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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057118
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】回転電機の冷却構造および回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156411
(22)【出願日】2022-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】植松 拓
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609QQ05
5H609QQ08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来よりも組立作業が容易で、ステータの軸方向の冷却むらを抑制できる回転電機の冷却構造を提供する。
【解決手段】回転電機1の冷却構造は、コイル6が収容されたスロットを有するステータ4と、スロット内でコイル6の外周側に形成され、コイル6を冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、ステータ4の一方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第1分配流路16Aと、ステータ4の他方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第2分配流路16Bと、を備える。第1分配流路16Aは、一方側から他方側に冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続される。第2分配流路16Bは、他方側から一方側に冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路17Bにそれぞれ接続される。第1コイル冷却流路と第2コイル冷却流路17Bは、ステータ4の周方向にずれて配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが収容されたスロットを周方向に複数有するステータと、
前記スロット内で前記コイルの外周側に形成され、前記コイルを冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、
前記ステータの一方側の端部に形成され、前記一方側で前記コイル冷却流路に前記冷却油を前記周方向に分配する第1分配流路と、
前記ステータの他方側の端部に形成され、前記他方側で前記コイル冷却流路に前記冷却油を前記周方向に分配する第2分配流路と、を備え、
前記第1分配流路は、前記一方側から前記他方側に前記冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続され、
前記第2分配流路は、前記他方側から前記一方側に前記冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路にそれぞれ接続され、
前記第1コイル冷却流路と前記第2コイル冷却流路は、前記ステータの周方向にずれて配置されている
回転電機の冷却構造。
【請求項2】
前記スロットは、絶縁性を有する被覆層で被覆され、
前記コイル冷却流路は、前記ステータ内で前記被覆層と前記コイルに臨む
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項3】
前記第1分配流路および前記第2分配流路は、前記被覆層の材料で形成された部位を含む
請求項2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項4】
前記第1分配流路は、前記ステータの前記一方側に取り付けられた環状の第1遮蔽板と、前記ステータの前記一方側の端部の間に形成され、
前記第2分配流路は、前記ステータの前記他方側に取り付けられた環状の第2遮蔽板と、前記ステータの前記他方側の端部の間に形成される
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項5】
前記第1遮蔽板は、前記第2コイル冷却流路からの前記冷却油を前記一方側に吐き出す第1の吐出孔を有し、
前記第2遮蔽板は、前記第1コイル冷却流路からの前記冷却油を前記他方側に吐き出す第2の吐出孔を有する
請求項4に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項6】
前記第1コイル冷却流路と前記第2コイル冷却流路は、前記スロットごとに前記周方向に交互に配置されている
