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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056735
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】EGFR二量体撹乱剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/70 20060101AFI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20240416BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C07D233/70 CSP
A61P35/00
A61K31/4164
C07D471/10 103
A61K31/437
A61K31/4709
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009496
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2020544510の分割
【原出願日】2019-02-25
(31)【優先権主張番号】62/634,452
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】511000957
【氏名又は名称】ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF MICHIGAN
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ムケシュ ケー.ニャティ
(72)【発明者】
【氏名】セオドア エス.ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ホワイトヘッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン クリストファー レッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン テイラー ウォッチ
(57)【要約】
【課題】EGFRチロシンキナーゼ活性を阻害する以外の方法で、EGFRを標的とする癌治療薬が必要とされている。また、初期使用後に薬剤耐性を発現することなく、癌を治療する治療薬が必要とされている。
【解決手段】本明細書では、EGFRを調節する化合物、およびそれを、例えば癌の治療のために使用する方法が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
Xは、O-C0~6アルキレン、S-C0~6アルキレン、またはNR-C0~6アルキレンであり、前記アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(R、およびOR3-から選択される1~3個の基で置換され、
Yは、C0~6アルキレンであり、前記アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(RおよびORから選択される1~3個の基で置換され、
Aは、C6~10アリールまたはN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、前記アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、
Bは、C6~10アリール、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール、3~8員シクロアルキル環、またはO、S、およびNから選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクロアルキルであり、前記アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、
およびRは、各々独立して、C1~6アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し、ヘテロシクロアルキル環は、O、S、およびNから選択される1個または2個の環ヘテロ原子を有し、前記シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環は、任意選択的に、1~2個のRで置換され、
各Rは、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
各RおよびRは、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、またはC1~6アルコキシであり、
は、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、(C=O)R、(C=O)OR、CON(R、C0~3アルキレン-C3~8シクロアルキル、C0~3アルキレン-C6~10アリール、またはC0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、前記アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
およびRが、各々独立して、C1~6アルキルである、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
およびRが、各々メチルである、請求項2に記載の化合物または塩。
【請求項4】
およびRが、それらが結合している炭素原子と共に、4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項5】
およびRが、それらが結合している炭素原子と共に、5員または6員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する、請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項6】
およびRが、それらが結合している炭素原子と共に、シクロヘキシル環を形成する、請求項5に記載の化合物または塩。
【請求項7】
およびRが、それらが結合している炭素原子と共に、次の構造:
【化2】
を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、式中、*は、式Iの化合物の残部との結合点を示す、請求項5に記載の化合物または塩。
【請求項8】
およびRが、各々独立して、C1~6アルキル、ハロ、またはC1~6アルコキシである、請求項1~7のいずれか1一項に記載の化合物または塩。
【請求項9】
が、C1~6アルキル、(C=O)R、(C=O)OR、またはCON(Rである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項10】
が、C1~6アルキルである、請求項4~9のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項11】
が、メチルである、請求項10に記載の化合物または塩。
【請求項12】
Aが、C6~10アリールである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項13】
Aが、フェニルである、請求項12に記載の化合物または塩。
【請求項14】
Bが、C6~10アリールである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項15】
Bが、フェニルである、請求項14に記載の化合物または塩。
【請求項16】
Bが、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項17】
Bが、ピリジニルである、請求項16に記載の化合物または塩。
【請求項18】
Bが、キノリニルである、請求項16に記載の化合物または塩。
【請求項19】
Bが、3~8員シクロアルキルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項20】
Bが、5員または6員シクロアルキルである、請求項18に記載の化合物または塩。
【請求項21】
Bが、O、S、およびNから選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクロアルキルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項22】
Aが、1つのRで置換されている、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項23】
Aが、次の構造:
【化3】
を有する、請求項22に記載の化合物または塩。
【請求項24】
Aが、2つのRで置換されている、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項25】
少なくとも1つのRが、C1~6アルキルである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項26】
少なくとも1つのRが、メチルである、請求項25に記載の化合物または塩。
【請求項27】
少なくとも1つのRが、ハロである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項28】
が、ブロモである、請求項27に記載の化合物または塩。
【請求項29】
少なくとも1つのRが、C1~6アルコキシである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項30】
少なくとも1つのRが、メトキシである、請求項29に記載の化合物または塩。
【請求項31】
Bが、1つのRで置換されている、請求項1~30のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項32】
Bが、2つのRで置換されている、請求項1~30のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項33】
Bが、次の構造:
【化4】
を有する、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
少なくとも1つのRが、ハロである、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項35】
少なくとも1つのRが、フルオロまたはクロロである、請求項34に記載の化合物または塩。
【請求項36】
一方のRがフルオロであり、他方のRがクロロである、請求項30または33に記載の化合物または塩。
【請求項37】
少なくとも1つのRが、C1~6アルコキシである、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項38】
少なくとも1つのRが、メトキシである、請求項37に記載の化合物または塩。
【請求項39】
一方のRがハロであり、他方のRがC1~6アルコキシである、請求項30または33に記載の化合物または塩。
【請求項40】
一方のRがクロロであり、他方のRがメトキシである、請求項39に記載の化合物または塩。
【請求項41】
Xが、O-C0~6アルキレンまたはS-C0~6アルキレンである、請求項1~40のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項42】
Xが、S-C0~6アルキレンである、請求項41に記載の化合物または塩。
【請求項43】
Xが、O、S、O-CH-、またはS-CH-である、請求項41に記載の化合物または塩。
【請求項44】
Yが、C0~2アルキレンである、請求項1~43のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項45】
Yが、なしまたはCHである、請求項44に記載の化合物または塩。
【請求項46】
Xが、NR-CH、O-CH-、またはS-CH-であり、Yが、ない、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
Xが、NR-CH、O-CH-、またはS-CH-であり、Yが、CHである、請求項45に記載の化合物または塩。
【請求項48】
が、Hである、請求項1~47のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項49】
表1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項50】
表2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
請求項1~50のいずれか1項に記載の化合物または塩、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項52】
EGFRを調節する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効量の請求項1~50のいずれか1項に記載の化合物または塩を投与することを含む、方法。
【請求項53】
前記調節がEGFRの二量体化を阻害することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記調節がEGFRの分解を誘導することを含む、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
異常なEGFR活性に関連する疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~50のいずれか1項に記載の化合物または塩を投与することを含む、方法。
【請求項56】
前記疾患または障害が、癌である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記癌が、肺癌、大腸癌、膠芽細胞腫、および頭頸部癌から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記癌が、黒色腫、結腸癌、腎癌、白血病、または乳癌である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記癌が、オシメルチニブ耐性癌である、請求項56~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、ヒトである、請求項52~59のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
EGFR小分子チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)のエルロチニブ、ゲフィチニブ、およびアファチニブは、このクラスの薬物に対する感受性を付与し、民族および性別に応じて患者の7~20%で生じる体細胞変異(L858Rまたはエクソン19での欠失、すなわち、E746~A750)を有する肺腺癌の治療において、単剤として最も成功している(19)。残念ながら、事実上すべての患者が治療に対して耐性を発現するため、反応が1年以上持続することは稀である(20)。第3世代の不可逆的阻害剤であるオシメルチニブ(AZD9291)は、治療未経験の患者ならびに第1世代または第2世代のTKIに対して耐性を獲得した患者の治療に有効である(7)。しかしながら、オシメルチニブによる治療の1年以内に、大多数の患者は、薬剤結合部位であるEGFRのキナーゼドメイン(C797S)に別の変異を発現する(12、21、22)。オシメルチニブ耐性EGFRを標的とするいくつかのアプローチが報告されているが、現時点では、このC797S変異を有するこれらの患者には、TKI治療の選択肢が存在しない(12、13、23)。化学療法が、唯一の選択肢である。
【0002】
前述の観点から、EGFRチロシンキナーゼ活性を阻害する以外の方法で、EGFRを標的とする癌治療薬が必要とされている。また、初期使用後に薬剤耐性を発現することなく、癌を治療する治療薬が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、EGFRを調節するための化合物および方法が提供される。より具体的には、EGFRのモジュレーター、および異常なEGFR活性に関連する疾患または障害、例えば癌、を治療または予防する際の、そのようなモジュレーターの使用が提供される。
【0004】
一態様では、本開示は、式I:
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、Xは、O-C0~6アルキレン、S-C0~6アルキレン、またはNR-C0~6アルキレンであり、当該アルキレンは、Xは、O-C0~6アルキレン、S-C0~6アルキレン、またはNR-C0~6アルキレンであり、当該アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(R、およびORから選択される1~3個の基で置換され、Yは、C0~6アルキレンであり、当該アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(R、およびORから選択される1~3個の基で置換され、Aは、C6~10アリールまたはN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、当該アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、Bは、C6~10アリール、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール、3~8員シクロアルキル環、またはO、S、およびNから選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクロアルキルであり、当該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、各RおよびRは、独立して、C1~6アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し、ヘテロシクロアルキル環は、O、S、およびNから選択される1個または2個の環ヘテロ原子を有し、当該シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環は、任意選択的に、1~2個のRで置換され、各Rは、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、各RおよびRは、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、またはC1~6アルコキシであり、Rは、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、(C=O)R、(C=O)OR、CON(R、C0~3アルキレン-C3~8シクロアルキル、C0~3アルキレン-C6~10アリール、またはC0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
さらに、本明細書では、EGFRを調節するために、開示された化合物を使用する方法が提供される。本開示の他の態様は、EGFRの二量体化を阻害するために、開示された化合物を使用する方法、およびEGFRの分解を誘導するために、開示された化合物を使用する方法を含む。
【0008】
本開示の他の態様は、対象における異常なEGFR活性に関連する疾患または障害を治療または予防するための医薬品の調製に使用するための、本明細書に開示されるような化合物、および、対象における異常なEGFR活性に関連する疾患または障害を予防または治療する方法における本明細書に開示されるような化合物の使用を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】隣接する正常組織と比較された、EGFR二量体化に影響される腫瘍(*印)特異的EGFRを阻害する低分子ペプチドによる処理(左)、およびEGFRの分解の模式図(右)を示す。EGFRは、膜貫通部分によって二小葉性(bilobular)キナーゼドメイン(小ブロブ(blob)=nローブ(lobe)、大ブロブ=cローブ)、および柔軟なC末端テール(tail)に連結された細胞外ドメインによって示されている。EGFの結合は、細胞外ドメイン間および/または2つの単量体のnローブとcローブとの間の活性(非対称)二量体の形成を促進する。このような立体構造のEGFRは安定したままであり、C末端テールのリン酸化を誘導し、腫瘍進行性チロシンキナーゼの阻害剤(例えば、オシメルチニブ)を促進し、ATP動員を阻害し、2つの単量体のnローブ間の不活性な(対称)二量体化を促進する。この立体構造のEGFRは、キナーゼが不活性な立体構造のままであるが、タンパク質の安定性は維持されている。EGFR活性の不活化は、腫瘍成長の阻害と相関する。EGFRのcローブのαCヘリックスおよびβ4シートとnローブのhヘリックスとの間のループは、EGFで誘導される活性二量体の形成に関与する。このモデルは、ディスラプチン(Disruptin)または化合物8C(Compound 8C)が、このポケットに結合し、EGF誘導性の活性二量体の形成を妨害することを想定している。リガンドおよび化合物8Cが結合したEGFR単量体は、急速に分解する。EGFRタンパク質の喪失は、細胞死と相関する。矢印の太さは、腫瘍細胞対正常細胞における、化合物8Cの効果を示す。
図2】(A)EGFRの非対称活性二量体の模式図を示す。EGFに結合した1つのEGFR単量体は、二量体化を誘導するのに十分である。EGFR(PDBコード:2RFD)のcローブに結合したディスラプチンのモデルが、挿入図に示され、(B)精製されたEGFRキナーゼドメインとディスラプチンとの間の仮定される相互作用が示される。。
図3】(A)NCI-H1975細胞におけるEGF誘導二量体に対するディスラプチン処理の効果、(B)NCI-H1975異種移植におけるその標的EGFRに対するディスラプチンの効果、(C)ディスラプチンのインビボでの有効性、および(D)腫瘍組織学、EGFR発現および有糸分裂指数(Ki-67スコアによる測定)に対する治療の長期効果、を示す。
