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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056987
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】植物栽培用光源及び植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20240416BHJP
   A01G 22/25 20180101ALI20240416BHJP
   A01G 22/15 20180101ALI20240416BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
A01G22/25
A01G22/15
A01G9/02 103Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024024500
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2021509838の分割
【原出願日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】62/722,389
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/870,905
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/548,337
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム,セ リョン
(72)【発明者】
【氏名】コ,サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヒョン ス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有効物質の含量が高い植物を容易に栽培できる植物栽培用光源を提供すること。
【解決手段】植物栽培用光源は、植物の明周期と暗周期によってオンまたはオフになり、前記植物栽培用光源は明周期にオンになって複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に出射し、前記植物内の所定物質の含量を高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の明周期と暗周期によってオン又はオフになる植物栽培用光源において、
前記植物栽培用光源は明周期にオンになって、複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に出射し、前記植物内の所定物質の含量を高め、
前記明周期の一部の区間を第1区間、残りの区間を第2区間とすると、
前記明周期の第2区間で出射した前記光のピークの少なくとも一つは、前記第2区間よりも先行したり後行したりする第1区間において提供されず、
前記第2区間で提供されるが、前記第1区間で提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、前記第2区間と前記第1区間で実質的に互いに同じ波長で表れる、植物栽培用光源。
【請求項2】
前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークは、約300nm以下の波長で表れる、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項3】
前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークは、約280nm~約295nmの波長の波長を有する、請求項2に記載の植物栽培用光源。
【請求項4】
前記第2区間は、第1区間よりも短く提供される、請求項3に記載の植物栽培用光源。
【請求項5】
前記第2区間は、約6時間提供される、請求項4に記載の植物栽培用光源。
【請求項6】
前記第2区間のあいだ前記光源は連続して光を出射する、請求項3に記載の植物栽培用光源。
【請求項7】
前記植物は、十字花科植物である、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項8】
前記十字花科植物は、赤ダイコン、レッドキャベツスプラウト、カブ、白菜、ブロッコリー、花大根、アブラナ、コールラビ、チンゲン菜、カラシ菜、ビタミン菜、ケール、レッドキャベツの少なくとも一つである、請求項7に記載の植物栽培用光源。
【請求項9】
前記の所定物質は、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの少なくとも一つである、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項10】
前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、可視光線波長帯域に提供される、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項11】
前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、青色波長帯域および赤色波長帯域のそれぞれに提供されたピークを含む、請求項10に記載の植物栽培用光源。
【請求項12】
前記光源は、互いに異なる波長の光を出射する複数個であり、発光ダイオードを含む、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項13】
前記複数個の発光ダイオードは、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークに該当する光を出射する第1発光ダイオードと、前記の少なくとも一つのピークを除いた残りのピークに該当する光を出射する第2発光ダイオードを含む、請求項12に記載の植物栽培用光源。
【請求項14】
植物が植えられるハウジング、
前記ハウジング内に設けられ前記植物に光を照射する光源、および
前記光源を制御する制御部を含み、
前記光源は、前記植物の明周期と暗周期によってオンまたはオフになり、前記明周期にオンになって複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に照射し前記植物内の所定物質の含量を高め、前記明周期の第2区間で出射した前記光のピークの少なくとも一つは、前記第2区間よりも先行したり後行したりする第1区間では提供されず、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、前記第2区間と前記第1区間で実質的に互いに同じ波長で表れる、植物栽培装置。
【請求項15】
前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークは、約300nm以下の波長で表れる、請求項14に記載の植物栽培装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記暗周期と前記明周期が一日単位で繰り返されるように制御する、請求項14に記載の植物栽培装置。
【請求項17】
前記植物は、十字花科のケールで、前記所定物質は、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの少なくともいずれかである、請求項14に記載の植物栽培装置。
【請求項18】
植物の種を発芽させる段階、
前記の発芽した種を新芽に育てる段階、
前記新芽を定植して成体に育てる段階、および
前記成体の収穫直前に光を照射して前記植物内の所定物質の含量を高める段階を含み、
前記成体の収穫前に光を照射する段階は、明周期に複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に出射し、
前記明周期の一部の区間を第1区間、残りの区間を第2区間とすると、前記明周期の第2区間で出射された前記光のピークの少なくとも一つは、前記第2区間よりも先行したり後行したりする第1区間では提供されず、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、前記第2区間と前記第1区間で実質的に互いに同じ波長で表れる、植物栽培方法。
【請求項19】
前記明周期の第2区間で出射された前記光は、連続して提供される、請求項18に記載の植物栽培方法。
【請求項20】
前記明周期の第2区間で出射された前記光は、UVBに対応する波長帯域を有する、請求項18に記載の植物栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用光源に関するものであり、詳しくは、植物の光合成に最適化された光を出射する光源に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培用の照明器具として、太陽光の代わりとなる多様な光源が開発され使用されている。既存の植物栽培用照明器具としては、白熱灯、蛍光灯等が主に使われていた。しかし、既存の植物栽培用照明器具は、単純に植物の光合成だけのために所定波長の光を植物に照射するだけで、それ以外の追加的な機能はないものが大部分だった。
【0003】
