(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057085
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】給湯装置、そのプログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
F23N 5/20 20060101AFI20240416BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20240416BHJP
F23N 1/10 20060101ALI20240416BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240416BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20240416BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240416BHJP
F24H 15/365 20220101ALI20240416BHJP
F24H 15/429 20220101ALI20240416BHJP
F24H 15/486 20220101ALI20240416BHJP
F24H 15/35 20220101ALI20240416BHJP
【FI】
F23N5/20 K
F23N5/00 U
F23N5/00 H
F23N5/00 C
F23N1/10 101
F24H1/14 B
F24H15/10
F24H15/269
F24H15/365
F24H15/429
F24H15/486
F24H15/35
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031872
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2022209375の分割
【原出願日】2019-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宮原 力
(72)【発明者】
【氏名】木内 秀典
(57)【要約】
【課題】給湯要求による燃焼モードに関わらず、定期的にバーナーの燃焼状態の監視およびその燃焼改善を実行させる。
【解決手段】第1の燃焼モードで燃焼させる第1のバーナー部(6-1)と、前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで燃焼させる第2のバーナー部(6-2)と、給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる制御部(5)とを含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の燃焼モードで燃焼させる第1のバーナー部と、
前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで燃焼させる第2のバーナー部と、
給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる制御部と、
を含むことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記第1のバーナー部に設置されて炎を検出する炎センサーを含み、前記制御部は、前記炎センサーから炎電流値を取得し、この炎電流値と理想値を対比した結果に基づき、給気ファンの回転数を増減させることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のバーナー部または前記第2のバーナー部の燃焼段数の変更または燃焼状態の監視を含む燃焼調整に燃焼モード切替テーブルを用いて燃焼段数の上昇可能な限界値に基づく給湯温度を変更し、給湯流量が限界閾値よりも多い流量となる範囲で三段燃焼となる給湯温度を選択することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項4】
コンピュータを用いて給湯装置を制御するプログラムであって、
第1の燃焼モードで第1のバーナー部を燃焼させる機能と、
前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで第2のバーナー部を燃焼させる機能と、
給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
第1の燃焼モードで第1のバーナー部を燃焼させる工程と、
前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで第2のバーナー部を燃焼させる工程と、
給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる工程と、
