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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005707
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/12 20220101AFI20240110BHJP
   G06V 30/14 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
G06V30/12 B
G06V30/14 340J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106019
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】522016497
【氏名又は名称】シャイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】廣住 裕司
【テーマコード(参考)】
5B029
5B064
【Fターム(参考)】
5B029AA01
5B064AA01
5B064AB09
5B064EA10
(57)【要約】
【課題】帳票等の印刷物のデータ化において、ネットワークを利用して項目の文字列の確認作業を行わせる人に対する秘匿性をより向上させることを可能にする技術を提供する。
【解決手段】顧客会社CKから帳票画像データが送信されたサービス提供会社SKは、帳票認識部K1により、帳票画像データが表す帳票画像CG上に存在する項目に記入されている文字列MRを認識する帳票認識を行わせる。振分部K2は、認識結果が得られた項目を確認者KS1、KS2に振り分け、それぞれ異なる項目の認識結果を確認させる。確認者KS1、KS2から得られた確認結果は、承認者SS1、SS2に振り分け、それぞれ異なる項目の確認結果の承認を行わせる。そのようにして、確認者KS1、KS2、承認者SS1、SS2に割り当てる項目を制限し、作業を行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報画像を複数、表す画像情報を受け付けたことに応じて、前記画像情報が表す対象画像上で夫々前記入力情報画像が存在する複数の部位を特定する部位特定手段と、
前記複数の部位を分けて、複数の確認者に夫々一つ以上の部位を割り当てる確認者割当手段と、
前記複数の確認者が夫々使用する確認者端末に対し、前記確認者割当手段により割り当てられた部位の前記入力情報画像を表す部位画像情報を送信する部位画像送信手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記確認者端末への前記部位画像情報の送信により、前記複数の確認者が夫々前記部位画像情報が表す前記入力情報画像を確認した結果に基づいて、前記入力情報画像が表す入力情報を確定させるバリデーション手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記部位画像送信手段は、同一の部位画像情報を、重複させて異なる確認者が使用する前記確認者端末に夫々送信するのが可能であり、
前記バリデーション手段は、前記同一の部位画像情報の送信により、前記異なる確認者が夫々前記同一の部位画像情報が表す前記入力情報画像を確認した場合、前記異なる確認者の夫々の確認結果に基づいて、前記入力情報を確定させる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記部位特定手段は、前記複数の部位の夫々について文字認識を行い、前記入力情報画像の認識結果、及び該認識結果の確信度を出力する文字認識手段、を備え、
前記バリデーション手段は、前記確信度が設定値以上の前記認識結果を前記入力情報として確定させることが可能である、
請求項2、または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記部位特定手段は、前記複数の部位の夫々について文字認識を行い、前記入力情報画像の認識結果、及び該認識結果の確信度を出力する文字認識手段、を備え、
前記バリデーション手段は、前記認識結果の前記確信度が設定範囲内であり、かつ、前記設定範囲内の過去の認識結果、及び前記確認者が前記過去の認識結果を確認した結果を用いて算出される一致度が設定値以上である場合に、前記認識結果を前記入力情報として確定させることが可能である、
請求項2、または3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記部位特定手段は、前記複数の部位の夫々について文字認識を行い、前記入力情報画像の認識結果を出力する文字認識手段、を備え、
前記バリデーション手段は、前記文字認識手段による前記入力情報画像の認識結果がブランクであった場合に、前記ブランクの前記認識結果を前記入力情報として確定させることが可能である、
請求項2、または3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記部位特定手段は、前記複数の部位の夫々について文字認識を行い、前記入力情報画像の認識結果を出力する文字認識手段、を備え、
前記バリデーション手段は、前記文字認識手段による複数の部位における前記入力情報画像の認識結果が所定の関係を満たしていることが確認された場合、前記複数の部位での前記認識結果を夫々前記入力情報として確定させることが可能である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記部位特定手段は、前記複数の部位の夫々について文字認識を行い、前記入力情報画像の認識結果を出力する文字認識手段、を備え、
前記部位特定手段は、前記文字認識手段の前記認識結果を用いて、前記入力情報画像の訂正が行われているか否かの判定を行い、前記入力情報画像を無効にするための訂正が行われていると判定した場合に、別の部位の特定を行うことが可能である、
請求項1~3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置に、
入力情報画像を複数、表す画像情報を受け付けたことに応じて、前記画像情報が表す対象画像上で夫々前記入力情報画像を表す複数の部位を特定させ、
前記複数の部位を分けて、複数の確認者に夫々一つ以上の部位を割り当てさせ、
前記複数の確認者が夫々使用する確認者端末に対し、割り当てられた部位の入力情報画像を表す部位画像情報を送信させる、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
帳票等の印刷物では、その画像情報から、その印刷物上に印刷、或いは手書き等により記入されている文字列のデータ化(テキストデータ化)が行われる場合がある。このデータ化としては、帳票のイメージ入力により得られた帳票データから、帳票上の項目毎に項目別イメージデータを切り出し、所定書式に当てはめてサーバ上に公開することで行うようにした従来技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、帳票データを項目別イメージデータに分解することにより、秘匿性を実現させるとともに、各項目のデータ化、つまり項目別イメージデータが表す文字列のデータ入力作業を、サーバを利用可能な複数のオペレータに行わせることができる。
【0003】
なお、帳票データに対して文字認識を行うことにより、各項目の認識結果の確認作業をオペレータに行わせる場合もある。認識結果に誤りがあった場合、その認識結果は、データ入力作業によって訂正される。このようなこともあり、認識結果の確認作業にも、認識結果を訂正するためのデータ入力作業が含まれる。ここで、文字列を構成する文字とは、例えば漢字、ひらがな、片仮名、アルファベット、数字、及び各種記号等の総称であり、文字列とは、そのような文字が一つ以上、連続しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-236003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、項目別イメージデータに対し、そのイメージデータが表す文字列の種類に応じてカテゴリが設定されている。このカテゴリの設定により、従来技術では、オペレータが選択したカテゴリが設定されている項目の項目別イメージデータを、そのオペレータに送信するようになっている。
【0006】
帳票では、複数の項目により、一つのまとまった情報が表されることが多い。例えば住所、氏名により、1個人は特定でき、銀行名、口座種別、口座番号により、1銀行口座は特定できる。これらは何れも、帳票では1項目の文字列で表すようになっているのが普通である。
【0007】
従来技術では、このようなまとまった情報を表す複数の項目に対し、それぞれ対応するカテゴリが設定される。そのため、選択されたカテゴリの項目別イメージデータをオペレータに送信するようにした場合、複数の項目別イメージデータは、オペレータの選択により振り分けられる。この結果、オペレータは、まとまった情報を表す複数の項目別イメージデータを確認するのが困難となる。それにより、秘匿性が実現される。
【0008】
しかし、各オペレータのカテゴリの選択によっては、まとまった情報を表す複数の項目別イメージデータが全て同じオペレータに送信される可能性がある。まとまった情報を表す複数の項目の全てに同じカテゴリが設定される可能性もある。例えば商品コード、数量、単価、総額といった商品の請求に関わる複数の項目は全て同じカテゴリに設定できる場合がある。これら複数の項目のカテゴリが全て同じであれば、それらの項目別イメージデータの全ては、同じオペレータに送信されることになる。このようなことから、ネットワークを利用して確認作業をオペレータ(確認者)に行わせる場合、秘匿性をより向上させることが重要と考えられる。
【0009】
本発明は、帳票等の印刷物のデータ化において、ネットワークを利用して項目の文字列の確認作業を行わせる人に対する秘匿性をより向上させることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様の情報処理装置は、入力情報を複数、表す画像情報を受け付けたことに応じて、前記画像情報が表す対象画像上で夫々前記入力情報を表す複数の部位を特定する部位特定手段と、前記複数の部位を分けて、複数の確認者に夫々一つ以上の部位を割り当てる確認者割当手段と、前記複数の確認者が夫々使用する確認者端末に対し、前記確認者割当手段により割り当てられた部位の画像情報である部位画像情報を送信する部位画像送信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、帳票等の印刷物のデータ化において、ネットワークを利用して項目の文字列の確認作業を行わせる人に対する秘匿性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の適用により提供されるサービスの概要の一例を説明する図である。
図2】文字列領域の割当方法の例を説明する図である。
