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特開2024-569保持層一部除去方法、及び保持層一部除去装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000569
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】保持層一部除去方法、及び保持層一部除去装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/50 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01L21/50 C
H01L21/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099297
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】今井 宏一
(72)【発明者】
【氏名】寺田 豊治
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保持層が素子の第2主面のサイズと同等もしくは素子の第2主面のサイズよりも内側の領域でのみ素子と接触するようにする保持層一部除去方法及び保持層一部除去装置を提供する。
【解決手段】保持層一部除去装置による保持層一部除去方法は、保持層10を介して半導体チップの第2主面1Bを保持した基板20において、保持層10の一部を除去する保持層一部除去方法であって、半導体チップ1の配列領域における保持層10の配置範囲全域が照射範囲となるように、半導体チップの第1主面1A側からレーザ光111を照射して、保持層10の一部を除去する保持層除去工程を実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持層を介して素子の第2主面を保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去方法であって、
前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域が照射範囲となるように前記素子の第1主面側からレーザを照射して、前記保持層の一部を除去する保持層除去工程を実施することを特徴とする保持層一部除去方法。
【請求項2】
前記保持層除去工程において照射するレーザスポットは、少なくとも1個の前記素子の第1主面全域、及び該素子周囲の前記保持層を少なくとも含む大きさであり、当該レーザスポットを有するレーザを相対的に移動させることで、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域にレーザを照射することを特徴とする請求項1に記載の保持層一部除去方法。
【請求項3】
前記保持層除去工程において照射するレーザはライン状であり、当該ライン状の当該レーザ照射の長さ方向と直交する方向に当該レーザ照射を相対的に移動させることで、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域にレーザを照射することを特徴とする請求項1に記載の保持層一部除去方法。
【請求項4】
保持層を介して素子の第2主面を保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去装置であって、
レーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記レーザ照射部からレーザ光を前記素子の第1主面側から照射しながら前記基板保持部に対して相対的に移動させて、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域がレーザ照射範囲となるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする保持層一部除去装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に半導体チップ等の素子を粘着保持した保持層を一部除去する保持層一部除去方法、及び保持層一部除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップは、コスト低減のために小型化し、特に、小型化した半導体チップであるLEDチップを高速・高精度に実装するための取組みが行われている。特に、ディスプレイに用いられるLEDはマイクロLEDと呼ばれる50μm×50μm以下のLEDチップを数μmの精度で高速に実装することが求められている。
【0003】
特許文献1には、保持層を介して基板に保持されている半導体チップをレーザリフトオフにより転写するものにおいて、保持層が半導体チップの最も当該保持層に近接する面と同等もしくは当該保持層に近接する面よりも内側の領域でのみ半導体チップと接触するようにしたことにより、保持層が半導体チップの側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に半導体チップが傾くことがなく精度よく転写できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:WO2020/166301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のものは、保持層が半導体チップの最も当該保持層に近接する面と同等もしくは当該保持層に近接する面よりも内側の領域でのみ半導体チップと接触するようにする方法について記載がなく不明であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、半導体チップ等の素子が当該素子と同等のサイズの領域もしくは当該素子よりも内側の領域でのみ保持層と接触するようにする方法及びその装置を開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、保持層を介して素子の第2主面を保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去方法であって、 前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域が照射範囲となるように前記素子の第1主面側からレーザを照射して、前記保持層の一部を除去する保持層除去工程を実施することを特徴とする保持層一部除去方法を提供するものである。
