(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057084
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】可変投与量を有する注入デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20240416BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61M5/315 550P
A61M5/20 510
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031772
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2022172208の分割
【原出願日】2016-01-21
(31)【優先権主張番号】62/105,897
(32)【優先日】2015-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/116,836
(32)【優先日】2015-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/140,023
(32)【優先日】2015-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502142703
【氏名又は名称】アンタレス・ファーマ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】サーキンアン,ブライアン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】トラヴァンティ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マドセン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】モルク,アンドリュー・チャールズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可変投与量を有する自動注入デバイスを提供する。
【解決手段】患者に薬剤を注入するための注入デバイス110が、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバを収容するように構成されるハウジング112を備える。流体リザーバに流体結合される注入導管が、流体リザーバから患者までの流体経路を画定する。発射機構が流体リザーバに結合され、注入導管を通して流体リザーバから薬剤を排出するように構成される。ボリューム設定機構が発射機構に結合され、発射機構による排出のための複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を選択するように構成される。一回投与量設定機構が、発射機構が作動されるときに注入導管から注入される複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤のすべてまたは一部を選択するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に薬剤を注入するための注入デバイスであって、
複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバを収容するように構成されるハウジングと、
前記流体リザーバから前記患者までの流体経路を画定するように構成される、前記流体リザーバに流体結合される注入導管と、
前記注入導管を通して前記流体リザーバから前記薬剤を排出するように構成される、前記流体リザーバに結合される発射機構と、
前記発射機構による排出のための前記複数のボリュームの薬剤のうちの前記1つのボリュームの薬剤を選択するように調整されるように構成される、前記発射機構に結合されるボリューム設定機構と、
前記発射機構が作動されるときに前記注入導管から注入される前記複数のボリュームの薬剤のうちの前記1つのボリュームの薬剤の一部を選択するように調整されるように構成される一回投与量設定機構と
を備える、注入デバイス。
【請求項2】
前記ボリューム設定機構がナットを含み、前記発射機構がラムおよび付勢部材を含み、前記ナットが前記ラムにねじ込み式に結合され、前記ナットが、初期位置において、ラッチにより、前記付勢部材の力に逆らうように解放可能に保持される、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項3】
前記ナットが、前記ラッチの突出部に係合されるように各々が構成される複数の窪み部分を含む、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項4】
前記複数の窪み部分の各々が、前記ナットの周りを周囲方向に延在するリング形状の溝を含む、請求項3に記載の注入デバイス。
【請求項5】
前記ハウジングに摺動可能に結合されるガードをさらに備え、前記ガードが前記ナットから前記ラッチを解放するように構成される、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項6】
前記注入デバイスの遠位端の方に前記ガードを付勢するように構成される、前記ガードに結合される付勢部材をさらに備え、前記ガードが軸方向において前記注入導管を通り過ぎるように延在するように構成される、請求項5に記載の注入デバイス。
【請求項7】
前記ガードが、初期位置においてよりもロック位置においてより遠位側に延在する、請求項6に記載の注入デバイス。
【請求項8】
前記ナットが前記ラッチに対して回転可能である、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項9】
前記ナットが、前記ナットの軸方向長さに沿う複数の位置のうちの1つの位置において前記ラッチに結合されるように構成され、前記ナットの前記軸方向長さに沿う前記複数の位置の各々が、前記発射機構による排出のための前記複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項10】
前記ボリューム設定機構が、前記ラムにねじ込み式に係合に結合されるラム延長部分を含み、前記ラム延長部分が、前記ラムの長さを、前記発射機構による排出のための前記複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する、複数の位置のうちの1つの位置まで、延ばすように構成される、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項11】
前記ラムが回転可能に固定され、前記一回投与量設定機構に対して軸方向に移動可能である、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項12】
前記ラッチが、前記初期位置で前記ナットを解放可能に保持するラッチアームと、発射位置で前記ナットに係合される止め部分と、を含み、前記ラッチアームと前記止め部分との間の距離が固定される、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項13】
前記ボリューム設定機構がリテーナおよびラッチを含み、前記発射機構がラムおよび付勢部材を含み、前記ラッチが前記付勢部材と前記ラムとの間に結合され、前記ラッチが、初期位置において、前記リテーナにより、前記付勢部材の力に逆らうように保持される、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項14】
異なる軸方向深さで各々が延在するような、軸方向に延在して径方向に突出する複数のスロットを有する止め部分をさらに備え、前記ラムが、発射位置において前記複数のスロットのうちの1つのスロットに係合されるように構成される、前記ラムから径方向に延在する翼部分を含む、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項15】
前記止め部分および前記リテーナが一体に接続される、請求項14に記載の注入デバイス。
【請求項16】
前記一回投与量設定機構が、前記初期位置において前記翼部分を前記複数のスロットのうちの1つのスロットに径方向において位置合わせするように前記ラムに回転可能に結合される、請求項14に記載の注入デバイス。
【請求項17】
前記ラムが前記ラムの端部のねじ込み式に結合されるプライミングねじを含み、前記プライミングねじが前記ラムをピストンに結合するように構成される、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項18】
前記ラムが、前記一回投与量設定機構の位置に関係なく、前記ピストンに接触した状態を維持する、請求項17に記載の注入デバイス。
【請求項19】
前記ラッチが、前記リテーナの突出部に係合されるように各々が構成される軸方向において離間される複数の窪み部分を含む、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項20】
前記ハウジングに摺動可能に結合されるガードをさらに備え、前記ガードが、前記初期位置において前記リテーナが径方向に動くのを防止するように構成される側壁と、後退位置において前記リテーナが径方向に動くのを可能にするように構成される、前記側壁内にあるアパーチャとを含む、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項21】
前記ラムが回転可能に固定され、前記一回投与量設定機構に対して軸方向に移動可能である、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項22】
前記一回投与量設定機構が、前記初期位置および発射位置において前記ラムの内側シャフトの中まで部分的に延在して内側シャフトと径方向に適合したシャフトを含む、請求項21に記載の注入デバイス。
【請求項23】
前記ラッチが軸方向において固定され、前記ラムに対して回転可能に移動可能である、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項24】
前記発射機構がばねを含み、前記ばねの位置が前記一回投与量設定機構の位置から独立
する、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項25】
前記一回投与量設定機構が、前記ハウジングに回転可能に結合されるノブを含む、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項26】
軸方向において前記注入導管を通り過ぎて延在して前記患者からの前記注入導管の取り外し後に前記ハウジングに対してロックされるように構成される、前記ハウジングに摺動可能に結合されるガードをさらに備える、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項27】
前記注入導管が注射針を備える、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項28】
前記流体リザーバを含む注射器をさらに備え、前記注射針が前記注射器に固定される、請求項27に記載の注入デバイス。
【請求項29】
前記注入デバイスが前記発射機構の作動後の再設定を防止するように構成され、それにより、前記注入デバイスによる前記薬剤のさらなる注入を防止し、それにより前記注入デバイスを1回使用の注入器として構成する、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項30】
前記ハウジングの遠位端に結合される安全キャップをさらに備え、前記安全キャップが前記発射機構に結合され、その結果として、前記安全キャップを前記ハウジングから外すことにより、前記流体リザーバに対して所定の距離だけ前記発射機構を前進させることが可能となり、それにより前記流体リザーバをプライミングする、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項31】
前記一回投与量設定機構を作動することで前記流体リザーバに対して所定の距離だけ前記発射機構を前進させ、それにより前記流体リザーバをプライミングする、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項32】
前記発射機構が、互いに比較して概して等しい時間量で前記複数のボリュームの薬剤のうちの前記1つのボリュームの薬剤の前記選択される一部の各々を送達するように構成される、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項33】
前記一部が、わずかに、0.5以上である、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項34】
前記選択される一部により、0.18ml以下の送達後に前記流体リザーバ内に残留ボリュームが残ることになる、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項35】
患者に薬剤を注入するための注入デバイスであって、
組み立て時に、前記患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤に基づく複数の位置のうちの1つの位置となるように選択的に予め設定されるように構成される、アクチュエータを有する発射機構と、
前記患者に送達されることになる前記最大ボリュームの薬剤の一部を選択することを目的として、前記発射機構の事前の設定に関係なく使用時に選択可能に調整されるように構成される一回投与量設定機構と
を備える、注入デバイス。
【請求項36】
患者に薬剤を注入するための注入デバイスであって、
ピストンと、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバと、を有する流体容器を収容するように構成されるハウジングであって、前記流体容器が、前記流体リザーバから前記患者までの流体経路を画定するように構成される、前
記流体リザーバに流体結合される注入導管を含む、ハウジングと、
前記流体リザーバから前記注入導管を通して前記薬剤を排出するように構成される、前記ピストンに結合されるラムと、
初期位置において前記ラムを前記流体容器の方に付勢するばねと、
前記ラムにねじ込み式に結合されるナットであって、前記ナットが複数のリング形状の溝または突出部を有する、ナットと、
前記初期位置において前記ばねの力に逆らって複数の軸方向位置のうちの1つの軸方向位置で前記ラムを保持することを目的として前記複数のリング形状の溝または突出部のうちの所定の1つに係合される、前記ハウジングに対して固定されるラッチであって、前記ナットが前記初期位置において前記ラッチに対して回転可能である、ラッチと、
前記ハウジングに回転可能に結合され、回転可能に固定され、前記初期位置において前記ラムに対して軸方向において移動可能である、一回投与量設定ノブと
を備える、注入デバイス。
【請求項37】
患者に薬剤を注入するための注入デバイスであって、
ピストンと、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバと、を有する流体容器を収容するように構成されるハウジングであって、前記流体容器が、前記流体リザーバから前記患者までの流体経路を画定するように構成される、前記流体リザーバに流体結合される注入導管を含む、ハウジングと、
前記流体リザーバから前記注入導管を通して前記薬剤を排出するように構成される、前記ピストンに結合されるラムであって、前記ラムが径方向に延在する翼部分を有する、ラムと、
軸方向において固定されて前記ラムに対して回転可能に移動可能であるラッチであって、前記ラムが複数の径方向の特徴部分を有する、ラッチと、
初期位置において前記ラッチを前記流体容器の方に付勢するばねと、
前記初期位置において前記ばねの力に逆らって複数の軸方向位置のうちの1つの軸方向位置で前記ラムを保持することを目的として前記複数の径方向の特徴部分のうちの所定の1つの径方向の特徴部分に係合される、前記ハウジングに対して固定されるリテーナと、
各々が異なる軸方向深さで延在するような、軸方向に延在して径方向に突出する複数のスロットを有する止め部分であって、前記ラムが前記初期位置において前記複数のスロットのうちの1つのスロットに前記翼部分を位置合わせするように回転可能であり、前記翼部分が発射位置において前記複数のスロットのうちの前記1つのスロットに係合されるように構成される、止め部分と、
前記ハウジングに回転可能に結合される一回投与量設定ノブであって、前記ラムが前記一回投与量設定ノブに回転可能に固定されて前記一回投与量設定ノブに対して軸方向において移動可能である、一回投与量設定ノブと
を備える、注入デバイス。
【請求項38】
注入デバイスを組み立てるための方法であって、
複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を含む流体リザーバを有する流体容器をハウジングの中に挿入するステップであって、前記流体容器が、前記流体リザーバから患者までの流体経路を画定するように構成された、前記流体リザーバに流体結合される注入導管を含む、ステップと、
前記複数のボリュームの薬剤のうちの前記1つのボリュームの薬剤のサイズに基づいてボリューム設定機構を設定するステップと、
