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特開2024-56979防災監視設備の物件データ管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056979
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】防災監視設備の物件データ管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/14 20060101AFI20240416BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G08B25/14 Z
G08B17/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024271
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2019181094の分割
【原出願日】2019-10-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】安彦 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松下 栄治
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】小野 武宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳大
(72)【発明者】
【氏名】城井 正広
(72)【発明者】
【氏名】溝口 英史
(72)【発明者】
【氏名】高木 幸司
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】片岡 才
(72)【発明者】
【氏名】青山 晃久
(57)【要約】
【課題】受信機に記憶している物件データの更新を、サーバの一元管理を通じて外部の端末装置からオンラインにより行うことで、手間と時間を低減可能とする。
【解決手段】サーバ48の物件データサーバ管理部58は、防災監視設備毎に物件データを保存して管理する。端末装置60の物件データ端末管理部70は、サーバ48から物件データをダウンロードして一部を変更することにより新物件データを作成し、新物件データをサーバ48にアップロードして更新を指示する。受信機10の物件データ受信機管理部46は、サーバ48を経由して物件データ端末管理部70から更新指示を受信した場合に、物件データサーバ管理部58からダウンロードした新物件データにより受信機10に現在記憶している物件データを上書きして更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物件データを予め記憶した受信機が、警戒区域に敷設された信号線を介して当該受信機に接続された検出器からの異常検出信号を受信した場合に、異常警報を出力すると共に前記物件データに基づき異常発生場所の表示や所定機器の制御を含む異常対処制御を行う防災監視設備の物件データ管理システムであって、
ネットワークを経由して前記受信機に通信接続可能なサーバに設けられ、防災監視設備毎に物件データを保存して管理する物件データサーバ管理部と、
ネットワークを経由して前記サーバに通信接続可能な端末装置に設けられ、前記サーバから所定の防災監視設備の物件データをダウンロードして一部を変更することにより新物件データを作成し、前記新物件データを前記サーバにアップロードして更新を指示する物件データ端末管理部と、
前記受信機に設けられ、前記サーバを経由して前記物件データ端末管理部から更新指示を受信した場合に、前記物件データサーバ管理部からダウンロードした新物件データを、現在記憶している前記物件データに上書きして更新する物件データ受信機管理部と、
を備え、
前記物件データ受信機管理部は、
前記サーバに通信接続した場合、前記物件データの更新を指示するメッセージを表示し、
前記物件データの更新を行う前記防災監視設備を指定する操作を検出した場合に、当該防災監視設備の現在の物件データを読出して前記サーバにアップロードして旧物件データとして保存させ、
前記サーバからダウンロードした前記新物件データを、受信機が現在記憶している前記物件データに上書きして更新する制御を行うことを特徴とする防災監視設備の物件データ管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の防災監視設備の物件データ管理システムであって、
前記物件データ受信機管理部は、前記新物件データに更新した後に前記受信機の動作確認が行われた場合、前記動作確認の結果を前記サーバに通知する制御を行うことを特徴とする防災監視設備の物件データ管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の防災監視設備の物件データ管理システムであって、
前記物件データ端末管理部は、前記サーバに通信接続した場合、当該サーバから提供された前記動作確認の結果を閲覧可能とする制御を行うことを特徴とする防災監視設備の物件データ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災やガス漏れ等の異常検出信号を受信機で受信した場合に、異常警報を出力すると共に物件データに基づき異常発生場所の表示や機器の連動制御を行う防災監視設備の物件データ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災やガス漏れを監視する防災監視設備の受信機は建物内の防災センターや管理室などに設置されており、例えば火災感知器や発信機からの火災信号を受信することで、火災代表表示を行うと共に主音響や地区音響装置を鳴動させ、防火戸や防火シャッター等の連動制御を行う。
【0003】
このような防災監視設備の受信機にあっては、受信機に接続される火災感知器や中継器のアドレス、地区名、部署名、種別、マスク状況、回線番号、感度、蓄積時間、防排煙機器との連動関係等の所謂物件データを準備し、受信機に設けたEEPROM等の不揮発メモリに記憶して火災受信制御に利用している。
【0004】
このため受信機で火災発報した火災感知器からの火災信号を受信した場合、火災発報した火災感知器のアドレスによりメモリに記憶した物件データを参照して例えば地区名を取得して受信機に設けた液晶ディスプレイの火災画面に火災が発生した地区名を表示している。
【0005】
ところで、防災監視設備の運用中にあっては、防災監視設備を設置している建物のテナント変更、間仕切り変更、火災感知器の増設等に合わせて物件データを変更する必要がある。
【0006】
このような場合の物件データの変更は、防災監視設備の設計施工を行った事業者の事務所において、設備図面等を元にパーソナルコンピュータ等の情報端末装置を使用して、現在使用している物件データの必要な箇所を変更する編集作業を行って新たな物件データを作成し、これをCFカード(コンパクト・フラッシュ・カード)等の記憶媒体に保存して作業者が防災監視設備の設置現場に出向き、受信機にCFカードをセットし、そのとき受信機に記憶している物件データをCFカードの物件データにより上書きすることで物件データを更新している。
【0007】