図3】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバが接続されたネットワーク環境の一例を説明する図である。
図4】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6】自動確定の確信度の設定画面の例を示す図である。
図7】訂正後データの記入方法の第1の例、その第1の例を想定した設定方法の例を説明する図である。
図8】訂正後データの記入方法の第2の例を説明する図である。
図9】訂正後データの記入方法の第2の例を想定した設定方法の例を説明する図である。
図10】確認作業画面の例を説明する図である。
図11】自動確定の確信度の設定が有効であった場合に、認識結果表示エリアに表示される内容の例を示す図である。
図12】自動確定の確信度の設定、及びブランクの自動確定が有効であった場合に、認識結果表示エリアに表示される内容の例を示す図である。
図13】自動確定の確信度と一致度が有効であり、且つ計算式が設定されている場合に、認識結果表示エリアに表示される内容の例を示す図である。
図14】確認作業画面生成処理の例を示すフローチャートである。
図15】確認作業画面生成処理の例を示すフローチャートである(続き)。
図16】承認作業画面生成処理の例を示すフローチャートである。
図17】承認結果処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本発明の技術的範囲には、様々な変形例も含まれる。
【0014】
図1は、本発明の適用により提供されるサービスの概要の一例を説明する図である。
このサービス(以降「本サービス」と表記)は、図1に示すように、サービス提供会社SKにより、帳票等の印刷物のデータ化を希望する会社を主な顧客会社CKとして提供されるものである。なお、顧客は、会社に限定されない。つまり顧客は、会社とは別の組織、或いは個人等であっても良い。また、印刷物は、それに印刷、或いは手書き等により記入された文字列が表構造で配置されたものであれば良い。ここでは、文字列が表構造で配置された印刷物として、そのような印刷物の代表である帳票を想定する。つまり本サービスは、帳票認識を行い、記入された文字列をデータ化するものと想定する。また、実際に配置されている文字列は、画像である。このことから、特に断らない限り、文字列は画像を指す意味で用いる。
【0015】
顧客会社CKは、帳票をスキャナ等で読み取らせることにより、その帳票を画像データ化し、ネットワークを介して、画像データ化した帳票である帳票画像データをサービス提供会社SKに送信し、本サービスを利用する。図1中のCGは、帳票画像データが表す帳票画像の例である。この帳票画像CG上には、文字列MRが複数、存在している。なお、帳票画像データは、本実施形態における画像情報に相当する。また、帳票画像CGは、本実施形態における対象画像、文字列(文字列画像)MRは入力情報画像、文字列MRのデータ、例えばテキストデータは入力情報にそれぞれ相当する。
【0016】
サービス提供会社SKは、本サービスの提供のために、帳票認識部K1、振分部K2、及び結果出力部K3を用意している。これらは、例えば1台以上の情報処理装置上に実装されている。
帳票認識部K1は、顧客会社CKから受信した帳票画像データを用いた文字認識を含む帳票認識を行う。この帳票認識部K1により、帳票画像CG上に存在する文字列MRはテキストデータ化される。
【0017】
文字列MRの位置は、テンプレートを参照させることで特定可能にすることができる。このテンプレートは、各文字列MRの位置、及びその範囲を表すものだからである。
各文字列MRの位置、及びその範囲は、文字認識(OCR:Optical Character Recognition)を行うことで特定することが可能である。このこともあり、テンプレートは無くても良いものである。ここでは、説明上、便宜的に、帳票別にテンプレートが用意されているものと想定する。それにより、特に断らない限り、帳票認識部K1はテンプレートを用いて帳票認識を行うものと想定する。
【0018】
多くの帳票は、文字列を記入する記入箇所が設けられているだけでなく、その箇所に記入すべき文字列を表す文字列が印刷されている。印刷されている文字列は普通、項目名である。例えば銀行名、口座種別、口座番号は何れも項目名に相当する。以降、項目名を「フィールド名」、記入された、或いは認識された文字列を「フィールド値」ともそれぞれ表記する。
【0019】
テンプレートを用いない帳票認識では、記入箇所に記入された文字列とともに、項目名を表す文字列も認識される。それにより、表構造が解析され、項目名の文字列と記入された文字列との対応関係、更には他の文字列との対応関係が特定される。
これに対し、テンプレートを用いた帳票認識では、表構造を解析する必要はない。対応関係を誤って特定することもない。それにより、認識結果を確認する確認作業を行う確認者KS1、KS2には、記入された文字列の認識結果のみを確認させれば良いことになる。このようなことから、テンプレートを用いて帳票認識を行わせる場合、確認作業における負荷を最小限に抑えるとともに、高い確認精度を維持することが可能である。それにより、確認作業に要する時間もより抑えられるようになることから、より迅速に、且つより低コストに本サービスを提供するうえでも有効である。テンプレートを用いた帳票認識を想定することには、このような本サービスを提供するうえでの利点の存在もある。
【0020】
テンプレートを用いた帳票認識を想定した場合、記入された文字列MRが表す情報が「入力情報画像」、その文字列MRが存在する、或いは文字列MRが存在する可能性が考えられる範囲が「部位」、その文字列MR、或いは文字列MRが存在する可能性が考えられる範囲を表す画像データが「部位画像情報」にそれぞれ相当する。ここでは、その画像データは文字列MRの画像データと想定する。以降、他の画像データと区別するために、この画像データは「項目画像データ」と表記する。
【0021】
図1では、確認者KS1、KS2の2名を示しているが、確認者の数は2以上であれば良い。このこともあり、特定する必要がない場合、確認者の符号としては「KS」を付すことにする。同様に、確認者KSによる確認結果の承認を行う承認者を特定する必要がない場合、符号としては「SS」を付すことにする。
【0022】
振分部K2は、認識結果の各確認者KSへの割り当て、並びにその割り当てに従った項目画像データ、及び認識結果の送信を行う。また、各確認者KSによる確認結果の各承認者SSへの割り当て、並びにその割り当てに従った項目画像データ、及び確認結果の送信を行う。
図1には、確認者KS1、KS2、承認者SS1、SS2にそれぞれ割り当てられ送信される項目画像データが表す文字列MR、及びその位置を帳票画像CG1~CG4で表している。
【0023】
図1に示す例では、帳票画像CG上の全ての文字列MRは、確認者KS1、KS2の何れか一方にのみ割り当てられる。それにより、2人の確認者KS1、KS2に分担させ、帳票画像CG上の全ての文字列MRの認識結果を確認させるようになっている。そのために、確認者KS1、KS2には、割り当てられた文字列MRの項目画像データ、及びその文字列MRの認識結果が送信される確認依頼が行われる。確認結果としては、例えば確認作業後の認識結果が送信される。
【0024】
このような確認作業を確認者KS1、KS2に行わせることにより、確認者KS1、KS2ともに、帳票画像CG上に存在する全ての文字列MRの内容を確認作業で把握することは不可能となる。そのため、従来技術と比較し、より高い秘匿性が実現される。本サービスでは、後述するように、帳票画像CG上で関連する複数の文字列MRを全て一人の確認者KSも把握できないようにして、更に高い秘匿性を実現させている。
【0025】
確認結果の承認でも同様に、2人の確認者KS1、KS2によって確認された帳票画像CG上の全ての文字列MRの確認結果は、承認者SS1、SS2の何れか一方にのみ割り当てられる。それにより、2人の承認者SS1、SS2に分担させ、帳票画像CG上の全ての文字列MRの確認結果を承認させるようになっている。そのために、承認者SS1、SS2には、割り当てられた文字列MRの項目画像データ、及びその文字列MRの確認結果が送信される承認依頼が行われる。承認結果としては、例えば承認作業後の認識結果が送信される。
【0026】
このような承認作業を承認者SS1、SS2に行わせることにより、確認者KS1、KS2の場合と同様に、より高い秘匿性が実現される。本サービスでは、後述するように、帳票画像CG上で関連する複数の文字列を全て一人の承認者SSも把握できないようにして、更に高い秘匿性を実現させている。
【0027】
図1に示す例では、確認者KS1、KS2、承認者SS1、SS2にそれぞれ割り当てられ送信される文字列MRの組み合わせを全て異ならせている。これは、確認者KS1、KS2のうちの何れかと、承認者SS1、SS2のうちの何れかとの間で行われる情報伝達により、帳票画像CG上で関連する複数の文字列を全て一人以上の者が把握できないようにすることも考慮してのものである。このことから、より高い秘匿性を実現させるうえで、確認者KS1、KS2、承認者SS1、SS2にそれぞれ割り当てる文字列MRの組み合わせを全て異ならせることは有効である。
【0028】
図2は、項目の割当方法の例を説明する図である。ここで図2を参照し、上記のような秘匿性を実現させる各確認者KS、各承認者SSへの項目、つまり文字列MRの割り当て方法の例について具体的に説明する。
図2では、発行日、顧客名、アイテム名1、数量1、単価1、総価格1、アイテム名2、数量2、単価2、総価格2の項目名が存在する帳票を例にとって、項目の割り当て方を項目名で示している。以降、割り当て内容は、項目名(或いはフィールド名)を用いて説明する。
【0029】
本サービスでは、項目名の割り当てを管理するために、最大予約項目数、及び項目グループを設定可能にしている。最大予約項目数は、一人の確認者KSに確認可能にさせる項目数を制限する。項目グループは、同じグループとして扱う項目名の組み合わせを指定する。項目グループは、最大予約項目数とは異なり、複数、設定可能である。図2中の「グループ1」「グループ2」「グループ3」は何れも、設定された項目グループのグループ名である。それにより、全項目名は、何れかの項目グループに属するものと、何れの項目グループにも属さないものと、の何れかに大別される。図2に示す例は、3つの項目グループが設定されるとともに、最大予約項目数として5が設定された場合のものである。
【0030】
これらグループ1~3でそれぞれ組み合わされた項目名は、同じ確認者KS、同じ承認者SSに割り当てられる。つまり項目グループ単位で項目名の割り当てが行われる。割り当てられた項目数が最大予約項目数を超えないように、何れの項目グループにも属していない項目名が更に割り当てられる。このようにして、図2に示すように、各確認者KS、各承認者SSには、それぞれ異なる項目名の組み合わせが割り当てられる。
【0031】
図2に例を示す全項目名では、アイテム名1、数量1、単価1、総価格1が関連する項目名群であり、それらはまとまった情報群を構成する。アイテム名2、数量2、単価2、総価格2の項目名群も同様である。
