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特開2024-56750改善された貯蔵安定性を有する光硬化付加型シリコーン印象材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056750
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】改善された貯蔵安定性を有する光硬化付加型シリコーン印象材
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/896 20200101AFI20240416BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20240416BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 6/76 20200101ALI20240416BHJP
   A61K 6/70 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K6/896
C08K9/00
C08L83/04
A61K6/76
A61K6/70
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024011597
(22)【出願日】2024-01-30
(62)【分割の表示】P 2020552354の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】62/650,439
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アンジェレタキス,クリストス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】硬化性1液型シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】硬化性1液型シリコーン組成物は、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、ケイ素に結合された水素原子を不飽和基に付加できるようにする触媒と、少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーを含む。硬化性1液型シリコーン組成物は、歯科用印象材として有用である。より具体的には、表面処理されたフィラーを含む硬化性1液型シリコーン組成物は、歯科用印象材の貯蔵安定性を延長する。本開示はまた、このような硬化性1液型シリコーン組成物を調製する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用印象材のための硬化性1液型シリコーン組成物であって、
(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、
(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、
(c)前記有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を前記有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、
(d)コーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーと、
を含み、前記硬化性1液型シリコーン組成物は、22℃~27℃の温度で少なくとも125日にわたる貯蔵安定性を有する、
硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項2】
前記少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、三官能性シロキサン(trifunctional siloxanes)、四官能性シロキサン(quadrifunctional siloxanes)、及びフェニル基を有する有機ポリシロキサンからなる群から選択される、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項3】
前記少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物が、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを含む、請求項2に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項4】
前記少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物が、水素官能性ポリジメチルシロキサン(HPDMS)である、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項5】
前記HPDMS中の水素化物量が3.5mmol/g~4.9mmol/gである、請求項4に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項6】
前記触媒が、Pt(acac)、白金(II)ビス(ベンゾイルメタナート)、及び白金(II)ビス(ジベンゾイルアセトナート)、及び(Me-Cp)Pt(Me)からなる群から選択される、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項7】
前記触媒がPt(acac)である、請求項6に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項8】
前記少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物が、前記シリコーン組成物の総重量に基づいて10重量%~90重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項9】
