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特開2024-57141情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057141
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240417BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240417BHJP
【FI】
H04M11/00 302
B60W40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163665
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】飯澤 高志
(72)【発明者】
【氏名】根岸 廣人
(72)【発明者】
【氏名】加峯 昂生
【テーマコード(参考)】
3D241
5K201
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB20Z
3D241DC40Z
3D241DD02Z
3D241DD04Z
5K201AA07
5K201CA04
5K201CB14
5K201CC01
5K201CC04
5K201CC08
5K201CC10
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED05
5K201EF04
5K201EF10
(57)【要約】
【課題】移動体の運転者と移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを好適に仲介することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】車載機1又はサーバ装置5は、移動体である対象車両の運転者と対象車両の外部に存在する車外端末2のユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置であって、予測手段と、表示制御手段とを有する。予測手段は、対象車両の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値であるワークロード予測値を算出する。そして、表示制御手段は、予測期間における時系列でのワークロード予測値を示す運転負荷予測情報を、車外端末2に表示させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置であって、
前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測手段と、
所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記予測手段は、前記所定期間における前記移動体の運転動作、運転者、又は走行環境の少なくともいずれかに関する予測された状態に基づき、前記予測指標値を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記移動体の経路に関する経路情報と、前記経路上での各地点の前記移動体の到着予想時刻とに基づき、前記所定期間における前記運転動作又は走行環境に関する状態を予測する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記運転者から検出された生体情報に基づき、前記所定期間における前記運転者に関する状態を予測する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記運転負荷予測情報として、前記所定期間における時刻と、当該時刻における前記予測指標値との関係を示すグラフを前記端末装置に表示させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記移動体の経路を表す地図を前記端末装置に表示させ、かつ、前記地図上での前記経路の表示態様を、前記予測指標値に基づき決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記経路上の各地点に対応する前記経路の色を、当該各地点における前記予測指標値に基づき決定する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置が実行する制御方法であって、
前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測工程と、
所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御工程と、
を有する制御方法。
【請求項9】
移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測手段と、
所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御手段
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の運転者と移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転者と車外の人との会話を実現する技術が知られている。例えば、特許文献1には、通信ネットワークを介して車載システムと通信することで車両の運転者と会話相手との通話を実現する会話提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者と車外の人との通話では、車外の人は運転者の心理状態が把握し辛い為、運転者の運転負荷が高い状況でも会話を中断する事ができず、運転者の運転負荷を高めてしまう状況があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を鑑み、移動体の運転者と移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを好適に仲介することが可能な情報処理装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置であって、
前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測手段と、
