(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005677
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】パターン形成方法、レジスト用現像液およびそれを用いたレジスト現像方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240110BHJP
G03F 7/32 20060101ALI20240110BHJP
G03F 7/004 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
H01L21/30 569E
G03F7/32
G03F7/004
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105965
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山内 律子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正典
(72)【発明者】
【氏名】井谷 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】サンティリャン ジュリウス ジョセフ スドライ
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
5F146
【Fターム(参考)】
2H196BA13
2H196EA07
2H196GA03
2H196GA05
2H225AB03
2H225AC22
2H225AN02P
2H225AN38P
2H225AP08P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC01
2H225CD05
5F146GA21
5F146LA12
(57)【要約】
【課題】基板上に未露光のレジスト組成物が残りにくいパターン形成方法、レジスト用現
像液およびそれを用いた現像方法を提供する
【解決手段】金属酸化物を含むレジスト組成物を基板に塗布し製膜する工程と、前記基板
上のレジスト組成物膜を露光する工程と、有機酸と有機溶媒を含むレジスト用現像液を用
い露光後の前記基板上のレジスト組成物膜を現像する工程とを含むパターン形成方法を用
いる
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物を含むレジスト組成物を基板に塗布し製膜する工程と、前記基板上のレジス
ト組成物膜を露光する工程と、有機酸と有機溶媒を含むレジスト用現像液を用い露光後の
前記基板上のレジスト組成物膜を現像する工程とを含むパターン形成方法。
【請求項2】
前記レジスト用現像液に含まれる有機酸の含有量が、0.01質量%%以上、8質量%
以下である請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記レジスト用現像液における有機酸が、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホ
スフィン酸、及びホスホン酸からなる群から選ばれる1種以上の有機酸である請求項1ま
たは請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記レジスト用現像液における有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸ブチルからからなる
群から選ばれる1種以上の有機溶媒である請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記金属酸化物が、有機酸で表面を修飾されている金属酸化物である、請求項1に記載
のパターン形成方法。
【請求項6】
有機溶媒と有機酸とを含むレジスト用現像液。
【請求項7】
前記レジスト用現像液に含まれる有機酸の含有量が、0.01質量%%以上、8質量%
以下である請求項6に記載のレジスト用現像液。
【請求項8】
前記有機酸が、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスフィン酸、及びホスホン
酸からなる群から選ばれる1種以上の有機酸を含む請求項6または7に記載のレジスト用
現像液。
【請求項9】
前記有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル及び酢酸ブチルからからなる群から選ばれる1種以上の
有機溶媒を含む請求項6に記載のレジスト用現像液。
【請求項10】
請求項6記載の現像液を用いたレジストの現像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物を含むレジスト組成物を用いたパターン形成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代リソグラフィー技術として、回路パターンの細線化に伴い短波長の光源で
露光することが必要となり、極端紫外光(EUV)等の短波長の光源を用いたリソグラフ
ィーの開発が進んでいる。このような短波長の光源を用いたリソグラフィー用のレジスト
として、金属酸化物含むレジストによるパターン形成が検討されている。例えば特許文献
1には、金属酸化物を含むレジストによるパターン形成の現像工程で、有機溶媒を現像液
として用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の方法では、現像工程で未露光部のレジストの除去が不十分で
、基板上に未露光のレジスト組成物が残るという問題があった。本発明はこれらの問題点
を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]金属酸化物を含むレジスト組成物を基板に塗布し製膜する工程と、前記基板上の
レジスト組成物膜を露光する工程と、有機酸と有機溶媒を含むレジスト用現像液を用い露
光後の前記基板上のレジスト組成物膜を現像する工程とを含むパターン形成方法。