前記少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物が、前記シリコーン組成物の総重量に基づいて1重量%~20重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項10】
前記触媒が、前記シリコーン組成物の総重量に基づいて20~500ppmの量で添加される、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項11】
前記表面処理されたシリカフィラーが、前記組成物の総重量に基づいて重量の10重量%~80重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
【請求項12】
前記コーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーが1~50μmのメジアン粒径を有する、請求項1に記載の1液型シリコーン組成物。
【請求項13】
前記コーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーが、架橋型アクリル樹脂でコーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーである、請求項1に記載の1液型シリコーン組成物。
【請求項14】
硬化性1液型シリコーン組成物を調製する方法であって、
(a)活性化シリコーン樹脂組成物を形成するべく、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物を少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物及び触媒と混合するステップと、
(b)前記活性化シリコーン樹脂組成物にコーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーを添加するステップと、
を含み、前記硬化性1液型シリコーン組成物は、22℃~27℃の温度で少なくとも125日にわたる貯蔵安定性を有する、
方法。
【請求項15】
(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、
(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、
(c)前記有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を前記有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、
(d)コーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーと、
を含む組成物の硬化によって得られる硬化された歯科材料であって、
前記組成物は、22℃~27℃の温度で少なくとも125日にわたる貯蔵安定性を有する、歯科材料。
【請求項16】
前記歯科材料が、歯科用印象材、義歯用の軟質リライニング材、プロビジョナルクラウン及びブリッジ修復用のテンプレート材である、請求項15に記載の硬化された歯科材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、硬化性1液型シリコーン組成物に関する。硬化性1液型シリコーン組成物は、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーとを含む。この硬化性1液型シリコーン組成物は、歯科用印象材、義歯用の軟質リライニング材、プロビジョナルクラウン及びブリッジ修復用のテンプレート材の調製に有用である。より具体的には、表面処理されたフィラーを含む硬化性1液型シリコーン組成物は、歯科用印象材の貯蔵安定性を延長する。本開示はまた、このような硬化性1液型シリコーン組成物を調製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
歯科学では、付加型シリコーンは最も広く用いられている印象材である。付加硬化型シリコーンは、その高い精度及び寸法安定性のために歯科学で印象材として広く用いられている。これらは、普通は2液型であり、ヒドロシリル化反応により硬化され、ミキシングチップに通され、正確な印象を与えるべく口内で数分以内に固められる。これらは、補強をもたらし、硬度を高めるために、シリカフィラーも含有する。この反応によく用いられる触媒は、白金(0)とジビニルテトラメチルジシロキサン(DVTMDS)との錯体であるKarstedt触媒である。しかしながら、印象をとるための総時間が短縮されるので、要望に応じて単一成分の材料を硬化させることが有利であろう。
【0003】
工業用途で用いられる光硬化性シリコーンは、普通は、露光を除いて水素官能性ポリジメチルシロキサン(HPDMS)の存在下でヒドロシリル化反応を触媒しない白金ベースの触媒によって硬化される。本出願で用いられる一般的な触媒は、白金ジアセトアセテート(Pt(acac))及びトリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金((Me-Cp)Pt(Me))である。しかしながら、これらの触媒は、架橋剤又はHPDMSとシリカフィラーの存在下では不安定である。ポットライフは、数時間から数日間のオーダーである。したがって、これらは使用直前の数時間に予混合される。この不安定性は歯科用印象材には容認できないが、室温での貯蔵寿命は1年以上になると予想される。
【0004】
Oxman及びBoardmanの米国特許第5,145,886号には、主に白金(II)アセチルアセトネート{Pt(acac)}を触媒として用いることに基づく歯科用印象LCシリコーン調製物が記載されている。アセチレンアルコール及び亜リン酸塩などの抑制剤が言及されているが、抑制剤の使用なしに150日を超える安定性が主張されている。我々の手では、言及された例示的な調製物のうちの1つで数時間の安定性が認められ、Wacker社によるUvisil及びMomentiveによる同様の材料などの、工業用途向けに現在販売されている光硬化シリコーンにより類似している。
【0005】
Irmerらの米国特許出願公開US2008/0033071には、随意的に抑制剤としてアルキノール及びビニルシロキサンを含有する2液型LCシリコーン調製物が記載されている。これらは、意図される用途のために混合物のポットライフを数時間延長する。
