(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056876
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】多重ビームシステムのビーム失敗復旧手続きをトリガーする方法および端末
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20240416BHJP
H04W 74/0833 20240101ALI20240416BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240416BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20240416BHJP
H04W 76/19 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W74/0833
H04W24/10
H04W72/23
H04W76/19
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020392
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2020503302の分割
【原出願日】2018-07-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0093462
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0086199
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】596099882
【氏名又は名称】エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェ ビン
(72)【発明者】
【氏名】キム イルギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ ゴサン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヘサン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ソンウ
(57)【要約】
【課題】多重ビームシステムのビーム失敗復旧(beam failure recovery、BFR)手続きをトリガーする方法および端末を提供すること。
【解決手段】方法は、基地局との無線リンクをモニタリングしてビーム失敗を検出するステップ、基地局の候補送信ビームを識別するステップ、および、基地局の候補送信ビームが識別されると、基地局にBFR要求を送信するステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおける端末の動作方法であって、
基地局とのビーム失敗を検出するステップ;
前記ビーム失敗が検出された場合、前記基地局の候補ビームを識別するために、前記基地局の全ての送信ビームのサブセット内で受信された一つ以上の参照信号の第1測定動作を行うステップ;
前記候補ビームが前記第1測定動作で識別されなかった場合、前記候補ビームを識別するために、前記基地局の全ての送信ビーム内で受信された少なくとも一つの参照信号の第2測定動作を行うステップ;
前記少なくとも一つの参照信号のうち、前記第2測定動作によって識別された前記候補ビームによって送信された第1参照信号に関連したRA(random access)プリアンブルを識別するステップ;および
ビーム失敗復旧をトリガリングするために、前記RAプリアンブルの前記基地局への送信動作を行うステップ
を含む、端末の動作方法。
【請求項2】
前記第1参照信号は、SSB(synchronization signal block)に含まれる参照信号である、
請求項1に記載の端末の動作方法。
【請求項3】
前記第1参照信号は、CSI-RS(channel state information-reference signal)である、
請求項1に記載の端末の動作方法。
【請求項4】
前記CSI-RSは、前記基地局のSSBと疑似共同-位置(quasi co-location)関係を有する、
請求項3に記載の端末の動作方法。
【請求項5】
前記RAプリアンブルは、前記第1参照信号に関連したリソースを使って送信される、
請求項1に記載の端末の動作方法。
【請求項6】
前記RAプリアンブルは、RRC(radio resource control)コネクテッド(connected)として動作する前記端末から送信される、
請求項1に記載の端末の動作方法。
【請求項7】
前記RAプリアンブルは、非競争(contention-free)RA手続きに基づいて直交リソースを使って送信される、
請求項1に記載の端末の動作方法。
【請求項8】
通信システムにおける端末であって、
プロセッサ;および
前記プロセッサによって実行される一つ以上の命令を保存するメモリ
を含み、
前記一つ以上の命令は、
基地局とのビーム失敗を検出し、