[2]前記レジスト用現像液における有機酸の含有量が、0.03質量%%以上8質量
%以下である[1]に記載のパターン形成方法。
[3]前記レジスト用現像液における有機酸が、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン
酸、ホスフィン酸、及びホスホン酸からなる群から選ばれる1種以上の有機酸である[1
]または[2]に記載のパターン形成方法。
[4]前記レジスト用現像液における有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸ブチルからな
る群から選ばれる1種以上の有機溶媒である[1]から[3]のいずれかに記載のパター
ン形成方法。
[5]前記金属酸化物が、有機酸で表面を修飾されている金属酸化物である、[1]か
ら[4]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[6]有機溶媒と有機酸を含むレジスト用現像液。
[7]前記有機溶媒に含まれる有機酸の含有量が、0.01質量%%以上、8質量%以
下である[6]に記載のレジスト用現像液。
[8]前記有機酸が、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスフィン酸、及びホ
スホン酸からなる群から選ばれる1種以上の有機酸を含む[6]または[7]に記載のレ
ジスト用現像液。
[9]前記有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸ブチルからからなる群から選ばれる1種
以上の有機溶媒を含む[6]~[8]のいずれかに記載のレジスト用現像液。
[10][6]~[9]のいずれかに記載の現像液を用いたレジストの現像方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のパターン形成方法によれば、現像時に未露光部のレジスト組成物が効果的に除
去できる。本発明のレジスト用現像液は、有機酸と有機溶媒を含むことで、未露光のレジ
スト組成物を効果的に除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のパターン形成方法は、金属酸化物を含むレジスト組成物を基板に塗布し製膜す
る工程と、前記基板上のレジスト組成物膜を露光する工程と、有機酸と有機溶媒を含むレ
ジスト用現像液を用い露光後の前記基板上のレジスト組成物膜を現像する工程とを含む。
本発明では、前記現像する工程で有機酸と有機溶媒を含むレジスト用現像液を用いるこ
とで、未露光のレジスト組成物を効率的に除去できる。
【0008】
<金属酸化物を含むレジスト組成物を基板に塗布し製膜する工程>
本工程では、金属酸化物を含むレジスト組成物を基板に塗布し製膜する。
前記金属酸化物は、極端紫外光(EUV)等の短波長の光源を用いたリソグラフィー用
の金属酸化物として公知のものが使用できる。
前記金属酸化物の金属種としては、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナ
ジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コ
バルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ガリウム、イ
ンジウム、ゲルマニウム、錫、アンチモン、ビスマス等が挙げられる。
これらの中で、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、亜鉛、ガリウム、
インジウム、錫、ビスマスが好ましく、ジルコニウム、ハフニウム、インジウム、タング
ステン、亜鉛、インジウム、錫、ビスマスがより好ましく、ジルコニウム、ハフニウム、
亜鉛、錫がさらに好ましい。
【0009】
前記金属酸化物は、その表面が有機酸等で修飾されていることが、解像度、ラフネス、
感度(RLS)のバランスの点から好ましい。なお本発明において、前記有機酸とは、酸
性を示す有機化合物であり、少なくとも1個以上の炭素原子を有する化合物をいう。
前記有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスフィン酸、ホスホ
ン酸等が挙げられる。
【0010】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸、チグリン酸
、アンゲリカ酸、2-メチル-3ブテン酸、4-ペンテン酸、trans-2,3-ジメ
チルアクリル酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、トルイル酸、トリフルオロメチル安息
香酸、メトキシ安息香酸、トリフルオロメトキシ安息香酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘ
プタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、4-フロオロ
安息香酸、アニス酸、ナフトエ酸、ビニル安息香酸等が挙げられる。
【0011】
前記スルホン酸としては、メタンスルホン酸、ナフタリン-α-スルホン酸、ナフタリン
-β-スルホン酸、ビニルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン
酸、3-ニトロベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-キシレン-2-スル
ホン酸等が挙げられる。
【0012】
前記スルフィン酸としては、ベンゼンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン酸、4-
ビニルベンゼンスルフィン酸、1-ナフタレンスルフィン酸等が挙げられる。
【0013】
前記ホスフィン酸としてはフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニル
ビニルホスフィン酸、1-ヘキシルビニルホスホン酸等が挙げられる。
