(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056990
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ディスプレイ製造用のUV反射ミラー
(51)【国際特許分類】
G02B 5/08 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G02B5/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024569
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2021510967の分割
【原出願日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】62/723,102
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/738,210
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ソン,キ-スン
(72)【発明者】
【氏名】リー,フンホ
(72)【発明者】
【氏名】ビダル,エドガー・イー
(72)【発明者】
【氏名】チュン,キュン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】クルーン,ジェイソン・アール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パネルディスプレイに対する全般的な需要の増加により、製造者は、スループットの増加、パネルディスプレイのサイズの増加、及びパネルディスプレイの製造において使用される製造装置のメンテナンスのための休止時間の減少が要求されている。
【解決手段】紫外線レーザー、及びベリリウム、アルミニウム金属マトリクス、又は炭化ケイ素から製造される基材を有する少なくとも1つの反射ミラーを含む装置が開示される。少なくとも1つのミラーは、紫外線レーザーから発生したレーザービームを反射するように構成されており、これは次に電子ディスプレイの製造において使用されるシリコン膜上において使用することができる。レーザービームは、シリコン膜をアニールするため、又はシリコン膜が載置された一時的な基材からシリコン膜を分離するためのレーザーリフトオフプロセスにおいて使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線レーザー;及び
前記紫外線レーザーから生成されたレーザービームを反射するように構成されている少なくとも1つの反射ミラー;
を含み;
前記少なくとも1つのミラーは、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造されるミラー基材を含む、装置。
【請求項2】
前記ミラー基材が、
(a)99.5%の最小Be含量及び0.5%の最大BeO含量を有するO-50;
(b)99%の最小Be含量及び1%の最大BeO含量を有するS-65;
(c)99%の最小Be含量及び0.7%の最大BeO含量を有するI-70;
(d)98.5%の最小Be含量及び1.5%の最大BeO含量を有するS-200;
(e)98%の最小Be含量及び2.2%の最大BeO含量を有するI-220;並びに
(f)97.5%の最小Be含量及び2.5%の最大BeO含量を有するI-250;の少なくとも1つから選択されるグレードのベリリウムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ミラー基材が、ベリリウム、並びにAl、Ti、Co、Ni、Cu、Pd、Au、Nb、Ag、Ta、V、Cr、Mn、Fe、Mo、W、Re、Zr、Hf、Y、La、Ce、Th、U、Np、Pu、Am、Ca、及びMgから選択される少なくとも1種類の合金元素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ミラー基材が、約50重量%~約99.99重量%のベリリウム、及び約0.01重量%~約50重量%の前記少なくとも1種類の合金元素を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ミラー基材が、炭化ケイ素又はアルミニウム金属マトリクス複合材料から製造され、
(i)溶融石英基材に関する少なくとも6の光学性能指数(FoM)共振周波数値;
(ii)溶融石英基材に関する0.030未満の光学的FoM自重撓み値;
(iii)溶融石英基材に関する0.350未満の光学的FoM定常状態熱変形係数値;及び
(iv)溶融石英基材に関する0.600未満の光学的FoM過渡熱変形係数値;
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ミラー基材が、アルミニウム合金及び1種類以上の強化粒子のアルミニウム金属マトリクス複合材料から製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1種類以上の強化粒子が、炭化物、酸化物、ケイ化物、ホウ化物、及び窒化物からなる群から選択される少なくとも1種類のセラミック材料を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記1種類以上の強化粒子が炭化ケイ素を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記金属マトリクス複合材料が、約15体積%~約40体積%の炭化ケイ素で強化された6061、6063、6082、2009、2618、又は2124アルミニウム合金を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記ミラー基材が、合金又は金属マトリクス複合材料の形態であるアルミニウム-ベリリウム組成物から製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記アルミニウム-ベリリウム組成物が、少なくとも60重量%のベリリウム及び少なくとも30重量%のアルミニウムを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの反射ミラーが、前記ミラー基材上に堆積された紫外線反射コーティングを更に含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記紫外線反射コーティングが、前記ミラー基材上に堆積された基層、及び前記基層上の少なくとも1つの誘電体層を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記紫外線反射コーティングが、二酸化ハフニウム(HfO2)と二酸化ケイ素(SiO2)の組合せから製造される層であるか、又は前記紫外線反射コーティングが、(i)アルミニウム及び酸化ハフニウムから形成されるコーティング、並びに(ii)アルミニウム及び二酸化ケイ素から形成されるコーティングの交互の層から形成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
ビームホモジナイザ、ビームエキスパンダ、集束レンズ、又はビームスプリッタを更に含む、請求項1~14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
電子部品の製造方法であって、
紫外線レーザー、及びミラー基材を含む少なくとも1つの反射ミラーを含む紫外線レーザー装置を受け取ること;
前記紫外線レーザーによってレーザービームを発生させること;及び
前記レーザービームを、前記少なくとも1つの反射ミラーで前駆体膜に向けて反射させて前記電子部品を製造すること;
を含み、
前記ミラー基材は、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造される、上記方法。
【請求項17】
前記前駆体膜が非晶質膜である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザービームを前記前駆体膜上に直接反射させて、前記非晶質膜の結晶化を誘起する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体膜が一時的な基材上に載置されており、前記レーザービームを、前記一時的な基材を通して前記前駆体膜上に反射させて、前記一時的な基材から前記前駆体膜を分離する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記電子部品が、OLEDディスプレイ又はLTPS-LCDディスプレイにおいて使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ディスプレイ製造装置の使用方法であって、
紫外線レーザービームを少なくとも1つの反射ミラーによってシリコン膜上に反射させて、パネルディスプレイにおいて使用される電子部品を製造すること;
を含み、
前記ディスプレイ製造装置は紫外線レーザーを含み、前記少なくとも1つの反射ミラーは、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造されるミラー基材を含む、上記方法。
【請求項22】
前記シリコン膜が非晶質シリコン膜である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記レーザービームを前記シリコン膜上に直接反射させて、前記シリコン膜の結晶化を誘起する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記シリコン膜が一時的な基材上に載置されており、前記レーザービームを、前記一時的な基材を通して前記シリコン膜上に反射させて、前記一時的な基材から前記シリコン膜を分離する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記電子部品が、OLEDディスプレイ又はLTPS-LCDディスプレイにおいて使用される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
紫外線反射ミラーであって、
ミラー基材;及び
