(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005676
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】発光モジュール、車両用灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20240110BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240110BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20240110BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20240110BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240110BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240110BHJP
H05B 45/40 20200101ALI20240110BHJP
B60Q 1/14 20060101ALI20240110BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240110BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20240110BHJP
F21W 102/14 20180101ALN20240110BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20240110BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20240110BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
F21S41/143
F21S41/151
F21S41/255
F21S41/663
H05B45/10
H05B45/40
B60Q1/14 H
F21Y115:10
F21Y103:10
F21W102:14
F21W102:155
F21W102:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105962
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 秀丸
(72)【発明者】
【氏名】武沢 初男
(72)【発明者】
【氏名】藤下 俊一
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA16
3K273QA24
3K273RA04
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA21
3K273TA32
3K273UA22
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA08
3K339BA11
3K339BA12
3K339BA18
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA25
3K339BA26
3K339BA28
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA04
3K339JA02
3K339JA05
3K339JA26
3K339KA07
3K339KA09
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MA01
3K339MA07
3K339MC90
(57)【要約】
【課題】1つのシンプルな回路で複数個の発光素子に輝度分布を持たせることができる発光モジュール、車両用灯具ユニットを提供することにある。
【解決手段】発光モジュール500は、複数個の発光素子LED1、2(1、2、3)を有する発光素子パッケージ200と、制御部(制御素子R1(R1、R2)、電源PS)と、複数個の発光素子LED1、2(1、2、3)と制御部(制御素子R1(R1、R2)、電源PS)とを電気的に接続する1つの回路と、を備える。回路全体の電流値は、約1.0Aで一定である。制御部(制御素子R1(R1、R2)、電源PS)は、複数個の発光素子LED1、2(1、2、3)に流れる電流値を、約1.0A、約0.1A(約1.0A、約0.0Aまたは約1.0A、約0.75A、約0.25A)に、制御する。複数個の発光素子LED1、2(1、2、3)に流れる電流値は、異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具に用いられる発光モジュールであって、
複数の発光素子を有する発光素子パッケージと、
制御部と、
複数の前記発光素子と前記制御部とを電気的に接続する1つの回路と、
を備え、
複数の前記発光素子は、直列に接続されている複数のブロックに組み分けされていて、
複数の前記ブロックにおける電流値は、同一であり、
前記制御部は、複数の前記発光素子に流れる電流値を制御する第1制御、または、複数の前記発光素子のうち少なくとも1個の前記発光素子に流れる電流値を0とする第2制御のうち、少なくともいずれか一方の制御を行い、
複数の前記発光素子に流れる電流値は、異なる、
ことを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
複数の前記発光素子を有する前記発光素子パッケージは、
前記発光素子パッケージの外縁に隣接して配置されている第1発光素子と、
前記第1発光素子よりも前記発光素子パッケージの内部側に隣接して配置されていて、電流値が前記第1発光素子の電流値よりも小さい第2発光素子と、
を有し、
前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、直列に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記制御部は、制御素子であり、複数の前記発光素子が組み込まれている発光素子パッケージの外部に配置されていて、前記第2発光素子に並列に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1発光素子のアノードとカソードとに電気的に接続されていて、前記第2発光素子のアノードとカソードとに電気的に接続されていない電流駆動部であり、前記第2発光素子に流れる電流値を0とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項5】
複数の前記発光素子を有する前記発光素子パッケージは、
前記発光素子パッケージの外縁に隣接して配置されている電流値が最大の第1発光素子と、
前記第1発光素子よりも前記発光素子パッケージの内部側に隣接して配置されていて、電流値が前記第1発光素子よりも小さい第2発光素子と、
前記第2発光素子よりも前記発光素子パッケージの内部側に隣接して配置されていて、電流値が前記第1発光素子および前記第2発光素子よりも小さい第3発光素子と、
を有し、
前記第1発光素子と、前記第2発光素子および前記第3発光素子とは、直列に接続されていて、
前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、並列にまたは直列に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記制御部は、制御素子であって、複数の前記発光素子が組み込まれている発光素子パッケージの外部に配置されていて、
前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、並列に接続されていて、
前記制御素子は、前記第2発光素子と前記第3発光素子とに、それぞれ、並列にまたは直列に接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記制御部は、制御素子であって、複数の前記発光素子が組み込まれている発光素子パッケージの外部に配置されていて、
前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、直列に接続されていて、
前記制御素子は、前記第2発光素子と前記第3発光素子とに、それぞれ、並列に接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の発光モジュール。
【請求項8】
複数の前記発光素子は、電流値順に配置されていて、
複数の前記発光素子を保護する保護素子を備え、
前記保護素子は、電流値が小さい前記発光素子を挟んで、電流値が最大の前記発光素子と反対側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項9】
前記発光素子パッケージが実装されているモジュール基板と、
前記モジュール基板に実装されていて、前記発光素子パッケージへの電力供給を制御する制御回路と、
前記モジュール基板に実装されていて、前記発光素子パッケージおよび前記制御回路に電力を供給する電力供給路と、
を備え、