前記ボリューム設定機構を発射機構に結合するステップと、
前記発射機構を前記流体リザーバに結合するステップであって、前記発射機構が、前記流体リザーバから前記注入導管を通して前記薬剤を排出するように構成され、前記発射機構が、前記発射機構が作動されるときに前記注入導管から注入される前記複数のボリュームの薬剤のうちの前記1つのボリュームの薬剤のすべてまたは一部を選択するように構成
される一回投与量設定機構に結合される、ステップと
を含む、方法。
【請求項39】
患者に薬剤を注入するための注入デバイスであって、
流体リザーバを収容するように構成されるハウジングと、
前記流体リザーバから前記患者までの流体経路を画定するように構成される、前記流体リザーバに流体結合される注入導管と、
前記流体リザーバから前記注入導管を通して前記薬剤を排出するように構成される、前記流体リザーバに結合される発射機構と、
前記ハウジングの遠位端に結合される安全キャップであって、前記安全キャップが前記発射機構に結合され、その結果、前記安全キャップを前記ハウジングから外すことにより、前記流体リザーバに対して所定の距離だけ前記発射機構を前進させることが可能となり、それにより前記流体リザーバをプライミングする、安全キャップと
を備える、注入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
関連出願の相互参照
[0002]本出願は、すべて「Injection Device Having Variable Dosing」と題される、2015年1月21日に出願された米国仮特許出願第62/105,897号、2015年2月16日に出願された米国仮特許出願第62/116,836号および2015年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/140,023号の利益を主張するものであり、これらの各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0003]本発明は、概して、可変投与量を有する注入デバイスに関し、いくつかの実施形態では、可変投与量を有する自動注入デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0004]患者の中に薬剤を注入するための注入デバイスは一般に知られている。このようなデバイスには、例えば、中に一定量の薬剤(a stock of medicament)を含む伝統的な皮下注射針注射器が含まれる。注射ロケーションのところの患者の皮膚の下に注射針が挿入されると、プランジャ機構を押し下げることで薬剤が注射器から押し出されて注射針を通過する。
【0004】
[0005]米国特許第4,553,962号および米国特許第4,378,015号、ならびに、PCT特許出願公開WO95/29720およびWO97/14455で開示されるような自己注入器または自動注入器は、手動の皮下注射器と同様の速度および手法で薬剤を注入するように構成されている。
【0005】
[0006]これらの注入器は、しばしば、1回使用のために作られるか、または、各々の注入後に再充填されるように作られる。いくつかの再充填可能な注入器は、注入されることになる所望の投薬量で再充填され得る。注入時、装填される全体の投薬量が注入されることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0007]一実施形態で、患者に薬剤を注入するための注入デバイスが存在し、これが、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバを収容するように構成されるハウジングと、流体リザーバから患者までの流体経路を画定するように構成される、流体リザーバに流体結合される注入導管(injection conduit)と、注入導管を通して流体リザーバから薬剤を排出するように構成される、流体リザーバに結合される発射機構と、発射機構による排出のための複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を選択するように調整されるように構成される、発射機構に結合されるボリューム設定機構と、発射機構が作動されるときに注入導管から注入される複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤の一部を選択するように調整されるように構成される一回投与量設定機構と、を備える。
【0007】
[0008]一実施形態では、ボリューム設定機構がナットを含み、発射機構がラムおよび付勢部材を含み、ナットがラムにねじ込み式に結合され、ナットが、初期位置において、ラッチにより、付勢部材の力に逆らうように解放可能に保持される。一実施形態では、ナットが、ラッチの突出部に係合されるように各々が構成される複数の窪み部分を含む。一実
施形態では、複数の窪み部分の各々が、ナットの周りを周囲方向に延在するリング形状の溝を含む。別の実施形態では、注入デバイスが、ハウジングに摺動可能に結合されるガードを備え、ガードがナットからラッチを解放するように構成される。別の実施形態では、注入デバイスが、注入デバイスの遠位端の方にガードを付勢するように構成される、ガードに結合される付勢部材を備え、ガードが軸方向において注入導管を通り過ぎるように延在するように構成される。
【0008】
[0009]一実施形態では、ガードが、初期位置においてよりもロック位置においてより遠位側に延在する。一実施形態では、ナットがラッチに対して回転可能である。一実施形態では、ナットが、ナットの軸方向長さに沿う複数の位置のうちの1つの位置においてラッチに結合されるように構成され、ナットの軸方向長さに沿う複数の位置の各々が、発射機構による排出のための複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する。一実施形態では、ボリューム設定機構が、ラムにねじ込み式に結合されるラム延長部分を含み、ラム延長部分が、ラムの長さを、発射機構による排出のための複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する、複数の位置のうちの1つの位置まで、延ばすように構成される。一実施形態では、ラムが回転可能に固定され、一回投与量設定機構に対して軸方向に移動可能である。
【0009】
[0010]一実施形態では、ラッチが、初期位置でナットを解放可能に保持するラッチアームと、発射位置でナットに係合される止め部分と、を含み、ラッチアームと止め部分との間の距離が固定される。一実施形態では、ボリューム設定機構がリテーナおよびラッチを含み、発射機構がラムおよび付勢部材を含み、ラッチが付勢部材とラムとの間に結合され、ラッチが、初期位置において、リテーナにより、付勢部材の力に逆らうように保持される。別の実施形態では、注入デバイスが、各々が異なる軸方向深さで延在するような、軸方向に延在して径方向に突出する複数のスロットを有する止め部分を備え、ここでは、ラムが、発射位置において複数のスロットのうちの1つのスロットに係合されるように構成される、ラムから径方向に延在する翼部分を含む。
【0010】
[0011]一実施形態では、止め部分およびリテーナが一体に接続される。一実施形態では、一回投与量設定機構が、初期位置において翼部分を複数のスロットのうちの1つのスロットに径方向において位置合わせするようにラムに回転可能に結合される。一実施形態では、ラムがラムの端部にねじ込み式に結合されるプライミングねじ(prime screw)を含み、プライミングねじがラムをピストンに結合するように構成される。一実施形態では、ラムが、一回投与量設定機構の位置に関係なく、ピストンに接触した状態を維持する。一実施形態では、ラッチが、リテーナの突出部に係合されるように各々が構成される軸方向において離間される複数の窪み部分を含む。別の実施形態では、注入デバイスがハウジングに摺動可能に結合されるガードを備え、ガードが、初期位置においてリテーナが径方向に動くのを防止するように構成される側壁と、後退位置においてリテーナが径方向に動くのを可能にするように構成される、側壁内にあるアパーチャとを含む。
【0011】
[0012]一実施形態では、ラムが回転可能に固定され、一回投与量設定機構に対して軸方向に移動可能である。一実施形態では、一回投与量設定機構が、初期位置および発射位置においてラムの内側シャフトの中まで部分的に延在して内側シャフトと径方向に適合したシャフトを含む。一実施形態では、ラッチが軸方向において固定され、ラムに対して回転可能に移動可能である。一実施形態では、発射機構がばねを含み、ばねの位置が一回投与量設定機構の位置から独立する。一実施形態では、一回投与量設定機構が、ハウジングに回転可能に結合されるノブを含む。別の実施形態では、注入デバイスが、軸方向において注入導管を通過して延在して患者からの注入導管の取り外し後にハウジングに対してロックされるように構成される、ハウジングに摺動可能に結合されるガードを備える。
【0012】
[0013]一実施形態では、注入導管が注射針を備える。別の実施形態では、注入デバイスが流体リザーバを含む注射器を備え、注射針が注射器に固定される。一実施形態では、注入デバイスが発射機構の作動後の再設定を防止するように構成され、それにより、注入デバイスによる薬剤のさらなる注入を防止し、それにより注入デバイスを1回使用の注入器として構成する。別の実施形態では、注入デバイスがハウジングの遠位端に結合される安全キャップを備え、安全キャップをハウジングから外すことにより、流体リザーバに対して所定の距離だけ発射機構を前進させることが可能となり、それにより流体リザーバをプライミングするように、安全キャップが発射機構に結合される。一実施形態では、一回投与量設定機構を作動することで流体リザーバに対して所定の距離だけ発射機構を前進させ、それにより流体リザーバをプライミングする。一実施形態では、発射機構が、互いに比較して概して等しい時間量で複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤の選択される一部の各々を送達するように構成される。一実施形態では、この一部は、わずかに、0.5以上であってよい。一実施形態では、この選択される一部により、0.18ml未満の送達後に流体リザーバ内に残留ボリュームが残ることになる。
【0013】
[0014]別の実施形態では、患者に薬剤を注入するための注入デバイスが存在し、これが:組み立て時に、患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤に基づく複数の位置のうちの1つの位置となるように選択的に予め設定されるように構成される、アクチュエータを有する発射機構と;患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤の一部を選択することを目的として、発射機構の事前の設定に関係なく使用時に選択可能に調整されるように構成される一回投与量設定機構と、を備える。
【0014】
[0015]別の実施形態では、患者に薬剤を注入するための注入デバイスが存在し、これが:ピストンと、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバと、を有する流体容器を収容するように構成されるハウジングであって、流体容器が、流体リザーバから患者までの流体経路を画定する、流体リザーバに流体結合される注入導管を有する、ハウジングと;流体リザーバから注入導管を通して薬剤を排出するように構成される、ピストンに結合されるラムと;初期位置においてラムを流体容器の方に付勢するばねと;ラムにねじ込み式に結合されるナットであって、ナットが複数のリング形状の溝または突出部を有する、ナットと;初期位置においてばねの力に逆らって複数の軸方向位置のうちの1つの軸方向位置でラムを保持することを目的として複数のリング形状の溝または突出部のうちの所定の1つに係合される、ハウジングに対して固定されるラッチであって、ナットが初期位置においてラッチに対して回転可能である、ラッチと;ハウジングに回転可能に結合され、回転可能に固定され、初期位置においてラムに対して軸方向において移動可能である、一回投与量設定ノブと、を備える。
【0015】
[0016]別の実施形態では、患者に薬剤を注入するための注入デバイスが存在し、これが:ピストンと、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバと、を有する流体容器を収容するように構成されるハウジングであって、流体容器が、流体リザーバから患者までの流体経路を画定する、流体リザーバに流体結合される注入導管を含む、ハウジングと;流体リザーバから注入導管を通して薬剤を排出するように構成される、ピストンに結合されるラムであって、ラムが径方向に延在する翼部分を有する、ラムと;軸方向において固定されてラムに対して回転可能に移動可能であるラッチであって、ラムが複数の径方向の特徴部分(feature)を有する、ラッチと;初期位置においてラッチを流体容器の方に付勢するばねと;初期位置においてばねの力に逆らって複数の軸方向位置のうちの1つの軸方向位置でラムを保持することを目的として複数の径方向の特徴部分のうちの所定の1つの径方向の特徴部分に係合される、ハウジングに対して固定されるリテーナと;各々が異なる軸方向深さで延在するような、軸方向に延在して径方向に突出する複数のスロットを有する止め部分であって、ラムが初期位置において複数のスロットのうちの1つのスロットに翼部分を位置合わせするように回転可能であり
、翼部分が発射位置において複数のスロットのうちの1つのスロットに係合されるように構成される、止め部分と;ハウジングに回転可能に結合される一回投与量設定ノブであって、ラムが一回投与量設定ノブに回転可能に固定されて一回投与量設定ノブに対して軸方向において移動可能である、一回投与量設定ノブと、を備える。
【0016】
[0017]別の実施形態では、注入デバイスを組み立てるための方法が存在し、これが:複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を含む流体リザーバを有する流体容器をハウジングの中に挿入することであって、流体容器が、流体リザーバから患者までの流体経路を画定する、流体リザーバに流体結合される注入導管を含む、ことと;複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤のサイズに基づいてボリューム設定機構を設定することと;ボリューム設定機構を発射機構に結合することと;発射機構を流体リザーバに結合することであって、発射機構が、流体リザーバから注入導管を通して薬剤を排出するように構成され、発射機構が、発射機構が作動されるときに注入導管から注入される複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤のすべてまたは一部を選択するように構成される一回投与量設定機構に結合される、ことと、を含む。
【0017】
[0018]別の実施形態では、患者に薬剤を注入するための注入デバイスが存在し、これが、流体リザーバを収容するように構成されるハウジングと;流体リザーバから患者までの流体経路を画定する、流体リザーバに流体結合される注入導管と;流体リザーバから注入導管を通して薬剤を排出するように構成される、流体リザーバに結合される発射機構と;ハウジングの遠位端に結合される安全キャップであって、安全キャップが発射機構に結合され、ここでは、安全キャップをハウジングから外すことにより、流体リザーバに対して所定の距離だけ発射機構を前進させることが可能となり、それにより流体リザーバをプライミングする、安全キャップと、を備える。
【0018】
[0019]可変投与量を有する注入デバイスの実施形態の以下の詳細な説明は、例示の実施形態の添付図面と併せて読むことにより、より良く理解される。しかし、本発明が、示される正確な構成および手段のみに限定されないことを理解すべきである。
【0019】
[0020]
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】[0021]本発明の例示の実施形態による注入デバイスを示す側面図である。
【
図2】[0022]
図1の注入デバイスを示す分解斜視図である。
【
図3】[0023]
図3Aは、
図1の注入デバイスを示す第1の側面図である。[0024]
図3Bは、線A-Aによって示される平面に沿う、
図3Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。[0025]
図3Cは、
図3Aに示される図から90度回転させた、
図1の注入デバイスを示す第2の側面図である。[0026]
図3Dは、線B-Bによって示される平面に沿う、
図3Cに示される注入デバイスを示す側断面図である。[0027]
図3Eは、線3E-3Eによって示される平面に沿う、
図3Cに示される注入デバイスを示す上面断面図である。
【
図4】[0028]
図4Aは、
図1の注入デバイスを示す第2の側面図である。[0029]
図4Bは、線B-Bによって示される平面に沿う、
図4Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。[0030]
図4Cは、
図4Bで円領域内に示される、注入デバイスの一部分を示す拡大側断面図である。[0031]
図4Dは、