前記ミラー基材の表面上に堆積された紫外線反射コーティング;
を含み、
前記基材は、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造される、上記紫外線反射ミラー。
【請求項27】
前記ミラー基材の裏面は、前記ミラーを強化するためのリブを含む、請求項26に記載のミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2018年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/738,210号、及び2018年8月27日に出願された米国仮特許出願第62/723,102号(それらの全体が参照により組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明は、電子ディスプレイの製造において使用される紫外線反射ミラーに関する。特に、エキシマレーザーのような紫外線レーザーのビームステアリングにおいて使用されるミラーのための基材として異なる材料を使用することを開示し、それを特に参照して記載する。
【0003】
[0003]非晶質シリコン膜について行われるエキシマレーザーアニーリング(ELA)及びレーザーリフトオフ(LLO)プロセスは、低温多結晶シリコンLCD(LTPS-LCD)及び有機発光ダイオード(OLED)のようなパネルディスプレイの製造において使用される一般的な技術になっている。これらのパネルディスプレイは、携帯電話又はセルラーホン、コンピュータモニタ、テレビ、時計などのような種々の電子装置の製造において使用されているる。かかるパネルディスプレイに対する全般的な需要の増加により、製造者は、スループットの増加、パネルディスプレイのサイズの増加、及びパネルディスプレイの製造において使用される製造装置のメンテナンスのための休止時間の減少が要求されている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明は、紫外線レーザー及び少なくとも1つの反射ミラーを含む装置に関する。少なくとも1つのミラーは基材を含み、紫外線レーザーから発生したレーザービームを基材に向けて反射するように構成されている。ミラー基材は、ベリリウム、炭化ケイ素、又はアルミニウム金属マトリクス複合材料(アルミニウム金属基複合材料)(aluminum metal matrix composite)から製造することができる。この装置は、ディスプレイパネル
用の電子部品の製造において使用することができる。
【0005】
[0005]種々の実施形態においては、紫外線レーザー;及び基材を含む少なくとも1つの反射ミラー;を含み、少なくとも1つのミラーは、紫外線レーザーから生成されたレーザービームを反射するように適合されている装置が開示される。ミラー基材は、ベリリウム、炭化ケイ素、又はアルミニウム金属基複合材料から製造することができる。
【0006】
[0006]ミラー基材がベリリウムから製造される場合には、ベリリウム基材は、任意の純粋なベリリウム又はベリリウムの合金から製造することができる。幾つかの特定の実施形態においては、ベリリウム基材は、(a)99.5%の最小Be含量及び0.5%の最大BeO含量を有するO-50;(b)99%の最小Be含量及び1%の最大BeO含量を有するS-65;(c)99%の最小Be含量及び0.7%の最大BeO含量を有するI-70;(d)98.5%の最小Be含量及び1.5%の最大BeO含量を有するS-200;(e)98%の最小Be含量及び2.2%の最大BeO含量を有するI-220;並びに(f)97.5%の最小Be含量及び2.5%の最大BeO含量を有するI-250;の少なくとも1つから選択されるグレードのベリリウムから製造することができる。
【0007】
[0007]幾つかの実施形態においては、ベリリウム基材は、ベリリウム、並びにAl、Ti、Co、Ni、Cu、Pd、Au、Nb、Ag、Ta、V、Cr、Mn、Fe、Mo、W、Re、Zr、Hf、Y、La、Ce、Th、U、Np、Pu、Am、Ca、及びMg
から選択される少なくとも1種類の合金元素を含む。ミラーは、約50重量%~約99.99重量%のベリリウム、及び約0.01重量%~約50重量%の少なくとも1種類の合金元素を含み得る。
【0008】
[0008]特定の実施形態においては、ミラー基材は、約50重量%~約99.99重量%のベリリウム、及び約0.01重量%~約50重量%のアルミニウムを含み得るアルミニウム-ベリリウム組成物から製造される。
【0009】
[0009]ミラー基材が炭化ケイ素又はアルミニウム金属マトリクスから製造される場合には、炭化ケイ素又はアルミニウム金属基複合材料は、(i)溶融石英基材に関する少なくとも6の光学性能指数(FoM)共振周波数値(optical Figure of Merit (FoM) resonant frequency value)、(ii)溶融石英基材に関する0.030未満の光学的FoM自重撓み値(optical FoM self-weight deflection value);(iii)溶融石英基材に関する0.350未満の光学的FoM定常状態熱変形係数値(optical FoM steady-state thermal distortion coefficient value);及び(iv)溶融石英基材に関する0.60
0未満の光学的FoM過渡熱変形係数値(optical FoM transient thermal distortion coefficient value);を有し得る。
【0010】
[0010]ミラー基材は、アルミニウム合金及び1種類以上の強化材料のアルミニウム金属基複合材料から製造することができる。1種類以上の強化材料としては、炭化物、酸化物、ケイ化物、ホウ化物、及び窒化物からなる群から選択される少なくとも1種類のセラミック材料を挙げることができる。
【0011】
[0011]幾つかの他の特定の実施形態においては、1種類以上の強化材料として炭化ケイ素を挙げることができる。かかる実施形態においては、金属基複合材料は、約15体積%~約40体積%の炭化ケイ素で強化された6061、6063、6082、2009、2618、又は2124アルミニウム合金を含み得る。
【0012】
[0012]追加の実施形態においては、ミラー基材はアルミニウム-ベリリウム金属基複合材料の形態であり、アルミニウムはマトリクス相として働き、ベリリウムは強化材料/粒子の形態である。また、追加の強化材料/粒子も、かかる金属基複合材料中に存在させることができる。
【0013】
[0013]少なくとも1つのミラーは、ミラー基材上に堆積された紫外線反射コーティングを更に含み得る。幾つかの実施形態において、ニッケル又はニッケル合金のようなベース材料を非被覆ミラー基材上に堆積させる。ベース材料の上に、紫外光反射材料の1つ又は複数の層を堆積させる。この反射コーティングは、酸化ハフニウム(HfO2)と二酸化ケイ素(SiO2)の組み合わせのような誘電体であってよい。別の反射コーティングは、酸化ハフニウムと二酸化ケイ素との交互コーティングを有するアルミニウム金属バインダから構成される「強化アルミニウム」タイプのものであってもよい。
【0014】
[0014]本装置には、ビームホモジナイザ、ビームエキスパンダ、集束レンズ、又はビームスプリッタ、並びににこれらのコンポーネントの組合せを更に含ませることができる。
[0015]また、紫外線レーザー、及び基材を含む少なくとも1つの反射ミラーを含む紫外線レーザー装置を受け取ること;紫外線レーザーによってレーザービームを生成させること;及びレーザービームを少なくとも1つの反射ミラーによって前駆体膜に向けて反射させて電子部品を製造すること;を含む、電子部品を製造する方法も開示される。ミラー基材は、ベリリウム、炭化ケイ素、又はアルミニウム金属基複合材料から製造することができる。
【0015】
[0016]前駆体膜は非晶質膜であってよい。レーザービームを、非晶質膜の結晶化を誘起するために(即ちアニーリングプロセスにおいて)、前駆体膜上に直接反射させることができる。或いは、前駆体膜を一時的な基材上に載置し、レーザービームを、前駆体フィルムを一時的な基材から分離するために(即ちレーザーリフトオフプロセスにおいて)、一時的な基材を通して前駆体膜上に反射させることができる。電子部品は、OLEDディスプレイ又はLTPS-LCDディスプレイにおいて使用することができる。幾つかの特定の実施形態においては、前駆体膜は非晶質シリコン膜である。
【0016】
[0017]また、ディスプレイ製造装置の使用方法であって、基材を含む少なくとも1つの反射ミラーで紫外線レーザービームをシリコン膜上に反射させて、パネルディスプレイにおいて使用される電子部品を製造することを含み、ディスプレイ製造装置は、紫外線レーザー、及び基材を含む少なくとも1つの反射ミラーを含む上記方法も開示される。ミラー基材は、ベリリウム、炭化ケイ素、又はアルミニウム金属基複合材料から製造することができる。
【0017】
[0018]ここでも、シリコン膜は非晶質シリコン膜であってよい。レーザービームを、シリコンフィルムの結晶化を誘起するために(即ちアニーリングプロセスにおいて)、シリコンフィルムに直接反射させることができる。或いは、シリコン膜を一時的な基材上に載置し、シリコン膜を一時的な基材から分離するために(即ちレーザーリフトオフプロセスにおいて)、レーザービームを一時的な基材を通してシリコン膜上に反射させることができる。電子部品は、OLEDディスプレイ又はLTPS-LCDディスプレイにおいて使用することができる。
【0018】
[0019]また、本明細書には、ミラー基材;及びミラー基材の表面上に堆積された紫外線反射コーティング;を含む紫外線反射ミラーが開示される。ミラー基材は、ベリリウム、炭化ケイ素、又はアルミニウム金属基複合材料から製造することができる。
【0019】
[0020]ミラー基材の後面には、ミラーを強化するためのリブを含ませることができる。
