(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005692
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ショベル、及び、ショベルの制御システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240110BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20240110BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/22 A
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105991
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】呉 春男
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】環境に合わせた走行ルートを設定することを目的とする。
【解決手段】下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータと、前記上部旋回体に設けられた制御装置と、有し、前記制御装置は、作業現場の環境情報に基づき生成された走行ルートに応じた走行指令に従って前記走行アクチュエータを動作させる、ショベルである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータと、
前記上部旋回体に設けられた制御装置と、有し、
前記制御装置は、作業現場の環境情報に基づき生成された走行ルートに応じた走行指令に従って前記走行アクチュエータを動作させる、ショベル。
【請求項2】
ショベルと、管理装置とを含むショベルの制御システムであって、
前記管理装置は、
作業現場の環境情報に基づき、前記ショベルの走行ルートを生成するルート生成部と、
生成された前記走行ルートに応じた走行指令を前記ショベルに送信する指令送信部と、を有する、ショベルの制御システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記環境情報に基づき、前記ショベルの現在位置と目標位置とを含む作業現場に回避すべき領域が存在するか否かを判定する回避評価部を有し、
前記ルート生成部は、前記回避評価部による判定結果に応じて、前記走行ルートを変更させる、請求項2記載のショベルの制御システム。
【請求項4】
前記環境情報は、
前記ショベルが有する空間認識装置以外の空間認識装置によって取得された情報と、前記ショベルとは別のショベルによって取得された情報と、の少なくとも一方を含む、請求項2又は3記載のショベルの制御システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記ショベルから環境情報を取得する取得部を有し、
前記環境情報は、前記ショベルの走行前に更新される、請求項4記載のショベルの制御システム。
【請求項6】
前記環境情報は、前記ショベルにおいて稼働情報が取得された時間帯の気象条件を示す気象情報を含む、請求項2記載のショベルの制御システム。
【請求項7】
前記ショベルは、制御装置を有し、
前記制御装置は、
走行中の前記ショベルの空間認識装置の出力に基づいて前記ショベルの周囲に存在する物体を検知する物体検知部と、
前記物体検知部により検知された前記物体を回避すべきか否かを判定する障害物評価部と、を有し、
前記物体が回避すべき物体である場合に、前記走行ルートを変更する、請求項2記載のショベルの制御システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
走行中の前記ショベルから前記環境情報を取得する情報取得部を有し、
前記ルート生成部は、走行中の前記環境情報に応じて、前記走行ルートを変更する、請求項2記載のショベルの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル、及び、ショベルの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、目標位置に関する情報に基づいて走行アクチュエータを動作させることで、設定された走行ルートを自律走行するショベルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ショベルが作業を行う作業現場の環境は日々変化する。このため、ショベルの走行ルートは、作業現場の環境に合わせて設定する必要があるが、上述した従来の技術では、作業現場の環境の変化について考慮されていない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、環境に合わせた走行ルートを設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記下部走行体を駆動する走行アクチュエータと、前記上部旋回体に設けられた制御装置と、有し、前記制御装置は、作業現場の環境情報に基づき生成された走行ルートに応じた走行指令に従って前記走行アクチュエータを動作させる、ショベルである。
【0007】
本発明の実施形態に係るショベルの制御システムは、ショベルと、管理装置とを含むショベルの制御システムであって、前記管理装置は、作業現場の環境情報に基づき、前記ショベルの走行ルートを生成するルート生成部と、生成された前記走行ルートに応じた走行指令を前記ショベルに送信する指令送信部と、を有する、ショベルの制御システムである。
【発明の効果】
【0008】
環境に合わせた走行ルートを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ショベルの制御システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】コントローラの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図1のショベルの駆動システムの構成例を示す図である。
【
図4A】アームシリンダの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【
図4B】ブームシリンダの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【
図4C】バケットシリンダの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【
図4D】旋回油圧モータの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【
図5A】左走行油圧モータの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【
図5B】右走行油圧モータの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【
図6】管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図8】第一の実施形態の制御システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図9】第一の実施形態の制御システムの動作について説明する図である。
【
図10】第二の実施形態の管理装置の処理について説明する図である。
【
図11】第二の実施形態の制御システムの動作について説明する図である。
【
図12】第三の実施形態の制御システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図13】第三の実施形態の制御システムの動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して、本実施形態のショベルの制御システムについて説明する。
図1は、ショベルの制御システムのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態では、ショベル100を建設機械の一例として説明する。
【0011】
本実施形態のショベルの制御システムSYSは、ショベル100と、管理装置200と、を含む。以下の説明では、ショベルの制御システムSYSを、単に制御システムSYSと表現する。
【0012】
本実施形態の制御システムSYSにおいて、ショベル100と、管理装置200とは、ネットワーク等を介して接続される。
【0013】
本実施形態のショベル100は、自機の稼働状況を示す稼働情報と、ショベル100の周囲の環境を示す環境情報とを取得し、稼働情報と環境情報とを管理装置200に送信する。また、ショベル100は、管理装置200から各種の情報を受信する。
【0014】
稼働情報とは、具体的には、自機の現在位置を示す位置情報、自機の向きを示す向き情報、自機の姿勢を示す姿勢情報、作業内容を示す作業内容情報、作業時の作業負荷(アームシリンダ圧等)を示す作業負荷情報、エンジンの負荷率を記す負荷率情報、稼働時間の累積時間を示す累積時間情報、燃料噴射量を含む燃料情報、CO2排出量、作業量、等を含む。
【0015】
環境情報とは、稼働情報に含まれる姿勢情報により示されるショベル100の作業履歴に基づき生成される情報を含む。作業履歴に基づき生成される情報とは、具体的には、例えば、ショベル100によって施工された作業結果としての盛り土や掘削孔の位置や大きさ、形状等を示す情報である。このように、作業結果としての地形や土砂の形状、位置等が環境情報に含まれてもよい。作業結果としての盛り土や掘削孔の位置や大きさ、形状等を示す情報は、自機の姿勢を示す姿勢情報と作業負荷情報等を用いて算出される。
【0016】
また、環境情報は、後述するショベル100の空間認識装置によって取得された情報(例、地形の形状、障害物等の位置や大きさ等)、ショベル100の各センサから取得された情報(例、作業結果としての地形や土砂の形状、位置等)を含む。作業結果としての盛り土や掘削孔の位置や大きさ、形状等を示す情報は、空間認識装置によって取得された情報に基づき算出されてもよい。
【0017】
また、環境情報は、例えば、ショベル100以外の機器であって、作業現場に配置された機器によって取得された情報が含まれてもよい。具体的には、環境情報は、作業現場の上空を飛行する飛行体や、作業現場に設置された定点カメラによって撮像された画像データ等が含まれてよい。作業現場の上空を飛行する飛行体や、作業現場に設置された定点カメラは、言い換えれば、ショベル100の外部に設けられた空間認識装置の一例である。また、飛行体や定点カメラによって取得される画像データは、空間認識装置から出力される出力データの一例である。さらに、ショベル100以外の他の建設機械(他のショベルやブルドーザー等)に備えられた空間認識装置から出力データを用いてもよい。
【0018】
さらに、環境情報は、例えば、制御システムSYSの外部のサーバ等から取得された情報が含まれてもよい。外部のサーバから取得された情報とは、例えば、ショベル100が稼働情報を取得したときの気象条件を示す気象情報等であってよい。外部のサーバから取得された情報とは、さらに、稼働情報を取得後の気象条件を示す気象情報等であってもよい。
【0019】
