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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056791
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】生物医薬組成物及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240416BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K45/00
A61K47/68
A61K39/395 Y
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/18
A61P35/00
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024016653
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2022506976の分割
【原出願日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/883,451
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/948,432
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/984,110
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、ケイ.クランツ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、ジョセフ、モロイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、ブイ.リネッラ、ジェイアール.
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス、レイ、シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ヒラリー、アンバー、シュスラー
(72)【発明者】
【氏名】テハシュ、シャー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗BCMA抗体の異性化バリアントを含む組成物を提供する。
【解決手段】抗BCMA抗体の異性化バリアントを含む組成物であって、前記異性化バリアントが、特定の配列のCDRH1、特定の配列のCDRH2及び特定の配列のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、特定の配列のCDRL1、特定の配列のCDRL2及び特定の配列のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、前記組成物が、25%以下の前記異性化バリアントを含む、前記組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗BCMA抗体の異性化バリアントを含む組成物であって、
前記異性化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、25%以下の前記異性化バリアントを含む、前記組成物。
【請求項2】
抗BCMA抗体の酸化バリアントを含む組成物であって、
前記酸化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、40%以下の前記酸化バリアントを含む、前記組成物。
【請求項3】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含み、
前記組成物が、0.1~25%の、CDRH3のD103における異性化を含む、前記組成物。
【請求項4】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含み、
前記組成物が、0.1~40%の、CDRH1のM34における酸化を含む、前記組成物。
【請求項5】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であり、
前記組成物が、0.1~25%の、CDRH3のD103における異性化を含む、前記組成物。
【請求項6】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であり、
前記組成物が、0.1~40%の、CDRH1のM34における酸化を含む、前記組成物。
【請求項7】
前記組成物が、65%以下の、重鎖M256における酸化、及び/又は、60%以下の、重鎖M432における酸化を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、抗体バリアントを含み、
前記抗体バリアントが、重鎖のN388及び/又はN393における脱アミド化、CDRH3におけるD103からN103への変化、C末端のリジンの切断、並びに、N末端のグルタミンからピログルタミン酸への変換からなる群から選択される1以上を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、最大100%の、N388及び/又はN393における脱アミド化、最大100%の、CDRH3におけるN103、最大100%の、C末端のリジンの切断、並びに、最大100%の、N末端のグルタミンからピログルタミン酸への変換からなる群から選択される1以上を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、任意のパーセンテージのグリコフォームG0、G1、G2、G0-GlcNac又はG0-2GlcNacを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗BCMA抗体がベランタマブである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗BCMA抗体が、細胞毒性薬にコンジュゲートされて、抗体-薬物複合体を形成する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗BCMA抗体がベランタマブマホドチンである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
DL2の割合が、少なくとも約30%、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、少なくとも約30%、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、少なくとも約5%、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、少なくとも約10%、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いは、DL8の割合が、少なくとも約1%、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
平均DARが約3.4~約4.6である、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下である、請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の医薬組成物を含む製剤であって、
前記製剤が、約20mg/mL~約60mg/mLの抗BCMA抗原結合タンパク質と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、
前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、前記製剤。
【請求項19】
前記製剤が、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL又は約60mg/mLのベランタマブマホドチンと、25mMのクエン酸緩衝液と、200mMのトレハロースと、0.05mMのEDTA二ナトリウムと、0.02%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、癌を治療する方法。
【請求項21】
癌の治療に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
癌の治療に使用するための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
抗BCMA抗体-薬物複合体(ADC)を含む組成物であって、DL2の割合が、少なくとも約30%、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、少なくとも約30%、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、少なくとも約5%、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、少なくとも約10%、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いは、DL8の割合が、少なくとも約1%、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、前記組成物。
【請求項24】
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
DL2の割合が約15%~約32%であり、DL4aの割合が約30%~約40%であり、DL4bの割合が約5%~約10%であり、DL6の割合が約10%~約20%であり、且つ、DL8の割合が約4%~約15%である、請求項23又は24に記載の組成物。
【請求項26】
DL2の割合が約15%~約27%であり、DL4aの割合が約35%~約38%であり、DL4bの割合が約7%~約9%であり、DL6の割合が約14%~約20%であり、DL8の割合が約6.0%~約12.0%である、請求項23又は24に記載の組成物。
【請求項27】
平均薬物抗体比(DAR)が約2.1~約5.7である、請求項23~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
平均DARが約3.4~約4.6である、請求項23~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
平均DARが約3.8~約4.5である、請求項23~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
抗BCMA抗体-薬物複合体(ADC)を含む組成物であって、DL0の割合が約10%以下又は約5%以下である、前記組成物。
【請求項31】
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
DL0の割合が約5%以下である、請求項30又は31に記載の組成物。
【請求項33】
DL2の割合が約15%~約32%であり、DL4aの割合が約30%~約40%であり、DL4bの割合が約5%~約10%であり、DL6の割合が約10%~約20%であり、且つ、DL8の割合が約4%~約15%である、請求項30~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
DL2の割合が約15%~約27%であり、DL4aの割合が約35%~約38%であり、DL4bの割合が約7%~約9%であり、DL6の割合が約14%~約20%であり、DL8の割合が約6.0%~約12.0%である、請求項30~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
平均薬物抗体比(DAR)が約2.1~約5.7である、請求項30~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
平均DARが約3.4~約4.6である、請求項30~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
平均DARが約3.8~約4.5である、請求項30~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記抗BCMA抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含む、請求項23~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記抗BCMA抗体がベランタマブである、請求項23~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
細胞毒性薬がMMAE又はMMAFである、請求項23~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記抗BCMA ADCがベランタマブマホドチンである、請求項21~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用して個々のDL種を分離し、各DLピークに関する曲線下面積を計算し、各DLピークを、合計されたすべてのDL種に関する総曲線下面積で除算することによって、DLの割合が決定される、請求項23~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
平均DARが、以下の式:
【数1】
を使用して、各DL種の曲線下面積から計算される、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
請求項23~43のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項45】
請求項44に記載の医薬組成物を含む製剤であって、
前記製剤が、約20mg/mL~約60mg/mLの抗BCMA抗原結合タンパク質と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、
前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、前記製剤。
【請求項46】
前記製剤が、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL又は約60mg/mLのベランタマブマホドチンと、25mMのクエン酸緩衝液と、200mMのトレハロースと、0.05mMのEDTA二ナトリウムと、0.02%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、請求項45に記載の製剤。
【請求項47】
それを必要とする対象に、治療有効量の請求項23~43のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、癌を治療する方法。
【請求項48】
癌の治療に使用するための、請求項23~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
癌の治療に使用するための医薬の製造における、請求項23~43のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項50】
抗体の酸性バリアントを含む組成物であって、
前記酸性バリアントが、
配列番号1のCDRH1と、
配列番号2のCDRH2と、
配列番号3のCDRH3と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1~70%の前記酸性バリアントを含む、前記組成物。
【請求項51】
抗体の酸性バリアントを含む組成物であって、
前記酸性バリアントが、
配列番号1のCDRH1と、
配列番号2のCDRH2と、
配列番号3のCDRH3と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、70%以下の前記酸性バリアントを含む、前記組成物。
【請求項52】
抗体の塩基性バリアントを含む組成物であって、
前記塩基性バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1~30%の前記塩基性バリアントを含む、前記組成物。
【請求項53】
抗体の塩基性バリアントを含む組成物であって、
前記塩基性バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、30%以下の前記塩基性バリアントを含む、前記組成物。
【請求項54】
抗体の主要なアイソフォームを含む組成物であって、
前記主要なアイソフォームが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1~90%の前記主要なアイソフォームを含む、前記組成物。
【請求項55】
抗体の主要なアイソフォームを含む組成物であって、
前記主要なアイソフォームが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1%以上の前記主要なアイソフォームを含む、前記組成物。
【請求項56】
抗体の荷電バリアントを含む組成物であって、
前記荷電バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、70%以下の酸性バリアント及び/又は30%以下の塩基性バリアント及び/又は1%以上の主要なアイソフォームを含む、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。
【0002】
発明の分野
本明細書に記載の発明は、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物、及びBCMA媒介性の疾患又は障害を治療するための関連する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
BCMA(CD269又はTNFRSF17)は、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。これは、リガンドであるBAFF及びAPRILに対する非グリコシル化内在性膜受容体である。BCMAのリガンドは、さらなる受容体にも結合することができる。TACI(膜貫通活性化因子及びカルシウム調節因子及びシクロフィリンリガンド相互作用物質(Transmembrane Activator and Calcium modulator and cyclophilin ligand Interactor))は、APRIL及びBAFFに結合し、並びに、BAFF-R(BAFF受容体又はBR3)は、BAFFに制限されるが、BAFFに対して高い親和性を示す。一緒になって、これらの受容体及びそれらの対応するリガンドは、体液性免疫、B細胞の発達及び恒常性の異なる側面を調節する。
【0004】
BCMAの発現は通常、B細胞系統に限定されており、最終的なB細胞分化において増加すると報告されている。BCMAは、扁桃腺、脾臓及び骨髄由来のヒト形質芽細胞及び形質細胞により発現されるが、扁桃メモリーB細胞及び胚中心B細胞によっても発現され、これらはTACI-BAFFR低表現型を有する(Darce et al., 2007)。BCMAは、未感作及びメモリーB-25細胞上にはほとんど存在しない(Novak et al., 2004a 及び Novak et al., 2004b)。BCMA抗原は細胞表面上で発現され、抗体にアクセスすることができるが、ゴルジ体においても発現されている。その発現プロファイルにより示唆されるように、BCMAシグナル伝達は、典型的にはB細胞生存及び増殖と関連しており、B細胞分化の後期において重要であるが、長寿命の骨髄形質細胞(O’Connor et al., 2004)及び形質芽球(Avery et al., 2003)の生存にも重要である。さらに、BCMAは高親和性でAPRILに結合するため、BCMA-APRILシグナル伝達軸は、B細胞分化の後期において優性であり、おそらく生理的に最も重要な相互作用であることが示唆されている。
【0005】
BCMAの発現(転写産物及びタンパク質の両方)は、様々なB細胞障害、例えば、B細胞癌、例えば、多発性骨髄腫(MM)における疾患進行と相関することが報告されている。MMは、血液循環に拡散する前に、de novo又は意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)からの増悪としてのいずれかで骨髄内の多部位において発生するクローン性B細胞悪性腫瘍である。それは一般にパラプロテイン及び破骨細胞活性の増加、並びに高カルシウム血症、血球減少症、腎障害、過粘稠及び末梢神経障害を特徴とする。通常の抗体レベル及び好中球数の両方の減少もまた一般的であり、感染に対する重篤な感受性をもたらす。BCMAは、in vitroにおける骨髄腫細胞株の増殖及び生存に関与している(Novak et al., 2004及びMoreaux et al., 2004)。
【発明の概要】
【0006】
抗BCMA抗体の異性化バリアントを含む組成物であって、
前記異性化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、25%以下の前記異性化バリアント を含む、前記組成物。
【0007】
抗BCMA抗体の酸化バリアントを含む組成物であって、
前記酸化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、40%以下の前記酸化バリアントを含む、前記組成物。
【0008】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含み、
前記組成物が、0.1~25%の、CDRH3のD103における異性化を含む、前記組成物。
【0009】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含み、
前記組成物が、0.1~40%の、CDRH1のM34における酸化を含む、前記組成物。
【0010】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であり、
前記組成物が、0.1~25%の、CDRH3のD103における異性化を含む、前記組成物。
【0011】
抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であり、
前記組成物が、0.1~40%の、CDRH1のM34における酸化を含む、前記組成物。
【0012】
抗BCMA抗体-薬物複合体(ADC:antibody-drug-conjugate)を含む組成物であって、DL2の割合が、少なくとも約30%、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、少なくとも約30%、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、少なくとも約5%、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、少なくとも約10%、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いは、DL8の割合が、少なくとも約1%、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、前記組成物。
【0013】
抗BCMA抗体-薬物複合体(ADC)を含む組成物であって、DL0の割合が約10%以下又は約5%以下である、前記組成物。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ADC組成物におけるDL種の不均一な混合物の概略図を示す図である。
図2図2は、ADC組成物におけるDAR分布を決定するための代表的なHICピーク特性を示す図である。
図3図3は、異種移植モデルにおける腫瘍体積に対するADC組成物の平均DARの影響を示している。
図4図4は、ベランタマブの代表的なcIEFエレクトロフェログラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の発明は、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物、及びBCMA媒介性の疾患又は障害を治療するための関連する方法を提供する。本明細書に記載のような抗BCMA抗体を含む組成物はまた、本明細書に記載のような抗BCMA抗体の集団を指し得、これらの用語は交換可能である。
【0016】
抗BCMA抗原結合タンパク質
本明細書に記載の組成物中の抗BCMA抗原結合タンパク質は、B細胞媒介性癌、例えば、リンパ腫及び多発性骨髄腫を含む、様々なBCMA媒介性疾患の治療又は予防に有用であり得る。本明細書に記載の抗BCMA抗原結合タンパク質は、ヒトBCMA、例えば、GenBankアクセッション番号Q02223.2のアミノ酸配列を含むヒトBCMA又はそれに対して少なくとも90%の相同性若しくは少なくとも90%の同一性を有するヒトBCMAをコードする遺伝子のアミノ酸配列を含むヒトBCMAに結合し得る。
【0017】
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」という用語は、BCMA、例えば、ヒトBCMAに結合することができる抗体、抗体フラグメント及びその他のタンパク質構築物を指す。本発明の抗原結合タンパク質は、天然の抗体又はその機能的フラグメント若しくは同等物の構造にフォーマットされ得る本発明の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み得る。したがって、本発明の抗原結合タンパク質は、適切な軽鎖と組み合わせた場合に、全長抗体、(Fab’)2フラグメント、Fabフラグメント又はそれらの同等物(例えば、scFV、バイボディ、トリボディ又はテトラボディ、Tandab等)にフォーマットされた本発明のVH領域を含み得る。抗体は、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4;IgM;IgA;IgE;IgD;又はそれらの改変バリアントであり得る。それに応じて、抗体重鎖の定常ドメインを選択することができる。軽鎖定常ドメインは、カッパ又はラムダ定常ドメインであり得る。さらに、抗原結合タンパク質は、すべてのクラスの改変、例えば、IgGダイマー、Fc受容体に結合しないFc変異体、又はC1q結合を調節しないFc変異体を含み得る。抗原結合タンパク質はまた、抗原結合領域及び非免疫グロブリン領域を含んでなる、WO86/01533に記載されている種類のキメラ抗体であり得る。
【0018】
本発明の別の態様において、抗原結合タンパク質は、dAb、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニ抗体又はミニボディのいずれかであり得る。本発明の一態様において、抗原結合タンパク質は、完全なヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体のいずれかであり得る。さらなる態様において、抗原結合タンパク質は、ヒト化されている抗体である。本発明の一態様において、抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体である。
【0019】
キメラ抗原受容体(CAR)は、MHC-抗原ペプチド複合体と結合する必要なくT細胞において新規な特異性を生むために、人工的T細胞受容体として開発された。これらの合成受容体は、単一の融合分子内のフレキシブルリンカーを介して1又は2以上のシグナル伝達ドメインに関連付けられている標的結合ドメインを含み得る。標的結合ドメインは、病理細胞の表面上に存在する特定の標的にT細胞を標的化するために使用され得、シグナル伝達ドメインは、T細胞の活性化及び増殖のための分子機構を含む。T細胞膜を貫通する(すなわち、膜貫通ドメインを形成する)フレキシブルリンカーは、CARの標的結合ドメインの細胞膜ディスプレー(cell membrane display)を可能とする。CARは、リンパ腫及び固形腫瘍を含む様々な悪性腫瘍由来の腫瘍細胞の表面に発現される抗原にT細胞を再指向させることを上手く可能にし得る(Jena et al., 2010, Blood, 116(7):1035-44)。本発明の一態様において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、キメラ抗原受容体を含み得る。さらなる態様において、CARは、結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内エフェクタードメインを含み得る。
【0020】
例示的な抗BCMA抗原結合タンパク質及びそれを作製する方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開番号WO2012/163805に開示されている。追加の例示的な抗BCMA抗原結合タンパク質には、WO2016/014789、WO2016/090320、WO2016/090327、W02016/020332、WO2016/079177、WO2014/122143、WO2014/122144、WO2017/021450、WO2016/014565、WO2014/068079、WO2015/166649、WO2015/158671、WO2015/052536、WO2014/140248、WO2013/072415、WO2013/072406、WO2014/089335、US2017/165373、WO2013/154760及びW02017/051068に記載されているものを含み、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
別の実施形態において、本明細書に記載される抗BCMA抗原結合タンパク質は、BCMA受容体に対するBAFF及び/又はAPRILの結合を阻害し得る。別の実施形態において、本明細書に記載される抗BCMA抗原結合タンパク質は、FcγRIIIAに結合することができるか、又はFcγRIIIAにより媒介されるエフェクター機能の能力を有する。
【0022】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、抗体(「抗BCMA抗体」)を含む。別の実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体を含む。本明細書で使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン様ドメインを有する分子(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgE)を指し、これらのタイプのモノクローナル分子、組換え分子、ポリクローナル分子、キメラ分子、ヒト分子及びヒト化分子を含み得る。モノクローナル抗体は、真核生物の細胞クローン又は抗体を発現する原核生物の近縁細胞(prokaryotic close cell)によって産生され得る。モノクローナル抗体はまた、細胞に導入された抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列を有することによって、抗体の重鎖及び軽鎖を組換え的に発現することができる真核生物細胞株により産生され得る。異なる真核細胞株、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞、ハイブリドーマ、又は動物(例えば、ヒト)に由来する不死化抗体細胞から抗体を産生するための例示的な方法は、当業者によく知られている。
【0023】
抗体は、例えば、ラット、マウス、霊長類動物(例えば、カニクイザル、旧世界ザル又は類人猿)、ヒト、又はその他の供給源(例えば、当技術分野で知られている分子生物学技術を使用して生成された、抗体分子をコードする核酸)のいずれかに由来し得る。
【0024】
抗体は、定常領域を含み得、任意のアイソタイプ又はサブクラスであり得る。定常領域は、IgGアイソタイプ、例えば、IgG、IgG、IgG、lgG又はそれらのバリアントであり得る。
【0025】
抗原結合タンパク質は、例えば、抗原結合タンパク質が抗体である場合に、抗体のエフェクター機能/ADCC及び/又は補体活性化を増強するように、変異した定常ドメインを含む1又は2以上の改変を含み得る。
【0026】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、抗体依存性の細胞媒介細胞傷害性(ADCC)エフェクター機能が増強されている。用語「エフェクター機能」は、本明細書で使用される場合には、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害活性(ADCC)、補体依存性細胞傷害活性(CDC)媒介応答、Fc媒介性貪食作用及び/又はFcRn受容体を介した抗体リサイクルのうちの1又は2以上を指すことを意味する。IgG抗体において、ADCC及びADCPを含み得るエフェクター機能は、重鎖定常領域と免疫細胞の表面に存在するFcγ受容体ファミリーとの相互作用により媒介され得る。ヒトにおいて、これらはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)を含み得る。抗原に結合した抗原結合タンパク質とFc/Fcγ複合体形成体との間の相互作用は、様々な作用、例えば、細胞傷害性、免疫細胞活性化、貪食作用及び/又は炎症性サイトカインの放出を誘導し得る。