受信機の物件データを更新した場合には、更新後に動作確認を行い、その結果、誤りが見つかった場合には、事務所に戻って物件データを修正し、再び現場に戻って同じ作業を繰り返すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011-189055号公報
【特許文献2】特開2009-087111号公報
【特許文献3】実用新案登録第3136363号公報
【特許文献4】特開2004-126880号公報
【特許文献5】特開2010-224938号公報
【特許文献6】特開2015-170080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような防災監視設備における物件データの更新にあっては、設備の設計施工側の事務所で物件データを作成し、これをCFカード等に保存して現場に持ち込んで受信機の物件データを更新する作業を必要としており、更新後の動作確認により誤りがあった場合には、設計施工側の事務所と設備現場を行き来して物件データの更新を行う必要があり、手間と時間、更に費用がかかる問題がある。
【0010】
また、受信機における物件データの更新は、受信機に記憶している物件データを、CFカードで持ち込んだ新たな物件データで上書きして更新しているため、その時点で、それまでの物件データは失われ、更新後の動作確認により誤りが発見された場合は、それまで使用していた過去の物件データに戻したい場合があるが、これができないという不具合もある。
【0011】
本発明は、受信機に記憶している物件データの更新を、サーバの一元管理を通じて外部の端末装置からオンラインにより行うことで、物件データの更新に要する手間と時間を低減可能とする防災監視設備の物件データ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(防災監視設備の物件データ管理システム1)
本発明は、所定の物件データを予め記憶した受信機が、警戒区域に敷設された信号線を介して当該受信機に接続された検出器からの異常検出信号を受信した場合に、異常警報を出力すると共に物件データに基づき異常発生場所の表示や所定機器の制御を含む異常対処制御を行う防災監視設備の物件データ管理システムであって、
ネットワークを経由して受信機に通信接続可能なサーバに設けられ、防災監視設備毎に物件データを保存して管理する物件データサーバ管理部と、
ネットワークを経由してサーバに通信接続可能な端末装置に設けられ、サーバから所定の防災監視設備の物件データをダウンロードして一部を変更することにより新物件データを作成し、新物件データをサーバにアップロードして更新を指示する物件データ端末管理部と、
受信機に設けられ、サーバを経由して物件データ端末管理部から更新指示を受信した場合に、物件データサーバ管理部からダウンロードした新物件データを、現在記憶している物件データに上書きして更新する物件データ受信機管理部と、
を備え、
物件データ受信機管理部は、
サーバに通信接続した場合、物件データの更新を指示するメッセージを表示し、
物件データの更新を行う防災監視設備を指定する操作を検出した場合に、当該防災監視設備の現在の物件データを読出してサーバにアップロードして旧物件データとして保存させ、
サーバからダウンロードした新物件データを、受信機が現在記憶している物件データに上書きして更新する制御を行うことを特徴とする。
【0013】
物件データ受信機管理部は、新物件データに更新した後に受信機の動作確認が行われた場合、動作確認の結果をサーバに通知する制御を行う。
【0014】
物件データ端末管理部は、サーバに通信接続した場合、当該サーバから提供された動作確認の結果を閲覧可能とする制御を行う。
【発明の効果】
【0015】
(防災監視設備の物件データ管理システム1の効果)
本発明は、受信機に所定の物件データを予め記憶し、受信機から警戒区域に引き出された信号線に接続した検出器からの異常検出信号を受信した場合に、異常警報を出力すると共に物件データに基づき異常発生場所の表示や所定機器の制御を含む異常対処制御を行う防災監視設備の物件データ管理システムに於いて、ネットワークを介して通信接続可能なサーバに設けられ、防災監視設備毎に物件データを保存して管理する物件データサーバ管理部と、サーバとネットワークを介して通信接続可能な端末装置に設けられ、サーバから所定の防災監視設備の物件データをダウンロードして一部を変更することにより新物件データを作成し、新物件データをサーバにアップロードして更新を指示する物件データ端末管理部と、受信機に設けられ、サーバを経由して物件データ端末管理部から更新指示を受信した場合に、物件データサーバ管理部からダウンロードした新物件データにより現在記憶している物件データを上書きして更新する物件データ受信機管理部とを設けるようにしたため、受信機の物件データを更新するために、物件データを作成する例えば設計施工側の事務所と設備現場との間を、物件データを保存した記憶媒体を持って担当者が往復する必要がなくなり、物件データを更新するための手間と時間を大幅に短縮し、設備の運用コストを低減可能とする。
【0016】
また、物件データをサーバが一元的に管理していることで、端末装置における物件データの作成作業と受信機側における物件データの更新作業を分離して個別に行うことが可能となり、人為的な作業調整を不要として物件データを更新する作業の効率を高めることができる。
【0017】
(防災監視設備の物件データ管理システム2の効果)
本発明の別の形態にあっては、受信機に所定の物件データを予め記憶し、受信機から警戒区域に引き出された信号線に接続した検出器からの異常検出信号を受信した場合に、異常警報を出力すると共に物件データに基づき異常発生場所の表示や所定機器の制御を含む火災対処制御を行う防災監視設備の物件データ管理システムに於いて、受信機に設けられ、外部装置との間で近距離無線により通信接続して信号を送受信する通信アダプタと、通信アダプタと近距離無線通信により通信接続して信号を送受信すると共に携帯電話網を含むネットワークを経由して他の機器と通信接続して信号を送受信する携帯電話端末と、ネットワークを介して通信接続可能なサーバに設けられ、防災監視設備毎に物件データを保存して管理する物件データサーバ管理部と、サーバとネットワークを介して通信接続可能な端末装置に設けられ、サーバから所定の防災監視設備の物件データをダウンロードして一部を変更することにより新物件データを作成し、新物件データをサーバにアップロードして更新を指示する物件データ端末管理部と、携帯電話端末に設けられ、サーバを経由して物件データ端末管理部から更新指示を受信した場合に、物件データサーバ管理部からダウンロードした新物件データにより受信機に現在記憶している物件データを上書きして更新させる物件データ受信機管理部とを設けるようにしたため、受信機の物件データを更新するために、物件データを作成する例えば設計施工側の事務所と設備現場との間を、物件
データを保存した記憶媒体を持って担当者が往復する必要がなくなり、物件データを更新するための手間と時間を大幅に短縮し、設備の運用コストを低減可能とする。
【0018】
また、物件データをサーバが一元的に管理していることで、端末装置における物件データの作成作業と受信機側の携帯電話端末における物件データの更新作業を分離して個別に行うことが可能となり、人為的な作業調整を不要として物件データを更新する作業の効率を高めることができる。
【0019】
