(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056948
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ヒンジ製品およびヒンジ製品を形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/32 20060101AFI20240416BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20240416BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240416BHJP
B29C 39/02 20060101ALI20240416BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20240416BHJP
B65D 1/36 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65D85/32 101
B29C33/12
B29C33/42
B29C39/02
B29C39/24
B65D1/36
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024023117
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2019073893の分割
【原出願日】2019-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】519128473
【氏名又は名称】ペーパーフォーム ビー.ヴィー.
【氏名又は名称原語表記】PaperForm B.V.
【住所又は居所原語表記】Hermesweg 22 3771 ND Barneveld The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】フルーンフェルト, ルーロフ ヴェッセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ブリンク,ヴィレム ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ハウスマン,ヤン ヴィーツ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】天然ポリマーを用いて製造された代替的なヒンジ製品を提供する。
【解決手段】天然ポリマーを含む塊を用いて製造される製品であって、少なくとも、ヒンジ構造によって連結された第1の製品部分と第2の製品部分とを含み、ヒンジ構造は、少なくとも1つの可撓性シート要素と、前記天然ポリマーを含む塊でできた1つのブリッジ部とを含み、ヒンジ構造は、初めてのヒンジ連結前に、前記少なくとも1つのブリッジ部が、第1の製品部分と第2の製品部分の間に、可撓性シート要素に比べてより堅固な連結を形成するように設計され、ヒンジ連結によって、前記ブリッジ部が切断され、その結果、第1および第2の製品部分は実質的に少なくとも1つの可撓性ストリップのみによって連結される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ポリマーを含む塊を用いて製造される製品であって、前記製品は少なくとも、ヒン
ジ構造によって連結された第1の製品部分と第2の製品部分とを含み、
前記ヒンジ構造は、少なくとも1つの可撓性シート要素と、前記天然ポリマーを含む塊
でできた1つのブリッジ部とを含み、
前記ヒンジ構造は、初めてのヒンジ連結前に、前記少なくとも1つのブリッジ部が、前
記第1の製品部分と前記第2の製品部分の間に、前記可撓性シート要素に比べてより堅固
な連結を形成するように設計され、ヒンジ連結によって、前記ブリッジ部が切断され、そ
の結果、前記第1および前記第2の製品部分が実質的に前記少なくとも1つの可撓性シー
ト要素のみによって連結される、製品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記塊によって少なくとも一方の表面上で
少なくとも部分的に覆われて、前記ブリッジ部が形成される、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、長手方向を有する可撓性シート要素によっ
て形成されるか、またはそれを含み、
前記可撓性シート要素の少なくとも一方の面が前記ブリッジ部によって少なくとも部分
的に覆われる、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
少なくとも2つのシート要素が設けられ、
前記ブリッジ部が前記シート要素間に少なくとも部分的に設けられ、および/または
少なくとも2つのブリッジ部が設けられ、少なくとも1つのシート要素が前記ブリッジ
部間に延在するように設けられる、請求項1または2に記載の製品。
【請求項5】
前記第1および前記第2の製品部分の各々がシェル形状であるか、またはシェル形状を
含み、前記ヒンジ構造によってヒンジ連結可能に互いに連結され、その結果、前記第1の
製品部分が前記第2の製品部分に対してヒンジ連結されて、前記シェル形状の各部分によ
って画定される空間を取り囲むことができ、
前記第1の製品部分が前記第2の製品部分に対してヒンジ連結されたとき、前記少なく
とも1つの可撓性シート要素が前記空間に面する、請求項1から4の何れか1項に記載の
製品。
【請求項6】
製品を製造する方法であって、少なくとも澱粉などの天然ポリマーを含む塊を金型内に
導入し、前記金型内の前記塊を加熱し、その結果、前記塊が少なくとも前記天然ポリマー
の架橋結合を含み、前記金型が、ブリッジ部によって連結された少なくとも2つの製品部
分形成部分を含み、
少なくとも1つの可撓性シート要素が、好ましくは前記塊を前記金型内に導入する前に
、前記ブリッジ部の中および/または上に配置され、前記少なくとも1つの可撓性シート
要素が前記ブリッジ部のいずれかの側の前記各製品部分形成部分内に少なくとも部分的に
延在し、前記金型に導入された前記塊に連結され、
前記塊の前記金型内への導入中に、前記塊の少なくとも一部が前記ブリッジ部の上、前
記少なくとも1つの可撓性シート要素の上および/またはそれに沿って流れ、形成される
前記製品内に少なくとも1つのブリッジ部を形成し、前記各製品部分形成部分内に形成さ
れた前記各製品部分を連結し、
好ましくは前記塊が前記可撓性シート要素の少なくとも一方の表面の少なくとも一部を
覆う、方法。
【請求項7】
可撓性シート要素として、紙系の材料が用いられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記ブリッジ部またはその付近に保持され、