前記電力供給路を介して、前記発光素子パッケージおよび前記制御回路に電力を供給する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の発光モジュールと、
前記発光モジュールの電力供給路を電力供給源に接続する給電部材と、
前記発光モジュールのモジュール基板が取り付けられている放熱部材と、
前記発光モジュールから出射した光を、車両用配光パターンとして、出射させる光学部材と、
を備え、
前記車両用配光パターンを形成する、
ことを特徴とする車両用灯具ユニット。
【請求項11】
車両に装備される車両用灯具であって、
請求項10に記載の車両用灯具ユニットと、
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
を備え、
前記車両用灯具ユニットは、前記灯室内に配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光モジュール、車両用灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具に用いられる発光モジュールとしては、たとえば、下記の特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1について説明する。
【0003】
特許文献1の発光装置は、基板上に複数の発光素子を直列に接続した、ものである。特許文献1の発光装置は、複雑な制御をすることなく、複数の発光素子に輝度分布を持たせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる発光モジュール、車両用灯具ユニットにおいては、1つのシンプルな回路で複数個の発光素子に輝度分布を持たせることが重要である。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、1つのシンプルな回路で複数個の発光素子に輝度分布を持たせることができる発光モジュール、車両用灯具ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の発光モジュールは、車両用灯具に用いられる発光モジュールであって、複数の発光素子を有する発光素子パッケージと、制御部と、複数の発光素子と制御部とを電気的に接続する1つの回路と、を備え、複数の発光素子が、直列に接続されている複数のブロックに組み分けされていて、複数のブロックにおける電流値が、同一であり、制御部が、複数の発光素子に流れる電流値を制御する第1制御、または、複数の発光素子のうち少なくとも1個の発光素子に流れる電流値を0とする第2制御のうち、少なくともいずれか一方の制御を行い、複数の発光素子に流れる電流値が、異なる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の発光モジュールにおいて、複数の発光素子を有する発光素子パッケージは、発光素子パッケージの外縁に隣接して配置されている第1発光素子と、第1発光素子よりも発光素子パッケージの内部側に隣接して配置されていて、電流値が第1発光素子の電流値よりも小さい第2発光素子と、を有し、第1発光素子と第2発光素子とは、直列に接続されている、ことが好ましい。
【0009】
この発明の発光モジュールにおいて、制御部は、制御素子であり、複数の発光素子が組み込まれている発光素子パッケージの外部に配置されていて、第2発光素子に並列に接続されている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の発光モジュールにおいて、制御部は、第1発光素子のアノードとカソードとに電気的に接続されていて、第2発光素子のアノードとカソードとに電気的に接続されていない電流駆動部であり、第2発光素子に流れる電流値を0とする、ことが好ましい。
【0011】
この発明の発光モジュールにおいて、複数の発光素子を有する発光素子パッケージは、発光素子パッケージの外縁に隣接して配置されている電流値が最大の第1発光素子と、第1発光素子よりも発光素子パッケージの内部側に隣接して配置されていて、電流値が第1発光素子よりも小さい第2発光素子と、第2発光素子よりも発光素子パッケージの内部側に隣接して配置されていて、電流値が第1発光素子および第2発光素子よりも小さい第3発光素子と、を有し、第1発光素子と、第2発光素子および第3発光素子とは、直列に接続されていて、第2発光素子と第3発光素子とは、並列にまたは直列に接続されている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の発光モジュールにおいて、制御部は、制御素子であって、複数の発光素子が組み込まれている発光素子パッケージの外部に配置されていて、第2発光素子と第3発光素子とは、並列に接続されていて、制御素子は、第2発光素子と第3発光素子とに、それぞれ、並列にまたは直列に接続されている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の発光モジュールにおいて、制御部は、制御素子であって、複数の発光素子が組み込まれている発光素子パッケージの外部に配置されていて、第2発光素子と第3発光素子とは、直列に接続されていて、制御素子は、第2発光素子と第3発光素子とに、それぞれ、並列に接続されている、ことが好ましい。
【0014】
この発明の発光モジュールにおいて、複数の発光素子は、電流値順に配置されていて、複数の発光素子を保護する保護素子を備え、保護素子は、電流値が小さい発光素子を挟んで、電流値が最大の発光素子と反対側に配置されている、ことが好ましい。
【0015】
この発明の発光モジュールにおいて、発光素子パッケージが実装されているモジュール基板と、モジュール基板に実装されていて、発光素子パッケージへの電力供給を制御する制御回路と、モジュール基板に実装されていて、発光素子パッケージおよび制御回路に電力を供給する電力供給路と、を備え、電力供給路を介して、発光素子パッケージおよび制御回路に電力を供給する、ことが好ましい。
【0016】
この発明の車両用灯具ユニットは、この発明の発光モジュールと、発光モジュールの電力供給路を電力供給源に接続する給電部材と、発光モジュールのモジュール基板が取り付けられている放熱部材と、発光モジュールから出射した光を、車両用配光パターンとして、出射させる光学部材と、を備え、車両用配光パターンを形成する、ことを特徴とする。
【0017】
この発明の車両用灯具は、車両に装備される車両用灯具であって、この発明の車両用灯具ユニットと、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、を備え、車両用灯具ユニットが、灯室内に配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明の発光モジュール、車両用灯具ユニットは、1つのシンプルな回路で複数個の発光素子に輝度分布を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、この発明にかかる発光モジュールの実施形態1を示し、発光モジュールに実装されている発光素子パッケージの説明図である。
【
図2】
図2は、発光モジュールに実装されている発光素子パッケージの構造を示す説明図である。
【
図3】
図3は、発光モジュールの回路を示す説明図である。
【
図4】
図4は、この発明にかかる発光モジュールの実施形態2を示し、発光モジュールに実装されている発光素子パッケージの説明図である。
【
図5】
図5は、この発明にかかる発光モジュールの実施形態3を示し、発光モジュールに実装されている発光素子パッケージの説明図である。
【
図6】
図6は、発光モジュールの回路を示す説明図である。
【
図7】
図7は、この発明にかかる発光モジュール(発光素子パッケージが実装されている発光モジュール)および車両用灯具ユニットが車両用灯具の一部として車両に搭載されている状態を示す車両の正面図(車両の前方から車両を見た図)である。
【
図8】
図8は、この発明にかかる発光モジュールの実施形態4を示す斜視図であって、かつ、この発明にかかる車両用灯具ユニットの実施形態を示す主要構成部品の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、この発明にかかる車両用灯具ユニットの実施形態を示す説明図である。
【
図10】
図10は、車両用灯具ユニットの変形例1を示す正面図である。
【
図11】
図11は、車両用灯具ユニットの変形例2を示す説明図である。
【
図12】
図12は、車両用灯具ユニットの変形例3を示す正面図である。
【
図13】
図13は、
図12の車両用灯具ユニットから照射された配光可変タイプのハイビーム配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明にかかる発光モジュール、車両用灯具ユニットの実施形態(実施例)、変形例を図面に基づいて説明する。この明細書、図面において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる発光モジュール、車両用灯具ユニットを車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
【0021】
