(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057043
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】香味吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240416BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240416BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/46
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027100
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2022567996の分割
【原出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(57)【要約】 (修正有)
【課題】香味吸引器を構成する部材が破壊されることを抑制する。
【解決手段】香味吸引器は、ハウジング101と、ハウジング101内に収容され、消費材を収容する収容部と、収容部を囲う筒状部50と、筒状部50の軸方向又は軸方向と直交する第1方向に移動可能に筒状部50を保持する保持部37,38と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、消費材を収容する収容部と、
前記収容部を囲う筒状部と、
前記筒状部の軸方向又は前記軸方向と直交する第1方向に移動可能に前記筒状部を保持する保持部と、を有する、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記保持部は、前記筒状部の前記第1方向の移動を規制するように構成される第1規制部を含む、香味吸引器。
【請求項3】
請求項2に記載された香味吸引器において、
前記第1規制部は、前記筒状部の前記軸方向及び前記第1方向と直交する第2方向の移動を規制するように構成される、香味吸引器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された香味吸引器において、
前記第1規制部は、前記筒状部の内側に位置する内側第1規制部を含む、香味吸引器。
【請求項5】
請求項4に記載された香味吸引器において、
前記筒状部の内径をD1とし、前記筒状部の前記軸方向からみて前記内側第1規制部に外接する仮想円の直径をD2としたときに、D1>D2である、香味吸引器。
【請求項6】
請求項5に記載された香味吸引器において、
D1とD2の差は、1mm以下である、香味吸引器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された香味吸引器において、
前記内側第1規制部は、前記第1方向に突出する少なくとも2つの凸部を有し、
前記仮想円は、前記少なくとも2つの凸部に外接する、香味吸引器。
【請求項8】
請求項7に記載された香味吸引器において、
前記凸部は、前記軸方向からみて、前記筒状部の内面に対応する形状を有する頂部を有し、
前記仮想円は、前記頂部に外接し、
前記仮想円の周方向長さをL1とし、前記頂部の前記仮想円と外接する部分の長さの合計をL2としたとき、L1>L2である、香味吸引器。
【請求項9】
請求項8に記載された香味吸引器において、
L1及びL2は、L2<0.5×L1を満たす、香味吸引器。
【請求項10】
請求項4から6のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記内側第1規制部は、前記収容部と前記筒状部との間に位置する環状部を有する、香味吸引器。
【請求項11】
請求項10に記載された香味吸引器において、
前記環状部は、前記筒状部の内面と対向する外周面を有し、
前記外周面は、前記軸方向において前記筒状部の中央に向かって外径が小さくなるようなテーパ面を含む、香味吸引器。
【請求項12】
請求項2から11のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1規制部は、前記筒状部の外側に位置する外側第1規制部を含む、香味吸引器。
【請求項13】
請求項4から11のいずれか一項を引用する請求項12に記載された香味吸引器において、
前記内側第1規制部と前記外側第1規制部は、前記軸方向において重なる位置に配置される、香味吸引器。
【請求項14】
請求項13に記載された香味吸引器において、
前記内側第1規制部と前記外側第1規制部との間には、前記第1方向における間隙が形成され、
前記筒状部は、前記間隙に収容される、香味吸引器。
【請求項15】
請求項2から14のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記筒状部は、第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部と、を有し、
前記第1規制部は、前記筒状部の前記第1端部及び前記第2端部の少なくとも一方の前記第1方向における内側又は外側に配置される、香味吸引器。
【請求項16】
請求項15に記載された香味吸引器において、
前記第1規制部は、前記筒状部の前記第1端部及び前記第2端部の両方の前記第1方向における内側又は外側に配置される、香味吸引器。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記筒状部は、基部と、前記基部の外周側に設けられた断熱層と、を有する、香味吸引器。
【請求項18】
請求項14を引用する請求項17に記載された香味吸引器において、
前記筒状部の一端において、前記基部は、前記断熱層から軸方向に突出した突出部を有し、
前記突出部は、前記間隙に収容される、香味吸引器。
【請求項19】
請求項12から14のいずれか一項を引用する請求項17に記載された香味吸引器において、
前記外側第1規制部は、前記断熱層とは接触しない、香味吸引器。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部は、筒状の側壁部を有し、
前記側壁部は、前記消費材が前記収容部に収容されたときに前記消費材と接触する接触部と、前記接触部と周方向において隣接し、前記消費材から離間する離間部とを有し、
前記消費材が前記収容部に収容されたとき、前記離間部と前記消費材との間に、前記収容部内の前記消費材の端面及び前記収容部の開口と連通する空気流路が形成される、香味吸引器。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部の外周に配置され、前記収容部に収容された前記消費材を加熱するように構成される加熱部を有する、香味吸引器。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記保持部は、前記筒状部の前記軸方向の移動を規制する第2規制部を含み、前記軸方向に移動可能に前記筒状部を保持するように構成される、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータと、ハウジングへのヒータの伝熱を抑制する断熱材と、を有する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、トップ及びベースが、断熱材及びスリーブを軸方向に挟み込むように保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒータの近傍に配置される部材は、ヒータの熱によって膨張する恐れがある。このため、このような部材を完全に固定した場合、固定された部材に熱膨張が生じると、部材が座屈したりする恐れがある。また、エアロゲルシートのような脆い材料で形成される部材をハウジングに対して完全に固定すると、香味吸引器に外部からの衝撃が加えられたときに、この衝撃を緩衝することができずに部材自体に衝撃が伝達されて、この部材が破壊される恐れもある。
【0005】
本発明の目的の一つは、香味吸引器を構成する部材が破壊されることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1形態によれば、香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容され、消費材を収容する収容部と、前記収容部を囲う筒状部と、前記筒状部の軸方向又は前記軸方向と直交する第1方向に移動可能に前記筒状部を保持する保持部と、を有する。
【0007】
