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特開2024-57010アルファアドレナリン作動薬の組成物および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057010
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】アルファアドレナリン作動薬の組成物および使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/4174 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/49 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61K31/4174
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/06
A61K9/12
A61K9/14
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/40
A61K47/06
A61P21/00
A61Q1/10
A61K8/49
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025657
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2022010224の分割
【原出願日】2017-01-26
(31)【優先権主張番号】62/287,391
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】518264170
【氏名又は名称】レベーション ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リットバック フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヘマチ ホウマン
(57)【要約】
【課題】治療的および美容的用途のための眼瞼形成術の非外科的代替手段を提供する。
【解決手段】アルファ-アドレナリン作動薬の美容用および治療用組成物を提供する。本開示の組成物は、眼または眼瞼への局所、経皮または非経口投与のために使用し得る。本開示の組成物は、眼の外観を改善するために美容的に、または下垂症を処置するために治療的に、使用し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚科学的に許容される担体、ミュラー筋を刺激する薬剤、および少なくとも1種類の化粧用賦形剤を含む、アイシャドー状組成物。
【請求項2】
ミュラー筋を刺激する薬剤が、アルファ-アドレナリン作動薬を含む、請求項1に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項3】
アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、請求項2に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項4】
アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、請求項3に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項5】
アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項4に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項6】
アルファ-アドレナリン作動薬が、オキシメタゾリンまたはその塩である、請求項5に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項7】
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンである、請求項6に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項8】
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンではない、請求項2~5のいずれか一項に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項9】
皮膚科学的に許容される担体が、ローション、オイル、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、およびパウダーより選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項10】
皮膚科学的に許容される担体がパウダーである、請求項9に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項11】
化粧用賦形剤が、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のアイシャドー状組成物。
【請求項12】
皮膚科学的に許容される担体、アルファ-アドレナリン作動薬、および少なくとも1種類の透過促進剤を含む、皮膚科学的組成物。
【請求項13】
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約2倍またはそれ以上増加させる、請求項12に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項14】
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約3倍またはそれ以上増加させる、請求項13に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項15】
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約0.5mmまたはそれ以上増加させる、請求項12に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項16】
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約1.0mmまたはそれ以上増加させる、請求項15に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項17】
アルファ-アドレナリン作動薬が、皮膚および中隔脂肪体(septal fat pad)を透過してミュラー筋と接触する、請求項12~16のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項18】
透過促進剤が、アルコール、スルホキシド、アゾン、ピロリドン、尿素、アルキル-N,N-二置換アミノアセタール、プロピレングリコール、界面活性剤、テルペン、テルペノイド、脂肪酸、エステル、シクロデキストリン、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項12~17のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項19】
透過促進剤が、エタノール、プロピレングリコール、ドデシル-N,N-ジメチル-アミノアセテート、酢酸エチル、アゾン、ドデシル硫酸ナトリウム、d-リモネン、オレイン酸、1,3-ジフェニル尿素、N-メチル-2-ピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、ジメチルスルホキシド、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項18に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項20】
1種または複数種の化粧用賦形剤をさらに含む、請求項12~19のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項21】
皮膚科学的に許容される担体と、アルファ-アドレナリン作動薬と、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される少なくとも1種類の化粧用賦形剤とを含む、皮膚科学的組成物。
【請求項22】
皮膚科学的に許容される担体が、ローション、オイル、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、およびパウダーより選択される、請求項12~21のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項23】
アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、請求項12~22のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項24】
アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、請求項23に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項25】
アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項12~24のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項26】
アルファ-アドレナリン作動薬が、オキシメタゾリンまたはその塩である、請求項25に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項27】
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンである、請求項26に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項28】
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンではない、請求項12~27のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項29】
1用量当たり約0.5μg~4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、請求項12~28のいずれか一項に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項30】
1用量当たり約0.5μg~2mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、請求項29に記載の皮膚科学的組成物。
【請求項31】
アルファ-アドレナリン作動薬と、アルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムとを含む、制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項32】
持続放出組成物、長期放出組成物、パルス放出組成物、および遅延放出組成物より選択される、請求項31に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項33】
送達システムが、ポリマーベースのシステム、多孔性マトリックス、ヒドロゲル放出システム、ペプチドベースのシステム、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項31または32に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項34】
持続放出組成物である、請求項31~33のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項35】
眼瞼の外表面への投与用に製剤化されている、請求項31~34のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項36】
1用量当たり約0.2μg~約6mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、請求項31~35のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項37】
1用量当たり約0.5μg~約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、請求項36に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項38】
1用量当たり約0.5μg~約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、請求項37に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項39】
ローション、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、またはパウダーとして製剤化されている、請求項31~38のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項40】
少なくとも1種類の皮膚科学的に許容される担体をさらに含む、請求項31~39のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項41】
遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される1種または複数種の化粧用賦形剤をさらに含む、請求項40に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項42】
アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、請求項31~41のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項43】
アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、請求項42に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項44】
アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項31~43のいずれか一項に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項45】
アルファ-アドレナリン作動薬が、オキシメタゾリンまたはその塩である、請求項44に記載の制御放出型皮膚科学的組成物。
【請求項46】
その必要がある対象の眼の下垂症を治療するための方法であって、アルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む、方法。
【請求項47】
組成物を1日あたり1回、2回または3回投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
組成物を2日毎に投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
組成物を3日毎に投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
組成物が、請求項1~45のいずれか1つより選択される、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
対象の眼の美容療法のための方法であって、アルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む、方法。
【請求項52】
組成物を1日あたり1回、2回または3回投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
組成物を2日毎に投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
組成物を3日毎に投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
組成物が、請求項1~45のいずれか1つより選択される、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
対象の眼の上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法であって、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む、方法。
【請求項57】
前記投与前の上眼瞼および下眼瞼の分離と比べて、上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を約10パーセントまたはそれ以上増加させる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
組成物が、請求項1~45のいずれか1つより選択される、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
対象が下垂症を有さない、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
組成物を眼球へ投与しない、請求項51~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、参照によりその全体が組み入れられる、2016年1月26日に出願された米国仮出願第62/287,391号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
眼瞼形成術は、対象の眼瞼からの過剰な皮膚、筋肉および脂肪の除去を伴う外科的処置である。眼瞼形成術は、下垂症と呼ばれる、垂れ下がった眼瞼の治療として処方され得るが、視野を改善するかまたは対象の眼の美容的外観を変化させるためにも使用され得る。この処置は、American Society of Plastic Surgeonsの2014 Plastic Surgery Report(非特許文献1)によれば、2014年に200,000件を超える外科手術が行われた米国において、上位5つの最も一般的に行われた美容処置のうちの1つであった。
【0003】
眼瞼形成術は、高価な処置であり、下垂症を修復するかまたは視力もしくは外観を改善するために外科手術を必要とするかまたは望む全ての個人に利用可能とは限らない。2014年の米国における眼瞼形成術の平均費用は、American Society of Plastic Surgeonsの報告によると、およそ2900ドルであった。費用は特定の状況において健康保険業者によって負担され得るが、健康保険業者は一般に美容整形やその合併症の費用を負担しない。
【0004】
眼瞼を支えるためにクラッチ眼鏡または特殊な強膜コンタクトレンズのような眼瞼形成術の非外科的代替手段が使用され得るが、これらの代替手段は、着用するのが煩わしく、対象に十分な症状の緩和を提供しない場合がある。利用可能な外科的代替手段はまた、美容的改善を求める個人にとって不適当である。従って、治療的および美容的用途のための眼瞼形成術の非外科的代替手段についての必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】American Society of Plastic Surgeonsの2014 Plastic Surgery Report
【発明の概要】
【0006】
本開示は、皮膚科学的に許容される担体、ミュラー筋を刺激する薬剤、および少なくとも1種類の化粧用賦形剤を含む、アイシャドー状組成物を提供する。アイシャドー状組成物のある態様において、ミュラー筋を刺激する薬剤は、アルファ-アドレナリン作動薬を含む。アイシャドー状組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される。アイシャドー状組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される。アイシャドー状組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。
【0007】
アイシャドー状組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、オキシメタゾリンまたはその塩である。アイシャドー状組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンである。アイシャドー状組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンではない。
【0008】
アイシャドー状組成物のある態様において、皮膚科学的に許容される担体は、ローション、オイル、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、およびパウダーより選択される。アイシャドー状組成物のある態様において、皮膚科学的に許容される担体はパウダーである。アイシャドー状組成物のある態様において、化粧用賦形剤は、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される。
【0009】
ある局面において、本開示は、皮膚科学的に許容される担体、アルファ-アドレナリン作動薬、および少なくとも1種類の透過促進剤を含む、皮膚科学的組成物を提供する。皮膚科学的組成物のある態様において、透過促進剤は、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約2倍以上増加させる。皮膚科学的組成物のある態様において、透過促進剤は、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約3倍以上増加させる。皮膚科学的組成物のある態様において、透過促進剤は、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約0.5mm以上増加させる。皮膚科学的組成物のある態様において、透過促進剤は、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約1.0mm以上増加させる。皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、皮膚および中隔脂肪体(septal fat pad)を透過し、ミュラー筋と接触する。皮膚科学的組成物のある態様において、透過促進剤は、アルコール、スルホキシド、アゾン、ピロリドン、尿素、アルキル-N,N-二置換アミノアセタール、プロピレングリコール、界面活性剤、テルペン、テルペノイド、脂肪酸、エステル、シクロデキストリン、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。皮膚科学的組成物のある態様において、透過促進剤は、エタノール、プロピレングリコール、ドデシル-N,N-ジメチル-アミノアセテート、酢酸エチル、アゾン、ドデシル硫酸ナトリウム、d-リモネン、オレイン酸、1,3-ジフェニル尿素、N-メチル-2-ピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、ジメチルスルホキシド、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、1種または複数種の化粧用賦形剤をさらに含む。
【0010】