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項7】
前記ステータを収容する筐体をさらに備え、
前記冷却油は、前記筐体と前記ステータの外周面の間に形成された流路を介して前記第1分配流路および前記第2分配流路にそれぞれ供給される
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項8】
ロータと、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の回転電機の冷却構造と、
を備える回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の冷却構造および回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータコアに巻回されるコイルの冷却効率を高めるために、ステータのスロット内に冷媒を循環させる流路を形成した回転電機の冷却構造が提案されている。例えば、特許文献1は、ステータのスロットに樹脂で含浸されたパイプをコイル内径側に配置し、ステータの軸方向一方側から他方側に冷媒を流す冷却構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-192579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、冷媒が一方向に流れるため、上流側と下流側とでステータの軸方向に冷却むらが生じやすい。また、特許文献1では、各スロットのコイル内径側にそれぞれパイプを配置し、かつ上流側および下流側の両方で流路接続部品に各パイプを液密に接続する必要がある。そのため、特許文献1の構成は組立作業の工数が多く、コスト面で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、従来よりも組立作業が容易で、ステータの軸方向の冷却むらを抑制できる回転電機の冷却構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の回転電機の冷却構造は、コイルが収容されたスロットを周方向に複数有するステータと、スロット内でコイルの外周側に形成され、コイルを冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、ステータの一方側の端部に形成され、一方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第1分配流路と、ステータの他方側の端部に形成され、他方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第2分配流路と、を備える。第1分配流路は、一方側から他方側に冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続される。第2分配流路は、他方側から一方側に冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路にそれぞれ接続される。第1コイル冷却流路と第2コイル冷却流路は、ステータの周方向にずれて配置されている。
【0007】
上記の一態様において、スロットは、絶縁性を有する被覆層で被覆されていてもよく、コイル冷却流路は、ステータ内で被覆層とコイルに臨んでいてもよい。
また、第1分配流路および第2分配流路は、被覆層の材料で形成された部位を含んでいてもよい。
【0008】
上記の一態様において、第1分配流路は、ステータの一方側に取り付けられた環状の第1遮蔽板と、ステータの一方側の端部の間に形成されてもよい。また、第2分配流路は、ステータの他方側に取り付けられた環状の第2遮蔽板と、ステータの他方側の端部の間に形成されてもよい。
また、第1遮蔽板は、第2コイル冷却流路からの冷却油を一方側に吐き出す第1の吐出孔を有していてもよい。第2遮蔽板は、第1コイル冷却流路からの冷却油を他方側に吐き出す第2の吐出孔を有していてもよい。
【0009】
上記の一態様において、第1コイル冷却流路と第2コイル冷却流路は、スロットごとに周方向に交互に配置されていてもよい。
上記の一態様の回転電機の冷却構造は、ステータを収容する筐体をさらに備えていてもよい。冷却油は、筐体とステータの外周面の間に形成された流路を介して第1分配流路および第2分配流路にそれぞれ供給されてもよい。
また、本発明の他の態様の回転電機は、ロータと、上記の一態様の回転電機の冷却構造とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、従来よりも組立作業が容易で、ステータの軸方向の冷却むらを抑制できる回転電機の冷却構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の回転電機の一例を示す斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】ハウジング本体の斜視図である。