特に、前記ブリッジ部の中および/または上の少なくとも1つおよび好ましくは一連のピ
ン上にピン留めされ、前記塊の前記金型内への導入中、前記少なくとも1つの可撓性シー
ト要素が定位置に保持される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのピンが、特に前記金型の各製品部分形成部分のうちの一方におい
て、前記金型内の前記塊の導入点から間隔を置いて配置された前記ブリッジ部の側部また
はその付近に位置する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記塊が、前記金型の閉鎖中および/または閉鎖後に閉鎖部材によって前記金型内に導
入され、
前記塊が好ましくは加圧下で前記金型内に注入される、請求項6から9の何れか1項に
記載の方法。
【請求項11】
前記ブリッジ部および前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記塊の前記金型内
への導入中、前記塊が、前記金型の各製品部分形成部分のうちの一方から他方へ、前記少
なくとも1つの可撓性シート要素を越えて流れることができるような寸法である、請求項
6から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、ロールなどの供給部から供給され、所定の
長さのシート材料が前記ブリッジ部の中および/または上に配置され、好ましくは、前記
金型の閉鎖前、閉鎖中および/または前記金型を閉鎖することによって、前記可撓性シー
ト要素が所定の長さおよび/または形状に切り出される、請求項6から11の何れか1項
に記載の方法。
【請求項13】
前記金型の各製品部分形成部分の各々が、前記ブリッジ部に連結された第1の壁部を有
するシェル部分を形成するように設計され、
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記ブリッジ部の中および/または上に配置
されて長手方向を有し、
前記少なくとも1つの可撓性シート要素の両側部が、関連する前記金型の各製品部分形
成部分の各壁部上に折り曲げられて、それぞれその内部に形成された関連する製品部分の
表面部を形成するように設計されている、請求項6から12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記塊の導入中、前記塊の層によって前記
可撓性シート要素の少なくとも一方の面上で覆われる、請求項6から13の何れか1項に
記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記少なくとも2つの製品部分間にヒンジを
形成し、その結果、前記少なくとも2つの製品部分を互いに対して折り曲げることができ
、
好ましくは、前記各製品部分が互いに対して折り曲げられたとき、前記塊が、少なくと
も外向きまたは内向きである前記可撓性シート要素の表面を覆う、請求項14に記載の方
法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素を覆う前記少なくとも1つの層が、前記可撓性
シート要素が、前記可撓性シート要素の長手方向に実質的に垂直な方向に折り曲げられた
ときに切断され、とくに破断するように設計されている、請求項14または15に記載の
方法。
【請求項17】
少なくとも澱粉などの天然ポリマーを含む塊から製品を形成するための装置であって、
前記装置は金型を含み、前記金型は、ブリッジ部によって連結された少なくとも2つの製
品部分形成部分を含み、
前記装置は、好ましくは前記塊を前記金型に導入する前に、少なくとも1つの可撓性シ
ート要素を前記ブリッジ部の中および/または上に配置するためのシステムを備え、前記
少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記ブリッジ部のいずれかの側の前記各製品部分
形成部分内に少なくとも部分的に延在して、前記金型内に導入された前記塊に連結され、
好ましくはその結果、前記塊が、前記可撓性シート要素の少なくとも一方の表面の少なく
とも一部を覆って、前記各製品部分形成部分内に形成された前記各製品部分を連結する、
装置。
【請求項18】
前記シートシステムが、可撓性シート材料を供給するための少なくとも1つのロールと
、前記ロールによって前記金型に供給された可撓性シート要素を、特に前記ブリッジ部の
中および/または上に移送するための少なくとも1つのシート移送ユニットとを備える、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記金型が、前記ブリッジ部の中および/または前記ブリッジ部に、少なくともリテー
ナ、特に少なくとも1つのピン、およびより好ましくは一連のピンを含み、前記少なくと
も1つのピンおよび前記一連のピンが、前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記少
なくとも1つのピン上、好ましくは前記一連のピン上にピン留め可能であるように設けら
れている、請求項17または18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ポリマーを含む塊を用いて製造され、ヒンジ構造によって互いに連結さ
れた、少なくとも第1および第2の製品部分を含む製品に関する。本発明はさらに、その
ような製品を形成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5376320号は、第1の製品部分と、ヒンジによって第1の製品部分に
連結された第2の製品部分とを含むヒンジ製品を開示している。前記ヒンジは、別個の第
1の製品部分と第2の製品部分の間の間隙を埋める可撓性ストリップによって形成されて
いる。そのような製品を形成するための装置において、2つの別個の金型キャビティが、
その間に分離壁を有して設けられる。それぞれのキャビティは、少なくとも1つの注入開
口部を有する。製造中、ラベルを前記分離壁の上部に配置し、前記分離壁の両縁部上に折
り曲げる。閉鎖金型部分が前記各金型キャビティの上から中に配置されると、それと同時
に前記分離壁の上部と閉鎖金型部分との間のラベルが固定される。製品が形成され、金型
から取り出されるとき、前記第1の製品部分と前記第2の製品部分との間に延在するラベ
ル部分を折り曲げることによって、一方の製品部分を他方の製品部分の上部に折り曲げる
ことができる。
【0003】
国際公開第WO00/39214号は、金型内で成形された天然ポリマーの塊を用いて
製造されたクラムシェルなどのヒンジ製品を開示している。これらの製品においては、製
品の材料組成に局所的に影響を及ぼすことにより、天然ポリマーを含む塊によってヒンジ
が形成され、その結果、関連する部分の材料特性が隣接する各部分の材料特性から逸脱す