前記ビーム失敗が検出された場合、前記基地局の候補ビームを識別するために、前記基地局の全ての送信ビームのサブセット内で受信された一つ以上の参照信号の第1測定動作を行い、
前記候補ビームが前記第1測定動作で識別されなかった場合、前記候補ビームを識別するために、前記基地局の全ての送信ビーム内で受信された少なくとも一つの参照信号の第2測定動作を行い、
前記少なくとも一つの参照信号のうち、前記第2測定動作によって識別された前記候補ビームによって送信された第1参照信号に関連したRA(random access)プリアンブルを識別し、
ビーム失敗復旧をトリガリングするために、前記RAプリアンブルの前記基地局への送信動作を行う、
ように実行される、
端末。
【請求項9】
前記第1参照信号は、SSB(synchronization signal block)に含まれる参照信号である、
請求項8に記載の端末。
【請求項10】
前記第1参照信号は、CSI-RS(channel state information-reference signal)である、
請求項8に記載の端末。
【請求項11】
前記CSI-RSは、前記基地局のSSBと疑似共同-位置(quasi co-location)関係を有する、
請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記RAプリアンブルは、前記第1参照信号に関連したリソースを使って送信される、
請求項8に記載の端末。
【請求項13】
前記RAプリアンブルは、RRC(radio resource control)コネクテッド(connected)として動作する前記端末から送信される、
請求項8に記載の端末。
【請求項14】
前記RAプリアンブルは、非競争(contention-free)RA手続きに基づいて直交リソースを使って送信される、
請求項8に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は多重ビームシステムでBFR手続きをトリガーする方法および端末に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP NRのWI(work item)は5G要求事項を満たすNRシステムを設計するためのものである。3GPP NRではシステム性能を向上させるために、ハイブリッドビームフォーミングに基づく多重ビーム動作が採択される。多重ビーム動作を可能とするために、物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel、PRACH)とメッセージデザインを含んだRA手続きが考慮される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一実施例は、多重ビームシステムの端末がBFR手続きをトリガーする方法を提供する。
【0004】
他の実施例は、BFR手続きをトリガーする多重ビームシステムの端末を提供する。
【0005】
さらに他の実施例は、多重ビームシステムの基地局がBFR手続きをトリガーする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施例によると、多重ビームシステムの端末がビーム失敗復旧(beam failure recovery、BFR)手続きをトリガーする方法が提供される。前記BFR手続きトリガー方法は、基地局との無線リンクをモニタリングしてビーム失敗を検出するステップ、前記基地局の候補送信ビームを識別するステップ、そして前記基地局の候補送信ビームが識別されると、前記基地局にBFR要求を送信するステップを含む。
【0007】
前記BFR手続きトリガー方法において、前記基地局との無線リンクをモニタリングしてビーム失敗を検出するステップは、前記基地局から受信される参照信号の受信電力の大きさをあらかじめ決定された閾値と比較するステップ、そして前記参照信号の前記受信電力の大きさがあらかじめ決定された時間において常に前記あらかじめ決定された閾値より小さいと、前記ビーム失敗が発生したものと決定するステップを含むことができる。
【0008】
前記BFR手続きトリガー方法において、前記参照信号は、物理放送チャネルの同期信号および復調参照信号を含む同期信号ブロック内の少なくとも一つの参照信号またはチャネル状態情報-参照信号(channel state information-reference signal、CSI-RS)を含むことができる。
【0009】
前記BFR手続きトリガー方法において、前記基地局の候補送信ビームを識別するステップは、前記基地局から受信されるチャネル状態情報-参照信号(channel state information-reference signal、CSI-RS)の参照信号受信電力(reference signal received power、RSRP)に基づいて前記候補送信ビームを識別するステップを含み、前記基地局の候補送信ビームが識別されると、前記基地局にBFR要求を送信するステップは、前記CSI-RSのRSRPに基づいて前記候補送信ビームが識別されると、前記CSI-RSと関連した物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel、PRACH)を通じて前記基地局に前記BFR要求を送信するステップを含むことができる。
