IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アタボティックス インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-56761マルチゾーン自動保管及び回収システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056761
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】マルチゾーン自動保管及び回収システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240416BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
B65G1/00 521A
【審査請求】有
【請求項の数】43
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014650
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2022507912の分割
【原出願日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】62/891,549
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520440490
【氏名又は名称】アタボティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ATTABOTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】スコット グラヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウィンストン ホープ
(72)【発明者】
【氏名】ダリン ロシュー
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ ジャリワル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ランゲン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチゾーン自動保管及び回収システム、並びにその中のロボット保管/回収車両の動作を制御する方法を提供する。
【解決手段】マルチゾーン自動保管及び回収システム100は、隔壁104、105、106、107bによって隔離され、第1および第2の保管ゾーン101、102を含む。保管ゾーン間の隔壁を介して開口する1つまたは複数のポータル108a、b、109a、bと、少なくとも1つのトラックレイアウト122とを含む。トラックレイアウトは、第1および第2のトラックエリア122a、bと、ポータルを介して第1および第2のトラックエリアを相互に接続する接続トラックセグメントとを含む。ロボット保管/回収車両は、保管場所に預けたり、取り出したりして、連結トラックセグメントを介して第1および第2トラックエリアを走行し、そこから第1および第2グループの保管場所にそれぞれアクセスする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチゾーン自動保管及び回収システムであって、
その中に保管ユニットを配置して保管するように構成された複数の保管場所と、
前記保管場所の第1グループを構成する第1保管ゾーンと、
前記保管場所の第2グループを構成する第2保管ゾーンと、
前記第2保管ゾーンを前記第1保管ゾーンから隔離する少なくとも1つの隔壁と、
前記第1保管ゾーンと前記第2保管ゾーンとの間の前記少なくとも1つの隔壁に貫通し
て開口する1つまたは複数のポータルと、
前記第1保管ゾーンを占める第1トラックエリア、前記第2保管ゾーンを占める第2ト
ラックエリア、並びに前記少なくとも1つの隔壁に構成された前記1つまたは複数のポー
タルを介して前記第1トラックエリア及び前記第2トラックエリアを相互に連結する1つ
または複数の連結トラックセグメント、を含む少なくとも1つのトラックレイアウトと、
前記保管ユニットを前記保管場所に対して荷置き及び回収するよう構成された1つまた
は複数のロボット保管/回収車両(RSRV)であって、前記1つまたは複数のRSRV
sは、さらに、前記保管場所の第1グループおよび前記保管場所の第2グループにそれぞ
れアクセスするために、前記第1トラックエリアおよび前記第2トラックエリアの双方で
前記少なくとも1つのトラックレイアウト上を移行するように構成され、また前記1つま
たは複数のRSRVsは、さらに、その間に連結された1つまたは複数の連結トラックセ
グメントを介して前記第1トラックエリアと前記第2トラックエリアとの間で移行するよ
うに構成される、ロボット保管/回収車両(RSRVs)と、
を備える、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項2】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記第1保管ゾーン
及び前記第2保管ゾーンは、そこに設置されている環境制御機器、及び前記環境制御機器
の動作特性のうち一方が互いに異なる、マルチゾーン自動倉庫。
【請求項3】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、第1保管ゾーンおよ
び第2保管ゾーンのうち一方が、第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンの他方よりも低い
環境動作温度を有する冷却された保管ゾーンである、マルチゾーン自動保管及び回収シス
テム。
【請求項4】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記少なくとも1つ
のトラックレイアウトは、前記保管場所の上方に配置された上部トラックレイアウトを有
し、前記少なくとも1つの隔壁は、前記上部トラックレイアウトから直立する上方部分を
有し、前記1つまたは複数のポータルのうちの少なくとも1つは、前記上部トラックレイ
アウトの前記第1トラックエリア及び前記第2トラックエリアを相互に連結する前記上部
トラックレイアウトの連結トラックセグメントを収容するために、前記上方部分における
前記少なくとも1つの隔壁を貫通して開口するように構成されている、マルチゾーン自動
保管及び回収システム。
【請求項5】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、少なくとも1つのト
ラックレイアウトが、保管場所の下方に配置された下部トラックレイアウトを有し、少な
くとも1つの隔壁が、前記下部トラックレイアウトから直立する下方部分を有し、1つま
たは複数のポータルのうち少なくとも1つが、前記下部トラックレイアウトの前記第1ト
ラックエリア及び前記第2トラックエリアを相互に連結する下部トラックレイアウトの連
結トラックセグメントを収容するために、その下方部分における前記少なくとも1つの隔
壁を貫通して開口するように構成されている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項6】
請求項5記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記保管場所の第1
グループおよび前記保管場所の第2グループに保管された保管ユニットは、前記第1保管
ゾーンおよび前記第2保管ゾーンに連続して延びる下部トラックレイアウトに取り付けら
れた複数の作業ステーションのいずれか1つによってアクセス可能である、マルチゾーン
自動保管及び回収システム。
【請求項7】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、さらに、
少なくとも1つの追加の隔壁によって第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンの双方から
隔離された第3保管ゾーンであって、保管場所の第3グループを構成する、該第3保管ゾ
ーンと、並びに
前記第3保管ゾーンと、前記第1保管ゾーンおよび前記第2保管ゾーンのうち少なくと
も1つとの間における前記少なくとも1つの追加の隔壁に貫通して開口する少なくとも1
つの追加のポータルであって、その中を前記1つまたは複数のRSRVsが移行できるよ
うに構成されている、該少なくとも1つの追加のポータルと、
を備える、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項8】
請求項7記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記少なくとも1つ
の追加ポータルは、前記第1保管ゾーン及び前記第2保管ゾーンの双方に開口するポータ
ルを有する、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項9】
請求項7記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記少なくとも1つ
のトラックレイアウトは、前記保管場所の上方に配置された上部トラックレイアウトを有
し、前記少なくとも1つの追加隔壁は、前記上部トラックレイアウトから直立する上方部
分を有する、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項10】
請求項9記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記少なくとも1つ
の追加のポータルは、その上方部分における前記少なくとも1つの追加の隔壁を貫通して
開口する少なくとも1つの上部ポータルを有する、マルチゾーン自動保管及び回収システ
ム。
【請求項11】
請求項7記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記第1保管ゾーン
、前記第2保管ゾーン、および前記第3保管ゾーンは、そこに設置された環境制御機器お
よびその環境制御機器の動作特性のうち一方が互いに異なり、前記第1保管ゾーン、前記
第2保管ゾーン、および前記第3保管ゾーンは、前記1つまたは複数のRSRVsによっ
てアクセス可能である、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項12】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、さらに、1つまたは
複数のバッファスポットを備え、1つまたは複数のバッファスポット各々は、少なくとも
1つのトラックレイアウト上の場所に配置され、1つまたは複数のRSRVsによって少
なくとも1つのトラックレイアウトからアクセス可能であり、1つまたは複数のバッファ
スポット各々は、その上に保管ユニットの1つを一時的に保持するように構成されている
、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項13】
請求項12記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記1つまたは複
数のバッファスポットの少なくとも1つは、前記1つまたは複数のポータルのそれぞれ対
応する1つに近接して配置されている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項14】
請求項12記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記1つまたは複
数のバッファスポットは、複数のバッファスポットを有し、前記バッファスポットの少な
くとも1つは、前記第1保管ゾーンおよび前記第2保管ゾーンのそれぞれに配置されてい
る、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項15】
請求項12記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、さらに、前記1つ
または複数のRSRVsと動作可能に通信するコンピュータ化制御システムを備え、前記
コンピュータ化制御システムは、通信ネットワークに結合されたネットワークインターフ
ェースと、前記ネットワークインターフェースに結合された少なくとも1つのプロセッサ
と、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された非一過性のコンピュータ可
読記憶媒体とを備え、前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログ
ラム命令を格納するように構成されており、前記少なくとも1つのプロセッサによって実
行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、以下をさせる、すなわち、
前記第2保管ゾーンに関連付けられた回収タスクの一部として、前記第2保管ゾーンに
保管された保管ユニットのうち標的となる1つの保管ユニットの回収を要求し、
前記第2保管ゾーンに関連付けられた前記回収タスクを、前記第1保管ゾーンに配置さ
れている1つまたは複数のRSRVsの中から選択された1つまたは複数のRSRVsに
おける第1RSRVに割り当て、また
前記1つまたは複数のRSRVsのうち選択された第1RSRVに対して、以下のコマ
ンド、すなわち、
前記第1保管ゾーンから前記第2保管ゾーンに向かって開口している1つまたは複数
のポータルの1つを介して、前記第2保管ゾーンに移行するコマンド、及び
前記移行中に、1つまたは複数のポータルから第2保管ゾーンに進入する前に、1つ
または複数のRSRVsのうちの選択された前記第1RSRVにそのとき運ばれている保
管ユニットの1つを、第1保管ゾーンにおける1つまたは複数のバッファスポットの1つ
に荷降ろしするコマンド
を発令する、
ことをさせる、
マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項16】
請求項15記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記コンピュータ
プログラム命令は、前記コンピュータ化制御システムの少なくとも1つのプロセッサによ
って実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、さらに、 前記第2保
管ゾーンに関連する前記回収タスクの追加ステップにおいて、前記1つまたは複数のRS
RVsのうち選択された前記第1RSRVにさらなる以下のコマンドを発令させる、すな
わち、
第2保管ゾーンに進入するとき、第2保管ゾーンにおける1つまたは複数のバッファ
スポットの1つから、バッファリングされた1つの保管ユニットをピックアップさせるコ
マンドと、
第2保管ゾーン内における1つまたは複数のバッファスポットの1つから、第2保管
ゾーンに保管された保管ユニットのうち標的となる1つを回収することができる第2保管
ゾーンにおけるアクセス場所に向かって移行させるコマンドと、及び
前記アクセス場所で前記保管ユニットのうち標的となる1つを回収する前に、前記保
管ユニットのうちピックアップされた1つを前記第2保管ゾーンにおける1つの利用可能
な保管場所に荷置きするコマンドと
を発令させる、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項17】
請求項16記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記コンピュータ
プログラム命令は、コンピュータ化制御システムの少なくとも1つのプロセッサによって
実行されるとき、さらに、少なくとも1つのプロセッサに対して、前記1つまたは複数の
バッファスポットの上流側で利用可能であり、また前記第2保管ゾーンにおける前記1つ
または複数のバッファスポットの1つから前記アクセス場所までの途中経路上に位置する
いずれかの保管場所、および/または、前記アクセス場所の下流側で利用可能であり、ま
た前記アクセス場所から1つまたは複数の出口ポータルの1つまでの途中経路上に位置す
るいずれかの保管場所のうちから、前記第2保管ゾーンにおける前記1つの利用可能な保
管場所を選択させる、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項18】
請求項15記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記コンピュータ
プログラム命令は、前記コンピュータ化制御システムの少なくとも1つのプロセッサによ
って実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、以下のことをさせる、
すなわち、
前記1つまたは複数のRSRVsのうちの選択された第1RSRVに対して、以下のコ
マンド、すなわち、前記第2保管ゾーンに保管された保管ユニットのうちの標的となる1
つを回収させるコマンドと、及び前記保管ユニットのうちの標的となる1つを作業ステー
ションに配送して、前記作業ステーションで前記保管ユニットのうちの標的となる1つか
ら製品をピッキングし易くするコマンドとを発令して、前記第2保管ゾーンに関連する前
記回収タスクを完了すること、
前記第2保管ゾーンに関連する前記回収タスクの完了、及び1つまたは複数のRSRV
sのうちの前記選択された第1RSRVによって運ばれた保管ユニットのうちの標的とな
る1つからの製品ピッキングに続いて、1つまたは複数のRSRVsのうちの前記選択さ
れた第1RSRV、及び1つまたは複数のRSRVsのうちの異なるRSRVとのうちの
一方に対して、保管ユニットのうちの標的となる1つを第2保管ゾーンにおける1つまた
は複数のバッファスポットの1つに荷置きし、その後、第2保管ゾーンから退出させるコ
マンドを発令すること、並びに
前記第2保管ゾーンに関連付けられ、1つまたは複数のRSRVsのうちの前記選択さ
れた第1RSRVおよび1つまたは複数のRSRVsのうちの異なるRSRVから選択さ
れた、1つまたは複数のRSRVsのうちの第2RSRVに割り当てられた後続の回収タ
スクの一部として、前記第2保管ゾーンに保管された保管ユニットのうちの別の標的とな
る1つを回収するために、1つまたは複数のRSRVsのうちの前記第2RSRVに対し
て、以下のコマンド、すなわち、
前記第2保管ゾーンに進入させるコマンドと、
前記第2保管ゾーンにおける前記1つまたは複数のバッファスポットのうちの1つか
ら、前記保管ユニットのうちの前記荷置きされた1つをピックアップさせるコマンドと、
前記第2保管ゾーンにおける1つまたは複数のバッファスポットの1つから、前記第
2保管ゾーンにおけるアクセス場所であって、そこから前記別の標的となる1つの保管ユ
ニットが回収可能である、該アクセス場所に向かって移行させるコマンドと、および
前記アクセス場所で前記保管ユニットのうちの前記標的となる別の1つを回収する前
に、前記第2保管ゾーンにおける1つまたは複数のバッファスポットのうちの1つからピ
ックアップした1つの前記保管ユニットを、前記第2保管ゾーンにおける1つの利用可能
な保管場所に荷置きさせるコマンドと、
を発令すること、
をさせる、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項19】
請求項18記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記コンピュータ
プログラム命令は、前記コンピュータ化制御システムの少なくとも1つのプロセッサによ
って実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、さらに、前記第2保管
ゾーンにおける前記1つまたは複数のバッファスポットの上流側で利用可能であり、また
前記第2保管ゾーンにおける前記1つまたは複数のバッファスポットの1つからアクセス
場所までの途中経路上に位置するいずれかの保管場所、および/または、前記アクセス場
所の下流側で利用可能であり、また前記アクセス場所から前記1つまたは複数の出口ポー
タルのうちの1つまでの途中経路上に位置するいずれかの保管場所のうちから、前記第2
保管ゾーンにおける前記1つの利用可能な保管場所を選択させる、マルチゾーン自動保管
及び回収システム。
【請求項20】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、さらに、前記1つま
たは複数のRSRVsと動作可能に通信するコンピュータ化制御システムを備え、前記コ
ンピュータ化制御システムは、通信ネットワークに結合されたネットワークインターフェ
ースと、前記ネットワークインターフェースに結合された少なくとも1つのプロセッサと
、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された非一過性のコンピュータ可読
記憶媒体とを備え、前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラ
ム命令を格納するように構成され、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも
1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、
前記第2保管ゾーンに保管されている保管ユニットにおける1つの不要な保管ユニットを
前記第2グループにおける1つの保管場所に荷置きするタスクを、前記第2保管ゾーンに
保管されている保管ユニットのうち必要な保管ユニットを前記第2グループの保管場所か
ら回収することを割り当てられている前記1つまたは複数のRSRVのうち1つに割り当
てるように構成されている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項21】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、さらに、前記1つま
たは複数のRSRVsと動作可能に通信するコンピュータ化制御システムを備え、前記コ
ンピュータ化制御システムは、通信ネットワークに結合されたネットワークインターフェ
ースと、前記ネットワークインターフェースに結合された少なくとも1つのプロセッサと
、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された非一過性のコンピュータ可読
記憶媒体とを備え、前記第2保管ゾーンは、前記1つまたは複数のRSRVsにとって前
記第1保管ゾーンよりも厳しい動作環境を特徴とし、前記非一過性のコンピュータ可読記
憶媒体は、コンピュータプログラム命令を格納するように構成されており、前記コンピュ
ータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記
少なくとも1つのプロセッサに対して、前記第2保管ゾーンに関連する任意な回収タスク
に割り当てる1つまたは複数のRSRVsのうち1つを選択する間に、前記第2保管ゾー
ンに最近存在した1つまたは複数のRSRVsよりも、前記第2保管ゾーンからの不在時
間がより長い1つまたは複数のRSRVsを優先させるようにする、マルチゾーン自動保
管及び回収システム。
【請求項22】
請求項21記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、コンピュータプロ
グラム命令は、コンピュータ化制御システムの少なくとも1つのプロセッサによって実行
されるとき、さらに、少なくとも1つのプロセッサに対して、1つまたは複数のRSRV
sのいずれかが最後に前記第2保管ゾーンを退出した退出時間を記録させ、また前記第2
保管ゾーンに関連する任意な回収タスクのために1つまたは複数のRSRVsのうち1つ
を選択する間に、前記第2保管ゾーンに最近存在した1つまたは複数のRSRVsよりも
、前記第2保管ゾーンからの不在時間がより長い1つまたは複数のRSRVsを優先させ
るために、1つまたは複数のRSRVsの退出時間を比較させる、マルチゾーン自動保管
及び回収システム。
【請求項23】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記第2保管ゾーン
を前記第1保管ゾーンから隔離する少なくとも1つの隔壁は、前記第1保管ゾーン及び第
2保管ゾーンを分離する直立隔壁を有し、前記1つまたは複数の連結トラックセグメント
は、前記直立隔壁の一方の側面から前記直立隔壁の他方の側面まで、前記1つまたは複数
のポータルを貫通して張り渡さている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項24】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記少なくとも1つ
のトラックレイアウトは、前記保管場所の上方に配置され、また第2保管ゾーンは、少な
くとも1つのトラックレイアウトの上方に配置され、前記第1保管ゾーンから隔離された
被包囲屋根裏空間を有する、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項25】
請求項24記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記被包囲屋根裏
空間は、前記第2保管ゾーンの境界壁によって区切られ、前記境界壁の少なくとも1つは
、マルチゾーン自動保管及び回収システムを収容する施設の建物壁とは別個かつ孤立して
おり、前記被包囲屋根裏空間は、前記第1保管ゾーンおよび施設の周囲空間から隔離され
ている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項26】
請求項25記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記被包囲屋根裏
空間の境界壁は、前記施設の建物壁とは別個かつ孤立している、マルチゾーン自動保管及
び回収システム。
【請求項27】
請求項25記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記境界壁は、前
記保管場所の第2グループを区切る前記マルチゾーン自動保管及び回収システムの格子構
造保管構体のフレーム部材に備え付けられている、マルチゾーン自動保管及び回収システ
ム。
【請求項28】
請求項24記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記第1保管ゾー
ンは、前記被包囲屋根裏空間がなく、前記マルチゾーン自動保管及び回収システムを収容
する施設の周囲環境に開放されている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項29】
請求項24記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、さらに、前記第2
保管ゾーンの前記被包囲屋根裏空間に備え付けられた環境制御機器を備える、マルチゾー
ン自動保管及び回収システム。
【請求項30】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記保管場所は、そ
の中に保管ユニットの配置を受け入れるように構成された保管カラムに配列されており、
また1つまたは複数のRSRVsは、異なる保管カラムが1つまたは複数のRSRVsに
よってアクセス可能であるアクセス場所相互間で、前記少なくとも1つのトラックレイア
ウト上を移行し、前記保管カラムに対する保管ユニットの荷置き及び回収を行うように構
成されている、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項31】
請求項30記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、前記アクセス場所
は、前記保管カラムがクラスタ化され、また前記1つまたは複数のRSRVsが前記保管
カラムの複数のレベルにアクセスするために移行するように構成された非占有アクセスシ
ャフトを有し、前記非占有アクセスシャフト各々は、前記保管カラムの少なくとも1つに
隣接し、また前記保管カラムに対して、前記1つまたは複数のRSRVsが各前記非占有
アクセスシャフト内から前記保管ユニットを配置および回収可能である、マルチゾーン自
動保管及び回収システム。
【請求項32】
請求項1記載のマルチゾーン自動保管及び回収システムにおいて、製品在庫を収納する
前記保管ユニットは、供給施設からの輸送車両に乗って受取施設で受け取られ、かつ前記
受取施設におけるマルチゾーン自動保管及び回収システム(ASRS)に自動的に誘導さ
れ、また前記マルチゾーンASRSは、各前記保管ユニットの所定タイプと適合性のある
タイプであり、また前記製品在庫を収納している前記保管ユニットを前記受取施設からの
送出保管ユニットと交換し、これにより、送出保管ユニットを前記受取施設からの遷移の
ために前記輸送車両に積載し、また前記製品在庫を収納している前記保管ユニット及び前
記送出保管ユニットの双方は、前記受取施設のマルチゾーンASRSと互換性のある同一
の所定タイプである、マルチゾーン自動保管及び回収システム。
【請求項33】
マルチゾーン自動保管及び回収システム(ASRS)におけるロボット保管/回収車両
(RSRVs)の動作を制御するコンピュータ実装方法であって、
マルチゾーンASRSは、保管ユニットの配置および保管に対応するように構成された
複数の保管場所と、前記保管場所の第1グループを構成する第1保管ゾーンと、前記第1
保管ゾーンから隔離され、前記保管場所の第2グループを構成する第2保管ゾーンとを備
え、
前記方法は、前記RSRVsと動作可能に通信するコンピュータ化制御システムを採用
しており、
前記コンピュータ化制御システムは、通信ネットワークに結合されるネットワークイン
ターフェースと、前記ネットワークインターフェースに結合される少なくとも1つのプロ
セッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合される非一過性のコンピュ
ータ可読記憶媒体とを備え、
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラム命令を格納する
ように構成されており、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロ
セッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、以下のこと
、すなわち、
前記第2保管ゾーンにおける前記保管ユニットのうち第1保管ユニットを前記第2保管
ゾーンにおける前記保管場所のうち第1保管場所に荷置きすることを含む前記第2保管ゾ
ーンへの荷置きプロセスとして、前記荷置きプロセスを、前記第1保管ユニットを前記第
2保管ゾーンに運ぶ第1進入タスクと、及び前記第1保管ユニットを前記第1保管場所に
配置する第2配置タスクと、に分割することと、
前記第1進入タスクおよび前記第2配置タスクをそれぞれ、前記第2保管ゾーンの外側
に位置するRSRVsの中から選択された第1RSRVおよび第2RSRVに割り当てる
ことと、
前記第1RSRVおよび前記第2RSRVに対して、前記第1進入タスクおよび前記第
2配置タスクを実行するコマンドを発令することと、
をさせるものである、コンピュータ実装方法。
【請求項34】
請求項33記載のコンピュータ実装方法において、前記第1進入タスクは、前記第1R
SRVによる前記第2保管ゾーンにおける前記第1保管ユニットの荷降ろしと、及び前記
荷降ろし後における前記第1RSRVの前記第2保管ゾーンからの迅速な退出とを含む、
コンピュータ実装方法。
【請求項35】
請求項34記載のコンピュータ実装方法において、前記第1進入タスクで第1RSRV
によって実施される荷降ろしは、前記第2保管ゾーンにおけるバッファスポットに前記第
1保管ユニットを配置することを含み、後で前記第2RSRVが前記バッファスポットか
ら前記第1保管ユニットを回収できるようにする、コンピュータ実装方法。
【請求項36】
請求項33記載のコンピュータ実装方法において、前記コンピュータプログラム命令は
、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロ
セッサに対して、前記第2保管ゾーンに関連する回収タスクを第2RSRVに割り当てさ
せ、前記回収タスクは、前記第2保管ゾーンにおける前記保管場所のうちの第2保管場所
から保管ユニットのうちの第2保管ユニットを回収するステップを含み、前記第2保管ユ
ニットを回収する前記第2保管場所は、前記第2保管ゾーンにおけるバッファスポットの
上流側で利用可能であり、また前記第2保管ゾーンにおけるバッファスポットから前記第
2保管ゾーンにおける前記第2保管場所までの途中経路上に位置するいずれかの保管場所
、および/または、前記第2保管ゾーンにおける前記第2保管場所の下流側で利用可能で
あり、前記第2保管ゾーンにおける前記第2保管場所から前記第2保管ゾーンにおける出
口ポータルまでの途中経路上に位置するいずれかの保管場所のうちから選択される、コン
ピュータ実装方法。
【請求項37】
請求項33記載のコンピュータ実装方法において、前記第2保管ゾーンは、前記第1保
管ゾーンよりも前記RSRVsにとって厳しい動作環境である、コンピュータ実装方法。
【請求項38】
請求項33記載のコンピュータ実装方法において、前記第2保管ゾーンは、前記第1
保管ゾーンよりも低い環境動作温度を有する冷却された保管ゾーンである、コンピュータ
実装方法。
【請求項39】
マルチゾーン自動保管及び回収システム(ASRS)におけるロボット保管/回収車両
(RSRVs)の動作を制御するコンピュータ実装方法であって、
マルチゾーンASRSは、保管ユニットの配置および保管に対応するように構成された
複数の保管場所と、前記保管場所の第1グループを構成する第1保管ゾーンと、前記第1
保管ゾーンから隔離され、前記保管場所の第2グループを構成する第2保管ゾーンとを備
え、
前記方法は、前記RSRVsと動作可能に通信するコンピュータ化制御システムを採用
しており、
前記コンピュータ化制御システムは、通信ネットワークに結合されるネットワークイン
ターフェースと、前記ネットワークインターフェースに結合される少なくとも1つのプロ
セッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合される非一過性のコンピュ
ータ可読記憶媒体とを備え、
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラム命令を格納する
ように構成されており、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロ
セッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、以下のこと
をさせる、すなわち、
(a)前記第2保管ゾーンに関連する回収タスクを、前記第2保管ゾーンの外側に位置す
るRSRVsの中から選択された第1RSRVに割り当てることと、
(b) 前記第1RSRVに対して以下のコマンド、すなわち、
前記第2保管ゾーン内に移行させるコマンド、
前記第2保管ゾーンにおける第1保管場所から、前記保管ユニットのうち第1保管ユ
ニットを回収させるコマンド、及び
前記第2保管ゾーンを退出して、前記第2保管ゾーンの外側に位置する作業ステーシ
ョンに前記第1保管ユニットを運ぶコマンド、
を発令することと、
(c)前記作業ステーションで、前記第1保管ユニットへの製品配置および前記第1保管
ユニットからの製品抽出のうちの一方を実施した後、前記第1RSRVおよび前記RSR
Vsにおける異なるRSRVのうち一方に対して、前記第1保管ユニットを前記作業ステ
ーションから前記第2保管ゾーンに戻して移送し、また前記第2保管ゾーンの保管場所と
は明確に異なる前記第2保管ゾーンのバッファスポットに前記第1保管ユニットを荷降ろ
しするように指令することと、をさせる、
コンピュータ実装方法。
【請求項40】
請求項39記載のコンピュータ実装方法において、前記コンピュータプログラム命令は
、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロ
セッサに対して、前記第1RSRVおよび前記異なる1つのRSRVのうち一方に、前記
第2保管ゾーンのバッファスポットで前記第1保管ユニットを荷降ろしした後に、前記第
2保管ゾーンから速やかに退出するコマンドを発令させる、コンピュータ実装方法。
【請求項41】
請求項39記載のコンピュータ実装方法において、前記コンピュータプログラム命令は
、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロ
セッサに対して、前記RSRVsのうち別のRSRVに、前記第1保管ゾーンから前記第
2保管ゾーンに進入し、前記第2保管ゾーンにおけるバッファスポットから前記第1保管
ユニットをピックアップし、また前記第2保管ゾーンにおける1つの保管場所に前記第1
保管ユニットを荷置きするコマンドを発令させる、コンピュータ実装方法。
【請求項42】
請求項41記載のコンピュータ実装方法において、前記コンピュータプログラム命令は
、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロ
セッサに対して、前記別のRSRVに、前記第1保管ユニットを前記第2保管ゾーンにお
ける前記1つの保管場所に荷置きした後に、前記第1保管ユニットが荷置きされていた保
管場所とは異なる前記第2保管ゾーンの前記保管場所のうち第2保管場所から前記保管ユ
ニットのうち第2保管ユニットを回収するコマンドを発令させる、コンピュータ実装方法
【請求項43】
請求項42記載のコンピュータ実装方法において、前記コンピュータプログラム命令は
、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロ
セッサに対して、前記第2保管ユニットを回収すべき前記バッファスポットの上流側で利
用可能であり、また前記バッファスポットから前記第2保管ゾーンにおける前記第2保管
場所に向かう途中経路に位置する、前記第2保管ゾーンにおけるいずれかの保管場所、及
び第2保管ユニットを回収すべき前記第2保管場所の下流側で利用可能であり、また前記
第2保管場所から前記第2保管場所の出口に向かう途中経路に位置するいずれかの保管場
所のうちから、前記第1保管ユニットを荷置きするための前記第2保管ゾーンにおける前
記1つの保管場所を選択させる、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年8月26日に米国特許商標庁(USPTO)に出願された「Multi-Zon
e ASRA Structure, and Auto-Induction Processes Employing Bin Consolidation and B
in Exchange Techniques」と題する米国仮特許出願第62/891,549号の優先権と
利益を主張するものである。上記の特許出願の明細書は、その全体が参照により本明細書
に組み込まれるものとする。
【従来技術】
【0002】
本明細書の実施形態は、概して、自動倉庫又は自動保管及び回収(:storage and retr
ieval)システム、受注処理(order fulfillment)、およびサプライチェーンロジスティ
ックスに関するものである。より詳細には、本明細書の実施形態は、マルチゾーン自動保
管及び回収システム、並びに保管ユニットの整理統合及び交換を採用する自動誘導プロセ
スに関するものである。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
従来のサプライチェーンは、製造業者、生産者、サプライヤー、ベンダー、倉庫、運送
会社、流通センター、受注処理センター、小売店等々、一連の離散的な取引主体から構成
されている。サプライチェーン管理は、製造業者及び生産者から最終顧客及びエンドユー
ザーへの在庫の調達及び配送を可能にする。従来のサプライチェーン管理の方法を変える
幾つかのテクノロジーが登場している。個別化された製品及びより細かな発注粒度化に対
する顧客の要望、が高まっている。また、顧客は、異なる温度状態、例えば、チルド、冷
蔵、及び冷凍状態で購入できる製品アイテムを求めている。電子商取引(eコマース)が
著しい速度で成長し、また従来型実店舗での小売慣習を追い越し続けているため、多くの
商取引がオンライン市場での適合性を維持又は向上させ、またこの分野における著名なプ
レーヤーと競争できるようにするという顕著な課題に直面している。サプライチェーン管
理では、多数の異なる製品の保管及び回収を実行するシステムが必要である。例えば、複
数の製品ラインを販売するeコマース及び小売店のプラットフォームでは、異なる温度要
件を持つ何10万点もの異なる製品ラインを保管できるシステムが必要となる。製品アイ
テムが保管及び/若しくは輸送されている間、並びに/又は受注が処理されている間にお
いて、異なる製品アイテムは保管システム内で異なる規定温度に維持する必要がある。幾
つかの製品アイテムは、鮮度を保つためにチルドまたは冷凍環境に維持する必要があるも
のもあれば、常温で保管または輸送できるものもある。従来のシステムでは、一般的にウ
ォークインクーラー又はフリーザーを事前に構築したり、保管システムの周りに追加コン
ポーネントを設置したりする必要があり、保管システムの2次元的な設置面積が大幅に拡
大し、また環境制御された複数ゾーンに保管システムを設置して運用するためのコスト及
び複雑さを増大させる。そのため、建物へのウォークイン環境制御ゾーンの建設、及び各
環境制御ゾーン内で独立して動作する個別の保管システムの設置を排除する、複数の統合