る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、天然ポリマーを用いて製造された代替的なヒンジ製品を提供すること
である。本開示の目的は、製造が容易なヒンジ製品を提供することである。本開示の目的
は、特に製品の成形後の取り扱いが容易な製品を提供することである。本開示の目的は、
天然ポリマーを用いたヒンジ製品を形成するための方法を提供することである。本開示の
目的は、天然ポリマーを用いたヒンジ製品を形成するための、特にそのような製品を金型
成形するための装置を提供することである。本開示の目的は、製品の包装中に容易に取り
扱うことができる、天然ポリマーを用いて製造された各ヒンジ部分を有する包装を提供す
ることである。
【0005】
本開示による製品、方法、および/または装置を用いて、これらの目的および他の目的
のうちの少なくとも1つを個別にまたは組み合わせて達成することができる。
【0006】
一態様において、本開示による製品は、天然ポリマーを含む塊を用いて製造することが
でき、本製品は、ヒンジ構造によって連結された少なくとも第1および第2の製品部分を
含む。ヒンジ構造は、例えばストリップなどの少なくとも1つの可撓性シート要素と、前
記天然ポリマーを含む塊でできた1つのブリッジ部とを含む。ヒンジ構造は、初めて第1
および第2の製品部分を互いに対してヒンジ連結する前に、前記少なくとも1つのブリッ
ジ部が、第1の製品部分と第2の製品部分の間に、1つまたは複数の可撓性シート要素に
比べてより堅固な連結を形成するように設計され、初めて第1の製品部分を第2の製品部
分に対してヒンジ連結することによって、前記ブリッジ部が切断され、例えば少なくとも
部分的に引き裂かれ、剪断され、および/または破断され、その結果、第1および第2の
製品部分が実質的に少なくとも1つの可撓性シート要素のみによって互いに連結される。
【0007】
本開示による製品において、製品が形成される金型から製品が取り出される際、1つま
たは複数のブリッジ部が、第1の製品部分と第2の製品部分の間に比較的堅固な、好まし
くは一方の製品部分が、他方の製品部分に対して重力の影響下で移動、特に枢動すること
を防ぐのに少なくとも十分堅固な連結を形成することが好ましい。これにより、例えば離
型、積み重ね、取り降ろし、および例えば製品の充填中の取り扱い時における容易な操作
が可能になる。離型後に、ヒンジ構造によって第1の製品部分を第2の製品部分に対して
枢動させると、ブリッジ部は、特に、部分的に破断、引き裂き、および/または剪断など
による切断によって剛性を失い、その結果、第1および第2の製品部分が実質的に少なく
とも1つの可撓性ストリップのみによって互いに連結され、容易かつ反復的なヒンジ連結
が可能になる。
【0008】
各実施形態において、1つ以上のストリップなどの前記少なくとも1つの可撓性シート
要素が、ブリッジ部を形成する前記塊によって少なくとも一方の表面上で少なくとも部分
的に覆われるように1つまたは複数のブリッジ部を設けることができる。同じまたはそれ
ぞれ異なる実施形態において、ストリップなどの少なくとも2つの可撓性シート要素を設
けることができ、ブリッジ部が前記各可撓性シート要素間に少なくとも部分的に設けられ
、および/または少なくとも2つのブリッジ部を設けることができ、ストリップなどの少
なくとも1つの可撓性シート要素を前記各ブリッジ部間に延在するように設けることがで
きる。
【0009】
一態様において、本開示の方法は、少なくとも澱粉などの天然ポリマーを含む塊を金型
内に導入することを含むことができ、金型内の塊は加熱され、その結果、塊が少なくとも
天然ポリマーの架橋結合を含む。金型は、ブリッジ部によって連結された少なくとも2つ
の製品部分形成部分を含み、ストリップなどの少なくとも1つの可撓性シート要素が、好
ましくは前記塊を前記金型内に導入する前に、前記ブリッジ部の中および/または上に配
置される。前記少なくとも1つの可撓性シート要素は、ブリッジ部の両側の前記製品部分
形成部分内に少なくとも部分的に延在するように配置され、金型内に導入された塊に連結
される。使用される金型は、塊の金型内への導入中に、塊の少なくとも一部がブリッジ部
の上、前記少なくとも1つの可撓性シート要素の上および/またはそれに沿って流れ、形
成される製品内に少なくとも1つのブリッジ部が形成されるようになっている。
【0010】
各実施形態において、塊は、可撓性シート要素の少なくとも一方の表面の少なくとも一
部を覆い、前記製品部分形成部分に形成された各製品部分を連結する。よって、ブリッジ
部は、可撓性シート要素の少なくとも一方の表面上に層を形成することができる。
【0011】
各実施形態において、少なくとも1つの可撓性シート要素は、前記ブリッジ部の中およ
び/または上の少なくとも1つおよび好ましくは一連のピン上にピン留めされ、前記少な
くとも1つの可撓性シート要素が、塊の金型内への導入中、定位置に保持される。そのよ
うな各実施形態において、少なくとも1つの可撓性シート要素は、金型を閉鎖した際に可
撓性シート要素の表面が金型面に当接するように、好ましくは少なくとも1つのピン上に
ピン留めされ、その結果、塊がブリッジ部の形成に関連する可撓性シート要素の他方の表
面上のみに流れることができる。
【0012】
各実施形態において、金型部分の各々は、それぞれブリッジ部に連結された第1の壁部
を有するシェル部分を形成するように設計することができ、少なくとも1つの可撓性シー
ト要素がブリッジ部の中および/または上に配置されて長手方向を有し、少なくとも1つ
の可撓性シート要素の両側部が、関連する各金型部分の各壁部上に折り曲げられて、それ
ぞれ、その内部に形成された関連する製品部分の内面部を形成するように設計されている
。
【0013】
一態様において、本開示による装置は金型を含むことができ、金型はブリッジ部によっ
て連結された少なくとも2つの製品部分形成部分を含む。この装置は、好ましくは前記塊
を前記金型内に導入する前に、少なくとも1つの可撓性シート要素を前記ブリッジ部の中
および/または上に配置するためのシートシステムを備え、前記少なくとも1つの可撓性
シート要素は、ブリッジ部の両側の製品部分形成部分内に少なくとも部分的に延在して、
金型に導入された塊に連結される。好ましくは、その結果、塊が可撓性シート要素の少な
くとも一方の表面の少なくとも一部を覆って、前記各製品部分形成部分内に形成された製
品部分を連結し、および/または塊が前記少なくとも1つの可撓性シート要素に隣接する
少なくとも1つのブリッジ部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明をさらに明らかにするために、その各実施形態を各図面を参照しながら以下に開
示および説明する。各図面において、以下を概略的に示す。
【0015】
【
図1】開位置にあるヒンジ製品の一実施形態の斜視図である。