所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御手段と、
を有する情報処理装置であることを特徴とする。
【0007】
また、請求項8に記載の発明は、
移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置が実行する制御方法であって、
前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測工程と、
所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御工程と、
を有する制御方法であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項9に記載の発明は、
移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測手段と、
所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御手段
としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る運転通話システムの構成例を示す。
図2】車載機の概略構成の一例を示す。
図3】車外端末の概略構成の一例を示す。
図4】対象車両が走行中における車外端末の第1表示例を示す。
図5】対象車両が走行中における車外端末の第2表示例を示す。
図6】対象車両が走行中における車外端末の第3表示例を示す。
図7】車載機が実行する処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図8】変形例に係る運転通話システムの構成例を示す。
図9】サーバ装置の概略構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置であって、前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測手段と、所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御手段と、を有する。
【0011】
上記の情報処理装置は、移動体の外部に存在するユーザに対し、所定期間における時系列での予測される運転者の運転負荷を好適に認識させることができる。これにより、ユーザは、運転負荷の予測結果に応じて運転者とのコミュニケーションを円滑に行うことができる。
【0012】
上記情報処理装置の一態様では、前記予測手段は、前記所定期間における前記移動体の運転動作、運転者、又は走行環境の少なくともいずれかに関する予測された状態に基づき、前記予測指標値を算出する。これにより、情報処理装置は、運転負荷の予測指標値を的確に算出することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記予測手段は、前記移動体の経路に関する経路情報と、前記経路上での各地点の前記移動体の到着予想時刻とに基づき、前記所定期間における前記運転動作又は走行環境に関する状態を予測する。これにより、情報処理装置は、移動体の運転動作又は走行環境に関する状態を的確に予測し、運転負荷の予測指標値を的確に算出することができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記予測手段は、前記運転者から検出された生体情報に基づき、前記所定期間における前記運転者に関する状態を予測する。この態様により、情報処理装置は、運転者の体調を考慮した運転負荷の予測指標値を算出することができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記運転負荷予測情報として、前記所定期間における時刻と、当該時刻における前記予測指標値との関係を示すグラフを前記端末装置に表示させる。これにより、情報処理装置は、所定期間における時系列での運転負荷の予測結果を直感的に分かりやすい態様により端末装置のユーザに提示することができる。
【0016】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記移動体の経路を表す地図を前記端末装置に表示させ、かつ、前記地図上での前記経路の表示態様を、前記予測指標値に基づき決定する。好適な例では、前記表示制御手段は、前記経路上の各地点に対応する前記経路の色を、当該各地点における前記予測指標値に基づき決定するとよい。この態様によっても、情報処理装置は、所定期間における時系列での運転負荷の予測結果を直感的に分かりやすい態様により端末装置のユーザに提示することができる。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態では、移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置が実行する制御方法であって、前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測工程と、所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御工程と、を有する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、所定期間における時系列での予測される運転者の運転負荷を好適に認識させることができる。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、移動体の運転者と前記移動体の外部に存在するユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記移動体の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値である予測指標値を算出する予測手段と、所定期間における時系列での前記予測指標値を示す運転負荷予測情報を、前記ユーザの端末装置に表示させる表示制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムである。情報処理装置のコンピュータは、このプログラムを実行することで、所定期間における時系列での予測される運転者の運転負荷を好適に認識させることができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0020】
