(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057132
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】メンテナンス情報作成装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
G06F11/07 193
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163642
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】青山 修作
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大弥
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042KK17
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC17
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】対象システムに異常が生じた場合に、メンテナンス情報を短時間で作成できるメンテナンス情報作成装置を提供する。
【解決手段】情報収集手段75は、異常情報が生じたと判定された場合に、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、キーワードによって特定される不具合情報を収集し、その不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報を収集する。対応付け手段77は、異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う。メンテナンス情報作成手段78は、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報に基づいて、異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、前記対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定する異常情報検知手段と、
前記異常情報が生じたと判定された場合に、前記異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、前記キーワードによって特定される不具合情報を収集し、前記不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報を収集する情報収集手段と、
前記異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う対応付け手段と、
前記異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報に基づいて、前記異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力するメンテナンス情報作成手段とを備える
ことを特徴とするメンテナンス情報作成装置。
【請求項2】
不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報は、パッチと、当該パッチの適用方法を示す情報とを含むパッチ情報と、前記不具合を解消するための設定の変更方法を示す設定変更情報のいずれか一方または両方である
請求項1に記載のメンテナンス情報作成装置。
【請求項3】
前記対応付け手段は、
前記異常情報から特定される異常が生じた前記対象システム内の製品の製品名およびバージョン情報と、収集された不具合情報に含まれている製品名およびバージョン情報と、前記異常情報が示す異常の内容と、収集された不具合情報が示す不具合の内容とに基づいて、前記異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う
請求項1に記載のメンテナンス情報作成装置。
【請求項4】
前記情報収集手段は、
前記異常情報が示す異常が生じた製品のベンダのサーバから、不具合情報、および、前記不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報を収集する
請求項1に記載のメンテナンス情報作成装置。
【請求項5】
前記情報収集手段は、
前記ベンダのサーバ以外のサーバから、前記キーワードによって特定される情報を参考情報として収集し、
前記メンテナンス情報作成手段は、
前記メンテナンス情報とともに、前記参考情報を出力する
請求項4に記載のメンテナンス情報作成装置。
【請求項6】
監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、前記対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定し、
前記異常情報が生じたと判定された場合に、前記異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、前記キーワードによって特定される不具合情報を収集し、前記不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報を収集し、
前記異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行い、