図4】回転電機の部分断面を示す斜視図である。
図5図4から第1遮蔽板を取り外した状態を示す図である。
図6】ロータおよびステータの正面図である。
図7図6のステータの部分拡大図である。
図8】(a)は第1コイル冷却流路の構成例を示す断面図であり、(b)は第2コイル冷却流路の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0013】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z方向は回転軸と平行な方向とする。X方向は、Z方向と直交する方向であって、図2の紙面垂直方向に対応する。Y方向は、X方向とZ方向との両方と直交する方向であって、図2の上下方向に対応する。また、図面において、必要に応じて回転電機の回転軸を符号Axで示す。なお、以下の説明では、回転軸Axを中心とする周方向を単に周方向と称し、回転軸Axを中心とする径方向を単に径方向と称する。
【0014】
また、以下の説明において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【0015】
図1は、本実施形態の回転電機の一例を示す斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、ハウジング本体の斜視図である。図4は、回転電機の部分断面を示す斜視図である。図5は、図4から第1遮蔽板を取り外した状態を示す図である。図6は、ロータおよびステータの正面図である。図7は、図6のステータの部分拡大図である。
【0016】
本実施形態の回転電機1は、一例として車両用モータなどに適用されるインナーロータ型モータであって、ロータ2と、シャフト3と、ステータ4とを備えている。ロータ2、シャフト3およびステータ4は、ハウジング本体11およびハウジングカバー12を有する筐体に収容されている。なお、ハウジング本体11およびハウジングカバー12はいずれも鋳造で製造される。
【0017】
ロータ2は、例えば磁石埋込型または表面磁石型のロータである。ロータ2の鉄心は、電磁鋼板等を軸方向に複数積層して形成される。ロータ2の鉄心には、周方向に沿って等間隔に主磁極が構成されるように複数の永久磁石(不図示)が配置される。ロータ2において周方向に隣り合う主磁極には、それぞれ逆の極性となるように永久磁石が配置される。また、ロータ2の中心には、回転軸Axに沿って鉄心を貫通するようにシャフト3が嵌入されている。
【0018】
ステータ4は、全体形状が円筒状であって、回転軸Axを中心とする中央の空間部分にロータ2を収容する。すなわち、ステータ4は、ロータ2の外周に僅かなエアギャップを隔ててロータ2と同心状に配置される。
【0019】
ステータ4は、ステータコア5と、コイル6と、ステータ被覆層7と、第1遮蔽板8Aおよび第2遮蔽板8Bを有する。ステータコア5は、所定形状に打ち抜いた複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成される。図6に示すように、ステータコア5は、径方向外側で周方向全周に亘って形成されるヨーク部5aと、ヨーク部5aの内周側から径方向内側に延びる複数のティース部5bとを有する。
【0020】
複数のティース部5bは、櫛歯状をなすように周方向に等間隔をおいて複数並んで設けられている。また、隣り合うティース部5bの間には、それぞれスロットが形成される。各々のスロットには、ロータ2の外周に沿って、例えば分布巻きや集中巻きでコイル6が装着されている。コイル6は、スロット内において、ステータコア5のヨーク部5aとは径方向に間隔をあけて巻回されている。また、図2に示すように、コイル6のコイルエンド6aは、ステータ4の軸方向両端でそれぞれステータ4から張り出し、ステータ4の周方向に環状をなしている。
【0021】
これにより、ステータ4には、周方向に沿ってコイル6により等間隔に磁極が構成される。回転電機1においては、コイル6の電流制御でステータ4の磁界を順番に切り替えることで、ロータ2にはステータ4の磁界との吸引力または反発力が生じる。これにより、回転軸Axを中心としてロータ2およびシャフト3が回転する。なお、回転電機1の駆動時には通電によってステータ4のコイル6が発熱する。
【0022】