された環境制御ゾーンを備える独立した高密度自動保管及び回収システムが求められてい
る。
【0004】
さらに、従来型のeコマース及び小売店のプラットフォームにおけるサプライチェーン
及び倉庫の運用は、製品アイテムを体系化、制御、保管、回収、及び様々な保管ユニット
に返却する能力に大きく依存している。これらを実現する幾つかの形態において、ロボッ
トまたは自動化メカニズムが、保管ユニットの管理および保管ユニットの中味に関連する
操作に使用されている。これら機構は、様々な異なる操作のために保管ユニットにアクセ
スするようコンベアシステム及び搬送経路の1つまたは複数の格子構造を経由するナビゲ
ートをし、このナビゲートとしては例えば、保管ユニットを保管システム内に誘導する、
保管システムから保管ユニットを回収する、取り扱いのために保管ユニットを1つの場所
又は作業ステーションから別の場所又は作業ステーションに移動させる、保管ユニットに
対する操作を行う、保管ユニットを倉庫内の場所または作業ステーション又は保管システ
ムに戻す、等々がある。異なる温度要件を有する多数の異なる製品アイテムの保管および
回収を改善するために、保管システムに関する1つ若しくは複数のロボット又は自動機構
の動きを最適に協調させる必要がある。幾つかのシステムでは、保管システムの異なる環
境制御ゾーンで動作するように構成された、異なるグループまたはクラスのロボットハン
ドラーが必要である。ロボットハンドラーが異なる環境制御ゾーン間で移行する際に、保
管システム内におけるロボットハンドラーのバッファリングを最適化し、すべての異なる
環境制御ゾーンで動作するように構成された共通クラスのロボットハンドラーが必要とさ
れる。
【0005】
さらに、保管システム内における保管ユニットへのアクセスを容易にし、また冷却温度
を必要とする製品アイテムを収納する保管ユニットは、製品アイテムの品質及び鮮度に影
響を与える可能性のある非冷却環境に曝されることを回避することによって、規定温度を
維持する必要がある。幾つかの従来型保管施設は、冷却、チルド又は冷凍の環境下に置か
れた保管システム及びロボットハンドラー群を備える。このような施設において、ロボッ
トハンドラーは、冷却、チルド、又は冷凍環境に存在して動作し、このことは、ロボット
ハンドラーの動作特性に大きな影響を与える可能性がある。他の従来型システムによれば
、ロボットハンドラーが保管システムの上側トラックのみを走行することができ、それに
より、そのトラック頂部に乗軌しているときにはロボットハンドラーを一般的な常温条件
で動作させることができ、またその内部における保管ユニットにアクセスするために断熱
カバーが取り外された冷却された保管カラム上方で動作するときには、冷却された保管カ
ラムの低温に曝されることになる。ロボット又は自動化された機構は、保管システム内で
動作している間、非常温、冷却、チルド、または冷凍庫の環境に対する被曝を減らす必要
があり、これはすなわち、被曝が増大することは、それらの回路及び構成部品の悪影響を
及ぼし、またそれらスループット性能を低下させるおそれがあるからである。さらに、す
べての環境制御ゾーンに連続する保管システムに対して作業ステーションを最適に配置し
、各環境制御ゾーンからのすべてのロボット又は自動機構、及びひいてはすべての保管ユ
ニットは、すべての作業ステーションでアクセス可能であるようにする必要があり、これ
により、受注ピッカーは、チルドまたは冷凍された製品アイテムをピッキングする際に、
常温の快適さの中で作業することができる。さらにまた、保管ユニットは通常、互いに頂
部にスタッキングさられ、アクセスにはアンスタッキングする方式が採用されている。ス
タッキング方式では空気の流れが制約されるため、保管中の保管ユニット全体にわたり冷
気を循環させるプレナム、及び多数の空気循環デバイスが必要になる。
【0006】
さらにまた、従来型サプライチェーンは、実体(エンティティ)間における様々なサプ
ライチェーン活動及び在庫交換を実施するためのマテリアルハンドリング機器を、そのす
べての実体に組み入れていない。取引実体での自動誘導中における、例えば、補充プロセ
ス中におけるサービス流通センターから小規模フルフィルメント(受注処理)センターへ
の自動誘導中に、順方向および逆方向の保管ユニット交換技術が必要とされている。小規
模フルフィルメント及び流通センター部位における出荷及び受取プロセスを改善し、また
関連する中継エリアを排除して、物流を合理化しつつ、労力、不動産、及びリソースの要
件を大幅に削減し、また従来型サプライチェーンで使用されている無秩序で雑然とした手
法よりも、オペレーションを予測可能で秩序があり、またリアルタイムでの監視をより容
易にする必要性がある。
【0007】
そこで、変化する程度及びタイプの環境制御パラメータを必要とする複数の異なる製品
アイテムを保管するための、垂直方向に区分けされた環境制御ゾーンと、並びにこれら異
なる環境制御ゾーンで動作するように構成された、最適に制御されたロボット保管/回収
車両及び都合よくアクセスできる保管ユニットとを有する、自己完結型の独立したマルチ
ゾーン自動保管及び回収システムが、当該技術に関連する上述した問題に対処するために
、長年にわたる必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
この要約は、詳細な説明でさらに開示されている概念の一部を簡略化して紹介するため
に提示されている。この要約は、請求された主題の範囲を決定することを意図しない。
【0009】
本明細書の実施形態は、様々な程度および種類の環境制御パラメータを必要とする複数
の異なる製品アイテムを保管するための、異なる、垂直に区切られた環境制御ゾーンを有
する、自己完結型の独立式マルチゾーン自動保管及び回収システム(ASRS:automate
d storage and retrieval system)、およびこれらの異なる環境制御ゾーンで動作するよ
うに構成された、最適に制御されたロボット保管/回収車両(RSRVs)および便利に
アクセスできる保管ユニットに対する上記の必要性に対処するものである。環境制御ゾー
ンは、温度ゾーンであり、例えば、環境制御パラメータが異なる常温、チルド(冷蔵)、
冷凍ゾーンである。マルチゾーンASRSの環境制御ゾーンは、同一占有面積を共有して
いない。マルチゾーンASRSは、保管ユニット内に収納さられた商品が保管されている
間、輸送されている間、および/または受注処理されている間、異なる商品アイテムをそ
の中で異なる所定の温度に維持する。マルチゾーンASRSは、環境制御された複数のゾ
ーンが統合された、独立式の高密度ASRSである。
【0010】
本明細書で開示されるマルチゾーンASRSは、その中に保管ユニットの配置および保
管に対応するように構成された複数の保管場所を備える。マルチゾーンASRSは、さら
に、第1保管ゾーン、第2保管ゾーン、少なくとも1つの隔壁、1つまたは複数のポータ
ル、少なくとも1つのトラックレイアウト、および1つまたは複数のRSRVsを備える
。第1保管ゾーンは、保管場所の第1グループを構成する。第2保管ゾーンは、保管場所
の第2グループを構成する。一実施形態では、第1保管ゾーン及び第2保管ゾーンは、そ
こに設置された環境制御機器、または環境制御機器の動作特性が互いに異なる。別の実施
形態では、第1保管ゾーンまたは第2保管ゾーンは、第1保管ゾーンおよび第2保管ゾー
ンの他方よりも低い環境動作温度を有する冷却された保管ゾーンである。
【0011】
隔壁は、第2保管ゾーンを第1保管ゾーンから隔離する。ポータルは、第1保管ゾーン
と第2保管ゾーンとの間で、隔壁を貫通して開口する。トラックレイアウトは、第1保管
ゾーンを占める第1トラックエリアと、第2保管ゾーンを占める第2トラックエリアと、
隔壁に構成されたポータルを介して第1トラックエリア及び第2トラックエリアとを相互
に連結する1つまたは複数の連結トラックセグメントと、を有する。一実施形態では、ト
ラックレイアウトは、保管場所の上方に配置された上部トラックレイアウトを含む。この
実施形態では、隔壁(複数可)は、上部トラックレイアウトから直立する上方部分を有し
、ポータル(複数可)は、上部トラックレイアウトの第1トラックエリア及び第2トラッ
クエリアを相互連結する上部トラックレイアウトの連結トラックセグメントを収容するた
めに、その上方部分における隔壁(複数可)に貫通して開口するように構成される。一実
施形態では、第2保管ゾーンを第1保管ゾーンから隔離する隔壁は、第1保管ゾーンと第
2保管ゾーンを分離する直立した隔壁からなる。連結トラックセグメントは、直立隔壁の
一方の側面から直立隔壁の他方の側面まで、ポータルを貫通して張り渡される。
【0012】
別の実施形態では、トラックレイアウトは、保管場所の下方に位置する下部トラックレ
イアウトを有する。この実施形態では、隔壁(複数可)は、下部トラックレイアウトから
直立する下方部分を有し、ポータル(複数可)は、下部トラックレイアウトの第1トラッ
クエリア及び第2トラックエリアを相互連結する下部トラックレイアウトの連結トラック
セグメントを収容するために、その下方部部分における隔壁(複数可)に貫通して開口す
るように構成される。実施形態では、保管場所の第1グループおよび保管場所の第2グル
ープに保管された保管ユニットは、第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンに連続して延び
る下部トラックレイアウトに取り付けられた複数の作業ステーションのいずれか1つによ
ってアクセス可能である。マルチゾーンASRSは、保管ユニットへの便利なアクセスを
提供するとともに、冷却されていない環境への保管ユニットの曝露を回避することで、冷
却された温度を必要とする製品アイテムを含む保管ユニットの所定温度を維持する。本実
施形態では、マルチゾーンASRSに対して作業ステーションを最適に配置し、すべての
環境制御保管ゾーンに連続して配置することで、すべてのRSRVs、つまり各環境制御
保管ゾーンにおけるすべての保管ユニットに対してすべての作業ステーションでアクセス
できるようにし、これにより、受注ピッカーがチルドまたは冷凍された製品アイテムをピ
ッキングする際に、常温温度の快適さの中で作業できるようにしている。
【0013】
一実施形態では、トラックレイアウトは、マルチゾーンASRSの保管場所の上方に配
置される。本実施形態では、第2保管ゾーンは、トラックレイアウトの上方に配置され、
第1保管ゾーンから隔離された包囲された(被包囲)屋根裏空間を有する。被包囲屋根裏
空間は、第2保管ゾーンの境界壁によって区切られている。境界壁の少なくとも1つは、
マルチゾーンASRSを収容する施設の建物の壁とは別個かつ孤立している。被包囲屋根
裏空間は、第1保管ゾーンおよび施設の周囲空間から隔離されている。一実施形態では、
被包囲屋根裏空間の境界壁は、施設の建物壁から別個かつ孤立している。一実施形態では
、境界壁は、保管場所の第2グループを区切るマルチゾーンASRSの格子構造保管構体
のフレーム部材に備え付けられる。別の実施形態では、第1保管ゾーンは、被包囲屋根裏
空間がなく、マルチゾーンASRSを収容する施設の周囲環境に開放されている。この実
施形態では、環境制御装置は、第2保管ゾーンの被包囲屋根裏空間に備え付けられている
【0014】
マルチゾーンASRSは、RSRVsが異なる環境制御保管ゾーン間で遷移する際に、
マルチゾーンASRS内におけるRSRVsのバッファリングを最適化し、異なる環境制
御保管ゾーンのすべてで動作するように構成された共通クラスのロボットハンドラーまた
はRSRVsを備えている。マルチゾーンASRSの上部トラックレイアウト及び下部ト
ラックレイアウトにより、RSRVsを異なる環境制御保管ゾーンで遷移させることがで
きる。RSRV(s)は、保管場所に対して保管ユニットを荷置き及び回収するように構
成されている。RSRV(s)は、さらに、第1トラックエリア及び第2トラックエリア
双方のトラックレイアウト上を移行して、保管場所の第1グループ及び保管場所の第2グ
ループにそれぞれアクセスするように構成されている。RSRV(s)は、さらに、第1
トラックエリアと第2トラックエリアとの間を、その間に連結された連結トラックセグメ
ントを介して移行するように構成される。一実施形態では、マルチゾーンASRSの保管
場所は、その中に保管ユニットの配置を受け入れるように構成された保管カラムに配列さ
れる。RSRV(s)は、異なる保管カラムがRSRVsによってアクセス可能なアクセ
ス場所相互間で、少なくとも1つのトラックレイアウト上を移行し、保管カラムに対する
保管ユニットの荷置き及び回収を行うように構成されている。一実施形態では、アクセス
場所は、保管カラムがクラスタ化され、またRSRVsが保管カラムの複数のレベルにア
クセスするために移行するように構成された非占有アクセスシャフトを有している。各非
占有アクセスシャフトは、保管カラムの少なくとも1つに隣接し、また各非占有アクセス
シャフト内からRSRVsが保管ユニットを配置及び回収可能である。
【0015】
一実施形態では、マルチゾーンASRSは、さらに、少なくとも1つの追加の隔壁によ
って第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンの双方から隔離された第3保管ゾーンを備える
。第3保管ゾーンは、保管場所の第3グループを構成する。マルチゾーンASRSは、さ
らに、第3保管ゾーンと、第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンのうちの少なくとも1つ
との間における、追加の隔壁に貫通して開口する少なくとも1つの追加のポータルを備え
る。追加のポータルは、そこを通るRSRV(s)の移行に対応するように構成されてい
る。一実施形態では、追加のポータルは、第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンの双方に
開口するポータルを備える。一実施形態では、追加の隔壁は、マルチゾーンASRSの上
部トラックレイアウトから直立する上方部分を有する。本実施形態では、追加のポータル
は、その上方部分における追加の隔壁を貫通して開口する少なくとも1つの上部ポータル
を有する。第1保管ゾーン、第2保管ゾーン、および第3保管ゾーンは、そこに設置され
た環境制御機器、または環境制御機器の動作特性が互いに異なる。第1保管ゾーン、第2
保管ゾーン、および第3保管ゾーンは、RSRV(s)によってアクセス可能である。
【0016】
一実施形態では、マルチゾーンASRSは、1つまたは複数のバッファスポットをさら
に備える。バッファスポットの各々は、トラックレイアウト上の場所に配置され、RSR
V(s)がトラックレイアウトからアクセス可能である。バッファスポットの各々は、そ
の上に保管ユニットの1つを一時的に保持するように構成されている。実施形態では、バ
ッファスポットの少なくとも1つは、ポータルのそれぞれ対応する1つに近接して配置さ
れる。一実施形態では、1つまたは複数のバッファスポットは、複数のバッファスポット
を有する。本実施形態では、バッファスポットの少なくとも1つは、第1保管ゾーンおよ
び第2保管ゾーンのそれぞれに配置される。
【0017】
マルチゾーンASRSは、さらにRSRVsと動作可能に通信するコンピュータ化制御
システム(CCS:computerized control system)を備える。CCSは、通信ネットワ
ークに接続されたネットワークインターフェースと、ネットワークインターフェースに接
続された少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサに通信可能に接続された非一過性の
コンピュータ可読記憶媒体とを備える。CCSの非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は
、コンピュータプログラム命令を格納するように構成されており、この命令は、CCSの
プロセッサ(複数可)によって実行されると、プロセッサ(複数可)にマルチゾーンAS
RS内のRSRVsの動作を制御させる。第2保管ゾーンに関連する回収タスクの一部と
して、第2保管ゾーンに格納されている保管ユニットのうち標的となる1つを回収する必
要があり、CCSは、第2保管ゾーンに関連する回収タスクを、第1保管ゾーンに配置さ
れているRSRVsの中から選択された第1RSRVに割り当て、また第1RSRVに対
して、(a) 第1保管ゾーンから第2保管ゾーンに進入するポータルの1つを介して第2保
管ゾーンに移行し、(b) 移行中、そのポータルから第2保管ゾーンに進入する前に、第1
RSRVにそのとき搬送されている保管ユニットの1つを第1保管ゾーンのバッファスポ
ットの1つに荷降ろしするコマンドを発令する。
【0018】
第2保管ゾーンに関連する回収タスクの追加ステップにおいて、CCSはさらに、第1
RSRVに対して以下のコマンドを発令する、すなわち、第2保管ゾーンへの進入時に、
第2保管ゾーンにおけるバッファスポットの1つからバッファリングされた1つの保管ユ
ニットをピックアップさせるコマンドと、第2保管ゾーンにおけるバッファスポットから
、第2保管ゾーンに保管された標的(ターゲット)となる保管ユニットを回収することが
できる第2保管ゾーンにおけるアクセス場所に向かって移行させるコマンドと、及びアク
セス場所で標的となる保管ユニットを回収する前に、ピックアップされた保管ユニットを
第2保管ゾーンにおける1つの利用可能な保管場所に荷置きする(deposit)コマンドと
を発令する。一実施形態では、CCSは、1つまたは複数のバッファスポットの上流側で
利用可能であり、また第2保管ゾーンにおけるバッファスポットからアクセス場所までの
途中経路上に位置するいずれかの保管場所、および/または、アクセス場所の下流側で利
用可能であり、またアクセス場所から出口ポータルまでの途中経路上に位置するいずれか
の保管場所のうちから、第2保管ゾーンにおける利用可能な保管場所を選択する。
【0019】
CCSは、第1RSRVに対して、以下のコマンド、すなわち、第2保管ゾーンに保管
された対象保管ユニットを回収させるコマンドと、及び標的保管ユニットの作業ステーシ
ョンに配送して、作業ステーションで標的保管ユニットから製品をピッキングし易くする
コマンドとを発令して、第2保管ゾーンに関連する回収タスクを完了する。第2保管ゾー
ンに関連する回収タスクの完了、及び第1RSRVによって運ばれた標的となる保管ユニ
ットからの製品のピッキングに続いて、CCSは、第1RSRVまたは異なるRSRVに
対して、標的となる保管ユニットを第2保管ゾーンにおける1つのバッファスポットに荷
置きし、その後第2保管ゾーンから退出させるコマンドを発令する。第2保管ゾーンに関
連付けられ、第1RSRVおよび異なるRSRVの中から選択された第2RSRVに割り
当てられた後続の回収タスクの一部として、第2保管ゾーンに保管されている別の標的と
なる保管ユニットを回収するために、CCSは、第2RSRVに対して以下のコマンド、
すなわち、(a)第2保管ゾーンに進入させるコマンドと、(b)第2保管ゾーンにおける
バッファスポットから、荷置きされた保管ユニットをピックアップさせるコマンドと、(
c)第2保管ゾーンにおけるバッファスポットから、他の標的となる保管ユニットが回収
可能である第2保管ゾーンにおけるアクセス場所に向かって移行させるコマンドと、及び
(d)アクセス場所で他の標的となる保管ユニットを回収する前に、第2保管ゾーンにお
けるバッファスポットからピックアップした保管ユニットを第2保管ゾーンにおける1つ
の利用可能な保管場所に荷置きさせるコマンドと、を発令する。一実施形態では、CCS
は、第2保管ゾーンにおけるバッファスポットの上流側で利用可能であり、またバッファ
スポットからアクセス場所までの途中経路上に位置するいずれかの保管場所、および/ま
たは、アクセス場所の下流側で利用可能であり、またアクセス場所から出口ポータルまで
の途中経路上に位置するいずれかの保管場所のうちから、第2保管ゾーンにおける利用可
能な保管場所を選択する。
【0020】
一実施形態では、CCSは、第2保管ゾーンに保管されている保管ユニットにおける1
つの不要な保管ユニットを第2グループにおける1つの保管場所に荷置きするタスクを、
第2保管ゾーンに保管されている保管ユニットのうち必要な保管ユニットを第2グループ
の保管場所から回収するように割り当てられている1つのRSRVに割り当てる。
【0021】
一実施形態では、第2保管ゾーンは、第1保管ゾーンよりもRSRVsにとって厳しい
動作環境によって特徴付けられる。この実施形態では、第2保管ゾーンに関連する任意な
回収タスクに割り当てるRSRVsのうちの1つを選択する間に、CCSは、第2保管ゾ
ーンに最近存在したRSRVsよりも、第2保管ゾーンからの不在時間がより長いRSR
Vsを優先する。一実施形態では、CCSは、RSRVsのいずれかが最後に第2保管ゾ
ーンを退出した退出時間を記録する。この実施形態では、第2保管ゾーンに関連する任意
の回収タスクのためにRSRVsを選択する間に、CCSは、第2保管ゾーンにより最近
存在したRSRVsよりも第2保管ゾーンからの不在時間がより長いRSRVsを優先す
るために、RSRVsの退出時間を比較する。本明細書の実施形態では、RSRVsがマ
ルチゾーンASRS内で動作している間、RSRVsが非常温の、冷却、チルド、または
冷凍庫の環境に曝露されることを低減し、それにより、その回路および構成要素を保護し
、そのスループット性能を維持することができる。
【0022】
一実施形態では、製品在庫を含む保管ユニットは、供給施設から輸送車両に乗って受取
施設で受け取られ、受取施設で、例えばマルチゾーンASRSまたはシングルゾーンAS
RSなどのASRS内に自動的に誘導される。マルチゾーンASRSまたはシングルゾー
ンASRSは、各保管ユニットの所定タイプに適合したタイプである。本実施形態では、
製品在庫を収納している保管ユニットを、受取施設からの送出保管ユニット、例えば、空
の保管ユニットと交換し、それにより、送出保管ユニットを受取施設から輸送するために
輸送車両に積載する。製品在庫を収納している保管ユニット及び送出保管ユニットの双方
は、受取施設のASRSと互換性のある同一の所定タイプである。本明細書の実施形態で
は、補充プロセス中、受取施設、すなわちマイクロ受注処理センターでの自動誘導の間に
、順方向および逆方向の保管ユニットの1:1交換技術を遂行する。本明細書の実施形態
は、出荷および受取プロセスを改善し、マイクロ受注処理および流通センターサイトにお
ける関連する中継エリアを排除して、物流を合理化しながら、労働力、不動産、および資
源の要件を大幅に削減し、それによって、オペレーションを予測可能にし、秩序保ち、リ
アルタイムで監視することを容易にする。
【0023】
マルチゾーンASRSは、異なる温度要件を持つ多数の異なる製品アイテムの保管及び
回収を改善するために、RSRVsの動きを最適に調整する。本明細書では、上述のマル
チゾーンASRSにおけるRSRVsの動作を制御するためのコンピュータ実装方法も開
示する。本明細書で開示する方法は、RSRVsと動作可能に通信するように構成された
CCSを採用する。本明細書で開示される方法では、第2保管ゾーンにおける第1保管ユ
ニットを第2保管ゾーンにおける第1保管場所に荷置きすることを含む第2保管ゾーンに
おける荷置きプロセスとして、CCSは、荷置きプロセスを、第1保管ユニットを第2保
管ゾーンに運ぶ第1進入タスクと、第1保管ユニットを第1保管場所に配置する第2配置
タスクとに分割する。次に、CCSは、第2保管ゾーンの外側に位置するRSRVsの中
から選択された第1RSRV及び第2RSRVに、それぞれ第1進入タスク及び第2配置
タスクを割り当てる。次に、CCSは、第1RSRVおよび第2RSRVに対して、第1
進入タスクおよび第2配置タスクを実行させるコマンドを発令する。一実施形態では、第
1進入タスクは、第1RSRVによる第2保管ゾーンでの第1保管ユニットの荷降ろし(
drop-off)と、荷降ろし後の第1RSRVの第2保管ゾーンからの迅速な退出とを含む。
第1進入タスクで第1RSRVによって実施される荷降ろしは、後で第2RSRVがバッ
ファスポットから第1保管ユニットを回収できるようにするために、第2保管ゾーンにお
けるバッファスポットに第1保管ユニットを配置することを含む。
【0024】
一実施形態では、CCSは、第2の保管ゾーンに関連する回収タスクを第2RSRVに
割り当てる。この実施形態では、第2保管ゾーンは、第1保管ゾーンよりもRSRVsに
とって厳しい動作環境を特徴とする。例えば、第2保管ゾーンは、第1保管ゾーンよりも
低い環境動作温度を有する冷却された保管ゾーンである。回収タスクは、第2保管ゾーン
における第2保管場所から第2保管ユニットを回収することを含む。第2保管ユニットを
回収する第2保管場所は、第2保管ゾーンにおけるバッファスポットの上流側で利用可能
であり、また第2保管ゾーンにおけるバッファスポットから第2保管ゾーンにおける第2
保管場所までの途中経路上に位置するいずれかの保管場所、および/または、第2保管ゾ
ーンにおける第2保管場所の下流側で利用可能であり、また第2保管ゾーンにおける第2
保管場所から第2保管ゾーンにおける出口ポータルまでの途中経路上に位置するいずれか
の保管場所、のうちから選択される。
【0025】
本明細書に開示されたコンピュータ実装方法の一実施形態では、CCSは、第2保管ゾ
ーンの外側に位置するRSRVsの中から選択された第1RSRVに、第2保管ゾーンに
関連する回収タスクを割り当てる。その後、CCSは、第1RSRVに対して、以下のコ
マンド、すなわち、第2保管ゾーンに移行させるコマンド、第2保管ゾーンにおける第1
保管場所から第1保管ユニットを回収させるコマンド、及び第2保管ゾーンを退出して、
第2保管ゾーンの外側に位置する作業ステーションに第1保管ユニットを運ぶコマンド、
を発令する。作業ステーションで第1保管ユニットへの製品配置または第1保管ユニット
からの製品抽出の実施後、CCSは、第1RSRVまたは異なるRSRVに対して、第1
保管ユニットを作業ステーションから第2保管ゾーンに戻して移送し、また第2保管ゾー
ンの保管場所とは明確に異なる第2保管ゾーンのバッファスポットに第1保管ユニットを
ド荷降ろしするコマンドを発令する。CCSは、第2保管ゾーンのバッファスポットで第
1保管ユニットを荷降ろしした後、第2保管ゾーンから速やかに退出するコマンドを、第
1RSRVまたは異なるRSRVに発令する。CCSは、別のRSRVに、第1保管ゾー
ンから第2保管ゾーンに進入し、第2保管ゾーンのバッファスポットから第1保管ユニッ
トをピックアップし、また第2保管ゾーンの保管場所における1つの保管場所に第1保管
ユニットを荷置きするコマンドを発令する。CCSは、別のRSRVに対して、第1保管
ユニットを第2保管ゾーンにおける1つの保管場所に荷置きした後に、第1保管ユニット
が荷置きされていた保管場所とは異なる第2保管ゾーンの第2保管場所から第2保管ユニ
ットを回収するコマンドを発令する。CCSは、第2保管ユニットを回収すべきバッファ
スポットの上流側で利用可能であり、またバッファスポットから第2保管ゾーンにおける
第2保管場所までの途中経路に位置する、第2保管ゾーンにおけるいずれかの保管場所、
及び第2保管ユニットを回収すべき第2保管場所の下流側で利用可能であり、また第2保
管場所から第2保管ゾーンの出口までの途中に位置するいずれかの保管場所のうちから、
第1保管ユニットを荷置きするための第2保管ゾーンにおける1つの保管場所を選択する
【0026】
1つまたは複数の実施形態において、関連システムは、本明細書で開示された方法を実
行するための回路及び/又はプログラミングを含む。回路及び/又はプログラミングは、
システム設計者の設計上の選択に応じて、本明細書に開示された方法を実行するように構
成されたハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組み合わ
せである。一実施形態では、システム設計者の設計上の選択に応じて、様々な構造要素が
採用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
前述の概要、および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとよりよく理解でき
る。本明細書の実施形態を説明するために、実施形態の例示的な構造が図面に示されてい
る。しかし、本明細書の実施形態は、本明細書に開示された特定の構造、構成要素、およ
び方法に限定されない。図面において数字で参照される構造、または構成要素、または方
法ステップの説明は、本明細書の後続の図面において同じ数字で示されるその構造、構成
要素、または方法ステップの説明に適用される。
図1】本明細書の一実施形態による、マルチゾーン保管及び回収システム(ASRS)の頂部斜視図であって、このマルチゾーンASRSが採用する3次元(3D)格子構造の保管構体における上部トラックレイアウトを示す。
図2】本明細書の一実施形態によるマルチゾーンASRSの頂端部の部分的拡大図を示す。
図3】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSの一部切除した斜視図であり、マルチゾーンASRSが採用する3D格子構造の保管構体の上部トラックレイアウト及び下部トラックレイアウトの部分的な断面を示す。
図4】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSが採用する3D格子構造の保管構体の頂部から見た等角図を示す。
図5A】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSに採用されたロボット保管/回収車両(RSRV)及びこれと適合性のある保管ユニットを示す。
図5B】本明細書の一実施形態による、図5AのRSRVと適合性のある保管ユニットを示す図であり、RSRVに対する保管ユニットの押出し、又は引込みのために保管ユニットと係合するためのRSRVにおける回転可能なタレットのアームの伸展を示す。
図6A】本明細書の一実施形態によるマルチゾーンASRSの頂部から見た斜視図であり、製品アイテムを収納する保管ユニットを保管ゾーンに維持しながら、作業者が常温環境で非常温温度を有する製品アイテムに対して操作できるように、保管ゾーンに取り付けられた作業ステーションを示す。
図6B】本明細書の一実施形態による、図6Aに示した作業ステーションの拡大図を示す。
図7】本明細書の一実施形態による、顧客発注がASRSから受注処理される多数の小規模受取施設に補充在庫を供給する供給施設を含む、サプライチェーン又は流通ネットワークにおける相互連携される施設群を示す。
図8】本明細書の一実施形態による、搬送可能な保管ユニットの1:1交換からなる在庫補充ワークフローを実行するシステムのアーキテクチャブロック図を示す。
図9】本明細書の一実施形態による、コンピュータ化制御システム(CCS)を用いて、受注を管理し、またマルチゾーンASRS内のRSRVの動作を制御するシステムのアーキテクチャブロック図を示す。
図10A】本明細書の一実施形態による、図8に示すシステムの中央データベースにおけるデータベース概略図を示す。
図10B】本明細書の一実施形態による、図8に示すシステムの中央データベースにおけるデータベース概略図を示す。
図10C】本明細書の一実施形態による、CCSのローカル施設データベースにおけるデータベース概略図を示す。
図10D】本明細書の一実施形態による、CCSのローカル施設データベースにおけるロボット情報テーブルに格納されているデータを例示的に示す。
図10E】本明細書の一実施形態による、図8に示す車両管理システムのローカル車両データベースにおけるデータベース概略図を示す。
図11】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRS内におけるRSRVの動作を制御するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図12】本明細書の別の実施形態による、マルチゾーンASRS内におけるRSRVの動作を制御するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図13】本明細書の一実施形態による、受注処理ワークフローを実行するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図14】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSで実行すべきタスク用にRSRVを選択するための、コンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図15】本明細書の一実施形態によるマルチゾーンASRSの頂部平面図であり、マルチゾーンASRSの保管ゾーンから保管ユニットを回収及び返却するためにCCSによって設定される、RSRVおよび保管ユニットの移行経路を示す。
図16】本明細書の一実施形態による、図15に示した設定移行経路に基づいて、マルチゾーンASRSにおける保管ゾーンから保管ユニットを回収及び返却するために、CCSからのコマンドに応答して、RSRVによって実行される方法のフローチャートを示す。
図17】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSにおける保管ゾーンから保管ユニットを回収するために、CCSからのコマンドに応答してRSRVによって実行される方法のフローチャートを示す。
図18】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSにおける保管ゾーンから保管ユニットを返却するために、CCSからのコマンドに応答してRSRVによって実行される方法のフローチャートを示す。
図19】本明細書の一実施形態によるマルチゾーンASRSの部分斜視図であり、コンベアシステムを介してマルチゾーンASRSに取り付けられた作業ステーションを示す。
図20A】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSで発注を受注処理及び保存するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図20B】本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRSで発注を受注処理及び保存するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図21】本明細書の一実施形態による、顧客によるピックアップのためにマルチゾーンASRSから発注品を回収するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図22】本明細書の一実施形態による、供給施設と受取施設との間で在庫補充ワークフローを実行するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図23】本明細書の一実施形態による、在庫補充のために受取施設で保管ユニットの整理統合を実行するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図24】本明細書の一実施形態による、保管ユニットの交換および誘導を実行するためにCCSによって設定されたRSRVおよび保管ユニットの移行経路を示している、マルチゾーンASRSの頂部平面図を示す。
図25】本明細書の一実施形態による、図24に示される設定移行経路に基づいて保管ユニットの交換および誘導を実行するためのコンピュータ実装した方法のフローチャートを示す。
図26】本明細書の一実施形態による、保管ユニットの交換および誘導を実行するための受取施設に到着した輸送車両の頂部から見た斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の様々な態様は、コンポーネント及び/若しくは構造体のシステム、方法、並び
に/又はそれに格納された1つ若しくは複数のコンピュータプログラムを記録したプログ
ラムコードを有する非一過性のコンピュータプログラムを記録した記録媒体として具現化
することができる。したがって、本開示の様々な実施形態は、例えば、電子コンポーネン
ト、コンピューティングコンポーネント、回路、マイクロコード、ファームウェア、ソフ
トウェア等々と一緒に機械的構造体を構成するハードウェアおよびソフトウェアの実施形
態の組み合わせの形をとることができる。
【0029】
図1は、本明細書の一実施形態によるマルチゾーン自動保管及び回収システム(ASR
S)100の頂部から見た斜視図であり、マルチゾーンASRS100が採用する3次元
(3D)格子構造の保管構体の頂部トラックレイアウト122を示す。一実施形態におい
て、本明細書に開示されたマルチゾーンASRS100は、図4に例示的に示された3D
格子構造の保管構体100aを採用する。本明細書に開示されるマルチゾーンASRS1
00は、内部に保管ユニットの配置および保管に適応するよう構成された複数の保管場所
を備える。本明細書で使用されるように、「保管ユニット」は、例えば、ビン、トートバ
ッグ、トレイ、ボックス、パレット、ゲイロード等々の任意な種類の在庫ホルダに言及す
る。一実施形態では、マルチゾーンASRS100は、さらに、第1又は一次保管ゾーン
101、第2又は二次保管ゾーン102、少なくとも1つの隔壁104、1つまたは複数の
ポータル108a、109a、108b、及び109b、並びに例えば少なくとも1つの
トラックレイアウト122、及び図4および図5A~5Bに図示された1つ若しくは複数
のロボット保管/回収車両(RSRV)128を備える。図1~3において、保管ゾーン
102、103の上側天井は、説明目的のために省略されている。第1保管ゾーン101
は、保管場所の第1グループを構成する。第2保管ゾーン102は、保管場所の第2グル
ープを構成する。一実施形態において、第1保管ゾーン101及び第2保管ゾーン102
は、それらの内部に設置される環境制御機器、又は環境制御機器の動作特性が互いに異な
る。別の実施形態において、第1保管ゾーン101又は第2保管ゾーン102は冷却され
た保管ゾーンであり、第1保管ゾーン101及び第2保管ゾーン102の他方よりも低い
環境動作温度を有する。例えば、図1~3に示したように、第2保管ゾーン102は、第
1保管ゾーン101よりも低い環境動作温度を有する冷却された保管ゾーンである。
【0030】
隔壁104は、第2保管ゾーン102を第1保管ゾーン101から隔離する。ポータル
108a、109a、108b、109bは、第1保管ゾーン101と第2保管ゾーン1
02との間において隔壁104を貫通して、開口する。例えば、トラックレイアウト12
2は、第1保管ゾーン101を占める第1トラックエリア122aと、第2保管ゾーン1
02を占める第2トラックエリア122bと、隔壁104に構成されたポータル108a
、109a、108b、及び109bを介して第1トラックエリア122a及び第2トラ
ックエリア122bを相互に連結する、図15および図24に示した1つまたは複数の連
結トラックセグメント122dとからなる。図1~2に示したような実施形態において、
トラックレイアウトは、保管場所の上方に配置された上部トラックレイアウト122を有
する。この実施形態において、隔壁104は、上部トラックレイアウト122から直立す
る上方部分を有し、またポータル108a、109a、108b、及び109bは、上部
トラックレイアウト122の第11トラックエリア122a及び第2トラックエリア12
2bを相互連結する上部トラックレイアウト122の連結トラックセグメント122dを
収容するよう、その上方部分で隔壁104に貫通して開口する構成とする。一実施形態で
は、第2保管ゾーン102を第1保管ゾーン101から隔離する隔壁104は、第1保管
ゾーン101及び第2保管ゾーン102を分離する直立した隔壁を有する。連結トラック
セグメント(複数可)122dは、直立隔壁の一方の側から直立隔壁の他方の側まで、ポ
ータル108a、109a、108b、及び109bに貫通して張り渡される。別の実施
形態において、トラックレイアウトは、図3に示されるように、保管場所の下方に配置さ
れた下部トラックレイアウト126を有する。
【0031】
トラックレイアウト122がマルチゾーンASRS100の保管場所の上方に配置され
ている実施形態において、第2保管ゾーン102は、トラックレイアウト122の上方に
配置され、かつ第1保管ゾーン101から隔離された被包囲屋根裏空間102aを有する
。被包囲屋根裏空間102aは、第2保管ゾーン102の境界壁104、105、106
、及び107aによって区切られる。境界壁106のうち少なくとも1つは、マルチゾー
ンASRS100を収容する施設の建物壁から分離しており、また個別である。被包囲屋
根裏空間102aは、第1保管ゾーン101から、また施設の常温空間から隔離される。
或る実施形態において、被包囲屋根裏空間102aの境界壁104、105、106及び
107aは、施設の建物壁から分離しており、また個別である。或る実施形態において、
境界壁104、105、106及び107aは、保管場所の第2グループを区切る、図4
に示されたマルチゾーンASRS100における3D格子構造の保管構体100aのフレ
ーム部材に備え付けられる。図1~2に示されているような別の実施形態において、第1
保管ゾーン101は、被包囲屋根裏空間がなく、マルチゾーンASRS100を収容する
施設の周囲環境に開放されている。この実施形態において、環境制御装置は、第2保管ゾ
ーン102の被包囲屋根裏空間102aに備え付けられる。
【0032】
図1~2に示したような実施形態において、マルチゾーンASRS100は、さらに、
少なくとも1つの追加の隔壁105によって第1保管ゾーン101及び第2保管ゾーン1