前記異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報に基づいて、前記異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力する
ことを特徴とするメンテナンス情報作成方法。
【請求項7】
コンピュータに、
監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、前記対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定する異常情報検知処理、
前記異常情報が生じたと判定された場合に、前記異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、前記キーワードによって特定される不具合情報を収集し、前記不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報を収集する情報収集処理、
前記異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う対応付け処理、および、
前記異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている前記不具合を解消するための情報に基づいて、前記異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力するメンテナンス情報作成処理
を実行させるためのメンテナンス情報作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象システムに生じた異常を解消するためのメンテナンス情報を作成するメンテナンス情報作成装置、メンテナンス情報作成方法およびメンテナンス情報作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、脆弱性リスク診断システムが記載されている。特許文献1に記載された脆弱性リスク診断システムは、外部システムに含まれるシステム機器の構成情報を格納する。また、この脆弱性リスク診断システムは、ベンダ等が公開した脆弱性情報を収集し、登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視の対象となるシステムを対象システムと称する。対象システムは、ユーザによって運用される。対象システムは、運用中に、対象システムの動作内容に応じたログデータを出力する。
【0005】
また、対象システムに既に生じた障害、および、障害の予兆となる事象を異常と称する。ログデータとして、異常が生じたことを示す情報が出力される場合がある。
【0006】
また、対象システムに異常が生じた場合に、その異常に対してどのように対処すればよいのかを示す情報を「メンテナンス情報」と記す。対象システムに異常が生じた場合に、メンテナンス情報を短時間で作成できることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明は、対象システムに異常が生じた場合に、メンテナンス情報を短時間で作成できるメンテナンス情報作成装置、メンテナンス情報作成方法およびメンテナンス情報作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるメンテナンス情報作成装置は、監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定する異常情報検知手段と、異常情報が生じたと判定された場合に、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、キーワードによって特定される不具合情報を収集し、その不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報を収集する情報収集手段と、異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う対応付け手段と、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報に基づいて、異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力するメンテナンス情報作成手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によるメンテナンス情報作成方法は、監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定し、異常情報が生じたと判定された場合に、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、キーワードによって特定される不具合情報を収集し、その不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報を収集し、異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行い、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報に基づいて、異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力することを特徴とする。
【0010】
