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特開2024-57062パイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進するように構成された長尺機能システム
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  • 特開-パイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進するように構成された長尺機能システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057062
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】パイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進するように構成された長尺機能システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/08 20060101AFI20240416BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20240416BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61M25/08
A61M25/06 550
A61M25/00 540
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028680
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2021504578の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】18305452.7
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520393635
【氏名又は名称】ベースキャンプ バスキュラー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カズヌーヴ,ジャン-バティスト
(72)【発明者】
【氏名】マイアノ,カミーユ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】システム全体に突然生じる、望ましくないねじれスプリングバック現象を回避するまたは妨げることができる、長尺システムを提供する。
【解決手段】パイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進するように構成された長尺機能システム1であって、前記システムは、主要近位部2および遠位部3を有する本体部6であって、前記遠位部は、近位部の連続延長部であり、前記遠位部は、先端で終端する1つの機能端3d、および遠位部上で機能端の上流に位置する少なくとも1つの活性領域3pを備える、本体部と、活性領域の可逆曲率をもたらすのに十分なエネルギー量を遠位部に変換するように構成され、それにより、システム全体の望ましくないスプリングバックを防止する少なくとも1つのアクチュエータ30d、30pであって、アクチュエータはエネルギー源に接続可能である、アクチュエータとを有する、長尺機能システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺機能システム(1)であって、前記システムは、パイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進させられるように構成され、前記システムは、
-主要長尺近位部(2)および遠位部(3)を有する本体部(6)であって、前記遠位部(3)は、前記近位部(2)の連続延長部であり、前記遠位部(3)は、先端(3t)で終端する1つの機能端(3d)、および前記遠位部(3)上で前記機能端(3d)の上流に位置する少なくとも1つの活性領域(3p)を備える、本体部(6)と、
-前記チューブの中心の曲率以上の、前記活性領域(3p)の可逆曲率を引き起こすのに十分な量のエネルギーを前記遠位部(3)に送達または変換するように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータ(30p)であって、前記チューブの曲率は、前記活性領域(3p)の場所でゼロでないとされ、それにより、前記長尺機能システム(1)の全体へのスナッピング現象を防止し、前記第1のアクチュエータ(30p)はエネルギー源に接続可能である、第1のアクチュエータ(30p)と、
を有し、
前記第1のアクチュエータ(30p)の作動は、前記活性領域(3p)および/または前記機能端(3d)の二重または多重曲率を生じる、長尺機能システム(1)。
【請求項2】
前記機能端(3d)を活性化するように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータ(30d)をさらに備える、請求項1に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータ(30p)、したがって前記活性領域(3p)は、前記先端(3t)から離れており、前記先端(3t)の遠位端と前記第1のアクチュエータ(30p)の遠位端との間の距離は、前記第1のアクチュエータ(30p)の長さの0.1乃至5倍、好ましくは0.25乃至3倍、より好ましくは0.5乃至2倍である、請求項1または2に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項4】
前記主要長尺近位部(2)および/または前記遠位部(3p)は、直線状かつ可撓性である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項5】
前記機能端(3d)は、設計により直線状または曲線状であり、かつ可撓性である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項6】