第1形態によれば、筒状部は、保持部によって軸方向又は第1方向に移動可能に保持される。即ち、筒状部は完全に固定されず、筒状部が移動するスペースが存在するので、このスペースに筒状部が熱膨張することができ、筒状部が座屈することを抑制することができる。また、香味吸引器に外部からの衝撃が加えられたとしても、筒状部が移動することで衝撃を緩衝することができ、筒状部が破壊されることを抑制することができる。なお、本明細書において、筒状部は円筒状又は角筒状等の任意の形状の筒状体であり得る。また、本明細書において「保持する」とは、対象物を所定の領域内に位置させるように対象物の移動を規制することを意味し、物理的に対象物を把持又は保持することに限られない。
【0008】
第2形態は、第1形態において、前記保持部は、前記筒状部の前記第1方向の移動を規制する第1規制部を含む、ことを要旨とする。
【0009】
第2形態によれば、筒状部が第1方向に移動可能でありながら、第1規制部が筒状部の第1方向の移動を規制することができる。したがって、筒状部が第1方向に際限なく移動することが防止され、筒状部と他の部材(例えば、ハウジング又は収容部)との衝突が防止され得る。
【0010】
第3形態は、第2形態において、前記第1規制部は、前記軸方向及び前記第1方向と直交する第2方向の移動を規制するように構成される、ことを要旨とする。
【0011】
第3形態によれば、第1規制部が、第1方向及び第2方向における筒状部の移動を規制する。したがって、筒状部が第1方向及び第2方向に際限なく移動することが防止され、筒状部と他の部材(例えば、ハウジング又は収容部)との衝突が防止され得る。
【0012】
第4形態は、第2形態又は第3形態において、前記第1規制部は、前記筒状部の内側に位置する内側第1規制部を含む、ことを要旨とする。
【0013】
第4形態によれば、筒状部が第1方向に移動可能でありながら、内側第1規制部が筒状部の第1方向の移動を規制することができる。これにより、第1方向における筒状部の移動を規制する部材を筒状部の外側に設ける必要がなく、このためのスペースを省略することができるので、香味吸引器の大型化が抑制され得る。
【0014】
第5形態は、第4形態において、前記筒状部の内径をD1とし、前記筒状部の前記軸方向からみて前記内側第1規制部に外接する仮想円の直径をD2としたときに、D1>D2である、ことを要旨とする。
【0015】
第5形態によれば、内側第1規制部が筒状部の内側に配置されたときに内側第1規制部と筒状部との間に隙間が設けられる。これにより、筒状部が第1方向に移動可能でありながら、内側第1規制部によって筒状部の第1方向の移動を規制することができる。なお、本明細書において、筒状部が角筒状等の円筒状でない場合における筒状部の内径とは、筒状部の内面に内接する仮想円の直径をいう。
【0016】
第6形態は、第5形態において、D1とD2の差は、1mm以下である、ことを要旨とする。
【0017】
第6形態によれば、内側第1規制部を筒状部の内部に実質的に遊嵌することができる。これにより、筒状部が第1方向に移動可能でありながら、筒状部の移動に要するスペースを縮小することができる。その結果、香味吸引器の大型化が抑制され得る。また、筒状部の移動可能な範囲を小さくすることができるので、香味吸引器における筒状部の設計上の配置場所から大きく位置がずれることが抑制され、香味吸引器の性能が設計上の性能から逸脱することが抑制される。また、筒状部が大きく揺れることによる筒状部の損傷が抑制される。
【0018】
第7形態は、第5形態又は第6形態において、前記内側第1規制部は、前記第1方向に突出する少なくとも2つの凸部を有し、前記仮想円は、前記少なくとも2つの凸部に外接する、ことを要旨とする。
【0019】
第7形態によれば、内側第1規制部の凸部が仮想円と外接するので、この凸部は筒状部の内面に接触することができる。即ち、内側第1規制部は、筒状部の内面の全周にわたって接触しない。このため、内側第1規制部が筒状部の内面の全周にわたって接触する場合に比べて、内側第1規制部の熱が筒状部に伝達されることを抑制することができる。したがって、収容部が加熱される場合には特に、筒状部よりも収容部に近い内側第1規制部が筒状部に熱を伝達することが抑制され、その結果、収容部の熱が外部に放散することが抑制される。
【0020】
第8形態は、第7形態において、前記凸部は、前記軸方向からみて、前記筒状部の内面に対応する形状を有する頂部を有し、前記仮想円は、前記頂部に外接し、前記筒状部の内面の周方向長さをL1とし、前記頂部の前記仮想円と外接する部分の長さの合計をL2としたとき、L1>L2である、ことを要旨とする。
【0021】
第8形態によれば、内側第1規制部は、筒状部の内面の全周にわたって接触しない。このため、内側第1規制部が筒状部の内面の全周にわたって接触する場合に比べて、内側第1規制部の熱が筒状部に伝達されることを抑制することができる。したがって、収容部が加熱される場合には特に、筒状部よりも収容部に近い内側第1規制部が筒状部に熱を伝達することが抑制され、その結果、収容部の熱が外部に放散することが抑制される。
【0022】
第9形態は、第8形態において、L1及びL2は、L2<0.5×L1を満たす、ことを要旨とする。
【0023】
第9形態によれば、内側第1規制部が筒状部の内面と接触する面積をより小さくすることができる。その結果、内側第1規制部の熱が筒状部に伝達されることを抑制することができる。したがって、収容部が加熱される場合には特に、筒状部よりも収容部に近い内側第1規制部が筒状部に熱を伝達することがより抑制され、その結果、収容部の熱が外部に放散することがより抑制される。
【0024】
第10形態は、第4形態から第6形態のいずれかにおいて、前記内側第1規制部は、前記収容部と前記筒状部との間に位置する環状部を有する、ことを要旨とする。
【0025】
第10形態によれば、筒状部の内面の断面形状が環状部と同様の環状である場合、環状部が筒状部の内面と比較的広い面積で接触することができる。このため、筒状部が環状部と接触した際に環状部から筒状部に加わる衝撃が分散され、筒状部が破壊されることを抑制することができる。
【0026】
第11形態は、第10形態において、前記環状部は、前記筒状部の内面と対向する外周面を有し、前記外周面は、前記軸方向において前記筒状部の中央に向かって外径が小さくなるようなテーパ面を含む、ことを要旨とする。
【0027】
第11形態によれば、環状部を筒状部の内側に配置させるときに、環状部を筒状部に挿入しやすくできる。
【0028】
第12形態は、第2形態から第11形態のいずれかにおいて、前記第1規制部は、前記筒状部の外側に位置する外側第1規制部を含む、ことを要旨とする。
【0029】
第12形態によれば、外側第1規制部が筒状部の外側に位置するので、筒状部の移動を規制する部材を筒状部の内側に設けなくても、筒状部が第1方向に移動でき、且つ外側第1規制部が筒状部の第1方向の移動を規制することができる。その結果、収容部が加熱される場合には特に、筒状部よりも収容部に近い位置に筒状部の移動を規制する部材を設けないことにより、筒状部に熱を伝達することが抑制され、収容部の熱が外部に放散することが抑制され得る。第1規制部が内側第1規制部と外側第1規制部を含む場合には、内側第1規制部と外側第1規制部の両方によって筒状部の第1方向の移動を規制することができる。即ち、筒状部が第1方向に移動したときに、内側第1規制部と外側第1規制部の両方が同時に筒状部と接触して筒状部の移動を規制することができるので、筒状部に第1規制部が接触したときの衝撃が分散され、筒状部が破壊されることを抑制することができる。
【0030】
第13形態は、第4形態から第11形態のいずれかを引用する第12形態において、前記内側第1規制部と前記外側第1規制部は、前記軸方向において重なる位置に配置される、ことを要旨とする。
【0031】
第13形態によれば、内側第1規制部と外側第1規制部の両方によって軸方向における同一位置において筒状部の第1方向の移動を規制することができる。このため、筒状部に第1規制部が接触したときの衝撃が軸方向における同一位置において分散され、筒状部が破壊されることを抑制することができる。
【0032】
第14形態は、第13形態において、前記内側第1規制部と前記外側第1規制部との間には、前記第1方向における間隙が形成され、前記筒状部は、前記間隙に収容される、ことを要旨とする。
【0033】
第14形態によれば、筒状部が第1方向における間隙に位置して、この間隙において第1方向に移動可能に保持され得る。言い換えれば、筒状部が、内側第1規制部と外側第1規制部によって固定されることなく、挟み込まれる。
【0034】
第15形態は、第2形態から第14形態のいずれかにおいて、前記筒状部は、第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部と、を有し、前記第1規制部は、前記筒状部の前記第1端部及び前記第2端部の少なくとも一方の前記第1方向における内側又は外側に配置される、ことを要旨とする。
【0035】
