(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056933
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
C07D 209/88 20060101AFI20240416BHJP
C07D 405/12 20060101ALI20240416BHJP
C07D 409/12 20060101ALI20240416BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240416BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240416BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240416BHJP
【FI】
C07D209/88 CSP
C07D405/12
C07D409/12
H10K85/60
H10K50/15
H10K50/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022325
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2021540241の分割
【原出願日】2019-12-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0006615
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0145630
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン、トゥヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イー、テチン
(72)【発明者】
【氏名】イー、トンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソミ
(72)【発明者】
【氏名】パク、トヨン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【解決手段】下記(1)の構造を有する有機エレクトロルミネセント化合物を含めることにより、改善された発光効率を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1:
【化1】
(式中、
Ar
1は、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
Ar
2及びAr
3は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ビフェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換ビナフチル、置換若しくは無置換フェニルナフチル、置換若しくは無置換ナフチルフェニル、置換若しくは無置換フルオレニル、置換若しくは無置換テルフェニル、置換若しくは無置換カルバゾリル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル又は置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニルを表し、Ar
2及びAr
3の置換基は、それぞれ独立して、重水素、(C1~C30)アルキル及び(C6~C30)アリールからなる群から選択され少なくとも1つであり;
L
1は、単結合、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換の(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
L
2は、単結合を表し;
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、重水素又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルを表し;
aは1~4の整数を表し、bは1~3の整数を表し、cは1の整数を表し;
a及びbが2以上の場合には、各R
1及び各R
2は、同じであっても異なっていてもよい)により表される有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項2】
Ar
2及びAr
3が、それぞれ独立して、以下のグループ1:
[グループ1]
【化2】
(式中、
A1~A3は、それぞれ独立して(C1~C30)アルキル又は(C6~C30)アリールを表す)
から選択される置換基のいずれか1つを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項3】
Ar1が、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールを表し;
L1が、単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(5~15員)ヘテロアリーレンを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項4】
Ar1が、無置換であるか(C1~C6)アルキル及び(C6~C12)アリールのうちの少なくとも1つで置換された(C6~C30)アリールを表すか、(C6~C12)アリールで置換されているか無置換の(5~20員)ヘテロアリールを表し;
L1が、単結合又は無置換(C6~C18)アリーレンを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項5】
前記式1によって表される前記化合物が以下:
【化3】
【化4】
【化5】
からなる群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項7】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が正孔輸送層及び/又は発光層中に含まれる、請求項6に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセントデバイス(ELデバイス)は、より広い視野角、より大きいコントラスト比、及びより速い応答時間を提供する点で利点を有する自発光ディスプレイデバイスである。1987年にEastman Kodakによって、発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用することによって、最初の有機ELデバイスが開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機ELデバイス(OLED)は、電荷を有機発光料中に注入することによって電気エネルギーを光に変換し、一般に、アノードと、カソードと、これら2つの電極の間に形成された有機層とを含む。有機ELデバイスの有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子阻止層、発光層(ホスト材料及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等を含んでもよい。有機層において使用される材料は、それらの機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料等に分類され得る。有機ELデバイスでは、電圧をかけることによって、アノードからの正孔と、カソードからの電子とが発光層中に注入され、正孔と電子との再結合によって高エネルギーを有する励起子が生成する。有機発光化合物は、有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るときのエネルギーによって励起状態に移行し、エネルギーから発光する。
【0004】