前記ホスホン酸としては、例えば、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホス
ホン酸、t-ブチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4-ブ
ロモフェニルスルホン酸、2-フェニルエチルスルホン酸等が挙げられる。
【0014】
金属酸化物の分散性の点でカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸が好ましくカルボン酸
が最も好ましい。
なお、これらの有機酸は2種以上を併用してもよい。
また、本発明の金属酸化物の表面が有機酸で修飾されているかどうかの確認は、NMR
で測定し確認できる。NMRで測定し検出されたピークが有機酸で帰属可能であれば、金
属酸化物の表面が、有機酸で修飾されていると判断する。
【0015】
また、前記有機酸の量は、前記金属酸化物100質量部に対して、前記有機酸が10質
量部以上、25質量部以下であることが好ましい。
前記有機酸の量が、10質量部以上であれば分散性が高くなり、25質量部以下であれ
ば塗布性が高くなる傾向がある。なかでも分散安定性の点から13質量部以上がより好ま
しく、塗布後安定性の点から23質量部以下がより好ましい。
なお、前記有機酸の含有量は、熱重量示差熱分析(TG―DTA)により測定した値で
ある。
【0016】
前記金属酸化物は、レジスト用の金属酸化物の製造方法として公知の方法で製造できる
。例えば、金属アルコキシドや金属塩を主とする出発物質の加水分解や重縮合などの化学
反応によって金属酸化物を製造する際の反応液に、有機酸を添加し混合、分散することで
製造できる。
【0017】
前記金属酸化物を含むレジスト組成物は、通常、前記金属酸化物と有機溶媒を含む。
前記有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、デカ
ヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン
、N-メチルピロリドンなどのケトン;ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、
N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエーテル;ジクロロメタン
、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンなどの塩化脂肪族炭化水素;メタノール、エタ
ノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミ
ルなどの酢酸エステル等が挙げられる。
【0018】
これらの有機溶媒は、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の量は、前記金属酸化物と有機溶媒との合計質量に対して、80質量%以
上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。また、
前記有機溶媒の量は、前記金属酸化物と有機溶媒との合計質量に対して、99.7質量%
以下が好ましく、99.5質量%以下がより好ましく、99質量%以下が更に好ましい。
また本願発明のレジスト組成物は、前記有機酸を含んでいてもよい。前記レジスト組成
物に含まれる前記有機酸の量は、分散性安定性の向上の点から0.05質量%以上、30
質量%以下が好ましい。
【0019】
さらに、本願発明のレジスト組成物は、酸発生剤、界面活性剤などの添加剤を含んでい
てもよい。酸発生剤としてはオニウム塩化合物、N-スルホニルオキシイミド化合物、ハ
ロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。界面活性剤としては塗布性、ス
トリエーション等を改良する作用を示す成分として、例えば、ポリオキシエシレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイスエー
テル、ポリオキシエチレンn―オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニ
ルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジ
ステアレート等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0020】
前記レジスト組成物は、公知の方法で金属酸化物と有機溶媒、添加剤等を、公知の方法
で混合することで製造できる。
【0021】
前記基板としては、シリコンウエハ、SiNウエハ、AINウエハ、アルミニウムで被
覆されたウエハ等が挙げられる。なお、レジスト組成物の密着性、現像後の解像性等を改
善するために、有機系、無機系の反射防止膜を基板上に形成しても良い。
【0022】
前記レジスト組成物を基板に塗布する方法は、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の公
知の方法を用いることができる。
形成する膜の平均厚さは、1nm以上、500nm以下好ましい。前記下限以下では、
レジスト膜としての機能が損なわれ、前記上限以上ではパターン形成・現像後のパターン
倒れなどが発生しやすくなる。
【0023】
また、必要に応じて塗布後にプリベークを行ってもよい。プリベークの温度は、60℃
以上、140℃以下が好ましい。プリベークの時間は、5秒以上、300秒以下が好まし
い。
【0024】
<基板上のレジスト組成物膜を露光する工程>
本工程では、前記で得られた基板上のレジスト組成物膜に、所定のパターンを有するマ
スクを介して、露光を行う。露光に用いる光源は、紫外線、遠紫外線、EUV、X線、ガ
ンマ線等が挙げられる。
これらの中で、金属酸化物粒子から2次電子を発生させる観点から、EUV、電子線が
好ましい。
【0025】
<露光後の前記基板上のレジスト組成物膜を現像する工程>
本工程では、有機酸と有機溶媒とを含むレジスト用現像液で、未露光のレジスト組成物