02の双方から隔離された第3又は三次保管ゾーン103を備える。第3保管ゾーン10
3は、保管場所の第3グループを構成する。マルチゾーンASRS100は、第3保管ゾ
ーン103と、第1保管ゾーン101及び第2保管ゾーン102のうち少なくとも一方と
の間に、追加の隔壁105に貫通して開口する少なくとも1つの追加のポータル110を
さらに備える。例えば、図1~2に示したように、追加のポータル110は、第3保管ゾ
ーン103と第2保管ゾーン102との間で追加の隔壁105に貫通して開口する。追加の
ポータル110は、そこを通るRSRV(s)128の移行を許容するように構成される
。或る実施形態において、追加のポータル110は、第1保管ゾーン101及び第2保管
ゾーン102の双方に開口するポータルを構成する。或る実施形態において、追加の隔壁
105は、上部トラックレイアウト122から直立する上方部分を構成する。この実施形
態において、追加のポータル110は、その上方部分で追加の隔壁105に貫通して開口
する少なくとも1つの上側ポータルを構成する。トラックレイアウト122がマルチゾー
ンASRS100の保管場所の上方に配置されている実施形態において、第3保管ゾーン
103は、トラックレイアウト122の上方に配置され、また第1保管ゾーン101から
隔離された被包囲屋根裏空間103aを有する。被包囲屋根裏空間103aは、第3保管
ゾーン103の境界壁104、105、106、及び107bによって区切られる。被包
囲屋根裏空間103aは、第1保管ゾーン101からも、施設の包囲空間からも隔離され
る。或る実施形態において、被包囲屋根裏空間103aの境界壁104、105、106
、及び107bは、施設の建物壁から分離しており、個別である。或る実施形態において
、環境制御機器は、第3保管ゾーン103の被包囲屋根裏空間103aに備え付けられる
。第1保管ゾーン101、第2保管ゾーン102、及び第3保管ゾーン103は、それら
に設置された環境制御機器、または環境制御機器の動作特性が互いに異なる。第1保管ゾ
ーン101、第2保管ゾーン102、及び第3保管ゾーン103は、RSRV(s)12
8によってアクセス可能である。
【0033】
或る実施形態において、マルチゾーンASRS100は、さらに、1つ又は複数のバッ
ファスポット、例えば、112a、112b、及び112cを備える。或る実施形態にお
いて、バッファスポット112a、112b、及び112cは、RSRV128が保管ゾ
ーン101、102、及び103の間を遷移するときに保管ユニットを一時的に保持する
ように構成された保管棚である。バッファスポット112a、112b、及び112cは
、保管ユニットを分別して、環境制御された1つの保管ゾーン101、102、又は10
3のみに保管することを可能にするとともに、RSRV128が単一の保管および回収タ
スクの実施中に環境制御された保管ゾーン101、102、及び103の間で遷移するこ
とを可能にする。バッファスポット112a、112b、及び112cのそれぞれは、ト
ラックレイアウト122における場所に配置され、またトラックレイアウト122からR
SRV(s)128によってアクセス可能である。バッファスポット112a、112b
、及び112cのそれぞれは、その上に1つの保管ユニットを一時的に保持するよう構成
される。或る実施形態において、バッファスポット112a、112b、及び112cの
うち少なくとも1つは、ポータル108a、109a、108b、109b、又は110
のうちそれぞれに対応する1つに近接して配置される。或る実施形態において、1つ又は
複数のバッファスポットは、複数のバッファスポットを有する。この実施形態において、
バッファスポット112a、112b、及び112cのうち少なくとも1つは、第1保管
ゾーン101、第2保管ゾーン102、及び第3保管ゾーン103のそれぞれに配置され
る。
【0034】
図2は、本明細書の一実施形態によるマルチゾーン自動保管及び回収システム(ASR
S)100の頂端部の部分拡大図を示す。少なくとも部分的に断熱材、例えば剛性発泡断
熱材で作られた境界壁104、105、106、107a及び107bが、図4に例示的
に示されたマルチゾーンASRS100の3次元(3D)格子構造の保管構体100aの
枠組みに備え付けられている。これにより、全体的な格子構造の保管構体100aを熱的
に隔離された異なる保管ゾーン101、102、及び103に細分化し、これら保管ゾー
ン101、102、及び103のうち1つまたは複数を、3D格子構造の保管構体100
aが設置されている施設の包囲環境から熱的に隔離する。図1~2に例示的に示したよう
に、マルチゾーンASRS100の3D格子構造の保管構体100aは、3つの明確に異
なる保管ゾーン、すなわち、包囲する施設環境と同一環境条件での常温保管のための第1
保管ゾーン101、常温の第1保管ゾーン101および包囲する施設環境よりも冷えた環
境での冷却保管のための第2又は二次保管ゾーン102、及び他の2つの保管ゾーン10
1、102および包囲する施設環境よりもさらに低下した温度の冷凍環境内における冷却
保管のための第3保管ゾーン103に分割される。
【0035】
境界壁は、下部トラックレイアウト126の下方の地面レベルから上部トラックレイア
ウト122まで至り、またそれを越えて、3Dグ格子構造の保管構体100aの全高を垂
直方向に貫くフルスパン隔壁104で構成される。図1に示されるように、このフルスパ
ン隔壁104は、本明細書でX方向と称される一方の水平方向において3D格子構造の保
管構体100aを完全に横切って範囲が及び、それによって、本明細書でY方向と称され
る、それに直交する他方の水平方向において、1つの保管ゾーンを別の保管ゾーンから分
離する。図1に示したように、第1保管ゾーン101は、フルスパン隔壁104の第1側
面に配置され、X方向において3D格子構造の保管構体100aの全寸法にわたり範囲が
及ぶとともに、Y方向においては3D格子構造保管構体100aの部分的寸法にしか範囲
が及ばない。第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103の双方は、第1保管ゾーン
101側とは反対側の側面でフルスパンの隔壁104に隣接し、これにより、第2保管ゾ
ーン102及び第3保管ゾーン103の各々は、X方向及びY方向の双方で3D格子構造
保管構体100aの部分的な寸法のみに及んでいる。すなわち、第2保管ゾーン102及
び第3保管ゾーン103は、これら冷却された保管ゾーン102及び103の双方を常温
の第1保管ゾーン101から物理的および熱的に隔離するフルスパン隔壁104を共有す
る。
【0036】
部分スパン隔壁105は、下部トラックレイアウト126の下方の地面レベルから上部
トラックレイアウト122まで、またそれを越えて、3D格子構造保管構体100aの全
高を垂直方向に貫いて範囲が及ぶが、どちらかの水平方向には、3D格子構造構体100
a全体に範囲が及ばない。部分スパン隔壁105は、フルスパン隔壁104から、常温の
第1保管ゾーン101側とは反対側のフルスパン隔壁104の側面で3D格子構造保管構
体100aの外周壁106まで、3D格子構造保管構体100aのY方向にわたり、した
がって、第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103を3D格子構造保管構体100
aのX方向に互いに物理的および熱的に隔離する。図1~2に例示的に示すように、第2
保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103が互いに等しい占有面積である場合、或る実
施形態において、部分スパン隔壁105は、X方向において3D格子構造保管構体100
aの2つの互いに対向する外周側面の中間に配置される。別の実施形態において、第2保
管ゾーン102及び第3保管ゾーン103は、サイズおよび占有面積が互いに異なる。
【0037】
図1に示すような実施形態において、第1保管ゾーン101は、保管ゾーン101、1
02、及び103のうち最も大きく、チルド又は冷凍保管よりも常温保管が必要とされる
設備を反映している。他の実施形態において、マルチゾーンASRS100を収容する施
設の要件に応じて、常温、チルド及び/又は冷凍の保管ゾーン101、102、及び10
3は、異なる占有面積で異なるサイズに構成される。図1に例示されているように、Y方
向における第1保管ゾーン101のスパンは、Y方向における第2保管ゾーン102及び
第3保管ゾーン103が共有する等しい幅を超えており、それによって、第1保管ゾーン
101は、第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103の個々の占有面積及び結合さ
れた占有面積の双方を超える占有面積を有している。常温保管よりも冷却された保管に対
する要望が大きい非定型のシナリオでは、第1保管ゾーン101は、第2保管ゾーン10
2及び第3保管ゾーン103の結合した又は個別の占有面積と同等またはそれより小さい
占有面積で構成される。
【0038】
図1~2に示す実施形態において、マルチゾーンASRS100は、3つの保管ゾーン
101、102、及び103を備え、そのうち、常温よりも低い異なる動作温度の2つの
保管ゾーン102及び103が存在する。別の実施形態において、マルチゾーンASRS
100は、1つの常温保管ゾーン及び1つの冷却された保管ゾーンがあるデュアルゾーン
構成を有し、冷却された保管ゾーンは、チルド動作温度範囲又は冷凍動作温度範囲にある
。さらに、図1~2に示す実施形態において、冷却された保管ゾーン、すなわち、第2保
管ゾーン102及び第3保管ゾーン103は、常温保管ゾーン、すなわち、第1保管ゾー
ン101と同一側面に配置され、それによって、3D格子構造保管構体100aの一方の
端部は、2つの冷却された保管ゾーン102及び103によって占められ、また他方の端
部は、常温保管ゾーン101によって占められる。他の実施形態では、マルチゾーンAS
RS100において、保管ゾーン101、102、及び103の他の構成が採用される。
例えば、第2保管ゾーン102又はチルドゾーン、及び第3保管ゾーン103又は冷凍ゾ
ーンが、常温の第1保管ゾーン101に対して対向する両側に配置され、この場合、保管
ゾーン102及び103の各々は、3D格子構造保管構体100aのX方向全体にわたっ
て範囲が及び、したがって、保管ゾーン102及び103の各々は、中央における常温の
第1保管ゾーン101から保管ゾーン102及び103各々を隔離するそれぞれに対応す
るフルスパン隔壁104を有する。さらに、図1~2に図示された冷却された保管ゾーン
102及び103の各々は、常温の保管ゾーン101よりもY方向の寸法が小さい。より
大きな冷却された保管が必要とされる他の実施形態において、冷却された保管ゾーン10
2及び103の各々は、常温の保管ゾーン101よりもY方向の寸法が大きくなるように
構成される。
【0039】
保管ゾーン101、102、及び103の特定構成にかかわらず、マルチゾーンASR
S100に複数の冷却された保管ゾーンが含まれるとき、各冷却された保管ゾーン102
及び103は、少なくとも1つの隔壁104を常温の保管ゾーン101と共有し、また図
4及び図5A~5Bに図示されたロボット保管/回収車両(RSRVs)128のその間
における移行を可能にするために、この隔壁104を貫通して開口する少なくとも1つの
アクセスポータル、例えばアクセスポータル108a、109a、108b、109bを
有するよう構成される。本明細書に開示されたマルチゾーンASRS100において、R
SRVs128は、冷却された保管ゾーン102及び103内の低温条件と比較して動作
条件が厳しくない常温保管ゾーン101で従事し、また常温保管ゾーン101から冷却さ
れた保管ゾーン102又は103のうち任意なゾーンに直接進入するように構成されてお
り、別の冷却された保管ゾーン、例えば保管ゾーン103に到達するために1つの冷却さ
れた保管ゾーン、例えば保管ゾーン102を通って移行する必要性を回避することによっ
て、より厳しい低温動作環境内で費やされる時間を最小限に抑えることができる。
【0040】
第2保管ゾーン102および第3保管ゾーン103は、例えば、施設の包囲環境から物
理的および熱的に隔離する必要のある環境制御または温度制御されたチルド保管ゾーン及
び冷凍保管ゾーンであるため、これら保管ゾーン102及び103の境界壁は、3D格子
構造保管構体100aの内部を横断する内部隔壁104及び105だけでなく、内部隔壁
104及び105と協働して各保管ゾーン102及び103をその全側面で完全に取り囲
む外周壁106、107a、及び107bを有する。フルスパン周壁106は、その外周
側面で3D格子構造保管構体100aのX方向全体に範囲が及び、フルスパン隔壁104
と対向して配置されているため、第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103で共有
され、第1保管ゾーン101とは反対側の側面を閉塞する。第2保管ゾーン102及び第
3保管ゾーン103それぞれのための部分スパン周壁107a及び107bは、フルスパ
ン周壁106とフルスパン隔壁104との間で、3D格子構造保管構体100aのY方向
の部分的な寸法に範囲が及び、またそれによって、対向する保管ゾーン102及び103
それぞれの第4および最終的な側面を、部分スパン隔壁105に対向する関係で閉塞する
【0041】
隔壁104及び105と同様に、周壁106及び107a、107bは、下部トラック
レイアウト126の下方の地面レベルから上部トラックレイアウト122まで、及びそれ
を越えて、3D格子構造保管構体100aの全高に範囲が及ぶ。したがって、すべての境
界壁104、105、106、107a、及び107bは、3D格子構造保管構体100
aの上部トラックレイアウト122を超えて上方に達する。上部トラックレイアウト12
2から直立しているフルスパン隔壁104の上方部分において、1対のアクセスポータル
108a及び109aが、第1保管ゾーン101と第2保管ゾーン102との間における
境界を示すその上方部分でフルスパン隔壁104を水平方向に貫通する。図4に図示され
ているような3D格子構造保管構体100aの上部トラックレイアウト122におけるY
方向レール130のそれぞれの対は、これらのアクセスポータル108a及び109aの
それぞれを貫通し、それによって、図15及び図24に図示されているように、第1保管
ゾーン101における上部トラックレイアウト122の第1トラックエリア122aを第
2保管ゾーン102における上部トラックレイアウト122の第2トラックエリア122
bに連結する連結トラックセグメント122dを形成する。同様に、別の1対のアクセス
ポータル108b及び109bは、第1保管ゾーン101と第3保管ゾーン103との間
の境界を示すその上方部分で、フルスパン隔壁104の上方部分を水平方向に貫通する。
上部トラックレイアウト122におけるY方向レール130のそれぞれの対は、これらの
アクセスポータル108b及び109bのそれぞれを貫通し、それによって、図15及び
図24に図示されているように、第1保管ゾーン101における上部トラックレイアウト
122の第1トラックエリア122aを第3保管ゾーン103における上部トラックレイ
アウト122の第3トラックエリア122cに連結する連結トラックセグメント122d
を形成する。
【0042】
アクセスポータルの各対内で、或る実施形態では、一方のアクセスポータル108a、
108bは、RSRVs128がそれぞれの連結トラックセグメント122dを乗軌する
ことによって、常温の第1保管ゾーン101から冷却された第2保管ゾーン102又は第
3保管ゾーン103に進入する専用の入口ポータルとして使用されるとともに、他方のア
クセスポータル109a、109bは、RSRVs128が冷却された第2保管ゾーン1
02又は第3保管ゾーン103を退出して、常温の第1保管ゾーン101に戻る専用の出
口ポータルとして使用される。別の実施形態において、2つのアクセスポータル108a
、108b又は109a、109bのいずれかが、任意の時間に入口ポータルまたは出口
ポータルのいずれかとして使用される。別の実施形態において、単一の入口/出口ポータ
ルが、冷却された保管ゾーン102及び103の各々で、そこに出入りする2方向移行用
に採用される。図1~2に図示されているように、追加のアクセスポータル110は、そ
の上方部分で部分スパン隔壁105を貫通しており、図4に図示されている上部トラック
レイアウト122におけるそれぞれ対応する対のX方向レール129は追加のアクセスポ
ータル110を介して範囲が及び渡り、第2保管ゾーン102と第3保管ゾーン103と
の間で直接RSRVs128の移行を可能にしている。或る実施形態において、常温の保
管ゾーン101から冷却された保管ゾーン102及び103の各々への直接アクセスが最
適であるため、追加のアクセスポータル110は随意的に省略される。また、追加のアク
セスポータル110は、デュアルゾーンの実施形態において、及び第2保管ゾーン102
及び第3保管ゾーン103が互いに隣接していない実施形態においても省略される。
【0043】
マルチゾーンASRS100は、1つまたは複数の保管ゾーン、例えば、保管ゾーン1
02及び103の温度又は環境パラメータ及び条件を制御するための、例えば、チラー(
冷蔵機)またはクーラー(冷却器)111a、ファン111b、ヒータ等々の環境制御機
器を備える。環境制御機器の数、サイズ、及び場所は、マルチゾーンASRS100のサ
イズに基づいて構成される。図1~2に例示されているように、第2保管ゾーン102及
び第3保管ゾーン103の各々は、内部に設置されたそれぞれに対応するチラー111a
を有し、製品アイテムまたは商品のチルドまたは冷凍保管のために、それぞれの保管ゾー
ン102、103の内部空間を目標とする動作温度範囲に冷却する。或る実施形態におい
て、チラー111aは、それぞれの保管ゾーン102、103を囲む境界壁の一方の上方
部分に設置される。例えば、チラー111aは、それぞれの保管ゾーン102、103の
外周壁106上の被包囲屋根裏空間102a、103aに設置される。チラー111aは
、例えば、マルチゾーンASRS100における冷却用途を支援するために、幅広い能力
を有する構成とした気化器または気化式冷却器である。これら蒸発式冷却器は、マルチゾ
ーンASRS100内で水を気化させることによって空気を冷却する。別の実施形態にお
いて、1つまたは複数のファン111bが、保管ゾーン102及び103それぞれの被包
囲屋根裏空間102a及び103a、並びに図3に図示された地下室103bに配置され
、例えば、3D格子構造保管構体100aの中央空洞またはダウンシャフトを使用して、
被包囲屋根裏空間102a及び103aから地下室103bに冷気を循環させる。ダウン
シャフトは、3D格子構造保管構体100aの頂部から冷却された空気を3D格子構造保
管構体100aの底部に循環させるためのダクトとして構成される。ダウンシャフトは、
冷却すべき製品アイテムを収納する保管ユニットに囲まれているため、各保管ユニットは
それぞれに対応するダウンシャフトと直接連通しており、これにより、保管ユニットの内
容物が3D格子構造保管構体100a全体で均一に冷やすのを確実にする。マルチゾーン
ASRS100の3D格子構造保管構体100aにおけるダウンシャフトと各棚付き保管
ユニットとの間における空間の存在により、3D格子構造保管構体100a全体の温度を
均一にするための最適な空気フローを可能にする。
【0044】
図1~2に示すように、各冷却保管ゾーン102、103のチラー111aは、内部隔
壁104及び105のうちの1つではなく、その外周壁106、及び107a、107b
のうちの1つに備え付けられる。チラー111aを例えば外周壁106に備え付けること
により、3D格子構造保管構体100a内のRSRVs128の動作を中断することなく
、3D格子構造保管構体100aの外部からチラー111a及び他のこのような環境制御
機器にアクセスして、点検、修理、又は補修を行うことができる。チラー111a又は他
の環境制御機器を、例えば、3D格子構造保管構体100aの周壁106、107a、お
よび107b自体に直接備え付けることにより、チラー111aまたは他の環境制御機器
を施設内の別の場所に備え付け、冷却された空気を3D格子構造保管構体100a内に経
路付けるよう適切なダクトおよび関連する空気処理機器を組み立てる必要なしに、マルチ
ゾーンASRS100をスタンドアロンの自己完結型システムとして実装することができ
る。また、チラー111aまたは他の環境制御機器を、例えば周壁106,107a、及
び107bにおける外周から直接直立する上方部分の内部に、3D格子構造保管構体10
0aを備え付けることにより、チラー111a又は他の環境制御機器を3D格子構造保管
構体100aの2次元(2D)占有面積内に設置することができる。それにより、3D格
子構造保管構体100aの2D占有面積の外側に冷却装置を外部配置するために、3D格
子構造保管構体100a自体の周囲の外側に大きなプレナムを設ける必要性を回避するこ
とができる。上部トラックレイアウト122から直立している境界壁104、105、1
06、107a、及び107bの上方部分は、チラー111a又は他の機器を収容するた
めに、3D格子構造保管構体100aの上方に存在する第2保管ゾーン102及び第3保
管ゾーン103にそれぞれロフト又は屋根裏空間102a及び103aを作成し、RSR
Vs128が常温の第1保管ゾーン101からアクセスポータル、例えばアクセスポータ
ル108a及び108b経由で進入した後、これら保管ゾーン102及び103の冷却さ
れた内部環境内で移行することができる。別の実施形態において、環境制御装置は、チラ
ー111aの代わりにヒータを有しており、ヒータは加熱空気のリザーバを生ずる。別の
実施形態において、環境制御機器は、チラー111aに加えてヒータを有し、それによっ
て温度制御された空気のリザーバを生ずる。
【0045】
冷却された保管ゾーン102及び103を完全に囲い込むために、或る実施形態におい
て、適切な断熱材で作られたゾーン天井(図示せず)が、境界壁104、105、106
、107a、及び107bの頂端部上に設置される。図1~3では、冷却された第2保管
ゾーン102及び第3保管ゾーン103の内部空間を図説するために、ゾーン天井は省略
されている。別の実施形態において、境界壁104、105、106、107a、及び1
07bが施設の既存の天井構造に達している場合、マルチゾーンASRS100の境界壁
104、105、106、107a、及び107bに備え付けられた別個の断熱ゾーン天
井を採用する代わりに、既存の施設の天井構造を使用して、冷却された保管ゾーン102
及び103を仕上げ、その内部の温度制御された空間を完全に囲い込む。同様のオプショ
ンは、境界壁 104、105、106、107a、及び107bの範囲が施設の既存の
床まで完全に及んでいる実施形態において、3D格子構造保管構体100aの底部に採用
される。別の実施形態において、3D格子構造保管構体100aの下部トラックレイアウ
ト126の下方における各冷却された保管ゾーン102、103の境界壁104、105
、106、107a、及び107bの間に範囲が及ぶように、別個の断熱ゾーン床が構成
される。3D格子構造保管構体100aの保管カラム123の上方におけるチラー付き屋
根裏空間102a及び103aと同様に、RSRVs128は、保管カラム123の下方
におけるその地下レベルで、冷却された第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103
の温度制御された内部内を水平に移行するように構成される。図1~2に例示されている
ような実施形態において、第1保管ゾーン101における上部トラックレイアウト122
の第1トラックエリア122a上方の常温の屋根裏空間は、冷却された第2保管ゾーン1
02及び第3保管ゾーン103の天井で覆われ壁で包囲された屋根裏空間102a及び1
03aのように囲い込まれておらず、施設の周囲環境に対して完全に開放された状態に維
持されている。図1に示されるような実施形態において、3D格子構造保管構体100a
は、3D格子構造保管構体100aの4つの側面すべてをほぼ閉ざす外側壁を生ずる被覆
材101aをその外周側面に装備し、それによってその内部を視覚的に隠す。
【0046】
マルチゾーンASRS100における3D格子構造保管構体100aの保管ゾーン10
1、102、及び103への分割は、冷却された第2保管ゾーン102及び第3保管ゾー
ン103を完全に囲い込むよう、内部隔壁104及び105、並びに周壁106、107
a、及び107bと、ゾーンまたは施設の天井および床との協動関係によって隔離される
が、全体的な3D格子構造保管構体100aの保管カラム123の第1グループまたはサ
ブセットは、環境的に露出した第1保管ゾーン101内の常温環境に存在するとともに、
全体的な3D格子構造保管構体100aの保管カラム123の第2及び第3のグループま
たはサブセットは、冷却された第2保管ゾーン102及び冷凍された第3保管ゾーン10
3内の冷却された環境に存在する。或る実施形態において、冷却された保管ゾーン102
及び103と常温の保管ゾーン101との間におけるほぼ完全な隔離を維持するために、
アクセスポータル108a、109a、108b、109b、及び110のそれぞれは、
RSRVs128が押し通すように構成されたストリップカーテンを装備する。別の実施
形態において、アクセスポータル108a、108b、109a、109b、及び110
のそれぞれは、RSRVs128の接近または到着の際に自動的に開くよう構成され、平
素閉じた選択的に開放可能な電子的に動作するドアを装備し、例えば、3D格子構造保管
構体100a内におけるRSRVs128の移動および操作を無線で指令するように構成
されたマルチゾーンASRS100のコンピュータ化された制御システム(CCS)によ
るシステムレベルでの、又はアクチュエータ、遠隔制御システム、または他の手段による
車両レベルでのいずれかの自動制御の下で、RSRV128の接近または到着の際に自動
的に開くように構成される。冷却された、第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン10
3の内部における保管カラム123及びアクセスシャフト124のいずれも、個々の断熱
カバーで頂部を覆う必要はなく、また或る実施形態においては、常に覆われない状態にす
る。アクセスシャフト124は常に覆われない状態にしておき、これにより、上部トラッ
クレイアウト122で冷却された第2保管ゾーン102又は第3保管ゾーン103に進入
する任意のRSRV128は、先ずそのような断熱カバーの除去を実施または待機するこ
となく、冷却された保管ゾーン102又は103内における任意のアクセスシャフト12
4を容易に下行することができる。
【0047】
上述したように、上部トラックレイアウト122は、さらに、第1保管ゾーン101に
おける複数のバッファスポット112a、第2保管ゾーン102における少なくとも1つ
のバッファスポット112b、及び第3保管ゾーン103における少なくとも1つのバッ
ファスポット112cを含む、複数のバッファスポットを有する。バッファスポット11
2a、112b、及び112cのそれぞれは、隔壁104及び105のアクセスポータル
108a、109a、108b、109b、及び110のそれぞれに対応する1つに近接
して配置される。バッファスポット112a、112b、および112cのそれぞれは、
その上に1つの保管ユニットの荷置きを許容するサイズの棚アセンブリを装備する。図1
~2に示すように、各棚アセンブリは、4本組のアップライト125bのセットに支持さ
れた1対の平行な棚レール125aからなる。各アップライト125bは、バッファスポ
ット112a、112b、又は112cそれぞれのコーナーにおいて、トラックエリア1
22a、122b、又は122cにおける2つの直交レールの交点に設置される。各棚レ
ール125aは、バッファスポット112a、112b、又は112cそれぞれの側面に
沿って延在し、2つの棚レール125a間の距離は、各方形底部を持つ保管ユニットの幅
よりも小さい。2つの棚レール125aの間におけるオープンスペースは、バッファスポ
ット112a、112b、又は112cにおける保管ユニット127の荷降ろし(ドロッ
プオフ)中に、RSRV128から棚レール125aに保管ユニット127を押し出すた
めに、図5A~5Bに図示したRSRV128の伸展可能/格納可能なアーム136を2
つの棚レール125a間に挿入することを可能にする。同様に、棚レール125a間のス
ペースは、棚レール125a上に保管ユニット127を着座させた後に、RSRV128
の高さ調整可能なホイールセットの上昇によって、例えば、保管ユニット127の下面と
の係合から外れて伸展可能/格納可能アーム136が降下されると、RSRV128の伸
展可能/格納可能アーム136の格納を可能にし、それによって、バッファスポット11
2a、112b、又は112cに保管ユニット127を一時置きし、RSRV128を自
由に他の作業の実施をさせる。
【0048】
保管ユニット127のその後におけるピックアップ中、逆のプロセスが実施され、すな
わち、棚レール125a間にRSRV128のアーム136を伸伸展させ、その高さ調節
可能なホイールセットを降下させることによって図5A~5Bに図示されたRSRV12
8の上部支持プラットフォーム138を上昇させて、伸展したアーム136を保管ユニッ
ト127の下側に係合させ、その後、アーム136を引っ込めて保管ユニット127をR
SRV128の上部支持プラットフォーム138上に引き上げる。バッファスポット11
2a、112b、及び112cでの保管ユニット127の荷降ろし及びピックアップは、
したがって、3D格子構造保管構体100aの保管カラム123における棚板ブラケット
が、バッファスポット112a、112b、及び112cの棚レール125aに等しい間
隔で配置され、保管ユニット127の棚板ブラケットに対する出し入れ摺動を可能にする
ため、マルチゾーンASRS100の3D格子構造保管構体100aの棚板を装備した保
管場所への保管ユニット127の荷置き及び取出し又は回収と同様である。様々な実施形
態において、棚アセンブリの特定の構造、および上部トラックレイアウト122上で動作
するRSRVs128がアクセス可能な位置における3D格子構造保管構体100aの上
部トラックレイアウト122へのまたはその近傍への特定の備え付けは、変動する。
【0049】
マルチゾーンASRS100は、さらに、少なくとも1つの隣接する作業ステーション
114、115を備える。例えば、2つの作業ステーション114及び115は、図1
図示されているように、マルチゾーンASRS100の3D格子構造保管構体100aの
外周側面に取り付けられる。作業ステーション114及び115のそれぞれは、RSRV
s128が作業ステーション114及び115に進入及び退出するように構成された延長
トラックによって、3D格子構造保管構体100aの外周側面の下部トラックレイアウト
126にすぐ隣接する位置で、図3~4に図示された3D格子構造保管構体100aの下
部トラックレイアウト126に直接連結される。
【0050】
図1に示されているような実施形態では、作業ステーション114は、単一ポイントア
クセス構成を有しており、単一ポイントにおける保管ユニットのみが、任意の時間に作業
ステーション114にいる人間またはロボットの作業者にアクセス可能にされている。或
る実施形態では、単一ポイント作業ステーション114は、本願人の特許協力条約(PC
T)国際出願番号PCT/CA2019/050404及びPCT/CA2019/05
0815に開示されているタイプのものであり、3D格子構造保管構体100aの下部ト
ラックレイアウト126の短い延長トラックが、作業ステーション114の細長いカウン
タートップ(天板)116aの下方を長手方向に延在する。細長いカウンタートップ11
6aは、3D格子構造保管構体100aにおける下部トラックレイアウト126の延長ト
ラック上のアクセススポットを覆う単一のピッキングポート117aを構成している。保
管ユニットを運ぶRSRV128は、3D格子構造保管構体100aの下部トラックレイ
アウト126から延長トラック上およびそれに沿って走行し、アクセススポットに駐車し
、そこで人間またはロボットの作業者は、例えば、ピッキングポート117aから保管ユ
ニットにアクセスし、そこから製品アイテムをピッキングして顧客発注の受注処理を果た
すことができ、随意的に、RSRVs128によって作業ステーション114に配送され
、それを介して搬送された1つまたは複数の追加の保管ユニットから同様にピッキングさ
れた1つまたは複数の他の製品アイテムとその製品アイテムを取りまとめた後に、受注処
理がなされるように構成される。単一ポイント作業ステーション114は、即時の又は迅
速なピックアップ又は配送のために優先順位付けされた又はスケジュールされた受注に有
用である。
【0051】
図1に示されるような実施形態では、作業ステーション115は、多重ポイントアクセ
ス構成を有しており、2つの保管ユニットが、作業ステーション115にいる人間または
ロボットの作業者にとって同時アクセス可能にされ、1つの保管ユニットからの製品アイ
テムを別の保管ユニットに投入配置するためのピッキングを可能にする。或る実施形態で
は、この多重ポイント作業ステーション115は、本願人のPCT国際出願番号PCT/I
B2020/054380に開示されているタイプであり、その全体が参照により本明細
書に組み込まれるものとする。或る実施形態では、各多重ポイント作業ステーション11
5は、第1脚部115a及び第2脚部115bからなるL字型構成を有する。作業ステー
ション115の第1脚部115aは、3D格子構造保管構体100aの外周側面から外方
に突出している。作業ステーション115の第2脚部115bは、3D格子構造保管構体
100aの外周側面に平行に延びている。或る実施形態では、作業ステーション115の
2方向の下部トラックは、その第1脚部115aを占め、また2スポット幅であり、一連
の第1スポットは、3D格子構造保管構体100aの下部トラックレイアウト126から
外方に延在し、また次に一連の第2スポットは、3D格子構造保管構体100aの下部ト
ラックレイアウト126に戻るよう延在する。したがって、3D格子構造保管構体100
aの下部トラックレイアウト126上で保管ユニットを運ぶRSRV128は、作業ステ
ーション115の第1脚部115aの内側の循環移行経路上で、そこから往路移行し、ま
たそこに帰還するように構成される。RSRV128は、人間またはロボットの作業者が
保管ユニットから製品アイテムをピッキングできるように、作業ステーション115のカ
ウンタートップ116bに配置されたピッキングポート117bの下方であって、移行経
路の復路ハーフ上に存在する位置に駐車するように構成され、その後に保管ユニットを3
D格子構造保管構体100a内に帰還させる。
【0052】
多重ポイント作業ステーション115の第2脚部115bは、アクセススポットと重な
る関係にある作業ステーション115のカウンタートップ116bを貫通して開口する荷
置きポート118を有し、この荷置きポートは、3D格子構造保管構体100aの下部ト
ックレイアウト126のRSRV搬走延長部と重なり合う代わりに、3D格子構造保管構
体100aの下部トラックレイアウト126上で動作するRSRVs128によって保管
ユニットが荷降ろしされる短いコンベヤ(図示せず)と重なり合う。したがって、受注品
を入れるべき保管ユニット(ここでは「受注ビン」と称する)は、作業ステーション11
5の第2脚部115bのコンベヤベースの経路で荷降ろしされ、コンベヤによって荷置き
ポート118に進み、作業ステーション115の第1脚部115aのトラックベースの経
路を循環する異なるRSRVで運ばれた保管ユニットからピックアップされた製品アイテ
ムが、荷置きポート118で待機している受注ビンに入れられる。受注ビンが、充填され
る受注のための所定の製品アイテムで充填されると、充填された受注ビンは、コンベアベ
ースの経路上をピックアップポイントまで進み、そこから、充填された受注ビンは、3D
格子構造保管構体100aの下部トラックレイアウト126上のRSRV128によって
回収される。このRSRV128は、単独で、または別のRSRV128と協働して、顧
客集荷または配達中に後での回収ために、充填された受注ビンを一時的に保管またはバッ
ファリングするために、受注ビンを3D格子構造保管構体100aの保管場所に荷置きす
る役割を負う。
【0053】
図1に示されるような多重ポイント作業ステーション115の実施形態では、人間また
はロボットの作業者がアクセス可能な関係で保管ユニットが配置される2つのアクセスポ
イントは、作業ステーション115のカウンタートップ116bの周囲の作業表面に貫通
するアクセスポートである。他の実施形態では、多重ポイント作業ステーション115の
他の構造及び構成は、アクセスポイントが、保管ユニットを経路付けする他の閉じた通路
における特別に開いたポートであるか否かにかかわらず、実施される。同様に、或る実施
形態では、一方のアクセスポイントに供するためにコンベアベースの経路が実装され、他
方のアクセスポイントに供するためにトラックベースの車両経路が実装されるが、2つの
トラックベースの車両経路を有するシナリオ、および2つのコンベアベースの車両経路を
有するシナリオを含んで、他の組み合わせも実装される。
【0054】
図1に図示されているように、作業ステーション114及び115の双方は、常温の第
1保管ゾーン101において、3D格子構造保管構体100aの下部トラックレイアウト
126に連結されており、それによって、RSRVs128は、冷却された第2保管ゾー
ン102及び第3保管ゾーン103のいずれからもではなく、常温環境内で、これら作業
ステーション114及び115の双方に保管ユニットを供する。図1に示されたマルチゾ
ーンASRS100は、3D格子構造保管構体100aの共通の周囲側面に配置された2
つの作業ステーション114及び115を有するが、複数の作業ステーションが含まれる
他の実施形態では、作業ステーションは、3D格子構造保管構体100aの異なる側面に
配分される。常温の第1保管ゾーン101に連結された作業ステーション114及び11
5に加えて、或る実施形態では、図6A~6Bに示されるように、冷却された第2保管ゾ
ーン102及び第3保管ゾーン103の一方または双方において、1つまたは複数の追加
の作業ステーション、例えば、作業ステーション139が、下部トラックレイアウト12
6に連結される。追加の作業ステーションは、RSRVs128が冷却された保管ゾーン
102又は103と隣接する作業ステーションとの間で移行できるように、例えば、図3
に図示された作業ステーションアクセスポータル、例えばアクセスポータル107cを介
して、外周壁106、107a、および107bのうちの1つまたは複数に貫通して開口
して、冷却された第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103のうちの一方または双
方で、下部トラックレイアウト126に連結される。別の実施形態では、冷却された保管
ゾーン102及び103に配置されたそのような作業ステーションは、冷却された保管ゾ
ーン102及び103の一方または双方からの製品アイテムを含む受注品のみに特化する
。常温の保管ゾーン101と冷却された保管ゾーン102及び103との間のアクセスポ
ータル108a、109a、108b、109b、及び110と同様に、或る実施形態で
は、作業ステーションアクセスポータル、例えばアクセスポータル107cは、ストリッ
プカーテン、電子制御ドア、または他の常閉で選択的に開くことができるクロージャを装
備し、作業ステーションを冷却された保管ゾーン102又は103から断熱して、常温環
境での受注ピッキングを可能にする。単一ポイント作業ステーション114は、迅速なピ
ックアップ/配送のニーズに使用され、一方、別の多重ポイント作業ステーション115
は、後のピックアップ/配送のために、3D格子構造保管構体100aにおける受注品の
一時的な保管またはバッファリングに使用される。他の実施形態では、マルチゾーンAS
RS100は、随意的に、シングルステーションシナリオまたはマルチステーションシナ
リオにおいて、作業ステーション114又は115の一方または他方のタイプのみを採用
する。
【0055】
さらに、或る実施形態では、マルチゾーンASRS100は、さらに、図1に示される
ように、ビン交換エリア119を備える。ビン交換エリア119は、アウトバウンドコン
ベア121と、隣接するインバウンドコンベア120とを有する。アウトバウンドコンベ
ア121は、その一方の側で、3D格子構造保管構体100aの下部トラックレイアウト
126から外方に延べ広がる。図1に例示的に示されているように、アウトバウンドコン
ベア121は、マルチゾーンASRS100の常温の第1保管ゾーン101において、3
D格子構造保管構体100aの下部トラックレイアウト126から外方に延べ広がる。隣
接するインバウンドコンベア120は、3D格子構造保管構体100aの同一側面でアウ
トバウンドコンベア121と隣接平行関係に配置される。ビン交換エリア119は、図2
4~25に関する詳細な説明で開示されているように、ビン交換作業を行うために、アウ
トバウンドコンベア121および隣接するインバウンドコンベア120を採用している。
【0056】
図3は、本明細書の或る実施形態による、マルチゾーンASRS100によって採用さ
れる3次元(3D)格子構造の保管構体の上部トラックレイアウト122及び下部トラッ
クレイアウト126の部分的断面を示す、マルチゾーン自動保管及び回収システム(AS
RS)100の一部切除した斜視図を示す。或る実施形態では、マルチゾーンASRS1
00のトラックレイアウトは、図3に示されるように、3D格子構造保管構体100aの