ステータ被覆層7は、絶縁性を有し非磁性体である材料(例えば、熱硬化性樹脂)で形成される。図7に示すように、ステータ被覆層7はスロット内でティース部5bの表面およびヨーク部5aの表面を薄膜状に被覆する。これにより、スロット内のステータ被覆層7は、ステータコア5とコイル6を絶縁する機能を担う。また、スロット内のステータ被覆層7は、後述する第1コイル冷却流路17Aまたは第2コイル冷却流路17Bの一部を形成する。
【0023】
また、図5に示すように、ステータ4の軸方向の一方側(図2の左側)および他方側(図2の右側)の軸方向端面において、ステータ被覆層7は、ステータコア5を部分的に覆っている。具体的には、軸方向端面でのステータ被覆層7は、ヨーク部5aの径方向内側の部位と、ティース部5bを覆っている。また、一部のスロットの位置では、ステータ被覆層7が切り欠かれて径方向に延びる溝7aが放射状に形成されている。
【0024】
図5の例では、ステータ4の一方側を示すが、溝7aの位置が周方向にずれる点を除きステータ4の他方側の構成も図5と同様である。ステータ4の一方側で軸方向端面に形成されるステータ被覆層7は、後述する第1分配流路16Aの一部を形成する。また、ステータ4の他方側で軸方向端面に形成されるステータ被覆層7は、後述する第2分配流路16Bの一部を形成する。
【0025】
なお、ステータ4の径方向内側では、ティース部5bの先端部と、スロットの隙間がステータ被覆層7で被覆されてもよい。これにより、ロータ2の外周に臨むステータ4の内周面を、ステータ被覆層7によって軸方向から見たときに均一な円形に形成でき、回転電機1の風損を低減できる。
【0026】
また、ステータ4の軸方向の一方側には、環状の第1遮蔽板8Aがステータ被覆層7の外側に取り付けられている。第1遮蔽板8Aは、後述する第1分配流路16Aの一部を形成する。また、ステータ4の軸方向の他方側には、環状の第2遮蔽板8Bがステータ被覆層7の外側に取り付けられている。第2遮蔽板8Bは、後述する第2分配流路16Bの一部を形成する。
【0027】
第1遮蔽板8Aおよび第2遮蔽板8Bは、いずれも同一形状であり、径方向においてコイル6の外周側からステータコア5の外周までの部位を覆っている。また、第1遮蔽板8Aおよび第2遮蔽板8Bには、周方向に間隔をおいてオイル吐出孔9が環状に形成されている。第1遮蔽板8Aのオイル吐出孔9と、第2遮蔽板8Bのオイル吐出孔9は、それぞれ周方向に位置がずれている。
【0028】
第1遮蔽板8Aおよび第2遮蔽板8Bは、樹脂、金属、セラミックなどの材料で形成される。また、ステータ被覆層7に対する遮蔽板(8A,8B)の取り付けは、例えば接着や溶着などで行われる。
【0029】
ハウジング本体11は、図3に示すように、軸方向の一方側および他方側が開口した円筒状の空間を有する。ハウジング本体11の円筒状の空間内には、ステータ4、ロータ2およびシャフト3が配置される。ステータ4はハウジング本体11の内周に焼き嵌めで嵌合され、ハウジング本体11はステータ4の外周面を覆うように取り付けられる。
【0030】
ハウジング本体11の一方側および他方側には、それぞれ軸受13を有するハウジングカバー12が取り付けられ、ハウジングカバー12によりハウジング本体11の両側の開口が塞がれる。シャフト3は、ハウジングカバー12を貫通して配置され、軸受13を介してロータ2の両側で軸支されている。
【0031】
また、ハウジング本体11は、ステータ4およびコイル6を油冷するための給油路14を有する。給油路14は、オイルクーラおよびオイルポンプ(いずれも不図示)を経由した冷却油が流れる油路であって、冷却油を受けるオイル入口15と接続されている。給油路14は、図2においてステータ4よりも上側に配置され、ハウジング本体11の内周側に向けて径方向に延びている。
【0032】
ハウジング本体11の内周面には、周方向に延びる第1の溝11aと、第1の溝11aと交差する第2の溝11bが形成されている。第1の溝11aは、ハウジング本体11の軸方向中央部に形成され、給油路14と連通している。また、第2の溝11bは、周方向に等間隔をおいて平行に複数形成され、ステータ4の一方側の端部から他方側の端部まで延びている。
【0033】
第1の溝11aおよび第2の溝11bは、ステータ4の外周面で内周側が塞がれて給油路14からの冷却油を流す流路を形成する。給油路14から供給されて第1の溝11aに沿って周方向に流れるオイルは、複数の第2の溝11bにそれぞれ分岐する。また、各々の第2の溝11bに沿って軸方向に流れるオイルは、ステータ4の一方側の端部または他方側の端部にそれぞれ導かれる。
【0034】
ハウジング本体11の底面近傍は、オイルが貯留されるオイルパン20として機能する。ハウジング本体11にはオイルパン20に貯留されたオイルを吸い出すオイル出口19が設けられている。ハウジング本体11のオイル出口19は、オイルポンプと接続されている。
【0035】