(1)システム構成
図1は、第1実施例に係る運転通話システムの構成例を示す。運転通話システムは、車両に設けられた車載機1と、車外に存在する者が使用する車外端末2とを有する。運転通話システムでは、車載機1と車外端末2とが互いに通信することで、車両の運転者と車外端末2のユーザとの間の音声通話を媒介し、車外端末2のユーザは、車両から得られる種々の情報を車外端末2により確認しながら車両の運転者と通話を行う。
【0021】
車載機1は、車両と共に移動し、当該車両の運転者と車外端末2のユーザとの通話を実現するための処理などを行う。以後では、車載機1が搭載された車両を「対象車両」とも呼ぶ。車載機1は、インターネットや専用通信網などの通信網3を介し、車外端末2とデータ通信を行う。車載機1と車外端末2とが授受を行うデータには、対象車両の運転者と車外端末2のユーザとの通話において生成される音声データ、及び、対象車両又は運転者に関する情報を表示するための表示指示データなどが含まれている。本実施例では、車載機1は、運転者の運転負荷(ワークロード)に関する情報(「ワークロード関連情報」とも呼ぶ。)を含む表示指示データを車外端末2に送信する。
【0022】
車載機1は、対象車両に設置され、設定された目的地への経路案内を行うナビゲーション装置であってもよく、経路案内機能を実現するアプリケーションがインストールされたスマートフォンなどの携帯端末であってもよい。また、車載機1は、対象車両に組み込まれてもよい。車載機1は、「情報処理装置」の一例である。また、対象車両は、「移動体」の一例である。
【0023】
車外端末2は、対象車両の外に存在する者が操作する端末であり、通信網3を介し、車載機1とデータ通信を行う。車外端末2は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末である。例えば、車外端末2は、対象車両の運転中に車載機1と通信を確立し、運転者と車外端末2のユーザとが通話を行うための音声データの授受を車載機1と行う。また、車外端末2は、通話中においてワークロード関連情報を含む表示指示データを車載機1から受信し、表示指示データに基づき、運転者のワークロードの状態等を表示する。これにより、車外端末2は、車外端末2のユーザに運転者のワークロードの状態を認識させ、運転者に話しかけるのに都合がよいタイミングなどを見計らう材料となる情報を好適に提供する。車外端末2は、「端末装置」の一例である。
【0024】
なお、車載機1と車外端末2との通信は、図示しないサーバ装置により中継されることで実現されてもよい。また、車載機1と車外端末2とが直接通信を確立する場合であっても、車載機1と車外端末2とが通信を確立するために必要な情報(例えば通信アドレス情報等)の授受を、車載機1又は/及び車外端末2がサーバ装置と行ってもよい。これらの場合、サーバ装置は、車載機1と車外端末2とがデータ通信を行うために必要な処理(車載機1及び車外端末2の認証処理を含む)を行う。
【0025】
(2)装置構成
図2は、車載機1の概略構成の一例を示す。車載機1は、主に、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、センサ群15と、表示部16と、音出力部17と、を有する。車載機1内の各要素は、バスライン10を介して相互に接続されている。
【0026】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、他の端末とのデータ通信を行う。通信部11は、例えば、地図DB(DataBase)4を更新するための地図データを図示しない地図管理サーバから受信してもよい。
【0027】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部12は、車載機1が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、通話を行うためのアプリケーションプログラム、車外端末2に地図表示や対象車両において撮影された画像の表示を実行させるためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部12は、制御部14の作業メモリとして使用される。なお、車載機1が実行するプログラムは、記憶部12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0028】
また、記憶部12は、地図DB(DataBase)4を記憶する。地図DB4には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地図DB4は、対象車両の現在位置などの所定の位置を基準とした地図表示に必要なデータである。地図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる施設を示す施設データなどを含むデータベースである。地図DB4は、制御部14の制御下において、通信部11が地図管理サーバから受信する情報に基づき更新されてもよい。
【0029】
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。表示部16は、制御部14の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。音出力部17は、制御部14の制御に基づき音を出力するスピーカ等である。
【0030】
センサ群15は、対象車両の状態又は車外の環境に関するセンシングを行う種々のセンサを含んでいる。センサ群15は、車外撮影カメラ51と、運転者カメラ52と、車両挙動検出器53と、生体センサ54と、を有する。
【0031】
車外撮影カメラ51は、対象車両の前方などの対象車両の外を撮影する1又は複数のカメラであり、所定時間間隔により撮影した画像(「車外撮影画像」とも呼ぶ。)を生成する。運転者カメラ52は、運転者の顔を撮影範囲に含むように設けられたカメラであり、所定時間間隔により撮影した画像(「運転者画像」とも呼ぶ。)を生成する。
【0032】
車両挙動検出器53は、現在位置、車速、加速度、操舵角等の対象車両の挙動を示す検出信号を生成する。車両挙動検出器53は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ジャイロセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、車速センサ、加速度センサ、操舵角センサなどを含む。
