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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056912
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】改良LAMP構築物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240416BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240416BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/15 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
C07K19/00
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62 Z
A61K31/7088
A61K35/12
A61K38/16
A61K48/00
A61K39/39
A61K47/62
A61P35/00
A61P37/08
C12N1/15 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】51
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021796
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2022184643の分割
【原出願日】2018-04-22
(31)【優先権主張番号】62/488,741
(32)【優先日】2017-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/549,119
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/549,033
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516384081
【氏名又は名称】イミュノミック セラピューティックス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOMIC THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ハイラント, テリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、抗原を免疫細胞に送達するためにLAMP内腔ドメインの特定の断片を含む、プロセシングを増強するための改良LAMP構築物を提供する。
【解決手段】LAMP構築物は、疾患、特にアレルギー、感染症、糖尿病、過剰増殖性障害および/またはがんの治療に使用することができる。改良LAMP構築物は、対象に投与されると免疫応答の生成のための適切に構成された三次元エピトープの提示を可能にする。改良LAMP構築物は、多価分子であり得、および/または2つ以上のLAMP構築物を含む多価ワクチンの一部として提供することができる。本明細書に記載の改良LAMP構築物はまた、非ヒト脊椎動物に投与した場合、抗体が産生されるように使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む改良LAMP構築物:
a.LAMPタンパク質のシステイン保存断片、および
b.抗原性ドメイン。
【請求項2】
a.前記抗原性ドメインが前記システイン保存断片のN末端に配置されている、
b.前記抗原性ドメインが単一のシステイン保存断片のC末端に配置されている、または
c.前記抗原性ドメインが2つのシステイン保存断片の間に配置されている、
請求項1に記載の改良LAMP構築物。
【請求項3】
図1のILC-1、ILC-2、ILC-3、ILC-4、ILC-5またはILC-6に示される構造を含む、請求項1または請求項2のいずれかに記載の改良LAMP構築物。
【請求項4】
各抗原がリンカーによって分離されている、請求項3に記載の改良LAMP構築物。
【請求項5】
前記リンカーがアミノ酸配列GPGPGまたはPMGLPから選択される、請求項4に記載のLAMP構築物。
【請求項6】
複数のシステイン保存断片を含む、請求項1~5のいずれかに記載の改良LAMP構築物。
【請求項7】
前記システイン保存断片がLAMPタンパク質の相同ドメインを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の改良LAMP構築物。
【請求項8】
LAMPタンパク質の膜貫通ドメインをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物。
【請求項9】
シグナル配列をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の改良LAMP構築物。
【請求項10】
前記シグナル配列がLAMPタンパク質に由来する、請求項9に記載の改良LAMP構築物。
【請求項11】
前記LAMPタンパク質が、LAMP-1、LAMP2、LAMP-3、LIMP2、マクロシアリン(Macrosailin)、Endolyn、LAMP5またはLIMBICから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物。
【請求項12】
前記LAMPタンパク質が配列番号1~113のいずれか1つから選択される、請求項11に記載の改良LAMP構築物。
【請求項13】
前記LAMPタンパク質が、配列番号1~113と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%同一である、請求項12に記載の改良LAMP構築物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチド。
【請求項15】
請求項14に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物、請求項14に記載のポリヌクレオチド、または請求項15に記載の宿主細胞を含む組成物。
【請求項17】
疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物、請求項14に記載のポリヌクレオチド、請求項15に記載の宿主細胞、または請求項16に記載の組成物を、それを必要とする対象に前記疾患または障害を軽減または治療するための十分量で投与する工程を含む方法。
【請求項18】
プライミング工程および少なくとも1回のブースティング工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記改良LAMP構築物が前記プライミング工程に使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ブースティング工程が、抗原、改良LAMP構築物、改良LAMP構築物によりコードされるポリペプチド、または前記改良LAMP構築物を含む細胞の投与を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
プライムに使用される抗原がブーストに使用される抗原と同じである、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
プライムに使用される抗原がブーストに使用される第2の抗原と同じタンパク質に由来する、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
複数の抗原がプライムおよび/またはブーストに使用される、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良LAMP構築物、ならびに感染症、糖尿病、アレルギー、過剰増殖性障害および/またはがんを患う対象の治療におけるそれらの使用に関する。さらに、本明細書に記載の改良LAMP構築物は、非ヒト脊椎動物において抗体を作製するために使用することができ、好ましくは、該非ヒト脊椎動物のゲノムは少なくとも部分的にヒト免疫グロブリン領域および/またはヒト化免疫グロブリン領域を含む。本明細書に記載のLAMP改良構築物を利用するプライム・ブーストプロトコルも記載している。
【背景技術】
【0002】
以下の考察では、背景技術と導入を目的として特定の記事および方法を記載する。本明細書に含まれるものは、先行技術の「承認」と解釈されるべきではない。出願人は、必要に応じて、本明細書において参照されている記事および方法が、先行技術を構成しないことを実証する権利を適切な法律規定の下で明確に留保する。
【0003】
DNAワクチンは、予防ワクチンおよび治療ワクチンの両方を開発するための新しい有望な候補である。それらは安全であることが証明されており、臨床的利益を達成するためにワクチン接種の反復サイクルが必要な場合、ベクター骨格に対する免疫応答の欠如が決定的な利点となり得る。しかし、従来のDNAワクチンの欠点の1つは、ヒトにおける免疫原性が低いことである。エピトープベースのDNAワクチンの免疫原性における重要な制限段階は、T細胞に対するMHCII提示の経路へのエピトープのアクセスであり得、これは標的化技術のないワクチンの場合には確率的方法であると思われる。
【0004】
米国特許第5,633,234号は、改変されたインフルエンザ血球凝集素(HA)の抗原性ドメインと、抗原を効果的にその区画の標的とする細胞質エンドソーム/リソソーム標的化シグナルとを含むキメラタンパク質を記載している。抗原性ドメインはプロセシングされ、それに由来するペプチドが主要組織適合遺伝子(MHC)クラスII分子の協力によって細胞表面に提示された。LAMP-1の細胞質尾部を使用して、キメラタンパク質のエンドソーム/リソソーム標的化ドメインが形成された。
【0005】
米国特許第8,318,173号は、これらの最初の観察を拡張して、LAMP-1の完全内腔ドメインと膜貫通ドメインとの間に挿入されたHIV-1 Gagタンパク質を含むキメラタンパク質(およびこれらのタンパク質をコードする対応するDNA)を記載した。この構築物は樹状細胞に導入され、MHC II経路を標的とすることがその後報告された。
【0006】
このアプローチは、いくつかのウイルス抗原、ヒトパピローマウイルスE7、デングウイルス膜タンパク質、HIV-1 gp160膜タンパク質、HIV-1 p55 Gag、西ナイル膜タンパク質、C型肝炎ウイルスNS3タンパク質およびサイトメガロウイルスpp65に対する細胞性および体液性応答の増加に有用であることが証明されている(例えば、J.Immunol.166:5250-5257,2001を参照されたい)。免疫応答の増強は、LAMPおよびMHC IIの共局在化、ならびに抗原ペプチドのより効率的なプロセシングおよび送達に起因する。さらに、LAMP標的化により、増加数の免疫原性エピトープの提示が生じることが報告されており、したがって非標的抗原と比較して質的に拡大した免疫応答が誘導される。例えば、Fernandes et al.,2000,Eur.J.Immunol.30(8):2333-43は、ワクシニアベクターにコードされたLAMP輸送OVA抗原の提示ペプチドの数の増加を示した。外因的に供給されたOVAから生成された12個のペプチドのうち、9個がOVA/LAMPキメラによって提示されたのに対して、LAMPを含まない構築物では2個のみの提示であった。
【0007】
LAMPの細胞質ドメインが(シグナル配列および膜貫通ドメインとともに)必要であると判断されているが、すべての抗原のエンドソーム/リソソーム輸送には必ずしも十分ではない。代わりに、LAMPの完全内腔ドメインは、リソソーム小胞経路へのタンパク質の輸送にも必要であることが示されている。
【0008】
しかし、LAMPの完全な内腔ドメインおよび完全な膜貫通/細胞質尾部(「完全LAMP構築物」)が存在する場合でも、特定の抗原の免疫応答を高める効果は、これらの構築物において使用される特定の配列に高度に依存することが徐々に見出されてきた。実際、完全LAMP構築物に挿入した場合、同じタンパク質の異なる抗原断片は同じ免疫応答を誘発しないことがわかってきた。ある時は抗原断片が免疫応答を生成するが、他の時は生成しない。これらの観察により、目的のタンパク質のどの特定の抗原配列が、完全LAMP構築物では困難な免疫応答を引き起こすかを事前に予測することができる。
【0009】
さらに、完全LAMP構築物の作製において、抗原を適切に発現およびプロセシングするには完全内腔ドメインが必要であることが繰り返し観察されている。例えば、Godinho et al.,PLoS ONE 9(6):9(6):e99887.doi:10.1371/journal.pone.0099887において、著者は、完全かつ無傷の内腔ドメインが、抗原をリソソームの標的とするために必要な最小領域であり、内腔ドメインの断片では機能しないことを報告した。6ページのidを参照されたい。
【0010】
具体的には、著者のGodinhoは、第1の内腔ドメインと第2の内腔ドメインのいくつか(すなわち、T1-Lum/gag構築物)とを完全に除去することにより、タンパク質発現と抗体応答との両方が減少することを示した。同様に、第1の内腔ドメインの25%は削除するが、無傷の第2の内腔ドメイン(すなわち、T2-lum/gag)を有すると、タンパク質発現と抗体応答との両方が比較的増加したが、それでも完全LAMP構築物で得られる結果よりも少なかった。
【0011】
さらに、著者らは、免疫応答を引き起こす能力は、これらの完全LAMP構築物で使用される特定の抗原およびエピトープに依存することを認めた。例えば、9ページの2列目に、著者は「したがって、以前の研究では、VLPとして、または可溶性の形態で分泌されるGagを生成するDNAワクチンが、異なるレベルのT細胞およびB細胞活性化を誘導し、これらは細胞質Gagにより誘導される応答とも異なることが実証された」と述べている。しかし、この文献に記載されているように、LAMPの完全内腔ドメインとLAMPの完全な膜貫通/細胞質ドメインとの間に抗原配列を挿入すると、商業レベルで生産するには費用がかかりすぎるか、または科学的な視点から実用的ではなくなるような大きなポリヌクレオチド配列が生じる。
【0012】
したがって、例えば、アレルギー、感染症、糖尿病、過剰増殖性障害および/またはがんを効果的に治療するためのワクチンとして使用できる、新しい改良LAMP構築物を設計する必要がある。さらに、いったん改良されれば、これらの新しいLAMP構築物を使用して抗体を作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,633,234号
【特許文献2】米国特許第8,318,173号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J.Immunol.166:5250-5257,2001
【非特許文献2】Fernandes et al.,2000,Eur.J.Immunol.30(8):2333-43
【非特許文献3】Godinho et al.,PLoS ONE 9(6):9(6):e99887.doi:10.1371/journal.pone.0099887
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに記載される構想の選択を、簡略化された形式で紹介するために提供している。この概要は、特許請求される主題の重要または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。特許請求される主題の他の特徴、詳細、有用性、および利点は、添付の図面に示され、添付の特許請求の範囲に定義される態様を含む以下の詳細な説明から明らかになる。
【0016】
本発明の目的は、目的の(1または複数の)抗原を免疫系に効果的に提示して増強された免疫応答を生成する、LAMPドメインの特定の断片および/または変異体を含む新規な構築物(「改良LAMP構築物」)を提供することである。これらの改良LAMP構築物は抗原をリソソーム/エンドソーム区画に効果的に指向させ、そこで抗原がプロセシングされて、ヘルパーT細胞が優先的に刺激されるように、および/または抗体が生成されるように主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII分子に提示される。
【0017】
本明細書に記載の改良LAMP構築物および方法は、対象において免疫応答を誘発し得る。免疫応答は、改良LAMP構築物(例えば、ワクチン)中の抗原のエピトープに対する免疫応答であり得る。ワクチンは、免疫系が、ワクチンの抗原を含むものを対象において検出および破壊できるように、対象の免疫系を武装させる。本明細書に記載の改良LAMP構築物および方法は、対象においてTh1免疫応答を誘発し得る。Th1免疫応答には、免疫細胞のサブセット(例えば、抗原特異的T細胞)による炎症性サイトカイン(例えば、IFNγ、TNFα)の分泌が含まれ得る。場合によっては、炎症性サイトカインは、抗原を含むものを破壊することができる、免疫細胞の別のサブタイプ(細胞障害性T細胞など)を対象において活性化する。
【0018】
場合によっては、本明細書に記載の改良LAMP構築物および方法で使用されるエピトープおよび/または抗原は対象の免疫系によって認識可能であり、Th1免疫応答を誘発し、I型サイトカインが放出される。Th1応答は、エピトープとT細胞との間、より具体的には、T細胞により発現される主要組織適合遺伝子複合体(MHC)との間の相互作用により開始され得る。例えば、エピトープのMHC受容体への高親和性結合は、Th1応答を刺激することができる。MHC受容体は、複数の型のMHC受容体のうちの少なくとも1つであり得る。T細胞に関与するMHC受容体は、集団内の個体によって異なる場合がある。
【0019】
場合によっては、免疫応答は1型免疫反応である。場合によっては、免疫応答は、I型サイトカイン産生とII型サイトカイン産生との比が1を超えることによって特徴付けられる。場合によっては、免疫応答は、I型サイトカイン産生とII型サイトカイン産生との比が1未満であることによって特徴付けられる。場合によっては、免疫応答は、IFNγ産生とIL-10産生との比が1を超えることによって特徴付けられる。場合によっては、免疫応答は、IFNγ産生とIL-10産生との比が1未満であることによって特徴付けられる。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、ヘルパーT細胞の刺激を介して抗腫瘍免疫応答を誘発することにより、がんおよび/または過剰増殖性障害の改善された治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本明細書に記載の改良LAMP構築物はアレルギー、例えば食物アレルギー(例えば、Ara H1、H2および/またはH3などのピーナッツアレルゲン)など、または、例えば花粉(樹木花粉、例えばCRY J1またはCRY J2など)、犬のふけ、猫の唾液、またはチリダニなどの環境アレルゲンを治療するためにも使用できる。本明細書に記載の改良LAMP構築物を使用して治療できる他の疾患および/または障害には、例えば、感染症および糖尿病が含まれる。
【0022】
本発明はさらに、本明細書に記載の改良LAMP構築物のいずれかをコードする核酸分子を提供する。本発明はまた、抗体を生成するための抗原を含む改良LAMP構築物を提供する。改良LAMP構築物は、発現制御配列に作動可能に連結された核酸分子を含むことができる。好ましい一態様では、改良LAMP構築物は、患者にワクチン接種するのに適したワクチンベクターである。別の態様では、本発明は、抗原をコードする核酸分子の細胞への導入を促進するための、改良LAMP構築物を含む送達ビヒクルを提供する。送達ビヒクルは、脂質ベース(例えば、リポソーム製剤)、ウイルスベース(例えば、核酸分子をカプセル化するウイルスタンパク質を含む)、または細胞ベースであり得る。
【0023】
好ましい実施形態では、本発明は、抗原に対する免疫応答(例えば、抗体の産生)を哺乳動物において誘発するための、目的の抗原を含む改良LAMP構築物を含む注射可能な組成物を提供する。好ましい実施形態では、このワクチンは、Th2応答より優先的にTh1応答を生成する。改良LAMP構築物は、抗原の少なくとも1つのエピトープを含む。
【0024】
本発明はまた、免疫応答を生成するために使用できる、本明細書に記載の改良LAMP構築物のいずれかを含む細胞を提供する。一態様では、細胞は抗原提示細胞である。抗原提示細胞は、プロフェッショナル抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞など)であっても、または操作された抗原提示細胞(例えば、抗原提示に必要な分子、例えばMHCクラスII分子を発現するように操作された非プロフェッショナル抗原提示細胞)であってもよい。抗原提示に必要な分子は、他の細胞、例えば天然細胞に由来するものであっても、またはそれ自体が操作されていても(例えば、抗原性エピトープに対する親和性が高いまたは低いなど、所望の特性を発現するように変異または改変されていても)よい。一態様では、抗原提示細胞は共刺激シグナルを一切発現せず、抗原は自己抗原である。
【0025】
本発明は、本明細書に記載の改良LAMP構築物のいずれかを含む複数の細胞を含むキットをさらに提供する。少なくとも2種の細胞が異なるMHCクラスII分子を発現し、各細胞は同じLAMP構築物を含む。一態様では、改良LAMP構築物およびベクターを受け取るための細胞を含むキットが提供される。
【0026】
本発明はまた、本明細書に記載の少なくとも1種の細胞および/または少なくとも1種の改良LAMP構築物を含むトランスジェニック動物を提供する。本発明はまた、本明細書に記載の細胞の少なくとも1種を含むトランスジェニック動物を提供する。
【0027】
本発明は、動物(例えば、ヒトまたは非ヒト脊椎動物)において抗原に対する免疫応答を生成する方法であって、上記細胞を前記動物に投与する工程を含み、前記細胞が、前記動物において改良LAMP構築物を発現するか、または発現するように誘導され得る方法をさらに提供する。一態様では、細胞は、動物がMHCクラスII分子に対する免疫応答を生成しないように、動物のMHCタンパク質と適合するMHCクラスII分子を含む。
好ましい一態様では、動物はヒトである。
【0028】
さらなる一態様において、本発明は、抗原に対する免疫応答を誘発する方法であって、ヒトまたは非ヒト脊椎動物などの動物に、本明細書に記載の改良LAMP構築物のいずれかを投与することを含む方法を提供する。好ましくは、改良LAMP構築物は動物の細胞に対して感染性である。例えば、改良LAMP構築物は、ワクシニア改良LAMP構築物などのウイルスベクターであり得る。
【0029】
プライム・ブーストプロトコルも企図される。例えば、本発明は、動物において抗原に対する免疫応答を生成する方法であって、本明細書に記載の抗原を含む改良LAMP構築物による動物のプライミング、続く抗原または関連抗原(例えば、同一または非常に類似したタンパク質配列に由来する第2の抗原)による動物の少なくとも1回のブースティングを含む方法をさらに提供する。抗原の混合物は、プライミング工程およびブースティング工程のいずれかまたは両方で使用することができる。プライム工程、それに続く抗原ブースト工程のための改良LAMP構築物の使用は、非常に高い力価を生み出すことが示されており、抗体応答の増強におけるLAMPの力を示している。
【0030】
さらなる態様において、細胞は患者から得られ、本明細書に記載の改良LAMP構築物がこの細胞に導入され、この細胞またはこの細胞の子孫が患者に再導入される。一態様では、細胞は、抗原提示細胞に分化することができる幹細胞である。ヒト患者の治療および獣医学的使用が特に企図されている。
【0031】
本発明はまた、非ヒト脊椎動物において抗体を生成する、本明細書に記載の目的の抗原を含む改良LAMP構築物を非ヒト脊椎動物に注入する方法を含む。次いで、目的の抗原は、非ヒト脊椎動物においてLAMPの助けを借りて免疫系に効率的に提示され、抗原に対する抗体が産生される。
【0032】
具体的には、目的の抗原の提示をLAMPと組み合わせることにより、その後抗原は細胞質エンドソーム/リソソーム区画に効率的に輸送され、そこで抗原がプロセシングされ、抗原由来のペプチドが主要組織適合遺伝子(MHC)クラスII分子の協力によって細胞表面に提示される。
【0033】
これらの生成された抗体は、脊椎動物の血液から(ポリクローナルとして)単離され、さらに標準的な技術を使用してモノクローナル抗体を生成するためにさらに分離される。
【0034】
好ましい実施形態では、非ヒト脊椎動物のゲノムは、導入された部分的ヒト免疫グロブリン領域を含み、前記導入領域は、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子座コード配列および非ヒト脊椎動物の内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード配列を含む。好ましくは、非ヒト脊椎動物のゲノムは、内因性免疫グロブリン領域の少なくとも一部またはすべてが除去されている。
【0035】
さらに好ましい実施形態では、非ヒト脊椎動物におけるヒトモノクローナル抗体の産生は、宿主がヒト重鎖免疫グロブリンタンパク質を発現する少なくとも1つの遺伝子座およびヒト軽鎖免疫グロブリンタンパク質を発現する1つの遺伝子座を有することを必要とする。
【0036】
いくつかの態様では、部分的ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、ヒトVコード配列および非ヒト脊椎動物の内因性V領域に基づく非コードV配列を含む。これらの態様では、部分的ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、ヒトDおよびJ遺伝子コード配列および非ヒト脊椎動物宿主の内因性ゲノムに基づく非コードDおよびJ遺伝子配列をさらに含む。
【0037】
他の態様では、免疫グロブリン領域は、ヒトVコード配列および非ヒト脊椎動物の内因性V領域に基づく非コードV配列を含む導入領域を含む。より好ましくは、ヒトVコード配列を含む導入部分的ヒト免疫グロブリン領域は、ヒトJ遺伝子コード配列および非ヒト脊椎動物宿主の内因性ゲノムに基づく非コードJ遺伝子配列をさらに含む。
【0038】
特定の態様では、脊椎動物は哺乳動物であり、好ましくは、哺乳動物はげっ歯類、例えばマウスまたはラットである。他の態様では、脊椎動物は鳥類、例えばニワトリである。
その他の非ヒト脊椎動物には、ウサギ、ラマ、ラクダ、牛、モルモット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウマ、非ヒト霊長類、真猿類(例えばサルまたは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ、アカゲザル)、または類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)が含まれる。
【0039】
さらなる実施形態では、部分的ヒト免疫グロブリン領域は、ヒトV遺伝子コード領域を含み、i)ヒトDおよびJ遺伝子コード配列、ならびにii)非ヒト脊椎動物宿主の内因性ゲノムに基づく非コードDおよびJ遺伝子とpre-DJ配列とをさらに含む。他の態様では、V遺伝子コード領域は(少なくとも部分的に)他の供給源に由来する、例えば、それらは合理的に、または他の方法で設計された配列、ヒトと他の設計された配列との組み合わせである配列、または他の種、例えば非ヒト霊長類由来の配列であり得る。
【0040】
さらに別の特定の態様では、部分的ヒト免疫グロブリン領域は、ヒトV遺伝子コード領域を含み、i)ヒトJ遺伝子コード配列、およびii)非ヒト脊椎動物宿主の内因性ゲノムに基づく非コードJ遺伝子配列をさらに含む。特定の態様において、部分的ヒト免疫グロブリン領域は、ヒトVコード領域、ヒトDおよびJ遺伝子コード配列、ならびに非ヒト脊椎動物宿主の内因性ゲノムに基づく非コードDおよびJ遺伝子とpre-DJ配列とをさらに含む。
【0041】
本明細書に記載の方法は、診断および治療用途のための、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体を含む抗体の産生および/または最適化に使用することができる。そのような抗体を産生するハイブリドーマも本発明のさらなる目的である。
【0042】
これらおよびその他の態様、目的および特徴については、以下でさらに詳細に説明する。
【0043】
本発明の目的および特徴は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、本明細書に記載のように使用できるさまざまなタイプの改良LAMP構築物(ILC-1、ILC-2、ILC-3、ILC-4、ILC-5およびILC-6として同定される)の一般的なスキームを例示している図である。
図2図2Aは、本明細書で定義されるLAMPタンパク質のドメインを示す図であり、図2Bは、ヒトLAMP-1(配列番号1)、ヒトLAMP-2(配列番号2)、ヒトLAMP-3(配列番号3)、ヒトLIMP-2(配列番号4)、ヒトEndolyn(配列番号5)、ヒトマクロシアリン(Macrosailin)(配列番号80)、ヒトLAMP-5(配列番号93)およびヒトLIMBIC(配列番号67)に関するこれらのドメインの特定のアミノ酸境界を定義する図である。本明細書に記載されるように、LAMP内腔ドメイン、相同ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質尾部およびシグナル配列を使用して、本明細書に記載の改良LAMP構築物ILC-1、ILC-2、ILC-3、ILC-4、ILC-5およびILC-6を作製することができる。