アクチュエータ(30)、または各々独立して前記第1のアクチュエータ(30p)および第2のアクチュエータ(30d)は、少なくとも1つの形状記憶合金、または少なくとも1つのポリマー、または少なくとも1つの金属、または少なくとも1つの圧電材料で作られるか、または備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項7】
アクチュエータ(30)、または各々独立して前記第1のアクチュエータ(30p)および第2のアクチュエータ(30d)、および本体部(6)は、形状記憶合金、好ましくは、ニチノールとも呼ばれるニッケル-チタン合金で各々独立して作られる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータ(30p)および/または第2のアクチュエータ(30d)は、各々独立して、エネルギー源によって刺激されるときに収縮または湾曲し、それにより、それぞれ、それらが固定されている活性領域(3p)の屈曲もしくは湾曲を引き起こし、かつ/または前記機能端(3d)を活性化させる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項9】
前記機能端(3d)は、操縦可能端である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項10】
前記遠位部(3)は、少なくとも1つの第3のアクチュエータを備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアクチュエータの作動は、前記活性領域(3p)および/または前記機能端(3d)の単重、または二重、または多重曲率を生じる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項12】
前記単重、または二重、または多重曲率は、前記遠位部(3)の全体または一部のS字型、C字型、U字型、L字型、J字型、およびG字型からなる群から選択される、請求項11に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項13】
前記長尺機能システム(1)は、部分(2)の近位端に位置する外部制御ユニットをさらに備え、前記ユニットは、各アクチュエータを独立して作動させるように構成された少なくとも1つのコントローラデバイス(5p、5d)を備える、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項14】
エネルギー源、および前記エネルギー源に接続されたアクチュエータにエネルギーを提供するための手段をさらに備える、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項15】
前記長尺機能システム(1)はカテーテルガイドである、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の長尺機能システム(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの湾曲部を有するパイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進させられる長尺機能システム(1)を安定させるための方法であって、前記長尺機能システム(1)は、
-主要近位部(2)および遠位部(3)を有する本体部(6)であって、前記遠位部(3)は、前記近位部(2)の連続延長部であり、前記遠位部(3)は、先端(3t)で終端する1つの機能端(3d)、および前記遠位部(3)上で前記機能端(3d)の上流に位置する少なくとも1つの活性領域(3p)を備える、本体部(6)と、
-前記活性領域(3p)の場所で、前記チューブの中心の曲率以上の、前記活性領域(3p)の可逆曲率を引き起こすのに十分な量のエネルギーを前記遠位部(3)に送達または変換し、それにより、前記長尺機能システム(1)の全体の望ましくない回転を防止するように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(30)であって、前記アクチュエータ(30)はエネルギー源に接続可能である、アクチュエータ(30)と、
を有し、
-随意に、前記長尺機能システム(1)は、前記機能端(3d)を活性化するように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータ(30d)も備え、
前記方法は、
-前記チューブの湾曲部内で前記長尺機能システム(1)を前進させるステップと、
-二重または多重曲率に到達するように前記活性領域(3p)を作動させることによって前記長尺機能システム(1)を安定させるステップであって、前記二重または多重曲率は、前記チューブの湾曲部の曲率以上であるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ、ダクト、またはチューブへの挿入に使用するための装置に関する。本発明によれば、装置は、パイプ、ダクト、またはチューブの外部から操作される。一実施形態では、本発明の装置は、医療装置、特に、例えば、カテーテルもしくは内視鏡などの医療装置を静脈または動脈中に導入、誘導、前進、配置または/および保持するための侵襲的装置である。
【背景技術】
【0002】
例えば、チューブの遠位部を特定の場所に配置するため、光もしくは化学薬品を運ぶため、または遠隔もしくはアクセス困難な場所に機能をもたらすために、パイプ、ダクト、またはチューブの内部でシステムを使用する必要性がある幅広い用途が存在する。
【0003】
システムをパイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進させる場合、ユーザが、システムの運動および配置を注意深くかつ正確に制御し得ることが重要である。パイプ内でのシステムの配置は、石油工学またはモータ工学における既知の技術的な問題である。例えば入口部などの体管内でのシステムの配置も、医療分野における課題であるとして知られている。