【0033】
生体センサ54は、運転者の心拍、発汗量等の生体現象を示す生体信号を生成する1又は複数のセンサである。
【0034】
なお、センサ群15は、車外撮影カメラ51、運転者カメラ52、車両挙動検出器53、及び生体センサ54の他、種々の外界センサ(カメラ、ライダ、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、ソナーなどを含む)及び内界センサを含んでもよい。
【0035】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、車載機1の全体を制御する。制御部14は、「予測手段」、「表示制御手段」、及びプログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
【0036】
なお、制御部14が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、制御部14が実行する処理は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、制御部14が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。
【0037】
図2に示す車載機1の構成は一例であり、図2に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。例えば、地図DB4を記憶部12が記憶する代わりに、制御部14が通信部11を介し、図示しない地図管理サーバから地図情報を受信してもよい。他の例では、入力部13、表示部16、及び音出力部17の少なくともいずれかは、車載機1の外部装置として対象車両内に設けられ、生成した信号を車載機1に供給してもよい。また、センサ群15の少なくとも一部のセンサは、対象車両に備え付けられたセンサであってもよい。この場合、車載機1は、対象車両に備え付けられたセンサが出力する情報を、対象車両からCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づき取得してもよい。
【0038】
図3は、車外端末2の概略構成の一例を示す。車外端末2は、主に、通信部21と、記憶部22と、入力部23と、制御部24と、センサ群25と、表示部26と、音出力部27と、を有する。車外端末2内の各要素は、バスライン20を介して相互に接続されている。
【0039】
通信部21は、制御部24の制御に基づき、他の端末とのデータ通信を行う。記憶部22は、RAM、ROM、不揮発性メモリなどの各種のメモリにより構成される。記憶部22は、車外端末2が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、車載機1と通信を確立した状態において、運転者との通話、車載機1の対象車両の運転に関する表示(地図表示及び各種撮影画像の表示を含む)、及び運転者のワークロードに関する表示を行うためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部22は、制御部24の作業メモリとして使用される。なお、車外端末2が実行するプログラムは、記憶部22以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0040】
入力部23は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。表示部26は、制御部24の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。音出力部27は、制御部24の制御に基づき音を出力するスピーカ等である。センサ群25は、車外端末2の状態をセンシングする内界センサ、及び、車外端末2の外界の状態をセンシングする外界センサを含む。
【0041】
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、車外端末2の全体を制御する。なお、図3に示す車外端末2の構成は一例であり、図3に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。
【0042】
(3)ワークロード関連情報の表示
次に、対象車両の運転者の運転負荷(ワークロード)に関するワークロード関連情報の表示について説明する。概略的には、車載機1は、時系列での運転者のワークロードを予測し、その予測結果を車外端末2に表示させる。これにより、車載機1は、時系列での運転者のワークロードの予測結果を車外端末2のユーザに認識させ、車外端末2のユーザは、運転者とコミュニケーションをとるタイミングを適切に見計らうことが可能となる。
【0043】
(3-1)ワークロード現在値の算出
ワークロードの度合いを示す値(スコア)であるワークロード値の算出方法について説明する。以後では、説明の便宜上、ワークロード値は、ワークロード値が高いほど、運転者のワークロードの度合いが高いことを示すものとする。以下では、現在の運転者のワークロードの度合いを示すワークロード値(「ワークロード現在値」とも呼ぶ。)の算出方法について説明した後、将来の運転者のワークロードの度合いの予測値を示すワークロード値(「ワークロード予測値」とも呼ぶ。)の算出方法について説明する。
【0044】
車載機1は、ワークロードに関連がある要素(「ワークロード関連要素」とも呼ぶ。)ごとに現在の状態を評価したスコア(「要素別スコア」とも呼ぶ。)に基づき、ワークロード現在値を算出する。ワークロード関連要素は、対象車両、運転者、又は走行環境に関する状態を表す要素であり、ワークロード関連要素の例は、対象車両が走行中の道路(走行道路)の環境に関する要素(「道路環境要素」とも呼ぶ。)、ワークロードに影響がある運転動作(運転操作)に関する要素(「運転動作要素」とも呼ぶ。)、運転者の体調に関する要素(「運転者体調要素」とも呼ぶ。)などを含む。なお、ワークロード関連要素は、道路環境要素、運転動作要素、又は運転者体調要素の少なくともいずれかがさらに細分化された要素であってもよい。
【0045】