【0010】
前記BFR手続きトリガー方法は、前記CSI-RSのRSRPによって前記基地局の候補送信ビームが識別されないと、前記基地局から受信される同期信号ブロック(synchronization signal block、SSB)内の参照信号の参照信号受信電力(reference signal received power、RSRP)に基づいて前記候補送信ビームを識別するステップ、そして前記SSB内の前記参照信号のRSRPに基づいて前記候補送信ビームが識別されると、前記基地局にBFR要求を送信するステップをさらに含むことができる。
【0011】
前記BFR手続きトリガー方法において、前記SSB内の前記参照信号のRSRPに基づいて前記候補送信ビームが識別されると、前記基地局にBFR要求を送信するステップは、前記候補送信ビームが識別されたSSBと関連した物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel、PRACH)を通じて前記BFR要求を送信するステップを含むことができる。
【0012】
前記BFR手続きトリガー方法は、前記CSI-RSの前記RSRPおよび前記SSB内の前記参照信号のRSRPによって基地局の候補送信ビームが識別されないと、前記基地局との無線リンクに対して無線リンク失敗(radio link failure、RLF)の同期外れ(out of synchronization、OOS)を測定するために設定されたタイマーが満了した後に前記RLF手続きをトリガーするステップをさらに含むことができる。
【0013】
前記BFR手続きトリガー方法において、前記BFR要求は前記端末のIDおよび前記候補送信ビームに関する情報を含み、前記端末の前記IDは前記BFR要求が生成される時に使われたシークエンスのインデックスに対応することができる。
【0014】
前記BFR手続きトリガー方法は、前記BFR要求を送信した後、あらかじめ構成された最大再送信回数に基づいて前記BFR要求を再送信するステップをさらに含むことができる。
【0015】
他の実施例によると、ビーム失敗復旧(beam failure recovery、BFR)手続きをトリガーする多重ビームシステムの端末が提供される。前記端末は、プロセッサ、メモリ、そして無線通信部を含み、前記プロセッサは前記メモリに保存されたプログラムを実行して、基地局との無線リンクをモニタリングしてビーム失敗を検出するステップ、前記基地局の候補送信ビームを識別するステップ、そして前記基地局の候補送信ビームが識別されると、前記無線通信部を利用して前記基地局にBFR要求を送信するステップを行う。
【0016】
前記端末において、前記プロセッサは前記基地局との無線リンクをモニタリングしてビーム失敗を検出するステップを行う時、前記基地局から受信される参照信号の受信電力の大きさをあらかじめ決定された閾値と比較するステップ、そして前記参照信号の前記受信電力の大きさがあらかじめ決定された時間において常に前記あらかじめ決定された閾値より小さいと、前記ビーム失敗が発生したものと決定するステップを行うことができる。
【0017】
前記端末において、前記参照信号は物理放送チャネルの同期信号および復調参照信号を含む同期信号ブロック内の少なくとも一つの参照信号またはチャネル状態情報-参照信号(channel state information-reference signal、CSI-RS)を含むことができる。
【0018】
前記端末において、前記プロセッサは前記基地局の候補送信ビームを識別するステップを行う時、前記基地局から受信されるチャネル状態情報-参照信号(channel state information-reference signal、CSI-RS)の参照信号受信電力(reference signal received power、RSRP)に基づいて前記候補送信ビームを識別するステップを行い、前記プロセッサは前記基地局の候補送信ビームが識別されると、前記基地局にBFR要求を送信するステップを行う時、前記CSI-RSのRSRPに基づいて前記候補送信ビームが識別されると、前記CSI-RSと関連した物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel、PRACH)を通じて前記基地局に前記BFR要求を送信するステップを行うことができる。
【0019】
前記端末において、前記プロセッサは前記プログラムを実行して、前記CSI-RSの前記RSRPによって前記基地局の候補送信ビームが識別されないと、前記基地局から受信される同期信号ブロック(synchronization signal block、SSB)内の参照信号の参照信号受信電力(reference signal received power、RSRP)に基づいて前記候補送信ビームを識別するステップ、そして前記SSB内の前記参照信号のRSRPに基づいて前記候補送信ビームが識別されると、前記無線通信部を利用して前記基地局にBFR要求を送信するステップをさらに行うことができる。
【0020】