【0008】
この構成により、半導体チップ等の素子が当該素子と同等のサイズの領域もしくは当該素子よりも内側の領域でのみ保持層と接触するようにして、保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に半導体チップが傾くことを防止して精度よく転写することができる。
【0009】
保持層一部除去方法であって、前記保持層除去工程において照射するレーザスポットは、少なくとも1個の前記素子の第1主面全域、及び該素子周囲の前記保持層を少なくとも含む大きさであり、当該レーザスポットを有するレーザを相対的に移動させることで、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域にレーザを照射するようにしてもよい。
【0010】
この構成により、素子周囲の保持層を除去でき、確実に保持層が素子の側面に回り込むことがなく、転写する際にレーザリフトオフで素子が傾くことがなく精度よく転写することができる。
【0011】
保持層一部除去方法であって、前記保持層除去工程において照射するレーザスポットはライン状であり、当該ライン状の当該レーザスポットの長さ方向と直交する方向に当該レーザスポットを相対的に移動させることで、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域にレーザを照射するようにしてもよい。
【0012】
この構成により、前記素子の第1主面全域、及び該素子周囲の前記保持層にレーザ照射することで、素子周囲の保持層を除去でき、確実に保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に半導体チップが傾くことがなく精度よく転写することができる。
【0013】
また、上記課題を解決するために本発明は、保持層を介して素子の第2主面を保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去装置であって、
レーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記レーザ照射部からレーザ光を前記素子の第1主面側から照射しながら前記基板保持部に対して相対的に移動させて、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域がレーザ照射範囲となるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする保持層一部除去装置を提供するものである。
【0014】
この構成により、素子が当該素子と同等のサイズの領域もしくは当該素子よりも内側の領域でのみ保持層と接触するようにして、保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に半導体チップが傾くことを防止して精度よく転写することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の保持層一部除去方法、又は保持層一部除去装置により、半導体チップ等の素子が当該素子と同等のサイズの領域もしくは当該素子よりも内側の領域でのみ保持層と接触するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1における保持層一部除去装置を説明する図である。
図2】本発明の実施例1における保持層一部除去方法を説明する図である。
図3】本発明の実施例1における素子周辺の保持層を説明する図である。
図4】従来の課題を説明する図である。
図5】本発明の実施例2における保持層一部除去装置を説明する図である。
図6】本発明の実施例2における保持層一部除去方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0017】
本発明の実施例1について、図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における保持層一部除去装置を説明する図である。図2は、本発明の実施例1における保持層一部除去方法を説明する図であり、(a)はレーザ照射前の基板を示し、(b)はレーザ照射後の基板を示す。図3は、本発明の実施例1における素子周辺の保持層を説明する図である。図4は、従来の課題を説明する図である。
【0018】
(保持層一部除去装置) 実施例1における保持層一部除去装置100は、保持層除去部110を有している。そして、保持層除去部110により後述の保持層除去工程が行われる。
【0019】
保持層除去部110の詳細を図1に示す。 保持層除去部110は、レーザ光111を照射するレーザ照射部112、基板20を保持して少なくともX軸方向及びY軸方向に移動可能な基板保持部114、および図示しない制御部を備えている。
【0020】