ある局面において、本開示は、アルファ-アドレナリン作動薬と、少なくとも1種類の皮膚科学的に許容される担体と、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される少なくとも1種類の化粧用賦形剤とを含む、皮膚科学的組成物を提供する。皮膚科学的組成物のある態様において、皮膚科学的に許容される担体は、ローション、オイル、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、およびパウダーより選択される。皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される。皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される。皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。
【0011】
皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、オキシメタゾリンまたはその塩である。皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンである。皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンではない。皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、1用量当たり約0.5μg~約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、1用量当たり約0.5μg~約2mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0012】
アルファ-アドレナリン作動薬、およびアルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムを含む、制御放出型皮膚科学的組成物を本明細書にさらに開示する。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、持続放出組成物、長期放出組成物、パルス放出組成物、および遅延放出組成物より選択される。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、送達システムは、ポリマーベースのシステム、多孔性マトリックス、ヒドロゲル放出システム、およびペプチドベースのシステムより選択される。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は持続放出組成物である。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、眼瞼の外表面への投与用に製剤化されている。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、1用量当たり約0.2μg~約6mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、1用量当たり約0.5μg~約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、1用量当たり約0.5μg~約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0013】
制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、ローション、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、またはパウダーとして製剤化されている。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、少なくとも1種類の皮膚科学的に許容される担体をさらに含む。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、組成物は、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される1種または複数種の化粧用賦形剤をさらに含む。
【0014】
制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。制御放出型皮膚科学的組成物のある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、オキシメタゾリンまたはその塩である。
【0015】
その必要がある対象の眼の下垂症を治療するための方法であって、アルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む方法を、本明細書にさらに開示する。下垂症を治療するための方法のある態様において、組成物を1日あたり1回、2回または3回投与する。下垂症を治療するための方法のある態様において、組成物は、本明細書に記載されるアイシャドー状組成物、皮膚科学的組成物、または制御放出型皮膚科学的組成物のいずれか1つより選択される。下垂症を治療するための方法のある態様において、組成物を眼球へ投与しない。
【0016】
対象の眼の美容療法のための方法であって、アルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む方法を、本明細書にさらに開示する。美容療法のための方法のある態様において、組成物を1日あたり1回、2回または3回投与する。美容療法のための方法のある態様において、組成物は、本明細書に記載されるアイシャドー状組成物、皮膚科学的組成物、または制御放出型皮膚科学的組成物のいずれか1つより選択される。美容療法のための方法のある態様において、組成物を眼球へ投与しない。
【0017】
対象の眼の上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法であって、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む方法を、本明細書にさらに開示する。上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法のある態様において、方法は、前記投与前の上眼瞼および下眼瞼の分離と比べて、上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を約10パーセント以上増加させる。上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法のある態様において、組成物は、本明細書に記載されるアイシャドー状組成物、皮膚科学的組成物、または制御放出型皮膚科学的組成物のいずれか1つより選択される。上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法のある態様において、対象は下垂症を有さない。上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法のある態様において、組成物を眼球へ投与しない。
【0018】
[本発明1001]
皮膚科学的に許容される担体、ミュラー筋を刺激する薬剤、および少なくとも1種類の化粧用賦形剤を含む、アイシャドー状組成物。
[本発明1002]
ミュラー筋を刺激する薬剤が、アルファ-アドレナリン作動薬を含む、本発明1001のアイシャドー状組成物。
[本発明1003]
アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、本発明1002のアイシャドー状組成物。
[本発明1004]
アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、本発明1003のアイシャドー状組成物。
[本発明1005]
アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1004のアイシャドー状組成物。
[本発明1006]
アルファ-アドレナリン作動薬が、オキシメタゾリンまたはその塩である、本発明1005のアイシャドー状組成物。
[本発明1007]
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンである、本発明1006のアイシャドー状組成物。
[本発明1008]
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンではない、本発明1002~1005のいずれかのアイシャドー状組成物。
[本発明1009]
皮膚科学的に許容される担体が、ローション、オイル、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、およびパウダーより選択される、本発明1001~1008のいずれかのアイシャドー状組成物。
[本発明1010]
皮膚科学的に許容される担体がパウダーである、本発明1009のアイシャドー状組成物。
[本発明1011]
化粧用賦形剤が、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される、本発明1001~1010のいずれかのアイシャドー状組成物。
[本発明1012]
皮膚科学的に許容される担体、アルファ-アドレナリン作動薬、および少なくとも1種類の透過促進剤を含む、皮膚科学的組成物。
[本発明1013]
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約2倍またはそれ以上増加させる、本発明1012の皮膚科学的組成物。
[本発明1014]
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約3倍またはそれ以上増加させる、本発明1013の皮膚科学的組成物。
[本発明1015]
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約0.5mmまたはそれ以上増加させる、本発明1012の皮膚科学的組成物。
[本発明1016]
透過促進剤が、アルファ-アドレナリン作動薬の皮膚透過を約1.0mmまたはそれ以上増加させる、本発明1015の皮膚科学的組成物。
[本発明1017]
アルファ-アドレナリン作動薬が、皮膚および中隔脂肪体(septal fat pad)を透過してミュラー筋と接触する、本発明1012~1016のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1018]
透過促進剤が、アルコール、スルホキシド、アゾン、ピロリドン、尿素、アルキル-N,N-二置換アミノアセタール、プロピレングリコール、界面活性剤、テルペン、テルペノイド、脂肪酸、エステル、シクロデキストリン、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1012~1017のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1019]
透過促進剤が、エタノール、プロピレングリコール、ドデシル-N,N-ジメチル-アミノアセテート、酢酸エチル、アゾン、ドデシル硫酸ナトリウム、d-リモネン、オレイン酸、1,3-ジフェニル尿素、N-メチル-2-ピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、ジメチルスルホキシド、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1018の皮膚科学的組成物。
[本発明1020]
1種または複数種の化粧用賦形剤をさらに含む、本発明1012~1019のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1021]
皮膚科学的に許容される担体と、アルファ-アドレナリン作動薬と、遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される少なくとも1種類の化粧用賦形剤とを含む、皮膚科学的組成物。
[本発明1022]
皮膚科学的に許容される担体が、ローション、オイル、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、およびパウダーより選択される、本発明1012~1021のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1023]
アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、本発明1012~1022のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1024]
アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、本発明1023の皮膚科学的組成物。
[本発明1025]
アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1012~1024のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1026]
アルファ-アドレナリン作動薬が、オキシメタゾリンまたはその塩である、本発明1025の皮膚科学的組成物。
[本発明1027]
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンである、本発明1026の皮膚科学的組成物。
[本発明1028]
アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンではない、本発明1012~1027のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1029]
1用量当たり約0.5μg~4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、本発明1012~1028のいずれかの皮膚科学的組成物。
[本発明1030]
1用量当たり約0.5μg~2mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、本発明1029の皮膚科学的組成物。
[本発明1031]
アルファ-アドレナリン作動薬と、アルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムとを含む、制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1032]
持続放出組成物、長期放出組成物、パルス放出組成物、および遅延放出組成物より選択される、本発明1031の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1033]
送達システムが、ポリマーベースのシステム、多孔性マトリックス、ヒドロゲル放出システム、ペプチドベースのシステム、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1031または1032の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1034]
持続放出組成物である、本発明1031~1033のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1035]
眼瞼の外表面への投与用に製剤化されている、本発明1031~1034のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1036]
1用量当たり約0.2μg~約6mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、本発明1031~1035のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1037]
1用量当たり約0.5μg~約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、本発明1036の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1038]
1用量当たり約0.5μg~約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、本発明1037の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1039]
ローション、クリーム、バター、ゲル、軟膏、スプレー、ミルク、またはパウダーとして製剤化されている、本発明1031~1038のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1040]
少なくとも1種類の皮膚科学的に許容される担体をさらに含む、本発明1031~1039のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1041]
遮光剤、香料、顔料、および抗酸化剤より選択される1種または複数種の化粧用賦形剤をさらに含む、本発明1040の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1042]
アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、本発明1031~1041のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1043]
アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、本発明1042の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1044]
アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1031~1043のいずれかの制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1045]
アルファ-アドレナリン作動薬が、オキシメタゾリンまたはその塩である、本発明1044の制御放出型皮膚科学的組成物。
[本発明1046]
その必要がある対象の眼の下垂症を治療するための方法であって、アルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む、方法。
[本発明1047]
組成物を1日あたり1回、2回または3回投与する、本発明1046の方法。
[本発明1048]
組成物を2日毎に投与する、本発明1046の方法。
[本発明1049]
組成物を3日毎に投与する、本発明1046の方法。
[本発明1050]
組成物が、本発明1001~1045のいずれか1つより選択される、本発明1046~1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
対象の眼の美容療法のための方法であって、アルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む、方法。
[本発明1052]
組成物を1日あたり1回、2回または3回投与する、本発明1051の方法。
[本発明1053]
組成物を2日毎に投与する、本発明1051の方法。
[本発明1054]
組成物を3日毎に投与する、本発明1051の方法。
[本発明1055]
組成物が、本発明1001~1045のいずれか1つより選択される、本発明1051~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
対象の眼の上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法であって、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物を対象の該眼の眼瞼の外表面へ投与する工程を含む、方法。
[本発明1057]
前記投与前の上眼瞼および下眼瞼の分離と比べて、上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を約10パーセントまたはそれ以上増加させる、本発明1056の方法。
[本発明1058]
組成物が、本発明1001~1045のいずれか1つより選択される、本発明1056または1057の方法。
[本発明1059]
対象が下垂症を有さない、本発明1051~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
組成物を眼球へ投与しない、本発明1051~1059のいずれかの方法。
参照による組み入れ
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み入れられるように具体的かつ個々に示されたものと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本開示は、アルファ-アドレナリン作動薬の組成物および使用を提供する。ある態様において、本開示の組成物は、アルファ-アドレナリン作動薬を含み、局所、経皮、または非経口投与に適している。特定の態様において、本開示は、局所、経皮、または非経口投与用のアルファ-アドレナリン作動薬の制御放出組成物を提供する。特定の態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-アドレナリン作動性アゴニスト、例えば、オキシメタゾリンである。
【0020】
本開示の組成物は、対象の下垂症を治療するための眼瞼形成術の代替手段として使用され得る。ある態様において、本開示の組成物は、侵襲的な外科的処置の必要なく、対象の上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるかまたは対象の視軸を改善するために使用される。特定の態様において、組成物は、下垂症に苦しんでいない対象へ投与される。本開示の組成物は、眼の外観を改善するためなど、美容目的のために使用され得る。
【0021】
ある態様において、本開示は、眼瞼の外表面、またはその任意の部分への局所投与用の、組成物、例えば、化粧用組成物であって、ここで、組成物がミュラー筋を刺激する薬剤を含む、組成物を提供する。ミュラー筋を刺激する薬剤は、当技術分野において公知であり、例えば、アルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0022】
アルファ-アドレナリン作動薬
ある態様において、本開示は、アルファ-アドレナリン作動性受容体を調節する化合物であるアルファ-アドレナリン作動薬を提供する。本開示のアルファ-アドレナリン作動薬は、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択され得る。特定の態様において、本開示は、アルファ-1およびアルファ-2アドレナリン作動性受容体のうちの1つまたは複数をアゴナイズするアルファ-アドレナリン作動薬を提供する。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1およびアルファ-2アドレナリン作動性受容体をアゴナイズする。特定の態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1およびアルファ-2アドレナリン作動性受容体をアゴナイズし、オキシメタゾリン以外の化合物より選択される。特定の態様において、本開示は、アルファ-1およびアルファ-2アドレナリン作動性受容体のうちの1つまたは複数をアンタゴナイズするアルファ-アドレナリン作動薬を提供する。
【0023】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1アドレナリン作動性受容体をアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1アドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-2アドレナリン作動性受容体をアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン作動性受容体を部分的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストはオキシメタゾリンである。特定の態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-1アドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズし、アルファ-2アドレナリン作動性受容体を部分的にアゴナイズし、オキシメタゾリン以外の化合物より選択される。