図4Cで円領域内に示される、注入デバイスの一部分を示す拡大側断面図である。
【
図5A】[0032]ハウジングが取り外された状態で非プライミング位置で示される、
図1の注入デバイスを示す第1の側面図である。
【
図5B】[0033]非プライミング位置で示される、
図5Aに示される第1の側面図から90度回転した、ハウジングを取り外した状態で示される
図1の注入デバイスを示す第2の側面図である。
【
図5C】[0034]線B-Bによって示される平面に沿う、
図5Bに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図5D】[0035]プライミング位置で示される
図1の注入デバイスを示す第2の側面図である。
【
図5E】[0036]線C-Cによって示される平面に沿う、
図5Dに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図5F】[0037]
図5Dに示される注入デバイスを示す上面図である。
【
図6】[0038]
図6Aは、初期位置で示される
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0039]
図6Bは、線I-Iによって示される平面に沿う
図6Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図7】[0040]
図7Aは、最小一回投与量位置で示される
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0041]
図7Bは、線A-Aによって示される平面に沿う、
図7Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図8】[0042]
図8Aは、挿入位置で示される
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0043]
図8Bは、線J-Jによって示される平面に沿う、
図8Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図9】[0044]
図9Aは、解放位置で示される
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0045]
図9Bは、線K-Kによって示される平面に沿う、
図9Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図10】[0046]
図10Aは、発射位置で示される
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0047]
図10Bは、線L-Lによって示される平面に沿う、
図10Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図11】[0048]
図11Aは、
図10Aの側面図から90度回転させた
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0049]
図11Bは、線M-Mによって示される平面に沿う、
図11Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図12】[0050]
図12Aは、ロックアウト位置で示される
図1の注入デバイスを示す側面図である。[0051]
図12Bは、線N-Nによって示される平面に沿う、
図12Aに示される注入デバイスを示す側断面図である。
【
図13】[0052]
図13Aは、ハウジングを取り外された状態で初期位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図13Bは、ハウジングを取り外された状態で初期位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図13Cは、ハウジングを取り外された状態で初期位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
【
図14】[0053]
図14Aは、ハウジングを取り外された状態で挿入位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図14Bは、ハウジングを取り外された状態で挿入位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図14Cは、ハウジングを取り外された状態で挿入位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
【
図15】[0054]
図15Aは、ハウジングを取り外された状態で解放位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図15Bは、ハウジングを取り外された状態で解放位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図15Cは、ハウジングを取り外された状態で解放位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
【
図16】[0055]
図16Aは、ハウジングを取り外された状態で発射位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図16Bは、ハウジングを取り外された状態で発射位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
図16Cは、ハウジングを取り外された状態で発射位置で示される
図1の注入デバイスを示す図である。
【
図17】[0056]
図1の注入デバイスのラッチの機械的利点を示す図である。
【
図19A】[0058]本発明の例示の実施形態による注入デバイスを示す側面図である。
【
図19B】本発明の例示の実施形態による注入デバイスを示す側面図である。
【
図19C】[0059]
図19Aおよび19Bの注入デバイスをそれぞれ示す側面図である。
【
図21】[0062]
図21Aは、
図19Aの注入デバイスのラッチ、ラムおよびスロット止め部分を示す種々の側面図である。
図21Bは、
図19Aの注入デバイスのラッチ、ラムおよびスロット止め部分を示す種々の側面図である。
図21Cは、
図19Aの注入デバイスのラッチ、ラムおよびスロット止め部分を示す種々の側面図である。
【
図23】[0064]
図23Aは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体(ram and dose knob assembly)を示す種々の図である。
図23Bは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Cは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Dは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Eは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Fは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Gは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Hは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
図23Iは、
図19Aの注入デバイスのラムおよびラム・一回投与量ノブ組立体を示す種々の図である。
【
図24】[0065]
図24Aは、初期の非起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図24Bは、初期の非起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図24Cは、初期の非起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図24Dは、初期の非起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す斜視図である。
図24Eは、初期の非起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す斜視図である。
【
図25】[0066]
図25Aは、挿入位置または後退位置にある、ハウジングまたは他の構成要素が取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図25Bは、挿入位置または後退位置にある、ハウジングまたは他の構成要素が取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図25Cは、挿入位置または後退位置にある、ハウジングまたは他の構成要素が取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図25Dは、挿入位置または後退位置にある、ハウジングまたは他の構成要素が取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す斜視図である。
図25Eは、挿入位置または後退位置にある、ハウジングまたは他の構成要素が取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す斜視図である。
【
図26】[0067]
図26Aは、起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図26Bは、起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図26Cは、起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図26Dは、起動位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す斜視図である。
【
図27】[0068]
図27Aは、ロックアウト位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図27Bは、ロックアウト位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図27Cは、ロックアウト位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す側面図である。
図27Dは、ロックアウト位置にある、ハウジングおよび他の構成要素を取り外された状態の、
図19Aの注入デバイスを示す斜視図である。
【
図28】[0069]
図28Aは、一回投与量が送達される前の最小一回投与量設定で示される
図19Aの注入デバイスのラムおよびスロット止め部分を示す種々の図である。
図28Bは、一回投与量が送達される前の最小一回投与量設定で示される
図19Aの注入デバイスのラムおよびスロット止め部分を示す種々の図である。
図28Cは、一回投与量が送達される前の最小一回投与量設定で示される
図19Aの注入デバイスのラムおよびスロット止め部分を示す種々の図である。
【
図29】[0070]一回投与量が送達された後の状態で示される
図28~28Cのラムおよびスロット止め部分を示す斜視図である。
【
図30】[0071]
図30Aは、一回投与量が送達される前の最大一回投与量設定で示される
図19Aの注入デバイスのラムおよびスロット止め部分を示す種々の図である。
図30Bは、一回投与量が送達される前の最大一回投与量設定で示される
図19Aの注入デバイスのラムおよびスロット止め部分を示す種々の図である。
図30Cは、一回投与量が送達される前の最大一回投与量設定で示される
図19Aの注入デバイスのラムおよびスロット止め部分を示す種々の図である。
【
図31】[0072]
図31Aは、一回投与量が送達された後の状態で示される
図30A~30Cのラムおよびスロット止め部分をそれぞれ示す側面図および側断面図である。
図31Bは、一回投与量が送達された後の状態で示される
図30A~30Cのラムおよびスロット止め部分をそれぞれ示す側面図および側断面図である。
【
図32】[0073]
図19Aの注入デバイスと共に使用されるための、スペーサを有する安全キャップを示す斜視図である。
【
図33A】[0074]
図32に示される安全キャップを有する
図19の注入デバイスを示す側断面図である。
【
図34】[0075]
図34Aは、プライミング解放ピン(priming release pin)を有する
図19Aの注入デバイスを示す側断面図である。
図34Bは、プライミング解放ピンを有する
図19Aの注入デバイスを示す側断面図である。
【
図35】[0076]
図35aは、プライミング構成を示している、
図19Aの注入デバイスのラッチ、スロット止め部分およびガードを示す断面図である。
図35bは、プライミング構成を示している、
図19Aの注入デバイスのラッチ、スロット止め部分およびガードを示す断面図である。
【
図36】[0077]
図36は、プライミングのための拡大可能ラムを有する
図19Aの注入デバイスを示す側断面図である。
【
図37】[0078]
図37は、本発明の例示の実施形態による注入デバイスのためのラッチを示す斜視図である。
【
図38】[0079]
図38Aは、外側ハウジングを取り外された状態で初期位置で示される、本発明の例示の実施形態による注入デバイスのためのロックアウトシステムを示す側面図である。
図38Bは、外側ハウジングを取り外された状態で初期位置で示される、本発明の例示の実施形態による注入デバイスのためのロックアウトシステムを示す側面図である。
【
図40】[0081]
図40は、
図38Aの円A内で示されるガードを保持する前方リテーナを示す拡大側面図である。
【
図42】[0083]
図42は、一回投与量が送達された後の解放位置で示される
図40の前方リテーナおよびガードを示す側面図である。
【
図43】[0084]
図43Aは、ガードが延長しており、ロックアウト位置にある状態の、
図42に示される図から90度回転された
図38Aおよび38Bの注入デバイスのガード、スリーブおよび前方リテーナを示す側面図である。
図43Bは、ガードが延長しており、ロックアウト位置にある状態の、
図42に示される図から90度回転された
図38Aおよび38Bの注入デバイスのガードおよびスリーブを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0085]全体を通して同様の参照符号が同様の要素を示している図面を詳細に参照すると、
図1~18Dにおいて、本発明の第1の例示の実施形態である、全体として110で示される注入デバイスが示されている。以下で、図に示される例示の実施形態を参照しながら注入デバイス110の種々の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0022】
[0086]注入デバイス110が、複数の所定のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤の選択される量を患者に送達するように構成される。注入デバイス110が複数の流体リザーバのうちの1つの流体リザーバを使用して組み立てられ、最終的に患者に送達される一回投与量が、注入デバイス110に含まれる全体量に等しいかまたはそれ未満である。これにより、注入デバイス110が、流体カートリッジ、多様なボリュームまで充填される予め充填された注射器または同様の容器、ならびに/あるいは、複数のサイズの流体容器、を受け入れることが可能となり、流体容器内のどのくらいの量の流体を送達するのかを使用者が選択するのを可能にする。このような柔軟性により、1つのデバイスを複数の薬剤ボリュームに適合させることが可能となり、それにより、最終的に、廃棄される薬剤の量が低減される。
【0023】
[0087]例えば、通常の注入デバイスは、必要となる見込まれる投薬量の範囲を包含するように1.0mlのボリュームを有することができる。1.0mlのデバイスを提供されるが0.5mlの投薬量しか必要としない患者は、捨てられるデバイスの中に0.5mlの残留ボリュームを残すことになる。しかし、0.5mの投薬量を必要とする患者が、0.6mlの流体を含む1.0mlの注入デバイス110を提供され得、それにより、捨てられるデバイス内の残留ボリュームを0.1mlのみとすることができる。ボリュームを調整するのを可能にすることにより、製造業者が、注入デバイス110を、複数のボリュームのうちの1つのボリュームとして容易に設定することができるようになり、それにより、患者によって選択可能である投薬量の範囲を分けることができ、捨てられるデバイス内に残される残留流体の量を低減することができる。
【0024】
[0088]注入デバイス110が、注入デバイス110から患者の中まで流体を移動させるためのアクチュエータを有する。いくつかの実施形態では、皮膚表面に対して注入デバイス110を配置することの結果としてアクチュエータが自動で作動され、これは自動注入デバイスとも称される。注入デバイス110が注射針を有することができる。他の実施形態では、注入デバイスが注射針を有さず、好適には、流体チャンバの注入ポートが、ポートを介してのチャンバから注入ロケーションまでのジェットとして薬剤を注入するための、流体チャンバに流体連通される流体経路を画定する。注射針を有さない適切なジェットノズル構成の例が米国特許第6,309,371号に開示されており、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0025】