第16形態は、第15形態において、前記第1規制部は、前記筒状部の前記第1端部及び前記第2端部の両方の前記第1方向における内側又は外側に配置される、ことを要旨とする。
【0036】
第16形態によれば、筒状部の第1端部と第2端部の2箇所において第1方向の移動を規制することができるので、筒状部の両端部において第1方向に際限なく移動することを防止し、筒状部と他の部材(例えば、ハウジング又は収容部)との衝突をより確実に防止することができる。また、筒状部に第1規制部が接触したときの衝撃が両端部に分散され、筒状部が破壊されることを抑制することができる。
【0037】
第17形態は、第1形態から第16形態のいずれかにおいて、前記筒状部は、基部と、前記基部の外周面上に設けられた断熱層と、を有する、ことを要旨とする。
【0038】
第17形態によれば、基部及び断熱層が破壊されることを抑制することができる。特に、断熱層がエアロゲルシートなどの脆い材料で形成される場合には、断熱層が基部によって支持され、保持部が断熱層と接触しないように基部が保持され得る。
【0039】
第18形態は、第14形態を引用する第17形態において、前記筒状部の一端において、前記基部は、前記断熱層から軸方向に突出した突出部を有し、前記突出部は、前記間隙に収容される、ことを要旨とする。
【0040】
第18形態によれば、筒状部を構成する基部が内側第1規制部及び外側第1規制部によって第1方向の移動が規制される。したがって、基部を例えば所定の強度を有する材料、例えばPEEK等の樹脂で形成することにより、筒状部が破壊されることを抑制することができる。
【0041】
第19形態は、第12形態から第14形態のいずれかを引用する第17形態において、前記外側第1規制部は、前記断熱層とは接触しない、ことを要旨とする。
【0042】
第19形態によれば、外側第1規制部から断熱層に衝撃を直接与えることがないので、断熱層が例えばエアロゲルシートなどの脆い材料で形成されていても、断熱層が破壊されることを防止することができる。
【0043】
第20形態は、第1形態から第19形態のいずれかにおいて、前記収容部は、筒状の側壁部を有し、前記側壁部は、前記消費材が前記収容部に収容されたときに前記消費材と接触する接触部と、前記接触部と周方向において隣接し、前記消費材から離間する離間部とを有し、前記消費材が前記収容部に収容されたとき、前記離間部と前記消費材との間に、前記収容部内の前記消費材の端面及び前記収容部の開口と連通する空気流路が形成される、ことを要旨とする。
【0044】
第20形態によれば、収容部の開口から供給された空気が、空気流路と消費材の端面を通じてユーザの口内に到達することができるので、消費材に供給される空気を導入するための流路を香味吸引器に別途設ける必要がないので、香味吸引器の構造を簡素化することができる。
【0045】
第21形態は、第1形態から第20形態のいずれかにおいて、前記収容部の外周に配置され、前記収容部に収容された前記消費材を加熱するように構成される加熱部を有する、ことを要旨とする。
【0046】
収容部に収容される消費材が加熱される場合、収容部を囲む筒状部が加熱部の熱によって膨張する恐れがある。第21形態によれば、加熱部による熱で筒状部が膨張したとしても筒状部が移動可能なスペースに筒状部が膨張することができ、筒状部に応力が加わることを抑制することができる。
【0047】
第22形態は、第1形態から第21形態のいずれかにおいて、前記保持部は、前記筒状部の前記軸方向の移動を規制する第2規制部を含み、前記軸方向に移動可能に前記筒状部を保持するように構成される、ことを要旨とする。
【0048】
第22形態によれば、筒状部が軸方向に移動可能でありながら、第2規制部によって軸方向の移動を規制することができる。したがって、筒状部が軸方向に際限なく移動することを防止し、筒状部と他の部材(例えば、ハウジング又は収容部)との衝突を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1A】本実施形態に係る香味吸引器の概略正面図である。
【
図1B】本実施形態に係る香味吸引器の概略上面図である。
【
図1C】本実施形態に係る香味吸引器の概略底面図である。
【
図3】
図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器の断面図である。
【
図4B】
図4Aに示す矢視4B-4Bにおけるチャンバの断面図である。
【
図5A】
図4Bに示す矢視5A-5Aにおけるチャンバの断面図である。
【
図5B】
図4Bに示す矢視5B-5Bにおけるチャンバの断面図である。
【
図7】チャンバ内の所望の位置に消費材が配置された状態の
図5Bに示す断面図である。
【
図13】環状部側からみたガスケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0051】
図1Aは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略正面図である。
図1Bは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略上面図である。
図1Cは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略底面図である。本明細書で説明する図面においては、説明の便宜のためにX-Y-Z直交座標系を付することがある。この座標系において、Z軸は鉛直上方を向いており、X-Y平面は香味吸引器100を水平方向に切断するように配置されており、Y軸は香味吸引器100の正面から裏面へ延出するように配置されている。Z軸は、後述する霧化部30のチャンバ50に収容される消費材の挿入方向、又は筒状の断熱部の軸方向ということもできる。また、X軸は、軸方向に直交する第1方向ということもでき、Y軸は、軸方向及び第1方向に直交する第2方向ということもできる。また、X軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス長手方向、又は加熱部と電源部とが並ぶ方向ということもできる。Y軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス短手方向ということもできる。
【0052】
本実施形態に係る香味吸引器100は、例えば、エアロゾル源を含んだ香味源を有するスティック型の消費材を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0053】
図1Aから
図1Cに示されるように、香味吸引器100は、アウタハウジング101(ハウジングの一例に相当する)と、スライドカバー102と、スイッチ部103と、を有する。アウタハウジング101は、香味吸引器100の最外のハウジングを構成し、ユーザの手に収まるようなサイズを有する。ユーザが香味吸引器100を使用する際は、香味吸引器100を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。アウタハウジング101は、複数の部材を組み立てることによって構成されてもよい。アウタハウジング101は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂で形成することができる。
【0054】
アウタハウジング101は、消費材を受け入れるための図示しない開口を有し、スライドカバー102は、この開口を閉じるようにアウタハウジング101にスライド可能に取り付けられる。具体的には、スライドカバー102は、アウタハウジング101の上記開口を閉鎖する閉位置(
図1A及び
図1Bに示す位置)と、上記開口を開放する開位置との間を、アウタハウジング101の外表面に沿って移動可能に構成される。例えば、ユーザがスライドカバー102を手動で操作することにより、スライドカバー102を閉位置と開位置とに移動させることができる。これにより、スライドカバー102、香味吸引器100の内部への消費材のアクセスを許可または規制することができる。
【0055】
スイッチ部103は、香味吸引器100の作動のオンとオフとを切り替えるために使用される。例えば、ユーザは、消費材を香味吸引器100に挿入した状態でスイッチ部103を操作することで、図示しない加熱部に図示しない電源から電力が供給され、消費材を燃焼させずに加熱することができる。なお、スイッチ部103は、アウタハウジング101の外部に設けられるスイッチであってもよいし、アウタハウジング101の内部に位置するスイッチであってもよい。スイッチがアウタハウジング101の内部に位置する場合、アウタハウジング101の表面のスイッチ部103を押下することで、間接的にスイッチが押下される。本実施形態では、スイッチ部103のスイッチがアウタハウジング101の内部に位置する例を説明する。
【0056】