【0027】
別の実施形態において、抗BCMA抗体は、BCMA受容体へのBAFF及び/又はAPRILの結合を阻害し得る。別の実施形態において、抗BCMA抗体は、FcγRIIIAに結合することができるか、又はFcγRIIIA媒介性のエフェクター機能の能力を有し得る。
【0028】
一実施形態において、組成物は、2個の免疫グロブリン(Ig)重鎖(「HC」)及び2個のIg軽鎖(「LC」)を含む抗BCMA抗体を含む。基本的な抗体構造単位は、例えば、サブユニットの四量体を含み得る。各四量体は、2対のポリペプチド鎖を含み得、各対は、1個の「軽」鎖(約25kDa)及び1個の「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含み得る。この可変領域は、最初に、切断可能なシグナルペプチドに連結して発現されてもよい。シグナルペプチドのない可変領域は、成熟可変領域と呼ばれることがある。したがって、一例において、軽鎖成熟可変領域は、軽鎖シグナルペプチドを含まない軽鎖可変領域を含み得る。各鎖のカルボキシ末端部分は、定常領域を規定し得る。重鎖定常領域は、主にエフェクター機能に関与し得る。
【0029】
各軽鎖/重鎖対の成熟可変領域は、抗体結合部位(抗原結合部位とも呼ばれる)を形成し得る。「抗原結合部位」は、抗原に特異的に結合することができる抗体の部位を指し、これは単一の可変ドメインであり得るか、又は標準的な抗体に見られるような対のV/Vドメインであり得る。したがって、インタクトな抗体は、例えば、2個の結合部位を有し得る。二機能性抗体又は二重特異性抗体の場合を除き、2個の結合部位は同一であり得る。鎖はすべて、相補性決定領域又は「CDR」とも呼ばれる3個の超可変領域によって連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同一の一般構造を示し得る。各対の2個の鎖から生じるCDRは、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。したがって、一例では、N末端からC末端まで、軽鎖及び重鎖の両方が、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。
【0030】
「CDR」は、抗体の相補性決定領域のアミノ酸配列として定義される。これらは免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には、3個の重鎖及び3個の軽鎖CDR(又はCDR領域)が存在する。したがって、本明細書で使用される「複数のCDR」は、3個すべての重鎖CDR、3個すべての軽鎖CDR、すべての重鎖及び軽鎖CDR、又は少なくとも2個のCDRを指す。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載の発明による1個又は2個以上のCDR、又は本明細書に記載の発明による重鎖又は軽鎖可変ドメインの一方又は両方を含む抗BCMA抗体を含む。
【0031】
「バリアント」、「抗体バリアント」、「CDRバリアント」及び「翻訳後修飾バリアント」という用語は、抗体配列における1以上のアミノ酸変化を指す。バリアントは、翻訳後修飾、化学変化、又は1以上の欠失、置換若しくは付加による配列変化の結果であり得る。一部の翻訳後修飾は、配列を変更しない化学変化をもたらすが(例えば、Met及び酸化Met;又はAsp又は異性化/iso-Asp;又は凝集)、その他の翻訳後修飾は、配列変化、例えば、あるアミノ酸残基の別のアミノ酸残基への変換(例えば、脱アミド化によるAsnからAspへの変換;又はリジンの欠損)をもたらす。さらなる翻訳後修飾バリアントを以下に記載する。配列変化を含むバリアント抗体配列は、設計された配列変化又は翻訳後修飾の結果であり得る。アミノ酸配列の変化は、欠失、置換又は付加であり得る。
【0032】
そのような一実施形態において、置換は保存的置換である。別の実施形態において、抗体バリアントは、抗原結合タンパク質の標準形を保持しながら、1以上の置換を含む。一実施形態において、抗体バリアントは、抗体の一次配列に対して少なくとも約80%、約85%、約90%又は約95%同一である(すなわち、配列同一性を有する)抗体である。別の実施形態において、抗体バリアントは、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、約85%、約90%又は約95%同一である重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約85%、約90%又は約95%同一である重鎖アミノ酸配列を含む抗体を含む。
【0033】
本発明の抗原結合タンパク質は、FcRnに対する定常ドメイン又はそのフラグメントの親和性を増加させるアミノ酸改変を有し得る。治療及び診断用IgG抗体及びその他の生物活性分子の半減期(すなわち、血清半減期)を増加することには、多くの利点、例えば、これらの分子の投与量及び/又は投与頻度を減らすことがある。一実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、以下のアミノ酸改変のうちの1又は2以上を有するIgG定常ドメインの全部又は一部(FcRn結合部分)を含む。
【0034】
例えば、IgG1に関して、M252Y/S254T/T256E(一般に「YTE」変異と呼ばれる)及びM428L/N434S(一般に「LS」変異と呼ばれる)は、pH6.0でFcRn結合を増加させる(Wang et al. 2018)。
【0035】
半減期は、T250Q/M428L、V259I/V308F/M428L、N434A及びT307A/E380A/N434A変異(IgG1及びKabatの番号付けに関する)によっても延長され得る(Monnet et al.)。
【0036】
半減期及びFcRn結合は、H433K及びN434F変異(一般に「HN」変異又は「NHance」変異と呼ばれる)(IgG1に関する)を導入することによっても拡張され得る(W02006/130834)。
【0037】
WO00/42072には、FcRn結合親和性が変化したバリアントFc領域を含むポリペプチドが記載されており、このポリペプチドは、Fc領域のアミノ酸位置238、252、253、254、255、256、265、272、286、288、303、305、307、309、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、386、388、400、413、415、424、433、434、435、436、439及び447(EUインデックス番号付け)のうちの任意の1又は2以上のアミノ酸改変を含む。
【0038】
WO02/060919には、野生型IgG定常ドメインと比較して1又は2以上のアミノ酸改変を含むIgG定常ドメインを含む改変IgGが記載されており、この改変IgGの半減期は、野生型IgG定常ドメインを有するIgGの半減期に比較して延長され、その1又は2以上のアミノ改変は、位置251、253、255、285~290、308~314、385~389及び428~435のうちの1又2以上において存在する。
【0039】
Shieldsら(2001, J Biol Chem; 276:6591-604)は、アラニンスキャニング変異誘発を使用して、ヒトIgG1抗体のFc領域の残基を変更し、次いで、ヒトFcRnへの結合を評価した。アラニンに変更されたときにFcRnへの結合を効果的に抑制する位置は、I253、S254、H435及びY436を含む。その他の位置では、E233-G236、R255、K288、L309、S415及びH433のように結合の減少がそれほど顕著ではなかった。いくつかのアミノ酸位置は、アラニンに変更されたときにFcRn結合の向上を示し、これらの中で注目すべきは、P238、T256、E272、V305、T307、Q311、D312、K317、D376、E380、E382、S424及びN434である。その他の多くのアミノ酸位置は、FcRn結合において、わずかな向上(D265、N286、V303、K360、Q362及びA378)又は変化なし(S239、K246、K248、D249、M252、E258、T260、S267、H268、S269、D270、K274、N276、Y278、D280、V282、E283、H285、T289、K290、R292、E293、E294、Q295、Y296、N297、S298、R301、N315、E318、K320、K322、S324、K326、A327、P329、P331、E333、K334、T335、S337、K338、K340、Q342、R344、E345、Q345、Q347、R356、M358、T359、K360、N361、Y373、S375、S383、N384、Q386、E388、N389、N390、K392、L398、S400、D401、K414、R416、Q418、Q419、N421、V422、E430、T437、K439、S440、S442、S444及びK447)を示した。
【0040】
FcRn結合の向上に関して最も顕著な効果は、組み合わせバリアントに対して見出された。pH6.0において、E380A/N434AバリアントのFcRnへの結合は、天然(native)のIgG1に対して8倍以上優れており、比較として、E380Aの場合は2倍であり、N434Aの場合は3.5倍であったことを示した。これにT307Aを追加すると、天然のIgG1と比較して結合が12倍向上した。一実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、E380A/N434A変異を含み、FcRnへの結合が増加している。
【0041】
Dall’Acquaら(2002, J Immunol.;169:5171-80)は、マウスFcRnに対するヒトIgG1ヒンジ-Fcフラグメントファージディスプレイライブラリーのランダム変異誘発及びスクリーニングについて記載している。彼らは、位置251、252、254~256、308、309、311、312、314、385~387、389、428、433、434及び436のランダム変異誘発を記載した。IgG1-ヒトFcRn複合体の安定性の主な改善は、Fc-FcRn境界を横切るバンドに位置する残基(M252、S254、T256、H433、N434及びY436)を置換する場合に生じ、改善の程度は低いが、周辺(periphery)の残基、例えば、V308、L309、Q311、G385、Q386、P387及びN389の置換の場合に生じる。ヒトFcRnに対して最も高い親和性をするバリアントは、M252Y/S254T/T256E(「YTE」)及びH433K/N434F/Y436H変異を組み合わせることによって得られ、野生型IgG1と比較して57倍の親和性の増加を示した。このような変異したヒトIgG1のin vivoでの挙動は、野生型IgG1と比較して、カニクイザルの血清半減期のほぼ4倍の増加を示した。
【0042】
したがって、本発明は、FcRnへの最適化された結合を有する抗原結合タンパク質を提供する。好ましい実施形態において、抗原結合タンパク質は、この抗原結合タンパク質のFc領域に1以上のアミノ酸改変を含み、この改変は、Fc領域の226、227、228、230、231、233、234、239、241、243、246、250、252、256、259、264、265、267、269、270、276、284、285、288、289、290、291、292、294、297、298、299、301、302、303、305、307、308、309、311、315、317、320、322、325、327、330、332、334、335、338、340、342、343、345、347、350、352、354、355、356、359、360、361、362、369、370、371、375、378、380、382、384、385、386、387、389、390、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、403、404、408、411、412、414、415、416、418、419、420、421、422、424、426、428、433、434、438、439、440、443、444、445、446及び447からなる群から選択されるアミノ酸位置にある。
【0043】
さらに、様々な出版物に、半減期が変更された生理学的に活性な分子を得る方法が記載されており、その方法は、FcRn結合ポリペプチドを分子に導入することによって得る方法(WO97/43316、US5869046、US5747035、WO96/32478及びWO91/14438)、又は分子を抗体に融合することによって、FcRn結合親和性は保持されているが、その他のFc受容体への親和性が大幅に低下している抗体を得る方法(WO99/43713)、又は分子を抗体のFcRn結合ドメインと融合することによって得る方法(WO00/09560、US4703039)のいずれかである。
【0044】
抗体の細胞傷害性及び半減期の両方を改善するためのFcRn親和性増強Fcバリアントは、pH6.0におけるスクリーニングで同定された。選択されたIgGバリアントは、低フコシル化分子として作製され得る。得られたバリアントは、hFcRnマウスの血清持続性の増強、及び保存され、強化されたADCCを示す(Monnet et al.)。例示的な変異体には、(IgG1及びKabat番号付けに関する)以下が含まれる:
P230T/V303A/K322R/N389T/F404L/N434S;
P228R/N434S;
Q311R/K334R/Q342E/N434Y;
C226G/Q386R/N434Y;
T307P/N389T/N434Y;
P230S/N434S;
P230T/V305A/T307A/A378V/L398P/N434S;
P230T/P387S/N434S;
P230Q/E269D/N434S;
N276S/A378V/N434S;
T307A/N315D/A330V/382V/N389T/N434Y;
T256N/A378V/S383N/N434Y;
N315D/A330V/N361D/A387V/N434Y;
V259I/N315D/M428L/N434Y;
P230S/N315D/M428L/N434Y;
F241L/V264E/T307P/A378V/H433R;
T250A/N389K/N434Y;
V305A/N315D/A330V/P395A/N434Y;
V264E/Q386R/P396L/N434S/K439R;
E294del/T307P/N434Y(「del」は欠失を示す)。
【0045】
本発明はまた、本発明による抗原結合タンパク質を生産するための方法であって、以下の工程:a)本明細書に記載される単離された核酸を含む発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養する工程であって、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を組換え宿主細胞中で不活性化する工程;及びb)抗原結合タンパク質を回収する工程を含む、方法を提供する。抗原結合タンパク質を生産するためのこのような方法は、例えば、BioWa,Inc.(Princeton、NJ)から利用可能なPOTELLIGENT技術システムを使用して実施することができ、そのシステムにおいて、FUT8遺伝子の機能的コピーを欠くCHOK1SV細胞は、機能的FUT8遺伝子を有する細胞内で生産された同一のモノクローナル抗体に対して増加している増強された抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有するモノクローナル抗体を生産する。POTELLIGENT技術システムの態様は、US7214775、US6946292、WO0061739及びWO0231240(これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。当業者はまた、抗原結合タンパク質、例えば、抗体を生成するためのその他の適切なシステム及び方法を認識する。
【0046】
抗体は、従来のタンパク質精製手順によって回収及び精製され得る。例えば、抗体は培養培地から直接採取され得る。細胞培養培地の採取は、清澄化、例えば、遠心分離及び/又は深層濾過による清澄化を介して行うことができる。抗体を回収した後、精製して適切な純度を確保する。したがって、一態様では、本明細書に記載の抗体を含む細胞培養培地が提供される。一実施形態において、細胞培養培地は、CHO細胞を含む。
【0047】
次いで、抗体を細胞培養培地から精製することができる。これは、細胞培養上清を採取し、細胞培養上清を精製媒体(例えば、抗体分子を結合するためのプロテインA樹脂又はプロテインG樹脂)と接触させ、精製媒体から抗体分子を溶出して溶出液を生成することを含み得る。したがって、一態様において、本明細書に記載の抗体を含む溶出液が提供される。
【0048】
1又は2以上のクロマトグラフィー工程を精製に使用してもよく、例えば、1種又は2種以上のクロマトグラフィー樹脂及び/又は1又は2以上の濾過工程を精製に使用することができる。例えば、樹脂、例えば、プロテインA、G又はLを使用するアフィニティークロマトグラフィーを使用して、組成物を精製することができる。或いは、又はそれに加えて、イオン交換樹脂、例えば、陽イオン交換樹脂を使用して、組成物を精製することができる。
【0049】
或いは、精製工程は、アフィニティークロマトグラフィー樹脂による工程と、それに続く陽イオン交換樹脂による工程とを含む。
【0050】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)を含む。一実施形態において、重鎖可変領域CDR1(「CDRH1」)は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1のアミノ酸変異(「バリアント」)を有するアミノ酸配列を含む。
【0051】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)を含む。一実施形態において、重鎖可変領域CDR2(「CDRH2」)は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に1のアミノ酸変異(「バリアント」)を有するアミノ酸配列を含む。
【0052】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)を含む。一実施形態において、重鎖可変領域CDR3(「CDRH3」)は、配列番号3に記載のアミノ酸配列に1のアミノ酸変異(「バリアント」)を有するアミノ酸配列を含む。
【0053】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1(「CDRL1」)を含む。一実施形態において、軽鎖可変領域CDR1(「CDRL1」)は、配列番号4に記載のアミノ酸配列に1のアミノ酸変異(「バリアント」)を有するアミノ酸配列を含む。
【0054】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2(「CDRL2」)を含む。一実施形態において、軽鎖可変領域CDR2(「CDRL2」)は、配列番号5に記載のアミノ酸配列に1のアミノ酸変異(「バリアント」)を有するアミノ酸配列を含む。
【0055】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3(「CDRL3」)を含む。一実施形態において、軽鎖可変領域CDR3(「CDRL3」)は、配列番号6に記載のアミノ酸配列に1のアミノ酸変異(「バリアント」)を有するアミノ酸配列を含む。
【0056】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRL2;及び/又は配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0057】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(「V」)を含む。
【0058】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(「V」)を含む。
【0059】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV;及び配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVを含む。
【0060】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖領域(「HC」)を含む。
【0061】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖領域(「LC」)を含む。
【0062】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHC;及び配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCを含む。
【0063】
クエリーアミノ酸配列とサブジェクトアミノ酸配列の間の「同一性パーセント」は、ペアワイズBLASTPアラインメントが実行された後にサブジェクトアミノ酸配列がクエリーアミノ酸配列と100%のクエリーカバー率を有する場合にBLASTPアルゴリズムにより計算される、パーセンテージとして表される「同一性」値である。このようなクエリーアミノ酸配列とサブジェクトアミノ酸配列の間のペアワイズBLASTPアラインメントは、アメリカ国立バイオテクノロジー情報センターのウェブサイトで利用可能なBLASTPアルゴリズムのデフォルト設定を用いることにより、低複雑性領域のフィルターを解除して実行される。重要なこととして、クエリー配列は本明細書の1以上の請求項で特定されるアミノ酸配列により記載することができる。
【0064】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2;及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む。
【0065】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV;及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含む。
【0066】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するLCを含むベランタマブを含む。
【0067】
抗体の配列は、Kabat番号付けシステムによって特定され得る(Kabat et al. Sequences of proteins of Immunological Interest NIH, 1987)。或いは、Chothia番号付けシステム(Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948)、接触定義法(contact definition method)(MacCallum R.M., and Martin A.C.R. and Thornton J.M, (1996), Journal of Molecular Biology, 262 (5), 732-745)、又は抗体中の残基に番号を付け、当業者に知られているCDRを特定するための任意のその他の確立された方法を使用して特定され得る。当業者が利用可能な、抗体配列のその他の番号付け慣例方法には、「AbM」(バース大学)及び「接触」(ロンドン大学)法が含まれる。最後に、抗体配列には順番に番号を付けることができる。
【0068】
本明細書に記載のアミノ酸を数値的に言及する場合には、配列は、Kabat法又は連続番号付け法(sequential numbering method)に従って番号付けされ得る。特に明記しない限り、特定のアミノ酸番号への数値言及は、本明細書では連続番号付けシステムにより記載されている。この明細書全体を通して、「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」という用語は、Kabat番号付けの後に続く。可変領域配列及び全長抗体配列のアミノ酸残基は、任意の抗体配列バリアント位置又は翻訳後修飾バリアント位置、例えば、異性化バリアント(例えば、D103)、脱アミド化バリアント(例えば、N388)又は酸化バリアント(例えば、M34)を示す。
【0069】
CDR内の位置(例えば、M34又はD103)への言及は、抗体配列全体に対する位置番号(連続番号付け)を提供する。したがって、CDRH1におけるM34は、配列番号1の4番目の残基、すなわち、下線部:NYWH(配列番号1)を指すことが理解される。同様に、CDRH3におけるD103は、配列番号3の5番目の残基、すなわち、下線部:GAIYGYDVLDN(配列番号3)を指す。
【0070】
一態様において、組成物は、一次配列中の1又は2以上のアミノ酸の変化を含む抗体バリアントを含む。一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列と少なくとも約90%同一である抗体であって、アスパラギン酸(D)からアスパラギン(N)へのアミノ酸変化、例えば、CDRH3におけるD103N(すなわち、Kabat番号付けのD99N)を有する抗体を含む。
【0071】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、アスパラギン酸(D)からアスパラギン(N)へのアミノ酸変化、例えば、CDRH3におけるD103Nを含む。
【0072】
別の実施形態において、抗BCMA抗体は、ベランタマブを含み、アスパラギン酸(D)からアスパラギン(N)へのアミノ酸変化、例えば、CDRH3におけるD103Nを含む。
【0073】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約50%以上、約75%以上又は約90%以上はCDRH3におけるD103Nを含む。
【0074】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約50%以上、約75%以上又は約90%以上はCDRH3におけるD103Nを含む。
【0075】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブを含み、ベランタマブの約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約50%以上、約75%以上又は約90%以上はCDRH3におけるD103Nを含む。
【0076】
一実施形態において、組成物は、G27Y、S30T、A93T、A24G、K73T、M48I、V67A、F71Y、D99N、M4L及びK45Eからなる群から選択されるKabat番号付けシステムを使用する少なくとも1種の抗体バリアントを含むベランタマブを含む。
【0077】
翻訳後修飾産物
本明細書に記載の抗体の「翻訳後修飾産物」は、組成物の全部又は一部が「翻訳後修飾」を含む抗体組成物である。翻訳後修飾は、宿主細胞での抗体の生産、上流及び下流の製造、及び/又は貯蔵(例えば、光、温度、pH、水への曝露の影響、或いは、賦形剤及び/又は直後の容器閉鎖システムとの反応)の結果であり得る。したがって、本発明の組成物は、抗体の製造又は貯蔵から形成され得る。例示的な翻訳後修飾には、抗体配列の変化(上記の「抗体バリアント」)、特定のリーダー配列の切断、様々なグリコシル化パターンにおける様々な糖部分の付加、非酵素的糖化、脱アミド化、酸化、ジスルフィド結合スクランブリング(disulfide bond scrambling)及びその他のシステインバリアント(例えば、遊離スルフヒドリル、ラセミ化ジスルフィド、チオエーテル及びトリスルフィド結合)、異性化、C末端リジンの切断、及び/又はN末端グルタミンの環化が含まれる。
【0078】
一例において、翻訳後修飾産物は、機能及び/又は活性の低下をもたらす化学変化を含む「産物関連不純物(product-related impurity)」を含む。別の例において、翻訳後修飾産物は、機能及び/又は活性の低下をもたらさない化学変化を含む「産物関連物質(product-related substance)」を含む。本明細書に記載の抗体の産物関連不純物には、異性化バリアント及び酸化バリアントが含まれる。本明細書に記載の抗体の産物関連物質には、脱アミド化バリアント、グリコシル化バリアント、C末端切断バリアント及びN末端ピログルタミン酸バリアントが含まれる。
【0079】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、1又は2以上のその機能的な翻訳後修飾を含む。別の実施形態において、組成物は、配列番号11、配列番号12、配列番号13又は配列番号14の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、1又は2以上のその機能的な翻訳後修飾を含む。
【0080】
本明細書で提供されるバリアントの割合は、組成物中の抗体(例えば、抗体の「集団」)の総量のパーセンテージとして表される。例えば、40%以下の酸化バリアントは、組成物中の総量100%の抗体であって、そのうちの40%以下が酸化されている総量100%の抗体を指す。例えば、25%以下の異性化バリアントは、組成物中の総量100%の抗体であって、そのうちの25%以下が異性化されている総量100%の抗体を指す。
【0081】
糖化は、還元糖、例えば、グルコースとタンパク質の遊離アミン基との間の非酵素的化学反応を含む翻訳後修飾であり、通常、リジン側鎖のイプシロンアミン又はタンパク質のN末端で見出される。糖化は、還元糖の存在下での製造及び/又は貯蔵中に起こり得る。
【0082】
例えば、製造及び/又は貯蔵中に起こり得る脱アミド化は、酵素反応又は化学反応であり得る。脱アミド化は、分子内環化による単純な化学反応によって起こり得、鎖内の隣のアミノ酸のアミド窒素がアミドを求核攻撃し(N+1がNを攻撃する)、スクシンイミド中間体を形成する。脱アミド化は、主にアスパラギン(N)を約3:1の比率でイソアスパラギン酸(イソアスパラギネート)及びアスパラギン酸(アスパラギネート)(D)に変換する場合がある。したがって、この脱アミド化反応は、アスパラギン酸(D)のイソアスパラギン酸への異性化に関連している可能性がある。アスパラギンの脱アミド化及びアスパラギン酸の異性化は、両方とも中間体のスクシンイミドを伴い得る。程度ははるかに低いが、同様の方法で脱アミド化がグルタミン残基で起こり得る。脱アミド化は、CDR、Fab(非CDR領域)又はFc領域で起こり得る。異性化は、アスパラギン酸(D)からイソアスパラギン酸への変換であり、中間体のスクシンイミドが関与する。
【0083】
酸化は、製造及び/又は貯蔵中に(すなわち、酸化条件の存在下で)起こり得、直接的には反応性酸素種により、又は間接的には酸化ストレスの二次的副産物との反応により誘導されるタンパク質の共有結合的修飾をもたらす。酸化は主としてメチオニン残基で起こり得るが、トリプトファン及び遊離システイン残基でも起こり得る。酸化はCDR、Fab(非CDR)領域又はFc領域で起こり得る。
【0084】
ジスルフィド結合のスクランブリングは、製造及び/又は保管条件中に起こり得る。ある特定の状況下では、ジスルフィド結合は破断することがあるか又は適切に形成しないことがあり、不対合システイン残基(-SH)を生じる。これらの遊離(不対合)スルフヒドリル(-SH)がシャッフリングを促進し得る。
【0085】
チオエーテルの形成及びジスルフィド結合のラセミ化は、製造又は貯蔵中の基本的な条件下で起こり得る。これは、ジスルフィド架橋のベータ脱離により、デヒドロアラニン及び過硫化物の中間体を介してシステイン残基に戻る。その後のデヒドロアラニン及びシステインの架橋により、チオエーテル結合が形成され得、或いは遊離システイン残基がD-システイン及びL-システインの混合物でジスルフィド結合を再形成し得る。
【0086】
三硫化物は、硫黄原子のジスルフィド結合への挿入から生じ得(Cys-S-S-S-Cys)、生産細胞培養における硫化水素の存在により形成され得る。
【0087】
重鎖及び/又は軽鎖のN末端グルタミン(Q)及びグルタメート(グルタミン酸)(E)は、環化を介してピログルタメート(pGlu)を形成し得る。pGluの形成は生産バイリアクター内で起こり得るが、それはまた、例えば、処理及び貯蔵条件のpH及び温度に依存して、非酵素的に形成される場合もある。N末端Q又はEの環化は一般に天然ヒト抗体で見られる。
【0088】
C末端のリジンの切断は、カルボキシペプチダーゼにより触媒される酵素反応であり、組換え及び天然ヒト抗体に共通に見られる。このプロセスの変形には、組換え宿主細胞からの細胞酵素による一方又は両方の重鎖からのリジンの除去が含まれる。ヒト対象/患者に投与すると、残っているC末端のリジンの除去がもたらされる可能性がある。
【0089】
本発明は、本明細書に記載の翻訳後修飾のうちの1又は2以上を施されたか、又は受けた可能性がある抗体を包含する。例示的な組成物は、以下の抗体の混合物又はブレンドを含み得る:1)(1又は2以上の)翻訳後修飾を有する及び有しない抗体の混合物又はブレンド、又は2)本明細書に記載の翻訳後修飾の2種以上を有する抗体の混合物又はブレンド。
【0090】
組成物は、抗体バリアント及び翻訳後修飾バリアントの混合物を含み得る。例えば、抗体組成物は、酸化バリアント、脱アミド化バリアント、異性化バリアント、N末端ピログルタミン酸バリアント及びC末端リジン切断バリアントのうちの1又は2以上、例えば、2又は3以上を含み得る。
