(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057075
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】圧力スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/26 20060101AFI20240416BHJP
H01H 35/32 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01H35/26 Z
H01H35/32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030041
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2021097829の分割
【原出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 敬尋
(57)【要約】
【課題】圧力応動部に過大な圧力が加わった場合でも、作動板の脱落を防止して耐圧性を向上させることで、圧力応動部の破損を抑制して圧力媒体の漏洩を防止できる圧力スイッチを提供する。
【解決手段】圧力スイッチ1は、本体2内の作動板4の横辺部4bにおけるベローズ3とは反対側に設けられる規制部材(軸7)と、作動板4の回転運動を規制するストッパ(圧力上昇側ストッパ2b)と、を備え、ベローズ3に対して過大な圧力が加わった場合であっても、規制部材に横辺部4bが当接することで作動板4の移動が規制される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に圧力応動部と、前記圧力応動部に当接するとともに前記圧力応動部の伸縮により前記本体に設けられる支点を中心に回転運動する作動板と、前記作動板の動きに対抗するスプリングと、前記作動板の動きに応動する作動軸と、前記作動軸の動作により可動接点を固定接点に対して接離する可動接点板と、を有する圧力スイッチであって、
前記作動板は、前記圧力応動部が当接する第一辺部と、前記第一辺部の一端側に曲折部を介して連続する第二辺部と、を有し、
前記本体内には、前記作動板の前記第一辺部における前記圧力応動部とは反対側の前記第一辺部の近傍位置に、前記支点と同軸方向に延在する規制部材と、前記第一辺部の他端側に当接することで前記作動板の回転運動を規制するストッパと、が設けられ、
前記圧力応動部に対して過大な圧力が加わった場合において、前記規制部材に前記第一辺部が当接することで前記作動板の移動が規制されることを特徴とする圧力スイッチ。
【請求項2】
前記作動板の前記第一辺部における前記圧力応動部と同じ側の位置の前記本体内に、前記第一辺部の他端側に当接することで前記作動板の回転運動を規制する第2ストッパが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項3】
前記規制部材は、前記圧力応動部の上面の外形よりも内側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の圧力スイッチ。
【請求項4】
前記規制部材は、軸であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力スイッチ。
【請求項5】
前記規制部材は、前記支点よりも前記他端側に設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の圧力スイッチ。
【請求項6】
前記規制部材は、前記作動板の前記圧力応動部が当接する位置よりも前記他端側に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の圧力スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力スイッチとして、本体内に圧力応動部としてのベローズと、ベローズの伸縮により本体に設けられる支点を軸として回転運動するL字状の作動板と、作動板の縦辺部に接続されて当該作動板の動きに対抗するスプリングと、作動板の動きに応動する作動軸と、作動軸の動作によりマイクロスイッチを制御する可動接点板と、を備えているものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
かかる圧力スイッチにおいて、作動軸は、一端側が作動板の縦辺部に係合され、他端側がマイクロスイッチを構成する可動接点板に係合されている。また、マイクロスイッチは、例えば2つの固定接点と、それらの間に配置される可動接点と、を備えている。マイクロスイッチにおいて、固定接点に対する可動接点が可動接点板の自由端部に設けられている。可動接点板は、変形ばねを含む急速反転機構を有している。
【0004】
そして、このような従来の圧力スイッチでは、ベローズに加わる圧力が増減することで、作動板が支点を中心に回転運動すると、作動板の動きに応動する作動軸を介して可動接点板が動作する。これにより、可動接点板が可動接点を一つまたは二つの固定接点間で択一的に接続させ、マイクロスイッチが反転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭50-9571号公報