本実施形態の管理装置200は、環境情報に基づき、定期的に作業現場の3次元マップデータを更新する。作業現場の3次元マップの詳細は後述する。また、作業者や管理者からの更新指令に応じて3次元マップデータを更新してもよい。
【0020】
本実施形態の管理装置200は、ショベル100を走行させる際に、作業現場の環境情報と、ショベル100の目標位置とに基づき、ショベル100の現在位置から目標位置までの走行ルートを生成する。そして、管理装置200は、走行ルートに応じた走行指示をショベル100に対して送信する。
【0021】
本実施形態では、このように、ショベル100の走行前に、作業現場の環境情報に基づき目的位置までのショベル100の走行ルートを生成するため、作業現場の環境に合わせた走行ルートを生成することができる。このため、本実施形態によれば、日々に作業によって、例えば、作業現場内に盛り土や掘削孔が出現した場合や、作業前日の天候等によって水たまり等が出現した場合等であっても、日々の作業現場の環境に合わせて、適切な走行ルートを生成することができる。
【0022】
なお、図示していないが、制御システムSYSは、作業現場の作業者等によって保持される支援装置が含まれてもよい。この場合、支援装置は、ネットワークを介して管理装置200やショベル100と通信が可能であってよい。
【0023】
また、
図1の例では、管理装置200は1台の情報処理装置により実現されるものとしたが、これに限定されない。管理装置200は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。言い換えれば、管理装置200により実現される機能は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。
【0024】
次に、本実施形態のショベル100について説明する。
図1では、ショベル100の側面図を示す。
【0025】
ショベル100は、下部走行体1、旋回機構2、上部旋回体3を有する。ショベル100において、下部走行体1は、クローラ1Cを有し、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。また、下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行油圧モータ2MRによって駆動される。
【0026】
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0027】
ブーム4、アーム5、バケット6は、アタッチメントATの一例としての掘削アタッチメントを構成している。そして、ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
【0028】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0029】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0030】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0031】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブーム操作レバー(後述)の操作量を検出する操作検出部(後述の操作センサ29LA)であってもよい。この場合、コントローラ30は、操作センサ29LAの出力に基づいてブーム角度を算出してもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
【0032】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。
【0033】
バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0034】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。
【0035】
バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0036】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、エンジン11の排出機構の近傍には、CO2排出量を検出するためのセンサが設けられていてもよい。
【0037】
さらに、上部旋回体3には、コントローラ30、表示装置D1、入力装置D2、音声出力装置43、記憶装置47、測位装置73、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0038】
上部旋回体3には、電力を供給する蓄電部、及び、エンジン11の回転駆動力を用いて発電する電動発電機等が搭載されていてもよい。蓄電部は、例えば、キャパシタ、又は、リチウムイオン電池等である。電動発電機は、電動機として機能して機械負荷を駆動してもよく、発電機として機能して電気負荷に電力を供給してもよい。
【0039】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。各種機能は、例えば、オペレータによるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、オペレータによるショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0040】
本実施形態のコントローラ30は、ショベル100の空間認識装置70によって取得された情報、ショベル100の各センサから取得された情報を含む環境情報を取得する。また、コントローラ30は、ショベル100が作業を行う作業現場に設置された、ショベル100以外の空間認識装置によって出力される出力データを、環境情報として取得してもよい。
【0041】
表示装置D1は、各種情報を表示するように構成されている。表示装置D1は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0042】
入力装置D2は、オペレータが各種情報をコントローラ30に入力できるように構成されている。入力装置D2は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ及びメンブレンスイッチ等の少なくとも1つを含む。
【0043】
音声出力装置43は、音声を出力するように構成されている。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力するように構成されている。
【0044】
記憶装置47は、各種情報を記憶するように構成されている。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。
【0045】
記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100のオペレータが設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0046】
測位装置73は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。測位装置73は、上部旋回体3の向きを測定できるように構成されていてもよい。本実施形態では、測位装置73は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置73は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置としても機能し得る。向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0047】
機体傾斜センサS4は上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は仮想水平面に対する上部旋回体3の前後軸回りの前後傾斜角及び左右軸回りの左右傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。
【0048】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角度を検出或いは算出するように構成されていてもよい。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0049】
撮像装置S6は、空間認識装置の一例であり、ショベル100の周辺の画像を取得するように構成されている。本実施形態では、撮像装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及び、ショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0050】
撮像装置S6は、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置D1に出力する。撮像装置S6は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。また、撮像装置S6は、3次元距離画像センサ、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR又は赤外線センサ等の他の空間認識装置で置き換えられてもよく、他の空間認識装置とカメラとの組み合わせで置き換えられてもよい。
【0051】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。但し、前カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。なお、本実施形態の撮像装置S6によって撮像された画像データは、環境情報に含まれてよい。
【0052】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網又はインターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。外部機器は、例えば、外部施設に設置されたサーバ等の管理装置200や、ショベル100の周囲の作業者が携帯しているスマートフォン等の支援装置である。
【0053】
また、通信装置T1は、管理装置200から、走行ルートに応じた走行指示を受信してもよい。通信装置T1が受信した走行指示は、ショベル100において、コントローラ30に伝達される。
【0054】
次に、
図2を参照し、コントローラ30の構成例について説明する。
図2は、コントローラの構成例を示す機能ブロック図である。
図2の例では、コントローラ30は、姿勢検出装置71、空間認識装置70、情報入力装置72、測位装置73、及び異常検知センサ74等の少なくとも1つが出力する信号を受け、様々な演算を実行し、比例弁31及び比例弁33等に制御指令を出力できるように構成されている。姿勢検出装置71は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5を含む。
【0055】