植物は、多様なストレスに抵抗する過程で人に有用な物質を合成できるため、人に有用な物質が多量に含有されている植物を栽培できる光源および栽培装置、栽培方法等が多様に要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有効物質の含量が高い植物を容易に栽培できる植物栽培用光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例によると、植物栽培用光源は植物の明周期と暗周期によってオン又はオフになり、前記植物栽培用光源は明周期にオンになって、複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に出射し、前記植物内の所定物質の含量を高め、前記明周期の一部の区間を第1区間、残りの区間を第2区間とすると、前記明周期の第2区間で出射した前記光のピークの少なくとも一つは、前記第2区間よりも先行したり後行したりする第1区間において提供されず、前記第2区間で提供されるが、前記第1区間で提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、前記第2区間と前記第1区間で実質的に互いに同じ波長で表れる。
【0006】
本発明の一実施例において、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークは、約300nm以下の波長で表れ得る。
【0007】
本発明の一実施例において、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークは、約280nm~約295nmの波長、例えば、285nmの波長を有し得る。
【0008】
本発明の一実施例において、前記第2区間は、約6時間未満で提供され得、又は約3時間提供され得る。
【0009】
本発明の一実施例において、前記第2区間のあいだ前記光源は連続して光を出射することができる。
【0010】
本発明の一実施例において、前記植物は、十字花科植物であり得る。十字花科植物は、赤ダイコン、レッドキャベツスプラウト、カブ、白菜、ブロッコリー、花大根、アブラナ、コールラビ、チンゲン菜、カラシ菜、ビタミン菜、ケール、レッドキャベツの少なくとも一つであり得る。
【0011】
本発明の一実施例において、前記の所定物質は、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの少なくとも一つであり得る。
【0012】
本発明の一実施例において、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、可視光線波長帯域に提供され得る。
【0013】
本発明の一実施例において、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、青色波長帯域および赤色波長帯域のそれぞれに提供されたピークを含み得る。
【0014】
本発明の一実施例において、前記光源は、互いに異なる波長の光を出射する複数個であり、発光ダイオードを含み得る。
【0015】
本発明の一実施例において、前記複数個の発光ダイオードは、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークに該当する光を出射する第1発光ダイオードと、前記の少なくとも一つのピークを除いた残りのピークに該当する光を出射する第2発光ダイオードを含み得る。
【0016】
本発明の一実施例において、前記光源は植物栽培装置に採用でき、植物栽培装置は植物が植えられるハウジング、前記ハウジング内に設けられ前記植物に光を照射する上述の光源、および前記光源を制御する制御部を含む。
【0017】
本発明の一実施例は、上述の光源を用いて十字花科植物を栽培する方法を含み、前記方法は、十字花科植物の種を発芽させる段階、前記の発芽した種を新芽に育てる段階、前記新芽を定植して成体に育てる段階、および前記成体の収穫直前に光を照射して前記十字花科植物内の所定物質の含量を高める段階を含み、前記成体の収穫前に光を照射する段階は、明周期に複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に出射する。このとき、前記明周期の一部の区間を第1区間、残りの区間を第2区間とすると、前記明周期の第2区間で出射された前記光のピークの少なくとも一つは、前記第2区間よりも先行したり後行したりする第1区間で提供されず、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、前記第2区間と前記第1区間で実質的に互いに同じ波長で表れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施例によると、太陽光が十分でなかったり、太陽光を浴びることができなかったりする条件下でも、植物の種類に合った成長環境を提供することができる。本発明の一実施例によると、有効物質の含量が高い植物を容易に栽培することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源を図示した平面図である。
図1b】本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源モジュールを図示したブロック図である。
図2】本発明の一実施例にかかる発光ダイオードを概略的に図示したものである。
図3a】本発明の一実施例にかかる光源が出射する光のスペクトルを図示したものである。
図3b】本発明の一実施例にかかる光源が出射する光のスペクトルを図示したものである。
図3c】本発明の一実施例にかかる光源が出射する光のスペクトルを図示したものである。
図4】実験例によるケールの生育条件を図示したものである。
図5】一実施例における実験条件を図示したものである。
図6a】比較例1、実験例1、および実験例2において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図6b】比較例1、実験例1、および実験例2において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図6c】比較例1、実験例1、および実験例2において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図7】一実施例における実験条件を図示したものである。
図8a】比較例2、実験例3、および実験例4の実験結果を図示した写真である。
図8b】比較例2、実験例3、および実験例4の実験結果を図示した写真である。
図8c】比較例2、実験例3、および実験例4の実験結果を図示した写真である。
図8d】比較例2、実験例3、および実験例4の実験結果を図示した写真である。
図9a】比較例2、実験例3、および実験例4において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図9b】比較例2、実験例3、および実験例4において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図9c】比較例2、実験例3、および実験例4において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図10】一実施例における実験条件を図示したものである。
図11a】比較例3、実験例5、および実験例6の実験結果を図示した写真である。
図11b】比較例3、実験例5、および実験例6の実験結果を図示した写真である。
図12a】比較例3、実験例5、および実験例6において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図12b】比較例3、実験例5、および実験例6において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図12c】比較例3、実験例5、および実験例6において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図13】一実施例における実験条件を図示したものである。
図14a】比較例4、実験例7、および実験例8の実験結果を図示した写真である。
図14b】比較例4、実験例7、および実験例8の実験結果を図示した写真である。
図14c】比較例4、実験例7、および実験例8の実験結果を図示した写真である。
図14d】比較例4、実験例7、および実験例8の実験結果を図示した写真である。
図15a】比較例4、実験例7、および実験例8において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図15b】比較例4、実験例7、および実験例8において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図15c】比較例4、実験例7、および実験例8において、植物に光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図16】本実施例における実験条件を図示したものである。
図17a図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例において、播種後31日目に収穫したビタミン菜、グリーンマスタード、およびブロッコリーに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図17b図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例において、播種後31日目に収穫したビタミン菜、グリーンマスタード、およびブロッコリーに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図17c図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例において、播種後31日目に収穫したビタミン菜、グリーンマスタード、およびブロッコリーに含有されているクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