図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、かつ、ハッチングの一部を省略する。
図9(B)、
図11(B)、
図13(A)(B)(C)(D)において、符号「VU-VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示し、符号「HL-HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。
【0022】
(発光素子パッケージ200を実装した発光モジュールの構成の説明)
以下、実施形態1にかかる発光モジュールの構成について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1(A)は、発光モジュールに実装されている発光素子パッケージ200の正面図であって、
図2(A)におけるI矢視図である。
図1(B)は、発光素子パッケージ200の光出射面207に形成されている輝度分布を示す説明図である。
図2(A)は、発光素子パッケージ200の断面図であって、
図1におけるII-II線断面図である。
図2(B)は、2個の発光素子LED1、LED2と2個の保護素子ZD1、ZD2と外部電極A0、C1、C2との電気接続状態を示す説明図である。
図3(A)は、発光モジュールの第1電気構造の回路を示す説明図である。
図3(B)は、発光モジュールの第2電気構造の回路を示す説明図である。この実施形態1にかかる発光モジュールは、
図1および
図2に示す発光素子パッケージ200を実装(搭載)したものである。
【0023】
(発光素子パッケージ200のパッケージ構造の説明)
発光素子パッケージ200は、
図1および
図2に示すように、複数の、この例では、2個の発光素子LED1、LED2(以下、「LED1、2」と称する)および保護素子ZD1、ZD2(以下、「ZD1、2」と称する)とパッケージ基板201と、蛍光体(光の波長変換部材)202と、封止部材(露光抑制部材)203と、外部電極A0、C1、C2とを、1つに組み込んだパッケージ構造をなす。
【0024】
発光素子パッケージ200の正面視形状は、縦長の長方形形状をなす。このため、パッケージ基板201、蛍光体202および後記の光出射面207の正面視形状も、同様に、縦長の長方形形状をなす。なお、蛍光体202および後記の光出射面207の正面視形状は、この縦長の長方形形状以外の形状、たとえば、正方形形状であっても良い。
【0025】
2個の発光素子LED1、2は、電流値順に配置されている。この例では、電流値が約1.0Aの最大の第1発光素子LED1は、発光素子パッケージ200の光出射面207の上辺側の部分、すなわち、発光素子パッケージ200の長手方向の外縁に隣接して配置されている。電流値が約0.1A(
図3(A)を参照)または約0.0A(
図3(B)を参照)第2発光素子LED2は、光出射面207の下辺側の部分、すなわち、第1発光素子LED1よりも発光素子パッケージ200の内部側に隣接して配置されている。
【0026】
発光素子LED1、2は、この例では、フリップチップタイプのLEDである。発光素子LED1、2は、基板(サファイア基板)と、発光層を含む複数の半導体層の積層部と、アノード電極(
図2(B)中のP電極を参照)およびカソード電極(
図2(B)中のN電極を参照)と、を備える。基板の一面には、積層部が、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いてエピタキシャル結晶成長工程により成膜(成長)されている。基板の他面(発光素子LED1、2の一面)には、発光面が形成されている。第1発光素子LED1の発光面の面積と、第2発光素子LED2の発光面の面積とは、同一、もしくは、ほぼ同一である。なお、第1発光素子LED1の発光面の面積と、第2発光素子LED2の発光面の面積とは、同一でなくとも良い。積層部の基板に対して反対側の面(発光素子LED1、2の他面)には、アノード電極およびカソード電極が設けられている。この
図2に示すパッケージ構造における発光素子LED1、2のアノード電極およびカソード電極は、
図3に示す回路における発光素子LED1、2のアノードおよびカソードに対応する。
【0027】
保護素子ZD1、2は、この例では、ツェナーダイオードであって、発光素子LED1、2に過大な電圧印加がかかるのを防止して、発光素子LED1、2の素子破壊や性能劣化を防止する。保護素子ZD1、2の一面には、アノード電極(P電極であって、
図2(B)中のPを参照)およびカソード電極(N電極であって、
図2(B)中のNを参照)が設けられている。この
図2に示すパッケージ構造における保護素子ZD1、2のアノード電極およびカソード電極は、
図3に示す回路における保護素子ZD1、2のアノードおよびカソードに対応する。
【0028】
パッケージ基板201の一面(
図2(A)において左側の面)には、2個の発光素子LED1、2および2個の保護素子ZD1、2が、それぞれ、接合材(金属バンプ、金属パッド、半田など)204を介して、実装(固定)されている。
図2(B)に示すように、第1発光素子LED1のアノード電極(P電極)と第1保護素子ZD1のカソード電極(N電極)とが、接合材204を介して、電気的に接続されている。第1発光素子LED1のカソード電極(N電極)と第1保護素子ZD1のアノード電極(P電極)とが、接合材204を介して、電気的に接続されている。第2発光素子LED2のアノード電極(P電極)と第2保護素子ZD2のカソード電極(N電極)とが、接合材204を介して、電気的に接続されている。第2発光素子LED2のカソード電極(N電極)と第2保護素子ZD2のアノード電極(P電極)とが、接合材204を介して、電気的に接続されている。
【0029】
パッケージ基板201の他面(
図2(A)において右側の面)には、外部電極A0、C1、C2が設けられている。パッケージ基板201には、導電材205が設けられている。導電材205は、接合材204と外部電極A0、C1、C2とを電気的に接続する。この結果、第1発光素子LED1のアノード電極(P電極)は、外部電極A0に、接合材204および導電材205を介して、電気的に接続されている。第2発光素子LED2のカソード電極(N電極)は、外部電極C1に、接合材204および導電材205を介して、電気的に接続されている。第1発光素子LED1のカソード電極(N電極)と、第2発光素子LED2のアノード電極(P電極)とは、外部電極C2に、接合材204および導電材205を介して、電気的に接続されている。接合材204および導電材205は、回路の一部を構成する。
【0030】
2個の発光素子LED1、2の一面(
図2(A)において左側の面)の発光面には、蛍光体202の一面(
図2(A)において右側の面)が、光透過性の接着剤206を介して接着されている。蛍光体202は、例えば、2個の発光素子LED1、2の発光面から出射した青色光により励起されて黄色光を発するものであって、その青色光と黄色光とを合わせることで白色光とする。蛍光体202は、一面から入射した光を他面(
図2(A)において左側の面)の光出射面207から外部に出射する。
【0031】
発光素子LED1、2のうち、パッケージ基板201および蛍光体202が覆われていない露出面は、封止部材203により封止されている。封止部材203は、この例では、透明の樹脂材料に酸化チタンなど光反射性粉末を混合したものであり、光反射性である。封止部材203は、発光素子LED1、2の発光面からの光(青色光)の漏洩を防ぐ。
【0032】
(発光モジュールの第1電気構造の説明)
発光モジュールは、
図3(A)に示すように、複数個、この例では、2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2と、1個の制御素子R1とを、1つの回路(電気回路)で、電気的に接続した電気構造をなす。
【0033】
この回路は、1つで、2個の発光素子LED1、2をそれぞれ発光させることができる。以下、回路について説明する。
図3(A)に示すように、回路には、外部電極A0、C1、C2が設けられている。2個の発光素子LED1、2には、2個の保護素子ZD1、2が、並列に接続されている。すなわち、第1発光素子LED1のアノードには、第1保護素子ZD1のカソードが接続されている。第1発光素子LED1のカソードには、第1保護素子ZD1のアノードが接続されている。第2発光素子LED2のアノードには、第2保護素子ZD2のカソードが接続されている。第2発光素子LED2のカソードには、第2保護素子ZD2のアノードが接続されている。
【0034】
図3(A)に示すように、第1発光素子LED1と、第2発光素子LED2とは、直列に接続されている。制御素子R1は、第2発光素子LED2に並列に接続されている。すなわち、
図3(A)に示すように、第1発光素子LED1のカソードは、第2発光素子LED2のアノードに接続されている。制御素子R1の一方の端子は、第1発光素子LED1のカソードと第2発光素子LED2のアノードとの間に接続されている。制御素子R1の他方の端子は、第2発光素子LED2のカソードに接続されている。
【0035】
図3(A)に示す回路の外部電極A0は、第1発光素子LED1のアノードに接続されている。
図3(A)に示す回路の外部電極C1は、第2発光素子LED2のカソードに接続されている。