また、受信機と近距離通信が可能で且つ端末装置と携帯電話網およびインターネットを介して通信可能な携帯電話端末に物件データ受信機管理部としての機能を設け、新物件データをサーバから携帯電話端末にダウンロードし、携帯電話端末から受信機に書込むようにすることで、受信機をインターネットに固定的に接続するLAN回線やゲートウェイ装置を必要とすることなく、物件データの更新が必要となった場合に、物件データ受信機管理部の機能を備えた携帯電話端末を設備現場に持ち込むことで、簡単に端末装置により作成した物件データをサーバからダウンロードして更新することができる。
【0020】
(受信機の動作モード変更を必要とする受信機側更新処理の効果)
また、物件データ受信機管理部は、サーバに通信接続した場合、物件データの更新を指示するメッセージを表示すると共に、物件データの更新に必要な受信機の動作モードの設定を指示するメッセージを表示し、受信機を動作モードに設定した状態で、所定の物件データ保存操作を検出した場合に、現在の物件データを読出してサーバにアップロードして旧物件データとして保存させ、所定の更新操作を検出した場合に、サーバから新物件データをダウンロードし、現在受信機に記憶している物件データを新物件データにより上書きして更新し、新物件データに更新した後に動作確認を行った場合、動作確認の結果をサーバに通知する制御を行うようにしたため、受信機側の作業者は、サーバにログインすることで、更新を必要とする物件データが存在することを知り、サーバのログインで表示された操作画面に従って所定の手順に従って操作を順次行うことで物件データの更新作業を、確実に誤りなく進めることができる。
【0021】
また、受信機における物件データの更新は、火災監視モードではなく、保守施工モードで行うことができ、物件データの更新を可能とする動作モードである保守施工モードの設定は人為的な操作を必要とするが、このような動作モードの変更が入っても、問題なく、端末装置からのオンライン操作による受信機での物件データの更新を可能とする。
【0022】
また、物件データの更新に先立ち、その時点で受信機に記憶している物件データをサーバにアップロードして旧物件データとして保存することで、更新前の物件データが失われないように管理し、必要に応じた旧物件データの利用を可能とする。
【0023】
(受信機動作モードの変更を必要としない受信機管理側更新処理の効果)
また、物件データ受信機管理部は、サーバに通信接続した場合、物件データの更新を指示するメッセージを表示し、所定の物件データ保存操作を検出した場合に、現在の物件データを読出してサーバにアップロードして旧物件データとして保存させ、所定の更新操作を検出した場合に、サーバから新物件データをダウンロードし、現在受信機に記憶している物件データを新物件データにより上書きして更新し、新物件データに更新した後に動作確認を行った場合、動作確認の結果をサーバに通知する制御を行うようにしたため、受信機の物件データを更新するために動作モードの変更を必要としない場合にも、受信機側の作業者は、サーバにログインすることで、更新を必要とする物件データが存在することを知り、サーバのログインで表示された操作画面に従って所定の手順に従って操作を順次行うことで物件データの更新作業を、確実に誤りなく進めることができる。
【0024】
(物件データ更新後の動作確認でエラーがあった場合の対処による効果)
また、物件データ受信機管理部は、物件データを更新した後の動作確認結果がエラーの場合、サーバに保存している旧物件データをダウンロードして受信機に現在記憶している物件データを上書きして元に戻すようにしたため、更新後の動作確認で物件データの誤りを発見した場合には、更新済みの受信機の物件データを、サーバに保存している更新前の旧物件データに戻すことで、誤りのある物件データが受信機に残って問題となる状況を無くすことができ、誤りのある物件データの修正と再更新を、十分な余裕をもって確実に行うことを可能とする。
【0025】
(物件データ更新後の動作確認結果の通知による効果)
また、物件データサーバ管理部は、受信機側から物件データを更新した後の動作確認結果を受信している状態で端末装置の通信接続を受けた場合、動作確認結果を端末装置に送信してメッセージ表示させるようにしたため、端末装置の担当者はサーバにログインした場合に表示されるメッセージから、更新した物件データにより受信機が正常に動作したか、エラーとなったかを簡単に知ることができ、万一、エラーとなった場合には、サーバからエラーとなった物件データをダウンロードして修正し、修正後に再びアップロードして更新を指示することで、物件データの誤りを発見した場合の対処を迅速且つ適切に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】受信機の物件データ更新を、ネットワークを介して外部から可能とする防災監視設備の物件データ管理システムの第1実施形態を示したブロック図
図2】サーバを介して端末装置と受信機との間で行う物件データ更新の動作手順を示したタイムチャート
図3】端末装置に表示する端末メニュー画面を示した説明図
図4】端末装置に表示する端末更新操作画面を示した説明図
図5】端末装置に表示する端末閲覧操作画面を示した説明図
図6】正常な動作確認結果を表示したメッセージ画面を示した説明図
図7】エラーとなる動作確認結果を表示したメッセージ画面を示した説明図
図8】受信機に表示する受信機メニュー画面を示した説明図
図9】受信機に表示する受信機更新操作画面を示した説明図
図10】受信機の物件データ更新をネットワークを介して外部から可能とする防災監視設備の物件データ管理システムの第2実施形態を示したブロック図
図11】携帯電話端末の機能構成の概略を示したブロック図
図12】サーバを介して端末装置と受信機側の携帯電話端末との間で行う物件データ更新の動作手順を示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
[物件データ管理システムの第1実施形態]
図1は受信機の物件データ更新を、ネットワークを介して外部から可能とする防災監視設備の物件データ管理システムにおける第1実施形態を示したブロック図である。
【0028】
(物件データ管理システムの概要)
図1に示すように、本実施形態の物件データ管理システムは、防災監視設備の受信機10、防災監視設備の製造を行ったメーカ等が保有するサーバ48、及び受信機10に記憶している物件データを作成管理する設計事務所等の事業者が保有する端末装置60で構成され、サーバ48に対しクライアントとして機能する受信機10及び端末装置60をインターネット45を介して通信接続可能としている。
【0029】
(防災監視設備)
図1に示すように、防災監視設備は、例えばR型(Record-type)の防災監視設備であり、受信機10からは建物の警戒エリアに向けて伝送路12が引き出され、伝送路12にアナログ感知器14を接続している。また伝送路12には中継器16を接続し、中継器16から引き出された火報回線18にオンオフ感知器20及び発信機22を接続している。また別の中継器にはガス漏れ検出器を接続しているが、図示を省略している。
【0030】
更に、受信機10に設けた別の伝送部からは制御用の伝送路が引き出され、そこに地区音響装置や防排煙機器等の制御機器を伝送路に接続して制御するようにしているが、図示を省略している。
【0031】