保管場所の下方に配置された下部トラックレイアウト126を有する。この実施形態では
、隔壁104は、下部トラックレイアウト126から直立する下方部分を有する。1つ又
は複数のポータル、例えば108a、109a、108b、及び109bは、下部トラッ
クレイアウト126の第1トラックエリア126a、第2トラックエリア(図3には示さ
れていない)、及び第3トラックエリア126cを相互に連結する下部トラックレイアウ
ト126の連結トラックセグメント126bを収容するために、その下方部分で隔壁10
4を貫通して開口するように構成される。図3に示すように、フルスパンの隔壁104の
下方部分は、少なくとも1つのアクセスポータル108a、109a、108b、又は1
09bと、及び或る実施形態では、第1保管ゾーン101から第2保管ゾーン102及び
第3保管ゾーン103のそれぞれに隔壁104に貫通して開口する1対のアクセスポータ
ル108a、109a及び/又は108b、109bを有する。
【0057】
上部トラックレイアウト122と同様に、下部トラックレイアウト126は、下部アク
セスポータル108a、109a、108b、及び109bを通って、第1保管ゾーン1
01内に配置された下側トラックレイアウト126の第1トラックエリア126aを、第
2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103内にそれぞれ配置された下部トラックレイ
アウト126の第2トラックエリア及び第3トラックエリア126cに連結する連結トラ
ックセグメント126bを有する。したがって、下部アクセスポータル108a、109
a、108b、及び109bを通って下部トラックレイアウト126の連結トラックセグ
メント126bに乗軌することによって、RSRVs128は、第1保管ゾーン101に
対して第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103に出入りし、また第1保管ゾーン
101に戻る。本明細書に開示されるRSRV経路付け(ルーティング)技術の様々な実
施形態では、2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103に出入りするRSRVs12
8の入口および出口の双方が、上部トラックレイアウト122で採用され、またしたがっ
て、入口および出口の双方のアクセスポータル108a、108b、及び109a、10
9bが、3D格子構造保管構体100aに実装されるとともに、下部トラックレベルにお
ける保管ゾーン101、102、及び103間におけるRSRVs128の遷移は、第2
保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103から第1保管ゾーン101に戻る退出方向の
一方向移行に限定され、この場合、常温の第1保管ゾーン101と冷却された保管ゾーン
102及び103のそれぞれとの間における単一の下部アクセスポータルが採用される。
上部トラックレイアウト122におけるアクセスポータル110と同様に、或る実施形態
では、第2保管ゾーン102及び第3保管ゾーン103との間における追加のアクセスポ
ータル(図示せず)が、随意的に部分的スパンの隔壁105の下方部分に設けられ、トラ
ックレイアウト126の第2トラックエリアと第3トラックエリア126cとの間におけ
るRSRVs128の直接移行を可能にする。或る実施形態では、第1保管ゾーン101
の保管場所の第1グループ、及び第2保管ゾーン102の保管場所の第2グループ、並び
に或る実施形態では、第3保管ゾーン103の保管場所の第3グループに保管された保管
ユニットは、第1保管ゾーン101、第2保管ゾーン102、及び第3保管ゾーン103
に連続して延びるトラックレイアウト126に取り付けられた複数の作業ステーション、
例えば、図1に示された114及び115のうちのいずれか一方によってアクセス可能で
ある。
【0058】
図4は、本明細書の或る実施形態による、図1~3に示すマルチゾーンASRS100
が採用する3次元(3D)格子構造の保管構体100aの頂部から見た等角図である。図
4は、3D格子構造保管構体100aの構造的骨組みの小規模な例を示す図4に例示的に
示されるように、3D格子構造保管構体100aは、グランドレベルまたはその近傍の下
方水平面に配置された、合致及び整列した格子構造のトラックレイアウト126よりも上
昇した水平面に配置された格子構造の上部トラックレイアウト122を備える。整列した
格子構造である上部および下部のトラックレイアウト122及び126の間には、保管場
所の3Dアレイがある。保管場所のそれぞれは、内部にそれぞれ保管ユニット127を保
持するように構成される。保管場所は垂直保管カラム123に配列され、これら垂直保管
カラム123において、等しい正方形占有面積の保管場所が互いに整列する。保管カラム
123は、その内部に保管ユニット127の荷置きを受け入れるように構成される。保管
カラム123それぞれは、垂直に直立したアクセスシャフト124が隣接し、このアクセ
スシャフトを通して、対応する保管カラム123の保管場所にアクセスすることができる
【0059】
本明細書に開示されたマルチゾーンASRS100は、図1~3に図示されたマルチゾ
ーンASRS100のすべての異なる環境制御された保管ゾーン、例えば、保管ゾーン1
01、102及び103で動作するように構成されたロボットハンドラーまたはロボット
保管/回収車両(RSRVs)128の共通集合を有し、RSRVs128が異なる環境
制御された保管ゾーン101、102、及び103の間で移行するときに、マルチゾーン
ASRS100内のRSRVs128の最適化されたバッファリングを行う。RSRVs
128のフリートは、上部トラックレイアウト122およびトラックレイアウト126の
それぞれを2次元で水平方向に横行し、また第3垂直次元でオープンアクセスシャフト1
24を介して縦移行し、それによって上部トラックレイアウト122とトラックレイアウ
ト126との間を移行するように構成される。RSRVs128は、保管場所に対して保
管ユニット127を荷置き及び回収するように構成される。RSRVs128は、さらに
図1に図示されているように、第1トラックエリア122a、第2トラックエリア12
2b、及び第3トラックエリア122cにおける上部トラックレイアウト122を走行し
て、そこから保管場所の第1、第2、および第3グループにそれぞれアクセスするように
構成される。RSRVs128は、さらに、図3に図示されているように、第1トラック
エリア126a、第2トラックエリア(図示せず)、及び第3トラックエリア126cに
おけるトラックレイアウト126上を走行するように構成される。
【0060】
RSRVs128は、さらに、図15および図24に示されているように、その間に連
結された連結トラックセグメント122dを介して、上部トラックレイアウト122の第
1トラックエリア122a、第2トラックエリア122b、および第3トラックエリア1
22cの間を移動するように構成される。同様に、RSRVs128は、図3に図示され
ているように、その間に連結された連結トラックセグメント126bを介して、下部トラ
ックレイアウト126の第1トラックエリア126a、第2トラックエリア(図示せず)
、および第3トラックエリア126cの間を移動するようにさらに構成されている。一実
施形態では、RSRVs128は、異なる保管カラム123がRSRVs128によって
アクセス可能なアクセス場所の間で、少なくとも1つのトラックレイアウト、例えば、上
部トラックレイアウト122上を移動して、保管カラム123に対する保管ユニット12
7の荷置き(預け入れ)および回収(取り出し)を行うように構成される。一実施形態で
は、アクセス場所は、保管カラム123がクラスタ化され、またRSRVs128が保管
カラム123の複数のレベルにアクセスするために移動するように構成された空アクセス
シャフト124からなる。空アクセスシャフト124の各々は、保管カラム123の少な
くとも1つに隣接しており、そこから保管ユニット127を荷置き可能であり、各空アク
セスシャフト124内からRSRVs128によって回収(取り出し)可能である。
【0061】
上部トラックレイアウト122および下部トラックレイアウト126のそれぞれは、そ
れぞれの水平面のX方向に横たわる一組のX方向レール129と、同一水平面のY方向に
X方向レール129と垂直に交差する一組のY方向レール130とから構成されている。
交差レール129、130は、3D格子構造保管構体100aの水平方向の基準格子を画
定しており、各水平方向の格子列は、X方向レール129の隣接する対の間で区切られ、
各水平方向の格子列は、Y方向レール130の隣接する対間で区切られる。1つの水平格
子列と1つの水平格子列との間における各交点は、それぞれの垂直保管カラム123また
はそれぞれの垂直アクセスシャフトの2次元的な位置を示している。すなわち、各保管カ
ラム123および各アクセスシャフト124は、基準格子のそれぞれのX、Y直交座標点
において、2つのX方向レール129と2つのY方向レール130との間区切られるそれ
ぞれに対応するエリアに配置される。上部トラックレイアウト122または下部トラック
レイアウト126のいずれかにおいて、4本のレール129および130の間に区切られ
るそれぞれに対応するエリアは、本明細書では、トラックレイアウト122または126
のそれぞれに対応する「スポット」と称される。したがって、3D格子構造保管構体10
0aにおける各保管場所の3Dアドレスは、その保管場所が配置されている保管カラム1
23のX、Y座標に、その保管場所がその保管カラム123内に配置されている垂直レベ
ルまたはZ座標を加えたものとなる。
【0062】
それぞれの直立フレーム部材131は、X方向レール129とY方向レール130との
間の各交点において、上部トラックレイアウト122と下部トラックレイアウト126と
の間を垂直方向に張り渡り、それにより、トラックレール129および130と協働して
、骨格枠組み内に保管ユニット127の3Dアレイを収容および編成するための、3D格
子構造保管構体100aの骨格枠組みを定義する。その結果、3D格子構造保管構体10
0aの各アクセスシャフト124は、その4つのコーナーでアクセスシャフト124の全
高に及ぶ4つの垂直フレーム部材131からなる。各フレーム部材131は、フレーム部
材131の2つの側面において、3D格子構造保管構体100aの垂直なZ方向に直列に
配置されたそれぞれのラック歯のセットを構成している。したがって、各アクセスシャフ
ト124は、アクセスシャフト124の各コーナーに2セットずつ、合計8セットのラッ
ク歯からなる。これらの8セットのラック歯は、図5A~5Bに図示されたRSRVs1
28のそれぞれに設けられた8つのピニオンホイール133bと協働して、3D格子構造
保管構体100aのアクセスシャフト124を介して、上昇方向および下降方向における
上部トラックレイアウト122と下部トラックレイアウト126との間の各RSRVs1
28の垂直方向の移行を可能にする。
【0063】
図5Aは、本明細書の一実施形態による、図1~3に示したマルチゾーン自動保管及び
回収システム(ASRS:multi-zone automated storage and retrieval system)100に
採用されたロボット保管/回収車両(RSRV)128および適合性のある保管ユニット
127を示す図である。各RSRV128は、丸い搬送ホイール133a及び歯付きピニ
オンホイール133bの両方を含む車輪付きフレームまたはシャーシ132からなる。搬
送ホイール133aは、トラック乗軌モードで、図4に図示された3次元(3D)3D格
子構造保管構体100aの上部トラックレイアウト122および下部トラックレイアウト
126の上で、RSRV128を全体的に水平方向に移行するように構成されている。歯
付きピニオンホイール133bは、シャフト移行モードでラック付きアクセスシャフト1
24を介してRSRV128を全体的に垂直方向に移行するために、搬送ホイール133
aの内側に配置される。各歯付きピニオンホイール133bおよびそれぞれの搬送ホイー
ル133aは、複合した単数ホイールユニットの一部であり、そのうちの全体、または少
なくとも搬送ホイール133aは、上部トラックレイアウト122または下部トラックレ
イアウト126上のトラック乗軌モードでの搬送ホイール133aの使用のために、RS
RV128から車外方向に水平に伸展可能であり、ピニオンホイール133bが図4に示
されたアクセスシャフト124の直立フレーム部材131のラック歯と係合するシャフト
移行モードでの歯付きピニオンホイール133bの使用のために、RSRV128の車内
方向に水平方向に格納可能である。したがって、搬送ホイール133aの車外伸展は、R
SRV128が図4に図示された上部トラックレイアウト122または下部トラックレイ
アウト126のトラックレール129および130に乗軌することを可能にするために、
RSRV128の全体的な占有面積を各アクセスシャフト124の正方形エリアを超える
サイズに拡大し、一方、搬送ホイール133aの車内後退は、アクセスシャフト124を
通るRSRV128全体の移動を可能にするために、RSRV128の全体的な占有面積
を各アクセスシャフト124の正方形エリアよりも小さいサイズに縮小する。
【0064】
RSRV128の対向する2つの側面には、4つのX方向ホイールユニットのセットが
対になって配置されており、RSRV128を3D格子構造保管構体100aの上部トラ
ックレイアウト122または下部トラックレイアウト126のX方向レール129上で駆
動する。RSRV128の対向する他の2辺には、4組のY方向ホイールユニットが対に
なって配置されており、RSRV128を3D格子構造保管構体100aの上部トラック
レイアウト122または下部トラックレイアウト126のY方向レール130上で駆動す
る。一組の車輪ユニットは、RSRV128のフレームまたはシャーシ132上の固定さ
れた高さに配置された他の高さ的に固定された車輪ユニットのセットに対して上昇または
下降可能な、高さ調整可能な車輪ユニットのセットである。3D格子構造保管構体100
aの上部トラックレイアウト122または下部トラックレイアウト126上での一方のホ
イールユニットの他方に対するこのような高さ調整は、2つのセットのホイールユニット
のうちのどちらが現在、上部トラックレイアウト122または下部トラックレイアウト1
26のそれぞれのレール129および130に接触し、どちらが接触しないかを制御する
ことによって、RSRV128をX方向走行モードとY方向走行モードとの間で切り替え
るように動作可能である。上部トラックレイアウト122に着座する車外位置にあるとき
に1組のホイールユニットを上げることは、他の1組のホイールユニットをアクセスシャ
フト124のラック歯と係合するように下げるためにも動作可能であり、その後、上げら
れたホイールユニットも車内にシフトされ、それによって、RSRV128の上部トラッ
クレイアウト122からアクセスシャフト124への遷移が完了し、そこを通って下降す
る走行が可能となる。同様に、下部トラックレイアウト126に着座する車外位置にある
ときに1組のホイールユニットを下げることは、他の組のホイールユニットをアクセスシ
ャフト124のラック歯と係合するように上げるようにも動作可能であり、その後、下げ
られたホイールユニットも車内にシフトされ、それによってRSRV128のトラック乗
軌モードからシャフト移行モードへの遷移が完了する。一実施形態では、RSRV128
とは別に定義され、下部トラックレイアウト126に設置された持上げ機構が、本願人の
PCT出願番号PCT/CA2019/050404およびPCT/CA2019/05
0815に開示されているように、RSRV128を下部トラックレイアウト126から
上層にあるアクセスシャフト124に空気圧リフト、または持上げを実施するために使用
される。
【0065】
各RSRV128は、さらに、保管ユニット127をその上に担持可能な上部支持プラ
ットフォーム138を備える。上部支持プラットフォーム138は、固定外側デッキ面1
34に囲まれた回転可能なタレット135を有する。回転可能なタレット135は、回転
可能なタレット135における直径方向溝孔に取り付けられ、また回転可能なタレット1
35の外周縁から外方に突出する展開位置に対して直線移動出入りするよう直径方向溝孔
内に移動可能に支持された伸展可能/格納可能なアーム136を有する。
【0066】
図5Bは、本明細書の一実施形態による、図5Aのロボット保管/回収車両(RSRV
)128および適合性のある保管ユニット127を示す図であり、保管ユニット127を
RSRV128に対して押し出すまたは引き上げるために保管ユニット127と係合する
ための、RSRV128の回転可能なタレット135のアーム136の延長部を示す。ア
ーム136は、例えば、アーム36に沿って前後に移動可能なシャトルに取り付けられた
キャッチ部材137をその上に担持して、保管ユニット127の下側面にある整合キャッ
チ機構と係合するようになっている。タレット135の回転機能と合わせて、キャッチ部
材137は、RSRV128の4つの側面すべてにおいて、保管ユニット127を上部支
持プラットフォーム138に引き寄せたり、保管ユニット127を上部支持プラットフォ
ーム138から押し出したりすることを可能にするため、各RSRV128は、図4に図
示された3次元(3D)格子構造の保管構体100aにおける任意なアクセスシャフト1
24の任意な側面にある保管ユニット127にアクセスすることができ、3D格子構造保
管構体100aにおける最適な保管密度のために、アクセスシャフト124の4つの側面
すべてに保管カラム123によってそれぞれ囲まれている完全包囲アクセスシャフト12
4を含んでいる。すなわち、各RSRV128は、アクセスシャフト124の4つの異な
る側面のいずれかにある保管場所のいずれかに到達して、選択された保管場所に、または
そこからそれぞれの保管ユニット127を荷置き又は引き出すために、任意なアクセスシ
ャフト124内の4つの異なる作業位置で動作可能である。一実施形態では、このような
4つの作業位置は、アーム136が担持されたタレット135の回転によってRSRV1
28の4つの異なる側面に対して作業関係となるよう移動可能な単一のアーム136によ
って実現されるが、他の実施形態では、RSRV128の4つの側面すべてで保管ユニッ
トの相互作用および係合を可能にするための他の構成が採用され、例えば、RSRV12
8の異なる側面で展開可能な複数のアームを用いて、その4つの側面のいずれかからのア
ームの選択的な伸展を可能にする。
【0067】
3D格子構造保管構体100aの枠組みは、各保管場所に設けられた一組の棚用ブラケ
ットからなり、保管場所に現在保管されている保管ユニット127のための棚を協働して
形成し、これにより、任意の保管ユニット127は、同一の保管カラム123内の所定の
保管ユニット127の上下における保管ユニット127を邪魔することなく、RSRVs
128のうちの1つによってその保管場所から取り出すことができる。これにより、3D
格子構造保管構体における任意なレベルにおいても、保管ユニット127を所定の保管位
置に戻すことができる。したがって、トラックレイアウト122および126の2次元の
水平方向ナビゲーションを通じて、各RSRV128は、アクセスシャフト124のいず
れかにアクセスするように構成され、その中を3次元の上昇方向または下降方向に垂直に
移動して、いずれかの保管場所にアクセスし、そこから保管ユニット127を荷置き又は
引き出すことができる。
【0068】
図6Aは、マルチゾーン自動保管及び回収(ASRS)100の頂部から見た斜視図で
あり、本明細書の実施形態によれば、製品アイテムを含む保管ユニット127を保管ゾー
ンに維持しながら、作業者が常温環境において非常温温度を有する製品アイテムに対して
操作することを可能にするために、マルチゾーンASRS100の保管ゾーン、例えば第
3保管ゾーン103に取り付けられた作業ステーション139を示す図である。常温の第
1保管ゾーン101に連結された作業ステーション114および115に加えて、実施形
態では、図6A~6Bに図示されているように、冷却された第2保管ゾーン102および
第3保管ゾーン103の一方または双方において、1つまたは複数の追加の作業ステーシ
ョン、例えば作業ステーション139が、下部トラックレイアウト126に連結される。
図6Aに図示されているように、追加の作業ステーション139は、例えば、図3に図示
されている外周壁107bに貫通して開口する作業ステーションアクセスポータル107
cを介して、冷却された第3保管ゾーン103と隣接する作業ステーション139との間
でRSRVs128が移行できるように、冷却された第3保管ゾーン103で下部トラッ
クレイアウト126に連結されている。実施形態では、作業ステーション139は、例え
ば冷却された第3保管ゾーン103からの製品アイテムを含む受注を管理するために、冷
却された第3保管ゾーン103に配置される。保管ユニット127は、受注処理のために
製品アイテム、例えば、冷凍品の取り出しを可能にするために、作業ステーション139
のピッキングポート140に差し出される。
【0069】
図6Bは、本明細書の一実施形態による、図6Aに示す作業ステーション139の拡大
図である。作業ステーション139は、保管ゾーンの1つ、例えば冷却された第3保管ゾ
ーン103に直接取り付けられており、人間の作業者が、保管ユニット127を冷却され
た第3保管ゾーン103に保持したまま、ピッキングポート140に差し出された保管ユ
ニット127から、常温の温度で冷凍/チルド品をピッキングできるようになっている。
作業ステーション139は、断熱特性を有するよう構成されている。
【0070】
図7は、本明細書の一実施形態による、自動保管及び回収(ASRS)から顧客発注が
受注処理される多数のより小さな受取施設14に補充在庫を供給する供給施設12を含む
、サプライチェーンまたは流通ネットワークにおける、例えば、12、14の相互連結さ
れた施設群を示す図である。実施形態では、受取施設14のそれぞれで採用されるASR
Sは、図1~3の詳細な説明で開示されたマルチゾーンASRS100である。また、本
明細書の実施形態では、実施形態では、同じタイプの保管ユニットを使用する同様のAS
RSを任意に備える別の施設12からの在庫レベルの補充に基づいて、図1~3に示され
るタイプのASRSでの在庫レベルの管理を実施し、それによって、2つの施設12、1
4の間での在庫の輸送は、施設12、14のASRS対応の保管ユニットを使用して行わ
れる。このような在庫管理を目的とした本明細書に開示された装置および技術は、施設1
2および14のいずれかのASRSがマルチゾーンASRS100であるか、シングルゾ
ーンASRSであるかにかかわらず採用される。在庫が補充されている施設14は、本明
細書では「受取施設」と称され、補充在庫が供給されている施設12は、本明細書では「
供給施設」と称される。さらに、供給施設12から新たな在庫を入れて出荷される保管ユニ
ットを本明細書では「供給ビン」と称するとともに、受取施設14のASRSに既に存在
する保管ユニットを本明細書では「在庫ビン」と称する。一実施形態では、受取施設14
は、顧客の発注がピックアップまたは配送のために受注処理される受注処理施設であると
ともに、供給施設12は、より大きな地理的地域内の異なるロケールにある複数の受注処
理施設に補充在庫を供給する、より大きな地域の流通施設である。
【0071】
実施形態では、センターおよびセンター間で使用される輸送車両は、例えば、参照によ
りその全体が本明細書に組み込まれる、本願人のPCT国際特許出願番号PCT/IB2
020/051721およびPCT/IB2020/052287に開示されているよう
に、サプライチェーンまたは流通エコシステムにおけるより大きな全体的な施設および車
両ネットワークの一部である。一実施形態では、異なる施設タイプの4階層の階層が採用
される。4階層の階層は、メガ設備、マクロ設備、マイクロ設備、ナノ設備からなる。こ
の順序で、各カテゴリの施設の量はカテゴリごとに増加し、各施設の個々のサイズはカテ
ゴリごとに減少する。一般的に、メガ施設は、メーカーやサプライヤーからの製品が最初
に施設のネットワークに入る入口を形成し、ナノ施設は、製品が施設のネットワークから
出る出口を形成する。製品は、様々な場所で施設のネットワークに入ったり出たりする。
各施設は、図4および図5A~5Bの詳細な説明で開示された同じ3次元(3D)格子構
造の保管構体およびRSRVタイプのASRSで構成されており、これにより、製品は、
各施設のASRSに適合する同一または類似のサイズおよび構成の保管ユニット内で施設
間を輸送される。図7は、供給施設12が全国的な施設ネットワークのマクロ流通センタ
ーなどのマクロ施設であり、受取施設14がマイクロ受注処理センターなどのマイクロ施
設であって、そこで顧客発注が受注処理され、処理された発注は、実施形態では、オプシ
ョンとして、さらに下流の近隣レベルのナノ施設に出荷されて、顧客による直接のピック
アップ、または、処理された受注を顧客の自宅または事業所に配達するラストレッグ配達
員によるピックアップのいずれかを行う例を示している。実施形態では、追加のナノ施設
は省略され、その場合、顧客またはラストレッグの配達員によるピックアップは、受取施
設14で直接行われる。
【0072】
図8は、本明細書の一実施形態による、輸送可能な保管ユニットの1:1交換からなる
在庫補充ワークフローを実行するためのシステム800のアーキテクチャブロック図であ
る。本明細書で開示するシステム800は、サプライチェーンまたは流通エコシステム全
体における保管ユニットの移動を監視および制御する。システム800は、保管ユニット
に含まれる在庫の誘導、保管、輸送、および追跡を制御および監視し、そこからの顧客発
注の受注処理を行う。システム800は、高レベルのコンピュータプログラミング言語を
用いてプログラム可能な複数のコンピュータシステムで構成されている。図8に示すよう
な実施形態では、システム800は、中央コンピューティングシステム801と、供給施
設12で構成されたコンピュータ化された施設管理システム(FMS)805と、受取施
設14で構成されたコンピュータ化された制御システム(CCS)817と、供給施設1
2と受取施設14との間で保管ユニットの交換を実行する、例えば、複数のノード間輸送
車両813のそれぞれで構成されたコンピュータ化された車両管理システム(VMS)8
14との組み合わせから構成されている。コンピューティングシステム801、805、
817、及び814は、プログラムされた目的のあるハードウェアを使用して実装される
。供給施設12は、図1~3に図示されているようなマルチゾーンタイプまたはシングル
ゾーンタイプのASRS(Automated Storage and Retieval System)804を収容して
いる。受取施設14は、図1~3に示されるようなマルチゾーンタイプの、またはシング
ルゾーンタイプのASRS816を収容する。
【0073】
中央コンピューティングシステム801は、例えばインターネットやその他の広域ネッ
トワークなどの通信ネットワークに結合されたネットワークインターフェースに接続され
た1つまたは複数のプロセッサ、例えば中央処理装置(CPU)802と、本明細書に開
示された複数のプロセスを実行するためにプロセッサが実行する実行可能なソフトウェア
が格納された非一過性のコンピュータ可読記憶媒体またはメモリからなる1つまたは複数
のデータ記憶装置とから構成されている。本明細書では、「非一過性のコンピュータ可読
記憶媒体」とは、コンピュータプログラムおよびデータを格納して保存するすべてのコン
ピュータ可読媒体を指す。コンピュータ可読媒体の例は、ハードドライブ、ソリッドステ
ートドライブ、光ディスクまたは磁気ディスク、メモリチップ、リードオンリーメモリ(
ROM)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)
などで構成される。データ記憶装置は、1つまたは複数のデータベース、例えば、以下に
開示される他のデータの中で、図10A~10Bに図示されたすべての保管ユニットの一
意のビン識別子(Bin_ID)、在庫保管および受注処理を目的として運営事業体のサービス
を契約または加入している複数ベンダーの一意の識別子(Vendor_ID)、およびベンダー
がその顧客に提供する在庫アイテムまたは製品のそれぞれの在庫カタログを格納し、シス
テム800内に格納または保存可能な中央データベース803を構成する。本明細書で使
用されるように、中央コンピューティングシステム801およびそれによってホストされ
る中央データベース803に関連する用語「中央」は、システム800の施設12および
14のそれぞれと、例えばノード間輸送車両813のそれぞれとに動作可能に接続された
共有リソースとしてのその状態を示すだけであり、その構成要素がすべて共通の場所に存
在しなければならないことを示すものではない。
【0074】
本明細書では、「通信ネットワーク」とは、例えば、インターネット、無線ネットワー
ク、Bluetooth Sig, Inc.のBluetooth(登録商標)を実装した通信ネットワーク、Wi-Fi
Alliance CorporationのWi-Fi(登録商標)を実装した通信ネットワーク、超広帯(UW
B:Ultra-Wideband)通信ネットワーク、無線ユニバーサル・シリアル・バス(USB)
通信ネットワーク、ZigBee Alliance CorporationのZigBee(登録商標)を実装し
た通信ネットワーク、汎用パケット無線システム(GPRS:General Packet Radio Ser
vice)ネットワーク、グローバル・システム・フォー・モバイル(GSМ:Global Syste
m for Mobile)通信ネットワークなどの移動体通信ネットワーク、符号分割多重アクセス
方式(CDMA:Code Division Multiple Access)ネットワーク、第3世代(3G)移
動通信ネットワーク、第4世代(4G)移動通信ネットワーク、第5世代(5G)移動通
信ネットワーク、ロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)
移動通信ネットワーク、公衆電話網などの移動通信ネットワーク、ローカルエリアネット
ワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット接続ネットワーク、赤外線通信ネッ
トワークなど、またはこれらのネットワークを任意に組み合わせて形成されたネットワー
クなどが挙げられる。通信ネットワークは、FMS805、VMS814、およびCCS
817が、相互に、および中央コンピューティングシステム801と通信することを可能
にする。
【0075】
一実施形態では、本明細書で開示するシステム800は、クラウドコンピューティング
環境で実装される。本明細書で使用される「クラウドコンピューティング環境」とは、構
成可能なコンピューティング物理的および論理的リソース、例えば、ネットワーク、サー
バ、記憶媒体、仮想マシン、アプリケーション、サービスなど、および通信ネットワーク
上に分散されたデータから構成される処理環境を意味する。クラウドコンピューティング
環境は、構成可能なコンピューティング物理的および論理的リソースの共有プールへのオ
ンデマンドのネットワークアクセスを提供する。一実施形態では、本明細書に開示される
システム800は、輸送可能な保管ユニットの1対1交換を含む在庫補充ワークフローを
実行するためのサービスとして実装されるクラウドコンピューティングベースのプラット
フォームである。本実施形態では、中央コンピューティングシステム801および中央デ
ータベース803は、本明細書では、それぞれクラウドベースのコンピュータプラットフ
ォームおよびクラウドデータベースと称される。一実施形態では、コンピュータ化された
FMS805およびCCS817は、供給施設12および受取施設14の敷地内のコンピ
ュータにそれぞれインストールされて実行されるオンプレミスソフトウェアとして実装さ
れる。実施形態では、VMS814は、例えば813のような各輸送車両の敷地内のコン
ピュータにインストールされて実行されるオンプレミスソフトウェアとして実装される。
【0076】
コンピュータ化されたFMS805は、供給施設12に設置されている。FMS805
は、通信ネットワーク、例えば、インターネットまたは他の広域ネットワークに結合され
たネットワークインターフェースに接続された1つまたは複数のプロセッサ、例えば、中
央処理装置(CPU)806からなる1つまたは複数のローカルコンピュータと、本明細
書に開示された複数のプロセスを実行するために1つまたは複数のプロセッサが実行する
ための実行可能なソフトウェアが格納された、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記
憶媒体からなる1つまたは複数のデータ記憶装置とを備える。データ記憶装置は、1つま
たは複数のデータベース、例えば、供給施設12に関連するデータを記憶するためのロー
カル施設データベース808を構成する。FMS805のローカルコンピュータは、広域
ネットワークへの接続に加えて、供給施設12の1つまたは複数のローカルエリアネット
ワーク807、例えば、ローカル無線ネットワークに設置されており、それによって、ロ
ーカルコンピュータの少なくとも1つは、供給施設12の自動ビン処理装置と通信可能で
ある。自動ビン処理装置は、例えば、供給施設12のロボットハンドラーまたはロボット
保管/回収車両(RSRV)809と、様々なコンベア811および他の処理装置とから
なる。また、ローカルエリアネットワーク807を介して、FMS805のローカルコン
ピュータの少なくとも1つは、人間の作業者、コンベア811、および保管ユニットによ
る様々なタスクの実行を誘導するための、例えば、固定式および/または移動式のヒュー
マンマシンインターフェース(HMI)810を構成するワークステーションおよびその
他の機器・装置と通信する。一実施形態では、システム800は、保管ユニットのそれぞ
れをリアルタイムで追跡するために、供給施設12のFMS805と動作可能に通信する
屋内測位システム812をさらに備える。
【0077】
コンピュータ化されたVMS814は、システム800の各ノード間の輸送車両、例え
ば輸送車両813に搭載されている。各VMS814は、本明細書に開示されている複数
のプロセスを実行するために、プロセッサによる実行のための実行可能なソフトウェアが
格納されている非一過性のコンピュータ可読記憶媒体からなる1つまたは複数のデータ記
憶装置に接続された1つまたは複数のプロセッサ、例えば中央処理装置(CPU)からな
る1つまたは複数のローカルコンピュータから構成されている。データ記憶装置は、その
特定の輸送車両813およびその輸送コンテンツに関連するデータを格納するローカル車
両データベースを構成する。一実施形態では、無線通信ユニットが輸送車両813に動作
可能に結合されている。無線通信ユニットは、例えば広域通信装置であり、施設12と1
4との間での保管ユニットの輸送中に、輸送車両813の位置、及び保管ユニットのいず
れか1つの位置を、中央コンピューティングシステム801、FMS805、およびCC
S817に通信するように構成されている。例えば、VMS814のプロセッサは、無線
広域通信装置、例えばセルラー通信装置に接続され、無線広域ネットワーク、例えばセル
ラーネットワークを介して中央コンピューティングシステム801と移動通信する。一実
施形態では、測位ユニット、例えば全地球測位システム(GPS)装置が、輸送車両81
3に動作可能に結合されている。測位ユニットは、輸送車両813の位置を決定し、ひい
ては、輸送車両813で輸送されている保管ユニットのいずれか1つの位置を決定するよ
うに構成されている。GPS装置は、輸送車両813のローカルコンピュータのうちの少
なくとも1つのプロセッサに接続されており、GPSを介して輸送車両813の動きを追
跡し、輸送車両813の計算されたGPS座標を、中央コンピューティングシステム80
1への通信のためにそれぞれのローカルコンピュータと共有する。一実施形態では、輸送
車両813のGPS装置は、VMS814のローカルコンピュータとは独立して、中央の
コンピューティングシステム801と直接通信してGPS座標を報告する。実施形態では
、VMS814のローカルコンピュータは、ローカルエリアネットワークに設置されてお
り、ローカルコンピュータの少なくとも1つが保管ユニットと通信可能である。実施形態
では、VMS814は、ビン処理装置、例えば、輸送車両813に設置されたビンカルー
セル815に動作可能かつ通信可能に結合される。
【0078】
受取施設14に構成されたCCS817は、RSRVs128、作業ステーション11
4、115、139、およびコンベア120、及び121を制御して、発注品を管理し、
供給施設12と受取施設14との間で搬送可能な保管ユニットの1:1交換を実行し、図
9の詳細な説明に開示されているように、ASRS816内のRSRVs128の動作を
制御するためのものである。
【0079】
上に開示されたプロセッサは、コンピュータプログラムまたは一連のコマンド、命令、
若しくは状態遷移を実行することができる、任意の1つまたは複数のマイクロプロセッサ
、CPU装置、有限状態マシン、コンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プ
ロセッサ、論理回路、論理装置、ASIC(Application Specific Integrated Circuit
)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、チップなど、またはそれらの任意の
組み合わせを指す。一実施形態では、プロセッサの各々は、例えば、プログラムされたマ
イクロプロセッサと、数値演算またはグラフィックコプロセッサとからなるプロセッサセ
ットとして実装される。システム800は、プロセッサを採用することに限定されない。
実施形態では、システム800は、コントローラまたはマイクロコントローラを採用する
【0080】
上記に開示されているネットワークインターフェースは、例えば、赤外線インターフェ
ース、Wi-Fi Alliance CorporationのWi-Fi(登録商標)を実装したインターフェース、
ユニバーサル・シリアル・バス・インターフェース、Apple Inc.のFireWire(登録商標)
インターフェースの1つまたは複数である。イーサネットインターフェース、フレームリ
レーインターフェース、ケーブルインターフェース、デジタル加入者線インターフェース
、トークンリングインターフェース、周辺コントローラインタコネクトインターフェース
、ローカルエリアネットワークインターフェース、ワイドエリアネットワークインターフ
ェース、シリアルプロトコルを用いたインターフェース、パラレルプロトコルを用いたイ
ンターフェース、イーサネット通信インターフェース、非同期転送モードインターフェー
ス、高速シリアルインターフェース、ファイバー分散データインターフェース、伝送制御
プロトコル/インターネットプロトコルに基づくインターフェース、衛星技術、高周波技
術、近距離無線通信などの無線通信技術に基づくインターフェースなどの1つまたは複数
が挙げられる。
【0081】
システム800のデータベース、例えば、中央データベース803、ローカル施設デー
タベース808、ローカル車両データベースは、データやファイルを格納するために使用
できる任意の記憶エリアまたは媒体を指す。データベースは、例えば、Microsoft(登録
商標)SQL Server(登録商標)、Oracle(登録商標) servers、MySQL AB Limited Compa
nyのMySQL(登録商標)データベース、MongoDB, Inc.のmongoDB(登録商標)、Neo Tech
nology CorporationのNeo4jグラフデータベース、Apache Software FoundationのCassand
raデータベース、Apache Software FoundationのHbase(登録商標)データベースなど、
構造化クエリ言語(SQL:Structured Query Language)データストアまたはノットオ
ンリーSQL(NoSQL)データストアのいずれかであることができる。一実施形態で
は、データベースは、ファイルシステム上の場所とすることもできる。別の実施形態では
、データベースは、通信ネットワークを介してコンピューティングシステム801、80
5、814、および817によってリモートでアクセスすることができる。別の実施形態
では、データベースは、クラウドコンピューティング環境で実装されたクラウドベースの
データベースとして構成され、コンピューティングリソースが通信ネットワークを介して
サービスとして提供される。
【0082】
一実施形態では、製品在庫を収納する保管ユニットは、供給施設12から輸送車両81
3に積載して受取施設14で受け取られ、受取施設14でASRS816内に、例えば、
図1~3および図9に図示されたマルチゾーンASRS100またはシングルゾーン A
SRS内に自動的に誘導される。マルチゾーンASRS100またはシングルゾーンAS
RSは、各保管ユニットの所定タイプに適合するタイプである。この実施形態では、製品
在庫を収納する保管ユニットは、受取施設14からの出庫保管ユニット、例えば空の保管
ユニットと交換され、それにより、出庫保管ユニットは、受取施設14から供給施設12
への輸送のために輸送車両813に積載される。製品在庫を収納する保管ユニットと出庫
保管ユニットの両方は、受取施設14のASRS816と適合性のある同一の所定タイプ