【0006】
Marrotらの米国特許出願公開S2014/0004359には、包装用途の剥離紙のフィルムとして用いられる2液型LCシリコーン系が記載されている。これはさらに、アセチレンジオールを酸と一緒に使用して、混合後のポットライフを約24時間に延長することを開示している。
【0007】
ヒドロシリル化反応によって硬化可能なすべての1液型光硬化性シリコーンは、望ましい強度及び粘度特徴を得るためにシリカをフィラーとして用いる。しかしながら、対照研究に基づいて、シリカが白金ゼロ種Pt(0)の形成を触媒し、劣化につながる可能性があることが示唆されている(JC Kenvin et al,Langmuir Vol.7,1198(1991)及びM.Womes et al,Catalysis Letters Vol.85,pg.25(2003))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、シリカフィラーを含有し、且つより安定した、良好な硬化性を有する硬化性印象材調製物が引き続き必要とされている。また、印象をとるための総時間を短縮するので、要望に応じて単一成分の材料を硬化させることが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の目的は、歯科用印象材の貯蔵安定性を延長することができる、歯科用印象材のための硬化性1液型シリコーン組成物を提供することである。これは、表面処理された微粒子フィラーを組成物に含めることによって達成される。表面処理された微粒子フィラーは、表面シラノール基の反応性を低下させることになる。
【0010】
本開示の第1の態様では、歯科用印象材のための硬化性1液型シリコーン組成物が開示される。このシリコーン組成物は、(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、(c)有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、(d)少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーとを含む。
【0011】
硬化性1液型シリコーン組成物の一実施形態によれば、表面処理されたフィラーは、歯科用印象材の貯蔵安定性を延長する。
【0012】
硬化性1液型シリコーン組成物の別の実施形態によれば、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを含む。
【0013】
硬化性1液型シリコーン組成物の一実施形態によれば、少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物は、HPDMSである。
【0014】
硬化性1液型シリコーン組成物の別の実施形態によれば、触媒は、Pt(acac)、白金(II)ビス(ベンゾイルメタナート)、及び白金(II)ビス(ベンゾイルアセトナート)、及び(Me-Cp)Pt(Me)からなる群から選択される。
【0015】
硬化性1液型シリコーン組成物の一実施形態によれば、少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーは、無機微粒子フィラー、サブミクロンのシリカ又は酸化物、及び無機フィラーからなる群から選択される。
【0016】
1つの特定の実施形態において、少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーは、架橋型アクリル樹脂でコーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーである。
【0017】
硬化性1液型シリコーン組成物の一実施形態によれば、表面処理された微粒子フィラーは、コンポジットフィラー粒子を調製するプロセスによって調製される。このプロセスは、
(a)微粒子フィラーの表面上にコーティング層を形成する被膜形成剤を含有するコーティング組成物で、100~1200nmのメジアン粒径(D50)を有する微粒子フィラーをコーティングするステップであって、前記コーティング層は、コーティング層の表面上に反応基を呈し、前記反応基は、それによりコーティングされた微粒子フィラーを形成する、付加重合可能基及び段階成長重合可能基から選択される、コーティングするステップと、その後又は同時に、
(b)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物を提供するべく、さらなる架橋剤の存在下及び反応基を呈さないさらなる微粒子フィラーの存在下で、コーティングされた微粒子フィラーを造粒するステップであって、造粒物は、少なくとも1つのコーティング層を介して互いに結合される、コーティングされた微粒子フィラー粒子とさらなる微粒子フィラー粒子を含有し、それによって少なくとも1つのコーティング層は、反応基とさらなる架橋剤との反応により得られる架橋基によって架橋されてよく、それによって造粒は、噴霧造粒又は成長造粒によって行われる、造粒するステップと、
(c)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物をミリング、分類、及びふるい分けするステップと、
(d)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物をさらに架橋するステップと、
を含み、
調製されたフィラー粒子は1~70μmのメジアン粒径(D50)を有し、
反応基は、反応基とさらなる架橋剤との反応により得られる架橋基に変換され、
微粒子フィラーは、コンポジットフィラー粒子の体積での主成分である。
【0018】
他の態様は以下の説明に記載され、一部は説明から明らかとなる又は本開示の実施から学習されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で開示されるのは、硬化性1液型シリコーン組成物と、歯科用印象材、義歯用の軟質リライニング材、プロビジョナルクラウン及びブリッジ修復用のテンプレート材を調製するために硬化性1液型シリコーン組成物を用いる方法と、このような硬化性1液型シリコーン組成物を調製する方法と、である。
【0020】