【0004】
例えば、EP 2 687 254は、動脈を通して冠動脈入口部内に、その遠位部を導入するように適合された冠動脈カテーテルについて記載している。この文献では、カテーテルは、自然な状態で、いくつかの異なる曲率の部分を備える。このシステムの1つの欠点は、入口部内にカテーテルを導入することの難しさ、およびカテーテルイントロデューサを使用する必要性である。このシステムの別の欠点は、入口部に進入させる際、スナッピング現象(すなわち、導入中にねじれたカテーテルの突然のねじれ戻り)が生じる場合があることである。
【0005】
US 5,322,509の番号で公開された特許文献は、両入口部にアクセスするためにカテーテルを交換する必要性のない心臓カテーテルを提供する。C字型遠位部の代わりに、US 5,322,509に記載されたカテーテルは、中間部に取り付けられた遠位部を含み、二重または反向曲線(S字型)からなる。この構造により、カテーテルがその軸の周りで回転することよって、カテーテルの交換をせずに、カテーテルを左または右のいずれの入口部に進入させることができる。しかしながら、このシステムは、複数の湾曲部を備える。したがって、大動脈内に上記誘導手段を進める間に、装置が、動脈壁に接触して圧力をかけるため、患者に害を及ぼし得る。
【0006】
CA 2105774の番号で公開された特許文献は、ユーザの選択で2つの異なる方向に曲げることができる電極チップアセンブリを備える、心臓アブレーションに特に適合されたカテーテルを開示する。電極チップアセンブリは、2つの方向に曲がる際に、異なる所定の曲線構成をとるが、湾曲運動には制限がある。実際、外科医は、1つの曲率のみを制御し得る。さらに、このカテーテルは、複雑なダクトに挿入することができない。
【0007】
出願人は、様々な状況でスナッピング現象を注意深く観察し、体系的に、システムの最遠位部が湾曲部内で前方に押されると、縁部に触れて、システム全体に突然、望ましくないスプリングバック(スナッピング)が生じる場合があり、システムが制御不能になり、再配置が困難になることを確かめた。そのような望ましくない回転は、典型的には、システムがねじれて、加えられていた拘束が解放されるときに部分的または完全に弾性復帰することによる、スプリングバック現象の結果として生じる。
【0008】
本発明は、ユーザが所望する方向に(その環境のどのような曲率にも)その遠位部を安定させることができ、システム全体に突然生じる、望ましくないねじれスプリングバック現象を回避するまたは妨げることができる、長尺システムの提案を目的としている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上に記載されたスナッピング防止方法を実装するための長尺機能システムに関し、システムは、パイプ、ダクト、またはチューブの管腔内で前進するように構成され、上記システムは、
(i)主要長尺近位部および遠位部を有する本体部であって、上記遠位部は、近位部の連続延長部であり、上記遠位部は、先端で終端する1つの機能端、および遠位部上で機能端の上流に位置する少なくとも1つの活性領域を備える、本体部と、
(ii)チューブの中心の曲率以上の、活性領域の可逆曲率をもたらすのに十分なエネルギー量を遠位部に送達または変換するように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータであって、このチューブの曲率は、活性領域の場所でゼロでないとされ、それにより、システム全体の望ましくないスプリングバックを防止し、アクチュエータはエネルギー源に接続可能である、少なくとも1つの第1のアクチュエータと、
を有する。
【0010】
一実施形態では、アクチュエータ、したがってその対応する活性領域は、先端から離れており、先端の遠位端とアクチュエータの遠位端との間の距離は、アクチュエータの長さの0.1~5倍の範囲であり、一実施形態では、先端の遠位端とアクチュエータの遠位端との間の距離は、好ましくは、アクチュエータの長さの0.5~3倍、または0.1~2倍の範囲である。
【0011】
一実施形態では、本体部は、中実本体部である。一実施形態では、本体部は、いかなる管腔も備えない。
【0012】
第1のアクチュエータの活性化により、パイプ、ダクト、または管腔内へ導入する間に縁部に触れた場合でも、長尺システムが安定する。遠位端が、そのような縁部に触れて、望ましくないねじれスプリングバックをトリガすることがあるが、第1のアクチュエータを作動させることによって、そのような現象が制御される。
【0013】
一実施形態では、長尺機能システムは、上に記載された第1のアクチュエータより先端に近く、機能端を活性化するように構成された、少なくとも1つの第2のアクチュエータをさらに備える。一実施形態では、少なくとも1つの第1のアクチュエータおよび少なくとも1つの第2のアクチュエータは、互いに接続または結合されない。一実施形態では、2つのアクチュエータ間に電気的連続性はない。一実施形態では、アクチュエータは、ジグザグパターンを形成しない。
【0014】
一実施形態では、システムはいかなる電極も備えない。
【0015】
一実施形態では、アクチュエータの長さは、1~100mm、好ましくは5~50mmの範囲である。一実施形態では、近位活性領域のアクチュエータの長さは、1~100mm、好ましくは5~50mmの範囲である。一実施形態では、機能端のアクチュエータの長さは、存在する場合、1~100mm、好ましくは5~50mmの範囲である。
【0016】
一実施形態では、先端の遠位端と近位活性領域のアクチュエータの遠位端との間の距離は、20~300mmの範囲である。一実施形態では、この距離は、20~100mmの範囲である。別の実施形態では、この距離は、50~300mmの範囲である。
【0017】
一実施形態では、先端の遠位端と近位領域のアクチュエータの遠位端との間の距離は、近位活性領域のアクチュエータの長さの0.5~3倍の範囲である。
【0018】
一実施形態では、主要長尺近位部および/または遠位部は、直線状である。一実施形態では、主要長尺近位部および/または遠位部は、直線状かつ可撓性である。一実施形態では、遠位部は、鉤状である。一実施形態では、遠位部は、鉤状かつ可撓性である。