を含むことを特徴とする給湯装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に搭載されている燃焼部の燃焼状態の監視およびその調整を実行する燃焼制御に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置には、複数のバーナーが数本ずつに区分けされており、給湯要求に対して区分けされたバーナー群を組み合せることで、必要な燃焼量が得られる分のバーナーを燃焼させるものが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給湯装置では、バーナーの燃焼状態を定期的に監視している。この燃焼状態には、バーナーに対する空気の供給量が大きく影響しており、燃料ガスと空気の割合に応じて、燃焼によるNOxの発生量が変化するほか、バーナーの不完全燃焼状態などが発生するおそれがある。給湯装置では、燃焼状態の監視結果に応じて燃焼改善処理を行っている。燃焼状態の監視には、フレームロッドが用いられるが、コストや設置スペースなどにより、給湯装置に設置される個数が限られている。そのため、給湯装置の燃焼部は、数本ずつにバーナーが区分けられているため、フレームロッドで燃焼状態が監視できない区分があり、これらのバーナーについては燃焼状態の調整が行えない。
給湯装置は、たとえば給湯管のみの配管で供給する、所謂単管式の場合や複数の給湯負荷に対して湯を供給する中央給湯方式の場合、給湯負荷の変動が少ないため、フレームロッドが設置されていないバーナー部のみの燃焼が継続する場合がある。この場合、給湯装置では、バーナーの燃焼状態の監視およびその燃焼改善が行えない状態が続くおそれがある。
斯かる課題について、特許文献1には開示や示唆はなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0005】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、給湯要求による燃焼モードに関わらず、定期的にバーナーの燃焼状態の監視およびその燃焼改善を実行させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の給湯装置の一側面によれば、第1の燃焼モードで燃焼させる第1のバーナー部と、前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで燃焼させる第2のバーナー部と、給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる制御部とを含む。
この給湯装置において、前記第1のバーナー部に設置されて炎を検出する炎センサーを含み、前記制御部は、前記炎センサーから炎電流値を取得し、この炎電流値と理想値を対比した結果に基づき、給気ファンの回転数を増減させてもよい。
この給湯装置において、前記制御部は、前記第1のバーナー部または前記第2のバーナー部の燃焼段数の変更または燃焼状態の監視を含む燃焼調整に燃焼モード切替テーブルを用いて燃焼段数の上昇可能な限界値に基づく給湯温度を変更し、給湯流量が限界閾値よりも多い流量となる範囲で三段燃焼となる給湯温度を選択してもよい。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、コンピュータを用いて給湯装置を制御するプログラムであって、第1の燃焼モードで第1のバーナー部を燃焼させる機能と、前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで第2のバーナー部を燃焼させる機能と、給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の給湯装置の制御方法の一側面によれば、第1の燃焼モードで第1のバーナー部を燃焼させる工程と、前記第1の燃焼モードを超える燃焼量の第2の燃焼モードで第2のバーナー部を燃焼させる工程と、給湯要求に応じて燃焼量を設定して前記第1の燃焼モードまたは前記第2の燃焼モードを選択し、燃焼中の前記第2の燃焼モードの積算時間が一定時間以上に到達したとき、継続している給湯要求に合わせて給湯処理を行い、給湯要求が無くなれば給湯処理を終了し、この終了後、給湯要求が生じたとき、給湯要求の内容にかかわらず前記第1の燃焼モードになるように前記第1のバーナー部を燃焼させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 炎センサーで燃焼状態が検出できない第2の燃焼モードで燃焼が継続した場合、燃焼モードを変更し、炎センサーの検出出力に基づき、バーナーへの混合気に含まれる空気量を調整することができ、給湯装置の安全性の向上や燃焼による環境負荷の軽減などが図ることができる。
【0010】
(2) 第1のバーナー部の一部に設置した炎センサーを利用し、給湯要求による第1の燃焼モードまたは第2の燃焼モードに応じた監視処理を行うことで、部品数を削減しつつバーナーの燃焼状態を把握することができる。
【0011】
(3) 給湯要求による燃焼制御に関わらず、定期的または定量的に燃焼状態を監視することができ、燃焼制御の信頼性を向上させることができる。
【0012】
(4) 燃焼状態の監視処理において、給湯温度が設定温度よりも低下しまたは上昇するのを防止でき、出湯湯温の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示す図である。