図3図3は、ヒトLAMP-1(配列番号1)と比較した、他の種に見出されるLAMP-1タンパク質のアライメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図3でヒトLAMP-1に関して特定されたドメインと、図3に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図4図4は、ヒトLAMP-2(配列番号2)と比較した、他の種に見出されるLAMP-2タンパク質のアライメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図4でヒトLAMP-2に関して特定されたドメインと、図4に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図5図5は、ヒトLAMP-3(配列番号3)と比較した、他の種に見出されるLAMP-3タンパク質のアラインメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図5でヒトLAMP-3に関して特定されたドメインと、図5に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図6図6は、ヒトLIMP-2(配列番号4)と比較した、他の種に見出されるLIMP-2タンパク質のアラインメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図6でヒトLIMP-2に関して特定されたドメインと、図6に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図7図7は、ヒトLIMBIC(配列番号67)と比較した、他の種に見出されるLIMBICタンパク質のアラインメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図7でヒトLIMBICに関して特定されたドメインと、図7に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図8図8は、ヒトEndolyn(配列番号5)と比較した、他の種に見出されるEndolynタンパク質のアラインメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図8でヒトEndolynに関して特定されたドメインと、図8に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図9図9は、ヒトマクロシアリン(Macrosailin)(配列番号80)と比較した、他の種に見出されるヒトマクロシアリン(Macrosailin)タンパク質のアラインメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図9でヒトマクロシアリン(Macrosailin)に関して特定されたドメインと、図9に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図10図10は、ヒトLAMP-5(配列番号93)と比較した、他の種に見出されるLAMP-5タンパク質のアラインメントを提供する図である。これらの他の種の同等のドメインは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を生成するために使用することができ、図2および図10でヒトLAMP-5に関して特定されたドメインと、図10に示されたアラインメントとを比較することで容易に同定可能である。
図11図11は、マウスをHVEM-LAMP、HVEM、またはLAMPで0、7、および14日目に免疫化したときに得られた結果を示す図である。28日目に、マウスから採血し、血清試料を単離した。HVEM特異的IgGをELISAによって調べた。データは、抗体力価の幾何平均±幾何SD、n=6を表す。**p値<0.01
図12図12は、マウスをHVEM-LAMP、HVEM、またはLAMPで0、7、および14日目に免疫化したときに得られた結果を示す図である。35日目に、ミョウバンアジュバントの存在下で5μgのHVEMタンパク質を用いてマウスをブーストした。49日目にマウスから採血し、血清試料を単離した。HVEM特異的IgGをELISAによって調べた。データは、抗体力価の幾何平均±幾何SD、n=6を表す。***p値<0.001;****p値<0.0001。
図13図13は、LAMPがHVEMのCRD3/4のエピトープの結合親和性を変化させることを示す図である。
図14図14は、被験改良LAMP構築物のタンパク質発現を確認する図である。図14~17のそれぞれにおいて、「完全LAMP構築物」、ILC-1、ILC-2、ILC-3およびILC-4の標記は、図1に示した構築物に対応している。
図15図15は、改良LAMP構築物が、INFγを産生するTh1エフェクターT細胞を誘導することを示す図である。
図16図16は、特定の改良LAMP構築物(例えば、図1に示すILC-4)が、すべてのサバイビンペプチドプールに対して著しく高いT細胞応答を誘発したことを示す図である。
図17図17は、CD4 T細胞がIFNγ産生細胞の主要な供給源であり、改良LAMP構築物が完全LAMP構築物よりもCD4エフェクターメモリ細胞集団の増加を表すことを示す図である。
図18図18は、改良LAMP構築物が、BALB/cマウスにおいてより強いサバイビン特異的全IgG応答を生成したことを示す図である。
図19図19は、各被験LAMP構築物のアミノ酸配列を提供する図である。各構築物のシグナル配列は、小文字と下線付きの文字で表され、サバイビン配列は黒い背景中大文字の白い文字で描かれ、内腔ドメインは斜体の大文字で描かれ、および膜貫通/サイトゾルドメイン(cytolosolic domain)は大文字で描かれ、灰色で陰影が付けられおり、ならびにILC-4では、第2の相同ドメインが太字である。追加のアミノ酸(LEおよびEF)を、クローニングリンカーの一部として含めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、改良LAMP構築物およびこれらをコードする核酸を提供し、これらはワクチンを生成するために、および/または抗体を産生するために使用することができる。改良LAMP構築物を使用して、免疫応答を調節または増強できる。好ましい一態様では、本発明は、本明細書に記載の改良LAMP構築物を提供することにより、アレルギー、感染症、糖尿病、がんまたは過剰増殖性障害を有する患者を治療する方法を提供する。改良LAMP構築物はまた、非ヒト脊椎動物、および好ましくは非ヒト哺乳動物において抗体を産生するために使用することができる。
【0046】
定義
以下の定義は、以下の記述で使用される特定の用語に対して提供される。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。例えば、用語「細胞」には、それらの混合物を含む複数の細胞が含まれる。「核酸分子」という用語には、複数の核酸分子が含まれる。
【0048】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、改良LAMP構築物および方法が列挙された要素を含むが、他の要素を除外しないという意味を意図している。「本質的に~からなる」は、改良LAMP構築物および方法を定義するために使用される場合、組み合わせにとって本質的に重要な任意の他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本質的に本明細書で定義される要素からなる改良LAMP構築物は、単離および精製方法からの微量汚染物質、ならびにリン酸緩衝生理食塩水、防腐剤などの薬学的に許容される担体を除外しない。「からなる」とは、他の成分の微量要素および本発明の改良LAMP構築物を投与するための実質的な方法工程を超えるものを除外することを意味する。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0049】
用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定される特定の値の許容範囲内であることを意味し、これは、値の測定または決定方法、例えば測定系の限界に一部依存する。例えば、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、さらにより好ましくは最大1%の範囲を意味し得る。または、特に生物学的な系または過程に関して、この用語は、値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特に他のことが明記されない限り、「約」という用語は、特定の値の許容誤差範囲内、例えば±1~20%、好ましくは±1~10%、より好ましくは±1~5%を意味する。
【0050】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値、およびその記載された範囲内の他の記載値または介在値は本発明に包含されることが理解されよう。これらのより小さな範囲の上限および下限は、このより小さな範囲に独立して含まれてもよく、記載された範囲内の任意の具体的な限界の除外を条件として、本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、含まれるそれらの限界の両方を除外した範囲も本発明に含まれる。
【0051】
本明細書で使用される「リソソーム/エンドソーム区画」とは、膜内にLAMP分子、抗原プロセシングで機能する加水分解酵素、ならびに抗原の認識および提示のためのMHCクラスII分子を含む膜結合酸性液胞を指す。この区画は、エンドサイトーシス、ファゴサイトーシス、およびピノサイトーシスを含むさまざまなメカニズムのいずれかによって細胞表面から内在化した異物、および特殊な自己分解現象によってこの区画に送達される細胞内物質の分解部位として機能する(de Duve,Eur.J.Biochem.137:391,1983)。本明細書および特許請求の範囲で使用される「エンドソーム」という用語は、リソソームを包含する。
【0052】
本明細書で使用される「リソソーム関連オルガネラ」は、リソソームを含む任意のオルガネラを指し、限定するものではないが、MIIC、CIIV、メラノソーム、分泌顆粒、溶解顆粒、血小板高密度顆粒、好塩基球顆粒、ビルベック顆粒、ファゴリソソーム、分泌リソソームなどを含む。好ましくは、そのようなオルガネラは、マンノース6-リン酸受容体を欠き、LAMPを含むが、MHCクラスII分子は含んでも、または含まなくてもよい。総説については、例えば、Blott and Griffiths,Nature Reviews,Molecular Cell Biology,2002;Dell’Angelica,et al.,The FASEB Journal 14:1265-1278,2000を参照されたい。
【0053】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指すために互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよび/またはそれらの類似体を含んでもよい。ヌクレオチドは、任意の3次元構造を有することができ、公知または未知の任意の機能を実行することができる。「ポリヌクレオチド」という用語には、例えば、一本鎖、二本鎖および三重らせん分子、遺伝子または遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、アンチセンス分子、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、アプタマー、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。核酸分子はまた、修飾された核酸分子(例えば、修飾された塩基、糖、および/またはヌクレオチド間リンカーを含む)を含んでもよい。
【0054】
本明細書で使用される「ペプチド」という用語は、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体の化合物、またはペプチド模倣物を指す。サブユニットは、ペプチド結合または他の結合(例えば、エステル、エーテルなど)によって連結されていてもよい。
【0055】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、グリシンおよびDまたはL光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およびペプチド模倣体を含む、天然および/または非天然または合成アミノ酸を指す。3つ以上のアミノ酸のペプチドは、ペプチド鎖が短い場合、一般にオリゴペプチドと呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合(例えば、約10アミノ酸超)、ペプチドは一般にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。「タンパク質」という用語は「ポリペプチド」という用語を包含するが、「ポリペプチド」は完全長タンパク質より短くてもよい。
【0056】
本明細書で使用される「LAMPポリペプチド」とは、本明細書に記載の哺乳動物のリソソーム関連膜タンパク質であるヒトLAMP-1、ヒトLAMP-2、ヒトLAMP-3、ヒトLIMP-2、ヒトEndolyn、ヒトLIMBIC、ヒトLAMP-5、またはヒトマクロシアリン(Macrosailin)、およびオルソログ(例えば、図3~10に示されるLAMPタンパク質など)、ならびに対立遺伝子変異体を指す。
【0057】
本明細書で使用される「発現」とは、ポリヌクレオチドがmRNAに転写され、および/またはペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳される過程を指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、ゲノムDNAから転写されたmRNAのスプライシングを含み得る。
【0058】
本明細書で使用される「転写制御下」または「作動可能に連結された」とは、発現制御エレメントおよびコード配列の適切な並置によって制御されるポリヌクレオチド配列の発現(例えば、転写または翻訳)を指す。一態様では、発現制御配列がそのDNA配列の転写を制御および調節する場合、DNA配列は発現制御配列に「作動可能に連結されている」。
【0059】
本明細書で使用される「コード配列」とは、適切な発現制御配列の制御下に置かれたときに転写されてポリペプチドに翻訳される配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンと3’(カルボキシル)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列は、限定するものではないが、原核生物配列、真核生物mRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNA由来のゲノムDNA配列、およびさらに合成DNA配列も含むことができる。ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列は通常、コード配列の3’に配置される。
【0060】
本明細書で使用される場合、配列またはそれらの相補配列が同じアミノ酸配列をコードする場合、2つのコード配列は互いに「対応する」。
【0061】
本明細書で使用される「シグナル配列」とは、小胞体転座配列を示す。この配列は、細胞と通信して、(例えば化学結合を介して)細胞に連結しているポリペプチドを小胞体小胞区画に誘導し、エキソサイトーシス/エンドサイトーシスオルガネラに進入させ、細胞小胞区画、細胞表面のいずれかに送達させる、またはこのポリペプチドを分泌させるシグナルペプチドをコードする。このシグナル配列は、時としてタンパク質の成熟時に細胞によって切り取られる。シグナル配列は、原核生物および真核生物に固有のさまざまなタンパク質に関連して見出される。
【0062】
本明細書で使用される「輸送」とは、粗面小胞体からエンドソーム/リソソーム区画への経路中の細胞オルガネラもしくは区画を介した、または抗原プロセシングおよびMHC IIとの結合が生じる関連オルガネラを介した、改良LAMP構築物によってコードされるポリペプチドの移動または進行を表す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「改良LAMP構築物」および「抗原を含む改良LAMP構築物」および「目的の抗原を含む改良LAMP構築物」は互換的に使用される。改良LAMP構築物のさまざまな配置を、ILC1~ILC6として図1に示す。さらに、「改良LAMP構築物」の使用は、改良LAMP構築物のポリヌクレオチド配列、および改良LAMP構築物のポリヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の両方を包含する。
【0064】
本明細書で使用される「改良LAMP構築物送達ビヒクル」は、改良LAMP構築物を宿主細胞に運ぶことができる、本明細書に記載の改良LAMP構築物と関連して生じる任意の分子または分子群または高分子(例えば、遺伝子または遺伝子断片、アンチセンス分子、リボザイム、アプタマーなど)として定義される。
【0065】
本明細書で使用される「改良LAMP構築物送達」または「改良LAMP構築物移送」とは、導入に使用される方法に関係なく、改良LAMP構築物の宿主細胞への導入を指す。導入された改良LAMP構築物は、宿主細胞内で安定的または一時的に維持され得る。
通常、安定した維持には、導入された改良LAMP構築物が、宿主細胞と互換性のある複製起点を含むか、染色体外レプリコン(プラスミドなど)または核またはミトコンドリア染色体などの宿主細胞のレプリコンに組み込まれることが必要である。
【0066】
本明細書で使用される「ウイルス性改良LAMP構築物」とは、in vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれかで宿主細胞に送達される改良LAMP構築物を含むウイルスまたはウイルス粒子を指す。ウイルス性改良LAMP構築物の例としては、限定するものではないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられる。遺伝子導入がアデノウイルスベクターによって媒介される態様では、改良LAMP構築物は、アデノウイルスゲノムまたはその一部、およびアデノウイルスカプシドタンパク質と関連する選択された非アデノウイルス遺伝子を含む。
【0067】
本明細書で使用される「アデノウイルス媒介遺伝子導入」または「アデノウイルス形質導入」とは、アデノウイルスが細胞に入ることにより、改良LAMP構築物が宿主細胞に導入される方法を指す。好ましくは、改良LAMP構築物は、細胞内で複製および/または組込みおよび転写され得る。
【0068】
本明細書で使用される「アデノウイルス粒子」は、外部カプシドおよび改良LAMP構築物を含む個々のアデノウイルスビリオンであり、このカプシドはさらにアデノウイルスエンベロープタンパク質を含む。アデノウイルスエンベロープタンパク質は、例えば、アデノウイルス粒子が特定の細胞および/または組織型を標的とするために、ウイルスタンパク質に共有結合したポリペプチドリガンドを含有する融合ポリペプチドを含むように改変されてもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合、改良LAMP構築物の「投与」または「免疫化」または「注入」という用語は、改良LAMP構築物で細胞を形質導入、トランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、または発射することを指す。いくつかの態様では、改良LAMP構築物は、標的細胞を送達細胞と接触させることにより(例えば、細胞融合により、または送達細胞が標的細胞に近接している場合に送達細胞を溶解することにより)標的細胞に導入される。
【0070】
本明細書で使用される「プライム・ブースト」という語句は、T細胞応答をプライムするために使用される本明細書に記載の改良LAMP構築物の使用、その後の、抗原を含む第2の改良LAMP構築物、抗原もしくは組換え抗原を含むDNAワクチンの、前記応答をブーストするための使用を表す。これらの異種プライム・ブースト免疫化は、同じベクターによるプライミングおよびブースティングにより達成できるよりも高く幅広い免疫応答を誘発する。抗原を含む改良LAMP構築物によるプライミングは、メモリ細胞を惹起し、ブースト工程は、メモリ応答を拡大させる。好ましくは、2つの異なる薬剤の使用は、互いに対する反応を引き起こさず、したがって、互いの活性に干渉しない。抗原の混合物は、プライムおよび/またはブースト工程において特に企図される。ブースティングは1回または複数回行ってもよい。
【0071】
本明細書で使用される「ハイブリダイゼーション」とは、1または複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化された複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン-クリック塩基対合、フーグスティーン(Hoogstein)結合、または任意の他の配列特異的様式で起こり得る。複合体は、二重鎖構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリッド形成鎖、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ハイブリダイゼーション反応は、PCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断などの、より広範な方法の工程を構成してもよい。
【0072】
本明細書で使用される場合、別の配列に対して特定の割合(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)の「配列同一性」を有するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドまたはポリペプチド領域)は、当技術分野で日常的なソフトウェアプログラムを使用して最大限にアライメントした場合、その塩基(またはアミノ酸)割合は、2つの配列を比較すると同じであることを意味する。
【0073】
少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90または95%のヌクレオチドが、DNA配列の規定された長さにわたって一致する場合、2つの配列は「実質的に相同」または「実質的に類似」である。同様に、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約66%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90または95%のポリペプチドのアミノ酸残基がポリペプチド配列の規定された長さにわたって一致する場合、2つの配列は「実質的に相同」または「実質的に類似」である。実質的に相同な配列は、配列データバンクで利用可能な標準ソフトウェアを使用して配列を比較することにより同定することができる。実質的に相同な核酸配列は、例えば、その特定の系に対して定義されたストリンジェントな条件の下でサザンハイブリダイゼーション実験において同定することもできる。
適切なハイブリダイゼーション条件を定義することは、当業者の技術の範囲内である。例えば、ストリンジェントな条件は、42°Cにおける5xSSCおよび50%ホルムアミドでのハイブリダイゼーション、60°Cのける0.1xSSCおよび0.1%ドデシル硫酸ナトリウムでの洗浄である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のさらなる例としては、以下が挙げられる:約25℃~約37℃のインキュベーション温度;約6xSSC~約10xSSCのハイブリダイゼーションバッファー濃度;約0%~約25%のホルムアミド濃度;約6xSSCの洗浄液。中程度のハイブリダイゼーション条件の例としては、以下が挙げられる:約40℃~約50℃のインキュベーション温度;約9xSSC~約2xSSCのバッファー濃度;約30%~約50%のホルムアミド濃度;約5xSSC~約2xSSCの洗浄溶液。高ストリンジェントな条件の例としては、以下が挙げられる:約55℃~約68℃のインキュベーション温度;約1xSSC~約0.1xSSCのバッファー濃度;約55%~約75%のホルムアミド濃度;約1xSSC、0.1xSSC、または脱イオン水の洗浄溶液。一般に、ハイブリダイゼーションのインキュベーション時間は5分~24時間で1、2回、またはそれ以上の洗浄工程があり、洗浄インキュベーション時間は約1、2、または15分である。SSCは0.15M NaClおよび15mMクエン酸バッファーである。他のバッファー系を使用するSSCの同等物を使用できることは理解されよう。類似性は配列決定により検証できるが、好ましくは、または代替として、問題の特定のドメインに適したアッセイを使用して、機能(例えば、エンドソーム区画への輸送能力など)により検証することもできる。
【0074】
「配列類似性パーセント(%)」、「配列同一性パーセント(%)」などの用語は、一般に、共通の進化的起源を共有していても、またはしていなくてもよい、核酸分子の異なるヌクレオチド配列またはポリペプチドのアミノ酸配列間の同一性または対応の程度を指す。(上記Reeck et al.を参照されたい)。配列の同一性は、BLAST、FASTA、DNA Strider、GCG(Genetics Computer Group、GCGパッケージのプログラムマニュアル、バージョン7、マディソン、ウィスコンシン)など、多数の公的に利用可能な配列比較アルゴリズムのいずれかを使用して決定することができる。
【0075】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸分子間の同一性パーセントを決定するために、配列を最適な比較対象についてアライメントする。2つの配列間の同一性パーセントは、これらの配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性パーセント=同一位置の数/位置の総数(例えば、重複する位置)x100)。一実施形態では、2つの配列は同じ長さであるか、またはほぼ同じ長さである。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許可するかどうかにかかわらず、以下で説明するものと同様の手法を使用して決定できる。配列同一性パーセントの計算では、通常、完全一致がカウントされる。
【0076】
2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して実現できる。2つの配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1990,87:2264の、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993,90:5873-5877で修正されたアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al,J.Mol.Biol.1990;215:403のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行して、本発明の配列に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行されて、本発明のタンパク質配列に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較対象のギャップのあるアラインメントを取得するには、Altschul et al,Nucleic Acids Res.1997,25:3389に記載のギャップのあるBLASTを利用できる。あるいは、PSI-Blastを使用して、分子間の遠い関係を検出する反復検索を実行できる。Altschul et al.(1997)上記を参照されたい。BLAST、ギャップのあるBLAST、およびPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトのパラメータ(XBLASTおよびNBLASTなど)を使用できる。WorldWideWebのncbi.nlm.nih.gov/BLAST/を参照されたい。
【0077】
配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller,CABIOS 1988;4:1 1-17のアルゴリズムである。
このようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用できる。
【0078】
好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(Accelrys,Burlington,MA;WorldWideWebのaccelrys.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.1970,48:444-453)のアルゴリズムを、使用し、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重み、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用して決定される。さらに別の好ましい実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリックス、40、50、60、70、または80のギャップ重み、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用して決定される。特に好ましいパラメータのセット(および、どのパラメータを、分子が本発明の配列同一性または相同限界内にあるかを決定するために適用されなければならないかを、実施者が確認できない場合に使用できるパラメータ)は、Blossum 62スコアリングマトリックスで12のギャップオープンペナルティ、4のギャップ拡張ペナルティ、および5のフレームシフトギャップペナルティを使用する。
【0079】
同一性パーセントを決定する方法の別の非限定的な例は、Current Protocols In Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)Supplement 30,section 7.7.18,Table 7.7.1に記載されているようなソフトウェアプログラムを使用することである。好ましくは、デフォルトのパラメータをアライメントに使用する。好ましいアライメントプログラムは、デフォルトパラメータを使用したBLASTである。特に、好ましいプログラムは、以下のデフォルトパラメータを使用するBLASTNおよびBLASTPである:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;表示(Descriptions)=50配列;分類方法(sort by)=HIGH SCORE;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレスで確認できる:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLAST。