図18a図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例の実験結果を図示した写真である。
図18b図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例の実験結果を図示した写真である。
図18c図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例の実験結果を図示した写真である。
図19】本発明の一実施例にかかる栽培装置を概念的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、本文に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解しなければならない。
【0021】
各図面を説明するにおいて、類似する参照符号を類似する構成要素に対して使用した。添付の図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際よりも拡大して図示した。第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素と区別するためだけの目的で使用する。例えば、本発明の権利範囲から外れなければ、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。単数の表現は、文脈上はっきりと異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0022】
本出願において、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはそれらを組み合わせた物の存在または付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0023】
本発明は、植物栽培時に使用される光源に関するものである。
【0024】
植物は、可視光線波長帯域の光を用いて光合成を行い、光合成を通じてエネルギーを得る。植物の光合成は、全ての波長帯域において同じ程度で行われるのではない。太陽光のうち植物が光合成に用いる波長帯域の光は、PAR(Photosynthetic Active Radiation)と言い、太陽光スペクトルの一部を占め、約400nm~約700nmの帯域に該当する。本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源は、前記のPAR波長帯域の光を含むことにより、植物の光合成に適した光を出射するが、摂取時に人または植物の健康に肯定的な影響を与える成分(以下では有効成分と称する)の含量を増加させるための波長帯域の光も一緒に出射するためのものである。ここで、有効成分は人に必要だと言われている物質として、例えば、クロロフィル、フラボノール、アントシアニン、グルコシノレートのような物質である。
【0025】
クロロフィルは、緑色野菜の光合成色素として、口臭や便秘の予防に役立つとして知られている。フラボノールは、抗酸化物質として、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン等が代表的な物質である。ケルセチンは抗酸化能の高い抗酸化物質であり、ケンフェロールは免疫力を強化することで癌細胞の増殖を防ぐものとして知られており、ミリセチンは脂肪の蓄積を抑制して心血管疾患を予防するとして知られている。アントシアニンは、代表的な抗酸化物質として、体内の活性酸素を除去することにより老化を予防する効果がある。アントシアニンは、それ以外にも眼球網膜にあるロドプシンという色素の再合成を助け、目の疲労や視力低下、白内障予防に役立つ。
【0026】
グルコシノレートは、人の腸内に吸収されると腸内微生物によって分解されてイソチオシアネート(isothiocyanate)に変換され得る。グルコシノレートは、癌予防効果があるとして知られており、膀胱癌、乳癌、肝臓癌等に効果的である。特に、グルコシノレートは白血球とサイトカインの調律能力に優れ、乳房、肝臓、大腸、肺、胃、食道等における腫瘍の成長を抑制する酵素を有している。また、グルコシノレートによって生産されるインドール-3-カルビノール(indole-3-carbinol)にも抗癌作用があるとして知られている。
【0027】
グルコシノレートは、下記の化学式1で表される物質であり、Rは多様な形態の機能基であり得る。Rは、例えば、炭素数1個~10個の置換または非置換のアリル、ベンジル、2-フェニルエチル基等であり得る。
【0028】
【化1】
【0029】
本発明の一実施例において、グルコシノレートは、Rの種類によって、グルコエルシン(glucoerucin)、グルコラフェニン(glucoraphenin)、グルコナピン(gluconapin)、プロゴイトリン(progoitrin)、グルコラファニン(glucoraphanin)、シニグリン(sinigrin)、ネオグルコブラシシン(neoglucobrassicin)、グルコナスツルチイン(gluconastrutiin)、グルコイベリン(glucoiberin)、グルコブラッシカナピン(glucobrassicanapin)等であり得る。
【0030】
本発明の一実施例にかかる光源が適用される植物の種類は、多様に変更することができ
る。但し、種類によって、光源から出射した光の光合成効率や前記有効成分の含量増加の程度等は違いがある場合がある。本発明の一実施例にかかる光源は、十字花科の植物に適用することができる。また、本発明の一実施例にかかる光源は、十字花科の植物のうち、赤ダイコン、レッドキャベツスプラウト、カブ、白菜、ブロッコリー、花大根、アブラナ、コールラビ、チンゲン菜、カラシ菜、ビタミン菜、ケール、レッドキャベツの少なくとも一つに適用することができる。本発明の一実施例にかかる植物の種類は、これだけに限定されるのではなく、他の種類にも適用できることは当然である。以下では、説明の便宜のために、十字花科の植物に本発明の一実施例にかかる光源を適用したものを一例として説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源を図示した平面図であり、図2は、本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源モジュールを図示したブロック図である。
【0032】
図1および図2を参照すると、植物栽培用光源モジュールは、植物が必要な光を出射する光源30、前記光源30を制御する制御部40、前記光源30および/または制御部40に電源を提供する電源供給部50を含む。
【0033】
光源30は、互いに異なる波長でスペクトルピークを有する第1光源31および第2光源33を含み得る。前記第1光源31および第2光源33の少なくとも一つは、スペクトルのピークが可視光線波長帯域に位置する。以下では、可視光線波長帯域でスペクトルピークを有する第1光源31を一例として説明する。
【0034】
第1光源31は、可視光線波長帯域の光を出射することができる。第1光源31が出射する光は、植物の光合成に主に使用される波長帯域の光であり、PAR領域内の光であり得る。
【0035】
本実施例において、第1光源31を一つの構成要素として表したが、第1光源31は光合成が可能な可視光線波長帯域の光を出射する限度内で、一つまたは複数個の発光ダイオードで具現できる。また、後述する所定スペクトルの光を出射する限度内で一つまたは複数個の発光ダイオードで具現することができる。例えば、第1光源31は青色と赤色を同時に出射する発光ダイオードからなり得、または青色波長帯域の光を出射する発光ダイオードと赤色波長帯域の光を出射する複数個の発光ダイオードからなってもよい。
【0036】
第2光源33は、第1光源31と異なる波長帯域の光を出射することができる。本発明の一実施例において、第2光源33は紫外線波長帯域、特に、紫外線B波長帯域の光を出射することができる。第2光源33は、植物内の有効成分の含量を増加させるための光に該当する。第2光源33もまた、必要に応じて単数または複数個の発光ダイオードを含み得る。
【0037】
第1光源31と第2光源33は、独立的に駆動することができる。これにより、第1光源31および第2光源33のいずれかの光源だけをオンにすることができ、または第1および第2光源31,33を共にオンにしたりオフにしたりすることができる。本発明の一実施例において、第1光源31および第2光源33は、独立的にオン/オフして所定スペクトルを有する光を植物に出射することができる。植物は、生長時期によって、または明周期なのか暗周期なのかによって、或いは収穫時期によって、光源から、つまり、第1光源31および第2光源33から多様な形態で光を浴びるようになる。第1光源31および第2光源33を含む光源から出射された光のスペクトルについては後述する。
【0038】
第1光源31および第2光源33は、基板20上に配置することができる。基板20は、第1光源31および第2光源33が直接実装される配線や回路等が形成された印刷回路
基板であり得るが、これに限定されるのではない。基板は、第1光源31および第2光源33が配置され得るものであればよく、その形状や構造は特に限定されなく、省略することもできる。
【0039】
図2は、本発明の一実施例にかかる発光ダイオードを概略的に図示したものである。
【0040】
図2を参照すると、発光ダイオードは第1半導体層223、活性層225、および第2半導体層227を含む発光構造体と、発光構造体に接続された第1電極221および第2電極229を含み得る。
【0041】