【特許文献2】実開昭61-193647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2に記載された従来の圧力スイッチにおいて、本体には、作動板の回転運動を規制する圧力上昇側ストッパと、圧力下降側ストッパと(特許文献1は後者のみ)、が作動板の横辺部における端部近傍に上下方向に所定間隔で設けられている。そして、ベローズに過大な圧力が加わった場合に、本体に設けられる支点と、本体内の側部上方に設けられる圧力上昇側ストッパと、で作動板を保持することにより、ベローズの伸びを防止している。
【0007】
しかしながら、このような従来の圧力スイッチでは、ベローズに加わる圧力が更に高くなった場合、ベローズが傾きながら伸びることで、本体の作動板が傾く虞がある。これにより、本体との支持関係が無くなった作動板が、横辺部の端部を下方に向けて傾いた状態で下方のベローズによって押し上げられるため、横辺部の端部が圧力下降側ストッパから外れて底板方向に脱落する虞があった。この場合、作動板の脱落によってベローズの破損を招くばかりか、冷媒などの圧力媒体の漏洩を招く虞があった。
【0008】
本発明の目的は、圧力応動部に過大な圧力が加わった場合でも、作動板の脱落を防止して耐圧性を向上させることで、圧力応動部の破損を抑制して圧力媒体の漏洩を防止できる圧力スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧力スイッチは、本体内に圧力応動部と、前記圧力応動部に当接するとともに前記圧力応動部の伸縮により前記本体に設けられる支点を中心に回転運動する作動板と、前記作動板の動きに対抗するスプリングと、前記作動板の動きに応動する作動軸と、前記作動軸の動作により可動接点を固定接点に対して接離する可動接点板と、を有する圧力スイッチであって、前記作動板は、前記圧力応動部が当接する第一辺部と、前記第一辺部の一端側に曲折部を介して連続する第二辺部と、を有し、前記本体内には、前記作動板の前記第一辺部における前記圧力応動部とは反対側の前記第一辺部の近傍位置に、前記支点と同軸方向に延在する規制部材と、前記第一辺部の他端側に当接することで前記作動板の回転運動を規制するストッパと、が設けられ、前記圧力応動部に対して過大な圧力が加わった場合において、前記規制部材に前記第一辺部が当接することで前記作動板の移動が規制されることを特徴とする。
【0010】
以上のような本発明によれば、圧力応動部に対して過大な圧力が加わり、作動板が、支点の破壊により本体との支持関係を無くした場合であっても、第一辺部の端部を下方に向けて傾いた状態で下方の圧力応動部によって押し上げられるため、規制部材に第一辺部が当接することで、作動板の脱落を防止することができる。
【0011】
この際、前記作動板の前記第一辺部における前記圧力応動部と同じ側の位置の前記本体内に、前記第一辺部の他端側に当接することで前記作動板の回転運動を規制する第2ストッパが設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記規制部材は、前記圧力応動部の上面の外形よりも内側に位置することが好ましい。
【0013】
また、前記規制部材は軸であることが好ましい。
【0014】
また、前記規制部材は、前記支点よりも前記他端側に設けられていることが好ましい。
【0015】
さらに、前記規制部材は、前記作動板の前記圧力応動部が当接する位置よりも前記他端側に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧力スイッチによれば、圧力応動部に過大な圧力が加わった場合でも、作動板の脱落を防止して耐圧性を向上させることで、圧力応動部の破損を抑制して圧力媒体の漏洩を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の圧縮スイッチを示す断面図である。
【
図2】実施形態の圧縮スイッチの作動状態を示す断面図である。
【
図4】変形例における圧縮スイッチの作動状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る圧力スイッチについて、
図1および
図2を参照して説明する。本実施形態の圧力スイッチ1は、
図1および
図2に示すように、ケースとしての外郭を構成する箱状の本体2と、本体2の底部に配置される圧力応動部としてのベローズ3と、ベローズ3の伸縮により支点2aを軸として回転運動するL字状の作動板4と、を備えている。
【0019】
作動板4は、ベローズ3が当接する側となる一方の第一辺部を水平方向に配置し、他方の第二辺部を第一辺部に対して立てて設けられる鉛直方向に配置した状態において、第二辺部である縦辺部4aと第一辺部である横辺部4bとを有するL字状をなす。つまり、作動板4は、縦辺部4aと横辺部4bとが、曲折部4cを起点として曲折されたL字状に形成されている。作動板4は、横辺部4bの下部にベローズ3が当接して配置されている。また、作動板4の縦辺部4aには、当該作動板4の動きに対抗するスプリング5と、作動板4の動きに応動する作動軸6と、が係合されている。なお、
図2において、スプリング5および作動軸6は便宜上、省略している。
【0020】
かかる圧力スイッチ1において、作動軸6は、一端側が作動板4の縦辺部4aに係合され、他端側がマイクロスイッチ10を構成する可動接点板11に係合されている。また、マイクロスイッチ10は、例えば2つの固定接点12A、12Bと、それらの間に配置される可動接点13と、を備えている。マイクロスイッチ10において、固定接点12A、12Bに対する可動接点13が可動接点板11の自由端部に設けられている。可動接点板11は、変形ばね14を含む急速反転機構を有している。可動接点板11は、作動軸6を介して作動板4の動作を受けることにより、可動接点13を固定接点12A、12Bに接離させる。