図3(A)に示す回路の外部電極C2は、第1発光素子LED1のカソード電極と第2発光素子LED2のアノード電極(P電極)とに接続されている。
【0036】
2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2と、1個の制御素子R1とは、直列に接続されている複数、この例では、2つのブロックに組み分けされている。すなわち、第1発光素子LED1および第1保護素子ZD1は、第1ブロックに組み分けされていて、第2発光素子LED2、第2保護素子ZD2および制御素子R1は、第2ブロックに組み分けされている。第1ブロックに流れる電流値と、第2ブロックに流れる電流値とは、同一であり、この例では、約1.0Aである。
【0037】
1個の制御素子R1は、2個の発光素子LED1、2に流れる電流値を制御する。2個の発光素子LED1、2に流れる電流値は、異なる。すなわち、第1発光素子LED1に流れる電流値は、最大であり、この例では、約1.0Aであり、一方、第2発光素子LED2に流れる電流値は、第1発光素子LED1に流れる電流値よりも小さく、この例では、約0.1Aである。
【0038】
制御素子R1は、この例では、外付け部品の抵抗である。すなわち、制御素子R1は、発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2などが組み込まれている発光素子パッケージ200には、組み込まれておらず、たとえば、後記のモジュール基板501に実装されていたり、あるいは、LDM(LED Driver Module)に設けられたりしている。制御素子R1は、第2発光素子LED2に並列に電気的に接続されている。なお、制御素子R1としては、この例の抵抗以外に、たとえば、外付け部品のダイオードであっても良い。
【0039】
(発光素子パッケージ200を実装した発光モジュールの作用の説明)
この実施形態1にかかる発光モジュールは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0040】
図3(A)に示すように、外部電極A0と外部電極C1とを電源PSに電気的に接続する。すると、約1.0Aの電流は、第1ブロックにおける第1発光素子LED1に流れて、第1発光素子LED1は、発光する。また、約1.0Aの電流は、第2ブロックにおいて、制御素子R1の制御作用により、約0.1Aの電流と約0.9Aの電流とに分流する。約0.1Aの電流は、第2発光素子LED2に流れて、第2発光素子LED2は、発光する。約0.9Aの電流は、制御素子R1に流れる。
【0041】
そして、電流値が最大の約1.0Aの電流が流れた第1発光素子LED1は、高い輝度値で明るく発光する。電流値が約0.1Aの電流が流れた第2発光素子LED2は、輝度値が第1発光素子LED1の輝度値より低い輝度値で発光する。
【0042】
この結果、
図1(B)に示すように、光出射面207において、第1発光素子LED1が位置する上辺側の部分における輝度が高く、第2発光素子LED2が位置する下辺側の部分における輝度が低い。これにより、光出射面207においては、
図1(B)に示す輝度分布、すなわち、上辺側に高輝度領域が存在する輝度分布が形成される。
【0043】
(発光素子パッケージ200を実装した発光モジュールの効果の説明)
この実施形態1にかかる発光モジュールは、以上のごとき構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0044】
実施形態1にかかる発光モジュールは、2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2と、1個の制御素子R1とを、1つの回路で、電気的に接続し、制御素子R1の制御作用により、2個の発光素子LED1、2のうち一方に流れる電流値を変えて、2個の発光素子LED1、2により形成される発光面(光出射面207)において輝度分布を持たせたものである。この結果、実施形態1にかかる発光モジュールは、1つのシンプルな回路で2個の発光素子LED1、2により形成される発光面(光出射面207)において輝度分布を持たせることができる。
【0045】
実施形態1にかかる発光モジュールは、制御素子R1の制御作用により、2個の発光素子LED1、2に流れる電流値を変えて、2個の発光素子LED1、2に輝度分布を持たせたものであるから、複数個の発光素子の発光面の面積を変えて、複数個の発光素子に輝度分布を持たせる前記の特許文献1の発光装置と比較して、構造が簡単であり、製造コストを安価にすることができる。
【0046】
実施形態1にかかる発光モジュールは、2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2と、1個の制御素子R1とを1つの回路で電気的に接続するものであるから、2個の発光素子LED1、2をそれぞれ駆動させる2つの回路を必要としないので、製造コストを安価にすることができ、しかも、小型化することができる。
【0047】
実施形態1にかかる発光モジュールは、2個の発光素子LED1、2に流れる電流値を制御する1個の制御素子R1を、外付け部品とするものであるから、パッケージサイズを、外付け部品の1個の制御素子R1のサイズ分、コンパクトにすることができる。しかも、パッケージサイズをコンパクトにする分、製造コストを安価にすることができる。
【0048】
実施形態1にかかる発光モジュールは、保護素子ZD1、2を備えるものであるから、発光素子LED1、2に過大な電圧印加がかかるのを防止して、発光素子LED1、2の素子破壊や性能劣化を防止できる。
【0049】
実施形態1にかかる発光モジュールは、保護素子ZD1、2を、電流値が小さい第2発光素子LED2を挟んで、電流値が最大の第1発光素子LED1と反対側に配置したものである。この結果、実施形態1にかかる発光モジュールは、電流値が最大の第1発光素子LED1を、パッケージの縁側、この例では、上辺縁側に、配置させることができる。これにより、実施形態1にかかる発光モジュールは、車両用灯具として、その他の光学部品(光学部材)を使用して、配光設計する時に、容易に配光設計することができる。たとえば、2個の発光素子パッケージ200を、第1発光素子LED1側の縁がお互いに向き合うように配置することにより、ハイビーム配光パターンを形成する場合などにおいて、中央付近に強い光を集中(集束)させ易い。
【0050】
実施形態1にかかる発光モジュールは、2個の発光素子LED1、2を、電流値順に配置したものであるから、電流値が高い第1発光素子LED1における高輝度領域と、電流値が第1発光素子LED1の電流値より低い第2発光素子LED2における低輝度領域との比を、約5対1とすることができる、ものである。この結果、実施形態1にかかる発光モジュールは、光出射面207において、高輝度領域における輝度と低輝度領域における輝度との比を、約5対1にすることができ、この約5対1の比が、車両用灯具の配光パターンの特性測定における複数個の照度測定点の測定照度うち、高照度領域と低照度領域との比に、対応する。これにより、実施形態1にかかる発光モジュールは、車両用灯具として、配光パターンを設計する時に、容易に配光パターンを設計することができる。
【0051】
(発光モジュールの第2電気構造の説明)
以下、実施形態1にかかる発光モジュールの第2電気構造について、
図3(B)を参照して説明する。
【0052】
前記の実施形態1にかかる発光モジュールの第1電気構造は、制御部として、1個の制御素子R1を使用するものである。これに対して、この発光モジュールの第2電気構造は、制御部として、電流駆動部を使用するものである。電流駆動部は、この例では、電源PSであって、外部電極A0と外部電極C2とに電気的に接続される。すなわち、制御部としての電流駆動部である電源PSは、第1発光素子LED1のアノードとカソードとに電気的に接続されていて、第2発光素子LED2のアノードとカソードとに電気的に接続されていない。これにより、第2発光素子LED2に流れる電流値を0とする。
【0053】
この発光モジュールの第2電気構造においては、第2発光素子LED2に流れる電流値を0とするので、第2発光素子LED2は発光しない。しかしながら、第1発光素子LED1には、電流値が約1.0Aの電流が流れているので、第1発光素子LED1は発光している。このため、この発光モジュールの第2電気構造においては、第1発光素子LED1からの光が第1発光素子LED1および第2発光素子LED2の透明なサファイア基板および蛍光体202を介して発光していない第2発光素子LED2側に導かれて、光出射面207が発光する。これにより、この発光モジュールの第2電気構造においては、前記の実施形態1にかかる発光モジュールの第1電気構造と同様に、輝度分布を形成することができる。しかも、サファイア基板および蛍光体202の厚みを調整することにより、光出射面207における輝度分布を調整することができる。
【0054】
この発光モジュールの第2電気構造は、前記の発光モジュールの第1電気構造と同様の作用効果を達成することができる。特に、この変形例は、外付けの制御素子R1を使用しないので、部品点数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0055】