図4】(A)リード化合物をプレスクリーニングするためのプロセスと、2つのプレリード化合物C95およびC67の構造、(B)ミクロソーム安定性(青いボックスに表示)が組み合わさって得られたSARと、最も選択的に有効な化合物8Cと命名された分子の構造、(C)図3A(溶解物が調製され、抗EGFR抗体を用いてイムノブロットされた)に記載のエルロチニブ耐性NCI-H1975肺癌細胞株における、EGF刺激EGFR二量体化に対する2つのプレリード化合物および化合物8Cの効果、および(D)処理後24時間で評価された定常状態EGFRタンパク質に対する選択された3つのリード分子(1μM)の効果、を示す。
図5】(A)化合物8CのEGFR結合に対するディスラプチンとの競合、(B)熱安定性アッセイによって確認された精製EGFRの熱安定性に対する化合物8Cの効果、および(C)0~10μMの化合物8Cの存在下、44℃での、EGFRの熱安定性に対する化合物8Cの濃度の効果、を示す。
図6】(A)Ba/F3-AZD細胞からの全細胞溶解物における、EGFR熱安定性に対する化合物8Cの効果、(B)特定のEGFR変異を発現するオシメルチニブ耐性Ba/F3細胞に対して決定された化合物8Cの効力、(C)図3Aに記載のEGF誘導EGFR二量体化に対する化合物8C処理の効果、(C~D)EGFR誘導二量体およびEGFRタンパク質レベルに対する化合物8C処理の効果、(E)2つのオシメルチニブ耐性Ba/F3細胞株から作表した、エルロチニブ、オシメルチニブ、および化合物8Cに応じたIC50値、を示す。
図7】(A)オシメルチニブ耐性細胞のパネルに対して決定され、クローン原性生存アッセイを使用して正常な肺線維芽細胞(MRC5)と比較された化合物8Cの特異性および効力、(B)図6に記載のオシメルチニブ耐性PC9細胞におけるEGF誘導EGFR二量体化に対する化合物8C濃度の効果、(C)PC9-AZR細胞におけるEGFR誘導二量体およびEGFRタンパク質レベルに対する化合物8C処理の効果、を示す。
図8】(A)ヒトNCI-H1975腫瘍異種移植片(>150mm)を有するヌードマウスに腹腔内投与された単回100mg/kg用量の化合物8Cの薬物動態、および(B)ヒトNCI-H1975腫瘍異種移植片(>150mm)を有するヌードマウスに経口強制投与によって与えられた単回100mg/kg用量の化合物8Cの薬物動態、を示す。
図9】(A)NCI-H1975異種移植片を有するマウスにおける異なる時点でのプレリード化合物95の基底生物発光および効果、ならびに(B)生物発光において定量化およびプロットされた変化、を示す。
図10】化合物8C(30mg/kg、毎日1週間)またはビヒクル(vehicle)(PBS中5%DMSO)で処置された、UMSCC74Bを有する頭頸部腫瘍モデル(~100mm)のヌードマウスの経時的な平均腫瘍体積の変化を示す。各群は、少なくとも5匹のマウスを有した。腫瘍体積および体重を週3~4回記録し、プロットした。処置中の体重の平均減少は、10%未満であった。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
図11】オシメルチニブ耐性腫瘍モデルにおける化合物8Cの効果を示す。オシメルチニブ耐性のBa/F3腹水腫瘍を有するヌードマウスを、ビヒクル、オシメルチニブまたは化合物8Cのいずれかで処置した。EGFR、pEGFRおよびその他の分子に対する処置の効果は、イムノブロッティングによって決定された。
図12】原発腫瘍におけるFFPE-肺PDX、UMLCA7の第1および第2異種移植片の病理学的評価、および2つの他のPDXにおけるIHCを使用したEGFRタンパク質発現の分析を示す。扁平上皮癌(UMLT16)では豊富なEGFR発現が認められるが、大細胞癌(UMLT14)のPDXサンプル(20X)では認められない。
図13】マウス膵臓癌モデルを化合物8Cで処置すると、膵管病変の一種であるPanIn(膵臓上皮内腫瘍)の発症傾向が有意に低下したことを示す。A-膵臓組織の組織学的検査は、Bで定量化された対照と比較して、処置されたマウスにおける病変の関与が有意に少ないことを示す。
図14】化合物8Cで処置されたUMSCC74B有する頭頸部腫瘍モデルのマウス異種移植が、処置ビヒクルまたはセツキシマブのいずれかが投与された対照マウスと比較して、有意により小さな腫瘍を呈したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
小分子および抗体を使用して発癌性タンパク質のキナーゼ活性を阻害することは、抗がん剤開発の取り組みのかなめであり、その結果、いくつかのFDA承認のがん治療がもたらされたが、キナーゼを標的とした薬剤の臨床効果には一貫性がみられなかった(22、24)。EGFRは、チロシンキナーゼ活性に添加して、足場機能を有することが示されている(24~36)。これは、EGFRのキナーゼデッド(kinase-dead、KD)変異体(例えば、K745A、V741G、およびY740F)を発現させるか、ErbB3(キナーゼ活性を有さない)を発現させるかのいずれかによって、これらの受容体を発現しないBa/F3細胞において実証される(37~39)。これらのキナーゼ欠損変異体の発現は、細胞生存を促進し、これらの受容体がおそらく二量体を形成することによって生存シグナルを伝達できることを示し、EGFRがキナーゼ活性以外の機能を有することを示唆する(39)。
【0011】
EGFRの二量体は、単量体と比較して、比較的安定であることが知られている(40)。二量体は、下流の分裂促進性のシグナル伝達を生成することができる(41)。理論に縛られることなく、EGFRの二量体化を遮断すると、EGFRの分解が加速され、このアプローチが、TKI耐性のEGFRで駆動される腫瘍に対して効果的であることが仮定される(14、24、27)。簡単に言えば、EGFRキナーゼドメインのcローブのαCヘリックスおよびβ4シートとnローブのhヘリックスとの間に位置するEGFRのキナーゼドメイン内のセグメントを介した二量体の形成によって、EGFが結合したEGFR(すなわち、ほとんどの腫瘍で広くみられるリン酸化されたEGFR)のタンパク質安定性が調節されることが実証された(15、42)。正常細胞でのEGFRタンパク質安定性は、この二量体の界面によって主に調節されているのではなく、なぜなら、EGFの非存在下では、EGFRが非対称二量体を形成しないからである(43)。腫瘍細胞と正常細胞との間のこの違いは、新しい標的化可能なタンパク質-タンパク質相互作用を提供する。
【0012】
このアイデアを試験するために、この結合表面を模倣する十数のペプチドが生成された。EGFRのαC-β4ループ由来の6つのアミノ酸を含有する最も効果的なペプチドは、ディスラプチン(Disruptin)と命名された(17)。ディスラプチンは、EGF誘導EGFR二量化を阻害することができる。このペプチドは、EGFRに直接結合し、この結合は、対照(スクランブルされた)ペプチドと比較して、反復したHEPES洗浄によって有意に影響されない。ディスラプチンは、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)耐性の肺異種移植モデル(14)では効果的であるが、ヒトにおけるペプチドの送達は困難なままである(44)。
【0013】
本明細書では、EGFRを調節する化合物、例えば、EGFR二量体化を遮断し、EGFR分解を誘導し、EGFR駆動性の細胞を死滅させる化合物、が提供される。これらの化合物は、様々な疾患および障害の予防または治療、例えば癌の治療、に有用である。
【0014】
このように、式I:
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、
Xは、O-C0~6アルキレン、S-C0~6アルキレン、またはNR-C0~6アルキレンであり、当該アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(R、およびORから選択される1~3個の基で置換され、
Yは、C0~6アルキレンであり、当該アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(RおよびORから選択される1~3個の基で置換され、
Aは、C6~10アリールまたはN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、当該アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、
Bは、C6~10アリール、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール、3~8員シクロアルキル環、またはO、S、およびNから選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクロアルキルであり、当該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、
各RおよびRは、独立して、C1~6アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し、ヘテロシクロアルキル環は、O、S、およびNから選択される1個または2個の環ヘテロ原子を有し、当該シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環は、任意選択的に、1~2個のRで置換され、
各Rは、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
各RおよびRは、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、またはC1~6アルコキシであり、
は、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、(C=O)R、(C=O)OR、CON(R、C0~3アルキレン-C3~8シクロアルキル、C0~3アルキレン-C6~10アリール、またはC0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩が本明細書で提供される。
【0017】
様々な実施形態では、各RおよびRは、独立して、C1~6アルキルである。一部の実施形態では、各RおよびRは、メチルである。
【0018】
様々な実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する。一部の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、5員または6員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する。一部の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、シクロヘキシル環を形成する。
【0019】
様々な実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、以下の構造を有するヘテロシクロアルキル環を形成し:
【0020】
【化3】
【0021】
式中、*は、式Iの化合物の残部との結合点を示す。一部の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、(C=O)R、(C=O)OR、CON(R、C0~3アルキレン-C3~8シクロアルキル、C0~3アルキレン-C6~10アリール、またはC0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。一部の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、(C=O)R、(C=O)OR、またはCON(Rである。一部の実施形態では、Rは、C1~6アルキルである。一部の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、またはイソペンチルである。一部の実施形態では、Rは、メチルである。一部の実施形態では、Rは、重水素化されている。一部の実施形態では、Rは、C1~6ハロアルキルである。一部の実施形態では、Rは、3,3,3-トリフルオロプロピルである。一部の実施形態では、Rは、C0~3アルキレン-C3~8シクロアルキルである。一部の実施形態では、Rは、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。一部の実施形態では、Rは、シクロブチルまたはシクロペンチルである。一部の実施形態では、Rは、C0~3アルキレン-C6~10アリールである。一部の実施形態では、Rは、ベンジルである。一部の実施形態では、Rは、C0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、ヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。一部の実施形態では、Rは、Cアルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、ヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。一部の実施形態では、Rは、C0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、ヘテロアリールは、1~3個のRで置換される。一部の実施形態では、Rは、C0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、ヘテロアリールは、非置換である。一部の実施形態では、Rは、
【0022】
【化4】
【0023】
である。
【0024】
様々な実施形態では、Aは、C6~10アリールである。一部の実施形態では、Aは、フェニルである。
【0025】
様々な実施形態では、Bは、C6~10アリールである。一部の実施形態では、Bは、フェニルである。様々な実施形態では、Bは、N、OおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールである。一部の実施形態では、Bは、ピリジニルである。一部の実施形態では、Bは、キノリニルである。様々な実施形態では、Bは、3~8員シクロアルキルである。一部の実施形態では、Bは、5員または6員シクロアルキルである。様々な実施形態では、Bは、O、S、およびNから選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する3~12員ヘテロシクロアルキルである。
【0026】
一部の実施形態では、Aは、1つのRで置換されている。一部の実施形態では、Aは、構造:
【0027】
【化5】
【0028】
を有する。一部の実施形態では、Aは、2つのRで置換されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、C1~6アルキルである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、メチルである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、ハロである。一部の実施形態では、Rは、ブロモである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、C1~6アルコキシである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、メトキシである。
【0029】
一部の実施形態では、Bは、1つのRで置換されている。一部の実施形態では、Bは、2つのRで置換されている。一部の実施形態では、Bは、構造:
【0030】
【化6】
【0031】
を有する。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、ハロである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、フルオロまたはクロロである。一部の実施形態では、一方のRはフルオロであり、他方のRはクロロである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、C1~6アルコキシである。一部の実施形態では、少なくとも1つのRは、メトキシである。一部の実施形態では、一方のRはハロであり、他方のRはC1~6アルコキシである。一部の実施形態では、一方のRはクロロであり、他方のRはメトキシである。
【0032】
一部の実施形態では、各RおよびRは、独立して、C1~6アルキル、ハロ、またはC1~6アルコキシである。一部の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、(C=O)R、(C=O)OR、またはCON(Rである。
【0033】
様々な実施形態では、Xは、O-C0~6アルキレンまたはS-C0~6アルキレンである。一部の実施形態では、Xは、S-C0~6アルキレンである。一部の実施形態では、Xは、O、S、O-CH-、またはS-CH-である。様々な実施形態では、Yは、C0~2アルキレンである。一部の実施形態では、Yは、なしまたはCHである。一部の実施形態では、Xは、NR-CH、O-CH-、またはS-CH-であり、Yは、ない。一部の実施形態では、Xは、NR-CH、O-CH-、またはS-CH-であり、Yは、CHである。一部の実施形態では、Rは、Hである。
【0034】
企図される特定の化合物には、表1、表2に列挙されるもの、またはその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
場合によっては、化合物は、表1に列挙された化合物またはその塩である。
【0043】
化合物8Cは、薬理学的特性および生物学的活性の有意な改善を示した(46分にわたるミクロソーム半減期、クローン細胞アッセイでのサブマイクロモルIC50)。化合物8CはEGF誘導のEGFR二量体化を阻害し、精製されたEGFRに直接結合し、EGFR駆動のオシメルチニブ耐性細胞株および異種移植モデルで選択的に活性である。
【0044】
定義
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、1~30個の炭素原子、例えば1~20個の炭素原子、または1~10個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝状の飽和炭化水素基を指す。Cという用語は、アルキル基が「n」個の炭素原子を有することを意味する。例えば、Cアルキルは、4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。C~Cアルキルとは、全範囲(例えば、1~7個の炭素原子)、ならびに全てのサブグループ(例えば、1~6、2~7、1~5、3~6、1、2、3、4、5、6、および7個の炭素原子)を包含する炭素原子数を有するアルキル基を指す。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル(2-メチルプロピル)、t-ブチル(1,1-ジメチルエチル)、3,3-ジメチルペンチル、および2-エチルヘキシルが挙げられる。別途指示されない限り、アルキル基は、非置換アルキル基または置換アルキル基であり得る。
【0045】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、置換基を有するアルキル基を指す。例えば、「アルキレンハロ」という用語は、ハロ基で置換されたアルキル基を指す。例えば、アルキレン基は、CHCH-または-CH-であり得る。Cという用語は、アルキレン基が「n」個の炭素原子を有することを意味する。例えば、C1~6アルキレンとは、「アルキル」基について前述されるように、全範囲ならびに全てのサブグループを包含する炭素原子数を有するアルキレン基を指す。別途指示されない限り、アルキレン基は、非置換アルキレン基または置換アルキレン基であり得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3~8個の炭素原子(例えば、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子)を含有する脂肪族環式炭化水素基を指す。Cという用語は、シクロアルキル基が「n」個の炭素原子を有することを意味している。例えば、Cシクロアルキルとは、環内に5個の炭素原子を有するシクロアルキル基を指す。C~Cシクロアルキルとは、全範囲(例えば、6~8個の炭素原子)、ならびに、ならびに全てのサブグループ(例えば、6~7、7~8、6、7、および8個の炭素原子)を包含する炭素原子数を有するシクロアルキル基を指す。シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。別途指示されない限り、シクロアルキル基は、非置換シクロアルキル基または置換シクロアルキル基であり得る。本明細書に記載のシクロアルキル基は、孤立していても、または別のシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、および/またはヘテロアリール基と縮合していてもよい。特に明記しない限り、ヘテロシクロアルキル基が、別のヘテロシクロアルキル基と縮合している場合、各々のヘテロシクロアルキル基は、3~8個の炭素原子を含有することができる。別途指示されない限り、シクロアルキル基は、非置換であっても、置換されていてもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環が、独立して、酸素、窒素、および硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を含有することを除いて、シクロアルキルと同様に定義される。特に、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、合計3~12個の原子を含有し(例えば、3~8、5~8、3~6、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個)、そのうちの1、2または3個の環原子は、独立して、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子であり、環の残りの原子は炭素原子である、環を指す。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、ピペリジン、ピラゾリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロフラン、モルホリンなどが挙げられる。