アナログ感知器14及び中継器16は、受信機10との間で情報を双方向伝送する伝送機能を備えており、受信機10を含めて固有のアドレスが予め割り当てられている。1つの伝送路12に接続できるアナログ感知器14及び中継器16の数は、例えば最大アドレス数が256アドレスの場合、受信機アドレスを除くことから、255台以下のアナログ感知器14及び中継器16を接続することができる。
【0032】
受信機10には、受信機制御部26,伝送部28、表示部30、操作部32、警報部34、移報部36、プリンタ38及びLAN通信部40を設けている。
【0033】
受信機制御部26は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の受信機制御を行う。また、受信機制御部26はメモリとして揮発性メモリと不揮発性メモリを設けており、不揮発性メモリに物件データを記憶している。
【0034】
受信機10からアナログ感知器14及び中継器16に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送路12の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0035】
これに対しアナログ感知器14及び中継器16からの上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送路12に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送される。
【0036】
受信機10の受信機制御部26による受信制御は次のようになる。受信機10は、通常の監視時にあっては、端末アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ感知器14及び中継器16は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると正常監視応答を行う。このため受信機10にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかったアナログ感知器14または中継器16を障害として故障を検出することができる。
【0037】
また受信機10は、すべての端末アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに一括AD変換コマンドを繰り返し送信している。アナログ感知器14は受信機10からの一括AD変換コマンドを受信すると、検出している煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較している。
【0038】
アナログ感知器14でサンプリングしたアナログ検出データが火災レベルを超えた場合には、受信機10に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。この割込信号は、応答ビット列をオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
【0039】
中継器16も、受信機10からの一括AD変換コマンドに基づき、火報回線18に接続しているオンオフ感知器20あるいは発信機22の受信状態をサンプリングし、火災発報あるいは火災通報を検出した場合には、受信機10に対し割込信号を送信する。
【0040】
受信機10は、アナログ感知器14または中継器16からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行し、火災を検出したアナログ感知器14または中継器16を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別する。
【0041】
続いて、判別したグループに含まれる個々のアナログ感知器14や中継器16に対し、順次アドレスを指定したポーリングを行い、アナログデータや火災発報データなどの火災応答を受けることで、火災を検出したアナログ感知器14または中継器16の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行うことになる。
【0042】
表示部30には火災代表灯、ガス漏れ代表灯、障害代表灯等を設け、更に、タッチパネル付きの液晶ディスプレイを設けている。操作部32には、火災警報が出力された場合に操作する音響停止スイッチ、火災断定スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、復旧スイッチ等の各種の操作スイッチを設けている。警報部34には音響警報を出力するスピーカを設けている。
【0043】
LAN通信部40はイーサネット(登録商標)等の所定のLAN通信プロトコルに基づきLAN回線42に接続したゲートウェイ44にアクセスして情報の送受信を行う。ゲートウェイ44はインターネット45との間でLAN通信プロトコルとインターネット通信プロトコルの変換を行い、インターネット45に接続しているサーバ48との間で信号の送受信を行う。
【0044】
受信機10の受信機制御部26は、その不揮発性メモリに物件データを予め記憶しており、例えば、アナログ感知器14の火災発報を検出すると、表示部30の火災代表等を点灯すると共に警報部34から主音響警報を出力させ、また、表示部30の液晶ディスプレイの画面に、物件データに基づき、火災が発生した地区名を表示させる制御を行う。
【0045】
また、受信機制御部26には、物件データ受信機管理部46の機能が設けられる。物件データ受信機管理部46は、サーバ48にログインした場合に表示される操作画面により、物件データを更新する制御を行う。
【0046】
物件データ受信機管理部46の物件データ更新制御は、物件データの更新に先立ち、更新前の物件データを読出してサーバ48にアップロードして旧物件データとして保存させる制御を行い、続いて、サーバ48から新物件データをダウンロードして現在記憶している物件データを上書きして更新する制御を行う。更に、物件データ受信機管理部46は、物件データの更新後に行った動作確認結果をサーバに通知する制御を行う。
【0047】
(端末装置)
設計施工側の事務所等に設置された端末装置60は、サーバ48に対しクライアントとして機能し、市販のパーソナルコンピュータを使用しており、端末制御部62,通信部64、表示部65、操作部66及び記憶部68を備えている。端末制御部62は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の端末制御を行う。
【0048】
通信部64はインターネット通信プロトコルによりインタ-ネット45を介してサーバ48との間で信号を送受信する。表示部65は液晶ディスプレイである。操作部66はキーボード、マウスを含む。
【0049】
端末制御部62には物件データ端末管理部70としての機能が設けられる。物件データ端末管理部70は、所定のログインIDとパスワードを使用してサーバ48にログインした場合に、表示部65の液晶ディスプレイに表示される所定の操作画面を使用し、物件データの更新に必要な所定の制御を行う。
【0050】
物件データ端末管理部70の物件データ更新制御は、サーバ48から更新対象とする防災監視設備に設けた受信機10で現在使用している物件データをダウンロードし、内容の一部を変更する作業を行って新たな物件データを作成し、作成した新物件データをサーバ48にアップロードして保存すると共に物件データの更新を指示する制御を行う。