【0080】
本明細書に記載される特性の統計分析は、標準的な試験、例えば、t検定、ANOVA、またはカイ二乗検定によって実行することができる。通常、統計的有意性はp=0.05(5%)、より好ましくはp=0.01、p=0.001、p=0.0001、p=0.000001のレベルまで測定される。
【0081】
ドメイン配列の「保存的に改変された変異体」も提供され得る。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指すか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって実現できる(Batzer,et al.,1991,Nucleic Acid Res.19:5081;Ohtsuka,et al.,1985,J.Biol.Chem.260:2605-2608;Rossolini et al.,1994,Mol.Cell.Probes 8:91-98)。
【0082】
野生型タンパク質の「生物学的に活性な断片」、「生物学的に活性な形態」、「生物学的に活性な同等物」および「機能的誘導体」という用語は、活性の検出に適したアッセイを使用して測定された野生型タンパク質の生物活性と少なくとも実質的に等しい(例えば、有意に異ならない)生物学的活性を有する。
【0083】
本明細書で使用される「in vivo」核酸送達、核酸導入、核酸療法」などは、改良LAMP構築物をヒトまたは非ヒト哺乳動物などの生物の体内に直接導入し、これにより、改良LAMP構築物がそのような生物の細胞にin vivoで導入されることを指す。
【0084】
本明細書で使用される「in situ」という用語は、改良LAMP構築物が標的細胞に近接するin vivo核酸送達を指す(例えば、核酸は全身投与されない)。例えば、in situ送達法は、限定するものではないが、改良LAMP構築物を部位に(例えば、腫瘍または心筋などの組織に)直接注入する工程、改良LAMP構築物と(1または複数の)細胞または組織とを直視下手術野を介して接触させる工程、または改良LAMP構築物をカテーテルなどの医療用アクセス装置を使用して部位に送達する工程を含む。
【0085】
本明細書で使用される「単離された」または「精製された」という用語は、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの断片が通常自然に関連する細胞およびその他の構成要素から分離(または実質的に遊離)されることを意味する。例えば、改良LAMP構築物に関して、単離されたポリヌクレオチドは、それが通常染色体に関連している5’および3’配列から分離されたものである。当業者には明らかなように、非天然のポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの断片は、その天然の対応物と区別するために「単離」を必要としない。実質的に含まない、または実質的に精製されたとは、集団の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%が、天然には一緒である成分を含まないことを意味する。
【0086】
本明細書で使用される「標的細胞」または「レシピエント細胞」は、本明細書に記載の改良LAMP構築物のレシピエントであることが望まれる、またはレシピエントであった個々の細胞または細胞を指す。この用語は、単一細胞の子孫を含むことも意図しており、子孫は、自然、偶発的、または意図的な突然変異のために、元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態またはゲノムまたは全DNA相補体)ではない場合がある。標的細胞は、他の細胞(例えば、組織の細胞)と接触している場合もあれば、または生物の体内で循環している場合もある。
【0087】
本明細書で使用される「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物としては、限定するものではないが、ネズミ、真猿類、ヒト、家畜、スポーツ動物、およびペットが挙げられる。他の好ましい実施形態では、「対象」は、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ラマ、ラクダ、ウシ、モルモット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウマ、非ヒト霊長類、真猿類(例えばサルまたは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ、アカゲザル)、または類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)である。他の実施形態では、非ヒト哺乳動物、特にヒトにおける治療効果を実証するためのモデルとして従来使用されている哺乳動物(例えば、ネズミ、霊長類、ブタ、イヌ、またはウサギ動物)を使用してもよい。
【0088】
「がん」、「新生物」、および「腫瘍」という用語は互換的に、単数形または複数形のいずれでも使用され、宿主生物を病的にする悪性形質転換を受けた細胞を指す。原発性がん細胞の形質転換は、宿主生物を病的にする。原発性がん細胞(すなわち、悪性形質転換部位の近くから得られた細胞)は、十分に確立された技術、特に組織学的検査により、非がん性細胞と容易に識別可能である。本明細書で使用されるがん細胞の定義には、原発性がん細胞だけでなく、がん細胞祖先に由来する任意の細胞が含まれる。これには、転移したがん細胞、およびがん細胞に由来するin vitro培養および細胞株が含まれる。
通常固形腫瘍として現れるタイプのがんに言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、CATスキャン、MRイメージング、X線、超音波または触診などの手順によって、腫瘍塊に基づいて検出可能なもの、および/または患者から得られるサンプル中の1または複数のがん特異的抗原の発現のために検出可能なものである。
【0089】
好ましい実施形態では、がん(過形成を含むすべての進行段階を含む)は、腺がん、肉腫、皮膚がん、黒色腫、膀胱がん、脳がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、肺がん(限定するものではないが、NSCLC、SCLC、扁平上皮がんを含む)、結腸直腸がん、肛門がん、直腸がん、子宮頸がん、肝臓がん、頭頸部がん、口腔がん、唾液腺がん、食道がん、膵臓がん、膵管腺がん(PDA)、腎がん、胃がん、腎がん、多発性骨髄腫または脳がんである。
【0090】
本明細書に記載の改良LAMP構築物はアレルギー、例えば食物アレルギー(例えば、Ara H1、H2および/またはH3などのピーナッツアレルゲン)など、または、例えば花粉(樹木花粉、例えばCRY J1またはCRY J2など)、犬のふけ、猫の唾液、またはチリダニなどの環境アレルゲンを治療するためにも使用できる。他の疾患および/または障害には、例えば、感染症および糖尿病が含まれる。
【0091】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水などの標準的な医薬担体のいずれか、および油/水または水/油乳エマルジョンなどのエマルジョンおよびさまざまな種類の湿潤剤を包含する。改良LAMP構築物を含む組成物は、安定剤および防腐剤も含むことができる。担体、安定剤、アジュバントの例については、Martin Remington’s Pharm.Sci.,15th Ed.(Mack Publ.Co.,Easton(1975))を参照されたい。
【0092】
改良LAMP構築物が細胞内に導入された場合、そのような核酸によって細胞は「形質転換」、「形質導入」、または「トランスフェクト」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組み込まれて(共有結合)されていても、組み込まれていなくてもよい。例えば、原核生物、酵母、および哺乳類細胞では、改良LAMP構築物は、プラスミドなどのエピソーム要素において維持され得る。真核細胞では、安定に形質転換された細胞とは、改良LAMP構築物が染色体に組み込まれ、染色体複製を通じて娘細胞に継承される細胞である。この安定性は、改良LAMP構築物を含む娘細胞の集団から構成される細胞株またはクローンを確立する真核細胞の能力によって実証される。
「クローン」とは、有糸分裂による単一の細胞または共通の祖先に由来する細胞の集団である。「細胞株」は、多くの世代(例えば、少なくとも約10世代)にわたってin vitroで安定した増殖が可能な、初代細胞のクローンである。
【0093】
本明細書で使用される「有効量」とは、有益なまたは所望の結果に影響を与えるのに十分な量、例えば、改良LAMP構築物の移入および/または発現の有効量、および/または所望の治療終点の達成の有効量などである。有効量は、1または複数回の投与、適用または投与量で投与することができる。一態様では、改良LAMP構築物の有効量は、少なくとも2つの細胞を含む細胞集団内の少なくとも1つの細胞を形質転換/形質導入/トランスフェクトするのに十分な量である。
【0094】
本明細書で使用される「治療有効量」は、異常な生理学的応答を予防、修正、および/または正常化するのに十分な量を意味するために本明細書で使用される。一態様では、「治療的有効量」は、例えば、病理学の臨床的に重要な特徴、例えば、アレルギー反応、腫瘍塊の大きさ、抗体産生、サイトカイン産生、発熱または白血球数などを少なくとも約30パーセント、より好ましくは少なくとも50パーセント、最も好ましくは少なくとも90パーセント減少させるために十分な量である。
【0095】
「抗体」とは、特異的抗原に結合する抗体およびその断片を含む免疫グロブリンである。この用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびキメラ抗体(例えば、二重特異性抗体)が包含される。「抗体結合部位」とは、抗原に特異的に結合する重鎖および軽鎖の可変および超可変領域から構成される抗体分子の構造部分である。例示的な抗体分子は、無傷の免疫グロブリン分子、実質的に無傷の免疫グロブリン分子、およびFab、Fab’、F(ab’)およびF(v)部分を含むパラトープを含む免疫グロブリン分子の部分であり、それらの部分は本明細書に記載の治療方法での使用に好ましい。
したがって、抗体という用語は、全抗体分子だけでなく、抗体断片、ならびに抗体および抗体断片の変異体(融合タンパク質などの誘導体を含む)も包含する。本出願において「抗体」という用語によって説明される分子の例には、限定するものではないが、単鎖Fv(scFv)、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fv、およびVLまたはVHドメインのいずれかを含むか、またはそれらからなる断片が含まれる。本明細書で使用される「単鎖Fv」または「scFv」という用語は、抗体のVHドメインに連結された抗体のVLドメインを含むポリペプチドを指す。Carter(2006)Nature Rev.Immunol.6:243を参照されたい。
【0096】
さらに、本発明の抗体には、限定するものではないが、モノクローナル、多重特異性、二重特異性、ヒト、ヒト化、マウス、またはキメラ抗体、単鎖抗体、ラクダ科抗体、Fab断片、F(ab’)断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、ドメイン抗体および上記のいずれかのエピトープ結合断片が含まれる。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0097】
最も好ましくは、抗体はヒト抗体である。本明細書で使用される「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンライブラリーおよびゼノマウス(xenomice)またはヒト抗体を産生するように遺伝子操作された他の生物から単離された抗体が含まれる。本明細書に記載の改良LAMP構築物は、例示のプロトコルに記載されるように、ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生成するための既知の技術と組み合わせて使用することができる。例えば、PCT国際公開第98/24893号;国際公開第92/01047号;国際公開第96/34096号;国際公開第96/33735号;欧州特許第0598877号;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;および第5,939,598号;ならびにLonberg and Huszar,Int.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照されたい。
【0098】
ヒト抗体または「ヒト化」キメラモノクローナル抗体は、改良LAMP構築物を本明細書に記載の技術または当技術分野で公知の他の技術と組み合わせて使用して作製することができる。例えば、キメラ抗体を作製するための標準的な方法は当技術分野で公知である。総説については、以下の参考文献を参照されたい:Morrison,Science 229:1202(1985);Oi et al.,BioTechniques 4:214(1986);Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号;Taniguchi et al.、欧州特許第171496号;Morrison et al.、欧州特許第173494号;Neuberger et al.、国際公開第8601533号;Robinson et al.、国際公開第8702671号;Boulianne et al.,Nature 312:643(1984);Neuberger et al.,Nature 314:268(1985)。
【0099】
本発明の抗体は、一価、二価、三価または多価であり得る。例えば、一価scFvは、化学的に、または別のタンパク質もしくは物質との結合により多量体化することができる。ヘキサヒスチジンタグまたはFlagタグと融合したscFvは、Ni-NTAアガロース(Qiagen)または抗Flag抗体(Stratagene、Inc.)を使用して多量体化することができる。さらに、改良LAMP構築物を使用して、改良LAMP構築物に含まれるコードされた(1または複数の)抗原に対する単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより大きな多重特異性を生成することができる。例えば、PCT公報国際公開第93/17715号;国際公開第92/08802号;国際公開第91/00360号;国際公開第92/05793号;Tutt,et al.,J.Immunol.147:60-69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelny et.al.,J.Immunol.148:1547-1553(1992)を参照されたい。
【0100】
「エピトープ」は、通常、短いペプチド配列またはオリゴ糖で構成される構造であり、免疫系の成分によって特異的に認識または特異的に結合される。T細胞エピトープは、一般に線状オリゴペプチドであることが示されている。同じ抗体が特異的に結合できる場合、2つのエピトープは互いに対応する。両方が同じB細胞受容体または同じT細胞受容体に結合できる場合、2つのエピトープは互いに対応し、1つの抗体がそのエピトープに結合すると、他のエピトープによる結合が実質的に妨げられる(例えば、約30%未満、好ましくは、約20%未満、より好ましくは約10%、5%、1%、または約0.1%未満の他のエピトープが結合する)。本発明では、複数のエピトープが抗原を構成することができる。
【0101】
本明細書で使用される「抗原」または「目的の抗原」という用語は、自然免疫応答または適応免疫応答を誘発するために使用される、改良LAMP構築物にクローニングされたポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列を包含する。「抗原」は、改良LAMP構築物にクローニングされた単一の抗原および複数の抗原配列(同じまたは異なるタンパク質に由来する)の両方を包含する。
【0102】
本明細書で使用される「抗原提示細胞」という用語は、主要組織適合遺伝子複合体分子もしくはその一部、または1もしくは複数の非古典的MHC分子もしくはその一部に関連する抗原をその表面に提示する任意の細胞を含む。適切なAPCの例は以下で詳細に説明するが、これらの例としては、限定するものではないが、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、ハイブリッドAPC、およびフォスター抗原提示細胞(foster antigen presenting cell)などの細胞全体が挙げられる。
【0103】
本明細書で使用される「操作された抗原提示細胞」とは、その表面に非天然分子部分を有する抗原提示細胞を指す。例えば、そのような細胞は、その表面に天然に共刺激物質を有さないか、その表面に天然共刺激物質に加えて追加の人工共刺激物質を有し得るか、その表面に非天然のクラスII分子を発現することができる。好ましい実施形態では、操作された抗原提示細胞は、その表面上に改良LAMP構築物により発現された抗原を有する。
【0104】
本明細書で使用される「免疫エフェクター細胞」とは、抗原に結合することができ、免疫応答を媒介する細胞を指す。これらの細胞には、限定するものではないが、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、NK細胞および細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、例えばCTL系統、CTLクローン、および腫瘍、炎症性、または他の浸潤からのCTLが含まれる。
【0105】
本明細書で使用される「部分的ヒト」とは、ヒトおよび非ヒト脊椎動物の両方由来の配列を有する核酸を指す。部分的ヒト配列の文脈において、部分的ヒト核酸は、ヒト免疫グロブリンコード領域の配列および非ヒト脊椎動物の内因性免疫グロブリン領域の非コード配列に基づく配列を有する。非ヒト脊椎動物由来の内因性非コード配列に関して使用される場合、「に基づく」という用語は、非コード配列に対応し、宿主脊椎動物、例えば、ES細胞が由来する非ヒト脊椎動物の内因性遺伝子座の非コード配列と比較的高度の相同性を共有する配列を指す。好ましくは、非コード配列は、非コードを含む部分的ヒト分子が導入されている非ヒト脊椎動物宿主細胞の内因性遺伝子座に見出される、対応する非コード配列と少なくとも80%、より好ましくは90%の相同性を共有する。
【0106】
本明細書で使用される「免疫グロブリン可変領域」という用語は、抗体分子の可変領域のすべてもしくは一部、または抗体分子の発現を制御する調節ヌクレオチド配列のすべてもしくは一部をコードするヌクレオチド配列を指す。重鎖の免疫グロブリン領域は、限定するものではないが、V、D、J、およびイントロンを含むスイッチ領域のすべてまたは一部を含み得る。軽鎖の免疫グロブリン領域は、限定するものではないが、VおよびJ領域、それらの上流隣接配列、軽鎖定常領域遺伝子に関連または近接するイントロンを含み得る。
【0107】
「トランスジェニック動物」とは、その細胞の一部に染色体外要素として存在する、または生殖系列DNAに(すなわち、その細胞の大部分またはすべてのゲノム配列中に)安定的に組み込まれた、外因性核酸配列を有する非ヒト動物、通常哺乳動物を意味する。ヒト配列を含むトランスジェニック動物の作製では、部分的ヒト核酸が、当技術分野で周知の方法に従って、例えば宿主動物の胚または胚性幹細胞の遺伝子操作により、そのようなトランスジェニック動物の生殖系列に導入される。
【0108】
「ベクター」には、自己複製するかどうかに関係なく、細胞の形質転換またはトランスフェクションに使用できるプラスミドとウイルス、および任意のDNAまたはRNA分子が含まれる。
【0109】
本明細書で使用される「遺伝子改変」とは、細胞の正常なヌクレオチドへの任意の付加、欠失、または破壊を指す。当技術分野で認められている方法には、ウイルス媒介遺伝子導入、リポソーム媒介導入、形質転換、トランスフェクションおよび形質導入、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびヘルペスウイルスなどのDNAウイルスに基づく改良LAMP構築物ならびにレトロウイルスベースのベクターの使用などのウイルス媒介遺伝子導入が含まれる。
【0110】
本発明の実施は、特に他のことが明記されない限り、当技術分野の範囲内の従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を使用する。そのような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、Maniatis,Fritsch&Sambrook,In Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover,ed.,1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames&S.J.Higgins,eds.,1985);Transcription and Translation(B.D.Hames&S.I.Higgins,eds.,1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,1986);B.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照されたい。
【0111】
特に他のことが定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての刊行物は、本明細書に記載される発明に関連して使用され得るデバイス、製剤、および方法論を説明および開示する目的で参照により組み込まれる。
【0112】
LAMP構築物
cDNAクローンから推定されるLAMP-1(Chen,et al.,J.Biol.Chem.263:8754,1988)は、約382アミノ酸のポリペプチドコアからなり、大きな(346残基)内腔アミノ末端ドメイン、それに続く24残基の疎水性膜貫通領域および短い(12残基)カルボキシル末端細胞質尾部を有する。図2Aおよび2Bを参照されたい。内腔ドメインは高度にグリコシル化され、約20個のアスパラギン連結複合型オリゴ糖で置換されており、プロリン/セリンリッチヒンジ領域によって分離された2つの約160残基の「相同ドメイン」からなる。これらの「相同ドメイン」はそれぞれ、4つの均一に間隔を空けたシステイン残基を含み、ジスルフィド結合して、内腔ドメインの両半分に対称的に配置された4つの36~38の残基ループを形成する(Arterburn,et al.,J.Biol.Chem.265:7419,1990;Chen,et al.,J.Biol.Chem.25:263(18):8754-8,1988も参照されたい)。図2Aは、LAMP-1、LAMP-2、LAMP-3、Endolyn、LIMBIC、LAMP5、またはマクロシアリン(Macrosailin)間の保存されたドメインを模式的に示している。
【0113】
以前に報告されたLAMP構築物は、この特定の配置中に次の要素を含む:
【0114】
(a)LAMP-1タンパク質の完全内腔ドメイン、抗原、およびLAMP-1タンパク質の完全な膜貫通/細胞質尾部;または
【0115】
(b)抗原およびLAMP-1タンパク質の完全な膜貫通/細胞質尾部。例(a)では、抗原配列は、LAMP-1タンパク質の完全内腔ドメインとLAMP-1完全膜貫通ドメイン/細胞質尾部との間に挿入される。両方の構築物は、抗原配列をうまくリソソーム/エンドソームの標的とすることが示されており、本明細書に記載の改良LAMP構築物ILC1~ILC6と比較して、図1に示すように「完全LAMP構築物」と呼ばれる。
本明細書に記載の改良LAMP構築物は、先行技術に記載の完全LAMP構築物は含まない。
【0116】
文献では、LAMP-1の完全内腔ドメインよりも小さい断片は強固な免疫応答の生成に効果的ではないことが広く報告されているが(例えば、Godinhoらを参照されたい)、本発明者らは、特定の配置において特定の断片が実際に抗原を免疫系に効果的に提示し、抗体の異なるレパートリー(repitoire)の生成を含む強固な免疫応答を生成することを予期せず発見した。例えば、本発明者らは、強固な免疫応答を生成するために有効な最小LAMP内腔ドメイン断片は、(文献で広く報告されているように)完全内腔ドメインではなく、むしろLAMPタンパク質の内腔ドメインの単一の相同ドメインであることを特定した。
【0117】
例えば、構築物は、完全内腔ドメインを含まなくてもよく、その代わりにLAMPタンパク質の内腔ドメインの単一の相同ドメインを含めばよい。本明細書で使用される「相同ドメイン」は、図3~10に示される少なくとも4つの均一に間隔を空けたシステイン残基を含む。これらのシステインの存在は、図3~10に示すように、各相同ドメインにおいて1、2、3、および4と標記され(LIMP-2およびマクロシアリン(Macrosailin)では5つのシステインが同定され、LIMBICでは6つのシステインが同定され、Endolynでは8つのシステインが同定されている)、本明細書では「システイン保存断片」と定義される。追加のアミノ酸をシステイン保存断片のN末端および/またはC末端のいずれかに含めて、LAMPタンパク質の完全相同ドメインを生成することができる。これらの追加の付加アミノ酸は、システイン保存断片が由来する相同ドメインに由来するか、または他のLAMPタンパク質相同ドメインに由来し得る。したがって、本明細書で使用する場合、LAMP相同ドメインは、1つのシステイン保存断片を含み、および/またはそれからなる。少なくとも2つのLAMP相同ドメインが、LAMP-1、LAMP-2、LAMP-3、またはEndolynの内腔ドメインを構成する。
【0118】
具体的には、好ましい一実施形態では、改良LAMP構築物は、LAMPタンパク質の内腔ドメインのN末端、LAMPタンパク質の少なくとも1つの相同ドメイン、またはLAMPタンパク質の少なくとも1つのシステイン保存断片に融合された少なくとも1つの目的の抗原を含む。例えば、図1のILC-2およびILC-6を参照されたい。好ましい実施形態では、これらの構築物は、LAMPタンパク質の膜貫通ドメイン、および/またはLAMPタンパク質のサイトゾル尾部をさらに含む。他の好ましい実施形態では、抗原が膜貫通ドメインを含む場合、LAMPタンパク質の膜貫通ドメインおよび/またはLAMPタンパク質のサイトゾル尾部は不要である。好ましい実施形態では、2つの相同ドメインが改良LAMP構築物に含まれる(例えば、図1のILC-1)。さらに好ましい実施形態では、2つの相同ドメインは、LAMP-1、LAMP-2、LAMP-3、またはEndolynタンパク質に由来する。または、2つの相同ドメインは異なるLAMPタンパク質に由来する。2つの相同ドメインを含むこれらの構築物には、LAMPヒンジドメインも含まれ得る。内腔ドメインの断片が強固な免疫応答の生成に有効であるという報告は為されていないので、この段落に記載された改良LAMP構築物は、抗原は常に完全内腔LAMP-1ドメインと完全LAMP-1膜貫通/細胞質尾部との間に常に配置されるという先行技術の観点から予想外である。
【0119】
別の好ましい実施形態では、改良LAMP構築物は、LAMPタンパク質の単一の相同ドメインまたはLAMPタンパク質の単一のシステイン保存断片のC末端に融合された少なくとも1つの目的の抗原を含む。例えば、図1のILC-3およびILC-5を参照されたい。好ましい実施形態では、これらの構築物は、LAMPタンパク質の膜貫通ドメイン、および/またはLAMPタンパク質のサイトゾル尾部をさらに含む。他の好ましい実施形態では、抗原が膜貫通ドメインを含む場合、LAMPタンパク質の膜貫通ドメインおよび/またはLAMPタンパク質のサイトゾル尾部は不要である。この段落に記載の改良LAMP構築物は、上記の先行技術の観点から予想外である。
【0120】
別の好ましい実施形態では、改良LAMP構築物は、LAMPタンパク質の第1の相同ドメインとLAMPタンパク質の第2の相同ドメインとの間(または少なくとも2つのシステイン保存断片の間)に融合された少なくとも1つの目的の抗原を含む。例えば、図1のILC-4を参照されたい。好ましい実施形態では、これらの構築物は、LAMPタンパク質の膜貫通ドメイン、および/またはLAMPタンパク質のサイトゾル尾部をさらに含む。好ましい実施形態では、2つの相同ドメインは、LAMP-1、LAMP-2、LAMP-3、またはEndolynタンパク質に由来する。これらの構築物において、抗原はLAMPヒンジ領域に配置され得る。あるいは、2つの異なるLAMPタンパク質由来の2つの相同ドメインを使用してもよい。2つのLAMP相同ドメイン(システイン保存断片を含む)の間に融合された少なくとも1つの目的の抗原のこの配置は、上記の先行技術の観点から予想外である。
【0121】
上記で定義された改良LAMP構築物はそれぞれ、図で定義されたドメインを使用して作製することができる。例えば、図1に例示される改良LAMP構築物に含まれるドメインは、例えば、オルソロガス配列に由来する配列を起源とし得ることが特に企図される。
例えば、図3~10を参照されたい。図2Aおよび2Bで定義された同等のドメインを使用して、オルソロガス配列について図1に例示された改良LAMP構築物を作製することが明確に企図される。さらに、図3~10に示されているオルソロガス配列は、ドメインの生成に使用できる配列の代表である。他のオルソロガス配列および/またはアイソタイプを同定し、それらを図3~10に示されているアラインメントと比較することは、十分に当業者の技術の範囲内である。したがって、図3~10に示す配列を有するヒトLAMPタンパク質の図2Aおよび2Bで定義された同等の境界を同定することにより、図1に例示する改良LAMP構築物を生成することができる。
【0122】
当業者には十分に理解されるように、各ドメインの境界は近似値であり、クローニングの考慮事項および制限酵素の配置に基づいて少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸を調整することができる。したがって、特定のドメイン(例えば、LAMP相同ドメイン)が改良LAMP構築物に含まれる場合、ドメインの開始と終了のアミノ酸は、図2Bで定義されている境界において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸を調整することができる。