【
図2】燃焼段数の切替え状態の一例を示す図である。
【
図3】給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示す図である。
【
図5】給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施例1に係る給湯装置の構成例を示す図である。
【
図8】フレームロッドによる燃焼状態の監視処理の一例を示す図である。
【
図9】燃焼状態監視処理のタイミングの一例を示す図である。
【
図10】給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】燃焼改善処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施例2に係る給湯装置の構成例を示す図である。
【
図13】燃焼モード切替テーブルの一例を示す図である。
【
図14】給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施例3に係る給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
<給湯装置2>
図1は、第1の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この給湯装置2は、たとえば
図1に示すように、燃料ガスを燃焼して高温の燃焼排気を発生させる燃焼部4と、少なくとも燃焼部4の燃焼の制御機能や燃焼状態の監視機能および調整処理機能を含む制御部5を備える。給湯装置2は、燃焼部4と制御部5が同一の筐体内に収納されてもよく、または燃焼部4および図示しない給湯機能部が収納された筐体の外部に制御部5が設置されてもよい。
【0015】
燃焼部4には、たとえば燃料ガスGおよび空気を混合した混合気を放出させ、その放出した混合気に着火して燃焼する複数本のバーナーを備えている。これらのバーナーは、たとえば混合気の放出孔およびその数や大きさが同一であってもよく、または異なってもよい。燃焼部4は、混合気を放出して燃やすバーナーの本数や種類の組み合せや、バーナーから放出させる混合気の流量を調整することで燃焼量を調整する。
燃焼部4のバーナーは、複数本のバーナーを数本ずつ異なる本数にまとめて区分けした第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2を含む。
【0016】
給湯装置2は、被加熱流体である湯や水または熱媒を第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2のいずれか、または両方で生成した燃焼排気と熱交換させて出湯させ、または浴槽水の加熱、その他熱負荷に対する熱の供給を行う。第1のバーナー部6-1と第2のバーナー部6-2は、異なる本数のバーナーを備えている。これにより第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2は、異なる燃焼能力を有しており、それぞれ単独で燃焼する場合およびこれらを組み合せて燃焼することで、給湯要求に対応した給湯能力を発揮できる。
【0017】
燃焼部4には、第1のバーナー部6-1に炎センサー8が設置される。この炎センサー8は、たとえばバーナー部6-1で生成した炎の燃焼状態情報を検出する手段の一例であり、フレームロッド(FR)が利用される。
【0018】
制御部5は、たとえば給湯装置2の給湯制御を行うとともに、燃焼部4の燃焼制御およびバーナーの燃焼状態の監視処理、燃焼改善制御などを行う機能部の一例であり、燃焼制御部10や燃焼調整制御部12を含む。
燃焼制御部10は、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2の燃焼状態を制御する手段の一例であり、バーナーの燃焼状態を監視し、燃焼改善処理として、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2の燃焼量や燃焼段数の設定のほか、燃焼モードの変更などを指示する。
燃焼調整制御部12は、バーナーの燃焼状態を監視するとともに、燃料ガスGと空気の混合比率を調整して燃焼状態を調整する手段の一例である。制御部5は、炎センサー8で検出した燃焼状態情報を燃焼調整制御部12で取込み、燃焼状態を判断する。そして燃焼調整制御部12は、判断結果に応じて燃焼部4に対して燃焼調整指示を出力する。
【0019】
<バーナーの燃焼段数について>
給湯装置2の燃焼部4には、バーナーの燃焼制御として、給湯要求に対して必要な燃焼量を調整するために燃焼段数が設定されている。
この燃焼段数は、たとえば第1のバーナー部6-1のみを燃焼させる1段燃焼、第2のバーナー部6-2のみを燃焼させる2段燃焼、全てのバーナーを燃焼させる3段燃焼が含まれる。給湯装置2の給湯能力は、燃焼部4の燃焼段数により設定される。通常の給湯運転において、1段燃焼は、燃焼量が少なく、たとえば3号~8号の燃焼能力が得られる。2段燃焼は、中程度の燃焼量であり、たとえば6号~16号の燃焼能力が得られる。3段燃焼は、燃焼量が多く、たとえば9号~24号の燃焼能力が得られる。