図2に例を示すような項目グループの設定により、これらの項目名群が一人に割り当てられることを確実に回避させることができる。このため、項目グループを設定可能とすることは、秘匿性をより向上させるうえで有効である。図1に示す各帳票画像CG1~CG4は、図2に例を示す割り当て方法により、確認者KS1、KS2、承認者SS1、SS2にそれぞれ割り当てられた項目名を表している。
【0032】
図1の説明に戻る。
振分部K2は、上記のような項目名の割り当てを行い、その割り当て結果に従って、各確認者KSには確認依頼、各承認者SSには承認依頼を行う。各承認者SSが承認することにより、各文字列MRのテキストデータ化が終了し、各項目のテキストデータが確定する。確定したテキストデータは、結果出力部K3により、帳票画像データを用いた帳票認識の結果として、顧客会社CKに送信される。この送信は、例えば顧客会社CK側の要求により行われる。
【0033】
以降は、図3図17を参照しつつ、図1に概要を例示する本サービスを提供するための具体的な方法について詳細に説明する。
図3は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAP(APplication)サーバが接続されたネットワーク環境の一例を説明する図である。
【0034】
APサーバ1は、本サービスの提供のために、クラウドサービス提供会社CSが提供するクラウドサービスを利用し、サービス提供会社SKが設置した情報処理装置である。APサーバ1以外に、Webサーバ、及びDB(Data Base)サーバ等も設置されるのが普通であるが、ここでは説明上、便宜的に、サービス提供会社SKは本サービス提供用の1台のAPサーバ1のみを設置したものと想定する。なお、APサーバ1は、クラウドサービスを利用することなく、設置したものであっても良い。つまりAPサーバ1は、サービス提供会社SKが自社内に、或いは契約した場所等に設置させても良い。このこともあり、APサーバ1の設置方法、及び設置場所等は、特に限定されない。
【0035】
APサーバ1は、ネットワークNと接続されている。このネットワークNは、例えばインターネットを含む複数のネットワークの集合体である。インターネット以外のネットワークとしては、携帯電話網、LAN(Local Area Network)等を挙げることができる。
このネットワークNには、図3に示すように、顧客会社CKで用いられる顧客端末5、確認者KSが使用する確認者端末6、BPO(Business Process Outsourcing)センターBCで用いられる承認者端末7が直接、或いは間接的に接続される。顧客会社CK、確認者端末6、及び承認者端末7の何れも実際には複数、存在する。
【0036】
BPOセンターBCは、顧客会社CKから委託された業務を行う企業である。ここでは、帳票認識に関わる業務を少なくとも顧客会社CKから委託されている想定である。例えばサービス提供会社SKは、BPOセンターBCを設置し、設置したBPOセンターBCの作業の効率化のために、APサーバ1を更に設置している。なお、サービス提供会社SKは、BPOセンターBCからの委託により、本サービスをBPOセンターBCに提供するようにしても良い。つまり、サービス提供会社SKは、BPOセンターBCを介して、間接的に顧客会社CKに本サービスを提供するようにしても良い。このようなこともあり、本サービスは、直接的に顧客会社CKに提供しなくとも良い。つまりサービス提供会社SKは、本サービスを利用しようとする会社を顧客としなくとも良い。
【0037】
確認者KSには、例えばサービス提供会社SKに登録され、単発の仕事を請け負う人(ギグワーカー)が含まれる。ギグワーカーは、自身が望む仕事を自身にとって都合の良いタイミングで請け負う労働者である。このため、ギグワーカーを確認者KSとして用いる場合、必要な確認作業の発生により、何れかの確認者KSが直ちにか、或いは発生から時間があまり経過することなく、その確認作業を行うと期待できる。これは、本サービスを迅速に提供できることが期待できることを意味する。この利点から、本サービスでは、確認者KSとしてギグワーカーを用いることを想定している。
【0038】
その一方、ギグワーカーでは、秘密保持の面で不安がある。このこともあり、より高い秘匿性を実現させる必要がある。本サービスでは、上記のように、少なくとも、1帳票の全ての項目を一人の確認者KSに割り当てないようにして、より高い秘匿性を実現させている。
【0039】
また、ギグワーカーでは、確認作業の質に大きいばらつきが存在する可能性もある。確認作業に対する責任感についても同様である。このこともあり、BPOセンターBCは、従業員を承認者SSとし、承認者SSに確認結果の承認を行わせ、その確認結果を確認させるようにしている。このような承認者SSを置くことにより、本サービスの迅速性だけでなく、本サービスの高い質も確保することができる。
【0040】
帳票認識に必要な帳票画像データは、顧客会社CKからBPOセンターBCを介してAPサーバ1に送信させても良いが、顧客会社CKから直接的にAPサーバ1に送信させるようにしても良い。また、BPOセンターBCが、郵送等により送付された帳票を画像データ化し、APサーバ1に送信するようにしても良い。このように、帳票画像データをAPサーバ1が受信する経路としては様々なものがある。ここでは、混乱を避け、理解を容易とするために、帳票画像データは顧客端末5からAPサーバ1に送信される場合のみを想定する。また、APサーバ1は、直接的に確認者端末6、及び承認者端末7と通信を行うものと想定する。
【0041】
図4は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。次に図4を参照し、APサーバ1のハードウェア構成例について具体的に説明する。なお、この構成例は一例であり、APサーバ1のハードウェア構成はこれに限定されない。
【0042】
APサーバ1は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、及びドライブ20と、を備えている。
【0043】
CPU11は、例えばROM12に記録されているプログラム、及び記憶部18からRAM13にロードされたプログラムを実行し、各種の処理を実現させる。記憶部18からRAM13にロードされるプログラムには、例えばOS(Operating System)、及びそのOS上で動作する各種アプリケーション・プログラムが含まれる。各種アプリケーション・プログラムには、本サービスの提供用に開発されたものが1つ以上、含まれる。
【0044】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。そのデータには、CPU11が実行する各種プログラムも含まれる。各種プログラムは、RAM13に読み出されてCPU11に実行される。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、及びドライブ21が接続されている。
【0045】
出力部16は、例えば液晶等のディスプレイを含む構成である。出力部16は、CPU11の制御により、各種画像、或いは各種画面を表示する。出力部16は、APサーバ1に搭載されたものであっても良いが、必要に応じて接続されるものであっても良い。それにより、出力部16は、必須の構成要素ではない。
【0046】
入力部17は、例えばキーボード等の各種ハードウェア釦等を含む構成のものである。その構成には、マウス等のポインティングデバイスが1つ以上、含まれていても良い。つまり、入力部17は、操作者(主にシステム管理者)によって操作される複数の入力装置を備えたものであっても良い。操作者は、入力部17を介して各種情報を入力することができる。この入力部17も、APサーバ1に搭載されたものであっても良いが、必要に応じて接続されるものであっても良い。それにより、入力部17も、必須の構成要素ではない。
【0047】
記憶部18は、例えばハードディスク装置、或いはSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。データ量の大きいデータは、この記憶部18に記憶される。
通信部19は、ネットワークNを介した他の情報処理装置との間の通信を可能にする。図3に示す各端末5~7は何れも、他の情報処理装置である。
【0048】
ドライブ20は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリカード等のリムーバブルメディア25が着脱可能な装置である。ドライブ20は、例えば装着されたリムーバブルメディア25からの情報の読み取り、及びリムーバブルメディア25への情報の書き込みが可能である。それにより、リムーバブルメディア25に記録されたプログラムは、ドライブ20を介して、記憶部18に記憶させることができる。また、ドライブ20に装着されたリムーバブルメディア25は、記憶部18に記憶されている各種データのコピー先、或いは移動先として用いることができる。
【0049】
本サービス用に開発されたアプリケーション・プログラムは、リムーバブルメディア25に記録させて配布しても良い。ネットワークN等を介して配布可能にしても良い。このことから、アプリケーション・プログラムを記録した記録媒体としては、ネットワークNに直接的、或いは間接的に接続された情報処理装置に搭載、若しくは装着されたものか、或いは外部のアクセス可能な装置に搭載、若しくは装着されたものであっても良い。本サービス用に開発されたアプリケーション・プログラムは、他と区別するために、以降「開発アプリケーション」と表記する。開発アプリケーションは、複数、存在していても良いが、ここでは説明上、便宜的に、開発アプリケーションは一つのみと想定する。
【0050】
APサーバ1が備えるハードウェア資源は、開発アプリケーションを含む各種プログラムによって制御される。その結果、APサーバ1上には、本サービスの提供のための各種機能が実現される。
図5は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るAPサーバ上に実現される機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。次に図5を参照しつつ、APサーバ1上に実現される機能的構成の例について詳細に説明する。
【0051】
APサーバ1のCPU11上には、機能的構成として、図5に示すように、依頼処理部111、帳票認識部112、設定処理部113、予約処理部114、確認処理部115、承認処理部116、承認結果出力部117、及び画面生成部118が実現される。そのCPU11は、本サービスの提供のために、通信部19を介して、各端末5~7との間でデータの送受信を行う。
【0052】
これらの機能は、開発アプリケーションを含む各種プログラムをCPU11が実行することにより実現される。その結果として、記憶部18には、帳票画像データ格納部181、認識結果格納部182、テンプレート格納部183、設定情報格納部184、予約情報格納部185、確認結果格納部186、及び承認結果格納部187が情報格納用に確保される。