本開示の第1の態様では、歯科用印象材のための硬化性1液型シリコーン組成物が提供される。硬化性1液型シリコーン組成物は、一般に、(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、(c)有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、(d)少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーとを含む。
【0021】
(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物
不飽和基は、ビニル基又はアセチレン基から選択される。
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、三官能性シロキサン、四官能性シロキサン、及びフェニル基を有する有機ポリシロキサンからなる群から選択される。
【0022】
三官能性シロキサンの例は、ビニル基を有する三官能性ポリジメチルシロキサンを含む。ビニル基を有する三官能性ポリジメチルシロキサンは、ビニルT構造ポリマーVTT-106(Gelest)である。
【0023】
四官能性シロキサンの例は、ビニル基を有する四官能性シロキサンを含む。ビニル基を有する四官能性シロキサンは、ビニルQ樹脂分散液VQM-135(Gelest)及びMomentive H6ポリマー(QM樹脂とビニルポリシロキサン樹脂の混合物)であり得る。
【0024】
QM樹脂分散液は、約5,000~60,000cpsの粘度を有する。これらの分散液は、所望の粘度及びQM樹脂量を有する複数の分散液成分を含み得る。QM樹脂は、各分散液の約20~25重量%を構成する。
【0025】
フェニル基を有する有機ポリシロキサンの例は、ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーを含む。ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーは、PDV-0325及びPDV-1631(Gelest)であり得る。
【0026】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の1つの特定の実施形態において、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン型(ジビニルPDMS)である。
【0027】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物は、シリコーン組成物の総重量に基づいて10重量%~90重量%の濃度で存在する。一実施形態において、20重量%~80重量%の濃度範囲などである。
【0028】
(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物は、HPDMSである。
【0029】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、HPDMS中の水素化物量は約3.5mmol/g~約4.9mmol/gであり、いくつかの実施形態において、HPDMS中の水素化物量は4.3mmol/gである。
【0030】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物は、シリコーン組成物の総重量に基づいて3重量%~10重量%の濃度範囲などの1重量%~20重量%の濃度で存在する。
【0031】
(c)触媒
有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子と有機ポリシロキサン化合物の不飽和基との反応を露光により触媒するのに有用な触媒は、白金(II)化合物又は白金(IV)化合物であり得る。
【0032】
白金(II)化合物の例は、Pt(acac)、白金(II)ビス(ジベンゾイルメタナート)、及び白金(II)ビス(ベンゾイルアセトナート)を含み得るがこれらに限定されない。
【0033】
白金(IV)化合物の例は、(Me-Cp)Pt(Me)を含む。
【0034】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、触媒は、Pt(acac)、白金(II)ビス(ベンゾイルメタナート)、白金(II)ビス(ベンゾイルアセトナート)、及び(Me-Cp)Pt(Me)からなる群から選択される。
【0035】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の特定の実施形態において、触媒はPt(acac)である。
【0036】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、触媒は、シリコーン組成物の総重量に基づいて50~200ppmの濃度範囲などの約20~500ppmの量で添加される。
【0037】
(d)表面処理された微粒子フィラー
微粒子フィラーは、例えば電子顕微鏡法を用いて又はMALVERN Mastersizer S又はMALVERN Mastersizer 2000装置によって具体化されるような従来のレーザ回折粒子サイジング法を用いることによって測定したときに、10~1000、特に20~800nmなどの、1~1200nmのメジアン粒径(D50)を有する。
【0038】
具体的な実施形態によれば、微粒子フィラーは、100~800nmのメジアン粒径(D50)を有する。
【0039】
微粒子フィラーは、微粒子フィラーの材料が歯科用途で容認できる限り、特に限定されない。
【0040】
硬化性1液型シリコーン組成物は、1つよりも多い表面処理された微粒子フィラーを含み得る。
【0041】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーは、無機微粒子フィラー、サブミクロンのシリカ又は酸化物、及び無機フィラーからなる群から選択される。
【0042】
無機微粒子には、歯科用ガラス、溶融シリカ、石英、結晶質シリカ、アモルファスシリカ、ソーダガラスビーズ、ガラスロッド、セラミック酸化物、微粒子ケイ酸塩ガラス、及び放射線不透過性ガラスがあるがこれらに限定されない。
【0043】