香味吸引器100はさらに、図示しない端子を有してもよい。端子は、香味吸引器100を例えば外部電源と接続するインターフェースであり得る。香味吸引器100が備える電源が充電式バッテリである場合は、端子に外部電源を接続することで、外部電源が電源に電流を流し、電源を充電することができる。また、香味吸引器100は、端子にデータ送信ケーブルを接続することにより、香味吸引器100の作動に関連するデータを外部装置に送信できるように構成され得る。
【0057】
次に、本実施形態に係る香味吸引器100で使用される消費材について説明する。
図2は、消費材110の概略側断面図である。本実施形態において、香味吸引器100と消費材110とにより喫煙システムが構成され得る。
図2に示す例においては、消費材110は、喫煙可能物111と、筒状部材114と、中空フィルタ部116と、フィルタ部115と、を有する。喫煙可能物111は、第1の巻紙112によって巻装される。筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113が省略され、第1の巻紙112を用いて筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結されてもよい。第2の巻紙113のフィルタ部115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消費材110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消費材110の吸口として機能する。
【0058】
喫煙可能物111は、例えばたばこ等の香味源と、エアロゾル源とを含み得る。また、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。筒状部材114は、紙管又は中空フィルタであり得る。図示の例では、消費材110は、喫煙可能物111、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115を備えているが、消費材110の構成はこれに限られない。例えば、中空フィルタ部116が省略され、筒状部材114とフィルタ部115とが互いに隣接配置されてもよい。
【0059】
次に、香味吸引器100の内部構造について説明する。
図3は、
図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器100の断面図である。
図3に示すように、香味吸引器100のアウタハウジング101の内側には、インナハウジング10(ハウジングの一例に相当する)が設けられる。インナハウジング10は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。耐熱性や強度の観点からは、インナハウジング10はPEEKで形成されることが好ましい。しかしながら、インナハウジング10の材料は特に限定されない。インナハウジング10の内部空間には、電源部20と、霧化部30と、が設けられる。また、アウタハウジング101は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。
【0060】
電源部20は、電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、霧化部30と電気的に接続される。これにより、電源21は、消費材110を適切に加熱するように、霧化部30に電力を供給することができる。
【0061】
霧化部30は、図示のように、消費材110の挿入方向(Z軸方向)に延びるチャンバ50(収容部の一例に相当する)と、チャンバ50の一部を囲う加熱部40と、断熱部32(筒状部の一例に相当する)と、略筒状の挿入ガイド部材34と、を有する。チャンバ50は、消費材110を収容するように構成される。加熱部40は、チャンバ50の外周面に接触し、チャンバ50に収容された消費材110を加熱するように構成される。図示のように、チャンバ50の底部には、底部材36が設けられていてもよい。底部材36は、チャンバ50に挿入された消費材110を位置決めするストッパとして機能し得る。底部材36は、消費材110が当接する面に凹凸を有し、消費材110が当接する面に空気を供給可能な空間を画定し得る。底部材36は、例えば、PEEK等の樹脂材料、金属、ガラス、又はセラミック等で構成され得るが、特にこれに限定されない。また、底部材36を構成する材料は、チャンバ50を構成する材料に比べて、熱伝導性が低い材料であってもよい。底部材36をチャンバ50の底部56(
図6B参照)に接合する場合、エポキシ樹脂等の樹脂材料や無機材料で構成され得る接着剤を用いることができる。チャンバ50及び加熱部40についての詳細は後述する。
【0062】
断熱部32は、全体として略筒状であり、チャンバ50を囲うように配置される。断熱部32は、例えばエアロゲルシートを含み得る。挿入ガイド部材34は、例えばPEEK、PC、又はABS等の樹脂材料により形成され、閉位置にあるスライドカバー102とチャンバ50との間に設けられる。本実施形態では、挿入ガイド部材34がチャンバ50と接触し得るので、挿入ガイド部材34は、耐熱性の観点からPEEKで形成されることが好ましい。挿入ガイド部材34は、スライドカバー102が開位置にあるときに、香味吸引器100の外部と連通し、消費材110を挿入ガイド部材34に挿入することで、チャンバ50への消費材110の挿入を案内する。
【0063】
次に、チャンバ50の構造について説明する。
図4Aは、チャンバ50の斜視図である。
図4Bは、
図4Aに示す矢視4B-4Bにおけるチャンバ50の断面図である。
図5Aは、
図4Bに示す矢視5A-5Aにおけるチャンバ50の断面図である。
図5Bは、
図4Bに示す矢視5B-5Bにおけるチャンバ50の断面図である。
図6は、チャンバ50及び加熱部40の斜視図である。
図4A及び
図4Bに示すように、チャンバ50は、消費材110が挿入される開口52と、消費材110を収容する筒状の側壁部60と、を含む筒状部材であり得る。チャンバ50は、耐熱性を有し、且つ熱膨張率が小さい材料で形成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等の金属、PEEK等の樹脂、ガラス、又はセラミック等で形成され得る。
【0064】
図4B及び
図5Bに示すように、側壁部60は、接触部62と、離間部66と、を含む。消費材110がチャンバ50内の所望の位置に配置されたとき、接触部62は、消費材110の一部と接触又は押圧し、離間部66は、消費材110から離間する。なお、本明細書において、「チャンバ50内の所望の位置」とは、消費材110が適切に加熱される位置、又はユーザが喫煙するときの消費材110の位置をいう。接触部62は、内面62aと、外面62bとを有する。離間部66は、内面66aと、外面66bとを有する。
図6に示すように、加熱部40は、接触部62の外面62bに配置される。加熱部40は、接触部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。なお、加熱部40は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部40が、接触部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。
【0065】
図4A及び
図5Bに示すように、接触部62の外面62bは平面である。接触部62の外面62bが平面であることにより、
図6に示すように接触部62の外面62bに配置される加熱部40に帯状の電極48が接続されている場合に、帯状の電極48が撓むことを抑制することができる。
図4B及び
図5Bに示すように、接触部62の内面62aは平面である。また、
図4B及び
図5Bに示すように、接触部62の厚みは均一である。
【0066】
図4A、
図4B、及び
図5Bに示すように、チャンバ50は、接触部62をチャンバ50の周方向に2つ有し、2つの接触部62は、互いに平行になるように対向する。2つの接触部62の内面62a間の少なくとも一部の距離は、チャンバ50に挿入される消費材110の接触部62間に配置される箇所の幅よりも小さいことが好ましい。
【0067】
図5Bに示すように、離間部66の内面66aは、チャンバ50の長手方向(Z軸方向)に直交する面において、全体的に円弧状の断面を有し得る。また、離間部66は、接触部62と周方向において隣接するように配置される。
【0068】
図4Bに示すように、チャンバ50は
図3に示した底部材36が貫通してチャンバ50内部に配置されるように、その底部56に穴56aを有し得る。底部材36は、チャンバ50の底部56の内部に接着剤等により固定され得る。底部56に設けられる底部材36は、消費材110の端面の少なくとも一部を露出するように、チャンバ50に挿入された消費材110の一部を支持し得る。また、底部56は、露出した消費材110の端面が後述する空隙67(