【0020】
<燃焼状態の監視処理について>
この給湯装置2では、たとえば
図2のAに示すように、燃焼部4が2段燃焼で燃焼する場合、第1のバーナー部6-1の燃焼を停止させる第2の燃焼モードとなり、炎センサー8による燃焼状態の監視が行えない。制御部5では、第2の燃焼モードが長時間継続し、または第2の燃焼モードが断続して、設定されている積算時間が一定以上となった場合、少なくとも第1のバーナー部6-1を燃焼させる第1の燃焼モードで燃焼制御を行う。この第1の燃焼モードでは、2段燃焼が設定されている燃焼部4に対し、たとえば
図2のBに示すように第1のバーナー部6-1のみが燃焼する1段燃焼に切替え、または
図2のCに示すように第2のバーナー部6-2とともに第1のバーナー部6-1を燃焼させる3段燃焼を行う。
【0021】
給湯装置2では、燃焼段数の切替えや燃焼量を調整する手段として、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2に対して燃料ガスGを供給するガス供給管14-1、14-2や、このガス供給管14-1、14-2の流れを開通または遮断する切替弁16-1、16-2を備える。制御部5は、切替弁16-1、16-2の開閉制御、およびガスの通流量を調整する給湯ガス比例弁を制御することでバーナー部6-1、6-2の燃焼量を調整し、幅広い給湯要求に対応することができる。
【0022】
<給湯制御について>
図3は、給湯制御の処理手順の一例を示している。
図3に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯処理は本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
給湯装置2は、給湯要求に応じて燃焼部4の燃焼量を設定する(S11)。この燃焼量の設定処理では、たとえば給湯設定温度、入水温度、入水流量などにより燃焼量が算出される。そして制御部5は、算出された燃焼量によって燃焼部4の燃焼段数を設定する。
制御部5は、燃焼部4の監視処理として、設定した燃焼段数から燃焼モードを確認する(S12)。
制御部5は、燃焼部4が燃焼状態情報を検出できない燃焼モードが所定時間継続しているか否かを判断する(S13)。つまり、2段燃焼により第2の燃焼モードが継続して設定されているか否かを判断する。制御部5は、燃焼状態情報を検出できない燃焼モードが継続している場合(S13のYES)、燃焼モードの変更指示を出力する(S14)。制御部5は、2段燃焼が設定されている燃焼部4に対し、たとえば燃焼量を増減させてバーナーを1段燃焼または3段燃焼させる。さらに、制御部5は、燃焼部4の燃焼モードを変更させる場合、第1のバーナー部6-1と第2のバーナー部6-2のいずれかまたは両方の燃焼範囲を変更させてもよい。つまり制御部5は、たとえば給湯要求に対応可能な燃焼能力として、1段燃焼または3段燃焼を選択するとともに、1段燃焼の燃焼範囲の上限を引き上げ、または3段燃焼の燃焼範囲の下限を引き下げてもよい。
【0023】
制御部5は、燃焼部4の燃焼調整Fとして、炎センサー8で検出した燃焼状態情報により、第1のバーナー部6-1の燃焼状態を監視する(S15)。燃焼調整制御部12は、第1のバーナー部6-1の燃焼状態情報により燃焼部4全体の燃焼状態を把握する。そして燃焼調整制御部12は、燃焼部4の燃焼状態の監視結果により、燃焼部4に対して燃焼調整処理を行う(S16)。この燃焼調整処理は、たとえば燃焼部4に設定した燃焼量などの条件に対して燃焼量、混合気の割合などを調整する。
この燃焼部4の燃焼調整Fでは、燃焼状態の監視(S15)と燃焼調整処理(S16)を繰り返し行って、設定された条件を満たすようにバーナーの燃焼を調整すればよい。
【0024】
なお、給湯装置2は、給湯処理において、給湯要求の変化により1段燃焼または3段燃焼での燃焼状態となった場合には、たとえば通常の燃焼処理を実行するとともに、所定期間毎に燃焼部4の燃焼状態を読み出して、燃焼調整処理を行ってもよい。
【0025】
<第1の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 給湯要求に関わらず、燃焼部の燃焼状態の監視処理および燃焼調整処理が実行でき、燃焼部の燃焼状態を把握し、また燃焼状態の調整が行えるので、給湯装置の信頼性が高められる。
(2) 複数の区分に分けたバーナーの一部にのみ設置した炎センサーを利用して、バーナーの燃焼状態の監視処理が行えるので、部品数を削減できる。
(3) 給湯要求に関わらず、定期的に燃焼部の燃焼状態を把握し、その監視結果によって燃焼部の状態を改善することで、燃焼部で生成される燃焼排気による環境負荷を低減できる。
(4) 燃焼状態の監視処理において、給湯温度が設定温度よりも低下し、または上昇するのを防止でき、湯温を安定させることができる。
【0026】
〔第2の実施の形態〕
図4は、第2の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。