また、前記の発光モジュールの第1電気構造およびこの発光モジュールの第2電気構造は、2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2を組み込んだパッケージ構造をそのまま使用した状態で、外付けの制御素子R1を設ける有無を決め、かつ、外部電極C1またはC2の接続位置を変えることにより、
図3(A)に示す回路の発光素子パッケージ200と
図3(B)に示す回路の発光素子パッケージ200とを得ることができる。この結果、前記の発光モジュールの第1電気構造およびこの発光モジュールの第2電気構造は、2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2を組み込んだパッケージ構造をそのまま利用することができ、汎用性に優れている。
【0056】
(発光素子パッケージ200A、200Bを実装した発光モジュールの構成作用効果の説明)
以下、実施形態2にかかる発光モジュールの構成作用効果について、
図4を参照して説明する。
図4中、
図1から
図3と同符号は、同一の物を示す。
【0057】
前記の実施形態1にかかる発光モジュールは、発光素子パッケージ200を実装(搭載)したものである。この発光素子パッケージ200は、2個の発光素子LED1、2を使用して、光出射面207において、上辺部が高輝度領域であり、下辺部が低輝度領域である輝度分布を有する。
【0058】
これに対して、この実施形態2にかかる発光モジュールは、
図4(A)に示す発光素子パッケージ200A、
図4(B)に示す発光素子パッケージ200Bを実装(搭載)したものである。
図4(A)に示す発光素子パッケージ200Aは、2個の発光素子LED1、2を使用して、光出射面207において、右辺部が高輝度領域である輝度分布を有する。
図4(B)に示す発光素子パッケージ200Bは、2個の発光素子LED1、2を使用して、光出射面207において、左辺部が高輝度領域である輝度分布を有する。
【0059】
この実施形態2にかかる発光モジュールは、以上の如き構成からなるものであるから、前記の実施形態1にかかる発光モジュールの作用効果と同様の作用効果を達成することができる。
【0060】
(発光素子パッケージ200Cを実装した発光モジュールの構成の説明)
以下、実施形態3にかかる発光モジュールの構成について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5および
図6中、
図1から
図4と同符号は、同一の物を示す。この実施形態3にかかる発光モジュールは、
図5に示す発光素子パッケージ200Cを実装(搭載)したものである。
【0061】
この実施形態3にかかる発光モジュールの構造と、前記の実施形態1にかかる発光モジュールの構造とは、以下の発光素子などの個数以外において、ほぼ同一構造である。すなわち、前記の実施形態1にかかる発光モジュールに実装されている発光素子パッケージ200は、2個の発光素子LED1、2および保護素子ZD1、2と、1個の制御素子R1、または、制御部としての電流駆動部と、を使用するものである。これに対して、この実施形態3にかかる発光モジュールに実装されている発光素子パッケージ200Cは、3個の発光素子LED1、2、3および保護素子ZD1、2、3と、2個の制御素子R1、R2と、を使用するものである。
【0062】
(発光モジュールの電気構造の説明)
発光モジュールは、
図6(A)(B)(C)に示すように、複数個、この例では、3個の発光素子LED1、LED2、LED3(以下、「LED1、2、3」と称する)および保護素子ZD1、ZD2、ZD3(以下、「ZD1、2、3」と称する)と、複数個、この例では、2個の制御素子R1、R2(以下、「R1、2」と称する)とを、1つの回路(電気回路)で、電気的に接続した電気構造をなす。
【0063】
この回路は、1つで、3個の発光素子LED1、2、3をそれぞれ発光させることができる。以下、回路について説明する。
図6(A)(B)(C)に示すように、回路には、外部電極A0、C0が設けられている。3個の発光素子LED1、2、3には、3個の保護素子ZD1、2、3が、並列に接続されている。すなわち、第1発光素子LED1のアノードには、第1保護素子ZD1のカソードが接続されている。第1発光素子LED1のカソードには、第1保護素子ZD1のアノードが接続されている。第2発光素子LED2のアノードには、第2保護素子ZD2のカソードが接続されている。第2発光素子LED2のカソードには、第2保護素子ZD2のアノードが接続されている。第3発光素子LED3のアノードには、第3保護素子ZD3のカソードが接続されている。第3発光素子LED3のカソードには、第3保護素子ZD3のアノードが接続されている。
【0064】
図6(A)に示すように、第1発光素子LED1と、第2発光素子LED2および第3発光素子LED3とは、直列に接続されている。第2発光素子LED2と第3発光素子LED3とは、並列に接続されている。第1制御素子R1は、第2発光素子LED2に並列に接続されている。第2制御素子R2は、第3発光素子LED3に並列に接続されている。
【0065】
すなわち、
図6(A)に示すように、第1発光素子LED1のカソードは、第2発光素子LED2のアノードおよび第3発光素子LED3のアノードにそれぞれ接続されている。第2発光素子LED2のアノードと第3発光素子LED3のアノードとは、相互に接続されている。第2発光素子LED2のカソードと第3発光素子LED3のカソードとは、相互に接続されている。第1制御素子R1の一方の端子は、第2発光素子LED2のアノードおよび第2保護素子ZD2のカソードにそれぞれ接続されている。第1制御素子R1の他方の端子は、第2発光素子LED2のカソードおよび第2保護素子ZD2のアノードにそれぞれ接続されている。第2制御素子R2の一方の端子は、第3発光素子LED3のアノードおよび第3保護素子ZD3のカソードにそれぞれ接続されている。第2制御素子R2の他方の端子は、第3発光素子LED3のカソードおよび第3保護素子ZD3のアノードにそれぞれ接続されている。
【0066】
図6(A)に示す回路の外部電極A0は、第1発光素子LED1のアノードに接続されていて、かつ、LDMの+に接続されている。
図6(A)に示す回路の外部電極C0は、第2発光素子LED2のカソードおよび第3発光素子LED3のカソードに接続されていて、かつ、LDMの-に接続されている。
【0067】
また、
図6(B)に示すように、第1発光素子LED1と、第2発光素子LED2および第3発光素子LED3とは、直列に接続されている。第2発光素子LED2と第3発光素子LED3とは、並列に接続されている(ここまでは、
図6(A)に示す回路と同一である)。第1制御素子R1は、第2発光素子LED2に直列に接続されている。第2制御素子R2は、第3発光素子LED3に直列に接続されている。
【0068】
すなわち、
図6(B)に示すように、第1制御素子R1の一方の端子は、第2発光素子LED2のカソードおよび第2保護素子ZD2のアノードにそれぞれ接続されている。第2制御素子R2の一方の端子は、第3発光素子LED3のカソードおよび第3保護素子ZD3のアノードにそれぞれ接続されている。第1制御素子R1の他方の端子と第2制御素子R2の他方の端子とは、それぞれ接続されている。なお、
図6(A)に示す回路と同一である接続についての説明は、省略する。
【0069】
図6(B)に示す回路の外部電極A0は、第1発光素子LED1のアノードに接続されていて、かつ、LDMの+に接続されている。
図6(B)に示す回路の外部電極C0は、第1制御素子R1を介して第2発光素子LED2のカソードおよび第2制御素子R2を介して第3発光素子LED3のカソードに接続されていて、かつ、LDMの-に接続されている。
【0070】
さらに、
図6(C)に示すように、第1発光素子LED1と、第2発光素子LED2および第3発光素子LED3とは、直列に接続されている。第2発光素子LED2と第3発光素子LED3とは、直列に接続されている。第1制御素子R1および第2制御素子R2の接続は、
図6(A)に示す第1制御素子R1および第2制御素子R2の接続と同一である。
【0071】
図6(C)に示すように、第1発光素子LED1と、第2発光素子LED2と、第3発光素子LED3とは、直列に接続されている。すなわち、第1発光素子LED1のカソードは、第2発光素子LED2のアノードに接続されている。第2発光素子LED2のカソードは、第3発光素子LED3のアノードに接続されている。なお、
図6(A)に示す回路と同一である接続についての説明は、省略する。
【0072】
図6(C)に示す回路の外部電極A0は、第1発光素子LED1のアノードに接続されていて、かつ、LDMの+に接続されている。
図6(C)に示す回路の外部電極C0は、第3発光素子LED3のカソードに接続されていて、かつ、LDMの-に接続されている。
【0073】
3個の発光素子LED1、2、3および保護素子ZD1、2、3と、2個の制御素子R1、2とは、直列に接続されている複数のブロックに組み分けされている。
図6(A)、(B)に示す回路においては、2つのブロックに組み分けされている。すなわち、第1発光素子LED1および第1保護素子ZD1は、第1ブロックに組み分けされている。第2発光素子LED2、第2保護素子ZD2および第1制御素子R1と、第3発光素子LED3、第3保護素子ZD3および第2制御素子R2とは、第2ブロックに組み分けされている。第1ブロックに流れる電流値と、第2ブロックに流れる電流値とは、同一であり、この例では、約1.0Aである。また、