図7参照)と連通するように、消費材110の一部を支持し得る。
【0069】
図4A及び
図4Bに示すように、チャンバ50は、開口52と側壁部60との間に筒状部54を有することが好ましい。消費材110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態において、筒状部54と消費材110との間に隙間が形成され得る。また、
図4A及び
図4Bに示すように、チャンバ50は、筒状部54の内面と接触部62の内面62aとを接続するテーパ面58aを備えた第1ガイド部58を有することが好ましい。
【0070】
図6に示すように、加熱部40は、加熱要素42を有する。加熱要素42は、例えばヒーティングトラックであってもよい。加熱要素42は、チャンバ50の離間部66に接触せず、接触部62を加熱するように配置されることが好ましい。言い換えれば、加熱要素42は、接触部62の外面にのみ配置されることが好ましい。加熱要素42は、チャンバ50の離間部66を加熱する部分と、接触部62を加熱する部分とで、加熱能力に差を有していてもよい。具体的には、加熱要素42は、離間部66よりも接触部62を高い温度に加熱するように構成されていてもよい。例えば、接触部62と離間部66とにおける加熱要素42のヒーティングトラックの配置密度が調整され得る。また、加熱要素42は、チャンバ50の全周において略同一の加熱能力を有して、チャンバ50の外周に巻回されてもよい。
図6に示すように、加熱部40は、加熱要素42に加えて、加熱要素42の少なくとも一面を覆う電気絶縁部材44を有することが好ましい。本実施形態においては、電気絶縁部材44は加熱要素42の両面を覆う様に配置される。
【0071】
図7は、チャンバ50内の所望の位置に消費材110が配置された状態の
図5Bに示す断面図である。
図7に示すように、消費材110がチャンバ50内の所望の位置に配置されると、消費材110はチャンバ50の接触部62と接触して押圧され得る。他方、消費材110と離間部66との間には、空隙67が形成される。空隙67は、チャンバ50の開口52と、チャンバ50内に位置づけられた消費材110の端面と連通し得る。これにより、チャンバ50の開口52から流入した空気は、空隙67を通過して、消費材110の内部に流入することができる。言い換えれば、消費材110と離間部66との間に空気流路(空隙67)が形成される。
【0072】
次に、本実施形態における断熱部32の保持態様について詳細に説明する。チャンバ50を囲う断熱部32をインナハウジング10又はアウタハウジング101に対して完全に固定すると、香味吸引器100に外部からの衝撃が加えられたときに、この衝撃を緩衝することができずに断熱部32が破壊される恐れがある。また、断熱部32がチャンバ50(又は加熱部40)の熱によって膨張する場合には、固定された断熱部が熱膨張によって座屈したりする恐れもある。そこで、本実施形態では、香味吸引器100は、断熱部32を、チャンバ50の軸方向又はこの軸方向と直交する第1方向(例えばX軸方向又はY軸方向)に移動可能に保持する、第1保持部37及び第2保持部38(それぞれ保持部の一例に相当する)を有する。なお、本明細書では、第1保持部37及び第2保持部38は、断熱部32をチャンバ50の軸方向及び第1方向に移動可能に保持する例を説明するが、これに限らず、軸方向のみに移動可能に保持してもよいし、第1方向のみに移動可能に保持してもよい。また、第1保持部37及び第2保持部38は、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーで形成することができる。
【0073】
図3に示すように、第1保持部37は、断熱部32の端子側(Z軸負方向側)の第1端部39aをチャンバ50の軸方向又は第1方向に移動可能に保持する。第2保持部38は、断熱部32のスライドカバー102側(Z軸正方向側)の第2端部39bをチャンバ50の軸方向又は第1方向に移動可能に保持する。即ち、本実施形態では、断熱部32は完全に固定されず、香味吸引器100が、断熱部32が移動するためのスペースを有する。このため、加熱部40による熱で断熱部32が膨張したとしてもこのスペースに断熱部32が膨張することができ、断熱部32が座屈することを抑制することができる。また、香味吸引器100に外部からの衝撃が加えられたとしても、断熱部32が移動することで衝撃を緩衝することができ、断熱部32が破壊されることを抑制することができる。
【0074】
図8は、第1保持部37の拡大断面図である。図示のように、チャンバ50の底部56の内部に設けられた底部材36は、チャンバ50の穴56aを通じてチャンバ50の外部に突出する軸部36aを有する。香味吸引器100は、底部材36の軸部36aを受ける略筒状の底部材キャップ72を有する。底部材キャップ72は、チャンバ50側の一端にフランジ部72aを有する。
【0075】
断熱部32は、支持材32a(基部の一例に相当する)と、支持材32aの外周側に設けられた断熱層32bと、を有する。ここで、支持材32aの外周側とは、支持材32aのチャンバ50と対向する側と反対側をいう。支持材32aは、例えば略筒状であり、チャンバ50を取り囲むように配置される。支持材32aは、例えばPEEK等の樹脂、ステンレス鋼等の金属、紙、又はガラス等で形成され得る。これに限らず、支持材32aは、筒状になり得る任意の材料で形成され得る。断熱層32bは、例えばエアロゲルシートであり得る。本実施形態では、断熱層32bは、支持材32aの外面に接着剤等で固定され得る。また、断熱層32bは、両面にシリコンの粘着層を有するPI(ポリイミド)基材を介して支持材32aの外面に接着又は固定され得る。断熱部32は、さらに、断熱層32bの外面に配置される熱収縮チューブ32cを有していてもよい。収縮チューブ32cは、例えば、PFAやFEP等の熱可塑性樹脂によって形成され得る。なお、本実施形態では、断熱層32bが支持材32aに接触した状態を維持することを目的として熱収縮チューブ32cを採用しているが、これに限らず、同様の目的を達成できる任意の部材を採用することができる。例えば、熱収縮チューブ32cに代えて、弾性チューブ等が採用され得る。弾性チューブとしては、耐熱性のテープ(例えばPIテープ)又はコーティング剤(例えばワニス)が使用され得る。図示のように、本実施形態では、支持材32aは、断熱部32の一端において、断熱層32bから軸方向に突出した突出部33を有してもよい。
【0076】
図9は、断熱部32のX-Y平面における断面図である。
図9に示すように、断熱部32を構成する支持材32a、断熱層32b、及び熱収縮チューブ32cは、全体として環状である。支持材32aは、内径D1と、外径D4とを有する。また、支持材32aは、内面の周方向長さL1´を有する。図示のように、本実施形態では、断熱部32は円筒状であるが、これに限らず、角筒状等の任意の形状であってもよい。
【0077】
図8を参照すると、第1保持部37は、リング80(第1規制部及び内側第1規制部の一例に相当する)と、ヒータクッション74(第1規制部及び外側第1規制部の一例に相当する)と、を含む。リング80は、断熱部32の支持材32aに対して、軸方向において重なる位置であり且つ支持材32aの第1方向における内側に位置する。ヒータクッション74は、その少なくとも一部が、具体的には
図11に示す周壁部75が、断熱部32の支持材32aに対して、軸方向において重なる位置であり且つ支持材32aの第1方向における外側に位置する。リング80とヒータクッション74は、断熱部32と隙間を有して断熱部32を挟み込むことにより、断熱部32の第1方向の移動を規制しながら、第1方向に移動可能に断熱部32を保持する。したがって、断熱部32が第1方向に際限なく移動することを防止し、断熱部32と他の部材(例えば、インナハウジング10又はチャンバ50)との衝突を防止することができる。
【0078】
続いて、リング80の詳細について説明する。
図10は、リング80の平面図である。
図8及び
図10に示すように、リング80は、底部材キャップ72が挿入される開口80aを有し、底部材キャップ72のフランジ部72aとヒータクッション74との間に挟み込まれて固定され得る。
図10に示すように、リング80は、開口80aを画定するリング本体81と、リング本体81からチャンバ50の軸方向に直交する方向に突出する少なくとも2つ(図示の例では3つ)の凸部82、凸部83、及び凸部84を有する。凸部83及び凸部84は、
図10に示す平面図において、リング80の開口80aの中心に対して、それぞれ凸部82から周方向に-90°と+90°の位置に設けられる。また、
図8及び
図10に示すように、リング80は、加熱部40の電極48が延びる空間を形成するために、切り欠き部85を有する。切り欠き部85がリング80に設けられることで、加熱部40の電極48が軸方向と略平行に延びることができる。