である。本明細書の実施形態では、例えばマイクロ受注処理センターなどの受取施設14
での自動誘導時に、補充プロセス中に順方向および逆方向の保管ユニットを1:1で交換
する手法を実施する。本明細書の実施形態は、出荷および受取プロセスを改善し、マイク
ロ受注処理および流通センターのサイトにおける関連する中継エリアを排除して、物流を
合理化しながら、労働力、不動産、および資源の要件を大幅に削減し、それによって、オ
ペレーションを予測可能にし、秩序を保ち、リアルタイムで監視することを容易にする。
【0083】
図9は、本明細書の一実施形態による、コンピュータ化制御システム(CCS)817
を使用して、自動倉庫(ASRS)、例えば、マルチゾーンASRS100におけるロボ
ット保管/回収車両(RSRV)128の命令を管理し、動作を制御するシステムのアー
キテクチャブロック図を示す。システムの構成要素は、CCS817、マルチゾーンAS
RS100、RSRVs128のフリート(車両群)、および作業ステーション114、
115、および139で構成される。CCS817は、作業ステーション114、115
、および139におけるRSRVs128のフリート、およびヒューマンマシンインター
フェース(HMIs)141並びにライト(光)誘導システム142と動作可能に通信し
ている。作業ステーション114、115、及び139のHMIs141は、受取施設1
4でピッキングや配置作業を行うための指示を人間の作業者に表示するためのディスプレ
イ画面で構成されている。ライト(光)誘導システム142は、例えば、プット・トゥ・
ライト誘導システム及びピック・トゥ・ライト誘導システムを有する。
【0084】
一実施形態では、CCS817は、高級コンピュータプログラミング言語を使用してプ
ログラム可能なコンピュータシステムである。CCS817は、プログラムされた合目的
的ハードウェアを使用して実装される。本明細書で開示されるシステムにおいて、CCS
817は、ASRS、例えば、マルチゾーンASRS100、RSRVs128、および
作業ステーション114、115、及び139とインターフェースをとり、また或る実施
形態では、中央コンピューティングシステム801、供給施設12の施設管理システム8
05、および図8に図示されている輸送車両813の車両管理システム814とインター
フェースをとり、したがって、受取施設14でワークフローを実行するために、1つ以上
の具体的にプログラムされたコンピューティングシステムが使用される。図9に例示され
ているように、CCS817は、さらに、データバス818、ディスプレイ装置821、
ネットワークインターフェース822、ネットワークインターフェース822に結合され
た少なくとも1つのプロセッサ820、及び共通モジュール823を有する。データバス
818は、CCS817におけるモジュール、例えばモジュール820、821、822
、823、および824相互間の通信を可能にする。ディスプレイ装置821は、グラフ
ィカル・ユーザー・インターフェース(GUI:Graphical User Interface)821aを
介して、システム管理者などのユーザーが、顧客の発注に対するデジタルレコードの更新
をトリガしたり、在庫情報を入力したり、データベーステーブルを更新したりすることを
可能にするために、例えば、システム内のワークフローを実行するための情報、表示イン
ターフェース、チェックボックスなどのユーザインターフェース要素、入力テキストフィ
ールドなどを表示する。CCS817は、システム管理者からの入力を受け付けるために
、GUI821aをディスプレイ装置821にレンダリングする。GUI821aは、例
えば、オンラインウェブインターフェース、ウェブベースのダウンロード可能なアプリケ
ーションインターフェース、モバイルベースのダウンロード可能なアプリケーションイン
ターフェース等で構成される。ディスプレイ装置821は、GUI821aを表示する。
ネットワークインターフェース822は、通信ネットワークに結合されており、CCS
817の通信ネットワークへの接続を可能にする。CCS817の共通モジュール823
は、例えば、入力/出力(I/O)コントローラ、入力デバイス、出力デバイス、ハード
ディスクなどの固定メディアドライブ、リムーバブルメディアを受信するためのリムーバ
ブルメディアドライブなどで構成される。CCS817の操作には、コンピュータのアプ
リケーションやプログラムが使用される。プログラムは、固定メディアドライブにロード
され、リムーバブルメディアドライブを介してメモリユニット824にロードされる。一
実施形態では、コンピュータアプリケーションおよびプログラムは、通信ネットワークを
介して直接メモリユニット824にロードされる。
【0085】
CCS817は、さらに、プロセッサ820に通信可能に結合された、非一過性のコン
ピュータ可読記憶媒体、例えば、メモリユニット824を有する。メモリユニット824
は、プログラム命令、アプリケーション、およびデータを格納するために使用される。メ
モリユニット824は、CCS817のモジュール、例えばモジュール824a~824
dによって定義されたコンピュータプログラム命令を格納する。メモリユニット824は
、受取施設14でワークフローを実行するために、CCS817のモジュール、例えばモ
ジュール824a~824dによって定義されたコンピュータプログラム命令を実行する
ために、プロセッサ820に動作可能かつ通信可能に結合されている。プロセッサ820
は、CCS817のモジュール、例えば、モジュール824a~824dを実行させる。
メモリユニット824は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のタイプ
の動的記憶装置であり、プロセッサ820による実行のための情報および命令を格納する
。また、メモリユニット824は、プロセッサ820による命令の実行中に使用される一
時的な変数やその他の中間情報を格納する。或る実施形態では、CCS817は、プロセ
ッサ820による実行のための静的な情報と命令を格納するリードオンリーメモリ(RO
Ms)または他タイプの静的記憶装置を有する。或る実施形態では、CCS817のモジ
ュール、例えば、モジュール824a~824d及び825は、メモリユニット824に
格納されている。
【0086】
メモリユニット824は、コンピュータプログラム命令を格納するように構成されてお
り、これらの命令は、プロセッサ(複数可)820によって実行されるとき、プロセッサ
(複数可)820に、マルチゾーンASRS100内のRSRVs128の動作を以下の
ように制御させる。プロセッサ820によるコンピュータプログラム命令の実行を通じて
、CCS817は、図1~3に示されるように、第1保管ゾーン101、第2保管ゾーン
102、および或る実施形態では第3保管ゾーン103を含むマルチゾーンASRS10
0において、以下の方法を実行する。説明のために、一例では、第1保管ゾーン101は
、常温の動作温度を有する常温保管ゾーンであり、第2保管ゾーン102は、チルド動作
温度を有するチルド保管ゾーンであり、第3保管ゾーン103は、冷凍動作温度を有する
冷凍保管ゾーンである。第2保管ゾーン102に保管された対象となる保管ユニットの回
収を必要とする第2保管ゾーン102に関連する回収タスクの一部として、CCS817
は、第2保管ゾーン102に関連する回収タスクを、第1保管ゾーン101に配置された
RSRVs128の中から選択された第1RSRVに割り当て、また、第1RSRVに対
して、(a)第1保管ゾーン101からその中に開くポータルの1つを介して第2保管ゾー
ン102に移動し、(b)移動中、そのポータルを介して第2保管ゾーン102に入る前
に、第1RSRVに現在搭載されている保管ユニットの1つを第1保管ゾーン101にお
けるバッファスポットの1つに荷降ろしするコマンドを発行する。
【0087】
第2保管ゾーン102に関連する回収タスクの追加のステップでは、CCS817は、
さらに、第1RSRVに第2保管ゾーン102への進入時に、第2保管ゾーン102内の
バッファスポットの1つからバッファリングされた保管ユニットをピックアップし、第2
保管ゾーン102内のそのバッファスポットから、第2保管ゾーン102に保管されたタ
ーゲットの保管ユニットが回収可能な第2保管ゾーン102内のアクセス場所に向かって
移動し、アクセス場所で標的(ターゲット)となる保管ユニットを回収する前に、ピック
アップされた保管ユニットを第2保管ゾーン102内の利用可能な保管位置の1つに荷置
きするコマンドを発令する。一実施形態では、CCS817は、第2保管ゾーン102内
の利用可能な保管場所のうち、上流側で利用可能であり、第2保管ゾーン102内のバッ
ファスポットからアクセス場所までの経路上に配置された保管場所のいずれか、および/
または、下流側で利用可能であり、アクセス場所から出口ポータルまでの経路上に配置さ
れた保管場所のいずれかの中から、第2保管ゾーン102内の利用可能な保管場所を選択
する。
【0088】
CCS817は、第2保管ゾーン102に格納された対象の保管ユニットを取得し、対
象の保管ユニットの作業ステーション、例えば114、115、または139への配送を
実施して、作業ステーションでの標的保管ユニットからの製品ピッキングを容易にするた
めに、第1RSRVにコマンドを発令することによって、第2保管ゾーン102に関連す
る回収タスクを完了する。第2保管ゾーン102に関連する回収タスクの完了および第1
RSRVによって運ばれた標的保管ユニットからの製品ピッキングに続いて、CCS81
7は、第1RSRVまたは異なるRSRVにコマンドを発令して、標的保管ユニットを第
2保管ゾーン102内のバッファスポットの1つに荷置きし、その後、第2保管ゾーン1
02を退去する。第2保管ゾーン102に関連付けられ、第1RSRVおよび異なるRS
RVの中から選択された第2RSRVに割り当てられた後続の回収タスクの一部として、
第2保管ゾーン102に保管されている別の標的保管ユニットを回収するために、CCS
817は、第2RSRVに対して、(a)第2保管ゾーン102に進入し、(b)第2保管
ゾーン102内のバッファスポットから荷置きされた保管ユニットをピックアップし、(
c)第2保管ゾーン102内のバッファスポットから、他の標的保管ユニットが回収可能
な第2保管ゾーン102内のアクセス場所に向かって移動し、(d)アクセス場所で他の
標的となる保管ユニットを回収する前に、第2保管ゾーン102内のバッファスポットか
らピックアップした保管ユニットを第2保管ゾーン102内の利用可能な1つの保管位置
に荷置きするコマンドを発令する。一実施形態では、CCS817は、第2保管ゾーン1
02内のバッファスポットからアクセス場所までの経路上に配置された、上流側で利用可
能な保管場所のいずれか、および/または、アクセス場所から出口ポータルまでの経路上
に配置された、下流側で利用可能な保管場所のいずれかの中から、第2保管ゾーン102
内の利用可能な保管場所を選択する。
【0089】
或る実施形態では、CCS817は、第2保管ゾーン102に保管されている保管ユニ
ットのうちの不要な1つを第2グループの保管場所の1つに荷置きするタスクを、第保管
ゾーン102に保管されている保管ユニットのうちの必要な1つを第2グループの保管場
所から取り出すように割り当てられているRSRVs128のうちの1つに割り当てる。
一実施形態では、第2保管ゾーン102は、第1保管ゾーン101よりもRSRVs12
8にとって厳しい動作環境を特徴とする。この実施形態では、第2保管ゾーン102に関
連する任意な回収タスクに割り当てるRSRVs128のうちの1つを選択する間に、C
CS817は、第2保管ゾーン102により最近に存在していたRSRVs128よりも
、第2保管ゾーン102からより長く不在であったRSRVs128を優先させる。或る
実施形態では、CCS817は、RSRVs128のいずれかが最後に第2保管ゾーン1
02を退出した退出時間を記録する。この実施形態では、第2保管ゾーン102に関連す
る任意な回収タスクのためにRSRVs128を選択する間に、CCS817は、第2保
管ゾーン102により最近に存在していたRSRVs128よりも、第2保管ゾーン10
2からより長く不在であったRSRVs128を優先するために、RSRVs128の退
出時間を比較する。本明細書の実施形態は、RSRVs128がマルチゾーンASRS1
00内で動作している間に、RSRVs128が非常温、冷却、チルド、または冷凍の環
境に晒されることを低減し、それにより、それらの回路および構成要素を保護し、それら
のスループット性能を維持するものである。
【0090】
図9に示したシステムの例示的な実装では、CCS817は、受注管理モジュール82
4a、タスク割り当てモジュール824b、ロボット管理モジュール824c、ビン整理
統合及び交換モジュール824d、および施設データベース825から構成される。受注
管理モジュール824aは、受取施設14で受注処理されるべき発注品を受け取り、管理
するためのコンピュータプログラム命令を定義する。受注管理モジュール824aは、施
設データベース825内の受注のデジタルレコードを更新するように構成されている。或
る実施形態では、受注管理モジュール824aは、さらに、図22の詳細な説明で開示さ
れているように、需要予測およびマルチゾーンASRS100に保持されている既存の在
庫に基づいて、必要な補充在庫を計算する。また、受注管理モジュール824aは、図8
に図示した供給施設12のコンピュータ化された施設管理システム805に補充発注を送
信する。タスク割り当てモジュール824は、図11~25の詳細な説明で開示されてい
るように、マルチゾーンASRS100および作業ステーション114、115、及び1
39に関して、保管、回収、保管ゾーン遷移、配送、及び返却の操作を実施するためのタ
スクをRSRVs128に割り当てるためのコンピュータプログラム命令を定義する。ロ
ボット管理モジュール824cは、タスク割り当てモジュール824bと通信して、図1
1~25の詳細な説明で開示されているように、マルチゾーンASRS100および作業
ステーション114、115、及び139に関して、様々な保管、回収、保管ゾーン遷移
、配送、及び返却動作を実施するために、RSRVs128のうちの1つまたは複数を起
動する。ビン整理統合及び交換モジュール824dは、図23~25の詳細な説明で開示
されているように、ビン整理統合及び交換動作を実行するためのコンピュータプログラム
命令を定義する。
【0091】
CCS817のプロセッサ820は、先に開示されたそれぞれの機能を実施するために
、受注管理モジュール824a、タスク割り当てモジュール824b、ロボット管理モジ
ュール824c、およびビン整理統合及び交換モジュール824dによって定義された命
令を読み出す。プロセッサ820は、モジュールを実行させるための命令、例えば、モジ
ュール824a~824dを実行させるための命令をメモリユニット824から読み出す
。処理された後にプロセッサ820がメモリユニット824からフェッチした命令は、復
号化される。処理及び復号化の後、プロセッサ820はそれぞれの命令を実行し、それに
よってそれらの命令によって定義された1つまたは複数のプロセスを実施する。CCS8
17のオペレーティングシステムは、入力デバイス、出力デバイス、およびメモリユニッ
ト824を、モジュールの実行、例えば、モジュール824a~824d、825の実行
のために割り当てるために必要な複数のタスクを実施するための複数のルーチンを実施す
る。オペレーティングシステムが実施するタスクは、例えば、モジュール824a~82
4d、825等々のモジュール、及びCCS817が使用するデータへのメモリの割り当
て、メモリユニット824とディスク・ユニットと間のデータの移動、入出力操作の処理
などである。オペレーティングシステムは、オペレーションの要求に応じてタスクを実施
し、またタスクの実施後、オペレーティングシステムは、実行制御をプロセッサ820に
戻す。プロセッサ820は、1つまたは複数の出力を得るために実行を続ける。
【0092】
説明目的のため、詳細な説明では、単一のコンピュータシステム、すなわちCCS81
7上でローカルに起動しているモジュール、例えばモジュール824a~824d及び8
25に言及するが、本明細書の実施形態の範囲は、オペレーティングシステムおよびプロ
セッサ820を介して単一のコンピュータシステム上でローカルに稼働しているモジュー
ル、例えばモジュール824a~824d及び825に限定されるものではなく、ウェブ
ブラウザおよびリモートサーバ、携帯電話、または他の電子機器を採用することにより、
通信ネットワークを介してリモートで稼働するように拡張されてもよい。一実施形態では
、本明細書に開示されたシステムの1つまたは複数のコンピューティング部分は、通信ネ
ットワークに結合された1つまたは複数のコンピュータシステム(図示せず)に分散され
る。
【0093】
本明細書で開示される非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、受取施設14で異なる
ワークフローを実行するために、プロセッサ820によって実行可能なコンピュータプロ
グラム命令を格納する。コンピュータプログラム命令は、上で開示された様々な実施形態
のプロセスを実装し、受取施設14でワークフローを実行するために必要とされ、かつ期
待され得る追加のステップを実行する。コンピュータプログラム命令がプロセッサ820
によって実行されると、コンピュータプログラム命令は、プロセッサ820に対して、上
で開示した受取施設14でのワークフローを実行するための方法のステップを実施させる
。一実施形態では、コンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラムコードの
単一のピースが、上記で開示された方法および図11~25の詳細な説明で開示された方
法の1つまたは複数のステップを実施する。プロセッサ820は、これらのコンピュータ
プログラム命令を読み出し、実行する。
【0094】
モジュール、エンジン、またはユニットとは、本明細書で使用される場合、ハードウェ
ア、ソフトウェア、およびファームウェアの任意の組み合わせを指す。一例として、モジ
ュール、エンジン、またはユニットは、マイクロコントローラなどのハードウェアと、マ
イクロコントローラによって実行されるように適合されたコンピュータプログラムコード
を格納するための非一過性のコンピュータ可読記憶媒体とが関連付けられている場合があ
る。したがって、或る実施形態におけるモジュール、またはエンジン、またはユニットへ
の言及は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に保持されるコンピュータプログラムコ
ードを認識および/または実行するように特別に構成されたハードウェアを意味する。コ
ンピュータ可読で実行可能な命令からなるコンピュータプログラムコードは、任意のプロ
グラミング言語で実装することができ、例えば、C、C++、C#、Java(登録商標)、JavaSc
ript(登録商標)、Fortran、Ruby、Perl(登録商標)、Python(登録商標)、Visual Ba
sic(登録商標)、ハイパーテキストプリプロセッサ(PHP)、Microsoft(登録商標).NE
T、Objective-C(登録商標)などが挙げられる。その他、オブジェクト指向、関数型、ス
クリプト型、および/または論理型のプログラミング言語も使用できる。一実施形態では
、コンピュータプログラムコードまたはソフトウェアプログラムは、オブジェクトコード
として1つまたは複数の媒体上または媒体内に格納される。別の実施形態では、「モジュ
ール」または「エンジン」または「ユニット」という用語は、マイクロコントローラと非
一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体との組み合わせを指す。多くの場合、別々
のものとして図示されているモジュールまたはエンジンまたはユニットの境界は、共通し
て変化し、潜在的に重複している。例えば、モジュール、エンジン、またはユニットは、
ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを共有するこ
とがあるが、潜在的にいくつかの独立したハードウェア、ソフトウェア、またはファーム
ウェアを保持している。様々な実施形態において、モジュールまたはエンジンまたはユニ
ットは、任意の適切な論理を含む。
【0095】
図10A~10Bは、本明細書の一実施形態による、図8に示す中央コンピューティン
グシステム801の中央データベース803のデータベース概要を示す図である。中央デ
ータベース803の組織的概略図の一実施形態では、中央データベース803は、ベンダ
ーテーブル1001、ベンダーの製品テーブル1003、ベンダーの在庫テーブル100
4、設備テーブル1006、輸送車両テーブル1007、保管ビンテーブル1008、保
管ビン内容物テーブル1009、保管場所テーブル1010、ピッキング済み受注(PO
)ビンテーブル1011、ピッカー受注(PO)ビン内容物テーブル1012、フィニッ
シュ受注(FO)ビンテーブル1013、顧客テーブル1014、顧客発注テーブル10
15、受注ラインアイテムテーブル1016、サプライ出荷テーブル1017、および出
荷詳細テーブル1018は、本願人のPCT国際特許出願番号PCT/IB2020/0
51721に開示されており、その全体が参照により本明細書に開示されるものとする。
ベンダーテーブル1001には、ベンダー識別子(Vendor_ID)と、加入しているベンダ
ー1002のその他の詳細情報、例えば、正式な企業名、住所、課金情報などが含まれて
いる。ベンダーテーブル1001で識別された各ベンダーについて、それぞれのベンダー
製品テーブル1003およびベンダー在庫テーブル1004が、中央データベース803
内におけるその特定ベンダー用のベンダー製品カタログ1005を協働的に定義する。
【0096】
一実施形態では、ベンダー製品テーブル1003の各製品レコードは、当該製品の1つ
または複数の製品属性(例えば、サイズ、色など)、製品がサプライチェーンエコシステ
ム内を移動する間にその製品タイプに対して満たさなければならない特定のアクションま
たは条件を定義するベンダー固有の製品処理データ、付加価値サービス(VAS)に基づ
いて事業体が製品に行う1つまたは複数の変更(例えば、再梱包、ラベル付け、値札付け
、セキュリティタグ付けなど)を定義するベンダー固有のカスタマイズデータ、例えば、
製品の性質上、製品の損傷、漏出、腐敗を防止するため、または製品の危険性を回避、防
止、最小化するために必要となる、特定の製品に対する管理された環境の要件、またはそ
の要件の欠如に関する環境データなどを含んでいる。環境データの例としては、冷凍食品
に対する冷凍保存の必要性の指示、チルドされているが冷凍されていない食品に対するチ
ルド保存の必要性の指示、特定の制御された環境条件を必要としない一般的なアイテムに
対する環境保存の許容性の指示などがある。一実施形態では、中央コンピューティングシ
ステム801は、環境データを使用して、サプライチェーンエコシステムの受取施設およ
び輸送車両(例えば、813)における様々な環境的に異なるまたは環境的に制御された
保管ゾーンまたはエリアへの製品の配置を決定し、制御する。
【0097】
図10Aでは、特定の製品_IDに対するクエリに応答して中央データベース803から
引き出すことができる様々なデータを説明するために、一意の識別子、例えば、Facility
_ID/Vehicle_ID、Location_ID、およびBin_IDが、ベンダーの在庫テーブル1004に含
まれている。一実施形態では、データは、ベンダーの在庫テーブル1004にそのような
データを冗長的に含めることなく、他のテーブルとの関係を通じて引き出される。同様に
、本明細書に開示された他のテーブル間の冗長なデータの図示は、同様の説明目的のため
であり、そのようなデータの冗長性を低減するために、より正規化されたデータベース構
造を実際に実装してもよいことが理解されるであろう。
【0098】
図10Aに示すように、中央データベース803の施設テーブル1006は、それぞれが
、それぞれの施設のFacility_IDを有する静的フィールドと、その施設に関する追加の関
連情報、例えば、その通りの住所および/または全地球測位システム(GPS)座標、お
よび或る実施形態では、その施設が環境的に制御された保管能力、例えば、チルド保管ゾ
ーンおよび/または冷凍保管ゾーン、または常温保管ゾーンのみを有するかどうかを識別
するための環境データを含むレコードからなる。実施形態では、サプライチェーン内のす
べての施設が、環境的に区別された保管ゾーンを等しく備えている場合には、この環境デ
ータは施設テーブル1006から省略される。中央データベース803の輸送車両テーブ
ル1007は、それぞれが、サプライチェーンエコシステムにおけるそれぞれの輸送車両
のVehicle_IDの静的フィールドと、輸送車両がその後に移動することになっている施設の
Facility_IDの可変宛先フィールドとを少なくとも含むレコードからなる。一実施形態で
は、輸送車両テーブル1007は、輸送車両の環境制御された保管能力に関連する環境デ
ータのフィールドをさらに備える。実施形態では、サプライチェーンエコシステム全体の
すべての輸送車両が、環境的に区別された保管ゾーンを等しく備えている場合、この環境
データは輸送車両テーブル1007から省略される。一実施形態では、輸送車両テーブル
1007は、輸送車両の種類、輸送車両の現在または最後に記録されたGPS座標、およ
び/または目的地施設への到着予定時刻(ETA)からなる。
【0099】
中央データベース803の保管ビンテーブル1008は、図8に示すシステム800の
すべての保管ユニット(「保管ビン」とも称される)のBin_IDをそれぞれのレコードに格
納している。それぞれが、それぞれの保管ユニットが現在存在する施設のFacility_IDま
たはそれぞれの保管ユニットが現在存在する輸送車両のVehicle_IDと、保管ユニットが施
設または輸送車両のインデックス付き保管アレイの1つに現在保管されている場合には、
保管ユニットが存在する特定の保管場所のLocation_ID、または保管ユニットが配置され
て施設内または施設外に移動されるロボットハンドラーまたはコンベア上の動的な保管場
所のLocation_IDも含むそれぞれのレコードに格納されている。保管ユニットがマルチコ
ンパートメント保管(MCS)ビンとして構成されている実施形態では、各保管ユニット
レコードは、MCSビンの各コンパートメントにおけるそれぞれのコンパートメント識別
子(Compartment_ID)を格納するためのコンパートメントフィールドも備える。シングル
コンパートメント保管(SCS)ビンのみが使用される実施形態では、保管ユニットレコ
ードは、コンパートメントフィールドを含まない。実施形態では、保管ビンテーブル10
08は、保管ユニットの内容物の環境条件または要件を示す環境フラグを格納する。実施
形態では、中央データベース803の保管ビン内容物テーブル1009は、各保管ビンの
各コンパートメントの内容物を含み、追跡することができる。
【0100】
中央データベース803のグローバル保管場所テーブル1010は、すべての施設と輸
送車両のインデックス付き保管アレイのすべてのインデックス付き保管場所をリストアッ
プしている。したがって、このグローバル保管場所テーブル1010の各レコードは、シ
ステム800内におけるそれぞれの保管場所のLocation_ID、保管場所が存在する施設のF
acility_ID、または保管場所が存在する輸送車両のVehicle_ID、その保管場所が属する環
境制御カテゴリを反映する環境状態インジケータ、およびその保管場所に現在保管されて
いる保管ビンまたは受注ビンがある場合にはそのビンのBin_IDから構成される。環境状態
インジケータは、所定の施設または輸送車両の常温保存ゾーン、チルド保存ゾーン、また
は冷凍保存ゾーンに保管場所が存在することを示す。
【0101】
すべての施設およびすべての輸送車両のインデックス付き保管アレイは、したがって、
システム800全体の保管ビン場所のグローバルマッピングのために完全にインデックス
付けされ、これはすなわち、システム800全体の個々のインデックス付き保管場所は、
そこにそれぞれの単独保管ユニットの配置および保管に対処するために特別なサイズおよ
び形状の占有面積を有するからであり、また、中央データベース803の記録には、それ
ぞれの場所識別子またはアドレス(Location_ID)を有するからであり、これにより、輸
送車両にインデックス付き保管アレイが含まれていることに起因して、インデックス付き
保管アレイに収容されている保管ビンの正確な所在が、施設間の移動中であっても、いつ
でも特定できるようになっている。ベンダーの在庫テーブル1004、施設テーブル1006
、輸送車両テーブル1007、保管ビンテーブル1008、保管ビンコンテンツテーブル1009、お
よびグローバル保管場所テーブル1010の組み合わせを通じて、保管ユニットに配置され、
保管ユニットと互換性のあるインデックス付き保管アレイのいずれか内に誘導されたすべ
ての在庫の位置は、このように記録され、追跡される。システム800が、例えばチルド
保存ゾーンおよび/または冷凍保存ゾーンからなる環境制御された保存環境を持たない常
温保存のみを採用している実施形態では、ベンダーの製品テーブル1003および設備テ
ーブル1006から環境データが省略されるとともに、グローバル保管場所テーブル10
10から環境状態が省略される。
【0102】
ベンダーの在庫を保持するための保管ユニットに加えて、システム800は、保管ユニ
ットと同じ標準化されたサイズと構成の「POビン」とも称されるピッキング済み受注(
PO)保管ユニットも採用しており、これらのPOビンに入れられたピッキング済み受注
は、同様に、施設内に見られるインデックス化された保管場所や、その間を移動する輸送
車両に、1:1のビン・ツー・ロケーション・ベースで保管可能である。したがって、中
央データベース803のPOビンテーブル1011は、保管ビンテーブル1008と同様
の構造を有している。本実施形態では、中央データベース803の別個のPOビン内容物
テーブル1012は、各POビンの各コンパートメントの内容物を追跡する。
【0103】
POビン内容物テーブル1012に記録された受注番号は、別の顧客発注テーブル10
15から検索され、割り当てられる。各レコードには、それぞれの顧客発注の受注番号、
その顧客発注が受注処理される顧客の一意の識別子(Customer_ID)、その顧客発注を受
注処理するベンダーの一意の識別子(Vendor_ID)、およびその顧客発注の作成時にその
顧客発注に適用される任意の出荷設定が含まれる。関連受注品目テーブル1016では、
各レコードは、品目番号、その品目が属する顧客発注の受注番号、顧客発注のその品目を
満たすために必要な製品タイプのProduct_ID(複数可)、およびその品目について満たす
べきその製品タイプの数量を含む。また、各顧客のCustomer_IDは、各顧客の名前、住所
、課金情報など、他のすべての顧客アカウント情報とともに、別の顧客テーブル1014
に格納される。
【0104】
ピッキング済み受注品が置かれるマルチコンパートメントPOビンに加えて、或る実施
形態では、システム800は、「FOビン」とも称されるシングルコンパートメントの完
成形態受注品(FO)保管ユニットも採用しており、個々の顧客の発注は、顧客によるピッ
クアップまたは顧客への配送の準備が整った完成状態に一旦梱包される。一実施形態では
、FOビンは、保管ビンおよびPOビンとは異なる小さい標準化されたサイズであり、例
えば、それらの他のビンの約半分のサイズである。小さいFOビンは、メガ施設、マクロ
施設、マイクロ施設のインデックス付き保管アレイや、それらの間を移動する輸送車両と
は適合性がなく、代わりに、ナノ施設で使用される別のタイプのインデックス付き保管ア
レイ用にサイズおよび構成されている。中央データベース803のFOビンテーブル10
13の各レコードは、FOビンが施設または輸送車両のインデックス付き保管アレイの1
つに現在保管されている場合は、FOビンのそれぞれ1つのBin_ID、1つまたは複数の受
注製品がFOビンに存在する特定の顧客発注の受注番号、それぞれのFOビンが現在存在
する施設のFacility_IDまたはそれぞれのFOビンが現在存在する輸送車両のVehicle_ID
、およびFOビンが施設または輸送車両のインデックス付き保管アレイに存在する特定の
保管場所のLocation_IDを含む静的フィールドから構成されている。
【0105】
中央データベース803の供給出荷テーブル1017には、典型的にはそのメガ施設に
おいて、システム800に新たな在庫を納入することが予定されている予想在庫供給出荷
が入力されている。供給出荷の内容は、別の出荷詳細テーブル1018に箇条書きされ、
その各レコードは、予想される供給出荷の製品の各ケースの一意の識別子(Case_ID)、
ケースが属する出荷のShipment_ID、ケースに含まれる製品タイプのProduct_ID(複数可
)、およびケースに見られる製品タイプの数量から構成される。
【0106】
図10Cは、本明細書の一実施形態による、コンピュータ化制御システム(CCS)8
17のローカル施設データベース825のデータベース概略図を示す。ローカル施設デー
タベース825の組織的概略の一実施形態において、ローカル施設データベース825は
、その特定の施設の保管アレイのそれぞれの保管場所のみがインデックスされる施設保管
テーブル825bを構成し、代わりにシステム全体のすべての保管場所のグローバルイン
デックスを提供する、図10bに図示された中央データベース803のグローバル保管場
所テーブル1010とは対照的である。グローバル保管場所テーブル1010と同様に、
設備保管テーブル825bの各レコードは、それぞれの保管場所のLocation_ID、その保
管場所が属する環境制御カテゴリ、例えば、常温保管ゾーン、チルド保管ゾーン、または
冷凍保管ゾーンを反映する環境状態インジケータ、および、もしあれば、その場所に現在
保管されている保管ビンのBin_IDのための静的フィールドからなる。
【0107】
ローカル施設データベース825は、さらに、自動化設備の各ピース、例えば、特定の
施設で動作可能なロボット保管/回収車両(RSRV)またはコンベアの一意の識別子(
Equipment_ID)のための静的フィールドを含む自動化設備情報テーブル825cを備える
。RSRVにはインデックスが付けられており、保管ユニットを施設内または施設外に移
動させながら、保管ユニットを配置するための動的保管場所を定義している。一実施形態
では、コンベアは、保管ユニットを施設内で移動させたり、施設から輸送車両に移動させ
たり、逆に輸送車両から保管ユニットを移動させたりするための保管場所も定義する。Eq
uipment_IDは、保管ユニットが施設内または施設外でRSRVまたはコンベアによってナ
ビゲートされているときに、保管ユニットのLocation_IDとして使用され、保管ユニット
の連続的な追跡を可能にする。自動化設備情報テーブル825cは、現在、施設内外で特
定のRSRV又はコンベアに保持されて移動している保管ユニットのBin_IDの可変フィ
ールドをさらに備える。自動化設備情報テーブル825cは、設備の種類、例えばRSRV又
はコンベア、自動化設備のリアルタイムの位置などの他の情報も格納する。別の実施形態
では、例えばフォークリフトのような手動操作機器もEquipment_IDにマッピングされ、動
的な保管場所を定義する。本実施形態では、保管ユニットが施設内の手動操作機器によっ
て手動操作されているときに、手動操作機器のEquipment_IDが保管ユニットのLocation_I
Dとして使用され、保管ユニットの継続的な追跡を可能にする。
【0108】
ローカル施設データベース825は、さらに、その特定の施設に現在配置されているす
べての保管ユニットおよび/または受注ビンのBin_IDをリストアップする1つまたは複数
のオンサイトビンテーブル825eを備える。或る実施形態では、ローカル施設データベ
ース825のオンサイトビンテーブル825eは、各保管庫の空/占有状態、環境フラグ
、それぞれの保管庫のLocation_ID、行き先のFacility_ID、およびタイミングデータを格
納するためのフィールドを備える。複数のビンタイプを有する施設の場合、或る実施形態
では、各ビンタイプは、ローカル施設データベース825内にそれぞれのオンサイトビン
テーブル825eを有する。ローカル施設データベース825は、その施設にある異なる
作業ステーションの一意の識別子(Workstation_ID)を含む作業ステーション情報テーブ
ル825dと、そのような作業ステーションごとに、その作業ステーションで実行される
作業の種類を示す作業ステーションタイプ(例えば、誘導作業ステーション、付加価値サ
ービス(VAS)作業ステーション、キット化作業ステーション、ピッキング作業ステー
ション、梱包作業ステーション、受注管理作業ステーションなど)と、を含む。例えば、
施設内の作業ステーションの位置を、RSRVの移動、又はコンベア若しくは他の自動ビ
ン処理装置による保管ユニットの運搬を指示するように構成されたアドレス形式で表示し
たり、その作業ステーションにストックされている特定の作業用品(例えば、包装用品、
ラベル付け用品、タグ付け用品など)を識別したりすることができる。例えば、食品を扱
うための高い衛生基準を満たす食品グレードの作業ステーション、ピーナッツフリー、木
の実フリー、グルテンフリー、貝フリー、乳製品フリーなどのサブカテゴリーで構成され
、アレルゲン製品が禁止されているアレルゲンセーフの作業ステーションなどである。ま
た、他の作業ステーションカテゴリーで禁止されている危険物専用の危険物作業ステーシ
ョンもある。一実施形態では、分類はフラグベースで行われ、特別な作業ステーションに
のみ特別な分類のフラグが立てられ、そのようなフラグがない場合は、潜在的なアレルゲ
ンの含有量にかかわらず、制御された製品クラス以外のもの、例えば、危険物、露出した
食品などが許容される一般物品の作業ステーションであることを示す。ローカル施設デー
タベース825は、さらに、図10Aに図示した中央データベース803の施設テーブル
1006におけるそれぞれのレコードと同一または類似の内容を格納するための施設情報
テーブル825aを備えており、或る実施形態では、施設情報テーブル825aは、その
施設に現在居住している空の保管庫および占有されている保管庫の量を識別するビン量デ
ータを任意に格納する。
【0109】
ローカル施設データベース825は、さらに、例えば、図1~3および図8~9に示さ
れたマルチゾーンASRS100のような、自動化された保管及び回収システム(ASR
S)内のRSRVに関連するデータを格納するためのロボット情報テーブル825fを含
む。CCS817のプロセッサは、マルチゾーンASRS100内のRSRVの動作を制
御するために、ロボット情報テーブル825fからデータを読み出す。ロボット情報テー
ブル825fは、例えば、各RSRVに割り当てられた一意の識別子、すなわち、Robot_
ID、マルチゾーンASRS100および施設内におけるRSRVの位置、RSRVに現在
保持されている保管ユニットのBin_ID、各RSRVがマルチゾーンASRS100の特定
保管ゾーンに進入する時刻、各RSRVがマルチゾーンASRS100の特定保管ゾーン
から退出した時刻、RSRVが通過した保管ゾーンの種類、RSRVが最後に保管ゾーン
を退出してからの時間、最後の保管ゾーンで過ごした時間、環境要因、および温度要因な
どのデータを含んでいる。一実施形態では、CCS817は、2つの温度間でのRSRV
の曝露の影響を重み付けするために、環境因子および温度因子を利用する。冷却された保
管ゾーン、例えばチルド保管ゾーンまたは冷凍保管ゾーンに関連する任意の回収タスクに
割り当てるRSRVの1つを選択する間、CCS817のプロセッサは、ローカル施設デ
ータベース825のロボット情報テーブル825fにアクセスして、冷却された保管ゾー
ンにより最近に存在したRSRVよりも、冷却された保管ゾーンにより長く不在にしてい
たRSRVを優先させる。CCS817は、ローカル施設データベース825のロボット
情報テーブル825fに、いずれかのRSRVが最後に冷却された保管ゾーンを退出した
ときの退出時刻を記録する。冷却された保管ゾーンに関連する任意の回収タスクのために
RSRVを選択する間、CCS817は、冷却された保管ゾーンにおけるより最近に存在
していたRSRVよりも、冷却された保管ゾーンにより長く不在にしていたRSRVを優
先するために、RSRVの退出時間を比較する。
【0110】
ロボット情報テーブル825fは、マルチゾーンASRS100内のRSRVの場所、
RSRVが保持する保管ユニット、およびマルチゾーンASRS100の環境制御された
保管ゾーンまたは温度制御された保管ゾーン(本明細書では「温度ゾーン」とも称される
)へのRSRVの最後の移動に関連する情報を追跡することを可能にする。各RSRVの
温度因子の決定において、現在のシステム時間、すなわちCCSクロック時間とLast_Tem
pZone_Exit_Timeとの間のタイムスパンは、各RSRVが環境制御された保管ゾーンに最
後にアクセスした時間を決定するのに役立つ。一実施形態では、CCS817は、RSR
Vの非周囲温度に対する曝露の程度に応じてタイムスパンを正規化する。正規化のために
、一実施形態では、CCS817は、Last_TempZone_Exit_TimeをLast_TempZone_Entry_T
imeで差分をとることによって、RSRVが環境制御された保管ゾーンで過ごした時間の
持続時間を計算する。RSRVが過去に同じような時間に環境制御された保管ゾーンにア