微粉化された材料及び粉末化されたヒドロキシアパタイトを使用することもできるが、シランカップリング剤と反応する材料が好ましい。
【0044】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、サブミクロンのシリカ又は酸化物は、フュームドシリカ、沈降シリカ、及びアルミノケイ酸塩からなる群から選択される。
【0045】
アルミノケイ酸塩の例は、アルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ストロンチウム、及びアルミノケイ酸バリウムを含むがこれらに限定されない。
【0046】
無機フィラーは、YF、La、ZrO、BiPO、CaWO、BaWO、SrF、又はBiであり得る。
【0047】
表面処理されたフィラー粒子は、一般に、米国特許第9,193,849号で開示されるように、コンポジットフィラー粒子を調製するためのプロセスによって得られ、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、表面処理された微粒子フィラーは、コンポジットフィラー粒子を調製するプロセスによって調製される。このプロセスは、
(a)微粒子フィラーの表面上にコーティング層を形成する被膜形成剤を含有するコーティング組成物で、100~1200nmのメジアン粒径(D50)を有する微粒子フィラーをコーティングするステップであって、前記コーティング層は、コーティング層の表面上に反応基を呈し、前記反応基は、それによりコーティングされた微粒子フィラーを形成する、付加重合可能基及び段階成長重合可能基から選択される、コーティングするステップと、その後又は同時に、
(b)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物を提供するべく、さらなる架橋剤の存在下及び反応基を呈さないさらなる微粒子フィラーの存在下で、コーティングされた微粒子フィラーを造粒するステップであって、造粒物は、少なくとも1つのコーティング層を介して互いに結合される、コーティングされた微粒子フィラー粒子とさらなる微粒子フィラー粒子を含有し、それによって少なくとも1つのコーティング層は、反応基とさらなる架橋剤との反応により得られる架橋基によって架橋されてよく、それによって造粒は、噴霧造粒又は成長造粒によって行われる、造粒するステップと、
(c)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物をミリング、分類、及びふるい分けするステップと、
(d)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物をさらに架橋するステップと、
を含み、
調製されたフィラー粒子は1~70μmのメジアン粒径(D50)を有し、
反応基は、反応基とさらなる架橋剤との反応により得られる架橋基に変換され、
微粒子フィラーは、コンポジットフィラー粒子の体積での主成分である。
【0049】
1つの特定の実施形態において、表面処理された微粒子フィラーは、架橋型アクリル樹脂でコーティングされた微粒子アルミノケイ酸カルシウムフィラーである。
【0050】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、表面処理されたシリカフィラーは、組成物の総重量に基づいて15重量%~60重量%の濃度範囲などの10重量%~80重量%の濃度で存在する。
【0051】
本明細書で開示される硬化性1液型シリコーン組成物の或る実施形態において、表面処理された微粒子フィラーは、1~50μmのメジアン粒径を有する。表面処理された微粒子フィラーの粒径は、74μm未満であり得る。いくつかの実施形態において、表面処理された微粒子フィラーの粒径は、40μm未満である。
【0052】
硬化性1液型シリコーン組成物の一実施形態によれば、表面処理されたフィラーは、歯科用印象材の貯蔵安定性を延長する。
【0053】
表面処理された微粒子フィラーは、表面シラノール基の反応性を低下させることになる。
【0054】
硬化性1液型シリコーン組成物の調製
本開示の第2の態様では、硬化性1液型シリコーン組成物を調製する方法が開示される。硬化性1液型シリコーン組成物は、活性化シリコーン樹脂組成物を形成するべく、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、触媒とを、本質的に任意の順序で攪拌しながら組み合わせることによって調製され得る。次いで、活性化シリコーン樹脂組成物に、少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーが添加される。
【0055】
硬化性1液型シリコーン組成物は、最初に、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物を少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と組み合わせて、その後、触媒を添加して活性化シリコーン樹脂組成物を形成し、次いで、活性化シリコーン樹脂組成物に少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーを添加することによって調製され得る。
【0056】
硬化性1液型シリコーン組成物の使用及び硬化
硬化性1液型シリコーン組成物は、硬化材を形成するのに用いることができる。硬化は、一般に、20~23℃の範囲の温度でもたらすことができる。本開示の硬化性1液型シリコーン組成物は、350nm~700nmの光を放出する特別なヘッドを備えたLED歯科用硬化ライトによって硬化され得る。特に、LED歯科用硬化ライトは、405nmの光を放出する。
【0057】
硬化材は、歯科用印象材、義歯用の軟質リライニング材、プロビジョナルクラウン及びブリッジ修復用のテンプレート材である。
【0058】
1つの特定の実施形態において、硬化材は、印象材であり、より具体的には、光硬化シリコーンペーストである。
【0059】
本明細書で説明される開示は、以下の実施例で説明する組成物によってさらに例証されるが、これらの例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0060】