【0024】
用語「アゴニスト」、または「アゴナイズする」化合物は、本明細書において使用される場合、一般に、特異的受容体へ結合し、細胞中において応答を誘発する化合物を指す。アゴニストは、一般に、同じ受容体へ結合する内因性リガンドの作用を模倣する。
【0025】
用語「アンタゴニスト」は、本明細書において使用される場合、アゴニストによって活性化された受容体に対する細胞応答を縮小、阻害または妨害する、化合物のような分子を指す。アンタゴニストとしては、競合的アンタゴニスト、非競合的アンタゴニスト、不競合的アンタゴニスト、部分的アゴニストおよびインバースアゴニストが挙げられ得るが、これらに限定されない。競合的アンタゴニストは、必ずしも受容体を活性化することなく、内因性リガンドまたはアゴニストと同じ結合部位(活性部位)で受容体へ可逆的に結合することができる。非競合的アンタゴニスト(アロステリックアンタゴニストとしても公知)は、アゴニストとは明確に別の結合部位へ結合し、他の結合部位を介してその受容体に対してそれらの作用を発揮することができる。非競合的アンタゴニストは、一般に、結合についてアゴニストと競合しない。受容体への非競合的アンタゴニストの結合は、その受容体へのアゴニストの親和性を減少させ得る。あるいは、受容体への非競合的アンタゴニストの結合は、アゴニスト媒介受容体活性化のために必要な受容体の構造変化を妨げ得る。非競合的アンタゴニストは、それらが別のアロステリック結合部位へ結合することができる前に、アゴニストによる受容体活性化を必要とし得る。
【0026】
「部分的アゴニスト」または「部分的にアゴナイズする」化合物は、所与の受容体で、最大受容体占有後にそれらが誘発する機能的応答の大きさが異なり得る化合物を指す。部分的アゴニストは、アゴニストであるが、完全アゴニストと同時投与されると、受容体占有について完全アゴニストと競合するため、競合的アンタゴニストとして作用し得、完全アゴニスト単独で観察される受容体活性化の正味の減少をもたらす。
【0027】
「完全アゴニスト」またはアルファ-アドレナリン作動性受容体を「完全にアゴナイズする」化合物は、受容体を活性化しその受容体で完全な効力をもたらす化合物を指す。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「選択的に」アゴナイズするとは、非標的受容体よりも大きな親和性で標的受容体をアゴナイズする、本明細書に記載される化合物の能力を指す。化合物がアルファ-1またはアルファ-2アドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズするかどうかを決定するための方法は周知である(例えば、A. Megans et al. Eur. J. Pharm. V. 129, I. 1-2, p 57-64 (1996))。
【0029】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、長時間作用型アルファ-アドレナリン作動薬および短時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストより選択される。本明細書において使用される場合、「長時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニスト」は、正常な成人において3時間を超える全身半減期を有するアルファアドレナリン作動性アゴニストである。長時間作用型アルファアドレナリン作動性アゴニストとしては、非限定的に、オキシメタゾリン、メトキサミン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、およびアプラクロニジン(Iopidine(登録商標)としても公知)が挙げられる。ある態様において、長時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、オキシメタゾリンであり、半減期は5~6時間と報告されている。一態様において、長時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、長時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストの薬学的に許容される塩である。ある態様において、長時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩、例えば、オキシメタゾリン塩酸塩である。
【0030】
本明細書において使用される場合、「短時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニスト」は、正常な成人において3時間以下の全身半減期を有するアルファ-アドレナリン作動性アゴニストである。短時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストとしては、非限定的に、フェニレフリンおよびブリモニジンが挙げられる。一態様において、短時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、短時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストの薬学的に許容される塩である。ある態様において、短時間作用型アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、フェニレフリンまたはその薬学的に許容される塩、例えば、フェニレフリン塩酸塩である。
【0031】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、アルファ-1Aアドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、アルファ-1Bアドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、アルファ-1Dアドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、アルファ-2Aアドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、アルファ-2Bアドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、アルファ-2Cアドレナリン作動性受容体を選択的にアゴナイズする。
【0032】
ある態様において、アルファ-1アドレナリン作動性アゴニストは、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。ある態様において、アルファ-1アドレナリン作動性アゴニストは、オキシメタゾリンまたはその塩である。
【0033】
ある態様において、アルファ-1アドレナリン作動性アゴニストは、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。
【0034】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストは、選択的アルファ-1Aアドレナリン作動性アゴニストである。いくつかの態様において、アルファ-1A選択的アドレナリン作動性アゴニストは、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾールまたはA-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)である。
【0035】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-2アドレナリン作動性アゴニストである。ある態様において、アルファ-2アドレナリン作動性アゴニストは、アグマチン、アミトラズ、アプラクロニジン(lopidine)、ブリモニジン、カンナビゲロール、カンナビバリン、クロニジン、デトミジン、デクスメデトミジン、ジヒドロエルゴタミン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エルゴタミン、エピネフリン(アドレナリン)、エスプロキン、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、ファドルミジン、6-フルオロノルエピネフリン、グアナベンズ、グアンファシン、グアノキサベンズ、レボノルデフリン、ロフェキシジン、マルサニジン(marsanidine)、7-Me-マルサニジン、メデトミジン、メタンフェタミン、メチルドーパ、ミバゼロール、ナファゾリン、4-NEMD(4-(1-ナフタレン-1-イルエチル)-1H-イミダゾール)、(R)-3-ニトロビフェニリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、フェニルプロパノールアミン、ピペロキサン、プソイドエフェドリン、リルメニジン、ロミフィジン、タリペキソール、テトラヒドロゾリン、チザニジン、トロニジン、ウラピジル、キシラジン、キシロメタゾリン、それらのいずれか1つの塩、およびそれらの任意の組み合わせより選択される。
【0036】
本明細書に記載される組成物は、活性成分として少なくとも1種類のアルファ-アドレナリン作動薬を、遊離酸もしくは遊離塩基の形態で、または薬学的に許容される塩の形態で含み得る。本開示に含まれるのは、本明細書におけるアルファ-アドレナリン作動薬の塩、特に薬学的に許容される塩である。十分に酸性の、十分に塩基性の、または両方の官能基を有する本開示のアルファ-アドレナリン作動薬は、多数の無機塩基ならびに無機酸および有機酸のいずれかと反応し、塩を形成することができる。あるいは、第四級窒素を有するもののような、本質的に帯電している化合物は、適切な対イオンと、塩、例えば、ハロゲン化物、例えば、臭化物、塩化物、またはフッ化物、特に臭化物を形成することができる。
【0037】
本明細書に記載されるアルファ-アドレナリン作動薬は、いくつかの場合、ジアステレオマー、エナンチオマー、または他の立体異性形態として存在し得る。本明細書に提示される化合物は、全てのジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー形態、ならびにそれらの適切な混合物を含む。立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマーの形成および再結晶もしくはクロマトグラフィーによる分離によって、またはそれらの任意の組み合わせによって行われ得る。(本開示について参照により本明細書に組み入れられる、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981)。立体異性体はまた、立体選択的合成によって得てもよい。
【0038】
本明細書に記載される方法および組成物は、アモルファス形態ならびに結晶形態(多形体としても公知)の使用を含む。同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝産物は、本開示の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態、ならびに水、エタノールなどのような薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示されるアルファ-アドレナリン作動薬の溶媒和形態もまた、本明細書に開示されていると見なされる。いくつかの状況において、アルファ-アドレナリン作動薬は互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体が、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。
【0039】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬はプロドラッグであり得、例えば、ここで、親化合物中のヒドロキシルは、エステル、カーボネートとして提示され、または親化合物中に存在するカルボン酸は、エステルとして提示される。あるそのような態様において、プロドラッグは、インビボで活性親化合物へ代謝され、例えば、エステルは、対応するヒドロキシル、または酸へ、加水分解される。
【0040】
化粧用および薬学的組成物
ある態様において、ミュラー筋を刺激する薬剤、例えば、アルファ-アドレナリン作動性アゴニスト、またはその化粧用にまたは薬学的に許容される塩、多形体、溶媒和物、プロドラッグ、N-オキシドもしくは異性体と、賦形剤とを含む、化粧用および治療用組成物を本明細書に提供する。いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、薬学的または化粧用組成物へ製剤化される。化粧用または薬学的組成物は、薬学的にまたは化粧用に使用され得る調製物への活性化合物の加工を容易にする1つまたは複数の薬学的に許容される不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化され得る。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本開示の例示的な組成物としては、そのような開示について参照により本明細書に組み入れられる、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)に見られるものが挙げられる。
【0041】
ある態様において、本明細書に記載されるようなアルファ-アドレナリン作動薬と、少なくとも1種類の化粧用または薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物を本明細書に提供する。ある態様において、少なくとも1種類の化粧用または薬学的に許容される賦形剤は、担体、緩衝剤、結合剤、充填剤、懸濁化剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、可溶化剤、可塑剤、安定剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、顔料、またはそれらの組み合わせより選択される。ある態様において、少なくとも1種類の化粧用または薬学的に許容される賦形剤は、本明細書に記載されるもののような、化粧用賦形剤である。
【0042】
ある態様において、本開示の組成物は、2種類以上のアルファ-アドレナリン作動薬、例えば、2種類のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0043】
本明細書に記載される組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、局所、または経皮投与経路を含むがこれらに限定されない、適切な投与経路によって対象へ投与される。本明細書に記載される組成物としては、水性液体分散液、液体、ゲル、スラリー、懸濁液、自己乳化性分散液、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、粉末、即時放出製剤、制御放出組成物、凍結乾燥製剤、遅延放出製剤、徐放製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、および即時放出・制御放出混合組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書に記載されるアルファ-アドレナリン作動薬を含む組成物は、従来の方法、例えば、ほんの一例として、従来の混合、溶解、造粒、糖衣作製、粉末化、乳化、カプセル化、封入、または圧縮プロセスによって、製造され得る。
【0045】
当業者によって理解されるように、対象へアルファ-アドレナリン作動薬を投与する最も適切な方法は、多数の因子に依存する。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を眼または眼瞼へ局所投与する。いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を、眼瞼へ、例えば眼瞼の外表面へ、局所投与する。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、眼瞼への美容的塗布用に製剤化されており、追加の薬剤、例えば、遮光剤、ビタミン、保湿剤(例えば、ヒアルロン酸)、抗酸化剤、顔料、天然油もしくはバター、または必須脂肪酸を含み得る。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、眼瞼の外表面への局所投与用のローションまたは化粧品、例えば、アイシャドーまたはアイライナーとして製剤化される。
【0046】
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を、眼瞼中へ注射するなど、非経口投与する。アルファ-アドレナリン作動薬を、眼角静脈へ注射するなど、眼瞼または周囲領域中へ静脈内注射してもよい。アルファ-アドレナリン作動薬を、眼瞼中へ皮下注射によって投与するなど、皮下投与してもよい。いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を、眼瞼内のミュラー筋中への注射によってなど、筋肉内投与する。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を、中隔前、中隔後、または中隔後脂肪体中へ投与する。
【0047】
非経口製剤
いくつかの態様において、ミュラー筋を刺激する薬剤、例えば、アルファ-アドレナリン作動薬を、注射によってなど、非経口投与する。非経口投与は、ボーラス注射または持続注入を伴い得る。注射用の製剤は、単位投薬形態で、例えば、アンプルでまたは多回投与用容器で、保存剤が添加された状態で、提示され得る。本明細書に記載される薬学的組成物は、非経口注射に適した形態、例えば、油性または水性ビヒクル中の無菌懸濁液、溶液、またはエマルジョンであり得、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤のような追加の薬剤を含有し得る。
【0048】
非経口投与用の製剤としては、水溶性形態のアルファ-アドレナリン作動薬の水溶液が挙げられる。さらに、アルファ-アドレナリン作動薬の懸濁液が、適切な油性注射懸濁液として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えば、ゴマ油;合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル;トリグリセリド;またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有し得る。任意で、懸濁液はまた、高濃縮溶液の調製を可能にするために、好適な安定剤または化合物の溶解性を増加させる薬剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であってもよい。ある態様において、例えば、リポソームおよびエマルジョンのような、薬学的化合物のためのシステムが使用され得る。
【0049】
筋肉内、皮下、または静脈内注射に適している製剤としては、生理学的に許容される無菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、ならびに無菌注射溶液または分散液への再構成のための無菌粉末が挙げられ得る。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、それらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合は必要な粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0050】
皮下注射に適している製剤はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のような、添加剤を含有し得る。微生物の増殖の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤によって確実にすることができる。等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどを含めることが望ましい場合もある。注射可能な薬学的形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような、吸収を遅らせる薬剤の使用によってもたらすことができる。
【0051】
静脈内注射のために、アルファ-アドレナリン作動薬は、水溶液中に、好ましくは生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩水緩衝液中に、製剤化され得る。
【0052】
様々な態様において、注射用組成物は、1用量当たり約0.1μg~約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。ある態様において、注射用組成物は、1用量当たり約0.1mg~約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、組成物は、1用量当たり約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2.0mg、2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、約2.5mg、約2.6mg、約2.7mg、約2.8mg、約2.9mg、約3.0mg、3.1mg、約3.2mg、約3.3mg、約3.4mg、約3.5mg、約3.6mg、約3.7mg、約3.8mg、約3.9mg、約4.0mg、4.1mg、約4.2mg、約4.3mg、約4.4mg、約4.5mg、約4.6mg、約4.7mg、約4.8mg、約4.9mg、約5.0mg、5.1mg、約5.2mg、約5.3mg、約5.4mg、約5.5mg、約5.6mg、約5.7mg、約5.8mg、約5.9mg、約6.0mg、6.1mg、約6.2mg、約6.3mg、約6.4mg、約6.5mg、約6.6mg、約6.7mg、約6.8mg、約6.9mg、約7.0mg、7.1mg、約7.2mg、約7.3mg、約7.4mg、約7.5mg、約7.6mg、約7.7mg、約7.8mg、約7.9mg、約8.0mg、8.1mg、約8.2mg、約8.3mg、約8.4mg、約8.5mg、約8.6mg、約8.7mg、約8.8mg、約8.9mg、約9.0mg、9.1mg、約9.2mg、約9.3mg、約9.4mg、約9.5mg、約9.6mg、約9.7mg、約9.8mg、約9.9mg、または約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。ある態様において、この段落中の用量のうちの任意の2つを組み合わせて、本開示内に含まれる投薬量の範囲とし得、例えば、注射用組成物は、1用量当たり約1.0mg~約9.0mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0053】
いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり約0.1mg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり約0.5mg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり約1mg~約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり約3mg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0054】
いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり0.5mg以下、例えば、約0.05mg~約0.4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり1mg以下、例えば、約0.05mg~約0.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり2mg以下、例えば、約0.05mg~約1.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり4mg以下、例えば、約0.05mg~約3.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり少なくとも0.5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり少なくとも1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり少なくとも2mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり少なくとも4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0055】
いくつかの態様において、注射用組成物は、1用量当たり約0.5μg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬、例えば、約0.5μg~約10μg、約0.5μg~約0.1mg、約0.5μg~約0.5mg、約10μg~約0.1mg、約10μg~約0.5mg、約0.1mg~約0.5mg、または約0.1mg~約1mgを含む。
【0056】
様々な態様において、注射用組成物の用量を、必要に応じて、毎日、毎週、または毎月、注射する。いくつかの態様において、注射用組成物の用量を、必要に応じて、1日1回、1日2回、または1日3回、注射する。いくつかの態様において、注射用組成物の用量を隔日に注射する。ある態様において、注射用組成物の用量を3日毎、4日毎、または5日毎に注射する。
【0057】
局所/経皮製剤
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、局所投与用組成物へ製剤化される。いくつかの態様において、局所製剤を眼瞼の外部表面へ投与する。いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、経皮投与用組成物へ製剤化される。いくつかの態様において、経皮製剤を眼瞼の外部表面へ投与する。
【0058】
局所製剤
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を対象へ局所投与する。ある態様において、本開示の局所組成物は、皮膚科学的組成物であり、皮膚の表面、例えば、上眼瞼のような眼瞼の外表面へ塗布される。いくつかの態様において、局所製剤は、アルファ-アドレナリン作動薬および1種または複数種の賦形剤を含む。いくつかの態様において、局所製剤は、化粧、薬学、または皮膚科学の分野において通常の皮膚科学的に許容される担体のような、皮膚科学的に許容される担体を含む。ある態様において、本開示の組成物は、少なくとも1種類の賦形剤をさらに含む。本明細書において使用される場合、用語「皮膚科学的に許容される担体」は、皮膚科学的組成物中における使用に適していることが当技術分野において公知のビヒクル、希釈剤、および担体を指す。皮膚科学的に許容される担体は、担体の構造および機能を増強する補助剤、添加剤、および賦形剤、例えば、これらに限定されないが、緩衝剤、保存剤、ゲル化剤、レオロジー調整剤および安定剤、保湿剤、および保水剤をさらに含み得る。好適な成分は、過度の毒性、刺激、またはアレルギー反応なく、ヒトの皮膚と接触しての使用に適していることが当技術分野において公知であるものである。好適な材料は、2006年2月9日のEuropean Commission Decision 2006/257/ECにおいて提供された、“Inventory of ingredients employed in cosmetic products”より選択され得る。
【0059】
皮膚科学的に許容される担体は、水性、水性/アルコール性または油性溶液;粉末;ローションもしくはセラムタイプの分散液;無水もしくは親油性ゲル;水相中の脂肪相(O/W)もしくはその逆(W/O)の分散によって得られる、液体もしくは半液体コンシステンシーのエマルジョン;または、クリームもしくはゲルタイプの滑らかな、半固体もしくは固体コンシステンシーの懸濁液もしくはエマルジョンの形態であり得る。皮膚科学的に許容される担体は、液体、ローション、クリーム、バター、ゲル、軟膏、またはパウダーの物理的形態をとり得る。ある態様において、皮膚科学的に許容される担体は、眼瞼の外表面への投与について許容される担体より選択される。
【0060】
ローションまたはクリームの形態の水含エマルジョンは、有効量の組成物を、処置の必要のある皮膚の領域へ塗布することを可能にし、すぐには乾燥せず、長期間の皮膚とアルファ-アドレナリン作動薬との接触を維持し得る。ローションおよびクリームはまた、角質層を保湿し軟化することによって、表皮中へのアルファ-アドレナリン作動薬の浸透速度を改善する。いくつかの態様において、本発明に従うローションおよびクリーム組成物は、水および有効量の乳化剤を含む。
【0061】
いくつかの態様において、組成物は、皮膚科学的に許容される油を含む。好適な油は化粧品の技術分野において周知であり、これらとしては、ブドウ種子油、オリーブ油、スイートアーモンド油、アボカド油、ゴマ油、キャノーラ油、ホホバ油など、ならびに鉱油および合成油、例えばジメチコンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、組成物は、シアバター、ココアバター、イリッペバター、マンゴーバター、アボカドバターなどを含むがこれらに限定されない、半固体トリグリセリドを含む。ある態様において、組成物はシリコーンを含む。
【0062】
いくつかの態様において、組成物は、ステアリン酸または12-ヒドロキシステアリン酸のような、スティフナー(stiffener)を含む。スティフナーの量は、例えば、ローションが望ましいかクリームが望ましいかに依存して変化し得る。ある態様において、局所組成物はヒアルロン酸またはその塩を含む。
【0063】
いくつかの態様において、組成物は、軟膏中へ水を均一に組み込むために乳化剤、例えば、乳化ワックスNF、ステアリン酸グリセリル、セテアリルアルコール、またはステアロイルラクチル酸ナトリウムのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、組成物は、グリセリン、糖アルコール、またはアロエベラゲルを含むがこれらに限定されない、保水剤を含む。
【0064】
ある態様において、担体は増粘剤を含み得る。例示的な増粘剤は、商標Carbopol下で入手可能な架橋ポリアクリル酸材料である。キサンタン、カラゲナン、ゼラチン、カラヤ、ペクチンおよびローカストビーンガムのようなガムが用いられ得る。ある状況下では、増粘機能は、シリコーンまたは皮膚軟化剤としても役立つ材料によって達成され得る。
【0065】
ある態様において、皮膚科学的に許容される担体はパウダーを含む。組成物のパウダーは、チョーク、タルク、カオリン、デンプン、雲母、スメクタイトクレイ、化学修飾されたケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機的に修飾されたモンモリロナイトクレイ、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネートおよびそれらの混合物より選択され得る。
【0066】
本発明の組成物は、化粧、薬学または皮膚科学の分野において通常である添加剤および補助剤、例えば、ゲル化剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、香料、充填剤、殺菌剤、臭気吸収剤、遮光剤、または顔料を含み得る。これらの様々な添加剤および補助剤の量は、当分野において通常使用される量であり、例えば、組成物の総重量の約0.01 %~約90%の範囲にある。特定の態様において、本開示の組成物は、眼瞼の外表面への投与に適した1種または複数種の化粧用賦形剤を含む。
【0067】
ある態様において、本開示の組成物は、ミュラー筋を刺激する薬剤および少なくとも1種類の化粧用賦形剤を含む。「化粧用賦形剤」は、本明細書において使用される場合、本明細書に記載される組成物(例えば、皮膚科学的組成物)の1つまたは複数の化粧用特性を増強するために使用される賦形剤を指す。ある態様において、化粧用特性は、組成物の外観、匂い、質感、塗布の容易さなどである。ある態様において、化粧用特性は、皮膚の外観もしくは質感の改善、しわの外観の低減、放射線からの皮膚の保護、皮膚上の跡もしくはしみのカバー、またはそれらの任意の組み合わせのような、組成物の使用の効果である。
【0068】
「アイシャドー状組成物」は、本明細書に記載される場合、眼瞼の外表面への投与に適した組成物を指す。アイシャドー状組成物は、いかなる特定のタイプの組成物または塗布方法にも限定されるようには意図されず、眼瞼の外表面またはその任意の部分への、例えば、塗布具、指、またはブラシなどを使用しての、塗布に適した、例えば、リキッド、クリーム、パウダーなどを含み得る。本開示のアイシャドー状組成物は、1種または複数種の化粧用賦形剤を含み得る。
【0069】
いくつかの態様において、組成物は、ソルビン酸カリウム、クエン酸、プロピルパラベン、メチルパラベン、グリコール、トコフェロール、ジアゾリジニル尿素、およびイミダゾリジニル尿素を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の保存剤の有効量を含む。いくつかの態様において、組成物は、上記の油およびトリグリセリドのいずれかを含み、炭化水素基剤、例えば、固形パラフィン、軟パラフィン、微結晶ワックス、またはセレシンワックスをさらに含み得る。いくつかの態様において、非炭化水素基剤、例えば、羊毛脂または蜜蝋も用いられる。
【0070】
いくつかの態様において、組成物は遮光剤を含む。ある態様において、遮光剤は、酸化亜鉛、二酸化チタン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、アボベンゾン、アントラニル酸メンチル(menthyl anthranilate)、シノキセート、エカムスル、サリチル酸オクチル、メトキシケイ皮酸オクチル(octyl mehtoxycinnamate)、スリソベンゾン、オキシベンゾン、およびそれらの組み合わせより選択される。
【0071】
ある態様において、本開示の組成物は、以下のうちの1つまたは複数を含む:雲母、PTFE、ステアリン酸亜鉛、シリカ、イソエイコサン、ポリイソブテン、ラウロイルリジン、ジメチコン、窒化ホウ素、ポリエチレン、フェノキシエタノール、ナイロン-12、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、パルミチン酸エチルヘキシル、エチレン/アクリル酸共重合体、ポロキサマー、合成蝋、酸化スズ、カオリン、トリエチルヘキサノイン、水素添加レシチン、トコフェリルアセテート、カプリリルグリコール、ヘキシレングリコール、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、エチルヘキシルグリセリン(ethylhexylgycerin)、合成サファイア、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、C13-16イソパラフィン、オクタデセン、ステアリルジメチコン、二酸化チタンCI 77891、酸化鉄CI 77491CI 77492CI 77499、ウルトラマリンCI 77007、カルミンCI 75470、マンガンバイオレットCI 77742、イエロー5レーキCI 19140、フェロシアン化第二鉄CI 77510、オキシ塩化ビスマスCI 77163、水酸化クロムグリーンCI 77289、酸化クロムグリーンCI 77288、酸化亜鉛、ブルー1レーキCI 42090、フェリックアンモニウムフェロシアニドCI 77510、ブロンズ粉、DCブラックNo. 2 CI 77266、およびレッド40レーキCI 16035。
【0072】
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、眼瞼(例えば、上眼瞼)の外表面への投与に適したアイシャドー状組成物として製剤化される。いくつかの態様において、アイシャドーはパウダーを含む。好適なパウダーは、一般に、約0.02~約200、好ましくは約0.5~約100ミクロンの粒子サイズを有する乾燥した粒子状物質を含む。いくつかの態様において、粒子状物質は着色されている。アイシャドー状組成物中に使用され得る好適なパウダーとしては、例えば、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粒子化テフロン、窒化ホウ素、アクリレートポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、トウモロコシデンプン、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、ケイ酸、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶性セルロース、米デンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、セリサイト、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粒、およびそれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様において、パウダーは、パウダー表面をコーティングして粒子に疎水性を与えるために、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン油、または様々な他の薬剤で、単独でまたは組み合わせてのいずれかで、表面処理される。
【0073】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるアイシャドー状組成物のパウダーは、有機または無機顔料を含む。有機顔料は、D&CおよびFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどと呼ばれる、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、およびキサンチン色素を含む、芳香族化合物より選択され得る。有機顔料は、レーキと呼ばれる、認定された着色添加剤の不溶性金属塩より選択され得る。無機顔料としては、酸化鉄、ウルトラマリンおよびクロムまたは水酸化クロム着色料、ならびにそれらの混合物が挙げられる。パウダー成分中に使用される顔料のパーセンテージは、製剤化される化粧品のタイプに依存し、通常、化粧用組成物全体の約5~約50%の範囲にある。いくつかの態様において、顔料:パウダー重量比は、約1:20~約20:1または約1:10~約1:2の範囲にある。
【0074】
いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約0.1μg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約0.5μg~約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約1μg~約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約3μg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0075】
いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約0.5μg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬、例えば、1用量当たり約0.5μg~約10μg、約0.5μg~約0.1mg、約0.5μg~約0.5mg、約10μg~約0.1mg、約10μg~約0.5mg、約0.1mg~約0.5mg、または約0.1mg~約1mgを含む。
【0076】
いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約0.5mg以下、例えば、約0.5μg~約0.4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約1mg以下、例えば、約0.5μg~約0.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所/経皮組成物は、1用量当たり約2mg以下、例えば、約0.5μg~約1.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり約4mg以下、例えば、約0.5μg~約3.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0077】
いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり少なくとも約0.5μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり少なくとも約1μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり少なくとも約2μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所組成物は、1用量当たり少なくとも約4μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0078】
様々な態様において、局所組成物の用量を、必要に応じて、対象の眼瞼の外表面へ塗布する。いくつかの態様において、局所組成物の用量を、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日7回、1日8回、1日9回、または1日10回、塗布する。局所組成物の用量を、1日1~10回、例えば1日1~5回、対象の眼瞼へ塗布してもよい。ある態様において、局所組成物の用量を、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、またはさらには7日毎に1回、塗布する。
【0079】
ある態様において、局所組成物は、アルファ-アドレナリン作動薬の持続放出を提供する。ある態様において、局所組成物は、対象へのアルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムを含む。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、塗布後4時間以上、塗布後5時間以上、塗布後6時間以上、塗布後7時間以上、塗布後8時間以上、塗布後9時間以上、塗布後10時間以上、塗布後11時間以上、塗布後12時間以上、塗布後14時間以上、塗布後16時間以上、塗布後18時間以上、塗布後20時間以上、塗布後22時間以上、またはさらには塗布後24時間以上の期間にわたって持続される。
【0080】
経皮製剤
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を経皮製剤によって投与する。ある態様において、本開示の経皮製剤は、皮膚を横切る輸送を促進する1つまたは複数の追加の賦形剤を有する、前のセクションに記載されるような局所製剤である。本明細書に記載される経皮製剤は、米国特許第3,598,122号、同第3,598,123号、同第3,710,795号、同第3,731,683号、同第3,742,951号、同第3,814,097号、同第3,921,636号、同第3,972,995号、同第3,993,072号、同第3,993,073号、同第3,996,934号、同第4,031,894号、同第4,060,084号、同第4,069,307号、同第4,077,407号、同第4,201,211号、同第4,230,105号、同第4,292,299号、同第4,292,303号、同第5,336,168号、同第5,665,378号、同第5,837,280号、同第5,869,090号、同第6,923,983号、同第6,929,801号および同第6,946,144号を含むがこれらに限定されない様々なデバイスを使用して投与され得る。
【0081】
本明細書に記載される経皮投薬形態は、当技術分野において慣習的な、一定の薬学的に許容される賦形剤を組み込む。本開示の経皮製剤は、前のセクションにおいて議論した担体、賦形剤、および添加剤うちの1つまたは複数を含み得る。一態様において、本明細書に記載される経皮製剤は、アルファ-アドレナリン作動薬と、透過促進剤とを含む。さらに、経皮製剤は、追加の成分、例えば、これらに限定されないが、水性補助剤、ゲル化剤、クリームおよび軟膏基剤などを含むことができる。いくつかの態様において、経皮製剤は、吸収を増強し経皮製剤が皮膚から剥がれるのを防ぐために、織布または不織布裏当て材をさらに含むことができる。他の態様において、本明細書に記載される経皮製剤は、皮膚中への拡散を促進するために飽和または過飽和状態を維持することができる。
【0082】
用語「透過促進剤」は、組成物中のアルファ-アドレナリン作動薬の皮膚または他の体組織を通っての透過の速度を変えるため、一般に増加させるために、使用される物質を指す。大部分の公知の透過促進剤は以下のカテゴリーに分類される:アルコール(エタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、プロピレングリコールおよびグリセロール)、脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、吉草酸およびラウリン酸)、アミン(ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン)、エステル(パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルおよび酢酸エチル)、アミド(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン[Azone(登録商標)]、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびピロリドン誘導体)、炭化水素(アルカンおよびスクアレン)、界面活性剤(ラウリン酸ナトリウム(sodium laureate)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、Brij(登録商標)、Tween(登録商標)およびコール酸ナトリウム)、テルペン(D-リモネン、カルボンおよびアニス油)、スルホキシド(ジメチルスルホキシド)、ならびにリン脂質(レシチン)。透過促進剤の他の例としては、アミンオキシド、不飽和脂肪酸、アルファ-テルピネオール、およびソルビタンモノオレエートが挙げられる。アミンオキシドとしては、例えば、ラウラミンオキシドおよび2-ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる。不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が挙げられる。ソルビタンエステルとしては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンラウレート、およびソルビタンステアレートが挙げられる。ミリスチン酸イソプロピルおよびラウログリコールもまた透過促進剤としての使用に適している。いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物の透過促進剤は、健康な皮膚、例えば、しゅさ、湿疹、ざ瘡、乾癬などのような疾患または状態によって影響されていない皮膚中への、アルファ-アドレナリン作動薬の透過を増強する。一般に、健康な皮膚は、アルファ-アドレナリン作動薬のような薬学的薬剤の侵入に対して堅牢なバリアを形成し、一方、健康でない皮膚は、そのような薬剤に対してより透過性である。健康でない皮膚中へのアルファ-アドレナリン作動薬の透過を増強し得る透過促進剤は、健康な皮膚中への、そのような薬剤の透過、または同じ深さまでのそのような薬剤の透過に影響を与えるには不十分であり得る。ある態様において、本明細書に記載される組成物の透過促進剤は、健康な皮膚中へのアルファ-アドレナリン作動薬の顕著な透過、例えば、透過促進剤無しでのそのような薬剤の透過と比べて約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約6倍以上の透過によって、特徴付けられ得る。ある態様において、本明細書に記載される組成物の透過促進剤は、角質層および中隔脂肪体を透過し、ミュラー筋と接触することを可能にし得る。ある態様において、本明細書に記載される組成物の透過促進剤は、健康な皮膚中への最高約3mm、例えば最高約2.5mm、例えば最高約2mmの深さのアルファ-アドレナリン作動薬、例えば、オキシメタゾリンまたはその塩の透過を可能にする。