本実施形態の情報入力装置72は、ショベル100の操作者がコントローラ30に対して情報を入力できるように構成されている。本実施形態では、情報入力装置72は、表示装置D1の表示部に近接して設置されるスイッチパネルである。但し、情報入力装置72は、表示装置D1の表示部の上に配置されるタッチパネルであってもよく、マイクロフォン等の音声入力装置であってもよい。また、情報入力装置72は、通信装置であってもよい。この場合、情報入力装置72は、管理装置200から送信される走行指令を受信して、コントローラ30に走行指令を入力することができる。
【0056】
図2に示すコントローラ30は、主に、異常検知センサ74に接続されている点、並びに、目標設定部F1、異常監視部F2、停止判定部F3、中間目標設定部F4、位置算出部F5、物体検知部F6、速度指令生成部F7、速度算出部F8、速度制限部F9、流量指令生成部F10、障害物評価部F11を有する。
【0057】
姿勢検出部30Cは、ショベル100の姿勢に関する情報を検出するように構成されている。
図2の例では、姿勢検出部30Cは、ショベル100の姿勢が走行姿勢になっているか否かを判定する。そして、姿勢検出部30Cは、ショベル100の姿勢が走行姿勢になっていると判定した場合に、ショベル100の自律走行の実行を許可するように構成されている。
【0058】
目標設定部F1は、ショベル100の自律走行に関する目標を設定するように構成されている。
図2の例では、目標設定部F1は、情報入力装置72の出力に基づき、ショベル100を自律的に走行させる際の行き先である目的地(目標位置)、及び、その目的地(目標位置)に至るまでの走行ルート等を目標として設定する。
【0059】
具体的には、目標設定部F1は、ショベル100の操作者がタッチパネルを用いて選択した目的地、又は、自動的に導き出した目的地を目標位置として設定し、且つ、ショベル100の操作者がタッチパネルを用いて選択した走行ルート、又は、自動的に導き出した走行ルートを目標ルートとして設定する。
【0060】
作業者は、ショベル100の表示装置D1を用いて目的地(目標位置)を設定するばかりでなく、支援装置及び管理装置200の少なくとも一方を用いてショベル100の外部から遠隔操作により目的地(目標位置)を設定してもよい。
【0061】
異常監視部F2は、ショベル100の異常を監視するように構成されている。
図2の例では、異常監視部F2は、異常検知センサ74の出力に基づいてショベル100の異常の度合いを決定する。異常検知センサ74は、例えば、エンジン11の異常を検知するセンサ、及び、作動油の温度に関する異常を検知するセンサ、コントローラ30の異常を検知するセンサ等の少なくとも1つである。
【0062】
停止判定部F3は、各種情報に基づいてショベル100を停止させる必要があるか否かを判定するように構成されている。
図2の例では、停止判定部F3は、異常監視部F2の出力に基づき、自律走行中のショベル100を停止させる必要があるか否かを判定する。
【0063】
具体的には、停止判定部F3は、例えば、異常監視部F2が決定したショベル100の異常の度合いが所定の度合いを上回った場合に、自律走行中のショベル100を停止させる必要があると判定する。
【0064】
この場合、コントローラ30は、例えば、走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mを制動制御し、走行油圧モータ2Mの回転を減速させ或いは停止させる。一方で、停止判定部F3は、例えば、異常監視部F2が決定したショベル100の異常の度合いが所定の度合い以下の場合、自律走行中のショベル100を停止させる必要がない、すなわち、ショベル100の自律走行を継続させることができると判定する。
【0065】
なお、ショベル100に操作者が搭乗している場合には、停止判定部F3は、ショベル100を停止させる必要があるか否かに加え、自律走行を解除するか否かを判定してもよい。
【0066】
中間目標設定部F4は、ショベル100の自律走行に関する中間目標を設定するように構成されている。
図2の例では、中間目標設定部F4は、姿勢検出部30Cによってショベル100の姿勢が走行姿勢になっていると判定され、且つ、停止判定部F3によってショベル100を停止させる必要がないと判定された場合に、目標設定部F1で設定された目標ルートを複数の区間に分割し、各区間の終点を中間目標位置として設定する。
【0067】
位置算出部F5は、ショベル100の現在位置を算出するように構成されている。
図2の例では、位置算出部F5は、測位装置73の出力に基づいてショベル100の現在位置を算出する。ショベルが法面作業を行っている場合には、目標設定部F1は、法面作業の終了位置を最終の目標位置として設定してもよい。そして、中間目標設定部F4は、法面作業の開始位置から終了位置までを複数の区間に分割し、各区間の終点を中間目標位置として設定してもよい。
【0068】
演算部C1は、中間目標設定部F4が設定した中間目標位置と、位置算出部F5が算出したショベル100の現在位置との差を算出するように構成されている。
【0069】
物体検知部F6は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知するように構成されている。
図2の例では、物体検知部F6は、空間認識装置70の出力に基づいてショベル100の周囲に存在する物体を検知する。そして、物体検知部F6は、自律走行中のショベル100の進行方向に存在する物体(例えば人)を検知した場合、ショベル100の自律走行を停止させるための停止指令を生成する。
【0070】
速度指令生成部F7は、走行速度に関する指令を生成するように構成されている。
図2の例では、速度指令生成部F7は、演算部C1が算出した差に基づいて速度指令を生成する。基本的には、速度指令生成部F7は、その差が大きいほど大きい速度指令を生成するように構成されている。また、速度指令生成部F7は、演算部C1が算出した差を零に近づける速度指令を生成するように構成されている。
【0071】
速度指令生成部F7は、事前に入力された地形に関する情報と測位装置73の検出値とに基づき、ショベル100が傾斜地に存在すると判断した場合、速度指令の値を変更してもよい。例えば、ショベル100が下り坂にいると判定した場合、速度指令生成部F7は、通常の速度よりも減速した速度に対応する速度指令を生成してもよい。
【0072】
速度指令生成部F7は、地面の傾斜等の地形に関する情報を、空間認識装置70により取得してもよい。さらに、空間認識装置70からの信号により路面の凹凸が大きいと判定した場合(例えば、路面上に多数の石が存在していると判定した場合)も同様に、速度指令生成部F7は、通常の速度よりも減速した速度に対応する速度指令を生成してもよい。
【0073】
このように、速度指令生成部F7は、走行ルートにおける路面に関する情報に基づいて速度指令の値を変更してもよい。例えば、河川敷においてショベル100が砂地から砂利道へ移動する際にも、速度指令生成部F7は、自動的に速度指令の値を変更してもよい。これにより、速度指令生成部F7は、路面状況に対応して走行速度を変更できる。
【0074】
さらに、速度指令生成部F7は、アタッチメントATの動作に対応して速度指令を生成してもよい。例えば、ショベル100が法面作業を行っている場合(具体的には、アタッチメントATが法肩から法尻までの仕上げ作業を行っている場合)には、中間目標設定部F4は、バケット6が法尻に到達したと判定したときに、次の区間の端部(終点)を目標位置として設定する。
【0075】
そして、速度指令生成部F7は、次の区間の目標位置までの速度指令を生成する。他の方法として、バケット6が法尻に到達した後で、ブーム4が所定高さまで上がったと判定した場合、中間目標設定部F4は、次の区間の端部(終点)を目標位置として設定する。そして、速度指令生成部F7は、次の目標位置までの速度指令を生成してもよい。このようにして、速度指令生成部F7は、アタッチメントATの動作に対応して目標位置を設定してもよい。
【0076】
さらに、コントローラ30は、ショベル100の動作モードを設定するモード設定部を有していてもよい。この場合、ショベル100の動作モードとしてクレーンモードが設定された場合、或いは、低速高トルクモード等の低速モードが設定された場合には、速度指令生成部F7は、低速モードに対応した速度指令を生成する。このように、速度指令生成部F7は、ショベル100の状態に応じて走行速度を変更できる。
【0077】
速度算出部F8は、ショベル100の現在の走行速度を算出するように構成されている。
図2の例では、速度算出部F8は、位置算出部F5が算出するショベル100の現在位置の推移に基づいてショベル100の現在の走行速度を算出する。
【0078】
演算部C2は、速度指令生成部F7が生成した速度指令に対応する走行速度と、速度算出部F8が算出したショベル100の現在の走行速度との速度差を算出するように構成されている。
【0079】
速度制限部F9は、ショベル100の走行速度を制限するように構成されている。
図2の例では、速度制限部F9は、演算部C2が算出した速度差が制限値を上回る場合に、その速度差の代わりに制限値を出力し、演算部C2が算出した速度差が制限値以下の場合に、その速度差をそのまま出力するように構成されている。制限値は、予め登録された値であってもよく、動的に算出される値であってもよい。
【0080】
流量指令生成部F10は、メインポンプ14から走行油圧モータ2Mに供給される作動油の流量に関する指令を生成するように構成されている。
図2の例では、流量指令生成部F10は、速度制限部F9が出力する速度差に基づいて流量指令を生成する。基本的には、流量指令生成部F10は、その速度差が大きいほど大きい流量指令を生成するように構成されている。また、流量指令生成部F10は、演算部C2が算出した速度差を零に近づける流量指令を生成するように構成されている。
【0081】
流量指令生成部F10が生成する流量指令は、比例弁31EL、31ER、31FL、31FRのそれぞれに対する電流指令である。比例弁31ELは、その電流指令に応じて動作し、制御弁171の左側パイロットポートに作用するパイロット圧を変化させる。そのため、左走行油圧モータ2MLに流入する作動油の流量は、流量指令生成部F10が生成した流量指令に対応する流量となるように調整される。比例弁31ERも同様に動作する。
【0082】
また、比例弁31FRは、その電流指令に応じて動作し、制御弁172の右側パイロットポートに作用するパイロット圧を変化させる。そのため、右走行油圧モータ2MRに流入する作動油の流量は、流量指令生成部F10が生成した流量指令に対応する流量となるように調整される。比例弁31FLも同様に動作する。その結果、ショベル100の走行速度は、速度指令生成部F7が生成した速度指令に対応する走行速度となるように調整される。
【0083】
なお、ショベル100の走行速度は、走行方向を含む概念である。ショベル100の走行方向は、左走行油圧モータ2MLの回転速度及び回転方向と、右走行油圧モータ2MRの回転速度及び回転方向とに基づいて決定されるためである。
【0084】
また、上述の例では、流量指令生成部F10が生成する流量指令が比例弁31へ出力される事例が示されたが、コントローラ30は、この構成に限られることはない。通常、走行動作の際には、ブームシリンダ7等の、走行油圧モータ2M以外の他のアクチュエータは動作されない。
【0085】
