用または投与形態に依存するであろう。
【0120】
さらに別の局面において、本発明は、例えば、インビトロまたはインビボで、例えば、対象に本明細書に記載のものなどの組成物を投与することによる、1つ以上の前記の実施態様の促進を含む。本明細書で用いられる「促進される」は、教育、科学的調査、学術研究、製薬業などの産業活動、およびあらゆる形式の書面、口頭、および電子通信などの任意の広告または他の宣伝活動などの方法などの、ビジネスを行うの全ての方法を含む。
【0121】
以下のそれぞれは、その全体が引用によって本明細書に援用される:米国仮特許出願第62/713,022号(2018年8月1日出願、表題「深共晶溶媒および他の特殊な媒体に基づくアスピリンの無水剤形」);米国仮特許出願第62/778,949号(2018年12月13日出願、表題「深共晶溶媒を含む薬物および他の物質を送達するためのシステムおよび方法」);米国仮特許出願第62/778,954号(2018年12月13日出願、表題「難溶性薬物および他の応用のための深共晶溶媒を含む方法およびシステム」);米国仮特許出願第62/791,110号(2019年1月11日出願、表題「難溶性薬物のための深共晶溶媒を含む方法およびシステムとその他の応用」);米国仮特許出願第62/817,065号(2019年3月12日出願、表題「薬剤を含む共晶溶媒、並びにその製造および使用方法」);並びに、米国仮特許出願第62/817,071号(2019年3月12日出願、表題「吸入可能な共晶溶媒組成物および方法」。さらに、本明細書と同日に出願されたPCT出願、表題「深共晶溶媒を含む、薬物および他の物質の送達のためのシステムおよび方法」もまた、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0122】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施態様を説明することを意図するが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例0123】
実施例1
この実施例は、本発明の1つの実施態様に従って、組成物を例示する。組成物は無水であっても、なくてもよい。まず、体積で1部分のコリンクロライドと2部分の尿素の混合物。この混合物を1部分のプロピレングリコールに対して1部分の比で混合した。次に、その混合物の9部分を、1部分のクエン酸と混合した。ある実施態様において、この混合物を25mg/mlのロラタジンと混合した。そのため、混合物は、例えば、液体として、例えば、吸入器において投与されうる。ロラタジンは通常水に比較的不溶性であるため、ロラタジンの効果ははるかに速いと予想される。そのような組成物において、ロラタジンは、「予め溶解された」状態で、例えば、肺に投与されるであろう。
【0124】
実施例2
この実施例は、本発明の別の実施態様に従って、組成物を例示する。組成物は無水であっても、なくてもよい。組成物は、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンの共晶混合物を含み、ここで、コリンクロライドおよびアセトアミノフェンは、共晶を形成する。共晶は、例えば、対象への経口投与のために、カプセル中に含まれうる。カプセルは、共晶中に約500mgのアセトアミノフェンを含み、カプセル中の共晶の体積は、0.65mlから0.8mlの間でありうる。
【0125】
本発明のいくつかの実施態様が本明細書に記載され、例示されているが、当業者は、機能を実行し、および/または結果を取得するための様々な他の手段および/または構造、および/または1つ以上の本明細書に記載される利点を容易に想定し、そのようなバリエーションおよび/または変更のそれぞれは本発明の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメーター、寸法、材料、および配置が例示的であることを意図し、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または配置は、本発明の教示が使用される特定の用途に応じて変化するであろうことを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施態様の多くの等価物を認識するであろう、あるいは通常の実験のみを用いて確認することができるであろう。したがって、前記の実施態様は、単なる例として提示され、付属の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明は具体的に記載され、特許請求の範囲に記載される以外の方法で実施されうることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載のそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0126】
本明細書および参照によって援用される文書が矛盾する、および/または一貫しない開示を含む場合、本明細書が支配するものとする。参照によって援用される2つ以上の文書が互いに矛盾する、および/または一貫しない開示を含む場合、発行日が遅い文書が支配するものとする。
【0127】
本明細書で定義され用いられる全ての定義は、辞書の定義、参照によって援用される文書における定義、および/または定義される用語の通常の意味を支配することが理解されるべきである。
【0128】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる不定冠詞「a」および「an」は、そうでないことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することが理解されるべきである。
【0129】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる語句「および/または」は、そのように結合される要素、すなわち、ある場合には結合して存在し、別の場合には分離して存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味することが理解されるべきである。「および/または」によって列挙される複数の要素は、同じように、すなわちそのように結合された「1つ以上」の要素であると解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素は、それらの具体的に特定される要素に関連するか、関連しないかに関わらず、適宜存在していてもよい。したがって、限定されない例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのオープン・エンドな用語と合わせて用いられる場合、ある実施態様において、Aのみ(適宜、B以外の要素を含む)をいい;別の実施態様において、Bのみ(適宜、A以外の要素を含む)をいい;さらに別の実施態様において、AおよびBの両方(適宜、他の要素を含む)などをいう。