【0083】
ある態様において、本開示の組成物中の透過促進剤の量は、健康でない皮膚用の組成物中に使用される量と比べて少ない。例えば、本開示の組成物は、同じ薬剤を健康でない皮膚中に同じ深さまで透過させるために必要な透過促進剤の量よりも、最大約10%少ない、最大約20%少ない、最大約30%少ない、最大約40%少ない、最大約50%少ない、最大約60%少ない、最大約70%少ない、またはさらには最大約80%少ない量を有し得る。
【0084】
透過促進剤の例は、Pathan et al. (“Chemical Penetration Enhancers for Transdermal Drug Delivery Systems” Tropical Journal of Pharmaceutical Research, April 2009; 8 (2): 173-179); Som et al. (“Status of Surfactants as Penetration Enhancers in Transdermal Drug Delivery” J Pharm Bioallied Sci. 2012; 4(1): 2-9); およびTrommer at al. (“Overcoming the Stratum Corneum: The Modulation of Skin Penetration” Skin Pharmacol Physiol 2006;19:106-121)に見られ、これらは全て参照によりそれらの全体が組み入れられる。ある態様において、皮膚透過は、Franz TJ “Percutaneous absorption. On the relevance of in vitro data” J. Invest. Dermatol 1975, 64:190-195に示されるように測定され、これは参照によりその全体が組み入れられる。皮膚透過を測定するための実験構成において、皮膚の断片(約2.5cm×2.5cm正方形)を、皮膚断片の下側との均一な接触を確実にするために溶媒で完全に満たされたレセプターウェル上に載せる。皮膚断片の上部にドナーウェルを固定し、ドナーウェルに試験製剤を導入する。流体サンプルを所与の時間間隔でレセプターから抜き取り、次いで、活性物の濃度を分析することができる。次いで、皮膚中の、または個別の表皮および真皮皮膚区画中の、活性薬剤の保持を測定する。ブタの皮膚を利用する動物モデルが、活性薬剤の透過を測定するために使用される(例えば:Barbero et al. 2009 “Pig and guinea pig skin as surrogates for human in vitro penetration studies: a quantitative review” Toxicol. In Vitro 23, 1-13; Godin et al. 2007 “Transdermal skin delivery: predictions for humans from in vivo, ex vivo and animal models” Adv. Drug Deliv. Rev. 59, 1152-1161; Mahl et al. 2006 “The minipig in dermatotoxicology: methods and challenges” Exp. Toxicol. Pathol.57, 341-345; Yu et al. 2013 “Topical skin targeting effect of penetration modifiers on hairless mouse skin, pig abdominal skin and pig ear skin” Drug Delivery Vol. 22 , Iss. 8, 2015; およびSimon et al. “The pig as an experimental animal model of per-cutaneous permeation in man: qualitative and quantitative observations - an overview” Skin Pharmacol. Appl. Skin Physiol. 200, 13, 229-234を参照のこと;これらの全ては参照によりそれらの全体が組み入れられる)。
【0085】
透過促進剤は、所望の治療効果を奏するために、皮膚を横切ったアルファ-アドレナリン作動薬の十分な量の透過を可能にするのに十分な量で存在するべきである。透過促進剤の量は、典型的には、組成物全体の重量で約40%未満、または組成物全体の重量で約39%未満、約38%未満、約37%未満、約36%未満、約35%未満、約34%未満、約33%未満、約32%未満、約31%未満、約30%未満、約29%未満、約28%未満、約27%未満、約26%未満、約25%未満、約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、もしくは約10%未満である。
【0086】
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを用いる。そのようなパッチは、薬学的薬剤の連続的、パルス、またはオンデマンド送達のために構築され得る。吸収速度は、速度制御膜を使用することによって、またはポリマーマトリックスもしくはゲル内に化合物を閉じ込めることによって、減速させることができる。例えば、経皮デバイスは、裏当て部材と、任意で担体と共に化合物を含有するリザーバと、任意で、長期間にわたって制御された所定の速度でホストの皮膚へ化合物を送達するための速度制御バリアと、皮膚へデバイスを固定するための手段とを含む、包帯の形態である。
【0087】
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を含む経皮組成物は、種々のメーキャップ製品、例えば、メーキャップファンデーション、液体ファンデーションおよびコンパクトファンデーション、メーキャップリムーバルローション、メーキャップリムーバルミルク、アイシャドー、ならびにパウダー中へ組み込まれる。
【0088】
いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約0.1μg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約0.5μg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約1μg~約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約3μg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0089】
いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約0.5μg~約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬、例えば、約0.5μg~約10μg、約0.5μg~約0.1mg、約0.5μg~約0.5mg、約10μg~約0.1mg、約10μg~約0.5mg、約0.1mg~約0.5mg、または約0.1mg~約1mgを含む。
【0090】
いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約0.5mg以下、例えば、約0.5μg~約0.4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約1mg以下、例えば、約0.5μg~約0.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所/経皮組成物は、1用量当たり約2mg以下、例えば、約0.5μg~約1.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり約4mg以下、例えば、約0.5μg~約3.9mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0091】
いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり少なくとも約0.5μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり少なくとも約1μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、経皮組成物は、1用量当たり少なくとも約2μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、局所/経皮組成物は、1用量当たり少なくとも約4μgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0092】
様々な態様において、経皮組成物の用量を、必要に応じて、対象の眼瞼の外表面へ塗布する。いくつかの態様において、経皮組成物の用量を、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日7回、1日8回、1日9回、または1日10回、塗布する。局所/経皮組成物の用量を、1日1~10回、例えば1日1~5回、対象の眼瞼へ塗布してもよい。ある態様において、経皮組成物の用量を、2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、またはさらには7日毎に1回、塗布する。
【0093】
ある態様において、経皮組成物は、アルファ-アドレナリン作動薬の持続放出を提供する。ある態様において、経皮組成物は、対象へのアルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムを含む。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、塗布後4時間以上、塗布後5時間以上、塗布後6時間以上、塗布後7時間以上、塗布後8時間以上、塗布後9時間以上、塗布後10時間以上、塗布後11時間以上、塗布後12時間以上、塗布後14時間以上、塗布後16時間以上、塗布後18時間以上、塗布後20時間以上、塗布後22時間以上、またはさらには塗布後24時間以上の期間にわたって持続される。
【0094】
制御放出組成物
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を制御放出組成物として対象へ投与する。ある態様において、制御放出組成物は、アルファ-アドレナリン作動薬と、アルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムとを含む。ある態様において、制御放出組成物は、送達システムと、本明細書に記載されるアルファ-アドレナリン作動薬組成物のいずれかとを含む。ある態様において、制御放出組成物は、前のセクションに記載した局所または経皮製剤を含む。送達システムの例としては、例えば、ポリマーベースのシステム、例えば、インプラントまたはインサート;多孔性マトリックス;ヒドロゲル放出システム;経皮パッチ;ペプチドベースのシステム;およびコンタクトレンズが挙げられる。
【0095】
いくつかの態様において、送達システムはポリマーベースのインプラントである。ポリマーベースのインプラント、例えば、生体内分解性インプラントが、眼瞼または周囲領域中へ移植され得、ポリマーベースのインプラントは、ある期間にわたってアルファ-アドレナリン作動薬の制御放出を提供する。いくつかの態様において、ポリマーベースのインプラントを外科的に移植する。いくつかの態様において、インプラントを、外科手術の必要無しに注射する。ポリマーベースのインプラントは、皮下にまたは筋肉内に移植され得る。ある態様において、ポリマーベースのインプラントは、ミュラー筋の約1ミリメートル以内、約2ミリメートル以内、約3ミリメートル以内、約4ミリメートル以内または約5ミリメートル以内など、ミュラー筋に極めて接近して移植され得る。
【0096】
ある態様において、制御放出組成物の送達システムはPLGA微粒子を含む。PLGAは、持続放出投与用に化合物をカプセル化するために使用され得る生体適合性の生分解性ポリマーである。いくつかの態様において、乳酸-グリコール酸共重合体は、PLGA-PEG-PLGAトリブロック共重合体である。PLGA微粒子を調製し、微粒子内に化合物をカプセル化するための方法は、当技術分野において周知である(例えば、M. H. Lee et al., Biomaterials Research (2009) 13(1):11-15)。
【0097】
一般に、アルファ-アドレナリン作動薬の水溶性形態は、同じ薬物のより低水溶性の形態よりも速く送達システムから溶出する。ある態様において、本開示は、送達システムからのアルファ-アドレナリン作動薬のインビボ局所送達の速度の調節を可能にする組成物を提供する。特に、局所送達速度は、アルファ-アドレナリン作動薬のより迅速に溶出する形態に対するアルファ-アドレナリン作動薬のより遅く溶出する形態の相対的割合を制御することによって調節され得る。送達される薬剤の水溶性の制御は、アルファ-アドレナリン作動薬の塩または非塩形態を使用することによるなど、多数の方法で達成され得る。送達システムからのアルファ-アドレナリン作動薬の放出動態を制御するために、異なる溶解性を有するアルファ-アドレナリン作動薬の2つ以上の形態が、所望の動態プロフィールを達成するように選択された割合で組み合わされ得る。
【0098】
アルファ-アドレナリン作動薬の水溶性を増加させるために、薬剤を中性または非塩形態から塩形態へ変換させてもよい。アルファ-アドレナリン作動薬の塩形態は、同じアルファ-アドレナリン作動薬の非塩または中性形態よりも、より水溶性である可能性が高い。一般に、アルファ-アドレナリン作動薬の可溶性塩形態は、アルファ-アドレナリン作動薬の中性形態よりもより速い速度で本開示の送達システムから溶出する。本開示の送達システム中のアルファ-アドレナリン作動薬の塩および非塩形態の相対的割合を制御することによって、送達システムからの薬物送達の速度および期間が制御され得る。
【0099】
アルファ-アドレナリン作動薬の塩および非塩形態の組み合わせによって放出を制御することに加えて、アルファ-アドレナリン作動薬の溶解性はまた、アルファ-アドレナリン作動薬の塩形態についての対イオンの選択によって調節され得る。より大きな親水性を有する対イオンは、一般に、溶出速度を増加させ、一方、より疎水性の対イオンは溶出速度を低下させる。例えば、アルカリ金属対イオンは、第4級アンモニウム対イオンと比べてより大きな水溶性およびより速い溶出速度を与える可能性が高い。
【0100】
ある態様において、ポリマーベースのインプラントのような本開示の送達システムは、送達システムからのアルファ-アドレナリン作動薬の非塩形態の溶出を遅らせるのを助ける特性を有する。一般に、アルファ-アドレナリン作動薬の非塩形態は、送達システムのポリマー材料へのより強い分子間引力を有し、それによって、送達システムからのアルファ-アドレナリン作動薬の非塩形態の溶出速度を減速させる。
【0101】
ある態様において、本開示の制御放出組成物は、送達システム、遊離塩基または酸形態の第1のアルファ-アドレナリン作動薬、および塩形態の第2のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。ある態様において、第1のアルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストである。ある態様において、第2のアルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-アドレナリン作動性アゴニストである。ある態様において、第1のアルファ-アドレナリン作動薬は、第2のアルファ-アドレナリン作動薬の非塩形態、例えば、遊離塩基または酸である。例えば、第1のアルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンであり、第2のアルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンの塩である。あるいは、第2のアルファ-アドレナリン作動薬は、第1のアルファ-アドレナリン作動薬とは異なるアルファ-アドレナリン作動薬の塩であり得る。例えば、第1のアルファ-アドレナリン作動薬はオキシメタゾリンであり得、第2のアルファ-アドレナリン作動薬はフェニレフリンの塩であり得る。
【0102】
ある態様において、組成物は、非塩形態の第1のアルファ-アドレナリン作動薬および塩形態の第2のアルファアドレナリン作動薬を約95:5~約30:70、例えば約95:5~約50:50、例えば約95:5~約60:40の重量比で含む。
【0103】
送達システムからのアルファ-アドレナリン作動薬の溶出速度を制御するための他の方法としては、例えば、インビボで分解するにつれてアルファ-アドレナリン作動薬を放出する生分解性送達システムを使用すること、組成物中において包接錯体を使用すること、組成物中において可溶化剤を使用すること、および組成物についてアルファ-アドレナリン作動薬の結晶またはアモルファス形態を選択することが挙げられる。
【0104】
A.ポリマーベースのインプラント
いくつかの態様において、ポリマーベースのインプラントは、固体ポリマー性インプラントである。ある態様において、ポリマーベースのインプラントは、インサイチューで、例えば、組織中へ注射されると、固化し、それによってインプラントを形成する、液体または半固体である。ポリマーベースのインプラントは、外科的移植によってまたは注射によって眼瞼または周囲領域中へ移植され得る。
【0105】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、ポリマーベースのインプラントの移植後、規定の時間量にわたって持続される。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、移植後、最大1日、最大2日、最大3日、最大4日、最大5日、最大6日、最大7日、最大1週間、最大2週間、最大3週間、最大4週間、最大1ヶ月、最大2ヶ月、最大3ヶ月、最大4ヶ月、最大5ヶ月、最大6ヶ月、最大7ヶ月、最大8ヶ月、最大9ヶ月、最大10ヶ月、最大11ヶ月、最大12ヶ月、または最大1年の間、持続される。
【0106】
様々な態様において、インプラントは、約0.1mg~約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2.0mg、2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、約2.5mg、約2.6mg、約2.7mg、約2.8mg、約2.9mg、約3.0mg、3.1mg、約3.2mg、約3.3mg、約3.4mg、約3.5mg、約3.6mg、約3.7mg、約3.8mg、約3.9mg、約4.0mg、4.1mg、約4.2mg、約4.3mg、約4.4mg、約4.5mg、約4.6mg、約4.7mg、約4.8mg、約4.9mg、約5.0mg、5.1mg、約5.2mg、約5.3mg、約5.4mg、約5.5mg、約5.6mg、約5.7mg、約5.8mg、約5.9mg、約6.0mg、6.1mg、約6.2mg、約6.3mg、約6.4mg、約6.5mg、約6.6mg、約6.7mg、約6.8mg、約6.9mg、約7.0mg、7.1mg、約7.2mg、約7.3mg、約7.4mg、約7.5mg、約7.6mg、約7.7mg、約7.8mg、約7.9mg、約8.0mg、8.1mg、約8.2mg、約8.3mg、約8.4mg、約8.5mg、約8.6mg、約8.7mg、約8.8mg、約8.9mg、約9.0mg、9.1mg、約9.2mg、約9.3mg、約9.4mg、約9.5mg、約9.6mg、約9.7mg、約9.8mg、約9.9mg、約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。ある態様において、この段落中の用量のうちの任意の2つを組み合わせて、本開示内に含まれる投薬量の範囲としてもよく、例えば、インプラントは、約1.0mg~約8.0mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0107】
いくつかの態様において、インプラントは、約0.1mg~約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約0.5mg~約8mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約2mg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約3mg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0108】
いくつかの態様において、インプラントは、約10mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約8mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約6mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、約4mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0109】
いくつかの態様において、インプラントは、少なくとも約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、少なくとも約2mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、少なくとも約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、インプラントは、少なくとも約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0110】
1.固体ポリマー性インプラント
ある態様において、固体ポリマーベースのインプラントを、アルファ-アドレナリン作動薬を投与するために使用する。いくつかの態様において、固体ポリマーベースのインプラントを、ミュラー筋に極めて接近して眼瞼中へ移植するなど、眼瞼中へ外科的に移植する。いくつかの態様において、ポリマーベースのインプラントはアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0111】