レーザ照射部112は、エキシマレーザなどのレーザ光111を照射する装置であり、保持層除去部110に固定して設けられる。実施例1においては、レーザ照射部112は波長266nmのレーザ光111を略四角形のスポット状に照射する。レーザ光111は、制御部により角度が調節されるガルバノミラー115およびfθレンズ116を介してX軸方向およびY軸方向の照射位置が制御され、基板保持部114に保持された基板20上の保持層10に選択的に照射する。実施例1におけるレーザ光111は波長266nmであるので半導体チップ1(素子)の第1主面1Aに照射されたレーザ光はGaNに吸収されることで遮られ、当該半導体チップ1が当接して粘着保持する保持層には届かない。一方、半導体チップ1が配置されていない保持層20にレーザ光111が入射することによって、入射した領域の保持層10がガスの発生とともに除去される。これにより、基板20上の保持層10の一部が除去される。
【0021】
実施例1においては、レーザ照射部112は、基板20にX、Y方向に配列された半導体チップ1のうち、少なくとも1個の半導体チップ全域、及び該半導体チップ周囲の露出した保持層を少なくとも含む大きさのレーザスポット50でレーザを照射する。
【0022】
また、基板保持部114は図示しない移動機構により、少なくともX軸方向、及びY軸方向に移動する。制御部がこの移動機構を制御し、基板保持部114の位置を調節することにより、基板に保持された半導体チップ1の基板に対する相対位置を調節することができる。
【0023】
基板保持部114は、上面に平坦面を有し、後述の保持層除去工程中、基板20を保持する。この基板保持部114の上面には複数の吸引孔が設けられており、吸引力により基板の第2主面22(保持層がない方の面)を保持する。
【0024】
なお、実施例1では、基板保持部114がX軸方向及びY軸方向に移動する形態をとっているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、いずれか一方のX軸方向又はY軸方向にのみ移動する形態であってもよい。また、基板保持部はいずれの方向にも移動せず、レーザ光が移動する形態をとってもよい。
【0025】
なお、実施例1においては、略四角形のレーザスポットを照射するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、略円形や楕円形のレーザスポットを照射するようにしてもよい。
【0026】
また、実施例1においては、レーザ光の波長を266nmとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、これ以外の波長であってもよく、半導体チップ1を透過しない波長であればよい。
【0027】
(保持層一部除去方法) 実施例1における保持層一部除去方法について説明する。 図2(a)に示すように、基板20の第1主面21上には、ほぼ全面に亘って保持層10が設けられ、その保持層10の基板20とは反対面に半導体チップ1の第2主面1Bが当接して、X方向に7個、及びY方向に5個配列され粘着保持されている。実施例1においては、このX方向に配列された半導体チップを基板20の第1主面側からみて左からa、b、c・・・gとし、Y方向に配列された半導体チップを1、2、3、4、5とし、左上の半導体チップを1aとする。
【0028】
保持層10に対して、半導体チップ1aの第1主面1A側からレーザスポット50を有するレーザ光111を照射して保持層除去工程を実施する。レーザスポット50は、当該1個の半導体チップ1の第1主面1A全域、及び半導体チップ1の周囲に四角環状に露出した保持層16a(図3参照)を含む大きさである。
【0029】
なお、実施例1においては、1個の半導体チップ1の第1主面1A全域、及び半導体チップ1の周囲に四角環状に露出した保持層16aを少なくとも含む大きさのレーザスポット50でレーザを照射するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、複数の半導体チップ1の第1主面全域、及びその周囲の保持層を含む大きさのレーザスポットでレーザを照射してもよい。ここで、半導体チップの周囲の保持層とは、除去すれば半導体チップの側面に保持層が回り込む恐れがない範囲の保持層である。
【0030】
レーザ光111がレーザスポット50の大きさで半導体チップ1aを中心とした領域に照射されることにより、図3に示す半導体チップの周囲に露出した保持層16aはアブレーションによりガスの発生とともに除去される。半導体チップ1aの第1主面1A全域に照射されたレーザ光111は半導体チップ1aに遮られて、半導体チップ1aの第2主面1B側の保持層にはレーザ光111が当たらず、アブレーションは起きない。ただし、半導体チップ1aの第2主面1B側の保持層の周囲における一部はレーザ光111の角度や屈折等により一部がアブレーションされ、ガスの発生とともに除去されることがある。
【0031】
これにより、図2(b)に示すように、半導体チップ1(例えば、半導体チップ1a~1g)を粘着する保持層は、半導体チップ1の第2主面のサイズと同等の領域もしくは半導体チップ1の第2主面のサイズより小さい領域になる。つまり、半導体チップ1の側面に保持層が回り込むことがない。そのため、後述のように、半導体チップ1を転写する際に、傾いたりすることなく高精度に転写できる。
【0032】
従来は、図4(a)に示すように、保持層10が半導体チップ1の側面に回り込む回り込み保持層19があると、半導体チップ1の第2主面1B側からレーザ光を照射してレーザリフトオフにより転写する際に、図4(b)に示すように、回り込み保持層19により半導体チップ1が傾いて被転写基板30に転写されてしまう問題があった。 しかし、本発明の実施例1における保持層除去工程により、回り込み保持層19ができることがなく、高精度に転写することができる。