【0091】
例えば、一実施形態において、組成物は抗体の混合物を含み得、混合物中の抗体の10%が配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、混合物中の抗体の90%がC末端のリジンの切断を有する配列番号9及び10のアミノ酸配列を含む。
【0092】
別の例示的な実施形態において、組成物は抗体の混合物を含み得、混合物中の抗体の10%が配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、混合物中の抗体の90%がC末端のリジンの切断を有する配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、その総量100%の抗体混合物のうち、最大100%のN末端グルタミンがピログルタメートに環化されている。
【0093】
別の例示的な実施形態において、組成物は抗体の混合物を含み得、混合物中の抗体の10%が配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、混合物中の抗体の90%がC末端のリジンの切断を有する配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、その総量100%の抗体混合物のうち、最大100%がN末端ピログルタメートであり、最大23%がCDRH3におけるD103で異性化されている。
【0094】
さらに別の例示的な実施形態において、組成物は抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の20%が配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、混合物中の抗体の80%がCDRH3におけるN103のバリアントを有する配列番号9及び10のアミノ酸配列を含み、その総量100%の抗体混合物のうち、最大37%の抗体がCDRH1におけるアミノ酸M34で酸化されている。
【0095】
一実施形態において、本明細書に記載の翻訳後修飾は、抗原結合親和性、生物活性、薬物動態(PK)/薬力学(PD)、凝集、免疫原性及び/又はFc受容体への結合に有意な変化をもたらさない。ただし、産物関連不純物として指定及び記載されている場合を除く。
【0096】
本明細書に記載の「機能」又は「活性」は、1)BCMAへの結合、2)FcγRIIIaへの結合、及び/又は3)FcRnへの結合のうちの1又は2以上として定義される。一実施形態において、「機能低下」又は「活性低下」は、BCMAへの結合、FcγRIIIaへの結合又はFcRnへの結合が、参照標準と比較したパーセンテージで減少し、アッセイのばらつきに対して有意であることを意味する。例えば、機能又は活性の低下は、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上又は50%以上の低下として説明され得る。
【0097】
一実施形態において、抗BCMA抗体は、配列番号9及び配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である抗体を含み、存在する場合には、すべての翻訳後修飾を含む。
【0098】
別の実施形態において、抗BCMA抗体は、ベランタマブを含み、存在する場合にはすべての翻訳後修飾を含む。
【0099】
抗体の組成物を、荷電ベースの分離技術、例えば、等電点電気泳動(IEF)であるゲル電気泳動、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)であるゲル電気泳動、陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)及び陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)により分析すると、抗体バリアントが一般的に観察される。
【0100】
翻訳後修飾は、抗体の正味電荷の増加又は減少をもたらし、pI値の減少又は増加を引き起こし、それにより、主要なアイソフォーム(main isoform)に関して酸性バリアント及び塩基性バリアント(総称して「荷電バリアント」と呼ばれる)をもたらし得る。主要なアイソフォームは、クロマトグラムのメインピークとして溶出する抗体集団である。IEFベースの方法を使用して抗体を分析する場合には、酸性種は見かけのpIが低いバリアントであり、塩基性種は見かけのpIが高いバリアントである。クロマトグラフィーベースの方法で分析する場合には、酸性種及び塩基性種は、メインピークに対する保持時間に基づいて定義される。酸性種は、CEXから得られるメインピークよりも早く溶出するバリアント又はAEXから得られるメインピークよりも遅く溶出するバリアントであり、塩基性種は、CEXから得られるメインピークよりも遅く溶出するバリアント又はAEXから得られるメインピークよりも早く溶出するバリアントである。これらの方法は、抗体の主要なアイソフォームを酸性アイソフォーム(酸性バリアント)及び塩基性アイソフォーム(塩基性バリアント)から分離する。荷電バリアントは、様々な方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、WCX-10 HPLC(弱陽イオン交換クロマトグラフィー))又はIEF(等電点電気泳動)によって検出され得る。電荷バリアントの割合は、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)を使用して決定され得る。キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)を使用して、ドスタルリマブのpIを測定し、荷電バリアントを分離する(図1を参照)。この方法を使用して、酸性種及び塩基性種を総面積ピークのパーセンテージとして定量し得る。「種」、「アイソフォーム」、「フォーム」及び「ピーク」という用語は、主要なアイソフォーム及び荷電バリアント(酸性バリアント及び塩基性バリアント)を指すために交換可能に使用される。
【0101】
一実施形態において、組成物は抗体の酸性バリアントを含み、酸性バリアントは、配列番号1のCDRH1と、配列番号2のCDRH2と、配列番号3のCDRH3と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、1~70%の酸性バリアントを含む。
【0102】
一態様において、組成物は、70%以下の酸性バリアントを含む。一実施形態において、組成物は、60%以下、50%以下、40%以下、35%以下又は30%以下の酸性バリアントを含む。或いは、組成物は、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~35%又は10~30%の酸性バリアントを含む。或いは、組成物は、20~70%、20~60%、20~50%、20~40%、20~35%又は20~30%の酸性バリアントを含む。或いは、組成物は、約60%、約50%、約40%、約35%、約30%、約25%又は約20%の酸性バリアントを含む。
【0103】
一態様において、組成物は、抗体の塩基性バリアントを含み、塩基性バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、1~30%の塩基性バリアントを含む。
【0104】
一態様において、組成物は、30%以下の塩基性バリアントを含む。一実施形態において、組成物は、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、7.5%以下又は5%以下の塩基性バリアントを含む。一実施形態において、組成物は、1~30%、1~25%、1~20%、1~15%、1~10%又は1~5%の塩基性バリアントを含む。或いは、組成物は、約15%、約10%又は約5%の塩基性バリアントを含む。
【0105】
一態様において、組成物は、抗体の主要なアイソフォームを含み、主要なアイソフォームは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、1~90%の主要なアイソフォームを含む。
【0106】
一態様において、組成物は、1%以上の主要なアイソフォームを含む。一実施形態において、組成物は、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上又は90%以上の主要なアイソフォームを含む。一実施形態において、組成物は、10~90%、20~90%、30~90%、40~90%、50~90%又は60~90%の主要なアイソフォームを含む。一実施形態において、組成物は、10~80%、20~80%、30~80%、40~80%、50~80%又は60~80%の主要アイソフォームを含む。或いは、組成物は、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約50%又は約55%の主要アイソフォームを含む。
【0107】
酸性バリアントの割合、塩基性バリアントの割合及び主要なバリアントの割合は、等電点電気泳動は、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)を使用して決定され得る。これらのアイソフォーム/荷電バリアントの実施形態は、本明細書に記載の抗体バリアントの任意の1種又は組み合わせと併用され得ることができることが理解される。
【0108】
一態様において、組成物は、抗体の荷電バリアントを含み、荷電バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、70%以下の酸性バリアント及び/又は30%以下の塩基性バリアント及び/又は1%以上の主要なアイソフォームを含む。
【0109】
一態様において、組成物は、異性化翻訳後修飾を含む抗体(「異性化」又は「異性化された」)又は「異性化バリアント」を含む。バリアントは、重鎖配列及び/又は軽鎖配列、例えば、重鎖配列のCDR及び/又は軽鎖配列のCDRに異性化されたアミノ酸残基を含み得る。異性化バリアントは、重鎖又は軽鎖の一方又は両方の鎖に存在し得る。異性化翻訳後修飾により、イソアスパラギン酸及び/又はスクシンイミド-アスパラギン酸が生じる。一例において、アスパラギン酸(Asp)の異性化は、本明細書に記載のトリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。これらの異性化バリアントの実施形態は、本明細書に記載の抗体の特徴と組み合わせることができることが理解される。
【0110】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の異性化バリアントを含み、異性化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、25%以下の異性化バリアントを含む。
【0111】
一態様において、組成物は抗BCMA抗体の集団を含み、抗BCMA抗体の集団は、
配列番号1(CDRH1)、配列番号2(CDRH2)及び配列番号3(CDRH3)を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4(CDRL1)、配列番号5(CDRL2)及び配列番号6(CDRL3)を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体、及び
それらの異性化バリアント
を含み、抗体の集団の25%以下は、異性化バリアントで構成されている。
【0112】
組成物は、抗BCMA抗体の異性化バリアントを含み、異性化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、25%以下のCDRH3のアミノ酸D103における異性化バリアントを含む。
【0113】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の異性化バリアントを含み、異性化バリアントは、配列番号9の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、組成物は、25%以下の異性化バリアントを含む。
【0114】
或いは、異性化バリアントは、配列番号11、12、13又は14の重鎖配列を含む。
【0115】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体を含み、重鎖配列又は軽鎖配列のいずれかに異性化、例えば、CDRH3のアミノ酸D103における異性化を含む。
【0116】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、6個のCDR領域のうちの少なくとも1個における異性化、例えば、CDRH3のアミノ酸D103における異性化を含む。
【0117】
別の実施形態において、抗BCMA抗体は、ベランタマブを含み、重鎖配列又は軽鎖配列のいずれかにおける異性化、例えば、CDRH3のアミノ酸D103における異性化を含む。
【0118】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約25%以下、約23%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約8%以下、約7%以下、約0.1~25%、約0.1~20%、約0.1~15%、約0.1~10%、約0.1~8%、約0.1~7%、約1~6%、約2~6%、約3~6%、約4%、約5%又は約6%は、CDRH3のアミノ酸D103において異性化されている。一実施形態において、25%以下又は23%以下のCDRH3のD103における異性化を含む組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。
【0119】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約25%以下、約23%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約8%以下、約7%以下、約0.1~25%、約0.1~20%、約0.1~15%、約0.1~10%、約0.1~8%、約0.1~7%、約1~6%、約2~6%、約3~6%、約4%、約5%又は約6%は、CDRH3のアミノ酸D103において異性化されている。一実施形態において、25%以下又は23%以下のCDRH3のD103における異性化を含む組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。
【0120】
別の実施形態において、組成物は、ベランタマブを含み、ベランタマブの約25%以下、約23%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約8%以下、約7%以下、約0.1~25%、約0.1~20%、約0.1~15%、約0.1~10%、約0.1~8%、約0.1~7%、約1~6%、約2~6%、約3~6%、約4%、約5%又は約6%は、CDRH3のアミノ酸D103において異性化されている。一実施形態において、25%以下又は23%以下のCDRH3のD103における異性化を含むベランタマブは、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。
【0121】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の異性化バリアントを含み、異性化バリアントは、配列番号9の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、組成物は、25%以下の異性化バリアントを含む。
【0122】
一例において、アスパラギン酸(Asp)異性化は、トリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物を含むサンプルを、例えば6MグアニジンHClで変性させ、例えば4.2μg/μLの濃度にすることができる。次いで、ジスルフィド結合を、還元、例えば、室温で20分間、50mMのDTTで還元することができる。次いで、例えばヨード酢酸を、例えば、100mMで添加し、遊離のシステイン残基と、例えば室温で30分間、光から保護して反応させ得る。次いで、サンプルを、例えばBioRadスピンカラム(part no.7326221)を使用して、バッファー交換することができ、次いで、消化、例えば、37℃で15分間、0.5%トリプシンで消化することができる。次いで、得られたペプチドを、逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラムにロードすることができ、UPLCを使用して水及びアセトニトリルのグラジエントの溶液、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸溶液で溶出することができる。次いで、ペプチドをUV検出器及び質量分析計(例えば、Thermo Sdentific LTQ Orbitrap XL)で検出することができる。未修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、異性化のレベルを計算することができる。
【0123】
一態様において、組成物は、酸化翻訳後修飾(「酸化」又は「酸化された」)を含む抗体又は「酸化バリアント」を含む。バリアントは、重鎖配列及び/又は軽鎖配列、例えば、重鎖配列のCDR及び/又は軽鎖配列のCDRに酸化されたアミノ酸残基を含み得る。酸化バリアントは、重鎖又は軽鎖の一方又は両方の鎖に存在し得る。これらの酸化バリアントの実施形態は、本明細書に記載の抗体の特徴と組み合わせることができることが理解される。
【0124】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の酸化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、40%以下の酸化バリアントを含む。
【0125】
一態様において、組成物は抗BCMA抗体の集団を含み、抗BCMA抗体の集団は、
配列番号1(CDRH1)、配列番号2(CDRH2)及び配列番号3(CDRH3)を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4(CDRL1)、配列番号5(CDRL2)及び配列番号6(CDRL3)を含む軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体、及び
それらの酸化バリアント
を含み、抗体の集団の40%以下は、酸化バリアントで構成されている。
【0126】
一実施形態において、酸化バリアントは、1個又は2個以上のCDRにおける酸化を含む。さらなる実施形態において、酸化バリアントは、配列番号1~6のいずれか1個中のメチオニン及び/又はトリプトファン残基における酸化を含む。
【0127】
別の実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の酸化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、40%以下の、CDRH1のアミノ酸M34における酸化バリアントを含む。
【0128】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブの酸化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号9の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、組成物は、40%以下の酸化バリアントを含む。
【0129】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体を含み、重鎖配列に酸化、例えば、アミノ酸M34(CDRH1)、M256及び/又はM432における酸化を含む。
【0130】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、重鎖配列に酸化、例えば、アミノ酸M34(CDRH1)、M256及び/又はM432における酸化を含む。
【0131】
別の実施形態において、抗BCMA抗体は、ベランタマブを含み、重鎖配列に酸化、例えば、アミノ酸M34(CDRH1)、M256及び/又はM432における酸化を含む。
【0132】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約40%以下、約35%以下、約30%、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約2.5%以下、約2%以下、約0.1~40%、約0.1~35%、約0.1~30%、約0.1~25%、約0.1~20%、約0.1~15%、約0.1~10%、約0.1~7.5%、約0.1~5%、約0.1~2.5%、約0.1~2%、約0.5%、約1%、約2%又は約5%は、アミノ酸M34において酸化されている。一実施形態において、40%以下の重鎖M34における酸化を含む組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。別の実施形態において、37%以下の重鎖M34における酸化を含む組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。
【0133】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約40%以下、約35%以下、約30%、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約2.5%以下、約2%以下、約0.1~40%、約0.1~35%、約0.1~30%、約0.1~25%、約0.1~20%、約0.1~15%、約0.1~10%、約0.1~7.5%、約0.1~5%、約0.1~2.5%、約0.1~2%、約0.5%、約1%、約2%又は約5%は、アミノ酸M34において酸化されている。一実施形態において、40%以下の重鎖M34における酸化を含む組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。別の実施形態において、37%以下の重鎖M34における酸化を含む組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。
【0134】
別の実施形態において、組成物は、ベランタマブを含み、ベランタマブの約40%以下、約35%以下、約30%、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約2.5%以下、約2%以下、約0.1~40%、約0.1~35%、約0.1~30%、約0.1~25%、約0.1~20%、約0.1~15%、約0.1~10%、約0.1~7.5%、約0.1~5%、約0.1~2.5%、約0.1~2%、約0.5%、約1%、約2%又は約5%は、アミノ酸M34において酸化されている。一実施形態において、40%以下の重鎖M34における酸化を含むベランタマブは、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。別の実施形態において、37%以下の重鎖M34における酸化を含むベランタマブは、70%以上のBCMA特異的抗原結合を保持する。
【0135】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の酸化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、90%以上のFc領域における酸化バリアントを含む。
【0136】
一実施形態において、抗体は、重鎖配列のFc領域及び/又は軽鎖配列のFc領域のメチオニン及び/又はトリプトファン残基における酸化を含む。いくつかの実施形態において、酸化バリアントは、重鎖配列のFc領域のM256及び/又はM432における酸化の1又は組み合わせを含む。
【0137】
別の実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の酸化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、90%以下のM256及び/又はM432における酸化バリアントを含む。
【0138】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブの酸化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号9の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、組成物は、90%以下のFc領域における酸化バリアントを含む。
【0139】
或いは、酸化バリアントは、配列番号11、12、13又は14の重鎖配列を含む。
【0140】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約90%以下、約80%以下、約70%以下、約65%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約0.1~90%、約0.1~80%、約0.1~70%、約0.1~65%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約1~10%、約1~5%、約2~10%、約2~4%、約2%、約3%又は約4%は、アミノ酸M256において酸化されている。一実施形態において、90%以下又は89%以下の重鎖M256における酸化を含む組成物は、70%以上のFcγRIIIA結合を保持する。別の実施形態において、65%以下又は64%以下の重鎖M256における酸化を含む組成物は、70%以上のFcRn結合を保持する。
【0141】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約90%以下、約80%以下、約70%以下、約65%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約0.1~90%、約0.1~80%、約0.1~70%、約0.1~65%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約1~10%、約1~5%、約2~10%、約2~4%、約2%、約3%又は約4%は、アミノ酸M256において酸化されている。一実施形態において、90%以下又は89%以下の重鎖M256における酸化を含む組成物は、70%以上のFcγRIIIA結合を保持する。別の実施形態において、65%以下又は64%以下の重鎖M256における酸化を含む組成物は、70%以上のFcRn結合を保持する。
【0142】
別の実施形態において、組成物はベランタマブを含み、ベランタマブの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約65%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約0.1~90%、約0.1~80%、約0.1~70%、約0.1~65%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約1~10%、約1~5%、約2~10%、約2~4%、約2%、約3%又は約4%は、アミノ酸M256において酸化されている。一実施形態において、90%以下又は89%以下の重鎖M256における酸化を含むベランタマブは、70%以上のFcγRIIIA結合を保持する。別の実施形態において、65%以下又は64%以下の重鎖M256における酸化を含むベランタマブは、70%以上のFcRn結合を保持する。
【0143】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約86%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約2.5%以下、約2%以下、約0.1~86%、約0.1~70%、約0.1~60%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%又は約3%は、アミノ酸M432において酸化されている。一実施形態において、86%以下の重鎖M432における酸化を含む組成物は、70%以上のFcγRIIA結合を保持する。別の実施形態において、60%以下の重鎖M432おける酸化を含む組成物は、70%以上のFcRn結合を保持する。
【0144】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約86%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約2.5%以下、約2%以下、約0.1~86%、約0.1~70%、約0.1~60%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%又は約3%は、アミノ酸M432において酸化されている。86%以下の重鎖M432における酸化を含む組成物は、70%以上のFcγRIIIA結合を保持する。別の実施形態において、60%以下の重鎖M432おける酸化を含む組成物は、70%以上のFcRn結合を保持する。
【0145】
別の実施形態において、組成物はベランタマブを含み、ベランタマブの約86%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約7.5%以下、約5%以下、約2.5%以下、約2%以下、約0.1~86%、約0.1~70%、約0.1~60%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%又は約3%は、アミノ酸M432において酸化されている。一実施形態において、86%以下の重鎖M432における酸化を含むベランタマブは、70%以上のFcγRIIIA結合を保持する。別の実施形態において、60%以下の重鎖M432おける酸化を含むベランタマブは、70%以上のFcRn結合を保持する。
【0146】
一例において、酸化は、トリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物を含むサンプルを、例えば6MグアニジンHClで変性させ、例えば4.2μg/μLの濃度にすることができる。次いで、ジスルフィド結合を、還元、例えば、室温で20分間、50mMのDTTで還元することができる。次いで、例えばヨード酢酸を、例えば、100mMで添加し、遊離のシステイン残基と、例えば室温で30分間、光から保護して反応させ得る。次いで、サンプルを、例えばBioRadスピンカラム(part no.7326221)を使用して、バッファー交換することができ、次いで、消化、例えば、37℃で15分間、0.5%トリプシンで消化することができる。次いで、得られたペプチドを、逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラムにロードすることができ、UPLCを使用して水及びアセトニトリルのグラジエントの溶液、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸溶液で溶出することができる。次いで、ペプチドをUV検出器及び質量分析計(例えば、Thermo Sdentific LTQ Orbitrap XL)で検出することができる。未修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、酸化のレベルを計算する。
【0147】
一態様において、組成物は、脱アミド化翻訳後修飾(「脱アミド化」又は「脱アミド化された」)を含む抗体又は「脱アミド化変異体」を含む。一実施形態において、抗体は、重鎖配列のCDR及び/又は軽鎖配列のCDR中のアスパラギン残基の脱アミド化を含む。さらなる実施形態において、抗体は、重鎖配列のCDRにおけるアスパラギン残基の脱アミド化を含む。一実施形態において、抗体は、重鎖配列のFc領域及び/又は軽鎖配列のFc領域におけるアスパラギン残基の脱アミド化を含む。脱アミド化バリアントは、重鎖又は軽鎖の一方又は両方の鎖に存在し得る。これらの脱アミド化バリアントの実施形態は、本明細書に記載の抗体の特徴と組み合わせることができることが理解される。いくつかの実施形態において、脱アミド化バリアントは、重鎖配列のFc領域のN388及び/又はN393における脱アミド化の1又は組み合わせを含む。
【0148】
一実施形態において、脱アミド化バリアントは、アスパラギン酸残基、スクシンイミド-アスパラギン酸残基又はイソアスパラギン酸残基から選択される脱アミド化残基を含む。
【0149】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体を含み、重鎖配列における脱アミド化、例えば、アミノ酸N388及び/又はN393における脱アミド化を含む。
【0150】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の脱アミド化バリアントを含み、脱アミド化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、最大100%の脱アミド化バリアントを含む。
【0151】
別の実施形態において、組成物は、抗BCMA抗体の脱アミド化バリアントを含み、酸化バリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含み、組成物は、最大100%のN388及び/又はN393における脱アミド化バリアントを含む。