【0048】
シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル基は、飽和または部分不飽和の環系であり得、任意選択的に、例えば、独立して、アルキル、アルキレン、OH、C(O)NH、NH、オキソ(=O)、アリール、アルキレンハロ、ハロ、およびOHから選択される1~3個の基で置換することができる。ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に、アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、アルキレン-OH、アルキレンアリール、およびアルキレンヘテロアリールで、さらにN-置換することができる。本明細書に記載のヘテロシクロアルキル基は、孤立していても、または別のヘテロシクロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および/またはヘテロアリール基に縮合していてもよい。ヘテロシクロアルキル基が、別のヘテロシクロアルキル基と縮合している場合、各ヘテロシクロアルキル基は、合計3~12個の環原子、および1~3個のヘテロ原子を含有することができる。別途指示されない限り、ヘテロシクロアルキル基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、6~10個の環原子を有する単環式または二環式芳香族基を指す。別途指示されない限り、アリール基は、非置換、または例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、OCF、NO、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、COH、COアルキル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される1個以上、特に、1~4個の基で置換されていてもよい。アリール基は、孤立していても(例えば、フェニル)、または別のアリール基(例えば、ナフチル、アントラセニル)、シクロアルキル基(例えば、テトラヒドロナフチル)、ヘテロシクロアルキル基、および/またはヘテロアリール基と縮合していてもよい。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、合計5~10個の環原子を有し、芳香環中の窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する、単環式または二環式の芳香環を指す。別途指示されない限り、ヘテロアリール基は、非置換、または例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、OCF、NO、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、COH、COアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つ以上、特に、1~4個の置換基で置換され得る。場合によっては、ヘテロアリール基は、アルキル基およびアルコキシ基のうちの1つ以上で置換されている。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」または「アルコキシル」という用語は、「-O-アルキル」基を指す。アルコキシまたはアルコキシル基は、非置換であっても、置換されていてもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、特定の疾患または状態(例えば、癌)のうちの1つ以上の症状を改善、減弱または排除する、あるいは特定の疾患または状態の1つ以上の症状の発症を予防または遅延する化合物または治療的活性化合物の組み合わせの量を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「患者」および「対象」という用語は、互換的に使用され、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、およびヒツジ(例えば、非ヒト動物)およびヒトなどの動物を意味する。特定の患者または対象は、哺乳動物(例えば、ヒト)である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、本開示の化合物などの参照物質、または化合物もしくは特定の賦形剤を含有する製剤であり、患者もしくは対象への投与に安全で好適であることを意味する。「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、活性成分(複数可)の生物学的活性の有効性を妨げず、それが投与される宿主に対して毒性がない媒体を指す。
【0055】
本明細書に開示される化合物は、薬学的に許容される塩であり得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴うことなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触での使用に好適であり、妥当な利益/リスク比に相応する塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において、薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、好適な無機および有機酸および塩基に由来するものが含まれる。薬学的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸等の無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸等の有機酸で形成されるか、またはイオン交換等の当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳スルホン酸塩(camphorsulfonate)、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。カルボン酸または他の酸性官能基を含有する化合物の塩は、好適な塩基と反応させることによって調製され得る。かかる塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム塩、アンモニウム、N(C1-4アルキル)塩、および有機塩基の塩、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、トリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’-ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N-メチルグルカミン、コリジン、キニン、キノリン、ならびにリジンおよびアルギニン等の塩基性アミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。本発明は、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も企図する。水溶性もしくは油溶性または分散性生成物は、かかる四級化によって得られ得る。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、および対イオンを使用して形成されたアミンカチオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩等が含まれる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療する」または「治療」などの用語は、予防的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))および緩和的な治療を含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、活性医薬成分(API)以外の、薬学的に許容される添加剤、担体、希釈剤、アジュバント、または他の成分を意味する。
【0058】
本開示の化合物の合成
本明細書に開示される化合物は、市販の出発物質、文献で知られている化合物を使用して、または容易に調製された中間体から、当業者に既知のまたは本明細書の教示に照らした標準的な合成方法および手順を採用することによって、様々な方法で調製することができる。本明細書に開示される化合物の合成は、一般に、実施例の節に記載されている合成スキームに従い、特定の所望の置換基を変更することにより達成することができる。
【0059】
有機分子の調製ならびに官能基の変換および操作のための標準的な合成方法ならびに手順は、関連する科学文献または当分野の標準的な教科書から得ることができる。1つまたはいくつかのソースに限定されることはないが、定評のある著作、例えば、Smith,M.B.,March,J.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,5th edition,John Wiley & Sons:New York,2001、およびGreene,T.W.,Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons:New York,1999は、有用で認知された有機合成の参考教科書であり、当業者に既知である。合成方法の以下の説明は、本開示の化合物の調製のための一般的な手順を示すことを意図するもので、限定するためのものではない。
【0060】
本明細書に開示される合成プロセスは、多種多様な官能基を許容することができ、したがって、様々な代替出発物質を使用することができる。プロセスは、一般に、プロセス全体の最後またはその近くで所望の最終化合物を提供するが、場合によっては、化合物をその薬学的に許容される塩にさらに変換することが望ましいことがある。
【0061】
一般に、式(I)の化合物は、スキーム1に従って合成することができる。
【0062】
【化7】
【0063】
構造cを有する化合物は、スキーム1に示される手順を使用して合成することができる。置換された2,5-ジヒドロイミダゾール誘導体aと、例えばアセトニトリルなどの適切な溶媒中のアミド化合物bとの反応により、本明細書に記載の化合物、すなわち、構造cを有する式(I)の化合物が生成される。アミド化合物bは、基Qの性質に基づいて選択された適切な脱離基LG、例えば、ハロゲンまたはトシレートを含む。構造cを有する化合物の適切なさらなる誘導体化反応は、置換基R、R、A、Y、およびBの性質に基づいて、選択することができる。
【0064】
化合物aとbのカップリングは、化合物aとbの正確な性質に基づいて選択された適切な試薬によって触媒される。例えば、化合物bのLGがハロゲンである場合(例えば、LGがクロロである場合)、化合物aおよびbのカップリングは、塩基、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムによって触媒され得る。時には、カップリング反応に、触媒が必要でないこともある。
【0065】
時には、構造bを有する化合物とカップリングする前に、適切な試薬で処理することによって、O、S、およびNRから選択されるQを有する化合物aは、O、S、およびNRからなる群の異なるメンバーから選択されるQを有する化合物に変換することができる。例えば、Q=Oの構造aを有する化合物は、例えばローソン試薬または五硫化二リンのような硫化試薬での処理によって、Q=Sの構造aを有する化合物に変換することができる。次いで、そのような化合物を構造bを有する化合物とカップリングして、本明細書に記載の化合物、すなわち、構造cを有する式(I)の化合物を生成することができる。
【0066】
化合物aおよびbは、市販で購入するか、または市販の出発物質から様々な方法で調製することができる。例えば、構造bを有するアミド化合物は、例えば、アシルクロリドとアミンとの反応によって調製することができる。
【0067】
構造cを有する化合物を本明細書に開示される他の化合物に変換する、さらなる誘導体化反応は、化合物cにおける置換基R、R、A、Y、およびB、ならびに誘導体化合物において望ましい官能基の性質に基づいて、選択することができる。例えば、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に、当該技術分野で既知の方法(例えば、メチル化、保護基の付加など)によりさらに誘導体化が可能なヘテロシクロ環、例えばピペリジン環、を形成して、本明細書に記載の式(I)の様々な他の化合物を形成することができる。
【0068】
薬学的製剤、投薬、および投与経路
本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩)、および薬学的に許容される賦形剤を含む医学的製剤がさらに提供される。
【0069】
本明細書に記載の化合物は、治療上有効量(例えば、異常なEGFRに関連する疾患または障害の症状を予防または緩和するのに十分な量)で対象に投与することができる。化合物は、単独で、または薬学的に許容される組成物もしくは製剤の一部として、投与され得る。加えて、化合物は、一度に投与されても、複数回投与されても、またはある期間にわたって実質的に一様に送達されてもよい。化合物の用量が、経時的に変化し得ることにも留意されたい。
【0070】
特定の対象に対する特定の投与レジメンは、化合物、投与される化合物の量、投与経路、および任意の副作用の原因および程度に部分的に依存するであろう。本開示による対象(例えば、ヒト等の哺乳動物)に投与される化合物の量は、妥当な時間枠にわたって所望の応答をもたらすのに十分でなければならない。投与量は、典型的には、投与の経路、タイミング、および頻度に依存する。したがって、臨床医は、投与量の力価を定め、最適な治療効果を得るために投与経路を修正する。従来の範囲探索の技術は、当業者に既知である。
【0071】
単に例示として、この方法は、上記の要因に応じて、例えば、約0.1mg/kg~約100mg/kgの本明細書に記載の化合物を投与することを含む。他の実施形態では、投与量は、1mg/kg~約100mg/kg、または5mg/kg~約100mg/kg、または10mg/kg~約100mg/kgの範囲である。ある状況では、長期の治療を必要とし、より低い用量の化合物を、複数回にわたって投与することを伴うかもしれないし、伴わないかもしれない。必要であれば、化合物の用量は、1日を通して適切な間隔で別個に、2、3、4、5、6、またはそれ以上のサブ用量(sub-dose)として、任意選択的に単位剤形で、投与される。治療期間は、特定の状態応じ、1日~数ヶ月間続き得る。
【0072】
本明細書に開示される化合物(例えば、式(I)の化合物)を含む医薬組成物のような生理学的に許容される組成物を投与する好適な方法は、当技術分野で周知である。2つ以上の経路を使用して化合物を投与することができるが、特定の経路は別の経路よりも迅速かつ効果的な反応を提供し得る。状況に応じて、本化合物を含む医薬組成物は、体腔に適用もしくは滴下注入され、皮膚もしくは粘膜を通じて吸収され、摂取され、吸入され、および/または循環中に導入される。例えば、ある特定の状況では、薬剤を含む医薬組成物を、経口で、注射を通じて、または静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、病巣内、髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、尿道、膣内、もしくは直腸のうちの1つの手段より、送達することが望ましい。化合物は、徐放システムによって、または埋め込みデバイスによって投与することができる。
【0073】
投与を容易にするために、本化合物は、様々な態様では、担体(例えば、ビヒクル、アジュバント、または希釈剤)を含む生理学的に許容される組成物に製剤化される。採用される特定の担体は、溶解度および化合物との反応性の欠如などの化学物理的考慮事項、ならびに投与経路のみによって制限される。生理学的に許容される担体は、当該技術分野で周知である。注射可能物の使用に好適な例示的薬学的形態としては、滅菌水溶液または分散液、および注射可能な滅菌溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。注射可能な製剤は、例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia.Pa.,Banker and Chalmers,eds.,pages 238-250(1982)、およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,pages 622-630(1986))にさらに記載されている。本化合物を含む医薬組成物は、1つの態様では、かかる医薬組成物の使用に関する指示を提供する包装材料と共に、容器内に配置される。一般に、そのような指示には、試薬濃度、ならびにある特定の実施形態では、医薬組成物を再構成するのに必要であり得る賦形剤成分または希釈剤(例えば、水、生理食塩水、またはPBS)の相対量を説明する具体的な表現が含まれる。
【0074】
非経口注射に好適な組成物は、生理学的に許容される滅菌水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、および注射可能な滅菌溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの好適な混合物、植物油(オリーブ油等)、およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング剤の使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0075】
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤等のアジュバントも含有し得る。微生物汚染は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を添加することによって防止され得る。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましい場合もある。注射可能な医薬組成物の長期な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0076】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、粉剤、および顆粒剤が含まれる。かかる固体剤形では、本活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの通例の不活性賦形剤(もしくは担体)、または(a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、およびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(a)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(h)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト、(i)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物と混合される。カプセル剤および錠剤の場合、剤形は、緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物を、賦形剤、例えば、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用することもできる。
【0077】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤等の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶性コーティングおよび当該技術分野で周知の他のものを用いて調製され得る。固体剤形は、乳白剤も含有し得る。さらに、固体剤形は、それらが本活性化合物(複数可)を腸管のある特定の部分に遅延様式で放出するように、包埋組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスである。本活性化合物は、任意選択的に、1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化形態でもあり得る。
【0078】
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容される乳濁液、溶剤、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。本活性化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物等を含有し得る。
【0079】
かかる不活性希釈剤に加えて、本組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤も含み得る。懸濁液は、本活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、ならびにトラガカント、またはこれらの物質の混合物等を含有し得る。
【0080】
製剤化されると、溶液は、投与製剤に適合する方法で、治療的に有効な量で投与される。製剤は、注射液、薬物放出カプセルなどの様々な剤形で容易に投与される。例えば、水溶液での非経口投与の場合、必要に応じて溶液を好適に緩衝し、液体希釈剤を十分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張にする必要がある。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与に特に好適である。
【0081】