有機ELデバイスにおける発光効率を決定する重要な要因は発光材料である。発光材料は、高い量子効率、電子及び正孔の高い移動度並びに形成された発光材料層の均一性及び安定性を有することが必要となる。そのような発光材料は、発光色によって青色、緑色、及び赤色発光材料に分類され、黄色又は橙色発光材料を更に含む。更に、発光材料は、機能面でホスト材料とドーパント材料とに分類される。近年の緊急の課題は、高効率及び長寿命を有する有機ELデバイスの開発である。特に、中型及び大型のOLEDパネルに必要なEL特性を考慮すると、従来の材料を凌ぐ非常に優れた発光材料の開発が緊急に必要とされている。このために、溶媒として機能し、固体状態で唯一のエネルギー輸送体として機能するホスト材料の望ましい特性は、高純度であること、及び真空蒸着を可能にする適切な分子量を有することを要する。更に、ホスト材料は、熱安定性を達成するための高いガラス転移温度及び熱分解温度、長い寿命を達成するための高い電気化学的安定性、非晶質薄膜の容易な成形性、隣接層との良好な接着性を有すること並びに層間移動がないことが求められる。
【0005】
加えて、正孔輸送層、緩衝層、電子輸送層などにおいて優れた熱安定性を有し、且つ駆動電圧、発光効率、及び寿命等の有機エレクトロルミネセントデバイスの性能を改善できる材料の開発が必要とされている。
【0006】
日本国特許第5,609,256号明細書には、有機ELデバイスの正孔輸送材料として好適な2-アミノカルバゾール化合物が開示されている。しかしながら、カルバゾールの1位をアミノ化合物で置換した化合物は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、第1に、改善された発光効率を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造することが可能な有機エレクトロルミネセント化合物を提供することであり、第2に、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、カルバゾールの1位にアミノ化合物が結合した構造を含む特定の化合物を正孔輸送層及び/又は発光層に含めることにより、有機エレクトロルミネセントデバイスが改善された発光効率を示し得ることを発見し、その結果本発明を完成させた。具体的には、以下の式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物により前述した目的を達成でき、その結果本発明が完成した。
【化1】
【0009】
式1では、
Ar1~Ar3は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;
L1及びL2は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換の(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R1~R2は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;
aは1~4の整数を表し、bは1~3の整数を表し、cは1又は2の整数を表すが、L2が単結合の場合にはcは1であり;
a、b、cが2以上の場合には、各R1、各R2、及び各-NAr2Ar3は、同じであっても異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
改善された発光効率を有する有機エレクトロルミネセントデバイスは、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含めることによって製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示が詳細に説明される。しかしながら、以下の説明は、本発明を説明することを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0012】
本開示は、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物に関する。より詳しくは、本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0013】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の材料層に含まれ得る化合物を意味する。
【0014】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得る、且つ少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料又は電子注入材料等であり得る。
【0015】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル」は、鎖を構成する1~30の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルであることを意味し、この場合、炭素原子の数は、好ましくは、1~20、より好ましくは1~10である。上記アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を含み得る。「(C3~C30)シクロアルキル」は、3~30の環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であり、炭素原子数は、3~20が好ましく、3~7がより好ましい。上記のシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれ得る。「(C6~C30)アリール(エン)」は、6~30の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素(環骨格炭素原子の数が好ましくは6~20、より好ましくは6~15である)に由来する単環式又は縮合環ラジカルであり、部分的に飽和され得、スピロ構造を含み得る。アリールの例としては、具体的には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンズアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、アズレニル等が挙げられる。より具体的には、アリールは、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4”-t-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、o-ビフェニル、m-ビフェニル、p-ビフェニル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、ベンゾフルオランテニルなどであってもよい。
【0016】
本明細書において、「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」は、B、N、O、S、Si、P、及びGeからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4個のヘテロ原子を含む3~30個の環骨格原子を有するアリールであり、環骨格原子の数は好ましくは5~25個である。上記ヘテロアリールは、単環式環であってもよく、或いは少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であってもよく;また部分的に飽和であってもよい。更に、上記ヘテロアリールは、単結合を介してヘテロアリール基に少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基を結合することにより形成されたものであってもよく;またスピロ構造を含んでいてもよい。ヘテロアリールの例としては、具体的には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどの単環型ヘテロアリール;及び、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリリジニル、シラフルオレニル、ゲルマフルオレニルなどの縮合環型ヘテロアリールを挙げることができる。より具体的には、ヘテロアリールは、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジジニル、2-インドリジジニル、3-インドリジジニル、5-インドリジジニル、6-インドリジジニル、7-インドリジジニル、8-インドリジジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾール-1-イル、アザカルバゾール-2-イル、アザカルバゾール-3-イル、アザカルバゾール-4-イル、アザカルバゾール-5-イル、アザカルバゾール-6-イル、アザカルバゾール-7-イル、アザカルバゾール-8-イル、アザカルバゾール-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、及び4-ゲルマフルオレニル等であってもよい。