[0089]後でさらに詳細に考察されるように、いくつかの実施形態では、注入デバイス110が、アクチュエータを有する発射機構と、患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤(例えば、0.4ml、0.6ml、0.8mlまたは1.0mlの予め充填された注射器のうちの1つ)に基づく複数の位置のうちの1つの位置となるように組み立て時に選択的に予め設定されるように構成されるボリューム設定機構と、患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤の一部を選択することを目的として(例えば、0.4mlの注射器の場合、0.2mlから0.4mlの一回投与量)、ボリューム設定機構の事前の設定に関係なく使用時に選択可能に調整されるように構成される一回投与量設定機構と、を有する。
【0026】
[0090]
図1を参照すると、注入デバイス110がハウジング112を有することができる。ハウジング112が長手方向軸Aに沿って延在し、薬剤の一回投与量を患者に送達するために患者または介護人の一方の手で保持されるように構成される。一実施形態では、ハウジング112が円筒形である。他の実施形態では、ハウジング112の断面形状が、楕円、三角形、正方形、または、任意の他の所望の形状である。ハウジング112が、ハウジング112内に含まれる注入デバイス110の構成要素を見るための1つまたは複数の窓112a、112bを有することができる。窓112a、112bが透明材料で覆われ得る。窓112a、112bが、ハウジング112内の流体リザーバ118を見るのを可能にすることができる。窓112a、112bはまた、選択された予め設定されたボリュームを見るのを可能にすることができる。別の実施形態では、窓112a、112bが、注入デバイス110の使用の準備が整っているかどうかを調べるのを可能にする。別の実施形態では、窓112a、112bが、注入が完了したかどうかを調べるのを可能にする。注入デバイスの内部の様子を見るのを可能にすることを目的とした窓の他の使用も見込まれる。実施形態では、窓112a、112bが、注入を管理するのを補助する、注入デバイスの内部構成要素を見るのを可能にする。一実施形態では、ハウジング112が、部分的にまたは全体として、透明材料からなる。
【0027】
[0091]
図3Bを参照すると、ハウジング112が、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバ118を収容するように構成される。注入デバイス110を組み立てる前に、所望のボリュームの流体リザーバ118が選択される。一実施形態では、所望のボリュームの流体リザーバ118は、患者に注入することができる所望の最大一回投与量に基づく。一実施形態では、注入デバイス110が、注入のための複数(例えば、4つ)の異なる最大ボリュームに対応するように構成される流体リザーバ118を有する1つサイズの容器または注射器を受けるように構成される。他の実施形態では、注入デバイス110が、注入のための、2つ、3つ、または5つ、あるいはそれ以上の異なる最大ボリュームに対応するように構成される流体リザーバを受けるように構成される。他の実施形態では、注入デバイス110が、流体リザーバ118を有する4つの異なるサイズの容器のうちの1つを受けるように構成される。他の実施形態では、注入デバイス110が、流体リザーバ118を有する、2つ、3つ、5つまたはそれ以上の異なるサイズの容器を受けるように構成される。一実施形態では、流体リザーバ118が、
0.4ml、0.6ml、0.8mlまたは1.0mlのうちの1つの薬剤を含む。他の実施形態では、流体リザーバ118が、以下の量:0.04ml、0.05ml、0.06ml、0.07ml、0.08ml、0.09ml、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml 0.9ml、1.0ml、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4ml、1.5ml、1.6ml、1.7ml、1.8ml、1.9ml、2.0ml、のうちの1つまたは複数、2.0ml超、0.010ml未満、および、これらの数値の間の任意の量、など、の他の量の薬剤を含む。一実施形態では、流体リザーバ118が、近位端のところに摺動シールを形成するピストン120を有する予め充填された注射器を有する。注入導管122が流体リザーバに流体結合され、流体リザーバから患者までの流体経路を画定する。一実施形態では、注入導管122が注射針である。注射針122が、予め充填された注射器に打ち込まれ得る。
【0028】
[0092]
図3Bを参照すると、注射針122が詰め込み位置または初期位置において注射針キャップ124によって覆われてよい。注射針キャップ124が、初期位置においてニードル122を密閉および保護するためのエラストマ材料を含むことができる。
図1を参照すると、注入デバイス110が、さらに、または、別法として、注入デバイス110の遠位端110aに解放可能に結合される安全キャップ114を有することができる。安全キャップ114が初期位置において注入導管118を覆い、それにより、汚染を防止し、また、誤って注射針が突き刺さったりまたはアクチュエータが作動したりするのを防止する。安全キャップ114は注射針キャップ124に結合され得、その結果、ハウジング112から安全キャップ114を取り外すことにより、注射針122から注射針キャップ124も剥ぎ取られ、注射針122が露出する。
【0029】
[0093]注入デバイス110が、注入導管122を通して流体リザーバ118から薬剤を排出するように構成される、流体リザーバ118に結合される発射機構を有することができる(
図3Bを参照)。発射機構が付勢部材126などのアクチュエータを有することができる。一実施形態では、付勢部材126が圧縮ばねを有する。別の実施形態では、アクチュエータが空気圧によって駆動される。付勢部材126が、長手方向軸Aに沿って延在するラム128に動作可能に連結され得る。ラム128が、キー溝付きの近位端128a、ならびに、1つまたは複数の雄ねじまたは雌ねじ128bを有することができる。ラム128が、ラム128の長さに沿って延在する、径方向反対側にある一対のねじ山無し部分128eを有することができる(
図18A~18Dを参照)。一実施形態では、ねじ山無し部分128eが、隣接する構成要素にトルクを伝達するかまたはロケーションを提供するためのキー溝付きの特徴部分として機能することができる。ねじ山無し部分128eはねじ山128bに対して窪んでいてよく、それにより、ねじ山128bの使用に干渉することなくねじ山なし部分128e上にはみ出しまたは他の製造の生成物が存在するのを可能にする。ラム128が流体リザーバ118に結合され得、その結果、付勢部材126が、流体リザーバ118を圧縮して注入導管122を通して薬剤を患者に送達するように、ラム128を推進する。一実施形態では、ラム128がピストン120に結合される。ラム128が、ラム128とピストン120との間の係合を支持するために遠位側に延在する突出部128cを有することができる(
図3Bを参照)。
【0030】
[0094]
図4A~4Dを参照すると、ボリューム設定機構が、複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を提供するように設定され得る。ボリューム設定機構が、ラッチ132により、初期位置において付勢部材126の力に逆らうように軸方向において解放可能に保持されるナット130を有することができる(
図3Bを参照)。ラッチ132が、ナット130内の対応するインデント130aに係合される突出部132aを有することができ、それにより初期位置においてナット130が軸方向に移動するのを防止する。
【0031】
[0095]ナット130が、ラッチの突出部132aに係合されるように各々が構成される複数の窪み部分130aを有することができる。複数の窪み部分の各々が軸方向において互いから離間されてよい。ナット130の複数の窪み部分130aの各々が、ナット130の周りを周囲方向に延在するリング形状の溝を有することができる。ナット130がラッチ132に対して回転可能であってよい。いくつかの実施形態では、リング形状の溝を提供してラッチ132に対してナット130を回転させるのを可能にすることにより、後でさらに考察されるように、一回投与量設定機構116がナット130に対してラム128を回転させることが可能となり、それによりラム128を軸方向に移動させることが可能となる。注入デバイス110を組み立てる間、ナット130が、ナット130の軸方向長さに沿う複数の位置のうちの1つの位置においてラッチ132に結合されるように構成され、ナット130の軸方向長さに沿う複数の位置の各々が発射機構による排出のための複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する。
【0032】
[0096]ナット130が、後で考察するように、送達ストロークの端部において流体送達デバイス110に対して固定される止め部分に係合されるように構成され得る。その結果、ナット130からラム128が遠位側に延在する距離が、いくつかの実施形態では、流体リザーバ118のボリューム(例えば、ピストン120とナット130との間の軸方向距離)に対応するように設定される。例えば、
図4B~4Dに示される位置におけるナット130を基準としたラッチ132の位置が、0.6mlの流体リザーバ118のボリュームに対応する。0.4mlの流体リザーバ118が使用される場合、ナット130の上側の隣のインデント130aがラッチ132の突出部132aに位置合わせされるまで、ナット130がラム128に沿って下方に遠位側に回転させられ得る。0.8mlの流体リザーバ118が使用される場合、ナット130の下側の隣のインデント130aがラッチ132の突出部132aに位置合わせされるまで、ナット130がラム128に沿って上方に近位側に回転させられ得る。
【0033】
[0097]ラッチ132が、流体リザーバ118に対して軸方向において固定される、ナット130を囲むスリーブ132dを有することができる。ラッチ132が、発射位置または解放位置においてナット130の軸方向経路から外れるように突出部132aを径方向に移動させるように構成される、スリーブ132dに枢動可能に接続されるピボットアーム132cを有することができる(
図9Bを参照)。一実施形態では、径方向止め部分140eにより、初期位置においてピボットアーム132cが枢動することが防止される(
図2を参照)。ラッチ132が、解放位置において、対応する傾斜表面140dに係合される傾斜表面132bを有することができる(さらに
図17を参照されたい)。ラッチ132がナット130から切り離されると、ナット130およびねじ込み式に係合されるラム128が軸方向において解放され、付勢部材126によって遠位側に発射される。他の実施形態では、ラッチ132およびナット130が上述したようなリバースメーティング(reverse mating)関係を有し、したがって、ラッチ132が、ナット130からの複数の突出部のうちの1つに係合される特徴部分を有する。
【0034】
[0098]
図4Bを参照すると、起動時の付勢部材126の直接的な力がラッチ132によって支えられ得る。実施形態では、ラッチ132が、注入ストロークの終了時に発射機構が止まることによる衝撃を弱める止め部分132eを有する。止め部分132eが径方向内側に延在するフランジであってよい。送達ストロークの端部(
図9Bおよび10Bを参照)において、ナット130が止め部分132eに係合され得る。一実施形態では、止め部分132eが弾性の特徴部分を有する。一実施形態では、止め部分132eの弾性の特徴部分がばねを有する。別の実施形態では、止め部分132eの弾性の特徴部分がエラストマワッシャを有する。
【0035】
[0099]一実施形態では、複数のロケーションのうちの1つのロケーションのところでナット130をラッチ132に結合することによりボリュームを設定することで、付勢部材126によるばねの力が調整される。ボリュームを設定することを目的としてラッチ132に対してナット130を軸方向に移動させることにより、付勢部材126が、ボリュームを大きくする場合はさらに圧縮され得、ボリュームを小さくする場合は圧縮を弱められ得る。したがって、多量の一回投与量の場合の送達速度は少量の一回投与量の場合の送達速度より高くてよく、それにより各々の一回投与量を送達するための時間量が概して等しくなる。いくつかの実施形態では、各々の一回投与量の送達時間が等しくはないが、送達速度を一定にする場合よりは等値に近づく。例えば以下の表1を参照すると、1.0mlの一回投与量が約7~10秒で送達され得、0.6mlの一回投与量が約6~9秒で送達され得る。服薬順守のためには、各々の一回投与量の送達時間のばらつきが最小になるこのような構成が望ましい可能性がある。例えば、少量のボリュームで治療を開始する患者は、一回投与量を送達するのに一定の時間量を待つことに慣れる可能性があり、治療をより多量のボリュームに合わせて調整する場合でも同じ時間量を待つ傾向がある。複数のボリューム間の注入時間の任意の差によりデバイスが不適切に使用されることをなくすように、ばねの減衰量が選択され得る。
【0036】
【0037】
[00102]複数のボリューム間の注入時間の差を、有意な差に使用者が気付かないくらい
の程度にするようなばね力減衰曲線を有するばねを提供することが望ましい可能性がある。
【0038】
[00103]別の実施形態では、複数の所定の位置を有するナット130の代わりに、また
はそのようなナット130に加えて、ボリューム設定機構が、ラム128にねじ込み式に結合されるラム延長部分(図示せず)を有する。ラム延長部分が、ラム128の長さを、発射機構による排出のための複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する、組み立て時の複数の軸方向位置まで、延ばすように構成され得る。
【0039】
[00104]
図2を参照すると、注入デバイス110が、発射機構が作動されるときに注入
導管122から注入される複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤の一部を選択するように構成される一回投与量設定機構116を有することができる。一回投与量設定機構116が、ハウジングに回転可能に結合されるノブを有することができる。一実施形態では、一回投与量設定機構116がハウジング112の近位端の上を覆う。一回投与量設定機構116が、患者によって握持されるためのグリップ部分116aを有することができる。グリップ部分116aが、使用時における一回投与量設定機構116と使用者の手との間の摩擦力を増大させるための軸方向に延在するリブ116aなどの1つまたは複数の特徴部分を有することができる。一回投与量設定機構116が、複数の投薬量指標116eを有する投薬量レベル部分116bを有することができる。一回投与量設定機構116が、ラム128に結合されるためのシャフト116cを有することができる
。
【0040】
[00105]
図3A~3Dを参照すると、一回投与量設定機構116がハウジング112に
対して回転可能に移動可能である。一実施形態では、一回投与量設定機構116がハウジング112に対して軸方向において固定される。一回投与量設定機構116が回転可能に固定され得、ラム128に対して軸方向において移動可能となり得る。ラム128の近位端128aが、一回投与量設定機構116のシャフト116cの内部表面116dの形状に対応するキー溝形状を有することができ、その結果、一回投与量設定機構116を回転させることでラム128が回転し、ラム128と軸方向において保持されるナット130との間のねじ込み式の接続により、回転方向に応じてラム128が遠位側および近位側に移動させられる。一回投与量設定機構116が回転させられると、ラム128の位置に対応する指標116eがハウジング112内の窓112aに位置合わせされ得、それにより、選択された投薬量を患者に対して表示する。一実施形態では、ラム128を移動させるために一回投与量設定機構116を回転させることが、付勢部材126の位置および力に影響しない。いくつかの実施形態では、一回投与量設定機構116が、選択される投薬量の間に抵抗クリックおよび/または可聴クリックを有することができる。
【0041】
[00106]
図6Bを参照すると、ばねなどの付勢部材126は均一であってよく、座屈し
ないように構成され得る。一実施形態では、初期位置では、付勢部材126からラム128への直接的なばね荷重が存在しない。これにより、一回投与量設定中にばねの力に影響することなくラム128を軸方向において位置決めすることが可能となり、それにより、各々の異なるボリュームの薬剤においてばねの力を等しくすることが可能となる。
【0042】
[00107]
図2を参照すると、注入デバイス110が、発射機構の作動後の再設定を防止