クセスした場合、RSRVのそれぞれが過ごした時間の長さを計算することで、環境制御
された保管ゾーンで過ごした時間が短く、したがって常温温度に近いRSRVの重み付け
または優先順位付けに役立つ。例えば、2つのRSRVがほぼ同じ時間に同じ環境制御さ
れた保管ゾーンを退出する場合、各RSRVが環境制御された保管ゾーンで過ごした持続
時間を計算することにより、CCS817は、どのRSRVが常温温度に近いかを最適に
予測する。
【0111】
別の実施形態では、例えばマイクロ受注処理センター(MFC:micro-fulfillment ce
nter)のような受取施設が、環境制御された複数の保管ゾーンを有する場合、CCS81
7は、保管ゾーンの環境または温度に基づいてRSRVの温度係数を正規化する。冷凍環
境は、チルド環境よりもはるかに大きな影響をRSRVに与えるため、CCS817は、
各保管ゾーンの環境特性を考慮して各RSRVの温度係数を調整する。ロボット情報テー
ブル825fのLast_TempZone_Typeフィールドは、環境制御された保管ゾーンのタイプを
画定しており、環境制御された保管ゾーンの環境特性をルックアップして、環境に基づい
て温度因子を正規化するために使用することができる。次に、CCS817は、温度係数
を使用して、例えば、ピックタスクなどのタスクに対する最適なRSRVを選択する。ピ
ックタスクが環境制御された保管ゾーン、例えばチルド保管ゾーンまたは冷凍保管ゾーン
にある場合、CCS817は、高い温度係数を持つRSRV、すなわち、直近にゾーンピ
ッキングしてから環境制御された保管ゾーンで最も多くの時間を過ごしたRSRVを選択
し、また直近の環境制御された保管ゾーンで過ごした時間および環境制御された保管ゾー
ンの厳しさに基づいて温度係数を正規化する。ピックタスクが常温の保管ゾーンにある場
合、CCS817は、低い温度係数を持つRSRVを選択する。すなわち、CCS817
は、直近に環境制御された保管ゾーン、例えばチルド保管ゾーンや冷凍保管ゾーンを訪れ
たRSRVにピックタスクを実行するように割り当て、そのRSRVが常温温度まで加温
して戻すようにする。CCS817は、保管ユニットの回収タスクが完了すると、ロボッ
ト情報テーブル825fのLast_TempZone_Entry_TimeおよびLast_TempZone_Exit_Timeフ
ィールドを更新する。実施形態では、CCS817は、RSRVがマルチゾーンASRS
100のバッファスポットで保管ユニットの切り替えを行う際に、ロボット情報テーブル
825fのLast_TempZone_Entry_Time及びLast_TempZone_Exit_Timeフィールドを更新し
ない。
【0112】
図10Dは、本明細書の一実施形態による、図10Cに示されたコンピュータ化制御シ
ステム(CCS)817のローカル施設データベース825のロボット情報テーブル82
5fに格納されたデータを例示的に示す。CCS817が、図1~3および図9に図示さ
れたマルチゾーン自動倉庫(ASRS)100内で動作するロボット保管/回収車両(R
SRV)のセットに関連するデータを記録する例を考える。図1~3に図示されているよ
うに、マルチゾーンASRS100は、本明細書で「温度ゾーン」とも称される3つの環
境制御された保管ゾーン、例えば、常温保管ゾーン並びに冷却保管ゾーン、すなわち、図
10Dに図示されているように、1.2の環境係数を有するチルド保管ゾーンと、2.3の
環境係数を有する冷凍保管ゾーンとからなる。それぞれの一意の識別子、例えば、A1、
A5、D4、B1、F2、F3、C3、A3、B2によって識別されるRSRVが、CC
S817によって発令されたコマンドに従って温度ゾーンを横断すると、CCS817は
、対応するデータ、例えば、Last_TempZone_Entry_Time、Last_TempZone_Exit_Time、お
よびLast_TempZone_Typeを、図10Dに図示されているように、ロボット情報テーブル8
25fにRSRVのそれぞれに関連付けて記録する。次に、CCS817は、現在のシス
テム時間、すなわちCCSクロック時間をLast_TempZone_Exit_Timeで差分をとることに
より、各RSRVが最後に温度ゾーンを出たときからのタイムスパンを計算する。例えば
、CCSクロックタイムが2時28分21秒であり、A1で識別されるRSRVについて
記録されたLast_TempZone_Exit_Timeが2時23分25秒である場合、CCS817は、
A1が最後に温度帯を退出したときからのタイムスパンを296秒と計算し、図10D
図示されるように、ロボット情報テーブル825fに記録する。さらに、CCS817は
、Last_TempZone_Exit_TimeをLast_TempZone_Entry_Timeで差分をとることにより、最後
の温度ゾーンで過ごした時間の長さを計算する。例えば、CCS817は、A1が冷凍保
管ゾーンで過ごした時間の持続時間を32秒と計算し、図10Dに示されるように、ロボ
ット情報テーブル825fにその持続時間を記録する。次に、CCS817は、各RSR
Vの温度係数を、例えば、タイムスパン÷継続時間÷温度ゾーンの環境係数という式を用
いて計算する。例えば、CCS817は、図10Dに示されているように、A1の温度係
数を296/32/2.3=4.02と計算する。同様に、CCS817は、図10Dに示
されているように、他のRSRVの温度係数を計算する。
【0113】
温度ゾーンに関連する任意の回収タスクのためRSRVの選択をする間、CCS817
は、温度ゾーンにおけるより最近の存在のRSRVよりも、温度ゾーンにより長い不在で
あったRSRVを優先する。例えば、図10Dに図示されたロボット情報テーブル825
fに記録されたデータから、CCS817は、チルド保管ゾーンや冷凍保管ゾーンなどの
常温温度よりも低い温度を有する温度ゾーンに関連するあらゆる回収タスクのRSRVと
してA1を選択する。すなわち、この例では、CCS817は、常温温度ゾーンよりも低
い温度を有する温度ゾーンに関連するあらゆる回収タスクについて、A1をRSRVとし
て選択する。RSRVが過去に同じような時間に温度ゾーンにアクセスした場合、RSR
Vの各々が特定の温度ゾーンで過ごした時間の長さの計算は、温度ゾーンで過ごした時間
が短く、したがって常温温度に近いRSRVを重み付けまたは優先するのに役立つ。例え
ば、図10Dに図示されたロボット情報テーブル825fに記録されたデータから、CC
S817は、RSRVであるF3とC3がほぼ同じ時間、すなわち午後2時25分36秒
にチルド保存ゾーンを退出すると判断する。F3及びC3がそれぞれチルド保存ゾーンで
過ごした持続時間を計算することにより、CCS817は、図10Dに図示したロボット
情報テーブル825fに記録されたF3がチルド保存ゾーンで過ごした持続時間がC3の
それよりも短く、したがってF3の温度が常温温度に近いことから、F3をRSRVとし
て最適に選択する。別の例では、CCS817は、温度係数を用いて、ピックタスクに最
適なRSRVを選択する。ピックタスクが温度ゾーン、例えばチルド保存ゾーンや冷凍保
存ゾーンにある場合、CCS817は、高い温度係数を有するRSRV、すなわち、最後
のゾーンでピッキングしてから常温保存ゾーンで最も多くの時間を過ごしたRSRVを選
択し、最後の温度ゾーンで過ごした時間と温度ゾーンの厳しさに基づいて温度係数を正規
化する。図10Dに図示したロボット情報テーブル825fに記録されたデータから、C
CS817は、高い温度係数、例えば温度係数4.02を有するRSRVとしてA1を選択す
る。A1が最後に出たのは冷凍保管ゾーンであり、これはチルド保管ゾーンよりも厳しい
動作環境であるが、A1が冷凍保管ゾーンで過ごした期間はB1がチルド保管ゾーンで過
ごした期間よりも短く、A1はさらに127秒を常温の保管ゾーンで過ごしているため、
CCS817はこの例ではB1よりもA1を選択する。ピックタスクが常温保管ゾーンに
ある場合、図10Dに図示されたロボット情報テーブル825fに記録されたデータから
、CCS817は、A3がピックタスクを実行するために最近冷凍保管ゾーンを訪れたた
め、常温温度に加温して戻す必要があるものとして、低い温度係数、例えば、温度係数0
.95を有するA3を選択する。
【0114】
図10Eは、本明細書の一実施形態による、図8に示す車両管理システム814のロー
カル車両データベース826のデータベース概略図を示す。図10Eに示されるように、
各ローカル車両データベース826は、図10Aに示される中央データベース803の輸
送車両テーブル1007それぞれのレコードと同一または類似の内容を格納するための車
両情報テーブル826aを含んでいる。一実施形態では、車両情報テーブル826aは、
オプションとして、その輸送車両にそのとき積載されている空および占有された保管ユニ
ットおよび/または受注ビンの量を識別するビン量データを格納する。ローカル車両デー
タベース826は、車両保管テーブル826bをさらに含み、その中では、その特定の輸
送車両の保管アレイそれぞれの保管場所のみがインデックスされる。各ローカル施設デー
タベース825の施設保管テーブル825bと同様に、車両保管テーブル826bの各レ
コードは、輸送車両のインデックス付けされた保管アレイ内におけるそれぞれの保管場所
のLocation_ID、その保管場所が属する環境制御カテゴリ、例えば、常温保管ゾーン、チ
ルド保管ゾーン、冷凍保管ゾーンを反映する環境状態インジケータ、および、もしあれば
、その保管場所に現在保管されている保管ユニットのBin_IDのための静的フィールドから
なる。一実施形態では、ローカル車両データベース826は、さらに、輸送車両に設置さ
れた自動化装置の情報を格納するための、図10cに図示された自動化設備情報テーブル
825cと同様の自動化設備情報テーブル826cを備える。ローカル車両データベース
826は、さらに、その輸送車両にそのとき積載されている全ての保管ユニット、例えば
、受注ビン、供給ビン、空ビンなどのBin_IDをリストアップする1つまたは複数の車載ビ
ンテーブル826dを備える。
【0115】
図11は、本明細書の一実施形態による、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)における
ロボット保管/回収車両(RSRV)の動作を制御するための、コンピュータが実施する
方法のフローチャートを示す。マルチゾーンASRSは、異なる温度要件を有する多数の
異なる製品アイテムの保管および回収を改善するために、RSRVの動作を最適に調整す
る。本明細書で開示する方法は、第1保管ゾーンおよび第2保管ゾーンからなるマルチゾ
ーンASRSにおいて、RSRVと動作可能に通信するように構成されたコンピュータ化
制御システム(CCS)を採用する。一実施形態では、第2保管ゾーンは、第1保管ゾー
ンよりもRSRVにとって厳しい動作環境によって特徴付けられる。例えば、第2保管ゾ
ーンは、第1保管ゾーンよりも低い環境動作温度を有する冷却された保管ゾーンである。
第1保管ゾーンが常温の保管ゾーンであり、第2保管ゾーンがチルド保管ゾーンまたは冷
凍保管ゾーンなどの冷却された保管ゾーンである例を考える。本明細書に開示された方法
では、第2保管ゾーン内の第1保管ユニットを第2保管ゾーン内の第1保管場所に荷置き
することを含む第2保管ゾーン内の荷置きプロセスについて、CCSは、荷置きプロセス
を、第1保管ユニットを第2保管ゾーンに運ぶ第1進入タスクと、第1保管ユニットを第
1保管場所に配置する第2配置タスクとに分割する(ステップ1101)。そして、CC
Sは、第1進入タスク及び第2配置タスクを、第2保管ゾーン外に位置するRSRVの中
から選択された第1RSRV及び第2RSRVにそれぞれ割り当てる(ステップ1102
)。その後、CCSは、第1進入タスクおよび第2配置タスクを実行するために、第1R
SRVおよび第2RSRVにコマンドを発令する(ステップ1103)。一実施形態では
、第1進入タスクは、第1RSRVによる第2保管ゾーンでの第1保管ユニットの荷降ろ
しと、荷降ろし後における第2保管ゾーンからの第1RSRVの迅速な退出とを含む。第
1進入タスクで第1RSRVが行う荷降ろしは、第2RSRVによるバッファスポットか
ら第1保管ユニットを後で回収するために、第2保管ゾーンのバッファスポットに第1保
管ユニットを配置することからなる。
【0116】
一実施形態では、CCSは、第2保管ゾーンに関連する回収タスクを第2RSRVに割
り当てる。回収タスクは、第2保管ゾーン内の第2保管場所から第2保管ユニットを回収
することを含む。第2保管ユニットを取り出す第2保管場所は、第2保管ゾーンにおける
バッファスポットの上流側で利用可能であり、第2保管ゾーンのバッファスポットから第
2保管ゾーンの第2保管場所までの途中経路上に位置するいずれかの保管場所、および/
または、第2保管ゾーンにおける第2保管場所の下流側で利用可能であり、第2保管ゾー
ンの第2保管場所から第2保管ゾーンの出口ポータルまでの途中経路上に位置するいずれ
かの保管場所のうちから選択される。
【0117】
図12は、本明細書の別の実施形態による、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)におけ
るロボット保管/回収車両(RSRV)の動作を制御するための、コンピュータが実装す
る方法のフローチャートを示す。本明細書で開示される方法は、第1保管ゾーンおよび第
2保管ゾーンを含むマルチゾーンASRS内のRSRVと動作可能に通信するように構成
されたコンピュータ化制御システム(CCS)を採用する。一実施形態では、第2保管ゾ
ーンは、第1保管ゾーンよりもRSRVにとって厳しい動作環境によって特徴付けられる
。例えば、第2保管ゾーンは、第1保管ゾーンよりも低い環境動作温度を有する冷却され
た保管ゾーンである。本明細書に開示されるコンピュータ実装方法の一実施形態では、C
CSは、第2保管ゾーンの外側に位置するRSRVの中から選択された第1RSRVに、
第2保管ゾーンに関連する回収タスクを割り当てる(ステップ1201)。その後、CC
Sは、第1RSRVにコマンドを発令し(ステップ1202)、第2保管ゾーンに移動さ
せ(ステップ1202a)、第2保管ゾーン内の第1保管場所から第1保管ユニットを回
収し(ステップ1202b)、第2保管ゾーンから退出して、第2保管ゾーンの外側に配
置された作業ステーションに第1保管ユニットを運ぶ(ステップ1202c)。第2保管
ゾーンに進入する前に、CCSは、常温の保管ユニットを運んでいる第1RSRVに、常
温の第1保管ゾーン内のバッファスポットに常温の保管ユニットを荷降ろしするようにコ
マンドを発令する。常温の第1保管ゾーンのバッファスポットで常温の保管ユニットを荷
降ろしした後、第1RSRVは第2保管ゾーンに進入し、第2保管ゾーンの第1保管場所
から第1保管ユニットを回収し、第2保管ゾーンを退出して、CCSによって発令された
コマンドに従って、第2保管ゾーンの外側に配置された作業ステーションに第1保管ユニ
ットを運ぶ。
【0118】
作業ステーションにおける第1保管ユニットへの製品配置または第1保管ユニットから
の製品抽出の実施(ステップ1203)後、CCSは、第1RSRVまたは異なるRSR
Vに、第1保管ユニットを作業ステーションから第2保管ゾーンに戻す輸送をし(ステッ
プ1203a)、第2保管ゾーンの保管場所とは異なる第2保管ゾーンのバッファスポッ
トで第1保管ユニットを荷降ろしするよう指令する(ステップ1203b)。CCSは、
第2保管ゾーンのバッファスポットで第1保管ユニットを荷降ろしした後、第2保管ゾー
ンから速やかに退出するように、第1RSRVまたは異なるRSRVにコマンドを発令す
る。CCSは、別のRSRVにコマンドを発令して、第1保管ゾーンから第2保管ゾーン
に進入し、第2保管ゾーンのバッファスポットから第1保管ユニットをピックアップし、
第2保管ゾーンの保管場所の1つに第1保管ユニットを荷置きする。CCSは、他のRSR
Vに対して、第1保管ユニットを第2保管ゾーン内の保管場所の1つに荷置きした後、第
1保管ユニットが荷置きされた保管場所とは異なる第2保管ゾーン内の第2保管場所から
第2保管ユニットを回収するようにコマンドを発令する。CCSは、バッファスポットか
ら第2保管ゾーン内の第2保管場所までの途中に位置する、上流側で利用可能な第2保管
ゾーン内の保管場所のいずれかと、第2保管ゾーンの出口までの途中に位置する、下流側
で利用可能な保管場所のいずれかの中から、第1保管ユニットを荷置きする保管場所を選
択する。
【0119】
図13は、本明細書の実施形態による、受注処理ワークフローを実行するためのコンピ
ュータが実装する方法のフローチャートを示す。施設が、マルチゾーン自動倉庫(ASR
S)の常温保管ゾーン(ゾーン1)および冷却保管ゾーン(ゾーン2)に保管されている
製品アイテムの発注を受信する(ステップ1301)例を考える。マルチゾーンASRS
のコンピュータ化制御システム(CCS)は、発注を受信し、発注の各ラインアイテムに
対するピックタスクを作成し、各ピックタスクをそれぞれの環境制御保管ゾーン(ここで
は「温度ゾーン」と呼ぶ)に分類する(ステップ1302)。CCSは、ピックタスクの
温度ゾーンと、各RSRVに対して計算された温度係数とに基づいて、各ピックタスクを
最適なロボット保管/回収車両(RSRVs)に割り当てる(ステップ1303)。CC
Sは、受注の1つまたは複数のラインアイテムが冷却された保管ゾーンであるゾーン2に
ゾーン分けまたは保管されているか否かを決定する(ステップ1304)。発注の1つま
たは複数のラインアイテムがゾーン2にゾーン分けされている場合、CCSは、図17
詳細な説明に開示されているようなゾーン2のビンピッキングプロセスを使用して、指定
された保管ユニット(ここでは「ビン」と称する)を回収するよう、割り当てられたRS
RVに命令する(ステップ1305)。発注の1つまたは複数のラインアイテムがゾーン
2にゾーン分けされていない場合、CCSは割り当てられたRSRVに、通常のビンピッ
キングプロセスを使用して、常温の保管ゾーンであるゾーン1から指定されたビンを回収
するように命令する(ステップ1306)。一実施形態では、通常のビンピッキングプロ
セスでは、割り当てられたRSRVは、マルチゾーンASRSの3次元(3D)格子構造
の保管構体の上部トラックレイアウトに乗軌し、その後必要なビンのダウンシャフトに移
動し、不要なビンを片付け、必要なビンに到達するために垂直に移動し、必要なビンをピ
ッキングする。通常のビンのピッキングプロセスでは、マルチゾーンASRSのバッファ
スポットでのビンの交換は行われず、通常の、あるいは直接の片付けが行われる。
【0120】
CCSから受け取った命令に従って、RSRVは指定されたビンを回収して作業ステー
ションに差し出す(ステップ1307)。さらに、CCSは、ピッキング処理に関する命
令を生成し、作業ステーションの作業者に、例えば、作業ステーションに設けられたヒュ
ーマン・マシン・インターフェース(HMI)を介して発令する。CCSから受け取った
命令に従って、作業ステーションの作業者(例えば、人間の作業者またはロボット作業体
)は、発注を受注処理するために、ビンから受注処理されたラインアイテムをピッキング
する(ステップ1308)。CCSは、指定ビン、すなわち、以前に回収された指定ビン
または受注処理された発注品を含む受注ビンが、冷却された保管ゾーンであるゾーン2に
戻されるかまたはゾーン分けされるかを決定する(ステップ1309)。指定ビンがゾー
ン2に戻されるか、ゾーン2にゾーン分けされる場合、CCSは、図18の詳細な説明に
開示されているようなゾーン2ビン片づけプロセスを使用して、指定ビンを片付けるよう
に割り当てられたRSRVに命令する(ステップ1310)。指定ビンがゾーン2に戻さ
れない、またはゾーン分けされない場合、CCSは、通常の片付けプロセスを使用してゾ
ーン1に指定ビンを片付けるよう、割り当てられたRSRVに命令する(ステップ131
1)。一実施形態では、通常のビン片付けプロセスでは、割り当てられたRSRVは、マ
ルチゾーンASRSの3D格子構造の保管構体の上部トラックレイアウトに移動し、その
後に必要なビンのダウンシャフトに移動し、必要のないビンを片付ける。通常の片付けプ
ロセスでは、マルチゾーンASRSのバッファスポットでは、通常の片付けや直接片付け
のためのビンの交換は行われない。CCSから受け取った命令に従って、RSRVは指定
されたビンを片付ける(ステップ1312)。プロセスは、常温のゾーン1と冷却された
ゾーン2に保管されている品目を受注処理することで終了する1313。
【0121】
図14は、本明細書の実施形態による、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)で実行され
るタスクのためにロボット保管及び回収車両(RSRV)を選択するための、コンピュー
タが実装する方法のフローチャートを示す。ピックタスク(ステップ1401)が要求さ
れるとき、マルチゾーンASRSのコンピュータ化された制御システム(CCS)は、利
用可能なすべてのRSRVについて、図10cに図示されたローカル施設データベースの
ロボット情報テーブルからデータを読み出す(ステップ1402)。CCSは、RSRV
が最後の温度ゾーンにさらされてからの期間によって各RSRVに重み付けを行う(ステ
ップ1403)。CCSは、最後の温度ゾーンでの曝露の持続時間に基づいての重みを正
規化する(ステップ1404)。CCSは、最後の温度帯の環境特性に基づいて、重みを
正規化する(ステップ1405)。CCSは、すべての温度重みのリストを作成し、ソー
トする(ステップ1406)。CCSは、ピックタスクが冷却された保管ゾーンで実施さ
れるべきか否かを決定する(ステップ1407)。ピックタスクが冷却された保管ゾーン
で実施される場合、CCSは、最も高い温度重み付けを持つRSRVを選択する(ステッ
プ1408)。つまり、CCSは、最後のゾーンピック以降、常温の保管・ゾーンで最も
多くの時間を過ごしたRSRVを選択する。例えば、CCSは、冷却された保管ゾーンで
タスクを実施するために、最も温度の高いRSRVを選択する。ピックタスクが常温の保
管ゾーンで実施される場合、CCSは温度の低い重み付けを持つRSRVを選択する(ス
テップ1409)。すなわち、CCSは、冷却された保管ゾーンを直近に訪れたRSRV
を選択してピックタスクを実施し、そのRSRVが常温温度まで温まって戻ることができ
るようにする。RSRVがピックタスクのために選択されると、プロセスは終了する(ス
テップ1410)。
【0122】
図15は、本明細書の一実施形態による、マルチゾーンASRS100の保管ゾーンか
ら保管ユニットを回収して返却するために、コンピュータ化制御システム(CCS)によ
って構成されたロボット保管/回収車両(RSRV)および保管ユニットの移動経路を示
す、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)100の頂部から見た平面図を示す。CCSは、
図1~4に示されるマルチゾーンASRS100の3次元(3D)格子構造の保管構体1
00aを通るRSRVのナビゲーション、RSRVが保管ユニットに対して実施するイン
タラクティブ操作、3D格子構造保管構体100a内の保管ユニットおよび在庫のトラッ
キング、および3D格子構造保管構体100aから受注処理されるべき発注の受信および
処理に関する制御を実行する。一実施形態では、上記の開示された機能を実施するために
、CCSは、より大きなサプライチェーンまたは流通エコシステム内の施設のネットワー
ク間で在庫を管理するように構成された、より大きな全体的なコンピュータ化された在庫
管理システムに統合され、そのうちマルチゾーンASRS100は、例えば、在庫が1つ
または複数のより大きな地域流通センターまたはマクロ流通センター(MDC)から供給
されるローカル受注処理センターまたはマイクロ受注処理センター(MFC)を占める。
一実施形態では、マルチゾーンASRS100のCCS、協働するRSRV、および作業
ステーション構成要素は、本願人のPCT国際出願番号PCT/CA2019/0508
15に開示されているCCS、協働するRSRV、および作業ステーション構成要素によ
って少なくとも部分的に具現化される。
【0123】
図4に図示されているように、RSRVs128の移行を可能にするために、保管カラ
ム123がその周りにクラスタ化されており、また保管カラム123の棚板がないアクセ
スシャフト124に加えて、3D格子構造保管構体100aは、3D格子構造保管構体1
00aの外周に存在する、図15に図示されている外側シャフト124aを構成している
。外側シャフト124aは、図4に図示されたフレーム部材131上のラッキング歯を介
して、これらの外側シャフト124aで、その中をRSRVs128の垂直方向の移行を
可能にするために、棚板がなく、保管ユニットによって占有されていない。CCSは、図
1~4に図示された3D格子構造保管構体100aの上部トラックレイアウト122から
アクセスシャフト124を介してRSRVs128の下方移行を指令するように構成され
る。作業ステーション114および115に配送するために3D格子構造保管構体100
aから保管ユニットを回収することをタスクとするときには、図1~4に示される3D格
子構造保管構体100aの上部トラックレイアウト122からアクセスシャフト124を
介してRSRVs128の下向きの移行を指令し、また回収した保管ユニットを作業ステ
ーション114および115から3D格子構造保管構体100aに戻すことをタスクとす
るとき、または新しい保管ユニットを3D格子構造保管構体100a内に初めて誘導する
ことをタスクとするときには、外側シャフト124aを介してRSRVs128の上向き
の移行を指令するように構成される。RSRVs128のナビゲーションは、したがって
図1~4に図示された3D格子構造保管構体100aの外周にある外側シャフト124
a内で、RSRVs128が下部トラックレイアウト126から上部トラックレイアウト
122に向かって上向きに移行し、RSRVs128が内側アクセスシャフト124内で
上部トラックレイアウト122から下部トラックレイアウト125に向かって下向きに移
行するという、渦巻移行パターンに従う。この方法では、外側シャフト124aを通って
運ばれてくる返却された保管ユニット及び新たに誘導された保管ユニットが、内側アクセ
スシャフト124を経由した保管ユニットの回収に干渉することはない。
【0124】
上に開示された渦巻き移行パターンに従って、一実施形態では、CCSは、冷却された
第2保管ゾーン102または冷却された第3保管ゾーン103のいずれかでRSRVs1
28が費やす時間を最小化するための以下の例示的なナビゲーションスキームを生成し、
遂行する。CCSは、RSRVs128が冷却された保管ゾーン、例えば、チルド保管ゾ
ーン102または冷凍保管ゾーン103で最小の時間を費やすことを保証する。一実施形
態では、各RSRV128は、デフォルトで上部トラックレイアウト122の第1トラッ
クエリア122aに存在し、それによって、平素は常温の第1保管ゾーン101に存在す
る。CCSは、そこからの保管ユニットの回収が必要な場合、冷却された第2保管ゾーン
102または冷却された第3保管ゾーン103に進入するようにRSRVs128に指令
する。図15は、冷却された第2保管ゾーン102からの保管ユニットの回収を実施する
ためにCCSによってRSRV128に指令される例示的な移行経路を示す。図15では
、実線の移行経路は、上部トラックレイアウト122上のRSRV128の移行を示し、
破線の移行経路は、下部トラックレイアウト126上のRSRV128の移行を示す。参
照番号付きの矩形ブロックは、マルチゾーンASRS100の第1保管ゾーン101およ
び第2保管ゾーン102のバッファスポット112aおよび112bをそれぞれ示してい
る。
【0125】
本明細書に開示された方法では、保管ユニットは、「常温ビン」と称され、これは、常
温環境における常温条件で保存可能な製品を含むビンであり、したがって、常温の第1保
管ゾーン101での保存に指定されることを示す、または、「クールビン」と称され、冷
却された環境での保存を必要とするビン、例えば、チルドされた第2保管ゾーン102ま
たは冷凍の第3保管103ゾーンでの保存を示す。図15に示す例は、第2保管ゾーン1
02からのクールビンの回収に関するものである。同様のプロセスは、第3保管ゾーン1
03からのクールビンの回収にも適用される。本明細書で開示される方法において、「不
要な保管ユニット」(「不要ビン」とも称される)は、現在、3D格子構造保管構体10
0aのそれぞれの保管場所に保管されておらず、また、受注処理または他のタスクのため
に作業ステーション114または115で現在必要とされておらず、したがって、受注処
理または他の目的のために後で必要とされるまで、3D格子構造保管構体100aの保管
場所に荷置きされることが予定されているビンを意味する。この不要ビンは、例えば、以
前に保管から回収され、受注フルフィルメントタスクの一部として作業ステーション11
4または115でピッキングされた返却ビン、または、初めて3D格子構造保管構体10
0aに保管すべき新しい製品在庫を含む誘導されたばかりのビンである。また、本明細書
で使用する場合、「標的ビン」とは、3D格子構造保管構体100aのそれぞれの保管場
所に現在保管されており、作業ステーション114または115で、受注処理または他の
目的のために現在必要とされるビンである。マルチゾーンASRS100の様々な実施形
態は、3D格子構造保管構体100a、RSRVs128の関連するフリート、および、
参照により全体が本明細書に組み込まれるものとする本願人の国際特許出願番号PCT/
CA2016/050484、PCT/CA2019/050404、PCT/CA20
19/050815、およびPCT/CA2019/050816に開示されているもの
と同等または類似のタイプの互換性のある保管ユニット127または保管ビンを採用する
【0126】
図16は、本明細書の一実施形態による、図15に示す構成された移行経路に基づいて
、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)100の保管ゾーンから、本明細書では「ビン」と
呼ばれる保管ユニットを回収して返却するために、コンピュータ化制御システム(CCS
)からのコマンドに応じて、ロボット保管/回収車両(RSRV)によって実行される方
法のフローチャートを示す。図16では、マルチゾーンASRS100の保管ゾーンから
ビンを回収して返却するために、RSRVとCCSとの間で協調的に実行される制御論理
ルーチンを示すフローチャートである。図16に示されたフローチャートでは、実施され
る方法のステップは、フローチャートの左側に丸で囲んだ数字でラベル付けされている。
これらの丸で囲んだ数字は、図15に示したマルチゾーンASRS100の3次元(3D
)格子構造の保管構体マップにおいても、方法のステップが発生するRSRVの移行経路
のポイントを示すために示されている。フローチャートの右側にある番号付きの矩形ブロ
ックは、図15に図示されたマルチゾーンASRS100の、方法のステップが発生する
付近のバッファスポット112aおよび112bを示している。本明細書に開示された方
法では、RSRVは、図15に図示された上部トラックレイアウト122の第1トラック
エリア122aに存在し、図示された例では、常温の第1保管ゾーン101(ゾーン1)
の保管場所に荷置きされる予定の不要な常温のビンを運ぶ。ステップ1601で、CCS
は、常温の、第1保管ゾーン101に現在存在している利用可能なRSRVsの中から、
任意の保管ゾーンから保管ビンを回収するタスクを既に受けていないこのRSRVを選択
する。
【0127】
CCSは、利用可能なRSRVsのうち、どのRSRVが最も長い期間常温条件にあっ
たか、すなわち、どのRSRVが冷却された第2保管ゾーン102(ゾーン2)および第
3保管ゾーン103(ゾーン3)の外部に最も長くいたかという評価に基づいて、クール
ビン回収タスクのために利用可能なRSRVsのうちの1つを選択する。一実施形態では
、CCSは、RSRVsが冷却された保管ゾーン102または103のいずれかから退出
する退出時間を記録し、その退出時間を図10cに図示されたCCSのローカル施設デー
タベースのロボット情報テーブルのレコードに格納することによって、冷却された保管ゾ
ーン102および103における各RSRVの存在および不在を追跡する。クールビンの
回収が必要な場合、CCSは、利用可能なRSRVsの記憶された退出時間を比較して、
どのRSRVが冷却された保管ゾーン102および103から最も長く不在であったか、
すなわち、どのRSRVが第1保管ゾーン101および作業ステーション114および1
15の常温条件に最も長くいたかを判断し、このRSRVをクールビンの回収タスクに選
択する。他の実施形態では、クールビン回収タスクのためのRSRVの優先順位付けされ
た選択を実施する、またはそれに寄与する代替手段または追加手段が採用され、例えば、
各RSRV上の1つまたは複数の温度センサを使用して、RSRVの現在の動作温度に少
なくとも部分的に基づいてRSRVを選択し、より低い動作温度のものよりも高い動作温
度のものを優先し、後者は冷却された保管ゾーン102および103のうちの1つにおけ
るより最近の存在を示している。一実施形態では、CCSはまた、冷却された保管ゾーン
102または103における存在または不在の退出時間または他の尺度に関係なく、冷却
ビン回収タスクのためのRSRVの選択において動作温度の違いを使用する。例えば、C
CSは、その上昇した温度が、相対的なビンの重さや以前の回収タスクの移行距離などの
他の要因に起因する可能性があり、過熱を防ぐために冷却された保管ゾーン102および
103に対する曝露から利益を得る可能性がある、より高温で走行するRSRVを優先す
る。
【0128】
さらに、クールビン回収タスクに割り当てるようRSRVを選択してあるステップ16
02において、CCSは、RSRVがすでに上部トラックレイアウト122にいる場合を
除き、そのRSRVに対して、下部トラックレイアウト126から外側シャフト124a
の1つを介して上部トラックレイアウト122まで移行するように指令する。その後、C
CSは、RSRVに対して、図1~3に図示された第2保管ゾーン102の入口ポータル
108a近傍の第1保管ゾーン101のバッファスポット112aの1つに隣接する上部
トラックレイアウト122上のスポットに移行し、また、RSRVで現在運ばれている常
温のビンをバッファスポット112aに降ろすように指令する。
【0129】
第2保管ゾーン102の近傍に配置された第1保管ゾーン101のこのバッファスポッ
ト112aにこの不要な常温のビンを降ろした後、ステップ1603で、CCSは、RS
RVに対して、近くの上部入口ポータル108aを介して冷却された第2保管ゾーン10
2の上部屋根裏空間に進入し、また、ステップ1608で、現在割り当てられているRS
RVによって後で同様に実施されるように、別のRSRVによって以前にバッファスポッ
ト112bに荷置きされた、不要なクールビンが存在する第2保管ゾーン102のバッフ
ァスポット112bの1つに隣接するピックアップスポットに移行するよう指令する。ス
テップ1603で、CCSは、RSRVに対して、第2保管ゾーン102のバッファスポ
ット112bからRSRVの上部支持プラットフォームに不要なクールビンを積み込むよ
うに指令する。
【0130】
ステップ1604で、CCSは、必要のないクールビンをそのとき運んでいるRSRV
に、標的となるクールビンを含む保管カラム123がアクセス可能なアクセスシャフト1
24を覆う上部トラックレイアウト122の第2トラックエリア122bのスポットに移
動するように指令する。CCSは、このアクセスシャフト124に隣接する保管カラム1
23の1つで、例えば、標的クールビンの保管位置と等しいか、それ以上の3Dグリッド保
管構造のレベルで、利用可能な保管場所または占有されていない保管場所を特定し、ステ
ップ1605で、不要なクールビンを運ぶRSRVに、アクセスシャフト124を利用可
能な保管場所のレベルまで下降して、不要なクールビンを利用可能な保管場所に荷置きす
るように指令する。ステップ1606で、CCSは、今はビンのないRSRVに、例えば
、下降方向に、不要なクールビンのための利用可能な保管場所が同じアクセスシャフト1
24内のより高いレベルで利用可能であったと仮定して、標的クールビンが存在する保管
場所まで同じアクセスシャフト124内を移行し、この保管場所から標的クールビンを回
収して、RSRVの上部支持プラットフォームに標的クールビンを積み込むように指令す
る。
【0131】
上に開示されているように、不要なクールビンが荷置きさせられる選択された利用可能
な保管場所は、例えば、第2保管ゾーン102のバッファスポット112bから、標的ク
ールビンが配置されているのと同じアクセスシャフト124を通って、図3に図示されて
いる下部出口ポータル109aに至るRSRVの全体的な移行経路において、標的クール
ビンの保管場所の上流に存在するように、標的クールビンが存在する保管場所と同等のレ
ベルまたはそれ以上のレベルに存在し、下部出口ポータル109aからRSRVは、最終
的に冷却された第2保管ゾーン102から退出する。この方法では、選択された利用可能
な保管場所は、第2保管ゾーン102のバッファスポット112bから標的クールビンの
保管場所までの途中に存在し、それによって、RSRVは、不要なールビンを荷置きした
後に、標的クールビンの保管場所まで戻って上昇する上流方向に移行するために、その全
体的な移行経路に沿ったどの時点でも方向を反転させる必要がない。
【0132】
別の例では、選択された利用可能な保管場所は、例えば、保管されたクールビンによっ
て占有されてない空いた上流の保管場所がない状況では、標的クールビンの保管場所より
も低いレベルに代替的に配置される。この例では、選択された利用可能な保管場所は、R
SRVの全体的な移行経路において、標的クールビンの保管場所の下流に存在しており、
またしたがって、RSRVは、不要クールビンを荷置きした後に一時的に方向を反転させ
て、不要なクールビンの荷置きされた保管場所から標的クールビンの保管場所まで上昇す
る上流方向に移行するように構成されている。上流方向にRSRVのそのような瞬間的な
バックトラッキングを必要とするにもかかわらず、利用可能な下流の保管場所は、第2保
管ゾーン102のバッファスポット112bから、標的クールビンがアクセス可能な同じ
アクセスシャフト124を介して下部出口ポータル109aまでのRSRVの同じ全体的
な移行経路上に依然として存在するが、第2保管ゾーン102のバッファスポット112
bから標的クールビンの保管場所までの途中経路ではなく、標的クールビンの保管場所か
ら下部出口ポータル109aまでの途中経路に配置される。標的クールビンの保管場所に
対する上流または下流の関係にかかわらず、CCSは、RSRVが冷却された第2保管ゾ
ーン102内の複数のアクセスシャフト124間での移行、及びそこに対する出入りする
遷移の必要性を回避することで、不要クールビンのための利用可能な保管場所を選択する
ことにより、第2保管ゾーン102内のRSRVの全体的な占有時間を低く保つ。
【0133】
ステップ1607では、RSRVが不要クールビンを荷置きし、標的クールビンを回収
した後、CCSはビンを運ぶRSRVに、アクセスシャフト124を下部トラックレイア
ウト126まで降下し、フルスパン隔壁104の下部出口ポータル109aを介して冷却
された第2保管ゾーン102を退出して、常温の第1保管ゾーン101を通って、CCS
によって受注処理される発注品が割り当てられている標的作業ステーション114または
115まで移行するように指令する。標的作業ステーションは、図15に例示的に示され
ているように、単一ポイント作業ステーション114または多重ポイント作業ステーショ
ン115である。CCSは、作業ステーション114または115を介して、ピッキング
ポート117aまたは117bの下方にあるアクセススポットへのRSRVの移行を指令
し、RSRV上に運ばれた回収されたクールビンから製品がピッキングされると、その下
部トラックレイアウト126において、マルチゾーンASRS100の常温の第1保管ゾ
ーン101へのRSRVの再進入を指令する。
【0134】
ステップ1608で、CCSは、RSRVに、3D格子構造保管構体の外側シャフト1
24aの1つを通って上方に移行するように指令し、それによって、回収されたクールビ
ンを3D格子構造保管構体の上部トラックレイアウト122に運ぶ。ステップ1609で
、CCSは、以下のことを指令する、すなわち、(a)RSRVをその入口ポータル10
8aを介して冷却された第2保管ゾーン102に再進入させ、それによって、以前に回収
され、現在は必要とされていないクールビンを冷却された第2保管ゾーンに戻すこと 、(
b)RSRVを、第2保管ゾーン102のバッファスポット112bのうちの利用可能な
1つに隣接するスポットに移動させること、及び(c)第2保管ゾーン102から別の標
的クールビンを後で回収するタスクを持つ別のRSRVが後にピックアップするために、
RSRVからその利用可能なバッファスポット112bに今は必要のないクールビンを荷
降ろしすることを指令する。ステップ1610で、CCSは、ビンのないRSRVに、冷
却された第2保管ゾーン102を退出して、3D格子構造保管構体の上部トラックレイア
ウト122の第2保管ゾーン102の上部出口ポータル109aを通って、常温の第1保
管ゾーン101に戻るように指令する。RSRVが上部トラックレイアウト122で常温
の第1保管ゾーン101に戻ると、CCSはRSRVに対して、第1保管ゾーン101の
バッファスポット112aの1つから不要な常温のビンをピックアップするように指令し
、それによって、別のクールビン回収タスクに割り当てられた別のRSRVによる別の不