【0017】
本明細書において、「ハロゲン」には、F、Cl、Br及びIが含まれる。
【0018】
更に、「オルト(o)」、「メタ(m)」及び「パラ(p)」は、全ての置換基の置換位置を示すことを意味する。オルト位は、例えば、ベンゼンの1位及び2位で互いに隣接している置換基を有する化合物である。メタ位は、直接隣接する置換位置の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び3位に置換基を有する化合物である。パラ位は、メタ位の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び4位に置換基を有する化合物である。
【0019】
本明細書において、「隣接する置換基に結合して形成される環」とは、置換若しくは無置換(3~30員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環、或いはこれらの組み合わせを意味し、2つ以上の隣接する置換基を連結又は縮合することにより形成され、好ましくは、置換若しくは無置換(3~26員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環、或いはこれらの組み合わせであり得る。加えて、形成された環中の炭素原子のうちの少なくとも1つは、B、N、O、S、Si、及びPから、好ましくは、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置換されていてもよい。一実施形態によれば環骨格の原子数は5~20であり、別の実施形態によれば環骨格の原子数は5~15である。一実施形態では、縮合環は、例えば、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換ジベンゾフラン環、置換若しくは無置換ナフタレン環、置換若しくは無置換フェナントレン環、置換若しくは無置換フルオレン環、置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換ベンゾフラン環、置換若しくは無置換インドール環、置換若しくは無置換インデン環、置換若しくは無置換ベンゼン環、又は置換若しくは無置換カルバゾール環等であってもよい。
【0020】
更に、表現「置換若しくは無置換」における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は別の官能基、即ち置換基で置き換えられていることを意味する。Ar1~Ar3、L1~L3、R1、及びR2における、置換(C1~C30)アルキル、置換(C6~C30)アリール(エン)、置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、置換(C3~C30)シクロアルキル、置換(C1~C30)アルコキシ、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシ、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール置換若しくは無置換(5~30員)ヘテロアリール、(5~30員)ヘテロアリール置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。例えば、置換基は無置換メチル、無置換フェニル、無置換ビフェニル、又は無置換ナフチル等であってもよい。
【0021】
以下では、一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物が説明される。
【0022】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式1によって表される。
【化2】
【0023】
式1では、
Ar1~Ar3は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;
L1及びL2は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換の(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;
aは1~4の整数を表し、bは1~3の整数を表し、cは1又は2の整数を表すが、L2が単結合の場合にはcは1であり;
a、b、cが2以上の場合には、各R1、各R2、及び各-NAr2Ar3は、同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
一実施形態による式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式2又は3によって表すことができる:
【化3】
【0025】
式2及び3において、
Ar1~Ar3、L1、L2、R1、及びR2、a、及びbは、式1で規定した通りであり;
L3は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。
【0026】
一実施形態では、L1は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは、単結合、或いは置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、より好ましくは、単結合、又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレンであってもよい。例えば、L1は、単結合、置換若しくは無置換フェニレン、置換若しくは無置換ビフェニレン、又は置換若しくは無置換ナフチレンであり得る。
【0027】
一実施形態では、Ar1は、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、好ましくは水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C18)アリールを表す。例えば、Ar1は、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換o-ビフェニル、置換若しくは無置換m-ビフェニル、置換若しくは無置換p-ビフェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換p-テルフェニル、又は置換若しくは無置換m-テルフェニルであってもよい。
【0028】
一実施形態では、L2は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、好ましくは、単結合、又は置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、より好ましくは単結合又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレンであってもよい。例えば、L2は、単結合、置換若しくは無置換フェニレン、置換若しくは無置換p-ビフェニレン、置換若しくは無置換m-ビフェニレン、置換若しくは無置換ナフチレン、置換若しくは無置換フェニルナフチレン、又は置換若しくは無置換ナフチルフェニレンであってもよい。
【0029】
一実施形態において、L3は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレンであってもよい。例えば、L3は置換若しくは無置換フェニレンであってもよい。
【0030】
一実施形態では、Ar2及びAr3は、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、好ましくは水素、重水素、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリールを表し、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールを表す。
【0031】
一実施形態によれば、Ar
2及びAr