このため、流量指令生成部F10が生成する流量指令は、メインポンプ14のレギュレータ13へ出力されてもよい。この場合、コントローラ30は、メインポンプ14の吐出量を制御することで、ショベル100の走行動作を制御することができる。そして、コントローラ30は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rのそれぞれを制御することで、すなわち、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rのそれぞれの吐出量を制御することで、ショベル100の操舵を制御してもよい。
【0086】
さらに、コントローラ30は、左走行油圧モータ2ML及び右走行油圧モータ2MRのそれぞれへの作動油の供給量を比例弁31により制御して走行動作の操舵を制御し、レギュレータ13を制御することで走行速度を制御してもよい。
【0087】
障害物評価部F11は、物体検知部F6により物体が検知された場合に、検知された物体を回避の対象とするか否かを判定する。言い換えれば、障害物評価部F11は、物体検知部F6で検知された物体が、回避すべき物体(障害物)であるか否かを判定する。そして、障害物評価部F11は、検知された物体が、回避すべき障害物であると判定された場合に、中間目標設定部F4に対し、この物体を回避する走行ルートを生成するための中間目標を設定させる。
【0088】
このような構成により、コントローラ30は、現在位置から目標位置までのショベル100の自律走行を実現できる。また、コントローラ30は、ショベル100に対し、障害物を回避させることができる。
【0089】
このように、本発明の実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、下部走行体1を駆動する走行アクチュエータと、上部旋回体3に設けられた制御装置としてのコントローラ30と、を有している。そして、コントローラ30は、目標位置に関する情報に基づいて走行アクチュエータを動作させるように構成されている。走行アクチュエータは、例えば、走行油圧モータ2Mである。走行電動モータであってもよい。この構成により、ショベル100は、走行操作に対する煩わしさを低減できる。走行レバー26D及び走行ペダルの少なくとも1つを継続的に操作しなくとも、ショベル100を走行させることができるためである。
【0090】
また、ショベル100は、現在位置を測定する測位装置73と、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの相対的な関係に関する情報を検出する向き検出装置と、を有していてもよい。この場合、コントローラ30は、測位装置73の出力と向き検出装置の出力とに基づいて走行アクチュエータに関する制御弁を動作させることができる。
【0091】
例えば、後述する走行レバー26D及び走行ペダルが何れも操作されていない場合であっても、左走行油圧モータ2MLに関する制御弁171、及び、右走行油圧モータ2MRに関する制御弁172の少なくとも1つを変位させることができる。この構成により、コントローラ30は、ショベル100の位置及び姿勢をフィードバック制御しながらショベル100を自律的に走行させることができる。
【0092】
また、ショベル100は、施工状況に関する情報を取得する情報取得装置を有していてもよい。この場合、コントローラ30は、目標位置に関する情報と施工状況に関する情報とに基づいて走行ルートを設定し、その走行ルートに沿って下部走行体1を走行させてもよい。或いは、コントローラ30は、過去の走行軌跡に基づいて走行ルートを設定し、その走行ルートに沿って下部走行体1を走行させてもよい。このように、ショベル100は、様々な方法で設定された走行ルートに沿って自律的に走行するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、走行操作に関する操作者の負担を低減させることができる。
【0093】
コントローラ30は、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとが揃った状態で下部走行体1を走行させてもよく、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとが異なる状態で下部走行体1を走行させてもよい。この構成により、コントローラ30は、ショベル100を自律的に走行させる距離及び走行ルートの状態等に応じた適切な姿勢でショベル100を走行させることができる。
【0094】
次に、
図3を参照し、ショベル100に搭載される駆動システムの構成例について説明する。
図3は、ショベルの駆動システムの構成例を示す図である。
図3は、機械的動力伝達系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系を、それぞれ二重線、実線、破線及び点線で示している。
【0095】
ショベル100の駆動システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作センサ29、コントローラ30等を含む。
【0096】
図3において、駆動システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、センターバイパス管路40又はパラレル管路42を経て作動油タンクまで作動油を循環させることができるように構成されている。
【0097】
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に連結されている。
【0098】
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給できるように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0099】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御できるように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
【0100】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26を含む油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。
【0101】
コントロールバルブ17は、ショベル100の動きを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブ17は、制御弁171~176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁1756を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行油圧モータ2ML、右走行油圧モータ2MR及び旋回油圧モータ2Aを含む。
【0102】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、例えば、操作レバー及び操作ペダルを含む。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも1つを含む。本実施形態では、操作装置26は、パイロット圧式の制御弁駆動システムを動作させることができるように構成されている。
【0103】
パイロット圧式の制御弁駆動システムは、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。但し、制御弁駆動システムは、上述のようなパイロット圧式ではなく、電気制御式であってもよい。この場合、コントロールバルブ17内の制御弁は、電磁ソレノイド式スプール弁であってもよい。
【0104】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出できるように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0105】
操作センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0106】
メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。そして、左メインポンプ14Lは、左センターバイパス管路40L又は左パラレル管路42Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、右メインポンプ14Rは、右センターバイパス管路40R又は右パラレル管路42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0107】
左センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。右センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。
【0108】
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行油圧モータ2MLが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0109】
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行油圧モータ2MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0110】
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0111】
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0112】
制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0113】
制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0114】
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0115】
左パラレル管路42Lは、左センターバイパス管路40Lに並行する作動油ラインである。左パラレル管路42Lは、制御弁171、173、175Lの何れかによって左センターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。右パラレル管路42Rは、右センターバイパス管路40Rに並行する作動油ラインである。右パラレル管路42Rは、制御弁172、174、175Rの何れかによって右センターバイパス管路40Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0116】
レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。左レギュレータ13Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。具体的には、左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。右レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。
【0117】
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