従って、例えば、車載機1は、通話のための通信を車外端末2と確立している間、ワークロード関連要素毎に対象車両、運転者、又は走行環境に関する現在の状態を評価した要素別スコアを算出する。そして、車載機1は、算出した要素別スコアの合計値、平均値又はその他の代表値を、ワークロード現在値として定める。なお、要素別スコアを算出する対象となるワークロード関連要素は、道路環境要素、運転動作要素、運転者体調要素の全てであってもよく、これらのいずれか1つであってもよく、任意の2つであってもよい。また、要素別スコアは、好適には、各ワークロード関連要素のワークロードへの影響度合いに応じて重み付けされてもよい。この場合、例えば、ワークロードへの影響度が高い要素の要素別スコアに乗じる重み係数ほど大きい値となり、これらの重み係数を示す情報が予め記憶部12等に記憶されている。
【0046】
ここで、車載機1は、道路環境要素の要素別スコアを算出する場合、例えば、走行道路の混雑度、幅員、制限速度、視認性の少なくとも1つを勘案して要素別スコアを算出する。この場合、例えば、車載機1は、地図DB4の道路情報又は通信部11により取得される道路交通情報等を参照し、走行道路の混雑度、幅員、制限速度、視認性等の各度合いを特定し、特定した各度合いを所定の式又はテーブルを参照して要素別スコアに換算する。所定の式又はテーブルは予め記憶部12等に記憶されている。なお、道路環境要素は、複数のワークロード関連要素として細分化されてもよい。この場合、例えば、車載機1は、走行道路の混雑度、幅員、制限速度、視認性の各々をワークロード関連要素とみなし、これらの要素別スコアを夫々算出してもよい。
【0047】
また、車載機1は、運転動作要素の要素別スコアを算出する場合、例えば、現在の運転動作が、右折、左折、合流、一時停止等のいずれの運転動作に該当するかを判定し、判定した運転動作に応じた要素別スコアを算出する。この場合、例えば、車載機1は、該当する運転動作と運転動作要素の要素別スコアとを対応付けたテーブル等を参照し、運転動作要素の要素別スコアを決定する。ここで、車載機1は、現在の運転動作を、目的地が設定された場合に実行する経路案内処理により得られる情報(例えば対象車両の現在位置と目的地までの経路)により判定してもよく、対象車両から得られるウィンカーの状態又はステアリングの状態を表す信号に基づき判定してもよい。また、車載機1は、オートクルーズ走行の有無(又はその他の自動運転機能の有無)に基づき、運転動作要素の要素別スコアを決定してもよい。なお、運転動作要素は、複数のワークロード関連要素として細分化されてもよい。例えば、右折の有無、左折の有無、合流の有無、一時停止の有無、オートクルーズ走行の有無が夫々ワークロード関連要素として設定され、車載機1は、これらの各ワークロード関連要素の要素別スコアを、所定のテーブル等を参照し、対応する運転動作の有無に応じて決定する。
【0048】
また、車載機1は、運転者体調要素の要素別スコアを算出する場合、運転者の連続運転時間、眠気度(覚醒度)、その他運転に影響を与える生体指標の少なくとも1つを勘案して要素別スコアを算出する。この場合、車載機1は、例えば、眠気度又はその他運転に影響を与える生体指標を、生体センサ54が出力する信号に基づき特定する。そして、車載機1は、所定の式又はテーブルを参照し、特定した連続運転時間と1又は複数の生体指標とを、運転者体調要素の要素別スコアに換算する。なお、運転者体調要素は、複数のワークロード関連要素として細分化されてもよい。この場合、例えば、車載機1は、眠気度、連続運転時間の各々をワークロード関連要素とみなし、これらの要素別スコアを夫々算出してもよい。
【0049】
以上のようにすることで、車載機1は、ワークロードに影響がある種々の要素を勘案してワークロード現在値を決定することができる。
【0050】
(3-2)ワークロード予測値の算出
次に、ワークロード予測値の算出方法について説明する。車載機1は、ワークロードの予測を行う対象となる直近の将来の所定期間(「予測期間」とも呼ぶ。)において、所定時間間隔ごとに定まる各時刻(「予測時刻」とも呼ぶ。)でのワークロード予測値を算出する。上述の予測期間の長さ、及び、所定時間間隔は、夫々、予め定められた既定値であってもよく、入力部13によりユーザから受け付けたユーザ入力に基づく設定値(ユーザ設定値)であってもよい。
【0051】
この場合、車載機1は、予測時刻ごとのワークロード予測値を、対象車両、運転者、又は走行環境に関する当該予測時刻での予測された状態をワークロード関連要素毎に評価したスコア(「要素別予測スコア」とも呼ぶ。)に基づき算出する。ここで、要素別予測スコアを算出する対象となるワークロード関連要素は、道路環境要素、運転動作要素、運転者体調要素の全てであってもよく、これらのいずれか1つであってもよく、任意の2つであってもよい。要素別予測スコアは、好適には、各ワークロード関連要素のワークロードへの影響度合いに応じて重み付けされてもよい。この場合、例えば、ワークロードへの影響度が高い要素の要素別予測スコアに乗じる重み係数ほど大きい値となり、これらの重み係数を示す情報が予め記憶部12等に記憶されている。
【0052】
ここで、車載機1は、道路環境要素の要素別予測スコアを算出する場合、例えば、予測時刻において対象車両が走行していると予測される道路(「走行予測道路」とも呼ぶ。)の混雑度、幅員、制限速度、視認性の少なくとも1つを勘案して要素別予測スコアを算出する。この場合、例えば、車載機1は、ユーザが指定した目的地までの経路(案内経路)に関する経路情報と、案内経路上の各地点での対象車両の到着予想時刻とに基づき、各予測時刻での走行予測道路を特定する。なお、上述の案内経路及び到着予想時刻に関する情報は、ユーザが目的地を指定した場合に、車載機1が経路探索処理を行うことで生成される。経路探索処理は任意の手法により行われてもよい。そして、車載機1は、地図DB4の道路情報又は通信部11により取得される道路交通情報等を参照し、走行予定道路の混雑度、幅員、制限速度、視認性等の各度合いを特定し、特定した各度合いを所定の式又はテーブルを参照して要素別予測スコアに換算する。所定の式又はテーブルは予め記憶部12等に記憶されている。なお、道路環境要素は、複数のワークロード関連要素として細分化されてもよい。
【0053】
また、車載機1は、運転動作要素の要素別予測スコアを算出する場合、例えば、予測時刻での運転動作が、右折、左折、合流、一時停止等のいずれの運転動作に該当するかを判定し、判定した運転動作に応じた要素別予測スコアを算出する。この場合、例えば、車載機1は、経路情報と、案内経路上の各地点での対象車両の到着予想時刻とに基づき、各予測時刻での案内経路上での対象車両の予測位置を特定し、案内経路に沿って移動するための当該予測位置での右折、左折、合流、一時停止の各要否を判定する。そして、車載機1は、各運転動作の要否判定結果に基づき、必要な運転動作と設定すべきスコアとを対応付けたテーブル等を参照し、運転動作要素の要素別予測スコアを算出する。