【0051】
また、物件データ端末管理部70は、サーバ48にログインしてメッセージ画面を開くことで、受信機10の物件データを更新した後に行われた動作確認の結果を閲覧可能とする制御を行う。
【0052】
(サーバ)
防災監視設備の製造メーカ等が保有するサーバ48は、サーバ制御部50,通信部52、表示部54、操作部55及び記憶部56を備えている。サーバ制御部50は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定のサーバ制御を行う。
【0053】
通信部52はインターネット通信プロトコルによりインタ-ネット45を介して受信機10及び端末装置60との間で信号を送受信する。表示部54は液晶ディスプレイである。操作部55はキーボード、マウスを含む。
【0054】
記憶部56には、サーバ48が管理対象とする複数の防災監視設備の受信機10で使用している物件データを保存している。
【0055】
サーバ制御部50には物件データサーバ管理部58としての機能が設けられる。物件データサーバ管理部58は、受信機10及び端末装置60から閲覧可能なホームページを構築しており、受信機10又は端末装置60からのログインに対し、それぞれにおける物件データの更新等に必要な操作画面を提供し、この操作画面の操作に応じた物件データのダウンロード、物件データのアップロード、物件データ更新に必要な各種のメッセージの提供等の制御を行う。
【0056】
[物件データの更新動作の概要]
図2はサーバを介して端末装置と受信機との間で行う物件データ更新の動作手順を示したタイムチャートである。なお、二重縦線のブロックは人為的操作を示す。また、物件データに関する受信機10、サーバ48及び端末装置60の制御は、物件データ受信機管理部46、物件データサーバ管理部58及び物件データ端末管理部70の制御によるものであるが、説明を簡単にするため、受信機10、サーバ48及び端末装置60の制御として説明する。
【0057】
まず受信機10は、通常監視状態では、ステップS1に示すように、火災監視モードの設定により火災監視制御を行っている。
【0058】
防災監視設備の運用中に物件データの変更が生じた場合には、ステップS2のように、端末装置60は、ログインIDとパスワードの入力に基づきサーバ48にログインし、サーバ48から提供された端末操作画面を使用して更新対象とする物件データのダウンロード要求を行う。これに対しサーバ48は、ステップS3で要求のあった物件データを記憶部56から読み出して端末装置60にダウンロードする。
【0059】
端末装置60は、サーバ48からダウンロードした物件データの内容を一部修正する編集作業をステップS4で行って更新に使用する新物件データを作成し、ステップS5で作成した新物件データをサーバ48にアップロードすると共に、更新要求を指示する。
【0060】
サーバ48は、ステップS6で端末装置60からアップロードされた新物件データを記憶部56に保存すると共に、更新要求のあった受信機10の操作画面に、更新要求を示すメッセージを書き込んで、受信機10からのログインに備える。また、物件データの作成の済んだ端末装置60はステップS7でログアウトする。
【0061】
受信機10側の作業者は、端末装置60側の作業者からら更新準備が完了した旨の連絡を受けた場合に、ステップS8に示すようにサーバ48にログインすると、このログイン対しサーバ48はステップS9で受信機操作画面を受信機10に提供し、この操作画面に物件データの更新要求を示すメッセージを配置することで、物件データの更新要求を受信機10に通知する。
【0062】
受信機10はステップS10でサーバ48からダウンロードされた受信機操作画面により物件データの更新要求のメッセージを表示するが、この更新要求のメッセージには、本実施形態の場合、受信機10の物件データの更新に必要な動作モードとして、保守施工モードの設定を示すガイダンスメッセージが含まれる。
【0063】
このため受信機10側の作業者は、ステップS11で受信機10に対し保守施工モードを設定して立ち上げる所定の操作を行い、これにより受信機10は物件データを更新可能な保守施工モードの制御に入る。
【0064】
続いて、受信機10はステップS12で、不揮発メモリに現在記憶している物件データを読出し、サーバ48にアップロードする。受信機10からの物件データのアップロードを受けたサーバ48は、ステップS13でアップロードされた物件データを旧物件データとして保存する。
【0065】
続いて受信機10は、ステップS14でサーバに物件データのダウンロードを要求し、これを受けてサーバ48はステップS15で要求のあった新物件データを読出して送信し、受信機10はステップS16で物件データのダウンロードを表示する。続いて受信機10は、ステップS17で所定の更新操作に基づき、現在記憶している物件データにダウンロードした新物件データを上書きして更新する。
【0066】
物件データの更新が済むと、受信機10の作業者は、ステップS18で受信機10の動作モードを火災監視モードに設定する所定の操作を行った後に、動作確認を行う。この動作確認は、例えば特定の感知器アドレスに対応した地区名の変更であった場合は、この感知器アドレスのアナログ感知器14を試験発報又は疑似発報させ、表示部30の液晶ディスプレイの火災画面に、変更した地区記名が正しく表示されるか否かの確認等を行う。
【0067】
続いて、ステップS19で受信機10は、所定の操作に基づき、動作確認の結果をサーバ48に送信し、サーバ48はステップS20で動作確認結果を記録する。
【0068】
端末装置60側の作業者は、受信機10側の作業者からの連絡を受けてステップS21でサーバ48に再度ログインすると、サーバ48はステップS22で動作確認結果の通知を含む端末操作画面を提供し、端末装置60はステップS23で動作確認結果のメッセージを表示する。
【0069】
受信機10での動作確認結果が正常であった場合は、一連の物件データの更新処理を終了する。一方、受信機10での動作確認結果の表示がエラーであった場合は、受信機10側の作業者は、サーバ48に保存している旧物件データをダウンロードし、エラーとなっている更新した新物件データを旧物件データにより上書きして元に戻す。また、端末装置60側の作業者は、再度、物件データを編集して更新する処理を行うことになる。
【0070】
[端末装置の操作画面]
図3は端末装置に表示する端末メニュー画面を示した説明図、図4は端末装置に表示する端末更新操作画面を示した説明図、図5は端末装置に表示する端末閲覧操作画面を示した説明図、図6は正常な動作確認結果を表示した端末メッセージ画面を示した説明図、図7はエラーとなる動作確認結果を表示した端末メッセージ画面を示した説明図である。
【0071】
(端末メニュー画面)
図3に示す端末メニュー画面72は、物件データ処理メニューとして、メッセージ釦74,更新釦76及び閲覧釦78を設けている。
【0072】
(端末更新操作画面)
図3に示す端末メニュー画面72の更新釦76をマウスクリックすると、図4の端末更新操作画面80に切り替わる。端末更新操作画面80は、左端の上から下に、現在の操作状態を示す複数のマーカ82を表示し、マーカ82に対応して複数の操作項目84~92を上から下に向けて配置している。
【0073】