【0123】
上記の改良LAMP構築物はそれぞれ、当技術分野で周知のように、クローニング目的のために各ドメイン間にシグナル配列および/または追加のアミノ酸をさらに含み得る。
さらに、LAMP相同ドメイン、LAMP内腔ドメイン、LAMP膜貫通ドメイン、および/またはLAMPサイトゾル尾部ドメインは、同じLAMPタンパク質(例えば、ヒトLAMP-1)または異なるLAMPタンパク質(例えば、ヒトLAMP-1由来の内腔ドメイン、ヒトLAMP-2由来の膜貫通ドメイン、および/または同じ遺伝子ファミリー(例えばLAMP-1)または異なる遺伝子ファミリー(LAMP-1およびLAMP-2)のオルソロガスドメインの混合)が起源であってよい。
【0124】
記載されたLAMP構築物のポリペプチド変異体が企図される。例えば、本明細書に記載の改良LAMP構築物のいずれかと少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%同一性のポリペプチド、ならびにこれらの変異体をコードするポリヌクレオチド。改良LAMP構築物の変異体は、抗原配列をリソソームの標的とすることにより機能する能力を保持する。例えば、改変された内腔配列は、膜抗原性物質および非膜抗原性物質の両方をエンドソーム区画に、元のドメイン配列と比較して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%の有効性、すなわち、免疫応答を開始するためのキメラ配列を含む細胞による十分な抗原提示をもたらす有効性で輸送する能力を保持しなければならない。一態様では、適切な輸送シグナルを含む配列は、十分に特徴付けられたオボアルブミンの抗原性ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定リソソーム/エンドソーム標的化シグナルを含むタンパク質の細胞質ドメインを含む改良LAMP構築物を構築することによって同定することができる。標的化の効率は、改良LAMP構築物を発現する抗原提示細胞の、HAエピトープ特異的MHCクラスII制限T細胞を刺激する能力を測定することで測定できる(例えば、米国特許第5,633,234号の実施例5を参照されたい)。
【0125】
記載された改良LAMP構築物のいずれかをコードするポリヌクレオチドは、本明細書に記載の改良LAMP構築物ポリヌクレオチドのいずれかと少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%同一性のポリヌクレオチドとともに、本発明の好ましい実施形態である。改良LAMP構築物の変異体は、抗原配列をリソソームの標的とすることにより機能する能力を保持する。例えば、改変された内腔配列は、膜抗原性物質および非膜抗原性物質の両方をエンドソーム区画に、元のドメイン配列と比較して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%の有効性、すなわち、免疫応答を開始するためのキメラ配列を含む細胞による十分な抗原提示をもたらす有効性で輸送する能力を保持しなければならない。一態様では、適切な輸送シグナルを含む配列は、十分に特徴付けられたオボアルブミンの抗原性ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定リソソーム/エンドソーム標的化シグナルを含むタンパク質の細胞質ドメインを含む改良LAMP構築物を構築することによって同定することができる。標的化の効率は、改良LAMP構築物を発現する抗原提示細胞の、HAエピトープ特異的MHCクラスII制限T細胞を刺激する能力を測定することで測定できる(例えば、米国特許第5,633,234号の実施例5を参照されたい)。
【0126】
改良LAMP構築物をコードする配列のアセンブリ
目的の抗原を含む改良LAMP構築物を構築する手順は、当技術分野で周知である(例えば、Williams,et al.,J.Cell Biol.111:955,1990を参照されたい)。所望のセグメントをコードするDNA配列は、American Type Culture Collection、12301 Parklawn Drive、Rockville、Md.20852,U.S.A.または所望のDNAを含むDNAライブラリーから入手可能なものなど、容易に入手可能な組換えDNA材料から得ることができる。
【0127】
例えば、所望のドメイン配列に対応するDNAセグメントは、組換えDNA方法論の通常の手順を使用して適切な制御配列およびシグナル配列を用いて組み立てることができる。例えば、米国特許第4,593,002号、およびLangford,et al.,Molec.Cell.Biol.6:3191,1986を参照されたい。
【0128】
タンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列は、化学的に合成するか、いくつかのアプローチの1つによって単離することができる。合成されるDNA配列は、目的のアミノ酸配列に適したコドンを使用して設計することができる。一般に、配列が発現に使用される意図される宿主に好ましいコドンが選択される。完全な配列は、標準的な方法で調製された重複オリゴヌクレオチドから組み立てられ、完全なコード配列に組み立てることができる。例えば、Edge,Nature 292:756,1981;Nambair,et al.Science 223:1299,1984;Jay,et al.,J.Biol.Chem.259:6311,1984を参照されたい。
【0129】
一態様では、改良LAMP構築物のドメイン配列をコードする1または複数の核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して個別に単離される(M.A.Innis,et al.,In PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press,1990)。ドメインは、それらを含むことが知られている公的に入手可能なクローンから単離されることが好ましいが、ゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから単離されてもよい。好ましくは、単離された断片は、抗原配列をコードする改良LAMP構築物を構築可能にする、適合する制限エンドヌクレアーゼ部位に接している。この技術は、当業者に周知である。ドメイン配列は、互いに直接(例えば、介在配列なしで)融合するか、または互いに挿入する(例えば、ドメイン配列が不連続である場合)か、または介在配列(例えば、リンカー配列など)により分離することができる。
【0130】
オリゴヌクレオチドプライマー、プローブおよびDNAライブラリーを調製するための基本戦略、ならびに核酸ハイブリダイゼーションによるそれらのスクリーニングは、当業者に周知である。例えば、Sambrook,et al.,1989,supra;Perbal,1984、上記を参照されたい。適切なゲノムDNAまたはcDNAライブラリーの構築は、当技術分野の範囲内である。例えば、上記のPerbal,1984を参照されたい。あるいは、適切なDNAライブラリーまたは公的に入手可能なクローンは、ClonetechやStratageneなどの生物学的研究材料の供給者から、およびAmerican Type Culture Collectionなどの公的な寄託機関から入手可能である。
【0131】
選択は、DNAの発現ライブラリーから配列を発現させ、発現されたペプチドを免疫学的に検出することにより達成することができる。MHC II分子および所望の抗体/T細胞受容体に結合するペプチドを発現するクローンが選択される。これらの選択手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook,et al.,1989、上記を参照されたい)。
【0132】
所望のポリペプチド配列のコード配列を含むクローンが調製または単離されると、好ましくは宿主細胞においてこの配列を維持するための複製起点を含む任意の適切なベクターにこの配列をクローニングすることができる。
【0133】
核酸送達ビヒクル
一態様では、改良LAMP構築物を含むワクチン組成物が細胞に導入される。細胞は、核酸を複製するため、または改良LAMP構築物を発現するための宿主細胞であり得る。
好ましくは、改良LAMP構築物を発現するための宿主細胞は抗原提示細胞である(以下でさらに説明する)。
【0134】
好ましい実施形態では、改良LAMP構築物は、標的細胞への挿入のためのポリヌクレオチド配列と、それに作動可能に連結された、細胞におけるポリヌクレオチド配列の発現(例えば、転写および/または翻訳)を制御するための発現制御配列とをさらに含む。例としては、プラスミド、ファージ、自律複製配列(ARS)、セントロメア、ならびに複製可能であるか、in vitroまたは宿主細胞(例えば、細菌、酵母、昆虫細胞など)および/または標的細胞(例えば、哺乳動物細胞、好ましくは抗原提示細胞など)において複製され得る他の配列、および/または改良LAMP構築物をコードする配列を標的細胞内の所望の位置に運ぶことができる他の配列が挙げられる。
【0135】
組換え発現ベクターは、人間、ウマ、ウシ、ブタ、ラマ、キリン、イヌ、ネコ、ニワトリなどの動物に容易に感染する微生物に由来してもよい。好ましいベクターには、ワクシニアなどの生ワクチンとしてすでに使用されているものが含まれる。これらの組換え体は宿主に直接接種することができ、微生物ベクターに対してだけでなく、外来抗原の発現に対する免疫も付与する。本明細書において生組換えワクチンとして企図される好ましいベクターには、例えば、Flexner,Adv.Pharmacol.21:51,1990に教示されているように、RNAウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、ならびにワクシニアおよび他のポックスウイルスが含まれる。
【0136】
発現制御配列には、限定するものではないが、RNAポリメラーゼに結合するプロモーター配列、エンハンサー配列または転写アクチベーターとリプレッサーとにそれぞれ結合する負の調節エレメント、および/またはリボソーム結合の翻訳開始配列が含まれる。例えば、細菌性発現ベクターは、lacプロモーターなどのプロモーター、および転写開始のために、シャイン-ダルガノ配列および開始コドンAUGを含むことができる(Sambrook,et al.,1989、上記)。同様に、真核生物発現ベクターは、好ましくは、RNAポリメラーゼIIの異種、相同、またはキメラプロモーター、下流ポリアデニル化シグナル、開始コドンAUG、およびリボソームの分離のための終止コドンを含む。
【0137】
発現制御配列は、天然に存在する遺伝子から得ることも、または設計することもできる。設計された発現制御配列には、限定するものではないが、突然変異および/またはキメラ発現制御配列または合成またはクローニングされたコンセンサス配列が含まれる。プロモーターと、ポリヌクレオチドを作動可能に連結できるクローニング部位との両方を含むベクターは、当技術分野で周知である。そのようなベクターは、in vitroまたはin vivoでRNAを転写することができ、Stratagene(La Jolla,Calif.)およびPromega Biotech(Madison,Wis.)などの供給元から市販されている。
【0138】
発現および/または転写を最適化するために、ベクターの5’および/または3’非翻訳部分を除去、追加または変更して、余分もしくは代替の翻訳開始コドン、または転写もしくは翻訳レベルのいずれかで発現に干渉するもしくは発現を減少させる可能性のある他の配列を排除することが必要な場合がある。または、コンセンサスリボソーム結合部位を、開始コドンのすぐ5’に挿入して、発現を増強することができる。多種多様な発現制御配列(それに作動可能に連結されたDNA配列の発現を制御する配列)をこれらのベクターにおいて使用して、本発明のDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列には、例えば、SV40、CMV、ワクシニア、ポリオーマ、アデノウイルス、ヘルペスウイルスの初期または後期プロモーター、および哺乳動物細胞の遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、ならびにそれらのさまざまな組み合わせが含まれる。
【0139】
一態様では、改良LAMP構築物は、ベクターを複製するための複製起点を含む。好ましくは、起点は、標的細胞への送達に使用するのに十分な数の配列のコピーを生成するために使用できる少なくとも1種類の宿主細胞において機能する。したがって、適切な起点には、限定するものではないが、細菌細胞(例えば、エシェリヒア属(Escherichia sp.)、サルモネラ属(Salmonella sp.)、プロテウス属(Proteus sp.)、クロストリジウム属(Clostridium sp.)、クレブシエラ属(Klebsiella sp.)、バチルス属(Bacillus sp.)、ストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)、およびシュードモナス属(Pseudomonas sp.))、酵母(例えば、サッカロマイセス属(Saccharamyces sp.)またはピキア属(Pichia sp.)など)、昆虫細胞、および哺乳動物細胞において機能するものが含まれる。好ましい一態様では、核酸送達ビヒクルが導入される標的細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞)で機能する複製起点が提供される。別の態様では、少なくとも2つの複製起点が提供され、1つは宿主細胞において機能し、もう1つは標的細胞において機能する。
【0140】
改良LAMP構築物は、代替的または追加的に、核酸送達ベクターの少なくとも一部を標的細胞染色体に組み込むことを促進する配列を含み得る。例えば、改良LAMP構築物は、標的細胞染色体DNAと相同性の領域を含み得る。一態様では、送達ベクターは、改良LAMP構築物をコードする核酸配列に隣接する2以上の組換え部位を含む。
【0141】
ベクターは、ベクターが標的細胞に首尾よく導入され、および/または標的細胞によって発現され得ることを検証するために、検出可能および/または選択可能マーカーをさらに含んでもよい。これらのマーカーは、限定するものではないが、RNA、ペプチド、またはタンパク質の産生などの活性をコードすることができ、またはRNA、ペプチド、タンパク質、無機および有機の化合物または組成物などの結合部位を提供することができる。
【0142】
検出可能/選択可能マーカー遺伝子の例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:毒性化合物(例えば、抗生物質)に対する耐性を提供する生成物をコードするDNAセグメント;レシピエント細胞に欠けている生成物をコードするDNAセグメント(例えば、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー);遺伝子産物の活性を抑制する生成物をコードするDNAセグメント;容易に同定可能な生成物をコードするDNAセグメント(例えば、ベータガラクトシダーゼなどの表現型マーカー、蛍光タンパク質(GFP、CFP、YFG、BFP、RFP、EGFP、EYFP、EBFP、dsRed、それらの変異型、改変型または増強型など)、および細胞表面タンパク質);細胞の生存および/または機能に有害である生成物に結合するDNAセグメント;他の核酸セグメントの活性を阻害するDNAセグメント(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド);基質を改変する生成物(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)に結合するDNAセグメント;所望の分子を単離または同定するために使用できるDNAセグメント(例えば、特定のタンパク質結合部位をコードするセグメント);プライマー配列;存在しない場合、特定の化合物に対する抵抗性または感受性を直接的または間接的に付与するDNAセグメント;および/またはレシピエント細胞に毒性のある生成物をコードするDNAセグメント。
【0143】
マーカー遺伝子は、成功した遺伝子導入の立体構造のマーカーとして、および/または導入遺伝子を発現する細胞を単離するため、および/または細胞から導入遺伝子を回収するために使用できる。例えば、一態様では、マーカー遺伝子は、改良LAMP構築物を発現する抗原提示細胞を単離および精製するために使用される。
【0144】
実質的に類似の遺伝子、例えば、公知の遺伝子と約50%超、約70%超、80%超、約90%超、好ましくは約95%超の同一性を有する遺伝子を提供することができる。実質的に類似したドメイン配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で目的のドメイン配列に特異的にハイブリダイズする配列を選択することにより最初に同定され得る。相同、変異、または改変型ドメイン配列の適合性を決定するためのアッセイの実行は、適切な活性を発現する配列の単なるスクリーニングである。そのようなスクリーニングは、当技術分野では日常的である。
【0145】
改良LAMP構築物は、裸の核酸として提供されても、または細胞への核酸の進入を促進するための1または複数の分子に関連する送達ビヒクル中で提供されてもよい。適切な送達媒体には、限定するものではないが、リポソーム製剤、ポリペプチド、多糖、リポ多糖、ウイルス製剤(例えば、ウイルス、ウイルス粒子、人工ウイルスエンベロープなどを含む)、細胞送達ビヒクルなどが含まれる。
【0146】
脂質ベースの製剤
改良LAMP構築物の細胞内送達を促進するように設計された送達ビヒクルは、非極性環境と極性環境との両方と(例えば、原形質膜、組織液、細胞内の区画などにおいて)相互作用する必要がある。したがって、好ましくは、送達ビヒクルは、極性および非極性ドメインの両方、または改良LAMP構築物を細胞に移行させるための移行配列を含むように設計されている。
【0147】
極性ドメインと非極性ドメインとを持つ化合物は両親媒性物質と呼ばれる。カチオン性両親媒性物質は、DNAなどの負に帯電したポリヌクレオチドと相互作用するために、生理学的pHまたはその付近で正に帯電できる極性基を有する。
【0148】
本明細書に記載の改良LAMP構築物は、細胞膜を横切るベクターの移行を促進するために脂質単層または二重層を含む製剤で提供することができる。リポソームまたは任意の形態の脂質膜、例えば平面脂質膜または無傷の細胞、例えば赤血球の細胞膜を使用することができる。リポソーム製剤は、静脈内または経口投与を含む任意の手段によって投与することができる。
【0149】
リポソームおよびリポソーム製剤は、標準的な方法に従って調製することができ、当技術分野で周知である、例えば、Remington’s;Akimaru,1995,Cytokines Mol.Ther.1:197-210;Alving,1995,Immunol.Rev.145:5-31;Szoka,1980,Ann.Rev.Biophys.Bioeng 9:467;米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号;および米国特許第4,837,028号を参照されたい。一態様では、このリポソームは、リポソーム:改良LAMP構築物複合体を特定の細胞型の標的とするための標的化分子を含む。特に好ましい態様では、標的化分子は、標的組織に見られる血管または細胞の表面上の生体分子(例えば、受容体またはリガンド)に対する結合パートナー(例えば、リガンドまたは受容体)を含む。
【0150】
リポソームの電荷は血液からのリポソームのクリアランスにおける重要な決定因子であり、負に帯電したリポソームは細網内皮系によってより迅速に取り込まれ(Juliano,1975,Biochem.Biophys.Res.Commun.63:651)、したがって血流中での半減期が短くなる。ホスファチジルエタノールアミン誘導体を組み込むと、リポソームの凝集が防止されることによって、循環時間が延長される。例えば、N-(オメガ-カルボキシ)アシルアミドホスファチジルエタノールアミンをL-アルファ-ジステアロイルホスファチジルコリンの大きな単層ベシクルに組み込むと、in vivoのリポソーム循環寿命が劇的に延長される(例えば、Ahl,1997,Biochim.Biophys.Acta 1329:370-382を参照されたい)。
循環半減期が延長されたリポソームは、通常、治療および診断用途に望ましい。薬物動態の一般的な考察については、例えば、emington’s,Chapters 37-39,Lee,et al.,In Pharmacokinetic Analysis:A Practical Approach(Technomic Publishing AG,Basel,Switzerland 1996)を参照されたい。
【0151】
典型的には、リポソームは、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリンまたはホスファチジルイノシトールなどの負に帯電したリン脂質が約5~15モルパーセントで調製される。ホスファチジルグリセロールなどの負に帯電したリン脂質を加えると、自発的なリポソーム凝集を防ぐ働きもするため、リポソーム凝集体が過小形成されるリスクを最小限に抑えまる。少なくとも約50モルパーセントの濃度のスフィンゴミエリンまたは飽和中性リン脂質、および5~15モルパーセントのモノシアリルガングリオシドなどの膜剛性化剤も、剛性などの望ましいリポソーム特性を付与し得る(例えば、米国特許第4,837,028号を参照されたい)。
【0152】
さらに、リポソーム懸濁液は、保存時にフリーラジカルおよび脂質過酸化損傷から脂質を保護する脂質保護剤を含むことができる。α-トコフェロールなどの親油性フリーラジカルクエンチャー、およびフェリオキサミン(ferrioxianine)などの水溶性鉄特異的キレート剤が好ましい。
【0153】
本発明の改良LAMP構築物は、不均一なサイズの多層小胞を含むことができる。例えば、小胞形成脂質を適切な有機溶媒または溶媒系に溶解し、真空または不活性ガス下で乾燥させて、薄い脂質膜を形成することができる。必要に応じて、フィルムを第三級ブタノールなどの適切な溶媒に再溶解し、凍結乾燥して、より容易に水和される粉末状のより均質な脂質混合物を形成することができる。このフィルムは、ペプチドまたはポリペプチド複合体の水溶液で覆われ、典型的には攪拌しながら15~60分かけて水和させることができる。結果として得られる多重膜小胞のサイズ分布は、より激しい攪拌条件下で脂質を水和させるか、またはデオキシコール酸などの可溶化界面活性剤を加えることにより、より小さなサイズにシフトできる。水和媒体は、好ましくは、最終リポソーム懸濁液中のリポソームの内部容積において望ましい濃度の核酸を含む。
【0154】
リポソーム調製後、リポソームは、所望のサイズ範囲およびリポソームサイズの比較的狭い分布を達成するようにサイズ調整することができる。1つの好ましいサイズ範囲は約0.2~0.4ミクロンであり、これにより、従来のフィルター、典型的には0.22ミクロンフィルターを介した濾過によりリポソーム懸濁液を滅菌することができる。リポソームのサイズが約0.2~0.4ミクロンまで小さくなっている場合、フィルター滅菌はハイスループットで実行できる。リポソームを所望のサイズにサイズ調整するためのいくつかの技術が利用可能である(例えば、米国特許第4,737,323号を参照されたい)。
【0155】
適切な脂質としては、限定するものではないが、DOTMA(Felgner,et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7417)、DOGSまたはTransfectain(商標)(Behr,et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6982-6986)、DNERIEまたはDORIE(Felgner,et al.,Methods 5:67-75)、DC-CHOL(Gao and Huang,1991,BBRC 179:280-285)、DOTAP(商標)(McLachlan,et al.,1995,Gene Therapy 2:674-622)、Lipofectamine(商標)およびグリセロ脂質化合物(例えば、欧州特許第901463号および国際公開第98/37916号を参照されたい)が挙げられる。
【0156】
改良LAMP構築物との複合化に適した他の分子としては、カチオン性分子、例えば、ポリアミドアミン(Haensler and Szoka,1993,Bioconjugate Chem.4:372-379)、樹枝状ポリシン(国際公開第95/24221号)、ポリエチレンイリニンまたはポリプロピレンh-ナイン(国際公開第96/02655号)、ポリリジン(米国特許第5,595,897号;仏国特許第2719316号)、キトサン(米国特許第5,744,166号)、DNA-ゼラチンコアセルベート(例えば、米国特許第6,207,195号;米国特許第6,025,337号;米国特許第5,972,707号)またはDEAEデキストラン(Lopata,et al.,1984,Nucleic Acid Res.12:5707-5717)が挙げられる。
【0157】
ウイルスベースの遺伝子送達ビヒクル
一態様では、改良LAMP構築物送達ビヒクルは、ウイルスまたはウイルス粒子を含む。この態様において、好ましくは、改良LAMP構築物はウイルスベクターを含む。レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびヘルペスウイルスなどのウイルスベクターは、多くの場合2つの成分、改変されたウイルスゲノムとそれを囲むコート構造とで構成されている(例えば、Smith et al.,1995,Ann.Rev.Microbiol.49:807-838を参照されたい)が、ウイルスベクターは裸の形で導入されたり、ウイルスタンパク質以外のタンパク質でコーティングされることがある。現在の大部分のベクターは、野生型ウイルスと類似のコート構造を有する。この構造は、ウイルス核酸をパッケージングして保護し、標的細胞に結合して進入する手段を提供する。
【0158】
好ましくは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を含むウイルスベクターは、標的細胞ではウイルスが増殖できず、感染性粒子の調製に使用される宿主細胞(例えば、パッケージング細胞またはヘルパー細胞など)におけるウイルスの増殖を可能にするように野生型ウイルスゲノムから改変される。ベクター核酸は一般に、ヘルパー系での複製およびパッケージングのためのシス作用性ウイルス配列、および標的細胞に送達されるポリヌクレオチドの発現を調節するための発現制御配列が不可欠である。他のウイルス機能は、当技術分野で公知のように、特定のパッケージング細胞株またはヘルパー細胞株でトランスで発現される。
【0159】
好ましい改良LAMP構築物は、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、泡沫状ウイルス、レンチウイルス、セムリキ森林ウイルス、AAV(アデノ随伴ウイルス)、ポックスウイルス、アデノウイルスおよびレトロウイルスからなる群から選択されるウイルスに由来するウイルスベクターである。そのようなウイルスベクターは当技術分野で周知である。
【0160】
好ましい一態様では、使用されるウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。
アデノウイルスゲノムは、ウイルス複製サイクルを完了するために必要な約30を超える遺伝子を運ぶ約36kbの線形二本鎖DNA分子で構成されている。初期遺伝子は4つの領域(E1~E4)に分けられ、抗ウイルス宿主免疫応答を調節すると考えられているE3領域は別として、これらはウイルス複製に不可欠である。E1領域(EIAおよびEIB)は、ウイルスゲノムの転写制御に関与するタンパク質をコードする。E2領域遺伝子(E2AおよびE2B)の発現は、ウイルス複製に必要なポリペプチドの合成をもたらす。E3領域によってコードされるタンパク質は、細胞傷害性T細胞および腫瘍壊死因子による細胞溶解を防ぐ(Wold and Gooding,1991,Virology 184:1-8)。E4領域によってコードされるタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現およびスプライシング、ならびに宿主細胞の遮断に関与する(Halbert,et al.,1985,J.Virol.56:250-257)。後期遺伝子は一般に、ウイルスカプシドに寄与する構造タンパク質をコードする。さらに、アデノウイルスゲノムは、シス作用性5’および3’ITR(逆位末端配列)およびDNA複製に不可欠なパッケージング配列を保有している。ITRはDNA複製の起点を有し、アデノウイルスDNAの感染粒子へのパッケージングにはカプシド形成領域が必要である。
【0161】
Heise and Kim(2000、J.Clin.Invest.105:847-85 1に記載されているように、特定の細胞(例えば、増殖細胞など)で選択的に複製するために、アデノウイルスベクターを、条件付きで複製するように操作することができる(CRAdベクター)。別の態様において、アデノウイルスベクターは、E1機能の複製欠損である(例えば、E1の全体的または部分的な欠失または突然変異誘発による)。ベクターのアデノウイルス骨格は、追加の改変(1または複数のウイルス遺伝子の欠失、挿入または突然変異)を含んでもよい。E2改変の例は、DBP(DNA Binding Protein)コード遺伝子に局在する温度感受性突然変異によって示される(Ensinger et al.,1972,J.Virol.10:328-339)。アデノウイルス配列は、E4領域のすべてまたは一部を欠失してもよい(例えば、欧州特許第974668号;Christ,et al.,2000,Human Gene Ther.11:415-427;Lusky,et al.,1999,J.Virol.73:8308-8319)。非必須E3領域内の追加の欠失により、送達されるポリヌクレオチドのサイズを増加させることができる(Yeh,et al.,1997,FASEB Journal 11:615 623)。しかし、ウイルスが免疫系(Gooding,et al.,1990,Critical Review of Immunology 10:53-71)または炎症反応(欧州特許第00440267.3号)から逃れることを可能にするポリペプチド(例えば、gp19kなど)をコードするE3配列のすべてまたは一部を保持することは有利であり得る。