【0019】
一実施形態では、機能端は、可撓性である。一実施形態では、機能端は、設計により直線状または曲線状のいずれかであり、これは、自由な状態では、自然に湾曲部を形成し、例えば鉤状であることを意味する。
【0020】
一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータは、本体部の全体または一部に機械的に固定または定着され、その結果、少なくとも1つのアクチュエータの活性化は、本体部の少なくとも1つの場所に曲率を生じる。一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータは、活性領域の場所のチューブの曲率に対応する、活性領域の可逆曲率をもたらすのに十分なエネルギー量を本体部の遠位部に送達または変換するように構成され、一実施形態では、上記曲率は、角度および/または半径において、活性領域の場所の(システムが挿入される)チューブの中心の曲率を超えるか、または対応する(これは等しいことを意味する)。可逆性は、アクチュエータが活性領域でこれ以上動かなくなる(これは一般に、スイッチが切られることを意味する)と得られる。一実施形態では、上記曲率は、活性領域の場所の(システムが挿入される)チューブの中心の曲率を超える(これは、活性領域の曲率半径がチューブの曲率半径未満であることを意味する)。一実施形態では、アクチュエータは、システムの遠位部の全体または一部に、ひいてはシステムの本体部の異なる場所に、機械的に固定される。
【0021】
一実施形態では、アクチュエータは、本体部に対して連続的にまたは断続的に保持される。一実施形態では、アクチュエータは、アクチュエータが本体部に運動を伝達するのに有効な任意の手段または拘束装置によって本体部に対して保持される。
【0022】
一実施形態では、アクチュエータの少なくとも1つは、長手方向に、システムの遠位部に沿って伸びる。一実施形態では、(一つまたは複数の)アクチュエータは、エネルギー源によって刺激されると収縮または湾曲し、それにより、それらが固定されている領域(活性領域と呼ばれる)を屈曲させ、かつ/または機能端を活性化させる。一実施形態では、活性領域は、アクチュエータによって活性化されて曲率を示し、機能端は、活性化されず、設計により直線状または曲線状である。一実施形態では、活性領域は、アクチュエータによって活性化されて曲率を示し、機能端は、活性化されて、活性領域の方向もしくは平面と同一かまたは異なる方向もしくは平面に曲率を示す。一実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータは、本体部の遠位部に固定され、エネルギー源によって作動されると、所定の収縮(その長さの短縮)、および/または曲率、または近位端に向かう並進を示す。上記エネルギー源は、電流、作動液圧、熱エネルギー、磁気エネルギー、または機械的エネルギーであってよい。
【0023】
一実施形態では、本発明による長尺機能システムは、上記活性領域の曲率をもたらすように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータを備える。一実施形態では、本発明による長尺機能システムは、上記活性領域の曲率をもたらすように構成された(上記で第1のアクチュエータと呼ばれる)1つのアクチュエータのみを備える。一実施形態では、本発明による長尺機能システムは、上記活性領域の曲率をもたらすように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータ、および機能端を活性化するように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータを備える。一実施形態では、本発明による長尺機能システムは、上記活性領域の曲率をもたらすように構成された単一の第1のアクチュエータ、および機能端を活性化するように構成された単一の第2のアクチュエータを備える。機能端を活性化することは、例えば、機能端の配向を制御すること、および/または例えば、システムの先端に配置されたライトのスイッチを入れること、もしくは機能端に位置する区画の内容物を放出することなどの、機能端の機能をトリガすることであり得る。一実施形態では、機能端は、操縦可能端である。
【0024】
一実施形態では、アクチュエータは、軽量であり、かつ大きく変形させることができる。一実施形態では、アクチュエータ、または各々独立して第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータは、少なくとも1つの形状記憶合金、および/または少なくとも1つのポリマー、および/または少なくとも1つの金属、および/または少なくとも1つの圧電材料で作られるか、または備える。一実施形態では、アクチュエータ、または各々独立して第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータ、および本体部は、形状記憶合金、好ましくは、一般にニチノールと呼ばれるニッケル-チタン合金で各々独立して作られる。一実施形態では、本体部は、光ファイバである。一実施形態によれば、上記材料は、エネルギーを与えられるか、刺激されるか、または活性化されると、その寸法またはその形状を変化させてよい。本発明では、エネルギーを与えられる、刺激される、および活性化されるという単語は、互いの代わりに使用され得、エネルギー源からのエネルギーが、任意の好適な手段によってアクチュエータに伝達されることを意味することは明らかである。
【0025】
一実施形態では、第1のアクチュエータおよび/または第2のアクチュエータは、各々独立して、エネルギー源によって刺激されると収縮または湾曲し、それにより、それぞれ、それらが固定されている活性領域を屈曲させる、もしくは曲率をもたらし、かつ/または機能端を活性化させる。
【0026】