第1半導体層223は、第1導電型ドーパントがドーピングされた半導体層である。第1導電型ドーパントは、p型ドーパントであり得る。第1導電型ドーパントは、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba等であり得る。本発明の一実施例において、第1半導体層223は窒化物系半導体材料を含み得る。本発明の一実施例において、第1半導体層223の材料としては、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN等を挙げることができる。
【0042】
活性層225は、第1半導体層223上に設けられ、発光層に該当する。活性層225は、第1半導体層223を通じて注入される電子(又は正孔)と第2半導体層227を通じて注入される正孔(又は電子)が出合って、活性層225の形成物質によるエネルギーバンド(Energy Band)のバンドギャップ(Band Gap)差によって光を放出する層である。
【0043】
活性層225は、化合物半導体で具現することができる。活性層225は、例えば、III族-V族またはII族-VI族の化合物半導体の少なくとも一つで具現できる。
【0044】
第2半導体層227は、活性層225上に設けられる。第2半導体層227は、第1導電型ドーパントと反対の極性を有する第2導電型ドーパントを有する半導体層である。第2導電型ドーパントは、n型ドーパントであり得るため、第2導電型ドーパントは、例えば、Si、Ge、Se、Te、O、C等を含むことができる。
【0045】
本発明の一実施例において、第2半導体層227は、窒化物系半導体材料を含んでもよい。第2半導体層227の材料としては、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN等を挙げることができる。
【0046】
第1電極221と第1電極229は、それぞれ第1半導体層223と第2半導体層227とが接続されるように多様な形態で設けることができる。本実施例では、第1半導体層223の下部に第1電極221が設けられ、第2半導体層227の上部に第2電極229が設けられたものを図示したが、これに限定されるのではない。本発明の一実施例において、第1電極221および第2電極229は、例えば、Al、Ti、Cr、Ni、Au、Ag、Ti、Sn、Ni、Cr、W、Cu等の多様な金属またはこれらの合金からなってもよい。第1電極221および第2電極229は、単一層または多重層で形成される。
【0047】
本発明の一実施例において、発光ダイオードがバーティカルタイプで提供されたものを説明したが、発光ダイオードが必ずしもバーティカルタイプである必要はなく、本発明の概念に符合する限り、他のタイプで提供されてもよい。
【0048】
本発明の一実施例によると、試料に光を印加するために、光源として、既存の一般的なランプではない発光ダイオードを使用することにより、次のような効果を得ることができる。
【0049】
本発明の一実施例に従い発光ダイオードを光源として使用する場合、既存の一般ランプ(例えば、既存のUVランプ)から出射された光と比べて、特定波長の光を植物に出射することができる。既存のランプから出射された光は、発光ダイオードから出射された光に比べて広い領域でブロードなスペクトルを有する。これにより、既存のUVランプの場合は、出射された光の波長帯域中の一部の帯域の光だけを分離することが容易ではない。それに比べて発光ダイオードから出射された光は、特定波長におけるシャープなピークを有し、既存のランプからの光に比べて半値幅が非常に狭い特定波長の光を出射する。これにより、特定波長の光を選択することが容易となり、その選択された特定波長の光だけを試料に出射することができる。
【0050】
また、既存のランプの場合は、試料に光を照射するものの、光量の正確な限定が難しい場合があるが、発光ダイオードの場合は光量を明確に限定して出射することができる。また、既存ランプの場合は、光量の正確な限定が難しい場合があるため、照射時間もまた、広い範囲に設定できるが、発光ダイオードの場合は相対的に短い時間で明確な時間内に試料に必要な光を出射することができる。
【0051】
上述のように、既存のランプの場合は、相対的に広い範囲の波長、広い範囲の光量、および広い範囲の照射時間によって光照射量の明確な判断が難しい。これに対して発光ダイオードの場合は、相対的に狭い範囲の波長、狭い範囲の光量、および狭い範囲の照射時間によって明確な光照射量を提供することができる。
【0052】
さらに、既存のランプの場合は、電源を入れた後、最大光量に到達するまで相当な時間がかかっていた。それに対して発光ダイオードを使用する場合は、電源を入れた後のウォーミングアップ時間が実質的にほとんどなく、すぐに最大光量まで到達する。よって、発光ダイオード光源の場合は、植物に特定波長の光を照射する時に、光の照射時間を明確に制御することができる。
【0053】
本発明の一実施例において、制御部40は、第1光源31および/または第2光源33に接続して第1光源31と第2光源33の作動の有無を制御する。制御部40は、第1光源31および/または第2光源33に有線または無線で接続され得る。制御部40には、制御部40に電源を供給する電源供給部50が接続される。電源供給部50は、制御部40を通じて、または光源に直接接続して、光源に電源を供給することができる。
【0054】
制御部40は、第1光源31と第2光源33が所定区間に所定の強度で光を出射するように、第1光源31および/または第2光源33のオン/オフを制御することができる。植物が光合成を最大限効率的に行うように、第1光源31と第2光源33はそれぞれ個別的に作動することができる。制御部40は、第1光源31および第2光源31からの光の出射強度や出射時間等をそれぞれ独立的に制御することができる。また、第1光源31および/または第2光源33が複数個の発光ダイオードを含む場合、個別的な発光ダイオードを独立的に制御することができる。
【0055】
制御部40は、第1光源31と第2光源33の作動を、先にセッティングしたプロセスに従って、または使用者の入力に従って制御することができる。第1光源31と第2光源33の作動は、植物の種類、植物の生長時期等によって多様に変更することができる。
【0056】
図3a~図3cは、本発明の一実施例にかかる光源が出射する光のスペクトルを図示したものである。
【0057】
本発明の一実施例にかかる光源は、植物の成長時期によって、互いに異なる波長帯域の
光を出射することができ、図3aは、植物の播種後定植前の所定区間における光のスペクトルを図示したものであり、図3bは、植物の定植後所定の区間のあいだの光のスペクトルを図示したものであり、図3cは、植物の定植後、図3bにおける区間ではない、別の所定の区間における光のスペクトルを図示したものである。
【0058】
本発明の一実施例において、植物の種は、播種後に暗周期で発芽できる。種の発芽のために、前記暗周期は、約1.5~3日、例えば、播種後24時間持続することができ、別途の養液を用いず精製水だけを種に与えることができる。
【0059】
発芽した種は、明周期と暗周期下で新芽に生育し、所定期間が過ぎた後、栽培器に定植することができる。発芽した種は、約5日~9日、例えば、約7日間明周期と暗周期下で生育されることにより新芽に育ち、前記新芽は、栽培器に定植することができる。栽培器に定植された新芽は、養液を用いて成体になるまで生育する。
【0060】
前記の明周期と暗周期は、植物の種類によって多様に設定することができ、例えば、一日24時間を単位に互いに交番して配置することができる。例えば、約6時間~約10時間のあいだ暗周期が維持され、約18時間~約14時間のあいだ明周期を維持することができ、一日を単位に暗周期と明周期を繰り返すことができる。明周期における光度は、50~80μmol/m/s(PPFD)であり得、例えば、69.8μmol/m/sであり得る。
【0061】
本発明の一実施例において、発芽した後、定植前の新芽に生育するまで、明周期で光合成が容易な波長帯域の光を照射する。発芽した後、定植前までの新芽に生育する時まで出射する光のスペクトルは、図3aに図示した通りである。
【0062】
図3aを参照すると、本発明の一実施例にかかる光源は、全体的な波長帯域の光を同じ程度で出射するより、所定波長で半値幅が狭いピークを有する光を提供することができる。例えば、光源は主に光合成に使用されると判断された約660nmおよび約450nmで半値幅が狭く、強度が他の部分よりも相対的に高いピークを有し得る。約660nmおよび約450nmは、それぞれ赤色と青色に該当するピークである。
【0063】
本発明の一実施例において、定植後に植物が生育して成体になった後、収穫するまで明周期と暗周期下で生育することができる。定植後、収穫前までの期間は、約18日~23日が所要され、例えば、21日間生育(例えば、播種後30日間生育)され、その後収穫することができる。前記の明周期と暗周期は、植物の種類によって多様に設定でき、例えば、一日24時間を単位に互いに交番して配置することができる。例えば、約6時間~約10時間のあいだ暗周期が維持され、約18時間~約14時間のあいだ明周期を維持することができ、一日を単位に暗周期と明周期を繰り返すことができる。明周期における可視光線波長帯域に該当する光の光度は、50~80μmol/m/s(PPFD)であり得、例えば、69.8μmol/m/sであり得る。
【0064】
本発明の一実施例において、定植後の明周期には、図3bまたは図3cに図示したスペクトルを有する光が植物に照射され得る。図3bに図示したスペクトルを有する光は、上述の第1光源だけをオンにすることにより具現でき、図3cに図示したスペクトルを有する光は、上述の第1光源と第2光源を共にオンにすることにより具現することができる。
【0065】
図3bまたは図3cで出射する光は、それぞれ互いに異なる区間のあいだに出射される。ここで、区間は時間的な区間を意味する。例えば、一部の区間では図3bに該当する光を出射でき、前記の一部の区間を除いた残りの区間では図3cに該当する光を出射することができる。以下では、説明の便宜のために、図3bに該当する光が出射される区間を第