【0079】
凸部82、凸部83、及び凸部84は、それぞれ、軸方向からみて、即ち
図10に示す平面において、断熱部32の支持材32aの内面に対応する形状を有する頂部82a、頂部83a、及び頂部84aを有する。また、軸方向からみて、即ち
図10に示す平面において、リング80の凸部82、凸部83、及び凸部84に外接する仮想円の直径は、直径D21である。言い換えれば、この仮想円は、頂部82a、頂部83a、及び頂部84aに外接する。
【0080】
ここで、本実施形態では、リング80に外接する仮想円の直径D21は、断熱部32の支持材32aの内径D1より小さいことが好ましい(即ちD1>D21であることが好ましい)。即ち、リング80が断熱部32の内側に配置されたときにリング80と断熱部32との間に隙間が設けられる。これにより、断熱部32が第1方向に移動可能でありながら、断熱部32が第1方向に移動することでリング80と接触し、リング80によって断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。
【0081】
また、本実施形態では、リング80の凸部82、凸部83、及び凸部84が仮想円と外接するので、これら凸部82、凸部83、及び凸部84は、断熱部32が第1方向に移動したときに断熱部32の内面に接触することができる。即ち、リング80は、断熱部32の内面の全周にわたって接触しない。このため、リング80が断熱部32の内面の全周にわたって接触する場合に比べて、リング80の熱が断熱部32に伝達されることを抑制することができる。したがって、チャンバ50が加熱される場合には特に、断熱部32よりもチャンバ50に近いリング80が断熱部32に熱を伝達することが抑制され、その結果、チャンバ50の熱が外部に放散することが抑制される。
【0082】
内径D1と直径D21との差は、1mm以下であることが好ましい。これにより、リング80が断熱部32の内部に実質的に遊嵌され得るので、断熱部32が第1方向に移動可能でありながら、断熱部32の移動に要するスペースを縮小することができる。その結果、香味吸引器100の大型化が抑制され得る。また、断熱部32の移動可能な範囲を小さくすることができるので、香味吸引器100における断熱部32の設計上の配置場所から大きく位置がずれることが抑制され、香味吸引器100の性能が設計上の性能から逸脱することが抑制される。
【0083】
リング80の頂部82a、頂部83a、及び頂部84aの周方向長さ(リング80の仮想円と外接する部分の長さ)の合計を、長さL2としたとき、長さL2は、断熱部32の支持材32aの内面の周方向長さL1´(
図9参照)よりも小さいことが好ましい(即ちL1´>L2であることが好ましい)。即ち、リング80は、断熱部32の内面の全周にわたって接触しないことが好ましい。この場合、リング80が断熱部32の内面の全周にわたって接触する場合に比べて、リング80の熱が断熱部32に伝達されることを抑制することができる。
【0084】
また、
図10に示すリング80に外接する仮想円の周方向長さをL1としたとき、長さL1は、リング80の頂部82a、頂部83a、及び頂部84aの周方向長さ(リング80の仮想円と外接する部分の長さ)の合計である長さL2よりも大きいことが好ましい(即ちL1>L2であることが好ましい)。この場合、
図10に示す平面視においてリング80の外周が円形である場合に比べて、リング80が断熱部32と接近する部分の長さが短くなるので、リング80の熱が断熱部32に伝達されることを抑制することができる。したがって、チャンバ50が加熱される場合には特に、断熱部32よりもチャンバ50に近いリング80が断熱部32に熱を伝達することが抑制され、その結果、チャンバ50の熱が外部に放散することが抑制される。
【0085】
長さL1と長さL2は、L1<0.5×L2を満たすことがさらに好ましい。これにより、リング80が断熱部32の内面と接近部分の長さをより短くすることができる。その結果、リング80の熱が断熱部32に伝達されることを一層抑制することができる。また、長さL1と長さL2は、0.2×L2<L1<0.4×L2を満たすことが最も好ましい。長さL1が0.2×L2以下であると、リング80が変形して、チャンバ50と断熱部32との軸(中心軸)が揃わなくなる恐れがある。長さL1が0.2×L2であり且つ0.4×L2未満であることにより、熱の流出がより効率的に抑えられつつ、チャンバ50と断熱部32の軸方向位置を適切に保持することができる。
【0086】
リング80は、断熱部32が任意の第1方向に移動したときに凸部82と接触するので、断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。また、リング80は、軸方向及び第1方向と直交する第2方向の移動を規制することが好ましい。具体的には、リング80は、凸部83又は凸部84を有し、軸方向及びこの任意の第1方向と直交する第2方向に断熱部32が移動したときに、凸部83又は凸部84が断熱部32と接触し、第2方向の移動も規制することが好ましい。これにより、断熱部32が第1方向及び第2方向に際限なく移動することを防止し、断熱部32と他の部材(例えば、インナハウジング10又はチャンバ50)との衝突を防止することができる。
【0087】
また、リング80は、断熱部32の内側に位置するので、断熱部32の移動を規制する部材(例えばヒータクッション74)を断熱部32の外側に設けるためのスペースを省略することができ、香味吸引器100の大型化が抑制され得る。
【0088】
次にヒータクッション74について説明する。
図11は、ヒータクッション74の平面図である。ヒータクッション74は、例えばゴムなどの弾性部材で形成され得る。
図8及び
図11に示すように、ヒータクッション74は、中央凹部74aと、環状凸部74bと、平坦部74cと、周壁部75と、を有する。中央凹部74aは、底部材キャップ72の一端を収容して支持するように構成される。環状凸部74bは、中央凹部74aを画定し、底部材キャップ72のフランジ部72aとともにリング80を軸方向において挟持する。
【0089】
平坦部74cは、環状凸部74bから、リング80から離間しながら第1方向外側に向けて延びる。周壁部75は、平坦部74cの最外周からZ軸正方向に延びて、支持材32aの突出部33の外周側に位置する。
図11に示すように、軸方向からみて、ヒータクッション74の周壁部75の内面に内接する仮想円の直径は、直径D3である。本実施形態では、この直径D3は、断熱部32の支持材32aの外径D4より大きいことが好ましい(即ちD3>D4であることが好ましい)。言い換えれば、断熱部32の支持材32aがヒータクッション74の周壁部75の内側に配置されたときに支持材32aと周壁部75との間に隙間が設けられる。これにより、断熱部32が第1方向に移動可能でありながら、断熱部32が第1方向に移動することで周壁部75と接触し、ヒータクッション74によって断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。
【0090】
直径D3と外径D4との差は、1mm以下であることが好ましい。これにより、支持材32aが周壁部75の内部に実質的に遊嵌され得るので、断熱部32が第1方向に移動可能でありながら、断熱部32の移動に要するスペースを縮小することができる。その結果、香味吸引器100の大型化が抑制され得る。また、断熱部32の移動可能な範囲を小さくすることができるので、香味吸引器100における断熱部32の設計上の配置場所から大きく位置がずれることが抑制され、香味吸引器100の性能が設計上の性能から逸脱することが抑制される。
【0091】
ヒータクッション74の周壁部75が断熱部32の外側に位置することで、断熱部32の移動を規制する部材(例えばリング80)を断熱部32の内側に設けなくても、断熱部32が第1方向に移動でき、且つ周壁部75が断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。特にチャンバ50が加熱される場合に、断熱部32よりもチャンバ50に近い位置に断熱部32の移動を規制する部材(例えばリング80)を設けなくてよい。このため、当該部材を介して断熱部32に熱を伝達することが抑制され、その結果、チャンバ50の熱が外部に放散することが抑制される。
【0092】
また、本実施形態のように、リング80とヒータクッション74とが設けられる場合には、リング80とヒータクッション74の両方によって断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。即ち、断熱部32が第1方向に移動したときに、リング80とヒータクッション74の両方が同時に断熱部32と接触して断熱部32の移動を規制することができる。このため、断熱部32にリング80とヒータクッション74とが接触したときの衝撃が分散され、断熱部32が破壊されることを抑制することができる。なお、本実施形態では、香味吸引器100は、リング80とヒータクッション74の周壁部75とを有しているがこれに限らず、いずれか一方のみを有するようにしてもよい。