前記端末において、前記プロセッサは前記SSB内の前記参照信号のRSRPに基づいて前記候補送信ビームが識別されると、前記無線通信部を利用して前記基地局にBFR要求を送信するステップを行う時、前記候補送信ビームが識別されたSSBと関連した物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel、PRACH)を通じて前記無線通信部を利用して前記BFR要求を送信するステップを行うことができる。
【0021】
前記端末において、前記プロセッサは前記プログラムを実行して、前記CSI-RSの前記RSRPおよび前記SSB内の前記参照信号のRSRPによって基地局の候補送信ビームが識別されないと、前記基地局との無線リンクに対して無線リンク失敗(radio link failure、RLF)の同期外れ(out of synchronization、OOS)を測定するために設定されたタイマーが満了した後に前記RLF手続きをトリガーするステップをさらに行うことができる。
【0022】
前記BFR要求は前記端末のIDおよび前記候補送信ビームに関する情報を含み、前記端末の前記IDは前記BFR要求が生成される時に使われたシークエンスのインデックスに対応することができる。
【0023】
前記BFR方法は、前記BFR要求を送信した後、あらかじめ構成された最大再送信回数に基づいて前記BFR要求を再送信するステップをさらに含むことができる。
【0024】
さらに他の実施例によると、多重ビームシステムの基地局がビーム失敗復旧(beam failure recovery、BFR)手続きをトリガーする方法が提供される。前記BFR方法は端末がビーム失敗を検出した後に前記端末によって送信されるBFR要求を受信するステップ、そして前記BFR要求を通じてレポートされた候補送信ビームに関する情報に基づいて前記端末にBFR要求応答を送信するステップを含む。
【0025】
前記BFR手続きトリガー方法において、前記BFR要求を送信するステップは、前記候補送信ビームに関する情報が複数の候補送信ビームに関する情報および前記複数の候補送信ビームのビーム品質情報を含むと、前記ビーム品質情報に基づいて前記複数の候補送信ビームに関する情報のうち一つの候補送信ビームを選択し、選択された候補送信ビームを通じて前記無線通信部を利用して前記BFR要求応答を前記端末に送信するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
3GPP NRの多重ビームシステムに好適なBFR手続きのトリガー方法が提供される。また、高速列車(high speed train、HST)シナリオを含む未来5世代通信システムに好適なBFR手続きのトリガー方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一実施例に係るCSI-RSに基づいたBFR手続きを示したフローチャート。
【
図2】一実施例に係るCSI-RSおよびSSBに基づいたBFR手続きを示したフローチャート。
【
図3】一実施例に係る高速列車通信システムの多重ビーム動作を示した概念図。
【
図4】一実施例に係るTE観点での予測されたSSBタイミングおよび検出されたSSBタイミング間のタイミング差を示した概念図。
【
図5】一実施例に係るサービスBBUのSSBタイミングおよびターゲットBBUのSSBタイミングを示した概念図。
【
図6】一実施例に係る無線通信システムを示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では添付した図面を参照して本記載の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本記載は多様な異なる形態で実現され得、ここで説明する実施例に限定されない。そして図面で本記載を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略したし、明細書全体を通じて類似する部分については類似する図面符号を付した。
【0029】
明細書全体で、端末装備(terminal equipment、TE)は、端末(terminal)、移動局(mobile station、MS)、移動端末(mobile terminal、MT)、進歩した移動局(advanced mobile station、AMS)、高信頼性移動局(high reliability mobile station、HR-MS)、加入者局(subscriber station、SS)、携帯加入者局(portable subscriber station、PSS)、接近端末(access terminal、AT)、ユーザー装備(user equipment、UE)、機械型通信装備(machine type communication device、MTC device)等を指し示してもよく、MT、MS、AMS、HR-MS、SS、PSS、AT、UEなどの全部または一部の機能を含んでもよい。
【0030】