【0118】
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
【0119】
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0120】
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
【0121】
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0122】
走行レバー26Dは、クローラ1Cの操作に用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。なお、以下では、左走行レバー26DL、右走行レバー26DR、左走行ペダル、及び右走行ペダルは、集合的に「走行操作装置」と称される場合がある。また、左走行ペダル及び右走行ペダルは、集合的に「走行ペダル」と称される場合がある。
【0123】
吐出圧センサ28は、吐出圧センサ28L及び吐出圧センサ28Rを含む。吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28Rについても同様である。
【0124】
操作センサ29は、操作センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0125】
同様に、操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0126】
操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0127】
コントローラ30は、操作センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19は左制御圧センサ19L及び右制御圧センサ19Rを含む。
【0128】
また、コントローラ30は、通信装置T1を介して、管理装置200から送信される走行指示を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0129】
左センターバイパス管路40Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間に左絞り18Lが配置されている。そのため、左メインポンプ14Lが吐出した作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための制御圧を発生させる。
【0130】
左制御圧センサ19Lは、この制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、この制御圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。コントローラ30は、この制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、この制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御される。
【0131】
具体的には、
図3で示されるようにショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路40Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油が左センターバイパス管路40Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。
【0132】
そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。なお、コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
【0133】
上述のような構成により、
図3の駆動システムは、待機状態においては、メインポンプ14における無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14が吐出する作動油がセンターバイパス管路40で発生させるポンピングロスを含む。また、
図3の駆動システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。
【0134】
次に、
図4A~
図4D、
図5A、及び
図5Bを参照し、コントローラ30がマシンコントロール機能によってアクチュエータを動作させるための構成について説明する。
図4A~
図4D、
図5A、及び
図5Bは、駆動システムの一部の図である。具体的には、
図4Aは、アームシリンダ8の操作に関する駆動システムの一部の図であり、
図4Bは、ブームシリンダ7の操作に関する駆動システムの一部の図である。
図4Cは、バケットシリンダ9の操作に関する駆動システムの一部の図であり、
図4Dは、旋回油圧モータ2Aの操作に関する駆動システムの一部の図である。
図5Aは、左走行油圧モータ2MLの操作に関する駆動システムの一部の図であり、
図5Bは、右走行油圧モータ2MRの操作に関する駆動システムの一部の図である。
【0135】
図4A~
図4D、
図5A、及び
図5Bに示すように、駆動システムは、比例弁31を含む。比例弁31は、比例弁31AL~31FL及び31AR~31FRを含む。
【0136】
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15と制御弁171~176とを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。
【0137】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
【0138】
例えば、
図4Aに示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0139】
左操作レバー26LにはスイッチNSが設けられている。本実施形態では、スイッチNSは、押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチNSを押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチNSは、右操作レバー26Rに設けられていてもよい。
【0140】
操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0141】
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31ALは、パイロットポンプ15から比例弁31ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31ARは、パイロットポンプ15から比例弁31ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31AL、31ARは、制御弁176L、176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0142】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、アーム5を閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、アーム5を開くことができる。
【0143】
また、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0144】
或いは、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、比例弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0145】
また、以下の
図4B~
図4D、
図5A、及び
図5Bを参照しながらの説明を省略するが、操作者によるブーム上げ操作又はブーム下げ操作が行われている場合にブーム4の動作を強制的に停止させる場合、操作者によるバケット閉じ操作又はバケット開き操作が行われている場合にバケット6の動作を強制的に停止させる場合、及び、操作者による旋回操作が行われている場合に上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止させる場合についても同様である。また、操作者による走行操作が行われている場合に下部走行体1の走行動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0146】
また、
図4Bに示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0147】
操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0148】
比例弁31BLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31BLは、パイロットポンプ15から比例弁31BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31BRは、パイロットポンプ15から比例弁31BRを介して制御弁175Lの左側パイロットポート及び制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BL、31BRは、制御弁175L、175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0149】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、ブーム4を上げることができる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、ブーム4を下げることができる。
【0150】
また、
図4Cに示すように、右操作レバー26Rは、バケット6を操作するためにも用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、バケット開き方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の右側パイロットポートに作用させる。
【0151】
操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0152】
比例弁31CLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31CLは、パイロットポンプ15から比例弁31CLを介して制御弁174の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31CRは、パイロットポンプ15から比例弁31CRを介して制御弁174の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CL、31CRは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0153】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、バケット6を閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、バケット6を開くことができる。