[0021]本発明はまた、本発明の反射ミラーにおける基材として使用するためのアルミニウム金属基複合材料(MMC)を製造する方法及びプロセスにも関する。一般に、MMCの製造には、粉末金属製造(粉末冶金及び高エネルギー混合プロセスなど(しかしながらこれらに限定されない))及び鋳造(溶浸鋳造など(しかしながらこれらに限定されない))のような任意の好適な方法を含ませることができる。例えば、特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法及びプロセスにおいて、金属粉末の混合/ブレンドを使用することができる。この混合のための好適な技術としては、ボールミル粉砕、機械的摩砕器、ティーマーミル(teamer mills)、ロータリーミル、造粒機、及び粉末成分(例えば、金属粉末、強化粒子)に高エネルギー混合を与えることができる他の方法が挙げられる。或いは、基材のためのMMCは、溶浸鋳造のような鋳造プロセスによって製造することができる。かかる方法及びプロセスにより、その後の機械的性能又はプロセス要件のためのインターフェース条件に対する制御が可能になる。その結果、本発明の方法及びプロセスは、一度に複数の基材を製造することができるコスト効率の高い製造技術を提供する。
【0020】
[0022]下記において、本発明のこれら及び他の非限定的な特徴をより詳細に開示する。
[0023]下記は図面の簡単な説明であり、これらは本明細書に開示された代表的な実施形態を例示する目的で提示するものであり、それを限定する目的で提示するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】[0024]
図1は、本発明の複数の実施形態による電子ディスプレイの形成において使用される紫外線反射ミラーの断面図である。ミラーは、ミラー基材及び紫外線反射コーティングを含む。
【
図2】[0025]
図2は、ミラー基材の裏面のリブの加工を示す図である。
【
図3】[0026]
図3は、ミラー基材を有する反射ミラーを含むエキシマレーザー装置の概略図である。
【
図4】[0027]
図4は、シリコン膜にエキシマレーザービームを走査及び照射することによってポリシリコン膜を形成するプロセスを示す斜視図である。
【
図5】[0028]
図5は、エキシマレーザービームを使用するレーザーリフトオフプロセスによってそれから薄膜ディスプレイ装置を分離した積層体を模式的に示す断面図である。
【
図6A】[0029]
図6Aは、
図5の積層体から薄膜ディスプレイ装置を製造するための転写プロセスを示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図5の積層体から薄膜ディスプレイ装置を製造するための転写プロセスを示す断面図である。
【
図7】[0030]
図7は、エキシマレーザーシステムビームラインシステムにおける種々の材料の基材に関する光学性能指数(FoM)共振周波数値を示すグラフである。y軸はFoM値を表し、2の間隔で0~14までである。x軸は種々の基材材料を表す。
【
図8】[0031]
図8は、エキシマレーザーシステムビームラインシステムにおける種々の材料の基材に関する光学性能指数(FoM)自重撓み値を示すグラフである。y軸はFoM値を表し、0.010の間隔で0.000から0.060までである。x軸は種々の基材材料を表す。
【
図9】[0032]
図9は、エキシマレーザーシステムビームラインシステムにおける種々の材料の基材に関する光学性能指数(FoM)定常状態熱変形係数値を示すグラフである。y軸はFoM値を表し、0.050の間隔で0.000から0.400までである。x軸は種々の基材材料を表す。
【
図10】[0033]
図10は、エキシマレーザーシステムビームラインシステムにおける種々の材料の基材に関する光学性能指数(FoM)過渡熱変形係数値を示すグラフである。y軸はFoM値を表し、0.100の間隔で0.000から0.700までである。x軸は種々の基材材料を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0034]本明細書において開示される構成要素、プロセス、及び装置のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって得ることができる。これらの図は本発明を示す便宜性及び容易さに基づく単なる概要図であり、したがって、デバイス又はその構成要素の相対的なサイズ及び寸法を示すこと、及び/又は代表的な実施形態の範囲を規定又は限定することは意図しない。
【0023】
[0035]明確にするために以下の説明においては特定の用語を使用するが、これらの用語は図面において示すために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本発明の範囲を規定又は限定することは意図しない。図面及び以下の説明において、同様の数字表示は同様の機能の構成要素を指すことを理解すべきである。
【0024】
[0036]単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示していない限り、複数の指示対象を含む。
[0037]本明細書及び特許請求の範囲において用いる「含む」、「挙げられる」、「有し」、「有する」、「し得る」、「含有する」の用語、及びそれらの変形体は、言及された構成要素/工程の存在を必要とし、他の構成要素/工程の存在を容認する、非限定型の移行句、語、又は文言であることを意図している。しかしながら、かかる記載は、組成物又はプロセスを、列挙された構成要素/工程「から構成され」及びそれら「から実質的に構成され」、言及された構成要素/工程のみが、それらからもたらされ得る不可避的不純物と共に存在することを容認し、他の構成要素/工程を排除する組成物又はプロセスを記載するものとしても解釈すべきである。
【0025】
[0038]本出願の明細書及び請求の範囲における数値は、同じ有効数字数に縮小した場合に同じである数値、並びにその値を求めるための本明細書中に記載されているタイプの通常の測定技術の実験誤差未満だけ示されている値と異なる数値を包含すると理解すべきである。
【0026】
[0039]本明細書に開示される全ての範囲は、示されている端点を包含し、独立して組み合わせることができる(例えば、「2グラム~10グラム」の範囲は、端点の2グラム及び10グラム、並びに全ての中間値を包含する)。
【0027】
[0040]「約」の用語は、その値の基本的な機能を変更することなく変化させることができる任意の数値を包含するように使用することができる。範囲に関して使用する場合には、「約」はまた、2つの端点の絶対値によって規定される範囲を開示し、例えば「約2~約4」はまた、「2~4」の範囲も開示する。「約」という用語は、示された数のプラス又はマイナス10%を指し得る。
【0028】
[0041]本明細書で使用する「紫外線」という用語は、10ナノメートル(nm)~400nmの波長を有する光を指す。
[0042]エキシマレーザーのような紫外線(UV)レーザーは、電子デバイス及びマイクロエレクトロニクスデバイスの製造のためのプロセス及び装置において一般的に利用されている。これらのデバイスとしては、携帯電話又はセルラーホン、コンピュータモニタ、テレビ、時計などが挙げられるが、これらに限定されない。出力波長、ビームステアリングのような所望の特性を達成するために、UVレーザーにおいて種々の光学コンポーネントが使用される。エキシマレーザーのようなUVレーザーは、特定のエキシマレーザー出力波長において使用するように設計された被覆又は未被覆の光学コンポーネントに頼っており、その最も一般的なものとしては、157nm(F2)、193nm(ArF)、24
8nm(KrF)、308nm(XeCl)、及び353nm(XeF)が挙げられる。代表的なUV光学コンポーネントとしては、ビームターニング又はステアリングミラー、レーザー共振器光学装置、ビームスプリッタ、レンズ、ウィンドウ、及び他のコンポーネントが挙げられる。
【0029】
[0043]電子デバイスの製造においてUVレーザーを使用する2つの代表的なプロセスとしては、エキシマレーザーアニーリング(ELA)及びレーザーリフトオフ(LLO)が挙げられる。ELAにおいては、エキシマレーザーを使用して、例えば、LTPS-LCD及び/又はOLEDパネルのような電子ディスプレイにおいて使用される薄膜トランジスタ(TFT)及びキャパシタのためのポリシリコン膜を生成させる。一般に、非晶質シリコン膜は、非晶質シリコン膜の露出した表面にエキシマレーザービームを走査照射することにより、即ち熱処理プロセスにより多結晶化される。多結晶化法の中ではELAが広く用いられている。これは、この方法は比較的低温における多結晶化を可能にし、比較的高い電子移動度を含む優れた特性を有するポリシリコン膜の形成が可能であるからである。
【0030】
[0044]LLO処理は、一般に材料-基材界面にエキシマレーザーを照射することによって基材から材料を分離する方法を指す。例えば、機能性ディスプレイフィルムの製造においては、最初に薄いポリマーフィルムを一時的なガラスキャリア基材上に堆積させる。回路バックプレーン(即ちTFTのマトリクス)をポリマー層の上に構築し、続いて、電極及びマイクロカプセルのための層を含むディスプレイフロントプレーンを構築する。次に、LLO処理中に、エキシマレーザーを、キャリアガラス基材を通してポリマー-基材界面に照射する。これにより、ガラス基材と直接接触しているポリマーのみが蒸発する。ポリマーフィルムを硬質ガラス基材から剥離して、薄く、軽量で、頑丈な機能ディスプレイ
を形成する。
【0031】
[0045]ELA及びLLO処理の両方に関して、ミラーのような1以上の反射コンポーネントを使用して、エキシマレーザービームの経路を所望に応じて変化させることができる。例えば、レーザービームを必要に応じて分割又は指向させることができる。レーザービームが非晶質シリコン膜の露出表面を確実に照射するようにするために、ELA処理においてビームステアリングがしばしば必要とされる。
【0032】
[0046]エキシマレーザーにおいて使用される従前のミラーは、基材材料として石英を使用しており、その上にUV反射コーティングが施されている。しかし、石英は低い剛性及び低い熱伝導率を有しており、基材全体の急速な温度均一化を妨げる傾向がある。効率的に温度を均一化する能力がないと、石英から製造されたミラーは、ミラー上へのエキシマレーザーの照射から発生する熱勾配の結果として生じるミラー歪みの可能性が増大する。
【0033】