また、基地局(base station、BS)は進歩した基地局(advanced base station、ABS)、高信頼性基地局(high reliability base station、HR-BS)、ノードB(node B)、高度化ノードB(evolved node B、eNodeB)、接近点(access point、AP)、無線接近局(radio access station、RAS)、送受信基地局(base transceiver station、BTS)、MMR(mobile multihop relay)-BS、基地局の役割を果たす中継機(relay station、RS)、基地局の役割を果たす中継ノード(relay node、RN)、基地局の役割を果たす進歩した中継機(advanced relay station、ARS)、基地局の役割を果たす高信頼性中継機(high reliability relay station、HR-RS)、小型基地局[フェムト基地局(femto BS)、オームノードB(home node B、HNB)、ホームeNodeB(HeNB)、ピコ基地局(pico BS)、マクロ基地局(macro BS)、マイクロ基地局(micro BS)等]などを指し示してもよく、ABS、ノードB、eNodeB、AP、RAS、BTS、MMR-BS、RS、RN、ARS、HR-RS、小型基地局などの全部または一部の機能を含んでもよい。
【0031】
本記載で使われる用語は、3GPP NR(New Radio)で定義された用語および3GPPによって発表されたNR関連レポートおよび規格に記載された用語に従う。単一ビーム動作は多重ビーム動作の特殊ケースと見なされ得、本記載は単一ビームシステムにも適用され得る。本記載は3GPP NRシステムを例として、多重ビーム動作に重点を置いて説明される。
【0032】
3GPP NRのPRACHにおいて、UEが無線リソース制御(radio resource control、RRC)CONNECTEDモードである時のハンドオーバーおよびUEがRRC IDLEモードである時の初期接続(initial access、IA)またはページングに対する従来のPRACH使用事例とは異なり、ビーム失敗復旧(beam failure recovery、BFR)要求の送信のための新しい使用事例がNR-PRACHに採択される。BFR要求の送信のための新しいチャネルは、PRACHに基づく、リソースが異なるPRACH送信リソースに直交する無競合基盤チャネルである。BFR要求はビーム失敗が検出されるとRRC CONNECTEDモードのUEによって送信され得る。
【0033】
図1は一実施例に係るCSI-RSに基づいたBFR手続きを示したフローチャートであり、
図2は一実施例に係るCSI-RSおよびSSBに基づいたBFR手続きを示したフローチャートである。
【0034】
本記載の実施例に係るBFR手続きは、ビーム失敗(beam failure)検出およびBFRトリガー条件(trigger condition)を含む。また、実施例に示されたBFR手続きは、基地局での候補送信ビーム識別(identification)、BFR要求送信および再送信、およびUEがモニタリングするBFR要求応答(BFR request response)を含む。
【0035】
以下では
図1および
図2を参照してビーム失敗検出およびBFRトリガー条件を説明する。
【0036】
図1を参照すると、ビーム失敗検出のために、UEはBFRトリガー条件が満たされたか否かを判断するために無線リンクをモニタリングする(S110)。UEは無線リンクをモニタリングするために参照信号(reference signal、RS)を使うことができる。ビーム失敗検出のためのRSは、物理放送チャネル(physical broadcast channel、PBCH)の同期信号(synchronization signal、SS)および復調参照信号(demodulation reference signal、DMRS)を含む同期信号ブロック(synchronization signal block、SSB)内のすべてのRSまたは一部のRSであり得る。また、ビーム失敗検出のためのRSはビーム管理の目的のためにUEに設定されたチャネル状態情報RS(channel state information-RS、CSI-RS)であり得る。本記載でビーム失敗検出のためのRSは、SSB内のRSであるかCSI-RSであるか、またはSSB内のRSおよびCSI-RSであり得る。以下ではBFR手続きをトリガーするための二つの条件を説明する。
【0037】
条件1:UEは、UEによって測定された、ビーム失敗検出のためのRSの受信電力(received power)の大きさがあらかじめ決定された閾値より小さい状態が、あらかじめ決定された時間において持続するかを判断する(S120)。
【0038】
条件1はいくつかの特定チャネルの計算されたエラー率と関連があるいくつかの性能メトリック(performance metric)のケースと同等である。例えば、PBCH-DMRSの受信電力に基づいて、PBCHエラー率が簡略に推定され得る。UEが推定されたPBCHエラー率が許容され得ないものと判断すると、UEは条件1が満たされたものと決定することができる。他の物理チャネルの同等な性能メトリックに対する類似する推定または計算が同様に条件1に適用され得る。本記載においてRSに対する受信電力が説明のための例示として使われた。
【0039】
条件2:UEは基地局の候補送信ビームが識別されるかを判断する(S130)。
【0040】