本発明によるメンテナンス情報作成プログラムは、コンピュータに、監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定する異常情報検知処理、異常情報が生じたと判定された場合に、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、キーワードによって特定される不具合情報を収集し、その不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報を収集する情報収集処理、異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う対応付け処理、および、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報に基づいて、異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力するメンテナンス情報作成処理を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対象システムに異常が生じた場合に、メンテナンス情報を短時間で作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態のメンテナンス情報作成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の処理経過の例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明のメンテナンス情報作成装置に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
【
図4】本発明のメンテナンス情報作成装置の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
まず、本発明の実施形態で用いる種々の用語について説明する。
【0015】
「不具合情報」とは、不具合の内容(換言すれば、誤った動作内容)を示す情報である。例えば、「Aという操作を行った場合、本来の動作ではない、シャットダウンという動作が行われる。」等の内容を示す情報が、不具合情報である。不具合情報が示す内容は、上記の例に限定されない。
【0016】
不具合情報は、その不具合情報が示す不具合が生じる製品の製品名およびバージョン情報を含んでいる。なお、製品名は存在するが、バージョン情報が存在しない製品もある。そのような製品の不具合情報は、バージョン情報を含まなくてよい。
【0017】
また、不具合情報は、その不具合情報に対応する製品のベンダによって、広く公衆に向けて公開されている。
【0018】
不具合情報には、ソフトウェアに対するパッチ情報と設定変更情報のいずれか一方または両方が対応付けられている。
【0019】
「パッチ情報」は、不具合を解消するためのソフトウェアのパッチそのものと、そのパッチの適用方法を示す情報とを含む。パッチの適用方法を示す情報は、例えば、Webページで公開されているテキスト情報である。
【0020】
「設定変更情報」は、不具合を解消するための、製品の設定の変更方法を示す情報である。設定の変更方法を示す情報は、例えば、Webページで公開されているテキスト情報である。
【0021】
パッチ情報および設定変更情報も、それらの情報に対応する製品のベンダによって、広く公衆に向けて公開されている。
【0022】
不具合情報に対する、パッチ情報と設定変更情報のいずれか一方または両方の対応付けは、そのベンダによって行われる。
【0023】
パッチ情報および設定変更情報は、不具合を解消するための情報であると言うことができる。
【0024】
前述のように、「メンテナンス情報」は、対象システムに異常が生じた場合に、その異常に対してどのように対処すればよいのかを示す情報である。メンテナンス情報は、異常を解消するための情報であると言うことができる。
【0025】
例えば、異常が生じた場合に、対象システム内で異常が生じた製品に関して、どのパッチをどのような方法で適用すればよいかを示す情報や、対象システム内で異常が生じた製品の設定をどのように変更すればよいのかを示す情報が、メンテナンス情報に該当する。
【0026】
前述のように、対象システムに既に生じた障害、および、障害の予兆となる事象を異常と称する。「異常情報」は、対象システム内に生じた異常(既に生じた障害、または、障害の予兆となる事象)の内容を示す情報である。異常情報は、異常が生じた時刻の情報を含んでいてもよい。異常情報は、対象システムが出力するログデータに記述されている。なお、ログデータには、正常時には正常な動作に応じた情報が記述され、異常発生時には、異常の内容を示す異常情報が記述される。また、ログデータは、対象システムに含まれる製品毎に、定められた出力先に、定められた形式(書式)で出力される。
【0027】
「製品情報」は、対象システムに含まれる製品毎に、製品名、バージョン情報、および、製品のログデータの特徴情報を対応付けた情報である。製品のログデータの特徴情報は、例えば、ログデータの出力先および形式(書式)を示す情報である。前述のように、製品名は存在するが、バージョン情報が存在しない製品もある。製品情報において、そのような製品に関しては、製品名と、製品のログデータの特徴情報とが対応付けられていればよい。
【0028】
「設定情報」は、対象システムに含まれる各製品の現状の設定を示す情報である。
【0029】
ログデータに記述された異常情報には、対象システム内で異常が生じた製品の製品名およびバージョン情報が含まれている場合もあるが、製品名およびバージョン情報が含まれていない場合もある。異常情報に、製品名およびバージョン情報が含まれていなくても、その異常情報が記述されたログデータの出力先や形式を示す情報と、「製品情報」に含まれているログデータの特徴情報とに基づいて、異常が生じた製品の製品名およびバージョン情報を特定することができる。