人体で実施される方法の特許取得を禁止する管轄では、ヒト対象に組成物を「投与する」という意味は、ヒト対象が任意の技術(例えば、経口、吸入、局所適用、注射、挿入等)によって自己投与する規制物質を処方することに限定されるものとする。特許可能な対象を定義する法律または規則に準拠する最広義の合理的解釈が意図される。人体で実施される方法の特許取得を禁止しない管轄では、組成物の「投与」には、人体で実施される方法のみならず、前述の行為も含まれる。
【0082】
使用方法
本明細書に記載の化合物は、EGFRを調節することができる。一部の実施形態では、化合物は、EGFRの二量体化を阻害する。様々な実施形態では、化合物は、EGFRの分解を誘導する。
【0083】
EGFRは癌遺伝子および癌の重要な分子標的として明確に特定されているが、依然として、この癌遺伝子の活性を調節するための改善されたアプローチに対する多大な必要性および機会が存在する。二量体化を遮断する細胞透過性ペプチド(ディスラプチン)またはsiRNAを使用すると、EGFR分解が、TKI耐性細胞でさえ、細胞生存に大きな影響を与えることが示されている(14、23、25、26)。理論に縛られることなく、ほとんどの正常な細胞は高レベルのEGF/EGFRを発現せず、したがって化合物8Cの影響を受けるとは予想されない対称的な二量体を形成するため、二量体化を阻害する小分子による活性EGFR(腫瘍に豊富)の分解が選択的であると仮定される。このアプローチは、TKI耐性腫瘍において二量体界面は無傷のままであるため、TKI耐性腫瘍細胞でも効果的である(図1Aおよび図1Bを参照)。ここ記載されたアプローチは、現在承認されている治療法と比較し独特である。EGFRのキナーゼ活性を単に阻害するのではなく、EGFRタンパク質を分解することによって、この薬剤が、正常組織と比較して腫瘍細胞に豊富なEGF結合EGFRにのみに影響を与え、それによって安全性プロファイルおよび治療ウィンドウが改善されるという事実から、腫瘍組織を標的とする能力を改善しながら前臨床モデルでの広範囲の活性が実証されている。
【0084】
EGFRのキナーゼ活性を単に阻害するのではなく、EGFRを分解するアプローチは、非小細胞肺癌の患者で常に発症するオシメルチニブに対する耐性を克服する。この用途の焦点は肺癌であるものの、追加的かつ重要な臨床の機会は、頭頸部癌、大直腸、膠芽腫などのEGFRによって駆動される他の癌にも存在する。したがって、腫瘍における腫瘍タンパク質の標的化された選択的な分解は、キナーゼ活性の阻害を超える新しいメカニズムを表し、このアプローチは、他の発癌性タンパク質に適用できるかもしれない(22、25、26、46)。
【0085】
本明細書に開示される化合物は、異常なEGFR活性に起因する疾患または障害の治療または予防に特に有利である。
【0086】
本明細書で使用される場合、「異常なEGFR活性」は、上皮成長因子受容体(EGFR)の突然変異および過剰発現に関連する活性を指す。そのような変異と過剰発現は、様々な癌の発症と関連している(Shan et al.,Cell 2012,149(4)860-870)。
【0087】
EGFRの生物学的役割の重要性を考慮すると、本開示の化合物は、様々な状況における多くの用途に有用である。例えば、最も単純には、本開示の活性剤は、細胞におけるEGFRの二量体化を阻害するために有用である。これに関して、本開示は、細胞におけるEGFRの二量体化を阻害する方法を提供する。本方法は、二量体化を阻害するのに有効な量で、細胞を、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む。一部の態様では、細胞は、インビトロもしくはエクスビボの細胞培養物、またはインビトロもしくはエクスビボの組織サンプルの一部である。一部の態様では、細胞は、インビボの細胞である。特定の実施形態では、方法は、研究目的を意図しており、他の実施形態では、方法は、治療目的を意図している。
【0088】
EGFR二量体化の阻害は、EGFR分解の増加につながる。したがって、本開示は、細胞におけるEGFR分解を増加させる方法をさらに提供する。この方法は、分解を増加させるのに有効な量で、細胞を、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む。一部の態様では、細胞は、インビトロもしくはエクスビボの細胞培養物、またはインビトロもしくはエクスビボの組織サンプルの一部である。一部の態様では、細胞は、インビボの細胞である。特定の実施形態では、方法は、研究目的を意図しており、他の実施形態では、方法は、治療目的を意図している。
【0089】
本明細書に示されるように、EGFRの二量体化を阻害する化合物は、腫瘍細胞死を増加させる。したがって、本開示は、対象における腫瘍細胞死を増加させる方法を提供する。本方法は、腫瘍細胞死を増加させるのに有効な量で、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
【0090】
前述に従って、本開示は、対象における癌を治療する方法をさらに提供する。本方法は、対象における癌を治療するのに有効な量で、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
【0091】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語、ならびにそれに関連する言葉は、必ずしも100%または完全な治療を意味するものではない。むしろ、様々な程度の治療があり、当業者は、潜在的な利益または治療効果を有するものとして認識している。この点で、本開示の癌を治療する方法は、任意の量または任意のレベルの癌の治療を提供することができる。さらに、本開示の方法によって提供される治療は、治療される癌の1つ以上のの状態または症状の治療を含み得る。また、本開示の方法によって提供される治療は、癌の進行を遅らせることを包含し得る。例えば、本方法は、腫瘍または癌の成長を低減すること、腫瘍細胞の転移を低減すること、腫瘍または癌細胞の細胞死を増加させることなどによって、癌を治療することができる。
【0092】
本明細書に開示される方法によって治療可能な癌は、任意の癌、例えば、リンパ系または血流を通じて身体の他の部分に広がる可能性のある異常かつ制御されない細胞分裂によって引き起こされる任意の悪性増殖または腫瘍であり得る。一部の実施形態では、癌は、EGFRが癌の細胞によって発現される癌である。一部の態様では、癌は、EGFRタンパク質が過剰発現され、EGFRをコードする遺伝子が増幅され、および/またはEGFR変異タンパク質(例えば、切断EGFR、点変異EGFR)が発現される癌である。
【0093】
癌は、一部の態様では、急性リンパ球性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、骨癌、脳癌、乳癌、肛門癌、肛門管癌、または肛門直腸癌、眼癌、肝内胆管癌、関節の癌、頚部癌、胆嚢癌、または胸膜の癌、鼻、鼻腔、または中耳の癌、口腔の癌、外陰部癌、白血病(例えば、慢性リンパ球性白血病)、慢性骨髄癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎癌、喉頭癌、肝癌、肺癌、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、上咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵癌、腹膜、網、および腸間膜癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌(例えば、腎細胞癌(RCC))、小腸癌、軟部組織癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿管癌、および膀胱癌、からなる群から選択されるものである。特定の態様では、癌は、頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌および食道癌、膵癌、胃腸癌、胃癌、乳癌、子宮内膜癌および大腸癌、肝細胞癌、膠芽腫、膀胱癌、肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞癌、からなる群から選択される。特定の態様では、癌は、オシメルチニブ耐性癌である。場合によっては、癌は、膵癌、頭頸部癌、黒色腫、結腸癌、腎癌、白血病、または乳癌である。場合によっては、癌は、黒色腫、結腸癌、腎癌、白血病、または乳癌である。
【0094】
EGFRを調節するための、または異常なEGFR活性に関連する疾患または障害を治療または予防するための薬剤の調製における、本明細書に開示される化合物の使用もまた、本明細書に提供される。
【0095】
本明細書の開示は、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【0096】
本開示の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、例示された実施形態は単なる例であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを認識されたい。
【実施例0097】
【化8】
【0098】
3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-3-エン-2-チオンの溶液、無水アセトニトリル中の6に、アセトアミド7A-G(1当量)を添加した。反応混合物を、40℃に加温した。次に、2M炭酸カリウム水溶液(1当量)を反応混合物に添加した。TLCで出発物質の減少および新しいRのスポットが示されるまで(典型的に2~6時間)、反応を40℃に維持した。TLCにより反応の完了が確認できたら、反応の後処理(ワークアップ)を行った。粗反応混合物を分液漏斗に注ぎ、酢酸エチルおよび水を添加した。有機層を分離し、次いでブラインで洗浄した(1x)。次いで、有機層を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。粗生成物を、最小量の酢酸エチルを使用して、シリカカラムに負荷した。カラムカラムを、事前に平衡化された別のシリカカラムの上に配置した。典型的には、ヘプタン中での酢酸エチルの勾配(1~100%)、またはジクロロメタン中でのメタノールの勾配(0~10%)を使用して、生成物を溶出した。生成物の画分を減圧下で濃縮して、所望の生成物を得た。
【0099】
実施例2-化合物8Aの合成(2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(6-メトキシピリジン-3-イル)アセトアミド)
アセトアミド7Aを使用して、一般手順Aに従った。粗生成物を、10%メタノール/ジクロロメタン溶液で溶出が起こるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.30(s,1H),8.31(d,J=2.29 Hz,1H),7.74-7.86(m,5H),6.78(d,J=8.87 Hz,1H),4.14(s,2H),3.79(s,3H),2.50-2.67(m,4H),2.24(s,3H),1.55-1.75(m,4H);MS(ESI+m/z 503.10,ESI-m/z 501.10);TLC:(90:10:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.56。
【0100】
実施例3-化合物8Bの合成(2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(6-クロロピリジン-3-イル)アセトアミド)
アセトアミド7Bを使用して、一般手順Aに従った。粗生成物を、10%メタノール/ジクロロメタン溶液で溶出が起こるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.72(s,1H),8.63(s,1H),8.10(br d,J=9.15 Hz,1H),7.85(q,J=8.23 Hz,4H),7.53(d,J=8.60 Hz,1H),4.24(s,2H),2.56-2.81(m,4H),2.27(br s,3H),1.55-1.85(m,4H);MS(ESI+m/z 507.95,ESI-m/z 505.95);TLC:(95:5:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.17。
【0101】
実施例4-化合物8Cの合成(2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド)
アセトアミド7Cを使用して、一般手順Aに従った。粗生成物を、10%メタノール/ジクロロメタン溶液で溶出が起こるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.89(br s,1H),8.95(s,1H),8.67(s,1H),7.96(br d,J=8.33 Hz,1H),7.92(br d,J=8.33 Hz,1H),7.78-7.87(m,4H),7.52-7.72(m,2H),4.29(s,2H),2.43-2.52(m,4 H),2.18(br s,3H),1.55-1.85(m,4H);MS(ESI+m/z 523.05,ESI-m/z 521.00);TLC:(90:10:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.47。
【0102】
実施例5-化合物8Dの合成(2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(ピリジン-4-イル)アセトアミド)
アセトアミド7Dを使用して、一般手順Aに従った。粗生成物を、13%メタノール/ジクロロメタン溶液で溶出が起こるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.66(s,1H),8.41(br d,J=6.13 Hz,2H),7.78(q,J=8.51 Hz,4H),7.52(d,J=6.04 Hz,2H),4.18(s,2H),2.50-2.73(m,4 H),2.19(br s,3H),1.28-1.91(m,4H);MS(ESI+m/z 473.05,ESI-m/z 471.05);TLC:(90:10:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.24。
【0103】
実施例6-化合物8Eの合成(2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-シクロヘキシルアセトアミド)
アセトアミド7Eを使用して、一般手順Aに従った。一般手順Aにおけるワークアップ手順に従って、カラム精製なしで標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.04(br d,J=7.78 Hz,1H),7.78(q,J=8.63 Hz,4H),3.89(s,2H),3.45-3.55(m,1H),2.50-2.71(m,4 H),2.29(s,3H),1.58-1.80(m,7H),1.51(br d,J=12.44 Hz,1H),1.05-1.28(m,6 H);MS(ESI+m/z 478.90,ESI-m/z 476.90);TLC:(90:10:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.60。
【0104】
実施例7-化合物8Fの合成(2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-シクロペンチルアセトアミド)
アセトアミド7Fを使用して、一般手順Aに従った。粗生成物を、10%メタノール/ジクロロメタン溶液で溶出が起こるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.15(br d,J=6.77 Hz,1H),7.79(q,J=8.42 Hz,4H),3.92-4.01(m,1H),3.91(s,2H),2.50-2.71(m,4 H),2.32(s,3H),1.58-1.82(m,8H),1.45-1.54(m,2H),1.38(td,J=6.27,12.35 Hz,2H);MS(ESI+m/z 464.10,ESI-m/z 462.15);TLC:(90:10:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.62。
【0105】
実施例8-化合物8Gの合成(N-ベンジル-2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)アセトアミド)
アセトアミド7Gを使用して、一般手順Aに従った。粗生成物を、10%メタノール/ジクロロメタン溶液で溶出が起こるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.65(br t,J=5.81 Hz,1H),7.73-7.82(m,4H),7.17-7.30(m,5H),4.27(d,J=5.95 Hz,2H),3.99(s,2H),2.50-2.73(m,5 H),2.28(s,3H),1.66(br s,3H);MS(ESI+m/z 486.00,ESI-m/z 484.10);TLC:(90:10:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.59。
【0106】
実施例9~11-化合物3~5の合成
【0107】
【化9】
【0108】
実施例9-化合物3の合成(tert-ブチル 4-(2-((3-クロロ-4-メトキシフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)-2-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート)
tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートの溶液、無水DMF中の1に、水素化ナトリウム(2当量)を添加した。反応混合物を、40℃に30分間加温した。次に、2-クロロ-N-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)アセトアミド塩酸塩、2(1.76当量)を、反応混合物に添加した。反応混合物を40℃に保ち、Nの流下で攪拌した。5時間後、TLCは出発物質が残留していることを示したが、反応を精製した。粗反応混合物を、室温に冷却し、次いでシリカ上に装填した。ドライロードされた材料を、ドライロードカラムに入れて、充填した。ドライロードカラムを、事前に平衡化した(ヘプタン中1%の酢酸エチル)シリカカラムの上に配置した。粗生成物を、ヘプタン中1~100%の酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製した。所望の画分(50%の酢酸エチルで溶出)を収集し、減圧下で濃縮して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.67(s,1H),8.46(d,J=8.97 Hz,2H),7.55(d,J=2.56 Hz,1H),7.27-7.39(m,1H),6.99(d,J=8.97 Hz,2H),6.84(d,J=8.87 Hz,1H),4.01-4.22(m,2H),3.88(s,3H),3.86(s,3H),3.39(m,2H),2.21(dt,J=4.80,12.69Hz,2H),1.50(s,9H),1.19-1.40(m,4H);MS(ESI+m/z 501,ESI-m/z 556.15);TLC:(50:50 EA:HEP)R=0.21。
【0109】
実施例10-化合物4の合成(N-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-2-(3-(4-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-3-エン-1-イル)アセトアミド塩酸塩)
3の溶液、無水ジオキサン中のtert-ブチル4-(2-((3-クロロ-4-メトキシフェニル)アミノ)-2-オキソエチル)-2-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートに、ジオキサン中の4MのHCl(3.3当量)を添加した。1時間後、TLCで反応が観察されなかったため、ジオキサン(3.3当量)中の4MのHClの追加部分を追加した。1時間後、新しいスポット(ベースライン)が観察されたが、出発物質が残留していた。ジオキサン(3.3当量)中の4MのHClの追加部分を添加し、反応混合物を、40℃で一晩撹拌した。一晩、反応混合物中に黄色沈殿が形成された。固体をフリット漏斗で濾過し、過剰のジオキサンですすいだ。固体をバイアルに移し、減圧下で乾燥して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.48(s,1H),9.22(br d,J=9.70 Hz,1H),8.93(br d,J=10.70 Hz,1H),8.39(d,J=8.97 Hz,2H),7.78(d,J=2.47 Hz,1H),7.45(dd,J=2.52,9.01Hz,1H),7.07-7.14(m,3H),4.98(br s,2H),4.25(s,2H),3.84(s,3H),3.81(s,3H),3.39-3.48(m,2H),3.25-3.39(m,2H),1.55(br d,J=13.45Hz,2H);MS(ESI+m/z 457.10,ESI-m/z 455.10);TLC:(95:5:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.03。
【0110】
実施例11-化合物5の合成(N-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-2-(3-(4-メトキシフェニル)-8-メチル-2-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-3-エン-1-イル)アセトアミド)