1区間、図3cに該当する光が出射される区間を第2区間として説明する。再度説明すると、第1区間では上述の第1光源だけがオンになり、第2区間では上述の第1光源と第2光源が共にオンになり得る。
【0066】
ここで、第1区間や第2区間は、可視光線波長帯域が含まれる光が出射される区間であり、明周期下における所定区間を意味する。本発明の一実施例において、第2区間は第1区間よりも短い期間に該当する。
【0067】
図3bを参照すると、本発明の一実施例にかかる光源は、第1区間のあいだ全体的な波長帯域の光を同じ程度で出射するより、所定波長で半値幅が狭いピークを有する光を出射することができる。例えば、光源は主に光合成に使用されると判断された約660nmおよび約450nmで半値幅が狭く、強度が他の部分よりも相対的に高いピークを有し得る。約660nmおよび約450nmは、それぞれ赤色と青色に該当するピークである。赤色と青色に該当するピーク以外にも、前記青色と青色に該当するピークよりも高さが低い多数個のピークがさらに提供され得る。本発明の一実施例において、図3aと図3bに図示したように、定植前と定植後の第1区間に該当する光は、同じか同じではなくても実質的に非常に類似するスペクトルを有し得る。但し、定植前と定植後の第1区間に該当する光の強度が互いに異なり得る。例えば、定植前よりも定植後にさらに強度が高い光が植物に照射され得る。本発明の一実施例において、明周期における光度は、50~80μmol/m/s(PPFD)であり得、例えば、69.8μmol/m/sであり得る。
【0068】
図3cを参照すると、本発明の一実施例にかかる光源は、第2区間のあいだの一部波長帯域では、第1区間に照射された光と類似するスペクトルを有するが、一部波長帯域では第1区間に照射された光と異なるスペクトルを有する。ここで、光源は第2区間でも全体的な波長帯域の光を同じ程度で出射するより、所定波長で半値幅が狭いピークを有する光を照射することができる。例えば、光源は主に光合成に使用されると判断された約660nmおよび約450nmで半値幅が狭く、強度が他の部分より相対的に高いピークを有し得る。さらに、光源のスペクトルは可視光線ではない波長帯域、例えば、紫外線波長帯域で他の部分よりも相対的に高いピークを有する。本発明の一実施例において、光源のスペクトルは約300nm以下の波長帯域で半値幅が狭いピークを有する。本発明の一実施例において、光源のスペクトルは約285nmで半値幅が狭いピークを有し得る。第2区間における光源は、可視光線波長帯域で第1区間と同じか類似するスペクトルを有し得る。つまり、可視光線は波長帯域の光は変更しない状態で、可視光線以外の波長帯域、例えば、紫外線波長帯域(例えば、紫外線Bの波長帯域)の光が追加された形態で提供できる。
【0069】
第1区間と第2区間それぞれにおける光源のスペクトルは、図1に図示した光源を駆動することにより具現できる。特に、前記スペクトルは、第1光源と第2光源を独立的に、そして選択的にオンまたはオフにすることにより、具現することができる。例えば、図1に図示した光源を用いるが、第1区間では第1光源だけをオンにすることができる。第1光源がオンになると、光源は可視光線波長帯域の光、例えば、図3bに図示したスペクトルの光を出射することができる。第2区間では、第1光源および第2光源をオンにする。第1および第2光源がオンになると、光源は可視光線波長帯域および紫外線波長帯域の光、例えば、図3cに図示したスペクトルの光を出射することができる。
【0070】
本発明の一実施例において、前記第1区間と第2区間は、植物の生育時期および収穫時期によって、多様に配置することができる。例えば、第1区間は植物の定植後、収穫前まで配置できる。第2区間は、第1区間に隣接して配置でき、全体的な日程内において、収穫時期直前に配置することができる。言い換えると、植物の定植後、第1区間が続いて、収穫直前の第1区間以外の時間に第2区間を配置することができる。その後、植物が収穫される。本発明の一実施例において、第2区間は収穫直前の1日~3日に亘って第1区間
の合間に配置できる。
【0071】
本発明の一実施例において、植物は定植後、約20日間交番される明周期と暗周期下で栽培でき、この時、明周期は第1区間に該当し得る。次に、定植後21日目の明周期で第1区間と第2区間が順に、または第2区間と第1区間が順に続くが、もし21日目の明周期が16時間の場合は、第1区間が13時間程度持続し、残りの3時間は第2区間が続く。または第2区間が3時間続き、第1区間が13時間続いてもよい。
【0072】
これを再度説明すると次のようになる。本発明の一実施例にかかる光源は、植物の明周期と暗周期によってオンまたはオフになり、植物栽培用として使用され得る。本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源は、明周期にオンになって複数個のピークからなるスペクトルを有する光を前記植物に出射する。前記光源から出射された光は、植物内の所定物質の含量を高めるための波長帯域の光を含んでいる。
【0073】
前記明周期の第2区間で出射された前記光のピークのうち、少なくとも一つは、前記第2区間よりも先行したり後行したりする第1区間では提供されない。つまり、紫外線波長帯域、例えば、300nm以下の波長帯域に該当する光は、第2区間では出射されるが、第1区間では出射されない。本発明の一実施例において、前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークは、約280nm~約295nmの波長、例えば、285nmの波長を有し得る。
【0074】
前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、可視光線波長帯域に位置するものであり、前記第2区間と前記第1区間共に提供され得る。前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、青色波長帯域および赤色波長帯域それぞれに提供されたピークを含み得る。前記第2区間では提供されるが、前記第1区間では提供されない少なくとも一つのピークを除いた残りのピークは、互いに実質的に同じ波長で表れ得る。
【0075】
本発明の一実施例において、前記第2区間は植物の収穫直前に配置され、約6時間未満で提供され得る。例えば、第2区間は約3時間提供され得る。
【0076】
本発明の一実施例において、第2区間のあいだ植物に出射される光は、連続した光である。
【0077】
本発明の一実施例において、上述の光を植物に出射するためには、光源が図1および図2に図示されたような構造を有することができる。光源は互いに異なる波長の光を出射する複数個の発光ダイオードを含み得、前記発光ダイオードは多様な形態で組み合わされて上述の形態のスペクトルを有する光を出射することができる。例えば、図1の前記第1光源と前記第2光源は、それぞれ独立的に単数または複数個の発光ダイオードを含み得る。
【0078】
本発明の一実施例によると、植物栽培用光源を用いる場合、太陽光が十分でなかったり、太陽光を浴びることができなかったりする条件下でも、植物の種類に合う成長環境を独立的に提供することができる。また、有効物質の含量の高い植物を容易に栽培することができる。
【0079】
実施例
【0080】
1. 植物の生育および光処理条件
【0081】
以下の実施例において、植物のうち十字花科のケールを一例にして実験を行った。ケールは、計31日間生育し、32日目になる日に収穫した。実験例にかかるケールの生育条件は、図4に図示した。以下、図面では、説明の便宜のために、図3bに該当する光が出射される区間を第1区間とし、図3cに該当する光が出射される区間を第2区間として表し、その他の特徴的な事項は別途説明した。
【0082】
図4を参照して先ず対照群を説明すると、播種後の2日間、暗周期でケールを発芽させた。言い換えると、ケールを生育させるために、先ず栽培用スポンジにケールの種子を播種し、約2日間暗周期で発芽させた。
【0083】
3日目から播種後9日になる日まで、明周期と暗周期下で生育し、これは定植前の照射期間に対応する。ケールには、図3aに図示したスペクトルを有する光が照射され、明周期で約69.8μmol/m/s PPFD(Photosynthetic Photon Flux Density)の光度で光が照射された。発芽後、定植前までは精製水だけを植物に与えた。
【0084】
育てた新芽は、10日目にDFT(deep-flow technique)水栽培の栽培システムに定植した。定植後、ケールは明周期と暗周期下で養液によって生育した。養液は、ホーグランドストック溶液(Hoagland stock solution)を使用し、pHは5.5~6.5に維持した。定植後21日間、一日24時間単位で明周期と暗周期をそれぞれ提供し、一日24時間内で明周期は16時間、暗周期は8時間維持した。ケールには図3bに図示したスペクトルを有する光を照射したが、明周期で約152.8μmol/m/s PPFD(Photosynthetic Photon Flux Density)の光度で光を照射した。
【0085】
対照群は、定植後30日目まで、明周期に図3bに該当する光を照射した。
【0086】
処理群1は、定植後29日目までは対照群と同じ条件で植物に光を照射した。但し、30日目に明周期下で図3bおよび図3cに図示したスペクトルを有する光を一定条件で照射した。
【0087】
処理群2は、定植後28日目までは対照群と同じ条件で植物に光を照射した。但し、29日目および30日目に明周期下で図3bおよび図3cに図示したスペクトルを有する光を一定の条件で照射した。ここで、図3cに図示したスペクトルを有する光は、2日間それぞれ16時間の明周期のあいだ連続して照射した。
【0088】