様々な態様において、ポリマーベースのインプラントのポリマーは、動物中への移植に適した任意のポリマーより選択される。ある態様において、ポリマーベースのインプラントは生分解性ポリマーを含む。「生分解性」は、細菌または別の生物によって分解され得る任意の物質または物体を指すために使用される。いくつかの態様において、ポリマーは生体適合性ポリマーである。用語「生体適合性ポリマー」およびポリマーに関して使用される場合の「生体適合性」は、当技術分野において認識されている。例えば、生体適合性ポリマーとしては、それら自体がホスト(例えば、細胞、動物、またはヒト)にとって有毒ではなく、(ポリマーが分解する場合は)ホスト中において毒性濃度のモノマーもしくはオリゴマーサブユニットまたは他の副産物を生成する速度では分解しない、ポリマーが挙げられる。
【0112】
ある態様において、患者中への移植または注射のような、細胞内またはインビボ使用が意図される生分解性ポリマーの毒物学的動態は、1つまたは複数の毒性分析後に決定され得る。生体適合性と見なされるために、本組成物が100%の純度を有することは必要ではない。従って、本組成物は、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%またはさらにはそれ以下の生体適合性ポリマーを含み得、例えば、本明細書に記載されるポリマーならびに他の材料および賦形剤を含み、依然として生体適合性であり得る。ポリマーベースのインプラント中に使用され得る例示的なポリマーとしては以下が挙げられる:ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-コ-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン-コ-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-PEO-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-PPO-コ-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクラレート(polyalkyl cyanoacralate)、ポリウレタン、ポリ-L-リジン(PLL)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、シリコーン、ポリアルキレン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えば、ポリ(酢酸ビニル)、ポリハロゲン化ビニル、例えば、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えば、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)(本明細書において併せて「ポリアクリル酸」と呼ばれる)、ならびにそれらの共重合体および混合物、ポリジオキサノンおよびその共重合体、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(フマル酸プロピレン)、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、炭酸トリメチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリエチレンイミン、ジオレイルトリメチアンモニウムプロパン/ジオレイル-sn-グリセロールホスホエタノールアミン、ポリセバシン酸無水物、ポリウレタン、ナイロン、またはそれらの共重合体、ならびに、Shieh et al., 1994, J. Biomed. Mater. Res., 28, 1465-1475、ならびに米国特許第4,757,128号, Hubbellら、米国特許第5,654,381号;同第5,627,233号;同第5,628,863号;同第5,567,440号;および同第5,567,435号に記載されているポリマー。他の好適なポリマーとしては、ポリオルトエステル(例えば、Heller et al., 2000, Eur. J. Pharm. Biopharn., 50:121-128に開示されるようなもの)、ポリホスファゼン(例えば、Vandorpe et al., 1997, Biomaterials, 18:1147-1152に開示されるようなもの)、およびポリホスホエステル(例えば、Encyclopedia of Controlled Drug Delivery, pp. 45-60, Ed. E. Mathiowitz, John Wiley & Sons, Inc. New York, 1999に開示されるようなもの)、ならびに2つ以上のそのようなポリマーのブレンドおよび/またはブロック共重合体が挙げられる。ラクチド-およびグリコリド-含有ポリマーのカルボキシル末端は、例えばエステル化によって、任意でキャッピングされ得、ヒドロキシル末端は、例えば、エーテル化またはエステル化によって、任意でキャッピングされ得る。ある態様において、ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびメタクリル酸デシル、またはそれらの共重合体もしくは任意の組み合わせを含むかまたはこれらから本質的になる。乳酸モノマーを含むポリマーにおいて、乳酸は、D-異性体、L-異性体、またはD-およびL-異性体の任意の混合物であり得る。
【0113】
ポリマーベースのインプラントのポリマーは、可塑剤、例えば、セバシン酸ジオクチル(DOS)、o-ニトロフェニル-オクチルエーテル、フタル酸ジメチル、ジオクチルフェニルホスホネート、フタル酸ジブチル、ヘキサメチルホスホルアミド、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジウンデシル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、または他の好適な可塑剤を含み得る。ある態様において、可塑剤はポリ(グリセロールセバケート)(PGS)である。ある態様において、可塑剤は、米国特許第2,784,127号および同第4,444,933号に開示されるものを含む。
【0114】
2.注射可能なポリマー性インプラント
本開示の注射可能なポリマー性インプラントは、眼瞼中へ注射することができる液体ポリマー性送達システムを指し、それは、制御様式でアルファ-アドレナリン作動薬を放出する固体または半固体インプラントを形成する。ある態様において、液体ポリマー性送達システムから形成される固体または半固体インプラントは、生分解性である。ある態様において、液体ポリマー性システムは、生体適合性溶媒中に溶解された熱可塑性ポリマー、および溶媒を使用せずに液体である熱硬化性ポリマーより選択される。熱硬化性および熱可塑性製剤は、インプラントの移植のための外科手術についての必要性を回避しながら、インプラントの利点を組み込む。
【0115】
a.熱可塑性システム
ある態様において、液体ポリマー性送達システムは熱可塑性システムである。固体直鎖ポリマーを生体適合性溶媒中に溶解し、液体として、熱可塑性システムを得ることができ、これを次いで、アルファ-アドレナリン作動薬と組み合わせて、注射器によって投与することができる。ある態様において、熱可塑性システムは、1種または複数種のポリマーを含む製剤から調製される。ある態様において、ポリマーは生分解性ポリマーを含む。本出願において使用することができる生分解性ポリマーの例は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、キチン、キトサン、および上記材料のコポリマー、ターポリマー、または組み合わせもしくは混合物である。いくつかの態様において、ポリマーは、より低い結晶化度を有し、より疎水性である。これらのポリマーおよび共重合体は、高度の水素結合をさらに有するポリグリコリドおよびキチンのような高結晶性ポリマーと比べて生体適合性溶媒中により可溶性であり得る。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリアクチド、ポリカプロラクトン、およびこれらとグリコリドとの共重合体であり、ここで、溶解性を増強するためにより多くのアモルファス領域が存在する。
【0116】
いくつかの態様において、ポリマーについての溶媒は、非毒性、水混和性、かつ他の点で生体適合性である。溶媒はまた、それらが移植部位で重篤な組織刺激または壊死を引き起こさないように、生体適合性でなければならない。さらに、溶媒は、それが体液中へ迅速に拡散し、水がポリマー溶液中へ透過するのを可能にし、それを凝固または固化させるように、水混和性であるべきである。そのような溶媒の例としては、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、エタノール、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸、および1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、溶媒は、それらの溶媒和能およびそれらの適合性から、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、またはアセトンである。
【0117】
様々な溶媒中のポリマーの溶解性は、それらの結晶度、それらの親水性、水素結合、および分子量に依存して異なる。従って、ポリマーの全てが同じ溶媒中に可溶性であるとは限らず、しかし各ポリマーまたは共重合体がその最適な溶媒を有するべきである。より低分子量のポリマーは、高分子量ポリマーと比べてより容易に溶媒中に溶解し得る。結果として、様々な溶媒中に溶解されるポリマーの濃度は、ポリマーのタイプおよびその分子量に依存して異なる。逆に、より高分子量のポリマーは、非常に低分子量のポリマーと比べてより速く凝固または固化する傾向があり得る。さらに、より高分子量のポリマーは、低分子量材料と比べてより高い溶液粘度を与える傾向がある。従って、最適な注射効率のために、溶媒中のポリマーの分子量および濃度は制御されるべきである。
【0118】
例えば、乳酸の縮合によって形成される低分子量ポリ乳酸は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)中に溶解し、73重量%溶液を与え、これは、23ゲージ注射針を通って依然として容易に流れ、一方、DL-ラクチドの付加重合によって形成されるより高分子量のポリ(DL-ラクチド)(DL-PLA)は、僅か50重量%でNMP中に溶解された場合に同じ溶液粘度を与える。より高分子量のポリマー溶液は、水中に入れると直ちに凝固する。低分子量ポリマー溶液は、より濃いが、水中に入れると非常に緩徐に凝固する傾向がある。
【0119】
緩徐に凝固する傾向があるポリマーについて、凝固速度を増加させるために溶媒混合物を使用することができる。例えば、混合物の一方の液体成分はポリマーに対して良溶媒であり得、他方の成分は貧溶媒または非溶媒である。2つの液体は、ポリマーが依然として可溶性であるが、生理的環境中において水のような非溶媒の量のほんの僅かな増加で沈殿するような比率で、混合され得る。必然的に、溶媒系は、ポリマーおよび水の両方と混和性でなければならない。そのような二元溶媒系の例は、低分子量DL-PLAについてNMPおよびエタノールの使用である。NMP/ポリマー溶液へのエタノールの添加は、その凝固速度を著しく増加させる。
【0120】
非常に高濃度の高分子量ポリマーを含有する溶液は、より希薄な溶液と比べてより緩徐に凝固または固化することがあることも見出されている。高濃度のポリマーは、ポリマーマトリックス内からの溶媒の拡散を妨害し、結果的に、マトリックス中への水の透過(この場合それがポリマー鎖を沈殿させることができる)を妨げることが考えられる。
【0121】
いくつかの態様において、ポリマーはブロック共重合体を含む。いくつかの態様において、ブロック共重合体は、親水性ポリ(エチレンオキシド)ブロックおよび疎水性ポリ(プロピレンオキシド)ブロックを含む。いくつかの態様において、ブロック共重合体は、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)のトリブロックである(Pluronic(商標)またはPoloxamer(商標)という商品名で市販)。いくつかの態様において、このトリブロック共重合体は水溶液中に溶解される。いくつかの態様において、トリブロック共重合体は、水を吸収してゲルを形成する。いくつかの態様において、ブロック共重合体は、逆熱ゲル化挙動を示しかつ薬物放出特徴を有する、界面活性ブロック共重合体である。
【0122】
Pluronic(商標)、Poloxamer(商標)型トリブロック共重合体は、溶液の温度が臨界温度(ゲル化温度)を超えて上がるにつれて、固化またはゲル化する。これらのポリマーは、低濃度でミセル(水を組み込んだ微細な球体)を形成し、高濃度および高温(約30℃)で厚く連続的なゲルへ変わる。
【0123】
いくつかの態様において、ポリマーは乳酸-グリコール酸共重合体を含む。いくつかの態様において、乳酸-グリコール酸共重合体はPLGA-PEG-PLGAトリブロック共重合体である。好適なPLGA-PEG-PLGAトリブロック共重合体は、West Lafayette, IndにあるPolySciTech(Akina, Inc.の部門)から市販されている。感熱性PLGA-PEG-PLGAトリブロック共重合体は、当技術分野において十分に記述されている。これらのポリマーは、約2000Da~約40,000Daの分子量を有し得るが、それが必要な逆感熱性特性を有する限り、任意の分子量を有し得る。いくつかの態様において、PLGA-PEG-PLGAトリブロックポリマーは、約30,000Daの分子量を有し得る。いくつかの他の態様において、PLGA-PEG-PLGAトリブロックポリマーは、約4000Daの分子量を有し得る。いくつかの他の態様において、PLGA-PEG-PLGAトリブロック共重合体は、1500:1000:1500の分子量分布を有し得るが、当業者が認識するように、他の分子量分布が可能であり得、本開示の範囲内にある。ポリマーのPLGAセグメント中の乳酸:グリコール酸の比は、ポリマーが必要な感熱性特性を有する限り、重要ではない可能性がある。いくつかの態様において、共重合体のPLGAセグメントは約1:1の乳酸:グリコール酸比を有し、いくつかの他の態様において、共重合体のPLGAセグメントは約3:1の乳酸:グリコール酸比を有する。
【0124】
いくつかの態様において、本明細書に記載するアルファ-アドレナリン作動薬を、注射前にポリマー溶液へ添加し、次いで、ポリマー/溶媒/薬剤混合物を眼瞼中へ注射する。いくつかの態様において、製剤を、皮内、皮下、中隔前、中隔後、中隔後脂肪体中、または筋肉内に注射する。いくつかの場合、アルファ-アドレナリン作動薬は溶媒に可溶性であり、ポリマーおよびアルファ-アドレナリン作動薬の均質溶液が注射のために使用され得る。他の場合において、アルファ-アドレナリン作動薬は溶媒に可溶性ではなく、薬剤の懸濁液または分散液が生じる。いくつかの態様において、懸濁液または分散液を眼瞼中へ注射する。ある態様において、注射されると、溶媒は放散し、ポリマーは固化し、固体または半固体マトリックス内にアルファ-アドレナリン作動薬を封入するかまたは包みこむ。これらの固体または半固体インサイチュー形成インプラントからの薬剤の放出は、一体的なポリマーデバイスからの薬剤の放出についてと同じ一般規則に従い得る。薬物の放出は、インプラントのサイズおよび形状、インプラント内の薬物のローディング、薬物および特定のポリマーを含む透過性因子、ならびにポリマーの分解性によって、影響され得る。
【0125】
注射可能なインサイチュー固体形成インプラント中へ組み込まれるアルファ-アドレナリン作動薬の量は、所望の放出プロフィール、生物学的効果のために必要な薬物の濃度、および薬物が処置のために放出されなければならない時間の長さに依存する。送達システム中へ組み込まれるアルファ-アドレナリン作動薬の下限値は、アルファ-アドレナリン作動薬の活性、および処置に必要な時間の長さに依存する。
【0126】
B.熱硬化性システム
ある態様において、液体ポリマー性送達システムは熱硬化性システムである。ある態様において、熱硬化性システムは、1種または複数種の生体適合性ポリマーを含む。いくつかの態様において、熱硬化性システムは、硬化剤の使用によってインサイチューで形成および硬化され得る架橋性ポリマーを含む。ポリマーは、先ず、ポリオール開始剤および触媒を使用して、ポリオール終結プレポリマーを形成し、これらをさらにアクリル酸エステル終結プレポリマーへ変換することによって、形成させ得る。注射の直前に、過酸化ベンゾイルまたはアゾビスイソブチロニトリルのような硬化剤を、アクリルプレポリマー溶液へ添加する。注射すると、十分な分子量が得られるまで架橋反応が進行し、ポリマーを固化させる。いくつかの態様において、硬化反応は急速であり、注射は、硬化剤の添加のほぼ直後に行われなければならない。これらのポリマーは、生分解性疎水性ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトンなどの重合または共重合によって主に形成され得る。いくつかの態様において、生分解性システムは、エチレングリコールのような二官能性連鎖開始剤から合成された二官能性ポリエステルを含む。いくつかの態様において、生分解性システムは、トリメチロールプロパンのような三官能性開始剤から合成された三官能性ポリエステルを含む。連鎖開始剤の量は、ポリマーまたは共重合体の結果として得られる分子量を決定し得る。ある態様において、いったん形成されたゲルマトリックスは、制御様式で薬剤を放出し、容易に代謝および排出される生成物へ分解する。
【0127】
いくつかの態様において、注射可能なポリマー溶液内で形成された固体インプラントは、体内で徐々に生分解し、それが消滅するにつれて、自然組織が増殖してインプラントに置き換わることを可能にする。いくつかの態様において、注射可能なシステムから形成された固体インプラントは、そのマトリックス内に含有するアルファ-アドレナリン作動薬を、薬物が枯渇するまで、制御速度で放出する。いくつかの態様において、ポリマーは、薬物が完全に放出された後に分解する。いくつかの他の態様において、薬物は、ポリマーが分解して非拡散性薬物が体液に曝露されるようになった後にのみ、完全に放出される。
【0128】
様々な態様において、ポリマーの選択は、アルファ-アドレナリン作動薬の放出速度を決定する。
【0129】
マイクロニードル
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、マイクロニードル中または上にパッケージされる。マイクロニードルは、典型的にはマイクロメートルからミリメートルサイズの構造体であり、皮膚を貫通し、対象の表皮または真皮へ組成物を送達するように設計されている。いくつかの態様において、マイクロニードルによって貫通される皮膚は、眼瞼であるかまたは眼瞼の周りにある。マイクロニードルは、伝統的な皮下または筋肉内注射と比べていくつかの利点を提供する。第一に、投与に必要なアルファ-アドレナリン作動薬の量をより少なくすることができ、生産コストおよび時間を削減できる。第二に、マイクロニードルは自己投与することができる。第三に、アルファ-アドレナリン作動薬は、マイクロニードル上に乾燥させることができ、これは、室温での組成物の安定性を大幅に増加させる。さらに、マイクロニードル投与は、典型的に無痛であり、このため、より許容される投与形態としうる。
【0130】
マイクロニードルは、典型的には、中実または中空構造体である。中実支持体として使用する場合、送達のためのアルファ-アドレナリン作動薬は、マイクロニードルにコーティングされ得(典型的に乾燥形態として)、または中空構造体を通して放出され得る(例えば、液体組成物が皮膚中へ注射または注入される)。組成物は、マイクロニードル上にあり得(例えば、形成後にマイクロニードルの表面上へコーティングされる)、またはマイクロニードル中にあり得る(例えば、マイクロニードルの内部への沈着によって、もしくはマイクロニードルを形成するために使用する混合物中に含めることによってなど、マイクロニードル自体の一部を形成する)。いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬は、皮膚区画中に溶解されるか、皮膚中へ注射される。マイクロニードルは、パッチ上のような、複数の注射針様構造体を含むアレイで形成されることが多い。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、次いで、組成物の皮内投与のために皮膚へ直接適用される。
【0131】
いくつかの態様において、マイクロニードルアレイパッチは、任意の形状またはサイズとなるように設計される。例えば、美容目的のアルファ-アドレナリン作動薬の送達のためのマイクロニードルアレイパッチは、顔の特徴、例えば、眼瞼を模倣するように成形され得る。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイパッチは、任意のサイズのものであるが、好ましくは、選択量のアルファ-アドレナリン作動薬を送達することが可能な最小のサイズである。
【0132】
マイクロニードルのサイズおよび形状はまた、要望に応じて変わり得る。いくつかの態様において、マイクロニードルは円柱形部分を含み、その上に、先端を有する円錐形部分が配置されている。いくつかの他の態様において、マイクロニードルは、全体的にピラミッド形状、または全体的に円錐形状を有する。一般に、マイクロニードルは典型的に、土台および先端を含む。いくつかの態様において、先端は、約1マイクロメートル以下である半径を有する。マイクロニードルは、典型的に、角質層を貫通し、表皮または真皮中に至るために十分な長さのものである。ある態様において、マイクロニードルは、約0.1マイクロメートル~約5ミリメートルの長さ(それらの先端から土台まで)、例えば、約5ミリメートル以下、4ミリメートル以下、約1ミリメートル~約4ミリメートル、約500マイクロメートル~約1ミリメートル、約10マイクロメートル~約500マイクロメートル、約30マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約250マイクロメートル~約1500マイクロメートルの長さを有する。
【0133】
いくつかの態様において、個々のマイクロニードルのサイズは、所望の目標とする深さ、特定の組織タイプにおける破損を回避するための注射針の強度要件などに依存して、最適化される。いくつかの態様において、経皮マイクロニードルの断面の寸法は、約10nm~約1mm、または約1マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約10マイクロメートル~約100マイクロメートルである。外径は約10マイクロメートル~約100マイクロメートルであり得、中空注射針の内径は、約3マイクロメートル~約80マイクロメートルであり得る。
【0134】
いくつかの態様において、マイクロニードルは、様々なパターンで基材上に配置され、そのようなパターンは、特定の用途のために設計される。いくつかの態様において、マイクロニードルは、長方形もしくは正方形のグリッドまたは同心円におけるもののように、均一に間隔を置く。間隔は、マイクロニードルの高さおよび幅、マイクロニードルの表面へ適用されるフィルムの特性、ならびにマイクロニードルを通して移動されることが意図される物質の量およびタイプを含む、多数の要因に依存し得る。マイクロニードルの例示的な配置は、マイクロニードルの「先端間の」間隔が、約50マイクロメートルまたはそれ以上、いくつかの態様において約100~約800マイクロメートル、およびいくつかの態様において約200~約600マイクロメートルのものである。
【0135】