【0162】
ITRおよびパッケージング配列を保持し、ウイルス抗原の残留合成を無効にする実質的な遺伝子改変を含む第2世代のベクターも、形質導入細胞における発現遺伝子の長期発現を改善するために使用できる(例えば、国際公開第94/28152号;Lusky,et al.,1998,J.Virol 72:2022-2032を参照されたい)。
【0163】
細胞に導入される改良LAMP構築物は、シス作用性配列を除いて、ウイルスゲノムの任意の場所に挿入することができる。好ましくは、それは、欠失領域(E1、E3および/またはE4)との置き換えで、好ましくは欠失E1領域内に挿入される。
【0164】
アデノウイルスは、任意のヒトまたは動物源、特にイヌ(例えば、CAV-1またはCAV-2、それぞれGenbank ref.CAVIGENOMおよびCAV77082)、鳥類(Genbank ref.AAVEDSDNA)、ウシ(BAV3など、Reddy,et al.,1998,J.Virol.72:1394 1402)、ネズミ(Genbank ref.ADRMUSMAVI)、ヒツジ、ネコ、ブタまたは真猿類起源に由来してもよく、またはハイブリッドウイルスであってもよい。任意の血清型を使用することができる。しかしながら、Cサブグループのヒトアデノウイルス、特にアデノウイルス2(Ad2)および5(Ad5)が好ましい。このようなウイルスは、例えばATCCから入手可能である。
【0165】
アデノウイルス粒子または空のアデノウイルスカプシドを使用して、米国特許第5,928,944号に記載のウイルス媒介共内部移行法によって改良LAMP構築物を導入することもできる。この方法は、1または複数の脂質層を含むポリカルベン(polycarbene)または脂質小胞などの(1または複数の)カチオン剤の存在下で達成することができる。
【0166】
アデノウイルス粒子は、ウイルス複製に必要な欠損ウイルス遺伝子をトランスで供給する相補細胞株またはヘルパーウイルスを使用して、当技術分野の任意の従来技術(例えば、国際公開第96/17070号)に従って調製および増殖させることができる。細胞株293(Graham et al.,1977,J.Gen.Virol.36:59-72)およびPERC6(Fallaux et al.,1998,Human Gene Therapy 9:1909-1917)は、E1欠失を補完するために一般的に使用されている。他の細胞株は、欠損ベクターを補完するように設計されている(Yeh,et al.,1996,J.Virol.70:559-565;Kroughak and Graham,1995,Human Gene Ther.6:1575-1586;Wang,et al.,1995,Gene Ther.2:775-783;Lusky,et al.,1998,J.Virol.72:2022-203;EP 919627および国際公開第97/04119号)。アデノウイルス粒子は、培養上清からも溶解後の細胞からも回収することができ、任意選択で標準的な技術(例えば、クロマトグラフィー、超遠心分離、国際公開第96/27677号、国際公開第98/00524号、国際公開第98/26048号および国際公開第00/50573号に記載のもの)に従ってさらに精製することができる。
【0167】
細胞型特異的標的化は、ウイルス表面タンパク質の改変により、広範な宿主範囲を有するアデノウイルスに由来するベクターで達成され得る。例えば、アデノウイルスの感染の特異性は、許容細胞の表面に存在する細胞受容体への付着によって決定される。これに関して、アデノウイルスカプシドの表面に存在する繊維およびペントンは、細胞付着において重要な役割を果たす(Defer,et al.,1990,J.Virol.64:3661-3673)。したがって、アデノウイルスの細胞標的化は、繊維および/またはペントンをコードするウイルス遺伝子を、固有の細胞表面受容体との特異的相互作用が可能な改変された繊維および/またはペントンを生成するように遺伝子改変することによって実行することができる。そのような改変の例は、Wickarn,et al.,1997,J.Virol.71:8221-8229;Arriberg,et al.,1997,Virol.Chem 268:6866-6869;Roux,et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9079-9083;Miller and Vile,1995,FASEB J.9:190-199;WO93/09221および国際公開第95/28494号に記載されている。
【0168】
特に好ましい態様では、アデノ随伴ウイルス配列がベクターとして使用される。ヒトパルボウイルスAAV-2(アデノ随伴ウイルス2型)に由来するベクターは、現在開発されている最も有望な遺伝子送達ビヒクルの1つである。一本鎖DNAをパッケージングするためのこの系の特徴のいくつかは、それが送達のための裸のDNAに代わり得るものであることを示唆している。ワクシニアまたはアデノウイルスなどの他のウイルスベクターとは対照的に、主な魅力的な特徴は、AAVベクターがウイルス遺伝子をまったく発現しないことである。ワクチン構築物に含まれる唯一のウイルスDNA配列は、145bpの逆位末端配列(ITR)である。したがって、裸のDNAによる免疫化の場合と同様に、発現される遺伝子は抗原または抗原キメラの遺伝子のみである。さらに、AAVベクターは、分裂細胞および非分裂細胞の両方、例えばヒト末梢血単球由来樹状細胞に、導入遺伝子の持続的な発現、および粘膜免疫の生成のための経口および鼻腔内送達の可能性を導入することが公知である。さらに、必要なDNAの量もはるかに数桁少ないと思われ、裸のDNA用量が50ugまたは約1015コピーであるのに対して、1010~1011粒子またはDNAコピーの用量で最大の応答が得られる。
【0169】
一態様において、AAVベクターは、構築物をコードするAAV ITRキメラタンパク質に含まれるDNAとITRを含まないAAVコード領域(AAV repおよびキャップ遺伝子)を含むAAVヘルパープラスミドACG2との共トランスフェクションにより、適切な細胞株(例えば、ヒト293細胞)にパッケージングされる。その後、細胞にアデノウイルスAd5を感染させる。ベクターは、当技術分野で公知の方法(例えば、塩化セシウム密度勾配超遠心分離など)を使用して細胞溶解物から精製でき、検出可能な複製コンピテントAAVまたはアデノウイルスが含まれないことを確認するために(例えば、細胞変性効果バイオアッセイにより)検証される。AAV力価は、プロテイナーゼKでの消化後に調製されたウイルスDNAサンプルを用いた定量的PCRにより決定することができる。好ましくは、そのような方法により精製されたベクター力価は、約5x1012~1x1013 DNase耐性粒子/mlである。
【0170】
他の態様では、レトロウイルスベクターが使用される。レトロウイルスは、ウイルスにコードされた逆転写酵素を使用して複製する組込みウイルスのクラスであり、ウイルスのRNAゲノムを感染細胞(例えば、標的細胞)の染色体DNAに組み込まれる二本鎖DNAに複製する。そのようなベクターには、マウス白血病ウイルス、特にモロニー(Gilboa,et al.,1988,Adv.Exp.Med.Biol.241:29)またはFriend’s FB29株(国際公開第95/01447号)に由来するものが含まれる。一般に、レトロウイルスベクターは、ウイルス遺伝子gag、polおよびenvのすべてまたは一部が欠失され、5’および3’LTRおよびカプシド形成配列を保持している。これらの要素は、レトロウイルスベクターの発現レベルまたは安定性を高めるために改変することができる。そのような改変には、VL30などのレトロトランスポゾンの1つによるレトロウイルスカプシド形成配列の置換が含まれる(例えば、米国特許第5,747,323号を参照されたい)。好ましくは、改良LAMP構築物は、カプシド形成配列の下流に、好ましくはレトロウイルスゲノムに対して反対方向に挿入される。細胞特異的標的化は、当技術分野で公知であるように、レトロウイルスエンベロープタンパク質への抗体または抗体断片のコンジュゲーションによって達成され得る。
【0171】
レトロウイルス粒子は、ヘルパーウイルスの存在下、またはレトロウイルスベクターが欠損しているレトロウイルス遺伝子(例えば、gag/polおよびenv)がゲノムに組み込まれた適切な補完(パッケージング)細胞株において調製される。そのような細胞株は、先行技術に記載されている(Miller and Rosman,1989,BioTechniques 7:980;Danos and Mulligan,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6460;Markowitz,et al.,1988,Virol.167:400)。env遺伝子の産物は、標的細胞の表面に存在するウイルス受容体へのウイルス粒子の結合を担い、したがってレトロウイルス粒子の宿主範囲を決定する。本発明の文脈において、ヒトおよび他の種の標的細胞の感染を可能にするために、広宿主性エンベロープタンパク質を含むパッケージング細胞株、例えば、PA317細胞(ATCC CRL 9078)または293EI6(WO97/35996)を使用することが有利である。レトロウイルス粒子は、培養上清から回収されることが好ましく、任意選択で標準的な技術(例えば、クロマトグラフィー、超遠心分離)に従ってさらに精製されてもよい。
【0172】
他の適切なウイルスには、ポックスウイルスが含まれる。ポックスウイルス科(poxyiridae)のいくつかのメンバーのゲノムはマッピングされており、配列決定されている。ポックスウイルスベクター(poxyiral vector)は、ポックスウイルス科(poxyiridae)の任意のメンバー、特にカナリア痘ウイルス、鶏痘ウイルスおよびワクシニアウイルスから得ることができる。適切なワクシニアウイルスには、限定するものではないが、Copenhagen株(Goebel,et al.,1990,Virol.179:247-266;Johnson,et al.,1993,Virol.196:381-401)、Wyeth株および改変Ankara(MVA)株(Antoine,et al.,1998,Virol.244:365-396)が含まれる。ワクシニアウイルスベクターを構築するための一般的な条件は、当技術分野では公知である(例えば、欧州特許第83286号および欧州特許第206920号;Mayr et al.,1975,Infection 3:6-14;Sutter and Moss,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10847-10851を参照されたい)。好ましくは、目的のポリヌクレオチドは、非コード遺伝子間領域または不活化または欠失がウイルスの成長および複製を著しく損なわない任意の遺伝子などの非必須遺伝子座内に挿入される。
【0173】
ポックスウイルス(poxyiral)粒子は、当技術分野で記載されているように調製される(Piccini,et al.,1987,Methods of Enzymology 153:545-563;米国特許第4,769,330号;米国特許第4,772,848号;米国特許第4,603,112号;米国特許第5,100,587号および米国特許第5,179,993号)。一般に、ドナープラスミドが構築され、大腸菌(E.coli)での増殖により増幅され、従来の手順により単離される。次に、ポックスウイルスゲノムとともに適切な細胞培養物(例えば、ニワトリ胚線維芽細胞)に導入し、相同組換えによりポックスウイルス(poxyiral)粒子を生成する。これらは、溶解工程(例えば、化学的溶解、凍結/解凍、浸透圧ショック、超音波処理など)後に培養上清または培養細胞から回収できる。連続したプラーク精製を使用して、汚染野生型ウイルスを除去できる。次いで、ウイルス粒子は、当技術分野で公知の技術(例えば、クロマトグラフィー法または塩化セシウムまたはスクロース勾配での超遠心分離)を使用して精製することができる。
【0174】
天然痘撲滅のための世界的なキャンペーンにおける生ウイルスワクチンとしてのワクシニアの使用は、ワクシニアを生組換えワクチンベクターとして開発するための明確な選択肢にした。100種近くの異なる外来タンパク質を発現する生組換えワクシニアウイルスが報告されており、これらの多くは効果的な実験用ワクチンである(Moss and Flexner,1987による総説)。ワクシニアは、その大きなゲノムサイズ、少なくとも25,000塩基対の外来DNAを受け入れる能力、および昆虫細胞を含むほとんどの真核細胞タイプに感染する能力のため、発現ベクターとして特に用途が広い(同上)。他のDNAウイルスとは異なり、ポックスウイルスは感染細胞の細胞質で排他的に複製し、組換えウイルスDNAと宿主染色体との遺伝的交換の可能性を減らす。組換えワクシニアベクターは、ヒト、他の哺乳動物、寄生虫、RNAおよびDNAウイルス、細菌およびバクテリオファージを含むさまざまな供給源からのタンパク質を適切にプロセシングおよび発現することが示されている。
【0175】
外来タンパク質をコードするDNAの発現は、上流のプロモーター配列や、必要に応じてRNAプロセシングシグナルなど、宿主ウイルスの調節エレメントによって制御される。外来DNAのワクシニアウイルスゲノムの非必須領域への挿入は、相同組換えにより行われてきた(Panicali,et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci,USA,79:4927,1982;Mackett,et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,79:7415,1982)。
【0176】
改良LAMP構築物による抗原の発現は、挿入部位またはその近くの転写調節エレメントにより、またはより正確な遺伝子操作により行うことができる。外来遺伝子の挿入と発現を大いに促進するプラスミドベクターが構築されている(Mackett,et al.,J.Virol,49:857,1982)。これらのベクターは、ワクシニア転写プロモーターと、ワクシニアゲノムの非必須領域由来DNAに隣接する、外来コード配列の挿入のための1または複数の固有の制限エンドヌクレアーゼ部位とで構成される発現部位を含む。プロモーターの選択は、発現の時間(例えば、初期または後期)と発現レベルとの両方を決定するが、隣接するDNA配列は相同組換えの部位を決定する。
【0177】
この手順で生成されたウイルス粒子のうち、組換え体であるのはわずか約1000分の1である。組換えウイルスのプラークはDNAハイブリダイゼーションによって同定できるが、効率的な選択手順が開発されている。非必須ワクシニアウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子のセグメントを隣接配列として使用することにより、外来遺伝子がTK遺伝子座に組換えられ、挿入によりTK遺伝子が不活性化される。TKウイルスの選択は、5-ブロモデオキシウリジンの存在下でTK細胞においてウイルスプラークアッセイを実施することによって達成される。ヌクレオシド類似体のリン酸化と、結果として生じるウイルスDNAへの致命的な組込みとは、TK+親ウイルスに感染した細胞でのみ起こる。
トランスフェクションと組換えの効率に応じて、最大80個のプラークが望ましい組換え体であり、残りは自発的TK変異体である。
【0178】
大腸菌(E.coli)ベータガラクトシダーゼ遺伝子と第2の遺伝子の発現部位とを含むプラスミドベクターにより、組換えウイルスを親ウイルスと識別する代替方法が可能になる(Chakrabarti,et al.,Mol.Cell.Biol.,5:3403,1985)。そのような組換え体によって形成されたプラークは、適切な指標を追加すると形成される青色によって明確に同定することができる。TK選択とベータガラクトシダーゼ発現の両方を組み合わせることにより、組換えウイルスが容易かつ迅速に単離される。次いで、組換え体は、適切な細胞株での増殖により増幅され、挿入された遺伝子の発現は、適切な酵素学的、免疫学的または物理的手順により確認される。
【0179】
ワクシニアウイルスゲノムに追加できる遺伝情報の量の上限は未知である。しかし、外来DNAのほぼ25,000塩基対を追加しても、ウイルス収量に明らかな悪影響はなかった(Smith,et al.,Gene,25:21,1983)。必要な場合、ワクシニアウイルスゲノムの大きなセグメントを欠失して、追加の容量を提供できる(Moss,et al.,J.Virol.40:387,1981)。
【0180】
ウイルスカプシド分子は、標的化および/または細胞への進入を促進する標的化部分を含んでもよい。適切な標的分子には、限定するものではないが、化学的コンジュゲート、脂質、糖脂質、ホルモン、糖、ポリマー(例えば、PEG、ポリリジン、PEIなど)、ペプチド、ポリペプチド(例えば、国際公開第94/40958号を参照されたい)、ビタミン、抗原、レクチン、抗体およびその断片が含まれる。好ましくは、そのような標的分子は、細胞特異的マーカー、組織特異的マーカー、細胞受容体、ウイルス抗原、抗原性エピトープまたは腫瘍関連マーカーを認識して、これに結合する。
【0181】
ウイルス粒子に基づく改良LAMP構築物を含む組成物は、10~1014i.u.(感染単位)、好ましくは、10~1011i.u.の用量の形態で製剤化され得る。力価は、従来の技術により決定することができる。LAMP構築物の用量は、好ましくは0.01~10mg/kg、より詳細には0.1~2mg/kgで構成される。
【0182】
自己複製RNA
自己複製RNAウイルスベクターは、本明細書に記載の改良LAMP構築物を使用して構築することもできる。例えば、アルファウイルス、フラビウイルス(flavivus)、麻疹ウイルス(measle virus)およびラブドウイルスを使用して、自己複製RNAウイルスワクチンを生成することができる。自己複製RNAウイルスの好ましい株には、限定するものではないが、狂犬病ウイルス(RABV)、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatisitis virus)(VSV)、西ナイルウイルス、クンジンウイルス、セムリキ森林ウイルス(SFV)、シンドビスウイルス(SIN)および/またはベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)が含まれる。
【0183】
自己複製RNAウイルスは、組織への送達時に天然の抗原を発現するため、病原性への復帰のリスクを伴わずに弱毒生ワクチンを模倣する。また、それらは自然免疫系を刺激し、反応を強化する。例えば、Ljungberg,K.“Self-replicating alphavirus RNA vaccines,”Expert Rev Vaccines(2):177-94(2015);Lundstrom,K.,“Oncolytic Alphaviruses in Cancer Immunotherapy”,Vaccines 5:9(2017);Lundstrom,K.“Replicon RNA Viral Vectors as Vaccines,”Vaccines 4:39(2016)を参照されたい(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載の改良LAMP構築物を含む自己複製ワクチンの使用は、プライム・ブーストプロトコルでも使用することができる。
【0184】
さらに、本明細書に記載のように、自己複製RNAウイルスをリポソームによりカプセル化して、送達および標的化を改善することもできる。本明細書に記載の改良LAMP構築物を含む自己複製RNAウイルスによる免疫化は、抗原のより高い一時的発現レベルを提供し、安全な条件下での中和抗体応答の生成および致死的負荷に対する保護をもたらす。
【0185】
細胞ベースの送達ビヒクル
本発明による改良LAMP構築物は、この構築物を含む他の細胞(「送達細胞」)によって標的細胞に送達することができる。構築物を細胞に導入する方法は当技術分野で公知であり、細胞の核へのDNAのマイクロインジェクション(Capechi,et al.,1980,Cell 22:479-488);CaP0によるトランスフェクション(Chen and Okayama,1987,Mol.Cell Biol.7:2745 2752)、エレクトロポレーション(Chu,et al.,1987,Nucleic Acid Res.15:1311-1326);リポフェクション/リポソーム融合(Feigner,et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7417)および粒子衝撃(Yang,et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9568-9572)が含まれる。適切な細胞には、自己細胞および非自己細胞が含まれ、異種細胞が含まれてもよい。送達細胞は、それらの死を誘導することにより(例えば、これらの細胞に誘導性自殺遺伝子を提供することにより)標的細胞にその内容物を送達するよう誘導することができる。
【0186】
アクセサリー分子
本発明による改良LAMP構築物を含む組成物は、細胞への改良LAMP構築物の導入を促進するため、および/または特定の治療効果の増強および/または抗体産生の増強のために、1または複数のアクセサリー分子を含むことができる。
【0187】
さらに、本発明による改良LAMP構築物を含む組成物は、動物/人体内での分解を阻害するため、および/またはベクターの標的細胞へのトランスフェクション/感染を改善するために、1または複数の安定化物質、例えば、脂質、ヌクレアーゼ阻害剤、ヒドロゲル、ヒアルロニダーゼ(国際公開第98/53853号)、コラゲナーゼ、ポリマー、キレート剤(欧州特許第890362号を含むことができる。そのような物質は、単独で使用されても、または組み合わせて使用されてもよい(例えば、カチオン性および中性の脂質)。
【0188】
また、アデノウイルスタンパク質がエンドソームを不安定化し、DNAの細胞への取り込みを増強することも示されている。脂質複合体DNAベクターを含む溶液へのアデノウイルスの混合、またはタンパク質架橋剤を使用してアデノウイルスに共有結合したポリリジンへのDNAの結合は、改良LAMP構築物の取り込みおよび発現を大幅に改善することがある(例えば、Curiel,et al.,1992,Am.I.Respir.Cell.Mol.Biol.6:247-252)。
【0189】
宿主細胞
本発明による改良LAMP構築物は、さまざまな宿主細胞、限定するものではないが、原核細胞(例えば、大腸菌(E.coli)、ブドウ球菌属(Staphylococcus sp.)、バチルス属(Bacillus sp.);酵母細胞(例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.));昆虫細胞;線虫細胞;植物細胞;両生類細胞(アフリカツメガエルなど);鳥類細胞;および哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、マウス細胞、哺乳動物細胞株、解剖組織などからの初代培養哺乳動物細胞)において発現され得る。
【0190】
分子は、生物から単離された宿主細胞、生物の一部である宿主細胞、または生物に導入された宿主細胞において発現させることができる。一態様では、改良LAMP構築物は、in vitroで、例えば培養中の宿主細胞において発現される。別の態様では、改良LAMP構築物は、この改良LAMP構築物をコードする核酸を含む体細胞および/または生殖系列細胞を含むトランスジェニック生物(例えば、トランスジェニックマウス、ラット、ウサギ、ブタ、霊長類など)において発現される。トランスジェニック動物を構築する方法は当技術分野で周知であり、日常的である。
【0191】
改良LAMP構築物は、in vitroで細胞に導入することもでき、細胞(例えば、幹細胞、造血細胞、リンパ球など)を宿主生物に導入することもできる。細胞は、宿主生物に関して異種であっても、または自己であってもよい。例えば、細胞を宿主生物から得て、改良LAMP構築物をin vitroで細胞に導入して、その後宿主生物に再導入させることができる。
【0192】
抗原提示細胞
本発明の好ましい態様では、本明細書に記載の改良LAMP構築物は、天然または操作された抗原提示細胞に導入される。
【0193】
本明細書で使用される「抗原提示細胞」(APC)という用語は、主要組織適合遺伝子複合体分子、好ましくはクラスII分子またはその一部に関連する抗原をその表面に提示する任意の細胞を意図する。適切なAPCの例は以下で詳細に説明するが、これらの例としては、限定するものではないが、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、ハイブリッドAPC、およびフォスター抗原提示細胞(foster antigen presenting cell)などの細胞全体が挙げられる。ハイブリッドAPCを作製する方法は記載されており、当技術分野において公知である。
【0194】
樹状細胞(DC)は、強力な抗原提示細胞である。DCはT細胞の活性化および増殖に必要なすべてのシグナルを提供することが示されている。これらのシグナルは2つのタイプに分類できる。免疫応答に特異性を与える第1のタイプは、T細胞受容体/CD3(「TCR/CD3」)複合体と、APCの表面の主要組織適合遺伝子複合体(上記の「MHC」)クラスIまたはIIタンパク質によって提示される抗原ペプチドとの相互作用によって媒介される。この相互作用は、T細胞の活性化が起こるために必要であるが、十分ではない。実際、第2のタイプのシグナルがなければ、第1のタイプのシグナルはT細胞免疫不応答をもたらす可能性がある。共刺激シグナルと呼ばれる第2のタイプのシグナルは、抗原特異的でもMHC制限的でもなく、第1のタイプのシグナルの存在下でT細胞の完全な増殖反応とT細胞エフェクター機能の誘導をもたらすことができる。
【0195】
いくつかの分子が共刺激活性を増強させることが示されている。これらの分子には、限定するものではないが、熱安定抗原(HSA)、コンドロイチン硫酸修飾MHC不変鎖(Ii-CS)、細胞内接着分子I(ICAM-1)、およびAPC表面のB7共刺激分子、ならびにT細胞上のそのカウンター受容体CD28またはCTLA-4が含まれる。
【0196】
他の重要な共刺激分子はCD40、CD54、CD80、CD86である。本明細書で使用される「共刺激分子」という用語は、T細胞の表面上のTCRにより結合されるペプチド/MHC複合体と一緒に作用する場合、このペプチドに結合するT細胞の活性化を達成する共刺激効果を提供する任意の単一分子または分子の組み合わせを包含する。したがって、この用語は、B7、またはT細胞の表面のTCRがペプチドに特異的に結合すると、ペプチド/MHC複合体とともに同族リガンドに結合し、T細胞の活性化をもたらすAPC上の他の共刺激分子、その断片(単独、(1または複数の)別の分子と複合体化して、または融合タンパク質の一部として)を包含する。共刺激分子は、例えばBeckman Coulterを含むさまざまな供給元から市販されている。
【0197】
本発明の一態様では、Romani et al.,J.Immunol.Methods 196:135-151,1996、およびBender et al,J.Immunol.Methods 196:121-135,1996に記載の方法を使用して、マウス、サル、ヒトなどの哺乳類の末梢血単核細胞(PBMC)から未成熟および成熟両方の樹状細胞を生成する。簡潔には、単離PBMCは免疫磁気技術によりT細胞およびB細胞を枯渇させるように予備処理される。次いで、リンパ球が枯渇したPBMCを、ヒト血漿(好ましくは自己血漿)およびGM-CSF/IL-4を添加したRPMI培地9において(例えば約7日間)培養して、樹状細胞を生成させる。樹状細胞は、単球前駆細胞と比較すると非接着性である。したがって、約7日目に、非接着細胞をさらなる処理のために回収する。
【0198】
GM-CSFおよびIL-4の存在下でPBMCに由来する樹状細胞は、サイトカイン刺激が培養物から除去されると、非接着性を失い、マクロファージ細胞の運命に戻り得るという点で未成熟である。未成熟状態の樹状細胞は、MHCクラスII制限経路の天然タンパク質抗原のプロセシングに非常に効果的である(Romani,et al.,J.Exp.Med.169:1169,1989)。培養樹状細胞のさらなる成熟は、必要な成熟因子を含むマクロファージ馴化培地(CM)で3日間培養することにより達成される。成熟樹状細胞は、提示のために新しいタンパク質を捕捉する能力は低いが、休止T細胞(CD4およびCD8の両方)を刺激して成長および分化させることにはるかに優れている。
【0199】
成熟樹状細胞は、より運動性の細胞質突起(cytoplasmic process)の形成などのその形態変化によって、それらの非接着性によって、以下のマーカー:CD83、CD68、HLA-DRもしくはCD86の少なくとも1つの存在によって;またはCD 115などのFc受容体の喪失によって(Steinman,Annu.Rev.Immunol.9:271,1991において総説)同定することができる。成熟樹状細胞は、FACScanおよびFACStarなどの典型的な細胞蛍光検査法および細胞選別技術およびデバイスを使用して収集および分析可能である。フローサイトメトリーに使用される一次抗体は、成熟樹状細胞の細胞表面抗原に特異的なものであり、市販されている。二次抗体は、ビオチン化Ig、続くFITCまたはPE結合ストレプトアビジンであり得る。
【0200】
または、樹状細胞を上方制御(活性化)し、単球を活性化樹状細胞表現型に変換する方法が報告されている。この方法では、培養培地にカルシウムイオノフォアを添加して、単球を活性化樹状細胞に変換する。例えば、24~48時間の培養期間の開始時にカルシウム21イオノフォアA23187を追加すると、プールされた「単球+DC」画分の均一な活性化と樹状細胞表現型変換が得られ、特徴的には、活性化された集団は均一にCD14(Leu M3)陰性となり、HLA-DR、HLA-DQ、ICAM-1,137.1、および137.2を上方制御する。さらに、この活性化されたバルク集団は、さらに精製されると少数ベースでも同様に機能する。サイトカインの特定の(1または複数の)組み合わせは、カルシウムイオノフォアで達成される活性化/変換を増幅(または部分的に置換)するための使用に成功しており、これらのサイトカインには、限定するものではないが、G-CSF、GM-CSF、IL-2、およびIL-4が含まれる。単独で投与した場合、各サイトカインは最適な上方制御には不十分である。