【0053】
なお、図5では、CPU11が直接、記憶部18にアクセスするように示しているが、実際には、そのようなアクセスは行われない。CPU11と記憶部18との間の情報の送受信は、通常、RAM13を介して行われる。しかし、ここでは、説明上、便宜的に、CPU11は直接、記憶部18にアクセスするものと想定し説明する。また、同様に、通信部19とCPU11とは直接的にデータを送受信するものと想定し説明する。上記のように、帳票画像データの帳票認識によるデータ化の依頼は、顧客端末5によりAPサーバ1に対して行われ、確認者端末6、承認者端末7も直接的にAPサーバ1と通信を行うものと想定する。
【0054】
本サービスは、利用者が制限される。利用可能な人のみの利用を可能にするために、実際には、例えば利用可能な人か否かを確認する認証が行われる。この認証により、APサーバ1に端末をアクセスさせた人が識別され、その人とその人が使用する端末との間の対応関係も特定される。例えば確認者KSであれば、認証により、端末をアクセスさせた人が確認者KSと識別され、その端末は確認者端末6と見なされることになる。このような認証のための機能もCPU11上に実現されているが、一般的なものであることから、ここでは詳細な説明をする対象から除外している。
【0055】
帳票画像データの帳票認識によるデータ化の依頼(帳票認識要求)が顧客端末5からAPサーバ1に送信された場合、その依頼は通信部19により受信され、通信部19からCPU11に出力される。CPU11に入力された依頼は、依頼処理部111に渡され、処理される。依頼処理部111は、顧客端末5から送信される各種依頼だけでなく、確認者端末6、承認者端末7のそれぞれから送信される各種依頼も処理する。それにより、APサーバ1は、依頼処理部111の制御により、本サービスを提供するための各種動作を行う形となっている。
【0056】
依頼処理部111は、顧客端末5からデータ化依頼が受信された場合、例えばその依頼とともに送信される帳票画像データを記憶部18の帳票画像データ格納部181に格納し、その帳票画像データを用いた帳票認識を帳票認識部112に指示する。この指示により、帳票認識部112は、記憶部18のテンプレート格納部183にデータとして格納されているテンプレートのうちで対象となるテンプレートを読み出し、帳票画像データを対象にした帳票認識処理を行う。この帳票認識処理の実行結果として得られる認識結果は、記憶部18の認識結果格納部182に格納される。この帳票認識部112は、本実施形態における部位特定手段、それに含まれる文字認識手段に相当する。
【0057】
依頼処理部111は、帳票画像データを帳票画像データ格納部181に格納する場合、帳票画像データに対し、識別情報である帳票ID(IDetifier)を割り当てる。一方、帳票認識部112は、認識結果格納部182に格納する認識結果に帳票IDを含めるか、或いは帳票IDに対応付ける。そのようにして、帳票画像データ、及び認識結果は、一意に特定可能であるとともに、それらの対応関係も特定可能となっている。
【0058】
帳票認識部112で行われる帳票認識処理は、対象となるテンプレートの特定を含め、周知の技術が採用されたものである。このことから、詳細な説明は省略するが、帳票画像データで表される帳票画像CG上に存在する、テキストデータ化すべき各文字列MRの文字認識が行われ、その認識結果としてテキストデータが生成される。本サービスでは、文字認識にはAI(Artificial Intelligence) OCRを採用している。
【0059】
設定処理部113は、各種設定を可能にする環境を提供する。各種設定を行うのが可能なのは、BPOセンターBCである。各種設定には、テンプレートの登録も含まれる。登録されたテンプレートが、記憶部18のテンプレート格納部183に格納される。テンプレートの登録は周知の方法により行わせることが可能なこともあり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0060】
この設定処理部113は、テンプレートの登録の他に可能な設定としては、上記のような最大予約項目数、及び項目グループがある。更には、確認者KSによる確認を不要とする認識結果が満たすべき条件、認識結果の確認、及び承認におけるモード選択、文字列MRの訂正時における抽出範囲、等の設定も可能である。これらの設定について、図6図9を参照しつつ、具体的に説明する。
【0061】
図6は、自動確定の確信度の設定画面の例を示す図である。この設定画面を含む各種設定画面は、設定処理部113による画面生成部118への指示により、画面生成部118により生成され、通信部19を介して顧客端末5に送信される。他の画面の生成も、画面生成部118によって行われる。
【0062】
確信度は、文字の認識結果の確からしさを数値で表す指標であり、認識結果とともに生成される。認識結果の確からしさが高いほど、確信度は高くなる。本サービスでは、このような確信度を、確認者KSによる確認を不要とするか否か、つまり認識結果を自動確定するか否かを判定するうえでの指標として採用している。
【0063】
図6に例を示す設定画面は、認識結果を確定する確信度の最小値をBPOセンターBCに設定させるのを可能にする。その最小値が、図6に表記の自動確定の確信度である。その最小値の設定の参考用に、この設定画面には、選択された項目での文字認識で得られた確信度の範囲別に、AIOCR正解件数、バリデーション件数が示されている。AIOCR正解件数は、対応する確信度の範囲内の認識結果のうちで正解した件数、つまり認識結果が訂正されなかった件数のことである。バリデーション件数は、対応する確信度の範囲内の認識結果のうちで不正解の件数、つまり認識結果が訂正された件数のことである。なお、バリデーション自体は、検証・確認等の意味を表す用語である。
このような設定画面により、BPOセンターBCは、項目別に確信度の特徴的な傾向を把握することができる。そのため、BPOセンターBCは、特徴的な傾向に合わせ、自動確定の確信度をより適切に設定することができる。
【0064】
この設定画面上で設定された自動確定の確信度は、例えばテンプレート、及び項目と対応付けられ、設定情報として記憶部18の設定情報格納部184に格納される。
多くの顧客会社CKでは、帳票の種類により、求める認識精度、或いは秘匿性等に違いが存在すると考えられる。このこともあり、ここでは、何れの設定情報もテンプレートに対応付けるものと想定する。
【0065】
自動確定の確信度には、一致度と組み合わせることが可能である。この一致度は、例えば確信度の範囲別に、AIOCR正解件数、及びバリデーション件数を用いて算出される値である。より具体的には、例えば一致度(%)は、AIOCR正解件数×100/(AIOCR正解件数+バリデーション件数)により算出される値である。設定された自動確定の確信度、設定された一致度は何れも、本実施形態における設定値、或いは設定範囲に相当する。
【0066】
組み合わされた自動確定の確信度、及び一致度は、組み合わされていない自動確定の確信度とは別の設定情報として記憶部18の設定情報格納部184に格納される。自動確定の確信度、及び一致度が設定可能な設定画面としては、例えば図6に示す設定画面に、一致度を入力する入力ボックスを更に配置したものとしても良い。
【0067】
本サービスでは、認識結果の間で成立すべき条件を計算式で設定することも可能である。これは、項目名の間で成立すべき関係が存在する可能性があるからである。例えば商品コード、数量、単価、及び総額という4つの項目名を考える場合、総額は、数量に単価を乗算することで求められる。つまり、総額=数量×単価、という計算式で表される関係が存在する。その計算式が成立しつつ、総額、数量、及び単価の何れか一つ以上に誤認識が発生している可能性は非常に低いと言える。このことから、本サービスでは、成立すべき計算式を設定可能にして、その計算式が成立する場合、その計算式に用いられる全ての項目名での認識結果を自動確定させるようにしている。この計算式も、設定情報として記憶部18の設定情報格納部184に格納される。なお、計算式は、特にその種類は限定されるものではない。計算式は、等式ではなく、不等式(大小関係)、論理式等であっても良い。この計算式は、本実施形態における所定の関係を定義したものに相当する。
【0068】
帳票の各項目に文字列を印刷、或いは手書き等により記入する作成者は、全ての項目に文字列を記入するとは限らない。記入が不要な項目、或いは記入をし忘れた項目等が存在する可能性がある。そのような項目は、文字列MRが存在しないことから、ブランクと認識される。ブランクとする認識結果が誤りである可能性は非常に低いと言える。このことから、本サービスでは、ブランクとする認識結果を自動確定させるか否かを設定可能とさせている。この設定は、自動確定の確信度等の設定とは異なり、テンプレート毎に行うようにしても良い。つまり、必ず項目と対応付ける必要はない。
【0069】
作成者は、記入した文字列MRを訂正する場合がある。文字列MRの訂正は、訂正の対象となる文字列MRに対し、それが無効であることを示すための記入を行いつつ、その文字列MRが記入された箇所とは異なる箇所に、別の文字列MRを記入することで行うのが普通である。文字列MRの認識結果の確認のためには、この別の文字列MRを確認者KSに視認させる必要がある。しかし、この別の文字列MRが記入される箇所は、テンプレートからは特定することはできない。テンプレートは、訂正のための文字列MRの記入まで想定したものではないからである。このようなことから、本サービスでは、この別の文字列MRの記入箇所を抽出するための設定(訂正時抽出設定)を可能とさせている。設定は、少なくともテンプレート毎に行うものとさせている。これは、テンプレートによって、別の文字列MRを記入可能な箇所が異なるのが普通だからである。
【0070】
ここで、図7図9を参照し、文字列MRの訂正方法、及び訂正方法に応じた設定について具体的に説明する。図7図9では、定められた箇所に記入された文字列MRは「データ」、訂正のために記入された文字列MRは「訂正後データ」と表記している。それにより、ここでの説明では、それらの用語を用いることとする。符号としては、データにはMR、訂正後データにはTMRを付すこととする。また、以降、訂正後データTMRに相当する文字列MRは訂正後文字列TMRとも表記することとする。
【0071】
図7は、訂正後データの記入方法の第1の例、その第1の例を想定した設定方法の例を説明する図である。
図7に示すように、訂正の対象となるデータMRに対しては、そのデータMRが無効なものであることを示すために、一つ以上の横線等をデータMRの上に記入することが行われる場合がある。このような線の存在により、作成者がデータMRの訂正を意図しているか否か判定することができる。言い換えれば、データMR上に記入された線の有無を確認することにより、そのデータMR自体は無効であり、訂正後データTMRによって訂正されるものか否か判定することができる。
【0072】