するように構成され得、それにより、注入器による薬剤のさらなる注入を防止し、それにより注入デバイス110を1回使用の注入器として構成する。一実施形態では、注入デバイス110が、ハウジング112に摺動可能に結合されるガード140を有する。注入デバイス110が、注入デバイス110の遠位端110aの方にガード140を付勢するように構成される、ガードに結合される付勢部材138を有することができる。ガード140が、軸方向において注入導管122を通り過ぎるように延在するように構成され得る。一実施形態では、ガード140が、軸方向において注入導管122を通り過ぎるように延在して患者からの注入導管122の取り外し後にハウジング112に対して軸方向においてロックされるように、構成される。
【0043】
[00108]スリーブ134が流体リザーバ118に結合され得る。スリーブ134が、径
方向において外側に延在する径方向反対側にある一対のタブ134aを有することができる。ハウジング112が、ハウジング112の遠位端に結合される前方リテーナ136を有することができる。前方リテーナ136が、スリーブ134のタブ134aを受けるように構成される軸方向に延在する一対のスロットを有することができる。安全キャップ114が前方リテーナ136に解放可能に結合され得る。付勢部材138が前方リテーナ136内に配置され得、スリーブ134の遠位端に係合され得る。付勢部材138のもう一方の端部が、ガード140の遠位端に近接するフランジに係合されるように構成され得る。ガード140が、タブ134aを受けるための、軸方向に延在する径方向反対側にある一対のスロット140cを有することができる。ガード140の軸方向の可動範囲が、スリーブ134のタブ134aに係合されるガード140のスロット140cの端部によって決定され得る。ガード140およびスリーブ134が、流体リザーバ118内での薬剤のレベルを明らかにするためにハウジング112の窓112aに位置合わせされるための1つまたは複数の開口部140b、134bをそれぞれ有することができる。流体リザーバ118が窓112aを通して可視となる指標を有することができ、その結果、患者が適切なボリュームの薬剤が注入デバイス110内に含まれることを確認することができる。
【0044】
[00109]
図8Bを参照すると、発射機構が、患者を基準とした注入導管122の位置に
基づいて自動で解放され得る。一実施形態では、注入導管122に対してガード140を後退させることにより発射機構が解放される。他の実施形態では、患者が、ガード140を後退させる前またはその後でボタンまたは別の特徴部分を作動させなければならず、または、ガード140を含まない実施形態では、発射機構を解放することを目的とする。
【0045】
[00110]注入デバイス110が2つの注入ボリューム調整に対応することができる。こ
れにより、未使用のドラッグの量を最小にするのを補助することができる。第1の調整は組み立ての間に設定され、送達されることになるボリュームの範囲(例えば、投与量の範囲)を設定する。投与量の範囲は、流体リザーバ118内での充填ボリュームに応じて多様であってよい。この量は組み立てプロセスの一部として設定され得る。一実施形態では、4つの構成またはSKUが存在する。各SKUが、そのSKUの範囲内の最大一回投与量を送達するのを可能にするための最大充填ボリュームを表す(例えば、0.8~1.0mlのボリュームの患者への送達;0.6~0.8mlのボリュームの患者への送達;0.4~0.6mlのボリュームの患者への送達;および、0.2~0.4mlのボリュームの患者への送達)。第2の調整は薬剤の注入前に使用者によって設定される。第2のボリューム調整は、流体リザーバ118内のボリュームの一部である、一回投与量を設定し、この一回投与量が注入デバイス110によって可能となる範囲内で送達されることになる。一実施形態では、使用者が、注入が送達されるまで一回投与量を増やすようにおよび減らすように調整することができる。
【0046】
[00111]
図5C~5Fを参照すると、注入デバイス110が使用者のために予めプライ
ミングされ得る。一実施形態では、注入デバイス110をプライミングすることにより、ラム128をピストン120に対して既知の位置に配置することが可能となる。プライミングは、ラム128とピストン120との間の初期状態の隙間、および/または、ピストン120の圧縮、を低減するのに利用され得、それにより、起動時に排出される一回投与量を厳密に制御することが可能となる。ラム128が固定される変位量(選択される一回投与量に基づいて制御される)で移動することから、ラム128の開始位置に関連するばらつきを最小にすることにより、および、ラム128の最終位置を制御することにより、送達される一回投与量の精度を上げることが可能となる。さらに、既にプライミングされたデバイスを提供することで、使用者が行う必要があった可能性があるステップが排除されてしたがって使用者が量を誤ることの可能性が排除されることから、精度を向上させることができ、患者が正確な投与量を得ることになる。
【0047】
[00112]注入デバイス110は、プライミングステップを排除するように組み立てられ
るように設計され得る。流体リザーバ118内の空気気泡を最小にするのに充填プロセスが利用され得る。流体リザーバ118が、安全キャップ114と、前方リテーナ136と、ガード140と、スリーブ134とを含めた、前方の組立体に挿入されると、ラム128と、ナット130と、ラッチ132とを含めた、中央の組立体に結合されることになる。ラムの遠位端128cとピストン120との間の接続は、ラム128に対してナット130を回転させることにより完全に締め付けられ得る。ナット130が、ツールに結合されるための径方向に延在するスロットなどの1つまたは複数のキー溝付きの特徴部分130b(
図103bを参照)を有することができる。ラム128およびストッパ120が十分に結合されると、ハウジング114を含めた後方の組立体が中央の組立体の上に配置されて前方の組立体に結合され得、一回投与量機構116および付勢部材126が中央の組立体およびハウジングに結合され得る。
【0048】
[00113]いくつかの実施形態では、注入デバイス110が使用者によってプライミング
される。注射器は一般には「ドラッグで予め充填された」状態で自動注入器の製造業者に
供給される。事前充填プロセスが注射器をドラッグで充填し、これは、プラグ/ストッパを配置する前に注射器チャンバの内部の空気を可能な限り取り除くことを試みる真空プロセスを含む多様な方法を使用することができ、それにより注射器を密閉する。注入前に注射器チャンバから注射針を通してすべてのまたは大部分の空気を排出するバブルプライミング(bubble priming)は手動の注入では非常に一般的である。というのは、静脈内注射での気泡は患者に空気塞栓症を発症させる可能性があるからである。残念ながら、バブルプライミングは自動注入器ではそれほど単純ではなく、空気気泡の存在が自動注入器のドラッグ送達機構の精度および正確さにとって有害なものである。この精度および正確さというのは、一般に、ピストンに当接されるラムを、厳密に制御される移動距離で前進させることに依存するものである。注射針キャップを取り外して無菌バリアを破損しない限り、注射器から気泡を取り除くことができない(プライミングすることができない)。
【0049】
[00114]注入中に大きい力が注射器ピストンに適用されると、注射器内で捕捉されたま
まのすべての気泡が圧縮されるか、または、押し出される流体を変位させて注入ボリュームを低減する。これは、ラムによって生じる圧力と、液体の非圧縮性の性質と、ガスの圧縮性とが原因である。この場合、ラムがそのストロークの端部に到達するまで液体ドラッグが押し出されるときに、定常圧力の平衡状態に達する。ラムのストロークの終了時に、事前に圧縮されたすべてのガスが膨張して周囲空気と平衡状態となる。ガスの膨張速度は可変であり、ラムの力と、液体の粘度と、気泡の大きさと、ニードルルーメンのサイズおよび長さと、周囲圧力とによって依存する。気泡の圧力が周囲圧力に達すると、流体放出速度が低下し、それにより、ドラッグの液体が粘性を有することおよびニードルルーメンが小さいことと相まって、注入器の注入時間が増大する(例えば、好適には10秒未満)。送達されるボリュームは注射器プランジャの移動に関連し、この移動距離に含まれる液体ドラッグの量は、ドラッグを正確に計量分配するのを可能にするためには一定である必要がある。
【0050】
[00115]注入デバイス110をバブルプライミングするために、注入デバイス110が
、遠位端110aを上方に向けて流体リザーバ118に対してラム128を前進させるという形で、使用者によってプライミングされるように構成され得る。注入デバイス110の遠位端110aを上方に向けることにより、気泡の浮力が気泡を注射針122の近位端に直接に隣接するように配置することになる。液体の粘度によっては、注入デバイス110をわずかにたたくことが必要となる場合がある。いくつかの実施形態では、気泡がハウジング112内の窓112bを介して観察され得る。
【0051】
[00116]一実施形態では、注入デバイス110が、安全キャップ114を取り外すこと
によりラム128が公称の所定の距離だけ前進させられ、気泡および可能性として少量の液体が注射針122から排出されるように構成される。例えば、スペーサがラッチ132と流体リザーバ118のフランジ形の近位端との間に設けられてよい。
【0052】
[00117]
図36を参照すると、いくつかの実施形態では、ラム128が、ピストン12
0に予め荷重を加えるように拡大される。一実施形態では、ラム128が2つ以上の入れ子要素を有する。一実施形態では、ねじりばね142が外側ラム144内で入れ子状となる。ねじりばね142が、ねじりばねを完全に通過してねじりばねに対しての回転を阻止される、キー溝付きのロッド146を有することができる。キー溝付きのロッド146が、注入デバイス110の遠位端110bから延在する取り外し可能な解放ピン148によってロックされ得、もう一方の端部において内側ラム152のキー溝付きのスロット150の中に挿入され得る。解放ピンが使用までねじりばねを拘束することができる。取り外されるとき、ねじりばねが外側ラムに対して内側ラムを回転させて内側ラムを延長して気泡を解放する(または、気泡を放出する直前に予荷重を提供する)。
【0053】
[00118]入れ子状のラム要素内の環状のまたは部分的に環状の歯が噛み合うことができ
(例えば、外側シリンダ上の内側の歯/内側シリンダ上の外側の歯またはスロット)、入れ子状のラム要素を一方向にのみ相対的に移動させるのを可能にし、ラム128を延長させ、ピストン120に予荷重を加える。一実施形態では、歯の代わりに、入れ子状のラム要素が内側/外側をねじ切りされ、それによりデバイス要素の回転により予荷重を加えるのを可能にする。一実施形態では、ラム128が、一方向の歯の相互作用と、ねじ込み式の相互作用との両方から構成される、3つの部品からなるラム128を含む。
【0054】
[00119]スペーサまたはラム128が安全キャップ114に結合され得、ここでは、安
全キャップ114を取り外すことでスペーサが取り外されるかまたはラム128が拡大し、それによりピストン120に予め力を加える。他の実施形態では、使用者が、ピンを引くか、スイッチを入れるか、ボタンを押すか、などにより、トリガを作動させ、それによりスペーサを引いてローディングスタックまたはデバイスから完全に離すか、または、ラム128を拡大させる。一実施形態では、一回投与量設定機構116を設定することで、ピストン120に自動で予荷重が加えられる。例えば、注入デバイス110を最大一回投与量に設定する場合でも、一回投与量設定機構116を捻じることの命令または表示が窓112aを介して可視となり得る。一回投与量設定機構116をこのように初期状態において捻じることは、注入デバイス110をプライミングすることを目的としてラム128を延長するのにも利用され得る。投薬量指標116eが、注入デバイス110の遠位端110aが上方を向いているときに数字が可読となるように、方向づけられ得る(例えば、
図1に示される実施例から180度回転させる)。
【0055】
[00120]一実施形態では、安全キャップ114を取り外すことにより、ばね荷重下でガ
ード140が所定の距離だけ延長することが可能となる。この動きにより、ラムに接続される第2のばね式の荷重組立体が所定の設定ポイントまで公称距離だけ前進することが可能となり、ピストン120に軸方向の予荷重を加える(後でさらに考察される
図32aおよび32bを参照)。一実施形態では、ガード140が発射機構よりも弱いばねの力を受け、したがって、注入デバイス110のプライミングをガード140に組み合わせることにより、プライミングの力をより正確に制御することが可能となる。
【0056】
[00121]安全キャップ114が取り外されると、流体リザーバ118がバブルプライミ
ングされ得、注入の準備が整う。一片の吸収性材料などの液体レシーバが、注入デバイス110の遠位端110aの方を向くように注射針122に隣接して配置され、プライミング中に排出されるすべての液体を捕捉する。液体レシーバは注射針122に円周状に連結され得、ハウジング112または安全キャップ114あるいはその両方に取り付けられ得る(例えば、2片の吸収性材料)。
【0057】
[00122]組み立ての後に注入デバイス110の使用の準備が整う。
図6Bを参照すると
、例示の実施形態の使用中、使用者が、いずれのボリュームの薬剤が注入デバイス110内に提供されているのかを認識し、ハウジング内の窓112bを通して流体リザーバ118を見ることにより確認を行うことができる(
図1を参照)。次いで、使用者がハウジング112に対して一回投与量設定機構116を回転させることにより、送達されることになる所望の一回投与量を選択し、これが、流体リザーバ118の全ボリュームまたは一部のいずれかである。使用者が、ハウジング内の窓112aを通して可視である指標によって示される投薬量を見ることにより適切な投薬量が選択されているかどうかを確認することができる(
図1を参照)。
図7Bが最小投薬量を選択した状態の注入デバイスを示しており、したがって、ラム128がピストン120から後方へと引かれている。ピストン120とラム128との間の距離は、ピストン120と流体リザーバ118の遠位端との間で維持される距離のことである。注入後に流体リザーバ内に残る薬剤は送達されず、捨て
られてよい。
【0058】
[00123]
図8Bを参照すると、投薬量が設定されると、使用者が、前方リテーナ136
に対して安全キャップ114を引くかまたは捻じることにより前方リテーナ136から安全キャップ114(
図7Bを参照)を取り外す。必要に応じて任意のプライミングが実施され、注入デバイス110の注入の準備が整う。次いで、患者が自分の皮膚に対してガード140の遠位端を押圧することができ、注射針122により皮膚表面を貫通させてガード140の近位端140dをラッチ132の傾斜表面132bに接触させるようになるまで、ガード140を近位側に後退させる。
【0059】
[00124]
図9Bを参照すると、ガードの近位端140dがラッチ132の傾斜表面13
2bに接触すると、ガードがその完全な後退位置までさらに後退され、止め部分140eをラッチのピボットアーム132cから離すように移動させ、ガードの近位端140dが傾斜表面132bを押し込み、ピボットアーム132cを枢動させ、ラッチ132の突出部132aをナット130の窪み部分130aから解放する。
【0060】
[00125]ラッチ132がナット130から解放されている
図10Bを参照すると、付勢
部材126が拘束されておらず、ラム128およびナット130が遠位端に向かって発射され、ピストン120を遠位側に推進し、注入導管122を通して薬剤の一回投与量を患者に送達する。
【0061】
[00126]
図12aおよび12bを参照すると、一回投与量が送達された後、ハウジング
112が患者から引き離され、注射針122を患者から引いて付勢部材138によりガード140を遠位側に推進して注射針122の端部を通過させる。保持部材がガード122を保持して注射針122に対してガード140をロックし、それにより注入デバイス110がさらに使用されるのを防止する。次いで、注入デバイス110が安全に捨てられ得る。
【0062】
[00127]全体を通して同様の参照符号が同様の要素を示している図面を詳細に参照する
と、
図19A~35Bにおいて、本発明の第2の例示の実施形態である、全体として210で示される注入デバイスが示されている。以下で、図に示される例示の実施形態を参照しながら注入デバイス210の種々の実施形態をさらに詳細に説明する。以下で説明される注入デバイス210を参照して考察される実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態が、上述の注入デバイス110を参照して考察した実施形態の1つまたは複数の所望の特徴と組み合わされ得る。
【0063】
[00128]注入デバイス210が、複数の所定のボリュームの薬剤のうちの1つの所定の
ボリュームの薬剤の選択される量を患者に送達するように構成される。注入デバイス210が複数の流体リザーバ218のうちの1つの流体リザーバを使用して組み立てられ、最終的に患者に送達される一回投与量が、注入デバイス210に含まれる全体量に等しいかまたはそれ未満である。これにより、注入デバイス210が、流体カートリッジ、多様なボリュームまで充填される予め充填された注射器または同様の容器を受け入れ、ならびに/あるいは、複数のサイズの容器を受け入れることが可能となり、流体容器内のどのくらいの量の流体を送達するのかを使用者が選択するのを可能にする。このような柔軟性により、1つのデバイスを複数の薬剤ボリュームに適合させることが可能となり、それにより、最終的に、廃棄される薬剤の量が低減される。