図4に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
図4において
図1と同一部分には同一符号を付している。
【0027】
この給湯装置2では、たとえば
図4のAに示すように、燃焼部4内に、さらに給気ファン18を備えている。この給気ファン18は、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2に対して燃焼用の空気を送風する手段の一例であり、燃焼調整処理において調整対象となる機能部の1つである。すなわち、給気ファン18の回転により発生した空気の流れが燃焼に必要な混合気の量や濃度に影響を与える。そのため、この燃焼調整処理では、たとえば燃焼状態情報に基づいて給気ファン18の回転数を増減させることで、バーナーへの混合気の空気量を調整する。
【0028】
さらに制御部5には、たとえば記憶部20、タイマー22を備える。
この記憶部20は、給湯処理や燃焼部の監視や燃焼調整処理を行った後の燃焼状態情報などを記憶する手段の一例である。
タイマー22は、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2の燃焼積算時間や給湯時間などを計時する手段の一例である。タイマー22による計時情報は、たとえば燃焼状態情報とともに、記憶部20に記憶されてよい。
また、記憶部20は、たとえば
図4のBに示すように、燃焼モード設定情報24や炎センサー8から検出した燃焼状態情報26、燃焼調整情報28、積算時間情報30などが記憶される。
燃焼モード設定情報24は、たとえば燃焼状態を監視できない第2の燃焼モードで燃焼する燃焼部4に対し、燃焼監視条件に達したときに第1の燃焼モードに変更させる指示情報である。この指示情報は、たとえば給湯要求に対する設定温度の増減や、給水量の調整、その他の方法が含まれる。
燃焼状態情報26は、炎センサー8が検出した情報の一例である。
燃焼調整情報28は、検出した燃焼状態情報に基づいてバーナーや給気ファン18に対する調整処理内容の一例である。
積算時間情報30は、少なくとも給湯装置2が2段燃焼(第2の燃焼モード)で継続する積算時間情報の一例であり、その他、全体の給湯運転時間などを含んでもよい。
【0029】
<給湯運転処理>
図5は、給湯運転処理例を示している。
図5に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯運転制御は本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
給湯装置2の制御部5は、燃焼部4の監視処理として、設定されている燃焼段数から燃焼モードを確認する(S21)。
制御部5は、燃焼状態情報を検出できない第2の燃焼モードで燃焼部4の燃焼か否かを判断する(S22)。つまり、2段燃焼により第2の燃焼モードが設定されているか否かを判断する。第2の燃焼モードでない場合(S22のNO)、通常給湯処理を実行する(S23)。
第2の燃焼モードで燃焼している場合(S22のYES)、タイマー22を利用して、第2の燃焼モードでの積算時間TAの計時処理を行う(S24)。タイマー22で計時した積算時間TAは、記憶部20に積算時間情報30として格納される。
【0030】
そして、制御部5は、燃焼モードが変更されたか否かを監視(S25)し、変更となった場合には(S25のYES)、通常給湯処理に移行する(S23)。このときタイマー22による計時をリセットする。また第2の燃焼モードが継続し(S25のNO)、その積算時間TAが所定時間TXとして、たとえば30時間を超えた場合(S26のYES)、制御部5は、燃焼モードの変更処理に移行する(S27)。制御部5は、たとえば燃焼モード設定情報24を読み出して、2段燃焼が設定されているバーナーを1段燃焼または3段燃焼に変更させる。この燃焼モードの変更制御は、たとえば所定時間TXが経過したタイミングで行ってもよく、または現在の給湯運転が終了した後、次回の給湯運転開始時に行ってもよい。
【0031】
制御部5は、燃焼部4の燃焼調整Fとして、炎センサー8で検出した燃焼状態情報を取込み、燃焼状態情報26として記憶部20に記憶して、第1のバーナー部6-1の燃焼状態を監視する(S28)。燃焼調整制御部12は、第1のバーナー部6-1の燃焼状態情報により燃焼部4の全体の燃焼状態を把握する。
そして燃焼調整制御部12は、たとえば燃焼調整情報28を読み出して、給気ファン18などの機能部の調整を行う(S29)。
この燃焼部4の燃焼調整Fでは、燃焼状態の監視(S28)と燃焼調整処理(S29)を繰り返し行って、設定された条件を満たすようにバーナーの燃焼を調整すればよい。
【0032】
なお、給湯装置2は、通常給湯処理として、燃焼状態が監視できる第1の燃焼モードで給湯運転している場合には、たとえば一定の燃焼積算時間毎に燃焼調整Fを行えばよい。
【0033】
<第2の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 給湯要求の変動が少ない給湯負荷に対して給湯する場合でも、定期的に燃焼状態の監視や燃焼調整処理が実行でき、給湯装置の信頼性や安全性の向上が図れる。