【0054】
また、車載機1は、運転者体調要素の要素別予測スコアを算出する場合、予測時刻での運転者の連続運転時間、眠気度(覚醒度)、その他運転に影響を与える生体指標の少なくとも1つを勘案して要素別予測スコアを算出する。この場合、車載機1は、例えば、予測時刻での眠気度又はその他運転に影響を与える生体指標を、生体センサ54が現在及び過去において出力した信号に基づき特定する。この場合、車載機1は、例えば、任意の予測技術に基づき、現在及び過去の生体指標から予測時刻での生体指標を予測する。他の例では、車載機1は、現在の状態が予測時刻まで変化しないとみなし、現在時刻での生体指標を、予測時刻での生体指標とみなす。そして、車載機1は、所定の式又はテーブルを参照し、特定した予測時刻での連続運転時間と1又は複数の生体指標とを、運転者体調要素の要素別予測スコアに換算する。なお、運転者体調要素は、複数のワークロード関連要素として細分化されてもよい。
【0055】
以上のようにすることで、車載機1は、ワークロードに影響がある種々の要素を勘案して各予測時刻でのワークロード予測値を決定することができる。
【0056】
(3-3)表示例
図4は、車載機1の対象車両が走行中における車外端末2の第1表示例を示す。車外端末2は、車載機1と通信を確立しており、車載機1から受信する表示指示データに基づき、図4に示す表示画面を表示部26に表示している。
【0057】
ここで、図4に示す表示画面は、車外撮影画像表示欄60と、ワークロード関連情報表示欄61と、地図表示欄62とを有する。
【0058】
車外端末2は、車外撮影画像表示欄60上において、車外撮影カメラ51が生成した最新の車外撮影画像(動画像)を表示する。この場合、車載機1は、車外撮影カメラ51が生成した最新の車外撮影画像を含む表示指示データを車外端末2に送信する。
【0059】
また、車外端末2は、車載機1が送信する表示指示データに含まれるワークロード関連情報に基づき、ワークロード関連情報表示欄61上において、表示ウィンドウ71と、インジケータ72とを表示する。
【0060】
表示ウィンドウ71には、車載機1が算出したワークロード値のレベルが表示されている。ここでは、車載機1が算出したワークロード値が5段階評価において2番目に低いレベルであることから、表示ウィンドウ71には、「低め(2/5)」が表示されている。
【0061】
また、インジケータ72は、予測期間での各予測時刻と、各予測時刻でのワークロードの度合いとの関係を示したグラフである。ここでは、予測期間は、5分間であり、予測時刻は、現在時刻から1分間隔の時刻となっている。インジケータ72は、現在時刻及び各予測時刻に対して一定幅のスロット(フィールド)が割り当てられており、各スロットは、対応する現在時刻又は予測時刻に対するワークロード値のレベルに応じた配色がなされている。ここでは、車載機1は、レベルが高いワークロード値に対応するスロットほど目立つ色(濃い色)を配色している。なお、各スロットの上には対応する予測時刻が示され、各スロットの下には対応するワークロード値のレベルが示されている。例えば、車載機1は、インジケータ72を表示するためのワークロード関連情報を含む表示指示データを生成し、当該表示指示データを車外端末2に送信することで、インジケータ72を車外端末2に表示させる。インジケータ72は、「運転負荷予測情報」の一例である。なお、運転負荷予測情報は、移動体の運転者の運転負荷の度合いの予測結果に関する表示情報である。
【0062】
また、車外端末2は、地図表示欄62上において、対象車両の現在位置付近の地図を表示する。車載機1は、車両挙動検出器53に基づき推定した対象車両の状態と地図DB4と目的地までの経路案内に関する情報とに基づき上述の地図を車外端末2が表示するための表示指示データを生成し、当該表示指示データを車外端末2に送信する。なお、ここでは、地図表示欄62には、対象車両の現在位置を示す現在位置マーク73と、車載機1が対象車両の運転者を案内する案内経路を示す経路線74とが地図に重畳されている。
【0063】
このように、第1表示例では、車載機1は、時系列での運転者のワークロードの推移を好適に車外端末2のユーザに認識させることができる。これにより、例えば、車外端末2のユーザは、車載機1の運転者が運転に余裕がある時間帯(例えば現在又は4~5分後)に運転者に話しかけるなどの対応をとることができる。
【0064】
図5は、車載機1の対象車両が走行中における車外端末2の第2表示例を示す。車外端末2は、車載機1と通信を確立しており、車載機1から受信する表示指示データに基づき、図5に示す表示画面を表示部26に表示している。車外端末2は、表示画面上に、車外撮影画像表示欄60と、ワークロード関連情報表示欄61と、地図表示欄62とを設けている。
【0065】
車外端末2は、車外撮影画像表示欄60上において、車載機1から受信する表示指示データに基づき、車外撮影カメラ51が生成した最新の車外撮影画像(動画像)を表示する。また、車外端末2は、地図表示欄62上において、車載機1から受信する表示指示データに基づき、対象車両の現在位置付近の地図を表示する。また、車外端末2は、車載機1から受信する表示指示データに含まれるワークロード関連情報に基づき、ワークロード関連情報表示欄61上において、第1表示例と同一内容が示された表示ウィンドウ71と、インジケータ72Aとを表示する。なお、インジケータ72Aの下には、インジケータ72A内の色とワークロード値の大きさとの関係を示すグラフが示されている。
【0066】
インジケータ72Aは、予測期間での各予測時刻と、各予測時刻でのワークロードの度合いとの関係を示したグラフであり、予測期間である直近5分間でのワークロード値の推移を連続的に表している。この場合、車載機1は、例えば、ワークロード現在値及び各予測時刻でのワークロード予測値を用いて予測期間内の任意の時刻でのワークロード予測値を補間により算出する。この場合、車載機1は、スプライン補間などの任意の補間手法を用いて予測期間内の任意の時刻でのワークロード予測値を算出してもよい。そして、車載機1は、予測期間内の任意の時刻でのワークロード予測値を含む表示指示データを車外端末2に送信し、車外端末2は、受信した表示指示データに基づきインジケータ72Aを表示する。なお、上述の補間処理は車載機1に代えて車外端末2が実行してもよい。インジケータ72Aは、「運転負荷予測情報」の一例である。