処理群3は、定植後27日目までは対照群と同じ条件で植物に光を照射した。但し、28日目~30日目に明周期下で図3bおよび図3cに図示したスペクトルを有する光を一定の条件で照射した。ここで、図3cに図示したスペクトルを有する光は、所定の区間のあいだ、点滅させて照射したが、3日に亘り16時間の明周期内で5分照射後75分休む方法で明周期が終わるまで繰り返した。
【0089】
2.UVAとUVBの照射による有効物質含量の比較
【0090】
本実験では、光源の第2区間における光照射による植物の影響を観察した。本実験の第2区間で使用した光は、可視光線波長帯域において図3bのスペクトルと実質的に同じ形態を有するが、紫外線波長帯域でそれぞれ紫外線Aと紫外線Bに該当するスペクトルを有する点だけが異なった。
【0091】
図5は、本実施例における実験条件を図示したものであり、図4の対照群と処理群2に
対応する。詳しくは、図5において、比較例1は図4の対照群に対応し、収穫前の最後の2日間は、暗周期8時間、明周期16時間に維持した。実験例1および実験例2はそれぞれ図4の処理群2に対応するが、実験例1の場合は、図3cに図示したスペクトル中の紫外線波長帯域で紫外線Bに対応するピークを有する光であり、実験例2の場合は、図3cに図示したスペクトル中の紫外線波長帯域で紫外線Aに対応するピークを有する光である。紫外線Aおよび紫外線Bにおいて、総エネルギー量は互いに同じ値になるように互いに光の強さは変えて設定した。本実施例において、紫外線Aおよび紫外線Bの総エネルギー量および光の強さは、可視光線を除いたものであり、紫外線波長帯域に該当する値で、紫外線Bは総エネルギー量11.52kJ/m、光の強さ10μW/cmで照射し、紫外線Aは総エネルギー量1.152kJ/m、光の強さ1000μW/cmで照射した。
【0092】
図6a~図6cは、上述の条件で光処理を行った後、播種後31日目に収穫したケールに含有されたクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
【0093】
図6a~図6cを参照すると、紫外線Aと紫外線Bは植物に印加すると、2種類共に植物内の有効物質の含量を増加させた。しかし、同一エネルギーで植物に照射したにもかかわらず、紫外線Bが植物に照射されると、紫外線Aが植物に照射された時よりも有効物質の含量が著しく高く表れた。
【0094】
これにより、紫外線Aと紫外線Bのうち、紫外線Bを有効物質の含量を高める光として使用することがより有利になることが分かり、以下では、紫外線Bを基準に有効物質の含量および植物の損傷有無を実験した。
【0095】
3.UVBの照射量による植物の損傷有無と有効物質含量の比較
【0096】
本実験では、光照射時間による植物の損傷有無を観察した。本実験の第2区間で使用された光は、可視光線波長帯域および紫外線Bに該当するピークを有するものであり、図3cのスペクトルと実質的に同じ形態を有する。
【0097】
図7は、本実施例における実験条件を図示したものであり、図4の対照群と処理群1に対応する。詳しくは、図7において、比較例2は図4の対照群に対応し、収穫前の最後の2日間は、暗周期8時間、明周期16時間に維持した。実験例3および実験例4はそれぞれ、図4の処理群1に対応するが、実験例3の場合は、図3cに図示した光を明周期下でそれぞれ3時間印加したものであり、実験例4の場合は、明周期下で6時間印加したものである。総エネルギー量は、可視光線を除いたものであり、紫外線波長帯域に該当する値である。本実施例において、実験例3における紫外線Bの総エネルギー量は、1.08kJ/mで、実験例4における紫外線Bの総エネルギー量は2.16kJ/mだった。
【0098】
図8a~図8dは、比較例2、実験例3、および実験例4の実験結果を図示した写真である。図8a~図8dにおいて、各写真で左側のケールは全て対照群に該当する。図8aの右側の写真は、実験例3に開示した光条件に従って光を印加した後、一日が経過した時点におけるケールの写真であり、図8bの右側の写真は、実験例4に開示した光条件に従って光を印加した後、一日が経過した時点におけるケールの写真である。図8cの右側の写真は、実験例3に開示した光条件に従って光を印加した後、4日が経過した時点におけるケールの写真であり、図8dの右側の写真は、実験例4に開示した光条件に従って光を印加した後、4日が経過した時点におけるケールの写真である。
【0099】
図8a~図8dを参照すると、3時間UVBに該当する光が印加された場合は、1日経
過した時点では植物の損傷有無が確認できなかったが、4日が経過した時点では、6時間光を印加したケールにおいて葉のカール現象と茶変現象が表れた。これにより、UVBの場合は所定時間以上、例えば、6時間以上印加すると植物に損傷を引き起こすことが確認できた。
【0100】
図9a~図9cは、比較例2、実験例3、および実験例4において、播種後31日目に収穫したケールに含有されたクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
【0101】
図9a~図9cを参照すると、紫外線Bは植物に印加すると、少なくとも有効成分が維持されたり、有効成分の含量がさらに増加されたりした。但し、UVB光照射時間によって有意な程度に有効成分が増加した場合と維持された場合の傾向性が直接的には見られなかった。例えば、クロロフィルの場合、実験例3では対照群に比べてクロロフィルの含量が著しく増えたことが分かるが、実験例4では実験例3よりは、対照群に比べてクロロフィルの含量が大きく増えたとは見なし難い。フラボノールの場合、実験例3および実験例4共に、対照群に比べてフラボノールの含量が著しく増えたことが確認できた。但し、アントシアニンの場合、対照群に比べて実験例3は有意な変化があるとは見なし難く、実験例4はアントシアニンの含量が著しく増えたことが確認できた。
【0102】
本実験を通じて、約2.16kJ/mのエネルギーが印加されるように6時間以上のUVBに植物を露出する場合、植物が光の照射から損傷を受け得るという点が確認できた。
【0103】
4.UVBの連続または点滅照射による植物の損傷有無と有効物質含量の比較
【0104】
本実験では、光源の連続照射または点滅照射による植物の影響を観察した。
【0105】
図10は、本実施例における実験条件を図示したものであり、図4の対照群と処理群3に対応する。詳しくは、図10において、比較例3は図4の対照群に対応し、収穫前の最後2日間は、暗周期8時間、明周期16時間に維持した。実験例5および実験例6のそれぞれは、図4の処理群3に対応するが、実験例5の場合は図3cに図示したスペクトルの光を明周期下で3時間照射し、残りの区間のあいだ図3bに図示したスペクトルの光を明周期下で13時間照射したものである。このような方式の光照射を3日間繰り返した。実験例6は、図3cに図示したスペクトルを有する光を明周期下で3時間提供するが、16時間の明周期内で5分照射後75分休む方法で明周期が終わるまで繰り返した。このような方式の光照射を3日間繰り返した。これにより、実験例5と実験例6は、光を印加した総時間が互いに同じで、印加された総エネルギーもまた互いに同じだった。総エネルギー量は、可視光線を除いたものであり、紫外線波長帯域に該当する値である。本実施例において、実験例5および実験例6における紫外線Bの総エネルギー量は、1.08kJ/mだった。
【0106】
図11a~図11bは、比較例3、実験例5、および実験例6の実験結果を図示した写真である。図11a~図11bにおいて、各写真の左側のケールは全て対照群に該当する。図11aの右側の写真は、実験例5に開示されている光条件に従って光を印加した後、収穫した時点におけるケールの写真であり、図11bの右側の写真は、実験例6に開示した光条件に従って光を印加した後、収穫した時点におけるケールの写真である。
【0107】
図11a~図11bを参照すると、連続して3時間光を照射した実験例5の場合は、ケールに損傷がほとんどなかった。しかし、点滅で3時間光を照射した実験例6の場合は、ケールの葉のカール現象が起き、若干の色の変化も観察された。これを通じて、UVBの
連続照射の方が、点滅照射よりも植物により安全だということが確認できた。
【0108】
図12a~図12cは、比較例3、実験例5、および実験例6において、播種後31日目に収穫したケールに含有されたクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
【0109】
図12a~図12cを参照すると、光照射時に連続か点滅かによる有効成分の含量は、有効成分によって一部異なって表れた。クロロフィルは、実験例5の場合は対照群に比べてクロロフィルの含量に有意な差がなかったが、実験例6の場合は、対照群に比べてクロロフィルの含量が著しく増加した。フラボノールの場合は、実験例5と実験例6共に、対照群に比べてフラボノールの含量が著しく増加した。アントシアニンは、実験例5の場合は対照群に比べてアントシアニンの含量が著しく増加したが、実験例6の場合は対照群に比べてアントシアニンの含量が増加はしたが、有意な差が大きいとは見なし難かった。それにもかかわらず、光照射自体によって有効成分の含量は増える傾向が明らかであると見なすことができ、点滅の光照射よりは連続的な光照射の場合に、有効成分の上昇効果が大きいということが分かった。
【0110】
5.暗周期下でUVBを照射する場合の有効物質含量の増加の有無
【0111】
本実験では、UVBに該当する光が、暗周期で照射された時と明周期で照射された時による植物の影響を観察した。
【0112】