また、ステータ4の一方側には、第1遮蔽板8Aとの間に第1分配流路16Aが形成されている。第1分配流路16Aは、第1遮蔽板8A、一方側のステータ被覆層7、ステータコア5の一方側の端面およびハウジング本体11の内周面に囲まれて周方向に延びている。第1分配流路16Aは、第2の溝11bの一方側の端部に接続され、ステータ被覆層7の内周側に延びる溝7aを介して、後述する第1コイル冷却流路17Aに接続されている。
【0036】
同様に、ステータ4の他方側には第2遮蔽板8Bとの間に周方向に延びる第2分配流路16Bが形成されている。第2分配流路16Bは、第2遮蔽板8B、他方側のステータ被覆層7、ステータコア5の他方側の端面およびハウジング本体11の内周面に囲まれて周方向に延びている。第2分配流路16Bは、第2の溝11bの他方側の端部に接続され、ステータ被覆層7の内周側に延びる溝7aを介して、後述する第2コイル冷却流路17Bに接続されている。
【0037】
図6に示すように、ステータ4の各スロットには、それぞれ軸方向に延びる第1コイル冷却流路17Aまたは第2コイル冷却流路17Bのいずれかが形成される。第1コイル冷却流路17Aおよび第2コイル冷却流路17Bは、ステータ4の周方向に環状をなすように配置されている。そして、第1コイル冷却流路17Aと第2コイル冷却流路17Bは、ステータ4の周方向に位相をずらして所定のパターンで配置されている。例えば、第1コイル冷却流路17Aおよび第2コイル冷却流路17Bは、ステータ4の周方向において1スロットおきに交互に配置されている。
【0038】
図8(a)は、第1コイル冷却流路17Aの構成例を示す断面図である。第1コイル冷却流路17Aは、スロット内でコイル6の外周側に形成され、図7に示すようにコイル6とステータ被覆層7に臨んでいる。図8(a)に示すように、第1コイル冷却流路17Aは、ステータ4を貫通して軸方向に延び、一方側で第1分配流路16Aに接続されている。また、第1コイル冷却流路17Aの他方側は、第2分配流路16Bよりも内周側のステータ被覆層7を貫通し、第2遮蔽板8Bに形成されたオイル吐出孔9に接続されている。
【0039】
図8(b)は、第2コイル冷却流路17Bの構成例を示す断面図である。第2コイル冷却流路17Bは、スロット内でコイル6の外周側に形成され、図7に示すようにコイル6とステータ被覆層7に臨んでいる。図8(b)に示すように、第2コイル冷却流路17Bは、ステータ4を貫通して軸方向に延び、他方側で第2分配流路16Bに接続されている。また、第2コイル冷却流路17Bの一方側は、第1分配流路16Aよりも内周側のステータ被覆層7を貫通し、第1遮蔽板8Aに形成されたオイル吐出孔9に接続されている。
【0040】
次に、本実施形態の回転電機1におけるオイルの流れについて説明する。
回転電機1において、ハウジング本体11のオイルパン20に貯留されたオイルは、オイルポンプの駆動によりオイル出口19から吸い出され、オイルクーラで冷却される。オイルクーラで冷却されたオイルは、オイル入口15からハウジング本体11の上側に位置する給油路14に送出される。
【0041】
給油路14のオイルは、給油路14に接続された第1の溝11aに沿って周方向に流れ、第2の溝11bにそれぞれ分岐する。そして、軸方向の一方側に向けて第2の溝11bを流れるオイルは第1分配流路16Aに流入し、軸方向の他方側に向けて第2の溝11bを流れるオイルは第2分配流路16Bに流入する。また、第1の溝11aおよび第2の溝11bを流れるオイルはステータコア5の外周面と接触し、これによりステータ4が外側から冷却される。
【0042】
第1分配流路16Aのオイルは、第1分配流路16A内を周方向に流れ、第1分配流路16Aの溝7aを介して周方向に配置された複数の第1コイル冷却流路17Aにそれぞれ分配される。各々の第1コイル冷却流路17Aを流れるオイルは、第1コイル冷却流路17A内を一方側から他方側に流れ、第2遮蔽板8Bのオイル吐出孔9に導かれる。第1コイル冷却流路17Aでは、軸方向に沿ってオイルがコイル6と接触し続け、これによりステータ4内で第1コイル冷却流路17Aに臨むコイル6が冷却される。
【0043】
一方、第2分配流路16Bのオイルは、第2分配流路16B内を周方向に流れ、第2分配流路16Bの溝7aを介して周方向に配置された複数の第2コイル冷却流路17Bにそれぞれ分配される。各々の第2コイル冷却流路17Bを流れるオイルは、第2コイル冷却流路内を他方側から一方側に流れ、第1遮蔽板8Aのオイル吐出孔9に導かれる。第2コイル冷却流路17Bでは、軸方向に沿ってオイルがコイル6と接触し続け、これによりステータ4内で第2コイル冷却流路17Bに臨むコイル6が冷却される。
【0044】