【0067】
このように、第2表示例においても、車載機1は、時系列での運転者のワークロードの推移を好適に車外端末2のユーザに認識させることができる。これにより、例えば、車外端末2のユーザは、車載機1の運転者が運転に余裕がある時間帯に運転者に話しかけるなどの対応をとることができる。
【0068】
図6は、車載機1の対象車両が走行中における車外端末2の第3表示例を示す。車外端末2は、車載機1と通信を確立しており、車載機1から受信する表示指示データに基づき、図6に示す表示画面を表示部26に表示している。車外端末2は、表示画面上に、車外撮影画像表示欄60と、ワークロード関連情報表示欄61と、地図表示欄62とを設けている。ここで、車外撮影画像表示欄60及びワークロード関連情報表示欄61の表示内容は第1表示例と同一のため、その説明を省略する。
【0069】
ここで、地図表示欄62における経路線74Aの表示態様は、ワークロード予測値に基づき決定されている。より具体的には、車載機1は、地図表示欄62の対象車両の現在位置周辺の地図上において、対象車両の現在位置を示す現在位置マーク73と共に、ワークロード予測値(及びワークロード現在値)に応じて区間ごとに色分けした経路線74Aを車外端末2に表示させている。この場合、車載機1は、経路線74Aが示す案内経路上の各地点に対応する経路線74Aの色を、当該各地点におけるワークロード予測値(及びワークロード現在値)に基づき決定している。
【0070】
ここで、車載機1は、インジケータ72と同一の規則により経路線74Aの配色を行うことにより、インジケータ72の各スロットと各スロットに対応する経路線74Aの区間とを対応付けて車外端末2に表示させている。例えば、対象車両の現在位置から最初の右折地点の手間の位置までの走行区間でのワークロード予測値のレベルは、ワークロード現在値のレベルと同一の「2」であることから、車載機1は、インジケータ72の「現在」に対応するスロットと同一色により経路線74Aの当該走行区間の配色を決定する。一方、最初の右折地点の手間の位置から最初の左折地点までの走行区間でのワークロード予測値のレベルは、1分後及び2分後のワークロード予測値のレベルと同一の「3」であることから、車載機1は、インジケータ72の「1分後」及び「2分後」に対応するスロットと同一色により経路線74Aの当該走行区間の配色を決定する。また、最初の左折地点から2回目の右折地点までの走行区間でのワークロード予測値のレベルは、3分後のワークロード予測値のレベルと同一の「4」であることから、車載機1は、インジケータ72の「3分後」に対応するスロットと同一色により経路線74Aの当該走行区間を描いている。2回目の右折地点後の走行区間でのワークロード予測値のレベルは、4分後及び5分後のワークロード予測値のレベルと同一の「2」であることから、車載機1は、インジケータ72の「4分後」及び「5分後」に対応するスロットと同一色により経路線74Aの当該走行区間の配色を決定する。
【0071】
なお、車載機1は、地図表示欄62に車外端末2が表示すべき地図表示情報を生成後、生成した地図表示情報を含む表示指示データを車外端末2に供給し、車外端末2は、受信した地図表示情報に基づき図6に示す地図表示欄62を表示する。第3表示例における地図表示情報は、「運転負荷予測情報」の一例である。
【0072】
このように、第3表示例では、車載機1は、時系列でのワークロード予測値の推移に応じ、対応する対象車両の予測位置での案内経路の表示態様を決定する。これにより、車外端末2のユーザは、対象車両の現在位置周辺の地図を参照し、運転者とコミュニケーションを図るタイミングを見計らうことができる。
【0073】
なお、第1表示例~第3表示例における表示レイアウトは一例であり、種々の変更が適用されてもよい。例えば、車外端末2は、車外端末2のユーザの車外端末2への操作に基づき、車外撮影画像に代えて、運転者撮影画像を表示してもよい。他の例では、車外端末2は、車外撮影画像表示欄60と、地図表示欄62とのいずれか一方のみを表示画面に設けてもよい。さらに別の例では、車外端末2は、ワークロード関連情報表示欄61のみを表示画面に設けてもよい。さらに別の例では、第3表示例の地図表示を行う場合には、車外端末2は、第3表示例の地図表示のみを行ってもよい。
【0074】
(4)処理フロー
図7は、車載機1が実行する処理の手順を示すフローチャートの一例である。車載機1は、図7に示すフローチャートの処理を、車外端末2との通信が確立され、通話が開始された場合に実行する。
【0075】
まず、車載機1は、対象車両の運転者のワークロードに関連する各ワークロード関連要素の現在時刻での要素別スコア及び各予測時刻での要素別予測スコアを算出する(ステップS101)。この場合、車載機1は、地図DB4及びセンサ群15が出力するデータ等に基づき、道路環境要素、運転動作要素、運転者体調要素、又はこれらを細分化した現在時刻の要素ごとの要素別スコア及び各予測時刻の要素ごとの要素別予測スコアを算出する。
【0076】
次に、車載機1は、対応する時刻の要素別スコア又は要素別予測スコアに基づき、ワークロード現在値と各予測時刻でのワークロード予測値とを算出する(ステップS102)。この場合、車載機1は、現在時刻に対応する要素別スコアに基づきワークロード現在値を算出し、各予測時刻に対応する要素別予測スコアに基づき各予測時刻のワークロード予測値を算出する。この場合、車載機1は、要素別スコアを時刻ごとに合算又は平均(重み係数を用いる場合を含む)したワークロード値を算出してもよく、予め記憶部12等に記憶されたワークロード値の算出式に時刻ごとの要素別スコアを代入することで、時刻ごとのワークロード値を算出してもよい。
【0077】
次に、車載機1は、ワークロード現在値及びワークロード予測値に関する表示指示データを、車外端末2に供給する(ステップS103)。この場合、車外端末2は、表示指示データに含まれるワークロード関連情報に基づいて、予測期間での時系列でのワークロード値の推移を示す表示を行う。なお、表示指示データに、車外撮影画像、運転者画像、又は現在位置周辺の地図を表示するための地図表示情報の少なくともいずれかが含まれている場合には、車外端末2は、車外撮影画像、運転者画像、又は地図表示情報の少なくともいずれかに基づく表示を行ってもよい。また、第3表示例のように、ワークロード現在値及びワークロード予測値が反映された地図を示す地図表示情報を生成した場合、車載機1は、地図表示情報をワークロード関連情報の一部とみなし、当該地図表示情報を含んだ表示指示データを車外端末2に供給する。