を除去し現像する。
前記有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスフィン酸、ホスホ
ン酸等が挙げられる。
【0026】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸、チグリン酸
、アンゲリカ酸、2-メチル-3ブテン酸、4-ペンテン酸、trans-2,3-ジメ
チルアクリル酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、トルイル酸、トリフルオロメチル安息
香酸、メトキシ安息香酸、トリフルオロメトキシ安息香酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘ
プタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、4-フロオロ
安息香酸、アニス酸、ナフトエ酸、ビニル安息香酸等が挙げられる。
【0027】
前記スルホン酸としては、メタンスルホン酸、ナフタリン-α-スルホン酸、ナフタリン
-β-スルホン酸、ビニルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン
酸、3-ニトロベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-キシレン-2-スル
ホン酸等が挙げられる。
【0028】
前記スルフィン酸としては、ベンゼンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン酸、4-
ビニルベンゼンスルフィン酸、1-ナフタレンスルフィン酸等が挙げられる。
【0029】
前記ホスフィン酸としてはフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニル
ビニルホスフィン酸、1-ヘキシルビニルホスホン酸等が挙げられる。
【0030】
前記ホスホン酸としては、例えば、ビニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホス
ホン酸、t-ブチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4-ブ
ロモフェニルスルホン酸、2-フェニルエチルスルホン酸等が挙げられる
【0031】
金属酸化物との相溶性の点でカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸が好ましくカルボン
酸が最も好ましい。
なお、これらの有機酸は2種以上を併用してもよい。
また、前記有機酸は、レジスト中の前記金属酸化物の表面が有機酸で修飾されている場
合は、前記金属酸化物を修飾している有機酸と同じ有機酸が好ましい。
【0032】
前記有機溶媒としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系
溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、4―メチル―2―ペンタノール
、n-ヘキサノール等の炭素数1~18の脂肪族モノアルコール系溶媒、シクロヘキサノ
ール等の炭素数3~18の脂環式モノアルコール系溶媒、1,2―プロピレングリコール
等の炭素数2~18の多価アルコール系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(PGME)等の炭素数3~19の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0033】
エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル
、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテ
ル等のジアルキルエーテル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、P
GMEと表記することがある)などの多価アルコール部分エーテル系溶媒、テトラヒドロ
フラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒、ジフェニルエーテル、アニソール
等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン
、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-iSO-ブチルケトン、2-ヘプ
タノン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-iSO-ブチル
ケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノ
ン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶
媒、2,4―ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0034】
アミド系溶媒としては、N,N’―ジメチルイミダゾリジノン、N―メチルピロリドン
等の環状アミド系溶媒、N―メチルホルムアミド、N,N’―ジメチルホルムアミド、N
,N’―ジェチルホルムアミド、アセトアミド、N―メチルアセトアミド、N,N’―ジ
メチルアセトアミド、N―メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒等が挙げられる
。
【0035】
エステル系溶媒としては、酢酸ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒
、プロピレングリコールアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと表記することがある
)等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒、シュウ酸ジエチル等の多価