一実施形態では、材料は、(元の形状と比べると)使用前に伸長していて、活性化されるとその元の形状に戻る形状記憶合金である。一実施形態では、アクチュエータは、少なくとも1つのワイヤである。一実施形態では、アクチュエータは、形状記憶合金ワイヤである。一実施形態では、アクチュエータは、少なくとも1つのケーブルである。一実施形態では、アクチュエータは、ポリマーで作られる。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータの作動は、活性領域および/または機能端の単重、または二重、または多重曲率を生じる。一実施形態では、アクチュエータ、および/または第1のアクチュエータ、および/または第2のアクチュエータは、活性化されると、システムの遠位部の単重、または二重、または多重曲率を、上記遠位部の長さの全体または一部にトリガする。一実施形態では、単重、または二重、または多重曲率は、遠位部の全体または一部のS字型、C字型、L字型、J字型、U字型、またはG字型からなる群から選択される。
【0028】
一実施形態では、本発明の長尺機能システムは、
(i)主要近位部および遠位部を有する本体部であって、上記遠位部は、近位部の連続延長部であり、上記遠位部は、先端で終端する1つの機能端、および遠位部上で機能端の上流に位置する少なくとも1つの活性領域を備える、本体部と、
(ii)活性領域の可逆曲率をもたらすのに十分なエネルギー量を遠位部に送達または変換するように構成され、それにより、システム全体の望ましくないスプリングバックを防止する、少なくとも2つのアクチュエータと、
を有し、
(iii)2つのアクチュエータは、0°~180°、好ましくは0°超~180°、より好ましくは90°~180°の角度シフトで、本体部の外側、または本体部の壁内に配置され、
(iv)アクチュエータは、エネルギー源に接続可能である。
【0029】
一実施形態では、アクチュエータの角度シフトは、活性領域および機能端が、活性化時、割面内にあるか、または異なるもしくは逆方向の曲率を示すようなものである。一実施形態では、アクチュエータは、活性領域および機能端の各々について異なる曲率半径をトリガしてよい。
【0030】
一実施形態では、本発明による長尺機能システムは、近位部の近位端に位置する外部制御ユニットをさらに備え、上記制御ユニットは、各アクチュエータを独立して作動させるように構成された少なくとも1つのコントローラデバイスを備える。
【0031】
一実施形態では、本発明による長尺機能システムは、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを含み、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータは、互いに間隔を空けてよいか、または交互に配置されてよい。
【0032】
一実施形態では、活性領域は、少なくとも1つの第3のアクチュエータを備える。
【0033】
一実施形態によれば、本発明の長尺機能システムは、エネルギー源、および上記エネルギー源に接続されたアクチュエータにエネルギーを提供するための手段をさらに備える。一実施形態によれば、上記電気エネルギー源は、電池、発電機、または蓄電池である。一実施形態によれば、本発明の長尺機能システムは、制御された方法で上記第1のアクチュエータおよび/または第2のアクチュエータにエネルギーを提供/伝達するための手段をさらに備える。一実施形態によれば、上記第1のアクチュエータおよび/または第2のアクチュエータにエネルギーを提供/伝達するための上記手段は、少なくとも1つの導電ワイヤである。
【0034】
一実施形態では、上記長尺機能システムは、本体近位部の近位端に設置されたハンドルをさらに備える。一実施形態では、上記ハンドルは、(一つまたは複数の)活性領域のアクチュエータを独立して作動させるように構成された少なくとも1つの第1のコントローラデバイス、および機能端の(一つまたは複数の)アクチュエータを独立して作動させるように構成された少なくとも1つの第2のコントローラデバイスを備える。ハンドルは、システムを作動させるのに有利に役立ってよい。
【0035】
一実施形態では、上記長尺機能システムは、内視鏡、カテーテル、またはカテーテルガイドであり、好ましくはカテーテルガイドである。
【0036】
一実施形態では、2つのアクチュエータは、長尺システムの長手方向軸に沿って長手方向に交互に整列される。これは、任意のダクトまたはパイプまたは管腔内でのより良好な移動を可能とする。
【0037】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つの湾曲部を有するチューブの管腔内で前進する長尺機能システムを安定させるための方法に関し、長尺機能システムは、
-主要近位部および遠位部を有する本体部であって、上記遠位部は、近位部の連続延長部であり、上記遠位部は、先端で終端する1つの機能端、および遠位部上で機能端の上流に位置する少なくとも1つの活性領域を備える、本体部と、
-活性領域の場所で、チューブの中心の曲率以上の、活性領域の可逆曲率をもたらすのに十分なエネルギー量を遠位部に送達または変換するように構成され、それにより、望ましくないシステムのスプリングバックを防止する少なくとも1つのアクチュエータであって、アクチュエータはエネルギー源に接続可能である、アクチュエータと、
を有し、
-随意に、長尺機能システム(1)は、機能端(3d)を活性化するように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータ(30d)も備え、
その方法は、
-チューブの湾曲部内でシステムを前進させるステップと、
-チューブの湾曲部の曲率以上の曲率に到達するように活性領域を作動させることによってシステムを安定させるステップと、
-一実施形態では、二重曲線が操作されなければならない場合、第2のアクチュエータによって活性領域を作動させるステップと、
を含む。
【0038】
本発明はまた、本発明による長尺システムを備えるカテーテルに関する。したがって、本発明は、(例えばカテーテルであり得るが、これに限定されない)長尺システムを、所定の幹導管(例えば大動脈弓)から、幹導管から伸びる分岐導管(例えば動脈)に誘導するための長尺機能システムを提供する。