図6(C)に示す回路においては、3つのブロックに組み分けされている。すなわち、第1発光素子LED1および第1保護素子ZD1は、第1ブロックに組み分けされている。第2発光素子LED2、第2保護素子ZD2および第1制御素子R1は、第2ブロックに組み分けされている。第3発光素子LED3、第3保護素子ZD3および第2制御素子R2は、第3ブロックに組み分けされている。第1ブロックに流れる電流値と、第2ブロックに流れる電流値と、第3ブロックに流れる電流値とは、同一であり、この例では、約1.0Aである。
【0074】
2個の制御素子R1、R2は、3個の発光素子LED1、2、3に流れる電流値を制御する。3個の発光素子LED1、2、3に流れる電流値は、異なる。すなわち、第1発光素子LED1に流れる電流値は、最大であり、この例では、約1.0Aであり、第2発光素子LED2に流れる電流値は、第1発光素子LED1に流れる電流値よりも小さく、この例では、約0.75Aであり、第3発光素子LED3に流れる電流値は、第1発光素子LED1に流れる電流値および第2発光素子LED2に流れる電流値よりも小さく、この例では、約0.25Aである。このように、3個の発光素子LED1、2、3に流れる電流値は、異なる。
【0075】
(発光素子パッケージ200Cのパッケージ構造の説明)
発光素子パッケージ200Cは、
図5に示すように、3個の発光素子LED1、2、3および保護素子ZD1、2、3と、パッケージ基板201と、蛍光体(光の波長変換部材)202と、封止部材(露光抑制部材)203と、外部電極とを、1つに組み込んだパッケージ構造をなす。
【0076】
発光素子パッケージ200Cがこの実施形態3にかかる発光モジュールに実装された後における3個の発光素子LED1、2、3は、電流値順に配置されている。この例では、電流値が約1.0Aの最大の第1発光素子LED1は、発光素子パッケージ200の光出射面207の上辺側の部分、すなわち、発光素子パッケージ200Cの長手方向の外縁に隣接して配置されている。電流値が約0.75Aの中位の第2発光素子LED2は、中央部分、すなわち、第1発光素子LED1よりも発光素子パッケージ200Cの内部側に隣接して配置されている。電流値が約0.25Aの最小の第3発光素子LED3は、光出射面207の下辺側の部分、すなわち、第2発光素子LED2よりも発光素子パッケージ200Cの内部側に隣接して配置されている。
【0077】
第2発光素子LED2の発光面の面積と、第3発光素子LED3の発光面の面積とは、同一、もしくは、ほぼ同一である。第1発光素子LED1の発光面の面積は、第2発光素子LED2の発光面の面積、第3発光素子LED3の発光面の面積よりも広い。なお、第1発光素子LED1の発光面の面積と、第2発光素子LED2の発光面の面積と、第3発光素子LED3の発光面の面積とを、同一、もしくは、ほぼ同一にしても良い。
【0078】
(発光素子パッケージ200Cを実装した発光モジュールの作用の説明)
この実施形態3にかかる発光モジュールは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0079】
外部電極A0とC0とを電源(図示せず)に電気的に接続する。すると、
図6(A)(B)に示すように、約1.0Aの電流は、第1ブロックにおける第1発光素子LED1に流れて、第1発光素子LED1は、発光する。また、約1.0Aの電流は、第2ブロックにおいて、制御素子R1、R2の制御作用により、約0.75Aの電流と約0.25Aの電流とに分流する。約0.75Aの電流は、第2発光素子LED2に流れて、第2発光素子LED2は、発光する。約0.25Aの電流は、第3発光素子LED3に流れて、第3発光素子LED3は、発光する。
また、
図6(C)に示すように、約1.0Aの電流は、第1ブロックにおける第1発光素子LED1に流れて、第1発光素子LED1は、発光する。また、約1.0Aの電流は、第2ブロックにおいて、制御素子R1の制御作用により、約0.75Aの電流と約0.25Aの電流とに分流する。約0.75Aの電流は、第2発光素子LED2に流れて、第2発光素子LED2は、発光する。約0.25Aの電流は、制御素子R1に流れる。
さらに、約1.0Aの電流は、第3ブロックにおいて、制御素子R2の制御作用により、約0.25Aの電流と約0.75Aの電流とに分流する。約0.25Aの電流は、第3発光素子LED3に流れて、第3発光素子LED2は、発光する。約0.75Aの電流は、制御素子R2に流れる。
【0080】
電流値が最大の約1.0Aの電流が流れた第1発光素子LED1は、最も明るく発光する。電流値が中位の約0.75Aの電流が流れた第2発光素子LED2は、中位の明るさで発光する。電流値が下位の約0.25Aの電流が流れた第3発光素子LED3は、下位の明るさで発光する。
【0081】
この結果、光出射面207において、第1発光素子LED1が位置する上辺側の部分における輝度が高く、第2発光素子LED2が位置する中央部分における輝度が中であり、第3発光素子LED3が位置する下辺側の部分における輝度が低い。これにより、光出射面207においては、
図5(B)に示す輝度分布が形成される。すなわち、上辺部が高輝度領域であり、下辺部が低輝度領域である。
【0082】
(発光素子パッケージ200Cを実装した発光モジュールの効果の説明)
この実施形態3にかかる発光モジュールは、以上のごとき構成、作用からなるものであるから、前記の実施形態1、2にかかる発光モジュールと同様の効果を達成することができる。
【0083】
(発光素子パッケージ200、200A、200B、200Cの使用例の説明)
前記の発光素子パッケージ200、200A、200B、200Cは、
図7から
図13に示すように、発光モジュール500に使用され、また、発光モジュール500を介して車両用灯具ユニット400、400A、400B、400CL、400CRに使用され、さらに、車両用灯具ユニット400(400A、400B、400CL、400CR)を介して車両用灯具300L、300Rに使用される。
【0084】
(発光モジュール500の構成の説明)
この実施形態4にかかる発光モジュール500は、
図8に示すように、発光素子パッケージ200(200A、200B、200C)と、モジュール基板501と、制御回路502と、電力供給路503と、を備える。
【0085】
モジュール基板501の実装面には、発光素子パッケージ200のパッケージ基板201、制御回路502および電力供給路503が、それぞれ、実装されている。制御回路502は、発光素子パッケージ200への電力供給を制御する。電力供給路503は、発光素子パッケージ200および制御回路502に電力を供給する。
【0086】
電力供給路503と発光モジュール500の外部電極A0、C1、C2(A0、C0)とは、電気的に接続されている。電力供給路503には、外付けの制御素子R1(R1、R2)が電気的に接続されている。これにより、
図3(A)(B)および
図6(A)(B)(C)に示す回路が構成されている。
【0087】
(車両用灯具300L、300Rの構成の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具300L、300Rは、
図7に示すように、この例では、ヘッドランプであって、車両300の前部の左右にそれぞれ装備されている。
【0088】
車両300の左側に装備されている左側の車両用灯具300L、車両300の右側に装備されている右側の車両用灯具300Rは、それぞれ、灯室303を形成するランプハウジング301およびランプレンズ302(素通しのアウターカバー)と、灯室303内に配置されている車両用灯具ユニット400(400A、400B、400CL、400CR)と、を備える。
【0089】
(車両用灯具ユニット400の構成の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具ユニット400は、ロービーム用の車両用灯具ユニット400であって、
図8、
図9に示すように、発光モジュール500と、給電部材としてのコネクタ部材401と、放熱部材402と、光学部材としてのレンズ403と、を備える。
【0090】
コネクタ部材401は、発光モジュール500のモジュール基板501に着脱可能に取り付けることにより、発光モジュール500の電力供給路503を、車両300に搭載の電力供給源(
図3中の電源PS)に、電気的に接続する。
【0091】
放熱部材402は、円板形状の取付部と、フィン形状の放熱部と、を有する。放熱部材402の取付部の実装面には、発光モジュール500のモジュール基板501が取り付けられている。この時、車両用灯具ユニット400のレンズ光軸Zは、発光モジュール500の発光素子パッケージ200の最高輝度領域に位置する。なお、発光素子パッケージ200のパッケージ基板201は、モジュール基板501を介して、放熱部材402の実装面に取り付けられている。しかしながら、発光素子パッケージ200のパッケージ基板201を、モジュール基板501に開設された開口部を介して、放熱部材402の実装面に直接取り付けても良い。