4の溶液、メタノール中のN-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-2-(3-(4-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-3-エン-1-イル)アセトアミド塩酸塩に、ホルムアルデヒド水溶液(37重量%溶液、7当量)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いでトリアセトキシボロヒドリド(3当量)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。翌朝、TLC(95:5:0.5、DCM:MeOH:NHOH)で、新しいより高いスポットRを伴って、反応が完了したこと示した。粗反応物を分液漏斗に注いだ。分液漏斗にジクロロメタンを添加した。有機層を飽和NaHCO水溶液(1x)、続いてブライン(1x)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.15(s,1H),8.34(d,J=8.97 Hz,2H),7.74(d,J=2.47 Hz,1H),7.39(dd,J=2.56,8.97Hz,1H),7.03-7.12(m,3H),4.24(s,2H),3.81(s,3H),3.80(s,3H),2.78(br s,2H),2.29(br s,3H),2.15-2.26(m,2H)1.13-1.33(m,3H);MS(ESI+m/z 471.10);TLC:(95:5:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.23。
実施例12~14-化合物10、11、および12の合成
【0111】
【化10】
【0112】
実施例12-化合物10の合成(tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-((2-((6-メトキシピリジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート)
tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシラートの溶液、無水THF中の1、にローソン試薬(1当量)を添加した。反応混合物を室温で48時間撹拌した後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。粗反応混合物をシリカ上にドライロードした。ドライロードされた材料をドライロードカラムに入れ、充填した。ドライロードカラムを、事前に平衡化した(ヘプタン中2%の酢酸エチル)シリカカラムの上に配置した。粗生成物を、ヘプタン中の2~100%の酢酸エチルの勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製した。所望の画分(50%の酢酸エチルでの溶出)を収集し、減圧下で濃縮して、粗固形物を得た。固体をヘプタン、ジクロロメタン、および酢酸エチルの混合物(3:2:1 v/v)で粉砕し、フリット漏斗で濾過して、9 tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを得た。MS(ESI+m/z 376.9,ESI-m/z 374.9);TLC:(95:0.5:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.68。
【0113】
次に、tert-ブチル 2-(4-メトキシフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートの溶液、無水アセトニトリル中の9に、2-クロロ-N-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)アセトアミド塩酸塩、2(1当量)を添加した。反応混合物を、40℃に加温した。次に、2Mの炭酸カリウム水溶液(2当量)を、反応混合物に添加した。TLCで、出発物質の減少が示され、より低いRの2つの新しいスポットが観察されるまで、40℃で一晩、反応を継続した。粗反応混合物を分液漏斗に注いだ。漏斗に、酢酸エチルおよび水を添加した。有機層を分離し、次いでブラインで洗浄した(1x)。次いで、有機層を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、最少量のジクロロメタンを使用して、シリカカラムに装填した。カラムを、事前に平衡化された別のシリカカラムの上に配置した。ヘプタン中の酢酸エチルの勾配(1~35%)を使用して、フラッシュクロマトグラフィーにより生成物を溶出した。生成物画分を減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.30(s,1H),8.32(d,J=2.38 Hz,1H),7.84-7.91(m,3H),7.12(d,J=8.97 Hz,2H),6.80(d,J=8.97 Hz,2H),4.15(s,2H),3.84(s,3H),3.82(s,3H),3.63-3.72(m,2H),3.47-3.56(m,2H),1.72(br t,J=8.78 Hz,2H),1.42(br s,11H);MS(ESI+m/z 540.20,ESI-m/z 538.15);TLC:(50:50,EA:Hep)R=0.29。
【0114】
実施例13-化合物11の合成(2-((3-(4-メトキシフェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(6-メトキシピリジン-3-イル)アセトアミド塩酸塩)
10の溶液、無水ジオキサン中のtert-ブチル 2-(4-メトキシフェニル)-3-((2-((6-メトキシピリジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートに、ジオキサン中の4MのHCl(3当量)を添加した。2時間後、TLCで出発物質は観察されず、新しいスポット(ベースライン)が形成された。反応混合物中に黄色沈殿が形成された。固体をフリット漏斗で濾過し、過剰のジオキサンですすいだ。固体が不純であったため、最小量のジクロロメタンを使用してシリカカラム上に装填した。ジクロロメタン中のメタノールの勾配(0~15%)を使用して、フラッシュクロマトグラフィーを介して生成物を溶出した。生成物画分を減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.40(s,1H),8.45-8.60(br s,1H),8.25-8.43(m,1H),7.85-7.93(m,3H),7.12(d,J=8.87 Hz,2H),6.80(d,J=8.78 Hz,2H),4.18(s,2H),3.84(s,3H),3.81(s,3H),3.22-3.56(m,4H),1.84-2.01(m,2H),1.60-1.75(m,2H);MS(ESI+m/z 440.10,ESI-m/z 438.10);TLC:(50:50,EA:Hep)R=0.25。
【0115】
実施例14-化合物12の合成(2-((3-(4-メトキシフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(6-メトキシピリジン-3-イル)アセトアミド)
11の溶液、95:5のジクロロメタン:メタノール中の2-((3-(4-メトキシフェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(6-メトキシピリジン-3-イル)アセトアミド塩酸塩に、ホルムアルデヒド水溶液(37重量%の溶液、7当量)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでトリアセトキシボロヒドリド(3当量)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。翌朝、TLC(95:5:0.5、DCM:MeOH:NHOH)は、新しいより高いRスポットを伴って、反応が完了したことを示した。粗反応物を分液漏斗に注いだ。分液漏斗にジクロロメタンと水を添加した。有機層を分離し、ブラインで洗浄した(1x)。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物が不純であったため、最小量のジクロロメタンを使用してシリカカラム上に装填した。ジクロロメタン中のメタノールの勾配(0~10%)を使用して、フラッシュクロマトグラフィーを介して生成物を溶出した。生成物画分を減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.33(s,1H),8.35(d,J=2.38 Hz,1H),7.85-7.91(m,3H),7.12(d,J=8.02 Hz,2H),6.81(d,J=9.06 Hz,1H),4.16(s,2H),3.85(s,3H),3.82(s,3H),2.53-2.81(m,4H),2.15-2.40(m,2H),1.92(s,3H),1.50-1.80(m,2H);MS(ESI+m/z 454.10,ESI-m/z 452.10);TLC:(95:5:0.5,DCM:MeOH:NHOH)R=0.22。
【0116】
実施例15~28:化合物33a~33lの合成
【0117】
【化11】
【0118】
(i)の一般的な反応条件:tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、THF(0.1M)中のローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。
【0119】
(ii)の一般的な反応条件:DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシラートを提供した。
【0120】
(iii)の一般的な反応条件:DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8へ-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシラート(1当量)の溶液にジオキサン中の4MのHClの溶液(2当量)を添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHF(0.1M)およびトリエチルアミン(5当量)に取り、適切な求電子試薬(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)により精製して、所望の生成物を提供した。
【0121】
実施例15~28
化合物33a 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-イソプロピル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.81(s,1H),8.97-8.90(m,1H),8.00-7.95(m,1H),7.95-7.90(m,1H),7.89-7.83(m,2H),7.83-7.77(m,2H),7.71-7.63(m,1H),7.62-7.55(m,1H),4.26(s,2H),2.73-2.60(m,4H),1.88-1.71(m,2H),1.62-1.40(m,2H),0.90(s,3H),0.88(s,3H)。
【0122】
化合物33b 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-イソペンチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),7.99-7.94(m,1H),7.94-7.90(m,1H),7.88-7.83(m,2H),7.83-7.78(m,2H),7.69-7.62(m,1H),7.62-7.54(m,1H),4.26(s,2H),3.48-3.36(m,4H),2.67-2.56(m,2H),2.31-2.12(m,2H),1.62-1.38(m,2H),1.28-1.15(m,2H),0.81(d,J=6.5 Hz,6H)。
【0123】
化合物33c 2-((8-ベンジル-3-(4-ブロモフェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド 1H NMR(400 MHz,メタノール-d4)δ8.17(d,J=2.5 Hz,1H),7.95(d,J=2.5 Hz,1H),7.25-7.19(m,1H),7.12-7.02(m,3H),6.96-6.87(m,3H),6.85-6.78(m,1H),6.43-6.30(m,3H),6.30-6.17(m,2H),3.42-3.34(m,2H),2.76-2.60(m,4H),2.10-1.95(m,2H),1.95-1.78(m,2H)。
【0124】
化合物33d 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-エチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド 1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.82(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.4 Hz,1H),7.97(d,J=8.4 Hz,1H),7.93(d,J=8.1 Hz,1H),7.85(d,J=8.5 Hz,2H),7.81(d,J=8.5 Hz,2H),7.69-7.63(m,1H),7.62-7.53(m,1H),4.27(s,2H),2.66(s,4H),2.48-2.33(m,2H),1.90-1.40(m,2H),1.02-0.91(m,3H)。
【0125】
化合物33e 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-プロピル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド 1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.4 Hz,1H),7.99-7.95(m,1H),7.93(dd,J=8.1,1.5 Hz,1H),7.88-7.83(m,2H),7.83-7.78(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.8,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.2,6.9,1.3 Hz,1H),4.26(s,2H),2.67-2.55(m,4H),2.29-2.16(m,2H),1.90-1.69(m,2H),1.63-1.41(m,2H),1.40-1.29(m,2H),0.79(t,J=7.3 Hz,3H)。
【0126】
化合物33f 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-イソブチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド 1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.95(d,J=2.6 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),8.00-7.94(m,1H),7.94-7.90(m,1H),7.87-7.83(m,2H),7.83-7.78(m,2H),7.69-7.62(m,1H),7.62-7.54(m,1H),4.26(s,2H),2.65-2.52(m,4H),2.06-1.93(m,2H),1.92-1.75(m,2H),1.72-1.37(m,3H),0.80(d,J=6.5 Hz,6H)。
【0127】
化合物33g 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.4 Hz,1H),8.00-7.95(m,1H),7.95-7.91(m,1H),7.88-7.83(m,2H),7.83-7.78(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.9,1.3 Hz,1H),4.28(s,2H),2.68-2.54(m,6H),1.96-1.40(m,6H)。
【0128】
化合物33h 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-シクロペンチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.82(s,1H),8.96(s,1H),8.68(s,1H),8.03-7.90(m,2H),7.90-7.77(m,4H),7.73-7.63(m,1H),7.62-7.54(m,1H),4.25(s,2H),2.77-2.23(m,5H),2.03-0.83(m,12H)。
【0129】
化合物33i 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-シクロブチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.81(s,1H),8.96(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),8.00-7.96(m,1H),7.95-7.90(m,1H),7.88-7.83(m,2H),7.83-7.77(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.2,6.9,1.4 Hz,1H),4.25(s,2H),2.67-2.54(m,1H),2.49-2.28(m,1H),1.91-1.61(m,5H),1.63-1.10(m,4H)。
【0130】
化合物33 j 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド1H NMR(400 Mhz,クロロホルム-d)δ9.88(s,1H),8.85-8.76(m,1H),8.65(d,J=2.6 Hz,1H),8.11-8.02(m,1H),7.87-7.77(m,3H),7.70-7.61(m,3H),7.56(ddd,J=8.1,6.9,1.2 Hz,1H),7.47(d,J=0.7 Hz,1H),7.37(s,1H),4.00(s,2H),3.91(s,3H),3.62(s,2H),3.04-2.72(m,4H),2.40-2.07(m,2H),1.78(s,2H)。
【0131】
化合物33k 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-((1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド 1H NMR(400 Mhz,クロロホルム-d)δ9.89(s,1H),8.80(d,J=2.5 Hz,1H),8.66(d,J=2.6 Hz,1H),8.08-7.98(m,1H),7.87-7.76(m,3H),7.69-7.63(m,3H),7.56(ddd,J=8.2,6.9,1.2 Hz,1H),7.50(d,J=0.9 Hz,1H),7.44(s,1H),4.50(p,J=6.7 Hz,1H),4.01(s,2H),3.62(s,2H),3.09-2.76(m,4H),2.40-2.12(m,2H),1.74(d,J=35.2 Hz,2H),1.53(d,J=6.7 Hz,5H)。
【0132】
化合物33l 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-(メチル-d2)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド 1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.4 Hz,1H),7.97(dd,J=8.3,1.1 Hz,1H),7.93(dd,J=8.1,1.4 Hz,1H),7.89-7.83(m,2H),7.83-7.78(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.9,1.3 Hz,1H),4.28(s,2H),2.74-2.54(m,5H),1.98-1.36(m,4H)。
【0133】
実施例29~34:化合物34a~34fの合成
【0134】
【化12】
【0135】
化合物34aの合成 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-4-イル)アセトアミド
【0136】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-4-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加し、反応混合物を10時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を合わせ、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%EtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-6-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.65(s,1H),8.80(dd,J=4.2,1.7Hz,1H),8.34(d,J=2.4Hz,1H),8.37-8.27(m,1H),8.04-7.92(m,1H),7.92-7.76(m,5H),7.49(dd,J=8.3,4.2Hz,1H),4.27(s,2H),3.70-3.58(m,2H),3.57-3.46(m,2H),1.74(d,J=12.6,8.4,3.9Hz,2H),1.56-1.44(m,2H),1.37(s,9H)。
【0137】