【0016】
【0017】
【
図2】
図1の製品の、
図1AにおけるII?II線に沿った断面図である。
【0018】
【
図3A】本開示による第1の実施形態における製品の、第1のヒンジ連結前のヒンジ構造の拡大図である。
【0019】
【
図3B】
図3Aに示すような本開示による製品の、第1のヒンジ連結後のヒンジ構造の拡大図である。
【0020】
【0021】
【
図4】開位置にあるヒンジ製品の代替的な実施形態の斜視図である。
【0022】
【0023】
【
図6】各可撓性シート要素をピックアップする位置に開放金型およびシートシステムを有する、本開示による製品を形成するための装置の一部を示す。
【0024】
【
図7A】シートシステムが各可撓性シート要素をピックアップし、各可撓性シート要素をそれぞれ金型に配置する位置にある状態の、
図6の装置を示す。
【0025】
【
図7B】シートシステムが各可撓性シート要素をピックアップし、各可撓性シート要素をそれぞれ金型に配置する位置にある状態の、
図6の装置を示す。
【0026】
【
図8】可撓性シート要素を保持するためのピンを示す、金型部分の一部断面図である。
【0027】
【
図8A】ピン上にピン留めされたストリップなどの可撓性シート要素を示す。
【0028】
【
図9A】代替的なヒンジ構造の様々な実施形態を示す。
【0029】
【
図9B】代替的なヒンジ構造の様々な実施形態を示す。
【0030】
【
図9C】代替的なヒンジ構造の様々な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本説明では、例示のみを目的として、本発明の各実施形態を示し、開示する。これらは
、如何なる方法でも決して本発明の範囲を限定するものと解釈または理解されるべきでは
ない。この説明において、同一または同様の要素は、同一または同様の参照符号で示され
る。この説明において、本発明の各実施形態を、例示のみを目的とし、天然ポリマーとし
て澱粉系の天然ポリマーを参照して説明するものとする。澱粉に加え、または澱粉の代替
物として他の天然ポリマーも、そのような塊において用いることができる。
【0032】
本開示において、主に包装用製品が、説明による各製品の例として説明される。ただし
、他のヒンジ製品も請求項の範囲内に含まれる。本開示において、ヒンジ連結は、少なく
とも第1の製品部分の、第一の製品部分にヒンジ構造を介して連結された第2の製品部分
に対する枢動、特にヒンジ構造によってもたらされる枢動線または一連の枢動線の周りの
枢動を含むと理解されるべきである。そのような枢動線は、実線または仮想線であり得、
直線または曲線であってもよい。ヒンジ連結は、2つの製品部分を連結する可撓性シート
要素を撓ませる、および/または折り曲げることによって、ヒンジ構造を介して第1の製
品部分をそれに連結された第2の製品部分の実質的にすぐ隣の位置から前記第2の製品部
分の実質的に上部の位置に移動させることを含むと少なくとも理解されるべきである。
【0033】
本開示において、包装用製品は、例えば保管、輸送および/または展示のために他の製
品を包装することができる製品を少なくとも含むがこれに限定されないと理解されるべき
である。本開示において、包装用製品などのヒンジ製品は、少なくとも、1つ以上の可撓
性ストリップなどの前記少なくとも1つの可撓性シート要素によって、第1および第2の
製品部分が共に保持されることにより、第1および第2の製品部分がばらばらになること
なく数回開閉できることが好ましい。
【0034】
本開示において、シートは、長手方向およびそれに垂直な幅方向、ならびに長さ方向お
よび幅方向の両方に垂直な厚さ方向を有する要素として理解されるべきである。長手方向
の長さおよび幅方向の幅は、厚さ方向の厚さよりも実質的に大きい。ストリップは、長手
方向、ならびに幅および厚さを有する、比較的平坦で細長い可撓性シート材料の帯を少な
くとも意味するが、これに限定されないと理解されるべきである。長手方向の長さは、ス
トリップが実質的に平坦であるときに幅方向に測定される幅よりも大きい。厚さは幅より
も小さい。
【0035】
本開示における可撓性とは、ストリップなどの可撓性シート要素を、少なくとも長手方
向に対して実質的に垂直な方向に、少なくとも45度、好ましくは少なくとも90度、例
えば、少なくとも約180度の角度に亘って反復的に折り曲げることができ、撓み半径が
平坦な位置におけるストリップの幅以下であることを意味すると理解され得る。本開示に
おいて、可撓性シート材料は、本開示による製品内のヒンジ構造において用いられる可撓
性シート材料が、同じ製品内の任意のブリッジ部に比べてより可撓性があることを意味す
ると理解されてもよい。
【0036】
ストリップなどの可撓性シート要素は、紙、織物、ポリマーなどの任意の適切な材料か
ら作製することができ、単層または積層体とすることができる。ストリップなどの可撓性
シート要素の作製に用いられる材料は、好ましくは生分解性であり、より好ましくはそれ
と連結される各製品部分の材料に対して生分解性である。ストリップなどの可撓性シート
要素は、厚さ方向に見た両面を有し、前記両面の少なくとも一方は、製品の形成に用いら
れる塊が、例えば塊中の天然ポリマーに接着するのに適していることが好ましい。各実施
形態において、ストリップなどの可撓性シート材料は、塊の一部が可撓性シート材料の中
に、および/またはそれを通って入ることを可能にするために多孔質または有孔であって
もよい。
【0037】
本開示において、天然ポリマーを含む塊は、例えば澱粉またはタピオカであるがこれら
に限定されない、天然ポリマーを含むバッターまたは懸濁液を少なくとも含むがこれ限定
されないことが理解され得る。 この場合、好ましくは塊が水分を含み、その結果、塊は
加熱前に流動性を有し、金型内での加熱中に前記塊中の天然ポリマーのゲル化および架橋
結合が可能となる。適切な塊の例が、例えば、国際公開第WO2004/033179号
、米国特許第5376320号、国際公開第WO00/39214号および国際公開第W
O96/30186号に開示されており、これらは全て、本開示による金型成形製品に適
した天然ポリマーを含む懸濁液などの塊を開示する限りにおいて、参照により本明細書に
組み入れられる。
【0038】
本開示において、本開示による製品を形成するための、金型を含む装置を説明する。各
実施例においては、天然ポリマーを含む塊を加圧下で投入することができ、塊中の天然ポ
リマーの少なくとも架橋結合を得るために加熱することができる閉鎖金型について主に説
明する。そのような金型および金型システムは、例えば、国際公開第WO2004/03
3179号、米国特許第5376320号、国際公開第WO00/39214号および国
際公開第WO96/30186号に開示されており、これらは全て、オランダ国、Bar