複数の文字を繋げる線の存在により、データMRが認識できなくなるか、例え認識できたとしても、確認度は低くなる。このことから、例えばそのような認識結果が得られた箇所で1文字の幅を超える線が存在するか否かを確認することにより、データMRが訂正されたものか否か判定することができる。
【0073】
データMRの訂正のための訂正後データTMRは、図7に示すように、データの近傍に記入される場合がある。そのため、データの近傍は、訂正後データの記入が想定される箇所の候補となる。このことから、本サービスでは、データの周辺を8つの候補箇所に分け、その8候補箇所のうちから、訂正後データTMRの記入箇所として抽出すべき抽出箇所KAをBPOセンターBCに選択させるようにしている。図7は、「(2)」「(3)」を表した2つの候補箇所が抽出箇所KAに選択されていることを示している。
【0074】
図8は、訂正後データの記入方法の第2の例を説明する図である。
作成者は、図8に示すように、データMRから線(引出線)を引き、訂正後データTMRを記入する場合がある。この引出線により、作成者は、データMRと訂正後データTMRとの対応関係を明確にすることができる。
【0075】
図9は、訂正後データの記入方法の第2の例を想定した設定方法の例を説明する図である。
引出線で対応関係が表された訂正後データTMRは、図9(a)に示すように、境界線で囲まれた箇所に記入される場合がある。本サービスでは、この場合、境界線で囲まれた箇所を抽出箇所KAとして自動的に抽出するようにしている。なお、このような境界線は、1文字分より長い線を対象にして辿ることにより、特定することができる。
【0076】
境界線が存在しない場合、訂正後データTMRの記入が記入される箇所の候補としては、図9(b)に示すように、データMRとは反対側の端の周辺が考えられる。このことから、本サービスでは、引出線の端の周辺を5つの候補箇所に分け、その5候補箇所のうちから、訂正後データTMRの記入箇所として抽出すべき抽出箇所KAをBPOセンターBCに選択させるようにしている。
【0077】
抽出箇所KAの設定結果は、引出線を想定しているか否かの種別を表す情報とともに、設定情報として、対応づけるべきテンプレートと対応付けられ、記憶部18の設定情報格納部184に格納される。それにより、データMRに訂正が行われていると判定した場合、訂正後データTMRの記入方法を特定し、特定した記入方法に応じて、訂正後データTMRの項目画像データが、データMRの項目画像データとともに自動的に抽出される。このような抽出が可能なように、認識結果としては、データMRの認識結果、及び帳票画像CG上でデータMRが存在する範囲を表す情報とともに、各抽出箇所KAでの訂正後データTMRの認識結果、その訂正後データTMRが存在する範囲を示す情報が格納される。範囲を示す情報は、文字列MR等と同様に、例えば基点とする帳票画像CG上での座標情報、及びXY軸上の各幅を例えば画素数で表す幅情報を含む情報である。範囲を示す情報は以降「範囲座標情報」と表記する。なお、データMRの訂正方法、及び訂正後データTMRの記入方法はともに、上記したようなものに限定されない。しかし、データMRの訂正方法については、訂正によってそのデータMRが無効であることを明確に判定できるものとするのが望ましい。
【0078】
このように、本サービスでは、データMRが訂正されるものと判定した場合、境界線デ囲まれた領域、或いは抽出箇所KAの何れかを別の部位として特定し、特定した別の部位の画像データを項目画像データとして抽出するようにしている。それにより、データMRの訂正に対応し、データMRが訂正されていたとしても、適切な認識結果、及び適切な項目画像データが得られるようにしている。そのため、確認者KSにとっては、データMRが訂正されているか否かに関わらず、質の高い確認作業をより短い時間で行うことができる。なお、別の部位は、データMRが存在する部位の周辺の文字認識を行い、その文字認識の結果を用いて特定するようにしても良い。
【0079】
図1を参照して説明した通り、帳票画像データを用いた帳票の認識結果として、承認者SSが承認した内容が顧客会社CKに送信される。顧客会社CKが認識結果に求める精度は常に同じであるとは限らない。顧客会社CKは、重要な認識結果に対し、通常よりも高い精度を求めることが考えられる。このことから、本サービスでは、同じ項目の認識結果を複数の確認者KSに確認させる設定(以降「多重チェック設定」と表記)も可能とさせている。この多重チェック設定を行うことにより、同一の項目が重複され、複数回、異なる確認者KSに認識結果が確認されることから、顧客会社CKは、より精度の高い認識結果を得ることができる。
【0080】
本サービスでは、上記のような設定を可能にしている。上記の設定のうち、自動確定の確信度、自動確定の確信度と一致度、ブランクの自動確定、多重チェック設定、のそれぞれは、対応するモードの設定により有効となる。しかし、自動確定の確信度、自動確定の確信度と一致度はともに有効とすることはできない。これは、それら二つは内容が一部、重なっているからである。内容が一部、重なっていることは、認識結果の自動確定における基準が事実上、異なる可能性があることを意味する。
【0081】
訂正時抽出設定は、その設定を行うことにより有効となる。これは、認識結果の確認作業、及び承認作業の何れを行う場合であっても、データMRが訂正されているのであれば、訂正後データTMRの項目画像データは必要となるからである。訂正後データTMRが存在するか否かは事前には分からないため、訂正後データTMRの存在を想定しておく必要がある。計算式も同様に、その設定を行うことで有効となる。
【0082】
これまで、帳票画像CG上のデータMRは、複数の確認者KSに分け、全てのデータMRを確認者KSが確認できないようにすることを想定し説明している。しかし、このような確認を行わせることも一つの設定である。本サービスでは、全てのデータMRを一人の確認者KSに確認させる設定も存在する。これまで想定した確認を行わせる設定は、その設定と区別するために、以降「マスク設定」と表記する。
【0083】
このマスク設定が無効となっている場合、最大予約項目数、及び項目グループの各設定は無効とされる。しかし、それ以外の設定は、マスク設定が有効か否かに依存しない。つまり、それ以外の設定は何れも有効とされた場合、マスク設定が無効か否かに関わらず、有効とされる。このマスク設定が有効か否かは、テンプレートと対応付けられ、設定情報として、記憶部18の設定情報格納部184に格納される。
【0084】
訂正時抽出設定は、他の設定とは異なり、帳票認識部112が帳票認識の実行時に参照される。それにより、帳票認識でデータMRの訂正が確認された場合、訂正時抽出設定が参照され、抽出箇所KAに存在する訂正後データTMRの文字認識が行われる。その文字認識を行って得られた結果が、認識結果となる。
【0085】
設定処理部113は、画面生成部118を制御し、上記のような各種設定を可能にするための処理を行う。それにより、顧客会社CKにとっては、マスク設定が有効か否かに関わらず、より望ましい形で本サービスを利用することができる。認識結果を自動確定させる各種設定のうちの何れを有効とさせたとしても、利用する本サービスの質の低下を回避させつつ、或いは抑えつつ、確認、及び承認が必要とする項目数をより抑えされるようになる。項目数がより少なくなることにより、本サービスの利用のための費用はより抑えることができ、帳票画像データを送信してから認識結果を得るまでの時間(ターンアラウンドタイム)はより短くさせることができる。このような利点があるからも、認識結果を自動確定させる設定を可能にすることは、顧客会社CKにとって本サービスをより望ましい形で利用できるようにするうえで有用である。
【0086】
顧客会社CKは、必要に応じて本サービスを利用する。本サービスでは、確認者KSには自身が望む確認作業を予約させ、予約した確認作業を行わせるようにしている。これは、確認作業を行うことが可能な各確認者KSによって処理できる確認作業をより早い段階で把握するためである。処理できる確認作業をより早い段階で把握できるようにすることにより、確認作業に必要な確認者KSが確保できない、或いは確保するのが困難な状況では、確認作業を予約しない確認者KSに連絡し、確認作業の予約を依頼することができる。このようなこともあり、確認者KSに確認作業を予約させる場合、結果として、ターンアラウンドタイムをより短くさせることができるようになる。
【0087】
このような予約は、承認作業でも同様に承認者SSに行わせるようにしている。しかし、その予約方法等に違いはないか、違いがあっても僅かであるため、ここでは確認者KSにのみ着目する形で、以降の説明を行うこととする。
予約処理部114は、その予約を可能にするための処理を行う。その予約を可能にするために、予約処理部114は、画面生成部118を制御し、必要な画面を生成させる。
【0088】
確認者は、例えば確認者端末6に表示された画面上で予約のための操作を行うことにより、予約依頼を確認者端末6に送信させることができる。確認者端末6からAPサーバ1に送信された予約依頼は、通信部19によって受信され、CPU11に出力される。それにより、予約依頼は、依頼処理部111を介して予約処理部114に渡される。
予約依頼が渡された予約処理部114は、例えば認識結果格納部182に格納されている認識結果、更には今後の予定等を参照して、予約可能な確認作業を特定し、特定した確認作業の予約が可能な予約画面を画面生成部118に生成させる。それにより、予約依頼を送信させた確認者端末6には予約画面が送信される。
【0089】
予約画面上には、例えば予約可能な確認作業毎に、その確認作業を表す説明文、或いは図柄が配置されている。説明文、或いは図柄は例えばリンクボタンとなっており、例えば帳票IDと対応付けられている。それにより、確認者は、予約を希望する確認作業のリンクボタンを操作することにより、確認作業の予約を行う。そのために、リンクボタンへの操作により、確認者端末6は、確認作業の予約登録を依頼するための予約登録依頼をAPサーバ1に送信する。リンクボタンに対応付けられた帳票IDは、例えば予約登録依頼に格納される。
【0090】
記憶部18の予約情報格納部185には、例えば予約日時、予約者ID(確認者に割り当てられたID)、帳票ID等を少なくとも含む予約情報が格納されている。APサーバ1に受信され、CPU11に入力された予約登録依頼は、依頼処理部111を介して予約処理部114に渡される。予約処理部114は、例えば予約登録依頼中の帳票IDを用いて、予約情報格納部185を対象にした検索を行い、その帳票IDを含む予約情報が存在するか否か確認する。それにより、帳票IDを含む予約情報が確認できなかった場合、予約処理部114は,新たに予約情報を生成し、予約情報格納部185に格納する。その一方、画面生成部118に指示し、依頼された予約を行ったことを通知する予約画面を生成させて送信させる。帳票IDを含む予約情報が確認された場合、予約処理部114は、画面生成部118に指示し、依頼された予約を行えなかったことを通知する予約画面を生成させて送信させる。
【0091】