【0033】
次に、半導体チップ1b全域とその周囲にレーザ光111を照射し、半導体チップ1bの周囲に四角環状に露出した保持層と半導体チップ1bの第2主面側の保持層の周囲の一部に対して保持層除去工程を実施する。さらに、半導体チップ1c、半導体チップ1d、半導体チップ1e、半導体チップ1f、半導体チップ1gと同じように順次、保持層除去工程を実施する。
【0034】
第1列の半導体チップ1a~1gに対する保持層除去工程が終われば、基板保持部114を移動させながら、第2列目の半導体チップ2a~2g、さらに第3列目の半導体チップ3a~3g、第4列目の半導体チップ4a~4g、第5列目の半導体チップ5a~5gに対する保持層除去工程を実施して全ての半導体チップ1を粘着する保持層10を半導体チップ1のサイズと同等かそれより小さいサイズにして側面に回り込む恐れのある保持層をなくす。
【0035】
なお、実施例1においては、第1列の半導体チップ1a~1gの次に第2列目の半導体チップ2a~2g、さらに第3列目の半導体チップ3a~3g、第4列目の半導体チップ4a~4g、第5列目の半導体チップ5a~5gに対する保持層除去工程を実施するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1行目の半導体チップ1a、2a、3a、4a、5aの次に第2行目の半導体チップ1b~5b、さらに第3行目の半導体チップ1c~5c、第4行目の半導体チップ1d~5d、第5行目の半導体チップ1e~5e、第6行目の半導体チップ1f~5f、第7行目の半導体チップ1g~5gを中心とする保持層除去工程を実施するようにしてもよく、全ての半導体チップに対する保持層除去工程が実施できればその順序にはこだわらない。
【0036】
以上により、半導体チップの配列領域における保持層10の配置範囲全域が照射範囲となるようにレーザを照射して、保持層10の一部を除去する保持層除去工程を実施することができる。ここで、半導体チップの配列領域における保持層10の配置範囲全域とは、半導体チップの側面に回り込む恐れのある保持層10の配置範囲全域であり、半導体チップの側面に回り込む恐れのない保持層10の配置範囲は含まない。
【0037】
全ての半導体チップにおいて保持層除去工程を実施することで、粘着保持する保持層10が半導体チップの第2主面のサイズと同等の領域もしくは半導体チップの第2主面のサイズより小さいサイズの領域となり、基板20に粘着保持されている半導体チップ1を転写する際には、傾くことなく高精度に転写することができる。
【0038】
実施例1における保持層一部除去装置100はレーザリフトオフ装置を兼ねることも可能である。その場合、保持層一部除去方法を実施して素子(半導体チップ1)と同等もしくはそれより小さい領域の保持層10のみが残っていて素子を保持する状態とした後、透光性の基板20の第2主面側22にレーザ照射部112からレーザ光111を照射することにより、残った保持層10が除去されると同時に素子がガスにより付勢される。すなわちレーザリフトオフされる。
【0039】
なお、実施例1においては、素子を半導体チップとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、抵抗やコンデンサ等の電子部品、及び金属片等の材料等とすることができる。また、保持層は粘着によるものとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、粘着によらない保持層であってもよい。
【0040】
このように、実施例1においては、保持層を介して素子の第2主面を保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去方法であって、 前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域が照射範囲となるように前記素子の第1主面側からレーザを照射して、前記保持層の一部を除去する保持層除去工程を実施することを特徴とする保持層一部除去方法により、保持層が素子の第2主面のサイズと同等もしくは素子の第2主面のサイズより小さいサイズとなり、保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に素子が傾くことがなく精度よく転写することができる。
【0041】
また、保持層を介して素子の第2主面を保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去装置であって、
レーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記レーザ照射部からレーザ光を前記素子の第1主面側から照射しながら前記基板保持部に対して相対的に移動させて、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域がレーザ照射範囲となるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする保持層一部除去装置により、保持層が素子の第2主面のサイズと同等もしくは素子の第2主面のサイズより小さいサイズとなり、保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に素子が傾くことがなく精度よく転写することができる。
【実施例0042】
本発明の実施例2は、レーザ照射部が照射するレーザ光がライン状のレーザを照射する点で実施例1と異なっている。実施例2について図5図6を参照して説明する。図5は、本発明の実施例2における保持層一部除去装置を説明する図である。図6は、本発明の実施例2における保持層一部除去方法を説明する図である。
【0043】