3は、それぞれ独立して、以下のグループ1で列挙される置換基のうちのいずれか1つから選択することができる。
[グループ1]
【化4】
【化5】
【0032】
グループ1では、
A1~A3は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
Lは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。
【0033】
グループ1において、好ましくは、A1及びA2は、それぞれ独立して置換若しくは無置換(C1~C10)アルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリールであり、より好ましくは置換若しくは無置換(C1~C6)アルキル又は置換若しくは無置換(C6~C12)アリールであってもよい。
【0034】
グループ1において、好ましくは、A3は、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C18)アリールであってもよい。
【0035】
例えば、Ar2及びAr3は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換o-ビフェニル、置換若しくは無置換m-ビフェニル、置換若しくは無置換p-ビフェニル、置換若しくは無置換フルオレニル、置換若しくは無置換スピロビフルオレニル、置換若しくは無置換p-テルフェニル、置換若しくは無置換カルバゾリル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、又は置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニルであってもよい。
【0036】
一実施形態では、R1~R2は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、好ましくは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、又は置換若しくは無置換(C6~C25)アリールであってもよく、より好ましくは水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリールであってもよい。例えば、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又は置換若しくは無置換フェニルであり得る。
【0037】
一実施形態によれば、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、Ar1~Ar3がそれぞれ独立して置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールを表し;L1及びL2がそれぞれ独立して単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(5~15員)ヘテロアリーレンを表し;R1及びR2がそれぞれ独立して水素、置換若しくは無置換(C1~C6)アルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C12)アリールを表すものであってもよい。
【0038】
一実施形態によれば、式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、Ar1~Ar3がそれぞれ独立して無置換であるか(C1~C6)アルキル及び(C6~C12)アリールのうちの少なくとも1つで置換された(C6~C30)アリールを表すか、又は(C6~C12)アリールで置換されているか無置換の(5~20員)ヘテロアリールを表し;L1及びL2がそれぞれ独立して単結合又は無置換(C6~C18)アリーレンを表し;R1及びR2がそれぞれ独立して水素又は無置換(C6~C12)アリールを表すものであってもよい。
【0039】
一実施形態によれば、式1で表される化合物は、以下の化合物によってより具体的に例示することができるが、これらに限定されない。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0040】
本開示の式1によって表される化合物は、以下の反応スキーム1又は2によって表される通りに製造され得るが、これらに限定されない。これらは、当業者に公知の合成方法によって製造され得る。
[反応スキーム1]
【化12】
[反応スキーム2]
【化13】
【0041】
反応スキーム1及び2において、置換基の定義は式1で定義した通りである。
【0042】
上記の通り、一実施形態による式1で表される化合物の例示的な合成例について記載したが、これらはバックワルド-ハートウィグクロスカップリング反応、N-アリール化反応、宮浦(Miyaura)ホウ素化反応、鈴木(Suzuki)クロスカップリング反応、グリニャール反応、ヘック反応、SN1置換反応、SN2置換反応、及びホスフィン媒介還元的環化反応などに基づいている。上記の反応は具体的な合成例に記載された置換基以外の式1で定義された他の置換基が結合していても進行することは当業者には理解されるであろう。
【0043】
本開示は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供し得る。
【0044】
有機エレクトロルミネセント材料は、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物のみから構成され得るか、又は有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料を更に含み得る。2種以上の材料が1つの層に含まれる場合、その少なくとも2つの化合物は、層を形成するために混合蒸発又は共蒸発され得る。一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、式1で表される少なくとも1つの化合物を含み得る。例えば、式1の化合物は、正孔輸送層及び/又は発光層の中に含まれていてもよく、好ましくは、本開示の式1の有機エレクトロルミネセント化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスの正孔輸送材料として含まれていてもよい。
【0045】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物以外のホスト化合物を含むことができ、好ましくは、有機エレクトロルミネセント材料は、少なくとも1つのドーパントをさらに含むことができる。
【0046】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料に含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパント、好ましくはリン光性ドーパントであり得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は特に限定されないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子の金属化錯化合物、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子のオルト金属化錯化合物、及びさらにより好ましくはオルト金属化イリジウム錯化合物であり得る。
【0047】
ドーパントは、以下の式101で表される化合物を使用することができるが、これに限定されない。
【化14】
【0048】
式101において、
Lは、以下の構造1又は2:
【化15】
から選択される。
【0049】
R100~R103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか;又はR100~R103は、隣接する置換基に結合して、置換若しくは無置換の縮合環、例えば置換若しくは無置換キノリン、置換若しくは無置換ベンゾフロピリジン、置換若しくは無置換ベンゾチエノピリジン、置換若しくは無置換インデノピリジン、置換若しくは無置換ベンゾフロキノリン、置換若しくは無置換ベンゾチエノキノリン又は置換若しくは無置換インデノキノリンを形成し得;