(2) 炎センサー8によって燃焼状態情報が検出できない状態となっている積算時間TAをタイマー22によって監視することで、断続的に給湯が行われる場合でも、バーナーの使用時間によって燃焼状態の監視および燃焼調整処理に移行させるので、給湯装置2の安全性を向上させることができる。
(3) 複数本ずつに区分けしたバーナーを組み合せて燃焼能力を調整するバーナーにおいて、全てのバーナー部に炎センサーを設置せずに、燃焼状態の監視や燃焼調整処理が行えるので、部品数が削減でき、省コスト化に貢献できる。
【実施例0034】
<給湯装置40>
図6は、実施例1に係る給湯装置40を示している。
図6において、
図1、
図4と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯装置40は、たとえば
図6に示すように、燃料ガスGを供給するガス供給管14-1、14-2や、給水Wを取り込む給水管42、加熱された湯HWを出湯する給湯管44が接続されている。給湯装置40は、ガス供給管14-1、14-2を通じて取り込んだ燃料ガスGを燃焼して燃焼排気を生成する。そして給湯装置40は、給水管42から取り込んだ低温の給水Wを燃焼排気と熱交換させて温水HWを生成し、給湯管44から出湯させる。
【0035】
この給湯装置40には、たとえば燃焼室46にバーナー48や熱交換器50、52が設置される。燃焼室46には給気ファン54により燃焼用空気が取り込まれる。バーナー48にはガス供給管14-1、14-2から燃料ガスGが供給される。このガス供給管14-1、14-2には、燃料ガスGを通過させ、または遮断する元ガス電磁弁56やバーナー48に向けてガスの流入量を制御する給湯ガス比例弁58を備える。バーナー48は複数のバーナー部6-1、6-2を備えており、各バーナー部6-1、6-2に対する燃料ガスGの供給が切替弁16-1、16-2によって切り替えられる。バーナー48の燃焼によって生じる燃焼排気は燃焼室46の排気口55から燃焼室46外に排出される。
燃焼室46には、バーナー部6-1のガス噴出孔付近に点火プラグ60やフレームロッド62が設置される。点火プラグ60は、たとえば燃焼室46の外部に設置されたイグナイター64に接続されており、バーナー部6-1に着火させる。バーナー48は、たとえばバーナー部6-1が点火した後、バーナー部6-1の炎を利用してバーナー部6-2を点火させる。
フレームロッド62は、バーナー部6-1の燃焼状態の監視および燃焼調整に利用する炎センサーの一例である。
なお、さらに燃焼室46には、たとえばバーナー部6-1、6-2の着火状態のみを検出するフレームロッドを備えてもよい。
【0036】
熱交換器50は、燃焼室46内で燃焼排気を流す排気経路の下流側に設置されており、低温の給水Wとの間で熱交換することで、主として燃焼排気の潜熱を回収する二次熱交換器の一例である。
熱交換器52は、排気経路の上流側に設置されており、熱交換器50で熱交換した給水Wとの間で熱交換することで、主として燃焼排気の顕熱を回収する一次熱交換器の一例である。
【0037】
給水Wを流す給水管42には、たとえば温度センサー68、水量センサー70、混合水制御弁72が備えられる。温度センサー68は、給水温度を検出する。水量センサー70は給湯に応ずる給水Wの水量を検出する。混合水制御弁72はバイパス管74に流れる給水Wの供給を調整し、温水HWに対する給水Wの混合量を制御する。
熱交換器50、52は直列に接続され、熱交換器52からの温水HWが出湯管76に流れる。この出湯管76には温度センサー78、水制御弁80が設置されている。温度センサー78は熱交換器52の出口側に流れる温水HWの出湯温度を検出する。水制御弁80は、開閉により給湯の有無を規制するが、バイパス管74を通して給水Wと温水HWとを混合するミキシング室を兼用している。給湯管44に設置される温度センサー82は、給湯装置40から出湯される湯HWの温度を検出する手段であり、水制御弁80により給水Wを混合した湯HWの温度を検出する。
給湯装置40は、水制御弁80の開閉により給水Wの取込み、湯HWの出湯を制御している。すなわち、給湯装置40は、水制御弁80を開状態として給水Wが流入可能な状態にすると、給水源からの水圧によって給水Wが給水管42に流入する。
【0038】
また給湯装置40には、給湯要求に応じた給湯量や燃焼量の設定を行うとともに、バーナー部6-1、6-2の燃焼状態の監視および燃焼調整処理を制御する制御装置90を備える。この制御装置90は、たとえば給水量を水量センサー70で検出すると、その流量に応じて、自動で燃焼制御を開始する。
【0039】
さらに、燃焼室46には、熱交換器50の熱交換で生じるドレンDを溜めるドレン受け66が備えられる。このドレン受け66からドレンDがドレン管を通してドレンタンクに導かれる。このドレンタンク内のドレンDは所定レベルを超えたとき、ドレンタンクから排水管を通じて給湯装置40の外部に排出される。
【0040】
<制御装置90について>
図7は、制御装置の構成例を示している。
この制御装置90はコンピュータで構成されており、たとえば