先頭の操作項目84は、物件データの更新を行う防災監視設備を指定する項目であり、マウスやキーボードを使用して直接入力するか、下向きの矢印で示すダイヤログを開いて予め登録している更新対象設備の中から選択する。ここで、端末更新操作画面80は最初の画面状態を示しており、最上段のマーカ82を所定色に点灯表示することで、現在時点で操作を必要とする操作項目を示している。
【0074】
2番目の操作項目86は、「物件データのダウンロード」との表記に続いてダウンロード釦94を配置しており、ダウンロード釦94をマウスクリックすることで、操作項目82で指定した更新対象設備の受信機10に現在使用していると同じ物件データがサーバ48からダウンロードされる。
【0075】
3番目の操作項目88は、「物件データの編集」との表記に続いてYES釦96とNO釦98を配置しており、物件データを編集する場合には、YES釦96をマウスクリックすると所定の編集画面に切り替わって物件データの編集作業が可能となる。編集を必要としない場合は、NOボタン98をマウスクリックすればよい。
【0076】
4番目の操作項目90は、「物件データのアップロード」との表記に続いてアップロード釦100を配置しており、アップロード釦100をマウスクリックすると、編集の済んだ物件データ(新物件データ)をサーバ48にアップロードして保存される。
【0077】
5番目の操作項目92は、「物件データの更新要求」との表記に続いてYES釦102を配置しており、YES釦102をマウスクリックするとアップロードの済んだ物件データによる更新要求がサーバ48に送信されて記録される。
【0078】
更に、端末更新操作画面80の右側には、中断釦104、再開釦106及び終了釦108を設けている。中断釦104は、物件データを更新する操作を途中で一時中断したい場合に操作する。中断釦104を操作すると、操作時点の状態が保存される。再開釦106は中断釦104の操作で中断した操作を再開する場合に操作する。終了釦108は全ての操作項目の操作を終了して端末更新操作画面80を閉じる場合に操作する。
【0079】
(端末閲覧操作画面)
図3に示した端末メニュー画面72の閲覧釦78をマウスクリックすると、図5の端末閲覧操作画面110に切り替わる。端末閲覧操作画面110は、左端の上から下に、現在の操作状態を示す複数のマーカ112を表示し、マーカ112に対応して操作項目114,116を配置している。
【0080】
先頭の操作項目114は、物件データの更新を行う防災監視設備を指定する項目であり、マウスやキーボードを使用して直接入力するか、下向きの矢印で示すダイヤログを開いて予め登録している更新対象設備の中から選択する。
【0081】
2番目の操作項目116は、「物件データのダウンロード」との表記に続いてダウンロード釦118を配置しており、ダウンロード釦118をマウスクリックすることで、操作項目114で指定した更新対象設備の受信機10に現在使用していると同じ物件データがサーバ48からダウンロードされ、所定の閲覧画面に切り替わって表示される。
【0082】
(端末メッセージ画面)
図3に示した端末メニュー画面72のメッセージ釦74をマウスクリックすると、図6又は図7の端末メッセージ画面130に切り替わる。図6は受信機10で更新した物件データの動作確認結果が正常であった場合の端末メッセージ画面130であり、メッセージ表示欄132に動作確認正常メッセージ134が表示される。
【0083】
また、図7は受信機10で更新した物件データの動作確認結果がエラーであった場合の端末メッセージ画面130であり、メッセージ表示欄132に動作確認エラーメッセージ136が表示され、動作確認エラーメッセージ136には、エラーとなった物件データの誤りを修正して再びアップロードするというエラー対処メッセージが含まれている。
【0084】
[受信機の操作画面]
図8は受信機に表示する受信機メニュー画面を示した説明図、図9は受信機に表示する受信機更新操作画面を示した説明図である。
【0085】
(受信機メニュー画面)
図8に示す受信機メニュー画面140は、メッセージ欄142と更新釦144を設けている。メッセージ欄142には、未更新の物件データが存在し、物件データの更新操作を求めるメッセージを表示している。
【0086】
(受信機更新操作画面)
図8に示した受信機メニュー画面140の更新釦144をマウスクリックすると、図9の受信機更新操作画面150に切り替わる。受信機更新操作画面150は、左端の上から下に、現在の操作状態を示す複数のマーカ152を表示し、マーカ152に対応して複数の操作項目154~164を上から下に向けて配置している。
【0087】
先頭の操作項目154は、物件データの更新に必要な保守施工モードの設定を求めるガイダンスメッセージであり、受信機10の操作部32により所定の保守施工モードの設定操作を行って立ち上げると、不揮発メモリに対す物件データの読出しと書込みが可能となり、これが済んだら確認釦166をマウスクリックする。
【0088】
2番目の操作項目156は、「現在の物件データを保存します。」とのガイダンスに続いて保存釦168を配置しており、保存釦168をマウスクリックすることで、受信機10の不揮発性メモリに記憶している現在の物件データを読出してサーバ48にアップロードし、旧データとして保存されることになる。
【0089】
3番目の操作項目158は、「物件データをダウンロードします。」とのガイダンスに続いて実行釦170を配置しており、実行釦170をマウスクリックするとサーバ48から新物件データがダウンロードされてメモリに一時記憶される。
【0090】
4番目の操作項目160は、「物件データを更新します。」とのガイダンスに続いて更新釦172を配置しており、更新釦172をマウスクリックするとメモリに一時記憶している新物件データを読出し、不揮発性メモリの新物件データに上書きして更新する。
【0091】
5番目の操作項目162は、「火災監視モードを設定し、動作を確認してください。」とするガイダンスであり、更新の終了した物件データによる受信機の動作を確認し、正常に動作したか、エラーとなったかを作業者が確認する。
【0092】
6番目の操作項目164は、「動作確認結果を通知してください。」とのガイダンスに続いて正常釦174とエラー釦176を配置しており、正常釦174をマウスクリックするとサーバに動作確認結果の正常が通知されて記録され、エラー釦176をマウスクリックするとサーバに動作確認結果のエラーが通知されて記録される。
【0093】
更に、受信機更新操作画面150の右側には、中断釦178、再開釦180及び終了釦182を設けている。
【0094】
(端末装置と受信機の画面操作による物件データ更新のメリット)
このようにサーバ48にログインした端末装置60の作業者は図3乃至図6示したメニュー画面、操作画面及びメッセージ画面を使用し、また、サーバ48にログインした受信機10の作業者は図8及び図9に示したメニュー画面と操作画面を使用して、物件データの更新に必要な作業をサーバ15による物件データの一元管理のもとに行うことができ、端末装置60側と受信機10側との間を、物件データを保存した記憶媒体を持って作業者が往復する必要がなくなり、物件データを更新するための手間と時間を大幅に短縮可能とする。
【0095】
[防災監視設備の物件データ管理システムの第2実施形態]
(物件データ管理システムの概要)