【0021】
そして、このような圧力スイッチ1では、ベローズ3に加わる圧力が増減することで、作動板4が支点2aを中心に回転運動すると、作動板4の動きに応動する作動軸6を介して可動接点板11が動作する。これにより、可動接点板11が可動接点13を一つまたは二つの固定接点12A、12B間で択一的に接続させ、マイクロスイッチ10が反転される。
【0022】
また、圧力スイッチ1において、本体2には、作動板4の回転運動を規制する圧力上昇側ストッパ2bと、圧力下降側ストッパ2cと、が作動板4の横辺部4bにおける端部近傍に上下方向に所定間隔で設けられている。そして、ベローズ3に過大な圧力が加わった場合に、本体2に設けられる支点2aと、本体2内の側部上方に設けられる圧力上昇側ストッパ2bと、で作動板4を保持することにより、ベローズ3の伸びを防止している。
【0023】
ここで、従来の圧力スイッチでは、ベローズに加わる圧力が更に高くなった場合、ベローズが傾きながら伸びることで、本体の作動板が傾く場合があった。そして、本体との支持関係が無くなった作動板が、横辺部の端部を下方に向けて傾いた状態で下方のベローズ
によって押し上げられることにより、横辺部の端部が圧力下降側ストッパから外れて底板方向に脱落する場合があった。この場合、作動板の脱落によってベローズの破損を招くばかりか、冷媒などの圧力媒体の漏洩を招く虞があった。
【0024】
そこで、本実施形態の圧力スイッチ1は、本体2内の作動板4近傍における支点2aと同軸方向に設けられる軸7と、作動板4における軸7よりも横辺部4b端部側の位置に設けられるずれ防止ストッパ9と、を備えている。そして、
図2に示すように、ベローズ3に対して過大な圧力が加わり、支点2aが破壊された場合、軸7にずれ防止ストッパ9が当接するようにした。
【0025】
具体的に、軸7は、本体2内の作動板4の横辺部4bにおけるベローズ3とは反対側の位置であり、支点2aに対しベローズ3の当接位置を挟んで横辺部4bの他端側、且つ、ずれ防止ストッパ9よりも作動板4の曲折部4c側の位置に設けられる。
【0026】
以上の本実施形態によれば、ベローズ3に対して過大な圧力が加わり、作動板4が、支点2aの破壊により本体2との支持関係を無くした場合であっても、横辺部4bの端部を下方に向けて傾いた状態で下方のベローズ3によって押し上げられるため、軸7にずれ防止ストッパ9が当接することで、作動板4の底板方向への脱落を防止でき、本体2や、ベローズ3の破損を抑制して、耐圧性を向上させることができる。
【0027】
また、軸7は、本体2内の作動板4におけるベローズ3とは反対側の位置であり、支点2aに対し対角線上で、且つ、作動板4の横辺部4bより上方のずれ防止ストッパ9よりも作動板4の曲折部4c側の位置に設けられるので、ベローズ3に対して過大な圧力が加わり、ベローズ3が傾きながら伸びることで、本体2の作動板4が傾く場合であっても、軸7にずれ防止ストッパ9が的確に当接することで、前述したような作動板4の脱落を確実にして耐圧性を向上させることで、ベローズ3の破損を確実に抑制して圧力媒体の漏洩を防止できる。
【0028】
なお、ここでは図示省略するが、作動板4は、横辺部4bの軸7の配置側に向けて突出した切り起こし部を形成し、当該切り起こし部をずれ防止ストッパとして機能させるようにしてもよい。この場合、作動板4の横辺部4bに内側に向けて突出した切り起こし部を形成するだけで、ずれ防止ストッパを簡単に構成できる上、ずれ防止ストッパを別部材で設ける必要がなく、部品を削減できる利点を有している。
【0029】
また、本発明の圧力スイッチは、前述した実施形態に限ることはない。すなわち、
図1、
図2との対応部分に同一符号を付した
図3、
図4に示すように、作動板4の上部に沿って配置され、遊端に折曲部20aを有し、作動板4の横辺部4bにリベット21を用いて加締められるリセットプレート20を更に備えるようにしてもよい。なお、
図3におけるスプリング5および
図4におけるスプリング5および作動軸6は、便宜上、省略している。
【0030】
この場合、リベット21は、軸7と係止することでずれ防止ストッパとして機能する。なお、ここでは図示省略するが、作動板4は、横辺部4bに内側に向けて突出した切り起こし部を有し、切り起こし部を、ずれ防止ストッパとして機能させるようにしてもよい。
【0031】
以上の変形例によれば、作動板4の横辺部4bにリベット21を用いて加締められるリセットプレート20を更に備え、リセットプレート20固定用のリベット21をずれ防止ストッパとして流用できるため、前述した実施形態の効果に加えて、ストッパを設ける手間やコストを省くことができる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 圧力スイッチ
2 本体
2a 支点
3 ベローズ(圧力応動部)
4 作動板
4a 縦辺部(第二辺部)
4b 横辺部(第一辺部)
4c 曲折部
4d 切り起こし部
5 スプリング
6 作動軸
7 軸
9 ずれ防止ストッパ
10 マイクロスイッチ
11 可動接点板
12A、12B 固定接点
13 可動接点
14 変形ばね
20 リセットプレート
21 リベット
22 ビス