【0152】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブの脱アミド化バリアントを含み、脱アミド化バリアントは、配列番号9の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含み、組成物は、最大100%の脱アミド化バリアントを含む。別の実施形態において、組成物は、配列番号12、配列番号13又は配列番号14の重鎖配列、及び配列番号10の軽鎖配列を含む脱アミド化バリアントを含む。
【0153】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、重鎖配列における脱アミド化、例えば、アミノ酸N388及び/又はN393における脱アミド化を含む。
【0154】
別の実施形態において、抗BCMA抗体はベランタマブを含み、重鎖配列における脱アミド化、例えば、アミノ酸N388及び/又はN393における脱アミド化を含む。
【0155】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約100%以下、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約0.1~100%、約0.1~75%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%、約5%又は約10%は、アミノ酸N388において脱アミド化されている。
【0156】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約100%以下、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約0.1~100%、約0.1~75%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%、約5%又は約10%は、アミノ酸N388において脱アミド化されている。
【0157】
別の実施形態において、組成物はベランタマブを含み、ベランタマブの約100%以下、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約0.1~100%、約0.1~75%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%、約5%又は約10%は、アミノ酸N388において脱アミド化されている。
【0158】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約100%以下、約85%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約0.1~100%、約0.1~75%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%、約5%又は約10%は、アミノ酸N393において脱アミド化されている。
【0159】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約100%以下、約85%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約0.1~100%、約0.1~75%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%、約5%又は約10%は、アミノ酸N393において脱アミド化されている。
【0160】
別の実施形態において、組成物はベランタマブを含み、ベランタマブの約100%以下、約85%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約0.1~100%、約0.1~75%、約0.1~50%、約0.1~40%、約0.1~30%、約0.1~20%、約0.1~10%、約0.1~5%、約0.1~3%、約0.5%、約1%、約2%、約5%又は約10%は、アミノ酸N393において脱アミド化されている。
【0161】
一例において、脱アミド化は、トリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物を含むサンプルを、例えば6MグアニジンHClで変性させ、例えば4.2μg/μLの濃度にすることができる。次いで、ジスルフィド結合を、還元、例えば、室温で20分間、50mMのDTTで還元することができる。次いで、例えばヨード酢酸を、例えば、100mMで添加し、遊離のシステイン残基と、例えば室温で30分間、光から保護して反応させ得る。次いで、サンプルを、例えばBioRadスピンカラム(part no.7326221)を使用して、バッファー交換することができ、次いで、消化、例えば、37℃で15分間、0.5%トリプシンで消化することができる。次いで、得られたペプチドを、逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラムにロードすることができ、UPLCを使用して水及びアセトニトリルのグラジエントの溶液、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸溶液で溶出することができる。次いで、ペプチドをUV検出器及び質量分析計(例えば、Thermo Sdentific LTQ Orbitrap XL)で検出することができる。未修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、脱アミド化のレベルを計算する。
【0162】
一実施形態において、翻訳後修飾は抗体配列バリアントである。例示的な翻訳後修飾抗体配列バリアントは、アスパラギン(N)からアスパラギン酸(D)へのスイッチ、N末端のピログルタミン酸及び/又はC末端のリジンの切断を含む。
【0163】
一例において、抗体バリアント、例えば、CDRH3におけるN103Dは、トリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物を含むサンプルを、例えば6MグアニジンHClで変性させ、例えば4.2μg/μLの濃度にすることができる。次いで、ジスルフィド結合を、還元、例えば、室温で20分間、50mMのDTTで還元することができる。次いで、例えばヨード酢酸を、例えば、100mMで添加し、遊離のシステイン残基と、例えば室温で30分間、光から保護して反応させ得る。次いで、サンプルを、例えばBioRadスピンカラム(part no.7326221)を使用して、バッファー交換することができ、次いで、消化、例えば、37℃で15分間、0.5%トリプシンで消化することができる。次いで、得られたペプチドを、逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラムにロードすることができ、UPLCを使用して水及びアセトニトリルのグラジエントの溶液、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸溶液で溶出することができる。次いで、ペプチドをUV検出器及び質量分析計(例えば、Thermo Sdentific LTQ Orbitrap XL)で検出することができる。未修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、抗体バリアント、例えば、CDRH3におけるN103Dのレベルを計算する。
【0164】
一態様において、組成物は、重鎖アミノ酸配列におけるN末端のピログルタミン酸(「ピログルタミン酸」)翻訳後修飾を含む抗体を含む。一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体を含み、重鎖のN末端にピログルタミン酸を含む。
【0165】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、重鎖のN末端にピログルタミン酸を含む。
【0166】
別の実施形態において、抗BCMA抗体はベランタマブを含み、重鎖のN末端にピログルタミン酸を含む。
【0167】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約25%以上、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下又は約50%以下は、重鎖アミノ酸配列のN末端にピログルタミン酸を含む。
【0168】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約25%以上、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下又は約50%以下は、重鎖アミノ酸配列のN末端にピログルタミン酸を含む。
【0169】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブを含み、ベランタマブの約25%以上、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下又は約50%以下は、重鎖アミノ酸配列のN末端にピログルタミン酸を含む。
【0170】
一例において、N末端のピログルタミン酸は、トリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物を含むサンプルを、例えば6MグアニジンHClで変性させ、例えば4.2μg/μLの濃度にすることができる。次いで、ジスルフィド結合を、還元、例えば、室温で20分間、50mMのDTTで還元することができる。次いで、例えばヨード酢酸を、例えば、100mMで添加し、遊離のシステイン残基と、例えば室温で30分間、光から保護して反応させ得る。次いで、サンプルを、例えばBioRadスピンカラム(part no.7326221)を使用して、バッファー交換することができ、次いで、消化、例えば、37℃で15分間、0.5%トリプシンで消化することができる。次いで、得られたペプチドを、逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラムにロードすることができ、UPLCを使用して水及びアセトニトリルのグラジエントの溶液、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸溶液で溶出することができる。次いで、ペプチドをUV検出器及び質量分析計(例えば、Thermo Sdentific LTQ Orbitrap XL)で検出することができる。未修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、ピログルタミン酸のレベルを計算する。
【0171】
一態様において、組成物は、重鎖アミノ酸配列におけるC末端のリジンの切断である翻訳後修飾を含む抗体を含む。一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体を含み、重鎖のC末端のリジンの切断を含む。
【0172】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、重鎖のC末端のリジンの切断を含む。
【0173】
別の実施形態において、抗BCMA抗体はベランタマブを含み、重鎖のC末端のリジンの切断を含む。
【0174】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約25%以上、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下又は約50%以下は、C末端のリジンの切断を含む。
【0175】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、混合物中の抗体の約25%以上、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下又は約50%以下は、重鎖のC末端のリジンの切断を含む。
【0176】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブを含み、ベランタマブの約25%以上、約50%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下又は約50%以下は、重鎖のC末端のリジンの切断を含む。
【0177】
一例において、C末端のリジンの切断は、トリプシンによるペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物を含むサンプルを、例えば6MグアニジンHClで変性させ、例えば4.2μg/μLの濃度にすることができる。次いで、ジスルフィド結合を、還元、例えば、室温で20分間、50mMのDTTで還元することができる。次いで、例えばヨード酢酸を、例えば、100mMで添加し、遊離のシステイン残基と、例えば室温で30分間、光から保護して反応させ得る。次いで、サンプルを、例えばBioRadスピンカラム(part no.7326221)を使用して、バッファー交換することができ、次いで、消化、例えば、37℃で15分間、0.5%トリプシンで消化することができる。次いで、得られたペプチドを、逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラムにロードすることができ、UPLCを使用して水及びアセトニトリルのグラジエントの溶液、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸溶液で溶出することができる。次いで、ペプチドをUV検出器及び質量分析計(例えば、Thermo Sdentific LTQ Orbitrap XL)で検出することができる。未修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、C末端のリジンの切断のレベルを計算する。
【0178】
一態様において、組成物は、グリコシル化翻訳後修飾(「グリコシル化修飾」)を含む抗体又はグリコシル化バリアントを含む。例示的なグリコシル化修飾には、抗体に対するG0、G1、G0-GlcNac、G2及びシアル化の発現の変化が含まれる。一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体を含み、グリコシル化修飾を含む。
【0179】
別の実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、グリコシル化バリアントを含む。
【0180】
別の実施形態において、抗BCMA抗体はベランタマブを含み、グリコシル化バリアントを含む。
【0181】
一実施形態において、組成物は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号10の軽鎖配列に対して少なくとも約90%同一である抗体の混合物を含み、組成物は、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約0~100%、約1~100%、約30~100%、約40~90%、約50~80%又は55~80%のレベルのG0;約2.5%以上、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約50%以上、約0~100%、約1~100%、約0~50%、約1~50%、約1~40%、約1~35%又は8~31%のレベルのG1;約5%以下、約7.5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約40%以下、約50%以下、約75%以下、約0~100%、約0.5~100%、約0~50%、約0.5~50%、約0.5~25%、約0.5~10%、約0.5~7.5%又は約0.9~5.3%のレベルのG0-GlcNac;0~100%、1~100%又は39~92%のレベルのG2;及び/又は0~100%、1~100%又は38~88%のレベルのG0-2GlcNacを含む。
【0182】
一実施形態において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体の混合物を含み、組成物は、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約0~100%、約1~100%、約30~100%、約40~90%、約50~80%又は55~80%のレベルのG0;約2.5%以上、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約50%以上、約0~100%、約1~100%、約0~50%、約1~50%、約1~40%、約1~35%又は8~31%のレベルのG1;約5%以下、約7.5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約40%以下、約50%以下、約75%以下、約0~100%、約0.5~100%、約0~50%、約0.5~50%、約0.5~25%、約0.5~10%、約0.5~7.5%又は約0.9~5.3%のレベルのG0-GlcNac;0~100%、1~100%又は39~92%のレベルのG2;及び/又は0~100%、1~100%又は38~88%のレベルのG0-2GlcNacを含む。
【0183】
一実施形態において、組成物はベランタマブを含み、組成物は、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約0~100%、約1~100%、約30~100%、約40~90%、約50~80%又は55~80%のレベルのG0;約2.5%以上、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約50%以上、約0~100%、約1~100%、約0~50%、約1~50%、約1~40%、約1~35%又は8~31%のレベルのG1;約5%以下、約7.5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約40%以下、約50%以下、約75%以下、約0~100%、約0.5~100%、約0~50%、約0.5~50%、約0.5~25%、約0.5~10%、約0.5~7.5%又は約0.9~5.3%のレベルのG0-GlcNac;0~100%、1~100%又は39~92%のレベルのG2;及び/又は0~100%、1~100%又は38~88%のレベルのG0-2GlcNacを含む。
【0184】
一実施形態において、組成物は、100%がフコシル化されていない抗体の混合物を含む。別の実施形態において、組成物は、0%がフコシル化されている抗体の混合物を含む。
【0185】
一例において、グリコシル化修飾及び結果として生じるプロファイルは、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)分離及び蛍光検出を備えた超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を使用して決定され得る。一例において、本明細書に記載の組成物、例えば、ベランタマブを含む本明細書に記載の組成物を、水で10μg/μLの濃度に希釈することができる。次いで、New England BioLabs製のPNGaseFキット(カタログ番号P0705L)を使用するPNGaseFによる酵素消化によって、グリカンを組成物、例えば、ベランタマブを含む組成物から遊離させる。グリカンをPNGaseFによって遊離させることができ、アントラニルアミド(Sigma-Aidrich、カタログ番号A89804)で標識することができる。次いで、HILICカラムステップ(グリカンをロードし、水で洗浄し、アセトニトリルで溶出することができるステップ)を使用して、標識されたグリカンを精製して過剰な標識溶液を除去することができる。次いで、Waters Acquity UPLCで、Waters Glycan BEH Amideカラム(カタログ番号186004742)を使用して、ギ酸アンモニウム/ギ酸及びアセトニトリルグラジエントによって、標識されたグリカンを分離することができる。次いで、グリカンを検出することができ、例えば、365nmでの励起及び438nmでの発光を伴う蛍光検出を使用することによって検出することができる。グリカンの定量を実施することができ、例えば、あるグリカンに関する曲線下面積を、検出されたすべてのグリカンに関する総曲線下面積で除算することによって実施することができる。
【0186】
一態様において、組成物は、本明細書で「アグリゲートバリアント(aggregated variant)」とも呼ばれるアグリゲート抗体(aggregated antibody)(高分子量(HMW)種)である抗体を含む。アグリゲート抗体は、抗体モノマー及びそのサブユニットから形成される二量体又はより高次の構造を含み得る。アグリゲートバリアントは、例えば、本明細書に記載される抗体の共有結合又は非共有結合、還元可能又は還元不可能、及びビジブル(visible)又はサブビジブル(subvisible)の凝集体であり得る。アグリゲートバリアント又はフラグメント化バリアント(fragmented variant)は、それらのサイズに基づいて特徴付けられ得、抗体と区別され得る。例えば、抗体組成物のサイズ分布は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、例えば、SE-HPLCを使用して検出され得る。
【0187】
一態様において、組成物は抗体のアグリゲートバリアントを含み、アグリゲートバリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖配列とを含み、組成物は、10%以下のアグリゲートバリアントを含む。
【0188】
抗体組成物は、10%以下のアグリゲートバリアント、例えば、7.5%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下のアグリゲートバリアントを含み得る。別の実施形態において、組成物は、1~10%、1~5%、1~4%、1~3%又は1~2%のアグリゲートバリアントを含み得る。或いは、組成物は、1%超10%未満のアグリゲートバリアントを含む。或いは、組成物は、約7.5%、約5%、約4%、約3%、約2%又は約1%のアグリゲートバリアントを含み得る。
【0189】
フラグメント化バリアント(「フラグメントバリアント(fragment variant)」)は、全長抗体の一部を含むバリアントである。例えば、このようなフラグメントには、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体(linear antibody)、一本鎖抗体分子及び免疫グロブリンシングル可変ドメイン(immunoglobulin single variable domain)が含まれる。
【0190】
一態様において、組成物は抗体のフラグメントバリアントを含み、フラグメントバリアントは、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖配列とを含み、組成物は、10%以下のフラグメントバリアントを含む。
【0191】
抗体組成物は、10%以下のフラグメント化抗体、例えば、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下のフラグメント化抗体を含み得る。別の実施形態において、組成物は、0.5~10%、0.5~5%、0.5~4%、0.5~3%、0.5~2%、0.5~1.5%又は0.5~1%のフラグメント化抗体を含み得る。或いは、組成物は、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%又は約0.5%のフラグメント化抗体を含み得る。
【0192】
組成物は、本明細書に記載の酸性バリアント、塩基性バリアント、異性化バリアント、酸化バリアント、脱アミド化バリアント、N末端ピログルタミン酸バリアント、C末端リジン切断バリアント、及び/又は任意のパーセンテージのグリコシル化修飾バリアント、及び/又はアグリゲートバリアント及び/又はフラグメント化バリアントの任意の1又は組み合わせを含み得る。
【0193】
一実施形態において、組成物は、70%以上のBCMA特異的抗原結合、70%以上のFcγRIIIa結合、及び/又は70%以上のFcRn結合を有する。
【0194】
別の実施形態において、組成物は、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上又は約95%以上のBCMA特異的抗原結合を有する。別の実施形態において、組成物は、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上のFcγRIIIa結合を有する。別の実施形態において、組成物は、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上のFcRn結合を有する。
【0195】
別の実施形態において、組成物は、約70~130%の特異的抗原結合、約70~130%のFcγRIIIa結合及び/又は約70~130%のFcRn結合を有する。
【0196】
いくつかの実施形態において、組成物は、約75%~約125%、約80%~約120%、約90%~約110%、約70%、約80%、約90%、100%、約110%、約120%又は約130%の特異的抗原結合を有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約75%~約125%、約80%~約120%、約90%~約110%、約90%、約95%、約100%、約105%又は約110%のFcγRIIIa結合を有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約75%~約125%、約80%~約120%、約90%~約110%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%のFcRn結合を有する。
【0197】
別の実施形態において、バリアントを含む組成物の活性は、100%の活性であるベランタマブの活性の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%である。一態様において、組成物は、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むバリアントを含み、組成物の効力は、配列番号9、11、12、13又は14の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む組成物であって、(i)最大23%の、D103における異性化、及び/又は(ii)最大37%の、M34における酸化のうちの任意の1又は組み合わせを含む組成物の少なくとも70%である。
【0198】
別の態様において、組成物は、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むバリアントを含み、組成物の効力は、配列番号9、11、12、13又は14の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む組成物であって、(i)最大23%の、D103における異性化、(ii)最大37%の、M34における酸化、(iii)最大64%の、M256における酸化、(iv)最大61%の、M432における酸化、(v)最大100%の、N388における脱アミド化、及び/又は(vi)最大100%の、N393における脱アミド化のうちの任意の1又は組み合わせを含む組成物の少なくとも70%である。さらに別の態様において、組成物は、配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列とを含むバリアントを含み、組成物の効力は、配列番号9、11、12、13又は14の重鎖配列及び配列番号10の軽鎖配列を含む組成物であって、(i)最大23%の、D103における異性化、(ii)最大37%の、M34における酸化、(iii)最大64%の、M256における酸化、(iv)最大61%の、M432における酸化、(v)最大100%の、N388における脱アミド化、(vi)最大100%の、N393における脱アミド化、(vii)最大100%の、HCのC末端のリジンの切断、及び/又は(viii)最大100%の、HCのN末端のピログルタミン酸のうちの任意の1又は組み合わせを含む組成物の少なくとも70%である。
【0199】
一例において、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定される。ベランタマブマホドチンを、PBSTで10μg/mLに希釈し、注入し、CM5センサーチップに固定化されたプロテインAによって捕捉することができる。次いで、BCMAを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させることができる。次いで、FcγRIIIaを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させることができる。BCMA及びFcγRIIIaに結合するベランタマブマホドチンの機能的濃度を、参照標準曲線から計算することができ、それぞれBCMA又はFcγRIIIa結合濃度として報告することができる。サンプルの総ベランタマブマホドチン濃度を、280nmでの吸光度によって事前に決定する。BCMA又はFcγRIIIaの結合濃度を280nmの濃度での吸光度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算することができる。
【0200】
胎児性Fc受容体(FcRn)の抗BCMA抗原結合タンパク質、例えば、ベランタマブへの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定され得る。ニトリロ三酢酸(NTA)センサーチップに固定化されたFcRnによって、ベランタマブを捕捉することができる。検量線上の結合反応の内挿によって、サンプルのFcRn結合濃度を決定することができる。FcRn結合濃度を総タンパク質濃度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算する。
【0201】
当業者に知られているその他の方法の中で、抗BCMA抗原結合タンパク質、例えば、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定され得る。一例では、ベランタマブマホドチンを注入し、CM5センサーチップに固定化されたプロテインAによって捕捉する。次いで、BCMAを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させる。次いで、FcγRIIIaを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させる。BCMA及びFcγRIIIaに結合するベランタマブマホドチンの機能的濃度を、参照標準曲線から計算することができ、それぞれBCMA又はFcγRIIIa結合濃度として記録することができる。サンプルの総ベランタマブマホドチン濃度を、280nmでの吸光度によって事前に決定することができる。BCMA又はFcγRIIIaの結合濃度を吸光度、例えば、280nmの濃度での吸光度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算することができる。
【0202】
特定の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与える。別の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与えない。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合はFcRnへの結合に影響を与える。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与えない。一実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合を弱め得る。
【0203】
胎児性Fc受容体(FcRn)の抗BCMA抗原結合タンパク質、例えば、ベランタマブマホドチンへの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定され得る。ニトリロ三酢酸(NTA)センサーチップに固定化されたFcRnによって、ベランタマブマホドチンを捕捉することができる。検量線上の結合反応の内挿によって、サンプルのFcRn結合濃度を決定することができる。FcRn結合濃度を総タンパク質濃度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算する。
【0204】
抗BCMA抗原結合タンパク質がベランタマブマホドチンを含む場合には、特異的抗原結合、FcγRIIIa及びFcRn結合に対して本明細書に記載のSPR法は、ベランタマブ又はベランタマブマホドチンの参照標準を使用し得る。ベランタマブ又はベランタマブマホドチン参照標準をアッセイで使用して、システムの適合性及びサンプルの比較可能性データを取得し、方法が適切に実行されていることを保証することができる。参照標準により、検量線を作成することができ、サンプルの濃度を検量線から内挿する。例えば、参照標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む組成物であり得る。
【0205】