[0047]ベリリウムは、ミラーのような反射コンポーネントにおいて適用するのに非常に望ましい特性を有する金属である。これらとしては、高い剛性(ヤング率=303GPa)、低い密度(1.85g/cc)、高い弾性率(130GPa)、高い比熱(1925J/kg・K)、高い熱伝導率(216W/m・K)、低い線熱膨張率(11.4×106/°K)、及び有利な熱拡散率(0.21mz/時)が挙げられる。これに対して、石英は、より低い剛性(ヤング率=74.5GPa)、より高い密度(2.2g/cc)、より低い比熱(741J/kg・K)、及びより低い熱伝導率(1.36W/m・K)を有する。これらの特性により、ベリリウムは、熱劣化による反射コーティングの光学的歪みを低減することにより、石英よりも潜在的に良好な基材材料である。
【0034】
[0048]ベリリウムのより高い比熱とは、いかなる与えられた質量及び温度変化に関しても、ベリリウムが石英と比較してより多い熱を吸収することができることを意味する。等しい重量基準においては、ベリリウムは全ての金属の中で最も高い熱伝導率を有し、その熱膨張係数は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル合金、コバルト合金、及び他の一般的な構造材料のそれらと非常に近い。この熱的性質の組み合わせにより、ベリリウムは、約-250℃程度の低い温度から約275℃程度の高い温度範囲にわたってミラーにおけるより良好な安定性が与えられる。ベリリウムの熱拡散率により急速な温度均一化が保証され、これは、熱勾配の結果として発生し得る歪みを排除するか、又は大きく減少させる傾向がある。
【0035】
[0049]特定の実施形態においては、ミラー基材は、ベリリウムとアルミニウムの両方の利点を有するアルミニウム-ベリリウム組成物から製造される。アルミニウム-ベリリウム組成物は、アルミニウム又は鋼材の4倍の高い弾性率-密度比を示す。アルミニウム-ベリリウム組成物の熱伝導率は、約210W/mK(ワット/メートル・ケルビン)程度に高くすることができ、これは、Al6061のような一般的なアルミニウム金属材料複合材料のそれを約25%上回る。
【0036】
[0050]これらの製造プロセス中に紫外線(UV)レーザーのステアリングにおいて使用される装置は、通常は非晶質シリコン表面全体のカバレッジを確実にする一連のプリズム及びミラーを含む。本発明は、UVレーザー光を反射する際に使用するためのミラーに関する。このミラーは、ベリリウム基材及び紫外線反射コーティングを含む。これらのミラーは、UVエキシマレーザーアニーリング及びレーザーリフトオフプロセスにおいて使用することができ、望ましくは、向上した熱応力及び増加した剛性を有しているので、レーザー加工速度を増加させることができ、メンテナンスサイクル間のダウンタイムを減少させることができる。
【0037】
[0051]
図1を参照すると、代表的なベリリウムベースのミラー124が示されている。ミラーは、表面(front surface)130及び裏面(rear surface)131を有する基材
128を含む。紫外線反射層135が表面130上に存在する。ミラー基材は、ベリリウム、炭化ケイ素、又はアルミニウム金属マトリクスから製造することができる。
【0038】
[0052]一般に、ミラー基材がベリリウムから製造される実施形態においては、ベリリウムミラー基材は、任意の純粋なベリリウム又はベリリウムの合金から製造することができる。ベリリウムは、基材128のために好適な幾つかのグレードで入手可能である。これらの光学グレードとしては、O-50(99.5%の最小Be含量、0.5%の最大BeO含量);S-65(99%の最小Be含量、1%の最大BeO含量);I-70(99%の最小Be含量、0.7%の最大BeO含量);S-200(98.5%の最小Be含量、1.5%の最大BeO含量);I-220(98%の最小Be含量、2.2%の最大BeO含量);及びI-250(97.5%の最小Be含量、2.5%の最小BeO含量)が挙げられる。
【0039】
[0053]実質的に全てのベリリウム基材は粉末冶金由来の製品である。ベリリウム粉末は、従前に鋳造したインゴットをチップ化し、粉末冶金技術によって本質的に完全密度のビレットに圧密するのために適切な粒度分布にチップを機械的に粉砕することによって調製される。与えられた粒度分布のベリリウム粉末を製造するために使用される機械的粉砕システムは、粉末を用いて製造される完全に緻密な物体の特性に影響を及ぼす。これは室温において任意の方向に生成させることができる最小引張伸びのレベルにおいて最も顕著である。
【0040】
[0054]それから基材128を製造するベリリウム粉末は、1ミクロン未満の粒径を有し得る。他の実施形態においては、ベリリウム含有粉末は、200ミクロン未満の粒径を有し得る。特定の実施形態においては、ベリリウム含有粉末は、約10ナノメートル~約200ミクロン、例えば約5~40ミクロンの粒径を有し得る。粒径は、D50、又は体積基準で粒子の50%の累積パーセントが与えられる直径である。言い換えると、与えられた体積の粒子の50%はより小さい直径を持ち、粒子の50%はより大きな直径を有する。
【0041】
[0055]幾つかの実施形態においては、ベリリウム基材128を形成するために使用される反応混合物の基材は、実質的にベリリウム粉末のみから構成される。他の実施形態においては、反応混合物は、ベリリウムでない少なくとも1種類の合金元素を更に含む。合金元素の非限定的な例としては、Ti、Co、Ni、Cu、Pd、Au、Nb、Ag、Ta、V、Cr、Mn、Fe、Mo、W、Re、Zr、Hf、Y、La、Ce、Th、U、Np、Pu、Am、Ca、及びMgが挙げられる。特定の実施形態においては、合金元素は、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、ハフニウム、及びモリブデンからなる群から選択される。
【0042】
[0056]幾つかの実施形態においては、反応混合物には、50~99.99重量%のベリリウム粉末、及び0.01~50重量%の少なくとも1種類の合金元素を含ませることができる。合金元素はベリリウム粉末と反応させることが意図される。
【0043】
[0057]他の実施形態においては、ミラー基材は、アルミニウム金属基複合材料(MMC)から製造される。ミラー基材のためにMMCを使用することは、MMCの弾性率及び熱膨張率によって基材の光学性能指数(FoM)値(即ち、基材の性能を別の基材に対して特徴付けるために使用される値)を向上させることができるので、有利であり得る。
【0044】
[0058]本発明のMMCは、金属マトリクス、及び金属マトリクス内に分散された強化粒
子を含む複合材料である。金属マトリクス相は通常は連続的であり、これに対して強化粒子は通常は金属マトリクス相内に分散相を形成する。ミラー基材128がMMCであることが望ましい場合には、適切な強化粒子を金属粉末と共に残りの体積に加えて、圧縮によってMMCを形成することができる。特定の実施形態においては、圧縮は熱間等方圧加圧法(HIP)によって行うことができる。金属粉末及び強化粒子は高エネルギー技術によって一緒に混合して、得られる金属マトリクス全体に強化粒子を分布させるべきである。この混合のために好適な技術としては、ボールミル粉砕、機械的摩砕器、ティーマーミル、ロータリーミル、造粒機、及び粉末成分に高エネルギー混合を与える他の方法が挙げられる。機械的合金化は、粉末の過剰な酸化を回避するために、例えば窒素又はアルゴンガスを使用して不活性雰囲気中で完了させるべきである。処理パラメータは、金属マトリクス中における強化粒子の均一な分布を達成するように選択すべきである。高エネルギー混合段階からの粉末を脱気して、粉末表面から残留水分を除去し、これは120℃~500℃において完了することができる。
【0045】
[0059]一般に、MMCの製造には、粉末金属製造(上記で議論した粉末冶金及び高エネルギー混合プロセスなど(しかしながらこれらに限定されない))、及び鋳造(溶浸鋳造など(しかしながらこれらに限定されない))のような任意の好適な方法を含ませることができる。
【0046】
[0060]1つの好適な溶浸鋳造プロセスは、液体金属溶浸である。液体金属溶浸は、一般に、1つ又は複数の原料金属材料を必要な温度において溶融し、多孔質プリフォーム中に流入又は注入し、プリフォーム内及びその周囲で固化させるプロセスを指す。このプロセスは無加圧溶浸鋳造法とみなすことができる。
【0047】
[0061]本明細書に記載されるMMC基材を製造するために好適な溶浸鋳造技術の他の非限定的な例としては、スクイズ鋳造、加圧鋳造、ダイカスト、重力鋳造などが挙げられる。例えば、代表的なスクイズ鋳造技術を使用して本発明のMMC基材を形成することができる。スクイズ鋳造は、一般に加圧凝固に基づく。スクイズ鋳造プロセスにおいては、固体ブランクをまず所望の温度に予熱してダイ内に配置することができ、又はその代わりに、固体ブランクをダイ内で予熱することができる。次に、溶融した1つ又は複数の原金属材料(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、及びMMC)を、固体ブランクを含むダイ中に注入する。ダイは、油圧プレスのベッド上に配置する。プレスを前進させて金型キャビティを閉じ、液体金属を加圧する。基材の凝固が完了するまで圧力を維持する。次に、プレスを開放することができ、基材を排出することができる。スクイズ鋳造は、凝固中に使用した高圧によって、平滑な表面と優れた微細構造を有する細孔のない高品質のニアネットシェイプ鋳造の形成をもたらす。
【0048】
[0062]金属粉末は、幾つかの実施形態においては、金属マトリクス中にアルミニウム又はアルミニウム合金を含み得る。アルミニウム合金は、クロム、銅、リチウム、マグネシウム、ニッケル、及びケイ素から選択される少なくとも1つの元素を含み得る。本明細書で使用する「アルミニウム」は、存在する不純物のみを有するアルミニウム、即ち純アルミニウムを指し、これに対して本明細書で使用する「アルミニウム合金」という用語は、相当な量の他の元素を有するアルミニウムの合金を指すことに留意されたい。
【0049】
[0063]アルミニウム金属基複合材料において使用されるアルミニウム合金は、主要合金元素として銅を有する任意の2xxx系アルミニウム合金、主要合金元素としてマグネシウムを有する任意の5xxx系アルミニウム合金、主要合金元素としてマグネシウム及びケイ素を有する任意の6xxx系アルミニウム合金、主要合金元素として亜鉛を有する任意の7xxx系アルミニウム合金、又は主要合金元素として他の元素(例えば鉄及びケイ素)を有する任意の8xxx系アルミニウム合金であってよい。本発明において使用する