実施例2における保持層一部除去装置200は、保持層除去部210においてレーザ照射部212を有している。レーザ照射部212はライン状のレーザをY軸方向に基板20に対して照射することができる。つまり、基板20に照射されたライン状のレーザは半導体チップ1の配列領域における保持層10の配置範囲全域についてY軸方向1ラインを照射範囲とすることができる。そして基板保持部214が当該ライン状のレーザ照射の長さ方向と直交する方向であるX方向に移動することで、半導体チップ1の配列領域における保持層10の配置範囲全域にレーザを照射する。
【0044】
図6(a)に示すように、レーザ光211は、Y軸方向にライン状のレーザ光60が照射される。このレーザ光60は、半導体チップ1a、2a、3a、4a、5aとそのY軸方向における周囲を照射範囲とすることができる。そして、このレーザ光60を照射したまま、基板保持部214をX軸方向に移動させることで、レーザ照射範囲は、第2行目の半導体チップ1b~5b、さらに第3行目の半導体チップ1c~5c、第4行目の半導体チップ1d~5d、第5行目の半導体チップ1e~5e、第6行目の半導体チップ1f~5f、第7行目の半導体チップ1g~5gを中心とする保持層除去工程を実施する。これにより、半導体チップ1の配列領域における保持層10の配置範囲全域にレーザを照射することができる。
【0045】
そして、全ての半導体チップにおいて、粘着保持する保持層10が半導体チップ(素子)の第2主面のサイズと同等もしくは半導体チップの第2主面のサイズより小さいサイズとなり、基板20に粘着保持されている半導体チップ1を転写する際には、傾くことなく高精度に転写することができる。
【0046】
なお、実施例2においては、Y軸方向1ラインを照射範囲とし、基板保持部214がX方向に移動するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、X軸方向1ラインを照射範囲とし、基板保持部214がY方向に移動するようにしてもよい。また、基板保持部214は移動せずに、レーザ照射部212を当該ライン状のレーザ照射の長さ方向と直交する方向に移動させるようにしてもよく、当該ライン状のレーザ光の長さ方向と直交する方向に当該レーザスポットを相対的に移動させるようにすればよい。また、ライン状のレーザスポットは1本でなくてもよく、2本以上のライン状レーザを同時に照射するようにしてもよい。
【0047】
このように、実施例2においても、保持層を介して素子の第2主面を粘着保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去方法であって、
前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域が照射範囲となるように前記素子の第1主面側からレーザを照射して、前記保持層の一部を除去する保持層除去工程を実施することを特徴とする保持層一部除去方法により、保持層が素子の第2主面のサイズと同等もしくは素子の第2主面のサイズより小さいサイズとなり、保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に素子が傾くことがなく精度よく転写することができる。
【0048】
また、保持層を介して素子の第2主面を粘着保持した基板において、前記保持層の一部を除去する保持層一部除去装置であって、
レーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記レーザ照射部からレーザ光を前記素子の第1主面側から照射しながら前記基板保持部に対して相対的に移動させて、前記素子の配列領域における前記保持層の配置範囲全域がレーザ照射範囲となるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする保持層一部除去装置により、保持層が素子の第2主面のサイズと同等もしくは素子の第2主面のサイズより小さいサイズとなり、保持層が素子の側面に回り込むことがなく、レーザリフトオフ時に素子が傾くことがなく精度よく転写することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明における保持層一部除去方法、及び保持層一部除去装置は、半導体チップ等の素子を転写して実装する分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1(1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g):半導体チップ 2(2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g):半導体チップ 3(3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g):半導体チップ 4(4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g):半導体チップ 5(5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g):半導体チップ 1A:第1主面 1B:第2主面 10:保持層 19:回り込み保持層 20:基板 21:第1主面 22:第2主面 30:被転写基板 100:保持層一部除去装置 110:保持層除去部 111:レーザ光 112:レーザ照射部 114:基板保持部 115:ガルバノミラー 116 fθレンズ 200:保持層一部除去装置 210:保持層除去部 211:レーザ光 212;レーザ照射部 214:基板保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6