【0154】
また、
図4Dに示すように、左操作レバー26Lは、旋回機構2を操作するためにも用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁173のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、左旋回方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、右旋回方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の右側パイロットポートに作用させる。
【0155】
操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0156】
比例弁31DLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31DLは、パイロットポンプ15から比例弁31DLを介して制御弁173の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31DRは、パイロットポンプ15から比例弁31DRを介して制御弁173の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DL、31DRは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0157】
この構成により、コントローラ30は、操作者による左旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、旋回機構2を左旋回させることができる。また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、旋回機構2を右旋回させることができる。
【0158】
また、コントローラ30は、電流指令によって比例弁31DL及び比例弁31DRの少なくとも1つを制御することにより、上部旋回体3を目標施工面に正対させるために、アクチュエータの一例である旋回油圧モータ2Aを自動的に回転或いは制動させてもよい。
【0159】
例えば、ショベル100の上部旋回体3が目標施工面に正対している状態は、アタッチメントの動作にしたがい、アタッチメントの先端部(例えば、作業部位としてのバケット6の爪先又は背面等)を目標施工面(例えば、上り法面)の傾斜方向に沿って移動させることが可能な状態である。具体的には、ショベル100の上部旋回体3が目標施工面に正対している状態は、ショベル100の旋回平面(旋回軸に垂直な仮想平面)に垂直なアタッチメント稼動面(アタッチメントの中心線を含む仮想平面)が、目標施工面の法線を含む状態(換言すれば、目標施工面の法線に沿う状態)である。
【0160】
ショベル100のアタッチメント稼動面が目標施工面の法線を含む状態にない場合、すなわち、上部旋回体3が目標施工面に正対していない場合、ショベル100は、アタッチメントの先端部を目標施工面の傾斜方向に移動させることができない。そのため、結果として、ショベル100は、目標施工面を適切に形成できない。この状況に対して、コントローラ30は、自動的に旋回油圧モータ2Aを回転させることで、上部旋回体3を目標施工面に正対させることができる。したがって、ショベル100は、目標施工面を適切に形成できる。
【0161】
コントローラ30は、上述のような正対制御において、例えば、バケット6の爪先の左端と目標施工面との間の鉛直距離(以下、「左端鉛直距離」とする。)と、バケット6の爪先の右端と目標施工面との間の鉛直距離(以下、「右端鉛直距離」とする。)と、が等しくなった場合に、ショベル100が目標施工面に正対していると判定する。或いは、コントローラ30は、左端鉛直距離と右端鉛直距離とが等しくなった場合(すなわち、左端鉛直距離と右端鉛直距離との差がゼロになった場合)ではなく、その差が所定値以下になった場合に、ショベル100が目標施工面に正対していると判定してもよい。その後、コントローラ30は、その差が所定値以下或いはゼロになると、旋回油圧モータ2Aの制動制御により、旋回油圧モータ2Aを減速させ且つ停止させる。
【0162】
上述の例では、目標施工面に関する正対制御の事例が示されたが、正対制御の実行は、目標施工面に関する場合に限られることはない。例えば、正対制御は、仮置きの土砂をダンプトラックに積み込むための掬い取り動作の際に実行されてもよい。具体的には、コントローラ30は、一回の掘削動作で所望の体積(目標掘削体積)分の土砂をバケット6内に取り込むためにバケット6の爪先が辿るべき軌道である目標掘削軌道を設定する。
【0163】
そして、コントローラ30は、その目標掘削軌道に沿ってバケット6の爪先を移動させる際のアタッチメント稼動面に垂直な仮想平面に上部旋回体3を正対させてもよい。この場合、掬い取り動作の都度、目標掘削軌道は変更される。そのため、ショベル100は、ダンプトラックの荷台に土砂を排土した後、新たに設定された目標掘削軌道に沿ってバケット6の爪先を移動させる際のアタッチメント稼動面に垂直な仮想平面に上部旋回体3を正対させる。
【0164】
また、
図5Aに示すように、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLを操作するために用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁171のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左走行レバー26DLは、前進方向(前方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁171の左側パイロットポートに作用させる。また、左走行レバー26DLは、後進方向(後方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁171の右側パイロットポートに作用させる。
【0165】
操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0166】
比例弁31ELは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31ELは、パイロットポンプ15から比例弁31ELを介して制御弁171の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ERは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31ERは、パイロットポンプ15から比例弁31ERを介して制御弁171の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31EL、31ERは、制御弁171を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0167】
この構成により、コントローラ30は、操作者による左前進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ELを介し、制御弁171の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、左クローラ1CLを前進させることができる。また、コントローラ30は、操作者による左後進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ERを介し、制御弁171の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、左クローラ1CLを後進させることができる。
【0168】
また、
図5Bに示すように、右走行レバー26DRは、右クローラ1CRを操作するために用いられる。具体的には、右走行レバー26DRは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁172のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右走行レバー26DRは、前進方向(前方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁172の右側パイロットポートに作用させる。また、右走行レバー26DRは、後進方向(後方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁172の左側パイロットポートに作用させる。
【0169】
操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0170】
比例弁31FLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31FLは、パイロットポンプ15から比例弁31FLを介して制御弁172の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31FRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、比例弁31FRは、パイロットポンプ15から比例弁31FRを介して制御弁172の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31FL、31FRは、制御弁172を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0171】
この構成により、コントローラ30は、操作者による右前進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31FLを介し、制御弁172の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、右クローラ1CRを前進させることができる。また、コントローラ30は、操作者による右後進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31FRを介し、制御弁172の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、右クローラ1CRを後進させることができる。
【0172】
次に、
図6を参照して、本実施形態の管理装置200のハードウェア構成について説明する。
図6は、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0173】
本実施形態の管理装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置201、出力装置202、ドライブ装置203、補助記憶装置204、メモリ装置205、演算処理装置206及びインターフェース装置207を含むコンピュータである。
【0174】