【0064】
[00129]例えば、通常の注入デバイスは、必要となる見込まれる投薬量の範囲を包含す
るように1.0mlのボリュームを有することができる。1.0mlのデバイスを提供されるが0.5mlの投薬量しか必要としない患者は、捨てられるデバイスの中に0.5m
lの残留ボリュームを残すことになる。しかし、0.5mlの投薬量を必要とする患者が、0.6mlの流体を含む1.0mlの注入デバイス210を提供され得、それにより、捨てられるデバイス内の残留ボリュームを0.1mlのみとすることができる。ボリュームを調整するのを可能にすることにより、製造業者が、注入デバイス210を、複数のボリュームのうちの1つのボリュームとして容易に設定することができるようになり、それにより、患者によって選択可能である投薬量の範囲を分けることができ、捨てられるデバイス内に残される残留流体の量を低減することができる。
【0065】
[00130]注入デバイス210が、注入デバイス210から患者の中まで流体を移動させ
るためのアクチュエータを有する。いくつかの実施形態では、皮膚表面に対して注入デバイス210を配置することの結果としてアクチュエータが自動で作動され、これは自動注入デバイスとも称される。注入デバイス210が注射針を有することができる。他の実施形態では、注入デバイスが注射針を有さず、好適には、流体チャンバの注入ポートが、ポートを介してのチャンバから注入ロケーションまでのジェットとして薬剤を注入するための、流体チャンバに流体連通される流体経路を画定する。注射針を有さない適切なジェットノズル構成の例が米国特許第6,309,371号に開示されており、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0066】
[00131]後でさらに詳細に考察されるように、いくつかの実施形態では、注入デバイス
210が、アクチュエータを有する発射機構と、患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤(例えば、0.4ml、0.6ml、0.8mlまたは1.0mlの予め充填された注射器のうちの1つ)に基づく複数の位置のうちの1つの位置となるように組み立て時に選択的に予め設定されるように構成されるボリューム設定機構と、患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤の一部を選択することを目的として(例えば、0.4mlの注射器の場合、0.2mlから0.4mlの一回投与量)、ボリューム設定機構の事前の設定に関係なく使用時に選択可能に調整されるように構成される一回投与量設定機構と、を有する。
【0067】
[00132]
図19A~19Bを参照すると、注入デバイス210がハウジング212を有
することができる。ハウジング212が長手方向軸Aに沿って延在し、薬剤の一回投与量を患者に送達するために患者または介護人の一方の手で保持されるように構成される。一実施形態では、ハウジング212が円筒形である。他の実施形態では、ハウジング212の断面形状が、楕円、三角形、正方形、または、任意の他の所望の形状である。ハウジング212が、ハウジング212内に含まれる注入デバイス210の構成要素を見るための1つまたは複数の窓212a、212bを有することができる。窓212a、212bが透明材料で覆われ得る。窓212a、212bが、ハウジング212内の流体リザーバを見るのを可能にすることができる。窓212a、212bはまた、選択された予め設定されたボリュームを見るのを可能にすることができる。別の実施形態では、窓212a、212bが、デバイスの使用の準備が整っているかどうかを調べるのを可能にする。別の実施形態では、窓212a、212bが、注入が完了したかどうかを調べるのを可能にする。注入デバイスの内部の様子を見るのを可能にすることを目的とした窓の他の使用も見込まれる。実施形態では、窓212a、212bが、注入を管理するのを補助する、注入デバイスの内部構成要素を見るのを可能にする。一実施形態では、ハウジング212が、部分的にまたは全体として、透明材料からなる。
【0068】
[00133]
図19C~19Dを参照すると、ハウジング212が、複数のボリュームの薬
剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバ218を収容するように構成される。注入デバイス210を組み立てる前に、流体リザーバ218のボリュームが選択される。一実施形態では、選択される流体リザーバ218のボリュームは、患者に注入することができる所望の最大一回投与量に基づく。一実施形態では、注入デバイス210が、
注入のための複数(例えば、6つ)の異なる最大ボリュームに対応する流体リザーバ218を有する1つのサイズの容器または注射器を受けるように構成される。他の実施形態では、注入デバイス210が、注入のための、2つ、3つ、4つ、5つ、7つ、あるいはそれ以上の異なる最大ボリュームを有する容器を受けるように構成される。他の実施形態では、注入デバイス210が、流体リザーバ118を有する6つの異なるサイズの容器を受けるように構成される。他の実施形態では、注入デバイス210が、流体リザーバ218を有する、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の異なるサイズの容器を受けるように構成される。一実施形態では、流体リザーバ218が、0.4ml、0.6ml、0.8mlまたは1.0mlのうちの1つの薬剤を含む。他の実施形態では、流体リザーバ218が、以下の量:0.04ml、0.05ml、0.06ml、0.07ml、0.08ml、0.09ml、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml 0.9ml、1.0ml、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4ml、1.5ml、1.6ml、1.7ml、1.8ml、1.9ml、2.0ml、のうちの1つまたは複数、2.0ml超、0.010ml未満、および、これらの数値の間の任意の量、など、の他の量の薬剤を含む。一実施形態では、流体リザーバ218が、近位端のところに摺動シールを形成するピストン220を有する予め充填された注射器を有する。注入導管222が流体リザーバに流体結合され、流体リザーバ218から患者までの流体経路を画定する。一実施形態では、注入導管222が注射針である。注射針222が、予め充填された注射器に打ち込まれ得る。
【0069】
[00134]注射針222が詰め込み位置または初期位置において注射針キャップ224に
よって覆われてよい。注射針キャップ224が、初期位置において注射針222を密閉および保護するためのエラストマ材料を含むことができる。注入デバイス210が、さらに、または、別法として、注入デバイス210の遠位端210aに解放可能に結合される安全キャップ214を有することができる。安全キャップ214が初期位置において注入導管218を覆い、それにより、汚染を防止し、また、誤って注射針が突き刺さったりまたはアクチュエータが作動したりするのを防止する。安全キャップ214は注射針キャップ224に結合され得、その結果、ハウジング212から安全キャップ214を取り外すことにより、注射針222から注射針キャップ224も剥ぎ取られ、注射針222が露出する。
【0070】
[00135]注入デバイス210が、注入導管222を通して流体リザーバ218から薬剤
を排出するように構成される、流体リザーバ218に結合される発射機構を有することができる。注入デバイス210が付勢部材226などのアクチュエータを有することができる。一実施形態では、付勢部材226が圧縮ばねを有する。別の実施形態では、アクチュエータが空気圧によって駆動される。付勢部材226が、長手方向軸Aに沿って延在するラム228に動作可能に連結され得る。ラム228がキー溝付きのシャフト228cを有することができる(
図21Bを参照)。ラム228が流体リザーバ218に結合され得、その結果、付勢部材226が、流体リザーバ218を圧縮して注入導管222を通して薬剤を患者に送達するように、ラム228を推進する。一実施形態では、ラム228がピストン220に結合される。ラム228が、後でさらに詳細に考察するようにプライミングすることを目的として、ラム228とピストン220との間の接触を維持するためにラム228の端部から選択的に調整可能である距離で遠位側に延在するプライミングねじ242を有することができる。
【0071】
[00136]
図21A~21Cおよび22A~22Fを参照すると、ボリューム設定機構が
、注入デバイス210の組み立て時に、流体リザーバ218として選択される複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を適切に送達するように設定または構成され得る。ボリューム設定機構が、ラッチ232、スロット止め部分または止め部分230、および、リテーナ230aを有することができる。リテーナ230aが、スロット止め
部分230に対してラッチ232を保持するように構成され得る。一実施形態では、ラッチ232が、リテーナ230aにより、初期位置において付勢部材226の力に逆らうように軸方向において解放可能に保持される。ラッチ232が、付勢部材226の端部に係合されるように構成されるフランジ232aなどの径方向突出部を有することができる(
図19Cを参照)。ラッチ232が軸方向において固定され得、ラム228に回転可能に結合され得る。ラム228の近位端が、ラッチ232内の対応するリング形状の溝内で回転可能に受けられるカラー228dを有することができる。スロット止め部分230が軸方向において流体リザーバ218に対して回転可能に固定され得る。ラム228が、ラム228に固定される径方向に延在する翼部分228bを有することができる。他の実施形態では、ラム228が2つ以上の径方向に延在する翼部分を有する。後でさらに考察するように、スロット止め部分230が、流体リザーバ218に対してラム228の軸方向位置を設定し、流体リザーバ218に対してラム228を移動させるときの可能となる距離を制限するように、構成され得る。
【0072】
[00137]
図21A~21Cを参照すると、ラッチ232が、アパーチャ、インデントお
よび/または突出部などの、複数の径方向に延在する特徴部分232bを有することができ、その各々がリテーナ230aに係合されるように構成される。複数の径方向に延在する特徴部分232bの各々が軸方向において互いから離間されてよい。一実施形態では、このような構成が、流体リザーバ218に対してラム228の遠位端を位置決めすることになる。注入デバイス210の組み立て時、リテーナ230aが、ラッチ232の軸方向長さに沿う複数の位置のうちの1つの位置においてラッチ232に結合されるように構成され、ラッチ232の軸方向長さに沿う複数の位置の各々が、発射機構による排出のための流体リザーバ218の複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する。一実施形態では、ラッチ232が、送達の終了時にスロット止め部分230に対してラッチ232を保持するために近位端の最も近いところに追加のセットの径方向に延在する特徴部分232bを有する。
【0073】
[00138]
図37を参照すると、ラッチ332の別の実施形態が示される。ラッチ332
が、リテーナ230aに係合されるように構成される単一の径方向に延在する特徴部分332bを有することができる。一実施形態では、径方向に延在する特徴部分332bが窓または切欠部である。径方向に延在する特徴部分332bの軸方向深さまたは高さが予め決定され得、複数のラッチ332のうちの1つのラッチが、その径方向に延在する特徴部分332bの軸方向深さまたは高さに基づいて選択される。選択されるラッチ332は、発射機構による排出のための流体リザーバ218の複数のボリュームの薬剤のうちの所望の1つのボリュームの薬剤によって決定される。ラッチ332が、発射中にハウジングに対してラッチ332が回転するのを防止するためにハウジングの対応する特徴部分に係合される1つまたは複数の位置合わせ特徴部分332dを有することができる。一実施形態では、位置合わせ特徴部分332dが、軸方向に延在してハウジングから径方向内側に突出するリブに係合されるように構成される、反対側にあって軸方向において離間される複数の突出部を有する。
【0074】
[00139]
図21A~21Cを参照すると、ラム228の翼部分228bが、後で考察す
るように、送達ストロークの端部において流体送達デバイス210に対して固定される止め部分に係合されるように構成され得る。その結果、スロット止め部分230の底表面230hからラム228が遠位側に延在する距離が、いくつかの実施形態では、流体リザーバ218のボリューム(例えば、ピストン220とスロット止め部分230の底表面230hとの間の軸方向距離)に対応するように設定される。例えば、
図21A~21Cに示される最大位置におけるスロット止め部分230を基準としたラッチ232の位置が、1.0mlの流体リザーバ218のボリュームに対応する。0.8mlの流体リザーバ218が例えば使用される場合、スロット止め部分230がラッチ232に対して近位側に移
動させられ得、それにより、リテーナ230aの突出部230cをラッチ232の次の近位側の径方向に延在する特徴部分232bに係合させ、注入デバイス210の遠位端210aに向かってラム228をさらに延長する。
【0075】
[00140]
図22A~22Fを参照すると、リテーナ230aがスロット止め部分230
と一体に形成され得る。他の実施形態では、リテーナ230aがスロット止め部分230とは別個の構成要素である。リテーナ230aが片持ちアームであってよい。一実施形態では、リテーナ230aが、逆さの大文字のT形またはY形を形成する周囲方向に延在する1つまたは複数の突出部を有する。一実施形態では、2つ以上のリテーナ230aが提供される。一実施形態では、径方向反対側にある2つのリテーナ230aが提供される。リテーナ230aが、屈曲点230eを中心として径方向内側に逸れるように構成され得る。一実施形態では、屈曲点230eが、材料を曲げるのを容易にするのを補助するための溝または凹部を有する。リテーナ230aが、初期位置においてラッチ232が軸方向に移動するのを防止するために対応する径方向に延在する特徴部分232b(
図21Aを参照)に係合される突出部230cを有することができる。突出部230cが、起動位置または解放位置においてラッチ232の軸方向の動きに干渉することにより突出部230cを移動させるために、リテーナ230aに作用する軸方向の力を、リテーナ230aの径方向のずれへと変換するのを容易にするのを補助する傾斜する頂表面230dを有することができる。
【0076】
[00141]ラッチリテーナ230aがラッチ232から切り離されると、ラッチ232お
よびラム228が軸方向において解放され、付勢部材226によって遠位側に発射される。他の実施形態では、ラッチ232およびリテーナ230aが上述したようなリバースメーティング関係を有し、したがって、径方向に延在する特徴部分232bが、リテーナ230a内のインデントまたはアパーチャによって係合可能である突出部となる。
【0077】
[00142]一実施形態では、複数のロケーションのうちの1つのロケーションにおいてラ
ッチ232にスロット止め部分230を結合することによりボリュームを設定することで、付勢部材226によるばねの力が調整されることになる。ボリュームを設定するためにラッチ122に対してスロット止め部分230を軸方向に移動させることにより、付勢部材226が、ボリュームを大きくする場合はさらに圧縮され得、ボリュームを小さくする場合は圧縮を弱められ得る。したがって、多量の一回投与量の場合の送達速度は少量の一回投与量の場合の送達速度より高くてよく、それにより各々の一回投与量を送達するための時間量が概して等しくなる。いくつかの実施形態では、各々の一回投与量の送達時間が等しくはないが、送達速度を一定にする場合よりは等値に近づく。例えば
図2を参照すると、1.0mlの一回投与量が約7~10秒で送達され得、0.6mlの一回投与量が約6~9秒で送達され得る。服薬順守のためには、各々の一回投与量の送達時間のばらつきが最小になるこのような構成が望ましい可能性がある。例えば、少量のボリュームで治療を開始する患者は、一回投与量を送達するのに一定の時間量を待つことに慣れる可能性があり、治療をより多量のボリュームに合わせて調整する場合でも同じ時間量を待つ傾向がある。複数のボリューム間の注入時間の任意の差によりデバイスが不適切に使用されることをなくすように、ばねの減衰量が選択され得る。
【0078】
【0079】
[00145]複数のボリューム間の注入時間の差を、有意な差に使用者が気付かないくらい
の程度にするようなばね力減衰曲線を有するばねを提供することが望ましい可能性がある。
【0080】
[00146]
図19C~20Bを参照すると、注入デバイス210が、発射機構が作動され