【0078】
そして、車載機1は、通話が終了したか否か判定する(ステップS104)。そして、車載機1は、通話が終了したと判定した場合(ステップS104;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、車載機1は、通話が終了していないと判定した場合(ステップS104;No)、ステップS101へ処理を戻す。
【0079】
(5)変形例
次に、上述した実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0080】
(変形例1)
車載機1が実行する処理の少なくとも一部の処理を、車載機1及び車外端末2とデータ通信を行うサーバ装置が実行してもよい。
【0081】
図8は、変形例に係る運転通話システムの構成例を示す。運転通話システムは、車載機1Aと、車外端末2と、サーバ装置5とを有する。車載機1Aとサーバ装置5、及び、車外端末2とサーバ装置5は、夫々、通信網3を介してデータ通信を行う。
【0082】
車載機1Aは、上述の第1実施例において説明した車載機1と同様の構成(図2参照)を有する。なお、地図DB4に基づく処理をサーバ装置5が行う場合には、車載機1Aは、地図DB4を有しなくともよい。そして、車載機1Aは、センサ群15が出力する情報、及び、入力部13により入力された入力情報などを含むアップロード信号をサーバ装置5に送信する。
【0083】
サーバ装置5は、車載機1Aと車外端末2との音声通話に必要なデータの中継を行う。また、サーバ装置5は、音声通話中において、車載機1Aから受信するアップロード信号等に基づき、表示指示データを生成し、生成した表示指示データを車外端末2へ送信する。具体的には、サーバ装置5は、音声通話中において、車載機1Aから受信するアップロード信号等に基づき、図7に示されるフローチャートの処理を実行する。
【0084】
図9は、サーバ装置5の概略構成の一例を示す。サーバ装置5は、主に、通信部41と、記憶部42と、制御部44とを有する。サーバ装置5内の各要素は、バスライン40を介して相互に接続されている。
【0085】
通信部41は、制御部44の制御に基づき、車載機1A及び車外端末2などの外部装置とのデータ通信を行う。記憶部42は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部42は、サーバ装置5が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部42は、地図DB4を含んでいる。制御部44は、CPU、GPUなどを含み、サーバ装置5の全体を制御する。また、制御部44は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することで、車外端末2にワークロード関連情報を表示させるために必要な処理を実行する。
【0086】
このように、車外端末2にワークロード関連情報を表示させるために必要な処理をサーバ装置5が実行する場合であっても、運転通話システムは、実施例と同様、運転者のワークロードの状態を車外端末2のユーザに好適に認識させ、ユーザは、運転者に話しかけるのに都合がよいタイミングなどを見計らうことが可能となる。本変形例において、サーバ装置5は、「情報処理装置」の一例である。
【0087】
(変形例2)
車載機1は、目的地までの案内経路が設定されていない場合であっても、対象車両の走行履歴に基づいて、対象車両が走行すると予測される予測経路を決定し、予測経路に基づいて、予測期間での要素別予測スコアを算出してもよい。
【0088】
この場合、記憶部12には、対象車両が走行した道路等に関する走行履歴を示す走行履歴情報が記憶されている。そして、車載機1は、走行履歴情報を参照し、対象車両の現在位置から予測経路を決定する。例えば、車載機1は、対象車両の現在位置を含む過去の対象車両の走行履歴が示す経路のうち、最も走行頻度が高い経路を、予測経路として決定する。そして、車載機1は、予測経路上の各地点での対象車両の到着予想時刻を算出し、各予測時刻での対象車両の走行予定道路又は予測位置を特定する。これにより、車載機1は、道路環境要素の要素別予測スコア及び運転動作要素の要素別予測スコアなどを、上述した実施例と同様に決定することができる。
【0089】
以上説明したように、車載機1又はサーバ装置5は、移動体である対象車両の運転者と対象車両の外部に存在する車外端末2のユーザとのコミュニケーションを仲介するシステムに用いられる情報処理装置であって、予測手段と、表示制御手段とを有する。予測手段は、対象車両の運転者の運転負荷の度合いに関する指標値の予測値であるワークロード予測値を算出する。そして、表示制御手段は、予測期間における時系列でのワークロード予測値を示す運転負荷予測情報を、車外端末2に表示させる。これにより、車載機1又はサーバ装置5は、車外端末2のユーザに対して、運転者とコミュニケーションをとるタイミングを適切に見計らうための材料となる情報を好適に提供することが可能となる。
【0090】
なお、上述した各実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory Computer Readable Medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(Tangible Storage Medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0091】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0092】
1、1A 車載機
2 車外端末
3 通信網
4 地図DB
5 サーバ装置
11、21、41 通信部
12、22、42 記憶部
13 入力部
14、24、44 制御部
15、25 センサ群
16、26 表示部
17、27 音出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9