実験
試験方法
硬化は、405nmで発光する特別なヘッドを備えたLED歯科用硬化ライト(Fusion Lite)を用いて達成された。
安定性は、ペーストを50℃の強制空気オーブンに入れるか又は変動が22~27℃の温度管理された部屋に置いて試験した。重合は、プラスチックスティックで突くことにより評価した。材料に容易に貫入しなかったときに重合したと判断した。
稠度は、ISO4823ガイドラインに従って行った。500gの重りを30秒使用した後、直径を測定した。
圧縮ひずみは、IS4823に従って行った。8mm×10mmの試験片の両面に20秒の露光を行った。
ショアA硬度:DIN53505に従って試験を行った。モールドサイズは、直径8mm、深さ10mmであった。露光は片面のみ20秒であった。
硬化深さ:ISO4049ガイドラインに従って試験を行った。
不透明度:ISO4049ガイドラインに従って試験を行った。
【0061】
例示的な調製物
調製物の例を表1に記載する。活性化シリコーン樹脂組成物を表1に示す。活性化シリコーン樹脂を調製するために、白金触媒Pt(acac)を、0.01%又は100ppmの最終濃度が得られるように添加した。以下のタイプの表面処理された微粒子フィラーを含有するペースト調製物を表2に示す:Sipernat D13(Evonik)は、疎水性の沈降シリカであり、Aerosil R972(Evonik)は、疎水性のフュームドシリカであり、架橋型アクリル樹脂でコーティングされた1.5μmのサイズの表面処理された微粒子アルミノケイ酸カルシウムフィラーは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれるUS9193849及びEP2790639(SphereTecプロセス)に記載の実施例10の手順に従って調製した。表3は、安定性の研究をまとめたものである。
【表1】
【表2】
【表3】
【0062】
これらの結果から、1液型付加型シリコーン印象調製物における、本開示で説明したコーティングされたフィラー、すなわち、US9193849に記載のプロセスによって調製した架橋型アクリル樹脂でコーティングされた微粒子アルミノケイ酸カルシウムフィラーの使用は、安定性の延長をもたらすことが分かる。
【0063】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、例示した実施形態及び本明細書での説明に様々な修正を加えることができることが当業者には分かるであろう。本発明の他の実施形態が本出願の全体を通して説明される。1つの態様に関して説明したどの実施形態も、他の実施形態に同様に当てはまり、逆もまた同様である。本明細書で説明される各実施形態及びその明白なバリエーションは、本発明のすべての実施形態に適用可能であると理解される。本明細書での説明が与えられると、本発明が属する技術分野の当業者の知識と組み合わせて、本明細書に記載のどの実施形態も、任意の使用、方法、化合物、組成物、その明白な変形、又はその任意の組み合わせに関して容易に達成する及び/又はさらに実施することができる。本開示の精神及び範囲内のすべてのこのような修正は、付属の請求項によって包含されることが意図されている。
【0064】
本発明は以下の態様を含む。
(1)
歯科用印象材のための硬化性1液型シリコーン組成物であって、
(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、
(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、
(c)前記有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を前記有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、
(d)少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーと、
を含み、前記表面処理されたフィラーが歯科用印象材の貯蔵安定性を延長する、
硬化性1液型シリコーン組成物。
(2)
前記少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物が、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、三官能性シロキサン、四官能性シロキサン、及びフェニル基を有する有機ポリシロキサンからなる群から選択される、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(3)
前記少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物が、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを含む、(2)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(4)
前記少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物が、水素官能性ポリジメチルシロキサン(HPDMS)である、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(5)
前記HPDMS中の水素化物量が約3.5mmol/g~約4.9mmol/gである、(4)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(6)
前記触媒が、Pt(acac)、白金(II)ビス(ベンゾイルメタナート)、及び白金(II)ビス(ジベンゾイルアセトナート)、及び(Me-Cp)Pt(Me)からなる群から選択される、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(7)
前記触媒がPt(acac)である、(6)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(8)
前記少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーが、無機微粒子フィラー、サブミクロンのシリカ又は酸化物、及び無機フィラーからなる群から選択される、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(9)