【0201】
APCを単離するための第2のアプローチは、血液中にすでに循環している比較的多数の事前コミット済みAPCを収集することである。コミットされたAPCをヒト末梢血から単離するための以前の技術は、メトリザミド勾配などの物理的手順と、付着/非付着工程(Freudenthal et al.PNAS 87:7698-7702,1990);パーコール勾配分離(Mehta-Damani,et al.,J.Immunol.153:996-1003,1994);および蛍光活性化細胞選別技術(Thomas et al.,J.Immunol.151:6840-52,1993)との組み合わせを含んでいた。
【0202】
プロフェッショナル抗原提示細胞(またはその前駆体)を単離するための当技術分野で日常的な他の多くの方法があり、そのような方法および開発され得る他の方法は限定されず、本発明の範囲内に包含される。
【0203】
一実施形態では、APC、したがって1または複数の抗原を提示する細胞は自己由来である。別の実施形態では、抗原を提示するAPCは同種異系である、すなわち異なる対象に由来する。
【0204】
本明細書で議論されるように、改良LAMP構築物は、限定するものではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、融合、マイクロインジェクション、ウイルスベースの送達、または細胞ベースの送達を含む上記の方法または当技術分野で公知の他の方法を使用してAPCに導入することができる。Arthur et al.,Cancer Gene Therapy 4(l):17-25,1997は、ヒト樹状細胞における遺伝子導入法の比較を報告している。
【0205】
ヒトMHCの遺伝子名称であるヒト白血球型抗原(HLA)の、コンセンサス配列を含む公知の部分的および推定のアミノ酸およびヌクレオチド配列が公開されており(例えば、Zemmour and Parham,Immunogenetics 33:310-320,1991を参照されたい)、HLA変異体を発現する細胞株が公知であり、American Type Culture Collection(「ATCC」)から多くが一般に利用可能である。したがって、PCRを使用して、MHCクラスIIをコードするヌクレオチド配列は、本発明の発現ベクターに容易に作動可能に連結され、次いで、発現のために適切な細胞を形質転換するためにその中で使用される。
【0206】
マクロファージ、B細胞、単球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞などのプロフェッショナルAPCが使用可能である。これらは、1)自己ドナー;2)治療対象の宿主と異なるHLA特異性を有する異種ドナー;または3)標準的な手順を使用して異なる種の異種間ドナーからの血液または組織から収集される(Coligan,et.al.,Current Protocols in Immunology,sections 3 and 14,1994)。細胞は、正常な宿主または感染症、がん、自己免疫疾患、またはアレルギーを有する患者から単離されてもよい。
【0207】
プロフェッショナルAPCは、白血球除去および「FICOLL/HYPAQUE」密度勾配遠心分離(フィコールおよび不連続パーコール密度勾配による段階的遠心分離)を使用して、末梢血から得ることができる。APCによって内在化され得る抗原へのAPCの曝露を回避する手順を利用して、目的の抗原に特異的ではないT細胞の活性化をもたらす。
【0208】
本来は抗原提示ではない細胞を、適切な分子をコードする配列を導入することにより、抗原提示になるように操作することができる。例えば、MHCクラスII分子、アクセサリー分子、共刺激分子および抗原プロセシング補助分子をコードする核酸配列を、そのような遺伝子を含む細胞由来のDNAの直接合成、クローニング、精製などの後で導入することができる。本明細書に記載の改良LAMP構築物および方法で使用される分子をコードする遺伝子を得るための都合のよい1つの手段は、選択された核酸鋳型における選択されたオリゴヌクレオチドプライマー対を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によるものである。例えば、上皮細胞、内皮細胞、腫瘍細胞、線維芽細胞、活性化T細胞、好酸球、ケラチノサイト、アストロサイト、ミクログリア細胞、胸腺皮質上皮細胞、シュワン細胞、網膜色素上皮細胞、筋芽細胞、血管平滑筋細胞、軟骨細胞、腸細胞、甲状腺細胞および腎尿細管細胞が使用可能である。これらは、宿主から最近外植され、確立された細胞株を形成するために細胞培養で広範囲に継代されていない初代細胞であるか、または比較的均質で何世代にもわたり無期限に増殖できる確立された細胞株である。
【0209】
プロフェッショナルAPCではない細胞は、自己ドナー、異種ドナーまたは異種間ドナーの任意の組織から単離され、そこでそれらは、さまざまな公知の分離方法を使用して存在する(Darling,Animal Cells:Culture and Media.J.Wiley,New York,1994;Freshney,Culture of Animal Cells.Alan R.Liss,Inc.,New York,1987)。非自己細胞、例えば異種細胞または異種間細胞をex vivoで操作して、公知のヒトHLA特異性に一致するHLAクラスIおよびクラスII分子を発現させることができる。次に、これらの細胞を、操作された細胞のHLA特異性に一致するヒト対象に導入することができる。細胞は、本発明による1または複数のLAMP構築物を発現するようにex vivoでさらに操作される。
【0210】
操作された細胞は、標準的な細胞培養法による細胞培養で維持される(Darling,Animal Cells:Culture and Media”.J.Wiley,New York,1994;Freshney,Culture of Animal Cells”.Alan R.Liss,Inc.,New York,1987)。本発明で使用するための細胞株は、さまざまな供給源(e.g.,ATCC Catalogue of Cell Lines&Hybidomas,American Type Culture Collection,8th edition,1995)から得られるか、または標準的な方法(Freshney,Culture of Immortalized Cells,Wiley-Liss,New York,1996)を用いて作製される。非形質転換細胞株は、ヒト対象での使用に好ましい。
【0211】
一態様では、GM-CSFの影響下で樹状細胞に分化するCD34+前駆体は、対象の身体から得られ、本発明によるLAMP構築物をコードする核酸が細胞に導入され、その後、対象に注入される。本明細書に記載の改良LAMP構築物を利用すると、特定の抗原に由来するペプチドと形質導入された抗原提示細胞上のMHCクラスII分子との結合が増強され、結果としてより強力な全身性T細胞依存性免疫応答および/または抗体産生がもたらされる。この戦略においてトランスフェクトされた抗原提示細胞は好ましくは自己細胞であるが、宿主内で抗原を効果的に提示する任意のMHCクラスII細胞を上記のように使用してもよい。
【0212】
ペプチドワクチン
改良LAMP構築物によってコードされるペプチドワクチンも本発明の範囲内である。
好ましくは、抗原は区画/オルガネラ(またはそれが送達される後続の区画/オルガネラ)内でプロセシングされ、MHCクラスII分子に結合した免疫応答を調節することができるエピトープを生成する。
【0213】
改良LAMP構築物によりコードされるペプチドワクチンはまた、膜構造に結合されて、生物の身体へのその投与を容易にすることができる。例えば、改良LAMP構築物によりコードされたペプチドワクチンは、米国特許第4,448,765号に記載のように、リポソーム内に組み込むことができる。
【0214】
タンパク質またはポリペプチドを免疫原として使用する場合、本明細書に記載の改良LAMP構築物の任意の1または複数を組換え細胞において発現させることによって産生させるか、または化学合成により調製することができる。例えば、Merrifield技術(Journal of American Chemical Society,vol.85,pp.2149-2154,1968)を使用することができる。
【0215】
LAMP構築物を使用して抗体を生産する方法
ポリヌクレオチドとしての改良LAMP構築物、改良LAMP構築物のコードされたタンパク質、および/または細胞(本明細書に記載の改良LAMP構築物を発現する抗原提示細胞など)を使用して、当業者に周知の方法、例えば、当技術分野で説明されている方法などにより抗体を生成することができる。例えば、Sutcliffe et al.、上記;Wilson et al.、上記;Chow et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:910-914(1985);およびBittle et al.,J.Gen.Virol.66:2347-2354(1985)を参照されたい。in vivo免疫化が使用される場合、動物は、改良LAMP構築物によってコードされるタンパク質および/または本明細書に記載の抗原を含む改良LAMP構築物を含むポリヌクレオチドを用いて免疫化することができる。ポリヌクレオチドとしての改良LAMP構築物、改良LAMP構築物のコードタンパク質、および/または細胞(本明細書に記載の改良LAMP構築物を発現する抗原提示細胞など)を用いたプライミング、それに続く抗原を用いたブースティングは本発明の好ましい実施形態である。さらなる好ましい実施形態では、本明細書に記載の改良LAMP構築物を用いたプライミング、それに続く抗原を用いたブースティングが特に企図され、特に抗体レパートリーの多様性および力価の点から見て、さらに強固な免疫応答を生み出すために使用できる。
【0216】
抗原を含む改良LAMP構築物は、抗体を産生するために非ヒト脊椎動物に注入することができる。LAMP構築物の調製および非ヒト脊椎動物への注入は、当業者に周知の動物の免疫化の原理に従って達成されることができる。
【0217】
抗原を効果的に提示するための改良LAMP構築物の使用は、一態様では、エンドサイトーシスおよびエンドソームとリソソームとの融合後に抗原提示細胞においてLAMPによってプロセシングされる抗原を伴う。エンドソームは、クラスII MHC分子を含むゴルジ体からのエキソサイトーシス小胞と融合し、結果として生じるペプチドが結合する。次に、MHC-ペプチド複合体は、抗原がCD4T細胞へのディスプレイに利用できる原形質膜に輸送される。
【0218】
ウサギ、ラット、マウス、ラマ、ラクダ、および/またはウシなどの動物は、抗原を含む改良LAMP構築物および/または抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチドで免疫化することができる。免疫化に適した追加の動物には、非ヒト哺乳動物、例えば、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ(例えば、マウス)、イヌ(例えば、犬)、ネコ(例えば、猫)、ウマ(例えば、馬)、霊長類、真猿類(例えば、サルまたは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ、アカゲザル)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)が含まれる。
【0219】
例えば、約100マイクログラムの抗原を含む改良LAMP構築物または担体タンパク質およびフロイントアジュバントまたは免疫応答を刺激することが公知の任意の他のアジュバントを含むエマルジョンの腹腔内および/または皮内注射が使用できる。固体表面に直接または(例えば、ビオチン化AviTagを介して)間接的に吸着した遊離の抗原を使用するELISAアッセイにより検出可能な、抗抗原抗体の有用な力価を提供するために、いくつかのブースター注射(組換え抗原タンパク質を含むものなど)を、例えば約2週間の間隔で必要としてもよい。免疫化動物の血清中の抗抗原抗体の力価は、抗抗体の選択により、例えば、固体支持体上の抗原への吸着および当技術分野で周知の方法による選択された抗体の溶出により増加させることができる。
【0220】
または、抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチドを動物に直接導入することもできる。例えば、米国特許第5,676,954号;第6,875,748号;第5,661,133号;Sahin et al.,Nat Rev Drug Discov,2014Oct;13(10):759-80;Kariko et al.,Mol Ther,2008Nov;16(11):1833-40;Kariko et al.,Nucleic Acid Res,2011,Nov;39(21):e142;米国特許第6,511,832号を参照されたい。一例では、抗原を含む改良LAMP構築物は、非ヒト脊椎動物に直接注入される。動物への注射は、筋肉内、皮内、鼻腔内、皮下、静脈内、気管内、およびくも膜下腔内の送達を介して行うことができる。継続する組換え抗原によるブースティングも、抗体の生成に含めることができる。
【0221】
さらに、開示の方法によって生成された抗体は、例えばファージディスプレイ、酵母ディスプレイまたはリボソームディスプレイなどのディスプレイ技術を使用して親和性成熟させることができる。一例では、ファージ粒子の表面にディスプレイされる単鎖抗体分子(「scFv」)をスクリーニングして、抗原および/または出発タンパク質に免疫特異的に結合するscFvを同定する。本発明は、scFvならびに抗原および/または出発タンパク質に免疫特異的に結合することが同定されたその部分の両方を包含する。そのようなscFvは、例えば、scFvのVHおよび/またはVLドメインをコードするヌクレオチド配列を定常ドメイン配列を含む発現ベクターに挿入し、免疫グロブリン分子の発現を指示するように操作することにより、免疫グロブリン分子に日常的に「変換」することができる。
【0222】
抗原を含む改良LAMP構築物および/または本発明の抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチドを使用した、産生された抗体(scFvおよび抗体断片またはその変異体(例えば、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖もしくはその一部、または本発明の単鎖抗体)を含むか、またはそれらからなる他の分子を含む)の組換え発現には、抗体またはその断片または変異体をコードするポリヌクレオチドを含む(1または複数の)発現ベクターの構築が必要である。抗体分子(例えば、全抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその変異体もしくは部分(必ずしもそうではないが、重鎖または軽鎖可変ドメインを含むことが好ましい))をコードするポリヌクレオチドが得られたら、該抗体分子の産生のための(1または複数の)ベクターは、当該分野で周知の技術を使用した組換えDNA技術により作製することができる。したがって、抗体コードヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現させることにより抗体を調製する方法を、本明細書に記載する。当業者に周知の方法を使用して、抗体コード配列および適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが含まれ、これを本明細書に記載する。したがって、本発明は、本明細書に記載のように得られ、単離された抗抗原抗体(例えば、全抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメイン、またはその一部、または重鎖もしくは軽鎖のCDR、単鎖Fv、またはその断片もしくは変異体)をコードする、プロモーターに作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み(例えば、PCT公報国際公開第86/05807号;PCT公報国際公開第89/01036号;および米国特許第5,122,464号を参照されたい)、抗体の可変ドメインは、全重鎖、全軽鎖、または全重鎖および軽鎖両方の発現のために、そのようなベクターにクローニングすることができる。
【0223】
(1または複数の)発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移入することができ、その後、トランスフェクトされた細胞は、従来の技術によって培養され、いずれかの抗抗原抗体を産生する。したがって、本発明は、抗抗原抗体(例えば、全抗体、その重鎖もしくは軽鎖、またはその一部、または本発明の単鎖抗体、またはその断片もしくは変異体)をコードする、異種プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。好ましい実施形態では、全抗体分子の発現のために、以下に詳述するように、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターを宿主細胞において全免疫グロブリン分子の発現のために同時発現させることができる。
【0224】
さまざまな宿主発現ベクター系を利用して、抗抗原抗体を発現させることができる。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を生成し、その後精製することができるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトした場合、抗抗原抗体を発現する細胞のことも表す。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、または配列を含むコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例:大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis))などの微生物;コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia));コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(バキュロウイルスなど)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、またはコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス(例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含む組換え発現構築物を含む哺乳動物細胞系(例えばCOS、CHO、BHK、293、3T3細胞)が含まれる。好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、より好ましくは真核細胞が、抗抗原抗体の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーター要素などのベクターと組み合わせて有効な発現系となる(Foecking et al.,Gene 45:101(1986);Cockett et al.,Bio/Technology 8:2(1990))。
【0225】
細菌系では、意図する用途に応じて多くの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、大量のタンパク質を生産する場合(抗体産生または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドのいずれかのために)、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましいと思われる。このようなベクターには、限定するものではないが、融合タンパク質が産生されるように、コード配列がlac Zコード領域とインフレームでベクター内に個別にライゲーションされ得る大腸菌(E.coli)発現ベクターpUR278(Ruther et al.,EMBO 1.2:1791(1983));pINベクター(Inouye&Inouye,Nucleic Acids Res.13:3101-3109(1985);Van Heeke&Schuster,J.Biol.Chem.24:5503-5509(1989))などが含まれる。pGEXベクターを使用して、外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合と、それに続く遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出されるように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
【0226】
昆虫系では、オートグラファカリフォルニアニュークレア(Autographa californica nuclear)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドを発現させることができる。このウイルスはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の細胞内で増殖する。コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)内に個別にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれる。
【0227】
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現系を利用して、抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドを発現させることができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的のコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三連リーダー配列(tripartite leader sequence)にライゲーションされ得る。次いで、このキメラ遺伝子は、in vitroまたはin vivoの組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入され得る。
【0228】
ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入により、感染宿主において生存可能な、抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドを発現できる組換えウイルスが得られる(例えば、Logan&Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 1:355-359(1984)を参照されたい)。
【0229】
挿入されたコード配列の効率的な翻訳には、特定の開始シグナルも必要になり得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと同時性(in phase)でなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成両方のさまざまな起源のものであってよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含めることにより高めることができる(例:Bittner et al.,Methods in Enzymol.153:51-544(1987)を参照)。
【0230】
加えて、挿入された配列の発現を調節するか、または遺伝子産物を所望の特定の様式で改変およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような改変(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変のための特徴的かつ特定のメカニズムを有する。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現された外来タンパク質の正しい改変とプロセシングを確実に行うことができ、この目的のために、一次転写産物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機構を保有する真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞には、限定するものではないが、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、NSO、MDCK、293、3T3、W138、ならびに特に、例えばBT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47Dなどの乳がん細胞株、およびCRL7O3OおよびHsS78Bstなどの正常な乳腺細胞株が含まれる。
【0231】
組換えタンパク質の長期にわたる高収量の生産には、安定した発現が好ましい。例えば、抗抗原抗体の発現または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドを安定して発現する細胞株に操作することができる。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するのではなく、適切な発現制御要素(プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)よって制御されるポリヌクレオチドおよび選択可能なマーカーで宿主細胞を形質転換することができる。外来ポリヌクレオチドの導入に続いて、操作された細胞は、栄養強化培地で1~2日間増殖させ、その後、選択培地に切り替えることができる。組換えプラスミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをその染色体に安定して組み込んで成長し、細胞株内でクローニングされ、増殖できる病巣(foci)を形成可能にする。この方法は、抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドを発現する細胞株を操作するために有利に使用することができる。
【0232】
多数の選択系、例えば、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,Cell 22:8 17(1980))の遺伝子は、それぞれtk-、hgprt-、またはaprt-細胞において使用することができる。また、代謝拮抗薬耐性は、以下の遺伝子の選択の基礎として使用することができる:dhfr、メトトレキサートに対する耐性を付与する(Wigler et al.,Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980);O’Hare et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));gpt、ミコフェノール酸に対する耐性を付与する(Mulligan&Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));neo、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与する(Goldspiel et al.,Clinical Pharmacy,12:488-505(1993);Wu and Wu,Biotherapy 3:87-95(1991);Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596(1993);Mulligan,Science 260:926-932(1993);およびMorgan and Anderson,Ann.Rev.Biochem.62:191-217(1993);TIB TECH 11(5):155-2 15(May;1993));ならびにhygro、ハイグロマイシンに対する耐性を付与する(Santerre et al.,Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、所望の組換えクローンを選択するために日常的に適用することができ、そのような方法は、例えば、Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);ならびにChapters 12および13、Dracopoli et al.(eds),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY(1994);Colberre-Garapin et al.,J.Mol.Biol.150:1(1981)に記載されている。
【0233】
抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドの発現レベルは、ベクター増幅によって増加させることができます(総説については、Bebbington and Hentschel,The Use Of Vectors Based On Gene Amplification For The Expression Of Cloned Genes In Mammalian Cells In DNA Cloning,Vol.3.(Academic Press,New York,1987)を参照されたい)。抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドを発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞培養中に存在する阻害剤のレベルを増加させるとマーカー遺伝子のコピー数が増加する。増幅された領域はコード配列に関連付けられているため、抗抗原抗体の発現または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドの産生も増加する(Crouse et al.,Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