条件1はUEがビーム失敗を検出するためのものであり、条件2はUEがBFR手続きをトリガーするために条件1にさらに必要なものである。すなわち、ビーム失敗は条件1が満たされる時に検出されるが、UEは条件1および条件2が同時に満たされる場合にのみBFR手続きのトリガーを要求するためのBFR要求を基地局に送信することができる(S140)。その反対に、ビーム失敗が検出されたものの、候補送信ビームがUEによって識別されないと、BFR手続きはトリガーされない。この場合、同期外れ(out of synchronization、OOS)がUEによって検出されるであろうし、そうするとUEは引き続き無線リンク品質をモニタリングし、無線リンク失敗(radio link failure、RLF)トリガー条件が満たされるとRLFをトリガーすることができる。BFR手続きをトリガーするための二つの条件が一旦満たされると、UEはタイマーN310またはT310が継続中であっても無線リンクを復旧するためにBFR手続きを行うことができる。この動作は、UEがRLFと関連したタイマーを中止するようにし、無線リンク問題によるUEの中断時間(UE interruption time)を減少させることができる。
【0041】
UEは基地局に候補送信ビームがあるかどうかを次のような方法で識別することができる。NRのような多重ビームシステムで、SSBは基地局ですべての送信ビーム方向を通じて送信され、CSI-RSはUE特定RSであって送信ビームのサブセット内でのみ送信され得る。したがって、本記載で、ネットワーク段で構成されたUE特定CSI-RSは候補送信ビーム識別のための主RSとして使われ、SSB内のRSは候補送信ビーム識別のための補助(補充)RSとして使われ得る。
【0042】
図2を参照すると、UEが無線リンクをモニタリングし(S210)、ビーム失敗が検出されると(条件1が満たされる)(S220)、UEはまずCSI-RSの参照信号受信電力(reference signal received power、RSRP)をモニタリングすることによって基地局の候補送信ビームを識別することができる(candidate beam identification)(S230)。例えば、UEは特定の送信ビームを通じて受信されるCSI-RSのRSRPがあらかじめ決定された閾値より大きいと、候補ビームの識別を完了することができる。候補送信ビームがCSI-RSに基づいてUEによって検出されると、UEはBFR手続きをトリガーするためのBFR要求を基地局に送信する(S250)。しかし、UEがCSI-RSに基づいて候補送信ビームを探すことができないこともある。例えばCSI-RSを有する送信ビームの構成されたサブセットが遮断されていることもあり得る。この場合、UEは下記の二つのオプションを有することができる。
【0043】
オプション1:UEはBFRトリガー条件1が満たされていないため、BFR手続きをトリガーせずに引き続き無線リンクの品質をモニタリングすることができる。
【0044】
オプション2:UEは、SSBがすべての送信ビーム方向に送信されるため、CSI-RSの代わりにSSB内のRSのRSRP測定に基づいて候補送信ビームの検出を試みることができる。
【0045】
オプション1の場合のUEの挙動はRLFをトリガーすることができ、オプション2の場合のUEの挙動はBFR手続きをトリガーすることができる。その理由は、構成されたCSI-RSを有する送信ビームのサブセット内のすべてのビーム方向が遮断されても、いくつかの他のビーム方向はUEに対して依然として有効であり得るためである。UEは候補送信ビームがCSI-RSに基づいて検出されないと、SSBに基づいてもう一度候補送信ビームの検出を試みることができる(S240)。したがって、
図2によると、
図1に比べてRLFがトリガーされる確率が減少し得る。
【0046】
一実施例によると、BFR要求は送信された後再送信され得る。BFR要求はUE識別のための情報(例えば、UE ID)および基地局の候補送信ビームに関連した情報を含むことができる。BFR要求は物理ランダムアクセスチャネル(physical random access channel、PRACH)と類似するチャネル上で送信され得、従来のPRACH上のプリアンブルフォーマットがBFR要求のフォーマットとして再使用され得る。説明を簡略にするために、BFR要求の送信のためのチャネルを新しいPRACHとする。そして、BFR要求のために従来のプリアンブルフォーマットおよびプリアンブルシークエンスが再使用され得る。UE ID情報を運搬するために、BFR要求を生成するためのシークエンスのインデックスが使われ得る(すなわち、BFR要求を生成するために使われたシークエンスのインデックスがUE IDと対応する)。すなわち、基地局はBFR要求が生成される時に使われたシークエンスのインデックスに基づいてUEを識別することができる。候補送信ビームに関する情報は下記の二つのオプションがあり得る。
【0047】
オプション1:UEがBFR要求を通じて候補送信ビームがあるかどうかを報告することができる。
【0048】
オプション2:UEがBFR要求を通じて基地局に一つ以上の候補送信ビームを報告することができる。
【0049】