ことが意図される特定のアルミニウム合金としては、下記に示す組成(各元素について重量%)を有する2009、2124、2618、6061、6063、及び6082アルミニウム合金が挙げられる。
【0050】
【0051】
[0064]強化粒子は、特定の実施形態においては炭化物、酸化物、ケイ化物、ホウ化物、及び窒化物から選択される少なくとも1種類のセラミック材料を含み得る。具体的な強化粒子としては、炭化珪素、炭化チタン、炭化ホウ素、窒化珪素、窒化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び酸化チタンが挙げられる。強化粒子は、0.1マイクロメートル(μm)~0.5μmの範囲、例えば約0.3μmの平均粒径(D50)を有していてよい。平均粒径は、粒子の総体積の50%(体積基準)の累積パーセントが与えられる粒子径と定義される。言い換えれば、粒子の50体積%は平均粒径より大きい直径を有し、粒子の50体積%は平均粒径より小さい直径を有する。
【0052】
[0065]更なる実施形態においては、アルミニウム金属基複合材料はベリリウムも含む。この特定の場合においては、ベリリウムはアルミニウムよりもはるかに高い融点を有するので、ベリリウムは、アルミニウムによって形成される金属マトリクス内の強化粒子であるとみなすことができる。このアルミニウム-ベリリウム金属基複合材料中には、上記記載のような他の強化粒子も存在し得る。
【0053】
[0066]特定の実施形態においては、MMCは、約15体積%~約40体積%の炭化ケイ素で強化された6061、6063、6082、2009、2618、又は2124アルミニウム合金である。炭化ケイ素の代わりに他の強化粒子を使用することもできる。
【0054】
[0067]より特定の実施形態において、MMCは、40体積%の炭化ケイ素粒子で強化された6061アルミニウム合金から製造することができる。40体積%の炭化ケイ素粒子で強化された6061アルミニウム合金は、Materionから商品名SupremEX 640で商業的に入手できる。40体積%の炭化ケイ素粒子で強化された6061アルミニウム合金の物理的性質としては次のものが挙げられる。
【0055】
【0056】
[0068]他の特定の実施形態においては、MMCは、20体積%の炭化ケイ素粒子で強化された6061アルミニウム合金から製造することができる。20体積%の炭化ケイ素粒子で強化された6061アルミニウム合金の物理的性質としては次のものが挙げられる。
【0057】
【0058】
[0069]更なる特定の実施形態においては、MMCは、25体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2124アルミニウム合金から製造することができる。25体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2124アルミニウム合金は、MaterionからSupremex225の商品名で商
業的に入手できる。25体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2124アルミニウム合金の物理的性質としては次のものが挙げられる。
【0059】
【0060】
[0070]特定の実施形態においては、MMCは、17体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2124アルミニウム合金から製造することができる。17体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2124アルミニウム合金は、MaterionからSupremex 217XGの商品名で商業的に入手できる。17体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2124アルミニウム合金の物理的性質としては次のものが挙げられる。
【0061】
【0062】
[0071]他の実施形態においては、MMCは、約10体積%~約重量体積%の炭化ケイ素粒子、例えば約15体積%~約30体積%、又は約20体積%~約25体積%の炭化ケイ素粒子で強化された6063、6082、2009、又は、2618系アルミニウム合金から製造することができる。
【0063】
[0072]幾つかの特定の実施形態においては、MMCは、15体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2009系アルミニウム合金から製造される。15体積%の炭化ケイ素粒子で強化された2009系アルミニウム合金の物理的性質としては次のものが挙げられる。
【0064】
【0065】
[0073]更に他の実施形態においてはは、ミラー基材はカーボランダムとしても知られる100%炭化ケイ素(粒子形態ではない)から製造することができる。かかる基材は、SiC粒子を一緒に焼結することによって、又は当該技術において公知の他の手段によって製造することができる。
【0066】
[0074]更に他の実施形態においては、ミラー基材はアルミニウム-ベリリウム組成物から製造される。アルミニウム-ベリリウム組成物は、ベリリウムの高弾性率及び低密度の特徴と、アルミニウムの製造及び機械的性質挙動とを併せ持つ。アルミニウム-ベリリウム組成物は、優れた比剛性及び加工特性を与える。アルミニウムベリリウム金属基複合材料は、機械加工損傷に対する感受性を示さず、ベリリウムのような機械加工後のエッチングを必要としない。ベリリウムは、アルミニウムと合金化して金属基複合材料を形成すると、一般的な構造材料と比較して、高い比弾性係数、低い密度、及び高い熱容量の組み合わせを与える。
【0067】
[0075]アルミニウム-ベリリウム組成物は、約50重量%~99.99重量%のベリリウム及び0.01~約50重量%のアルミニウムを含み得る。幾つかの実施形態においては、アルミニウム-ベリリウム組成物は、少なくとも60重量%のベリリウム及び少なくとも30重量%のアルミニウムを含む。ベリリウムとアルミニウムとの比を変化させて、アルミニウムベリリウム組成物の物理的、熱的、及び機械的特性を変化させることができる。得られる合金は、金属の特性を保持するアルミニウムとベリリウムの混合物であり、本例においては(アルミニウムとベリリウムとの間の融点の大きな差によって)複数の金属相の混合物を含む。
【0068】
[0076]アルミニウム-ベリリウム組成物の1つの例は、約62重量%のベリリウム及び約38重量%のアルミニウムを用いて製造され、これは金属基複合材料の形態である。かかる組合せは、AlBeMet(登録商標)162の商品名でMaterionから商業的に入手できる。AlBeMet(登録商標)162の物理特性としては次のものが挙げられる。
【0069】
【0070】
[0077]
図2は、ミラー基材の裏面を示す図である。この点に関して、ミラー基材は、通常はミラーの全体的な所望の形状を有する中実ブランクとして形成される。
図1に戻って参照すると、ブランクは表面130及び裏面131を有し、2つの面の間に厚さ133を有する。ブランクを種々の切削工具で機械加工して、平滑な表面及び
図2に示すように表面を支持するリブ137を有するオープンバックミラー(open-backed mirror)を形成することができる。
【0071】
[0078]ミラー基材ブランクは、上記で議論した粉末の熱間等方圧加圧(HIP)を行い、続いて機械加工を行ってミラー基材の所望の形状を得ることによって製造することができる。HIPにおいて、金属粉末を、適切又は所望の形状を有する金属缶又は容器中に注入する。容器を約670℃より高い温度で脱気することによって排気し、その後、脱気管を密封する。次に、容器をHIPオートクレーブユニット内に配置し、これをガス(例えばアルゴン)によって約15ksi程度の高さに加圧し、約1250℃以下の温度に加熱する。ミラーブランクは、密封されて真空脱気された容器内で粉末を圧密化するHIPプレスの能力により、ほぼ100%の密度に形成することができる。次に、容器をHIPオートクレーブから取り出し、更なるアニーリング工程を行うことができる。得られるブランクは、容器と同じ形状を有する。
【0072】
[0079]HIPプロセスは、空隙のない固体ブランクを有利に製造する。更に、HIPは全ての方向において圧力を印加するので、最終製品の非方向性は一軸真空ホットプレスよりも良好に維持される。HIPは、一般に、比較的単純な形状を有するミラー基材ブランクを製造するために使用することができる。
【0073】
[0080]ミラー基材ブランクはまた、冷間等方圧加圧によって製造することもできる。幾つかの実施形態においては、材料は、微細構造を有する球状粉末を生成するガス霧化プロセスによって生成される。3つの圧密化プロセスによって粉末を緻密化し、それぞれ異なる機械的特性をもたらす。幾つかの実施形態においては、等方性の球状アルミニウム-ベリリウムを半密ビレットに冷間等方圧加圧(CIP)し、次にその後の押出のためにビレットをキャンニング(canning)することによって、押出バーを製造する。
【0074】
[0081]ミラー基材ブランクはまた、ニアネットシェイプ成形(NNS)プロセスを行い、次にNNSブランクを機械加工することによって製造することができる。NNSプロセスは、熱間及び冷間等方圧加圧(HIP及びCIP)と真空焼結法の組合せを含み得る。CIPプロセスにおいては、ニアネットシェイプブランクは、可撓性ポリマーバッグを使用し、成形して所望のブランク形状を製造することにより金属粉末から製造される。CIPプロセスは、より複雑な形状を有する部品のために有用である。CIPプロセスに続いて真空焼結を行い、100%近い密度が必要な場合にはHIPを行う。焼結は表面接続された細孔を密閉するため、HIPプロセスのための容器は不要である。必要であれば、ブ
ランクを最終的な所望の形状に熱間成形することができる。
【0075】
[0082]HIP又はNNSによって製造されたかどうかに関係なく、ミラー基材ブランクの最終的な紫外線反射ミラー124への変換は、一般にミラー基材128を機械加工し、ミラー基材の正面130を研磨し、紫外線反射材料135で表面をコーティングする3つの基本ステップを伴う。