【0234】
ベクター配列に含めることができる他の要素としては、異種シグナルペプチド(分泌シグナル)、膜固定配列、イントロン、代替スプライス部位、翻訳開始および停止シグナル、インテイン、ビオチン化部位、および翻訳後修飾を促進する他の部位、精製タグ、他のタンパク質またはペプチドへの融合をコードする配列、内部リボソーム再進入部位により分離された別個のコード領域、例えば選択性(例えば抗生物質耐性)または選別性(例えば蛍光)を付与する「マーカー」タンパク質をコードする配列、修飾ヌクレオチドおよびシス作用特徴の他の公知のポリヌクレオチドが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0235】
宿主細胞には、本発明の2つの発現ベクター、例えば、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターを同時トランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択可能マーカーを含んでもよい。あるいは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現できる単一のベクターを使用してもよい。このような状況では、過剰な毒性のない重鎖を避けるために、軽鎖は重鎖の前に配置することが好ましい(Proudfoot,Nature 322:52(1986);Kohler,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2 197(1980))。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAまたは合成DNA配列を含んでもよい。
【0236】
抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドが組換え発現によって生成されると、タンパク質の精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性(特にプロテインAの親和性および特異的抗原に対する免疫親和性による)、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の違い、またはタンパク質精製のための任意の他の標準技術により精製することができる。さらに、抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドは、精製を促進するために本明細書に記載の、または当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合され得る。
【0237】
一例では、抗抗原抗体または改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドは、免疫グロブリンの定常ドメイン(IgA、IgE、IgG、IgM)またはその一部(CH1、CH2、CH3、またはそれらの任意の組み合わせおよびそれらの一部)、またはアルブミン(限定するものではないが、組換えヒトアルブミンまたはその断片または変異体を含む(例えば、1999年3月2日発行の米国特許第5,876,969号、欧州特許第0413622号、および1998年6月16日発行の米国特許第5,766,883号))と融合されて、キメラポリペプチドをもたらし得る。そのような融合タンパク質は、精製を促進し、in vivoでの半減期を延長し得る。これは、ヒトCD4-ポリペプチドの最初の2つのドメインと哺乳類免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域のさまざまなドメインからなるキメラタンパク質として示されている。例えば、欧州特許第394,827号;Traunecker et al.,Nature,331:84-86(1988)を参照されたい。免疫系に対する上皮バリアを通過する抗原送達の増強は、IgGまたはFe断片などのFcRn結合パートナーに結合した抗原(例えば、インスリン)について実証されている(例えば、PCT公報国際公開第96/22024号および国際公開第99/04813を参照されたい)。IgG部分のジスルフィド結合によるジスルフィド連結二量体構造を有するIgG融合タンパク質は、単量体ポリペプチドまたはその断片単独よりも他の分子の結合および中和においてより効率的であることがわかっている。例えば、Fountoulakis et al.,J.Biochem.,270:3958-3964(1995)を参照されたい。抗抗原抗体または本明細書に記載の改良LAMP構築物のコード化ポリペプチドをコードする核酸を、エピトープタグ(例えば、血球凝集素(「HA」)タグまたはフラグタグ)として目的の遺伝子と組換え、発現されたポリペプチドの検出および精製を助けることもできる。例えば、Janknechtらに記載されている系は、ヒト細胞株で発現した非変性融合タンパク質を即時精製することができる(Janknecht et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972-897)。この系では、遺伝子のオープンリーディングフレームが6個のヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに翻訳融合されるように、目的の遺伝子をワクシニア組換えプラスミドにサブクローニングする。タグは、融合タンパク質のマトリックス結合ドメインとして機能する。組換えワクシニアウイルスに感染した細胞からの抽出物をNi2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムに負荷し、ヒスチジンタグ付きタンパク質をイミダゾール含有バッファーで選択的に溶出することができる。
【0238】
投与
本発明によるワクチン材料は、本明細書に記載の免疫刺激性改良LAMP構築物を含んでも、または組換え微生物、または免疫刺激性改良LAMP構築物を発現する抗原提示細胞であってもよい。本発明によるワクチン材料を含む改良LAMP構築物の調製および個体の免疫化のためのそのような改良LAMP構築物の投与は、当業者に周知の免疫化の原理に従って達成される。
【0239】
本明細書に記載の改良LAMP構築物を発現するレプリコンを含む組換え細胞または形質転換細胞を培養することにより、これらの材料を大量に得ることができる。培養方法は、当業者に周知であり、上記で引用した文書の1つまたは複数で教示されている。改良LAMP構築物ワクチンは一般に、組換え細胞または形質転換細胞の培養によって製造され、通常生理学的に適合性のある水溶液である薬理学的に許容される溶液もしくは懸濁液、または当技術分野で、例えば米国特許第4,446,128号に記載のようにコーティング錠、錠剤、カプセル、坐剤またはアンプルに製剤化され、当該特許は参照により本明細書に組み込まれる。投与は、経口、直腸、鼻腔内または注射による任意の適切な経路であり得、注射は、例えば、経皮、皮下、筋肉内または静脈内であり得る。
【0240】
改良LAMP構築物は、哺乳動物に免疫応答を誘発するのに十分な量で哺乳動物に投与される。投与のための好ましい最小量は、投与前に存在した濃度の少なくとも4倍の濃度まで抗体形成を誘発するのに必要な量である。投与の一般的な初期用量は、静脈内、筋肉内または皮下投与の場合10~5000マイクログラム、または10~1011プラーク形成単位の組換えベクターであるが、この量は、ワクチンおよび免疫応答を誘発する他の薬剤の投与を一般に行う、投与を実施する臨床医によって調整されてもよい。通常、免疫を誘発するには単回投与で十分であり得るが、応答を確実にする、またはブーストするために、複数回投与を行ってもよい。
【0241】
改良LAMP構築物ワクチンは、最初に非ヒト哺乳動物(例えば、マウスまたは霊長類)で試験することができる。例えば、接種したマウスの免疫応答のアッセイを使用して、野生型抗原よりも多くの抗体、T細胞増殖、および改良LAMP構築物に対する細胞傷害性T細胞応答を示すことができる。改良LAMP構築物をアカゲザルで評価して、マウスで非常に効果的なワクチン製剤が適切なサルの免疫応答を誘発するかどうかを判断することができる。一態様では、各サルに、免疫化ごとに合計5mgのDNAを、IM送達で2つの部位に分けて投与し、0日目および4、8、および20週目に免疫化し、追加の用量は任意選択である。抗体応答、ADCC、CD4+およびCD8+T細胞サイトカイン産生、CD4+およびCD8+T細胞抗原特異的サイトカイン染色を測定して、ワクチンに対する免疫応答をモニターすることができる。
【0242】
本発明による製剤化および投与の適切な方法のさらなる説明は、米国特許第4,454,116号(構築物)、米国特許第4,681,762号(組換え細菌)、ならびに米国特許第4,592,002号および第4,920,209号(組換えウイルス)に見出すことができる。
【0243】
がん免疫療法:
予防と治療の候補
がん免疫療法の候補者は、本明細書に記載の改良LAMP構築物のいずれかで治療される任意のがん患者である。例としては、エプスタイン-バーウイルス関連リンパ腫が記録されている患者、HPV関連子宮頸がん患者、慢性HCV患者、またはがん遺伝子もしくは腫瘍抑制遺伝子に明確な再配列または変異がある患者が挙げられる。
【0244】
好ましい実施形態では、本明細書に記載のワクチンを使用して治療可能ながんは、限定するものではないが、すべての進行段階の腺がん、肉腫、皮膚がん、黒色腫、膀胱がん、脳がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、肺がん(限定するものではないが、NSCLC、SCLC、扁平上皮がんを含む)、結腸直腸がん、肛門がん、直腸がん、子宮頸がん、肝臓がん、頭頸部がん、口腔がん、唾液腺がん、食道がん、膵臓がん、膵管腺がん(PDA)、腎がん、胃がん、腎がん、多発性骨髄腫または脳がんが挙げられる。
【0245】
改良LAMP構築物を含むワクチン組成物による治療は、個人のがんが特定されれば、その経過中の任意の期間で利用できることが想定される。リスクの高い患者では、その後のがんの発生を防ぐためのワクチン接種も可能である。
【0246】
治療の手順
一実施形態では、改良LAMP構築物は、悪性腫瘍の経過中の任意の適切な時間に患者に注入することができる。例えば、改良LAMP構築物は、腫瘍の負荷が低い段階で注入される。改良LAMP構築物が個体の抗原提示細胞に導入される代替実施形態では、抗原提示細胞または成熟抗原提示細胞の前駆体は、静脈穿刺により個体の骨髄または末梢血のいずれかから採取される。これらの細胞は培養で確立され、改良LAMP構築物を形質導入される。形質導入が行われると、これらの抗原提示細胞が患者に注入され、戻される。
【0247】
特に好ましい実施形態では、本発明は、疾患の初期、新生物腫瘍の切除後、または腫瘍細胞の負荷が減少した場合など、腫瘍負荷が低いがん患者の治療方法を提供する。この方法では、MHCクラスII分子を発現する抗原提示細胞に分化することができる自己幹細胞を含む細胞集団が患者から得られる。これらの細胞を培養し、改良LAMP構築物を導入することにより、MHCクラスII分子に関連する抗原をこの区画/オルガネラ内、または抗原が送達される別の区画/オルガネラ内のいずれかに送達するように形質転換する。
【0248】
次いで、トランスフェクトされた幹細胞集団を患者に再導入し、そこで幹細胞は、抗原からのTエピトープと複合体化したMHCクラスII分子を発現する抗原提示細胞に分化する。抗原に対する免疫応答は、ヘルパーT細胞集団の刺激を増強することにより増強される。
【0249】
より一般的には、一実施形態では、本発明は、抗原に対する哺乳動物の免疫応答を調節する(すなわち、そのような応答を刺激、増強、または低減する)ための改良LAMP構築物を含むワクチン組成物を提供する。
【0250】
キット
本発明はさらに、本明細書に記載の方法の実施を容易にするキットを含む。一態様では、キットは、本明細書に記載の改良LAMP構築物と、改良LAMP構築物を受け取るための細胞とを含む。キットは、細胞をプロフェッショナルAPCに操作するための1または複数の核酸をさらに含んでもよい。しかし、一態様にでは、細胞はプロフェッショナルAPCである。細胞は共刺激分子を発現しても、またはしなくてもよい。好ましい態様では、細胞が共刺激分子を発現しない場合、改良LAMP構築物によりコードされる抗原は自己抗原である。別の態様において、異なるMHC分子(例えば、ヒトで発現されることが知られている)を発現する細胞のパネルが提供される。さらなる態様において、キットは、改良LAMP構築物の細胞への進入を促進する試薬(例えば、脂質ベースの製剤、ウイルスパッケージング材料、細胞など)を含む。なおさらなる態様では、改良LAMP構築物によってコードされる抗原に特異的な1または複数のT細胞株が提供され、改良LAMP構築物の免疫応答を誘発、調節または増強する能力が検証される。
【実施例0251】
ここで、以下の実施例を参照して本発明をさらに説明する。以下のことは単なる例に過ぎず、本発明の範囲内にある限り詳細を変更可能であることを理解されたい。
【0252】
実施例1-LAMP構築物の構築
図1に示す改良LAMP構築物は、当業者に周知の標準的な分子生物学技術を使用して構築することができる。例えば、ポリヌクレオチドを含むプラスミドは、図1に示されるILC-1からILC-6の異なる構造を生成するように設計できる。図1に示したLAMPドメインは、図3~10に示したアミノ酸配列に由来する。好ましくは、LAMPドメインは、図3~10に示されるヒトLAMPタンパク質に由来する。ヒト配列と比較して同等のドメインを同定することにより、対応するドメインをオルソロガス配列からクローニングすることも想定される。目的の抗原(目的の1または複数の抗原を含む)は、個別にまたは組み合わせて、記載のLAMP構築物にクローニングできる。
【0253】
実施例2-LAMP構築物に対するマウスの免疫応答評価
実施例1に記載の改良LAMP構築物の能力を、免疫応答を調節する能力について試験することができる。例えば、メスBALB/cマウスを、0、14、28日目にナノパスを使用して、100μlPBS中50μgの改良LAMP構築物と5μgのGMCSFで免疫化することができる。実験は、最後の投与の4週間後に終了させた。
【0254】
脾細胞(3x105/ウェル)をT細胞培地(10%熱不活性化FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、および1x2-MEを含むRPMI)において抗原タンパク質(10ug/ml)で刺激し、72時間後に上清を収集する。上清を希釈し(上清400ul+T細胞培地200ul)、サイトカインをELISAによって評価する。IL-10またはIL-4の産生を、ELISPOTアッセイで測定できる。
【0255】
実施例3-LAMP構築物を使用した抗原提示の改善
サバイビンは、アポトーシスの阻害と細胞周期の調節に関与する、タンパク質のアポトーシス阻害剤(IAP)ファミリーの最小メンバーである。これらの機能的属性により、サバイビンは、多様な機能、すなわち細胞増殖と細胞死の調節を示す独特なタンパク質となる。腫瘍におけるサバイビンの発現は、アポトーシスの阻害および細胞死の減少率と相関するだけでなく、化学療法および腫瘍の攻撃性に対する耐性とも相関する[1-6]。
したがって、サバイビンはがんワクチンおよび治療薬の重要な標的である[7-9]。サバイビンは、ヒトおよび胚性幹細胞の両方において優勢に発現されることがわかっており、多くの体性幹細胞型は、幹細胞の生成と維持における未だ未解明の役割を示している。
【0256】
がんは、他の身体部分に侵入する可能性のある異常な細胞増殖が正常な恒常性を制御し、適時かつ適切に治療されなければ致命的になる異種の疾患群である。免疫療法は腫瘍細胞を特異的に標的とし、それにより非腫瘍細胞への付随的損傷を回避し、抗腫瘍応答を誘導する。この抗腫瘍応答は、外科的切除では不可能な場合がある体内の遠隔部位の腫瘍を根絶する可能性も有する。腫瘍細胞は複数の回避戦略を使用し、免疫細胞による検出または排除を回避するため、抗腫瘍免疫応答の誘導または増強は、がんにおける手ごわい課題である。
【0257】
このプロジェクトの目的は、I.D.によってBALB/cマウスに注入されたすべての新世代LAMP構築物のin vivo免疫応答を評価することである。具体的には、マウスを、皮内注射により図1の凡例に定義されている被験構築物50μgで免疫化した。この実験ではアジュバントは添加しなかった。6匹のマウス/群にワクチンを7日ごとに、1ヶ月に合計3回投与した。免疫応答を、最後の免疫化の14日後にモニターした。
【0258】
被験LAMP構築物を、本明細書に記載されるように生成し、各被験構築物の配列を図19に示した。サバイビンタンパク質は、MyBiosource(San Diego、CA)から購入した。サバイビンペプチドはGenScript(Piscataway、NJ)からのものであった。抗サバイビンおよびm-IgGk-BP-HRPはSanta Cruz Biotechnology(Dallas、TX)から購入し、マウスモノクローナル抗LAMP-1/CD107aはOriGene Technologies(Rockville、MD)から購入した。IFNγに対するELISPOT抗体ペアはBiolegendからであった。蛍光結合CD3、CD4、CD8、CD44、CD62L、IFNγ、TNFα、グランザイムB、CD69モノクローナル抗体およびZombie aqua fixable viability kitはBioLegend(San Diego、CA)から購入した。ヤギ抗マウスIgG2a-HRPおよびヤギ抗マウスIgG-HRPは、Southern Biotechnologies(Birmingham、AL)から購入した。ストレプトアビジン-HRPは、Thermo Fisher(Waltham、MA)から購入した。SureBlue TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質およびTMB停止液は、KPL(Gaithersburg、MD)から購入した。
【0259】
各構築物50μgを、総量100ul/マウス/用量でPharmajetに使用した。マウスを、0、7、および14日目にi.d.送達によってワクチンを用いて免疫化した。血清収集のため、28日目にマウスから採血した。血清を収集し、-30℃において保存した。脾臓を28日目の実験終了時に収集し、ELISPOTおよびFACSで処理して、サバイビン特異的T細胞応答を評価した。
【0260】
ELISAによる血漿サバイビン特異的全IgGの測定。サバイビンに対するネズミ抗体の応答を、間接的ELISAによって評価した。ELISAプレート(MaxiSorp)を、炭酸-重炭酸バッファー中2μg/mlのサバイビン(1-142)タンパク質で一晩コーティングし、PBS中2%のBSAでブロックした。血漿試料をブロッキングバッファーで1:100に希釈した。試料を、ヤギ抗マウスIgG-HRP(Southern Biotech、Birmingham、AL)を用いて検出した。反応をSureBlue TMB基質で展開し、KPL(Gaithersburg、MD)のTMB停止溶液で停止させた。Epoch ELISAリーダー(BioTek、Winooski、VT)を使用して、プレートを読み取った(OD450)。
【0261】
抗原特異的T細胞応答の評価。ワクチン接種マウスの抗原特異的T細胞応答を評価するために、ワクチン接種マウスの脾細胞を、酵素結合免疫スポット(ELISPOT)による抗原特異的IFNγ産生について評価した。ELISPOTアッセイでは、96ウェルニトロセルロースプレート(Millipore)を、100μl/ウェルのPBS中捕捉モノクローナル抗体で4℃において一晩コーティングした。プレートを200μl/ウェルPBSで3回洗浄し、200μl/ウェルT細胞培地で室温において少なくとも2時間ブロックした。脾細胞を3×10細胞/ウェルで播種し、2μg/mlのプールされたサバイビンのペプチド(表1)、またはコンカバリンA(0.125μg/ml)と共に、または培地のみで、総量200μl/ウェルのT細胞培地(L-グルタミンおよびHEPES(ATCC)、1%ペニシリン、1%ストレプトマイシン、および5×10-5Mのβ-MEを含むRPMI-1640)中3×10細胞/ウェルで37℃、5%COにおいて48時間共培養した。プレートを200μl/ウェルのPBSで2回、200μl/ウェルのPBS-T(0.05%Tween/PBS)で2回洗浄した。希釈した検出抗体(PBS-T/0.5%BSA中50μl/ウェル)を添加し、室温で振とうしながらプレートを2時間インキュベートした。プレートをPBSで4回洗浄した。PBSで希釈したストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(50μl/ウェル)を添加し、2時間インキュベートした。プレートをPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC、BD Bioscience)基質で10分間発色させた。水道水の流水で洗浄することにより発色を停止させた。暗所で室温において72時間乾燥させた後、AID ELISPOT高解像度リーダーシステムおよびAID ELISPOTソフトウェアバージョン3.5(Autoimmun Diagnostika GmbH)を使用して、着色スポットをカウントした。
【0262】
表1.Genscriptからのプールペプチド
【0263】
【表1】
【0264】
ウエスタンブロット。リポフェクタミン2000試薬(Invitrogen)を使用して、293T細胞に被験構築物をトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞をPBSで洗浄し、停止プロテイナーゼ阻害剤(Thermo Scientific、Waltham、MA)を含む200μlのRIPA溶解バッファーに懸濁した。溶解物を遠心分離機にかけ(700g、4℃において15分間)、次いでPierce BCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)を使用して、清澄化された上清のタンパク質濃度を測定した。10μgのタンパク質をプレキャスト(4-20%)SDS-PAGEゲル(BioRad、Hercules、California)において電気泳動し、ニトロセルロース膜(BioRad)に転写し、hLAMPに対するmAbを用いて免疫ブロットした。膜を、Detection(商標)ブロックバッファー(KPL)でブロックし、ウサギ抗ヒトLAMP(Sino Biological Inc.、Beijing、China)または抗サバイビン抗体とヤギ抗ウサギHRP抗体とでプローブして、TMB(KPL)で発色させた。
【0265】
フローサイトメトリー。細胞をまずPBS中のZombie aqua fixable viability dyeで標識し(1:500希釈)、続いて染色バッファー(PBS中4%FBS、2%ラット血清、2%マウス血清)中の表面抗体(1:100希釈)で標識した。細胞内染色の場合、細胞をZombie aquaで染色した後、表面染色し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、透過処理バッファー(1%FCS、0.1%サポニンを含むPBS)中で細胞内抗体により染色した。試料をCytoFlexフローサイトメーター(Beckman Coulter)で分析し、Kaluzaソフトウェア(Beckman Coulter)を使用して分析した。
【0266】
統計。統計的有意性を評価するために、GraphPad Prism 6.0ソフトウェアまたはRファイルを使用して、二元配置ANOVA検定を実行した。各マウスのRPMI結果は、抗原活性化の結果から差し引いた。
【0267】
研究デザイン。
【0268】
【表2】
【0269】
図14:プラスミドの検証:293T細胞に3日間プラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を溶解し、プレキャストSDS-PAGEゲルにおいて電気泳動した。タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、ヒトLAMP(OriGene、#TA337108)またはサバイビン(Santa Cruz#17779)に対するmAbで免疫ブロットした。LAMPの分子量=100KD、サバイビン=16KD。
図13は、すべての被験LAMP構築物が適切なサイズのタンパク質を生成したことを示している。
【0270】
図15および16:被験LAMP構築物は、IFNγを産生するTh1エフェクターT細胞を誘導する。雌のBALB/cマウスを、0、7、および14日目にPharmajetデバイスを介して、100μlのPBS中50μgの表示構築物でi.dにより免疫化した。実験は、最後の投与の14日後に終了した。脾細胞(3x10/ウェル)を、T細胞培地(10%熱不活性化FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1×β-MEを含むRPMI)中のサバイビンプールペプチド(4μg/ml)で48時間刺激した。A.スポットによるIFNγ産生。B.すべてのプールペプチドによって誘導されたIFNγ産生(Aからの棒グラフ)。n=6/群。統計分析には、二元配置ANOVA(Rファイル)を使用した。図14は、IFNγ産生によって示されるように、すべての被験LAMP構築物が強固なT細胞応答を誘導したことを示している。
【0271】
3用量の改良LAMP構築物(1週間間隔)の後、被験LAMP構築物、特にヒンジ配列がサバイビン遺伝子に置き換えられたILC-4によって、強固なTh1タイプの応答が誘発されることが予想外に見出された。さらに興味深いことに、改良LAMP構築物ILC-4は、N末端からC末端までのサバイビンエピトープを認識し、マウスと100%同一のヒトサバイビンペプチド配列に対するT細胞応答を誘導すると思われる。また、サバイビンペプチドによる凍結融解脾細胞のより長い(72時間)刺激が見出され、ILC-4は、第一世代のLAMP-サバイビンよりも有意に高いIFNγ産生を示した(図19を参照されたい)。具体的には、図16は、すべての被験改良LAMP構築物がより高いT細胞応答を示し、ILC-4がすべてのサバイビンペプチドプールに対して著しく高いT細胞応答を誘発したため、この構築物が最高の活性を有することを示している。さらに、当技術分野で公知であったこととは反対に、内腔ドメインの第2の相同ドメインの除去により、完全LAMP構築物と比較してより強固な免疫応答を誘発する改良LAMP構築物が作り出された(ILC-2およびILC-3の結果を参照されたい)。凍結脾細胞(4x105/ウェル)を、T細胞培地(10%熱不活性化FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、および1×β-MEを含むRPMI)中のプールペプチド4(4μg/ml)で48時間刺激した。n=6/群。統計分析には、二元配置ANOVAを使用した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001
【0272】
図17.CD4 T細胞はIFNγ産生細胞の主要供給源である。雌のBALB/cマウスを、0、7、および14日目にPharmajetデバイスを介して、100μlのPBS中50μgの表示ワクチンでi.dにより免疫化した。実験は、最後の投与の14日後に終了した。脾細胞(1x10/ウェル)を、T細胞培地(10%熱不活性化FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、および1×β-MEを含むRPMI)中のプールペプチド1(4μg/ml)で一晩刺激し、モネシンおよびブレフェルジンAを添加して、さらに5時間培養した。細胞を回収し、ITI染色プロトコルに従ってZombie、表面マーカー、および細胞内染色によって染色した。細胞は、メモリCD4 T細胞(CD4+CD44+CD62L-)またはCD8 T細胞(CD8+CD44+CD62L-)でゲートした。データは、各群を代表する1匹のマウスである。さまざまな構築物をワクチン接種したマウスではCD8エフェクターメモリ細胞が増加しているが、CD4 T細胞集団ではIFNγの産生がより顕著である。
【0273】
図18:改良LAMP構築物は、BALB/cマウスにおいてより強いサバイビン特異的全IgG応答を生成した。雌のBALB/cマウスを、0、7、および14日目にPharmajetデバイスを介して、100μlのPBS中50μgの表示ワクチンでi.dにより免疫化した。実験は、最後の投与の14日後に終了した。28日目にマウスから採血した。血清を分離し、-30℃で保存した。ELISAにより血清中の全IgGおよびIgG2aを測定した。簡潔には、ELISAプレートを2μg/mlのサバイビン(1-142aa)でコーティングし、PBS/2%BSAでブロックし、血清(ブロッキングバッファーで1:100希釈)を、HRP標識ヤギ抗マウスIgG(1:6000)およびIgG2a(1:11000)により評価した。n=6マウス/群。**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。重要で、当技術分野で公知であったこととは反対に、図18は、内腔ドメインの断片が完全な内腔ドメインの使用よりもうまく機能したことを示している(すなわち、完全LAMP構築物と、構築物ILC-2およびIL-3との比較)。さらに、予期せぬことに、内腔ドメインの2つの相同ドメインの間に抗原を挿入すると、最も強い抗体応答が生じた(ILC-4を参照されたい)。
【0274】
この項で参考にした参考文献。
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10.Godinho RM,Matassoli FL,Lucas CG,Rigato PO,Goncalves JL,Sato MN,et al.Regulation of HIV-Gag expression and targeting to the endolysosomal/secretory pathway by the luminal domain of lysosomal-associated membrane protein(LAMP-1)enhance Gag-specific immune response.PLoS One.2014;9(6):e99887.doi:10.1371/journal.pone.0099887.PubMed PMID:24932692;PubMed Central PMCID:PMCPMC4059647.