上記の抗体及び抗体バリアントを含む抗体組成物は、特異的抗原結合及び/又はFcRn結合及び/又はFcγRIIIa結合及び/又は効力を保持している。例えば、上記の抗体及び抗体バリアント及び翻訳後修飾バリアントを含む抗体組成物は、0.70超のBCMA特異的抗原結合、及び/又は70%超のFcRn結合、及び/又は70%のFcγRIIIa結合、及び/又は70%超の効力を有する。したがって、これらのレベル(%)のバリアントは、機能に大きな影響を与えることなく(すなわち、活性の低下をもたらすことなく)、抗体組成物において許容され得る。一実施形態において、「機能低下」又は「活性低下」は、BCMAへの結合、又はFcRnへの結合、又はFcγRIIIaへの結合、又は効力が、参照標準と比較してパーセンテージとして低下し、アッセイのばらつきに対して有意であることを意味する。例えば、機能又は活性又は効力の低下は、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上又は50%以上の低下として説明され得る。
【0206】
別の実施形態において、参照サンプル標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む組成物であり、この組成物は、80%以上の、重鎖C末端のリジンの切断と、100%以下の、重鎖N末端のピログルタミン酸とを含む。さらなる実施形態において、参照サンプル標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む組成物であり、この組成物は、80%以上の、重鎖C末端のリジンの切断と、100%以下の、重鎖N末端のピログルタミン酸と、7%以下の、CDRH3のアミノ酸D103における異性化とを含む。さらなる実施形態において、参照サンプル標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む組成物であり、この組成物は、80%以上の、重鎖C末端のリジンの切断と、100%以下の、重鎖N末端のピログルタミン酸と、7%以下の、CDRH3のアミノ酸D103における異性化と、5%以下の、アミノ酸M34、M256及び/又はM432における酸化とを含む。さらなる実施形態において、参照サンプル標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む組成物であり、この組成物は、80%以上の、重鎖C末端のリジンの切断と、100%以下の、重鎖N末端のピログルタミン酸と、7%以下の、CDRH3のアミノ酸D103における異性化と、5%以下の、アミノ酸M34、M256及び/又はM432における酸化と、2%以下の、アミノ酸N388及び/又はN393における脱アミド化とを含む。さらなる実施形態において、参照サンプル標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む組成物であり、この組成物は、80%以上の、重鎖C末端のリジンの切断と、100%の、重鎖N末端のピログルタミン酸と、7%以下の、CDRH3のアミノ酸D103における異性化と、5%以下の、M256における酸化と、2%以下の、M34及びM432における酸化と、2%以下の、アミノ酸N388及びN393における脱アミド化とを含む。
【0207】
抗体-薬物複合体(ADC)
抗体-薬物複合体(ADC)は、新しいクラスの強力な抗癌剤であり、最近、顕著な臨床的利益を示している。ADCは、リンカーを介して抗体に化学的に結合した細胞毒性薬で構成されている。推定では、細胞表面での抗原結合、エンドサイトーシス、リソソームへの輸送、ADCの分解、ペイロードの放出、細胞プロセシング(例えば、有糸分裂)の中断及びアポトーシスを含む一連のイベントによって、ADCは、細胞表面タンパク質を過剰発現している癌細胞を破壊し得る。ADCは、モノクローナル抗体の抗原駆動型ターゲティング特性に細胞毒性薬の強力な抗腫瘍効果を組み合わせる。例えば、2011年にADCETRIS(登録商標)(抗CD30抗体-MMAE ADC)は、難治性ホジキンリンパ腫及び全身性未分化リンパ腫の治療薬として規制当局の承認を得た。
【0208】
ADCは、癌の治療において、細胞毒性薬、すなわち、細胞の成長又は増殖を傷害又は阻害する薬物の局所送達に使用されてきた(Lambert, J. (2005) Curr. Opinion in Pharmacology 5:543-549; Wu et al. (2005) Nature Biotechnology 23(9):1137-1146; Payne, G. (2003) i 3:207-212; Syrigos and Epenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614; Niculescu-Duvaz and Springer (1997) Adv. Drug Deliv. Rev. 26:151-172; U.S. Pat. No. 4,975,278)。ADCは、腫瘍への薬物部分の標的化送達及びそこでの細胞内蓄積を可能にし、非結合薬物の全身投与は、正常細胞及び排除しようとする腫瘍細胞に対して許容不可能なレベルの毒性をもたらし得る(Baldwin et al., Lancet (Mar. 15, 1986) pp. 603-05; Thorpe (1985) "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review," in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications (A. Pinchera et al., eds) pp. 475-506)。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方がこれらの戦略に有用であると報告されている(Rowland et al., (1986) Cancer Immunol. Immunother. 21:183-87)。抗体-毒素複合体で使用される毒素には、細菌毒素、例えば、ジフテリア毒素、植物毒素、例えば、リシン(ricin)、低分子毒素、例えば、ゲルダナマイシン(Mandler et al (2000) J. Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581; Mandler et al. (2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028;
Mandler et al (2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(EP 1391213; Liu et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアミシン(Lode et al (1998) Cancer Res. 58:2928; Hinman et al. (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)が含まれる
【0209】
一実施形態において、BCMA抗原結合タンパク質は、1種又は2種以上の細胞傷害性薬剤、例えば、化学療法薬、薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素活性のある毒素、又はそれらのフラグメント)、又は放射性同位体(すなわち、放射性複合体(radioconjugate))と結合している抗体又は抗体フラグメントを含む抗体-薬物複合体(「抗BCMA ADC」)である。
【0210】
一実施形態において、抗BCMA ADCは、以下の一般構造:
ABP-((リンカー)-Ctx)
[式中、
ABPは、抗原結合タンパク質であり、
リンカーは、存在しないか、又は任意の切断可能若しくは切断不可能なリンカーであり、
Ctxは、本明細書に記載される任意の細胞毒性薬であり、
nは、0、1、2又は3であり、且つ
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。]
を有する。
【0211】
例示的な実施形態において、使用され得る酵素的に活性な毒素及びそのフラグメントには、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII及びPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria oficinalis阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。例えば、1993年10月28日に公開されたWO93/21232を参照されたい。様々な放射性核種、例えば、211At、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが放射性複合体抗体の生産に利用可能である。
【0212】
本発明の抗BCMA抗体又はそのフラグメントはまた、1種又は2種以上の細胞毒性薬、例えば、限定されないが、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、トリコテセン及びCC1065、又は毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体にコンジュゲートされ得る。適切な細胞毒性薬には、例えば、アウリスタチン、例えば、ドバリン-バリン-ドライソロイニン-ドラプロイン-フェニルアラニン(dovaline-valine-dolaisoleunine-dolaproinephenylalanine)(MMAF)及びモノメチルアウリスタチンE(MMAE)並びにMMAEのエステル形態;DNAマイナーグルーブ結合剤;DNAマイナーグルーブアルキル化剤;エンジイン;レキシトロプシン;デュオカルマイシン;タキサン、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;ピューロマイシン;ドラスタチン;メイタンシノイド;及びビンカアルカロイドが含まれる。特定の細胞毒性薬には、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エチノマイシン、コンブレタトスタチン(combretatstatin)、カリチアマイシン(chalicheamicin)、メイタンシン、DM-1、DM-4、ネトロプシンが含まれる。その他の適切な細胞毒性薬には、抗チューブリン剤(例えば、アウリスタチン)、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バッカチン誘導体、クリプトフィシン(cryptophysin)、メイタンシノイド、コンブレタスタチン又はドラスタチンが含まれる。抗チューブリン剤には、ジメチルバリン-バリンドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン-p-フェニレンジアミン(AFP)、MMAF、MMAE、アウリスタチンE、ビンクリスタチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルシミド(colcimid)、エストラムスチン、セマドチン、ディスコデルモライド、メイタンシン、DM-1、DM-4又はエリュテロビンが含まれる。
【0213】
一実施形態において、抗BCMA ADCは、MMAE又はMMAFに連結された抗BCMA抗体を含む。
【0214】
【化1】
【0215】
切断可能なリンカーは、細胞内条件下で切断されやすい場合がある。適切な切断可能リンカーには、細胞内プロテアーゼ、例えば、リソソームプロテアーゼ又はエンドソームプロテアーゼにより切断可能なペプチドリンカーが含まれる。例示的な実施形態において、リンカーは、ジペプチドリンカー、例えば、バリン-シトルリン(val-cit)又はフェニルアラニン-リジン(phe-lys)リンカーであってもよい。その他の適切なリンカーには、例えば、pH5.5未満で加水分解可能なリンカー、例えば、ヒドラゾンリンカーが含まれる。さらなる適切な切断可能なリンカーには、ジスルフィドリンカーが含まれる。例示的なリンカーには、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン-シトルリン(val-cit)、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、及びN-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)が含まれる。
【0216】
一実施形態において、リンカーは、チオール反応性マレイミド、カプロイルスペーサー、ジペプチドバリン-5シトルリン、p-アミノベンジルオキシカルボニル、自壊性フラグメント化基(self-immolative fragmenting group)、又はプロテアーゼ耐性マレイミドカプロイルを含み得る。
【0217】
別の実施形態において、抗BCMA ADCは、以下の構造に示されるように、MCリンカーによってMMAE又はMMAFに連結された抗BCMA抗体を含む。
【0218】
【化2】
【0219】
本明細書に記載の抗BCMA ADCは、本明細書に記載の任意の抗BCMA抗体を本明細書に記載の任意の細胞毒性薬とともに含み得る。
【0220】
一実施形態において、抗BCMA ADCは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRL2;及び/又は配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDRL3を含む抗BCMA抗体を含み、MMAE又はMMAFにコンジュゲートされている。
【0221】
さらに別の実施形態において、抗BCMA ADCは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗BCMA抗体を含み、MMAF又はMMAEにコンジュゲートされている。
【0222】
一実施形態において、抗BCMA ADCは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV;及び/又は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVを含む抗BCMA抗体を含み、MMAE又はMMAFにコンジュゲートされている。
【0223】
さらに別の実施形態において、抗BCMA ADCは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV;及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含む抗BCMA抗体を含み、MMAF又はMMAEにコンジュゲートされている。
【0224】
一実施形態において、抗BCMA ADCは、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHC;及び/又は配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むLCを含む抗BCMA抗体を含み、MMAF又はMMAEにコンジュゲートされている。
【0225】
さらに別の実施形態において、抗BCMA ADCは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を有するHC;及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するLCを含むベランタマブマホドチンであり、MMAFにコンジュゲートされている。
【0226】
ADCの調製及び特性評価
特定の天然のIgG1分子は、16個のジスルフィド結合(32個のシステイン又はスルフヒドリル基)を含む。特定の態様では、4個の鎖間ジスルフィド結合のみを還元し、細胞毒性薬にコンジュゲートさせるように抗体を還元することができ、細胞毒性薬に対する最大8個の接続部位を可能にする。言い換えれば、薬物担持数(「DL:drug load」)、すなわち、抗体分子あたりの細胞毒性薬の数は、0~8であり得、本明細書では、DL0、DL2(DL2a及びDL2bを含む)、DL4(DL4a、DL4b及びDL4cを含む)、DL6(DL6a及びDL6bを含む)及びDL8として記載される。
【0227】
コンジュゲーションプロセスは、1)各抗体分子に結合する薬物の数、及び2)細胞毒性薬の位置の両方で変化する、所与のADC組成物に対する薬物-抗体接続の不均一性をもたらし得る。これは、図1に例示されるように、様々なDL種を有するADC組成物をもたらし得る。本明細書で使用される「ADC組成物」という用語は、様々な薬物担持数(「DL」)を含む抗体種の不均一な混合物を含む組成物を指す(例えば、図2を参照)。不均一なADC組成物全体の平均薬物抗体比(average drug-antibody ratio)は、本明細書では「平均DAR」又は「DAR」と呼ばれる。例えば、ADC組成物は、それぞれが独自のDLを有する抗体種の混合物を含み得(混合物中のいくつかの種はDL2であり、混合物中のいくつかの種はDL4であり、混合物中のいくつかの種はDL6であり、混合物中のいくつかの種はDL8である)、組成物全体の平均DARは約4であり得る。
【0228】
別の実施形態において、「DLの割合」という用語は、不均一なADC組成物中の特定のDL種の割合を記載するために使用され得る(例えば、DL2の割合は、不均一なADC組成物全体の約10%~約30%である)。
【0229】
本発明の特定の態様において、薬物は、抗体のスルフヒドリル基を介して抗体にコンジュゲートされ得る。スルフヒドリル基は、システイン側鎖のスルフヒドリル基であり得る。システイン残基は、抗体に天然に存在する(例えば、鎖間ジスルフィド)か、又はその他の手段、例えば、変異誘発によって導入され得る。抗体のスルフヒドリル基に薬物をコンジュゲートさせる方法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第7,659,241号、第7,498,298号、及び国際公開番号WO2011/130613、WO2014/152199、WO2015/077605、及びBioconjugate Chem. 2005, 16, 1282-1290を参照)。抗体は通常、スルフヒドリル基をコンジュゲートに利用可能にするために、コンジュゲートの前に還元される。抗体は、当技術分野で既知の条件を使用して還元され得る。還元条件は、一般に抗体の実質的な変性を引き起こさず、一般に抗体の抗原結合親和性に影響を与えない条件である。
【0230】
本発明の一態様において、還元工程で使用される還元剤は、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)であり、TCEPは、例えば、室温で30分間、過剰量で添加される。例えば、pH7.4の10mM TCEP溶液250μLは、室温30分で1~100μgの抗体の鎖間ジスルフィドを容易に還元する。しかしながら、その他の還元剤及び条件を使用してもよい。反応条件の例には、pH5~8で5℃~37℃の温度が含まれる。
【0231】
ADC組成物中のDL種の割合及び/又は平均DARを計算するための様々な方法が存在し、当業者には知られている。例えば、システインが連結されているADCの不均一性は、通常、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって測定される。このクロマトグラフィーは、担持されている薬物数に基づいてDL種を分離する。DL分布を評価するためのLC-MSアッセイも開発されている。ADC組成物中の薬物担持数分布を計算するための例示的な方法は、例えば、Journal of Chromatography B 1060 (2017) 182-189に見出され得る。
【0232】
例えば、DL0は抗体に薬物を担持していない。例えば、DL2の薬物担持数は2である。一実施形態において、DL2のコンジュゲーション部位は、LC C214及びHC 224である。例えば、DL4の薬物担持数は4である。一実施形態において、DL4aのコンジュゲーション部位は、LC C214、HC 224、LC C214及びHC 224である。一実施形態において、DL4bのコンジュゲーション部位は、LC C230、HC 233、LC C230及びHC 233である。例えば、DL6の薬物担持数は6である。一実施形態において、DL6のコンジュゲーション部位は、LC C214、HC 224、LC C230、HC 233、LC C230及びHC 233である。例えば、DL8の薬物担持数は8である。一実施形態において、DL8のコンジュゲーション部位は、LC C214、HC 224、LC C214、HC 224、LC C230、HC 233、LC C230及びHC 233である。
【0233】
一実施形態において、特定のDL種の割合(例えば、DL0の割合、DL2の割合、DL4aの割合、DL4bの割合、DL6の割合、DL8の割合)は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用して個々のDL種を分離し、各DLピークに関する曲線下面積を計算し、各DLピークを、合計されたすべてのDL種に関する総曲線下面積で除算することによって決定され得る。一実施形態において、平均DARは、以下の式を使用して、各DL種の曲線下面積から計算され得る。
【0234】
【数1】
【0235】
一実施形態において、特定の下位種のDARの割合(例えば、DL2の合計に占めるDL2aの割合)は、HIC、非還元分離法及び質量分析技術を含み得る分析技術の組み合わせを使用して、特定のDL種を収集することによって決定される。
【0236】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物の平均DARは、約2~約7、約2~約6、約2.1~約5.7、約2.1~約5.0、約2.1~約4.6、約2.1~約4.1、約2.1~約3.5、約2.1~約3.0、約3.0~約5.7、約3.0~約5.0、約3.0~約4.6、約3.0~約4.1、約3.0~約3.5、約3.5~約5.7、約3.5~約5.0、約3.5~約4.6、約3.5~約4.1、約3.8~約4.5、約4.1~約5.7、約4.1~約5.0、約4.1~約4.6、約4.6~約5.7、約4.6~約5.0、約5.0~約5.7、約2.1、約3.0、約3.5、約4.1、約4.6、約5.0又は約5.7である。
【0237】
別の実施形態において、組成物は、平均DARが約2.1~約5.7、約3.4~約4.6、約3.8~約4.5又は約4である抗BCMA ADCを含む。
【0238】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒性薬は、MMAE又はMMAFであり、平均DARは、約2~約6、約2.1~約5.7、約3.4~約4.6又は約3.8~約4.5である。
【0239】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒性薬は、MMAE又はMMAFであり、平均DARは、約2~約6、約2.1~約5.7、約3.4~約4.6又は約3.8~約4.5である。
【0240】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、平均DARは、約2~約6、約2.1~約5.7、約3.4~約4.6又は約3.8~約4.5である。
【0241】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物中のDL0種の割合は、約10%以下、約5%以下、約1%~約10%、約1%~約5%又は約2.8%~約4.7%である。
【0242】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物中のDL2種の割合は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、約15.8%~約26.3%、約15%~約27%、約15%~約32%又は約10%~約40%である。
【0243】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物中のDL4a種の割合は、少なくとも約30%、少なくとも約35%、約35.5%~約37.9%、約35%~約38%、約30%~約40%又は約20%~約50%である。別の実施形態において、DL4a種の割合は、抗BCMA ADC組成物における主要な種であり、組み合わされたすべての種の約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上又は約90%以上である。
【0244】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物中のDL4b種の割合は、少なくとも約5%、少なくとも約7%、約7.1%~約8.5%、約7%~約9%、約5%~約10%又は約1%~約15%である。
【0245】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物中のDL6種の割合は、少なくとも約10%、少なくとも約14%、約14.0%~約19.1%、約14%~約20%、約10%~約20%又は約5%~約30%である。
【0246】
一実施形態において、抗BCMA ADC組成物中のDL8種の割合は、少なくとも約1%、少なくとも約6%、約6.0%~約12.0%、約4%~約15%又は約1%~約20%である。
【0247】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、ここで、DL2の割合は、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合は、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合は、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合は、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合は、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である。
【0248】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒性薬は、MMAE又はMMAFであり、ここで、DL2の割合は、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合は、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合は、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合は、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合は、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である。
【0249】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒性薬は、MMAE又はMMAFであり、ここで、DL2の割合は、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合は、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合は、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合は、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合は、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である。
【0250】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、ここで、DL2の割合は、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合は、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合は、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合は、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合は、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である。
【0251】
本明細書で使用される「望ましくないDAR種」という用語は、最終組成物において望ましくなく、最終治療用生成物の特定の特性(例えば、標的結合、有効性、安全性等)に悪影響を与え得る任意のDAR種を指す。一実施形態において、望ましくないDAR種は、DL0、すなわちコンジュゲーションプロセス後に細胞毒性薬と結合していない抗体である。一実施形態において、ADC組成物中のDL0の割合は、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下又は約0.5%以下である。別の実施形態において、ADC組成物中のDL0の割合は、約1%~約10%、約2%~約5%又は約2.0%~約4.8%である。
【0252】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒性薬は、MMAE又はMMAFであり、DL0の割合は、約10%以下又は約5%以下である。
【0253】
一実施形態において、組成物は、抗BCMA ADCを含み、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒性薬は、MMAE又はMMAFであり、DL0の割合は、約10%以下又は約5%以下である。
【0254】
一実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、DL0の割合は、約10%以下又は約5%以下である。
【0255】
一実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、ここで、DL0の割合は、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合は、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合は、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合は、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合は、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合は、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である。
【0256】
特定の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、細胞成長阻害及び/又は腫瘍体積に影響を与える。特定の実施形態において、平均DARは、細胞成長阻害及び/又は腫瘍体積に影響を与えない。別の実施形態において、平均DAR又はDLの割合が増加するにつれて、細胞成長阻害が増強し、且つ/或いは腫瘍体積が減少する。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、組成物の平均DAR又はDLの割合が増加するにつれて、癌細胞の成長阻害が増強し、且つ/或いは腫瘍体積が減少する。
【0257】
細胞成長阻害の相対的効力(relative potency)は、本明細書に記載の組成物(例えば、ベランタマブマホドチン)とのインキュベーション後の細胞株(例えば、多発性骨髄腫細胞株)の細胞生存率を測定することによって決定され得る。細胞生存率は、当業者に既知の細胞生存率アッセイを使用して測定され得る。用量反応(半数効果濃度又はEC50)は、非線形ロジスティック回帰モデルを使用して生成され得る。組成物を含むサンプルのEC50に対する参照標準のEC50の比率を計算して、相対的効力を決定することができる。
【0258】
一実施形態において、組成物の細胞成長阻害の相対的効力は、約0.5~約1.3又は約0.8~約1.1である。別の実施形態において、組成物の平均DARは、約2.1~約5.7であり、組成物の細胞成長阻害の相対的効力は、約0.5~約1.3である。別の実施形態において、組成物の平均DARは、約3.0~約5.0又は約3.5~約4.6であり、組成物の細胞成長阻害の相対的効力は、約0.8~約1.1である。別の実施形態において、組成物は、平均DARが約3.0~約5.0又は約3.5~約4.6であるベランタマブマホドチンを含み、組成物の細胞成長阻害相対効力は、約0.8~約1.1である。
【0259】
特定の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、ADCC活性に影響を与える。別の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、ADCC活性に影響を与えない。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、ADCC活性に影響を与える。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、ADCC活性に影響を与えない。
【0260】