るときに注入導管222から注入される複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤の一部を選択するように構成される一回投与量設定機構216を有することができる。一回投与量設定機構216が、ハウジングに回転可能に結合されるノブを有することができる。一実施形態では、一回投与量設定機構216がハウジング212の近位端の上を覆う。一回投与量設定機構216が、患者によって握持されるためのグリップ部分216aを有することができる。グリップ部分216aが、使用時における一回投与量設定部分216と使用者の手との間の摩擦力を増大させるための軸方向に延在して径方向に突出するリブ216aなどの1つまたは複数の特徴部分を有することができる。一回投与量設定機構216が、複数の投薬量指標216eを有する投薬量レベル部分216bを有することができる。一回投与量設定機構216が、ラム228に結合されるためのシャフト216dを有することができる。
【0081】
[00147]
図19C~19Dおよび24A~24Eを参照すると、一回投与量設定機構2
16がハウジング212に対して回転可能に移動可能となり得る。一実施形態では、一回投与量設定機構216がハウジング212に対して軸方向において固定される。一回投与量設定機構216が回転可能に固定され得、ラム228に対して軸方向において移動可能となり得る。ラム228の内部シャフト228c(
図21Bおよび23を参照)が、一回投与量設定機構216のシャフト216dの形状(突出部216fなど)に対応するキー溝形状を有することができ、その結果、一回投与量設定機構216を回転させることでラム228が回転し、スロット止め部分230に対して翼部分228bが回転する(
図28Cを参照)。一回投与量設定機構216が回転させられると、翼部分228bの径方向位置に対応する指標216eがハウジング212内の窓212aに位置合わせされ得、それにより、選択された投薬量を患者に対して表示する。一実施形態では、ラム228を回転させるために一回投与量設定機構216を回転させることが、付勢部材226の位置および力に影響しない。いくつかの実施形態では、一回投与量設定機構216が、選択される投薬量の間に抵抗クリックおよび/または可聴クリックを有することができる。
【0082】
[00148]
図22A~22Fを参照すると、スロット止め部分230がボディ230fを
有することができる。ボディ230fが流体リザーバ218に対して静止するように保持され得る。一実施形態では、ボディ230fがそこを通って延在する孔230gを有し、それによりラム228がスロット止め部分230を通過することが可能となる(
図21Bを参照)。スロット止め部分230が、軸方向に延在して径方向に突出する複数のスロット230bを有することができる。一実施形態では、スロット230bが孔230gの方
に向かって開いている。スロット230bが、発射位置において翼部分228bを受けるようにサイズ決定されて構成され得る。スロット230bが多様な軸方向深さを有することができ、その結果、翼部分228bがボディ230fの底表面230hから多様な距離のところで止められ得、したがって、流体リザーバ218に対して多様な距離のところでピストンの遠位端を止めることになる。翼部分228bが先の尖った底縁部228cを有することができ、および/または、スロット止め部分230が各々のスロット230bの間に先の尖ったスペースを有することができ、それにより、翼部分228bが適切なスロット230bの中に確実に誘導されるようになるのを補助する。一実施形態では、スロット230bが、1つのスロット230bから隣接するスロット230bまで増大する軸方向深さを有し、孔230gの周りを移動する。他の実施形態では、例えば径方向反対側にある2つの翼部分228bが提供される場合、一つおきのスロット230bが増大する軸方向深さを有する。
【0083】
[00149]
図19C~21Cを参照すると、注入デバイス210が使用者のために予めプ
ライミングされ得る。一実施形態では、注入デバイス210をプライミングすることにより、ラム228をピストン220に対して既知の位置に配置することが可能となる。プライミングは、ラム228とピストン220との間の初期状態の隙間、および/または、ピストン220の圧縮、を低減するのに利用され得、それにより、起動時に排出される一回投与量を厳密に制御することが可能となる。ラム228が固定される変位量(選択される一回投与量に基づいて制御される)で移動することから、ラム228の開始位置に関連するばらつきを最小にすることにより、および、ラム228の最終位置を制御することにより、送達される一回投与量の精度を上げることが可能となる。さらに、既にプライミングされたデバイスを提供することで、使用者が行う必要があった可能性があるステップが排除されてしたがって使用者が量を誤ることの可能性が排除されることから、精度を向上させることができ、患者が正確な投与量を得ることになる。注入デバイス210は、プライミングステップを排除するように組み立てられるように設計され得る。流体リザーバ218内の空気気泡を最小にするのに充填プロセスが利用され得る。流体リザーバ218が、安全キャップ214と、前方リテーナ236と、ガード240と、スリーブ234とを含めた、前方の組立体に挿入されると、ラム228と、ラッチ232と、スロット止め部分230(選択的に、ラッチ232上の所望の軸方向位置に結合される)とを含めた、中央の組立体に結合されることになり、中央の組立体が、付勢部材226と、ハウジング212と、一回投与量設定機構216とを含めた、後方の組立体に結合されることになる。
【0084】
[00150]ボリューム設定機構を設定した後かつ一回投与量設定機構を取り付けるかまた
は密閉する前に、ラム228がプライミングされ得る。一実施形態では、ラム228がプライミングねじ242を使用してプライミングされる。プライミングねじ242は、ラム228からプライミングねじ242が軸方向に延長する距離を調整するようにラム228にねじ込み式に取り付けられ得る。プライミングねじ242がキー溝付きの特徴部分242bを有することができ、その結果、対応するツールがラム228のシャフト228cを通して挿入され得、プライミングねじ242を回転させてピストン220に対してプライミングねじ242の遠位端242aの位置を調整する。一実施形態では、遠位端242aが、一回投与量機構216の位置に関係なく初期位置においてピストン220に接触するように構成される。
【0085】
[00151]一実施形態では、プライミングねじ242の遠位端242aが初期位置におい
てピストン220に接触し、その結果、起動中にラム228がピストン220に対して移動しなくなる。初期位置においてピストン220とラム228との間の軸方向のスペースを排除することにより、注入デバイス210が発射されているときは「衝撃荷重」と称されるようにラム228がピストン220に動的に影響することが防止され得る。いくつかの実施形態では、衝撃荷重が存在する場合および/またはインパクトが潜在的に注射器を
破損する可能性がある場合に、患者がラム228とピストン220との間のインパクトを感じるかまたは聞くことができる。特定の実施形態では、所望される場合にラム228とピストン220との間に隙間が設けられる。
【0086】
[00152]
図32~35Bを参照すると、いくつかの実施形態では、注入デバイス210
が使用者によってプライミングされる。注射器は一般には「ドラッグで予め充填された」状態で自動注入器の製造業者に供給される。事前充填プロセスが注射器をドラッグで充填し、これは、プラグ/ストッパを配置する前に注射器チャンバの内部の空気を可能な限り取り除くことを試みる真空プロセスを含む多様な方法を使用することができ、それにより注射器を密閉する。注入前に注射器チャンバから注射針を通してすべてのまたは大部分の空気を排出するバブルプライミングは手動の注入では非常に一般的である。というのは、静脈内注射での気泡は患者に空気塞栓症を発症させる可能性があるからである。残念ながら、バブルプライミングは自動注入器ではそれほど単純ではなく、空気気泡の存在が自動注入器のドラッグ送達機構の精度および正確さにとって有害なものである。この精度および正確さというのは、一般に、ピストンに当接されるラムを、厳密に制御される移動距離で前進させることに依存するものである。注射針キャップを取り外して無菌バリアを破損しない限り、注射器から気泡を取り除くことができない(プライミングすることができない)。
【0087】
[00153]注入中に大きい力が注射器ピストンに適用されると、注射器内で捕捉されたま
まのすべての気泡が圧縮されるか、または、押し出される流体を変位させて注入ボリュームを低減する。これは、ラムによって生じる圧力と、液体の非圧縮性の性質と、ガスの圧縮性とが原因である。この場合、ラムがそのストロークの端部に到達するまで液体ドラッグが押し出されるときに、定常圧力の平衡状態に達する。ラムのストロークの終了時に、事前に圧縮されたすべてのガスが膨張して周囲空気との平衡状態となる。ガスの膨張速度は可変であり、ラムの力と、液体の粘度と、気泡の大きさと、ニードルルーメンのサイズおよび長さと、周囲圧力とに依存する。気泡の圧力が周囲圧力に達すると、流体放出速度が低下し、それにより、ドラッグの液体が粘性を有することおよびニードルルーメンが小さいことと相まって、注入器の注入時間が増大する(例えば、好適には10秒未満)。送達されるボリュームは注射器プランジャの移動に関連し、この移動距離に含まれる液体ドラッグの量は、ドラッグを正確に計量分配するのを可能にするためには一定である必要がある。
【0088】
[00154]注入デバイス210をバブルプライミングするために、注入デバイス210が
、遠位端210aを上方に向けて流体リザーバ218に対してラム228を前進させるという形で、使用者によってプライミングされるように構成され得る。注入デバイス210の遠位端210aを上方に向けることにより、気泡の浮力が気泡を注射針222の近位端に直接に隣接するように配置することになる。液体の粘度によっては、注入デバイス210をわずかにたたくことが必要となる場合がある。いくつかの実施形態では、気泡がハウジング212内の窓212bを介して観察され得る。
【0089】
[00155]
図32~33Dを参照すると、一実施形態では、注入デバイス210が、安全
キャップ214を取り外すことによりラム228が公称の所定の距離だけ前進させられ、流体リザーバ218から気泡が、また、可能性として注射針22から少量の液体が、排出されるように構成される。例えば、スペーサ214aがラッチ232と流体リザーバ218のフランジ形の近位端との間に設けられてよい。一実施形態では、スペーサ214aは、流体リザーバ218の近位端から距離Gのところでスロット止め部分230を保持するために安全キャップ214から近位側に延在するスリーブである。スペーサ214aを取り外すことにより、ラム228を含めた発射機構を距離Gだけ前進させることが可能であり、また、スロット止め部分230を、流体リザーバ218の近位端に、または、流体リ
ザーバ218の近位端に結合されるバンパなどの任意の特徴部分に、当接することが可能である。
【0090】
[00156]
図36を参照すると、いくつかの実施形態では、ラム228が、ピストン22
0に予め荷重を加えるように拡大される。一実施形態では、ラム228が2つ以上の入れ子要素を有する。一実施形態では、ねじりばね142が外側ラム144内で入れ子状となる。ねじりばね142が、ねじりばねを完全に通過してねじりばねに対しての回転を阻止される、キー溝付きのロッド146を有することができる。キー溝付きのロッド146が、注入デバイス210の遠位端210bから延在する取り外し可能な解放ピン148によってロックされ得、もう一方の端部において内側ラム152のキー溝付きのスロット150の中に挿入され得る。解放ピンが使用までねじりばねを拘束することができる。取り外されるとき、ねじりばねが外側ラムに対して内側ラムを回転させて内側ラムを延長して気泡を解放する(または、気泡を放出する直前に予荷重を提供する)。
【0091】
[00157]入れ子状のラム要素内の環状のまたは部分的に環状の歯が噛み合うことができ
(例えば、外側シリンダ上の内側の歯/内側シリンダ上の外側の歯またはスロット)、入れ子状のラム要素を一方向にのみ相対的に移動させるのを可能にし、ラム228を延長させ、ピストン220に予荷重を加える。一実施形態では、歯の代わりに、入れ子状のラム要素が内側/外側をねじ切りされ、それによりデバイス要素の回転により予荷重を加えるのを可能にする。一実施形態では、ラム228が、一方向の歯の噛み合いと、ねじ込み式の相互作用との両方から構成される、3つの部品からなるラム228を含む。
【0092】
[00158]スペーサまたはラム228が安全キャップ214に結合され得、ここでは、安
全キャップ214を取り外すことでスペーサが取り外されるかまたはラム228が拡大し、それによりピストン220に予め力を加える。他の実施形態では、使用者が、ピン244(
図34a~34Bを参照)を引くか、スイッチを入れるか、ボタンを押すか、などにより、トリガを作動させ、それによりスペーサを引いてローディングスタックまたはデバイスから完全に離すか、または、ラム228を拡大させる。一実施形態では、一回投与量設定機構216を設定することで、ピストン220に自動で予荷重が加えられる。例えば、注入デバイス210を最大一回投与量に設定する場合でも、一回投与量設定機構216を捻じることの命令または表示が窓212aを介して可視となり得る。一回投与量設定機構216をこのように初期状態において捻じることは、注入デバイス210をプライミングすることを目的としてラム228を延長するのにも利用され得る。投薬量指標216eが、注入デバイス210の遠位端210aが上方を向いているときに数字が可読となるように、方向づけられ得る(例えば、
図19Bに示される実施例から180度回転させる)。
【0093】
[00159]
図35aおよび35bを参照すると、一実施形態では、安全キャップ214を
取り外すことで、ばね荷重下でガード240が所定の距離だけ延長することが可能となる。この動きにより、1つまたは複数のプライミングアーム230iを径方向内側に逸らすことが可能となり、ラムに接続される第2のばね式の組立体が所定の設定ポイントまで公称距離だけ前進することが可能となり、ピストン220に軸方向の予荷重を加える。一実施形態では、ガード240が発射機構よりも弱いばねの力を受け、したがって、注入デバイス210のプライミングをガード240に組み合わせることにより、プライミングの力をより正確に制御することが可能となる。
【0094】
[00160]安全キャップ214が取り外されると、流体リザーバ218がバブルプライミ
ングされ得、注入の準備が整う。一片の吸収性材料などの液体レシーバが、注入デバイス210の遠位端210aの方を向くように注射針222に隣接して配置され得、プライミング中に排出されるすべての液体ドラッグを捕捉する。液体レシーバは注射針222に円
周状に連結され得、ハウジング212または安全キャップ214あるいはその両方に取り付けられ得る(例えば、2片の吸収性材料)。
【0095】
[00161]
図19Cおよび27A~27Dを参照すると、注入デバイス210が、発射機
構の作動後の再設定を防止するように構成され得、それにより、注入器による薬剤のさらなる注入を防止し、それにより注入デバイス210を1回使用の注入器として構成する。一実施形態では、注入デバイス210が、ハウジング212に摺動可能に結合されるガード240を有する。注入デバイス210が、注入デバイス210の遠位端210aの方にガード240を付勢するように構成される、ガード240に結合される付勢部材238を有することができる。ガード240が、軸方向において注入導管222を通り過ぎるように延在するように構成され得る。一実施形態では、ガード240が、軸方向において注入導管222を通り過ぎるように延在して患者からの注入導管222の取り外し後にハウジング212に対して軸方向においてロックされるように、構成される。
【0096】
[00162]
図20A~20Bを参照すると、スリーブ234が流体リザーバ218に結合
され得る。スリーブ234が、径方向において外側に延在する径方向反対側にある一対のタブ234aを有することができる。ハウジング212が、ハウジング212の遠位端に結合される前方リテーナ236を有することができる。前方リテーナ236が、スリーブ234のタブ234aを受けるように構成される軸方向に延在する一対のスロット236aを有することができる。安全キャップ214が前方リテーナ236に解放可能に結合され得る。付勢部材238が前方リテーナ236内に配置され得、スリーブ234の遠位端に係合され得る。付勢部材238のもう一方の端部が、ガード240の遠位端に近接するフランジに係合されるように構成され得る。ガード240が、タブ234aを受けるための、軸方向に延在する径方向反対側にある一対のスロット240cを有することができる。ガード240の軸方向の可動範囲が、スリーブ234のタブ234aに係合されるガード240のスロット240cの端部によって決定され得る。ガード240およびスリーブ234が、流体リザーバ218内での薬剤のレベルを明らかにするためにハウジング212の窓212bに位置合わせされるための1つまたは複数の開口部240b、234bをそれぞれ有することができる。流体リザーバ218が窓212bを通して可視となる指標および/または中に含まれる流体のレベルを有することができ、その結果、患者が適切なボリュームの薬剤が注入デバイス210内に含まれることを確認することができる。
【0097】
[00163]
図24A~27Dを参照すると、発射機構が、患者を基準とした注入導管22