このようなことから、予約画面には、予約済みの確認作業の説明文、或いは図柄も表示される。それにより、予約済みの確認作業の説明文、或いは図柄をリンクボタンとし、リンクボタンへの操作により、予約済みの確認作業を行えるようにしても良い。確認作業の実施用の画面を確認者端末6に送信し、選択した確認作業を確認者が行えるようにしても良い。何れを採用したとしても、確認者が確認作業を行う場合、確認作業の実施のための確認作業実施依頼を確認者端末6からAPサーバ1に送信させるようにすれば良い。帳票IDは、例えばその確認作業実施依頼に格納させれば良い。
確認者端末6から送信され、APサーバ1に受信された確認作業実施依頼は、他の依頼と同様に、CPU11上に実現された依頼処理部111に渡され、依頼処理部111から確認処理部115に渡される。
【0092】
確認処理部115は、予約した確認作業を確認者KSに行わせるための処理を行う。確認作業を可能とするために、確認処理部115は、画面生成部118を制御し、必要な画面を生成させる。
設定情報格納部184に格納された設定情報は、その画面の生成のために参照される。確認処理部115は、設定情報を参照し、有効となっている設定に応じて、確認者KSへの項目の割り当て、及び認識結果を自動確定させる項目の特定を行い、画面生成部118を制御する。この制御により、確認処理部115は、画面生成部118に確認作業画面を生成させる。生成された確認作業画面は、確認作業実施依頼を送信した確認者端末6に送信される。
【0093】
上記のように、帳票IDは、帳票画像データに割り当てられ、その認識結果には格納されるか、或いは対応付けられる。その認識結果が得られた帳票認識処理の実行時に、対応するテンプレートが特定される。このようなことから、確認処理部115は、確認作業実施依頼に格納された帳票IDにより、設定情報格納部184に格納された設定情報のうちで参照すべき設定情報を特定することができる。
【0094】
図10は、確認作業画面の例を説明する図である。
この確認作業画面は、確認作業の実施のための画面であり、図10に示すように、帳票画像データの表示に用いられる画像表示エリアGA、及び表示される帳票画像データから得られた認識結果の表示に用いられる認識結果表示エリアRAが設けられている。確認処理部115は、画面生成部118に対し、確認作業画面の生成を指示するとともに、各表示エリアGA、RAに表示させる内容を指定する。この結果、確認作業実施依頼を送信させた確認者端末6には、確認者KSが予約した確認作業で確認させるべき内容を表示する確認作業画面が送信される。
【0095】
ここで、図11図13を参照し、マスク設定が有効となっている場合に、他の有効な設定に応じて認識結果表示エリアRAに表示される内容について具体的に説明する。
マスク設定が有効な場合、最大予約項目数の設定は必須である。図11図13は全て、最大予約項目数の他に、項目グループの設定も行われている場合のものである。
【0096】
図11は、自動確定の確信度の設定が有効であった場合に、認識結果表示エリアに表示される内容の例を示す図である。
確認作業画面の認識結果表示エリアRAには、図11に示すように、「ブランク項目スキップ」「確信度でスキップ」「確信度&一致度でスキップ」の文字列が配置され、各文字列の右側に、それぞれトグルボタンSDが配置されている。それらの文字列は、設定の種類を表している。具体的には、「ブランク項目スキップ」はブランクの自動確定、「確信度でスキップ」は自動確定の確信度、「確信度&一致度でスキップ」は自動確定の確信度と一致度、の設定をそれぞれ表している。各文字列の右側に配置されたトグルボタンSDは、文字列が表す設定が有効か否かを表している。何れのトグルボタンSDも、丸い図柄が右に位置することで、有効であることを示すようになっている。図11では、文字列「確信度でスキップ」の右側に位置するトグルボタンSDのみ、丸い図柄が右側に位置することにより、自動確定の確信度の設定が有効になっていることを示している。
【0097】
認識結果表示エリアRAには、ボタンとしては他に、「ベリファイ中止」ボタンB1、「一括確定」ボタンB2、及び「クリア」ボタンB3が配置されている。
「ベリファイ中止」ボタンB1は、確認作業の中止を指示するためのボタンである。このボタンB1を操作した場合、それまでの確認作業を行った結果は破棄される。
【0098】
「一括確定」ボタンB2は、確認すべき全ての認識結果の確認終了を指示するためのボタンである。このボタンB2が操作された場合、確認者KSが確認すべき全ての認識結果は正しいものとされる。
「クリア」ボタンB3は、それまでの確認作業で行った結果のクリアを指示するためのボタンである。このボタンB3が操作された場合、確認者KSは、確認作業を始めから行うことになる。
【0099】
上記のような各文字列、トグルボタンSD、各ボタンB1~B3は、有効となっている設定の種類に関わらず、認識結果表示エリアRAの上部に配置される。確認者KSが確認すべき認識結果は、その下方に配置される。
認識結果は、図11に示すように、上下方向に並べられたボックスNB内に、フィールド値として配置される。各ボックスNBは、その内容を必要に応じて編集することが可能となっている。それにより、確認者KSは、画像表示エリアGA内に表示された項目画像データから、ボックスNB内の認識結果が誤っていると判断した場合、その認識結果を修正することができる。
【0100】
画像表示エリアGAでの項目画像データの表示は、図1に示すように、帳票画像CG上で確認対象ではない文字列MRをマスクする形で行っても良いが、必ずしもそうしなくとも良い。例えばボックスNBとの対応関係を把握しやすいように、ボックスNBの上下方向上の位置に合わせ、そのボックスNB内に配置する認識結果が得られた帳票画像データを配置するようにしても良い。
【0101】
認識結果表示エリアRAには、ボックスNB毎に、そのボックスNBに近いほうから、確信度KD、チェックボックスCH、フィールド名(項目名)FN、コメントボタンCBが配置されている。
確信度KDは、ボックスNB内に表示された認識結果で算出された実際の確信度である。チェックボックスCHは、ボックスNB内の認識結果の確認が終了したか否かを示すために配置されたものである。確認者KSは、認識結果が正しいと判断するか、或いは正しいと考える認識結果に修正した場合に、チェックボックスCHにチェック記号を表示させる操作を行う。例えばチェック記号がチェックボックスCHに表示されたボックスNBでは、認識結果の編集はできなくなる。
【0102】
フィールド名FNは、例えばテンプレートから抽出された項目名の文字列である。コメントボタンCBは、共有すべき情報をコメントとして保存するのを可能にするために配置されたものである。このコメントボタンCBを操作することにより、コメントの入力画面が例えばポップアップとして表示される。そのため、確認者KSは、必要な情報を入力し、その情報を他の人、例えば承認者SS等に伝えることができる。
【0103】
図11に示す例では、確信度KDが99.99%となっている認識結果のチェックボックスCHにチェック記号が表示されている。このチェック記号は、この項目で設定された自動確定の確信度が99.99%未満となっていることから、自動的に表示されたものである。ボックスNB内の認識結果の編集も不可となっている。本サービスでは、チェックボックスCHへのチェック記号を自動的に表示させることにより、そのチェックボックスCHに対応する認識結果の確認を不要とさせるようにしている。なお、確信度が99.91%となっている認識結果のチェックボックスCHにはチェック記号が表示されていないことから、この項目で設定された自動確定の確信度は。99.91%を超える値である。また、チェックボックスCHへの操作により、チェック記号が表示されていない状態とさせた場合、認識結果の修正が可能になる。
【0104】
図12は、自動確定の確信度の設定、及びブランクの自動確定が有効であった場合に、認識結果表示エリアに表示される内容の例を示す図である。
ブランクの自動確定が有効となっている場合、図12に示すように、認識結果がブランクとなっている項目のチェックボックスCHには全てチェック記号が表示される。それにより、認識結果がブランクとなっている項目は確認作業の対象外とされている。また、確認度が99.99%となっている項目のチェックボックスCHにもチェック記号が表示され、確認作業の対象外とされている。
【0105】
図13は、自動確定の確信度と一致度が有効であり、且つ計算式が設定されている場合に、認識結果表示エリアに表示される内容の例を示す図である。
ここで設定された計算式は、ケース1のロットコード1がロットコード(パターン2)と等しい、というものである。この計算式に用いられている3つの項目は、下から3つの項目である。項目名「ロットコード(パターン2)」の認識結果はブランクであることから、この計算式は成立していない。そのため、この3つの項目では、何れのチェックボックスCHにもチェック記号は表示されていない。
【0106】
図13に示す例では、上から3つの項目は、自動確定の確信度と一致度の設定を満たすことにより、チェックボックスCHにチェック記号が表示され、確認作業の対象から外されている。項目名「ケース1」は、確信度KDが99.73%であり、計算式が設定されていない場合、チェックボックスCHにはチェック記号が表示される項目名である。しかし、計算式が成立しないため、そのチェックボックスCHにはチェック記号が表示されず、確認作業の対象から除外されていない。このことから明らかなように、本サービスでは、設定された計算式の優先度を高くし、計算式が成立しなければ、その計算式に用いられる項目は全て、例え他の設定を満たしていたとしても、確認作業の対象とさせている。
【0107】
確認処理部115は、設定情報格納部184に格納された設定情報を参照することにより、画面生成部118に確認作業画面を生成させ、確認者端末6に送信させる。それにより、確認者KSに確認作業を行わせ、その確認作業を行った結果を記憶部18に確保された確認結果格納部186に格納する。
【0108】
確認作業により得られた確認結果は、例えば確認作業画面に配置した不図示の「送信」ボタン等への操作により、確認者端末6からAPサーバ1に送信される。確認結果として1項目で送信される情報としては、フィールド値が少なくとも含まれる。コメントボタンCBでコメントとして入力された文字列であるコメント文は、例えばコメントの入力の終了指示により、APサーバ1に送信され、一時的に保存される。保存されたコメント文は、確認結果が送信された場合、対応する項目における情報の一つとして加えられ、格納される。
【0109】
確認結果として格納するために、確認者KSは、確認作業の対象となる項目の全てでチェックボックスCHにチェック記号が表示された状態にした後に「送信」ボタンを操作する必要がある。何れかのチェックボックスCHにチェック記号が表示されていない状態では、「送信」ボタンへの操作は無効となる。
【0110】
このように、確認処理部115は、マスク設定が有効となっている場合、確認者KSに確認させる項目を選択し、選択した項目の確認作業のみを行わせ、その確認作業により得られた結果を確認結果格納部186に格納する。このようなことから、確認処理部115は、図1に示す振分部K2の一部として機能する。
【0111】