DCM中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-6-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を4時間撹拌することを可能にした。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、ホルムアルデヒド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%MeOH)で精製して、2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-6-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.67(s,1H),8.80(dd,J=4.2,1.7 Hz,1H),8.35(d,J=2.4 Hz,1H),8.29(d,J=8.1 Hz,1H),7.99(d,J=9.1 Hz,1H),7.89-7.77(m,5H),7.49(dd,J=8.3,4.2 Hz,1H),4.26(s,2H),2.67-2.54(m,4H),2.22(s,3H),1.85-1.40(m,4H)。
【0138】
化合物34bの合成 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-6-イル)アセトアミド
【0139】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-6-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加し、反応混合物を10時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を組み合わせ、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%EtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-6-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.65(s,1H),8.80(dd,J=4.2,1.7 Hz,1H),8.34(d,J=2.4 Hz,1H),8.33-8.27(m,1H),8.04-7.92(m,1H),7.92-7.76(m,5H),7.49(dd,J=8.3,4.2 Hz,1H),4.27(s,2H),3.70-3.58(m,2H),3.57-3.46(m,2H),1.74(d,J=12.6,8.4,3.9 Hz,2H),1.56-1.44(m,2H),1.37(s,9H)。
【0140】
DCM中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-6-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を4時間撹拌することを可能にした。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、ホルムアルデヒド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-6-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.67(s,1H),8.80(dd,J=4.2,1.7 Hz,1H),8.35(d,J=2.4 Hz,1H),8.29(d,J=8.1 Hz,1H),7.99(d,J=9.1 Hz,1H),7.89-7.77(m,5H),7.49(dd,J=8.3,4.2 Hz,1H),4.26(s,2H),2.67-2.54(m,4H),2.22(s,3H),1.85-1.40(m,4H)。
【0141】
化合物34cの合成 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-5-イル)アセトアミド
【0142】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-5-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加し、反応混合物を10時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を組み合わせ、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-5-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。
【0143】
DCM中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-5-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を4時間撹拌することを可能にした。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、ホルムアルデヒド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-5-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.41(s,1H),8.93(dd,J=4.2,1.6 Hz,1H),8.52(ddd,J=8.6,1.7,0.9 Hz,1H),7.96-7.71(m,7H),7.57(dd,J=8.6,4.2 Hz,1H),4.36(s,2H),2.75 -2.56(m,4H),2.25(s,3H),1.89-1.59(m,4H)。
【0144】
化合物34dの合成 2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-7-イル)アセトアミド
【0145】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-7-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加し、反応混合物を10時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を組み合わせ、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-7-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。
【0146】
DCM中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-7-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を4時間撹拌することを可能にした。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、ホルムアルデヒド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-7-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.69(s,1H),8.85(dd,J=4.2,1.8 Hz,1H),8.40(d,J=2.0 Hz,1H),8.28(d,J=8.1 Hz,1H),7.94(d,J=8.9 Hz,1H),7.91-7.84(m,2H),7.83-7.77(m,2H),7.73(dd,J=8.8,2.1 Hz,1H),7.43(dd,J=8.2,4.2 Hz,1H),4.28(s,2H),2.67-2.55(m,4H),2.20(s,3H),1.91-1.38(m,4H)。
【0147】
化合物34eの合成2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-8-イル)アセトアミド
【0148】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-8-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加し、反応混合物を10時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を組み合わせ、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-8-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。
【0149】
DCM中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-8-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を4時間撹拌することを可能にした。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、ホルムアルデヒド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-8-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.65(s,1H),8.85(dd,J=4.2,1.7 Hz,1H),8.60(dd,J=7.6,1.3 Hz,1H),8.42(dd,J=8.3,1.7 Hz,1H),7.90-7.79(m,4H),7.69(dd,J=8.3,1.4 Hz,1H),7.64(dd,J=8.3,4.2 Hz,1H),7.62-7.56(m,1H),4.34(s,2H),2.50-2.37(m,4H),2.07(s,3H),1.86-1.17(m,4H)。
【0150】
化合物34fの合成2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-メチル-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0151】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-メチル-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加し、反応混合物を10時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を組み合わせ、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-(メチル(キノリン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。
【0152】
DCM中のtert-ブチル2-(4-ブロモフェニル)-3-((2-(メチル(キノリン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシラート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を4時間撹拌することを可能にした。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、ホルムアルデヒド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-メチル-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ9.03(s,1H),8.51(s,1H),8.10(d,J=8.5 Hz,1H),8.00(dd,J=8.4,1.4 Hz,1H),7.89-7.63(m,6H),4.01(s,2H),3.37(s,3H),3.30(s,3H),2.65-2.16(m,7H),1.89-1.18(m,4H)。
【0153】
実施例35~43:化合物35a~35iの合成
【0154】
【化13】
【0155】
化合物35aの合成 2-((3-(4-フルオロフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
メチルアミノ(4-フルオロフェニル)アセテートHClを28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間撹拌すると、2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミドが白色沈殿として生成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチ2-(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.28(s,1H),8.48-8.37(m,2H),7.41-7.31(m,2H),3.71-3.50(m,4H),1.79-1.69(m,2H),1.68-1.56(m,2H),1.44(s,9H)。
【0156】
THF(0.1M)中のtert-ブチ2-(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-フルオロフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ12.60(s,1H),8.38(dd,J=8.5,5.7 Hz,2H),7.34(t,J=8.7 Hz,2H),3.80-3.70(m,2H),3.60-3.45(m,2H),1.86-1.67(m,4H),1.45(s,9H)。
【0157】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-フルオロフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-フルオロフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。
【0158】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-フルオロフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-フルオロフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.74-8.64(m,1H),7.99-7.95(m,1H),7.95-7.92(m,1H),7.91-7.88(m,2H),7.70-7.51(m,4H),4.27(s,2H),3.34(s,3H),2.64-2.55(m,4H),2.26-2.11(m,2H),1.91-1.42(m,4H)。
【0159】
化合物35bの合成 2-((8-メチル-3-フェニル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0160】
メチル2-アミノ-2-フェニルアセテート塩酸塩を28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間撹拌すると、2-アミノ-2-フェニルアセトアミドが白色沈殿として形成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-フェニルアセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して、12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル3-オキソ-2-フェニル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.26(s,1H),8.47-8.23(m,2H),7.61-7.48(m,3H),3.70-3.50(m,4H),1.80-1.68(m,2H),1.68-1.58(m,2H),1.44(s,9H)。
【0161】
THF(0.1M)中のtert-ブチル3-オキソ-2-フェニル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-フェニル-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ12.58(s,1H),8.30-8.23(m,2H),7.60-7.46(m,3H),3.81-3.70(m,2H),3.60-3.44(m,2H),1.86-1.62(m,4H),1.45(s,9H)。
【0162】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-フェニル-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-3-フェニル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。
【0163】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-3-フェニル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((8-メチル-3-フェニル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド)を提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.81(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),8.02-7.90(m,4H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),7.49-7.39(m,2H),4.28(s,2H),2.75-2.56(m,4H),2.24(s,3H),1.99-1.40(m,4H)。
【0164】
化合物35cの合成 2-((3-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0165】
メチル2-アミノ-2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)アセテート塩酸を28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間撹拌すると、2-アミノ-2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)アセトアミドが白色沈殿として生成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して、12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを得た提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.37(s,1H),8.29(dd,J=10.4,1.8 Hz,1H),8.20(ddd,J=8.4,1.8,0.8 Hz,1H),7.78(dd,J=8.4,7.7 Hz,1H),3.69-3.52(m,4H),1.73(d,J=6.8 Hz,4H),1.44(s,9H)。
【0166】
THF溶液(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ12.58(s,1H),8.30-8.23(m,2H),7.60-7.46(m,3H),3.81-3.70(m,2H),3.60-3.44(m,2H),1.86-1.62(m,4H),1.45(s,9H)。
【0167】
DCM中(0.1M)のtert-ブチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシラートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.78(s,1H),8.91(d,J=2.5 Hz,1H),8.71-8.61(m,1H),8.00-7.95(m,1H),7.95-7.91(m,1H),7.90-7.83(m,2H),7.81-7.76(m,1H),7.67(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.2,6.9,1.3 Hz,1H),4.29(s,2H),3.70-3.58(m,2H),3.58-3.45(m,2H),1.82-1.65(m,2H),1.60-1.43(m,2H),1.38(s,9H)。
【0168】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),7.99-7.95(m,1H),7.93(d,J=7.7 Hz,1H),7.89-7.82(m,2H),7.80-7.75(m,1H),7.66(ddd,J=8.5,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),4.29(s,2H),2.63-2.55(m,4H),2.20(s,3H),1.93-1.38(m,4H)。
【0169】
化合物35dの合成 2-((3-(3-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0170】
メチル2-アミノ-2-(3-ブロモフェニル)アセテートを28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間攪拌すると、2-アミノ-2-(3-ブロモフェニル)アセトアミドが白色沈殿として生成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(3-ブロモフェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(3-ブロモフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.33(s,1H),8.54-8.48(m,1H),8.39-8.25(m,1H),7.80(d,J=8.0,2.1,1.1 Hz,1H),7.57-7.44(m,1H),3.60(d,J=19.5 Hz,4H),1.73(d,J=7.4 Hz,2H),1.69-1.55(m,2H),1.44(s,9H)。
【0171】