2の位置に基づいて自動で解放され得る。一実施形態では、注入導管222に対してガード240を後退させることにより発射機構が解放される。他の実施形態では、患者が、ガード240を後退させる前またはその後でボタンまたは別の特徴部分を作動させなければならず、または、ガード240を含まない実施形態では、発射機構を解放することを目的とする。
【0098】
[00164]注入デバイス210が2つの注入ボリューム調整に対応することができる。こ
れにより、未使用のドラッグの量を最小にするのを補助することができる。第1の調整は組み立ての間に設定され、送達されることになるボリュームの範囲(例えば、投与量の範囲)を設定する。投与量の範囲は、流体リザーバ218内での充填ボリュームに応じて多様であってよい。この量は組み立てプロセスの一部として設定され得る。一実施形態では、4つの構成またはSKUが存在する。各SKUが、そのSKUの範囲内の最大一回投与量を送達するのを可能にするための最大充填ボリュームを表す(例えば、0.8~1.0mlのボリュームの患者への送達;0.6~0.8mlのボリュームの患者への送達;0.4~0.6mlのボリュームの患者への送達;および、0.2~0.4mlのボリュームの患者への送達)。第2の調整は薬剤の注入前に使用者によって設定される。第2のボリューム調整は、流体リザーバ218内のボリュームの一部である、一回投与量を設定し
、この一回投与量が注入デバイス210によって可能となる範囲内で送達されることになる。一実施形態では、使用者が、注入が送達されるまで一回投与量を増やすようにおよび減らすように調整することができる。
【0099】
[00165]
図24A~24Eを参照すると、例示の実施形態の使用中、使用者が、いずれ
のボリュームの薬剤が注入デバイス210内に提供されているのかを認識し、ハウジング内の窓212bを通して流体リザーバ218を見ることにより確認を行うことができる(
図20A~20Bを参照)。次いで、使用者がハウジング212に対して一回投与量設定機構216を回転させることにより、送達されることになる所望の一回投与量を選択し、これが、流体リザーバ218の全ボリュームまたは一部のいずれかである。使用者が、ハウジング内の窓212aを通して可視である指標によって示される投薬量を見ることにより適切な投薬量が選択されているかどうかを確認することができる(
図20A~20Bを参照)。
図28A~28Cが最小投薬量を選択した状態の注入デバイスを示しており、したがって、ラム228が回転されており、その結果、翼部分228bが最も浅いスロット230bに位置合わせされている。一実施形態では、注入後に流体リザーバ218内に残る薬剤は送達されず、捨てられてよい。
【0100】
[00166]
図25A~25Eを参照すると、使用者によって投薬量が設定されると、使用
者が、前方リテーナ236に対して安全キャップ214を引くかまたは捻じることにより前方リテーナ236から安全キャップ214を取り外す(
図19Cを参照)。必要に応じて任意のプライミングが実施され、注入デバイス110の注入の準備が整う。次いで、患者が自分の皮膚に対してガード240の遠位端を押圧することができ、注射針222により皮膚表面を貫通させてアパーチャ240aをリテーナ230aに位置合わせするようになるまで、ガード240を近位側に後退させる。
【0101】
[00167]
図25A~25Eおよび26A~26Dを参照すると、アパーチャ240aが
リテーナ230aに位置合わせされると、リテーナ230aが径方向に解放され、リテーナ230aに対してのラッチの軸方向の力が突出部230cを内側に枢動させてラッチ232の軸方向経路から外し、それにより付勢部材226がラッチ232を遠位側に延長し、それによりラム228によりピストン220を遠位側に推進し、注入導管222を通して薬剤の一回投与量を患者に送達する。シャフト216dが、ラム228に対して一回投与量設定機構216を回転可能に固定した状態で維持するように、遠位方向に十分な距離で延在してよい。スロット止め部分230に係合される翼部分228bによりラム228が回転可能に固定されることから、発射位置において一回投与量設定機構216が回転することが防止され、それにより、窓212aを通して表示される投薬量が、送達された投薬量ということになる。一回投与量設定機構216が発射位置においてラム228に結合された状態を維持しない場合、一回投与量設定機構216がラム228に対して回転することが可能となり得、それにより、いずれの投薬量が送達されたのかに関して混乱が生じることになる。
【0102】
[00168]
図27A~27Dを参照すると、一回投与量が送達された後、ハウジング21
2が患者から引き離され、注射針222を患者から引いて付勢部材238によりガード240を遠位側に推進して注射針222の端部を通過させることが可能となる。保持部材がガード240を保持して注射針222に対してガード240をロックし、それにより注入デバイス210がさらに使用されるのを防止する。次いで、注入デバイス210が安全に捨てられ得る。以下で例示のロックアウトシステムを説明する。
【0103】
[00169]全体を通して同様の参照符号が同様の要素を示している図面を詳細に参照する
と、
図38A~42Bにおいて、本発明の第3の例示の実施形態である、全体として310で示される注入デバイスのためのロックアウトシステムが示されている。以下で、図に
示される例示の実施形態を参照しながらロックアウトシステムの種々の実施形態をさらに詳細に説明する。以下で説明されるロックアウトシステムを参照して考察される実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態が、上述の注入デバイス110および210を参照して考察した実施形態の1つまたは複数の所望の特徴と組み合わされ得る。
【0104】
[00170]
図38Aおよび40を参照すると、ハウジングおよび流体リザーバ(図示せず
)に対して軸方向において固定される前方リテーナ336が、初期状態において、付勢部材338(
図43Aおよび43Bを参照)がガード340を遠位側に延長するのを防止することができる。しかし、ガード340が前方リテーナ336に対して近位方向に自由に後退することが可能である。前方リテーナ336が、ガード340の対応する止め部分340bに係合される1つまたは複数のアーム336aを有することができる。一実施形態では、前方リテーナ336が2つの対のアーム336aを有する(図面では前方の一対のアーム336aを見ることができる)。
【0105】
[00171]
図38B、39A、41Aおよび41Bを参照すると、注入デバイス310が
、前方リテーナ336に対して固定されるスリーブ334を有することができる。スリーブ334が径方向突出部334aを有することができる。一実施形態では、スリーブ334が、径方向反対側にある一対の径方向突出部334aを有する(
図41Bを参照)。初期位置で、径方向突出部334aが、ガード340の1つまたは複数のアーム340aの端部の遠位側に配置され得る。径方向突出部334aがガード340内のスロット340cを通って延在することができる。注入中にガード340が後退させられると、スロット340cが径方向突出部334aに対して近位方向に摺動させられ得る。
【0106】
[00172]
図42を参照すると、ラッチが1つまたは複数の脚部332cを有することが
できる。一実施形態では、ラッチが径方向反対側にある一対の脚部332cを有する。脚部332cが遠位側に先細となっていてよい。発射機構が作動されてラッチ332が解放されると、ラッチ332が付勢部材326により遠位側に発射される(
図38A~38Bを参照)。送達ストロークの終了時に、ラッチ332の脚部332cがアーム336aに係合され、ガード340の止め部分340b(
図40を参照)の軸方向経路から外すようにアーム335aを屈曲させる。
【0107】
[00173]
図43Aおよび43Bを参照すると、アーム336aが止め部分340bから
切り離されると、付勢部材338が、注射針の端部を覆うためにガード340を遠位側に延長する。ガード340が延長するとき、ガードのスロット340cが径方向突出部334aに対して近位側に摺動させられる。ガード340が延長してガード340の初期位置を通過するとき、ガード340のアーム340aがスリーブ334の径方向突出部334a上を延長する。ガード340のアーム340aが径方向突出部334a上を延長するとき、アーム340aの端部が対応する溝334bに係合される(
図41Aおよび41Bを参照)まで互いから離れるように屈曲して互いに接近するように移動する。径方向突出部334aの溝334bが、ロック位置においてアーム340aを保持するように成形され、ガード340を近位方向に推進するのを防止する。ロック位置では、ガード340が近位方向に後退させられないようになっており、それにより注射針をさらに露出したりまたは使用したりするのを防止する。ガード340が、初期位置およびロック位置の両方において、軸方向において注射針の端部を通り過ぎるように延在することができる。一実施形態では、ガード340が注射針を露出するように後退させられ、注射針を挿入するのを可能にし、その後、注射針を覆うように延長される。一実施形態では、ガード340が、ロック位置において、注射針の端部に対して初期位置の場合よりもさらに遠位側に延在する。
【0108】
[00174]本発明の広範囲の発明性のある概念から逸脱することなく、上で示して説明し
た例示の実施形態に対して変更形態が作られ得ることが当業者には認識されよう。したがって、本発明が、示されて説明された例示の実施形態のみに限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲の範囲内にある修正形態を包含することを意図される、ことが理解されよう。例えば、例示の実施形態の特定の特徴が特許請求される本発明の一部であってもまたはそうでなくてもよく、また、開示される実施形態の種々の特徴が組み合わされ得る。特に明記しない限り、「a」、「an」および「the」という用語は1つの要素のみに限定されず、「少なくとも1つ」という意味として読み取られるべきである。
【0109】
[00175]本発明の図および記述の少なくとも一部が、本発明を明瞭に理解することがで
きるようにするために、関連する要素に焦点を当てるように単純化されており、一方で、当業者に認識されるような他の要素を分かり易さのために排除する場合でも、本発明の一部を含むことができる。しかし、そのような要素が当技術分野でよく知られていることを理由として、および、それらが本発明をより良く理解するのを必ずしも促進しないことを理由として、そのような要素の説明は本明細書では行われない。
【0110】
[00176]また、本発明の方法が本明細書に記載されるステップの特定の順序に依存しな
い限りにおいて、これらのステップの特定の順序が特許請求の範囲において限定的であると解釈されるべきではない。本発明の方法を対象とするいかなる請求項も、記載される順序でのそれらのステップの実施のみに限定されるべきではなく、当業者であれば、これらのステップが変更され得、それでも本発明の精神および範囲の範囲内に留まり得る、ことを容易に認識するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に薬剤を注入するための注入デバイスであって、
アクチュエータとラムとを有し、組み立て時に、前記患者に送達されることになる最大ボリュームの薬剤に基づく複数の位置のうちの1つの位置となるように選択的に予め設定されるように構成される、発射機構と、
前記患者に送達されることになる前記最大ボリュームの薬剤の一部を選択することを目的として、前記発射機構の事前の設定に関係なく使用時に選択可能に調整されるように構成される、一回投与量設定機構と、
前記ラムにねじ込み式に結合されるナットを含み、前記ナットが、初期位置において、ラッチにより前記アクチュエータの力に抗して解放可能に保持される、ボリューム設定機構と
を備える、
注入デバイス。
【請求項2】
複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤を有する流体リザーバを収容するように構成されるハウジングと、
前記流体リザーバから前記患者までの流体経路を画定する、前記流体リザーバに流体結合される注入導管と、
前記ハウジングに摺動可能に結合され、前記ナットから前記ラッチを解放するように構成されるガードと
をさらに備える、
請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項3】
前記ガードに結合され、前記注入デバイスの遠位端の方向に前記ガードを付勢するように構成される第2付勢部材
をさらに備え、
前記ガードは、軸方向において前記注入導管を通り過ぎるように延在するように構成される、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項4】
前記ガードは、前記患者からの前記注入導管の取り外し後に前記ハウジングに対してロックされるように構成される、
請求項3に記載の注入デバイス。
【請求項5】
前記ガードは、初期位置においてよりもロック位置においてより遠位側に延在する、
請求項4に記載の注入デバイス。
【請求項6】
前記注入導管が針を備える、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項7】
前記注入導管を含むシリンジをさらに備え、
前記針は前記シリンジに固定される、
請求項6に記載の注入デバイス。
【請求項8】
前記ボリューム設定機構は、前記ラムにねじ込み式に結合されるラム延長部分を含み、
前記ラム延長部分は、前記ラムの長さを、前記発射機構による排出のための前記複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する、複数の位置のうちの1つの位置まで、延ばすように構成される、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項9】
前記ナットは、前記ナットの軸方向長さに沿う複数の位置のうちの1つの位置において前記ラッチに結合されるように構成され、
前記ナットの前記軸方向長さに沿う前記複数の位置の各々は、前記発射機構による排出のための前記複数のボリュームの薬剤のうちの1つのボリュームの薬剤に対応する、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項10】
前記一回投与量設定機構は、前記ハウジングに回転可能に結合されるノブを含む、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項11】
前記ハウジングの遠位端に結合される安全キャップをさらに備え、
前記安全キャップが前記発射機構に結合され、その結果として、前記安全キャップを前記ハウジングから取り外すことにより、前記流体リザーバに対して所定の距離だけ前記発射機構を前進させることが可能となり、それにより前記流体リザーバをプライミングする、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項12】
前記発射機構は、互いに比較して概して等しい時間量で前記複数のボリュームの薬剤のうちの前記1つのボリュームの薬剤の選択される前記一部の各々を送達するように構成される、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項13】
選択される前記一部により、0.18ml以下の送達後に前記流体リザーバ内に残留ボリュームが残ることになる、
請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項14】
前記ナットは、各々が前記ラッチの突起と係合するように構成された複数の窪み部分を含む、
請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項15】
前記複数の窪み部分の各々は、前記ナットの周りを周囲方向に延在するリング形状の溝を含む、
請求項14に記載の注入デバイス。
【請求項16】
前記ナットは、前記ラッチにねじ込み式に結合される、
請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項17】
前記ラムは、前記一回投与量設定機構に対して回転可能に固定されるとともに、前記一回投与量設定機構に対して軸方向に移動可能である、
請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項18】
前記ラッチは、
前記初期位置において前記ナットを解放可能に保持するラッチアームと、
発射位置において前記ナットに係合される止め部分と
を含み、
前記ラッチアームと前記止め部分との間の距離が固定される、
請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項19】
前記発射機構は、ばねを含み、
前記ばねの位置は、前記一回投与量設定機構の位置から独立である、
請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項20】
前記注入デバイスは、前記発射機構の作動後の再設定を防止するように構成され、
それにより、前記注入デバイスによる前記薬剤のさらなる注入を防止し、前記注入デバイスを1回使用の注入器として構成する、
請求項1に記載の注入デバイス。
【外国語明細書】