図13は、本実施例における実験条件を図示したものであり、図4の対照群と処理群1に対応する。詳しくは、図13において、比較例4は図4の対照群に対応し、収穫前の最後の1日は、暗周期8時間、明周期16時間に維持した。実験例7および実験例8はそれぞれ図4の処理群1に対応するが、実験例7の場合はUVBに該当するスペクトルの光を暗周期下で3時間照射し、明周期下で図3bに該当するスペクトルの光を16時間照射した。ここで、暗周期下で照射する光は、UVBだけで、可視光線波長帯域の光は照射しなかった。(UVBが提供される第2区間に*印)実験例8は、明周期で図3cに該当するスペクトルの光を3時間照射し、残りの明周期に該当する13時間のあいだ、図3bに該当するスペクトルの光を照射した。図13に開示した総エネルギー量は可視光線を除いたものであり、紫外線波長帯域に該当する値である。本実施例において、実験例7および実験例8における紫外線Bの総エネルギー量は1.08kJ/mだった。
【0113】
図14a~図14dは、比較例4、実験例7、および実験例8の実験結果を図示した写真である。図14a~図14dにおいて、各写真の左側のケールは全て対照群に該当する。図14aの右側の写真は、実験例7に開示した光条件に従って光を印加した後、1日が経過した時点におけるケールの写真であり、図14bの右側の写真は実験例8に開示した光条件に従って光を印加した後、1日が経過した時点におけるケールの写真である。図14cの右側の写真は、実験例7に開示した光条件に従って光を印加した後、4日が経過した時点におけるケールの写真であり、図14dの右側の写真は実験例8に開示した光条件に従って光を印加した後、4日が経過した時点におけるケールの写真である。
【0114】
図14a~図14dを参照すると、植物が暗周期でUVBに該当する光が印加された場合、1日経過した時点では植物の損傷有無が確認できなかったが、4日が経過した時点では、ケールにおいて葉のカール現象と茶変現象が表れた。植物が明周期でUVBに該当する光が印加された場合、1日経過した時点および4日が経過した時点共に、植物の損傷が見られなかった。これにより、UVBの場合は、明周期よりは暗周期で植物に損傷を容易に引き起こすということが確認された。
【0115】
図15a~図15cは、比較例4、実験例7、および実験例8において、播種後31日目に収穫したケールに含有されたクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
【0116】
図15a~図15cを参照すると、明周期や暗周期下で紫外線Bに該当する光を植物に印加する場合、有効成分中のクロロフィルとフラボノールの含量が著しく増加した。但し、アントシアニンの場合は有意味な有効成分の含量増加は確認できなかった。
【0117】
6.明周期下でUVBを照射する場合の多様な十字花科植物の有効物質の含量増加有無
【0118】
本実験では、UVBに該当する光が照射されなかった時と、明周期で照射された時による十字花科植物の影響を観察した。このために、以下の実施例では十字花科植物中のビタミン菜、グリーンマスタード、およびブロッコリーに対して追加実験を行った。
【0119】
図16は、本実施例における実験条件を図示したものであり、比較例および実験例がそれぞれ図13の比較例4と実験例7に対応し、実験条件は同じである。
【0120】
図17a~図17cは、図16の実験条件によって実験した比較例および実験例において、播種後31日目に収穫したビタミン菜、グリーンマスタード、およびブロッコリーに含有されたクロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を順にそれぞれ表したグラフである。
【0121】
図17a~図17cを参照すると、明周期にUVBを照射した実験例の場合、照射しなかった比較例に比べて、クロロフィル、フラボノール、アントシアニン全てにおいてその含量が増加した。特に、クロロフィルの場合は、ビタミン菜およびグリーンマスタードに対して、明周期にUVBを照射した実験例の場合に著しい含量の増加が観察され、フラボノールの場合は、ビタミン菜、グリーンマスタード、ブロッコリー全てにおいて明周期にUVBを照射した実験例の場合に著しい含量の増加が観察された。アントシアニンの場合は、ビタミン菜、グリーンマスタード、ブロッコリー全てにおいて著しい程度ではないが、相当な程度で含量の増加が観察された。
【0122】
図18a~図18cは、図16の実験条件に従って実験した比較例および実験例の実験結果を図示した写真である。
【0123】
図18a~図18cを参照すると、明周期にUVBを照射した実験例の場合、照射しなかった比較例に比べて特別な外形の変化、例えば、葉のカール現象、茶変、枯死等が見つからなかった。
【0124】
上述の実施例で確認できるように、本発明の一実施例にかかる光源は、植物の成体に特定波長の光を所定区間のあいだ特定形態で植物に照射することにより、有効成分の含量の高い植物を収穫することができる。
【0125】
本発明の一実施例にかかる光源は、植物栽培用に使用することができ、光源が設置された植物栽培装置、温室等に適用できる。
【0126】
図19は、本発明の一実施例にかかる栽培装置を概念的に図示したものである。図19に図示した栽培装置は、一例として小型の栽培装置を図示したものであり、これに限定されるのではない。
【0127】
図19を参考すると、本発明の一実施例にかかる栽培装置100は、植物を育てること
のできる内部空間を有するハウジング60、前記ハウジング60内に設けられ、光を出射する光源30を含む。
【0128】
ハウジング60は、内部に植物が植えられて育てることのできる空間をその内部に設ける。ハウジング60は、外部の光を遮断できるボックス形態で設けることができる。本発明の一実施例において、ハウジング60は、上部方向に開口された下部ケース61と、下部方向に開口した上部ケース63を含み得る。下部ケース61と上部ケース63は、外部光を遮断するボックス形態になるように締結され得る。
【0129】
下部ケース61は、底部と底部から上向きに延びた側壁部を含む。上部ケース63は、カバー部とカバー部から下向きに延びた側壁部を含む。下部ケース61と上部ケース63の側壁部は、互いに噛み合って締結される構造を有することができる。下部ケース61と上部ケース63は、使用者の意図によって締結したり分離したりすることができ、これにより使用者がハウジング60を開け閉めできる。
【0130】
ハウジング60は、多様な形状で設けることができる。例えば、略直方体形状を有してもよく、または円筒形状を有してもよい。しかし、ハウジング60の形状は、これに限定されるのではなく、これと異なる形状で設けられてもよい。
【0131】
ハウジング60は、内部に植物が生長できる環境を提供する。ハウジング60には、複数個の植物が植えられて生長する場合にも、これを収容できる大きさに設けることができる。さらに、ハウジング60の大きさは、植物栽培装置100の用途に応じて変えることができる。例えば、植物栽培装置100が家庭で使用する小規模の植物栽培に用いられる場合、ハウジング60の大きさは相対的に小さくすることができる。植物栽培装置100が商業的に植物を栽培し販売に使用される場合、ハウジング60の大きさは相対的に大きくすることができる。
【0132】
本発明の一実施例において、ハウジング60は、ハウジング60の外の光がハウジング60内部に入り込まないように、光を遮断することができる。よって、ハウジング60内部は、外部と隔離された暗室環境を提供することができる。これにより、外部の光が不要にハウジング60内部にある植物に照射されることを防ぐことができる。特に、ハウジング60は外部の可視光線が植物に照射されることを防ぐことができる。但し、場合によっては、ハウジング60は一部が開放されて外部の光をそのまま浴びることができるように設計することもできる。
【0133】
本実施例において、ハウジング60内の空間は一つにすることもできる。しかし、これは説明の便宜のためのものであり、複数個の区域に分離することもできる。つまり、ハウジング60内にはハウジング60内の空間を多数個に分ける隔壁が設けられてもよい。
【0134】
光源は、ハウジング60内の空間の植物に光を照射する。光源は、上部ケース63や下部ケース61の内面上に設けられる。本発明の一実施例において、光源は上部ケース63のカバー部上に設けることができる。本実施例では、一例として、上部ケース63のカバー部内面上に光源が設けられたものを図示したが、これに限定されるのではない。例えば、本発明の他の実施例において、光源は上部ケース63の側壁部上に設けることができる。または本発明のまた別の実施例において、光源は下部ケース61の側壁部に設けられ得、例えば、側壁部上段に設けられてもよい。または本発明のまた別の実施例において、光源は上部ケース63のカバー部、上部ケース63の側壁部、下部ケース61の側壁部の少なくとも一ヶ所に設けられてもよい。
【0135】
ハウジング60内の空間には、植物が栽培しやすいように、例えば、水栽培が容易なよ
うに栽培台70を設けることができる。栽培台70は、ハウジング60の底部から上部方向に離隔されて配置された板状のプレート71からなり得る。プレート71には、一定の大きさの貫通孔73を設けることができる。栽培台70は、プレート71の上面に植物を置いて育つようにするためのものであり、その水を供給した時に、供給された水が排水されるように複数個の貫通孔73を設けることができる。貫通孔73は、植物が下部に流されないようにする大きさで設けることができる。例えば、貫通孔73の直径は、植物よりも小さくすることができる。栽培台70と下部ケース61の底部の間の空間は、排水された水を溜める水槽として機能することができる。これにより、栽培台70の貫通孔73を通じて下部に排水された水は、下部ケース61の底部と栽培台70の間の空間に溜めることができる。
【0136】