図7に示すように、プロセッサ92、メモリ部94、表示部96、タイマー22、外部のリモコン装置100と通信する通信部98および入出力部(I/O)102を含む。
プロセッサ92は、たとえばメモリ部94にあるプログラムを実行し、給湯装置40の給湯制御、バーナー部6-1、6-2の燃焼制御や燃焼状態の監視および燃焼調整処理などの情報処理を行う。
メモリ部94は、給湯制御や燃焼状態監視処理などのプログラムや、検出した燃焼状態情報などを格納する記憶手段であり、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子を備える。
表示部96は、給湯要求である設定温度情報を表示するほか、燃焼状態の監視や燃焼調整処理などの実行中の処理内容や報知情報などを表示する手段の一例である。表示部96には、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などが用いられる。
タイマー22は、燃焼状態の監視処理において第2の燃焼モードの燃焼時間を計時する手段の一例である。このタイマー22は、たとえば制御基板上に実装されるハードウェアクロックを利用してもよく、またはOS(Operating System)などの制御プログラムで計時するソフトウェアクロックを利用してもよい。
通信部98は、プロセッサ92の制御により、リモコン装置100との通信を行い、給湯制御などに必要な情報やバーナーの燃焼状態の監視結果、その他、バーナーの燃焼改善処理などの情報交換を行う。
【0041】
I/O102は、給湯装置40の各機能部と接続するインターフェースである。制御装置90では、温度センサー68、78、82、水量センサー70などのセンサーから検出信号がI/O102を介して取り込まれ、I/O102から混合水制御弁72、水制御弁80、燃焼系機能部である元ガス電磁弁56、給湯ガス比例弁58、切替弁16-1、16-2、フレームロッド62、イグナイター64、給気ファン54などへの制御出力が得られる。
【0042】
<燃焼状態の監視について>
図8は、燃焼状態の監視処理例を示している。
フレームロッド62は、たとえば燃焼中の炎に接触させることで、その炎の状態に応じて変化する燃焼状態情報を検出する炎センサーの一例である。燃焼中の炎の形状を示している
図8のA中の「FRA」が、フレームロッド62が炎に接触している部位である。フレームロッド62は、炎の高さに応じて変化する燃焼状態情報として、炎電流値を検出している。
図8のBは、燃焼中の炎の部位と電流値との関係を示している。炎の中心部付近(PB)では検出される炎電流値が最大となり、それよりもバーナーに近い高さのPAや、炎の先端側のPCの位置では炎電流値が減少する。つまり、炎の中心部付近から離れるに従って電流値が減少する。すなわち、フレームロッド62は、配置位置が固定されているため、バーナーの燃焼状態に応じた炎の形状変化について、電流値を利用して監視できる。つまり炎が小さくなり、PBがFRAに近づくと電流値IAが大きくなる。炎が大きくなり、PBがFRAから離れると、電流値が小さくなる。
制御装置90は、検出した電流値と炎の形状変化との関係を利用し、バーナー48の燃焼改善を行う。この燃焼改善処理では、たとえばバーナー48に対して空気を送る給気ファン54の回転数の調整を行う。
制御装置90は、たとえばフレームロッド62を利用して検出した電流値が理想値より大きい場合には、給気ファン54の回転数を増加させ、電流値が理想値より小さい場合には、給気ファン54の回転数を減少させる制御を行う。
【0043】
炎の理想形状は燃焼量(燃焼段数及び給湯ガス比例弁58の電流値)により変化し、フレームロッド62で検出される電流値の理想値も変化する。そこで、燃焼段数および給湯ガス比例弁58の電流値に対し、理想電流値のデータを予め用意しておき、理想値に対する現在の電流値の状態を検知してファン回転数の補正を行なえば、炎の形状を理想的な状態に制御できる。
【0044】
<監視処理の実行タイミングについて>
図9は、燃焼状態の監視処理を実行するタイミングの一例を示している。
図9に示す処理内容や処理タイミングは一例である。
制御装置90は、たとえば
図9のAに示すように、2段燃焼での給湯処理が断続的に継続する場合、タイマー22を利用してそれぞれの燃焼時間t1、t2、・・・・、tnを計時する。給湯装置40は、メモリ部94に計時した燃焼時間を積算して記憶していき、その積算時間TAが所定時間TXとして、たとえば30時間を超えると、燃焼状態監視の処理モードが設定される。そして、給湯装置40は、次回の給湯運転開始時に燃焼状態監視の処理として、給湯要求に関わらず、一定時間TCである、たとえば10〔秒〕間に、強制的に第1の燃焼モード(1段燃焼または3段燃焼)で燃焼させた後、給湯要求に応じた段数で燃焼を行う。
そのほか、制御装置90は、たとえば積算時間TAが所定時間TXを超えた後の次回の給湯運転開始までの経過時間TBを計時しておき、この経過時間TBの長さに応じて、次回の給湯運転時の燃焼能力を設定してもよい。
【0045】
また、制御装置90は、たとえば