第1コイル冷却流路17Aを経てオイル吐出孔9から吐出されるオイルは、ステータ4の他方側のコイルエンド6aと接触して熱を奪いつつ、他方側のコイルエンド6aから下側に流れる。同様に、第2コイル冷却流路17Bを経てオイル吐出孔9から吐出されるオイルは、ステータ4の一方側のコイルエンド6aと接触して熱を奪いつつ、一方側のコイルエンド6aから下側に流れる。そして、各コイルエンド6aからのオイルは、いずれもオイルパン20に還流して貯留される。そして、オイルパン20のオイルは、オイルポンプの駆動によってオイルクーラに向けて再び送出される。
【0045】
以上のように、本実施形態の回転電機1の冷却構造は、コイル6が収容されたスロットを周方向に複数有するステータ4と、スロット内でコイル6の外周側に形成され、コイル6を冷却するオイルを軸方向に流す複数のコイル冷却流路(17A、17B)と、ステータ4の一方側で第1コイル冷却流路17Aにオイルを周方向に分配する第1分配流路16Aと、ステータ4の他方側で第2コイル冷却流路17Bにオイルを周方向に分配する第2分配流路16Bと、を備えている。第1コイル冷却流路17Aでは上流側であるコイル6の一方側が効率的に冷却され、第2コイル冷却流路17Bでは上流側であるコイル6の他方側が効率的に冷却される。第1コイル冷却流路17Aと第2コイル冷却流路17Bは周方向にずれて配置されているため、ステータ4では一方側と他方側の冷却むらが抑制される。
【0046】
また、本実施形態の第1コイル冷却流路17Aおよび第2コイル冷却流路17Bは、スロット内でコイル6の外周側に形成され、第1分配流路16Aと第2分配流路16Bは、ステータ4の軸方向の各端部にそれぞれ形成される。そのため、本実施形態では、コイルの外周側にオイルの流路をまとめて配置できる。
例えば、従来のようにコイルの内周側に冷媒の流路を設ける場合、コイルを跨いでステータの内側に流路を設けるため、配管の配置も含めて回転電機の組立作業が煩雑となる。これに対し、本実施形態の構成では、コイルの径方向内側にオイルを導く流路を形成しなくて済むので、回転電機1の組立作業が容易となる。
【0047】
また、本実施形態の構成では、ステータ4のスロット内をオイルの流路の一部として利用できるので冷却構造の部品点数が低減し、製造コストを抑制できる。また、第1コイル冷却流路17Aおよび第2コイル冷却流路17Bでは、コイル6にオイルが直接接触するので、各スロットの発熱するコイル6をそれぞれ効率よく冷却できる。
【0048】
さらに、本実施形態の構成では、ステータ4の軸方向端部に遮蔽板(8A,8B)を取り付けで第1分配流路16Aや第2分配流路16Bを形成することでも、冷却構造の部品点数が低減し、製造コストを抑制できる。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0050】
例えば、上記実施形態では回転電機の一例としてモータの構成例を説明したが、上記実施形態の回転電機の冷却構造は油冷型の発電機に適用されてもよい。また、モータの用途は車両用モータに限定されるものではない。また、上記実施形態のロータは、永久磁石を有するものに限定されず、例えば、かご型回転子や巻線型回転子などであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、第1コイル冷却流路17A,第2コイル冷却流路17Bは、隣り合うスロットで周方向に交互に配置されていなくてもよい。例えば、第1コイル冷却流路17A,第2コイル冷却流路17Bは、周方向において複数のスロットおきに入れ替わるように配置されてもよい。
【0052】
また、上記実施形態において、スロット内やステータコアの軸方向端面を被覆するステータ被覆層7の材料は樹脂に限定されず、例えばセラミックなどの他の材料で構成されていてもよい。
【0053】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1…回転電機、2…ロータ、3…シャフト、4…ステータ、5…ステータコア、5a…ヨーク部、5b…ティース部、6…コイル、6a…コイルエンド、7…ステータ被覆層、7a…溝、8A…第1遮蔽板、8B…第2遮蔽板、9…オイル吐出孔、11…ハウジング本体、11a…第1の溝、11b…第2の溝、12…ハウジングカバー、13…軸受、14…給油路、15…オイル入口、16A…第1分配流路、16B…第2分配流路、17A…第1コイル冷却流路、17B…第2コイル冷却流路、19…オイル出口、20…オイルパン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが収容されたスロットを周方向に複数有するステータと、
前記スロット内で前記コイルの外周側に形成され、前記コイルを冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、
前記ステータの軸方向一方側の端部に形成され、前記軸方向一方側で前記コイル冷却流路に前記冷却油を前記周方向に分配する第1分配流路と、