R104~R107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか;又はR104~R107は、隣接する置換基に結合して、置換若しくは無置換の縮合環、例えば置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換フルオレン、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン、置換若しくは無置換ジベンゾフラン、置換若しくは無置換インデノピリジン、置換若しくは無置換ベンゾフロピリジン、又は置換若しくは無置換ベンゾチエノピリジンを形成し得;
R201~R211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲンで置換されているか無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか;又は隣接する置換基に結合して、置換若しくは無置換の縮合環を形成していてもよく;
sは1~3の整数を表す。
【0050】
特に、ドーパント化合物の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【0051】
以下では、前述の有機エレクトロルミネセント化合物又は有機エレクトロルミネセント材料が適用される有機エレクトロルミネセントデバイスが説明される。
【0052】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極の間に挟まれた少なくとも1つの有機層とを含む。
【0053】
本開示の式1によって表される化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する少なくとも1つの層に含まれ得る。一実施形態によれば、有機層は、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含む正孔輸送層及び/又は発光層を含む。正孔輸送層及び/又は発光層は、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物のみ又は少なくとも2種の本開示の有機エレクトロルミネセント化合物のみを含み、有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料を更に含み得る。
【0054】
更に、有機層は正孔輸送層及び発光層を含むことができ、正孔注入層、正孔補助層、発光補助物層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、電子阻止層、及び電子緩衝層から選択される少なくとも1つの層をさらに含むことができ、それぞれの層は更に複数層から構成され得る。また、有機層は、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を更に含み得、且つ周期表の第1族の金属、第2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド、及びd遷移元素の有機金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属又はそのような金属を含む少なくとも1種の錯化合物を更に含み得る。
【0055】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用され得る。白色有機発光デバイスは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)又はYG(黄緑色)の発光ユニットの配置に応じて、平行並列配置法、積層配置法又はCCM(色変換材料)法などの様々な構造が提案されている。加えて、一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、QD(量子ドット)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも適用され得る。
【0056】
第1の電極と第2の電極のうちの一方はアノードとすることができ、他方はカソードとすることができ、これらの第1の電極と第2の電極は、それぞれ透過性導電性材料、半透過性導電性材料、又は反射性導電性材料であってもよい。有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極及び第2の電極を形成する材料の種類に応じて上面発光型、底面発光型又は両面発光型であり得る。
【0057】
正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層又はこれらの組合せをアノードと発光層との間に使用することができる。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を下げるために多層であり得、この場合、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。また、正孔注入層は、p-ドーパントとしてドープされ得る。電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防ぐことができる。正孔輸送層又は電子阻止層は、多層であり得、この場合、各層は、複数の化合物を使用し得る。
【0058】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層又はこれらの組合せは、発光層とカソードとの間に使用することができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、且つ発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために多層であり得、この場合、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。正孔阻止層又は電子輸送層は、多層でもあり得、この場合、各層は、複数の化合物を使用し得る。また、電子注入層は、n型ドーパントとしてドープされ得る。
【0059】
発光補助層は、アノードと発光層との間又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/又は正孔輸送を促進するため又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。加えて、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進又は阻止するのに有効であり得、これによって電荷バランスが制御されることを可能にする。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、更に含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用され得る。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を改善する効果を有し得る。
【0060】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、カルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下では「表面層」)は、1つ又は両方の電極の内部表面に配置され得る。具体的には、好ましくはシリコン及びアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層をエレクトロルミネセント媒体層のアノード面上に配置し、好ましくは金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層をエレクトロルミネセント媒体層のカソード面上に配置する。有機エレクトロルミネセントデバイスについての動作安定性は、表面層によって得られ得る。好ましいカルコゲナイドの例としては、SiOX(1≦X≦2)、AlOX(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等が挙げられ、金属ハロゲン化物としては、LiF、MgF2、CaF2、希土類金属フッ化物等が挙げられ、金属酸化物としては、Cs2O、Li2O、MgO、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。
【0061】