neveld、Paperfoam社製の製品材料であるPaperfoam(登録商標
)などの天然ポリマー系の塊を成形するための成形装置を開示する限りにおいて、参照に
より本明細書に組み入れられる。ただし、本開示による製品は、例えば開示されている方
法を用い、様々な成形システムおよび装置において、例えば塊が圧力なしで導入され、金
型の閉鎖により、1つまたは複数の金型キャビティを介して加圧される金型内で形成する
こともできる。そのような成形システムは、例えば、Franz Haasによる米国特
許第4417508号から知られている。
【0039】
例示を目的として以下に説明する成形装置の各実施形態において、2つの製品を同時に
形成するための各金型キャビティを有する金型が示されている。しかしながら、成形サイ
クルにおいて1つまたは2つより多い製品を形成するためなどの、他の数の金型キャビテ
ィもまた提供され得ることは明らかであろう。
【0040】
以下に説明する本開示による製造方法および装置の各実施形態において、少なくとも1
つの可撓性シート要素が金型内に配置され、その結果、少なくとも1つの可撓性シート要
素は成形中に製品に接着されるかまたは少なくとも製品に一体化される。ただし、例えば
接着剤、好ましくは非毒性の、より好ましくは生分解性の接着剤、例えば澱粉系接着剤を
用いることによって、成形後に可撓性シート状要素を中間製品として製品に接着すること
もでき、その結果、可撓性シート状要素が第1および第2の製品部分を連結する。
【0041】
図1は、本実施形態において、例示のみを目的として、鶏卵箱として示されているヒン
ジ製品1を斜視図で示す。製品1は、後述するように、ヒンジ構造4によって第2の製品
部分3に連結された第1の製品部分2を含む。第1の製品部分2および第2の製品部分3
は両方とも実質的にシェル形状であり得、そのような第1の製品部分2および第2の製品
部分3内の空間を画定する1つ以上の比較的薄い壁を有する。製品1を閉じることによっ
て、そのような各空間が合わさって、そのような製品1で囲まれた1つの空間を形成する
。
【0042】
図1、
図1Aおよび
図2の実施形態における第1の製品部分2は、鶏卵(図示せず)用
の各収容空間5を備え、鶏卵を公知の方法で前記各空間5内に置くことができる。各空間
5は2つの平行な列6に設けられ、本実施形態においてそれぞれの列6は6つのそのよう
な空間5を含む。2つの列6の間には、製品1が閉じられたときに第2の製品部分3を支
持するのに適した2つの支柱7が各空間5の上方に延在するように設けられている。第2
の製品部分3は蓋として設計されている。第1の製品部分2はヒンジ構造4の反対側の第
1の縁部8を有し、一方、第2の製品部分3はヒンジ構造4の反対側の第2の縁部9を有
する。第1の縁部8は各第1のロック要素10を含み、一方、第2の縁部9は各第2のロ
ック要素11を含む。その結果、包装用製品1の閉位置において、閉位置にある第1の製
品部分2と第2の製品部分3とを解除可能にロックするように第1のロック要素10と第
2のロック要素11を互いに係合させることができる。
【0043】
製品1は、天然ポリマーの架橋結合を可能にするため、および塊の液体画分の一部の蒸
発を可能にするために加熱された、澱粉などの天然ポリマーを含む塊からできており、比
較的堅固な発泡壁構造を提供する。製品1は、塊が加圧下で投入される閉鎖金型を用いて
金型成形されることが好ましい。
【0044】
ヒンジ構造4は、例えば
図2および
図3にも見られるように、少なくとも1つまたは一
連の可撓性シート要素12と、1つまたは一連のブリッジ部13とを含む。少なくとも1
つの可撓性シート要素12は、第1の製品部分2および第2の製品部分3に連結されてい
る。少なくとも1つのブリッジ部13も、第1の製品部分2および第2の製品部分3に連
結され、架橋結合された天然ポリマーを含む塊でできている。ブリッジ要素13とも呼ば
れることがある少なくとも1つのブリッジ部13は、第1の製品部分2および第2の製品
部分3と一体であり、それらと同じ塊からできていることが好ましい。
【0045】
少なくとも1つのブリッジ部13は、好ましくは少なくとも1つの可撓性シート要素1
2よりも可撓性が低く、その結果、特に包装用製品1としての製品1を閉じるために、ヒ
ンジ構造4によって第2の製品部分3を第1の製品部分2上にヒンジ連結させる際、少な
くとも1つの可撓性シート要素12が撓ませられ、および/または折り曲げられ、一方、
少なくとも1つのブリッジ部13は、少なくともそのようなブリッジ部13の剛性が著し
く低下する程度まで切断、例えば破断、剪断および/または引き裂かれて、好ましくは少
なくとも1つのブリッジ部13が破断され、その結果、第1の製品部分2および第2の製
品部分3がその後、少なくとも1つの可撓性シート要素12のみによって互いに連結され
る。1つまたは複数のブリッジ部13を切断した後の1つまたは複数の可撓性シート要素
12は、第2の製品部分3を第1の製品部分2に対して反復的にヒンジ連結することを可
能にし、一方、前記1つまたは複数のブリッジ部13の切断前には、そのようなヒンジ連
結は、少なくとも1つのブリッジ部13によって実質的に妨げられている。
【0046】
図3Aは、例示を目的として、成形後、初めてヒンジ連結する前の、第1の製品部分2
と第2の製品部分3の間のヒンジ構造4の断面を示す。
図3Cは同じものを拡大して示す
。ここでは、ブリッジ部13は、第1の製品部分2の第2の壁14と第2の製品部分3の
第1の壁15との間に延び、それらと一体的に形成されていることが示されている。本実
施形態におけるブリッジ部13は、第1の製品部分2および第2の製品部分3と同じ材料
でできている。
図3Aの実施形態において、ブリッジ部13は可撓性シート要素12の第
1の表面16に当接し、一方、前記可撓性シート要素12の反対側の第2の表面17は自
由面になっている。本実施形態において、ブリッジ部13は、可撓性シート要素12に当
接する実質的に平坦な面18と、概して溝形状を有する反対面とを有し、この反対面は、
例えば、
図3Cの紙面に対して垂直に延び、ヒンジ線Sと平行に、および/またはそれと
一致して延びる長手方向軸Xに垂直な面において実質的にV字形状の断面を有する。よっ
て、ブリッジ部13の中央部19は最も薄く、そのため、ヒンジ連結時に最初に切断され
る可能性が最も高い。これにより、可撓性シート要素12を撓ませる、または折り曲げる
ためのヒンジ線Sが実質的に画定される。
【0047】
図3Bは、
図3Aおよび
図3Cと同じ製品の断面、ただし、第1の製品部分2に対して
第2の製品部分3をヒンジ連結した後の断面を示す。
図3Bにおいて、可撓性シート要素
12は折り曲げまたはヒンジ線Sまたはその付近において撓ませられ、または折り曲げら
れており、一方、ブリッジ部13は(前記最薄部分19)において)破断されており、第