図10は受信機の物件データ更新を、ネットワークを介して外部から更新可能とする防災監視設備の物件データ管理システムの第2実施形態を示したブロック図である。
【0096】
図10に示すように、本実施形態の物件データ管理システムは、受信機10からネットワークを介してサーバ48に通信接続する通信経路として、携帯電話端末200を利用したことを特徴とする。携帯電話端末200は、基地局190を経由して携帯電話網188に通信接続し、更にインターネット45を経由してサーバ48に通信接続する。
【0097】
携帯電話端末200との通信接続を可能とするため、受信機10の受信制御部26を構成する基板に実装したCPUからはUSBとして知られた汎用シリアルバス(Universal Serial Bus)が引き出され、この汎用シリアルバスにUSBコネクタによるUSBポート184を1又は複数設けており、その内の1つに無線LAN通信アダプタ186を接続している。
【0098】
無線LAN通信アダプタ186は、インタフェース変換アダプタとして機能し、USB通信プロトコルに従った信号と無線LAN通信プロトコルに従った信号との間の変換を行う。例えば無線LAN通信アダプタ186は、USB2.0又はUSB3.0の標準規格に従った信号とイーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線LAN通信による信号との間の変換を行う。この無線LAN通信において、無線LAN通信アダプタ186は無線LANのステーションとして機能し、アクセスポイントとして機能する携帯電話端末200との間の通信接続を確立してパケット信号を通信する。
【0099】
無線LAN通信アダプタ186としては、USBポート184に差し込んで使用するWiFi(登録商標)ドングルとして知られた小型のインタフェース変換デバイスを使用することができる。
【0100】
このように受信機制御部26のUSBポート184に無線LAN通信アダプタ186を接続することで、物件データ更新の際に受信機10側につく作業者が携帯する無線LAN通信機能を備えた携帯電話端末200との通信接続を可能とする。
【0101】
なお、受信機10に無線LAN通信アダプタ186を設けた以外の点、及びサーバ48と端末装置50は、図1の第1実施形態と同じになることから、同一符号を付けて、その説明を省略する。
【0102】
(携帯電話端末)
図11は携帯電話端末の機能構成の概略を示したブロック図であり、個人用の携帯コンピュータの機能を併せもつ携帯電話端末として知られたスマートフォンを例にとっている。
【0103】
図11において、携帯電話端末200は、携帯電話制御部202、携帯電話通信部204、無線LAN通信部206、高速移動通信部208、GPS通信部(全地球測位システム通信部)210、カメラ部212、SIMカード214、ディスプレイ216、タッチパネル218、音声入出力部220、USB端子部222、操作部224及びメモリカード226等を備える。
【0104】
携帯電話制御部202は、プロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、インストールされたプログラムを実行する。携帯電話通信部204は、第3世代移動通信システム(3G)として知られたW-CDMAまたは第4世代移動通信システム(4G)として知られたIMT-Advanced規格により携帯電話通信を行う。
【0105】
無線LAN通信部206は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線通信を行い、図10の受信機10に設けた無線LAN通信アダプタ186との間に無線LAN回線を確立してデータ伝送を行う。このため無線LAN通信部206は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線LAN通信機能、例えばデザリング機能を備えている。
【0106】
高速移動通信部208は、IEEE802.16eに準拠したモバイルWiMAX(登録商標)によるモバイル高速移動通信を行う。GPS通信部210は、周回衛星を使用した全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、現在位置の経度と緯度を取得するための通信を行う。
【0107】
カメラ部212は、CMOS撮像素子を使用して画像の撮像を行い、静止画及び動画を取得する。SIMカード214は、携帯電話番号を識別するための番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)
番号を格納したカードであり、SIMカード214の差し替えにより、複数の携帯電話端末で同じ携帯電話番号を利用可能とする。
【0108】
ディスプレイ216は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用し、パネル表面にはタッチパネル218を配置している。音声入出力部220は、マイク、スピーカ、及びオーディオコーデック(Audio CODEC)を備えて音声入出力を行う。
【0109】
USB端子部222は、適宜の周辺機器を接続するデジタル・インタフェースのコネクタを接続する。操作部224は、キーパッドや操作釦による利用者の操作を受け付けて携帯電話制御部202に通知する。メモリカード226は、着脱自在な外部メモリであり、カメラ部212で撮像した画像等の各種データの外部記憶に使用する。
【0110】
携帯電話制御部202は、通話接続、メール接続、インターネット接続、無線LAN接続などの通信接続及び関連する各種の制御を行う。
【0111】
また、携帯電話制御部202には、物件データ受信機管理部228としての機能が設けられる。実際には、携帯電話制御部202に、物件データ受信機管理のアプリケーションプログラムをインストールしている。
【0112】
物件データ受信機管理部228は、図1の受信機制御部26に設けた物件データ受信機管理部46に相当し、サーバ48にログインした場合に表示される図8の受信機メニュー画面及び図9の受信機更新操作画面と同等な画面を使用して、物件データを更新に必要な所定の制御を行う。
【0113】
物件データ受信機管理部228の操作画面を使用した物件データを更新するための制御においては、物件データの更新に先立ち、更新前の物件データを受信機10から読出してサーバ48にアップロードして旧物件データとして保存させる制御を行い、続いて、サーバ48から新物件データをダウンロードして受信機10に現在記憶している物件データを上書きして更新する制御を行う。更に、物件データ受信機管理部228は、物件データの更新後に行った動作確認結果をサーバ48に通知する制御を行う。
【0114】
(物件データの更新動作)
図12は携帯電話端末を経由して端末装置と受信機との間で行う物件データ更新の動作手順を示したタイムチャートである。なお、二重縦線のブロックは人為的操作を示す。また、物件データに関する携帯電話端末200、サーバ48及び端末装置60の制御は、物件データ受信機管理部228、物件データサーバ管理部58及び物件データ端末管理部70の制御によるものであるが、説明を簡単にするため、携帯電話端末200、サーバ48及び端末装置60の制御として説明する。
【0115】
まず受信機10は、通常監視状態では、ステップS31に示すように、火災監視モードの設定により火災監視制御を行っている。
【0116】