前記ステータの軸方向他方側の端部に形成され、前記軸方向他方側で前記コイル冷却流路に前記冷却油を前記周方向に分配する第2分配流路と、を備え、
前記第1分配流路は、前記軸方向一方側から前記軸方向他方側に前記冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続され、
前記第2分配流路は、前記軸方向他方側から前記軸方向一方側に前記冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路にそれぞれ接続され、
前記第1コイル冷却流路と前記第2コイル冷却流路は、前記ステータの周方向にずれて配置されている
回転電機の冷却構造。
【請求項2】
前記スロットは、絶縁性を有する被覆層で被覆され、
前記コイル冷却流路は、前記ステータ内で前記被覆層と前記コイルに臨む
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項3】
前記第1分配流路および前記第2分配流路は、前記被覆層の材料で形成された部位を含む
請求項2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項4】
前記第1分配流路は、前記ステータの前記軸方向一方側に取り付けられた環状の第1遮蔽板と、前記ステータの前記軸方向一方側の端部の間に形成され、
前記第2分配流路は、前記ステータの前記軸方向他方側に取り付けられた環状の第2遮蔽板と、前記ステータの前記軸方向他方側の端部の間に形成される
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項5】
前記第1遮蔽板は、前記第2コイル冷却流路からの前記冷却油を前記軸方向一方側に吐き出す第1の吐出孔を有し、
前記第2遮蔽板は、前記第1コイル冷却流路からの前記冷却油を前記軸方向他方側に吐き出す第2の吐出孔を有する
請求項4に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項6】
前記第1コイル冷却流路と前記第2コイル冷却流路は、前記スロットごとに前記周方向に交互に配置されている
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項7】
前記ステータを収容する筐体をさらに備え、
前記冷却油は、前記筐体と前記ステータの外周面の間に形成された流路を介して前記第1分配流路および前記第2分配流路にそれぞれ供給される
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項8】
ロータと、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の回転電機の冷却構造と、
を備える回転電機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様の回転電機の冷却構造は、コイルが収容されたスロットを周方向に複数有するステータと、スロット内でコイルの外周側に形成され、コイルを冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、ステータの軸方向一方側の端部に形成され、軸方向一方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第1分配流路と、ステータの軸方向他方側の端部に形成され、軸方向他方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第2分配流路と、を備える。第1分配流路は、軸方向一方側から軸方向他方側に冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続される。第2分配流路は、軸方向他方側から軸方向一方側に冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路にそれぞれ接続される。第1コイル冷却流路と第2コイル冷却流路は、ステータの周方向にずれて配置されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記の一態様において、第1分配流路は、ステータの軸方向一方側に取り付けられた環状の第1遮蔽板と、ステータの軸方向一方側の端部の間に形成されてもよい。また、第2分配流路は、ステータの軸方向他方側に取り付けられた環状の第2遮蔽板と、ステータの軸方向他方側の端部の間に形成されてもよい。
また、第1遮蔽板は、第2コイル冷却流路からの冷却油を軸方向一方側に吐き出す第1の吐出孔を有していてもよい。第2遮蔽板は、第1コイル冷却流路からの冷却油を軸方向他方側に吐き出す第2の吐出孔を有していてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが収容されたスロットを周方向に複数有するステータと、