【0030】
図1は、本発明の実施形態のメンテナンス情報作成装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態のメンテナンス情報作成装置1は、情報取得部2と、情報記憶部3と、異常情報検知部4と、情報収集部5と、収集情報記憶部6と、マッチング部7と、メンテナンス情報作成部8と、ディスプレイ装置9とを備える。
【0031】
また、メンテナンス情報作成装置1は、監視の対象となる対象システム100に接続されている。対象システム100は、例えば、ハードウェア101、仮想基盤102、OS(Operating System)103、ミドルウェア104、OSS(Open Source Software)105とを含む。また、対象システム100は、種々の製品を含んでいる。対象システム100に含まれる個々の製品は、ハードウェアであっても、ソフトウェアであってもよい。
【0032】
情報取得部2は、対象システムに含まれる製品毎に、製品名、バージョン情報、および、製品のログデータの特徴情報(例えば、ログデータの出力先および形式)を対応付けた情報を取得し、その情報をリスト形式にした情報を、製品情報31として、情報記憶部3に格納する。また、情報取得部2は、対象システムに含まれる製品毎に、現状の設定を示す情報を取得し、その情報をリスト形式にした情報を、設定情報32として、情報記憶部3に格納する。情報取得部2は、予め製品情報31および設定情報32を、情報記憶部3に格納する。前述のように、バージョン情報が存在しない製品に関しては、製品情報31において、製品名と、製品のログデータの特徴情報とが対応付けられていればよい。
【0033】
また、情報取得部2は、対象システム100に含まれる各製品が出力するログデータを取得し、ログデータ33として情報記憶部3に格納する。対象システム100内の各製品は、時間経過に伴い新たなログデータを出力するので、情報取得部2は、その新たなログデータを随時、取得し、新たなログデータを、情報記憶部3に格納されているログデータ33に追加していく。また、情報取得部2は、対象システム100における、製品毎のログデータを取得した箇所(換言すれば、ログデータの出力先)を示す情報も、製品毎にログデータ33に含める。
【0034】
情報記憶部3は、製品情報31、設定情報32およびログデータ33を記憶する記憶装置である。
【0035】
異常情報検知部4は、定期的に(例えば、数秒間隔で)ログデータ33を参照することによって、ログデータ内に異常情報が生じたか否かを定期的に判定する。異常情報が生じたと判定したということは、異常情報検知部4が異常情報を検知したということである。
【0036】
ログデータ内に異常情報が生じた場合には、異常情報検知部4は、異常情報が示す異常が生じた製品の製品名およびバージョン情報を特定する。異常情報内に、製品名およびバージョン情報が含まれている場合には、異常情報検知部4は、その製品名およびバージョン情報を特定すればよい。異常情報内に異常が生じた製品の製品名およびバージョン情報が含まれていない場合、異常情報検知部4は、その異常情報と、予め格納されている製品情報31とに基づいて、異常が生じた製品の製品名およびバージョン情報を特定する。異常情報が記述されているログデータの出力先の情報もログデータ33には含まれている。また、製品情報31は、製品毎のログデータの特徴情報(本例では、ログデータの出力先および形式)が含まれている。従って、異常情報検知部4は、異常情報と製品情報31とに基づいて、異常が生じた製品の製品名およびバージョン情報を特定することができる。バージョン情報が存在しない製品に関しては、異常情報検知部4は、異常情報と製品情報31とに基づいて、異常が生じた製品の製品名を特定すればよい。
【0037】
異常情報検知部4によって異常情報が生じたと判定されると、情報収集部5は、直ちに、その異常情報に含まれるワードをキーワードとして、そのキーワードによって特定される不具合情報を、特定された製品のベンダのサーバから収集する。各ベンダが種々の製品の不具合情報を公開しているが、情報収集部5は、そのような種々の不具合情報のうち、前述のように、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、そのキーワードによって特定される不具合情報を、特定された製品のベンダのサーバから収集する。さらに、情報収集部5は、その不具合情報に対応付けられているパッチ情報や設定変更情報も、そのベンダのサーバから収集する。不具合情報にパッチ情報のみが対応付けられている場合には、情報収集部5は、不具合情報と、そのパッチ情報とを収集すればよい。不具合情報に設定変更情報のみが対応付けられている場合には、情報収集部5は、不具合情報と、その設定変更情報とを収集すればよい。不具合情報にパッチ情報と設定変更情報の両方が対応付けられている場合、情報収集部5は、不具合情報と、そのパッチ情報および設定変更情報を収集すればよい。
【0038】
情報収集部5は、例えば、インターネット200を介して、上述のように、不具合情報と、パッチ情報と、設定変更情報とを収集すればよい。なお、収集される不具合情報は、1つに限らず、2つ以上存在していてもよい。
【0039】
情報収集部5は、上述のように収集した不具合情報61、パッチ情報62および設定変更情報63を収集情報記憶部6に格納する。
【0040】