ADCC活性の相対的効力は、例えば、ベランタマブマホドチン、細胞(例えば、多発性骨髄腫細胞)、及びNK細胞(エフェクター細胞)をインキュベートすることによって測定され得る。理論に拘束されることはないが、ベランタマブマホドチンは細胞表面に発現するBCMAに結合し、抗体のFc領域はエフェクター細胞の受容体FcγRIIIaを介してエフェクター細胞のFcγRIIIaに結合する。エフェクター細胞の表面へのこれらの受容体の会合は、サイトカイン(IFNg)の合成及び分泌、並びに標的細胞の細胞質に進入する顆粒(パーフォリン及びグランザイム)の放出をもたらす。グランザイムは、アポトーシスによるこれらの細胞の死を引き起こす、標的細胞内のシグナル伝達イベントを惹起する。NK細胞の供給源は、ヒトの全血から分離可能な末梢血単核細胞(PBMC)であってもよい。次いで、BATDA(ビス-(アセトキシメチル)2,2’:6’,2’’-ターピリジン-6,6’’-ジカルボキシレート)を添加して、標的の細胞膜に透過させ、細胞を標識することができる。細胞溶解後、このリガンドをDELFIA Europium Solutionと混合して、蛍光性が高く安定したキレート(EuTDA)を形成させることができる。測定されたシグナルは、溶解した細胞量と直接的に相関する。次いで、参照標準のEC50値に対するサンプルのEC50値の比率としてADCC活性を報告することができる。
【0261】
一実施形態において、組成物のADCC活性の相対的効力は、約0.70~約1.30又は約0.8~約1.1である。別の実施形態において、組成物の平均DARは、約2.1~約5.7であり、組成物のADCC活性の相対的効力は、約0.5~約1.3である。別の実施形態において、組成物の平均DARは、約3.0~約5.0又は約3.5~約4.6であり、組成物のADCC活性の相対的効力は、約0.8~約1.1である。別の実施形態において、組成物は、平均DARが約3.0~約5.0又は約3.5~約4.6であるベランタマブマホドチンを含み、組成物のADCC活性の相対的効力は、約0.8~約1.1である。
【0262】
特定の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、BCMAへの結合に影響を与える。別の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、BCMAへの結合に影響を与えない。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、BCMAへの結合に影響を与える。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、BCMAへの結合に影響を与えない。一実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、BCMAへの結合を弱め得る。
【0263】
一実施形態において、組成物の相対的なBCMA特異的抗原結合は、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上である。別の実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、組成物の相対的なBCMA特異的抗原結合は、85%超又は90%超である。別の実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、組成物の平均DARは、約2.1~約5.7又は約3.0~約5.0又は約3.5~約4.6であり、組成物の相対的なBCMA特異的抗原結合は、85%超又は90超である。
【0264】
特定の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcγRIIIaへの結合に影響を与える。別の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcγRIIIaへの結合に影響を与えない。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、FcγRIIIaへの結合に影響を与える。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、FcγRIIIaへの結合に影響を与えない。一実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcγRIIIaへの結合を弱め得る。
【0265】
一実施形態において、組成物の相対的なFcγRIIIa結合は、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上である。別の実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、組成物の相対的なFcγRIIIa結合は、85%超又は90%超である。別の実施形態において、組成物は、ベランタマブマホドチンを含み、組成物の平均DARは、約2.1~約5.7又は約3.0~約5.0又は約3.5~約4.6であり、組成物の相対的なFcγRIIIa結合は、85%超又は90超である。
【0266】
当業者に知られているその他の方法の中で、抗BCMA抗原結合タンパク質、例えば、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定され得る。一例では、ベランタマブマホドチンを注入し、CM5センサーチップに固定化されたプロテインAによって捕捉する。次いで、BCMAを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させる。次いで、FcγRIIIaを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させる。BCMA及びFcγRIIIaに結合するベランタマブマホドチンの機能的濃度を、参照標準曲線から計算することができ、それぞれBCMA又はFcγRIIIa結合濃度として記録することができる。サンプルの総ベランタマブマホドチン濃度を、280nmでの吸光度によって事前に決定することができる。BCMA又はFcγRIIIaの結合濃度を吸光度、例えば、280nmの濃度での吸光度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算することができる。
【0267】
特定の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与える。別の実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与えない。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与える。さらに別の実施形態において、組成物はベランタマブマホドチンを含み、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合に影響を与えない。一実施形態において、平均DAR又はDLの割合は、FcRnへの結合を弱め得る。
【0268】
胎児性Fc受容体(FcRn)の抗BCMA抗原結合タンパク質、例えば、ベランタマブマホドチンへの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定され得る。ニトリロ三酢酸(NTA)センサーチップに固定化されたFcRnによって、ベランタマブマホドチンを捕捉することができる。検量線上の結合反応の内挿によって、サンプルのFcRn結合濃度を決定することができる。FcRn結合濃度を総タンパク質濃度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算する。
【0269】
抗BCMA抗原結合タンパク質がベランタマブマホドチンを含む場合には、特異的抗原結合、FcγRIIIa及びFcRn結合に対して本明細書に記載のSPR法は、ベランタマブ又はベランタマブマホドチンの参照標準を使用し得る。ベランタマブ又はベランタマブマホドチン参照標準をアッセイで使用して、システムの適合性及びサンプルの比較可能性データを取得し、方法が適切に実行されていることを保証することができる。参照標準により、検量線を作成することができ、サンプルの濃度を検量線から内挿する。例えば、参照標準は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、既知のDL及び/又は平均DAR含有量を含む組成物であり得る。
【0270】
例示的な参照標準には、既知の成分/量のDL種及び/又は平均DARを含むベランタマブマホドチンのサンプルが含まれ得る。
【0271】
医薬組成物
本明細書に記載の組成物は、医薬組成物の形態であり得る。「医薬組成物」は、本明細書に記載の組成物(すなわち、有効成分)と、1種又は2種以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含み得る。賦形剤は、製剤のその他の成分と適合性があり、医薬製剤が可能であり、そのレシピエントに有害ではなく、且つ/或いは有効成分の有効性を妨害しないという意味で許容可能である必要がある。
【0272】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、ありとあらゆる溶媒、希釈剤、担体、分散媒体、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤及び/又は吸収遅延剤を含み得る。薬学的に許容可能な賦形剤の例には、緩衝剤、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、並びにそれらの組み合わせのうちの1種又は2種以上が含まれる。多くの場合に、等張剤、例えば、ポリオール、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)又は塩化ナトリウム;防腐剤;共溶媒;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸及びメチオニン;キレート剤、例えば、EDTA;金属錯体(例えば、Zn2+-タンパク質錯体);生分解性ポリマー;及び/又はナトリウム若しくはカリウム等の塩形成対イオンを組成物に含むことが好ましい。
【0273】
賦形剤又はその他の材料の正確な性質は、投与経路に依存し得、投与経路は、例えば、経口、直腸、鼻、局所(頬及び舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜内を含む)及び腫瘍内であり得る。好ましい賦形剤は、例えば、レシピエントの状態及び治療される疾患によって変化し得ることが理解される。
【0274】
賦形剤及びそれぞれの集合物の混合物は、一緒になって「医薬製剤」(又は「製剤」)を形成する。製剤は、液体形態又は凍結乾燥形態であり得る。液体製剤中の組成物は、容器に充填され、凍結され得る。特定の実施形態において、組成物を含む凍結製剤のアリコートは、凍結乾燥され得る。凍結乾燥物は、水又はその他の水溶液を添加することによって再構成されて、組成物を含む再構成された製剤を生成し得る。
【0275】
いくつかの実施形態において、抗BMCA抗原結合タンパク質は、少なくとも約10mg/mL又は少なくとも約20mg/mLの濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、抗BMCA抗原結合タンパク質は、約20mg/mL~約100mg/mL、又は約20mg/mL~約60mg/mLの濃度で製剤中に存在する。特定の実施形態において、製剤中に存在する抗BCMA抗原結合タンパク質の濃度は、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL又は約100mg/mLである。一実施形態において、抗BMCA抗原結合タンパク質は、約20mg/mL又は約25mg/mLの濃度で液体製剤中に存在する。別の実施形態において、抗BMCA抗原結合タンパク質は、約50mg/mL又は約60mg/mLの濃度で凍結乾燥製剤中に存在する。さらに別の実施形態において、抗BMCA抗原結合タンパク質は、約50mg/mLの濃度で再構成された製剤中に存在する。
【0276】
特定の実施形態において、緩衝剤はクエン酸緩衝液である。クエン酸緩衝液は、例えば、共役酸/共役塩基系(クエン酸ナトリウム/クエン酸)の使用によって、又はクエン酸ナトリウム溶液のHCl滴定によって達成され得る。特定の実施形態において、クエン酸緩衝液の濃度は、約10mM~約30mMである。好ましい実施形態では、クエン酸緩衝液の濃度は25mMである。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、約5mM~約35mMの濃度のヒスチジン緩衝液である。
【0277】
緩衝剤を使用して、好ましいpH範囲を維持するのを補助することができる。特定の実施形態において、製剤のpHは、約5.5~約7、又は約5.9~約6.5、好ましくはpH6.2である。
【0278】
いくつかの実施形態において、製剤は、ポリオールを含む。いくつかの実施形態において、ポリオールは糖であり、好ましくは非還元糖である。いくつかの実施形態において、非還元糖はトレハロースである。いくつかの実施形態において、製剤は、約120mM~約240mMのトレハロースを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約200mMのトレハロースを含む。
【0279】
一実施形態において、製剤はキレート剤を含む。別の実施形態において、キレート剤はEDTAである。特定の実施形態において、製剤は、0.01mM~約0.1mMの濃度のEDTAを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、0.05mMの濃度でEDTAを含む。
【0280】
いくつかの実施形態において、製剤は界面活性剤を含む。「界面活性剤」は、親水性基及び疎水性基の両方を含む化学組成のために、固-固、固-液、液-液及び液-気界面の表面で効果を発揮することができる表面活性剤である。界面活性剤は、タンパク質が吸着され、潜在的に凝集する可能性がある空気-水及び/又は水-固体界面における、希薄溶液中のタンパク質の濃度を低下させ得る。界面活性剤は、タンパク質製剤の疎水性界面に結合し得る。いくつかの親として(parentally)許容可能な非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート又はポリエーテル基のいずれかを含む。ポリソルベート20及び80は、本発明の製剤における適切な界面活性剤安定剤である。いくつかの実施形態において、製剤は、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80を含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.02%のポリソルベート20又はポリソルベート80を含む。好ましい実施形態において、製剤は、約0.02%のポリソルベート80を含む。
【0281】
本発明の一態様は、約20mg/mL~約100mg/mLの抗BCMA抗原結合タンパク質と、約10mM~約25mMの緩衝剤と、約120mM~約240mMのポリオールとを含む製剤であって、製剤のpHが5.5~6.5である製剤に注目する。
【0282】
一実施形態において、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLの抗BCMA抗原結合タンパク質と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0283】
一実施形態において、組成物は、製剤中に抗体を含み、抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLの抗体と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロース、約0.01mM~約0.1mMのEDTA、及び約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80を含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0284】
一実施形態において、組成物は、製剤中に抗体を含み、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLの抗体と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0285】
一実施形態において、組成物は、製剤中に抗体を含み、抗体は、ベランタマブであり、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLのベランタマブと、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0286】
一実施形態において、組成物は、製剤中にADCを含み、抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒素はMMAF又はMMAEであり、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLのADCと、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0287】
一実施形態において、組成物は、製剤中にADCを含み、抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒素はMMAF又はMMAEであり、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLのADCと、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0288】
一実施形態において、組成物は、製剤中にADCを含み、ADCは、ベランタマブマホドチンであり、製剤は、約20mg/mL~約60mg/mLのベランタマブマホドチンと、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0289】
一実施形態において、組成物は、製剤中にベランタマブマホドチンを含み、製剤は、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL又は60mg/mLのベランタマブマホドチンと、25mMのクエン酸緩衝液と、200mMのトレハロースと、0.05mMのEDTA二ナトリウム塩と、0.02%のポリソルベート80とを含み、製剤のpHは約5.9~約6.5である。
【0290】
「安定な」製剤は、その中のタンパク質が、製造、輸送、貯蔵及び投与の間に、その物理的及び/又は化学的安定性を本質的に保持する製剤である。安定性は、選択した温度において選択した時間で測定され得る。例えば、2℃~8℃の推奨温度で保存される製品の場合、製剤は、室温、約30℃又は40℃で少なくとも1か月間安定であり、且つ/或いは約2~8℃で少なくとも1年間、好ましくは少なくとも2年間安定である。例えば、貯蔵中の凝集の程度は、タンパク質の安定性の指標として使用される。したがって、「安定な」製剤は、例えば、タンパク質の約10%未満、好ましくは約5%未満が製剤中に凝集体として存在する製剤であり得る。タンパク質の安定性を測定するための様々な分析技術が、当技術分野で利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Pubs. (1991) 及び Jones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)において概説されている。
【0291】
本発明の特定の態様において、製剤は、組成物が凍結、解凍及び/又は混合に対して安定性を保持することを可能にする。
【0292】
さらに別の態様において、本発明は、本明細書に記載の製剤中の組成物を収容する容器を含む製造品、例えばキットに関する。一態様では、製剤を含む注射デバイスが提供される。注射デバイスは、ペンインジェクターデバイス又はオートインジェクターデバイスを含み得る。一実施形態において、製剤は、プレフィルドシリンジに収容される。
【0293】
治療方法及び使用のための組成物
本発明の目的は、B細胞関連障害若しくは疾患(例えば、抗体媒介性疾患、形質細胞媒介性疾患又は形質細胞悪性腫瘍(例えば、癌、例えば、多発性骨髄腫))、又は抗BCMA抗原結合タンパク質によって治療され得るその他の疾患の治療に対する治療的なアプローチを提供することである。特に、本発明の目的は、抗BCMA抗原結合タンパク質、例えば、抗BCMA抗体を含む組成物であって、抗BCMA抗原結合タンパク質が、BCMA(例えばヒトBCMA)に特異的に結合し、BCMAと、そのリガンド(例えば、BAFF及び/又はAPRIL)との相互作用を調節(すなわち、阻害又は遮断)する組成物を、その相互作用の調節に応答性の疾患及び障害の治療において提供することである。
【0294】
本発明の別の態様では、B細胞関連障害又は疾患、例えば、抗体媒介性疾患、形質細胞媒介性疾患又は形質細胞悪性腫瘍(例えば、癌、例えば、多発性骨髄腫)に苦しむ対象(例えば、ヒト患者)を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗BCMA抗原結合タンパク質組成物を対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0295】
さらに別の実施形態において、本発明は、癌患者を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗BCMA抗原結合タンパク質組成物を患者に投与する工程を含む方法が提供される。
【0296】
本明細書で使用される場合、「癌」及び「腫瘍」という用語は交換可能に使用され、単数形又は複数形のいずれでも、宿主生物を病的な状態にする、形質転換、例えば、悪性の形質転換を受けた細胞を指す。原発性癌細胞は、確立された技術、特に組織学的検査によって非癌性細胞と容易に区別することができる。本明細書で使用される癌細胞の定義は、原発性癌細胞だけではなく、癌細胞を原細胞とする任意の細胞を含む。これには、転移した癌細胞、並びに癌細胞に由来するin vitroの培養物及び細胞株が含まれる。固形腫瘍として通常現れる種類の癌に言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、X線、超音波、身体検査における触診等の手順によって、腫瘤に基づいて検出可能な腫瘍、及び/又は患者から入手可能なサンプルにおいて、1種若しくは2種以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能である腫瘍である。腫瘍は、造血性(hematopoietic)(又は血液性(hematologic)又は血液学的(hematological)又は血液関連性(blood-related))癌、例えば、血液細胞又は免疫細胞に由来する癌であり得、これらは「液性腫瘍」と呼ばれる場合もある。血液性腫瘍に基づく臨床状態の具体例には、白血病、例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病及び急性リンパ性白血病;形質細胞悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、MGUS及びワルデンストレームマクログロブリン血症;リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫;等が含まれる。
【0297】
癌は、異常な数の芽球又は望ましくない細胞増殖が存在する癌、又はリンパ性悪性腫瘍及び骨髄性悪性腫瘍の両方を含む血液学的癌と診断される癌のいずれかであり得る。骨髄性悪性腫瘍には、急性骨髄性(myeloid)(又は骨髄性(myelocytic)又は骨髄性(myelogenous)又は骨髄芽球性(myeloblastic))白血病(未分化又は分化)、急性前骨髄性(又は前骨髄性又は前骨髄性又は前骨髄芽球性)白血病、急性骨髄単球性(又は骨髄単芽球性)白血病、急性単球性(又は単芽球性)白血病、赤白血病及び巨核球性(又は巨核芽球性)白血病が含まれるが、これらに限定されない。これらの白血病は、まとめて急性骨髄性(又は骨髄性又は骨髄性)白血病(AML)と呼ばれることがある。骨髄性悪性腫瘍には、慢性骨髄性(又は骨髄性)白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、本態性血小板血症(又は血小板増加症)及び真性赤血球増加症(PCV)を含むがこれらに限定されない骨髄増殖性疾患(MPD)も含まれる。とりわけ、骨髄性悪性腫瘍には、不応性貧血(RA)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)及び移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEBT)と呼ばれることもある骨髄異形成(又は骨髄異形成症候群又はMDS);並びに原発性骨髄線維症を伴う又は伴わない骨髄線維症(MFS)も含む。
【0298】
造血性癌はまた、リンパ性悪性腫瘍を含み、リンパ節、脾臓、骨髄、末梢血及び/又はリンパ節外部位に影響を与え得る。リンパ性癌には、B細胞悪性腫瘍が含まれ、これにはB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)が含まれるが、これらに限定されない。B-NHLは、インドレント(又は低悪性度)、中悪性度(又はアグレッシブ)又は高悪性度(高度アグレッシブ)の場合がある。インドレントB細胞リンパ腫には、濾胞性リンパ腫(FL);小リンパ球性リンパ腫(SLL);辺縁帯リンパ腫(MZL)、例えば、結節性MZL、節外性MZL、脾臓MZL及び有毛リンパ球を伴う脾臓MZL;リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);及び粘膜関連リンパ組織(MALT又は節外性辺縁帯)リンパ腫が含まれる。中悪性度B-NHLには、白血病の関与を伴う又は伴わないマントル細胞リンパ腫(MCL);びまん性大細胞リンパ腫(DLBCL);濾胞性大細胞(又は悪性度3又は悪性度3B)リンパ腫;及び原発性縦隔リンパ腫(PML)が含まれる。高悪性度B-NHLには、バーキットリンパ腫(BL)、バーキット様リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫(SNCCL)及びリンパ芽球性リンパ腫が含まれる。その他のB-NHLには、免疫芽球性リンパ腫(又は免疫細胞腫)、原発性滲出液リンパ腫、HIV関連(又はAIDS関連)リンパ腫及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)又は移植後のリンパ腫が含まれる。B細胞悪性腫瘍には、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)、有毛細胞白血病(HCL)、大顆粒リンパ球性(LGL)白血病、急性リンパ性(又はリンパ球性又はリンパ芽球性)白血病及びキャッスルマン病も含まれるが、これらに限定されない。とりわけ、NHLには、T細胞性非ホジキンリンパ腫(T-NHL)も含まれる場合があり、これには、非特定型(NOS)T細胞性非ホジキンリンパ腫、末梢T細胞性リンパ腫(PTCL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、血管免疫芽球性リンパ節症(AILD)、鼻のナチュラルキラー(NK)細胞性/T細胞性リンパ腫、ガンマ/デルタリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、菌状息肉腫及びセザリー症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0299】
造血性癌には、ホジキンリンパ腫(又はホジキン病)、例えば、古典的ホジキンリンパ腫、結節硬化型ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、リンパ球優位型(LP)ホジキンリンパ腫、結節性LPホジキンリンパ腫及びリンパ球減少型ホジキンリンパ腫も含まれる。造血性癌には、形質細胞疾患又は形質細胞癌、例えば、多発性骨髄腫(MM)(くすぶり型MMを含む)、意義不明(又は不明又は不明)の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症、形質細胞白血病及び原発性アミロイドーシス(AL)も含まれる。造血性癌には、さらなる造血細胞、例えば、多形核白血球(又は好中球)、好塩基球、好酸球、樹状細胞、血小板、赤血球及びナチュラルキラー細胞のその他の癌も含まれ得る。本明細書において「造血細胞組織」と呼ばれる造血細胞を含む組織には、骨髄;末梢血;胸腺;末梢リンパ組織、例えば、脾臓、リンパ節、粘膜(例えば、扁桃腺、パイエル板及び虫垂)関連リンパ組織(例えば、消化管関連リンパ組織)及びその他の粘膜(例えば、気管支内層)関連リンパ組織が含まれる。
【0300】
一実施形態において、癌は、結腸直腸癌(CRC)、胃癌、食道癌、頸部癌、膀胱癌、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮細胞癌、非小細胞肺癌、中皮腫、膵臓癌及び前立腺癌からなる群から選択される。
【0301】
本明細書で使用される「治療する」という用語及びその派生語は、治療療法を含むことを意味する。特定の状態に関して、治療するとは、以下を意味する:(1)状態を改善又は状態の生物学的徴候のうちの1若しくは2以上を改善する、(2)(a)状態につながる生物学的カスケード若しくは状態の原因である生物学的カスケードのうちの1若しくは2以上の点又は(b)状態の生物学的徴候のうちの1若しくは2以上に干渉する、(3)状態に関連又はその治療に関連する症状、影響又は副作用のうちの1又は2以上を緩和する、(4)状態の進行又は状態の生物学的徴候のうちの1若しくは2以上の進行を緩徐化する、且つ/或いは(5)寛解期間中の追加の治療なしで、状態の生物学的徴候の寛解状態であるとみなされる期間、状態の生物学的徴候の1又は2以上を検出不可能なレベルまで除去又は低減することによって、状態又は状態の生物学的徴候の1又は2以上を治癒させる。当業者は、特定の疾患又は状態の寛解であると考えられる期間を理解する。
【0302】
B細胞障害は、B細胞発生/免疫グロブリン産生の欠陥(例えば、免疫欠損)及び過剰/無制限増殖(例えば、リンパ腫、白血病)に分けることができる。本明細書で使用される場合、B細胞障害とは両方の種類の疾患を指し、本明細書に記載の組成物によりB細胞障害を治療するための方法が提供される。
【0303】
特定の態様において、疾患又は障害は、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、孤立性形質細胞腫(骨、髄外)、アミロイドーシス(AL)、くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)、孤立性形質細胞腫(骨、髄外)又はワルデンストロームマクログロブリン血症である。
【0304】
予防的治療も企図されている。当業者ならば、「予防」が絶対的な用語でないことを認識する。医学では、「予防」は、状態又はその生物学的徴候の可能性又は重症度を実質的に低減させるため、或いは状態又はその生物学的徴候の発生を遅延させるための薬物の予防的投与を意味すると理解される。予防的治療は、例えば、対象が癌を発症するリスクが高いと考えられる場合に、例えば、対象が癌の強い家族歴を有する場合又は対象が発癌物質に曝露されてきた場合に適切である。
【0305】
「対象」又は「患者」は、本明細書において交換可能に使用され、治療を必要とする任意の人、例えば、癌治療を必要とする人を含むように広く定義される。対象は哺乳動物を含み得る。一実施形態において、対象はヒト患者である。癌治療を必要とする対象には、様々な段階の患者、例えば、新たに診断された患者、再発した患者、難治性の患者、進行性疾患の患者、寛解の患者及びその他の患者が含まれ得る。癌治療を必要とする対象には、幹細胞移植を受けた患者、又は移植不適格とみなされる患者も含まれ得る。
【0306】
本明細書に記載の組成物による治療に選択されるために、対象を事前にスクリーニングすることができる。一実施形態において、対象からのサンプルは、本明細書に記載の組成物で治療する前に、BCMAの発現について試験される。
【0307】
対象は、本発明の組成物で治療される前に、少なくとも1種の癌治療を以前に受けていてもよい。一実施形態において、対象は、本発明の組成物で治療される前に、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種又は少なくとも7種の癌治療により以前に治療されている。
【0308】
別の実施形態において、対象は、新たに癌と診断され、本発明の組成物で治療される前に、以前の治療を受けたことはない。
【0309】
本発明の組成物は、任意の適切な経路によって投与され得る。いくつかの組成物の場合には、投与経路は、経口、直腸、鼻、局所(頬及び舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜内を含む)及び腫瘍内を含む。好ましい経路は、例えば、レシピエントの状態及び治療される癌によって変化し得ることが理解される。
【0310】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、医薬組成物として投与される。