オプション1で、候補送信ビームが存在するか否かを表すための1ビット情報は周波数/時間/シークエンスリソースを含む新しいPRACHリソースの分割(partitioning)により運搬され得る。例えば、新しいPRACHの互いに異なる周波数/時間またはBFR要求のためのシークエンスの互いに異なるグループが、候補送信ビームが存在するか否かを表すための情報として使われ得る。オプション2で、SSBおよび新しいPRACHリソース間の関連(association)が候補送信ビーム情報を運搬するために使われ得る。例えば、一つ以上のSSBが周波数/時間/シークエンスリソースを含む新しいPRACHリソースのサブセットと関連され得る。関連に基づいて、UEは候補送信ビームとして検出されたSSBに対応する新しいPRACHリソース(または新しいPRACHリソースのサブセット)を選択することができ、選択された新しいPRACHリソースを使ってBFR要求を送信することができる。その結果、基地局はUEのBFR要求が送信される新しいPRACHリソースから、UEによってレポートされた候補送信ビームを認識することができる。類似する方式がCSI-RSと新しいPRACHリソース間の関連に基づいてUEが候補送信ビーム情報をレポートする時にも適用され得る。この時、SSBはCSI-RSと準-共同位置(quasi co-location)に位置することができる。ビーム失敗による中断時間を減少させるために、基地局からBFR要求に対する応答を受信する前に、UEは互いに異なるUE送信ビーム上で複数のBFR要求を送信することができる。BFR要求が再送信される時、ネットワークは特定のUEに対して許容された最大再送信回数をあらかじめ構成することができる。
【0050】
一方、UEによってモニタリングされたBFR要求応答は次の通りである。
【0051】
1.UEが基地局の候補送信ビームが存在することを基地局にレポートすると、基地局はUEがBFR要求応答を受信することを保障できるように、すべてのビーム方向を通じて(またはUEに対して構成されたすべてのビーム方向を通じて)または送信ビームスイーピング(Tx beam sweeping)を通じてBFR要求応答をUEに送信する。
【0052】
2.UEが基地局に正確な候補送信ビームをレポートすると、基地局はUEによってレポートされた候補送信ビームを通じてBFR要求応答をUEに送信する。例えば、UEがBFR要求内で一つの最善の候補送信ビームを基地局に報告し、基地局はUEによって報告された送信ビームを通じてBFR要求応答をUEに送信することができる。
【0053】
3.UEが複数の候補送信ビームを基地局にレポートすると、基地局はレポートされたビームのビームスイーピングを通じてBFR要求応答をUEに送信する。または基地局はUEにBFR要求応答を送信するために、UEによってレポートされた候補送信ビームのうち最善のビームを使うことができる。この時、基地局が最善のビームを選択するために、複数の候補送信ビームのビーム品質情報がさらに必要となり得る。
【0054】
図3は一実施例に係る高速列車通信システムの多重ビーム動作を示した概念図である。
【0055】
図3を参照すると、線路に沿って複数の遠隔無線ヘッド(remote radio head、RRH)(110
1~110
m)が配置されており、m個のRRH(110
1~110
m)はi番目のベースバンド帯域ユニット(Baseband Unit、BBU)100
iに連結されている。列車10は線路に沿って紙面上左から右に移動し、各RRHと複数のビームを使って通信を行う。列車10はモバイルリレー(mobile relay)として動作する機内(onboard)端末装備(terminal equipment、TE)を含む。機内TEは機内TEと地上基地局(terrestrial BS)の間でデータを伝達することができ、一つのUEとして扱われ得る。地上BSはBBUおよびBBUに連結された複数のRRHを含むことができる。また、方向性アンテナがTEおよびRRHで使われ得る。各RRHでn個のビームがパネル(panel)アンテナのような方向性アンテナを使ってビームフォーミングを通じて生成され得る。本記載でビームの幅(width)はビームインデックスが増加するほど次第に広くなり得る。例えば、ビーム1のビーム幅はビーム2のビーム幅より狭く、n番目のビームのビーム幅が最も広い。互いに異なるビームインデックスに互いに異なる幅のビームが割り当てられるのは、頻繁なビームスイッチングの必要を減らすためである。また、列車10がサービスRRHに向かって動いている時、経路損失が低くなることを考慮するのは合理的な割り当てであり、この時、さらに広いビーム幅はさらに高いビームフォーミング利得よりさらに重要であり得る。
【0056】
図3で、TEが初期接続(initial access)を行ってネットワークに接続しようとする時、TEは互いに異なるRRHの送信ビーム(Tx beam)上で送信される同期信号ブロック(synchronization signal block、SSB)を受信することができる。この時、各RRHの送信ビームに対して、一つ以上のSSBが送信され得る。