収集情報記憶部6は、不具合情報61、パッチ情報62および設定変更情報63を記憶する記憶装置である。
【0041】
マッチング部7は、異常情報検知部4によって検知された異常情報と、収集された不具合情報61(換言すれば、収集情報記憶部6に格納された不具合情報61)とをマッチングする。すなわち、マッチング部7は、検知された異常情報と、収集された不具合情報61とを対応付ける。
【0042】
マッチング部7は、異常情報から特定された製品名およびバージョン情報と、不具合情報に含まれている製品名およびバージョン情報と、異常情報の内容と、不具合情報の内容とに基づいて、異常情報と不具合情報とをマッチングするためのモデルを、予め保持している。このモデルは、予め用意された学習用データを用いて機械学習によって得られるモデルである。マッチング部7は、このモデルを用いることによって、異常情報から特定された製品名およびバージョン情報と、不具合情報に含まれている製品名およびバージョン情報と、異常情報の内容と、不具合情報の内容とに基づいて、異常情報と不具合情報とを対応づける。なお、異常情報検知部4によって、バージョン情報が特定されず、不具合情報に、バージョン情報が含まれていない場合には、マッチング部7は、異常情報から特定された製品名と、不具合情報に含まれている製品名と、異常情報の内容と、不具合情報の内容とに基づいて、異常情報と不具合情報とを対応づければよい。
【0043】
なお、ベンダは、そのベンダが扱う種々の製品に関して、不具合情報やその不具合情報に対応付けられるパッチ情報および設定変更情報を公開している。従って、情報収集部5によって収集された不具合情報の中に、異常情報と対応付けられない不具合情報が存在していてもよい。また、1つの異常情報に対応付けられる不具合情報は、1つに限らず、2つ以上存在していてもよい。
【0044】
また、ベンダは、1つの製品の1つのバージョンに関して、時間経過に伴い、複数回、不具合情報、パッチ情報および設定変更情報を公開する場合がある。これらの不具合情報等が収集された場合、マッチング部7は、異常情報に対して、公開された時期の新しい順に、不具合情報を対応付けていけばよい。
【0045】
メンテナンス情報作成部8は、異常情報に対応づけられた不具合情報にパッチ情報が対応付けられているならば、パッチの適用方法を示す情報をパッチ情報から抽出し、その情報をメンテナンス情報として定める。また、メンテナンス情報作成部8は、異常情報に対応づけられた不具合情報に設定変更情報が対応付けられているならば、その設定変更情報が示す製品の設定の変更方法を、メンテナンス情報として定める。また、不具合情報にパッチ情報と設定変更情報の両方が対応付けられているならば、メンテナンス情報作成部8は、パッチの適用方法と、製品の設定の変更方法とを合わせて、メンテナンス情報として定める。上記の動作は、メンテナンス情報作成部8が、メンテナンス情報を作成する動作であると言える。
【0046】
前述のように、異常情報に対して、公開された時期の新しい順に、不具合情報が対応付けられている場合には、メンテナンス情報作成部8は、その不具合情報の順番に従って、不具合情報毎にメンテナンス情報を作成し、不具合情報の順番に対応付けて、メンテナンス情報に順番を定める。この場合、公開された時期が最も新しい不具合情報に対応するメンテナンス情報を、1番目のメンテナンス情報とする。また、公開された時期が最も古い不具合情報に対応するメンテナンス情報を、最後のメンテナンス情報とする。
【0047】
メンテナンス情報作成部8は、上記のように定めたメンテナンス情報を出力する。
図1に示す例では、メンテナンス情報作成部8は、メンテナンス情報をディスプレイ装置9に表示する。ただし、メンテナンス情報の出力態様は、表示に限定されず、表示以外の方法でメンテナンス情報を出力してもよい。
【0048】
また、上記のようにメンテナンス情報の順番を定めた場合には、メンテナンス情報作成部8は、その順番に従って、メンテナンス情報を出力する。
【0049】
情報収集部5は、メンテナンス情報作成プログラムに従って動作するコンピュータのCPU(Central Processing Unit )、および、そのコンピュータの通信インタフェースによって実現される。例えば、CPUが、コンピュータのプログラム記憶装置等のプログラム記録媒体からメンテナンス情報作成プログラムを読み込み、そのメンテナンス情報作成プログラムに従って、通信インタフェースを用いて、情報収集部5として動作すればよい。また、情報取得部2、異常情報検知部4、マッチング部7およびメンテナンス情報作成部8は、例えば、メンテナンス情報作成プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。例えば、CPUが上記のようにプログラム記録媒体からメンテナンス情報作成プログラムを読み込み、そのメンテナンス情報作成プログラムに従って、情報取得部2、異常情報検知部4、マッチング部7およびメンテナンス情報作成部8として動作すればよい。情報記憶部3および収集情報記憶部6は、例えば、コンピュータが備える記憶装置によって実現される。
【0050】
次に処理経過について説明する。
図2は、本発明の実施形態の処理経過の例を示すフローチャートである。既に説明した事項については、適宜、説明を省略する。
【0051】
製品情報31は、予め情報記憶部3に格納されているものとする。また、対象システム100内の各製品が時間経過に伴い出力する新たなログデータは、情報取得部2によって、情報記憶部3に格納されているログデータ33に随時、追加されるものとする。
【0052】