【0039】
本発明はまた、
・遠位部の近位活性領域3pの第1の湾曲部を、システムが前進するチューブの湾曲部、例えば大動脈弓と合わせるために、システムを前進させるステップと、
・活性領域3pを作動させるステップと、
・標的チューブ、例えば標的動脈の下流に、長尺機能システムの遠位部を設置するステップと、
・随意に、遠位部の遠位活性領域3dを作動させるステップと、
・上記第2の活性領域を標的チューブ、例えば標的動脈中に導入するまで、長尺機能システムを近位方向に引っ張るステップと、
を含む方法における、長尺機能システムの使用に関する。
【0040】
一実施形態では、標的動脈は、腕頭動脈、左総頸動脈、または左鎖骨下動脈であり、動脈幹は、大動脈弓である。
【0041】
定義
本発明では、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0042】
「機能端」は、システムの最遠位端であり、平面、方向、ならびに所望の角度および曲率半径に従って曲げるために、アクチュエータによって機能化され得る。また、例えば医薬製品の放出のために、ライト、またはタンク、またはバルーンで機能化され得る。アクチュエータおよび別の機能の両方を有することが、本発明の実施形態である。
【0043】
「アクチュエータ」は、機能をトリガするか、またはそれが固定されている本体部の領域の曲がりを引き起こすために、それが固定されている本体部を活性化することができる任意の種類の紐、ケーブル、ワイヤ、リボン、チューブ、またはそれらの任意のセットであり得る。アクチュエータは、環境条件の変化に応答してそれらの形状を変化させ、機械的仕事を行うことができる材料および装置である。アクチュエータは、エネルギーを送達してよい。大抵の場合、アクチュエータは、受け取ったエネルギーを別の種類のエネルギーに変換する。一実施形態では、アクチュエータは、熱を受け取り、熱を受け取ると収縮する。
【0044】
「活性領域」は、少なくとも1つのアクチュエータと関連するシステムのゾーンまたは領域として理解されるべきである。一実施形態では、活性領域は、アクチュエータが固定されている領域である。一実施形態では、活性領域は、少なくとも領域の範囲に固定された少なくとも1つのアクチュエータが活性化されると湾曲することができる領域である。
【0045】
「カテーテル」は、流体の注入/回収を可能とするため、通路を開いた状態に保つため、内臓および組織を検査するため、ならびに動物もしくはヒトの体内で医療処置用の位置に医療器具を配置するためなどの診断または治療目的で、管、血管、通路、または体腔に挿入するためのチューブ状医療装置である。本発明では、用語「カテーテル」は、ヒトまたは動物の管、血管、通路、または体腔への挿入用に設計された任意のカニューレまたは医療用プローブ包含する。
【0046】
「スナッピング」は、長尺構造に突然生じる、望ましくないねじれスプリングバックを指す。長尺構造が、その部分の1つに沿って能動的に曲げられると、その周囲の環境と接触し、変形する場合がある。この場合、環境は、弾性変形によるエネルギーを蓄積している。あるレベルの蓄積されたエネルギーで、長尺構造がねじり可撓性である場合、長尺構造は、それ自体の軸に沿って自然にねじれることになる。長尺構造は、曲がった部分が再配向し、環境により少ない変形を加える(変形エネルギーが放出される)ようにねじれることになる。この場合、長尺構造が、ねじれによって新しい構成に「スナッピングする」と言う。予期せぬスナッピングは、明らかに望ましくなく、外科用途では危険であり得る。
【0047】
「ワイヤ」は、その厚さ、その幅、またはその直径よりかなり大きい長さを備える長手方向手段を指す。一実施形態では、ワイヤは、撚り糸である。別の実施形態では、ワイヤは、可撓性の高いロッドである。一実施形態では、ワイヤの直径は、0.01mm~1mmの範囲である。
【0048】
「湾曲する」は、ある曲率の形態をとって曲がることを意味する。曲率を有すること、または湾曲していることは、直線であることとは反対の意味で使用される。曲率という用語は、ゼロでない曲率を意味する。曲率は、正または負であり得る。数学的には、円の曲率は、円弧の長さに対する円弧の角度の比に等しい。これは、本発明では、屈曲の結果である。
【0049】
「可逆曲率」は、したがって、作動前に初期状態に戻ることができる曲率を意味する。
【0050】
「約」は、数字の前に配置された場合、数字のプラスまたはマイナス10%を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータが作動している長尺機能システムの遠位部を示す図である。
図2】ハンドル、第1のアクチュエータ、および第2のアクチュエータを備える長尺機能システムを示す図である。
図3】接続ワイヤを備える長尺機能システムを示す図である。
図4】標的とされた大動脈幹上口に到達するために大動脈弓中に導入された、長尺機能システム(1)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
参照番号
1-長尺機能システム
2-近位部
3-遠位部
3p-活性領域
3d-機能端
3t-先端
30-遠位部のアクチュエータ
30p-活性領域のアクチュエータ
30d-機能端のアクチュエータ
4-導電手段
4p-第1の導電手段
4d-第2の導電手段
5p-第1のコントローラ
5d-第2のコントローラ
6-本体部
7-シース
【0053】
詳細な説明
本発明は、長尺システム1に関する。
【0054】
本発明の1つの目的は、いかなる望ましくないスプリングバック現象もなく、所望の方向に緩やかに駆動させるために、スナッピング現象に対抗し、システム、特にシステムの遠位部を安定させ、位置付け、および/または配向させることである。実際のところ、本体部6の上流で、曲率は、システムがその中で配向されるチューブより曲率角度が大きくなるように、活性領域3p上で設定される。これは、例えば外科医が使用している間、長尺システムを安定させるために、長尺システム全体の望ましくないねじれを防止することを目的とする。
【0055】