防災監視設備の運用中に物件データの変更が生じた場合には、ステップS32のように、端末装置60は、ログインIDとパスワードの入力に基づきサーバ48にログインし、端末操作画面を使用して更新対象とする物件データのダウンロード要求を行う。これに対しサーバ48は、ステップS33で要求のあった物件データを記憶部56から読み出して端末装置60にダウンロードする。
【0117】
端末装置60は、サーバ48からダウンロードした物件データの内容を一部修正する編
集作業をステップS34で行って更新する新物件データを作成し、ステップS35で作成した物件データをサーバ48にアップロードすると共に、更新要求を指示する。
【0118】
サーバ48は、ステップS36で端末装置60からアップロードされた物件データを記憶部56に保存すると共に、更新要求のあった受信機10の操作画面に、更新要求を示すメッセージを書き込んで、受信機10からのログインに備える。また、物件データの作成の済んだ端末装置60はステップS37でログアウトする。
【0119】
受信機10側の作業者は物件データ受信機管理部228の機能を備えた携帯電話端末200を携帯しており、端末装置60側の作業者からら更新準備が完了した旨の連絡を受けた場合に、ステップS38に示すようにサーバ48にログインすると、このログイン対しサーバ48はステップS39で受信機操作画面を携帯電話端末200に提供し、この操作画面に物件データの更新要求を示すメッセージを表示することで、物件データの更新要求を携帯電話端末200に通知する。
【0120】
携帯電話端末200はステップS40でサーバ48からダウンロードされた受信機操作画面により物件データの更新要求をメッセージ表示するが、この更新要求のメッセージには、本実施形態の場合、受信機10の物件データの更新に必要な動作モードとして、保守施工モードの設定を示すガイダンスメッセージが含まれる。
【0121】
このため受信機10側の作業者は、ステップS41で受信機10に対し保守施工モードを設定して立ち上げる所定の操作を行い、これにより受信機10は物件データを更新可能な保守施工モードの制御に入る。
【0122】
続いて、携帯電話端末200はステップS42で受信機10に物件データの読出コマンドを送信し、受信機10はステップS43で、不揮発メモリに現在記憶している物件データを読出して携帯電話端末200に転送し、これを受けて携帯電話端末200は物件データをサーバ48にアップロードする。受信機10からの物件データのアップロードを受けたサーバ48は、ステップS44でアップロードされた物件データを旧物件データとして保存する。
【0123】
続いて携帯電話端末200は、ステップS45でサーバに物件データのダウンロードを要求し、これを受けてサーバ48はステップS46で要求のあった新物件データを読出して送信し、携帯電話端末200はステップS47で新物件データのダウンロードを表示する。
【0124】
続いて、携帯電話端末200は、ステップS48で所定の更新操作に基づき、書込コマンドと新物件データを受信機10に送信し、これを受信機10はステップS49で受信し、不揮発性メモリに記憶している現在の物件データを受信した新物件データで上書きして更新する。
【0125】
物件データの更新が済むと、受信機10の作業者は、ステップS50で受信機10の動作モードを火災監視モードに設定する所定の操作を行った後に、動作確認を行い、ステップS51で作業者が入力した動作確認結果を、携帯電話端末200を経由してサーバ48に送信し、サーバ48はステップ52で動作確認結果を記録する。
【0126】
端末装置60側の作業者は、受信機10側の作業者からの連絡を受けてステップS53でサーバ48に再度ログインすると、サーバ48はステップS54で動作確認結果の通知を含む端末操作画面を提供し、端末装置10はステップS55で動作確認結果のメッセージを表示する。
【0127】
受信機10での動作確認結果が正常であった場合は一連の物件データの更新処理を終了する。一方、受信機10での動作確認結果の表示がエラーであった場合は、携帯電話端末200の作業者は、サーバ48から旧物件データをダウンロードし、エラーとなっている受信機10の新物件データを上書きして元に戻す。また、端末装置60の作業者は、再度、物件データを編集して更新する処理を行うことになる。
【0128】
(第2実施形態のメリット)
本実施形態にあっては、受信機10でインターネット通信を行わず、携帯電話端末200との無線LAN通信を行い、携帯電話端末200のインターネット通信機能を利用してサーバ48と通信することで、受信機10にインターネット通信に使用するゲートウェイ装置等の専用機器を設けたり、インターネットプロバイダーと契約する必要がなく、サーバ48による物件データの一元管理により、端末装置60で物件データを作成してサーバ48にアップロードし、受信機10側でサーバ48から物件データをダウンロードして受信機10の物件データを更新する場合の設備構成を簡単にし、低コストで実現可能とする。
【0129】
特に、受信機10の物件データを変更する頻度はそれほど高いものではなく、そのためにインターネット通信用の機器を固定的に設けておくことは設備としての無駄が大きい。これに対し本実施形態では、受信機10のUSBポート184に無線LAN通信アダプタ186を接続しておくだけでよく、物件データの更新が必要になった場合には、受信機10側に付く作業者が物件データ受信機管理部228の機能を備えた携帯電話端末200を持ち込むだけで、簡単に、サーバ48から物件データをダウンロードして受信機10の物件データを更新することが可能となる。
【0130】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、R型(Record-type)の防災監視設備の受信機に対する物件データの更新を例にとっているが、オンオフ感知器を接続した火報回線単位に火災を検出して警報するP型(Proprietary-type)の防災監視設備の受信機に対する物件データの更新にも、そのまま適用できる。
【0131】
また、上記の実施形態に示したメニュー画面や操作画面は一例であり、必要に応じて適宜のメニュー画面や操作画面を用いることができる。
【0132】
また、上記の実施形態は、図3乃至図9の画面操作に示したように、物件データの更新制御をすすめるために、作業者の人為的な操作必要としているが、人為的な操作を行うことなく、更新する物件データを指定する操作を行った後は、自動的に制御しても良い。
【0133】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0134】
10:受信機
12:伝送路
14:アナログ感知器
16:中継器
18:火報回線
20:オンオフ感知器
22:発信機
26:受信機制御部
28:伝送部
40:LAN通信部
44:ゲートウェイ
45:インターネット
46,228:物件データ受信機管理部
48:サーバ
50:サーバ制御部
58:物件データサーバ管理部
60:端末装置
62:端末制御部
70:物件データ端末管理部
184:USBポート
186:無線LAN通信アダプタ
188:携帯電話網
190:基地局
200:携帯電話端末
202:携帯電話制御部
204:携帯電話通信部
206:無線LAN通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12