THF(0.1M)中のtert-ブチル2-(3-ブロモフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(3-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ12.63(s,1H),8.51-8.42(m,1H),8.27(dt,J=7.8,1.3 Hz,1H),7.77(ddd,J=8.0,2.1,1.1 Hz,1H),7.51-7.44(m,1H),3.82-3.68(m,2H),3.61-3.43(m,2H),1.86-1.66(m,4H),1.45(s,9H)。
【0172】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(3-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(3-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.78(s,1H),8.91(d,J=2.6 Hz,1H),8.70-8.59(m,1H),8.05(t,J=1.8 Hz,1H),8.00-7.95(m,1H),7.95-7.90(m,2H),7.84(ddd,J=8.1,2.1,1.0 Hz,1H),7.67(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.61-7.54(m,2H),4.28(s,2H),3.71-3.58(m,2H),3.57-3.46(m,2H),1.80-1.68(m,2H),1.60-1.42(m,2H),1.38(s,9H)。
【0173】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(3-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(3-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.79(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),8.03(t,J=1.8 Hz,1H),7.99-7.93(m,1H),7.93-7.88(m,2H),7.83(ddd,J=8.1,2.1,1.0 Hz,1H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.62-7.54(m,2H),4.28(s,2H),2.59(s,4H),2.21(s,3H),1.94-1.48(m,4H)。
【0174】
化合物35eの合成 2-((8-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0175】
メチルメチルアミノ(2-ナフチル)アセテート塩酸を28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間撹拌すると、2-アミノ-2-(ナフタレン-2-イル)アセトアミドが白色沈殿として生成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(ナフタレン-2-イル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.35(s,1H),9.18-9.11(m,1H),8.28(dd,J=8.6,1.6 Hz,1H),8.12-7.96(m,3H),7.68-7.57(m,2H),3.77-3.64(m,2H),3.64-3.51(m,1H),1.86-1.73(m,2H),1.73-1.62(m,2H),1.45(s,9H)。
【0176】
THF(0.1M)中のtert-ブチル2-(ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(ナフタレン-2-イル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。
【0177】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(ナフタレン-2-イル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(ナフタレン-2-イル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.93(d,J=2.5 Hz,1H),8.73-8.64(m,1H),8.59-8.52(m,1H),8.17-8.09(m,2H),8.09-7.88(m,4H),7.74-7.63(m,3H),7.62-7.55(m,1H),4.32(s,2H),3.68(s,2H),3.61-3.46(m,2H),1.88-1.71(m,2H),1.57-1.43(m,1H),1.39(s,9H)。
【0178】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(ナフタレン-2-イル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((8-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.79(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),7.99-7.95(m,1H),7.95-7.91(m,1H),7.91-7.85(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),7.16-7.10(m,2H),4.26(s,2H),3.86(s,3H),3.32(s,3H),2.65-2.53(m,4H),2.24-2.15(m,2H),1.89-1.29(m,4H)。
【0179】
化合物35fの合成 2-((3-(4-メトキシフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0180】
メチルアミノ(4-メトキシフェニル)アセテート塩酸を28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間撹拌すると、白色沈殿として2-アミノ-2-(4-メトキシフェニル)アセトアミドが形成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(4-メトキシフェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.20(s,1H),8.39-8.29(m,2H),7.11-7.01(m,2H),3.83(s,3H),3.71-3.48(m,4H),1.78-1.67(m,2H),1.67-1.54(m,2H),1.44(s,9H)。
【0181】
THF(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。
【0182】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.77(s,1H),8.92(d,J=2.5 Hz,1H),8.70-8.61(m,1H),7.99-7.93(m,1H),7.93-7.87(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),7.20-7.08(m,2H),4.27(s,2H),3.86(s,3H),3.73-3.57(m,2H),3.57-3.42(m,2H),1.81-1.67(m,2H),1.50-1.40(m,2H),1.37(s,9H)。
【0183】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(4-メトキシフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(4-メトキシフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.79(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),7.99-7.95(m,1H),7.95-7.91(m,1H),7.91-7.85(m,2H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.58(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),7.16-7.10(m,2H),4.26(s,2H),3.86(s,3H),2.65-2.53(m,4H),2.20(s,3H),1.89-1.29(m,4H)。
【0184】
化合物35gの合成 2-((3-(2-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0185】
メチル2-アミノ-2-(2-ブロモフェニル)アセテートを28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間攪拌すると、2-アミノ-2-(2-ブロモフェニル)アセトアミドが白色沈殿として生成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(2-ブロモフェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%EtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(2-ブロモフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.23(s,1H),7.82-7.74(m,1H),7.64-7.40(m,3H),3.73-3.49(m,4H),1.78-1.68(m,4H),1.44(s,9H)。
【0186】
THF(0.1M)中のtert-ブチル2-(2-ブロモフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(2-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ12.55(s,1H),7.73(dt,J=7.8,0.9 Hz,1H),7.53-7.40(m,3H),3.85-3.72(m,2H),3.55-3.43(m,2H),1.90-1.70(m,4H),1.44(s,9H)。
【0187】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(2-ブロモフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(2-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.78(s,1H),8.90(d,J=2.5 Hz,1H),8.65(d,J=2.4 Hz,1H),8.01-7.91(m,2H),7.83(dd,J=8.2,1.2 Hz,1H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.63-7.47(m,4H),4.23(s,2H),3.68-3.53(m,4H),1.83-1.68(m,2H),1.68-1.54(m,2H),1.40(s,9H)。
【0188】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(2-ブロモフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((3-(2-ブロモフェニル)-8-メチル-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ)-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.79(s,1H),8.91(d,J=2.5 Hz,1H),8.66(d,J=2.5 Hz,1H),7.95(ddd,J=12.8,8.2,1.3 Hz,2H),7.88-7.76(m,1H),7.66(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.62-7.46(m,4H),4.22(s,2H),2.72-2.53(m,4H),2.24(s,3H),1.94-1.64(m,4H)。
【0189】
化合物35hの合成 2-((8-メチル-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド
【0190】
メチル2-アミノ-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]アセテート塩酸を28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間撹拌すると、2-アミノ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミドが白色沈殿として形成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル3-オキソ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.36(s,1H),8.53(d,J=8.1 Hz,2H),7.91(d,J=8.1 Hz,2H),3.72-3.52(m,4H),1.85-1.60(m,4H),1.45(s,9H)。
【0191】
THF(0.1M)中のtert-ブチル3-オキソ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)により精製して、tert-ブチル2-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシラートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ12.66(s,1H),8.58(d,J=2.0 Hz,1H),8.27(dd,J=8.4,2.0 Hz,1H),7.80(d,J=8.4 Hz,1H),3.83-3.71(m,2H),3.61-3.45(m,2H),1.89-1.66(m,4H),1.45(s,9H)。
【0192】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル3-チオキソ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.97-8.88(m,1H),8.79-8.58(m,1H),8.19-8.08(m,1H),8.08-7.86(m,4H),7.77-7.52(m,2H),4.29(s,2H),3.72-3.46(m,4H),1.82-1.67(m,2H),1.61-1.43(m,2H),1.38(s,9H)。
【0193】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、2-((8-メチル-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-2-イル)チオ)-N-(キノリン-3-イル)アセトアミドを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),8.09(t,J=1.2 Hz,1H),8.01-7.91(m,2H),7.91-7.83(m,2H),7.67(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.59(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),4.29(s,2H),2.70-2.57(m,4H),2.23(s,3H),1.98-1.46(m,4H)。
【0194】
化合物35iの合成 tert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-((キノリン-3-イルカルバモイル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート
【0195】
メチル2-アミノ-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセテート塩酸を28%の水酸化アンモニウム(5mL/g)溶液中で96時間攪拌すると、2-アミノ-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセトアミドが白色沈殿として生成され、これを濾過して収集し、さらに精製することなく使用した。エタノール(0.1M)中の2-アミノ-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセトアミド(1当量)の溶液に、tert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(1当量)を添加し、反応混合物を加熱して12時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(0.1M)に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(1当量)を添加した。反応混合物を8時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。得られた混合物をDCMで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、FCC(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.37(s,1H),8.55(d,J=1.9 Hz,1H),8.29(dd,J=8.4,1.9 Hz,1H),7.82(d,J=8.4 Hz,1H),3.70-3.51(m,4H),1.81-1.58(m,4H),1.44(s,9H)。
【0196】
THF(0.1M)中のtert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-オキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ローソン試薬(0.6当量)を添加し、TLCで反応が完了するまで、反応混合物を60℃に加熱した。反応混合物をシリカゲル上に濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ12.66(s,1H),8.58(d,J=2.0 Hz,1H),8.27(dd,J=8.4,2.0 Hz,1H),7.80(d,J=8.4 Hz,1H),3.83-3.71(m,2H),3.61-3.45(m,2H),1.89-1.66(m,4H),1.45(s,9H)。
【0197】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-チオキソ-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1-エン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、2-ブロモ-N-(キノリン-3-イル)アセトアミド(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~100%のEtOAc)で精製して、tert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.97-8.88(m,1H),8.79-8.58(m,1H),8.19-8.08(m,1H),8.08-7.86(m,4H),7.77-7.52(m,2H),4.29(s,2H),3.72-3.46(m,4H),1.82-1.67(m,2H),1.61-1.43(m,2H),1.38(s,9H)。
【0198】
DCM(0.1M)中のtert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-((2-オキソ-2-(キノリン-3-イルアミノ)エチル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレート(1当量)の溶液に、ジオキサン(2当量)中の4MのHClを添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。得られた残留物をTHFに取り込み、トリエチルアミン(5当量)およびホルムアルデヒド(3当量)を添加し、続いてNaBH(OAc)3(3当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、EtOAcに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~30%のMeOH)で精製して、tert-ブチル2-(3,4-ジクロロフェニル)-3-((キノリン-3-イルカルバモイル)チオ)-1,4,8-トリアザスピロ[4.5]デカ-1,3-ジエン-8-カルボキシレートを提供した。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ10.80(s,1H),8.94(d,J=2.5 Hz,1H),8.67(d,J=2.5 Hz,1H),8.09(t,J=1.2 Hz,1H),8.01-7.91(m,2H),7.91-7.83(m,2H),7.67(ddd,J=8.4,6.9,1.5 Hz,1H),7.59(ddd,J=8.1,6.8,1.3 Hz,1H),4.29(s,2H),2.70-2.57(m,4H),2.23(s,3H),1.98-1.46(m,4H)。
【0199】
薬物動態研究
実施例44-精製されたEGFRキナーゼドメインとディスラプチンとの間の相互作用
WT-EGFRキナーゼドメイン(aa696~1022、活性キナーゼ)を発現させ、SF9昆虫細胞から精製した。100ngの純粋なEGFRをビオチン結合ディスラプチンとインキュベートし、結合したEGFRをクエン酸バッファーで洗浄した後、CaptAvidinビーズを使用して捕獲した。この相互作用の特異性は、この反応をビオチン化されていないディスラプチンの量を増やしながら共インキュベートすることによって確認した。結合したEGFRタンパク質をLaemmliバッファーで遊離し、SDS-PAGEで分離した。ディスラプチン結合EGFRは、ImageJソフトウェアを使用して定量化し、ブロットの下に表示した。非標識(cold)ディスラプチンによるディスラプチン-EGFR結合の競合阻害は、ディスラプチンがEGFRに直接結合することを示す(図2Bを参照)。