【0092】
レンズ403は、発光モジュール500から出射した光を、車両用配光パターンこの例としてはロービーム配光パターンLPとして、外部に出射させる。レンズ403は、
図9(A)に示すように、この例では、正面視円形形状をなす。レンズ403は、円形形状の中央部分と円環形状の外周部分408とを有する。
【0093】
レンズ403の中央部分の入射面には、斜めライン404と水平ライン405とが設けられている。斜めライン404は、ロービーム配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1を形成する。水平ライン405は、ロービーム配光パターンLPの水平カットオフラインCL2を形成する。
【0094】
レンズ403の中央部分の入射面は、第1中央入射面406と第2中央入射面407とを有する。第1中央入射面406は、ロービーム配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1および水平カットオフラインCL2を含む高輝度領域の中央部分の第1配光パターンSPを形成する。第2中央入射面407は、ロービーム配光パターンLPの斜めカットオフラインCL1および水平カットオフラインCL2を含まない中輝度領域の中央部分の第2配光パターン(図示せず)を形成する。第2配光パターンは、第1配光パターンSPよりも少し下方にずれて配光されている。
【0095】
レンズ403の外周部分408は、ロービーム配光パターンLPの低輝度領域の拡散部分の第3配光パターンWPを形成する。第1配光パターンSPと、第2配光パターンと、第3配光パターンWPとは、重畳されて、ロービーム配光パターンLPを形成する。
【0096】
(車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400、発光モジュール500の作用の説明)
車両用灯具ユニット400のコネクタ部材401から発光モジュール500の電力供給路503を介して発光素子パッケージ200および車両用灯具ユニット400の制御回路502に電力を供給する。すると、発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面207から光が、光出射面207に形成された輝度分布に基づいて出射する。
【0097】
発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面207すなわち発光モジュール500から出射した光は、車両用灯具ユニット400のレンズ403を経て、ロービーム配光パターンLPとして外部に出射される。車両用灯具ユニット400のレンズ403から外部に出射されたロービーム配光パターンLPは、車両用灯具300L、300Rのランプレンズ302を経て車両300の前方に照射される。
【0098】
(車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400、発光モジュール500の効果の説明)
発光モジュール500は、発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面207から光を、光出射面207に形成された輝度分布に基づいて出射させるものであるから、光出射面207から出射される光の輝度分布を高精度に形成することができる。
【0099】
車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、発光モジュール500から出射した光を、ロービーム配光パターンLPとして外部に出射させ、しかも、そのロービーム配光パターンLPを発光モジュール500の発光素子パッケージ200の蛍光体202の光出射面207に形成された輝度分布に基づいて形成する。この結果、車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、ロービーム配光パターンLPの輝度分布を高精度に形成することができる。
【0100】
また、車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、上辺中央部分が最高輝度領域である輝度分布を有する発光素子パッケージ200を使用するものであるから、配光パターンの上縁に斜めカットオフラインCL1、水平カットオフラインCL2を有するロービーム配光パターンLPを形成するのに適している。
【0101】
さらに、車両用灯具300L、300R、車両用灯具ユニット400は、ロービーム配光パターンLPを、輝度分布を有する発光モジュール500の発光素子パッケージ200により形成することができるので、光学部材としてのレンズ403の配光設計を簡便にすることができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0102】
(車両用灯具ユニットの変形例1の説明)
前記の車両用灯具ユニット400に使用されている発光素子パッケージ200では、エルボー点における光度が規定を満たすことができない場合がある。
【0103】
このような場合には、
図10に示すように、前記の車両用灯具ユニット400に追加用の車両用灯具ユニット400Aを追加する。この追加用の車両用灯具ユニット400Aは、輝度分布が均一の発光素子パッケージ200Dを使用する。また、この追加用の車両用灯具ユニット400Aは、斜めライン404と水平ライン405とが設けられていないレンズ403Aを使用するものである。なお、斜めライン404と水平ライン405とが設けられているレンズ403を使用しても良い。この追加用の車両用灯具ユニット400Aにより、ロービーム配光パターンLP全体の光度を上げて、エルボー点における光度の規定を満たすことができる。
【0104】
(車両用灯具ユニットの変形例2の説明)
前記の車両用灯具ユニット400、変形例1の車両用灯具ユニット400Aは、ロービーム配光パターンLPを照射する車両用灯具ユニットである。この変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、
図11(B)に示すように、ハイビーム配光パターンHPを照射する車両用灯具ユニットである。
【0105】
変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、前記の発光素子パッケージ200を上下逆さにして使用する。すなわち、輝度分布の高輝度領域が下辺部分に位置する。
【0106】
また、変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、レンズ403Bを使用する。すなわち、レンズ403Bの円形形状の中央部分は、ハイビーム配光パターンHPの全体の拡散部分(
図11(B)中の5個の楕円全部を含む部分)を形成する。レンズ403Bの円環形状の外周部分は、ハイビーム配光パターンHPの中央の高照度領域部分(たとえば、
図11(B)中の5個の楕円のうち、中央の1個の部分)を形成する。これにより、この変形例2の車両用灯具ユニット400Bは、
図11(B)に示すハイビーム配光パターンHPを照射する。
【0107】
この変形例2の車両用灯具ユニット400Bにおいて、輝度分布を有する発光素子パッケージを使用することにより、光学部材としてのレンズ403Bの配光設計を簡便にすることができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0108】
(車両用灯具ユニットの変形例3の説明)
この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、
図12、
図13に示すように、配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを照射する車両用灯具ユニットである。
【0109】
変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、前記の発光素子パッケージ200A、200Bを使用する。左側の車両用灯具ユニット400CLは、
図4(A)に示す発光素子パッケージ200Aを、車両300の右側に、5個左右方向に配置し、かつ、
図4(B)に示す発光素子パッケージ200Bを、車両300の左側に、4個左右方向に配置し、
図12(B)に示すように、合計9個の発光素子パッケージ200A、200Bを配置する。右側の車両用灯具ユニット400CLは、
図4(A)に示す発光素子パッケージ200Aを、車両300の右側に、4個左右方向に配置し、かつ、
図4(B)に示す発光素子パッケージ200Bを、車両300の左側に、5個左右方向に配置し、
図12(A)に示すように、合計9個の発光素子パッケージ200A、200Bを配置する。
【0110】
変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRに使用されるレンズ403Cは、投影レンズである。レンズ403Cは、9個の発光素子パッケージ200A、200Bの光出射面207における輝度分布の像(
図12(A)(B)を参照)を、拡大して、配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBP、RADBP(
図13(A)(B)を参照)として、車両300の前方に照射する。
【0111】