要な常温のビンを受け入れるために、そのバッファスポット112aを解放する。一実施
形態では、次のビン割り当てステップ1611のために、CCSは、不要な常温のビンを
ピックアップしたRSRVを常温のビン回収タスクに割り当て、その間、RSRVは、標
的常温ビンを回収すべき同一アクセスシャフト124からアクセス可能な利用可能な保管
場所に、そのとき運ばれている不要な常温ビンを荷置きするように構成される。この利用
可能な保管場所は、常温ビン回収タスクの標的常温ビンが存在する保管場所の上流または
下流に存在してもよい。
【0135】
前述の方法は、標的クールビンを含む冷却された保管ゾーン102または103内で、
いずれか1つのRSRVが費やす時間を最小限にするものであり、CCSは、常温の第1
保管ゾーン101内の冷却された保管ゾーン102または103の外で開始するRSRV
に、クールビンの回収タスクを割り当てる。割り当てられたRSRVは、以前にバッファ
リングされたクールビンを、RSRVが回収するようにタスクを与えられた標的クールビ
ンと同一アクセスシャフト124からアクセスされた利用可能な保管場所に荷置きし、ま
たバックエンドでは、RSRVは、回収されたクールビンを、図15に示された冷却され
た保管ゾーン102または103の上部トラックエリア122bまたは122c上のバッ
ファスポット112bまたは112cにのみ戻し、RSRVが冷却された保管ゾーン10
2または103内へのさらなる移行を必要とする利用可能な保管場所には戻さない。この
方法では、不要なクールビンは、利用可能な保管場所への荷置きのためにアクセスシャフ
ト124を下って不要なクールビンを運ぶよう、冷却された保管ゾーン102または10
3内で同一RSRVに追加の時間を課すことなく、適切な環境制御された保管ゾーンでバ
ッファリングされる。代わりに、ビンの回収および返却プロセス全体の戻り経路では、R
SRVは、今は不要なビンをバッファスポット112bまたは112cに荷降ろしするた
めに冷却された保管ゾーン102または103に短時間だけ入り、またその後、任意なア
クセスシャフト124を移行する、又は別の標的クールビンを回収することなく、冷却さ
れた保管ゾーン102または103から即座に退出する。
【0136】
図示された実施形態では、製品がピッキングされるべき回収されたビンがRSRV上で
作業ステーション114および115を通って運ばれるドライブスルー作業ステーション
114および115を使用しているが、他の実施形態では、代替的に荷降ろし(ドロップ
オフ)作業ステーション、例えば、コンベアのみの作業ステーションを採用しており、こ
の場合、ビンの回収および返却プロセスの戻り経路は、回収タスクを実行した異なるRS
RVによって実行される。一実施形態では、冷却された保管ゾーン102または103の
バッファスポット112bまたは112cでの返却された冷却ビンの同じ短時間の荷降ろ
しと、そのような荷降ろしの後のRSRVの迅速な再退出は、不要な冷却ビンを冷却され
た保管ゾーン102または103に戻すこのRSRVが、以前にその同じビンを回収した
同一RSRVであるかどうかにかかわらず、冷却された保管ゾーン102および103の
厳しい動作条件でRSRVが費やす時間を最小限にするために使用される。別のRSRV
または冷却された保管ゾーン102および103の外部で十分な時間を費やした後に一旦
気温的に再順応した同一RSRVにその後依存して、バッファリングされたクールビンを
、別の標的クールビンのその回収に向かう途中に配置された利用可能な保管場所に荷置き
することも、冷却された保管ゾーン102または103のアクセスシャフト124を通る
1回の行程を使用して、新たに標的クールビンを回収し、以前に戻されたクールビンを荷
置きすることによって、冷却された保管ゾーン102および103でRSRVが費やす時
間を最小化するのに役立つ。冷却された保管ゾーン102および103内でRSRVが費
やす時間を最小化するためのこれらの技術は、冷却された保管ゾーン102および103
内の厳しい動作条件を最適に処理するように特別に構成された寒冷環境用RSRVのコス
トをかけることなく、純粋に常温のASRSで使用されるような同一タイプの標準化され
たRSRVによる汎用フリートの使用を可能にする。
【0137】
本明細書の詳細な実施形態は、常温および冷却された環境条件によって特徴付けられる
3D格子構造保管構体の複数のゾーンに関するものであるが、他の実施形態では、1つま
たは複数の保管ゾーンでRSRVが費やす時間を最小限にするための、3D格子構造保管
構体の孤立した保管ゾーンへの同様の分割およびRSRVの戦略的ナビゲーションが、残
りの他の保管ゾーンと比較して1つまたは複数の保管ゾーンで厳しい環境を表す特定環境
の違いに関係なく採用される。例えば、一実施形態では、マルチゾーンASRS100は
、常温条件よりも高い温度に加熱された加温ゾーンを伴う常温ゾーンで構成されており、
例えば、加温された保管ゾーンからの加温された食品で食品または食事の受注処理をする
ために、この場合、加温ゾーンの高い温度は、RSRVにとってより厳しい動作環境を示
し、そのため、本明細書に開示されている技術のいくつかまたはすべてを使用してその曝
露時間が制限される。温度に加えて、保管ゾーン間で変化させることができる別の環境条
件の例は湿度であり、1つまたは複数の湿度制御された保管ゾーンがそれぞれの湿度範囲
で動作するように構成されており、3D格子構造保管構体の外側における周囲環境を制御
する施設の任意な湿度制御設備を超える任意な専用湿度制御を欠いている1つの常温湿度
保管ゾーンが付随する。
【0138】
別の例では、完全に包囲された第2保管ゾーン102または第3保管ゾーン103に保
管されている高セキュリティ商品と、より環境的に開放された第1保管ゾーン101に保
管されている低セキュリティ商品のように、そこに保管されている製品カテゴリが異なる
ために、様々な実施形態において、保管ゾーンを互いに物理的に隔離することに重点を置
いてもよく、セキュリティが、例えば、価値のあるもの、銃器、弾薬、医薬品などまたは
それらの組み合わせの製品アイテムの安全性によって定義されているかどうかも問われる
。別の例では、ナッツ、アレルゲンなどのアレルゲンと非アレルゲンの食品や製品を物理
的に隔絶して、クロスコンタミネーションを防ぐ。別の例では、異なるベンダーや顧客が
、在庫管理や受注追跡の正確性を確保するために、自分の供給品や受注品と他の人の供給
品や受注品との物理的な分離を要求することがある。別の例では、可燃性またはその他の
危険な物品は、包囲された保管ゾーンの1つで他のものから隔絶され、1つまたは複数の
包囲された保管ゾーンは、例えば、特に可燃性または危険な物品のために、臭いおよび/
または有害な物質の保管のための換気の増加、および/または施設の既存の消火手段を増
強するための追加または特殊な消火装置の包含などの安全関連設備の点で、1つまたは複
数の他の保管ゾーンとは異なる。可燃性の物品が収容された保管ゾーン102および10
3に保管されている場合、一実施形態では、その境界壁は、特に難燃性の建設技術および
材料を採用する。
【0139】
マルチゾーンASRS100の図示された実施形態では、3D格子構造保管構体内に在
庫を保持するためにオープントップ保管ユニットを使用しているが、他の実施形態では、
在庫を保管することができる様々な保管ユニットが、同様に分離された保管ゾーンに分割
された3D格子構造保管構体に保管される。それらの保管ユニットの特定の形状およびス
ケール、ならびに3D格子構造保管構体の対応する構成およびスケールにかかわらず、し
たがって、本明細書では、「保管ユニット」という用語は、例えば、ビン、トート、トレ
イ、ボックス、パレット、ゲイロードなどの任意の多様な在庫ホルダを指すために使用さ
れる。図示された実施形態の3D格子構造保管構体は、保管場所の3Dアレイを構成する
3D格子構造保管構体の上部及び下部にそれぞれ存在する上部及び下部双方のトラックレ
イアウト122及び126を採用しているが、他の実施形態は、3Dアレイの上部または
下部のいずれかに単数のトラックレイアウトを有するグリッドを構成している。上に開示
したように、作業ステーションは、必ずしもRSRVsが完全に作業ステーションに進入
するトラベルスルー型である必要はなく、したがって、作業ステーションは、それに応じ
て、例えば、3D格子構造保管構体のトラックレイアウト126に直接隣接して配置され
るか、または延長トラックによってそれに連結される必要はなく、RSRVドロップオフ
ポイントと、作業員が保管ユニットと相互作用する作業ステーションのアクセスポイント
との間で保管ユニットを取扱い処理するために、代替的な搬送手段が代替的に採用されて
もよいからである。
【0140】
また、本実施形態では、協働的な3D格子構造保管構体およびRSRV構成を採用して
おり、RSRVsがアクセスシャフト124を介して全体的に上下に移行し、RSRVs
は4つの異なる作業位置で操作可能であり、任意のアクセスシャフト124の任意な側面
にある保管カラム123に横方向にアクセスすることができる。他の実施形態は、保管ユ
ニットが互いに直接積み重ねられ、ロボットハンドラーによって頭上から取り出されるタ
イプのスタック・アンド・ディグ手法を採用しており、各ロボットハンドラーは、上部ト
ラックレイアウトの上に留まり、2つの水平次元のみで移行する車輪付きシャーシを有し
、スタックの最上部の保管ユニットのみに対する直接的オーバーヘッド関係で相互作用す
るために下降可能なクレーンに依存している。図示された実施形態では、各保管ユニット
が回収又は荷置きされるアクセス場所とは、保管ユニットが荷置き又は回収される保管場
所にRSRVが横方向に到達する隣接するアクセスシャフト124内の空間に言及するが
、別の実施形態では、保管ユニットが回収又は荷置きされるアクセス場所は、保管ユニッ
トが積み重ねられる又は積み重ね可能な保管カラム123の上側にある上部トラックレイ
アウトのスポットである。
【0141】
図17は、本明細書の一実施形態による、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)の保管ゾ
ーンから保管ユニット(本明細書では「ビン」と称する)を回収するために、コンピュー
タ化制御システム(CCS)からのコマンドに応答して、ロボット保管/回収車両(RS
RV)によって実行される方法のフローチャートを示す。マルチゾーンASRSが、常温
の第1保管ゾーンであるゾーン1と、冷却された第2保管ゾーンであるゾーン2とを備え
る例を考える。ステップ1701で、CCSは、図15~16の詳細な説明に開示されて
いるように選択されたRSRVにビンピックタスクを割り当てる。ステップ1702で、
CCSは、RSRVに、マルチゾーンASRSの3次元(3D)保管構体の上部トラック
レイアウトに移行し、第1保管ゾーンのバッファスポットに不要なビンを降ろすように命
令する。ステップ1703で、CCSは、RSRVに対して第2保管ゾーンに進入するよ
うに指令し、図10cに図示されているように、ローカル施設データベースのロボット情
報テーブルに、RSRVが第2保管ゾーンに進入した時間、すなわち、Last_TempZone_En
try_Timeを記録する。ステップ1704で、CCSは、RSRVに対して、第2保管ゾー
ンのバッファスポットから不要なビンを積み込むように指令する。ステップ1705で、
CCSは、RSRVに対して、第2保管ゾーン内の必要なビンを含むアクセスシャフトま
たはダウンシャフトをナビゲートして進入するように指令する。ステップ1706で、C
CSはRSRVに、空いている保管場所に降りて、必要のないビンを片付けるように指令
する。ステップ1707で、CCSは、RSRVに対して、第2保管ゾーン内の必要なビ
ンを含む保管場所に移行し、必要なビンを積み込むよう命令する。ステップ1708で、
CCSは、必要なビンを運ぶRSRVに対して、3D格子構造保管構体の下部トラックレ
イアウトに降りて遷移し、第2保管ゾーンから退出するように指令する。CCSは、ロー
カル施設データベースのロボット情報テーブルに、第2保管ゾーンからRSRVが退出し
た時刻、すなわちLast_TempZone_Exit_Timeを記録する。CCSは、第2保管ゾーンに最
近存在したRSRVよりも、第2保管ゾーンからの不在期間が長いRSRVを優先するた
めに、割り当てられた各RSRVのLast_TempZone_Entry_TimeおよびLast_TempZone_Exit
_Timeを、ローカル施設データベースのロボット情報テーブルに記録する。プロセスは、
第2保管ゾーンにおけるビンピックタスクの完了で終了する(ステップ1709)。
【0142】
第2保管ゾーンのバッファスポットから不要なビンが回収された後、CCSは、必要な
ビンを含む保管カラムに含まれる空きまたは占有されていない保管場所に基づいて、不要
なビンを片付けるための保管場所を選択する。必要のないビンを保管カラムの空いている
保管場所に片付けた後、RSRVは必要なビンまで移行し、保管場所から必要なビンをピ
ックアップして、第2保管ゾーンから退出する。
【0143】
図18は、本明細書の一実施形態による、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)の保管ゾ
ーンから保管ユニット(本明細書では「ビン」と称する)を返却するために、コンピュー
タ化制御システム(CCS)からのコマンドに応答して、ロボット保管/回収車両(RS
RV)によって実行される方法のフローチャートを示す。マルチゾーンASRSが、常温
の第1保管ゾーンであるゾーン1と、冷却された第2保管ゾーンであるゾーン2とを備え
る例を考える。ステップ1801で、CCSは、図15~16の詳細な説明に開示されて
いるように選択されたRSRVに、ビン片付けタスクを割り当てる。ステップ1802で
、CCSは、RSRVに、アクセスシャフトまたはアップシャフトに移動し、マルチゾー
ンASRSの3次元(3D)保管構体の上部トラックレイアウト上に移行するよう指令す
る。ステップ1803で、CCSはRSRVに対して、マルチゾーンASRSの第2保管
ゾーンに進入し、第2保管ゾーンのバッファスポットに不要なビンを降ろすよう指令する
。ステップ1804で、CCSは、RSRVに対して、第1保管ゾーンに戻り、第1保管
ゾーンのバッファスポットから不要なビンを積み込むように指令する。プロセスは、次の
タスク、例えば、第1保管ゾーンにおける不要なビンの次のビン片付けタスク割り当てで
終了する(ステップ1805)。
【0144】
図19は、本明細書の一実施形態による、コンベアシステム145を介してマルチゾー
ンASRS100に取り付けられた作業ステーション143および144を示す、マルチ
ゾーン自動倉庫(ASRS)100の部分斜視図である。本実施形態では、コンベヤシス
テム145は、マルチゾーンASRS100の3次元(3D)格子構造の保管構体の下部
トラックレイアウト126に動作可能に結合されている。コンベヤシステム145は、3
D格子構造保管構体の周側面の1つから外方に突出する。図19に図示されているように
、1つまたは複数の単一ポイント作業ステーション、例えば、受注ピッキング作業ステー
ション143および受注管理作業ステーション144が、コンベヤシステム145に直接
取り付けられている。
【0145】
図19に例示的に示されるように、空の受注トート1901aは、受注ピッキング作業
ステーション143のピッキングポート143bに隣接するカウンタートップ143aに
手動で積み重ねられる。受注を開始すると、マルチゾーンASRS100のコンピュータ
化制御システム(CCS)から受け取った命令に従って、受注ピッキング作業ステーショ
ン143それぞれのピッキングポート143bにいる作業者、例えば、人間の作業者また
はロボット作業体が、それぞれのピッキングポート143bに差し出された保管ユニット
127から受注に定義された製品アイテムをピックアップし、製品アイテムをそれぞれに
対応する受注トート1901aに配置する。ピッキング処理を完了し、受注処理を遂行す
る際に、CCSから受け取った命令に従って、作業者は、ピッキングした受注を含む受注
トート1901bをコンベアシステム145に載せる。同様に、他の受注ピッキング作業
ステーション143の他の作業者は、それぞれのピッキングされた受注品が入った他の受
注トート1901bを、コンベヤシステム145に載せる。コンベアシステム145は、
ピッキングされた受注品を含む受注トート1901bを、図19に示されるように、受注
管理作業ステーション144に近接する、コンベアシステム145のトート集積エリア1
45aに搬送する。受注管理作業ステーション144では、受注トート1901bに含ま
れる既にピッキングされた受注品は、マルチゾーンASRS100の受注ビン127aを
使用して保管され、また回収される。受注ビン127a各々は、その中に少なくとも1つ
の受注トート1901bを入れ子にする又は保管するように構成されている。例えば、図
19に示された受注ビン127aは、2つの受注トート1901bを保管するように構成
されている。受注管理作業ステーション144で、受注ビン127aからピックアップの
準備ができている受注トート1901bを回収すると、新たに完了した受注のための空の
トート空間または容量を生ずる。回収された受注トート1901bは、受注管理作業ステ
ーション144のカウンタートップ144aに置かれてもよい。CCSは、受注管理作業
ステーション144で作成される容量を予測し、それに応じて保管を目的とした受注トー
ト1901bを搬送する。ピックアップされている受注品がない場合、CCSは、受注管
理作業ステーション144に容量がないことを予想し、したがって、空トートスペースを
有する受注ビン127aを検索しまた特定する。受注管理作業ステーション144に容量
があるとき、すなわち、受注管理作業ステーション144に受注トート1901bを保管
するのに利用可能なトート空間を有する受注ビン127aがある場合、コンベヤシステム
145は、受注トート1901bを受注管理作業ステーション144に搬送し、ここで、
CCSから受け取った命令に従って、作業者、例えば、人間の作業者またはロボット作業
体が、ピックアップの準備ができている受注トート1901bを既に取り除いており、し
たがって、マルチゾーンASRS100に保管される新たに完了した受注のためのトート
空間を作成している。CCSから受け取った命令に従って、受注管理作業ステーション1
44の作業者は、受注トート1901bをコンベアシステム145から、受注管理作業ス
テーション144の配置ポート144bに差し出された受注ビン127a内に移動させる
。顧客がピックアップのために到着するとき、受注トート1901bは、受注管理作業ス
テーション144で回収され、また受注ビン127aから取り出され、アウトバウンドラ
ックに配置され、その後、受注トート1901bに入った新鮮なピックアップ受注品が受
注ビン127aに保管される。実施形態では、アウトバウンドラックは、受注管理作業ス
テーション144に隣接して配置された車輪付きのトートラックである。受注ビン127
aのすべてのトート空間がピックアップされる受注品で満たされるとき、空のアウトバウ
ンドラックが受注管理作業ステーション144まで手動で押し運ばれる。顧客のピックア
ップは、受注ビン127aに空のトート空間を作り、1:1の交換を可能にする。顧客に
配送されると、実施形態では、空の受注トート1901aが手動で収集され、受注ピッキ
ング作業ステーション143の隣に積み上げられる。コンベアシステム145は、したが
って、受注トート1901bに入ったピッキングされたばかりの受注品を、受注ピッキン
グ作業ステーション143から受注管理作業ステーション144に搬送するために使用さ
れる。
【0146】
図20A~20Bは、本明細書の一実施形態による、マルチゾーン自動倉庫(ASRS
)において発注品受注処理し、また保管するためのコンピュータ実装方法のフローチャー
トを示す図である。発注が受注処理され、図19に図示されたマルチゾーンASRS10
0に保管される必要がある(ステップ2001)例を考える。発注品は、図19に図示さ
れているように、マルチゾーンASRS100の受注ピッキング作業ステーション143
において、受注トートにピッキングされて配置される。マルチゾーンASRS100のコ
ンピュータ化制御システム(CCS)から受け取った命令に従って、作業者は、受注処理
された発注品が入った受注トートを、図19に図示されたコンベアシステム145に載せ
る(ステップ2002)。コンベアシステム145は、受注トートを、図19に図示されて
いるように、受注管理作業ステーション144に近接した、コンベアシステム145のト
ート集積エリア145aに搬送する(ステップ2003)。CCSは、受注トートをその
中に保管するために、図19に図示された受注管理作業ステーション144の配置ポート
144bで受注ビン127aが受け取られるかどうかを決定する(ステップ2004)。
受注管理作業ステーション144における受注ビンの利用可能性は、受注トートを配置す
るために受注ビン内に利用可能な空のトート空間があることを示す。受注ビンが受注管理
作業ステーション144で受け取られない場合、これは、ピックアップ発注品がなく、し
たがって受注トートを置くための受注ビン内の空のトート空間がないことを示すが、CC
Sは、マルチゾーンASRS100の保管ゾーンの1つから利用可能なトート空間を有す
る受注ビンを回収するために、割り当てられたロボット保管/回収車両(RSRV)にコ
マンドを発令する。
【0147】
図20Aに示されるように、受注ビンが受注管理作業ステーション144で受け取られ
ない場合、CCSは、発注品を含む受注トートがマルチゾーンASRS100の冷却され
た第2保管ゾーンであるゾーン2にゾーン分け又は保管すべきか否かを決定する。受注を
含む受注トートがゾーン分けされるべき場合、CCSは、図16~17の詳細な説明で開
示されているように、ゾーン2ビンピッキングプロセスを使用して、トート空間を有する
指定された受注ビンをピッキングするように、割り当てられたRSRVに命令する(ステ
ップ2006)。受注トートをゾーン分けすべきでない場合、CCSは、図13の詳細な
説明で開示されているように、常温の第1保管ゾーンから通常のビンピッキングプロセス
を使用して、トート空間を有する指定された受注ビンをピッキングするように、割り当て
られたRSRVに命令する(ステップ2007)。指定された受注ビンをピッキングした
後、CCSは、RSRVに、トート空間がある受注ビンを回収して受注管理作業ステーシ
ョン144に差し出すように指令する(ステップ2008)。受注管理作業ステーション
144で受注ビンを受け取り、その受注ビンが受注トートを保管するのに利用可能なトー
ト空間を有するであることを示している場合、コンベアシステム145は、保管すべき受
注トートをトート集積エリア145aから受注管理作業ステーション144に搬送する(
ステップ2009)。CCSから受信した命令に従って、受注管理作業ステーション14
4の作業者は、受注トートを受注ビンに入れる(ステップ2010)。CCSは、受注ト
ートを有する受注ビンが、マルチゾーンASRS100の冷却された第2保管ゾーンにゾ
ーン分け又は保管すべきかを決定する(ステップ2011)。受注トートを有する受注ビ
ンが冷却された第2保管ゾーンにゾーン分けすべき場合、CCSは、図16および図18
の詳細な説明で開示されているように、ゾーン2ビン片付けプロセスを使用して受注ビン
を片付けるよう、割り当てられたRSRVに命令する(ステップ2012)。受注トート
を有する受注ビンが冷却された第2保管ゾーンにゾーン分けすべきではなく、代わりに常
温の第1保管ゾーンに保管すべきである場合、CCSは、図13の詳細な説明で開示され
ているような通常のビン片付けプロセスを使用して受注ビンを片付けるように割り当てら
れたRSRVに命令する(ステップ2013)。RSRVは、受注ビンを片付けることを
遂行し、それによって、マルチゾーンASRS100に受注トートを保管する(ステップ
2015)。
【0148】
図21は、本明細書の実施形態による、顧客によるピックアップのためにマルチゾーン
自動倉庫(ASRS)から発注品を回収するためのコンピュータ実装方法のフローチャー
トを示す。発注品は、図19に示されるように、マルチゾーンASRS100の受注ビン
127a内に保管されている受注トートに保管されている。受注トートが顧客によるピッ
クアップのために要求されるとき(ステップ2101)、コンピュータ化制御システム(
CCS)は、受注トートがマルチゾーンASRS100の冷却された第2保管ゾーンであ
るゾーン2にゾーン分けまたは保管されているかを決定する(ステップ2102)。受注
トートが冷却された第2保管ゾーンにゾーン分けまたは保管されている場合、CCSは、
図16~17の詳細な説明で開示されているゾーン2ビンピッキングプロセスを使用して
、受注トートを収納する指定された受注ビンをピッキングするように、割り当てられたR
SRVに命令する(ステップ2103)。受注トートが冷却された第2保管ゾーンにゾー
ン分け又は保管されておらず、代わりにマルチゾーンASRS100の常温の第1保管ゾ
ーンに保管されている場合、CCSは、図13の詳細な説明で開示されているような通常
のビンピッキングプロセスを使用して、受注トートを収納する指定された受注ビンをピッ
キングするように、割り当てられたRSRVに命令する(ステップ2104)。CCSは
、RSRVに対して、指定された受注ビンを回収して、図19に図示された受注管理作業
ステーション144に差し出すように指令する(ステップ2105)。CCSから受信し
た命令に従って、受注管理作業ステーション144の作業者は、受注ビンから受注トート
を取り出し、受注トートを出庫ラックに配置する(ステップ2106)。CCSは、受注
トートが保管待機中であるか否かを決定する(ステップ2107)。或る実施形態では、
受注トートのピックアッププロセスと受注トートの保管プロセスは、1:1の交換である
。したがって、受注トートが保管待機中であるか否かの決定は、図19および図20A
20Bの詳細な説明で開示されているように、受注管理作業ステーション144で受注ビ
ンが受け取られたか否かの決定に対応する。すなわち、受注トートが顧客のピックアップ
のために受注ビンから回収され、それによって受注ビン内にトート空間が形成されると、
ピッキングされたばかりで、受注ピッキング作業ステーション143で受注トートに入れ
られ、図19に図示された受注管理作業ステーション144に搬送された発注品は、1:
1交換で双方のタスクを実施するために受注管理作業ステーション144におけるRSR
Vsの複数指し出しを最小限にするために、その同一受注ビン内に最適に保管される。
【0149】
受注トートが保管待機中である場合、CCSから受信した命令に従って、作業者は、受
注トートを受注ビンに入れる(ステップ2108)。CCSは、空の受注ビンまたはトー
トが入った受注ビンが、マルチゾーンASRS100の冷却された第2保管ゾーンにゾー
ン分けまたは保管されるべきか否かを決定する(ステップ2109)。受注ビンが冷却さ
れた第2保管ゾーンにゾーン分けすべきである場合、CCSは、図16および図18の詳
細な説明で開示されているように、ゾーン2ビン片付けプロセスを使用して受注ビンを片
付けるように、割り当てられたRSRVに命令する(ステップ2110)。受注ビンが冷
却された第2保管ゾーンにゾーン分けすべきではなく、代わりに常温の第1保管ゾーンに
保管すべきである場合、CCSは、図13の詳細な説明で開示されているような通常のビ
ン片付けプロセスを使用して受注ビンを片付けるように割り当てられたRSRVに命令す
る(ステップ2111)。RSRVは、受注ビンを片付けること(ステップ2112)を
遂行し、それによって、顧客のピックアップのために受注トートの回収を可能にする(ス
テップ2113)。
【0150】
図22は、本明細書の実施形態による、図8に示す供給施設と受取施設との間の在庫補
充ワークフローを実行するための、コンピュータ実装方法のフローチャートを示す。本明
細書の実施形態では、例えばマイクロ受注処理センターなどの受取施設の製品在庫を、例
えばマクロ流通センターなどの供給施設から誘導する方法を開示しており、そのうち少な
くとも受取施設は、本明細書で「ビン」と称される所定タイプの保管ユニットに適合する
タイプのそれぞれの自動倉庫(ASRS)を備えている。一実施形態では、ASRSは、
上で開示されたマルチゾーンASRSである。図22において、フローチャートは、供給
施設のコンピュータ化施設管理システム(FMS)と、複数の受取施設のうちの1つのコ
ンピュータ化制御システム(CCS)とが、受取施設のための在庫補充命令を満たすため
に協調動作的に実行する在庫補充ルーチンを示す。本明細書に開示された方法では、供給
貨物が、輸送車両に積載されて受取施設で受け取られる。供給貨物は、供給施設から出荷
された量の入来(incoming)ビンを含む。入来ビンは、供給施設からの、受取施設のため
の新製品在庫を収納する。輸送車両からの入来ビンは、受取施設からの送出(outgoing)
ビンと交換され、それにより送出ビンは、受取施設から供給施設への輸送のために輸送車
両に積み込まれる。新製品の在庫は、受取施設のASRS内に誘導される。入来ビンと送
出ビンの双方は、少なくとも受取施設のASRSと互換性のある同一の所定タイプである
。実施形態では、入来ビンは、送出ビンと同量で交換される。実施形態では、送出ビンは
、1つまたは複数の空のビンからなる。入来ビンと送出ビンを交換する前に、受取施設の
ASRSからの少なくとも1つの以前に空ではなかったビンを、少なくとも1つの空のビ
ンに変換し、この変換は、少なくとも1つの以前に空ではなかったビンからの内容物を受
取施設におけるASRSからの1つまたは複数の他の空ではないビンに統合整理すること
によって行う。少なくとも1つの以前に空でないビンを少なくとも1つの空のビンに変換
する前に、受取施設のASRSを制御するように動作可能なCCSは、以下のように受取
施設のASRSを制御するように動作可能な自動化されたステップの実行を介して、少な
くとも1つの空ビンの必要性を識別する。受取施設での供給貨物の受領に先立ち、CCS
は、供給施設からの入来(incoming)ビンと交換されるべき必要量の送出ビンを特定する
入来通信を受信する。CCSは、受取施設のASRSのビン在庫及び製品在庫が追跡及び
管理されているデータベースに照会し、現在利用可能な量の候補となる送出ビンを特定す
る。現在利用可能な量の送出ビン候補が送出ビンの必要量よりも少ないとの決定に従い、
CCSは、少なくとも1つの以前は空ではなかった在庫ビンを少なくとも1つの空ビンに
変換することを開始する。変換を開始するために、CCSは自動的にデータベースを照会
して、より少ない数のビンに統合整理できるように内容物が十分に少ない、少なくとも2
つの空ではなく満杯でないビンを特定する。さらに、CCSは、受取施設のASRSの少
なくとも1つのロボット保管/回収(RSRV)に対して、少なくとも2つの空ではなく
満杯でないビンを回収し、2つの空ではなく満杯でないビンを作業ステーションに配送す
るように指令する。さらに、CCSは、第1RSRVに対して、少なくとも2つの空でな
く満杯でないビンのうち最も空があるビンを回収するように指令し、また少なくとも1つ
の追加のRSRVに対して、2つの空でなく満杯でないビンの残りを回収するように指令
する。作業ステーションは、複数のビンアクセススポットを有する。CCSは、統合整理
に使用される作業ステーションの配置ポートに最も空があるビンを配送するように指令し
、また作業ステーションの別のピッキングポートに2つの空ではなく満杯未満のビンの残
りを配送するように指令する。
【0151】
一実施形態では、受取施設は、図1図6A図15、および図24に示されるように
、入庫レーン及び出庫レーンを有するビン交換エリア119を備える。入庫レーンは、輸
送車両からASRSへの入来ビンの入庫フローを取扱い処理するために、受取施設の出荷
ドックからASRSに向かって導く。出庫レーンは、ASRSから輸送車両への送出ビン
の出庫フローを取扱い処理するために、ASRSから出荷ドックに向かうよう外方に導く
。ビン交換エリア119の各レーンは、図1図6A図15図24に示されているよ
うに、コンベア120、121を有する。
【0152】
各ビンには固有のビン識別子(Bin_ID)が割り当てられている。CCSは以下のようにし
て入来ビンと送出ビンの交換を制御する。CCSは、受取施設またはその近くに輸送車両
が到着または接近したという通知を受け取る。CCSは、受取施設のASRSからビン交
換エリア119の出庫レーンに送出ビンを配送するようにRSRVに指令する。CCSは
、送出ビンを出庫レーンに配送した同一RSRVに対して、入庫レーンで入来ビンをピッ
クアップし、また入来ビンをASRSにより目的地に運ぶように指令する。RSRVが入
来ビンを運ぶように指令される目的地は、ASRS内の利用可能な保管場所である。一実
施形態では、送出ビンは、1つまたは複数の占有ビンからなる。別の実施形態では、占有
ビンの少なくとも1つは、1つまたは複数の顧客の返品を含む。別の実施形態では、占有
ビンの少なくとも1つには、1つまたは複数の期限切れ在庫アイテムが含まれる。別の実
施形態では、占有されたビンのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数のリコールされ
た在庫品目を含む。別の実施形態では、占有ビンの少なくとも1つは、1つまたは複数の
在庫移転を含む。
【0153】
図22に示すフローチャートは、在庫補充ワークフローのステップで構成されており、
入来ビン(ここでは「供給ビン」と称する)と送出ビンの上述した交換が管理され、また
実行される。補充発注が必要な場合(ステップ2201)、ステップ2202で 、受取
施設のCCSは、需要予測、例えばストック維持単位(SKU:Stock Keeping Unit)ラ
ンレート、及び受取施設で保有されている既存在庫に基づいて、必要な補充在庫を計算す
る。CCSは、現在庫レベル及び製品ランレートに基づいて、枯渇した在庫を補充するた
めに必要な製品及び数量を決定する。この計算に基づいて、CCSはステップ2203で
、インターネットなどの通信ネットワークを介して補充発注を生成し、供給施設のFMS
に送信する。或る実施形態において、このような通信は、施設間で直接行われるか、クラ
ウドベースのプラットフォームなどの媒介を経由して行われる。補充発注の詳細に基づい
て、媒介は、例えば、図8に例示した中央コンピューティングシステム801の中央デー
タベース803などのデータベース内における在庫記録、及び受取施設に対する相対的近
接性などに応じて、施設のネットワーク内における複数の候補の中から供給施設を選択す
る。ステップ2204で、供給FMSは、補充発注の詳細に応じて、必要な補充在庫を保
持および輸送するために必要な供給ビンの必要量および構成を含む、補充発注のための出
荷詳細を計算する。この文脈では、「構成」とは、特定の製品及び数量を複数の供給ビン
に分配して、出荷の空間及びビン数量効率を最適化する方法に言及する。一実施形態では
、ステップ2204および2205は、受取施設のCCSによって実施され、その結果は
供給FMSに送信される。別の実施形態では、ステップ2202、2203、2204お
よび2205は、クラウドベースのプラットフォームまたは中央コンピューティングシス
テム801によって実施され、その結果は、通信ネットワークを介してCCSおよび供給
FMSに送信される。
【0154】
ステップ2205で、供給FMSは、供給施設における実際の補充発注の受注処理前ま
たは処理中に、これら出荷詳細の幾つかまたは全部、および少なくとも供給ビンの数量を
、受取施設のCCSに送信する。一実施形態では、受取施設のCCSは、随意的に、ステ
ップ2206でビン整理統合プロセスを実施して、例えば、1:1の交換比率を最良に達
成または近似させるために、および/または輸送車両のビン容量を最適利用するために、
入来供給ビンと交換すべき送出ビンの量を最適化する。ビン整理統合プロセスでは、CC
Sがビン整理統合のためのコマンドを発令し、特定された量の空ビンを創出する。或る実
施形態では、ビン整理統合プロセスは、受取施設にある空ビンの量を増やすために、また
は、顧客返品、期限切れ在庫、リコール在庫、または在庫移転を、それによって占有され
る現在のビンの数からより少ない数のビンに整理統合するために実施される。受取施設で
の整理統合プロセスの実施と並行して、供給施設は、供給施設のASRSの作業ステーシ
ョンで、計算されて送信されたビンの数量および構成に従って、必要な補充在庫をASR
Sから受取施設に出荷するための供給ビンにピッキング及びコンパイル(集成)すること
により、補充発注を受注処理する。すなわち、ステップ2207において、供給FMSは
、数量および構成に応じて供給ビンの集合をトリガする。ステップ2208で、供給FM
Sは、供給施設の積込みドックで供給ビンを輸送車両に積載するためのコマンドを発令す
る。供給施設でこのとき装填された供給ビンは、自動または手動ベースで、輸送車両にお
ける保管アレイとして積載され、ステップ2209で、輸送車両は、受取施設における自
動誘導のために供給施設から受取施設まで運行する(ステップ2210)。
【0155】
図23は、本明細書の一実施形態による、在庫補充のために受取施設で「ビン」とも称
される保管ユニットの整理統合を実行するための、コンピュータ実装方法のフローチャー
トを示す。図23において、フローチャートは、例えばマイクロ受注処理センターなどの
受取施設において、複数の在庫ビンから在庫を整理統合し、それによって、例えばマクロ
流通センターなどの供給施設からの満杯供給ビンと交換可能な空のビンを創出するための
ビン整理統合シーケンスまたはプロセスを示している。施設、例えば、製品アイテムがビ
ンに保管されている自動保管及び回収システム(ASRS:Automated Storage and Reti
eval System)を構成する受取施設では、コンピュータ化制御システム(CCS)が、ビ
ンのサブセット(部分集合)の制限を解放するための方法を実行する。本明細書で開示さ
れる方法では、ビン及び製品アイテムが追跡及び管理されているデータベースから、CC
Sは、ビンの中から、現在製品アイテムを保持している少なくとも2つの空ではなく満杯
未満のビンを特定する。CCSは、ASRSの少なくとも1つのロボット保管/回収(R
SRV)に、作業ステーションへの配送のために、少なくとも2つの空でなく満杯未満の
ビンを回収するように指令する。CCSは、1つ以上の人的またはロボット作業体に、少
なくとも2つの空ではなく満杯未満のビンからより少ない量のビンに製品アイテムを整理
統合するよう命令し、それによって2つの空ではなく満杯でないビンのうち少なくとも1
つを少なくとも1つの空ビンに変換する。一実施形態では、CCSは、1つ以上の人的ま
たはロボットの作業体に、製品アイテムを、空ではなく満杯未満のビンのうち1つまたは
複数の第1非空満杯未満ビンから、空ではなく満杯未満ビンのうち1つまたは複数の第2
非空満杯未満ビンに整理統合するよう命令し、それによって、1つまたは複数の第1非空
満杯未満ビンを1つまたは複数の空ビンに変換し、1つまたは複数の第2非空満杯未満ビ
ンを1つまたは複数の今回における満杯ビンに変換する。別の実施形態では、CCSは、
満杯になったビンのうちの少なくとも1つを積込みドックに自動で、部分的自動で、また
は人力で移送して、満杯になったビンを、積込みドックで輸送車両により到着する、また
は予想される入来ビンの少なくともサブセットと交換するための命令を生成する。別の実
施形態では、CCSは、空のビンを入来ビンの別のサブセットと交換するために、1つま
たは複数の空のビンを施設の積込みドックに自動で、部分的自動で、または人力で移送す
るための命令を生成する。別の実施形態では、CCSは、積込みドックに到着する又は予
想される少なくとも1つの入来ビンと1つの空ビンを交換するため、受取施設の積込みド
ックへの少なくとも1つの空ビンを自動で、部分的自動で、または人力で移送するための
命令を生成する。
【0156】
一実施形態では、現在アイテムを保持している少なくとも2つの非空満杯未満ビンを特
定する前に、補充在庫が必要とされる受取施設のCCSは、他の場所に配送するために供
給施設から必要とされる送出(outbound)ビンの必要量を特定する着信通信を受信し、デ
ータベースに対して照会して、現在利用可能な送出ビン候補の量を特定し、現在利用可能
な送出ビン候補の量を送出ビンの必要量と比較し、それによって1つまたは追加の空のビ
ンを創出する必要性を決定する。前記着信通信は、前に補充発注が送信された供給施設か
ら受信され、そこから補充在庫を要求する。着信通信は、補充在庫が受取施設に輸送され
、受取施設からの送出ビンと交換される供給ビンの量を特定する。
【0157】
図23に示されたフローチャートは、図22に示された在庫補充のワークフローのステ
ップ2206において、受取施設で随意的に実施されるビンの整理統合プロセスのステッ
プを有する。受取施設のCCSは、供給施設の施設管理システム(FMS)から補充発注
のビンカウントを受け取る(ステップ2301)。ステップ2302で、CCSは、供給
施設のビン損失を最もよく補償するために必要な送出ビンの数を決定する、すなわち、理
想的には、送出ビンを入来供給ビンに対して1:1の比率で供給することである。このス
テップでは、CCSは、供給施設に向けられた、または最終目的地に向けて経路付け可能
な、顧客の返品ビン、期限切れの在庫ビン、および在庫移動ビンの会計処理を行う。供給
施設に向けられたビンの数が、必要な総送出ビンの数よりも少ない場合、CCSは、必要
な総送出ビンの数からこの特定された占有送出ビンの数を差し引き、全体の送出ビン要件
を満たすために必要な空ビンの量を決定する。図23に示す方法では、CCSは、ビンの