1の製品部分2を第2の製品部分3と連結するヒンジ構造4の剛性が著しく低下している
。可撓性シート要素12は、第1の製品部分2および第2の製品部分3に連結されたまま
である。
【0048】
本開示から理解され得るように、可撓性シート要素12およびブリッジ部13は、例え
ば第2の製品部分3を第1の製品部分2に対して枢動させる(例えば
図3Aおよび
図3B
に示すように)ことによってヒンジ構造4を撓ませるときに、ブリッジ部13が可撓性シ
ート要素12を切断することなく、切断、特に破断されるように設計され、構成されるこ
とが好ましい。ブリッジ部13は、例えば、可撓性シート要素12よりも可撓性が低く、
および/または脆性が高くてもよい。
【0049】
図1および
図1Aの実施形態において、可撓性シート要素12は、第1の製品部分2の
第2の壁14および第2の製品部分3の第1の壁15の長手方向長さLに亘って延びるス
トリップ12Aとして設けられる。可撓性シート要素12は、第1の製品部分2と第2の
製品部分3との間の間隙20を埋める。
図9Aから
図9Cにおいて、例えば複数のブリッ
ジ部13および/または複数の可撓性シート要素12が設けられる様々な代替的実施形態
が示されている。例えば、
図9Aは、3つの離間した可撓性シート要素12Bの間に2つ
の離間したブリッジ部13Aを備えるヒンジ構造4の上面図を示す。
図9Bは、3つの離
間したブリッジ部13Bの間に2つの可撓性シート要素12Cを備えるヒンジ構造の上面
図を示す。
図9Cは、5つの離間したブリッジ部13Cを覆う、可撓性シート材料のスト
リップ12Aを備えるヒンジ構造4の実施形態を示す。本開示の範囲内で、各可撓性シー
ト要素12と各ブリッジ部13との他の多くの組み合わせが可能であることは明らかであ
る。
【0050】
本開示における可撓性シート要素12は、限定はしないが、紙、プラスチック、織物な
どの任意の適切で柔軟性があり、および/または折り曲げ可能な材料から作製することが
でき、単層シートまたは、同じもしくは異なる材料のそれぞれ異なる層からなる積層体と
することができる。可撓性シート材料は生分解性であり、天然材料を含むことが好ましい
。
【0051】
少なくとも1つのブリッジ部13は、製品1の離型後、45°を超える角度に亘って、
少なくとも90°の角度に亘って撓ませられたとき、より好ましくは少なくとも約180
°の角度に亘って撓むときに破断するように作製されることが好ましい。各実施形態にお
いて、製品1は、可撓性シート材料が前記ヒンジ線S上に折り曲げられるときに、前記可
撓性シート材料12を覆う前記ポリマー系の塊でできた少なくとも1層の材料層が破断す
るように設計して形成することができる。
図1から
図3に示す各実施形態において、少
なくとも1つのブリッジ部13は、実質的に対称な断面を有し(
図3Aから
図3Cに示す
ように)、その結果、ヒンジ線Sが各壁部分14および15の間の間隙20の実質的に中
央にある。ブリッジ部(群)をこれと異なるように設計することによって、ヒンジ線Sの
位置を調整することができる。
【0052】
図4および
図5は、本開示による製品1の代替的実施形態を概略的に示し、この製品1
もまたヒンジ構造4によって第2の製品部分3に連結された第1の製品部分2を有する。
ヒンジ構造4は、
図4Aの断面図に拡大して概略的に示されているように、やはり第1の
製品部分2および第2の製品部分3に連結された可撓性シート要素12を備え、
図1から
図3の実施形態と同様に、離型後かつ第1のヒンジ連結前に前記可撓性シート要素12上
に延在するとともに第1の製品要素2と第2の製品要素3とを連結するブリッジ部13が
設けられる。ただし、本実施形態においては、ブリッジ部13は、実質的にV字形状の断
面を有する2つの実質的に平行な溝21の下側によって形成される2つの薄い部分19を
有するように設計されている。前記各溝21の間に、隆起したより厚い部分22が設けら
れる。
【0053】
ここでも、
図1から
図3の実施形態と同様、
図4に示すような開位置において、成形直
後、すなわち第2の製品部分3が第1の製品部分2に対して初めて傾けられる前は、1つ
または複数のブリッジ部13は、可撓性シート要素12に比べて比較的剛性であり、好ま
しくは第1の製品部分2および第2の製品部分3のうちの一方のみに、第1の製品部分2
および第2の製品部分3のうちの他方を、前記他方の製品部分に作用する重力のために第
1の製品部分2に対して著しく傾けることなく係合して、製品を実質的に水平な位置に持
ち上げることができるに足る十分な剛性を有する。ここで「著しく傾けることなく」とは
、少なくとも、ブリッジ部または複数のブリッジ部のうちの少なくとも1つを破断するの
に十分な傾きがないことを意味することが理解されるべきである。従って、このようなブ
リッジ部(群)は、開放製品の離型、積み重ねおよび取り降ろしなどを、例えば、そのよ
うな製品1をその中に包装されるべき製品で充填するための充填ステーションに輸送する
際の、例えばロボットによる取扱いと同様に容易化することができる。
【0054】
製品1を
図5に示すような位置に閉じるために、
図4および
図5の製品1の第2の製品
部分3を第1の製品部分2に対して傾けるとき、ブリッジ部13(またはそれぞれのブリ
ッジ部13)が両方の薄い部分19で切断、例えば破断または引き裂かれ、前記各薄い部
分19またはその付近に位置する2本の実質的に平行なヒンジ線S
1およびS
2の二重ヒン
ジ連結が可能になる。
図5に見られるように、閉位置において、第1の製品部分2および
第2の製品部分3のそれぞれの対向面23および24が実質的に水平な位置において互い
に実質的に平行であるとき、より厚い部分22は実質的に垂直に延びる。
【0055】
図4および
図5に示す実施形態において、第1の製品部分2は一連の隆起部25を含み
、第2の製品部分3は一連の溝26を含み、その結果、例えば葉巻、ペンなどの実質的に
円筒形の製品(図示せず)を製品1に包装できる。
【0056】
図6は、本開示による製品1を形成するための装置40を、製品1を成形するための開
放金型30と共に概略的に示す。この例において、金型は、
図1による製品1を2つ横に
並べて成形するように、可撓性シート材料12、特にそのような可撓性シート材料12の
ストリップ12Aのための供給部31の一部、および前記ストリップ12Aを金型30に
移送するための移送装置35と共に設計されている。本実施形態において、供給部31は
、それぞれ所定の長さの前記材料12からなる2つのロール32を含む。それぞれのロー
ル32から、ストリップ12Aが、ガイド33を越えて、それぞれ関連するロール32か
ら切り出された長さLのストリップ12Aに係合する、移送装置35の2つの平行なピッ
クアップ装置34の正面の実質的に垂直な位置まで送られる。
【0057】
図7Aおよび
図7Bは、従来の方法で第1の金型半型30Aおよび第2の金型半型30