左側の車両用灯具ユニット400CLの右側の5個の発光素子パッケージ200Aは、
図13(A)の左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBPのうち、左側(HL側)5個の部分配光パターン(分割配光パターン)を形成する。左側の車両用灯具ユニット400CLの左側の4個の発光素子パッケージ200Bは、
図13(A)の左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBPのうち、右側(HR側)4個の部分配光パターンを形成する。左側の車両用灯具ユニット400CLの9個の発光素子パッケージ200A、200Bは、
図13(A)の左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBPの9個の部分配光パターンを形成する。
【0112】
右側の車両用灯具ユニット400CRの左側の5個の発光素子パッケージ200Bは、
図13(B)の右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンRADBPのうち、右側(HR側)5個の部分配光パターンを形成する。右側の車両用灯具ユニット400CRの右側の4個の発光素子パッケージ200Aは、
図13(B)の右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンRADBPのうち、左側(HL側)4個の部分配光パターンを形成する。右側の車両用灯具ユニット400CRの9個の発光素子パッケージ200A、200Bは、
図13(B)の右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターンRADBPの9個の部分配光パターンを形成する。
【0113】
変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、いわゆる、ADB(Adaptive Driving Beam)タイプのランプユニットである。変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、対向車や先行車などの前方車両が存在しない時には、
図13(A)(B)に示すように、全体のハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを照射する。
【0114】
一方、変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、前方車両が存在する時には、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗くなるように制御する。たとえば、
図13(C)(D)に示すように、右側(HR側)から2個目の部分配光パターンと3個目の部分配光パターンとを、消灯(減光)する。これにより、前方車両に幻惑光を照射するのを抑制することができる。
【0115】
このように、変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、発光素子パッケージ200A、200Bの点灯消灯増光減光を制御装置で制御することにより、前方車両が存在する部分配光パターンを消灯または減光させて、全体のハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを変化させる。
【0116】
制御装置は、図示されていないが、車両300に装備されている。制御装置は、検出部と、検出制御部と、点灯消灯制御部と、を有する。検出部は、たとえば、撮像装置(カメラ)、ミリ波レーダなどから構成されている。検出制御部は、検出部からの検出信号に基づいて、対向車や先行車の位置や距離を演算し、演算信号をインターフェースを介して点灯消灯制御部に出力する。点灯消灯制御部は、検出制御部からの演算信号に基づいて、発光素子パッケージ200A、200Bの点灯消灯増減光を制御する。
【0117】
ここで、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗くする変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、前方車両への幻惑光の照射抑制の観点から、暗い領域と明るい領域との境(
図13(C)(D)中のスクリーンの上下の垂直線VU-VDと平行な線)を高精度に制御する必要がある。
【0118】
そこで、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、右辺部分に輝度分布の高輝度領域を有する発光素子パッケージ200A、および、左辺部分に輝度分布の高輝度領域を有する発光素子パッケージ200Bを、使用することにより、暗い領域と明るい領域との境を高精度に制御することができる。
【0119】
また、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、発光素子パッケージ200A、200Bを、組み合わせて使用することにより、
図13に示すように、スクリーンの中央部分(上下の垂直線VU-VDと左右の水平線HL-HRとの交点の部分)を高輝度領域とすることができる。
【0120】
さらに、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRにおいては、左右の水平方向の寸法が上下の垂直方向の寸法よりも小さい発光素子パッケージ200A、200Bを、使用するので、複数個、この例では、9個の発光素子パッケージ200A、200Bを左右に水平方向に配置しても、9個の発光素子パッケージ200A、200Bを左右の水平方向の寸法を小さく抑えることができる。
【0121】
このように、この変形例3の車両用灯具ユニット400CL、400CRは、配光可変タイプのハイビーム配光パターンLADBP、RADBPを照射する車両用灯具ユニットに適している。
【0122】
(実施形態、変形例以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1において、蛍光体202の光出射面207における輝度分布は、高輝度領域を上辺の中央部分、右辺の中央部分、左辺の中央部分に、設けたものである。しかしながら、この発明においては、高輝度領域を上辺の中央部分、右辺の中央部分、左辺の中央部分以外の部分、例えば、中央部分に、設けても良い。
【0123】
また、回路、すなわち、車両用発光素子、制御素子、保護素子の個数や配置は、前記の実施例に限定されない。
【0124】
さらに、外付けの制御素子R1、R2は、2個の発光素子LED1、2または3個の発光素子LED1、2、3に流れる電流値を制御し、また、外部電極A0、C2に電気的に接続された制御部としての電流駆動部は、2個の発光素子LED1、2のうち1個の発光素子LED2に流れる電流値を0とする、ものである。しかしながら、この発明においては、外付けの制御素子と制御部としての電流駆動部とを組み合わせて、複数個の発光素子に流れる電流値を制御し、かつ、複数個の発光素子のうち少なくとも1個の発光素子に流れる電流値を0としても良い。さらにまた、複数の発光素子は、1つの発光素子の中に2つ以上の発光エリアが形成され、それぞれがアノードとカソードを持ち個別に点灯できる、ものであっても良い。この場合において、発光モジュールは、1つの発光素子パッケージと、制御部と、1つの回路とを、備える。
【符号の説明】
【0125】
200 発光素子パッケージ
200A 発光素子パッケージ
200B 発光素子パッケージ
200C 発光素子パッケージ
200D 発光素子パッケージ
201 パッケージ基板
202 蛍光体
203 封止部材
204 接合材
205 導電材
206 接着剤
207 光出射面
300 車両
300L 左側の車両用灯具
300R 右側の車両用灯具
301 ランプハウジング
302 ランプレンズ
303 灯室
400 車両用灯具ユニット
401 コネクタ部材
402 放熱部材
403 レンズ(光学部材)
404 斜めライン
405 水平ライン
406 第1中央入射面
407 第2中央入射面
408 外周部分
400A 車両用灯具ユニット
403A レンズ(光学部材)
400B 車両用灯具ユニット
403B レンズ(光学部材)
400CL 左側の車両用灯具ユニット
400CR 右側の車両用灯具ユニット
403C レンズ(光学部材)
500 発光モジュール
501 モジュール基板
502 制御回路
503 電力供給路
LED1 第1発光素子(LED)
LED2 第2発光素子(LED)
LED3 第3発光素子(LED)
A0、C1、C2、C0 外部電極
R1 第1制御素子(抵抗)
R2 第2制御素子(抵抗)
ZD1 第1保護素子(ツェナーダイオード)
ZD2 第2保護素子(ツェナーダイオード)
ZD3 第3保護素子(ツェナーダイオード)
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットオフライン
LP ロービーム配光パターン
SP 第1配光パターン
WP 第3配光パターン
HP ハイビーム配光パターン
LADBP 左側の配光可変タイプのハイビーム配光パターン
RADBP 右側の配光可変タイプのハイビーム配光パターン
Z レンズ光軸