異常情報検知部4は、ログデータ33を参照することによって、ログデータ内に異常情報が生じたか否かを判定する(ステップS1)。
【0053】
異常情報が生じていないと判定した場合(ステップS1のNo)、異常情報検知部4は、一定期間(例えば、数秒)待機し(ステップS2)、再度ステップS1の処理を実行する。すなわち、異常情報検知部4は、ログデータ内に異常情報が生じたか否かを定期的に判定する。
【0054】
異常情報が生じたと判定した場合(ステップS1のYes)、異常情報検知部4は、異常が生じた製品の製品名とバージョン情報とを特定する(ステップS3)。
【0055】
また、その場合、情報収集部5は、直ちに、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、そのキーワードによって特定される不具合情報を、製品のベンダのサーバから収集する。さらに、情報収集部5は、その不具合情報に対応付けられているパッチ情報や設定変更情報も、そのベンダのサーバから収集する(ステップS4)。情報収集部5は、収集した不具合情報、パッチ情報、設定変更情報を収集情報記憶部6に格納する。
【0056】
次に、マッチング部7は、ステップS3で特定された製品名およびバージョン情報、不具合情報に含まれる製品名およびバージョン情報、異常情報が示す異常の内容、並びに、不具合情報が示す不具合の内容に基づいて、異常情報と、収集された不具合情報とを対応付ける(ステップS5)。
【0057】
次に、メンテナンス情報作成部8は、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられているパッチ情報や設定変更情報に基づいて、メンテナンス情報を作成する(ステップS6)。
【0058】
次に、メンテナンス情報作成部8は、作成したメンテナンス情報を出力する(ステップS7)。例えば、メンテナンス情報作成部8は、作成したメンテナンス情報を、ディスプレイ装置9に表示させる。
【0059】
本実施形態では、異常情報が生じると、情報収集部5は、直ちに、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、そのキーワードによって特定される不具合情報を、製品のベンダのサーバから収集する。さらに、情報収集部5は、その不具合情報に対応付けられているパッチ情報や設定変更情報も、そのベンダのサーバから収集する。そして、マッチング部7は、異常情報と、収集された不具合情報とを対応付ける。そして、メンテナンス情報作成部8は、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられているパッチ情報や設定変更情報に基づいて、メンテナンス情報を作成する。従って、本実施形態によれば、対象システムに異常が生じた場合に、メンテナンス情報を短時間で作成できる。
【0060】
その結果、対象システムを運用するユーザは、対象システム内の製品に異常が生じた場合に、そのメンテナンス情報に従って対処を行うことで、異常を解消することができる。メンテナンス情報は短時間で作成されるので、ユーザは、早期に、異常に対して対処を行うことができる。
【0061】
また、異常が、障害の予兆となる事象である場合には、上記のように異常を解消することによって、障害の発生を未然に防ぐことができる。
【0062】
次に、本発明の実施形態の変形例について説明する。上記の実施形態では、情報収集部5は、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、そのキーワードによって特定される不具合情報を、特定された製品のベンダのサーバから収集する。さらに、情報収集部5は、その不具合情報に対応付けられているパッチ情報や設定変更情報も、そのベンダのサーバから収集する。変形例では、情報収集部5は、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、そのキーワードによって特定される種々の情報を収集する。すなわち、情報収集部5は、キーワードによって特定される情報であれば、特定された製品のベンダが公開した不具合情報以外の情報であっても収集する。本変形例において、キーワードによって特定され、情報収集部5によって収集された情報であって、不具合情報以外の情報を参考情報と記す。情報収集部5は、参考情報を、上記のベンダのサーバ以外のサーバから収集する。例えば、一般の個人が、不具合の内容をブログで公開する場合がある。そのようなブログで公開された情報の中に、キーワードによって特定される情報があるならば、情報収集部5は、その情報を参考情報として収集し、参考情報も収集情報記憶部6に格納する。そして、メンテナンス情報作成部8は、作成したメンテナンス情報とともに、その参考情報を出力する(例えば、ディスプレイ装置9に表示させる)。なお、情報収集部5は、情報が、ベンダが公開した不具合情報であるのか、ベンダ以外の者が公開した情報であるのかを、例えば、URL(Uniform Resource Locator)に基づいて判定できる。
【0063】
参考情報(例えば、個人のブログから得られる情報)には、パッチ情報や設定変更情報が対応付けられていない。そして、上記のように、メンテナンス情報作成部8は、作成したメンテナンス情報とともに、その参考情報を出力する。この変形例によれば、ユーザは、メンテナンス情報に基づいて異常に対処する際に、参考情報も参照することができる。なお、上記の説明では、参考情報が、個人のブログから得られる情報である場合を例示したが、参考情報は、そのような情報に限定されない。
【0064】