Bを備える開放金型30を有する装置40を概略的に示し、第1の金型半型30Aは
図6
に示されている。
図7Aは、ストリップ12Aなどの可撓性シート材料12をピックアッ
プするための位置にある移送装置35を示す。移送装置35は、例えばレールまたはアー
ムシステム36を含み、それを用いて各ピックアップ装置34を
図7Aに示す位置から図
7Bにおける位置へ、そしてその逆に移動させることができる。使用中、各ピックアップ
装置34は
図7Aの位置において2つのストリップ12Aをピックアップし、それらのス
トリップ12Aを
図7Bに示す位置まで移送し、この位置において、各ストリップ12A
は各ピックアップ装置34から金型30内へ、特に、以下でさらに詳細に説明するように
製品1に成形される位置に移送される。その後、各ピックアップ装置34を
図7Aの位置
に戻し、金型30を成形サイクルのために閉鎖することができる。成形サイクルでは、閉
鎖金型30内に塊を射出することができ、塊はそれから、少なくとも塊中の天然ポリマー
を架橋結合するために加熱され、その後、例えば、イジェクタ(図示せず)または他の離
型システムおよび当技術分野で公知の設備を用いて各製品1を金型30から取り出すこと
ができる。製品1の成形中、可撓性シート材料12、特にストリップ12Aは製品1に確
実に連結される。
【0058】
本開示による金型30は、少なくとも塊を金型30内に導入する間、特に塊を少なくと
も1つの可撓性シート要素12上に通過させるときに、少なくとも1つの可撓性シート要
素12を固定位置または少なくとも予め定められた位置に保つための少なくとも1つのリ
テーナまたはリテーナシステム41を備えることが好ましい。
図8および
図8Aにおいて
、リテーナシステム41の一部を形成するリテーナ41の実施形態が示されている。本実
施形態において、図示されているリテーナ41は、第1の製品部分2を成形するための金
型部分30(2)と第2の製品部分3を成形するための第2の金型部分30(3)の間に
延びるブリッジ部50の一部を形成する表面43の上方に延びる尖鋭ピン42によって形
成される。前記表面43は、ストリップ12Aの外表面18がそれを背にして配置され得
るように設計されている。本実施形態において、表面43は実質的に平坦であるが、例え
ば断面が湾曲しているなど、それと異なるように設計することもできる。第1の製品部分
2形成部30(2)および第2の製品部分3形成部30(3)の間の前記表面43の幅W
は、例えばストリップ12Aの幅(長手方向軸Xに対して垂直)とほぼ同じであり得る。
図8Aにおいて、表面43の幅Wはストリップ12Aの幅W12より小さいことが示され
ており、その結果、ストリップ12Aの両側部44は第1の製品部分形成部分30(2)
および第2の製品部分形成部分30(3)のそれぞれの壁形成部45および46を背にし
て折り曲げられている。
【0059】
ストリップ12Aを金型30内に移送する際、ストリップ12Aが、少なくとも1つの
リテーナ、特に少なくとも1つのピン42の上から押し付けられることにより、ストリッ
プ12Aに穴が開く。これにより、移送装置35によって放出されたストリップ12Aは
、少なくとも1つのピン42によって金型30内に保持される。
【0060】
図8Aに見られるように、金型部分30Bを金型部分30Aの上から、よってピン42
の上から閉鎖することができる。各実施形態において、ピン42をより短くすることがで
き、その結果、ピン42の自由で尖鋭な端部42Aが、形成された金型キャビティ47の
内側に延在する。ストリップ12Aを囲む閉鎖金型キャビティ47が形成される。各実施
形態において、少なくとも1つのピン42は、例えば、離型中にストリップ12Aを有す
る製品1を取り外すため、あるいは金型30の閉鎖前または閉鎖中にピン42をストリッ
プ12Aに貫通させるために、退避可能であるように長手方向L
pinに移動可能とするこ
とができる。
【0061】
成形中、バッター、懸濁液または液体などの塊が、好ましくは少なくとも1つの可撓性
シート要素12から間隔を置いて配置された、少なくとも1つの導入開口または注入点5
1を通って金型キャビティ47内に導入される。そのような少なくとも1つの導入点は、
例えば、
図6、
図7および
図8に示すような二重成形金型の2つの製品形成部品の間に設
けることができる。塊は、それが前記少なくとも1つの可撓性シート要素12の少なくと
も一部の上および/または下および/またはそれに沿って通過して、少なくとも1つのブ
リッジ部13を形成できるように導入される。各代替的実施形態において、閉鎖前または
閉鎖中に塊が金型30内に導入され、金型30を閉鎖することによって塊が金型キャビテ
ィ47を充填するように押し込まれる。そのような実施形態においては、例えば閉鎖中に
金型30に塊を供給した後、少なくとも1つの可撓性シート要素12、すなわち少なくと
も1つの可撓性シート要素12を供給することができる。
【0062】
ストリップ12Aおよび/または他の各可撓性シート要素12を保持するための1つ以
上のピン42の代わりに、またはそれに加えて、例えば少なくとも1つの可撓性シート要
素12を定位置に固定するクランプなどの他の保持設備を設けることができ、これは例え
ば成形中にストリップ12Aの両端部を固定するクランプであって、それら両端部は離型
してから解放、および/または離型中に切り離すことができる。保持手段はまた、可撓性
シート要素12を定位置に一時的に保持するための真空カップおよび/またはストリップ
を含み得る。同様に、ストリップを金型内に配置するための他の移送手段を設けることが
できる。例えば、ストリップをロールから直接金型内に引き込むことができる。各実施形
態において、それぞれの可撓性シート要素12を連続支持体上に設け、1つまたは複数の
可撓性シート要素12を、例えば金型30内に移送してから、あるいは1つまたは複数の
可撓性シート要素12が成形中に連結される製品を離型してから、その連続支持体から取
り外すことができる。
【0063】
本発明は、例示のみを目的として本明細書に開示された各実施形態に決して限定されな
い。本明細書に開示されている特徴のすべての組み合わせを含む、本発明の多くの変形が
、特許請求の範囲によって定義される発明に包含されている。
【0064】
例えば、限定はしないがタピオカなどの、澱粉以外の他の材料を含む材料を用いること
ができる。各実施形態において、本開示による製品1は、本明細書に開示されているヒン
ジ構造によって一部またはすべてが連結された複数のヒンジ部分を有することができる。
本開示による製品は、包装用とは異なる製品であり得る。製品の各部分は異なる材料で作
製することができる。各実施形態において、ヒンジ構造の一部を構成する可撓性シート要
素は、例えばその表面領域を形成するために、両方の製品形成部分などの1つ以上の部分