しかし、本発明の一実施例によると、イネ科植物は、水栽培栽培以外の方法でも栽培することができ、この場合、ハウジング60内の空間はイネ科植物に必要な水分および/または養分が供給されるように、水、培地、土等を提供することができ、このとき、ハウジング60はコンテナとして機能することができる。培地や土等には、植物が育つ養分、例えば、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)等を含むことができる。植物は、その種類によって、培地中に埋められた形態で提供されたり、培地表面上に置かれた形態で提供されたりすることもできる。
【0137】
栽培台70の大きさと形態は、ハウジング60の形態および第1光源と第2光源の設置形態によって異なり得る。栽培台70の大きさと形態は、栽培台70上に設けられた植物が第1光源および第2光源から照射される光の照射範囲内に入るように構成することができる。
【0138】
ハウジング60内には、植物に水分を供給する水分供給装置を設けることができる。水分供給装置は、ハウジング60の上段、例えば、上部ケース63のカバー部内面上に設けられて、ハウジング60の栽培台70上に水を噴射する形態で構成することができる。但し、水分供給装置の形態が上述のものに制限されるのではなく、ハウジング60の形状および栽培台70の配置形態によって変わり得る。また、別途の水分供給装置を設けず、使用者が直接ハウジング60内に水分を供給することもできる。
【0139】
水分供給装置は、一つ又は複数個設けることができる。水分供給装置の個数は、ハウジングの大きさによって異なり得る。例えば、相対的に小さい家庭用の植物栽培装置の場合は、ハウジングが小さいため、水分供給装置が一つ設けられ得る。逆に、相対的に大きい商業用の植物栽培装置の場合は、ハウジングが大きいため、水分供給装置が複数個設けられ得る。しかし、水分供給装置の個数はこれに限定されるのではなく、多様な個数で多様な位置に設けることができる。
【0140】
水分供給装置は、ハウジング60に設けられた水槽またはハウジング60外部の水栓に連結できる。さらに、水分供給装置は水中に浮遊する汚染物質が植物に付着しないように、ろ過装置をさらに含んでもよい。ろ過装置は、活性炭、不織布等のフィルターを含み得、これによりろ過装置を経た水は浄水されたものとなる。ろ過装置は、場合によって光照射フィルターをさらに含むことができるが、光照射フィルターは紫外線等を水に照射して、水中に存在する細菌、バクテリア、カビ胞子等を取り除くことができる。水分供給装置が上述のろ過装置を含むことにより、水をリサイクルしたり雨水等をすぐに栽培に使用したりする場合にも、ハウジング60内部および植物が汚染されるおそれがない。
【0141】
水分供給装置で提供される水は、別途の養分がなく水自体(例えば、精製水)だけで供給されてもよいが、これに限定されるのではなく、植物の生長に必要な養分を含んでもよい。例えば、水にはカリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ナト
リウム(Na)、鉄(Fe)等の物質や硝酸塩(Nitrate)、ホスフェート(Phosphate)、硫酸塩(Sulfate)、塩化物(Cl)等を含むことができる。例えば、ザックス(Sachs)液、クノープ(Knop)液、ホーグランド(Hoagland)液、ヒューイット(Hewitt)液等を水分供給装置から供給できる。
【0142】
本発明の一実施例によると、前記光源を用いて植物を栽培することができる。
【0143】
本発明の一実施例にかかる植物の栽培方法は、植物の種を発芽させる段階と、前記の発芽した植物に可視光線波長帯域の光を照射する段階を含むことができる。植物照射される光は、上述の実施例による光源から出射されたものであり、前記可視光線波長帯域の光は、光スペクトルの異なる第1~第4光の少なくとも二つの光、または三つの光を含むことができる。
【0144】
以上では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者または該当技術分野の通常の知識を有する者であれば、後述の特許請求の範囲に記載した本発明の思想および技術領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させられることを理解できると考える。
【0145】
よって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明の記載内容に限定されるのではなく、特許請求の範囲によって決められなければならない。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c
図13
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
図15c
図16
図17a
図17b
図17c
図18a
図18b
図18c
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に光を照射するように構成された光源モジュールを含む植物栽培用光源であって、
前記光源モジュールは、
明周期において、前記光源モジュールを点灯させるように動作可能な制御部と、
第1波長帯域内の第1ピーク波長を有する光を放射する第1活性層を有する第1発光素子と、
第2波長帯域内に第2ピーク波長を有する光を放射する第2活性層を有する第2発光素子と、
第3波長帯域内に第3ピーク波長を有する光を放射する第3活性層を有する第3発光素子と、
を備え、
前記制御部は、第1強度を有する光を放射するように前記第1発光素子を動作させるとともに、前記第1強度よりも相対的に低い第2強度を有する光を放射するように前記第3発光素子を動作させ、
前記明周期は、第1区間及び第2区間を含み、
前記制御部は、前記第2区間において、前記植物の少なくとも1つの生長時期に対して、前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記第3発光素子の少なくとも1つを消灯させる、植物栽培用光源。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1区間において、前記植物の光合成を可能にする第1スペクトルパターンを有する光を放射するように前記光源モジュールを制御する、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2区間において、前記植物内の所定物質の含量を増加させる第2スペクトルパターンを有する光を放射するように前記光源モジュールを制御する、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項4】
前記第1発光素子、前記第2発光素子及び前記第3発光素子の各々は、第1半導体層、第2半導体層、並びに第1電極及び第2電極を更に備える、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項5】
前記光源モジュールは、印刷回路を有する基板をさらに備え、
前記印刷回路は、前記第1電極及び前記第2電極を介して前記第1発光素子、前記第2発光素子及び前記第3発光素子の各々と電気的に接続する、請求項4に記載の植物栽培用光源。
【請求項6】
前記制御部は、前記明周期において、前記第1区間と前記第2区間とを交互に繰り返すようにさらに動作可能である、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2区間において、前記光を連続的に照射するように前記光源モジュールをさらに制御する、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項8】
植物を栽培可能な内部空間を有するハウジングと、
前記ハウジングの上に配置され、前記内部空間に光を放射するように構成された光源と、
前記ハウジングの上に配置され、明周期において、前記光源内の1つ又は複数の発光素子を点灯させるように動作可能な制御部と、を備え、
前記光源は、
第1波長帯域内の第1ピーク波長を有する光を放出する第1活性層を有する第1発光素子と、
第2波長帯域内の第2ピーク波長を有する光を放出する第2活性層を有する第2発光素子と、
第3波長帯域内に第3ピーク波長を有する光を放出する第3活性層を有する第3発光素子と、
を備え
前記第1ピーク波長を有する光は、前記第3ピーク波長を有する光よりも相対的に高い強度を有し、
前記明周期は、第1区間及び第2区間を含み、
前記第2区間において、前記植物の少なくとも1つの生長時期に対して、前記第1発光素子、前記第2発光素子及び前記第3発光素子の少なくとも1つが消灯している、植物栽培装置。
【請求項9】
前記植物を栽培するために前記ハウジングの前記内部空間に配置されるように構成された栽培台をさらに含み、
前記栽培台は、前記ハウジングの底部から上方に間隔を隔てた位置に配置されたプレートを含み、
前記プレートは、一定の大きさを有する複数の貫通孔を含む、請求項8に記載の植物栽培装置。
【請求項10】
前記植物に水を供給するための少なくとも1つの水分供給装置をさらに含む、請求項8に記載の植物栽培装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
第1電極221と第電極229は、それぞれ第1半導体層223と第2半導体層227とが接続されるように多様な形態で設けることができる。本実施例では、第1半導体層223の下部に第1電極221が設けられ、第2半導体層227の上部に第2電極229が設けられたものを図示したが、これに限定されるのではない。本発明の一実施例において、第1電極221および第2電極229は、例えば、Al、Ti、Cr、Ni、Au、Ag、Ti、Sn、Ni、Cr、W、Cu等の多様な金属またはこれらの合金からなってもよい。第1電極221および第2電極229は、単一層または多重層で形成される。

【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正の内容】
図19
【外国語明細書】