カルボン酸ジエステル系溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボ
ネート系溶媒等が挙げられる。
【0036】
炭化水素系溶媒としては、例えばn―ペンタン、n―ヘキサン等の炭素数5~12の脂
肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン等の炭素数5~16の芳香族炭化水素系溶媒等
が挙げられる。
【0037】
これらの中で、エステル系、エーテル系溶媒が好ましく酢酸ブチル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル(PGME)がさらに好ましい。
レジスト用現像液中に含まれる前記有機酸の含有量は、未露光のレジスト組成物を除去
する点から、0.01質量%%以上、8質量%以下が好ましく、0.05質量%%以上、4
質量%以下がより好ましい。
【0038】
現像は公知の方法で行えばよく、前記レジスト用現像液が満たされた槽の中に基板を一
定時間浸漬する方法、基板表面に前記レジスト用現像液を表面張力によって盛り上げて一
定時間静止する方法、基板表面に前記レジスト用現像液を噴霧する方法、一定速度で回転
させている基板上に一定速度でノズルを走査しながら前記レジスト用現像液を吐出する方
法等が挙げられる。
【0039】
現像後の基板は、公知の方法でリンスし乾燥しても良い。リンスの際に、前記レジスト
用現像液を用いても良い。
【実施例0040】
以下実施例により本発明を説明する。以下の実施形態の説明は例示であり、本発明は以
下に示す実施形態の構成に限定されない。
【0041】
実施例1
<金属酸化物(酸化亜鉛、ZnO)>
150mlのメタノールと0.90gの水酸化カリウムを300mLの3つ口フラスコ
に入れ、還流管を取り付け、攪拌しながら60℃まで加熱した後、1.8gの酢酸亜鉛二
水和物が溶けた50mlのメタノール溶液を滴下し、攪拌しながら60℃で2時間還流し
た。
反応終了後、エバポレータで溶液が20mLとなるまで濃縮した後、ヘキサン100m
L,2-プロパノール20mLを加えて攪拌し、4℃で18時間静置した後遠心分離して
沈殿を回収した。沈殿にメタノールとヘキサン、イソプロパノールをそれぞれ20、10
0、20mL加えて4℃で6時間静置した後遠心分離し、沈殿物を回収し、乾燥した。得
られた酸化亜鉛の量は、0.5gであった。粒径測定システム(大塚電子株式会社製、「
ELSZ-2000」)で測定した粒度分布のモード径(最頻径)は7nmであった。
【0042】
<レジスト組成物>
酸化亜鉛ZnO1.5重量部に対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル(P
GME)97重量部、修飾剤としてp-トルイル酸0.9重量部、アクリル酸0.6重量
部、を混合し、卓上型超音波洗浄機(本田電子株式会社製 W-113 MK-II)を
用い110W、27±5kHz(周波数を絶え間なく前記範囲で変動させながら運転した
)、60分の条件で超音波混合しレジスト組成物を得た。
【0043】
<レジスト組成物を基板に塗布し製膜する工程>
簡易スピンコーター(MS-B100ミカサ製)で、シリコンウエハ(伝導型:P型、結晶
方位:(100)、研磨品)上にレジスト組成物をスピンコート(条件1500rpm6
0秒)した後、100℃、60秒間の条件でプリベークを行った。得られた基板上のレジ
スト組成物膜の膜厚を膜厚測定装置(Mini-lab film-150 リソテック
ジャパン製)で測定し、かかる厚みを「現像前の膜厚」とした。
【0044】
<評価用サンプルの作成>
現像後の未露光のレジスト組成物の除去効果を評価するために、未露光レジスト部分を
有するレジスト組成物膜の評価用サンプルとして次のサンプルを用いた。すなわち、前記
基板上のレジスト組成物膜を、大気中、室温下にて5時間静置した。
かかる評価により、基板上のレジスト組成物膜を露光する工程で露光されず、未露光部
分となったレジスト組成物を、露光後の前記基板上のレジスト組成物膜を現像する工程に
て除去する効果を評価することができる。
【0045】
<基板上のレジスト組成物膜を現像する工程>
有機酸としてアクリル酸を用い、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート(PGMEA)を用い、アクリル酸を0.01質量%含むレジスト用現像
液を得た。
かかるレジスト用現像液中に、上記評価用サンプルを室温下にて1分間浸漬させて現像
を行った。かかる評価用サンプルを室温で窒素を吹き付けて乾燥させた。得られたサンプ
ルの膜厚を膜厚測定装置(Mini-lab film-150 リソテックジャパン製
)で測定し、かかる厚みを「現像後の膜厚」とした。
【0046】
<評価>
下記の式を用いて現像前の膜厚と現像後の膜厚より膜厚減少量を求めた。膜厚減少量が
30%以上であれば、未露光のレジスト組成物の除去に優れている。
膜厚減少量(%)=(1-現像後の膜厚/現像前の膜厚)×100
【0047】
(実施例2~11、比較例1)
表1に示す通り、有機溶媒、有機酸を変更して、レジスト用現像液を得た。それぞれの
レジスト用現像液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0048】
【0049】
膜厚評価における「<10」は、膜厚が膜厚測定装置(Mini-lab film-
150 リソテックジャパン製)の検出限界であったことを意味しており、すなわち10nm
以下であることを意味する。
実施例1~11では、有機溶媒及び有機酸を含む現像液を用いて現像したため、膜厚減
少量が30%以上であり、良好な効果が得られた。
一方比較例1では、現像液が有機溶媒のみを含み、有機酸を含まないものを用いたとこ
ろ、現像後の膜厚減少量が6%であり、改善の余地があった。
【0050】
本発明のパターン形成方法により、上記のように良好な膜厚減少量にて現像を行うこと
が可能となるため、ひいては基板上のパターンの解像度が向上し、よりパターンの微細化
が達成できるといえる。