【0130】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる「または」は、前記で定義される「および/または」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、要素の数またはリストのうち少なくとも1つを含むが、1つより多くを含み、適宜、列挙されていないさらなる項目を含むと解釈されるものとする。そうでないことが明らかに示される用語、例えば、「~のうち1つのみ」または「ちょうど1つ」、または特許請求の範囲において用いられる場合、「~から成る」のみが、要素の数またはリストのちょうど1つの要素を含むことを意味するであろう。一般に、本明細書で用いられる用語「または」は、排他的な用語、例えば「いずれか」、「~の1つ」、「~の1つのみ」、または「~のちょうど1つ」などが先行する場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すと解釈されるべきものである。
【0131】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、語句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストに言及する場合、要素の一覧における任意の1つ以上の要素から選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素の一覧に具体的に列挙されている各要素および全ての要素の少なくとも1つを含むものではなく、要素の一覧における要素の任意の組み合わせを排除するものではないことが理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が参照する要素の一覧において、具体的に特定される要素に関連しても関連しなくても、具体的に特定される要素以外に要素が適宜存在しうることを許容する。したがって、限定されない例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同義に「AまたはBの少なくとも1つ」、または同義に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、ある実施態様において、少なくとも1つ、適宜1つより多いAを含み、Bが存在しない(および、B以外の要素を適宜含む)ことをいい;別の実施態様において、少なくとも1つ、適宜1つより多いBを含み、Aが存在しない(および、A以外の要素を適宜含む)ことをいい;さらに別の実施態様において、少なくとも1つ、適宜1つより多いAを含み、および少なくとも1つ、適宜1つより多いBを含む(および、他の要素を適宜含む)ことなどをいう。
【0132】
用語「約」が数字に関して本明細書において用いられる場合、本発明のさらに別の実施態様は、用語「約」の存在によって変更されないその数字を含むことが理解されるべきである。
【0133】
そうでないことが明らかに示されない限り、複数の工程または行為を含む本明細書において請求される任意の方法において、当該方法の工程または行為の順番は、記載される方法の工程または行為の順番に必ずしも限定されないこともまた理解されるべきである。
【0134】
特許請求の範囲、並びに上記の明細書において、「含む」、「など」、「備える」、「有する」、「含有する」、「関する」、「保持する」、「構成する」などの全ての移行句は、オープン・エンドであり、限定されないことなどを意味することが理解されるべきである。米国特許庁特許審査手続マニュアル、セクション2111.03に記載されているように、移行句「~から成る」および「実質的に~から成る」のみがそれぞれ、クローズドまたはセミ・クローズドな移行句であるものとする。
対象における炎症を示す関節の疼痛および/または炎症の治療剤であって、前記治療剤が、前記対象の皮膚に投与されるように用いられることを特徴とし、前記治療剤が、共晶混合物を含む局所組成物を含み、前記局所組成物が、ケトロラクを含む、治療剤。
前記共晶混合物が、少なくとも15モル%かつ85モル%以下でコリンクロライドを含む、および/または少なくとも15モル%かつ85モル%以下でプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の治療剤。
前記治療剤が、前記対象の皮膚にパッチを適用することによって投与されるように用いられることを特徴とし、前記パッチが、前記局所組成物を含む、請求項1に記載の治療剤。
前記局所組成物が、1モル%未満で水を含み、前記共晶混合物が、少なくとも45モル%かつ55モル%以下でコリンクロライドを、少なくとも45モル%かつ55モル%以下でプロピレングリコールを含み、前記共晶混合物が、深共晶溶媒である、請求項1に記載の治療剤。
対象における炎症を示す関節の疼痛および/または炎症の治療剤であって、前記治療剤が、前記対象の皮膚に投与されるように用いられることを特徴とし、前記治療剤が、5重量%未満で水を有する局所組成物を含むクリーム、ローション、またはゲルを含み、前記局所組成物が、共晶混合物を含み、前記共晶混合物が、少なくとも15モル%で第一の共晶形成成分を、少なくとも15モル%で第二の共晶形成成分を含み、前記局所組成物が、前記炎症を示す関節の疼痛および/または炎症を治療するのに有効な薬剤を含む、治療剤。
前記治療剤が、前記対象の皮膚にパッチを適用することによって投与されるように用いられることを特徴とし、前記パッチが、前記クリーム、ローション、またはゲルを含む、請求項10に記載の治療剤。
前記薬剤が、ケトロラクを含み、前記第一の共晶形成成分が、コリンクロライドを含み、前記第二の共晶形成成分が、プロピレングリコールを含み、前記局所組成物が、1モル%未満で水を含み、前記共晶混合物が、深共晶溶媒であり、前記共晶混合物が、少なくとも45モル%で前記第一の共晶形成成分を、少なくとも45モル%で前記第二の共晶形成成分を含む、請求項10に記載の治療剤。