承認処理部116は、承認者SSを対象に、承認作業を行える環境を提供する。そのための処理内容は、基本的に確認処理部115と同じである。しかし、以下のような点が異なる。
確認作業とは異なり、確認結果格納部186に格納された確認結果は、承認作業用の画面(以降「承認作業画面」と表記)上に配置され、承認者端末7に送信される。それにより、承認者SSが承認者端末7を用いて承認作業を行った結果が、承認者端末7からAPサーバ1に送信され、承認処理部116により、記憶部18に確保された承認結果格納部187に格納される。承認結果格納部187に格納された承認結果が、帳票画像データを用いた帳票認識結果となる。このようなことから、承認処理部116は、確認処理部115と同じく、図1に示す振分部K2の一部として機能する。言い換えればその振分部K2は、確認処理部115、及び承認処理部116として実装されている。
【0112】
この承認処理部116は、本実施形態におけるバリデーション手段に相当する。また、承認処理部116、及び確認処理部115はともに、本実施形態における確認者割当手段に相当する。部位画像情報に相当する項目画像データの送信は、確認処理部115と画面生成部118、及び承認処理部116と画面生成部118によって実現されることから、確認処理部115、承認処理部116、及び画面生成部118は、本実施形態における部位画像送信手段に相当する。
【0113】
上記のように、本サービスでは、多重チェック設定を行うのが可能である。多重チェック設定が有効であった場合、同一の項目を2人以上の確認者KSに割り当て、それぞれ確認作業を確認処理部115が行わせることになるが、処理内容は基本的に同じである。しかし、承認処理部116では、2人以上の承認者SSに承認作業を行わせることから、2人以上の承認者SSによる承認結果が異なることに対応しなければならない。このことから、承認処理部116は、項目毎に、各承認者SSによる承認結果を比較し、承認結果が異なる項目が存在する場合、例えば更に承認者SSに承認作業を行わせ、承認者SSによって異なる承認結果の内容を確定させるようにしている。更に承認作業を行わせる承認者SSは、単に予約可能な承認者SSとしても良いが、予約可能な承認者SSを制限しても良い。承認者SSの判断が異なっていることから、例えばスキルが高いと認められ、且つ責任のある立場の承認者SSにのみ、予約できるようにしても良い。
【0114】
承認結果出力部117は、承認結果格納部187に格納された承認結果を、帳票の認識結果として顧客会社CKに出力するための処理を行う。そのために、承認結果出力部117は、例えば画面生成部118を制御し、取得可能な認識結果のリストが配置されたリスト画面の生成、及び送信、そのリスト画面上で指定された認識結果の送信等のための処理を行う。
【0115】
次に、図14図17に例を示すフローチャートを参照し、確認処理部115、及び承認処理部116の動作について、更に詳細に説明する。
図14、及び図15は、確認作業画面生成処理の例を示すフローチャートである。この確認作業画面生成処理は、上記のように、予約した確認作業の実施のための確認作業実施依頼を確認者端末6から受信した場合に実行される処理である。CPU11が、上記開発アプリケーションを実行することで実現される。始めに図14、及び図15を参照し、確認作業画面生成処理の例について詳細に説明する。ここでは、処理を実行する主体を確認処理部115として説明することとする。
【0116】
先ず、ステップS1では、確認処理部115は、確認作業実施依頼に格納されている帳票IDから、対応するテンプレートを特定し、その特定結果を用いて、設定情報格納部184に格納された設定情報を確認する。続くステップS2では、確認処理部115は、設定情報を確認した結果、マスク設定が有効となっているか否か判定する。マスク設定が有効となっている場合、ステップS2の判定はYESとなってステップS3に移行する。マスク設定が有効となっていない場合、ステップS2の判定はNOとなってステップS5に移行する。
【0117】
ステップS3では、確認処理部115は、有効となっている各設定、及び過去に行った別の確認者KSでの項目の割り当てに応じて、帳票画像データ格納部181に格納されている帳票画像データから対象部分、つまり項目画像データを抽出する。続くステップS4では、確認処理部115は、有効となっている各設定、及び過去に行った別の確認者KSでの項目の割り当てに応じて、認識結果格納部182に格納されている認識結果から対象部分を抽出する。その抽出後、ステップS7に移行する。
【0118】
マスク設定が有効であった場合、2人以上の確認者KSに全ての項目を割り当てる必要がある。そのため、項目の割り当ては、他の確認者KSへの項目の割り当てを考慮して行う必要がある(図1参照)。このため、多重チェック設定を可能にしたとしても、確認作業画面生成処理の内容はほぼ同じものとなる。
【0119】
一方、ステップS5では、確認処理部115は、帳票画像データ格納部181に格納されている帳票画像データから各項目(フィールド)の項目画像データを抽出する。続くステップS6では、確認処理部115は、認識結果格納部182に格納されている認識結果、つまり各項目(フィールド)の認識結果を抽出する。その抽出後、ステップS7に移行する。
【0120】
ステップS7では、確認処理部115は、ブランクの自動確定の設定が有効か否か判定する。その設定が有効であった場合、ステップS7の判定はYESとなってステップS8に移行する。その設定が有効でない場合、ステップS7の判定はNOとなってステップS9に移行する。
【0121】
ステップS8では、確認処理部115は、ステップS4、或いはS6で割り当てた項目のうちから、認識結果がブランクとなっているものを確認作業の対象から排除する。この排除により、確認作業を行う必要のないとされる項目のチェックボックスCHには、チェック記号が最初から表示されることになる。このような排除を必要に応じて行った後、ステップS9に移行する。
【0122】
ステップS9では、確認処理部115は、自動確定の確信度の設定が有効となっているか否か判定する。その設定が有効であった場合、ステップS9の判定はYESとなってステップS10に移行する。その設定が有効でない場合、ステップS9の判定はNOとなってステップS11に移行する。
【0123】
ステップS10では、確認処理部115は、ステップS4、或いはS6で割り当てた項目のうちから、自動確定の確信度の設定を満たすものを確認作業の対象から排除する。このような排除を必要に応じて行った後、ステップS11に移行する。
【0124】
ステップS11では、確認処理部115は、自動確定の確信度と一致度の設定が有効か否か判定する。その設定が有効であった場合、ステップS11の判定はYESとなってステップS12に移行する。その設定が有効でない場合、ステップS11の判定はNOとなって図15のステップS21に移行する。
【0125】
ステップS12では、確認処理部115は、ステップS4、或いはS6で割り当てた項目のうちから、自動確定の確信度と一致度の設定を満たすものを確認作業の対象から排除する。このような排除を必要に応じて行った後、図15のステップS21に移行する。なお、上記のように、自動確定の確信度の設定と、自動確定の確信度と一致度の設定とが同時に有効にすることはできない。そのため、ステップS10、S12は、実行されるとしてもそのうちの一方のみである。
【0126】
ステップS21では、確認処理部115は、計算式が設定されているか否か判定する。計算式が設定されている場合、ステップS21の判定はYESとなってステップS22に移行する。計算式が設定されていない場合、ステップS21の判定はNOとなってステップS26に移行する。
【0127】
ステップS22では、確認処理部115は、ステップS4、或いはS6で割り当てた項目に、計算式で用いられている項目が含まれているか否か判定する。計算式で用いられる項目が割り当てられていた場合、ステップS22の判定はYESとなってステップS23に移行する。計算式で用いられている項目が含まれていない場合、ステップS22の判定はNOとなってステップS26に移行する。
【0128】
ステップS23では、確認処理部115は、計算式での計算を行う。続くステップS24では、確認処理部115は、計算式が成立するか否か判定する。計算式が成立した場合、ステップS24の判定はYESとなってステップS25に移行する。計算式が成立しなかった場合、ステップS24の判定はNOとなってステップS26に移行する。
なお、計算式が成立しなかった場合、その計算式に用いられ、且つ割り当てられている項目のうちで、何らかの有効な設定を満たすことにより、確認対象から排除された項目は、排除が取り消される。それにより、確認対象の項目として扱われる(図13参照)。
【0129】
ステップS25では、確認処理部115は、ステップS4、或いはS6で割り当てた項目のうち、その計算式に用いられている項目を確認作業の対象から排除する。このような排除を必要に応じて行った後、ステップS26に移行する。
ステップS26では、確認処理部115は、訂正時抽出設定が行われているか否か判定する。その設定が行われている場合、ステップS26の判定はYESとなってステップS27に移行する。その設定が行われていない場合、ステップS26の判定はNOとなってステップS29に移行する。
【0130】
ステップS27では、確認処理部115は、ステップS4、或いはS6で割り当てた項目のうちに、訂正が行われた項目が存在するか否か判定する。割り当てた項目に訂正が行われた項目が含まれている場合、ステップS27の判定はYESとなってステップS28に移行する。訂正が行われた項目が含まれていない場合、ステップS27の判定はNOとなってステップS29に移行する。
【0131】
ステップS28では、確認処理部115は、訂正が行われた箇所の認識結果を認識結果格納部182から抽出するとともに、抽出した認識結果中の範囲座標情報を参照し、帳票画像データ中から、範囲座標情報で特定される範囲の項目画像データを抽出する。抽出される項目画像データは、訂正後データTMRが記入された訂正入力部分の画像データである。通常、その訂正入力部分は、設定された抽出箇所KAである。確認作業画面には、訂正入力部分の画像、その訂正入力部分での認識結果が少なくとも配置される。
【0132】
ステップS29に移行した場合、確認作業画面で配置する各項目画像データ、各認識結果、及び各認識結果の自動確定の有無が確定している。それにより、ステップS29では、確認処理部115は、確定した各項目画像データ、各認識結果、及び各認識結果の自動確定の有無により、確認作業画面を画面生成部118に生成させる。その生成により、確認作業画面を確認者端末6に送信させた後、確認作業画面生成処理が終了する。
【0133】
このように、確認作業画面生成処理では、マスク設定が有効か否かだけでなく、各種有効な設定に応じて、割り当てた項目のうちで自動確定させるべきものを特定し、特定した項目を確認作業の対象から除外させる。そのため、顧客会社CKの要望に沿って、認識結果の精度を低下させないか、或いはその精度の低下を抑えつつ、確認すべき項目を絞った形での確認作業を確認者KSに行わせることができる。確認すべき項目を絞ることにより、顧客会社CKにとっては、依頼してから認識結果が得られるまでのターンアラウンドタイムはより短く、本サービスの利用による対価はより抑えられるようになる。