図1に示す一実施形態では、システムは、可撓性であり、近位部2および遠位部3を提供する本体部6を含み、遠位部3は、近位部2を延長し、遠位部3は、近位部2に連続しており、活性領域3pと呼ばれる領域および先端3tで終端する遠位部3dを備える。一実施形態によれば、上記本体部6は、長尺であり、これは、長手方向に伸びていることを意味する。一実施形態では、本体部6は、チューブである。一実施形態では、本体部6は、カテーテルガイドである。一実施形態によれば、本体部6は、弾性または可撓性材料で作られる。一実施形態では、本体部6は、侵襲的使用に適したポリマー可撓性材料で作られる。一実施形態では、本体部6は、形状記憶合金で作られる。侵襲的使用に認可された任意の形状記憶合金が、本発明で使用されてよい。一実施形態では、形状記憶合金は、ニチノールである。
【0056】
一実施形態では、システムは、少なくとも1つのアクチュエータをさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ30は、本体部6の遠位部の少なくとも1つの場所に固定され、その結果、アクチュエータの長さの短縮、および/またはアクチュエータの曲率、またはシステムの近位端に向かうアクチュエータの並進であり得るアクチュエータの活性化は、固定点から後方へ、または2つの固定点間で、遠位部の曲率をトリガする。このように、例えば外科医が使用している間、長尺システムを安定させるために、長尺システムの望ましくないねじれを制限する。一実施形態では、システムは、1つのアクチュエータのみを含み、このアクチュエータは、活性領域3pに固定される。一実施形態では、システムは、機能端3dまたは先端3t上にいかなるアクチュエータも与えられない。一実施形態では、先端3tの長さは、0~10mmの範囲である。
【0057】
図1および図2に示す実施形態では、システムは、少なくとも2つのアクチュエータ(30p、30d)をさらに含み、第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dは、各々独立して、本体部6、好ましくは遠位部3、より好ましくは活性領域3pおよび/または機能端3dに少なくとも部分的に固定される。一実施形態では、少なくとも2つのアクチュエータ(30p、30d)は、互いに接触しない。2つのアクチュエータ(30p、30d)は、X軸に沿って長手方向に交互に整列する。図1では、2つの屈曲/曲率が同じXY平面内に生じているが、それは本発明のある実施形態であり、もちろん、曲率は異なる平面内で生じ得る。これは、図3のアクチュエータが作動した場合であろう。これは、任意のダクトまたはパイプまたは管腔内でのより良好な移動を可能とする。
【0058】
一実施形態では、第1のアクチュエータ30pまたは第2のアクチュエータ30dの活性化は、それぞれ上記アクチュエータの変形を生じさせ、アクチュエータは本体部6に固定されているので、アクチュエータの長さの短縮、および/またはアクチュエータの曲率、または近位端に向かうアクチュエータの並進であり得るアクチュエータの変形は、本体部6の曲率をもたらす。アクチュエータ30pおよび/または30dのいずれか一方または両方について、作動は、角度0を除く、0~180°に含まれる角度内で本体部を湾曲させることができる。好ましくは、角度は、5~180°、さらにより好ましくは10~180°である。
【0059】
図2に示す一実施形態では、長尺機能システム1は、本体部6を囲むシース7をさらに備える。
【0060】
図3に示す一実施形態では、長尺機能システム1は、エネルギー源(例えば電気エネルギー源など)、ならびにエネルギーをエネルギー源から第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dに提供および/または伝達するための手段をさらに備え、上記手段は、好ましくは、少なくとも1つの導電ワイヤ9である。一実施形態では、導電ワイヤの第1のセット4pは、第1のアクチュエータ30pに接続される。一実施形態によれば、導電ワイヤの第2のセット4dは、第2のアクチュエータ30dに接続される。一実施形態によれば、上記導電ワイヤ(4pおよび4d)は、電流または熱を、それらの長手方向部分に沿って、それぞれ第1のアクチュエータ30pおよび第2のアクチュエータ30dに制御された方法で提供または伝達するように配置される。一実施形態では、導電ワイヤの第1のセット4pは、第1のコントローラ5pに接続される。一実施形態によれば、導電ワイヤの第2のセット4dは、第2のコントローラ5dに接続される。一実施形態では、第1のコントローラ5pおよび/または第2のコントローラ5dは、それぞれ第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dの部分に、導電ワイヤ9によって電流を流すことを可能とし、それにより、上記アクチュエータ30の作動を提供する。
【0061】
一実施形態では、第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dは、例えば引っ張りワイヤまたは引っ張りケーブルなどの、引っ張り手段を備える。一実施形態によれば、引っ張りワイヤまたは引っ張りケーブルは、活性領域3pまたは機能端3dの遠位部につながれ、近位部2の近位端で作動する。張力が近位方向に上記引っ張りワイヤに加わると、引っ張りワイヤが、本体部6を曲がらせる。上記張力がなくなると、本体部6はその元の形状に戻る。本発明によれば、活性領域3pおよび/または機能端3dの湾曲部の変更に係合することができる任意の引っ張り手段が、実装されてよい。代替の実施形態では、本発明のアクチュエータは、引っ張り手段を与えられない。
【0062】
図4に示す一実施形態では、活性領域3pは、それが前進するチューブの任意の曲率の形状をとり得るように構成される。例えば、活性領域3pは、大動脈弓の曲線をとる。一実施形態では、活性領域3pは、作動すると、(例えば、曲率を有さない)休止形状からチューブの曲率に対応する湾曲形状に変化するように構成される。本発明の一実施形態では、システムは、活性領域の活性化時、チューブの中心の曲率に追従するか、またはチューブの中心の曲率を超えて湾曲し、それにより、スナッピングに対してシステムを安定させる。一実施形態では、遠位端の活性化は、同時に、または活性領域3pの活性化の後に行われる。