入力装置201は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばタッチパネル等により実現される。出力装置202は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置207は、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0175】
後述する各部により実現される制御プログラムは、管理装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。制御プログラムは、例えば、記憶媒体208の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。制御プログラムを記録した記憶媒体208は、情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0176】
また、制御プログラムは、制御プログラムを記録した記憶媒体208がドライブ装置203にセットされると、記憶媒体208からドライブ装置203を介して補助記憶装置204にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた制御プログラムは、インターフェース装置207を介して補助記憶装置204にインストールされる。
【0177】
補助記憶装置204は、管理装置200にインストールされた制御プログラムを格納すると共に、管理装置200による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置205は、管理装置200の起動時に補助記憶装置204から制御プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置206はメモリ装置205に格納された制御プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0178】
次に、
図7を参照して、本実施形態の管理装置200の機能構成について説明する。
図7は、管理装置の機能構成を説明する図である。
【0179】
管理装置200は、情報取得部210、マップ更新部220、回避評価部230、ルート生成部240、指令送信部250を有する。
【0180】
情報取得部210は、各種の情報を取得する。具体的には、情報取得部210は、ショベル100から稼働情報と環境情報を取得する。稼働情報には、例えば、前日までの作業内容を示す作業履歴情報が含まれてよい。また、環境情報には、ショベル100の作業履歴情報から生成された、盛り土や掘削孔の位置や大きさ、形状等を示す情報が含まれてよい。さらに、環境情報には、空間認識装置の一例である撮像装置S6によって撮像された画像データ、空間認識装置の一例である3次元距離画像センサ、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR又は赤外線センサ等の出力データ等が含まれてよい。
【0181】
また、情報取得部210は、作業現場におけるショベル100以外の空間認識装置等から画像データ等を取得する。言い換えれば、情報取得部210は、作業現場の環境を示す環境情報を取得する。
【0182】
さらに、情報取得部210は、ショベル100以外の他のショベル100から環境情報を取得してもよい。また、情報取得部210は、ショベル100から稼働情報を取得したときの気象条件を示す気象情報を、環境情報として取得してもよい。稼働情報を取得したときの気象情報を環境情報に含めることで、例えば、水たまり等の発生の原因等を予測することができ、回避評価部230による判定に有用な情報となる。
【0183】
また、情報取得部210は、ショベル100の現在位置と、ショベル100を自律的に走行させる際の行き先である目的地(目標位置)を示す情報を取得してもよい。ショベル100の現在位置を示す情報は、ショベル100から取得されてもよい。ショベル100の目標位置を示す情報は、支援装置等に対して入力された情報であってよく、支援装置から取得されてもよい。
【0184】
マップ更新部220は、情報取得部210が取得した環境情報等に基づき、作業現場の3次元マップデータを更新する。具体的には、マップ更新部220は、ショベル100から取得した環境情報に基づき、作業現場の3次元マップデータにおける盛り土の位置や掘削孔の深さ等を更新する。
【0185】
なお、管理装置200は、作業現場の3次元マップデータを予め保持していてよい。3次元マッデータは、管理装置200によって生成されてもよいし、管理装置200が予め生成された3次元マップデータを取得してもよい。
【0186】
3次元マップデータは、例えば、施工前の作業現場を測量により作成された現況地形データであってもよい。また、3次元マップデータは、施工前の作業現場をショベル100の撮像装置S6によって撮像された画像データや、LIDARによって取得されたデータに基づき作成されてもよい。また、本実施形態では、マップ更新部220により更新されるマップデータを3次元マップデータとしているが、マップデータは2次元のマップデータであってもよい。
【0187】
また、本実施形態のマップ更新部220は、例えば、ショベル100が作業現場において走行を開始する前に、3次元マップデータを更新する。
【0188】
3次元マップデータを更新することで、例えば、前回3次元マップデータを更新した後に天候によって生じた水たまりやぬかるみの位置を示す情報が、更新後の3次元マップデータに含まれるようになる。また、3次元マップデータには、作業現場に配置されたロードコーンの位置や大きさを示す情報や、作業現場に生息している植物(雑草等)を示す情報等が含まれてよい。
【0189】
回避評価部230は、マップ更新部220により更新された3次元マップデータに基づき、ショベル100の現在位置から目標位置までの間に、回避すべき場所や物体が存在するか否かを判定する。言い換えれば、回避評価部230は、最新の3次元マップデータに基づき、ショベル100の現在位置から目標位置までの間に、回避すべき場所や物体が存在するか否かを判定する。
【0190】
具体的には、回避評価部230は、3次元マップデータにおける、ショベル100の現在位置と目標位置とを含む領域と対応する環境情報を抽出し、抽出された環境情報に基づき、ショベル100による走行を回避すべき領域が存在するか否かを判定してもよい。
【0191】
回避すべき領域とは、具体的には、例えば、建屋等が存在する領域、土嚢やロードコーン等が配置された領域、作業者が作業を行っている領域、作業現場内の移動体の周辺領域、水たまり、軟弱地盤が生じている領域、雑草等の植物が生育している領域等である。なお、作業現場内の移動体とは、例えば、他のショベル100であってもよいし、トラック等の車両であってもよいし、作業者等の人であってもよい。
【0192】
本実施形態では、回避すべき領域の一覧を示す情報が、予め管理装置200に格納されていてもよく、回避評価部230は、この情報を参照して、回避すべき領域か否かを判定してもよい。
【0193】
ルート生成部240は、3次元マップデータと、ショベル100の現在位置と目標位置と、回避評価部230による判定結果と、に応じて、走行ルートを生成する。具体的には、ルート生成部240は、回避評価部230によって、回避すべきと判定された領域が存在すると判定された場合、該当する領域を迂回するような走行ルートを生成する。
【0194】
また、ルート生成部240は、回避すべき領域が存在しない判定された場合、最初に生成された最短の走行ルートを採用する。
【0195】
指令送信部250は、ルート生成部240によって生成された走行ルートに基づく走行指示をショベル100に対して送信する。
【0196】
次に、
図8を参照して、本実施形態の制御システムSYSの動作について説明する。
図8は、第一の実施形態の制御システムの動作を説明するシーケンス図である。
【0197】
図8におけるステップS801からステップS803までの処理は、管理装置200が保持する3次元マップデータを更新するマップ更新処理である。また、
図8におけるステップS804からステップS808の処理は、ショベル100の走行ルートを生成する処理であり、ショベル100が走行を開始する前に、管理装置200において行われる走行前の事前処理である。
【0198】
本実施形態のマップ更新処理と、走行前の事前処理とは、それぞれが独立したタイミングで実行されてよいが、走行前の事前処理を実行する前に、マップ更新処理が実行されることが好ましい。
【0199】
具体的には、例えば、マップ更新処理は、ショベル100による作業を行う日の前日の夜等に行われ、走行前の事前処理は、ショベル100による作業を行う日の朝に実行されてもよい。
【0200】
本実施形態において、ショベル100は、稼働情報と環境情報とを取得し(ステップS801)、管理装置200に送信する(ステップS802)。管理装置200は、情報取得部210により、ショベル100から稼働情報と環境情報とを取得すると、マップ更新部220により3次元マップデータを更新する(ステップS803)。
【0201】
なお、管理装置200の情報取得部210は、ショベル100以外からも作業現場の環境情報を取得してよい。具体的には、例えば、管理装置200は、インターネット等を介して、外部に設けられたサーバから、気象情報や地図情報等を環境情報として取得してもよい。
【0202】
つまり、ステップS801からステップS803の処理において、管理装置200は、作業現場の環境情報を取得し、取得した環境情報に基づいて3次元マップデータを更新する。
【0203】
制御システムSYSにおいて、ショベル100は、自機の現在位置を示す現在位置情報を取得して、管理装置200に送信する(ステップS804)。
【0204】
管理装置200は、情報取得部210により、ショベル100の目標位置を示す目標位置情報を取得する(ステップS805)。続いて、管理装置200は、回避評価部230により、ショベル100の現在位置から目標位置までの最短ルートを含む領域の環境情報を抽出する(ステップS806)。
【0205】
続いて、管理装置200は、回避評価部230により、抽出された環境情報に基づき、ショベル100による走行を回避すべき領域が存在するか否かを判定する(ステップS807)。
【0206】
続いて、管理装置200は、ルート生成部240により、回避評価部230による判定の結果に応じて、現在位置から目標位置までの走行ルートを生成する(ステップS808)。
【0207】
具体的には、ルート生成部240は、回避評価部230により回避すべき領域と判定され領域が存在する場合、この領域を迂回するように走行ルートを生成する。
【0208】
続いて、管理装置200は、指令送信部250により、走行ルートに応じた走行指令をショベル100に対して送信する(ステップS809)。
【0209】
ショベル100は、走行指令を受信すると、情報入力装置72によって、コントローラ30に対して走行指令を入力し、走行を開始させる(ステップS811)。
【0210】
次に、
図9を参照して、制御システムSYSの動作について具体的に説明する。
図9は、第一の実施形態の制御システムの動作について説明する図である。
【0211】
図9は、ある作業現場の一例を模式的に示している。作業現場には、河川G4、用水路G5、堤防G6、舗装道路形G7、未舗装道路G8、事務所G9、盛り土G10が存在している。
【0212】