【0093】
また、
図8に示すように、リング80とヒータクッション74の周壁部75は、軸方向において重なる位置に配置されることが好ましい。これにより、リング80とヒータクッション74の両方によって軸方向における同一位置において、断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。このため、断熱部32にリング80とヒータクッション74が接触したときの衝撃が軸方向における同一位置において分散され、断熱部32が破壊されることを抑制することができる。
【0094】
リング80の直径D21は周壁部75の仮想円の直径D3よりも小さいので、
図8に示すように、リング80とヒータクッション74の周壁部75との間には、第1方向における間隙S1が形成される。支持材32aの突出部33は、この間隙S1に収容される。したがって、支持材32aの突出部33は、この間隙S1において第1方向に移動可能に保持され得る。言い換えれば、支持材32aの突出部33がリング80と周壁部75によって固定されることなく挟み込まれる。このため、支持材32aを例えば所定の強度を有する材料、例えばPEEK等の樹脂で形成することにより、断熱部32が破壊されることを抑制することができる。
【0095】
また、
図8に示すように、周壁部75は断熱部32の断熱層32bと接触しないように位置決めされる。これにより、周壁部75から断熱層32bに衝撃を直接与えることがないので、断熱層32bが例えばエアロゲルシートなどの脆い材料で形成されていても、断熱層32bが破壊されることを防止することができる。
【0096】
ヒータクッション74は、支持材32aの突出部33の端面と接触し得る端面支持部76を有していてもよい。後述するように、ヒータクッション74の端面支持部76は、第2保持部38のガスケット90と協働して、断熱部32を軸方向に移動可能に保持することができる。
【0097】
図12Aは、第2保持部38の拡大断面図である。
図12Bは、
図12Aに示す部分Aの拡大図である。
図12Aに示すように、本実施形態では、第2保持部38は、チャンバ50の筒状部54の周囲に配置されるガスケット90を含む。ガスケット90は、軸方向(Z軸方向)から見てチャンバ50と断熱部32との間に配置される環状部92と、環状部92よりも大きな外径を有するフランジ部90aと、を備える。「チャンバ50と断熱部32の間」とは、チャンバ50と断熱部32の第1方向における隙間を意味し、「チャンバ50と断熱部32との間に配置される」とは、軸方向(Z軸方向)においてチャンバ50及び断熱部32と重なるように位置し、チャンバ50と断熱部32とによって挟まれることを意味する。環状部92は、断熱部32の内面、即ち支持材32aの内面と対向する外周面92aを有する。
【0098】
図13は、環状部92側からみたガスケット90の平面図である。
図13に示すように、環状部92の外周面92aに外接する仮想円の直径を直径D22とする。ここで、本実施形態では、この直径D22は、断熱部32の支持材32aの内径D1(
図9参照)より小さいことが好ましい(即ちD1>D22であることが好ましい)。言い換えれば、環状部92が断熱部32の内側に配置されたときに環状部92と断熱部32との間に隙間が設けられる。これにより、断熱部32が第1方向に移動可能でありながら、断熱部32が第1方向に移動することで環状部92の外周面92aと接触し、環状部92によって断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。また、本実施形態のように、断熱部32の内面の断面形状が環状部92と同様の環状である場合、環状部92が断熱部32の内面と比較的広い面積で接触することができる。このため、断熱部32が環状部92と接触した際に環状部92から断熱部32に加わる衝撃が分散され、断熱部32が破壊されることを抑制することができる。
【0099】
内径D1と直径D22との差は、1mm以下であることが好ましい。これにより、ガスケット90の環状部92が断熱部32の内部に実質的に遊嵌され得るので、断熱部32が第1方向に移動可能でありながら、断熱部32の移動に要するスペースを縮小することができる。その結果、香味吸引器100の大型化が抑制され得る。また、断熱部32の移動可能な範囲を小さくすることができるので、香味吸引器100における断熱部32の設計上の配置場所から大きく位置がずれることが抑制され、香味吸引器100の性能が設計上の性能から逸脱することが抑制される。
【0100】
また、
図12A及び
図12Bに示すように、環状部92の外周面92aは、軸方向においてチャンバ50の中央部に接近するに伴い外径が小さくなるようなテーパ面92aを含むことが好ましい。これにより、環状部92を断熱部32の内側に配置するときに、環状部92を断熱部32に挿入しやすくできる。
【0101】
また、本実施形態では、
図12Aに示すように、ガスケット90のフランジ部90aは、断熱部32の支持材32aの端面と接触し得る。
図12Bに示すように、支持材32aは、断熱層32bよりもわずかにフランジ部90aに向かって突出している。このため、フランジ部90aが支持材32aに接触したときに、フランジ部90aは断熱層32bには接触しないように構成される。このガスケット90のフランジ部90aと、
図8に示したヒータクッション74の端面支持部76は、断熱部32を軸方向に移動可能に保持し、且つ断熱部32の軸方向の移動を規制することができる。具体的には、フランジ部90aとヒータクッション74の端面支持部76との間の軸方向における距離L3が、断熱部32の支持材32aの軸方向の長さL4よりも大きくなるように、ガスケット90とヒータクッション74とが位置決めされ得る。即ち、本実施形態では、距離L3>長さL4とされ得る。
図12Bに示す状態では、支持材32aが
図8に示したヒータクッション74の端面支持部76と接触して支持されているので、支持材32aとフランジ部90aとの間にわずかな隙間が形成されている。これにより、断熱部32は、ガスケット90のフランジ部90aとヒータクッション74の端面支持部76との間を軸方向に移動することができる。また、フランジ部90aと端面支持部76とによって、断熱部32の軸方向の移動が規制される。これにより、断熱部32が軸方向に際限なく移動することが防止され、断熱部32と他の部材(例えば、インナハウジング10又はチャンバ50)との衝突を防止することができる。
【0102】
他方、フランジ部90aとヒータクッション74の端面支持部76との間の軸方向における距離は、断熱部32の支持材32aの軸方向の長さと実質的に同一になるように、ガスケット90とヒータクッション74とが位置決めされてもよい。この場合、断熱部32の支持材32aの両端が、フランジ部90aと端面支持部76の両方にそれぞれ接触する。この場合であっても、支持材32aにフランジ部90a及び端面支持部76からの摩擦力は加わるものの、断熱部32は第1方向に移動可能である。
【0103】
本実施形態では、断熱部32の第1端部39aの内側にリング80が配置され、第1端部39aの外側にヒータクッション74の周壁部75が配置され、且つ、断熱部32の第2端部39bの内側にガスケット90が配置される。これにより、断熱部32の第1端部39aと第2端部39bの2箇所において、断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。このため、断熱部32の両端部において第1方向に際限なく移動することを防止し、断熱部32と他の部材(例えば、インナハウジング10又はチャンバ50)との衝突をより確実に防止することができる。また、断熱部32にリング80、ヒータクッション74、又はガスケット90が接触したときの衝撃が両端部に分散され、32が破壊されることを抑制することができる。しかしながら、これに限らず、断熱部32の第1端部39a及び第2端部39bのいずれか一方のみの内側及び外側の少なくとも一つに、断熱部32の第1方向への移動を規制する部材が設けられてもよい。
【0104】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、本実施形態の香味吸引器100は、チャンバ50の開口52から流入した空気が消費材110の端面に供給される、いわゆるカウンターフロー式の空気流路を有するが、これに限らず、チャンバ50の底部56からチャンバ50内に空気が供給する、いわゆるボトムフロー式の空気流路を有してもよい。また、加熱要素42は、抵抗加熱型に限らず、誘導加熱型であってもよい。その場合、加熱要素42は、誘導加熱によってチャンバ50を加熱することができる。また、消費材110がサセプタを有する場合には、加熱要素42が誘導加熱によって消費材110のサセプタを加熱することができる。