図9のBに示すように、2段燃焼での給湯処理が継続した後に給湯要求が変動し、バーナー48が1段燃焼となった場合、メモリ部94に記憶された積算時間TAをリセットする。そして制御装置90は、次に2段燃焼となったとき、新たに2段燃焼の燃焼時間を計時し積算時間TAとして記憶する。また、給湯装置40は、バーナー48が1段燃焼となったときにフレームロッド62を利用して燃焼状態を監視し、その燃焼状態に応じて燃焼調整を行えばよい。
【0046】
<給湯運転処理>
図10は、給湯運転処理例を示している。
図10に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯制御が本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
制御装置90は、燃焼部4の監視処理を行い、第2の燃焼モードで給湯処理が行われていることを監視する。ステップS31~ステップS34は、
図5のステップS21~ステップS23、ステップS26と同様の処理を行えばよい。
【0047】
給湯装置40は、積算時間TAが所定時間TXを超えた後、継続している給湯要求に合せて給湯処理を行い、給湯要求が無くなると給湯処理を終了させる(S35)。そして、給湯装置40は、次回の給湯要求(S36)が発生すると、この給湯要求の内容に関わらず、第1の燃焼モードになるようにバーナー48を1段燃焼させ(S37)、燃焼状態の監視(S38)や燃焼調整処理(S39)を行う。
【0048】
<燃焼改善処理>
図11は、燃焼改善処理例を示している。
図11に示す処理内容や処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この燃焼改善処理は、燃焼部4の調整処理の一例であり、たとえば燃焼状態の監視結果に基づいて、空気供給量の調整を行う。
制御装置90は、フレームロッド62が検出した炎電流値を取得し(S51)、燃焼部4の燃焼条件により炎電流値の理想値を取得する(S52)。この炎電流値の理想値は、給気ファン54による理想給気量、またはその回転数の情報であり、給湯装置40のメモリ部94に格納されてもよく、または通信手段により外部データベースなどから取得してもよい。
制御装置90は、炎電流値が理想値未満であると判断した場合(S53のYES)、給気ファン54の回転数をマイナス側に補正(S54)する。
制御装置90は、炎電流値が理想値未満でなければ(S53のNO)、炎電流値が理想値より大きい値かを判断する(S55)。制御装置90は、炎電流値が理想値より大きい値の場合(S55のYES)、給気ファン54の回転数をプラス側に補正する(S56)。
また、制御装置90は、炎電流値が理想値より大きい値でない場合(S55のNO)、バーナー48の燃焼状態が理想状態であると判断し、給気ファン54の回転数を維持させる。
なお、給気ファン54の回転数の調整量は、給湯装置40の種類や大きさ、給湯可能な号数のほか、給湯装置に対する安全規制基準などの条件により設定される。
【0049】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) フレームロッド62が設置されない第2のバーナー部6-2のみを燃焼させる給湯運転が継続しても、燃焼状態の監視や燃焼調整処理を行うことができる。
(2) 燃焼モードに関わらず、バーナー48の燃焼状態の監視や調整処理が行えるので、給湯装置の安全性の確保や信頼性の向上が図れる。
(3) 複数のバーナー部6-1、6-2に区分けされた燃焼部4において、バーナー部6-1、6-2毎にフレームロッド62を備える必要がなく、部品数の削減によるコストの低減が図れる。
(4) 燃焼状態の監視および燃焼部の調整を定期的に実行でき、バーナー48の不完全燃焼、または燃料ガスが過剰な状態での燃焼を回避でき、環境負荷の低減が図れる。
(5) バーナー48を第1の燃焼モードで燃焼させて燃焼状態の監視および調整処理を行うことで、給湯要求を超えた燃焼能力で高温の湯HWが出湯するのを回避でき、給湯装置の利用者の安全性が高められる。
(6) バーナー48を1段燃焼または3段燃焼で燃焼させて燃焼状態の監視および調整処理を行うことで、2段燃焼部分をカバーし、給湯要求を満たす燃焼能力で低温の湯HWまたは高温の湯HWが出湯するのを回避することで、給湯中の温度変化を回避できるので、給湯装置40の利用者の利便性が高められる。
次に、燃焼段数の変更および燃焼状態の監視を含む燃焼調整Fとして、給湯装置110では、記憶部20にある燃焼モード切替テーブル112を読み出し(S65)、入水温度に対して燃焼段数を上昇可能な限界閾値Pを読み出して給湯温度を変更する(S66)。設定温度は、限界閾値Pよりも多い流量となる範囲であって、かつバーナー48が3段燃焼となる温度を選出すればよい。
給湯装置110は、3段燃焼となった後に、フレームロッド62の検出情報を利用して燃焼状態を監視し(S67)、その監視結果に基づいて燃焼調整処理を行う(S68)。
なお、給湯装置110は、たとえば給湯中に燃焼段数を上昇させる場合、制御装置90やリモコン装置100の表示部に温度変化の注意の表示や音声による報知を行ってもよい。
また給湯装置110は、たとえば設定温度を変更して3段燃焼の着火を確認したときに、強制的に給水管からの給水量を増加させてもよい。