堤防G6は、河川側の法面(表法面)G6Aと、堤防の上面(天端面)G6Bと、市街地側の法面(裏法面)G6Cと、を含む。
【0213】
また、盛り土G10は、例えば、前日の作業によって作られたものであり、作業の開始日には存在しなかったものとする。
【0214】
また、
図9の例では、ショベル100の現在位置は地点J1であり、目標位置は地点J2である。
【0215】
この場合、管理装置200の回避評価部230は、地点J1と地点J2とを含む領域の環境情報を抽出する。具体的には、回避評価部230は、地点J1と地点J2とを含む最短ルートである走行ルートR1の周辺の領域の環境情報を抽出する。
【0216】
そして、回避評価部230は、環境情報に基づき、ショベル100の走行を回避すべき領域が存在するか否かを判定する。
【0217】
図9の例では、走行ルートR1の途中に、盛り土G10が存在している。したがって、回避評価部230は、盛り土G10が存在する領域を回避すべき領域と判定する。言い換えれば、回避評価部230は、盛り土G10を回避すべき障害物と判定する。
【0218】
ルート生成部240は、この判定をうけて、走行ルートR1を、盛り土G10を迂回する走行ルートR2を生成する。
【0219】
このように、本実施形態では、作業期間中に作業現場の環境が変化した場合であっても、環境に応じた走行ルートを生成し、ショベル100に設定することができる。
【0220】
なお、本実施形態では、走行ルートが変更された場合には、走行ルートが変更されたことを示す通知を、作業現場の作業者が所持している支援装置等に通知してもよい。
【0221】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、管理装置200が生成した走行ルートに基づき走行を開始したショベル100においても、走行中に取得した環境情報に基づき、回避すべき対象が存在するか否かを判定する点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0222】
図10は、第二の実施形態の制御システムの動作を説明するシーケンス図である。
図10に示すステップS1001からステップS1010までの処理は、
図8のステップS801からステップS810までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0223】
ステップS1010に続いて、ショベル100は、空間認識装置70等により、自機の周囲の環境情報を取得する(ステップS1011)。このとき、コントローラ30は、作業現場に設置された他の空間認識装置である定点カメラやドローン等において撮像された画像データを環境情報の一部として取得してもよい。
【0224】
なお、以下の説明では、ショベル100が取得した環境情報に基づき、ショベル100の周辺に物体が検知された場合の処理を示す。
【0225】
ショベル100は、コントローラ30の物体検知部F6により、空間認識装置70から出力される情報から、物体が検知されると、障害物評価部F11により、検知された物体が、迂回すべき障害物であるか否かを判定する(ステップS1012)。ここで、空間認識装置70から出力される情報は、環境情報の一部である。
【0226】
ここで、例えば、検知された物体が、雑草等の場合には、障害物評価部F11は、この物体を障害物と判定せず、迂回しない。また、検知された物体が、ロードコーン等のように、作業者によって配置されたものである場合、障害物評価部F11は、この物体を障害物と判定する。なお、本実施形態では、コントローラ30において、障害物とすべき物体の種類の一覧等が保持されていてもよく、障害物評価部F11は、この一覧を参照して、物体が障害物であるか否かを判定してもよい。
【0227】
続いて、ショベル100は、検出された物体が障害物である場合、障害物評価部F11は、中間目標設定部F4に対して、中間目標の変更を指示し、走行ルートを変更させる(ステップS1013)。
【0228】
図11は、第二の実施形態の制御システムの動作について説明する図である。
図11は、ある作業現場の一例を模式的に示している。作業現場には、河川G4、用水路G5、堤防G6、舗装道路形G7、未舗装道路G8、事務所G9が存在している。また、
図11の例では、未舗装道路G8には、ショベル100が走行を開始する直前にロードコーンRCが設置されたものとする。
【0229】
また、
図11の例では、ショベル100の現在位置は地点J1aであり、目標位置は地点J2aである。
【0230】
この場合、管理装置200の回避評価部230は、地点J1aと地点J2aとを含む領域の環境情報を抽出する。具体的には、回避評価部230は、地点J1aと地点J2aとを含む最短ルートである走行ルートR1aの周辺の領域の環境情報を抽出する。
【0231】
そして、回避評価部230は、環境情報に基づき、ショベル100の走行を回避すべき領域が存在するか否かを判定する。このとき、ロードコーンRCは、作業現場に設定されていなかったため、管理装置200は、走行ルートR1aに基づく走行指令をショベル100に送信する。ショベル100は、この走行指令に基づき走行を開始する。
【0232】
このとき、ショベル100は、空間認識装置70により、環境情報の収集を開始する。そして、ショベル100は、地点J3に到達したときに、ロードコーンRCを検知したとする。
【0233】
この場合、ショベル100は、ロードコーンRCを障害物と判定し、地点J3から地点J2aまでの走行ルートを、走行ルートR1aから走行ルートR2aに変更する。
【0234】
このように、本実施形態によれば、ショベル100においても、走行中に取得した環境情報に応じて走行ルートを生成することができる。したがって、本実施形態によれば、ショベル100が走行を開始する直前や、走行中等に、管理装置200が生成した走行ルート上に障害物が配置された場合に、これを回避することができる。
【0235】
さらに、本実施形態では、走行中の環境情報に応じて走行ルートを変更するため、作業現場の現在の状態に合わせた走行ルートを生成することができる。
【0236】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、管理装置200が、ショベル100が走行中に収集した環境情報に応じて走行ルートを更新する点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0237】
図12は、第三の実施形態の制御システムの動作を説明するシーケンス図である。
図10に示すステップS1201からステップS1211までの処理は、
図10のステップS1001からステップS1011までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0238】
ステップS1211において、ショベル100は、空間認識装置70等により、自機の周囲の環境情報を取得すると、取得した環境情報を管理装置200に送信する(ステップS1212)。
【0239】
管理装置200は、ショベル100から取得した走行中の環境情報を受信すると、回避評価部230により、ショベル100の進行方向に回避すべき領域が存在するか否かを判定する(ステップS1213)。
【0240】
なお、以下の説明では、ショベル100の進行方向に回避すべき領域が存在した場合の動作を示す。
【0241】
管理装置200は、ショベル100の進行方向に回避すべき領域が存在した場合、ルート生成部240により、ショベル100から取得した環境情報に基づき、走行ルートを更新する(ステップS1214)。
【0242】
続いて、管理装置200は、指令送信部250により、ショベル100に対して、更新された走行ルートに基づく走行指令を送信する(ステップS1215)。ショベル100は、この走行指令を受信して、走行ルートを変更する(ステップS1216)。
【0243】
図13は、第三の実施形態の制御システムの動作について説明する図である。
図11は、ある作業現場の一例を模式的に示している。作業現場には、河川G4、用水路G5、堤防G6、舗装道路形G7、未舗装道路G8、事務所G9、草むらG12が存在している。また、
図13の例では、草むらG12の中に水たまりG13が存在している。
【0244】
また、
図13の例では、ショベル100の現在位置は地点J1bであり、目標位置は地点J2bである。
【0245】
この場合、管理装置200の回避評価部230は、地点J1bと地点J2bとを含む領域の環境情報を抽出する。具体的には、回避評価部230は、地点J1bと地点J2bとを含む最短ルートである走行ルートR1bの周辺の領域の環境情報を抽出する。
【0246】
そして、回避評価部230は、環境情報に基づき、ショベル100の走行を回避すべき領域が存在するか否かを判定する。
図13の例では、走行ルートR1bの周辺に草むらG12が存在するが、草むらG12はショベル100の走行の妨げにならないため、回避評価部230は、回避すべき領域は存在しないものと判定する。そして、管理装置200は、走行ルートR1bに基づく走行指令をショベル100に送信する。
【0247】
ショベル100は、地点J1bから走行を開始する。また、ショベル100は、走行中に含まれる姿勢情報に基づき環境情報を取得し、管理装置200へ送信する。
【0248】
ここで、管理装置200は、回避評価部230により、ショベル100が地点J4に到達したときに取得した環境情報から、草むらG12の中にぬかるみ(軟弱地)G13があることを検知する。
【0249】
具体的には、管理装置200の回避評価部230は、ショベル100から取得した環境情報に含まれる、クローラ1Cが沈む深さを示す値を参照し、クローラ1Cが一定値以上の深さまで沈んでいるか否かを判定する。そして、回避評価部230は、クローラ1Cが一定値以上の深さまで沈んでいた場合に、ぬかるみG13を回避すべき領域と判定してもよい。
【0250】
管理装置200は、ぬかるみG13を回避すべき領域と判定すると、地点J4からの走行ルートを、走行ルートR1bから走行ルートR2bへ更新し、ショベル100へ走行指令を送信する。ショベル100は、この走行指令に応じて、走行ルートR2bを走行する。ショベル100が走行した軌跡は、記憶媒体208へ記録される。記録された走行軌跡は、他の建設機械が走行する際に、走行ルートとして設定されてもよい。
【0251】
このように、本実施形態によれば、管理装置200は、走行中にショベル100から取得した環境情報に応じて、走行ルートを更新できる。このため、本実施形態によれば、常に最新の環境情報に基づく走行ルートを生成することができる。言い換えれば、本実施形態では、作業現場の現在の状態に合わせた走行ルートを生成することができる。
【0252】
なお、上述した各実施形態では、ショベル100が自律走行を行う場合について説明したが、これに限定されない。上述した各実施形態では、例えば、遠隔操作室からショベル100を操作する場合等にも適用されてよい。
【0253】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0254】
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
30 コントローラ
100 ショベル
200 管理装置
210 情報取得部
220 マップ更新部
230 回避評価部
240 ルート生成部
250 指令送信部