【0311】
本明細書で使用される「投与する」という用語は、治療目的を達成するために本明細書に記載される組成物の送達を指すことを意味する。組成物は、臨床的利益を達成するのに十分な期間、投与間隔で投与され得る。組成物は、特定の部位に療法を標的化するような方法で対象に投与され得る。
【0312】
いくつかの実施形態において、組成物は注射によって投与される。したがって、一態様では、本発明の組成物、医薬組成物又は製剤を含む注射デバイスが提供される。注射デバイスは、ペンインジェクターデバイス又はオートインジェクターデバイスを含み得る。
【0313】
本明細書で使用される組成物の「治療有効量」又は「治療有効用量」という用語は、B細胞媒介性障害又は障害の症状の予防又は治療又は緩和に有効な量を指す。治療有効量及び治療計画は、一般に経験的に決定され、患者の年齢、患者の体重、患者の健康状態、及び治療される疾患又は障害等の要因に依存し得る。そのような要因は担当医の管理範囲内である。
【0314】
抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の適切な治療有効用量は、当業者によって容易に決定される。本明細書に記載の組成物の適切な用量は、患者の体重に応じて計算され得、例えば、適切な用量は、約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kg、例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、又は例えば、約10mg/kg~約15mg/kgであり得る。
【0315】
一実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の治療有効用量は、約0.03mg/kg~約4.6mg/kgである。さらに別の実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の治療有効用量は、0.03mg/kg、0.06mg/kg、0.12mg/kg、0.24mg/kg、0.48mg/kg、0.96mg/kg、1.92mg/kg、3.4mg/kg又は4.6mg/kgである。さらに別の実施形態において、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の治療有効用量は、1.9mg/kg、2.5mg/kg又は3.4mg/kgである。
【0316】
特定の実施形態において、組成物は、1種又は2種以上の追加の治療薬とともに対象に同時投与され得る。別の実施形態において、組成物は、1種又は2種以上の追加の癌治療薬とともに対象に同時投与され得る。追加の癌治療薬には、その他の免疫調節薬、治療用抗体(例えば、抗CD38抗体、例えば、ダラツムマブ)、CAR-T治療薬、BiTE、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、抗炎症化合物及び免疫調節性イミド薬(IMiD)(例えば、サリドマイド及びその類似体)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0317】
「同時投与される」とは、同一の医薬組成物又は別個の医薬組成物の組み合わせによって対象に投与される2種又は3種以上の異なる医薬組成物又は治療(例えば、放射線治療)の投与を意味する。したがって、同時投与は、2種又は3種以上の医薬剤を含む単一の医薬組成物の同時投与、又は同じ又は異なる時間での同一対象への2種又は3種以上の異なる組成物の投与を含む。
【0318】
本発明の一態様において、本発明は、本明細書に記載の抗BCMA抗原結合タンパク質を含む治療有効用量の組成物のいずれかを投与することにより、それを必要とする対象におけるB細胞疾患又は障害を治療する方法を提供する。
【0319】
一実施形態において、本発明は、平均DARが約3.4~約4.6である抗BCMA ADCを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法を提供する。
【0320】
別の実施形態において、本発明は、抗BCMA ADCを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり、平均DARが約3.4~約4.6である、方法を提供する。
【0321】
別の実施形態において、本発明は、抗BCMA ADCを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒性薬がMMAE又はMMAFであり、平均DARが約3.4~約4.6である、方法を提供する。
【0322】
別の実施形態において、本発明は、平均DARが約3.4~約4.6であるベランタマブマホドチンを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法を提供する。
【0323】
別の実施形態において、本発明は、平均DARが約3.4~約4.6であるベランタマブマホドチンを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における多発性骨髄腫を治療する方法を提供する。
【0324】
一実施形態において、本発明は、抗BCMA ADCを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、方法を提供する。
【0325】
別の実施形態において、本発明は、抗BCMA ADCを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み;細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり;DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、方法を提供する。
【0326】
別の実施形態において、本発明は、抗BCMA ADCを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み;細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり;DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、方法を提供する。
【0327】
さらに別の実施形態において、本発明は、ベランタマブマホドチンを含む組成物の治療有効用量を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、方法を提供する。
【0328】
さらに別の実施形態において、本発明は、ベランタマブマホドチンを含む組成物の治療有効用量を投与することを含む、それを必要とする対象における多発性骨髄腫を治療する方法であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、方法を提供する。
【0329】
一態様において、本発明は、抗体を含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、方法を提供する。
【0330】
一実施形態において、本発明は、抗体を含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における多発性骨髄腫を治療する方法であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、方法を提供する。
【0331】
一実施形態において、本発明は、ベランタマブを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における多発性骨髄腫を治療する方法であって、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、方法を提供する。
【0332】
一態様において、本発明は、抗体を含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、方法を提供する。
【0333】
一実施形態において、本発明は、抗体を含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における多発性骨髄腫を治療する方法であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、方法を提供する。
【0334】
一実施形態において、本発明は、ベランタマブを含む治療有効用量の組成物を投与することを含む、それを必要とする対象における多発性骨髄腫を治療する方法であって、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、方法を提供する。
【0335】
本発明の一態様において、本発明は、B細胞疾患又は障害の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物を提供する。
【0336】
一実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA ADCを含む組成物であって、平均DARが、約3.4~約4.6である、組成物を提供する。
【0337】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA ADCを含む組成物であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり、平均DARが約3.4~約4.6である、組成物を提供する。
【0338】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA ADCを含む組成物であって、抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒性薬がMMAE又はMMAFであり、平均DARが約3.4~約4.6である、組成物を提供する。
【0339】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するためのベランタマブマホドチンを含む組成物であって、平均DARが3.4~約4.6である、組成物を提供する。
【0340】
さらに別の実施形態において、本発明は、多発性骨髄腫の治療に使用するためのベランタマブマホドチンを含む組成物であって、平均DARが3.4~約4.6である、組成物を提供する。
【0341】
一実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA ADCを含む組成物であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、組成物を提供する。
【0342】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA ADCを含む組成物であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み;細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり;DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、組成物を提供する。
【0343】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に記載の抗BCMA ADCを含む組成物であって、抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み;細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり;DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、組成物を提供する。
【0344】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するためのベランタマブマホドチンを含む組成物であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約26%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%であり、DL4bの割合が、約7%~~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%である、組成物を提供する。
【0345】
さらに別の実施形態において、本発明は、多発性骨髄腫の治療に使用するためのベランタマブマホドチンを含む組成物であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、組成物を提供する。
【0346】
一態様において、本発明は、癌の治療に使用するための抗体を含む組成物であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、組成物を提供する。
【0347】
一態様において、本発明は、多発性骨髄腫の治療に使用するための抗体を含む組成物であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、組成物を提供する。
【0348】
さらに別の実施形態において、本発明は、多発性骨髄腫の治療に使用するためのベランタマブマホドチンを含む組成物であって、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、組成物を提供する。
【0349】
一態様において、本発明は、癌の治療に使用するための抗体を含む組成物であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、組成物を提供する。
【0350】
一態様において、本発明は、多発性骨髄腫の治療に使用するための抗体を含む組成物であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、組成物を提供する。
【0351】
さらに別の実施形態において、本発明は、多発性骨髄腫の治療に使用するためのベランタマブマホドチンを含む組成物であって、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、組成物を提供する。
【0352】
本発明の一態様において、B細胞疾患又は障害の治療に使用するための医薬の製造における組成物の使用が提供される。
【0353】
一実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、平均DARが約3.4~約4.6である使用が提供される。
【0354】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み、細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり、平均DARが約3.4~約4.6である、平均DARが約3.4~約4.6である、使用が提供される。
【0355】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み、細胞毒性薬がMMAE又はMMAFであり、平均DARが約3.4~約4.6である、使用が提供される。
【0356】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、ベランタマブマホドチンを含む組成物の使用であって、平均DARが約3.4~約4.6である、使用が提供される。
【0357】
別の実施形態において、多発性骨髄腫の治療に使用するための医薬の製造における、ベランタマブマホドチンを含む組成物の使用であって、平均DARが約3.4~約4.6である、使用が提供される。
【0358】
一実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、使用が提供される。
【0359】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含み;細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり;DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、使用が提供される。
【0360】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含み;細胞毒性薬がMMAF又はMMAEであり;DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、使用が提供される。
【0361】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA ADCを含む組成物の使用であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、使用が提供される。
【0362】
別の実施形態において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、ベランタマブマホドチンを含む組成物の使用であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、使用が提供される。
【0363】
さらに別の実施形態において、多発性骨髄腫の治療に使用するための医薬の製造における、ベランタマブマホドチンを含む組成物の使用であって、DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下であり、DL2の割合が、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いはDL8の割合が、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、使用が提供される。
【0364】
一態様において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の使用であって、組成物が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、使用が提供される。
【0365】
一実施形態において、多発性骨髄腫に使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の使用であって、組成物が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、使用が提供される。
【0366】
さらに別の実施形態において、多発性骨髄腫の治療に使用するための医薬の製造における、ベランタマブを含む組成物の使用であって、組成物が、25%以下の重鎖CDRH3のD103における異性化を含む、使用が提供される。
【0367】
一態様において、癌の治療に使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の使用であって、組成物が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、使用が提供される。
【0368】
一実施形態において、多発性骨髄腫に使用するための医薬の製造における、抗BCMA抗原結合タンパク質を含む組成物の使用であって、組成物が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3を含む抗体を含み、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、使用が提供される。
【0369】
さらに別の実施形態において、多発性骨髄腫の治療に使用するための医薬の製造における、ベランタマブを含む組成物の使用であって、組成物が、40%以下の重鎖M34(CDRH1)における酸化を含む、使用が提供される。
【0370】
本明細書に開示されるすべての特許及び文献の参照は、参照により明示的且つ完全に本明細書に組み込まれる。
【0371】
本明細書に記載の発明は、以下を含む。
[1]抗BCMA抗体の異性化バリアントを含む組成物であって、
前記異性化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、25%以下の前記異性化バリアントを含む、前記組成物。
[2]抗BCMA抗体の酸化バリアントを含む組成物であって、
前記酸化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、40%以下の前記酸化バリアントを含む、前記組成物。
[3]抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含み、
前記組成物が、0.1~25%の、CDRH3のD103における異性化を含む、前記組成物。
[4]抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含み、
前記組成物が、0.1~40%の、CDRH1のM34における酸化を含む、前記組成物。
[5]抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であり、
前記組成物が、0.1~25%の、CDRH3のD103における異性化を含む、前記組成物。
[6]抗BCMA抗体を含む組成物であって、
前記抗BCMA抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であり、
前記組成物が、0.1~40%の、CDRH1のM34における酸化を含む、前記組成物。
[7]前記組成物が、65%以下の、重鎖M256における酸化、及び/又は、60%以下の、重鎖M432における酸化を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]前記組成物が、抗体バリアントを含み、
前記抗体バリアントが、重鎖のN388及び/又はN393における脱アミド化、CDRH3におけるD103からN103への変化、C末端のリジンの切断、並びに、N末端のグルタミンからピログルタミン酸への変換からなる群から選択される1以上を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]前記組成物が、最大100%の、N388及び/又はN393における脱アミド化、最大100%の、CDRH3におけるN103、最大100%の、C末端のリジンの切断、並びに、最大100%の、N末端のグルタミンからピログルタミン酸への変換からなる群から選択される1以上を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]前記組成物が、任意のパーセンテージのグリコフォームG0、G1、G2、G0-GlcNac又はG0-2GlcNacを含む、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]前記抗BCMA抗体がベランタマブである、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]前記抗BCMA抗体が、細胞毒性薬にコンジュゲートされて、抗体-薬物複合体を形成する、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]前記抗BCMA抗体がベランタマブマホドチンである、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]DL2の割合が、少なくとも約30%、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、少なくとも約30%、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、少なくとも約5%、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、少なくとも約10%、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いは、DL8の割合が、少なくとも約1%、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、[12]又は[13]に記載の組成物。
[15]平均DARが約3.4~約4.6である、[12]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]DL0の割合が、約10%以下又は約5%以下である、[12]~[15]のいずれかに記載の組成物。
[17][1]~[16]のいずれかに記載の組成物と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
[18][17]に記載の医薬組成物を含む製剤であって、
前記製剤が、約20mg/mL~約60mg/mLの抗BCMA抗原結合タンパク質と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、
前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、前記製剤。
[19]前記製剤が、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL又は約60mg/mLのベランタマブマホドチンと、25mMのクエン酸緩衝液と、200mMのトレハロースと、0.05mMのEDTA二ナトリウムと、0.02%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、[18]に記載の製剤。
[20]それを必要とする対象に、治療有効量の[1]~[16]のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、癌を治療する方法。
[21]癌の治療に使用するための、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[22]癌の治療に使用するための医薬の製造における、[1]~[16]のいずれかに記載の組成物の使用。
[23]抗BCMA抗体-薬物複合体(ADC)を含む組成物であって、DL2の割合が、少なくとも約30%、約15%~約27%又は約15%~約32%であり、DL4aの割合が、少なくとも約30%、約35%~約38%又は約30%~約40%であり、DL4bの割合が、少なくとも約5%、約7%~約9%又は約5%~約10%であり、DL6の割合が、少なくとも約10%、約14%~約20%又は約10%~約20%であり、且つ/或いは、DL8の割合が、少なくとも約1%、約6.0%~約12.0%又は約4%~約15%である、前記組成物。
[24]前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含む、[23]に記載の組成物。
[25]DL2の割合が約15%~約32%であり、DL4aの割合が約30%~約40%であり、DL4bの割合が約5%~約10%であり、DL6の割合が約10%~約20%であり、且つ、DL8の割合が約4%~約15%である、[23]又は[24]に記載の組成物。
[26]DL2の割合が約15%~約27%であり、DL4aの割合が約35%~約38%であり、DL4bの割合が約7%~約9%であり、DL6の割合が約14%~約20%であり、DL8の割合が約6.0%~約12.0%である、[23]又は[24]に記載の組成物。
[27]平均薬物抗体比(DAR)が約2.1~約5.7である、[23]~[26]のいずれかに記載の組成物。
[28]平均DARが約3.4~約4.6である、[23]~[26]のいずれかに記載の組成物。
[29]平均DARが約3.8~約4.5である、[23]~[26]のいずれかに記載の組成物。
[30]抗BCMA抗体-薬物複合体(ADC)を含む組成物であって、DL0の割合が約10%以下又は約5%以下である、前記組成物。
[31]前記抗BCMA抗体が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDRH1、
配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDRH2、
配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDRH3、
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDRL1、
配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDRL2、及び
配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDRL3
を含む、[30]に記載の組成物。
[32]DL0の割合が約5%以下である、[30]又は[31]に記載の組成物。
[33]DL2の割合が約15%~約32%であり、DL4aの割合が約30%~約40%であり、DL4bの割合が約5%~約10%であり、DL6の割合が約10%~約20%であり、且つ、DL8の割合が約4%~約15%である、[30]~[32]のいずれかに記載の組成物。
[34]DL2の割合が約15%~約27%であり、DL4aの割合が約35%~約38%であり、DL4bの割合が約7%~約9%であり、DL6の割合が約14%~約20%であり、DL8の割合が約6.0%~約12.0%である、[30]~[32]のいずれかに記載の組成物。
[35]平均薬物抗体比(DAR)が約2.1~約5.7である、[30]~[34]のいずれかに記載の組成物。
[36]平均DARが約3.4~約4.6である[30]~[34]のいずれかに記載の組成物。
[37]平均DARが約3.8~約4.5である、[30]~[34]のいずれかに記載の組成物。
[38]前記抗BCMA抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するV、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVを含む、[23]~[37]のいずれかに記載の組成物。
[39]前記抗BCMA抗体がベランタマブである、[23]~[38]のいずれかに記載の組成物。
[40]細胞毒性薬がMMAE又はMMAFである、[23]~[37]のいずれかに記載の組成物。
[41]前記抗BCMA ADCがベランタマブマホドチンである、[21]~[40]のいずれかに記載の組成物。
[42]疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用して個々のDL種を分離し、各DLピークに関する曲線下面積を計算し、各DLピークを、合計されたすべてのDL種に関する総曲線下面積で除算することによって、DLの割合が決定される、[23]~[41]のいずれかに記載の組成物。
[43]平均DARが、以下の式:
【数2】
を使用して、各DL種の曲線下面積から計算される、[42]に記載の組成物。
[44][23]~[43]のいずれかに記載の組成物と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
[45][44]に記載の医薬組成物を含む製剤であって、
前記製剤が、約20mg/mL~約60mg/mLの抗BCMA抗原結合タンパク質と、約10mM~約30mMのクエン酸緩衝液と、約120mM~約240mMのトレハロースと、約0.01mM~約0.1mMのEDTAと、約0.01%~約0.05%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、
前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、前記製剤。
[46]前記製剤が、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL又は約60mg/mLのベランタマブマホドチンと、25mMのクエン酸緩衝液と、200mMのトレハロースと、0.05mMのEDTA二ナトリウムと、0.02%のポリソルベート20又はポリソルベート80とを含み、前記製剤のpHが、約5.9~約6.5である、[45]に記載の製剤。
[47]それを必要とする対象に、治療有効量の[23]~[43]のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、癌を治療する方法。
[48]癌の治療に使用するための、[23]~[43]のいずれかに記載の組成物。
[49]癌の治療に使用するための医薬の製造における、[23]~[43]のいずれかに記載の組成物の使用。
[50]抗体の酸性バリアントを含む組成物であって、
前記酸性バリアントが、
配列番号1のCDRH1と、
配列番号2のCDRH2と、
配列番号3のCDRH3と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1~70%の前記酸性バリアントを含む、前記組成物。
[51]抗体の酸性バリアントを含む組成物であって、
前記酸性バリアントが、
配列番号1のCDRH1と、
配列番号2のCDRH2と、
配列番号3のCDRH3と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、70%以下の前記酸性バリアントを含む、前記組成物。
[52]抗体の塩基性バリアントを含む組成物であって、
前記塩基性バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1~30%の前記塩基性バリアントを含む、前記組成物。