前記無機微粒子が、歯科用ガラス、溶融シリカ、石英、結晶質シリカ、アモルファスシリカ、ソーダガラスビーズ、ガラスロッド、セラミック酸化物、微粒子ケイ酸塩ガラス、及び放射線不透過性ガラスからなる群から選択される、(8)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(10)
前記サブミクロンのシリカ又は酸化物が、フュームドシリカ、沈降シリカ、及びアルミノケイ酸塩からなる群から選択される、(8)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(11)
前記アルミノケイ酸塩が、アルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ストロンチウム、及びアルミノケイ酸バリウムからなる群から選択される、(10)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(12)
前記無機フィラーが、YF、La、ZrO、BiPO、CaWO、BaWO、SrF、及びBiからなる群から選択される、(8)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(13)
前記少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物が、前記シリコーン組成物の総重量に基づいて10重量%~90重量%の濃度で存在する、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(14)
前記少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物が、前記シリコーン組成物の総重量に基づいて1重量%~20重量%の濃度で存在する、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(15)
前記触媒が、前記シリコーン組成物の総重量に基づいて約20~500ppmの量で添加される、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(16)
前記表面処理されたシリカフィラーが、前記組成物の総重量に基づいて重量の10重量%~80重量%の濃度で存在する、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(17)
前記表面処理された微粒子フィラーが、コンポジットフィラー粒子を調製するプロセスによって調製され、前記プロセスが、
(a)微粒子フィラーの表面上にコーティング層を形成する被膜形成剤を含有するコーティング組成物で、100~1200nmのメジアン粒径(D50)を有する微粒子フィラーをコーティングするステップであって、前記コーティング層は、コーティング層の表面上に反応基を呈し、前記反応基は、それによりコーティングされた微粒子フィラーを形成する、付加重合可能基及び段階成長重合可能基から選択される、コーティングするステップと、その後又は同時に、
(b)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物を提供するべく、さらなる架橋剤の存在下及び反応基を呈さないさらなる微粒子フィラーの存在下で、コーティングされた微粒子フィラーを造粒するステップであって、前記造粒物は、少なくとも1つのコーティング層を介して互いに結合される、コーティングされた微粒子フィラー粒子とさらなる微粒子フィラー粒子を含有し、それによって前記少なくとも1つのコーティング層は、反応基とさらなる架橋剤との反応により得られる架橋基によって架橋されてよく、それによって前記造粒は、噴霧造粒又は成長造粒によって行われる、造粒するステップと、
(c)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物をミリング、分類、及びふるい分けするステップと、
(d)コーティングされた微粒子フィラーの造粒物をさらに架橋するステップと、
を含み、
前記調製されたフィラー粒子が1~70μmのメジアン粒径(D50)を有し、
反応基は、反応基とさらなる架橋剤との反応により得られる架橋基に変換され、
前記微粒子フィラーは、コンポジットフィラー粒子の体積での主成分である、(1)に記載の硬化性1液型シリコーン組成物。
(18)
前記表面処理された微粒子フィラーが1~50μmのメジアン粒径を有する、(17)に記載の1液型シリコーン組成物。
(19)
前記表面処理された微粒子フィラーが、架橋型アクリル樹脂でコーティングされたアルミノケイ酸カルシウムフィラーである、(17)に記載の1液型シリコーン組成物。
(20)
硬化性1液型シリコーン組成物を調製する方法であって、
(a)活性化シリコーン樹脂組成物を形成するべく、少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物を少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物及び触媒と混合するステップと、
(b)前記活性化シリコーン樹脂組成物に少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーを添加するステップと、
を含む、方法。
(21)
(a)少なくとも2つの不飽和基を有する有機ポリシロキサン化合物と、
(b)少なくとも2つのSi-H基を有する有機水素ポリシロキサン化合物と、
(c)前記有機水素ポリシロキサン化合物のケイ素に結合された水素原子を前記有機ポリシロキサン化合物の不飽和基に付加できるようにする触媒と、
(d)少なくとも1つの表面処理された微粒子フィラーと、
を含む組成物の硬化によって得られる硬化された歯科材料。
(22)
前記歯科材料が、歯科用印象材、義歯用の軟質リライニング材、プロビジョナルクラウン及びブリッジ修復用のテンプレート材である、(21)に記載の硬化された歯科材料。
(23)
22℃~27℃の温度で210日にわたる貯蔵安定性を有する、(21)に記載の硬化された歯科材料。