【0076】
[0083]切削工具材料を使用するいかなる機械加工操作も、ワークピース(即ちミラー基材128)に応力を加えることなく行うべきである。したがって、幾つかの実施形態においては、工作機械内においてガスベアリングを利用する低応力加工技術を使用して高レベルの加工精度を達成する。これらの低応力機械加工技術を使用して、ミラー基材表面130を、約15オングストローム(Å)程度(二乗平均平方根(rms))の低い表面粗さに仕上げ処理することができる。
【0077】
[0084]次に、紫外線反射層13をミラー基材128の表面130上に塗布又は形成する。幾つかの実施形態においては、ニッケル又はニッケル合金のような金属から構成されるベース材料を、非被覆のミラー基材上に堆積させる。このベース層の上に、紫外線反射材料の1つ又は複数の層を堆積させる。この反射コーティングは、酸化ハフニウム(HfO2)と二酸化ケイ素の組合せから形成される層のような誘電体であってよい。別の反射コーティングは、(i)アルミニウム金属バインダー及び酸化ハフニウム、並びに(ii)アルミニウム金属バインダー及び二酸化ケイ素の交互の層をミラー基材に施す「強化アルミニウム」タイプのものであってよい。
【0078】
[0085]次に、
図3を参照すると、レーザーアニーリング装置100が示されている。装置100は、光学システム120を通過する生レーザービームLBを生成するレーザービーム発生器110を含む。レーザービームLBは一般にエキシマレーザーであり、10ナノメートル~400ナノメートル(nm)の間の波長の紫外線を放射することができるレーザーの一形態である。エキシマレーザーは、通常は希ガス(アルゴン、クリプトン、又はキセノン)と反応性ガス(フッ素又は塩素)との組み合わせを使用する。電気的刺激及び高い圧力の適切な条件下において、紫外線範囲のレーザー光が生成する。
【0079】
[0086]光学システム120には、ビームホモジナイザ又はビームエキスパンダ122、反射ミラー124、及び集束レンズ126のような他の光学コンポーネントを含ませることができる。ビームスプリッタを使用することもできる。装置内の部品の操作及び配置に応じて、これらの構成要素の1以上を存在させることができる。これらの光学コンポーネントを使用して、レーザービームLBを複数の線形レーザービームに分割することができ、その後、均一化及びオーバーラップ(収束)させて、最終的に所望のビーム幅及びビーム長さを有する単一の線形レーザービームを形成する。なお、光学システム120は、説明の便宜上、このように機能的に分割されて示されているに過ぎない。光学システム120には、一般に、レーザービームLBのエネルギー分布を均一化又は拡張することができる任意の光学コンポーネントを含ませることができる。
【0080】
[0087]光学システム120のミラー124は、レーザービーム発生ユニット110から発生したレーザー光の経路を、レーザービームLBの元の経路と異なる方向に変化させる。
図3に示すように、ミラー124は、レーザービームLBの経路を、元のレーザービーム経路に垂直な方向に変化させる。言い換えれば、ミラー124はレーザービームを集束レンズ126上に投影するためにレーザービームを反射又は指向して、レーザービームが電子ディスプレイの製造において使用される基材140の露出表面を照射するようにする。ミラー124は、レーザービーム発生器110に対してミラーの位置を変更することを可能にするモータ(図示せず)及び駆動システムに接続することができる。
【0081】
[0088]集束レンズ126は、分割された線形レーザービームを集束させて、単一の線形レーザービームを形成する。好ましくは、分割された線形レーザービームを基材140の露出された上面に集束させる。即ち、分割された線形レーザービームを互いにオーバーラップさせて単一の線形レーザービームを形成する。集束レンズ126として円柱レンズを使用することができる。光学システム120から出力される単一の線形レーザービームを基材140上に照射した後、線形レーザービームは、固定された走査ピッチで線形レーザービームの縦方向に対して垂直な方向に移動させることによって、基材140の露光された上面を走査する。或いは、基材140を保持するための台150を、線形レーザービームが移動する方向と反対の方向に移動させることができる。幾つかの実施形態においては、基材140の露光面上に出力レーザービームを照射した結果として、非晶質シリコン薄膜がアニールされてポリシリコン膜が生成する。言い換えれば、エキシマレーザーアニーリング(ELA)によってポリシリコン膜が形成される。より一般的には、エキシマレーザーアニールによって前駆体膜から非晶質膜を形成することができる。
【0082】
[0089]
図4は、有機発光ダイオードディスプレイのような電子ディスプレイの製造において使用されるポリシリコン膜を形成するプロセスの斜視図を示す。上記に記載の
図3の実施形態にしたがってエキシマレーザービームを走査照射するELA装置を用いて、ポリシリコン膜を形成する。
図4に示すように、電子ディスプレイは、基材本体140、基材本体140上に形成されたバッファ層142、及びバッファ層142上に形成された非晶質膜144を含む。基材本体140は、ガラス、石英、セラミック、プラスチックなどから製造される絶縁基材、又はプラスチックから製造される可撓性基材として形成される。バッファ層142は、不純物原子又は水分のような不要な元素の侵入を防止し、表面を平坦化する。しかしながら、バッファ層142は必ずしも必要ではなく、省くことができる。非晶質膜144は、一般に、薄膜トランジスタ(図示せず)の一部として含まれる半導体層(図示せず)を製造するために使用される。非晶質膜144は、前駆体膜(図示せず)上にレーザービームLBを走査照射することによって形成される。シリコン膜を製造するためには、微結晶シリコン膜を形成するためにレーザー照射前に非晶質シリコン膜を熱処理にかけることができる。
【0083】
[0090]ここに図示するように、比較的広い面積を多結晶化するためには、レーザービームLBを非晶質シリコン膜上に2回以上走査照射することができる。レーザービームLBは、プロセストレランスのために幅方向に部分的にオーバーラップするように走査照射することができる。ここに図示するように、レーザービームLBは、矢印方向に進行させて、2つの単一照射領域SS、及びレーザー走査のオーバーラップを示す二重照射領域DSを形成する。ポリシリコン膜144は、レーザービームLBを1回照射する単一照射領域SS、及びレーザービームLBを2回照射する二重照射領域DSに分けることができる。
【0084】
[0091]更に、二重照射領域DSが単一照射領域SSとは異なるレーザーエネルギーを受ける場合、又は線形レーザービームの所望のエネルギー分布プロファイルが変化する(例えば、アニーリング中に基材又は非晶質シリコン膜の厚さが変化する)場合には、線形レーザービームの形状を調整し、エネルギー分布プロファイルを調節するための調整装置を
図3の装置100内に含めることができる。特に、装置100に、集束レンズ126の垂直距離(即ち、ミラー124により近いか又はより遠い)及び回転角度を変更することができる集束レンズ調整装置(図示せず)を含ませることができる。而して、レーザービームの所望のエネルギー分布プロファイルを変化させることができるが、レーザービームの所望のエネルギー分布プロファイルは依然として、光学システム120を再設定する必要なしに、集束レンズ調整装置を使用することによって得ることができる。
【0085】
[0092]本発明の反射ミラーは、例えばレーザーリフトオフ(LLO)プロセスのような
レーザーの使用を必要とする他の電子ディスプレイ形成プロセスにおいて使用することができる。LLOにおいては、前駆体膜を一時的な基材上に堆積させ、薄膜の反対側の表面上に他の処理操作及び構造を生じさせる。次に、レーザービームを、一時的な基材を通って誘導して、基材-膜界面に照射する。これにより、一時的な基材から前駆体膜を除去することができ(即ち、膜を基材から「リフトオフ」する)、前駆体薄膜を、所望の特性を有する永久的な基材に移すことができる。本発明の反射ミラーはまた、ELA又はLLOに加えて、UVリソグラフィ、眼科手術、及び歯科手術システムのような他のシステムにおいて使用することもできる。
【0086】
[0093]
図5を参照すると、LLO処理のために好適な積層体が示されている。
図5の積層体は、一時的基材240上に形成された薄膜244を含む。薄膜244と一時的基材240との間の界面は、参照番号242で示されている。界面242は、単に薄膜244の一部であってもよいし、エキシマレーザーによって分解することができる犠牲材料から形成される層であってもよい。
【0087】
[0094]一時的基材240は、所望の薄膜244を形成する高温成膜プロセスにおいて耐久性を有する材料から形成される。一時的基材240は、レーザービームが一時的基材240を透過できるように、レーザービームの波長に対応するバンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有する材料で形成することができる。一時的基材240は、透明基材であってよい。一時的基材240は、サファイヤ、石英、ガラス、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、溶融シリカ、又はジルコニアのいずれか1つで形成することができる。
【0088】
[0095]薄膜244を除去するために、
図3に示し、上記記載した光学システム120(ビームホモジナイザ又はエキスパンダ122、ベリリウムミラー124、及び集束レンズ126を含む)を使用して、レーザーエネルギーを界面242上に集束させることができる。
【0089】
[0096]薄膜244は、所望の電子ディスプレイ装置の機能ユニットを形成するために使用される構造を有する。薄膜244は、半導体又はポリシリコンのような無機材料、或いは金属で形成することができる。或いは、薄膜244はディスプレイ装置のための非晶質シリコン又はポリシリコンで形成することができる。より一般的には、この薄膜は前駆体膜と呼ばれる。
【0090】
[0097]
図6A及び
図6Bは、LLOを使用するディスプレイ装置を製造するための転写プロセスの一例を示す断面図である。