【0275】
実施例4:
LAMP構築物による治療的処置
雌のBALB/cマウスに、同系の7000 4T1乳がん細胞を0日目に皮下接種することができる。腫瘍が触知可能になったら、ナノパスを使用して、100ul PBS中50ugのワクチンおよび5ugのGMCSFをi.d投与する。原発腫瘍はノギスで測定し、腫瘍体積は式p/6(長さx幅)3/2を使用して計算する。腫瘍接種後の日数の関数として平均腫瘍体積を測定することができる。Kaplan-Meierプロットを使用して、終了時点での全生存率を示すことができる。
【0276】
実施例5-プライム/ブーストプロトコル
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)またはCD270としても知られるヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)は、TNF受容体スーパーファミリーのヒト細胞表面受容体である。近年、HVEMは、造血細胞、ならびに乳がん、黒色腫、結腸直腸がん、および卵巣がんの細胞などの実質細胞、ならびに腸上皮に高度に発現していることがわかっている。HVEMは、BTLAまたはLIGHT(TNFSF14)への結合を介して、T細胞の阻害または刺激のいずれかを行う双方向タンパク質である。
【0277】
HVEM-LAMPをコードするDNAワクチンを生成して、HVEMの阻害機能をブロックできる抗体を腫瘍治療応用のために作製した。本発明者らは、LAMPが、HVEM特異的抗体の親和性を高め、および/またはHVEMタンパク質のB細胞エピトープのレパートリーを拡大することにより、抗体応答を促進するという仮説を立てた。この研究では、LAMPを含むHVEMコードプラスミドとLAMPを含まないHVEMコードプラスミドとの免疫原性を比較した。HVEM配列:
HVEMアミノ酸39-202(配列番号114)
LPSCKEDEYPVGSECCPKCSPGYRVKEACGELTGTVCEPCPPGTYIAHLNGLSKCLQCQMCDPAMGLRASRNCSRTENAVCGCSPGHFCIVQDGDHCAACRAYATSSPGQRVQKGGTESQDTLCQNCPPGTFSPNGTLEECQHQTKCSWLVTKAGAGTSSSHWV
【0278】
HVEM-LAMPおよびHVEMおよび組換えHVEMタンパク質をコードするプラスミドを、ITIによって設計し、NTC(Lincoln、NE)によって作製した。
以下のHVEM配列をコードするポリヌクレオチドを、本明細書に記載の改良LAMP構築物にクローンニングした:
【0279】
ヤギ抗マウスIgG-HRPは、Southern Biotechnologies(Birmingham、AL)から購入した。SureBlue TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質およびTMB停止液は、KPL(Gaithersburg、MD)から購入した。ELISPOTプレートは、EMD Millipore(Billerica、MA、カタログ番号MAIPS4510)に注文した。ELISPOTで使用されるIFN-γ抗体ペアはBioLegend(San Diego、CA)から購入し、クローンAN18およびR46A2をそれぞれコーティングおよび検出に使用した。ストレプトアビジン-HRPおよびAEC基質はBD Biosciences(San Jose、CA)から購入した。
【0280】
6~8週齢の雌Balb/cマウスをHarlan Laboratories(Frederick、MA)から購入し、Immunomic Therapeutics、Inc.(Rockville、MA)の動物施設で飼育した。マウス(n=6)を、0、7、および14日目に10μg/用量のHVEM-LAMP、HVEM、またはLAMPベクターコントロールで、IchorエレクトロポレーションIM送達により処置した。35日目に、マウスにミョウバンの存在下で5μgのHVEMタンパク質をi.p.注射によりブーストした。28日目と49日目に、マウスから採血し、抗体検出のために血清を単離した。マウスを56日目に屠殺し、脾細胞をELISPOTによりIFN-γ産生について試験した。
【0281】
次いで、Su et al.,J of Immunol Res;(10):1-15(2016)によるELISA手順を行った。プレートを5μg/mlのHVEMタンパク質でコーティングした。データを、Microsoft ExcelおよびPrism 6ソフトウェアを使用して分析した。
【0282】
この研究の主な目的は、HVEM-LAMPとHVEMとの抗体プロファイルを比較することであった。28日目に、HVEM-LAMPワクチンを接種したマウスは、HVEM群よりも有意に高いレベルのHVEM特異的IgG抗体を産生した(図11)。タンパク質のブースト後、HVEM特異的抗体はHVEM免疫マウスで約1000倍増加し、平均力価は100から108000に変化した。この結果は、免疫記憶がHVEM DNAプラスミドによって誘導されたことを示している。HVEM DNA単独では最小限の抗体反応しか誘発しなかったが、タンパク質のブーストにより免疫記憶が急速に呼び戻された。他方、HVEM-LAMP群はこの場合もまたHVEM群およびLAMP群よりも有意に高い力価を示した。平均力価はHVEM群の5倍であり、抗体応答を増強するLAMPの力を示している(図12)。
【0283】
さらに、HVEM+LAMPまたはHVEM単独により免疫化/HVEMタンパク質によりブーストされたマウス由来の血清試料(49日目)をプールし、ペプチドマッピングについて試験した。12個のペプチドがプール血清に結合していることがわかり(マウスIgG反応)、12個のペプチドのうち7個が強い結合親和性を示した。HVEM+LAMPは、図13に示すように、HVEM単独と比較して、ペプチド17、24、25、28の結合親和性を変化させている。これらの変化は、腫瘍の成長の保護において生理学的効果をもたらし得る。
【0284】
結論として、この研究のデータは、2つの構築物がin vivoで発現され、LAMPが液性免疫応答を大幅に改善したことを示唆している。
【0285】
実施例6:
ポリペプチドからの抗体作製
抗抗原抗体は、動物への注射を使用して抗体を産生させるさまざまな標準的な方法で調製することができる。(現在のプロトコル、第2章を参照されたい。)例えば、本明細書に記載の抗原を含む改良LAMP構築物を発現する細胞を非ヒト脊椎動物に投与して、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導する。好ましい方法では、LAMP/抗原タンパク質の調製物を調製および精製して、天然汚染物質を実質的に含まないようにする。次いで、そのような調製物を非ヒト脊椎動物に導入して、より高い特異的活性のポリクローナル抗血清を産生させる。
【0286】
最も好ましい方法では、本発明の抗抗原抗体はモノクローナル抗体(またはそのタンパク質結合断片)である。そのようなモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して調製することができる。(Kohler et al.,Nature 256:495(1975);Kohler et al.,Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohler et al.,Eur.J.Immunol.6:292(1976);Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.,pp.563-681(1981)。)一般に、そのような手順は、抗原を含む改良されたLAMP構築物、抗原を含む改良されたLAMP構築物のコード化ポリペプチドを用いて、またはより好ましくは、改良LAMP構築物発現細胞を用いて、非ヒト脊椎動物(好ましくはウサギ、マウス、牛、ラクダ、ラマ)を免疫化することを含む。
そのような細胞は、任意の適切な組織培養培地で培養することができるが、10%ウシ胎児血清(約56℃で不活性化)を添加し、約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリンおよび約100ug/mlのストレプトマイシンを添加したEarleの改変イーグル培地で細胞を培養することが好ましい。
【0287】
そのような非ヒト脊椎動物宿主(例えば、マウス)の脾細胞を摘出し、適切な骨髄腫細胞株と融合させる。本発明に従って、任意の適切な骨髄腫細胞株を使用することができるが、ATCC(商標)から入手可能な親骨髄腫細胞株(SP20)を使用することが好ましい。融合後、得られたハイブリドーマ細胞をHAT培地で選択的に維持して、Wands et al.(Gastroenterology 80:225-232(1981)。)により記載されたように限界希釈によってクローニングする。次いで、そのような選択により得られたハイブリドーマ細胞をアッセイして、抗原に結合できる抗体を分泌するクローンを同定する。
【0288】
FabおよびF(ab’)2および抗抗原抗体の他の断片が、本明細書に開示の方法に従って使用できることは理解されよう。そのような断片は、典型的には、パパイン(Fab断片を生成する)またはペプシン(F(ab’)2断片を生成する)などの酵素を使用して、タンパク質切断により生成される。または、分泌タンパク質結合断片は、組換えDNA技術の適用を介して。または合成化学を介して生成することができる。
【0289】
ヒトにおける抗体のin vivo使用のために、「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用することが好ましいと思われる。そのような抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝子構築物を使用して作製することができる。キメラ抗体を作製する方法は、当技術分野で公知である。(総説については、Morrison,Science 229:1202(1985);Oi et al.,BioTechniques 4:214(1986);Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号;Taniguchi et al.、欧州特許第171496号;Morrison et al.、欧州特許第173494号;Neuberger et al.、国際公開第8601533号;Robinson et al.、国際公開第8702671号;Boulianne et al.,Nature 312:643(1984);Neuberger et al.,Nature 314:268(1985)を参照されたい)。
【0290】
実施例7:
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製するためのポリヌクレオチドの使用
動物にポリヌクレオチドを直接注入する方法は、当技術分野で十分に説明されている。
例えば、米国特許第5,676,954号;第6,875,748号;第5,661,133号を参照されたい。例えば、抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチドを、拘束された覚醒マウス(雌6~12週齢BALB/cまたはヌード、nu/nu(Harlan Sprague Dawley,Indianapolis,Ind.による))の四頭筋に注射することができる。一実施形態では、Hartikka,J.,et al.,Hum.Gene Ther.7:1205-1217(1996)に記載のように、50μl溶液中の50μgのポリヌクレオチドを、使い捨ての滅菌プラスチックインスリン注射器およびマイクロピペットチップからカットされたプラスチックカラーを備えた28G1/2針(Becton-Dickinson、Franklin Lakes、N.J.、カタログ番号329430)を使用して、マウスに注射することができる。
【0291】
または、6週齢のSprague Dawley雌マウス(体重20~25グラム)に、注射の24時間前から飲料水に5000ppmのZnOSO4を与えてもよい。この量の亜鉛は、メタロチオネインプロモーターを活性化できることが示されている。次に、各マウスに、抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチド30μgと、それと複合体を形成した150μgのリポソーム(Lipofection TM)とを総容積30μlで、25ゲージ針を用いて尾静脈穿刺により静脈内注射する。動物の世話は本研究を通して維持されるべきであり、“Guide for the Use and Care of Laboratory Animals”,Institute of Laboratory Animal Resources,Commission on Life Sciences,National Research Council,National Academy Pressのに従って実施されなければならない。
【0292】
注入された抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチドが動物の細胞に送達された後、抗原はエンドソーム/リソソームに送達され、プロセシングされ、免疫系に提示される。次いで、抗原を含む改良LAMP構築物は、抗原に特異的な抗体の産生を刺激することができる。これらの抗体は、ポリクローナル混合物として単離して使用することも、または単一種もしくはモノクローナルにさらに単離することもできる。免疫応答の過程およびin vivoでの外来抗原に対する抗体の産生は、当技術分野で周知である。
【0293】
第3の動物モデルでは、Balb/c 3T3 A31細胞に、抗原を含む改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチドをエレクトロポレーションによりトランスフェクトする。抗原を含むLAMP構築物を発現するG418耐性クローンは、ヒトRBCに結合する能力により同定される。ポリクローナル抗体を生成するために、Balb/cマウスを14日間の間隔で2回腹腔内に抗原を含む改良LAMP構築物を含む10個の細胞で免疫化する。最終ブースト後、免疫血清を収集し、IgGをプロテインGセファロースで精製し、精製抗原1.0mgを臭化シアンで活性化したセファロースCL-4Bに結合させて調製した抗原カラムに通す。結合したIgGは、0.1MグリシンバッファーpH2.5で溶出でき、0.1容量の0.1M Tris pH8.0で中和することができる。モノクローナル抗体(mAb)を生成するために、Balb/cマウスを抗原を含むLAMP構築物で免疫化し、標準的な方法に従って免疫脾細胞とSP2骨髄腫とを融合することによりハイブリドーマを生成する(28)。抗原と特異的に反応する陽性ウェルは、当技術分野で説明されている酵素結合免疫吸着検定法によって同定することができる。
ハイブリドーマを限界希釈によって3回クローニングして、抗体を産生する。
【0294】
実施例8:
抗原を含む改良LAMP構築物による免疫化
哺乳動物において抗体を産生させる方法は、当技術分野で周知である。一例において、抗原を含むLAMP構築物に対するポリクローナル抗血清は、抗原を含む改良LAMP構築物合計500μgを用いた病原体フリーウサギの2ヶ月間にわたる免疫化により産生される。例えば、抗原を含む改良LAMP構築物をPBSに溶解し、等量のフロイントアジュバントで乳化することができる。最終ブースターの後、ウサギの血清を分離して、ポリクローナル抗血清の力価を決定することができる。
【0295】
追加の動物モデルでは、5匹のマウス群(C57BL/6J;Jackson Labs)を、ミョウバンで乳化されたエンドトキシンフリーの抗原を含むLAMP構築物5μgで皮下に免疫化することができる。3週間後、マウスから採血し、ELISAで血清を滴定することにより、抗抗原特異的抗体の存在を確認できる(血清中の抗体を、ウェルを直接、または間接的に(ビオチン化タグおよびストレプトアビジンを介して)コーティングしている野生型BPTIまたはAPP-KIに直接結合させる)。
【0296】
モノクローナル抗体を得るには、4~6週齢のBalb/cマウスを、抗原を含む改良LAMP構築物で免疫化する(例えば、1回の注射あたり10~100μgを、初回の注射にはフロイント完全アジュバント、その後の免疫化のためにはフロイント不完全アジュバントに溶解して、2週間間隔で4回)。脾細胞を単離し、Sp2/0骨髄腫細胞などの融合細胞株と融合させた後、限界希釈を行う。成長中のクローンを、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用してスクリーニングする。96細胞プレートを、抗原を含む改良LAMP構築物またはコントロールタンパク質でコーティングする。培養上清を加えた後、洗浄し、検出用の標識抗マウス抗体を添加する。限界希釈後、安定したハイブリドーマを産生する抗抗原抗体のクローニングが得られる。各細胞から上清を回収し、プロテインAセファロースカラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーによりモノクローナル抗体を精製することができる。
【0297】
本明細書に記載されているものの変形、修正、および他の実装は、本発明および特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に見出されると思われる。特定されたすべての特許、特許出願、国際出願、および参考文献は、参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる。
また、本発明は以下の実施形態を含む。
[1]
以下を含む改良LAMP構築物:
a.LAMPタンパク質のシステイン保存断片、および
b.抗原性ドメイン。
[2]
a.前記抗原性ドメインが前記システイン保存断片のN末端に配置されている、
b.前記抗原性ドメインが単一のシステイン保存断片のC末端に配置されている、または
c.前記抗原性ドメインが2つのシステイン保存断片の間に配置されている、
[1]に記載の改良LAMP構築物。
[3]
図1のILC-1、ILC-2、ILC-3、ILC-4、ILC-5またはILC-6に示される構造を含む、[1]または[2]のいずれかに記載の改良LAMP構築物。
[4]
各抗原がリンカーによって分離されている、[3]に記載の改良LAMP構築物。
[5]
前記リンカーがアミノ酸配列GPGPGまたはPMGLPから選択される、[4]に記載のLAMP構築物。
[6]
複数のシステイン保存断片を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の改良LAMP構築物。
[7]
前記システイン保存断片がLAMPタンパク質の相同ドメインを含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物。
[8]
LAMPタンパク質の膜貫通ドメインをさらに含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物。
[9]
シグナル配列をさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の改良LAMP構築物。
[10]
前記シグナル配列がLAMPタンパク質に由来する、[9]に記載の改良LAMP構築物。
[11]
前記LAMPタンパク質が、LAMP-1、LAMP2、LAMP-3、LIMP2、マクロシアリン(Macrosailin)、Endolyn、LAMP5またはLIMBICから選択される、[1]~[10]のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物。
[12]
前記LAMPタンパク質が配列番号1~113のいずれか1つから選択される、[11]に記載の改良LAMP構築物。
[13]
前記LAMPタンパク質が、配列番号1~113と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%同一である、[12]に記載の改良LAMP構築物。
[14]
[1]~[13]のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物をコードするポリヌクレオチド。
[15]
[14]に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
[16]
[1]~[13]のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物、[14]に記載のポリヌクレオチド、または[15]に記載の宿主細胞を含む組成物。
[17]
疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、[1]~[13]のいずれか一項に記載の改良LAMP構築物、[14]に記載のポリヌクレオチド、[15]に記載の宿主細胞、または[16]に記載の組成物を、それを必要とする対象に前記疾患または障害を軽減または治療するための十分量で投与する工程を含む方法。
[18]
プライミング工程および少なくとも1回のブースティング工程を含む、[17]に記載の方法。
[19]
前記改良LAMP構築物が前記プライミング工程に使用される、[18]に記載の方法。
[20]
前記ブースティング工程が、抗原、改良LAMP構築物、改良LAMP構築物によりコードされるポリペプチド、または前記改良LAMP構築物を含む細胞の投与を含む、[18]または[19]に記載の方法。
[21]
プライムに使用される抗原がブーストに使用される抗原と同じである、[17]~[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
プライムに使用される抗原がブーストに使用される第2の抗原と同じタンパク質に由来する、[17]~[21]のいずれか一項に記載の方法。
[23]
複数の抗原がプライムおよび/またはブーストに使用される、[17]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2A-1】
図2A-2】
図2B
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図4-6】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
2024056912000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)構築物をコードするポリヌクレオチドであり、前記LAMP構築物がLAMPタンパク質の内腔ドメインの2つの相同ドメイン、前記LAMPタンパク質と異種の抗原性ドメイン、および、LAMPタンパク質の膜貫通ドメインを含み、
前記抗原性ドメインが前記2つの相同ドメインの間に配置され、
前記膜貫通ドメインが、前記2つの相同ドメインのうち第2の相同ドメインの後に配置され、
前記LAMPタンパク質がヒトのLAMP-1またはLAMP-2から選択される、ポリヌクレオチド
【請求項2】
前記LAMP構築物がシグナル配列をさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド
【請求項3】
前記シグナル配列がLAMPタンパク質に由来する、請求項2に記載のポリヌクレオチド
【請求項4】
前記LAMP構築物がヒトのLAMP-1またはLAMP-2タンパク質の細胞質尾部をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項5】
前記抗原性ドメインがリンカーによって1つまたは両方の前記相同ドメインから分離されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項6】
前記リンカーがアミノ酸配列GPGPGまたはPMGLPから選択される、請求項5に記載のポリヌクレオチド
【請求項7】
前記LAMPタンパク質が配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項8】
前記LAMPタンパク質が、配列番号1または配列番号2と、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記LAMPタンパク質がヒトLAMP-1である、請求項1~のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項10】
前記2つの相同ドメインがヒトLAMP-1相同ドメイン1およびヒトLAMP-1相同ドメイン2を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項11】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン1が、配列番号1の残基29~194のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~6または8~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項12】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン1が、配列番号1の残基29~194のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~6または8~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項13】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン1が、配列番号1の残基29~194のアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項14】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン2が、配列番号1の残基228~381のアミノ酸配列を含む、請求項~13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項15】
前記膜貫通ドメインが配列番号1の残基383~405を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項16】
前記細胞質尾部が配列番号1の残基406~417を含む、請求項4~15のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項17】
前記抗原性ドメインがサバイビンまたはHVEMを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項18】
前記LAMP構築物が配列番号119のアミノ酸配列を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項19】
前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項20】
前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項21】
前記ポリヌクレオチドがウイルスベクターである、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項22】
前記ポリヌクレオチドが自己複製RNAウイルスベクターである、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の前記ポリヌクレオチドを含む、宿主細胞
【請求項24】
リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)構築物をコードするポリヌクレオチドを含む抗原提示細胞であり、前記LAMP構築物がLAMPタンパク質の内腔ドメインの2つの相同ドメイン、前記LAMPタンパク質と異種の抗原性ドメイン、および、LAMPタンパク質の膜貫通ドメインを含み、
前記抗原性ドメインが前記2つの相同ドメインの間に配置され、
前記膜貫通ドメインが、前記2つの相同ドメインのうち第2の相同ドメインの後に配置され、
前記LAMPタンパク質がヒトのLAMP-1またはLAMP-2から選択される、抗原提示細胞
【請求項25】
前記LAMP構築物がシグナル配列をさらに含む、請求項24に記載の抗原提示細胞
【請求項26】
前記シグナル配列がLAMPタンパク質に由来する、請求項25に記載の抗原提示細胞
【請求項27】
前記LAMP構築物がヒトのLAMP-1またはLAMP-2タンパク質の細胞質尾部をさらに含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項28】
前記抗原性ドメインがリンカーによって1つまたは両方の前記相同ドメインから分離されている、請求項24~27のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項29】
前記リンカーがアミノ酸配列GPGPGまたはPMGLPから選択される、請求項28に記載の抗原提示細胞
【請求項30】
前記LAMPタンパク質が配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項31】
前記LAMPタンパク質が、配列番号1または配列番号2と、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項32】
前記LAMPタンパク質がヒトLAMP-1である、請求項24~31のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項33】
前記2つの相同ドメインがヒトLAMP-1相同ドメイン1およびヒトLAMP-1相同ドメイン2を含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項34】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン1が、配列番号1の残基29~194のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項24~29または31~33のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項35】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン1が、配列番号1の残基29~194のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む、請求項24~29または31~33のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項36】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン1が、配列番号1の残基29~194のアミノ酸配列を含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項37】
前記ヒトLAMP-1相同ドメイン2が、配列番号1の残基228~381のアミノ酸配列を含む、請求項24~36のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項38】
前記膜貫通ドメインが配列番号1の残基383~405を含む、請求項24~37のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項39】
前記細胞質尾部が配列番号1の残基406~417を含む、請求項27~38のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項40】
前記抗原性ドメインがサバイビンまたはHVEMを含む、請求項24~39のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項41】
前記LAMP構築物が配列番号119のアミノ酸配列を含む、請求項24~39のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項42】
前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項24~41のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項43】
前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項24~41のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項44】
前記ポリヌクレオチドがウイルスベクターである、請求項24~41のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項45】
前記ポリヌクレオチドが自己複製RNAウイルスベクターである、請求項24~41のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項46】
前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項24~45のいずれか一項に記載の抗原提示細胞
【請求項47】
請求項1~22のいずれか一項に記載の前記ポリヌクレオチド、請求項23に記載の前記宿主細胞、または請求項24~46のいずれか一項に記載の前記抗原提示細胞を含む、組成物
【請求項48】
疾患または障害を軽減または治療するための、請求項47に記載の組成物であって、それを必要とする対象に前記疾患または障害を軽減または治療するのに十分な量で投与される、組成物。
【請求項49】
プライミング工程および/または少なくとも1回のブースティング工程で使用される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記プライミング工程で使用される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記少なくとも1回のブースティング工程が、前記組成物の投与を含む、請求項49または50に記載の組成物。