【0200】
実施例45-NCI-H1975細胞におけるEGF誘導二量化に対するディスラプチン処理の効果
NCI-H1975細胞を10μMのディスラプチンで1時間処理し、さらにEGF(30ng/ml)で30分、およびスベリン酸ジサクシンイミジル(DSS、150μM)で30分処理して、相互作用するタンパク質を架橋した。溶解物を調製し、抗EGFR抗体でイムノブロットした。(図3Aを参照)。
【0201】
実施例46-NCI-H1975異種移植における、ディスラプチンのその標的EGFRに対する効果
NCI-H1975異種移植を有するマウスに、1日目と2日目にディスラプチン(10mg/kg、腹腔内)を注射した。3日目に腫瘍を除去し、イムノブロット用に準備した(図3Bを参照)。2日連続の(月曜日と火曜日)ディスラプチンの注射(10mg/kg、i.p.)を伴う2週間の処置後、NCI-H1975異種移植に対するディスラプチンの効果を評価した。各処置条件について、腫瘍体積をプロットした。スクランブルペプチドを対照として使用した(図3Cを参照)。処置の2週間後、腫瘍を免疫染色することによって、腫瘍組織学、EGFR発現、および分裂指数(Ki-67スコアによる測定)に対する処置の長期効果を評価した(図3Dを参照)。
【0202】
実施例47-化合物8Cの開発および生物学的活性の確認
ディスラプチンは、TKI(エルロチニブ)耐性NCI-H1975異種移植モデルに対して有効であることが示された(図3A図3Dを参照)(14)。しかしながら、不良なPK、およびペプチド薬の開発上のその他の課題のため、同様の作用メカニズムを有するが、優れた薬物動態の小分子を開発するための創薬プログラムを実施した(図4A図4Dを参照)。活性EGFR二量体の界面に基づいて、仮想スクリーニング、商用ライブラリの取得、およびカスタム合成を使用して、プレリード化合物95(C95)および67(C67)を含む一連の新規分子を開発した(図4A図4Dを参照)。これらのプレリード分子はどちらも、エルロチニブ耐性NCI-H1975異種移植モデルに対して、インビボで活性である。EGFR二量体阻害のインビボ活性を試験するために、TKI耐性NCI-H1975 EGFRレポーター細胞を使用した。これらの腫瘍異種移植片では、EGFR活性の減少時に、生物発光が誘導される(47)。100mg/kgのC95を1回注射すると、EGFRレポーターが2.5倍誘導され、48時間持続した(図9を参照)。EGFRレベルの低下に対するC95処置の効果が、生物発光の変化と相関することが確認された。これらのデータは、EGFRの分解を誘導することができる薬剤が、TKI耐性腫瘍に有効であり得ることを示す。
【0203】
化合物8Cは、マウスとヒトの両方の肝ミクロソームにおいて、プレリード(C95)と比較して、約20倍より安定である。EGFR駆動の頭頸部の侵襲性の腫瘍モデルであるUMSCC74Bにおける化合物8Cの有効性試験。腫瘍を有するマウスを、1週間、30mg/kgの用量で毎日(月曜日~金曜日)処置した。この用量は、単回用量のPKプロファイルに基づいて選択された(図8Aを参照)。この処置は安全であり、腫瘍成長の有意な遅延を生成した(図10を参照)。
【0204】
また、ヌードマウスにおけるオシメルチニブ耐性Ba/F3細胞媒介性の腹水(細胞の腹腔内注射を介する)および固形腫瘍モデル(細胞の皮下注射を介する)も、有効性の研究に使用した。最初の研究は、腹水モデルで行い、化合物8Cの効果を等しい用量のオシメルチニブ(30mg/kg)と比較した。腫瘍負荷が高くなった後にのみ処置が開始されたが、オシメルチニブ処置群と比較して、単回用量30mg/kgの化合物8Cは、これらのマウスの寿命を延長させた(p=0.072、データ未掲載)。EGFRに対する処置の効果を、処置前、処置18時間後および24時間後に、同じマウスから収集された細胞で確認した(図11を参照)。
【0205】
実施例48-EGFRキナーゼドメインと化合物8Cとの間の直接相互作用
化合物8CがEGFR上の同じ結合部位に対して競合するかどうかを決定するために、ビオチン-ディスラプチン-アビジン結合ビーズを、化合物8Cの存在下または非存在下で、37℃で15分間精製EGFRとインキュベートした。アガロースビーズを遠沈し、クエン酸バッファーで洗浄することによって非特異的タンパク質を除去した。結合したタンパク質をLaemmliバッファーで遊離し、SDS-PAGEで分離した。化合物8Cによるディスラプチン-EGFR結合の競合阻害は、この分子が同様なメカニズムで作用すること示唆する(図5Aを参照)。
【0206】
精製EGFRの熱安定性に対する化合物8Cの効果は、熱安定性アッセイにより確認された。100ngの精製EGFRを、DMSOまたは化合物8C(10μM)のいずれかと、4℃で30分間インキュベートした。試料を3分間熱不活性化(20℃から44℃へ)に供した。可溶性画分は、13,000RPMで、4℃で10分間の遠心分離によって、凝集体から分離された。約20ngの可溶性タンパク質を、4~12%のビス-トリスゲルで分離し、抗EGFR抗体でブロットした。ImageJソフトウェアにより定量化し、EGFRバンド強度をプロットした(図5Bを参照)。0~10μMの化合物8Cの存在下で、44℃におけるEGFRの熱安定性に対する化合物8C濃度の効果を決定した。EGFRの可溶性画分を定量化し、上記のようにプロットした(図5Cを参照)。
【0207】
予備データは、化合物8Cが、ディスラプチンのように、EGFR分子上の同じ部位に結合する可能性が高く(図5Aを参照)、野生型ならびにオシメルチニブ耐性(C797S)EGFRを、熱的に安定化し得ることを示す。図5Bおよび図5Cに示されるように、精製された野生型EGFRキナーゼドメインとの化合物8Cのインキュベーションは、融解曲線をシフトさせ、EGFRと化合物8Cとの間の相互作用を示唆する。オシメルチニブ耐性のEGFR変異体に対する化合物8Cの効果を決定するために、細胞ベースのアッセイを使用した。オシメルチニブまたは化合物8Cを、Ba/F3(C797S-EGFR)細胞から調製した全細胞溶解物とインキュベートした。一定分量を、DMSO、10μMオシメルチニブまたは化合物8Cのいずれかの存在下で、異なる温度に加熱した。冷却後、サンプルを遠心分離し、可溶性タンパク質画分を収集して、抗EGFR抗体によるイムノブロッティングを使用して分離した(図6Aを参照)。オシメルチニブは、精製WT-EGFRの融解温度をシフトするのに効果的であったが(図5Bを参照)、C797S変異EGFRタンパク質に対する効果は最小であった(図6Aを参照)。予想通り、化合物8Cは、オシメルチニブ耐性EGFRの融解温度をシフトさせるのに効果的であった。これらのデータは、化合物8CとEGFR(EGFR-C797Sであっても)との間の潜在的な相互作用を示唆する。
【0208】
これらのデータに基づいて、化合物8Cは、C797S変異のためにオシメルチニブに対する耐性を獲得した細胞においても効果的であると仮定された。これらの同質遺伝子6-Ba/F3細胞タイプ(TKI感受性および耐性細胞を含む、表I)を使用して、化合物8Cが、各細胞株においてナノモル濃度の範囲で活性を維持することが実証された。これは、このクラスの薬剤から予想されるものであり、なぜなら、それらの作用は、EGFRキナーゼの変異とは無関係であるからである。EGF誘導EGFR二量体化およびタンパク質発現の阻害に対する化合物8Cの効果も、これらすべての細胞において確認された。示されたデータは、C797S変異を有するオシメルチニブ耐性Ba/F3細胞からのものである(図6B図6Eを参照)。
【0209】
実施例49-肺癌細胞株における化合物8Cの選択的活性の検証
化合物8Cの選択性を試験するために、オシメルチニブ耐性肺癌細胞株(PC9-AZRおよびHCC827-AZR)を、正常な肺線維芽細胞(MRC5)と共に、様々な濃度で処理し、細胞生存をクローン原性生存アッセイを使用して決定した(以下の図7Aおよび表3を参照)。これらの予備データは、化合物8Cが、EGFRにより駆動される癌細胞を選択的に死滅させることを示唆する。化合物8Cへの応答が、EGF誘導二量体化およびEGFR分解の阻害と相関するかどうかを決定した。このため、PC9-AZR細胞を1μMの化合物8Cで1時間処理し、さらにEGF(30ng/ml)で30分、スベリン酸ジサクシンイミジル(DSS、150μM)で30分処理して、相互作用するタンパク質を架橋した。溶解物を調製し、抗EGFR抗体でイムノブロットした。図7Bは、1μMの化合物8CがEGFRの二量体化を阻害し、EGFRの分解を誘導できることを示す。全体として、これらの結果は、Ba/F3細胞からの発見を裏付けるものである。
【0210】
実施例50-生存率アッセイ
RKO、UM10B、UM1、MCR5、およびUMCC92細胞における処理時の細胞の生存率を、製造元のプロトコ-ルに従ってCellTiter-Blue(登録商標)試薬によって評価した。手短に、10,000個の細胞を96穴プレートに4連で播種した。播種1日後、細胞を濃度範囲(0.1~30マイクロモル)で処理した。処理3日後、細胞をCellTiter-Blue(登録商標)試薬と4時間インキュベートした。生存細胞のみが、酸化還元色素(レサズリン)を蛍光産物(レゾルフィン)に変換する。蛍光の発光(励起560nm)を、590nmで測定した。IC50値は、590nmでの蛍光による測定で、ビヒクル処理対照と比較して、細胞増殖を50パーセント阻害するのに必要な化合物の平均濃度として計算された。結果を、以下の表3および表4に提示する。
【0211】
【表8】
【0212】
【表9】
【0213】
実施例51-腫瘍および血漿における化合物8Cのインビボ薬物動態
薬剤を腹腔内注射により投与する短期PK研究により、化合物8Cは血漿から急速に除去されるという事実にもかかわらず、化合物8Cが選択的に腫瘍に蓄積することが明らかになった(図8Aおよび図8Bを参照)。腫瘍で達成された化合物8Cのピーク濃度(7時間以上で69.7±15.68μM)は、TKI耐性腫瘍細胞の99%を死滅させるのに必要な濃度よりもはるかに高い。PC9-AZR、およびHCC827-AZRのIC50およびIC90の範囲は、約1.5~約4μMである(図7Aを参照)。興味深いことに、ピーク血漿濃度が、30分間で5.4±1.5μMであった。化合物8Cの血漿中の半減期は7.96時間であるが、腫瘍での半減期は24時間よりもはるかに長かった(図8Aを参照)。急速な全身クリアランスにもかかわらず、腫瘍への遷延した薬物蓄積は、治療的使用に理想的である。24時間の時点のデータは、薬剤が連日投与に好適であることを示す。腹腔内注射された腫瘍における化合物8Cの選択的蓄積を観察した後、化合物8Cが経口で利用可能であるかどうかが決定された。経口投与の場合、短時間の超音波処理後、化合物8Cを、PBS(v/v)中の20%のtween80に処方した。マウスは、強制経口投与により、100mg/kgが投与された。7時間、15時間および24時間での腫瘍および血漿サンプル中の化合物8Cの濃度が決定され、図8Bにプロットされている。
【0214】
腹腔内注射のために、化合物8Cは、pHを5.5に調整することにより、5%のDMSOを含むPBS中に10mg/mLで処方された。経口投与のために、短時間の超音波処理で、均質な懸濁液を20%のtween80で調製した。最初、ヒトNCI-H1975腫瘍異種移植片(>150mm3)を有するヌードマウスに、単回用量が100mg/kgの化合物8Cを、腹腔内投与(図8A)または強制経口投与(図8B)した。マウスを、時間0、30分、1時間、3時間、7時間、15時間、および24時間で安楽死させた。腫瘍および血漿サンプルを収集した。経口強制経口投与されたマウスの場合、血漿および腫瘍のサンプルは7時間、15時間および24時間でのみ収集された。血漿および腫瘍中の化合物8Cの濃度を決定し、得られたデータをモル濃度に関してプロットした。
【0215】
実施例52-インビボでのEGFRレポーターの検証
このアプローチは、化合物C95で検証された。手短に、腫瘍が約100mmのサイズに達したら、マウスを撮像し、基底生物発光および異なる時点でのプレリード化合物95の効果を得た(図9Aを参照)。生物発光の変化を定量化してプロットした(図9Bを参照)。最後に、EGFRタンパク質レベルに対する処置の効果を、処置の48時間後に、イムノブロットによって確認した。
【0216】
実施例53-化合物8Cのインビボ活性
UMSCC74B(約100mm)を有するヌードマウスを(30mg/kg、毎日1週間)またはビヒクル(PBS中の5%のDMSO)で処置した。各群は、少なくとも5匹のマウスを有した。腫瘍体積および体重を週3~4回記録し、平均腫瘍体積の経時変化をプロットした。処置中の体重の平均減少は、10%未満であった。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【0217】
化合物8Cの処置群の場合、0日目は、処置の初日として定義される。ビヒクル対照マウスでは、0日目は、腫瘍体積が、処置開始日の化合物8C治療群における平均腫瘍体積と最も近い日として定義された。腫瘍体積の成長速度が処置によって異なるかどうかを評価するために、マウス内での腫瘍内および2つの腫瘍間の経時的な相関結果を説明するために、混合効果モデルをマウスレベルのランダムインターセプト条件に適合させた。単剤療法では、1週間の投与後に腫瘍成長速度の有意な低下が誘発された(図10を参照)。腫瘍成長速度は、時間を一致させた対照群(p=0.013)および全体の対照群(p<0.001)と比較して、化合物8C処置群の方が、有意に低かった。
【0218】
実施例54-オシメルチニブ耐性腫瘍モデルにおける化合物8Cの効果
オシメルチニブ耐性EGFR駆動性腫瘍に対する化合物8Cの活性を試験するために、以前に報告されたように、Ba/F3-AZR細胞(L858R+T790M+C797S-EGFR)を使用して、腹水腫瘍モデルが開発された(65)。500万個のBA/F3-AZR細胞を、6週齢の雌ヌードマウスに腹腔内注射した。マウスは腹水腫瘍を発症し、平均生存期間は20日間であった。オシメルチニブと比較した化合物8Cの有効性を試験するために、注射した15匹のマウスにBa/F3-AZR細胞を注射した。腫瘍細胞の注射18日後、マウスを3つの群に無作為化した。マウスを、ビヒクル、単回経口用量が30mg/kgのオシメルチニブ、または腹腔内注射を介する30mg/kgの化合物8Cで処置した。マウスの健康状態を監視し、ULAM末期ガイドラインに従ってマウスを安楽死させた。腫瘍負荷が高くなった後に処置が開始されたが、化合物8Cの30mg/kgの単回投与で、オシメルチニブ処置群と比較して、これらのマウスの寿命が延びた。ビヒクル対照群とオシメルチニブ処置群との間に違いは認められなかった。オシメルチニブと化合物8Cとの間の差は、ログランク検定を使用して計算された(p=0.072)。標的に対する処置の効果を試験するために、処置前、処置後18時間、および24時間に、1匹のマウスから腫瘍細胞を収集した。細胞をPBSで洗浄し、図3に記載のように処理した。図11に与えられるイムノブロットの結果は、EGFR、pEGFRおよび他の分子に対する処理の効果を示す。
【0219】
実施例55-マウスモデルにおける化合物8Cの予備的な安全試験
C57BL6マウスを使用して、1日30mg/kgの用量で1週間の安全性に関する予備試験を行った。処置の間、マウス6匹の群の健康全般と体重を監視した。処置の1週間後、3.5±2.4%の体重のわずかな減少が観察されたが、処置を中止して2日後、マウスは完全に体重を回復した。
【0220】
実施例56:NCI60細胞株スクリーニング
化合物8Cの活性は、国立癌研究所で標準NCI 60スクリーニングプロトコ-ルを使用して、60種類の異なるヒト腫瘍細胞株に対して試験された。上位成績の細胞株について、成長阻害のパーセントを以下の表5に示す。
【0221】
【表10】
【0222】
実施例57:膵腫瘍モデルにおける化合物8Cの効果
6週齢のKCマウスを、強制経口投与により、化合物8Cで処置した(30mg/kg体重、毎日)。化合物8Cが投与されなかった対照マウスと比較して、PanInレベルに対する結果としての効果が観察された。化合物8Cで処置されたマウスは、図13に示すように、膵管病変の一種であるPanIn(膵上皮内腫瘍)の発症傾向が有意に低下した。
【0223】
実施例58:頭頸部腫瘍モデルにおける化合物8Cの効果
頭頸部腫瘍細胞株であるUMSCC74Bのマウス異種移植片を、強制経口投与により化合物8Cで処置した(30mg/kg体重、週2回)。化合物8Cが投与されなかった対照マウス、およびセツキシマブが投与された対照マウスと比較して、腫瘍体積に対する結果としての効果が観察された。図14に示すように、化合物8Cで処置したマウスでは、両方の対照と比較して、腫瘍体積の有意な減少を示した。
【0224】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)
【化1】
(式中、
Xは、O-C0~6アルキレン、S-C0~6アルキレン、またはNR-C0~6アルキレンであり、前記アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(R、およびOR3-から選択される1~3個の基で置換され、
Yは、C0~6アルキレンであり、前記アルキレンは、任意選択的に、独立して、ハロ、N(RおよびORから選択される1~3個の基で置換され、
Aは、C6~10アリールまたはN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、前記アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、
Bは、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換され、
およびRは、各々独立して、C1~6アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と共に4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し、ヘテロシクロアルキル環は、O、S、およびNから選択される1個または2個の環ヘテロ原子を有し、前記シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環は、任意選択的に、1~2個のRで置換され、
各Rは、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
各RおよびRは、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、ハロ、またはC1~6アルコキシであり、
は、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、(C=O)R、(C=O)OR、CON(R、C0~3アルキレン-C3~8シクロアルキル、C0~3アルキレン-C6~10アリール、またはC0~3アルキレン-(N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリール)であり、前記アリールまたはヘテロアリールは、任意選択的に、1~3個のRで置換される。)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
およびRが、それらが結合している炭素原子と共に、場合により1~2個のRで置換されてもよい、4~8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
およびRが、それらが結合している炭素原子と共に、次の構造:
【化2】
を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、式中、*は、式Iの化合物の残部との結合点を示す、請求項に記載の化合物または塩。
【請求項4】
が、C1~6アルキルである、請求項2または3に記載の化合物または塩。
【請求項5】
Aが、1~3個のRで置換されてもよい、C6~10アリールである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項6】
Aが、1~3個のRで置換されてもよい、フェニルである、請求項に記載の化合物または塩。
【請求項7】
Bが、キノリニルである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項8】
Aが、1個のR で置換されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項9】
Aが、次の構造:
【化3】
を有する、請求項に記載の化合物または塩。
【請求項10】
少なくとも1つのRが、ハロである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項11】
Xが、O-C0~6アルキレンまたはS-C0~6アルキレンである、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項12】
Xが、S-C0~6アルキレンである、請求項11に記載の化合物または塩。
【請求項13】
Yが、C0~2アルキレンである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項14】
Xが、NR-CH、O-CH-、またはS-CH-であり、Yが存在しない、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、Hである、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項16】
化合物13~29、8A~8G、10~12、30~32、3~5、33a~33l、34a~34f、および35a~35iから選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【請求項17】
治療有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物または塩を含む、癌を治療するための医薬組成物。
【外国語明細書】