図6Aに示される第1の位置において、薄膜244が一時的基材240から分離されるように、界面242がレーザー装置100によって標的化される。同時に、薄膜244を、転写ロール250の円周面と密着させ、それに一時的に接着させることができる。このプロセスは、転写ロールの1つの側部(ここでは底部)上で行われる。
【0091】
[0098]同時に、
図6Bに示すように、転写ロールの反対側において、永久基材260を走行させて、薄膜244を、転写ロールの第2の位置において転写ロール250から永久基材260の表面に転写する。ここで、永久基材260及び薄膜244がディスプレイ装置を構成する。必要に応じて、永久基材260と薄膜244との間の結合を強化するために、永久基材260上に接着剤層270を更にコーティングすることができる。
【0092】
[0099]かかる製造装置の紫外線反射ミラーにおけるミラー基材としてアルミニウムMMC又は炭化ケイ素を使用することは、従前の溶融石英ベースのミラーを凌ぐ向上した性能を与えて、増加した生産要求を満たす。例えば、
図7~10は、他の基材材料に加えてM
MC又は炭化ケイ素及び溶融石英ベースの基材から形成される基材を含む、光学的FoM値(即ち、種々の基材材料の性能を互いに対して特徴付けるために使用される値)を示す。特に、
図7~10において、棒(1)は焼結炭化ケイ素を表し;棒(2)はMaterionからSupremex(登録商標)640XAの商品名で商業的に入手できるアルミニウム金属基複合材
料を表し;棒(3)はアルミニウム及び30体積%の炭化ケイ素の金属基複合材料を表し;棒(4)は溶融石英を表し;棒(5)はモリブデンを表し;棒(6)は6061アルミニウム合金を表し;棒(7)はタングステンを表す。
【0093】
[0100]
図7は、光学的FoM共振周波数値を示す図である。
図7においては、より高いFoM共振周波数値が基材に関して望まれる。したがって、示されるように、基材の望ましさは、一般に、左から右へ減少する。
図7のグラフ上の太い水平線は、溶融石英のFoM共振周波数値(即ち棒(4))を表し、これは好ましくは達成すべき最小値(即ち少なくとも6のFoM値)である。
図7において分かるように、モリブデン、アルミニウム6061、及びタングステン基材は、この好ましいFoM値を達成しなかった。これに対して、焼結炭化ケイ素又はアルミニウムベースのMMCから形成される基材は好ましいFoM値を達成した。言い換えれば、焼結炭化ケイ素及びMMC基材は、溶融石英ベースの基材よりもはるかに良好に機能し、即ち、焼結炭化ケイ素は全ての他の基材よりも優れていた。
【0094】
[0101]
図8は、光学的FoM自重撓み値を示す。
図8においては、より低いFoM自重撓み値が基材に関して望まれる。したがって、示されるように、基材の望ましさは、ここでも一般に左から右へ減少する。
図8のグラフ上の太い横線は、溶融石英のFoM自重撓み値(即ち棒(4))を表し、これは、好ましくは達成すべき最大値(即ち0.030未満のFoM値)である。
図8において分かるように、モリブデン、アルミニウム6061、及びタングステン基材は、この好ましいFoM値を達成しなかった。これに対して、焼結炭化ケイ素又はアルミニウムベースのMMCから形成される基材は好ましいFoM値を達成した。言い換えれば、焼結炭化ケイ素及びMMC基材は、ここでも溶融石英ベースの基材よりもはるかに良好に機能し、即ち、焼結炭化ケイ素は全ての他の基材よりも優れていた。
【0095】
[0102]
図9は、光学FoM定常状態熱変形係数値を示す。
図9においては、より低いFoM定常状態熱変形係数値が基材に関して望まれている。したがって、示されるように、基材の望ましさは、ここでも一般に左から右へ減少する。
図9のグラフ上の太い横線は、溶融石英のFoM定常状態熱変形係数値(即ち棒(4))を表し、これは好ましくは達成すべき最大値(即ち0.350未満のFoM値)である。
図9において分かるように、全ての他の基材のがこの好ましいFoM値を達成した。言い換えれば、焼結炭化ケイ素及びMMC基材は、ここでも溶融石英ベースの基材よりもはるかに良好に機能し、即ち、焼結炭化ケイ素は全ての他の基材よりも優れていた。
【0096】
[0103]最後に、
図10は、光学的FoM過渡熱変形係数値を示す。
図10においては、より低いFoM過渡熱変形係数値が基材に関して望まれている。したがって、示されるように、基材の望ましさは、ここでも一般に左から右へ減少する。
図10のグラフ上の太い横線は、溶融石英のFoM過渡熱変形係数値(即ち棒(4))を表し、これは好ましくは達成すべき最大値(即ち0.600未満のFoM値)である。
図10において分かるように、全ての他の基材がこの好ましいFoM値を達成した。言い換えれば、焼結炭化ケイ素及びMMC基材は、ここでも溶融石英ベースの基材よりもはるかに良好に機能し、即ち、焼結炭化ケイ素は全ての他の基材よりも優れていた。
【0097】
[0104]このように、本発明の基材は、(i)溶融石英基材に関する少なくとも6の光学的FoM共振周波数値、(ii)溶融石英基材に関する0.030未満の光学的FoM自
己重み削除値、(iii)溶融石英基材に関する0.350未満の光学的FoM定常状態熱歪み係数値、及び(iv)溶融石英基材に関する0.600未満の光学的FoM過渡熱歪み係数値を有する材料から製造されることが好ましい。
【0098】
[0105]かかる製造装置の紫外線反射ミラーにおける基材のために開示されたベリリウム含有材料を使用することは、従前の石英ベースのミラーを凌ぐ向上した性能を与えて、増加した生産要求を満たす。例えば、ベリリウムのより高い剛性に加えて、石英よりも速く熱を放散するベリリウムの能力は、解像度に影響を及ぼすことなく、本発明のミラーを利用するレーザーのラスタ加工速度の増加を可能にする。従って、スループットを増加させることができ、より大きなディスプレイの製造に固有の長時間の熱応力によって石英ミラーにおいて生じ得る損傷なしにより大きなディスプレイを製造することができ、製造装置のメンテナンスのためのダウンタイムを低下させることができる。
【0099】
[0106]上記で開示された特徴及び他の特徴及び用途の変形形態、又はその代替形態は、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わせることができることが明らかである。種々の現在予期されていないか又は予期されていないその中での代替、修正、変形、又は改良は、その後に当業者によって行うことができ、これもまた下記の特許請求の範囲によって包含されると意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線反射ミラーであって、
炭化ケイ素又はアルミニウム金属マトリクス複合材料(MMC)から製造されるミラー基材;及び
前記ミラー基材の表面上に堆積された紫外線反射コーティング;
を含む、上記紫外線反射ミラー。
【請求項2】
前記ミラー基材が、6061、6063、6082、2009、2618、又は2124アルミニウム合金及びアルミニウム金属マトリクス内に分散された1種類以上の強化粒子を含むアルミニウム金属マトリクス複合材料(MMC)ミラー基材であり、前記1種類以上の強化粒子が、炭化物、酸化物、ケイ化物、ホウ化物、及び窒化物からなる群から選択される少なくとも1種類のセラミック材料を含む、請求項1に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項3】
前記1種類以上の強化粒子が、炭化珪素、炭化チタン、炭化ホウ素、窒化珪素、窒化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種類のセラミック材料を含む、請求項2に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項4】
前記1種類以上の強化粒子が炭化珪素であり、前記ミラー基材が15体積%~40体積%の炭化珪素強化粒子を含む、請求項2に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項5】
前記アルミニウム金属マトリクス複合材料(MMC)ミラー基材が、6061アルミニウム合金及び15体積%~40体積%の炭化珪素強化粒子を含む、請求項2に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項6】
前記アルミニウム金属マトリクス複合材料(MMC)ミラー基材が、2124アルミニウム合金及び15体積%~40体積%の炭化珪素強化粒子を含む、請求項2に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項7】
前記アルミニウム金属マトリクス複合材料(MMC)ミラー基材が、6063、6082、2009、又は2618アルミニウム合金及び10体積%の炭化珪素強化粒子を含む、請求項2に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項8】
前記ミラー基材が炭化ケイ素から製造される、請求項1に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項9】
前記ミラー基材が、
(i)溶融石英基材に関する少なくとも6の光学性能指数(FoM)共振周波数値;
(ii)溶融石英基材に関する0.030未満の光学的FoM自重撓み値;
(iii)溶融石英基材に関する0.350未満の光学的FoM定常状態熱変形係数値;及び
(iv)溶融石英基材に関する0.600未満の光学的FoM過渡熱変形係数値;
を有する、請求項1に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項10】
前記紫外線反射コーティングが、前記ミラー基材上に堆積された基層、及び前記基層上の少なくとも1つの誘電体層を含むか、又は前記紫外線反射コーティングが、二酸化ハフニウム(HfO2)と二酸化ケイ素(SiO2)の組合せから製造される層であるか、又は前記紫外線反射コーティングが、(i)アルミニウム及び酸化ハフニウムから形成されるコーティングと(ii)アルミニウム及び二酸化ケイ素から形成されるコーティングとの交互の層から形成される、請求項1に記載の紫外線反射ミラー。
【請求項11】
装置であって、
紫外線レーザー;
前記紫外線レーザーから生成されたレーザービームを反射するように構成されている少なくとも1つの請求項1に記載の紫外線反射ミラー;及び