図3ですべてのRRHは同じBBUに連結されているため、同じSSB区間(period)内のSSBは複数のRRHの互いに異なる送信ビームに割り当てられ得る。列車10のTEはすべてのRRHが空間的(spatial)準-共同位置(quasi co-located、QCL’ed)であり、互いに異なるRRHからのすべての送信ビームは同じ位置から送信されるものと仮定することができる。列車10が同じBBUに連結された一つのRRHのカバレッジから他のRRHのカバレッジに移動する時、BFR手続きが既存のハンドオーバー手続きの代わりに、無線リンクを維持するためにトリガーされ得る。ひいては、RRH間の距離のため、列車10のTEは予測されたSSBタイミングと実際に探索されたSSBタイミング間のタイミング差(timing difference)があることを発見することができる。前記タイミング差は列車10が新しいRRHのカバレッジに移動する時にタイミングアドバンス(timing advance、TA)を推定するために使われ得る。
【0057】
図4は一実施例に係るTE観点での予測されたSSBタイミングおよび検出されたSSBタイミング間のタイミング差を示した概念図であり、
図5は一実施例に係るサービスBBUのSSBタイミングおよびターゲットBBUのSSBタイミングを示した概念図である。
【0058】
図4を参照すると、列車10は同じBBUに連結されたRRH 1からRRH mまで移動することになる。列車10のTEには各RRHの送信ビーム上で一つのSSBが送信されている。列車10はRRH 1の送信ビームによってサービスの提供を受けた後、RRH 2の送信ビームによってサービスの提供を受けることになり、したがって、SSB nとSSB (n+1)の間にはタイミング差が発生し得る。しかし、TEは各RRHから連続的にSSBを受信することになることを予測するため、予測されたSSBタイミングと検出されたSSBタイミング間にタイミング差がある。
【0059】
列車があるBBUのカバレッジから次のBBUのカバレッジに移動する時にはBFR手続きが行われずにハンドオーバー手続きが行われる。
図3に図示された通り、TEがRRH mの送信ビームnによってサービスを受信している時、TEは次のBBUへのハンドオーバーを行うことになる。この時、BBU iがRRH mのすべての送信ビーム上でSSBを送信しても、TEはひたすらRRH mのビームnによって送信されるn番目のSSBだけを検出することができる。BBU (i+1)がBBU iと同期化されているのであれば、TEは
図5に図示されたタイミングにBBU (i+1)からSSB 1を検出することができる。この時、BBU (i+1)のSSB 1のタイミングはサービスBBU iのSSBのタイミングと重ならない。すなわち、TEは干渉することなくサービングセルのSSBおよびターゲットセルのSSBを検出することができる。したがって、3GPP LTEシステムのハンドオーバー手続きが、
図3の列車10がBBU iからBBU (i+1)にハンドオーバーする時に適用され得る。
【0060】
図6は一実施例に係る無線通信システムを示したブロック図である。
【0061】
図6を参照すると、一実施例に係る無線通信システムは、基地局610と端末620を含む。
【0062】
基地局610は、プロセッサ(processor)611、メモリ(memory)612、そして無線通信部(radio frequency unit、RF unit)613を含む。メモリ612はプロセッサ611と連結されてプロセッサ611を駆動するための多様な情報またはプロセッサ611により実行される少なくとも一つのプログラムを保存することができる。無線通信部613はプロセッサ611と連結されて無線信号を送受信することができる。プロセッサ611は本記載の実施例で提案した機能、過程、または方法を実現することができる。この時、本記載の一実施例に係る無線通信システムで無線インターフェースプロトコル階層はプロセッサ611により実現され得る。一実施例に係る基地局610の動作はプロセッサ611により実現され得る。
【0063】
端末620は、プロセッサ621、メモリ622、そして無線通信部623を含む。メモリ622はプロセッサ621と連結されてプロセッサ621を駆動するための多様な情報またはプロセッサ621により実行される少なくとも一つのプログラムを保存することができる。無線通信部623はプロセッサ621と連結されて無線信号を送受信することができる。プロセッサ621は本記載の実施例で提案した機能、ステップ、または方法を実現することができる。この時、本記載の一実施例に係る無線通信システムで無線インターフェースプロトコル階層はプロセッサ621により実現され得る。一実施例に係る端末620の動作はプロセッサ621により実現され得る。
【0064】
本記載の実施例でメモリはプロセッサの内部または外部に位置することができ、メモリはすでに知られている多様な手段を通じてプロセッサと連結され得る。メモリは多様な形態の揮発性または不揮発性保存媒体であり、例えば、メモリは読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)またはランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を含むことができる。
【0065】
以上で実施例について詳細に説明したが、権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も権利範囲に属するものである。