いくつかの態様において、マイクロニードル組成物は、任意の好適な材料のものである。例示的な材料としては、金属、セラミックス、半導体、有機物、ポリマー、および複合物が挙げられる。いくつかの態様において、構築材料としては、医薬品等級のステンレス鋼、金、チタン、ニッケル、鉄、金、スズ、クロム、銅、これらまたは他の金属の合金、ケイ素、二酸化ケイ素、およびポリマーが挙げられる。代表的な生分解性ポリマーとしては、乳酸およびグリコール酸のようなヒドロキシ酸のポリマー、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド-コ-グリコリド、およびPEGとの共重合体、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、およびポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)が挙げられる。代表的な非生分解性ポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリエステルが挙げられる。いくつかの態様において、マイクロニードルは、溶解性、生体溶解性、もしくは生分解性、またはそれらの組み合わせである。様々な溶解性かつ/または生体溶解性マイクロニードルが使用され得る(例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、US20140200509、およびWO2009021048を参照のこと)。簡潔には、溶解性マイクロニードルは、水溶性材料から構成され得る。これらの材料としては、例として、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、マルトース、デキストロース、ガラクトース、アルギネート、アガロース、セルロース、例えば、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、およびヒアルロン酸が挙げられ得る。一般に、選択される材料は、皮膚の貫通を可能にするために十分に弾力性がある。好ましくは、溶解性マイクロニードルは、数秒以内に、例えば、約5、10、15、20、25、30、45、50、60、120、180秒以内に、もしくはそれ以上の秒数以内に;または、数分以内に、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、60、120分以内に、もしくはそれ以上の分数以内に、皮膚中に溶解する。溶解性マイクロニードルは、全マイクロニードルを包含し得、その結果、全マイクロニードル構造体が皮膚中において溶解し、または、溶解性コーティングが、非溶解性支持構造体上に形成され得、その結果、コーティングのみが皮膚中において溶解する。マイクロニードルは、溶解性、生分解性、生体溶解性、またはそれらの組み合わせであるポリマーでコーティングされてもよい。
【0136】
いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬組成物は、溶解性マイクロニードル上にコーティングされるか、または溶解性マイクロニードル自体に含有される(例えば、溶解性ポリマーマトリックスの一部を形成することによる)。いくつかの態様において、アルファ-アドレナリン作動薬組成物を、マイクロニードル構造体上へ直接コーティングするか、または、ポリマーマトリックスと混合し、その後、マイクロニードル構造体を成型および重合する。
【0137】
生分解性マイクロニードルの例については、例えば、WO200801068およびUS6334856を参照されたく、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。
【0138】
マイクロニードルを作製するための様々な好適な方法が利用可能である(例えば、US6312612、US6334856、US7182747、US7226439、およびWO2013137831を参照のこと)。いくつかの態様において、マイクロニードルは、モールディング(例えば、セルフモールディング、マイクロモールディング、マイクロエンボス加工、マイクロインジェクションなど)、キャスティング(例えば、ダイキャスティング)、エッチング(例えば、ソフトマイクロリソグラフィー技術)などを含むがこれらに限定されない、様々な方法を使用して製造される。使用される製造方法は、典型的に、用いられる材料に依存する。
【0139】
いくつかの態様において、マイクロニードル組成物は、1種または複数種のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0140】
様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、規定の時間量にわたって持続される。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、4時間以上の期間にわたって持続される。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、8時間以上の期間にわたって持続される。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、12時間以上の期間にわたって持続される。様々な態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の放出は、最大1日、最大2日、最大3日、最大4日、最大5日、最大6日、最大7日、最大1週間、最大2週間、最大3週間、最大4週間、最大1ヶ月、または最大2ヶ月の間、持続される。
【0141】
様々な態様において、マイクロニードルアレイは、約0.1mg~約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2.0mg、2.1mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.4mg、約2.5mg、約2.6mg、約2.7mg、約2.8mg、約2.9mg、約3.0mg、3.1mg、約3.2mg、約3.3mg、約3.4mg、約3.5mg、約3.6mg、約3.7mg、約3.8mg、約3.9mg、約4.0mg、4.1mg、約4.2mg、約4.3mg、約4.4mg、約4.5mg、約4.6mg、約4.7mg、約4.8mg、約4.9mg、約5.0mg、5.1mg、約5.2mg、約5.3mg、約5.4mg、約5.5mg、約5.6mg、約5.7mg、約5.8mg、約5.9mg、約6.0mg、6.1mg、約6.2mg、約6.3mg、約6.4mg、約6.5mg、約6.6mg、約6.7mg、約6.8mg、約6.9mg、約7.0mg、7.1mg、約7.2mg、約7.3mg、約7.4mg、約7.5mg、約7.6mg、約7.7mg、約7.8mg、約7.9mg、約8.0mg、8.1mg、約8.2mg、約8.3mg、約8.4mg、約8.5mg、約8.6mg、約8.7mg、約8.8mg、約8.9mg、約9.0mg、9.1mg、約9.2mg、約9.3mg、約9.4mg、約9.5mg、約9.6mg、約9.7mg、約9.8mg、約9.9mg、約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。ある態様において、この段落中の用量のうちの任意の2つを組み合わせて、本開示内に含まれる投薬量の範囲としてもよく、例えば、マイクロニードルアレイは、約1.0mg~約8.0mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0142】
いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約0.1mg~約10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約0.5mg~約8mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約2mg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約3mg~約5mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0143】
いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約10mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約8mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約6mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、約4mg以下のアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0144】
いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、少なくとも約1mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、少なくとも約2mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、少なくとも約3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。いくつかの態様において、マイクロニードルアレイは、少なくとも約4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む。
【0145】
使用方法
ある局面において、本明細書に記載される組成物のいずれかが、下垂症の治療において、眼瞼の美容的変化のため、または他の関連用途において、使用され得る。本開示の組成物は、好ましくは、眼または眼瞼上に局所塗布されるか、眼瞼中へ注射されるか、または眼瞼中のインプラントもしくは眼瞼付近のインサートから放出される。ある態様において、本開示の制御放出組成物は、下垂症の治療、または眼瞼の美容的変化、または他の関連用途のために使用される。本明細書に記載される方法において使用される組成物は、非経口組成物、局所組成物、制御放出組成物、マイクロニードル、経皮製剤、および本明細書に記載される任意の他の組成物のいずれかより選択され得る。ある態様において、本明細書に記載される方法のアルファ-アドレナリン作動薬は、アルファ-アドレナリン作動性アゴニスト、例えば、オキシメタゾリンまたはその塩である。
【0146】
本明細書において使用される場合、用語「処置」または「処置すること」は、本明細書において交換可能に使用される。これらの用語は、治療的恩恵、美容的恩恵および/または予防的恩恵を含むがこれらに限定されない、有利なまたは所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療的恩恵は、処置される基礎疾患の根絶または改善を意味し得る。さらに、治療的恩恵は、基礎疾患と関連する生理的症状のうちの1つまたは複数の根絶または改善で達成することができ、その結果、対象が依然として基礎疾患に苦しみ得るにもかかわらず、対象において好転が観察される。予防的効果は、疾患もしくは状態の出現を遅らせるかもしくは排除すること、疾患もしくは状態の症状の発症を遅らせるかもしくは排除すること、疾患もしくは状態の進行を減速、停止もしくは逆転させること、またはそれらの任意の組み合わせを含む。予防的恩恵のために、たとえこの疾患の診断がなされていなくても、特定の疾患を発症する危険性がある対象へ、または疾患の生理的症状のうちの1つもしくは複数を報告する対象へ、組成物を投与し得る。美容的恩恵は、対象によって望まれる、対象への身体的変化に影響を与えることを意味し得る。
【0147】
本明細書において使用される場合、用語「有効量」または「治療有効量」は、下記に定義されるような、美容処置および疾患治療を含むがこれらに限定されない、意図される適用に影響を与えるために十分である化合物の量を指す。治療有効量は、意図される治療適用(インビボ)、または治療される対象および疾患状態、例えば、疾患状態の重症度、投与様式などに依存して変化し得、これは、当業者によって容易に決定され得る。この用語はまた、標的細胞中において特定の応答を引き起こす用量にも適用される。具体的な用量は、選択される特定の化合物、従うべき投薬レジメン、それが他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織、およびそれが運ばれる物理的送達システムに依存して、変化する。
【0148】
ある局面において、本開示は、対象における下垂症を治療するための方法であって、眼瞼中への注射による投与など、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼瞼中へ投与する工程を含む、方法を提供する。ある態様において、皮内、皮下、中隔前、中隔後、中隔後脂肪体中、または筋肉内に注射する。特定の態様において、ミュラー筋もしくは挙筋または両方へ筋肉内注射する。ある態様において、ミュラー筋または挙筋に隣接して、皮下注射する。
【0149】
ある態様において、対象における下垂症を治療するための方法は、制御放出組成物を対象の眼瞼中へ投与する工程を含む。制御放出組成物を外科的移植によって眼瞼中へ投与してもよく、または制御放出組成物を注射によって眼瞼中へ投与してもよい。ある態様において、制御放出インプラントを対象の眼瞼中へ注射する。例えば、固体ポリマーベースのインプラントを対象の眼瞼中へ注射してもよい。
【0150】
ある態様において、制御放出インプラントは、注射可能なポリマー性組成物、例えば、熱硬化性または熱可塑性組成物の注射で形成される。あるそのような態様において、注射可能なポリマー性組成物は、いったん対象の組織中へ注射されると、固体または半固体インプラントを形成する。
【0151】
ある態様において、本開示は、対象における下垂症を治療する方法であって、眼瞼中の1つまたは複数の筋肉に有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を接触させる工程を含む、方法を提供する。ある態様において、対象における下垂症を治療する方法は、上瞼板筋、眼窩筋、および上眼瞼挙筋のうちのいずれか1つまたは複数に接触させる工程を含む。ある態様において、方法は、例えば、アルファ-アドレナリン作動性組成物を眼瞼中へ注射すること、またはアルファ-アドレナリン作動薬含有インプラントを眼瞼中へ移植することによって、眼瞼中の筋肉に直接接触させる工程を含む。方法は、例えば、眼瞼の皮膚を透過する局所組成物を塗布することによって、眼瞼中の筋肉に間接的に接触させる工程を含み得る。あるそのような態様において、局所組成物は経皮製剤であり得る。
【0152】
ある態様において、本開示の方法は、対象のミュラー筋および/または挙筋に有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を接触させる工程を含む。眼窩筋とも呼ばれるミュラー筋は、眼窩下溝および下眼窩裂から渡り、眼窩の骨膜と密に結合している、平滑筋である。ミュラー筋は、眼窩の後部に位置し、下眼窩裂に及ぶ。
【0153】
ある態様において、対象の筋肉(例えばミュラー筋)への接触は、アルファ-アドレナリン作動薬の非経口投与によって、例えば、対象の眼瞼中へのアルファ-アドレナリン作動薬の注射によって、生じる。ある態様において、非経口投与は、眼瞼に隣接した顔面上の領域中におけるアルファ-アドレナリン作動薬の注射、例えば、眼角静脈への注射である。
【0154】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を制御放出組成物で投与する。ある態様において、対象の筋肉(例えばミュラー筋)への接触は、例えば、対象の眼瞼中へ移植された、本明細書に記載されるポリマーベースのインプラントのような、制御放出組成物からのアルファ-アドレナリン作動薬の放出によって生じる。ある態様において、対象の筋肉(例えばミュラー筋)への接触は、対象の眼瞼と接触してまたは眼瞼下に配置されたインサートからのアルファ-アドレナリン作動薬の放出によって生じる。
【0155】
ある局面において、本開示は、対象における下垂症を治療するための方法であって、眼瞼中へ、眼瞼と接触して、または対象の眼瞼に極めて接近して、制御放出組成物を投与する工程を含み、ここで、制御放出組成物が治療有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象へ放出する、方法を提供する。ある態様において、制御放出組成物は、本明細書に記載される制御放出組成物のいずれかより選択される。特定の態様において、方法は、対象の眼瞼中のインプラントとして制御放出組成物を投与する工程を含む。特定の態様において、インプラントはインビボで生分解性である。特定の態様において、方法は、注射可能なポリマー性インプラントとして、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬の制御放出組成物を対象へ投与する工程を含む。特定の態様において、本方法のアルファ-アドレナリン作動薬は、オキシメタゾリンまたはその塩である。
【0156】
ある局面において、本開示は、対象の美容処置のための方法であって、眼瞼中への注射による投与など、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼瞼中へ投与する工程を含む、方法を提供する。ある態様において、皮内、皮下、中隔前、中隔後、中隔後脂肪体中、または筋肉内に注射する。特定の態様において、ミュラー筋もしくは挙筋または両方へ筋肉内注射する。ある態様において、ミュラー筋または挙筋に隣接して、皮下注射する。
【0157】
ある態様において、対象の美容処置のための方法は、制御放出組成物を対象の眼瞼中へ投与する工程を含む。制御放出組成物を外科的移植によって眼瞼中へ投与してもよく、または制御放出組成物を注射によって眼瞼中へ投与してもよい。ある態様において、制御放出インプラントを対象の眼瞼中へ注射する。例えば、固体ポリマーベースのインプラントを対象の眼瞼中へ注射してもよい。
【0158】
ある態様において、美容的方法の制御放出インプラントは、注射可能なポリマー性組成物、例えば、熱硬化性または熱可塑性組成物の注射で形成される。あるそのような態様において、注射可能なポリマー性組成物は、いったん対象の組織中へ注射されると、固体または半固体インプラントを形成する。
【0159】
ある態様において、本開示は、対象の美容療法の方法であって、眼瞼中の1つまたは複数の筋肉に有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を接触させる工程を含む、方法を提供する。ある態様において、対象の美容療法の方法は、上瞼板筋、眼窩筋、および上眼瞼挙筋のうちのいずれか1つまたは複数に接触させる工程を含む。ある態様において、方法は、例えば、アルファ-アドレナリン作動性組成物を眼瞼中へ注射すること、またはアルファ-アドレナリン作動薬含有インプラントを眼瞼中へ移植することによって、眼瞼中の筋肉に直接接触させる工程を含む。方法は、例えば、眼瞼の皮膚を透過する局所組成物を塗布することによって、眼瞼中の筋肉に間接的に接触させる工程を含み得る。あるそのような態様において、局所組成物は経皮製剤であり得る。
【0160】
ある態様において、美容療法の方法は、対象のミュラー筋および/または挙筋に有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を接触させる工程を含む。ある態様において、対象の筋肉(例えばミュラー筋)への接触は、アルファ-アドレナリン作動薬の非経口投与によって、例えば、対象の眼瞼中へのアルファ-アドレナリン作動薬の注射によって、生じる。ある態様において、非経口投与は、眼瞼に隣接している顔面上の領域中におけるアルファ-アドレナリン作動薬の注射、例えば、眼角静脈への注射である。
【0161】
ある態様において、対象の美容療法の方法は、制御放出組成物中のアルファ-アドレナリン作動薬を投与する工程を含む。ある態様において、対象のミュラー筋のような筋肉への直接接触は、例えば、対象の眼瞼中へ移植された、本明細書に記載されるポリマーベースのインプラントのような、制御放出組成物からのアルファ-アドレナリン作動薬の放出によって生じる。ある態様において、対象のミュラー筋のような筋肉への間接接触は、対象の眼瞼と接触してまたは眼瞼下に配置されたインサートからのアルファ-アドレナリン作動薬の放出によって生じる。
【0162】
ある局面において、本開示は、対象の美容療法のための方法であって、眼瞼中へ、眼瞼と接触して、または対象の眼瞼に極めて接近して、制御放出組成物を投与する工程を含み、ここで、制御放出組成物が治療有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象へ放出する、方法を提供する。ある態様において、制御放出組成物は、本明細書に記載される制御放出組成物のいずれかより選択される。特定の態様において、美容療法の方法は、対象の眼瞼中のインプラントとして制御放出組成物を投与する工程を含む。特定の態様において、インプラントはインビボで生分解性である。特定の態様において、方法は、注射可能なポリマー性インプラントとして、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬の制御放出組成物を対象へ投与する工程を含む。特定の態様において、方法のアルファ-アドレナリン作動薬は、オキシメタゾリンまたはその塩である。
【0163】
ある態様において、本開示の制御放出組成物は、2週間以上、例えば3週間以上、例えば4週間以上、例えば5週間以上、例えば6週間以上、例えば7週間以上、例えば8週間以上、例えば9週間以上、例えば10週間以上、例えば11週間以上、例えば12週間以上、例えば13週間以上、例えば14週間以上、例えば15週間以上、またはさらには、例えば16週間以上の期間にわたって、アルファ-アドレナリン作動薬の持続放出を提供する。
【0164】
ある態様において、本開示の制御放出組成物は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、またはさらには約16週間の期間にわたって、アルファ-アドレナリン作動薬の持続放出を提供する。ある態様において、本開示の制御放出組成物は、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、またはさらには約12ヶ月の期間にわたって、アルファ-アドレナリン作動薬の持続放出を提供する。ある態様において、この段落中の時間枠のうちの任意の2つを組み合わせて、本開示内に含まれる時間枠の範囲としてもよく、例えば、本開示の制御放出組成物は、約3週間~約4ヶ月の期間にわたって、アルファ-アドレナリン作動薬の持続放出を提供する。
【0165】
用語「制御放出」は、本明細書において使用される場合、特定の期間にわたる身体中への所定量のアルファ-アドレナリン作動薬の放出を指す。制御放出組成物は、持続放出組成物、遅延放出組成物、標的放出製剤などを含む。用語「持続放出」は、本明細書において使用される場合、ある期間の間、一定またはほぼ一定の薬物濃度を維持するための、所定の速度でのアルファ-アドレナリン作動薬の放出を指す。
【0166】
ある局面において、本開示は、対象の上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を、処置前分離と比べて増加させるための方法であって、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼または眼瞼へ投与する工程を含む、方法を提供する。特定の態様において、対象は下垂症を有さない。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を制御放出組成物として投与する。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を眼または眼瞼へ局所投与する。特定の態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を、対象の眼瞼へ、例えば対象の眼瞼中へ、投与する。ある態様において、上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離は、処置前分離と比べて10パーセント以上増加する。
【0167】