内にさらに延在することができる。図示された各実施形態において、少なくとも1つの可
撓性シート要素は、製品の外表面領域に示されている。しかしながら、そのような可撓性
シート要素は製品の内表面領域に設けることもできる。各実施形態において、各ブリッジ
部を可撓性シート要素の両側に設けることができる。
【0065】
これらおよび他のそのような各実施形態もまた、主に特許請求の範囲によって定義され
る本開示の範囲内に含まれるものと見なされる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を製造する方法であって、少なくとも澱粉などの天然ポリマーを含む塊を金型内に導入し、前記金型内の前記塊を加熱し、その結果、前記塊が少なくとも前記天然ポリマーの架橋結合を含み、前記金型が、ブリッジ部によって連結された少なくとも2つの製品部分形成部分を含み、
少なくとも1つの可撓性シート要素が、好ましくは前記塊を前記金型内に導入する前に、前記ブリッジ部の中および/または上に配置され、前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記ブリッジ部のいずれかの側の前記各製品部分形成部分内に少なくとも部分的に延在し、前記金型に導入された前記塊に連結され、
前記塊の前記金型内への導入中に、前記塊の少なくとも一部が前記ブリッジ部の上、前記少なくとも1つの可撓性シート要素の上および/またはそれに沿って流れ、形成される前記製品内に少なくとも1つのブリッジ部を形成し、前記各製品部分形成部分内に形成された前記各製品部分を連結し、
好ましくは前記塊が前記可撓性シート要素の少なくとも一方の表面の少なくとも一部を覆う、方法。
【請求項2】
可撓性シート要素として、紙系の材料が用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記ブリッジ部またはその付近に保持され、特に、前記ブリッジ部の中および/または上の少なくとも1つおよび好ましくは一連のピン上にピン留めされ、前記塊の前記金型内への導入中、前記少なくとも1つの可撓性シート要素が定位置に保持される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのピンが、特に前記金型の各製品部分形成部分のうちの一方において、前記金型内の前記塊の導入点から間隔を置いて配置された前記ブリッジ部の側部またはその付近に位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塊が、前記金型の閉鎖中および/または閉鎖後に閉鎖部材によって前記金型内に導入され、
前記塊が好ましくは加圧下で前記金型内に注入される、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ブリッジ部および前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記塊の前記金型内への導入中、前記塊が、前記金型の各製品部分形成部分のうちの一方から他方へ、前記少なくとも1つの可撓性シート要素を越えて流れることができるような寸法である、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、ロールなどの供給部から供給され、所定の長さのシート材料が前記ブリッジ部の中および/または上に配置され、好ましくは、前記金型の閉鎖前、閉鎖中および/または前記金型を閉鎖することによって、前記可撓性シート要素が所定の長さおよび/または形状に切り出される、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金型の各製品部分形成部分の各々が、前記ブリッジ部に連結された第1の壁部を有するシェル部分を形成するように設計され、
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記ブリッジ部の中および/または上に配置されて長手方向を有し、
前記少なくとも1つの可撓性シート要素の両側部が、関連する前記金型の各製品部分形成部分の各壁部上に折り曲げられて、それぞれその内部に形成された関連する製品部分の表面部を形成するように設計されている、請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記塊の導入中、前記塊の層によって前記可撓性シート要素の少なくとも一方の面上で覆われる、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記少なくとも2つの製品部分間にヒンジを形成し、その結果、前記少なくとも2つの製品部分を互いに対して折り曲げることができ、
好ましくは、前記各製品部分が互いに対して折り曲げられたとき、前記塊が、少なくとも外向きまたは内向きである前記可撓性シート要素の表面を覆う、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの可撓性シート要素を覆う前記少なくとも1つの層が、前記可撓性シート要素が、前記可撓性シート要素の長手方向に実質的に垂直な方向に折り曲げられたときに切断され、とくに破断するように設計されている、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも澱粉などの天然ポリマーを含む塊から製品を形成するための装置であって、前記装置は金型を含み、前記金型は、ブリッジ部によって連結された少なくとも2つの製品部分形成部分を含み、
前記装置は、好ましくは前記塊を前記金型に導入する前に、少なくとも1つの可撓性シート要素を前記ブリッジ部の中および/または上に配置するためのシステムを備え、前記少なくとも1つの可撓性シート要素が、前記ブリッジ部のいずれかの側の前記各製品部分形成部分内に少なくとも部分的に延在して、前記金型内に導入された前記塊に連結され、好ましくはその結果、前記塊が、前記可撓性シート要素の少なくとも一方の表面の少なくとも一部を覆って、前記各製品部分形成部分内に形成された前記各製品部分を連結する、装置。
【請求項13】
前記シートシステムが、可撓性シート材料を供給するための少なくとも1つのロールと、前記ロールによって前記金型に供給された可撓性シート要素を、特に前記ブリッジ部の中および/または上に移送するための少なくとも1つのシート移送ユニットとを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記金型が、前記ブリッジ部の中および/または前記ブリッジ部に、少なくともリテーナ、特に少なくとも1つのピン、およびより好ましくは一連のピンを含み、前記少なくとも1つのピンおよび前記一連のピンが、前記少なくとも1つの可撓性シート要素が前記少なくとも1つのピン上、好ましくは前記一連のピン上にピン留め可能であるように設けられている、請求項12または13に記載の装置。
【外国語明細書】