整理統合と空ビンの回収が、RSRVや受取施設の作業ステーションなどのASRSリソ
ースを使用する顧客発注の受注処理プロセスを中断しないように、供給施設でのビン補償
の必要性よりも受取施設での顧客発注の受注処理を優先し、したがって、ステップ230
3で、CCSは、ビンの整理統合タスクを実施するのに適した作業ステーション、例えば
、2ポイント式作業ステーション、およびRSRVが利用可能であるかどうかを決定する
。そのようなASRSリソースが現在利用できない場合、つまり、ASRSリソースが受
注処理タスクによって拘束されている場合は、そのようなリソースの制限が解放されるま
で、ビンの整理統合は遅延される。
【0158】
ステップ2303で、十分なリソースが利用可能であると判断された場合、ステップ2
304で、CCSは、ビンの補償ニーズを満たすために受取施設のASRSで空ビンの十
分な量がすでに利用可能かどうかを判断する。ビンの補償ニーズを満たすために受取施設
のASRSで利用可能な空ビンの十分な量がある場合、ビンの整理統合は必要なく、プロ
セスは終了する(2311)。ビンの補償ニーズを満たすために、受取施設のASRSで
利用可能な空ビンの量が十分でない場合、CCSは、「共通ストック・キーピング・ユニ
ット(SKU)ビン」とも称される、同一製品を収納する複数の在庫ビンの存在をチェッ
クし、またそのような存在を確認すると、共通SKUビンのうち複数の満杯でないビンが
あるかどうかをチェックし、そのうちで、最も空に近い満杯未満ビンの残量が、他の1つ
または複数の満杯未満ビンの利用可能な容量によって収容可能であるかどうかをチェック
する。複数の満杯未満のビンがある場合、ステップ2305及びステップ2306で、C
CSは1つのRSRVに対して、2ポイント式作業ステーションに配送するために最も空
に近いビンを回収するように指令し、また1つまたは複数の追加のRSRVに対して、最
も空に近いビンから製品物量を受け入れる容量を持つ1つまたは複数の他の満杯未満のビ
ンを回収し、それを同一2ポイント式作業ステーションに順次に配送して指し出すように
指令する。ステップ2307で、CCSは、最も空に近いビンを運ぶRSRVに対して、
2ポイント式作業ステーションのピッキングポートに移行するように指令し、ステップ2
308で、CCSは、1つまたは複数の他の満杯未満ビンを運ぶRSRVに対して、2ポ
イント式作業ステーションの配置ポートで順次に順番待ちの列に並ぶように指令する。ス
テップ2309で、CCSは、人的またはロボットの作業体に対して、最も空に近いビン
内の残りの製品アイテムをそこからピッキングし、他の満杯未満ビンが配置ポートに向け
て順次インデックス付けされるように、その残りの製品アイテムを1つまたは複数の他の
満杯未満ビンに配置するように命令する。ステップ2310で、CCSはローカル施設デ
ータベースを更新して、以前に最も空に近いビンの記録された状態を「空」に変更する。
このプロセスは、補充発注のビン補償ニーズを満たすのに十分な数のビンが空の状態にな
るまで、ステップ2303以降に繰り返される。したがって、ビンの整理統合プロセスは
、1つまたは複数の空ではないが満杯未満で空に近いビンの第1セットを、供給施設から
到着する予定の供給ビンと交換するために完全に空のビンに変換し、一方で、非空満杯未
満ビンの第2セットは、このとき完全に空になるビンから製品アイテムが追加されること
により、現在のより満杯に近いビンに変換されることになる。
【0159】
一実施形態では、補充発注品のピッキング、または供給施設からの少なくともその出荷
は、受取施設での十分な送出ビンの利用可能性を条件としており、供給施設のFMSは、
補充発注品をピッキングまたは出荷する前に、受取施設のCCSからの「十分な送出ビン
カウント数」確認信号を待つことができる。これは、在庫のある顧客の発注品を優先的に
受注処理することを意味する。これは、受注のピーク時間帯に受取施設ですでに手持ちの
在庫に基づいて遅延なく受注処理することができ、補充発注品の入庫輸送をオフピーク時
間帯まで遅らせることを意味し、このオフピーク時間帯では、受注の頻度がより低いため
、受取施設でより多くのASRSリソースの制限が解放され、補充発注品の出荷が条件と
なるビン整理統合プロセスの完了が可能になる。他の実施形態では、他の優先順位付けス
キームが採用される。前述のビン整理統合プロセスの例は、同一製品を収納する共通SK
Uビンに対して実施されるが、他の実施形態では、ビン整理統合は、その中に異なる製品
を収納する混合SKUビンの例でも実施される。これらの実施形態では、内部がそれぞれ
複数のコンパートメントに分割されている細分化されたマルチSKUビンが採用され、こ
の場合、各コンパートメントの占有または空の状態が、ビン整理統合の資格がある満杯未
満ビンの全体的な空き具合及び利用可能容量を測定するために使用される。
【0160】
1:1のビン交換は、施設間の予測可能で一貫性のあるバランスの取れたビンフローの
ために遂行される。別の実施形態では、補充発注の供給ビン数量が輸送車両のビン容量よ
りも少なく、供給施設以外の目的地への輸送を待機している大量の占有された送出ビンが
あるが、供給施設がクロス・ドックまたはスルー・ポイントとしての役目を果たすルート
上にある場合のシナリオ例では、送出空ビンは、供給施設が入来ビンの損失に対して不足
しないように、入来ビンと1:1の割合で交換されるとともに、過剰に占有されたビンの
幾つかを出荷する、又は送出空ビンを1:1未満で交換することさえして余分に利用可能
な車両能力を使用し、また、空ビンを受け取る施設から荷降ろしする必要性が空ビンで供
給施設を補償する必要性を上回る場合には、送出占有ビンの量を増やすこともある。
【0161】
他の実施形態では、受取施設のASRSにおける有用な製品在庫の同一整理統合は、入
来供給ビンと交換するために空在庫ビンを特別に創出する以外の目的、すなわち、それら
入来供給ビンが到着する供給施設のビンの損失を補償する以外の目的で実施される。例え
ば、大量の単一製品の発注を、それぞれがその製品の満杯未満または空に近い量を収納す
る多数の在庫ビンからピッキングすることは、より少ない量の満杯または満杯に近い在庫
ビンからその発注を満たすことよりも、時間及びリソースの効率がはるかに低い。したが
って、整理統合のための少なくとも2つの非空満杯未満の共通SKUビンの同一識別は、
図23に示された後続のステップ2305~2310の実行との組み合わせで使用するこ
とができ、これは、整理統合の動機が、図23に示された方法における先行する決定ステ
ップ2304および2304を駆動する補償的な空ビン要件ではない場合でも、使用する
ことができる。一実施形態では、前述のピッキング効率を動機としたビン整理統合プロセ
スは、RSRV及び作業ステーションなどのASRSリソースを拘束しないように、オフ
ピーク時に実施され、これらのリソースは、図23に示す方法のステップ2303で利用
可能性がチェックされる。
【0162】
他の実施形態では、受取施設の有用な製品在庫を整理統合して空の送出ビンを生成する
代わりに、同一のビン整理統合プロセスを使用して、受取施設のASRSに現在保管され
ている満杯未満のビンから、一般的に不要品として分類される顧客返品、期限切れ在庫、
リコール在庫、および在庫移転を整理統合して、そのような不要品によって占有されるビ
ンの量を削減する。例えば、このことは、そのような不要品によって占有されている保管
ビンの量が、予想される入来供給ビンの量を超えている、および/または、入来供給ビン
が予想され、不要品の少なくとも幾つかを出荷することが望ましい輸送車両の容量を超え
ている場合に有用である。したがって、整理統合プロセスは、不要品を保管するビンの初
期数量が元々そのような車両容量または入来ビン数量を超えていた場合、不要品を保管す
るビンの数量を、輸送車両のビン容量に等しい量または輸送車両に予想される入来供給ビ
ン数量に等しい量に減らすために使用することができる。代案として、不要品を保管した
ビンの初期数量がすでに車両容量または入来供給ビン数量を下回っている場合には、整理
統合プロセスを使用して不要品を保管したビンの数量を減らし、輸送車両における空の送
出ビンのための余裕をより多く確保することができ、これは、輸送車両に積み込まれた空
ビンが、受取施設のASRSに保管されている既に空ビンであるか、この不要品の整理統
合によって創出された1つまたは複数の空ビンであるか、および/または、図23の詳細
な説明で開示された方法における有用な製品在庫の整理統合によって創出された1つまた
は複数の空ビンであるかによる。別の実施形態では、不要品の整理統合は、ASRSにお
いてそのような不要品によって占有される保管ビンの数量を最小化する目的で、任意な補
充発注の詳細とは無関係に実行される。
【0163】
不要品の統合では、図23に示す方法は、整理統合に適した少なくとも2つの非空満杯
未満ビンに関してデータベースの同一の検索を実行するが、特に、有用な製品在庫ではな
く、不要品を収納しているとフラグが立てられたビンを探す。このような検索は、シナリ
オに応じて共通SKUビン間で実施される、又はされないことがあり得る。例えば、賞味
期限切れの商品の場合、特に、賞味期限切れの商品の性質が、例えば、危険物対非危険物
、堆肥化可能物対非堆肥化可能物、リサイクル可能物対非リサイクル可能物のように、選
別、分離、または特殊な取り扱いを要求しない場合、異なるSKUおよび製品カテゴリの
賞味期限切れの商品は、随意的に互いに同一ビンに整理統合される。顧客の返品またはリ
コールされた在庫の場合、一実施形態では、内容物がSKU、製造者/供給者、および/
またはそれら顧客の返品またはリコールされた在庫の意図された目的地によって関係付け
さているビンの間で検索が行われる。在庫移転の場合、実施形態では、内容物がSKUに
よって関係付けられているかどうかに関わらず、移転される在庫の意図された目的地によ
って関係付けられているビンの間で検索される。本明細書では、SKUという用語が使用
されているが、様々な実施形態では、例えば、ベンダーに依存しない万国製品コード(U
PC)を含む、他の一意的な製品識別子が使用される。したがって、ASRSは、複数の
ベンダーの在庫を保管し、またそのような複数のベンダーによって、またはそのベンダー
に代わって受け取った発注を受注処理するために任意に使用される。このような2つ以上
の整理統合可能なビンが特定されると、整理統合プロセスは、図23に示した方法のステ
ップ2305~2310に沿って進行する。有用な製品在庫の整理統合とは異なり、或る
実施形態では、整理統合された不要在庫を有する1つまたは複数の結果として生ずるビン
は、ASRSに戻して保管されるのではなく、随意的に占有された送出ビンとしてASR
Sまたは作業ステーションから排出され、例えば、以下に開示されるビン交換プロセスを
介して、輸送車両で到着する1つまたは複数の入来供給ビンと交換される。
【0164】
図24は、本明細書の一実施形態による、保管ユニットの交換および誘導を実行するた
めにコンピュータ化制御システム(CCS)によって構成されたロボット保管/回収車両
(RSRV)および保管ユニットの移行経路を示す、マルチゾーン自動倉庫(ASRS)
100の頂部から見た平面図である。図24に示されているように、マルチゾーンASR
S100は、2レーンのビン交換エリア119を備える。ビン交換エリア119は、マル
チゾーンASRS100の3次元(3D)格子構造の保管構体における下部トラックレイ
アウトからその一方の側面、図示されたマルチゾーンの実施形態ではその常温の第1保管
ゾーンで外方に広がる出庫(outbound)コンベア121を有する。ビン交換エリア119
は、3次元格子構造の保管構体の同一側における出庫コンベア121に隣接して平行関係
に存在する隣の入庫(inboud)コンベア120をさらに有する。各コンベア120、12
1の内方端部は、3D格子構造の保管構体における下部トラックレイアウトよりも低い高
さで、3D格子構造の保管構体における下部トラックレイアウト上のRSRVが、送出(
outgoing)空在庫ビンを出庫コンベア121に引き渡すように構成されており、例えば、
出庫コンベア121の内方端部で下部トラックレイアウトの周縁隣接スポットに設置され
た移送テーブルを介して、送出空在庫ビンを出庫コンベア121に引き渡し、その後、例
えば、同様に入庫コンベア120の内方端部で下部トラックレイアウトの周縁隣接スポッ
トに設置された別の移送テーブルを介して、入庫コンベア120から入来供給ビンを受け
取るように構成されている。入来供給ビン及び送出空在庫ビンが3D格子構造の保管構体
に進入及び退出する3D格子構造保管構体における下部トラックレイアウト上のスポット
は、例えば、移送テーブル上で、入庫コンベア120及び出庫コンベア121の内方端部
で、補給在庫が最初に3D格子構造保管構体に入る誘導ステーションの入庫ビンポート1
46および出庫ビンポート147と例示的に称される。以下の例では、特に送出空在庫ビ
ンについて言及しているが、上で開示した他の種類の送出ビン、例えば、顧客返却ビン、
期限切れ/不要在庫ビンなども、ビン交換エリア119を介して同様に入来供給ビンと交
換してもよい。
【0165】
図25は、本明細書の実施形態による、図24に示された構成移行経路に基づいて、本
明細書では「ビン」と称される保管ユニットの交換および誘導を実行するためのコンピュ
ータ実装方法のフローチャートを示している。誘導ステーションおよびビン交換エリアで
のビンの交換プロセスは、図25に示されている。図25において、フローチャートは、
例えばマイクロ受注処理センターなどの受取施設のコンピュータ化制御システム(CCS
)と、例えばマクロ流通センターなどの供給施設から到着した輸送車両のコンピュータ化
された車両管理システムとが協調動作して実行するビン交換ルーチン及びビン誘導ルーチ
ンを示している。図25に示すフローチャートのステップに隣接して配置された囲んだ数
字は、図24の平面図マップの図示されたビンの移行経路に沿ったポイントを表しており
、実線の経路は、例えば、図24に示すマルチゾーンASRS100のような自動倉庫(
ASRS)における3次元(3D)格子構造の保管構体の上部トラックレイアウト上の移
行を表し、破線の移行経路は、3D格子構造保管構体における下部トラックレイアウト上
の移行を表す。「R」と記された四角いボックスは、補充/供給(replenishment/supply
)ビンに関して取られたアクションを示し、「E」と記された四角いボックスは、空在庫
(empty inventory)ビンまたは他の送出(outgoing)ビンに関して取られたアクション
を示す。
【0166】
図25に示されたビン交換および誘導プロセスは、入来(incoming)供給ビンを運搬する
輸送車両が受取施設に到着することから始まる(ステップ2501)。ステップ2302
では、入来供給ビンを運搬する輸送車両の車両管理システム(VMS)が、広域無線ネッ
トワークを介して、及び随意的にクラウドベースのプラットフォームを介して、輸送車両
が受取施設に到着したこと、または受取施設に近づいたことを受取施設のCCSに通知す
る。入来供給ビンの管理を含む一連のステップは、送出空在庫ビンの管理を含む一連のス
テップに対して並列関係で実行される。
【0167】
図25の左側における供給ビン管理シーケンスから始めて、ステップ2503では、第
1供給ビンが、例えば、輸送車両の貨物カルーセルのプラットフォームから、及び或る実
施形態では完全に自動化ベースで、または随意的に手動支援ベースで、輸送車両から図2
4に示された入庫コンベア120に降ろされる。ステップ2504では、例えば、輸送車
両の保管アレイのそれぞれの保管場所、例えばカルーセルプラットフォームに積み込まれ
た各供給ビンのBin_IDをそのローカルコンピュータ可読メモリに以前に記録されていたV
MSによって、入庫コンベア120に積み込まれている供給ビンのBin_IDがCCSに通信
され、それによって、輸送車両の保管アレイのそれぞれのそのような場所からのそれぞれ
の供給ビンを降ろすことは、その供給ビンのBin_IDの受取施設のCCSへの転送をトリガ
するか、または関与する。輸送車両から供給ビンが降ろされている保管場所の固有のLoca
tion_IDに基づいてVMSによって転送されるのではなく、或る実施形態では、供給ビン
が入庫コンベア120に積み込まれるときに、適切に配置された自動化リーダー、または
人間が操作するリーダーによって、入来供給ビンのBin_IDが供給ビンからスキャンまたは
無線で読み取られる。
【0168】
一方、図25の右側における空ビン管理シーケンスでは、ステップ2509で、CCS
はRSRVに対して、図23の詳細な説明で開示されたビン整理統合プロセスで以前に特
定または作成され、それによって入来供給ビンとの交換のために指定された空ビンの最初
のものを3D格子構造保管構体から回収するように指令する。これに応答して、ステップ
2510で、RSRVは、3D格子構造保管構体における上部トラックレイアウトから、
この空ビンを収納する保管カラムに隣接するアクセスシャフトまで移行し、このアクセス
シャフトに遷移し、そこから空ビンの保管場所が存在するレベルまで降り、この保管場所
から空ビンを抽出し、この抽出された空在庫ビンを3D格子構造保管構体における下部ト
ラックレイアウトに降りて運び、そこからステップ2511で誘導ステーションに移行す
る。一方、供給ビン管理シーケンスでは、ステップ2505で、輸送車両から降ろされた
第1供給ビンが、入庫コンベア120上で誘導ステーションに向かって搬送され、誘導ス
テーションの搬入ポート146に到着する。
【0169】
空ビン管理シーケンスに戻り、3D格子構造保管構体における下部トラックレイアウト
上で最初に抽出された空在庫ビンを運ぶRSRVは、ステップ2512でこの空ビンを誘
導ステーションの出庫ポート147に降ろす。供給ビン管理シーケンスに戻ると、ステッ
プ2506で、誘導ステーションの出庫ポート147で第1空在庫ビンを降ろしたばかり
の同一RSRVが、次に、第1供給ビンをそれ自体に積み込み、ステップ2507で、3
D格子構造保管構体内の利用可能な保管場所に移行して、そこに供給ビンを荷置きする。
一実施形態では、上に開示された渦巻き移行パターンに従って、供給ビンのこの荷置きは
、まず、供給ビンを3D格子構造保管構体における外側シャフト124aで上部トラック
レイアウトまで運び、次に、図24の実線移行経路に示されるように、利用可能な保管場
所に隣接するアクセスシャフト124の上方スポットまでその上を移行し、次に、このア
クセスシャフト124を利用可能な保管場所のレベルまで下降してそこに供給ビンを荷置
きすることからなる。供給ビンの荷置きが成功したことを確認すると、ステップ2508
で、CCSは、ローカル施設データベースを更新して、今荷置きされた供給ビンのBin_I
Dを、供給ビンが正に荷置きされた保管場所のLocation_IDに登録し、それによって、供
給施設で供給ビンに装填された特定の補充在庫アイテムの場所が登録され、それによって
、これら在庫アイテムの受取施設のASRSへの誘導が完了する。一実施形態では、供給
ビンの特定の在庫内容は、供給ビン自体の動的に更新可能なコンピュータ可読メモリにロ
ーカルに保存されたデータを使用して識別され、ビン交換および誘導プロセス中にいつで
もCCSによって読み取られる。別の実施形態では、供給ビンの特定の在庫内容がBin_ID
と関連してクラウドプラットフォームのデータベースに保存され、そこからCCSがこの
データにアクセスして自身のローカル施設データベースを更新する。別の実施形態では、
ローカル施設データベースは省略され、CCSによってクラウドデータベースが更新され
、供給ビンの場所ステータスが、受取施設の固有のFacility_IDと、供給ビンが受取施設
に荷置きされたばかりの保管場所のLocation_IDで更新される。ローカル施設データベー
スの冗長性により、クラウドプラットフォームとの通信が停止した場合でも、ASRSの
運用が可能となる。
【0170】
一方、空ビン管理シーケンスのステップ2513では、誘導ステーションの出庫ポート
147で荷降ろしされた後、最初の空ビンは、図24に図示された出庫コンベア121で
受取施設の積込みドックに向かって搬送されている。積込みドックで出庫コンベア121
の外方端部に到達すると、空ビンは、ステップ2514で輸送車両に積み込まれ、その保
管アレイ内の特定の保管場所に配置される。この時点前またはこの時点で、VMSはこの
空ビン固有のBin_IDをCCSから受信するか、または空ビンが輸送車両に積み込まれてい
るときにVMSの適切なリーダーが空ビン自体からBin_IDをスキャンまたはワイヤレスで
読み取ることによって受信する。ステップ2515では、VMSはBin_IDを、空ビンが輸
送車両の保管アレイに配置された特定の保管場所のLocation_IDと関連付けて登録し、そ
れにより、同一輸送車両で以前に出荷された供給ビンを完全にまたは部分的に補償するこ
とを意図した空ビンの出荷とともに、輸送車両が供給施設に到着したときに、このBin_ID
を同一オプションの車両報告を行うことができる。プロセスは、入来供給ビン及び送出空
ビンの交換が成功した時点で終了する(ステップ2516)。
【0171】
図26は、本明細書の実施形態による、「保管ビン」とも称される保管ユニット127
の交換および誘導を実行するために、受取施設14に到着した輸送車両813の頂部から
見た斜視図である。輸送車両813は、例えばマクロ流通センターなどの供給施設と、例
えばマイクロ受注処理センターなどの受取施設14との間で保管ユニット127を輸送す
るために使用される。輸送車両813は、受取施設14の自動倉庫(ASRS)のより大
きな3次元(3D)3D格子構造保管構体と同様に、その中の所定数の保管場所の3Dア
レイを構成しており、それぞれがその中にそれぞれの保管ユニットを受け取るためのサイ
ズおよび構成であり、それぞれが、いつでも任意な保管場所に置かれた特定保管ユニット
の電子的追跡に使用するために、その中に割り当てられたそれぞれの場所アドレスを有し
ている。一実施形態では、施設によって使用される3D格子構造ベースのASRSの小規
模バージョンの代わりに、図示の実施形態では、その全体が参照により本明細書に組み込
まれている本願人のPCT国際出願番号PCT/IB2020/051721に開示され
ているように、例えばセミトレーラートラックのトレーラー、またはボックストラックま
たはバンの後部貨物室などの輸送車両813の後部貨物エリアに、1組のビンカルーセル
815を採用している。各ビンカルーセル815は、互いに横方向に間隔を空けた関係で
トレーラーの長手方向に走る1対の連続ループベルトまたはチェーンからなり、それぞれ
が、ベルトまたはチェーンをその連続ループ経路の周りで駆動するように動作可能な1対
のそれぞれのシーブまたはスプロケットの周りに巻き付けられている。一連のプラットフ
ォームは、各プラットフォーム上のそれぞれの保管ユニット127を着座支持する目的で
、2つの連続ループの間に一定の間隔で吊り下げられている。ベルト/チェーン駆動され
た動作は、このようにして、閉じたループ経路の上半分および下半分において、輸送車両
813の貨物エリアの長手方向にプラットフォームを反対方向に変位させ、それによって
、貨物エリアの後部積込みドアのすぐ内側に存在するビンカルーセル815の後端で、各
プラットフォームの積込み/積荷降ろし位置への移動を可能にする。
【0172】
各施設のローカルコンピュータ化施設管理システム(FMS)805および受取施設1
4のコンピュータ化制御システム(CCS)817に加えて、全体のコンピュータ化在庫
管理システムは、図8に図示されているように、クラウドベースのコンピュータプラット
フォームまたは中央コンピューティングシステム801、および各輸送車両813上のコ
ンピュータ化VMS814をさらに備える。クラウドベースのコンピュータプラットフォ
ームは、例えば、図8および図10~10Bに図示されている中央データベース803の
ように、サプライチェーンエコシステム内のすべての保管ユニット127のBin_IDと、
サプライチェーンエコシステムに保管されている在庫の製品カタログとを格納するデータ
ベースをホストする。そのような各VMS814は、クラウドベースのコンピュータプラ
ットフォームと通信可能なモバイル広域無線通信装置またはセルラー通信装置を構成し、
実施形態では、保管ユニット127上の無線通信ユニットが接続するように構成されたロ
ーカル無線ネットワークも構成する。VMS814は、バーコードのスキャン、無線周波
数識別子(RFID)の読み取り、または保管ユニット127上のモバイルデータ保管ユ
ニットとの無線通信のいずれかによって、そこに積み込まれる任意の保管ユニット127
のBin_IDを受信するように動作可能であり、それによって保管ユニット127の内容に
関するデータは、任意の施設での保管ユニット127の積み込み中に動的に更新され、そ
の後、任意の輸送車両813または施設による保管ユニット127の受取り時に読み取ら
れる。任意の施設での輸送車両813の積み込み中、VMS814は、例えば、輸送車両
813の一意的識別子であるVehicle_IDをクラウドベースのコンピュータプラットフォ
ームに送信することによって、識別された保管ユニット127の施設から輸送車両813
への転移をクラウドベースのコンピュータプラットフォームのデータベースに記録し、デ
ータベースを更新して、その保管ユニット127の現在の位置を、保管ユニット127が
出発している施設のFacility_IDから、その保管ユニット127が今走行している輸送車
両813のVehicle_IDに変更する。実施形態では、施設から輸送車両813へのビン転
移のこの記録は、VMS814ではなく、保管ユニット127が出発している施設のCC
S817によって実施され、例えば、積込みドックで輸送車両813のVehicle_IDを読
み取って記録し、輸送車両813に積載されている保管ユニット127のBin_IDを読み
取って記録し、それに応じてクラウドコンピューティングデータベースを更新することに
よって実施される。
【0173】
輸送車両813のカルーセル815は、各プラットフォームがそれぞれの保管場所を示
すという点で、保管場所の動的なアレイを形成するが、各保管場所は、カルーセル815
の操作によってトレーラー内の異なる位置に移動可能である。これは、3D格子構造保管
構体の各保管場所が、その中の固定された静的な位置にあり、動的に移動可能な位置には
ない、施設における保管場所の静的なアレイとは異なる。輸送車両813における動的な
保管アレイの使用は、トレーラーの後部積込みドアからのその便利な積み込みを可能にす
る。しかし、他の実施形態では、異なるタイプの保管アレイが輸送車両813で使用され
、例えば、各施設で使用されるRSRVが従事する格子構造保管構体の小型化されたバー
ジョン、または、保管場所、例えば、棚、カビーなどを有する別の人間またはロボットが
従事する保管アレイが使用され、保管ユニット127の標準化されたサイズおよび形状に
具体的に合うように適切にサイズ設定されている。輸送車両813は、輸送車両813の
移動および位置を追跡する全地球測位システム(GPS)装置と、輸送車両813の現在
位置をクラウドベースのコンピュータプラットフォームに通信するモバイルセルラー通信
装置とを備える。クラウドデータベースに、その保管ユニット127に現在保管されてい
るカタログ商品に基づいて、例えばBin_IDを照会すると、したがって、その保管ユニット
127が走行している輸送車両813のGPS座標に基づいて、その保管ユニット127
の現在位置を報告する。
【0174】
様々な実施形態において、受取施設14の在庫を補充するための供給施設からの供給ビ
ンは、受取施設14からの送出ビンと交換され、それにより、供給施設のASRSは、そ
の手持ちの保管ビンの供給量が継続的に不足することがないようになっている。実施形態
では、交換は、典型的には、1対1の比率で行われる。一実施形態では、送出ビンは、A
SRSからの少なくとも一部の空在庫ビンを含む。別の実施形態では、送出ビンは、追加
的または代替的に、1つまたは複数の顧客返品ビンを含み、それぞれが、顧客返品を供給
施設に出荷する目的で、1つまたは複数の顧客返品製品を含み、ここで、顧客返品は、供
給施設の広い敷地内で検査および処理することができるか、または、施設ネットワークの
一部であるか外部であるかを問わず、別の返品取扱い施設に向かってさらに上流に出荷す
ることができる(例えば、外部の供給業者または製造業者に)。空在庫ビンおよび顧客返
品ビンに加えて、またはそれに代えて、受取施設14からの送出ビンは、例えば、そのよ
うなアイテムに対する市場需要が大きいロケールのネットワーク内における別の施設に再
分配するために、上流の供給施設に出荷される必要のないまたは動きの遅い在庫を含む在
庫移転ビンを有する。
【0175】
別の実施形態では、受取施設14からの送出ビンは、例えば、同一供給施設によって補
充された他の施設からの期限切れ在庫と整理統合した後に、その施設での廃棄のために上
流側の供給施設に輸送されるか、または適切な廃棄場所もしくは他の最終目的地に再分配
される期限切れ在庫を含む期限切れ在庫ビンからなる。別の実施形態では、受取施設14
からの送出ビンは、供給者または製造者によってリコールされた在庫を含むリコール在庫
ビンで構成され、供給施設を介してその上流に経路付けすることができる。したがって、
受取施設14からの送出ビンは、一般的に、内容物のない空ビンと、その中にアイテム、
例えば、顧客の返品、期限切れの在庫、リコールされた在庫、および在庫移転を有する占
有ビンとの2つのグループに分類することができる。
【0176】
図1~3、図6A図8~9、図15図19、および図24に例示されているマルチ
ゾーンASRS100は、例えば受取施設で採用され、「温度ゾーン」とも称される複数
の環境制御された保管ゾーンを有する独立型の高密度保管及び回収システムである。マル
チゾーンASRS100の独立型態様は、建物にウォークイン温度ゾーンを構築し、各温
度ゾーン内で独立して動作する別々のASRSを設置する必要性を排除する。マルチゾー
ンASRS100は、マルチゾーンASRS100の温度ゾーンを垂直方向に分離する垂
直隔壁を構成している。マルチゾーンASRS100の垂直方向の隔壁に構成されたアク
セスポータルは、温度ゾーン間のロボット保管/回収車両(RSRV)の水平方向の移動
、例えば、進入及び退出の移動を可能にする。マルチゾーンASRS100は、全ての温
度ゾーンの各保管ユニットが任意の作業ステーションからアクセスできるように、全ての
RSRVからアクセス可能な温度ゾーンを統合している。マルチゾーンASRS100の
作業ステーションは、すべての温度ゾーンから製品アイテムを受け取るように構成されて
いる。RSRVは温度ゾーンに特化しておらず、チルド/冷凍温度ゾーンでは最小限の時
間しか過ごさない。これにより、複数の温度ゾーンに渡ってASRSを設置し、運用する
ためのコストと複雑さを最小限に抑えることができる。一実施形態では、マルチゾーンA
SRS100は、異なる温度ゾーンの保管ユニットを保管しない。すなわち、冷却された
保管ゾーンに関連付けられた保管ユニットは、作業ステーションにアクセスするために冷
却された保管ゾーンから常温の保管ゾーンを経由して経路付けされるが、マルチゾーンA
SRS100は、これら保管ユニットを常温の保管ゾーンに保管しない。マルチゾーンA
SRS100の自己完結的性質により、すべての構成要素を、マルチゾーンASRS10
0の3D格子構造保管構体の2次元(2D)下部トラックレイアウトの占有面積内に統合
することができ、それにより、ウォークインクーラーを事前に構築したり、追加の構成要
素を3D格子構造保管構体の常温に設置したりする必要がなく、マルチゾーンASRS1
00の2D占有面積を拡大することができる。
【0177】
常温の保管ゾーンと直接連通する垂直に区切られた温度ゾーンを持つことで、温度遷移
の数を1つに制限している。RSRVが各温度ゾーンの保管ユニットにアクセスする方法
は、温度ゾーンで費やす時間を最小限にし、スループット性能を最大化する。温度ゾーン
に入るために3D格子構造保管構体の2D上部トラックレイアウトにあるアクセスポータ
ルを使用し、温度ゾーンから退出するために2D下部トラックレイアウトにあるアクセス
ポータルを使用することで、ルート競合及びルート長さを最小限に抑えることができる。
これにより、温度ゾーンでの所要時間が短縮され、非常温温度に対する曝露が最小限に抑
えられる。その結果、RSRVの物理的な温度変化が最小限に抑えられ、RSRVが温度
勾配を遷移する際に、例えばカメラの曇りなどの悪影響を修正するための要件が低くなる
。また、厳しい環境下でのみ動作するわけではないため、RSRVの設計要件も低くなっ
ている。
【0178】
すべての作業ステーションは、すべての温度ゾーンに連続する2D下部トラックレイア
ウトに取り付けられているため、すべてのRSRV、及びひいては各温度ゾーンにおける
すべての保管ユニットは、すべての作業ステーションでアクセスすることができる。その
ため、受注ピッカーは常温の快適な環境で、チルド又は冷凍された商品をピッキングする
ことができる。複数の温度帯の商品を含む受注も、各温度帯からピッキング作業を行い、
受注処理するためにすべてのラインの商品を整理統合するのではなく、1つの作業ステー
ションで組み合わせることができる。図6A~6Bに示す断熱作業ステーション変更例は
、非常温ゾーンに直接取り付けられており、ゾーン分けされた保管ユニットがその温度ゾ
ーンを離れることなく、チルドまたは冷凍アイテムを排他的にピッキングすることができ
る。また、温度変化が気になる用途では、温度ゾーンに直接取り付ける断熱作業ステーシ
ョンを使用することができる。これにより、保管されている商品の温度が制限される一方
で、作業者は常温の商品をピッキングすることができる。
【0179】
マルチゾーンASRS100の保管形状は、ダウンシャフト中央の空洞が、マルチゾー
ンASRS100の3D格子構造保管構体の上部トラックレイアウト及び下部トラックレ
イアウトの冷気リザーバ間のダクトとして機能するため、チルド及び冷凍環境で有用であ
り、それによりマルチゾーンASRS100は自己完結型の独立した冷凍庫またはクーラ
ーとして機能することができる。各保管ユニットはダウンシャフトと連通しており、内容
物を冷やすための冷気へのアクセスが最適化されている。また、各保管ユニットは棚にな
っており、保管ユニットの間に空洞を設けることで、各保管ユニットの内容物への空気の
流れを良くすることができる。
【0180】
さらに、一度ピッキングした受注品は、あらかじめ組み合わせておき、顧客が受注品を
受け取りに来るまで、マルチゾーンASRS100内に保管しておくことができる。ここ
で開示されている受注管理の統合されたワークフローにより、作業員は作業ステーション
でRSRVを1回指し出すだけで、ピックアップのために受注品を取り出すことも、保管
のために受注品を導入することもできる。この1対1の受注トートの交換は、RSRV接
触を最小限にし、したがって、スループット要件を満たすためにシステムに必要なRSR
Vの数を少なくする。
【0181】
さらに、本実施形態では、補充プロセス中、マイクロ受注処理センターなどの受取施設
と、サービス流通センターなどの供給施設での自動誘導の際に、順方向保管ユニットと逆
方向保管ユニットを1:1で交換する手法も採用している。順方向のフロー率と逆方向の
フロー率が同一であり、各保管ユニットの物理的および論理的なカストディ(管財)がエ
ンティティ間で直接転移されるため、マイクロ受注処理センターおよび流通センターのサ
イトでは、出荷プロセスおよび受取りプロセスと関連する中継エリアをなくすことができ
る。これにより、労働力、不動産、リソースの要件が大幅に削減されるとともに、物流が
合理化され、従来のサプライチェーンで使用されていた混沌としたアプローチよりも、オ
ペレーションが整然とし、リアルタイムで監視することが容易になる。これにより、資材
のバッファオーバーフロー、及びひいては中継エリアを排除するとともに、サプライチェ
ーンネットワークの秩序立て及び予測性がさらに高まる。また、逆方向に流れる保管ユニ
ットには、お客様の返品をサポートするために商品を積み込み、施設の階層をさかのぼっ
て輸送することができるため、従来の方法に比べて逆方向(リバース)物流のコスト効率
が向上する。これをサポートするために、補充要求の際には、保管ユニットの順方向の数
量が計算され、それを知ることで、受取施設が整理統合プロセス及び返品プロセスを使用
して対応する数の逆方向保管ユニットを創出することができる。整理統合プロセスは、補
充を合理化し、保管構体内における空間の制限を解放して密度を最大化する。
【0182】
図8~9および図10A~10Eに示された中央データベース803、ローカル施設デ
ータベース808および825、およびローカル車両データベース826などのデータベ
ースが説明されている場合、(i)説明されているものに代わるデータベース構造が採用
されてもよく、(ii)データベース以外の他のメモリ構造が採用されてもよいことは、当
業者であれば理解できるであろう。本明細書に開示された任意のサンプルデータベースの
任意の図解または説明は、情報の保存された表現のための例示的な配置である。実施形態
では、図面などに図示されたテーブルによって示唆されるもの以外に、任意の数の他の配
置が採用される。同様に、データベースの例示されたエントリは、例示的な情報のみを表
しており、当業者であれば、エントリの数や内容がここで開示されたものとは異なる可能
性があることを理解するであろう。別の実施形態では、データベースがテーブルとして描
かれているにもかかわらず、リレーショナルデータベース、オブジェクトベースモデル、
および/または分散データベースを含む他のフォーマットが、本明細書で開示されたデー
タタイプを保存および操作するために使用される。一実施形態では、データベースのオブ
ジェクトメソッドまたはビヘイビアが、本明細書に開示されているような様々なプロセス
を実装するために使用される。別の実施形態では、データベースは、既知の方法で、ロー
カルに、またはそのようなデータベース内のデータにアクセスする装置から遠隔地に保存
される。複数のデータベースが存在する実施形態では、データベースの1つでデータの更
新があった場合に、データベース間でリンクされたデータの同時更新を可能にするために
、データベースは相互に通信するように統合される。
【0183】
本明細書で開示する実施形態は、通信ネットワークを介して1つまたは複数の装置と通
信する1つまたは複数のコンピュータを含むネットワーク環境で動作するように構成され
ている。一実施形態では、コンピュータは、インターネット、ローカルエリアネットワー
ク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)またはイーサネット、トークンリン
グなどの有線媒体または無線媒体を介して、または任意の適切な通信媒体または通信媒体
の組み合わせを介して、直接的または間接的に装置と通信する。装置の各々は、コンピュ
ータと通信するように適合されたプロセッサを備える。一実施形態では、コンピュータの
各々は、ネットワーク通信装置、例えば、ネットワークインターフェースカード、モデム
、またはネットワークに接続するのに適した他のネットワーク接続装置を備える。コンピ
ュータおよび装置のそれぞれは、オペレーティングシステムを実行する。オペレーティン
グシステムは、コンピュータの種類によって異なる場合があるが、オペレーティングシス
テムは、ネットワークとの通信リンクを確立するための適切な通信プロトコルを提供する
。任意の数と種類のマシンが、コンピュータと通信してもよい。
【0184】
本明細書で開示する実施形態は、特定のコンピュータシステムプラットフォーム、プロ
セッサ、オペレーティングシステム、または通信ネットワークに限定されない。本明細書
で開示される実施形態の1つまたは複数は、1つまたは複数のコンピュータシステム、例
えば、1つまたは複数のクライアントコンピュータに1つまたは複数のサービスを提供す
るように構成されたサーバ、または分散システムで完全なタスクを実行するように構成さ
れたサーバの間で分散される。例えば、本明細書に開示された実施形態の1つまたは複数
は、様々な実施形態に従って複数の機能を実行する1つまたは複数のサーバシステムに分
散された構成要素を構成するクライアント・サーバシステム上で実行される。これらの構
成要素は、例えば、実行可能コード、中間コード、またはインタプリタコードで構成され
、通信プロトコルを使用してネットワーク上で通信する。本明細書で開示される実施形態
は、特定のシステムまたはシステム群で実行可能であることに限定されず、また、特定の
分散アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルに限定されない。
【0185】
前述の例および様々な実施形態は、単に説明のために提供されたものであり、決して本
明細書に開示された実施形態を限定するものとして解釈されるものではない。本実施形態
は、様々な例示的な実施例、図面、および技術を参照して説明されてきたが、本明細書で
使用されてきた言葉は、限定の言葉ではなく、説明および例示の言葉であることが理解さ
れる。さらに、本明細書では、特定の手段、材料、技術、および実装を参照して実施形態
を説明してきたが、本明細書の実施形態は、本明細書に開示された特定のものに限定され
ることを意図したものではなく、むしろ、本実施形態は、添付の請求項の範囲内にあるよ
うな、機能的に等価な構造、方法、および使用にまで及ぶ。本明細書の教示の恩恵を受け
た当業者は、本明細書に開示された実施形態の範囲および精神から逸脱することなく、本
明細書に開示された実施形態は修正が可能であり、他の実施形態を実現し、それに変更を
加えてもよいことを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【外国語明細書】