前記スロット内で前記コイルの外周側に形成され、前記コイルを冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、
前記ステータの軸方向一方側の端部に形成され、前記軸方向一方側で前記コイル冷却流路に前記冷却油を前記周方向に分配する第1分配流路と、
前記ステータの軸方向他方側の端部に形成され、前記軸方向他方側で前記コイル冷却流路に前記冷却油を前記周方向に分配する第2分配流路と、を備え、
前記第1分配流路は、前記軸方向一方側から前記軸方向他方側に前記冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続され、
各々の前記第1コイル冷却流路は、前記第2分配流路を前記軸方向に跨いで前記軸方向他方側に前記冷却油を吐き出し、
各々の前記第2コイル冷却流路は、前記第1分配流路を前記軸方向に跨いで前記軸方向一方側に前記冷却油を吐き出し、
前記第2分配流路は、前記軸方向他方側から前記軸方向一方側に前記冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路にそれぞれ接続され、
前記第1コイル冷却流路と前記第2コイル冷却流路は、前記ステータの周方向にずれて配置されている
回転電機の冷却構造。
【請求項2】
前記スロットは、絶縁性を有する被覆層で被覆され、
前記コイル冷却流路は、前記ステータ内で前記被覆層と前記コイルに臨む
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項3】
前記第1分配流路および前記第2分配流路は、前記被覆層の材料で形成された部位を含む
請求項2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項4】
前記第1分配流路は、前記ステータの前記軸方向一方側に取り付けられた環状の第1遮蔽板と、前記ステータの前記軸方向一方側の端部の間に形成され、
前記第2分配流路は、前記ステータの前記軸方向他方側に取り付けられた環状の第2遮蔽板と、前記ステータの前記軸方向他方側の端部の間に形成される
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項5】
前記第1遮蔽板は、前記第2コイル冷却流路からの前記冷却油を前記軸方向一方側に吐き出す第1の吐出孔を有し、
前記第2遮蔽板は、前記第1コイル冷却流路からの前記冷却油を前記軸方向他方側に吐き出す第2の吐出孔を有する
請求項4に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項6】
前記第1コイル冷却流路と前記第2コイル冷却流路は、前記スロットごとに前記周方向に交互に配置されている
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項7】
前記ステータを収容する筐体をさらに備え、
前記冷却油は、前記筐体と前記ステータの外周面の間に形成された流路を介して前記第1分配流路および前記第2分配流路にそれぞれ供給される
請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項8】
ロータと、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の回転電機の冷却構造と、
を備える回転電機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様の回転電機の冷却構造は、コイルが収容されたスロットを周方向に複数有するステータと、スロット内でコイルの外周側に形成され、コイルを冷却する冷却油を軸方向に流す複数のコイル冷却流路と、ステータの軸方向一方側の端部に形成され、軸方向一方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第1分配流路と、ステータの軸方向他方側の端部に形成され、軸方向他方側でコイル冷却流路に冷却油を周方向に分配する第2分配流路と、を備える。第1分配流路は、軸方向一方側から軸方向他方側に冷却油を流す複数の第1コイル冷却流路にそれぞれ接続される。第2分配流路は、軸方向他方側から軸方向一方側に冷却油を流す複数の第2コイル冷却流路にそれぞれ接続される。各々の第1コイル冷却流路は、第2分配流路を軸方向に跨いで軸方向他方側に冷却油を吐き出し、各々の第2コイル冷却流路は、第1分配流路を軸方向に跨いで軸方向一方側に冷却油を吐き出す。第1コイル冷却流路と第2コイル冷却流路は、ステータの周方向にずれて配置されている。