更に、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、電極の対の少なくとも1つの表面に配置され得る。この場合、電子輸送化合物は、アニオンに還元され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体に電子を注入及び輸送することがより容易になる。更に、正孔輸送化合物は、カチオンに酸化され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体に正孔を注入及び輸送することがより容易になる。好ましい酸化性ドーパントの例は、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びそれらの混合物を含む。また、還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、2つ以上の発光層を有し、白色光を発する有機エレクトロルミネセントデバイスを調製することができる。
【0062】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸発、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング法等などの湿式膜形成方法を用いることができる。
【0063】
湿式膜形成法を用いる場合、薄膜は、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の好適な溶媒に溶解又は拡散させることによって形成され得る。溶媒は、各層を形成する材料が溶解又は拡散することができ、且つ製膜能力に問題がない任意の溶媒であり得る。
【0064】
以下では、本開示による化合物の調製方法は、本開示を詳細に理解するために本開示の代表的な化合物又は中間化合物の合成方法に関して説明される。
【実施例0065】
【0066】
1)化合物1-1の合成
化合物A(20g、81.27mmol)、4-ヨード-1,1’-ビフェニル(34g、121.90mmol)、銅粉末(Cu)(2.6g、40.64mmol)、炭酸カリウム(K2CO3)(22.5g、162.54mmol)、及び406mLの1,2-ジクロロベンゼン(1,2-DCB)を反応容器に入れ、200℃で24時間撹拌した。反応の終了後に、有機層混合物を蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。抽出された有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を回転蒸発器によって取り除いた。その後、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物1-1(19g、収率:59%)を得た。
【0067】
2)化合物C-34の合成
化合物1-1(5.0g、12.55mmol)、ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)アミン(4.4g、13.81mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)(0.6g、0.63mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(P(t-Bu)3)(0.6mL、1.26mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOt-Bu)(1.8g、18.83mmol)、及び63mLのトルエンを反応容器の中に入れ、1時間還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。残った液体を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで化合物C-34(2.1g、収率:26%)を得た。
【0068】
【0069】
[実施例2]化合物C-36の調製
【化22】
化合物1-1(3.0g、11.16mmol)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(5.0g、12.28mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.56mmol)、P(t-Bu)
3(0.3mL、1.12mmol)、NaOt-Bu(1.6g、16.74mmol)、及び56mLのトルエンを反応容器の中に入れ、1時間還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。残った液体を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで化合物C-36(2g、収率:28%)を得た。
【0070】
【0071】
以下では、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの特性を、本開示を詳細に理解するために説明する。
【0072】
[デバイス実施例1~7]本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDの製造
本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDを製造した。まず、OLED用ガラス基板(ジオマテック株式会社、日本)の透明電極である酸化インジウム錫(ITO)薄膜(10Ω/sq)をアセトン及びイソプロパノールで順次超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保存した。次に、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで装置のチャンバー中の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して、導入された材料を蒸発させ、それにより、ITO基板上に80nmの厚さを有する第1正孔注入層を形成した。次いで、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して、導入された材料を蒸発させ、それにより、第1正孔注入層上に5nmの厚さを有する第2正孔注入層を形成した。次に、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセル中に導入した。その後、セルに電流を流して導入された材料を蒸発させて、それにより第2の正孔注入層に厚さ10nmの第1の正孔輸送層を形成した。次いで、第2の正孔輸送材料として以下の表2に記載された化合物を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して、導入された物質を蒸発させて、それにより第1の正孔輸送層上に厚さ30nmの第2の正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り複数のホスト材料を使用して発光層をその上に蒸着した:化合物H-1をホストとして真空蒸着装置の一方のセルに導入し、化合物H-2をホストとして他方のセルに導入した。2つのホスト材料を2:1の速度で蒸発させ、同時に化合物D-99をドーパントとして別のセルに導入した。ドーパントは、発光層の蒸着速度に対して10重量%のドーピング量でドープし、正孔輸送層上に厚さ40nmの発光層を形成した。次に、化合物ET-1及びEI-1を別のセルに導入し、1:1の割合で蒸発させ、蒸着させて、発光層上に厚さ35nmの電子輸送層を形成した。電子輸送層上に厚さ2nmの電子注入層として化合物EI-1を蒸着した後、電子注入層上に別の真空蒸着装置によって厚さ800nmのAlカソードを蒸着した。このようにして、OLEDを製造した。
【0073】
[比較例1]従来の化合物を含むOLEDの製造
化合物G’-1を第2正孔輸送層に使用したことを除いて、デバイス実施例1~7と同じ方法でOLEDを製造した。
【0074】
デバイス実施例1~7及び比較例1において使用される化合物は、以下の表1において具体的に示される。
【0075】
【表3】
上記の通りに製造したデバイス実施例1~7及び比較例1の有機エレクトロルミネセントデバイスの駆動電圧、電流効率、電力効率、外部量子効率、及び1,000nitの輝度における色座標の結果を次の表2に示す。
【0076】