【0134】
以降は、承認処理部116が実行する処理についてより詳細に説明する。
図16は、承認作業画面生成処理の例を示すフローチャートである。この承認作業画面生成処理は、予約した承認作業の実施のための承認作業実施依頼を承認者端末7から受信した場合に実行される処理である。確認作業画面生成処理と同じく、CPU11が、上記開発アプリケーションを実行することで実現される。これは、後述する承認結果処理でも同じである。承認処理部116が実行する処理では、始めに図16を参照し、承認作業画面生成処理の例について詳細に説明する。ここでは、処理を実行する主体を承認処理部116として説明することとする。なお、承認作業実施依頼は、全ての確認作業の終了後、送信が可能になる要求である。
【0135】
先ず、ステップS31では、承認処理部116は、承認者SSに承認作業を行わせる項目を確認する。ここでは、承認作業実施依頼に格納されている帳票IDから、テンプレートを特定し、その特定結果から設定情報を参照することにより、有効な設定の確認も行われる。これは、マスク設定が有効であり、且つ2人以上の承認者SSに承認作業を行わせる必要がある場合、各承認者SSに、承認作業を行わせる項目を割り当てなければならないためである。このようなことから、ステップS31の処理を実行することにより、承認作業実施依頼を送信させた承認者SSに項目が割り当てられる。図16では、この項目は「承認依頼項目」と表記している。
【0136】
次に移行するステップS32では、承認処理部116は、割り当てた項目の確認結果を確認結果格納部186から抽出する。続くステップS33では、承認処理部116は、多重チェック設定が有効か否か判定する。その設定が有効であった場合、ステップS33の判定はYESとなってステップS34に移行する。その設定が有効でない場合、ステップS33の判定はNOとなってステップS37に移行する。
【0137】
多重チェック設定が有効であった場合、同一の項目の確認結果が複数、抽出されることになる。このことから、ステップS34では、承認処理部116は、項目別に、確認結果を対比し、確認結果が相違する項目を特定する。次のステップS35では、承認処理部116は、ステップS31で割り当てた項目のうちに確認結果が相違する項目が存在するか否か判定する。確認結果が相違する項目が存在する場合、ステップS35の判定はYESとなってステップS36に移行する。確認結果が相違する項目が存在していない場合、ステップS35の判定はNOとなってステップS37に移行する。
【0138】
ステップS36では、承認処理部116は、確認結果が相違する項目での表示用のメッセージを追加する。このメッセージは、確認結果が相違する項目での承認作業をより留意して行わせるために表示させるものである。相違する確認結果はともに、表示対象として選択される。このような選択等も行った後、ステップS37に移行する。
【0139】
ステップS37では、承認処理部116は、割り当てた項目の項目画像データを、帳票画像データ格納部181に格納されている、対応する帳票画像データ中から抽出する。続くステップS38では、承認処理部116は、抽出した項目画像データ、及び確認結果等を配置させた承認作業画面を画面生成部118に生成させる。その生成により、承認作業画面を承認者端末7に送信させた後、承認作業画面生成処理が終了する。
【0140】
このように、承認作業画面生成処理でも、確認作業画面生成処理と同様に、マスク設定が有効か否かだけでなく、各種有効な設定に応じて、承認者SSへの項目の割り当てが行われる。多重チェック設定が有効な場合、相違する確認結果が得られた項目を特定し、メッセージとともに、相違する確認結果も承認作業画面上に配置させるようにしている。このため、多重チェック設定が有効な場合、承認者SSは、承認作業画面により、各確認者KSの確認作業におけるスキル、或いは品質等を容易に把握することができる。
【0141】
図17は、承認結果処理の例を示すフローチャートである。この承認結果処理は、承認者端末7から承認作業の結果である承認結果が受信された場合に実行される処理である。最後に図17を参照し、承認結果処理の例について詳細に説明する。ここでも処理を実行する主体は承認処理部116と想定し説明を行う。
【0142】
先ず、ステップS41では、承認処理部116は、承認者端末7から受信した承認結果を承認結果格納部187に格納する。続くステップS42では、承認処理部116は、認識結果格納部182から、対応する認識結果を抽出する。その後に移行するステップS43では、承認処理部116は、承認者SSに割り当てられた項目(承認依頼項目)を確認する。
【0143】
次に移行するステップS44では、承認処理部116は、多重チェック設定が有効か否か判定する。その設定が有効な場合、ステップS44の判定はYESとなってステップS45に移行する。その設定が有効でない場合、ステップS44の判定はNOとなってステップS50に移行する。
【0144】
ステップS45では、承認処理部116は、承認結果は特定承認の設定によるものか否か判定する。この特定承認は、多重チェック設定により、2人以上の承認者SSに承認作業を行わせた結果、同じ項目の承認結果が相違した場合に設定されるものである。この特定承認の設定により、承認結果が異なる項目で承認結果を確定させる承認作業を別の承認者SSに行わせるようになっている。このような承認作業により送信された承認結果が受信された場合、ステップS45の判定はYESとなってステップS50に移行する。特定承認の設定による承認結果の受信でない場合、ステップS45の判定はNOとなってステップS46に移行する。
【0145】
なお、特定承認は、多重チェック設定が有効となっている場合に設定されたとしても、1人の承認者SSにのみ、承認作業を行わせることから、多重チェック設定は適用されない。それにより、上記承認作業画面生成処理では、ステップS33の判定はNOとなる。ステップS31では、承認結果が異なる項目が割り当てられることになる。
【0146】
ステップS46では、承認処理部116は、承認待ちの項目が存在するか否か判定する。他の承認者SSが行うべき承認作業が残っている場合、ステップS46の判定はYESとなり、ここで承認結果処理が終了する。他の承認者SSが行うべき承認作業が残っていない場合、ステップS46の判定はNOとなってステップS47に移行する。
【0147】
ステップS47では、承認処理部116は、項目毎に、承認結果を対比し、承認結果が異なる項目を特定する。次のステップS48では、承認処理部116は、承認結果が相違する項目が存在するか否か判定する。そのような項目が存在する場合、ステップS48の判定は上SとなってステップS49に移行する。そのような項目が存在しない場合、ステップS48の判定はNOとなってステップS60に移行する。
【0148】
ステップS49では、承認処理部116は、承認結果が異なる項目を、更なる承認作業を必要とする特定承認対象に設定する。続くステップS50では、承認処理部116は、承認結果が相違しない項目のみを対象にして、承認結果と認識結果とを対比することにより、承認結果が認識結果と異なる項目、つまり認識結果が訂正された項目を訂正項目として特定する。その後はステップS51に移行する。
【0149】
ステップS51では、承認処理部116は、認識結果が得られた確信度を参照し、項目別、確信度別に、AIOCR正確件数、バリデーション件数の更新を行う。次に移行するステップS52では、承認処理部116は、更新後のAIOCR正確件数、及びバリデーション件数を用いて一致度を項目別、確信度別に算出し、その一致度を更新する。その更新後、承認結果処理が終了する。
【0150】
ステップS50~S52は、受信した承認結果が表す項目のみを対象に行われる。それにより、承認結果が認識結果として確定した項目のみを対象に、AIOCR正確件数、及びバリデーション件数が確信度で分けて更新され(図6参照)、それらの更新により、一致度も更新される。
【0151】
なお、本実施形態では、認識結果を対象にした確認者KSによる確認作業、確認結果を対象にした承認者SSによる承認作業を行わせ、承認者SSの承認結果を帳票認識の結果として顧客会社CKに提供するようにしている。しかし、このような2段階の確認は必須としなくとも良い。つまり、確認者KSの確認作業により得られた確認結果を、帳票認識の結果としても良い。この場合、確認処理部115は、バリデーション手段に相当することになる。2段階の確認が必要か否かの設定を可能にしても良い。
【0152】
また、本実施形態では、文字認識を行うことにより、認識結果を確認させ、必要に応じて、認識結果を訂正させるようにしているが、文字認識が行わず、項目画像データが表す文字列MRのデータ入力作業を確認者KSに行わせるようにしても良い。文字認識を行うか否かの設定を顧客会社CK等に可能にさせても良い。
【0153】
自動確定の確信度、自動確定の確信度と一致度の各設定は、BPOセンターBCに行わせるようにしているが、過去の履歴から、それらのうちの一方を自動設定可能にしても良い。適切な自動設定が行えるように、要求する精度のレベルのみ顧客会社CKに設定させるようにしても良い。自動設定可能としても、サンプル数が少なければ適切な自動設定を行わせることはできない。サンプル数が十分であったとしても、必ずしも適切な自動設定が行えるとは限らない。このようなことから、自動設定を可能にしたとしても、設定内容をBPOセンターBCが任意に変更できるようにする必要がある。自動確定の確信度、自動確定の確信度と一致度等の各設定は、項目単位で行うようにしているが、項目群、或いは帳票を単位として行えるようにしても良い。
【0154】
BPOセンターBCが可能な各種設定の多くは、顧客会社CKの要望に沿って行う必要がある。このこともあり、各種設定のうちの1つ以上を、顧客会社CKが行えるようにしても良い。或いは顧客会社CKに対し、帳票認識に要求する精度、或いは本サービスを利用する料金プラン等を選択させ、その選択結果に応じて、各種設定を自動的に、或いはBPOセンターBCに行わせるようにしても良い。このようなこともあり、各種設定は、間接的に行うようにさせても良い。
【符号の説明】
【0155】
1 APサーバ、5 顧客端末、6 確認者端末、7 承認者端末、11 CPU、18 記憶部、19 通信部、111 依頼処理部、112 帳票認識部、113 設定処理部、114 予約処理部、115 確認処理部、116 承認処理部、117 承認結果出力部、118 画面生成部、181 帳票画像データ格納部、182 認識結果格納部、183 テンプレート格納部、184 設定情報格納部、185 予約情報格納部、186 確認結果格納部、187 承認結果格納部、BC BPOセンター、CG、CG1~CG4 帳票画像、KS1、KS2 確認者、SK サービス提供会社、SS1、SS2 承認者。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17