任意選択で、ビームホモジナイザ、ビームエキスパンダ、集束レンズ、及びビームスプリッタの1種類以上;
を含む、上記装置。
【請求項12】
電子部品の製造方法であって、
紫外線レーザー、及び請求項1に記載の紫外線反射ミラーの前記ミラー基材を含む少なくとも1つの反射ミラーを含む紫外線レーザー装置を受け取ること;
前記紫外線レーザーによってレーザービームを発生させること;及び
前記レーザービームを、前記少なくとも1つの反射ミラーで前駆体膜に向けて反射させて前記電子部品を製造すること;
を含む、上記方法。
【請求項13】
前記前駆体膜が非晶質膜である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電子部品が、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ又は低温多結晶シリコン液晶ディスプレイ(LTPS-LCD)において使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記レーザービームを前記前駆体膜上に直接反射させて、前記非晶質膜の結晶化を誘起する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体膜が一時的な基材上に載置されており、前記レーザービームを、前記一時的な基材を通して前記前駆体膜上に反射させて、前記一時的な基材から前記前駆体膜を分離する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ディスプレイ製造装置の使用方法であって、
紫外線レーザービームを少なくとも1つの反射ミラーによってシリコン膜上に反射させて、パネルディスプレイにおいて使用される電子部品を製造すること;
を含み、
前記ディスプレイ製造装置は紫外線レーザー及び前記少なくとも1つの反射ミラーを含み、前記少なくとも1つの反射ミラーは請求項1に記載の紫外線反射ミラーである、上記方法。
【請求項18】
前記シリコン膜が非晶質シリコン膜である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記紫外線レーザービームを前記シリコン膜上に直接反射させて、前記シリコン膜の結晶化を誘起する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記シリコン膜が一時的な基材上に載置されており、前記紫外線レーザービームを、前記一時的な基材を通して前記シリコン膜上に反射させて、前記一時的な基材から前記シリコン膜を分離する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記電子部品が、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ又は低温多結晶シリコン液晶ディスプレイ(LTPS-LCD)において使用される、請求項17に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
[0106]上記で開示された特徴及び他の特徴及び用途の変形形態、又はその代替形態は、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わせることができることが明らかである。種々の現在予期されていないか又は予期されていないその中での代替、修正、変形、又は改良は、その後に当業者によって行うことができ、これもまた下記の特許請求の範囲によって包含されると意図される。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
紫外線レーザー;及び
前記紫外線レーザーから生成されたレーザービームを反射するように構成されている少なくとも1つの反射ミラー;
を含み;
前記少なくとも1つのミラーは、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造されるミラー基材を含む、装置。
[態様2]
前記ミラー基材が、
(a)99.5%の最小Be含量及び0.5%の最大BeO含量を有するO-50;
(b)99%の最小Be含量及び1%の最大BeO含量を有するS-65;
(c)99%の最小Be含量及び0.7%の最大BeO含量を有するI-70;
(d)98.5%の最小Be含量及び1.5%の最大BeO含量を有するS-200;
(e)98%の最小Be含量及び2.2%の最大BeO含量を有するI-220;並びに
(f)97.5%の最小Be含量及び2.5%の最大BeO含量を有するI-250;
の少なくとも1つから選択されるグレードのベリリウムを含む、態様1に記載の装置。
[態様3]
前記ミラー基材が、ベリリウム、並びにAl、Ti、Co、Ni、Cu、Pd、Au、Nb、Ag、Ta、V、Cr、Mn、Fe、Mo、W、Re、Zr、Hf、Y、La、Ce、Th、U、Np、Pu、Am、Ca、及びMgから選択される少なくとも1種類の合金元素を含む、態様1に記載の装置。
[態様4]
前記ミラー基材が、約50重量%~約99.99重量%のベリリウム、及び約0.01重量%~約50重量%の前記少なくとも1種類の合金元素を含む、態様3に記載の装置。
[態様5]
前記ミラー基材が、炭化ケイ素又はアルミニウム金属マトリクス複合材料から製造され、
(i)溶融石英基材に関する少なくとも6の光学性能指数(FoM)共振周波数値;
(ii)溶融石英基材に関する0.030未満の光学的FoM自重撓み値;
(iii)溶融石英基材に関する0.350未満の光学的FoM定常状態熱変形係数値;及び
(iv)溶融石英基材に関する0.600未満の光学的FoM過渡熱変形係数値;
を有する、態様1に記載の装置。
[態様6]
前記ミラー基材が、アルミニウム合金及び1種類以上の強化粒子のアルミニウム金属マトリクス複合材料から製造される、態様1に記載の装置。
[態様7]
前記1種類以上の強化粒子が、炭化物、酸化物、ケイ化物、ホウ化物、及び窒化物からなる群から選択される少なくとも1種類のセラミック材料を含む、態様6に記載の装置。
[態様8]
前記1種類以上の強化粒子が炭化ケイ素を含む、態様6に記載の装置。
[態様9]
前記金属マトリクス複合材料が、約15体積%~約40体積%の炭化ケイ素で強化された6061、6063、6082、2009、2618、又は2124アルミニウム合金を含む、態様6に記載の装置。
[態様10]
前記ミラー基材が、合金又は金属マトリクス複合材料の形態であるアルミニウム-ベリリウム組成物から製造される、態様1に記載の装置。
[態様11]
前記アルミニウム-ベリリウム組成物が、少なくとも60重量%のベリリウム及び少なくとも30重量%のアルミニウムを含む、態様10に記載の装置。
[態様12]
前記少なくとも1つの反射ミラーが、前記ミラー基材上に堆積された紫外線反射コーティングを更に含む、態様1~11のいずれか1項に記載の装置。
[態様13]
前記紫外線反射コーティングが、前記ミラー基材上に堆積された基層、及び前記基層上の少なくとも1つの誘電体層を含む、態様12に記載の装置。
[態様14]
前記紫外線反射コーティングが、二酸化ハフニウム(HfO
2
)と二酸化ケイ素(SiO
2
)の組合せから製造される層であるか、又は前記紫外線反射コーティングが、(i)アルミニウム及び酸化ハフニウムから形成されるコーティング、並びに(ii)アルミニウム及び二酸化ケイ素から形成されるコーティングの交互の層から形成される、態様12に記載の装置。
[態様15]
ビームホモジナイザ、ビームエキスパンダ、集束レンズ、又はビームスプリッタを更に含む、態様1~14のいずれかに記載の装置。
[態様16]
電子部品の製造方法であって、
紫外線レーザー、及びミラー基材を含む少なくとも1つの反射ミラーを含む紫外線レーザー装置を受け取ること;
前記紫外線レーザーによってレーザービームを発生させること;及び
前記レーザービームを、前記少なくとも1つの反射ミラーで前駆体膜に向けて反射させて前記電子部品を製造すること;
を含み、
前記ミラー基材は、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造される、上記方法。
[態様17]
前記前駆体膜が非晶質膜である、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記レーザービームを前記前駆体膜上に直接反射させて、前記非晶質膜の結晶化を誘起する、態様17に記載の方法。
[態様19]
前記前駆体膜が一時的な基材上に載置されており、前記レーザービームを、前記一時的な基材を通して前記前駆体膜上に反射させて、前記一時的な基材から前記前駆体膜を分離する、態様17に記載の方法。
[態様20]
前記電子部品が、OLEDディスプレイ又はLTPS-LCDディスプレイにおいて使用される、態様16に記載の方法。
[態様21]
ディスプレイ製造装置の使用方法であって、
紫外線レーザービームを少なくとも1つの反射ミラーによってシリコン膜上に反射させて、パネルディスプレイにおいて使用される電子部品を製造すること;
を含み、
前記ディスプレイ製造装置は紫外線レーザーを含み、前記少なくとも1つの反射ミラーは、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造されるミラー基材を含む、上記方法。
[態様22]
前記シリコン膜が非晶質シリコン膜である、態様21に記載の方法。
[態様23]
前記レーザービームを前記シリコン膜上に直接反射させて、前記シリコン膜の結晶化を誘起する、態様21に記載の方法。
[態様24]
前記シリコン膜が一時的な基材上に載置されており、前記レーザービームを、前記一時的な基材を通して前記シリコン膜上に反射させて、前記一時的な基材から前記シリコン膜を分離する、態様21に記載の方法。
[態様25]
前記電子部品が、OLEDディスプレイ又はLTPS-LCDディスプレイにおいて使用される、態様21に記載の方法。
[態様26]
紫外線反射ミラーであって、
ミラー基材;及び
前記ミラー基材の表面上に堆積された紫外線反射コーティング;
を含み、
前記基材は、ベリリウム、アルミニウム金属マトリクス複合材料、又は炭化ケイ素から製造される、上記紫外線反射ミラー。
[態様27]
前記ミラー基材の裏面は、前記ミラーを強化するためのリブを含む、態様26に記載のミラー。