図3は、本発明のメンテナンス情報作成装置1に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。コンピュータ1000は、例えば、CPU1001と、主記憶装置1002と、補助記憶装置1003と、インタフェース1004と、ディスプレイ装置1005と、通信インタフェース1006とを備える。
【0065】
本発明の実施形態のメンテナンス情報作成装置1は、コンピュータ1000によって実現される。メンテナンス情報作成装置1の動作は、プログラム(メンテナンス情報作成プログラム)の形式で補助記憶装置1003に記憶されている。CPU1001は、そのプログラムを補助記憶装置1003から読み出し、そのプログラムを主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って、上記の実施形態で説明した処理を実行する。
【0066】
補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体の例である。一時的でない有形の媒体の他の例として、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory )、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory )、半導体メモリ等が挙げられる。また、プログラムが通信回線によってコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1000がそのプログラムを主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って上記の実施形態で説明した処理を実行してもよい。
【0067】
また、各構成要素の一部または全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各構成要素の一部または全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0068】
各構成要素の一部または全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0069】
次に、本発明の概要について説明する。
図4は、本発明のメンテナンス情報作成装置の概要を示すブロック図である。本発明のメンテナンス情報作成装置は、異常情報検知手段74と、情報収集手段75と、対応付け手段77と、メンテナンス情報作成手段78とを備える。
【0070】
異常情報検知手段74(例えば、異常情報検知部4)は、監視の対象となる対象システムから出力されるログデータを定期的に参照することによって、ログデータ内に、対象システム内に生じた異常の内容を示す異常情報が生じたか否かを定期的に判定する。
【0071】
情報収集手段75(例えば、情報収集部5)は、異常情報が生じたと判定された場合に、異常情報に含まれるワードをキーワードとして、不具合の内容を示す不具合情報であって公衆に公開されている不具合情報の中から、キーワードによって特定される不具合情報を収集し、その不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報を収集する。
【0072】
対応付け手段77(例えば、マッチング部7)は、異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う。
【0073】
メンテナンス情報作成手段78(例えば、メンテナンス情報作成部8)は、異常情報に対応付けられた不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報に基づいて、異常を解消するための情報であるメンテナンス情報を作成し、当該メンテナンス情報を出力する。
【0074】
そのような構成によって、対象システムに異常が生じた場合に、メンテナンス情報を短時間で作成できる。
【0075】
例えば、不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報は、パッチと、当該パッチの適用方法を示す情報とを含むパッチ情報と、不具合を解消するための設定の変更方法を示す設定変更情報のいずれか一方または両方である。
【0076】
対応付け手段77が、異常情報から特定される異常が生じた対象システム内の製品の製品名およびバージョン情報と、収集された不具合情報に含まれている製品名およびバージョン情報と、異常情報が示す異常の内容と、収集された不具合情報が示す不具合の内容とに基づいて、異常情報と、収集された不具合情報との対応付けを行う構成であってもよい。
【0077】
情報収集手段75が、異常情報が示す異常が生じた製品のベンダのサーバから、不具合情報、および、不具合情報に対応付けられている不具合を解消するための情報を収集する構成であってもよい。
【0078】
情報収集手段75が、ベンダのサーバ以外のサーバから、キーワードによって特定される情報を参考情報として収集し、メンテナンス情報作成手段78が、メンテナンス情報とともに、参考情報を出力する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、異常を解消するためのメンテナンス情報を作成するメンテナンス情報作成装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0080】
1 メンテナンス情報作成装置
2 情報取得部
3 情報記憶部
4 異常情報検知部
5 情報収集部
6 収集情報記憶部
7 マッチング部
8 メンテナンス情報作成部
9 ディスプレイ装置