【符号の説明】
【0105】
10 :インナハウジング
32 :断熱部
32a :支持材
32b :断熱層
33 :突出部
37 :第1保持部
38 :第2保持部
39a :第1端部
39b :第2端部
40 :加熱部
42 :加熱要素
50 :チャンバ
60 :側壁部
62 :接触部
66 :離間部
67 :空隙
74 :ヒータクッション
75 :周壁部
76 :端面支持部
80 :リング
82 :凸部
82a :頂部
83 :凸部
83a :頂部
84 :凸部
84a :頂部
90 :ガスケット
90a :フランジ部
92 :環状部
92a :外周面
100 :香味吸引器
101 :アウタハウジング
110 :消費材
D1 :内径
D2 :直径
D3 :直径
D4 :外径
S1 :間隙
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、消費材が挿入される第1開口を有する収容部と、
第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部を有し、前記収容部を囲う筒状部であって、前記第1端部は前記第2端部よりも前記第1開口から遠い、筒状部と、
前記筒状部の前記第1端部を保持する第1保持部と、
前記筒状部の前記第2端部を保持する第2保持部と、を有し、
前記筒状部は、基部と、前記基部の外周側に設けられた断熱層と、を有し、
前記第1保持部は、軸方向と直交する第1方向に延在する平坦部を有し、
前記第2保持部は、前記軸方向から見て前記収容部と前記筒状部との間に配置される環状部と、前記環状部よりも大きな外径を有するフランジ部と、を有し、
前記フランジ部と前記平坦部との間の前記軸方向における距離が、前記基部の前記軸方向の長さよりも大きい、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記基部は、前記断熱層から前記軸方向に突出した、前記筒状部の前記第1端部を構成する突出部を有する、香味吸引器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器において、
前記基部は、前記断熱層よりも前記フランジ部に向かって突出する、香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記環状部の外周面は、前記軸方向において前記収容部の中央部に接近するに伴い外径が小さくなるテーパ面を含む、香味吸引器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記断熱層は、エアロゲルを含む、香味吸引器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部は、金属で形成される、香味吸引器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記筒状部は、前記断熱層の外面に配置される樹脂を有する、香味吸引器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1保持部は、前記基部に対して、前記軸方向において重なる位置であり且つ前記軸方向と直交する方向における前記基部の内側に位置する部分を含む、香味吸引器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部の底部に設けられる底部材を有し、
前記収容部と前記底部材とが、別の部材で構成される、香味吸引器。
【請求項10】
請求項9に記載された香味吸引器において、
前記底部材は、前記収容部の前記底部から突出する軸部を有し、
前記香味吸引器は、前記軸部を受ける筒状部材を有する、香味吸引器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部は、前記第1開口の反対に形成された第2開口を有する、香味吸引器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部は、前記軸方向と直交する方向において前記筒状部と離間する、香味吸引器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
誘導加熱型である、香味吸引器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記平坦部は、前記基部を支持する支持部を含む、香味吸引器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載された香味吸引器と、消費材と、を有する喫煙システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第3形態は、第2形態において、前記第1規制部は、前記筒状部の前記軸方向及び前記第1方向と直交する第2方向の移動を規制するように構成される、ことを要旨とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第8形態は、第7形態において、前記凸部は、前記軸方向からみて、前記筒状部の内面に対応する形状を有する頂部を有し、前記仮想円は、前記頂部に外接し、前記仮想円の周方向長さをL1とし、前記頂部の前記仮想円と外接する部分の長さの合計をL2としたとき、L1>L2である、ことを要旨とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
霧化部30は、図示のように、消費材110の挿入方向(Z軸方向)に延びるチャンバ50(収容部の一例に相当する)と、チャンバ50の一部を囲う加熱部40と、断熱部32(筒状部の一例に相当する)と、略筒状の挿入ガイド部材34と、を有する。チャンバ50は、消費材110を収容するように構成される。加熱部40は、チャンバ50の外周面に接触し、チャンバ50に収容された消費材110を加熱するように構成される。図示のように、チャンバ50の底部には、底部材36が設けられていてもよい。底部材36は、チャンバ50に挿入された消費材110を位置決めするストッパとして機能し得る。底部材36は、消費材110が当接する面に凹凸を有し、消費材110が当接する面に空気を供給可能な空間を画定し得る。底部材36は、例えば、PEEK等の樹脂材料、金属、ガラス、又はセラミック等で構成され得るが、特にこれに限定されない。また、底部材36を構成する材料は、チャンバ50を構成する材料に比べて、熱伝導性が低い材料であってもよい。底部材36をチャンバ50の底部56(図4B参照)に接合する場合、エポキシ樹脂等の樹脂材料や無機材料で構成され得る接着剤を用いることができる。チャンバ50及び加熱部40についての詳細は後述する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
長さL1と長さL2は、L2<0.5×L1を満たすことがさらに好ましい。これにより、リング80が断熱部32の内面と接近部分の長さをより短くすることができる。その結果、リング80の熱が断熱部32に伝達されることを一層抑制することができる。また、長さL1と長さL2は、0.2×L1<L2<0.4×L1を満たすことが最も好ましい。長さL2が0.2×L1以下であると、リング80が変形して、チャンバ50と断熱部32との軸(中心軸)が揃わなくなる恐れがある。長さL2が0.2×L1超であり且つ0.4×L1未満であることにより、熱の流出がより効率的に抑えられつつ、チャンバ50と断熱部32の軸方向位置を適切に保持することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
本実施形態では、断熱部32の第1端部39aの内側にリング80が配置され、第1端部39aの外側にヒータクッション74の周壁部75が配置され、且つ、断熱部32の第2端部39bの内側にガスケット90が配置される。これにより、断熱部32の第1端部39aと第2端部39bの2箇所において、断熱部32の第1方向の移動を規制することができる。このため、断熱部32の両端部において第1方向に際限なく移動することを防止し、断熱部32と他の部材(例えば、インナハウジング10又はチャンバ50)との衝突をより確実に防止することができる。また、断熱部32にリング80、ヒータクッション74、又はガスケット90が接触したときの衝撃が両端部に分散され、断熱部32が破壊されることを抑制することができる。しかしながら、これに限らず、断熱部32の第1端部39a及び第2端部39bのいずれか一方のみの内側及び外側の少なくとも一つに、断熱部32の第1方向への移動を規制する部材が設けられてもよい。