ある態様において、本開示の方法は、上眼瞼および下眼瞼の処置前垂直方向分離と比べて、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上 約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約16%以上、約17%以上 約18%以上、約19%以上、約20%以上、約21%以上、約22%以上、約23%以上、約24%以上、約25%以上、約26%以上、約27%以上、約28%以上 約29%以上、約30%以上、約31%以上、約32%以上、約33%以上、約34%以上、約35%以上、約36%以上、約37%以上、約38%以上 約39%以上、約40%以上、約41%以上、約42%以上、約43%以上、約44%以上、約45%以上、約46%以上、約47%以上、約48%以上 約49%以上、約50%以上、上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させる。
【0168】
ある態様において、本開示の方法は、瞳孔中心(midpupil)からの上眼瞼の距離を増加させる。垂れ下がっている眼瞼または下垂症の眼瞼は、約2mm以下の上眼瞼と瞳孔中心との間の距離を有し得る。ある態様において、本開示の方法は、瞳孔中心からの上眼瞼の処置前距離と比べて、約2mm以上、約2.1mm以上、約2.2mm以上、約2.3mm以上、約2.4mm以上、約2.5mm以上、約2.6mm以上、約2.7mm以上、約2.8mm以上、約2.9mm以上、約3.0mm以上、約3.1mm以上、約3.2mm以上、約3.3mm以上、約3.4mm以上、約3.5mm以上、約3.6mm以上、約3.7mm以上、約3.8mm以上、約3.9mm以上、またはさらには約4.0mm以上へ、上眼瞼と瞳孔中心との間の距離を増加させる。
【0169】
ある態様において、本開示の方法は、両上眼瞼間の非対称性を減らす。
【0170】
ある態様において、本開示は、対象の視軸の位置を変える方法であって、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼へまたは眼瞼中へ投与する工程を含む、方法を提供する。特定の態様において、対象は下垂症を有さない。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を制御放出組成物として投与する。ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を眼または眼瞼へ局所投与する。特定の態様において、アルファ-アドレナリン作動薬を、対象の眼瞼へ、例えば対象の眼瞼中へ、投与する。ある態様において、視軸の位置を変えることは、対象の視覚を改善する。対象の視覚の改善は以下のいずれかを含み得る:視力の改善、コントラスト感度の改善、グレアおよびハローの減少、ならびに対象が良好な視覚を有する開口の量の増加。
【0171】
診断方法
ある態様において、本開示は、アルファ-アドレナリン作動薬を使用して、本明細書に開示される方法から利益を得る対象をスクリーニングするための方法を提供する。特定の態様において、対象の眼瞼がアルファ-アドレナリン作動薬の投与に応答するかどうかを決定するために、アルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼または眼瞼へスクリーニング用量として局所投与する。ある態様において、対象の眼瞼がアルファ-アドレナリン作動薬の局所投与に応答する場合、局所または非経口投与の形態でアルファ-アドレナリン作動薬の処置レジメンを対象に施し得る。特定の態様において、対象に局所アルファ-アドレナリン作動薬を投与し、眼瞼が投与に応答する場合、本明細書に開示される方法に記載されるように、眼瞼中への注射によってアルファ-アドレナリン作動薬の1つまたは複数の用量を対象に投与する。
【0172】
ある態様において、収縮することによって「眼瞼は投与に応答し」、その結果、処置された眼の下眼瞼および上眼瞼の垂直方向分離が増加する。例えば、対象へ局所アルファ-アドレナリン作動薬(例えば、オキシメタゾリン点眼薬)を眼中投与し、該眼の上眼瞼は上方へ収縮し、その結果、下眼瞼および上眼瞼の垂直方向分離が、約0.5mm以上、例えば約1mm以上、またはさらには約2mm以上増加する。
【0173】
アルファ-アドレナリン作動薬で処置された眼の上眼瞼がスクリーニング用量に応答する場合、前のセクションに記載した使用方法のいずれかを対象に対して使用し得る。例えば、アルファ-アドレナリン作動薬で処置された対象の眼の上眼瞼がスクリーニング投与に応答する場合、対象はアルファ-アドレナリン作動薬の注射を受けてもよく、対象はアルファ-アドレナリン作動薬の局所組成物を眼中へもしくは眼瞼上に塗布してもよく、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0174】
ある態様において、スクリーニング方法は、アルファ-アドレナリン作動薬の好適な投薬量または投与方法に関する情報を提供する。例えば、対象の眼瞼は、アルファ-アドレナリン作動薬のスクリーニング投薬量の投与で、収縮しないかまたは最小限にしか収縮しない場合がある。本明細書において使用される場合、「最小限にしか収縮しない」とは、アルファ-アドレナリン作動薬の投与前の眼瞼の位置と比べて、2mm未満、例えば、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約1.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1~約0.8mmまたはさらには約0.1~約0.5mmの、上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離の増加を指し得る。対象の眼瞼が局所アルファ-アドレナリン作動薬スクリーニング用量の投与で収縮しないかまたは最小限にしか収縮しない場合、対象の眼瞼がより高用量に応答するかどうかを決定するために、第1のスクリーニング用量よりも高い第2のスクリーニング用量を、対象に与え得る。
【0175】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の局所スクリーニング用量に対する対象の応答は、対象へ投与されるアルファ-アドレナリン作動薬の用量または投与頻度を決定するために使用され得る。例えば、対象の眼瞼は、局所スクリーニング用量の投与で大きな収縮応答を示し、従って、対象は低用量のアルファ-アドレナリン作動薬が処方され得る。あるいは、対象の眼瞼は、スクリーニング用量の投与で小さな収縮応答を示し得、従って、対象は高用量のアルファ-アドレナリン作動薬が処方され得る。
【0176】
ある態様において、アルファ-アドレナリン作動薬の投与方法は、スクリーニング用量に対する対象の応答に基づいて処方され得る。例えば、対象の眼瞼は、局所スクリーニング用量の投与で大きな収縮応答を示し、従って、対象は、局所処置レジメンが処方され得る。あるいは、対象の眼瞼は、スクリーニング用量の投与で小さな収縮応答を示し得、従って、対象は、非経口処置レジメンが単独でまたは局所処置レジメンと組み合わせて処方され得る。
【0177】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み入れられるように具体的かつ個々に示されたものと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0178】
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに詳細に記載される。これらの実施例は、例示の目的のためにのみ提供され、特別の定めのない限り、限定するものとしては意図されない。従って、本発明は、以下の実施例に限定されるようには決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかとなるあらゆる変形物を包含するように解釈されるべきである。
【0179】
本明細書において意図される態様は態様P1~P48を含む。
【0180】
態様P1. アルファ-アドレナリン作動薬と、アルファ-アドレナリン作動薬の放出を制御する送達システムとを含む、制御放出組成物。
【0181】
態様P2. 持続放出組成物、長期放出組成物、パルス放出組成物および遅延放出組成物より選択される、態様P1に記載の制御放出組成物。
【0182】
態様P3. 送達システムが、ポリマーベースのシステム、多孔性マトリックス、ヒドロゲル放出システム、およびペプチドベースのシステムより選択される、態様P1またはP2に記載の制御放出組成物。
【0183】
態様P4. 持続放出組成物である、態様P1~P3のいずれかに記載の制御放出組成物。
【0184】
態様P5. 持続放出組成物が注射用に製剤化されている、態様P4に記載の制御放出組成物。
【0185】
態様P6. 皮内、皮下、中隔前、中隔後、中隔後脂肪体中、または筋肉内注射用に製剤化されている、態様P6に記載の制御放出組成物。
【0186】
態様P7. 0.2~10mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P1~P6のいずれか一項に記載の制御放出組成物。
【0187】
態様P8. 0.5~8mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P7に記載の制御放出組成物。
【0188】
態様P9. 0.5~3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P7に記載の制御放出組成物。
【0189】
態様P10. 3~6mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P7に記載の制御放出組成物。
【0190】
態様P11. 持続放出組成物が局所投与用に製剤化されている、態様P4に記載の制御放出組成物。
【0191】
態様P12. 眼瞼への投与用に製剤化されている、態様P1に記載の制御放出組成物。
【0192】
態様P13. 1用量当たり0.2~6mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P11またはP12に記載の制御放出組成物。
【0193】
態様P14. 1用量当たり0.5~4mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P13に記載の制御放出組成物。
【0194】
態様P15. 1用量当たり0.5~3mgのアルファ-アドレナリン作動薬を含む、態様P14に記載の制御放出組成物。
【0195】
態様P16. アルファ-アドレナリン作動薬が、天然アルファ-アドレナリン作動薬または合成アルファ-アドレナリン作動薬より選択される、態様P1~P15のいずれか一項に記載の制御放出組成物。
【0196】
態様P17. アルファ-アドレナリン作動薬が、アルファ-1アゴニストおよびアルファ-2アゴニストより選択される、態様P1~P16のいずれか一項に記載の制御放出組成物。
【0197】
態様P18. アルファ-アドレナリン作動薬が、アミデフリン、アニソダミン、アニソジン、クロロエチルクロニジン、シラゾリン、デスベンラファキシン、ジピベフリン、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン(アドレナリン)、エチレフリン、エチルノルエピネフリン、5-フルロノルエピネフリン、6-フルオロノルエピネフリン、インダニジン、レボノルデフリン、メタラミノール、メトキサミン、メチルドーパ、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、シネフリン、テトラヒドロゾリン、キシロメタゾリン、6-(5-フルオロ-2-ピリミジン-5-イル-フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-a]イミダゾール、A-61603(N-[5-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル]メタンスルホンアミド)およびそれらのいずれか1つの塩より選択される、態様P1~P17のいずれか一項に記載の制御放出組成物。
【0198】
態様P19. アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンまたはその塩である、態様P18に記載の制御放出組成物。
【0199】
態様P20. 対象の眼瞼中へ治療有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を注射する工程を含む、対象における下垂症を治療するための方法。
【0200】
態様P21. 対象の眼瞼中へ治療有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を注射する工程を含む、対象の美容療法のための方法。
【0201】
態様22. 皮内、皮下、中隔前、中隔後、中隔後脂肪体中、または筋肉内に注射する、態様P20またはP21に記載の方法。
【0202】
態様P23. アルファ-アドレナリン作動薬を筋肉内投与する、態様P22に記載の方法。
【0203】
態様P24. ミュラー筋もしくは挙筋または両方へ筋肉内注射する、態様P23に記載の方法。
【0204】
態様P25. ミュラー筋もしくは挙筋または両方に隣接して注射する、態様P21に記載の方法。
【0205】
態様P26. アルファ-アドレナリン作動薬が、態様P1~P10のいずれか一項に記載の制御放出組成物として製剤化されている、態様P20~P25のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
態様P27. アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンまたはその塩である、態様P20~P26のいずれかに記載の方法。
【0207】
態様P28. ミュラー筋に有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を直接接触させる工程を含む、対象における下垂症を治療するための方法。
【0208】
態様P29. ミュラー筋に有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を直接接触させる工程を含む、対象の美容療法のための方法。
【0209】
態様P30. 直接接触が、対象の眼瞼中のインプラントからのアルファ-アドレナリン作動薬の放出によって生じる、態様P28またはP29に記載の方法。
【0210】
態様P31. 直接接触が、ミュラー筋中へのアルファ-アドレナリン作動薬の注射によって生じる、態様P28またはP29に記載の方法。
【0211】
態様P32. アルファ-アドレナリン作動薬が、態様P1~P10のいずれか一項に記載の制御放出組成物として製剤化されている、態様P28~P31のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
態様P33. アルファ-アドレナリン作動薬がオキシメタゾリンまたはその塩である、態様P28~P32のいずれか一項に記載の方法。
【0213】
態様P34. 対象における下垂症を治療するための方法であって、対象の眼瞼へアルファ-アドレナリン作動薬の制御放出組成物を投与する工程を含み、ここで、制御放出組成物がある期間にわたって対象へ有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を放出する、方法。
【0214】
態様P35. 対象の美容療法のための方法であって、対象の眼瞼へアルファ-アドレナリン作動薬の制御放出組成物を投与する工程を含み、ここで、制御放出組成物がある期間にわたって対象へ有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を放出する、方法。
【0215】
態様P36. 制御放出組成物が、態様P1~P19のいずれか1つより選択される、態様P34またはP35に記載の方法。
【0216】
態様P37. 制御放出組成物を眼瞼へ局所投与する、態様P35に記載の方法。
【0217】
態様P38. 制御放出組成物が、6時間以上の期間にわたって対象へ有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を放出する、態様P37に記載の方法。
【0218】
態様P39. 制御放出組成物を眼瞼中へ注射によって投与する、態様P35に記載の方法。
【0219】
態様P40. 制御放出組成物を注射可能なポリマー性インプラントとして投与する、態様P39に記載の方法。
【0220】
態様P41. 制御放出組成物が、2週間以上の期間にわたって対象へ有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を放出する、態様P39またはP40に記載の方法。
【0221】
態様P42. 対象の上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離を増加させるための方法であって、有効量のアルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼または眼瞼へ投与する工程を含む、方法。
【0222】
態様P43. 対象が下垂症を有さない、態様P42に記載の方法。
【0223】
態様P44. アルファ-アドレナリン作動薬を、態様P1~P14のいずれか1つより選択される制御放出組成物として投与する、態様P42またはP43に記載の方法。
【0224】
態様P45. アルファ-アドレナリン作動薬を眼または眼瞼へ局所投与する、態様P42またはP43に記載の方法。
【0225】
態様P46. アルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼瞼へ投与する、態様P45に記載の方法。
【0226】
態様P47. アルファ-アドレナリン作動薬を対象の眼瞼中へ注射する、態様P42またはP43に記載の方法。
【0227】
態様P48. 上眼瞼および下眼瞼の垂直方向分離が、上眼瞼および下眼瞼の処置前分離と比べて10パーセント以上増加する、態様P42~P47のいずれか一項に記載の方法。
【実施例0228】
実施例1.ウサギにおけるオキシメタゾリン溶液の投与後の眼瞼収縮に対する効果の評価
眼疾患を有さないウサギに、眼注射によってオキシメタゾリン溶液を与えた。処置後、オキシメタゾリン溶液投与の1、2、3、7、10、および14日後に、進展を試験した。眼瞼を実験の終了時に組織学的に分析した。エンドポイントは、炎症、線維症、中隔前および後脂肪、挙筋およびミュラー筋の状態、血管損傷もしくは壊死または眼瞼組織に対する虚血性損傷の存在を含んだ。
【0229】
材料
・動物:雌性ニュージーランドウサギ(2.5~3kg)
・鎮静:硫酸アトロピンおよびミダゾラムIV(耳静脈)
・麻酔:耳静脈によるプロポフォール1%(10mg/kg)での誘導
・イソフルランでの維持(吸入麻酔)
・オキシメタゾリン溶液
・スリットランプ
【0230】
方法
ベースライン測定(第1段階)
I.動物(n=2);2.5~3kgニュージーランドウサギ
II.鎮静および麻酔無し
III.写真記録、定規を添えて(距離の標準尺度とするため)。測定当たり3セットの写真を、ウサギが目を細めるのを回避するために薄暗い照明において撮影した。
IV.50μlの10%フェニレフリンを右眼(RE)へ局所投与した。
V.定規を添えた写真記録。測定当たり3セットの写真。投与から20~30分後。
VI.動物を動物ハウジングへ戻した。
【0231】
試験物(オキシメタゾリン溶液)(第2段階)
I.動物(n=3/各群);2.5~3kgニュージーランドウサギ
II.写真記録、定規を添えて(距離の標準尺度とするため)。測定当たり3セットの写真を、ウサギが目を細めるのを回避するために薄暗い照明において撮影した。
III.硫酸アトロピンおよびミダゾラムでの鎮静
IV.プロポフォールでの誘導
V.イソフルランでの維持
VI.オキシメタゾリン溶液またはPBS(リン酸緩衝食塩水)の眼注射
a.群A:PBS中オキシメタゾリン1mg/ml(RE)およびPBS(LE)
b.群B:PBS中オキシメタゾリン3mg/ml(RE)およびPBS(LE)
c.群C:PBS中オキシメタゾリン10mg/ml(RE)およびPBS(LE)
【0232】
0日目に全ての動物に、両方の眼瞼のミュラー筋に隣接する中隔後脂肪体中へ、注射によって100μI(0.1 ml)のオキシメタゾリン溶液(RE)またはPBSビヒクル対照(LE)を投与した。この注射のために、30G注射針を使用し;穴を通っての流体の逆流を防ぐために、注射針の侵入部位から少なくとも4mm離して、試験物を投与した。
VII.フォローアップ
VIII.オキシメタゾリン溶液の注射から14日後に動物を安楽死させ、眼瞼組織を処理した。
a.各動物から両方の眼瞼を採取し、ホルマリン中に保存する
b.組織学(H/E染色)
【0233】
フォローアップ
フォローアップは以下を含んだ:
- 距離を標準化するために、眼はカメラを直視し、写真のフレーム内に定規がある状態での、眼瞼収縮/下垂測定およびデジタル写真。測定当たり3セットの写真を、ウサギが目を細めるのを回避するために薄暗い照明において撮影した。
- スリットランプ生体顕微鏡検査
- 毎日の健康状態の観察
- 投薬前および屠殺前の体重
【0234】
研究変数
I.眼瞼裂距離
II.マージン反射距離1
【0235】
結果
群A(1mg/ml)
注:
注射前。オキシ注射、インシデント無し;
2日目:圧力を加えて右眼の眼瞼を閉じる(注射後3時間)。動物は眼の不快感を示す
3日目午前:圧力を加えて右眼の眼瞼を閉じる
【0236】
群B(3mg/ml)
注:
注射前。オキシ注射、インシデント無し;
2日目:圧力を加えて右眼の眼瞼を閉じる(注射後3時間)。動物は眼の不快感を示す
3日目午前:圧力を加えて右眼の眼瞼を閉じる
3日目午後:圧力を加えて右眼の眼瞼を閉じる
4日目午前:圧力を加えて右眼の眼瞼を閉じる
【0237】
実施例2.診断方法
一滴のフェニレフリン2.5%または10%を、下垂症を有する対象、または美容目的もしくはその他のために上眼瞼を上げたい対象の眼へ投与する。処置された眼を観察し、眼瞼が投与に対してどのように応答するかを調べる。フェニレフリンに対する眼瞼の応答は、下垂症を治療するためまたは美容もしくは他の目的について上眼瞼を上げるためのアルファ-アドレナリン作動薬での処置に対して患者が応答するかどうかを決定するために使用することができる。下垂症を治療するためまたは美容もしくは他の目的について上眼瞼を上げるためのアルファ-アドレナリン作動薬の投薬量、頻度および投与方法もまた、決定することができる。
【0238】
実施例3.下垂症の治療
オキシメタゾリンの持続放出組成物、例えば、約0.5mg~約4mgを、下垂症に苦しんでいる対象の、片側下垂症については一方の眼瞼中へ、または両側下垂症については両方の眼瞼中へ、注射する。対象は、オキシメタゾリンの隔週、毎月または隔月注射を含む処置レジメンの一部として注射を受ける。対象はまた、必要に応じて、オキシメタゾリンの局所薬学的組成物、例えば、1用量当たり0.5mg~2mgを塗布してもよい。
【0239】
実施例4:注射による美容処置
オキシメタゾリンの持続放出組成物、例えば、約0.5mg~約4mgを、美容目的のために対象の眼瞼中へ注射する。対象は、オキシメタゾリンの隔週、毎月または隔月注射を含む処置レジメンの一部として注射を受ける。対象はまた、必要に応じて、オキシメタゾリンの局所薬学的組成物を塗布してもよい。
【0240】
実施例4:眼瞼の外表面への局所塗布による美容処置
上眼瞼の外表面への投与用に製剤化された、オキシメタゾリンの皮膚科学的組成物を、その必要がある対象の眼瞼へ塗布する。組成物は、ローション、クリーム、またはメーキャップ、例えば、アイシャドーもしくはアイライナーとして製剤化され得る。対象は、必要に応じて、例えば、1日1回または2回、組成物を塗布する。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願の明細書に記載される発明。