[53]抗体の塩基性バリアントを含む組成物であって、
前記塩基性バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、30%以下の前記塩基性バリアントを含む、前記組成物。
[54]抗体の主要なアイソフォームを含む組成物であって、
前記主要なアイソフォームが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1~90%の前記主要なアイソフォームを含む、前記組成物。
[55]抗体の主要なアイソフォームを含む組成物であって、
前記主要なアイソフォームが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、1%以上の前記主要なアイソフォームを含む、前記組成物。
[56]抗体の荷電バリアントを含む組成物であって、
前記荷電バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、70%以下の酸性バリアント及び/又は30%以下の塩基性バリアント及び/又は1%以上の主要なアイソフォームを含む、前記組成物。
【実施例0372】
実施例1:ADC組成物中のDL種の割合及び平均DARの決定
実施例2~9に対して、DLの割合及び平均DARは以下のように計算された:特定のDL種の割合(例えば、DL0の割合、DL2の割合、DL4aの割合、DL4bの割合、DL6の割合及びDL8の割合)は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用して個々のDL種を分離し(図2に例示)、各DLピークに関する曲線下面積を計算し、各DLピークを、合計されたすべてのDL種に関する総曲線下面積で除算することによって決定された。
【0373】
各サンプルの平均DARは、以下の式を使用して、各DL種の曲線下面積から計算された。
【0374】
【数3】
【0375】
実施例2~8で使用され、その他の実験にも使用され得る参照標準には、表1のサンプルが含まれる。
【0376】
【表1】
【0377】
実施例2:細胞成長阻害に対する平均DARの影響
ベランタマブマホドチンとの48時間インキュベーション後の、ヒト多発性骨髄腫細胞株であるNCI-H929細胞の細胞生存率を測定することによって、ベランタマブマホドチンの細胞成長阻害を決定した。PromegaのCellTiter Gloテクノロジーを使用して、細胞生存率を測定した。ベランタマブマホドチンの濃度の増加は、CellTiter Glo発光シグナルの減少に相対的に対応した。4パラメータの非線形ロジスティック回帰モデルを使用するSoftMaxProによって、用量反応(EC50)を生成した。サンプルのEC50に対する参照標準#132371424のEC50の比率を計算して、相対的効力を決定した。結果を表2にまとめる。
【0378】
【表2】
【0379】
実施例3:ADCC活性に対する平均DARの影響
ベランタマブマホドチン、多発性骨髄腫細胞及びNK細胞(エフェクター細胞)をインキュベートした。理論に拘束されることはないが、ベランタマブマホドチンは多発性骨髄腫細胞の表面に発現するBCMAに結合し、抗体のFc領域はエフェクター細胞の受容体FcγRIIIaを介してエフェクター細胞のFcγRIIIaに結合した。エフェクター細胞の表面へのこれらの受容体の会合は、サイトカイン(IFNg)の合成及び分泌、並びに標的細胞の細胞質に進入する顆粒(パーフォリン及びグランザイム)の放出をもたらした。グランザイムは、アポトーシスによるこれらの細胞の死を引き起こす、標的細胞内のシグナル伝達イベントを惹起した。NK細胞の供給源は、ヒトの全血から分離される末梢血単核細胞(PBMC)であった。次いで、1mLのNCI-H929細胞(ヒト多発性骨髄腫細胞株)に、蛍光増強リガンドのアセトキシメチルエステルであり、細胞膜を透過するBATDA(ビス-(アセトキシメチル)2,2’:6’,2’’-ターピリジン-6,6’’-ジカルボキシレート)(Perkin-Elmer カタログ番号C136-100)を10μL投入した。BATDAのエステル結合は加水分解されて親水性リガンド(TDA)を形成するが、これはもはや細胞膜を通過することができない。標識された細胞を様々な量のベランタマブマホドチン及びエフェクター細胞(PBMC)に添加した。細胞は溶解し、TDAを放出する。細胞溶解後、このリガンドを200μLのDELFIA Europium Solution(Perkin-Elmer カタログ番号C135-100)と混合して、蛍光性が高く安定したキレート(EuTDA)を形成させた。蛍光プレートリーダーで測定した場合には、測定した蛍光は、溶解した細胞量と直接的に相関する。参照標準#132371424のEC50値に対するサンプルのEC50値の比率として、ベランタマブマホドチンのADCC活性を報告した。結果を表3にまとめる。
【0380】
【表3】
【0381】
実施例4:BCMA結合及びFcγRIIIa結合に対する平均DARの影響
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。ベランタマブマホドチンを、PBSTで10μg/mLに希釈し、注入し、CM5センサーチップに固定化されたプロテインAによって捕捉した。次いで、BCMAを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させた。次いで、FcγRIIIaを注入して、補足したベランタマブマホドチンに結合させた。BCMA及びFcγRIIIaに結合するベランタマブマホドチンの機能的濃度を、参照標準曲線(参照標準#132371424)から計算し、それぞれBCMA又はFcγRIIIa結合濃度として報告した。サンプルの総ベランタマブマホドチン濃度を、280nmでの吸光度によって事前に決定した。BCMA又はFcγRIIIaの結合濃度を280nmの濃度での吸光度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算した。結果を表4にまとめる。
【0382】
【表4】
【0383】
実施例5:腫瘍体積に対する平均DARの影響
多発性骨髄腫細胞株を重症複合免疫不全(SCID)マウスの側腹部に皮下移植した。15日目頃から、ノギスシステムを使用してすべての腫瘍を週に3回測定し、各マウス腫瘍の長径及び短径を記録して腫瘍体積を計算した(体積=長径×(短径)×0.5)。平均腫瘍体積が約200mmに達すると、マウスを複数の群に無作為化し、平均DARサンプルの1種を含むベランタマブマホドチンを週2回で2週間投与した。すべての腫瘍をこの方法で測定し、腫瘍の平均腫瘍測定値が2.0mmに達するか、又は60日目に達するかのいずれか早い方で、個々のマウスを安楽死させた。試験デザインの概要を表5にまとめ、結果を図3に示す。
【0384】
【表5】
【0385】
実施例6:BCMA結合、FcγRIIIa結合及びFcRn結合に対するDL種の影響 HICクロマトグラムの別個のピークを収集することによって、特定のDL種を含むベランタマブマホドチンのサンプルを準備した。実施例4に記載されるように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンのBCMA又はFcγRIIIaとの結合を測定した。
【0386】
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブマホドチンへの結合を測定した。サンプルを希釈し、ニトリロ三酢酸(NTA)センサーチップに固定化されたFcRnによって、ベランタマブマホドチンを捕捉した。検量線上の結合反応の内挿によって、サンプルのFcRn結合濃度を決定した。FcRn結合濃度を総タンパク質濃度で除算することによって、特異的結合活性(%)を計算した。結果を表6にまとめる。
【0387】
参照標準#162397940を使用した。
【0388】
【表6】
【0389】
実施例7:細胞成長阻害に対するDL種の影響
ベランタマブマホドチンの特定のDL種サンプルを、実施例7のように準備した。細胞成長阻害を実施例2のように決定した。参照標準#162397940を使用した。結果を表7にまとめる。
【0390】
【表7】
【0391】
実施例8:ADCC活性に対するDL種の影響
ベランタマブマホドチンを多発性骨髄腫細胞表面に発現したBCMAに結合させた。1)ヒトFcγRIIIa受容体V158高親和性バリアント及び2)NFAT活性化配列の下流のプロモーターに融合しているルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定的に発現するように設計されているJurkat Tエフェクター細胞(Promega、カタログ番号G7102、BioCat#140011)上のFcγRIIIa(CD16a)に、ベランタマブマホドチンのFc領域を結合させた。抗体が、H929及びエフェクター細胞に同時に結合すると、NFAT経路の活性化は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子からの遺伝子転写及びエフェクター細胞内でのホタルルシフェラーゼの発現をもたらす。発光基質(Bio-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステム、Promega、カタログ番号G7940)を添加し、細胞溶解が起こった後、プレートリーダーを使用して相対発光単位(RLU)として、NFAT活性化によって生成されたルシフェラーゼを測定する。このアッセイでは、ベランタマブマホドチンを用量依存的に添加した。したがって、非線形ロジスティック回帰モデルを使用して、用量反応(半数効果濃度又はEC50)を生成した。サンプルのEC50に対する参照標準のEC50の比率を計算して、相対的効力を決定した。参照標準#162397940を使用した。結果を表8にまとめる。
【0392】
【表8】
【0393】
実施例9:ベランタマブマホドチンのいくつかのロットの平均DAR及びDL種の割合
ベランタマブマホドチンのいくつか(19)のバッチを製造した。実施例1で記載したように、各ロットの平均DAR及びDL種の割合を計算した。結果を表9~12にまとめる。
【0394】
【表9】
【0395】
【表10】
【0396】
【表11】
【0397】
【表12】
【0398】
実施例10:ベランタマブマホドチン強制劣化の試験デザイン
実施例11~18の試験デザインの概要を表13に示す。
【0399】
【表13】
【0400】
実施例11:酸化条件
酸化ストレスサンプルを作製するために、ベランタマブマホドチンサンプルを10mg/mLに希釈し、過酸化水素のベランタマブマホドチンに対するモル比が500:1になるように過酸化水素を添加した。サンプルをメチオニンでクエンチし、3kDa分子量カットオフフィルター(MWCO)を使用してバッファーを交換した。
【0401】
トリプシンペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して、脱アミド化及び酸化を決定した。6M グアニジンHCl溶液でサンプルを変性させ、4.2μg/μLの濃度にした。ジスルフィド結合を50mM DTTにより室温で20分間還元した。ヨード酢酸を100mMで添加し、遊離システイン残基と室温で30分間反応させ、光から保護した。BioRadスピンカラム(部品番号7326221)を使用して、サンプルをバッファー交換した。次いで、Worthingtonトリプシン(部品番号TRTPCK)により、0.5%トリプシンで37℃15分間、消化した。得られたペプチドをWaters逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)カラム(部品番号186003687)にロードし、Waters Acquity UPLCを使用して、水及びアセトニトリルのグラジエント溶液(0.1%トリフルオロ酢酸溶液)で溶出した。UV検出器、及び質量分析計、例えば、Thermo Scientific LTQ OrbitrapXLにより、ペプチドを検出した。非修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、脱アミド化又は酸化のいずれかのレベルを計算した。
【0402】
実施例4に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。実施例6に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブマホドチンへの結合を測定した。
【0403】
参照標準#182407660Aを使用した。結果のまとめを表14及び表15に示す。
【0404】
【表14】
【0405】
【表15】
【0406】
HC Met34における酸化のデータから外挿すると、最大37%の酸化は、少なくとも70%の抗原特異的結合活性をもたらす。これは、時間0(0.2~0.4%)及び24時間(45.1~45.5%)のM34酸化サンプルの線形勾配を使用して計算され、これらのサンプルはそれぞれ88~99%及び62~88%の抗原特異的結合活性を有する。
【0407】
HC Met256における酸化のデータから外挿すると、最大89%の酸化は、少なくとも70%のFcγRIIIa特異的結合活性をもたらす。これは、時間0(2.9~3.5%)及び24時間(98.3~98.7%)のM256酸化サンプルの線形勾配を使用して計算され、これらのサンプルはそれぞれ89~99%及び66~70%のFcγRIIIa特異的結合活性を有する。HC Met256における酸化のデータから外挿すると、最大64%の酸化は、少なくとも70%のFcRn特異的結合活性をもたらす。これは、時間0(2.9~3.5%)及び24時間(98.3~98.7%)のM256酸化サンプルの線形勾配を使用して計算され、これらのサンプルはそれぞれ93~97%及び52~57%のFcRn特異的結合活性を有する。
【0408】
HC Met432における酸化のデータから外挿すると、最大86%の酸化は、少なくとも70%のFcγRIIIa特異的結合活性をもたらす。これは、時間0(0.4~0.6%)及び24時間(94.8~95.2%)のM432酸化サンプルの線形勾配を使用して計算され、これらのサンプルはそれぞれ88~99%及び66~70%のFcγRIIIa特異的結合活性を有する。HC Met432における酸化のデータから外挿すると、最大61%の酸化は、少なくとも70%のFcRn特異的結合活性をもたらす。これは、時間0(0.4~0.6%)及び24時間(94.8~95.2%)のM432酸化サンプルの線形勾配を使用して計算され、これらのサンプルはそれぞれ93~97%及び52~57%のFcRn特異的結合活性を有する。
【0409】
実施例12:化学作用:高pH(塩基処理)
高pHサンプルを作製するために、ベランタマブマホドチンサンプルを4mM Trisバッファーで希釈して、pHを9に調整した。サンプルをさらに10mg/mLに希釈し、25℃/50%RHで21日間までインキュベートした。
【0410】
実施例11に記載のように、トリプシンペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して、脱アミド化、異性化及び酸化を決定した。非修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、脱アミド化、異性化又は酸化のいずれかのレベルを計算した。
【0411】
実施例4に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。実施例6のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブマホドチンへの結合を測定した。
【0412】
参照標準#182407660Aを使用した。結果を表16及び表17にまとめる。
【0413】
【表16】
【0414】
【表17】
【0415】
HC Asn388及びHC Asn393における脱アミド化は、抗原特異的結合、FcγRIIIa特異的結合及びFcRn特異的結合に影響を与えることなく、それぞれ報告したレベルの10.3%及び14.5%よりも高くなると予想される。
【0416】
実施例13:化学作用:低pH(酸処理)
低pHサンプルを作製するために、ベランタマブマホドチンサンプルをクエン酸緩衝液で希釈して、pHを5に調整した。サンプルをさらに10mg/mLに希釈し、25℃/50%RHで21日間までインキュベートした。
【0417】
実施例11に記載のように、トリプシンペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して、異性化、脱アミド化及び酸化を決定した。非修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、異性化、脱アミド化又は酸化のいずれかのレベルを計算した。
【0418】
実施例4に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。実施例6のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブマホドチンへの結合を測定した。
【0419】
参照標準#182407660Aを使用した。結果を表18及び表19にまとめる。
【0420】
【表18】
【0421】
【表19】
【0422】
実施例14:熱:高温
熱ストレスサンプルを作製するために、ベランタマブマホドチンサンプルを製剤バッファーで10mg/mLに希釈し、40℃/75%RHで28日間までインキュベートした。
【0423】
実施例11に記載のように、トリプシンペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して、異性化、脱アミド化及び酸化を決定した。非修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、異性化、脱アミド化又は酸化のいずれかのレベルを計算した。
【0424】
実施例4に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。実施例6のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブマホドチンへの結合を測定した。
【0425】
参照標準#182407660Aを使用した。結果を表20及び表21にまとめる。
【0426】
【表20】
【0427】
【表21】
【0428】
HC Asp130における異性化のデータから外挿すると、最大23%の異性化は、少なくとも70%の抗原特異的結合活性をもたらす。これは、時間0(4.1~4.4%)及び28日(28.7~29.3%)のD103異性化サンプルの線形勾配を使用して計算され、これらのサンプルはそれぞれ88~99%及び55~62%の抗原特異的結合活性を有する。
【0429】
実施例15:露光
露光されたサンプルを作製するために、ベランタマブマホドチンサンプルを10mg/mLに希釈し、ガラスバイアルに充填し、25℃のCaron Photostability Chamberに移して、表10に示す様々な程度の露光を行った。
【0430】
実施例11に記載のように、トリプシンペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して、酸化、脱アミド化及び異性化を決定した。非修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、酸化、脱アミド化又は異性化のいずれかのレベルを計算した。
【0431】
実施例4に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブマホドチンによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。実施例6のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブマホドチンへの結合を測定した。
【0432】
参照標準#182407660Aを使用した。結果を表22及び表23にまとめる。
【0433】
【表22】
【0434】
【表23】
【0435】
実施例16:C末端切断及びN末端ピログルタミン酸
実施例11に記載のように、トリプシンペプチドマッピングタンデム質量分析(ペプチドマッピングLC-MS/MS)を使用して、N末端ピログルタミン酸及びC末端切断のレベルについて、いくつかのロットのベランタマブを分析した。非修飾ペプチド及び修飾ペプチドの抽出イオンクロマトグラムを使用して、修飾ペプチドの曲線下面積を、修飾ペプチド及び非修飾ペプチドの両方の総曲線下面積で除算することにより、N末端ピログルタミン酸及びC末端切断のいずれかのレベルを計算した。
【0436】
実施例4に記載のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ベランタマブによるBCMA及びFcγRIIIaの結合を測定した。実施例6のように表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、胎児性Fc受容体(FcRn)のベランタマブへの結合を測定した。
【0437】
使用した参照標準は、#122368059及び#172405900であった。結果を表24~25にまとめる。
【0438】
【表24】
【0439】
【表25】
【0440】
実施例17:グリコシル化
グリコシル化パターンについて、いくつかのロットのベランタマブを分析した。親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)分離及び蛍光検出を備えた超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を使用して、そのプロファイルを決定した。サンプルを水で10μg/μLの濃度に希釈した。New England BioLabs製のPNGaseFキット(カタログ番号P0705L)を使用するPNGaseFによる酵素消化によって、グリカンをベランタマブから遊離させた。PNGaseFによって遊離させたグリカンを、アントラニルアミド(Sigma-Aidrich、カタログ番号A89804)で標識した。次いで、HILICカラムステップ(グリカンをロードし、水で洗浄し、アセトニトリルで溶出することができるステップ)を使用して、標識されたグリカンを精製して過剰な標識溶液を除去した。次いで、Waters Acquity UPLCで、Waters Glycan BEH Amideカラム(カタログ番号186004742)を使用して、ギ酸アンモニウム/ギ酸及びアセトニトリルグラジエントによって、標識されたグリカンを分離した。365nmでの励起及び438nmでの発光を伴う蛍光検出を使用して、グリカンを検出した。あるグリカンに関する曲線下面積を、検出されたすべてのグリカンに関する総曲線下面積で除算することによって、グリカンの定量を実施した。
【0441】
使用した参照標準は、#122368059であった。結果を表26~27にまとめる。
【0442】
【表26】
【0443】
【表27】
【0444】
実施例18:糖鎖工学
ADCC活性及び結合に対するベランタマブの糖富化サンプル(glyco-enriched sample)の影響を決定した。実施例3のように、ADCC活性を測定した。実施例4のように、BCMA及びFcγRIIIa結合を決定した。
【0445】
ガラクトシル化実験について、還元型LC-MSによりグリコシル化を測定した。サンプルを1mg/mLに希釈し、50μLの1M DTTを添加し、25℃又は37℃で30分間反応させた後、質量分析計(Micromass Q-tof)で分析した。水、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸のアイソクラティックフローを使用したサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、重鎖及び軽鎖を分離した。Waters製のMaxEntソフトウェアを使用して、各重鎖及び軽鎖のスペクトルを合計し、デコンボリューションした。主要なグリコフォームが検出され、シグナルカウント又は曲線下面積から相対量を評価した。結果を表28~29にまとめる。
【0446】
【表28】
【0447】
【表29】
【0448】
実施例19:許容範囲
最初及び最後(条件に関連して、21日目又は28日目)の時点の表11~表18のデータを使用して、許容範囲(70~130%の活性)を決定した。関連する翻訳後修飾の相対的なパーセンテージに対して結合データをプロットして、その関係の勾配を決定した。この情報を使用して、少なくとも70%の結合測定に対して各翻訳後修飾の予測レベルを計算した。この外挿の結果を表30にまとめる。報告された傾向は、ベランタマブ又はベランタマブマホドチンのいずれかで見られた観察結果を広く反映している。
【0449】
【表30】
【0450】
実施例20:劣化産物のまとめ
ベランタマブマホドチン活性に影響を与えない様々な強制劣化条件下で観察された劣化産物の発生率を以下にまとめる(表31)。
【0451】
【表31】
【0452】
実施例21
実施例21~26におけるベランタマブ強制劣化の試験デザインの概要を表32に示す。方法は、ベランタマブマホドチンについて上記の実施例11~18に記載されている方法とほぼ同様であった(記載されている場合を除く)。
【0453】
【表32】
【0454】
実施例22:ベランタマブの酸化条件
24時間後に、HC M256の酸化は、約2%から約98%に増加し、M432は約1%から約98%に増加した。SPRにより、FcγRIIIaに対する特異的結合は21~25%減少し、FcRn結合は10~18%減少した。Fcの酸化は、FcγRIIIa及びFcRnに対するベランタマブの結合活性を変化させる可能性がある。24時間後に、CDR1のHC M34の酸化は約0.3%から47.7~48.5%に増加し、抗原結合に変化はなく、アッセイのばらつきの範囲内であった。システイン及びトリプトファンの酸化レベルは、この試験を通して低く、その他の顕著な翻訳後修飾は検出されなかった。
【0455】
実施例23:ベランタマブの塩基処理
HC D103異性化は、約3.5%から約6.5%に増加することが28日後に観察された。28日後に、脱アミド化は、HC N31で0.1%から約2.5%に増加し、HC N388で約2.0%から約10%に増加し、HC N393で約1.7%から約18.5%に増加した。さらに、pH9のストレスに28日間さらされたベランタマブにおいて、HC M256の酸化は、約2.2%から約3.7%に増加することもまた観察された。cIEF分析によって、酸性バリアントは、約25%から約62%に増加し、塩基性バリアントは、約9%から約4.5%に減少することを示した(以下の表33を参照)。観察されたすべての変化は、抗原、FcγRIIIa及びFcRn特異的結合のアッセイのばらつきの範囲内であった。したがって、SPRによる結合は、28日目におけるpH9.0のストレスにさらされたベランタマブと同等である。
【0456】
【表33】
【0457】
実施例24:ベランタマブの酸処理
フラグメントは、28日後に0.8%から2.3~2.7%に増加した。HC D103におけるスクシンイミド形成は、0.2%から4.0%に増加し、HC D103異性化は、約3.5%から約5.8%に増加することが28日後に観察された。アスパラギン酸の異性化に加えて、pH3.5のストレスに28日間さらされたベランタマブにおいて、HC M256酸化は、約2.2%から約3.7%に増加することもまた観察された。cIEF分析によって、酸性バリアントは、約25%から約28%に増加し、塩基性バリアントは、約9%から約13%に増加することを示した(以下の表34を参照)。抗原、FcγRIIIa及びFcRn特異的結合において観察されたすべての変化は、アッセイのばらつきの範囲内であった。したがって、SPRによる結合は、28日後におけるpH3.5のストレスにさらされたベランタマブと同等である。
【0458】
【表34】
【0459】
実施例25:熱処理されたベランタマブ
フラグメントは28日後に0.8%から2.2~2.3%に増加した。%凝集は変化しなかった。HC D103におけるスクシンイミド形成は、0.2%から2.2%に増加し、HC D103異性化は、約3.5%から約29%に増加することが28日後に観察された。アスパラギン酸の異性化に加えて、熱ストレスに28日間さらされたベランタマブにおいて、HC M256酸化は、約2.2%から約5.3%に増加し、HC M432酸化では約1%から2%に増加することもまた観察された。28日後に、HC N329脱アミド化は、約0%から約7%に増加し、HC N388脱アミド化は、約2.0%から約2.5%に増加し、HC N393脱アミド化は、約1.7%から約2.6%に増加した。抗原特異的結合は、抗原結合に影響を与えることが示されたHC D103異性化の増加と一致して、28日で63~67%に減少した。FcγRIIIa及びFcRn特異的結合で観察された変化は、アッセイのばらつきの範囲内であった。
【0460】
実施例26:光処理されたベランタマブ
フラグメントは、1.5×ICHにおいて0.8%から1.5%に増加し、凝集は、約1%から6.5~7.5%に増加した。1.5×ICHにおいて、HC M34酸化は、約0.3%から1.6~2.1%に増加し、HC M256酸化は、約2.2%から18.4~251%に増加し、HC M432酸化は、約1%から13.7~19.5%に増加した。cIEF分析によって、酸性バリアントは、約25%から約34%に増加し、塩基性バリアントは、変化しないことを示した(以下の表35を参照)。抗原、FcγRIIIa及びFcRn特異的結合において観察されたすべての変化は、アッセイのばらつきの範囲内であった。したがって、SPRによる結合は、28日後におけるpH3.5のストレスにさらされたベランタマブと同等である。
【0461】
【表35】
【0462】
ベランタマブ強制劣化試験は、HC M34における最大48.5%の酸化が、抗原結合に変化をもたらさず、アッセイのばらつきの範囲内であったことを除いて、上記のベランタマブマホドチン強制劣化試験と一致した結果を示している。
【0463】
なお、薬物担持数が電荷プロファイルに寄与するため、ベランタマブマホドチンのcIEFデータは示していないが、ベランタマブの場合には、cIEFは酸性及び塩基性バリアントを主要な種から効果的に分離する(図4を参照)。
【0464】
配列表
配列番号1:CDRH1
NYWMH
【0465】
配列番号2:CDRH2
ATYRGHSDTYYNQKFKG
【0466】
配列番号3:CDRH3
GAIYDGYDVLDN
【0467】
配列番号4:CDRL1
SASQDISNYLN
【0468】
配列番号5:CDRL2
YTSNLHS
【0469】
配列番号6:CDRL3
QQYRKLPWT
【0470】
配列番号7:重鎖可変領域(CDRには下線を付す)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSS
【0471】
配列番号8:軽鎖可変領域(CDRには下線を付す)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKR
【0472】
配列番号9:重鎖領域(CDRには下線を付す)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0473】
配列番号10:軽鎖領域(CDRには下線を付す)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0474】
配列番号11:D103Nを有する重鎖領域(CDRには下線を付す)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYNGYDVLDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0475】
配列番号12:N388Dを有する重鎖領域(CDRには下線を付す)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESDGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0476】
配列番号13:N393Dを有する重鎖領域(CDRには下線を付す)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPEDNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0477】
配列番号14:N388D及びN393Dを有する重鎖領域(CDRには下線を付す)
VQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESDGQPEDNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024056791000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗BCMA抗体の異性化バリアントを含む組成物であって、
前記異性化バリアントが、
配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2及び配列番号3のCDRH3を含む重鎖アミノ酸配列と、
配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2及び配列番号6のCDRL3を含む軽鎖アミノ酸配列と
を含み、
前記組成物が、25%以下の前記異性化バリアントを含む、前記組成物。
【外国語明細書】