【0063】
一実施形態では、活性領域3pの第1の湾曲部の曲率平面および曲率半径は、事前に決定される。活性領域3pの形状の変形は、活性化時に再現され得るように設計および予め規定されてよい。
【0064】
別の実施形態では、図1に示すように、第1のアクチュエータ30pおよび第2のアクチュエータ30dは、長尺アクチュエータであってよい。一実施形態では、上記アクチュエータ(30p、30d)は、本体部6に沿って伸び、本体部6に固定される。一実施形態では、アクチュエータ(30p、30d)は、チューブの片側に各々配置される。一実施形態では、第1のアクチュエータ30pおよび第2のアクチュエータ30dは、互いに対して角度シフトを示す。角度シフトは、0°~180°、好ましくは0°超~180°の範囲である。一実施形態では、角度シフトは、90°~180°の範囲である。一実施形態では、角度シフトは、180°である。一実施形態では、第1のアクチュエータ30pおよび第2のアクチュエータ30dの角度シフトは、活性領域に対する機能端の配向の制御をもたらすのに役立ち、活性領域3pおよび/または機能端3dの、互いに対して所定の方向への変形を確実にする。
【0065】
一実施形態では、第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dの作動および変形は、本体部6および長尺機能システム1の変形を提供する。一実施形態では、第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dは、本体部6に半径方向に固定される。第1のアクチュエータ30pおよび第2のアクチュエータ30dはそれぞれ、本体部6の活性領域3pおよび機能端3dの変形を、同時に、または異なる時間に作動させる。
【0066】
一実施形態では、第1の提供された湾曲部は、第1の平面内に含まれ、活性領域3pの変形は、第1の平面内に維持される。一実施形態では、第2の湾曲部は、第2の平面内に含まれ、機能端3dの変形は、第2の平面内に維持される。活性領域3pおよび遠位機能端3dの両方が、同時に、または連続して作動すると、第2の平面の配向は、第1の平面に対して固定される。一実施形態では、長尺機能システム1は、第1の平面に対する第2の平面の配向を凍結する手段を備える。
【0067】
図4に示す一実施形態では、機能端3dはアクチュエータ30dを備え、活性領域3pはアクチュエータ30pを備える。一実施形態では、アクチュエータ30dは、第1のアクチュエータ30pの遠位部から本体部6上に伸び、随意に角度シフトを有し、その結果、アクチュエータは、互いに接触しない。別の実施形態では、アクチュエータ30dは、アクチュエータ30pから間隔を空けている。一実施形態によれば、上記間隔は、0~50mmの範囲である。一実施形態によれば、上記間隔は、0~10mmの範囲である。
【0068】
一実施形態では、第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dは、本体部6に並進の1自由度で機械的に連結される。一実施形態によれば、第1のアクチュエータ30pおよび/または第2のアクチュエータ30dは、本体部6に、本体部6の長手方向軸に沿った並進の1自由度で機械的に連結され、これは、上記機械的連結が、遠位部3上の少なくとも1つの点、好ましくは少なくとも2つの点で保持されながら、本体部6の長手方向軸に沿ってワイヤを並進または後退させることを意味する。
【0069】
一実施形態では、第1の湾曲部および第2の湾曲部の最大曲率半径および曲率の方向は、事前に決定される。一実施形態では、第2の平面に対する第1の平面の配向は、事前に決定される。一実施形態では、事前の決定は、システムの組み立て前に、(一つまたは複数の)ニチノールアクチュエータを準備することによって行われる。
【0070】
別の実施形態によれば、機能端3dは、機能端3dの2つの事前に決定された配向、曲率半径、および/または曲率の方向を可能とすることにつながる、2つの第2のアクチュエータ30dを備える。一実施形態によれば、長尺機能システム1は、各第2のアクチュエータ30dごとに1つの、2つの第2のコントローラ5dを備える。その結果、コントローラ5p、5dは、各第2のアクチュエータ30dを独立して作動させることを有利に可能とし、機能端3dが、第2のアクチュエータ30dの作動に応じて、2つの異なる所定の平面および2つの所定の曲率半径に湾曲することを提供する。
【0071】
一実施形態では、遠位部3は、少なくとも3つのアクチュエータを備え、上に詳述したように、異なる第2の湾曲部を各々提供することができる。利点は、3つのアクチュエータの強度の調整によって、第2の湾曲部の平面の配向を約360°制御することである。この実施形態は、外科医が、操作中、必要に応じて、例えば、動脈幹とダクトとの間の角度が予想と異なる場合、第1の平面と第2の平面との間の角度または第2の湾曲部の曲率半径を修正することを有利に可能とする。
【0072】
一実施形態によれば、遠位部3は、少なくとも2つの活性領域3pを備える。上記実施形態では、第1の活性領域は、本体近位部2から遠位に伸び、作動すると第1の平面内の第1の湾曲部を提供する第1のアクチュエータを備える。上記実施形態では、第2の活性領域は、上記第1の活性領域と機能端との間に位置し、作動すると第3の平面内の第3の湾曲部を提供する第3のアクチュエータを備える。上記第2の活性領域は、複雑なダクト系の内部を進むために、長尺機能システム1の遠位部3上の3つの連続する湾曲部を提供することを有利に可能とする。一実施形態では、第1および第2のアクチュエータは、0°超の角度シフトで本体部に設置される。一実施形態では、第2および第3のアクチュエータは、0°超の角度シフトで本体部に設置される。一実施形態では、第1および第3のアクチュエータは整列する。
【0073】
一実施形態によれば、遠位部3は、上に記載したように、少なくとも3つの活性領域または複数の活性領域を備える。
図1
図2
図3
図4